約 4,315,752 件
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/3243.html
いろいろブログ&サイト【TOP】 / いろいろブログ&サイト【労働・労働者】 ■ 労働者教育協会のブログ 希望ある未来のために、あなたも“行動する知性派”に! ■ 末光道正のブログ 八尾から日本の政治を変えよう 労働者・市民・学生の団結を強めるコーナーです ■ 「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ 【労働問題や派遣村など(労働相談/炊き出し)の情報】をネット上より収集。 ■ 未来を信じ、未来に生きる。 今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。 ■ 大脇道場 「自分自身を生きる、共にいきる」。軟弱オヤジの「硬派道場」です。 ■ あくしゅ//私たちは安心して暮らしたい。 四万十川の辺から、あなたへ ■ 土佐高知の雑記帳 四国西南部から徒然なるままに、祖国の右傾化、田舎切りすてに異議申し立てほえる。靖国神社の戦争犠牲者冒涜に怒りの発信!軍需産業=吸血鬼を暴き出すお気楽バンパイア・ハンター(^○^) ■ 米国からの便り 米国在住の日本人が政治や環境問題について、思っていることを書きます。右傾化して時代の流れに逆行し世界を敵に回し始めた今の日本を危惧しています。そしてネットウヨは人間のクズだと確信しています。サイト閉鎖? ■ 『米国からの便り』のケンシロウさんからの伝言 「カナダde日本語」より『米国kからの便り』資料 ■ 旗旗 ひとりがみんなのために。みんながひとりのために。(共産主義者同盟:ブントの人?) ■ アクティビスト/編集者・園良太の日記 「明りをつけて眩しがるまばたきのような 鮮やかなフレーズを誰か叫んでいる」(小沢健二『天気読み』)/「異議申し立てと改革提言の途方もない蓄積が、ラディカルな蜂起の要求へと変容する時がやってくるに違いない。」(ネグリ& ■ Spiders’ Nest フリーター全般労働組合 フリーター全般労組員ブログ ■ レイバーネット日本 / レイバーネット日本設立趣意書 ■ 山谷ブログ-野宿者・失業者運動報告- 山谷労働者福祉会館活動委員会・支援者有志が送るブログです。 ■ 釜ヶ崎日雇労働組合 活動報告 釜ヶ崎日雇労働組合の活動および釜ヶ崎での出来事などを報告します。 ■ 巨大派遣会社と戦うドンキホーテのブログ グッドウィルグループの派遣会社に登録している派遣社員です。派遣先は某自動車メーカーです。4割ピンハネされている現状は絶対おかしいと思い、たった一人で賃金闘争をはじめました! (最終更新:2008.9.13 - チェック日2009.12.31) ページTopへ .
https://w.atwiki.jp/ndxbn/pages/50.html
フブキンのいとこ。性別は男。 本当にいとこかは不明だがおきしげが彼に遭遇。 その際「うちのフブキン」と言っていたことから、 どうやらスネ吉兄さん的なポジションのようだ。 広告下げ用
https://w.atwiki.jp/kun_tachibana/pages/1.html
IT系 VC++ MSDN その他
https://w.atwiki.jp/simamurakun/pages/106.html
【右向き】 【左向き】 【正面】 【後ろ姿】 【とっくりセーターしまむらくん】 【孫悟空しまむらくん】 【クールビズしまむらくん】 【キャップしまむらくん】 【和服しまむらくん】 【しまむら伯爵】 【しまむらくんプラモ】 【ナイトキャップしまむらくん】 【ロン毛しまむらくん】 【しまむライダー】 【ピザむらくん】 【しかむらくん】 【きのこしまむらくん】 【どてらしまむらくん】 【マッチョしまむらくん】 【しちゃまん】 【右向き】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ´・ω・) ( : ) し─J 【左向き】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } (・ω・` ) ( : ) し─J 【正面】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } (´・ω・`) ( : ) し─J 【後ろ姿】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ) ( 〇 ) し─J 【とっくりセーターしまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ´・ω・) ニュッ ) ( ( : ) し─J 【孫悟空しまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ´・ω・) / ,⊃ /⌒⌒`~、 (~ ⌒`~、 ) ( ⌒ ノ ~) ヽ~、 _ ノ~ ~ヽ) 【クールビズしまむらくん】 /''⌒\,,...' -‐==''"フ ( ´・ω・) (_lヽ¶/l) |____l __| し─J 【キャップしまむらくん】 /´⌒ヽ _|_┌┐| ( ´・ω・) (ソ ヽ) し─J 【和服しまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } (´・ω・`) ハ∨/^ヽ ノ [三ノ .、 i)、_;|*く; ノ |! .".T~ ハ、___|"""~""""""~"""~"""~" 【しまむら伯爵】 ____ | | | | _|___|_ ζ ( ´・ω・)y━・ 〈 |∞| 〉 し─J 【しまむらくんプラモ】 シール┏━━┳━┳━┳┳━┓┌─────┐┣γ´⌒゙`ヽ╋(, ´・ω・)┫│ (~) |┣━━━━╋┳━━┳┛│ γ´⌒`ヽ ゙|┣( )┫ し─ J┫ │ {i i i i i i i i } .|┗━━━━┻━━━┛ │ : | └─────┘【完成図】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ´・ω・) ( : ) し─J *横からのアングルに注意* l) |`ヽ γ´⌒{i i i } ( ´・ω) ( ) し─J 【ナイトキャップしまむらくん】 _,,..,,,,..,,_ Oヽ;;; ;;ヽ ( 二☆ニ) ( ´・ω・) ( : ) し─J 【ロン毛しまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } 川´・ω・) ( : ) し─J 【しまむライダー】 \(~)/ (_O|・|O) ( ´・ω・)~~(===@=) し─J \ / (O|・|O_) (・ω・´ ) ⊿゙゙)=⊂二 )~~ / ノ(( ̄_ノニニニフ '=-=、\ _ノ/,.=-\ ( ◎)゙ー――'( ◎)≡3 ≡3 ≡3 【ピザむらくん】 (~~) γ´ ̄ ̄ ̄`ヽ {i i i i i i i i i i i i i i} ( ´ ・ ω ・ ) ( : ) し───‐J 【しかむらくん】 ヽ, 「 l /7 「l /'.7 丶` -' '-..,「 | (~) | l _/"ー-´/  ̄ ̄ヾ/´⌒`ヽ/´ ̄ ̄ ( ´・ω・` ) ( : ) し─J 【きのこしまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } (,,,,´・ω・) 丿 ! (__,,ノ⌒ヽ〃⌒ヽ〃 ピョン ピョン 【どてらしまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } (・ω・` )c[ H´ ]っ | i.i | 【マッチョしまむらくん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } ( ´・ω・) この筋肉、しまむらで鍛えたんだ / ‐ 、-ヽ /丶ノ、_。.ノ ._。).. 〈 、〈Y ,ーiー〈ト 〉 \_ξ ~~~~~~Y |__/__| |、,ノ | 、_ノ 〈 !〉〈ノ/ (_) (__) 【しちゃまん】 (~) γ´⌒`ヽ {i i i i i i i i } しちゃまん参上! ( ´・ω・`) / ・ \ (__(| ・ |)__) ゝ )_(S)__(__,ノ| / ス__,、___ゝ| ノ / 人 ヽ | ~⌒,/ー‐/ー〉ー )ノ (⌒ ) (__)  ̄ ̄
https://w.atwiki.jp/monosepia2/pages/36.html
あちこちにバラバラとリンクしているサイトの中から、集団として活動するシンクタンク等をこちらに載せる予定。 いろいろブログ&サイト【TOP】 ■ 大前研一のビジネススクール 大前研一のアタッカーズ・ビジネススクールは、個人の能力やスキルを現場で確実に結果を出すレベルまで高める実践型のビジネススクールです。ビジネスで最も重要とされる7つの要素を元に、キャリアアップ、起業、社内新規事業、転職など、ビジョンや夢を実現させるビジネススクールです。 ■ 東京財団 政策をつくる・人を育てる・社会を変える 〔非営利・独立のシンクタンク〕 ■ 日本貿易振興機構(JETRO)【独立行政法人】 貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することをめざして ■ プレスリリース配信 ドリームニュース ドリームニュースは貴社のプレスリリースを各メディアに配信し、ビジネスの更なる飛躍の手助けをするPRツールです。 .
https://w.atwiki.jp/strawberrypie/pages/26.html
事件番号 昭和29(あ)2990 事件名 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反被告事件 裁判年月日 昭和35年01月27日 法廷名 最高裁判所大法廷 裁判種別 判決 結果 破棄差戻し 判例集巻・号・頁 第14巻1号33頁 原審裁判所名 仙台高等裁判所 原審事件番号 原審裁判年月日 判示事項 一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条により禁止処罰される医業類似行為 二 右第一二条、第一四条の合憲性 裁判要旨 一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない。 二 右のような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記第一二条、第一四条は憲法第二二条に反するものではない。(一につき反対意見がある。) 参照法条 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条,あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法14条,憲法22条 全文 全文 主 文 原判決を破棄する。 本件を仙台高等裁判所に差し戻す。 理 由 被告人の上告趣意について。 論旨は、被告人の業としたHS式無熱高周波療法が、、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法にいう医業類似行為として同法の適用を受け禁止されるものであるならば、同法は憲法二二条に違反する無効な法律であるから、かかる法律により被告人を処罰することはできない。本件HS式無熱高周波療法は有効無害の療法であつて公共の福祉に反しないので、これを禁止する右法律は違憲であり、被告人の所為は罪とならないものであるというに帰する。 憲法二二条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条が何人も同法一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反した者を同一四条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律一二条、一四条は憲法二二条に反するものではない。しかるに、原審弁護人の本件HS式無熱高周波療法はいささかも人体に危害を与えず、また保健衛生上なんら悪影響がないのであるから、これが施行を業とするのは少しも公共の福祉に反せず従つて憲法二二条によつて保障された職業選択の自由に属するとの控訴趣意に対し、原判決は被告人の業とした本件HS式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼす虞があるか否かの点についてはなんら判示するところがなく、ただ被告人が本件HS式無熱高周波療法を業として行つた事実だけで前記法律一二条に違反したものと即断したことは、右法律の解釈を誤つた違法があるか理由不備の違法があり、右の違法は判決に影響を及ぼすものと認められるので、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものというべきである。 よつて、刑訴四一一条一号、四一三条前段に従い、主文のとおり判決する。 この判決は、裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫、同石坂修一の後記反対意見あるほか、裁判官全員の一致した意見によるものである。 裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫の反対意見は次の通りである。 われわれは、医業類似行為を業とすることの法律による処罰が、「人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨」のものとする多数意見の解釈に賛成することができない。人の健康に害を及ぼす虞れがあるかないかは、療治をうける対象たる「人」の如何によつてちがつてくる。またそれは療治の実施の「方法」の如何にもかかつている。従つて有害無害は一概に判断できない場合がはなはだ多い。この故に法律は医業類似行為が一般的に人の健康に害を及ぼす虞れのあるものという想定の下にこの種の行為を画一的に禁止したものである。個々の場合に無害な行為といえども取締の対象になることがあるのは、公共の福祉の要請からして、やむを得ない。かような画一性は法の特色とするところである。 要するに本件のような場合に有害の虞れの有無の認定は不必要である。いわんや法律の趣旨は原判決や石坂裁判官の反対意見にのべられているような、他の理由をもふくんでいるにおいておや。つまり無害の行為についても他の弊害が存するにおいておや。 以上の理由からしてわれわれは本件上告を理由がないものとし、棄却すべきものと考える。 裁判官石坂修一の反対意見は次の通りである。 私は、多数意見の結論に賛同できない。 原審の判示する所は、必ずしも分明であるとはいえないけれども、原審挙示の証拠とその判文とを相俟つときは、原審は、被告人が、HS式高周波器といふ器具を用ひ、料金を徴して、HS式無熱高周波療法と称する治療法を施したこと、即ち右施術を業として行つたこと、HS式無熱高周波療法は、電気理論を応用して、単なる健康維持増進のためのみならず、疾病治療のためにも行はれ、少くとも右HS式無熱高周波療法が、これに使用せられる器具の製作者、施術者並に被施術者の間では、殆んど凡ての疾病に顕著な治療効果があると信ぜられて居ること及び右治療法が、HS式高周波器により二枚の導子を以つて患部を挟み、電流を人体に透射するものであることを認定して居るものと理解し得られる。 かゝる治療方法は、健康情態良好なる人にとりては格別、違和ある人、或は疾病患者に、違和情態、疾病の種類、その程度の如何によつては、悪影響のないことを到底保し難い。それのみならず、疾病、その程度、治療、恢復期等につき兎角安易なる希望を持ち易い患者の心理傾向上、殊に何等かの影響あるが如く感ぜられる場合、本件の如き治療法に依頼すること甚しきに過ぎ、正常なる医療を受ける機会、ひいては医療の適期を失い、恢復時を遅延する等の危険少なしとせざるべく、人の健康、公共衛生に害を及ぼす虞も亦あるものといはねばならない。(記録に徴しても、HS式高周波器より高周波電流を人体に透射した場合、人体の透射局所内に微量の温熱の発生を見るのであつて、健常人に対し透射時間の短いとき以外、生理的に無影響とはいえない。) されば、HS式無熱高周波療法を、健康の維持増進に止まらないで、疾病治療のために使用するが如きことは、何事にも利弊相伴う実情よりして、人体、及びその疾病、これに対する診断並に治療についての知識と、これを使用する技術が十分でなければ、人の保健、公共衛生上必ずしも良好なる結果を招くものとはいえない。したがつて、前記高周波器を使用する右無熱高周波療法を業とする行為は、遽に所論の如く、公共の福祉に貢献こそすれ、決してこれに反しないものであるとなし得ない。 而してあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法が、かゝる医業類似行為を資格なくして業として行ふことを禁止して居る所以は、これを自由に放置することは、前述の如く、人の健康、公共衛生に有効無害であるとの保障もなく、正常なる医療を受ける機会を失はしめる虞があつて、正常なる医療行為の普及徹底並に公共衛生の改善向上のため望ましくないので、わが国の保健衛生状態の改善向上をはかると共に、国民各々に正常なる医療を享受する機会を広く与へる目的に出たものと解するのが相当である。 したがつて原判示の如き器具を使用て、原判示の如き医業類似行為を業とすることを禁止する本法は、公共の福祉のため、必要とするのであつて、職業選択の自由を不当に制限したとはいえないのであるから、これを憲法違反であるとは断じ得ない。単に治療に使用する器具の物理的効果のみに着眼し、その有効無害であることを理由として、これを利用する医業類似の行為を業とすることを放置すべしとする見解には組し得ない。 原判示は以上と同趣旨に出で居るのであるからこれを維持すべきものであると考へる。 検察官 安平政吉公判出席。 昭和三五年一月二七日 最高裁判所大法廷 裁判長裁判官 田 中 耕 太 郎 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 島 保 裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 又 介 裁判官 垂 水 克 己 裁判官 河 村 大 助 裁判官 下 飯 坂 潤 夫 裁判官 奥 野 健 一 裁判官 高 木 常 七 裁判官 石 坂 修 一
https://w.atwiki.jp/dadad/pages/19.html
どしどしきてねっぇ~ きてねぇ~ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/riatorisu/pages/15.html
リアトリスの目標 ①クラン1等級を維持できるようにする。 ②ていうかクラン1等級になる。 ③クランマークを取る あと思いついたら追加していきます。
https://w.atwiki.jp/xenoblade/pages/292.html
#contents 開発者曰く語感でつけられたものが多いらしい。 ストーリーに登場する語句の由来 名称 由来・備考 シュルク クラウスの反対読み(Shulk)から。主役(シュヤク)→シュルク? フィオルン イタリア語で花を意味する「フィオーレ(Fiore)」?生ルンのタレントアーツ名やフラップが蝶っぽい。ヒロイン→フィオルン? ライン 積極的に前に出て仲間を守る→最前線→ライン? ムムカ 荒れ狂った性格→ムカムカ→ムムカ? ガド 皆を守る→ガード→ガド? アルヴィース 北欧神話に登場する、『すべてを知る者』という意味を持つ小人から。 ヤルダバオト グノーシス主義における、この世を造った『偽の神』の固有名である「ヤルダバオート」から。 エギル 北欧神話に登場する神「エーギル」から。 アガレス ソロモン72柱の魔神の一柱。 ザンザ ギリシャ神話の神クサントスの英語読み「ザンザス」から。 モナド 哲学上の概念。 ハウレス 悪魔学における悪魔の一人「フラウロス」(Flauros)から。
https://w.atwiki.jp/kurotoko/pages/25.html
#contents *単品 **唯ちゃx三好x英美 唯ちゃの性格がよくわかるさんかくでいとのお話し ***余暇ほど素敵なものもない 午後三時十五分。 開放を目前にした三年教室のざわめきの中、~ 松島英美は、かなり久々なフリーの余暇に胸を躍らせていた。 両の掌で顔を包むように頬杖をつき、~ ほくほくとした笑顔で、担任が来るのを今か今かと待ち構えている。 「えへ」 やれ学園祭だやれ体育大会だとイベントが立て込んでいたため、~ ここ最近は放課後も拘束されっぱなしだった。 それらがようやくひと段落して、今日からはしばらく何の予定もない日が続く。~ 自分だけの何もない時間を、たっぷり満喫することができる。 何の用事も、誰からの誘いもない。 「えへへ」 多忙な毎日にさよなら。 ようこそ、同行者に気を遣わなくていい立ち読み。~ いらっしゃい、あんまり人に知られたくない趣味の買い物。 ~ 「っとと、」 前方右斜め四十度のあたりから、変なものを見る目を向けられていたことに気付き、~ 英美は笑みを引っ込め、なんでもない風の態度を装った。 が、今さらそんなことをしても、一人で満面の笑みを浮かべていたことを、~ 相手が忘れてくれるわけではない。 「やけに嬉しそうじゃない。これからなんかあるワケ?」 『バカなの?』と聞こえてきそうな表情で、クラスメイトの島岸真樹は小首を傾げた。 「うんにゃ、何にもないよ」~ 「じゃなんで?」 『バカなの?』と意訳できそうな問い掛けに、しかし英美は笑みを浮かべた。 「や、何にもない放課後なんて久々でさー」~ 「……ああ、そゆコト」 ここ最近の英美の多忙さは、もちろん島岸も知っていた。 加えて、島岸はサッカー部の部長でもあり、先日の唯がらみのイザコザについては、~ 口には出さないものの、若干の申し訳なさを感じているところでもある。 「ま、ゆっくり休――」 言いかけて、島岸は「あー……」と言葉を濁した。~ その前に一旦、島岸の視線が教室の外へ向いたことに、英美は気付かない。 「あ、センセー来た!」 そう誰かの声がして、それまでバラけて雑談していた少女たちはばたばたと動き出した。~ 島岸は正面へ向き直り、英美と島岸の会話もそこで途切れる。 担任が教壇に上がる。 止まり切らないお喋りも担任の声で徐々に引いていく。 「ま、ゆっくり休めたらいいわね」 喧騒が完全に止んでしまう前に、島岸はもう一度振り向き、そう言った。 ~ ~ ***そうは問屋が卸さない 松島英美が間抜け面をクラスメイトに目撃されて慌てていたその頃。~ 壁一枚を挟んだ向こう側では、対峙する二人の少女の間で、視線の火花が散っていた。 「こんにちは彩水さん。ここは三年の教室ですが……何の用事ですか?」 かたや二年、三好ゆたか。 「先輩こそ、迷子かなにかです?」 かたや一年、彩水唯。 「疑問文には疑問文で答えを返せと教えられてきたんですね、貴方は」 愛らしい笑顔を、冷ややかな無表情が見下ろす。 その視線の温度はいつもより三割ほど低い。 「冗談だったんですけど……心の狭んまい人ですねー……」 聞こえないよう、ぼそりと呟く。~ そっぽを向いた笑顔の裏、隠した歪みが口元に浮かび上がる。 「今何と?」~ 「いえいえ、ただの独り言ですし」 振り向いてニパッと笑顔。~ そんなことより、と前置き。 「なんで先輩がこんなトコにいるんです?」~ 「ど、どうだっていいでしょうそんなことは」~ 「そうですねー、どうでもいいです(自分から聞いてきたくせに)」 階段を上り、三学年の担任教師二人が連れ立って姿を現した。最後のHRを終えるべく。 廊下にたむろしていた、二つのクラスの生徒たちが、一斉に教室へ駆け込んでいく。~ その中には、二人の様子を眺めていた紗霧の姿もあった。残念そうな顔が扉の向こうに消える。 ~ 壁越しの教室内からは、放課直前で圧迫された活気の気配が感じられる一方で、~ 三年の生徒たちがいなくなったこの場所は、しんと静まり返っていた。 と言っても、静かなのは二人のいる廊下の付近だけで、他のフロアは既に放課後真っ盛りだ。 上の階からは文化部の物音が、北校舎からは一・二年生徒の騒ぎ声が、~ それぞれに少し遠くから響いている。 束の間の静寂の中で、窓際の壁に屈み込んだ唯が口を開く。パンチを放つ。 「ちなみにわたしは英美先輩を待ってるんですよ。一緒に遊びに行こうと思って」 “わたしは”の部分に、露骨にならない程度にアクセントを置く。~ 視線だけで、『それで先輩はどうなんです?』と問い掛ける。 ゆたかの答え次第では、放課後の英美の時間は唯のものだ。~ 「見回りです」とか「先輩に用事があるわけでは」とか、そういう言葉を期待する。 「わ、わわ私だってそうです……!」~ 「む」 ゆたかは意外なほど食い付いてきた。~ 振りほどくことにする。 「今日のところは譲ってくれませんです?」~ 「……何故ですか」 警戒度の高い声。望み薄。でも言う。 「だって、二人で誘っても先輩困っちゃうじゃないですか。そしたら三好先輩が――」~ 「拒否します。それなら貴方が諦めればいい話でしょう」 その語気の強さに強気を感じ、唯は歯噛みした。~ 頑固者はいざというときに強い。 「それに、私には彼女との約束があります。譲れません」~ 「え、うっそだぁ」 内心笑ってはいたものの、唯は動揺した。~ いつの間にそんなものを取り付けていたのか。ここしばらくの英美にそんな暇はなかったと―― 「本当です。二週間ほど前に、確かに」 ゆたかは心の中で、いつかの約束を思い出す。 『今度、一緒に遊びに行こうよ!』『……ええ、はい』~ 無邪気な笑顔。そっぽを向いて、赤い耳。 「あ、それって――」 その約束なら唯も知っていた。~ “二週間前”というキーワードで呼び起こされる、英美の嬉しげ自慢げに緩んだ顔。 しかし、しかしだ。その約束は、けっこう曖昧で、~ それをそんな今日行く約束をしましたみたいな風に言うなんて、この、この、 「それ別に今日行くって話じゃないじゃないですかー!」 唯は思わず立ち上がり、先輩の顔面を指差した。~ 先生、こいつズルしてました! 「な、な、なんで貴方が知っているんですか!?」~ ゆたかもモロ動揺する。 微妙に話が噛み合ってないことに、二人とも気付いていない。 ゆたかは別に『英美は今日は自分との約束がある』と言ったつもりではなく、~ 単純に二人だけの約束だと思っていたのに他人に知られていたことに驚いただけなのだが、 「英美先輩から聞きましたし! 先輩の卑怯者!」~ 「何故貴方にそんなことを言われなくてはならないんですか!」 この流れでは、この些細な誤解を正すことは不可能だし、~ 二人がそれに納得したところで、この喧嘩は収まりそうにない。 どうしようもない。 ~ ~ ***帰っていい? ……ダメ? 逃がしてくれない? 英美のいるBクラスは完全に沈黙していた。 放課の終礼が終わったにも関わらず、誰も教室を出て行こうとしない。~ 机に突っ伏している誰かの寝息が少しうるさい。 その理由はもちろん、少し前から廊下の外で繰り広げられる舌戦だ。~ 誰を巡って言い争っているのか、教師を含めたクラスのほとんど全員が理解していた。 全身に突き刺さるクラスメイトの視線に追い出されるようにして、~ 教室の戸を開け、英美はたった一人で廊下へと足を踏み出した。 ~ 「この際ですから言わせてもらいま……っ!?」 自分のターンとしてガッチリ説教を食らわす気でいたゆたかの言葉が止まった。~ この場面だけ見れば、ゆたかが唯を苛めているようにも見える。 「……うぷぷザマー」 いかにもそれらしく見えるように俯いたまま、唯が呟く。 「なんですか?」~ 「なんでも?」 まあまあと視界を遮るように二人の間に体を割り込ませて、~ とりあえずとばかりに英美はこう言った。 「一体どうしたの?」 とても軽率な言動だった。 「「こいつが!!」」 英美は心の中で、愛すべき一人の時間にさよならと言った。 ~ ~ **「褒め言葉よ」 ***「そうそう、新作が出たんですよ!」 ~ 三年教室での昼食の最中、夏希は突然そう叫んだ。 「そう。それはよかったわね」 あまりにも唐突だったせいで、紗霧の返答は冷え冷えとしたものになった。~ 言外に『意味が分からない』と言われたようなもので、夏希は一瞬言葉に詰まる。 が、気を取り直すように、失敗を誤魔化すように、夏希はそのまま話を再開した。 「えーとですね。コングのデザートフェスタが始まるんです。今日から」 「んぇ、ふぉうあの?」 真っ先に食い付いたのは英美だ。~ 現在その口が食い付いているのは購買で買ったピザパンだったが。 「春の新作が今日から販売開始だそうで。今回のはチョコがメインらしいですよ」~ 「それは気になるねー」 口を膨らませながら英美が相槌を打つ。~ 紗霧は興味なさげに黙々と食を進めていた。 「そんなら、今日あたり二人で行ってきたらどうさ?」~ そして、四人目からの声があがった。柚瀬吉佳だ。 逆向きに座った椅子を傾がせて揺らしながら、~ その右手でコングのフェスタに興味のあった二人をぴろぴろと指し示す。 「んですね、行きたいですね」 言い出した本人でもあり、元々から誰かを誘って行く気満々の夏希とは対照的に、~ 英美の反応は芳しいものではなかった。 「んー……」~ 「ありゃ、なんか忙しいですか?」 そんならしょうがない、とすこぶる諦めの早い夏希に、~ 英美は両手を合わせて頭を下げた。 「うん、ゴメンねーなっちゃん。今日はちっと部活の集まりがあって」~ 「無念ですが、それじゃしょうがないですね……」~ 「明日なら行けるけど、どうかな?」~ 「え、マジで? 行く行く!」 とんとん拍子で話はまとまり、二人は明日の放課後コングへ行くことを約束した。~ 明日に想いを馳せながら、夏希は意気揚々と教室を去る。 実はそこにいた五人目、生粋の辛党であった歩は、始終じっと黙ったままでいた。 ~ ~ ***「美味しかったわよ」 まだコートを手放せない、三月の朝。~ 微笑みながらそう言った紗霧の意図が掴めず、夏希は首を傾げた。 「へ……?」 とりあえず自転車から降りて、学園への道を紗霧と同じペースで歩き出す。~ 朝の登校中に紗霧を見付けたら、夏希はそこから学園までを一緒に歩いて通学することにしていた。 「だから、美味しかったわよ」 表情を崩さぬまま、さも何でもないことのように、紗霧は同じ言葉を繰り返す。 「だからえーと、何がでしょ」~ 「貴女が昨日言っていたことでしょう?」 数秒ほど唸ってから、おお、と思い当たる。 「あ、もしかしてコングのアレ食べに行ったんですか!?」~ 「気付くのが遅い。そう、美味しく頂いたわ」 昨日は興味なさそうにしていたけど、本当は気になっていたのか。 自分の出した話題に興味を持っていてくれたことは少し嬉しくもあったが、~ それよりも夏希の中では、残念な気持ちのほうが大きかった。 「なーんだ、それなら今日にでもみんなで一緒に行けばよかったのに」~ 「ふふ、ごめんなさいね」 紗霧は笑った。 このとき夏希が冷静であれば、自分と二人きりのときに『ふふ、ごめんなさいね』などという、~ 猫を被ったような台詞が出てくるわけがないと気付いただろうか。 その笑みの意味に気付かないまま、夏希はふと思い付いた疑問を口にした。 「そういや昨日っては、誰かと一緒に行ったんですか?」~ 「ええ、英美さんと」 ~ 一瞬の沈黙の後。~ 夏希は、とても動揺した。 「え……――」 微笑みの仮面の裏から、紗霧の視線がじいっと夏希の表情の変化を観察する。~ 夏希にはそんなことを考える余裕もなかった。 口を開き、閉じ、空を見上げ、目を閉じ、口を開き、明後日のほうを向き。~ 胸の内から湧き上がる得体の知れない感情をどう処理すればいいのか、迷い、迷い、迷い、 「なんてことだ!」 最終的にはとりあえず、頭の中にあった一番当たり障りのない言葉を叫んで、落ち着く。 そうしてようやく余裕を取り戻して、それから紗霧の顔を見ると、~ ~ ~ ***「うそ。」 そこには、確信犯的な微笑みがあった。 「この鬼畜!」 夏希はもう一度叫んだ。~ が、紗霧は勝ち誇り笑うだけだった。 ~ ~ **Amor! ***匿名希望の少女Aの書き込み ある日、ある先輩の家に遊びに行ったときのことなんですけど…… あたし、机の中から偶然先輩の日記を見つけちゃって、~ うっかり腕を広げたらなぜだか中身が見えちゃいまして、~ なんと驚き、思わずじっと見てたら文章を覚えてしまったのですよ。 偶然って怖いですね。マジで。 ~ ***2月6日 バレンタイン・デーが来週に迫っていることを、~ クラスメイトの話を聞いていて思い出した。 気の早い子たちが、誰に渡すだの義理がどうのと話に花を咲かせていた。 私には関係のない話だ。~ そもそも、バレンタイン・デーという日は、初めは―― などと暢気なことを言っていられたのは、去年までの話で。 今年は私も頑張ってみようと思う。~ あの子にだけは、負けてらいれない。 でなくとも、彼女たちからチョコの交換をねだられてしまったし。 ~ 差し当たって、明日はみちるさんに色々と聞かせてもらう約束を取り付けた。 別れ際、なっちゃんさんが『古河先輩の言葉は話半分に』と耳打ちしてきたけど、~ 普段からだらしのない人にそんなことを言われても説得力がない。 みちるさん以上に相談事をするのに適任な人なんて、私には思い浮かばない。~ 人の心配をする前に、自分の生活習慣をしっかりするのが先だろうに。 ~ AM10:00~ LALM西口 ~ ~ ***2月7日 みちるさんは南口にいた。 正門と言っていたので、南だと思っていたんだけど……~ 失敗は成功の母と考えておこう。 ともあれ、収穫は多かった。~ 義理は50円くらいのチョコでも大丈夫、というのは初耳だった。 とても経済的だ。 ~ しかし、初めのお店から出た後は、~ 経済的などという言葉とは全く縁のない一日になってしまった。 みちるさんの口車に乗せられてしまった気が少しするけれど、~ 『絶対喜んでくれますよ!』と言っていたので、信じても良いだろう。 ~ とは言え、出来れば他の意見も聞いてみたいところだ。 明日、なっちゃんさんを家に呼んだ。 遠慮のない意見にだけは期待出来るし、~ 万が一『似合わない』と言われてもそれほどは気にならない。それほどは。 もちろんそのときは、50円のチョコが5円になる可能性を示唆しておこうとは思う。 ~ ~ ***2月8日 予定通り、なっちゃんさんが遊びに来た。~ 彼女のほうから話を振ってきてくれて、非常にスムーズな情報収集ができた。 ~ 普段は料理をしない彼女ですら、今週末のためには準備をするのだと言う。 なっちゃんさんは、『そのためにある日』と言っていた。~ だから頑張れるのだと。 つまり、そんな日でもないと頑張れない、ということだろうか。 ~ 肝心の勝負服については、良くも悪くも期待通りの言葉を貰うことが出来た。~ 彼女は、褒め言葉とそうでない言葉の線引きをもっと厳しくしておくべきだと思う。 ~ ~ ***2月9日 参考書を買ってきた。 ほとんどは家にある物だけで間に合いそうだけど、~ 型を取る器具だけはどこを探しても見付からなかった。 明日はあれを買ってこなくては。 ~ ~ ***2月10日 英美さんの性格をすっかり忘れていたせいで、~ 危うく例年通りの土曜日になってしまうところだった。 彼女には感謝しないと。 ~ ともかく、当日の予定についてはこれでひと安心だ。~ 残る問題はひとつだけ。 明日は祝日。家でじっくり練習しよう。 ~ ところで、あの自信満々の顔……経験者の臭いがプンプンする。 ~ ~ ***2月11日 今日はチョコ作りと、駅前で買い物をしてきた。~ 包装のことをすっかり失念していたせいだ。 誰かと鉢合わせたらどうしようかと思っていたが、その心配は杞憂に終わった。 ということにしておく。 ~ けれど、教育は必要だ。 ~ ~ ***2月12日 今日は、やけに校内の空気が浮ついていた。 今年はバレンタインが土曜日なので、~ 休日会うような仲ではない相手には金曜に渡すしかない、というのが原因だ。 駅前は非常に混雑していたことだろう。~ 昨日のうちに買い物を済ませておいて本当によかった。 ~ 過半数の生徒にとっては、明日こそがバレンタイン当日。~ 今日にも増して騒がしい一日になるに違いない。 私も、昨日作っておいた分を渡す予定だ。 ~ ~ ***2月13日 下駄箱に溢れんばかりのチョコがあった。~ もちろん私ではなく、英美さんと唯さんの下駄箱にだ。 別に気にしているわけではないのに、二人から優しい目で見られた。~ せいぜい一月後のお返しを頑張ればいい。 ~ 知り合いに渡した義理チョコの味は好評だった。~ 来年はもうちょっと凝ったものに挑戦してみようと思う。 ~ 明日はいよいよ本番だ。~ 楽しい一日にしたい。 ~ 服 OK~ 靴 OK~ 下着 OK~ 掃除 OK~ シーツ OK~ 小道具 OK ~ ~ ***2月14日 記入なし ~ ~ ***2月14日 英美の手記 唯ちゃんからはハート型のチョコを貰った。~ 可愛いデコレーションが沢山してあって、食べるのがもったいなかった。 イチゴのソースがとっても甘かった。 ~ ゆーちゃんからは、アルファベット型のチョコを4つ貰った。 「O」「M」「A」「R」の文字がバラバラに入っていたんだけど、~ だから、たぶん「ローマ」だと思う。他に形になる英語がなかったし。 だけど、なんで「ROMA」なんだろう。~ そんなにローマ好きだったのかな。 ~ なっちゃんに聞いてみた。 ~ ~ ***2月14日深夜 英美と夏希の通話記録 「アール、オー、エム、エーですか」~ 「『ローマ』しかないと思うんだけど……」 電話の向こうから、カリカリという音がかすかに聞こえてくる。~ シャーペンを走らせている音だと気付いて焦った。 「あ、軽く聞いただけだから、そんな紙に書いてくれなくてもいいよ!?」~ 「いやほら、あたしも気になっちゃって」 マロー、ラモ、モーラ……ぶつぶつと悩む声。 でも、それくらいは私だって考えたんだ。~ 四文字しかないなら、意味の組み合わせなんてそんなに多くないもの。 「オマル?」~ 「おま……?」 ……。~ バレンタインの。チョコの。メッセージが。 「おまる」~ 「おまる?」~ 「って、知らないですか? ほら、小さい子供が――」~ 「いやいやいやいやいやないないないないないない」 知ってるけどそういうことじゃないよ。~ なんでおまる。変だよおかしいよ。ローマよりありえないよ。 混乱しているうちに、なっちゃんの追い討ち。 「お返しにはおまるが欲しいです、っていうメッセージをですね」~ 「そんなのなんに使うのよ!?」~ 「そりゃ、リビングとか人の目のある場所でおしっこするためでしょう」~ 「人の目の……誰かに見ら、みるられ」 ゆーちゃんが家の居間でパンツを脱いでアヒルのおまるに座ってゆーちゃんがんんって顔が赤いゆーちゃんがぶるぶるってゆーちゃんがゆーちゃんが 「いや、冗談でしょ!?」~ 「ってか、そもそも文字数が足りてなかったりします」 OMAR。~ うん。ユーが足りてない。ユー、ゆー、ちゃんが……? 「……もしかしてゆーちゃん、ホントにおまる欲しいのかなあ」~ 「え、いや、冗談だって言ったじゃないですか!?」~ 「でもユーちゃんが……」~ 「ありえないですってば」 一息ついてから、なっちゃんが言った。 「多分ですけど、答え分かりましたよ」~ 「ホント!?」~ 「マジです。でも先輩、あたしが答え言っちゃっていいんですか?」~ 「ん……」 確かにそれは、ちょっと待って欲しい。 てっきりローマしかないと思ってたけど、それ以外の答えがあるんだったら、~ せっかくゆーちゃんから初めて貰ったバレンタインのチョコなんだし、~ 頑張って自分で答えを見つけたい。 「やっぱり言わないで。もうちょっとだけ頑張ってみるよ」~ 「了解です」 とは言ったものの、もう何時間も悩んだ後だし、答えを見つける自信はあまりない。~ そんな私の心情を見透かしたかのように、なっちゃんが言った。 「あー。その、ヒントだけ言ってもいいですか?」~ 「出来れば、お願い……」 頑張るって言ったばっかりなのになあ。~ ほんとダメだ、私。 「ヒントそのいち。英語じゃないです」~ 「うんうん」~ 「ヒントそのに。ローマって、実はヒントになります」~ 「あ、完全なハズレでもなかったんだ」~ 「偶然かも知れませんけどね」~ 「うう……」~ 「そんで、ヒントそのさん……は、あー、ちょっと待ってください」 携帯を置き、なにかページをめくる音が聞こえる。~ それから十数秒後、 「インバートです」~ 「え?」~ 「どうしても分からなかったら、インバートです」~ 「ええと、その、」~ 「英語です。意味は調べるか誰かに聞くなりすれば、たぶん分かりますから」~ 「……うん、わかったよ」 たぶんだけど、意味を調べたら答えが分かってしまうような単語なんだろう。~ なんだか変なクイズみたいになってしまった気もするけど、とにかく助かった。 「うん、ありがとね、なっちゃん」~ 「いえいえ。それじゃ、今日はこのへんで」~ 「ん。それじゃね」 通話を終えて、私は四文字のアルファベットとの闘いを再開した。 ~ ~ ***チョコ内訳 紗霧 96個 うち憧れ94 本命2~ 手渡し11 下駄箱0 机に置いた紙袋53 夏希32~ 全学年からまんべんなく。~ クロコ。本命以外は知り合いに分配。 モモ 72個 うち憧れ71~ 手渡し1 机71~ 第二のカリスマ。手渡しは英美から。毎年めんどいから学校を休むのでした。 英美 65個 うち本命42~ 手渡し49 下駄箱7 机9~ 1、2年から多め。~ 本命の数が異常。恋多き女。チョコ大好きっ子。 吉佳 59個 うち本命5 残りは友チョコ~ 手渡し51 下駄箱5 机3~ モモのせいで数が減ったらしい。不憫。 唯 38個 うち本命2~ 手渡し23 下駄箱4 机11~ 母性の人とロリコンから多め。かいぐりかいぐり。うきゃー。~ 本命はもちろんあの2人。 小夜 29個 うち全て友チョコ~ 手渡し29~ ともだちいっぱい、そのに。 遥 のべ25個 うち本命1~ 手渡し24 机1~ 机に入れたやつが本命。誰だろうね。あたしが知ってるわけないっつの。 みちる 22個 うち全て友チョコ~ 手渡し22~ ともだちいっぱい、そのさん。 夏希 21個 うち本命6~ 手渡し20 机1~ 友達と教師陣からのみ。机に入ってたのは須磨川の本命。 五十鈴 13個 うち本命0~ 手渡し13~ 毒とか入ってねえだろうな……? ゆたか 6個 うち本命2~ 手渡し6~ 気にしてないですってば。 歩 5個 うち本命0~ 手渡し5~ 内気ちゃんですから。 ~ ちょっと多すぎたかもかも。~ 上位3人、おまえらどんだけカリスマなんだ。 三好さんがちょっと少なすぎたろうか。んーむ。 ~ ~ **せい……せいかつ! 思いついたのがこれだったんだからしょうがない。~ 風化しないうちに消化。 ***1 「はっ」 吐き捨てるように笑い、三好ゆたかはやれやれと首を振った。 「そんなの、そうそういるわけがないでしょう」~ 「それは分かんないよ。もしかしたら、」 足早に先を行くゆたかに追いすがり、松島英美が食い下がる。 晴れた日曜日。~ 駅前に遊びに来た二人は今、とあることで軽い言い争いをしていた。 「漫画の読みすぎです。お願いですから、常識で考えてくださいよ」~ 「そ……っ」 そこまで小馬鹿にされては、英美も黙ってはいられなかった。~ なにせ、今後の自分たちのセイカツにも直結する問題なのだから。 「そこまで言うことないと思う!」~ 「っ!?」 英美にしては珍しい大声に、ゆたかは驚き、~ また少し言い過ぎたかとも考えて、幾分か口調を和らげた。 「……なにも、一人もいないと言ってるわけじゃないですよ?」 ゆっくり言い聞かせるその口ぶりは、~ しかし今の英美には、聞き分けのない子供に対するもののように思えた。 「ただ、そこらを見渡してすぐ見付かるほど沢山いるわけじゃないと、」~ 「いるかも知れないじゃない、見てれば、そこらへんに――」 英美は不満顔で腕を広げ、休日で人の多いアーケードを示した。~ その手に釣られて往来を見渡したゆたかの目が、知った人物を見付けて動きを止める。 「あ」~ 「え?」 ゆたかの見ている方向に、英美も振り向く。~ そこには、 「あら、こんにちは」~ 「どもです。お二人とも」 仲睦まじげに寄り添う、閨織紗霧と伊織夏希がいた。~ 夏希のほうが寄り掛かるような体勢で、紗霧の腕を抱いている。 珍しくベタベタしてるなあと、英美はその光景を微笑ましく眺めた。~ 一方ゆたかは夏希の表情が芳しくないことに気付き、眉を潜めた。 「偶然ねー。二人で買い物?」~ 「いえ、これから映画館へ」 何の映画? へえ、そうなんだ。ところで―― 楽しそうに談話をする二人の傍らで、ゆたかは夏希へそれとなく目を向けた。 どこか様子がおかしい。~ 頬は赤いし、ぼんやりしているように見える。 体調が悪いのだろうか。と、ゆたかは思った。この時点では。 「何時からなの? まだ時間あるなら、昼ごはん一緒に食べない?」 昼食の話題に移り、ゆたかはそちらに意識を向けた。~ もう英美の機嫌も直っているようで安心だ。 「そうですね。ねえ伊織さん、何時から始まるんだったかしら」~ 「あー、何時でしたっけねえ」 そのとき紗霧が薄く笑ったのを見て、ゆたかは妙な違和感を覚えた。~ 何故だろう、と自問する。 「ちょっと待って頂戴ね。メモをしておいた筈だから」 自分の携帯電話を取り出し、何かしらの操作をする紗霧。~ 昼食は何にしようかな、などと考えるゆたかの目の前で、夏希の体がぶるりと震えた。 「っ……」 夏希は息を詰まらせ、俯いた。 何かに堪えているように体を硬直させて、~ それを周囲に気取られないよう、そ知らぬ顔でどうでもいい方に顔を向ける。 「一時間くらい余裕があればいいなー」 夏希の変調に、英美は気付いていないようだ。 それに相槌を打つ紗霧の表情からは、~ ゆたかが考えているようなことをしているようには、とても―― 「くす」 ゆたかを見て、紗霧が笑んだ。~ 「(ぬ……!?)」 なんだかとっても見下されたような印象を受けて、ゆたかはムッとした。~ が、紗霧はゆたかから既に視線を外していた。 本当に目が合ったのかどうかも疑わしいくらいの一瞬だったが、~ 気のせいだとは、何故か思わなかった。 「……見つかりませんね。すみません、確かメモしておいたと思ったんですが」~ 「ありゃ、困ったね」 いかにも申し訳なさそうに謝る紗霧に、英美もうーむと唸る。 「そうだ。伊織さんも確か、携帯にメモしていませんでした?」 紗霧がぱっと顔を輝かせる。 「え? え、あー、いやいや、そんなことはないと思いますが」~ 「いえ、確かにしていましたよ。覚えていますから」 殊更に慌てた様子で否定する夏希と、また妙に押しの強い口調の紗霧。~ ゆたかの疑心が深まる。 「とりあえず見てみたら?」 英美の一言で、夏希は自分のポケットやバッグの中を探した、が、 「んー、えーっと、おかしいな、携帯見つかんないや」~ 「んじゃあ、鳴らすよー」 何か言いかけた夏希の体が、一瞬だけ硬直した。~ 英美はそれに気付かない。 「やっぱりない?」~ 「たぶん、家に忘れてきたかも」 搾り出すような声に、英美は何を勘違いしたのか、 「そっか。まあ、携帯なんてなくても一日くらいなんとかなるよ。ね?」 などとフォローを入れ始めた。 二人の様子を見て、紗霧が無言で微笑んでいる。 「あ、あたし、思い出しました。確か、一時からだったはずです」~ 「ありゃ。それだと、ごはん一緒するのは無理だねー」 じゃあ早く、早く行きましょうと、紗霧の腕を引く夏希。 「そうだったかしら? もうちょっと時間があったような」 のんびりした調子で、紗霧は歩き出そうとすらしない。~ 英美のほうも、せっかく偶然会えたのに、すぐ別れることがひどく残念そうだった。 そこでようやく、ゆたかは口を開いた。 「念のため、早めに行っておいたほうがいいですよ」~ 「……そうですね、それじゃあ」~ 目に見えて安堵の表情を浮かべる夏希。~ 紗霧の表情に変化はなかった。ずっと笑みを浮かべていた。 ~ 去り際の紗霧と目が合って、ゆたかは少し寒気を覚えた。 ~ ~ ***2 「あの子なら……」~ 「なんです?」 ポツリと漏らした言葉に、夏希が食い付いた。 「三好ゆたかさんって、可愛い子よね」~ 「そうですねえ。……え? なんですか、また何かするんですか!?」~ 「さて、どうかしら」 紗霧はまた携帯電話を取り出し、何かしらの操作をした。 「……っ」 腕にしがみ付く力が強くなり、紗霧は笑みを深める。 どこかで何かが細かく振動する音が聞こえたが、~ 喧騒に紛れ、誰にも聞こえなかった。 ~ ~ **唯x英美AS ***1 朝のホームルームが始まるまでの数分は、1-Aへ遊びに行くのが戸部唯の日課だ。~ 学園祭の前からそうだったし、例えば自分の人間関係が著しく変化したとしても、これは変わらない。 ~ 1-Aの教室に入ってすぐ夏希の姿を見付け、唯はその背中に声を掛けた。 その襟元に手を突っ込みたくなる衝動に駆られるが、~ この前ほんとにびっくりしていたのでグッと我慢した。 「おはようさんです」~ 「はよーユイちゃん。今日も寒いねえ」 夏希は今、教室に着いたばかりのようだ。遥の姿はない。 ファー付きの白いダウンジャケットを脱ぎ、椅子の背もたれに引っ掛けると、~ 夏希自身もどっかと椅子に座り込んだ。夏希の目の前の席に、唯も腰を下ろす。 本当は二人とも窓際の暖房付近に立ちたいところだったが、残念ながら満席であった。 「バス使ってみたりとかどうです? むしろ逆に暑いくらいですよ」~ 「んー、それもアリなんだけどねえ。雪が降らない限りは自転車かなあ」 雪こそ降っていないが、朝の気温は氷点下にもなろうかという季節だ。~ 自転車での通学はそろそろ厳しいし、現に冬だけバス通学に切り替える生徒も多数いる。 だのに夏希は、気乗りのしない風ながら、自転車通学を止める気はなさそうだった。 「朝、起きられないですか?」~ 「いや、十五分の壁は厚いよ。マジ無理だよ」 マジ無理。ともう一度繰り返し、右手を枕にして、夏希は机の上に突っ伏した。 「ところでさ、」~ 「はい?」 それから顔を伏せたまま、ぽつりと小さな声で呟く。 「さっき英美先輩に会ったんだけど、元気なさそうだったよ」~ 「あ、」 唯が何も言えないでいると、~ 夏希は左手で自分の鞄を漁り、銀色の小さな鍵を取り出した。 「これ体育倉庫の。二階まだマット敷いてあるから、よかったら使っていいよ」~ 「……すいません、なんか」~ つまらなさそうな顔で差し出された鍵を、唯はありがたく両手で受け取った。 「あはは、いやほら、他人事だからさあ」 唯たち三人の関係を知った上でこんなことをしてくれている同級生は、~ そう言って力なく笑った。 ~ ~ ***2 『今日のお昼は、旧館まで来てもらえますか?』~ 『おっけー、わかったよ』 メールを出すと、英美からの返事はすぐに帰ってきた。 文面上はいつも通りであることが、唯の不安を余計に煽る。~ 電話にするべきだったかな、という少しの後悔が残った。 ~ 昼休みになると、唯はまず身支度を整えることにした。 体育館は全校集会以外では基本的に暖房を稼動させないので、ものすごく寒いのだ。 ダッフルコートに、ヘッドフォンタイプのイヤーウォーマー。手袋はいらない。~ アイビー柄の手提げに小さな弁当箱を入れ、コートのポケットには心中用の凶器をひとつ。 手早く準備をし、唯は教室を出て旧体育館へ向かった。 ~ 校舎を出て、寒風の吹きすさぶ渡り廊下に差し掛かると、~ 旧館入り口のガラス戸の向こうに松島英美が立っているのが見えた。 黒のジャケットを着込み、手元の携帯電話を開いたり閉じたり、俯いて所在なさげに突っ立っている。 唯はポケットから片手を出して、ガラス戸を押し開けた。~ それに気付いた英美が顔を上げる。 「あ……と、やっほー、唯ちゃん」~ 「どもです」 なるほど確かに、笑った顔にも元気がない。~ 唯にとってはもう見慣れた表情ではあるが、今日は特に陰が濃いように見えた。 そして、先ほど英美が一瞬だけ目を逸らしたのを、唯は見逃さなかった。~ 今日で三日になるが、自分はまだ微妙に敬遠されているらしい。少しだけ気分が沈んだ。 ~ 唯は上履きを脱ぎ、土間のようになったコンクリート床から、一段高いタイルの床に上がった。~ 木床の保護の問題から、通常の上履きのままでは館内へ入ることが出来なくなっている。 壁にずらりと並んだ棚には、横着者のシューズがいくつか放置してある。~ その棚の一番左上に、英美と唯は並べて上履きを入れた。 「えっと、今日はなっちゃんとか来ないの?」~ 「はい、今日は二人だけです」 唯の声が、思わず固いものになる。~ 何気なく訊いたつもりでも、英美の心情は聞き手にしっかり伝わっていた。 唯のメールにも、夏希や遥ももちろん来るものだと思って了承したのだろう。~ しかし唯は、今日だけは英美と二人きりになる必要があった。 「……ここは寒いですし、早く入りましょう」 「う、うん」 閉ざされた鉄扉のすぐ脇にある電灯類のスイッチを、唯が軒並み切り替える。~ 英美が氷のように冷たいドアノブを引いて、扉の片側を開け放した。 重苦しい音を立てて開いた扉の隙間から、二人はするりと中に滑り込んだ。 ~ 無人の館内は、ただ風が吹かないだけで、外と変わらないくらい寒かった。~ 日差しが入らないせいで、むしろ気温は外よりも低いくらいだ。 「冷たぁ……感覚なくなりそーです……」 床はまるで氷のように冷えている。~ 唯は足元から迫る寒気にぶるぶると震えながら、爪先立ちで飛ぶように歩く。 誰もいない運動場に、二人分の足音だけが響く。~ 四つの踵が床とぶつかり、ごつんごつんと音を立てる。 「どこで食べるの? やっぱり旧卓球部かな」 冷たさなど気にならないといった風にすたすた歩く英美の姿に納得のいかない思いを抱きつつ、~ 唯はポケットの中の右手で、家から持ってきたモノを弄んだ。 英美には聞こえない程度に小さく、それを包む紙がカサカサと音を立てる。 「えっと、実はですね。ナツさんから鍵を借りてきたんです」~ 「あ、それ二階の? うわー、あそこ入るの久々だよ」 ステージ脇の控え室には、螺旋を描く上り階段がある。~ が、諸事情により階段へ出る扉は施錠され、平時は二階へ上ることが出来ないようになっていた。 夏希に借りたのは、その螺旋階段に入るための戸の鍵だ。~ 色々と問題のある場所なので、鍵を貸し出すことは稀である。 「誰か来ないうちに、さっさと上がっちゃいましょう」~ 「だね」 ステージ左側にある控え室への扉を、英美が開く。~ 先に唯が入り、英美がそれに続いた。 ~ ステージ脇の控え室は、館内で一番に明るい場所だ。 運動をするためのスペースと違って、採光を考慮する必要がないため大きな窓があるのがその理由で、~ カーテンを開け放せば、昼時は南側からの陽光を存分に取り入れることが出来る。 とは言え、ステージ上に影響を及ぼさないよう、その窓は基本的に黒いカーテンに覆われている。~ 当然、今もそのような状態になっているので。 「暗っ」 入り口の扉を開けたままで押さえている英美を見て、わざわざ電灯を点けることもないかと判断。~ 唯は鍵を取り出し、部屋の隅にある螺旋階段へと向かった。 まず、唯のウェストより太い柱がでんと立ち、その周りをぐるぐると階段が上っている。 その階段の外回りを、落下防止の縦格子が一階の地面から天井までの全体を覆い、~ 階段の上り口にはドアノブの付いた格子戸がある。 直径三メートルほどの螺旋階段は、全体的に白のペンキで塗られていたが、~ 今やペンキはほとんど剥げ、また錆びしまっていて、白よりは茶褐色と言い表すのが正しいように見えた。 ドアノブだけがやけに新しいように見えるのは、カンヌキが錆び付いて動きが悪くなったため、~ つい最近に、鍵周りのみ改修を行ったためだ。 「えっと、鍵は、と……」 薄暗闇の中、唯が手元でかちゃかちゃという音を立てる。~ 金属が擦れる耳障りな音を立てて、二階倉庫へ続く唯一の扉は開かれた。 「これは閉めてったほうがいいよね?」~ 「あ、はい。お願いします」 英美が階段入り口の鍵を掛け直すのを見届けてから、唯はとんとんと階段を上ってゆく。 支柱の周囲を一度と半分ほど回ると、二階に到着する。 ~ ~ ***3 二階に上がってすぐ、唯はやはり閉じ切られていた黒いカーテンを開け放った。 南向きの窓は存分に光を取り込み、薄暗かった室内を明るく照らし出す。~ 電灯も備え付けてはあるが、この時間ならカーテンを開けるだけで十分に明るい。 ~ この部屋は、ステージの上のキャットウォークのための作業部屋だ。~ 普段は入ることも出来ないため、大して物も多くない。 一階にあったものと同じサイズの、南向きの窓と黒いカーテン。~ 舞台上に入るための引き戸と、中二階に出るための扉がひとつずつ。 部屋の隅には、学園祭くらいでしか使わない照明器具と、演劇部が使うであろう小道具の類。~ 誰かが置き忘れた工具箱。壊れた書き割りの基部。 最後に、夏希が勝手に一階の倉庫から持ち出した運動用のマットが、窓際の床に一枚敷いてある。 ~ 「わぁ」 遅れて階段を上ってきた英美が、部屋を見回して声を上げた。~ 唯にもその気持ちは理解出来る。二人とも、ここに入るのは夏以来だった。 「懐かしいねー」 当時に想いを馳せているのか、英美はどこか遠くを見るような目をしていた。~ 唯には、その懐かしむような表情が気に入らない。 「あの頃は楽しかった、とかって、なんかババくさいです」~ 「なんとっ!?」 やっぱり反応が鈍いな、と唯は思う。~ しかし、今はもうそんなことを気にしている段階ではない。 「それより、昼食にしましょっか」 窓際のマットに、まず唯が座り込んだ。~ 促され、英美もその隣に腰を下ろす。 少し、距離が遠い。 「あ、ここ、けっこう暖かいんだ」~ 「日が入りますし、狭いですからね」 二人は窓を背にして、お互いの間に弁当を広げた。~ 英美の弁当は自分の手作りで、唯は母親の手によるものだ。 「いただきます」~ 「いただきまーす」 英美はわざわざ手を合わせ、自分の作った弁当を拝んだ。~ かたや唯は、言いながら既に口の中にはカレーコロッケが入っている。 どこか遠くから、ボールの弾む音が聞こえてきた。 「早食い組かなあ」~ 「ですね」 ホイコーローを口に運ぶ。~ 冷たい白米を咀嚼する。 無言のまま、しばらく食事が進む。~ 会話が続かないのが不安になってきて、英美は口を開いた。 「やっぱりバスケが人気なんだね」~ 「ですね」 それで会話が止まる。頭の中で話題を探す。 他に誰かいれば大丈夫なのに、と英美は頭を悩ませた。~ 先日の行為が気になってしまって、唯と二人きりになると、うまく口が動かない。 居心地の悪そうな顔をしている英美を、唯は視界の隅に捉えていた。 「えと……双眼鏡、今もあるの?」~ 「あれはナツさんが回収しておいたそうです」~ 「そ、そっか」 次の無言は長かった。 じきに二人とも昼食を食べ終え、唯は箱を手提げに入れた。~ 英美はというと、デザートが入った小さなパックを膝の上に乗せたまま、固まっている。 ~ そろそろいいか。と考え、唯は醒めた顔で口を開いた。 ~ ~ ***ここが書きたかった 「メール」~ 「え、」 その一言だけで止める。~ 英美の表情が目に見えて強張った。 「メールが帰って来ないんですよね」~ 「な、なんで知って――」 小さく溜め息を吐いて、 「適当に言ってみたです」 「え、あ……」 既に泣きそうになっている英美を見て、唯は少しだけ表情を緩めた。 「先輩とは、昨日もう仲直りしたんじゃなかったんですか?」~ 「そ、そうだけど、そうなんだけど、」 英美が不安げに、唯の目を見つめてくる。~ どんなことを言って欲しいのか、唯にはよく理解出来た。 「……」 だから、唯は黙った。 英美が求めているのは、『友達からの慰め』だ。ただの友達からの。~ 今さらそんなことが出来るほど、唯は余裕でいるわけではなかった。 「やっぱり不安で、」 誰にも相談出来なかった事情を既に知られていたことで安心したのか、~ 英美が先ほどまで作っていた“壁”のようなものを、唯はもう感じなかった。 「その……」 大事な人の前以外では見せてはいけないような顔を、英美は今している。~ 例えようのない充足感と、それに付随する罪悪感。 唯の胸が、また苦しくなる。 ~ 「先輩。ちょっと頭貸してください」~ 「え? なに、なにか付いてた?」 手招きに応じ、英美が唯の眼前に頭を差し出す。 四つんばいになり、身を乗り出すようにした英美の頭を、唯は自分の胸に抱き寄せた。 「んっしょ」~ 「わ、ちょ、た、」 唯が、そのまま背中側に倒れ込む。 堪えようとすればそれも出来たはずだが、英美はそれをしなかった。 両肘を突いて体重を掛けないようにしながら、~ マットに仰向けに寝転ぶ唯の控えめな胸元に、英美は顔を埋めた。 「……」 顔を伏せ、黙ったままでいる英美の頭の上に、小さな手が載せられる。 「大丈夫ですよ、なんにも心配ないです」~ 「……うん」 唯が、優しく頭を撫でさする。~ されるがままに大人しく、英美は少しだけ肩の力を抜いた。 「(……さて)」 髪の匂いを胸いっぱいに吸い込んでから、~ 唯はついに右のポケットに入れてきたモノを取り出した。 包み紙を破き、ミルク色をしたその中身を取り出し、口の中に放り込む。~ 甘ったるい味が広がる。 凶器などとはおこがましい。~ それは、ただの飴玉だ。 「先輩、アメいります?」~ 「……飴?」 英美が顔を上げる。~ 唯は飴を舌に載せ、べーっと口を開けて見せた。 「じゃあ、食べる」~ 「了解です」 言って、唯は英美を抱え直し、横にごろりと転がった。 「わっ、と」 元から中央付近にいたせいもあり、二人の体はマットから半分ほどはみ出してしまった。~ マットの上とは違う、ひどく固くて冷たい感覚が英美の背中に広がっていく。 構わず、仰向けの英美に覆いかぶさったまま、唯は言う。 「さ、先輩、あーんしてください」~ 「ちょ、ええ? いやいや、」 英美は、すぐ目の前にある唯の顔から目を逸らした。~ 顔が近すぎる。正直、わりと恥ずかしい。 「早く開けないとあげませんよ」~ 「えええ」 このときの英美が何も期待していなかったかと言えば、そんなことはない。 この場所、この相手、この状況で、起こるかも知れないことについて想像が付かないほど、~ 英美はもはや純真無垢ではなかった。 「……あーん」 それでも彼女が瞼を落とし、口を心なし小さめに開いたのは、既に唯へ依存し始めていたからだろう。~ 先日の事件が、唯との精神的な距離を大幅に縮めてしまっていた。 そしてこの場合に限っては、英美は自分にこう言い訳することができる。~ 『そんなことをされるとは考えてもいなかった』と。 それが、唯の用意した逃げ道であるとも分からずに。 ~ 「ん、」 英美の口の中に丸いものが押し込まれ、甘いミルクの味が広がった。 何もされなかったことに、複雑ながらホッとしたのも束の間。~ 英美は、口の中の飴玉が妙に生温かいことに気付いた。 それがどういうことなのか考える前に、今度は英美の唇をなにか柔らかいものが覆った。 「ちょ、んんっ!?」 何か言いかけた口の中に、ぬるりと唯の舌が這入り込む。 今まで経験したことのない感覚に、英美はかなり混乱した。~ それに乗じて、唯の舌が英美の口腔内を蹂躙していく。 ~ ひどく長く感じられる数秒の後、唯はゆっくりと唇を離した。 「んふ」~ 「……ふ、ぁ」 英美がそっと瞼を開く。目の前には、まだ唯の顔があった。~ 反射的に英美はまた目を閉じ、顔を逸らした。 「ダメですよ。ちゃんと私のこと見てください」~ 「うう……」 両手を頬に添え、英美を強引に自分のほうを向かせる。~ 嗜虐的な色を湛えた笑みが、泣きそうな英美の瞳を見下ろす。 「アメ、食べたいです」 そうしてまた、唯が舌を伸ばす。~ 英美は口を開き、ただそれを受け入れた。