約 872,693 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5668.html
6 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[ ] 投稿日:2014/05/30(金) 00 46 12.20 ID 8xBA9BvJ0 [2/2] 京太郎「おはよう」 朝 行動フェイズ 京太郎「さて……何をしよう」 1.部活 2.サボる 3.自由安価 安価下5 13 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 00 58.06 ID gJPdrsQE0 麻雀部 京太郎「うーっす」ガララッ ネリー「……///」 京太郎「俺とネリーは恋人になりました! 」 ザワザワ ダヴァン「そうですカー」 ダヴァン「今回も譲ってやりますヨー」 ハオ「驚いた……」 明華「どこか悲しい気持ちになりました」 智葉「奇遇だな、私もだ」 ーーー 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 18 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 07 12.80 ID yssyt4Cv0 [1/6] 京太郎「LINEするか」 誰とLINEする? 自由安価 安価下3 22 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 18 31.66 ID YmABPqdB0 ネリー 京太郎のおかげで部活がとってもはずかしかったよ! 京太郎 ごめんごめん ネリー もう、責任とってよね 京太郎 まかせとけって ネリー ふんっだ 京太郎 またこんどな ネリー うん ーーー 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 28 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 36 56.90 ID yssyt4Cv0 [2/6] 京太郎「雀荘行くか」 ーーー 店員「いらっしゃい」 0~20.わっかんねーなんで前の週で私と結ばれなかったのかわっかんねー全てが分からねー 21~40.シャーマン 41~60.すばらなおもちが! 61~80.プンスコ! 81~99.アラサー ゾロ目 記憶を持った良子かアラサー 33 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 39 41.53 ID yssyt4Cv0 [3/6] 健夜「よろしく」 京太郎「よろしくっす」 ーーー 京太郎「……」 瞬殺かよ…… ーーー 京太郎「だぁぁ!かなわねぇ!」 健夜「そうだね、まだ難しいかな」 ーーー 健夜 好感度判定安価 ゾロ目±1は引き継ぎ 安価下 38 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 42 09.53 ID yssyt4Cv0 [4/6] 健夜 18 京太郎「ん、電話だ」 prrrr 誰? 前週キャラは無し 自由安価 安価下3 42 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 47 33.47 ID yssyt4Cv0 [5/6] 明華の好感度が10上がりました 明華80 京太郎「ネリーって何をあげたらよろこびますかね?」 明華「そうですね、彼女の場合は気持ちがこもっていたらなんでも喜びそうですが」 京太郎「マジですか?」 明華「マジです」 京太郎「天使や……」 明華「バカップルというやつですね」クスッ 43 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 48 04.85 ID yssyt4Cv0 [6/6] 一日が終わりました ハッピーエンドへーー 47 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 01 58 37.19 ID +mE3aDAc0 [1/7] 京太郎「よっ」 なんとなく好きになってました。 よくわからない国の留学生と恋に落ちるなんて思ってもいなかった。 向こうも俺とずっと一緒に居たいらしい。 当然俺もだ。 ネリー「おそーい」 广}___クーく.___{ ̄`ヽ .. / / ,..-‐r r―┬r r--、 }!V、_ /7'.. i |^!... i | | ヒjハi ヽ|! ヾヽ {ハ f' n i、 {"{ n ヾi . |! }!'^゙ |丶弋ツ `゙ 弋;ツ} .|! }! | | i| " '_ " .! .{! o|!、 |、 |ハ .,、 、ノ ,..ィ ノ リ;》=《i ゙、 /. ヽハ! r‐` T"´ !イ' " . . . . \i! r >、. . . . . .ト--、 ,..-/ . . , イス) _ 、 ζ√ーァ\ . . .ヽ / fィ_トrJ しイ., イ ∀ ! `Zf┬‐-≧ーイ . r'´ |_)i } / .,. 彡ミy' /_,.-< ̄`ヽ .. ! 、 i!  ̄ ノ''" ... ..... . ,.ィ i! | ,.へ / ........ . , _,.ノ | i | `>'" .. / \ | i | ∠.._________; .-'"´ __,.イ | i! / `ー┬‐;--------―irイヽ、| ! i | / 「 ̄ `ニY⌒r―''" ̄ ̄i .i! | i ヽ! / | | / L...イ . ./i T|`iー―--┘ i|| {/ ハ! / __/ . // | | . .i____ i! ゙、 } / / ̄_/ . . ./ i || . . i____i|ヽ、| / / / ̄. . . . . . ./ / || . . . . . . . . . . . . ..|!\_| ノ / . ., ィ―-イ L___| └―---r---|!、 . . .|'". <__ | | | | | \ | これからも沢山デートしよう。 カンッ 57 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 02 19 22.15 ID +mE3aDAc0 [7/7] 現在解放されているのが ゆみルート シロルート 照 淡 怜は封印中 (ピンチになったらハギヨシ登場を使う機会もない程に怜はコンマを全回避しました。次回怜ルートのピンチ時に使用できます) つぎいっくよー 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 (永水を選ぶ時は一応確認をしますが復讐編かどうかを明記してくださ) 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下13 109 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/30(金) 17 51 23.22 ID QEM7IfVU0 美穂子 35 星夏 276 末春93 純代 20 華菜5 貴子 83 じゃけん始めます 今回は大会を終えた頃の休息期間を描いた龍門渕のお話です(二回目) 夏休みです。 通学路 京太郎「入学してから結構経ったなぁ」 京太郎「皆、本当凄かったなぁ。特にキャプテン」 まぁ、俺も負けないように頑張りますよっと、雑用と一緒に。 京太郎「あ、あれは」 0~20 美穂子 21~40 星夏 41~60 末春 61~80 純代 81~99 華菜 118 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 02 49 06.55 ID 74NWIEDb0 未春「おはよう」 京太郎「おはようございます!」 未春「今日も元気だね」アハハ 京太郎「それだけが取り柄です!」 未春「そんな事ないよ、ほらっ部活行こ」 / / --──--- _ _ l l/ ───---_ / `  ̄- _ // ̄´ _ 、´ヽ、 ´/ 、 \`ヽ、\ / / \`ヽヽ ー、 ̄ / / 丿 l \ ヽ、 `ー、/ / 丿 丿 メ l ヽ \ \ // / / / .// /ヘ 、 ヽ ヽ ヽ-、_\、 / / .l / ./ / /ノ \\ ヽ ヽ ヘ、 .ヽ l/' l l _∠-' ゝ_ ヽ │ │ l .│ヽヽ / │ 、 .// - ─  ̄ ー ヽl、 │ l l ヽl / ./l /ヽl .ゝ─ヽ、 _ ー_ l/ヽ ├ヽ │、ヽ // │l、ヽヽl。ol l / ./´。ヽ\ │ //│ l│` \ ´ ̄ l.l ヽ.l .、_l ー、l lo .l l l / / ./│ `` \__ / ヽ ─ ´ l / / / l/ l ヽ ` ─── .´ /´、/│ \ _ / l / 〈. \ ` -` ヘlヽ、 > _ < 〉 ヽ. /l ∥ .ヘ / \ / l ∥ / 〉 / \ / l ∥ /ヽ _ / \ 京太郎「うっす!」 好感度上昇 判定あんか 0~30 小 31~60 中 61~99 大 122 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 03 04 24.14 ID bWHJzLTB0 未春の好感度が10上昇 未春 103 純代「……」 純代「ロン」 京太郎「ぎょぇぇー!」 京太郎「やられた~」 京太郎「くそ~」 純代「おしかったね……」 ,. - ‐──-- 、 / / .\ / / ;ィ /^', ト、 . ヽ / / / ! { リ ! ヽ .', ,' / / 彡` ソ ', } ! | r"、 __ ' ミ . | . ,' | /二ヽ `゙ヒ ソヾ ´__, | / ', {.' ` ⊂⊃ ヒ ソ`ー,゙ 〉ヽ_ , ⊂/ { 〉、゙ . 、_ _. ! r-‐| f゙ / \ ,.ノ | ヽ ヽ_ ` _. ,‐ ´ _,.>', \ }、_ /、< \二__. ! }\_ ヘ ` ー 、ィ`ヽ\ { \ ¨ }\`_'"} \ \ ` 、 `ー、 _ノ \\ | /7、 } `゙'ゝ、 ヽ }__.\}____ ノ /、 .', 純代 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 127 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 07 25.68 ID /GDSzcuj0 [1/2] 純代 50 星夏「さっ、打ちましょう」 京太郎「は、はい!」 ーーー 星夏「ここはこう……」 京太郎「なるほど」 星夏「ではもう一度打ちましょう」 ーーー 未春「星夏ちゃんって……近いよね、距離」 純代「……」コクッ 星夏 好感度上昇安価 コンマ判定 0~30 小 31~60 中 61~99 大 130 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 15 43.64 ID /GDSzcuj0 [2/2] 星夏 296 華菜「京太郎、私と打つし」 京太郎「はい!」 ーーー 華菜「まだ弱いなー」 華菜「もっと打つべきだし」 華菜「頑張れよー」 京太郎「」 ーーー 華菜「やりすぎたかな?」 未春「まぁ多少は」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 132 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 21 59.27 ID UUWxwfft0 [2/2] 華菜 35 京太郎「うへぇ……」 美穂子「あら、大丈夫?」 京太郎「キャッ……キャプテン……」 美穂子「今日も頑張ったわね」 京太郎「全然駄目でした」 美穂子「ふふっ今度教えてあげるわね」 京太郎「それはかなり……すばらですね」キリッ 美穂子「……?」 美穂子「これからも頑張りましょう!」 / / | | i l | | | ハ. i l l | | | | | |. | |.ハ | .| | | | i| .| | | |i | | l | |.. | |. | | | .|i |i | _,,|,|.. |i | | |.. l | |i | | .| | | ,-|''"i|~ | | | | l| /. | ヽ、 li .‐''i"i~~l~゙゙゙`l l/ l/ !~' ̄ ~'| |/ l/| | | ヽ!\! -‐  ̄ _,;;itiil||l"ヽ | | . | | .| | '´iciiiii(´,)'` |i | . |. | .| | ゝ===="‐ ´ |;|..| . | | .| |i , |;l . | . | | .| |ヘ ノ!| | . | | | |゙'ヽ ,,...、 /;;;;| | . | | |i .|;;;;i;;ヽ 、 ´~.´ ,. ';;;i;;l;;;;| i | . | | |.| |;;;;l;;;;;i;;;;;l`' - __ イ .|ー‐,、i;;;| | | . i| | | .| |;;;l;;;;;l/i |/ ~`| |i リー-,,!| | | .| | 〆´ /| / |/'|/;;i!",,,`>、 リ .| .;ヽ;.|' / / / //''~ ヽ 0~30 小 31~60 中 61~99 大 134 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 30 34.90 ID XKN4dKSb0 [1/4] 美穂子 55 貴子「よし、練習終わりだ」 貴子「福路は全国の個人戦が迫ってるからな、皆も負けないようにもっと練習する事だ」 ハイッ 京太郎「……」 キャプテンは凄いなぁ。 貴子「須賀、どうだ調子は?」 京太郎「絶好調です!」 貴子「まぁ個人戦の時みたいに腑抜けた打ち方をせずに死ぬ気でやれ」 京太郎「は、はい!」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 137 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 39 01.97 ID XKN4dKSb0 [2/4] 93 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 142 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 15 52 50.94 ID XKN4dKSb0 [3/4] 京太郎「電話するか」 京太郎「誰に電話しようかな」 前週キャラあり 自由安価 安価下3 148 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 16 01 35.02 ID XKN4dKSb0 [4/4] 美穂子 65 京太郎「あ、もしもし」 美穂子「あら、京太郎君。どうしたの?」 京太郎「全国の個人戦、応援してます」 美穂子「本当?ありがとう」 美穂子「皆の分、頑張るけど。期待はしないでね」 京太郎「それでも、応援してます!」 美穂子「ふふっ、ありがとう」 ーーー 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下2 152 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 16 20 50.85 ID F8ittg5r0 京太郎「TwitterとFacebookを再開するか」 ん?こんな人達フォローしてたっけ? 京太郎「あ、メッセージが飛んできた」 誰だろう? 自由安価 安価下2 156 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 16 36 47.28 ID U0ZFMvQ+0 華菜 45 京太郎「池田先輩だ」 かなちゃん 京太郎登録してたんだな 京太郎 久しぶりに再開しました かなちゃん こういうので友達が登録してると暇を潰せそうだし 京太郎 なんですかそれは(笑) ーーー 京太郎「誰かに電話しよう」 前週キャラあり(危険) 自由安価 安価下3 160 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 16 44 14.48 ID xUxbQr3L0 未春113 未春「もしもしー?」 京太郎「あ、未春さん」 未春「元気?」 京太郎「は、はい」 未春「それなら良かった」プツッ ーーー 京太郎「?」 京太郎「誰に電話しよう」 自由安価 前週キャラ(危険)あり 安価下3 165 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 17 31 46.41 ID T7Bf7F2T0 [1/3] 美穂子65 美穂子「どうしたの?」 京太郎「あ、何度もごめんなさい」 美穂子「大丈夫だけど、珍しいわね」 京太郎「へへっ」 美穂子「?」 美穂子「変な京太郎君」 京太郎「いや、キャプテンとこんなに話すのも珍しいと思って」 美穂子「確かにそうね……これからもっと話せるといいわ」 プツッ 京太郎「うおおおお!」 ーーー 美穂子(私ったら、変な事言っちゃった///) ーーー 京太郎「誰に電話しよう」 自由安価 前週キャラ(危険)あり 安価下3 170 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 17 39 26.59 ID T7Bf7F2T0 [2/3] 深すぎる愛で壊れたステルスさんを忘れるな 美穂子75 美穂子「ひゃ、ひゃい!」 京太郎「え?」 美穂子「ど、どうしましたか!?」 京太郎「どうして敬語ですか?」 美穂子「あ、京太郎君!」 京太郎「おかしいですよ?キャプテン」 美穂子「美穂子って呼んで……」 プツッ 京太郎「……」 京太郎「ーー寝よう」 ※眠れません。 一日が終わりました。 171 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 17 39 57.93 ID T7Bf7F2T0 [3/3] 京太郎「おはよう」 朝 行動フェイズ 京太郎「さて……何をしよう」 1.部活 2.サボる 3.自由安価 安価下2 174 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/05/31(土) 17 43 06.37 ID y2uE0J4P0 [1/4] 京太郎「夏休みだしな、散歩するか」 京太郎「いってきまーす」 ーーー 京太郎「いい天気だなー」 京太郎「さて、何をしようか」 京太郎「うーん……することがない」 0~50 星夏 51~99 その他 206 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 00 20 07.19 ID F2i7ToyL0 [1/6] 京太郎「?」 小さな可愛らしい子供だ。 京太郎「お嬢さん、迷子かな?」 |./_イ>――‐- 、 ,. - 」k∠_ `ヽ. イ-‐¬''''¬‐ =ト、 \ / ´ \ \ / l | | ト、 \ \ \ \ / | ! | ∥ ! >,-‐+‐い \ \. / / ,' ! | _」ェt |\代≧、 ト、 .!l .\ \ f ,イ | ∨ |イ ト、|\! ヾゝケ弍廴 !l | \ ヽ______ |/ | | . .Vト、!弍'气 \ `l さ, !l ! ` ――――――― |' |仆. い从《 { さ 弋辷シ !l ヽ 从 ヾ|入 ミ, 弋ソ "¨ !l \ 入 \! ,,,, ´ "" /!l \ / ` / ヽ = ,イ || ト、 . / ! f > 、 __.. '´ | || ヽ ! \ | .|、 .! \ _,,!_, -‐" ̄」| \ ! .\ ヽ . . 辷」\ `zM<_ ,ィニニ‐ヽ \\ `''ニ二三三三 `" ¬';;;;;;;;;;;;;Y´;;;;;;;;;;;;;l彳´ ヾト、 \\ !;;;;;;;;;;;r‐!;;;;;;;;;;;;;;;;レ´ \\ \`―――――‐. /;;;;;;;;;ヽレ';;;;;;;;;;;;;,イ }  ̄`"¬ニ二二辷―― f;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;l ! ! `ミニニ |;;;;;;;;;;人;;;;;;;;;;;;;;;;! | ト、 \ 7¨¨´|;/`'―‐く / { \ 、 . /;;;;;;;;;;l.|;;;;;;;;;;;;;;;;〈 | \ \ 廴;;;;;;;;|.|;;;;;;;;;;;;;;;;; \ ノ \ \ 衣「今、お嬢さんと呼んだが?」 京太郎「? まぁそうだけど」 衣「称賛に値するぞ。因みに迷子ではない、馬鹿にするな軟派」 京太郎「あ、ごめん。名前は?」 衣「天江衣。龍門渕高校の二年生だ」 京太郎「……え?」 衣 好感度判定あんか 210 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 00 27 29.50 ID dlR9QZOC0 [1/2] 衣 31 京太郎「……」 年上だったのかよ…… 衣「うむ、今回は許してやる」 衣「ところで軟派。貴様は今何をしている?」 京太郎「ん?散歩だけど?」 衣「そうか。散歩は良いな、この雄大な自然を愉しむのは良い事だ」 衣「衣も一緒に愉しんでやろう」 京太郎「いーよ、別に」 衣 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 212 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 00 32 16.68 ID JGmTHqO50 [1/4] 衣 51 衣「さぁ何処に行く?」 衣「さぁ!」ウキウキ 京太郎「……」 やけに楽しそうだな。 / / / / ヽ ヽ / / / / /,イ | ! l ヽ ! ./,イ / / // l | .ハ | | | /// i i / ,' | | |',| Ⅵ i!| | | .〃 i i! ||― A.」 | | | i! ,斗―- ,リ| | | || | | !| ||! | | |\ハ | レく | / /! / i! |! W.!l !|ヘ l N {!ヘ N | /ル' リ .,イ! i! | ヘ从 i!i! ヘ! \ ! !/' / //'! i! ∧ 从z≠气x `\,z≠ミx 厶イ | | / ヾ=トゝ `/ | | / { ' / ! ! / 人 ヽ ノ ,/ | | / / > . . イ/,/ | | / / ̄ ̄\/ |\> --‐<彡 {」 || ! .八/ / Y´ ̄} >v<´ | || 「 ̄\\ 京太郎「んーそうだな」 京太郎「ーー」 1.レストラン 2.定食屋 3.自然が豊かな所( 1は全く長野分からないので分かる人が居たら教えてね☆) 214 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 00 44 00.21 ID 8aY92XNK0 [1/6] 衣「ハミレスか!よかろう!」 京太郎「……?」 へんな呼び方だな。 ーーー 京太郎「なに食うの?」 衣「エビフライ!」 京太郎「はいよ」 京太郎「……」 衣「……」キラキラ 京太郎「押す?」ヨビダシボタン 衣「うん!」ポチッ ピンポーン ーーー 京太郎「うまかったな」 衣「うむ、タルタルソースも沢山付いてて最高だったぞ」 店員「……」アセアセ 衣 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 217 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 00 50 03.43 ID yRCJeZD00 [1/8] 衣 81 外 京太郎「さーて、どうすっかなー」 衣「そうだな」 京太郎「何処にするか……」 1.自然 2.ゲーセン 3.イオ○ 安価下2 220 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 00 04.11 ID yRCJeZD00 [2/8] 衣「ふむ、中々凄い所だ」 京太郎「すげーなー」 京太郎「地元なのにこういう所は避けてたよ」 衣「そうだな、衣も行った事が無い」 京太郎「ん?」 | | o マ`ー ' 7´ " . ⌒ヾト/ // | / / | | とつ_`ー― ' / ハ ヘYイ / / / | | 〃 `¨ {o{ 爿 || |,/ / / | | || ∨廴ノ(_).,リ / / / | | || ' \z_ノ /'|/ , イ ./ | | || `とつ./ ///! | | || /イ/イ | | | || , ― 、 / ! .! /! i! ii  ̄`’ / | |. / i! i! ii / i! !/ | ト、 ii .イ | i! ,! i | \!i . < i! .i! | /! | | じゝ. . < \i! | !. / i! | | > ,. _ . < \ | ! |/ | | | / \ ヽ ! | | 京太郎「……嫌なことでもあったのか?」 衣「そうではない」 衣「ただ……母を見ただけだ」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 224 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 04 25.73 ID O+LF+WLF0 [1/2] 衣 111 京太郎「結局まいごだったのかよ!」 衣「迷子ではない!」 衣「道が分からなかっただけだ!」 衣「ふんっ!」 京太郎「全く……」 京太郎「ほら、行くぞ衣も」 衣「あぁ、京太郎」 衣「頼りにしてるぞ」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 227 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 08 32.45 ID 4PFvp/O30 衣 131 衣「……」 ./ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; \ \ / . ...../ .´ ̄ ̄ ̄ ̄ ` ヽ ヽ / / ... / | .. '; .. ', ', ! ......... / / /! l | l . l | / ; | / /! | l l l | | | | .l l |`l ヽ、' / / ....! l .| l | l .l l .l | | l ll |l / `>、 /_!; l_ L- |'´| | l l . l | | z==,==; / /_,,,,, ;! / l | ./ / . | l l ! l; !||r/ /;/ /lllr! 〉/ // /. / . l | | ゙‐'-' L!シ /; /|/// . | l l '' ''' 、 ,, ,, / l . l | |、J ,.. 、_ , ノ | |. ;; | l l > 、 ,. < |l l` ー‐ ' ´! .l | | ヽ、 `/ ' ´-r― - 、 | ヽ \>| l l- `'\,.. '- ―‐- ,\ l i .l ` .l | |' `!´ |´  ̄ ̄ | ヽ. | , | | | l l, へ|_./´ ヽ、 ./ | l 衣「なんだこの……」 ドクンドクンドクンドクン 胸の鼓動、焦燥感は…… 京太郎を視界に入れる度に顔が紅潮してしまう…… これは、恋、恋なのか!? 衣「……」チラッ 京太郎「ん?」 1.告白 2.告白しない 安価下10 多数決 238 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 16 58.55 ID jar5WJA80 [1/4] ころたんいぇーい 衣「京太郎」 衣「……」 京太郎「なんだ?」 衣「衣の伴侶になれ、永久に私の道を支えろ」 |./_イ>――‐- 、 ,. - 」k∠_ `ヽ. イ-‐¬''''¬‐ =ト、 \ / ´ \ \ / l | | ト、 \ \ \ \ / | ! | ∥ ! >,-‐+‐い \ \. / / ,' ! | _」ェt |\代≧、 ト、 .!l .\ \ f ,イ | ∨ |イ ト、|\! ヾゝケ弍廴 !l | \ ヽ______ |/ | | . .Vト、!弍'气 \ `l さ, !l ! ` ――――――― |' |仆. い从《 { さ 弋辷シ !l ヽ 从 ヾ|入 ミ, 弋ソ "¨ !l \ 入 \! ,,,, ´ "" /!l \ / ` / ヽ = ,イ || ト、 . / ! f > 、 __.. '´ | || ヽ ! \ | .|、 .! \ _,,!_, -‐" ̄」| \ ! .\ ヽ . . 辷」\ `zM<_ ,ィニニ‐ヽ \\ `''ニ二三三三 `" ¬';;;;;;;;;;;;;Y´;;;;;;;;;;;;;l彳´ ヾト、 \\ !;;;;;;;;;;;r‐!;;;;;;;;;;;;;;;;レ´ \\ \`―――――‐. /;;;;;;;;;ヽレ';;;;;;;;;;;;;,イ }  ̄`"¬ニ二二辷―― f;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;l ! ! `ミニニ |;;;;;;;;;;人;;;;;;;;;;;;;;;;! | ト、 \ 7¨¨´|;/`'―‐く / { \ 、 . /;;;;;;;;;;l.|;;;;;;;;;;;;;;;;〈 | \ \ 廴;;;;;;;;|.|;;;;;;;;;;;;;;;;; \ ノ \ \ 京太郎「それ……本気か?」 衣「片腹大激痛。私は嘘を吐かない」 衣「……」 うー///失敗したらどうしよう……今更怖くなってきたぞ。 京太郎「……」スッ 京太郎「一生お供しますよ、お嬢さん」 衣「……!」パァァァ 239 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 20 47.80 ID F2i7ToyL0 [2/6] . '" ̄\ . .∨. . / ̄` 、. / _,. ‐====‐ 、 \ / ´ ヽ. / / / ' , \ ゙ , / / / ,' / , ' , ',. ' ,′ / ,゙i i ハ i } } l | | { _, 'T丁`{ jj ~丁T''ト、| リ l l | | { {´ i i 八ハ iい i iノV| / | l |八 { ',',\|_,」.ニ、 \l ,ニ.」_/|/ハノ| │. |\|\| =‐'" ゙̄` ~ ̄`'ヾ/ | │ | │ '. __ /l | │ j リ ハ´ 「 } ハ | ! / / ,' /ゝ、 { j 人| | ', / / / > .._、 ノ.. イ | | ' , / / / / _r}  ̄ {ュ { ヽ│ l 、 / / / / ̄ ̄~` ミーrz=彡'  ̄ ̄ヽ、 ヽ ' 、. / ,′ /⌒| Y^Y |ハ ', ' 、 / l ,′ │ フしヘ. | , ト、 \ \ / /| | { / ││ \ 亅│ | , \ \. / / 《 | | l个ー=イ_ _ _ ││ _ _ `ト--</ | | 》 丶 ヽ / / )| | }ノ 厶-─┘└- .」 { | |彳 ヽ } 衣「わーい!」 衣「ずっと一緒だ!ずっと一緒だぞ!旦那様!」 京太郎「はいはい、一緒だ一緒だ」 京太郎「これからもよろしくな!」 衣「うむ!」 ーーー 星夏「は……?」 241 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 23 19.80 ID F2i7ToyL0 [3/6] 白郎の悲劇を忘れるな 京太郎の部屋 京太郎「ん?」 京太郎「電話だ」 前週キャラ無し 自由安価 安価下2 245 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 28 21.79 ID q+hsfKTZ0 [1/6] 衣「なんだ?」 京太郎「本当に携帯を使えるのかきになって」 衣「衣を愚弄するのではない!」 衣「衣は普通に使えるぞ!」 京太郎「あはは、ごめんごめん冗談冗談」 京太郎「近い内にデートしようぜ」 衣「ふむ、良い発想だな」 衣「よかろう!一人付き人が遠くから見ているが気にするのでは無いぞ」 衣「奴とて、悪気は無いのだ」 京太郎「あぁ、そうだな。分かってる」 ーーー ハギヨシ「彼になら……任せても大丈夫か?」 ハギヨシ「龍門渕の闇……」 ハギヨシ「歪みを……」 一日が終わりました 248 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 31 58.57 ID ajoDPF9Q0 [1/2] 今回の逃亡はMAX依存度が居ないので、ある程度楽です。 朝 京太郎の部屋 ピンポーン 京太郎「……?」 ピンポーン 京太郎「おふくろー?」 そうだ、今日は出かけるとか言ってたな。 京太郎「よし、行くか」タッタッタ ーーー 京太郎「……」 玄関の様子を写すインターホンのカメラには星夏さんが写っていた…… 京太郎「!」 しかし……彼女は大きな大きな、包丁を持っていた。 かなりの刃渡りだった。 京太郎「!」ダッ 250 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 34 00.20 ID ajoDPF9Q0 [2/2] 星夏「裏口から逃げられた……」 星夏「追わないと!」 ダッ ーーー 京太郎「はぁ!はぁ!」 どうしてこんな! 星夏さんが! あんなことを! 京太郎「はぁ!はぁ!」 京太郎「ここまで来れば!」 ドサッ 0~70 誰も来ない 71~99 星夏 255 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 40 01.08 ID IR8h9sPY0 [1/2] コンマ次第ですね、全ては 星夏「くそっ!」 星夏「くそくそ!」 京太郎「星夏さん……」 星夏「京太郎……」 京太郎「もう、やめにしましょう」 星夏「貴方が好きです……!でも……」 京太郎「ごめんなさい……俺には最愛の人が」 星夏「そいつを[ピーーー]からお願い!」 京太郎「もう……やめましょう」 星夏「なら……貴方を殺して……標本に」 京太郎「あなたでは無理ですよ……狂い切ってない」 0~90 星夏逮捕 91~99 衣死亡 安価下10まで多数決 287 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 01 58 58.26 ID mauSjw+K0 [1/3] 警察「はい、お疲れ様」 ガチャッ 京太郎「星夏先輩……俺はあなたに改心して欲しいです」 星夏「……」 ーーー そして名門風越麻雀部は廃部の危機に瀕した。 唯一の男子部員を追っての、一つ間違えれば殺人事件になりかねない事件。 世論は厳しかった。 しかし、事態は簡単にいい方向へと収束した。 ーー俺の退部で。 ーーー 貴子「悪いな、須加」 京太郎「いえ……俺の責任のようなものですから」 美穂子「ごめんね……京太郎君……」 京太郎「大丈夫ですよ、キャプテン」 京太郎「顔をどれだけ出そうが、個人戦に出ようが、男子麻雀部を作ろうが、自由ですから」ニヤッ 貴子「……!」ニヤッ 美穂子「!」パァァァ 貴子「いい目、するようになったなァ」 291 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 13 49.28 ID OfrC6lxL0 286 つネリーと一 須賀でした ーーー 龍門渕家 書斎 「曽祖父様……」 「天江衣を外に連れ出す輩が居るとか」 「厄子を外に!?」 「誰も反対すらせず、むしろ恋路を後押しする者も」 「そうか……」 「あれは外に出してはならん」 「外に出した結果、恨まれたら堪らない」 「萩原を呼べ」 「はっ……」 296 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 24 03.69 ID JGmTHqO50 [2/4] ハギヨシ「その役目……」 ハギヨシ「申し訳ないですが……」 「この家を潰すつもりか!?」 ハギヨシ「いえ、しかし……」 「幻想だと申すのか?」 ハギヨシ「恐れ多いですが……」 「あの力、圧、そして厄子の両親の不慮の死」 「完璧にこの家にまつわる条件を満たしている」 「あれほど家から出したらもう……」 「始末する他無いだろう」 ハギヨシ(っっ……!過去のしきたりに未だに囚われて……!) ハギヨシ(こんな残酷な運命……京太郎君に話せる筈が無い……!) 「国広一……」 ハギヨシ「っつ!」 「調べた所によると、萩原の娘だとか」 「義父まで付けて、随分と訳ありのようだが……」 ハギヨシ(観測は出来る……京太郎君と幸せに生きた一も見た……) ハギヨシ(娘を見殺しに出来る父はどこにも居ない……!) ハギヨシ「……」 297 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 25 03.36 ID JGmTHqO50 [3/4] ハギヨシ「ーーその役目を受けましょう」 298 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 28 13.97 ID JGmTHqO50 [4/4] epilogueーー 300 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 48 41.27 ID 0mEJm6iD0 [1/6] あれから一週間後。 俺は何時も通り、家で夏休みを満喫していた。 麻雀部に顔を出したり、コーチにシゴかれたり、衣とデートしたり。 京太郎「明々後日は衣とデートか」 パリィンッ 京太郎「うわ、丸い皿。割っちまった」 特に衣のおかげで俺の毎日は希望に溢れていた。 ーーしかし。 一通の電話で事態は急変する。 京太郎「え……」 京太郎「衣が?」 京太郎「突然……?」 301 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 02 55 31.79 ID pRJhtJPF0 龍門渕家 処置室 京太郎「衣!」バンッ 透華「……」 一「……」 衣「おお……旦那様」ヨロッ 京太郎「っつ……!」 変わり果てて痩せこけた衣。 目にも生気は無かった。 京太郎「ど、どうして……」 ガクッ 衣「項垂れるではない……仕方のないことだ」 衣「本来衣はあの時に……死んでいた筈だ」 衣「栓無き事……衣は運命と合間見えよう」 京太郎「病院は!?」 透華「もう行きましたわ……」 一「処置の施しようがないって」 ハギヨシ「少なくとも明後日までの……!」 バンッ 透華「ハギヨシ……?」 一「珍しいね、あの人が取り乱すなんて……」 一「取り乱して当然か……」 京太郎「……ずっと一緒に居てやる」 衣「そうか、私が敷く道は茨に巻かれ、悪鬼無情が背を向けて逃げ出す道だぞ?」 京太郎「構わない、着いて行ってやる」 衣「ふふっ……ありがとう」 304 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 00 20.03 ID QxkpDQ1z0 [1/10] ハギヨシ 私室 ハギヨシ「私は執事失格ですね」 ハギヨシ「死すら生温い」 ハギヨシ「娘を選んでしまった」 ハギヨシ「ふふっ……ははっ」 涙が止まらない…… 頭が狂って行く。 ハギヨシ「ひひっ……」 思考が乱れる。 どうしようもない気持ちが溢れる。 言葉にならない思いが、胸を苦しめる。 ハギヨシ「ひゃっひゃっ!!!ぁぁぉぉ!!!!きゃっきゃっ!!!かぁぁぉぁぉぉ!!!」 出来るだけ声を抑えているが…… 萩原はーー 人として死んだ。 ハギヨシ「ふーふーふーふーふー!!!!」グググッ そして彼は最後の自尊心。 誇りをかけて、止まらない声を出す喉ごと首を掻っ切って死んだ。 305 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 05 57.01 ID O+LF+WLF0 [2/2] 翌日 京太郎「……」 衣「……」 衣「どうした?」 衣「こうやって共に居るのに不機嫌だな」 京太郎「いや、不機嫌じゃないよ」 衣「不機嫌だ」 京太郎「不機嫌じゃない」 衣「……」 京太郎「衣と居れるだけで嬉しいから」 衣「嬉しい事を言ってくれるな」チュッ / \ \ ヽ / / i ヽ ヽ ヘ ヽ ゙ , / / / / ,′ リ ! _」⊥..,,_ ', ゙ , ' , ,′ ,′ ,′ ,' i i ト、 i´ ii | ' `i | , ,. ′ ,′ '' i i i -‐ i i \i -i | ', i }│ , 、. { i ! | /i i _j八 、 \ ノ _」 ノノノ从 , 、. { i ! | iハ{\| \ ヽ .ィ==ミッ | l 、 i, i, ', ', 、 ト、ヽ _.. `''ー- '゙ | | 、 八 ヽ\\N ッ==ミ . . リ ' | 、. \ト、\`ー 〃 / ' | \ \ リハ . . ノ / / | \ \ / j ー--‐ ''" / / 人 \ \. / ノ八 //¨ ̄ ̄ ̄¨''く \ 丶 \ / / `i‐- ..__ / ̄ ̄ ー--- \ \ 丶 \ / ' / i │  ̄仄 ヽ \ \. / / , i | / \ ', \ \ / / ' _」 -‐''"⌒\ /\ \ | ヽ ヽ. / / ム -‐''( ∨ 〇 〉 ヽ | ヽ 306 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 09 37.99 ID 0mEJm6iD0 [2/6] 翌日 衣「今日衣が亡くなると思っているな」 京太郎「……」 衣「衣を愚弄するな、全てを取られようが衣の精魂は尽き果てぬ」 衣「衣は万全たる力で毒を制そう」 衣「たゆまぬ信頼を寄せてくれ、京太郎」 衣「ダメか?」 京太郎「お……おう!」 京太郎「当然だ!」 京太郎「俺だってずっと応援してやる!」 京太郎「負けるなー!衣ー!!!」 京太郎「絶対に明日デートするぞー!!!」 307 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 10 13.84 ID 0mEJm6iD0 [3/6] 衣「うつけめ」 衣「ふふっ……」 ./ / / \ ハ / / \ i | / / / _\ V ∠_ `! |./ / ./ //´-―`´―- ≧x ヽ ∨ |' / / / / / / / / } ! ヾ i ∨ | / / / / / / /,/ /.∧ ! i ', ヽ. | Ⅳ ! / i ハ i i .,' __イ_i!_|_ i | | ハ ! | i | | ∨ | / .|{ { | | i「 / {八{ ハ | `!ト! ,!_ ,! } ! | ∨ | / || ヘ ト. i!{,ィチ卞ミヘ |ヘ{ _}'_」/} /ト ,' l ! ヽ} {' ヘ{ヘ |《 ん リ \_{_ ん うミxi! / ハ | i ヘ{ヾ乂zン r' リ》/ ハ ! l /.八 xxx 、 ゞ= /'! | | | 〃 /\ ___ xxx / | | ', / /^\|_> . `ー ’ . イ! L⊥、 ∧ .// //〃 iー-― フ´ ヽi' | \ ∧ ./ く´ ̄ ̄ ̄\ヽ.r‐'´,ィ―‐‐| | ヽ∧ 308 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 12 26.97 ID 0mEJm6iD0 [4/6] 俺はずっと衣の手を握った。 片時も放さず。 いかなる時も手を握った。 そしてたわいもないことも話した。 咲との話も聞いた。 寝てる時も手を握った。 衣だけ目を覚まさなった時は心配だったけど。 衣は 衣はーー 309 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 12 57.60 ID 0mEJm6iD0 [5/6] ーー目を覚ました。 310 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 15 06.71 ID 0mEJm6iD0 [6/6] 衣「……」パチッ 衣「……京太郎」 衣「分かってるな?」 京太郎「ああ……」 衣「デートしよう!」 京太郎「おう!」 京太郎「肩車するから捕まってろよ!」 衣「笑止!!!」 タタタッ 衣「わーい!」 . '" ̄\ . .∨. . / ̄` 、. / _,. ‐====‐ 、 \ / ´ ヽ. / / / ' , \ ゙ , / / / ,' / , ' , ',. ' ,′ / ,゙i i ハ i } } l | | { _, 'T丁`{ jj ~丁T''ト、| リ l l | | { {´ i i 八ハ iい i iノV| / | l |八 { ',',\|_,」.ニ、 \l ,ニ.」_/|/ハノ| │. |\|\| =‐'" ゙̄` ~ ̄`'ヾ/ | │ | │ '. __ /l | │ j リ ハ´ 「 } ハ | ! / / ,' /ゝ、 { j 人| | ', / / / > .._、 ノ.. イ | | ' , / / / / _r}  ̄ {ュ { ヽ│ l 、 / / / / ̄ ̄~` ミーrz=彡'  ̄ ̄ヽ、 ヽ ' 、. / ,′ /⌒| Y^Y |ハ ', ' 、 / l ,′ │ フしヘ. | , ト、 \ \ / /| | { / ││ \ 亅│ | , \ \. / / 《 | | l个ー=イ_ _ _ ││ _ _ `ト--</ | | 》 丶 ヽ / / )| | }ノ 厶-─┘└- .」 { | |彳 ヽ } 311 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 17 45.36 ID yRCJeZD00 [3/8] 衣「外だ!」 京太郎「よし!ファミレスだ!」 ーーー 衣「殆ど京太郎が衣の料理を横取りしたな……」フフンッ 衣「年下らしく可愛いところもあるな」 京太郎「……」 京太郎「へっ……腹が減ってたんだよ!」 衣「まぁタルタルソースが味わえて良かったぞ」 京太郎「それなら良かった!」 衣「よし!」 京太郎「次はだな……」 安価下2 1.龍門渕高校 2.風越 315 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 23 41.90 ID yRCJeZD00 [4/8] 京太郎「ここが俺の通ってる高校だ!」 衣「風越か……池田とはもう一度遊びたいな……」 京太郎「……」 京太郎「よしっ!」 ーーー ゆみ「よく呼んだな……」 華菜「……衣」 咲「衣ちゃん……」 華菜「よし!遊ぶし!」 ゆみ「麻雀、少し打とう」 咲「そうだね!」 衣「皆……!」 京太郎「かましてやれ!衣!」 衣「全力を以って、屠ってやろう」ゴッ ,. '" ,,. -‐ ''___`‐- .,, ;ヽ;';,'' '';'';,, ,, ,, / /-‐''¨. . . . . . . ̄ ,, ;; ヽ .. . . . . . '' ''";'" ,.' . . .l ,;'' ;,;''. . . . ;, / . . / // ;, l ;'' .'' . . . . . ;' ,' . . ./ /!{ / | l ;' . . . . . . ;'' l ̄ 7 ̄/ ̄ ̄/l/! ll--{ ! l! j'',, . . . . . . ; !_ ../..-‐. 7 `''lッl/,,l_|ヽ l l ./ /;, ';.. . .' ;' ', l .l! ト、ヽ|,,===ミ、`、!.j///,' '';; .' .; ... ';, '、 ト、 l 、! .〉 {{ l () !l '丿.イ'';.. '' ' ;'. ``/ ‐ `ヘ ',.``ー‐'' '" / '',, ;' / ./ ゝ.、 ' __, / '';, . ;'. ,. ' ' . / ;>. ._. ` ̄-‐ ´.' ../; . ;'. / . / / /.>.--/ . . / ', ;;'. / . ./ ,; -‐_‐_ v_/〉 . / . , ' / '; ;'../ . ; ' /l¨¨'´ ̄ ...../ ._/. '' ; '' / ; ;'´ . ; ' / l ! .. ; ''" ;, '} } / ', ;''\. . ; ',/ 人,, ィ'.". , ''" ) l },ィ''"l '; ;'\ \ ;'/ // /\ . / /. -==/ |, ┴ ''' ;; '' \ \ \ 316 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 26 35.78 ID F2i7ToyL0 [4/6] 1.衣 2.咲 3.ゆみ 4.華菜 京太郎「凄かったな衣」 衣「最後にみんなと遊ぶ事が出来て良かったぞ」ニコニコ 衣「嬉しかった!」 京太郎「そりゃ何よりだ」 衣「さて、これからは何処に?」 京太郎「うーん……そうだな」 もう決まってるけどな。 京太郎「よしっ!」 京太郎「行くぞ!」 タタタッ 衣「わーい!」 ∨ | | / ∨ | | / ∨ | ! / ,.. ‐ ヘ 「! /_ ̄` 、 , ´ x≦―――≧x \ ./ ./ ,.イ ! | ヽ ヽ \ // / / / / | i! ト | ハ. ヽ ./イ / .' !,r―!i! ハ´ ̄「|`ヽi! i! ハ {' i! |! | i! |_{ハ | },衍示トv1 | | Ⅵ! i! |i衍卞ヾ\{_ う r} 》| | | 从 i从.う リ 乂z少 .! i! ! ヾ} ,! ゞ'´ ' ! ! ! .//.| マ ̄ ̄ } ! ! | // i\ \_ノ ,.r ´| | i! .// | > .._ _.. ´ | | | ハ // /| /' |,r「´ __⊥ヽ! ! i ∧ .// / .|' //Y^\ }! .| |/ ∧ 317 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 29 34.33 ID F2i7ToyL0 [5/6] ``` ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ... ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ... . ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; . ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;; ;;; __、 ,/゙` ``''-、 .. . ,i´ ゙l | .l゙ ;;;;;;;;;;;;;;; ヽ、 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; ; . `'----‐′ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; . ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; .... . . . ... ,_,,,,、 、-'く`、i、、、 . ,_.、,、、 ,、./'"`` `ヽ‐-、...、 、、-‐´.、.,i、、、 `丶-、,、 . 、、、"゙"`; 、`、、 、` `ヽ`.、 ,.、` `、'∴ .、-、、``'l゙;、 ;、 ;. 、`、 _.._ ‐' `;;;;`丶;、 、…` .,ヽ‐`ヽ., , .ヽ"'''.…"`゙、` ゙丶 、 、、 、 `、ヽ.`ー-.、,._ 、、''゙"、`.`丶ヽ . `" 、`;、;;、;``ヽ、r,!" 、 ``ヽ`'``…`; ;`、.,、 ;;; 冫、、`` ;;..` ヽ、 `;`.、,.ヽ、‥ `` ;`;;;`;;``;丶`;丶`、;.,`,、゙、``;`;;;;;; . 、;;``; ,.'.`、丶. .゙ン```/ 、゙"-` 、,''、、. ..;;.、、、;. ‐ 、,;、. 、.丶 " `;;;'."、;;;;.‐..、、‐ .、;;;;;;;;;;;'゙ヽ ``';' `_,、`` "'!,ヘ `、 ;;;`'、`ヽ.`'、;``゙、, '/゙゙`;;```;`;';;、丶`ヽ`";`; `;;; ;; ;;;; ; ```、;.;``;'";;;;;;;;;;;'" 、 .'` ,、 ` `.'冫'`` `'.、/,!" " `、、、-、.`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ;; ;; ; 丶; ,;'ヽ丶 ;;;;丶.;'.、丶 ;;;;;;; ;;;;;;;;;;;`;;`;`;`;;;`;;;`;;;;`´```;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ``` 衣「ここは……あの時の」 京太郎「始めてのデートの時行ったろ?」 衣「素晴らしい自然だ」 衣「隣、座るぞ」 京太郎「おう」 318 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 31 35.34 ID F2i7ToyL0 [6/6] ;; ...........,,,,,,......................,,,,,............ , ... ,,ノ;;;;;;; ;;;;;;;;; ;;;;;; ;; ;;;;;; ;;;;;; ;; ;;;;Z";;;;;;;从;;;V;;;;;; ;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;; ;;;;; ;;; ;; ;;;ノ V;;;;;;V;;;;;; ;;;;V ;;;;; 从V ;;;V;;; ;;;; ; ;;; ;; ;; ;; ;; Z" _,,,... -‐‐=-..,,,_V从;;;V;;;;VV;;;;;V从;;;;;V从;;;VV;;;;V ;;; ;;;; ;; /"" ,r'" \,,.....,;;;;W;;;;;WW;;;;W;;;;;;; ;;;;;;;W;;;;;W;;;;;;;;;;从;;;;;;; ノ ,,r'" ... . ; .`' .、/W从;;;; ;;;;WW 从W ; ;;;;; WW;;;;;;; ;;;;;; V , r' . ; . `' .、从W从;;;;/W从W;;;;;W;;;;;;;从W;;;;W;;;;;;;; / ,r'" .. .. .. . .... ; . `' 、_,(("WIW从/W从W/W;;;;从W;;;; ;; Vノ"" ,r'" ... ... . ; _,,((" ; ;|;;l /;/ //wwwv从;;;;;;;;//;;;;ノノ""" ,r'"... .. ...... . _,,,(( ;; . ;,i' ル|l从WW;|//vw;W;;;;;wリリリノノ" ,r'" ,,,,,, ...... ... ._,,,"( (( ;;; r;; |l||W从W///W;;;;;wリリリノノ .('"")),r'" .... (~ ~~j;, . .... ...... _,,,, ._,,,-" (( ( ;; ; Z;; ;; ( ;; I|l|llij;;;; / /'''//Wリリリノノ"ノ(;;; ;;;;;; リ f;;; ;; リ . f;; ;'')) (( .. 从 ;; f ;; ( ;;;; f;.. ;;;l|ll||l|i;;|l; |//''''"";;;;;;;; リ !ミ|l lリノ ((从wyル ム;; ;;; ;;; リ (( ;;; ( ;( ;;; f ; ;; ( ; ||l||lji(_);l l |/ 〈ミ从WW从ノ jl | ll ,'丁 ト 卅 ji从 个 YwWWリノ v;;; ;((;; ;;;(( ;; ; ゞ ;;;.. ;; ;;l|il|ll|l;;;; ll l| '''''|lY彳" ^~''""' ゙゙゙ jl; j| ゙゙゙ ゙゙゙ . ゙~` ゙ "' ' |l; | " `゙';ミwリノwv从w从wv从w从|l|lil||i;;;; ii h. ||;; | ~^゙゙'""" . ,,,j|l; |.. |l |ll; |ll;; |ll ;; ||ll;; i |!l||l|ll|;l;;;i ;;イ , jll;; j、 ''""゙'' `"'' ^' . jl jll; |ll;; f l i; ! , 衣「会えて良かった」 衣「素晴らしい」 衣「未来永劫忘れない」 衣「京太郎は衣を忘れないでいてくれるか?」 京太郎「当然だろ?」 衣「ーー」 319 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 40 05.01 ID yRCJeZD00 [5/8] 衣「最高の恋路だった」 衣「素晴らしい人生だった」 衣「素晴らしい旦那だった」 衣「父上、母上……衣も向かいます」 京太郎「ありがとう」 京太郎「お前に会えて、嬉しかった」 京太郎「愛してるしか言えないけど……ごめん」ポロポロ 衣「そうか……衣を愛しているのか」 京太郎「衣ぉ……」ポロポロ 衣「初めてだ……そう思われるのは」 衣「もう悔いは無い」 衣「ーー天に地に、希望があふれているみたいだ」 衣「京太郎ありがとうーー」 / ̄ ̄7 ̄\ \ | / i! ! ヽ / / / \ ヽ | / ! !| ハ / / / /^ヾ}_Ⅳ二≧| リ、 \ i! / ′ / ∠> ´ ∨ i! ヽ. ハ i! | .i! | ./´ ヽ ∨ ト、 ハ | i! | i! ! / | ! ∨ | ハ .! ! i! リ .! | / ハ ト_|__∨| | | ! ! .i! / .| i! i / ! |__. 斗| i! | ハ Ⅳ | |.| ! |;' |.| || |´! ./ i! リ }' i! / } } }. | | ∧ |.| |{ | i! / | ./ z|≠彳イ/ | ∨∧ .′| | \ {从.{=彳/ /! i!_ ∨∧ .′ | | \ハ ' ,_イ | | \/∧ .′ | |/^ヽ_込、__ ー ´ /} }Y| | ∨∧ .′ | / } { {{ ≧=< / ̄」 | ∨∧ / / r<二二ニ=r丐f≦― ´ | | \ V.∧ ./ ハ { ={ {=ニ | | ` ーヘ ∧ / / __/ Y⌒ /イ T\ | | 〉∧./ 〈 } / | | \_ ! 人 / / ∧ ∧ ハ ,イ i! ! ∧.八 ヽ _..イ / / ∧ ./ ∧ | Y / i! | ./ ハ {\ \} / / / ∧、 / / 「 ̄ ̄ ̄| / ,.ィ ´ ∧`< / i! T ヽ. \ / / / ∧\ ./ / .L ___i! .| /. | ./,∧ i`ヽ } .! \ \./ / ∧、 \ / / | ! {' | .///∧ } / | |\ \./ ∧\ \. / / ! \\ |/////∧/ /_./! ! \ \ ∧ Y } 京太郎「衣……衣……?」ポロポロ 京太郎「うわぁぁぁぁ!!!!!」ポロポロ 320 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/01(日) 03 40 30.85 ID yRCJeZD00 [6/8] カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3380.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1353979853/ ■清澄高校 空き教室 京太郎「さあ、唐突に始まりました清澄高校覗き大会」 ??「その番組名、なんとかならんかったんか」 京太郎「ルールは簡単。わたくし、須賀京太郎を模した人形『京太郎人形』を部室に置いて隠し撮り」 京太郎「そして部室に入ってきた部員の反応を見るだけの内容となっております」 京太郎「実況は清澄のエアーマンこと須賀京太郎」 ■清澄高校 空き教室 京太郎「さあ、唐突に始まりました清澄高校覗き大会」 ??「その番組名、なんとかならんかったんか」 京太郎「ルールは簡単。わたくし、須賀京太郎を模した人形『京太郎人形』を部室に置いて隠し撮り」 京太郎「そして部室に入ってきた部員の反応を見るだけの内容となっております」 京太郎「実況は清澄のエアーマンこと須賀京太郎」 京太郎「解説は――」 まこ「染谷まこでお送りするんじゃ」 京太郎「おっと! さっそく誰かが部室前まで来たようです」 京太郎「あ、ちなみにやらせは一切ございません」 まこ「どの番組もそう言うがのぅ……」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「おりゃー! 優希様参上だじぇ!」 優希「……って、誰もいないじゃないか」 ■清澄高校 空き教室 京太郎「まず現れたのはタコス大好き片岡優希選手です」 まこ「団体戦と同じく、一番手で来たな」 まこ「なお、わしの出番は――」 京太郎「片岡選手、タコス片手に京太郎人形の置かれた雀卓に近づきます」 まこ「聞け」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「仕方ない。麻雀牌でも積んで待つじょ」 優希「お、なんだこれ」 優希「……京太郎の、人形か?」 優希「あいつに似てバカ面だじぇ」ケラケラ ■清澄高校 空き教室 京太郎「なんだとコラ」 まこ「まあ、ニ頭身じゃからのう」 まこ「わしが作ったんじゃが、デフォルメした結果、アホ面になってしもうた」 京太郎「ひどいですよ染谷先輩! 俺って長野でも十指に入るぐらいのイケメンなのに」 まこ「……十人おるんか?」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「のどちゃん……のじゃないか」 優希「咲ちゃんかな?」 優希「バカ面だけど、結構かわいいじぇ」ツンツン ■清澄高校 空き教室 まこ「そうじゃろうて。力作じゃけんのぅ」 まこ「うちの雀荘の方でも今度配るか」 京太郎「ちなみに制作期間は?」 まこ「……一週間」 京太郎「メチャクチャ手間かかるじゃないですか」 まこ「そうじゃのぅ……」 まこ「お、優希の方に動きがあるぞ」 京太郎「なんか人形と話してますね」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「……昨日はゴメンな、京太郎」 優希「私もちょっと言い過ぎ」 優希「……いや、完全に私が悪かったじぇ」 ■清澄高校 空き教室 まこ「なんかあったんか?」 京太郎「ありましたっけ……」 京太郎「……あ、あれのことか!」 京太郎「タコス買いに行って来いって言われたんですが、忙しいんで断ったんですよ」 京太郎「そしたら優希が怒ってどっか行っちゃって」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「京太郎の都合も考えなきゃダメだった」 優希「……じゃなくて」 優希「部の備品ってわけでもなく、自分で食べるタコスぐらい自分で買いに行かないとダメだじょ」 優希「頭では……頭では分かってても」 優希「なんか京太郎にはツラく当たっちゃうじぇ……」 優希「こんなだから、嫌われるんだじょ……」グスッ ■清澄高校 空き教室 京太郎「いや、別に嫌ってないぞ?」 まこ「それ、本人の前で言ってやれよー」 京太郎「だっていつもの事じゃないですか」 まこ(脈無しかー) □Live-清澄高校 麻雀部部室 優希「人形に言っても、解決しないじぇ」 優希「よし! 京太郎探して、謝りに行くじょ」 優希「思い立ったが吉日ー!」ドタドタ ■清澄高校 空き教室 京太郎「あ、部室出て行った」 まこ「収録終わったら会いに行ってやれよー」 まこ「なんか普通にいい話があっただけじゃったな」 京太郎「いつも通りじゃないですか」 まこ「こいつは……」 京太郎「あ、次が来ましたよ」 まこ「部長じゃな」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 久「誰が上埜さんだって!?」 久「……あら? 誰もいないじゃない」 久「せっかく裸踊りでも披露してあげようと思ったのにー」 ■清澄高校 空き教室 京太郎「」ガタッ まこ「座れ」 京太郎「何言ってるんですか染谷先輩! 部長の裸踊りが見たくないんですか!?」 まこ「何が嬉しゅうて女の裸踊りを見んといかんのじゃ」 まこ「お、部長も京太郎人形に気づいたようじゃ」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 久「須賀君じゃない! すっかり小さくなっちゃって」 久「誰の私物かしら……まこが作ったものかな?」 久「いつも雑用ありがとね? すごく助かってるわ」 久「これからも雑用よろしく!」ポンポン ■清澄高校 空き教室 京太郎「あれ……目から汗が」 まこ「飴のあとに間髪いれずムチが振るわれておるんじゃが」 京太郎「俺、これからも雑用を極めます……そうだ、ハギヨシさんのところに修行に行こう!」ガタッ まこ「座れ」 京太郎「おっと、ここで部長が動いたー!」 まこ「京太郎人形持ってどこかに行きよるのぅ」 京太郎「いま! 俺の頭が部長の下乳に触れています!」 まこ「人形のな。ちゃんと制服越しじゃ」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 久「……誰もいないし、チャンスかしら」コソコソ 久「こんなこと人のいない部室でやってたら、ドン引きされそうだし」ガチャッ 久「……はー」 久「狭いとこがおちつくのってなんででしょうね」inロッカー ■清澄高校 空き教室 まこ「なんでロッカー入って満足そうにしとるんじゃ……」 まこ「って、京太郎どうかしたか?」 京太郎「染谷先輩……男にはヤらねばならぬ時があるんです!」ダッ まこ「行ってしもうた……電話しとくかのう」 まこ「……あ、部長? ロッカー入ってる暇があったら逃げときんしゃい」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 京太郎「部長ーー! 合体しましょう!!」ガチャッ 京太郎「っていねーーーーーー!?」 ■清澄高校 空き教室 まこ「はよ帰ってこーい」 ■清澄高校 空き教室 京太郎「先程は大変お見苦しいところを」キリッ まこ「ほんまよ」 まこ「というか、人形に対する反応は殆ど無かったな」 京太郎「別の物に変えましょうか?」 まこ「そうじゃのぅ……その方が面白いかも」 まこ「……あ、次の犠牲者が来たな」 京太郎「今度は咲かー」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 咲「こんにちわー」 咲「って、あれ? 優希ちゃんは先に来てたはずなんだけど……」キョロキョロ ■清澄高校 空き教室 京太郎「あ、優希ならさっき帰って来る時に会いましたよ」 まこ「ほお」 京太郎「謝りたいんだろ? 早く謝っていいんだぜ!? って言ったらローキック放ってきました」 まこ「こいつは……」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 咲「あ、京ちゃん。京ちゃんは先に来てたんだね」ナデナデ 咲「京ちゃん人形かぁ……可愛いなぁ」 咲「誰のだろ? あとで聞いてみよっかな」 咲「ほしいから……作り方、教えてもらえたらいいなぁ」 ■清澄高校 空き教室 まこ「あ、ほしいならやる」 京太郎「咲も物好きだなぁ」 まこ「じゃけん、お前さんは……」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 咲「…………」 咲「京ちゃん――好きだよ」 ■清澄高校 空き教室 京太郎「……は?」 まこ「おっ!」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 咲「……なんてねっ」 咲「お人形さんなら簡単に言えるのになー」テレテレ ■清澄高校 空き教室 京太郎「お、おぅ! なんだ、冗談か……!」バクバクバク まこ「いや、現実見んかい」 京太郎「いやいやいや! 咲が、俺のこと好きなんてあり得ませんって!」 まこ「なんでじゃ」 京太郎「いや……だって、咲は和のことが好きですしっ!?」 まこ「和のことが好きなのはお前さんじゃ無かったんか?」 京太郎「の、和もキレイだとは思いますが……一番は」 まこ「……一番は?」 京太郎「あ、あー! 咲のやつ、部室出ちゃいましたよー!」 まこ(さっき部長に対する反応は演技かい……) まこ「長野でも十指に入るイケメンなんじゃろ? しっかりせんかい」 京太郎「うぅ……」 京太郎「咲が、俺に振り向いてくれるわけない……わけない……」ブツブツ まこ「こりゃ重症じゃのぅ」 まこ「……っと、和が映っとる」 まこ「いつの間におったんじゃ」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 和「…………」コソッ 和「…………」 ■清澄高校 空き教室 まこ「おーい、実況。仕事せんかい」 京太郎「は、はい……原村和選手の入場です!」 まこ「さっき言ったわ」 京太郎「迷うことなく人形の置いてある雀卓に近づいていきますねー」 まこ「ん? あいつ、何を持っとるんじゃ」 京太郎「おっとぉ、ここで原村選手……包丁を取り出しました!?」 まこ「振りかぶってー」 京太郎・まこ「「刺したー!!」」 □Live-清澄高校 麻雀部部室 和「…………」ザックザック 和「ふふ……うふふふふ……」ザックザックザック ■清澄高校 空き教室 まこ「凶器攻撃! 凶器攻撃じゃ!」 まこ「京太郎人形、メッタ刺しになっております――あ、モゲた」 京太郎「」 まこ「普段は優等生な和選手の意外な一面が見れたのぅ」 京太郎「俺、転校します」ガクガク ??「なるほど……それは大変でしたね」 京太郎「ほんとですよ! 命の危険を感じました」 京太郎「あ! 咲のやつも危ないんじゃ……」 ??「あ、そちらは手を回しておいたので安心してください」 梢「……代わりに手伝ってほしいことがあるのですが」 ■劔谷高校 空き教室 梢「さあ、唐突に始まりました劔谷高校覗き大会」 梢「解説は劔谷高校麻雀部部長、古塚梢が務めさせていただきます」 梢「こづか、ではなく、ふるづか、ですからね」 梢「人の名前を間違えてはいけません」 梢「実況は清澄高校に引き続き、現在命を狙われている須賀京太郎さんに務めていただきます」 京太郎「え、やっぱり俺って命狙われてるんですか?」 京太郎「てか、こんなことやっていいんですか?」 梢「と、言いますと?」 京太郎「劔谷高校って結構アッパークラスな人たちが通ってる学校じゃないですか」 京太郎「……こんなの撮ってたら、そういう人たちに命狙われたりするんじゃ?」 梢「あ、それなら安心してください」 梢「父兄の皆様に許可はとっていますので」 ウチノミユキガ ドンナハンノウシメスカタノシミデシテナァ> 京太郎「マジで」 ウチモリコガドウスルノカ タノシミデタノシミデ> 京太郎「でも、あとで部員の皆さんに怒られるんじゃぁ」 梢「そうかもしれません……ですが」 梢「いまより前に進もうとするなら、ただ伝統を守っているだけではダメなのかもしれないと」 梢「そう思っているのです――」 京太郎(何言ってるんだこの人) 京太郎「あ、ところで今回は何を置くんですか?」 梢「エロ本です」 京太郎「は?」 梢「18禁のえっちな本を置いて反応を見ます」キリッ 京太郎「父兄の皆さーん! こんなこと言ってますよー!?」 梢「あ、これも許可取っているので大丈夫です」 梢「というか、父兄の方々のお宝本を提供していただきました」 京太郎「大丈夫かこの学校」 梢「あ、そうこうしているうちに第一犠牲者が来ましたよ」 京太郎「犠牲者って言っちゃった」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 澄子「こんにちわー」 澄子「あ、私が一番乗りでしたか……」 ■劔谷高校 空き教室 梢「須賀さん須賀さん、佐藤さんが来ましたよ。早く実況してください」 スミコー! ガンバレー!> 京太郎「はい……えっと、最初に入ってきたのは劔谷高校二年生、佐藤選手です」 梢「一番最初に面白みの無い子を消化できてラッキーですね」 京太郎「おい」 京太郎「……佐藤選手、雀卓上のエロ本に目を止めました」 梢「目ざといですねー」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 澄子「……?」トコトコ 澄子「……!?」 澄子「な……ななな何でこんなものが部室に!」 澄子「誰ですか! こんなもの持ち込んだのっ!」カオマッカ ■劔谷高校 空き教室 京太郎「あ、良かった。結構普通の反応だ」 梢「何かやらかしてくれませんかね」 京太郎「佐藤選手、部室の棚から……ガムテープを取り出しました」 京太郎「ガムテープでエロ本をぐるぐる巻きにしてますね」 ギャー!> 梢「ちょっとぐらい中を見ればいいのに」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 澄子「よし……よし! これで誰も見ることは出来ないでしょう」 澄子「あとは捨てるだけ……皆さんが来る前に、捨てに行きましょう!」 澄子「捨てたあとで、部長に相談しましょう……」グスッ ■劔谷高校 空き教室 京太郎「その部長が元凶なのですが……ちなみに、相談されたらどう対応するんですか?」 梢「そうですね……」 梢「そんなことが……。佐藤さん、よく頑張りましたね」 梢「そんな本を持ち込む人がいるとは、大変悲しいことです」 梢「ですが……一度処分された以上、その子も気づかれたことは察するでしょう」 梢「もう学校に持ってくることは無い筈です」 梢「……もしも、もう一度こういうことがあれば」 梢「やりたくは無いのですが、持ち込んだ子を探しだして諭しましょう!」 京太郎「最悪だこの人」 京太郎「おっと、佐藤選手。封印したエロ本をゴミ袋に入れて部室を出て行きました」 スミコー! ステナイデクレー!> 梢「残念ながら、ボッシュートです」テレッテレッテーン 梢「え? ……ああ、ほんとですね」 ヨリフジ 梢「先ほど映像に出てきた佐藤澄子さんですが、本当の名前は依藤澄子さんでした」 梢「不甲斐ない解説を代表して、謝罪します」 京太郎「申し訳ありませんでした」 梢「さて、形ばかりの謝罪をしたところで次に行きましょう」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 莉子「こんにちわ~」 莉子「あれ、皆いない……先に部活の準備してよっと」 ■劔谷高校 空き教室 梢「二番手は一年生、安福莉子さんです」 梢「今年のインターハイ二回戦、最後の最後に振り込んで二位から三位に転落した子です」 京太郎「やだ、この部活殺伐としてる」 リコー! マケルナー!> 梢「軽いジョークですよ」 梢「……あれ? 安福さん、エロ本には気づいたようですが」 京太郎「……動きませんね」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 莉子「――――――――」 莉子「――――――――」 ■劔谷高校 空き教室 京太郎「……あれ、立ったまま気絶してませんか?」 梢「そのようですね……救助班の方、お願いしまーす」 リコーーーーーーー!> 梢「そしてエロ本は雀卓の中にボッシュートです」テレッテレッテーン ウワーーーーーーー!> 梢「しかし、別段なんともない反応ばかりですね」 梢「こんなフツーで個性が無いからインハイも負けたんですよ」 京太郎「麻雀と関係ないですからね」 梢「ともあれ……不甲斐ない兵庫県代表を代表して、謝罪します」 京太郎「俺は逆にホッとしてますよ」 京太郎「ゲラゲラ笑いながらエロ本読む人がいなくて」 梢「その程度で良ければ、私が」スクッ 京太郎「やめて」 梢「まあ、先程の二人は劔谷高校麻雀部の中では最弱」 京太郎(実はこの人が部内で一番失点しているんですが) 梢「必ず、やってくれるでしょう」 京太郎「やらかす、の間違いでは」 梢「あ、次の方が来られましたね」 京太郎「この人は……三年の椿野美幸さんですね」 ミユキー! ヤラカセー!> □Live-劔谷高校 麻雀部部室 美幸「聞いてよもー!」 美幸「お父さんが未だに進路のことで反対して……っていなかった」 美幸「ま、いいや。お茶の用意でもしてよっと」 ■劔谷高校 空き教室 京太郎「麻雀は?」 梢「もちろん、麻雀もやります」 梢「茶道は健全な精神を育む一助になれば、とやっているだけですので」 京太郎「育まれてませんよね。少なくとも一人は」 梢「おっとぉ、椿野選手、ここで卓上のエロ本に気づきました」 京太郎「聞けよ」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 美幸「? なにこれ」 美幸「…………」ペラッ 美幸「…………」ペラッ 美幸「……これ、えっちな本だよ!」ガガーン ■劔谷高校 空き教室 京太郎「表紙見た時点で気づけよ」 梢「佐藤さんと安福さんは表紙しか見てないんです。これは快挙ですよ」 京太郎「うわぁ、しかも次々とページをめくっていきますよ」 梢「ひゃーとか、きゃーとか言いながらガン見ですね……椿野さんはムッツリですから」 京太郎「いいんですか? お父さん」 イーンダヨ> 京太郎「いいんだ」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 美幸「う、うわぁ……そこに入っちゃうんだ……」 美幸「え、そこまで?」 美幸「……こ、こんなけしからんものを部室に置いてちゃだめだよもー!」 美幸「これは没収だね」イソイソ ■劔谷高校 空き教室 京太郎「椿野選手、エロ本を自分のカバンにインサート」 梢「自発的ボッシュートですね」 京太郎「そしてそのまま退出していきました」 梢「部活サボってお家で楽しむつもりですね。これは窃盗ですよ」 京太郎「ちなみに、さっきのは誰のエロ本だったんですか?」 ハーイ> 梢「椿野さんのお父様にご提供いただきました」 京太郎「いいのか。……ま、まあ、わりと普通に終わりましたね」 梢「初々しいムッツリでしたね」 梢「あ、ちなみに最後のページに椿野さんのお父様の名前を書いておきましたので」 ファッ!?> 京太郎「最低だコイツ」 京太郎「っと、ここで四人目が来ました」 京太郎「帰国子女の一年生、森垣友香選手の入場です」 京太郎「このまま、無難に終わってほしいですね」 梢「そうですね……華麗にトリを飾っていただきたいです」 京太郎「認識のズレがあるような」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 友香「部活でー!」 友香「あれ、みんな休みでー?」 ■劔谷高校 空き教室 京太郎「安福さんは病院です」 梢「椿野さんなら、おうちでよろしくやってますよ」 京太郎「友垣選手、真っ直ぐ冷蔵庫に向かいます」 梢「あ、まさか」 京太郎「おっとぉ、冷蔵庫から麦茶と牛乳を取り出して……」 梢「あー……友垣さん、また混ぜてる」 京太郎「ミルク麦茶! ミルク麦茶を作っています!」 梢「まあ、まったくあり得ない組み合わせではありませんからね」 京太郎「ミルク麦茶片手にエロ本の置かれた雀卓に向かいます」 梢「友垣さん、麦茶と牛乳を冷蔵庫に戻してください」 □Live-劔谷高校 麻雀部部室 友香「お、日本のポルノマガジンかな?」 友香「どれどれ~」ペラッ ■劔谷高校 空き教室 京太郎「あぁ~……何の恥じらいも無く読みだしちゃった」 梢「普通……と、なぜか首ひねってますね」 京太郎「あれ? 普通のエロ本ですよね」 京太郎「ん……? 友垣選手、サイフから十円玉を取り出して」 梢「こすってますね……本に載ってる女性の股間のあたりを」 京太郎「友垣選手! モザイクはスクラッチとは違うんだぞ!」 梢「帰国子女ですからね……無修正が当たり前なのでしょう」 梢「あとでモザイクの取り方とか、色々と教えておいてあげましょう」 京太郎「ここで指導が入りましたー!」 京太郎「友垣選手、本に興味を無くしたのか放り出しました」 梢「うーん、いまいちパンチが足りませんでしたね」 京太郎「やっぱり、京太郎人形を修理して置いておいたほうが良かったでしょうか?」 梢「おそらく、この人誰……って状態になってましたよ」 梢「とはいえ、あまり新鮮な内容をお届けできなくて申し訳ありません」 梢「地味な麻雀部を代表して、謝罪します」 京太郎「劔谷高校麻雀部でしたー」 京太郎「……やっぱやめましょうって」 ??「うるさいなぁ」 京太郎「バレたらマズいですって……絶対殺されますよ」 ??「麻雀だって聴牌しとったら先制されとっても仕掛けたくなるし」 京太郎「俺たち多分四向聴ぐらいですよ。しかも打点も見込めなさそう」 漫「いままで犠牲になってきたデコの恨み……先輩達の弱みを握って巻き返す!」 京太郎「握りつぶされるのがオチですよ」 ■姫松高校 空き教室 漫「さあ、唐突に始まりました姫松高校覗き大会」 漫「解説は私、姫松の核弾頭、上重漫が務めさせていただきます!」 京太郎「実況、俺でーす」 京太郎「劔谷からたらい回しにされたと思ったら、マズイことに巻き込まれました」 京太郎「なぜマズイかと言うと、劔谷の場合は三年の部長が主犯」 京太郎「姫松の場合は二年の戦犯(候補)とタッグを組まされてます」 京太郎「バレた時、どっちの方が危険度高いかはわかりますよね?」 漫「バレなきゃいいのよ」 京太郎「今回も京太郎人形は五体バラバラ……バラバラ……バラバラ……」カタカタ 漫「なんでそこで震えるん?」 京太郎「ちょ、ちょっと出れない事情があるので、今回はDVDを使います」 京太郎「ラベルには『えっちなDVD』と書かれてます」 漫「まあ、中身は『エロDVDだと思った? 残念! ドッキリでした!』って映像が出てくるだけだけど」 京太郎「うーん、兵庫よりは健全だけど、嫌な予感がする」 漫「ヘタレやなぁ。そんなやから意中の幼馴染一人落とせんのや」 京太郎「咲のことは関係ないでしょ!?」 漫「あ、一人目来た」 京太郎「次鋒の真瀬由子さんですね」 漫「わりとどうでもいい」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 由子「次鋒、レオパルドン逝きます!! なのよー」 由子「……うーん、やっぱりここじゃないのよー」 ■姫松高校 空き教室 京太郎「何か探してたんですかね?」 漫「さあ……? 多分、主将と鬼ごっこでもしてるんだと思うけど」 漫「末原先輩、早く来ないかなー」 京太郎「どんだけ弱み握りたいんですか」 京太郎「……真瀬選手、雀卓上のDVDに気づいたようです」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 由子「ん? これは」 由子「なるほどなるほど~」キュッキュッ 由子「……じゃ、次に行くのよー」 ■姫松高校 空き教室 京太郎「あれ、もう出て行きましたね」 漫「うーん……別にどうでも良かったけど、何の反応も無しか」 京太郎「いや、何かマジックで書いて行ったようでしたが」 京太郎「別の用事が忙しかったのかな?」 漫「というか、どうでも良さそうにしてたけど」 漫「真瀬先輩は案外、ああいうのよく見てるのかも」 由子「そんなことないのよー」 漫「そうかなぁ」 由子「そうなのよー」 漫・京太郎「「……うわぁ! もうバレたー!」」 由子「私も混ぜてほしいのよー!」 由子「あとは見てるだけだから。ね? ね?」 漫「は、はあ……? まあ、いいですけど」 由子「やったのよー」 京太郎「ひょっとして俺たちのこと探してたんですか?」 由子「二人だけでお楽しみってのはずるいのよー」 由子「あ、洋榎が来たのよー」 漫「主将か、要チェックや」 京太郎「うーん……このまま芋づる式に見る側に巻き込んだ方が安全か」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 洋榎「この新井貴浩を作ったのは誰やあっ!!」 洋榎「……って、誰もおらんのかいっ」 洋榎「主将のウチより遅いとか弛んどるで」 ■姫松高校 空き教室 漫「今日、部活休みですけどね」 京太郎「レギュラー四人以外には知らされてるんですよね」 漫「そう。四人には私のところで連絡網止めといたんや」 由子「私はともかく、それだと他の三人に漫ちゃんが仕掛け人ってバレちゃうのよー」 漫「…………」アブラアセ 京太郎「うわ、考えて無かったんですか」 京太郎「あ、そういえば……真瀬先輩はさっき何してたんですか?」 由子「さっき?」 京太郎「何かマジックで書いてましたけど」 由子「ああ、DVDのラベルに書き足しておいただけなのよー」 漫「え、なんてですか?」 由子「(ホモ)って付け加えただけなのよー」 京太郎「アカン」 漫「いや、これはこれで……主将! そんなものに興味あるんですかー!?」 漫「って言えるし、アリかも」 京太郎「ああっ! 愛宕姉選手、『えっちなDVD(ホモ)』を見つめています!」 漫「そのままレコーダーで再生してください! お願いします!」 由子「ちょっとちょっと、漫ちゃん必死すぎんのよ~」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 洋榎「お? なんやこれ、対局のDVDか何か?」ヒョイッ 洋榎「…………」 洋榎「…………」スッ… 洋榎「…………」ススス 洋榎「…………」ペタン ■姫松高校 空き教室 京太郎「愛宕姉選手……?」 漫「あれ? ラベル見た瞬間、ケース置いて遠ざかった?」 由子「部屋の隅っこに体育座りしちゃったのよー」 漫「おかしいなぁ……主将なら、独り言で言い訳しつつ堂々と見ると思ったんやけど」 京太郎「なんか、怖がってる感じですね」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 洋榎「…………」グスッ ■姫松高校 空き教室 京太郎「あっれ……涙目になってるんですが」 由子「きっと、ああいうの苦手なのよー」 由子「傍にあること自体、嫌なのかも」 漫「えー……苦手なら部室出ていけば済む話なのに」 京太郎「極力DVDの方見ないように、ドアとかチラチラ見てますね」 由子「きっと、皆を待ってるのよー」 由子「DVDは怖いけど、自分は主将だから部活サボっちゃダメとか考えてるのよー」 漫「そんな……せめて、部室の外とかで待ってればいいのに」 由子「多分、誰かが来ない限り、ずっとあそこで体育座りしてるのよー」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 洋榎「……絹、まだかいなー」ソワソワ 洋榎「…………」ペタッ ■姫松高校 空き教室 京太郎「あぁ……膝に顔埋めちゃった」 漫「う……も、もういいかな」 京太郎「そうですねー」 由子「じゃあ、私から電話しておくのよー」 漫「お願いします」 由子「……あ、洋榎? 由子なのよー」 由子「うん、その部活なんだけど、今日は休みなのよー」 由子「そそ、だからまた明日なのよー」ピッ 由子「これで帰るはずなのよー」 京太郎「……あ、帰っていきますね」 漫「ほっ……」 由子「寄り道しないで帰るのよー」 漫「うーん……まあ、末原先輩に期待」 京太郎「結局続けるんですか」 由子「私も知らない洋榎の一面が見れて、新鮮だったのよー」 由子「問題はエロとホモのどっちが嫌だったのか……!」 京太郎「どうでもいいですよね」 由子「普段から『デクのオ●ンチン』とか言ってるわりに、案外うぶなのよー」 漫「言ってませんよ!?」 由子「残るは二人だけなのよー」 京太郎「えっと、愛宕絹恵さんと末原恭子さんですね」 由子「リアクションは洋榎に期待してたから、二人だと微妙かもしれないのよー」 漫「いやいや、末原先輩ならやらかしてくれますって!」 京太郎「活き活きしてるな、この人」 京太郎「っと、上重先輩待望、末原選手の入場です」 漫「きたーーーーっ!」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 恭子「……ハァ」 恭子「まったく、あの人は……」ブツブツ ■姫松高校 空き教室 京太郎「なんかお疲れみたいですね」 漫「いいから、再生、はよ」 由子「そういえば、さっきいくのんと話してたのよー」 由子「いままで説教してたのかも」 京太郎「高校生に説教される大人って……ん?」 京太郎「末原選手、部室にカギをかけました」 漫「じっくりDVD見る気かな」 由子「まだDVDには気づいてないから、きっと別の目的なのよー」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 恭子「……よ、よし」 恭子「誰も見てないし、いまなら……」ヌギヌギ ■姫松高校 空き教室 京太郎「ああっと! 末原選手、スパッツを脱ぎ始めました!」 由子「生着替えなのよー」 漫「先輩の大事なところが丸見えに……」ハァハァ 京太郎「そしてそして、バッグからスカートを取り出しました!」 漫「上は!? 上は脱がないんですか!?」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 恭子「ん……しょ」 恭子「……えへ」ニコニコ ■姫松高校 空き教室 京太郎「いまリボンを結び、完全に乙女モードに変身です!」 由子「鏡の前でポーズ取りつつ、はにかんでるのよー」 京太郎「ここでくるっと一回転。スカートが綺麗な弧を描きます」 漫「スパッツ……スパッツだけでもください……」 京太郎「しかし、これほど気に入ってるなら普段から着てればいいのに」 由子「きっと体面とかあるのよー。恭子は意地っ張りだから」 漫「この映像……鑑賞用・保存用・布教用の三つを作らなきゃ」 由子「あ、漫ちゃん。私もほしいのよー」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 恭子「さて……ちょっと名残惜しいけど、着替えて帰ろうかな」 恭子「部活無いみたいやし」ヌギヌギ ■姫松高校 空き教室 漫「…………」ダクダク 由子「あ、漫ちゃんが失血死しちゃうのよー」 京太郎「本望じゃないですかね」 京太郎「てか、帰っちゃいますね」 由子「いくのん経由で休みだって聞いたのかなー」 漫「……………………ふぅ」 漫「さて、末原先輩を堪能したことだし、次に行きましょう」キリッ 京太郎「はいはい」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 絹恵「スミマセン、遅れましたー!」 絹恵「って、あれー? 誰もおらんやん」 絹恵「お姉ちゃーん、ロッカーとかに隠れとらんー?」ガチャッ ■姫松高校 空き教室 京太郎「最後の一人、愛宕妹選手です」 漫「末原先輩のが終わったので、無難に終わってくれれば」 由子「絹ちゃん、さすがの洋榎もゴミ箱の中にはいないのよー」 京太郎「おっと、ここで愛宕妹選手、卓上のDVDケースに目をつけました」 □Live-姫松高校 麻雀部部室 絹恵「なんやこれ……」 絹恵「…………」ムッ ■姫松高校 空き教室 京太郎「あ、姉妹っていってもお姉さんと反応が違いますね」 漫「なんかムッとしとる」 漫「……あ、ケースを床に置いた」 由子「ここで絹ちゃん、壁際まで下がり、助走をつけて~」 京太郎・漫「「蹴ったーーー!!」」 由子「DVDがお空の星になっちゃったのよー」 京太郎「窓ガラス割れちゃいましたねー」 漫「うわ、外にいたいくのんにガラスのシャワーが」 京太郎「サッカー部のキーパーをやっていただけのことはありますね」 漫「うん、いい蹴りだった」 由子「絹ちゃんからコメントもらったのよー」 由子「お姉ちゃんが見ちゃう前に処分する必要があったんです。反省してます――って言ってるのよー」 京太郎「そのお姉ちゃんは中身見ることだけは回避したんですが」 漫「あ、救急車……もう来たのか」 京太郎「さて、これで全部ですね……無事終わった!」 漫「では、姫松高校からの中継を終了します」 由子「次はあなたの学校へ」 京太郎・漫・由子「「「また来襲~」」」 絹恵「お仕置きの時間だ! コラァ!!」グァシァァァ 京太郎・漫・由子「「「なっ……」」」 ??「へー」 ??「だからこっちに来た時、顔が酷いことになってたんだ~」 京太郎「他にも大事なとこ蹴られたりしたんだよ」 淡「……隠し撮りかー」 淡「よし! やろう!」 □Live-白糸台高校 体育倉庫 淡「んしょ……んしょ……」 淡「さ、さあ! 始まりました、白糸台覗き大会!」 淡「解説は高校百年生、大星淡がやっちゃうよ!」ババーン 京太郎「まだ始まってねえよ」 淡「えっと、計画の再確認しとこっか」 淡「テルーと菫先輩とたかみ先輩を体育倉庫におびき寄せて、閉じ込める」 淡「んで、その反応を見て楽しんじゃうよ!」 京太郎「それは分かってるけど、その手に持った毛布と魔法瓶は何だ?」 淡「これ? 今日はちょっと寒いし、三人のために毛布持ってきたんだ!」 淡「魔法瓶の中身は、たかみ先輩の大好きなお茶だよ~」ニコニコ 京太郎「なんだ……その微妙な気遣い」 淡「倉庫の入り口はリモコンで自動開閉に改造してくれた?」 京太郎「ああ、俺が一晩で仕上げたぞ!」 京太郎「まあ、最終テストやっとくか」 京太郎「俺は外出るから、中で異常無いか見ててくれ」 淡「わかったー」 京太郎「ほいっと」ポチッ 淡「お……おおお……勝手にしまった!」 京太郎「なんかおかしいとこないかー?」 淡「ないっぽーい」 京太郎「オッケー。じゃあ開け……あれ?」 淡「ん?」 京太郎「おっかしーな……なんかリモコンが反応しねー」 淡「えっ、うそー! 私が中にいるのにー」 京太郎「電池切れかな……ちょっと電池探してくるわ」 淡「わかったー!」 ■白糸台高校 空き教室 京太郎「戻りましたー」 照「あ、おかえり」 菫「ご苦労さん」 京太郎「ちゃんと出れなくなってます?」 菫「成功したみたいだ」 菫「さて、白糸台覗き大会……改め」 菫「淡にお仕置き大会を始めよう」 照「わー……ぱちぱち」パチパチ 尭深「んと……玉露で、良かった?」 京太郎「あ、ありがとうございます」 菫「一応、経緯というか趣旨を説明しておこうか」 菫「淡と須賀君が私達を体育倉庫に閉じ込めて楽しもうとしていたようだが」 菫「それを逆に利用して、淡を体育倉庫に閉じ込めさせてもらった」 菫「そうとは知らず、閉じ込められている淡を見て楽しもうという企画だ」 照「もうかなり暗いし……淡なら直ぐに泣き出すはず」 尭深「お、お仕置き……しないと」 京太郎(わー、寝返って良かった) □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「~♪」 淡「キョータロー、まだかなー?」 ■白糸台高校 空き教室 菫「解説と実況は私と照と尭深と須賀君の四人でやっていくんだが」 照「本日は特別ゲストを用意してまーす」 尭深「ぱちぱち」 京太郎「え? そうだったんですか?」 照「うん……どうぞ、お入りください」 ??「……ど、どうも」 京太郎「はっ!?」 咲「京ちゃん、久しぶり……だね? 元気だった?」 京太郎「ちょ……な、なんで、咲がここに……」オロオロ 照「特別ゲストだから」 京太郎「あ、あれー? ちょっとお腹が痛くなってきたゾ」ガタッ 菫「座れ」 照「……咲、がんばってね」ボソボソ 咲「う、うん……ありがとう、お姉ちゃん」ボソボソ 京太郎「ほ、ほんと……何で咲がいるんだ?」 咲「い、いちゃダメ……かな?」 京太郎「だ、ダメじゃないんだが……その」 菫(煮え切らないやつだな) 尭深(押し倒せばいいのでは……) 照(頑張れ、咲ー) 京太郎「……と、とりあえず大星の様子でも見るか!」 咲「う、うん。そうだね」 菫(逃げたな) 尭深(逃げた……) 照(頑張れ、咲ー) □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「…………」プラプラ 淡「……ぶー! キョータロー、おそーい!」プンスカ ■白糸台高校 空き教室 京太郎「大星選手、ヒマで堪らないのか跳び箱に座って足を振っています!」 菫「見ればわかるな」 咲「そういえば……何で淡ちゃんは体育倉庫に閉じ込められているんですか?」 菫「お灸を据えるためだ」 菫「一応、事情を知らない咲ちゃんのために説明しておくか」 照「そうだね」 照「淡はトンデモナイことを仕出かした」 咲「あ、お姉ちゃんのプリン食べた以外でお願いします」 照「…………」ウツムキ 菫「まあ照はどうでもいいんだが、淡は自由奔放すぎるきらいがあってな」 菫「この間など七日間連続で『ヒャッハー! 今日はハロウィンだ!』と部員にお菓子をねだっていたんだ」 ハーベストタイム 菫「二日目からは皆もお菓子を用意してくるから、淡が『収穫の時だ!』と言いながら大喜びで食べて……」 咲「えっと……お互いに楽しんでるならいいんじゃないでしょうか」 菫「でも、私には一つも分けてくれなかったんだぞ!? おかしいだろ、お菓子だけに」 咲「それはひょっとしてギャグで言ってるんですか?」 菫「咲ちゃんが手厳しい……」 菫「渋谷! お前からも言ってあげてくれ」 尭深「は、はい……」 尭深「こ、この間のことなんですけど」 尭深「淡ちゃんが私の眼鏡とって『たかみ先輩は眼鏡を取っても可愛いね!』……って」 咲「……それだけですか?」 尭深「う、うん……からかうなんて、ひどいよね」ポッ 咲「そう思うなら、そうなんでしょうね……」 咲(渋谷さんの中では……) 菫「あ、淡に動きがあったぞ」 照「何か探してるのかな」 □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「ヒマだし、bokete.jpでも見てよっと」 淡「携帯、携帯……」ゴソゴソ 淡「あれ……無い」 ■白糸台高校 空き教室 京太郎「あるんだなこれが」スッ 咲「何で京ちゃんが持ってるの!?」 京太郎「携帯で気を紛らわされちゃいけないと思って、スってきた」 照「ナイス」 咲「もー……中身、見ちゃダメだよ?」 咲「それにしても、スリなんてどこで覚えちゃったの?」 京太郎「この間、満員電車に乗ったんだよ」 京太郎「んで、執拗の人の尻とか触ってサイフ取ろうとしてきた奴がいて、逆にサイフ取ってやったら開眼した」 咲「それ、スリじゃなくてチカ……」 京太郎「え?」 咲「いや、何でもないよ……やめよう犯罪行為」 □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「うー……携帯」 淡「部室に忘れてきたのかなぁ」 淡「…………」 淡「う、歌でも歌ってよ!」 淡「頂点まであと一息~」 ■白糸台高校 空き教室 菫「おい! 音量絞れ音量!」 菫「下手に歌詞とか聞こえたらジャスコが来るだろ!」 京太郎「それで危ないのは地元の商店街です」 咲「あの……そういえば、一人足りないような気がするんですが」 照「え? 誰が?」 咲「淡ちゃんは体育倉庫にいて、お姉ちゃんと弘世さんと渋谷さんはここにいるけど」 咲「白糸台は……もう一人二年生の人がいたような」 照「……そうだっけ?」 京太郎「俺に聞かないでください」 照「んー……」 尭深「いましたっけ……?」 菫「あ、いたいた……スパッツ履いてて、大量失点した」 菫「また……また……」 菫「……なんだっけ?」 照「また……亦ニキ?」 尭深「あ、マタンキちゃんですよ」 照・菫「「それだ」」 菫「マタンキなら体育倉庫の外で待機してるな、たしか」 菫「淡が歌ってるのを止めないといけないし、ちょうどいい」 照「そろそろ動いてもらおうか」 菫「おーい、マタンキ」 菫「そろそろ体育倉庫の窓を塞いでくれー」 □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「まーた遊ぼうよー」 淡「……あれ、暗い」 淡「……窓、塞がれてる?」 淡「…………」 淡「……あ! きょ、キョータローかぁ」 淡「もー、いじわるしないで出してよー!」プンスカ ■白糸台高校 空き教室 照「あんまり堪えてない?」 菫「しばらく放置してればいけるだろ」 咲「かわいそうですよ……」 京太郎「あ、これじゃ見えないんで暗視モードに変えておきますね」 咲「何で無駄にハイテクなの」 □Live-白糸台高校 麻雀部部室 淡「……うー」 淡「コラ! キョータロー、早く私を出せー」 淡「…………」 淡「い……いまならまだ許して、あ、あげるんだけどなー」 淡「…………」 淡「キョータロー……だよ、ね?」 淡「……うぅ」 ■白糸台高校 空き教室 照「淡がメゲはじめた」 菫「もうひと押しか」 照「マタンキに扉ドンドン叩いてもらおう」 菫「そうしよう」 咲・京太郎(*1) □Live-白糸台高校 麻雀部部室 バンバン! 淡「ひうっ!」 バンバン! ワタシハマタンキジャナイゾコラァアア! 淡「や、やめて、キョータロー」 バンバン! 淡「やめてよぅ……」 バンバン! 淡「ぅ……」 バンバン! 淡「うああああああああああん!」 ■白糸台高校 空き教室 京太郎「あぁ……泣いちゃった」 菫「う……」 咲「やっぱりやりすぎですよ。淡ちゃん大泣きですよ」 照「いや、でも……プリン」 モニター『テルー! たすけてー! てるー!』 咲「ほら! お姉ちゃんの名前呼んでるよ」 照「うぅ……」 菫「淡ー! 待ってろ、いま助けに行くからなー!」タッタッタッ 尭深「わ、わたしも」タッタッタッ 照「あ、待って……」タッタッタッ 咲「えっ、あの」 咲「……普通にマタンキさんに出してもらえばいいんじゃ」 京太郎「……もう行っちまった」 咲「後悔するのは目に見えていたんだから、こんなヒドイことしなければ良かったのに……」 京太郎「だよなぁ」 咲「もうっ! 京ちゃんだって同罪なんだからね!」 咲「……私も、止めれるチャンスはあったと思うけど」 京太郎「すまん……」 咲「…………」 京太郎「…………」 咲「……ふ、二人っきりになっちゃったね」 京太郎「お、おう……」 咲「……染谷先輩から聞いたんだけど」 京太郎「」ビクッ 咲「清澄でも、同じようなことしてたんだよね」 京太郎「え、えー……どうだったかなー」 咲「……わ、私のも、見てたんだよね?」 京太郎「見てな」 咲「染谷先輩から聞いたもんっ」 京太郎「うっ……」 咲「私は……その、好き……なんだけど」 咲「京ちゃんは……どう、なのかな」 京太郎「お、俺は……」 咲「…………」 京太郎「……俺も、咲のことが」 ハーベストタイム 和「抹殺の時だ! コラァ!!」グァシァァァ 京太郎・咲「「なっ……」」 咲「の、和ちゃん!? なんで白糸台に」 和「咲さんあるところ、私有りですよ」 咲「その包丁……何に使うの」 和「…………」 和「さあ、須賀君――天に還る時が来たのです」スッ 京太郎「和……」 咲「やめて! 和ちゃん!」 和「咲さんどいて! そいつ殺せない!」 咲「ど、どかないよ」 和「……なら、咲さんを殺して私も死ぬ!」 京太郎「やめろ和! お前の目的は俺だろう!?」 和「私の目的は咲さんだけです!」 和「なんで……なんで咲さんは須賀君を庇うんですか!」 咲「京ちゃんが好きだからだよ!」 和「私のことは嫌いなんですか!?」 咲「違うよ……和ちゃんも好きだよ」 咲「ただ……和ちゃんより京ちゃんの方が好きなだけだよ」 和「…………」 和「……須賀君」 京太郎「……おう」 和「咲さんを幸せにすることを誓いますか?」 京太郎「ああ、誓う」 和「破ったら殺しますからね」 咲「和ちゃん……」 和「ちくしょおおおおおおおお! リア充なんて爆発しろおおお!」ダッ 咲「和ちゃん! 包丁持って走ってたら捕まるよ!」 和「ナマハゲの真似だからいいんですよおおおおぉぉぉ……」 京太郎「……い、行ったか」 咲「あ、あは……京ちゃん、足震えてるよ?」 アワイー!> 京太郎「さ、咲だって」 ミンナー!> 咲「だ、だって怖かったんだもん」 咲「……ねぇ」 咲「だ、抱きついても、いい?」 ウワアアアアアアアァァー!> 京太郎「お、おぅ」ギュッ ギャー! インランピンクダー!> 咲「えへへ……」 咲「京ちゃん――好きだよ」 京太郎「俺も――好きだ、咲のことが」 咲「ん……」 ■清澄高校 空き教室 咲「あ、京ちゃん、ご飯粒ついてるよ」ペロッ 京太郎「うおわっ! な、なんつー取り方しやがる!」 咲「えへへ」 久「熱々ねぇ」 まこ「咲が日に日に積極的になっちょる気がするが……」 優希「咲ちゃん……幸せになるんだじぇ!」 優希「あ、そういえば明々後日」 咲「あ、和ちゃんの初公判だね」 京太郎「大丈夫か? 和のやつ」 優希「のどちゃんのお父さんが弁護するし、きっと大丈夫だじぇ」 京太郎(和……お前が刑務所に入れられようが、俺は絶対に約束を果たすぜ!) 咲「? 京ちゃん、どうかした?」 京太郎「咲はかわいいな、って思ってただけだよ」 咲「も、もー! からかわないでよね!」 まこ「おお、そうじゃ京太郎」 まこ「お前さん宛に連絡があったんじゃ」 京太郎「俺宛に?」 まこ「福与アナからじゃ」 まこ「なんでも、今度プロ雀士相手に覗き大会を――」 ~終わり~
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6424.html
「ななっ!今度さ、みんなでプール行かねえか!」 「プールっすか?」 「お前らもどうだ?」 「麻雀の方がいい」 「だ、だよねー」 「そんなこと言って、どうせ泳げないんだろ?」 「そんなことはない」 「へー、じゃあ証明しろよ!今週末俺んちの前で集合な!」 「首を洗って待ってて」 「ははっ!よく言うぜ!」 「京太郎、どうだったよ」 「照姉ちゃんも行くってさ!」 「よしよし、楽しんでくるんだぞ」 「父ちゃんは車よろしくな!」 「おう、任せとけ」 【十日目 決勝戦】 京太郎「痛た……なんだ今の夢」 京太郎「照と、咲とモモ?」 京太郎「……いよいよ、今日なんだよな」 京太郎「もこ、っ、離れろ」 もこ「んむー」ギュゥウ 京太郎「絶対起きてるだろ!」 もこ「起きてないー」ギュゥゥウ 京太郎「起きてんじゃねえか……はぁ」 京太郎「もこー離れろー」 もこ「んーん」 京太郎(どうにかして起こさないとな……) 京太郎「もこーもこー」 京太郎「……そうか、まだ起きないんだな」 京太郎「あぁ、今わかったよ、それがお前なりの考えなんだよな」 京太郎「それじゃあ俺はもう行く」 京太郎「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」 もこ「!」 もこ(ラ・ヨダソウ・スティアーナ……別れ) もこ「……」ガバッ 京太郎「お」 もこ「……嫌だ」 もこ「京太郎、まだ……」 京太郎「ん?」 もこ「まだ、共に、戦場へ」 京太郎「……ああ」 京太郎「いいぞ、行き掛けに朝飯食ってくか」 もこ「うん!」ニコッ 京太郎「荷物とかはもうまとめたか?」 もこ「準備万端、心配無用」 京太郎「よし、いざ出陣だ!」 京太郎「俺が一番乗り、か」 京太郎「この卓で、打つんだよな」 桃子「京太郎に先越されたっす……」 咲「もう、速すぎだよモモちゃん」 桃子「咲も体力つけないとダメっすよー!」 咲「そうは言っても、私運動音痴だし……」 京太郎「……なあ二人とも、話があるんだ」 咲「わかった」 咲「でもね、最後は京ちゃんが頑張らないとだよ」 桃子「照姉と約束をしたのは京太郎なんっすからね」 咲「そうだよ、ここまで来るのは私たちみんなの約束、でも勝つか負けるかは京ちゃん自身なんだから」 京太郎「……ああ、そうだな」 京太郎「絶対に勝つ」 京太郎「またみんなで打って、俺が勝つ」 照「…………」 京太郎「四人揃ったな、じゃあ――」 「――試合、開始だ」 東一局 親 咲 25000 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 全員ノーテンのため、流局 咲「ノーテン」 桃子「ノーテン」 照「ノーテン」 京太郎「ノーテン」 京太郎(……) 京太郎(幸先悪っ!) 京太郎(まあいい、これで……)ゴッ 照「…………」ゴッ 照の【照魔鏡】と京太郎の【照魔鏡】発動! 照「…………」 照(…………京) 東二局一本場 咲 25000 親 桃子 25000 照 25000 京太郎 25000 照「ツモ、600・1100」 照(……私の親番) 照(でも、京相手にどれだけ稼げるんだろう……) 京太郎(照の連続和了……今日なら、俺なら) 京太郎(まだ太刀打ちできる気がする!) 東三局 咲 24400 桃子 23900 親 照 27300 京太郎 24400 京太郎(いや、さっきのただの意気込みだから) 京太郎(少ししか自信が無かったから) 京太郎(なのになんで……) 京太郎「ロン、12000」 京太郎(マジで和了っちゃってんの俺!?) 照「…………」 京太郎(まあいい、これで親番は流した!) 京太郎「まだまだこれからだ!」 東四局 咲 24400 桃子 23900 点数移動:14300 照 15300 親 京太郎 36400 京太郎「照、それポン!」 京太郎(俺の親番……ここでもっかい行っとくか!) 京太郎(……咲、お前の十八番、借りるぜ!) 京太郎(いや、できないだろうけど……) 京太郎「カン!」 グラッ 京太郎「……っ」 京太郎「…………」 咲「京……ちゃん?」 桃子「ツモらないっすか?」 京太郎「っあ、ごめんごめん」スチャ 京太郎「……よし!」 京太郎「嶺上ツモ!4000オール!」 照「…………」 桃子(……まあ、このくらいっすかね) 桃子(こっから先は、ステルスモモの独壇場っすよ) 桃子が[ステルスモード]に移行しました 東四局一本場 咲 20400 桃子 19900 照 11300 親 京太郎 48400 京太郎(跳満に親満!ツイてる!ツイてるぜ俺ァ!) 咲「京ちゃん、それロン、16300」 京太郎「えっ」 京太郎「…………」 京太郎「えっ?」 咲「なんで聞きなおしたの」 南一局 親 咲 36700 桃子 19900 照 11300 京太郎 32100 照(流石に甘すぎたかな……) 照(ここからは、本気) 照(誰にも邪魔はさせない) 照「―――ロン、2000」 南二局 咲 34700 親 桃子 19900 照 13300 京太郎 32100 照「……ツモ、1000・2000」 照(ここは、もう攻める!)ゴッ 咲「!」ゾクッ 咲(この感じ……お姉ちゃん) 咲(大変なことになるかも……) 【鏡開き】発動! 南三局 咲 33700 桃子 17900 親 照 17300 京太郎 31100 照(最後の、親番) 手牌:一ニ112①⑧⑨南西北發中 ツモ:東 照(一索が頭、後は揃うのを待つだけ) 打:2 京太郎(ん?結構調子よくねえか?) 手牌:四四五133358③⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(タンヤオ三暗刻、上手くいけば四暗刻まで行けるかも……) 京太郎(……あれ?) 打:③ 咲(二暗刻、多分これは、やっぱりお姉ちゃん) 手牌:三三三八222688④⑤⑦ ツモ:二 咲(でも、そっちがその気なら) 打:八 桃子(配牌四対子って……) 手牌:六七②②③④④④⑧東西西北 ツモ:東 桃子(まずは様子見っすね) 打:六 照(…………) 手牌:一ニ11①⑧⑨東南西北發中 ツモ:白 照(これで、一向聴) 打⑧ 京太郎(んーっと、これは……) 手牌:四四五1333558⑥⑥⑥ ツモ:四 京太郎(……狙ってみるか) 打:8 京太郎(でも、こんなこと前にもあったような……?) 咲「……ポン」 咲(お姉ちゃんのあの気配、昔と同じ……) 手牌:二三三三2226④⑤⑦ 【888】 咲(まずは……) 打:6 桃子(黒ばっかっすね) 手牌:七②②③④④④⑧東東西西北 ツモ:⑧ 桃子(混一色、一盃口か七対子あたりっすかね) 打:七 照(国士無双九萬単騎……) 手牌:一八11①⑨東南西北白發中 ツモ:9 照(これなら、勝てる) 打:八 京太郎(……そういや、よくあったっけ) 京太郎(みんな揃って役満手って) 京太郎(まあ俺は気づかなくて四暗刻崩しちゃったりしてたけど) 京太郎(今思うとクソもったいねえよな) 京太郎(……さて) 手牌:四四四五133355⑥⑥⑥ ツモ:5 京太郎(四暗刻単騎待ち……ってか三巡目でこれはおかしいだろ、どうなってんだ全自動卓) 京太郎(恐らくは照も役満……当たったら一溜りもねえ) 京太郎(でも、俺は……) 京太郎(直接対決だ、照) 咲(……んー) 咲(四槓子……和了れる、かな) 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【888】 ツモ:8 咲「カン」 手牌:二三三三222④⑤⑦ 【8888】 ツモ:⑦ 咲(…………) 打:二 桃子(これで一向聴?っすかね) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西北 ツモ:西 桃子(客風は来なくていいっすよ……) 打:北 桃子(もう集まっちゃったからしょうがないっすけど) 照(不要牌……?) 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:⑦ 照(それだけじゃない、ヤオチュー牌がモモたちに流れてる) 照(こんなこと、今まで……) 照(……咲がずらした?) 照(いや、それなら既に手は止まってるはず) 照(…………) 照(違う、この感じ) 照(麻雀を始めたころに、段々引き戻されていくこの感覚……) 照(手が進まなくて、もどかしくて、けどわくわくして楽しい気持ち) 照(……懐かしい、気持ち) 打:⑦ 照(これは…………) 咲「ポン」 手牌:三三三222④⑤ 【⑦⑦⑦】 【8888】 咲(テンパイ……だね) 打:④ 桃子(……うわ) 手牌:②②③④④④⑧⑧東東西西西 ツモ:⑨ 桃子(一向聴のまんまっすか) 打:⑨ 照(……九筒) 照(モモのツモは本来、私のツモだったはず) 照(なら、私のツモは……) 照「…………っ」 手牌:一119①⑨東南西北白發中 ツモ:1 照(……一索) 照(もし、私の予感が当たってたら、これは多分京の和了り牌) 照(絶対的な確証はない、けどこの予感は本物) 照(オリることもできるけど、そうすれば勝ち目が無くなる) 照(…………) 照(……突っ張るか、逃げるか) 照(どうすれば……) ―――――――――――――――――――――― 京太郎「ポン!」 京太郎「チー!」 京太郎「それもポンだ!」 京太郎「さらにポォーン!」 咲「京ちゃんまた裸単騎?」 京太郎「男たるもの一個で十分だ!」 京太郎「それに今回はただの裸単騎じゃないんだぜ!」トン! 照「ロン、36000」 京太郎「そげぶっ」 桃子「致命傷っすね」 京太郎「……ちぇっ、前に一索捨ててたから和了れるって思ったのに」 京太郎「つーかその手だったら一索捨てない方が速かったじゃんか!」 照「安全だと思ったからね、考えなしの京とは違うんだよ」 京太郎「何だよそれー、危なくてもテンパイしろよー」 京太郎「高いのが恐くてやってられるかよ!」 咲「それ、完全に負ける人の台詞だよ」 京太郎「なあなあもう一局打とうぜ!」 桃子「そろそろ帰った方がいいっすよー」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「あ……」 照「終業だね」 桃子「今日はこれでお開きっすね」 咲「早く帰らないとまた先生に怒られるよ?」 京太郎「よし、早く帰ろう」キリッ 三人「切り替え早いな(っすね)」 京太郎「……あ、忘れてた!」 京太郎「ななっ!今度さ――――」 ―――――――――――――――――――――― 照(危なくてもテンパイ、か) 照(…………) 照(……私も) 照(前に、進もう) 照(たとえこれで当たっても、後悔はしない)スッ 照(これが、私の選択) 照(だから――) ――――トンッ 京太郎「――ぁ」 京太郎(……来た) 京太郎(これで……俺の勝ちだ)ギュッ 京太郎(後はただ、声を出すだけ!) 「ロ――――」グラッ (何だ、何だこれ……) (何かが、流れ込んでくる……) 「――――ンっ!?」 叫びと、目の前の人だかり 無意識の内に俺の足は走り出していて、誰の声も聞かずに飛び込む 柔い衝撃の後に少し温い水が体を包み、俺の前進を遮ろうとした 息つく間を与えずに手で水を掻いて押し出して、水が口を満たしても脚で水を蹴って押し退ける 掴みそうで掴めない感覚の先にあったのは、目指していた柔らかい肌だった 五つの感覚が、差し出した手を包む 抱えた女の子の顔は蒼白く生気を失っていて、その辛そうな表情に不安を覚える 咽る、気管に入り込んだ水に体が拒否反応を示したのだ 女の子を映す眼は光を失い、咽る内に呼吸もままならなくなり、脚からは力が抜けていく ――いなくなってほしくない ただ放すまいと腕に力を込める、絶対に救いたいと切に願う ――――だが、やがてはその願いも、込めた力も、意識が落ちると同時に果てた 京太郎「……はぁ、はぁ」 咲「京、ちゃん?」 桃子「大丈夫っすか?」 京太郎「ぁ、ああ、大丈夫だ――」 京太郎(深呼吸……深呼吸) 京太郎「すぅぅぅぅぅーー……」 京太郎「……はぁぁぁぁぁーー」 京太郎「……よし!」 ――――ロン!―――― ――――四暗刻単騎、32000!―――― 終局 京太郎 63100 咲 33700 桃子 17900 照 -14700 腹の底から声を出した、堂々と終わりの声を告げた、牌を倒した手は汗まみれで、なぜか体が熱かった それは、照を飛ばしたことの興奮からか、それとも―― 京太郎「俺の勝ちだ、照」 照「…………うん」 少しだけ下に向けた照の顔はどこか満足気で、今さっき脳裏に浮かんだ女の子の青褪めたそれが重なった ……じゃあ、俺が助けたのは…… でも、俺が照と水場に行くなんて、そんなこと、一回しか―― 『ななっ!』 ――何かが白くぼやけている ――何かが、思い出せない 京太郎「……なあ」 桃子「どうかしたっすか?」 咲「京ちゃん?」 京太郎「一つ、聞きたいんだけど」 京太郎「……俺、俺たちで海とか行かなかったか?」 照「…………」 咲「海?」 『今度さ、みんなで――』 京太郎「――――あ、いや」 京太郎「……プール」 そうだ 京太郎「プール」 膨れ上がった袋の結び目を解くように 京太郎「……三年前、みんなでプールに行ったよな?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 俺は表彰式を終え、取材とかその他諸々の用事を済ませた後に街の喫茶店で照と落ち合うことになった ちなみに、咲とモモは都合が合わないので来ないそうだ 俺よりも取材が多い照は少し遅れて店へ来た あらかじめ俺が頼んでおいたココアを一口啜って、照は口を開いた 照「熱い」 京太郎「そりゃそうだ」 照「水が欲しい」 京太郎「はいよ」 照「ありがとう」 透明なグラスに入った水を火傷した舌でチロチロと舐める照の姿は、何と言うか可愛らしかった 照の様子が落ち着いたのを見て、話しかける 京太郎「で、話してくれるんだよな」 京太郎「三年前、俺に何があったかを」 照「……うん」 照「私は、もう逃げない」 もう一口ココアを啜って、照は話し出した ―――――――――――――――――――― 俺と照が出会ったのは、俺がモモと知り合ってから三年後、小学二年生のある春の日だった いつもは休日も暇な俺とモモで遊ぶはずだったが、モモは家の用事で遠出をしていたため、俺は暇な休日を過ごしていた 新たな出会いを求めて近くの公園へ出かけたときに、俺は照を見つけた 京太郎「なーなー姉ちゃん」 照「……何?」 京太郎「せっかくこんなに天気良いんだからさ!ぱーっと遊ぼうぜ!」 照「私には本で十分」ペラッ 京太郎「はっはーん、お前ひょっとして友だちいねーんだろ」 照「」ピキッ 照「そんなことない、友だちの一人や二人……」 京太郎「じゃあ俺とでも遊べるだろ?」 照「しょうがないな、お姉さんが相手してやる」 京太郎「よっしゃあ!何する?何する?」 照「えーっと、かくれんぼ、かな?」 京太郎「そんじゃあお前鬼だからなー!」 照「えっ」 京太郎「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 照「こちらこそ」 京太郎「モモがいないからひまだーって思ってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 照「……照」 照「宮永照だから、照って言って」 京太郎「テル、か俺は京太郎だ!」 照「……長いから京でいいかな」 京太郎「おう、大かんげーだ!」 京太郎「んじゃまた会おうぜ!じゃな!」 そのうち、照とモモと三人で遊ぶようになって、咲も混じって来るようになった いつからか俺たちは麻雀で時間を過ごすようになった 照曰く、俺は照と互角に打てるほどだったらしい。「曰く」や「らしい」というのは俺が昔のことを覚えていないからだ それこそ飛ぶこともあったが、今日のように照たちを飛ばすこともあったそうだ ……そうして、六年前の夏に俺たちは約束を交わした 国民麻雀大会で四人で打つ、という無謀で実現可能だった約束を 俺たちが小五になると照だけは中学に上がり、必然的に俺たちが一緒に遊ぶ回数も減っていった 距離感を感じた俺から照への呼び名は照姉ちゃん、と少し疎遠なものへと変わっていた そんなこんなで三年前、俺たちは中学へ上がり、照と麻雀部を設立した 顧問の先生は厳しい人で、遅くまで残っていると怒られたりもした 四人で麻雀を打って、喋って、帰って、遊んでいた それでも、照との距離は縮まっていないように思えた 照は一人だけ俺たちと違う学年で、中三ともあって先生に呼ばれたりして部活に来れないこともしばしばだった そこで、俺は四人の距離をもっと縮めるために、夏休みの間にみんなを県内のプールに誘った 元は俺の疑問を聞いた父さんの提案で、当日も父さんに連れて行ってもらった 俺たちが行ったのは、25mプールとか流れるプールだとか、ウォータースライダー、波のプールとかがあったりするオーソドックスでそこそこ大規模なプールだった 照とモモは流れるプールで泳ぎ、俺は25mプールで咲の泳ぎの稽古をつけていた 例の件は、その昼時に起きた ――――ここから先は、照の話によるものだ 【side-照-】 照「モモがどっか行っちゃった……」 照「みんな迷子になりすぎだよ、やっぱり私がしっかりしないと」 照「もう一泳ぎして行こう」チャプチャプ 照「…………」 照「私も京に教われば良かったかな」 照「けど、そうすると馬鹿にされそうだし……」 照「はぁ……、ッ!」 照「痛っ!」 照(あ、脚が……!)ジャバジャバ 私が脚をつったのは、流れるプールの中でも幅が大きいところ このままだと溺れる、と恐怖して 誰かが助けてくれる、と希望したその矢先――― ピンポンパンポーン 『ただいまより、安全確認を行いますのでご遊泳中のお客様はプールからお上がりください』 ―――無機質な音と少し低めの声が館内に響いた 照(なっ、なんで……) 周りの人の注意は当然プールサイドへ向いて、私の方は見もしない 溺れまい、ともがけばもがくほど力は発散されていって、息は途切れ途切れになっていく 呼吸を整えようとしても口に入ってくるのは水ばかりで酸素の一欠けらもないように思える ようやくプールサイドに人が集まって、大声が聞こえた 「助けろ!」とか「危ない!」だとか 人だまりの端から、飛び込んでくる人影が見えた。金色の軌跡が目に入った ああ、やっと助けに来てくれた、と安堵して、身体から力が抜けていった 荒い吐息が肌にかかって少しくすぐったかった 意識が遠のく中で、触れた手を握り返した 温かくて、優しい手を 気が付いて体を起こすと、目の前では咲とモモが泣いていて、私の隣では京が寝ていた 二人の話によると、あのとき私を助けてくれたのは京で、その京自身も息ができなくなって溺れてしまったらしい 咲「えっと、じゃあ私京ちゃんのお父さん呼んでくるね」 桃子「あ、私も行くっす!」 照「行ってらっしゃい」 咲「はーい、まだ寝てていいからねー」 ガチャ バタム 照「…………」 照「……京?」 隣で寝ている幼馴染に声をかけてみても―― 京太郎「ぐぅ……ぅ……」 ――返ってくるのは寝息だけだった 照「……もう」 ベッドが近いのでほっぺを突っついてみる 私のと比べると少し硬いほっぺは私よりも多くの表情を作り出す 笑ったり、怒ったり、寂しがったり、悔しがったり、京も咲もモモも私には作りにくい表情を見せてくれる 休日は遊びに連れ出して、平日は麻雀で相手をしてくれる ここ二年はあまりそういうことはできなかったけど、一人の私に構ってくれる 初めて遊んだときだって…………あれは京が寂しかっただけか 京太郎「ぐごぉ…………」 隣の恩人に「ありがとう」と小さく呟いて、手を握った 今度は、寝ている京は、握り返さなかったけど ――――――――――――――――――――――――― 照「……しばらくして京も目が覚めて、おじさんも来た」 照「次の日の部活動でもみんなで打った……でも」 照「異変があった」 京太郎「異変?」 照「京が弱くなってた」 京太郎「弱い……か」 照「前は点数計算もできてたのに、その日からはリーチも鳴きも役満もわからなくなっていて」 照「まるっきりの初心者になっていた」 京太郎「……は?」 照「私もよくわからないけど、多分溺れて気絶したときに京の頭がおかしくなったんだと思う」 京太郎「いやどういうことだよ」 照「事故のショックで記憶を失うとか、そういうことらしい」 京太郎「さっぱりわかんねえんだけど」 照「話を戻す」 京太郎「おい」 照「……咲は京を楽しませようと京を勝たせるように細工をするようになった」 照「私が東京へ行く前には8局全部プラスマイナスゼロなんてことができるようになってた」 照「モモも京を気遣って消えることが少なくなった」 照「……あの日から、私たちは変わってしまった」 照「変えてしまったのは、私」 照「だから、私はまた、京たちの輪から遠のいていった」 照「遊ぶこともなくなったし、麻雀をすることもなくなった」 照「そんなときに、母さんの転勤話がでてきた」 照「ちょうど白糸台からも話が来てたし、このままでいいと思って私は東京へ行った」 照「京は、モモと咲と一緒にいた方が幸せだと思った」 照「私はもう必要ないんだ、って思った」 京太郎「…………」 京太郎「まあ、何となくわかったけど、じゃあどうしてお前は三箇牧に来たんだ?」 京太郎「おばさんのことも、白糸台のことも都合悪いじゃんか」 照「白糸台は……嫌だった」 京太郎「部員の人たちは結構慕ってるみたいだったけど?」 照「私が入ってから麻雀部に来た人たちはほとんどが私目当てだった」ドヤァ 京太郎「若干どや顔しながら言うなよ」 照「そのうちにみんなやる気を無くしていって、その人たちと打つことも少なくなった」 照「私はただの客寄せパンダなんだ、って」 照「東京の上野だけに、ね」ドヤァ 京太郎「あーはいはい」 照「それから、だんだん麻雀に嫌気が差していった」 照「けどみんなとの約束も破るわけにはいかないから、続けた」 照「……それで、母さんから京が三箇牧に受かったって聞いた」 照「咲たちは長野の公立、京だけは大阪の私立、一緒にいるはずだった咲たちと京が離れた」 照「……私は京に謝ろうと思った」 照「あれさえなければ、京は咲たちと仲良くなれたはず」 照「あの日のことを全て打ち明けようって思った」 照「だから、今日……」 京太郎「ちょいタンマ」 照「なに?」 京太郎「お前、何か勘違いしてないか?」 照「?」 京太郎「俺が三箇牧に来たのは麻雀と勉強を頑張るためなんだけど」 京太郎「麻雀部、確か六年前に優勝してたし、全国二位もいるって聞いたし」 京太郎(あの学校複雑だからゆっくり探そうと思ってたんだけど、案外早く見つけちゃったんだよな……) 京太郎「別に俺があの二人と仲が悪いとかそういうわけじゃないぞ?」 照「そうなの?」 京太郎「今日見ただけでわかるだろ」 照「…………」ウーン 照「……あっ」ピコーン 京太郎「ったく、今の今までお前は……」 照「…………」ズズッ 京太郎「……なあ」 照「何?」 京太郎「陽も落ちるし、そろそろ帰るか」 照「うん」 京太郎「ホテルまで送ってくか?」 照「菫と淡が迎えに来るから大丈夫」 京太郎「そっか、じゃあまたな」 照「うん……あっ」 京太郎「どした?」 照「優勝おめでとう」 京太郎「ああ、ありがと」 照「バイバイ」 京太郎「またメールするからー!」 国民麻雀大会で優勝した! 京太郎「さて、どっか行こうかな」 夕 京太郎「結局暇だなー」 京太郎「他の人もゆっくりしてるんだろうし遊びに誘ってみるか」 京太郎「団体戦の労いも兼ねて雅枝さんを誘うぞ!」 京太郎「……人妻と遊びに行くっていいのか?」 prrr prrr 雅枝『愛宕です』 京太郎「雅枝さん!遊びに行きましょう!」 雅枝『いきなり何言うとるんやお前』 京太郎「団体戦、疲れたでしょう?」 雅枝『確かに疲れたけど、それがどないした?』 京太郎「なら洋榎さんの相手なんかしてないで俺と遊びに行って疲れを取りましょう!」 雅枝『どっちにしても疲れる気がするんやけど』 京太郎「まあまあ、行きましょうよ」 雅枝『そもそも行くってどこ行くんや』 雅枝『それに、夜用事があるから長くは遊べへんで』 京太郎「じゃあ行ってくれるんですね!」 京太郎「行くのは 雅枝「ファミレスで何するつもりや」 京太郎「駄弁ったり、くつろいだり」 雅枝「ええ歳した大人がええんやろか……」 京太郎「まっ、もう来ちゃいましたからね」 雅枝「せやな」 京太郎「雅枝さんは何を食べますか?」 雅枝「軽いもんでええわ」 京太郎「すみませーん!ハンバーグプレート二つー!」 雅枝「ちょいちょい待て!今軽いもん言うたやろ!」 京太郎「え?200gって軽くないですか?」 雅枝「単純な重量ちゃうわ!」 京太郎「あはは、わかってますよ、関西人を試しただけですから」 雅枝「アンタなぁ……」 店員「それで、ご注文は?」 雅枝「抹茶ぜんざい」 京太郎「じゃあ俺は……」 店員「かしこまりましたー」 雅枝「結局食うんか」 京太郎「こう見えて早食いなんですよ、俺」 雅枝「ふーん」 京太郎「素っ気無いっすね」 雅枝「遅くなりそうやから戒能プロに連絡しとこ」 京太郎「良子さんがどうかしたんですか?」 雅枝「ああ、戒能プロと臨海んとこの監督と善野監督とで飲み会行くんや」 京太郎「それが夜の予定っすか」 雅枝「ほな電話するから静かにしとき」 京太郎「」ピッピッピッ 京太郎「あ、良子さんですか?飲み会、俺も行っていいですか?」 京太郎「はい、了解っす!」 ピッ 京太郎「俺も行くことになりました」 雅枝「行くことにさせたんやろが」 京太郎「そうとも言いますね」 店員「お待たせいたしましたー」 京太郎「おっ、来た来た」 京太郎「そんじゃあお先に頂きまーす」 雅枝「ほんま気ままやな」 京太郎「そういえば絹恵さんってまだ成長してるんですか?」 雅枝「何の話しとるんや、ええ加減にせんと怒るで」 京太郎「洋榎さんは着けなくていいですよね、あれなら」 雅枝「使い回しばっかやから助かるわ」 京太郎「まあそうでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「娘たちと同じくらいの男となんて話しとるんや私は……」 京太郎「同感です」 雅枝「男子高校生と居酒屋行くってアカンやろ」 良子「オーライですよ、プロバブリー」メソラシ 臨海「久しぶりだな、須賀」 京太郎「お久しぶりです、監督さん」 善野「優勝おめでとな、須賀くん」 京太郎「どうも、ありがとうございます」 良子「早速中に入りましょうか」 京太郎「飲み会って大体どんなことするんですか?」 雅枝「アンタがさっきしようとしとったことや」 京太郎「ただ酒飲んで話すだけですか」 善野「そういうことやな」 良子「それではもう頼んでしまいますねー」 京太郎(流れで来たはいいけど……) 京太郎(適当に誰かと話すか) 京太郎「それにしても、なんでこの面子で飲み会なんてしてるんですか?」 京太郎「良子さんと善野さんと雅枝さんと霞さんならわかるんですけど……」 臨海「むっ、私がいると不満なのか?」グビッグビッ 京太郎「そうじゃないですけど、気になるなーと」 雅枝「前の合宿で協力もしてもろうたしな、あと石戸はああ見えて未成年やし」 京太郎「なるほど」 臨海「ふぇぇ、カイノー!須賀が虐めるぅぅぅ!」ビエーン 京太郎「えぇぇっ!?」 雅枝「もう出来上がってもうたんか……」 良子「待ち合わせ前にワンカップをスリーカップくらい飲んでましたからね」 善野「ええなぁ、お酒」 京太郎「飲めないんですか?」 善野「お酒とか、色々と先生に禁止されとるからダメなんよ」 善野「居酒屋来てもおつまみくらいしか食べられへんのよね」 良子「あ、そうでした善野さん、今度の姫松とのゲームなのですが」 善野「あー、せや頼んどったね、どないしました?」 良子「それがですね――――」 京太郎「……」チュー 雅枝「……」ヒョイ パクッ 京太郎「……」パクッ 雅枝「……」ゴクッ 雅枝「……何か話そか」 京太郎「そうしましょう」 店員「お待たせいたしましたー」 店員「こちら、砂肝と若鶏のから揚げでございます」 京太郎「」ピクッ 雅枝「」ピクッ 京太郎「から揚げ……」 雅枝「ほなレモンかけるで」 京太郎「え、何言ってるんすか?レモンかけるとか正気ですか?」 雅枝「から揚げにはレモンって相場はきまっとるやろ」 京太郎「雅枝さん、それ一回内科に行った方がいいですよ」 雅枝「から揚げにレモン無しで食べられる方がどうかしとるわ」 京太郎「俺の方が主流だと思いますけどね」 雅枝「ほな他のにも聞いたろか?」 京太郎「いいですよ、どうせ……」 「レモン?から揚げにレモン?……ププッ」 京太郎「とかなるんですから」 雅枝「さあどうやろな、そっちこそ」 「どうして、から揚げに何もかけないで食べることができるだろうか?いいや、できまい」 雅枝「とか言われるに決まっとるわ」 京太郎「なんで反語?」 京太郎「……雅枝さんの家に電話して答えてもらうってのはどうですか?」 雅枝「ふん、ええわ、愛宕家に勝負を挑むとはええ度胸や」 京太郎「じゃあ俺からかけますね」 prrr prrr 洋榎『はいはーい、いつもニコニコ元気な愛宕やでー』 京太郎「あ、洋榎さんですか?」 雅枝「なんや洋榎か……」 洋榎『京太郎か、どないしたん?』 京太郎「洋榎さんってから揚げに何かけます?」 洋榎『ウチと絹は何もかけへんで』 雅枝「……は?」 京太郎「雅枝さんがかけたりするんじゃないんですか?」 洋榎『オカン帰り遅いからな、絹とウチだけで食べとるんや』 洋榎『あ、もちろん作るんは絹やで』 京太郎「知ってます」 洋榎『今日も飲み会やいうし、たまには一緒に食べたいわ』 京太郎「……俺からも言っておきますね」チラッ 雅枝「……」 絹恵『お姉ちゃーん、ご飯できたでー』 洋榎『はーい、ほなまたな』プツッ 雅枝「…………」 京太郎「…………」 京太郎「俺の勝ちですね!」ドヤァ 雅枝「この雰囲気で言う言葉!?」 京太郎「んー、でも家族と食べた方がいいですよ」 京太郎「なるべく早く切り上げるとか……はもうしてるんでしょうね」 雅枝「……そうなんやけどな」 京太郎「俺も一人暮らしなんで寂しいんですよ、だから洋榎さんたちも寂しいんじゃないかな、と」 雅枝「せやったら今度うちに来るか?四人で食べるのも悪ぅないやろ」 雅枝「なんなら京太郎のこと迎えに行くのもええし、あとは……この後とか?」 京太郎「……雅枝さんが俺を家に連れ込んだら、洋榎さんたちってどんなリアクションするんでしょうね」 雅枝「…………」 雅枝「!」 雅枝「べ、別に変な意味は無いんやからな!」 雅枝「こうすれば洋も絹も京太郎も寂しないやろ!」 京太郎「わかってますよ、機会があればお願いします」 雅枝「それでええわ、それで」 雅枝(ちょっと変なこと想像してもうたやないか、まったく) そして四時間後 良子「きょぉたろぉ……もう遊べないの?」 京太郎「松山と大阪じゃあ流石に無理でしょう」 良子「いやだいやだいやだぁー!」ギュッ 京太郎「あーもう面倒くせぇ……」 雅枝「京太郎?聞いとる?」 京太郎「はいはい、それで洋榎さんがどうしたんですか?」 雅枝「それでなーそこで洋がなー」 臨海「焼酎もう一杯……」Zzz 善野「……そろそろお開きにしよか」 京太郎「ですね」 臨海「新大阪どっちらっらへ?」 京太郎「何言ってるのかわかんないっすよ」 良子「きょぉたろぉ、送っていってぇー」 京太郎「よっかからないでくださいよもう、ほらしっかり立って」 雅枝「あ、洋と絹が見えるわぁ……」 京太郎「いないですよ!どこにもいないですから!何見えてるんですか!」 雅枝「あはははぁ……」 京太郎(大人ってめんどくせぇ……) 善野「ふふふっ、ほな帰ろか」 京太郎「ちっとも笑いごとじゃないですよ」 洋榎「ほな監督お疲れさんさんさんころり~」 絹恵「さよなら~」 雅枝「本物や、本物がおる~」ウツラウツラ 洋榎「とっとと帰るで」グイグイ 雅枝「うぇへぇはぇ~洋の腕やわらか~い」 洋榎「気持ち悪いわ!」 絹恵「せやったら私は左!」 雅枝「絹もやわらかいなぁ~」 善野「また学校でな」フリフリ 良子「あぁぁ……帰りたくないー」ギュッ 京太郎「帰ってください、タクシー来てますから」 臨海「カリフォルニアへレッツゴー!」 運転手「えっ」 京太郎「新大阪まででいいですから!」 良子「きょぉたろぉとどこまでも~」 京太郎「さっさと離れてくださいよっ」 ブロロロロ 京太郎「というわけで帰りましょうか」 善野「ええの?」 京太郎「善野さんみたいな人が一人で夜道を歩いてたら危ないですからね、行きましょうか」 善野「よろしく頼むで、王子様」 京太郎「かしこまりました、お姫様」 京太郎「段々寒くなってきましたね」 善野「風邪引きやすぅなるのは勘弁や……」 京太郎「風邪と言えば……末原先輩ってどうなんですか?」 善野「どういう繋ぎ方しとるんや」 善野「恭子ちゃんはええ子やで、いつも一生懸命やし、洋榎ちゃんよりも主将らしいし」 京太郎「俺が打ったときも強かったですよ、少し自信なさそうに見えましたけど」 善野「宮永咲ちゃんにやられたときからあんな調子やったんや、洋榎ちゃんたちとみんなで励ましたけどな」 善野「今度、須賀くんと打ってみたいわ」 京太郎「はい、俺もです」 善野「これからも同じ大阪やさかい、よろしうな」 京太郎「ははっ、三箇牧は負けませんからね」 善野「こっちやって負けてばっかりやないんやで」ニコッ 善野「あ、もうここまででええわ」 京太郎「そうです、か、じゃあまた!」 善野「はいはい、お疲れさん」 京太郎「善野さんも送って無事帰って来たことだし、何かするか」 夜 京太郎「少し寒いけど散歩して来よう」 京太郎「夜も遅いし、いつも通り人もいないなーっと、あ」 京太郎「あの人は……」 エイスリン「ア!キョウタロー!」 京太郎「すっごく久しぶりな感じがしますね」 エイスリン「!」 エイスリン「ン……」ゴソゴソ エイスリン「キョウタロー、コレ!」つ|京太郎が笑っている絵| 京太郎「これ、俺のために?」 エイスリン「」コクッ エイスリン「キョウタロー、オメデトウ!」 京太郎「うわぁ、ありがとうございます!」 エイスリン「ドーイタシマシテ!」 京太郎「で、何してたんですか?」 エイスリン「sketch!」 京太郎「夜道を描いてたんですね」 エイスリン「ゼンゼン、カイテナカッタカラ!」 京太郎「ずっとホテルでしたもんね、やっぱりこっちの方が楽ですよ」 エイスリン「ラクチン!」ニコニコ エイスリン「…………」カキカキ 京太郎「……」ジーッ エイスリン「キョウタロー?」 京太郎「何ですか?」 エイスリン「ツキ、キレイ?」 京太郎「確かに綺麗ですね、それが何か?」 エイスリン「"I like you"ハ『ツキガキレイ』!」 京太郎「そうなんですか?」 エイスリン「ナツメソウセキ!」 京太郎「へぇ、そんなことが」 エイスリン「キョウタロー、ツキガキレイ!」 京太郎「同感ですね」 エイスリン「エヘヘ……」 エイスリンの好感度が上がった! 【11月第1週 休日】終
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/616.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344119821/ 京太郎「俺は、強くなりたい」 京太郎「俺は県大会で皆の活躍を見ていたから」 京太郎「部長、染谷先輩、優希、和。そして…咲のように」 京太郎「皆と渡り合えるくらいに、混ざれるくらいに、強くなりたいんだ!」 京太郎「だから――」 ハギヨシ「……」 京太郎「――リーチ」 ハギヨシ(二半荘目は開局早々ダブリーですか…!) 京太郎「――一発ツモ。2000・3900」 ハギヨシ「!」 東2局 親 京太郎 京太郎(さっきのダブリーは偶然だ。あんなの、たまたま配牌で張っていただけに過ぎない) 京太郎(優希の打ち方にも憧れていたが、俺には不向きだな) 京太郎(だったら、これはどうだ…?) ハギヨシ(おや、聴牌が入りましたか。でしたら…) ハギヨシ「リーチ」 京太郎「ロン。7700」 ハギヨシ(23345mの形から5m切りで聴牌を取るこの打ち方は…!) 京太郎(確かにこれは部長の打ち筋だが、部長だったら鉄リーだ) 京太郎「ちょいと裏ドラを失礼……」 京太郎(同じ配牌、同じツモで部長が打ったら18000…ダブルスコアだ) 京太郎(皆と同じところまで、俺も……!) 東2局 一本場 親 京太郎 ハギヨシ(先に行った1回目の半荘の時よりも凄まじい闘気を感じる) ハギヨシ「あなたはもう…あの方々と同じ高みまでたどり着いたのではないですか?」 京太郎「…いや、まだだ」 京太郎「こんなもんじゃ皆には届かない」 京太郎「あの5人はすっげえ高いところで打ってる」 京太郎「幸運に恵まれただけの、今この瞬間だけバカヅいている俺なんかより、ずっと高いところで」 京太郎「今日のこの数半荘の内に同じところに立とうなんて、そんなこと思っちゃいませんよ」 京太郎「今の俺は…まだ高みの麓で、皆の真似事しか出来ないから――」 ガシャッ ハギヨシ「!」 京太郎「リーチ!」 ハギヨシ(このまま流れに乗せるとマズイですね) ハギヨシ「チー!」 京太郎(一発を消されたか……ん?) 京太郎「……ははっ」 ハギヨシ「もしや…ツモってしまいましたか?」 京太郎「いや、そうじゃないですが、まさか本当に真似事が成就するだなんて……今の俺は相当なバカヅキみたいです」 京太郎「カン!」 ハギヨシ「暗カン…!」 ハギヨシ(須賀様。あなたは先程今日中に同じ場所に立つことは不可能だと仰った) 京太郎「…カン!」 ハギヨシ(しかし、今日のあなたを見ていると…) 京太郎「もいっこ、カン!!」 ハギヨシ(それも可能ではないかと、思ってしまうのです) 京太郎「――ツモ!」 ハギヨシ(立直、ツモ、三暗刻、三槓子、嶺上開花、表のドラが3つ…) 京太郎「えっと、槓ドラをめくってくれますか?」 ハギヨシ「あっ、これは失礼しました…」 ハギヨシ「…!」 京太郎「咲の牌譜を見る限り、咲のカンは自分にドラが乗らないんです」 ハギヨシ(槓ドラが…) 京太郎「……この瞬間だけ咲を超えれたような気がします」ボッ ハギヨシ(……十二) 京太郎「今日はありがとうございました」 京太郎「俺、自分がなんで麻雀部にいるのか忘れていました」 京太郎「俺が麻雀部にい続ける理由、それは…」 京太郎「皆と並ぶこと、皆のように強くなることだったんだ」 ハギヨシ「…須賀様」 京太郎「はい?」 ハギヨシ「そんなに謙遜なさらないほうがいいと思いますよ」 京太郎「へ?」 ハギヨシ「あなたならきっと、並ぶことはおろか、超えることだって可能です」 京太郎「えっ…。でもあの嶺上開花はたまたま和了れたんであって、あの後は良いとこ無かったじゃないですか…」 ハギヨシ「…そんなことはありませんよ。須賀様ならいつかきっと――」 ハギヨシ「――宮永様を超えることが出来るはずです」 京太郎「え…宮永様って…!別に、咲ばっかじゃなくてっ…」 ハギヨシ「そうですか?あの数え役満以降、和了の八割が嶺上開花ではなかったですか」 京太郎「あっ、あれは、たまたまですって!」 ハギヨシ「嶺上開花はたまたま八割出現するものではありませんよ。意識していなければ成すことの出来ない和了です」 ハギヨシ「須賀様は宮永様を強く意識していらっしゃるようですね」 京太郎「意識って…だからそんなんじゃないですってば!」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6407.html
【インターハイ2日目】 竜華(眠れへん……) 京太郎(眠れねぇ……) 京太郎「ふぁぁあ」 咏「お、眠そうだねぃ」 京太郎「まあちょっとな」 京太郎「そうだ、咏、特訓しようぜ」 咏「いいけど、あんまり無理すんなよな」 京太郎「わかってるって」 京太郎「すぅ……」 咏「ロン、48000」 京太郎「はっ!」 京太郎「あれ、いつの間に飛ばされてたんだ?」 京太郎「昼飯、どうしよ」 京太郎「で、どこ行く?」 咏「うーん、そうだねぃ」 店員「ただいまスシロー全品100円セールを行っておりまーす」 咏「あれでいいんじゃね、知らんけど」 京太郎「寿司か……」 京太郎「金、持つかな……」 京太郎「咏って意外と食べるんだな」 咏「前も一緒に朝飯食ったろ」 京太郎「あのときは咏がへこんでたからあんまり食べてなかったような気が」 咏「そういえば裸見られたんだっけねぃ」 京太郎「あれは本当にすまなかった」 咏「いいよ、昔のことなんて」 咏「さ、食い終わったしどっか行こうぜ」 京太郎「おう!」 京太郎「三枚は少なかったかな?」 京太郎「午後はどうしようかな」 京太郎「一応宿舎に戻ってきたけど……」 京太郎「そうだ!遊びに行こう!」 京太郎「でも一人は寂しいから」 ――――――――――――――― 京太郎「竜華さん、怜さん遊びに行きましょう!」 怜「ええけど、遠出するのは嫌やな」 竜華「何する?」 京太郎「人生ゲームしましょう!」 怜「ボードは?」 京太郎「郁乃さんから借りてきました!」 竜華「3人だけでやるん?」 京太郎「もちろんじゃないですか!」 竜怜「「はぁ……」」 京太郎「あ、そうだ」 京太郎「1位の人が2位の人に1つ命令をして」 京太郎「1位の人と2位の人が1つずつ3位の人に命令するって言うのはどうですか?」 怜「ま、私の楽勝やな」 竜華「怜、あれ使ったらダメやから」 怜「えっ」 怜「私の勝ちやな」ドヤ 京太郎「まさかカジノで全勝するとは……」 竜華「ズルい!ズルいで怜!」 怜「勝った私が正義やもーん」 怜「ほな、命令タイムや」 怜「まずは京くんやな」 京太郎「な、何をすれば?」 怜「うーん……」 怜「膝枕」ボソッ 怜「膝枕よろしく」 京太郎「そんなのでいいんですか?」 怜「ええんや、よっと」 竜華「京くん……」ジトッ 京太郎「うっ、すみません」 竜華「何しとんの!膝枕いうたら頭なでなでもするんや!」 京太郎「そんなことだったんですか!?」 怜「京くん早く」グイグイ 京太郎「わかりましたよ」ナデナデ 怜「えへへ」 怜「少し硬いけど、アリやな」 竜華「で、ウチは?」 怜「そうやな……」 怜「私の耳を甘噛みしてもらおか」 怜「出来なかったら昨日のことバラすで」 京太郎「昨日のこと?」ナデナデ 怜「2人で仲良く混浴しとったこと」 竜華「なんで怜がそれを!?」 怜「そらわかるやろ、京くんの靴はあるのにどこにもいない」 怜「シャワー浴びとるとき、竜華はいつも鼻歌歌っとんのにやけに静か」 怜「今の反応からして私の推理は当たっとったみたいやな」 怜「さあ、どうする?」 竜華「ど、どうしよ」ボソボソ 京太郎「ヤっちゃえばいいんじゃないですか?」ボソボソ 竜華「でも、怜の耳なんて……///」ボソボソ 京太郎「あのことがみんなにバレたらどうなると思いますか?」ボソボソ 竜華「ぅぅ……」 竜華「わかった、やったる!」 竜華「いくで、怜」カプッ 竜華「ほ、ほうふぁ?」ハムハム 怜「く、くすぐったいからしゃべらんといて」 竜華(怜、いい匂いするなぁ……せや) 竜華(このくらい、ええやろ)ペロッ 怜「あっ、りゅ、竜華何を」 竜華(おいしいわぁ)レロレロ 怜「や、やめて……」 竜華(怜の首……) 竜華「……ぷはっ」 竜華「いただきまーす」 怜「んんっ!りゅ、りゅうかぁ……」 竜華(怜の首、白くて、やわらかくて、スベスベしとって)レロレロ 竜華(最高やぁ……)レロレロ 京太郎(静まってろ我が息子!いくら目の前でやられてるからといって焦っちゃいかん!) 怜「すぅ……」 京太郎「怜さん、寝てしまったみたいですね」 竜華「満足満足」 京太郎「それで、俺からの命令なんですけど」 竜華「わ、忘れとった……」 京太郎「腕枕させてください」 竜華「う、腕枕!?」 京太郎「はい、どうぞ」 竜華「う、うん……」 竜華(は、恥ずかしい!) 竜華(京くんと一緒に寝とるってだけでも恥ずかしいのに、腕枕て) 竜華(京くんも恥ずかしがってるんやろな)チラッ 京太郎「ぐぅ……」 竜華(寝とるんかい!) 竜華(全く、京くんは全く!) 怜「すぅ……」 京太郎「んぅ……」 竜華(ウチも寝よ) 京太郎「う、腕が動かねェ……」 京太郎「もう夜か」 京太郎「清澄……咲とモモのところは勝ったのかな」 京太郎「外食してくるか」 京太郎「昨日は宿舎ですませたんだよな」 竜華「……ん、京くんどこ行くん?」 京太郎「少し外へ」 竜華「そか、行ってらっしゃい」 京太郎「またまた来たぜ財布の味方サイゼリヤ!」 竜華「いっつも来とるん?」 京太郎「はい、いつもは相席なんですけど」 京太郎「今日は違うようです」 竜華「……あれ、ここ料理が残っとるけど」 桃子「きょ、京太郎!」 竜華「うわっ!」 京太郎「なんだ、モモか」 桃子「それはこっちの台詞っすよ」 桃子「その人は一体誰っすか?」 京太郎「この人は千里山の清水谷竜華さん」 桃子「ああ、個人戦の人っすか」 桃子「デートでもしてるんっすか?」 竜華「ち、ちゃいます!」 竜華「京くん、この子は?」 京太郎「俺の幼馴染の東横桃子っていうんですよ」 京太郎「清澄の部員です」 桃子「まさか京太郎が彼女を作ってたなんて意外だったっす」 桃子「あとで咲にも報告っすね」 京太郎「いや、恋人とかじゃないから」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「それで、清澄はどうだったんだ?」 桃子「中堅戦で部長が飛ばして終わりっすね」 京太郎「モモたちがBブロックで俺たちはAブロック」 桃子「戦えるとしたら決勝で、っすね」 京太郎「おう、絶対負けんなよ」 桃子「そっちこそ」 竜華「2人とも仲ええなあ」 京太郎「怜さんと竜華さんみたいなものですよ」 桃子「そっちも十分仲良さそうっすけどね」 【2日目】終了 【インターハイ 3日目】 京太郎「明後日がとうとう初戦か」 京太郎「今日の試合で勝ったところと当たるんだよな」 京太郎「気にせず麻雀するか」 京太郎「ここが対局室か」 郁乃「お~京太郎くんええところに来たな~」 郁乃「ここで打たへん?」 京太郎「いいですけど、他の面子は?」 郁乃「咏ちゃんとエイちゃんと憩ちゃんやで~」 京太郎「郁乃さんは打たないんですか?」 郁乃「善野ちゃんと試合見に行くからな~」 郁乃「ほなよろしく~」 京太郎「勝手な人だな……さて」 京太郎「始めましょうか」 京太郎(北大阪地区予選、最高火力の咏) 京太郎(和了率全国一のエイスリンさん) 京太郎(そして昨年の個人戦2位の憩さん) 京太郎(相手にとって不足なし!) 京太郎(ってか凄すぎるだろこのチーム) 咏「うっし!」 エイスリン(テンパイ!) 京太郎(普通に負けそうな気がする) 憩(この2人は厄介やさかい) 憩(ちょっと様子見や) 咏「ロン!12000!」 東2局 京太郎 25000 親 エイスリン 13000 咏 37000 憩 25000 エイスリン「ウウッ……」 カキカキ 咏(ふっふーん、次は三倍満いっとくかねぃ)トン エイスリン「ロン、12000!」 エイスリン「フリダシ!」 東2局1本場 京太郎 25000 親 エイスリン 25000 咏 25000 憩 25000 憩(エイスリンさんはやっぱ凄いなぁ、でも)トン エイスリン「フフフ、ロン!」 憩(これで打ち止めや) 【白衣の護り】発動! 咏「お、それって」 エイスリン「24300!」 憩「……え!?」 東2局2本場 京太郎 25000 親 エイスリン 49300 咏 25000 憩 700 憩(聴牌……ここが使いどころやな) 憩(来て!) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「よっと」スチャ 憩(なるほど、今回はこれか) 憩(点数少ないんやけどなぁ) 憩「カンや!」 憩「嶺上ツモ、500・700」 東3局 京太郎 24500 エイスリン 48600 親 咏 24500 憩 2400 京太郎(あれ、か……) エイスリン(カケナイ) 咏(一向聴までは来てみたけど……) 憩「ツモ、1300・2600!」 憩(この3人、きっついわぁ) オーラス 京太郎 23200 エイスリン 47300 咏 21900 親 憩 7600 憩(2位浮上には最低でも跳満) 憩(一か八か)ピキーン 【孔穿つ閃光】発動! 憩(ダメや、次にかけよか) 憩(これで、最後……) 憩(今さらか……) 憩「海底ツモ、2000オール!」 オーラス1本場 京太郎 21200 エイスリン 45300 咏 19900 親 憩 13600 京太郎(ううむ、6400、点棒付けて6700) 京太郎(まくれないか……) 京太郎(でも咏や憩さんに和了られるよりはいいか) 京太郎「ロン!6700!」 終局 エイスリン 45300 京太郎 27900 咏 19900 憩 6900 京太郎「2位か、まああの面子相手によくやったよ」 京太郎「ん?天下一品?」 京太郎「確か大阪にもあったな、食べてみるか」 京太郎「そういえば昨日までは誰かと昼食べてたんだよな」 京太郎「久しぶりのぼっちか……」 京太郎「対策をしよう!」 京太郎「初戦の相手は……」 京太郎「埼玉代表の越谷高校、兵庫代表の剣谷高校、奈良代表の阿知賀女子」 京太郎「阿知賀は松実さんたちのいるところだっけな」 京太郎「対策は俺に任せろー」 京太郎「剣谷高校……何か感じるな、ここの対策をするか」 京太郎「持ってきてよかったパソコン、あってよかったネット環境」 京太郎「さてと、一応全部見てみるか」 ――――――――――――――――― 京太郎「目を見張るべきは副将戦の人、森垣さんか」 京太郎「このおもちはなかなかのなかなかだな」フム 京太郎「よし、対策開始!」 京太郎「森垣友香、剣谷高校一年生」 京太郎「帰国子女のおもちもち、っと」 京太郎「手の速さと高火力が目立つな」 京太郎「でも咏には劣るか?」 京太郎「捨て牌のくせ、組み方、よし」 京太郎「取りあえずレポート完成、憩さんにメールしておくか」 京太郎「対策は誰かと一緒に立てるのもありかもな」 京太郎「船久保さんとか霞さんとか、後は郁乃さんも良い対策を立ててくれそうだ」 夜 京太郎「霞さんにお願いしてみるか」 京太郎『対戦校の対策を立てたいのですが、手伝ってくれませんか?』 京太郎「こんな感じかな」ポチッ 竜華「京くん何しとるん?」 京太郎「ちょっとメールを」 竜華「じゃあ今風呂入らへんの?」 京太郎「はい、先いいですよ」 竜華「ほな入らせてもらうわー」 京太郎「竜華さんの入浴……」ゴクリ ヴーッヴーッ 京太郎「返ってきた」 霞『別にいいけど、いつやるの?』 京太郎「うわ、それを忘れてたか……どうしよ」 京太郎「今からは無理だし、明日の夜もな」 京太郎「午前だな、よし」 京太郎『明日の午前9時に対局室で会いましょう』 霞『了解よ、おやすみ』 霞『P.S.竜華ちゃんに手を出したらいくら京太郎くんでも』 霞『”容赦”しないから』 京太郎「なんでただのメールで」ガクガク 京太郎「こんなに怖いと感じるんだ」ガクガク 竜華「お風呂あがったで、京くんどうぞ」 京太郎「はい……」カタカタ 【3日目終了】 【インターハイ 4日目】 京太郎「ふぁぁ、今は……7時か」 竜華「ん……ときぃ……」ギュッ 京太郎「」 京太郎「竜華さんのおもちは離れがたかったけど、約束は守らないと」 京太郎「おはようございます!」 霞「あら、早いのね」 京太郎「時間ピッタリなんですが」 霞「京太郎くんのことだから1時間くらい遅れるかと」 京太郎「評価低すぎじゃないですか?」 霞「それで、誰の対策をするのかしら」 京太郎「松実宥さんにしようかと」 霞「ああ、宥ちゃんね。わかったわ」 霞「これが牌譜よ、あと一回戦の映像」 京太郎「誰でも郁乃さんなら大丈夫だと思いますが、一応」 霞「それで、どう思う?」 京太郎「混一色、清一色が多いですね」 霞「そうね、宥ちゃんはどうやら中や萬子が多く集まるようね」 京太郎「そんなことがあるんですか?」 霞「この牌譜と映像が証拠ね」 霞「それに、そんなオカルトはあり得るわ」 霞「私と対局するとき、急に一つの色の牌が来なくなるときとかなかった?」 京太郎「そんな、まさか……」 霞「このインターハイにはそんな子が何人もいるの」 霞「剣谷や越谷には少ないようだけれどね」 京太郎「オカルト、か」 京太郎「咲の嶺上も、モモのステルスも」 京太郎「麻雀とはなんなのか」 京太郎「そば屋に来てみたぞ」 京太郎「夏だからな、涼しいものを食べたい」 京太郎「ざるそばでいいよな」 京太郎「涼んだところで、午後はどうするかな」 京太郎「街に行こう」 京太郎「どこに行くかな」 京太郎「明治神宮に来てみたぞ」 京太郎「ん、あれは……」 哩「あの縄……縛られたかぁ」 姫子「鳥居に吊るされれば尚更よかとです」 哩「おお、流石は姫子」 京太郎「どんな話してるんですか」 哩「君は須賀君やなか!三倍満の!」 姫子「部長よく覚えとるとですね」 哩「あの三倍満は気持ち良かった」ゾクゾク 京太郎(この人たちがよくわからない) 京太郎「お2人は何をしにここへ?」 哩「神頼み」 姫子「インターハイ優勝できるようにってお願いしに来たとです」 京太郎「新道寺はAブロックでしたよね」 哩「須賀君のおる三箇牧もだろ?」 京太郎「なんで知ってるんですか?」 哩「あの後福岡に帰ってから調べたけん、北大阪の男子個人戦1位やって」 哩「須賀君、頼む!また私に打ちこんで!あの大きか直撃!」ドゲザ 姫子「私もお願いします!」ドゲザ 京太郎「ちょ、お2人とも立ってください!みんな見てますよ!」 哩「……」チラッ 姫子「……」チラッ 哩姫「「それもアリ!」」ドゲザー 京太郎「いやナシだよ!」 京太郎「あの2人は調子狂うな、ほんと」 京太郎「ただいまですー」 竜華「お帰りー」 怜「お帰りー」 京太郎「あれ、怜さん来たんですか」 竜華「今日は怜も一緒に寝るんやで」 京太郎「ああ、そうですか」 京太郎「じゃあお菓子でも食べましょうか……って」 京太郎「は!?」 京太郎「じゃあトッポでも食べますか」 竜華「支点、力点、作用点!やな」 京太郎「それはポッキーです」 竜華「うまいっ!」 怜「テーレッテレー」 京太郎「それもうチョコ菓子じゃありませんよ」 怜「いやーでも明日が三箇牧の初戦かー」 竜華「ウチらに勝ったんやから負けたら許さへんで」 京太郎「じゃあ俺はお2人にあんなことやこんなことをされるんですか」 怜「せやな、決めとかなあかんな」 竜華「あ、あんなことやこんなこと……///」 怜「京くんも頑張ってな、最後まで元気たっぷり、そう――――」 怜「このトッポのように!」ドヤァ 竜華「あんまし上手ないな」 京太郎「トッポはこんなに美味いのに」 怜「……」ジトッ 竜華「……」ジトッ 京太郎「すみませんでしたぁっ!」 【4日目】終了 【インターハイ 5日目】 京太郎「とうとう初戦か、気合入れないとな!」 京太郎「試合は10時からで、今は7時」 京太郎「なんかやるか」 京太郎「もう会場に行くか」 ――――――――――――― 京太郎「ここが三箇牧の控室だな」 京太郎「お菓子と、飲み物と」 京太郎「よし、これで準備万端だ!」 インターハイ女子団体戦Aブロック2回戦――――― 熱き戦いが今――――― 始まるッ! えり「さあ、インターハイもついに5日目、今日から二回戦が始まります」 えり「本日戦う8校のうち、準決勝進出を果たすのは4校」 えり「二回戦第二試合の各選手が対局室に向かいます」 えり「過去4回の出場は全て初戦敗退、今年ついに悲願の二回戦進出を果たしました埼玉県代表越谷女子、先鋒の新井ソフィア」 えり「全国屈指の激戦区兵庫県を勝ち抜き初戦では群馬と茨城を圧倒した劔谷高校からは、椿野美幸」 えり「そして奈良県代表、阿知賀女子学院、10年ぶり二度目の出場。先鋒は松実玄」 えり「前回出場時のエース選手赤土晴絵が監督を務めています。10年前はベスト8までいきました」 えり「そしてこの二回戦からついに登場するシード校は」 えり「過去34回出場、激戦区北大阪を連続で制していた千里山女子!!」 えり「―――を倒し、異例のシード権を獲得した、三箇牧高校!」 えり「先鋒を務めるのは、言わずと知れた昨年の女子個人戦チャンピオン」 えり「宮永照」 ―――――――――――――― 京太郎「ついに来ましたね!」 照「うん」 憩「ってまだ行ってなかったんかいな」 照「もう行くから、あと3分」 京太郎「それ絶対行かないパターンのやつでしょ」 照「…………」 玄(この人が、宮永照!) 美幸(せっかくここまで来れたのにこの人と当たるなんてやだよ、もー) ソフィア(どうやって勝てばいいんだ?) 照(他の人たちの目が怖い) 開局 親 宮永照 100000 ソフィア 100000 美幸 100000 玄 100000 ソフィア(チャンピオンは東1局で和了ることは少ない) ソフィア(今のうちに速攻でリードする!) ソフィア(って言ってもドラが無いから打点ひっくいな……) 玄(ドラはあるのに……)トン ソフィア(相手はチャンピオンなんだから、1000でも儲けもんだよな) ソフィア「ロン、1000」 照「………」 美幸「っ!」 玄「!?」 照(越谷は速攻型、劔谷はどちらかといえば防御) 照(阿知賀は……なんだこれ) 照(手強そうなのは阿知賀だな) 東2局 宮永照 99000 親 ソフィア 101000 美幸 100000 玄 100000 照(阿知賀はドラを捨てられない……) 照(試してみるか) えり「ここで宮永選手、三面張を取らず間張で聴牌」 玄(いきなり点取られちゃったよぉ……)トン 照「ロン、1000」 玄「はい……」 えり「今のはおかしな手順でしたね」 良子「宮永は待ちを悪い方にとってテンパイ、松実はドラを切らずに他の牌を切って振り込んだ、という手順のことですか?」 えり「はい、不思議というか、何というか」 良子「おそらく松実は何らかの縛りを受けている、今までの牌譜からはそのような傾向が見られる」 えり「縛り、ですか」 東3局 宮永照 101000 ソフィア 101000 親 美幸 100000 玄 98000 照(今日はエイスリンさんまで回るといいな……) 照(阿知賀の人、テンパイしてない) 照(よし) 照「ロン、2000」 玄(ま、またなのぉ……) 玄(でも、赤土先生に教えてもらった) 玄(宮永さんには、弱点があるって) 玄(まだまだ!) 東4局 宮永照 103000 ソフィア 101000 美幸 100000 親 玄 96000 京太郎「全然ドラが来ませんね」 憩「あの松実玄ちゃんに全部持っていかれとるみたいやな」 咏「あんなの相手にしたくないねぃ」 エイスリン「テル、ツライ?」 郁乃「せやな~ドラ無いと打点上げづらいからな~」 照「ロン、3900」 照(なんだっけ、この人の名前) 照(確か……新井ケフィアだっけ) ソフィア(いいえ、ソフィアです) 南1局 親 宮永照 106900 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 96000 照(親、後ろにどんな人がいるか分からないし) 照(なるべく稼いどかないと) 照(平たくしたいけど……) 玄(うぅ……) 照(何でこの子がいつもアガリ牌持ってるんだろう) 照「ロン、7800」 南1局1本場 親 宮永照 114700 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 88200 穏乃「玄さん大丈夫かな」 憧「こんなのもう制約とか関係無しに運が悪いとしか言えない」 宥「まだ、大丈夫だよ」 照「ロン、9900」 ソフィア「はい」 美幸(テンパイできてるのに、やだこれもー) 照(越谷の人、歌上手そうだな……) 南1局2本場 親 宮永照 124600 ソフィア 87200 美幸 100000 玄 88200 えり「流石はチャンピオン、今のところ5連続和了」 良子「阿知賀の松実に縛りがあるとすれば、宮永にも縛りはある」 えり「どういうことでしょうか?」 良子「彼女は和了る度に打点を上げている、例えばこの試合」 えり「ここまでの打点は1000-2000-3900-7800-9600ですね」 良子「次は少なくとも11600以上と予想できる、彼女はこれを毎試合行っているわけだ」 良子「わざわざ高目を見逃してロウな和了をしたり、これも一種の制約と考えられる」 良子「それがトゥルーならば、そろそろガタが出てくるはず」 えり「松実玄、ですか」 照「リーチ」 美幸(早すぎるよもー) ソフィア(安牌がさっぱりだ、クソッ)トン 照「ロン、12600」 南1局3本場 親 宮永照 137200 ソフィア 74600 美幸 100000 玄 88200 照(次は跳満、きついな) 照(阿知賀、おそらく次にまた戦うかも) 照(ドラを使わずにってすごい制限プレイ) 美幸(ずっと和了れないじゃんもー) ソフィア(抉られてんな……) 玄(全然テンパイできない……どうしよぉ、お姉ちゃん) 照「ロン」 玄「うっ」 照「18900」 ソフィア(そろそろ止めないと!) 美幸(でもどうやって……) 南1局4本場 親 宮永照 156100 ソフィア 78500 美幸 100000 玄 65400 同コンマのため、流局 南1局5本場 親 宮永照 157600 ソフィア 77000 美幸 98500 玄 66900 照(流れた……) 照(阿知賀がいい感じに止めてくれるかと思ったけど、まだ続けなくちゃなの) 照(はぁ……) 照「ロン、3000」 南1局6本場 親 宮永照 160600 ソフィア 77000 美幸 95500 玄 66900 えり「チャンピオン宮永止まらない!」 えり「流局してもなお攻め続けます!」 良子「流局で親が流れれば楽だったのだが、これではもうどうなるかわからないな」 照「ツモ、1600オール」 南1局7本場 親 宮永照 165400 ソフィア 75400 美幸 93900 玄 65300 照「ツモ、2000オール」 京太郎「これ、地区予選のときより酷くありません?」 郁乃「私に回ってくるかが不安やな~」 エイスリン「マタデバンナシ?」 憩「いやいや、流石に照ちゃんでもわかっとるやろ」 咏「そうだといいんだけどねぃ……」 南1局8本場 親 宮永照 171400 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 63300 照「ロン、10200」 玄「はい……」 玄(まだ、みんなの点棒を守らなきゃ!) ソフィア(これがチャンピオン……敵うわけがないんだ) ソフィア(あははははははははははははは) 美幸(このまま友香ちゃんまで行くかな……) 照(いつまで続くんだこれ) 南1局9本場 親 宮永照 181600 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 53100 照(次は9600辺り……阿知賀はカンドラとか裏も集めるのかな) 照「カン」 照「リーチ」 照(カンドラも河に無しって……) 照(じゃあ裏は……) 照「ロン、12300」 照(裏は、っと) 照(無いな……) 南1局10本場 親 宮永照 193900 ソフィア 61100 美幸 91900 玄 53100 照(10本場か、計算楽でいいな) 美幸(あと少しで届きそうなのにー!) ソフィア(次和了って20万点っておかしいだろ……) 照「ツモ、5000オール」 南1局11本場 親 宮永照 208900 ソフィア 56100 美幸 86900 玄 48100 美幸(チャンピオンを止める方法……!) 美幸「ポン!」 美幸「ポン!」 照(この人……) 美幸「まだまだあきらめないよーもー!」 美幸「ロン!1000の11本場、11!?」 美幸「11本場は4100!」 玄「はい……」 ワァァァァ えり「ついに宮永照の連荘が止まりました!」 えり「その長さ11本場!止めたのは劔谷高校椿野美幸です!」 郁乃「凄い歓声やな~」 京太郎「なんか悪役みたいですよね」 南2局 宮永照 208900 親 ソフィア 56100 美幸 91200 玄 43800 照(やっと終わったか……) 照「ロン、1000」 南3局 宮永照 209900 ソフィア 55100 親 美幸 91200 玄 43800 玄(劔谷の人が止めてくれた……この人は諦めてないんだ) 玄(私も、諦めない!もう振り込まないよ!) 照「ロン、2000」 ソフィア「はい……」 玄(よし!)フンス オーラス 宮永照 211900 ソフィア 53100 美幸 91200 親 玄 43800 ソフィア(後半ずっと私しか振り込んでないぞ……) ソフィア(あれ、後半長くね?どっから後半?) 照「ロン、3900」 えり「先鋒戦ついに決着ー!」 えり「三箇牧の先鋒宮永照の連続和了が他校を圧倒!2位とは12万点差をつけています!」 えり「劔谷高校は難を逃れ現在2位」 えり「越谷女子と阿知賀は拮抗状態となっています」 先鋒戦終了 三箇牧 215800 (+115800) 越谷女子 49200 (-50800) 劔谷 91200 (-8800) 阿知賀 43800 (-56200) 照「お疲れ様でした」 玄「ありがとうございましたぁ……」 美幸「おつかれっした、もー」 ソフィア「しんどいわー」 京太郎「ようやく、ですね」 郁乃「ほな行ってくるな~」 郁乃「なんとか飛ばさないように頑張るわ~」 咏「よろしく頼むねぃ」 京太郎「さて、俺も少し出るか」 京太郎「ふいー出た出た、照の試合長かったからなー」 良子「お、須賀くんじゃないか」 京太郎「あ、戒能さん」 京太郎「解説よかったですよ、わかりやすくて」 良子「そ、そうか、少し自信が無かったんだが……良かったか」 良子「センキュー、須賀くん」 良子「まだまだ頑張ってみるよ」 京太郎「早く終わっちゃいそうですけどね」 良子「そうだ!聞いてくれ!」 京太郎「な、なんですか」 良子「針生アナと連絡先を交換したぞ!」 京太郎「本当ですか!おめでとうございます!」 良子「リアリー感無量だ!」 ピンポーン 「間もなく次鋒戦が開始します」 「各選手は対局室にお集まりください」 ピンポンパンポーン 良子「おっと、もう行かなくてはいけないようだ」 良子「グッバイ」 京太郎「はい、頑張ってくださいね!」 良子「オフコースだ!」 ―――――――――――――― 宥(玄ちゃんの取られた点棒、お姉ちゃんが取り返すからね)ギュッ 郁乃「夏にマフラーか~変わっとるな~」 宥(この人が、赤阪さん……) えり「解説は引き続き戒能プロ、実況は私、針生が務めます」 えり「場決めも終わったところで、次鋒戦、開始です」 東1局 親 郁乃 215800 宥 43800 澄子 91200 花子 49200 花子(テンパイ来たか!) 花子「うっし、勝負!」 宥(テンパイできないよぉ……玄ちゃんもこんな感じだったのかな……) 郁乃(松実ちゃんはたしか白糸台行ったときにおったな~) 郁乃(まあ、あっちは一回も会っとらんから憶えとらんみたいやけどな~) 花子「ツモ、1600・3200!」 東2局 郁乃 212600 親 宥 42200 澄子 89600 花子 55600 花子「このまま!リーチだ!」 郁乃(越谷の子の次は阿知賀の子やな~) 郁乃(そういえば阿知賀っていうと……) 宥(テンパイできたぁ~) 宥(赤土先生のアドバイスを守って稼がないと) 澄子(なんだか調子悪いですね……) 澄子(先輩が守ってくれた点棒、私が増やしますよ)トン 花子「ロン、5200」 東3局 郁乃 212600 宥 42200 親 澄子 84400 花子 60800 宥(玄ちゃん……) 宥「リ、リーチ」 宥(私、頑張る) 郁乃(今度は松実ちゃんの番やで~) 郁乃(京太郎くんが言うには萬子と中が来やすい、やったっけ) 郁乃(姉妹揃っておもろいな~) 花子(三箇牧と劔谷はオリたか……) 花子(でもこの点差、まだまだ勝負!) 澄子(テンパイできない……もう嫌ですよぉ) 宥「ツ、ツモです!」 澄子(い、一発……親被り) 澄子(でも、役によっては!) 宥「8000・16000」 宥「九蓮宝燈…です」 澄子「」 東4局 郁乃 204600 宥 74200 澄子 68400 親 花子 52800 宥(玄ちゃん……できたよ)ギュッ 穏乃「宥さん凄い!」 憧「でも九蓮宝燈和了ったからテンパイできてないみたいだね」 灼「死なないといいけど」 玄「お姉ちゃあああん」ウワーン 晴絵(役満……流石は妹、と言ったところか) 晴絵(赤阪……) 澄子(役満親被りとか……ありえないでしょ) 澄子(私も頑張りますよ) 澄子「ツモ、1600・3200」 南1局 親 郁乃 203000 宥 72600 澄子 74800 花子 49600 えり「前々局、九蓮宝燈わ和了した松実宥またもやノーテン」 えり「そして三箇牧の赤阪郁代の単独テンパイです」 えり「彼女の過去の牌譜を見ると、役満を多く和了るようですね」 良子「それだけじゃない、彼女の入った卓では必ず役満を和了る者が出る」 良子「それが偶然なのか、彼女の特性なのかはわからない」 えり「そんな卓には入りたくないですよ……」 郁乃(一回も和了っとらんのは少しアレやから~) 郁乃「ツモ、3200オールやで~」 南1局1本場 親 郁乃 212600 宥 69400 澄子 71600 花子 46400 郁乃「ツモ、3300オール」 宥(また、頑張らないと……) 花子(三箇牧強すぎんだろ、どうなってんだよ) 澄子(こうしてどんどん地味になっていくんでしょうね) 南1局2本場 親 郁乃 222500 宥 66100 澄子 68300 花子 43100 郁乃(う~ん、ここまでやな~) 郁乃(ちょ~っとミスってもうたわ) 宥「リーチ」 えり「ここで松実、先制リーチをかけますっと……これは……」 良子「立直面清タンヤオ平和二盃口、三倍満」 良子「裏が乗れば、或いは――――」 宥「ツモ」 良子「一発ツモで、役満だ」 宥「8200・16200」 南2局 郁乃 206300 親 宥 98700 澄子 60100 花子 34900 穏乃「また役満!?」 憧「いやいや、有り得ないでしょ」 玄「お姉ちゃあああん!」ウワーン 灼「よしよし」 ――――――― 京太郎「役満2回目ですか……」 咏「前も2回だったねぃ」 憩「これ回ってくるんかな……」 宥「ツモ、4000オール」 南2局1本場 郁乃 202300 親 宥 110700 澄子 56100 花子 30900 郁乃(さ~てと) 郁乃「ここまでやで~」 花子(何言ってんだこいつ) 澄子(よほど配牌が良かったのでしょうか……配牌?) 郁乃「ツモ~」 郁乃「8100・16100やで~」 花子(えっなにこれは) 澄子(次元が違いますわ) 南3局 郁乃 234600 宥 94600 親 澄子 48000 花子 22800 郁乃(あ~やりすぎたな~) 郁乃(松実ちゃん張ってそうやから~)トン 宥「ロン、16000です」 郁乃「はいはい~」 澄子(さ、最後の親番が……) オーラス 郁乃 218600 宥 110600 澄子 48000 親 花子 22800 澄子(テンパイ…さっきまで粘りますよ!) 花子(劔谷折れねえな……こっちはテンパイできてねえってのに) 宥(玄ちゃん、点棒取り返したよ) 郁乃(あ~とは) 郁乃(無難に華麗に店じまいや~) 郁乃(店じまいの意味ちゃうけどな~) 澄子(これでオーラスに和了れば私も目立てるはずです!)トン 郁乃「ロン、6400」 郁乃「終わりやで~」 澄子「……え?」 えり「次鋒戦決着ー!」 終局 三箇牧 225000 (+9200) 阿知賀 110600 (+66800) 劔谷 41600 (-49600) 越谷 22800 (-26400) えり「阿知賀は最下位から一気に2位へ」 えり「和了りは役満、数え役満、倍満と圧倒的な火力」 えり「越谷、劔谷はともに順位を落としています」 えり「そして三箇牧はリードを保ちトップ、となりました」 えり「役満ツモが3回もありましたが、戒能プロはどう思いましたか?」 良子「どう考えたっておかしいだろこんなの」 えり「中堅戦は、休憩をはさんで開始です」 ―――――――――――― エイスリン「セイロン!」 照「正論」 憩「正論やな」 咏「このまんまだと飛んじまうけどいいんかい?」 エイスリン「ソレハダメ」 咏「んー、どうすりゃいいかわっかんねぇな」 咏「ま、てきとーにやってくるわ」 霞「行ってらっしゃーい」 照「そういえば、京は?」 憩「もう出て行ったで」 京太郎「俺も役満和了ってみたいなぁ……」 京太郎「と、菓子屋に到着だ」 京太郎「ん?あれは……」 郁乃「ほなまた後でな~」 ??「頑張ってな」 アリガトウゴザイマシター 郁乃「善野ちゃん元気そうでよかったわ~」 京太郎「ああ、今の人が善野さんですか」 郁乃「きょ、京太郎くん!?」 京太郎「郁乃さんが驚くなんて珍しいですね」 郁乃「な、なんでここに?」 京太郎「照に菓子買ってきてって言われたんで。あ、もちろん郁乃さんの分もありますよ」 京太郎「焼きプリンとかシュークリームとか」 郁乃「…………」 京太郎「郁乃さん?」 郁乃「そ、そっか~おおきにやで~」 郁乃「ほな私ちょっとお花摘み行ってくるわ~」 京太郎「い、郁乃さん?」 郁乃「ごめんな~」タッタッ 京太郎「何の話をしてたんだろう?」 郁乃(今の話、京太郎くんに聞かれたんかな……) ――――――――――― 咏「お、お前たしか浜名湖にいなかったかぃ?」トテトテ 憧「いたけど、それが?」テクテク 咏「ふ~ん、ま、今日はよろしくねぃ~」トテトテ 咏(やけに大人っぽいけど……) 憧(やたら小っちゃいけど……) 咏(こいつ、本当に高一かよ……) 憧(この子、本当に高一なの……?)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/537.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343554133/ 京太郎「はあ、麻雀もの……でも俺麻雀打てないんですけどいいんですか?」 監督「大丈夫、君は初心者という設定だからね」 京太郎「ならいいんですけど……麻雀がテーマじゃあかわいい女の子は期待出来ないな~、な~んてハハハ!」 監督「ああ、それは大丈夫。この企画書を読んでみてくれ」 京太郎「どれどれ……む!?」 京太郎「こ、これ出てくるの女の子ばっかりじゃないですか!」 監督「少女たちが麻雀で闘う話なんだよ。それもかわいい子がいっぱいだ」 京太郎「しかも俺の役は、主人公の『宮永咲』が居る清澄高校麻雀部唯一の男!?」 京太郎「主人公とイチャイチャしながら他の女の子ともイチャイチャできる最高の役じゃないですか!!」 監督「あ、ああ……」 京太郎「主人公は最強で、俺は初心者という設定……これも後々何かありそうだ!」ワクワク 監督「う、うむ……」 京太郎「今まで、頑張って来て良かった……監督、俺頑張りますから!!ありがとうございます!それじゃ!」ガチャ 京太郎「やったーー!!」 プロデューサー「監督!やっぱりこの役は他の人に!彼が可哀想過ぎます!」 監督「俺だって……だが、あの嬉しそうな笑顔を見たらもう何も言えないじゃないか……」 プロ「あんな好青年に……こんな事って……!」 監督「須賀くん……すまない……!」 京太郎「こんにちは!須賀京太郎です!」 咲「あ、はじめまして!咲です!よろしくお願いします」 京太郎(か、可愛い!!この娘が主役の咲ちゃんか~、ドキドキ) 和「和です、よろしくお願いしますね!」 京太郎(こ、この娘も可愛い!む、胸が……oh) 優希「優希だじぇ!よろしくなー!」 京太郎(元気な娘だな、何かこっちまで元気になるぜ!) まこ「染谷まこじゃ、よろしくな」 京太郎(やっぱり眼鏡の子も居た!可愛いな~) 久「部長役の竹井久よ、よろしくね須賀くん」 京太郎(び、美人だ……!クールな雰囲気……!イイ!) 京太郎「これからよろしくお願いします!」 京太郎「ふぅ~……最初だから緊張したけど、上手く行って良かったぜ!!」 京太郎「俺が和を見て妄想するシーンで咲が嫉妬してたのがすっげー可愛かったな……」 京太郎「タコスの奴は何故かしらんけど俺に懐いたし、先輩方も優しい」 京太郎「こんないい役くれた監督にはいくらお礼を言っても足りない位だぜ!」 京太郎「これから出番も増えてくだろうし、俺も麻雀打てる様にならなきゃな!」 その頃 監督「素晴らしいスタートだった」 プロ「……はい」 監督「そろそろ次の打ち合わせ……行ってくる……」 プロ「くっ……」 監督「君は、これから開催される大会には出られない」 京太郎「えっ!?な、何故?」 監督「団体戦は男子が君しか居ないから……それに、個人戦は」 京太郎「あ~そうか、俺初心者ですもんね、個人戦で負けちゃうのは当たり前か」 監督「ああ……君には悪いが……」 京太郎「何で謝るんですか~!俺にはみんなの応援という仕事があるじゃないですか!」 監督「む……」 京太郎「出番が無い時は麻雀でもやってますよ!」 監督「あ、ああ」 京太郎(じゃあ俺はしばらくは完全に咲たちのサポート役ってわけか……俺が麻雀で活躍するのはまだ先になりそうだな) 予選終了 京太郎「しばらく大会が続いたな……俺の出番も買い出しばっかりやってた気がするぜ」 京太郎「咲たちが全国行けて本当に良かったな~、でも最近咲が麻雀頑張ってるからあんまり話せなかったのは残念、なんて」 京太郎「しかし全国の壁は高く厚い!メンタル的にも厳しくなるから、俺がみんなの助けになるぜ」 京太郎(それに!明日からは待ちに待った合宿!) 京太郎(しかも他校の女の子たちと一緒だぜ!こりゃ~ハプニング満載の予感……おっとイカンイカン) 監督「すまん、ちょっといいか……?」 京太郎「おっ!打ち合わせですね!」 京太郎「えっ……留守番……?」 監督「……そうだ」 京太郎「そんな……俺、もしかしてミスしましたか!?」 監督「そんな事は無い!君はよくやってくれているよ……これは決定事項なんだ」 京太郎「そ、そんな……そうだ、買い出し役は!?タコス買わないと面倒な事に」 監督「大丈夫、タコス買い出し班は既に設置してある」 京太郎「じゃ、じゃあ咲は!?こういうのには甘酸っぱいイベントの一つや二つ付き物でしょ!」 監督「それも……間に合っている」 京太郎「」 監督「君は留守番の間、龍門渕のハギヨシ君と麻雀でもやっていてくれ……」 京太郎「」 京太郎「そうだよな……全国前の大会といったら真面目な話だよな……エッチなハプニングなんて起こしてられないもんなあ……」 京太郎(甘酸っぱいイベントが間に合ってるって何だよ……恋のライバルが現れるのか?) 京太郎(別の男と咲を争うなら、それはそれで美味しいが……何か引っかかる) 京太郎(何か嫌な予感がする……もしかして俺、この作品についてとんでもない勘違いをしてるのか……?) その頃 監督「いいかい、君はこの合宿で咲ちゃんに一気に接近するんだ」 監督「名前で呼び合う約束をする、いいね?」 和「は、はい/////」 (ついに宮永さんと名前で呼び合うのですね……感激です/////) ハギヨシ「どうなさいました?須賀さん?」 京太郎「あの……『咲-saki』とはどういう作品なのか教えてくれませんか」 ハギヨシ「っ……何故です?」 京太郎「いえ、大した事じゃ……ただ、確認しておきたいんです、この作品が、一体どんな作品なのか」 ハギヨシ「……わかりました、これを見てください」ガチャ 京太郎「この映像は……?」 ハギヨシ「須賀くんが見ていなかった部分の咲!咲-sakiの全てです!」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「えっ何これは」 京太郎「俺がいない所で女の子たちがキャッキャウフフしてるんだけど……」 京太郎「しかも一部ただの友情というには厳しいシーンもあるんだけど」 京太郎(???) ハギヨシ「須賀くん……くそっ!こんな事って……!!」 京太郎「ゆ、百合……百合シーンがあるのは判るぜ」 京太郎「そういう需要はあるし、これだけ女の子が入れば尚更だ」 京太郎「和にそっちのケがあるのはまあいいだろう(良くないけど)、問題は……」 京太郎「俺全然出てなくね?」 ハギヨシ「須賀くん……もういい、もういいんだ!麻雀やろう!麻雀!」 プロ「知ってしまったね……」 京太郎「プロデューサーさん、これは……」 プロ「咲-sakiは、君と咲ちゃんとの甘酸っぱい恋愛とちょっとエッチなハプニングと、そして熱い麻雀の漫画」 プロ「そう思っていたんだよね?」 京太郎「……はい」 プロ「熱い麻雀は間違ってない」 京太郎「……」 プロ「咲ちゃんとの甘酸っぱいイベントも、あるにはある」 ハギヨシ「相手は須賀くんでは無いじゃないですか!」 プロ「……」 プロ「だが私たちは嘘は言っていない……そうだろ?」 ハギヨシ「じゃあ!須賀くんの企画書は何ですか!騙す気マンマンじゃないですか!!」 『麻雀初心者の須賀京太郎が何気なく部活に誘ったクラスメイト宮永咲は、天才麻雀少女だった!?』 『無名な清住高校麻雀部が全国を目指す青春ストーリー!』 プロ「何一つ嘘ではないだろう?主人公が須賀くんとは一言も書かれていない」 ハギヨシ「くっ……」 京太郎「ハギヨシさん……もういいですよ……」 プロ「わかったね?君はもはや居ても居なくても変わらない端役なんだ」 ハギヨシ「この野郎……!」 プロ「ハギヨシくん……君はちゃんとして貰わないと、龍門渕のみんなも困ってしまうぞ?」 ハギヨシ「う……」 プロ「じゃあ僕は打ち合わせがあるからこれで」ガチャ 京太郎「…ハギヨシさん、ありがとうございました」 ハギヨシ「すみません、大声をあげてしまいました……」 京太郎「いや、俺嬉しかったですよ!俺の勝手な勘違いなのに俺の為に怒ってくれて」 京太郎「今日は俺、帰りますね!お邪魔しました!」 ハギヨシ「須賀くん……」 プロ「……須賀くんに言ってやりましたよ」 監督「そうか……」 プロ「彼、辞めてくれるでしょうか」 監督「彼にこのまま出演してもらうのはあまりに偲びない……他の人に代わってもらおう……」 京太郎「辞めませんよ」 監督「!」 プロ「!」 プロ「な、何でここに」 京太郎「いや、プロデューサーさんがあんな冷たい事言うなんて何か裏があるんじゃないかーって、へへへ」 監督「いいかい、君はもはやこの作品に居る意味は無いんだ!ただの背景、空気なんだぞ!君にそんな所で終わって欲しく無い!」 プロ「そうだ!君の頑張りならみんな知ってるし、今なら他の作品でやり直す事だって……」 京太郎「確かに、分かった時はショックでした。でも、別に俺は目立つキャラでも、咲の恋人役で無くてもいいんですよ」 京太郎「そういうのに憧れてて、なれたと思った時は嬉しかったです」 京太郎「でも、清澄のみんなと一緒に部活して、買い出しに行って、応援して……楽しかった」 監督「予選ではそれでも良かったかもしれないが、しかし、全国ではそれすらほぼ映らなくなるんだぞ!」 京太郎「違うんですよ」 京太郎「俺が嬉しかったのは、咲たちが泣いたり笑ったりしてるのを、一緒に共有出来ることなんです」 京太郎「姿は出てこなくても、セリフは無くても、俺はそこに居て、みんなと同じ時間を過ごしてる。最高じゃないですか!」 監督「き、君は……」 京太郎「みんなは百合百合してるからそういう意味じゃ一人だけど、逆に言えばそれを間近見られる、これって役得ですよ!」 プロ「……」 京太郎「それに監督やプロデューサー、ハギヨシさんっていう友達も出来ましたしね」 京太郎「お二人が俺の事を心配してくれてたのがとても嬉しいです」 ガチャ 咲「ただ今戻りましたー!あ!京ちゃん!」 タコス「サボりとは感心しないじぇ~!」 京太郎「よう、お帰り咲いいててて!いきなり何だよタコス!」 咲「京ちゃん、みんな部室で待ってるよ!行こ?」ニコッ 京太郎「ん?おお、そうだな。じゃあ監督、プロデューサーさん、俺はここで」ガチャン 監督「……彼を選んで良かったなあ」 プロデューサー「……そうですね」 ついに清澄高校麻雀部は全国大会に出場した そこでは様々なドラマが生まれたという しかし京太郎の姿は一度も出てこなかった タコス「うう……決勝緊張するじぇ……」 久「大丈夫よ、深呼吸して」 まこ「いつも通りじゃ!」 和「優希、ファイトですよ!」 咲「優希ちゃん、頑張って!」 だが咲ファンはみな覚えていた 部を影で支え続けた、もう一人の主人公を 京太郎「負けんなよ!タコス!」 おわり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/552.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1342270571/ 久「みんな、団体戦お疲れ様」 咲「はい、何とか優勝できてよかったです」 和「全国に向けて、さらに頑張りましょう」 まこ「その前に個人戦もあるがの」 優希「おー! この勢いで個人戦も代表取るじぇ!」 京太郎「……おう、頑張れよ!」 優希「京太郎、お前も一回くらいは勝ってみせるじぇ!」 京太郎「…………」 京太郎(はぁ……みんなは県大会優勝か……) 京太郎(きっと個人戦も、誰かは代表を取るだろう……それにひきかえ俺は……) 京太郎(自分なりに勉強はしてるつもりだし、時々みんな相手でも2位くらいなら取れることもある) 京太郎(だが……やっぱり咲みたいな力はない) 京太郎(これが才能なのか……? 俺はどんなに頑張っても、凡人の雑用係で終わるのか……?) 京太郎(みんなはあれほど活躍しているのに、俺は……) 京太郎(このまま……) 京太郎(このまま、終わりたくねぇ!) 優希「……一発ツモだじぇ!」 まこ「ふぅ、やはり東場は優希には勝てんのう」 優希「京太郎、タコスを買ってくるじぇ!」 京太郎(俺にも……) 咲「ツモ、嶺上開花です」 和「うぅ、またですか……」 久「絶好調ね、個人戦も期待できるわ」 京太郎(俺にも、あんな力があれば……!) ……… …… … ハギヨシ「失礼します、衣様」 衣「ハギヨシか、何用だ」 ハギヨシ「それが、衣様にぜひとも面会したいという客人が……」 衣「む……こんな夜にか。一体何者だ?」 ハギヨシ「それが、どうやら清澄麻雀部の方のようです。須賀京太郎と名乗っていました」 衣「清澄の……?」 ハギヨシ「いかがいたしましょうか?」 衣「……面白い、通せ」 京太郎「……そういうわけで天江さん、お願いします。その力の秘訣を教えてください」 衣「話はわかったが……なぜ、そこまでして強さを求める」 衣「お前は決して、清澄の麻雀部を退屈に感じていたわけではなかったのだろう?」 京太郎「……確かに、以前はそうでした。雑用は大変だったけど、嫌ではありませんでした」 京太郎「でも、気付いてしまったんです。自分が、みんなから取り残されているって」 京太郎「俺も……みんなに認めてもらいたい。一緒に戦いたい。そのために、勝ちたいんです」 衣「……そんなことをしなくとも、他の部員はおそらく今でもお前を認めて……」 京太郎「でも、それは麻雀の強さで……ではない」 衣「……呆れたものだ。結局のところ妬みや嫉みではないか」 衣「そのような感情で強くなったとしても、お前の幸福に結びつくとは思えぬ」 京太郎「それでも……お願いします、天江さん」 衣「…………」 衣「……長々と話してから申し訳ないが、衣の力は気付いたら身についていたもの」 衣「決定的なアドバイスを送ることはできない……せいぜい、もしかしたら程度だ」 京太郎「かまいません」 衣「京太郎と言ったな。お前は、麻雀を打つ時に何か覚悟はあるのか?」 京太郎「覚悟……ですか?」 衣「今までずっと負け続きなのだろう。だから『今度もどうせ負ける』『負けて当たり前』と思ってないか?」 京太郎「…………」 衣「勝つ気のない者に道は開けぬ。まず、勝つ気を持つことだ」 衣「たとえば……勝つための制約、目標、条件……など、様々なことを考えてみよ」 衣「思えば衣も……不自由と引き換えに、雀力を得たのかもしれぬな」 京太郎「……勝つための……」 京太郎(…………!) 衣「む、何か考え付いたようだな」 京太郎「……はい」 衣「ならば、もう衣の助言は必要なかろう……せっかく来たのだ、一局ほど打っていくか?」 京太郎「いいんですか?」 衣「問題ない、ちょっとした戯れだ。ではハギヨシ、卓へ案内せよ」 ハギヨシ「かしこまりました。皆様もお揃いです」 純「……弱い……」 智紀「……弱い……」 一「……弱いね……」 透華「……弱いですわ……」 京太郎「……これが今の俺の、全身全霊の力です。皆さんの足元にも及ばない、これが」 京太郎「でも……やってみせますよ。すぐに、強く……そう、天江さんよりも……」 衣「……ほう、ずいぶん大きく出たな」 京太郎「天江さん、皆さん。ありがとうございました」 京太郎(天江さんと話して、収穫はあった) 京太郎(強くなるための、覚悟……勝つための制約、目標、条件……俺にはそれが欠けていた) 京太郎(優希はタコスを食べることで、東場に圧倒的な力を発揮する) 京太郎(あれはもしかして『タコスを食べなければ力が出せない』という制約を無意識に作ってたのでは?) 京太郎(咲は『勝つことも負けることも許されない』という条件に縛られることで、プラマイゼロや嶺上の力を得たのでは?) 京太郎(なら俺も、何かを食べなければ力が……いや、俺の雀力じゃそれでは生ぬるい!) 京太郎(もっと、強い覚悟が必要……そう……) 京太郎(何かを、犠牲にするような) 京太郎「おはよう、咲に優希」 咲「おはよう、京ちゃん」 優希「あ、のどちゃんもあそこにいるじぇ!」 咲「おはよう、原村さん」 和「おはようございます。優希、宮永さん……須賀君もご一緒ですか?」 京太郎「……ああ。じゃあ教室行くから」スタスタ 和「あ……須賀君?」 優希「京太郎の奴、ずいぶんそっけないじぇ。咲ちゃん、何かあったのか?」 咲「さ、さぁ……」 久「それじゃ、今日も打つとしますか」 優希「おー! タコスも水も準備かんりょ……あっ、手が滑ったじぇ!」バシャッ 和「きゃあっ!」 優希「うわっ、のどちゃんのおっぱいがスケスケだじぇ!」 咲「きょ、京ちゃん、見ちゃダメぇーっ!」 京太郎「……始めましょうか。和は着替えてきな」 久「……へ?」 優希「ど、どうしたんだじぇ京太郎!? のどちゃんのおっぱいだじょ!?」 京太郎「個人戦も近いんだ。時間は無駄にできない、それだけのことだろ」 和「す、須賀君……?」 まこ「……な、何があったんじゃ……」 久「須賀君が、和に興味を示さないなんて……雪でも降るのかしら……」 久「ふぅ、そろそろ終わりにしましょうか」 まこ「京太郎やるのぅ。今日はわしらといい勝負だったぞ」 京太郎「いい勝負……ですか?」 優希「京太郎もたまには勝つ時もあるのか、なかなかやるじぇ」 京太郎「……いい勝負じゃ、駄目なんだよ……」 咲「え? 何か言った?」 京太郎「……お先に失礼します。では」 京太郎(……和……) 京太郎(俺は、お前が好きだった。でも今は……それ以上に、麻雀が強くなりたい) 京太郎(麻雀と比べれば、恋心などチンケなもんだ。俺はもう、お前に一切興味を示さない) 京太郎(でも……まだまだ足りない。男子のレベルは高いんだ) 京太郎(みんなといい勝負程度じゃ駄目だ……和だけじゃ足りない。まだまだ、何かを捨てないといけない) 京太郎(最後に一体、俺に何が残るのか……いや、今は考えるのはよそう) 京太郎(……さよなら、和……) 咲「……ねぇ京ちゃん、最近やっぱりおかしいよ」 京太郎「……そうか?」 咲「そうだよ。クラスの友達とも全然遊んでないじゃん」 咲「原村さんとも……優希ちゃんとも、染谷先輩とも、部長ともあまりお喋りしなくなったよね」 京太郎「気のせいだろ」 咲「嘘だよ……京ちゃん、何か隠してない?」 京太郎「…………」 京太郎「ツモ……4000オール……」 優希「ま、また京太郎の勝ち……?」 久「……凄いわね、下手したらもう咲や和よりも強いんじゃないの?」 まこ「京太郎、一体どんな特訓をしたんじゃ?」 京太郎「別に、大したことは……はぁっ……してません、よ……」 和「須賀君、大丈夫ですか……? 具合悪そうですが……」 久「でも、これなら個人戦でもかなりのところまで……」 京太郎「かなりのところ……? 俺は優勝以外、考えてない」 京太郎「そう、勝たなきゃ駄目なんだ……勝って、優勝しなきゃ……」 咲「きょ、京ちゃん……」 京太郎「そうだ部長……俺、少なくとも個人戦が終わるまでは……もう、部活には来ませんから」 久「えぇ!? な、何言ってるの!?」 京太郎「ご心配なく……雑用はメールででも連絡していただければ、ちゃんとやりますんで」 まこ「京太郎、やっぱりお前さん最近変じゃぞ!」 久「須賀君……どうして……」 京太郎「……麻雀部は、俺にとって大切なものなんです……」 久「だったら……」 京太郎「だからこそ、来ちゃ駄目なんです……それじゃ、また大会で……」 優希「京太郎……一体どうしたんだじぇ……」 咲「…………」 京太郎「ぐっ……はぁ、はぁ……」 京太郎「ここ最近、ずっと体が重い……息が苦しい……」 京太郎「やっぱり……急激な強化に、体がついてこれなかったか……」 京太郎「だが大会は、もう近い……何とか、もたせないと……」 京太郎「…………」 京太郎「……今夜は、満月か……」 京太郎「行って、みなければな。龍門渕に」 京太郎「……ロン、2000点」 衣「なっ……」 純「ば、馬鹿な……」 智代「満月の、衣に勝った……」 一「それも、つい最近まで初心者だったのに……」 京太郎「ぐぅっ!」 透華「ちょ、ちょっと大丈夫ですの!?」 京太郎「……いえ、問題ありません……」 衣「それほど急激に強くなり、それほど体を酷使し……」 衣「京太郎……お前は、一体どれほどのものを犠牲にしたのだ……」 京太郎「…………」 衣「そこまでして得る勝利に……一体、何の意味があるというのだ」 京太郎「……天江さんには、わかりませんよ。凡人の、苦悩は……」 京太郎「俺は、ただ……みんなと一緒に、戦いたいだけです」 衣「京太郎……」 京太郎「天江さん、皆さん。お世話になりました」 京太郎「絶対に……代表、取ってきますんで」 衣(…………) 衣(須賀京太郎……あの強さは本物だ) 衣(このまま頂点へ駆け上がるか、地獄の業火に焼かれるか……衣にも分からぬ) 衣(だが……お前は言っていた。みんなと一緒に、戦いたいだけだと) 衣(京太郎……気付いているのか?) 衣(どの道を歩むにせよ、そこには……お前の望む『みんな』はいないということに) 京太郎「個人戦まで、あと三日か……」 京太郎「はは……もう、学校からの帰り道すらもきついな……」 京太郎「だが、勝たなきゃ……勝って、みんなに……」 京太郎「…………」 京太郎「……よぉ、どうした?」 京太郎「この時間は……部活じゃ、ないのか?」 咲「……部活よりも、京ちゃんが心配だよ」 京太郎「俺のことは……心配ない。勝って、みせるさ……」 咲「どうしたの……学校でもずっと一人だし、顔色だって……」 京太郎「でもさ……俺、強くなっただろ。優勝、狙えるくらい……」 咲「……強くなんか、ならなくていいよ。私は、いつもの京ちゃんが戻ってきてくれれば」 京太郎「……駄目だ。俺は、勝たなきゃいけない」 咲「どうして、そこまでして勝ちたいの!」 京太郎「……咲には、わからないだろうな。力のある咲には……」 京太郎「みんなに、取り残された者の気持ちは……」 咲「……京ちゃん……」 個人戦当日 久「さて、集まったかしら」 優希「みんなで代表取るじぇー……って、あれは……」 まこ「……京太郎?」 京太郎「はぁ、はぁ……ひ、久しぶり……みんな」 和「須賀君……どうしたんですか? 真っ青ですよ……」 京太郎「だ、大丈夫さ……今日一日だけ、もたせてみせる」 京太郎「それより…部長、お願いがあります」 久「お願い?」 京太郎「もし女子の部が終わって、俺がまだ勝ち残っていたら……見てください」 京太郎「どうしようもなく弱くて、いつもみんなの遥か後ろを歩いていた……俺の、戦いを」 咲「……京ちゃん……」 久「……わかったわ。でも、無理しちゃ駄目よ」 京太郎「ありがとうございます……それじゃ、みんなも頑張れよ……」 優希「京太郎……なんなんだじぇ……」 久「今は……私たちも、目先の大会に集中するしかないみたいね」 まこ「……じゃのう」 和「あれ……宮永さんは?」 京太郎「…………」 咲「京ちゃん!」 京太郎「……何だ、咲。女子の会場は向こうだぜ」 咲「戻って、来るよね……」 京太郎「…………」 咲「いなくなったり……しないよね……」 京太郎「……ははっ、当たり前だろ。じゃないと誰が、お前の面倒見るってんだよ」 咲「……京ちゃん……」 京太郎「もう行くぜ。お前も……勝てよ、咲」 咲(京ちゃん……) 咲(京ちゃんは、ああ言ったけど……私はやっぱり、今の京ちゃんには勝ってほしくないよ) 咲(ただ、いつもみたいに……私の隣で、笑っていてくれれば) 優希「お昼だじぇー!」 和「部長、このご飯は……」 久「須賀君が買ってきてくれたのよ……頼んでないんだけどね」 まこ「……あんな状態でも、本来の仕事は欠かさないってことかの」 咲「あの……京ちゃんの、様子は……」 久「さっき男子の部を見てきたけど……一応、勝ち進んではいるわね」 和「一応……というのは?」 久「……フラフラだったわ。それこそ、今にも倒れそうなくらい」 優希「きょ、京太郎……やっぱり風邪なのか?」 久「……風邪なら、まだいいんだけど……それ以上の、何かのような気がしてならないのよ」 久「今は……何とも言えないけど」 咲「…………」 京太郎(麻雀部も、友人も……) 京太郎(この日のために、全てを犠牲にしてきた……) 京太郎(みんな、負けるんじゃないぜ……俺も必ず、そこへ……) 京太郎(たとえ……) 『それでは、男子個人戦の一回戦を始めます!』 京太郎(この体が、壊れようと!) 京太郎「げほっ、げほっ……」 京太郎「苦しい……あと、何回戦えば……」 京太郎「いや……何回だろうと、関係ねぇ」 京太郎「十回だろうと、二十回だろうと……」 京太郎「立ち塞がる奴は……全員、倒してやる!」 優希「咲ちゃん、のどちゃん。代表おめでとうだじぇ」 和「ありがとうございます、優希」 まこ「部長も惜しかったのう」 久「残念ながら、届かなかったわね。ところで……男子の方は?」 まこ「……最後の半荘のようじゃ。ここで勝てば……京太郎が、代表じゃ」 久「そう……あの、須賀君が……」 優希「あんなに弱かった京太郎が、あと一勝で代表……」 まこ「信じられんのう……」 和「……みなさん、男子の会場に行ってみましょう。スクリーンで様子も見られるでしょうし」 咲「……うん……」 京太郎(みんなは……勝ったのか? いや、勝ったに決まってるな) 京太郎(俺も、すぐそこだ。驚いたかみんな、あの弱っちい男が今や全国目前だぜ) 京太郎(絶対に勝って、みんなと全国に……) 京太郎(あと一半荘なら……きっと体の方は、何とかなる……いや、何とかしてみせる……) 京太郎(だが今回に限っては、別の問題があるようだ) 京太郎(それは……) 「狂気の沙汰ほど面白い……」 「傀……と、呼ばれています。よろしくお願いします」 「さて……打(ぶ)つか」 『さぁ、ついに男子の部も最後の半荘!』 『赤木選手、傀選手、阿佐田選手、須賀選手! 代表の切符を手にするのは誰だ!』 京太郎(相手が、今の俺でも……勝てるかどうかわからない、化け物揃いだってことだ) 京太郎(いいぜ……やってやるよ!) 傀「御無礼、ロンです」 哲也「これで南入だな」 京太郎「く……12000か。げほっ、げほっ……」 赤木「ククク……病院にでも行った方がいいんじゃねえのか?」 京太郎(さすがは決勝まで勝ち進んだ猛者……とても同じ、高校生とは思えない……) 京太郎(今の俺でも……敵いはしないのか?) 京太郎(ここまで、なのか……?) 優希「京太郎、押されてるじぇ……」 まこ「それより、今にも倒れそうじゃ……」 咲「京ちゃん……」 衣「……清澄よ。あの男の様子はどうだ」 和「あ、あなたは……」 久「天江さん……なぜ、ここに?」 衣「む……そうか、勝ち進んでおるのか……馬鹿者め、無茶をしおって……」 まこ「お前さん……何か、知っとるんか……?」 衣「……京太郎は以前、衣を訪ねてきたのだ」 和「……そんなことが」 まこ「何考えとるんじゃ、あいつは! そんなことをして手に入れた強さに、何の意味がある!」 咲「……それでも、京ちゃんは勝ちたかったんです。私たちの、ように」 久「咲?」 咲「京ちゃんは、ずっと苦しんでいました。自分だけ、麻雀が弱いということに」 咲「団体戦で、優勝した時も……自分ひとりだけ、輪の外にいるような気分だったんだと思います」 咲「私は……」 咲「私は、京ちゃんのことを忘れたことなんか……一瞬たりともなかったのに」 和「宮永さん……」 『ついにオーラス、最終盤だ! トップは傀選手、このまま決まってしまうのか!』 衣「いずれにせよ、このまま進めば京太郎の敗北は必至だ」 衣「あの三人……今の京太郎でも太刀打ちできぬほどの、魑魅魍魎の類」 衣「このまま、終わってくれればよいのだがな」 久「まだ、何かあると?」 優希「で、でも……この点差じゃ、もうどうしようもないじぇ」 衣「……それはわからぬ」 衣「まだ……京太郎に、捨てるものがあれば」 咲「!」 京太郎(逆転条件は役満ツモ……厳しいってもんじゃねぇな) 京太郎(くっ、牌が重い……目も霞んできやがった……) 京太郎(みんなと共に、全国へ……行きたかった) 京太郎(全てを捨てても……やっぱり、届かないのか?) 京太郎(……いや……まだ、手はあったな……) 京太郎(全てを捨てたつもりだった。でも、それは違う) 京太郎(まだ、残ってたじゃないか……一番、大切なものが) 京太郎(でも、それを捨ててまで……勝つ意味が、あるのか……?) 京太郎(…………) 京太郎(俺の、一番大切なもの……) 京太郎(それは……) 京太郎(全てを、捨てたつもりだった……) 京太郎(でも、お前だけは……ずっと、俺の心の中にいた。捨て切ることができなかった) 京太郎(こんなになった俺でも……いつも心配してくれて、話しかけてきてくれた……) 京太郎(誰よりも大切な、幼馴染……) 京太郎(…………) 京太郎(ごめんな、咲……) 京太郎「リーチ」 和「多面張を捨てて、単騎待ちリーチ……?」 優希「それ以前に……これではリーヅモタンヤオ、赤1。逆転には届かないじぇ」 まこ「京太郎……なんのつもりじゃ……まさか久の……?」 久「……違うわ。須賀君は、悪い待ちを選んだんじゃない」 まこ「何じゃと?」 久「彼は……」 京太郎「……カン」 久「カンできる待ちを、選んだのよ」 京太郎(あいつの……一番得意な役だったな) 京太郎(咲、見てるか?) 京太郎(今まで、ありがとな……) 京太郎(でも、これで……さよならだ) 咲「京……ちゃん?」 京太郎「ツモ。リーヅモタンヤオ赤1、嶺上開花」 京太郎「裏……8。逆転だ」 京太郎「はぁ……はぁ……」 京太郎「はは、勝ったぜ……見てたか、みんな……」 咲「……京、ちゃん……だよね?」 京太郎「……その声、咲か……」 咲「…………」 京太郎「咲……俺は、勝つためにお前を捨てた」 京太郎「もう、お前とは……会話することもないだろう」 咲「……なんでなの……」 咲「京ちゃん、こっち向いてよ……」 京太郎「…………」 咲「また、昔みたいにさ……頭なでたり、ほっぺたつついたりしてよ……」 咲「昔みたいに……笑ってよ……」 京太郎「……咲、今の俺とお前……どっちが強い?」 咲「……京ちゃんの方が、強いよ……ずっと」 京太郎「そうか……」 咲「私よりも、勝つことが大事なの……?」 京太郎「……あぁ」 京太郎「これで俺も、お前らと一緒に全国の舞台で戦える」 咲「全然、一緒なんかじゃないよ……本当はわかってるんでしょ、京ちゃん」 京太郎「咲、ありがとな……お前は、最後の最後まで俺を……」 京太郎「でも、これが俺の選んだ道なんだ……だから……」 京太郎「さよなら、咲」 咲「京ちゃん、待って!」 咲「うっ……うぅ……」 咲「京……ちゃん……」 -数年後- 同僚A「……じゃあ、かんぱーい!」 同僚B「かんぱーい! ふぅ、仕事あがりのビールはおいしーね!」 同僚C「これであとは彼氏でもいれば、言うことなしなんだけどね」 同僚A「こら、それは言っちゃだめ!」 咲「あははは……」 同僚B「あーあ、須賀プロみたいなイケメンの彼氏欲しいな~」 咲「……!」 同僚A「須賀プロかー、若いのにすっごい強いって評判だよね」 同僚C「あまりの強さに、地獄の皇帝(ヘルカイザー)とか呼ばれてるんだっけ」 同僚A「でも友人とか全然いないって話聞くけど本当なのかな?」 同僚B「一匹狼って感じでカッコイイじゃん」 咲「…………」 同僚B「咲なんかは、彼氏とか好きな男とかはいないの?」 咲「……好きな人なら、いたよ……」 咲「でも……私がいると、あの人の邪魔になっちゃうから……」 同僚A「へぇ、何か色々あったのね」 同僚B「須賀プロといえばさ、咲って麻雀めっちゃ強かったんでしょ」 同僚C「え、そうなの?」 同僚B「高校の頃、全国とか行ったって聞いたんだけど」 同僚C「マジ? そんな強いなら、プロになればよかったのに」 咲「……私はプロには、なれないよ」 咲(プロになったら……) 咲(きっと、また顔を合わせちゃうから) 咲「ふぅ、ただいま……と」 咲「何か面白い番組はないかな……」ピッピッ 咲「…………」 『須賀プロ、またもタイトル奪取!』 『まさに圧殺! 強い、圧倒的に強い! この強さは本物だぁーっ!』 『地獄の皇帝、ヘルカイザー京太郎!』 咲「京ちゃん……また勝ったんだ」 咲「本当に、強くなったね……」 咲(京ちゃん……) 咲(清澄のみんなで一緒に麻雀を打ってた日が、懐かしいよ) 咲(京ちゃんは……今の自分に、満足してるの?) 咲(いや、してるはずだよね……あんなに、強くなれたんだから) 咲(そう、京ちゃんが望んでいたように……) 咲(でも……) 咲「私は、寂しいよ……京ちゃん」 END 【分岐ルート①】 京太郎(……まだ、捨てられるものがあったじゃないか……) 京太郎(それは……俺の命) 京太郎(もう、みんなには二度と会えなくなってしまう……) 京太郎(それでも……俺はみんなと、ずっと共にある) 京太郎(あの世から……一緒に、戦おう。全国の舞台で!) 京太郎「……いくぜ」ゴォッ! アカギ「……へぇ」 傀「…………」 哲也「……こいつ……」 咲「京ちゃん!」 衣「まずい、あの馬鹿者……死ぬ気だ!」 和「ど、どういうことですか!?」 衣「京太郎の体から、溢れ出ている力……あれはまさに、京太郎の生命力そのもの」 衣「死と引き換えに……勝利を手にする気か……」 優希「そ、そんな!」 久「須賀君……なんで……」 優希「京太郎!」 京太郎(優希……もっとお前にタコス、作ってやりたかったぜ) まこ「京太郎!」 京太郎(染谷先輩……いつも俺を気にかけてくださって、ありがとうございました) 久「須賀君!」 京太郎(部長……散々迷惑かけて、申し訳ありませんでした) 和「須賀君!」 京太郎(和……知ってるか? 俺、お前に憧れてたんだぜ) 咲「京ちゃん!」 京太郎(咲……) 京太郎(今まで、色々なことがあったな……どれもこれも、懐かしい日々だ) 京太郎(もっと……) 京太郎(お前と、一緒にいたかった) 京太郎「ツモ……数え役満……」 京太郎「逆、転……だ……」 咲「京ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 和「もう一年ですか、早いものですね……」 優希「まったく、京太郎のせいで雑用が大変だったじぇ!」 まこ「……それじゃ、もう行くかの」 咲「……私、もう少しだけここにいます」 久「咲?」 和「……部長、ここは一人にさせてあげましょう」 久「……そうね。じゃあ、先に行ってるわ」 咲「京ちゃん、お墓の下でも聞こえてるかな……?」 咲「この一年、色々なことがあったよ」 咲「部長は卒業して、新入部員も入って……あ、私はお姉ちゃんとも会えたんだ」 咲「優希ちゃんはタコス係がいないっていつも不満たらたら。和ちゃんは相変わらずだけど、時々寂しそうだよ」 咲「……そうだ、あの決勝の牌譜……みんな、驚いてたよ」 咲「衣ちゃんも、見事だって褒めてた。えへへ、凄いね京ちゃん……」 咲「…………」 咲「……ねぇ、京ちゃん……」 咲「京ちゃんは……幸せだった?」 咲「命を落としてまで、麻雀を打って……勝って……」 咲「……ううん、きっと幸せだったよね。じゃないとあんな素敵な牌譜、残せないから……」 咲「……でもね、京ちゃん……」 咲「私は、あんまり……幸せじゃない、かな」 咲「…………」 咲「……ぐすっ……」 咲「忘れないよ……京ちゃん」 咲「清澄高校の麻雀部には……須賀京太郎っていう、ものすごく強い男の子がいたこと……」 咲「絶対に……うぅっ……忘れないから……!」 咲「京ちゃん……!」 END 【分岐ルート②】 京太郎(命も……咲も……どちらも捨てる) 京太郎(もう、何もいらない。勝利の二文字さえあれば、それでいい) 京太郎(この勝負に……何もかもを賭ける!) 京太郎(……さぁ、いくぜ……みんな、見ててくれ) 京太郎(俺の人生の……最終幕だ!)ゴォッ 衣「……ッ! 馬鹿者が!」 京太郎(さようなら、みんな……) 京太郎(俺なんかに付き合ってくれて、ありがとうな……) 京太郎(でも、これで……永遠に、お別れだ……) 京太郎(これが俺の……手向けだ!) 京太郎「リー……」 (京ちゃん……) 京太郎「……!」 哲也「ん? どうした?」 京太郎「……いえ……」 傀「……御無礼、ツモです」 『試合終了! 代表の切符を手にしたのは、傀選手だぁーっ!』 赤木「クク……ちょっと届かなかったか……」 傀「……対局、ありがとうございました」 哲也「おう、お前もお疲……ん?」 京太郎「…………」グラッ 哲也「お、おい!」 ドサァッ 京太郎(ん……ここは……) 京太郎(天国か? 俺、死んだのか……?) 京太郎(みんなには……最後まで、迷惑かけっぱなしだったな……) 京太郎(でも……天国って、案外狭……) 京太郎(いや、違う……ここは、病院?) 衣「気が付いたか、京太郎」 京太郎「天江、さん……」 衣「ここは龍門渕家所有の病院だ。あの後、倒れたお前を運んできた」 京太郎「そっか……俺、負けたんですね……」 衣「魔の領域から、人の世に舞い戻った感想はどうだ?」 京太郎「……不思議ですね。本当は、あの場で……燃え尽きるつもりだった」 京太郎「でも……その時、咲の声が聞こえた気がしたんです」 京太郎「そうしたら……最後の一歩を踏み出すことを、ためらってしまった」 衣「…………」 京太郎「俺は、勝利に飢えながら……やっぱり何も、捨て去ることができなかった……」 京太郎「結局、俺は……弱いままだったんですよ」 衣「……それは違うぞ。京太郎よ」 衣「お前の闘牌は……実に、素晴らしいものだった。衣も見たことのないほどの」 衣「衣だけじゃない。純も、智紀も、一も、透華も……清澄の面々も」 衣「誰もを魅了する……見事なものだった」 京太郎「…………」 衣「衣は忘れぬよ。この夜を、あの魔物ひしめく半荘を、あの数百打を」 衣「それを戦い抜いた……須賀京太郎という、誰よりも強き男のことを」 衣「あの試合を見ていた者は……あの時のお前の雄姿を、未来永劫忘れぬよ。きっと」 京太郎「天江さん……」 衣「さて、そろそろ衣は退散するとしよう」 京太郎「……帰るんですか?」 衣「ふ……馬に蹴られたくはないんでな。では、また何処かで会おうぞ」 タッタッタッタッ ガラッ! 咲「はぁ、はぁ……京、ちゃん……」 京太郎「咲……」 咲「う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 京太郎「お、おい……」 咲「よ、よかった……京ちゃん……無事で、本当によかったよぉ!」 京太郎「咲……ごめんな」 咲「京ちゃん……! 京ちゃん……!」 京太郎「お前のおかげで……俺は、踏みとどまれた」 京太郎「もう、どこにも行かないよ……」 咲「京ちゃん……!」 久「じゃ、須賀君。買い出しよろしくね」 京太郎「へいへい、了解です……」 和「ごめんなさいね、須賀君」 優希「京太郎、タコスちゃんと買ってくるんだじぇ!」 まこ「いつもながら、迷惑かけるのう」 京太郎「ははは……みんなはこれから全国大会なんですから、お気になさらず」 咲「京ちゃん」 京太郎「ん……咲、ついてきたのか?」 咲「えへへ……無理言って来ちゃった」 京太郎「やれやれ……じゃ、一緒に行くか」 咲「うんっ!」 咲「京ちゃん……正直、残念だった?」 京太郎「……あの個人戦のことなら、まぁ確かに惜しい気持ちはあるよ」 京太郎「でも……今になってわかった。俺は……やっぱりこれが、一番性に合ってるさ」 京太郎「もちろん、麻雀は強くなりたいけどな!」 咲「ふふ……一緒に頑張ろうね、京ちゃん」 京太郎「だけど、俺やっぱ馬鹿だから……また、馬鹿なことをするかもしれない」 京太郎「だからさ、咲……」 咲「……うん、いいよ」 咲「京ちゃんがまた無茶をしそうになったら、私が止める」 咲「だから……ずっと、そばにいてあげるよ。何か月でも、何年でも……」 京太郎「……ありがとな、咲。」 京太郎「全国大会……俺の分まで頑張れよ!」 咲「うんっ!」 咲「……ねぇ、京ちゃん」 京太郎「ん……何だ?」 咲「……大好きだよ、京ちゃん!」 END
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3468.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377983742/ ガラス製の丸テーブルの上にはアップルパイにチョコレートケーキ、エクルズケーキ、シュークリーム、マカロン、クッキー、 スコーンとその添え物の生クリームとストロベリージャムが所狭しと並び、それから人数分のミルクティーが置かれている。 咲「わぁすごいね」 京太郎「まぁな。ちょっといろいろ奮発してみた」 半分は買ってきたものだが、もう半分は俺の手作りだ。 京太郎「照さんも遠慮せずにたくさん食べてくださ、……」 照「……」サクサクサクサクサクサクサク 言う前から、すでにマカロンやクッキーを頬張っていた。はえぇよ。 ちょっと用意しすぎたかとも思ったが杞憂だったようだ。 咲「お姉ちゃん……」 京太郎「あ、はは……まぁ咲も遠慮せずに食べてくれよ」 咲「えっと、京ちゃんが作ったのはどれかな?」 京太郎「ん~っと、アップルパイとシュークリームとクッキーかな。後そのイチゴジャムは俺の自作」 咲「じゃあシュークリームを」 そういって咲がシュークリームに手を伸ばそうとした瞬間、まるで小動物を強襲する猛禽類のような速度で照さんの手が翻る。 一瞬早く、照さんが菓子を掻っ攫っていく。 双眸には猛獣の眼光。 咲「……」 京太郎「てい」 指先で照さんの額を弾く。 照「あう」 京太郎「まったく。大人気ないことしおって」 京太郎「ほら、咲」 咲「あ、うん。ありがと京ちゃん」 照「京ちゃん。酷い……」サスサス 京太郎「あんたが悪い」 用意したお菓子の半分が照さんの手によって消費された頃、ようやく一息つく。 咲「美味しかったよありがと京ちゃん」 京太郎「どっちが?」 咲「どっちも、と言いたいところだけど、身内贔屓で京ちゃんかな」 京太郎「花を持たせてもらったって感じがするけどまぁ良いか。俺も久々に思いっきり料理が出来て楽しかった、ありがとな」 咲「うん」 照「……」サクサク 京太郎「照さんは……うん、まぁ作り甲斐があってよかったです。うん」 照「?」 照「ふぅ……」 ようやく照さんも一息。 咲「なんだか久し振りだね。この雰囲気」 京太郎「3人で集まったのはインハイの決勝の後だったっけ?」 咲「そうだけど、なんかそれよりももっと長く感じる」 京太郎「まぁ実際そうだしな」 照「……」ジー 京太郎「? どうかしました? 照さん」 こちらをジッと見ている照さんを疑問に思いつつミルクティーの注がれたカップに口をつける。 照「京ちゃんは、今好きな人っているの?」 京太郎「ぶふぅっ!?」 吹いた。盛大に。 咲「ちょ! おおおお、お姉ちゃん、いきなりなに聞いてるの!?」 京太郎「ゴホッ、ゴホッ!」 いかん、気管支に入った。苦しくて涙が滲む。 咲「京ちゃん、大丈夫?」サスサス 京太郎「ゴホッ、ああ、うん。すまん咲、ありがとう。ゴホッ」 咲に背中をなでてもらってなんとか持ち直す。 京太郎「あ、えー照さん?」 照「なに?」 京太郎「なんでいきなりそんな話に?」 照「京ちゃんは清澄の人たちはもちろん、うちや阿知賀のみんなと仲が良い。だからどうなのかなって」 もしかしてこの人この間ずっとそのこと考えてたのか? 京太郎「それ答えないとダメなの?」 照「ダメ」 京太郎「言い切ったな」 京太郎「大体なんでこんな話を、咲からもなんか言ってやってく、」 咲「……」モジモジ わーお。君もそっち側なの? 咲は俺と目を合わせないように、けどチラチラこちらを伺いながら早く話せと無言で続きを催促してくる。 京太郎「好きな人ねぇ。好きな人……いません」 照「京ちゃんは私たちのこと嫌いなんだって咲」メソメソ 咲「ええ!? そうなの京ちゃん!」 京太郎「なんでそうなった!? どんな飛躍だよ!」 照「じゃあ好き?」 咲「///」 京太郎「はぁ……究極の二択ですね。もちろん好きですよ」 照「だって、やったね咲」 咲「わ、私は別に……///」 京太郎「あの、ゆっときますけどそんな深刻な意味じゃないですよ?」 照「にやり」 京太郎「おい、その『してやったり』みたいな顔やめろ」 照「でも今好きって言った」 京太郎「いいよそういう言葉のマジック!」 照「京ちゃん、うちの淡や阿知賀の玄ちゃんとも仲いいよね」 咲「!」ピク 京太郎「あの、もうちょっと会話の前後の繋がり重視してもらっていいですか?」 京太郎「そりゃまぁいいですけど、別にそんな、そういうアレじゃないですよ」 照「付き合いたいとか、そういった考えはないの?」 京太郎「俺だって別にそういった願望がないわけじゃないですよ。たとえばその2人に限らずに」 京太郎「ただ、俺のポンコツ許容量は君ら2人で本体、予備、緊急用、来世の前借分までいっぱいなんでそういった隙がないだけです」 ポンコツの姉とポンコツの妹、両方面倒を見なくちゃいけないのが中間管理職の辛いところだ。 咲「ホッ」 照「よかった」 照「好きな人がいないなら、じゃあ好きなタイプとかは?」 京太郎「好きなタイプ~?」 照「たとえば年上と年下ならどっち?」 京太郎「俺、どっちかって言うと同い年か年下がいいんだけど」 咲「ホント!?」ガタッ 京太郎「お、おう?」タジ 照「ちなみにどうして?」 京太郎「俺が主導権を握りたいから……」 京太郎「っと最近まで思っていたんだけどどうも俺は年齢に関わらず女性に頭が上がらない気質らしく、正直これはどっちでも良くなった」 照「じゃあ次の質問」 京太郎「あ、これ続くのね」 照「家事は出来るほうがいい?」 京太郎「家事ねぇ、別にどっちでも。最初は出来なくてもやってくうちに上手くなるだろうし」 京太郎「最悪、俺が自分でやるし」 咲「京ちゃん……」ホロリ 照「では最後の質問です」 京太郎「へぇ」 照「胸は小さいほうがいいよね?」 京太郎「なにその質問」 京太郎「おも、胸は大きいほうが……いや待て今のは無しだ。なんで幼馴染の女の子2人に俺の性癖暴露せにゃならんのだ」 照「そもそも京ちゃんのその趣向はおかしい」ズビシ 京太郎「ほう、言ったな。一席打つか?」 照「たとえば人の価値観って育ってきた環境に影響さえたりするよね」 照「たとえば、お金持ちの人から見たら価値のないものでも、貧しい人から見たら価値があるとか」 京太郎「はぁ」 照「京ちゃんは、私たちの一緒に育ってきたんだから、私や咲みたいなポンコツで胸の無い娘を好きになるはず」 京太郎「いやむしろその環境にあったが故のというか。後、自分で言ってて悲しくありません?」 照「少し」 咲「私! 私はまだこれから大きくなるよね! 牛乳だって飲んでるし」 照「……」 京太郎「……」 咲「お姉ちゃん!? 京ちゃん!?」 京太郎「なぁ咲、遺伝学的に考えてこの先そんなことが起こりうると本気で思ってるのか?」 咲「それは……」チラッ 照「」テルーン 咲「ふえぇぇぇぇぇぇ、京ちゃぁぁぁぁん!」 こうまで科学的な証拠を提示されてはさしもの咲も納得せざるを得ない。 咲は止め処もなく、失意の涙を滂沱と流した。 照「2人とも失礼」ムゥー 咲「やっぱり京ちゃんは胸が大きいほうがいいんだ!」 咲「だから和ちゃんとか渋谷さんとか松実さんのお姉さんとかには対応が妙に優しいんだ!」 京太郎「ん? ん、まぁそうだけど」 けどそれ宗教上の理由であって、いやまあ可愛いと思うしぶっちゃけ結婚するならああいった人たちがいいけど。 京太郎「それがすべてじゃないから、な? なんで泣いてるかわかんないけど泣き止めよ。お前が泣いてると俺も悲しい」 照「咲を泣かせるなんてダメだぞ。京ちゃん。お姉ちゃんは憤慨します」 京太郎「あの、ちょっと黙っててもらっていいですか?」 照「胸なんて飾りです! 京ちゃんにはそれがわからんのです!」 咲「そうだ! そうだ! 胸はなくても人権はあるぞ!」 京太郎「ちょっと落ち着け! っていうかなんか会話の方向性おかしくない? 後、俺ばっか質問されてて釈然としない」 京太郎「逆に聞きたいんだけど、2人はどうなの? 好きな人とかいるの?」 照「黙秘権を行使します」 咲「お、同じく……」 京太郎「まぁ絶対そういうと思ってたけどね!」 この俺ルールっぷり。これについては我々はもう熟知してるのでね、最早なんの感慨もないですが。 京太郎「淡はいるかあああああああっ!!!」バーン! 白糸台の面々が泊まっている部屋の戸を盛大にブチ開ける。 何故俺がこんなに怒り心頭なのか。昼飯の後サロンのソファーで昼寝をしていた俺は、 目を覚ましてから洗面所で顔を洗おうとして鏡を覗き込んで驚愕した。 それはもうなんか、なんかすごいとんでもなく面白い顔になっていた。噴飯ものである。 根拠はないがこんなことをするのはきっと淡だ。俺の本能がそう言っている! 菫「!?」 部屋にいたのは弘世先輩だけ。突然の不躾な訪問に驚いているようだ。そういえばノックするのを忘れていた。 普段、礼節を重んじる俺だがそんな精神的余裕は存在しなかった。 菫「す、おま、……!?//////」 京太郎「?」 真っ赤になりながら口をパクパク開閉させる。弘世先輩。 よく見れば服の胸元が肌蹴ている。微かな違和感。 一瞬で状況把握。 はっはっはっ。な~んだ、今日は俺の命日だったのか。…………っておいぃぃ!? 京太郎「すんませんっした!? さーせんっした!!」 即座に土下座した。有史以来最も美しい形だったと自分でも思う。 菫「いいからさっさと出ていってくれ!」 曰く至言。 俺は速攻で回れ右をし、部屋を出て行こうとする。 パタパタパタ 響いたのは足音、しかも複数。おそらくこの部屋に向かってきているらしい。 京太郎「」 ちょっと待て、この状況はすごくまずいんじゃないか? 菫「くっ! 来い!」 弘世先輩に襟首を掴まれ、次の瞬間世界が回転。 暗闇の中に放り込まれる。背中には柔らかな感触を感じ、 次いで身体の前面にも背中に感じるものとは違う柔らかくまた仄かに温かななにか。 ガラッ 淡「あれー? スミレいないねー」 誠子「どこかに出かけたのかな」 尭深「別の場所も探してみよう?」 パタパタパタ 声と足音が遠ざかっていく。っていうかちょっと待て! そこにいるのは世界の根源悪である淡か! ちくしょう! そこを動くな! 菫「おい須賀! モゾモゾ動くな!」ボソボソ かなり近い位置から弘世先輩のこれが聞こえる。 まさかこのあったかくて柔らかいものは……。 京太郎「弘世、先輩……だと」モゾリ 菫「こらだから動くなと、あ、ん……」 なにか手のひらに一際やわっこいものが掠めた。 一瞬だが弘世先輩の声に色が混じった。 これはもしや……おもち!? 玄さん、俺やりましたよ。初めておもちに触れました。今晩は赤飯だな。 ようやく理解できた。 ここはどうやら備え付けの押入れの中で、布団やその他の雑多なものに紛れて俺と、 俺に抱えられるようにして弘世先輩が押し込まれているようだ。 菫「くっ、いいか須賀。とりあえずいったんここから出るぞ。貴様を尋問するのはその後だ」 そういって身を捩るが完全にはまり込んでしまっており俺達は抜け出せない。 菫「どういうことだ? 無理矢理とは言え入れたなら出れるはずだろう!?」 京太郎「……」 菫「そんな短時間で人間の体積が大きくなるわけ……」 暗闇に慣れてきた目に弘世先輩の顔が薄ぼんやりと映る。その顔には極大の嫌悪感。 菫「おい、この腰の辺りに当たる硬いものはなんだ?」 京太郎「えっと、その……リー棒とか、じゃないでしょうか?」 菫「こんな大きなリー棒があるか!?」 京太郎「いやいや、わかりませんよ? 大判トランプとかありますし、それにほら悪魔の証明ってあるでしょう?」 京太郎「まずは存在しないことを証明しないと」 京太郎「案外、大きなリー棒とかジョークで作られたりとかも痛たたたったたたっい!?」 弘世先輩が遮二無二にでも出ていこうとして俺の下半身に凄まじい荷重が加わる。 菫「うるさい! こんな不愉快な状況1秒たりとも我慢できるか」 京太郎「ちょっ! ホント、ホントに痛いんですって! 悪魔? 悪魔は実在したの!? 弘世先輩自身が悪魔なの!?」 俺は這い出そうとする弘世先輩の身体をガッチリ抱きしめる。 菫「あ、こら! なにを抱きついている! 離さないか!」 京太郎「いや、もうホント勘弁してください。ホント、マジで」 菫「じゃあこの状況をどうしてくれるんだ?」 京太郎「少しだけ時間をくれませんか? 時間が、そう優しい時の流れだけが僕らを癒してくれるんです」 菫「よし、わかった。君を気絶させよう。そうすればその超局部的体積膨張も解消され、ここから抜け出せる。そこから改めて君を処刑しようか」 京太郎「ひぃ!? なんでそんな実力行使なんですか!?」 菫「心配するな、これでも私は武道の心得があるし人体急所もきちんと把握している。顎を出せ、一瞬で昇天させてやろう」 京太郎「死にますよね!? それ死んでますよね!?」 菫「いいから早くしろ。私はあまり気が長いほうではない」 京太郎「あの、えっと……そうだ! そもそも弘世先まで一緒にここ入る必要なかったですよね!? 必死に捻り出した俺の疑問をぶつけると、押し入れ内に充満していた凄まじいまでの怒気が収まっていく。逸らせたか!? 菫「須賀。貴様、私の胸に触れたな。どう思った?」 京太郎「すみませんだした! お願い殺さないで! 俺まだ命が惜しい……」 菫「いいから答えろ」 京太郎「えっと、なんていうか。やんごとなき手触りで。いやすいません、正直思ってたより小さいというか」 菫「そうか……」 先輩の声には落胆。 京太郎「弘世先輩?」 菫「実は普段のあれはパットだ」 京太郎「」 最初に感じた違和感の正体はこれか。 ってかマジかよ。世界は嘘と欺瞞に満ちていた。もう、もう俺は誰も信じない。世界なんて信じない。 菫「……」 京太郎「あの……じゃあここに一緒に入ったのはそれを他に人にバレないようにってことですか?」 菫「……」コクン 京太郎「隠すくらいならなんでそんなこと……」 菫「元からこうだったわけではないんだ。ある日突然、朝目が覚めたら小さくなっていて……」 京太郎「」 どゆこったい。 アレか? 世界の修正力か? いや知らんけど。 玄さんがいっていたのはこれか。さすがおもちソムリエ、その審美眼に一点の曇りなし。 京太郎「だからってそんな隠さなくても」 菫「だって……」 京太郎「だって?」 菫「恥ずかしいじゃないか///」 京太郎「」キュン 可愛いなぁもう! 菫「だから須賀、できればこのことは他言無用で」 京太郎「わかりました。誰にも言いません」ナデナデ 菫「お、おい//////」 気付けば俺は弘世先輩の頭を撫でていた。 京太郎「は!? すみませんつい」 菫「いや、いい……ちょっとビックリしただけだ」 京太郎「そ、そうですか……」 菫「その、続けてもいぞ……?」 京太郎「え?」 菫「だから、頭、撫でてもいいぞ///」 京太郎「クスッ、はい」 なんだか腕の中に納まる弘世先輩の身体が一回りだけ小さく感じられた。 おおよそ四半刻が経ったころ。ようやく俺達は狭苦しい押入れから抜け出した。 菫「い、いいぞ」 背中越しに声。肌蹴ていたブラウスを正した弘世先輩に向き直る。 京太郎「あの、いろいろすみませんでした」 そしてありがとうございました。 菫「いや、いい。もう……///」 いつもハキハキとした弘世先輩にしては歯切れが悪い。 京太郎「そうですか? けどそれじゃあ俺の気が済みません。いずれこのお詫びは必ず」 菫「君の気が済むのなら、じゃあそれで」 京太郎「はい!」 菫「いいか、念を押しておくがこの件は絶対に他言無用だぞ」 京太郎「はい! 2人だけの秘密ですね」 菫「2人だけ、そうか2人だけの秘密か。ふふ」 京太郎「?」 なにやら嬉しそうだ。ぶっちゃけ玄さんにもバレてたし、案外知ってる人いそうだけども。 菫「頼むぞ京太郎」 京太郎「!? はい! 菫先輩」 いろいろあったが少しだけ弘世、いや菫先輩と仲良くなれた気がした。 ――――― ――― ― 淡「そういえばスミレって胸小さくなったよねー」アハハハ 照「知ってた」テルーン 菫「貴様らあああああああああ!!!」 それはそれは凄まじい折檻だったという。 京太郎「ってなんで俺まで!?」 菫「連帯責任だ!」 京太郎「理不尽だ!?」 みんな忘れてると思うけど、この合宿はインターハイ後の8月中旬から下旬にかけての期間に行われている。 8月といえば我々学生は夏休みの真っ最中なわけだが、っとくれば日本全国の学生諸君の大敵である、 そう夏休みの宿題も当然あるわけである。 優希「うあ~なんでこんな遠出してまで宿題なんてやらないといけないんだじぇ~」 京太郎「そら、お前がぜんぜんやってないからだろ」 優希「こちとらインハイ優勝チームなのに!」 和「たとえそうでも学生の本分は勉学ですよゆーき」 京太郎「事実そうなんだけど、ちょっとその意見には同意しかねる」 京太郎「そっちも悪いね。付き合わせちゃって」 玄「あはは、いいよ。ぜんぜん」 憧「まぁこっちも同じようなのがいるからね」 穏乃「あ~なんでこんなことしなきゃいけないの~」 どこも苦労するな。 そしてもう1人……。 淡「む~ん」 こいつ……。 京太郎「ペンくらい持てよ。やる気ゼロだな」 淡「だって~つーまんないー」アワーン 優希「大体京太郎! なんでお前はそんな呑気にしてるんだじぇ!」ガタッ 穏乃「そうだそうだ! 京太郎はどう考えてもこっち側の人間だ!」ガタタッ ぎゃーぎゃー騒ぎ出す。いいから口じゃなくて手を動かせ絶頂バカ2人! 京太郎「は? そりゃお前俺は時間だけはあったからな。コツコツやってたんだよ」 京太郎「まぁ大半テキトーに埋めただけだけど」 和「それもどうなんでしょうか」 優希「くっ、のどちゃんや咲ちゃんはともかく京太郎はこっち側だと思って高を括っていたのに」 穏乃「酷い裏切りだよ! こんなのってないよ!」 京太郎「ちょっとその俺も同じタイプ認定やめてくれる? お前らが仲良いのわかったからさぁ。俺そっちのグループ入りたくないんだけど」 優希「春は曙、曙って?」 京太郎「明け方ってことだ」 優希「やうやう白く、やうやうって?」 京太郎「徐々にとか、だんだんととかってことだ」 優希「なりゆく山際、山際って?」 京太郎「山と空の境界線の、っていうかあのさぁ」 優希「なんだじぇ?」 京太郎「一節ごとに聞いてくるのやめてくれない。なんかそういう規約でもあるの?」 優希「そんなのこの文章に言ってほしいじぇ! なんでこんな読みにくいんだ、そういいたいなら最初っからそう書けばいいのに!」 京太郎「いや、うん、まぁ、そうだけどさ、これ古典だし。言い回しってのも覚えると結構便利なんだぞ?」 優希「知らないんだじぇ! 私には関係ないんだじぇ!」 京太郎「だじぇだじぇ言いやがってこいっつぅ~」 穏乃「なんで英語なんて勉強しなくちゃいけないの~」ムーン 憧「なんでって」 穏乃「大体私達は日本人なんだから! 日本語だけで十分じゃん!」 京太郎「地球人だろ地球語勉強しろ」 京太郎「それに日本語の勉強って、それはそれでアレだぞ」 俺はうんうん唸っている優希の方を指差す。 優希「のどちゃ~ん、これ教えて~」 和「この『たなびきたる』の『たる』は、助動詞『たり』の連体形止めで、これは体言止めと同じ働きを」 穏乃「日本語って難しい……」 京太郎「英語といえばさ。俺、以前部長の指令で姫松に遠征に行った事があるんだけど」 憧「ふぅん、それで」 京太郎「そこの主将の洋榎先輩が英語の授業で『I can fly』のlがrになってたらしく」 憧「ぷふっ」 察した憧が小さく噴出す。 京太郎「これって直訳すると『私はからあげになるぞ!』って意味なんだよな」 京太郎「主将これは痛恨のミス! 末原先輩達にしばらくネタにされてたんだわな」 玄「それは、なかなかのなかなかだね……」アハハ 玄さんのリアクションに困ったかのようなぎこちない笑い。わかります。 京太郎「今どうしてんだろな、からあげ先輩」 ――――― ――― ― 洋榎「はっ! 今ガースーがうちのこと考えてるような気ィする」 絹恵「おねーちゃん頭大丈夫?」 恭子「あかんやろなぁ」 淡「クロー、これはー?」 玄「あ、えっとね。これは3ページ前の……これ。この公式に数字を当て嵌めて」 京太郎「あなたそれ20分くらい前にも聞いてなかった?」 淡「だって忘れちゃったんだもーん」 博士の愛した数式かよ……4分の1しか保ててないけど。 京太郎「淡って得意な科目とかあんの?」 淡「ありまへん」 京太郎「え、じゃあ苦手な科目は?」 淡「恋?」アワ? ぶ、ぶん殴ってしまいたい……。 優希「淡ちゃんがんばるんだじぇ! 私も痛みに耐えてがんばるから!」 淡「ユッキーがそこまで言うならがんばる!」ムン 和「痛みに耐えて?」 京太郎「なんか政治みたいな話になってきたな」 玄「け、けど。京太郎くんって意外と真面目なんでね」 間を取り持とうと話題を振ってくる玄さん。 京太郎「俺って基本どんな風に見られてんだろうな?」 憧「見た目通りでしょうよ」 京太郎「左様で」 和「そういえば咲さんが、須賀君は赤点の補習でインターハイ一緒に行けるか、なんて話を以前してましたよ」 優希「ほら見ろ! ほーら見ろ! やっぱり犬は所詮犬だじぇ!」 京太郎「うっせ! 俺だって真面目にやれば赤点なんて取らねぇんだよ!」 憧「じゃあ不真面目にやったらどうなるのよ」 京太郎「実は中2の一学期にな、クラスの奴と赤点チキンレースなるものをやってな」 憧「なにその聞くからに頭の悪そうなレース」 京太郎「まぁその名の通り、いかに赤点ギリギリを多くの科目で取れるかという過酷な競技でな」 和「あ、大体察しました」 京太郎「まぁ予想の通り盛大にオーバーランしたんだわ俺、その数なんと7つ。で、補習で夏休みの大半を消費しちまってな」 京太郎「咲と約束していたプールだとか夏祭りだとかをほとんどぶっちぎってしまい」 京太郎「これには普段温厚で通ってる咲さんもぶち切れてね」 京太郎「機嫌を直すまでしばらくかかってな、二学期になっても1週間くらい口利いてくれなった」 優希「アホだじぇ」 穏乃「アホだ」 憧「アホね」 和「アホですかあなたは」 淡「アーホー!」 ぼろくそ言うなこいつら。 玄「でもほら、今年は大丈夫だったみたいだし合宿もこうして一緒に参加出来てるから良かったよね!」アセアセ 京太郎「さすが玄さん! 俺のことをわかってくれる高徳の聖者はあなただけだ!」ニギ 俺は身を乗り出し、対面に座る玄さんの手を握る。 玄「はわわわわわ!?///」 急に顔を赤らめる玄さん。熱かったのだろうか。冷房の設定いくつだったっけ? 京太郎「玄さん……」ジッ 玄「京太郎くん……///」ポォ しばし見詰め合う俺達。 淡「むぅ~いつまで見詰め合ってんの!」ピシッピシッ! 小さく刻んだ消しゴムの欠片を指先で弾いて跳ばしてくる淡。 京太郎「くっ、地味な攻撃ながら心にズンとく来る!?」 玄「……」ニギニギ ガチャ 晴絵「ん……お! 雁首揃えて何してるかと思ったら」 扉が開き、そこから顔を覗かせたのは赤土先生。 晴絵「ほぉ、宿題とは関心関心」 憧「やだハルエ、そんな教師みたいなこと言って」アハハ 晴絵「教師ですが」 穏乃「センセー! なんで学校ってこんな勉強しなくちゃいけないんですか!?」 晴絵「なんでってそりゃ、将来のためとかいろいろあるでしょ」 穏乃「学校の勉強なんて将来役に立つわけないじゃないですか!」 晴絵「先生もそう思ってた時期があったんだけどね」 晴絵「社会に出てから、これが案外使うから困り物なのよ」 京太郎「先生も苦労してるんですね」 晴絵「ありがとよ」 心底嫌そうにお礼を言われた。 京太郎「どういたしまして」 憧「ハルエはこれから?」 晴絵「灼とちょっとドライブ」 和「そういえば、小学校の頃から気になっていたんですが憧は何故先生に対して呼び捨てなんですか?」 晴絵「私が許可してんの。気安いほうが私も楽だし、年功序列は年寄りに悪しき風習だからね」 穏乃「私は先生は先生って感じだな~」 晴絵「穏乃は良い子だね!」グリグリ 穏乃「あはは、やーめーてーよー!」 口では拒否しつつも決して振り解こうとはしない穏乃。師弟、微笑ましい光景である。 京太郎「ふむ……気安い感じか」 優希「どうしたんだじぇ?」 京太郎「よっしゃ、ハルエちょっと焼きそばパン買って来い!」ピッ! 晴絵「調子に乗るなよ青二才」 先生が去って再びここ。 京太郎「なぁ、俺、今どんな顔してる?」 穏乃「んとね、ストⅡの負けたキャラの顔グラみたいな顔」 京太郎「マジか。ちょっと写メ撮っとこうかな」パシャ 憧「はいはい。横槍入ったけどほら、宿題の続き」パンパン 手を叩いてその場を仕切り直す憧。 優希「ちぇ~このまま煙に巻けるかと思ったのに」 穏乃「憧は容赦ないな~」 憧「このまま見限ってもいいのよ?」 穏乃「やるよ! ゆーき!」 優希「合点だじぇ! しずちゃん!」 淡「スピー……」Zzzz 全員「え?」 玄「寝ちゃってるね」 憧「やけに静かだと思ったら」 京太郎「あの、もうホント俺こいつもう見放したいんだけど」 和「大星さんは寝てしまったようですし、どうしましょうか?」 京太郎「起こす? 起こす!? 鉄拳で!」 俺は右の拳を硬く握り締める。淡を叩き起こせと轟き叫ぶ。 玄「可哀想だよ~こんな気持ち良さそうに寝ちゃってるのに」ナデナデ 淡「ふにゃ……」Zzz 京太郎「じょうがねぇなぁ」ガタ 悪態をつきながら俺は席を立つ。 穏乃「どかしたの?」 京太郎「そのまま寝てて風邪でも引かれても寝覚めが悪いからな」 京太郎「なんかかけるもん取ってくる」 ガチャ、バタン 穏乃「なんだかんだいって優しいよね、京太郎って」 玄「だね~、気配り上手だよね」 和「そうですね。須賀君自身はなんでもないことのように振舞ってますけど」 優希「それがあいつの良いところだじぇ」フンス 和「特にゆーきは日頃からお世話になりっぱなしですよね」 和の声に僅かにからかいの要素が含有されていた。普段の彼女からは珍しい行為である。 優希「ちょ、違うじょ! 私は犬の飼い主として普段から躾を」 憧「とかなんとか言って~ホントは構ってもらいたいだけのくせに~」ニヤニヤ その空気に便乗し、ここぞとばかりに優希を弄りだす。 玄「あはは、仲良しさんだ~」ニコニコ 一緒になって笑う玄。この人に関しては本気でそう思っているんだろう。 ガチャ 穏乃「お、帰ってきた」 京太郎「ただい、……なにこの雰囲気?」 帰ってきてみると、女性陣はなんともいえない雰囲気に包まれていた。 和と玄さんは楽しそうにニコニコと微笑み、憧は訳知り顔で朗笑している。穏乃だけは平常運転。 優希だけがなにやら納得いかないといった顔で俺を睨んでくる。心なしか顔も赤い。何故だ? 京太郎「なに怒ってんのお前?」 優希「なんでもないじぇ!」 怒鳴られた。不合理だ。 憧「それよりかけるもの取ってきたんじゃないの?」 京太郎「おっとそうだった」 憧の指摘で本来の目的を思い出す。 京太郎「タオルケットみたいな手頃なものが無かったからダンボール持ってきた」 憧「何故そうなる」 俺は畳んであったダンボールを広げ、底辺だけをガムテープで止めると即席で箱を組み上げる。 京太郎「そうだ、名前も書いといてやろう大、星、淡っと」 油性マジックで側面に超前衛的な字で署名をしておいてやった。 京太郎「どうだこの特別仕様感。きっと喜ぶぞこの天然記念物バカは!」 ダンボールといえば咲のアイデンティティーだが今回は同い年のよしみで見逃してもらおう。 俺は机に突っ伏して寝ている淡の上にそっとダンボールを被せる。 うん、完璧。 和「あれは絶対根に持ってますね」 憧「淡が起きた後がさぞ見ものね」 不穏当な会話が聞こえるが華麗にスルー。 ___________ .... -‐'''¨´ .... -‐''''¨^| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | | |__ | | 大星淡. | / <Zzz… | | .. ''´ |________|_.. -‐'''¨´ / / '――――――――' 京太郎「『だよー』、『なのよー』、『ですよー』……『三よー』!!」 和「なにを言ってるんでしょうか彼は」 憧「あたしに聞かないでよ」 穏乃「わかった! つまり『よー』の部分がかかってるんだ」 京太郎「さすが穏乃! よくわかってくれた、俺のこの難解なギャグをよくわかってくれた」 玄「わかる?」 優希「さすがに無理だじぇ」 穏乃「understand、う、うんだー……?」 京太郎「アンダースタンドな」 穏乃「意味は?」 京太郎「理解する」 穏乃「ほうほう。り、か、い、す、る……っと」 京太郎「ちなみにアンダー(下)がスタンド(勃つ)するって意味じゃないぜ! アンダスタン?」 憧「ちょっと、京太郎ちょっと」 京太郎「なんじゃらほい」 憧「黙れ」 京太郎「はい」 穏乃「さぁいい具合に場が白けてきたところでなんかして遊ぼう!」 憧「いやシズは宿題やりなさいよ」 優希「今日はもう十分やったよ! もうそろお開きでいいと思うじぇ」 京太郎「そんんだからお前らは、今この結果があるんだろうが」 厳然たる事実がそこには横たわってますよ? 京太郎「そんなんで休み明けのテストとか大丈夫なんか?」 穏乃「大丈夫! 私、本番に強いタイプだから」 優希「私も私も!」 京太郎「ホントか~」 自信満々で言ってのける穏乃に怪訝な視線を向ける。 穏乃「ホントだよ!」 京太郎「じゃあ得意な科目は?」 穏乃「ずがこーさく!」 『折り紙』とは、 正方形の色紙を決まった手順で折り動植物や生活用品などを形作る日本伝統かつ、日本起源の遊び。 古くは千代紙と呼ばれる和紙を使用した。 もっとも一般的な正方形の紙を使用する不切正方形一枚折り。 いくつかの部分に分けてそれを組み合わせる複合折り。 紙に切り込みを入れて角の数を増やしたり一部を切り取ったりする切り込み折り。 形作ったものを動かせる玩具として作られた仕掛け折りなのどがある。 憧「ってなんであたしたち折り紙なんてやってるのよ」 京太郎「そらお前、穏乃が工作得意だって言うから」 完成した風船を机に置く。 京太郎「まぁいった本人はアレだが」 穏乃「うにゃ!? またズレた!」 和「…………」バババババババババ 玄「和ちゃんは折り紙を見た瞬間、折鶴職人みたいになってるね」 和の周りには出来上がった折鶴が群舞となって散乱する。 京太郎「ああ……いるいる、クラス1人はこういう女子」 和「ふぅ……」 一段落したからか洗脳が解けたのか、和は忙しなく動かしていた手を止め額を拭う真似をする。 京太郎「和はなんていうか、……すごいね」 俺が賛辞を送ると、和は今で見たこともないような朗らかな顔で笑う。 和「そうですか!? 私、折鶴には少し自信があるんです!」 やや興奮気味に詰め寄ってくる。こんな和かつてないな。 和「実は『秘伝千羽鶴折形』も愛読してまして」 なにそれ? 魔導書? 和「これは原本はもう手に入らないんですが、改訂版が出版されてて」 なんだこいつの目。目が離せねぇ、キラキラ輝いてまるで星みたいな……。 玄「そういえば和ちゃんがまだ吉野にいたころ」 玄「赤土先生のお誕生日会をやろうってなった時もこんな風に折り紙で飾り付けとかしたよね」 憧「やったやった。色紙切って連環にして飾ったりね」 穏乃「花とかも作ったよね。紙だけど」 和「懐かしいですね」 言葉の通り、昔を懐かしむように和が目を細める。 玄「またこうやってみんなで集まれたらなってずっと思ってたから、とっても嬉しいよ」 憧「ま、それもシズの行動力のおかげかしら」 穏乃「憧は最初、断ったくせに~」 憧「もう! そのときの話はもういいでしょ!」 玄「あははは」 幼馴染組が仲良く談笑しているのをよそに俺は何かに没頭している優希を観察する。 京太郎「それ、さっきからなにやってんの?」 優希「これか? ふふふ、見ろ! 折り紙で作ったタコスだじぇ!」 優希はドヤねん顔でその白と緑と赤と橙の色紙を重ねて折っただけの物を俺に突き出してくる。 眼前の物体を反芻するがやっぱり白と緑と赤と橙の色紙を重ねて折っただけの物にしか見えない。 京太郎「いやどう見ても色紙を重ねて折っただけの物にしか見えんのだが?」 優希「犬の目は節穴か! よく見るんだじぇ!」 そういって優希は同じ物を大量に作り出す。 なんだこの不毛な生産光景……。 京太郎「よし! お前のそのタコスに対する飽くなき執着心はわかった。ちょっと待ってろ!」 それだけ言い残すと俺は再び部屋を出て行った。 穏乃「またどっか行ったね」 和「ゆーき。まさかまたなにか無茶を言ったんですか?」 優希「言い掛かりだじぇのどちゃん! 私はなにも言ってないじょ」 憧「どうせいつもの発作でしょ? 放っておけばその内戻ってくるわよ」 玄「て、手厳しいね……」アハハ トン 憧「あ、玄それ……バラ?」 玄「うん!」 穏乃「へぇーよく出来てますね」 憧「これ難しい? 簡単?」 玄「簡単だよ。慣れれば2分もかからないくらい。良かったら教えようか?」 玄「他にもアサガオ、アジサイ、コスモスとかもあるよ」 穏乃「教えて教えてー!」 憧「玄先生教えてくださーい!」 和「この感じ……」 園児『のどか先生ー!』ワーワーキャッキャッ 和「~~~///」ポワァー 玄「和ちゃん?」 憧「なんか咲いてる」 ガチャ 京太郎「待たせたな!」 穏乃「遅かった じゃないか」 俺は開いた片手で後ろ手に扉を閉めつつ、もう片方で持っていたトレイをテーブルの上に置……こうとしてその異常性に気付く。 京太郎「って、うお!? なにこの薔薇園? ちょっと退けて退けて」 俺が手で横に退けるようにジェスチャーを送ると、女性陣によってテーブルにスペースが作られそこに持ってきたトレイを今度こそ置く。 穏乃「なにして来たの?」 京太郎「これよ!」 トレイの上の皿に山積みにされいていたのは、 優希「タコスだじぇ!」 言うが早いか、優希の手がサッと翻り我先にとタコスを頬張る。 後、ついでにみんな喉渇いたんじゃないかと思ってお茶淹れてきた。 京太郎「どうよ優希、これが本物のタコスだ」 優希「ん、ん~?」 咀嚼しながら、自身が先ほど作っていた良くわからない紙の集合体に目をやる優希。 優希「んぐ、なんだぁ!? この紙切れはぁ!!」 そういって紙切れをテーブルに叩きつける。 京太郎「いや、それお前が作ったんだろ」 穏乃「これ私たちも貰っていいの?」 京太郎「おう! たくさん作ったからいっぱい食ってくれよ」 和「ありがとうございます♪」 玄「いただきます!」 憧「それにしても見事な手際ね」 京太郎「慣れりゃ簡単なもんよ」 憧「高1の男子が料理に慣れって……」 京太郎「いや~、実は1学期の家庭科の調理実習と裁縫の実技でA評価を貰ってしまってな」 京太郎「これは喜んでいいのかどうか……」 和「ま、まぁ成績が上がるのは良い事ですよね?」タジ 京太郎「そういうそっちはどうなんだよ。一応、女子高だろ?」 憧「あたしはそれなりには出来るわよ」 玄「旅館のまかないは私の担当ですのだ」 優希「タコスうまー!」バクバク 穏乃「これなら毎日でも食べたいよー!」バクバク こいつらはダメそうだ。 優希「やはり犬のタコスは絶品だじぇ、まぁそこにこそ価値があるからな!」 京太郎「お前は俺を全自動タコス製造機かなんかと勘違いしてないか?」 憧「前脚の使い方がお上手だものね」 そう言いながら憧が俺の右手の甲を摘んでくる。それを振り払いつつ、俺も負けじと言い返す。 京太郎「お前もさり気無さを装うことなく俺を犬扱いするんじゃねぇ」 憧「そうね、犬の方が賢い物ね」プクク 京太郎「玄さん! あいつが、あいつがー!」 悪びれる素振りを見せない憧を指差しつつ、玄さんに泣き付く俺。 この上なく情けない光景だが、そんなん知るか! 俺は味方がほしい。 玄「もう! そんな言い方ダメだよ憧ちゃん」ナデナデ 京太郎「そうだよ! 憧ちゃん!」 憧「ちゃっとなにいきなりちゃん付けで呼んでんのよ!」 京太郎「だって~」 玄「女の子だも~ん」 京玄「「ね~♪」」 そういって笑い合う俺と玄さん。うん、見事なコンビネーション。 憧「しゃぁぁ~~らくっせぇぇぇぇ~~……(巻き舌気味)」 穏乃「ぶふぅ!? ちょ、憧! 顔、顔!? すごいことになってる!」 放送コードに引っ掛かりそうな凄まじい、筆舌し難い憤怒の形相を浮かべる憧。 マジで怖いんだけど。 京太郎「よっと、これで完成」 玄さんに教えてもらった通りにバラを折る。 顔に真っ赤な紅葉を浮かべながら赤いバラを折る俺。う~ん、マンダム。 京太郎「ちょっとよれてるかな?」 玄「そんなことないと思うよ?」 和「須賀君は本当に器用ですね」 京太郎「こういうチマチマした作業は昔から得意なんだよ」 京太郎「なんか俺の人生そのものみたいで」 和「嫌な表現ですね」 京太郎「しかし、これはちょっと作り過ぎじゃないか?」 穏乃「調子に乗って遊びすぎたね」 俺と穏乃は今やすっかり忘れ去られた眠れる淡、 その淡が被るダンボール箱に作った花や鶴、連環や切り紙のレリーフを糊で飾り付けている。 なんか邪教の祭壇みたいになってきたな。 淡「ふにゅ……」Zzz 俺は細く切った紙に花やレリーフをくっ付け即席の花冠を作る。 それをソッと、穏乃の頭に載せる。 京太郎「結構似合うじゃん」 穏乃「任しといて」フフン 京太郎「うん?」 溢れかえる折りバラの中に1つ珍しい物を見付ける。 京太郎「なんか青いバラが混じってるぞ」 玄「ホントだね」 玄「そういえばブルーローズは自然界には存在しない花という事で、花言葉には『不可能』や『奇跡』って意味があるらしいよ」 玄「後、『神の祝福』とか」 玄「もっとも今は品種改良が進んで実在するそうなんだけどね」 和「なんだかロマンチックですね」 京太郎「玄さん詳しいですね」 玄「おねーちゃんがお花とか好きで、一緒に見てたら自然とね」 あー、なんか納得。 憧「へぇ。で、誰がこれ作ったの?」 穏乃「あ、それ私」 なんでもない事のように普通に穏乃が手を挙げる。 京太郎「え”」 憧「しししし、シズがバラを創造した!?」 和「しかしこれはなんとも見事の川崎ローズ!」 京太郎「まさに奇跡!」 穏乃「いや、それアサガオのつもりだったんだけど」 京太郎「え、なに? お前んち実は錬金術師の家系なの? とうとう摂理超えちゃったの?」 穏乃「いえ家は代々和菓子屋ですが?」 穏乃「だって私、山登りばっかりしててこういうのあんまりやったことないんだもん」ブーブー お前さっき得意科目は図画工作って言ってたですやん。 京太郎「なに、じゃあそんな小さい頃から山に登ってたのか?」 穏乃「そうだよ! 吉野の街の子は5歳も過ぎればみんな山で修行して育つんだよ!」 京太郎「……」チラッ 俺はさり気無く穏乃の同郷の友に視線を送る。 憧玄「「」」ブンブンブンブンブンブン!! すげー勢いで首を左右に振る阿知賀メンバー。 さすがにそのレベルはお前だけらしいぞ。 穏乃「いやー、うち、おかーさんがさぁ『穏乃はもっと女らしくしなさい! 山は危ないから無闇に入っちゃダメ!』って」 穏乃「その抑圧された感情が、ね? だから私、日頃からいかにして山に行こうかってそればっかり考えてたよー!」タハー 京太郎「猛獣かお前は」 和「花言葉って面白いですよね」 憧「いろいろあるわよね。しかも大体2つ通りで、意味が反転してたりするの」 京太郎「タロットに通じる物があるな」 玄「たとえばこの黄色いバラだと、『友情』または『誠意がない』とかかな」 京太郎「なんか今日の玄さん格調高いね」 憧「友情、誠意がない……」 憧「京太郎は後者かしらね~」 したり顔でそんなことを言う憧。 京太郎「どーゆー意味かなそれ?」 憧「言葉通りの意味だけど」 京太郎「おいおい俺は誠実さと爽やかさと透明感でここまでやってきたんだ」 憧「ああ、モテない男が大事にしてそうな語群ね」 京太郎「言ったなこの野郎っ!! ちょっと澄ましたキャラ気取りやがって実はこっそり絵日記つけてるくせに!」 憧「ななな、なんであんただそんなこと知ってるのよ!? 見たの!? 読んだの!?//////」カァァァ 京太郎「穏乃に教えてもらった」ケロ 憧「シィィィィィズゥゥゥゥアァァァァァァ!!」 穏乃「うわぁぁこっちに振るなぁ!?」 和「もう! どうしてあなたあなた達は仲良く出来ないんですか」バン 机を勢いよく叩きさすがに和が仲裁に入る。 京太郎「い、いや待て和。これは俺と憧なりのスキンシップなんだよ!」アセアセ 憧「そうそう、仲の良さって別にベタベタするだけじゃないと思うのよね!」ワタワタ 和「本当ですか~?」ジトッ うろんげな表情でこちらを伺う和。 あ、これぜってー信じてねぇ。 京太郎「憧もほら、嘘でもいいからいっぺん俺のこと好きって言ってみ?」 憧「え~しょうがないな~」 まさに不承不承を絵に描いたような表情である。 憧「コホン」 _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、 , '´ . . . . /. . . . . . . . . .ヽ / ;ィ´ / . . . .ヽ. .\ _,-─tァヽゝL _/_ ,' | . . .゙ . . ヽ ,〃,r‐'7ハ レ!__,'_ ;イ | /!! ヽ. l . . .、 / 〃 l ト、| .| ハ Tハ! | { || .| | ゙. .!_l |ミヽ、 ,' ./ ! | | LL_ヽ| ! || ! |'T ‐ -|、 | ト、 !| \ ヽ ,' / .| . | | ハチ≧ト、|ハ !土_ヽ | | ! .|. .ヽ!! ヾ.、 ,'/ λ .r=| |.{ ;; Cヾ ヽ|チ不≧!/! | !. ./,'| ヾ 、 |l ハ | (! !`ー'' { {゚ ;; C | | .! .|, './|j ヽl 好きよ、京太郎。 || | |ヽト、! .!xxx ' ` ー'' ,イハ| | /. l || | !. |N l .ミト、! .| 、 xxx /ノノ ! .| _;| | ! | l r、 .N .ト {ヽ !、 ー ,イf.l´. . | .j//ハ l .| i! | \\ | ゙、| | ヽ | 、_ .... -≦| . . .| ! . . .|,.'/ . ∧ .| .|. 从! l\\ | | l ! | |ヽ| ! . . .| | / ,イ| ゙、 ヘ ! .| ハ ト l Lf~ヽ `_ヽ_ !|ヽ ||、-、ヽ _L`_r"∠! ! ∧ | . ! ,' | !ミ、 | 、ゝ.|´ヽ ヽヽ ヽ-、 ,.r! >‐'{ | |ノ|ノ7 | . .ヘ. ,' . |! |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`| \_ヽ_!__! .| /| .! . ∧ ./ . . !i! |i| ! | |\,ゝ | ヽ | /´ /` ̄ヽ | . .∧/ . . . ||i! 言わせておいてなんだけど凄まじく疑わしい。 京太郎「本当かよ」 憧「いや、嘘だけど」 京太郎「嘘とか言うなよ」 憧「いや、だって嘘でも言えっていったじゃない」 京太郎「憧ってもしかして俺のこと嫌いのか?」 憧「好かれてるとでも思ってるんなら京太郎の頭はおかしい」 京太郎「」 なんだこの一連のやり取り。 和「嘘をつきましたね。嘘をついた須賀君には罰を下します」 京太郎「え!? 嘘ついたの俺じゃなくね!?」 和「言い訳は聞きたくありません。罰として原稿用紙3枚分の反省文を書いてください」 和「もしくは『将来の夢』をテーマに作文を書いてください」 京太郎「うう、僕の将来の夢は~……」カリカリ 俺の将来の夢か。 やはりそれを語るに当たって欠かせないのが俺の中学生の頃の話だろう。 それは遡ること3年前……ブツブツブツブツ ガチャ 咲「こんにちわ~」 和「咲さん?」 優希「んぐ、いや~食べた食べた」 穏乃「まだ食べてたんだ……」 憧「あれ? 咲ってチャンピオンと出掛けてたんじゃなかったっけ?」 咲「うん、そうなんだけど。今帰ってきて聞いたらみんなここだって」 玄「おかえり、紅茶飲む?」 咲「あ、ありがとうございます」 玄「どういたしまして♪」 咲「ところでさっきから京ちゃんはなしてるの?」 京太郎「ん? おお、咲か。今ちょうどお前の自叙伝書いてたところだ」 咲「なにしてるの!?」 京太郎「タイトルはこう、単純に『咲』と」 京太郎「いや、これは過去話に当たるわけだからなんか副題つけるか『咲~過去編~』。いや、『咲~中学生編~』 京太郎「ん~『咲-Saki-中学生編 episode of Once Upon a Time 在りし日の二人』ちょっとくどいかな? いやいいか」 京太郎「これは面白い! これは売れる!」 京太郎「皆さんも是非、お茶の間の皆さんも是非これ買ってくださいこれ。全国の書店にて絶賛発売中!」 和「誰に向かってしゃべってるんですか?」 憧「壁のほう向いてることはだけは間違いないわね」 京太郎「あれ? 俺今なにしゃべってた? なんか一時のテンションに身を委ねてわけのわからないこと口走ってた?」 咲「うん。そこだけは間違ってないね」 京太郎「まぁいいや。どうせここ編集でカットするし」 憧「残念これはライブ中継」 和「人生に編集点なんてそんなオカルトありえません」 僕の将来の夢は本の印税で優雅に暮らすことです。 咲「なにこれ?」 咲が怪訝な表情を向けたのは邪神崇拝の祭壇。……ではなく淡が被るダンボール箱。 京太郎「バカ! 不用意に近付くなその下には世界によって封印された暴虐の邪神が眠ってるんだ」 京太郎「静かに、静かにこっちに来い」 咲「う、うん……」 頷くとゆっくりと戻ってくる。……と。 ガタッ 咲「あ……」 咲が淡の座っている椅子に脚を引っ掛けた。 京太郎「あ……」 淡「う、う~ん」 呻きを零しながら、ダンボールがモゾモゾと鳴動する。 淡「あわ!? なにこれ暗い!?」 淡「なにこれ? なにこれ!?」 ガタガタと動くダンボールもとい、淡。 優希「京太郎の仕業だじぇ」ボソ あこらバカ! 優希てめぇなに火ぃくべてんだよ!? 動きがピタリと止まる。 ダンボールの天面に貼られたガムテープが白磁のような10本の指で押し上げられ、 張力限界を超えて剥がれ落ち、蓋の部分がゆっくりと開かれる。 淡「キョォォォォォォタロォォォォォォォ…………」 地鳴りのような底冷えする声。現れたのは髪を大きく逆立て、口元は憎悪に痙攣し、眼球には毛細血管が浮かんでいる、 これでもかというほど装飾のあしらえられたダンボールを胴体とし、赫怒の炎を背景効果に纏った異形の邪神がそこにいた。 麻雀の対局中ですら、こんな激烈な殺気を放っている奴になどいまだかつて出逢ったことがない。 京太郎「なぁ、俺、今どんな状態になってる?」 穏乃「んとね、わかりやすくいうと小説版デビルメイクライのギルバ」 京太郎「つまり包帯でぐるぐる巻きってことだな?」 和「わかりにくいネタ持ってこないでください」 淡「ふんだ!」バクバク 京太郎「ちくしょう、愚かしいほどの真摯な善意でやったことなのになんでこうなるんだ」 淡「そりゃ寝たのは私だけどさ! ダンボールは無いでしょダンボールは!」 京太郎「だから手頃なもんがなかったんだって」 淡「じゃあ、……その、上着とかでもいいじゃん」ボソボソ 京太郎「え? なんだって?(難聴)」 淡「なんでもないもん!」 優希「すまんじぇ淡ちゃん、うちの僕用犬が」 淡「ううん。ユッキーは悪くないよ」フルフル 京太郎「わかるぞ、その『ぼくよう』って字が牧羊じゃなくて『しもべ』って意味の僕ってことが俺にはわかる」 優希「うっさじょ犬」 淡「そーだそーだ犬~」 京太郎「なにこの仕打ち。ちくしょう淡まで俺を犬扱いしてきやがる」 淡「犬~犬犬犬犬犬!」 京太郎「あ? 俺が犬ならじゃあお前は猫か?」 淡「私のどこが猫なのよ!」 京太郎「その自分勝手なところとか、気分屋なところとか、後エサやってるとき以外はまったく可愛げないところだろうが!」 淡「ふ~んだ、猫らしさっていうのは自分でルールを決める自由さ。飼い犬とは違うのよこの首輪ヤロー!」 京太郎「こっの……はぁ、なんか疲れた。これやるから機嫌直せよな」 俺は手元に残っていた折りバラの中から白いバラを1つ取り上げ淡の頭に載せる。 淡「ふん、こんなんで誤魔化されるわけ、」 玄「淡ちゃん、淡ちゃん」チョイチョイ 淡「なぁに? クロ」 玄「白いバラの花言葉はね、『私はあなたに相応しい』って意味なんだよ?」ボソボソ 淡の目が見開かれる。玄さんがなにやら耳打ちしているが俺の位置からでは聞き取れない。 淡「もうもう! しょうがないな~キョータローは~」アワアワ え?! なんか一瞬で機嫌が直ってるんだけど? 白いバラを手に握り360度どこからどう見てもニコニコ顔である。 視線を向けると、玄さんが指でOKの形を作りサインを送ってくる。 よくわからんがさすがベスト・オブ・マイフレンズ。 京太郎「そういえば、一番代表的な赤いバラの花言葉ってなんなんですか?」 玄「え?」 俺の質問に、玄さんは一瞬虚をつかれたような顔になる。 玄「え、え~とそれは……///」 口ごもる玄さん。 え? そんな言いにくいことなん? 映画や小説でもよく贈り物とかになってるし良い意味なものだとばかり思ってたけど実は不吉な意味があるとか。 和「あ、それなら私も聞いたことありますよ。確か……」 ___ ,. ' ´ . . ` ヽ___ ,.-、r/ ; ; . . , . . .;. ヽ `〈 i | / / / / . /i i ! i ハ 、 . ゙、 ..、゙、 { } i . i . i. i| . | .! | . | .|_!_゙、、 . i| . |. .! |、 ,! | || || ;!-‐!ハ ! !ハ-!`|iヽ!| . i .|‐'ヾゝ ∠/ i. | |.! .|リ!_」_!、_ヽ、!ゝィ=‐、リ! ノノ!_,、_〉 ーァ|、!、!、! /!、 i` ト; ! 〉i;イノ | | .`ヽ!゙、ヽゞ-' ,  ̄ |ノi | | . .| |ゝ、 '''''' __ ''"" / | ! ! 私を射止めてください! とか i / リ/i \_ ´ー ′ /| . | |. | r-、 // / .ハ!__!__/ノi ー--‐' |_ | ./ .! ヽヽ.// / ./ァ' ̄/ r' |; \/ i| | .,)┴'ヽ/ ./' . . / ト、 __/ |. || | ;' 、ヽノ|./ . . / ト--へ/ | || ト、 |ヽJ┘ノ/ . . /\ | / |... || | | /⌒ _>、/⌒ Y¨¨¨ 、 /´> ´ , } \ , ´ / 、 ヽ / / ' | | ∨ . ー‐イ' / / | | l } | | | . / ' ' / |{ | / /| } l | | // / { |-+-|、 | ,-}/-}/- / } { / ,..イ , 从,ィ=从{ l / ィ=tミ}イ/ /_ 从  ̄´ |∧ { Vリ ∨' Vり /' /- } / } / 从ム , ム,イ-、/l , . r ' /|/ 八 __ _ / / 、 イ Ⅵ \___ イ |ヽ 「 、 | r <///| |/}_」 |//(_)//|_ , <///〈 ,」////イ////> 、 r--- <////////∧ /////////////////> 、_ //////////////〈/ }---{///////////////////////ハ {//|////////////Ⅵ |////////////////////////} |//|//////////////| /////////////////////////l| |//|//////////////{__/////=====///イ///////| ,...-‐ ‐-.、 / `ヽ /. . . . . . . . . . . , . . . . . . . . . . . . . \ / . . . .. . i. . . i . . . | . . . . . . . . . . . .、 . . . ヽ / . . . . . .; . .| . . i| . . . | .i . ... | . i i ゙、 . . ゙、. / . . .i . i .| |_;. !.| . . . | .| .-‐ト-、|_ . .| . . i . . . .i / ||. . 、'´!、 |丶 . . i、!ヽ . !_\!.i` | . . . ! . .. . | i i .;ノ! .i . . .`、≠ヾ、\! '!_  ̄ヽイ . . / . . . . | レリ''"ト、!、 . .V.r' ! r' ;、 } '! . /ヘ . . .! | | . . . ヽi゙ 、;ン └-‐' レ'∫ } . /リ | .i、 . . .| " " ' " " _,..イ /. V \ .ト、 __ ,.ィ' .;. .ノレ′ ` ` 、_ ´ / И/ ` i' ´ !_,..、 / フi / \ ノ 〔 ′_/ ,,=≧ー-、 ,ィi" |_ / ;; '"/ `ヽ i i i、!i | / ;; " // ,; ===| |i !.\=、 ! /; = " / ./ / | |.i ヽ __ヽレ'― . ' " , .イ / ! |. |. V 「`T´ ̄ ̄ | / i | |. | /1'{ ======i、l!/ ヽ { /! i i . | . ゙、 、 、V `i / | i | . .! . . .゙、 \ / | ,........-――--....、 ,. ´ `ヽ、- 、 / , \ \ \ , ' , / / { ヽ ヽ、 ヽ 、 / / , // / / ∧ ヽ ', | | ヽ , ∧ . / / / // / / / マ |_ |__ | | l ∨ , | . | ' / //  ̄|`|' | ´} ∧ } , } | / } ', { { {l | {从_ {__{ }/イ__}/ イ/ / } / / . 从 八 {ム,イ _斧` イ _)斧ヽ} イ/_ / . \{从{ Vり Vzソ | / Y | | } ' | l 'ノ | |圦 _ , ,ィ| |イl | | / . イ_,/イ | | }' `__-r-=≦__」'/ } | | | _,/ 「 ̄ _/|__| | / / | `=={j====イ / `ヽ , ∧ \ l| イ ∧ / -r‐ /.. ../.. .. .. .. .. ./. .. .. .. .{.. .. .. .. 、.. ヽ.. .. .. ∀ニ=- 、 /... '⌒7.. ../.. .. .. .. .. ./.. .. .. .. .. |.. .. .. 、 ゚。.. ..゚, .. ..} ゚, \ .. ヽ /.. .. / /.. .. .′.. .. . /./′.. .. .. .. |.. .. .. .i.. ..゚。.. .゚ ..イ .. 。 丶 . .、 /.. .. / / ! l.. .. .. './ ! l.. .. .. ..|..|v .. ..|.. .. .}.. ..i/ } .. . ゚。 .. 。 /.. .. / ′ .. .. |..ト-. .、l |..l, .. .. .. |..| ゚。,.斗-‐.|.. ..|/j. | 。. . 。 .. .. ..′ !.. .. .. ..|..|リ、. {リ\ { ゚。.. .. {..{/\{ }ノ|.. ..| . .. . | ∨ハ i.. .. . |..! .. .. .|..|,.イ芹℡x{ \..{リxrf芹ミト│.. | .′ | | .. |.. .. | リ!.. .. .l..代{ .トil刈 ` { .トil刈 〉.. .j} ゚. ..,| | .. |.. .. | |i. .. .|.. 弋こ,ノ 弋こ,ノ |.. ..′ .゚ .| | .. |.. .. | |i. .. .|..| . . . . , . . . |.. 。.. .。l | .. |.. .. | |i. .. .|..「} /|.. ′. ゚ . . l | . . |.. .. | |i. .. .|..|人 ー‐ イ .゚./.. .. 。. .! |. .. |.. .. | |i. .. ハ..゚。 .i.≧o。.. .。o≦ | . //.. .. . ゚ . .l | .. |.. .. | 小.. . . .ハ.゚。! . . .-r| ` ´ |=ミ . | //.. .. ./ . . l | .. . .. .. .| / |.. .. . . .∧{<=「ノ }`iニ/イ.. .. .. ___ . .l | .. . .. .. .. | f¨¨~}.. .. . ./ 乂二|___ ____|=/=′ .{ニニニ>ュ. | .. / .. .. ..| ∧ .′. . .′ニニ=|_, -―‐- ,_|ニニj .. .. ..|/ニニニ/、 .. / .. .... .. | / ∨.. .. ./二ニニニl lニニ{.. .. .. |ニニニ// } } .. ......-‐……‐-..... .......................................................、 /...........................................................\ /......................... . . . .... . . ..............................\ ................. . . . . . . . . . . . ....\.................... /......./... . | . . ...ヽ ..................,. /............ . | | . . ... . ................′ ........... . l l | | _ i ;..../| i | i斗‐| { i 「\ \ i | | i | / | i l| i | |八 i | \ \| | l | | |i | l l| iΝ \ ∨ ≫ぅ弌ミj| | l | | {; | |八 i≫ぅ斥 \ r' ノrい》 Ll | | | ヽ《 r' ぃ ∨ .(ソ | ト| | , | l V(ソ | | ! | ′ | i 小 ,,, , '''' | |j | 乂j い | | l [_] { i 人 ー ' | } } | / { {i i >... / } // / | | { 八 { i ≧ァr / // / | | \|\ i /{_j _/厶イ, | | ∨\;;| i \ / // 廴厂〉 | l\ | | i 厶イ /| | /∧ | | ニ=- |/ / ∨ | | 厶=ーx' | | \ / / 厂 ̄ ̄ア7゙ ノ | | ⌒` .. i / 〉 《__jヽ | | | / . | | | { ノ八 | | i |. / i | | | ∧_/ /| \__,ノ | i || / | | | | / // | } | i || , | ______ ,r─ 、 ≠ ¨ ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ 丶 __ ,r┤ } \)⌒`ヽ / ゝ _ ノ \ 、 \ ′ 「 l | | ヽ ヽ X x ヌ | |l j| } | | j ヽ ぃ ヽヌ | ′ j| 从/ /}I j| } ハ ぃ リ | ′ 〃 孑天らリ ノノ ノ「乏らメ、 } ぃ | / // |ィ爪示らヽ イ示うヽル ハ .ノxイ{l ! |{ |i ℃| ! ℃} || j| ! |l ! l刈 弋辷 ソ 弋zソ !| l| 八} || jI jl ハ⊂⊃ r──‐v⊂⊃ 从ハリ ヽ .ノヽ八从乂> . _ ゝx‐'x ノ _ .≠ _ ≪. . . . ア二二ニフ" つ ま ~ / ≫/⌒} {⌒ヽ、 / /{ ( ) ( )} 〈 \ヽ/ー===ゝ=彡′ -‐==‐- ´ ` / ヽ / , ! | | i. / |i , ‐‐i| . ト、_|‐‐ | i| | l / |i | |/八 . | | | i| | |/ 〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // | N | . ワ . ∨/ . | ヽ| | l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 ノ厂| l 〔, / / `丶、 ` /∧ i| | 「⌒ / / /∧ / イ′ j ト、∧ / ′´ .イ ' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 / ノ〈 i i ニ| | ´y' ! | .' / 〉 / j / ノ i| | 〔___! ト、〕. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′ /`ヽ . - ─ ─- . /`ヽ . - ───<_人 _ .┼ ./ /´ __.rr.─‐┐ノ ´Y´ . _ 人 _ \し ' r<´ |ll | /. .`Y´. ヽ } └ .─ ┴‐─ ┴,. // / ! _人_、 .斗 ‐‐─ァ── < ./ / / / / . / i .`Y´ > ´  ̄ フ./ / .// ./_ /_ / _ /. / / ! ∧___..斗< / /i { / / / /`ヽ. ./ / i .! / ∧. / /´ ! . 从 芹竿ミx. | ./ / `メ .! / / .∧ / /!/ | |人{弋 _メckj / / /. ム リ / / / .∧. / /人.N | ⌒ ー '' 「笊ckくj / / ./ / .∧ / // ヽ! .| """" 辷..ソXl| / / / .∧. / //__人_ j | , """ノリルイ⌒ `ヽ/ .∧ / // .`Y´.| ト、 、_ /. i . | `マ}ー/ // _人_ .j . | .|\ ー ' . イ. 人_ | i∨`Ⅴ「ー`Y´─.! | .|. \ . イ .! .`Y´. ! ___ 人 ___ \ \ ! l .|  ̄「 i j . | l . l `Y´ \ \ 从 .j .| |N\ l ! .リ . .リ l ト、\ 人 l .| } jト、 \j リ / / | .\ \ ヽ j\ _ _j ハハ ` <' ./ | \\ \ \ ⌒ } i `<}ト、 | \\ \ \ .N // ト、 たぶん今の俺達は外人四コマの2コマ目みたいな顔してるんだろうな。 和「ああああああああああ//////」 和「だったような気がするんですが、咲き方とかによってもいろいろ違うみたいでえええ///」 京太郎「へぇ」 和「あの、須賀君」 京太郎「ん? なんだ和」 和「人生の編集点ってどこで入れれば良いんでしょうか?」 京太郎「そうさな、やらかしちゃった時点から大体10秒前くらいに血痕が落ちてるから。まず、それを回収して……」 照「……」タコスー
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6401.html
【6月第4週 休日】 朝 京太郎「咏に料理を作りに行くか」 京太郎「入るぞー」ガチャ 京太郎「咏ー?」 咏「へ?」マッパ 京太郎「Oh...」 咏「……~~!」 咏「で、出てけー!」 京太郎「気取り直してさ!グラタン作ろうぜ、な?」 咏「……いいよ、別に」 京太郎「じゃあ俺野菜切るから、咏は鮭とか切っといてくれるか?」 咏「わかった…」 京太郎「…」トントン 咏「……」トントン 咏「…なあ」トントン 京太郎「どうした?」トントン 咏「あのさ……私の裸、どう思った?」 京太郎「ブッ!」サクッ 京太郎「いってー、指切っちまったよ…」 咏「ちょっと貸して」 京太郎「え?何を」 咏「いいから…はむっ」 京太郎「待て、なぜ咥える!?」 咏「こうしたら血が早く止まるんだよ、知らんけど」レロレロ 京太郎「そうなのか…なんかくすぐったいな」 京太郎「それで……お前の、裸だっけか」 京太郎「俺は、きれいだと思ったぜ」 咏「え?」 京太郎「きれいだった、色も白くてきれいだったし、身体のラインも幼げできれいっつうか可愛かったし」 京太郎「たしかにお前は身長も、胸もないかもしれねえけど、俺はいいと思うぜ」 京太郎「そのままのお前が、いいと思う」 京太郎「さっきは急に入ったりして悪かったな」 京太郎「それで……お前はいつまで俺の指をなめてるんだ?」 咏「ぷはぁ、ふぅ……」 咏「そっか、えへへ…」 咏「ありがとな、京太郎」 咏「でも、胸が小さいまでは余計だったんじゃねえのかな?」ゴッ 京太郎「ひっ!」 京太郎「しかし、咏のあれは……なんか興奮したな」 京太郎「さてと、今日は何をしよう」 朝 京太郎「二度寝するかー」 京太郎「すぴーすぴー」 京咏「「いただきまーす」」 京太郎「うん、おいしいな」 咏「ま、この咏ちゃんがいれば当然だねぃ」 京太郎「うん、その通りだな!」 京太郎「ところでさ、どうして咏はいつも着物なんだ?」 咏「これかぃ?うーん、趣味みたいなもんかねぃ」 咏「この着物はあんまり高くないし、日常生活で使っても何ら問題ないんだよねぃ」 京太郎「そういえば、着物を着るときは下着を着けないって聞いたことあるけど、お前も着けてないのか?」 咏「うっ……それは……」 京太郎「まあ、都市伝説らしいけどな」 咏「え!そうなのか!?」 京太郎「あれ?知らなかったの?」 咏「うっ……」 京太郎「じゃあ咏は今ノーパンノーブラなのか……」 咏「そ、それ以上言うと、さ、刺すぞ!」 京太郎「えーいいじゃん、どうなんだよー」 咏「うう、うるせー!」ダダダダ 京太郎「よっと」ヒラリ 咏「うわっ」ドシーン 咏「痛てて」 京太郎(し、下がめくれてる……だと?しかも咏の尻はこちらを向いているってことは……) 京太郎「よっしゃ!花園やんけ!」 咏「ほえっ?」 咏「なんか尻がスースーす……」 京太郎「」グッ 咏「ななな///」カァァ 咏「で、出てけー!」 京太郎「Zzz……」 ――――――――――――― 京太郎「岩手に来たぞ!」 京太郎「冬だからか地面が凍ってて滑りそうだな」 ??「うわわっ」コケッ 京太郎「あ、大丈夫ですか?」 ??「う、うん、大丈夫だよ、ありがとねー」 京太郎「よかったら、これどうぞ」つハンカチ ??「いやいや!そんなのいいよー!お気になさらず、ね?」 京太郎「はい」 ??「君、名前は?」 京太郎「俺ですか?俺は、須賀京太郎といいます」 京太郎「あなたは?」 ??「私はねー」 ―――――――――――― 急に、夢が変わった 京太郎「ここは……奈良か、まあ適当に歩いてみるか」 京太郎「桜がきれいだな、お、あんなところに学校がある」 京太郎「きれいな学校だな…でも誰もいないみたいだ」 京太郎「ん?麻雀部?」 ?「わ!ふ、不審者なのです!」バシッ 京太郎「痛っ!」 ?「か、観念するのです!えいっえいっ!」ベシッベシッ 京太郎「痛いですって!人の話を聞いてくださいよ!」 ?「は、はい!」 ?「なるほど、それで君はここに迷ってしまった…と」 京太郎「はい、さっぱりわけがわからないんですよ…」 ?「そういうことなら、私におまかせあれ!」 ?「えーっと、名前、何でしたっけ」 京太郎「須賀です、須賀京太郎」 ?「そうなのでした!それでは須賀君!阿知賀の観光案内はこの―――におまかせあれ!」 そして、夢は終わる ―――――――――――― 京太郎「……ん」 京太郎「なんだか色々な夢を見た気がするな……」 京太郎「ふぁぁ、よく寝たな」 京太郎「さて、昼は何をしよう」 京太郎「散歩でもするかー」 京太郎「こうして、公園に来たわけだけど」 京太郎「昨日雨が降ったばかりだからか、結構水たまりが残ってるな」 京太郎「気をつけないと」 ??「うわわっ」コケッ 京太郎「ぬおっ、大丈夫ですか?」 京太郎(なんだ…この感覚……) ??「う、うん、大丈夫だよ、ありがとねー」 京太郎「よかったら、これどうぞ」つハンカチ 京太郎(まるで、夢と同じじゃないか……) ??「いやいや!そんなのいいよー!お気になさらず、ね?」 京太郎「はい」 ??「君、名前は?」 京太郎「俺ですか?俺は、須賀京太郎といいます」 京太郎「あなたは?」 京太郎(夢はここで変わったが…) ??「私はねー姉帯豊音っていうんだー」 豊音「ありがとねー、須賀くん」 京太郎「いや、俺は何もしてませんし」 豊音「そういえば、須賀くん……んー」 京太郎「どうしたんですか?」 豊音「なんか…今朝見た夢に出てきた人と似てるなーって」 京太郎「え?」 豊音「あはは、ただの気のせいなので、気にしないでー」 京太郎「あの、実は俺も……」 ―――――――――――― 豊音「えっー須賀くんもなのー!?」 京太郎「凄い偶然ですよね」 豊音「凄い!凄いよ!」 豊音「あ、そーだ!はい、これ!」 豊音「これ、私の連絡先!偶然さん同士仲良くしようね!」 京太郎「あ、ありがとうございます」 豊音(やったー!初めて自分から渡せたよー!) 豊音(これと、シロと塞と胡桃、トシさんとあの子の連絡先を合わせて7件目入手だよー!) 豊音「それじゃあ私もう行くね!ばいばい!」 京太郎「姉帯さんか……」 京太郎「なんか俺と似た感じの人だったな」 京太郎「さて、次は何をしよう」 京太郎「買い出しに行くか」 京太郎「魚屋に来たぞ!」 京太郎「今日の晩飯はどうするかな」 商品リスト 鰆 300円 特大マグロ 1500円 煮干し 300円 シュールストレミング 500円 京太郎「少し季節外れだけど鰆にするか」 京太郎「すいませーん鰆くださーい」 オッチャン「あいよ、毎度あり」 京太郎「夜は何をしようかなー」 京太郎「そういえば、麻雀とか勉強以外の目的だとあまりパソコン使ってないよな」 京太郎「久しぶりにやるか」 京太郎「何をしよう」 京太郎「そういえばいつもやってるネト麻のサイトにチャットルームとやらがあったな」 京太郎「行ってみるか」 京太郎「京、でログインして」 京太郎「へー色んな部屋があるんだな」 京太郎「どこに行こう」 【おもち談義部屋】 ドラロー:おもちイズザベスト!みんなでおもちの良さを語り合いましょう! トキ:なあ、おもちじゃなくて太ももの話していいか? ドラロー:もちろん!太ももも、おしりも腋も元をたどればおもちに行き着きますから! トキ:……何言っとるかさっぱりわからん すばらめ:まさか、こんな部屋があったとは……実にすばらです!おもちとは何なのかはわかりませんが、一つのテーマについて皆さんで語り合うという心意気、実にすばらです! ドラロー:それでは第1回おもち談義を始めましょう!1回目のお題は、こちら! 『日本一のおもちは誰?』 ドラロー:要は皆さんの一番好きなおもちを持っている人を挙げていき、その中で1位を決める、というものです! ドラロー:もちろん参考画像もお願いします ドラロー:そして、私の一番は、去年のインターミドル2位の、原村和ちゃん! トキ:ウチはりゅ…千里山の清水谷竜華やな ドラロー:ほうほう、確かにこれは、なかなかのなかなか こーこ:プロの中では断然瑞原プロですよね! トシベェ:そうだねぇ、私の一押しは、宮守の小瀬川白望だね、あれはなかなかの逸材だと思うよ こまきん:私は、元千里山の石戸霞ちゃんですね! トキ:これ…は、いやいやこんなんあり得んやろ…… ドラロー:おもちに限界はありません! 京太郎「なんだか面白そうだな、参加してみるか」 京太郎「そういえば前清澄に行ったときに原村さんから近くの旅館で撮った、とかいう写真を借りてたんだ」 京太郎「あった、これだこれ」 京太郎「これの少し外側に写ってる人のおもちがすばらなんだよなぁ」モゾモゾ 息子「呼んだ?」 京太郎「まだ引っ込んでなさい」 京太郎「名前は確か……松実宥って言ってたっけな」 京太郎「高校は…阿知賀とかだったっけ?」 京太郎「よし」 京さんが入室しました 京:俺の一押しはこの子ですね、松実宥さんっていうらしいんですけど ドラロー:ど、どうしてその画像を!? すばらめ:なるほど、これは確かにすばらです!厚着に隠されたあのおもち、私にはわかります、実にすばらです トキ:まあウチの竜華が一番なんやけどな トシベェ:いやいやシロちゃんの方が こまきん:いいえ!霞ちゃんです! こーこ:瑞原プロです!そうにきまってます! トキ:よし、お前ら麻雀するで、表出ろや、飛ばしたる トシベェ:おやおや、そりゃあいいねぇ こまきん:全力以上で当たらせてもらいます! こーこ:上等です! トキさんが退室しました トシベェさんが退室しました こーこさんが退室しました こまきんさんが退室しました すばらめ:それでは、私も すばらめさんが退室しました ドラロー:ねえ、京さん、少しいいかな? 京:なんですか? ドラロー:ここじゃあれだから ドラロー:これにメールしてくれるかな? 京:わかりました ドラロー:それじゃあまた後で ドラローさんが退室しました 京太郎「退室するか」 京さんが退室しました 京太郎「このアドレスでいいんだよな」 京太郎『京です、どうしたんですか?』 ドラロー『京さん、教えてほしいことがあるのですけど』 ドラロー『どうしてあの写真を持っているのですか?』 ドラロー『あの写真は私たちの宝物なのですけど、どうしてあなたが持っているんですか?』 京太郎「さて、どうしたものか」 京太郎『これ、実は原村さん―真ん中にいる人から預かっているんですよ』 京太郎『なんでも、友達がタコスを落としちゃったらしくって、それで写真が汚れて困っていたんですが』 京太郎『俺、大阪に住んでましてね』 京太郎『原村さん曰く、大阪に写真修復の達人がいるらしくって、その人に修復してもらうために俺が預かってたんですよ』 京太郎『とまあこういうわけです、ところで、あなたは?』 ドラロー『ふぅ~むなるほどなるほどなるほど~』 ドラロー『いやーてっきり京さんが原村さんから強奪したんじゃないかって思っていたのですけど』 ドラロー『私の早とちりみたいでした、ごめんなさい』 ドラロー『私は松実玄っていいます、和ちゃんの右に写ってます』 京太郎『ああ、この原村さんのおもちを狙ってる人ですか』 京太郎『俺の名前は須賀京太郎っていいます、写真はいりますか?』 玄『いえ、いいのです』 玄『大阪に住んでるんですよね?よかったら今週の水曜日に会えませんか?』 玄『お詫びをしたいのですが…』 京太郎『わかりました、水曜日ですね』 京太郎『俺が奈良に行きましょうか?』 玄『いえいえ、私からそっちに向かわせてもらうのです!』 京太郎『いいんですか?』 玄『おまかせあれ!』 京太郎『それじゃあ水曜日の16時に○○駅前に来てくれますか?』 玄『かしこまり~!』 京太郎「次は……ぼっち部屋に行ってみるか」 【ぼっち部屋】 とよねー:ぼっちじゃないよー とよねー:ここは、みんなで1人ぼっちの寂しい思いを分かち合うところだよー とよねー:みんなであったまろうねー 漆黒の堕天使mk.2.13:先週カラーコンタクト失くした…… はるる:私は黒糖を全部親戚に食べられた…… 最強☆ちゃん:私は変態に水筒盗まれていたらしいです…… とよねー:私は今日ようやく連絡先が7件になったよー 最強☆ちゃん:私は12件ですよ! 漆黒の堕天使mk.2.13:私は2件だけ…… はるる:私も親戚で50件だけ… こけしネクタイ:って、おい キング・カズ:ふっ、麻雀に友達など必要ない…… キング・カズ:まあ私も7件揃ったけどな! かいのー:私は4件だけ、もう20歳なのに…… かいのー:ノーウェイ、こんなことは許されない! 京太郎「やっぱり仲間ってものはいるんだな」ジーン 京太郎「さて、どうしよう」 京太郎「よし、俺も参加しよう!」 京さんが入室しました 京:俺だって、誰かと一緒に学校行ったり、誰かと一緒に昼飯食べるなんて、週1であるかないかだぜ…… かいのー:あるある、私も学生時代は誰かいないかなーって思って、レアーな場所で食べたりとかしてたな… 最強☆ちゃん:最近はもっぱらトイレで食べてますけど、あまりいませんね 漆黒の堕天使mk2.13:私に食事など必要では…ない…… こけしネクタイ:クラスメイトで同じ部活の部員がいるのに、毎日どっか行っちゃうし… とよねー:私は屋上で食べてるなー 京:俺も屋上ですね キング・カズ:私は中庭だな、猫とか犬とかと一緒に食べたのがいい思い出だ かいのー:私だって若者にフェイマスな店で食べたりしてるのに誰もよってきてくれない…… はるる:私も屋上……風が気持ちいい みんなで慰めあった! 【6月第4週 平日】 京太郎「今日は松実さんとの約束の日だな」 京太郎「張り切っていこー!」 京太郎「今日は、そのまま制服でいいか」 郁乃「どうしたん~?なんか幸せそうやけど」 京太郎「いえ、なんでもないですよ」 郁乃「そういえば~京太郎くん、どうして部活来ないん~?」 郁乃「せっかく良子ちゃん呼んでるのに~」 京太郎「え!?本当に来てるんですか?」 郁乃「郁乃お姉ちゃんは嘘は吐かへんよ~」 郁乃「あと、良子ちゃん今度の遠征も来るらしいで~」 京太郎「それ、大丈夫なんですか?」 郁乃「うん~確か~」 良子「え、遠征ですか!是非行かせてください!」 郁乃「もちろんええで~」 良子「やった!これでフレンドがインクリーズする!」 郁乃「って、言ってたで~」 京太郎「それは、楽しみですね」 京太郎「そうだ、郁乃さん、大阪の名所とか知ってます?」 郁乃「名所?」 京太郎「はい、俺大阪に来て3か月も経つのにあんまり大阪のこと知らないなーって思いまして」 郁乃「せやな~私のオススメは、海遊館やな~」 京太郎「海遊館?」 郁乃「大きい水族館やで~」 京太郎「へ~、郁乃さんは何が好きなんですか?」 郁乃「ビーバーちゃんとか、カワウソちゃんとかやな~あ、でも一番はクラゲちゃんかな~」 京太郎「め、珍しいですね」 郁乃「そう~?けっこう可愛いと思うんやけどな~」 郁乃「せや!今度一緒に行かへん?」 郁乃「郁乃お姉ちゃんが京太郎くんに大阪を教えたるで~」 京太郎「お、いいですね、じゃあ行きましょうか」 郁乃「うんうん、いこいこ~」 京太郎「昼飯はどこで食べようかなー」 京太郎「今日も屋上に来たぞ!」 ヒュルル 京太郎「あー風が」 ??「きもちいー」 京太郎「え?」 ??「え?」 ??「うわわわ!ソ、ソーリーソーリー」 京太郎「いえいえこちらこそ!」 京太郎「って、あれ、あなたは……」 京太郎「戒能プロじゃないですか!」 京太郎「うわっ!俺、ファンなんですよ!」 良子「ウェイト!ちょっと待つんだ!」 良子「とりあえず、自己紹介からしようじゃないか、物事には順序というものがあるんだ」 京太郎「それもそうですね、俺は須賀京太郎、麻雀部に入っています!」 良子「わ、私は戒能良子、一応プロ雀士…となるのかな?」 京太郎「戒能プロに会えて光栄です!テレビで見るよりもずっとお綺麗なんですね!」 良子「き、綺麗だなんてそんな……」 良子「ところで君は、どうしてここに?」 京太郎「ああ、俺、あんまり人と一緒に食べることなんてないんですよ」 京太郎「だから、誰かいるかもしれないって奇を衒ってここに来てるんですよ」 良子「き、きみ、それはトゥルーなのか?」 京太郎「はい、お恥ずかしながら」アハハ 良子「わ、わ、うわぁ!」ダキッ 京太郎「へ!?」 良子「うわあああん、嬉しいよおおおおお!」ポロポロ 京太郎(なんだこの状況!?戒能プロが俺に抱き着きながら泣いてる!?) 京太郎(こんなところ誰かに見られたら……) 郁乃「良子ちゃんいる~?」ガチャ 良子「うわあああああん!」 郁乃「……」 郁乃「ごゆっくり~」 京太郎(見られたーーー!) 良子「ヒグ…ヒグ……」 京太郎「ハンカチ、要ります?」 良子「うん、センキュー」 京太郎「落ち着きました?」 良子「うん…」 京太郎「えと、いきなりどうしたんですか…?」 良子「実は……私も、その、ぼっちなんだ…」 良子「私…生まれたのは日本なんだけど、3歳から海外に住んでいたんだ」 良子「日本に戻ってきたのは今の君と同じくらいの頃だったかな」 良子「私はクール、というかなんだか素っ気ない態度を取ってるように見えるだろ?」 京太郎「確かに、大会のインタビューとかでもそんな感じでしたね」 良子「だからか、あまり誰も寄り付かなくてな……」 京太郎「それで、今までずっとぼっちだったということですか?」 良子「イエス、これが君の憧れの戒能プロなんだ、幻滅したか?」 京太郎(ふむ……つまり、俺と同類だったのか) 京太郎(何と言おう) 良子「従妹の春は姫様や他の分家の子たちと仲良くしてるのにな…」 京太郎(……うん、そうだよな) 京太郎(一人ぼっちは、寂しいもんな) 京太郎「よし!」 京太郎「それなら!俺が!」 京太郎「戒能プロの友達になります!」 京太郎「心のよ須賀となります!」 京太郎「だから、戒能プロはぼっちじゃないです!」 京太郎「泣かなくてよいのです!」 京太郎「戒能プロの友達は!この須賀京太郎におまかせあれ!」 良子「ポカーン」 京太郎「ど、どうですか?」 良子「ふ、ふふっ、ありがとね須賀くん」 良子「それにしても、ふふっよ須賀って、ふふっ」 京太郎「わ、忘れてください!」 良子「ノーウェイだねー!ふふっ」 京太郎「もう!絶交しますよ!」 良子「そ、それは……」シュン 京太郎「冗談ですよ、そんなことするわけないじゃないですか」 良子「リアリー?」 京太郎「リアリーです」 良子「よ、良かったぁ」グー 良子「あ///」 京太郎「一緒に食べます?弁当は?」 良子「実は、持ってきてないんだ…」 京太郎「じゃあ、はい」つウインナー 良子「いいのか?」 京太郎「友達ですしね」 良子「それじゃ、はむっ」 良子「うん……」ゴクッ 良子「ありがとな、須賀くん!」 郁乃(最近良子ちゃんが伸び悩んでるって松山の監督から相談されてたから) 郁乃(こうして良子ちゃんを昼飯で釣って同志の京太郎くんに会わせてみたけど~) 京太郎「おいしいですか?戒能プロ?」 良子「プロはニードノットだよ、須賀くん」 京太郎「わかりましたよ、戒能さん」 京太郎「じゃあ、連絡先交換しましょうか」 良子「その……どうやってやるのかがわからないんだが……」 京太郎「こうすれば…いいんですよ」ピローン 良子「わ!ありがとう!」 良子「これで5件目ゲットだ!」 郁乃(うん、計画通りみたいやな~) 京太郎「まさか戒能さんと本当に会えるとは思わなかったな」 京太郎「放課後は……」 京太郎「そうだ!松実さんと約束してたんだ!」 京太郎「急がなきゃ!」 京太郎「そうだな、戒能さんも誘ってみるか」 京太郎『戒能さん、俺と俺の友達と遊びに行きませんか?』 京太郎「これでよしっと」 京太郎「松実さんは…まだきてないみたいだな」 時計「まだ15時40分やでー」 ヴーッヴーッ 京太郎「お、戒能さんからだ、なになに」 良子「ま、待ったか?」ハァハァ 京太郎「いえ、大丈夫ですよ」 良子「そうか、良かった」 良子「それで、須賀くんの友達というのは?」 京太郎「もうすぐ来るはずなんですが…あ、来ましたね」 京太郎「おーい、松実さーん!」 玄「き、きみが、須賀くん?」 京太郎「はい、須賀京太郎です」 玄「あれ?なんか前にあったことがあるよーな…?」 玄「って、あ、あなたは!戒能プロ!」 良子「ひっ!」ビビクン 京太郎「どうして俺の後ろに隠れるんですか」 良子「初対面の人は怖いんだ!」 京太郎「そうですか……」 玄「す、須賀くん!その人をこっちに渡そうか!」ワキワキ 玄「プロの中でベストスリーには間違いなく入るおもち、逃がすわけにはいかないよ!」メラメラ 良子「ひぃぃぃ!」 京太郎「先が思いやられるな……」 ――――――――――――― 玄「それで、どこに行くつもりなの?」 京太郎「考えてなかったんですか!?」 玄「いやーそういうのは男の子が考えるものだからねー」 良子「ふっふっふ、お困りのようだな」 京太郎「何か案があるんですか?」 良子「甲子園に行こう!」 玄京「「え~~~!?」」 京太郎「よし!4-33で阪神勝ってる!」 良子「勝てー!タイガース!」 玄「応援はおまかせあれ!」 ポタッポタッ 京太郎「あれ?」 ザーザー 京太郎「雨降ってきましたけど、どうします!?」 良子「このゲームから目を離すなどありえない!」フレッフレッ ポヨンポヨン 玄「その通りなのです!」ジーッ ゲームセット! 玄良「「くちゅん!」」 玄「うぅー」ズズーッ 良子「へっくち」 京太郎「まったく、あんな雨の中で見続けるからですよ」 良子「だってしょうがないじゃないか」 玄「あんなに揺れるおもちが目の前にあったのだから!」 京太郎「はぁ……」 京太郎(松実さんも立派なものを持ってるんだけどなぁ……って!どっちも雨で透けてるじゃないか!) 京太郎(や、ヤバい……これはさすがに) 玄「そ、それじゃあ私は先に失礼するのです!」 京太郎「はい、今日はありがとうございました!」 京太郎「さて……この人、どうしよう」 良子「くちゅんっ!うう、寒い……」 京太郎「とりあえず俺の上着を着てください」 京太郎「戒能さんってどこに泊まってるんですか?」 良子「駅の近くのホテルだけど…くちゅん!」 京太郎「んー、少しおでこ失礼しますね」 良子「ん」 京太郎「熱は無いみたいですけど…」 良子「くちゅん!」 京太郎(心配だなぁ……) 京太郎(どうしよう……) 良子「くちゅん!」 良子「うぅ……なんだか寒い」 京太郎「大丈夫ですか?」 良子「も、もちろんだ!……へっくち!」 京太郎「とりあえず三箇牧に帰ってきましたけど……もう一回熱計ってみますね」 良子「ん……」 京太郎「なんか一気に熱が出てきた気がするんですけど……」 良子「大丈夫だと言ったろ……うっ」フラッ ガシッ 京太郎「もうフラフラじゃないですか」 良子「うぅぅ……須賀くんにこんなところ見せたくないのに……」ボソッ 京太郎「戒能さん、俺の部屋に行きましょう」 良子「ふぇっ!?」 良子「の、ノーウェイ、何を言ってるのか理解できないな」 京太郎「そのまんまです。戒能さん、心配なので俺の部屋に行きましょう」 京太郎「友達の戒能さんに風邪を引かれたら困るんですよ」 良子「友達、そうだよな、じゃあお言葉に甘えよう」 京太郎「そうですか、それじゃ……はい、背中」ポンポン 良子「ん?何をする気なんだ?」 京太郎「戒能さん今フラフラなんで、俺におぶさってください」 良子「む……わかった……」ガバッ 京太郎「よっし……じゃ、出発しんこー!」 良子「須賀くん」 京太郎「は、はい?」 京太郎(何この背中にある柔らかい感触……) 良子「ふふっ、呼んだだけだ」 京太郎「そうですか」 京太郎(見た目通りこれは…なかなかのなかなか) 良子「須賀くん」 京太郎「……」 良子「無視しないでくれよ……」 京太郎「じゃあどうしろと」 京太郎「それで、何ですか?」 良子「今日は、色々とありがとうな」 良子「友達になってくれて、一緒に昼を食べてくれて、遊びに連れて行ってくれて」 良子「本当にありがと……」 京太郎(ん?) 良子「すぅ……」 京太郎(言い切ってないのに寝た!?) 良子「すぅ……」 京太郎(寝息が首に当たって……こう、変な気分になるな) 京太郎「はい、着きましたよー」 良子「ん……ここ、が部屋?」 京太郎「はい、汚くてすみません」 良子「ノーウェイ、そんなことはないよ」 京太郎「そうだ、俺にできることって何かありますか?」 良子「そうだな……」 良子「いや、特に無いな」 京太郎「そうですか、じゃあこれ俺のですけど着替えてください」 京太郎「そんなに濡れたスーツじゃ、また冷えちゃうんで」 良子「わかった、脱衣所を借りるな」 京太郎「はい」 ガララ 京太郎「さーてと、布団敷いておくか」 二人は幸せな夜を過ごしました 【6月第4週平日】終 【6月第4週 遠征1日目】 チュンチュン 京太郎「朝だ!」 良子「……ん」 京太郎「もう2日間もここにいるよこの人……」 京太郎「集合時間は8時か、それで今は6時半……」 京太郎「よーし、みんなを起こしにいこー!」 京太郎「よし!憩さんを起こしにいこう!」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part8】デデーン! 京太郎「今回は!我らが部長、荒川憩さんに、寝起きドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「ちなみに前回のターゲットも憩さんでしたね~」 憩「……あっ……そこ…」 京太郎「一体どんな夢を見ているのか、俺、気になります!」ヒソヒソ 京太郎「今回は憩さんの声を使って耳元で口説いてみようと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「それでは、憩さんを起こしまーす」ヒソヒソ 京太郎「このレコーダーを使って……」 憩『ウチは、憩、の、み、そ、し、るを、毎日、飲みたい!』 憩『I、し、照』 憩「う……んっ…」 憩「あっ……いっ……」 京太郎「おーっと、まだ起きないようですねー」ヒソヒソ 京太郎「それでは次の作戦です」 京太郎「次は、憩さんのおもちをこねて、起こしたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「それでは、失礼しまーす」ヒソヒソ 京太郎「えいっ」フニュッ 憩「あっ」 フニュフニュフニュフニュ 京太郎「おお、やわらかい……これがおもちというものなのか……」フニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュ 憩「あっ、あっ、んっ、あっ」 京太郎「もっと、もっとだ!」フニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュフニュ 憩「あんっ、……」 京太郎「やめられない止まらない」フニュフニュフニュフニュ 憩「んっ……きょ、あっ、たろっ、くっん」 京太郎「あ~きもちいい~」フニュフニュフニュフニュ 憩「なに、あっ、して、んっ、るんっ?」 京太郎「え?」フニュフニュフニュフニュ 憩「あっ、はあっ、もうっ、だぁっ」 京太郎「ド、ドッキリ、大・成・功!」フニュッ 憩「めっ、あっ………」 憩「はぁっ……はぁっ…」 京太郎「……それじゃあ、撤退!」 京太郎「よし!咏を起こしにいこう!」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part9】デデーン! 京太郎「今回は!我がロリっこ、三尋木咏ちゃんに、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ 咏「……ん……すぅ…」 京太郎「小さいなー可愛いなー」ヒソヒソ 京太郎「今回は咏の髪をとかして、起こしたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「それでは、咏さんを起こしまーす」ヒソヒソ 京太郎「今回はこのくしを使いまーす……」 京太郎「そーっと」サッー 京太郎「頭撫でながらやるか」ナデナデ サッー 咏「えへへ……」 咏「……すぅ…」 京太郎「どうやらまだ起きないようですねー」ヒソヒソ 京太郎「それでは次に参りましょう」ヒソヒソ 京太郎「ここにあるのは、あの赤ちゃんが口に咥えるあれですね」ヒソヒソ 京太郎「咥えるって妙にエロいですよねー」ヒソヒソ 京太郎「それでは、装着させまーす」 咏「……すぅ」 京太郎「何この生き物……かあいい」 京太郎「まだ起きませんねー」ヒソヒソ 京太郎「じゃあ次ー」 京太郎「それじゃあ耳をはむはむしまーす」ヒソヒソ 京太郎「はむっ」 京太郎(女の子のあのいい香りがする……) 京太郎(舌も入れてみるか) レロッ 咏「んっ……」 京太郎(この汗の混じった塩っぽい味、いいな) 京太郎(もうちょい……) 咏「あっ……」 京太郎「まだ起きないようでーす」ヒソヒソ 京太郎「次はどうしましょうかねー」 京太郎「ぷはっ、次は咏に自身の靴下の匂いをかがせようと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「まずは靴下の調達ですねー」ヒソヒソ 京太郎「ということで、洗濯物をあさりまーす」ゴソゴソ 京太郎「早速見つかりましたー、お」 京太郎「この……三角形の布は……」ゴクリ 京太郎「後で考えよう、うん」ポケットニシノッ 京太郎「それでは、咏に靴下の匂いをかがせたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「咏は靴下もいい匂いがするんだなー」 咏「……ん…う……」 咏「もう食べられないぜぃ……」 京太郎「まだ起きないのか……」 京太郎「まずはあれを戻しておこう」 京太郎「今度は油性マジックを用意しましたー」 京太郎「うわっ、手が滑ってしまった!」 京太郎「なんかグチャグチャになっちゃったけど……これ、雌奴隷って読めちゃうんじゃ……」 京太郎「まあ、いいか……(震え声)」 咏「……ん」パチッ 京太郎「あれ、とうとう起きちゃった?」 咏「起きた……けど、京太郎がなんでここにいるのかがさっぱりわっかんねーんだけど」 京太郎「あ、忘れてた、ドッキリ大成功!」 咏「ドッキリ……?前のあれか?それが……」 咏「私の靴下に、赤ちゃんのアレ?」 咏「おでこにもなんか……」 サッサッ 咏「さて、これはどういうことか説明してもらおうかぃ?」 京太郎「え、えーっと……撤退!」 咏「待てや!こらーーーー!」 京太郎「よし!エイスリンさんを起こしにいこう!」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part10】デデーン! 京太郎「今回は!我が天使、エイスリンさんに、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ エイスリン「……ウウン……ハァ…」 京太郎「咏に負けず劣らずの可愛い寝顔でーす」ヒソヒソ 京太郎「今回はこのこんにゃくを使って、エイスリンさんを起こしたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「よっと」ペタッ エイスリン「ンッ……」 エイスリン「cool……」 京太郎「まだ起きないようでーす」ヒソヒソ 京太郎「お次は、こちら!」 京太郎「さてと、お次はこのとげをちゃんと取ってある白薔薇でエイスリンさんの周りを埋め尽くしまーす」 京太郎「えいっ、えいっ」 京太郎「ふぅ……やっと終わった」 エイスリン「……ンン…」 エイスリン「ンン……アリエマ……センナ……」 京太郎「まだ起きないようでーす」ヒソヒソ 京太郎「それじゃあ次いってみよー」 京太郎「じゃあまたおもちをこねますか」 京太郎「えいっ」モニュッ エイスリン「ンッ……」 京太郎「お、おおおお」モニュモニュモニュ エイスリン「ンッ…アッ……」 京太郎「憩さんと同等、もしくはそれ以上の柔らかさだ……」モニュモニュモニュモニュモニュモニュ エイスリン「ハアッ……ンッ…アッ……」 京太郎「手が、手が止まらないィ!」モニュモニュモニュモニュモニュモニュ エイスリン「アッ、スガッ、クンッ?」 京太郎「あれ、起きちゃいました?」モニュモニュモニュモニュモニュモニュ エイスリン「ナ、ナニッ、シテンッ、ルノッ」ハァハァ 京太郎「見てわかりませんか?ドッキリですよ」モニュモニュモニュモニュモニュモニュ エイスリン「ドッ…キリッ?」ハァハァ 京太郎「もう終わりますからねー」モニュモニュモニュモニュモニュモニュ エイスリン「アンッ、アッ、ンッ、アッアッアッアッ、ヒグッ」 京太郎「ていっ」モニュ エイスリン「アアァァ……」 京太郎「ドッキリ大・性・功!」 エイスリン「ハァ…ドッキリ…ハァ…」レイプメ エイスリン「ハァ……ハァ……」 京太郎「また寝ちゃったみたいだな」 京太郎「それじゃあアイマスクをつけよーっと」 エイスリン「ハァ……ンッ…ハァ…」メカクシ 京太郎「なんか……そそるな」ゴクリ エイスリン「ン……」 京太郎「起きました?」 エイスリン「ウン……」 京太郎「どうかしました?」 エイスリン「…」カキカキ バッ |京太郎がエイスリンを犯している絵| エイスリン「ユメニデテキタ…」 京太郎「そうですか、嫌な夢でしたか?」 エイスリン「ウン、It was sad.」 京太郎「安心してください、俺はそんなこと(もう)しませんから」 エイスリン「ウン!ソウダヨネ!」 京太郎「もちろんですよ」ニコッ 京太郎「よし!郁乃さんを起こしにいこう!」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part11】デデーン! 京太郎「今回は!我が……新入部員、赤阪郁乃さんに、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ 郁乃「……あ~…」 京太郎「良い寝顔なんですけど、何かが……」ヒソヒソ 京太郎「今回はこの前絹恵さんからもらった洋榎さんの目覚ましボイスを使って、郁乃さんを起こしまーす」ヒソヒソ 京太郎「ポチッとな」 洋榎『おい!起きろ!はよ起きんかこのボケェ!』 洋榎『はよ起きんと、あんなことやこんなことするで!』 洋榎『え、なんやそれ?え、えーっと……チ、チュー…とか?』 郁乃「……」 郁乃(起きてへんで~) 京太郎(うん、起きてないみたいだな、ん?) 京太郎「何か今……ま、いっか」 京太郎「さて次次ー」 京太郎「次は真瀬さんからもらった、えーっと、すえ、はらさんの目覚ましボイスで起こしまーす」ヒソヒソ 郁乃「!」 京太郎「なんか、シリーズ化してるらしいな、今度絹恵さんと真瀬さんの分ももらってみるか」 京太郎「それじゃあポチッとな」 恭子『はぁ…はよ起きてくれませんか?起きないと、いろんなことしちゃいますよ?』 恭子『例えば、おでこに「恭子」って書いたり、そ、それと……』 恭子『そ、それでも起きないんやったら……お、おそ、襲っちゃいますよ///』 郁乃「!!!!」 京太郎「やっぱり起きないか……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ 京太郎「な……」 郁乃「なあ京太郎くん~その音声私にもくれへん~?」 京太郎「は、はい!」 郁乃「おおきに~グヘヘ」 京太郎「よし、外に行こう」 京太郎「みんな集まってるだろうしな」 霞「あ、みんな揃ったみたいね」 郁乃「えへへへへへ~」オソッチャイマスヨ オソッチャイマスヨ オソッチャイマスヨ 京太郎「もう大丈夫ですか?」 良子「ああ、オーライだ」 エイスリン「ウタ、オデコドウシタノ?」 咏「少し熱っぽくってねぃ」ジトッ 憩(あの後3回くらいやってしもた……ウチは淫乱や……) 霞「それじゃあ東京にしゅっぱーつ!」 京太郎「あれ、照は来ないんですか?」 霞「うん、やっぱり古巣には行き辛いんじゃないのかしら」 京太郎「そうですか……」 ―――移動は省略―――
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/580.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332249950/ 咲「どうしたの?京ちゃん」 京太郎「二人きりで話したいんだ。ちょっと放課後残ってくれないか?」 咲「うん、いいけど・・・」 優希「ちょっ、何事だじぇ!?・・・これってまさか」 和「そんなオカルトありえませんっ!」ドンッ 優希「和ちゃん、ちょっと怖いじぇ・・・大丈夫だじぇ、あの犬にそんな度胸は無いはずだじぇ」 久「・・・まこ」ヒソヒソ まこ「わかっとる。さぁさぁ、お邪魔虫は退散退散じゃー」ガッシ 和「染谷先輩、話して下さい!私は宮永さんとIPS細胞と将来の展望について話し合わないとーー」ジタバタ 優希「京太郎は私の犬だじぇー!」ジタバタ 久「じゃ、今日の部活はここまで。・・・宮永さんと須賀君、後片づけよろしくね」 京太郎「りょーかいっす。お疲れ様でーす」 咲「分かりました」 久(それにしても・・・随分突然ね) 優希「むがー!」 和「ふぬー!」 まこ「ハイハイ帰れー」ポイッ 久「それじゃあねー」ヒラヒラ バタン 京太郎「・・・」 咲「・・・」 京太郎「・・・」 咲「京ちゃん?話って」 京太郎「咲、俺と麻雀してくれないか」 咲「麻雀?いいけど・・・皆が一緒にいちゃダメだったの?」 京太郎「・・・ああ」 咲「それじゃあ、二人打ち用のルールでいいよね。ツモは減点される側は一人分、加点される側は三人分で」ピッピッ 京太郎「それでいいよ。・・・咲、本気で来てくれ」 咲「うん、分かった・・・」 東一局 京太郎「じゃ、俺が親だな」 パチッ 咲「京ちゃんが私を麻雀に誘うのって、なんだか久しぶりだね」 パチッ 京太郎「そうだな、最近はずっと雑用ばっかりだったから」 パチッ 咲「宅も4人掛けだしね。女子部員だけでも入りきらないし」 パチッ 京太郎「咲、麻雀楽しいか?」 パチッ 咲「うん、今はとっても楽しいよ」 パチッ 京太郎「そうか、そりゃ何よりだ」 パチッ 咲「京ちゃん、それロン」 パタタタタ・・・ 京太郎「くっ・・・」 咲「三色ドラ3。子の満貫で8000点だね」 京太郎「・・・じゃ、次は咲が親だな」 咲「うん。それじゃ、行くよ京ちゃん!」 東二局 咲「京ちゃん、今日はホントに突然だったね」 パチッ 京太郎「悪い。もしかして予定とかあったか?」 パチッ 咲「まぁ、無い事はないけど・・・そんなに大事な用でもないし」 パチッ 京太郎「こんなことは今日限りだからさ、勘弁してくれ」 パチッ 咲「・・・京ちゃん、何か嫌な事あったの?」 パチッ 京太郎「・・・っ」 咲「やっぱり。今日の京ちゃん、何だかおかしいもん」 バチッ! 京太郎「・・・さぁ、リーチだぜ咲。どうする?」 咲「京ちゃん・・・」 パチッ 京太郎「・・・」 パチッ 咲「・・・カン」 パチッ 京太郎「来たか・・・」 パチッ 咲「もいっこ、カン」 バシッ! 京太郎「・・・」ゾクッ パチッ 咲「もいっこ、カン!」 バシィッ! パタタタタ・・・ 咲「--ツモ。嶺上開花、三暗刻、三槓子、ドラ1。6000オールで、連荘だよ」 京太郎「・・・一本場か」 咲「それじゃ、また私からだね」 東二局一本場 咲「・・・」 パチッ 京太郎「強えなぁ、咲は」 パチッ 咲「そうかな?私よりも強い、例えば天江さんみたいな人。全国にはゾロゾロいると思うよ」 パチッ 京太郎「・・・そっか。頑張れよ、お前はもう一人じゃないんだ」 パチッ 咲「うん、頑張る」 パチッ 京太郎「・・・」 パチッ 咲「リーチだよ」 ピシッ! 京太郎「・・・」 パシッ 咲「それ、ロン!」 パタタタタ・・・ 咲「リーチ一発、一本場で平和と一盃口。ドラはないけど、裏ドラがーー乗った。これで満貫、12300点」 咲「これで合計26300点のマイナス。私の勝ちだね、京ちゃん」 京太郎「・・・」 咲「京ちゃん?」 京太郎「続行、させてくれないか」 咲「 え?うん、いいけど・・・」 東二局二本場 咲「京ちゃん、何があったの?私でよければ相談に乗るよ?」 パチッ 京太郎「何がって、何がだよ」 パチッ 咲「もう、それじゃ分かんないよ」 パチッ 京太郎「分かんなくていいんだよ。俺は、ただ咲と麻雀したいだけだ」 パチッ 咲「・・・嘘」 パチッ 京太郎「嘘なわけないだろ、現にこうして打ってるんだから」 パチッ 咲「だって京ちゃんの牌、勝つ気が無いもん」 パチッ 京太郎「何でそんなこと分かんだよっ」 パチッ 咲「染谷先輩とか原村さんみたいに分析はできないけど・・・牌に気持ちが乗ってるか乗ってないかくらいは私にもわかるよ」 パチッ 京太郎「なんだそりゃ。俺にはちっとも分かんねー世界だな」 パチッ 咲「ううん、京ちゃんが一番分かってるはずだよ。だって、京ちゃんの牌だもん」 パチッ 京太郎「俺はただ、麻雀をーー」 パチッ 咲「・・・麻雀を、やめる理由が欲しいの?」 ビシッ 京太郎「・・・んなこと言ってねーだろ!リーチだ!」 バンッ 咲「言ってるよ!京ちゃんの牌、自棄になってるもん!私もリーチ!」 バンッ 京太郎「うるせえ!お前に俺の何が分かるってんだ!」 バシッ! 咲「そんなこと分かんないよ!」 バシッ! 京太郎「だったら黙って打ってろ!」 バシッ! 咲「黙ってたら和了れないもん!」 バシッ! 京太郎「減らず口を・・・!」 バシッ! 咲「京ちゃんこそ、私を麻雀部を辞める言い訳にするつもりの癖に!」 バシッ! 京太郎「ああそうだよ!悪いかよ!大体強過ぎんだよ、お前ら!何がオカルトだ!・・・俺だって、練習してんのに!」 バシッ! 咲「悪いよ!勝手に努力を放棄して、戦う前から負けを認めてる京ちゃんなんて、とってもカッコ悪い!」 バシッ! 京太郎「だから今戦ってるじゃねえか!俺が、どうあがいても勝てない事の証明のために!」 バシンッ! 咲「こんなの戦いじゃない!こんな、楽しくないのは、絶対に麻雀じゃない!」 バシンッ! 京太郎「麻雀なんて、才能のゲームだ!結局牌に愛されてない奴は、負けるしかねえんだよ!」 バシンッ! 咲「そんなことない!絶対、絶対そんなことない!そんな事言う京ちゃん、私嫌いだよ!」 バシンッ! 京太郎「だったら早く和了れよ!このど真ん中の牌で、お得意のオカルトで、嫌いな俺にトドメを刺してくれよ!宮永咲ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 バシンッ! 咲「っ・・・!」 パシッ 京太郎「なっ・・・」 咲「・・・京ちゃんの番だよ」 京太郎「・・・」 咲「・・・引かないの?」 京太郎「和了れ、なかったのか・・・?」 咲「うん。だから次は、京ちゃんがツモる番」 京太郎「・・・っ」 咲「京ちゃん、引いて」 京太郎「俺、は・・・」 咲「・・・引かないんなら、私もう帰るよ?」ガタッ 京太郎「待てっ!」 ピッ 京太郎「・・・ツモだ」 パタタタタ・・・ 京太郎「二本場、メンタンピンドラ2。ハネ満で3200点オールだ」 咲「うん。この局は、京ちゃんの勝ちだね」 京太郎「咲、手牌見せてくれ!」ガタッ 咲「はい、こうだよ」 パタタタタ・・・ 京太郎「ホントに・・・和了れねぇのか」 咲「まだ、やるよね?」 京太郎「・・・ああ」 東三局 京太郎「じゃ、行くぜ・・・」 パシッ 咲「ねぇ、京ちゃん」 パシッ 京太郎「なんだよ?」 パシッ 咲「さっき和了った時、嬉しかった?」 パシッ 京太郎「そりゃ、嬉しかったよ。でもあれは・・・」 パシッ 咲「私は、手を抜いてないよ?」 パシッ 京太郎「・・・そりゃそうか。涙目で顔真っ赤にして牌打ちつけてたもんな。あれで手を抜けたら手品師だ」 パシッ 咲「むー。それはお互い様だし、そもそも京ちゃんが嫌な事言うから悪いんだよ」 パシッ 京太郎「悪かったよ。なんか奢るから、許してくれ」 パシッ 咲「それプラス麻雀部辞めないでくれたら、許したげる」 パシッ 京太郎「・・・随分と手厳しいお姫様だな」 パシッ 咲「京ちゃんが悪いんだもんっ」 パシッ 京太郎「分かってるよ、俺だってもう辞めたくなくなっちまった」 パシッ 咲「・・・京ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。だって、麻雀って」 パシッ 京太郎「楽しいんだもん、か?」 パシッ 咲「人のセリフを取らないでくださいー」 パシッ 京太郎「そうぶすくれなさんなって」 パシッ 咲「もう、京ちゃんのバカっ!・・・ロンだよっ」 パタタタタ 咲「一盃口のみドラ無し。1300点」 京太郎「おお、珍しく小さい和了りじゃないか」 咲「京ちゃんのがうつっちゃったかも?」 京太郎「なんだとこのー!」グリグリ 咲「いひゃいよきょうひゃん!ほっふぇはやめふぇー!」 京太郎「ありがとな、咲」 咲「ううん、私は何もしてないよ。京ちゃん自身が麻雀を辞めたくないって、心の底で思ってくれてたからこうなったんだと思う」 京太郎「かも、な」 咲「絶対そうだよ。京ちゃんは、いつだって頑張り屋さんだもん」 京太郎「なぁ、咲」 咲「なぁに?」 京太郎「俺さ、今よりもっと頑張って、いつか絶対お前を倒す!何年、何十年かかったって絶対倒すから!」 咲「ーーうん、待ってる。・・・だから、早く駅前のクレープ屋さんに行こっ」 京太郎「げっ、忘れてなかったのか」 咲「ちょっといい話になったからって奢りの約束を忘れるほど、私はロマンチストじゃないですよー?」 京太郎「こりゃ一本とられたな。・・・あんまり高いのはよしてくれよ?」 咲「キングクレープかなー、クイーンクレープかなー♪いっそ両方とか!」 京太郎「よせってば!」 咲「やーだもーんっ。ほらほら、早く来ないとどんどん注文増やしちゃうよ?」タタタ 京太郎「うおおおおおおおおおおお!?」ダダダダダ 駅前のクレープ屋さん 店員「ただ今カップル割というサービスを行っておりましてー」 咲「え、でも私達むぐっ!?」ジタバタ 京太郎「はい!じゃあそのカップル割でお願いします!」 店員「かしこまりましたー」 咲「ぷはっ。もう、嘘ついちゃ駄目だよ京ちゃん」 京太郎「バカ言え。カップルって言うだけで安くなるなら利用しない手は無いだろ」 咲「私は別に困らないけどなー」 京太郎「そりゃ奢られる立場だからな、気楽だよなぁ!?」 咲「へへーんだ」ベー 京太郎「ちなみに、何頼んだんだ?」 咲「二人用のキングクレープ。一度食べてみたかったんだー」 京太郎「ふっ、デブるぞ?」 咲「むっ!・・・ひ、否定しきれない」 京太郎「仕方ない、太らないように咲の分も俺が食べてやろう」 咲「それはダメーっ!」 遠巻きのグラサン「・・・こちらコードネームタコス。コードネームIPS、応答するじぇ」 『こちらIPSです。二人の様子はどうですか?』 遠巻きのグラサン「二人で一つのクレープを、恋人割で頼んだようだじぇ」 『殺して下さい、いえ殺しましょう』 遠巻きのグラサン「賛成だじぇ」ジャキッ 『待ちんさい!流石に性急すぎじゃて!』 『離して!離して下さい!』 『あー、こちら部長。君の行動は監視されている、変な気は起こさないよーに。とりあえず、引き続き尾行を続けてもらえるかしら』 遠巻きのグラサン「・・・了解だじぇ」ピッ 店員「お待たせいたしましたー」ドンッ 咲「うわ、おっきい・・・!」 京太郎「これは・・・マジでキングサイズだな」 咲「ここまで来ると最早クレープとしての原型がないね・・・」 京太郎「とりあえず、値段分はキッチリ食べるぞ!」 咲「おー!」 パクパクパクパク・・・ 咲「も、もうムリ」ゲプー 京太郎「デカ過ぎんだろこれ・・・」 咲「入りきらなくて残しちゃった・・・ごめんね、京ちゃん」 京太郎「いいって。お前が満足したんならそれで」 咲「うん、満足はしたよ。十分過ぎるほど」 京太郎「じゃ、帰るか」 遠巻きのグラサン「IPS,IPS応答するじぇ」 『あー、IPSならさっき体の穴という穴から細胞を飛び散らせて憤死したわ』 遠巻きのグラサン「なっ・・・同士IPS、お前のことは忘れないじぇ」 『死んでません!』 『惜しい奴を亡くしたもんじゃ・・・』 『だから死んでません!宮永さん!?宮永さーん!?』 遠巻きのグラサン「『うわ、おっきい・・・』『入りきらなくて・・・』等の発言が確認されたじぇ」 『?!?!??!?!?!!??!!??』ボフー 『あ、また憤死した』 『惜しい奴を亡くしたもんじゃ・・・』 遠巻きのグラサン「二人はもう帰るみたいだから、これで通信を終了するじぇ」 『はい、お疲れー』 遠巻きのグラサン「・・・」ピッ 遠巻きのグラサン「京太郎・・・」グスッ 咲「家まで送ってくれなくてもよかったのに」 京太郎「もう結構遅いからな、狼が潜んでないともいえないし」 咲「京ちゃんは心配性だなぁ。・・・大体、送り狼って言葉だってあるでしょ?」 京太郎「だったらどうする?」 咲「え?」 京太郎「俺が送り狼だったら、どうするんだ?」 咲「ど、どうするって・・・」アセアセ 京太郎「・・・ま、そんなことは100%あり得ないけどな」 咲「・・・だと思った。京ちゃんヘタレだもん」 京太郎「その割にはさっきマジで焦ってなかったかー?」ニヤニヤ 咲「違いますー、焦ってないですー!」プンスカ 京太郎「ま、咲は今の俺にとっちゃ目標でありライバルだ。夜道で襲うもんじゃねえわな」 咲「京ちゃんとまともに勝負できるのは何年後かなー」 京太郎「うるせえ、首洗って待ってろよー!じゃあなー!」ダダダダダ 咲「あ、京ちゃんまたねー!」 咲「ーー私、待ってるからね。何年だって・・・」 一ヶ月後 久「おいーっす」 優希「お、部長のご登場だじぇー」 京太郎「あ、部長。掃除終わりました!」 久「ん、御苦労。・・・最近妙に精力的ね」 まこ「守るべきもんでも出来たんかのう」 和「っ!?」ギリギリギリギリ まこ「じ、冗談じゃ!冗談じゃって!」 咲「こんにちはー」 優希「お、咲ちゃんも!これで清澄高校麻雀部勢ぞろいだじぇー!」 京太郎「おお咲、丁度良かった。昨日のネット対戦であったこの局面なんだけどよ・・・」ポチポチ 咲「んー?多分だけど、これはここをね・・・」ポチポチ 京太郎「おお、良い待ちになった!」 優希「・・・」ギリッ 和「・・・」ブチブチッ 咲「やっぱり京ちゃん、まだまだだね」 京太郎「うるせえ、いつかはカモにしてやるからな」 咲「ハイハイ。期待してますよー」 優希「・・・犬!タコス買ってくるじぇ!」 京太郎「うぇっ!?ちょっと今手が離せな」 優希「うるさいじぇ!いいから買ってくるじぇ!」 京太郎「・・・分かったよ」 咲「あ、なら私も」 和「宮永さんはこっちで私達と麻雀です。大会も近いんですから」 咲「そ、そうだね。・・・ごめんね京ちゃん」 京太郎「いいって、元々パシリは俺の役目なんだし。それより咲は大将なんだから、清澄のためにもしっかり勝ってくれないと困るぜ?」 咲「むー、京ちゃんってばまたそうやってプレッシャーかけるんだからー」 優希「・・・」メリッ 和「・・・」バキバキバキバキ 京太郎「部長、タコス以外に買ってくるものありますか?」 久「私は特にないけど・・・他の人は?」 まこ「ワシも特にないな」 優希「大理石100kg!」 和「拷問器具!」 京太郎「売ってねーよっ!」 咲「じゃあ私紅茶お願いしていいかな?アイスで」 京太郎「あいよっと」タタタ 咲「あ、廊下は走っちゃだめだってばー!・・・もう、京ちゃんたら」 久「部室暑いわね、なんか」 まこ「ああ、あっつあつじゃな」 優希「暑さの元はたった今追いだしたはずだじぇー」 和「暑さの元が永遠に冷たくなれば部室の温度が上がらずに済む可能性が微粒子レベルで存在している気がします・・・」 久「それじゃ、私達は練習しましょうか」 咲「はいっ!」 咲「よし、ロンっ!これで私の最終得点は33400点、一位ですね!」 まこ「あちゃー、振り込んでしもうた」 優希「あ、危なかったじぇ・・・9800点のマコがいなかったらドベだったじぇ」 久「宮永さんの仕上がりは上々みたいね」 咲「部の皆のお陰です!」 京太郎「お待たせしましたー・・・ほい、ホット」ピトッ 咲「熱ぅっ!?・・・くないし。もー、悪戯はダメだってば」 京太郎「咲はからかいがいがあるからな」 咲「むー」 京太郎「タコスのお客様ーっと。はいよ」 優希「・・・」ムスーッ 京太郎「な、なんだよ?」 優希「なんでもないじぇ。ふーんだ」ムシャムシャ 京太郎「・・・?」ポリポリ 咲「見て見て京ちゃん!嶺上開花和了ったよ!」 京太郎「おおー、やりますな姫様」 咲「ふふん、崇めるがよい」 京太郎「ははーっ。・・・じゃ、今日も部活終わった後頼んでいいか?」 和「あの、宮永さんは大会前で」 咲「うん、いいよ。部長、部活外ですしいいですよね?」 久「いいけど、お願いだから部活外でやってね」 優希「・・・」ミギミギミギミギ 和「・・・」ガガガガガガガ まこ「ま、お前らの気持ちもわからんでもないけどな」ヒョイヒョイッ 優希「うがー!大体ロンで嶺上開花が和了れるはずないじぇ!嘘はいけないじぇ!」 和「そうです、そんなオカルトあり得ません!それより宮永さんは私と素敵なIPS-!」 京太郎「・・・咲、虚偽申告はいけないなぁ?罰符ものだぞ?」 咲「あ、これは違っ・・・ついいつもの癖で嶺上開花って言っちゃったんであって」 咲「決して京ちゃんの前で格好付けようとかそういうのは・・・」 京太郎「・・・」ニヤニヤ 咲「き、京ちゃんだって大して確認もせずに崇めたんだから同罪だよ、同罪!」 京太郎「なんじゃそら!?」 まこ「仲がいいのう・・・」 久「ホントにね」 まこ「ワシらもそろそろ帰るか」 久「そうね。なーんかこの終わり方が板についてきちゃったなぁ・・・まぁいっか」 久「んじゃ、掃除戸締りその他はよろしくー」 バタン 京太郎「さて、それじゃあよろしくお願いします」ペコリ 咲「うん、今日も頑張ろうね京ちゃん!」 京太郎「よーし、今日の目標は狙って満貫!」 咲「じゃあ、私の目標は狙って役満かなー」 京太郎「言ってろ!」 パチッ 咲「ふふっ」 パチッ 京太郎「・・・なんだよ?」 パチッ 咲「京ちゃんとこうやって二人きりで麻雀出来るのが、嬉しいなあって」 パチッ 京太郎「おいおい、気を緩ませてたら俺勝っちまうぞ?」 パチッ 咲「やれるものならやってみなさーい」 パチッ 京太郎「言ったな・・・?そら、リーチ!」 バチィッ 咲「む、そのリーチは読みにくいかも」 パチッ 京太郎「とか言いつつ咲さん、ノータイムで打ってきますね」 パチッ 咲「まぁ、まだまだだねー」 パチッ 京太郎「どこぞのテニヌプレイヤーかよっ」 パチッ 咲「・・・でも、ちゃんと成長してるよ、京ちゃん」 パチッ 京太郎「そりゃ・・・」 パチッ 咲「それロン」 パタタタタ・・・ 咲「混老頭、トイトイドラ3。ハネ満で12000点頂戴しまーすっ」 京太郎「・・・こんな鬼教官がいりゃあな、嫌でも強くなるさ」 咲「えへへ・・・でも、前よりずっと牌に気持ちが乗ってるよ」 京太郎「そりゃ、いつでも寝首掻く気でいるからな!」 咲「うむ、その意気やよし!存分にかかってくるがいい!」 京太郎「咲、そのキャラ似合ってねーぞ」 咲「や、やっぱり?」 京太郎「どっちかってーとお姉さんの方がそんなキャラだな」 咲「かもねー」 アハハハハ・・・・・・ 京太郎「教官、今日もお疲れ様でしたっ!お家までお送りいたします」 咲「ん。よろしくね、しっかり満貫和了って役満和了られた京ちゃん」 京太郎「ぐ・・・さ、流石にあれは偶然だよな?」 咲「どうだろうねー」 京太郎「ぐおおおおお!自分の打ち筋によるものかもしれないと思うと猛烈に悔しくなってくる!」 咲「ふふ、まだまだだねー」 京太郎「お、覚えてろよおおおおおおおおおお!」ダダダダダ 咲「京ちゃん、またねー!」 京太郎の家 京太郎「ん、メール?」 【差出人:宮永咲 件名:きょうのまーじゃんについて】 京太郎「いい加減変換くらい覚えろよ・・・っと」ポチポチ 京太郎「お、もう一件」 【差出人:片岡優希 件名:明日の部活が終わったら、ちょっと残ってるじぇ】 京太郎「本文は空・・・なんだってんだ?」 翌日 久「おっすー・・・須賀君、精が出るわね」 京太郎「そりゃもう、雑用係ですから」 久「最近の牌譜見たけど・・・良くなってるよ。宮永さんの指導の賜物?」 京太郎「げ、バレてたんスか・・・いやぁ、ホント咲には頭が上がらないですよ」 久「その調子で、清澄高校男子麻雀部のために頑張ってね。期待してるわよ」ポンッ 京太郎「はい!」 久「雑用もね」クスッ 京太郎「ですよねー・・・」 まこ「・・・優希、どうしたんじゃその大量のタコス」 和「今日はまた一段と多いですね・・・」 優希「今日は決戦だじぇ、物資は多いに越したことはないじぇ」 まこ「・・・?」 咲「あ、京ちゃーん!」 京太郎「おう、咲。・・・今日は部活後に別の用事が入っちゃったから、先に帰っててくれるか?」 咲「うん、分かった。私も用事あったとこだから丁度よかったね」 京太郎「まさに息ピッタリ!」 咲「京ちゃんのツモ運まで移さないでね、負けちゃうから」 京太郎「なんだとー!」グリグリ 咲「ひひゃいひひゃいー!」 和「・・・」ゴゴゴゴゴ 優希「・・・」 和「・・・優希?」 優希「今日は決戦だじぇ・・・」ムシャムシャ 久「よし、それじゃ練習始めるわよー」 「「「「「おー!」」」」」 久「よし、今日はここまで。それじゃ須賀君、いつも通り掃除戸締り・・・って言わなくてもやってるわね」 京太郎「オラー!」フキフキ まこ「雑用の鏡じゃな」 久「いいえ、部員の鏡よ」 まこ「随分と奴さんを持ち上げるのう」 久「別に持ちあげてる訳じゃないわ。ただ、頑張ってる奴は相応に評価されて然るべき。これ、私の持論ね」 まこ「ほう・・・」 咲「部長さん、染谷さん、お疲れ様でしたー」 久「お、今日は特別特訓やらないんだ」 咲「はい、京ちゃん用事があるらしくて」 和「宮永さん、途中まで一緒に帰りましょう」 咲「うん!」 久「それじゃ、私達も帰りましょうか」 まこ「じゃな」 京太郎「ふいー、終わった終わった」 京太郎「・・・で、話ってなんだよ。優希?」 優希「・・・最近、部活が終わった後。咲ちゃんとずっと一緒にいるじょ」ムシャムシャ 京太郎「ああ、麻雀の特訓だよ。お前も知ってるだろ?」 優希「ちょーしのんな」ボリボリ 京太郎「は?」 優希「高々雑用係程度が、調子に乗るなって言ってるんだじぇ」 京太郎「・・・雑用係が強くなりたいと思っちゃいけねえのかよ」 優希「ダメだじぇ。雑用係は雑用係らしく、雑用だけやってればいいじぇ」 京太郎「言うじゃねえか、嫌な事でもあったか?」 優希「最近の犬は、見ててイラつくって言ってるんだじょ。だから・・・」 優希「今!ここで!!もう一度主従関係を一から叩きなおしてやるじぇ!!!」ドカッ 京太郎「上等だ、やってやるよ!」ドカッ 優希「・・・東場だけだじぇ」 京太郎「ああ、好きにしやがれ」 優希「・・・それじゃ、サイコロを振るじぇ」 コロコロコロ・・・ 京太郎「出たか・・・親はお前だ」 東一局 優希「・・・」バリボリ バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 優希「・・・」 バシッ 京太郎「それにしても、今日はまた随分と買い込んでるじゃねえか」 ピシッ 優希「・・・お前を、二度とこの卓に上がらせないためだじぇ」 バシッ 京太郎「上等、やれるもんならやってみやがれ」 ピシッ 優希「言われなくても、へし折ってやるじょ」 バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 優希「それ、ロンだじぇ」 京太郎「なっ・・・」 パタタタタ・・・ 優希「清一色、ドラ2。倍満で24000点だじょ」 優希「ヌル過ぎるじぇ・・・やっぱり、犬は犬だじぇ」 京太郎「クソッ、言ってろ!」 東一局一本場 優希「ロンだじぇ。平和のみ」 東一局二本場 優希「ロンだじぇ。一盃口のみ」 東一局三本場 優希「ツモだじょ。撥のみドラ1」 東一局四本場 京太郎「・・・っ」 ピシッ 優希「それも、ロンだじぇ。七対子」 京太郎「よお、点数がマイナスになっても続けてくれんのはハンデかい?」 優希「違うじぇ。お前がもう二度とこの卓に着けないように、徹底的に壊してるだけだじぇ」 京太郎「・・・そりゃ、ありがたい話だ」 優希「さ、五本場だじぇ」 東一局五本場 京太郎「通らばリーチ!」 優希「それ、ロンだじょ。」 東一局六本場 京太郎「リーチだ!」 ピシッ 咲「そういうことだよ、京ちゃん。天狗になるのは私を半荘でのしてからにした方がいいんじゃないかな?」 京太郎「畜生、いつか絶対ブッ倒してやるからなああああああああああああああああ!」メラメラ 咲「べーだ!後30年は絶対倒されてあげないもんね!」 優希「まだ!まだ足りないじぇ!もっともっと火力上げて強くなってやるじぇええええええええええ!」ゴウゴウ まこ「・・・なんか、また部室の気温が上がった気がするんじゃが」 久「熱源が一個増えちゃったからねー。部としてはいい事なんだけど」 久「よし、今日の部活はここまで!」 まこ「お疲れ様、じゃなー」 優希「まだだじぇ、まだやれるじぇ・・・」 和「でももう部活の時間終わりですし、帰りましょう?」 京太郎「優希、まだやれるんなら家でネット麻雀の○和って奴やってみたらどうだ?俺もやってるけど中々勉強になるぞ」 優希「ネト麻・・・その手があったじぇ!い・・・京太郎!お前ログインは何時くらいにやってるんだじょ!?」 京太郎「俺か?俺は22時くらいに南家サーバーに居るけど」 優希「よーし分かった!そうと決まればさっさと帰って麻雀だじぇ!お疲れ様だじぇえええええええええ!」ダダダダダ 和「優希、凄いやる気ですね・・・私も負けてられません」 まこ「あー、ワシはああいうのキツイなぁ、年齢的に」 久「アンタまだあの子らと一個違いでしょうが。須賀君達、今日も秘密特訓は」 咲・京太郎「「やります!」」 まこ「おーおー、燃えとる燃えとる」 久「・・・言うと思った。それじゃ、後よろしくー」 バタン 京太郎「さぁ、咲・・・やろうぜ!」 咲「うん、いつでもいいよ京ちゃん」 東一局 京太郎「それじゃ、俺の親からだ!」 ピシッ 咲「ね、京ちゃん」 ピシッ 京太郎「なんだよ?」 ピシッ 咲「・・・優希ちゃんと、何かあったの?」 ピシッ 京太郎「麻雀で泣かせちまった。んで、タコス貰った」 ピシッ 咲「全く脈絡がないよ・・・でも、なんとなく分かった」 ピシッ 京太郎「アイツ最近めちゃくちゃ頑張ってるからな、俺ももっと頑張らないと!」 ピシッ 咲「・・・私も、頑張らなきゃ」 ピシッ 京太郎「おいおい、清澄のキャプテンが部員に遅れをとってどうすんだよ?そら、リーチだ!」 バシッ! 咲「そう・・・だねっ!」 ピシッ 京太郎「流石に一発じゃ振り込んでくれないか・・・!」 ピシッ 咲「今日は私、京ちゃんに一回たりとも振り込む気はないよ!」 ピシッ 京太郎「ああそうかよ!だったら自分でツモるだけだ!」 ピシッ 咲「京ちゃんに出来るかな?」 ピシッ 京太郎「出来なくってもやるんだよ!」 ピシッ 咲「それ、ロンっ!」 京太郎「げっ!?」 パタタタタ・・・ 咲「三暗刻、ドラ2・・・満貫、8000点だよ!」 京太郎「うお、予想と全然違う?」 咲「まだまだだねー♪」 京太郎「くっ、咲の剛運を舐めてはいけないということか」 咲「さ、次は私が親だよ!」 京太郎「っしゃこい!」 東二局 咲「~♪」 ピシッ 京太郎「えらくご機嫌だな」 ピシッ 咲「あのね、今日駅前のクレープ屋さんに新しいメニューが出たんだよ!」 ピシッ 京太郎「ほうほう、それでこれが終わったら食べに行こうと胸を躍らせてる訳ですか」 ピシッ 咲「うん!とっても美味しそうだから、ホントは皆も誘いたかったんだけど・・・忙しそうだったし。リーチ!」 パシッ 京太郎「俺でよければお伴致しますよ、姫」 ピシッ 咲「うむ、苦しゅうない!・・・なんて、京ちゃんならそう言ってくれると思ってたんだけどね」テヘ ピシッ 京太郎「じゃあ俺は咲にまんまと振り込んじまった訳だ」 ピシッ 咲「ふっ、まだまだだねー」 ピシッ 京太郎「じゃあそろそろ俺も反撃かな・・・ツモ!」ピッ パタタタタ・・・ 京太郎「門前ツモ、平和タンヤオドラ1で親から2600、子から1300点だ!」 咲「むー、京ちゃんが私のリーチをかわすなんて」 京太郎「侮り過ぎだぜ、このまま寝首を掻き切ってやる!」 咲「・・・じゃあ、これで勝った方が新クレープ奢りってことで」 京太郎「ちょっ、それお前超有利じゃ」 咲「さ、次は京ちゃんの親だよっ!」 東三局 京太郎「・・・なぁ咲」 ピシッ 咲「んー?」 ピシッ 京太郎「その新クレープっての、どんな奴なんだ?」 ピシッ 咲「『サンクチュアリ大車輪クレープ』だよ。普通のよりちょっと大きめで、色んなクリームが43種類以上入ってるの」 ピシッ 京太郎「へー・・・体脂肪」ボソッ ピシッ 咲「う゛・・・」 パチッ 京太郎「糖分、脂質、炭水化物」ボソッ ピシッ 咲「は、原村さんみたいになる可能性だって」 パチッ 京太郎「無いな。まず無い」 ピシッ 咲「京ちゃんひどーい!」 ピシッ 京太郎「大体咲は元々インドア派なんだから、あんま喰い過ぎるもんじゃねーぞ?」 ピシッ 咲「私だって甘いものくらい好きに食べたいよー」 ピシッ 京太郎「慢性的運動不足・・・リーチだ!」 バシッ 咲「その分頭使ってるからいいの!」 ピシッ 京太郎「どうだかな!」 ピシッ 咲「もう、京ちゃんの意地悪!」 ピシッ 京太郎「そこ、ロン!」 咲「えー!?」 パタタタタ・・・ 京太郎「リーチ、タンヤオのみで3900点だ!」 咲「・・・って、ドヤ顔で言う役じゃないよそれ」 京太郎「うるせえ、咲から初めて2局連続で取ったんだ。今はこれが精一杯なんだよ!」 咲「む、確かに2局連続で和了られてるね・・・」 京太郎「さぁ、連荘だ・・・このまま抉り切ってやる!」 東場三局一本場 咲「それ、ロンだよ!」 京太郎「ぐぇ!?」 パタタタタ・・・ 咲「リーチ一発三色同順ドラ1、裏ドラまでーー乗ってハネ満!12300点!」 京太郎「ぐおお、俺のリードが一瞬にして消えた・・・!?」 咲「さ、次は私の親だよ京ちゃん」 京太郎「くそ、次で倍返しだ!」 東場四局 咲「・・・っ」 ピシッ 京太郎「・・・これか!」 ピシッ 咲「んー、半分当たりかな。リーチ!」 バシンッ 京太郎「このっ!」 ピシッ 咲「京ちゃん、甘い!」 ピシッ 京太郎「じゃあ・・・これならどうだ!通らばリーチ!」 バシンッ 咲「・・・残念!それ、ロンだよ」 パタタタタ・・・ 咲「メンタンピンドラ1。満貫で11600点頂戴しますっ!」 京太郎「クソっ・・・!当たりって言ったじゃねーかよ、ハメやがったなー!」 咲「当たり牌って意味だよ、まだまだだね、京ちゃん。満貫御馳走様ですー♪」 京太郎「く、ムカつく・・・!次で三倍返しだ!」 咲「さ、連荘だよ・・・麻雀って、楽しいよね!」 京太郎「ああ、最高だ!」 その頃、部長宅 『・・・本気か?』 久「うん、本気も本気よ」 『そんなことをすれば奴さんがどうなるか・・・』 久「あの子は強いよ、多分なんとかなるわ」 『それにしたって分が悪いじゃろう』 久「分の悪い賭けはお嫌いかしら?」 『好きじゃないのう・・・そもそも、実行するのはワシなんじゃし』 久「私は好き。・・・じゃ、そういう事でよろしく」 『へいへい・・・全く、とんだ横暴部長じゃ』 駅前のクレープ屋 咲「さて京ちゃん。辞世の句は読まなくていい?」 京太郎「四局目 どうしてあれが 当たり牌」ガックリ 咲「それ川柳だよー。あ、このサンクチュアリ大車輪クレープ2人分下さい!・・・恋人割で」 店員「かしこまりましたー」 京太郎「恋人割にしてくれるのは優しさでしょうか」 咲「勝者の余裕、だよっ」 店員「お会計はお連れの彼氏様でよろしいんですか?」 京太郎「・・・はい、そうです」 店員「はい。ではお釣りを・・・」 京太郎「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・予想外の出費だ」 咲「悔しいでしょう、そうでしょう」フフン 京太郎「ちなみに、あの手牌。咲だったらどうする?」 咲「今からじゃ何言っても結果論だけど・・・あの2手前にイーピン切ったので大体分かったかな」 京太郎「あー、そこか・・・くそっ」 咲「まぁまぁ、ミスをミスだと気付けることが上達への第一歩だよ」 京太郎「次は、次こそは勝ち越してやる!」 咲「京ちゃんはまずトバされないようにしないとねー」 京太郎「・・・ですねー」 店員「お待たせしましたー」 咲「あ、きたきた」 京太郎「oh、これまたジャイアントな・・・」 咲「それじゃ、いただきまーす」 京太郎「ん。ちゃんとスプーン使って、良く噛んで食えよ」 咲「そこまで子供じゃないよー・・・はい京ちゃん、あーん」スッ 京太郎「なっ!?」 咲「どうする?当たり牌だよー?」フリフリ 京太郎「ここは攻めるっ!」グワッ 咲「なんちゃって」パクッ 京太郎「ぐ・・・半分分かってたのに釣られてしまった・・・悔しい・・!」 咲「あまーい♪・・・やーい、京ちゃんのチョンボー責任払いー」ベー 京太郎「くそっ、それでも俺は自分のクレープを背筋伸ばして食べるだけだっ!」ガツガツ 咲「ちょ、行儀悪いよ」 京太郎「うるせぇ!男の期待を裏切られるより幾分マシだ!」ゲフッ 咲「あーもう、ほっぺにクリームついてるってば」フキフキ 京太郎「そこで普通に備え付けのペーパーナプキン使っちゃうあたりこの子分かってねぇなーと思います」 咲「京ちゃんの歪んだ常識なんて知りませんー」パクパク 京太郎「今日は完敗だな・・・」 咲「そうでもないよ、京ちゃん初めて2連続で和了ったんでしょ?」 京太郎「俺が完敗だと思ったら完敗なんだよ。・・・次は勝つ!」 咲「うん、その意気だよ京ちゃん!」グッ 京太郎「応援してくれる気持ちは嬉しいからクレープ持ったままガッツポーズはやめような、ちょっと飛んだぞ」ベチャ 咲「ごめんなさい」フキフキ 京太郎の家 京太郎「くそー、相変わらず強いなぁ咲の奴」 ヴーッ、ヴーッ 京太郎「メールか・・・」 【差出人:染谷まこ 件名:麻雀しようや】 【本文:自分が清澄のお荷物でないと思うなら、土曜日に駅前に来んさい・・・】 【別に逃げても責めんけんのう、安心せえよ(注:長丁場になるけぇ、親御さんには言っときんさい)】 京太郎「これは・・・・・・喧嘩売られたってことでいいんだよな?」 京太郎「長丁場?上等じゃねぇか・・・その喧嘩買ってやる!」 京太郎「よっし、グダってる暇なんかねぇ!麻雀だ!」 カチカチ 京太郎「○和、○和っと・・・ん?この【タコタコス】って・・・」 kyou おい、お前タコスか? タコタコス 見ればわかるじぇ。只今武者修行中だじぇ kyou だよな。ちょっとやろうぜ タコタコス かかってこいだじぇ 京太郎「よし、そんじゃいっちょやるか優希!」ギュッ 土曜日 京太郎「さて、駅前に来てみたはいいものの・・・」 まこ「おー来た来た。京太郎、こっちじゃぞー!」 京太郎「あ、染谷先輩。何ですかあのメール」 まこ「そりゃ、お前さんに喧嘩売っとるんじゃよ」 京太郎「・・・いいですよ、やりましょう」 まこ「ハッ、その意気やよし。さ、着いてきんさい」 京太郎「電車に乗るんですか?」 ゴォォォォォォォー 雀荘 支配人「・・・電子機器と貴重品はお預かりします」 まこ「ん」ポイッ 京太郎「は、はぁ」 まこ「さ、この奥じゃ」 ギィィィィィィィィ・・・ まこ「・・・ここじゃ」 京太郎「薄暗いとこですね」 まこ「まぁ、座れや」ドカッ 京太郎「・・・はい」ドカッ まこ「今からやる麻雀はちょいと特殊でな、先に説明しておかなきゃいかん事があるんじゃ」 京太郎「特殊?」 まこ「そう・・・耐久麻雀じゃ。簡単に言えば・・・サドンデスじゃな」 京太郎「てことは・・・」 まこ「そう、トぶまで続けるッちゅうことじゃな。場は東固定。流局は4人打ちの時と同じ、親が18枚ツモった時点で流局じゃ」 京太郎「いいですね、分かりやすいです」 まこ「4人用の卓を二人で使うからのう、ルールは基本二人のそれじゃが・・・ツモは禁止じゃ」 京太郎「・・・ツモでトぶのを防ぐ戦法を防止するためですか」 まこ「そういうこっちゃ。ま、要はワシとお前さんで25000点の奪い合いをするっちゅーわけじゃな」 京太郎「ノーガードで殴り合いッスか・・・面白そうですね!」 まこ「じゃ、始めよか」チャッ 京太郎「メガネ、外すんですか」 まこ「当然、最初からトップギアじゃ。・・・怖いか?」 京太郎「誰が!」 まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「うん、よく鍛えられとる。咲ちゃんに感謝せんとな」 ピシッ 京太郎「・・・ありがとうございます」 ピシッ まこ「それじゃ、そろそろ行くけ・・・リーチ!」 バシンッ 京太郎(来たか・・・でも、絞れないリーチじゃない!) ピシッ まこ「・・・ほぉ」 ピシッ 京太郎「どうかしました?」 ピシッ まこ「随分とまぁ・・・怯えが無いのう」 ピシッ 京太郎「そりゃ、鍛えられてますから」 ピシッ まこ「だが、その勢いがどこまで続くかのう?」 ピシッ 京太郎「勝つまでですよ!・・・俺もリーチ!」 バシンッ まこ「ええ面構えじゃ!」 ピシッ 京太郎「染谷先輩こそ!こんな雀荘に入れるなんて知りませんでしたよ!」 ピシッ まこ「まぁな!」 ピシッ 京太郎「貰った!それロン!」 パタタタタ・・・ 京太郎「メンタンピン!3900点だ!」 まこ「おお、先手を取られてしもうた」 京太郎「このまま・・・一気に抉り取る!」 まこ「怖いのう・・・じゃが、お前さんにも存分にワシを怖がってもらうき・・・」ニタァ 京太郎「・・・・・・っ」ゾクッ 東二局 ピシッ 京太郎「くっ、違ったか」 ピシッ まこ「それ、ロンじゃ」 パタタタタ・・・ まこ「ピンフのみドラ1で2900点・・・ま、クソ役じゃな」 京太郎「それじゃ俺は倒せませんよ、染谷先輩!」 まこ「さて、どうかのう?」 東三局 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・くっ、リーチ!」 ピシッ まこ「ああ、言い忘れとったがワシはこの耐久麻雀、負けたことないんじゃ」 ピシッ 京太郎「じゃあ俺が一人目ですね・・・光栄です!」 ピシッ まこ「だといいがのう・・・さて、これは?」 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「そうよなぁ、和了れんよなぁ・・・そして今打った牌、ロンじゃ」 京太郎「ぐっ!」 パタタタタ・・・ まこ「一盃口、ドラ1で3900。連荘じゃ」 京太郎「あの、染谷先輩」 まこ「なんじゃ?」 京太郎「ちょっと喉乾いたんで飲み物買って来たいんですけど・・・」ガタッ まこ「何を腕の皮の生っ白いこと言っとるんじゃ?」 京太郎「え?」 まこ「言ったろ、『この麻雀はどちらかがトぶまで終わらん』って」 京太郎「耐久麻雀って、まさか・・・」 まこ「そう。終わるまでは飯も外の空気を吸う事も喉を潤す事も寝る事も許されん麻雀じゃ!」 京太郎「・・・っ!」 まこ「ただ一つ、逃げる方法はある。・・・部屋の両隅にあるボタンの、自分側のを押せばええ。押した方の負けじゃ・・・」 まこ「尻尾巻いて無様に逃げればええ」 京太郎「誰が押すんですか、そんなボタン!」ドカッ まこ「言うと思ったわ・・・後悔するなよ?」 京太郎「しません!」 「ロンだ!」 「ロンじゃな」 「ロン!」 「それ、ロンじゃ」 「それロン!」 「ロンじゃ!」 ・ ・ ・ 10時間経過・・・東百十六局 京太郎「ハーッ、ハーッ・・・!」 まこ「・・・お前の親番じゃぞ」 京太郎(くそ、喉が渇いて死にそうだ!頭もクラクラする!しかも・・・染谷先輩が段々強くなってる!) 京太郎「俺の・・・ツモ、ですね?」 まこ「そうじゃ」 京太郎「・・・」 パシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「っ・・・」フラッ パシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パシッ まこ「ロンじゃ」 京太郎「ぐぅっ・・・!」 まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パシッ まこ「ロンじゃ」 京太郎「ぐぅっ・・・!」 まこ「ピンフドラ1、2900点・・・これで、またほぼ振り出しに戻ったのう」 京太郎「畜生っ・・・!負けてたまるか・・・!」 まこ「最初の威勢はどうした、京太郎?」 京太郎「今からお見せしますよ、染谷先輩・・・!」 まこ「おお好きなだけ見せとくれ、お前さんの虚勢を!」 「ロン!」 「ロンじゃ」 「・・・ロン!」 「そこもロンじゃ」 「・・・・・・っロン!」 「おいおい、勝手にバテんでくれよ・・・?ロン」 ・ ・ ・ 18時間経過:東二百十六局 京太郎(ヤバい、意識が・・・!) 京太郎「・・・」カクン まこ「京太郎、お前のツモ番じゃぞ?ふむ、寝とるな・・・むしろ今まで持っただけ褒めるべきかのう」 まこ(実力は完全に伯仲・・・いや、若干奴さんのが上とさえいえるかの) まこ「・・・支配人、目覚まし持ってこい」 『ハッ・・・』 京太郎「Zzz・・・」 支配人「・・・」スッ バシャァァァァァァァァァァァァァァァッ! 京太郎「ぐああああああああああああああああああああああああっ!?」ビクッ まこ「いい目覚ましじゃろ?バケツ大盛り一杯、55℃の熱湯じゃ・・・さ、続けるぞ」 まこ「あぁそう、これを5回浴びても起きなかった場合は強制的に負けじゃ、精々気を付けぇよ」ニタァ 京太郎(熱い!クソッ、一体何がどうなって・・・あ、そうか、俺、まーじゃんしてたんだ) 京太郎「染谷・・・まこっ・・・!」ギリッ まこ「ハッ、まるで獣の目じゃな。それじゃあワシには勝てん」 京太郎「この野郎っ!」 「ロ、ン・・・」 「ロンじゃ」 「そこもロンじゃ!」 「甘いのう、それもロンじゃ!」 「ぐがっ・・・!ロン!」 「それもロンじゃなぁ!」 ・ ・ ・ 22時間経過:東二百五十九局 京太郎「・・・」フラフラ パタッ・・・ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パタッ・・・ まこ「京太郎、聞け。返事はせんでええ」 ピシッ 京太郎「・・・?」 パタッ・・・ まこ「今、大勢がワシにあるのは理解できるな?・・・そこで、提案じゃ」 まこ「今、あのボタンを押せばここから出してやる。あったかい飯も、冷たい水も、ふかふかの布団も好きなだけ使わせてやる」 ピシッ まこ「・・・どうじゃ?ワシとしても清澄高校唯一の男子麻雀部員のお前をこれ以上追い詰めたくない」 まこ「ここはひとつ、次に生かすための負けとして受け入れるのは」 京太郎(飯・・・水・・・布団・・・くそ、眠ぃ・・・あの、ボタンを押せば・・・) まこ「ここまでよく頑張った。お前は十分強い、もう頑張らんでもええ」 京太郎(頑張らなくても、いい・・・?)フラッ まこ(奴さん、ここまでじゃな・・・) 京太郎(ボタン・・・これを押せば、ああ、眠ぃ・・・)フラフラ 『京ちゃん!』 『悪いよ!勝手に努力を放棄して、戦う前から負けを認めてる京ちゃんなんて、とってもカッコ悪いよ!』 『京ちゃんは、いつだって頑張り屋さんだもん!』 京太郎「ふっーーーーーー」 『麻雀って……楽しいよね!』 京太郎「っっっっざけんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」ガァンッ まこ「!?」ビクッ 京太郎「あ゛ー、やっとスッキリした・・・染谷先輩、お待たせしました。続けましょう」フラフラ まこ「おまっ、壁に思いっきり頭打ち付けるなんて何考えとるんじゃ!血がドバドバ出とるぞ!?」 京太郎「目覚ましです・・・続けましょう」 まこ「お前さん・・・最悪死ぬぞ?」 京太郎「死んだっていい、構うもんか・・・座れよ、染谷まこ。俺は、俺はまだこの勝負を降りる訳にはいかねぇんだ!」 まこ(フッ、乗り越えたか・・・久の言った通りじゃのう) まこ「あー、お前さんの覚悟はよーく分かった。じゃから勝負はここでーー」 京太郎「怖いのか?」 まこ「・・・あ゛?」 京太郎「急に喋り出したから降参すんのかと思ったら、さっきからちっとも自分のボタンに手をつけようとしねぇじゃねぇか・・・」 京太郎「それってつまり、俺が押せってこったろ?」 京太郎「俺に負けるのが、不敗伝説を破られるのがそんなに怖いのかよ・・・染谷先輩!」 まこ「人の老婆心も知らんと、随分とズケズケ言ってくれるのぉ、若造が・・・!」ゴウッ 京太郎「口つぐむのは老人だけで十分だ!」 まこ「・・・もう本気で怒った。どうなっても知らんぞこんくそガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 京太郎「そのくらいなきゃ勝負にならねぇよ!」 「ロンッ!」 「ロンじゃっ!」 「甘ぇよ!そこロン!」 「それもロン!」 「ロン!」 「ロン!」 「ロンだっ!・・・さぁ、連荘だぜ!」 ・ ・ ・ 24時間経過:東二百七十六局 京太郎「あ゛ー・・・クソッ」フラフラ まこ「くぅ・・・」フラッ 京太郎「・・・染谷先輩の、親だな」 まこ「ワシの分析麻雀を掻い潜った上で更に攻め込み、ここまで追い込んだ・・・認めちゃる。お前さん、大した奴じゃ」 ピシッ 京太郎「だからどうした。まだ勝負はついてねーぞ・・・!」 バシッ まこ「だがな、人間心よりも体の支配が強いんじゃ」 ピシッ 京太郎「・・・」 バシッ まこ「血を流し過ぎたのう。早くワシにトドメをささにゃ、お前さんもうじき確実にぶっ倒れるぞ」 ピシッ 京太郎「だったらっ・・・この局で和了るだけだ!」 バシンッ まこ「ああそうじゃな、今のお前さんならその力もある。実力はワシより上じゃからな、まともに打ち合えば間違いなく和了れるじゃろう」 ピシッ 京太郎「まさか、アンタ・・・!」 バシッ まこ「あぁ、お前さんの想像どおりじゃ・・・悪いが、この局はベタ降りさせてもらうき」 まこ「この耐久麻雀、如何に点数で下回っていようと最後に立っていたほうの勝ちじゃからな」 ピシッ 京太郎「ぐっ・・・!」 バシッ まこ「勝つための手段じゃ・・・卑怯とは、言わんよな?」 ピシッ 京太郎「ったりめーだろ・・・それがアンタの戦法なら、俺は喜んで挑戦する!」 バシッ まこ「須賀、京太郎か・・・お前さんと打てて楽しかったよ」 ピシッ 京太郎「その言葉は俺が勝つまでとっといた方が良いですよ、先輩・・・!」 バシッ まこ「・・・さ、次はお前さんじゃ」 ピシッ 京太郎「・・・っ」 バシッ まこ「苦しそうじゃのう」 ピシッ 京太郎「リー・・・チッ!」 バシンッ! まこ「ハッ、予言してやる。そのリーチは不発に終わるけぇ」 ピシッ 京太郎「言ってろ・・・!」フラフラ バシッ まこ「本当に・・・アホじゃのう」 ピシッ 京太郎「俺は、和了る・・・!そこ、ポン頂き!」 バシッ まこ「いーや、和了らせん!」 ピシッ 京太郎「和了る!」 バシッ まこ「絶対に和了らせん!」 ピシッ 京太郎「絶対に、和了ってみせる!それポンだ!」 バシッ まこ「ワシの誇りにかけて、この局は流す!」 まこ(和了る和了ると急に元気を取り戻しおって・・・相当和了りやすい手を持ってると見たき) ピシッ 京太郎「っ・・・!」フラッ パタッ・・・ まこ「・・・!」 ピシッ 京太郎「くっ・・・!」 パタッ・・・ まこ「そろそろ、じゃな。せめてリーチせんどけばよかったものを」 ピシッ 京太郎「うるせぇ、俺の麻雀だ・・・!」 パタッ・・・ まこ「おー、今のうちに吠えろ吠えろ。後3分もせん内にお前さんは倒れ、ワシの不敗記録は更新されるからのう」 ピシッ 京太郎「させる、かっ・・・!」 パタッ・・・ 京太郎「ぐぅっ!?・・・ぁ・・・」ドサッ まこ「・・・ついに座っても居られんくなったか。後腐れないように、早めに引導渡しちゃるけーのお」 まこ「これで・・・死にさらせやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 バシィィィィィン! 京太郎「・・・」 まこ「これで流局・・・終わりじゃな。京太郎、お前さんの負けじゃ」 ガシッ まこ「なっ!?」 京太郎「いいや・・・」 ズルッ・・・ まこ「馬鹿なっ、そんな事があるのけ!?」 京太郎「俺の・・・」 京太郎「俺の・・・勝ちだ・・・!」 バンッ 京太郎「ーーロン。混老頭、トイトイ・・・ドラ2、河底撈魚で・・・12000点、ハネ満」 京太郎「アンタの、トビ、だ・・・」ドシャッ まこ「・・・ハァ。もう呆れたわ・・・分かった分かったワシの負けじゃ」 まこ「しかしここに来て一番危なっかしい混老頭とは読めんかったな・・・」 まこ「深読みし過ぎたか、いや今回が偶然で元から読める手じゃなかったか・・・京太郎?」 京太郎「・・・・・・」ゲー まこ「うわ、こいつ寝ゲロしとる」 京太郎「・・・・・・」 まこ「ったく、締まらんなぁ・・・よいしょ」グィッ まこ「重っ・・・くそ、完全に気絶しとるなこれ」 まこ(ボタン・・・負けを認めた方が押すんじゃったな) カチッ ブーーーーーーーーーーーーーッ まこ(あ、これ、アイツとの勝負に夢中で気付かんかったけど、ワシもそろそろ・・・げん、か・・・)ドサッ ギィィィィィィィッ 支配人「・・・・・・終了いたしましたか」 支配人(ほとんど使ってない部屋とはいえ、出来れば店は汚してほしくなかったですね) 支配人(男のゲロとか一番嫌な類です) 支配人(いやマジで) とある公園 京太郎「・・・ぅおっ!?」ガバッ まこ「やーっと起きたか」 京太郎「し、勝負は!?ていうか今何時だ!?」 まこ「今は日曜の夜9時・・・勝負はお前さんの勝ちじゃ。本気で死ぬまで打つ気だったんか貴様」 京太郎「そう、か・・・俺、勝ったのか・・・ハハ」 まこ「ああ。店の中で寝ゲロした上で、かよわい女の子にゲロぶっかけよってな」 京太郎「あれ、頭の傷・・・」サスサス まこ「あれは切り傷。血が多く出ただけで、きちんと消毒すれば前髪で隠れる程度のもんじゃ」 まこ「まったく訳のわからん自傷行為に走りおって・・・」 京太郎「し、仕方ないでしょう!」 まこ「ああ、全く負けた方が何言っても遠吠えじゃあ。それじゃ、負け犬はそろそろ帰るとするけぇ」 京太郎「・・・」 まこ「・・・次は負けん」 京太郎「俺も、負ける気ないです」 まこ「勝手に言っとき。この麻雀狂いめ・・・それじゃーの」スタスタ 京太郎「ハハハ・・・って、日曜の夜9時ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 まこ「・・・チッ」ビュンッ 京太郎「ちょっ、俺家からとんでもない数の電話とメールが来てるんですけど!?染谷先輩!?染谷まこ先輩ー!?」 京太郎の家 京太郎「あ゛ー、超絞られた・・・ただでさえ疲れてんのに」フラフラ ボフッ 京太郎「やべ、布団超気持ちいいー・・・ん?」 ピリリリリリリリリッ!ピリリリリリリリリッ! 京太郎「そうですか、後1イベント残ってましたか」 ピッ 『京ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』 京太郎「ハーイ、こちら須賀京太郎。聞こえてるからなるべく小さな声で喋ってくれると嬉しいな」 『ふざけてる場合じゃないでしょ!』 『京ちゃんのお母さん「遅くなるとは言ってたけど、ここまで遅いなんて・・・」って本気で心配してたんだよ!?』 京太郎「あー、それについてはまた今度・・・てか普通にウチの親と会ってるんだな」 『また今度じゃないのっ!私だって・・・とっても、心配で・・・』グスッ 京太郎「・・・悪かったよ、だから泣くなって」 『・・・・・・だって、京ちゃんにメールしても全然返って来ないのなんて初めてだから、どうしたらいいかわかんなくて・・・』 京太郎「・・・咲、お前ひょっとして「京ちゃんからメールが返ってこないんです!」」 京太郎「とか言って涙目でド○モショップに駆けこんだりしてないよな?」 『・・・・・・』 京太郎「で、受付のお姉さんに苦笑されながら「ちゃんと届いてますから、安心してください」」 京太郎「とか言われて急に恥ずかしくなって赤面したりしてないよな?」 『・・・・・・京ちゃんの馬鹿っ!』 京太郎「なんだビンゴか・・・機械不信もここまで来ると特殊能力だな」 『う゛ー、人が折角心配してるのに・・・』 京太郎「咲・・・ありがとな」 『私にお礼言う前に自制心を持ってくれた方が私は嬉しいなー』 京太郎「ハイハイ、善処します。それじゃ、俺疲れてるから切るけど・・・暖かくして早めに寝ろよ」 『だから私そんなに子供じゃないってばー』 京太郎「へっ・・・それじゃー、また学校で」 『うん、また明日、学校でね!』 ピッ 京太郎「あー、疲れた」グッタリ 京太郎「・・・へっくし!」 京太郎「うわー、これ風邪引いちゃったかもなー」 京太郎「明日までに、直さねーと・・・部活に・・・」 京太郎「Zzz・・・」 翌日 ガチャッ 久「おいーっす」 京太郎「こんちはーっす」フキフキ 久「いやー、ホント須賀君が居てくれて助かるわ」 京太郎「雑用的な意味でですか?」 久「ううん。清澄高校麻雀部員的な意味よ・・・早く公式試合やってみたいでしょ?」 京太郎「そりゃそうですよ!」 久「うん、今の須賀君なら結構やれると思うわ・・・でも、一つ気になるのよねぇ」 京太郎「何ですか?」 久「いや、まだ推測の域を出ないんだけどね・・・」 咲「こんにちはー」 京太郎「お、来たなお姫様」 咲「京ちゃんこそ、今日もお掃除大義である!」 京太郎「へへーっ!」 優希「麻雀だじぇー!麻雀をさせるじぇー!」ガルルル 和「あら、今日は染谷先輩は?」 久「・・・体調不良で欠席。まぁ私の責任も多少あるけど・・・」チラッ 京太郎「!?」ドキッ 咲「?」 久「それじゃ、今日も部活始めましょうか!」 「「「「はいっ!」」」」 京太郎「今日だけ出れば、今週は明日から連休だなー」 ピシッ 咲「京ちゃん、連休中も部活来るよね?」 ピシッ 京太郎「おいおい、俺が来ないはずないだろ」 優希「・・・私も来るじぇ。京太郎だけには負けられんじぇ」 ピシッ 和「私も、というか麻雀部の皆さんは何も言わずとも全員来ると思いますが」 ピシッ 京太郎「だよなー。最近麻雀より楽しい事が見当たんねぇし」 ピシッ 咲「そうだね・・・ね、京ちゃん。『あの』アイスって言って分かる?」 ピシッ 京太郎「あのアイス?なんじゃそら」 優希「・・・!咲ちゃん、その事をどこで聞いたんだじぇ?」ピキーン パシッ 咲「噂話なんだけど、優希ちゃんも知ってるんだ?」 和「何のことです?」 ピシッ 久「ああ、アレね・・・都市伝説じゃないの?」 優希「いーや、そうとも言い切れないじぇ。手に入れるチャンスはきっとあるじぇ」 咲「あー、一回でいいから食べてみたいなぁ。ショフトクリーム」 ピシッ 京太郎「ソフトクリーム?その辺に売ってあるのを買えば・・・」 ピシッ 優希「ソフトクリームじゃないじぇ!ショフトクリームだじょ!」ドンッ バシッ 咲「それロン!三暗刻、嶺上開花、ドラ2!」 優希「ぬわーっ!京太郎のせいだじぇ!」 和「どうしてあんな低確率のものがこうポンポンと」 京太郎「ふぃー、危なかったぜ。振り込むところだった・・・そんで、そのソフトクリームは何が凄いんだ?」 優希・咲「「ショ・フ・ト!」」 京太郎「な、なんだよ・・・大して変わんねーだろ、ソフトだろうとショフトだろうと」 和「そこ、重要なとこなんですね?」 咲「うん、とっても重要だよ」 優希「ショフトクリームとソフトクリームは月とスッポン、天と地ほどの差があるじぇ」 京太郎「・・・で、そのショフトクリームは何が凄いんだ?」 久「ショフトクリームって言うのはここら辺一体で噂になってるソフトクリームでね・・・」 久「なんでもあらゆる味覚をカバー出来る極ウマアイスらしいわ」 京太郎「へー・・・」 和「まぁ、単なる噂ですね」 京太郎「だろうな。さ、次は俺の親だぜ!」 ピシッ 咲「京ちゃんには絶対振り込まないよ!」 ピシッ 優希「京太郎にだけは負けんじぇ・・・!」メラメラ ピシッ 和「全部搾り取った上でトバしてあげます・・・!」ガロロロロロ バシンッ 京太郎「お前ら・・・上等じゃねえかあああああああああああああああああああああっ!」 ・ ・ ・ 京太郎「ぶはーっ!やっと半荘終わりか」 優希「大激戦だったじぇ・・・」 和「宮永さん、流石です」 咲「えへへ・・・京ちゃんも頑張ってたと思うよ?」 京太郎「ま、タコスには勝ったからな!」 優希「ぐぅ・・・南場さえなければっ!マジで悔しいじぇ、京太郎め!・・・もう半荘やるじぇ!焼き鳥にしてやるじょ!」 京太郎「おう、上等だ!」 咲「二人とも、もう部活の時間終わりだよー」 久「んー・・・」 和「部長、どうかしました?」 久「須賀君、ちょっといい?」 京太郎「はい?」 久「例えば・・・」カチャカチャ 久「この局面だったら、どれ切る?」 京太郎「えーと、これですかね?」 ピシッ 久「・・・こりゃ重傷ね」 京太郎「へ?」 久「鴛鴦症候群とでも名付けるべきかしら・・・」 優希「重傷?京太郎の腕がアレなのは元からだじぇ、不治の病だじぇ」 京太郎「負けた奴に言われたくねーよ!」 優希「最後咲ちゃんに振り込まなけりゃ勝ってたじぇ!タイマンの成績なら私が上だじぇ!」 京太郎「あーそうかよ!なら次は文句のつけようがないようにトバしてやるよ!」 優希「こっちのセリフだじぇ!」ガルルルル 久「あー、そういうんじゃなくてね・・・須賀君、打ち方が対宮永さんに偏り過ぎなのよ」 咲「私に?」 久「ほら、部活後に宮永さんと二人っきりで麻雀の勉強してたでしょ?」 京太郎「そうですけど・・・」 和「・・・・・・」ギョリリリリリリリリ 優希「和、歯軋りでその音はヤバいじぇ、何かに目覚めてるじぇ」 久「確かに腕自体は格段に上がってるけど・・・癖がついちゃってるのよ」 咲「・・・あっ」 久「例えばさっきの局面、真っ先に槍槓狙いにいったでしょ?」 久「普通はあり得ないわ。あそこならもっと有効な手に出来たはず。でもそれをしなかったのは槍槓が一番有効だと思っているから」 優希「なんか納得できるような、出来ないようなだじぇ・・・」 久「つまり、宮永さんの相手をし過ぎたのが原因よ」 久「牌譜を見ても、ある程度宮永さんの打ち筋に似たような状況の時は全部同じような待ちをしてるわ」 咲「で、でも腕は上がってますし」 久「須賀君。これが原因で実戦に通用しなくても良いのかしら?」 京太郎「・・・っ!」 久「嫌よね。・・・でも、この癖はその可能性も考慮せざるをえないほど重度のものよ。ちょっと研究されたらすぐにバレるわ」 京太郎「どうすれば、いいんですか?」 久「簡単。癖が治るまで宮永さんと麻雀しなければいい」 京太郎「!?」 咲「そんなっ!」 優希「でも、その二人が一緒に居て麻雀をしてない場面が想像できないじぇ」 和「確かに・・・暇さえあれば、麻雀してますもんね」ギリッ 久「そこなのよねー・・・よし!重大発表!」 「「「「!?」」」」 久「須賀京太郎君。連休期間中の部停&宮永さんとの面会禁止を言い渡します!」 咲「京ちゃんが」 京太郎「俺が」 咲・京太郎「「部停の上に面会禁止!?」」 和「部長、ナイス判断です!」グッ 咲「ぶ、部長!いくらなんでも・・・」 久「私としても二人を引き裂きたくは無いんだけどねー」ニヤニヤ 咲「そ、そういうのとは違います!でもやりすぎじゃないですか!?」 久「じゃあ宮永さんに聞くけど、一日中須賀君と一緒に居て麻雀しないでいる自信ある?」 咲「う゛・・・」 久「須賀君は?」 京太郎「・・・無いッス」 久「と、言うわけよ。少しの間宮永さんと離れて強くなる方を選ぶか、それとも宮永さんとずっとやり続けて強くなれない方を選ぶか」 久「どうする?」 京太郎「・・・・・・俺は、強くなる方を選びます」 久「よく言った、それでこそ清澄麻雀部よ。宮永さんも、須賀君が覚悟決めたんだから。妻として付き合ってやりなさい」 咲「京ちゃん・・・」 京太郎「咲・・・俺、強くなりたいんだ」 咲「うん、分かってる。だから、癖が治ったらーーまた、私と麻雀してくれる?」 京太郎「ーーああ、約束する」 久「・・・いや、何も今生の別れって訳じゃないのよ?」 和(ぁぁぁイライラする・・・!)ワギャンワギャン 優希「誰か!今すぐ私の相手するじぇ!早く!早く!」メラメラメラメラ 京太郎「それじゃあ部長。俺は部停期間の間はここに来ちゃいけないんですよね?」 久「ま、そうね。・・・ちょっと耳貸してくれるかしら」 京太郎「・・・?」スッ 久「・・・龍門渕に行きなさい。話は通しといてあげるわ」ヒソヒソ 京太郎「マジですか!?」 久「それが、癖を直しつつあなたを手っ取り早く強くするには最適の手段だからね」 久「・・・前にも言ったけど、私あなたには期待してるのよ?」 京太郎「ありがとうございますっ!」 久「お礼は強くなってから言ってくれた方が嬉しいわ。・・・頑張ってきなさい」 京太郎「はいっ!」 咲「京ちゃん、なんて言われたの?」 京太郎「秘密の特訓だとさ!帰ってくる頃には咲が相手にならないレベルになってるかもしれねぇぜ?」 優希「ないじぇ」 和「そんなオカルトあり得ません」 久「それは厳しいわね」 京太郎「なんか妙に辛辣ですね皆さん」 咲「うーん、期待薄かな」 京太郎「咲まで!そこは嘘でも期待してるって言ってくれよ!」ガーン 咲「アハハ、冗談冗談。・・・それじゃあ期待してるよ?京ちゃん」 京太郎「おう、任せとけ!」 久「では、話もまとまったところで今日の部活はここまで!・・・須賀君、今日は念入りに掃除してってね」 京太郎「了解しましたっ!」 久「それじゃ、私は帰るわねー」ヒラヒラ 優希「帰ってネト麻だじぇ!休んでる暇なんかないじぇ!」 和「宮永さん、一緒に帰りません?」 咲「あ、ごめん原村さん。私京ちゃんともうちょっと話したいから」 和「・・・」イラァ 和「まぁ、連休中はずっと私のターンですし・・・別にいいか」ボソッ 咲「?」 和「いえ。それじゃあ私、先に帰ってますねー」 ガチャッ 京太郎「・・・」ウズウズ 咲「・・・」ウズウズ 京太郎「あー、駄目だ!咲と二人で居ると麻雀したくて体がウズウズする!」 咲「私もー。早く京ちゃんと麻雀したい麻雀したいっ!・・・ってなっちゃうよー」 京太郎「こりゃ部長の言ってた癖もマジっぽいな」 咲「部長さんは、ちゃんと京ちゃんの事考えてくれてるんだよね」 京太郎「ああ、まさか俺の牌譜をずっと見ててくれたとは思わなかったよ」 咲「部長さんもとっても頑張り屋さんだよね」 京太郎「ああ。あの人、表には出さねーけどな」 咲「恥ずかしいのかも?」クスッ 京太郎「かもな!」 咲「・・・明日から、しばらく京ちゃんに会えないのかぁ」 京太郎「ま、そうなるな」 咲「仕方ないけど・・・ちょっと、寂しいかも」 京太郎「ん、寂しい?」 咲「え、京ちゃんは寂しくないの?」 京太郎「だって、咲の声はいつでも聞けるし」 咲「えええええっ!?それって、どうやって」 京太郎「ヒント。お前が身につけてる唯一の電子機器ってなーんだ」 咲「あ、携帯・・・」 京太郎「そーいう事だ。会えなくても、声は聞けんだろ?」 咲「・・・うんっ!」 咲「京ちゃん、私毎日電話するからね!」 京太郎「友達が転校するかのような言い方だな」 咲「やっぱり迷惑、かな・・・?」 京太郎「・・・んなわきゃねーだろ、嬉しいよ」 咲「よかった・・・私が寂しんぼなだけかなって、ちょっと心配になっちゃったよ」 京太郎「俺は俺が居ない間に咲が機械を壊さないかが心配だよ」 咲「む・・・京ちゃんそれは失礼だよー!」 京太郎「どうだかな、俺が電話に出ないからってド○モショップに駆けこんでる絵面が目に浮かぶぜ」 咲「あれはっ・・・初めてだったから混乱しただけで、もう二度としないもん!」 咲「京ちゃん。連休中に絶対、癖治してきてね」 京太郎「あったりめーよ。任せとけって!」 咲「うーん、京ちゃんの任せとけはあんまり信用できないんだよねー」 京太郎「なにおう!?」 咲「・・・頑張れ、京ちゃん!」 京太郎「おう、頑張るぜ・・・そろそろ帰るか。送っていきますよ、咲お姫様」 咲「うむ、苦しゅうない。それじゃ、今日もエスコートよろしくね京ちゃん!」 咲宅前 京太郎「・・・じゃあな、咲」 咲「うん。また、連休明けに・・・」 京太郎「ーーーー」 咲「ーーーーっ・・・」 咲「連休明けに、絶対、麻雀しようね・・・!」 京太郎「・・・よっし!んじゃその時には咲をちょちょいっとのしてやるとするか!」 咲「ほほー、いつもちょちょいっとのされてる京ちゃんが何か言ってますなぁ♪」 京太郎「うるせぇ!絶対倒してやるからなあああああああああああああああああああああ!」ダダダダダ 咲「頑張れ、京ちゃん。・・・・・・・・・頑張れ」 部長宅 ピッ 『けほっ、けほっ・・・』 久「おー、まこ。大丈夫?」 『う゛ー・・・まぁな、ただの風邪じゃから一日休めばなんとか治るき』 久「それは重畳。で、病み上がりのとこ悪いけどまこに聞きたいことがあるのよ」 『・・・なんじゃ?』 久「龍門渕に話を通す時って、どうすればいいのかしら?」 『んなもんワシが知るかっ!』 ガチャッ 久「あー・・・うん、まぁそうなるわよね」 久「須賀君なら多分なんとかなるでしょ!・・・多分」 『なっ、何故ですの!?龍門渕にアポ無し単独の無謀な挑戦者が現れるなど前代未聞』 『それを泊めたとなれば後世に語り継がれるレベルに目立てましてよ!?』 『お前は目立つ事ばかり考え過ぎだ!もう少し自重、警戒せんか!』 京太郎「親父さん、正論だな」 一「ていうか、普通の意見だよね」 『お父様!目立ってナンボ!目立ってナンボですのよ!?』 『どうしても泊めたいのなら厄介者同士、アイツのところにでも泊めておけ!』 『~~~~っお父様は衣の事をまだ・・・話になりませんわ!勝手にそうさせて頂きます!』 『勝手にしろ!・・・まったく、どうしてこう目立ちたがるのか』 バタンッ! 透華「まったく、これだから古い人間は困るのですわ!」 京太郎「いや、親父さん至極まっとうな意見だと思うぞ」 透華「目立てない意見がまっとうな意見な訳ありませんわー!」 一「それは透華がおかしいだけだと思うな・・・僕もコイツが泊まるのは反対だし」 透華「もう、一まで!・・・着いてらっしゃい、こちらなら使っていいと『許可』が出ましたわ!」プンプン 京太郎「あれでいいのか、龍門渕家」 一「まぁ、あれでいいんだよ。・・・多分」 龍門渕邸・別館 ギィィィィィィィィッ・・・ 透華「さ、ここでしてよ」 京太郎「ここも、でけぇな・・・」 一「んー、ここはちょっとあっちとは違う理由で大きいんだよね」 京太郎「違う理由・・・?」 ???「あ、とーかー!」タタタタッ 京太郎(アイツ・・・まさかっ!) 透華「衣・・・この男が少しの間ここで暮らしますのよ」 衣「・・・コイツが?衣と一緒に暮らすのか?」 透華「ええ、そうなりますわ」 京太郎「おい、あれってーー」ヒソヒソ 一「うん、龍門渕女子麻雀部が誇る我らが大将。天江衣だよ」 京太郎「やっぱりか・・・!」 衣「ふん・・・」スンスン 京太郎「な、なんでしょうか?」 衣「あの女の匂いがするな・・・面白い。透華、この男をここに泊めることを許すぞ!」 透華「・・・でしょうね」 衣「あぁ。今夜は久しぶりに・・・楽しめそうだ」ニタァ 京太郎「っ!?」ゾクッ 衣「清澄の。・・・衣の部屋は3階の北だ、待っているぞ」スタスタ 一「あーあ、衣に気に入られちゃったね」ニヤ 透華「さて、清澄の。あなたは今晩ここに泊まってもらいますわ・・・本当は、あまりしたくないのですが」 京太郎「だったら今からでも家に」 透華「そ・れ・は・わたくしのプライドが許さないと言ってますでしょうが!」 透華「・・・それともなんですか、あなたはウチに遊びに来たんですの?」 京太郎「・・・・・・そいつは聞き捨てならねぇな。俺は、強くならなきゃいけないんだ。俺は・・・ここに麻雀しに来てんだよ!」 透華「でしたら、相手の挑発には乗るものではなくって?」 京太郎「ああ上等だ!乗ってやる、乗ってやるともよ!」 一(沸点低いなー) 透華「ふっ、あなたならそういうと思ってましたわ。・・・人が本気かどうかは、目を見れば分かりますもの」 京太郎「俺ァ決めたよ。男子麻雀部を全員倒してーー龍門渕透華!アンタに直接麻雀を申し込む!」 透華「・・・くっ、くくくっ!最高ですわ!一!聞きました!?」 透華「ここを龍門渕と知って尚!わたくしを龍門渕透華だと知って尚!闘志を滾らせて挑んでくる男がまだいましたわ!」 京太郎「あぁ、最高だ!アンタ程さっぱりとした人間は見たことねぇ!・・・この手で抉り取ってやりてぇ位にな!」 透華「その勇気、蛮勇だったと思い知らせてあげますわ!オーッホッホッホッ!」 京太郎「蛮勇が空回りするとは限らねえぜ、龍門渕の女王様ぁ!」 透華「おっと、肝心な事を忘れてましたわ。ーーあなたの名前を聞いておきましょうか」 京太郎「須賀、京太郎だ!」 透華「須賀京太郎・・・気に入りましたわ。あなた、そういう目もできるんですわね」 京太郎「アンタもな、ただの目立ちたがり屋じゃないって訳だ!」 透華「では、京太郎。・・・ここには、牌に愛された者が住んでいます」 京太郎「天江、衣か」 透華「ええ。彼女の実力は知ってますわね?」 京太郎「県大会であれだけ暴れられりゃあな」 透華「・・・彼女と麻雀するもしないも、あなたの自由ですわ」 透華「ーーただ付け加えるなら、衣は決して挑まれた勝負を拒んだりしませんわ」 京太郎「へっ、流石に良い度胸じゃねえか・・・!燃えてきたぜ!」 透華「明日の朝日が昇るまでに、あなたが麻雀を嫌いになっていない事を祈ってますわ」 京太郎「そりゃ、世界が終わるまでありえねーから安心しやがれ」 透華「ふっ・・・では明日、この場所で」 京太郎「ああ、首洗って待ってろよ!」 一(なーんか、息ぴったりだなこの二人・・・一応『人体切断マジック』用の剣研いでおくかな) 龍門渕邸・別館内 バタン 京太郎「さて、まずは」 ハギヨシ「ハギヨシと申します。須賀京太郎様、以後よろしくお願いします」 京太郎「うおっ!?」 ハギヨシ「お風呂場と食堂は一階、寝室は2階~4階のお好きな部屋をどうぞ」 ハギヨシ「分からないことがあれば、いつでもお呼び下さい。では・・・」シュッ 京太郎「今のが、執事って奴か・・・すげー」 京太郎「んじゃ、まずは飯にすっか!」 龍門渕邸・別館 食堂 京太郎「でっか・・・!」 京太郎(毎度のことながらスケールが違い過ぎんだろ、龍門渕) ハギヨシ「こちらがメニューです。鈴を鳴らして給仕係をお呼び下さい」 京太郎「あ、あぁ。どうも」 ハギヨシ「それでは」シュッ 京太郎「あの人、どこにでも来んのか・・・?」ペラペラ 京太郎(それにしても・・・) 『はんばーぐ&えびふらい(たるたるおおもり、ころもあつめ)』『おむらいす』『かれー(あまくち)』 京太郎「どうにも子供向け過ぎるメニューだなおい!」 京太郎「えーと、この鈴鳴らせばいいのか?」チリンチリン 給仕係「はい、お呼びでしょうか」 京太郎「えーと、じゃあこのカレー下さい」 給仕係「承りました」パタタタタ 京太郎「うーん・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「やっぱりこう、広すぎると手に余るっつーか、間が持たねえな。この食堂、一人用ってことはねえよな?」 ハギヨシ「この食堂は基本的に衣様一人でご利用なされます」 京太郎「っ!・・・ってまたアンタか。ホントどこにでも現れるな」 ハギヨシ「執事ですから」 京太郎「てか、一人用でこれかよ・・・」 ハギヨシ「この館は衣様の館ですから」 給仕係「お待たせしましたー」 ハギヨシ「料理が到着したようですので、私はこれで」シュッ 京太郎「消えた・・・んじゃ、食べますか」 京太郎「あー、なんつーかこれアレだわ。ファミレスの味だ」パクパク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「・・・」パクパク 京太郎「・・・」モグモグ 京太郎「・・・」パクパク 京太郎「あれ、なんか泣けてきたぞ」モグモグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「ごちそうさまでした」パンッ 京太郎「よし、次は風呂だ!」 龍門渕邸・別館 風呂 カポーン 京太郎「ふぃー・・・」 京太郎「良い湯だ・・・」 京太郎「とてつもなく良い湯だ・・・」 京太郎「・・・」 カポーン 京太郎「だあああああもう!広過ぎんだろ!こんな広い風呂に一人で居られるか!俺は天江の部屋に行くぞ!」ザパッ そのころ、龍門渕邸 透華の部屋 一「ねぇ透華」 透華「なんですの?」 一「アイツさ、どうなると思う?」 透華「・・・さぁ、分かりかねますわね」 一「だって、相手はあの衣だよ?」 透華「そうですわね」 一「明日の朝になる頃には、どうなっちゃってるのかなぁ・・・」ニタァ 透華「一。そういう事を考えるならまだしも、口に出すのはおよしなさいな」 一「はーい」 透華(でも、確かに一の言う通り・・・まぁ潰れたらそこまでですけど) 龍門渕邸・別館 3F北側の部屋前 京太郎「この扉の先に・・・」 京太郎(あの、天江衣がいるのか) 衣『そこに居るんだろう、清澄の。・・・入らないのか?』 京太郎「っ!」ブルッ 京太郎「・・・それじゃあお言葉に甘えて、入らせてもらうぞ!」 ガチャッ 衣「ようこそ、衣の部屋へーー楽しませてくれよ?」 京太郎「言われなくても!」 衣「・・・ん?」 京太郎「何だよ、俺の顔に何か付いてるか?」 衣「いや、なんでもない。さぁ始めよう、清澄の・・・サイコロ回れ―!」 コロコロ・・・ 衣「わーい、衣の親番だぁ!」キャッキャッ 京太郎(こうして見ると子供にしか見えねえな・・・) 東一局 衣「~~♪」 パシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 衣「時に清澄の。衣と相対した彼奴は息災か?」 バシッ 京太郎「咲か?ああ、元気だよ」 ピシッ 衣「そうか、それは良い。・・・まだ飽きずに遊べそうだ」 バシッ 京太郎「おいおい、今の遊び相手は俺だぜ?」 ピシッ 衣「・・・・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 衣「なぁ、清澄の」 バシッ 京太郎「何だよ?」 ピシッ 衣「選べ。二度と麻雀出来なくなる方か、それともここで何も言わずに部屋から出るか」 バシッ 京太郎「お前に勝つ方を選ぶ!」 ピシッ 衣「・・・斎斎し。お前はあまりにも乏し過ぎる、凡夫にも劣る下臈だーー今までの打牌で、衣には分かる」 バシッ 京太郎「勝手に人をランク付けしてんじゃねえ!」 バシッ 衣「三流は三流。衣が決めているんじゃない、最初から決まってるんだ」 バシッ 京太郎「っ・・・!」 バシッ 衣「現にお前は和了れていない。今までも、そしてこれからも」 バシッ 京太郎「それは、どうかなっ!」 ピシッ 衣「己の力さえ見えずか・・・見下げ果てた。最早貴様に用は無い」ギラッ バシッ 京太郎(リーチさえできないのは、初めてだなっ!)ゾクッ ピシッ 衣「この世には二種類の人間がいる。牌に愛されたものとそうでないもの」 バシッ 京太郎「ああそうかよ、それでアンタの見立てなら俺はどっち側なんだ!?」 ピシッ 衣「言わなければわからないのか?下臈・・・リーチだ」 バシッ 京太郎「分からねえな!俺は俺の力で引き当てる!」 ピシッ 衣「ここまで分からぬ凡夫が居るとはーー片腹大激痛!」ピッ バンッ 衣「ーーツモ。リーチ一発、メンゼン清一色ドラ2!・・・12000オールだ」 京太郎「んなっ・・・!?」 衣「何をしている、連荘だぞ・・・早く用意しろ」 京太郎(何だ、天江の体が、大きく・・・!?) 東一局一本場 衣「宣言してやる、下臈。お前の親番は久遠に来ず」 バシッ 京太郎「そんな麻雀があってたまるかってんだ!」 ピシッ 衣「そう、これは麻雀じゃない、だから衣も楽しくない。・・・できれば早く終わらせたい」 バシッ 京太郎「そうツレない事言うなよ、なぁ!」 ピシッ 衣「牌に最低限の愛さえ貰えぬ輩になど、少しでも期待した衣が愚かだったか・・・」 バシッ 京太郎「それは俺が決めることだっ!」 ピシッ 衣「いいや、牌が決めることだ。・・・哀れだな」 バシッ 京太郎「憐憫の情でも寄せたいってか!?」 ピシッ 衣「最早その域にすらない。お前は虫だ。・・・リーチ」 バシッ 京太郎「虫は虫で色々怖いらしいぜ、気をつけろよ!」 バシッ 衣「お前の体に微かに薫る友の匂いに賭けてみたが・・・どうやらハズレだったらしい」 パタタタタ・・・ 衣「ロン。九連宝燈、役満。48300点だ」 京太郎「役満だとっ!?」 衣「・・・牌に愛されない者とやると、こうなる。だから衣は三流が嫌いなんだ」 京太郎「くっそ・・・!」 衣「お前は月に唾を吐いた。・・・この程度で済むと思うなよ?」 京太郎「そりゃ、こっちのセリフだ・・・!」 京太郎(大丈夫、こういうのは経験済みだ。ーーだから、だから怯えないでくれ・・・俺!) 衣「・・・」ゴオッ 京太郎「っ・・・!?」 京太郎(天江の体が、なんだよ、これ・・・そんな訳ねえだろ) 京太郎(俺の体が、天江の指一本より小さいなんて・・・) 衣「さぁ、二本場だ・・・微塵も残さん」 東一局二本場 衣「・・・」 バシッ 京太郎「・・・っ」 パシッ 衣「清澄の。もうお前は終わりだーー黄泉に眠れ」 バシッ 京太郎「んなこと、俺が・・・!」 パシッ 衣「ロンッッッッッッッッッ!」ゴオッ パタタタタ・・・ 衣「一気通貫、ドラ3ーー満貫、12600点だ」 京太郎「ぐぅっ・・・!?」 衣「早く次の局の準備をしろ、衣は待つのが嫌いなんだ」 衣「・・・特に、雑魚相手にはな」 京太郎「・・・ぁ・・・!」 京太郎(クソ、クソックソックソックソックソッ!) 東一局三本場 衣「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「人には、向き不向きというものがある」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「清澄の、お前に麻雀は無理だ」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「最早、話す事も能わずかーー失望したよ」 バシッ 京太郎「負けて、たまるか・・・!」 パシッ 衣「・・・」 バシッ 『連休中に絶対、癖治してきてね』 『頑張れ、京ちゃん!』 『連休明けに、絶対、麻雀しようね・・・!』 京太郎「ここで、お前に負けてたら、俺は・・・アイツに、咲に会えないんだあああああああああああああああああああ!」 バシンッッッ 京太郎(通るっ!) 衣「・・・ロン」 パタタタタ・・・ 京太郎「ーーーーぅっ!?」 衣「ダブ東三暗刻、ドラ2。ハネ満で18900だ」 京太郎「・・・・・・」 衣「無駄だよ。どれだけ猛ろうとお前は牌に愛されることは無い。果敢無い下臈は、ここで風塵と帰すがいい」 京太郎「俺、は・・・」 衣「さ、続きをしよう。ーーお前が、壊れるまで」 東一局四本場 ・ ・ ・ 衣「ーーツモだ。満貫4300オール」 東一局五本場 ・ ・ ・ 衣「ロンだ。ハネ満で19500」 東一局六本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・」 パタッ 衣「ほとほと呆れかえるな・・・ロンだ。7600」 東一局七本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・・・・・」 パタッ 京太郎(これも、また) 衣「ロンだ。11500」 東一局八本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・」 パタッ・・・ 衣「・・・」ピッ 衣「ツモ。5100オールだが、八連荘ーー役満。よって16800オールだ」 京太郎「ハ、ハハ・・・ハハハハハ」 衣「これでお前はー126500点・・・もう、聞こえていないか」 京太郎「ハッハハハハハハハ!ありえねえ!ありえねえよこんなの!何が牌に愛されているだよ!アイツだって、こんな、こんなっ!」 衣「・・・ハギヨシ!」 ハギヨシ「ハッ」シュッ 衣「そこの塵芥を、部屋から追い出せ。ーーとんだ時間の無駄だった」 ハギヨシ「では、失礼します」ガシッ 京太郎「クソ、離せ!離してくれ!俺は、俺はあああああああああああああああああああああああああああ!」 衣「・・・二度と衣の前に姿を見せるな、屑」 京太郎「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だあああああああああああああああああああああああああああああ!」 京太郎「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 龍門渕邸・別館 2F南の部屋 ハギヨシ「・・・落ち着かれましたか」 京太郎「・・・」 ハギヨシ「では、私はこれで」シュッ 京太郎(何をしても、駄目だった) 京太郎(技術とか、運とか、そういう奴の外の・・・もっと遠くの) 京太郎(アレはまるでどうしようもなく大きい月みたいな、そんな) 京太郎(絶望的過ぎる、存在そのものの違い・・・) 『お前は虫だ』 京太郎「俺は、虫なのか・・・?」 『どれだけ猛ろうと、お前は牌に愛されることは無い』 京太郎「・・・」 『お前に麻雀は無理だ』 京太郎「そう、なのか・・・」 京太郎「俺、もう、麻雀・・・しない方が、いいのか・・・?」 ピリリリリリリッ 『着信:宮永咲』 京太郎「さ、き・・・」 ピッ 『あ、京ちゃん!そっちはどう?こっちは原村さんがとってもやる気でね、いつもチラチラ私の方見てくるんだ。ライバル意識なのかな?』 京太郎「・・・」 『・・・京ちゃん?聞こえてないの?』 京太郎(何話せばいいってんだ・・・俺なんかが) 『京ちゃん!京ちゃんってば!』 京太郎「月が、大きくてさ・・・」 『・・・?』 京太郎「大きすぎて、俺、もう・・・・・・・・・駄目だ」 『月っ、て・・・京ちゃん急にどうしたの?』 京太郎「ごめんな、咲。・・・これからは、和と一緒に頑張ってくれ」 『ちょっと、きょ』 ブチッ 京太郎(・・・帰ろう。俺は、ここに居る資格なんてない) 京太郎「・・・」 龍門渕邸・別館 2F廊下 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 龍門渕邸・別館 1Fホール 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ ピリリリリリリッ 京太郎(なんだよ、咲の奴・・・) 龍門渕邸・別館 玄関 ガチャッ 京太郎(ここから出て、清澄に帰って・・・それで、終わり) 京太郎「・・・っ」 ピリリリリリリッ ピリリリリリリッ 京太郎「クソッ、うるせえんだよ!電源切るぞ!」バッ 『着信:宮永咲』 京太郎(何で・・・!) ピッ 『・・・』 京太郎「何だよ、何か用か!?」 『・・・』 京太郎「用が無いんならかけてこないでくれよ!頼むから、もう俺に構わないでくれ!」 『・・・京ちゃんの、真似だもん』グスッ 京太郎「は?」 『京ちゃんだって、私が最初に電話した時にずっと無視したんじゃない!』 京太郎「・・・だから、俺は」 『京ちゃんの、バカあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!』 京太郎「!?」ビクッ 『いいから、私の言う事を聞きなさい!!!』 京太郎(あの咲が、こんなに怒って・・・!?)バックンバックン 『返事っ!』 京太郎「は、はいっ!」 『まず、外に出て!』 京太郎「で、出ましたっ!」ダダッ 『月は出てる!?』 京太郎「そ、そりゃ満月だけど」 『月に向かって手を伸ばして!』 京太郎「・・・は?」 『いいから!早く月に向かって手を伸ばしてって言ってるんだよ!』 京太郎「何で俺が、俺はもう」 『須賀京太郎!手をっ、伸ばせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!』 京太郎「わ、分かったよ!」ピシッ 『ハァーッ、ハァーッ・・・伸ばしたら、そのまま手を握って!』 京太郎「こ、こうか?」グッ 『ほら、掴んだ!』 京太郎「・・・?」 『京ちゃん。今、月はどこにある?』 京太郎「・・・」 京太郎「あ・・・」 『ーー京ちゃんの、手の中にあるでしょ?』 京太郎「・・・・・・」 『京ちゃん。月はとっても大きいけど、手の中に掴めるんだよ。ううん、月だけじゃない』 『この世の、どんなものだって。手を伸ばせばきっと掴める』 『大きさなんて関係ない。大事なのは掴みたいって思う心、手を伸ばす心だよ』 京太郎「・・・っ・・・」 『だからね、京ちゃん。手を伸ばす前に諦めちゃダメ。手を伸ばして届かなくても諦めちゃダメ』 『何かを掴もうとするときに、距離なんて関係ないよ』 『私が、私が好きなのはっ・・・・・・・・・・・・・・・・諦めないで手を伸ばす京ちゃんだよ!』 京太郎「・・・・・・・・!」 京太郎(俺、何やってんだ・・・!) 京太郎「咲っ・・・俺っ」 京太郎「ごめんっ・・・!ごめんな・・・!」ボロボロ 『・・・・・・ばか』 京太郎「・・・」 『京ちゃんの、ばかっ。勝手に、構わないでくれとか言わないでよ・・・!』 京太郎「・・・ごめん」 『私、ホントにつらかったんだからね・・・?』グスッ 京太郎「もう、二度としねぇ」グイッ 『・・・それだけじゃ許さない』 京太郎「癖、絶対治すーーそんで、俺が帰ったら。一番に麻雀しよう」 『それでも許さないもんっ』 京太郎「それと・・・お前に、ショフトクリーム奢ってやる」 『・・・え?』 京太郎「味は何が良い?44種類のフレーバーと豊富なトッピングが魅力。らしいぜ」 『で、でもショフトクリームって誰も手に入れたことが無いって』 京太郎「・・・絶対奢るからさ、教えてくれよ。何味が良いのか」 『じゃあ、バニラかいちご・・・?』 京太郎「了解、特訓が終わったら最速で届けさせてもらうぜ。舌洗って待ってろよ」 『もう、京ちゃんってば・・・』クスッ 京太郎「ごめんな、咲。ありがとう。ーーありがとう・・・!」 『うん。・・・京ちゃん』 京太郎「何だ?」 『ーーーー麻雀、好き?』 京太郎「ーー大好きさ」 『じゃ、そんな麻雀大好き京ちゃんは私くらいちょちょいっとのしてくれるんだよね?』 京太郎「当然だろ、抉り取ってやるよ」 『どうかなー♪・・・だって京ちゃん、誰かに麻雀でボコボコにされて落ち込んでたんでしょ?』 京太郎「な、何でお前がそれを」 『だって京ちゃんだもん。そんなことだろうと思った』ハァ 京太郎「京ちゃんだもんとは何だ京ちゃんだもんとは!?」 『・・・でも、もう大丈夫だよね?』 京太郎「ああ、もう大丈夫だ・・・咲のお陰だよ」 『おやおや、将来倒す相手に助けられてるようじゃまだまだだねー♪』 京太郎「ぐぬぬ・・・見てろよ、俺はこの特訓で絶対強くなってやる!」 『その意気だよ京ちゃん。・・・頑張れっ!』 京太郎「おう、頑張るぜ!・・・首洗って待ってやがれよ、宮永咲!」 『うん!・・・それじゃ、私もう寝るね。ふぁぁ・・・』 京太郎「おやすみ、咲」 『お休み、京ちゃん』 ピッ 京太郎「ありがとな、咲・・・」パタン 京太郎「・・・」スゥーッ 京太郎「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 ビリビリビリビリッ・・・ 京太郎「よしっ、やるぞ!」パンッ ハギヨシ「・・・須賀京太郎様。もう夜ですので、あまり大声を出されると」シュッ 京太郎「あ、スンマセン・・・ハギヨシさん、でしたっけ。天江は・・・」 ハギヨシ「もうお休みになられています。須賀様ももう休まれた方がよろしいかと」 京太郎「だよな・・・ホントスンマセンでした」 ハギヨシ「いえ、では私はこれで」シュッ 京太郎「・・・よし、寝るかっ!」 京太郎(まずは、体力の回復。んでもって力付けて・・・アイツに、借りを返す!) 京太郎「待ってろよ、天江衣・・・!」 『フッ、そうか・・・ギリギリで踏みとどまったか』 ハギヨシ「はい。まだ衣様と麻雀したそうにしておりました」 『ようやく、遊び相手くらいにはなってくれるかな?』クスッ ハギヨシ「衣様、もしや」 『ああ。本当に歯牙に賭ける程の奴でもなければ、衣はあそこまで壊したりしないよ』 ハギヨシ「・・・悪い癖ですよ」 『自覚はあるよ。だが、そのおかげでようやくあの下臈・・・いや、やっと凡夫か。楽しめそうになってきたじゃないか』 ハギヨシ「衣様のお気に召す事を期待しております」 『男児三日会わざれば刮目して見よと言うしな。・・・衣もそうであってほしいと願う。さて、衣はもう寝る。切るぞ~』 ハギヨシ「はい、お休みなさいませ。衣様」 『うん、お休みハギヨシ』 翌日 龍門渕邸・別館 玄関 バンッ 透華「おはようございますわっ!」 京太郎「おう、おはよう!」 一「・・・?」 京太郎「なんだよ、俺の顔になんかついてるか?」 一「衣とやらなかったの?」 京太郎「やったよ。負けも負け、ー126500点の大負けだ!」 一(衣とやって、大負けして・・・まだ麻雀ができるだって?) 透華「あらあら、よくそこまでボコボコにされて麻雀が出来ますわね!」 京太郎「あったりめぇだろ、麻雀は楽しいんだからよ!」 京太郎「んでもってもう一つ目標が出来た。・・・俺は、天江衣に借りを返す!」ギラッ 京太郎「だからよ、龍門渕透華。アンタに頼む。もう少し・・・アイツに借りを返すまで。俺をここに泊めてくれないか!」 透華「クックククク・・・オーッホッホッホッ!その不遜!その傲慢!気に入りましたわ」 透華「やはりあなたはわたくしが見込んだ通りの人物ですわ!好きなだけ泊まっていきなさいな!」 京太郎「そりゃ何よりだ!そんじゃ、改めてよろしく頼むぜ・・・龍門渕の女王様!」スッ 透華「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ。須賀京太郎!」ガシッ 一「・・・」ムスーッ 透華「一?気分でも悪いのですか?」 一「ま、気分は悪いかな。・・・とーか、僕はちょっと野暮用があるから離れてるね」 透華「・・・?分かりましたわ。それでは、須賀京太郎。行きましょうか!」 京太郎「おうよ!」 男子麻雀部部室 バァンッ!! 男子部員「「「「「「「!?」」」」」」」 透華「道場破りでしてよっ!丁重におもてなしして差し上げなさい!」 京太郎「よろしくお願いしますっ!」 男子部員1「龍門渕さん!?」 透華「オーッホッホッホッ!この龍門渕に単騎で挑んできた愚か者に、洗礼をくれてやるのですわ!」 男子部員2「道場破りって・・・そこの清澄の奴がですか?」 透華「そうですわ!」 男子部員3「あの、勘弁してもらえませんか。俺らも暇じゃないんですよ」 透華「・・・は?」ピキッ 部長「そうです。男子の方もそろそろ大会が近いんです」 部長「清澄には悪いけど、弱小の、それも部員一人のところとやって得るものがあるとは思えません」 透華「・・・」ピキピキッ 京太郎「いや、ちょっ」 副部長「君。こんな無謀な事は止めた方がいい。実力の差は君自身が一番よく分かっているはずだ」 京太郎「はぁ!?」ビキッ 副部長「実力が開き過ぎている者同士がやったって、得るものは何もないよ」 透華「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー見損ないましたわっ!」 京太郎「あぁ全くだ!天下の龍門渕男子がこの程度とはな!」 部長「・・・何が言いたい」イラッ 京太郎「調子くれてんじゃねえって言ってんだよ、名門校さんよ!」 透華「争いに意味を求めるなど・・・愚かにも程がありますわ!」 京太郎「やりたいからやる!売られた喧嘩は買う!」 京太郎「それ以上何かいるのかよ、なぁオイ!」 副部長「・・・帰ってくれ、不愉快だ」 透華「挑戦者を無傷で返す王者がどこに居ますかっっ!!!!!!!!」 部長「龍門渕さん、ですから」 透華「あなた方は強者で、ここに挑む者が居る!それ以外に戦う理由が必要でして!?」 部長「・・・・・・」 透華「あぁもう!埒が開きませんわ!・・・部長と副部長、卓に着きなさい!」 部長「・・・本気ですか?」 副部長「なぜこんなことを・・・」 透華「京太郎!わたくしの隣に座りなさい!」 京太郎「オッケー、任せとけ女王様!」ドスッ 透華「2対2ですわ。二人の点数の合計で勝負をつけましょう」 部長「ですが、それをやるメリットが」 透華「わたくしが負けたら、麻雀部に関する権限を全て譲渡いたしますわ」 透華「・・・これでよろしいかしら、理由がなければ戦えない現実主義者さん?」フッ 副部長「・・・舐めやがって!」ピキッ 部長「・・・この勝負、受けるぞ」 副部長「ええ!ここまで言われちゃ黙ってられませんよ!」 部長(点数の合計なら、間違いなくこちらに分がある) 副部長(あの清澄を集中的に狙えば良いだけだ!) 京太郎「ヘっ、やっとやる気になってくれたか!こっちはとっくの昔に暖まってんだよ!」ギュッ 副部長「・・・潰す!」 京太郎「やれるもんならやってみやがれってんだ!」 透華「それじゃ、始めますわよ!」 コロコロコロ・・・ 透華「オーッホッホッホッ!親番、頂きましたわ!」 東一局 透華「まずは、これですわね!」 ピシッ 京太郎「それじゃ、俺はこれだ!」 ピシッ 副部長「・・・」 ピシッ 部長(アイツさえ潰せば・・・!) ピシッ ・ ・ ・ 部長「そこ、ロンだ!」 パタタタタ・・・ 部長(やはり、大した事は) 京太郎「クッソ・・・さぁ、次の局だ!」 透華「ちょっと!わたくしの親番を勝手に流さないで貰えませんこと!?」 京太郎「振り込んだものは振り込んだんだ、しょうがねーだろ!」 透華「キーッ、何ですのその横暴さは!」 京太郎「まぁ、見てろって。・・・負けねえからさ!」 東二局 ・ ・ ・ 京太郎「・・・よっし、これだ!」ピッ バンッッ! 京太郎「ツモ!3200オール!」 部長(おいおい、お前は和了っちゃダメだろ) 副部長(やはり素人・・・龍門渕さんはどうしてこんな奴に?) 透華「ふっ、見事ですわね」 京太郎「だから言ったろ、負けねぇって」 透華「・・・勝負の相手には私も含まれているのですよね?」 京太郎「ったりめーだろ。俺は麻雀しに来たんだ」 京太郎「ーーーーーーーーーーここに居る全員ブッ倒して、俺が勝つ!」 透華「その心意気、上等でしてよ!私もまったく同感ですわ!」 部長「り、龍門渕さん!?これはコンビ麻雀ですよ!?」 透華「だからどうしたというのです?」 副部長「なっ・・・」 透華「コンビかどうかなど関係ありませんわ!」 京太郎「この卓に居る奴で誰が一番強いのか・・・それを決める為に打ってるんだろうが!」 透華「目立つためには!」 京太郎「強くなるためには!」 透華・京太郎「「俺(わたくし)がトップになる以外ねーだろ(ですわっ)!」」 副部長「馬鹿だ・・・どうしようもない、大バカだ」 部長「ああ。だが、何故か羨ましい・・・」 副部長「部長!?」 部長「俺達に、あの真似が出来るか?・・・俺達は今、あんなに楽しそうに麻雀を打ってるか?」 副部長「ですが、これはコンビ戦で」 部長「悪いな、副部長。・・・俺もあんなふうに麻雀を、やってみたくなった」メラッ 副部長「・・・」 部長「清澄の。さっきは侮って悪かったよ。・・・全力で叩き潰させてもらおう!」 京太郎「やっと火が付きやがったか!そうこなくっちゃなぁ、龍門渕!」 副部長「・・・クソッ、俺ばっかりのけものにすんなってんだよおおおおおおおおおお!」メラッ 透華「ふっ、今さら燃え始めてトップまでいけるのかしら、さらさら疑問ですわ!」 「ロンだ!」 「ロンでしてよ!」 「悪いな清澄、ツモだ!」 「龍門渕さん、甘いっ!」 「っっっしゃぁ!ツモ!」 「全員私より目立つんじゃありませんわー!」 南三局 透華「ゼーッ、ゼーッ・・・」 京太郎「ハーッ、ハーッ・・・」 副部長「まさか、こんな・・・」 部長「フハハハハ!俺とお前が、南三局で3位4位に甘んじることになるとはな!」 透華「京太郎!わたくしの一位は譲りませんわ!」 京太郎「譲ってもらう気なんざさらさらねぇよ!・・・真っ向から挑んで、奪い取ってやる!」 透華(なぜかしら、この男と麻雀をやっていると心が躍りますわ) 透華(純粋に、どこまでも純粋に勝利を追い求める。・・・前しか向かない獣のように) 透華(そんな相手が今、わたくしの前に立ちはだかろうとしている・・・なんて、幸せな事でしょう!) 京太郎(龍門渕の女王様か・・・いいな、コイツ) 京太郎(誇りと美しさを兼ね備えた上で最上の勝利を目指す、か・・・気に入ったよ) 京太郎(だからこの手でアンタを叩き潰して、俺がトップになる!) 透華「まるで・・・夢の中で打ってるようですわ!」 京太郎「ああ、終わってほしくねぇな、この時間!」 部長「勝手に俺達をフェードアウトさせるなよ、清澄!」 副部長「そうだ!まだ役満がある!」 京太郎「上等だ・・・いっくぜえええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!」 透華「わたくしがトップですわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 部長「これならっ!」 バシィィィィィィンッ! 京太郎・透華「「ロンっ!!」」 京太郎「リーチタンヤオドラ2ーー満貫だ!」 透華「一盃口、清一色ーーハネ満ですわ!」 副部長「ダブロン!?マジかよ・・・!」 部長「クッソ・・・まだだ、まだ終わらせない!」 少し離れたところ 一「ね、衣」 衣「なんだ?」 一「あの清澄と麻雀したんでしょ?」 衣「ああ。これ以上ないくらいには壊したつもりだ」 一「じゃあ、アイツなんで今打てるのさ?」 衣「それは衣にも分からない。ただ・・・」 衣「彼奴、少しはマシな匂いになった」ニヤッ 衣(次は"麻雀"が出来る事を期待しているよ、凡夫) 一「ていうか、アイツあんなに強かったっけ?」 衣「いーや。彼奴は凡夫だ。ただ・・・」 一「ただ?」 衣「透華との生まれついての相性が良すぎる」 衣「お互いに争い、貪り合う事でアイツは透華のツキを引き出し、透華はアイツのツキを引き出している状態」 一「それって・・・」 衣「切磋琢磨とも言うな。最早伴侶に等しいとさえ言える」 衣(あの凡夫・・・さて、これでどこまで伸びるか) 一(僕としては、その結論には至って欲しくなかったな。・・・・・とーか、僕は) 一(僕は、透華を・・・) 透華「オーッホッホッホッ!」 京太郎「これでぇっ、トドメだあああああああああああああああああっ!」 翌日 龍門渕邸・別館 1階ホール 京太郎「さて、飯も食ったし・・・そろそろだな!」 京太郎(女王様ともやりてぇが、まずはアイツに借りを返さねえとな) 京太郎(アポを取るには・・・ハギヨシさんを呼べばいいのか?) 一「・・・待った」 京太郎「ん?あぁ、お前か」 一「国広一だってば。・・・衣のところに行く気?」 京太郎「おうよ、借りはキッチリ返す主義でね」 一「・・・じゃ、これあげるよ。さっき注いできた」 京太郎「これは・・・アイスティーか。サンキュ」ゴックゴック 京太郎「って、ぁ・・・?」フラッ ドサッ 一「ここまでアッサリ引っかかるなんて・・・・・・バッカだなぁ」 龍門渕邸・別館 地下 京太郎「くぅ・・・ここは?」 ジャラッ 京太郎(手錠!?) 一「あ、起きた?・・・その手錠、いいでしょ。僕とおそろいだよ」 京太郎「・・・まさか」 一「うん、古典的にアイスティーに睡眠薬混ぜてみたんだ♪たまげたでしょ」 京太郎「へっ・・・ペアルックの上に部屋に連れ込みかよ、応援にしては随分と気合入ってんな」 一「知らなかった?ボク、君が大嫌いなんだよ?・・・この場で殺したいくらい」 京太郎「やれるもんならやってみやがれってんだ!」 一「・・・あー、イライラする。立場をわきまえない奴って陰で嫌われるもんだよ?」 京太郎「誰に好かれるとか嫌われるとか、一々気にして生きてんのか。ご苦労なこった」 一「そうしないと生きていけないんだって。・・・君みたいになっちゃうから」 京太郎「で、応援メッセージはそれで全部か?」 一「うぅん、まだまだーーとりあえず、僕と麻雀してくれない?」 京太郎「なんだ、そういう事か・・・だったら最初から」 一「違う!」 京太郎「!?」 一「ボクはお前みたいに単純な動機で麻雀をやってるんじゃない!ーー大切な人の隣を、守りきるためだ!」 一「だから!ボクは・・・お前を排除する!」 京太郎「そうかい、そりゃ重畳!丁度こちとら貴重な時間浪費させられてむかっ腹立ってたところだよ!さぁ、さっさとやろうぜ!」 一「・・・懸けろ」 京太郎「何を!」 一「透華の隣と・・・お前の、尊厳をだ!」 京太郎「上等!正面から抉り切ってやる!」 一(潰す・・・!) 一「・・・二人しかいないし、東場のみでいいよね?」 京太郎「おうとも!」 一「じゃ、サイコロ回すよ・・・!」 コロコロコロ・・・ 一(透華・・・ボクに、力を貸して!) 京太郎「・・・親は俺だな!」 東一局 京太郎「さーって、と」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「国広、一だっけか。アンタは普通に良い人なんだと思ってたが・・・」 バシッ 一「"普段は"良い人だよ。・・・でも、賊に払う礼儀はない」 バシッ 京太郎「だろうな。・・・そんなに大事か、あの女王様が」 バシッ 一「透華になら、ボクの全てを懸けていい。いつだってそう思ってる」 バシッ 京太郎「ああそうかよ!なら・・・・・・リーチだ!」 バシンッ 一(早っ・・・それに、読めない!?) 一「くっ・・・」 ピシッ 京太郎「へっ、混乱してるな?」 バシッ 一「・・・」 ピシッ 京太郎「そこ、いっただきぃ!ロンだ!」 バンッ 京太郎「ーーリーチ、一気通貫!7700点だ!」 一「ぅ・・・」 京太郎「さ、連荘と行くか!」 東一局一本場 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「へっ・・・」 バシッ 一「・・・気持ち悪いな、急に笑わないでよ」 バシッ 京太郎「楽しいなぁ、全力でやるのは!」 バシッ 一「ボクは楽しくなんかない」 バシッ 京太郎「そりゃ、お前が本気じゃないからだよ」 バシッ 一「ボクはいつだって本気だ!」 バシッ 京太郎「どうだかな、今のお前は全然攻めてこないじゃないか」 一「・・・っ」 バシッ 京太郎「だんまりか。まぁいいけどよっ・・・っと。リーチ!」 バシンッ 一(どうする、アイツの攻め方が・・・分からない) 一(読み切れない・・・とりあえず、これで) 京太郎「・・・もし、これが倍満のアタリだったら」ボソッ 一「っ!」ゾクッ 京太郎「その時点でお前はトビだ」 一「・・・心理戦を仕掛けてるつもり?悪いけど」 京太郎「俺は嘘が苦手でね・・・馬鹿だからよ。まぁ、アレだ。その一手はよーく考えて打てよ?」 一「・・・」 一(ハッタリだ!ここで大きな当たりなんてそうそう出る訳がない!) 一(でも、何だろう・・・この牌を捨てると、胸の奥から何かが抜け出ていくような) 一(透華が離れて行っちゃうような・・・) 一(・・・怖い) 一(透華が離れていくのが、一人になるのが怖い・・・!)ブルブル 一(この牌を捨てなきゃ・・・!) 一「くっ・・!」プルプル 京太郎「・・・どうした?」 一(ダメだ、あいつの倍満がチラつく・・・負けの情景が鮮明に見える) 一(・・・打てない。ボクには打てないよ、とーか・・・) 一(今ならまだ、謝れば許して・・・) 京太郎「・・・言っとくが、謝っても許さねえぞ?」 一「っ!」 京太郎「本気の麻雀だろ?だったら、途中で降りるなんざ認めねぇよ。喧嘩と一緒さ」 京太郎「お前が売った、俺が買った!だからお前を叩き潰す!徹底的にだ!」 一「・・・・・・」 一(コイツ、本気だ・・・本気で、ボクを潰す気だ!) 京太郎「そうだな、この麻雀に勝ったら・・・女王様に進言して龍門渕の生徒にしてもらうかな」 一「なっ!」 京太郎「そんでもって部長まで登りつめて、最後にはあの女王様とタッグ麻雀で頂点取ってみるか・・・」 京太郎「あの人、俺との相性は良いみたいだからな」 一「お前・・・!」 京太郎「それが終わったら女王様はポイーだ。天江を倒しにいく。・・・言うなりゃあの人は通過点だな」 一「透華は通過点なんかじゃない!取り消せ!今すぐだ!」 京太郎「断る!・・・取り消してもらいたけりゃ、麻雀で俺を倒してみろよ!」 一「・・・!」 一(透華・・・ボクは、ボクは・・・!) 京太郎「ビビってんじゃねえぞ、国広一!」 一「お前にだけは、負けられないんだあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 京太郎「ヘッ、やっとお目覚めかよ」ゾクッ 一(透華、ボクは君のために戦う!ーーもう、迷わない!) バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「ーーロン。三色同順ドラ2、一本場で・・・8300、満貫」 京太郎「クッ・・・」 一「これでさっきの和了分は取り返させてもらったよ。さぁ、次はキミが追いつめられる番だ」 京太郎(気のせいか、アイツの声が急に冷え切ったようになったような・・・) 一(何だろう、さっきまであんなに恐ろしかったアイツが、今はただの置物にしか見えない) 一(河の流れが、見える・・・絶対に荒れることのない、ただ静かな流れが) 一(これってまるで・・・・・・そっか。ありがとう、透華) 一(透華の為に・・・この戦い、絶対に勝つから!) 東二局 一「・・・」 バシッ 京太郎(手が悪いな・・・) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・リーチ」 バシッ 京太郎「仕掛けてきたか!・・・っ」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(なんだ、来る牌が全部かみ合わない!?) 京太郎「・・・っ」 パシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(よし、やっとまともに手が進むーー) バシッ 一「・・・ロン」 京太郎「クッ・・・!」 パタタタタ・・・ 一「リーチ、タンヤオ一盃口。7700」 京太郎「クソッ・・・」 東二局一本場 一「・・・」 バシッ 京太郎(また、随分と悪い初手だなオイ!) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(何だ、何かおかしい・・・) 京太郎「・・・」 バシッ 一「ポン!」 バシッ 京太郎(げ、役牌か・・・それにしても) 京太郎(自由に動けねぇな・・・河に引きずりこまれたみたいだ) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「なぁ」 一「・・・何?」 京太郎「"コレ"は・・・アンタがやってるのか?」 一「だったらどうする?」 京太郎「・・・正面からブチ抜く!」 バシッ 一「ーーロンだよ」 パタタタタ・・・ 一「役牌のみ。1本場で1800だね」 京太郎「随分とセコイ和了するじゃねぇか」 一「何とでも言えばいい。僕はもう迷わない・・・!」 京太郎「あぁそうかよっ!」 東二局二本場 一「・・・」 バシッ 京太郎(あの時のタコスみたいに安手狙いか・・・?) バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(いや、それにしては打ち筋が妙だ。まるでーー) 京太郎(今までの和了が全部フェイクみたいな・・・) バシッ 一「もう、キミは和了らせない」 バシッ 京太郎「お前が決めることじゃねぇな!」 バシッ 一「・・・リーチ」 バシンッ 京太郎「来やがったか・・・」 京太郎(今のアイツはヤバい。何としても避けなけりゃな・・・) バシッ 一「もう、誰にも・・・この流れは乱させない」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「そして尚且つ・・・大手で和了って見せる」 バシッ 京太郎「お前も随分言うじゃねえか!」 バシッ 一「キミのはハッタリだけど、ボクのはハッタリじゃない。やると決めたんだ、絶対にやる」 バシッ 京太郎「・・・っ」 バシッ 一「絶対に・・・!」 バシッ 京太郎(それにしても・・・来ねえなあ畜生!) 京太郎「・・・」 バシッ 一「ロンだ!」 バンッ 京太郎「何っ!?」 一「ーーリーチタンヤオ一盃口、ドラ1二本場・・・満貫12600!」 京太郎「クッソ・・・!」 一「ハ、ハハッ・・・」 一(凄いや、負ける気がしない!透華、これが・・・これが治水なんだね!) 一「っと、いけないいけない・・・」 一(油断するな、国広一・・・お前は透華の隣に立つんだろ!)パシッ 一(油断は死を招く。いつだって本気で) 一(だから、今は・・・) 一(今は・・・目の前のこの男を倒すことだけをーー!) 京太郎「・・・・・・せ・・・・・・・せ」ブツブツ 一「・・・次の牌準備するけど、いいかな?」 京太郎「・・・ああ」 東二局三本場 一「・・・」 一(大丈夫、河の流れは見えてる) バシッ 京太郎「・・・・・・・せ、・・・・・・・せ」ブツブツ パシッ 一(相手は心ここにあらずって感じだけど・・・油断はできない) バシッ 京太郎「思い出せ・・・思い出せ・・・」ブツブツ 京太郎(俺はどこかで知ってる、こんな状況を・・・) バシッ 一「・・・」 一(熱くなってるのかな・・・?だとしたら、チャンスだ!) バシッ 京太郎(初手は最悪、引く牌も良いとは言えず、相手は絶好調の連荘中) 京太郎「あの時も、こんな感じだったな・・・」 パシッ 一「・・・何を言ってるのか分からないけど、キミの相手はボクだよ?」 バシッ 京太郎(凄まじい相手のプレッシャー、武者震い半分、怯え半分の俺・・・) 京太郎「ハハッ・・・雀荘の時も、そうだったな」 バシッ 一「・・・リーチだ!」 バシッ 京太郎(この沈んでいく感覚。これはまるで・・・) 京太郎「・・・そうか。俺、何だかんだ言って・・・アレも楽しんでたのか」 バシッ 一「・・・これが終わったら、腕利きの頭の医者呼んであげるよ!」 バシッ 京太郎(そして・・・全身からひしひしと伝わってくる力量の差。俺は、これも知ってる) 京太郎(俺に麻雀の楽しさを教えてくれた人) 京太郎(俺の、大切な人) 京太郎(ーーーー咲) 『ーーーー麻雀、好き?』 京太郎「・・・そうか」 京太郎「勝ちも負けも全部、全部の上に・・・俺が居るんだ」 京太郎「だから、俺は・・・・・・・・・・・もっと上に!」 京太郎「俺は強くなる!全部飲み込んで、全部貪って・・・アイツを倒して!!俺が頂点に立ってみせる!!!」 バシッ 一「どのみち、キミは和了れない!」 バシッ 京太郎「もっと、もっとだ・・・!」 バシンッ 一「・・・っ」 一(いや、そんな筈はない。河の流れは、透華の治水は、絶対だ・・・) バシッ 京太郎(俺は・・・俺はまだ戦える!戦いたい!だから!) 京太郎「こいつが、こいつだけが!俺の魂だあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」 京太郎「手前如きに、抉り切れるかああああああああああああああああああああああああああああ!」 ピッ・・・・・・ バシンッ!!!!! 一「・・・・・・」 京太郎「ツモ!ーーーーーーーー国士無双!ーー親16800、子8300!」 一「・・・やるじゃん」 京太郎「人の心配より、自分の心配をしたらどうだ?」 一(何でだろ、コイツと打ってると) 京太郎「俺はこのまま、お前を潰す気でいるぜ・・・!」ゴウッ 一(楽しいっ!) 一「そりゃ、ボクも負けてられないなぁ・・・!」ゴウッ 東三局 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(おそらく、この勝負) バシッ 一(この局で決まる・・・そんな気がする) バシッ 京太郎「・・・リーチだ!」 バシシッ! 京太郎「ボクもリーチ!」 バシンッ! 京太郎「・・・国広一。アンタはただの良い人だと思ってたが、実際は選民思想と独占欲の塊みたいな人間だった」 バシッ 一「須賀京太郎。キミはどこまでも立場をわきまえない、あの透華の前でさえ・・・無礼極まりない人間だった」 バシッ 京太郎「口を開けば二言目にはとーか、とーかか。従順なこった、あの女王様が幸せなら自分の事はどうでもいいんだろうな」 バシッ 一「キミは他人をないがしろにし過ぎだね。強さだけを求めて、キミを支えてくれる人達の事は眼中にないんだろうね」 バシッ 京太郎「だが・・・嫌いじゃない」 バシッ 一「・・・同感だよ。キミのその純粋過ぎる生き方は、ボクにとっては羨ましくさえある」 バシッ 京太郎「だが!譲れないもんがある!倒したい奴が居る!」 バシッ 一「でも!守りたい場所がある!傍に居たい人が居る!」 バシッ 京太郎・一「「そのためには!」」 京太郎・一「「戦わなくちゃならない時がある!」」 京太郎「・・・気に入った、恨みっこなしだぜ」 一「上等、そっちこそ吠え面かかないでよ」 京太郎「ーーーーーーーー来いっ!」 ピッ 京太郎「・・・チッ」 バシッ 一「ボクの番だね・・・」 一(お願い、透華・・・・・・ボクに力を!) ピッ 一「ーーーーーーーーーっ」 一「くっ!」 一(違う、これじゃない!) 一(・・・!?)ゾクッ 京太郎「・・・・・・」ニヤッ 一(あの反応は・・・) 一「・・・そっか」 一(これは、キミのーー) パタッ・・・・・・・ 京太郎「ーーーーーーーーーーロンだっ!!!!!!」 バンッ! 京太郎「リーチジュンチャン三色同順一盃口ドラ1、裏がーーーー乗って、倍満!24000でお前のトビだ!」 一「・・・」 京太郎「・・・っぷはー」 京太郎(今回は、ホントにギリギリだったな・・・) 一「・・・」 京太郎「俺の、勝ちだ」 一「・・・分かってるよ」 京太郎「なら、この卓に繋がれた手を外してほしんだが」 一「・・・はい」ガチャリ 京太郎「んじゃ、俺は上に上がりたいんだが・・・階段はどっちだ?」 一「・・・・・・あっちのドア開けたとこ」 京太郎「そうかい、それじゃーな」ギィィ 一「・・・・・・ぅ」 一(ごめん、とーか・・・・・・ごめん) 一「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」ポロポロ 一(ボク、負けちゃったよ・・・) 『あー、そうだ!言い忘れてたわ!』 一「なっ、何だよ!まだ廊下に居たのか!?早くっ、いけよ!」グシグシ 『お前との麻雀、楽しかったよ』 一「ーーーーっ」 『また、やろうぜ』 一「やるに・・・決まってるだろ!首洗って待ってろよ!」 『ヘッ・・・それじゃーな、一』 一(そうだ、ボクはもう迷わない!立ち止まったりしない!) 一(誰が何と言ったって、ボクが透華の隣で支え続けてみせる!) 龍門渕邸・別館 3F北側の部屋前 京太郎「うへー、もう夕方かよ」 京太郎「だが、まだ時間はある・・・当初の目的通り、今日お前に借りを返しとかねぇとな」 京太郎「なぁ、聞いてるんだろ・・・天江衣!」 『・・・手負いで衣と雌雄を決そうなどと、片腹大激痛!』 京太郎「手負いじゃねぇ、修行してきたのさ!」 ガチャッ! 衣「フッ、ならば見せてみろ凡夫!貴様が掴んだものを!」 京太郎「言われなくても、見せつけてやるよ!俺の・・・魂を!」 衣「衣の勝ちだな、凡夫」 京太郎「・・・・・・・畜生!」ゴロン 衣「終わってみればマイナスにこそなっていないものの、まだまだ衣には程遠かったか」 京太郎「・・・しょうがねぇ、認めるよ。俺の負けだ」 衣「ああ、お前の負けだ。・・・だが、衣は楽しかったぞ。どんなに突き離されても喰らいつこうとする執念、それを可能にする気力と実力」 京太郎「えらく持ちあげるじゃねえか、憐憫か?」 衣「今回は"麻雀"が出来たからな。衣は、楽しかった・・・それだけだ」 京太郎「・・・そうかよ。俺も楽しかった・・・やっぱ全力でやり合うってのはいいな!」 衣「ま、力が違い過ぎるのはちょっともの足りないがな」クスッ 京太郎「この野郎・・・」 衣「・・・そうだ、名前を聞いてなかったな」 京太郎「あぁ、俺も丁度言っておこうと思ったところだよーー須賀、京太郎だ」 衣「須賀京太郎・・・うん、しかと刻んだぞ」 京太郎「こっちはとっくにお前の名前を刻んでるんだよ・・・」 衣「・・・なぁ、京太郎」 京太郎「なんだよ?」 衣「また、衣と麻雀してくれるか?」 京太郎「もちろん、お呼びとあらば365日24時間寝首を掻きにいってやるよ。首洗って待ってやがれ」 衣「・・・そうか、安心したよ。明日も付き合って貰いたいな」クスッ 京太郎「そりゃ重畳・・・と、もう夜か。さーて、明日は女王様に謁見でも」 ピリリリリリッ ピッ 京太郎「はい?」 『京ちゃん?まだ家に帰ってないの?』 京太郎「ああ、だって今日も泊まるし」 『・・・京ちゃん』 京太郎「何だ?」 『明日、平日だよ?』 京太郎「・・・え?」 『連休は今日で終わり。明日から普通に学校だよ?』 京太郎「あー、うん、分かった」 ピッ 京太郎「・・・なぁ、天江」 衣「?」 京太郎「明日って休みじゃないのか?」 衣「明日は学園の創立記念日だぞ?休みに決まっている」 京太郎「・・・・・・・」タラー 衣「ん?そうか、京太郎は清澄に居るんだったな」 京太郎「帰らねえと!」 衣「・・・随分せわしないな。一日位休んでもいいじゃないか」 京太郎「そうじゃねえんだ!咲と約束してるんだよ!連休終わったら一番に麻雀するって!」 衣「約束、か・・・」 京太郎「ああでもやべぇよもう夜遅すぎんよ・・・これバスあるかな」 衣「ハギヨシ!」パチン ハギヨシ「ここに」シュッ 衣「この愚か者を送ってやれ」 ハギヨシ「かしこまりました」 京太郎「・・・いいのか!?」 衣「かまわんよ。今見逃して、明日お前が死ぬわけでもないしな」 衣「だが、一つだけ約束しろ」 京太郎「・・・」 衣「次にこの龍門渕に来た時は、必ず衣とも打つと。どれだけ時間がなかろうと、だ」 京太郎「・・・あいよ」 衣「ハギヨシ!」 ハギヨシ「須賀京太郎様、行きましょう」 衣「京太郎!衣は、衣は待っているからな!・・・・・いつまでも、この海底で!」 京太郎「ああ・・・絶対、お前を倒しに行ってやる!だから、待ってろよな・・・天江衣!」ダダダダダ 衣「・・・須賀、京太郎か」クスッ ハギヨシの車の中 ハギヨシ「どこか、行っておくところはありますか?」 京太郎「あ、そうだ!あの女王様・・・じゃなくて龍門渕透華のところに行ってくれ!」 ハギヨシ「かしこまりました」 京太郎(咲・・・待ってろよ) 龍門渕邸 透華・一「「帰るぅ!?」」 京太郎「俺の連休は今日で終わりらしいからな・・・悪い、アンタとの決着はまた今度だ」 透華「キィーッ、納得いきません!いきませんが・・・約束があるなら仕方ありませんね」 一「どうしてもっていうならボク色々出来るけど・・・」ジャキン 京太郎「とりあえずその危なっかしいものをしまってくれ」 透華「・・・では、またしばらくお別れですわね」 京太郎「だな・・・」 透華「・・・・・・」ジーッ 京太郎「・・・・・・」ジーッ 一「帰るんならさっさと帰れーーーーーーーーーー!」フシャー 京太郎「っとと、すまねぇ。・・・それじゃそろそろ行くか」 透華「ええ、お気を付けて。思えばショフトクリームの時からの縁でしたわね・・・」 京太郎「・・・ん?」 一「どしたの?」 京太郎「そうだ、ショフトも買わないといけないんだった!ってもう学食開いてねー!?」 京太郎「やべぇよ・・・やべぇよ・・・」 透華「・・・ハァ。落ち着きなさい!」ピッポッパ プルルルル・・・ 『はいー?』ムニャムニャ 透華「私ですわ、今すぐ学食を開けなさい!」 『とっ、ととととと透華さま!?了解いたしました!』 ピッ 透華「これで大丈夫ですわ、さっさと買って帰りなさい」 一「わーお、透華ってば横暴ー」 京太郎「・・・悪いな、恩に着る」 透華「こんな目立てるチャンスはありませんから、行動したまでのことですわ」 一「・・・京太郎。早めにまた来てね?ボクの復讐心を満たすために」 京太郎「お前の挑戦なら大歓迎だ、また熱い麻雀やろうぜ!」 京太郎「それじゃ、女王様も・・・・・・また、いつかな」 透華「・・・・・・」 ハギヨシ「そろそろよろしいですか?」 京太郎「おう!」 ブロロロロロロロ・・・ 透華「・・・また、いつか」 一「・・・ねぇ透華、透華はアレの事どう思ってるの?」 透華「・・・?」 一「・・・」 透華「もう、一ったら・・・」クスッ 透華「・・・心配しなくても、私の付き人は一以外あり得ませんわ」ギュッ 一「ち、違うよ!嫉妬とかそういうのじゃなくて!」 透華「さ、帰りましょう・・・私達の家に」 一「う、うん!」 ハギヨシの車の中 京太郎「なんとか買えたが・・・クーラーボックスまでもらっちまって、店員さんには悪い事しちまったな」 京太郎「うわ、ちょっと溶けかけてきてる!ハギヨシさん、なるべく急いで」 ハギヨシ「既に全力で飛ばしています・・・心配なさらなくても、そろそろ着きますよ」 キキーッ 京太郎「うおっ・・・っと」 ハギヨシ「では、お気をつけて」 京太郎「ああ。ハギヨシさん、ありがとな!」 ブロロロロ・・・ 京太郎「さってと・・・」スウーッ 京太郎「咲ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 咲「き、京ちゃん!?どうしたのこんな夜中に大声出して!」ゼイゼイ 京太郎「ほら、ショフト!」パカッ 咲「え、これが・・・?」ジトーッ 京太郎「まぁそういうなよ、土産話もいっぱいあるんだ!ショフトの秘密も教えてやるよ」 咲「・・・京ちゃん、頑張ったんだね」 京太郎「・・・何がだよ?」 咲「修行に行く前より、ずっと逞しくなってる・・・なんとなくだけど」 京太郎「そりゃ、お前を倒すために必死で修行してきたからな。もう癖も抜けてるぜ」 咲「ほうほう。今度こそ期待していいのかなー?」 京太郎「おう、任しとけ・・・とりあえず溶ける前にショフト食おう、味は保証するからよ」 咲「そうだね・・・はむっ」 咲「凄く・・・美味しい!でも・・・なんだかとっても普通だね、コレ」 京太郎「だろー?それが伝説になった理由が下らなくてさ・・・」 ・ ・ ・ 咲「あはははは!崩れたソフトでショフトって・・・なにそれ!」ゲラゲラ 京太郎「だろ?あんまり下らなくて、笑っちまうよな!」 咲「ひーっ、ひーっ・・・お腹痛い・・・」プルプル 京太郎「ハハハ・・・まったく下らねぇよな」 咲「ホントだよ、もう」プルプル 京太郎「・・・・・・」 咲「・・・・・・」 京太郎「咲。俺、今はまだお前には届かないかもしれないけど・・・」 咲「・・・うん」 京太郎「でも、俺はお前に勝ちたい」 咲「・・・うん」 京太郎「だからさ・・・・・・・・・これからもずっと、俺と麻雀してくれないか」 咲「えー・・・何それ京ちゃん、プロポーズー?ロマンチックさが足りない、33.4点かなー」クスクス 京太郎「なっ!評価低っ・・・ってちげーよ!別にそんなんじゃねーし!」 咲「でも、嬉しいよ。・・・とっても、嬉しい」 咲「うん。だから・・・これからも末永く京ちゃんをボコらせていただきます」ペコリ 京太郎「こんにゃろー・・・言ってろ、案外近日中に倒されるかもしれねーぞ?」 咲「そういうのは、取らぬ狸の皮算用って言うんですよー♪」 京太郎「・・・・・・なぁ、咲」 咲「・・・なに?京ちゃん」 京太郎「麻雀って、楽しいよな!」 カン