約 106,079 件
https://w.atwiki.jp/amela/pages/18.html
あざ 2年生 長男。 マイペース。 小早川凛子(ラブプラス) 1年生 次女。 マイペース。 曽我部恵(けいおん) OB 長女。 マイペース。 高須泰子(とらドラ) PTA 母。 マイペース。
https://w.atwiki.jp/tosyoshitsu/pages/531.html
その鳥は退屈をしていた。 あるものは彼を霊鳥と呼び、あるものは太古から生きる大賢者と褒め称える。 樹の下に集う人々に助言をすることも稀ではない。 それでも、その鳥は退屈をしていた。 今日もまた、彼の退屈を増やしに人が、やってくる。 /*/ ●諸王の場合 取るに足りない自分とは 数にもならない自分とは かつての自分達ではないのだろうか それを見捨てるということは 自分を見捨てるということではないのだろうか プレイヤーであることさえ有力すぎる ACEとプレイヤーの確執さえ、近すぎる 設定国民とそれ以外の存在は それほどに遠い距離で隔たれている 答えてくれ 霊鳥よ シムルグよ 私達はどうすればよい? /*/ ●臣下の場合 自信がないのです 時間がないのです 能力がないのです 全てがないのです だから何も出来ない まばゆい壇上にも上がれない 素敵な夢も見られない だからそうである人達と共にいることが苦しい 教えてください、霊鳥シームルグ 大樹の頂に棲まう古の賢者よ 私は、私達は、もはやここにいては いけないのでしょうか? みんなと共には行けないのでしょうか? /*/ ● 民衆の場合 人と同じものが見られない 人の面白がることがわからない 自分の面白いことしかわからない お願いだ、教えてくれ 俺は一体どうしたらいい? 俺はみんなと一緒にいたのに みんなが遠くて仕方がない それとも 一緒にいるなんてこと自体が 幻想なんだろうか 俺にはわからないんだよ、みんなが あんた物知りなんだろう? 答えてくれよ、教えてくれよ! /*/ ● 騎士の場合 力が欲しいのです どうしようもないほどに欲しいのです なにに力がわからない どこにあるかがわからない だから届かない 求めるもの、何もかもに 求めるべきものも、それに必要なものも わかるのに …こんなことを言っている暇さえ惜しい 私は何をしているのだろう 幻にすがるほど弱い私 こんなことでは何も叶えられないのも 道理だな /*/ ● 労働者の場合 頭が悪いんだよ だからわかんねえんだ、理屈っちゅうのが 荷物を持ちゃ重い、それぐらいはわかんだよ でも何をすりゃ何が起こるとか 何が起こっててその裏の意味だとか そーいうのがわかんね わかんねえのってまずいのかな? みんながわかるわかるって言ってるしよ わからなきゃ、わからなきゃ、って言ってるし だから俺ぁ、まずいのかなーって思って そんで何でもわかる奴に聞こうと思ったんだ なあ、そこんところどうなのよ? 鳥さんよ /*/ ●学生の場合 共にある、ってどういうことなんだろうな 和するって何なんだろうな わかってるようで、全然わかってねえんだよ、俺達さ 言葉だけを見て考えない わかりやすい言葉だけ求めて考えない それっていいことなのか? わかりやすいことって、そんなに大事か? わかりやすいってどういうことだ? 知りたいよ 本当に大事なものって何なのか それさえ手に入れてなくさなければ 俺達は、その時こそ本当に何かになれるのかな なりたかったはずの、何者かに /*/ 「――――言いたいことを後回しにして、 君らの問いに答えよう」 「甘えるな、学生 大事なことは自分で見つけるから大事になるのだ 人に与えることばかりを考えるな まずは己が得よ 手放し難いほどに 人生を費やして得たかけがえのないものを 惜しげもなく手渡すから勉学は輝くのだ わかりやすさを問う前に わかりにくい実際を飛びこんで掴め 君には頭があるのだろう? 見せかけだらけの持論さえ 磨けば真実になるのだから 戦え、己を磨くそのためだけに」 「そして唯一幸福なる労働者に福音を 頭が悪いのではない 必要のないことを知らないだけだ 求めるものを持たないのは 既に満たされているからではないかな? 人に惑わされることはない だが人に感化されることはいい 隣人の話す言葉は意味がわからずとも 気になるものだからね 教養とは いらぬことをつめこむことではなく 隣人の話が理解出来る ただその喜びのためだけにある言葉なのだから」 「騎士よ、君には力を与えよう 行いなさい 君は一番必要なものを既に持っている 意志以上の力はないよ 君が欲しいのは 力ではなく言い訳だ 私はそれを君に与えない 私は確かに幻だ 行きなさい 狂おしいほどの意志だけを抱いて ここは通りすがった迷い道だ 行け 行け!」 「民には残酷なことを伝えよう 人は常に一人だ 他人のことなどわかりはしない だがわかろうとすることは出来る 月並みだがね 出来ないことをやろうとするのはいいことだ それは無駄な努力とは呼ばない それは無限の挑戦と呼ぶのだ 自分と他人が違うこと それに気付けただけでも大成果ではないかね? 次はその違いを見つめなさい 挑戦を止めた瞬間 君は今度こそ永遠に一人になるのだから」 「さて、もっとも言うべきことを控えたものの 前に来てしまったね 甘えるな もう一度言うぞ 甘えるな 意志なき者は去れ 自ら望んで立った地平だろう 誰に責任を求めている? 私達は一人一人が独立しているからこそ 素晴らしい 共にいることを望まぬ者は去れ 条件はたった一つだ 共にいたいと願う意志、それだけだ」 「王よ、おお、王よ 最大の愚者にして救い難き者よ 言うべきことはもはやない 誰も見捨てないということは すべてを皆殺しにするより難しい修羅の道 現実には存在しない幻だ もっとも現実を見るべき者が もっとも見てはいけないものだ 君はもはや王ではない ただ一人の、君だ 望むままにしたらいい 答えなど絶無だ 好きなようにしたらいい」 「全員に言えることは 迷いを断つために僕を利用しないで欲しいと いうことだ やりたいようにやったらいい 言われた通りにする気などはなからあるまい 僕を言い訳に使うなということだ 言いたいことは、たった一つだ 甘えるな 己一人で立て 一人で生きろと言うのじゃない 意志だけが、僕らを支える両の脚だ 羽根など僕にもないよ あると思って飛んだなら、きっと焼け落ちてしまうだろうね」 「それじゃあね」 /*/ 「意志なき者よ去れ」 「知らん。 好きに生きて、好きに死ね。 手前の責任を他人に押しつけるな」 「現実を作るものは意志だ、 意志を笑うものよ。 現実に破れたからとて 己以外のものの意志まで弱いとあざ笑うな。 笑っていいのは誰だろうが己の意志だけだ。 甘ったれるな。 人に自分を重ねて見ても、 誰からも何も奪えない。 痛みも、力も、誇りも、何もかも自分一人の神聖なものだ。 力を合わせることと徒党を組むことは違う」 「意志の力を問う。 孤立を求める。 その上で連帯する。 価値を、汲まれる事を求めるな。 見せつけろ。 優しさを誰かを守ることと勘違いしているのなら、 一生優しくなんてなれはしない」 「共にある事が戦いだ。 殺し合いなぞ、それに比べたら児戯にも等しい」 「誰かと対等に立てるかどうかは、 まともに人間と対話したことのないやからには判らないだろうが、 ずっと難しいぞ」 「共に和するという言葉を、 何も考えなくていいと勘違いしてはいないか?」 「大統領は一人で考える人間じゃない。 そんな最低なものであってたまるか」 「大統領は一人一人に問いかける、 そんな人間。 一人一人の答えを聞いて、 丸呑みにするのではなくその真意を一番果たす行為をするものだ。 自分で導き出せぬなら、 それが出来る人を使え」 「大統領とは、優秀な人間ではない、 優秀を見つけだせる人間だ」 「殺し合いが上手いことは自慢にはならん 話し合いが上手いことこそ自慢になる」 「勘違いをするな」 「戦争出来ないことは誇っていい。 人と話すだけしか出来ないのではない。 人と話すというもっとも重要な力を持っているのだ」 「間違うな」 「自分を押しつけることも、 他人を汲むことも、 会話なぞではない」 「共にあろうとすることだけが、 話し合いなのだ」 「猫は基本的に気ままだ。 だが無責任ではあっても、 無意志ではない」 「無責任で無意志なら、 猫以下だ」 「他人の責任だけを見る輩は偽者だ。 自分の責任を考えない輩は無責任だ」 「共にあろうとするならば、 『もし』に思い至って、常に教訓を得るべきなのだ」 「それが共にあろうとすることの、 唯一にして無二の価値なのだから」 (城 華一郎)
https://w.atwiki.jp/sin-changerowa/pages/218.html
「ゑゑ!?んむのやつ…俺を老いさせ弱くしようなどと… その気になっているゑゑ!?んむの姿はお笑いだったぜ。」 老人が殺し合いを開いた厭夢をあざ笑う。 名はパラガス、一応戦闘民族サイヤ人である。 普通のパラガスとは色々違うがれっきとしたお笑いパラガスでございます。 そんなお笑い名パラガスも例に漏れず肉体を変えられてはいた。 しかし肉体を別人にはされていないものの 老いたという意味で変えられていた。 制限により弱体化はしているものの サイヤ人の肉体は戦いに優れ 闘争を繰り返すため若年期が長く 非常に頑強だ。 宇宙最強の戦闘民族という肩書きは伊達ではない。 年老いた身体でも全盛期より多少衰えているが 雑魚たちを蹴散らすのは容易だ。 パラガスは肉体を別の人物のものにかえられたのではなく単純に老いさせられた。 「じじいの姿でもそこそこつよいではありませんか」 当初は無理矢理老いさせられ 『ゑゑ!?こぉんなじじいの姿では生き残れるわけがないっ! ふあぁ〜はんはぁぁぁ〜〜(泣)』 悲観するあまりいい年こいてだだっこみたいに泣き騒いだが、 泣いて泣いて一週回って落ち着き、 肉体の身体能力を軽く四肢を振ったり、 エネルギー弾を乱射して年老いた体の力を調べた。 いつもの姿と比較して大幅に弱体化はしているが それでも十分に戦える実力はあった。 老いてもさすがサイヤ人と褒めてやりたいところだ。 ちなみに真実は単に年を取らされたのではなく このパラガスとはまた違う運命を歩んだパラガスの肉体をあてがえただけである。 肉体が別の世界の自分自身になっていると気づけず、 老いさせられたとパラガスは判断してしまった。 殺し合いという激戦が繰り返される修羅場でも楽々勝ち残れるだろう。 (しかし油断はできん、俺より強いバケモンがいても不思議ではない いやむしろ、いると考えた方が良いだろうなあ。) 楽観気分から思考を切り替え冷静に考察する。 複数の参戦者の中に一人だけ強すぎる者を入れれば 成り立つのは殺し合いではなくただの殺戮、 自分かそれ以上の強さを有する参加者はほぼ間違いなくいるだろう。 「他に気になることだが…ブロリーやカカロットベジータもいるのかもしれんなぁ」 大事ではあるがはちゃめちゃでいつも周リーを振り回す我が子ブロリー、 食欲と保身を何よりも優先する俗なクズロット、 いつもヘタレては岩盤送リーにされる憎きベジータ。 3人とも肉体の若い屈強なサイヤ人、加えて超サイヤ人に 変化できるほどの実力なため心配無用と言いたいが、 特殊ルールによって肉体を取り替えられている。 息子♂のブロリーが戦闘力5のようなゴミにされている恐れもあるのだ。 パラガス自身ブロリーにひたすら翻弄され キャッキャう腐☆腐な野望達成から あと一歩オオオォォォォ!!!のところで計画が頓挫したリー、 一人用のポッドの中に入ったまま幾度となく潰される お約束のオチを数え切れないほどブロリーのせいで味わった。 「カカロットやベジータはどうでもよいわー!だが ブロリーの身に何かあれば心苦しい。」 かつてベジータ王に理不尽に処刑させられかけ(本当はパラガスのしょうもない逆恨み) その直後、惑星ベジータがフリーザによって滅ぼされた。 崩壊する惑星と運命をともにする寸前で、 当時赤子だったブロリーが偉大な潜在パワーを発揮し星から脱出することで 死の淵から守ってくれたお涙ホイホイな過去をこんなお笑いパラガスでも持つ。 若い女を見れば『へえあっ!?カワイイカワイイ娘ェ!』などと興奮し、 かしこさ26としか表現しようのない お馬鹿ぶりでアホなそうdoor!?を巻き起こし、 自分や周囲にこれでもかと大迷惑をかけてくるお笑いな息子でも たったひとリーの大事な息子なのだ。 「こぉんなところにとどまるわけにはいかん、 まずはブロリーがいるかどうかをを確認しようではありませんか」 当面の目的をブロリーの有無を調べることに決め その場からじじいになった親父ぃは立ち去ろうとした。 「ん?」 背後からけたたましい叫びと砲弾のような足音が聞こえたのはそのときだった。 ◆ 慈悲や情けなどの温かい感情を一切感じさせぬ恐ろしき白目、 ケロイド上に焼けただれたようにも見えるどす黒い岩のような皮膚、 全てを壊さんばかりの強靱な四肢、 文字通り疑う余地が微塵もない破壊の権化。 同じ怪獣であろうとアリのようにちっぽけな 平和ボケの人間どもだろうが例外はない。 怨念の集大成は絶望と殺戮を巻き起こし 目に映る命を破壊尽くしてきた。 その肉体は無数の怨念をやどす破壊神ゴジラ。 伝説通りに破壊と殺戮と血を何よりも好む悪魔ブロリーの精神がゴジラに宿ってしまった。 ただでさえ獰猛に染まっているサイヤ人に ゴジラのような極悪性が付与されれば答えは一つ。 生きる者の絶望と永久に続く破壊以外に価値を見いださない化け物が降臨してしまう。 全ての崩壊を宣言するような悍ましい咆哮を発する。 怨念の怪獣王と化したブロリーだがやることは変わらない 文字通り圧倒的なパワーによる蹂躙、殺戮、滅亡劇、 そして許しがたいカカロットを血祭りに上げること。 怪獣王と化した悪魔は歩み続ける 全てが消え去るまで滅ぼし続けるために。 【ブロリー@ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない】 [身体]:ゴジラ@ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 [状態]:健康、殺意 [装備]: [道具]:基本支給品。 [思考・状況]基本方針:全てを破壊し尽くすだけだぁ。 1:何かを見つけ次第滅ぼす。 2:カカロットはどこだ!血祭りにあげてやる! ※備考 制限はありません、支給品類も一切ございません。 視界に移らないようとっさに身を隠して 親父ぃは見てしまった、怪獣と化した我が子の姿を。 そして親として理解できてしまった、 あのあふれ出る破壊衝動は間違いなくブロリーのものだ。 肉体が変わってもあの凶暴性だけは一切揺るいでいない。 あの白目は伝説の超サイヤ人と変身したブロリーを思わせた。 常時より一層獰猛になっているように見える。 「嘘だロットォー!?ブロリーが大怪獣になっているなどと… こぉんな超☆展☆開がお待ちしておりましたなどと予想できるはずがございません」 驚愕せずにはいられない、獰猛でドジでお馬鹿なブロリーがあんな途轍もなさそうな 大怪獣になってしまえばdoor!?なるかわかったもんじゃない。 このまま多くの命がデデられる、それどころかこの会場を破壊し尽くして 参戦者もゑゑんむもなりふり構わず何もかも蹂躙するだけだろう。 「しかし何をすればブロリーを止められるのか…?」 肉体が変わっているため科学者に作らせた制御装置は 装着されてないためコントロールすることもできず、 真っ正面から戦って止めようにも勝負になる気がしない。 大猿になれば一応勝負へもつれこむことはできなくもないだろうが 良くて相打ち、最悪で返り討ちだろう。 例え相打ちでブロリーの暴虐を止められても 我が子には死んで欲しくはない。 かといって今の所食い止める手段があるわけでもなく どうすれば良いのかパラガスは必死に考えを巡らせるのであった。 【パラガス@ブロリーMAD】 [身体]:パラガス@ドラゴンボール超 ブロリー [状態]:健康、焦りと危機感。 [装備]: [道具]:基本支給品。ランダム支給品0〜3 [思考・状況]基本方針:ブロリーを止める。 1:やめろブロリー!落ち着けぇ! 2:しかし…door!?すればいいんだぁ? 3:考えろ…何か策を考えるんだぁ! ※備考 超弱体化しています。 親父ぃは肉体を別のものにされたのではなく そのまま老いさせられたと考えています。 165 嵐を呼ぶエスパー巫女 投下順に読む 167 タコ説
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/179.html
知行 村役 初期能力詳細情報 名前 あざみ 職業 忍者 ---- ---- 腕 力 10 土属性 3 耐久力 8 水属性 2 器用さ 2 火属性 6 知 力 11 風属性 2 魅 力 11 水田適性 --- 畑適性 --- 林地適性 4 牧場適性 1 鉱山適性 4 漁場適性 3 工房適性 --- 村適性 --- 市適性 --- 櫓適性 3 堤防適性 3 南蛮寺適性 --- 寺社適性 --- 官位の必要性 × 働きぶり 問題なし 仕事の成果 かなり期待 成長 Lv 腕 耐 器 知 魅 土 水 火 風 水田 畑 林地 牧場 鉱山 漁場 工房 村 市 櫓 堤防 南 寺 * 特記事項 レベルアップでの適正変化など分かりましたらお書き下さい。 ちなみに、某大家族の人ではないのであしからず 働きぶり:問題なく 仕事:かなり です -- ななし侍さん 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5684.html
598: 弥次郎 :2022/01/11(火) 20 54 04 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW GATE 自衛隊(ry編SS 「赤くて速くて角のあるアイツ」(改訂版) AS-12 AVES。企業連が製造・販売を手掛ける、飛行型無人偵察機でもメジャーなMTである。 飛行型、と呼ばれるようにそのMTは飛行能力を有しているのが特徴だ。 ただ、その航続距離や最高速度などを通常の航空機と比べると、どうしても劣っているのが事実だ。 しかし、市街地にも踏み込める小回りの良さ、VTOL、ホバーによる滞空、その場での旋回能力など純然たる航空機では持っていない能力を持つのが特徴。 そうなればヘリの様なものか?と言われれば、その通りと答えるべきだろう。だが、ヘリなどとは比較にならない機動力も有している。 ましてMTの一種として早々に落とされるような軟な構造ではないし、機動兵器としての要素は十分に備えている。 各国軍の一部、あるいは州軍や地方警備部隊、PMCなどに配備されているそれらは、戦闘のみならず災害対応などでも大きな働きをしている。 そしてもう一つ、この無人偵察MTが使われている意外な使い道というものが存在していた。 ずばり、アグレッサーである。 『特地』 アルヌスの丘 地球連合拠点 シミュレーションルーム ステージタイプ46「市街地」 日本国陸上自衛隊 特地派遣部隊第三偵察部隊所属の伊丹耀司陸尉は、仮想の都市の中を駆け抜けていた。 無論、生身などではない。機械で作られた歩兵の内側に乗って、という形だ。 大洋連合から供与され、先行配備という形で実地訓練と運用を行っているKG-6 スレイプニールに乗っているのだ。 元々の設計段階で都市での運用も考えているKG-6 スレイプニールは、伊丹の慣れぬ操縦をその優れたOSによって補いつつ、その脚部で疾走していた。 機体の揺れや体にかかる負荷までも再現する精巧なシミュレーターで、伊丹は必死に操縦を続ける。 (こう言うのでも訓練なんだよなぁ…) 今回の訓練は、機動戦闘というものを学ぶ一環として、仮想都市での「鬼ごっこ」であった。 都市部に展開しているAVES-12のバリエーションである4機のAS-12R AVES/Rを僚機と共に追いかけ、撃破するというもの。 スレイプニール側は一般的な火器を使用可能であり、数発当てれば撃墜判定が出るという条件で臨むことになった。 最初は、知らされた自衛官たちは舐めてかかっていた。何しろ、飛び道具ありの鬼ごっこだというのだから。 追いかけて包囲して、撃てばおしまい。普通に考えれば、鬼の側である自分たちが圧倒的に優位なはずだったのだ。 だが、一見遊びに見えたそれが本当の難易度をむき出しにしたのは、演習開始からすぐのことであった。 AS-12R AVES/Rというのは、攻撃力ではなく機動能力にカスタマイズを施したバリエーションである。 その機動力は馬鹿にならず、特に危険度の高い地域での偵察活動を前提とした高級機なのだ。 それ故に、ひとたび解き放たれると早々に捕まえることの難しいMTである。ほかの機動兵器などならば追従できるし、倒せるものでしかない。 だが、逆に言えばこのMTを追いかけ、撃破するというのは非常に訓練になるのだ。殊更、兵科を超えたばかりの彼らにとっては。 立ち止まってのそのそと狙い、引き金を引くというのろまな動きではない、俊敏な動きが必要になる。 それは、動き回り、敵を追尾し、的確に追い詰め、撃破するという機動兵器が機動兵器たる所以を学ぶことにつながる。 また、飛び道具ありという鬼ごっこということで油断していたが、普通の鬼ごっこではない。平面ではなく立体の鬼ごっこなのだ。 正確に言うならば、平面起動が基本となる鬼が、立体的に空を飛ぶ鳥を追いかけるという鬼ごっこだ。 市街地という世界は狭く、同時に、広い。 ビルや建物で視界は狭くなる。視界は同じような色で満たされるので、目での視認が迷うことだってある。 それでいて、建物の谷間や隙間や裏には広い空間が広がっている。機械の巨人には狭くとも、機械の鳥には十分なほどに。 その領域こそ、AS-12 AVESシリーズにとってはそういう場を前提に設計・開発・進化してきたが故に独壇場だった。 599: 弥次郎 :2022/01/11(火) 20 54 52 HOST softbank126066071234.bbtec.net 12機という数の優位から最初こそ余裕のある状態でシミュレーションに挑んだ伊丹達であったが、すぐにそれを後悔する羽目になった。 これまで述べたような状況に解き放たれ、十分なスペックを発揮できる相手が、捕まえられないのである。 『残り時間、5分です』 通信機越しにHQから告げられる残り時間に、伊丹は焦りを隠せなかった。 最初はレーダーでとらえられても、視認することさえ難しかった。 だが、時間をかければ、ターゲットのAS-12R AVES/Rの姿をカメラにとらえることができるようになっていた。 しかし、今度はそこから攻撃を仕掛けることが難しかった。索敵機能で敵機を捕捉することはできる。FCSで追従もできる。 だが、そこまで捉えることはできても、素早く逃げ回るAS-12R AVES/Rは、信じがたい運動性を発揮してこちらの攻撃をかいくぐって逃走してしまうのだ。 『すばしっこい!』 75㎜マシンガンの弾丸がまとまって襲い掛かるが、それらを器用にAS-12R AVES/Rは潜り抜け、ビルの合間に隠れてしまう。 隠れた後は匍匐飛行ともいうべき低空飛行で逃走を続行していく。それは、圧倒的に早い。そして、巧みだった。 普通ならば激突してしまうような速度で突っ込んでおきながらも、的確にビルの合間を抜け、射線を切って飛行しているのだ。 『逃がすな、追え!』 『標的、ルート5から8へ逃走!』 『ええい、くそ。A小隊、回り込め!C小隊とこっちで追い込む!』 『了解!』 『了解です!』 相手は、今のところ一定距離のところで浮遊してこちらを待ち構えている。 AIのルーチンとして、追跡してくる相手から一定以上離れないようにプログラムされている駄目だ。 だから、相手の位置と周囲の地形と建物の配置などを勘案し、追い詰めるプランを即興でくみ上げる必要がある。 伊丹の指示の元、B小隊機が脚部の安定翼を展開してホバーでの移動を開始。 A、C小隊は主脚に走りで追いかける。それぞれが、方向と即興で割り振られた役割を担いながらの全力。 しかし、必死の追走をかける彼らをあざ笑うが如く、AS-12R AVES/Rは赤いカラーリングの角状突起で風を切って飛び回る。 『一機しか落とせないとか屈辱的すぎる!』 そう、10分間という時間を与えられた彼らは、現在のところ一機しか撃墜できてはいない。 それが決して悪いわけではない。彼らのように人型機動兵器に乗り始めて間もないパイロットたちが一機落としている時点で大金星なのだ。 このような相手をするのはかなり駆け足の教育のためで、彼等は彼らなりにかなり頑張っている部類なのである。 それだけ平成世界の日米の危機感が高いということであり、人型機動兵器導入に力を注ごうと判断した結果だ。 そして、当然のことではあるが、現場の彼らはそのために日夜訓練に明け暮れていた。 『逃がすかよぉ!』 仮想の都市に、自衛官たちの声が響いた。 600: 弥次郎 :2022/01/11(火) 20 55 44 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 何やらwikiと連動したツイッターが凍結されるという騒ぎが起こっているようで… 心配ですが、何もできずなんとも歯がゆいことです
https://w.atwiki.jp/myread02/pages/6.html
文字小簡project.RX 「ROCKMAN X STANDARD OPREATING PROCEDURE」 OP1 「cant be realized.」 1.2 まるで天気雨のように、赤い幽霊はなんの前ぶれもなく唐突にエックスたちの後ろに現れた。 最初に気付いたのはエックスである。そして、今度はエックスだけではなく、館長、隊長、そしてラートも、みんなそのゴーストの姿を肉眼で確認できた。 時間は淀んだ泥水のように変わり、ゴーストはスローモーションで手を伸ばし、エックスに触れようとする。 隊長はソレを捕まえとしたが、なにせ相手は幽霊《ゴースト》なので、目の前のゴーストに触れようとしても、その手はゴーストの体を通り抜けるだけだった。 館長はゴーストに驚いてしまい、転げるように、体を空に浮かべていた。 ラートは動かなかった。ただその目は、アーティストである彼の目は、まるでこの世にない絶対的な美を持つ芸術品を愛しく見つめていた。 強いて言えば、ゴーストの存在自体、アーティストのラートにとって美しすぎて、逆に毒にもなる。 エックスは右手をバスターモードに切り替え、高密度のエネルギーが集積され、その光はかすかに銃口から漏れていた。 ラートはふたつの光に目を奪われ、それ以外のモノには、目がいかなくなっていた。 そして、エックスは銃口をゴーストに向け、警告する。 「おやめください!」 鋭い声が、流れる水を斬り裂く剣のように、時間の流れは加速して元に戻った。その瞬間、ゴーストの手はエックスの体を貫き、後ろにあったラートの壁に触れた。 やがて、壁を形成する物質は崩れはじめ、分解していった。 「これは...」隊長は我に返ると、ゴーストが壁に向って何をしているのかをじっと見ていた。 「あたた…」館長が床から立ち上がって、ぶつけたお尻をさすりながら、「こいつ、まさか、私たちの美術品を盗むつもりなんでしょうか?無駄ですよ、なにしろ私たちが今展示しているのは実物ではなく、すべて…」、 「違う、この壁をコピーしようとしているぞ」ラートが言った。 その声は弱く、顔には何の表情もない、ゴーストの行為を、全身全霊で見守っているといってもいいようだった。 エックスは再び銃口を幽霊に向け、隊長も対アンドロイド用の電気銃を構えた。銃の照準が、まっすぐに幽霊をとらえる。 しかし、赤いゴーストは動揺するどころか、何も怖れていない様子だ。 エックスも隊長も引鉄に指を添えただけだった。撃っても当たらないだろう、とふたりはこの状況を熟知している。まるであざ笑うかのような態度で、ゴーストは横目でエックスを見た。その顔はまるで解けてしまっているようで、目か鼻か口かを見分けることができないぐらいだ。エックスはゴーストの横顔から表情を読めない。 観察されている。 その視線はエックスの装甲を貫いていた。内部はもちろん、エックスの瞳の向こうにある壁にまで達しそうな視線である。 ラートの壁は崩れ続け、元々大人の身長くらいあった壁は、まるで巨大な”時間”によって潰され、破片は地面に落ちる前にさらに小さく分裂し、やがて、虫眼鏡を使っても見えなくなるほどまで粉々になって、消えた。 壁が完全に消えると、赤いゴーストはまるで最初からいなかったかのように、ただ強いイメージだけを残して、姿を消した。 「今のは幻?それとも幽霊ですか…?」 館長がつぶやいた。あれは真実か、それとも幻か、今はもう判断できなかった。 ただ彼は何か思い出したように、再びラートの壁を映し出そうとリモコンを操作したが、映写機のモニターには「empty」の文字が無情に映し出された。 「ない…ない…私の芸術品が!!!!」館長はリモコンを叩いて、ボタンを何度も押した、「私の芸術品はどこにいった!?」 「盗まれたんだよ…いや…むしろ」ラートが言った「奪われたんだよなぁ…私たちの目の前で」 「もう一枚描いてくれ!いますぐにだ!」館長は情けなくラートの襟を掴んで叫んだ。 「申し訳ない。データはすべてそちらに渡したんだ。もう一枚を描くんなんで無理な相談だ」 「じゃ、私の絵はどうするつもりだ!?私の美術館はどうなる!」 「ここにあるじゃないか」ラートはエックスを指差した。「彼は私の絵の価値を記録した。そして、他の無数のアンドロイドたちもそうだ。この絵の目的はもう達成した。私はもう満足だよ。」 「幽霊が私の絵を盗んだぞ!…このままじゃ、笑い話になりかねん…そうだ…警察!警察がいるじゃないか!」館長は隊長より身長が頭一つ分低かった。その館長が隊長の鼻を指差しながら、「貴様らが絵をちゃんと守っていないから盗まれたんだぞ!責任を取れ!」と言った。 「…人間にしろロボットにしろ、幽霊相手じゃどうしようもないぜ。」 「監視カメラの画面を見れば分かるだろう!全部貴様らのせいだ!」 館長はリモコンを持ちながら、人差し指で何桁もあるパスワードを入力して、再びカラとなった場所に向けてボタンを押した。すると、「empty」の表示は監視カメラのモニターに切り替わり、そこに映し出されたのは、エックスバスターを構っているエックス、手を伸ばして何かを掴もうとしたが何も掴まえられず、また壁に向かって銃を突きつけた隊長、転んだ館長、そして、じっとして動かないラートだった。 まさに絵が盗まれる前の瞬間である。 ラートの壁は次の瞬間崩れ始め、そしてヒステリーを起こしかけた館長が画面に映し出された。すこしばつが悪いようで、館長は素早く監視カメラの画面をいくつもの角度に切り替え、赤いゴーストの姿を探そうとした。しかし、大都会美術館に12台ある、それぞれ異なる角度を監視しているはずの監視カメラは、ゴーストの姿を見つけることができなかった。 ラートが座っていた。 館長が隊長とエックスを連れてきた。 壁が現れた。 壁が倒れた。 「empty」。 「empty」「empty」「empty」「empty」「empty」「empty」 「empty」「empty」「empty」「empty」「empty」「empty」 十二の「empty」は赤いゴーストが壁を携えて消えたという事実を何よりも強く示していた。 「うちのほうで事件として受理してやってもいいが、しかし、たぶん機械のエラーによるデータの紛失として処理されるだろうな」隊長が言った。 機械のエラー、つまりそれは管理側のミスになる。 それを聞いて、館長は「いやいやいやいや、そうですね~この絵の展示は今日までで終わることにしてましたから、はい。ですから、もう展示は終わりですよ、はい」と慌てて言った。それからリモコンを操作し、別の作品が出てきたのを確認すると、ほっとした様子になった。が、ラートがまだ座っていたのを見て、「まだここに用があるってのか?ないならとっとと帰れ!」と手でラートを追い払った。 隊長とエックスはラートを連れて大都会美術館を出た。 その時、美術館にある巨大な看板には、メイン扱いのはず「だった」ラートの壁が、すでにほかの作品に変わっていた。 そして、その下には「当美術館にお越しくださり、誠にありがとうございました。ラート氏の作品は都合により、本日で展示を終了いたしました。次回展示予定の作品は…なお、ギフトショップでは同氏作品のレプリカキーホルダーを販売しており…」という小さな字幕が映っていた。 「これからどうするつもりですか?」エックスはラートに言った。 「まあ、美術館をクビになって、前の職場ももう戻れない…また職探しするってことだよ。」 「前の仕事はなんですか?」 「インテリアデザイナーさ」 「なるほど。だからあんなにいい壁絵を描けたんですね。」 なにもかも理解したような言草だが、隊長はいまだにあの壁がどこかいいんだか分らないままである。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1378.html
「じゃあ、そのおまんじゅうは食べられるの?」 「ええ、結構美味しいんですよ」 闇の妖怪ルーミアと、パチュリーの従者である名も無き小悪魔。 あまり接点のなさそうな2人だが、仲は良いらしく、楽しげに話していた。 「ゆっくりかー……お腹空いたから、一匹食べてみたいな」 「どこにでもいるから探してみるといいですよ。見つけたら、軽く洗ってからいただくのがオススメです。焼いていただくと、とても良い香りがして素敵ですね」 「焼いたおまんじゅう……美味しそうだなー」 ルーミアがよだれを垂らしそうな声色で呟くと、タイミング良く腹がきゅるるるる、と鳴る。 「あ、あのさ小悪魔! それで、そのおまんじゅうが沢山いるところってどこなの?」 「どこにでもいますよ。ちょっと周りを見渡したら、10匹や20匹はすぐ見つかります」 明らかに話を切り替えようとしているルーミア。その顔は、微妙に赤く染まっている。 小悪魔は、内心妹の様に思っている可愛らしい友人に、ニコニコと笑いながら教えてやった。 「じゃ、じゃあ探してみるね! ありがとう小悪魔!」 ばいばーい、と手を振るが、すぐに周りを真っ暗にしてしまったので何をしているか分からない。 だが、そんな事はおかまいなしに小悪魔も笑顔で手を振り、図書館へと戻っていった。 『ルーミアとゆっくり』 「ゆっくり~♪ ゆっゆっゆっくり~♪」 「「「ゆっきゅり~♪ ゆゆゆゆゆっきゅり~♪」」」 ゆっくりれいむの親子が楽しそうに飛び跳ねている。 風がさらさらと草を揺らし、暑すぎない程度に太陽が輝いている、そんな最高のゆっくりデイ。 親子は、今この時がずっと続いて欲しいと思いながらゆっくりとすごしていた。 だが、幸せな時は永久に続くものではない。 「ゆゆ? おかーしゃん、ゆっきゅりへんなのがきゅるよー」 「おかーしゃん、あれなーに?」 一匹の子れいむが何かを見つけたらしく、怖そうに親れいむにくっつきつつ訴える。 親れいむが視線の先を見ると、何やら真っ黒くて丸い物体がふらふらしながら動いていた。 「ゆっ? おかーさんもわからないよ!」 「まっきゅろだね」 「きょれなんだろー?」 「ゆうー……みんなきをつけてね、ちかづいたらだめだよ」 きゃいきゃいと、オバケ屋敷の幽霊でも見ているかの様に怖がりつつも楽しそうに騒ぐ子れいむ達。 親れいむは、そんな子れいむ達をたしなめつつ、黒い物体が何なのか見極める様な厳しい顔で見つめている。 「ゆっ? ちかづいてきゅるよ!」 黒い物体が段々と自分達の所に近づいてきていると分かったゆっくり家族は、流石に緊張した。 「きょないでよ! ゆっきゅりあっちいってね!」 「ゆっ! ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ! ゆっくりどっかいってね!」 気味が悪そうに親の近くに集合する子供、体を大きく膨らませて子供を自分の後ろに隠す親。 ゆっくり親子は、奇妙な黒い物体の真正面に立ちはだかり「どっかいってね!」「こっちこないでね!」などと言いはじめた。 黒い物体は、そんな必死なゆっくり達をあざ笑う様にどんどん近づいてくる。 「ぎゅううううう! ぎょないでよおぉぉぉ!」 「ゆっぎゅりあっぢいぎぇえええぇぇぇぇぇ!」 「さっさとべつのところにいってね! ゆっくりしね!」 どんどん近づいてくる黒い物体。ゆっくり達は、もう声も出ないほど震え上がり、腰でも抜かしたのか一歩も動けないでいる。 ゆっくり親子が、黒い物体に立ちふさがった事自体が間違いであると気付いたのは、闇の中に閉じ込められてからだった。 「「「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!! ぐらいよおおおぉぉぉ! ごわいよおおおぉぉぉ!」」」 暗闇の中にいる恐怖。いつどこから何が襲ってくるか分からない。 「ゆぎゅ!?」 ぶちゃっとアンコが飛び散る音と温かい何かが頬に張り付く感触。どのゆっくりかは分からないが、一匹殺されたらしい。 もしかしたら、この闇の中にゆっくりれみりゃやゆっくりフランなどの捕食種がいるのかもしれない……ゆっくり親子は、あまりの恐怖から意識を失った。 さらさらと草の揺れる音で、親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆー、ゆー……ゆっくりしていってね!」 起き抜けで、即座にいつもの鳴き声をあげるのは、生物的な習性だろうか。 「みんな、ゆっくりおきたよ。きょうは、なにをしてあそぼうかなぁ、あかちゃんも……??」 なぜ眠っていたか忘れていたらしく、寝ぼけ眼で周囲に語りかけていた親ゆっくりだったが、思い出した途端、素早く辺りを見始めた。 すでに辺りは真っ暗になっており、いつ捕食種が現れてもおかしくない。 親ゆっくりは、せめて一人だけでもと祈る様な気持ちで声を張り上げた。 「どご!? どごにいるの!? れ”い”む”のあがぢゃあ”あ”あ”ぁぁぁぁぁんんん!!!」 「ゆぎゅ……おかーしゃん、いるよー」 ノドが張り裂けるかの様な悲痛な叫びに答えて、一匹の子ゆっくりがぴょんぴょん飛び上がった。 「みんな……みんな……ぶじだっだのぉ!?」 「「「ゆっきゅりげんきだよー!!!」」」 良く見ると、全員いるらしい。 先ほどやられた子も含めて何匹かいなくなっているのかもしれないが、それでも無事な子ゆっくりはまだまだいる。 更に、ぴょんぴょんと飛び跳ねる子ゆっくり達に外傷はほとんどない。 一匹若干元気がないが、そのゆっくりの傷すら、小石にぶつかった程度の軽い傷だ。 命に別状はないし、数時間ゆっくりしていたらすぐに治るだろう。 ――これで、またみんなでいっしょにゆっくりできるよ。 親ゆっくりは、心の底から安堵し、大きく息をついた。 「もうくらいから、ゆっくりおうちにかえろうね!」 「「「おうちでゆっきゅりしようね!」」」 笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねるゆっくり一家。 後ろから今の騒ぎを聞きつけたゆっくりフランが追いかけている事に気付いたのは、もう絶対に逃げられなくなった後の事だった。 「お腹すいたなー」 ルーミアは、いつもの様に自分の周りを闇で覆い、食べ物を探してふらふらと飛び回っていた。 しばらく何も食べていないらしく、お腹から可愛らしく「くきゅるるる」などと聞こえてくる。 その音をきっかけとして、少し休む事にしたらしい。 闇を出すのとは違い、飛ぶためには栄養が必要だ。 「休憩休憩。ふぅ」 のんびりと地面に降り立ち、原っぱに座った。 上品に座っているその姿は、良家のお嬢様に見える。……姿を見るためには、闇の中で目が見える必要があるが。 「そういえば、さっきのは何だったんだろう?」 可愛らしく小首をかしげて、妙な声の事を思い出す。 ふらふらと飛んでいたら「ゆぎゃあ」とか何とか聞こえてきた。 それほど時間を開けずに「ゆぎゅっ!?」という声と、甘いニオイが鼻を刺激したのだが、どこから聞こえたのか、甘いニオイはどこから漂っているのか分からず、結局そのまま通り過ぎた記憶。 「あれは食べられるものだったのかなー?」 そうだったら惜しい事をした。 ルーミアは、憮然とした表情でバタバタと足を動かして、先ほど見逃した食事の事を悔やんだ。 少しの間足をバタバタさせてから、ルーミアは気を取り直した。 ――ご飯は他にもあるし、もうすぐ暗くなるから、何か食べるものが見つかるかもしれないもんね。 周りの闇を解くと、既に日は落ち、暗くなっている。 「休憩おしまい。ご飯はどこかな~?」 のんびりと飛びながら食事を探すルーミアの目に、口元を黒く汚したゆっくりフランが見えた。 「こんばんは。あなたは食べてもいいおまんじゅう?」 感想で東方キャラを希望されて書いた。せっかくなので精神的いじめをやってみようと思ったらこうなった。今は次のSSを考えている。 なお、私は全ての東方シリーズはプレイしていないため、人称や設定など間違っている部分もあるかもしれません。 不快に感じた方は、ご容赦下さい。 by319 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5361.html
前ページ次ページゼロの超律 風が変わった。それが、「この世界」に対してマグナが抱いた印象の初めである。 海水と真水が入り混じった湖から吹く、少しだけ潮の匂いがする風はなくなり、草原の上を走る爽やかな風が吹いている。 ざわざわと、周囲から大勢の人間のざわめきが聞こえた。 「どこだ、ここ……?」 正面には召喚師風の格好をした若者が多数。その向こう側には壁に囲まれ、塔を備えた要塞にも見える建築物群。 王都ゼラム……直前までマグナが認識していた、滝と湖が美しい街ではない。 『平民! ゼロのルイズが平民を呼び出したぞ!』 『ぷ、ふふふふ……あははは』 誰かが発したその言葉を引き金に、周囲から哄笑が巻き起こる。その中で屈辱に肩を震わせている、桃色の髪の少女が一人。 言語は理解できないが、マグナにはその理由がなんとなく理解できた。哄笑の種類に覚えがあるのだ。 周囲に響く笑い声は、自分よりも身分が、能力が低いものを見下してあざ笑う、蒼の派閥でもよく聞いたものだった。 『ミスタ・コルベール! やり直しを、サモン・サーヴァントのやり直しをお願いします!』 『ミス・ヴァリエール、それは許可できません。使い魔は、召喚者にとってもっとも必要なものが呼び出される。それを気にいらないと言う理由だけで拒否することは、始祖の意思に反することになるでしょう』 (……怒鳴っても、余計に笑われるだけなのにな) マグナは、怒りを隠せない桃色の髪の少女が額の広い中年男性に詰め寄る様子を、普段の彼とは異なる冷たい思考で眺めていた。 『う、ううっ……』 やがてルイズは、諦めたように肩を落とした。迷うように振り向いて、それから怪獣のような足音を立ててマグナに近付く。 『平民にこんなことをするなんて……うう、屈辱だわ。我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』 「むぐっ!?」 突然の口付けに、マグナは驚愕する。彼とて年頃の少年だ。年下とは言え、同年代の少女に唇を奪われては冷静ではいられない。 しかしそんな思考は、左手に走った、焼きごてを押し付けられたような痛みの前に沈黙した。 ただの痛みではない。精神力を根こそぎ持っていかれるような激痛だ。 「がっ!? あ、ぐっあ……」 「落ち着きなさい。左手に使い魔のルーンが刻まれているだけよ」 「なっ……痛ぅ」 唐突に言語が理解できるようになったことに、マグナは驚愕した。 召喚術。ようやくそこに行き着く。 マグナの知る召喚術は、召喚した対象にリィンバウムの言語と文字を理解する能力を付加する。絶対服従の誓約とともに。 リィンバウムでは召喚と誓約を同時にする点で異なるが、それでも自分が異世界に召喚されたと理解するには十分だった。 召喚師の自分が召喚獣か。滑稽だなとマグナは自身を嘲ってから、それも良い、と諦める。 どうせ誓約が成されたのなら、反抗は無意味だ。帰還は召喚者の意思によってのみ成される。 自分は逃げてるなと理解しながらも、マグナは示された逃避場所から目を離せない。 「ほう、珍しいルーンだな」 「ルーン?」 「あなたの左手の文字ですよ」 先ほど目の前の少女に詰め寄られていた若干頭部の構造物が寂しい人物が、マグナを覗きこんで彼に刻まれたルーンを紙に書き込む。 書き込みを終わると、コルベールは周囲の若者に解散の指示を出した。 指示を受けた若者達がふわりと空に舞い上がる。 「人が、飛んだ?」 「当然よ、メイジだもの」 「お前は歩いて来いよなゼロのルイズ! 平民とならお似合いだぜ」 「ッ!」 上空から降ってきた、ルイズとマグナを侮辱する言葉に、ルイズは顔を真っ赤にしてうつむいた。 その様子に、マグナは少しだけカチンと来る。彼自身は無能者として嘲られることに慣れている。 だがその不快感を知っているだけに、ルイズが嘲笑されるその姿に、マグナは無性に腹が立った。 一瞬、さほど速くも無い速度で飛ぶ無防備な彼らを、召喚術を使ってまとめて撃墜してやろうかと、黒い思考がよぎる。 幸い、固まって飛んでいる。範囲攻撃ができる召喚獣ならば…… 「不快な思いをさせて申し訳ありませんな」 「あ……」 背後から声をかけられて、マグナはその黒い思考を霧散させた。振り向けば、少々頭髪に目をやり難い中年男性がニコニコと人のいい笑顔を浮かべていた。 「あらためまして私は炎蛇のコルベール。当トリステイン魔法学院で教鞭を執っております。よろしければ、お名前をお教えいただけますかな」 ニコニコと笑うコルベールに、マグナは完全に毒気を抜かれた。これを分かってやっているなら、コルベールは相当な食わせ物だ。 自己紹介を求める彼の言葉に、マグナは少しだけ詰まった。今の自分は果たしてどう名乗るべきかと。 蒼の派閥の召喚師・マグナ。 これが今までの名乗りだ。今でも、間違ってはいないだろう。 しかし……。 「マグナ……マグナ・クレスメントです」 マグナは、あえてその名を名乗った。罪深い自分の名を。 公式に許可されているわけではない、いわば元貴族が家名を名乗ることと変わらない。 自虐的でもある。あえて名乗らなければ、この名前から逃げてしまいそうで怖い。 どちらにせよ異世界だ。目の前の人物には関係ないだろうと思ってのことでもある。 だが、それは思ったよりも変化をもたらした。 「家名がある、もしやミスタ・クレスメントは貴族……なのですかな?」 コルベールが驚いたと言うように目を見開いていた。ルイズもまた驚きに満ちた表情を浮かべている。 それもそうだろう。マグナは貴族の象徴である杖を持っていないからだ。 「平民の成り上がりですよ。家名は……先祖のものです」 「ほう」 コルベールがめずらしい、と言うように息を吐いた。一方、ルイズは安心したような表情を浮かべている。 平民から成り上がることはもちろんだが、一度没落した貴族が復権すると言うのもめずらしい。 周辺国で有能な平民の登用が始まっていることもあり、これからはそういった例も増えてくるのだろうとコルベールは思った。 「ふうん、つまりあなたを私の使い魔にしても問題はないわけね。平民だもの」 「ああ。いまごろ、俺が居なくなって喜んでいるんじゃないかな」 「あまりご自分を貶めるものではありませんよ、ミスタ・クレスメント」 コルベールは、皮肉に笑うマグナをそっとたしなめた。 彼が何らかの組織に属していたとしても、貴族と平民の軋轢を考えれば、それも当然かと納得もする。 マグナは「すみません」と、すなおに頭を下げた。 自分でも卑屈だと分かっているのだが、先祖の罪が詰められたパンドラの箱を覗いてからというもの、どうにもこういった思考しかできないでいる。 兎も角も、その二人を前にして、ルイズは小さな胸を張った。 「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あなたのご主人様よ。不満はあるけど、あなたは私の使い魔。……分かった?」 「は、はあ」 偉そうだなと思いながら、同時にマグナは、ああ俺は召喚獣なんだからこの娘の方が偉いのか、と納得してしまった。 貴族に関しても、養父同然の師や、やたらとフランクな先輩二人がイメージとして先行するためにとまどうが、考えてみれば、ルイズの態度の方が、貴族としては「当たり前」だ。 マグナは自分を追放同然の旅に出した貴族、フリップを思い浮かべる。……あの人ほど酷くないよな、とルイズの性格を評価した。 「返事が悪いわね……。まあ、使い魔としての自覚はコレからじっくり教育するとして、とりあえず部屋にもどるわ。付いて来なさい」 颯爽ときびすを返したルイズに、マグナは慌てるように従った。 こうして、召喚されると言う稀有な体験をすることになった調律の召喚師と、ゼロのメイジの物語は始まる。 果たして彼らは、自身に絡みつく因果律の糸を超えることができるのか? その答えを知るものはまだいない。 ゼロの超律・2「召喚・後」了 前ページ次ページゼロの超律
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/37.html
それは予想外なんてものじゃなかった。 誰かが「このAをブラジルにいるZさんが殺したんじゃないなんてことは、言い切れない」 と言っていたのに、僕は全身全霊で反対しよう。いくらそれが0じゃないからって、1%以下の確率を 計算に入れてもいいのは胸に七つの傷を持つ男だけだろう。 しかもここは 「…師匠―――……師匠ー!」 が歴史の必然だったはずだ。オルタナティブの概念はあと数段先の出番待ちのはずで。 「よう、欠陥製品」 あの時と同じで僕は何も応えなかった。突き付けられたナイフは、呼吸を通してさえ僕の皮膚を破りそうだった。 「ぜろざき、ひとし―――」 手が――刃物から離れた。 そして僕が、おお、零崎ってやっぱり有名なんだなぁ、なんて思っていると、刹那にドンっと音がして、玉藻ちゃんが廊下を転がった。不意打ち。圧倒的なまでに致命的なそれは、少女に後悔の暇すら与えなかった。 ずっ、 肉と肉の間を、ナイフが割って入る音。 「随分ユカイな格好してるじゃねぇか、あぁん?」 そしてたった今人殺行為を終えた人間失格は、人間失格にふさわしくにっと笑って、僕に親指を立ててみせた。 「現状は認めてやってもいいが、状況が飲み込めないな零崎、説明してくれ」 「そりゃこっちの台詞だ欠陥。フツーの大学生が来るトコじゃないぜ、ここは。」 零崎はカラカラと笑った。 「ま、お前のことだ。どうせ今回もくだらねー成り行きって奴に流れ流されてきたんだろう」 そのうちふやけちまうぜ、と零崎はまた笑う。 そうだな。僕にとっても零崎にとっても、何故そこにいるか、なんてことはこれっぽっちも問題じゃないのかもしれない。 「逃げろ零崎。僕の用事は哀川さんがらみでね。しばらくエンカウントはないだろうが、ゲームオーバーは避けたいところだろう?」 一瞬、零崎の表情が呆けたようになって、それが元に戻ると、零崎は馬鹿みたいな哄笑をあげた。 「相変わらずの傑作ぶりだな。欠陥!お前の戯言なんざ俺にとっちゃあ内なる声、かちかち山に桃太郎、ジングルベルときたもんだが、 おまけが人類最強となりゃ話は別だ。俺とお前が鏡なら、俺にもおまけが付いてていいんじゃねぇのか、おい」 ひとしきり長口上を終えた零崎は 「ま、そこがお前と俺がお前と俺である所以なんだが」 などとあっさり結んだ。 「くだらないこと言ってないでさっさと逃げろよ人間失格。あの人に限っちゃ、一切の期待も、合切の希望も通用しねーぜ」 「だろうな」 「だったらどうして――」 不意に、唇が塞がれる。同じ温度、同じ質感、同じ形をした嘘のような唇に。ただ、この目に映るのがあの奇妙な刺青であることだけが、僕とそれとを分ける事実だった。 「『しばらくエンカウントはない』んだろ?欠陥製品」 零崎が当たり前のように言った。 「余裕だな人間失格。戯言遣いの言葉だよ?そう簡単に信じるもんじゃないね。 自慢じゃないが僕は喋るという行為にウソをつくというルビが振られるという世にも珍しい人間なんだ」 嬉しい、かもしれないと、一瞬だけ、思ってしまった。 「恨むんなら自分かテメェにするんだな。お嬢ちゃん」 そして零崎は僕にもう一度キスをした。 「どうして……こんなことをしているんだろうな」 数分と経っていない時間が、異常な密度のせいで淀みながら流れていた。頭に靄がかかっているのはいつものこと。今は鈍い熱がそこを覆っている。 「そいつは簡単だ欠陥製品。お前と俺がここにいて、しかもお前がセーラー服なんてもんで俺を誘ったからだ」 「…誰も誘ってなんかいない」 「寝ぼけるのはよせよ。わかんだろ? 今のお前が俺にとって、どんだけ美味そうに見えるかってことがさ」 人は快楽に弱い。なぜ、零崎の接近を許してしまったのか。なぜ、零崎の腕の中に甘んじているのか。 なぜ、僕の体のあちこちを這い回る指を止める言葉が吐けないのか。僕は、期待してしまっている。 出会わなければ待つ意味も忘れてしまいそうだった、快楽の訪れを。 「ふぁ、あ……っ」 零崎の吐息が今、耳に触れた。こんなことは数えればもう数十回はくだらない。それでも、慣れるなんてことは知らないかのように、こうして心臓が跳ねた。 「しっかり感じてるじゃねぇか。欠陥」 「な、……にを」 冷たい廊下の真ん中で、ふたつの影が絡み合っていた。首吊り高校の名に似合わず、そこだけ限りなく無防備ないち状態は、僕を少しだけ高ぶらせるのかもしれなかった。 「ふっ……」 息が漏れる。胸につきたてられた爪の刺激は、あざ笑うようにすっと失せていった。 「…あ」 なんて声を。僕は今なんて声を上げたのだろう。戯言遣いにふさわしい、浅ましく、いやらしい声。決定的に許せないのは、それが戯言遣いにそぐわない偽りない声であることだ。 「イきたいのか?」 零崎の声。鏡のように同じであるその存在を。反吐も出尽くしたくらい身に染みる欠陥を抱える反吐が出る存在を。 それでも求めてしまうのはこの声のせいだ。耳を細かく震わす、男にしてはやや高めのその声は、ほかの何よりも僕の耳に重く響いてくる。 「お前ほどじゃ……ないさ」 戯言。なんにもならない。何の効果もない、本当の意味での戯言。 「そうだな」 え? 「俺ほどじゃあ、ない」 零崎は不意に僕の手をとって力任せに引っ張る。 「わかるな?」 そう言って熱くなった部分に、僕の手を導くのだった。 「ほれ、早くしねーと怖―いオネーサンが来ちまうだろ。欠陥」 まったく。 「この……」 ばか。 華奢な零崎の体に、僕は体重を預ける。零崎の張り詰めたそれを見るのは、不快ではない。零崎の性格に似合わず赤く滾る性は、なんだか可笑しくなってしまいそうに映る。 「舐めろよ」 言われなくても。 ああそうだ。最後の、最低限の僕の矜持として、僕の方から降伏するような、今まで耐えに耐えてきたその誘惑に、敗北を認めてしまうような真似だけは、避けなければならない。 僕が、僕でなくなってしまう。 「舐めろっつっただけなんだがな……」 「そんなに美味いか。俺のは」 うるさい。 早くしなきゃいけないからだ。早くしなきゃお前は哀川さんか姫ちゃんに見つかって、そしたら、殺されるだろう。どうだっていい。お前みたいな人間失格のひとりやふたり、殺されようが晒されようがお構いなしだ。大いに結構。ただ――― 「他所でやってくれ。そういうのは」 なんとなくだけど。 「あん?」 零崎がにやにやと笑う。 「なんでもないよ」 「そうかい」 「お前さー」 なんだよ 「その制服ハマりすぎ。何回も言うけど」 「褒められてる気がしないよ。零崎」 激しくバカにされてる気分だ。 すっかり熱移動の終わった口の中のものは、ひくついて存在感を示し始めた。 零崎は僕の髪の毛をそっと撫でた。そのまま何もなかったかのように。ただ僕だけが、零崎が果てたのを確かに知っている。 「ヤり過ぎに注意しましょう。だな」 あなたの健康を損なう恐れがあります? 「最高だよ。相棒」 それはありがたき幸せ。 「あ?飲んじまったのか、お前」 「出すとこないだろ。ココ」 女子高なんだから。 「あーまーそう…だけどよ」 零崎はバツが悪そうに頭を掻いた。 「腹の中に入っちまえばなんでも同じだよ」 ハンバーグでもトマトでも精液でも。 「ちー。やーらしいヤツ」 どっちがた。 「早く行けよ。哀川さんは理事長室側から来るから、こっちの方から逃げるといい」 そんな常識が通じる人でもなさそうだけど。 「つくづくありがてぇ話だ。至れり尽くせりだね。ホント」 ―――「…師匠―――……師匠ー!」 あ、姫ちゃんだ。よかったね。これでキミが生徒を殺す必要はなくなったよ。もうひとつのほうを僕がうまくやれば、だけど。 けどよ。と、零崎は続けた。 「お前のほうは大丈夫なのか?欠陥製品よぉ」 あ?なんなんだ一体?大丈夫も何も僕はこれっぽっちも危なくなんかない。ちょっとばかり、刺したら死ねるものを持った少女に襲われはしたがこれこのとおりピンピンしてる。体も―――あ 「うるさい!さっさと行けこの殺人鬼!」 「ははははは!縁が合ったらまた会おうぜ。欠陥製品」 零崎は言うが早いか闇にまぎれた。それにしても今回は色々やってはいけないことをしすぎた気がする。大丈夫か?まぁ僕の知ったこっちゃないけどね。 おまけ ―――「生臭いですよ師匠は!」 なんですと!?…………えーと、もしかして普通につっこめばいいところなのかな?僕にはわからないよ姫ちゃん……。 戻る
https://w.atwiki.jp/ova-v/pages/448.html
「お、お願いだ。これは違う、違うんだ」 両手両足を拘束用のバンドで縛られた、名もなき小さな集落の取り纏め役である若い男は、自分の話を聞かせようと必死に弁明をする。それは意味のないものだった。 拘束された男性の眼前に、一人の男が立っていた。中肉中背の体格に伏目がちな目つき。AC用パイロットスーツを着ている彼の首元には、朱色のマフラーが巻きつけられていた。 「素晴らしい言葉だねぇ」 悲鳴と爆音、銃声が轟く中、パイロットスーツを着た男性――クラフティは芝居がかった口調で両手を叩き、称賛する。 銃を持った歩兵たちが、殺気立った表情で路地に逃げ込んだ集団の後を追う。。 陣形を組んだ複数の高機動型機甲兵器が、逃げ惑う人々を無慈悲にレーザー弾で焼き尽くす。 ガトリングガンを持ったACが、手当たり次第に建築物へ砲弾を掃射する。 男の言葉は、無意味だった。 「カストリカ同盟の傘下に加わりながらも、バタリア勢力の受け入れはちょっと不味いんじゃないかぁ。あの『インロードシティ』のことがあるだろに。ま、君個人が勝手にやったことではないと知っているがねぇ」 クラフティはまるであざ笑うかのように、拘束された男へ近づき、周辺で行われてる行為が無益であることを告げる。 「し、知っているのなら、あれは――あなたと同じカストリカ同盟に頼まれたんだ。信じてくれ、名前は確か――」 男はこの原因を作った人物の名を口にする手前、クラフティは腰に帯びていたガンホルスターから自動拳銃を抜き、トリガーを引いた。 男の右太腿に銃弾が貫通。男は、激痛のあまりにその場でじたばたともがき苦しむ。 「分かっているんだよ、そんなことは。小賢しい、あの作戦本部のやり方だ。バタリアに関する情報を『ギブアンドテイク』で提供しようとしたんだろう」 クラフティはうつ伏せになって倒れている男の後頭部をブーツで踏みながら、喋りだした。 「それに伴う、この領域内におけるバタリア勢力の突出と、カストリカ同盟との融和が気に入らない。だから潰す」 ブーツで押さえつけている男の後頭部に、クラフティは拳銃の照準を合わせた。そして、銃声が鳴り響く。 「こちらデルタナイン。隊長、報告があります」 「ん、どうしたんだ」 片耳に差し込んでいたインカムから、歩兵部隊による通信が入る。クラフティはホルスターに拳銃を仕舞いながら、デルタナインが行動している方角へ顔を向けた。 「座標17259の倉庫群から、バタリアがここで活動するのに必要な物資を発見。分解済みのACが約五機分、こちらで確保しています」 それを聞いたクラフティはすぐさま、無線チャンネルをオープンにして、全部隊に通告を開始する。 「こちらクラフティ。バタリアの物資が座標17259にて発見。全歩兵部隊は座標17259に至急向かえ」 すぐに各歩兵部隊から了解の意を持つ言葉が返ってくる。それを聞いたクラフティは、ざっと辺りを見回した。 既にこの集落は壊滅する一歩手前だった。あと二時間もしないうちに、ここは廃墟となる。誰一人存在しない、廃墟に。それまでは、この混沌とした「音楽」を聞くのも悪くはない。 「それにしても、ざっと計算して500万Auは堅い」 仮にバタリアの勢力がここを拠点として活動する際に必要な物資量は、先ほど壊滅した部隊から計算して――数百万Auに匹敵する物資量だろう。それに、ACも加われば500万以上は堅いとクラフティは計算する。 そうとなれば、今回の出費から差し引いても、「アレ」を作るのに充分すぎる。部隊の士気を上げるために、全員にボーナスをくれたってお釣りが出るだろう。 「他人のヤマをかっさらうってのは本当に気持ちがいいな。ま、近日中に『主都』へ強制召集だろうけど」 自虐的な笑い声を、クラフティはあげる。自分にとって好都合なことをしてくれた男の頭を踏むのをやめて、クラフティは踵を返す。 「さて、こっちも仕事をするか」 気怠そうに右肩を回しながら、クラフティは歩き出す。百メートルほど離れた先に、一機の四脚ACが待機状態となっていた。 そのACの右肩部にはカストリカ同盟であることを表す、鳥のイラストが描かれていた。その下には、「カストリカ同盟第三種混成機甲部隊」の頭文字が刻まれている。 クラフティはそのエンブレムが刻まれている愛機「コントロール」の手前で立ち止まった。 「大佐、貴様に刻まれた古傷が未だに疼くんだよ」 パイロットスーツで隠れた、右肩の傷をクラフティは左手で掴むようにしながら呪詛を漏らす。バンガードの代表であり、この第9領域に争いという名の火薬を起爆させた男――大佐。 「あのとき」に負わされたクラフティの傷は、未だ疼いている。 傷を負わされ、満身創痍の中、たった独りで荒野を彷徨っているときに決意した。大佐の野望――それを壊すために、自分という存在があるのだと。 政府転覆を狙ったクーデターの際は、邪魔が入ってそれが叶わなかった。しかし、自分の目的と、カストリカ同盟が掲げる「第9領域の再統一」の目的――否、利害は一致している。そのおかげで、悪くはない待遇をもらっている。 「他の連中がやっているような、回りくどいことはしない。最短で、バンガードを叩き潰すやり方を私はやる」 クラフティはほくそ笑む。この一件を足掛かりとして、バタリアへの敵対活動が活発化するだろう。そうなれば、漁夫の利を狙うバンガードの活動も目立ち始める。 「楽しみだなぁ」 クラフティは右手で頭を押さえる。どうも自分は、嬉しいことがあると頭痛が出てしまうらしい。 「またアンタか。物好きだねぇ」 老眼鏡に、動きやすいジーンズやジャンパーを着た初老の女性は「来客」を見るなり、少し皮肉じみた言葉を投げかけた。 「物好き、ですか。ははっ、これは面白いことを言う」 来客――朱色のマフラーを首に巻きつけ、AC用パイロットスーツを装着したクラフティは笑いながら、女性と肩を並べた。男は伏目がちなその視線を、百メートルほど離れている「光景」に注がせる。 無機質な鉄製のガレージという空間。忙しく動く整備員。そして、フックハンガーで牽引されている歪な兵器――「オーバード・ウェポン」。 マンションやビルに用いられる「支柱」の中身を、アーマードコア用接続デバイスが無理やり埋め込まれたそれを、男は眺める。 「『三大勢力』のエリアに知り合いが居てね、そいつに教えてもらったんだ。まぁあんたのことだ、もっとバリエーションが欲しいんじゃないかなって勝手に作らせてもらったよ」 クラフティの隣にいる初老の女性――自称、「何でも屋」と称する彼女の言動に、思わずクラフティは笑ってしまう。 「ははっ。まさにその通りですよ。それにしても、これほど歪なオーバードウェポンは初めて見ます」 「マス・ブレード。支柱を即席の近接武器にしたっていう噂を又聞きしたミグラントが、作ったものらしいわ 「何でも屋」は自慢げに腕組みをしながら、マス・ブレードの開発経緯を述べる。 法外的な料金にさえ目を瞑れば、この「何でも屋」はどこらともなくAC一機分を作り出し、挙句に「オーバード・ウェポン」の製作あるいは輸入もしてくれる。 クラフティは彼女の仕事振りに満足し、踵を返す。 「代金は締めて400万Au。ところで、クラフティ。あんた、どっからこいつを作れるだけの金を持ってきてるんだい」 何でも屋の女は、踵を返して立ち去ろうとしているクラフティに「いつもの質問」を投げかける。 「明日中に金を手配させる。金の出所だが――あまり知らない方がいい」 クラフティのいつもの返事を聞いて、彼女は肩を竦めた。 登場人物 クラフティ