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シュガースナッフ・メロウスイート 38KB 虐待 都会 虐待人間 嬉々として虐待です シュガースナッフ・メロウスイート セットするのは大変だけれど、出来上がった物を見るのはやっぱり楽しい。 ショーウインドーに映る結いあげてシニヨン風にまとめた自分の髪を見ながら少女は思った。 季節は初夏、のどかな休日の午後。柔和な笑顔を浮かべる少女の腕には、 散歩の途中で立ち寄った花屋で購入したネメシアメロウの鉢植えが抱えられている。 スイートシフォンと呼ばれるごくごく薄く色づく紫の花色が、少女のチュニックに良く映えていた。 気持ちよさそうに風を受ける少女は目を閉じて、スイートシフォンの名前通り甘い香りを吸い込む。 そして幸せそうな笑みを浮かべると、足の向くままに歩きだした。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 少女がしばらくのんびりと散策していると、いきなり足元から声をかけられた。 視線を下に向けると、そこにはゆっくりの一家がいた。ゆっくりしていってね、という言葉とは裏腹に、 4つの饅頭はこの機を逃したらもうおしまいだと言わんばかりに必死だ。 少女は小首を傾げると、とりあえず挨拶を返すことにした。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」 その言葉を聞いた瞬間、家族の顔がはじけるように咲く。ぴょんぴょんとその場でジャンプを繰り返し、 子供2匹などは涙さえ浮かべている。 「どうしたの?私に何か用?」 しゃがみこんで親ゆっくりの頭を撫でてやると、黒帽子の親ゆっくりがゆんゆん泣きながら喋り出した。 「にんげんさんはゆっくりできるひとだよね!?まりさたちをたすけてほしいよ!」 「助けてって、どう言う事?あなたたち野良ゆっくりなの?」 「まりさたちがおやまさんでいっぱいゆっくりしてゆっくりしてたら、ゆっくりしてないにんげんさんが きて、まりさたちをくらいくらいしたんだよ!」 まりさがそこまで言った所で、紅白リボンを付けた黒髪のゆっくりが言葉を引き継ぐ。 「にんげんさんはれいむたちにぺっとになれっていったんだよ!ゆっくりできないことを いっぱいいってきて、いやだよっていったらいたいいたいしたんだよ!! れいむたちはゆっくりできないから、にんげんさんからがんばってにげたんだよ!!」 「そう・・・・・・。大変だったのね」 いたわりと少しの同情をこめて頭を順番に撫でてやると、ゆっくりの家族は猫のように目を細めた。 なるほど。この子たちはどうやら、ペット用に山から連れてこられた野生のゆっくりのようだ。 ペットショップの管理がずさんだったか、もしくは売られた後で逃げ出したかどちらかなのだろう。 少女はそう当りを付けた。 「にんげんさんにおねがいがあるよ!」 しばらくの間家族は少女に撫でられるがままだったが、つと親まりさが顔を上げ、 眉毛をきりっとさせて言ってきた。 「ん?何?」 「にんげんさんのもってるおはなさんをたべさせてほしいんだよ!まりさたちおなかが ぺーこぺーこなんだよ!!」 涎をだらだらとこぼしながらキラキラした目で要求を伝えるまりさ。 どうやら少女に話しかけたのは、ネメシアメロウの香りにつられてのことだったらしい。 「でもこれは私が今買ったお花で、とても気に入っているのよ」 少女は少し困ったように鉢植えを抱え直す。 「おねがいだよ!れいむたちとってもこまってるよ!きさんがないからかりもできないし、 あついあついでみんなのどもかーらかーらなんだよ!!」 親れいむもぴょんぴょん飛び跳ねながら必死におねだりしてくる。 「「おにゃかすいちゃよー!ゆっくりしゃせちぇー!!!」」 まりさとれいむ一匹ずつの赤ゆっくりは、感極まったように叫びだす。 「うーん・・・・・・。じゃあとりあえず、私の家に来ない?」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 「あなたたちが困ってることは良く分かったわ。でも、今このお花をあなたたちに 上げても結局何の解決にもならないでしょう?だから、私のお家に来たら良いわ。 今後のことはそれから考えましょう?」 その言葉を聞いたゆっくりたちは、家族全員泣きだしてしまった。ただし、喜びで。 「ありがとうね!ありがとうね!!」 「やっぱりにんげんさんはゆっくりできるにんげんさんだったんだね!!」 「「ゆっくりしちぇいってね!ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!」」 「じゃあ私についてきてね。お家に着いたらおもてなしするわ」 天使のように笑った少女は、ゆっくりがついてくることができる程度の速度で、軽やかに歩き始めた。 ゆっくりの足に合わせたため、結構な時間をかけて少女たちは家にたどり着いた。 少女の家は、いっそ屋敷と言って良いぐらいの立派な一軒家だった。 「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」 ミュールから室内履きに履き変えた少女は、全員のあんよを濡れタオルで拭いてやった後、 家族を一階の一室に案内した。全員が入った後、少女は扉を閉める。 がくんっ、と、普通のドアを閉めるより重い音がした。 少女がゆっくりを招き入れたのは、10人以上が入っても狭苦しさを感じさせることは無いだろう 広々としたフローリングの部屋だ。壁には琥珀色をした前面ガラス張りの木製キャビネットが 置かれており、そこには楽譜やクラシックのCDなどが収められている。 部屋の一角は一段高くなっており、そこにはグランドピアノが鎮座していた。 ここは少女のピアノレッスン室なのだろう。室内には暖かな色の間接照明に満ちており、 長時間居続けてもストレスを感じさせない作りになっている。 ごつり、ごつり。 靴を鳴らしながら少女は家族を残してグランドピアノに近づくと、ネメシアメロウの鉢植えを 段差の上に置いた。鈍い足音がする原因は、少女が履いている靴だ。 不可思議な事に、少女が履いている靴は、室内履きと言うにはあまりに無骨な安全靴だった。 「少し、ゲームをしましょう」 少女がゆっくりに向かって微笑むと、家族は少し困惑したような顔になった。 「にんげんさん!まりさたちおなかがぺーこぺーこなんだよ?」 「あそんでくれるのは、ごはんさんのあとにしてね!」 「ゲームって言うほどのものじゃないわ。軽い食前の運動みたいなものよ」 少女は鉢植えの横に優雅に腰かけると、 「ほら、ここにあなた達が欲しがってたお花さんがあるでしょう? あなたたちはここの段差を越えて、お花さんを食べてくれたら良いの。簡単でしょう?」 そう言って鉢植えを指差した。 「ゆっ!それならいいよ!かんたんだよ!!」 「そう?それは良かった」 少女は鉢植えを手のひらで示すと、どうぞ、と言った。 家族は一斉に鉢植えに群がって行った。あまあまな匂いのおいしそうなお花さんを ゆっくりたべるよ!!そんな思いで懸命に走るが、少女と鉢植えに近づいていくにつれて、鉢植えは 視界から消えてしまう。その代わりに現れたのは、高い高い障害物。30cm弱の段差は人間には 一足だが、体高が30cmのゆっくりにとっては。ましてやピンポン玉サイズの赤ゆっくりにとっては それは断崖絶壁にも等しいものなのだった。 「ゆっ!ゆっ!おはなさん!まりさにたべられてね!!」 「れいむもたべるよ!おはなさんはそこでゆっくりしていってね!!」 「「たべられちぇね!おはなしゃんはゆっくちたべられちぇね!!」」 お花さんをむーしゃむーしゃできる。その思いだけでただただ盲目的に段差の前でジャンプし続ける 家族と、それを楽しげに眺める少女。二、三分の間それが続いた。 「おねーさん!ここたかすぎるよ!!」 最初に根を上げたのは親まりさだった。自分では届かないということに最初に気付いたという点では 頭が良いのかもしれない。事実、残りの家族は無意味なジャンプを繰り返しており、 赤まりさは断崖を登ろうとしているのか、壁にかりかりと歯を立てている。 「えー、これぐらい登れるでしょう?」 「のぼれるにきまってるでしょ!でももうまりさはつかれたよ!いいからにんげんさんがとってね!!」 からかうように少女が言うと、まりさは反論する。花は食べたいが、出来ないと言う事を認めるのは 嫌らしい。 「頑張れば取れる高さなんだから頑張ってよ。ほら、もうちょっとで届きそうじゃない?」 少女は親まりさの頭をくしゃりと撫でると、 「ワックスが剥げると困るから、齧るのは止めてね」 そう言って、かりかりと壁を齧り続ける赤まりさにでこぴんを見舞った。かん高い鳴き声を上げて ころころと転がっていくその時に、赤まりさの帽子が脱げた。 「おぼいちいいぃぃ!!!まりしゃのおぼうししゃんぬげにゃいでねええぇぇぇ!!」 赤まりさは狂気のような勢いで帽子を追いかけ、食らいつく。ものすごい執着心だ。 いきなり聞こえてきた赤まりさの声に我に返ったのか、それとも跳ぶことに飽きたか。親れいむも 少女に文句を言い始めた。赤れいむはでこぴんにも負けずに再び無駄な跳躍を繰り返し始める。 「にんげんさん!かわいいおちびちゃんになんてことするの!?」 「ゆっくりあやまってね!!あやまったらまりさたちにおはなさんむーしゃむーしゃさせてね!!」 やいのやいのと自分を糾弾してくる親ゆっくりを無視し、少女はお帽子との劇的な再開を喜ぶ 赤まりさに声をかけた。 「おぼうししゃんすーりすーり!ゆっ!まりさのきれいですてきなおぼうししゃんなんだじぇ!! よかったのじぇ!!」 「まりさはそのお帽子がとっても大事なんだね」 「おりぼんしゃんがまっちろでかっこいいおぼうししゃん!ゆっくりまりさにかぶられてね!」 赤まりさは全く聞いていない。 「そんなに大事なら、私が脱げないようにしてあげるね」 無視された少女は髪に手をやると、シニヨンを留めている黒いヘアピンを一本抜き出した。 「ゆんっ!これでまりさのおぼうしもとどおりなんだじぇ!」 そして満足そうに帽子の被り心地を確かめる赤まりさの脳天に、そのヘアピンを 帽子の上から突き刺した。 「・・・・・・ぴぃ?」 いきなり頭部に現れた灼熱感。あまりに強い感覚を許容しきれないまりさは、きょとんとした顔で、 小首をかしげるように体を傾けた。 そしてきっちり三秒後。咆哮を上げる激烈な痛覚が爆発する。 「あ・・・・・・い・・・ちゃい・・・・・・?まりちゃ・・・・・・いちゃいのじぇ・・・・・・?」 目からは勝手に砂糖水の涙がこぼれ、下からはしーしーが零れだす。 「いちゃいいいぃぃぃぃぃぃいいいぃぃぃぃ!!!!いっちゃあああああぁぁぁぃいぃぃぃい!!!」 思い切り天を仰ぎ、絶叫。 体の中でヘアピンがよじれ、さらに体内を掻き回す。 「ぴいぃぃぃー!!いちゃいぃいいーー!!だじゅげでぇ!!ばりじゃをだじゅげでえぇぇぇ!!」 「「おちびちゃん!?」」 いきなり叫び出した我が子に血相を変えて走り寄る両親。だが、両親が赤まりさにたどり着くことは 無かった。少女が赤まりさを摘み上げ、段差の上に乗せてしまったからだ。 「おちびちゃああぁぁぁぁぁん!!」 「かえすんだぜ!おちびちゃんをかえすんだぜえええぇぇぇぇ!!」 必死の形相でジャンプを繰り返す親ゆっくりたち。その姿を見下ろす少女の笑みが深くなっていく。 「大丈夫だよ。まりさはただ、驚いちゃっただけだから」 「なにいってるのおおおぉぉぉ!!おちびちゃんいたがってるでしょおおおぉぉ!?」 「かえしてね!おちびちゃんをかえしてねええぇぇぇぇぇ!!」 「それはだめ。ほら、頑張って登ってくればおちびちゃんに会えるよ?」 「あああぁぁぁぁぁぁ!!!ばっででねおちびぢゃん!!いますぐいぐがらねえぇぇぇぇ!!」 「すぐにだずげであげるからねえぇぇぇぇ!!!」 親ゆっくりはたちは目の前の壁を睨みつけると、自分の体高と同じ高さの段差に身を押し付け、 にじり、飛び跳ね始めた。 「あひいいぃぃぃぃ!!いちゃいいいぃぃぃぃ!!!」 少女と同じ高さに連れてこられた赤まりさ。少し跳ねれば甘い香りのする花を思う存分 むーしゃむーしゃできる位置にいるにも関わらず、まりさはそんなものには一顧だにしない。 「とっちぇえええぇぇぇ!!いちゃいいいいぃぃ!!まりしゃのあたまがいちゃいよおおぉぉ!!!」 ひたすらに泣きわめき転がり回り、それによって生まれる痛みにまた涙を流している。 「そんなに元気に動き回るんじゃ、一本じゃ足りなかったかなぁ?」 そんなまりさを熱っぽい目で見ていた少女が、呟くように言った。もう一度髪に手をやり、 ヘアピンを抜きだす。 「ほら、もう一本プレゼントだよ」 横になって転がるまりさの即頭部から、垂直に差し込んだ。 「あっぴいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」 体を十文字に貫かれたまりさが魂を抜かれるような叫びを上げる。目を剥いて、舌を突き出して。 「やめちぇ・・・・・・まりしゃにいちゃいいちゃいしにゃいでぇ・・・・・・」 過呼吸を起こしているように浅い呼吸を繰り返しながら、まりさはずりずりと這ってこの場から 逃げ出そうとする。しかし、少女がそんなことを許すはずもない。 少女の編み込まれた髪が、少しずつ解けて行く。 少女の髪が解けるたびに、赤まりさの肌に黒い墓標が突き立てられて行った。 「やべろおおおぉぉぉぉ!!!!」 「おぢびじゃあああああぁぁぁぁぁぁん!!」 壁を超えることを諦めた親ゆっくりたちは体をのーびのーびさせ、 なんとかして攫われた赤ゆっくりの姿だけでも見ようとしていた。 「ねぇれいむ、まりさ」 少女がそんな親ゆっくりに話しかける。 「自分だけで登ろうとするから駄目なんじゃないかな?協力して、例えば片方が下で 踏み台になって、もう片方がその上に乗る。そんな風にすれば、登れるんじゃないかな?」 「「!!!」」 目を剥いてその素晴らしい思い付きに感動する親ゆっくり。しかしそれも一瞬のことで、 即座にその思い付きを実行に移す。 「まりさ!したになってね!!れいむがおちびちゃんをたすけにいくよ!!」 「まりさがいきたいよ!!れいむがしたになってね!!!」 ・・・・・・かと思いきや、どちらが下になるかで喧嘩を始めてしまった。 少女はその姿を見ながら、さらに赤まりさを貫き続ける。 「これだけ刺せばもう、どれだけ動き回っても帽子は脱げないよ」 ウェーブのかかった髪を肩に垂らした少女がいとけなく笑う。 何度となくやったように、髪からヘアピンを引き抜いた。 「これが最後の一本。どこに刺してあげようか?」 もはやまともに動くこともできなくなったまりさの顔を正面から見ながら優しく聞いた。 「あ・・・・・・ひ・・・・・・?」 段差の隅に追いつめられた赤まりさはもう、それに答えることもできない。 「あああぁぁぁぁぁ!!!もうやぢゃあああぁぁぁぁぁ!!!おうちきゃえりゅううぅぅぅぅ!!!」 逃げたい。ただただその一心でまりさは少女に背を向け、力を振り絞って跳ねる。 着地するはずの地面は、どこにもなかった。 「「・・・・・・ゆ?」」 二段重ねの饅頭が、自分たちの真横を落下していく何かをぽかんと見つめる。 助ける?どうやって?受け止めようか?この体勢から?無理かな?無理じゃないかな? じゃあ舌を伸ばせば?そうだ舌を伸ばせば届くかもしれない舌を伸ばしておちびちゃんを助け かつん。 やわらかい饅頭のはずのまりさ。それなのに、響いたその音はとても硬く、高く響いた。 「ゆっ!ゆぷっ。えっぷぇ・・・・・・」 落下の衝撃で、全身に埋まるヘアピンが体を抉った。皮のあちこちからヘアピンを覗かせた まりさは、死に至る痙攣を始める。 「「おちびぢゃああぁぁぁぁぁぁん!!」」 両親はもみくちゃになりながらこけつまろびつまりさに跳ね寄り、必死にぺーろぺーろする。 しかし献身的な看護も甲斐は無く、まりさの痙攣は止まらなかった。 ぺーろぺーろは確かに外傷にはある程度の効果がある。しかし今の場合、体内の異物を取り除く こともせずにただ舐めればそれは、体外に露出したヘアピンを通してまりさの体内を滅茶苦茶に 掻き回しているだけのこと。 両親の必死の看護は、かえってまりさを苦しめる結果になっていた。 「ひきっ・・・・・・もっちょ・・・・・・ゆっくりしちゃかっちゃぁ・・・・・・・・」 最後に一度、引き攣るように体を震わせると、赤まりさはその短いゆん生を終えた。 「「あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!!」」 喉が破けるような慟哭。 「「どぼじでごんなごどずるのおおおぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」」 炎のような激情を宿した瞳で少女を糾弾する親ゆっくり。 叩きつけられる感情の熱量を冷然と受け流すと、少女は片手で解けた髪を掻きあげた。 柔らかな髪をしどけなく体の前に垂らした少女は、透徹した青色の笑みを浮かべて言った。 「何故かって?何故かと言えばそれは、私があなた達を泣かせたり虐めたり殺したりして遊ぶのが、 とっても大好きだからだよ」 「「なにいっでるのおおおおおおぉぉぉぉぉ!?」」 「あなたたちは、ネメシアメロウの香りに釣られて私に誘拐されたの。これから全員痛い思いをして 信じられないぐらい痛い思いをして、ボロ雑巾みたいになるまで痛い思いをした後私に殺されるんだよ」 「「おうぢがえるうううぅぅぅぅぅぅ!!!!!??」」 「一緒に楽しく遊ぼう?ゆっくりしていってね!」 「「ゆっぐりじでいっでねえええぇぇぇぇぇ!!」」 こんな時でも挨拶をされたら挨拶を返さずにはいられないゆっくり。少女はその「ゆっくりしていってね!」に 満足げに笑うと、家族を置いてキャビネットに向かった。 キャビネットの中には様々な音楽関連の物品に加えて一つ、一抱えほどもある大きな箱が入っていた。 少女がそれを開けると、その中身が露わになる。 ホッチキス。ガムテープ。チャッカマン。割りばし。鉛筆。ビニール紐。下敷き。栓抜き。絵具。 雑多な・・・・・・統一性のない雑多な物の数々。ひたひたと這い寄るような悪意の波動を放つ それらの中から、少女は全長30cmほどのナイフを掴み取った。 「これにしようかな」 うっとりとナイフを眺める少女は、呟きと共に刃に指を滑らせた。 少女の指は落ちない。良く見ればナイフのように見えたそれは、実際には料理用の木べらだった。 ただし少しばかり加工が施してある。木べらを彫刻刀か何かで削り、片刃のナイフのようにしてあるのだ。 小学生の工作の方がマシといった風情の、玩具にしか見えないそれを二、三度確かめるように振ると、 少女は上機嫌に家族の元に戻って行った。 「おちびちゃん!?ここからにげないといけないんだよ!?」 「おはなしゃん!れいむおはなしゃんたべちゃいぃぃぃー!!!」 「ゆぅーん!いまはそれどころじゃないんだよ!こわいこわいにんげんさんがきちゃうんだよ!!」 両親の叫び声も兄弟の死すらも、赤れいむの白痴のような集中力を乱すことは無かったらしい。 ひたすらにひたすらに壁の前でジャンプを繰り返していた赤れいむを、両親が説得しようとしている。 「ただいま。最初に虐められたいのは誰かな?」 少女のその言葉に親ゆっくりたちはびくりと全身を震わせた。しかし一瞬で目くばせを済ませると、 まりさがれいむを庇うように前に進み、れいむは赤れいむを舌で絡め取った。 「かぞくにはてだしさせないんだぜ!まりさのぷくーでこわがっていってね!!!」 「おちびちゃんはこれであんっぜんっだよ!!にんげんさんはどこかにいってね!!!」 まりさが前でぷくーをし、れいむが後ろで赤ゆっくりを口の中に隠す。ゆっくりにできる最大の攻撃と防御。 少女はそれを見ると、まりさの前で膝立ちになった。 「わぁ、怖い。ぷくーってするのを止めてよまりさ」 「ぷくーーーーっ!!!」 「止めてくれたらあまあまあげるよ?」 「ぷくぷくーーーーっ!!!」 「止めてくれないの?れいむと赤ちゃんが大事なんだねまりさ」 「ぷくぷくぷくーーーーっ!!!」 「じゃあ、この帽子とならどっちが大事なのかな?」 「ぷくぷくぷくぷっ・・・・・・ぷしゅるるおぼうしいぃぃ!!!まりさのおぼうしいぃぃぃぃ!!!!」 帽子を取りあげられた途端、一瞬でぷくーを止めたまりさ。少女は間髪いれずにそれを、部屋の隅に放った。 「おぼうしさん!まりさのおぼうしさんゆっくりまってねええぇぇぇぇぇ!!!」 まりさは脇目もふらずに帽子を追いかけて行き、少女の眼前には口をつぐんで膨れた親れいむが残された。 「まりさ、行っちゃったね?」 「・・・・・・・・・・・・・っ!!」 口を開ければ子供が危険に晒される。それを理解している親れいむは何一つ喋らない。 不甲斐ないまりさへの呪詛や少女への反論、百万語を呑み込みながら少女を睨みつけるだけ。 「これからあなたの皮を斬っていきます」 れいむの前で正座した少女が、突然宣告した。 「私が持っているこのナイフで、あなたの皮を斬っていきます。すごく痛いよ。でも口の中の赤ちゃんを 助けたいんなら、絶対に口を開けたらいけません。分かった?分かったらお返事してね」 「・・・・・・・・・・・・」 親れいむは答えない。少女を睨み続けている。 「偉い偉い。ちゃんと私の言うことが分かってるんだね」 少女は膝立ちになってれいむににじり寄ると、左手でれいむの頭を撫でる。 「じゃあ、始めるね」 そのまま撫でていた髪を掴み、そして右手に持った木べらをれいむの唇の端に当て、引き切った。 「~~~~~っ!!!!!」 金属で無い、石器ですらない木製のナイフは、れいむの皮を斬ることは出来なかった。 表現にすれば削る、が一番近いだろうか。凹凸の激しいナイフの表面はれいむの皮を抉り、 抉れた部分が刃に巻き込まれ、巻き込まれた部分がさらに回りを巻き込んでいく。 結局少女の一太刀は、れいむの皮に醜い傷跡を付けるにとどまった。 「っ!!!っ!!!!」 だがそれは、れいむにとって決して幸せな事では無いだろう。 切れ味の良い日本刀より、切れ味の鈍い鋸で切られた方が痛覚はより刺激されるに決まっている。 そして少女の持つ刃は、まさしく木製の鋸と言った風情なのだから。 「このナイフはね、私が自分で作ったんだ」 少女はヴァイオリンの弦を操るように優雅に、木べらをれいむの肌に滑らせる。 二往復させた所で、れいむの餡子が露出した。 「よく斬れるように、でも斬れないように。わざと木の棘が残るようにしたり、凸凹をつけたりね。 刃にぎざぎざを付ける時にちょっと手を怪我しちゃったもしたなぁ。それでも君たちに楽しんで もらうために、頑張って作ったんだよ?」 露出した餡子に木べらの先端を突き込み、そこから傷を真横に切り広げていく。 れいむは涙を零しながら痛みに耐え続けている。 「このままぐるり一周切り裂いてあげる。痛かったらいつでも声を上げていいんだよ?」 少女はれいむの髪を掴んで目を合わせると、穏やかに言った。 「まりさのおぼうしさん!すーりすーり!!しんっぱいっしたんだよ!!よかったよー!」 そして部屋の片隅で、まりさが帽子を取り戻していた。 切り裂く、突き刺さる、削る、押し潰す、破る、引き裂く、抉る。 一本の木べらはその悪夢のような性能を十全に発揮し、万華鏡のような痛みをれいむに与え続けた。 「大丈夫だよ、ちゃんと皮だけを切ってるから。れいむが声を上げない限り、 私はあなたのおちびちゃんには何も出来ないからね?」 少女はれいむに労るように声をかけ、髪に絡ませた手指を酷薄に引き絞る。 「気が紛れるように、他のゆっくりを虐めた時のお話をしてあげようか?ゆっくり聞いてね」 歌うように少女が言ったその瞬間。まりさが今自分の置かれている状況を思い出した。 きょろきょろと周りを見渡し、少女と少女に甚振られているれいむを発見する。 「でいぶううぅぅぅぅぅ!!!いまだずげるがらねえぇぇぇぇぇ!!!」 半狂乱になりながら走り寄るまりさ。しかし少女は一顧だにしない。正確さと繊細さを併せ持った 手つきでれいむを開封しながら、鈴を転がすような声で凄惨な物語を語り始める。 「そうだなぁ。じゃあこのナイフを初めて使った時のお話にしようかな?」 「ばりざゆっくりじないでいそぐよ!?いとしのはにーをゆっくりしないでたすけるよ!!」 「あなたたちと同じまりさとれいむのつがいだったんだけど、あの時は、れいむの方が植物型の にんっしんっをしてたんだよね。私はにんっしんっしてるれいむの額から生えてる茎の、周りだけを 切り取ってあげたの。それから『動いたら赤ちゃん落ちちゃうよ』って言って、れいむの目の前で つがいを虐めて虐めて虐めてあげたんだ。あの時のれいむも我慢強かったなぁ。 まりさの髪を毟っても、飾りを破いても、斬っても突いても踏みつけても叩いても叩いても叩いても 何をしても、れいむは動かなかったんだよ」 れいむと同じで、子供のことがよっぽど大事だったんだね。 そう言うと少女はれいむの髪から手を放し、少女の傍らにたどり着いたまりさの帽子を取りあげると、 先程とは反対の方向に放った。 「ばりざのおぼうじいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 泣き声をあげて帽子を追うまりさには目もくれず、少女はれいむの開封を再開する。 「結局れいむは、まりさが死ぬまでその場を動くことは無かったな。立派なお母さんだね。 私はれいむを放してあげることにしたよ」 口の横から始まった開封は半分が終わり、今はちょうど後頭部を切っている所だ。 れいむはそれでも口を開かない。 「良かったねって言って頭を撫でてあげて、最後に御挨拶をしたんだ。もちろんれいむは元気に 御挨拶を返してくれたよ。ゆっくりだからね。でもね、元気に挨拶したせいで、あんなに頑張って 守った子供が落ちちゃったんだ」 声を落とし悲しそうに・・・・・・表情は穏やかな笑顔のままに、少女は続ける。 「返せ戻せってうるさかったから、れいむのリボンを取って、れいむの餡子をリボンで包んでそこに 茎を挿してあげたの。ほら、木の苗とか買ったらそんな風じゃない?これで大丈夫だよって言って、 まだ何か言ってきたからナイフで喉を滅茶苦茶に突いてあんよを削ぎ落して、赤ちゃんの苗と一緒に 庭の隅に置いておいたの」 四分の三が終わった開封。少女は慎重に木べらを動かしながら、れいむを押さえつける。 「三日ほどたったかな?見に行ってみたのね。そうしたら、残念。れいむも子供も死んじゃってたよ」 可哀そうだね。そう言って少女は口を閉じると、れいむの口に最後の一太刀を入れ、切り開いた。 「上手に出来ました♪」 あはは、と笑うと少女は、持っていた木べらを無造作に放り投げた。そして熱の籠った視線を れいむに向ける。少女に見つめられる眼前のれいむの姿は、悲惨の一語に尽きるだろう。 口裂け女のように頬まで裂けた口は、れいむの姿をとんでもなく醜悪に見せている。 その裂け目はぐるり後頭部にまで達し、言うなればれいむの皮はカプセルトイのカプセルのように、 二つに分かれてしまっているのだ。 「最後まで頑張れたね。えらいえらい」 少女はれいむを視点を合わせ、その目を覗きこんだ。 「良く頑張ったからご褒美上げるね。もう口を開けてもおちびちゃんには何もしないよ」 そう言って少女は、敵意が無いことを示すように両手を上げた。 「っ!?」 二、三度体を動かそうとした後、れいむは絶望的な顔をした。 「あぁ、なんだ。やっぱり皮を一周切っちゃったら口、開けられないんだ。ゆっくりって餡子が 本体だと思ってたけど、皮も無いと駄目なんだ。面白いね」 両手を上げたままの少女が手を下し、れいむの切り口を覗きこんだ。 れいむは声を出そうと、上顎部より上を動かそうとしているのだろう。だが実際に動いたのは 下の部分、あんよや下膨れだけ。 「声も出せない?ほら、喋っても良いんだよ?」 「~~っ!!??」 かくんかくんと頷くように伸びをするれいむ。だが声を発することは一切なく、顎部より上は 下半身の動きに合わせぐらぐらと揺れるだけ。きょときょとと動く目が困惑に揺れている。 「あ、あんまり激しく動かない方がいいよ。だって今動いたら多分、ぱっかり割れちゃうからね」 少女はそう言うとなだめるようにれいむの頭に手を置き・・・・・・揺すった。 「ほら、こんなに脆い。抜けかけの乳歯を触ってるみたいだよ」 ゆらゆらと揺らされるたびに、れいむが目を剥く。人間で言うなら内臓をまとめて捩られ 引き延ばされるような、そんな感覚なのだろうか。 「ぐちゅぐちゅ言ってる。中のおちびちゃんをうっかり噛んじゃったりしないようにほら、しっかり 踏ん張ってみなよ。皮が無いとそれも出来ないかなぁ?」 「っ~~!!!!」 「なにやっでるのおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」 そうやって少女がれいむと遊んでいると、ようやくにしてまりさが戻ってきた。 大事な大事なお帽子はツバがぴんと張り、位置もばっちり決まっている。 「まりさのはにーにひどいことしないでね!!ゆっくりできないにんげんさんはせいっさいっだよ!!」 まりさは少女に何を言う暇も与えず、いきなり体ごとぶつかっていった。 「ゆんっ!」 ぽむん、と少女の腰にぶつかるまりさ。 「いたいでしょ!?まりさのたいあたりはすごいんだよ!! どんなゆっくりもいちっげきっでごめんなさいするんだよ!」 「全然痛くないよ」 得意顔で体当たりを続けるまりさの髪をつかみ、少女が立ち上がった。 「ごめんなさいなんかしてあげないよ、まりさ。人間はそんなことじゃ、倒せないんだよ」 立ち上がった少女はそのまま、持ち上げたまりさを放り投げた。 「おぞらをとんでるみだゆぎぃっ!?」 テンプレートな台詞の途中で頬から着地したまりさは、したたかに打ち付けた頬の痛みに涙を流す。 「人間はね、あなたたちゆっくりよりとっても強いの。だから、そのままじゃ勝てないんだ」 「ぞんなごどないよ!?ばりざはどっでもづよいんだよ!!いまのはまぐれで」 ごん! 「ぴぃ!?」 少女が安全靴を履いた足を、強く床に打ち付けた。 「まぐれだと思うなら、かかってくると良いよまりさ。硬そうな音がしたよね?痛そうな音がしたよね? この音がまぐれだと思うなら、遠慮なくかかってくるといいよまりさ」 反撃するけどね。少女はそう言うと手を後ろで組み、体を揺らしながら楽しそうに笑った。 ちょろろろろ・・・・・・・・・ かたかたと震えながらしーしーを漏し始めたまりさに向かって少女はさらに言葉を重ねる。 「あ、でも勘違いしないでね、まりさ。そのままじゃ勝てないとは言ったけど、でもそれは、 ゆっくりが人間に絶対に勝てないってことじゃないんだよ?」 「・・・・・・ゆ?」 「人間も非力だからね。私はれいむの皮を切るために、道具を使わないといけなかったの。 まりさもちゃんとした道具があれば、私に勝てるかもね」 そういえばあのナイフ、どこにやったかな?今気付いたかのように言うと、少女はきょときょとと 周りを見回し始めた。 恐怖に体を痺れさせているまりさは、逃亡のタイミングをひたすらに計っていた。だが、ふと 自分のすぐ横に、棒のような何かがあることに気付いた。 これは、ひょっとすると・・・・・・? 「ゆゆっ!?これはもしかして、にんげんさんのつかってたないふさんなんだぜ!?」 まりさはその棒に全力で飛び付いた。 「あ!それは!!」 血相を変えて叫ぶ少女。その姿を見たまりさは、この棒こそがないふさんで、人間を打倒しうる 凶器なのだと確信する。 「このないふさんはまりさのものにするんだぜ!これさえあれば、にんげんさんもいちっころっなんだぜ!!」 さっきまでしーしーを漏らして震えていたとは思えない自信満々な表情を浮かべるまりさは、 木べらを口に咥えながらゆっへっへ、とふてぶてしく笑った。 「そんな危ないものは仕舞いましょう?それをこっちに渡して?」 「だまるんだぜ!!!」 少女が伸ばしてきた手を拒絶するように強く木べらを薙ぐと、まりさは少女に突進していった。 「おちびちゃんをずっとゆっくりさせてはにーにもひどいことをしたにんげんさんは、ぜったいに ゆるさないんだぜ!!まりさのないふさんのさびになるんだぜええぇぇぇぇぇ!!!!」 体を低くひしゃげさせ力を貯める。伸びあがる力をゆんっと推進力に変えて、 まりさは乾坤一擲の一撃を繰り出した。 「口に物を咥えて喋るなんて、器用なんだねー」 そんなまりさの渾身の一突きを、少女は危なげもなく横に動いて躱した。 「・・・・・・ゆ?」 驚いたのはまりさだ。ひっさつっの一撃を喰らっていちっげきっでやられてしまうはずの少女が、 いきなり見えなくなってしまったのだから。 まりさのいちっげきっがすごすぎて、跡形も残らずに吹き飛んでしまったのだろうか・・・・・・? きょろきょろと周りを見渡しながらお花畑な結論を導き出しそうになった時、真後ろから声をかけられた。 「こっちだよまりさ。まりさの攻撃、とっても遅くて避けやすかったよ」 「ゆゆっ!!??」 慌てて振り向くとそこには、まりさのいちっげきっでそくししたはずの人間さんが、 変わらぬ姿で立っているのだった。 「ばりざのざいっぎょうっのこうげきどぼじでよげられでるのおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 「まりさ。強い武器を持ってても、それを使いこなさなきゃダメだよ。 ただ振りまわすだけじゃ、人間は倒せないよ」 「うるざいうるざあああぁぁぁぁぁぁい!!ばりざのこうげきはひっさつっなんだああぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりさの悪い所をアドバイスしてあげるからさ、だからほら、元気を出してもう一回かかっておいで? れいむとおちびちゃんのために、頑張って私を倒しちゃおうよ」 「いまのはまぐれだあああぁぁぁぁぁ!!!ゆっぐりじねええぇぇぇぇぇ!!!」 少女の言葉を聞いているのかいないのか。まりさはぎりりと木べらを噛みしめると、 目を見開きものすごい形相で、再び少女に飛びかかる。 「ほら、飛びかかる前にタメを作ったらタイミングがばれちゃうでしょ?」 軽く一歩下がる。 「ちゃんと相手を見ないと駄目だよ。飛ぶ瞬間に目をつぶっちゃってるじゃない」 足を交差させ、半身になる。 「武器は真っすぐ咥えないとだめだよ。そうそう、目は開けたままでね」 片足を上げ、手を後ろに組んだままピルエット。 そうやって少女は、踊るようにまりさの攻撃を避け続けた。 「ゆひー・・・ひぃ、ぴぃぃ・・・・・・」 数分後。そこには変わらず無傷の少女と、疲労困憊で全身を上下させるまりさがいた。 「んー、ちょっとは良くなってきたけど、まだまだかな」 「どぼじで・・・どぼじであだらないのぉ・・・・・・」 積み重なった疲労に押しつぶされるように平べったくなったまりさが、 少女を恨みのこもった視線で見上げ、睨みつける。 「なんでかって言われたらそれは、まりさが弱くてナイフの使い方が下手くそでお馬鹿さんで 存在そのものがちっぽけだからじゃない?」 「うっがああぁぁぁぁぁぁ!!!ばりざはよわぐないいいいぃぃぃぃぃ!!!!」 少女の言葉に激昂したまりさ。体を饅頭型に戻すと木べらをぎちりと噛み締め直し、 猛烈な勢いで少女に吶喊していった。 「んー、じゃあそろそろ、最後のレッスンにしようか」 最初より僅かにに切れ味の増したまりさの攻撃を満足げに眺めると、 少女は右の爪先でごつんと一つ床を叩いた。 「武器は真っすぐ咥える。相手を見る。タイミングを読む。良い感じだよまりさ」 嬉しそうに言うと少女は、まりさの攻撃に向かって真っすぐに立ち、ぐんと一歩踏み出す。 「あだれええええぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「でも私だったら、そもそも口に棒を咥えたまま何かに突進するなんて馬鹿なことはしないかな♪」 そして右足を大きく振ると、安全靴の質量と硬度を、ハンマーのようにまりさに叩きつけた。 「だって噛む力が足りないと、逆に自分に刺さっちゃうでしょ?」 あはは、と、少女は楽しそうに笑った。 銃を思い浮かべてほしい。弾丸が発射されるプロセスを思い浮かべてほしい。 と言っても、専門的な知識が欲しいのではない。極々単純な、初歩のもので十分。すなわち、 撃鉄が雷芯を叩く。 着火された火薬は爆発的な圧力で弾丸を押す。 そして押された弾丸は、銃身の導きに従って飛ぶ。たったこれだけだ。 少女のハンマーのような蹴りは、火薬とのハンマー(撃鉄)の役割を同時に果たした。 爆発的な圧力を受けた弾丸・・・・・・木べらは、まりさの口を銃身として、一直線に吹き飛ぶ。 弾丸は強度の足りない銃身を破壊しながら、まりさの喉に思い切り突き刺さった。 「おぼええぇぇっぇええっふぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 大口を開けて叫ぶまりさ。前歯が上下共にごっそりとヘシ折れていた。 「あびいいぃぃぃいいひいいっひいいいぃぃぃぃ!!!」 錯乱してその場でぐるぐると回りだすと、貫通した木べらの柄が尻尾のように踊った。 「ふいでええぇぇぇぇぇぇぇ!!ごれぬいでええええっぇぇぇぇぇっぇ!!!!」 叫び声を上げ続ける口内に見えるへらの部分。まるで、舌が二枚に増えたようだった。 銃身を口に咥えて引き金を引いたに等しい今のまりさ。 端的に言えばそれは自殺行為で、しかしゆっくりはそんなことでは死なない。 その代わりにまりさは、涙も出ないほどの痛みを味わう羽目になるのだった。 「おっげええぇぇぇぇぇ!!!!うげぇぇぇぇ!!いぢゃい!!ぬいでで!!ででいっでね!!! ばりざのおぐちがらででいっでねえぇぇぇぇぇ!!!」 自分の尾を見ようとするかのように回り、飛び跳ね、えづき、体を揺らし、また飛び跳ね。 まりさは刺さった木べらを抜くためにあらゆる動きを試した。が、それらは全て無駄骨に終わった。 「無理だよまりさ。まりさ一人じゃそれは抜けないよ」 少女はしばらくまりさの一人上手を鑑賞していたが、まりさの動きが鈍った所でひょい、と 持ち上げると、れいむの方を向けて置き直した。 「ゆっくりには人間みたいに手も足も無いんだから、助け合わないとね」 「でいぶううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 この痛みから逃れたい。何でも良いから助かりたい!!ただその一心でまりさは走った。 「でいぶううぅぅぅぅ!ごれぬいでええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 れいむの元にたどり着いたまりさはれいむに体当たりのようなすーりすーりをする。 「!!」 しかしやられた方のれいむにはたまったものではない。今のれいむは少しの刺激でも餡子に 響き、吐き気がするほどの痛みが走るのだから。 「ねぇでいぶうぅぅぅ!!ごれぬいでよおおぉぉぉ!!!どぼじでうごいでぐれないのおおぉ!! かわいいかわいいでいぶのばりざがいだがっでるんだよおおおおぉぉぉぉぉ!?」 れいむの事情を知らないまりさはれいむにすーりすーりし続ける。力を込めたすーりすーりは、 見る者にはれいむを転がそうと体当たりしているのと、ほとんど区別がつかない。 「ゆびえぇぇん!!おへんじじでえぇぇ!!どぼじでばりざをだずげでぐれないのおおぉぉ!!」 「~ぃ!!」 押されるれいむが、ズレ始めた。 「ごんなにばりざぐるじんでるんだよおおおぉぉぉ!?でいぶとおちびぢゃんをだずげるだべに がんばっだめいよのふしょうなんだよおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 みり、みり、みり、みり。 「げずなのおおぉぉぉ!?でいぶはげすだったのおおおぉぉ!?なにがいええぇぇぇぇ!!」 ぶち切れたまりさがれいむにまごうこと無き体当たりを喰らわせた瞬間。 ぱかり、と、れいむがまっ二つに割れた。 「!!!!!!!!!!!!!!!!」 分かれて落ちたれいむの上半分。うにうにと蠢きながら何か探すように動き回るがもう、 自力で向きを変える力もない。びくびくと震えながら、逆さまになった目から涙を排泄し続けるばかり。 「・・・・・・・・・・・・でいぶ?」 これはまりさ。軽く。そう本当に軽く、親愛の挨拶ぐらいの強さですーりすーりしただけなのに? どうして?これれいむはどうなっちゃってるの?え?死んじゃうの?れいむ死んじゃうのなんで どぼじでいとしのはにーいたいこれぬいてくれないのまりさはなにもしてない 「ゆみゅぅん・・・・・・。ゆ?れいみゅもうおそとにでちぇもいいにょ?」 錯乱し始めたまりさに、ずっと親れいむの口の中にいた・・・・・・今は親れいむの下半分をベッドにした 赤れいむの、暢気な寝起きの声が届いた。どうやら眠ってしまっていたらしい。 体に刺さりっぱなしのないふさん、真っ二つに割れたれいむ。れいむの上に乗ったおちびちゃん。 状況は二次曲線のようにカオスの度合いを増大させていく。まりさの小さな処理回路が 破裂しそうになった瞬間、まりさの後ろに回った少女が、まりさの後頭部から尻尾のように 生えている木べらの柄を掴んだ。 「おはよう、れいむ。ゆっくりしていってね」 「ゆぅ~ん、ゆっくりしちぇいっちぇね!!」 「ひぎぃっぐりじでいっでね!!」 「起きてすぐこんなことを言って悪いとは思うんだけど、大切なことだからゆっくり聞いてね?」 掴んだ柄を掻き回すように動かしながら赤れいむに向かって少女は言う。 「あなたのお父さん、まりさは狂った・・・・・・ゆっくりできないゆっくりになっちゃったの。 まりさはあなたのお母さんを殺して、今度はあなたを食べようとしてるんだ」 「だにいっでるの、ばりざはおげえぇぇうえげえぇえへええぇぇぇぇ」 「ほら見て、どう見てもまともじゃないでしょう?早く逃げないとれいむ、食べられちゃうよ?」 そう言うと少女は、木べらの柄を掴んだまま木べらの開けた穴を押し広げ、 めりめりと拳をまりさの体内に侵入させた。 「ぎゃおー、たーべちゃうぞー・・・・・・ってね」 押し出されるようにまりさの口から飛び出した木べらは、見ようによっては舌のようにも見えて。 「ゆっぴいいぃぃぃぃぃぃ!!!おとうしゃんがれいみゅをたべようちょしゅるううぅぅぅぅぅ!!!! たしゅけちぇおきゃあしゃああああああぁぁぁぁぁん!!!!」 「お母さんはもう死んじゃってるよ。ほら、下を見てごらん?れいむは今、まりさに真っ二つに されちゃったお母さんの上に乗ってるんだから」 「ゆわああああぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」 認識した途端地面から立ち上る、濃密な死臭。れいむは、少女の言葉が真実だと認識する。 「泣いてる時間はないよ。早く逃げないと、本当にお父さんに食べられちゃうよ」 「れいみゅおうちきゃえりゅうううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 弾かれたように跳ね始める赤れいむ。それを満足げに見下ろすと、 「狂っちゃったまりさ。おちびちゃんを殺したくなかったら、お口はちゃーんと、閉じておこうね? ひょっとしたら、まりさの噛む力の方が、私の腕の力より強いかもしれないし、ね」 そう言って、手首をまりさの体内で一回転させた。 「ゆぴいいぃぃぃぃ!!こっちこにゃいでええぇぇぇぇ!!」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 「どぼじちぇきょんなこちょしゅりゅにょおおおおぉぉぉ!?」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 「ゆるちてええぇぇぇぇ!!!れいみゅいいこににゃるきゃらああぁぁぁぁ!!!」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 赤ゆっくりがあちらこちらに逃げるたびに、追いかける舌・・・・・・木べらでまりさの歯が折れる。 少女は赤ゆっくりが逃げられる程度の早さで、しかし決して余裕は与えない。そんな意地の悪い 速度を維持しながら、赤ゆっくりの周りの床を叩き続けた。 「ゆぴいいいぃぃぃぃ・・・・・・ちゅかれちゃよおおおぉぉぉ・・・・・・」 「おひぃひひゃんは・・・・・・はりはは・・・・・・・・・・・・」 そうしてしばらくの時間が過ぎ、限界が訪れた。 赤ゆっくりはその柔らかい皮と少ない餡子を限界まで酷使した所為でもう、何をされるまでもなく 倒れそうで。 白目を剥いた親まりさは歯の半分以上を抉られている上に、体には少女の腕が二本は入って しまいそうな大穴が開いて、こちらももう長くは無いと一目で分かるようで。 「そろそろかな」 糖蜜のような背徳遊戯の終わりを締めくくるように、少女はまりさの体から木べらを引き抜くと 腕を大上段に上げ、赤れいむに向けて一気に振り下ろした。 「どしゅうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ」 がちん。 赤ゆっくりが潰れる音はとてもちっぽけで儚く、少女の耳にそんなものは届かない。 「・・・・・・ドス?」 その耳に届くのは、興味深い赤れいむの末期の台詞だけ。 「ねぇまりさ。もしかして、あなた達が住んでいた山にはドスがいたの?」 少女は木べらを再び無造作に放り出すと、親まりさに詰め寄った。 「ね、ね、教えてよまりさ。あなた達はドスを知ってるの?ドスの群れにいたの?答えて?」 ぽんぽん、と頭を叩くと、穴があいて浮き輪のようになっていたまりさは、凹の形にべっこりとへこんだ。 「あ・・・・・・やりすぎちゃったかな。まりさ、生きてる?」 揺らしてみたり突いてみたり、少女は少しの間まりさが痛がるような事を色々と試したが、 まりさはついにぴくりとも動かず、一声すらも上げなかった。 「ちぇ、死んじゃってるか」 詰まらなさそうに言うと少女は立ち上がる。上機嫌に部屋の真ん中に歩くと爪先立ちになり、 両手を広げてくるくると回り始めた。 「ドスまりさかぁ。私より大きくて、重くて、強いんだろうなぁ」 くるくると、くるくると、 「人間より強い本物のゆっくりの『武器』。武器を持ったゆっくりは、どんな風になるんだろうなぁ」 くるくると、くるくると、 「私がこうやって手を広げて回るよりきっとまだ大きいんだよ。ドスの頭を切り開いて、 その上で踊ってみたいなぁ」 くるくると、くるくると。 「今年の夏休みは楽しくなりそう」 くるくると回りながらくすくすと少女は笑い、とりあえず練習として、次のゆっくりを虐める時には 本物のナイフを使おうことにしようと考えるのだった。 END あとがき ゆっくりを虐めるだけSS第二弾でございます。 今回は虐待派の人間による純粋な虐待です。実はこれまでに虐待をホビーとして楽しむ人間 と言う物を書いたことが無かったため、今作は結構な難産になりました。いかがでしたでしょうか? 少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 次のSSの予定はまだ未定です。何が出るのか自分でも分かりません。一番文章量的に 進んでいるのは希少種が出る物語なんですけど・・・・・・予定は未定。 投稿頻度は相変わらず低いと思いますが、次のSSでお会いできたら嬉しいです。 それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら。 by ゆンテリアあき
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『ゆっくり教育』 16KB いじめ 飾り 家族崩壊 ゲス 虐待人間 よかったら読んでね 補足 いじめ(虐待というほどの描写はありませんが死ぬゆっくりはいます) 家庭崩壊(ゆっくりがゆっくりを殺す描写があります) ゲス(思考の推移が唐突で極端です) 『ゆっくり教育』 「あ~、暇だなぁ」 たまの休日、家でゴロゴロしてるのは不健全かと思い、近所の公園まで来てみたが何もすることがない。 そんなわけでベンチに座りながら缶ジュースでも飲んでいると、どこからともなくウザい声が聞こえてきた。 「ゆっきゃ!ゆっきゃ!」 「おちびちゃんたち!ゆっくりおかーさんのあとについてきてね!」 「ゆゆぅ~ん♪おきゃーしゃんとおしゃんぽなのじぇ~ん!」 ああ、やっぱりゆっくり共か。 親れいむ1、子れいむ1、子まりさ1。 典型的な組み合わせだな。 「ゆっ!おちびちゃんたち!ゆっくりきいてね!きょうはおちびちゃんたちがりっぱなおとなになれるよう、おかーさんがゆっくりするほうっほうをおしえてあげるよっ!」 どうやらゆっくり親子の教育現場に出くわしたようだ。 とりあえず暇だし、暫くゆっくりどもの授業参観としゃれこむか。 「ゆ!かりのしかたはおとーさんのまりさがくわしいけど・・・・・・れいむたちのおうちのまわりにもゆっくりできるごはんさんはたっくさんあるんだよ!すこしでもおとーさんのふたんをかるくするためにも、みんなでごはんさんをゆっくりさがそうね!」 「「ゆっくりりかいしちゃよ!」」 ほぅ、食料の調達を番のまりさにまかせっきりにしないとは・・・・・・あのれいむ、なかなかの良妻じゃないか。 れいむのでいぶ化が進む現代ゆっくり社会においては貴重な存在といえるな。 「ゆっ!おちびちゃんたち、このくささんはたべられるんだよ。みんなでとって、おうちまでもっていこうね!」 「ゆっくちわかったのじぇ!ぶーちぶーち!いっぴゃいとるのじぇ!」 「ゆゆっ!だめだよ、まりさのおちびちゃん。ここはみんなのゆっくりぷれいすだから、ごはんさんもひとりじめしないでむーしゃむーしゃするぶんだけもっていこうね!」 その他のゆっくりのために食料の乱獲はさけているのか。 いい心がけだ。 「ゆ!?あっちにおいしちょうなおはなしゃんがはえちぇるよ!れいみゅ、おはなしゃんむーちゃむーちゃしちゃい!」 「れいむのおちびちゃん、あのおはなさんはダメだよ!」 「ゆゆぅ~?どうちて?あんなにおいしちょうなのにぃ・・・・・・」 「あれはにんげんさんがつくった『かだん』さんだよ。あそこにあるものをかってにとると・・・・・・にんげんさんにガーミガーミされちゃうよ!『かだん』さんのなかにはいるのもだめだからね!」 人間の脅威も理解しているようだな。 まあ、厳しい野良生活をしているのなら当然の認識だとは思うが、それをできないゲスが多いのもまた事実。 当たり前のことが当たり前にできるというのは、ゆっくりにとっては賞賛されるべきことだな。 「このこうえんさんはゆっくりだけじゃなく、にんげんさんやとりさん、いぬさん、ねこさん、みんなのゆっくりぷれいすだよ!だからみんなにめいわくをかけないようにしないといけないんだよ!」 「「ゆっくりりかいしちゃよ!」」 どうやらあのゆっくり親子は善良ゆっくりだったようだ。 ここでゲスッ気の一つでも見せれば、ぶっ潰して遊んでやろうと思っていたが・・・・・・。 まあ、いいさ。俺はゆっくり全滅主義者じゃないしな。善良なら黙って見逃してやるか。 ベンチから腰を上げ、そろそろ帰ろうかと思った、その時であった。 「ゆべぇぇぇぁぁ!れーみゅの、れーみゅのおりぼん~!」 「まいちゃのおぼうちぎゃぁぁぁ!」 あれは、さっきの親子の子ゆっくりじゃないな。 別の子ゆっくりだ。れいむ、まりさの二匹だが、両方とも頭にあるはずの『お飾り』がない。 「ゆゆ?しらにゃいゆっくちがいりゅよ?だりぇなにょ?」 「ゆゆぅ~!ひじょいよぉぉ!れーみゅはれーみゅだよぉぉぉ!れいみゅのともだちのれーみゅだよぉぉ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!?」 子ゆっくりたちとは顔なじみだったようだな。 だが、飾りを紛失しているため判別ができなかったようだ。 無理もない、ゆっくりにとって飾りは個体認識標みたいなもんだからな。 「ゆゆっ!?れーみゅ?れーみゅなにょ?じゃあ、そっちのへんにゃゆっくちは・・・・・・」 「へんじゃないのじぇぇぇ!まいちゃはまいちゃなんだじぇぇぇ!ゆわぁぁぁん!かぜしゃんにおぼうちをとられちゃったんだじぇぇぇ!ゆぅ~んやぁぁぁ!」 どうやらあの子ゆっくり達は不慮の事故で飾りを紛失してしまったようだ。 まあ、野良にとってはよくあることだな。 「ゆぅぅ、おかざりをなくしちゃっちゃなんちぇかわいそうじゃにぇ・・・・・・どうちよう、まりちゃ?」 「ゆぅ、どうちよう・・・・・・。ゆっち!こういうときはおきゃーしゃんにきいちぇみるのじぇ!」 「そうだにぇ!おきゃーしゃんならこんにゃとき、どうしゅればいいのかわかるかもしれにゃいね!」 飾りを紛失したゆっくりを心配するとは、お飾り至上主義のゆっくりにしては珍しい行動だ。 この子ゆっくり達、思った以上に善良なのかもしれんな。 「おきゃーしゃん!おきゃーしゃん!まりちゃのおともだちがたいっへんなのじぇ!」 「どうしたの?おちびちゃんたち?ゆっくりおかーさんにおしえてね?・・・・・・ゆ!?そのゆっくりは・・・・・・」 子供達に呼ばれ、やってきた母親れいむも飾りの無い子ゆっくり達に気がついたようだ。 母親れいむは子供達の元へとたどり着くと同時にピョンっとジャンプをした。・・・・・・ん?ジャンプ? グシャ 「「「ゆ?」」」 あまりにもナチュラルな動作だった為、何が起こったのか子ゆっくり達は勿論、俺にも分らなかった。 だが、母親れいむの足元から黒い染みがじわじわと広がっていく様をみてようやく理解できた。 「ま、ま、まいちゃぁぁぁぁぁ!?」 姉妹を潰された飾りの無い子れいむが絶叫する。 ・・・・・・そう、あの飾りの無い子まりさは、母親れいむによって踏み潰されたのだ。 「お、おきゃー、しゃん?」 「ど、どう、ちて・・・・・・?」 子ゆっくり達も戸惑っている。 状況を理解しても、何故こんなことをしたのか理解できないのだろう。 「おちびちゃんたち、ゆっくりきいてね!」 母親れいむの声のトーンは先ほどまでとなんら変わらぬものだった。 「おかざりのないゆっくりはゆっくりしてないゆっくりなんだよ!だからゆっくりしてないゆっくりはしんでとうぜんなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 あくまでも淡々と。 母親ゆっくりは物騒なことを子供達に教えている。 「で、でも、おきゃーしゃん、ありぇは、れいみゅたちのおともだち――」 「おちびちゃんたち。ゆっくりおかーさんのはなしをきいてね?」 子れいむの発言を遮るように母親れいむは子れいむに詰め寄った。 その表情はあくまでも笑顔。だが俺にはその目は何か狂気のようなものが宿っているように見えた。 それほどまでに、母親れいむの物言いは不気味だった。 「よくみてね?あのおかざりのないゆっくりを。おちびちゃんたちは、あれがゆっくりしているようにみえる?」 ゆっくり親子達が飾りの無い子れいむを見る。 「ゆぅぅぅ!?どぼじでいもーちょが、まいちゃがこんなめにぃぃ!?ゆびぇぇぁぁ!?」 子れいむは涙と涎、ついでにしーしーを撒き散らしながら潰された姉妹の死を嘆き、喚き散らしている。 「ゆ、ゆぅぅん、ゆっくちしてないよ・・・・・・」 その見苦しい姿に思わず眉をひそめる子ゆっくり達。 確かに泣きわめくゆっくりはブサイクで気持ち悪いのは事実だが、肉親が殺されたのだから取り乱すのは無理もない。 しかし、ゆっくりにはそんな理屈は通用しないようだ。 「おちびちゃんたちだって、おかざりがなくなったらゆっくりできないよね?」 「ゆぅぅ、おぼうちしゃんがないのはゆっくちできないのじぇ・・・・・・」 「うるちゃぁぁぁい!まいちゃも、れーみゅも!すきでおかざりなくしたわけじゃ、ないんじゃよぉ!ふこうなじこなんじゃよ!そんなきゃわいそうにゃれーみゅたちは、やさしくしなきゃ、だめなんじゃよぉぉ!・・・・・・それにゃのに、そりぇなのにぃぃぃ!どぼちてこんにゃこちょすじゅぅのぉぉぉぉぉ!?」 母親れいむの仕打ちを非難する飾りの無い子れいむ。 そんな様子に子ゆっくり達の飾りの無い子れいむを見る目が変わっていく。 明らかに侮蔑の表情を浮かべ始めているのだ。 「ゆっくりにとっておかざりはいのちのつぎにたいっせつなものなんだよ。それをなくしちゃうゆっくりはゆっくりできなくてとうっぜんなんだよ。たとえどんなりゆうがあってもそんなのはいいわけだよ!ゆっくりとしてのぎむもはたせないゆっくりはなにされたってもんくはいえないんだよ!むしろそくしさせてあげたことにゆっくりかんしゃしてね!」 この母親れいむ、全く悪びれた様子はない。 それがゆっくりにとって常識である、といういとらしい。 ここまでくるといっそ清清しさすら感じる。 「ゆぎぎぎぎ!もうゆるちゃないよ!まいちゃをころしちゃげすゆっくちはしんじぇね!ぷくー!」 母親れいむのあまりにもあんまりな態度についにキレた飾りの無い子れいむ。 身体をプクーと膨らませる、お馴染みの威嚇のポーズだ。 だが、それは相手がゆっくりであっても子ゆっくりによる威嚇である。 成体ゆっくりである母親れいむにとっては何の脅威にもならなかった。 むしろ、その目は益々冷ややかな物となっていく。 「・・・・・・どう?わかったでしょ?おちびちゃんたち。おかざりのないゆっくりはあんなふうにゆっくりしてないんだよ」 「ゆー!おきゃーしゃんにぷくーしゅるなんて、ほんとにゆっきゅりしちぇにゃいね!」 「ゆきー!もうおんっこうにゃまりしゃもかんにんぶくりょのおがきれちゃのじぇ!」 完全に母親の思考に同調した子ゆっくり達。 なるほど、ゆっくりのゲス気質はこうやって親から子へと継承されていくのか。 酷い教育現場を見た気がする。 「「「ゆっくりしてないゆっくりはせいっさいだよ!!!」」」 そんなわけで、子ゆっくり達による飾りの無い子れいむへの『すーぱーせいっさいたいむ』が始まった。 最初は怒りに任せて体当たりをするだけだったのが、だんだん弱者を甚振ることに快感を見出したようだ。 今ではニタニタと笑みを浮かべながら飾りの無い子れいむを甚振っている。 「ゆんぎゃぁぁぁ!いちゃいぃぃぃ!?ぼうやべちぇぇぇぇ!れーみゅに、ひじょいこちょしにゃいじぇぇぇ!!」 「ゆぷぷぷ!いいきみなんだじぇ!もっちょゆっくちできないめにあわせてやるのじぇ!」 「おお、あわりぇあわりぇ!おかじゃりのにゃいゆっくちはゆっくちしにゃいでにぇ!!」 髪の毛を引き千切ったり、目玉を抉ったり、歯をへし折ったり、枝を突き刺したり・・・・・・etc いとも容易くに行われるえげつない行為の数々。 なんて見事なゲスっぷりだ。 最初の善良ぶりはどこに行ったんだろう。どうしてこうなった? 「ゆふふ・・・・・・。れいむのおちびちゃんたち、ゆっくりしてるね!れいむもとってもゆっくりできるよ!」 そんな子供たちの蛮勇を母親れいむはニコニコ顔で眺めている。 正直反吐がでる光景だ。下手なゲスよりも性質が悪いかもしれん。 「れーみゅだっちぇ、いきちぇるんじゃよ!おりぼんしゃんがなくでも!・・・・・・かけっがえのにゃい!いのちにゃんじゃよぉぉぉお!?」 「おかざりのないゆっくりなんていきてるかちなんてないんだよ!みぐるしいからもうしんでね!いますぐでいいよ!」 グシャリ! 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙・・・・・・もっじょ・・・・・・ゆっぐじ・・・・・・」 最後は母親れいむの一撃で潰された。 所詮はゆっくりってことか。 人間の常識をゆっくりに求めることが間違いってもんだ。 まあ、別にゆっくり同士の問題だし、人間に迷惑がかからなければどうでもいい話ではあるんだが・・・・・・。 「しんじゃ♪しんじゃ♪ゆっくちしんじゃ♪ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちしにぇー♪」 「ゆきゃきゃきゃきゃ!しゅっきり~しちゃのじぇ!」 「おちびちゃんたち!とってもゆっくりしてたよ!さすがれいむのおちびちゃんたちだね!」 パキッ! くそっ!思わず持ってたジュースの缶、握り潰しちまった。 ・・・・・・さぁて、観察はこれぐらいにして俺もおちびちゃんの『教育』に協力してやろうかな! 俺が近づいてもゆっくり親子達は子れいむ制裁後の高揚感に浸っており気がつかないようだ。 その隙に母親れいむからリボンを取り上げる。 「ゆゆ!?れいむのおりぼんさん!?なにするの・・・・・・って、にんげんさん!?」 流石に気がついたようだな。 でもまあ、気付いた時にはもう遅いんだがね。 「ゆっくりにとってお飾りは命の次に大切な物なんだろ?だったら直ぐに取り戻さなきゃな。ほれほれどうした?」 「かえしてね!かえしてね!れいむのゆっくりとしたおりぼんさん、かえしてね!」 ピョンピョン跳ねてリボンを取り返そうとする母親ゆっくりだったが、当然届く訳が無い。 「なんだぁ、いらないのかぁ。それならもう捨てちまおうかな。ビーリビーリ」 俺は母親れいむの目の前でリボンを破り捨ててやった。 「ゆんぎゃぁぁぁぁ!?れいむのすてきなおりぼんさんがぁぁぁぁぁ!?」 破れたリボンをペロペロして必死に直そうとする母親れいむだったが、もう手遅れだ。 念入りに細かく切り裂いてやったからな。今やリボンの原型すら留めていない紙くずと化している。 「さてさて、おちびちゃん達。お母さんから教わったことを復習しようね。お飾りの無いゆっくりがいたらどうしたらいいのかな?」 「ゆ?」 「おかじゃりのにゃいゆっくちは・・・・・・」 「「せいっさいだよ!」」 「はい正解」 あっさり言い切りやがった。 さすがゆっくり、相手が親であろうと切り替えが早い。 「なにいってるのぉぉぉぉ!?れいむはおかーさんだよぉぉ!おかざりがなくてもゆっくりとしたおかーさんなんだよぉぉぉ!?」 ここで慌てて反論する母親ゆっくり。 「お飾りを無くしたゆっくりはゆっくりしてないゆっくり。だから何をされたって文句はいえないんだろ?だったらこのまま制裁されたって仕方がないよなぁ」 「ふざけないでねぇぇぇ!れいむのおかざりをビーリビーリしたのはにんげんさんでしょぉぉぉ!れいむはひがいしゃなんだよぉぉ!かわいそうなんだよぉぉ!そんなゆっくりには、やさしくしてあげないとだめでしょぉぉぉ!?」 おいおい、さっきの飾りの無い子れいむと同じこと言ってるぞ。 その子れいむがその後、どうなったのか・・・・・・知らない訳無いよな。 「お飾りを無くさないようにするのはゆっくりとしての義務なんだろ?例えどんな理由があったとしても、言い訳にしかならない。だよな?さっき自分で子供達に偉そうに言ってたこと、まさか忘れた訳じゃないだろうな」 「ゆ゙っ!?そ、それは・・・・・・!?」 やはりゆっくりには規律や義務なんてある訳ない。 もっともらしい理由をつけて、単に自分より弱い者を虐めて優越感に浸りたいだけなんだ。 「有言実行だ。さぁ、おちびちゃん達?お母さんの言いつけどおり、お飾りの無いゆっくりは制裁してやろうな」 「「ゆっくちりょーかいだよ!」」 流石に子ゆっくりだけじゃ成体ゆっくりを制裁するのは無理だからな。 俺が足で踏んづけて動きを封じておく。 「ゆぐぐぐ・・・・・・!や、やべで、ね、!つ、づ、づぶでどぅぅぅ!」 安心しろ、そう簡単には踏み潰さないさ。 少しずつ少しずつ圧力をかけて、ゆっくりと潰してやる。 「ゆっくちしちぇないゆっくちはしにぇ~!」 「くらうのじぇ!まりちゃのさいっきょうあたっくなのじぇ!」 その間、子ゆっくり達は母親ゆっくりに体当たりを喰らわしている。 「ど、どぼじでっ!?おじびじゃん!やべでぇぇえ!?どぼじでおがーざんをいじめるどぉぉぉぉ!!?」 体格の差からダメージは与えられないが、子供に攻撃されているという心理的ダメージは絶大だ。 むしろこっちの方がメインディッシュ。 やっぱりゆっくりは精神的に虐めるのが一番だな。 「や、やべでね!おかーさんがいなぐなっだら!おじびじゃんだじだっでゆっぐりでぎないでしょぉぉ!?」 「おとーしゃんにゆっくちさせてもらうからもんだいにゃいよ!」 「そりぇに、おかーしゃんからはゆっくちすりゅほうっほうをおそわったのじぇ。もうようずみなのじぇ!」 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁ!」 やだ、この子達ビックリするほど超どゲス。 その切り捨てっぷり、実にクール(笑)だね。 面白い、それなら次のフェイズに移行するとしよう。 グシャ! 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙・・・・・・もっど、ゆっぐ・・・・・・」 そんなわけで最早用済みな母親れいむには退場してもらった。 「ゆふぅ~!すっきりしちゃのじぇ!」 「ゆっくちぃ~ん!」 ゆっくりしてないゆっくりをせいっさいしたことでゆっくりしている子ゆっくり達。 親を殺しておいてこの態度か。ホント、いい根性してるわ。 そんな子ゆっくり達には次の授業を受けてもらおうじゃないか。 「さて、お飾りを無くしたゆっくりがどんな目にあうのか。今度は自分達が身を持って体験してみようか」 「「ゆ?」」 子ゆっくり達のお飾りをすばやく取り上げる。 「ゆゆっ!?か、かえしちぇね!れいみゅのおりぼんしゃん!」 「ま、まりしゃのおぼうちぎゃぁぁぁ!ゆんやぁぁぁ!かえすのじぇぇぇ!」 自身の飾りを奪われたことで騒ぎ出す子ゆっくり達。 やはり教育というのは自身で体験することが一番覚えやすいからな。 「これも授業の一環なんだから我慢しろよ。なに、明日になったら返してやるから、それまでお飾りがない気分をゆっくり学んでいってね!それじゃあな!」 「まっちぇ!まっちぇよぉ!おりぼんしゃん、かえしちぇよぉぉ!」 「ゆんやぁぁぁぁ!ゆぅ~んやぁぁぁぁぁ!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!」 俺は泣き叫ぶ子ゆっくり達を残してこの場を立ち去ることにした。 さてさて、明日のこの時間まで、果たして生きていられるかな。 この公園、結構野良ゆっくりが多いからなぁ。逃げ出そうにも飾りの無いままだし。 ドラ○エで言うなら、黄金の爪を持ってピラミッドから脱出するようなもんだ。 しかもエンカウントする敵は自分の何倍ものレベルときたもんだ。これって完全に無理ゲーだよな。 「ゆんゆんゆ~ん♪きょうはたいっりょうだったのぜ!これなられいむやおちびちゃんたちもまんぞくできるのぜ!」 そんな折、食料の調達から帰える途中のまりさを見かけた。 ひょっとしてあいつ、さっきの子ゆっくり達の父親か? 「ゆんやぁぁぁ~!!」 「だれかたすけちぇぇぇぇ!おとーしゃぁぁぁん!」 「ゆゆ?おちびちゃんのこえ?でも、あれは・・・・・・なんだかゆっくりしてないゆっくりなのぜ。まりさのかわいいおちびちゃんとまちがえるなんて、まりさはどうかしてたのぜ!」 やはり父親まりさのようだ。 だが、父親であっても飾りの無い状態では判別はできなかったようだな。 「ゆっくりしてないくせにまりさをだますなんて、ぜったいにゆるさないのぜ!」 飾りを無くしたわが子たちの元へと向かっていく父親まりさ。 あーあ、これは早くも終わったな。ゆっくり合掌。 「ゆんやぁぁぁぁぁ!おとぉぉぉしゃぁぁぁん!たすけちぇ・・・・・・ゆ?ゆぅぅぅ!?やべちぇぇぇ!!?」 「しね!しね!ゆっくりしてないゆっくりは・・・・・・せいっさい!なんだぜぇぇぇ!!」 「れいみゅは!れいみゅだよぉぉぉ!?ゆぎゃぁぁぁぁ!!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!?」 <了> 前作:anko3512_百ゆ゙っ回目のプロポーズ
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前へ 「・・・・・」 「・・・」 ダンスレッスンの休憩中。 スポーツドリンクを飲んでいると、無言の舞が隣に座った。 そして、私の顔をじーっと睨み付けながら、ため息をつく。 「なに?どうかしたの」 「は?なんでわかんないの。ほんとちしゃとってさぁ」 ったく、なにイライラしてるんだろ。女の子の日なのかしら。なんて、言ったら余計に機嫌を悪くするのはわかっているので、黙ってるけど。 「あのさ、舞ちゃん。千聖はガチで鈍いから。何にも言わないで、何かをわからせようってのは難しいからね。自分で言うのもなんだけど」 そう切り出すと、舞はわざとらしくため息をついて、肩をすくめた。 そして、こんなことを言い始めた。 「舞、知ってるんだからね。」 1. 遠征の時、また舞美ちゃんの部屋に行ったでしょ! 2. みやとこそこそメールしてるでしょ! 586 お疲れ様です 2が楽しそうかな 「こそこそみやとメールしてるの、舞知ってるんだからね」 「は・・・」 うわあ・・・ばれていたとは。 仕方ないか。舞はいつだって、私の携帯を、まるで自分のもののように勝手にいじくってしまうから。 メールも写メも、どんなアプリで遊んでるかさえも、舞はきっと把握していることだろう。だけど・・・ 「てか、みやびちゃんからのメールにはパスがかかるようになってるはずなんですけど。何でメールきたとか知ってんの、おかしいじゃん!」 「え、簡単にわかったけど。パスワード。Miyabichandaisukiでしょ?」 「うわあ・・・・・」 なんだこいつ。ストーカーか。そんなに好きなのか、千聖のことを! いや、だがしかし、これは困ったことになったのだ。 なぜなら・・・ 1. みやびちゃんは、なんかエッチなメールを送ってくる 2. みやびちゃんに、お嬢様がいろんな人とアレなことを相談している 588 2かな 589 2かな… 「なんだよ、miyabichandaisukiとか。舞に申し訳ないと思わないの?」 「別にいいじゃんか。てか舞に関係あるの?」 そう反論したら、舞のやつ、すごく悲しそうな顔をしてきた。 だってだって・・・うちら別に、恋人同士じゃないじゃんか。これは浮気でもなんでもないのに。そんな表情を見せられると、自分が悪いんじゃないか、なんて思わされてしまう。 「・・・メール、中身、みたの?」 「見た」 私は思わず、ため息をついてしまった。 みやびちゃんに送っていたメール。それは、お嬢様のときの私が、いろんな人とフテキセツな関係を持っていることについての相談だったから。 ℃-uteのメンバーでは近すぎて打ち明けにくく(というか、全員当事者だし)、パパにもママにも言えない。地元の友達なんて絶対ダメ。 私は客観的に、お嬢様のやっていることを見てほしかった。だから、周りの人の中で一番おとなっぽいみやびちゃんに、話を聞いてもらっていた。 “別にそんなに悪いことじゃないと思うけど” みやびちゃんは、そう言っていた。 それが千聖の気持ちを落ち着ける行為なら、いいんじゃない?と。 なるほど、そういう考え方もあるのか。と私は少し気持ちが楽になった。 だけど、舞はそんな風には考えてくれないだろう。 鈍い私だってさすがに、わかっているんだ。舞が私をどういう目で見ているのか、ぐらい。 「・・・みやの意見、正しいと思ってる?」 案の定、舞は表情を硬くして、厳しい口調で問い詰めてきた。 「正しいとか、よくわかんないけど。 千聖じゃ考え付かないような意見だったから、すごく参考になった」 「何それ。じゃあまだやめないってこと?舞美ちゃんと触りあったり、愛理と」 「あー、もう、声大きいから!」 スタッフさんとか周りにいるのに、舞はどんどんヒートアップしていく。 わかってる。たぶん私は、すごくかわいそうなことをしているんだろう。 今ここで、舞が納得するような言葉をかけるのは簡単なことだ。でも、そんなことをして、何になるというんだ。どうせ、私はまた・・・ 「とりあえず、レッスン終わってから話そう」 私は舞の手を取って、半ば無理やり体を起こさせた。 しぶしぶながらも、それに応じてくれる舞。 すでにストレッチを始めているみんなのところへ、二人で歩いていく。 「ちしゃと。これだけはさきに言っとくけど、舞はね、何もあれ自体をやめさせようっていうんじゃないから」 「んん?なに、どういうこと」 「・・・・だから」 1. 舞美ちゃんとちしゃとがしていることを、したいでしゅ 2.なっきぃが持ってた雑誌に書いてあったことがしたいでしゅ 593 なっきぃはどんな雑誌持ってたんだw 2で 「舞はあれがしたいな、なっきぃが読んでた雑誌の・・・」 「はい、休憩終わり!℃-ute集まって!」 ちょうど、ダンスの先生が私たちを呼びに来てしまって、話はそこでぶったぎられた。 中島の野郎、また変な雑誌を。まったく、かわいいなかさきちゃんはどこへ行ってしまったんだ。 前もそうだった。ギョカイのエロビデオのせいで舞が頭パーになって、私はセクハラみたいなことをされたんだ。 今度はいったいなんだ。私に何をしようっていうんだ。あのくっそ魚介類が(ry 「岡井!集中!」 結局私は、舞の発言が頭から離れず、ミス連発で叱られまくるという失態をさらしてしまったのだった。 * * * * * 「おい、ギョカイ。雑誌見せろ」 レッスン終了後、舞がマネージャーさんと話している隙を見計らって、私はナカジマのかばんをがっと掴んだ。 「は?え?なに?」 有無を言わさず、中にあった冊子を引きずり出す。 ギャル系のモデルさんが元気に笑う表紙。その特集ページの見出しを見た私は、思わずその雑誌で、なっきぃの頭をスパーンとやってしまった。 「ギュフーッ!」 「おっまえふざけんなし!」 “プチレズエッチで、キレイを磨こぅ★女の子同士だから安心だょ” これだ。これに決まってる。舞が言ってるのは、間違いなく。 「何がプチレズだ!そういうことはねぇ、お気軽にやるもんじゃないんだよっ」 「えええ?千聖が言うことじゃないでしょうが!やじさんにえりかちゃんに」 「うるさいだまれ!どーすんだよ、また舞がおかしくなったら」 私の発言で、だいたいの事態を理解したらしいなっきぃ、「だからさっき、熱心にこれ読んでたんだね、舞」なんてしみじみつぶやいている。 「え、でもさー、千聖だってさー、そんなこと言ったってさー」 「なんだよ」 「みやびちゃんで考えたら、ちょっと興奮すんじゃないの?キュフフフ」 1. リ ・一・リ<いいえみやびちゃんは女神様なのでそういう(ry 2. モジモジ リ*・一・;リ ソワソワ 596 キモオタのちっさーなら1でしょw 597 遅ればせながら1で でも展開によっては2にも 「・・・なんか勘違いしてるようだけど」 私はナカジマの肩をガッとつかんで、強制的に着席させた。 「いいですかちさとのみやびちゃんへのきもちというのはそんなよごれたものではなくもっとキラキラしたあこがれとそんけいとがいりまじったきよらかなものであって」 「キモ・・・」 ありえない。みやびちゃんという存在は、もっと千聖の手の届かない、はるか遠くにいる人なのだ。 だからこそお嬢様の行動を相談できるし、その言葉はすーっと胸の中に入ってくる。 「…じゃ、じゃあさ、やじーは?」 「舞美ちゃん?」 「そ。だって、リアルに今、お嬢様とアレしてるのは、やじーでしょ? この雑誌に書いてあるのは、二人がやってることとそう変わらないと思うよ」 ――舞美ちゃんとしていること、か。 ぶっちゃけ、お嬢様が勝手にしていることとはいえ、私だって、まあ若干ちょっとはわかっているんだ。 ベッドに寝かされて、舞美ちゃんが覆いかぶさってきて、あの大きくて少し乾いた手で体をなでてきて、さらに気分が乗ってくると、ぎゅーってして、心臓の音とかがじかに体に響いたりして・・・ “千聖、かわいいね。怖くないから、力抜いて・・・” 「キュフフフ・・・千聖、今ちょーエロい顔してる」 「はぁ!?してねーし!」 ――いや、してたんだろうけど。だってしょうがないじゃないか、あの超男前(?)のやじさんですよ。 じーっと見つめられたり、かすれた声で耳をくすぐられたら、そりゃあもう、グフフ・・・ 「ふーん、舞美ちゃんならアリなんだね」 「うわあ!」 気が付くと、舞がナチュラルに背後にたたずんでいた。 私の肩にあごを乗っけて、耳に息を吹きかけてくる。 「あぅ」 なんだその技は。さっそく、ギョカイのエロ雑誌を役立てているのか。 貞操の危機を感じて、私は慌てて体を離した。 「ま・・・とりあえず、みやとのメールのことは不問にしてあげる」 「あー、そりゃどうもね」 「でもそのかわり、舞から1つ、お願いがありましゅ。さっきも言ったけど・・・」 「・・・この雑誌に書いてあること、やりたいっていうんだろ」 聞くまでもない。私は舞の目の前に、その表紙をずいっと突き出した。 「わかってるなら話は早いね。いつにする?今日?あるいは今日?もしくは今日?」 1. リ*・一・リ<・・・ウフフフ、舞さん。ごきげんよう 2. リ ・一・リ<・・・ちょっと待ってて、ママに電話してくる 600 お嬢様はいざというときに出てきて欲しいから2で 601 2でお願いします 長い付き合いだ。私だってさすがにわかっている。 こうなってしまったら、舞は絶対に譲らない。 私に選択肢なんて残されてはいないのだ。願わくば、あまりヒドイことをされませんように。そう祈るのみだ。 「・・・ちょっと、ママに電話してくるから待ってて」 「は?言うの?舞とエッチするって」 「言うわけないでしょ!帰り、遅くなるって伝えるだけ」 余計なことを言えば、ママには何かしら気づかれてしまうだろう。 18歳になって、仕事の時間に制限がなくなって、ラッキーだったのかもしれない。シンプルに、仕事で遅くなるからとだけ伝えて、私はすぐに二人のところへ戻っていった。 「おかえり、ちしゃと」 「おー・・・」 舞ちゃん、めっちゃにこにこしてる。 可愛いけど怖い。私が席を外してる間に、また余計な学習をしたんじゃないかと。 「ちしゃと、仮眠室空いてるってさ。よかったね!」 「は・・・」 舞の言う、“仮眠室”とは、事務所の上の階にある、寝泊り用の部屋のこと。 朝早いときとか、許可があれば使わせてもらえるから、私も何度か利用したことがある。 「あそこでやるのかよ・・・」 「だって、家じゃ無理だし」 「あ、でもねさきが調べたところによると、ラブホテルって女の子同士でも入れるらしいよ!」 「お前マジ黙ってろギョカイ」 どうにも、気持ちが晴れない。 たった1歳とはいえ、一応私は舞より年上なわけで・・・本音を言ったら、あまり、主導権を握られたくはない。 だけど、私は本当に、今から何をされるのか、実のところ具体的にはわかっていないのだ。 えりかはなんていうか・・・すごくいろいろ上手だったし、舞美ちゃんは舞美ちゃんという存在だけで、無条件に安心感を与えてくれる。 じゃあ、舞は?私は安心して、舞に身をゆだねていいのだろうか。そもそも、舞は“どっち”を望んでいるんだろうか。 「ねえ、舞」 仮眠室へ向かうエレベーター。 その中で、私は舞に問いかけた。 「舞は、千聖に、えりかや舞美ちゃんみたいなことをしたいって思ってるの?それとも、私が舞に、何かしたほうがいいのかな?…んー、言ってる意味、わかる?」 「あー、わかるぅ」 「お前どこまでついてくるんだよギョカイ」 「・・・んー」 舞は軽くうなずくと、口を開いた。 1. 舞の思うようにさせてほしいでしゅ 2. ちしゃとが舞に、今まで知ってきたことをしてほしいでしゅ 604 うぅどっちだろ…難しい… 1の途中でお嬢様出現で2へって感じなのかな… とりあえず舞様の顔を立てて1で 605 確かに難しいですね…こういう経験少ないと言うより皆無ですから 1も2もある展開で 「とりあえず、舞の思うとおりにさせてほしいな」 「えー・・・」 「だって、今まで舞がどれだけ我慢してきたとおもってんの。ちしゃとの振る舞いに。それぐらい当然でしょ」 「わかったよ、そんな怒んないでよ」 思うとおりかぁ・・・。 私はふと、舞に手錠をかけられて、股間をまさぐられた事件を思い出した。 ああいうのはちょっとなあ。怖いのと痛いのは勘弁。 「てか岡さん、股間ってあんた、女の子でしょうが」 「うるさいわ、マジそろそろ帰れよナカジマ!」 「帰らないよ!さきは見届け人なんだからね!まったく、二人ともさきがいないとダメなんだからぁ」 うっぜえ…なにこの子。 だけど、今回に限っては、これでいいのかもしれない。 なっきぃがいちいち口を挟んでくれるなら、舞もそうひどいことはしてこないだろう。 どうやら、仮眠室になっきぃが居座ること自体は、舞も納得しているようだし。 久しぶりに赴いたその部屋。 地方のお仕事で利用するビジネスホテルとよく似た造りで、まるで遠くの地に来てしまったかのような錯覚を覚える。 1. さっそく舞様が押し倒してきて・・・ 2. 一緒にお風呂にはいるでしゅ 607 …押し倒すかw 1で 608 いやこの見届け人もしかすると参加してくるかもしれないので ここは2で 千聖という存在は、いつでも私に、新鮮な刺激を与えてくれる。 ショートカットにした後頭部。そこからつながるうなじがやけに生々しく白く見えて、私は気が付くと、仮眠室のベッドに、千聖を押し倒していた。 「え・・・待って待って舞ちゃん!」 うるさい。 ばかちしゃとのくせに、私が何をしようとしているのか、正確にわかっているんだ。 そう思うとなぜか悔しくて、手首を押さえる手に少し力を込めた。 「舞がどんだけ待ったと思ってるの」 「だって、」 「てか、もう言い訳聞かないから。好き、ちしゃと。だからいいよね」 顔を近づけると、千聖はギュッと目をつぶった。 唇がくっつく。あったかくて柔らかい。かかる吐息は、自分のなのか、千聖なのか。 頭がくらくらする。 顔を離して、ほっぺたやおでこ、鼻先に唇をすべらせていく。 ふにふにと柔らかい、肌の感触が気持ちいい。 「んん・・・」 千聖少し顔を横に振ってるけど、たぶん嫌がってはいないと思う。 あいかわらず目を閉じて、私の顔を見ようとしないのは気に入らないけど。 「なっちゃん、まだ続きしていい?」 「お、おっけー」 「てか、それは千聖に聞くべきだろうが」 第三者がいるおかげで、私もなんとか暴走せずにいられている気がする。 えりか?舞美ちゃん?みや?そんなものは、舞が全部上書き保存してやるでしゅ。 「えっと…次、何やるんだっけ、なっちゃん」 「んー、雑誌によるとぉ」 1. 脱がせてあげましゅ 2. 脱がせあうでしゅ 3. 舞を脱がせるでしゅ 4. なっちゃんは脱がなくていいでしゅ 611 4だなw 612 今日はここまでにさせていただきます! 突発にかかわらずご参加いただきありがとうございました! また来週再開できたらと思います ぬるいエロですが本番突入といった感じで 本日はありがとうございました! 15 スレ立てありがとうございます 最後の選択は 4. なっちゃんは脱がなくていいでしゅ は、当然入れていただくとしてw 2. 脱がせあうでしゅ を希望しておきますハァハァ 次へ TOP
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喧嘩師を募集しています 自分が喧嘩師だ! 載せてくれ! という人はコメントをお残しください。 それなりに対応します。 全てのコメントは此処にお願いします 名前はコテハンでお願いします。 このサイト初めて見た。 -- £ローズ£ (2010-11-25 02 16 04) 喧嘩師よん♪よろしくねん(*´ω`*) -- £ローズ£ (2010-11-25 02 16 38) fm ちびちゃとでよく見かけるが、喧嘩師だったとは・・・。次喧嘩してるとこを見たら評価して追加するかもしれない -- 管理人 (2010-12-12 07 07 17) 酒さんが俺にくれた評価を 参考にしてみてくれ。 -- £ローズ£ (2010-12-19 09 08 26) 見かけたらよろしくww -- £ローズ£ (2010-12-19 09 08 37) 他人の評価はあまり信用出来ない。左京君の評価を見させてもらったが、あれは屑としか言いようがなかった。見かけた時に評価させて貰います -- 管理人 (2010-12-27 19 50 04) 名前 コメント
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シュガースナッフ・メロウスイート 38KB 虐待 都会 虐待人間 嬉々として虐待です シュガースナッフ・メロウスイート セットするのは大変だけれど、出来上がった物を見るのはやっぱり楽しい。 ショーウインドーに映る結いあげてシニヨン風にまとめた自分の髪を見ながら少女は思った。 季節は初夏、のどかな休日の午後。柔和な笑顔を浮かべる少女の腕には、 散歩の途中で立ち寄った花屋で購入したネメシアメロウの鉢植えが抱えられている。 スイートシフォンと呼ばれるごくごく薄く色づく紫の花色が、少女のチュニックに良く映えていた。 気持ちよさそうに風を受ける少女は目を閉じて、スイートシフォンの名前通り甘い香りを吸い込む。 そして幸せそうな笑みを浮かべると、足の向くままに歩きだした。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 少女がしばらくのんびりと散策していると、いきなり足元から声をかけられた。 視線を下に向けると、そこにはゆっくりの一家がいた。ゆっくりしていってね、という言葉とは裏腹に、 4つの饅頭はこの機を逃したらもうおしまいだと言わんばかりに必死だ。 少女は小首を傾げると、とりあえず挨拶を返すことにした。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」」」」 その言葉を聞いた瞬間、家族の顔がはじけるように咲く。ぴょんぴょんとその場でジャンプを繰り返し、 子供2匹などは涙さえ浮かべている。 「どうしたの?私に何か用?」 しゃがみこんで親ゆっくりの頭を撫でてやると、黒帽子の親ゆっくりがゆんゆん泣きながら喋り出した。 「にんげんさんはゆっくりできるひとだよね!?まりさたちをたすけてほしいよ!」 「助けてって、どう言う事?あなたたち野良ゆっくりなの?」 「まりさたちがおやまさんでいっぱいゆっくりしてゆっくりしてたら、ゆっくりしてないにんげんさんが きて、まりさたちをくらいくらいしたんだよ!」 まりさがそこまで言った所で、紅白リボンを付けた黒髪のゆっくりが言葉を引き継ぐ。 「にんげんさんはれいむたちにぺっとになれっていったんだよ!ゆっくりできないことを いっぱいいってきて、いやだよっていったらいたいいたいしたんだよ!! れいむたちはゆっくりできないから、にんげんさんからがんばってにげたんだよ!!」 「そう・・・・・・。大変だったのね」 いたわりと少しの同情をこめて頭を順番に撫でてやると、ゆっくりの家族は猫のように目を細めた。 なるほど。この子たちはどうやら、ペット用に山から連れてこられた野生のゆっくりのようだ。 ペットショップの管理がずさんだったか、もしくは売られた後で逃げ出したかどちらかなのだろう。 少女はそう当りを付けた。 「にんげんさんにおねがいがあるよ!」 しばらくの間家族は少女に撫でられるがままだったが、つと親まりさが顔を上げ、 眉毛をきりっとさせて言ってきた。 「ん?何?」 「にんげんさんのもってるおはなさんをたべさせてほしいんだよ!まりさたちおなかが ぺーこぺーこなんだよ!!」 涎をだらだらとこぼしながらキラキラした目で要求を伝えるまりさ。 どうやら少女に話しかけたのは、ネメシアメロウの香りにつられてのことだったらしい。 「でもこれは私が今買ったお花で、とても気に入っているのよ」 少女は少し困ったように鉢植えを抱え直す。 「おねがいだよ!れいむたちとってもこまってるよ!きさんがないからかりもできないし、 あついあついでみんなのどもかーらかーらなんだよ!!」 親れいむもぴょんぴょん飛び跳ねながら必死におねだりしてくる。 「「おにゃかすいちゃよー!ゆっくりしゃせちぇー!!!」」 まりさとれいむ一匹ずつの赤ゆっくりは、感極まったように叫びだす。 「うーん・・・・・・。じゃあとりあえず、私の家に来ない?」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 「あなたたちが困ってることは良く分かったわ。でも、今このお花をあなたたちに 上げても結局何の解決にもならないでしょう?だから、私のお家に来たら良いわ。 今後のことはそれから考えましょう?」 その言葉を聞いたゆっくりたちは、家族全員泣きだしてしまった。ただし、喜びで。 「ありがとうね!ありがとうね!!」 「やっぱりにんげんさんはゆっくりできるにんげんさんだったんだね!!」 「「ゆっくりしちぇいってね!ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!」」 「じゃあ私についてきてね。お家に着いたらおもてなしするわ」 天使のように笑った少女は、ゆっくりがついてくることができる程度の速度で、軽やかに歩き始めた。 ゆっくりの足に合わせたため、結構な時間をかけて少女たちは家にたどり着いた。 少女の家は、いっそ屋敷と言って良いぐらいの立派な一軒家だった。 「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」 ミュールから室内履きに履き変えた少女は、全員のあんよを濡れタオルで拭いてやった後、 家族を一階の一室に案内した。全員が入った後、少女は扉を閉める。 がくんっ、と、普通のドアを閉めるより重い音がした。 少女がゆっくりを招き入れたのは、10人以上が入っても狭苦しさを感じさせることは無いだろう 広々としたフローリングの部屋だ。壁には琥珀色をした前面ガラス張りの木製キャビネットが 置かれており、そこには楽譜やクラシックのCDなどが収められている。 部屋の一角は一段高くなっており、そこにはグランドピアノが鎮座していた。 ここは少女のピアノレッスン室なのだろう。室内には暖かな色の間接照明に満ちており、 長時間居続けてもストレスを感じさせない作りになっている。 ごつり、ごつり。 靴を鳴らしながら少女は家族を残してグランドピアノに近づくと、ネメシアメロウの鉢植えを 段差の上に置いた。鈍い足音がする原因は、少女が履いている靴だ。 不可思議な事に、少女が履いている靴は、室内履きと言うにはあまりに無骨な安全靴だった。 「少し、ゲームをしましょう」 少女がゆっくりに向かって微笑むと、家族は少し困惑したような顔になった。 「にんげんさん!まりさたちおなかがぺーこぺーこなんだよ?」 「あそんでくれるのは、ごはんさんのあとにしてね!」 「ゲームって言うほどのものじゃないわ。軽い食前の運動みたいなものよ」 少女は鉢植えの横に優雅に腰かけると、 「ほら、ここにあなた達が欲しがってたお花さんがあるでしょう? あなたたちはここの段差を越えて、お花さんを食べてくれたら良いの。簡単でしょう?」 そう言って鉢植えを指差した。 「ゆっ!それならいいよ!かんたんだよ!!」 「そう?それは良かった」 少女は鉢植えを手のひらで示すと、どうぞ、と言った。 家族は一斉に鉢植えに群がって行った。あまあまな匂いのおいしそうなお花さんを ゆっくりたべるよ!!そんな思いで懸命に走るが、少女と鉢植えに近づいていくにつれて、鉢植えは 視界から消えてしまう。その代わりに現れたのは、高い高い障害物。30cm弱の段差は人間には 一足だが、体高が30cmのゆっくりにとっては。ましてやピンポン玉サイズの赤ゆっくりにとっては それは断崖絶壁にも等しいものなのだった。 「ゆっ!ゆっ!おはなさん!まりさにたべられてね!!」 「れいむもたべるよ!おはなさんはそこでゆっくりしていってね!!」 「「たべられちぇね!おはなしゃんはゆっくちたべられちぇね!!」」 お花さんをむーしゃむーしゃできる。その思いだけでただただ盲目的に段差の前でジャンプし続ける 家族と、それを楽しげに眺める少女。二、三分の間それが続いた。 「おねーさん!ここたかすぎるよ!!」 最初に根を上げたのは親まりさだった。自分では届かないということに最初に気付いたという点では 頭が良いのかもしれない。事実、残りの家族は無意味なジャンプを繰り返しており、 赤まりさは断崖を登ろうとしているのか、壁にかりかりと歯を立てている。 「えー、これぐらい登れるでしょう?」 「のぼれるにきまってるでしょ!でももうまりさはつかれたよ!いいからにんげんさんがとってね!!」 からかうように少女が言うと、まりさは反論する。花は食べたいが、出来ないと言う事を認めるのは 嫌らしい。 「頑張れば取れる高さなんだから頑張ってよ。ほら、もうちょっとで届きそうじゃない?」 少女は親まりさの頭をくしゃりと撫でると、 「ワックスが剥げると困るから、齧るのは止めてね」 そう言って、かりかりと壁を齧り続ける赤まりさにでこぴんを見舞った。かん高い鳴き声を上げて ころころと転がっていくその時に、赤まりさの帽子が脱げた。 「おぼいちいいぃぃ!!!まりしゃのおぼうししゃんぬげにゃいでねええぇぇぇ!!」 赤まりさは狂気のような勢いで帽子を追いかけ、食らいつく。ものすごい執着心だ。 いきなり聞こえてきた赤まりさの声に我に返ったのか、それとも跳ぶことに飽きたか。親れいむも 少女に文句を言い始めた。赤れいむはでこぴんにも負けずに再び無駄な跳躍を繰り返し始める。 「にんげんさん!かわいいおちびちゃんになんてことするの!?」 「ゆっくりあやまってね!!あやまったらまりさたちにおはなさんむーしゃむーしゃさせてね!!」 やいのやいのと自分を糾弾してくる親ゆっくりを無視し、少女はお帽子との劇的な再開を喜ぶ 赤まりさに声をかけた。 「おぼうししゃんすーりすーり!ゆっ!まりさのきれいですてきなおぼうししゃんなんだじぇ!! よかったのじぇ!!」 「まりさはそのお帽子がとっても大事なんだね」 「おりぼんしゃんがまっちろでかっこいいおぼうししゃん!ゆっくりまりさにかぶられてね!」 赤まりさは全く聞いていない。 「そんなに大事なら、私が脱げないようにしてあげるね」 無視された少女は髪に手をやると、シニヨンを留めている黒いヘアピンを一本抜き出した。 「ゆんっ!これでまりさのおぼうしもとどおりなんだじぇ!」 そして満足そうに帽子の被り心地を確かめる赤まりさの脳天に、そのヘアピンを 帽子の上から突き刺した。 「・・・・・・ぴぃ?」 いきなり頭部に現れた灼熱感。あまりに強い感覚を許容しきれないまりさは、きょとんとした顔で、 小首をかしげるように体を傾けた。 そしてきっちり三秒後。咆哮を上げる激烈な痛覚が爆発する。 「あ・・・・・・い・・・ちゃい・・・・・・?まりちゃ・・・・・・いちゃいのじぇ・・・・・・?」 目からは勝手に砂糖水の涙がこぼれ、下からはしーしーが零れだす。 「いちゃいいいぃぃぃぃぃぃいいいぃぃぃぃ!!!!いっちゃあああああぁぁぁぃいぃぃぃい!!!」 思い切り天を仰ぎ、絶叫。 体の中でヘアピンがよじれ、さらに体内を掻き回す。 「ぴいぃぃぃー!!いちゃいぃいいーー!!だじゅげでぇ!!ばりじゃをだじゅげでえぇぇぇ!!」 「「おちびちゃん!?」」 いきなり叫び出した我が子に血相を変えて走り寄る両親。だが、両親が赤まりさにたどり着くことは 無かった。少女が赤まりさを摘み上げ、段差の上に乗せてしまったからだ。 「おちびちゃああぁぁぁぁぁん!!」 「かえすんだぜ!おちびちゃんをかえすんだぜえええぇぇぇぇ!!」 必死の形相でジャンプを繰り返す親ゆっくりたち。その姿を見下ろす少女の笑みが深くなっていく。 「大丈夫だよ。まりさはただ、驚いちゃっただけだから」 「なにいってるのおおおぉぉぉ!!おちびちゃんいたがってるでしょおおおぉぉ!?」 「かえしてね!おちびちゃんをかえしてねええぇぇぇぇぇ!!」 「それはだめ。ほら、頑張って登ってくればおちびちゃんに会えるよ?」 「あああぁぁぁぁぁぁ!!!ばっででねおちびぢゃん!!いますぐいぐがらねえぇぇぇぇ!!」 「すぐにだずげであげるからねえぇぇぇぇ!!!」 親ゆっくりはたちは目の前の壁を睨みつけると、自分の体高と同じ高さの段差に身を押し付け、 にじり、飛び跳ね始めた。 「あひいいぃぃぃぃ!!いちゃいいいぃぃぃぃ!!!」 少女と同じ高さに連れてこられた赤まりさ。少し跳ねれば甘い香りのする花を思う存分 むーしゃむーしゃできる位置にいるにも関わらず、まりさはそんなものには一顧だにしない。 「とっちぇえええぇぇぇ!!いちゃいいいいぃぃ!!まりしゃのあたまがいちゃいよおおぉぉ!!!」 ひたすらに泣きわめき転がり回り、それによって生まれる痛みにまた涙を流している。 「そんなに元気に動き回るんじゃ、一本じゃ足りなかったかなぁ?」 そんなまりさを熱っぽい目で見ていた少女が、呟くように言った。もう一度髪に手をやり、 ヘアピンを抜きだす。 「ほら、もう一本プレゼントだよ」 横になって転がるまりさの即頭部から、垂直に差し込んだ。 「あっぴいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」 体を十文字に貫かれたまりさが魂を抜かれるような叫びを上げる。目を剥いて、舌を突き出して。 「やめちぇ・・・・・・まりしゃにいちゃいいちゃいしにゃいでぇ・・・・・・」 過呼吸を起こしているように浅い呼吸を繰り返しながら、まりさはずりずりと這ってこの場から 逃げ出そうとする。しかし、少女がそんなことを許すはずもない。 少女の編み込まれた髪が、少しずつ解けて行く。 少女の髪が解けるたびに、赤まりさの肌に黒い墓標が突き立てられて行った。 「やべろおおおぉぉぉぉ!!!!」 「おぢびじゃあああああぁぁぁぁぁぁん!!」 壁を超えることを諦めた親ゆっくりたちは体をのーびのーびさせ、 なんとかして攫われた赤ゆっくりの姿だけでも見ようとしていた。 「ねぇれいむ、まりさ」 少女がそんな親ゆっくりに話しかける。 「自分だけで登ろうとするから駄目なんじゃないかな?協力して、例えば片方が下で 踏み台になって、もう片方がその上に乗る。そんな風にすれば、登れるんじゃないかな?」 「「!!!」」 目を剥いてその素晴らしい思い付きに感動する親ゆっくり。しかしそれも一瞬のことで、 即座にその思い付きを実行に移す。 「まりさ!したになってね!!れいむがおちびちゃんをたすけにいくよ!!」 「まりさがいきたいよ!!れいむがしたになってね!!!」 ・・・・・・かと思いきや、どちらが下になるかで喧嘩を始めてしまった。 少女はその姿を見ながら、さらに赤まりさを貫き続ける。 「これだけ刺せばもう、どれだけ動き回っても帽子は脱げないよ」 ウェーブのかかった髪を肩に垂らした少女がいとけなく笑う。 何度となくやったように、髪からヘアピンを引き抜いた。 「これが最後の一本。どこに刺してあげようか?」 もはやまともに動くこともできなくなったまりさの顔を正面から見ながら優しく聞いた。 「あ・・・・・・ひ・・・・・・?」 段差の隅に追いつめられた赤まりさはもう、それに答えることもできない。 「あああぁぁぁぁぁ!!!もうやぢゃあああぁぁぁぁぁ!!!おうちきゃえりゅううぅぅぅぅ!!!」 逃げたい。ただただその一心でまりさは少女に背を向け、力を振り絞って跳ねる。 着地するはずの地面は、どこにもなかった。 「「・・・・・・ゆ?」」 二段重ねの饅頭が、自分たちの真横を落下していく何かをぽかんと見つめる。 助ける?どうやって?受け止めようか?この体勢から?無理かな?無理じゃないかな? じゃあ舌を伸ばせば?そうだ舌を伸ばせば届くかもしれない舌を伸ばしておちびちゃんを助け かつん。 やわらかい饅頭のはずのまりさ。それなのに、響いたその音はとても硬く、高く響いた。 「ゆっ!ゆぷっ。えっぷぇ・・・・・・」 落下の衝撃で、全身に埋まるヘアピンが体を抉った。皮のあちこちからヘアピンを覗かせた まりさは、死に至る痙攣を始める。 「「おちびぢゃああぁぁぁぁぁぁん!!」」 両親はもみくちゃになりながらこけつまろびつまりさに跳ね寄り、必死にぺーろぺーろする。 しかし献身的な看護も甲斐は無く、まりさの痙攣は止まらなかった。 ぺーろぺーろは確かに外傷にはある程度の効果がある。しかし今の場合、体内の異物を取り除く こともせずにただ舐めればそれは、体外に露出したヘアピンを通してまりさの体内を滅茶苦茶に 掻き回しているだけのこと。 両親の必死の看護は、かえってまりさを苦しめる結果になっていた。 「ひきっ・・・・・・もっちょ・・・・・・ゆっくりしちゃかっちゃぁ・・・・・・・・」 最後に一度、引き攣るように体を震わせると、赤まりさはその短いゆん生を終えた。 「「あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!!」」 喉が破けるような慟哭。 「「どぼじでごんなごどずるのおおおぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」」 炎のような激情を宿した瞳で少女を糾弾する親ゆっくり。 叩きつけられる感情の熱量を冷然と受け流すと、少女は片手で解けた髪を掻きあげた。 柔らかな髪をしどけなく体の前に垂らした少女は、透徹した青色の笑みを浮かべて言った。 「何故かって?何故かと言えばそれは、私があなた達を泣かせたり虐めたり殺したりして遊ぶのが、 とっても大好きだからだよ」 「「なにいっでるのおおおおおおぉぉぉぉぉ!?」」 「あなたたちは、ネメシアメロウの香りに釣られて私に誘拐されたの。これから全員痛い思いをして 信じられないぐらい痛い思いをして、ボロ雑巾みたいになるまで痛い思いをした後私に殺されるんだよ」 「「おうぢがえるうううぅぅぅぅぅぅ!!!!!??」」 「一緒に楽しく遊ぼう?ゆっくりしていってね!」 「「ゆっぐりじでいっでねえええぇぇぇぇぇ!!」」 こんな時でも挨拶をされたら挨拶を返さずにはいられないゆっくり。少女はその「ゆっくりしていってね!」に 満足げに笑うと、家族を置いてキャビネットに向かった。 キャビネットの中には様々な音楽関連の物品に加えて一つ、一抱えほどもある大きな箱が入っていた。 少女がそれを開けると、その中身が露わになる。 ホッチキス。ガムテープ。チャッカマン。割りばし。鉛筆。ビニール紐。下敷き。栓抜き。絵具。 雑多な・・・・・・統一性のない雑多な物の数々。ひたひたと這い寄るような悪意の波動を放つ それらの中から、少女は全長30cmほどのナイフを掴み取った。 「これにしようかな」 うっとりとナイフを眺める少女は、呟きと共に刃に指を滑らせた。 少女の指は落ちない。良く見ればナイフのように見えたそれは、実際には料理用の木べらだった。 ただし少しばかり加工が施してある。木べらを彫刻刀か何かで削り、片刃のナイフのようにしてあるのだ。 小学生の工作の方がマシといった風情の、玩具にしか見えないそれを二、三度確かめるように振ると、 少女は上機嫌に家族の元に戻って行った。 「おちびちゃん!?ここからにげないといけないんだよ!?」 「おはなしゃん!れいむおはなしゃんたべちゃいぃぃぃー!!!」 「ゆぅーん!いまはそれどころじゃないんだよ!こわいこわいにんげんさんがきちゃうんだよ!!」 両親の叫び声も兄弟の死すらも、赤れいむの白痴のような集中力を乱すことは無かったらしい。 ひたすらにひたすらに壁の前でジャンプを繰り返していた赤れいむを、両親が説得しようとしている。 「ただいま。最初に虐められたいのは誰かな?」 少女のその言葉に親ゆっくりたちはびくりと全身を震わせた。しかし一瞬で目くばせを済ませると、 まりさがれいむを庇うように前に進み、れいむは赤れいむを舌で絡め取った。 「かぞくにはてだしさせないんだぜ!まりさのぷくーでこわがっていってね!!!」 「おちびちゃんはこれであんっぜんっだよ!!にんげんさんはどこかにいってね!!!」 まりさが前でぷくーをし、れいむが後ろで赤ゆっくりを口の中に隠す。ゆっくりにできる最大の攻撃と防御。 少女はそれを見ると、まりさの前で膝立ちになった。 「わぁ、怖い。ぷくーってするのを止めてよまりさ」 「ぷくーーーーっ!!!」 「止めてくれたらあまあまあげるよ?」 「ぷくぷくーーーーっ!!!」 「止めてくれないの?れいむと赤ちゃんが大事なんだねまりさ」 「ぷくぷくぷくーーーーっ!!!」 「じゃあ、この帽子とならどっちが大事なのかな?」 「ぷくぷくぷくぷっ・・・・・・ぷしゅるるおぼうしいぃぃ!!!まりさのおぼうしいぃぃぃぃ!!!!」 帽子を取りあげられた途端、一瞬でぷくーを止めたまりさ。少女は間髪いれずにそれを、部屋の隅に放った。 「おぼうしさん!まりさのおぼうしさんゆっくりまってねええぇぇぇぇぇ!!!」 まりさは脇目もふらずに帽子を追いかけて行き、少女の眼前には口をつぐんで膨れた親れいむが残された。 「まりさ、行っちゃったね?」 「・・・・・・・・・・・・・っ!!」 口を開ければ子供が危険に晒される。それを理解している親れいむは何一つ喋らない。 不甲斐ないまりさへの呪詛や少女への反論、百万語を呑み込みながら少女を睨みつけるだけ。 「これからあなたの皮を斬っていきます」 れいむの前で正座した少女が、突然宣告した。 「私が持っているこのナイフで、あなたの皮を斬っていきます。すごく痛いよ。でも口の中の赤ちゃんを 助けたいんなら、絶対に口を開けたらいけません。分かった?分かったらお返事してね」 「・・・・・・・・・・・・」 親れいむは答えない。少女を睨み続けている。 「偉い偉い。ちゃんと私の言うことが分かってるんだね」 少女は膝立ちになってれいむににじり寄ると、左手でれいむの頭を撫でる。 「じゃあ、始めるね」 そのまま撫でていた髪を掴み、そして右手に持った木べらをれいむの唇の端に当て、引き切った。 「~~~~~っ!!!!!」 金属で無い、石器ですらない木製のナイフは、れいむの皮を斬ることは出来なかった。 表現にすれば削る、が一番近いだろうか。凹凸の激しいナイフの表面はれいむの皮を抉り、 抉れた部分が刃に巻き込まれ、巻き込まれた部分がさらに回りを巻き込んでいく。 結局少女の一太刀は、れいむの皮に醜い傷跡を付けるにとどまった。 「っ!!!っ!!!!」 だがそれは、れいむにとって決して幸せな事では無いだろう。 切れ味の良い日本刀より、切れ味の鈍い鋸で切られた方が痛覚はより刺激されるに決まっている。 そして少女の持つ刃は、まさしく木製の鋸と言った風情なのだから。 「このナイフはね、私が自分で作ったんだ」 少女はヴァイオリンの弦を操るように優雅に、木べらをれいむの肌に滑らせる。 二往復させた所で、れいむの餡子が露出した。 「よく斬れるように、でも斬れないように。わざと木の棘が残るようにしたり、凸凹をつけたりね。 刃にぎざぎざを付ける時にちょっと手を怪我しちゃったもしたなぁ。それでも君たちに楽しんで もらうために、頑張って作ったんだよ?」 露出した餡子に木べらの先端を突き込み、そこから傷を真横に切り広げていく。 れいむは涙を零しながら痛みに耐え続けている。 「このままぐるり一周切り裂いてあげる。痛かったらいつでも声を上げていいんだよ?」 少女はれいむの髪を掴んで目を合わせると、穏やかに言った。 「まりさのおぼうしさん!すーりすーり!!しんっぱいっしたんだよ!!よかったよー!」 そして部屋の片隅で、まりさが帽子を取り戻していた。 切り裂く、突き刺さる、削る、押し潰す、破る、引き裂く、抉る。 一本の木べらはその悪夢のような性能を十全に発揮し、万華鏡のような痛みをれいむに与え続けた。 「大丈夫だよ、ちゃんと皮だけを切ってるから。れいむが声を上げない限り、 私はあなたのおちびちゃんには何も出来ないからね?」 少女はれいむに労るように声をかけ、髪に絡ませた手指を酷薄に引き絞る。 「気が紛れるように、他のゆっくりを虐めた時のお話をしてあげようか?ゆっくり聞いてね」 歌うように少女が言ったその瞬間。まりさが今自分の置かれている状況を思い出した。 きょろきょろと周りを見渡し、少女と少女に甚振られているれいむを発見する。 「でいぶううぅぅぅぅぅ!!!いまだずげるがらねえぇぇぇぇぇ!!!」 半狂乱になりながら走り寄るまりさ。しかし少女は一顧だにしない。正確さと繊細さを併せ持った 手つきでれいむを開封しながら、鈴を転がすような声で凄惨な物語を語り始める。 「そうだなぁ。じゃあこのナイフを初めて使った時のお話にしようかな?」 「ばりざゆっくりじないでいそぐよ!?いとしのはにーをゆっくりしないでたすけるよ!!」 「あなたたちと同じまりさとれいむのつがいだったんだけど、あの時は、れいむの方が植物型の にんっしんっをしてたんだよね。私はにんっしんっしてるれいむの額から生えてる茎の、周りだけを 切り取ってあげたの。それから『動いたら赤ちゃん落ちちゃうよ』って言って、れいむの目の前で つがいを虐めて虐めて虐めてあげたんだ。あの時のれいむも我慢強かったなぁ。 まりさの髪を毟っても、飾りを破いても、斬っても突いても踏みつけても叩いても叩いても叩いても 何をしても、れいむは動かなかったんだよ」 れいむと同じで、子供のことがよっぽど大事だったんだね。 そう言うと少女はれいむの髪から手を放し、少女の傍らにたどり着いたまりさの帽子を取りあげると、 先程とは反対の方向に放った。 「ばりざのおぼうじいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 泣き声をあげて帽子を追うまりさには目もくれず、少女はれいむの開封を再開する。 「結局れいむは、まりさが死ぬまでその場を動くことは無かったな。立派なお母さんだね。 私はれいむを放してあげることにしたよ」 口の横から始まった開封は半分が終わり、今はちょうど後頭部を切っている所だ。 れいむはそれでも口を開かない。 「良かったねって言って頭を撫でてあげて、最後に御挨拶をしたんだ。もちろんれいむは元気に 御挨拶を返してくれたよ。ゆっくりだからね。でもね、元気に挨拶したせいで、あんなに頑張って 守った子供が落ちちゃったんだ」 声を落とし悲しそうに・・・・・・表情は穏やかな笑顔のままに、少女は続ける。 「返せ戻せってうるさかったから、れいむのリボンを取って、れいむの餡子をリボンで包んでそこに 茎を挿してあげたの。ほら、木の苗とか買ったらそんな風じゃない?これで大丈夫だよって言って、 まだ何か言ってきたからナイフで喉を滅茶苦茶に突いてあんよを削ぎ落して、赤ちゃんの苗と一緒に 庭の隅に置いておいたの」 四分の三が終わった開封。少女は慎重に木べらを動かしながら、れいむを押さえつける。 「三日ほどたったかな?見に行ってみたのね。そうしたら、残念。れいむも子供も死んじゃってたよ」 可哀そうだね。そう言って少女は口を閉じると、れいむの口に最後の一太刀を入れ、切り開いた。 「上手に出来ました♪」 あはは、と笑うと少女は、持っていた木べらを無造作に放り投げた。そして熱の籠った視線を れいむに向ける。少女に見つめられる眼前のれいむの姿は、悲惨の一語に尽きるだろう。 口裂け女のように頬まで裂けた口は、れいむの姿をとんでもなく醜悪に見せている。 その裂け目はぐるり後頭部にまで達し、言うなればれいむの皮はカプセルトイのカプセルのように、 二つに分かれてしまっているのだ。 「最後まで頑張れたね。えらいえらい」 少女はれいむを視点を合わせ、その目を覗きこんだ。 「良く頑張ったからご褒美上げるね。もう口を開けてもおちびちゃんには何もしないよ」 そう言って少女は、敵意が無いことを示すように両手を上げた。 「っ!?」 二、三度体を動かそうとした後、れいむは絶望的な顔をした。 「あぁ、なんだ。やっぱり皮を一周切っちゃったら口、開けられないんだ。ゆっくりって餡子が 本体だと思ってたけど、皮も無いと駄目なんだ。面白いね」 両手を上げたままの少女が手を下し、れいむの切り口を覗きこんだ。 れいむは声を出そうと、上顎部より上を動かそうとしているのだろう。だが実際に動いたのは 下の部分、あんよや下膨れだけ。 「声も出せない?ほら、喋っても良いんだよ?」 「~~っ!!??」 かくんかくんと頷くように伸びをするれいむ。だが声を発することは一切なく、顎部より上は 下半身の動きに合わせぐらぐらと揺れるだけ。きょときょとと動く目が困惑に揺れている。 「あ、あんまり激しく動かない方がいいよ。だって今動いたら多分、ぱっかり割れちゃうからね」 少女はそう言うとなだめるようにれいむの頭に手を置き・・・・・・揺すった。 「ほら、こんなに脆い。抜けかけの乳歯を触ってるみたいだよ」 ゆらゆらと揺らされるたびに、れいむが目を剥く。人間で言うなら内臓をまとめて捩られ 引き延ばされるような、そんな感覚なのだろうか。 「ぐちゅぐちゅ言ってる。中のおちびちゃんをうっかり噛んじゃったりしないようにほら、しっかり 踏ん張ってみなよ。皮が無いとそれも出来ないかなぁ?」 「っ~~!!!!」 「なにやっでるのおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」 そうやって少女がれいむと遊んでいると、ようやくにしてまりさが戻ってきた。 大事な大事なお帽子はツバがぴんと張り、位置もばっちり決まっている。 「まりさのはにーにひどいことしないでね!!ゆっくりできないにんげんさんはせいっさいっだよ!!」 まりさは少女に何を言う暇も与えず、いきなり体ごとぶつかっていった。 「ゆんっ!」 ぽむん、と少女の腰にぶつかるまりさ。 「いたいでしょ!?まりさのたいあたりはすごいんだよ!! どんなゆっくりもいちっげきっでごめんなさいするんだよ!」 「全然痛くないよ」 得意顔で体当たりを続けるまりさの髪をつかみ、少女が立ち上がった。 「ごめんなさいなんかしてあげないよ、まりさ。人間はそんなことじゃ、倒せないんだよ」 立ち上がった少女はそのまま、持ち上げたまりさを放り投げた。 「おぞらをとんでるみだゆぎぃっ!?」 テンプレートな台詞の途中で頬から着地したまりさは、したたかに打ち付けた頬の痛みに涙を流す。 「人間はね、あなたたちゆっくりよりとっても強いの。だから、そのままじゃ勝てないんだ」 「ぞんなごどないよ!?ばりざはどっでもづよいんだよ!!いまのはまぐれで」 ごん! 「ぴぃ!?」 少女が安全靴を履いた足を、強く床に打ち付けた。 「まぐれだと思うなら、かかってくると良いよまりさ。硬そうな音がしたよね?痛そうな音がしたよね? この音がまぐれだと思うなら、遠慮なくかかってくるといいよまりさ」 反撃するけどね。少女はそう言うと手を後ろで組み、体を揺らしながら楽しそうに笑った。 ちょろろろろ・・・・・・・・・ かたかたと震えながらしーしーを漏し始めたまりさに向かって少女はさらに言葉を重ねる。 「あ、でも勘違いしないでね、まりさ。そのままじゃ勝てないとは言ったけど、でもそれは、 ゆっくりが人間に絶対に勝てないってことじゃないんだよ?」 「・・・・・・ゆ?」 「人間も非力だからね。私はれいむの皮を切るために、道具を使わないといけなかったの。 まりさもちゃんとした道具があれば、私に勝てるかもね」 そういえばあのナイフ、どこにやったかな?今気付いたかのように言うと、少女はきょときょとと 周りを見回し始めた。 恐怖に体を痺れさせているまりさは、逃亡のタイミングをひたすらに計っていた。だが、ふと 自分のすぐ横に、棒のような何かがあることに気付いた。 これは、ひょっとすると・・・・・・? 「ゆゆっ!?これはもしかして、にんげんさんのつかってたないふさんなんだぜ!?」 まりさはその棒に全力で飛び付いた。 「あ!それは!!」 血相を変えて叫ぶ少女。その姿を見たまりさは、この棒こそがないふさんで、人間を打倒しうる 凶器なのだと確信する。 「このないふさんはまりさのものにするんだぜ!これさえあれば、にんげんさんもいちっころっなんだぜ!!」 さっきまでしーしーを漏らして震えていたとは思えない自信満々な表情を浮かべるまりさは、 木べらを口に咥えながらゆっへっへ、とふてぶてしく笑った。 「そんな危ないものは仕舞いましょう?それをこっちに渡して?」 「だまるんだぜ!!!」 少女が伸ばしてきた手を拒絶するように強く木べらを薙ぐと、まりさは少女に突進していった。 「おちびちゃんをずっとゆっくりさせてはにーにもひどいことをしたにんげんさんは、ぜったいに ゆるさないんだぜ!!まりさのないふさんのさびになるんだぜええぇぇぇぇぇ!!!!」 体を低くひしゃげさせ力を貯める。伸びあがる力をゆんっと推進力に変えて、 まりさは乾坤一擲の一撃を繰り出した。 「口に物を咥えて喋るなんて、器用なんだねー」 そんなまりさの渾身の一突きを、少女は危なげもなく横に動いて躱した。 「・・・・・・ゆ?」 驚いたのはまりさだ。ひっさつっの一撃を喰らっていちっげきっでやられてしまうはずの少女が、 いきなり見えなくなってしまったのだから。 まりさのいちっげきっがすごすぎて、跡形も残らずに吹き飛んでしまったのだろうか・・・・・・? きょろきょろと周りを見渡しながらお花畑な結論を導き出しそうになった時、真後ろから声をかけられた。 「こっちだよまりさ。まりさの攻撃、とっても遅くて避けやすかったよ」 「ゆゆっ!!??」 慌てて振り向くとそこには、まりさのいちっげきっでそくししたはずの人間さんが、 変わらぬ姿で立っているのだった。 「ばりざのざいっぎょうっのこうげきどぼじでよげられでるのおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 「まりさ。強い武器を持ってても、それを使いこなさなきゃダメだよ。 ただ振りまわすだけじゃ、人間は倒せないよ」 「うるざいうるざあああぁぁぁぁぁぁい!!ばりざのこうげきはひっさつっなんだああぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりさの悪い所をアドバイスしてあげるからさ、だからほら、元気を出してもう一回かかっておいで? れいむとおちびちゃんのために、頑張って私を倒しちゃおうよ」 「いまのはまぐれだあああぁぁぁぁぁ!!!ゆっぐりじねええぇぇぇぇぇ!!!」 少女の言葉を聞いているのかいないのか。まりさはぎりりと木べらを噛みしめると、 目を見開きものすごい形相で、再び少女に飛びかかる。 「ほら、飛びかかる前にタメを作ったらタイミングがばれちゃうでしょ?」 軽く一歩下がる。 「ちゃんと相手を見ないと駄目だよ。飛ぶ瞬間に目をつぶっちゃってるじゃない」 足を交差させ、半身になる。 「武器は真っすぐ咥えないとだめだよ。そうそう、目は開けたままでね」 片足を上げ、手を後ろに組んだままピルエット。 そうやって少女は、踊るようにまりさの攻撃を避け続けた。 「ゆひー・・・ひぃ、ぴぃぃ・・・・・・」 数分後。そこには変わらず無傷の少女と、疲労困憊で全身を上下させるまりさがいた。 「んー、ちょっとは良くなってきたけど、まだまだかな」 「どぼじで・・・どぼじであだらないのぉ・・・・・・」 積み重なった疲労に押しつぶされるように平べったくなったまりさが、 少女を恨みのこもった視線で見上げ、睨みつける。 「なんでかって言われたらそれは、まりさが弱くてナイフの使い方が下手くそでお馬鹿さんで 存在そのものがちっぽけだからじゃない?」 「うっがああぁぁぁぁぁぁ!!!ばりざはよわぐないいいいぃぃぃぃぃ!!!!」 少女の言葉に激昂したまりさ。体を饅頭型に戻すと木べらをぎちりと噛み締め直し、 猛烈な勢いで少女に吶喊していった。 「んー、じゃあそろそろ、最後のレッスンにしようか」 最初より僅かにに切れ味の増したまりさの攻撃を満足げに眺めると、 少女は右の爪先でごつんと一つ床を叩いた。 「武器は真っすぐ咥える。相手を見る。タイミングを読む。良い感じだよまりさ」 嬉しそうに言うと少女は、まりさの攻撃に向かって真っすぐに立ち、ぐんと一歩踏み出す。 「あだれええええぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「でも私だったら、そもそも口に棒を咥えたまま何かに突進するなんて馬鹿なことはしないかな♪」 そして右足を大きく振ると、安全靴の質量と硬度を、ハンマーのようにまりさに叩きつけた。 「だって噛む力が足りないと、逆に自分に刺さっちゃうでしょ?」 あはは、と、少女は楽しそうに笑った。 銃を思い浮かべてほしい。弾丸が発射されるプロセスを思い浮かべてほしい。 と言っても、専門的な知識が欲しいのではない。極々単純な、初歩のもので十分。すなわち、 撃鉄が雷芯を叩く。 着火された火薬は爆発的な圧力で弾丸を押す。 そして押された弾丸は、銃身の導きに従って飛ぶ。たったこれだけだ。 少女のハンマーのような蹴りは、火薬とのハンマー(撃鉄)の役割を同時に果たした。 爆発的な圧力を受けた弾丸・・・・・・木べらは、まりさの口を銃身として、一直線に吹き飛ぶ。 弾丸は強度の足りない銃身を破壊しながら、まりさの喉に思い切り突き刺さった。 「おぼええぇぇっぇええっふぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 大口を開けて叫ぶまりさ。前歯が上下共にごっそりとヘシ折れていた。 「あびいいぃぃぃいいひいいっひいいいぃぃぃぃ!!!」 錯乱してその場でぐるぐると回りだすと、貫通した木べらの柄が尻尾のように踊った。 「ふいでええぇぇぇぇぇぇぇ!!ごれぬいでええええっぇぇぇぇぇっぇ!!!!」 叫び声を上げ続ける口内に見えるへらの部分。まるで、舌が二枚に増えたようだった。 銃身を口に咥えて引き金を引いたに等しい今のまりさ。 端的に言えばそれは自殺行為で、しかしゆっくりはそんなことでは死なない。 その代わりにまりさは、涙も出ないほどの痛みを味わう羽目になるのだった。 「おっげええぇぇぇぇぇ!!!!うげぇぇぇぇ!!いぢゃい!!ぬいでで!!ででいっでね!!! ばりざのおぐちがらででいっでねえぇぇぇぇぇ!!!」 自分の尾を見ようとするかのように回り、飛び跳ね、えづき、体を揺らし、また飛び跳ね。 まりさは刺さった木べらを抜くためにあらゆる動きを試した。が、それらは全て無駄骨に終わった。 「無理だよまりさ。まりさ一人じゃそれは抜けないよ」 少女はしばらくまりさの一人上手を鑑賞していたが、まりさの動きが鈍った所でひょい、と 持ち上げると、れいむの方を向けて置き直した。 「ゆっくりには人間みたいに手も足も無いんだから、助け合わないとね」 「でいぶううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 この痛みから逃れたい。何でも良いから助かりたい!!ただその一心でまりさは走った。 「でいぶううぅぅぅぅ!ごれぬいでええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 れいむの元にたどり着いたまりさはれいむに体当たりのようなすーりすーりをする。 「!!」 しかしやられた方のれいむにはたまったものではない。今のれいむは少しの刺激でも餡子に 響き、吐き気がするほどの痛みが走るのだから。 「ねぇでいぶうぅぅぅ!!ごれぬいでよおおぉぉぉ!!!どぼじでうごいでぐれないのおおぉ!! かわいいかわいいでいぶのばりざがいだがっでるんだよおおおおぉぉぉぉぉ!?」 れいむの事情を知らないまりさはれいむにすーりすーりし続ける。力を込めたすーりすーりは、 見る者にはれいむを転がそうと体当たりしているのと、ほとんど区別がつかない。 「ゆびえぇぇん!!おへんじじでえぇぇ!!どぼじでばりざをだずげでぐれないのおおぉぉ!!」 「~ぃ!!」 押されるれいむが、ズレ始めた。 「ごんなにばりざぐるじんでるんだよおおおぉぉぉ!?でいぶとおちびぢゃんをだずげるだべに がんばっだめいよのふしょうなんだよおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 みり、みり、みり、みり。 「げずなのおおぉぉぉ!?でいぶはげすだったのおおおぉぉ!?なにがいええぇぇぇぇ!!」 ぶち切れたまりさがれいむにまごうこと無き体当たりを喰らわせた瞬間。 ぱかり、と、れいむがまっ二つに割れた。 「!!!!!!!!!!!!!!!!」 分かれて落ちたれいむの上半分。うにうにと蠢きながら何か探すように動き回るがもう、 自力で向きを変える力もない。びくびくと震えながら、逆さまになった目から涙を排泄し続けるばかり。 「・・・・・・・・・・・・でいぶ?」 これはまりさ。軽く。そう本当に軽く、親愛の挨拶ぐらいの強さですーりすーりしただけなのに? どうして?これれいむはどうなっちゃってるの?え?死んじゃうの?れいむ死んじゃうのなんで どぼじでいとしのはにーいたいこれぬいてくれないのまりさはなにもしてない 「ゆみゅぅん・・・・・・。ゆ?れいみゅもうおそとにでちぇもいいにょ?」 錯乱し始めたまりさに、ずっと親れいむの口の中にいた・・・・・・今は親れいむの下半分をベッドにした 赤れいむの、暢気な寝起きの声が届いた。どうやら眠ってしまっていたらしい。 体に刺さりっぱなしのないふさん、真っ二つに割れたれいむ。れいむの上に乗ったおちびちゃん。 状況は二次曲線のようにカオスの度合いを増大させていく。まりさの小さな処理回路が 破裂しそうになった瞬間、まりさの後ろに回った少女が、まりさの後頭部から尻尾のように 生えている木べらの柄を掴んだ。 「おはよう、れいむ。ゆっくりしていってね」 「ゆぅ~ん、ゆっくりしちぇいっちぇね!!」 「ひぎぃっぐりじでいっでね!!」 「起きてすぐこんなことを言って悪いとは思うんだけど、大切なことだからゆっくり聞いてね?」 掴んだ柄を掻き回すように動かしながら赤れいむに向かって少女は言う。 「あなたのお父さん、まりさは狂った・・・・・・ゆっくりできないゆっくりになっちゃったの。 まりさはあなたのお母さんを殺して、今度はあなたを食べようとしてるんだ」 「だにいっでるの、ばりざはおげえぇぇうえげえぇえへええぇぇぇぇ」 「ほら見て、どう見てもまともじゃないでしょう?早く逃げないとれいむ、食べられちゃうよ?」 そう言うと少女は、木べらの柄を掴んだまま木べらの開けた穴を押し広げ、 めりめりと拳をまりさの体内に侵入させた。 「ぎゃおー、たーべちゃうぞー・・・・・・ってね」 押し出されるようにまりさの口から飛び出した木べらは、見ようによっては舌のようにも見えて。 「ゆっぴいいぃぃぃぃぃぃ!!!おとうしゃんがれいみゅをたべようちょしゅるううぅぅぅぅぅ!!!! たしゅけちぇおきゃあしゃああああああぁぁぁぁぁん!!!!」 「お母さんはもう死んじゃってるよ。ほら、下を見てごらん?れいむは今、まりさに真っ二つに されちゃったお母さんの上に乗ってるんだから」 「ゆわああああぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」 認識した途端地面から立ち上る、濃密な死臭。れいむは、少女の言葉が真実だと認識する。 「泣いてる時間はないよ。早く逃げないと、本当にお父さんに食べられちゃうよ」 「れいみゅおうちきゃえりゅうううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 弾かれたように跳ね始める赤れいむ。それを満足げに見下ろすと、 「狂っちゃったまりさ。おちびちゃんを殺したくなかったら、お口はちゃーんと、閉じておこうね? ひょっとしたら、まりさの噛む力の方が、私の腕の力より強いかもしれないし、ね」 そう言って、手首をまりさの体内で一回転させた。 「ゆぴいいぃぃぃぃ!!こっちこにゃいでええぇぇぇぇ!!」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 「どぼじちぇきょんなこちょしゅりゅにょおおおおぉぉぉ!?」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 「ゆるちてええぇぇぇぇ!!!れいみゅいいこににゃるきゃらああぁぁぁぁ!!!」 ぺたん、ぺたん、ぺきぱきん、かつん。 赤ゆっくりがあちらこちらに逃げるたびに、追いかける舌・・・・・・木べらでまりさの歯が折れる。 少女は赤ゆっくりが逃げられる程度の早さで、しかし決して余裕は与えない。そんな意地の悪い 速度を維持しながら、赤ゆっくりの周りの床を叩き続けた。 「ゆぴいいいぃぃぃぃ・・・・・・ちゅかれちゃよおおおぉぉぉ・・・・・・」 「おひぃひひゃんは・・・・・・はりはは・・・・・・・・・・・・」 そうしてしばらくの時間が過ぎ、限界が訪れた。 赤ゆっくりはその柔らかい皮と少ない餡子を限界まで酷使した所為でもう、何をされるまでもなく 倒れそうで。 白目を剥いた親まりさは歯の半分以上を抉られている上に、体には少女の腕が二本は入って しまいそうな大穴が開いて、こちらももう長くは無いと一目で分かるようで。 「そろそろかな」 糖蜜のような背徳遊戯の終わりを締めくくるように、少女はまりさの体から木べらを引き抜くと 腕を大上段に上げ、赤れいむに向けて一気に振り下ろした。 「どしゅうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ」 がちん。 赤ゆっくりが潰れる音はとてもちっぽけで儚く、少女の耳にそんなものは届かない。 「・・・・・・ドス?」 その耳に届くのは、興味深い赤れいむの末期の台詞だけ。 「ねぇまりさ。もしかして、あなた達が住んでいた山にはドスがいたの?」 少女は木べらを再び無造作に放り出すと、親まりさに詰め寄った。 「ね、ね、教えてよまりさ。あなた達はドスを知ってるの?ドスの群れにいたの?答えて?」 ぽんぽん、と頭を叩くと、穴があいて浮き輪のようになっていたまりさは、凹の形にべっこりとへこんだ。 「あ・・・・・・やりすぎちゃったかな。まりさ、生きてる?」 揺らしてみたり突いてみたり、少女は少しの間まりさが痛がるような事を色々と試したが、 まりさはついにぴくりとも動かず、一声すらも上げなかった。 「ちぇ、死んじゃってるか」 詰まらなさそうに言うと少女は立ち上がる。上機嫌に部屋の真ん中に歩くと爪先立ちになり、 両手を広げてくるくると回り始めた。 「ドスまりさかぁ。私より大きくて、重くて、強いんだろうなぁ」 くるくると、くるくると、 「人間より強い本物のゆっくりの『武器』。武器を持ったゆっくりは、どんな風になるんだろうなぁ」 くるくると、くるくると、 「私がこうやって手を広げて回るよりきっとまだ大きいんだよ。ドスの頭を切り開いて、 その上で踊ってみたいなぁ」 くるくると、くるくると。 「今年の夏休みは楽しくなりそう」 くるくると回りながらくすくすと少女は笑い、とりあえず練習として、次のゆっくりを虐める時には 本物のナイフを使おうことにしようと考えるのだった。 END あとがき ゆっくりを虐めるだけSS第二弾でございます。 今回は虐待派の人間による純粋な虐待です。実はこれまでに虐待をホビーとして楽しむ人間 と言う物を書いたことが無かったため、今作は結構な難産になりました。いかがでしたでしょうか? 少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 次のSSの予定はまだ未定です。何が出るのか自分でも分かりません。一番文章量的に 進んでいるのは希少種が出る物語なんですけど・・・・・・予定は未定。 投稿頻度は相変わらず低いと思いますが、次のSSでお会いできたら嬉しいです。 それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら。 by ゆンテリアあき
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『僕は野菜が嫌いだ』 26KB 制裁 自業自得 野良ゆ ゲス 現代 虐待人間 野菜嫌いはゆっくりに笑われるぞ!みんな野菜を食べよう! 気ままあき 僕は野菜が嫌いだ。 肉は好きだが、でも野菜……特に生野菜はどうしても食べる気がしない。 調味料で味を加えて茹でたり焼いたり炒めたりした野菜は嫌いじゃないんだけど……生だけは絶対嫌だ。 まったくあんな味のしない物を喜んで食べる連中の気が知れない。 日々の食卓で、給食で、たまに家族とファミレスに行ったときにサラダが山盛りで出てくるとうんざりする。 だから僕はいつも野菜だけ残すんだが、そのたびに親に怒られるから渋々食べるんだ。 ドレッシングなんて酢っぱいだけでとてもかけられたもんじゃないから、 僕の場合はサラダにトンカツソースや焼き肉のタレをぶっかけてようやく食べられるようになる。 重ねて言うが僕は野菜が嫌いだ。 健康にいいから食べろと大人達はみんな言うけれど、 現在育ち盛りで充分健康な小学生である僕には理解不能もいいところだ。 あんなものを食べるくらいならフリカケごはんだけで夕食を済ませた方がまだマシだと思う。 だいたい野菜なんて好んで食べるのはあいつらくらいしかいないんじゃないか? そうあいつらしか…… 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「おやさいはゆっくりできるね!みんなでいっぱいむーしゃむーしゃしようね!」 「むーちゃむーちゃ!ちあわちぇぇぇぇぇっ!ゆっくちー!」 「なかなかとかいはならんちさんね!」 「おきゃあしゃん!あっちにもおやしゃいしゃんがありゅよ!」 「ゆっ!ほんとうだね!いっぱいあるよ!まっててねおちびちゃん! いまおかあさんがほうれんそうさんをじめんがらひっこぬいて、たべさせてあげるからね!」 「むきゅきゅ。やはりくそにんげんはまいにちこのはたけさんにくるわけじゃないようね! いまならおやさいさんはたべほうだいよ!けんじゃなぱちゅのおもったとおりだわ!」 「おやちゃいしゃんはとっちぇもゆっくちれきりゅよ!」 「おやさいさんはとってもとかいはだわ!」 「ぱちゅりーにふしゃわしいあみゃあみゃだわ!」 「「「「「ゆっくり~~~~♪」」」」」 ある日、僕が小学校から歩いて家へと帰っている途中でその光景を見てしまった。 とある畑に野良ゆっくりの一団が入り込んで野菜を食い散らかしているのを。 その畑は住宅地の中にあってそれほど大きなものじゃないから どこぞの人が趣味でやっている家庭菜園という奴だろうか? 喰い散らかしているのはまりさとれいむ、ありすとぱちゅりー……これらが親と子を合わせて全部で10匹ぐらいいる。 そこらの公園に住んでいる野良かな? 野良ゆっくりといえば野菜泥棒の被害が酷いという話を以前聞いたことがあるけれど…… あれも野菜嫌いな僕にとってはあまり共感できない話だ。 ゆっくりがそんなに野菜が好きならば、せめて野菜クズぐらいは食べさせてやればいいじゃないか……と思う。 人間だって野菜を全部残さず食べているわけじゃない。 調理する段階で根とか葉っぱとか不味い部分は切って捨てているんだ。 それらのほとんどは当然使い道のない生ゴミになる。 生ゴミとして捨てるくらいならくれてやればいいんじゃないか? 畑で野菜を育てている人のほとんどは腐って人間が食べられない廃棄野菜ですら ゆっくりには決してあげないというんだから、大人はなんとも心が狭いなあ……と子供心に僕は思うんだ。 しかしそれにしてもこいつら、あちこちに喰いカスを撒き散らせて……とにかく非常に汚い食べ方してる。 だけどその割にはみんなすごく嬉しそうで。僕は眺めているうちに段々と興味が湧いてきた。 畑からひっこ抜いたばかりの土まみれで洗っても切ってもいない不味そうな野菜を これほど心底幸せそうに食ってるとは面白い連中だなと思ったんだ。 僕はふとした好奇心で畑に近付いていった。 「ゆ……ゆゆっ?くそにんげんのちびがこっちにくるよ!」 「きっとおやさいはにんげんがそだてているとかへりくつをこねて、ぱちゅたちのゆっくりぷれいすをうばうきね!」 「なんてゆっくりしていないのかしら!このいなかものっ!」 「にんげんのちびならこわくはないのぜ!さいきょうっのまりささまがせいさいっしてやるのぜ!」 「やっちゃえおとうしゃん!」 「にんげんのくちょちびなんきゃころちてにぇ!」 「れいみゅ、ぷくーしゅるよ!ぴゅくー!」 なんか畑に近付いただけでえらい言われようだ。 僕はただ聞きたいことがあるだけなのに。 「おいおい僕は別に君たちに何もしたりはしないよ。なんでそう威嚇するんだい」 「だったらさっさとここからきえるんだぜ!にんげんのちびはそこにいるだけでめざわりなんだぜぇぇぇぇっ!」 「そう言うなよ。ちょっと君達に聞きたいことがあるから来ただけさ」 「ゆっ?なんででいぶがくそちびのしつもんにこたえなきゃいけないの?ばかなの?しぬの?」 「なあ、お前ら……」 「けんじゃなぱちゅのけいこくにしたがいなさい!はやくきえないとまりさにこうげきさせるわよ!」 「それ美味しいの?」 「……ゆっ?」 僕が指差した先には今しがたこいつらが食い散らかされた野菜たちの無残な姿が転がっていた。 ゆっくりどもは僕が何を言いたいのか、初めのうちはよく分からなかったようだが しばらくするとやや頭がいい(らしい)ぱちゅりーが口を開いた。 「それって……もしかしておやさいさんのことかしら?」 「うん。そのお野菜さん」 「なんでそんなことをぱちゅたちにきくの?」 「いや……そんな洗っても湯がいてもいない生の野菜を食べて本当においしいのかなーと思ってさ。 僕は野菜食べられないし野菜嫌いだからさ。ふと疑問に思ったんだ」 「……」 しばらくゆっくりどもはぽかんと口をだらしなく開いたまま僕を見ていた。 なんだ?そんなに変なこと言ったか僕は? 「……ばかなの?しぬの?」 「え……」 「ばぁぁぁぁぁかっなのぜぇぇぇぇっ!おやさいさんはとってもゆっくりできるんだぜぇぇぇぇっ!?」 「ゆぷぷ!にんげんのちびがこんにゃにばきゃだとはれいみゅ、しらなかっちゃよ!」 「おやさいさんはときゃいはよ!やわらかくちぇ、しゅごくたべやしゅいわ!」 「ざっそうしゃんなんきゃより、はるきゃにあみゃあみゃなんだじぇ!」 「おやしゃいしゃんはしあわしぇーなあじがしゅるごちしょうしゃんなんだよぉぉぉぉっ!」 「え?でもそれにしても生を丸かじりって……」 「はああああああっ?まるかじりがいちばんとかいはなたべかたでしょぉぉぉぉっ!?」 「やめるのぜありす!」 「まりさ……!?」 「にんげんのくそちびにはとかいはなでぃなーのさほうっなんてわからないのぜ!」 「ゆふんっ!そうだよ!でいぶたちはじょうりゅうかいきゅうっだからね!」 「げせんなしょみんにきぞくのしょくじはりかいできないのよ。むきゅきゅ」 「ありちゅはときゃいは!」 「まりちゃもときゃいはのなのじぇ!」 「おやしゃいがきりゃいなにんげんのくそちびはいにゃかもにょだけどにぇ!ゆぷぷぷぷっ!」 「げらげら!こんなにあまあまなおやさいさんがきらいだなんて、このくそちびはまったくゆっくりしてないね!」 「まったく……けんじゃなぱちゅともあろうものが、あまりにていぞくっなしつもんに おもわずあっけにとられてしまったわ」 「おやさいさんがたべられないだなんてこのちびは、したがおかしいにきまってるんだぜ!」 「おちびちゃんたちはあんなすききらいするいなかものになってはだめよ!」 「「「「「ゆっくちりきゃいちたよ!」」」」」 あからさまな侮辱に僕は頭からサーと血の気が引く思いがした。 好き嫌いを怒られたことはあっても、好き嫌いがあるをここまでバカにさあれたことはかつてなかった。 それも人間より遥かに格下であるはずの野良ゆっくりごときに……! 「ゆあ~~ん?なんなのぜそのかおは~~?まりささまにずぼしをさされたからおこったのぜぇ~~?」 「ぎゃくぎれっしてれいむたちにぼうりょくっをふるうきなんだね!まったくゆっくりしていないまけいぬだよ!」 「むきゅきゅっ!わらわれたくらいではらをたててぱちゅたちにぼうりょくっをふるい、 それでじそんしんっをみたそうとするなんてあわれすぎるわね!」 「いくらじぶんがいなかものでなさけないからって、ありすたちにあたらないでちょうだいっ!」 こいつら……!こいつら……! 気が付くと僕はゆっくりどもに背を向けて駆け出していた。 「ゆんっ!にんげんのくそちびがにげていくよ!」 「まりささまのつよさにおそれをなしたんだぜ!」 「おやさいがきらいなにんげんさーん!すききらいはとかいはじゃないわ~~♪」 「むきゅ!ああいうのをおろかなまけいぬというのね!ぱちゅはああはなりたいないわ!おおっあわれあわれ……」 ちくしょう! ちくしょうっ! ちくしょうっっっっ! この日、僕はあのゆっくりどもに復讐する事を誓った。 あの場でゆっくりどもを踏み潰すのは容易かったが、それでは僕の気が収まらない。 暴力で圧倒してもあいつらは僕を見下すことをやめないからだ。 あいつらにとって僕は「ゆっくりできるお野菜を恐がっているバカなガキ」だ。 ならその野菜嫌いを克服してやる! 僕があいつらにリベンジできるのは僕の弱点がなくなった時だけだ。 僕はまずお母さんに頼んで切ってもらった山盛りのキャベツの千切りに挑戦してみることにした。 ゆっくりに美味しく食べられて、僕に食べられない道理はないんだ…… 僕は覚悟してキャベツを口にした。 シャクシャクシャク…… 「……まずい。なんか全然味がしないよ……どこが甘いんだこれ?」 シャクシャクシャク…… シャクシャクシャク…… シャクシャクシャク…… それから数日、僕は朝晩と不味い山盛りキャベツを食べ続けた。 でも……やはりダメだ。どうしても好きになれない。 ゆっくりに食べられてなんで僕には食べられないんだ……?僕はゆっくり以下なのか?と悩んでいると 見るに見かねたのかお母さんが声をかけてきた。 「としあき、あんたそんなドレッシングをなにもかけないキャベツじゃ美味しいわけないでしょ?なにかかけたら?」 「でも……うちにある青じそのドレッシングは僕好きじゃないし…」 「ああ、青じそは私好みのだからね……ならいまから買い物ついでにあんた用のドレッシングを買いにいく?」 「ええーあんなのどれも同じでしょ?」 と思って母と一諸にスーパーに行ったら……あるわあるわドレッシングが山のように。 金胡麻、チーズ、たまねぎ、バルサミコ、オリーブ、ガーリック、梅しそ…… ドレッシングひとつにこんなに種類があるとは思わなかった。 僕はとりあえずためしにいくつか買ってもらうと、さっそくキャベツにかけて食べてみた……が。 「……やっぱりまずい」 それでも嫌々ながら生野菜を食べ続けて一週間…… 僕はある日、父さんにふと言われた。 「としあき。お前最近いつもサラダをポリポリ食べてるなあ」 「え?ああ……いつのまにか癖になったみたいでさ。気が付いたらポテチ感覚でいつも食べるようになっちゃった」 「野菜嫌いのお前が全部残さず食べてるし」 「んーかっぱえびせんみたいな感じ?やめられない止まらないみたいな……」 「……変わったなお前」 「そう?」 そういつのまにか僕は普通に生野菜を食べるようになっていた。 最初は味にこだわっていたけれど、だんだんそれはどうでもよくなってきた。 それよりもきゅうりやレタスやキャベツのあのシャキシャキとした歯ごたえが病みつきになっていった。 ドレッシングの味もだんだん分かってきたっていうのもあるのかもしれない。 気が付けば海草サラダや漬け物の味も理解できるようになっていた。 復讐の時は案外はやく来たのかもしれない。 「むーしゃむーしゃ!しあわせー!」 「うにぇ!こりぇまじうめぇ!ぱねぇ!」 野良ゆっくりどもはあの日のように畑に入り込んで、汚らしく野菜をかっくらっていた。 よく今まで生きていたものだ野良のくせに……でもその無駄に逞しい生命力と悪運に感謝するよ。 だってあのとき侮辱された借りをこうして返せるんだからね。 「むーじゃ!むー……ゆゆっ!ゆっくりしていないくそにんげんがこっちにくるんだぜ!すぐににげるんだぜ!」 「まちなさいまりさ!あのにんげんのちびにはみおぼえがあるわ……むきゅ!おもいだしたわっ! いつかのおやさいがきらいなていのうっのちびよ!」 「ああ、あのくそちびね!おちびちゃんたちのだいこうぶつがきらいなかっぺまるだしのいなかもの!」 「ゆぷぷ~!なんなのそのこわいかおは?またおやさいがたべられないのをれいぶにわらわれたいの?」 僕の姿を確認するなり、好き勝手なことをほざきまくるゆっくり達。 しかし今の僕の心には苛立ちは微塵もない。こんな低俗な連中の挑発などなにもこたえない。 僕はランドセルからビニール袋を取り出し、その中に入っていたキュウリを1本取り出して キュウリをゆっくりどもに見せつけてた。 ゆっくりどもは「それをよこせ」だの「食べられない糞ちびに変わってとかいはなありすがたべてあげてもいいのよ!」とか 好き勝手に喚いている。僕はそんなゆっくりどもをニヤっと笑って… 「むーしゃむーしゃ!しあわせ――――――っ!」 いきなりキュウリを一本、丸かじりに一気に食べた。 それにしても食べながらしあわせーって叫ぶのって難易度高いねえ。 「「「「「ゆっ……ゆゆゆゆゆっ!?」」」」」 いやあ美味い!この瑞々しさとしゃきしゃきとした食感がたまらない。 僕は今までなんでこんなおいしい物を食わず嫌いしていたんだろう! 野菜万歳!いま僕は野菜の味に目覚めたっ! 「……というわけで、僕には野菜嫌いという弱点を見事に克服したよ!もう君達に侮辱されるいわれはないね!」 「ゆっ、ゆゆっ……!?だ、だからどうしたっていうのぉぉぉっ!?くそちびがおやさいをたべられるようになろうが そんなのれいぶたちにはなんのかんけいっもないで…」 「せぇいっ!」 「ゆげぉぉぉぉっ!」 僕は手始めに唾をまきちらして怒鳴り散らす野良でいぶに蹴りをくれてやった。 こうサッカーボールを蹴るような感じでね。 「で、でいぶぅぅぅぅぅっ!?」 「おきゃあしゃぁぁぁぁんっ!」 「ど、どぼじでごんなひどいごとずるのぉぉぉぉっ!?ごのいながものぉぉぉぉぉっ!」 「理由はふたつ。ひとつ、君らはこの前僕をひどく侮辱した」 「む、むきゅ?た、たったそれだけのことで……?じじつをいわれたからってすぐぼうりょくっにうったえるなんて にんげんというなまものはほんとうにやばんね!けんじゃなぱちゅにはりかいできないわ!」 「僕は最初から暴力を振るう気なんてなかったよ?ただ聞きたいことがあったから平和的に聞いただけでさ…… いい気になって先に僕に罵詈雑言を浴びせてきたのは君らじゃん」 「そ、それがどうしたっていうの!ばかなくそちびをわらっただけのことでしょっ!」 「ふ~ん……でも暴力って言うならさ、先に言葉の暴力をふるってきた野蛮なナマモノはそっちじゃないか」 「むきゅっ!?」 「言葉だろうが力だろうが暴力は暴力だろ?僕が最初に君らにやられたから僕はやり返しただけ。 それのどこが悪いんだ?」 「く、くちでいうのとけるのとではぜんぜんちがうでしょぉぉぉぉぉっ!」 「同じだよ。あの日僕はそこでのた打ち回っているでいぶ以上に心に傷を負ったんだ。君らの心無い言葉の暴力でね」 「む、むきゅぅぅぅぅ……!?」 利口ぶっているもりけんの屁理屈には屁理屈で返してやる。 穴だらけの屁理屈でも一応は理屈が通る会話をしておけば、餡子脳のゆっくりに反論なんて思いつきっこない。 特にこのもりけんのような中途半端に頭が回る奴にはなおさらだ。 僕は必死に反論を考えているぱちゅりーをほっといて、子ゆっくりを両手に一匹づつ摘み上げた。 「ゆっ!?おしょらとんでるみちゃい!」 「くろいいなずま!そらとぶまりちゃなのじぇ!」 そしてゆっくりと力を込めてありしゅとまりちゃを握りつぶしにかかった。 「ゆっ!ゆぶぶぶぶっ!」 「く、くるちいのじぇぇぇ……!」 「や……やめなざい!ごのいながものぉぉぉぉっ!ありずのおちびじゃんがいたがっでるでしょぉぉぉぉっ!?」 「おばええええっ!まりさにのおちびになにじでるんだぜぇぇぇぇっ!?」 「何って子ゆっくりどもを握りつぶして殺そうとしているだけだけど、それがなにか?」 「なにがじゃないでしょぉぉぉぉっ!どぼじでぞんなひどいごとずるのぉぉぉぉっ!」 「だってこいつらも言葉の暴力で僕を傷つけたもの。だから制裁だよ!ゆっくり理解してね!」 「りがいなんででぎるがぁぁぁっ!なにがせいさいっだごのにんげんのくそちびぃぃぃぃっ! ごうなっだらさいきょうっのまりざざまが、しつけがなっでないくそちびをがこらしめでやるんだぜぇぇぇぇっ!」 「は、はやぐ……たずげちぇぇぇ……とがいば……とかいばぁぁぁぁ……」 「おちょうしゃ……まりしゃちゅぶれ……ゆびぃぃぃぃっ!」 「おねえちゃぁぁぁんっ!」 「やべでちょぉぉぉぉっ!まりちゃいたがっでるよぉぉぉぉっ!」 「ゆううううっ!もうおこっちゃのじぇ!おねーちゃんをいじめるにんげんのちびはまりしゃひっさつの ぷくーっでころしゅのじぇ!ぷく――っ!ぷくく――――っ!……なんでしにゃにゃいにょぉぉぉぉぉっ!?」 僕は怒り狂うまりさや、ぎゃーぎゃー泣き叫んでいる他の子ゆっくりどもの悲鳴なんかどこ吹く風で両手に力を込める。 大丈夫……まだひと思いに君達を握りつぶしたりなんかしないさ。今はまだ…… 「や、やべろぉぉぉぉっ!これいじょうばりざのおちびにひどいごとずるなぁぁぁっ!ゆあぁぁぁぁぁぁっ!!」 「ありずもとがいはなおちびちゃんをたすげるわ!ゆっくじじないでたずげるからおちびじゃんまっででねぇぇぇっ!」 「あ、そうだ。理由二つめをまだ言ってなかったね?僕が君らを制裁するもうひとつの理由は……」 「ゆがぁぁぁぁぁっ!ゆっぐじじねぇぇぇぇっ!」 「だから理由は……て、ああもうゆっくりは話を聞かないから嫌なんだよ……なっ!」 僕は足元に落ちていた比較的大きめの石を、 半狂乱で僕に向かって突進してくるまりさに向かって思いっきり蹴った。 僕のすぐ足元にまで迫っていたまりさは石を避けられず、その大きな口の中に石が見事突き刺さる。 「ゆぐっ!?ゆげごおおおおおおおおおおおおっ!!?」 「ば、ばりざ……?どうじだのばり………な、なんでいしさんなんかたべてるの……? い、いしさんはゆっくりできないわ?ね、ねえ……」 「ゆが……ゆががが……が……」 「ま、まりさぁぁぁっ!?どぼじでおへんじしてぐれないのぉぉぉぉぉっ!?」 石を食わされたまりさは白目を剥いて気絶したみたいだ。 ありすはどうしていいのか分からずまりさのそばでウロウロするばかり。 僕はすかさず、そんなありすの頭の上に足をのっけた。 「な、なにをするのっ!このきたないあしをありすのあたまからどけなさい!このいなかも……ゆぐぶぶぶぅぅぅぅっ!?」 「改めて言うね?君達を制裁するもう一つの理由はね。こんなに美味しい野菜が、君ら野良ごときに 汚く食い散らかされるのが我慢できなくなったから、さ」 「や、やっぱり……おやさいをひとりじめずるぎ……なのね!」 「独り占めも何も大人の人達が地面を耕して、肥料くれて、種蒔いて……て作ってるものだし」 「またぞのへりくつなの!ごのいながものっ!おやさいさんはがっでに……ゆごぉぉぉぉっ!?」 「君達の屁理屈も大概だと思うけどね。まあ別に理解してもらいたいわけじゃないし、そろそろ潰すよ」 「や、やべ……ろぉぉぉぉ……!ご、のいなが……いながものぉぉぉぉぉっ!」 「じゃあね。ばいばい」 僕はそのまま体重を込めてありすを踏み潰そうとした……と、その時! 「むきゅっ!おまちなさい!それいじょうのひどうはこのけんじゃなぱちゅがゆるさないわっ!」 「あれ立ち直ったの?でも今はありすの制裁で忙しいんだ。もりけんの始末は後で必ずしてあげるから そこで大人しくしててよ」 「ゆぶっ!ゆぶぶぶぶぶぶぅぅ……っ!た、たずげ……ぱちゅりー……」 「むきゅっ!そうはいかないわ!くそち……にんげんさんはひとつ、おおきなまちがいをおかしているのだからね!」 「……間違い?」 僕が怪訝な顔をしてぱちゅりーの方を向いたことに脈ありと思ったのだろうか。 もりけんぱちゅりーは得意げになって僕の間違いとやらを指摘してきた。 「おやさいはゆっくりしているわ!それはく…にんげんさんもゆっくりりかいしたわよね?」 「まあね」 「ゆっくりできるおやさいはみんなでわけあうべきなのっ!みんなでなかよくむーしゃむーしゃしてこそ ゆっくりできるのよ!」 「はあ……で?何が言いたいの?」 「まだわからないの?これだからていのうっなくそちびはこまるのよっ! いい?ゆっくりできるおやさいさんはみんなのものなの!けしてひとりじめにしていいものではないわっ! おやさいさんのゆっくりにめざめたちびにんげんなら、ぱちゅのいってることがりかいできるはずよっ!」 「えーと……」 「ゆっくりりかいしたら、おちびちゃんとありすをはなしなさい!そしてくそちびがやばんにもけがをさせた まりさとれいむをちりょうっしてごめんなさいをするの!どげざでいいわっ!すぐしなさい! そうしたらしなないていどのせいさいっでゆるしてあげなくもないわ!むきゅっどれいにしてあげてもいいわよ!」 「……」 まいった……屁理屈で返された。 こういう場合はどう言い返せばいいんだろう? ドヤ顔してふんぞり返っているもりけんを問答無用で潰してもいいけど、 それじゃ口で勝てないもんだから逃げたんだと他のゆっくりどもに思われそうでなんか嫌だ。 「さあっ!ぱちゅのしんりっをりかいしたのなら、はやくぱちゅのいうとおりにしなさい!このぐず!くそちび!」 「む、むう~~~」 もりけんは僕に屁理屈の反論を考えさせる時間を与えないつもりらしい。 次から次へと大声でギャ―ギャ―怒鳴ってくる。 どうすればいいんだ……こんな場合の反論のお手本なんて小学校のゆっくり安全教室じゃ教えてくれなかったぞ。 そして僕が思わず、うかつな一言をつい言おうとしたその時ー 「悩むな少年っ!君の信念はそんなゆっくりの戯言でゆらぐものではないッッッ!」 突如、背後から聞こえた大人の人の大声。 思わず僕が振り向くと……そこには鍬を担いだ、ただのお兄さんが立っていた。 「むきゅっ!なにものっ!?」 「この畑の持ち主ですがそれがなにか?」 「むきゅぅぅぅぅぅっ!?」 「なーにがみんなのものだよ。お前らは他人のモノだって知った上でコソ泥同然に俺の畑に入り込んで 野菜を食い散らかしていたくせに。舐めた事抜かすなや」 「お、おやさいはみんなのものなのよ!だ、だからぱちゅたちのものでもあるのよぉぉぉぉっ!?」 そうだ。そこを崩せないと潰しても、もりけんの意見が正しいものになってしまう。 痛めつけても殺しても正論を不当な暴力で弾圧したと、こいつらはそれを心の拠り所にして死んでいく…… ダメだよ。こんな連中にわずかなゆっくりでも感じさせたらダメだ。 徹底的に絶望させなきゃ意味がないんだ。 僕がわざわざ野菜嫌いを克服してからリベンジしにきた理由もそこにある。 でもお兄さんは、そんな僕の考えていることをおおよそ読み取たのか、僕に向かってにっこり微笑んでこう言った。 「君は子供のくせに生真面目な考え方するんだな」 「え、わかるんですか?僕の考えていること……」 「なんとなくね……こういうのはそんなに難しく考える必要はないんだ。所詮はゆっくりの戯言…」 「むきゅぅぅぅっ!きいてるの!おやさいはみんなの……」 「そうだよ!みんなのものだよっ!」 「むきゅっ!?わ、わかってるんじゃない!そうよおやさいは……」 「お野菜はみんなのものだよ!……でも糞饅頭、てめーは駄目だ」 「ぱちゅたちのものでも………は?はああああああああっ!?」 「お前らの言う『みんな』はゆっくりだけが対象だろ?ゆっくりが人間や犬や猫、カラスに食い物を分けるか? 『みんな』の中に入れているってのか?え?」 「ゆうううううっ!?ぞ、ぞれ……は……」 「それと同じように人間の言う『みんな』は人間だけが対象なのさ!だから人間同士でお野菜はわけるよ! みんなで一諸に食べてゆっくりするよ!でもゆっくりは『みんな』の中に入ってないからわけてあげないよ!」 「む、むきゅ?むきゅきゅ……?むきゅぅぅぅぅぅぅっ!?」 あーなるほど……そうやって返せばいいのか。勉強になるなあ 確かにゆっくりがゆっくり以外の他の生き物に食べ物を分けてあげるなんて事はまずない。 ぱちゅりーにとっては痛い所を突かれたって感じなんだろうな。 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁっ!ず、ずるいよにんげんばがりいいいいいいいっ!でいぶたちだっておやざいたべだいっ! たべだいっ!たべだいっ!たべだいよぉぉぉぉっ!」 「おやざいは……ばりざのごはんざんなの……ぜぇぇぇ……よこどりずるやつはゆっぐじ……じねぇぇぇ……」 「うっせえよ」 「ゆぎゃらばぁぁぁぁっ!」 お兄さんがいつのまにか起き上がってたまりさを蹴飛ばした。 口の中にまだ入っていた石と、折れた歯を吐き出しながら飛んでいく野良まりさ。 「お前らは見つけた物を手当たり次第になんでもかんでも独り占めにしようとするじゃねえか。 自分のことを棚に上げていっちょ前に人間様のやることに文句つけてんじゃねえよ」 「ゆっ!で、でいぶはにげるよ!ちびどもはゆっくりおとりになっていってね!」 「にゃ……にゃにしょれぇぇぇっ!」 「いやらぁぁぁっ!おきゃーしゃんきゃわいいれいみゅをおいてかにゃいでぇぇぇぇっ!」 「うるさいよ!あしでまといのくずどもはしね!やくたたずのばりざやありずといっしょにしねっ!」 あらら比較的ダメージが低いでいぶが子供を見捨てて逃走を開始したみたいだ。 さすが自分勝手な性格に定評のあるでいぶ。汚い。実に汚い。 ヒュンヒュンヒュン………! と、その時なにか風を切る音が聞こえた。 音がする空中を見ると、お兄さんが投げた草きり鎌が放物線を描いてゆっくりとでいぶの方で飛んでいくのが見えた。 そして狙ったようにでいぶの目の前の地面にざくっ!と突き刺さる。うーん何気に名人芸だね。 「ゆ、ゆぴょぉぉぉぉぉっ!?」 「まさか……逃げられるなんて思ってないよな?ここまで俺の畑を荒らしておいて……なあでいぶさんよォ~?」 「ゆっ、ゆっ、ゆあ……ゆああああああ……」 でいぶはおそろしーしーを滝のように噴出して、もみあげを上下にせわしなく振っている。 あまりの恐怖に体が動かない、頭がまっ白でなにも考えられないって感じだ。 「なあ少年、君はこいつらをどう制裁するつもりだったんだい?」 「え?どうって……普通に踏み潰してゴミ箱に捨てるつもりだったんですけど」 「うーん、それじゃあ足りないなあ……よければ俺に制裁をまかせてくれないかい?野菜の恨みもあるし」 「ええ、まあ……別にそれはいいですけど…」 「ありがとう。じゃあ任せてもらうよ」 お兄さんは僕にお礼をを言うと、でいぶに向かって歩いていく。 そしてでいぶを両手で掴んで顔を自分に向けさせると、いい事を思いついたとでも言わんばかりの笑顔でこう言った。 「……決めた。お前たち全員胴付きにしてやるよ♪」 僕はそのお兄さんを見て、凄まじく底意地が悪そうな怖い笑顔だなあと思いました。 「やあみんなおはようっ!今日もみんなで仲良くゆっくりしてるかい?」 「ご……ごろじ……で…もうごろじでぇぇぇぇ……」 「どぼじ……で…」 「ゆべぇぇぇ……」 「いだいぃぃぃ……いたすぎるのじぇぇぇぇ………!」 「もうやらぁぁぁ……」 「ごんなのとがいばじゃないぃぃぃ……」 「むぐぅぅぅ!むぐぐぅぅぅぅ……!」 僕は通学路の途中にあるあの畑に休みの土日以外、毎日顔を出している。 その畑には胴付きのゆっくりが「10本」立っているからだ。 それはかつてこの畑で野菜泥棒をしていた野良ゆっくり達のなれの果て。 お兄さんは竹ざおでゆっくり達の底部から串刺しにして竿ごと地面に突き刺した。 そしてゆっくり達の下の部分に横に棒を組み合わせて、その上に古着と軍手で胴体らしく見えるようにしたんだ。 まあ要するに案山子なんだけど、この姿は確かに胴付きと言えなくもないよね。 自ら動くことはできないし串刺しにされてるからものすごく痛いだろうけど。 さらに畑に放置でしょ?一月はものすごく寒いし夜は特に地獄なんじゃないかなあ。 お兄さんが最低限の延命処置をしているらしいけどよく死なないよね。 丈夫な竹の棒をしっかりと地面に突き刺しているから野良ゆっくりが身じろぎした程度じゃ 倒して逃れることはできないみたい。 もりけんぱちゅりーは口にガムテープを張って生クリームを吐かないようにしている。自殺防止なんだってさ。 お兄さんは一思いには殺さずとことんまで苦しめてから殺すつもりなんだ。 精魂込めて育てた野菜を無残にも食い散らされた恨みは相当なものみたいだね。 あれから5日……はじめの内はギャ―ギャ―元気に騒いでいたゆっくり案山子どもも 今ではこうして自ら死を懇願する有様だ。 ところでみんなは案山子をなんの為に置くのか知ってるよね? そうカラスなどの害獣避けのためさ。でもこのゆっくり案山子はどうかな……? お、ちょうど都合よく向こうからカラスが4~5羽飛んできたよ。 「ゆっ……?や、やべでね……?からすさんごっちごないでね!」 「がらずざんはゆっくじでぎないぃぃぃぃぃっ!」 「ごないでね!ごないでね!まりちゃぷくーっちゅるよ!ぷきゅー……ゆぴやぁぁぁっ!あんよがいだいぃぃぃっ!」 「もういやらぁぁぁぁっ!」 「いだいっ!やべっ!ありずをたべないでぇぇぇぇっ!ごんなのとかいばじゃないわぁぁぁぁっ!」 「もうやだ!おうちかえりゅぅぅぅぅっ!」 最初のうちはゆっくり案山子が騒ぎ立てるんでカラスも畑に近寄らなかったんだけどね。 声の主が無力なゆっくりだと分かるとカラスがクチバシでつつきに来るようになったんだ。 おかげでカラスどもはゆっくりを痛めつけて食べるのに夢中で畑の農作物には見向きもしなくなった。 これはこれで案山子としての役割は果たしている事になるのかな? 串刺し+毎日カラスによる攻撃でゆっくりどもはもう虫の息。 雨でも降ればさっさと楽になれるんだろうけどねえ…… あいにく最近は晴れてばかりで雨が降る気配はまったくないんだなこりゃ。 「おにーざん!おにーざん!ばりざだちをたずげてぐだざいっ!」 「ひどいごといっでごべんなざい!でいぶだちがげすでじた!ゆっぐりはんぜいじでいまず!はんぜいじで…ゆぎゃあああ!」 「ありしゅもゆっくちはんせいっちたきゃらぁぁぁぁっ!」 「むぐーっ!むぐぐぐぐ~~~~~っ!」 「ゆんぎゃああああ!まりしゃのこのよをみとおすせんりがんっなおめめがぁぁぁぁっ!」 「やだぁぁぁっ!もうごんなのいたいいたいのはいやだぁぁぁっ!」 おっといけない、いつまでも見物していたら学校に遅れてしまう。 名残惜しいけどもういかないとね。ゆっくりのせいで遅刻なんて洒落にならないよ。 じゃあねゆっくり案山子くん達。生きていたら下校時にまた会おう♪ 「あああああああっ!いがないでいにーざん!ばりざをだずげでぇぇぇぇっ!」 「とがいば!とかいばぁぁぁぁぁっ!」 「おうち!ゆぎゃっ!おう……ゆぎぃぃぃ!おうちがえるぅぅぅぅぅっ!がえらぜでぇぇぇぇっ!」 「むぐぐ~~~~!むぎゅぅぅぅぅぅぅぅっ!」 僕は背後から聞こえる心地よい悲鳴を後に、小学校に向かって駆け出していった。 まったくいい気味だ。ざまあみろと言ってやりたい……けど。 嫌いな野菜を食べられるようになったのはやはりゆっくりにバカにされたおかげかな? ま……そこだけはほんの少し感謝してあげてもいいか。 お野菜が大好きな野菜泥棒の野良ゆっくり達、ゆっくりしていってね! 「「「「「ゆっくりでぎないぃぃぃぃぃぃっ!」」」」」
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U.N.オーエンは彼女なのか?~可愛い時計 26KB 虐待-いじめ 観察 悲劇 差別・格差 家族崩壊 同族殺し 共食い 赤子・子供 ゲス 捕食種 希少種 自然界 人間なし anko737後編です。 後編です 副題とかにも挑戦してみました 今作群は挑戦の塊です 思春期によくお世話になり、あとで顔から火を吐かせてくれるポエムにも挑戦です ちなみに発条(ぜんまい)です ではどうぞ 可愛い時計、止まって泣いた 優しい発条、笑って巻いた 時計と発条、仲良しこよし 何時も一組、笑ってる 「ちびちゃん、あさだよ」 「あちゃだよ、おねーしゃん!おねぼーさんはゆっくりできないよ」 「ゆ…、おかあ、さん?」 目を開けるとそこにはお母さんと妹の姿があった 「あたりまえだよ!れいむはちびちゃんのおかあさんにきまってるよ ゆふ、まだねぼけてるんだね」 そういって自分の顔をぺーろぺーろしてくれる しかし、震えが止まらない 何故だろう? ああ、そうか… 「ゆゆ…にゃんだかゆっくりできないゆめをみてたきがしゅるの… みゃみゃもぴゃぴゃもれーみゅもみんなどっかにいっちゃうの…」 「ゆふふ、うん、それはたしかにゆめだよ おかあさんもおとうさんもちびちゃんもちゃんとここにいるよ…」 まだ震えている体を丹念にペーろぺーろしていく その懐かしくゆっくりとした感覚に徐々に震えが収まって行く 「ゆゆ、もうだいじょうぶだよ! ぜんぶゆめだったんだね! ままもれーむもぱぱもちゃんといるね!」 半ば自分に言い聞かせるように、半ば確かめるようにはっきりとした口調で言った 「そうだよ、じゃあ、あさごはんだよ!」 「いっちょにむーちゃむーちゃしようね!」 元気の無い姉を気遣ってか仔れいむも元気一杯に話しかける そんな何気ない日常 かけがえのない日常 「今日」も何事も無く始まって行く… みんなで朝ごはんをむーしゃむーしゃした後 しばらくみんなでゆっくりした 何とも無い風を装っているがどこか元気の無い仔まりさが気になったのだろう 仔まりさがゆっくりしたのを確認し、父まりさは狩りに出かけて行った 「きょうもいっぱい、おいしいごはんさんとってくるよ! たのしみにしててね! れいむ、ちびちゃんたちをおねがいね!」 「ゆっくりまかせてね!まりさもけがしないようきをつけてね!」 何時ものやり取りの後、母れいむは朝ごはんの片づけをし仔とゆっくりし始めた ゆっくりと言ってもゆっくりしているのは子供ばかり おかしなことをしているんじゃないかと、危ない目に遭っているんじゃないかと母れいむは目が離せない、気が抜けない 命よりも大切な仔だ、絶対ゆっくりさせる そんな気持ちが無ければとてもじゃないが親なんてやっていられない お歌を歌ってもらったり、一緒になって練習したり 日向ぼっこをしたり、追いかけっこをしたり、一日はあっという間に過ぎていく 「ゆ!いまかえったよ!ごはんさんいっぱいとれたよ!」 父まりさがご飯を手(帽子)に帰って来た 夕ご飯を食べてゆっくりとした一日もこのまま終わる そう思った時だった 「たいへんだよー!」 ひどくゆっくりとしてない叫び声が群れに響く なにか大変なことが起きたと思い、れいむと仔を巣に残し父まりさが様子を見に行った 「どうしたの?」 辺りを跳ねまわるちぇんを捕まえて事情を聞いた 「ゲスだよ!むれのはじっこにいたゆっくりのおうちがおそわれたんだよー! すごくたくさんなんだよー! ゆっくりしないでにげるんだよー!」 そう言うや否やすぐさま他の所へ告げに行く 「ゆう…まずいよ…」 父まりさの体に冷や汗が流れる この辺りは比較的安全な地域で今まで群れが襲撃を受けた事が無い だから此処には集団的な戦闘経験のあるゆっくりはいない 早くもパニックが起きているようだ 本来は戦闘要員をかき集める役目のちぇんがあの調子では仕方がない とにかく一度お家に戻ろう … 「というわけなんだよ、みんなはまりさがもどるまでぜったいにおうちのそとにでないでね!」 「ゆ、わかったよ。ちびちゃんはれいむにまかせてね!…けが、しないでね…」 巣に戻ると、家族に状況を知らせた そして総崩れの群れを立て直すべく、長の所に近所の成体を連れて行くと父まりさは言った それを聞いて仔まりさはひどくゆっくり出来なくなった お父さんがもう帰って来ない…そんな気がしてならなかった しかし、群れに生きる以上戦いは義務である それに大切な人を守るために戦う事の大事さを繰り返し教えられて育ってきたまりさには止められなかった 「おとーしゃん…」 「どうしたのちびちゃん、あかちゃんことばになってるよ!」 「はやく…かえってきてね」 「ゆ!もちろんだよ!おとうさんならげすなんてあっというまにやっつけちゃうよ!」 これしか言えなかった 手近のお家から順に覗いていく しかし、パニックが起きてから暫く経つ、近所に残っていたゆっくりは少なかった それでもいっぱい(具体的には8体)集められた 「ゆ、それじゃみんなおさのところにいくよ!」 「「「「「「「えい、えい、ゆー!!!!!!!」」」」」」」 互いに鼓舞しあい今や敵地となった群れを進んでいく 慎重に敵の姿を探りながら行くが今の所、ゲスらしき物は居ない 「まちがいだったのかな…」 次第にはそんな事を言い出す始末 なんとか宥めながらなんとか長の所まで導いた 警戒なんてあったもんじゃない 「おさ?まりさだよ!しつれいするよ!」 返事も待たずお家へ入って行く しかしそこに「あった」物は… 「「「「「「「「おざああああああああ!?」」」」」」」」 体を食いちぎられたうえ、れいぷされたのか全身から餡子を流し、茎を生やしている長だった物だった 如何に体格が大きいとはいえ、所詮はぱちゅりー、もみあげで二,三体を道連れにするので精一杯だったようだ 「おさがゆっくりさせられたよ!」 「もうだめだよ!さっさとにげるよ!」 「おさぁぁぁぁぁ」 元々無い戦意がさらに下がっていく 「ゆ、でもまだぱちゅりーがいるよ!」 まだ若いが長老一粒種、厳しく躾けられ、親の威光無しに見ても次期長確実とされている それを担ぎ上げ、群れに統制を取り戻そうと考えたのだ 「そうだね!まだぱちゅりーがいたね!」 「ぱちゅりーさえいれば、あと…でもたたかえる!」 僅かな希望に盛り上がる中一人のれいむが言った 「ぱちゅ、りー?」 「うんそうだよ!あのぱちゅりーならおさのかわりになれるよ!」 そう言いながられいむの視線の先を追う 「………」 人はあまりの衝撃を受けると話せなくなるという ゆっくりでも同様の様だ 長が庇うように立ちふさがる奥にそれはあった 二/三程が食われて無くなっている、次期長の骸が 「「「「「「ぱぢゅりぃぃぃぃぃいいいいい」」」」」」 もう駄目だ… 群れを掌握できる人材はもう居ないだろう 群れの中心に位置している長が屠られている以上、その周辺に居住していた長老達も無事ではないだろう こうなったら、ここを捨てるしかもう道は無い 「みんな、ゆっくりきいてね、もうむれはおしまいだよ!」 「ゆゆゆゆゆ?」 「どぼじでそんなこというのぉぉぉぉぉ!?」 「嘘だっ!」 「それでどうするの?」 なんか違うの混じっていたような気がするけど…まあ、いいや 「みんなでげすのこないところにおひっこしするよ!」 「でも、とちゅうでおそわれちゃうよ…」 「あかちゃんは?まだちいさくてとおくにはいけないよ?」 「ごはんは?おひっこしのじゅんびなんてしてないよ?」 問題は山積みだ でもやらなければ死を待つだけだ それに今の調子でばらばらに逃げるのではただ被害を増やすだけ、何とかして一定以上の規模で疎開したい 「じゃあ、みんなはここにのこってげすとたたかうの?」 「ゆう、そうはいわないけど…」 という物も居れば 「ゆ!おさのかたきうちだよ!げすにめにものみせてやるんだよ!」 等と盛り上がっている物も居る 会議は踊る、むしろ転がる 理性的な考えが苦手で、感情的なゆっくりがそんなにすぐに纏まる訳が無い まりさはこの後何かあっても長にはなりたくないなと痛感していた 「とりあえず、おそとにでよう!おはなしはそれからだよ!」 強引にでも話を進ませる そうしないと何時までも此処でゆっくりすることになるからだ 玄関を抜けるとそこには絶望があった 沢山のゲスがいた 予想通り、長老達のお飾りを持っている個体が散見される 皆やられてしまったのだろう 「ゆああああああああ」 景気のいい事を言っていた個体までも悲鳴を上げる 「みんなにげるよ!」 その場から逃げ出した 幸い、ゲス達は奪った食料を貪ったり、れいぷするのに忙しかったりして追いかけては来なかった 「みんな、いそいでね!」 皆を急かした後、お家へ入る 「みんな、ゆっくりしないできいてね!」 「まりさ、どうしたの?」 只事ではない、そう察した 「おひっこしするよ!みんなでげすのこないところでゆっくりするよ!」 「だからどうして?」 「おさも、おさのぱちゅりーも、ちょーろーもみんなゆっくりしちゃったんだよ! だからおひっこしするんだよ!」 よく分からないがこれ以上問いかけている時間は無さそうだ 「おちびちゃん、おひっこしするよ!みんなでごはんさんもっていこうね!」 「「わかった(ちゃ)よ!」」 片っ端からご飯を口へ詰め込み、家を出た もう帰る事の無い、お家…ゆっくり出来ない気分で眺め振り切った 「みんな、じゅんびはできたね!おやまにいくよ!おやまならかくれるところがたくさんあるからだいじょうぶだよ!」 そう言って導いていく父まりさ しかし 「いきのいい、ゆっくりがいたんだぜ!」 「でいぶはしんぐるまざーなんだよ!ゆっくりごはんさんになってね!」 「にげられないんだよー、でもにげまわってたのしませてほしーんだよー、むごたらしくしんでね!」 無数のげす達が追いかけてくる このままじゃ逃げきれない! 「みんな、かぞくをまもるよ!いっしょにたたかってね!」 足止めするべく立ち止まり、他の一家の父親に一緒に戦うよう求める 「いやなのぜ!まりさはにげるのぜ!」 「れいむもにげるよ!かてないたたかいをするのはゆっくりできないよ!」 「かちめのないたたかいはとかいはじゃないわ!」 皆まりさを置いて逃げ出してしまった 「ゆううう、まりさひとりでもくいとめるよ!れいむはちびちゃんをおねがいね!」 「まりさ、だめだよ、いっしょににげよう!」 「だいじょうぶ、まりさはふじみなのぜ、おぼうしさんをれいむにあずけるから、かならずあとからおいつくのぜ」 危機を前に男性性が強くなったのか、ぜ言葉が出るまりさ 愛しのれいむにお帽子を押し付け後は振り返らず、げす達へ突っ込んでいく 「まりさ!…いぐよおちびちゃん、いそいでれいむのおくちにはいってね!」 こうなったらご飯どころではない 口に入れていた食糧を吐き出し、ちびちゃんを入れて跳ねる … どれくらい経っただろう、山へ入りしばしの休憩をとった すると声が近付いてきた 「にげられないんだよー!あきらめてねー!」 ちぇん! 一番厄介な奴が追いついてきた… (ゆう、れいむのあんよじゃ逃げきれないよ…) こうなったら… ちびちゃんたちの布団代わりに使っているまりさのお帽子を見つめる (やるしかないよ!…ゆふふ、たしかにおいつくね、まりさ…) 「ちびちゃん、いや、まりさ」 「なに?おかーさん?」 「これからおかーさんは…おかーさんはちょっとおはなししてくるよ おなじゆっくりだもん、はなせばわかるよ!」 「おかーしゃん…」 「だからちょっとのあいだれいむをおねがいするよ… おねーさんなんだからいもーとをゆっくりさせてあげてね! れいむ、おねーちゃんにわがままいっちゃだめだよ!」 「わかったよ、わかったからすぐかえってきてね!まりさとやくそくだよ!」 「わがみゃみゃいわにゃいよ!じゃからすぎゅかえってきてにぇ!」 「やくそくしたよ、だからふたりともゆっくりしてね!」 まりさの形見を目深にかぶり、茂みを飛び出していく 「れいみゅ…いくよ!」 「うん…」 「ゆがあああ、ゆっくりできないげすはじねええええええ」 凄まじい形相でちぇんに迫るれいむ 此処だけ見るとどちらが悪役か分からない その後夜を徹し、茂みに隠れながら逃げ続けた 分散したことが幸いしたのか、追手も分散し発見を免れた その後も山奥を目指し進み続ける 数日間逃げ続け、やっと雨宿りできそうな木の根元に落ち着く 何とか逃げ伸びる事は出来たようだ しかし、まだ狩りもできない子ども 草を食べて飢えをしのごうとした しかしまだ赤ゆに近いれいむの体はそれを受け付けなかった 家を出るときは真ん丸で可愛らしい赤ゆだったれいむ、今は見る影もなく萎んでしまった 「おねぇーしゃん…ゆっくりできなくて…ごめんね…」 「れいみゅ、れいみゅ!しんじゃだめだよ!ゆっくりしてね!」 懸命に声をかけ励まそうとする 「ごめんね…ごめんね…」 うわ言の様に繰り返し、最後に微かに痙攣を残し、れいむの短い生涯は終わった 「れいみゅうううううううううううう」 その後、数日間仔まりさの泣き声が途切れることはなかった 「ごべんねえええ、ゆっぐりざぜられなぐっで、ごべんねえええええ」 …… … その後小規模な群れの被害が相次ぎ、ようやく事態を重く見たどすたちにより群連合が締結された 各群れから抽出された精鋭で討伐軍が編成され、ゲス集団は壊滅していった ゲスの集団が消滅した今もその組織は残り、この地域の群の防衛にあたっている 「ごべんねえぇぇぇえ」 「おねえしゃん?おねえしゃん、ゆっくりしてね?」 ゆさゆさと体が揺すられる 「おねえしゃんだいじょうびゅ?」 「れいむ?」 「ゆ?ふりゃんだよ?」 「…」 しばし中に視線を彷徨わせる 「ゆ…ゆ!ごめんね、おこしちゃったかな?」 漸く状況が飲みこめた 夢を見ていたようだ 魘されて寝言を言ったらしい 「ううん、ねみゅれなかっちゃの…」 「そう、よかった…おひるねしすぎちゃったのかな?」 そうではない事は分かっているがその事を敢えて言うほど無神経ではない 「いっしょにすーやすーやしようね…ゆ、おうたさんうたってあげるよ」 ♪~ 柔らかな音色が紡がれていく (このこはぜったいにゆっくりさせるよ!れいむみたいにはぜったいしないよ、だからみまもっててね…れーみゅ…) 今度こそ二人は安息の世界へと沈みこんでいく… まりさとふらんが出会ってからもう一月近くたった 毎日草むら周辺をうろついて親ふらんの迎えを待っているが、いまだ邂逅を果たせていない もう待つのは限界だ、冬支度を始めなければならない 特にふらんが好きな茸はかなり少なくなっていた 「ふらん、今日はおねーさんと一緒に茸さん狩りに行こう!」 「ゆう?きのこしゃん?いきゅー」 「ゆん、じゃあ、おねーさんのおぼうしさんにのってね!ちょっととおくにいくよ!」 「おぼうしさんにのりゅの?」 「そうだよー、ゆいしょっと」 お帽子の縁にふらんを載せる 「ゆわああ、たきゃいよぉ、ふりゃんおそりゃをとんでるみちゃい」 「ゆふふ、どう?おちびちゃんきもちいい?」 「うん、きもちいい…」 羽に風を受け、まるで飛ぶような仕草をする 「ゆふふ、それじゃあ、おちないようにしっかりつかまっててね!」 「う~♪」 跳ねる事によって増した風にうっとりとして、ご機嫌な声が出る (ゆふふ、ちびちゃんゆっくりしてるね!) 「さあ、ついたよ!」 何時も茸をとる辺りに着いた ちびちゃんがはしゃぐもんだからつい張り切って跳ねてしまった 帰りはゆっくり帰ろう… 「きょきょでとりゅの?」 「そうだよー、こうしてね、木さんのしたとかにね、よくあるんだよー」 瞬く間に次々と茸を見つけて行く ふらんの目には何もないように見えたのにあっという間に集まっていく 「しゅごいよ!おねえしゃんしゅごいよ!」 「ゆへん、でもなれればちびちゃんにもすぐにできるようになるよ!」 「う~、ふりゃん、がんばりゅ!」 お帽子の上からきょろきょろとあたりを見回す 「おねーしゃん、あっちにきれいなきのこしゃんがありゅよ!」 「ゆー、どれどれ、…ゆう、ちびちゃんこのきのこさんはたべられないよ」 「そうにゃの?」 「たべるとあんこさんはくのがとまらなくなってゆっくりできないんだよ! ちびちゃんもきをつけてね!おねーちゃんもいっかいたべてひどいめにあったよ!」 「ゆゆ!?きょわいよ…」 「たべなければだいじょうぶだよ、あんしんしてね」 震えるふらんをあやす様にお帽子を跳ねさせ、高い高いをする 「うー!ふりゃんおしょらをとんじぇるみちゃい!」 山の天気の様に目まぐるしく変化するふらんの表情 まりさにはそんなちびちゃんが可愛らしくてたまらなかった 遊んでるんだか狩りしてるんだか、兎に角茸を集めて行く そうしていると近くにゆっくりの気配を感じた 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅちちていってね!」 この辺は偶に他のゆっくりと会う 過去の記憶からゆっくり嫌いを患っているまりさだがちゃんと挨拶を交わす まねしてふらんもちぇんに声を投げかける まりさに仔が居るなどとは思いもよらなかったから驚き帽子の上に視線を向ける 「ゆぴ!?ふ、ふらん!?」 お帽子に載せたふらんを見るなりちぇんは顔を強張らせた 「そうだよー、まりさのおちびちゃんだよ!ゆっくりしてるでしょ?」 「う、うん…そ、それじゃ、ちぇんはようじがあるからさよならーだよー」 そう言うなり逃げ出すように跳ねて行く 「ゆう?にゃんだったの?」 「わからないよー、ゆっくりできないこだったんだろうねー」 「おねーしゃん…」 ちぇんの口癖を真似てみると不安げな顔をしていたふらんの顔に笑顔が戻る (なんだったんだろう) そう思いつつ狩りを続けた 間もなく冬だ、もっと沢山のご飯を集めないと! 暫く跳ねていると茸だけでなく、色々な木の実も沢山見つけられた お帽子の中に獲物を詰めているとふらんも真似してYUN帽に詰めようとする しかし、底が浅くて僅かな量しか入らない 「ゆう、おねーしゃんのおぼうししゃんすごいよ! ごはんしゃんたくさんはいるし、ふりゃんものれりゅよ! ふりゃんもおねーしゃんみたいなおぼうしさんほしいよ!」 などと駄々をこね始めた 「ちびちゅんのおぼうしさんもかわいくってとってもゆっくりしてるよ! もっとおおきくなったらいっぱいごはんさんつめられるよ!」 と宥める まりさ自身も昔、お父さんに同じような事をよく言ったものだ しかしちゃんと大きくなって詰められるようになった 形は違うけど多分ちゃんと出来る様になるだろう そんな実感の籠った言葉を聞き機嫌を直す 「ゆ!ふりゃんもはやくおおききゅなりゅよ!」 「ゆふふ、たのしみにしてるよ…」 そうなったら別れの日は近い その時を想像してまりさはちょっと泣きそうになる 「ゆ~!きのこしゃんもっとさがしゅよ!」 しんみりしていると先にふらんが行ってしまった 「まってね!」 「はやきゅ、おねーしゃん!」 追いかけると更に逃げ、追いかけっこへ発展していった 恵みの秋はまたたく間に過ぎ去り、 冬は次第に深さを増していく… 出会ってから半年以上が経ち、冬を越し春を迎えた 久しぶりに外に出るとはしゃいで飛び回った 冬の間にすっかり成長し、赤ゆから仔ゆっくりへと成長を果たしていた 羽をぐんと伸ばして伸びをすると何だか飛べそうな気がしてきた 「ゆ!ふらん、おそらをとんでるよ!」 気がするだけではない、実際に飛んでいた それを見たまりさは仰天する 「おちびちゃんがおそらをとんでる!!!!」 「みてみておねーちゃん!」 驚くまりさを見て調子に乗って輪を描いて飛び、そばへ下りた 「すごいよ、おちびちゃん!まりさおそらをとぶゆっくりなんてみたことがないよ!」 興奮して頬を擦りつける 「あつい、あついよおねえちゃん!」 あまりに気を入れてすーりすーりをしたものだから、頬が熱を持ったのだ 「ごめんね、おちびちゃん」 ちょっと赤くなった頬をペーろぺーろしてあげる 「ゆうううう♪~」 半ベソかいていたがすぐに機嫌を直す ころころと笑顔を浮かべるのを見て、ぺろぺろをやめて言った 「それじゃあ、おちびちゃん、おねーちゃんかりにいってくるよ!」 そろそろ一人でいても大丈夫だろう 連れて行きたいがまだ雪解けから間もない、 「うん、ふらんおるすばんしてるよ!」 「とおくにいっちゃだめだよ!かわさんはあぶないからちかづいちゃだめだよ!」 念を押してから狩り場へと出かけて行った しかし、駄目と言われればやりたくなるのが子供と言う物 ちょっとだけならと川へ行ってしまった 「ゆう、すごいよ!」 雪解けを集めて速し、どっかの川 一時程ではないがまだまだ流量は多い 河原へ下りて行くとじんわりと水っけがあんよへ伝わってくる 「ちゅべたいっ!」 あんよも冷たいし、おねーさんにも注意されているしもう帰ろうと思った時 ふらんの目にある物が映った 「ゆう?」 そっと摘みあげる 「ゆああ、きれいだよ!ふらんのたからものにするよ!」 狩りを終えて帰って来たまりさを何も無いかったかの様に出迎える 「おちびちゃん、とおくにいってたね!」 あんよについた泥を見咎められ、怒られた 「もう、とおくへいかないよ。ゆるじてぇ」 泣きながら謝り、その後二人でご飯を食べた 何事もない(今日はあったけど)平穏な日々、今日からまた続くと信じていた …… … だが、その日は唐突に訪れた 群との交流が無いまりさの巣に5体ものゆっくりが訪れたのだ どうしても話したい事がある、だから子供を連れてついて来て欲しいと彼らは言う 善良そうな顔をしていて、手土産のご飯も沢山渡され 何より、来なければどうなるか、と声に出さずに凄んでくる 1対5では勝ち目が無い 何とか穏便に済ませようと要求をのみ、ふらんを連れ巣を出た そして彼らは言った 「ふらんをわたせ」 何故自分のおちびちゃんを取り上げようとするのかと語尾を荒げると 「ふらんはゆっくりをたべるゆっくり、そんなあくまのようなゆっくりがちかくにいられるとこまる」 「れみりゃいじょうのかいりきをほこるばけもの、おとなになられたらてにおえない」 「ゆっくりにとってしにがみのようなものだ、あれのおやをころすにもただいなひがいがでた」 ちびちゃんのお母さんを殺したのはお前たちか! 怒りにわなわなと体が震える 「ははおやだけではない、ちちおやもだ」 一体が誇らしげに言う ふらんに勝ったのだ、誇らしくないはずが無い 「はねなしだからなんとかてにおえた」 「はねなしのゆっくりしてないこだからみすててもしかたがない」 「はねなしでかりもできないおやだった、だからそいつはほんとうはもうしんでいたはずだ」 「そうだったはずをそうにするだけ、きにやむことはない」 親ふらんを悪しざまに侮蔑しながら説得しようとして来る その顔にはゆっくりしてない親から生まれたゆっくりしてない子どもを何故わざわざ育てようとするのか、という拭い切れない差別意識があった まりさには羽無しの意味は分からなかったが、兎に角ふらんのお母さんを見下しているのは分かる 不完全な物を嫌うゆっくり、生まれつき羽が無い奇形は捕食種と言えど軽侮の対象らしい これ以上をちびちゃんに聞かせられない そう思い、少しの間離れているように言った だがそれだけではない まりさの心にふらんを見捨ててゆっくりしたい 元々見ず知らずの仔だ、命をかけて守る必要はない そんな気持ちが生まれ、そばに居られなくなったからだ 「それにしてもゆっくりをくらい、そらをかけるゆっくりがじべたをはいずり、きのこやらくさやらをすにはこんでいくのはあわれだったぜ」 茸…そうかなんでちびちゃんが茸が好きだったのか それは親の愛情そのものの味、ゆっくりできる記憶が刺激されたんだろう その後も散々罵り、子供を見捨てることの正当さをまくしたてたのち、最後にこう言った 「ゆ、まりさはまいごのちびちゃんをそだててあげる、とってもゆっくりしたゆっくりだよ! だからおとなしくふらんをわたせばまりさにはなにもしないよ!」 「まりさたちはむれをだいひょーするしこゆなんだよ!つよいんだよ!おとなしくゆうこときいてね!」 こいつらは善良だ 大人しく言う事を聞き、ふらんを渡せば間違いなく自分を見逃すだろう 死ぬのは怖い ゆっくりしたい しかし… 不意に虚空へ今は亡き家族の顔が投影される お父さんだ (まりさの弱虫さんを叱っているのかな…すごく怖い顔だよ…) お母さんだ (まりさの卑怯を悲しんでいるのかな…すごく悲しそうだよ…) れいむだ いや、これは… (まりさの顔だ、それも小さいときの… 泣いてるの?怒ってるの?どうしてそんな顔をしてるの?) ああ、これは…またやるの?たいせつなひとをまたしなせるの?…憤っているんだ 最後に…ふらんの顔が浮かんだ 寝ている時、食べている時、一緒に遊んだ時、他愛のない顔ばかり思い出す 死神…悪魔… れみりゃ以上の化け物…ゆっくりの天敵 (だけど、だけど、だけど!ふらんはまりさのこだよ!) そう思い定めた直後、虚空に浮かぶ顔は無数の笑顔に変わった それが正しいと言わんばかりに 「ふらんは…わたさないよ!まりさはふらんのおかあさんだよ、なにがあってもぜったいにまもるんだよ! ふらんをわたせばみのがす? ばかなの?しぬの? じぶんのおちびちゃんをみすてていきのびるゆっくりがどこにいるの? はじをしってよね!ゆっくりできないよ!」 言ってしまった それを聞いたふらんの目から涙が溢れる 「ちび、にげろおおお」 ふらんの涙に違うものが混じる この言葉は偶然だろうが親ふらんがふらんに掛けた最後の言葉と同じだったからだ 逃げるふらんを背中で見ながらゆっくりと正対する 捕食種とやらを狩るほどの手慣れだ まず助からないだろう しかし、後悔は微塵もない もし生まれ変わりとやらが実在したとしてもまた同じ選択をするだろう それほどまでにこれが正しい事だと信じた そして…ゆっくりの信じる気持ちは力となる…! 「ゆああああああああ!!!」 多勢に無勢しかし果敢に挑んでいく ばぐん! 「ゆっぎいいいいい、あでぃずのおべべがあああああ」 一番手近に居た「饅頭」の目を噛み千切る 力が籠り過ぎていたせいか、ありすの大きくなった眼窩には何本か砕けた歯が残る この瞬間まりさはゆっくりではない化け物となったのだろう 「ゆがああああああああああああ!!!!」 どこん! 「ゆべえ、あぁぁ、ごほぅ、わがらないよー」 自身の体にも亀裂が走るほどの体当たりをかます 開いた傷口から餡子が流れる だが、痛みなど最早感じない すると 「ゆぎいいぃい?」 「ゆっくりできないばけものはさっさとしんでね!」 「おねえちゃん?」 その悲鳴を聞き思わず立ち止まるふらん 「ぐるなあああ、いげええええええ」 怒鳴り、追い返す 背中に違和感を感じる… ああ、刺されたんだ… これが枝さんの感触、いや、死の感触 だが 「ゆうううああああああああああ!!!」 渾身の力でそれを払う 今はまだお前はお呼びじゃない! 「へ、へいふほおふひは…」 「があああああ」 「ゆべっ…」 やたら口のでかい「饅頭」を潰し、次の敵を探す まだだ、まだ二匹いるはず! 横合いから旋風の様にやや小ぶりな影が襲う 「よくもみんなをぉおぉ!!!」 みょんの振り下ろすけんがまりさの眼球を砕く 普通のゆっくりならこれで怯む、間違ってはいない しかし…死を悟ったゆっくりが眼球一つで怯むわけがない 死を覚悟したゆっくりと戦った事が無い、それが致命的だった 「おああああああああ!!」 もはやゆっくり特有のゆ付きの叫びですらなくなった咆哮を上げ、怯むみょんに体当たりをかける 「ゆああああ、おびょ」 恐怖のあまり躱す事を忘れ青眼に構えたまま固まっていた そこに体当たりを受けたのだから、そのまま咽喉の奥まで突き刺さる 無論まりさも唯では済まなかった あごの下から突きぬけ、貫通したけんは口内で僅かに残っていた歯列を歯肉ごと吹き飛ばした あと…あと一人… 「うぱあぁぁ」 側面から刺された みょんの様な怯ます剣筋ではない、殺意の塊の一撃 こいつは… 「まりざああああああ」 突き破れよ、とばかりに突き刺されたけんに向け力を込めた 自棄になった訳ではない その方角には… 「ゆべ!?」 地肌がむき出しな崖があった 崖に叩き付けられ、さしものまりさも口からけんを離す しかし今の自分の力ではもう潰せない でも あとちょっと あとちょっと力が加われば! 「ゆぐ、へへそんなたいあたりきかないのぜ?」 余裕を取り戻したまりさが挑発する 「ゆぐ、ぐふぁ…ならまりさがてほんをみせてみるといい「のぜ」?」 オウム返しというのは案外効くものだ、特に餡子脳なゆっくりならば 自分の語尾をからかわれていきり立ったまりさは襤褸雑巾になったまりさに体当たりする それが罠とも気が付かずに 「ゆべええええ」 攻撃が当たるなり、大量の餡子を噴き出す 口からだけでなく、全身の傷から流れる 「それだけあんこさんはけばもうおしまいなのぜ。もうあきらめるのぜ、まりさはよくたたかったのぜ…」 ニヤ 親まりさが正にゆっくりらしいニヤけ面を浮かべる 「そうそう、あきらめどきがかんじんなのz」 「ぐおおああああああああああ!!」 勝利を確信した憎たらしい面に齧り付く 「むだなのz…ゆ?なんのおと?」 ずずずと何かが滑る音が聞こえる まりさ!上から来るぞ! 「うえ?」 上をみると大きな岩(人間目線では石)が滑り落ちてくる 「はなぜええええええ」 渾身の力を込めて親まりさを引き離そうとする 「やだよ!そんなたのみは…きけないよ!」 「ゆがああああああああああはなぜえええええええええ」 執念勝ちかまりさが親まりさを剥がすのに成功した だが時すでに遅し 「やっt」 ずん! まりさの体に深々と石が突き刺さり、そして裂ける 勝った… しかしもう動けそうにない ちびちゃんは逃げ延びただろうか… 追手がこれだけならいいんだけど そしてゆっくりと視界が狭まり、全てが暗黒へ包まれようとした時 機能を停止しようとしていたまりさの目に小さな影が飛び込んできた 「ふ、らん…きちゃだめって…にげてっていったでしょ…」 「でも、でもおねえちゃんがしんぱいだったの」 「しかたないこだね…ほら…なかないで…ゆっくりできないこたちは…もういないよ…」 「おねえじゃん…」 ああ、泣かないで… でももうすーりすーりもペーろぺーろもできない… できないよ… どうしたら… … そうだ… 「ふらん…」 「にゃ…に゛?」 「まえ…ほしが…てた…まりさ…のいちば…んだいじ…なおぼうしさ…んあげる…よ…だから…なきやんでね…」 「おねええじゃんん」 これを受け取ってしまったら、すぐにまりさがゆっくりしてしまうのではないかと思えて受取れなかった 「ふら…おぼ…し…まりさ…おも…て…ゆ…くりして…ね…」 「やじゃ、やじゃよ、おねえじゃんとずっといっしょにいるううう おねえじゃんしんじゃやだあああああ」 「も…とゆっ…りさせたか…た…ごめんね…」 ゆっくりしたかったではない、ゆっくりさせたかった そう最後に残し、静かに痙攣して、やがて止まった まりさの命は燃え尽き、体はゆっくりと唯の餡子へと還って往く 徐々に失われていくゆっくりとしての存在を感じ、ふらんの体が弛緩する するとふらんのお帽子が脱げてしまい、転がる ゆっくりにとって命と同程度の価値を持つお飾り、しかし今はそれに気をかけることすらなかった そしてその中から或る物が顔を覗かせる… 「あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 それは…水晶 一緒に永遠にゆっくりしようと「えんげーじりんぐ」としてまりさに渡そうとしていたもの… もう渡せない もう一緒にゆっくりできない もう…まりさは居ない もう、もう、もう、もうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもう!!!!!! 幼い子供が親に向ける無垢な愛情 そう言うには彼女のそれは深すぎた… 可愛い時計、またまた泣いてる 優しい発条、ただただ見てる 時計と発条、離れ離れ 可愛い時計、もう動かない 作者です 最後までお読みいただき、ありがとうございます 何か前篇後篇と言いながら、明らかに分量が変ですね 一つに纏めるか、前中後に別けるべきでした 前作コメントより 愛ででもいける ありがとうございます 実はこの話、元々の題は「ふらまり」で ただまったりとした愛で話のつもりでネタづくりしていました しかし、ちょっと魔が差しちゃいましてこんな話になりました どうしてこうなった… ではまた二部でお会いしましょう 追記 あと、この連話を書き終えたら名前を持とうかと思ってます 現在は一作目の名から観察あきとなっています それがいい、もしくはこっちの名の方がいい! というご意見ありましたらよろしくお願いします ふたば系ゆっくりいじめ 468 ありす観察日誌 ふたば系ゆっくりいじめ 556 ゆっくりこしていってね! ふたば系ゆっくりいじめ 606 うんうん ふたば系ゆっくりいじめ 620 ゆうかを量産工場 ふたば系ゆっくりいじめ 626 U.N.オーエンは彼女なのか?前半 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 途中でひぐらしが鳴いたような気がするwww そして、「ゆっくりさせたかった 」って言ったゆっくりは初めて見たかも。 イイハナシダナー。 -- 2018-04-12 21 18 38 魔理沙(フランと暮らしていた)がくれた帽子をフランは被って魔理沙として生きるのか、 はたまた魔理沙の形見として、お墓を作るか、大事に保管するのか・・・ 気になって仕方が無い。後最後まで読んだ結果泣きそうになった。 -- 2017-08-05 22 37 28 >「やだよ!そんなたのみは…きけないよ!」 英国無双のペンウッド卿じゃないですか! -- 2012-12-31 16 37 08 メッチャおもしろかったー わがまま言うとゲスの群が壊滅するとこが見たかった -- 2011-08-12 07 20 11 かんどーですね -- 2011-07-09 01 15 16 めっちゃ面白かった!感動SSもいいもんだな -- 2011-03-08 11 38 35 このふらんはまりさとして生きるのかな -- 2010-11-01 15 08 15
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注意 ・ある作品のIFストーリーになります。 ・悪い人間が登場します。 ・現代ものです 以上のことを踏まえて、お読みください。 悪い奴 ―――某店内 「ありがとうございました。またお越しくださいませ」 「ゆっ、またくるんだぜ」 「おとーちゃん!!ゆっくりおうちにかえろうね!!」 「ゆー!!れいみゅ、あまあまさん、たのしみだよー!!」 引き攣った笑顔を浮かべるバイトの青年をしり目に、親まりさ、親れいむ、そして、子れいむ、子まりさの一家は、店で買ったドーナッツの入った箱を頭に載せ、お持ち帰りした。 「…たくっ、なんなんだよ。今日は散々だよ」 まりさ一家が店からいなくなると、愚痴をこぼすバイトの青年だったが、無理もない。 なにしろ、あの一家に振り回されたあげく、意地の悪い嫌がらせまで受けたのだ。 思い出すだけで、腹立たしいはずだ…。 「よぉ、散々だったな、にいちゃん」 「あ。すみません!!お客様ですか、お待たせしました!!」 「いいよいいよ。ありゃあ、ムカついてしょうがないから…それと」 いつの間にか、新しいお客―――派手なアロハシャツを着た30代前後の男がいることに、バイトの青年は慌てて、頭を下げた。 男の方も、青年の対応に感心し、まあまあと宥めながら、あるお願いをした。 「なあ、謝るついでに、頼みたいことがあるんだけど、いいか?」 「ん?何でしょうか、お客様?」 「ああ、実は―――」 男がバイトの青年にお願いしたこととは―――。 店を出て、30分後、まりさ一家は、裏路地にある段ボールの巣箱に戻っていた。 「ゆーやっと、ついたよ。おちびちゃんたち、もうすぐあまあまさんたべられるからね」 「いっしょに、ゆっくりたべようね!!」 「「ゆーたのちみー!!」」 苦労して集めたお金で買ったあまあまさんが、食べられると、子れいむと子まりさは、喜びの声を上げ、親まりさと親れいむは、ゆっくりした表情で笑みを浮かべていた。 まあ… 「このあまあまさん、俺が貰っちゃうよっと」 「「「「ゆ?ゆー!!!」」」」 ―――その幸せを、まりさ一家を追いかけてきたあのアロハシャツを着た男にぶち壊されるわけなのだが…。 「なにするの!!それは、まりさたちがかったあまあまさんだよ!!」 「ゆっくりしないで、かえしてね!!」 「「かえちてね!!」」 男の手に握られたドーナッツの箱を見つけ、男にあまあまさんを取られたと理解し、怒り心頭で男を睨みつけるまりさ一家だったが、男は、そんな一家の威嚇を無視して、ニヤニヤとドーナッツの入った箱を物色し始めた。 「おー結構買ったんだねvつまみ食いもしてないみたいだし、えらいねーv」 「ゆがああああああ!!きたないてで、ざわるな、くそじじいいいい!!」 「ゆー!!かえさないなら、ゆっくりしないでしんでね!!」 「「やっちゃえ、おとーちゃん!!おかーちゃん!!」」 男の態度に腹を立てた親まりさと親れいむが、子れいむと子まりさの声援を受けて、男の足に目掛けて、体当たりを仕掛けた。 男は、飛びかかってくる親まりさと親れいむを一瞥すると… 「邪魔だよ、君ら」 「「ゆ?っゆぎゃああああああああああ!!」」 邪魔の一言で、男は、飛びかかってくる親まりさを渾身の力で蹴りつけ、壁にたたきつけると、そのまま一気に、後に続く親れいむの頭を踏みつけた。 「いだいいいいいい!!ばりざの、ぎれいなおがおがああああ!!」 「お、おぼい…おにいざん、どいで、でいぶ、つぶれ…」 「ん?何言っての、潰すに決まってるじゃない」 「ゆっ―!!このくちょじじい!!おかーちゃんをふみつけるなぁー!!」 「まりちゃ!!」 男に蹴られた親まりさは、歯を何本か折られ、右目を潰され、靴痕が痛々しく顔面に残った親まりさが、悲鳴を上げ、のた打ち回り、親れいむは、男に踏みつぶされないよう必死でもがいていた。 そんな両親を助けようと、子まりさが無謀にも母親であるれいむを踏みつける男に飛びかかった。 そして… 「はい。君、もみじおろしねv」 「ゆっ!!まりさ、おそらとん、っでええええでででえででぃいいいいいじゃああああいいいいいい――――っ!!」 「おちびぢゃああああああん!!やべでぇえええええ!!」 男は、飛びかかってきた子まりさを片手でつかむと、子まりさの顔を壁に押し付け、そのまま一気に壁に擦りつけ、削り落すと、そのまま、親れいむの前に叩きつけた。 「はいv感動のご対面だねーv顔ないけど」 「ゆがあああああああ!!でいぶのかわいいおち、ぶちゃぁあああああ!!!」 「でいぶううううううう!!!!!」 顔を削り落され、無残に死んだ子まりさの姿を泣き叫ぶ親れいむだったが、男はあっさりと親れいむを踏みつぶした。 きれいなおめめは、勢いよく飛び出し、壁に叩きつけられ、穴という穴から餡子を噴き出して、親れいむは、無残に殺された。 妻と子供をあっけなく殺された親まりさが、喉が避けんばかりに叫んだ。 なぜだ!!どうして、あまあまさんだけじゃなく、かわいいおちびちゃんやれいむをころすんだ!!と、言わんばかりに… 「さて、邪魔が入る前に、さっさと…ん?」 「ゆ!!こっちだよ、あおいおにいさん!!ここにいるんだよ!!」 「あ、ほんとにいたよ…おい、あんた、ここで何をしてるんだ?」 「ゆ!!(やったぜ、おちびちゃん!!)」 親れいむを踏みつぶして満足したのか、男はそのまま裏路地から立ち去ろうとした瞬間、予想外の足止めを食らうことになった。 目の前には、いつのまにか助けを求めに飛び出した子れいむと、子れいむに助けを求められた青い服をきたおにいさん―――若い警察官がいた。 あおいおにいさんはゆっくりできないわるいやつをつかまえるんだと教えられた親まりさは、子まりさとれいむを殺した男―――悪い奴がせっさいされるんだと確信した。 しかし… 「んーいや、こいつらが、俺の買ったドーナッツを強奪したんで取り返してただけですよ。俺が眼を離したすき、箱を咥えて盗むんですから、最低ですよ」 「へ?」 「ゆ?なにいっでるのおおおお!!ぞれは、まりざがおかねさんをだしてかったあまあまさんだよおおおおお!!」 男の出まかせに、親まりさは声を上げて、抗議した。 れいむやおちびちゃんを殺しただけに飽き足らず、まりさ達が苦労して集めたお金で買ったドーナッツを、自分のものだと言い張る男に対し、親まりさは怒りをあらわにした。 対する警察官は、どっちの言い分が正しいのか、頭を悩めていた。 「あおいおにいざん!!みせのおにいざんにきけばわかるよ!!ばりざが、あまあまさんかったって!!」 「ああ、それはいいね。じゃあ、確認してみてくださいよ。ほら、これが番号です」 「ふむ…分かった。ちょっと待っていてください」 男に手渡された店の電話番号が書かれたメモを確認し、警察官は裏路地から出ると、すぐさま、店に電話をかけた。 数秒後、電話がつながり、店に事情を伝え、確認を取った警察官が、険しい顔をして、戻ってきた。 「確認が取れました。間違いありませんでした。あのドーナッツは…」 (ゆ、もちろんまりさたちのにきまってるんだぜ。ちゃんと、おかねさんをだして―――<あなたのものでした。お手数おかけしました>―――とうぜん、なんだ…ぜ?) 店から確認を取った警察官が頭を下げたのは、まりさ達のあまあまさんを奪い、子まりさやれいむを殺したあのアロハシャツを着た男だった。 納得できない親まりさが、警察官にくってかかった。 「どぼじで、このぐぞじじいにあたまさげるのおおおお!!みぜのおにいざんに、ぢゃんとぎいたでしょおおおお!!」 「ああ、きちんと確認したよ。バイトの青年がいってたよ。君達一家が、その人からドーナッツを盗むのを見たって。まったく、とんでもない嘘吐き饅頭だな、お前ら」 「ぞんな…ばりざは、ぢゃんど…おかねざん、ばらっだんだぜ…」 冷たい目で親まりさを睨めつける警察官の言葉に、親まりさは、愕然と震えるしかなかった。 なにが、どうなったんだぜ…ちゃんとおかねさん、はらったんだぜ…。 わなわなと震える親まりさは、ただ理不尽な展開に立ち尽くすしかなかった。 「では、私は、これで…失礼しました!!」 「おう、気をつけてな。もうちょっと、肩の力抜けよー」 「あなたの場合、気楽過ぎるんですよ…」 親まりさを一瞥した後、警察官は後のことを男にまかせ、きちんと敬礼してから、男の軽口を流しつつ、その場を後にした。 裏路地に残ったのは、ドーナッツを奪ったアロハシャツを着た男と、訳が分からず愕然とする親まりさ…そして――― 「さて、俺もさっさと帰りたいところだけど…お前にはお仕置きが必要だな」 「ゆ、やめちぇ…おにいさん。れいみゅをいじめないで…」 「ああ、安心して。虐めるつもりはないから」 守ってくれる者がいなくなったことを知り、震えながら後ずさる子れいむに対し、男は笑顔で答えた。 「殺すけどね」 「ゆ、ゆああああああああああああ!!たぢゅげでええええええ!!れいみゅ、しにちゃくないいいいいいいいぃぃ!!」 必死に逃げだそうともがく子れいむを掴みあげると、男は、放心状態の親まりさには目もくれず、裏路地を後にした。 裏路地のすぐ近くでは、電車が踏切を通過していた。 ある日、まりさ一家は、ある店で、ドーナッツを買った。 家に帰る途中、通りがかった男が、まりさ一家のドーナッツを奪った。 抗議するまりさ一家に対し、男は、子まりさを壁にたたきつけ、潰し、泣き叫ぶ親れいむを踏みつぶした。 親まりさは、偶然通りがかった警察官に助けを求めたが、警察官が男と2,3会話し、携帯電話で、連絡を取ると、警察官は笑顔でその場を去った。 なぜ、だろう?
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『願いを叶える神社』 ある公園の奧には、ゆっくりがあまあまをささげて願い事をするとその願い事を叶えてくれる神社があるという。 ☆ ☆ ☆ 辺りを気にしながら一匹のまりさが公園に入る。 ひたすら公園の奧を目指して進むまりさまりさの前に小さな鳥居が現れた。 その下で一端立ち止まると、何かをふりはらうように頭を振り鳥居をくぐる。 鳥居の柱にはこう書かれていた。 「ゆっくりじんじゃ。あまあまとひきかえにおねがいをかなえるよ!ゆっくりしていってね」 鳥居の奥に進むと「あまあまはここにおいてね」と書かれた小さな木の箱があった。 まりさは口にくわえていた小さな飴玉をそこに置き大声で叫ぶ。 「ゆっくりのかみさま!あまあまをあげるからまりさのおねがいをきいてほしいぜ!」 するどこからともなく『おまえの願いはなんだ?申してみよ』と重々しい声が響いた。 「うわああああ!だれもいないのにこえがするんだぜ!」 『その言いぐさはなんだ?おまえが呼んだのだろう?用がないなら消えるが』 「ひょっとしてゆっくりのかみさまなのか?」 『そうじゃ』 「だったらかみさまにおねがいするぜ。そこにおいたあまあまとひきかえに まりさのおくさんのれいむをけしてほしいぜ」 『なぜそのような事を望むのだ?理由を申してみよ。私が納得できる理由がなければお前の望みを叶える事は出来ないぞ』 「まりさはもときんばっちのかいゆっくりだったんだぜ。でもかいぬしさんから 『お前隠れゲスでしょう?もうばれてるから』っていわれてすてられたんだぜ。 まりさはゆうしゅうだからすぐにのらゆっくりとしてくらせるようになって おくさんのれいむもてにいれたんだぜ。 そんなまりさがこうえんでかりをしていたら、かいゆっくりのありすにあいをこくはくされたんだぜ。 まりさにはおくさんがいるから、ありすのあいをうけいれられないってことわったんだけど、 ありすのかいぬしのにんげんさんさんがきて 『うちのありすがどうしてもおまえと番になりたいって言っている。 ありすに聞いたがお前元金バッチの飼いゆっくりだっだそうじゃないか。 それなら躾る手間もないし、お前えよければまた飼いゆっくりにしてやってもいいがどうする?』てきかれたんだぜ。 れいむはすきだけど、まりさはやっぱりかいゆっくりにもどりたいんだぜ。 でもなんのおちどもないれいむにりこんはきりだせないし、 こんなことがばれたらいまいるむれのなかまからせいっさいをうけるかもしれないんだぜ。 だからゆっくりのかみさまにれいむをけしてくれるようおねがいにきたんだぜ」 『わかった。願いを叶えよう。明日お日様が高くぼったらそのれいむを連れてここに来なさい』 その言葉を聞いたまりさはうれしそうに帰っていく。 翌日まりさはれいむをつれて再び現れた 「まりさ。ここにほんとうにあまあまさんがたくさんあるの?」 「そうだぜ。れいむはおっとをしんじられないのか?」 「そんなことはないけど・・・さいきんれいむへんだったから」 「それはおちびちゃんがおなかにいるかわいいれいむに、いっぱいえいようをつけてほしくて あちこちおいしいものをさがしていたからだぜ。ここでみつけたあまあまもほんとうはおうちまではこびたかったんだけど あまりにいっぱいあってまりさひとりではこびきれないから、れいむにてつだってもらおうとおもって こうしていっしょにきてもらったんだぜ。だかられいむはあまあまをいっぱいたべてげんきなおちびちゃんをうむんだぜ」 「ゆゆーん。うれしいよ。まりさはせかいいちのおっとだね」 「てれるのぜ。あまあまはこのおくにあるぜ」 まりさはれいむと一緒に鳥居をくぐる。 するとその先にはまりさの浮気相手であるありすが立っていた。 まりさに気が付いたありすはうれしそうにぴょんぴょん駆け寄ってくる。 「まりさ。こんなところであえるなんてうれしいよ。やっぱりわたしたちはうんめいのしろいかすたーどでむすばれているのね」 「うわあああああ。なんでありすがこんなところにいるの?」 「いつものおさんぽよ。かいぬしのおにいさんもいっしょにいるわ。ところでとなりのれいむはだれなの?」 「れいむはまりさのおくさんだよ」 「まりさ。まりさはありすにおくさんとはりこんしたっていってたわよね?あれはうそだったの?」 「ううう...そ、それは」 「ありすはなにをいっているの?れいむのおなかにはまりさのかわいいおちびちゃんがいるのに りこんなんかしないよ。ゆっくりりかいしてね」 「ありすはそんなはなしきいてないよ。まりさはいつもれいむのことを 『おうたはへたくそだし、かりもかじもろくにできないくせにもんくばかりいっている でいぶなんかより、かいゆっくりでとかいはなありすのほうがずっとすきだ』っていっていたよ」 「まりさそれはほんとうなの?」 「だからまりさはありすとけっこんしておにいさんのかいゆっくりになるんだよ。 そしてにんげんさんのゆっくりぷれいすでゆっくりしてあまあまをたくさんたべて、いっぱりすっきりして とかいはなおちびちゃんをたくさんつくるんだよ。つかいふるしのでいぶはもうようずみなんだから、ゆっくりりかいしてね」 「ゆぎぎぎぎ~じ、じねえ!でいぶにそんなことをいうありずはじねえええええ!」 突進してくるれいむを軽く交わしたありすは 「すううううう・・・」と大きく深呼吸をすると「たすけてえ!おにいさん!」と大声で叫んだ。 その声に答えるように絶妙なタイミングで現れた飼い主のお兄さんに、ありすは泣きながらしがみつく。 「ありす一体どうしたんだ?」 「おにいさん!このきたないのらのでいぶがありすのことをせいっさいしようとしたの」 「なんだって!お前!野良の分際で飼いゆっくりに手を出したらどうなるか分かっているな? となりにいるのはまりさじゃないか?こんな所でどうしたんだ?」 「それについては、ありすがせつめいするわ」 ありすの話を聞いた人間は 「それならいい考えがある。まりさ、おまえ飼いゆっくりになりたいんだろう? そのでいぶを制裁しろ。おれの飼いゆっくりに手を出した野良だ。 遠慮はいらん。何かあったら俺が責任を取る」 人間は尖った木の棒をまりさに差し出した。 その棒を受け取ったまりさは口に棒を銜えれいむに迫る。 「ゆへへ・・・にんげんさんのきょかももらったし、でいぶをせいっさいするのだぜ!」 嫌らしい笑いと共にれいむに突進するまりさ。 「う、うそだよね?まりさがさいあいのおくさんのれいむをせいっさいしたりしないよね」 あまりの展開に頭が付いていけず、その場で固まったれいむの頬を木の棒の先端がかすめ 切り口から餡子が流れ出す。 「い、いじゃいよ~ゆんやあああああ~じにたくないよ」 痛みで正気に戻ったらしいれいむは妊婦とは思えないもの凄い勢いで逃げていく。 しかし逃げた先には公園のアルミフェンスが立ちふさがっていた。 「かべさん!いじわるしないでどいてね!」 絶叫しながらアルミフェンスに体当たりをするが当然びくともしない。 「れいむ!みつけたぜ!れいむはまりさのしあわせのためにしぬんだぜ!」 まりさが木の棒を銜え直し再び突進してくる。 「うわああああ!じにたくないよおおおお!」 必死にもがくがもう逃げ場はない。 鈍い音と共に木の棒がれいむの中心に深く突き刺さる。 「もっと・・・ゆっぐいりじたかった・・・ばりさあ・・・おまえなんかぜったいじあわせにならないよう おちびちゃんといっじょにのろってる」 その言葉と共にれいむはその場に崩れ落ち動かなくなった。 「れいむはばかなんだぜ。これでまりさはかいゆっくりになってあのびゆっくりなありすとしあわせになるんだから れいむののろいなんかきかないんだぜ」 れいむの亡骸に、吐き捨てるように言い残しまりさはその場を立ち去る。 「にんげんさん!ありす!いわれたとおりれいむを・・・ゆゆ?にんげんさん?ありす?どこにいったの? やくそくどおりれいむをせいっさいしたよ!これでまりさはかいゆっくりにになれるんでしょう? にんげんさん!ありす!どこにいったの!でてくるんだぜ!」 そこにいたはずの人間とありすの姿はなく、必死にその姿を探すまりさの声だけが辺りにいつまでも響いていた。 ☆ ☆ ☆ 「んほおおおおおおお!はいじんになったまりさのむまむはさいこうよおおおお! そのどこをみているかわからないとおいめがさいこうにせくしーだわ!」 虚ろな目をしたまりさのまむまむをありすがぺにぺにで突き上げる。 「ありす。遊び終わったらきちんと片づけろよ。この間みたいに食い残しで床を汚したら承知しないからな」 「わかってるわよ。まりさあああああ!こんどはまりさのあにゃるばーじんさんをもらうね」 張り切るありすをその場に残し部屋を出る。 あの後ありすの巧みな誘導でまりさの群れの長をあの現場に呼び出した。 凄惨な番殺しの現場を目の当たりにした群れの長は、 その場にいた返り血ならぬ返り餡子で汚れたまりさに事の真偽を問いただす。 問いただされたまりさは 「まりさはゲスをせいさいしただけだぜ!じぶんはそこにいるかいゆっくりのありすとさいこんして かいゆっくりになるんだぜ!だからまりささまにてをだしたら かいぬしのにんげんにせいさいされるんだぜ」と開き直ったが、 肝心のありすが 「そんなゆっくりはしらない。ありすはかいぬしのおにいさんとさんとはぐれてしまい おにいさんをさがしていたら、ゆっくりどうしがころしあいをしているのをみて、 こわくなったからおにいさんにたすけをもとめようとしたが おにいさんがいなかったので、やさしそうなゆっくりにたすけをもとめただけだ」とまりさを突き放した。 まりさとありすの交際は、ほかのゆっくりの目に触れないよう俺が巧みに隠してたから ありすが否定してしまえばこの二人を結びつける証拠は何もないのだ。 頼みの綱のありすから見放されたまりさは怒りからかわめきながらありすに突進してきたが、 ありすが再び「おにいさあん!」と俺を呼び隠れていた俺が登場。 俺の姿を見たまりさは「おにいさん。まりさにやくそくしたよね?まりさはおにいさんのかいゆっくりだよね?」 とすがるように聞いてきたが、俺は 「は?なんでおれがお前みたいな汚い野良を飼いゆっくりにしなきゃならないんだ? それとも野良ゆっくりがよく言う「自分は元金バッチ持ちだから飼いゆっくりにしろ」ってやつか? バッチを取り上げられたという事は人間に何かゆっくり出来ない事をしたからでしょう? そんなゆっくり飼う気にならないよ。ということでこんな奴知りません」と軽くあしらう。 俺からもありすからも見放されたまりさは集まってきた群れの仲間によって凄惨な制裁を受けた。 「ゆっぐりごろじはじねえええええええ!」 「うぎゃあああああああ!」 「よくもおねえちゃんを!こうしてやるううう!」 「ばりざのおぼうじがああああ!」 かつての仲間に棒でつつかれ、噛みつかれボロボロになっていくまりさ。 でもこいつはありすに下げ渡す約束もあるし死なれては困る。 頃合いを見計らって 「おい!あそこに加工所の車が見えるぞ?駆除に来たんじゃないか」と叫んだらゆっくり達は一斉に絶叫しながら逃げ出した。 「流石は餡子脳。単純で助かるわ」 残された虫の息のまりさを治療用オレンジジュースを満たした箱に入れて持ち帰る。 その後息を吹き返したまりさはショックからか廃人になっていた。 「それにしてもあのありすはいい拾い物だったよな」 ありすは友人の飼いゆっくりだった。れいぱーの気質を巧みに隠し金バッチを取得。 表向きは金バッチの飼いゆっくりとして立派に振る舞うも 裏ではあの狡猾さで気に入ったゆっくりを陥れ、れいぱー行為を繰り返していた。 それがふとした事で友人にばれ、激怒した友人は虐待鬼居惨である俺にこいつの始末を依頼してきた。 しかしその話を聞いた俺は「こいつを使えば今までとは違った虐待が出来るんじゃないか」と考え ありすに「俺の言う事を聞くなら、お前を殺さずに飼ってやる」と持ちかけたところ死ぬよりましと思ったのか承諾。 今回の虐待はこのありすがいたからこそ可能になった虐待だ。 まず下見を行い適当な場所を見つける。 次にターゲットの選定だが、番持ちで何かに付けて「自分は元金バッチの飼いゆっくり」とやたら強調するゆっくりを探した。 そういう「今の暮らしに満足していない。できれば飼いゆっくりに戻りたい」という気持ちを強つ持つゆっくりにありすを近づけ 仲良くなったら「ゆっくりがあまあまをささげて願い事をするとその願いを叶えてくれる神社があるのを知っているか?」と ありすに話をさせ相手をあの場所まで案内させる。 ちなみに鳥居や他の小道具は、技術の成績が万年2の俺が造ったお粗末なハリボテで必要に応じすぐ設置や撤去が可能な代物だ。 憧れの飼いゆっくりが側にいることで気持ちがぐらつき始めた頃に、俺が「飼いゆっくりにしてやる」と持ちかけ ありすが「まりさはありすといったあのじんじゃをおぼえているか?」とささやく。 罠とも知らずにまりさは俺たちに導かれるまま神社にやってきて面白く破滅してくれた。 当然神様の役は俺が演じた物で、気付かれないよう変声機を使った状態でまりさに話しかけていた。 「おかげでいい画が取れたぜ。これで今度のゆ虐映像上映会には大手を振って参加できそうだ」 カメラ片手に上機嫌になっていると後ろから声がした。 「ゆゆーん。おにいさんおわったわ」 「ちゃんと綺麗にしてきただろうな?」 「もちろんよ。あいするまりさとおちびちゃんはとてもおいしかったわ」 最近こいつは同族食いにも目覚めてしまった。 「おにいさん。さっきからありすのかおをじっとみているけど、ありすのかおになんかついてる?」 「ありすは“割れ鍋に綴じ蓋”って言葉を知ってるか?」 「われたなべさんがどうかしたの?」 「やっぱり分からないか。ありす、お前前の飼い主の所にもどりたいか?」 「あのおにいさんはやさしかったけど、あれをしちゃだめこれをしちゃだめってうるさくて ちっともとかいはじゃなかったわ。おにいさんはありすのすきなことをさせてくれるからだいすきよ」 「そうか・・・俺を楽しませてくれるうちはお前を飼ってやるよ。これからもよろしくな」 「ゆふふ。ありすがんばっておにいさんのやくにたつよ。だっておにいさんのいうこときくと とってもとかいはなことができるからたのしいわ」 そういってありすはゆっくり嫌いの俺ですらゆっくり出来る笑顔を浮かべた。 このありすはどんなゆっくりよりも俺にふさわしい飼いゆっくりなのかもしれない。 「さて次の仕掛けだ。一緒に来て貰うぞ」 「ゆっくりりかいしたわ」 次の獲物を探すため俺とありすは再び家を出るのであった。 (完) 後書き 前作「春の日の午後」に暖かい感想をいただいき嬉しかったです。 ssってむずかしいですね。 感想・批評等お待ちしております。 今まで描いた物 nue095.txt 『春の日の午後』