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俺たちは本当に非情か? (――嫌だ。死ぬなんて、殺すなんて、恐ろしい。まっぴらだ。まだまだ、やりたいことがいっぱいあるのに!) 小渕みなみ(7番)は走っていた。 仲間を――普段からつるんでいた加藤乙女たちを探すためだ。 恐怖で何度も気がふれそうになった。 しかし、そのたびに乙女たちがきっとなんとかしてくれると自身に暗示をかけることでここまで耐え抜いてきた。 (――そうだ。乙女たちと合流できれば、きっとこんなクソゲームを抜け出す方法だって見つかる! 現に今までだって4人でそうやってきたじゃない……!) 所詮自分も1人では何も出来ない愚かな存在なんだな、と心の奥底で改めて痛感しながらみなみは走り続けた。 自身に支給された変わったデザインのバタフライナイフを握り締めながら。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「――まずは銃だな」 森を歩きながら小日向雄真が最初に考えたことがそれだった。 自身に支給された日本刀、皆琉神威は参加者に支給された武器の中では確かに強い部類に入るだろう。 しかし、相手に近づかなければ攻撃ができない――つまり射程が短いという欠点がある。 そのため、これから先銃器を持ったものを相手にしていくためにはどうしても同じような銃器が必要だった。 (――といっても、そう簡単に手に入らないだろうしなあ……) こうなったら、殺し合いに乗っておらず、なおかつ銃を持っている参加者と出会い次第だまし討ちして片っ端から奪っていくか、などと考えていると、ふと誰かの足音が聞こえてきた。 「? 誰だいったい?」 とりあえず雄真は近くの茂みに身を隠すことにした。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ――小渕みなみは未だ走り続けていた。 仲間たちを探すために。 「乙女、夏美、来実……いったいどこにいるのよ……1人は嫌だよ……」 そんなことを呟きながらしばらく走っていると、先の道筋に何かが転がっていることに気がついた。 「な…何……?」 恐る恐るそれに近づいてよく見てみる。 それは結構大きいものだった。下手したら自分以上の大きさかもしれなかった。 ――それは榊千鶴(30番)の亡骸だった。 (――なあんだ……ただの女の子か。そう、ただのメガネで三つ編みをした女の子だ。ピクリとも動かないし、息もしてない。 あ。しかも身体中が真っ赤だ。――ああ、そうか。きっと誰かに殺されたんだね、うん。こんな島だもん。当然といえば当然よね―――ってふぇっ!?) ちょ……ちょっと待って? ってことは、この子は……いや、コレは……… 「しししししししたしたしたしたいしたいしたい死体死体死体-――ー!?」 身体中がガクガクと震えだす。震えが止まらない。 「こここここの子……しししし死んでる、死んでるしんでるしんでるしんで………… ――いやああああああああああああああああ!!」 悲鳴をあげ、みなみはまた走り出した。 ただ遠くへ――目の前の現実から逃れるために―――― ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「――なんだったんだあいつ?」 目の前を走り去っていった少女――小渕みなみの背中を不思議そうに眺めながら、小日向雄真は茂みの中から姿を現した。 「見たところ殺し合いに乗っているようには見えなかったけど……まあ、ほっとくか。別に俺には関係ないし、ああいう奴はこの先そう長くは生き残れないだろうし……」 雄真はみなみが走ってきた方へと目を向ける。 「――むこうに何かあるのかな?」 そう呟くと雄真はその方向へと歩き始めた。 「――ああ、なるほど。そういうわけか……」 少し歩いたところで雄真は榊千鶴の亡骸を発見した。 死んでからまだ1時間もたっていないのだろう。それからはまだ死臭もしなかった。 ――別に恐怖は感じなかった。 ただ、人間も簡単にこうなるんだな、ということを改めて思い知った。 雄真は千鶴の亡骸を一瞥すると今度は周辺を見渡した。 すると、思ったとおり、近くに千鶴のものと思われるデイパックが落ちていた。 「食料と水だけでもあったら貰っとくかな……」 そう言ってデイパックを開帳する。 「ん?」 すると、意外なものがその中から出てきた。 それは雄真が先ほどから欲しいと思っていたもの――銃だった。 しかも予備マガジン付きだ。 (なんだ? 殺した奴は奪っていかなかったのか? 随分と変わった奴だな……) そう思いながら雄真はその銃――グロック19とマガジンをポケットに仕舞い込み、さらには水と食料を自分のデイパックに移し換えると、もう一度千鶴の亡骸を一瞥した。 「墓荒しみたいな真似して悪かったな。でも、こっちも死ぬわけにはいかないんだ。だから、こいつは遠慮なく使わせてもらう。 ――それと、全て片付いたら俺が絶対にみんな生き返らせてやるから、それまでゆっくり休んでろ……」 そう吐き捨て、再び森の奥へと雄真が歩いて行こうとしたその刹那、近くから1発の銃声が聞こえた。 思わず雄真は足を止め、銃声が聞こえた方へチラリと顔を向ける。方角からして、先ほどの少女が走っていった方だろうか? (……俺には関係ないことだ。気にするな…………) そう自分に言い聞かせ、この場を去ろうとした雄真であったが、彼の足は自然と銃声がした方へと進んでいた。 (――はは…俺、まだ非情に成り切れていないみたいだな…………) 自分の行動に呆れ、苦笑いしながら雄真は自分が歩いて来た道を戻っていった。それも駆け足で…… ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 森の中をただ黙々と進んでいく1人の影。 その手には支給された一丁の銃が握られていた。 ――遠坂凛(46番)。聖杯戦争に自らエントリーした者の1人で、魔術の名門、遠坂家の魔術師である。 (やれやれ、綺礼もろくなことをしないわね……) 今回の聖杯戦争の主催者であり管理者である自身の兄弟子に対し心の中で1人ごちる。 彼女が幼い頃から魔術師の師である父から聞かされていた聖杯戦争というものは、7人の『マスター』と呼ばれる魔術師が『サーヴァント』と呼ばれる使い魔を使役して行う――というものだ。 それなのに、今回自身が参加したものはそれとはまったく違ったものであった。 ルールが変わったなら事前に教えてくれ、と思いたくなるのも当然といえば当然である。 (しかも、参加者のほとんどが魔術師じゃない一般人みたいだし……本当に何を考えているのかしら?) そんなことをしばらく考えていた凛であったが、しばらくして考えるのを止めた。 「――まあ、ルールや参加者がどうであれ、これが聖杯戦争であることに変わりはないんだし……過ぎたことをいちいち気にしてても仕方ないか……ん?」 ――ふと耳をすませると、足音が聞こえることに気がついた。 足音はだんだん大きく、はっきりと聞こえてくる。つまり、誰かがこちらに向かって走ってくるということだ。 「……はあ、なんて迂闊な……」 このような状況で足音をたてて走るなど、敵に居場所を教えているようなものだというのに気が付かないのだろうか、と思いながら凛は近くの茂みに一度身を隠した。 茂みに身を隠すと、凛は自身の手に握られている見ているだけで重量がありそうだと判るソレにちらりと目をやる。 ――デザートイーグル。 普段は銃なんて馴染みのない凛だが、ご自慢の魔術が制限されてしまっている以上、今はこれで戦うしか道はない。 それに、その銃に使われている.50口径という弾丸は1発でも相手に命中すれば間違いなく致命傷だ。 ――走ってきたのは、凛と同年代の少女だった。向こうは凛にはまったく気が付いていないようだ。 ゆっくりと凛はデザートイーグルを少女に向け構えた。 「――悪く思わないでね…………」 1発の銃声が森に響き渡った。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ――小渕みなみは走り続ける。 終わりなき現実からの逃走劇を1人黙々と続けていた。 どこへ行くのか、どこまで走るのかなど彼女自身も判らなかった。 ただ逃げて逃げて、逃げ続けるだけしか出来なかった。 「夢だ……これは悪い夢だ……そうだよ。きっと目が覚めたらいつもの朝みたいにベッドの上で……それで……」 ――それから先が彼女の口から語られることはなかった。 なぜなら次の瞬間、彼女の耳にダァンという聞きなれない音が聞こえ、彼女の声も思考も突然途切れたからだ。 その時、みなみの視界に映ったもの。 それは自分の方に銃口を向ける1人の見知らぬ少女の姿だった。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「…………」 「――貴様、何故撃たなかった?」 凛の隠れていた茂みの向かい側――そこに生い茂る草木の陰から1人の女性が姿を現した。 長い髪に見知らぬ軍服を着こみ、手には機関拳銃、USSR スチェッキン。 ――――35番、神宮寺まりも。 彼女の持つスチェッキンの銃口からは、うっすらと硝煙が立ち上っていた。 ――そう。今みなみを撃ったのは凛ではなく、彼女であった。 「――安全装置を外し忘れたのよ」 「嘘をつくな。――さしずめ、自分では人を殺める覚悟を決めたはいいが、未だ心の奥底では非情に成り切れていない、といったところか?」 「…………」 「貴様も判っているのだろう? 生き残るためには殺すしかないと、そして……自らの目標を――願いを叶える為には最後まで生き残るしかないと…………」 「――悪いけど、私には目標や願いなんてないわ。死ぬつもりは微塵もないけどね」 「なんだと!?」 今、凛が言ったことに嘘、偽りはひとつもない。間違いなく彼女の本心である。 特に聖杯で叶えたい願いなど存在しない。ただ『魔術師の名門である遠坂家の人間である以上、聖杯戦争に勝ち残るのは必然である』というそれだけの一念で彼女はここにいるのだ。 ――――しかし、彼女は魔術師ではない一般人を手にかけるほど彼女は非情ではなかった。先ほど、みなみを撃たなかったのもそういうことである。 彼女自身はそのことに気づいているかは判らないが………… 「――まさか……この戦場において殺すことを否定するというのか?」 「別にそこまでは思っていないわ。でも、それは貴女だって同じでしょう?」 「何?」 「銃を持っているのに、何故すぐに私を撃たないのかしら?」 「それは…………」 まりもは答えることは出来なかった。結局、彼女も非情に成り切れてはいないのだ。 「――――だが……」 まりもは下ろしていたスチェッキンを再びゆっくりと上げる。 その銃口の先には間違いなく凛の姿があった。 「私と貴様には唯一違うものがある。それは、私には叶えたい……いや。叶えなければならない望みがあるということだ。 そのためには……これ以上躊躇するつもりは…………ない!」 そう叫ぶとまりもはぐっとスチェッキンのトリガーを引――くことは出来なかった。 「――いや。あんたもそれほど変わらないよ。そこにいる奴とさ…………」 「!?」 ふいに凛でもまりもでもない第三者の声がしたからだ。 2人が声のした方へ目を向けると同時に―――― ダァン、ダァン!! 2発の銃声が一帯に轟いた―――― ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「…………」 近くの茂みから姿を現した小日向雄真は、ゆっくりとグロックを下ろした。 はじめて撃った銃の感触は、思っていた通り良いものではなかった。 ――が、銃という武器自体は悪くはないな、と思った。 「う、あ…………」 ――1人の少女が呻き声を上げ、ゆっくりと地面に崩れ落ちていく。 銃弾を受けたのは…………まりもではない。しかし、凛でもなかった。 「!? こいつ……」 まりもはその少女の姿を見て驚愕した。 なぜなら、それは先ほど自身が射殺したと思っていた小渕みなみその人だったからだ。 そして、みなみのその手にはきらりと輝くナイフ。 「馬鹿な…………まだ生きていたというのか?」 「――結局、お互い詰めが甘かったってことね…………」 そう呟いて凛は自嘲するようにフッと笑った。 「……おい」 「なんだ?」 「なに?」 突然、雄真が2人に対して口を開く。 「――俺たちはこの島で、最後まで自身の意思を貫けると思うか?」 「…………」 「…………」 「…………」 しばしの沈黙。 まりも、凛、そして雄真の3人は銃を向けることなく、ただじっとそれぞれの顔を見合わせるだけであった。 なぜなら、言わなくてもその問いの答えは3人とも同じだからだ。 ――貫けるわけがない。 たとえ人を殺す覚悟があろうとなかろうと、非情になろうとなるまいと、目的があろうとなかろうと、狂気のみが支配するこの島では1人の人間の意志という弱い力など簡単にねじ伏せられてしまう。 それでも―――― 「――それでも私は、自らの目的を成す為には躊躇はしない……!」 「そう。私もよ……」 「俺もだ……」 「――俺たちの生き残りたい理由、叶えたい願いは決して同じものじゃない。かといって、俺たちが今ここで殺し合うという必要もない。 俺たちがこれから先、意思を変えようが、どう行動しようが、それは俺たちの知ったことじゃない…………」 「少年、何が言いたい?」 「結局、私たち……いや、この島にいる参加者が心の奥底で思っていることはみんな同じってことでしょ? 殺さなきゃ殺されるってことは判っている。でも、その目的をふとしたきっかけですぐに見失ってしまいそうになる……」 「…………」 「…………」 「…………」 またしても沈黙。 「――悪いが、私は行くぞ。長居は無用だからな」 「あら? 私を殺していかないの?」 「私が貴様を撃った瞬間、私はそこにいる少年に撃たれるのがオチだ」 「よく判っているな……」 「――――お前たち、一応名を聞いておこう。 私は国連太平洋方面第11軍・横浜基地衛士訓練学校・第207衛士訓練部隊教導官、神宮寺まりもだ。階級は軍曹」 「そりゃまた随分長い自己紹介だな……。俺は小日向雄真。ただの平凡な――普通の学生だ」 「遠坂凛よ」 雄真と凛から名を聞くと、まりもは黙ってその場を後にした。まるで『ここでは何事もなかった』という具合に。 「――んじゃ、俺も行くとするか……」 「あの子の武器、貰っていかないの?」 凛はチラリとみなみの死体を見やる。 「――そいつはもともとお前が殺すべき対象だったんだ。それならお前が持って行けよ」 「そう。なら遠慮なく貰っていくわ……」 雄真はグロッグの残弾を確認すると、それをズボンに差し、まりもが去って行った方とは反対の方向へ歩き出した。 そして凛も、みなみのナイフとデイパックを手に取り歩き出した。2人とは違う方向へ。 非情に成り切れない殺戮者たちは、それぞれの行く末も判らぬまま再び標的を求めて歩き始めた。 【時間:1日目・午後16時40分】 【場所:森の中】 小日向雄真 【装備:グロック19(9mmパラベラム弾15/17)、皆琉神威】 【所持品:予備マガジン(9mmパラベラム弾17発入り)×3、支給品一式(水、食料のみ2人分)】 【状態:健康。マーダー】 【思考】 1)優勝して聖杯で全参加者を生き返らせる(しかし、やや迷いあり?) 遠坂凛 【装備:デザートイーグル(.50AE弾7/7)、バタフライナイフ】 【所持品A:予備マガジン(.50AE弾7発入り)×3、支給品一式】 【所持品B:支給品一式】 【状態:健康。マーダー】 【思考】 1)とりあえず他の参加者を全員倒して優勝する(しかし、やや迷いあり?) 神宮寺まりも 【装備:USSR スチェッキン(9mmマカロフ弾17/20)】 【所持品:予備マガジン(9mmマカロフ弾20発入り)×3、支給品一式】 【状態:健康。マーダー】 【思考】 1)優勝して聖杯にBETAを倒してもらう(しかし、やや迷いあり?) 【小渕みなみ 死亡 残り55人】 【武器詳細】 グロック19 1988年に登場した、グロック17のコンパクトモデル。 グロック17を全体的にコンパクトに収め、ユーザーからの要望を基に細かい修正が加わったグロック第2世代の銃。 ニューヨーク市警(NYPD)に警官用として4万挺が導入された他、ドイツのGSG9にも採用され、国連では保安要員用の拳銃として使用されている。 デザートイーグル アメリカのマグナムリサーチ社が開発し、イスラエルのIMI社が生産している世界有数の大口径自動拳銃。 1985年にリボルバー用の.357Magnum弾が発射できる自動拳銃として発表されたが、動作不良が多く評判はさっぱりだった。 しかし、改良が加えられ.44Magnumモデルが登場した辺りで人気が出始め、91年には大口径の.50AE弾モデルが発表され、マグナムピストルとして確固たる位置を築いた。 本来は熊などの狩猟用を目的とした銃だけに射撃時の反動は凄まじく、女子供が撃つと肩の骨が外れるほどの威力と巷で噂されているが、これはフィクションなどの影響によるデマである。 射撃時の反動は確かに大きいが、同じ弾薬を使用するリボルバーに比べれば扱いやすい。現実には射撃姿勢や扱い方に注意を払えば、一般的な体格の人間なら撃つことはたやすい。 通称「ハンドキャノン」。 USSR スチェッキン 前線下士官や特殊部隊向けにソビエト軍が1951年に制式採用した機関拳銃。 毎分750発の連続発射が可能ながら、レートリデューサーのお陰で連射時のコントロールが難しくない。 とは云え、さすがに片手保持での連射は容易ではないらしくホルスター兼用のストックが付属している。 70年代に入ってからは第一線部隊から引き上げられ、現在はロシア警察や内務省の治安維持部隊が使用している。 バタフライナイフ 刃を納める方法、可動部のシンプルな構造による強度等により、ツールとして安全で優れた機能を持っているナイフ。 主催者がウケでも狙ったのか、アニメ『真月譚 月姫』に登場した『七夜のナイフ』を模したデザインをしている。 時系列順で読む 前話 願い事は何ですか? 叶えにくいものですか? 次話 呪縛なし自縛霊自爆レタス添え 投下順で読む 前話 Funnyboy on the run 次話 厳島貴子の奇妙な冒険 3バカブラッド 前登場 名前 次登場 殺戮者の誕生 小日向雄真 ごめんねエンジェル? 開戦直前 遠坂凛 Liar Girl 願い事は何ですか? 叶えにくいものですか? 神宮寺まりも フォレスト・イン・ザ・ダーク GameStart 小渕みなみ GameOver
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伝説の勇者の伝説3 非情の安眠妨害とは、 富士見ファンタジア文庫より発売されている、伝説の勇者の伝説の本編の1つである。 概要 平成15年5月25日初版。 「勇者の遺物捜索編」の1つ。 新装版は「シオン・アスタール」が表紙。 収録 PROLOGUE Ⅰ 壊れていく夢の中で- 第一章 未来への約束 第二章 少女との遭遇 第三章 それぞれの憂鬱 第四章 覚醒を始めた世界 PROLOGUE Ⅱ -それでも夢を見つづける あとがき 主な関連用語 ライナ・リュート シオン・アスタール フェリス・エリス イリス・エリス クラウ・クロム カルネ・カイウェル ミラン・フロワード エスリナ・フォークル ミルク・カラード ルーク・スタッカート ラッハ・ベラリオール ムー・ベラリオール リーレ・リンクル スイ・オルラ クゥ・オルラ ノア・エン サラウェル・セイル ローランド帝国 ネルファ皇国 エスタブール王国 アイルクローノの鎌 エレミーオの櫛 忘却欠片(ルールフラグメ) 紅指 西、無、陣、陽の向きから光輝を生み出す 忌破り 『忌破り』追撃部隊 ローランド三0七号特殊施設 すたーてぃんぐ・れじぇんど
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種族 ランク コスト 成長 リミマ報酬 神 SR 16 普通 画像未登録 前衛 闇 デスコンダクター 30 (MAX限界突破)デスコンダクター 30 後衛 風 メメントリン 10 (MAX限界突破)メメントモリ 10 サポート 水 後光 0 (MAX限界突破)威光 0 最終進化画像
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<ある日の風景~非情な現実~> 美希 「う、うぅ……(バタンッ!)」 千早 「み、美希!?」 シン 「どうした? 何があったんだよいったい!?」 美希 「ち、千早さん……ごめんなさい」 千早 「えっ?」 美希 「ミキ、こんなことになるなんて思ってもみなかったの……」 シン 「こんなことって……まさか961プロの連中に何かされたのか!?」 美希 「っ、うう……」 千早 「美希、泣かないで……何があったのか話してくれる?」 美希 「千早さん……」 千早 「こんな形になってしまったけど、私たちは美希の味方よ」 シン 「千早の言う通りだ。力になれるならなんだってするさ」 美希 「マネージャーさんまで……ぐすっ、ありがとうなの」 シン 「それで、いったいなんで泣いてるんだ?」 美希 「それが……」 千早 「えぇ」 シン 「うん」 美希 「961プロじゃ、ミキの胸が一番小さかったの!」 シン 「……え? それだけ?」 美希 「「それだけ?」じゃないよ! これじゃもうミキは『特技:胸がおっきいこと』って言えないよ!」 シン 「いや、それ特技じゃないだろ」 美希 「貴音はまだ分かるけど、響はそんなにないって思ってたのに……うぅ、思い出したらまた悲しくなってきたの」 シン 「それでわざわざ事務所まで来られても……って、千早?」 千早 「…………」 ――バシッ! 美希 「きゃうっ!?」 千早 「甘えるなっ!!」 それだけ言って立ち去った千早は、背中から鬼のオーラを立ち昇らせていた。 一瞬、千早の前後がどっちか分からなくなったのは秘密……ちょ、千早! なんでこんなところに(ry (シンの手記はここで途切れている)
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作詞:koss 作曲:koss 編曲:koss 歌:初音ミク 翻譯:pumyau 現實是無情的 總想些無聊的事 向這樣的自己 Bye Bye! 我要堅持孤獨 不依靠任何人的活下去 回過神來發現找都找不著 愛啦夢啦希望啦那些全部 其實我很想 相信那種甜美的夢 你願意溫柔待我嗎? 你願意守護我嗎? 你願意帶我走嗎? 現實是無情的 即使列舉美麗的言詞 那種玩意也全都是 Lie Lie! 只是一股腦的 感受絕望 立於這世間 將腦中撒嬌的妄想 全部全部破壞殆盡 如此行動然後被背叛 然後更加堅強 你願意了解我嗎? 你願意給我美好的回憶嗎? 你願意讓我幸福嗎? 現實是無情的 一味的嘶喊 不知不覺間眼淚也乾涸了 煩人的感情 也不知消失到何處去了 你願意引導我嗎? 你願意悄悄抱緊我嗎? 你願意永遠待在我身邊嗎? 你願意跟我感受同樣的心情嗎? 你願意聽我的歌嗎? 你願意看著我嗎? 你願意認同我嗎? 現實是無情的
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2023年8月26日 出題者:耳 タイトル:「雨の日は非情」 【問題】 母はいつも友達をつれてこないと機嫌が悪いが、 濡れている友達だけは押し返して扉を閉めてしまう。 どういうこと? 【解説】 + ... ティッシュペーパーは1枚引っぱると、次の1枚も一緒に上に引っぱられるようにできている。 女(ちなみに子持ち)はティッシュを引いたとき次の1枚がついてこないとムッとするが、 ウェットティッシュの場合はそのまま放置すると乾いてしまって使えなくなるので、 容器の中に押し戻してフタをしてしまうのだ。 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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非情なる暴君 セイバー/アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕 キャラクター EX:宙 1 コスト:宙宙宙宙宙 タイプ:サーヴァント A P : 5 D P : 2 S P : 0 DMG : 4 [誘発] このキャラが登場したとき、DMGが3以下の味方キャラ1体を未行動にする。 エキスパンション:Fate/Grand Order 1.0 レアリティ:【ST】 ILLUSTRATION fujy:LO-0111 考察 収録エキスパンション Fate/Grand Order 1.0【ST】※スターター限定封入 Q A類 Q.DMGが2のキャラに能力等でDMG+2しました。このキャラを 【LO-0111 非情なる暴君 セイバー/アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕】の能力で未行動にすることはできますか? A.いいえ、できません。能力を処理する時点のDMGで比較を行って下さい。(17/02/26) その他 フレーバーテキスト:「聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだという事をな。」 名前
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一方、現実世界では役に立たないと思った為シャドーマンを光熱斗に売り渡したダークミヤビはカオスロワで勝ち残るためマーダーとなった。 そして、支給品のナイフと墜落してきた子供だったものが直撃して死んでいた女性の支給品だったナイフを武器に3人もの参加者を殺害していた。 子供のほうは、実はうるさかったので祐一郎に九州ロボから投げ捨てられていた大山チサオ、女性のほうは携帯と財布を落として大災害の数日前から路頭に迷っていた重音テトだったのだが、彼には関係のない事である。 こうしてみると順調そうな彼だが、殺した相手が持っていた支給品は、和傘、ロープ、パーティ用とんがり帽子と使えない代物だったりと運には恵まれていないようだ。 そんな彼の不幸はここからであった。 彼が次にであったのはネットマフィアゴスペルのネットナビ「エアーマン」に似ている何かだった。 3人の参加者を殺害した時のように隠れて奇襲しようとした彼であったが相手の思わぬ姿に思わず驚いて立ち上がってしまった。 それに気付いた相手の放った竜巻をかわしきれず、彼は支給品もろとも粉々に砕かれた。 【一日目・9時15分/日本・鳥取県】 【エアーマン@ロックマン2】 【状態】通常 【装備】槍 【道具】支給品一式 【思考】 基本:ワイリー博士の世界征服の足掛かりとして、カオスロワを乗っ取る 1:ワイリー博士とその配下のロボット以外は可能な限り殺害する 2:主催は首相官邸にいると思ってる 3:よって、ひとまず東京を目指す 【大山チサオ@ロックマンエグゼ 死亡確認】※支給品扱い 死因:墜落死 【重音テト@VOCALOID 死亡確認】 死因:チサオが激突 【ハンター@逃走中 死亡確認】 【シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 死亡確認】 【ブラックジャック@ブラックジャック 死亡確認】 死因:ダークミヤビによって刺殺 【ダークミヤビ@ロックマンエグゼシリーズ 死亡確認】 死因:エアーシューター
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茶ノ畑珠美は蒼葉梢を探していた。 桃乃恵の死と言う突然の惨劇。 その直後の突然の暗転、覚醒。 首に巻かれた無機質な金属が全てを物語っていた。 珠実は急いで親友であり大切な人である梢を探していた。 だが、その先で出会ったのは幼い女の子を嬉々として殺害する女子高生だった。 「今何をしたですか。」 気づいたら、珠実は女子高生の前に立っていた。 レイピアを持ったままの女子高生に、向き立つと女子高生はにっこりほほ笑んだ。 「あら、あんたも死にたいの?」 「質問を質問で返すなです、クソが。」 「うわあ、怖い顔…」 女子高生がレイピアの切っ先をこちらに向けた。 間違いない、この女子高生はこの殺し合いに乗っている。 それだけじゃない、彼女は――殺し慣れている。 「…なぜ殺したですか。」 「だって、死の瞬間を見るのが面白いんだもん。大丈夫だよ、すぐあなたの知り合いもみんなみ~んな殺してあげるから。」 そういうと女子高生は珠実に襲いかかった。 「……ふざけんじゃ、ない、ですよ………!!」 表には出さずとも珠実はかなり怒っていた。 鳴滝荘で共に暮らしてきた桃乃恵をあっさりと殺したメガネの男に。 梢の傍にいてやれない自分に。 何の罪もないであろう少女を惨殺した目の前の女子高生に。 そして何より この少女は、梢をも殺すと言ったのだ。 それだけは、何を許しても許せるものではなかった。 レイピアの鋭い切っ先が、珠実のセーラー服の左袖を破く。 福沢は一発で仕留められなかった事に内心舌打ちをしたが、殺す時が少し伸びただけだから良いや、とも思っていた。 だが、次の瞬間、福沢の身体に衝撃が走った。 珠実の右足が、福沢の鳩尾に食い込んでいた。 「ガ、はっ……」 福沢の口から唾と胃液が混ざったものが飛び出す。 つんのめった福沢の側頭部に、今度は珠実の左足が直撃した。 福沢の軽い身体が、飛ばされた。 福沢の頭に、先ほどの蹴り以上の衝撃が走る。 後頭部を、墓石である御影石に打ち付けたのだ。 朦朧とする意識の中で、福沢は離してしまったレイピアを必死に探す。 せめて、せめてあの女を、あの女を…… だが、その手がつかんだのは土だけだった。 視界がどろどろに歪んでいく。 そして全てが赤く染まっていく。 ああ、もう私は死ぬんだ。 これが、死の瞬間なんだ。 まとめなきゃ 急いで、まとめて…… 「…嘘……」 珠実は、呆然としていた。 確かに彼女が憎かった。 許せなかった。 だが、だからと言って殺したかったかと聞かれたら、答える事は出来ない。 目の前の女子高生は、もう息をしていない。 かち割れた頭からは脳漿と血液がドロドロとあふれ、異臭を放つ。 「……くっ」 珠実は急いでその場を後にした。 これ以上この場にいてはいけない、そう思ったからだった。 墓場には、死体が二つ残された。 その墓場に、一人の男が来ようとしていたのを、珠実は知らない。 【福沢玲子@学校であった怖い話 死亡】 【F-6墓場/1日目朝】 【茶ノ畑珠美@まほらば】 [状態]:健康、精神的ショック(中) [装備]:レイピア@ブシドーブレード弐 [道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、福沢の基本支給品一式、みかの基本支給品一式 [思考]1:梢を守る [備考]何者かがF-6墓場に近づいています。 023 サムライとハリセンと少女 投下順 025 混乱の予兆 023 サムライとハリセンと少女 時系列順 025 混乱の予兆 008 墓場に流血とか縁起が悪すぎる 福沢玲子 GAME OVER 008 墓場に流血とか縁起が悪すぎる 茶ノ畑珠美 049 Lilium
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鋼人七瀬を取り扱うサイトの掲示板、 と言う舞台で始まった、嘘ばかり塗り固められた虚構の推理。 どのような嘘で鋼人七瀬を倒すのか、その顛末を弓原紗季は見ることはない。 戦いの最中に、姫神葵と名乗る人物による殺し合いの舞台へと招かれた彼女には。 怪異を前にしたお陰かせいか、冷静にこの状況を把握できてる方だ。 (六花さんの策……にしては、 彼女一人では規模が大きすぎる。) 鋼人七瀬を突破されることを危惧して、 六花が用意していた予備の策……と、彼女はそう捉えるが、 彼女が持つ未来決定能力は、あくまで起こりうる未来から決定するもの。 あの状況から自分を気づかれずに拉致し、一度殺し合いのルールの説明をして、 さらにもう一度気づかれないまま、今いる公園までの状況へ持ち込む。 幾ら未来決定能力があるとしても、とてもできる所業とは思えなかった。 やはり考えられるのは、あの姫神葵の言葉通りて考えるべきだろう。 姫神葵の裏に、彼女がいないとはとても思えないが。 (まずはこの首輪を何とかしないと、話が進まないわね。) 考えるべきことは多いが、目先の問題と言えばこれ一つに尽きる。 何をするにしても、首に巻かれたそれが文字通りのネックとなるのだ。 これがあっては、抵抗しようにも相手は生殺与奪の権利を握っている。 怪異と言ったオカルトとの戦いから一転、こんな機械を相手することになるとは。 交通課と言えども警察官。名簿と地図は頭に入れ、二人がいることも把握済みだ。 岩永の頭脳ならば、ある程度の解決策を見出している可能性は少なくともあるだろう、 特に彼女は疑心暗鬼の多いこの殺し合いで、信用できる相手を見つけられるのは大きい。 一方で、不死である筈の九朗が参加していることや、鋼人七瀬まで名簿に載っていたりと、 疑問やら嬉しくない情報もいくつか舞い込んでたりはするが、そこは一先ず保留とする。 彼女が目指す場所は、二人が向かいそうなB-2、真倉坂市工事現場。 七瀬かりんの遺体が発見された場所で、二人も同じように探しているなら、 この地図上で最も縁ある此処に向かっている可能性は、十分にあるはずだ。 鋼人七瀬の存在がいるとなれば、悠長に行動している場合ではない。 余力を残しつつ走るが─── 「!」 公園から響く嵐の如き騒音が、足を止めさせた。 佐倉杏子にとって、人の生死については見慣れたものだ。 グリーフシードの為に魔女に成長するまで放っておけば、 確実に死者が出てくるのだから、当然と言えば当然だ。 今回の殺し合いも、ある意味似たようなものなのは間違いない。 得るものの為に、他人を犠牲にしろ。全く変わらないことなのだが、 「ふっざけんな!!」 いかんせん、そのタイミングが最悪に等しかった。 今の彼女は荒れに荒れて、そこら中の物にその槍を振るう。 なぜ、こんなことになっているのか。時間を少し遡らせよう。 度重なる不運と言うべきか、 他人の為に戦う彼女だからとでも言うべきか。 それが原因で、魔女化してしまった美樹さやか。 助けるべく、杏子はまどかと共に、文字通り命を賭して臨んだ。 しかし、現実はそんな彼女の想いを汲み取ることはない非情。 まどかの言葉も届かなければ、魔女となった彼女を前に満身創痍となっていく。 そんな戦いの最中、彼女は一人呟いた。 『頼むよ神様……こんな人生だったんだ。 せめて最後ぐらい、幸せな夢を見させて……』 願った先、辿り着いたのが姫神葵がいた場所。 祈りの先が、神様が与えてくれたのが───これだ。 幸せな夢を願って与えられたものが殺し合いだと言うのか。 先ほどのルール説明の際は状況のせいで唖然としてしまったが、 冷静さを取り戻せば、こんな結末に彼女が激怒するのは当然の帰結だ。 もし最初から理解が追いついていれば、真っ先に姫神に突撃していただろう。 今や自販機やら、植え込みやらに八つ当たりし、見事に荒れている状態だ。 植え込みはあたりに散らされ、木々には槍による裂傷が無数に刻まれ、 自動販売機も側面がひしゃげたり、酷い有様だ。 彼女の心情を表しているのかもしれないが、 この舞台でそれは、悪手の一言に尽きる。 人気のない場所でそんな行動を取れば、どうあっても音がそこら中に届く。 近くにいた紗季にも当然届くし、街灯のせいでお互いの姿もはっきり見えた。 「あ。」 彼女の存在に目が合って、ようやく冷静さを取り戻す。 話は聞き流しかけてたが、大雑把な内容は把握している。 殺し合いの場で、こんなことやってる奴へ抱く印象は一つしかない。 目が合った瞬間、紗季は余力なんて言ってる場合ではなく全力で走る。 相手は子供ではあったが、あの槍を掻い潜って組み伏せるのは難しい。 対抗しうる手段を確立してない以上、相手にせず逃げるのは得策だ。 「ちょっと待て! アンタ絶対誤解してるだろ!!」 全力疾走で逃げる彼女は絶対誤解している。 この先出会った奴にあることないこと言われては困るので、 杏子もまた全力で彼女を追いかけた。 大人と子供と言えど、杏子は魔法少女。 すぐに追いついて、誤解を解くことに成功する。 一先ず落ち着けるよう公園の椅子に座って二人は話し合う。 暴れてた理由も(隠すと後が面倒なので)しっかり話すが、 「魔女に、魔法少女……頭が痛いわ。」 眉間にしわを寄せながら、紗季は軽く頭を抱える。 既に怪異だけでも、十分頭が痛くなるような内容なのに、 今度は魔法少女とオカルトではなくファンタジーときた。 短期間で怪異に慣れてしまった以上、すんなり受け入れられる。 すんなり受け入れられる自分の慣れは、少し嫌に思うが。 「ところで、そのさやかって、もしかして美樹さやかのこと?」 「ん? あいつのこと知ってるのか?」 「いえ、参加者の名簿に名前があって───」 「は!?」 困惑する彼女に名簿を見せ、 その名前が記されてることを教える。 ぶんどるように名簿を取られ、杏子は他の参加者も確認していく。 「どういうことだよ……」 全員の確認を終えれば、疑問の連続だ。 さやかだけでも驚きだと言うのに、 既に故人であったはずの巴マミまで名を連ねている。 それも、同姓同名の可能性を否定させる顔写真付きで。 一般人のまどかの参加の方も、彼女としては違和感があるが、 かたや魔女、かたや死人。一般人と比べるとインパクトが違う。 「あんなのいたら殺し合いどころじゃなくなるぞ。 この名簿、騙すための偽物って可能性はないよな?」 魔女になった彼女がするのは殺し合いではなく、 もはや一方的な蹂躙になるのは想像するに難くない。 倒す目的であるならば、まだ勝ち目はあるだろうが、 それは自分かほむらぐらいで、他に勝てる要素があるとは思えない。 あの場で回りを見ていなかったのもあって、偽の名簿に感じてくる。 「多分だけど、それはないと思うわ。」 「理由は?」 「ルール説明の時に、啖呵を切った人がいたんだけど、 彼が怪盗と指摘されて動揺した時、呆れた声がしたわ。」 僅かに聞こえた、呆れた声。 相手をよく知っていなければ出さないだろう。 「で、その知り合いってのは誰だったんだ?」 「……猫、でいいのかしら。」 「猫。」 声がした場所にいたのは黒猫だけだったそうだ。 猫が喋るのを想像して至るのは、キュウべぇの仲間の類。 似たようなものであるならば、それは頷ける。 念のため名簿を見るが、猫は参加していなかった。 猫っぽい何かはいたが、顔写真では判断がつかない。 「ってことは、意図的に知り合いを集めてるってわけか。」 「多分、一つや二つのグループじゃないのかも。 人数的に、グループは八つぐらいあるのが妥当になるわね。」 小林と言う名も二人ほど参加していることから、 ある程度参加者はグループ分けされてるのは事実だろう。 もっとも、その小林の一人はさん付けで本名が記載されてないし、 刈り取る者と言う、名前と言っていいのか怪しいのもいるが、 その辺は考えてもしかたないので、今は放っておくことにする。 「……あれ?」 此処で紗季は、あることに気づく。 「どうした?」 彼女は名簿を読み終えた。 つまり、参加者の名前は全員目を通したはず。 ならば何故、 「一つ尋ねるけど、貴方───鋼人七瀬は知らないの?」 鋼人七瀬の名前を見て、素通りしているのか。 あの都市伝説は、多くの人へと根付いた虚構の存在だ。 興味がない、と言っても名前くらいは知っててもおかしくはない。 そのはずなのに何もない。彼女は鋼人七瀬の名前を出さずに話が進む。 そこに彼女は引っかかりを感じて尋ねた。 「鋼人七瀬? えーっと……うわっなんだこれ。魔女か何かか?」 名簿を見直してみると、 黒く塗り潰された顔写真に嫌そうな顔をする。 完全に知らない反応。それどころか、魔女と言う誤認さえしていた。 お互い別の世界の住人なのだから当然と言えば当然だが、 気づける要素が現状余りないため、そこに到達はできなかった。 「あんた、これが何か知っているのか?」 「長くなるから簡潔に説明するけど……」 此処で隠す理由も特になく、鋼人七瀬について語る。 噛み砕いた説明の為、色々抜けていることはあるのだが、 「妖怪に怪異って、あんたの方も大概だな。」 魔法少女の話をしても信じられるか疑っていたが、 蓋を開けてみれば、相手もそれに近いものと縁があったと言うわけだ。 「ええ、そうね、否定できないわ……」 ごもっともな意見に紗季は目を逸らす。 ああいった存在が見えないだけで存在していた。 そう思うと正直鳥肌が立ってくる。 「悪いけど、ニュースとかネットにも疎いし知らないな。 魔女と同じで厄介みたいだが……まだ倒せる可能性、あるんじゃないのか?」 「どういうこと?」 「姫神って奴は、此処だと使えなくなる能力もあるって言ってたんだよな? 噂がないと形を保てないやつが、こんな場所でも保つのも結構無理がないか?」 見知った仲間を優先してたのもあったことだが、 彼女が虚弱になってる可能性に、紗季は見落としてた事に気づく、 噂で形を成す彼女は、このパレスではあの時程の脅威ではない可能性。 噂と言うバックアップがあるか怪しい今は、彼女を倒せる可能性があるのは僥倖だ。 無論、六花がこの殺し合いに関わってるのは状況からして明らかなこと。 殺し合いを加速させるための要員を、態々弱体化させるかは怪しいところだ。 相手の全貌は把握できてない以上、逆に強化してる可能性だってありうる。 一方で元々の予定である、虚構で築かれた推理自体も今や使えるかは怪しい。 仮にできたとしても、あの時と違って今度は何人が殺し合いに乗るか分からない状況。 長々と掲示板に書き込んでいる暇があると言えるほど、穏やかな状況でもない。 (元より、この状況においてネットに繋がるかどうか、と言う問題もあるだろうし。) 慢心と言うよりは、その可能性に賭けるしかないと言うべきか。 「……それでも、九朗君達を探すべきね。」 倒せる可能性があると言う収穫は大きい。 だが、問題は彼女を倒すだけの戦力をどうするか。 一体どれだけの戦力を以ってすれば倒せる程なのか。 逆に検討がつかず、何より信用できるかどうかの問題もある。 今回はたまたま信用できただけで、次もそうとは限らないのだ。 同じように、誰かと行動してる二人を探すべきなのかもしれない。 特に頭に回る岩永なら、疑わしい人物を連れているとは考えにくいのもある。 「あたしだけじゃ不満か?」 「そういうわけじゃないけれど、 貴方の知り合いの、さやかって子のことも考えると、 鋼人七瀬を倒すだけに力を使うわけにもいかないわ。」 何も、鋼人七瀬だけが敵と言うわけではない。 魔女になった人物や、他の参加者のことも吟味すると、 石橋を叩いて渡るぐらいが丁度いいだろう。 「だったら、見滝原中学に行ってみるか? アタシの知り合いが通ってた学校なんだよ。」 自分以外の知り合い全員が通っている中学。 紗季が二人を探しに工事現場に向かったように、 もしかしたら、そこに知り合いがいるかもしれない。 できることなら、人の姿であるさやかがいてくれると嬉しいが、 なんてことを思いつつ勧めてみる。 (魔法少女……この状況だと重要かもしれないけど……) 戦力的には申し分はないだろうが、問題は場所。 距離的には工事現場とそう違いはないものの、方向は逆だ。 どちらかを行ってからだと、確実にもう一方は大幅に時間を食う。 その間にもう一方の目当ての人物が、その場から動いてない可能性は皆無。 推測だが、鋼人七瀬以外にも殺し合いを加速させるための参加者がいるはず。 襲われないとは断言できないし、一か所に留まって解決できる状況でもない。 どちらを選ぶべきか考えてると、 「……何を、しているの?」 少し変形してしまった自販機を、杏子が漁っている。 別におかしいことはないのだが、腕を突っ込んで伸ばしており、 明らかに買ったものを取り出しているようには見受けられない。 「いや、この自販機さっき暴れて蹴ったからな。 壊れて出てくれたらラッキーだったんだが、そううまくもいかねえか。」 「普通に犯罪だからね、それ……後これ、無料で使えるみたいだけど。」 自販機の横に、倒れた看板がある。 『一人一回無料』と書かれており、 多分、先程彼女の癇癪の被害で倒されたのだろう。 試しに缶コーヒーを……と思ったが、あるのはジュースだけだ。 仕方がないので適当なジュースを選んで押すと、普通にでてくる。 「変なところで用意がいいな。」 どうやって一人一回を認識してるのか、 色々突っ込みたいことはあるが、今は気にしないでおく。 適当にジュースでも選ぼうかと彼女も続けてボタンを押した。 「それで、アタシは見滝原中学へ向かうけど、アンタはどうする? 誤解させたのは悪いけど、色々ほっとくわけにはいかねえからな。」 杏子の言うことはもっともだ。 自分と違って死んだ人と魔女になった人がいる以上、 此方に付き合ってもらうよりも、優先するべき理由がある。 答えは決めている。同行するか、しないで九朗達との合流を狙うか。 勝てたはずの勝負も、 負けたはず勝負も白紙にされた二人。 白紙になった二人の辿る道は、今から書き起こされる。 さやかと言う不要な不安要素を、自分達で作りながら。 【D-3/負け犬公園/一日目 深夜】 【弓原紗季@虚構推理】 [状態]:疲労(小) [装備]:なし [道具]:不明支給品1~3、ジュース@現地調達(内容は後続の方にお任せします) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いの破綻 1:合流の為工事現場か、戦力的に見て見滝原中学か 1:九朗君、岩永さんとの合流 2:美樹さやかに警戒(巴マミの存在も僅かに警戒) 3:魔法少女、ねぇ… ※鋼人七瀬を倒す作戦、実行直後の参戦です ※十中八九、六花が関わってると推測してます ※杏子から断片的ですが魔法少女に関する情報を得ました 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:姫神に対するストレス、魔法少女の状態 [装備]:なし [道具]:不明支給品1~3 ジュース@現地調達(内容は後続の方にお任せします) [思考・状況] 基本行動方針:とりあえず姫神を殴らないと気が済まない 1:見滝原中学へ向かう 2:鋼人七瀬に要警戒 3:さやかに会ったら… 4:可能なら、何処かでまどかを見つけて保護しておく ※魔女化したさやかと交戦中の時の参戦です ※最初の場のやり取りを大雑把にしか把握していませんが、 大まかな話は紗季から聞いています ※紗季から怪異、妖怪と九朗、岩永の情報を断片的に得ました ※さやかは魔女化した状態と思ってます ※パレスの中では、鋼人七瀬が弱体化してる可能性は仮説であるため、 実際に彼女が本当に弱体化してるかどうかは分かりません ※D-3、負け犬公園は荒れた状態です 派手に暴れたので誰か聞いてるかもしれません 自動販売機は今のところ問題なく機能してます Back← 006 →Next 005 異種間コミュニケーション(みんな人間ですけどね) 時系列順 007 不安の種 投下順 佐倉杏子 034 本当の気持ちと向き合えますか? 弓原紗季