約 1,325,006 件
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/255.html
瞬間、心、重ねて/さよならの囁き ◆guAWf4RW62 薄暗い建物の中、金属の摩擦音だけが幾度と無く鳴り響く。 「――くそっ……、マジで硬いな……」 春原陽平は金物屋にて、特殊合金製のニッパーで手錠を断ち切ろうとしていた。 まだ手錠が切れていない所為で上半身こそ裸だが、腰から下はごく一般的なジーンズを履いている。 ――陽平が涼宮茜と共にこの場所を訪れたのは、一時間程前の話だ。 市街地の中央部を出たとは言え、博物館に向かう道中には様々な建物が点在していた。 そこでまず陽平は手早く排泄を済ませ、続いて衣服を入手した。 そして手錠から解放されるべく、金物屋に立ち寄ったという訳である。 「……春原さん、まだなの?」 苛立ちを隠し切れぬ様子で、茜が問い掛ける。 彼女が憤るのも、至極当然の事だ。 手錠を切断するという作業は必要不可欠であるが、余りにも時間が掛かりすぎている。 宮小路瑞穂との約束がある以上、一刻も早く博物館に向かわなければならないのにだ。 「待ってくれ……もうちょっとだからっ……」 急かされた陽平は、滝のような汗を流しながらも、ニッパーを思い切り握り締める。 するとこれまでの努力の甲斐もあってか、バキンと大きな音を立てて、手錠の鎖が千切れ落ちた。 実に六時間振りの、自由の身。 計らずして、陽平は歓喜の声を上げる。 「やった! あんな頑丈な手錠を壊せるなんて、流石僕! そこに痺れる、憧れるぅ!」 「別に痺れないし憧れません! ほら、瑞穂さん達が待ってるだろうし、早く博物館に行くわよ」 「――わわっ、ちょっと待ってくれよ……!」 茜が早々に出発してしまった為に、陽平は慌てて荷物の整理に取り掛かる。 Tシャツを上半身に纏い、駆け足で茜の後を追う。 何処までも能天気な陽平を、年不相応に大人びた茜が引っ張っていく構図。 鎖が切れた所で二人の関係は変わりそうに無い――かのように思われた。 それから暫くして。 特に敵に出会う事も無く、二人は博物館の前まで辿り着いた。 二人共も大した武器は持っておらず、襲撃されれば一貫の終わりだったのだから、これは間違いなく僥倖と云える。 否――今回に限らず、これまで陽平と茜は一度も殺し合いに乗った人物と出くわしていない。 強いて言えば勘違いからトウカに襲撃された程度だが、あの時だって大きな苦労も必要とせずに凌ぐ事が出来た。 陽平も、茜も、信じ難い程に幸運だったのだ。 そして駄目な時は何をやっても裏目に出るというが、その逆もまた然り。 「あれは――」 何かに気付いた茜が、唐突に首を横へと回す。 陽平がその視線を追うと、その先から二人の少女――宮小路瑞穂とアルルゥが歩いてきていた。 陽平も茜も一目散に、瑞穂達の方へと走り寄った。 「……瑞穂さん!」 「陽平さん……茜さんも――ご無事で何よりです」 合流場所を決めていたとは言え、再び生きて会える保障など何処にも無かった。 故に一行は表情を緩めて、お互いの無事を祝い合う。 だがそんな中、一人だけ警戒心を露としている者が存在した。 その事にいち早く気付いた陽平が、疑問の言葉を発する。 「瑞穂さん、この子は――」 「あ、そうですね。……ほらアルルゥちゃん、ご挨拶して」 「…………」 促されたものの、アルルゥは瑞穂の背中に張り付いたまま離れようとしない。 極度に人見知りするアルルゥからすれば、この反応も仕方の無い事。 何しろ相手の一人は、数時間前に自分を驚かせた男なのだ。 「……困ったわね」 梃子でも動かないといったアルルゥの様子に、瑞穂も困惑気味の顔となってゆく。 だがそこで茜が、堂々とアルルゥの顔を覗きこんだ。 「――9点 10点 10点 10点 10点 9点 10点 10点 9点 10点! 合計97点!」 「あ、茜さん……?」 茜の顔には、今まで見せた事も無いような人懐っこい笑顔が浮かんでいる。 瑞穂が怪訝な表情となるが、構わず茜は軽快に言葉を続けてゆく。 「う~ん、文句無しに可愛い子ねっ! 私は涼宮茜って言うの」 「………」 「ほら、何もしないからそんなに怖がらないで? 貴女の名前は?」 吟味するような視線を送ってくるアルルゥに対し、茜はあくまで優しく語り掛ける。 するとようやく少し警戒を解いたのか、アルルゥは一歩前に身を乗り出した。 「ん…………アルルゥ」 そうなってしまえば、後は簡単だった。 茜は持ち前の明るさ――この殺戮の島では、これまで影を潜めていたが――を存分に活かし、積極的にアルルゥへと話し掛ける。 瑞穂もそれを手助けする形で動いた為、すぐに茜達はアルルゥと打ち解ける事が出来た。 自己紹介や情報交換も滞りなく進んでゆき、四人は各々が辿ってきた道程や目的を話し終えた。 そこで陽平が、確認するように口を開いた。 「まずはこのまま此処で、アセリアって奴と蟹沢きぬって奴が、来るのを待てば良いんだね?」 「――はい、そうです。あれからだいぶ経っていますし、アセリアさんはそろそろ来る頃だと思いますよ」 ……その筈だった。 アセリアが謎の襲撃者と一戦を交えたのは、2時間近くも前の話。 凶器を用いての戦いがそう長引くとは思えないし、もう博物館に到着しても可笑しくない時間だ――生きていれば、だが。 「そっか……それじゃ、僕はちょっとトイレに行ってくるよ。また前みたいな目に合うのは、ゴメンだからさ」 「あ、そうね。私も行こうかな……アルルゥちゃんも一緒に行っとこ。瑞穂さんはどうする?」 茜の言葉を受け、瑞穂は少し考え込んだ。 確かに行ける時に行っておいた方が良いのだろうが、出来れば女性と一緒に行きたくは無い。 普段から女装を強要されているのだから、女便所に行っても誤魔化す事自体は容易なのだが――まあ男として、極力避けたい行為ではあるのだ。 それにわざわざ一緒に行かなくても、近くにある民家やらで用を足せば事足りる。 そう結論付けた瑞穂は、『周囲の地形を把握しておきたい』といった言い分を用いて、その場を離れていった。 残された陽平とその仲間達は、特に瑞穂の行動を気にするといった風も無く、裏口から博物館の中へと侵入してゆく。 まず最初に、陽平達は職員用の事務室へと足を踏み入れた。 事務室の照明は灯されており、自分達が此処に来る以前に、誰かがこの部屋を訪れた事を暗示していた。 となると一応、襲撃される可能性も考慮しなければならない――故に陽平は、鞄の中からとある物を取り出した。 「――――フ、これっ……なら、敵が居ても…………ハア、一発、さっ…………!」 「「……………………」」 茜とアルルゥは心底呆れたといった様子で、目の前の光景を眺め見る。 陽平が取り出したのは、優に長さ2メートルはあろうかという巨大な鉄パイプ――博物館に来る道中、工事現場で入手したもの――だったのだ。 確かにその威力、その頑強さは、下手な刃物など比べ物にならぬだろう。 たっぷりと遠心力を上乗せしての一撃は、まともに当たれば敵を戦闘不能に追い込めるに違いない。 だが一つ、大きな問題がある。 「…………アンタ、もしかしなくても馬鹿?」 「…………陽平お兄ちゃん、無理するの良くない」 「――――フッ、ハ、ハァ……平気……平気……僕の真骨頂は、ここからだぜっ……!」 茜とアルルゥの容赦無い言葉が、次々に陽平の胸に突き刺さる。 巨大鉄パイプの重量は凄まじく、陽平程度の膂力では持ち上げるので精一杯だ。 にも関わらず陽平は必死に鉄パイプを引き摺り、博物館の中を突き進んでゆく。 それは明らかに愚かな行為だったが、陽平としては少しでも強力な武器を携えて、仮初の安心を得たかったのだ。 陽平達は事務室を後にし、代わりと言わんばかりに展示場への扉を開け放つ。 瞬間、鼻をつく異臭が陽平の嗅覚を襲った。 「これは…………血の臭いっ!?」 この臭い、一度嗅いでしまえば忘れられる筈も無い。 新市街地で鳴海孝之を発見した時と同様に、展示場にも濃厚な死臭が満ちていた。 日の光が届かぬ薄暗い環境下では、遠目から部屋中の様子を全て把握しきる事は難しい。 故に陽平達は臭いの発生源を探るべく、慎重な足取りで歩いてゆく。 床は少し水で濡れていたが、歩くのに支障が無い程度には乾燥していた。 そして、陽平達は見てしまった。 赤い水溜りの上で寝そべる、首から上が消失した少女――朝倉音夢の死体を。 音夢の死体は無事な部位など何処にも無く、腹部からは内臓が零れ落ちていた。 「ぐっ……酷いな……」 「うぅっ……」 その光景を目の当たりにして、世界背景上死体を見慣れているアルルゥはともかく、陽平と茜は顔面蒼白となった。 新市街地で死体を見た時は、狂気に取り憑かれた鳴海孝之に意識がいっていたお陰で、多少は気を紛らわせれた。 だが今は違う。 陽平達はどんな映画よりもグロテスクな光景を、その双眸で直視してしまったのだ。 計らずして心の奥底から恐怖が沸き上がり、冷静な思考が奪い去られてゆく。 陽平と茜は唯只肩を震わせて、その場に立ち尽くす事しか出来ない。 その所為だろうか――正面玄関より侵入し、背後から忍び寄る存在にすら、気付けなかったのは。 「――動くな、武器を捨てろ」 「――――ッ!?」 突如後ろからかけられた、凍て付いた重い声。 陽平が巨大鉄パイプを捨て、背後へと振り返ると、そこにはコルトM1917を携えた死神が屹立していた。 男の銀髪はこの死地に於いても美しく輝き、身に纏った黒い服との対比がそれを一層際立たせる。 その男は、この島で一秒でも長く生き延びようと思うのならば、絶対に出会ってはならない存在だった。 「……国崎往人?」 茜が呆然と声を洩らす。 最高ボタンの説明書に、国崎往人の外見的特徴について書いてあったので、目の前の男が誰かは分かる。 かなりの長躯に、鋭い瞳、少し青みの混じった銀髪、そのどれもが説明書の記載と一致する。 だが説明書によれば国崎往人は、無愛想ではあるが心優しい人物の筈。 そんな男が何故、今自分達に銃口を向けているのだろうか。 「何故俺の名前を知っているかは知らないが、まあそんな事はどうでもいい。 死にたくなければ、質問に答えろ」 「アンタ、殺し合いに……」 「――黙れ、お前達に質問する権利なんて与えるつもりは無い」 「う、ううっ……」 陽平は問い掛けようとしたが、言い切るよりも早く銃口を向けられてしまい、恐怖に顔が引き攣ってしまう。 こちらを射抜く絶対零度の視線、双眸の奥底に宿った紅蓮の炎。 こうやって対峙しているだけでも伝わってくる、圧倒的なまでの死の気配。 最早、訊ねるまでも無い。 眼前の男は間違いなく殺し合いを肯定しており、既に何人もの人間を屠ってきた屈強な殺戮者だ。 トウカと出会った時とは違い、説得など何の意味も為さない。 下手な言動、下手な行動を取ってしまえばその瞬間に殺されてしまうと、当然のように理解出来た。 陽平が萎縮したのを確認してから、往人は淡々とした口調で話し始める。 「俺は神尾観鈴という女を捜している。金髪にポニーテルの能天気そうな女だ」 「…………」 「観鈴の行き先に心当たりがあれば、包み隠さずに教えろ。嘘を吐くと自分の命を縮めるだけだと理解しろよ?」 「…………そんな奴、一度も見掛けてないよ」 陽平には、往人が観鈴を見つけてどうするつもりなのかは分からない。 もしかしたら何か恨みがあって、殺してしまおうと考えているのかも知れない。 だが見ず知らずの少女と自分達の命を天秤にかければ、どちらを優先するかなど決まりきっている。 だからこそ陽平は、素直に真実を口にした。 茜も陽平の言葉に対し、首を縦に振るばかり。 観鈴の居場所を知らないこの二人に、利用価値など欠片も無い――そう判断した往人は、何処までも冷徹に告げる。 「そうか――ならもう用は無い。悪いが死んで貰うぞ」 「――――ひ、うああっ……」 陽平の喉の奥底から、まるで自分のものでは無いような掠れた声が絞り出される。 陽平がちらりと視線を動かすと、朝倉音夢の惨死体が目に入った。 ――自分もこうなってしまうのか? そう考えると恐怖が際限無く膨れ上がってゆき、身体の震えがどんどん強まってゆく。 このままでは傍で寝そべる少女と同じように、自分も圧倒的な暴力の前に破壊し尽くされてしまうだろう。 そのような事態、絶対に許容出来ない。 自分にはまだまだやりたい事だってあるし、こんな所で殺されるような罪だって犯してはいない。 そんな陽平の内心を意にも介さず、往人が引き金を絞ろうとした時、事態は一変した。 薄暗い環境下である事に加え、陽平と茜に集中力を傾けていた往人は、もう一人の少女の存在を完全に失念していたのだ。 「……みんなをいじめるの、ダメ!!」 「ガ――――!?」 往人の即頭部を、大きな衝撃が襲った。 アルルゥが往人目掛けて、デイバックを思い切り投げつけたのだ。 往人は銃こそ取り落とさなかったものの、大きく体勢を崩してしまう。 そして、これは茜達に生まれた唯一にして最大の好機。 「――アアアアアアアッ!!」 恐怖を振り切り、甲高い雄叫びを上げて、茜が突撃を敢行する。 往人が苦し紛れに銃弾を一発放ったが、まともに照準をつけていない状態では、いかな強力な火器といえども敵を破壊する事は出来ぬ。 茜は大きな銃声にも足を止めず、武器を取り出す時間も惜しいと言わんばかりに、そのまま往人の腰に組み付いた。 「くっ、この――――」 茜は必死の思いで往人を押し倒そうとするが、予想以上に激しい抵抗を受け、なかなか狙い通りにはいかない。 いくら隙を突いたとは言え、そして茜は水泳部仕込みの優れた身体能力を持ってるとは言え、往人相手では体格が違い過ぎるのだ。 一人では、このまま往人を押し切るのは不可能だ。 ……しかし二人掛かりなら別。 二人掛かりならこのまま往人を押し倒し、制圧しきれるだろう。 だからこそ、茜は仲間に向けて大きく叫び――――絶望した。 「春原さ――――っ…………!?」 有り得ない光景。 視界に映る背中。 茜が頼ろうとした仲間は――春原陽平は、出口に向かって一目散に逃げ出していた。 その事態を認めた瞬間、茜の頭は驚愕と絶望で埋め尽くされてしまう。 そして次の瞬間、腹部に奔る強烈な激痛。 「――仲間はもう少し選んだ方が良いぞ」 「う……あああ…………ぁ……」 往人の頑強な拳が、茜の腹をしっかりと捉えていた。 茜は苦しげな吐息を洩らしながら、大理石の床の上に崩れ落ちる。 茜が晒した隙を的確に突いたその拳撃は、一発で意識を刈り取るに十分なものだった。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――ク、フ……ハ……、ハアッ……」 ――死にたくない。 今陽平の思考を占めているのは、たった一つのシンプルなその思いだけだった。 生物の本能に従って生き延びるべく、陽平は一目散に博物館の外へ逃げ出そうとしていた。 裏口の扉を乱暴に押し開けて、脇目も振らずに敷地を出ようと走り続ける。 そして博物館の敷地から脱出を果たした辺りで、前方から一人の人物が駆けてきた。 それは銃声を聞きつけ、大急ぎ戻ってきた瑞穂だった。 「――陽平さん、何があったんですか!? 今の銃声は!?」 「……敵が博物館の中に現れたんだ! 銃だって持ってたし、今すぐ逃げないと危ない!」 銃を持っている――その言葉を聞いた瞬間、瑞穂の顔に強い焦燥の色が浮かんだ。 碌な武器も持っていない自分達では、銃に対抗するなど夢のまた夢。 万が一戦う事になってしまえば、結末は一つしか用意されていないだろう。 そう考えると陽平の言い分は妥当と判断しざるを得ないが、大きな問題がある。 「待ってください! 茜さんとアルルゥちゃんは、今何処に?」 「う…………」 「どうしたんですか!? 黙っていたら分かりません!」 「まだ、あそこに……」 言い淀んでいた陽平だったが、瑞穂の気勢に押され、ようやく博物館の方角を指差した。 瑞穂は大きく息を飲んだ後、何かを堪えるような重苦しい声で、確認するように言った。 「……つまりこういう事ですか? 陽平さんは、茜さんとアルルゥちゃんを見捨てて逃げてきたと、そういう事ですか?」 「く――――だって仕方ないじゃないか! アイツ体もでけえし、すげえ恐ろしい目をしてた……逃げなきゃ殺されちまうよ!」 「…………」 瑞穂の返答を待たずに、陽平は早口で捲くし立てる。 「だから瑞穂さんも僕と一緒に逃げようよ! 今から助けに行ったって絶対間に合わないしさ! あいつらには悪いけど、自分の身には代えられねえよ! 知り合ったばかりの奴の為に、命なんて懸けられる訳がないからな! ほら、早く逃げよ――」 「……り……なさい……」 「――え?」 臆面も無く逃亡を主張してくる陽平だったが、瑞穂はそれを途中で遮った。 続けて心の奥底から、全力で叫んだ。 「――黙りなさいっ! 知り合ったばかりだろうと関係ない! アルルゥちゃんも、茜さんも、私の大切な仲間です! 貴女は自分の安全しか考える事が出来ないのですかっ! 仲間を思い遣る事も出来ないのですかっ!」 「瑞穂……さん……?」 陽平の驚愕をよそに、瑞穂は凄まじい剣幕で続ける。 「分かっているの!? 今の貴方は最低です! 女の子を見捨てて逃げ出すなんて、それでも男ですかっ……。 恥を…………恥を知りなさいっ!!」 「ちょ、ちょっと瑞穂さ――」 止める暇も無い。 瑞穂は己の内心を吐き出すと、もう陽平には目もくれずに博物館の中へと飛び込んでいった。 陽平はどうするか一瞬迷ったが、本能のままに博物館から離れるように走り始めた。 確かに瑞穂の言い分には一理あるし、この島に連れてこられる前なら共感出来ただろう。 勢いで口にした事とはいえ、瑞穂を守ると宣言した事だってある。 陽平にも仲間を守りたいという気持ちは当然あるのだ。 しかし、である。 「何が恥を知りなさい、だよ……死んじまったら、そこで終わりじゃないか!」 結局、先程味わった恐怖には打ち勝てなかった。 今博物館の中に戻ったら、またあの恐ろしい男と対峙しなければならない。 そして次はもう、逃げ切る事など適わぬだろう。 今仲間を助けに行けば、間違いなく自分は殺され、無惨な死体の仲間入りを果たしてしまうのだ。 そう考えると、自ら死地に身を投じるなど、絶対に有り得ない選択肢となっていた。 「うぅ――――クソ……、なんでこんな事に…………どうして僕が殺し合いなんか……! もう嫌だ、助けてくれ岡崎っ……!!」 顔を涙で汚しながら、親友の姿を求め、陽平は独り走り続ける。 瑞穂に対して抱いていた恋心も、仲間に対する思い遣りもかなぐり捨て。 不甲斐ない自分と理不尽な状況への怒りと、死に対する絶対的な恐怖を胸に秘めて。 ◇ ◇ ◇ ◇ 場所は移り変わり、博物館の展示場。 国崎往人は、倒れ伏す茜に対しコルトM1917の銃口を向けた。 また一人、この島から邪魔者を消し去る為に。 観鈴を守り抜く為に。 だがそんな往人を妨げる少女が、この場に一人存在している。 アルルゥは往人の前に立ち塞がり、真っ直ぐな視線を送った。 「……だめ! 茜お姉ちゃんが死ぬのやだ」 「――――ッ!? お、お前は……」 往人の心に動揺が走る。 先程まではじっくりと観察する余裕が無かったが、こうやって正面から対峙すると、目の前の少女は余りにも似過ぎていた。 自分が最初に殺した少女、エルルゥに。 となると、まさかこの少女はエルルゥの―― 往人が結論に思い至るとほぼ同時、アルルゥが口を開いた。 「アルルゥのお姉ちゃん、死んだ。カルラお姉ちゃんも…………死んだ。これ以上……誰かがいなくなるの、やだ」 言葉を紡ぐアルルゥの声は、悲痛な響きを伴っていた。 聞いているだけで胸が張り裂けそうになるような、そんな声。 まだ年端もいかぬ少女のものとは思えぬ程、悲しい声。 それを耳にした往人は、自身の心が凄まじいまでの痛みに襲われるのを感じた。 自分は、この少女から姉を奪い取ったのだ。 一生掛けても癒し切れぬであろう、何処までも深い傷を、少女の心に刻み込んでしまったのだ。 アルルゥだけでは無い。 これまで殺してきた佐祐理にも、エスペリアにも、大切な人間は居ただろう。 自分は多くの人間から、掛け替えの無い存在を奪い取ってしまったのだ。 「お兄ちゃんは……どうして人を殺そうとする? 皆も――お兄ちゃんも悲しくなるだけなのに、どうして?」 どうして――決まっている、観鈴を守る為だ。 自分はその為に修羅になると、心に決めた。 今更道を変えるつもりなど毛頭無い。 相手が誰であろうとも関係無い。 観鈴が生き延びる為には、生き残りが一人にならなければならいのだから、無害な人間であろうとも殺す。 それが自分の決意。 自分には言い訳する事も、謝罪する事も、決して許されない。 「――おやめなさいっ!」 「……瑞穂お姉ちゃんっ!」 そこで、瑞穂が現れた。 その手には、小さな投げナイフがしっかりと握り締められている。 新たなる来訪者の登場を受けた往人は、一瞬だけ驚いたが、すぐに気を取り直した。 敵が一人増えた所で、自分の圧倒的優位は揺るぎようが無いのだ。 コルトM1917の銃口をすっと動かし、瑞穂に照準を合わせる。 「……誰だか知らないが、死にに来たのか? そんなナイフ一本で現れるなんて、正気の沙汰とは思えないな」 「正気でないのは貴方の方です! そんな子供を殺そうとするなんて、何を考えているんですか!」 「子供かどうかなんて関係無い。俺はどんな手を使ってでも、大切な人間――観鈴を絶対に守りたいと思う。だから観鈴以外は全員殺す、それだけだ」 心は痛むし、涙だって流したが、自分の選んだ道に迷いは無い。 だからこその言葉だったが、瑞穂は全力でそれを否定する。 「大切な人を守る為に戦う、ですか……。けれど貴方はその観鈴という方にまで、大罪を背負わせようとしているのですよ!」 「大罪――だと?」 往人の顔に、僅かな動揺の色が浮かび上がった。 瑞穂の澄んだ瞳と言葉が、往人の心を射抜いてゆく。 「この島に連れてこられた60人以上の命を引き換えに生き延びる――これを罪と云わずして、何と云うのですか? 貴方はそれだけの重荷を、観鈴さんに背負わせる気ですか?」 「み……すずに……俺は……」 これまで幾度と無く説教なら受けてきた。 人殺しなどもう止めろと、諦めずに皆で力を合わせようと、言われ続けてきた。 そして自分はそれらを全て振り切って、修羅として戦い続けてきた。 だが、観鈴に罪を背負わせているなどといった事には、考えが及ばなかった。 そうだ――自分が目的を果たした場合、観鈴は60人以上の命を犠牲にして生き延びる。 自分だけではなく観鈴もまた、どうしようもないくらい大きな罪を犯してしまう事になるのだ。 「私は観鈴という方がどんな人か知りません……。ですがそんな方法で命を救われても、その先に幸福などあるとは思えません」 「く…………うう……」 たとえ本人の意志で無かったとしても、多くの人間を死なせてしまった咎は、観鈴の心を締め上げ続けるだろう。 償う事すら許されない。 死んでしまった人間は決して蘇らない。 失われてしまった命は決して取り戻せない。 この殺戮の島から只一人生き延びた所で、観鈴の将来に輝きなど在りはしないだろう。 それでも――それでも自分は、観鈴に生きていて欲しいから。 「う……あああああああァァァァアアッあああ!」 往人は全てを振り切るように叫んだ後、引き金を引こうとして―― 「やだあああああっ!!」 刹那のタイミングで、アルルゥが瑞穂の前に飛び出した。 093 恋獄少女 投下順に読む 094 瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) 093 恋獄少女 時系列順に読む 094:瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) 073 陽のあたる場所(後編) 国崎往人 090 無垢なる刃 アセリア 090 無垢なる刃 宮小路瑞穂 090 無垢なる刃 アルルゥ 082 Crazy innocence 春原陽平 082 Crazy innocence 涼宮茜
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/1832.html
「うふふっ」 私の名前は遠山秋葉。ここ三年坂高校で高校3年生をしています。 同級生は7人、下の学年には2年に9人、1年に7人生徒が居て、中等部には20人弱の生徒が居ます。 こんな小さな村ですが、私にとってはとても大切な故郷です。 「明日も頑張って練習するわ。そうすればきっと、また足が動くようになるもの」 私は足が悪くて上手く動かせませんでした。 杖無しでは立っているのも無理なくらいで、でもこの村は車椅子で生活するにはあまりに無理で、私はずっと杖を突きながら頑張って生きてきました。 こうなってしまったのは子供の頃のある事故が原因で、お医者様には一生治らないだろうと言われていました。 「足が動けば春ちゃんに迷惑かけなくてすむわ。足が動けば……」 でも先日、私に奇跡が起こったのです。 村に来た幽霊船から脱走してきたと言う幽霊のヴィンターのおかげで、今は足が動くんです。 と言っても私の足の筋肉はすっかり痩せ衰えてしまっているから、リハビリが必要です。 「春ちゃんどこにも行かないでね? お姉ちゃんを置いて、どこにも行ってしまっては嫌よ?」 私の足がこうなった原因の男の子、狭間千春こと春ちゃんは私に負い目を感じています。 だから私から離れないけれど、でも決して近くもなりません。だから私は恐かったのです。 いつかこの罪を忘れた頃、春ちゃんは私を置いて村の外に出て行ってしまう事が。 「私、一生懸命頑張るわ。きっとすぐ良くなって春ちゃんをビックリさせてあげる」 この足が治れば私はどこにだって着いて行ける。 春ちゃんと私の近くて遠い距離もきっと縮まる。 私はそう信じて頑張ろうと思います。今ならそう信じられるから。 「だから私の事置いて行かないでね。私、春ちゃんとずっと一緒に居たいから……」 私はそう言って春ちゃんの写真立てをギュッと抱きしめた。 今日はもう寝よう。そして明日またリハビリを頑張るのだ。 足が治った時、春ちゃんに伝える言葉を考えながら私は電気を消してベッドに入ったのだった。 「聞いた? 一昨日テレビスタッフの人が何者かに襲われたんだって」 「生気を吸い取られたように痩せ細って入院してるんだってよ」 俺達がヴィンターと奇妙な出会いをしてから数日後、村に事件の知らせが回った。 小さい村である。情報などあっと言う間に村中に知れ渡る。特にこう言った人の興味を引く話題ならなおさらだ。 幽霊船が漂着してから、その幽霊船から出てきた人影は無い。もしかしたら幽霊船ではなく本当にただの無人の漂流船なのではないかと言う話が挙がるほどである。 マスコミも変化の無い幽霊船に飽きて、念の為監視するスタッフを数名残して撤収した後の出来事だった。 「生気を吸うって事はスラヴィアって異世界のゾンビ国家の船かもしれないよ」 「って事は居ないように見えて本当は居るって事? 正真正銘本物の『幽霊船』って事なのかな」 テレビ局は自分の所のスタッフが襲われたと言うのに、それを聞きつけて喜び勇んで浜に戻ってきた。 そして俺達はと言うと……。 「なぁ千春どう思う? 本物の幽霊が来てやったんだと思うか?」 「さぁな。仮に本当に幽霊が居るんなら、そうかもしれないな」 「ちぇ、夢のない奴」 「見た事ないものを居るとは断言できねーよ」 俺達はヴィンターの存在からあの幽霊船が本当の幽霊船である事を知っていた。だけどそれは口が裂けても言えない事実。 もし下手な事を言ってしまえば、もしかしたらそこから俺達がヴィンターを匿っている事が幽霊船にバレかねないからだ。 ヴィンターには秋姉の足が治るまで居てもらわなくちゃいけないんだ。途中で見つかって連れ戻されては敵わない。 「んじゃ、俺帰るわ」 「また秋葉さんの所か?」 「ヒューヒュー、焼けるねー」 「うっせほっとけ」 俺が秋姉の所に行くのはそんなんじゃないのに。 そう思いつつ俺は囃し立てる級友達を後にし、秋姉の待つクラスへと向かった。 秋姉が居る3年生のクラスは、1学年上と言っても階が違うわけではなく俺達2年生クラスのすぐ隣だった。 1学年10人も居ない過疎学校では珍しくもない光景。それが俺達にとっての当たり前の風景だった。 「あれ? 秋姉と夏実」 と、廊下を出てすぐ俺の目に飛び込んできた光景は、俺と同様にホームルームが終わって教室の外に出てきた秋姉と、その腕にしがみ付く夏実の仲睦まじい姿だった。 「あ、春兄~」 「春ちゃん」 二人もこちらに気付いたのか手を振って俺を迎えてくれる。 「二人とも早いな。特に夏実、お前ホームルーム抜け出して来ただろ」 「違うよー! 早く終わっただけだもーん。しつれーしちゃうなー」 「あまり夏ちゃんをからかっちゃダメよ春ちゃん」 「そーだそーだ。秋姉の言う通り」 「二対一で責めるなよなー」 そんな取り留めない会話をしつつ俺達三人が下校しようと廊下を歩いていると、普段見ない中等部の生徒が廊下にポツンと立っているのが見えた。 その生徒は下駄箱に来る生徒達の顔をまじまじと観察し、誰かを探している風に見える。 俺はその中等部の知らない娘を無視して秋姉の練習の為さっさと帰るつもりだったのだが、夏実がその娘の知り合いだったようで声を掛けた。 「あ、小雪ちゃんだ。どうしたの? 誰かと待ち合わせ?」 「いえ、ちょっと……」 小雪と呼ばれたその娘は夏実の問いかけに、何故か罰が悪そうに顔を背けた。 「ふーん。じゃ、私達帰るから。またね小雪ちゃん」 「はい、また明日」 夏実がそう言ったので俺と秋姉はその場を後にし自分の下駄箱に向かった。 それぞれが自分の下駄箱から靴を出して履いている時、秋姉用に用意された椅子に座って上履きと靴を履き替えている秋姉を、小雪と言う娘がジッと見ている。 俺はその様子に何か不穏な物を感じ、敢えて何も声を掛けず秋姉と夏実を連れてさっさと校舎を出たのだった。 いつも通り三人一緒の帰り道。雑談をしながらも俺は先程の怪しい娘の事が気になっていた。 学生服のリボンの色から中学3年である事は分かる。顔も見た事がある顔だ。会話した事は無いが特に変な噂を聞いた事もない、至って普通の生徒だったと思う。 そんな娘が今日あの奇行――ではないが、妙な様子を見せていたのだ。何か裏があるように思えてならない。 俺は周囲に誰も居ない時を見計らって夏実に先程の娘の事を尋ねてみた。 「ところで夏実。さっきの中等部の娘、あの娘知り合いか?」 「え? 外村小雪ちゃんの事?」 俺がそう切り出すと秋姉もピクリと反応し、夏実の言葉に耳を傾けた。 秋姉もさっきの下駄箱での視線に気付いていたんだ。だから何も言わずいつもと同じように学校を出たんだ。 もともと学校の生徒だった事は確実だ。だがもし、あの娘が秋姉と同じだったら……。 「小雪ちゃんとは中等部時代、部活が同じだったから知り合いなんだ。何々? それがどうかしたの?」 「いや、ちょっとな」 「もー、すぐそうやって秘密にするんだからー!」 俺の心配を余所に夏実が俺の背中をポカポカぶってくる。 夏実はさっきの娘――外村小雪の言動に違和感を感じていない。つまり、もともとあんな感じの娘なのか? 隠し事をしていると些細な事に敏感になるものだが、俺の取り越し苦労だったのだろうか。 そうならその方が良いのだが……そんな事を思っていると、秋姉がヴィンターに向けてある問いかけをした。 「ヴィンターさん。さっきの外村小雪と言う娘……何か感じたかしら?」 秋姉がいきなり確信に迫る問いかけをした。 俺も正直ヴィンターに直接聞きたかった。だが今は秋姉の足に入っているし聞き辛かったので避けていたのだが、秋姉はそこを迷わずズバッと聞いたのだ。 秋姉はヴィンターが答えられるように立ち止まり、一休みしている風を装った。 まだ村のみんなには、秋姉の両親にさえ足が動く事は秘密だ。だからヴィンターが答え易いように、そして同時にどこから見られても良いように準備したのだ。 さすが秋姉だと感心した。そして数瞬の後、ヴィンターはその問いに答えた。 「ワカラナイ。ダガアヤシイケハイヲカンジル。オッテノカノウセイガアル」 やはり、と俺は思った。 秋姉の口を借りて語ったヴィンターの言葉は、俺が想像した嫌な予感そのものだったからだ。 ヴィンターのように幽霊タイプのスラヴィアンが、あの外村小雪に取り憑いてヴィンターを匿っている生徒を探していたのだ。 「モシオッテナラキケンダ。ゼッタイニカカワッテハイケナイ」 「どう言う事?」 「ワタシヲカクマッタキミタチハ、シリスギタトシテケサレルカモシレナイ」 「なっ!?」 だが次にヴィンターが語った事は、俺が想像していたよりも遥かに最悪な答えだった。 俺達は知りすぎたから消される。殺されると言ったのだ。そんな簡単に消されたりするものなのか?いや、異世界の常識は分からない。 第一敵は死者の国から来た幽霊だ。命の重さが俺達とは根本的に違うのかもしれない。 俺達三人は背中に冷たいものを感じた。 「ふ、ふざけるなっ! そんな危険な事だとは聞いてなかったぞ!!」 「サワグナ。ミツカルゾ」 ヴィンターに言われ俺は熱くなった頭を辛うじて冷やした。 だが怒りが収まったわけではない。夏実は不安げな顔で俺を見ながら震えている。秋姉も曇った顔つきで俺の服の袖を掴んでくる。 俺だって誰かに縋りたかった。だが無理だ。この状況で俺がシッカリしなくて誰がこの二人を守ると言うのか。 「ミツカラナケレバイイ。タダソレダケノコトダ」 「リスクが大きすぎるぞ。やっぱり俺達を騙すつもりだったのか」 「キセキノタイカナノダ。ソレナリノリスクハトモナウモノダ」 『奇跡の対価』。そう言われ俺は返す言葉を失い言いよどんでしまう。 俺は今まで軽く考えていた。自分達はラッキーだったのだ。棚からぼた餅式に奇跡が起こったと、そう考えていたのだ。 だがそれは大きな間違いだった。 医者も見離した秋姉の足を治す奇跡。その奇跡を手に入れるには危ない橋を渡らなければならなかったのだ。 確かに甘かった。甘かったが……。 「ワタシタチハ、ウンメイキョウドウタイダ。ミツカレバオタガイオワリナノダ。ダカラキョウリョクシアオウ」 「……秋姉の足は絶対治してもらうからな」 「ヤクソクシヨウ」 リスクの説明をしなかったのはヴィンターの策略だろう。 現に、そんなリスクを知っていれば俺達は協力などしなかった。俺達は最初からヴィンターにはめられたのだ。 だが既に最早、俺達は後戻り出来ない状態になっている事も確かだった。 「兎に角、今は戸村小雪にばれない様に自然に行動するしかない。秋姉」 「は、はい」 「ごめん、こんな事になっちゃって……俺……」 あの時、甘い言葉に乗って承諾したのは俺だ。秋姉の足が治るなら、いや、秋姉の足が治って俺の罪が消えるなら、俺は俺の為にみんなを危険に巻き込んだのだ。 無関係の夏実まで巻き添えにして……俺は二人に何と謝って良いか分からなかった。 そんな落ち込む俺の頭を、優しい手がフッと撫でた。 「春ちゃんは私の為を思って言ってくれたのよね? だから私、全然後悔なんてしてないわ」 秋姉の優しさが胸に刺さる。 俺は秋姉が思っているような高潔な人間じゃない。むしろ秋姉の優しさにつけ込んでいるような最低の男なのに、俺はまた何も本当の事を言い出せないのだ。 結局こうして秋姉に頼ってしまった。俺はこの時もまた、何も出来ない無力で卑怯なガキだったのだ。 「し、暫く訓練は止めておいた方が良いよね? それでバレると不味いし」 「そうね。ほとぼりが冷めるまで我慢するわ」 そうだ、夏実の言う通り暫くは秋姉の訓練も控えた方が良い。 しかしこれでは何の為にヴィンターを匿ったのか……俺にはその暫くという時間が、とても長いように感じられた。 「大丈夫よ春ちゃん。今までと同じに生活するだけだもの、お姉ちゃん何でもないわ」 「秋姉……」 俺は秋姉の目を見られないまま、これ以上謝る言葉も見つからず、ただ流れに流されるだけだった。 一週間後、再びテレビ局スタッフが襲われる事件が発生して村はその話題でもちきりになった。 「おい! またテレビクルーが襲われたんだってよ!」 「また生気を吸われて倒れてたんでしょ? 怖いよねー」 「絶対幽霊船の幽霊の仕業だって! 犯人が見つからないのは国の陰謀だよ」 「目撃証言で怪しい少女が目撃されてるんだって」 「何それ、女の子の幽霊って事? お、俺ちょっと吸われてみたいかな。精気」 『サイテー』 俺の2年生クラスでも朝からその話題で活発に議論と言う名の井戸端会議が繰り転げられている。 だが俺はその話に適当に乗りながら、内心では確信を持って犯人像が浮かんでいたのだ。 外村小雪。きっとあの娘に取り憑いた幽霊型スラヴィアンが外村小雪を操って夜な夜な人を襲っているのだ。 こんな辺鄙な村に漂着して姿も現さず何もしないと思いきや、こうして地球人の生気を吸い取っている。ヴィンターの話通り強制労働を強いるような野蛮人達なら不思議はない。 「その内集団下校とかするようになるのかね? 小学校の時みたいにさ」 「え~、かったりーなー。それより警察とテレビ局の人増えてたぜ。テレビに映るチャンスだろ今」 クラスメイトの一人がそう言うと、周りも同調しみんなテレビに映りたいと言い出した。 コレには俺も困った。今はそんな目立つ事したくないし幽霊船に近づきたくもない。だがクラスの空気は瞬く間に『テレビに映りに行こう』と言う流れに変わって行く。 これじゃこの流れに逆らった方が返って怪しくなってしまうじゃないか。 「んじゃ放課後、そっこーで幽霊船の所に直行な」 『おぉーー!』 だが幸いにしてこの流れは俺のクラスだけの話だろう。俺だけで幽霊船に近づく分にはまだ構わない筈だ。 そう思って俺は自分の机に帰った。あれから外村小雪に見られたり尾行されたりと言った事はない。大丈夫、大人しくしていればこのまま逃げ切れる筈だ。俺はそう思っていた。 「何だこりゃぁ……」 放課後、約束通り俺達2年生クラスは幽霊船の前に来ていた。 いや、正確に言おう。俺達学校の生徒達は幽霊船の前に来ていた。高等部の1、2、3年も、中等部も初等部も暇な奴等はみんな来ていた。 「祭りだー!」 「警察もテレビ局も慌ててるぜ」 「さっさとインタビューとかしに来いよ~」 「これ生中継かな? もう撮ってるのかな?」 「どんだけ暇なんだよ俺ら」 百人近い少年少女達が一同に会しているのだから現場は騒がしいなんてものじゃない。 警察官は追い返そうとしても言う事を聞かない学生達の対応に追われ、テレビ局の人達は半ば呆れ顔だ。 「これ地元の恥にならなきゃいいけどな……」 「なんちゃらの恥はかき捨てじゃねーか気にすんな」 俺がクラスメイトとそんな事話していると、俺の所に慌てた様子で夏実が来て言った。 「春兄、秋姉見なかった?」 「いや、見てないけど。て言うか秋姉まで来てるのか? ここ砂浜だぞ」 夏実が言った言葉を俺は俄かには信じられなかった。今の状況で聡明な秋姉がこんな場所に来るとは思えない。第一この砂浜にあの足で踏み入れる訳が無いのだ。 だが俺は自分がここに来た経緯を思い出し冷たい汗を流した。 来てるかもしれない。砂浜の近くまで。 「夏実、砂浜の外だ。秋姉を探すぞ」 「うん、分かった」 そう言って俺と夏実は集団を掻き分けて進み、砂浜の外を眺め探し始めた。ここは既にケータイの圏外だ、肉眼で探すしかない。 秋姉はそれほど歩けない筈だから、まず来た道の方が一番怪しいと思った俺はすぐに来た道を取って返した。 夏実もそれに同調して俺の後をついて来ている。 「多分あそこだ。あの辺の木陰に――!?」 「あっ! 小雪ちゃんが何で?」 そして俺達が見つめる先に丁度良い岩に腰掛ける秋姉と、それに向かって俺達の遥か先を歩く外村小雪が見えた。 この状況は圧倒的に不味い。やはりあの娘に取り憑いたスラヴィアンは秋姉を疑っていたのだ。 秋姉は外村小雪が近づいてくるのを知りながら逃げる事が出来ない。逃げ出せば全てがバレる事になるからだ。 そうだ、落ち着いて考えてみれば、これはまるで誘っているようにも思える状況だ。 向こうは秋姉にヴィンターが居ると確証を持って居ない。持っていれば今までいくらでも闇討ちする機会はあったのだから。 それをして来なかったのは、確証が持てていないから。そして今その確証を得る為に、こうして俺達を誘い出しているのだ。 「待った」 「え? 何?」 俺は歩む足を止めて夏実を制止した。 「ここは秋姉に任せよう。俺達が行ったら返って怪しくてバレる」 「あっ」 そう、これは罠だ。秋姉を使って協力者をあぶり出し、そして秋姉の疑いをも固める敵の罠だ。 俺はそれに気付いたから、集団を抜けるか抜けないかの辺りで思い止まれたのだった。 夏実と見つめる先で、とうとう戸村小雪が秋姉に接触する。遠くからだが何か話しているようだ。 大丈夫。秋姉は頭が良いし俺なんかよりずっとシッカリしている。ボロなんか出さない筈だ。 「秋姉……」 「大丈夫、秋姉なら大丈夫さ」 俺は不安そうに両手を握った夏実の肩に触れ、自分にも言い聞かせるようにそう言った。 じわりじわりと何かが迫ってくる展開だけど裏もまだ取れていない千春の仮定の中であるというのが後にどうなってくるのか期待 -- (名無しさん) 2013-12-29 02 13 34 一体誰が黒い影なのか?ひょっとしたら…と深読みすればするほどただでは終わりそうにないこの騒動は最後まで見届けたい -- (名無しさん) 2014-01-07 23 34 50 異世界や交流特区以外での地球で異種族が関係してくるとどんなことが起こるのか?というモデルケースの様。スラヴィアンが自由度のある種族なので物語として活かしやすいのは分かりますがそれ以上に日常とサスペンスを程よく混ぜ合わせた展開が興味を惹き付けますね。ある程度先が読めると思いつつもそこではないどこかに球が飛んでいくのではないかと次回が楽しみです -- (名無しさん) 2019-05-26 19 58 42 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/19.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/37.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/40.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/46.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/30.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/48.html
https://w.atwiki.jp/nimajhs/pages/18.html
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3527.html
登録日:2009/12/02 Wed 23 22 20 更新日:2024/09/15 Sun 16 35 39NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 2001年 3大電波ゲー BD-PG CRAFTWORK ある意味泣きゲー ある意味神ゲー さっぽろももこ さよなら さよならを教えて エロゲー グロゲー ゲーム ジョーカー トラウマ フェラチオさせる プレミア マリオ 不朽の名作 人見広介 伝説の選択肢 佳作 僕は白い便器を見つめている 名作 地雷 天使 怪作 日課はトイレ 検索してはいけない 氏賀Y太 狂気ゲー 石埜三千穂 神作 神作or地雷 神作? 精神崩壊 精神的ブラクラ 色んな意味で泣ける 超上級者向け 選択肢の意味を考えさせられるゲーム 長岡建蔵 電波ゲー 鬱ゲー 鬱展開 鬱展開の嵐 「そうです。彼女が僕の畏敬する天使様なのです」 『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』とは、2001年3月2日に発売された18禁アダルトゲーム(エロゲ)。 CRAFTWORK最後にして、史上最強最悪の鬱ゲーであり狂気・電波ゲームである。 キャッチコピーは「言葉・男・狂気・少女・さよなら」で、その名の通り、 「狂信(ファナティック)」=「人間の狂気」 をテーマにした作品。 【概要】 純粋にグロが多いのもあるが、このゲームは人間が不快になるツボを的確に示しており、また次第に現実と妄想が区別出来なくなる様な巧みな演出が成されている。 子供が見たら確実に泣き、普通の人でもかなり不安定になる。 あまりの鬱ストーリーに、 ご注意 現実と虚構の区別が付かない方 生きているのが辛い方 犯罪行為をする予定のある方 何かにすがりたい方 殺人癖のある方 ※このソフトには精神的嫌悪感を与える内容が含まれています。 上記に該当する方はご遠慮くださるよう、あらかじめお願い申しあげます。 という注意書きがある。 また、CD本体にはネガティブな単語がびっしりプリントしてあって怖い。 だが、合う人には神ゲー。 評価を点数にすると「0点か100点のどちらか」とまで言われる程極端に分かれる。 ただでさえ生産数が少ない事に加え会社自体が潰れた為に現在では最高レベルのプレミアが付いている。 下手すれば中古でも六桁を行くとまで言われている。 余談だが、発売当初はあまりのイミフぶりとグロさによりクソゲー認定されていた為、ワゴンで¥980~¥1480で投げ売りされていた時期がある。 今では、それがその40倍以上に高騰するまでになったのだから 当時の投げ売り価格でこのゲームを買えた人は幸運と言える。あまりそうは思えないだろうが エロゲは数在れど、ここまで極端なケースはさよ教以外に見られない。 2011年12月にBD-PG版が販売された。 パッケージやディスクも再現され、書き下ろしのミニポスターつき。 しかしBD作品用の規制で一部のグロシーンが見えないとか。 2016年にはDLsiteでDL版が発売された。現在はこれが一番安価で手軽。 とはいえ、いくら手軽であっても気軽にプレイして良いかどうかはまた別の話。 迂闊に手を出すとマジで痛い目を見かねないので、未プレイ者は心してポチるべし。 シナリオ:石埜三千穂/長岡建蔵 原画:長岡建蔵 音楽:さっぽろももこ 主題歌「さよならを教えて -comment te dire adieu-」 作詞:長岡建蔵(原詞)・さっぽろももこ(仏訳) 作曲:さっぽろももこ 編曲: 高瀬一矢(I've) 歌:MELL 【あらすじ】 「今日もまた退屈な実習生の一日が始まる……」 教育実習生として訪れた主人公が黄昏に染まる校舎で様々な少女達と交流するお話。 【登場人物】 人見広介 気弱な教育実習生。 巣鴨睦月(CV 佐々木あかり) 教室にいる女生徒。 天使。 高田望美(CV 天天) 屋上にいる女生徒。 空を飛びたいという自殺願望めいたことを言う。 田町まひる(CV あさり) 校庭にいる女生徒。 ツインテ妹キャラ。 目黒御幸(CV 紬叶慧) 図書室にいる女生徒。 司書係らしく雑学に詳しい。 上野こより(CV 多田美智) 弓道部室にいる女生徒。 矢と毒舌を向けてくる巨乳。 大森となえ(CV 涼森ちさと) 保険医。 ヘビースモーカー 主人公の相談にもよく乗る。 高島瀬美奈(CV 佐伯ゆりこ) 先輩教諭。 【ネタバレ】 + 閲覧注意 上記のいかにもエロゲのお約束的な設定は主人公の妄想である。 実は主人公は精神病患者で、校舎と思って徘徊しているのは自身が入院させられている大学病院の精神病棟である。 ヒロインたちも実際には人間ですらなく、カラスや野良猫、ホルマリン漬けの臓器標本などを、主人公が人間と思い込んで話しかけているだけ。 その容姿や人格は、かつて主人公が好意を持っていた少女や主人公自身の精神が反映されたもので、現実には存在しない。 「学校が舞台とはいえ校舎の外に出るシーンが一切無い」「主人公達以外の生徒や教職員がモブどころか背景にすら一人も居ない」 「ヒロイン達がいつも同じ場所から動かない」「主人公は何故か上履きではなくスリッパを履いている」といった劇中の不自然な描写の数々はこのため。 本編に登場する本物の人間は、巣鴨睦月、大森となえ、高島瀬美奈のみ。 睦月は重度の鬱で入院していた患者だったが、主人公との交流(ただしかみ合っていない)を通じて回復し、エンディング時点では退院している。 色々と相談にのってくれる大森となえは保険医ではなく主人公の主治医であり、主人公が苦手としている高島瀬美奈は主人公の姉である。 大森は主人公に現実を認識させようと、かの有名なスーパーマリオを例にこの状況を説明するのだが、 主人公は「畜生、あの女……! マリオの偉業を否定しやがって!」と暴走し、一番好感度の高いヒロインとくっついてしまう。 その後はヒロインによって展開は違うが、主人公がトラウマや過去を抉られ精神崩壊に近い衝撃を受ける。 ちなみに主人公がここまで精神を病んでいるのは、教師志望だったものの受験に失敗したことや、教師として働いている姉へのコンプレックスが原因なので、 「患者の妄想を適度に流すことなく付き合っている(*1)」「患者(主人公)のトラウマの一つである姉(瀬美奈)と毎日会わせる」といった大森の行動は、 治療するどころか病状を悪化させるようなものばかりで、主人公の担当医・精神科医としては失格と言えるレベルである(*2)。 …要するに、平常心でプレイするのはまず困難なゲーム。 【余談】 シナリオライターの石埜三千穂氏は、本作後しばらくしてゲーム業界から去り、故郷の長野県に帰り郷土史研究家に転身。 歴史関連で『ブラタモリ』にゲスト出演したり、漫画『逃げ上手の若君』に主に専門である諏訪地方史の情報提供者として協力する等意外な方向で再び世に知られる事になる。 追記・修正は幻覚を見てからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] マリオ麻薬中毒者説についての文言は凄い名文だと思ったな。荒唐無稽な話なんだけどさ、ああいう捻った見方大好き。 -- 名無しさん (2014-02-27 17 49 38) 主人公も病気なんだからそれをキチと称するのはいかがなものかと思うんだが -- 名無しさん (2014-05-02 23 11 35) そもそもキチガイになった主人公に、キチガイになった原因である姉と面会させてる時点で・・・ -- 名無しさん (2014-05-29 09 52 33) 大丈夫、コレを0点評価するのは単なるお馬鹿さん -- 名無しさん (2014-09-21 04 39 20) これを平常心でできた人が1番狂ってる。 -- 名無しさん (2014-10-04 12 08 32) そしてこのスタッフが再集結して作ったのが「アレ」であるというギャップ。 -- 名無しさん (2014-10-19 01 18 02) なしてこういう設定になった!? -- 名無しさん (2014-11-03 09 00 59) この「となえ」って人本当に精神科医か?滅茶苦茶だぞ。 -- 名無しさん (2014-11-03 09 09 55) 100円ダウンロードできたからやってみたけどいろいろすごいな。自分は物語を100パーセント理解できてないと思うけど -- 名無しさん (2014-12-24 03 54 36) ネタバレを知っている上でプレイしないと精神がどうにかなってしまいそう。 -- 名無しさん (2014-12-24 08 57 10) これを平然とプレイする友人が怖くなった。マジで感受性強い奴はやらない方がいいな、おかしくなるわ。 -- 名無しさん (2015-10-16 18 55 44) マリオに対する熱い風評被害 -- 名無しさん (2015-12-15 00 01 01) ブッ飛んだオチのように見えて、おかしくなる以前から「学校の外に出る様子がない」「ヒロインたちが同じ場所から動かない」「つーか校舎の構造がおかしい」と、あれ?と思わせる伏線はあるのよね -- 名無しさん (2015-12-15 00 06 30) ゲームカタログでの項目にあった、「(キャッチフレーズを聞いて)嫌な予感をした人もいるだろう。あなたは正しい」←この説明が全てを物語っている気がするww あと、ゲームカタログにいえば、故意に選んだ場所と背景があべこべになっているのをバグと勘違い人もいるとかなんとか。 -- 名無しさん (2015-12-15 09 12 30) DL.siteでダウンロード販売決定 -- 名無しさん (2016-01-29 00 55 15) エロゲ界のドグラマグラ -- 名無しさん (2016-03-16 00 09 30) 繰り返しやる内に主人公の言動の意味がわかってくる -- 名無しさん (2016-06-19 12 36 46) これきっかけで煙草吸いだしたわ、案外煙草についての描写も多いから吸ってみたくなった。 -- 名無しさん (2016-08-18 03 00 18) エロゲ界のドグラ・マグラはジサツのための101の方法なんだよなぁ…… -- 名無しさん (2016-09-09 17 16 09) 主題歌の終盤辺り(後半のサビ)でバックコーラスに男性の哄笑のような声が混じってるが、これを主人公の心の声と考えると何か悲しいもんがある -- 名無しさん (2019-01-22 23 50 54) ↑主題歌の中に呪詛の言葉が入っているってのは見たことあるな どちらにしろ考察しがいがある -- 名無しさん (2020-03-03 07 27 49) 「家族とはいえ、患者のトラウマ形成に深く関わる人間を何度も面会させる」「患者の妄想を真っ向から否定する」「挙句患者と致す」正直の精神科医が担当になってたら、主人公はもっとマシなEDを迎えられた気がしないでもない -- 名無しさん (2020-03-10 21 45 44) ↑正直別の精神科医が担当になってたら -- 名無しさん (2020-03-10 21 49 31) コレの凄いところは、鬱ゲーなのに誰一人死ぬ展開が無い、主人公は微妙だけど全員が善人、 -- 名無しさん (2020-06-26 15 48 33) ↑続き いくらバッドエンドになっても世界の危機にならない(というかどう転んでも最終的に変わるのは主人公だけ)ってところ。 鬱ゲー度はDODとタメはれるレベルだなんて言うが、そこんところは正反対なのね -- 名無しさん (2020-06-26 15 53 16) 「マリオ」タグで飛んで来たら一番上のコメントで逆に気になってしまった -- 名無しさん (2020-10-10 12 36 43) 主人公の名前は乱歩のパノラマ島奇譚からかな?大いなる妄想の物語。 -- 名無しさん (2020-11-09 03 52 56) 発売から20年以上経っているのに、任天堂が例のシーンに対して何も言及しないの笑う(絶対巡回してるべ) -- 名無しさん (2021-02-25 18 33 01) 詳細を知らないんだが、担当医は姉がコンプレックスの原因だと把握しているのか?それを知らないなら神の目線での「精神科医失格」はいかがなものか。色欲に溺れたのは普通にアウトだが。 -- 名無しさん (2021-05-22 10 26 15) 主題歌歌ってたのブラック・ラグーンのOPの人だったのか… -- 名無しさん (2021-05-22 10 33 02) これのシナリオ書いたのはすごい頭のいい真人間なんだろうなと思った(コンプリートプレイずみ)。 -- 名無しさん (2021-09-18 00 03 34) となえのやらかしは主人公の妄想に律儀に付き合ってた点で姉が狂った原因かは本編後にやっと知るからこれに関しては仕方ない。主人公の世話(洗濯など)でどっちみち姉を始めとしたトラウマの家族とは会わないわけにはいかんからどっちみち…セックス?それは擁護不可能w -- 名無しさん (2021-12-26 05 45 22) スクイズやlainが可愛く見えるレベルの鬱だったとは… -- 名無しさん (2022-06-14 17 32 52) ↑5 精神科医として家族に原因があるかもしれないと想定して聞き取り調査などを行ってない、もしくは行って問題がないと判断したのなら未熟には違いないと思う 素人考えだが -- 名無しさん (2022-10-24 10 15 39) 鬱度では同じCRAFTWORKの「エリーゼのために」もタメを張れるって聞いたけど、本当なのかな? -- 名無しさん (2023-07-19 21 12 04) 個人的に一番狂気を感じたのはルーチンワークでトイレに行くシーンだな。したいから行くのではなく、そういう作業だから行く。そして「僕は真っ白い便器を見つめている。僕は真っ白い便器を見つめている。僕は真っ白い便器を十分に見つめたので、便所を出ることにした。」の迷文 -- 名無しさん (2023-07-20 01 31 03) となえ先生はそもそも主人公の治療する気ゼロで、あえて通常の治療ではタブーとなるような働きかけをして主人公を壊しにかかってる説。それがどういう感情による行為かはプレイして個々が察すればいい。 -- 名無しさん (2023-07-20 01 35 30) LINEスタンプが出てたけど色々カオスで吹いたw最後のは完全にネタバレだしw(睦月と本来の姿の面々が先生!って言ってる) -- 名無しさん (2024-03-23 11 56 57) もう年数が経ちすぎてネタバレもクソもない扱いか。 -- 名無しさん (2024-05-09 00 29 21) 気に入らないからという理由で立場や権力を使って、わざわざ第三者の衆目に晒してまで他人を罵倒して晒し者にするイカれた精神科医を知ってるのでこういう医者も居るかとしか思わん -- 名無しさん (2024-05-14 23 10 51) 名前 コメント