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書籍情報 あらすじ 既刊一覧 管理人コメント 作者の他作品 関連リンク 書籍情報 タイトル 死神を食べた少女 著者 七沢またり イラスト チョモラン 出版社 KADOKAWA/エンターブレイン Nコード N5240BC レーベル エンターブレイン 連載開始 2012年 03月07日 あらすじ 血塗れの少女が戦場を駆けるファンタジー戦記。貧しい村に生まれた少女・シェラは、自分を襲う解放軍兵士の後ろに「美味しそうな」死神を見る。死神の鎌が振り下ろされるより早く、シェラは死神をたいらげた。そして、彼女は王国軍の兵士となる。大きな鎌を手に憎き帝国軍を倒すため、美味しい食事にありつくため――。 既刊一覧 タイトル 発売日 分類 ISBN 値段 詳細ページ ストア ランキングデータ 死神を食べた少女 上 2012年 12月15日 一般書 978-4-04-728457-9 1,000円 エンターブレイン Amazon ebten 書籍データ 死神を食べた少女 下 2012年 12月15日 一般書 978-4-04-728458-6 1,000円 エンターブレイン Amazon ebten 書籍データ 管理人コメント ジャンルとしては末期戦もの。 絶望的な戦況の中で死神部隊を率いて奮戦する少女・シェラが主人公。 シェラ・死神というキーワードなら普通はデルフィニア戦記が思い浮かぶところだが、なろうスレではこの作品を思い浮かべなければならない。 とても完成度が高く、またテンプレな内容ではないためなろうスレでの評価は非常に高い。 その評判と最高位累計50位という看板を引っ提げて上下巻同時発売という形でエンブレから書籍化したものの、結果はかなり残念なものに。 とはいえ完成度の高さは折り紙つきであり、中篇程度の長さで完結しているため、ぜひ一読をお勧めしたい。 作者の他作品 勇者、或いは化け物と呼ばれた少女 火輪を抱いた少女 関連リンク Web版 「死神を食べた少女」
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第11話『空から来た少女』ステージA (ステージマップ名 コスモベース付近の宇宙空間) 勝利条件 敵の戦闘エリア通過を阻止せよ 敗北条件 敵が10機戦闘エリアを通過 味方ユニットの全滅 ステージデータ 初期味方(強制出撃機体) 8機 敵撤退情報 ヤザン隊(3機編成):いずれかのHPが15%以下で(3機)全て撤退。 攻略アドバイス ステージBは屋内MAPで機体サイズがS以下に限定されるので、サイズM以上の機体(5機)は実質強制出撃。サイズS以下の機体でおすすめなのは、VF-1Aマックス機(『加速』修得可)、トールギスIII、マジンガーZ(or グレートマジンガー)。 敵を通過させない事が目的なので、格闘機体の前衛と射撃機体の後衛(ライディーン、VF-1A、トールギスIII)の2段構えの陣がおすすめ。前衛は討ち漏らした敵をあまり深追いせず後衛に任せ、陣形の維持に努める。 コンテナ位置 宇宙空間のためコンテナなし 第11話『空から来た少女』ステージB (ステージマップ名 コスモベース内部) 勝利条件 コスモダイバーをマップ最深部へ到達させよ ↓ コスモベースから10分以内に脱出せよ コスモベースから5分以内に脱出せよ(HARD/TERROR) 敗北条件 いずれかの味方ユニットの撃墜 ステージデータ 初期味方(強制出撃機体) コスモダイバー、他7機 敵撤退情報 なし コンテナ位置 E N H T 高性能OS チョバムアーマー チョバムアーマー チョバムアーマー リペアキット リペアキット リペアキット 格闘攻撃力UP LV3 リペアキット リペアキット リペアキット -- リペアキット リペアキット リペアキット リペアキット プロペラントタンクP プロペラントタンクP プロペラントタンクP プロペラントタンクP 無針アンプル剤 無針アンプル剤 無針アンプル剤 無針アンプル剤 バリアー発生器 バリアー発生器 バリアー発生器 バリアー発生器 プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク プロペラントタンク 備考 難易度TERRORにて、コンテナ10個全て回収したがMAP入手アイテムは9つだった。補完出来る方よろしくお願いします。 ↑同現象の発生を確認しました。表内のアイテム配列を改訂しました(難易度毎の入手アイテムは変更ありません)。空欄に対応するコンテナは、MAP中央やや北寄りの小部屋(コンテナが4個ある部屋)内の1つと思われます。 第10話『帰郷』 第12話『夜を破りて』
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忘れ去られた少女 動画リンク コメント 忘れ去られた少女 320人目 作者 月夜(のうp主) ひとこと (うp主より)クロスは大歓迎です。というか相互クロスさせてください。 主人公 名前 月夜。巫女さん。えらそうな子。言霊が見える程度の能力(?)。 どうやら会話内のネタは彼女なりの日本語のようだ。 続編「東方知新録」公開中 mylist/5548192 動画リンク シーズン2「東方知新録」 一話 コメント・レビュー ある意味正当な理由での幻想入りとなる主人公。基本シリアスでありながら、随所に散りばめたネタにも一見の価値あり。 -- 名無しさん (2008-03-22 00 01 34) 序盤はちょいBGM面に難あり。 文章はちょっと長すぎる気もするが、その分主人公の思考は 明確で分かりやすい。 幻想入り以前から、超能力を持っていた主人公がどう幻想郷で 生きていくかといった話。あんまり俺TUEEEEはしない。 いわゆる厨二病的な要素もわりとあるので、そのあたりが人を選ぶ かも。特に、「槍を持って幻想入り」の人とのクロスとか。 一、二話見て、主人公と文体が気に入ったなら読み続けられると思う。 -- (名無しさん) 2009-08-09 15 05 53 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
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第442話:忘れられた少女の物語 作:◆eUaeu3dols あなたは彼女を覚えてる? 忘れているなら、思いだしてあげて。 忘れられるのはとてもとても哀しい事だから。 だから、みんなに思いだしてもらうの。 私が殺した少女の事を。 落ちる先は湖。 湖には水面。 水面は鏡。 鏡は扉。 扉の向こうに誰が居る? 扉の向こうに何が在る? 彼女は闇夜で殺された。 彼女は海辺で殺された。 彼女はメスで殺された。 夜は異界が近づく時間。 闇夜に異界が隠れてる。 海は神様が住まう場所。 海に呑まれたお供え物。 メスの用途はなおす事。 裂かれた人の病を癒す。 そして誰か、覚えているか。 殺された少女の名前を覚えているか。 魔女は言う。 「あの子の魂のカタチは『陸往く船のお姫さま』。 王子様に誘われて陸を進むようになっても、船を降りたわけじゃない。 だって、“彼女こそが船だから”」 ――そして船は、海と陸とを橋渡す。 「あなたが魔女になれなかったのは残念だよ」 其処は異界。 水面の鏡面から飛び込んだ、鏡の異界の何時かの何処か。 澱んだ水の臭いと、耳が痛くなるほどの静寂に包まれた世界。 「カタチを与えてあげる事さえ遅くなって、本当にごめんね」 ピチャピチャと湿った音がする。 魔女の手首から滴る一筋の紅い血を、白い少女が舐めている。 「ふふ……しばらくはそれで保つかなぁ」 魔女は血を水面に滴り落とした。 水面は鏡。鏡は門戸。血は鏡の世界に滴り落ちた。 門戸は鏡。鏡は水面。血は水面から海へと流れ…… 海に呑まれた『陸往く船のお姫さま』へと贈られた。 魔女の生き血はヨモツヘグリ。 なりそこなった哀れな子に、仮の体を与えてあげる。 そうして魔女の使徒が一人生まれた。 ――いや、生まれようとしていた。 「…………」 ピチャピチャと音が響き続ける。 白い少女は魔女の手首から血を舐め続け……突然、びくんと痙攣した。 「…………あれ?」 魔女が僅かに怪訝な表情を浮かべ……次に目をまん丸にして驚き、それを理解した。 そして、悲しげに目を細めた。 深い慈悲と哀れみをその瞳に湛え、白い少女を悲しげに、ほんとうに悲しげに見つめる。 「この島では、可哀想なあなた達に仮初めのカタチを与えてあげる事もできないんだね」 魔女の血を飲む事で仮初めのカタチを得られたはずの白い少女の輪郭が、儚いまでに揺らぎだす。 今さっきまでの様に、その姿が白い塊に還りゆく。 魔女の使徒は水子だった。 生まれることさえ出来ないままに、その姿が崩れゆく。 「あなたのカタチは崩れちゃうね」 「…………」 白い少女は揺らぎながら、微かに笑みを浮かべていた。 それは魔女の使徒の笑み。 必死に与えられたカタチに縋り、生き延びようとするように。 その笑みは少女が本来浮かべられる物ではないけれど、 在り続けようとするこの足掻く意志は、きっと少女の物だろう。 与えられた居場所を離すまいとするこの想いは、きっと少女の物だろう。 「無理だよ。ここでは、無理」 少女の体の揺らぎはどんどん激しくなって…… 気づけば彼女の背丈は小柄な詠子の胸ほどになっていた。 足は、膝は、既にカタチを失って、白い肉塊へと成り果てていた。 「髪をもらうよ」 魔女は魔女の短剣を手に握り、少女の短い髪を、一房だけ切り取った。 「ごめんね。今のわたしに、あなたが帰る場所は作れない」 「…………」 できそこないは喋らない。魔女の使徒に意志は無い。 けれど。 「……イヤ」 白い少女の唇から言葉が漏れだした。 「イヤ! おいていかないで!」 魔女の使徒にもなりそこなった、だから残った、少女の想い。 人になろうにも死んでいて、死者になろうにも在り続けて、 できそこないとしても不完全で心が残り、魔女の使徒になる事も世界がそれを赦さない。 何処にも居場所が無い少女。忘れ去られた白い少女。 どこにも居場所が無いのが悲しくて、自らを殺めた魔女にすがりつく。 「忘れないで! おいていかないで!」 「大丈夫だよ」 魔女の言葉は甘く、安らぎに満ちていた。 「あなたはまた死者に戻るけど。覚えている人は居ないけど」 魔女は囁く。 「きっとあなたの居場所を作ってあげる。 あなたのカタチを作って上げる。 あなたを呼び戻してあげる。 だから心配はいらないよ」 そして、白い少女は今度こそ白い肉塊に成り果てた。 できそこないは異界に消えて、それは最早死者と等しい。 この世界にいる限り、死者の法は超えられない。 「それにしても、残念だねぇ」 魔女は誰にともなく呟いた。 ――“船”を失った魔女の体は、湖の岸に流れつく。 「あなたが力を貸してくれたなら、この世界でもあの子を魔女の使徒に出来たのに」 異界はいつしか闇に呑まれ、魔女の心は闇の中で呟いた。 ――船を失った魔女の体は、傷付き凍え、弱っていた。 「でもそれがあなたのルールなら、仕方ないことだけど」 返事は何処からも返らない。魔女は一人呟いた。 ――魔女の体は吸血鬼達の助力によって、幸運にも救われる。 「ねえ、神野さん」 そこは闇の中。そこは闇の底。そこは闇の奥。そこは闇の淵。そこは―― 【D-8/民宿/1日目 16 00】 【十叶詠子】 [状態]:夢の中、体温の低下、体調不良、感染症の疑いあり [装備]:『物語』を記した幾枚かの紙片 (びしょぬれ) [道具]:デイパック(泥と汚水にまみれた支給品一式、食料は飲食不能、魔女の短剣(アセイミ)、白い髪一房) [思考]:夢の中 [備考]:ティファナの白い髪は、基本的にロワ内で特殊な効果を発揮する事は有りません。 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第441話 第442話 第443話 第431話 時系列順 第443話 第388話 十叶詠子 第461話 第039話 ティファナ -
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『テニア!無事だったの!!』 通信機から喜びに溢れた声が流れてくる。 会いたくなかった―― できることなら会いたくはなかった―― なのに―― しかし、その思いは現実に裏切られ目の前には喜色を隠そうともしない黒髪の少女が映し出されている。 それに対して赤髪の少女の内心は複雑だ。 こうして生きて再び会えたことは素直にうれしい。見知った顔に会えたという安堵もある。 だけど―― 『よかった……。本当に…無事で…』 会ってしまったからにはいつか自分は彼女を殺さなければならないのだ―― ずっといっしょだった―― 姉妹同然、姉同然ともいえる彼女をこの手で―― 「カティアこそ……」 どうにか返したものの彼女の心は曇ったままだった。 堕ちた少女 ◆ZimMbzaYeY 白い巨人が大地を駆け、その上空を別の巨人と一つの機影が続いていった。 三機はひとまず落ち着いて話し合える場所を探して互いが出会ったE-6を離れ、やがてD-6の岩山に降り立ち、一通り周囲の索敵を行ってからその姿を隠した。 他の二機に先立ってRX-78-2ガンダムから降りていたムサシはコックピットの開かれる音に振り向き、そこから降りてくる少女を見ていた。 黒髪のショートカット、意思の強そうな瞳、外見的にはテニアよりもわずかばかり上だろうか?芯の強そうな娘だった。 「カティア・グリニャールです。はじめまして」 「巴武蔵だ……じゃない、巴武蔵です。グリニャールさん、はじめまして」 若干どぎまぎして答えた様子のムサシを見てカティアはクスリと笑った。 「カティアでいいですよ。それに普段どおりのしゃべり方で」 「いや、何か年上のような気がして……。テニアのほうはそんな感じは受けないんだけどな」 とムサシがぼやいた。 「それでテニアのほうは」と声をかけかけたときハッチが開いて当の本人が降りてくる姿が見えた。 その表情はどこか冴えない。そういえばさっきもそうだったような気がする。 何かあったのだろうか? 「テニア!」 「カティア!」 テニアの表情はカティアを見つけると喜色に彩られ、こちらに駆けてくる。 そして、その顔色はすぐに泣き顔へと変わった。 「カティア……メルアが!メルアが……」 続きは声ならなず嗚咽に取って代わられる。その様子にカティアも顔色を失う。 テニアの肩を掴み、揺さぶり、激しく問いかける。 「テニア、メルアがどしたの?ねぇ?答えて!メルアは?」 が、やはり言葉にならない嗚咽が返ってくるだけだった。 それでもなお強く問い詰めようとして、カティアはムサシに止められた。 「彼女の連れは……」 「待って……私が…話す…」 そして、テニアの代わりに答えようとしたムサシをさえぎり、ようやくテニアはメルアの死を語り始めた。 何が起こってメルアが死ぬことになったのかはムサシも知らなかったようだ。おそらくそれを自分がテニアに聞くのは酷なようで憚られたのだろう。 「そう……。でもテニアが無事でよかった…」 パンッ! 乾いた音が鳴った。一瞬、カティアは何が起こったのかわからなかったが、右の頬が熱かった。ムサシはオロオロしてる……。 それでようやく自分はテニアにぶたれたのだということを理解する。 「無事で……無事でよかったって、何よ!メルアが…メルアが死んだんだよ!!」 「それでもテニアが無事で…」 「やめて!」 涙にぬれた双眸がカティアを睨みつける。 「私は自分が無事でよかったなんて一つも思ってない!思えるはずもない!!カティアはメルアが死んで、でも私が無事でよかったって言うけどそんなわけない!!!」 「違う!私はそんな意味でいったんじゃ…」 「違わない!あんたが言ったのはそういう意味だ!!何が違う!?だいたいあんたはいつもそうだ。いつも真面目で、正論ばっかで、無難に取りまとめようとする。そんなあんたなんかに」 パンッ! 再び乾いた音が響く。頬を打たれたテニアは向き直り、なおもカティアを睨みつける。 「本当に…本当にそう思っているの?私が…メルアが死んでそれでいいって思っている。そう見えるの?それでも私にはあなたが無事でよかったって言うしかないじゃない!」 怒りからか悲しみからかカティアの肩は震えていた。 テニアの瞳から力が失われていくのが見て取れ、「ごめん」と呟くとふたたびテニアはその場に泣き崩れる。 そのテニアをいたわるように軽くなでててからカティアはムサシを促して少し離れていった。 カティアはテニアを残して、ムサシと話を再開した。テニアとの遭遇の話を聞き、彼は私に出会えてよかったと言った。テニアにはきっと必要だからと。 そして、最後に「すまない」とメルアの死に対して謝ってくれた。実際にはメルアが死んだのはテニアとムサシが出会う前、彼に何の落ち度もあるはずはなかった。 そのことはムサシ自身も重々承知だろう。それでもテニアの様子をみると謝らずにはいられなかったのだろうか……。 気丈にも最後まで目に涙を浮かべることなく話を聞き終えた黒髪の少女は、その言葉に深く頭をたれる。 そして、彼女は自分のあらましを話しだした。話せることはあまり多くなかったけど、それでも全てを話した。全てを話すことがムサシの誠意に答える唯一の方法だった。 だから、自分達三人のこと、統夜のこと、ここに飛ばされるまでの経緯、犠牲者となった一人の少女のこと、包み隠さずに全てを話し終えて彼女はぽつりと 「しばらく、テニアと二人だけにしてもらえませんか?」 と口にした。よく見ると顔色が悪い。 気丈に振舞っているように見えても、そこには到底隠し切ることのできない深い悲しみと疲労の色が見え隠れしていた。 黙ってうなずくとムサシはその場を離れ機体に戻る。 一通り大泣きして落ち着いたテニアがカティアに寄り添っていく気配を背後に感じた。 本当はメルアの死を聞いたときから泣きたくて仕方なかったのだろう。それでも今まで耐えていた。その堰がきれ涙が溢れカティアは泣き伏している。 その声を聞き続けるのは辛く、沈痛な面持ちで一人ムサシは周囲の警戒の為に機体を動かし、一言だけ「五時半には戻る」と言い残して、二人から離れた。 たたずむ二体の巨人の足元で、泣きつかれて眠る黒髪の少女を赤髪の少女は見ていた。 黒髪の女の子の名前はカティア・グリニャール、赤髪のほうはフェステニア・ミューズといった。 この二人に故メルア=メルナ=メイアを加えた三人は古い記憶がない。実験体として育ったことに少なからず関係があるのだろう。 ともかく、三人は記憶がなく、記憶に残るかぎりはいつもいっしょだった。 必然として三人の関係は姉妹のようになり、沈着冷静で大人びたカティアを長女とすると次女はお転婆娘のテニア、末子は温和で温厚なメルアといったところだった。 たまにカティアと私は衝突することもあったけどいつもメルアが慌てて止めに入ってきた。 そんな間柄だった。今思えばすごく暖かい場所だった。 「……ごめん」 そんなカティアを私はこれから殺さなくてはならない。 私を信じきっているカティアは寝ている。ムサシは見張りにたってしばらくは戻ってこない。 こんな好機はそうあるものではないのだ。 「でも…カティアが悪いのよ。私から…」 統夜を奪ったから―― だから…殺す―― それは本心ではあっただろうがその一部に過ぎず。その一部を強引に膨らませようと彼女は努力する。 そして、突き動かされるように補給された食料の入っている袋の紐を外し、カティアの首もとのジッパーを開け、その首に紐をかけた。 機体は使えない。機体が動くと周囲の警戒にあたっているムサシにばれるだろう。だからあえて絞殺を選んだ。 あとはその手に力を込めるだけだった。 こいつは私から統夜を奪った―― だから、憎い―― だから殺す――― 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す………――― ―――無理だ。殺せるわけがない―― ずっといっしょだったんだ―― この顔がいつでも私たちを見ていてくれたんだ―― ――止めよう いつか自分が手にかけずとも彼女が死んでくれることを願いつつ、テニアは殺害を断念する。 「……テニア?」 しかし、運命は彼女を裏切った。 見つかった―― 見られてしまった―― もう……引き返せない―― それはおそらく小さい子供が悪戯やちょっとした失敗を親から隠すような、いい大人が自分の非が人目につくのが怖くてとっさに遠ざけるような、そういった衝動だった。 そして、彼女がかつて戦争の中にいたこと、自分の意思で人を一人殺したこと、そういったものが心の箍をはずしていたのも一役かっていたのかもしれない。 ともかく、不意に声をかけられて怯えたテニアはそういった衝動に駆られ、握り締めた紐に力を込めたのだ。 人の気配に重い瞼をあげると、そこにテニアを見た気がした。 ぼんやりした意識の中で付き添ってくれていたらしい少女に声をかけて、唐突に息苦しさを覚える。 カティアは顔をしかめて耐えようとしたが、すぐにそれは耐えようのない苦しみに変わった。息ができないのだ。 反射的に手が首にかけられた何かに触れる。 異質な何かがそこにあり、それが今自分を苦しめていると直感的に感じた。必死になってそれを取り除こうとする。 しかし、それは掴もうにも首に食い込んでうまく指がかからない。 彼女は見開いた目で目の前の少女に助けをもとめた。 テニア、テニア、助けて! 苦しいの。息ができないのよ。 首に、首に何か巻きついてるの… お願い、お願いだからこれをとってよ!! しかし、その助けは言葉にならず口が虚しく動いただけに留まった。それでも彼女は必死に目で目の前の少女に訴え続ける。 指はどうにか縄を捉えようとあがき首の皮を引き裂く。 視界の先で赤毛の少女も涙を流し顔はぐしゃぐしゃに崩れていた。 不意に少女と目が合い、慌てて目の前の彼女は俯き目をそむけた。 その動作にカティアは全てを理解した。 何故?どうしてあなたが? 姉妹同然に育ってきた。お転婆な妹のように思ってた。 今までずっと一緒だった。 メルアが殺されたと言って心の底から泣いていた。 そんなあなたが……どうして? カティアの顔は絶望に染まり、疑問が胸を突いてくる。涙で視界が滲んだ。 その滲んだ視界さえも徐々に、しかし確実に狭まっていく。 口から泡が吹きで、陸にうちあげられた魚同然に口が意味もなく動き、酸素を欲する。 指はなおも首を掻き毟り続け、傷の上に傷をつけ、鮮血は指を伝って滴り落ちる。 やがて視界は完全に閉ざされ、他の五感も後に続いてぼやけていった。 激しい苦痛の中、最後に残った聴覚で彼女は涙にかすれたテニアの声を聞いた気がした。 「ごめん…なさい……」 そう。あなたは怖かったのね―― 自分が道を踏み外していることが―― そのことがばれることが―― 既に意識と共に薄れ始めた苦痛の中、見えなくなった目でテニアを見つめ、手を伸ばし彼女の頭をなでた。 テニアが脅えたように震えた様子が淡い感覚の中で奇跡的に伝わってきた。 だったら私にできることは一つしかない―― 三人の長女役として生きてきた私があなたに最後にしてあげられるのは―― 泡のついた口元が優しく動きテニアに語り掛けようとするが、もはやそこからはうめき声すらも発することはかなわなかった。 しかたなく、最後の力を振り絞りうつむきおびえるテニアの顔をこちらに向けると苦悶の表情を押さえ込んで微笑みかけた。 やがて手はテニアの頬を滑り力なく落ちていった。 最後に優しく微笑んで彼女の手は力なく滑り落ちていった。 怖ろしくて、とても怖ろしくて、テニアは動くことも縄にこめた力を抜くとこもできなかった。 どれほどの間そうしていたのだろうか、ふと手に残った感触を感じて彼女は怖気だつ。 違う―― 私はこんなことをしたかったんじゃない!―― 確かに殺そうと思った―― でも、自分の手で殺したかったわけじゃない―― 殺したくて殺したんでもない―― 「しかたなかったんだ!!!!」 そう。しかたなかったんだ―― 私たちがこのゲームに巻き込まれてしまったから―― 言い逃れようもない場面を見られてしまったから―― 統夜が―― 統夜がカティアを選んでしまったから―― どれほど言い訳を重ねても手遅れなのは分かっていた。 言い訳を一つするごとに自分が惨めになっていく気がした。 (言い訳は…よそう……) そう思っても、それでも彼女は言い訳を重ねずにはいられなかった。 瞼に焼きついた彼女の顔が、くびり殺した感触が責め立ててくる。自分はきっとこんなにも簡単に殺してしまった彼女の最後を忘れることはできないだろう……。 そう。簡単に殺してしまった―― 本当に簡単に――― いともたやすく――― ・ ・ ・ なんだ、少しも難しくないじゃない――― 人を殺すなんて簡単だ――― 少女は暗い闇の中、ただひたすらにまっすぐとより暗いところへと堕ちていっていた。 堕ちていくことはその場に踏みとどまるとこよりも恐ろしいほど簡単で楽だった。 そして、彼女の心は狂気の狭間へと逃げ込むことを選び、心の箍がまた一つはずれる。 「な~んだ、飽きれるほど簡単なことだったじゃない」 そこにはもういつもの彼女はいなかった。 「フフ……ハハハ………あんなに思い悩んでて馬鹿みたい」 冷笑がもれる。 あれほど思い悩んだ相手でさえ、あきれるほど簡単に自分は殺してみせたのだ。 この先、統夜以外の者なら心動かされずに自分は殺して見せることができるだろう。 姉同然とも言える者をその手で殺せたのだ、できない道理はどこにもない。 暗く虚ろな光をたたえた瞳を揺らして赤毛の少女は起き上がり、血糊を拭き、カティアの服装を手直ししていく。首の絞殺の跡と傷跡はそれで隠すことができた。 淡いぬくもりが伝わってきたがそれに心乱されることはもうなかった。 さあ、これから忙しくなる。ムサシは騙し続けなければいけないし、参加者はまだ多い。 突然の発作でカティアが死んだと涙ながらに言ったら、あの唐変木は信じてくれるだろうか? もともと怪しい研究室の実験体だった自分達だ。発作の一つや二つあっても不自然ではないだろう。そして、泣き叫んでカティアには指一本触れさせない。 そうすれば絞殺の跡は見つからないはずだ。 あのお人好しの唐変木はボロボロになるまで利用して、利用しつくして捨ててやる。 そのために色々と考えなければならないこともある。時刻は17時をすでに回っている。もういくらもしないうちにムサシは戻ってくるだろう。 こんなところでゆっくりしている時間は自分にはないのだ。 カティアの顔を拭ってやり、最後にその瞳を覗き込むとゆっくりと目を閉じてやった。 堕ちていった先――狂気の狭間は意外にも静かだった。 ここにいるかぎり彼女の心に波紋を及ぼすものはなにもないように思えた。 それがたとえ姉の死に顔であろうとも……。 彼女はこの先気づくだろうか?カティアがいまわの際に統夜にでもメルアにでもなく彼女に残した言葉を、最後の微笑みに託された言葉の意味を――― ごめんなさい。いっしょにいてあげられなくて――― テニア、あなたは生きのびて――― 【カティア・グリニャール 搭乗機体:VF22S・Sボーゲル2F(マクロス7) パイロット状況:死亡(窒息死) 機体状況:良好 現在位置:D-6岩山の麓 備考:死体の損傷は首の絞殺跡と傷跡のみ】 【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル) パイロット状況:非常に不安定 機体状況:良好 現在位置:D-6岩山の麓 第一行動方針:カティアの殺害をごまかす 第二行動方針:とりあえずムサシについていく 第三行動方針:参加者の殺害 最終行動方針:優勝 備考:嘘泣きはしてません 武蔵もいずれ殺す気でいます】 【巴武蔵 搭乗機体:RX-78ガンダム(機動戦士ガンダム) パイロット状態:良好 女の子の涙は苦手だ 機体状況:良好 オプションとしてハイパーハンマーを装備 現在位置:D-6岩山山頂 第一行動方針:とりあえず声の聞こえないあたりで周囲を警戒 第二行動方針:17時半ぐらいに二人のところに戻る 第三行動方針:統夜を探し協力してもらう 第四行動方針:無敵戦艦ダイ打倒の為に信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒しゲームを止める 備考:テニアのことはほとんど警戒していません】 【残り46人】 【初日 17 10】 BACK NEXT 『歌』に振り回される人達 投下順 それぞれの立場 それぞれの道 彼らの乗機は強力です 時系列順 『歌』に振り回される人達 BACK 登場キャラ NEXT 追悼 カティア 核ミサイルより強い武器 テニア テニア日誌 核ミサイルより強い武器 ムサシ テニア日誌
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改心した少女ピーラ 登場弾 第5弾 日常に潜む狂気 レアリティ UR 属性 光 種族 ヒューマン アビリティ スーパーヒーリング パワー 3750 ピーラ「もう一度、戦わないといけない! ……みんなを守るために!」 山賊から足を洗い普通の少女に戻った眼帯女戦士ピーラ。 親友である甘党ジュミア、遅刻魔ティシアと共にアーバンの街で買い物を楽しんでいたところケーキ星人の襲撃に遭う。 友達を守るため、目覚めし銅像イチから力を授かりケーキ星人の親玉ラビソへと立ち向かう。 別バージョン 名前 登場弾 眼帯女戦士ピーラ 第3弾 エネミーコレクション 改心した少女ピーラ 第5弾 日常に潜む狂気 助っ人ピーラ 第10弾 邪悪なる教え はしゃぐ少女ピーラ 第16弾 大道芸コンテスト 帰郷兄妹ビピラとピーラ 第21弾 眼帯の里 羽少女ピーラ 第28弾 フライハイ 飛行少女ピーラ 第29弾 復活の四天王 部屋着ピーラ 第30弾 ドールパニック 浮遊少女ピーラ 第34弾 心無き者 別バージョン(スペシャル・スターター) 名前 登場弾 眼帯女戦士ピーラ(ST) スターターパック第1弾 始動 名前 コメント すべてのコメントを見る
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復活した少女ホグヨ 登場弾 第40弾 生と死が交わる時 レアリティ N 属性 光 種族 ヒューマン アビリティ ぎっくり腰 パワー 550 復活の炎の力により若い頃の姿で蘇った。 『復活の炎』により、全盛期の姿で甦ったホグヨ。 しかし生前患っていたぎっくり腰は何故かそのまま。 腕の良い整体師を探している。 別バージョン 名前 登場弾 囚われた老婆ホグヨ 第7弾 立ち上がる反乱軍 在りし日の老婆ホグヨ 第26弾 支配された死界 復活した少女ホグヨ 第40弾 生と死が交わる時 名前 コメント すべてのコメントを見る
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遅れてやってきた少女ティシア 登場弾 第28弾 フライハイ レアリティ SR 属性 闇 種族 ヒューマン アビリティ 丸一日寝坊 パワー 2700 ティシア「あれ? 誰もいない」 羽少女ピーラを助けるため、ジュミアと待ち合わせをしていたが やっぱり寝坊して遅刻してしまった少女。 虫王国には大体の騒動が収まった頃に着いた。 別バージョン 名前 登場弾 遅刻魔ティシア 第5弾 日常に潜む狂気 大遅刻魔ティシア 第16弾 大道芸コンテスト 甘党ジュミアと遅刻魔ティシア 第28弾 フライハイ 遅れてやってきた少女ティシア 第28弾 フライハイ 名前 コメント すべてのコメントを見る
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《GM》 では、自己紹介からお願いします▽ 【セルベリア】 「セルベリア・スフォルツァ……です……」 「……嫌、もう、汚されるのは……嫌……」 「これ、以上は……わたし……溺れて、しまいそうで……」 こんな感じで!▽ 《GM》 では、セルベリアは三度、休日に呼び出されることとなる。 場所は歓楽街のラブホ。だが、正面からではなく、裏口から入り、従業員用のエレベーターで地下へ向かえと言う指示だった。▽ 【セルベリア】 「……今日は、こんな、いかがわしい……場所に……」 先日の陵辱で、自身が次第に快楽を覚えてしまいつつある事をぼんやり自覚したセルベリア。今度こそは断ろう、戦おうと思っても、彼らが握っている様々な媒体を思うとそんな決意が折れてしまう。そうして、今日もまた性奴隷として、男の言いなりとなってしまう。嫌なのに。嫌な、事なのに。 歓楽街という事で、なるべく未成年に見られないような、精一杯背伸びをした大人っぽい、そして多少遊んでいるっぽい、短いプリーツスカートに、胸元を露出した服装でラブホテルへ辿り着き、今回の命令を疑問に思いつつも、ラブホテルの裏口を探して、中に入る。▽ 《GM》 セルベリアはラブホの裏口からエレベーターに入り、地下まで行く。廊下を挟み、扉を開けて入った部屋の中は、最初に拉致されたあの忌まわしき場所。 そして、その場でデジカムを手に撮影していた、五十嵐啓治がいた。 【五十嵐啓治】 「ん、迷わず来れたかな。予定の時間より、ちょっとだけ早かったね」そんな話し掛ける口調は、拉致した加害者とは思えぬ普通の調子で。▽ 【セルベリア】 「……っ!」 入った部屋。そこが初めて犯された場所だと思い至り、蘇る陵辱の記憶にびくりと身体が震える。そんな中で、何事もなかったかのように、軽い声をかける男に、思わず怒りが爆発する。「こん、な……っ! こんな場所に呼び出して、一体何のつもりですか!?」▽ 【五十嵐啓治】 「何のつもりって、そりゃもちろん、ね?」デジカムを手にして言葉を返す。 「ちょっと準備するものがあるから、服を脱いで待っててくれるかな」そう言って指を指すのは籠。その中に服を入れろと言うのだろう。そのまま啓治は奥の部屋に入ってしまう。▽ 【セルベリア】 「……いつまで、こんな事、を……っ!」 唇を噛み締めるも、抵抗すればその先に待っているのは、全世界への痴態の公開だ。記録媒体の手掛かりがない今は、大人しく従うしかない。今までと同じ結論に至ってしまい、大人しく服を脱ぎ始める。その思考がもう底無し沼なのだとは気付かずに。▽ 【五十嵐啓治】 「お待たせ。準備ができたから入ってきてくれるかな」しばらくして、奥の扉を開けて啓治が手招きする。服はこの場に置いたままでだろう、啓治は一糸纏わぬ姿のセルベリアを見つめている。▽ 【セルベリア】 「…………」 勝手な事を、とは思いつつも、彼の指示に従い、奥の部屋へと向かう。もう何度も人前で全裸になっているが、未だに慣れない。特に、薄い胸を晒す事で、顔が紅潮するのを感じていた。▽ 《GM》 部屋の中は、まるで地下牢だった。石垣でできた壁面。壁から吊される鎖と手錠。三角木馬などの卑猥な拷問具。8畳ほどの小さな牢獄だった。しかし、実際に壁に触れてみると、質感が石でないことに気付くであろう。 【五十嵐啓治】 「そうだね。まずはこれを着てくれるかな」と、彼は一枚の服をセルベリアに手渡す。それは青と白のストライプの囚人服。長袖の Tシャツのようなそれは、裾が長めに作られており、股下5cmほどでしかないが、サイズ的にはワンピースのようであった。▽ 【セルベリア】 「……どこまで、辱めれば気が済むんですか……!」 冒涜的な施設と衣装に、思わず言葉が口をつく。だが、服が着れるというのは、今までの陵辱にはなかったもので、少し安心してしまう自分もいた。囚人服であるという事以外は、そこまで問題のあるものには見えないので、抵抗なく受け取り、着込む。 裾が長いとは言え、今まで身に着けた事のないほどのミニスカートを履いたようなもので、ノーパンである事も含めて、全裸よりも、股間がすーすーする感覚にぞわりとしてしまう。それを気取られないように、自分の手を太腿に挟み、相手の指示を待つ。▽ 【五十嵐啓治】 「それじゃ、このプレートを持って、そこで直立に立ってくれるかな」一枚のプレートをセルベリアに手渡す。そのプレートには、セルベリアのフルネーム、生年月日、血液型、身長、3サイズが明記されている。 そこと言うのは、ちょうど吊り手錠が背後に映る位置で、デジカメやデジカムが写真撮影のように向いてる。▽ 【セルベリア】 「…………」 まるで犯罪者扱い、と言うよりも、意図的にそういう状況を生み出しているのだろう。ただ、指定されたアクション自体は別段嫌悪感があるものではない。これもまた、特に抵抗せずに従う。たぶん、そういう趣味なんだろう、程度のぼんやりした認識で指示された位置でプレートを持って立つ。3サイズ明記が、少し恥ずかしい。▽ 【五十嵐啓治】 「あはは、僕はシチュエーションプレイが好きでね。こういう雰囲気に酔う質なんだよ」セルベリアに苦笑気味に言いながらも、楽しそうにセルベリアの肢体を写真に収めていく。 「今のセルベリアは囚人、女囚だ。罪状は何でも良いんだけど…そうだね、魔女狩りで魔女と宣告された美少女という感じかな。君はこの牢獄で囚われの身になるんだ」と、雰囲気を出すためか、独り言のように話し掛けていく。▽ 【セルベリア】 「…………?」 ただでさえ男性と(性的な)接触が陵辱されるまでなかったため、正面から男性の欲望を、それも多少特殊なものをぶつけられると困惑してしまう。『雰囲気に酔う』と言われても理解ができない。今は特に実害も指示もないため、その場で佇んでいるだけだ。▽ 【五十嵐啓治】 「それじゃ、次はこのプレートを持ってくれるかな」縁のないホワイトボードにペンで書き込むと、先ほどと同じようにセルベリアに手渡した。 ボードには「罪状:誘惑した罪 刑罰:終身性奴隷」と書かれている。▽ 【セルベリア】 「…………っ!」 ああ、とうとう来たか、と、諦めを含んだ感情が湧き上がる。結局はこの人もわたしを犯すだけなのだ、と。そう思うと、今まで実害がないと思っていた『雰囲気作り』も、得体が知れないだけに、今までの陵辱とは違う恐怖感が湧き上がっていく。 僅かに震える手でボードを受け取り、胸の前に掲げる。今はただ「突然そう言われた」だけだから何ともないが、場所に、衣装に、小道具に。これだけ揃っていては、何かの拍子に『雰囲気』に入り込んでしまいそうな……深い穴を覗き込んでいたら、そこに吸い込まれてしまうような感覚に似た、恐怖感。▽ かすかに表情を変えるセルベリアに、笑みを零しながら、デジカメのシャッターを切ってその姿を撮影していく。 【五十嵐啓治】 「それじゃ、次はこのプレートでお願いね」次に渡すホワイトボードには、手書きでこう書かれていた。『これから私はレイプ(膣内出し)されます』▽ 【セルベリア】 「……こんな事せずに、犯したいなら、犯せばいいじゃない、ですか……!」 新たなプレートの記載に、目尻に涙を浮かべつつ、堪らずに吐き出す。雰囲気作りだか何だか知らないが、そうまでして自分を辱めるのがそんなに楽しいのか。そう思わずにはいられない。▽ 【五十嵐啓治】 「あはは、何言ってるんだい? 十分犯してるじゃないか」精神的にね、とまでは口にせずに、プレートを掲げたセルベリアの写真に収めると、次のプレートを手渡す。 『私は女囚なので、逆らうことも、抵抗することもできません』▽ 【セルベリア】 「ふざけ……っ!」 思わずプレートを差し出す手を拒否しようとするが、抵抗しても結局は同じなのだと思い出し、大人しくプレートを受け取る。ああ、そういう意味では、私は『逆らう事も、抵抗する事もできない』のだ。彼に言われているように、自分の立場は女囚と変わらないのだと思い知らされてしまう。▽ 【五十嵐啓治】 「それじゃ、次は…そうだね、拘束するよ」セルベリアからボードを返して貰うと、壁から吊された手錠にセルベリアを繋いでいく。そして、足首も肩幅に開く程度に足枷を填めていく。 『これから私はレイプ(膣内出し)されます』 『私は女囚なので、逆らうことも、抵抗することもできません』のボードは、これ見よがしに足下に立てかけられる。 柔らかい素材を使ったのだろう、囚人服を秘部や乳房が露出するようにびりびりっと破いていく。▽ 【セルベリア】 「…………っ!」 両手足を拘束され、服を切り裂かれる瞬間、思わず目を閉じて顔を逸らす。以前目隠しされて拘束され、陵辱された記憶が思い起こされる。今回は目隠しはされていないが、拘束されているという事実と、この『演出』の底の見えなさが、別の方向性の恐怖心を育んでいく。そして、全裸よりも、着ている服がぼろぼろにされる方が数段恥ずかしく思えて、薄い胸を晒した事も含めて全身が紅潮するのを感じてしまう。▽ 《GM》 多くのデジカメ、デジカムがセルベリアの肢体を撮影していく。『牢獄で陵辱される囚人の少女』。そんなテーマが演出される。 そして啓治はセルベリアから離れると、机の上にあった物を、反転させる。砂時計。 【五十嵐啓治】 「ちょっと用事を思い出してしまってね。この砂が落ちきる時ぐらいには戻ってくるから、その時にはセルベリアの言ったとおり、ちゃんと犯してあげるよ」そう言うと、部屋から出て行ってしまう。▽ 【セルベリア】 「えっ? ま、待って……!」 拘束され、ボロ布と化した囚人服しか身に纏っていない状態で一人放置される事を察し、思わず縋るような声を出してしまう。が、特に効果はなく。カメラの駆動音と砂が落ちる音、そして自分の身じろぎで枷が鳴る音だけが室内に響き、孤独感を助長していく。▽ 《GM》 半裸で拘束され、身動きが取れない状態。そんなセルベリアを、彼ら以外の誰かが見つけたとしても、犯されることは間違いないだろう。 とは言え、砂が落ちきり、彼が帰ってきても、彼に犯されるだけ。 そして恐らく砂が落ちきるまで、彼は帰ってこないだろう。そう言えばこの砂時計は何分だろうか? 30分? 60分? 100分?▽ 【セルベリア】 「…………あの、っ」 扉の奥へ声をかけてみるも、反応はない。本当に砂時計が落ちきるまでこのまま待っているしかないのか。いつ落ちきるかも分からないのに。何かの奇跡で枷が外れないかと手足を動かしてみるが、枷が、鎖が鳴る音が虚しく響くだけ。今にも流れ落ちそうなほどに、目に涙を溜め、無駄な行為を繰り返す。▽ 《GM》 枷は外れない。もし、彼がこのまま砂が落ちても帰ってこなかったら、餓死してしまうのではないだろうか。 もし、彼が大勢の男を連れてきたら、なすすべもなく犯されてしまうのではないだろうか。 もし。もし。もし。 そんなことを考える時間は、砂が落ちるまで、いくらでもあった。▽ 【セルベリア】 「…………お願い、早く……戻って、きて……!」 数度の陵辱。本来経験し得ない状況での放置。それは嫌な想像を無数に浮かび上がらせ、セルベリアの心を砕くに十分なものだった。一人は嫌だ。拘束されたまま、放置されるのは嫌だ。そんな思考で埋め尽くされていく。▽ 《GM》 砂が落ちきるのとほぼ同時。見計らっていたのだろうか。部屋の扉が開き、五十嵐啓治が一人で入ってくる。 【五十嵐啓治】 「お待たせ。だいぶ待たせたかな?」啓治は先ほどとさほど変わらぬ様子で、しかし、セルベリアの肢体や顔をじっくりと見ながら、問いかける。▽ 【セルベリア】 「あ……」 頬に涙を伝わせつつ、彼の登場に安心した声を上げてしまう。結局、これから犯されるだけだというのに、長い間放置される恐怖心が、犯される恐怖心を薄めてしまう。と言うより、放置が終わった事に対する安堵感が、セルベリアを包んでいた。▽ 【五十嵐啓治】 「これから犯されるのがそんなに嬉しいのかな?」タオルで頬にこぼれた涙を拭きつつ、笑みを浮かべて尋ねる。▽ 【セルベリア】 「……嬉しい、はずがありません……でも……その……」 素直に気持ちを伝えていいものか数瞬悩む。が、セルベリアの育ちの良さと、信心が育んだ清い心が、素直に礼を述べる方向に舵を切らせた。「その、ちゃんと、戻ってきてくれて……嬉しかった、です……」▽ 【五十嵐啓治】 「もちろんだよ。だって、君は僕たちのものだからね。捨てるわけ無いじゃないか」左胸のあばらを指先で撫でながら、そう答える。今思えば、今日の愛撫はこれが初めてだろうか。▽ 【セルベリア】 「あ……」 あばらを撫でる指の感触に、吐息が漏れる。放置が終わった安心感で、陵辱の恐怖心が薄まっているせいか、その一撫でが、今までの愛撫以上に感じてしまう。女囚扱いの雰囲気作り、放置を経ての愛撫は、様々な感情を綯い交ぜにしながら、セルベリアを弄んでいく。▽ 【五十嵐啓治】 「さて、それじゃあ。宣言通りのことをしようか」ズボンを下ろし、肉棒を取り出す。堅くそそり立つそれをセルベリアの秘所に宛がい、ずぶり、と貫いていく。四肢を拘束され、囚人服を破られたセルベリアには、逆らうことも、抵抗することもできないだろう。▽ 【セルベリア】 「……く、あっ……!」 硬い肉棒が、自身を割って進んでいく感触に、背を仰け反らせる。大した愛撫もなく、ろくに濡れていなかったせいもあり、強い苦痛が生まれる結合だったが、その苦痛が『魔女狩りにより女囚となり、無理矢理犯される少女』という『現状』を強く認識させ、不思議な快楽を生み出していく。 「あ、あっ……! ゆる、して、くださ……っ!」 苦痛から逃れるかのように、無意識のうちに五十嵐を悦ばせるかのように、シチュエーションに沿うような声を上げてしまう。無理矢理な挿入による防衛本能か、あるいはシチュエーションプレイの快楽か。ほとんど濡れていなかったはずの秘所は、次第に潤んでいく。▽ 【五十嵐啓治】 「それはできないね。終身性奴隷なんだろう? 刑罰を受け入れるんだな」セルベリアの言葉に呼応するように、『役』に入った風に言葉を返しながら、強引に腰を突き出し、肉棒を押し込んでいく。▽ 【セルベリア】 「ち、が、あっ! せい、どれい、じゃあ……っ!」 嫌々と首を振りながら、肉棒による責めを受け止める。膣壁を擦り上げられ、子宮が突き上げられる快楽で、全身がうっすらと汗ばんでいく。結合部から響く、粘液を掻き混ぜる音が耳を犯し、自身が感じている事を否が応にも実感させていく。▽ 【五十嵐啓治】 「だったらこれは…女囚に誘惑された看守による強姦かな?」くすっと耳元で笑い声を囁きながら、リズミカルに、だんだん速く、セルベリアの膣を肉棒で犯していく。▽ 【セルベリア】 「や、あ、あ! はげ、し……っ! だ、だめッ! おかしく、おかしくなるっ!」 涙と唾液で顔を汚しながら、肉棒の抽挿運動がもたらす快楽を拘束された身体で受け止める。天井から吊り下がった手枷が挿入に合わせてぎしぎしと軋み、性交の激しさを物語る。掻き混ぜられた秘所からは愛液が床にぽたぽたと滴り、淫猥な水溜りを作っていく。▽ 【五十嵐啓治】 「終身性奴隷の刑罰を受けた女囚に気をつかうわけないだろう? さぁ、膣内に出すぞ」『役』に入った彼はそう語る。ピストン運動が早まり、昂ぶりが登り詰めていく。そして肉棒が膣の中で膨らみ、脈動しながら精をセルベリアの子宮の中へ放出していく。▽ 【セルベリア】 「中はっ! 中、だめぇっ!?」 膣内に出されると聞いて、反射的に拒絶の言葉が出るが、射精の前兆でぶくりと膣内の肉棒が膨らんだ感触で絶頂を迎えてしまう。射精直前の肉棒をきゅうきゅうと締め付け、一滴も漏らすまいと、膣内で放たれた精液を子宮へと送り込んでいく。そんな身体の動きと、簡単に絶頂へと導かれてしまうほどに開発されてしまった自身に、絶望感と絶頂後の余韻が混ぜこぜになった複雑な感情が湧き上がる。子宮が熱く、疼▽ 【五十嵐啓治】 「でも…ほら、セルベリアは女囚だからな。抵抗できなかっただろう?」子宮に精を吐き出しながら、勝ち気な表情を浮かべ、笑いかける。▽ 【セルベリア】 「…………」 荒い息を吐きながら、五十嵐から目を逸らす。否定したいが、否定する材料がない事が相手に伝わっている分、無駄になる。未だに繋がったままの下腹部の感触がもたらす疼きに身を捩りながら、僅かな抵抗を見せる。▽ 【五十嵐啓治】 「さて、女囚への強姦はまだまだ終わらないな。終身制奴隷の刑罰を受けた女囚への強姦なんて、誰も咎めないしな」左胸のあばらを撫でながら、くすりと微笑み、耳元に息を吹きかけながら囁く。▽ 【セルベリア】 「ふぁっ!?」 突然の愛撫に、身体がびくりと素直に反応してしまう。その一挙動だけで膣がきゅうっと締まり、五十嵐の男性器を甘く締め上げる。その感触にまた身体が震えてしまう。▽ 【五十嵐啓治】 「ふふ、折角だし女囚に尋問してやろうかな。最近の自慰回数とかね。上の口は堅くとも、下の口は素直らしいからな…」耳を甘く歯で噛みながら、己の口で答えるのは恥ずかしいであろう、質問攻めをしかけていく。▽ 【セルベリア】 「そんな、のっ! 答え、ません……っ!」 耳を甘噛みされる刺激に悶えながら、抵抗の言葉を紡ぐ。ただ、五十嵐の言う『上の口』『下の口』の意味は分からず、それが僅かに不安を煽る。▽ 【五十嵐啓治】 「なるほど、少なくとも“して”はいるわけだ。さて、それが…1回かな? 2回かな?」淫らで、執拗で、卑猥な尋問はしばらくの間終わることなく、その間、セルベリアは何度も子宮に精を吐き出されていた。▽ 【セルベリア】 「────っ!」 度重なる射精と、射精以上の回数の絶頂。途中から意識はぼんやりと霞がかかり、自分が何を口走ったのか理解ができない。が、五十嵐の表情を見ると、彼が求めているものを与えてしまったのか、と思ってしまう。子宮を満たす精の熱が、肉欲の炎となって、更なる快楽を求めさせる。堕ちそうになるのを必死に耐える。耐えられたのかは分からないまま。▽
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――人魚姫に、足はあると思う? これは、ただの蛇足。語られなくても良かったお話。言葉にしなければ泡になって消えてしまったはずの物語。 後に何も残らずに、誰一人として幸せにならずに、不幸な結末だけが提示されている、そんな話が、あなたは読みたい? あなたはこの話を読んでもいいし、読まなくてもいい。読まずとも何の問題はなくて、読んだところですぐに忘れてしまうだろう。 それでもというのなら――ほんの少しの間だけ、語られなかった恋物語を、語ることにしよう。 人魚姫――葦切詩乃も、立つための二本の足を持つことを許されたのだから。 この少女たちの物語における少しばかりの蛇の足も、許されてしかるべきだろう。 ◇ 「よかったわ、元気そうで」 そう語りかけた盟絵の顔には、笑みが浮かんでいた。その内心を占めているのは安堵の感情だ。 誰よりも会いたかった相手に、真っ先に会うことが出来た。どん底の不幸の中で掴んだ一握りの幸運に彼女は感謝する。 盟絵の笑顔に対して、詩乃は憂いを含んだ微笑みを返した。 薄く緑の混じった黒髪が、月の明かりに照らされて、少し揺れた。 風もないのに揺れた前髪が詩乃の顔を半分だけ隠して、合間から見える焦げ茶色の瞳がその視線を盟絵の顔から少し下へ逸らした。 目を合わせて、それから逸らす。たったそれだけの動作が、今の二人の関係を表していた。 拒絶、というほどはっきりとしたものではない。 だが、どことなくよそよそしさというか、二人の間を阻む目には見えない透明な壁というかが、生まれていた。 その原因は――あらためて言うまでもないことだろうが、現在の二人が置かれた環境に起因していた。 目の前の相手と、殺しあえと言われているのだ。その絶対的命令が二人の態度に尖った硬さを作ったのだ。 ――二人とも、相手を傷つけるつもりなど毛頭なかった。 相手を、愛しているのだ。傷つけることよりも、優しく触れることを選びたい。冷たさよりも、暖かさを求めたい。 初めて出会って、いつの間にか二人は一緒にいることを選んで、自然に手を繋ぎ、心を繋ぎ、身体を繋いだ。 この島に、連れてこられるまで。 始業の十分前までベッドシーツと人肌の温もりに包まれて惰眠を貪る心地よさは何物にも代えがたい快楽だった。 この時間がずっと続けばどれだけ幸せだろうと、そんな囁きが盟絵の唇から詩乃の耳元へと、殆どゼロ距離の移動をする。 詩乃の口から、ん、と漏れた吐息が盟絵の頬を撫でて、そのとき二人は身体だけでなく心まで一つになっていた。 自分たちがこの世界の中で異質な存在であるということは理解していた。 口さがない級友たちが彼女たちのことを陰でなんと呼んでいるのか、知っていた。 知っていながら知らないふりをして、あからさまに辱めの言葉をかけられても耳を塞いでいた。 聞こえていても、なんでもないようなふりをして強がっていた。 片手で愛おしい人の手を握りしめながら、もう片方の手で敵に手を上げるような。 そんな歪な生き方を、ずっと出来ると、しようと思っていた。 でも、それが――もう叶わない夢物語になってしまったということは、首に巻かれた鉄の爆弾が示している。 二人だけの世界に浸って生きていくことは、もう出来なくなってしまった。 いや、そもそも。 こんな悪趣味な催しに招かれようが招かれまいが、いずれにしたところで二人の世界はいずれ破綻を迎えていたのかもしれないけれども。 けれどもとにかく、二人が考えていたよりもずっと早く、決断の時は来てしまった。 二人はここで選ばなければならない。 これからのことを。二人のことを。自分と、相手のことを。 葦切詩乃は人魚姫だから、言葉を話せば消えてしまう身だから、彼女は意思を伝えるとき、言葉を用いない。 今までそうやってきたように、今もまた詩乃は身振り手振りと表情で、盟絵とコミュニケーションする。 言葉に出来ない思いは具体的な形を持たず、おおまかな、だいたいのニュアンスだけしか伝わらない。 甲斐盟絵は、そんな彼女を誰よりも理解出来ているんだと自負していた。 言葉にはならない想いは自分の中にもあるんだから、詩乃の思いも自分のそれと同じなのだと思っていた。 だけどそれは、自分の思い上がりだったのではないか―― この殺し合いの中で再会できて、笑った盟絵と目を伏せた詩乃の態度の違いが、盟絵にそう思わせた。 「詩乃は――これから、どうしたい?」 盟絵の胸の中には、ちりちりとした違和感があった。 本当に――私達が見てきたものは、同じものだったのかしら。 二人、同じ方向を向いていながら、見ていたものはまったく違っていたんじゃないのか? 疑念をぐっと胸の中で押し殺して、盟絵は問う。あなたはいったいどうしたいの? 「私は、あなたと一緒にいたい」 一緒になりたい。 「だけどあなたは、どうしたい?」 詩乃は――当たり前のように、何も言葉を返さない。 少し前まで顔を見れば簡単に分かっていたはずの詩乃の本心が、今はまるでわからない。 言葉が――欲しかった。安心させてくれる言葉が欲しかった。 温もりだけでは足りなかった。柔らかさでも、足りなかった。 しっかりと盟絵を納得させてくれるだけの論理が欲しい。 だけど、その願望を口には出来なかった。 それをはっきりと口にしてしまうことがどれだけ残酷なことなのか、盟絵は知っていたからだ。 不安が連鎖して、積み重なって、思考を汚していく。 曇った眼から雫がこぼれてしまう。ささくれだった心を露わにしてしまう。 歪められた想いが、大きくなっていく。 ふるふると首を横に振って、逸る盟絵を落ち着かせようとする詩乃。 しかし今ではそれも、盟絵の神経を逆撫でする効果しか生まない。 癇癪を起こした盟絵が、乱暴に詩乃の手を払いのける。 嫌だ、だの、辛い、だの、そんな泣き言が盟絵の口から飛び出した。 だがそれは、行く先もなく宙に消える。それは決して、詩乃に向けられた言葉ではなかった。 どうしようもない世界に。どうしようもない現実に。どうしようもない自分自身に向けた言葉だった。 吐き出したかった。 強がりは、そのまま弱さだったんだってことを。 弱いから嫌なものに背を向けて、二人だけの世界を作ろうとしていたんだということを。 強ければ詩乃と一緒に世界と向き合えた。 それが出来なかった私は、やっぱり弱くて――だから詩乃に辛い思いをさせていたんだってことを、認めたくなくて。 辛いのは私のせいじゃなくて世界のせいなんだと言い訳をしてきた。 ふらふらと世界の端を彷徨い歩いて、どこまでも続く闇の中で詩乃と二人、手を握っていた。 薄氷の上を歩いて、通った端から足元が割れて崩れていくから、端へ端へと逃げ続けた。 その、どん詰まりが――ここだった。ここに行き着いた。 二人で向かっていた先とは違う。こんなところを目指して歩いてきたわけじゃない。 いつか昇る朝日へ向かって歩いていたはずなのに、気づいたら沈む夕陽を目にしていたような、そんな唐突で考えもしていなかった終点。 だけどここは、二人が目指していたところとは違っていても、やはり世界の端だった。 終わりが――見えてしまった。 終わることを知ってしまった。 盟絵が抱えた絶望。それを知ってか知らずか、詩乃は自身に支給されたアイテムを取り出し、盟絵に渡す。 手のひらに収まるサイズの小さな天秤だった。鵬法璽(エンノモス・アエトスフラーギス)――絶対遵守の魔法具。 古めかしい細工が施されたそれは、女子高生が持つよりも怪しげな古道具屋の老主人が持つほうがよほど絵になりそうだ。 天秤と、それに付属する説明文。両方を熟読して――盟絵は、どうして詩乃がこれを自分に渡したのかを、考えた。 考えて、考えて、考えた末に――盟絵は一つの答えを見つける。それが合っているのか知りたくて、彼女はそれを口にする。 「これで――私を安心させたいの?」 絶対遵守を謳うこの魔法具が真実ならば。盟絵が契約を持ちかけ、詩乃がそれに頷くだけで、二人の結びつきは絶対のものになる。 盟絵が今感じている不安は、消える。詩乃に抱きかけていた不信と共に、綺麗さっぱり消えてしまう。 しかし――だけど。 そんな形でしか、二人は―― 吐き出しかけたそれを、寸前で飲み込んだ。 言ってしまえば、それが決定的なものになってしまいそうだったから。 ほとんど終わりかけていることに気付きながら、それでもまだ――最後まで、信じていたかった。 「詩乃。……終わりにしよう」 ハッとした顔で、詩乃は盟絵と目を合わせた。 ああ、綺麗な目をしているな、と盟絵は思った。 今まで何度も目を合わせてきたけれど、もしかして今まで一番、純粋な気持ちで詩乃を見ることが出来ているかもしれない。 「詩乃……何も言わずに、私が言うことに頷いて」 ずるい。詩乃が何も言えないことを知っているのに。 「私を、この銃で殺しなさい」 盟絵は自身に支給されていた拳銃を、詩乃にそっと手渡した。 詩乃は――頷かない。首を横に振るだけだ。 知っていた。詩乃は決して、頷いてくれない子だと。 手渡した銃を、もう一度詩乃から受け取る。 「詩乃が撃たないなら、私が自分で撃つわ」 生まれて初めて握った拳銃を、こめかみに当てた。 安全装置の外し方くらいは、女子高生でも持っている知識だ。 あとは引き金を引くだけで、一つの命が潰えてしまう。 「でも、私は――終わりにするなら、詩乃に終わらせて欲しいの」 つ、と雫が頬を伝わった。 私は今、終わろうとしている。だけどこの涙は、私という存在が終わってしまうから流れているのではない。 こんな卑怯な手を使ってまで詩乃を縛ろうとしている自分が、嫌で嫌でたまらないからだった。 自分が嫌いで――死んでしまいたくて――しかも、死ぬそのときまで詩乃を縛ろうとしているのが、尚更厭だ。 「頷いて。でないと、今すぐこの引き金を引くわ」 もはやただの脅迫だ。だがしかし、こうすれば詩乃は――頷いてくれる。 こくん、と震えながら詩乃が首を縦に振ったのを見て、盟絵は拳銃を再び手渡した。 詩乃にそんな気はないのだろう。その表情は、怯えに満ちていた。 しかしその手に握られた銃は、まっすぐに盟絵の頭へと向けられている。 あの天秤は、本当に魔法の道具だった。 だったら――もう少しいいことに使ってから死ねば良かったかなぁと、そんな気の抜けた考えが今更浮かんできて、盟絵は少し笑う。 詩乃の抵抗も虚しく、引き金は――引かれた。 ぱん、と乾いた音が周囲に響き、薬莢が地面に落ちてからんと音を立てる。 盟絵の頭を目掛けて放たれた銃弾は――しかし、盟絵の腹部を貫通するだけに終わった。 詩乃の抵抗が寸前の所で功を奏し、狙いが下に逸れたのだ。 だから盟絵は、まだ生きている。だが血は流れ、痛みと熱は銃創から溢れてくる。 耐え難い苦痛が盟絵を襲うが、叫びを上げるのを必死に堪え、もう一度撃つように詩乃に促した。 「……苦しいのは嫌だから、次はちゃんと頭を狙ってね」 今度こそ、終わりにしてもらおう。ここで、私と世界を、終わりにしよう。 静かにまぶたを閉じた。さようなら、詩乃。 私と一緒にいてくれて、ありがとう。あなたがいてくれて、たくさんの愛を感じられて、私は幸せだった。 あなたと一緒にいて、苦しいことや辛いこと、悲しいこともたくさんあったけれど――それでも、あなたに出会えてよかった。 「――盟絵」 ――最初は空耳かと思った。何故ならそれは、今まで何度も想像しながら、決して聞いたことがなかった声だったからだ。 「――今まで、名前呼んであげられなくて、ごめんね」 ――間違いなかった。この声は――詩乃の声だ。 「もっと、いっぱい呼んであげたかった。盟絵が私の名前を呼んでくれるたびに、そう思ってた」 「……詩乃」 「盟絵、盟絵、盟絵。――何千回も、何万回も、ずっと心のなかで呼んでたよ。 盟絵は知らなかっただろうけど――私が喋っちゃうと、魔法が解けちゃうから。 一緒に、いられなくなっちゃうから。ずっと、ずっと我慢してた。 ……でももう、我慢しなくてもいいよね? 何度だって呼んでも、いいよね?」 「……うた、の」 「盟絵……盟絵。盟絵。やめて。私に撃たせないで。嫌なの。もっと一緒に過ごしたかった。 盟絵となら、世界に二人きりでも良かった。……よかったんだよ」 ――二人とも、同じ想いを抱えていたのに。 詩乃の身体が、光に包まれていく。魔法が解ける時間が来たのだ。 つまさきから、だんだんと光に変わっていく。 ――魔法は、最初からここに在ったのだ。それが盟絵と詩乃を結びつけていたことを、盟絵は知らなかった。 しかし既に――もう一つの魔法は、止まりはしなかった。絶対遵守の魔法具が、詩乃を縛り上げている。 銃口は震えていても、今度こそ盟絵の頭から狙いをそらしはしない。 詩乃の抵抗も、もう限界だった。少しでも気を緩めればすぐにでも銃弾が盟絵の頭を貫くだろう。 もう、時間はない。盟絵が撃たれるのが先か、詩乃が消えてしまうのが先か。 もう一分もしないうちに、全ての決着はついてしまう。 でも その前に、やりたいことが出来てしまった。 一歩ずつ、詩乃を刺激しないようにそろりそろりと近づく。 あと四歩の距離。歩けばすぐだが、じりじりと近づいていくには遠く感じる。 ――私が間違えなければ、もう少し一緒にいられたのかな? そんな、今更考えたところでどうしようもないことが浮かんでくる。 本当に、どうしようもない。 そもそも、それを言うならば――もっと早い段階から、私は間違っていた。 私が間違えなければ、詩乃と世界に二人きりだなんて拗ねたことを言わずに、二人とみんなで一緒に歩いていけたのかもしれない。 そう。内藤さんと藩田さんのように、私たちに対して何も思わないような人もいたのだから。 さらに二歩分、距離を詰める。もう、手を伸ばせば触れられる距離だ。 だけど――私がやりたいことは、この距離でもまだ届かない。 もし、もう少しだけ素直になれていたのなら。 詩乃に悲しい顔をさせることもなく、笑えてたのかな。 分からない。もう血が抜けて、ぼうっとしてしまった頭では、そんなことも考えられない。 どくどくと血が流れているはずなのに、もうその感覚すらなくなっていた。 あれだけ感じていたはずの痛みも、熱さも、消えてしまっていた。 あと一歩。あと一歩だけ近づけたら。 ――あ。詩乃の指が動いている。やけにスローモーションだ。 こちらを向いていた銃口が、光った。 どん、という衝撃。視界が勝手に上を向く。 私が最後に見た光景は、月も見えない真っ暗な空。 ――あーあ、間に合わなかったか。 ――最後に、キスをする時間くらい、あったっていいと思ったのに。 ◇ もう、誰もいない。 甲斐盟絵は己の間違いに気付きながら、未練を残しながら、逝った。 葦切詩乃は引き金を引いたあと、誰にも看取られることのないまま消えた。 残ったのは一つの銃と一つの天秤と、一つの死体。 他には何も、想いも言葉も、残りはしなかった。 【甲斐盟絵@少女セクト 死亡】 【葦切詩乃@少女セクト 消滅】 020 HOLES 投下順 022:だっていつも会うあの子はさ 020 HOLES 時系列順 022:だっていつも会うあの子はさ