約 2,714,802 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2294.html
【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~】 麻薬みたいな男を一人知っている。 その男は人を酔わせる不思議な魅力を持っている。 その男は万人が求める悪人としての要素を十分すぎるくらいに持っていた。 他人など意に介さず自らの意志の赴くままにあらゆる悪行を為し、 自分の目的の為には他人を道具としてしか考えない。 人を酔わせる麻薬そのものか、麻薬に操られる人間か。 この差は大きい。 同じ悪を為す人間であっても前者は自らの意志で悪事を行い、後者は状況に流されて悪事を行うからだ。 どちらが悪いという話でもないが……。 正義の味方をやっていると善にはなり得ない人間が居るってことを実感せざるを得ない。 自らの意志で悪事を行う人間はそういう意味で恐ろしい。 彼らは自分が悪だなんて欠片も思わずに自らの思うままに行動するのだ。 自分を大事にとか心のままになんて言葉は良く聞くが、程々にして欲しい物だ。 「悪魔の囁きの契約者とその仲間。 今の学校町を騒がせているのはそいつらだ。 お前が言うところの悪人ってならそいつらじゃねえかな? 組織から任務が降りてくるだろうからくれぐれもお前一人で突っ走るなよ?」 「はい、ありがとうございます。」 「それとお前さんが会ったポケモンマスターだったっけか? お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ。 超遠距離から契約者を一撃で倒すタイプの都市伝説で対処することになると思う。 お前らには恐らく蛸妊娠だかの契約者の対処が割り当てられるんじゃないか? 対生物が一番刺さるだろう?お前らの攻撃って。」 「そうですか……。 解りました、でも俺達の接触した契約者って………。」 「ああ、知っている。子供なんだろう? 組織だってそこまで酷い奴らばかりじゃねえよ。 というか今は善良な奴が多いぜ?何故か“事故死”する過激派の黒服が多いそうだ。」 「そうですか……。」 「そうなんだよ。それじゃあ切るぜ。」 「はい、それじゃあ。」 携帯電話の電源を切ると俺はそれをポケットに投げ込んだ。 身体をバタンとソファーに投げ出す。 俺は笛吹探偵事務所の所長室の椅子に腰をかけていた。 学校は終わって、今は春休みである。 「どうしたのアスマー?」 「いや、Hさんからの電話。」 「おーい、恋路!もう一回勝負しろ!」 奥の部屋、恐らくここの主がプライベートで使っている部屋から子供の声が聞こえる。 「あ、ちょっと待っててねレモンちゃん!」 「橙だ!」 「似たような物じゃないか!」 ハーメルンの笛吹きからこの事務所を預かり受けた時、助手を一人紹介された。 橙レイモンという少女だそうだ。 複雑な経緯で彼の事務所の助手をしているらしいが詳しいことはまだ教えられていない。 ただ、このレイモンという少女はハーメルンの笛吹きの語るときに嬉しそうな顔をする。 だからハーメルンの笛吹きに何か恩義が有るのだろう。 「小足みてから昇竜拳!」 「うわああああああああああ!!!」 恋路と橙は格闘ゲームをやっていた。 そしてまた橙が負けた。 恋路の超速反応について行っている分、今までの挑戦者よりはまともに戦えているのだがそれでも彼女には勝てないようだ。 「なあ、橙……さん。」 「なんだ明日真。」 「その、君の都市伝説ってのは本当に……?」 「しつこい奴だな、僕の都市伝説はラプラスの悪魔だと言っているだろう。」 「アスマー、女の子に詮索かけるのはあんまり良くないよー!」 「むぅ……。」 橙レイモンという少女は『ラプラスの悪魔』と契約している契約者なのだそうだ。 どうも俺にはそれが信じられない。 こんな小さい少女がそれ程巨大な都市伝説と契約できそうには思えない。 その辺りの詳しい事情も聞きたいが恋路に阻まれて聞き出せない。 「壁際まで追い詰めて1killコンボ!」 「うわー!また負けた!」 「レモンちゃん大分強くなってきたねえ!」 まあ解らなくても良いかと思う。 橙は優秀な助手だったしこれ以上探るのも野暮という物である。 というか探偵そのものだった。 おそらく笛吹は彼女に探偵業務の大半を行わせていたに違いない。 「明日君、頼まれていた都市伝説の出没マップ持ってきたよ。 元気無さげじゃない?」 ドアが開くとセーラー服の少女が事務所に入ってきた。 向坂境、この探偵事務所の所長だ。 笛吹がまとめた都市伝説の資料を向坂が持ってきてくれたのだ。 「ああ、向坂さん。いやどうにも笛吹という男が解らないんだよね。」 「そう?あの人って良い人よ。私のお姉ちゃん見つけてくれたし。」 「そりゃあ仕事だったからだろう。」 「わたしお金払ってないよ?」 「ああ、そういやそうだったな。良い人って……どんな風に?」 よく考えれば俺は笛吹という人間をよく知らない。 これから戦うことになるにしてもこのまま協力関係が続くにしてもあいつのことを知っておくべきだろう。 「彼は、神様みたいに良い人でした。」 歌うように語り始める向坂。 そうとうあの男が好きなのだろう。 そういえば笛吹は女性に好かれやすいな、この事務所のスタッフも彼が契約している都市伝説も女性だ。 あんな性格なのに何故だろう? 理不尽だ。 「まあ神様というのは冗談として彼って基本的にずれた人です。 だからなのか知らないんですけどついつい見ていたくなります。 彼は彼しか愛せない人間ですが、そんな彼だからこそ不思議な魅力を持っている。 むしろあれほど魅力的な自分だったならば愛せざるを得ないかもしれない。」 「変わっているけど良い奴なのか?」 おかしい、俺は会った瞬間殺されかけたはずなのだけどな? 「自分はろくでもないド外道の畜生野郎だからできるだけ人に優しくしているって言ってました。」 うん、確かにあいつはド外道だ。 「成る程ね、他になんか特徴って無いの?」 「ああ、すごく自己中だよ。」 今度は後ろから声が届く。 橙レイモンが口を挟んできた。 「あいつはとにかく自分の感性を優先する。 他人の事なんて一切考えない。 自分の都合で誰かを幸せにして誰かを不幸にする。 そこそこ優秀な人間だからなおのこと他人に迷惑かけるんだよ。 人間味が薄い、ってのが一番言い得ているかな?」 「あー、それは私も思った。 笛吹さんって人間っていうには頭の捻子外れちゃっているよね。」 今度は恋路だ。 なんでみんなあいつのことを話したがるのだろう? 「お前ら楽しそうだなおい……。」 思わず呟く。 悪人ほど人を惹き付けると言うがその通りなのだろうか? 誰かと人間関係を作るとき善悪なんて人はそれほど気にしない物なのかもしれない。 でも、悪いことは悪いこと。 どこまで言っても変わることはない。 だからそういう考え方は駄目だと思うのだが、今言っても仕方がないか。 「話題にしてると飽きないから。」 「話題にしかならないから。」 みんな、同じようにそう言った。 カランコロン! 事務所のドアが開く。 「皆さんこんにちわ………?」 遠慮がちに扉を開けて来たのは金髪の幼女だった。 「おや、メルちゃんじゃないか。」 「お久しぶりです皆さん。」 「やっと来たか笛吹(小)。」 「メルちゃん元気になったー?」 幼女、といっても都市伝説『ハーメルンの笛吹き』、しかも本体である。 本来とても危険なはずの都市伝説なのだがここに居る女性陣は普通に接していた。 普通身構えないか? 俺がおかしいだけなのかもしれない。 「明日さん、その節はどうもお世話になりました。」 ぺこりと頭を下げるハーメルンの笛吹き。 「いえいえ、こちらこそ。」 一応自分も頭を下げてみる。 どうも彼女のことは苦手だ。 「メルちゃんとりあえずスマブラやろうぜー。」 女性陣は四人揃ったのでスマブラを始めることにしたらしい。 俺は人数にカウントされていないようだ。 「私wii出してきますね。」 「――――――向坂さんそこを開けちゃ駄目だアアアアアア!!」 「え、あ、…………うわあ。」 絶叫するレイモン。 愕然とする向坂。 「所長が何か妙な物でも隠してたんですか?」 メルが後ろから覗き込もうとする。 「駄目だ、メルちゃん貴方は見ちゃ駄目!」 「あ~れ~!?」 向坂はすばやくメルの目を隠す。 「あはは、まあ所長も成人男子だしねえ……。これくらいなら許容範囲内じゃない?」 恋路がとりあえず弁護し始める。 「じゃあ恋路さん、仮に明日君がこんな物持ってたらどうしますか?」 俺の話にするな、向坂。 「そりゃ決まってるじゃないか向坂さん。」 「と、言いますと?」 「正直引くわー………。」 俺は家に帰ったらすぐに『Hで綺麗なお姉さん』のDVDを処分することに決めた。 さらば、俺の秘蔵コレクション。 「さて、気を取り直してゲームやりましょうか。」 「そだね、これは見なかったことにしよう。」 くそっ、あいつの隠してたDVDってなんだったんだ! すげえ気になるじゃないか! あいつの好みってなんなんだ? わがままな性格だから年下か? いや、もしかしたら人妻とかそういうドロドロしたのなのか? 気になる!すっげえ気になるじゃないか!!! 「あ、あのさ……。」 意を決して聞いてみることにした。 「其処にあったのって……。」 女性陣が同時に振り返る。 少々怖い。 「あ、すいませんでした。」 とてつもない疎外感を感じた。 「テンッ!クウ……ウボァー!」 「ふっ……そこだぁ!」 女性四名はスマブラをしている。 先程までは恋路が圧倒的に強かったようだが今度は橙が強いらしい。 「橙さん、弱った相手だけ狙いますよね。」 それに真っ先に気付いたのはメルだった。 ピクミンを投げながら向坂を牽制している。 「これはそういうゲームだよ。」 「それにしてもまさか私達の動きを能力で読んでいるなんてことは……。」 まさかこのゲームでも橙は都市伝説の能力を使っているのか? 「だからどうしたんだと言うんだ!ハッハー!勝てば良いんだよ勝てば!」 もはやキャラが違う。 スマブラが友情破壊ゲームだとは聞いていたがここまでとは知らなかった……。 「その通りだ、レモンちゃん。」 「えっ、嘘!?」 一瞬で橙のマルスまでの距離を詰める恋路のウルフ。 「こいつで遊んでやるぜ!」 「あーれー!?」 橙のマルスはなすすべもなく吹き飛ばされていった。 はて、ここは探偵事務所だったような気がするのだが……? これだけ遊んでいても良いのだろうか? 一しきり遊ぶと恋路は夕飯の為に買い出しに行ってしまった、 橙は親御さんらしき謎の紳士のお迎えで帰り、 向坂は親と約束した時間なので自宅に帰って行った。 そして俺とハーメルンの笛吹きのみが事務所に残されてしまった。 「明日さん、私が暴走している時に所長の手助けをして頂いたって話を聞きました。 本当にありがとうございます」 急に真面目な顔になって俺に頭を下げるメル。 どうにもこうやってまともに感謝されるのは苦手だ。 別に当たり前のことを当たり前にやっているだけな訳だから。 「いや、誰かを助けるのに理由なんて要らないよ。」 「……本当に良い人なんですね。理由が有ればなんでもするあの人とは正反対だ。」 「理由が有れば?」 「ええ、あの人は都市伝説として消えかけていた私を明確に人々に記憶させる為にあんなことしてたんです。 そこに彼自身の趣味趣向はあったのでしょうけど……。 そういう大義名分は少なくともありました。」 「この前の孤児院襲撃もそうなのか? 男の子一人に説教決める為だけに大暴れしたそうじゃないか。」 「ああ、あれも組織の過激派に連れて行かれそうだった女の子救い出す為にですね。 あの人は悪魔ですから、自分と自分の周りの物の為ならなんでもやります。」 「悪魔ねえ……。誰かを守る悪魔?」 「誰かを守るから悪魔なんですよ。」 「まったくだな。」 メルの言葉は不思議と胸に納まった。 「誰かを守るから、誰かを傷つけなきゃならない。」 「私は他人を犠牲にしてでも生き残ろうと思った。 でも私は手を染めたくない。 そんな時、彼が私の代わりになんでもやってやると言ってくれた。 ほんと、そんなもんですよ彼なんて。」 「悪だなあ、退治するべきだったか?」 「もう遅いですよ。 私は恐怖の都市伝説として生きていけるんで向こう1000年いけますね。 もうしばらく私が戦うことはないです。 だから私を殺しても無駄です。」 「そっか、じゃあやめる。」 わるいことをもうしないなら良いんだ。 「ていうかあれです。 もう私は只の人間とそんなに変わらないんですよ。 都市伝説の能力がほとんど無くなっちゃったんで。」 突然、メルから思わぬ言葉が飛び出た。 信じられなくてもう一度聞き返す。 「今、なんていった?」 「いや、だから所長にとりこまれちゃったんですよ。 私はまあ……ハーメルンの抜け殻的なあれです。」 「都市伝説を取り込むって……。」 「だから、私はもう何も出来ない無害な存在ですよ。」 そういってメルは力なく笑った。 「その話を聞いて気になったんだけどさ。 じゃあ今、お前の契約者はどうなっているんだ?」 「特に変わった様子はないみたいですけどねえ?」 「……少し気になるな。」 「まあ学校町もすっかり平和になりそうですからあの人は大人しくなりますよ。 いつも平和になったら真っ先に消されるのは自分だってぼやいてますし。 それを避ける為にも静かになるんじゃないですか、多分。」 「悪人も苦労しているわけだ。」 「ていうか悪いことするのってすごい労力が必要ですから。」 「苦労してわざわざ悪いことするのか? やめて欲しいなそれは。」 苦笑せざるを得ない。 「善悪なんて誰かが後から決めるものですよ。」 「いいや、善悪は自分が決めるのさ。」 「決められるほど立派な人間なんですか?」 自分は立派な人間じゃない。 それ位は解っている。 「いいや、でも悪いことは悪いって誰もが解るだろう? 常識的に考えて。」 「常識………、ですか。」 「良心でも良い。」 常識とか良心が無かったらお終いだろう? そうとしか自分には言えない。 「善悪って理屈じゃないと思うんだよ俺。 最後は何も言わずに解るような常識とか良識にかかってると思うんだよね。 そうじゃないと同じ人間で居る意味が無い。 理屈抜きにして伝わる物が一番大事だよ。」 「…………ふっつーに善人ですねあんた。」 「ありがとう、偶に言われる。」 良い人だね、この言葉が正義の味方の証明だ。 この言葉があれば自分はいつだって正しくいられると思うのだ。 それが皮肉でもあてこすりでも構わない。 だって駄目だろ、常識的に。 何時だってそう言えるのが理想ではあるがそうも言えないのが中々悲しい。 「どうしたんですか明日さん、難しそうな顔をして?」 「そうか?」 契約者もそうだがこいつも結構するどいなあ。 やはり苦手だ。 「只今ー!夕ご飯の材料買ってきたよ、メルちゃんも食べていくかい?」 しばらくすると恋路が両手にスーパーの袋を抱えて帰って来た。 「お、恋路おかえりー。」 「ああ、じゃあ私も食べていきます。」 「今日の晩ご飯はウナギです。」 「うわっ、贅沢!?」 「あれ、ああそういうことなら邪魔者は退散しますね。」 いそいそと帰り支度を始めるメル。 「いや待って!?そういうんじゃないから!」 慌ててメルを止める恋路。 個人的には彼女が帰ってくれた方が俺は嬉しかった。 「じゃあ私キッチン借りるからー!」 「じゃあ私はお皿とか準備しときますね。」 いそいそと二人が夕食の準備を始める。 俺も事務所の表札をopenからclosedにしてくることにしよう。 ウナギの焼ける良い香りを楽しみながら俺は所長の椅子から立ち上がったのである。 【電磁人の韻律詩17~笛吹探偵事務所の日常~fin】 前ページ次ページ連載 - 電子レンジで猫をチン!
https://w.atwiki.jp/legends/pages/120.html
「来たか」「…僕が逃げるとでも?」 久々の獲物。しかも向こうからコンタクトを取ってくるとは。 「しかしまぁなんでこんな体育館を選んだんだい?警備に見つかったらまずいんじゃないかい?」 「なぁに、広いほうが俺にとっては戦いやすいからな」 僕にとっては、戦いにくい。ちょこまかと動かれると、僕の能力が使いづらいから。 でも、僕の能力が負けるはずはない。そういう確信があるからこそ、僕は彼の提示した場所へと赴いたのだ。 「さ、無駄話もなんだからな。さっそくバトル開始といこうじゃないか」そう言って彼は僕へ向けて小さなクッションを投げた。 「……」慌てることもなく僕はいつもの道具をクッションに押し当てる。 その瞬間。僕、そして彼の前からクッションは姿を消した。 「……それが、お前の能力か」 「そうだよ。これが僕の能力、『夢の国』だよ。まぁ僕のはその中でもだいぶ特殊な部類だけどね。 聞いたことあるでしょ?夢の国は自分たちの顔を使われるのが嫌いなんだよ」 僕の能力は『夢の国の人物の絵を描いた物は消される』という能力。 まぁ、都市伝説の部類かは微妙だが、僕が契約できている以上は都市伝説なのだろう。 「君の能力も教えてよ。僕が教えるだけじゃフェアじゃないよ?」 「…そうだな。俺の都市伝説は『蠢く羽毛布団』って奴だ。まぁクッションとか座布団とかでもいいんだが…」 あぁ、羽毛布団は蛆虫がたくさんわいて動くってやつか。とすると、蛆虫をぼくにぶちまけるってのか。 「…ずいぶんとしょぼいんだね。そんなんじゃ僕の強大な『夢の国』には勝てないよ?」 「さぁ、それはどうだかね」「なんでそんなに余裕なの?君にこのスタンプを押しつけたら君も消されるんだよ?」 そういって僕は彼にネズミのスタンプを見せる。これを押されたモノはなんでも消える。 恐怖におののくかと思っていた彼の口からは、予想外の言葉が出た。 「そっちも余裕ぶっこいてていいのか?そろそろ奴らが暴れだす頃だぜ」 「は?何言ってるの?君の能力はもう封じたも同z…?」ボトッ 僕の頭上から何かが落ちてきた。「…ゴキ○リ?」 僕の見たものは黒光りするアイツ。しかしなぜここに…? 「知らないか?『体育館の天井裏にはゴキブリがひしめいてる』っていう都市伝説」「!?」 聞いたこともない。マイナーな話なのだろうか。でもいま重要なのはそこじゃない。 「…まさか」 …コイツ、複数の都市伝説と契約してやがる…! 気付いた時にはもう遅かった。 天井から降りそそぐ無数のG。普通の人が見たら気絶ものだろう。そしてそのGたちは俺の体にまとわりついてくる。 「くっ!こんな奴ら…!」ポンっ、ポンっ。 消せども消せども、Gの数は消えない。それどころが、どんどんと増えて、俺の体を覆い尽くそうとしている。 「…っ!てめぇ!卑怯だぞ!」 「教えたじゃねえか、一つ目は。お前だって一つだけだろ?」 っコイツ…! 「…だったら!」 僕は足でGたちを踏みつぶす。だが、潰しても、その状態で動き回り、僕の体にまとわりつく。 「…なんで、何でなんだ!?何で潰しても死なないんだ!?」 「おいおい、無知って怖いな。『ゴキブリは死なない』って都市伝説、しらねぇか?」 …三つめ?…そんな、そんなのズルイ。 そう思いながら、抵抗をやめた僕の体はG達に飲み込まれていった。 「やっぱり、多重契約はきついな…」 こいつらと契約してから2週間。ずいぶんと戦い慣れしたもんだ。 前々から虫は好きだったものの、これだけの量のGはさすがに鳥肌が立つ。 「…ま、これもあいつのため、か…」 前ページ次ページ連載 - わが町のハンバーグ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/13.html
設定 - テンプレ 設定 - テンプレ 設定一覧 - 作品別 あいうえお順ショートカット あ行 / か行 / さ行 / た行 / な行 / は行 / ま行 / や行 / ら行 / わ行 / その他 あ行 赤い部屋(非隣人ver) 赤い目をした女の子・闇子さん 赤い幼星 あぎょうさん 合わせ鏡のアクマ 1ペニー硬貨と契約 犬神憑きと怪人アンサー ウェルカム!ミス、メリー 占い師と少女 白装束は槌を振るう エンジェルさん か行 解剖室シリーズ、他 河童と2尾 神隠しのご先祖様 ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 騎士と姫君 恐怖のサンタ 喫茶ルーモア・隻腕のカシマ 救急車 教授とテケ子 切り裂きジャックと四次元婆 首塚 首無し騎士の契約者 「結界都市『東京』」 ケモノツキ コックリさん コトリバコの契約者 さ行 三秒ルール 三面鏡の少女 死刑囚は闇夜で笑う 女装少年と愉快な都市伝説 人肉料理店とその契約者 人面犬と契約 人面犬と不良JK 隙間女 スパニッシュフライ 正義の鉄槌 神智学協会編 少女と化け猫 た行 台風一家 チェーンメール 仲介者と追撃者と堕天使と トイレの花子様 ドッペルさん 永久の力 電子レンジで猫をチン! な行 猫又話 は行 はないちもんめ 花子さんと契約した男の話 ハーメルンの笛吹き ファンキーな口裂けさん 古きもの ベッドの下の男 ヘビ女さんと下水道の怪物さんと フィラデルフィア計画 ま行 マッドガッサーと愉快な仲間たち 魔法少女銀河 夢幻泡影 メリーさんと契約した男 や行 ヤンデレ太郎君 夢の国 弱虫少年と首なしライダー 夜に爪を切ると親の死に目に会えない ら行 ラプラスの悪魔 わ行 わが町のハンバーグ 私と死神 その他 ※ただしイケメンに限る Tさん Tanasinn ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4828.html
我輩は宇宙人である。 何星で生まれたのかとんと見当がつかぬ。 生まれも育ちも分からぬが、地球を侵略する為にここにいるのは分かっている。 何故ならば、我輩はそう噂された都市伝説だからだ。 「まいったな。真っ暗じゃないか」 学校帰りにゲーセンに寄って、気がつくと夜になっていた。 僕の家までは、この公園を突っ切るのが近道なんだけど、電灯がない。 公園といっても、それなりの広さがあるからな。 んー……まあ、 「大丈夫か」 変質者なんてそうそういないだろ。 そう思って公園に入る。 「……何か、変な臭いするな」 何ていうのか、分からないけど、気持ち悪い臭いだ。 やめといた方が良かったかな。 「そこの人!危ない!!」 「……へ?」 突然、女の子の声がした。 声の方を向くと 「早く逃げて!!」 学校の怪談なんかでよく見る、花子さんみたいな恰好の女の子が走っていた。 そして、その背後から 「……何、あれ?」 3メートルはあるだろう化け物が現れた。 光る目、赤い顔の、スペードのエースのような形状の頭、短い腕に、爪のような手。 そんな化け物が、走るのではなく、少しだけ浮きながら女の子を追う。 女の子は僕の方へ走ってきていて、 「うわぁああああ!!」 僕も化け物に追われるように走りだした。 「何!?何なの!?あれなに!?」 「落ち着いてください!」 花子さんの恰好の女の子がそう言うが、落ち着けるわけないだろ! 「あ、そうだ、契約!人間さん!私と契約してください!」 「は!?何?契約?」 「そうです!ここ学校でもトイレでもないから、私、何もできなくて!でも契約すれば!」 「無茶言うな!そんな事よりあの化け物は何なんだ!?」 化け物は今だ僕たちを追ってきている。 「あれはフラットウッズ・モンスターです!宇宙人で、都市伝説ってやつで、普通の人間にどうにかできるモノじゃないんです!だから、契約……を?」 走り続けて、いい加減、疲れた。 しかし、そうか宇宙人か。 じゃあ、逃げるの終了。 「な、何してるんですか!?」 花子さんが、慌てて戻ってくる。 「※※※※※※※※※※」 意味不明な言語ひ叫びながら、フラットウッズ・モンスターが襲ってくる。 そして僕は 「邪魔」 持っていた光線銃で、フラットウッズ・モンスターを撃った。 「……え」 「※※!?」 「さよなら」 そうして、頭に大きな穴を開け、フラットウッズ・モンスターは倒れた。 「……え……え?人間、さん?……黒服、だったんですか?」 花子さんが見当違いの事を言っている。 まあ、どうでもいい。 僕は、光線銃の先を花子さんの頭に押し付ける。 「えと……あの…………人間さん……?」 「我輩の……おっと、間違えた。僕の正体を見たモノを、生かしておく訳にはいかない」 そうして、僕は光線銃を撃つ。 「知ってた?『すでに宇宙人は人間に化けて、人間社会に紛れ込んでいる』らしいよ?」 見た目も気配も人間だけど、都市伝説同士で契約なんてできる訳がない。 我輩は宇宙人である。 何星で生まれたのかとんと見当がつかぬ。 生まれも育ちも分からぬが、地球を侵略する為にここにいるのは分かっている。 地球を侵略するのは、我々なのだ。 火星人もウンモ星人もフラットウッズ・モンスターも、我々以外は全て死ねば良い。 終
https://w.atwiki.jp/kaero/pages/106.html
とある会 とある生徒会メンバーによる打ち上げ、または集まり、会合、合宿・・・などなどとにかく集まる時の総称。 ちなみに「とある生徒会」は某高校の21期生~25期生+αによって構成されています。 総人数は・・・少なくとも20人は超えるね、うん。 メンバーは役員紹介の欄参照。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2845.html
【種別】 人名 【初出】 とある科学の超電磁砲 PSPゲーム版 第二章 【解説】 都市伝説『エコミチ暴走事件』の風評被害に遭い、登校拒否になった生徒。 学園都市という閉鎖環境で学校を追われた人間が学生寮に居られるはずもなく、 路上生活を余儀なくされているらしい。 『制裁指導』のメンバーは「イシガキミホ」からのメッセージを受け取った人間であり、 彼女を傷つけた『エコミチ暴走事件』の噂を始め、風評被害を生み出す都市伝説を拡散させ、 「イシガキミホ」を傷つける者に『指導』を与える為に行動していた。 「イシガキミホ」側も『制裁指導』メンバーに、 「お前(御坂美琴)みたいなヤツが、弱い人間を傷つける」 とメールを送ってきたり、『制裁指導』を追跡する美琴を監視して情報提供したり等、 協力するようなそぶりを見せている。 しかし、実際に風評被害にあっているエコミチ社が警備員と風紀委員に要請した事実調査によれば、 そのような事件は発生しておらず、 「イシガキミホ」という生徒も学園都市には在籍していない事が判明している。 『制裁指導』のメンバーにも直接会った事のある者は誰もおらず、 年齢も小学生であったり、同じ学校に在籍していたと思っていたり等、全く一致していない。 その正体はネット上に書き込む不特定多数の人間であり、 『制裁指導』はそこにある書き込みから自分たちに都合の良いものを「本物」として扱っていた。 行動理念を「イシガキミホ」に依存していた『制裁指導』の面々は、 その事実を聞かされて戦意を喪失し、警備員に引き渡された。 『制裁指導』の都市伝説は実行犯の捕縛で収束したが、 事件の影では何者かが「どんな都市伝説の出所も突き止め、襲撃する」という点を利用しようと、 「イシガキミホ」の一人として情報提供を行っていたらしい事を美琴達は知る由も無かった。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2761.html
現在の学校町は、朝比奈秀雄が起こした混乱が最大に膨れ上がっている。 それに対処しようと、様々な都市伝説の個人や集団が《コークロア支配型》によって操られた人々と戦っている。 「フン、数が揃えば勝てるとは限らんぞ!」 そして、此処にも人々と戦い、行動不能にしている都市伝説が居た。 遠目に見ても判るような筋肉質、裸の上半身に、下半身は道着といった半裸の漢の《兄鬼》と名乗る都市伝説だ。 彼は、《コークロア支配型》に支配された人々を、相手取りながら他の都市伝説の様子を観察している。 「この騒動は、オレにとってチャンスと言えるな。どの様な都市伝説や契約者が居るかを、知る機会に成る」 観察している、とは言っても視認している訳で無く。戦いによって感じる気配を通して、推測している訳だ。 「チッ、何だ? このマッスル野郎。邪魔だな消すか、手ぇ出すなよ」 人々を相手に、自身の力を試して居た《兄鬼》に突然、声が掛けられる。 どう考えても好意的では無い声の主に、道を開ける様《コークロア支配型》の被害者たちが脇にずれる。 すると、右手に警棒を持った男性が、そこには立っていた。 「貴様、他の奴らとは違うな? 成程、《悪魔の囁き》に憑かれているのか」 「あぁ? 何言ってんだ。……何でも良いわ、サッサとくたばりやがれ!!」 男は、決して短くは無い《兄鬼》との距離を一瞬で近づき、警棒で振り下ろす様に殴りかかった。 さすがに意表を突かれ、《兄鬼》はその一撃をまともに喰らってしまうが、倒される程のダメージは負わない。 ただ、自分に攻撃を喰らわせた事でこの男に興味を示した。 「ほう、やる様だな。さっきまでの雑魚共とは違い、楽しめそうだ」 「ざけんじゃねー! 余裕のつもりか、手前」 激昂したまま今度は、横殴りに《兄鬼》を攻撃する男だが、当たる事無くかわされてしまう。 速かったのは距離を詰めたときのみで、攻撃自体は普通のスピードのため、《兄鬼》は難なく見切る事が出来た。 しかし、それにより《兄鬼》は男の都市伝説を掴み切れない。 (身体強化系かと思ったが、違うのか? ならば、移動系か。いや、考えても仕方が無いか) 「兄気闘法、鎧」 圧縮した兄気を、装甲として全身に纏わせる《兄鬼》。 そんな事は、お構いなしと言う様に男は警棒を振り回し、回避を止めた《兄鬼》に再び命中した。 ただし、今度は兄気によって守られていたため、《兄鬼》はダメージを喰らう事は無い。ただ、男の能力が解らないので自分からは攻撃しない。 その後も何回も攻撃を続ける男だが、全く効かないのを理解していくと、元から不機嫌そうだった表情が更に歪み出す。 男のイラつきに呼応するように、《悪魔の囁き》が体から滲み出し姿を現した。 「っそ、何で効かねぇんだ!? あぁ、ムカつく」 「オイオイ。何、チンタラヤッテンダ! サッサト片ヅケヤガレ!」 「うっせーんだよ。指図すんじゃねぇよ!」 一見、男は《悪魔の囁き》と会話している様に見えるが怒りで頭が一杯な男は、《悪魔の囁き》の事を認識してはいない。 ただ、話しかけられた事に反応しているだけのようだ。 そんな男が、《兄鬼》への攻撃を一旦止め、又もや高速で移動し距離を稼いだ。 「埒が明かねぇな。こんなタダの武器じゃダメって事か? なら、これで如何だ!?」 「む?!」 警棒が突然に光り出した事に、《兄鬼》は警戒すると同時に、男の都市伝説の予想を付けた。 男が契約したのは、恐らく契約者自身では無く、その所有する道具に干渉する能力なのだろう。 「こいつなら、如何だ!! 《格段に優れた新製品》になったこの警棒なら」 「オーオー! 良イゾ良イゾ。ヤッチマエェ!!!」 「成程、《格段に優れた新製品》か。あの高速移動は、靴を改造していたと言う訳だな」 ごく稀に、切れない蛍光灯などの今の技術では有り得ない筈の製品が現れる事が有るが、直ぐにメーカーの人間が来て、高額の迷惑料と共に回収に来るため、知られる事が無い。 そんな話から生まれた《格段に優れた新製品》は、契約者が所有権を持つ道具の性能を文字通り、格段に優れさせるようだ。 「余裕そうじゃねぇか!」 普通の警棒から一変してメカメカしくなった棒を振り被り、男は高速で《兄鬼》に突っ込む。 良く見れば、その靴の裏から空気が噴射されている。それにより移動スピードを上げている様だ。 高速移動とは言え、どうやら小回りは利かないらしく。真直ぐに突っ込んでくる程度なら、《兄鬼》に避ける事は難しくない。 警棒の間合いを測り、確実に避けた筈…ザシュ…だった。 「ハァッ、ハッハー!! 如何だ、ビーム警棒の威力は」 「スゲー、スゲー。ソノ調子ダー!!」 警棒の先から光が伸び、まるでビー○サー○ル等の様な姿となり。兄気の鎧に守られている筈の《兄鬼》の体を斬りつけた。 高密度に圧縮されている兄気を貫いた事から、その威力は高いと考えられるだろう。 傷を付けた事に、男は調子付いたらしく今まで以上の勢いでビーム警棒を振り回しだした。《悪魔の囁き》も好い気に成って、それを囃し立てている。 一方の《兄鬼》は、危機を感じながらも、自信が有った防御を貫いた男の強さに笑みを浮かべ出した。 「何、笑ってやがる?! ピンチだってのが分からねぇのか」 「否、何。楽しいと思ってな、強者との闘争は!」 全力で地面を蹴り出し、恐れる事も無く《兄鬼》は男に突撃していく。 「馬鹿が。自分から、やられに来やがったか」 当然、男はそれを迎撃せんとビーム警棒を突き立てる。向かって来る相手には、斬撃よりも刺突の方が良いと思ったのだろう。 その判断は、有る意味で当たり、有る意味で外れていた。 「なっ……………!」 「肉を貫かせて骨を潰す、と言った感じか」 線の攻撃では無く点の攻撃だったために、《兄鬼》の肉体を貫く事には成功したが、致命傷に成らず。 逆に、警棒を持った腕を掴まれる。そして、男の右腕を《兄鬼》は全力で握り潰す。 「グ、グァァァァァァァ!!」 ボキ、グチャと音を立て、呆気なく男の腕は使い物に成らなくなり、悲鳴を上げる。 《格段に優れた新商品》は道具の強化であり、契約者本体の肉体を強くする能力は無いのだ。 普通の人間の体が、筋肉を極めんとする《兄鬼》の握力に耐えられる筈は無かった。 「オイオイ、ヤリ過ギジャネェノカ。コイツハ被害者デモアルンダゾ」 「誰が、こいつを救うために戦っていると言った。オレは強者と戦うだけだ。その結果、如何なろうと知った事では無い」 《悪魔の囁き》の制止も無視し、追撃を仕掛けようと《兄鬼》は空いている腕を引いた。 普通ならば、この一撃でケリが付いただろう。ただ、普通では無かったのは男が、諦めてはいなかった事だ。 折られながらも警棒を手放さなかった腕を振り回して、《兄鬼》の肩を斬り裂いた。 「な、めんじゃねぇぞ!! 俺が、俺の装備が負ける訳が無いだろう!!!」 「ハ、ハハハハハ。ソウダ、ソノ調子ダァ!」 「るせぇ」 腕の痛みを振り払う様に《兄鬼》に向かい、男は叫びを上げる。 その様子に、調子を取り戻す《悪魔の囁き》が声を上げる。 「俺は、俺の《格段に優れた新製品》は誰にも劣らねえんだ。お前をぶっ殺して証明してやる」 ビーム警棒を無事な左腕に持ち替えて、特攻の姿勢で《兄鬼》に向き合う男。 「良いだろう。真っ向から、打ち破ってやる。兄気闘法、刃」 全身に纏う兄気のほぼ全てを、無事な方の腕に集め男に向き合う《兄鬼》。 「だぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」 「フンっ!!!!!!」 結果として、振り下ろされた男の刃は《兄鬼》の肩を斬り落とし、横薙ぎに放たれた《兄鬼》の手刀は男の胸部を斬り裂いた。 倒れる男と片腕を失いながらも立ち続ける《兄鬼》、どちらも無事とは言えないが勝敗は明らかだった。 ふと、息は有るが瀕死の状態の男から、上げられる筈の無い叫びが響いた。 「グギャアァァァァァァ」 いや、叫んだのは《悪魔の囁き》だった。 どうやら、先程の斬撃に巻き込まれていたらしい、何とも運の悪い事だろう。 ともあれ、男に憑いていた《悪魔の囁き》は駆除された訳だ。 「ふむ、《悪魔の囁き》が消えたか。まぁ良い、この傷では戦えないだろう」 消滅して行く《悪魔の囁き》の様子を見てから《兄鬼》は、男への関心を薄めていく。 彼は、強いモノと戦う事だけが目的であり、戦えなくなった相手に興味を持つ事は無い。 止めを刺す事も無ければ、治療をしようと言う考えも無い。 「さて、片腕が無くなったが、如何するか。良し、他の戦地を直接見に行く事にするか。 ……その前に、片手でどこまで出来るのか試してみるか」 《格段に優れた新製品》の男が倒れた事で、大人しくしていた《コークロア支配型》の被害者が再び動き出す。 そんな彼らの様子を見て、《兄鬼》は言った。 終り
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1924.html
恐怖のサンタ クリスマス編 02 サンタA「…………どうするよ、この状況」 サンタB「どうするたって……どうするよ」 サンタC「何か色々勘違いされてるよね、絶対」 サンタD「そもそもこれ、ただのエアガンだぜ?」 サンタE「写真くらいは貫通するけど、人体にはちょっと……」 サンタF「ばっかてめぇら声がでけぇよ! 俺らが『血濡れのサンタ』じゃないって気付かれたらどうすんだよ!」 サンタB「だって……なぁ?」 サンタE「大体、俺ら『恐怖のサンタ』だろ?」 サンタF「相手の嫌がるプレゼントをするだけの人畜無害な都市伝説なのに……」 サンタC「どうしてこうなった」 サンタA「そりゃ……あれだろ」 サンタB「ばあさんに孫の惨殺死体(偽物)見せたらぽっくり逝っちまって……」 サンタC「その騒ぎの中ピザ投げられて服に赤いシミができて……」 サンタD「ついでにコーラも投げられて黒いシミができて……」 サンタE「その状況と服装を見てあの男が勘違いして……」 サンタF「――――今に至る、と」 サンタA~F「「「「「「はぁ………………」」」」」」 現在時刻23時55分。「血濡れのサンタ」ならぬ「恐怖のサンタ」、学校町散布まで後、5分。 前ページ次ページ連載 - 恐怖のサンタ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1570.html
○月×日 19:50 「遅くなっちゃったなぁ…」 足早に、青年は日が沈んだ街中を走る 「組織」の仕事で、マッドガッサー一味の姿があったという空きビルの探索を手伝っていたのだが……行方不明になっていた被害者達こそ見付かったが、一味の姿、及び手がかりなし 付近を捜索しても、何も見付からず 結局の所、ほとんど空振りのままだった まったく、面倒な仕事に借り出されてしまったものだ 早く、帰らないと 兄の為に、夕食を作らないと そう考え、脚を早めていたその時 「………ん?」 -----影が 何かが、頭上に現れ、そのせいで影がさした そんな感じがして、青年は頭上を見上げて 「--------!!」 その、巨大な存在に…月の光を、星灯かりを、完全に覆い隠していたそれに、気づいた 店内の電話が、けたましく鳴り響く 「はい、こちらレストラン噂の産物………あぁ、新入り君?どうしたんだ?」 レストラン 噂の産物の若きイケメン店長は電話に応対し、その相手が店でアルバイトをしている青年である事を知って、首をかしげた 今日は、別の仕事が入っているとかで、アルバイトを休んでいたのだが… 『店長?あのね、何か、変なものを見かけたんだけど…』 「変なもの?」 『うん、それとね……何か、マッドガッサーの仲間みたいな奴の姿も、見かけたんだ。って言うか、今も見えてる』 「………は?」 …マッドガッサーの、仲間? ちらり、店長は金さんに目を向ける 彼は、マッドガッサーのガスの影響を受け、未だに美少女フィギュアの姿のままだ また、店によく出入りしていたハンバーグ爺さんもまた被害を受け、ロリ爺の姿になっている …その、問題のマッドガッサーの姿を、見かけた? 『何か、マッドガッサーも傍にいるみたいなんだ、屋上に一瞬、それっぽい姿見えたし…今から様子探っておこうと思うんだけど、うまい事、マッドガッサーなりその仲間なりを捕獲できたら、先輩を元に戻せる方法、聞いてみる?』 「待て、新入り君。今、どこにいるんだ?」 マッドガッサーだけではなく、その仲間もいる と、なると…強力な都市伝説と契約している彼でも、危ないかもしれない そう考え、店長は彼に居場所を尋ねる 『えっとね、東区の中央の………………あれ?』 「?どうした?」 『…………------------っ』 ぶつんっ 「……え」 ツーツー… …通話が、途切れた 「…どうか、したの?」 「店長?新入り君が、どうしたんですか?」 こっちゃんと金さんが、話し掛けてくる ツーツーツーツーツーツー………… 受話器の向こうからは、ただ、通話が途切れた音だけが、空しく響き渡っていた to be … ? 前ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1946.html
プロジェクト名 Intentionally Piece H-350 契約都市伝説:ノストラダムスの予言 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-351 契約都市伝説:にがよもぎ 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-352 契約都市伝説:ル・ガルー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-353 契約都市伝説:死の乙女 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-354 契約都市伝説:ヴルコラカス 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-355 契約都市伝説:ミミズバーガー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-356 契約都市伝説:鬼太郎女 都市伝説に飲み込まれた直後自殺 H-357 契約都市伝説:赤紙青紙 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-358 契約都市伝説:人面犬 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-359 契約都市伝説:夜彷徨う鎧武者 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-360 契約都市伝説;性的欲求が強い者は髪が伸びるのが早い 経過観察中 H-361 契約都市伝説:黒いキューピー人形 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-362 契約都市伝説:コインロッカーベイビー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-363 契約都市伝説:ボギーマン 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-364 契約都市伝説:口裂け女 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-365 契約都市伝説:殺人蝋人形 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-366 契約都市伝説:カーネル・サンダースの呪い 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-367 契約都市伝説:ネッシー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-368 契約都市伝説:ザ・フック 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-369 契約都市伝説:タコ妊娠 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-370 契約都市伝説:エイズ・メアリー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ H-360 捕縛作戦 記録映像 閲覧しますか? 【YES】 NO 映像は、ところどころ砂嵐が入り乱れている 音声も完全なものではなく、真実の全てを記録していながら、真実を伝えると言う役目を完全には果たしていない…… 黒い嵐が吹き荒れている 悲鳴が、絶叫が上がり、一人、また一人と死んでいく 都市伝説が、都市伝説契約者が、「組織」の黒服が その黒い嵐に飲まれ、死んでいく その様子を、一人の少女が唇を噛み締め、見詰めていた 小さな体が、カタカタと震えている 唇を震わせ、何事か呟いているのだが…その声は、悲鳴と絶叫にかき消され、聞こえない 黒い嵐は周囲のものを殺し尽くし、とうとう、少女に向かってきた 少女を庇うように、顔に縫い目の入った黒服の男が立ちはだかる ……しかし、その黒服も、一瞬で黒い嵐に飲み込まれて 次の瞬間、その大きな体はバラバラになされて、投げ出された ごとりっ 少女の足元に、頭が落ちる 「………ン、様………に、げ」 「………わ、は」 少女は 自分に向かってくる、その黒い嵐の中心の……この、大虐殺を行っているその男を見つめて 体を震わせ…呟く 「妾は……何と言う事を、してしまったのじゃ……!」 ゆっくりと、その男は少女に近づく 何十人もの都市伝説を、都市伝説契約者を、「組織」の黒服を殺したのは…その男の、長く伸びた髪だった どんなに切り裂かれても、どんなに引きちぎられても伸び続ける髪は、対象を絡めとり、体に食い込ませ引き裂き、引きちぎる 無理矢理に契約させられた都市伝説を、この男は完全に使いこなしていて その力を、復讐と言う名の虐殺に使っていた しゅるり 髪が、少女に絡みつく 少女は、逃げようともしない 「-----お嬢様!!」 頭だけの状態で、顔に縫い目のある黒服が叫ぶ それでも、少女は逃げない 体に食い込む髪の毛を感じながら… 絶望したような 安堵したような そんな顔で、笑った 「…お前を、化け物にしてしまったのは、妾じゃ……お前は、妾が憎かろう?」 …ぴくり 男の、虚無としか言いようがないその顔に…一瞬、動きが見えた 少女は、ゆっくりと続ける 「妾が憎いだろう?憎かろう?さぁ、妾を殺しておくれ。そして…妾以外の研究員達を、許してやっておくれ。全ては、妾の我侭による罪じゃ」 …食い込む髪の動きが止まる 男が、少女をじっと見詰めている 「妾は…ただ………………かった。だが、その願いは、きっと叶わぬものなのだろう。妾の、そんな叶わぬ願いを叶える為の我侭で、たくさんの犠牲が出てしまった。お前は、まだ自我があるようじゃが、お前以外は皆自我を失い、失敗作として廃棄されてしもうた」 「…………」 男は 静かに、少女の話に耳を傾けている どんな言葉も届かなかった男が、ただ静かに、少女の話を聞いていた 「お前は…恐らくは、プロジェクト「Intentionally Piece」における、唯一の成功例じゃろう。だが、同時に…最大の、失敗作。「組織」が制御できず、「組織」にこれだけの被害を出してしもうたのだから…きっと、「組織」はお前を廃棄しようとするのじゃろうな」 「………………俺、は」 「じゃが、それはお前の存在が、「組織」に報告されたら、じゃ」 少女は、男から視線を逸らさない 自分が生み出してしまった化け物から、決して視線を逸らさない 「ここで、妾を殺してくれるならば…お前の存在は、「組織」に報告せぬ」 「…!?お、お嬢様、何を…」 「G-No,1、決して喋るでないぞ?」 頭だけにされた部下に、少女は少し悲しそうに笑った …ゆっくり、男に視線を戻す 「さぁ、妾を殺すのじゃ。もはや、願いは叶わぬと妾は知った。この世に生きる理由もない」 「…………」 静かに、静かに 男は、少女をじっと見つめる ゆっくり、その口を開いて…… -------その瞬間、映像は途絶えた ただ、砂嵐の映像だけが続く あの後、一体何があったのか それは、「組織」の記録内にすら残っていない ただ、その時の当事者達だけが あの時の生き残りだけが その事実を記憶し、背負い続けている fin 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者