約 2,766,928 件
https://w.atwiki.jp/peyang/pages/261.html
当たってない、当たってないのに -- 名無しさん (2006-04-01 09 47 09) なぜだ…なぜなんだよ!!!!111!! -- 名無しさん (2006-04-01 13 52 12) あるあるwwwww -- 名無しさん (2006-04-03 03 56 12) 衝撃で殺されたんだよ>名無しさん -- 名無しさん (2006-05-05 12 58 34) 音速超えてるんじゃね?衝撃波だよきっと -- 名無しさん (2006-05-15 00 58 21) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/himaitame/pages/1446.html
暇だから女友達にイタメール その1065 816 :サントス:2006/02/18(土) 19 49 47.55 ID RNWHf3Gb0 ・性別:[男] ・年齢:[25] ・特徴:[180cm75kg至って普通のリーマン ] ・性交渉経験:[あるある] ・相手との関係:[メルトモ?] ・相手に送るメールの方向性など:[苺も魔王も電波も放置される危険性あり] 『相手の特徴』 ・ニックネーム:[なる] ・性別:[女] ・年齢:[22] ・特徴:[バカっぽい馬鹿] ・性交渉経験:[あるある] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い:突き合いたい ・勇者との仲の良さ :メール交換、たまに茶飲む程度 タゲの詳細 :変な奴だとは思う 『NGライン』 特になし 受信:ちょーだらしない男と別れてもいいですか? 送信:別れちゃえば? 受信:まじむかつくよ、でも私のこと大好きなんだよなあ・・・ 受信:鍵もって出ちゃって、私の家なのに・・・入れなくてサイゼリアで何で一人でビールとピザよ私!帰ればおでんあるのに(涙) なんだこれw 825 825 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 19 53 37.55 ID Wb1mekU70 ・・・別れて俺の彼女になっちゃえよ いい機会かもれないから言うけど、ずっと好きだった 弱ってるところ狙うのって卑怯かな? 833 :サントス:2006/02/18(土) 19 55 47.06 ID RNWHf3Gb0 825 送信 836 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 19 59 33.69 ID RNWHf3Gb0 受信:彼女どうしたの?彼氏はイタリアいった・・・ ちょwwwwイタリアまで鍵もってったのかよwwwwww ちなみ彼女は先日別れた 844 837 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20 02 05.78 ID Evwcuue70 836 不倫フラグ? ksk↓ 842 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 03 28.96 ID RNWHf3Gb0 837 彼氏はみたことない 844 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20 04 17.85 ID O/4QklwA0 きみとセックスするためにわかれた 849 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 04 42.90 ID RNWHf3Gb0 844送信 859 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 07 13.25 ID RNWHf3Gb0 受信:サイテーだな・・・ 今日は冗談が通じないらしい 遠いけど 910 910 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20 21 31.18 ID V8a/dfJ70 愛だの、戦争だの、平和だの、 テロだのよぉ、誰も俺らの青春はァ 殺せやア、しねぇんだよおぉ 912 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 24 22.99 ID RNWHf3Gb0 910送信 電波と魔王しかいないのかよwwww 913 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 25 53.66 ID RNWHf3Gb0 はええ、もうキタ 受信:そんなツマラナイギャグじゃ許しません サイゼリアってなんでこんなに安くておいしいの・・・・涙が出てきた 920 920 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20 29 12.41 ID V8a/dfJ70 「やればできる」なんて嘘っぱちだぁ。 そうじゃねぇだろぉ!? 「やってみなきゃわかんね」。 そうだろぉ!? 922 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 32 14.67 ID RNWHf3Gb0 920送信 さすがに意味ワカラナスwww 返信がなくなる悪寒www 926 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 43 53.40 ID RNWHf3Gb0 返信来ないな 追撃 932 932 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 20 46 32.80 ID EC2LPU5T0 笑え笑わないと芸の修行に出るぞ 938 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 48 37.05 ID RNWHf3Gb0 932送信 一応フォローにはなるのか 949 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 20 57 30.28 ID RNWHf3Gb0 受信:おまえの話はつまらない 電池一本なんでもうメールしてくんな! 終了です(´・ω・`)クオリティ低くてすまん 957 :サントス ◆HQrLOwPbgA :2006/02/18(土) 21 06 50.13 ID RNWHf3Gb0 んじゃラス 1000 1000 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/18(土) 21 45 13.52 ID MKE4/wGU0 加速しないスナイパーはただの豚だ(´・ω・`) 暇だから女友達にイタメール その1066 21 名前: サントス ◆HQrLOwPbgA 2006/02/18(土) 21 53 17.19 ID RNWHf3Gb0 すまんこ、回線がいかれてる・・・ 前スレ 1000 送信ってもうこれは無理だろう 23 名前: サントス ◇HQrLOwPbgAのスペック 2006/02/18(土) 21 55 43.51 ID OlKibvpt0 サントス ◆HQrLOwPbgA ・性別:[男] ・年齢:[25] ・特徴:[180cm75kg至って普通のリーマン ] ・性交渉経験:[あるある] ・相手との関係:[メルトモ?] ・相手に送るメールの方向性など:[苺も魔王も電波も放置される危険性あり] 『相手の特徴』 ・ニックネーム:[なる] ・性別:[女] ・年齢:[22] ・特徴:[バカっぽい馬鹿] ・性交渉経験:[あるある] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い:突き合いたい ・勇者との仲の良さ :メール交換、たまに茶飲む程度 タゲの詳細 :変な奴だとは思う 『NGライン』 特になし 受信:ちょーだらしない男と別れてもいいですか? 送信:別れちゃえば? 受信:まじむかつくよ、でも私のこと大好きなんだよなあ・・・ 受信:鍵もって出ちゃって、私の家なのに・・・入れなくて サイゼリアで何で一人でビールとピザよ私!帰ればおでんあるのに(涙) (前スレ最終受信) 受信:おまえの話はつまらない 電池一本なんでもうメールしてくんな! (前スレ1000)加速しないスナイパーはただの豚だ(´・ω・`) サントス2?
https://w.atwiki.jp/yukiyuna/pages/344.html
「鷲尾須美は勇者である」登場キャラクターについて考察するページ。 鷲尾須美 乃木園子 三ノ輪銀 バーテックス 三ノ輪銀の弟 先生 須美の両親 園子の両親 岡本さん 松井さん 増渕くん、野島くん、椿さん 神社の猫 鷲尾須美 Vita版及び特典PCゲームでのCVは三森すずこ。 東郷美森と同一人物。東郷姓での考察は結城友奈は勇者であるを参照。 武器は弓。遠距離タイプ。 モチーフの花は菊。花言葉は「ろうたけたる思い」→結城友奈は勇者である 第二話 ろうたけたる思い 虫が苦手。(G・第三話/蝉・第六話) 銀が言うには胸はクラスで一番大きい。(第三話) 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は古代史の学者。(第五話) 乃木園子 武器は槍。中距離タイプ。 モチーフの花は(青い)バラ。花言葉は「神の祝福」→結城友奈は勇者である 第八話 神の祝福 Vita版、結城友奈は勇者である、特典PCゲームでのCVは花澤香菜。 乃木家は鷲尾家、三ノ輪家より格が高い。(第三話) 格の高さもありあまり友達がいなかった。 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は小説家。(第五話) 三ノ輪銀 武器は斧。近距離タイプ。 モチーフの花は牡丹。花言葉は「風格ある振る舞い」→結城友奈は勇者である 第三話 風格ある振る舞い Vita版でのCVは花守ゆみり。 接近戦仕様だけあって、勇者としての防御力が二人より高い。(第四話) 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は家庭を持つ、お嫁さん。(第五話) 男子の中には、快活な彼女に想いを寄せていた者もいたようだ。(第五話) バーテックス バーテックスの行動様式(第一話) 人を襲う 人以外は襲わない 通常の兵器は、ほぼ効果なし 神の力を宿す勇者なら対抗できる 敵の目標は神樹。破壊を狙っている。 バーテックスは単体行動が基本と聞いていた。(第四話) 三ノ輪銀の弟 産まれたばかり。(第二話) 三ノ輪家には使用人がいないため銀が面倒を見ていた(第二話)が、勇者としてのお役目が始まってからは家にお手伝いさんがいっぱい来て弟の世話を任せられるようになった。(第三話) 先生 二十代半ばの凜とした女性(第一話) 先生としてだけでなく勇者としてのサポートも行っていることから大赦の人間と思われる。 須美の見た神託を解釈している。(第七話) 須美の両親 洋食派だったが、須美の朝食作りにより和食派へなりつつある。(第一話) 須美が預けた金魚の世話をしたり、須美の他人行儀を気にしていたりする。(第六話) 人身御供を知って涙を流す。(第六話) 母は朝からガツガツ行きたい派。フランクな態度で接してくれる母と厳格な父の組み合わせ(第七話) 園子の両親 ぼーっとしている園子が心配で、ある日いたずらでわざと幼い娘の前で苦しんで倒れて見せた。 そのときの園子の対応を見てからは何も言わなくなった。(第一話) 祖父もおり、園子に光るものがあると評している。(第一話) 人身御供を知って涙を流す。(第六話/勇者御記) 岡本さん クラスメイト。履いてる靴とか持ってる小物とか可愛くてオサレ。(第三話) 松井さん 銀の友達。休み時間に時々サッカーなどをして遊んでいる女の子。銀からの愛称は「まっつん」(第四話) 増渕くん、野島くん、椿さん 級友。須美たちが夏祭りで見かけている。(第六話) 神社の猫 毎朝のお参りしている神社に住んでいる猫。(第一話/第六話) 須美は勝手に「次郎丸」「三郎丸」と名づけている。(第六話)
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/2034.html
深夜から明朝に差し掛かる時間帯こそが、彼等のような存在にとっては最も活動のしやすい時期なのかもしれない。 窓さえ存在しない部屋に男女が集っているここは、第2学区に存在する警備員の訓練場に存在する地下室の一角。 そう・・・暗部で発生した事件を迅速に揉み消すことを主目的にしている幻の警備員集団・・・『Chase Of Unknown』。略して『COU』。 学生間では学園都市における都市伝説として語られるこの部署は・・・学園都市の『闇』の衣を纏いながら実在していた。 「ふぅ・・・。これで、【『ブラックウィザード』の叛乱】もようやく収拾が着けられそうかな」 灰色のスーツにカラフルな蝶ネクタイを身に着ける中年男が、目の前の机に広げている人生ゲームの駒(招き猫型)を弄りながらボソボソと喋る。 彼の名は尾振仔猫。くたびれた小太り体型からは想像も付かないかもしれないが、こう見えても『COU』の隊長を務める程の男である。 「(モグモグ)・・・とりあえず、これで暗部からの依頼も果たせましたね。・・・(モグモグ)」 フリフリのレースの付いたベージュ色ワンピースの上から赤色の革ジャンという奇想天外な私服の女性が、棒付きキャンディを咥えながら抑揚の無い発言をする。 彼女の名は葛木実鼬。良い意味でも悪い意味でも『マニュアル通りに動く人間』であり、そのマニュアル振りは彼女の異様な甘党振りにも遺憾無く発揮されている。 「今回の情報操作には“唯の1人も”死者が出ていないですからね。俺達の仕事じゃ、結構軽い方かな・・・」 黒髪ソフトモヒカンに死んだような目をしている男性が、部署では先輩に当たる葛木の言葉に相槌を打ちながら自身の意見を述べる。 彼の名は束鳶日詰。部署内では新人の部類に入る彼を一言で表すならば『(『COU』基準では)無個性平凡男』であり、個性豊かな同僚に負けじと仕事の傍らで色んなジャンルに挑戦する日々を送っている。 「私のような眼帯を掛けてたんだって、その東雲って奴ぁ?キャラ被りもいいトコだ。あぁ、私も参加したかったなぁ。そうすりゃ、この手で射殺(や)れたのに」 ボサボサに乱れた腰辺りまで伸びる茶髪に黒の眼帯が特徴的な女性が、咥える煙草から紫煙を燻らせながら過激発言を吐く。 彼女の名は狼森遊。『COU』きっての狂人で、『正当に人が撃てるから』というトンデモ理由で警備員になった程のトリガーハッピーである。 「狼森さんが出張るような事件ではありません。私達『COU』の主目的は暗部で発生した事件を迅速に揉み消すこと。 そして、今回の件は全体を揉み消すことなど到底不可能なケースです。貴方が担当する『最速で抹殺』事案には該当しませんよ」 リクルートスーツを着た七三分け男が、隊長から貰ったルービックキューブを弄びながら乾いた笑顔のままに同僚へ否定意見を述べる。 彼の名は虻川杭蠅。『COU』では主に交渉を担当し、『平和的解決』という名の『脅迫』を交渉相手へ呑ませることを旨とする不気味な男である。 「まぁ、今回以上の大事になる前に『ブラックウィザード』を討伐することができたのは、我々『COU』にとっても朗報であることには違いない」 ぐるぐる眼鏡に皺だらけのスーツを纏う男性が、眼前にあるパソコンの画面に映っている様々な画像と睨めっこしながら小声で呟く。 彼の名は蟻皐梟輔。『COU』では主に情報収集や改竄を担当する彼だが、普段はバンダナ等オタクファッションを平然と身に着けているために他メンバーからは失笑を買っている。 「そういや、まだ挨拶してなかっタ!!オハヨっス!!!隊長!!何時見ても、その蝶ネクタイが恐ろしいくらいに似合っていませんネ!!ダハハハハハ!!」 タンクトップに短パンを組み合わせた2m近い金髪青眼男が、ここに来て数十分経った今になってようやく隊長へ朝の挨拶をしていなかったことに気付き、話の流れなど完全無視且つ鼓膜が痛くなるくらいの大声で頭を下げる。 彼の名はマイケル=ヘブンリー。隊長である尾振が拾って来た警備員で、何事にも全力で取り組む好青年風ではあるのだが如何せん無頓着なために要所要所で余計なことをするために尾振からよく説教を受けている。 「・・・マイケル。挨拶どうこうの前に聞きたいことがあるんだ」 「WHY!?何ですか、隊長!!?」 『COU』のメンバーは現状尾振、葛木、束鳶、狼森、虻川、蟻皐、マイケルの7名である。情報漏洩を防ぐために部署で働いている人間の数及び詳細は一切公表されておらず、 正規の警備員すら部署の存在を知る者は少ない・・・そんな秘密組織の長である尾振は、自身が拾ったマイケルの“行い”について溜息を吐きながら指摘する。 「どうして、お前は会議中に焼き芋を頬張っているの?」 「(ブッ!!)・・・あっ、屁が出タ。ダハハハハハ!!!隊長も1つどうでス!!?うまいっすヨ!!」 「・・・・・・」 とても大事な会議の最中に袋に入っているほっかほかの焼き芋を皮ごと食べているマイケルの“行い”に、尾振は頭痛を発する脳を抱える他無い。 しかも、隊長への返答に放屁を伴うなど常識を逸脱しているとしか思えない。この男が普通の警備員を勤めることができなかった意味を今日も実感せざるを得ない尾振であった。 「ありゃ、反応が薄いなァ。他の皆はどうっすカ!!?甘くて最高っすヨ!!」 「甘い?・・・それじゃ、お言葉に甘えて・・・(パクッ)・・・あ、ああ、甘~い♪よしっ、ここにチョコレートを乗っけて・・・」 「ウ、ウェッ・・・焼き芋にチョコレートなんて・・・想像しただけで吐き気が」 マイケルの『甘い』発言に超絶甘党の葛木が反応・彼が差し出した焼き芋の甘さを気に入った彼女は常に持ち歩いているサイドバックからチョコレートを取り出し、 湯気が立っている焼き芋の上へ乗っけながら食し続ける。その様を見て部署内一番の常識人(自称)である束鳶は吐き気を催さざるを得ない。 「おぅ、そんじゃ私も頂こうか!・・・(パクッ)・・・うん、美味ぇ!!マイケルの差し入れは、何時も美味ぇモンばかりだな!! さすがは、大食い大会常連なだけのことはあるってか?ククククク!!!よぉ、虻川!蟻皐!お前等もどうだ!?」 「折角の差し入れ(?)ですが、私は遠慮しておきます」 「君達には、もう少し世間一般的な常識を身に着けることをオススメしよう。隊長も、君達の言動に呆れ果てて言葉を失っているが?」 マイケルの持つ袋から勢い良く焼き芋を数個取り出した狼森は、舌に広がる甘味を堪能しながら同僚2人へ声を掛けるが当の虻川と蟻皐に断られてしまう。 この場合、虻川と蟻皐の反応が至極当然であることは間違い無い。重要な案件を議論する会議に焼き芋を持ち込む時点で色々とおかしいのだ。 「・・・・・・マイケル」 「おッ!隊長もようやく食べてみたくなったすカ!?」 「・・・1億歩譲って、僕達のために差し入れを持って来たとしよう。だけど、このクソ暑い今の時期にどうして焼き芋なの?」 「そりゃ、暑い時こそ熱いモンを食うのが体にいいからっすヨ!!こんなこと、世間では常識っすヨ!!」 「・・・・・・・・・お前に常識を語られるとは、さすがの僕も予想外だよ」 このバカに常識を諭されるとは、全くもって予想していなかった尾振は頭痛が酷くなるのを実感する。 マイケルはどんよりしている『COU』の中では砂漠のオアシス的な存在で、彼の性格や姿勢に葛木や束鳶は好感を持っている程だ。 あの狂人狼森ともまともに付き合える一方で、そのバカさ加減等で虻川と蟻皐からは嫌われているマイケルをここへ連れて来た己の判断は果たして正しかったのか、 現在進行中で考えている尾振はとにもかくにも本題へ戻るべくマイケルの差し入れを手で制しながら口を開く。 「とりあえず、目下の議論は今回の件で大きな役割を果たした『シンボル』について先程の『軍隊蟻』No.3樫閑恋嬢との交渉も含めて『COU』なりの方針を確定すること。 だから、さっさと本題へ戻るよ。僕は余り金にならない今回の議論をさっさと終わらせたいんだ」 【『ブラックウィザード』の叛乱】に深く関わった非公式グループ・・・『シンボル』への『COU』としての対処方針を定める。 守銭奴である尾振自身余り気が乗らない(=金にならない)今回の議論の主題は、当人達の想像以上に様々な組織が絡む重要案件となっていたのだ。 「皆まで言わずとも、手持ちの資料で『シンボル』が【『ブラックウィザード』の叛乱】で負った役割の大きさは理解できると思う。 僕のような臆病な人間からしたら、とてもじゃ無いが真似できない“目立つ行動”だったわけだけども・・・」 「なぁ、蟻皐!?お前は排除すべきって意見なんだったか!?」 「そうだ、狼森。俺は、今回の『シンボル』の動きから連中を即刻排除するべき存在だと考える。どんな小さな危険因子でも排除するべきだ。全ては『COU』のために」 「確かに、蟻皐さんの懸念はごもっともです。『闇』と深く関わっていると目される件の殺人鬼と激闘を繰り広げた界刺得世を筆頭に、 花盛支部の閨秀美魁・抵部莢奈と共闘した末に『六枚羽』を撃墜した不動真刺や仮屋冥滋等強大な実力を持つ能力者が幾人も存在する非公式グループの存在は中々に厄介です。 まぁ、『COU』内で交渉を担当する私としては戦闘力よりも“3条件”を呑ませた策略振りの方がよっぽど脅威と思いますが」 「別に、強大な能力者が揃う非公式グループは『シンボル』だけじゃ無い。とは言え、救済委員事件や【『ブラックウィザード』の叛乱】で示した結果はやっぱり大きいよね。でも・・・」 「今の所『シンボル』が『闇』や俺達『COU』の存在に気付いている確たる証拠は無い。俺としては、現段階で排除の方向へ踏み込むことには戸惑いを覚えますが・・・」 「(ゲフッ!!)・・・あぁ、食った食っタ。今は次の大食い大会に備えて冷たいモノを摂らないことに集中しないト」 手持ちの資料と眼前のパソコンに映る情報から、『シンボル』への対処方針を議論する『COU』の面々達。 1名だけ議論から外れている気もするが、一々指摘するのも面倒になった尾振を中心に各々の意見が述べられていく。 概ねの意見としては排除の方針を示す蟻皐と虻川、観察段階で留める方針を示す葛木や束鳶と言った所か。 人数的には2対2。今頃になってようやく真剣に資料へ目を通しているバカは放って置くとして、自分以外で唯一意見を述べていない眼帯女へ尾振は言葉を向ける。 「狼森。お前はどう思うの?」 「私?そりゃ、普通は銃の引き鉄を引ける機会が増えるとなりゃ排除の方針に大賛成・・・なんだがな」 「何か気に掛かることでも?」 「別に私が気に掛けることじゃ無いんだけどな。隊長殿。もし、『シンボル』へ『今』手を出したら今回の案件を担当した『テキスト』っていう暗部が黙ってないんじゃねぇの?」 「・・・・・・フム」 狼森にしては珍しくまともな意見に尾振は頷きでもって己の意を示す。ちなみに、狼森にとっては別に『今』排除の行動へ出ることに特に拒否感は抱いていない。 だが、彼女の流儀として自身が関わる案件に『つまらない』や『面倒』を持ち込むことを嫌う。 『壁や地面に付いた銃痕を消すのが面倒だから』という理由で通常は二丁拳銃を用いるが、後始末のことを考える必要が無い場合は喜んで短機関銃を用いる。 『二丁拳銃はつまらないから』・・・そんな理由で。彼女は自身の欲望を最大限に発揮できる環境を望む傾向が強い。 部署内で目撃者が強者であったり、一秒でも早く消さなければならなかったりする事件を担当するのもそんな傾向の現れである。 そして、今回の場合は通常以上の『つまらない』や『面倒』が顕現する可能性がある。故に、狼森は警鐘を鳴らしているのだ。 「蟻皐。パソコンに保存した『テキスト』のリーダーと思われる人間の見解をもう一度述べてくれ」 「・・・『今回「テキスト」は「シンボル」を「観察対象」に留めることを決めた。これは、今回の案件を担当した暗部組織の最終結論だ。その意味をよぉく考えておくことを薦める』」 「これって、深く考えなくても『脅迫』だよね。虻川君お得意の丁寧口調に潜む脅しみたいな」 「私は相手の意見を最大限尊重していますよ?それに引き換え、『テキスト』のリーダーは私達の意見を全く無視しています。 葛木さん。あの人間と私が同類であると思われるのは心底心外です」 「(いや、虻川君は虻川君で結構相手の意見を無視しまくってると思うなぁ)」 「もしかして、『テキスト』は『シンボル』を暗部へ堕とすつもりなんじゃ・・・いや。それなら俺達の情報改竄能力をまず活かすべきだよな・・・」 「束鳶の言う通りだ。特に、情報改竄は俺の十八番だ。なのに、こんな『脅迫』染みた見解を・・・!!これでは、他の暗部へ依頼することもできない。 最終結論を否定したと捉えられた挙句暗部同士の抗争を招いてしまっては、『COU』の存続が危ぶまれる事態へ発展する可能性がある」 情報改竄を十八番とする蟻皐は、『テキスト』のリーダーが押し付けて来た見解に歯噛みする気持ちを抑えられない。 あの見解は、ようは『俺達の最終結論を否定するような行動を取ったらどうなるかわかってるよな?』という『脅迫』が根底にある。 『COU』でさえ詳細を全く教えられていない殺人鬼の死亡偽装等色々な手を打った自分達を無下にするかのような傲慢さに腹が立つが、事を荒立てるわけにもいかない。 『COU』は、言わば舞台裏でヒソヒソと動くことを主とする組織である。目立って良いことなどまず無いのだ。 「虻川。ついでに、『軍隊蟻』の樫閑恋嬢の交渉についても振り返っておこう。実際に彼女と通信で交渉したお前の口から今一度」 「わかりました。ゴホン!樫閑恋嬢の申し出は『「ブラックウィザード」壊滅に伴うスキルアウト等の混乱を抑制する』及び『「シンボル」の監視をする』の2点。 『軍隊蟻』は『シンボル』のリーダー界刺得世が通う成瀬台高校が存在する第5学区をナワバリとしています。 彼女達としてもナワバリ内で『シンボル』を切欠とする混乱は望んではいないのでしょう。真偽の程は不明ではありますが、 樫閑恋嬢と界刺得世が過去に接触を持ったことがあるという未確認情報もあります。まぁ、真偽がどうあれ以前私との交渉で『ブラックウィザード』の情報引渡しを拒否した手前、 今回彼女達が私達へ進んで協力する意図は色々あるのでしょう。警備員視点でも、『ブラックウィザード』壊滅に伴う混乱を収拾し切れるかと問われれば困難と言わざるを得ません。 しかしまぁ、長点上機の肝いりの存在はネックですねぇ。見えない圧力のようなモノを感じますよ」 「とは言え、『闇』との繋がりが深い長点上機が『軍隊蟻』での樫閑の行動を黙認していることが単なる指揮能力向上のためだけとは思えないな。 いざという時は樫閑を暗部へ堕とすことも可能性の1つとして捉えながら今は様子見の段階と言った所かな」 「そうでしょうね。『軍隊蟻』共々利用し尽し、様々な情報を取得した後に切り捨てる・切り捨てない双方の選択肢を確保しておく。いやはや、さすがは長点上機です」 尾振と虻川は、『闇』に属するor関わるor関わっていた学生を秘かに抱える『5本指』筆頭の長点上機の手腕を評価する。 徹底的な能力至上主義を掲げるが故に排他的な性質を有するこの学園は、『闇』に限らず“その手”の学生を抱える環境としては理想的とも言える。 「まぁ、樫閑が気付いていないとも思えないけどね。・・・『仰羽智暁の「ブラックウィザード」入り』と『彼女の失踪』に対する反応は?」 「・・・フッ。フフッ。隊長の予想通りでしたし私の予想通りでした。あの時の彼女の凍り付いた表情は、今もキッチリ保存していますよ」 そんな学生の1人である樫閑を揺さ振る策として尾振と虻川が持ち出したのは、『ブラックウィザード』のメンバー仰羽智暁の失踪。 彼女が『ブラックウィザード』のメンバーであった事実が彼女達へ与える影響・・・すなわち『軍隊蟻』のNo.2と呼ばれる男との『血筋』が意味するモノ。 『君達・・・という言い方には語弊がありますね。「軍隊蟻」のNo.2仰羽啓靖君の心情を思うと、私も胸が張り裂けそうですよ。 “義を以って筋を通し、筋を通せぬことを生涯の恥とせよ”を掲げる君達「軍隊蟻」のNo.2の親戚が悪辣非道を行っていた「ブラックウィザード」のメンバーだったんですから。 加えて、彼女は失踪してしまった。逃亡という表現の方が正しいのかもしれない。まぁ、君達の面子を守るためにもここは公開捜査は行わないつもりですよ?』 『・・・・・・わかったわ』 “義を以って筋を通し、筋を通せぬことを生涯の恥とせよ”を掲げる『軍隊蟻』No.2の血縁が『ブラックウィザード』のメンバーだった意味は相当に大きい。 No.2自身がどう思うかは知らないが、スキルアウトとして一般人からの評価も高い『軍隊蟻』への評価を大きく低下させる大きな要素を得ることができた。 長点上機が『軍隊蟻』での樫閑の行動を黙認しているのも、『軍隊蟻』への一般人の評価が高いというのが大きい。 『シンボル』と同様に『COU』が警戒する『軍隊蟻』を排除する時の手札は1つでも多い方がいい。 「『そんなことが無くても公開捜査なんか最初からするつもりなんて無い』とでも内心では思っていそうだね、樫閑は?」 「えぇ。・・・話を戻しましょう。私と蟻皐は遅かれ早かれ『シンボル』の排除へ動くべきだと考えます。 一方、葛木や束鳶は現段階では観察に留めるべきとの考えです。狼森はどっちつかず。・・・隊長ご自身はどうお考えですか?」 「『シンボル』は警備員視点で監視できない点からは危険だと言わざるを得ない。風紀委員ならば仕事で接触する機会もそれなりにあるが、 ボランティアのような人間相手ではそうはいかない。葛木。束鳶。お前達は、これでも反対を貫くのか?」 「私達は、『今』の情報を基にするなら観察に留めるべきだと考えているだけだよ。できるだけ穏便なやり方で終われるならそれに越したことは無いし」 「『テキスト』がどう動くかも不明な現状では早急な排除が勇み足になりかねないですし、俺の素直な想いとしては観察が望ましいと思います」 「・・・・・・」 虻川・蟻皐・葛木・束鳶は、各々が持つ揺るがぬ意見を隊長へ示す。最後に決断するのは『COU』隊長尾振仔猫。 隊長である彼の決断は絶対である。“表”の治安組織とも『闇』の治安組織とも今まで渡り合って来られたのは、彼の決断が功を奏し続けているからである。 異常な程に慎重な性格で、リスクの高い賭けは絶対にしない彼だからこそその場その場におけるリスク判定を入念に行うことができる。 時にはそれが仇となることもあるが、彼の判断で自分達が決定的に危うくなったことは今まで一度も無い。唯の一度も。 「・・・・・・実は、懸念事項の1つであった“3条件”がこの度撤回されたの。178支部の固地債鬼の悪手を記録した媒体も全部返却されるという形で」 「「「「えっ????」」」」 「今メールが来たの。上層部は殺人鬼や網枷双真の件等を揉み消すための口実として、“3条件”撤回等を用いるそうなの。 『“3条件”等が存在し続けている状態で「シンボル」達の行動に目を瞑ることが揉み消しの口実にはならない』という意見を封殺するために」 「「「「・・・!!!」」」」 メンバーから確かな信頼を託されている尾振は、先程届いたメール内容を明かしながら自身の意見を述べ始める。 彼は、メール内容を読み進めながら上層部の意図を全て理解した。事前にある程度は予想していたが、上層部としては殺人鬼や網枷双真の件等をそのまま公開したく無かった。 故に、現場で死線を潜った風紀委員会を黙らすために『「シンボル」他「協力者」達の“全て”の行いを非公式にするから目を瞑れ』という“交換条件”を提示することを決めた。 更に、【『ブラックウィザード』の叛乱】で失態を犯した彼等彼女等の反論を確実に封じ込める手段として『“3条件”撤回』及び『固地債鬼の悪手を記録した媒体全返却』も利用した。 界刺得世にどういう思惑があったのかまでは知らない。もしかすれば、ここまで読んだ上での行動だったかもしれない。 もしそうなら、自分好みの慎重さである。“3条件”を用いれば無理矢理にでも突破できたかもしれない状況下であえて撤回した“勇気ある”慎重さ。 慎重とは、決して臆病から来るモノだけでは無い。臆病にばかり『頼っていれば』、いずれ肝心な時に失敗する。 そもそもが臆病である尾振だからこそ理解している。臆病な人間が『COU』の隊長をずっと務めていられる大きな理由である『慎重』に込められたモノは実に大きいのだ。 「界刺得世は、ある意味では『“3条件”撤回』等を表明することで風紀委員会内で起きたかもしれない『感情論の泥沼』を防いだとも言える。 もちろん、自分達のためなんだろうし風紀委員会にとっては幸だったか不幸だったかはわからないけど・・・結構僕好みの性格だね。 『シンボル』もその活動を休止するようだし、今回の“目立つ行動”は彼にとってもやはり想定外だったのだろうね。ハァ・・・この慎重さのほんの少しでもマイケルにあれば・・・ねぇ」 「フムフム。成程成程。・・・・・・隊長!!」 「・・・・・・今度は何なの?」 界刺得世の慎重振りに目を細める尾振へ、今までずっと資料を読み込むことに集中していたマイケルが挙手しながら声を掛ける。 慎重さの欠片も無い彼の自信満々な表情の源泉は何処にあるのか、本当にわからない隊長がうんざりした表情を向けながら返答を待つ。 「ようは、界刺クンを観察すればいいんすよネ!?葛木サンや束鳶サンの意見なラ!!」 「最初から2人はそう言ってるじゃないか。お前は本当に人の話を・・・」 「私、界刺クンとは顔見知りっすからこんなの簡単っすヨ!!ダハハハハハ!!!」 「そうかそうか、お前と界刺得世は顔見知り・・・・・・はっ?」 「他にも不動クンや仮屋クンともっス!!特に、仮屋クンには次の大食い大会で必ず勝つために彼が大食い記録を立てた店を片っ端から当たってるっスから、 顔を合わせることも多いっス!!でも、最近は“闘食の王者”が仮屋クンのレコード記録を次々に塗り替えてるんだよなァ。私も負けてられ・・・」 「マイケル・・・・・・」 「クククククク!!!こりゃ“灯台もと暗し”ってヤツか!!?こんな近くに観察を容易に行える人材が居やがったとはなぁ。ククククク!!」 「(『また、「シンボル」を活動休止にした界刺得世は警備員予備役である緑川強主催の「筋肉探求」へ参加することとなった模様。理由は不明』・・・か。 確か、マイケルは緑川主催の『筋肉探求』の常連。マイケルの正体を知っての行動か?いや・・・それならもっと前から『筋肉探求』に潜り込んでいてもおかしくない。 わざわざ『怪しまれる可能性の高い』このタイミングで『筋肉探求』へ参加するのは、慎重な奴らしく無い行動だ。・・・・・・そうか。 これは、警備員の庇護下に入る体を装うことでスキルアウト等や能力者狩りのような連中からの攻撃を防ぐためだな。界刺得世は左腕に重傷を抱えていると聞くし。 今回の件で『シンボル』に注目しているのは『COU』だけじゃ無いからな。まぁ、それでも警戒だけはきっちりしておこう)」 知り合い発言をこのタイミングでカミングアウトしたマイケルに狼森は笑いを抑えることができない。 もっと早い段階でマイケルがカミングアウトしておけば、こんなに議論が長引くことも無かっただろう。“灯台もと暗し”とはまさにこのことである。 他方、隊長尾振は届いたメールの最後の方にあった文面と今までの情報を統合して、熟慮した後に『COU』としての総意を述べる。 「マイケル。一応確認しておくけど、界刺得世達と『筋肉探求』で会ったことは無いの?」 「無いっすヨ!!界刺クン達に『筋肉探求』のことを話したことすら無いっス!!」 「そうか・・・。マイケル。お前に指示を与える。界刺得世達を観察しろ。別に四六時中じゃ無い。大食いの時でも『筋肉探求』の時でもいい。 極自然に連中の動向を探れ。何か怪しい言動があればすぐに僕へ報告しろ。いいな?」 「了解っス!!ようは、何時も通りに自然体で接しろってことですネ!!?」 「・・・・・・・・・あぁ。お前の場合はそれが一番だろな。・・・これが現状における『COU』としての総意かな。 『軍隊蟻』との交渉や『テキスト』が下した最終結論がある手前、【『ブラックウィザード』の叛乱】の直後である今、【叛乱】を理由にした勇み足は慎むべきだと思うの。 無論、連中が『COU』にとって見過ごせない動きを活発化させればこの限りじゃ無いけど。いいね、皆?」 「「「「「「了解」」」」」」 「(『シンボル』そのものも活動休止に追い込まれたし、個人レベルならともかくグループ全体での派手な動きは避けるかな? まぁ、“裏”の連中がこのまま黙っているとも思えない。少なからず連中へアクションを起こすことを考える輩が出て来るのは避けられない。 僕達としてはそいつ等の手で叩き潰される展開がすごくおいしいけど・・・そう上手く事が運ぶとも思えない。とにもかくにも今は様子見か)」 尾振の下した決定にメンバー全員が了承の意を表す。各々が胸の内で納得しているかしていないかは別として、ここで異を唱えても仕方無いことくらいは理解している。 この決定は流動的な代物だ。つまりは、幾らでも変動する可能性の有する暫定措置でしか無い。 こうして自分達に害が及ばない範囲を見極めた『変化する決定』を了承し、幻の警備員集団・・・『Chase Of Unknown』は会議を終え部屋を後にした。 『COU』が解散して少し経った頃・・・すなわち新しい1日の始まりを告げる太陽が姿を現す頃、ある廃ビルの3階にて散乱している鉄製の箱の上に座っている男が陽気な声で隣に居る男へ話し掛ける。 「『ブラックウィザード』も潰されてもうたし、これから俺等の出番がぎょーさん増えそうやな・・・毒島ちゃん?」 傷んだ金髪の長髪を後ろで結わいている彼の顔には某有名スプラッター映画に出てくる大男の付けているマスクが着用されており、その素顔は全くわからない。 彼の名は家政夫(ヘルプマン)。関西弁を操りながら刃物を研いでいる彼を一言で表すのならば『金の亡者』である。 「調子に乗んな。『ブラックウィザード』が潰れて他の中小スキルアウトの動きが活発化しても、俺達のやることは変わらねぇ。 『霞の盗賊』は『暴食部隊 マンイーター 』みたいな雑食じゃ無いんだ。手当たり次第に食い漁ってりゃ何時かやられるぜ?」 家政夫に話し掛けられた少年・・・サングラス、帽子、フード、バンダナ、全てを黒一色に統一している彼もまた着衣によって顔の下半分を隠しているため素顔がよく掴めない。 彼の名は毒島拳。ある事情から家政夫と共にスキルアウト討伐を専門とする闇サイト『霞の盗賊 フォグシーフ 』の立ち上げた“裏”の住人である。 「せやけど、毒島ちゃんだって商売上がったりになるよりかは何倍もいいやろ?愛しいお姉ちゃんのためにその身を血塗られた世界へ投じても・・・(パンッ!パンッ!)・・・痛い!!痛い!!」 「わかってるとは思うが、姉さんに手ぇ出したら・・・」 「わかっとるって。こう見えてもこの家政夫さんは“線引き”をきっちり引いて仕事に臨むタイプや。まぁ、安心しぃや」 「(全く安心なんかできねぇけどな。さすがに、姉さんのことを何時までも隠し通せるわけは無いとは思ってたが・・・金が全てのこの男ならまだ何とかなるか)」 家政夫の不用意な―狙っての―発言への仕置きとして、ポケットから引き抜いた拳銃から銃弾を数発彼の体へぶち込む毒島。 本来であれば重傷は避けられないのだが、肉体を再生する―厳密には再生では無いが―家政夫にとってはこの程度問題は無い。 「しかしまぁ、最近のスキルアウトは能力者が混じり始めとるなぁ。これも『ブラックウィザード』とかの影響か。・・・あぁ、そうや。 毒島ちゃん。【『ブラックウィザード』の叛乱】で話題になった『シンボル』のことはもう耳に入れてるんか?」 「・・・あぁ。言っとくが、連中を相手取るつもりは無ぇぞ?」 「まだ何も言ってないやん。毒島ちゃんは気ぃ短過ぎや。えぇとな・・・噂やと『調子に乗った「シンボル」のリーダーが「ブラックウィザード」と風紀委員会の戦闘に首を突っ込んで、 逆に返り討ちを喰らって風紀委員会のお世話になったそうだ』らしいで。それに、今回の件を受けて『シンボル』は活動を休止するみたいやね」 「へぇ・・・」 「せやから、これからは悪目立ちした『シンボル』を他のスキルアウトが潰しに掛かるかもしれんのや。つまり・・・」 「餌として『シンボル』を利用し、群がってくるスキルアウトを俺達『霞の盗賊』が秘密裏に討伐するって流れか。・・・悪くないな」 家政夫の提案に毒島は一定の評価を与える。毒島も【『ブラックウィザード』の叛乱】に介入した『シンボル』の噂は耳に入れている。 『ブラックウィザード』が潰れた今、活発化したスキルアウトが連中を狙う可能性は大いに有り得る。そこを『霞の盗賊』が狙う。 餌の周囲を張っていれば獲物の方から近付いてくれるのだ。労力的な意味でも、現在の『シンボル』の利用価値は結構高い。 「そうやろ?別に『シンボル』を相手取るわけや無い。俺等は連中に群がってくるハイエナを狩るだけや」 「だが、連中が俺等の存在に気付く恐れはあるだろ?あそこには例の“変人”が居るし」 「フフン♪そん時はそん時や。俺等を害するモンは、俺の金儲けを邪魔する奴や。毒島ちゃんかて、“対能力者用の戦闘方法”を構築してるやん。 自分もわかっとる筈や。“こんなことをしとる俺等は何時か強大な能力者とぶつかる可能性がある”ってことに」 「・・・・・・」 「まぁ、討伐メンバーは結構な能力者が多いし黒崎ちゃんみたいな無償で協力してくれる人間も居る。 俺としてはぎょーさん金積まれたら、相手が無能力者でも高位能力者でも関係あらへんのが本音やけど」 「・・・『シンボル』を餌にするのは構わない。だが、連中は狩りの対象外だ。討伐メンバーにはちゃんと説明しろよ?」 「あぁもう!毒島ちゃんは本当に優しいお人や!抱き締めたい!!そうや、この際本当に抱き締め・・・(パンッ!パンッ!)・・・痛い!!じょ、冗談や冗談!!」 冗談で抱き締めに掛かろうとした家政夫を何時ものように銃弾で黙らせた後に毒島は今後について思考を働かせる。 大型スキルアウトの一角が壊滅したことで、自分達の討伐にも少なからず影響が出て来るのは確定事項だ。 つまり、これまでのようにはいかない。しかも、討伐メンバーはどいつもこいつも一癖二癖ある連中ばかりだ。 【『ブラックウィザード』の叛乱】を受けてメンバーの考えが変化する可能性もある。ならば・・・その可能性を見極める試金石として相応しいのはやはり・・・ 「今日の討伐対象はチーム名“吠える闘犬(バーキングブル)の下っ端数人。いつも通りビルに追い込んで潰そう。 詳細については携帯に送ったプランに書いてるからちゃんと目を通しとけよ?今日は参加メンバーも少ねぇんだから」 「こんな朝早くから今夜の狩りのことを・・・さすがは毒・・・(パンッ!パンッ!)・・・痛っ!!何でや!?俺、なんか今悪いことでもした!!?」 『霞の盗賊』の本分である狩りをおいて他に無い。流動するパワーバランスに呑み込まれないために、そして自身の『目的』を必ず達成するために。 毒島拳は相棒(?)である家政夫と共に血塗られた道を歩く。その先にあるのは希望か絶望か・・・彼にさえわからない。 場所は大きく移る。時差の関係で各家庭で大体夕食が終わったここイギリスの首都ロンドンに存在する聖ジョージ大聖堂の大広間にて、 赤毛を三つ編みにした中学生ぐらいの少女が編纂中の占星術書を虚ろな瞳で眺めながら溜息を吐き続けていた。 「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」 ロングTシャツにアーミーパンツというラフな格好である少女は、こう見えても対魔術に特化した実働戦闘組織『必要悪の教会 ネセサリウス 』の一員である。 彼女の名はリノアナ・サーベイ。10歳にして魔導書の写本を書き上げた天才少女と謳われる占星術師である。 「・・・・・・」 リノアナさんやい。溜息を吐くのはいいけど、僕達の近くでそれをするのは勘弁してくれって飼い主さんに代わってこのフギンがお願いしてみる このムニンからも頼むぜ。ポーラの機嫌がそろそろヤバイ領域に足を踏み入れ始めてやがるからな 黒いローブを被った女性らしき人間の両肩に乗るカラス2匹から放たれる声は、まるで腹話術のような光景を連想させるがこのカラス達はれっきとした霊装である。 彼女の名はポーラ=ウェッジウッド。『必要悪の教会』の諜報部所属の魔術師で、彼女の肩に乗るカラスはそれぞれフギンとムニンという名称を持つ。 「リノアナったら、数日前にあった仕事の帰り際からずっとこんな調子なんですよ。私が何度聞いても碌な返事も・・・(ブツブツ)」 下着スレスレのやけに露出の高い洋風着物を身に着ける水色長髪の少女は、同い年のリノアナの態度に少々の苛立ちを見せながらポーラへ言葉を掛ける。 彼女の名はジーデリウス=ノグズ。『ジディ』という愛称を持つ彼女は、その格好と大人びた顔付きから実年齢より高く見られることが最近の悩みであったりする。 「ハハン!どうせ、仕事で他人には言えないようなミスでもして落ち込んでるんじゃないのか!?天才少女の名も堕ちたモノだな。 やはり、真に天才なのはこの僕様ヘンリー=プランタジネットなんだ・・・(ドゴッ!!)・・・ガハッ!!」 身長145cmと13歳にしては小柄な部類に入る金髪碧眼の少年がリノアナの前へ仁王立ちし、殊更『天才』を主張しようとして後方から突っ込んで来た少女に吹っ飛ばされる。 彼の名はヘンリー=プランタジネット。ルーン魔術を用いて北欧神話に登場する『THORN(巨人)』を現出させる強力な魔術師である。 「ヤッホー。皆、新しい仕事が来た・・・ってあれ?どうしてあんな所にヘンリーが寝転がってるの?」 自身が吹っ飛ばした(ことに気付いていない)ヘンリーと同じ金髪碧眼の少女で特に目立つのは右腕に装着されている霊装義手だろうか。 彼女の名はマティルダ=エアルドレッド。『マチ』という愛称を持つ彼女は、強者との死闘を常日頃から渇望している奇妙な女の子と周囲から見られている。 「突入して来たマチさんが勢い余ってヘンリーを吹っ飛ばしたからですよ。ねぇ、ダレンさん?」 金髪灰眼で女顔の青年が、マティルダの突貫を避けた―故にヘンリーが吹っ飛んだ―際に持ち上げた粥の入った容器を机の上へ戻す。 彼の名はダグ=ターナー。何処までもマイペースで、放浪癖もあって、度々女子浴場等へも出現するトラブルメーカーである。 「・・・・・・(風船に穴が開いて急速に萎んでいく折に聞こえる音。表現する感情は『呆れ』)」 片目を伸びる前髪で隠す背の高い青年は、ダグの問いに霊装『チェリーニのヴァイオリン』にて奏でる『音』によって表現する。 彼の名はダレン=シンクレア。寡黙で必要以上の事は喋らない癖に霊装での感情表現は嫌という程行う少々困ったちゃんな23歳である。 「あっ、そうなの。ヘンリーごめんね♪」 「お、おのれぇ・・・。この天才に向かって何という行いを・・・!!」 「もしかしなくとも、ヘンリーは天才じゃ無いんじゃないかなぁ?」 「何だと、この年増女め!!」 「カチーン!!私は年増じゃ無いって何回言ったらわかるの、このチビ!!」 「い、今、僕様のことをチビと言ったなぁ!僕様は天才なんだぞ! 君みたいな馬鹿が天才である僕様を侮辱して許されるとでも思ってるのかぁ!」 「あぁ・・・また始まったよ」 「・・・・・・(先程と同じ音)」 実年齢より高く見られちゃうジディと低く見られちゃうヘンリー・・・か どっちにもなりたくねぇぜ この7名でチームを組んでから何十回目になるかわからないジーデリウスとヘンリーの口喧嘩にダレンとポーラ(フギン・ムニン)は呆れ果てる。 女顔に悩むダグはまだそこまで呆れてはいないが、さすがにこう何十回も似たようなイザコザを見せ付けられると辟易する気持ちを抑え切れないのだ。 感情の起伏が乏しい彼が辟易するくらいである。それだけ不毛な罵り合いということなのだ。 「おぉ!!喧嘩か!!決闘か!!よっし!!やれやれ!!!」 「マチさんも落ち着いて下さい。欲望がダダ漏れですよ。それより、新しい仕事って何ですか?」 決闘大好きっ娘のマティルダの機先を制するかのように、ダグが彼女の口から出た『仕事』について質問する。 ジーデリウスとヘンリーの口論にマティルダが加わって事態が改善した試しが無い。むしろ悪化しかしていない。 経験則としてこれ以上の泥沼を防ぐために、それでも言葉の抑揚乏しいままダグは少女へ問い掛ける。 「あっ!そうだそうだ。えっとね・・・案件自体は何時もやってることとさして変わりないかな。詳細は後で渡される紙で確認してね。私ってこの手の説明が下手糞だから」 あぁ・・・ マチらしい 「・・・・・・(腹の音。表す感情は『マチらしい』。マティルダ専用音)」 「・・・・・・なら、どうしてあんな猛スピードでここへ来たんですか?」 「だってさ、その近辺にはあの『科学』の総本山があるし」 「ッッッ!!!」 「学園都市・・・ですか?」 「そう。その学園都市」 マティルダの言葉に僅か不意を突かれるダグ。普段マイペースな彼が不意を突かれる程に、学園都市という存在が『魔術』世界において重要な意味を持っているのだ。 そんな彼以上に不意を突かれたのは、先程までずっと溜息を吐き続けていた赤毛の少女。学園都市という単語を耳にした彼女の脳裏には、あの碧髪の少年の顔がよぎっていた。 「こ、今度の任務は日本ですか!?おぉ、憧れの地・・・日本。何時か行ってみたいと思っていたかの地へ赴ける機会が到来したんだ・・・よし!!」 「ぼ、僕様を無視するんじゃ・・・」 「確か、先日学園都市で我が『必要悪の教会』から派遣されたステイル=マグヌスが現地の人間と共に元ローマ正教のアウレオルス=イザードを撃破した・・・んだったな」 「うおっ。ダレンさんが喋った」 アウレオルスと何か関係していたり? 全く関係無いんじゃね? 「2年くらい前だっけ、私も関わった案件であの辺りに行ったことあるんだよねぇ。んで、その案件の当事者のリノアナに一刻も早く伝え・・・(ダッ!!)・・・リ、リノアナ!!?」 ジーデリウス・ヘンリー・ダレン・ダグ・ポーラ(フギン・ムニン)・マティルダが思い思いの言葉を口にする最中、 編纂中の書物を放り出して突如大広間を飛び出して行くリノアナ。周囲のシスターの怪訝な視線も無視して遂には建物の外へ出た赤毛の少女は、 闇夜に浮かぶ星々を黒き眼へ映し出した後に、何時の間にか彼女の脇に抱えられていた魔道書『星体観測』を強く掴みながらかの少年の名を口にする。 「界刺得世・・・。とうとう『惑星の掟』を使いましたね。そして、これもまた星の導きなのでしょう」 数日前界刺へ魔力を送った際に感じた感触・・・『金牛宮』を表す魔法陣の一角が“欠けていた”ことから、リノアナは少年が『惑星の掟』を使用したことを察した。 彼女が再び彼と出会う条件として決めていた事柄・・・『オカルトとして全く信じていなかった魔術を彼自身が使用する』ことが達せられた今、 少女は彼と会うために新たな魔術―『星体観測』―の使用を決断する。さすがにこの場ではできないが。 「“無知”な当時の私があなたに『与えてしまった』“呪(のろ)い”・・・それでもあなたは生きている。 これは今尚“呪い”を保ち続けている身勝手な私のケジメ・・・界刺得世、必ず会いましょう」 『魔術』世界を生きる赤髪の少女リノアナ・サーベイは、『科学』世界を生きる碧髪の少年界刺得世と再会することを強く、只管に強く望む。 その機会(チャンス)がもうすぐ到来する。そのためなら何だってする。この世の法則を異世界の法則で捻じ曲げてでも。 個人の想いが組織を凌駕する魔術師としての本能をその身に宿す赤毛の少女の瞳は・・・何処か嬉しそうで・・・何処までも哀しそうであった。
https://w.atwiki.jp/cosjouhou/pages/2.html
メニュー トップページ ご意見箱 メニュー 右メニュー コスプレ界隈のルールまとめ おすすめのウィッグメーカー カラコンについてのあれこれ 化粧品はどこで揃える?何が必要? コスプレメイクの基本&スキンケア 地方別コスプレイベント一覧 コスプレ界隈有名事件まとめ コスプレあるある&対策 トラブルや犯罪から身を守るために 教えて!コスプレ撮影のあれこれ 衣装、小道具の自作方法 おすすめの衣装メーカー リンク @wiki @wikiご利用ガイド ここを編集
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1186.html
時刻は正午を30分程過ぎた頃。界刺や荒我達は、揃って昼食を取ることにした。『ご飯は大勢で食べるのが一番楽しい』という仮屋の主張に大勢が賛同したからである。 「仮屋様の“恐怖モード”には敵わねぇ・・・。あの白目恐ぇよ」 「あいつには、以前『根焼』での早食い大会の時に脅されたからな。・・・あの二の舞だけは避けねぇと・・・」 「(ブルッブルッ)・・・な、何か水の冷たさじゃ無い冷たさが・・・」 「大丈夫、お姉ちゃん?・・・やっぱり、逃げられなかったか・・・。折角荒我と2人でゴハンに行こうと思ってたのに(ボソッ)」 中には戸惑う者や反対する者も居た(界刺や荒我、焔火姉妹)が、全て“魔王”仮屋冥滋に屈した。 食事に関することで、この男を敵に回してはいけない。下手をすると、命に関わることまでに発展しかねない。 「しかし、これだけ大人数になると席取りが大変だぞ?時間帯的に、他の客でごった返しになってそうだ」 「確かに。『マリンウォール』内にあるレストランとかで昼食を取るのは、この人数では難しいかもしれん」 不動と破輩が現状分析を行い、皆に喚起する。これだけの大人数である。時間をずらすか、少人数ごとのグループ分けをしるしか手は無さそうだった。 「(こ、これなら荒我と2人っきりになれるチャンス!!・・・ハッ!!べ、別に特別な意味があるんじゃ無くて・・・その・・・あの・・・)」 「おい、愚妹。さっきから、何を1人でブツブツ言ってるんだ?」 己が愚妹の挙動不審に呆れる朱花。だが、焔火にとっては重要なのだ。何しろ、午前中は啄・仲場・ゲコ太達に振り回され続けた挙句、ちっとも荒我と遊べなかったからだ。 これでは、折角の休日、しかも張り切って水着を選んで来た意味が無くなってしまう。 「それなら、大丈夫だよ~。皆で食べられそうな出店はもう確認済みだから~」 「へっ!?嘘!?」 しかし、そんな少女の願い虚しく“魔王”からの宣告が場に響き渡る。 「・・・・・・ギュン!!」 「うわっ!!?」 突如として焔火の前に移動する仮屋。『念動飛翔』による高速移動である。しかも、“恐怖モード”である。 「焔火チャン~。君、さっきも反対したよねぇ。そんなにボク達とご飯を食べるのが嫌なの~?」 「そ、そんなつもりは・・・!!だ、だから、その白目を私に近付けないで!!!」 「じゃあさ~、行くよ?いいね・・・!?いいね・・・!?いいいいねえええええぇぇぇぁぁぁああああ!!!!!」 「ギャアアアアァァァッッ!!!わかりました!!わかりましたから、その顔で迫って来ないでえええええぇぇぇっっ!!!!!」 “魔王”からは逃れられない。とにもかくにも、“魔王”の魔手に絡め取られた哀れな少女の断末魔が、この『マリンウォール』に木霊する。 「ヒバンナ・・・。南無!」 「仮屋様の“恐怖モード”・・・恐いです!!」 「遠藤も、サニー様と同じ気持ちです!!あの殿方には、食事のことで文句を言ってはいけないのですね・・・!!」 界刺・月ノ宮・遠藤は、仮屋の魔手に絡め取られた哀れな少女に同情し、自分達が同じ目に合わないように、今後努力することを誓う。 「仮屋・・・。毎度のことながら、あいつは食べ物のことになると頭のネジが吹っ飛ぶな」 「そういえば、以前のバイキングでもあんな状態になっていたな」 「あぁ。小学生時代からの付き合いである私としては、本当に恥ずかしい限りだ」 「へぇ・・・」 不動が親友の行動に頭を抱えているのに対し、破輩は小学生時代からの友達という点に興味を抱いたようだ。 「仮屋・・・さん。あの人は、常盤台(ウチ)の『食物奉行』に勝るとも劣らない猛者みたいね」 「そうだね・・・。あの2人に会わせてみたら、もしかしたら意気投合するんじゃないかな?」 「で、でも。仮屋様をあのお二方と会わせたら・・・不味くないですか?主に、被害者的な意味で」 「「それは言えてる」」 苧環と形製が常盤台に居る『食物奉行』の影を仮屋に見るが、鬼ヶ原の冷静な指摘を受けて共に背筋を震わせる。 あの2人に仮屋が組み合わさった時には、一体どれだけの被害者が出るか知れた物では無い。 「緋花ちゃん!?し、しっかり!!」 「あぁ・・・。白目恐い・・・。仮屋様恐い・・・。“魔王”恐い・・・」 「あちゃー・・・。こりゃ、トラウマになっちゃったかな?」 「ちょ、ちょっと!?私だって未だに体の震えが止まらないのに、緋花までやられてどうすんのよ!?これじゃあ、私達姉妹はあの“魔王”に一生敵わないってことじゃん!!」 「「ご愁傷様」」 「簡単に言ってんじゃ無ぇぇー!!!」 (“恐怖モード”の)仮屋によって焔火にトラウマが植え付けられたことに対して朱花は慌てるが、加賀美と葉原の反応は素っ気無い。 下手に焔火を庇えば、自分達にも“魔王”の魔手が及ぶ可能性がある。誰だって、好き好んで被害者になりたくは無いのである。 「よしっ!そんじゃあ、メシにしようか!仮屋様、案内よろしく」 「オ~ケ~」 そして、そんな細かいことを気にしない人間達は、さっさと昼食の場所に移動する。“魔王”の恐怖に当てられて腰が抜けた焔火は、荒我が背負うことになった。 昼食前から波乱含み。だが、波乱はまだ始まったばかりである。 「おっ!誰かと思えば、いつかのキラキラボーヤじゃないか?あれから、形製とはどんな感じなんだい?」 「一昨日告白されました。しかもキス付きで」 「な、何ぶっちゃけてんのよおおおおぉぉぉ!!!!」 仮屋が見付けた出店とは、とある3つの出店が並び立っているスペース。然程冷房が効いていないせいか、ここに来る客はそれ程多くは無いようである。 「こりゃ、驚いた。あの形製が・・・。勇気を出したんだねぇ。フフッ、よかったじゃない、形製。もう2人は付き合っているんだろ?」 「そ、それが・・・」 「うん?」 「バカ形製以外からも5人の女性に告白とキスをされました。都合、6人ですな」 「ブッ!!」 「そして、今の自分は女性不信状態なので、返答保留状態ですな」 「ブッ!!!」 その1つが喫茶店『恵みの大地』。その店主である大地芽功美は、界刺のぶっちゃけ発言に吹き出しまくる。 「あ、あんた・・・。・・・ちなみに、他は?」 「え~と・・・。とりあえず、常盤台からは一厘鈴音・苧環華憐・真珠院珊瑚・鬼ヶ原嬌看の4人からですな」 「・・・!!!あの娘達が・・・!!!」 界刺が挙げた少女達は、大地もよく知っていた。『恵みの大地』を利用してくれる常連客とも言っていい。そんな少女達が、目の前の無駄にキラキラした男に・・・ 「(チラッ)」 「「「「(コクン)」」」」 「ハァ・・・。あんたは只者じゃ無いってのはわかってたけど、これ程までとはね。大したモンだ」 界刺の後方に居る“その”4名に確認の視線を送り、頷く少女達を見て大地は嘆息する。 「大地さーん!!あちらのお客様からの注文を承りましたよぉー!!」 「むっ!?あれは・・・以前『恵みの大地』で俺のファッションを笑った店員の1人・・・」 そんな折に大地に声を掛けたのは、『恵みの大地』で働くアルバイトの1人・・・石墨雫。 今の彼女は、薄手のシャツ・デニムパンツの上からエプロンをしていた。 「はいはい。わかったよ、雫。それじゃあね、キラキラボーヤ達。ウチに来るんだったら、サービスするよ?」 「・・・・・・」 以前にそのサービスのおかげで酷い目にあった界刺は、無言を貫く。一方、何時もご馳走になっている常盤台生達は大地に対して会釈する。 会釈を受けた大地は軽く手を振って、その場を後にする。 「いらっしゃい!!・・・おやっ?またアンタ達かい?何かと縁があるねぇ」 「しばらくぶりでやんす、福百さん!」 「お久し振りです!」 「おぉ、ここは噂の『百来軒』!!滅多にお目に掛かることができない伝説のラーメン屋!!」 「伝説と言われる程じゃ無いけどねぇ。ただ単に無断営業やってるから目立たないようにしてるだけだし(ボソッ)」 「んっ?何か言った?」 「ううん!何でも無いよ!!」 一方、梯・武佐・朱花とやり取りをしているのは福百紀長という少女。彼女はラーメン屋『百来軒』の店主。これでもれっきとした高校生である。 学業の関係上、土日・祝日のみ営業を行っている『百来軒』は、週一で営業場所を移動しているため、見付けようと思ってもなかなか見付からない。 巷では幻のラーメン屋として半ば都市伝説のような存在になってしまっているが、ラーメンの味は絶品である。 ちなみに、『マリンウォール』に対しては営業許可を取っている。というか、かなり基準が甘いので、福百のような人間でも簡単に営業許可が取れたのだ。 その代わり、売上の一部を『マリンウォール』側に渡すこととなっている。ギブアンドテイクの関係。 福百としては大っぴらに営業ができるので、何の不満も無くこの条件を呑んでいる。 「そういや、アンタ達の親分は何処・・・うん?何で拳の奴、あの風紀委員さんを背負っているの?もしかして、熱中症?」 「い、いえ。緋花ちゃんは、ちょっと腰を抜かしちゃって・・・」 「ギックリ腰かい?ありゃー痛いんだよね。私も昔仕事中に腰をヤッた経験があるから、他人事じゃ・・・ブツブツ」 「い、いえ・・・違・・・」 荒我に背負われている焔火を見て、葉原に質問する福百。そして、1人勝手に納得する店主は葉原の説明を無視して、アルバイトに声を掛ける。 「おーい!!詩門!!至急椅子を1つ用意しな!!ギックリ腰のお客様1人追加だ!!」 「わかりました、紀長姐さん!!ギックリ腰とは・・・また辛いっすね」 屋台の向こう側にいた少年の名は森夜詩門。最近雇った『百来軒』の臨時アルバイターである。 但し、雇ったとは言っても給料なんかは出ない。そんな余裕、学生である福百には無い。故に、“ラーメン1杯(頑張れば1玉追加)”で雇っている。 「へぇ・・・。アルバイトを雇ったんですか?」 「まぁね。臨時だけど。やっぱり、男手があるのと無いのとじゃあ全然違うね。アイツは働き者だから、ウチも助かってるよ」 武佐の問い掛けに快活に答える福百。程なくして椅子が運ばれて来た。その上に焔火を座らせる荒我。 「緋花・・・大丈夫?」 「は、はい。ご心配お掛けしました、リーダー」 「ここなら丁度影だし、少しはゆっくりできんじゃねぇか?」 「うん。ありがと、荒我」 加賀美と荒我の声に、キッチリ返答する焔火。ようやく、体の震えも止まった。それだけ、あの“魔王”が齎したインパクトが甚大だったのか。 「よしっ。とりあえず、紀長から水でも貰って来るか!ちょっと待って・・・」 「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!」 「!!?」 焔火のために荒我が福百から水を貰って来ようと動いた瞬間、この場一体に突き刺さるような大声が発せられた。その発生源とは・・・ 「我がベス~トフレンドの~カイ~ジじゃありませんかああああぁぁぁぁっっっ!!!!」 「おおおおおぉぉぉっっ!!!!!誰かと思ったら店長じゃねぇかよおおおおおぉぉぉっっ!!!!」 サングラスを掛けた変なオッサンもとい焼肉屋『根焼』の“変人店長”である奇矯杏喜その人。 ゴツゴツした肌に後ろで1本に括られた藍色の長髪が妙にアンバランスな彼は、無駄にキラキラした“変人”こと界刺得世と抱き合っている。 「アンタ、ここにも出店してんのかよ!!全く、その営業努力には目を瞠るモンがあるな!!金が余ってそうで、羨ましい限りだぜ!!」 「カイ~ジの暴れっぷりに比べれ~ば、こ~の『根焼』出張店“ジワジ~ワ”程度、何てこ~とはあ~りません!!!」 「そういや、前にも言ったけどアンタのネーミングセンスってどいつもこいつも酷いってレベルじゃ無ぇな!!んふふっ!!!」 「それ~を言うなら、カイ~ジのファッショ~ンセンスのキワモノ加減には、さすが~の私~でも追い付けないシロ~モノです!!ヌフ~フフッ!!!」 「んふふふふっっ!!!」 「ヌフ~フフッッ!!!」 「・・・ねぇ、荒我?」 「・・・何だよ?」 「・・・あの2人って、本当にベストフレンドなの?何だか言葉の端々に棘があるし、互いに挑発してるし・・・」 「・・・俺にもよくわかんねぇ」 焔火と荒我の目に映るのは、ベストフレンドと謳っておきながら言ってることは挑発や皮肉ばっかりの“変人店長”と“変人”である。 むしろ、“変人”同士だからこそ気が合っているのかもしれない。そう思わずにはいられない焔火と荒我である。 「ああああぁぁっっ!!!かいじさんじゃありませんかー!!!」 「ど、どうしたの莢奈ちゃん!?いきなり、大声なんか出して・・・」 「うん?おっ、抵部準エース殿ではありませんか!!昨日ぶりです!!」 「ぶりです!!」 “変人”共に声を掛けたのは、『根焼』の臨時アルバイターである抵部莢奈と、同じく臨時アルバイターの駒繋紗月である。 どうやら、彼女達も今日の“ジワジ~ワ”に駆り出された模様である。 「紗月ちゃん!!この方はかいじさんと言って、わたしがなでなでしたくなる人NO.1の人だよ!!」 「なでなで・・・?」 「手本を見せるね。なでなで」 よく事情が飲み込めていない駒繋に手本を見せるように、界刺の頭を撫で始める抵部。もちろん、そんな状況に黙っていられない人間も居て・・・ 「だから、そこは私のポジションだって言ってるでしょうがああああぁぁぁぁっっ!!!!」 「“かいじさんブロック”」 「ぬおっ!?」 「グハッ!!」 案の定、月ノ宮が抵部に突っ込んで来た。だが、今日の抵部は一味違う。彼女は、遂に『経験から学ぶ』ということを真の意味で覚え始めたのだ(快挙!!!)。 具体的には、自身の能力『物体補強』にて界刺の防御力をup↑した後に、『物体補強』によって動けない界刺を防護壁として活用することであった。 その結果、月ノ宮は界刺と衝突し逆にダメージを喰らう羽目になった。ちなみに、界刺は無傷である。 「ふふ~ん、サニーがつっこんでくるのはわかってたもんねー!!こういうのを“バカのひとつおぼえ”って言うんですよね、かいじさん?」 「・・・この娘に言われちゃあ・・・お終いだね、サニー?」 「ム、ムキー!!!」 バカの権化の1人である抵部に馬鹿にされた月ノ宮を哀れむ界刺。一方、月ノ宮は憤慨する。とてつもなく憤慨する。 「ムキー!!!ムキー!!!サーヤに馬鹿にされるなんて・・・!!!何て屈辱・・・!!!ムキー!!!!!」 「だから、サニーにはこのポジションはふさわしくないですー!!かいじさん、よしよし」 「ッッッ!!!くぅ、くぅぅ、くそおおおおぉぉぉっっ!!!!!」 「月ノ宮・・・頑張りなさい。これは、あなたが成長するチャンスなんだから」 「何でシリアスになってんのよ、苧環?」 抵部の追撃に、月ノ宮は地面に手を打って悔しさを露にする。その姿に保護者の血が騒ぐのか、苧環がシリアス口調になった所に一厘がツッコミを入れる。 「はいはい。その辺にしましょうね、莢奈ちゃん。折角のお客様にこれ以上の追撃は駄目よ?」 「ふふ~ん!!それじゃあ、今回はこのへんでゆるしてあげよっと。よかったね、サニー。わたしのきづかいに感謝してね! というか、紗月ちゃんってわたしより年下なのに何でタメ口なの?」 「どう考えても、莢奈ちゃんって私より年下にしか見えないから」 「ガーン!!」 「そういえば、莢奈ちゃんってお金持ちのお嬢様なのにバイトする必要あるの?早食い大会の時の代金はもう払ったんでしょ?」 「あっ!そ、そういえば・・・。何で私はアルバイトを続けてるんだっけ?・・・ま、いっか!アルバイトをしてたおかげでかいじさんにも会えたんだし!!」 「くそおおおおおぉぉぉっっ!!!!次は、次は絶対に負けないんだからああああぁぁぁっっ!!!!」 「・・・こりゃ、永遠のライバルってヤツになるかもな。サニーとサーヤ・・・んふっ、それもいいかもね。・・・・・・ふぅ。ソレもいいか・・・」 界刺は、顔を綻ばせながら月ノ宮と抵部を交互に見る。こういうライバル関係は、互いに鎬を削る中で成長して行くもの。 そう思っているから、界刺は2人の姿に笑みを浮かべる。きっと、この2人は良い友達になれる。だから・・・ 「得世。そろそろ、昼食にするぞ?仮屋が・・・ヤバイ」 「おっと。そうだね・・・そんじゃあ、『恵みの大地』・『百来軒』・『根焼』から好きなものを頼んだらいいんじゃない?席は十分あるし」 「そうだな。では、そうしよう」 そう言って、不動の指示の下一斉に3つの店に群がるメンバー達。だが、彼等彼女等はこの時知らなかった。この場所へ、あの――が近付いて来ていることに。 continue…?
https://w.atwiki.jp/aphwolf/pages/2.html
メニュー 重要告知あり、トップページご確認下さい。 トップページ おしらせ APH人狼ってなにさ? 人狼導入編 APH村立てルール(現在簡易状態) ゲームルール 村参加Q&A 初心者さん向けアドバイス 特殊村ルール アイコン一覧表 てんぷら 辞典(用語/ネタ用語/あるある/名言) 辞典(事件/破綻/誤字/色物RP) APH村まとめ ツール APH村キャラ別統計集 リンク ここを編集 +wiki編集したい方へ プラグイン紹介 まとめサイト作成支援ツール 外部リンク @wiki @wikiご利用ガイド
https://w.atwiki.jp/teampenguin/pages/61.html
まある (まある) 住所 札幌市中央区南3条西6丁目 インフィ二桂和22 2階 営業時間 月~土 17 00~03 00(L.O.02 00), 日・祝 17 00~23 00(L.O.22 30) 定休日 年中無休 電話 011-219-4848 URL http //www.maaru.net/ 関連サイト(情報サイト、ブログ、紹介記事など) ぐるなび コメント 名前 タグ すすきの 和食 鉄板焼
https://w.atwiki.jp/ryutistvariety/pages/15.html
【なつのまほう】 初演日 2011.07.24(HOME LIVE #001) 作詞 瀧神 朋生 作曲 Koji Oba シングルリリース日 2012.04.01(1stシングルカップリング) 春~秋にかけて披露される、盛り上がり必至のRYUTist鉄板アゲアゲナンバーで、一部ファンによるMIXが入る数少ないいわゆる 沸き曲 。歌詞は新潟県人にしか分からない、いわゆる「新潟あるある」がAメロ、Bメロでこれでもかと語られ、曲構成もいわゆるアイドル曲の王道路線である。
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1151.html
「お~、知らなかったぜ。まさか、緋花に妹がいたなんてよぉ」 「え、え~と、私は朱花って言うんだけど。この愚妹(アホ)の妹なんかじゃあ・・・」 「ホムラっちの妹さんでやんすか。確かに、言われてみれば顔とかが似てるでやんすね。・・・」 「・・・何処見てんのよ?フン、どうせ愚妹に比べたら胸も背も小さいですよーだ。それと、私はいもう・・・」 「失礼だよ、梯君。ヒバンナの妹さんなら将来有望じゃないか。それに、こういうタイプも結構需要が・・・」 「だ・か・ら!!!私は緋花の妹じゃ無ぇっつーの!!姉だっつーの!!これでも、2歳年上の16歳だっつーの!!」 「「「ハハハ、ご冗談を」」」 「く、く、くそぉ!!!緋花!!」 「は、はい!!」 「お前の口から説明してやれ!!」 「わ、わかった・・・。あ、荒我、梯君、武佐君。わ、私は妹なんだよ。朱花お姉ちゃんの」 「「「嘘だあああぁぁぁっっ!!!」」」 「テメェ等!!少しは現実を見ろおおおおぉぉぉっっ!!!」 「相変わらず、“しゅかん”は緋花の妹に思われちゃうんだね。何か、不憫・・・」 「ま、まぁ、緋花ちゃんって背も高いですしね。初めて会う人にはわからないのも仕方無いですよ」 時刻は午前10時前。ここ『マリンウォール』の玄関前に居るのは、荒我、梯、武佐、焔火姉妹、加賀美、葉原の7名。 彼等彼女等の手には、水着の入った袋や鞄等が握られていた。 「つーか、何で緋花の姉貴までここに居るんだ?確か、昨日の返信には3人だって・・・」 「え、え~と・・・」 「だって、緋花が日頃から親しく付き合ってる男性とプールに行くって聞いたからさ、姉である私が付いて行かないわけにはいかないでしょ?」 「「ブッ!!」」 朱花のトンデモ発言に揃って吹き出す荒我と焔火。 「・・・こりゃ、本気で気が合うのかもしれないわね。お姉ちゃん、何だか嬉しいのやら寂しいのやら・・・」 「お、おい!!お前、んなことを姉貴に言ったのかよ!!?」 「い、言うわけ無いでしょ!!お、お姉ちゃんもからかうのは止めてよ!!」 「からかいねぇ・・・でも、後ろに居る奴等は満更でも無い顔をしてるけど?」 「「なっ!?(クルッ!!)」」 朱花の言葉を受けて、これまたタイミングも一緒に後方へ視線を振り向ける荒我と焔火。 「荒我君・・・ガンバでやんす」 「荒我兄貴・・・素直じゃ無いんだから。昨日も、電話で直接言ったらってあれ程言ったのに、結局メールで伝えたからねぇ・・・」 「ゆかり・・・。あのリーゼント君が、緋花の・・・“コレ”?」 「・・・になるかもな人ですね。緋花ちゃん、最近は服装にも気を配るようになって来てましたし。それに、荒我君の話もよくするように・・・」 「ほらね?はぁ・・・最近の男女交際もスピード化してんのかもね・・・。何か、複雑・・・」 「「・・・・・・」」 開いた口が塞がらないとはこのことか。舎弟や親友、果ては先輩や姉までもが荒我と焔火の交際(恋愛的な意味)を嬉しそうに語っている。 「・・・緋花」 「・・・何よ」 「・・・何で、俺達がこんな羞恥プレイを受けなきゃなんねぇんだ?」 「・・・知らないわよ」 ガクッっと項垂れる荒我と焔火。だが、2人共にここで交際を否定しないのだから、心の底では自覚しつつあるのかもしれない。 荒我は焔火に、焔火は荒我に恋心を抱いているという事実を。 「まぁ、細かいことは気にせずにさっさとプールに突入しようよ、雅!!」 「そうだね。ここに何時までも居るってのはキツイものがあるし」 「そうですね・・・。それじゃあ、緋花ちゃん達も一緒に・・・ハッ!!!」 「どうしたでやんすか、ゆかりちゃん!?そんな大声を・・・ハッ!!!」 「梯君!?何を面食らったような反応を・・・ハッ!!!」 「利壱!?紫郎!?」 「ゆかりっち!?」 朱花と加賀美が『マリンウォール』の中へ入ろうと話し合っている中、突如として奇声を挙げた葉原・梯・武佐。 荒我と焔火は、三度同時に奇声を発した彼等彼女等が視線を向けている先に居る、ある“者達”へ瞳を向ける。それは・・・ 「界刺よ!!俺達十二人委員会が再び結集する時が来たのだな!!!志道!!ゲコ太!!この瞬間に抱いた感情を、深く胸に刻み付けるのだ!!」 「了解!!何せ、美少女達とプールで戯れる機会を作ってくれたからな!!こころの奴は里帰りしてるし!!感謝の気持ちが溢れてくるぜ!!」 「拙者!!涙で前が見せませぬ!!界刺が十二人委員会へ入ったあの時を、一生忘れませぬ!!」 「そんじゃあ、久し振りにやるか!?『閃天動地』改め『閃劇』によるイルミネーションダンスを!!」 「「「おう!!!」」」 「「「「(絶賛ダンス中・・・)」」」」 まず、先頭に居るのは“変人集団”である界刺・啄・仲場・ゲコ太の4名。1人だけまともな格好をしているが、他は奇妙奇天烈としか言いようが無い。 ある1人は、カキ氷にわさびとからしがドレッシングされたような絵柄がデカく載っているピンク色のシャツを着用した、無駄にキラキラした男。 ある1人は、このクソ暑い真夏日であるにも関わらず黒いコートを見に纏い、腰に黒剣(模造品バージョン)を差した場違い感溢れる男。 ある1人は、何故かゲコ太マスクを顔に装着している言葉遣いが古臭い男。 そんな“変人集団”―啄言う所の十二人委員会―の面々が、妙に様になっているへんてこりんなダンスをしながら歩いていた。 「全く、人様の好奇な視線を集めてどうするんだ?しかも、提案者が最後に現れるとは・・・。 おかげで、啄達が何故現れたのかがサッパリわからなかったぞ。どう思う、水楯?形製?」 「・・・ノーコメントで」 「・・・水楯さんに同じく」 「ここには、色んな出店があるって聞くなぁ・・・。あぁ、楽しみ」 「界刺様!!他の方々も!!何と言うキラキラピカピカ・・・。ハァ・・・ハァ・・・」 「サニー!?涎がすごいことになってるよ!?」 中間に居るのは、界刺を除く『シンボル』組の不動・水楯・形製・仮屋・月ノ宮・春咲等6名。 不動・水楯・形製は、“変人集団”の行動に呆れて物が言えない状態である。 一方、月ノ宮はイルミネーションダンスに付随する多種多様の光にハァハァし、春咲がそれにツッコミを入れる。 「イルミネーションダンス・・・。初めて聞きましたわ。世の中には、まだまだ私の知らないことが一杯ありますね~」 「し、真珠院さん!!遠藤も同じです!!何だか、すっごく楽しそうですよね」 「界刺様には、色んなご友人が居られるんですね。・・・私も負けていられません!」 「へ~、この人が一厘の先輩?確かに、昨日一厘の横に居たけど・・・」 「そう。この人が、159支部のリーダーの破輩先輩。破輩先輩、彼女は同じ常盤台に通う苧環華憐って娘です。私の同級生です」 「そうなのか。私は破輩妃里嶺だ。よろしく」 「こちらこそ。苧環華憐です。よろしくお願いします」 後方に居るのは常盤台お嬢様集団+1。真珠院・遠藤・鬼ヶ原の3人が“変人”集団に対して感想を述べている傍らで、一厘が自身の先輩である破輩を苧環に紹介していた。 破輩が何故ここに居るかというと、昨日の時点で一厘に対して(男としての界刺について)根掘り葉掘り聞いていた折にプールの件を知ったからである。 以上、総勢16名にも及ぶ集団が『マリンウォール』へと足を運んでいたのである。そして、程なくして玄関前に到着した。 「おっ?誰かと思えばあらぎゃぎゃ君にヒバンナじゃないか?奇遇だね?」 「「んなわけあるかー!!!」」 未だに踊り続けている界刺の嘘っぱち発言に、揃ってツッコミを入れる荒我と焔火。 「テメェ!!昨日はあんなこと言っときながら、何でテメェまでここに来てんだよ!!」 「暑いから」 「ブッ!!あ、荒我から聞いたわよ!!あなたが私を遊びに誘うように荒我へ忠告したことを!!」 「うん。それが?」 「『それが?』って・・・」 「俺が、何で君達に遠慮しなきゃいけないんだい?というか、昨日は君達のせいで散々な目に合ったからね。 ここに来て、冷たいプールに入って涼みたいと考えるのはいけないことなの?」 「そ、それは・・・」 「それに、『マリンウォール』には一度行ってみたいと思っていたからね。そっちの舎弟君の口から名前が出たからさ、丁度いい機会だと思っただけさ。んふっ!」 「(ああ言えばこう言う・・・!!この人に言葉で勝つなんてこと自体が無理筋だわ!!)」 荒我と焔火は、口の減らない界刺に辟易する。おそらく、幾ら文句を付けてもこの“変人”は何度でも言い返して来るだろう。 昨日のことでそれを思い知ったが故に、これ以上の文句は時間の無駄だと判断する。 「まぁ、いいか。ここで出会ったのも何かの縁だし、一緒に行こうぜ」 「「へっ?」」 「鴉!!仲場!!ゲコ太!!行くぜ!!」 「「「おう!!!」」」 「「なっ!!?」」 荒我を仲場とゲコ太が、焔火を界刺と啄が担ぎ上げ、超特急で『マリンウォール』へと入って行く。 その後に、『シンボル』組や常盤台お嬢様集団も駆け足で入って行った。 「・・・よぅ、加賀美。葉原も。今日は、パーっと楽しもうな」 最後に、破輩が加賀美と葉原に声を掛けて、自身も『マリンウォール』へと足を踏み入れる。 そんな騒がし過ぎる状況に身を委ねていた彼等彼女等は・・・ 「・・・騒がしい1日になりそうでやんすね」 「・・・だね」 「・・・あれが、噂の“変人”?」 「・・・そう」 「・・・後で確かめてみよっと(ボソッ)」 各々一言だけ呟いた後に、『マリンウォール』へと入って行った。 第7学区に去年新設されたばかりの大型プール施設である『マリンウォール』は、夏の暑さに苦しむ人間にとってのオアシス的憩いの場である。 午前9時から開業しているここには、朝早くだというのに既に大賑わいであった。そこに、まず突入したのは荒我・焔火・界刺・啄・仲場・ゲコ太の6名。 特に目立つのは、言わずとも知れた焔火のデカ過ぎる胸である。ちなみに、焔火は白色のビキニを着用している。 「(な、何ていうデカさ・・・!!やっぱ、緋花の胸ってスゲェ・・・!!)」 「前も思ったけど、君の胸って大きいね。サニーが、今でも君のことを羨ましがってるよ?『何を食べたらそんなに大きな胸に成長できるのか』ってさ?」 「(ブッ!!コイツ・・・何でそんなざっくばらんに言えるんだ!?)」 「そ、そうですか?べ、別に特別なものを食べているわけじゃ無いですよ?家では、いつもお姉ちゃんが作る料理を食べてますし」 「おぉ!!やはり、決め手は家族の手料理か!!俺も、何だか恋しくなって来たぞ!!ちなみに、家族が作る手料理の中で一番好きなのはモヤシ炒めだ!!」 「拙者は、肉じゃがでござる!!」 「俺は、オムレツ!!」 「俺は・・・カレーライスかな?ヒバンナは?」 「私は、お姉ちゃんが作るクリームシチューですね。 というか、あなたが“ヒバンナ”って連呼するから、色んな人に私の渾名が広まってるんですけど。サニーが付けた“ホムラっち”っていう渾名も一緒に」 「うん。いいことだ」 「何が、いいことよー!!」 「俺は“ホムラっち”がいいと思うぞ!!発音のリズム感がいい!!」 「拙者は“ヒバンナ”が好ましいと考えているでござる!!」 「俺は、どっちかって言うと“ホムラっち”がいいかな?」 「・・・荒我ぁ。どんどん広まっちゃってるよぉ・・・」 「し、心配すんな!!俺はどっちの渾名でも呼ばねぇからよ!!なっ!!」 瞬く間に広まっていく不名誉な渾名に、焔火は萎れる。そんな彼女を励ます荒我。やはり、良いコンビである。 とそこに、遅れていた他のメンバーも到着した。まずは、女性陣から着目しよう。否、女性陣にしか着目はしない。男の水着の説明なんて、読者も望んではいないだろう。 「・・・全員同じだね」 「し、仕方無いでしょ、バカ界刺!!常盤台は、そういうモンなの!!」 「違うのは胸の大きさくらいか・・・。(チラッチラッ)」 「な、何ですか、得世様!?」 「大きさ順で言うと・・・嬌看→バカ形製→遠藤ちゃん→リンリン→華憐→珊瑚ちゃん→サニーって感じかな?」 「・・・私よりサニー先輩の方が小さい・・・(グッ!)」 「うううぅぅ。うううううぅぅぅっっ!!!」 「・・・私が一厘より小さい?(ジ~)」 「苧環!?な、何ジロジロ見てんのよ!?」 「遠藤が、一厘様より胸が大きい?・・・何でしょう?この心に溢れてくる優越感みたいなものは・・・」 「遠藤さん・・・。女性は、やっぱり胸の大きさには気を向けるものなんですね。私なんか、肩が凝って何時も大変なのに・・・」 「「「「「「(ギロッ!!!)」」」」」」 「ビクッ!!?み、皆さんの視線が恐いです・・・」 常盤台に通う生徒は、こういう時でも校則で縛られているのか全員同じスクール水着である。 なので、個人差が出るとすれば、それはやはり体型である。胸とか。胸とか。特に胸とか。 「ここに涙簾ちゃんと桜、それに破輩を含めると・・・嬌看=破輩→バカ形製→遠藤ちゃん→リンリン→華憐=涙簾ちゃん=桜→珊瑚ちゃん→サニーって感じだね」 「・・・確かに、春咲さんと同じくらい。・・・えいっ(ムニュ)」 「ビクッ!?み、水楯さん!?こ、こんな所で胸を揉まないでよ!!」 「確かに、その悩みはわかるぞ。私も、事務仕事をしていると肩が凝ってな」 水楯と春咲は、何故かスクール水着であった。両者共、機会が無いのか自前の水着なんてものが無かったからである。 『マリンウォール』で水着を買うこともできるのだが、水楯は興味が無く、春咲は金を節約するために買わなかった。 一方、破輩は黒色のビキニを見に付けていた。そのセクシー感溢れる姿は、すれ違う男共の視線を一様に集める程であった。 「相変わらず、破輩先輩の胸はすごいね~。緋花と同じくらいあるもんねぇ」 「くそっ!くそっ!何で、私の胸は妹より小さいのよ!!しかも、雅やゆかりにも負けてるし!!くそっ!」 「お、落ち着いて下さい、朱花さん!」 加賀美は青色のワンピース型を、朱花はタンキニ型を、葉原は緑色のワンピース型をそれぞれ着用していた。 「やっぱり、緋花ちゃんの胸はすごいでやんす!」 「俺達の目に狂いは無かったね!」 梯と武佐が、焔火の水着姿を拝めたこの運命に心の底から感謝する。 「昼ご飯♪昼ご飯♪」 「仮屋・・・まだ、『マリンウォール』に入って15分程度だぞ?今から、昼飯のことを呟いてどうするんだ?」 泳ぎに来たのか食べに来たのか早速わからなくなっている仮屋に、不動が毎度のツッコミを入れる。 「よし!!では、今度俺達の手で家庭の味を再現し、食べ比べてみるというのはどうだ!?」 「師匠!拙者も賛成でござる!!」 「俺もだ!!絶対に負けないからな!!」 啄・ゲコ太・仲場が、今後の予定をさっさと決める。 「・・・何で浮き輪持参なんだよ?もしかして、泳げねぇのか?」 「いや。泳げるけど、これがあった方がのんびり浮いていられるから。君こそ、何でビート板持参なんだい?」 「これは、いざという時のお守りだ。昔俺が溺れそうになった時に、こいつが俺を助けてくれたんだ。それ以来、こういう場に来る時は何時も持ち歩いてんだよ!」 荒我と界刺が泳ぐ・泳げないの議論をぶつけ合う。そして、いよいよ・・・ 「まぁ、いいや。そんじゃあ、皆!!せ~ので行くぜ?せ~の!!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおぉぉぉっっ!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 界刺の号令の下、皆揃って勢い良くプールへ飛び込んだのである。 continue…?