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メニュー トップページ 社会 社会順番当て 2016年に私立から公立となった大学の名前に 山陽小野田市立→山口→東京→理科大学 アメリカによる核実験を行われたのが古い順に トリニティ実験(1945/7/16)→クロスロード作戦(1946/7/1)→グリーンハウス作戦(1951/4/8) 長野県、静岡県、愛知県にまたがる国定公園の名前に 天竜→奥→三河→国定公園 日本の漁港を北から順に 釧路(北海道)→銚子(千葉)→焼津(静岡) 北海道の祭りを1年で早く行われる順に 旭川冬まつり(2月)→YOSAKOIソーラン祭り(6月)→登別地獄まつり(8月) 札幌市営地下鉄の路線を開通したのが古い順に 南北線(1971/12/16)→東西線(1976/6/10)→東豊線(1988/12/2) 国を、国土面積に占める森林の割合が大きい順に ロシア(約50%)→中国(約23%)→オーストラリア(約17%) 刑法211条に定められた犯罪の名前に 業務上→過失→致死→傷罪 航空会社のAIRDOとソラシドエアの経営統合により設立された共同持株会社の名称に リージョナル→プラス→ウイングス 人物を、令和に法務大臣を務めた順に 河井克行(2019/9/11)→森まさこ(2019/10/31)→上川陽子(2020/9/16)→古川禎久(2021/10/4)→葉梨康弘(2022/8/10)→齋藤健(2022/11/11) 色をベルギー国旗の右から順に 赤→黄→黒 色をコロンビア国旗の上から順に 黄→青→赤 日本の川を東から順に 北上川(東北)→長良川(東海)→筑後川(九州)) 東京の神社で開催されるお祭りを、開催時期が1年の中で早い順に 神田祭(5月)→山王祭(6月)→深川祭(8月) イスラム教徒が行うサラートを、一日のうち早く行われるものの順に ファジュル(夜明け前)→ズフル(日の出以降)→アスル→マグリフ(日没以降)→イシャー(夜) 日本の行政区画を総数が多い順に 市(792)→町(743)→区(198)→村(189) アメリカに本社を置く経営コンサルティング会社の名前に ボストン→コンサルティング→グループ 2020年に日本政府が実施したキャンペーンを開始が早い順に Go To トラベル(2020年7月)→Go To イート(2020年9月)→Go To 商店街(2020/10/19) 米作りの手順を早い方から順に 田起こし→代かき→稲刈り 政治家を大阪市長を務めた順に 吉村洋文(2015)→松井一郎(2019)→横山英幸(2023) 首都圏3環状道路を内側に敷設されているものから順に 首都高速中央環状線→東京外かく環状道路→首都圏中央連絡自動車道 ロマンチック街道の名所であるドイツの町の名前に ディン→ケルス→ビュール 明治2年に設置された現在の国土地理院の起源となる機関の名前に 民部官→庶務司→戸籍→地図掛 災害や事故など予期せぬ事態に備えて、予め定めておく緊急時対応計画を表す言葉に コン→ティン→ジェンシー→プラン 人物を国土交通大臣を務めた順に 羽田雄一郎(2012/6/4)→太田昭宏(2012/12/26)→石井啓一(2015/10/7) 2019年に開通したJRおおさか東線の新駅を新大阪駅に近い方から順に 南吹田駅→JR淡路駅→城北公園通駅→JR野江駅→鴫野駅→放出駅→高井田中央駅→JR河内永和駅→JR俊徳道駅→JR長瀬駅→衣摺加美北駅→新加美駅→久宝寺駅 第2次地方銀行を本店が東にある順に みなと銀行(神戸市)→トマト銀行(岡山市)→もみじ銀行(広島市) 人物を、令和に厚生労働大臣を務めた順に 加藤勝信(2019/9/11)→田村憲久(2020/9/16)→後藤茂之(2021/10/4) 離島にかかる橋を路線の長さが長い順に 伊良部大橋(3540m)→古宇利大橋(1960m)→角島大橋(1780m) 石川県にある高校の名前に 日本→航空→高等学校→石川 2021年3月に新潟県糸魚川市に新設されたえちごトキめき鉄道の駅の名前に えちご→押上→ひすい→海岸 アメリカのスクールカーストの層を上位から順に ジョック→サイドキックス→スラッカー→ワナビー→ナード→ターゲット 政党を、2017年10月の衆議院議員総選挙における獲得議席数が多い順に 立憲民主党(55)→希望の党(50)→公明党(29)→日本共産党(12)→日本維新の会(11) 政党を2021年10月の衆議院議員総選挙で獲得した議席数が多い順に 自由民主党(262)→立憲民主党(96)→日本維新の会(41)→公明党(32)→国民民主党(11)→共産党(10)→れいわ新選組(3)→社民党(1) 温泉地を北から順に カルルス温泉(北海道)→箱根温泉郷(神奈川)→道後温泉(愛媛) 人物を日本維新の会の代表を務めた順に 橋下徹(2012/9/28)→石原慎太郎(2012/11/17)→松井一郎(2015/12/13)→馬場伸幸(2022/8/27) 政治家を日本維新の会の幹事長を務めた順に 松井一郎(2012)→馬場伸幸(2015)→藤田文武(2021) アフリカの川を河口がある場所が北から順に ナイル川(エジプト)→ニジェール川(ナイジェリア)→ザンベジ川(モザンビーク) 2021年に軍事クーデターでミャンマーを掌握した、軍の最高司令官の名前に ミン→アウン→フライン 中国の都市を北から順に 北京→天津→上海 災害の際に地方自治体から発令される避難情報を拘束力が強いものから順に 緊急安全確保(5)→避難指示(4)→高齢者等避難(3) フランス大統領を就任した順に ニコラ・サルコジ(2007)→フランソワ・オランド(2012)→エマニュエル・マクロン(2017) JR東日本が2017年5月から運行を開始した、クルーズトレインの名前に TRAIN→SUITE→四季島 人物を文部科学大臣を務めた順に 下村博文(2012/12/26)→馳浩(2015/10/7)→松野博一(2016/8/3)→林芳正(2017/8/3)→萩生田光一(2019/9/11)→末松信介(2021/10/4) 小売りと顧客の関係を表した言葉を、登場したのが早い順に シングルチャネル→マルチチャネル→クロスチャネル→オムニチャネル 中国の上海にある展望スポットとして人気の施設の名前に 金→茂→大→厦 韓国の政治家を大統領を務めた順に 李明博(2008)→朴槿恵(2013)→文在寅(2017)→尹錫悦(2022) 漢字で表記する国を五十音順に 月即別(ウズベキスタン)→厄瓜多(エクアドル)→岡比亜(ガンビア)→東埔寨(カンボジア)→黠戛斯(キルギス)→肯尼亜(ケニア)→獅子山(シエラレオネ)→津巴布韋(ジンバブエ)→捷克(チェコ)→尼日利亜(ナイジェリア)→納米比亜(ナミビア)→尼日爾(ニジェール) 念動力を意味する言葉に サイ→コキ→ネシス アシガバートを首都とする国の名前に トル→クメ→ニス→タン 人物を五千円札の肖像画に描かれた順に 聖徳太子(1957)→新渡戸稲造(1984)→樋口一葉(2004) 歴代駐日アメリカ大使を就任した順に ジョン・シーファー(2005)→ジョン・ルース(2009)→キャロライン・ケネディ(2013)→ウィリアム・F・ハガティ(2017) 日本三大灯台を東にあるものから順に 犬吠埼灯台(千葉)→経ヶ岬灯台(京都)→室戸岬灯台(高知) 非核兵器地帯条約を締結された順に トラテロルコ条約(1967/2/14)→ラロトンガ条約(1985/8/6)→バンコク条約(1995/12/15)→ペリンダバ条約(1996/4/11)→セメイ条約(2006/9/8) 東海道本線の区間を開通が早い順に 新橋-横浜間(1872/10/14)→大阪-神戸間(1874/5/11)→大阪-京都間(1877/2/6) 人物を、2016年7月の東京都知事選での得票数が多かった順に 小池百合子(2912628)→増田寛也(1793453)→鳥越俊太郎(1346103) 都道府県をワインの製造事業所数が多い順に 山梨県→北海道→山形県→福岡県 新聞紙の判型を面積が大きい順に ブランケット判(545mm×406mm)→ベルリナー判(470mm×315mm)→タブロイド判(406mm×272mm) 国を核兵器の保有数が多い順に ロシア(約6300)→アメリカ(約5800)→フランス(約300)→中国(約290) 中古車販売のガリバーを展開するガリバーインターナショナルの2016年7月からの社名に I→D→O→M イギリスにある世界初の鉄橋の名前に コール→ブルック→デール→橋 2017年に日本発着での日本海周遊クルーズが話題となった豪華客船の名称に コスタ→ネオ→ロマン→チカ 2021年1月に富山市に誕生した日本一長い駅名となった駅の名前に トヨタモビリティ→富山→Gスクエア→五福前 スウェーデンの首都ストックホルムにある宮殿の名前に ドロット→ニング→ホルム→宮殿 日本の河川を流域人口が大きい順に 多摩川(約425万人)→信濃川(約295万人)→石狩川(約250万人) 1999年にアメリカで制定された銀行や保険会社、証券会社の統合を認めた法律に グラム→リーチ→ブライリー→法 都市をブラジルの首都が置かれた順に サルバドール(1549)→リオデジャネイロ(1763)→ブラジリア(1960) 盆地を北から順に 富良野盆地(北海道)→北上盆地(岩手)→郡山盆地(福島) 排他的経済水域の面積が大きい順に オーストラリア(約850万km²)→イギリス(約615万km²)→ニュージーランド(約408万km²) 政治的・軍事的な対立を意味する言葉に コン→フロン→テー→ション 中国にある砂漠の名前に グル→バン→テュン→ギュト砂漠 人物を環境大臣を務めた順に 望月義夫(2014/9/3)→丸川珠代(2015/10/7)→山本公一(2016/8/3) オーストラリアの都市を北から順に ダーウィン→アリススプリングス→シドニー→メルボルン 平野を北から順に 石狩平野(北海道)→庄内平野(山形)→濃尾平野(岐阜、愛知)→筑紫平野(福岡、佐賀) 平野を面積が大きい順に 関東平野(約1万7千km²)→石狩平野(約3800km²)→十勝平野(約3600km²)→越後平野(約2000km²)→濃尾平野(約1800km²) 京都の観光地を北から順に 詩仙堂→哲学の道→南禅寺→東寺 人物を内閣官房長官を務めた順に 枝野幸男(2011/1/14)→藤村修(2011/9/2)→菅義偉(2012/12/26) 「そうりゅう」型潜水艦を進水式が行われた順に そうりゅう(2007/12/5)→うんりゅう(2008/10/15)→はくりゅう(2009/10/16)→ずいりゅう(2011/10/20)→じんりゅう(2014/10/8)→せいりゅう(2016/10/12) 早稲田大学の学部を設立が古い順に 人間科学部(1987)→スポーツ科学部(2003)→文化構想学部(2007) スマホ決済サービスをサービスを開始したのが早い順に 楽天ペイ(2008年10月)→PayPay(2018/6/15)→メルペイ(2019/2/13) 香川県丸亀市のマスコットキャラクターの名前に とり→奉行→骨付→じゅうじゅう 2012年に第12代世界銀行総裁に就任した韓国系アメリカ人の名前に ジム→ヨン→キム 人物を総務大臣を務めた順に 川端達夫(2011/9/2)→新藤義孝(2012/12/26)→高市早苗(2014/9/3) イタリア南部にある世界遺産の八角形の城の名前に カス→テル→デル→モンテ 近畿地方の行事・祭りを1年の中で早い時期から順に 十日えびす(1/8)→若草山の山焼き(1月第4土曜)→東大寺のお水取り(3月)→葵祭(5/15)→教祖祭PL花火芸術(8/1)→五山送り火(8/16)→岸和田だんじり祭(9月第3日曜) 国をボーキサイトの年間産出量が多い順に オーストラリア(約8800万トン)→中国(約6500万トン)→ブラジル(約3240万トン) ロンドンにある観光名所の名前に ハンプトン→コート→パレス 人物をアメリカの連邦準備制度理事会の議長を務めた順に アラン・グリーンスパン(1987)→ベン・バーナンキ(2006)→ジャネット・イエレン(2014)→ジェローム・パウエル(2018) ニューヨークに本部を置く世界四大会計事務所の一つの名前に デロイト→トウシュ→トーマツ 色をアイルランド国旗の右から順に オレンジ→白→緑 色をコートジボワール国旗の右から順に 緑→白→オレンジ 色をシエラレオネ国旗の上から順に 緑→白→青 色をギニア国旗の右から順に 緑→黄→赤 色をチャド国旗の右から順に 赤→黄→青 色をイエメン国旗の上から順に 赤→白→黒 色をルーマニア国旗の右から順に 赤→黄→青 色をマリ国旗の右から順に 赤→黄→緑 色をフランス国旗の右から順に 赤→白→青 色をドイツ国旗の上から順に 黒→赤→金 アメリカに本社を置く経営コンサルティング会社の名前に マッキンゼー→アンド→カンパニー 人物を農林水産大臣を務めた順に 林芳正(2012/12/26)→森山裕(2015/10/7)→山本有二(2016/8/3) 「漢検」の略称で呼ばれる検定の名前に 日本→漢字→能力→検定 農産物を1kg当たりの仮想水の量が大きい順に 牛肉(20.6トン)→米(3.7トン)→ジャガイモ(0.185トン) 2016年に東京都あきる野市にオープンした、愛犬家のためのテーマパークの名前に わん→ダフル→ネイチャー→ヴィレッジ 大富豪の所有だったのが一般客が貸切できるようになったイタリアの島の名前に イル・→ガッロ・→ルンゴ お寺を、江戸時代の「六阿弥陀巡り」で巡った順に 西福寺→恵明寺→無量寺→輿楽寺→常楽院→常光寺 愛称を「JETRO」という独立行政法人の名前に 日本→貿易→振興→機構 国を、同盟国間で軍事物質などを相互提供する「物品役務相互提供協定」を日本と締結した順に アメリカ(1996)→オーストラリア(2010)→イギリス(2017) ロンドンに本部を置く世界四大会計事務所の一つの名前に プライス→ウォーター→ハウス→クーパース 隅田川に架かる橋を上流から順に 言問橋(花川戸~向島)→清洲橋(日本橋中洲~清澄)→永代橋(新川~永代)→勝鬨橋(築地6~勝どき2)→築地大橋(築地5~勝どき5) 1958年に暴力団同士の抗争を早期に取り締まるために制定された法律に 凶器→準備→集合→罪 国を1人あたりの列車移動距離が長い順に スイス(約2300km)→日本(約2042km)→ロシア 1968年の東京大学駒場祭のポスターに書かれた橋本治考案のコピーに とめてくれるな→おっかさん→背中のいちょうが泣いている→男東大どこへ行く 東京ディズニーリゾートの公式・公認ホテルカテゴリーをランクが高い順に ディズニーホテル→オフィシャルホテル→パートナーホテル→グッドネイバーホテル ロシアの都市を人口が多い順に サンクトペテルブルク(約540万人)→ノヴォシビルスク(約160万人)→ニジニ・ノヴゴロド(約125万人) ポルトガルで3番目に人口が多い都市の名前に ヴィラ・→ノヴァ・→デ・→ガイア スイスの公用語を使っている人口が多い順に ドイツ語(約63.7%)→フランス語(約20.4%)→イタリア語(約6.5%)→ロマンシュ語(約0.9%) 皇室の子に対して行なわれる儀式を生まれてから経験する順に 賜剣の儀(生まれた直後)→浴湯の儀(7日目)→着袴の儀(数え5歳) 都道府県のうち米軍施設の面積が大きい順に 沖縄県(約185km²)→青森県(約23.7km²)→神奈川県(約14.7km²) カリブ海にある島国の名前に セント→ビンセント→グレナ→ディーン バセテールを首都とする国の名前に セント→クリスト→ファー→ネイビス 国を1990年代に国連に加盟した順に 韓国(1991)→アゼルバイジャン(1992)→モナコ(1993)→パラオ(1994)→トンガ(1999) 第2シベリア鉄道の起点となっているロシアの都市の名前に ソビ→エツ→カヤ→ガバニ パキシルやリレンザといった薬剤を販売する、イギリスの製薬会社の名前に グラクソ→スミス→クライン 日本における情報処理の国家資格の名前に IT→スト→ラテ→ジスト ドイツのベルリンにある大通りの名前に ウンター→デン→リンデン ドイツのベルリンにある観光名所の名前に ブラン→デン→ブルク門 イベリア半島とアフリカの間にある海峡の名前に ジブ→ラル→タル→海峡 シェークスピアが生まれた都市の名前に ストラト→フォード→アポン→エイボン 大阪府の都市を中核市となった順に 高槻市(2003/4/1)→東大阪市(2005/4/1)→豊中市(2012/4/1)→枚方市(2014/4/1)→八尾市(2018/4/1)→寝屋川市(2019/4/1) 地形を河岸段丘の形成過程で見られる順に V字谷→谷底平野→段丘崖 2016年から新宿・歌舞伎町で始まったぼったくりへの注意を呼びかける放送の登場人物の名前に 皇帝→ウインド→ブラスト→X サラエボを首都とする国の名前に ボス→ニア→ヘルツェ→ゴビナ ものを千円札の描かれた順に 法隆寺夢殿(1950/1/7)→日本銀行(1963/11/1)→タンチョウ(1984/11/1)→逆さ富士と桜(2004/11/1) 世界遺産になっているスウェーデンの共同墓地の名前に スコー→グス→シュルコ→ゴーデン 政治家をイタリア大統領を務めた順に チャンピ(1999/5/18)→ナポリターノ(2006/5/15)→マッタレッラ(2015/2/3) 2015年11月に東証一部に上場した株式銘柄を初値が高かった順に かんぽ生命保険(2929)→ゆうちょ銀行(1680)→日本郵政(1631) 2017年7月にインドの大統領選挙で勝利した政治家の名前に ラム→ナト→コビ→ンド 佐賀空港の2016年からの愛称に 九州→佐賀→国際→空港 アメリカの都市を万国博覧会を初めて開催したのが早い順に ニューヨーク(1853)→シカゴ(1893)→セントルイス(1904)→シアトル(1962)→ニューオーリンズ(1984) クレオパトラの埋葬場所の発掘調査が行なわれているエジプトの古代神殿の名前に タップ→オシリス→マグナ 人物を南アフリカ共和国の民主化後、大統領に就任した順に フレデリック・デクラーク(1989/8/15)→ネルソン・マンデラ(1994/5/10)→タボ・ムベキ(1999/6/16)→ジェイコブ・ズマ(2009/5/9)→シリル・ラマフォサ(2018/2/14) 東急田園都市線の駅を渋谷駅に近い順に 三軒茶屋駅→駒沢大学駅→鷺沼駅→たまプラーザ駅→青葉台駅→長津田駅→つくし野駅→すずかけ台駅 小田急小田原線の駅を新宿駅に近い順に 代々木上原駅→下北沢駅→世田谷代田駅→豪徳寺駅→祖師ヶ谷大蔵駅→成城学園前駅→狛江駅→和泉多摩川駅→向ヶ丘遊園駅→生田駅→読売ランド前駅→百合ヶ丘駅→相模大野駅→厚木駅→鶴巻温泉駅→東海大学前駅→渋沢駅→螢田駅 ローマにある観光名所の名前に トリニタ→デイ→モンティ→広場 国指定特別天然記念物を東にあるものから順に 東根の大ケヤキ(山形)→コウシンソウ自生地(栃木)→狩宿の下馬ザクラ(静岡)→加茂の大クス(徳島)→内海のヤッコソウ発生地(宮崎) 面積とともに中心からの方位も正しい地図の図法の名前に ランベルト→正積→方位→図法 「北京の銀座」と呼ばれる中国の北京にある繁華街の名前に 王→府→井 人物を自衛官の最高位者となる統合幕僚長に就任した順に 先崎一(2006/3/27)→齋藤隆(2006/8/4)→折木良一(2009/3/24)→岩崎茂(2012/1/31)→河野克俊(2014/10/14) 東京ディズニーシーのアトラクションを登場したのが古い順に レイジングスピリッツ(2005/7/21)→タワー・オブ・テラー(2006/9/4)→タートル・トーク(2009/10/1) 2015年10月に富山県の城端線と氷見線で運行開始したJR西日本の観光列車の名前に ベル→モンターニュ→エ→メール 茨城県つくば市にある日本一名称の長いバス停の名前に 産総研→つくば東事業所→つくば研究支援→センター入口 茨城県つくば市にある日本一名称の長いバス停の名前に 産技総合研→筑波東事業所→つくば研究支援→センター入口 慶應義塾大学の学部を設立が古い順に 総合政策学部(1990)→看護医療学部(2001)→薬学部(2008) 慶應義塾大学のキャンパスを開設されたのが古い順に 湘南藤沢キャンパス(1990)→新川崎タウンキャンパス(2000)→鶴岡タウンキャンパス(2001)→慶應大阪シティキャンパス(2013) 都市を、東北地方の夏祭りが一堂に会するイベント「東北六魂祭」が開催された順に 仙台市(2011)→盛岡市(2012)→福島市(2013)→山形市(2014)→秋田市(2015)→青森市(2016) 「駅百選」を選定の開始が早かったものから順に 関東の駅百選(1997)→中部の駅百選(1999)→近畿の駅百選(2000)→東北の駅百選(2002) ディズニーランドのキャラクターを登場が早い順に ダッフィー(2004/11/5)→シェリーメイ(2010/1/15)→ジェラトーニ(2014/6/30)→ステラ・ルー(2017/3/23)→クッキー(2018/7/3)→オル(2018/7/27) 東京ディズニーランドのトゥモローランドにあるピザ屋の名前に パン→ギャラクティック→ピザ→ポート 東京ディズニーランドのアトラクションを登場したのが古い順に スペース・マウンテン(1983/4/15)→ビッグサンダー・マウンテン(1987/7/4)→スプラッシュ・マウンテン(1992/10/1) 地域を、東京ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」で巡る順に ヨーロッパ→アジア→アフリカ→中南米→オセアニア 人物を日本郵政の社長を務めた順に 西川善文(2005)→斎藤次郎(2009)→坂篤郎(2012)→西室泰三(2013)→長門正貢(2016) アメリカ社会を分類する時に用いられる世代の区分を生まれたのが早い順に サイレント世代(1920年代中頃)→ベビーブーマー(1946頃)→ジェネレーションX(1960年代)→ミレニアルズ(1980年代) アメリカの観光名所を東にあるものから順に ナイアガラの滝(ニューヨーク州)→ラシュモア山(サウスダコタ州)→デビルスタワー(ワイオミング州)→グランドキャニオン(アリゾナ州) 政治家を国民新党の代表を務めた順に 綿貫民輔(2005/8/17)→亀井静香(2009/8/31)→自見庄三郎(2012/4/6) 石原慎太郎の著書を出版されたのが早い順に 太陽の季節(1956/3/15)→狂った果実(1956/7/10)→スパルタ教育(1969年11月)→現代史の分水嶺(1987年7月)→NOと言える日本(1989年1月)→勝つ日本(2000年12月)→老いてこそ人生(2002/6/1) 沖縄本島にあるビーチを北から順に 瀬底ビーチ(本部町)→万座ビーチ(恩納村)→残波ビーチ(読谷村)→新原ビーチ(南城市) 日本の村落を歴史が古い順に 条里集落(奈良時代)→荘園集落(平安時代)→新田集落(江戸時代)→屯田兵村(明治時代) 株式相場に大きな影響を与えた出来事を古い順に ライブドアショック(2006年1月)→リーマンショック(2008年9月)→ドバイショック(2009年11月)→ギリシャショック(2010年1月)→コロナショック(2019年) タグ・ホイヤーなどが本社を置く時計産業で有名なスイスの都市の名前に ラ→ショー→ド→フォン 2009年に世界遺産に登録された時計で有名なスイスの町の名前に ラ→ショー→ド→フォン 私立高校を東にあるものから順に 中央大学杉並高校(東京)→金城学院高校(愛知)→洛南高校(京都)→修道高校(広島) 列島を東から順に トカラ列島→宮古列島→八重山列島 タレントを確定申告のイメージキャラクターを務めた順に 沢口靖子(2001)→本上まなみ(2002)→黒木瞳(2003)→長谷川京子(2004)→仲間由紀恵(2005)→ベッキー(2007)→池脇千鶴(2008)→松下奈緒(2009)→上戸彩(2010) かつてJR東日本が保有していたジョイフルトレインの名前に パノラマ→エクス→プレス→アルプス 毎年8月に愛媛県で行なわれる祭りの名前に 内→子→笹→まつり 2012年に安倍政権が示したアベノミクスの「3本の矢」と称される基本方針を放たれる順に 大胆な金融政策→機動的な財政政策→民間投資を喚起する成長戦略 汚職事件をニュースになったのが古い順に シーメンス事件(1914)→昭和電工事件(1948)→造船疑獄事件(1954)→ロッキード事件(1976)→KSD事件(1996) 天使を偽ディオニシウスの定めた階級が高い順に 熾天使(1)→智天使(2)→座天使(3)→主天使(4)→力天使(5)→能天使(6)→権天使(7)→大天使(8)→天使(9) キリスト教の天使を偽ディオニシウスが定めた階級が高い順に ドミニオンズ(4位)→ヴァーチューズ(5位)→パワーズ(6位) 和文モールス信号を五十音順に -・-・・(キ)→・-・--(テ)→・・-・・(ト)→-・・-(マ)→-・・-・(モ)→・--(ヤ)→--(ヨ)→-・--・(ル) 富士山の登山ルートを登りの距離が長い順に 御殿場ルート(11.0km)→須走ルート(7.8km)→吉田ルート(7.5km)→富士宮ルート(5.0km) 富士山の登山ルートを下りの距離が長い順に 御殿場ルート(8.5km)→吉田ルート(7.6km)→須走ルート(6.2km)→富士宮ルート(5.0km) 画像から連想される国民栄誉賞受賞者を受賞したのが古い順に フラミンゴ(王貞治、1977/9/5)→山(植村直己、1984/4/19)→不死鳥(美空ひばり、1989/7/6)→サザエ(長谷川町子、1992/7/28) 人物を、国民栄誉賞を受賞した時の年齢が若かった順に 山下泰裕(27歳)→高橋尚子(28歳)→吉田沙保里(30歳) 金融機関を現在の名前になった時期が早い順に 東京信用金庫(1956/1/1)→東京シティ信用金庫(1990)→東京ベイ信用金庫(1994/5/30)→東京東信用金庫(1999/1/4)→新銀行東京(2004/4/1) フランス・パリの観光名所を完成したのが早い順に ノートルダム寺院(1225)→パンテオン(1792)→オペラ座(1875)→エッフェル塔(1889)→サクレクール寺院(1914)→ポンピドゥー・センター(1977) 京都市に本社を置く呉服卸の会社の名前に ウ→ラ→イ 実業家をアップルコンピュータのCEOを務めた順に マイケル・スコット(1977)→マイク・マークラ(1981)→ジョン・スカリー(1983)→マイケル・スピンドラー(1993)→ギル・アメリオ(1996)→スティーブ・ジョブズ(1997)→ティム・クック(2011) 「わたぬき」「つぼみ」と読む難読苗字に 四→月→一→日 姓を韓国で名乗っている人数が多い順に 金(約1000万人)→李(約680万人)→朴(約390万人)→崔(約216万人)→鄭(約200万人)→姜(約104万人)→趙(約98万人)→尹(約95万人)→張(約92万人)→林(約76万人) 日本の省を外局の数が多い順に 国土交通省(4)→経済産業省(3)→農林水産省(2)→総務省(2)→財務省(1)→厚生労働省(1)→外務省(0) 省庁の外局を誕生したのが早い順に 文化庁(1968/6/15)→資源エネルギー庁(1973/7/25)→観光庁(2008/10/1)→消費者庁(2009/9/1) アイスランドにある世界最北の露天風呂の名前に ミーヴァ→トン→ネイチャー→バス 政治家を大阪府知事を務めた順に 赤間文三(1947/4/12)→岸昌(1979/4/23)→横山ノック(1995/4/23)→太田房江(2000/2/6)→橋下徹(2008/2/6)→松井一郎(2011/11/28) イギリスの経済学者の名前に ジョン→メイナード→ケインズ イギリスの経済学者の名前に アーサー→セシル→ピグー イギリスの経済学者の名前に ジョン→スチュアート→ミル 色をクレジットカード会社JCBのマークで右側にある方から順に 緑→赤→青 新交通システムを開業したのが早い順に ポートライナー(1981/2/5)→ニュートラム(1981/3/16)→金沢シーサイドライン(1989/7/5)→六甲ライナー(1990/2/21)→アストラムライン(1994/8/20)→ゆりかもめ(1995/11/1)→ゆとりーとライン(2001/3/23)→リニモ(2005/3/6)→日暮里・舎人ライナー(2008/3/30) 「ゆりかもめ」の愛称で知られる新交通システムの正式な路線名に 東京→臨海→新交通→臨海線 北方領土の島を五十音順に 択捉島(えとろふ)→国後島(くなしり)→色丹島(しこたん) 小泉純一郎総理が大相撲夏場所で優勝した横綱・貴乃花に言った言葉に 痛みに耐えて→よく→頑張った。→感動した! 三井住友銀行グループの証券会社の名前に SM→BC→フレンド→証券 三井住友銀行の略称に S→M→B→C フィナンシャルグループを総資産の額が多い順に 三菱UFJ(204兆1069億円)→みずほ(134兆4121億円)→三井住友(2兆3378億円) 三菱東京UFJ銀行の略称に B→T→M→U 銀行を現在の名称となったのが古い順に 三井住友銀行(2001)→みずほ銀行(2002)→りそな銀行(2003)→三菱UFJ銀行(2018) ネット銀行を開業した順に ジャパンネット銀行(2000/9/19)→ソニー銀行(2001/4/2)→セブン銀行(2001/4/10)→住信SBIネット銀行(2007/9/24)→auじぶん銀行(2008/6/26) 第2地方銀行を本店が東にある順に みなと銀行(神戸市)→トマト銀行(岡山市)→もみじ銀行(広島市) ウクライナ南東部に位置する工業都市の名前に ドニエ→プロペ→トロフ→スク 人物を文化庁長官を務めた順に 今日出海(1968/6/15)→三浦朱門(1985/4/1)→河合隼雄(2002/1/18) 妖怪の総大将といわれる物の怪の名前に ぬ→らり→ひょ→ん 兵庫県の播州地方、島根県の雲州地方などが生産地として有名な工芸品に そ→ろ→ば→ん 上野動物園で起こった出来事を古い順に 日本初の水族館・うおのぞき登場(1882)→クロヒョウ脱走事件(1936/7/25)→日本初のモノレールが開業(1957)→ジャイアントパンダを初披露(1972/10/28) ジャイアントパンダを上野動物園に早く来たものから順に カンカン(1972/10/28)→ランラン(1972/10/28)→ホァンホァン(1980/1/29)→フェイフェイ(1982/11/9)→リンリン(1992/11/5)→シュアンシュアン(2003/12/3) 動物園を東にあるものから順に 旭山動物園(北海道)→上野動物園(東京都)→ズーラシア(神奈川県)→富士サファリパーク(静岡県)→天王寺動物園(大阪府)→フェニックス自然動物園(宮崎県) 動物園を飼育しているパンダの数が多い順に アドベンチャーワールド(5)→上野動物園(2)→神戸市立王子動物園(1) 北海道旭川市の旭山動物園にある施設を、オープンしたのが早い順に オランウータンの空中運動場(2001年8月)→ほっきょくぐま館(2002年9月)→あざらし館(2004年6月)→おらんうーたん館(2005年1月)→くもざる・かぴばら館(2005年8月)→第二子ども牧場(2006/7/22)→チンパンジーの森(2006年8月)→エゾシカの森(2009年4月) JR北海道が運行する臨時特急列車「旭山動物園号」の車両を1号車から順に ホッキョクグマ号(1)→オオカミ号(2)→ライオン号(3)→チンパンジー号(4)→ペンギン号(5) 北海道の都市を北から順に 稚内市→旭川市→札幌市→函館市 北海道の都市を札幌から距離が近い順に 岩見沢→旭川→稚内 北海道の都市を五十音順に 小樽(おたる)→帯広(おびひろ)→釧路(くしろ)→函館(はこだて)→室蘭(むろらん) 五島勉の著書「ノストラダムスの大予言」シリーズの副題を出版された順に 中東編(1990)→残された希望編(1992)→地獄編(1994)→最終解答編(1998) 有名なノストラダムスの予言詩になるように 1999年、7か月→空から恐怖の大王が降りてくるだろう→アンゴルモワの大王を復活させ→マルスの前後に首尾よく支配するために 日本各地に少数派として存在する民族の名前に ア→イ→ヌ 国を消費税の税率が高い順に ハンガリー(27%)→アイスランド(25.5%)→イタリア(22%)→イギリス(20%)→フランス(19.6%)→シンガポール(7%) インフレを物価の上昇速度が速い順に ハイパー・インフレ→ギャロッピング・インフレ→クリーピング・インフレ ヨーロッパの小国の名前に サン→マリ→ノ ロシア第2の都市の名前に サン→クト→ペテル→ブルグ 中国の最高議決機関の名前に 全国→人民→代表→大会 日本の省庁を廃止されたのが早い順に 郵政事業庁(2003/4/1)→食糧庁(2003/7/1)→防衛施設庁(2007/9/1)→海難審判庁(2008/10/1) 国立公園を制定された順に 慶良間諸島国立公園(2014/3/5)→やんばる国立公園(2016/9/15)→奄美群島国立公園(2017/3/7) 兵庫県にある国定公園の名前に 氷ノ山→後山→那岐山→国定公園 岐阜県にある国定公園の名前に 揖斐→関ヶ原→養老→国定公園 三重県と奈良県にまたがる国定公園の名前に 室生→赤目→青山→国定公園 国定公園を指定されたのが早い順に 甑島国定公園(2015/3/16)→京都丹波高原国定公園(2016/3/25)→中央アルプス国定公園(2020/3/27) 日本の国定公園を東にあるものから順に 日高山脈襟裳国定公園(北海道)→明治の森高尾国定公園(東京)→明治の森箕面国定公園(大阪)→日南海岸国定公園(九州) 地形を北から順に 日高山脈→奥羽三脚→飛騨山脈→筑紫山脈 ニューヨーク・マンハッタン島の西側を流れる川の名前に ハ→ド→ソ→ン アメリカ合衆国の時間帯を東に設定されているものから順に 東部標準時→中部標準時→山岳部標準時→太平洋標準時 島を日本から近い順に サイパン島→グァム島→ハワイ島 島を北から順に ハワイ島→サイパン島→グァム島 奄美群島の島を北から順に 奄美大島→徳之島→沖永良部島→与論島 諸島を北から順に アゾレス諸島→マデイラ諸島→カナリア諸島 伊豆七島に属する島を北から順に 大島→利島→新島→式根島→神津島→三宅島→御蔵島→八丈島 島を北から順に 国後島(北海道)→淡路島(兵庫)→種子島(鹿児島)→屋久島(鹿児島)→石垣島(沖縄)→西表島(沖縄) 迷彩色に塗装された大砲や戦車の残骸が残るサイパン島の観光名所の名前に ラスト→コマンド→ポスト 日本における情報処理の国家資格の名前に シス→テム→アナ→リスト 人物を防衛大臣を務めた順に 小野寺五典(2012/12/26)→岩屋毅(2018/10/2)→河野太郎(2019/9/11)→岸信夫(2020/9/16) 政治家を防衛大臣を務めた順に 久間章生(2007/1/9)→小池百合子(2007/7/4)→高村正彦(2007/8/27)→石破茂(2007/9/26)→林芳正(2008/8/2)→浜田靖一(2008/9/24)→北澤俊美(2009/9/16)→一川保夫(2011/9/2)→田中直紀(2012/1/13) 民主党の政治家を防衛大臣を務めた順に 北澤俊美(2009/9/16)→一川保夫(2011/9/2)→田中直紀(2012/1/13) 北方領土の択捉島にある標高1208mの火山の名前に 小→田→萌→山 最近100年間に噴火したことがある火山を東にあるほうから順に 十勝岳(北海道)→有珠山(北海道)→浅間山(群馬県、長野県)→御嶽山(長野県、岐阜県)→雲仙普賢岳(長崎県) 日本の裁判所を数が多い順に 簡易裁判所(438)→地方裁判所(50)→高等裁判所(8)→最高裁判所(1) 日本語で「大海蛇」ともいう未確認生物の名前に シー→サー→ペント 経済協力開発機構の略称に O→E→C→D クルーズ客船のランクを高い方から順に ラグジュアリー→プレミアム→カジュアル 豪華クルーズ客船を就航したのが早い順に クリスタルハーモニー(1990)→クリスタルシンフォニー(1995)→クリスタルセレニティ(2003) ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社が運航するクルーズ客船の名前に ボイジャー→オブ→ザ→シーズ 2010年12月に就航した世界最大のクルーズ船の名前に アリュール→オブ→ザ→シーズ 日本の歴史上の景気を古い順に 神武景気(1954)→岩戸景気(1958)→オリンピック景気(1962)→いざなぎ景気(1965) 日本の経済史上の出来事を古い順に 神武景気(1954年12月)→なべ底不況(1957年7月)→岩戸景気(1958年7月)→オリンピック景気(1962)→いざなぎ景気(1965)→オイルショック(1973)→プラザ合意(1985/9/22) 世界経済に大きな影響を与えた出来事を古い順に ニクソンショック(1971)→オイルショック(1973)→ブラックマンデー(1987) 日本の湾を東から順に 石狩湾→陸奥湾→駿河湾→諫早湾 建築家をプリツカー賞を受賞した順に 丹下健三(1987)→槇文彦(1993)→安藤忠雄(1995)→伊東豊雄(2013)→坂茂(2014) 建築家・安藤忠雄の作品を建てられたのが早いものから順に 住吉の長屋(1976)→光の教会(1989)→セビリア万博・日本政府館(1992)→ユネスコ本部・瞑想の空間(1995)→司馬遼太郎記念館(1996)→大山崎山荘美術館(1997)→フォートワース現代美術館(2002)→表参道ヒルズ(2006)→坂の上の雲ミュージアム(2007/4/28) 四国の都市を東から順に 徳島市→高松市→高知市→松山市 企業などの不正や腐敗を内部告発する人のことを指す英語に ホ→イッス→ルブ→ロワー 茨城県にある都市の名前に 常→陸→太→田 実業家をトヨタ自動車工業・トヨタ自動車の社長を務めた順に 豊田利三郎(1937)→豊田喜一郎(1941)→豊田英二(1967)→豊田章一郎(1982)→豊田達郎(1992)→豊田章男(2009) 北朝鮮の国軍の通称に 朝→鮮→人→民軍 政治家を北朝鮮の最高指導者を務めた順に 金日成(1949)→金正日(1997)→金正恩(2012) USJにあるアトラクションの名前に ウィザーディング→ワールド→オブ→ハリー・ポッター 大阪のテーマパーク「USJ」のアトラクションをオープンしたのが早い順に ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド(2007/3/9)→スペース・ファンタジー・ザ・ライド(2010/3/19)→ザ・フライング・ダイナソー(2016/3/18) 2010年に大阪のテーマパーク「USJ」にオープンしたアトラクションの名前に スペース→ファンタジー→ザ→ライド 車を都市郊外の駐車場に止めて鉄道に乗り換え都心に入る方式の名称に パーク→ →レール→ライド 車を都市郊外の駐車場に止めて鉄道に乗り換え都心に入る方式の名称に パーク→アンド→レール→ライド 企業城下町を東から順に 釜石市(岩手)→南足柄市(神奈川)→半田市(愛知)→池田市(大阪)→相生市(兵庫)→山陽小野田市(山口)→延岡市(宮崎) アメリカを流れる川の名前に Mis→si→ssi→ppi 州都をムンバイに置くインドの州の名前に マ→ハラ→シュ→トラ アフリカ大陸西部の国の名前に ギニ→アビ→サウ 1972年に結成されたウーマンリブ団体の名前に 中絶禁止法→に反対し→ピル解禁→を要求する女性解放連合 2012年7月に設立された政党の名前に 緑の→党→Greens→Japan かつて東京都千代田区に存在した数多くの要人が宿泊したことで有名なホテルの名前に キャピトル→東急→ホテル ヨーロッパの国の名前に ルク→セン→ブル→ク 日本の人口に占める割合が高い順に 昭和生まれ→平成生まれ→大正生まれ→明治生まれ 博多駅と別府駅を結ぶJR九州の特急列車の愛称に ゆふ→いん→の→森 世界一高い山の名前に チョ→モ→ラン→マ ヨーロッパの国を首都が五十音順になるように ギリシャ(アテネ)→フランス(パリ)→ベルギー(ブリュッセル)→ドイツ(ベルリン)→スペイン(マドリード)→ポルトガル(リスボン)→イタリア(ローマ)→ポーランド(ワルシャワ) 首都をダッカに置く南アジアの国の名前に バン→グラ→デ→シュ 首都をイスラマバードに置くアジアの国の名前に パ→キス→タン 首都をアスタナに置く中央アジアの国の名前に カザ→フス→タン アジアの国を首都が東京に近い順に 韓国→中国→タイ→インド(全て国旗) ヨーロッパにある国の名前に リヒ→テン→シュタ→イン かつて西アフリカの国コートジボアールの首都だった都市の名前に ア→ビ→ジャ→ン 作家ユゴーが「海上のピラミッド」と呼んだフランスの観光名所の名前に モン→サン→ミシ→ェル 陰陽師などが用いる「九字」を、唱える順番に 臨・兵・闘→者・皆・陣→列・在・前 南阿蘇鉄道にある駅の名前に 阿蘇→下田城→ふれあい→温泉 実際にある駅の名前に 南阿蘇→水の→生まれる里→白水高原駅 三重県にある遊園地の名前に パルケ→エス→パーニャ ブラジルにある世界遺産の名前に 中央→アマゾン→保全→地域群 メキシコにある世界遺産の名前に リュウゼツラン→景観と→テキーラ→産業施設群 日本の繊維製品メーカーの名前に グ→ン→ゼ ニュース記事に必要な要素をさす言葉に 5→W→1→H 北欧の国の名前に デン→マー→ク 景気循環の局面を「好況期」の後に来るものから順に 後退期→不況期→回復期 高知県の「県の魚」の名前に カ→ツ→オ 画像から連想される日本の硬貨を額面の低い順に 稲(5円)→平等院鳳凰堂(10円)→菊(50円)→桜(100円) 硬貨を重い順に(硬貨の画像) 100円(4.8g)→10円玉(4.5g)→50円玉(4g)→5円玉(3.75g) 日本の硬貨を重量が大きい順に 500円玉(7g)→100円玉(4.8g)→10円玉(4.5g)→50円玉(4g)→5円玉(3.75g)→1円玉(1g) 日本の硬貨を直径が大きいものから順に 500円玉(26.5mm)→10円玉(23.5mm)→100円玉(22.6mm)→5円玉(22mm)→50円玉(21mm)→1円玉(20mm) 国立大学をその本部が東にあるものから順に 小樽商科大学(北海道)→東北大学(宮城)→山形大学(山形)→秋田大学(秋田)→お茶の水女子大学(東京)→浜松医科大学(静岡)→豊橋技術科学大学(愛知)→神戸大学(兵庫)→熊本大学(熊本) 大学を旧称の「第○高等学校」の○に入る数字が小さいものから順に 東京大学(1)→東北大学(2)→京都大学(3)→金沢大学(4)→熊本大学(5)→岡山大学(6)→鹿児島大学(7)→名古屋大学(8) 大学を、その本部が東にあるものから順に 日本体育大学(東京都)→大阪体育大学(大阪府)→鹿屋体育大学(鹿児島県) 日本の大学を北にあるものから順に 北見工業大学(北海道)→東北工業大学(宮城)→足利工業大学(栃木)→久留米工業大学(福岡) 日本の大学を本部の所在地が東にあるものから順に 室蘭工業大学(北海道)→足利工業大学(栃木)→芝浦工業大学(東京)→福井工業大学(福井)→姫路工業大学(兵庫)→久留米工業大学(福岡) つくばエクスプレスの駅を西から順に 秋葉原→南千住→三郷中央→流山おおたかの森→守谷→万博記念公園 「輪廻」を意味する英語 リイン→カー→ネー→ション 2013年4月に設立された企業の名前に ソニー→オリンパス→メディカル→ソリューションズ 超能力の「瞬間移動」を意味する言葉に テレ→ポー→テー→ション 県を現在使われている県章が制定されたのが早い順に 愛知県(1950)→秋田県(1959/11/3)→島根県(1968/11/8)→長崎県(1991) いわゆる「住基ネット」の正式名称に 住民→基本台帳→ネットワーク→システム イギリスの正式名称に グレートブリテン→及び→北部アイルランド→連合王国 イギリスの通貨単位に ポ→ン→ド 消費者の行動や需要を調査して企業に情報を提供する職業に マー→ケット→リサー→チャー 正式名を「旅券」という海外旅行の際に必要な物 パ→スポ→ート 世界有数のケシの栽培地を指す言葉に ゴール→デン→トライ→アングル 面積および緯線の長さと間隔が正しい地図投影法の名前に ボ→ン→ヌ→図法 通称を「暴対法」という日本の法律の正式名称に 暴力団員による→不当な行為の→防止等に関する→法律 産業機械を中心とする総合メーカーの名前に ク→ボ→タ 都道府県を海水浴場の数が多い順に 千葉県(88)→長崎県(70)→北海道→沖縄県 九州地方にある県 鹿→児→島 日本の住宅メーカーの名前に ミ→サワ→ホー→ム 21世紀に誕生した国を独立を宣言したのが早い順に 東ティモール民主共和国(2002/5/20)→モンテネグロ(2006/6/3)→コソボ共和国(2008/2/17)→南スーダン共和国(2011/7/9) シリコン製カテーテルなどの医療用具を製造・販売する企業の名前に クリ→エート→メディ→ック 都市を南から順に 上海(北緯31度)→東京(北緯35度)→北京(北緯39度)→ニューヨーク(北緯40度)→ローマ(北緯41度)→パリ(北緯48度)→ロンドン(北緯51度)→ベルリン(北緯52度) 島国を首都が北にある方から順に(地図) イギリス→日本→キューバ→ニュージーランド インドの都市を北から順に デリー→アグラ→バラナシ→コルカタ→ムンバイ→ハイデラバード イタリアの都市を北から順に ミラノ→フィレンツェ→ローマ 江ノ島電鉄の駅を東から順に 鎌倉駅→長谷駅→稲村ヶ崎駅→鎌倉高校前駅 静岡県の都市を東にあるものから順に 熱海市→富士市→静岡市→浜松市 都市を東にあるものから順に 北広島市(北海道)→碧南市(愛知)→東近江市(滋賀)→四国中央市(愛媛) アメリカの州を北から順に ノースダコタ州→サウスダコタ州→ノースカロライナ州→サウスカロライナ州 ヨーロッパの都市を北から順に オスロ→ストックホルム→コペンハーゲン→ビリニュス→イルクーツク ドイツの都市を北から順に ハンブルク→ブレーメン→ライプチヒ→ドレスデン ドイツの都市を北に位置する順に ハンブルク→ブレーメン→ベルリン→ドレスデン→フランクフルト→シュツットガルト→ミュンヘン ドイツの都市をロマンティック街道でビュルツブルクをスタート地点として通る順に ローテンブルク→アウグスブルク→シュバンガウ→フュッセン ヨーロッパの都市を人口が多い順に モスクワ(約1268万人)→ロンドン(約978万人)→マドリード(約316万人) 都市を北から順に ベルリン→クアラルンプール→シンガポール 都市を東京との時差が小さい順に マニラ(1時間)→バンコク(2時間)→モスクワ(6時間)→パリ(8時間)→ロンドン(9時間)→ニューヨーク(14時間)→ロサンゼルス(17時間)→ホノルル(19時間) アジアの都市を北から順に 北京→平壌→ソウル→東京 横浜市緑区に本部をおく私立大学の名前に 東洋→英和→女学院→大学 政治家を東京都知事を務めた期間が長い順に 鈴木俊一(16年)→石原慎太郎(13年8ヶ月)→美濃部亮吉(12年)→青島幸男(4年)→猪瀬直樹(1年) 政治家を東京都知事を務めた順に 安井誠一郎(1947)→東龍太郎(1959)→美濃部亮吉(1967)→鈴木俊一(1979)→青島幸男(1995)→石原慎太郎(1999)→猪瀬直樹(2012)→舛添要一(2014)→小池百合子(2016) 日本の政治家を生まれたのが早い順に 鳩山和夫(1856/5/6)→鳩山一郎(1883/1/1)→鳩山威一郎(1918/11/11)→鳩山由紀夫(1947/2/11)→鳩山邦夫(1948/9/13) 歴代総理大臣を在任期間が長い順に 安倍晋三(3188日)→野田佳彦(482日)→菅直人(452日)→福田康夫(365日)→麻生太郎(358日)→鳩山由紀夫(266日) 内閣総理大臣を連続在職日数が多い順に 安倍晋三(2822日)→佐藤栄作(2798日)→吉田茂(2248日) 政治家を内閣総理大臣を務めた順に 鳩山由紀夫(2009/9/16)→菅直人(2010/6/8)→野田佳彦(2011/9/2) 2010年に実業家・与沢翼が設立した企業の名前に フリー→エージェント→スタイル→ホールディングス 2014年度から配備が開始された特殊災害専門の即応部隊の名前に ドラゴン→ハイパー→コマンド→ユニット アメリカの政治家を国務長官に就任した順に ジョン・ダレス(1953/1/21)→ディーン・ラスク(1961/1/21)→ヘンリー・キッシンジャー(1973/9/22)→ジョージ・シュルツ(1982/7/16)→ジェイムズ・ベイカー(1989/1/25)→マデレーン・オルブライト(1997/1/23)→コリン・パウエル(2001/1/20) 政治家をバラク・オバマ政権下でアメリカ国防長官を務めた順に ロバート・ゲーツ(2006/12/18)→レオン・パネッタ(2011/7/1)→チャック・ヘーゲル(2013/2/27)→アシュトン・カーター(2015/2/17) 役職をアメリカ大統領の継承順位が上のほうから順に 副大統領(1)→下院議長(2)→上院議長代行(3)→国務長官(4)→財務長官(5)→国防長官(6)→司法長官(7)→内務長官(8) アメリカの大統領府における役職を、階級が高い順に 大統領補佐官→大統領副補佐官→大統領特別補佐官 数研出版の「チャート式」の参考書をレベルが高いものから順に 赤チャート→青チャート→黄チャート→白チャート 日本の建築現場で使われるダイナマイトの呼び名を爆発力が強い順に 松→桜→桐→榎→桂→梅→硝安 名古屋市に本社を置くCDやビデオの卸売り企業の社名に シー→エス→ロジ→ネット 旅客機の座席の等級をグレードが上のものから順に ファーストクラス→ビジネスクラス→エコノミークラス インド亜大陸の最南端に位置する岬の名前に コ→モ→リ→ン 一人客を意味する旅館業界の隠語に ピ→ン→コ→ロ 南アジアの国スリランカ最大の都市の名前に コ→ロ→ン→ボ 政治家を自民党の幹事長を務めた順に 加藤紘一(1995年10月)→古賀誠(2000年12月)→山崎拓(2001年4月)→安倍晋三(2003)→武部勤(2004)→中川秀直(2006年9月)→二階俊博(2016)→甘利明(2021/10/4)→茂木敏充(2021/11/4) 夜行列車を登場したのが早い順に ムーンライトえちご(1986)→ムーンライト高知(1989/8/1)→ムーンライト松山(1995年4月)→ムーンライトながら(1996/3/16)→ムーンライト信州(2002/12/1)→ムーンライト東京(2003) 一日中パソコンの前に座って金融取引を行なう人の呼び名に デ→イト→レー→ダー 風が吹く地域を東から順に 清川だし(山形)→赤城おろし(群馬)→伊吹おろし(岐阜、愛知)→六甲おろし(兵庫)→広戸風(岡山)→やまじ風(愛媛) 2011年に失脚し亡命したチュニジアの元大統領の名前に ジン→アビディン→ベンアリ 地形図に使用されている図法に ユニバーサル→横→メルカトル→図法 ウクライナにある、その延長が157kmにも及ぶ鍾乳洞の名前に オプチ→ミスチ→チェス→カヤ 地球にある大陸の名前に ユー→ラ→シ→ア マスタープランをイサム・ノグチが担当した札幌市東部の公園の名前に モ→エ→レ→沼公園 2005年に廃止されたJRの寝台特急列車の名前に さ→く→ら 日本の寝台特急を登場したのが早い順に あさかぜ(1956/11/19)→さくら(1957/10/1)→はやぶさ(1958/9/30)→あけぼの(1970/10/1)→北斗星(1988/3/13)→トワイライトエクスプレス(1989/7/21)→サンライズ出雲(1998/7/10)→カシオペア(1999/7/16) 寝台特急を廃止されたのが早い順に いなば(1978/10/2)→明星(1990/3/10)→出羽(1993/12/1)→みずほ(1994/12/3) 旧国鉄の路線を廃止されたのが早い順に 清水港線(1984/4/1)→倉吉線(1985/4/1)→大隅線(1987/3/14)→標津線(1989/4/30)→鍛冶屋線(1990/4/1) 荒廃した都市中心部を再開発して復興することを意味する用語に ジェン→トリ→フィケー→ション 野田内閣で少子化対策担当大臣を務めた政治家を就任した順に 蓮舫(2011/9/2)→岡田克也(2012/1/13)→中川正春(2012/2/10)→小宮山洋子(2012/4/23)→中塚一宏(2012/10/1) 「現場不在証明」を表す言葉 ア→リ→バ→イ 証券取引所を上場している企業の数が多い順に ボンベイ証券取引所(5230社)→東京証券取引所(3423社)→ニューヨーク証券取引所(約3000) 南極大陸にある日本の観測施設が開設された順に 昭和基地(1957)→みずほ基地(1970)→あすか基地(1985)→ドームふじ基地(1995) 日本の南極観測船を就役した順に 宗谷(1957)→ふじ(1965)→しらせ(1983) 南極観測基地を開設されたのが早い順に アムンゼン・スコット基地(1956年11月)→昭和基地(1957)→バンダ基地(1968)→みずほ基地(1970/7/21)→エスペランサ基地(1975)→ボストーク基地(1983)→フアン・カルロス1世基地(1988) 観光名所にもなっている塔を高い順に CNタワー(553.33m)→東方明珠電視塔(468m)→クアラルンプール・タワー(421m)→マカオ・タワー(338m)→スカイタワー(328m)→エッフェル塔(324m) 鹿島臨海鉄道にある駅の名前に 長者ヶ浜→潮騒→はまなす→公園前 伝統工芸品をそれを生産している場所が東にあるものから順に 鳴子漆器(宮城)→木曽漆器(長野)→紀州漆器(和歌山)→香川漆器(香川) 陶磁器を名前に使われている数が小さい順に 一霞焼→七宝焼→九谷焼→伊万里焼 伝統工芸品を産地が東にあるものから順に 笠間焼(茨城県)→信楽焼(滋賀)→砥部焼(愛媛)→萩焼(山口)→唐津焼(佐賀)→伊万里焼(佐賀) 東北地方の都市を東京から近い順に 福島→仙台→盛岡 焼物を五十音順に 伊万里焼(いまり)→丹波立杭焼(たんばたちくい)→益子焼(ましこ) 焼物を生産地が東にあるものから順に 益子焼(栃木)→常滑焼(愛知)→萬古焼(三重)→有田焼(佐賀) 織物を生産地が東にあるものから順に 伊勢崎絣(群馬)→小千谷紬(新潟)→加賀友禅(石川)→西陣織(京都)→阿波正藍しじら織(徳島)→琉球紅型(沖縄本島)→与那国織(与那国島) 日本人論を論じた書籍を出版されたのが古い順に 菊と刀(ルース・ベネディクト、1946)→日本人とユダヤ人(イザヤ・ベンダサン、1970)→モラトリアム人間の時代(小此木啓吾、1978)→シゾフレ日本人(和田秀樹、1994) 「ムネオハウス」の通称で呼ばれる国後島の施設の名前に 日本人と→ロシア人の→友好の→家 財界人を日本経団連の会長を務めた順に 奥田碩(2002)→御手洗冨士夫(2006)→米倉弘昌(2010)→榊原定征(2014) 日本の公職選挙を出馬する際に必要となる供託金の金額が多い順に 参議院選挙・比例区(600万円)→衆議院選挙・比例代表(600万円)→衆議院選挙・小選挙区(300万円)→都道府県知事(300万円)→政令指定都市の市長選挙(240万円)→政令指定都市以外の市長選挙(100万円)→都道府県議会議員選挙(60万円)→町村長選挙(50万円)→政令指定都市議会議員選挙(50万円)→政令指定都市以外の議会議員選挙(30万円)→町村議会の議員選挙(0) 政治の役職を人数が多い順に 市長(792)→村長(183)→県知事(43)→府知事(2)→都知事(1)→道知事(1) 都道府県を衆議院小選挙区制の選挙区が多い順に 東京都(30)→神奈川県(20)→大阪府(19)→愛知県(16)→埼玉県(16)→千葉県(14)→北海道(12)→兵庫県(12)→福岡県(11)→静岡県(8)→広島県(6)→岐阜県(5)→宮城県(5)→福島県(4)→岡山県(4)→三重県(4)→熊本県(4)→山形県(3)→滋賀県(3)→奈良県(3)→宮崎県(3)→佐賀県(2)→鳥取県(2) 衆議院の常任委員会を委員数の多い順に 厚生労働委員会(45)→文部科学委員会(40)→安全保障委員会(30)→議院運営委員会(25) 漢字表記で表される外国の都市を北から順に 土篤恒(ストックホルム)→華沙(ワルシャワ)→比律悉(ブリュッセル)→倭塔瓦(オタワ)→馬耳塞(マルセイユ)→阿爾日耳(アルジェ)→嚇法拿(ハバナ)→悉土尼(シドニー) 政治家を沖縄県知事を務めた順に 屋良朝苗(1972/5/15)→平良幸市(1976/6/25)→西銘順治(1978/12/13)→大田昌秀(1990/12/10)→稲嶺恵一(1998/12/10)→仲井眞弘多(2006/12/10)→翁長雄志(2014/12/10)→玉城デニー(2018/10/4) 江戸時代の日光街道の宿場を日本橋に近い順に 千住→草加→古河→宇都宮 人物をイスラエル大統領を務めた順に ハイム・ワイツマン(1948/5/17)→イツハク・ベンツビ(1952/12/16)→ザルマン・シャザール(1963/5/21)→エフライム・カツィール(1973/5/24)→イツハク・ナヴォン(1978/5/29)→ハイム・ヘルツォーグ(1983/5/5)→エゼル・ワイツマン(1993/5/13)→モシェ・カツァブ(2000/8/1)→シモン・ペレス(2007/7/15) 政治家をロシアの大統領に初めて就任したのが早い順に ボリス・エリツィン(1991/7/10)→ウラジーミル・プーチン(2000/5/7)→ドミートリー・メドヴェージェフ(2008/5/7) 政治家をロシアの首相を務めた順に チェルノムイルジン(1993/12/25)→プーチン(1999/8/9)→メドヴェージェフ(2012/5/8)→ミシュスティン(2020/1/16) ニューヨークの観光名所となっている施設を、設立されたのが早い順に アメリカ自然史博物館(1869)→メトロポリタン美術館(1870)→セント・パトリック大聖堂(1878)→MoMA(1929/11/7)→グッゲンハイム美術館(1937) 七味唐辛子の中身を五十音順に 罌粟(けし)→胡麻(ごま)→山椒(さんしょう)→陳皮(ちんぴ)→唐辛子(とうがらし) アジアの国を核兵器を保有したのが早い順に 中国(1964)→インド(1974)→パキスタン(1998)→北朝鮮(2005) JRの列車の愛称を特急としての運行が始まったのが早い順に くろしお(1965/3/1)→にちりん(1968/10/1)→オホーツク(1972/10/2)→ゆふいんの森(1989/3/11)→成田エクスプレス(1991/3/19)→伊那路(1996/3/16) アメリカ合衆国憲法の修正条項の内容を条数が小さい順に 信教の自由(第1条)→人民の武装権(第2条)→不合理な捜索の禁止(第4条)→財産権の保障(第5条)→残虐で異常な刑罰の禁止(第8条)→奴隷制廃止(第13条)→所得税源泉徴収(第16条) 日本の刑罰の種類を刑が重い順に 死刑→無期懲役→懲役→禁錮→拘留→罰金→科料 漢字を、日本漢字能力検定協会が毎年、年末に発表する「今年の漢字」に選ばれたのが早い順に 震(1995)→食(1996)→倒(1997)→毒(1998)→末(1999)→金(2000)→戦(2001)→帰(2002)→虎(2003)→災(2004)→命(2006)→偽(2007)→変(2008)→新(2009)→暑(2010)→絆(2011)→輪(2013)→税(2014)→安(2015)→北(2017)→令(2019)→密(2020) アメリカ・ニューヨークを拠点とする高級百貨店チェーンの名前は サックス→フィフス→アベニュー 海外におけるホテルのグレードを示す略号を上位から順に DLX→SUP→STD→CAS 日本銀行が年に4回行う企業の業況調査の名称に 全国企業→短期経済→観測→調査 日本銀行が年に4回行う企業の業況調査の名称に 企業→短期経済→観測→調査 人物を、日本銀行総裁を務めた順に 吉原重俊(1882/10/6)→富田鐵之助(1888/2/21)→川田小一郎(1889/9/3)→岩崎弥之助(1896/11/11)→山本達雄(1898/10/20)→高橋是清(1911/6/1)→三島彌太郎(1913/2/28)→一万田尚登(1946/6/1)→山際正道(1956/11/30)→前川春雄(1979/12/17)→澄田智(1984/12/17)→三重野康(1989/12/17)→松下康雄(1994/12/17)→速水優(1998/3/20)→福井俊彦(2003/3/20)→白川方明(2008/3/20)→黒田東彦(2013/3/20) 江戸時代の中山道の宿場を日本橋に近い順に 板橋→蕨→浦和→大宮 第3セクター鉄道を開業したのが早い順に 三陸鉄道(1984/4/1)→三木鉄道(1985)→長良川鉄道(1986)→松浦鉄道(1988)→わたらせ渓谷鐵道(1989/3/29)→井原鉄道(1999)→青い森鉄道(2002/12/1) 2012年6月に東京・お台場にオープンしたテーマパークの名前に レゴランド・→ディスカバリー・→センター→東京 アメリカの漢字表記に 亜→米→利→加 アメリカの州を早く加盟した順に サウスカロライナ州(1788/5/23)→ルイジアナ州(1812/4/30)→テキサス州(1845/12/29)→コロラド州(1876/8/1)→アリゾナ州(1912/2/14)→アラスカ州(1959/1/3) アメリカの州を合衆国に加盟したのが早い順に サウスカロライナ州(1788/5/23)→バーモント州(1791/3/4)→テキサス州(1845/12/29)→アリゾナ州(1912/2/14)→アラスカ州(1959/1/3)→ハワイ州(1959/8/21) マサチューセッツ州にあるアメリカで最も長い地名に チャーゴグガゴ→グマンチャウグ→ガゴグチャウバ→ナガンガマウグ 議会を現在の定数が多い順に 中国・全国人民代表大会(2985)→イギリス・庶民院(650)→イタリア・代議員(630)→フランス・国民議会(577)→インド・下院(545)→日本・衆議院(465)→アメリカ・下院(435) 会社が従業員に与える「自社株購入権」を表す言葉に スト→ック→オプ→ション 工業が発達しているドイツ西部の州の名前に ノルト→ライン→ウエスト→ファーレン 陸軍の部隊の単位を規模が大きい順に 軍団→師団→旅団 旧日本陸軍の階級章をそれを付けた軍人の階級が高いものから順に 黄色地に三つ星(大将)→黄色地に二つ星(中将)→黄色地に一つ星(少将)→黄色地に赤い縞模様に三つ星(大佐)→黄色地に赤い縞模様に二つ星(中佐)→黄色地に赤い縞模様に一つ星(少佐)→黄色い1つの太い線に星3つ(大尉)→黄色い1つの太い線に星2つ(中尉)→黄色い1つの太い線に星1つ(少尉) 自衛官の階級を位が上のものから順に 将→佐→尉→曹→士 陸上自衛官の階級を位が上のものから順に 陸将→二等陸佐→一等陸尉→准陸尉→陸曹長→三等陸曹→陸士長→一等陸士 政治家を東ティモールの大統領に就任した順に カイ・ララ・シャナナ・グスマン(2002/5/20)→ジョゼ・ラモス=ホルタ(2007/5/20)→タウル・マタン・ルアク(2012/5/20)→フランシスコ・グテレス(2017) 2012年5月に東ティモールの大統領に就任した政治家の名前に タウル→マタン→ルアク テーマパークを閉鎖されたのが早い順に 鎌倉シネマワールド(1998/12/15)→長崎オランダ村(2001/10/21)→宝塚ファミリーランド(2003/8/31)→ひろしまドッグぱーく(2005年6月)→加賀百万石時代村(2006/1/30)→倉敷チボリ公園(2008/12/31)→エキスポランド(2009年2月) 1968年に東京都府中市で発生した「三億円事件」で、実際に盗まれた金額に 29→43→07→500 宗教をインドにおける信者が多い順に ヒンズー教(約80.5%)→イスラム教(約13.4%)→キリスト教(約2.3%)→仏教(約0.8%) 地形を侵食や風化によって変化する順に 幼年期地形→壮年期地形→老年期地形→準平原 いわゆる「日本三大霊場」を北から順に 恐山(青森県)→比叡山(滋賀県)→高野山(和歌山県) イタリアの川を距離が長い順に ポー川(652km)→アディジェ川(409km)→テヴェレ川(405km) 「日本三大瀑布」の1つに数えられる滝を東にあるものから順に 袋田の滝(茨城県)→華厳の滝(栃木県)→那智の滝(和歌山県) 2011年の東京都知事選で得票数が多かった者から順に 石原慎太郎(約260万)→東国原英夫(約169万)→渡邉美樹(約101万)→小池晃(約62万) 工業地帯を西から順に 北九州工業地帯→阪神工業地帯→中京工業地帯→京浜工業地帯 日本の工業地帯を東から順に 京浜工業地帯→中京工業地帯→阪神工業地帯→北九州工業地帯 工業地帯を出荷額の多い順に 中京工業地帯(42.2兆)→京浜工業地帯(41.2兆)→阪神工業地帯(30.4兆)→北九州工業地帯(7.4兆) 愛知県の都市を市制を施行したのが早い順に 豊橋市(1906)→豊川市(1943)→豊田市(1951)→豊明市(1972) 都市を市制を施行したのが早い順に 北九州市(1963/4/1)→北広島市(1996/9/1)→西東京市(2001/1/21)→南アルプス市(2003/4/1)→四国中央市(2004/4/1)→南さつま市(2005/11/7)→北名古屋市(2006/3/20) 中部地方の中核となっている政令指定都市の名前に 名→古→屋 都市を地下鉄が開業したのが早い順に 大阪市(1933)→名古屋市(1957)→横浜市(1972)→神戸市(1977)→京都市(1981/5/29)→福岡市(1981/7/26)→仙台市(1987) 地下鉄が完成した順に オレンジのライン→赤の二重線→緑の線→白と紺 現在の東京メトロの前身にあたる特殊法人営団地下鉄の正式名称に 帝都→高速度→交通→営団 都営地下鉄の路線を開業した年が早い順に 浅草線(1960)→三田線(1968)→新宿線(1978)→大江戸線(1991) 都営地下鉄の路線を駅の数が多い順に 都営大江戸線(38駅)→都営三田線(27駅)→都営新宿線(21駅)→都営浅草線(20駅) 地下鉄路線を全線開通したのが早い順に(車両の画像) 銀座線(1939/1/15、黄色の線)→丸ノ内線(1959/3/15、赤い線)→千代田線(1978/3/31、緑の線)→副都心線(2008/6/14、茶色の線) 政令指定都市を人口が多い順に 横浜市(約373万人)→大阪市(約271万人)→名古屋市(約231万人)→仙台市(約108万人) 政令指定都市を施行されたのが早い順に 横浜市(1956/9/1)→北九州市(1963/4/1)→札幌市(1972/4/1)→広島市(1980/4/1)→仙台市(1989/4/1)→千葉市(1992/4/1)→さいたま市(2003/4/1)→静岡市(2005/4/1) 政令指定都市を区の数が多い順に 大阪市(24)→横浜市(18)→名古屋市(16)→京都市(11)→さいたま市(10)→京都市(10)→神戸市(9)→広島市(8)→新潟市(8)→川崎市(7)→浜松市(7)→堺市(7)→北九州市(7)→福岡市(7)→千葉市(6)→仙台市(5)→熊本市(5)→岡山市(4)→静岡市(3)→相模原市(3) 神奈川県の都市を政令指定都市に移行した順に 横浜市(1956/9/1)→川崎市(1972/4/1)→相模原市(2010/4/1) 都市を政令指定都市に移行した順に 横浜市(1956/9/1)→名古屋市(1956/9/1)→京都市(1956/9/1)→大阪市(1956/9/1)→神戸市(1956/9/1)→北九州市(1963/4/1)→札幌市(1972/4/1)→川崎市(1972/4/1)→福岡市(1972/4/1)→広島市(1980/4/1)→仙台市(1989/4/1)→千葉市(1992/4/1)→さいたま市(2003/4/1)→静岡市(2005/4/1)→堺市(2006/4/1)→新潟市(2007/4/1)→浜松市(2007/4/1)→岡山市(2009/4/1)→相模原市(2010/4/1)→熊本市(2012/4/1) 都市を政令指定都市となった順に 北九州市(1963/4/1)→福岡市(1972/4/1)→熊本市(2012/4/1) 都道府県を県庁所在地が五十音順になるように 栃木県(宇都宮市)→滋賀県(大津市)→石川県(金沢市)→山梨県(甲府市)→兵庫県(神戸市)→北海道(札幌市)→宮城県(仙台市)→香川県(高松市)→愛知県(名古屋市)→群馬県(前橋市)→島根県(松江市)→愛媛県(松山市)→茨城県(水戸市)→岩手県(盛岡市)→神奈川県(横浜市) 県庁所在地を東京都庁からの距離が大きい順に 青森市→盛岡市→秋田市→仙台市→新潟市→福島市 都道府県を五十音順に 大阪府(おおさか)→神奈川県(かながわ)→京都府(きょうと)→東京都(とうきょう)→福岡県(ふくおか)→宮城県(みやぎ) 四国の都市を五十音順に 高知(こうち)→高松(たかまつ)→徳島(とくしま)→松山(まつやま) 災害の際に地方自治体から発令される避難情報を拘束力が強いものから順に 避難指示→避難勧告→避難準備情報 経済における景気循環を周期が短い順に キチンの波(40ヶ月)→ジュグラーの波(約10年)→クズネッツの波(約20年)→コンドラチェフの波(約50年) 福島県の都市の名前に 喜→多→方 福島県の都市の名前に 会→津→若→松 城の写真を築城されたのが早い順に 姫路城(1346)→小田原城(1417)→熊本城(1469-87頃)→松本城(1504)→大坂城(1583)→和歌山城(1585)→会津若松城(1593)→名古屋城(1612) お城を東から順に(画像) 皇居(東京都)→名古屋城(愛知県)→姫路城(兵庫県)→熊本城(熊本県) 人物を欧州中央銀行の総裁を務めた順に ウィム・ドイセンベルク(1999)→ジャン=クロード・トリシェ(2003)→マリオ・ドラギ(2011) 日本の都市を東から順に 陸前高田市(岩手)→大和高田市(奈良)→安芸高田市(広島)→豊後高田市(大分) 旧国名を東にあった順に 越後(新潟)→丹後(京都)→備後(広島)→豊後(大分)→肥後(熊本) 日本の旧国名を東から順に 蝦夷(北海道)→下野(栃木)→甲斐(山梨)→諏訪(長野)→遠江(静岡)→伊賀(三重)→美作(岡山)→周防(山口)→豊前(福岡、大分) 画像から連想される旧国名を東にあったほうから順に 伊勢海老(三重)→土佐犬(高知)→日向夏(宮崎)→薩摩芋(鹿児島) 県を、旧国名にしたとき五十音順になるように 徳島県(阿波)→愛媛県(伊予)→香川県(讃岐)→高知県(土佐) 漢字で「馬耳塞」と書く海外の都市の名前に(画像) ○→背→胃→湯(マルセイユ) フランスの都市を北から順に パリ→リヨン→マルセイユ フランスの地方を北から順に ノルマンディー→ブルターニュ→ブルゴーニュ→オーヴェルニュ→ラングドック カタカナのみで表記されるJRの駅を、開業したのが古い順に ニセコ駅(1904/10/15)→マキノ駅(1974/7/20)→トマム駅(1981/10/1)→ハウステンボス駅(1992/3/10)→オレンジタウン駅(1998/3/14)→スペースワールド駅(1999/7/2)→ユニバーサルシティ駅(2001/3/1) JRの駅を五十音順に 大畑(おこば)→大楽毛(おたのしけ)→平城山(ならやま)→生見(ぬくみ)→及位(のぞき)→伯耆大山(ほうきだいせん)→祝園(ほうその) JRの駅を2007年度の乗車人員が多かった順に 新宿駅(約78万5千人、LUMINE)→渋谷駅(約44万5千人、TOKYU)→東京駅(約39万6千人、赤レンガの駅舎)→新橋駅(約25万人、新橋駅舎) 日本の村を人口が多い順に 読谷村(約4万人)→東海村(3.8万人)→西郷村(約2万人) ドイツの都市を人口が多い順に ベルリン(約347万人)→ハンブルク(約176.3万人)→ミュンヘン(約147万人)→ケルン(約104.7万人)→フランクフルト・アム・マイン(約72万人)→ビーレフェルト(約33万人) フランスの都市を人口が多い順に パリ(約217万人)→マルセイユ(約82万人)→リヨン(約46万人)→トゥールーズ(約44万人)→ニース(約34万人)→ナント(約28万人) 南アメリカの国を人口が多い順に ブラジル(約2億1100万人)→コロンビア(約5088万人)→アルゼンチン(約4519万人)→ペルー(約3297万人)→チリ(約1911万人)→ボリビア(約1167万人)→パラグアイ(約713万人)→ウルグアイ(約347万人) ブラジルの都市を人口が多い順に リオデジャネイロ(約632万人)→クリチバ(約178万人)→ゴイアニア(約150万人)→ポルトアレグレ(約142万人) ブラジルの都市に リオ→デ→ジャネ→イロ 韓国の都市を人口が多い順に ソウル(約986万人)→釜山(約340万人)→仁川(約288万人)→大邱(約245万人) 九州の都市を人口が多い順に 福岡市(約153万人)→北九州市(約95万人)→熊本市(約74万人)→鹿児島市(約60万人) 石川県の都市を人口が多い順に 金沢市(約46万5千人)→白山市(約11万人)→小松市(約10万7千人)→加賀市(約6万6千人)→野々市市(約5万5千人)→七尾市(約5万4千人)→能美市(約4万9千人)→かほく市(約3万4千人)→輪島市(約2万6千人)→羽咋市(約2万1千人)→珠洲市(約1万4千人) 鳥取県の都市を人口が多い順に 鳥取市(約19万人)→米子市(約15万人)→倉吉市(約5万人)→境港市(約3万5千人) 三重県の都市を人口が多い順に 四日市市(約31万人)→津市(約28万人)→鈴鹿市(約20万人)→松阪市(約17万人) 北海道の都市を人口が多い順に 札幌(約191万人)→旭川(約35万人)→函館(約28万人)→釧路(約17万7千人)→帯広(約17万人)→小樽(約13万人)→江別(約12万1千人)→室蘭(約9万人) 4つの島を人口が多い順に 本州→九州(約1460万人)→北海道(約553万人)→四国(約393万人) 四国の4つの県を人口が多い順に 愛媛県(約141万人)→香川県(約99万人)→徳島県(約78万人)→高知県(約75万人) 神奈川県の都市を人口の多い順に 横浜市(約370万人)→川崎市(約140万人)→相模原市(約70万人)→横須賀市(約41万人) 近畿地方に数えられる府県を、人口が多い順に 大阪府(約885万人)→兵庫県(約554万人)→京都府(約261万人)→滋賀県(約141万人)→奈良県(約137万人)→和歌山県(約97万人) 国を、現時点での人口が多い順に 中国(約13億人)→インド(約12億人)→アメリカ(約3億1千万人) 国を人口が多い順に ブラジル(約2.1億人)→パキスタン(約1.9億人)→ロシア(約1.4億人)→メキシコ(約1.3億人) アジアの国を人口が多い順に インド(約12億人)→インドネシア(約2億5千万人)→パキスタン(約1億9千万人)→ベトナム(約8400万人)→タイ(約6640万人)→ミャンマー(約5200万人)→韓国(約5100万人)→ラオス(約677万人) 東南アジアの国を人口が多い順に インドネシア(約2億5千万人)→フィリピン(約1億300万人)→ベトナム(約8400万人)→タイ(約6900万人)→ミャンマー(約5千万人)→マレーシア(約3119万人)→カンボジア(約1513万人)→ラオス(約677万人) アメリカの州を人口が多い順に カリフォルニア州(約3720万人)→テキサス州(約2510万人)→ニューヨーク州(約1930万人)→フロリダ州(約1880万人)→イリノイ州(約1280万人)→オハイオ州(約1150万人)→ニュージャージー州(約890万人)→マサチューセッツ州(約680万人) アメリカ合衆国の州を人口が多い順に(地図) カリフォルニア州(約3720万人)→テキサス州(約2510万人)→ニューヨーク州(約1930万人)→フロリダ州(約1880万人) 日本の村を2010年の国勢調査による人口が少ない順に 青ヶ島村(201)→利島村(341)→御蔵島村(348)→神津島村(1782)→小笠原村(2785)→新島村(2833) 2015年の国勢調査による人口が多い順に 札幌市(約195万人)→千葉市(約97万人)→新潟市(約81万人) 都市を2010年の国勢調査による人口が多い順に 横浜市(約369万人)→大阪市(約266万人)→名古屋市(約226万人)→札幌市(約191万人)→京都市(約147万人)→福岡市(約146万人)→川崎市(約142万人) 都市を人口が多い順に 横浜市(約380万人)→横須賀市(約39万人)→横手市(約8万人) シンガポールに住んでいる人種を人口が多い順に 中国人(約75%)→マレー人(約14%)→インド人(約9%)→アラブ人 都道府県を2015年の国勢調査による人口が多い順に 東京(約1351万人)→神奈川県(約912万人)→大阪府(約884万人)→北海道(約538万人) 都道府県を2010年の国勢調査による人口が多い順に 東京都(約1315万人)→神奈川県(約904万人)→大阪府(約886万人)→北海道(約550万人) 県を、制定している「県の木」が五十音順になるように 香川県(オリーブ)→山形県(サクランボ)→広島県(モミジ) 地図記号が表す建物を五十音順に 警察署(○の中に×)→裁判所(矢印)→消防署(さすまた)→保健所(○の中に十字) 「アメリカのベニス」と呼ばれるフロリダ州の都市の名前に フォート→ローダー→デール フロリダ州北東部にある商工業都市の名前に ジャク→ソン→ヒル 2010年6月に鳥取県境港市にオープンしたアミューズメント施設の名前に ゲゲゲの→パワースポット→鬼太郎→妖怪倉庫 宇宙人のしわざともされた家畜の変死事例の名前に キャトル→ミュー→ティレー→ション 祭りを、1年のうちで行われるのが早い順に さっぽろ雪まつり(2月上旬)→石段ひなまつり(3/3)→ひろしまフラワーフェスティバル(5/3-5/5)→葵祭(5/15)→チャグチャグ馬コ(6月第2土曜日)→那智の火祭り(7月中旬)→デカンショ祭(8月中旬)→灘のけんか祭り(10/14) 毎年6月に岩手県で行われる伝統行事の名前に チャ→グチャグ→馬→コ 文字・図形を毎年8月に京都で行われる「大文字五山送り火」で、点火されるのが早い順に 大文字→妙法→船形→左大文字→鳥居形 京都の地名を時代祭の行列が通る順に 京都御所→烏丸丸太町→烏丸御池→河原町御池→三条大橋→平安神宮 京都の祭を1年のうちで先に行われるものから順に 葵祭(5月)→祇園祭(7月)→時代祭(10月) 京都の伝統行事を1年で早く行なわれる順に 葵祭(赤い傘、5/15)→祇園祭(山車、7/14)→五山送り火(大文字、8/16)→時代祭(のぼり、10/15) 有名なUFO現象を発生した順に ロズウェル事件(1947/7/8)→ヒル夫妻事件(1961/9/19)→ソコロ事件(1964/4/24)→高知介良事件(1972年8月)→トラヴィス・ウォルトン事件(1975/11/5)→レンドルシャムの森事件(1980年12月) 国内問題を重視して他国との同盟を嫌う単独行動主義を表す言葉に アイ→ソレー→ショニ→ズム アメリカで発生した記録的なハリケーンのニックネームで発生したのが早い順に ギルバート(1988)→アンドリュー(1992)→フロイド(1999)→イザベル(2003)→ジーン(2004)→カトリーナ(2005)→フェリックス(2007) 写真の場所を北から順に 聖ワシリー寺院(モスクワ)→パルテノン神殿(アテネ)→マーライオン(シンガポール)→ウルル(赤い岩、オーストラリア) 北海道の観光名所を北から順に(画像) 宗谷岬→網走刑務所(前に球が2つある建物)→昭和新山(赤みがかった山)→五稜郭 観光名所を北から順に(画像) 時計台(札幌)→みなとみらい(横浜)→金閣寺(京都)→守礼門(沖縄) アフリカの国を北から順に チュニジア→モーリタニア→ニジェール→ブルキナファソ→ウガンダ→赤道ギニア→タンザニア→アンゴラ→ジンバブエ→ナミビア→南アフリカ共和国→エスワティニ→レソト アフリカの国を東から順に ジプチ→エリトリア→スーダン→ウガンダ→チャド→赤道ギニア→ニジェール→マリ→コートジボワール→モーリタニア→リベリア→ギニア→シエラレオネ→ギニアビサウ 中米の国を北から順に バハマ→キューバ→ジャマイカ 国を北から順に カザフスタン→キルギス→タジキスタン→アフガニスタン→パキスタン 国を北から順に リヒテンシュタイン→サンマリノ共和国→バチカン市国 国を北から順に フィンランド→アイルランド→ニュージーランド 南米の国を北から順に ボリビア→パラグアイ→ウルグアイ 原子力発電所を北から順に 泊発電所(北海道)→女川原子力発電所(宮城県)→美浜発電所(福井県)→川内原子力発電所(鹿児島県) 新入社員の特徴を名付けたネーミングを発表された年度が早い順に たいやきクン型(1976)→コピー食品型(1984)→テレフォンカード型(1987)→もつ鍋型(1993)→再生紙型(1998)→キシリトールガム型(2001)→ブログ型(2006) 富山県の万葉線にある駅の名前に 米島口→アルビス→米島→店前 日本人をノーベル賞を受賞した順に 湯川秀樹(1949)→川端康成(1968)→江崎玲於奈(1973)→佐藤栄作(1974)→利根川進(1987)→大江健三郎(1994)→白川英樹(2000)→田中耕一(2002) ノーベル賞の部門を受賞した日本人の数が多い順に ノーベル物理学賞(11)→ノーベル化学賞(8)→ノーベル医学・生理学賞(5)→ノーベル文学賞(2)→ノーベル平和賞(1)→ノーベル経済学賞(0) 駅弁を誕生したのが早い順に あなごめし(1899)→ますのすし(1912)→いかめし(1941)→シウマイ御弁冨(1954)→峠の釜めし(1958)→だるま弁当(1960)→かきめし(1963)→雪だるま弁当(1987) 高級駅弁を値段が高いものから順に 極上松阪牛ヒレ牛肉弁当(10500円)→柳ごおり弁当(6000円)→加賀大名弁当(5000円)→大館曲げわっぱ「黒」鶏めし(4200円) 砂漠を面積の大きい順に サハラ砂漠(約1000万km²)→タクラマカン砂漠→ゴビ砂漠→シンプソン砂漠 団体を誕生した順に 日本住宅公団(1955/7/25)→宅地開発公団(1975/9/1)→住宅・都市整備公団(1981/10/1)→都市基盤整備公団(1999/10/1)→都市再生機構(2004) 国を国際連合の通常予算の分担率が高い順に アメリカ(22%)→日本(9.6%)→ドイツ(7.9%)→フランス(6.4%)→イギリス(4.4%)→イタリア(3.7%)→カナダ(2.7%)→スペイン(2.4%) 政治家を公明党の代表を務めた順に 神崎武法(1998/11/7)→太田昭宏(2006/9/30)→山口那津男(2009/9/8) 政党を2017年7月の東京都議選挙で獲得した議席が多い順に 都民ファーストの会(49)→公明党(23)→自民党(23)→共産党(19)→民進党(5)→日本維新の会(1)→生活者ネット(1) 政党を2013年の東京都議選で獲得した議席の数が多い順に 自民党(59)→公明党(23)→共産党(17)→民主党(15)→みんなの党(7)→東京・生活者ネットワーク(3)→日本維新の会(2) 2013年6月に、33歳の若さでカタールの国家元首となった人物の名前に タミム→ビン→ハマド→サーニ ディズニーランドがある地域を、オープンしたのが古い順に カリフォルニア(アナハイム)(1955/7/17)→フロリダ(オーランド)(1971/10/1)→東京(1983/4/15)→パリ(1992/4/12)→香港(2005/9/12)→上海(2016/6/16) アフリカ大陸北部に広がる世界最大の砂漠の名前に サ→ハ→ラ JRの貨車の重量を示す記号を、その意味する重量が小さい順に ム(14t)→ラ(17t)→サ(20t)→キ(25t) JRの客車の重量を示す記号を、その意味する重量が小さい順に コ(22.5t未満)→ホ(22.5t以上27.5t未満)→ナ(27.5t以上32.5t未満)→オ(32.5t以上37.5t未満)→ス(37.5t以上42.5t未満)→マ(42.5t以上47.5t未満)→カ(47.5t以上) ドナルド・トランプの子供を年齢が高い順に トランプ・ジュニア(1977/12/31)→イヴァンカ(1981/10/30)→エリック(1984/1/6)→ティファニー(1993/10/13)→バロン(2006/3/20) 軍用ミサイルを射程距離が長い順に テポドン2号(13000km)→ノドン(2000km)→スカッド(1000km) 人物をパレスチナ解放機構の議長を務めた順に アフマド・シュケイリ(1964/6/2)→ヤヒア・ハマウダ(1967/12/24)→ヤセル・アラファト(1969/2/4)→マフムード・アッバス(2004/11/11) 2016年7月にエキスポシティにオープンした、日本で一番高い観覧車の名前に レッド→ホース→オオサカ→ホイール MS ADインシュアランスグループの2社が合併し、2010年に誕生した損保会社の名前に あいおい→ニッセイ→同和→損害保険 人物を肖像が使われた紙幣の金額が高い順に(画像) 福沢諭吉(10000円)→伊藤博文(1000円)→岩倉具視(500円)→板垣退助(100円)→高橋是清(50円) 都道府県を乳牛の飼育頭数が多い順に 北海道(約80万頭)→栃木県(約5万2千頭)→熊本県(約4万3千頭)→愛知県(約2万3千百頭)→鹿児島県(約1万4千3百頭)→兵庫県(約1万3千4百頭) 2016年の出来事を起きるのが早い順に マイナンバー制度がスタート(1月)→民進党が発足(3/27)→伊勢志摩サミット開催(5/26)→オバマ大統領が広島訪問(5/27)→「18歳選挙権」施行(6/19)→イギリスの国民投票でEU離脱派が勝利(6/23)→リオデジャネイロ五輪開催(8/5) JR東日本の臨時快速列車の名前に マリン→ブルー→くじら→なみ 国を、人口密度が大きい順に モナコ(16244)→シンガポール(6773)→バチカン(1782)→バーレーン(1735) 都道府県を人口密度が高い順に 東京都(約6100人)→大阪府(約4600人)→沖縄県(約620人)→北海道(約68人) 日本の「鬼火」にあたる西洋の伝説の名前に ウィル→オ→ウィス→プ 作家トルストイが生まれたトルストイの家博物館があるロシアの場所の名前に ヤース→ナヤ→ポリ→ヤーナ タレント議員を国会議員に初当選したのが古い順に 青島幸男(1968)→宮田輝(1974)→扇千景(1977)→西川きよし(1986) 電車や機関車の運転席にある加速用のハンドルの名称に マス→ター→コント→ローラー スペイン中東部に位置する同国第3の都市の名前に バ→レン→シ→ア 標高959mと大阪府で最も高い山の名前に 大→和→葛→城 スイス・イタリア国境にあるアルプス山脈第2位の高さの山の名前に モン→テロ→ーザ お墓や仏壇に仏の魂を迎える儀式の名前に 開→眼→供→養 2007年に流行語大賞に選ばれた東国原英夫の言葉に どげん→かせん→とい→かん 国政選挙の際に話題となった言葉を古い順に 小泉チルドレン(2005)→小沢ガールズ(2009)→橋下ベイビーズ(2012) アメリカの大学を歴史が古い順に ハーバード大学(1636)→ウィリアム・アンド・メリー大学(1693)→イェール大学(1701) 「アイビーリーグ」を構成するアメリカの名門大学を開学したのが早い順に ハーバード大学(1636)→イェール大学(1701)→ペンシルバニア大学(1740)→プリンストン大学(1746)→コロンビア大学(1754)→ブラウン大学(1764)→ダートマス大学(1769)→コーネル大学(1865) サンフランシスコの観光名所の名前に ゴールデン→ゲート→ブリッジ 経済の独占形態を企業同士の結合の程度が強い順に コンツェルン→トラスト→カルテル キリスト教の祭日を1年で早く行われる順に イースター(4月)→ハロウィン(10/31)→サンクスギビングデー(11月頃)→クリスマス(12月) 島を東にあるものから順に 南鳥島→択捉島→沖ノ鳥島→与那国島 専修大学の付属高校を東にあるものから順に 専修大学北上高校(岩手)→専修大学松戸高校(千葉)→専修大学附属高校(東京)→専修大学玉名高校(熊本) フランス最大の通信社の名前に A→F→P 「KKK」の略称で呼ばれる秘密結社の正式名に クー→クラックス→クラン 2010年に噴火し欧州の航空網を麻痺させた火山の名前に エイヤ→フィヤ→トラ→ヨークトル スキー場を北に位置するものから順に 雫石スキー場(岩手)→蔵王温泉スキー場(山形)→志賀高原スキー場(長野)→びわ湖バレイ(滋賀)→五ヶ瀬ハイランドスキー場(宮崎) 日本で最も南にある天然雪スキー場の名前に 五ヶ瀬→ハイ→ランド→スキー場 日本の国立博物館を東に位置するものから順に 東京国立博物館→奈良国立博物館→京都国立博物館→九州国立博物館 政党を、2014年12月の衆議院議員総選挙で獲得した議席が多い順に 自由民主党(291)→民主党(73)→維新の党(41)→公明党(35)→共産党(21)→社民党(2) 「心的外傷後ストレス障害」を表す略語に P→T→S→D 海を平均深度が大きい順に 太平洋(4282m)→インド洋(3963m)→大西洋(3926m)→カリブ海→南シナ海→地中海→日本海→北極海 2011年にベトナムの国家主席に就任した政治家の名前に チュ→オン→タン→サン 2011年7月にベトナムの第5代国家主席に選出された政治家の名前に チュオン→タン→サン 2010年に世界遺産に登録されたハワイにある海洋国家遺産の名前に パパ→ハナウ→モク→アケア ハワイアンモンクアザラシやアオウミガメが生息する世界複合遺産の名称に パパ→ハナウ→モクア→ケア ニュージーランドの首都の名前に ウェ→リン→トン 世界各国の首都を北にあるものから順に オスロ(ノルウェー)→ベルリン(ドイツ)→マドリード(スペイン)→カイロ(エジプト)→バンコク(タイ)→クアラルンプール(マレーシア)→シンガポール(シンガポール)→ウェリントン(ニュージーランド) 日本のレジャー施設を北にあるものから順に のぼりべつクマ牧場(北海道)→スパ・リゾートハワイアンズ(福島県)→東武ワールドスクウェア(栃木県)→アクアシティお台場(東京都)→ハウステンボス(長崎県) 2社の合併により2014年に誕生した損害保険会社の名前に 損害保険→ジャパン→日本興亜→株式会社 優秀な大学生のみが加入できるアメリカの歴史的な友愛会の名前に ファイ→ベータ→カッパ 本四連絡橋尾道・今治ルートの橋を北にあるものから順に 新尾道大橋→因島大橋→生口橋→多々羅大橋→大三島橋→伯方・大島大橋→来島海峡大橋 アジアの国・カンボジアの正式名称に プリア→リアチア→ナチャク→ラプチア 人物を、ローマ教皇を務めた順に ヨハネ・パウロ1世(1978/8/26)→ヨハネ・パウロ2世(1978/10/16)→ベネディクト16世(2005/4/19)→フランシスコ(2013/3/13) 河川の分類を重要性の高い順に 一級河川→二級河川→準用河川→普通河川 ヨーロッパの国・スロバキアの国歌のタイトルに 稲妻が→タトラの→上を→走り去り 政治家を台湾の総統を務めた順に 李登輝(1988/1/13)→陳水扁(2000/5/20)→馬英九(2008/5/20)→蔡英文(2016/5/20)→頼清徳(2024/5/20) シンガポールを代表する名門ホテルの名前に ラッ→フル→ズ→ホテル 国を日本と経済連携協定を結んだのが古い順に シンガポール(2002/11/30)→メキシコ(2005/4/1)→マレーシア(2006/7/13)→チリ(2007/9/3)→タイ(2007/11/1)→フィリピン(2008/12/11)→スイス(2009/9/1)→インド(2011/8/1)→ペルー(2012/3/1) 人物を日本共産党の委員長を務めた順に 宮本顕治(1970)→不破哲三(1982)→村上弘(1987)→志位和夫(2000) 南アメリカ大陸にある巨大な滝の名前に イ→グ→ア→ス 2010年8月にコロンビアの大統領に就任した政治家の名前に フアン→マヌエル→サントス 都市を特例市となった順に 呉市(2000/11/1)→鳥取市(2005/10/1)→松江市(2012/4/1) 北海道の村の名前に 音→威→子→府 2011年のロイヤルウェディングで話題となった、イギリスのウィリアム王子の本名に ウィリアム→アーサー→フィリップ→ルイス 2015年5月に誕生したイギリス王室ウィリアム王子の第2子の王女の名前に シャーロット→エリザベス→ダイアナ イギリス王室の人物を皇位継承順位が高い順に チャールズ皇太子(1)→ウィリアム王子(2)→ジョージ王子(3)→シャーロット王女(4)→ヘンリー王子(5) イギリス女王・エリザベス2世の子を生まれた順に チャールズ皇太子(1948/11/14)→アン王女(1950/8/15)→アンドルー王子(1960/2/19)→エドワード王子(1964/3/10) 南米大陸を流れる大河の名前に ア→マ→ゾ→ン 小泉純一郎総理が衆議院の委員会で発言したフレーズに 人生いろいろ→会社もいろいろ→社員もいろいろだ 「イギリス」の正式名称に United Kingdom→of→Great Britain and→Northern Ireland 人物を皇位継承権が上位である順に 皇太子徳仁親王(1位)→秋篠宮文仁親王(2位)→悠仁親王(3位)→常陸宮正仁親王(4位)→三笠宮崇仁親王(5位) キャラクターを「ゆるキャラグランプリ」で優勝した順に ひこにゃん(2010)→くまモン(2011)→バリィさん(2012)→さのまる(2013)→ぐんまちゃん(2014) フランスとの国境近くに位置するドイツの大学の名前に ザー→ル→ラン→ト大学 アメリカのバラク・オバマが2008年の大統領選で用いたキャッチフレーズに YES→WE→CAN 国税を五十音順に 印紙税(いんし)→揮発油税(きはつゆ)→航空機燃料税(こうくうきねんりょう)→所得税(しょとく)→石油石炭税(せきゆせきたん)→相続税(そうぞく)→登録免許税(とうろく)→とん税 信仰と政治との間に一線を画すことを説いたキリストの言葉に カエサルのものは→カエサルに→神のものは→神に フランスのレジオンドヌール勲章の階級を位が低いものから順に シュヴァリエ(5等)→オフィシエ(4等)→コマンドゥール(3等)→グラン・ドフィシエ(2等)→グラン・クロワ(1等) 国を大統領の任期が長い順に イタリア(7年)→ロシア(6年)→フィリピン(6年)→メキシコ(6年)→フランス(5年)→ドイツ(5年)→韓国(5年)→アメリカ(4年)→イラン(4年)→コロンビア(4年) 人物をイタリアの大統領を務めた順に エンリコ・デ・ニコラ(1948/1/1)→ルイジ・エイナウディ(1948/5/12)→ジョバンニ・レオーネ(1971/12/29)→アレッサンドロ・ペルティーニ(1978/7/9)→フランチェスコ・コッシガ(1985/7/3)→カルロ・チャンピ(1999/5/18)→ジョルジョ・ナポリターノ(2006/5/15) ダムを堤高が高い順に 黒部ダム(186.0m)→高瀬ダム(176.0m)→奈良俣ダム(158m)→奥只見ダム(157.0m)→宮ヶ瀬ダム(156.0m)→佐久間ダム(155.5m)→奈川渡ダム(155.0m) 都道府県を自転車の保有台数が多い順に 東京都(約900万台)→大阪府(約650万台)→愛知県(約408万台)→千葉県(約376万台)→北海道(約283万台)→滋賀県(約81万台)→徳島県(約44万台)→沖縄県(約23万台) 品物を日本に輸入した場合の関税の簡易税率が低いものから順に 弦楽器(0%)→釣り用具(3.8%)→毛布(5%)→ネクタイ(10%)→ウーロン茶(15%)→毛皮のコート(20%) ドイツの工業都市ケムニッツのかつての名前に カール→マルクス→シュ→タット 戦争で生死不明になった兵士を指す用語に M→I→A ベトナム戦争で生死不明になったアメリカ軍兵士を指す用語に M→I→A 温暖湿潤気候を表すケッペンの気候区分に C→f→a ケッペンの気候区分で「Cw」と表記されるものに 温暖→冬期→少雨→気候 気候を表すケッペンの気候区分の記号をアルファベット順に 熱帯(A)→乾燥帯(B)→温帯(C)→亜寒帯(D)→寒帯(E)→高山気候(H) 南アメリカ大陸の地帯を北から順に リャノ(オリノコ川流域)→セルバ(ペルー)→カンポ(ブラジル南部)→パンパ(南アメリカ大陸南部) インターネット専業の証券会社を、現在の商号に変更されたのが早い順に 松井証券(1998年5月)→カブドットコム証券(2001年4月)→楽天証券(2004年4月)→マネックス証券(2005/12/3) 2009年11月に可決された法律の名前に 中小企業→金融→円滑化→法 アメリカの世界遺産・自由の女神像の正式名称に Liberty→Enlightening the→World 都市を万国博覧会が初めて開催されたのが早い順に ロンドン(1851)→パリ(1855)→ウィーン(1873)→メルボルン(1880)→バルセロナ(1888)→ブリュッセル(1897)→ミラノ(1906) 銀行を、国立銀行時代のバンクナンバーが小さいものから順に 山梨中央銀行(10)→群馬銀行(39)→秋田銀行(48)→山陰合同銀行(53)→北越銀行(69)→山形銀行(81)→親和銀行(99)→宮崎銀行(145) アメリカ海軍のニミッツ級原子力空母を就役が早い順に ドワイト・D・アイゼンハワー(1970/10/18)→セオドア・ルーズベルト(1986/10/25)→エイブラハム・リンカーン(1989/11/11)→ジョージ・ワシントン(1992/7/4)→ハリー・S・トルーマン(1998/7/25)→ロナルド・レーガン(2003/7/12) 駅を北から順に(画像) 横にビルのある駅(札幌駅)→東京駅→京都駅→観覧車のある駅(鹿児島中央駅) 世界経済の安定を図る組織「国際復興開発銀行」の略称に I→B→R→D 日本人の名字を人口の多い順に 吉田→池田→前田→福田 オーストラリアの観光名所を西にあるものから ウェーブロック(西オーストラリア州)→エアーズロック(ノーザン・テリトリー)→デビルズ・マーブルズ(ノーザン・テリトリー)→カンガルー島(南オーストラリア州)→サンシャイン・コースト(クイーンズランド州) 国を国旗にデザインされている星の数が多い順に アメリカ合衆国(50)→ブラジル(27)→ミャンマー(14)→ウズベキスタン(12)→オーストラリア(6)→中華人民共和国(5)→ニュージーランド(4)→ベトナム(1) アジアの国を国旗に描かれている星の数が多い順に シンガポール(5)→中国(5)→フィリピン(3)→シリア(2)→東ティモール(1)→ベトナム(1) 国を国旗に使われている色が多い順に 南アフリカ(6)→セーシェル(5)→クウェート(4)→チェコ(3)→ナイジェリア(2) オセアニアの国を国旗に使われている色の数が多い順に パプアニューギニア(4)→マーシャル諸島(3)→トンガ(2) アメリカ合衆国のテロ警戒レベルを、高いものから順に SEVERE→HIGH→ELEVATED→GUARDED→LOW 国歌をそれが歌われる国の面積が大きい順に The Star-Spangled Banner(アメリカ)→Jana Gana Mana(インド)→La Marseillaise(フランス)→君が代(日本)→Inno di Mameli(イタリア) 「君が代」の歌詞に登場する順に 八千代→石→こけ アメリカ合衆国の国歌のタイトルに The→Star→Spangled→Banner アフリカ西部の国・シエラレオネの国歌のタイトルに 高く→我らは汝、→自由の国を→賞賛する アメリカ国歌の出だしの一節に Oh, say→can you see→by the dawn's→early light フランスの国歌のタイトルに La→Mar→seill→aise フランスの国歌のタイトルに ラ・→マル→セイ→エーズ セルビアの国歌のタイトルに ス→ラ→ブ→人よ 韓国の国歌のタイトルに 愛→国→歌 「男女雇用機会均等法」の正式な名称に 雇用の分野における→男女の均等な→機会及び待遇の確保→等に関する法律 法律を成立が古いものから順に 独占禁止法(1947)→男女雇用機会均等法(1972)→リゾート法(1987)→暴力団対策法(1991)→家電リサイクル法(1998)→国旗・国歌法(1999)→ストーカー規制法(2000)→個人情報保護法(2003/5/23) 「独占禁止法」の正式名称に 私的独占の→禁止及び→公正取引の→確保に関する法律 法律を条文の数が多い順に 民法(1044条)→商法(851条)→刑法(264条)→憲法(103条)→軽犯罪法(33条) 罪名を刑法に規定されている順に 外患誘致(81条)→公文書偽造(155条)→重婚(184条)→殺人(199条)→傷害(204条)→窃盗(235条)→恐喝(249条)→業務上横領(253条) 横浜市に本社を置く精密工作機械関連の会社の名前に ソ→ディック→ハイ→テック 「北欧のベニス」という別名を持つ、スウェーデンの首都の名前に ス→トッ→クホ→ルム ヨーロッパの国を首都の名前の五十音順に ノルウェー(オスロ)→デンマーク(コペンハーゲン)→スウェーデン(ストックホルム)→フィンランド(ヘルシンキ)→イギリス(ロンドン) 国を首都名の五十音順に ヨルダン(アンマン)→ノルウェー(オスロ)→デンマーク(コペンハーゲン)→イエメン(サヌア)→アイルランド(ダブリン)→シリア(ダマスカス)→イラン(テヘラン)→カタール(ドーハ)→フィンランド(ヘルシンキ)→バーレーン(マナーマ)→サウジアラビア(リヤド)→アイスランド(レイキャビク)→イギリス(ロンドン) アメリカ合衆国の首都である都市名に ワシントン→D.→C. アメリカの都市を五十音順に 桑港(サンフランシスコ)→舎路(シアトル)→紐育(ニューヨーク)→費拉持特費府(フィラデルフィア)→波士敦(ボストン)→花瑠瑠(ホノルル)→羅府(ロサンゼルス)→華盛頓(ワシントン) アメリカの都市をアルファベット順に シカゴ(Chicago)→ロサンゼルス(Los Angeles)→ニューヨーク(New York)→サンフランシスコ(San Francisco) アメリカの州をアルファベット順に アラバマ州(Alabama)→アラスカ州(Alaska)→アーカンソー州(Arkansas)→アイダホ州(Idaho)→アイオワ州(Iowa)→ネブラスカ(Nebraska)→ネバダ(Nevada)→ニューハンプシャー(New Hampshire)→ニュージャージー(New Jersey)→ニューメキシコ(New Mexico)→ニューヨーク(New York)→ノースカロライナ(North Carolina)→ノースダコタ(North Dakota) 空港を開港した順に 東京国際空港(1931/8/25)→大阪国際空港(1958/3/18)→成田国際空港(1978/5/20)→新千歳空港(1988/7/20)→関西国際空港(1994/9/4)→中部国際空港(2005/2/17) 日本の空港をスリーレターコードのアルファベット順に 大阪国際空港(ITM)→高知龍馬空港(KCZ)→新潟空港(KIJ)→関西国際空港(KIX)→中部国際空港(NGO)→成田国際空港(NRT)→那覇空港(OKA) 日本の空港のスリーレターコードをその空港が東にある順に CTS(新千歳空港)→NRT(成田国際空港)→NGO(中部国際空港)→KIX(関西国際空港)→UBJ(山口宇部空港)→OKA(那覇空港) 航空会社の2レターコードをアルファベット順に エアインディア(AI)→ロイヤルブルネイ航空(BI)→キャセイ・パシフィック航空(CX)→大韓航空(KE)→アシアナ航空(OZ)→フィリピン航空(PR) 鳥取県の「県の花」の名前に ニジ→ッセ→イキ→ナシ 山口県の「県の花」の名前に ナツ→ミカ→ンノ→ハナ 兵庫県の「県の花」の名前に ノ→ジ→ギ→ク 県を、制定している「県の花」が五十音順になるように 福岡県(ウメ)→富山県(チューリップ)→兵庫県(ノジギク)→宮城県(ミヤギノハギ) 宮崎県の「県の鳥」の名前に コシ→ジロ→ヤマ→ドリ 高知県の「県の鳥」の名前に ヤ→イ→ロ→チョウ 京都府の「府の鳥」の名前に オオ→ミズ→ナギ→ドリ 国を、正規軍の兵力が多い順に 中国(224万人)→アメリカ(135万人)→北朝鮮(128万人)→ロシア(約90万人)→韓国(69万人)→フランス(約31万人)→イスラエル(約17万人) 15インチゲージというミニ規格を採用しているイギリスの鉄道の名前に ロムニー→ハイス→アンド→ディムチャーチ 通貨単位を採用している国が多い順に ユーロ(23)→CFAフラン(14)→アメリカ・ドル(11)→オーストラリア・ドル(5) JRの鉄道駅を標高が高い順に 野辺山駅(1345m)→清里駅(1274m)→甲斐大泉駅(1158m)→信濃川上駅(1135m)→佐久広瀬駅(1073m)→甲斐小泉駅(1044m)→佐久海ノ口駅(1039m)→海尻駅(1034m)→松原湖駅(967m) 日本の峠を標高が高い順に 三伏峠(2580m)→針ノ木峠(2536m)→麦草峠(2120m)→金精峠(2024m)→大菩薩峠(1897m)→野麦峠(1672m)→和田峠(1531m) 日本の山を標高が高い順に 富士山(3776m)→奥穂高岳(3190m)→間ノ岳(3189m)→槍ヶ岳(3180m)→赤石岳(3121m)→北穂高岳(3106m)→大喰岳(3101m) 北海道の山を標高が高い順に 旭岳(2291m)→十勝岳(2077m)→石狩岳(1967m)→羊蹄山(1898m)→羅臼岳(1661m)→雌阿寒岳(1499m)→雄阿寒岳(1370.5m)→手稲山(1023.1m) 南アメリカ大陸最高峰の名前に ア→コン→カ→グア ヨーロッパの国・アイスランドの最高峰の名前に クバンナ→ダールス→フニュー→クル 大陸をその最高峰の標高が高い順に 南アメリカ大陸(6962m)→北アメリカ大陸(6194m)→アフリカ大陸(5895m)→南極大陸(4892m)→オーストラリア大陸(2228m) スペイン語で「塩の川の源」という意味がある、南米で2番目に高い山の名前に オホ→スデ→ルサ→ラド 南米大陸の山を標高が高い順に アコンカグア(6962m)→オホス・デル・サラード(6893m)→ボネテ山(6872m)→トゥプンガト山(6570m) ヒマラヤの高峰を標高が高い順に K2(8611m)→ダウラギリ(8167m)→マナスル(8163m)→アンナプルナ(8091m)→ガッシャーブルムI(8080m)→シシャパンマ(8027m) 山を標高が高い順に エベレスト(8848m)→アコンカグア(6962m)→ローガン山(5959m)→エルブルース山(5642m)→モンブラン(4810m) アルプス山脈の山を標高が高い順に モンブラン(4810.9m)→モンテローザ(4634m)→マッターホルン(4478m)→グランドジョラス(4208m)→ユングフラウ(4158m)→メンヒ(4107m)→アイガー(3970m) 「日本三名山」と呼ばれる山を標高が高い順に 富士山(3776m)→立山(3015m)→白山(2702m) 世界で3番目に高い山の名前に カン→チェン→ジュン→ガ 標高3086mと、中東の国レバノンで最も高い山の名前に カー→ネット→アッ→サウダー パキスタンにそびえる標高8125mの山の名前に ナン→ガ→パル→バット 日本がFTAを締結した順に シンガポール(2002)→メキシコ(2004)→マレーシア(2005)→フィリピン(2006)→タイ(2007) 国際条約を締結された順に サンフランシスコ平和条約(1951/9/8)→南極条約(1959/12/1)→部分的核実験禁止条約(1963/8/5)→核拡散防止条約(1968/7/1)→ラムサール条約(1971/2/2)→マーストリヒト条約(1992/2/7)→対人地雷禁止条約(1997/12/3)→サイバー犯罪に関する条約(2001/11/23) 国際条約であるラムサール条約の日本語での正式名称に 特に→水鳥の生息地として→国際的に重要な湿地→に関する条約 通称を「プロバイダ責任制限法」という日本の法律の正式名称に 特定電気通信役務提供者の→損害賠償責任の→制限及び発信者情報の→開示に関する法律 「バルセロナ・チェア」で有名なドイツの建築家の名前に ミース→ファン→デル→ローエ デンマークの王室歌の題名に クリスチャン王は→高き帆柱の→傍に→立ちて 1970年に「福岡大ワンゲル部ヒグマ襲撃事件」が起こった北海道の山の名前に カムイ→エクウ→チカ→ウシ 北海道の日高山脈中央部にある標高1979mの山の名前に カムイ→エク→ウチ→カウシ いわゆる「ご当地ナンバー」を2008年9月時点での登録台数の多い順に 仙台→つくば→豊田→伊豆 2011年春に東京証券取引所に開設されるプロ向けの国際社債市場 東京→プロ→ポンド→マーケット 宮内庁が行う行事「歌会始」のお題を古い順に 草(2001)→笑み(2006)→生(2009)→光(2010) 鉄道トンネルを長いものから順に 青函トンネル(53.85km)→大清水トンネル(22221m)→新関門トンネル(18713m)→中山トンネル(14857m)→北陸トンネル(13870m)→新清水トンネル(13490m) 日本の鉄道トンネルを総延長が長い順に 青函(53.85km)→六甲(16250m)→榛名(15350m) 日本の鉄道トンネルを総延長が長い順に 青函トンネル(53.85km)→大清水トンネル(22221m)→新関門トンネル(18713m)→六甲トンネル(16250m)→榛名トンネル(15350m)→中山トンネル(14857m)→北陸トンネル(13870m)→新清水トンネル(13490m)→新丹那トンネル(7959m) 日本の自動車トンネルを総延長が長い順に 関越トンネル(11055m)→東京湾アクアトンネル(9610m)→恵那山トンネル(8649m)→新神戸トンネル(8.1km)→雁坂トンネル(6625m)→肥後トンネル(6430m)→阪奈トンネル(5578m)→寒風山トンネル(5432m) 道路トンネルを長い順に 山手トンネル(18.2km)→関越トンネル(11055m)→飛騨トンネル(10712m) 都道府県を道路トンネルの数が多い順に 大分県(596)→北海道(484)→千葉県(465)→高知県(414) 「三大トンネル」に数えられる日本の自動車トンネルを東にあるものから順に 関越トンネル(群馬県)→恵那山トンネル(長野県)→新神戸トンネル(兵庫県) 国道を総延長の長い順に 4号(869.2km)→1号(774.4km)→9号(755.0km)→2号(673.9km)→8号(608.8km)→7号(521.3km)→3号(479.4km)→6号(427.1km)→5号(297.2km) 国道を、青森から鹿児島まで順に乗り継いでいくときの道順に 国道4号→国道1号→国道2号→国道3号 日本の国道を距離の長い順に 国道4号(739.0km)→国道1号(565.4km)→国道2号(537km)→国道3号(392.1km) リオグランデ川の下流部に位置する、メキシコ北部の油田の名前に レ→イ→ノ→サ 石油埋蔵量が多い順に イラク→イラン→リビア ヨーロッパの観光名所を北から順に 大英博物館(イギリス)→ノイシュバンシュタイン城(ドイツ)→トレビの泉(イタリア) ヨーロッパの観光名所を北から順に ケルン大聖堂(ドイツ)→ノートルダム寺院(フランス)→サグラダ・ファミリア(スペイン) ヨーロッパの観光名所を北から順に ロンドン塔(イギリス)→エッフェル塔(フランス)→ブランデンブルク門(ドイツ)→サンマルコ広場(イタリア)→ピサの斜塔(イタリア)→アクロポリス(ギリシャ) スペインの観光名所を北にあるものから順に サンディアゴ・デ・コンポステラ→アランフェス宮殿→トレドの大聖堂 写真の場所を北から順に 聖ワシリー大聖堂(ロシア)→パルテノン神殿(ギリシャ)→マーライオン(シンガポール)→エアーズロック(オーストラリア) 世界の観光地を北にあるものから順に エッフェル塔(パリ)→ギザの三大ピラミッド(エジプト)→アンコール・ワット(カンボジア)→エアーズロック(オーストラリア) 世界の観光名所を北にあるものから順に ロンドン塔→ベルサイユ宮殿→サグラダ・ファミリア→シドニーのオペラハウス 観光名所がある国を面積の大きい順に 万里の長城(中国、959万km²)→オペラハウス(オーストラリア、768万km²)→タージ・マハル(インド、328万km²)→エッフェル塔(フランス、63万km²) 本州と四国を結ぶ施設を完成したのが早い順に 大鳴門橋(1984年3月)→瀬戸大橋(1987/12/16)→明石海峡大橋(1998/4/5)→しまなみ海道(2006/12/12) 本州四国連絡橋児島・坂出ルートの橋を北にあるものから順に 下津井瀬戸大橋→櫃石島橋→岩黒島橋→与島橋→北備讃瀬戸大橋→南備讃瀬戸大橋 日本の「橋」を東にあるものから順に(画像) 横浜ベイブリッジ(神奈川)→渡月橋(京都)→大鳴門橋(兵庫、徳島)→瀬戸大橋(岡山、香川)→錦帯橋(山口) 世界遺産の熊野古道を北にあるものから順に 小辺路→中辺路→大辺路 2008年に就任したネパールの初代大統領の名前に ラム→バラン→ヤダフ 都道府県をダムの数が多い順に 北海道(187)→岡山県(165)→福岡県(97)→大分県(84)→富山県(77)→和歌山県(27)→茨城県(16) フィリピンのルソン島とサマール島とを隔てる海峡の名前に サン→ベル→ナル→ジノ JRのスイッチバック式の駅を、東にあるものから順に 十和田南駅(秋田県)→二本木駅(新潟県)→出雲坂根駅(島根県)→立野駅(熊本県)→早岐駅(長崎県) 日本のジェットコースターを最高速度が速い順に ドドンパ(172km)→FUJIYAMA(130km)→タイタン(115km)→バンデット(110km)→ピレネー(100km)→F2(78.9km) 1884年にアメリカで最初に建設されたジェットコースターの名前に グラビティ→プレジャー→スイッチバック→レールウェイ 日本のジェットコースターを登場したのが早い順に トルネイダー(1981)→ムーンサルトスクランブル(1983)→バンデット(1988)→ジュピター(1992)→ディアブロ(1994)→スチールドラゴン2000(2000)→ドドンパ(2001) アメリカを代表するデパートチェーンの名前に ブルー→ミング→デール→ズ 都道府県を都市の数が多い順に 埼玉県(40)→愛知県(38)→千葉県(37)→北海道(36)→大阪府(33)→岐阜県(21)→鹿児島県(19)→岡山県(15)→青森県(10)→徳島県(8) 都道府県を市の数が多い順に 埼玉県(40)→大阪府(33)→岐阜県(21)→鹿児島県(19)→岡山県(15)→青森県(10)→徳島県(8) JRの鉄道会社を営業キロ数が大きいほうから順に JR東日本(7526.8km)→JR西日本(5012.7km)→JR北海道(2499.8km)→JR九州(2121.7km)→JR東海(1982.0km)→JR四国(855.2km) JR北海道の路線を営業キロ数が大きい順に 根室本線(443.8km)→宗谷本線(259.4km)→石北本線(234.0km)→室蘭本線(211.0km)→釧網本線(166.2km)→日高本線(30.5km)→留萌本線(14.4km) 日本の交通標識を使われている色の数が多い順に 信号機あり(5色)→追い越し禁止(3色)→横断歩道(2色) 海上自衛隊の護衛艦を旗艦を務めたのが古い順に てるづき(1961)→むらくも(1985)→たちかぜ(1998)→さわかぜ(2007) 大陸を平均高度が高い順に 南極(2200m)→アジア(960m)→アフリカ(740m)→ヨーロッパ(345m) 人物を、アメリカの雑誌「タイム」が毎年選出する「Person of the Year」となった順に チャールズ・リンドバーグ(1927)→マハトマ・ガンジー(1930)→アドルフ・ヒトラー(1938)→エリザベス2世(1952)→レフ・ワレサ(1981)→ミハイル・ゴルバチョフ(1987)→ヨハネ・パウロ2世(1994) 政治家を旧ソ連の共産党書記長を務めた順に ブレジネフ(1964/10/14)→アンドロポフ(1982/11/12)→チェルネンコ(1984/2/13)→ゴルバチョフ(1985/3/11) 都市を、1980年代にレーガンとゴルバチョフが会談をおこなったのが古い順に ジュネーヴ(1985年11月)→レイキャビク(1986年10月)→ワシントンD.C.(1987年12月)→モスクワ(1988年6月) 選挙区が北から順に 加藤紘一(山形)→菅直人(東京)→鳩山邦夫(福岡) 政党を政治家の菅直人が所属した順に 社会市民連合(1977)→社会民主連合(1978)→新党さきがけ(1994)→民主党(1996) 政治家を民主党の代表を務めた順に 岡田克也(2004/5/18)→前原誠司(2005/9/17)→小沢一郎(2006/4/7)→野田佳彦(2011/8/29)→海江田万里(2012/12/25) 政治家を財務大臣に就任したのが早い順に 中川昭一(2008/9/24)→与謝野馨(2009/2/17)→藤井裕久(2009/9/16)→菅直人(2010/1/7)→野田佳彦(2010/6/8)→安住淳(2011/9/2) 政治家を日本社会党の委員長を務めた順に 鈴木茂三郎(1955/10/13)→浅沼稲次郎(1960/3/23)→土井たか子(1986/9/8)→田辺誠(1991/7/31)→山花貞夫(1993/1/19)→村山富市(1993/9/25) 政治家を社会民主党の党首を務めた順に 村山富市(1996/1/19)→土井たか子(1996/9/28)→福島瑞穂(2003/11/15)→吉田忠智(2013/10/14)→又市征治(2018/2/25) 当選回数が多い順に 海部俊樹(16回)→小沢一郎(16回)→亀井静香(13回) 政治家を、自民党から離党した順に 小沢一郎(1993/6/21)→亀井静香(2005年8月)→渡辺喜美(2009/1/13)→与謝野馨(2010/4/7)→舛添要一(2010/4/22) 日本の政党を結党された順に スポーツ平和党(1989/6/23)→日本新党(1992/5/22)→新生党(1993/6/23)→新進党(1994/12/20)→太陽党(1996/12/26)→民政党(1998/1/23)→保守党(2000/4/3)→保守新党(2002/12/25)→たちあがれ日本(2010/4/10)→日本創新党(2010/4/18)→新党改革(2010/4/23)→国民の生活が第一(2012/7/11)→日本未来の党(2012/11/28)→生活の党(2012/12/27) 政党を、政治家の小沢一郎が所属した順に 自由民主党(1969)→新生党(1993)→新進党(1994)→自由党(1998)→民主党(2002)→国民の生活が第一(2012/7/11)→日本未来の党(2012年11月)→生活の党(2012年12月) 政党を成立した順に 国民の生活が第一(2012/7/11)→日本未来の党(2012年11月)→生活の党(2012年12月) 2014年12月に生活の党が改名した政党名に 生活の党→と→山本太郎と→なかまたち イギリスの政党を2010年の総選挙で獲得した議席の数が多い順に 保守党(307)→労働党(258)→自由民主党(57) 政治家を自由民主党の総裁に就任した順に 宮澤喜一(1991/10/31)→河野洋平(1993/7/30)→小渕恵三(1998/7/24)→小泉純一郎(2001/4/26)→福田康夫(2007/9/23)→麻生太郎(2008/9/24)→谷垣禎一(2009/9/28) 歴代国鉄総裁を就任した順に 下山定則(1949/6/1)→加賀山之雄(1949/9/24)→長崎惣之助(1951/8/25)→十河信二(1955/5/14)→石田禮助(1963/5/20)→磯崎叡(1969/5/27)→藤井松太郎(1973/9/22)→高木文雄(1976/3/6)→仁杉巌(1983/12/2)→杉浦喬也(1985/6/25) 人物を日本電信電話公社の総裁を務めた順に 梶井剛(1952年8月)→大橋八郎(1958年9月)→米沢滋(1965年4月)→秋草篤二(1977年4月)→真藤恒(1981年1月) 女性政治家を初めて入閣したのが早い順に 中山マサ(1960)→近藤鶴代(1962)→石本茂(1984)→森山真弓(1989)→山東昭子(1990)→広中和歌子(1993)→田中眞紀子(1994)→野田聖子(1998)→清水嘉与子(1999)→扇千景(2001)→小池百合子(2003)→南野知惠子(2004)→高市早苗(2006)→上川陽子(2007)→小渕優子(2008)→福島瑞穂(2009) 政党を政治家の小池百合子が所属した順に 日本新党(1992)→新進党(1996)→自由党(1997)→保守党(2000)→自由民主党(2002)→希望の党(2017) 政治家を、2012年9月の自民党総裁選で1回目の投票における得票数が多かった順に 石破茂(199)→安倍晋三(141)→石原伸晃(96)→町村信孝(34)→林芳正(27) 2012年9月の民主党代表選における得票数が多かった順に 野田佳彦(818)→原口一博(154)→赤松広隆(123)→鹿野道彦(113) 日本の漁業を生産量が多い順に 沖合漁業→沿岸漁業→海面養殖業→遠洋漁業 国を茶の生産量が多い順に 中国(約140万トン)→インド(約98万トン)→ケニア(約31万トン) 国をジャガイモの生産量が多い順に 中国(1位)→インド(2位)→ロシア(3位)→ウクライナ(4位)→アメリカ(5位)→ドイツ(6位)→イギリス(12位)→日本(26位) 国を米の生産量が多い順に 中国(1億3千万トン)→インド(9900万トン)→インドネシア(4000万トン)→タイ(2060万トン)→日本(785万トン)→アメリカ(768万トン) 記念日を1年のうちで早く訪れる順に カレーの日(1/22)→パンの記念日(4/12)→アイスクリームの日(5/9)→ガムの日(6/1)→うどんの日(7/2)→バナナの日(8/7) 政治家をシンガポールの首相を務めた順に リー・クアンユー(1959)→ゴー・チョク・トン(1990)→リー・シェンロン(2004/8/12) 人物をドイツ(西ドイツ)の首相を務めた順に アデナウアー(1949)→エアハルト(1963)→キージンガー(1966)→ブラント(1969)→シュミット(1974)→コール(1982)→シュレーダー(1998)→メルケル(2005) 東京の高級ホテルを開業したのが早い順に 帝国ホテル(1890)→東京ステーションホテル(1915/11/2)→パレスホテル(1961/10/1)→ホテルオークラ(1962/5/20)→ホテルニューオータニ(1964/9/1)→京王プラザホテル(1971/6/5)→ウェスティンホテル東京(1994/10/14)→ホテル日航東京(1996/3/12) 1999年にオープンしたドバイの超高級ホテルの名前に バージ→アル→アラブ ニューヨークにあるスポーツやライブの殿堂の名前に マジソン→スクエア→ガーデン アフリカ大陸最南端の岬の名前に ア→ガ→ラ→ス 都道府県を小麦の収穫量が多い順に 福岡県(89900トン)→熊本県(26200トン)→茨城県(21900トン)→京都府(471トン) 農産物を日本の自給率が高い順に 米(97%)→じゃがいも(75%)→小豆(58%)→小麦(9%)→大豆(6%) 食料を日本の自給率が高い順に 米(97%)→野菜(80%)→魚介類(54%)→果実(43%)→小麦(13%) タンザニアの北部にある自然保護区の名前に ンゴ→ロン→ゴロ 国を独立した年が早い順に アルゼンチン(1816/7/9)→アフガニスタン(1919)→アルジェリア(1962)→アラブ首長国連邦(1971)→アンゴラ(1975)→アンティグア・バーブーダ(1981)→アゼルバイジャン(1991)→アンドラ(1993) アフリカの国を独立した時期が早い順に リビア(1951/12/24)→チュニジア(1956/3/20)→ガーナ(1957/3/6)→モーリタニア(1960/11/28)→ウガンダ(1962/10/9)→ギニアビサウ(1974/9/10)→ナミビア(1990/3/21) アフリカの国を早く独立した順に モロッコ(1956/3/2)→ガーナ(1957/3/6)→ナイジェリア(1960/10/1)→アルジェリア(1962/7/5)→ボツワナ(1966/9/30)→ナミビア(1990/3/21) アフリカの国を独立が早い順に ナミビア(1990)→エリトリア(1993)→南スーダン(2011) 外務省が発表している「海外安全情報」をより危険な順に 退避してください→渡航は止めてください→不要不急の渡航は止めてください→十分注意して下さい 教育施設を現在、日本で運営されている数が多い順に 小学校→中学校→高等学校 学校を一般に入学できる年齢が若いものから順に 幼稚園(満3歳以上)→小学校(満6歳以上)→中学校(満12歳以上)→高等学校(満15歳以上) 国を小学校の新学年が始める時期が1年のうちで早い順に シンガポール(1月)→韓国(3月)→日本(4月)→アメリカ(9月) 検定試験を、受けられる級の数が多い順に 日本漢字能力検定(12等級)→実用英語技能検定(7等級)→歴史能力検定(6等級)→国内旅行地理検定試験(3等級) 英語の検定試験の名前に Test of→English for→International→Communication 英語の検定試験の名前に Test of→English as→a Foreign→Language 都道府県を中学校の数が多い順に 北海道(662)→神奈川県(481)→愛知県(440)→福岡県(365)→広島県(280)→長野県(198)→奈良県(117)→香川県(82) 1983年にサミットが開かれたアメリカの都市の名前に ウィ→リア→ムズ→バーグ G20首脳会合(金融サミット)が開催された順に ワシントンD.C.(2008)→ロンドン(2009/4/2)→ピッツバーグ(2009/9/24)→トロント(2010/6/26)→ソウル(2010/11/11) 政治家をサミットに出席した回数が多い順に コール(16回)→ミッテラン(14回)→レーガン(8回)→中曽根康弘(5回) 都市を、1980年代に主要国首脳会議サミットが開催された順に ヴェネツィア(1980)→オタワ(1981)→ベルサイユ(1982)→ウィリアムズバーグ(1983)→ロンドン(1984)→ボン(1985)→東京(1986)→トロント(1988)→パリ(1989) 都市を、1990年代に主要国首脳会議サミットが開催された順に ヒューストン(1990)→ロンドン(1991)→ミュンヘン(1992)→東京(1993)→ナポリ(1994)→ハリファックス(1995)→リヨン(1996)→デンバー(1997)→バーミンガム(1998)→ケルン(1999) 主要国首脳会議・サミットの開催地を、会議が開かれたのが早い順に 東京(1979)→ミュンヘン(1992)→ナポリ(1994)→バーミンガム(1998)→沖縄(2000)→カナナスキス(2002)→エビアン(2003)→シーアイランド(2004)→グレンイーグルス(2005) 主要国首脳会議・サミットの開催地を、会議が開かれたのが早い順に 東京(1979)→沖縄県名護市(2000)→北海道洞爺湖町(2008)→三重県志摩市(2016) カナダの町をサミットが開催された順に オタワ(1981)→トロント(1988)→ハリファクス(1995)→カナナスキス(2002) 2002年にサミットが開催されたカナダの町の名前に カナ→ナス→キス カナダの世界遺産になっている史跡の名前に ヘッド→スマッシュトーイン→バッファロー→ジャンプ カナダの州の名前に オン→タリ→オ ヨーロッパの国を本土にある州の数が多い順に イタリア(20)→ドイツ(16)→オランダ(12) 行政区画を数が多い順に フランスの県(101)→アメリカの州(50)→日本の都道府県(47)→インドの州(29)→中国の省(22)→イタリアの州(20)→ドイツの州(16)→韓国の道(8) カナダの都市を都市圏の人口が多い順に モントリオール(約400万人)→バンクーバー(約250万人)→ハリファクス(約50万人) カナダの世界遺産になっている史跡の名前に ヘッド→スマッシュトーイン→バッフォロー→ジャンプ スペイン・バレンシアにある世界遺産の商品取引所跡の名前に ラ→ロンハ→デ・ラ→セダ ヨーロッパの国を登録されている世界遺産の数が多い順に ベルギー(13)→オランダ(10)→ルクセンブルク(1) 世界遺産のカテゴリーを登録件数が多い順に 文化遺産(660)→自然遺産(166)→複合遺産(25) ドイツの世界遺産「ケルン大聖堂」の正式名称に ザンクト→ペーター→ウント→マリア大聖堂 東アジアの国を登録されている世界遺産の数が多い順に 中国(56)→日本(25)→韓国(15)→北朝鮮(2) 世界遺産のウルル(エアーズロック)の所有権を有しているアボリジニの組織の名前に ピッ→ティン→ジャラ→ジャ評議会 世界遺産に登録されているローマにある大聖堂の名前に サン・パオロ→フオーリ→レ→ムーラ大聖堂 世界遺産「日光の社寺」に含まれる寺社を創建されたのが早い順に 輪王寺(766)→日光二荒山神社(767)→日光東照宮(1617) 建造物を世界遺産に早く登録された順に(建造物の画像) 姫路城(1993年12月)→金閣寺(1994年12月)→原爆ドーム(1996年12月)→日光東照宮(1999年12月) 京都の寺院を創建された順に 清水寺(778)→延暦寺(788)→醍醐寺(874)→仁和寺(888)→天龍寺(1345)→鹿苑寺(1397)→龍安寺(1450)→慈照寺(1490) 「鎌倉五山」とされたお寺を格上のものから順に 建長寺(第一位)→円覚寺(第二位)→寿福寺(第三位)→浄智寺(第四位)→浄妙寺(第五位) 「京都五山」と呼ばれるお寺を格が高い順に 天龍寺(第一位)→相国寺(第二位)→建仁寺(第三位)→東福寺(第四位)→万寿寺(第五位) 足利義満によって「京都五山」とされたお寺を格が高い順に 天龍寺(第一位)→相国寺(第二位)→建仁寺(第三位)→東福寺(第四位)→万寿寺(第五位) 日本にある世界遺産を登録されたのが早い順に 姫路城(1993)→白神山地(1993)→金閣寺(1994)→原爆ドーム(1996)→古都奈良の文化財(1998)→日光の社寺(1999)→琉球王国のグスク及び関連遺産群(2000)→知床(2005) 世界遺産を早く登録された順に 姫路城(1993)→古都京都の文化財(1994)→白川郷(1995)→原爆ドーム(1996)→古都奈良の文化財(1998)→琉球王国のグスク(2000)→知床(2005) 日本の世界遺産を指定されたのが古い順に 小笠原諸島(2011)→富士山(2013)→明治日本の産業革命遺産(2015)→沖ノ島(2017) 日本にある世界遺産を登録されたのが早い順に 法隆寺地域の仏教建造物(1993)→白川郷・五箇山の合掌造り集落(1995)→紀伊山地の霊場と参詣道(2004)→石見銀山遺跡とその文化的景観(2007) 日本にある世界遺産を登録されたのが早い順に 白神山地(1993/12/11)→原爆ドーム(1996年12月)→古都奈良の文化財(1998/12/2)→日光の社寺(1999/12/2)→知床(2005/7/17) 日本の世界遺産を東にあるものから順に 白神山地(秋田県)→白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)→紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山県)→石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県) 世界遺産を北から順に(画像) 知床(海の後ろに森)→白川郷→原爆ドーム→屋久島 世界遺産を北にあるものから順に 赤の広場(ロシア)→カンタベリー大聖堂(イギリス)→モン・サン・ミシェル(フランス)→アルタミラ洞窟(スペイン)→テオティワカン(メキシコ)→ナスカの地上絵(ペルー)→ラパ・ヌイ国立公園(イースター島) ナスカの地上絵にある図柄を長さが大きい順に トカゲ(190m)→イグアナ(180m)→コンドル(135m)→ハチドリ(96m)→シャチ(65m)→サル(55m)→クモ(46m) 国立公園を東から順に 三陸復興国立公園→十和田八幡平国立公園→磐梯朝日国立公園→日光国立公園→秩父多摩甲斐国立公園→富士箱根伊豆国立公園→南アルプス国立公園→白山国立公園→吉野熊野国立公園→大山隠岐国立公園→雲仙天草国立公園 日本の国立公園を面積が大きい順に 大雪山(2267.64km²)→上信越高原(1880.46km²)→中部山岳(1743km²)→伊勢志摩(746.44km²)→阿蘇くじゅう(726.78km²)→小笠原(66.29km²) 国立公園を誕生した順に 尾瀬国立公園(2007/8/20)→屋久島国立公園(2012/3/16)→慶良間諸島国立公園(2014/3/5) 遊園地を開業した年が早い順に としまえん(1926)→後楽園ゆうえんち(1955)→富士急ハイランド(1961)→鈴鹿サーキット(1963)→ナガシマスパーランド(1966)→東京サマーランド(1970)→神戸ポートピアランド(1981) 三重県の施設をオープンしたのが古い順に 鈴鹿サーキット(1962年9月)→ナガシマスパーランド(1966/3/19)→志摩スペイン村(1994/4/22)→なばなの里(1998/7/12) 四大公害病の発生地となった三重県の都市 四→日→市 新聞を、一部売りの朝刊の値段が安い順に 産経新聞(140円)→読売新聞(150円)→朝日新聞(180円)→日本経済新聞(200円) 新聞を、発行部数の多い順に 読売新聞(約993万)→朝日新聞(約803万)→毎日新聞(約373万)→日本経済新聞(約302万) ヨーロッパを代表する豪華国際列車の名前に ベニス→シンプロン→オリエント→エクスプレス 西武鉄道の列車の案内表示を発車するのが早い順に こんど→つぎ→そのつぎ→そのあと 東京都の特別区を都議会議員の定数が多い順に 世田谷区(8)→足立区(6)→江戸川区(5)→新宿区(4)→豊島区(3)→渋谷区(2)→千代田区(1) 東京都の区を総務省が定めたナンバーコードの数字が小さい順に 千代田区(131016)→台東区(131067)→品川区(131091)→世田谷区(131121)→荒川区(131181)→葛飾区(131229)→江戸川区(131237) 東京都の特別区を東に位置するものから順に 江戸川区→台東区→新宿区→杉並区 日本の鉄道記念物を指定されたのが早い順に 弁慶号機関車(1958)→佐賀藩製造の機関車模型(1959)→旧手宮機関庫(1960)→秋田第1号鉄道飛砂防止林(1962)→井上勝の墓(1964)→壱岐丸の号鐘(1967)→国鉄バス第1号車(1969) 東京メトロ・丸ノ内線の駅を、駅番号が小さい順に 新高円寺駅(03)→中野坂上駅(06)→新宿駅(08)→新宿三丁目駅(09)→国会議事堂前駅(14)→東京駅(17)→本郷三丁目駅(21)→池袋駅(25) 東京メトロ銀座線の駅を駅のナンバリングが小さい順に 渋谷(01)→青山一丁目(04)→溜池山王(06)→銀座(09)→日本橋(11)→神田(13)→上野広小路(15)→浅草(19) 東京メトロ千代田線の駅を駅のナンバリングが小さい順に 代々木公園駅(02)→乃木坂駅(05)→国会議事堂前駅(07)→新御茶ノ水駅(12)→千駄木駅(15)→北千住駅(18)→北綾瀬駅(20) ライプルを州都とするインドの州の名前に チャッ→ティー→ス→ガル 2009年度のビール出荷量が多かった順に アサヒビール→サントリー→サッポロビール 2009年度のビールの売り上げが多い順に アサヒビール→サントリー→サッポロビール 東京都江東区にある有名なホテルの名前に 東京ベイ→有明→ワシントン→ホテル 国際運河を北にあるものから順に キール運河(ドイツ北部)→スエズ運河(エジプト)→パナマ運河 爵位を位が上のものから順に デューク(公爵)→マーキス(侯爵)→アール(伯爵)→ヴァイカウント(子爵)→バロン(男爵) 爵位を位が上のものから順に 公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵 「官吏名簿」という意味がある旧ソ連で特権階級についていた人びとを表す言葉に ノー→メン→クラ→ツーラ 2010年10月に発足した携帯電話事業に関する会社 富士通→東芝→モバイル→コミュニケーションズ ダムを有効貯水量が多い順に 奥只見ダム(4億5800万立法メートル)→田子倉ダム(3億7000万立法メートル)→御母衣ダム(3億3000万立法メートル)→早明浦ダム(2億8900万立法メートル)→九頭竜ダム(2億3000万立法メートル)→佐久間ダム(2億2216万立法メートル)→小河内ダム(1億8540万立法メートル)→黒部ダム(1億4884万立法メートル) 湖を、その最大水深が深い順に バイカル湖(1637m)→タンガニーカ湖(1470m)→カスピ海(1025m)→スペリオル湖(406m)→ミシガン湖(281m)→オンタリオ湖(244m)→ヒューロン湖(228m)→ビクトリア湖(84m) 湖を、最大水深が大きい順に 田沢湖(423.4m)→支笏湖(363m)→摩周湖(211.5m)→洞爺湖(180m)→琵琶湖(103.58m)→猪苗代湖(94.6m) 中国の湖を面積が大きい順に ハ陽湖(3210km²)→洞庭湖(2820km²)→太湖(2250km²) 湖を面積が大きい順に(地図) 琵琶湖(669.23km²)→霞ヶ浦(220km²)→サロマ湖(151.59km²)→浜名湖(64.91km²) 北海道の湖を面積が大きい順に サロマ湖(151.59km²)→屈斜路湖(79.3km²)→支笏湖(78.4km²)→洞爺湖(70.7km²)→摩周湖(19.22km²) 北海道の湖を北から順に サロマ湖→摩周湖→支笏湖→洞爺湖 北海道の湖を東から順に 摩周湖→阿寒湖→支笏湖→洞爺湖 フランスの島を面積が大きい順に コルシカ島(8680km²)→シテ島(0.225km²)→サンルイ島 「三大洋」に数えられる海を面積が大きい順に 太平洋→大西洋→インド洋 海を面積が大きい順に 北極海(約1400万km²)→地中海(約250万km²)→ベーリング海(約230万km²)→オホーツク海(約158万km²)→東シナ海(約125万km²)→日本海(約103万km²)→紅海(約43万km²) 日本の都市を面積が大きい順に 高山市(2177.67km²)→浜松市(1558.04km²)→日光市(1449.83km²)→北見市(1427.41km²)→静岡市(1411.85km²) 人物名のついた空港とそれがある国の面積が大きい順に ケネディ(アメリカ)→坂本竜馬(日本)→ガリレオ・ガリレイ(イタリア) 「ベネルクス三国」の国々を面積が大きい順に オランダ(41526km²)→ベルギー(30528km²)→ルクセンブルク(2586km²) 半島を面積が大きい順に アラビア半島(1位)→インド半島(2位)→ラブラドル半島(3位)→イベリア半島(5位)→バルカン半島(8位)→マレー半島(10位)→カムチャッカ半島(約47万km²) 日本の島を面積が大きい順に 沖縄本島(1207km²)→佐渡島(855.26km²)→奄美大島(712.39km²)→対馬(708.7km²)→淡路島(529.55km²)→屋久島(504.88km²)→種子島(444.99km²)→壱岐(133.8km²) 長崎県の五島列島の島を面積が大きい順に 福江島(約320km²)→中通島(約168km²)→久賀島(約37km²)→若松島(約31km²)→奈留島(約24km²) 島を面積が大きい順に グリーンランド(約216万km²)→ニューギニア(約78.6万km²)→カリマンタン(約74万km²)→マダガスカル(約58.7万km²)→バフィン(約50.7万km²)→スマトラ(約47.3万km²)→グレートブリテン(約21万km²)→キューバ(約10.5万km²) 4つの島を面積が大きい順に 本州(約228000km²)→北海道(約78000km²)→九州(約37000km²)→四国(約18000km²) 沖縄県の島を面積が大きい順に 沖縄本島(1208.19km²)→西表島(289.28km²)→石垣島(222.64km²)→波照間島(12.77km²) 鹿児島県の島を面積が大きい順に 奄美大島(712.39km²)→屋久島(504.88km²)→種子島(444.30km²)→沖永良部島(93.65km²) 湖を面積が大きい順に ヒューロン湖(59570km²)→タンガニーカ湖(32900km²)→バイカル湖(31720km²)→グレートベア湖(31153km²)→グレートスレーブ湖(27200km²)→チャド湖(1700km²) 北米の五大湖を面積が大きい順に スペリオル湖(82200km²)→ヒューロン湖(59570km²)→ミシガン湖(58016km²)→エリー湖(25821km²)→オンタリオ湖(19009km²) 国を面積が大きい順に ロシア(約1700万km²)→カナダ(約998万km²)→アメリカ(約983万km²)→中国(約960万km²)→ブラジル(約851万km²)→オーストラリア(約769万km²)→インド(約328万km²)→アルゼンチン(約276万km²) 韓国の行政地域を面積が広い順に 慶尚北道(19027.7km²)→江原道(16874.59km²)→全羅南道(12045.83km²)→慶尚南道(10518.34km²)→忠清南道(8597.09km²)→忠清北道(7431.71km²) アフリカの国を面積が広い順に アルジェリア(約238万km²)→コンゴ民主共和国(約234万km²)→スーダン(約188万km²)→リビア(約176万km²)→チャド(約128万km²)→エチオピア(約110万km²)→エジプト(約100万km²)→ナイジェリア(約92万km²)→ソマリア(約64万km²)→カメルーン(約47万km²) 地中海に浮かぶ島を面積が大きいものから順に シチリア島(25710km²)→サルディニア島(24090km²)→キプロス島(9250km²)→コルシカ島(8680km²)→マジョルカ島(3640km²)→メノルカ島(695.7km²)→エルバ島(223km²) 大陸を面積が大きい順に ユーラシア大陸(5492万km²)→アフリカ大陸(3037万km²)→北アメリカ大陸(2449万km²)→南アメリカ大陸(1784万km²)→南極大陸(1400万km²)→オーストラリア大陸(860万km²) 国名を表す漢字一文字をその国の面積が大きい順に 露(ロシア、17075200km²)→米(アメリカ、9628000km²)→中(中国、9596960km²)→伯(ブラジル、8511965km²)→豪(オーストラリア、7686850km²)→印(インド、3287590km²)→仏(フランス、632759km²)→日(日本、378000km²)→独(ドイツ、357021km²)→伊(イタリア、301230km²)→英(イギリス、244820km²)→希(ギリシャ、131940km²)→洪(ハンガリー、93030km²)→墺(オーストリア、83870km²)→愛(アイルランド、70282km²)→白(ベルギー、30528km²) 四国の4つの県を面積が大きい順に 高知県(7105.16km²)→愛媛県(5678.33km²)→徳島県(4146.74km²)→香川県(1876.55km²) 県を面積が大きい順に(県の地図) 青森県(9644.21km²)→鹿児島県(9188.70km²)→千葉県(5156.60km²)→石川県(4185.55km²) 都道府県を面積の大きい順に(都道府県章の画像) 北海道(83450km²)→青森県(9644.21km²)→東京都(2187.65km²)→大阪府(1899km²) 都道府県を面積が大きい順に 長野県(13561.56km²)→青森県(9644.21km²)→鹿児島県(9188.70km²)→岡山県(7113km²)→千葉県(5156.60km²)→福岡県(4976.17km²)→福井県(4189.27km²)→石川県(4185.55km²)→鳥取県(3507.26km²)→沖縄県(2275.94km²)→東京都(2188.68km²) 九州・沖縄地方に数えられる県を面積が大きい順に 鹿児島県(9188.70km²)→宮崎県(7734.81km²)→熊本県(7405.84km²)→大分県(6339.55km²)→福岡県(4976.99km²)→長崎県(4104.90km²)→佐賀県(2439.60km²)→沖縄県(2275.94km²) 首都圏に数えられる都県を、面積が大きい順に 栃木県(6408.28km²)→群馬県(6363.16km²)→茨城県(6095.69km²)→千葉県(5156.60km²)→山梨県(4465.37km²)→埼玉県(3797.25km²)→神奈川県(2415.84km²)→東京都(2187.65km²) フランスを意味する漢字に 仏→蘭→西 国名を五十音順に 伊太利(イタリア)→瑞典(スウェーデン)→西班牙(スペイン)→伯剌西爾(ブラジル)→仏蘭西(フランス)→勃牙利(ブルガリア)→葡萄牙(ポルトガル)→露西亜(ロシア) 国名を五十音順に カナダ→パラグアイ→東ティモール 人物をドイツの大統領を務めた順に ワイツゼッカー(1984/7/1)→ローマン・ヘルツォーク(1994/7/1)→ヨハネス・ラウ(1999/7/1)→ホルスト・ケーラー(2004/7/1)→クリスティアン・ヴルフ(2010/7/2)→ヨアヒム・ガウク(2012/3/18)→シュタインマイヤー(2017/3/19) 2017年3月にドイツの大統領に就任した政治家の名前に フランク→ワルター→シュタイン→マイヤー 日本のケーブルカーを路線延長が長い順に 坂本ケーブル(2025m)→六甲ケーブル(1.7km)→筑波山ケーブルカー(1.6km)→叡山ケーブル(1458m)→立山ケーブルカー(1.3km)→高尾登山ケーブル(1km)→高野山ケーブル(864m)→男山ケーブル(411m)→天橋立ケーブル(0.4km) 県を、高校の数が多い順に 愛知県(220)→静岡県(138)→岐阜県(82)→三重県(70) ロシアを流れる大河を河口が西にあるものから順に ボルガ川→オビ川→エニセイ川→レナ川→アムール川 アフリカ大陸東部に位置する国の名前に エチ→オピ→ア 観光名所となっている「日本三景」を、西にあるものから順に 宮島(広島県)→天橋立(京都府)→松島(宮城県) 漢字を日本の都道府県名に使われている数が多いものから順に 山(6)→島(5)→川(3)→崎(2) 「東証株価指数」を表す英語に Tokyo→Stock→Price→Index 政党を発明家の中松義郎が国政選挙に立候補した時に所属した順に 発明政治(1992)→新自民党(1993)→自由連合(2001)→幸福実現党(2009) 東京都港区にある有名なホテルの名前に グランド→プリンス→ホテル→新高輪 2011年3月で営業を終了した、「赤プリ」の愛称で親しまれたホテルの名前に グランド→プリンス→ホテル→赤坂 赤坂プリンスホテルの跡地に2016年にオープンしたホテルの名前に ザ→プリンス→ギャラリー→東京紀尾井町 2016年7月にグランドプリンスホテル赤坂の跡地にオープンした複合施設の名前に 東京→ガーデン→テラス→紀尾井町 民族を中国の全人口に対する割合が高い順に 漢族→壮族(約1800万人)→満族(約1068万人)→回族(約981万人)→苗族(約894万人)→ウイグル族→彝族(約870万人)→土家族(約803万人) 「家電リサイクル法」の正式な名称に 特定→家庭用→機器再→商品化法 かつて日本にあった炭田を東から順に 天北炭田(北海道)→常磐炭田(福島、茨城)→大嶺炭田(山口県美祢市)→粕屋炭田(福岡県糟屋郡)→三池炭田(福岡県大牟田市)→高島炭田(長崎県長崎市)→北松炭田(長崎県佐世保市) 民間向け地図サービスに力を注ぐ航空測量の会社の名前に パ→ス→コ 世界遺産に登録されている京都の寺・東寺の正式名に 金光明四→天王教王→護国寺秘密→伝法院 世界遺産に登録されている建造物を早くできた順に クフ王のピラミッド(紀元前2500年頃)→法隆寺(607)→タージ・マハル(1653) 2012年4月にオープンした大型商業施設の名前に 東急→プラザ→表参道→原宿 東京の複合施設を開業したのが古い順に(建物の画像) 六本木ヒルズ(2003/4/25)→表参道ヒルズ(2006/2/11)→東京ミッドタウン(2007/3/30)→渋谷ヒカリエ(2012/4/26)→虎ノ門ヒルズ(2014/6/11) 東京のビルを建設された順に(画像) 霞が関ビルディング(1968)→京王プラザホテル(1971)→サンシャインシティ(1978)→東京都庁(1991)→聖路加ガーデン(1994)→NTTドコモ代々木ビル(2000)→六本木ヒルズ(2003)→日本橋一丁目三井ビルディング(2004)→東京ミッドタウン(2007) 建造物を完成したのが早い順に 両国国技館(1984/11/30)→有明コロシアム(1987)→東京ドーム(1988/3/18) 東京の建造物を建てられた順に(画像) 皇居(1457)→東京タワー(1958/10/14)→レインボーブリッジ(1993/8/26)→六本木ヒルズ(2003/4/25) 建造物を建てられた順に(画像) 自由の女神(1886)→エッフェル塔(1889/3/30)→通天閣(1912/7/3)→東京タワー(1958/12/23) 建造物を高さが高い順に(画像) ブルジュ・ハリファ(829.8m)→スカイツリー(634m)→CNタワー(553.33m)→エンパイアステートビル(443.2m)→東京タワー(332.6m)→福岡タワー(234m)→名古屋テレビ塔(180m)→京都タワー(131m)→通天閣(100m) 建造物を古い順に 通天閣(1912/7/3)→東京タワー(1958/12/23)→京都タワー(1964/8/31) 建造物を全高が高い順に(画像) 牛久大仏(120m)→自由の女神(93m)→コルコバードのキリスト像(39.6m)→モアイ像(20m) 観光名所になっている塔を高い順に CNタワー(553.33m)→東方明珠電視塔(467.9m)→ベルリンタワー(368m) タワーを高い順に CNタワー(553.33m)→東方明珠電視塔(467.9m)→クアラルンプールタワー(421m)→ベルリンタワー(368m)→マカオタワー(338m)→東京タワー(332.6m)→福岡タワー(234m)→名古屋テレビ塔(180m)→さっぽろテレビ塔(147.2m)→京都タワー(131m)→千葉ポートタワー(125.15m)→横浜マリンタワー(106m)→通天閣(100m) 日本のビルを高い順に あべのハルカス(300m)→横浜ランドマークタワー(296.33m)→りんくうゲートタワービル(256.1m) 高層ビルを高い順に あべのハルカス(300m)→横浜ランドマークタワー(296.33m)→りんくうゲートタワービル(256.1m)→JRセントラルタワーズ(245.1m)→東京都第一本庁舎(243.4m)→サンシャイン60(239.7m)→新宿パークタワー(235.0m)→東京オペラシティ(234.37m) 大阪市にある超高層ビル「あべのハルカス」内にあるホテルの名前に 大阪→マリオット→都→ホテル タワーを建造されたのが古い順に(画像) 名古屋テレビ塔(1954)→横浜マリンタワー(1961)→横浜ランドマークタワー(1993)→東京スカイツリー(2012) マレーシアのクアラルンプールにある高層ビルの名前に ペトロ→ナス→ツイン→タワー アメリカ大統領を就任した順に ワシントン(黄色がかった絵)→灰色のバックに細長い顔→リンカーン→威厳がある顔 1990年代のインドネシアの大統領を就任した順に スハルト(1967/3/12)→ハビビ(1998/5/21)→ワヒド(1999/10/20) アフリカの国・モーリタニアの第4代大統領の名前に モハメド→クーナ→ウルド→ハイダラ アフリカの国ブルキナファソにある都市の名前に ボボ→ディ→ウラ→ッソ 南アメリカにある国の名前に アル→ゼン→チン アルゼンチンの首都の名前に ブエ→ノス→アイ→レス 南米の国ウルグアイの首都の名前に モン→テビ→デオ 独立宣言が行われたアルゼンチンの都市に サン→ミゲル→デ→トゥクマン 人物をアルゼンチン共和国の大統領に就任した順に フアン・ドミンゴ・ペロン(1946/6/4)→イザベル・ペロン(1974)→レオポルド・ガルティエリ(1981)→カルロス・メネム(1989)→ネストル・キルチネル(2003)→クリスティーナ・キルチネル(2007) アメリカの政治家を大統領に就任した順に ジェームズ・ブキャナン(1857)→エイブラハム・リンカーン(1861)→アンドリュー・ジョンソン(1865)→ユリシーズ・グラント(1869) 国を、他の国との国境線の総延長が長い順に 中国(約2万2千km)→ロシア(約1万9千km)→ブラジル(約1万5千km)→インド(約1万4千km)→アメリカ(約1万2千km)→アルゼンチン(約9千6百km)→カナダ(約8千9百km) 北欧の都市・ストックホルムの発祥地である旧市街の名前に ガム→ラ→スタ→ン 「蓮の王都」を意味するタイ東部の県の名前に ウボ→ンラー→チャタ→ーニー ニュータウンを入居が開始された時期が早いものから順に 千里ニュータウン(1962)→泉北ニュータウン(1967)→高蔵寺ニュータウン(1968)→多摩ニュータウン(1971)→南港ポートタウン(1977)→千葉ニュータウン(1979)→西神ニュータウン(1982)→港北ニュータウン(1983) 伝統工芸の業種を経済産業大臣による「伝統的工芸品」の指定を受けている品目数が多い順に 陶磁器(32)→木工品・竹工品(32)→漆器(23)→仏壇・仏具(17)→金工品(16)→和紙(9) 人物を経済産業大臣を務めた順に 宮澤洋一(2014/10/21)→林幹雄(2015/10/7)→世耕弘成(2016/8/3)→菅原一秀(2019/9/11)→梶山弘志(2019/10/25)→萩生田光一(2021/10/4) 仏壇を生産地が東にあるものから順に 長岡仏壇(新潟)→三河仏壇(愛知)→京仏壇(京都)→八女福島仏壇(福岡) 話題になったのが古い順に コティングリーの妖精(1920)→ネッシー(1933)→モスマン(1960年代)→ミステリーサークル(1980年代) 国を核実験を行った順に アメリカ(1945/7/16)→イギリス(1952/10/3)→フランス(1960/2/13)→中国(1964)→インド(1974)→パキスタン(1998)→北朝鮮(2006/10/9) ジュネーブに本部を置く「UNHCR」の日本語名に 国際連合→難民→高等弁務官→事務所 1955年にバンドンで開催された国際会議の名前に アジア→アフリカ→会議 1996年にノーベル平和賞を受賞した東ティモール出身の司教の名前に カルロス→フィリペ→シメネス→ベロ 組織をノーベル平和賞を受賞した順に 万国国際法学会(1904)→常設国際平和局(1910)→赤十字国際委員会(1917)→国際連合難民高等弁務官事務所(1954)→赤十字赤新月社連盟(1963)→国際連合児童基金(1965)→国際労働機関(1969)→核戦争防止国際医師会議(1985)→国際連合平和維持軍(1988)→地雷禁止国際キャンペーン(1997)→国境なき医師団(1999)→国際連合(2001)→国際原子力機関(2005)→気候変動に関する政府間パネル(2007)→欧州連合(2012)→化学兵器禁止機関(2013) 人物をノーベル平和賞を受賞した順に 佐藤栄作(1974)→マザー・テレサ(1979)→ダライ・ラマ14世(1989)→ゴルバチョフ(1990)→アウンサンスーチー(1991)→ネルソン・マンデラ(1993)→金大中(2000)→カーター(2002)→劉暁波(2010) 1991年にノーベル平和賞を受賞した、ミャンマーの民主化運動指導者の名前に アウン→サン→スー→チー 人物を外務大臣を務めた順に 松本剛明(2011/3/9)→玄葉光一郎(2011/9/2)→岸田文雄(2012/12/26) 政治家を外務大臣を務めたのが古い順に 羽田孜(1993/8/9)→柿澤弘治(1994/4/28)→池田行彦(1996/1/11)→小渕恵三(1997/9/11)→田中眞紀子(2001/4/26)→川口順子(2002/9/30)→町村信孝(2004/9/27)→中曽根弘文(2008/9/24) 3代に渡り国政に携わった政治家を生まれた順に 羽田武嗣郎(1903/4/28)→羽田孜(1935/8/24)→羽田雄一郎(1967/7/29) JRの路線を五十音順に 石巻線(いしのまき)→大湊線(おおみなと)→吉都線(きっと)→御殿場線(ごてんば)→城端線(じょうはな)→武豊線(たけとよ)→白新線(はくしん)→美祢線(みね) JRの路線を、支線を除いだ営業距離が長い順に 山陰本線(673.8km)→東海道本線(589.5km)→山陽本線(534.4km)→函館本線(423.1km)→中央本線(396.9km)→鹿児島本線(271.6km) JRの路線を東京駅での乗り場番線のナンバーが小さい順に 中央線(1)→京浜東北線・北行き(3)→山手線・内回り(4)→山手線・外回り(5)→京浜東北線・南行き(6)→東海道本線(9)→東海道・山陽新幹線(14)→東北新幹線(20) 山手線の駅を東京駅から内回りで乗車した場合に停車する順に 西日暮里駅→大塚駅→新大久保駅 山手線の駅を東京駅から外回りで乗車した場合に停車する順に 高輪ゲートウェイ駅→大崎駅→渋谷駅 山手線の駅を五十音順に(駅の画像) 上野駅→新宿駅→東京駅→原宿駅 本州と四国を結ぶ施設を完成したのが早い順に 大鳴門橋(1984年3月)→瀬戸大橋(1987/12/16)→明石海峡大橋(1998/4/5)→しまなみ海道(2006/12/12) 交通施設を開通したのが早い順に 東海道新幹線(1964/10/1)→関門大橋(1973)→成田空港(1978/5/20)→青函トンネル(1988/3/13)→瀬戸大橋(1988/4/10)→レインボーブリッジ(1993/8/26)→長野新幹線(1997/10/1) 空港を成田空港からの距離が近い順に 仁川国際空港→金浦空港→北京首都国際空港→上海浦東国際空港→桃園国際空港→香港国際空港 鉄道に関する記念切手を発行された順に(画像) 東海道電化完成記念(1956/11/19)→東海道新幹線開通記念(1964/10/1)→鉄道100年記念(1972/10/14)→青函トンネル開通記念(1988/3/11) JR貨物の駅の名前に 北九州→貨物→ターミナル 国が1973年に決定した整備新幹線を、その総延長が長い順に 北陸新幹線(466km)→九州新幹線(375km)→北海道新幹線(360km) 高速道路を総延長が長い順に 東北自動車道(679.5km)→中国自動車道(540.1km)→北陸自動車道(476.5km)→山陽自動車道(460.9km)→中央自動車道(366.8km)→東名高速道路(346.8km)→関越自動車道(246.3km)→名神高速道路(193.9km) 高速道路を開通したのが早い順に 名神高速道路(1965)→中央自動車道(1967)→東名高速道路(1968)→関越自動車道(1971) 東名高速道路のサービスエリアを東にあるものから順に 海老名(神奈川県海老名市)→足柄(静岡県御殿場市)→富士川(静岡県富士市)→浜名湖(静岡県浜松市)→上郷(愛知県豊田市) 首都高速道路の放射線を路線番号が小さい順に 目黒線(2号)→渋谷線(3号)→新宿線(4号)→池袋線(5号)→向島線(6号)→小松川線(7号)→深川線(9号)→晴海線(10号)→台場線(11号) 新幹線を開業したのが早い順に 山陽新幹線(1972/3/15)→東北新幹線(1982/6/23)→上越新幹線(1982/11/15) 都道府県を東海道新幹線の駅の数が多い順に 静岡県(6)→愛知県(3)→神奈川県(2)→東京都(2)→岐阜県(1)→滋賀県(1)→大阪府(1)→兵庫県(0) 新幹線を営業キロ数が大きいほうから順に 東北新幹線(674.9km)→山陽新幹線(644km)→東海道新幹線(515.4km)→山形新幹線(148.6km)→上越新幹線(269.5km)→秋田新幹線(127.3km)→長野新幹線(117.4km) 新幹線を駅の数が多い順に 東北新幹線(21駅)→山陽新幹線(19駅)→東海道新幹線(17駅)→九州新幹線(12駅)→上越新幹線(10駅) 秋田新幹線の駅を秋田駅に近い順に 大曲駅→角館駅→田沢湖駅→雫石駅→盛岡駅 九州新幹線の駅を博多に近い順に 新鳥栖→久留米→筑後船小屋→新大牟田→新玉名→熊本→新八代→新水俣→出水→川内→鹿児島中央 東海道新幹線の駅を東にあるものから順に 東京駅→品川駅→新横浜駅→小田原駅→熱海駅→三島駅→新富士駅→静岡駅→掛川駅→浜松駅→豊橋駅→三河安城駅→名古屋駅→岐阜羽島駅→米原駅→京都駅→新大阪駅 新幹線の駅を東にあるものから順に 新花巻駅→新横浜駅→新大阪駅→新神戸駅→新倉敷駅→新尾道駅→新岩国駅→新山口駅 山陽新幹線の駅を西にあるものから順に 小倉→広島→新倉敷 新幹線車両の画像を運用が開始されたのが早い順に 0系(1964、白と青)→200系(1982、下が緑)→100系(1985、先が尖った白い車両)→300系(1992/3/14、白と青)→400系(1992/7/1、銀に緑の線)→E1系(1994/7/15、灰と緑の線)→500系(1996、白と灰)→800系(2003、銀と白) 新幹線をファーストクラス席「グランクラス」の導入が早い順に はやぶさ(2011/3/5)→はやて(2011/11/19)→やまびこ(2011/11/19)→なすの(2012/3/17)→あさま(2014/3/15)→かがやき(2015/3/14)→はくたか(2015/3/14) 新幹線の愛称を運行を開始した順に ひかり(1964/10/1)→こだま(1964/10/1)→やまびこ(1982/6/23)→とき(1982/11/15)→のぞみ(1992)→なすの(1995)→こまち(1997/3/23)→あさま(1997/10/1)→つばめ(2004/3/13) 新幹線を東京-大阪間の所要時間が短い順に のぞみ→ひかり→こだま 東北新幹線の駅名に いわて→沼→宮→内 東北新幹線の駅を北にあるものから順に 二戸駅→新花巻駅→北上駅→水沢江刺駅→一ノ関駅→くりこま高原駅→古川駅→仙台駅→白石蔵王駅→新白河駅→那須塩原駅→宇都宮駅→小山駅 上越新幹線の駅を北にあるものから順に 新潟駅→燕三条駅→長岡駅→浦佐駅→越後湯沢駅→上毛高原駅→高崎駅→本庄早稲田駅→熊谷駅→大宮駅 北陸新幹線の駅を西にあるものから順に 長野駅→上田駅→佐久平駅→軽井沢駅→安中榛名駅→高崎駅 北陸新幹線の駅を長野駅に近い方から順に 飯山→上越妙高→糸魚川→黒部宇奈月温泉→富山→新高岡→金沢 標識を図形の角の数が多い順に 都道府県道(6)→横断歩道(5)→一方通行(4)→徐行(3) 都道府県を海岸線の長さが短い順に 山形県(約134km)→福島県(約166km)→大阪府(約240km)→宮崎県(約402km)→静岡県(約518km)→和歌山県(約650km)→高知県(約720km)→兵庫県(約850km) 政党を、2016年7月開票の参議院選挙で、獲得した議席が多かった順に 自民党(121)→民進党(49)→公明党(25)→日本共産党(14)→おおさか維新の会(12) 2010年の参議院選挙で獲得した議席の数が多い順に みんなの党(10)→公明党(9)→共産党(3)→社民党(2) アメリカの硬貨や紙幣に書かれている標語に IN→GOD→WE→TRUST 日本の自動車会社を資本金が多い順に 日産自動車(6058億1300万円)→トヨタ自動車(3970億4900万円)→三菱自動車工業(2843億8200万円)→マツダ(2589億5709万6762円)→SUBARU(1537億9500万円)→スズキ(1380億1400万円)→本田技研工業(860億円)→いすゞ自動車(406億4400万円) フランス西部にあるヴァンデ県の県都の名前に ラ→ロッシュ→シュル→ヨン スリランカの首都に スリ→ジャヤ→ワルダナプラ→コッテ スリランカの首都に スリジャ→ヤワルダナ→プラコッテ 人物をアメリカの名誉市民権を贈られたのが早い順に ウィンストン・チャーチル(1963)→ラウル・ワレンバーグ(1981)→ウィリアム・ペン(1984)→ハナ・キャロヒル・ペン(1984)→マザー・テレサ(1996)→ラファイエット侯(2002)→カジミエシュ・プワスキ(2009) 歴代国連事務総長を就任した順に トリグブ・リー(1946/2/1)→ダグ・ハマーショルド(1953/4/10)→ウ・タント(1961/11/30)→クルト・ワルトハイム(1972/1/1)→ハビエル・ペレス=デ=クエヤル(1982/1/1)→ブトロス・ブトロス・ガリ(1992/1/1)→コフィ・アナン(1997/1/1)→潘基文(2007/1/1)→アントニオ・グテレス(2017/1/1) 国連機関を設立した順に UPU(万国郵便連合、1874年)→UNU(国連大学、1975年)→WTO(世界貿易機関、1995年) 自衛隊の組織を英語での略称がアルファベット順に 航空自衛隊(JASDF)→陸上自衛隊(JGSDF)→海上自衛隊(JMSDF) 戦闘機を航空自衛隊が保有する数が多い順に F-15(208機)→F-4(104機)→F-2(94機) 海上自衛隊の航空部隊を東に配置されているものから順に 八戸→館山→厚木→小松島→岩国→鹿屋→那覇 海上自衛隊の基地を所属している航空群の整理番号が小さいものから順に 鹿屋基地(1)→八戸基地(2)→厚木基地(4)→那覇基地(5)→館山基地(21)→大村基地(22)→岩国基地(31) 国連平和維持活動を開始された年が早いものから順に 国際連合キプロス平和維持軍(1964/3/4)→国連兵力引き離し監視軍(1974/5/31)→国連イラン・イラク軍事監視団(1988/8/9)→国連エルサルヴァドル監視団(1991/5/20)→国連クロアチア信頼回復活動(1995/3/31)→国連コソボ暫定行政ミッション(1999/6/10)→国連東ティモール支援団(2002/5/20)→国連リベリア・ミッション(2003/9/19) 「世界保健機関」の略称に W→H→O アメリカやヨーロッパ諸国が結成した国際軍事同盟の名前に 北大→西洋→条約→機構 略称を「UNESCO」という国連機関の名前に 国連→教育→科学→文化機関 略称を「FAO」という国際連合の専門機関の正式名称に 国連→食糧→農業→機関 国連機関をその略称のアルファベット順に 国連食糧農業機関(FAO)→国際労働機関(ILO)→国際通貨基金(IMF)→国際電気通信連合(ITU)→国連教育科学文化機関(UNESCO)→万国郵便連合(UPU)→世界保健機関(WHO)→世界気象機関(WMO) 国際機構を略称のアルファベット順に 国際通貨基金(IMF)→北大西洋条約機構(NATO)→石油輸出国機構(OPEC)→世界保健機関(WHO) 国際機構を設立された順に UPU(万国郵便連合、1874)→ILO(国際労働機関、1919)→FAO(国際連合食糧農業機関、1945)→WHO(世界保健機関、1948)→WMO(世界気象機関、1950)→IAEA(国際原子力機関、1957)→UNU(国連大学、1973)→WTO(世界貿易機関、1995) 国際連合の専門機関を設置されたのが早い順に 万国郵便連合(1874)→国際労働機関(1919)→国連教育科学文化機関(1946)→世界保健機関(1948)→世界観光機関(1975) 国連の専門機関を本部が北にあるものから順に 国連教育科学文化機関(パリ)→国際労働機関(ジュネーブ)→国連食糧農業機関(ローマ)→国連大学(東京) 略称を「OECD」という国際機関の名前に 経済→協力→開発→機構 国際機構を加盟国の数が多い順に 国際連合(193)→アフリカ連合(AU、55)→OECD(35)→NATO(29)→欧州連合(27)→APEC(21)→OPEC(14)→東南アジア諸国連合(ASEAN、10) 同盟を加盟国が多い順に NATO(30)→EU(27)→ASEAN(10) アジアの国をASEANに加盟したのが早い順に シンガポール(1967/8/8)→ブルネイ(1984/1/8)→ベトナム(1995/7/26)→ラオス(1997/7/23)→カンボジア(1999/4/30) アジアの国インドネシアの首都の名前に ジャ→カ→ルタ インドネシア語で「千の島」という意味がある、インドネシアのリゾート地の名前に プ→ロウ→スリ→ブ 2004年から2014年までインドネシアの大統領を務めた政治家の名前に スシロ→バンバン→ユドヨノ 国をカリマンタン島にある領土の面積が大きい順に インドネシア→マレーシア→ブルネイ 国をボルネオ島にある領土の面積が大きい順に インドネシア(約2/3)→マレーシア(約1/3)→ブルネイ 東南アジアの国・ブルネイの首都の名前に バン→ダルス→リブ→ガワン 半島を国の数が多い順に バルカン半島(8ヶ国)→アラビア半島(6ヶ国)→インドシナ半島(5ヶ国)→マレー半島(4ヶ国)→イベリア半島(3ヶ国)→スカンジナビア半島(2ヶ国)→ラブラドル半島(1ヶ国) 「日本国憲法」で規定されている内容を憲法の中で書かれているのが早い順に 天皇(第1章)→戦争の放棄(第2章)→国民の権利及び義務(第3章)→国会(第4章)→内閣(第5章)→司法(第6章)→財政(第7章)→地方自治(第8章)→改正(第9章)→最高法規(第10章)→補則(第11章) ローレル賞を受賞した順に 京王帝都電鉄3000系電車(1963)→長野電鉄0系電車(1967)→上信電鉄1000系電車(1977)→熊本市交通局8200形電車(1983)→北大阪急行電鉄8000形電車(1987)→JR東海鉄道300系新幹線電車(1993)→鹿児島市交通局1000形電車(2003) 消防職員の階級を位が高い順に 消防総監→消防司監→消防正監→消防監→消防司令長→消防司令→消防司令補→消防士長→消防副士長→消防士 インド東端部にある州の名前に アルナー→チャル→プラ→デーシュ ロシアの首都モスクワにある通りの名前に ヤキ→マン→ス→カヤ 日本における発電量が高い順に 火力発電→原子力発電→水力発電→風力発電 「青年海外協力隊」の英語名に Japan→Overseas→Cooperation→Volunteers 日本の鉄道事故を起きたのが早い順に 新橋駅構内列車脱線事故(1874/10/11)→根府川駅列車転落事故(1923/9/1)→八高線列車脱線転覆事故(1947/2/25)→桜木町事故(1951/4/24)→三河島事故(1962/5/3)→鶴見事故(1963/11/9)→北陸トンネル列車火災事故(1972/11/6) 国を日本に対する鉄鉱石の輸出量が多い順に オーストラリア(約55%)→ブラジル(約30%)→インド 出来事が発生した順に 9・11同時多発テロ→米軍がアフガニスタンを空爆→米軍がイラクに侵攻→自衛隊のイラク派遣 ライブドアが資金調達に用いて話題となった「CB」の正式名称に 転換社債→型新株→予約権→付社債 日本の河川を長い順に 利根川(322km)→石狩川(268km)→北上川(249km)→最上川(229km)→木曽川(227km)→天竜川(213km)→阿賀野川(210km)→四万十川(196km) 麻生内閣の閣僚を務めた政治家を辞任したのが早い順に 中山成彬(2008/9/28)→中川昭一(2009/2/17)→鳩山邦夫(2009/6/12) 警察官の階級を位が上のものから順に 警視総監→警視監→警視長→警視正→警視→警部→警部補→巡査部長→巡査 川を全長が長い順に(地図) ナイル川(6650km)→アマゾン川(6516km)→長江(6300km)→黄河(5464km)→オビ川(3650km)→ライン川(1223km) 都道府県を温泉の湧出量が多い順に 大分県(279462L/分)→北海道(235346L/分)→鹿児島県(156324L/分)→青森県(136404L/分)→熊本県(134447L/分) 都道府県を温泉の源泉数が多い順に 大分県(4411)→鹿児島県(2769)→静岡県(2269)→北海道(2225)→熊本県(1372) 都道府県を温泉地の数が多い順に 北海道(249)→長野県(225)→新潟県(150) 伊豆半島の温泉を北にあるものから順に 修善寺温泉(伊豆市)→土肥温泉(伊豆市)→熱川温泉(東伊豆町)→下田温泉(下田市) 出来事を起きた順に 鹿児島の五つ子誕生(1976)→インベーダーゲーム登場(1978)→500円硬貨発行(1982)→ベルリンの壁崩壊(1989) エッフェル塔がある場所の名前に シャン→ド→マルス→公園 GATTの多角的交渉を時代が古い順に ディロン・ラウンド(1962)→ケネディ・ラウンド(1964-1967)→東京ラウンド(1973-1979)→ウルグアイ・ラウンド(1986) 「出資法」の正式名称 出資の受入れ→預り金→及び金利等の→取締りに関する法律 「お熊甲祭」で有名な石川県七尾市にある神社の名前に 久麻加夫→都阿良加→志比古→神社 2008年度の地域別最低賃金の時間額が少ない順に 沖縄県(627円)→山形県(629円)→広島県(683円) 都道府県を、2012年度の地域別最低賃金の時間額が少ない順に 沖縄県(653円)→香川県(674円)→北海道(719円)→静岡県(735円)→京都府(759円)→大阪府(800円)→東京都(850円) ロシア連邦の北西部に位置する州の名前に アル→ハン→ゲリ→スク イギリス・ウェールズ北部のアングルシー島にある世界一長い駅名に ランヴァイル→プルグウィンギル→ゴゲリフウィルンドロブル→ランティシリオゴゴゴホ イギリスのアングルシー島にある一つの単語による世界で一番長い地名に Llanfairpwllgw→yngyllgogerych→wyrndrobwllllan→tysiliogogogoch 青森県の奥入瀬渓流の見所を北に位置する順に 三乱の流れ→阿修羅の流れ→飛金の流れ→白銀の流れ→寒沢の流れ→万両の流れ 紅葉の名所を西にあるものから順に 雲仙岳(長崎県)→紅葉谷公園(広島県)→蒜山高原(岡山県)→嵐山(京都府)→昇仙峡(山梨県)→奥入瀬渓流(青森県) デンマークとスウェーデンとを分ける国境線になっている海峡の名前に ボルン→ホルム→スガ→ッテト 旅行会社「JTB」のキャッチコピーに Your→Global→Lifestyle→Partner ここを編集
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第一部 第十二話『病院。林檎と一時の休息』⑧ 「はい。ゆうぎりおねーちゃん」 ヴィヴィオは幽霧にスポーツ飲料を渡す。 さっきまで上半身が裸であったのに、まだ女性と勘違いされていた。 既に諦めが入っている幽霧は何も言わなかった。 幽霧はスポーツ飲料を口の中に流し込む。冷たい液体がのどを流れ、身体の中に広がっていく。 深く息を吐く幽霧。 「そういえばアルフィトルテちゃんって、幽霧くんにすごく懐いているよね?」 幽霧の膝の上で苺ミルクを飲むアルフィトルテを眺めながら呟くなのは。 「長い付き合いですから」 アルフィトルテの頭を撫でながら幽霧は答える。 「その話……ちょっと気になる。お話、聞かせてくれないかな?」 「余り面白くないですよ」 なのはにそう言いながらも幽霧は語り始める。 「七歳の誕生日にデバイスの解体図鑑を貰ったのがきっかけですね。その時はまだ発展途上であった銃型デバイスに何故か惹かれて……少しずつ造り始めたのです。完成したのは八歳の頃です」 「八歳!?」 「今の主任に手伝って頂いたので、それほど驚く事でもありませんよ」 驚くなのはに幽霧は何でも無さそうに返す。 「アルフィトルテが完成した頃には開発部の臨時開発員になっていましたね。知り合いに顔が似ているという理由で因縁をつけられた時もありましたが」 幽霧は淡々と話しているが、よくよく考えればそれは凄い事だ。 現役の開発員に手伝って貰ってデバイスを造っただけなら、開発部の臨時開発員になるのは在り得ない事。 どこかの部分に類い稀なる部分があったという事だ。 幽霧の才能についてはなのはにも思い当たる節があった。 それは魔法を創る才能。 石化魔法『アイギス』にしろ、熱量変換魔法『其は白き炎』にしろ、幽霧の創る魔法は実践に投入されても遜色ない位の完成度がある。 幽霧自身の話だと自身の身体で実験したと言うが、それを差し引いても天才と呼べる位の才能だと言えるだろう。 「人間型になれるインテリジェンスデバイスに創り変えられたのは最近ですが、人間の年齢にしたら七歳ぐらいですね」 「ヴィヴィオは八歳だよ!」 大きな声で主張するヴィヴィオ。 「そうだね。ヴィヴィオの方がアルフィトルテちゃんよりお姉さんだね」 微笑みながらヴィヴィオの髪を撫でるなのは。 少しくすぐったそうにするヴィヴィオ。 幽霧は微笑ましい光景をぼんやりと眺める。 霞……バツンっ! ガリガリガリ…… 一瞬だけ何かの映像が幽霧の脳裏に浮かんだが、すぐに消え去った。 後に残ったは突然に起きた頭痛のみ。 突然起きた頭痛に首を傾げる幽霧にヴィヴィオが尋ねる。 「アルフィトルテちゃんって、どんなけいたいになれるの?」 「拳銃。遠距離狙撃銃。砲筒。人間型の四つですね。アルフィトルテ……ハンターモード」 幽霧の命令でアルフィトルテの身体が粒子となって崩れ、別の形態を形作る。 それは一丁の拳銃であった。 ヴィヴィオに『アルフィトルテ』を渡す幽霧。 余りの重さにヴィヴィオはよろめくがすぐに体制を整えた。 撃鉄を上げ、銃口をスライドドアに向ける。 そして引き金を引いた。 「いっぱい! おっぱい! 僕、元気っ!」 「あ」 スライドドアが急に開き、包帯でグルグル巻きになったレンが現れる。 言動がすでにいつ逮捕されてもおかしくないくらい変態の領域まで達している。 ほとんど同時に『アルフィトルテ』の銃口から虹色の魔弾が撃ち出された。 虹色の魔弾がレンの顔面をとらえた。 「たらばっ!」 奇妙な呻きと共にレンは廊下へと叩き出される。 そしてスライドドアがレンの醜態を隠すようにゆっくりと閉じていく。 「「……」」 106号室の全員が唖然としていた。 ヴィヴィオなんか、『アルフィトルテ』のグリップを両手で握りながら放心している。 「きっと大丈夫ですよ。フェイト・T・ハラオウン執務官の魔法を直撃で喰らっていても大丈夫な人ですから……多分」 そう言う幽霧も自信がなさげであった。 幽霧たちは病院の食堂に来ていた。 四人はカウンターでメニューを選んでいた。 豊富なメニューにヴィヴィオの目はキラキラと輝いていた。 「どれにしますか?」 「ぐだくさんのオムライス!」 ヴィヴィオは大きな声で叫ぶ。 「じゃあ。私は……きのこのクリームパスタかな」 「アルフィトルテも~!」 「すみません。具沢山のオムライスときのこのクリームパスタ二つずつお願いします」 そう言って約五分後。頼んだメニューがカウンターから出てくる。 幽霧たちはメニューを受け取り、空いている席を探す。 しかし室内は満席で、座れそうにもない。 「しょうがないから、外で食べよっか。ちょうど外も晴れているよ」 幽霧たちを外に誘導するなのは。 外は割と人が少なく、ベンチも空いていた。 大きなベンチに四人で座り、昼食を始める。 きのこのクリームパスタをつるつるっと吸い込むように上品に食しながらなのはは幽霧に尋ねる。 「幽霧くんが八歳から臨時開発員をしていた事は分かったけど、正式な局員になったとはどのくらい?」 「約一年前です」 「意外と最近なんだね」 キャロやエリオの様に幼少の頃から正式な局員として仕事をしていると思っていたなのはは幽霧の返事に驚く。 「長月部隊長や鏡月主任の推薦で正式な局員になるまではまがりなりにも中学生でしたから」 クリームの付いているアルフィトルテの口の周りを拭きながら幽霧は答えた。 「まさか、陸戦魔導師のAランクを取ったのって……」 「三年前ですね。諜報部は魔導師ランクB以上が義務付けられているらしいので」 一年以内でDからAまで一気に取ったわけでも無い事に安心するなのは。 しかしよくよく考えたら、幽霧は中学一年生で陸戦魔導師のAランクを取った事になる。 凄まじい事実に気づいていないなのはは更に幽霧に尋ねた。 「その時の試験はどんなのだったの?」 「内容は森の中でタッグでのバトルロワイアルでした。受験した組の数は、自分も含めて二十四組です。事前に優勝タッグは魔導師ランクBを合格という話があったので、受験者の大体が殺気立っていましたね」 「へぇ……って! Bランク!?」 試験官によって昇格試験の内容が変わると言われているが、バトルロワイアル形式でする人がいるとは思わなかったなのはは感嘆。そして驚いた。 昇格試験で習得するランクより上のランクを特例で習得する時は平均よりかなり高い好成績を出す必要があるからだ。 驚くなのはに幽霧は淡々と答える。 「自分ともう一人の局員が半日使って行うはずだったBランクの昇格試験をたった三時間で終わらせてしまったので、特例でAランクに昇格したんです」 「それ……本当?」 「ええ」 幽霧の頷きに開いた口が塞がらないなのは。 一度は模擬戦をしたなのはも幽霧の戦闘力については知っていた。 しかし二十三組を三時間で潰すという事はありえないと思った。 魔導師ランクBの試験という事は受験者は大体が魔導師ランクC。戦闘の基本は曲がりなりにも分かっていると言う事になる。 それをたった三時間で二十三組。計四十六名を戦闘不能にする。 幽霧と組んだ局員も類い稀なる戦闘技術を習得していたのだろう。 そんな事を考えながらヴィヴィオを見るなのは。 「ヴィヴィオ。またピーマン残してる」 皿にはオムライスとピーマンが取り分けられている。 ヴィヴィオはピーマンの乗った皿を見ながら言う。 「ピーマン嫌い……」 「食べなきゃダメだよ。ヴィヴィオ」 嫌そうにピーマンを見るヴィヴィオをなのははたしなめる。 ヴィヴィオとなのはを眺めながら幽霧は呟く。 「アルフィトルテは何でも食べますが、やはり子供は色や味の濃い野菜は苦手のようですね。自分も小さい頃、赤い物が苦手でした」 「幽霧くんも苦手な物があったんだ……」 まさか幽霧に苦手な食べ物があるとは思わなかったなのはは少し驚く。 ピーマンを嫌がるヴィヴィオに幽霧は優しく囁く。 「ヴィヴィオさん。嫌いな物でもちゃんと食べないとダメですよ……死にますから」 普通の人ならたしなめる程度の言葉になるが、幽霧が言うとその言葉は妙に現実味があった。 ヴィヴィオはぶるぶる震えながら取り分けていたピーマンを一気に食べる。その目は微かに涙で潤んでいた。 「よく出来ました」 幽霧はヴィヴィオの頭を撫でる。 恥ずかしそうであったが、嬉しそうでもあった。 なのはは全員の食器をカウンターまで返し、幽霧たちのいるベンチまで戻ってきた。 「あれ?」 そこには幽霧がベンチに座った状態で寝ていた。 周囲を見回すと、ヴィヴィオとアルフィトルテが遠くで遊んでいた。 なのはは軽く苦笑し、幽霧の隣に座る。 そのままの体勢で寝かせるのも可愛そうなので、なのはは幽霧の身体を横に倒し、幽霧の頭を自身の膝の上に乗せる。 形としては、なのはが幽霧を膝枕する形となる。そして改めて、眠っている幽霧の顔を眺める。 その寝顔は起きている時の幽霧を知る者には違和感を感じるような、幼い顔であった。 幽霧の寝顔を見て、なのはは溜め息をつく。 なのはにも幽霧が男だという事は分かっている。 でも、この無防備な寝顔を見るとなのはですら幽霧が女の子に見えてしまう。 幽霧の髪に触れるなのは。市販のシャンプーしか使っていないと思うのに、幽霧のこげ茶色の髪は妙にサラサラだ。 不健康そうな白い肌も幽霧の見た目が女の子っぽいので、薄幸の美少女に見えてしまう。 なのはは頭を振る。 「ちがうよ…幽霧くんは女の子じゃなくて……男の子だよ……」 幽霧は男だ。れっきとした男の子だ。肌が白くて、髪の毛がサラサラなだけの男の子だ。 そう言い聞かせても、この寝顔を見てしまうと女の子にしか見えない。 「どうしてだろ……私も幽霧くんが女の子に見えてきた………」 なのはは思った。もしかして幽霧は同一性障害があって、本当は女の子ではないのだろうか? そんな事を考えながら幽霧の寝顔をじっと眺めるなのは。その顔は妙に赤い。 なのはは我に帰り、頭を振る。 「あはははっ、こんなコト考えたら、幽霧くんに失礼だよ」 そんな事を言いながらなのはは幽霧の髪を撫でた。 髪は引っかかる事無く、綺麗に流れる。 徐々に恥ずかしくなってきたらしく、顔は林檎のように真っ赤だ。 なのはは気分を紛らわせる為に歌を歌い始める。 それはお世辞にも上手いとは言えなかったが、自身の思いを純粋に歌い上げられていた。 やがてなのはから紡ぎ出される旋律が終わる。 なのはは己の胸に手を当ててゆっくりと深呼吸をする。桜色の唇から漏れる吐息が空気に溶けて消えた。 「……良い歌ですね」 突然発せられた幽霧の声に驚くなのは。耳まで赤くなる。 「どこから聞いていたの?」 なのはの問いに幽霧は身体を起こし、のんびりと答えた。 「途中くらいですね。その後はなのはさんの歌を邪魔したくなくて、起き上がるに起き上がれませんでした」 なのはは顔が熱くなって行くのを感じたが、それをごまかすように幽霧に言った。 「起きているなら、言ってくれれば良かったのに……じゃあ。そろそろもどろっか」 「はい」 106号室に戻った幽霧はベッドの隣に置かれた冷蔵庫を開け、なのはたちに尋ねる。 「キャロさんたちからプリンやケーキを貰ったのですが、食べますか?」 「ずっと気になっていたんだけど……冷蔵庫の上に乗っているそれ……なに?」 冷蔵庫の上に乗っている虹色の大きなビンを指差しながら尋ね返すなのは。 それはアインを経由して渡された雪奈特製の『ユグドラシルの蜜』。 「長月部隊長特製の栄養剤ですが、食べますか?」 幽霧はあまったスプーンをビンの中に突っ込み、粘液状の中身を取り出す。 水飴の様に糸の引くそれには光沢があり、窓から差す日差しで虹色がより輝く。 虹色に輝くそれをスプーンで巻き、なのはに差し出す。 「……いただきます」 幽霧が差し出した『ユグドラシルの蜜』を口に含むなのは。 口の中に甘みと鼻を突き抜けるような爽やかな感じが広がる。 そして徐々に身体が温かくなっていき、リンカーコアも熱を持ち始めた。 「……はぐっ……うっ。くっ……」 リンカーコアのある胸部を押えるなのは。 顔や身体が熱で朱に染まっていく。しかし熱は上がっていく。 意味も無くリンカーコアが熱を持つ事はこれまでに一度も無かった。 原因が分からないまま、リンカーコアの熱は急速に冷めていった。 身体はまだ少し火照っているが、妙な爽快感がある。 まるで長年、身体を蝕んでいた疲労や損傷が払拭された様な感じだ。 「大丈夫ですか?」 心配そうな幽霧はなのはに尋ねる。 「うん……大丈夫」 そう言うなのはだが、汗びっしょりである時点で説得力がない。 汗ばんだ肌に服が貼りつき、妙な色気もにじみ出ている。 しかしなのはが大丈夫と言っているのだから、大丈夫なのだろう。 「自分はシャマル医務官に診断して頂いて来ます。冷蔵庫の物は食べても良いですよ」 「私も行く」 アルフィトルテと共に106号室を出ようとする幽霧になのはは言った。 「さて、診察を開始しましょうか」 『クラールヴィント』を起動させるシャマル。指にはめられた指輪が微かに発光する。 「お願いします」 幽霧は着ているパジャマのボタンを全て外し、シャツをまくる。 露になった幽霧の肌には傷一つも無く、白磁気の様に白くて滑らかな肌であった。 幽霧の肌になのはは感嘆し、シャマルは生唾を飲んだ。 「どうかしましたか?」 不思議そうな幽霧の声にシャマルは我に返り、本来の目的である診察を始める。 ほのかに温かい幽霧の上半身にシャマルの冷たい指が触れる。 「ひゃっ……」 余りの冷たさに幽霧は女の子の様な悲鳴を小さく上げた。 しかしそれはシャマルの嗜虐心に似た何かを刺激するだけだった。 幽霧の身体中を撫でるシャマルの息は徐々に荒くなっていく。 「シャマルさん?」 妙に息が荒いシャマルに声をかけるなのは。その声は異様なまでに冷たい。 なのはから放たれる殺気に似た気配に流石のシャマルも我に帰る。 診察が終わったシャマルは『クラールヴィント』を停止させた。 そしてシャマルはカルテをまとめながら幽霧に診断を下す。 「筋繊維などの内部も完治し、前より強固になっています。これなら退院も許可できます」 「ありがとうございます」 幽霧はまくっていたシャツと脱いだパジャマを着直す為に背を向ける。 その間になのははシャマルに声を掛ける。 「シャマル先生」 「なにかしら? なのはちゃん」 いきなり呼び方が変わったなのはにシャマルは首を傾げる。 「軽くで良いので、身体を診てくれませんか? 特にリンカーコアの部分をお願いします」 「ん~? 分かったわ」 なのはの言葉の意図が分からないが、シャマルは診察を開始する。 シャマルは隊服の上からなのはの身体に触れた。 再起動された『クラールヴィント』が再び輝く。 触診を開始した途端、シャマルの顔が驚きに変わる。 「こんな事が……」 「どうしたんですか?」 着直した幽霧がシャマルに話しかけた。 「治る筈が無いと言われていた後遺症が綺麗さっぱり……治ってる。」 「え……?」 シャマルの口から出た驚愕の実態になのはも驚きが隠せない。 「それだけじゃないです。ダウンしていた最大魔力値も遥かに上昇しています」 なのは以上にシャマルが驚きで声が震えていた。 「やっぱり、あの飴のせいなのかな……?」 「飴?」 シャマルはなのはの口から出た単語に首を傾げた。 「長月部隊長お手製の栄養剤です」 幽霧は『ユグドラシルの蜜』について説明する。 話を聞いたシャマルは驚きながらも一言だけ呟いた。 「民間療法で匙を投げられたリンカーコアの損傷を修復出来たというのも恐ろしいものですね……」 「はぁ……」 溜め息をつきながら、幽霧となのはの二人は診療室から出る。 長月部隊長特製の栄養剤『ユグドラシルの蜜』の話が出たせいで、しばらくシャマルに問い詰められていたからだ。 何故か診察を受ける前よりも身体が重かった。 廊下のベンチに座っていたアルフィトルテとヴィヴィオが二人に気づく。 「ママ~!」 アルフィトルテは幽霧に。ヴィヴィオはなのはの足にしがみつく。 「大丈夫……?」 「なのはママ。大丈夫だった?」 自分たちの保護者の安否を気遣うアルフィトルテとヴィヴィオ。 「大丈夫だよ」 「ヴィヴィオ。私も大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」 幽霧となのははしがみついてくる二人の頭を撫でる。 アルフィトルテとヴィヴィオは嬉しそうに笑った。 「ねぇ。幽霧くん」 「……何でしょうか?」 少しだけ真剣な感じがするなのはの声に幽霧も身構える。 「身体慣らしも兼ねて、模擬戦しよっか」 「分かりました」 断れない雰囲気に幽霧は頷くしかない。 幽霧はなのはを病院の訓練室まで案内する。 「ココです」 そう言って、幽霧は訓練室のスライドドアを開ける。 「わぁ……」 目の前に広がる訓練室の大きさに感嘆の声を上げるなのは。 訓練室の中は何も無いが、中は結構広いからだ。 「じゃあ。初めよっか」 なのはは訓練室の奥まで走り、幽霧と向かい合う。 「はい。お手柔らかにお願いします」 幽霧はゆっくりと頷き、コート型のバリアジャケットを羽織る。 「どこからでもかかってきて。レイジングハートっ!」 『レイジングハート』を起動し、エクシードモードとなるなのは。 幽霧は閉じていた瞼を開く。その目は死んだ魚の様な目であった。 死んだ魚の様に濁った目から放たれる幽霧の冷たい殺気に一瞬だけ押されるなのは。 その一瞬の隙を突き、幽霧はなのはに疾駆する。 しかし、まだ拳銃形態の『アルフィトルテ』は抜かない。 〈アクセルシューター〉 「シューートっ!」 なのはは接近してくる幽霧に向かって[アクセルシューター]を発動。 桃色の魔弾が幽霧に向かって撃たれる。その多さあえて形容するならば、桃色の弾幕。 幽霧はそこで『アルフィトルテ』を抜き、前方にある桃色の弾幕に向けて引き金を引いた。 銃口から灰色の魔弾が撃ち出され、弾幕の一部を相殺する。 しかしそれだけでは弾幕を避ける事も越える事も出来ず、幽霧は弾き飛ばされた。 「ディバイン……」 徹底的に幽霧を潰そうと言わんがばかりに[ディバインバスター]のチャ-ジを開始するなのは。 音叉の様な形状をした『レイジングハート』の先に魔力が集束する。 しかし易々となのはに[ディバインバスター]を撃たせるわけにはいかない。 〈シュートバレット〉 幽霧は「アルフィトルテ」を抜き、早撃ちの応用で銃口から[シュートバレット]を発動。 銃口から圧縮された魔力が弾丸として撃ち出される。 [シュートバレット]がなのはのバリアジャケットの上から腹部に衝撃を叩き込んだ。 「……ぐふっ……バスタぁぁぁぁぁぁ!」 腹部を襲う衝撃になのはは耐え、[ディバインバスター]を発動。 桃色の閃光が幽霧を襲うが、紙一重でかわす。 避けた幽霧をなのはは[アクセルフィン]で追いながら、詠唱を破棄した[アクセルシューター]を大量発生させる。 その撃ち出される魔弾の弾数は連射の領域ではなく掃射の領域だ。 幽霧は迫り来る桃色の弾幕を時に避け、時に魔弾を撃ち出して相殺していく。 「エクセリオン……バスタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 遂に大量発生させた魔弾が無くなったらしく、今度は[エクセリオンバスター]を叩き込むなのは。 幽霧は敢えて、迫ってくる桃色の閃光に突っ込む。 ある種の自殺行為に仰天するなのは。 しかし幽霧の行う行為は自殺行為ではなく、なのはへの反撃だった。 なのはの[エクセリオンバスター]を紙一重で避けると同時にアルフィトルテの銃口を向けた。 〈ラウンドシールド〉 次の瞬間に[其は白き炎]を発動された前回を忘れてはいなかったのか、『レイジングハート』はオートで[ラウンドシールド]を展開。 幽霧が発動した魔法は[レイジングハート]の予想外の魔法であった。 「アイギス」 展開された[ラウンドシールド]を幽霧は[アイギス]で石化。身体を軽く捻り、石化した[ラウンドシールド]に蹴りを叩き込んだ。 なのはに石の壁が叩きつけられ、訓練室の壁に叩きつけられる。 流石の幽霧も模擬戦としてはやりすぎかと思った。 しかしその隙をなのはが突く。 「レイジングハート! カートリッジロード!」 〈アクセルシューター〉 カートリッジを廃莢する音と同時に石の壁を突き破り、桃色の弾幕が幽霧を襲う。 「アルフィトルテ。アクセルシューター」 〈あくせるちゅーたー!〉 その弾幕を幽霧は[アクセルシューター]で相殺する。 一度に魔力を使い過ぎたのか、幽霧は溜め息をつく。 「カートリッジロード」 〈ディバインバスターA.C.S.〉 幽霧が一息ついた隙になのはが[ディバインバスターA.C.S.]を発動。 槍状の『レイジングハート』の先に半実体化魔力刃を展開させ、幽霧に突っ込んできた。 身体に突き刺さるギリギリで幽霧は[ラウンドシールド]を展開。しかし既に遅い。 [ラウンドシールド]を砕き、幽霧を弾き飛ばす。 幽霧と距離をとると同時になのはが[ストレイトバスター]を撃つ。 咄嗟に幽霧は[アイギス]を発動。 なのはの[ストレイトバスター]を石化させる。 〈アクセスシューター〉 「シューットッ!!」 間髪も無く、なのはが「アクセルシューター」を発動。 集束して一本の閃光となったが石化した「ストレイトバスター」も撃ち抜いて幽霧に迫る。 「バリアバースト」 幽霧は拳に「バリアバースト」を纏わせた状態で集束された「アクセルシューター」に突っ込む。 「アクセルシューター」が零距離に迫る。 しかし、それはもはや致命ではない。 常人を凌駕した知覚にはその一撃までの刹那は無限であった。 踏み締める大地、そして跳躍。 虚空に幽霧の体が舞う。蝶の如く軽やかに宙を跳び、大地へと舞い降りる。 「えっ……!?」 「なっ……」 「はい!?」 なのはの驚愕が訓練所に響く。 当然だった、確かになのはの「アクセルシューター」は幽霧を捕らえたはずなのに一瞬でその姿が掻き消えたのだ。 今もなお、幽霧は拳に「バリアバースト」を纏わせて突貫する。 迷いはなく、ただ真っ直ぐ突き進むのみ。 〈ディバインバスター・エクステンション〉 「シューっトっ!」 高密度で圧縮された魔力が減衰することなく対象を撃ち抜く、強力な砲撃魔法が魔法陣から放たれる。 「聖鎧布」 幽霧は詠唱を破棄して[聖鎧布]を発動。 迫り来る[ディバインバスター・エクステンション」にただ真っ直ぐに拳を叩き込む。。 その拳撃は刹那を超え、認識を超え、大気を超え、 知覚を凌駕した認識領域で幽霧の拳が叩き込まれる。 [聖鎧布]を纏った拳と大気が放たれた砲撃魔法を爆砕する。 爆砕した大気が暴風を生む。 質量を伴った残像が放たれた砲撃魔法に顕現する。 繰り出す拳は無限数、穿たれ抉られ放たれた砲撃魔法は拡散される。 同時に[聖鎧布]が硝子が砕ける様な音を立てながら強制解除された。 〈バレルショット〉 なのはは[聖鎧布]が解除されるのとほぼ同時に「バレルショット」を幽霧に叩き込む。 幽霧はなのはの「バレルショット」によって吹き飛ぶ。 衝撃波を喰らった幽霧は動こうとした途端、身体が動かないのに気付いた。 どうやら不可視のバインドを喰らっているらしい。 なのはの方を見ると[レイジングハート]を中心に魔法陣が展開され、周辺からの魔力を集束されていた。 どうやら、集束魔法を放とうとしているらしい。 〈ジャケットパージ〉 [アルフィトルテ]は幽霧にかけられたバインドを解く。 しかし、既にもう遅い。 なのはの前に巨大な魔法陣がされ、幽霧を狙っている。 効果範囲は、なのはの前にある訓練室全体。 回避する事も叶わない。 幽霧はなのはの魔法を回避するという選択肢を破棄。 残る手段はただ一つ。 なのはの集束魔法を迎撃する事だが、幽霧はそんな魔法を持っていない。 確かに幽霧は迎撃する魔法は持っていない。 しかし、なのはに一矢報いる魔法を一つだけ持っていた。 なのはに『アルフィトルテ』の銃口を向け、幽霧は呟く。 「白夜と闇夜の狭間にありし黄昏。その中に黄金の月は見えるか」 『アルフィトルテ』を握る腕がぼんやりと輝く。 その魔法は周囲の魔力を吸い込み、幽霧の魔力も吸収していく。 「集束魔法……?」 今も尚、魔力を集束させ続けるなのはは怪訝な顔をする。 「其は全てを貫く極星。其は全てを穿つ月の雫。其は全てを灼く紅陽」 集束した魔力は強制的に銃弾サイズまで圧縮され、『アルフィトルテ』に装填される。 「受けてみて幽霧くん!」 なのはの集束魔法はほとんど完成し、あとは撃つだけだ。 「スターライト……」 なのはは『レイジングハート』を振り下ろす。 幽霧は『アルフィトルテ』のトリガーを引く。 「ブレイカあぁ!!」 魔方陣から桃色の魔力の奔流が撃ち出される。 「其は神と魔王すら撃ち抜く英雄の魔弾」 『アルフィトルテ』の銃口から限界まで魔力の集束と圧縮がなされた魔弾が撃ち出された。 桃色の奔流が魔弾を飲み込み、幽霧をも飲み込む。 幽霧は桃色の奔流によって、訓練室の壁に叩きつけられる。 完全に魔力が霧散した時、その場に残されたのは壁にめり込んだ幽霧と頬から血が流れたなのは。 なのはは驚きで言葉を失っていた。 確かになのはの[スターライトブレイカー]は幽霧を壁にめり込ませる位の威力があった。 しかし幽霧が最後に撃った魔弾は[スターライトブレイカー]を撃ち抜き、なのはの頬に一筋に傷をつけた。 今までになのははそんな魔法に出会ったことは無かった。 ――集束された魔力の奔流を貫く射撃魔法など 無言で壁にめり込んだ幽霧の方に歩み寄るなのは。 「幽霧くん。大丈夫?」 「どうにか……」 やはりダメージがあるらしく、幽霧は呻く様に言う なのはは頬に走った一本の傷が少し痛かったが、笑顔で幽霧に言った。 「ごくろうさま」 次の日。 幽霧は退院と言う事もあり、早朝からシャマルとスフィーダの診療室に来ていた。 「これで幽霧くんも退院か……」 「短い間でしたが、お世話になりました」 回転椅子に座りながら頭を下げる幽霧。 そして診療室を立ち去ろうとした時、シャマルに呼び止められる。 「最後にちょっと聞きたい事があるんだけど……良い?」 「何でしょうか?」 呼び止められる理由が分からない幽霧は首を傾げる。 「私の知り合いからよく聞く[聖鎧布]って何? それに昨日、訓練室で使ったあの魔法は?」 「覗いていたのですか」 シャマルに見られていたとは思わなかった幽霧は少しだけ驚く。 「話を逸らさないで」 驚いている幽霧にシャマルは冷たく言い放つ。 そのまま何も言わないで出るのも手だが、シャマルから逃げ切れるとは思ってはいなかった。 幽霧は軽く溜め息をつき、簡潔に答える。 「皆様の言う[聖鎧布]は自分の造った防御魔法です。昨日、使用した魔法は魔力を極限にまで圧縮して撃ち出す射撃魔法です」 「そう……ありがと」 「では、失礼します」 シャマルに幽霧は黙礼し、診療室を後にする。 幽霧が去った後、スフィーダはシャマルに尋ねた。 「今日はずいぶんと幽霧霞に絡んでいましたが、何かありましたか?」 シャマルは背もたれに体重を預ける。椅子の背もたれがシャマルの身体を受け止める。 溜め息をつくようにシャマルはスフィーダに答えた。 「幽霧霞さんの身体は常人以上に魔力伝導率が高かったんです。まるで幽霧くんの身体自体が……」 軽く間を置き、シャマルは呟く。 「……デバイス」 「おはよう。幽霧」 「おはようございます」 106号室に戻ると、雪奈と雫が幽霧を出迎える。 「雪奈さん。それに先生。お仕事は大丈夫なんですか?」 「大丈夫だよ。鉈部隊長代行に押し付けてきたから」 「私一人がいなくても、開発部はちゃんと仕事をして下さるはずです」 幽霧の問いに雪奈と雫は笑顔で答える。 自身の部署の局員を信じている様な雫の言動はともかく、鉈に仕事を押し付けてきた雪奈は意外と酷い。 軽く嘆息しながら幽霧は残りの荷物を片付け始める。 その時、スライドドアが開く。 「おはよう。幽霧くん。元気そうで何よりや」 入ってきたのは捜査課部隊長のはやて。 「八神さん」 「幽霧くんが今日、退院すると聞いてな。仕事行く前に来させてもらったわ」 はやては幽霧に笑いかける。 「それと、仕事で忙しいなのはちゃんとフェイトちゃんから伝言を預かってきたわ。退院おめでとう」 はやての口から伝言という形で伝えられたなのはとフェイトの言葉に幽霧は少しだけ胸が温かくなる。 「さて、そろそろいこっか。今晩は私と雫の家で幽霧の快気祝いでもしよう」 「そうですね」 雪奈の提案に雫も微笑む。 「夜なら、なのはちゃんもフェイトちゃんたちも大丈夫なはずですね。私も伺わせていただきます」 三人が楽しそうに話す中、幽霧は包帯巻きになったレンに歩み寄る。 「自分は先に退院します。自身の身体をご自愛下さい。レン・ジオレンス陸曹長」 「別れの印にキスプリースっ!」 無理にでもキスする為に幽霧に飛び掛ろうとするレン。 しかし話がうまく進むはずもない。 「其は呪いの魔弾《ガンド》!」 アルフィトルテの指先から巨大な魔弾が撃ち出され、レンの腹部に命中する。 「オゥ! イエィス! ギューシィポォリィイエィス!!」 何故か奇妙な断末魔を残し、レンはベッドに沈む。 その顔は妙に幸せそうであった。
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;--------------------------------------------------------- インパクトファイター ~事象の地平線へ~ ;--------------------------------------------------------- プロローグ ~ Ten years before ~ ;--------------------------------------------------------- 時は西暦二〇二〇年。 新宿副都心に建造された一〇八階建ての高級ホテル。 その最上階会議室で、虎宮博士はシュヴァルツドライヴプロジェクト(SDP)の起動実験プランの説明会を行っていた。 ヘリウムⅢによる核融合システムの開発に成功し、自称二〇歳(実年齢は不明)にして、ノーベル物理学賞を受賞したエンジニアたちのカリスマ。 日本が生んだ希有の才能、虎宮沙良博士。 一四〇センチの低長身に、幼い顔立ちだが一説には三〇代後半とも四〇代かもと囁かれている。 とにかく年齢に関する話だけはダブーとされていた。 また、頭にはなにやら変な生き物が乗っかっている。生物なのか機械なのかわからないが、ぬいぐるみではないことは確かだ。 そのような奇抜な格好と容姿は、おおよそ科学者に抱くあらゆるイメージを根底から覆してくれた。 そうして、その伏目がちな双眸が開眼し、その瞳に射すくめられたならば、大抵の人間は言葉を発する前に屈服してしまうだろう。 もちろん議論やディベートで負けたことは無い。 その二一世紀のアインシュタインと謳われた虎宮博士が提唱した、次世代エネルギーシステム、シュヴァルツドライヴ。 顕微鏡クラスの極小ブラックホールを作り出し、その光をも吸引するエネルギーを利用して発電を行おうというのだ。 論理的には無尽蔵のエネルギーが半永久的に供給される。 そのための実験用プラントは、すでに九割がた完成しており、その内の七割は実際に稼動していた。 プロジェクトの総予算は二四兆六千億円。 国の開発事業としては戦後最大規模であろう。 この、国家の威信を懸けた巨大プロジェクトはいま、最大の山場を迎えようとしていた。 「まだ早すぎるのではないか?」 起動実験に消極的な岩崎教授が異を唱える。 「何をおっしゃるかと思えば……。むしろ遅いくらいですよん。そう、あなたが担当するセクションみたいにねっ!」 壇上に立った虎宮博士は、進捗の遅れている岩崎教授のチームを皮肉りながら反論した。 「だからこうして恥を忍んで進言しているのだ。私のチームが担当した制御プログラムは不完全で、まだテストに耐えうる仕様ではない。無謀な実験は失敗を招くだけだ」 「アハハ心配ないよー。そもそも制御する必要なんてないんだからさぁ。それに制御プログラムの仕様書とソースコードをざっと眺めてみたけど、あれじゃ駄目だよ。研究所の修士だってもう少しマシな仕様を提出できるんじゃないかな? でもね、だからといって気を落す必要はないよ。あんなものが制御できるのなら、今頃人類はタイムマシンだって開発してるはずだからね」 「ど、どういう意味だそれは。何を考えている虎宮博士!」 岩崎教授は席を立って怒鳴った。こめかみの血管が浮かび上がり、ヒクヒクと脈打っていた。 「とにかく! 実験はタイムスケジュールに則り、計画通りに行うよー。いまは一分一秒が惜しいから、早く準備させるよう手配してねー」 虎宮博士は脇に立っている秘書にそう命じた。秘書は無言で頷くと、連絡を行うべくその場を退席した。 「ま、待て! 私は反対する。この起動実験には異議を唱える。実験を強行するようなら、査問委員会の招集を行う」 荒い息を吐く岩崎教授に相反して、虎宮博士は冷静だった。 まるで、餌を求めて山から下りてきた熊を射殺するハンターのように、冷ややかな視線を岩崎教授に送っていた。 「五月蝿いなぁ。好奇心を無くし、権威や権力を手に入れたがる技術者ほど醜悪なものはないねぇ。もういいや。ねえねえ誰かこいつをつまみだしてよ」 岩崎教授の言葉を、あくびをかみ殺しながら聞いていた虎宮博士は、面倒臭そうに指示した。 「なっ、なにをほざくか、このケツの青い小娘が! た、たかがノーベル賞を受賞したくらいで天狗に乗りおって、貴様を学会から、いやこの世界から追放してやる!」 虎宮の暴言に、岩崎教授は顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。 「たかが……ね。うん。確かにたかがノーベル賞だよ。なんの価値も無いね。でもまあ研究資金を調達するくらいの役には立ったかな? それはそうと岩崎教授。周りを見てごらんよー」 円卓になった会議室に居る科学者、政治家、投資家たちが岩崎教授に送る視線は、侮蔑以外の何者でもなかった。 この会場の雰囲気、出席者の支持は、すでに虎宮博士が勝ち取っており、虎宮博士はプロジェクトを遅延させる病巣のように唾棄すべきものとして皆の目には映っていた。 「なっ、なんだきさまら……」 「おっほん。岩崎教授は疲れてらっしゃる。寛容なぼくは教授に休暇を差し上げることにしました! そうだなぁ、北海道にでも行ってクールダウンしてくるといいかも。それじゃー行ってらっしゃーい」 虎宮が顎で合図すると、扉の両脇に阿吽像のように立っていた黒服のSPが、岩崎教授の両脇を抱えあげ、会議室から連れ出した。 岩崎教授の言葉にならない恨み言が、退出したドア越しに聞こえてくるが、虎宮の関心はもう他のことに移っていた。 「さてと、それでは本題に入りましょうー」 虎宮博士の双眸が妖しく光った。 「みなさまに、我々人類の更なる繁栄を約束する友人を紹介致しまーす」 虎宮博士の言葉を聞いた要人たちは席を立ち、拍手でもって、虎宮の友人を歓迎した。 ;--------------------------------------------------------- 1章「Bug nest《バグネスト》」 ;--------------------------------------------------------- 0 ~イントロダクション~ ;--------------------------------------------------------- 北海道。 かつては大自然に囲まれた未開の地。 北海道開発庁という省庁があったくらい攻略が難しい自然の要塞であった。 だが、北海道の自然も、人の造りし建造物も、人工ブラックホール《シュヴァルツドライヴ》の暴走という人類史上最悪の事故により、跡形もなく消え失せた。 西暦二〇三〇年――。 現在残っているのは、そこに北海道があったという事実と、国立図書館に残された膨大な資料。 そうして忌まわしい記憶のみだった。 死者行方不明者の数、約五〇〇万人。 それは北海道の総人口の八割を越えていた。 いや、全滅しなかっただけマシだったのかもしれない。 そうして僅かに生き残った道民も、飢えと寒さ、舞い上がる粉塵に肺をやられ、次々とその命を失っていた。 政府は事故を隕石の落下と国民に説明した。 また、隕石には未知のウィルスが付着しており、生き残った道民は皆感染の恐れがあるため隔離する必要があるとも付け加えた。 ある意味政府の対応は素早かった。 政府は道民の保護活動法案を議会に提出し、強行採決した。道民の保護活動法。 それは、保護とは名ばかりの隔離政策であった。 保護法の施行により、道民は、自衛隊が配給する僅かな食糧と燃料で、生活することを余儀なくされた。 一枚の毛布を巡って殴り合い、時には殺し合いも起こった。 ウィスルの拡大を防ぐという嘘の名目で、内地へ疎開することも許されない道民は、生きる目的を失い、完全に難民と化していた。 政策開始当初は、同じ日本人として許せないと人権団体が騒ぎ立てたりした。 だが、政府の狡猾な情報操作により、人々は北海道のこと、道民のことを、時が経つにつれ、記憶から忘れ去っていった。 事故から一〇年が経ち、忘れられた民、道民の不満は次第に膨れ上がってゆく。 1 ~釧路~ ;--------------------------------------------------------- 何処までも続く荒れ果てた大地を、一台の特殊大型トレーラーが走っていた。 車幅五メートル、全長二〇メートルの特殊車両は、日本の狭い一般道を走ることはできない。 だが、そんな特別仕様も、この砂漠のような荒野を走破するにはちょうど良いのかもしれない。 そのトレーラーを先頭に、まるで団子のように密集して、数十台のトラックと装甲車がその後に付き従っている。 突き抜ける蒼天、圧巻とも言える白い入道雲。 真夏の北海道はとても清々しく、都会の喧騒を忘れさせてくれる。 だが心地良いのは空の景色だけだ。地上はもう悲惨なものだ。草一本生えてない不毛の荒野が延々と続いている。 「一〇年前とはえらい違いだ」 揺れる車中、大翔は草原を自転車で走っていた昔を思い出していた。 そこにはまだ草木や川があり、姉妹も居た。だがいまは誰もいない。 一〇年前の事故により全てを失ってしまった。 特別学徒自衛官の制服で身を固めた若い男性。まだ少年と言っても過言ではない。 左手でハンドルを掴み、右手には水が入ったペットボトルを片手に、だらしなく運転している。 結城大翔(ゆうき ひろと)。 若干17歳で士官であるニ尉という謎多き自衛官。 いつもニヤニヤと笑っているので、軽薄そうなイメージがつきまとい、泣かせた女性自衛官の数は一個師団にも及ぶという。 そんな悪い噂が絶えない。 それら噂は事実無根も甚だしいのだが、当の大翔は弁解すること無く、あくまで飄々としていた。その態度が更なる誤解を生む。 「結城二尉。そろそろゼロの着装準備にとりかかってください」 融通のきかなそうな女性の声が、隣の助手席から響いた。 技術者にありがちな化粧とは無縁のスッピンの女性。 とはいえ彼女もまた大翔と同じ学徒自衛官のため、化粧をしなくても充分魅力的であった。 少しクセのある茶の髪は短く切り揃えられ、快活な印象を与えているが、実際はそうでもなさそうである。 「陽菜くんさあ。いまは夏だよね。北海道といっても、夏は結構暑いよね」 「北海道じゃありません。いまはバグネストです。何度言えば理解して頂けるのでしょうか。それよりも早くゼロを着装してください。時空歪曲率が上昇して、とっくに警戒レベルに達しているんですよ」 陽菜は神経質そうに、助手席の前にずらりと並んだ計器パネルの内の一つに示される、時空歪曲率を現わすモニタを、くりっとした大きな瞳で追いかけていた。 「開発者って奴はさ、性能ばっかり追っかけてさ、中に入る人間のことなんてまるで考えてないんだよなぁ。つーかゼロの実戦データを取りたいから、おまえら北海道に行ってこい。ときたもんだ。人使い荒いと思わない?」 「牧野主任はちゃんと搭乗者のことも考慮して設計しています。それに、未評価の機体を量産するほど、日本の財政は裕福ではありません」 「知ってるよ。その財政赤字というかヤバイ位の借金をなんとかしようってのがこのプロジェクトなんじゃないの?」 「そうです。分かっているのなら早く着装してください」 「んー。でもあれって一種のサウナスーツなんだよ。一〇分で二キロは痩せちまうんだぜ。そうだ陽菜くん。キミ乗ってみないか。マジで痩せるよ」 「わ、私は、太ってなんかいません!」 「冗談だよ陽菜くん。でもなー、もう少しメリハリってものが必要だと思うんだよ。もう少しウエストがくびれてたら完璧なのにねぇ。ところで陽菜くんは彼氏とか作らないの? 勿体無いよ絶対。意中の士官とかいない……の」 「結城二尉。これが最後の警告です。これ以上ゼロの着装を遅らせた場合、東城一佐に職務放棄と報告を入れさせて頂きます。それでもよろしいのですね?」 「特務四科所属、結城大翔二等陸尉。ゼロの着装準備に入りますっ!」 東城一佐の名を聞いた大翔は、それまでの軟派な態度を一変させ、キビキビとした動作で、ゼロのコンテナへと向かった。 そんな大翔を、陽菜は半ば呆れながら見送った。 バグネスト。 かつて北海道と呼ばれていた土地は、現在ではそう呼称されていた。 もっとも、バグネストと呼称するのは、本土の人間か役人くらいで、道民は皆、北海道と呼び続けていた。 核融合エンジンを実用化し、ノーベル物理学賞を受賞した天才科学者、虎宮沙良博士。 彼はその功績に満足する事はなく、更なる研究に没頭した。 博士の次なる研究は、極小ブラックホールを利用したエネルギープラントの開発だった。 シュヴァルツドライヴプロジェクト(SDP)。 政府は国家規模のプロジェクトとして博士の研究をサポートした。 なにせ完成すれば無限のエネルギーが得られるだけに、その開発は全世界から注目された。 だが、計画は失敗に終わった。 極小とはいえ、圧縮された巨大質量の暴走は、実験施設はおろか、施設のあった北海道そのものを跡形も無く消失させるだけの威力を持って暴れ狂った。 そうして、日本の地図より北海道は失われた。 直径五〇キロに及ぶ巨大クレーターが、実験施設のあった旭川市を中心に広がり、その衝撃の余波は青森県まで及んだ。 悲劇はそれだけで終わらなかった。 暴走震源地では時空の歪みが生じ、施設後を中心とした半径約二〇キロ以内には、立ち入りが禁止された。 その半径こそが、疑似ブラックホールのシュヴァルツシルト半径《事象の地平面》に他ならなかったのである。 実験施設と北海道は崩壊したが、ブラックホールが出現したということは、ある意味、実験は成功したとも言える。無論。そのようなことを政府が公表するわけはなく、ブラックホールの出現は国家機密扱いとなっていた。 トレーラーに連結されたコンテナのハッチを開けると、中に溜まった熱気が大翔の頬を突風のように撫でる。 やれやれとかぶりを振って、大翔はコンテナに一歩足を踏み入れる。 中はサウナ室として利用可能なくらい、こんがりと熱されていた。 大翔の口からため息が漏れる。 「陽菜くんさあ。ひょっとして空調壊れてんの」 大翔はインカムを通じて陽菜に愚痴を吐いた。 「経費節減とゼロの耐熱試験にもなるので、コンテナ部の空調は切ってあります」 「おいおい、ゼロって精密機械だろ? そんな乱暴に扱っていいのかよ」 「ですから耐熱試験も兼ねていると言いました。何か不満でも?」 「だからって俺たちまで一緒に試験することはないんじゃないの?」 清ました陽菜の態度に文句を言っても、のれんに腕押しだと判断した大翔は、それ以上は何も言わず、ゼロの着装準備に取りかかった。 「おまえらも大変だな」 コンテナトレーラーに付き従っていたトラックに搭乗していたゼロの作業員たちが、重たそうな器材を持って、くそ暑いコンテナの中に入ってくる。 「任務でありますから」 体育会系のさわやかな笑顔の作業員数名に囲まれ、大翔はやれやれとかぶりを振った。 「ったく。経費節減もなにも、このトレーラーには核融合エンジンが積んでるんだからエアコンの電力くらいケチってどうするよ」 「結城二尉殿、核融合エンジンはゼロの運用時に使用されます。トレーラーは通常、燃料電池によって運用されているので、沢井三尉はケチっているわけではありません」 上園という名前の技術下士官が生真面目に答える。階級は一等陸曹だった。 「上園くんだっけ? 冗談だよ。冗談。俺も馬鹿じゃない。それくらい知ってるさ」 「し、失礼しました!」 「そんなに恐縮しなくていいよ。それより怖いお姉さんが、着装するのを、首を長くして待ってるんで、手早く済ませちまおうぜ」 「了解しました」 上園一曹は大翔が見守る中、ゼロの収納されたハンガーコンテナの安全装置を解除してゆく。 開かれたハッチの中には、大翔の体型に合わせたインナースーツがぶら下がっていた。そうしてその奥には、金属の塊が静かに鎮座していた。 「結城二尉殿、お願いします」 上園一曹はそのまま奥にある金属の塊の方へ、部下を引き連れて向かった。 大翔はそんな上園のモチベーションというかハイテンションに気後れしながらも、着ている軍服を脱ぎ、ハンガーに吊ってあるインナースーツを取り外してダラダラと着替えた。 「沢井三尉殿、ゼロの安全装置、全て解除しました。起動用パスコードを入力し、核融合エンジンを始動してください」 上園一曹の朗々とした声が、インカム越しに響く。 インナースーツに内蔵されたスピーカーの感度は良好のようだ。 「こちら沢井三尉。ゼロの起動パスコード入力しました。核融合エンジン始動スタンバイお願いします。 「了解しました。燃料ヘリウム注入開始」 「タービン内圧力増加」 「加速率上昇。対消滅機関起動電圧まであと八〇、七〇……」 核融合エンジンを起動させるのにかかる時間は五分から一〇分だった。 「俺はストレッチしてくるから後よろしく」 インナースーツを纏った大翔は、くそ暑いコンテナから飛び降りた。 コンテナから大地に着地すると、大量の砂ぼこりが舞った。 細かく砕けてパウダー状になった砂の粒子は、足元に絡み付き、歩く度にキュッキュッと嫌な音を立てる。 まるで月の大地だった。 月を舞台にした映画を撮影するならこれほど適したロケーションは他にないだろう。 これがあの自然豊かな北海道《バグネスト》の姿なのかと思うと、大翔はやりきれない気持ちになった。 しばらく歩いて、剥き出しのコンクリート片の上に立った。 ここなら埃が舞う事も無い。 大翔はそのコンクリートの上で器用にストレッチを行った。 できるだけ筋肉をほぐしておかないと、ゼロの負荷に耐えられず肉離れを起こす。 最悪は靭帯断裂もありうるのだ。 事実、ゼロの実験中に故障したテストパイロットの数は枚挙に暇ない。 「しっかし、ゼロでこのザマだ。ゼロワンのパイロットなんて人間につとまるのかよ。まっ、俺のしったこっちゃないけどな」 大翔は汗だくになるまでストレッチを続けた。 「結城二尉。ゼロの起動準備が整いました。速やかに帰投してください」 インカム越しの沢井三尉は、まるで怒ったような声に聞こえる。 もう少し愛想が良ければ可愛いんだけどなあと大翔は考えながら、インナースーツのドライモードで汗を乾燥させると、コンテナに戻った。 2 ~摩周湖~ ;--------------------------------------------------------- 摩周湖のほとりで、釣り糸を垂らす少女が一人。 竿はなく、糸だけが濁った湖面に沈んでいる。 かつてはアイヌ民族から神聖な湖として崇められ、驚くほどの透明度を誇った聖なる湖。 それが摩周湖だった。 そんなアイヌ民族が自然神として親しんでいた摩周湖も、いまでは濁りきった湖でしかなかった。 湖心に浮かぶカムイッシュ《神の島》や、東岸のカムイヌプリ《神の山》も、今はもうその原形を留めていない。 少女の瞳は絶滅した蝦夷狼にも似た鋭さを持ち、真剣そのものだった。 学生らしくブレザーをまとっている。 中学から高校生くらいの年恰好。赤い燃えるような髪の毛をツインテールにした寡黙な少女。 この釣り糸には今日の飯の種がかかっている。 ここ二日余り水と木の根しか食べてない少女にとって、魚釣りは遊びではない。 立派な狩猟行為なのだ。 少女の脇には、身の丈二メートル近くある初老の偉丈夫が、大地に根を生やしたかのように立っていた。 偉丈夫はアイヌの民族衣装《アットゥシ》を纏い、顔や腕に独特の刺青を彫っていた。 糸を垂らすこと一時間。 その間二人は、まるで自然の一部であるかのように振舞い、事実風景に溶け込んでいた。 微かに糸が張る。 少女は焦ること無く、指先を器用に動かし糸に緩急を付ける。 糸には手作りの疑似餌が付いていた。 湖中では、それが生きた昆虫のように蠢いているのだ。 大きなアタリが少女の指へ伝わってくる。食いついたのだ。 頑丈なテグスならば、このまま一気に釣り上げれば良いだろう。 だが、この糸は服の繊維を解き、幾重にも編んで作った手作りの糸だ。 伸縮性はあるが、強度はいまひとつだった。 少女は根気よく時間をかけて獲物を弱らせ、完全に体力を失ったニジマスを釣り上げた。 「よくやったな美羽。美優も喜ぶだろう」 初老の偉丈夫は、少女美羽にそう声をかけると、ニジマスを腰に吊るした麻袋の中に入れた。 「もう一匹釣っていい?」 「駄目だ。今は数を増やさなければならない。三日に一匹だ」 偉丈夫はそういうと、未練がありそうな美羽の腕を掴み、摩周湖を後にした。 「シャクシャインはどうして配給を貰わないの?」 帰路の途中、美羽はシャクシャインと呼ばれる偉丈夫に尋ねた。 「国からの施しは受けない」 ぎろり、とシャクシャインが美羽を睨む。その眼光に美羽は思わず怯んだ。 「わたしはこんな生活でも構わない。だけど美優が可哀相だよ」 美優とは美羽の妹である美優のことだ。 「美優を連中に引き渡したいのか?」 「そうじゃないけど。美優のために配給を貰うのは正当な権利じゃないの? 連中はここをこんなに滅茶苦茶にしたのよ。その責任は負うべきだわ」 「もちろん奴等はそれ相応の報いを受けるべきだ。だが連中からの施しは受けん。これは誇りの問題だ」 シャクシャインはそれきり黙ってしまった。 そうなるともう話しかけてもで返事が返ってくる見込みはないので、美羽も黙るしかなかった。 約数十分。 平坦な荒野を歩いてゆくと、元々は旅館かホテルだったと思われる廃虚のビルがあった。 恐らく数十階建てだったのだろうが、二階より上は吹き飛ばされており、剥き出しになった二階と、かろうじて雨露をしのげる一階部分、それに地下室があった。 ここが美羽とシャクシャイン、そうして二人の会話に出てきた美優の住居であった。 美羽とシャクシャインが廃ビルの手前まで来ると、彼らの気配を感じたのか、ビルの中から真っ白な肌をした蒼い髪の少女が飛び出してきた。 彼女もまた、美羽同様に制服を着ているが、学校に通っているかどうかは定かではない。 「おかえりなさい。おねえちゃん。おとうさん」 美優は美羽に抱きついて抱擁してもらう。 そうして美羽から離れると、今度はシャクシャインのにしがみつく。 シャクシャインは美優を軽々と持ち上げると、そのまま廃ビルへと向かった。 五歳で両親と死別し、美羽と共にシャクシャインに拾われて育った被災孤児の美優。 三人で暮らすようになって一〇年の歳月が流れたが、まだ二人が狩りに出て家を空けると、待っている時間に不安がつのる。 ;(回想始) ――五歳だった当時、運良く生き残ったものの、いくら待っても両親は戻ってこない。自分の周りには沢山の人が倒れていた。みんな動かなかった。 美優自身もショック状態に陥っており動けなかった。 このまま死ぬのだろうと、幼いなりに美優は感じ取っていた。 両親の生死も分からず、死体が積雪によって埋もれてゆく様を見ていると、自分もこのまま雪に埋まって死ぬのだと思った。 それでも良かった。生きたいという気持ちはあったが、助かるとはとても思えなかった。 僅か五歳の少女をそこまで悲観的にしてしまうだけの地獄がそこにはあった。 そんな、泣く気力すら失い、壊れた人形のように横たわっていた美優を抱き上げたのは、太い腕の偉丈夫、シャクシャインだった。 彼女の小さな命は、シャクシャインの大きな腕の中に収まることで九死に一生を得た。 ;(回想終) そんな美優の抱擁には、無事に帰って来た二人への感謝と安堵の意味が込められていた。 「今日はニジマスを釣ってきた」 「やったー。じゃあ腕によりをかけて料理するね」 美優はシャクシャインに頼んで地面に降ろしてもらうと、彼の腰に付いた麻袋を解いてビルの中へ急いで戻っていった。 「早く早く」 廃ビルの入り口で、美優が手招きをする。 「さあワシらも帰ろう」 シャクシャインが美羽の肩に手を添える。 その大きな掌は、美羽に絶対の安心感を与えてくれた。 ;(回想始) ――爆風で記憶のほとんどを失い、歳も自分の名前すら分からぬまま彷徨っていた幼い自分。 泣いても叫んでも誰も助けてはくれない。 そんな日々が一週間近く続いた。 季節は冬。 飢えと寒さに凍え、雪をかじって生き長らえていた美羽の前に、大きな掌が差し出された。 掌を掴むと、その手は優しく美羽を包み込んだ。 見上げるとそこには大きな男がしゃがんでいた。 気を失う寸前、美羽は男に抱かかえられたことを知った。 それが養父シャクシャインとの出会いだった。 記憶と笑顔を無くした少女に、シャクシャインは美羽と名付けた。 ;(回想終) 「うん。戻ろう」 美羽とシャクシャインは美優が待つ我が家へと帰った。 そうして三日ぶりのたんぱく質をゆっくりと味わって食べると、疲れたのかそのまま眠ってしまった。 「もーおねえちゃん起きてよー、こんなところで寝ちゃいけないんだよー。行儀が悪いっておとうさんに怒られるよー」 美優が美羽を起こそうと揺さぶるが、美羽は気持ち良さそうに眠るだけだった。 「そのまま寝かせてやれ。寝床へはワシが連れて行く」 シャクシャインは、眠った美羽を軽々と抱かかえる。 「あーずるい。あたしも連れってってよー」 美優はそういうと、余ったもう一方の腕にぶら下がった。 「今夜は少し暑くなりそうだ。暑いからといって裸で寝るんじゃないぞ」 「はーい」 と、シャクシャインの腕の中で美優は答えるが、朝になって目が覚めると、決まって服を脱ぎ散らかしてしまっており、美羽とシャクシャインを閉口させている。 「本当だな?」 「た、たぶん。というか、がんばる」 「よし」 シャクシャインは二人を両腕に抱え、地下に作った寝床へと向かった。 今はいい。夏の間は生活にも余裕があった。 たとえブラックホールによって大地を飲み込まれたとは言え、季節は必ず巡ってくる。 長い冬をどう乗り越えるか。 それはシャクシャインにとって頭痛のタネであり、課題であった。 この極限の北海道《バグネスト》で、配給にも頼らず、ひたむきに暮らす美羽たち。 彼らはこの地、北海道《バグネスト》が、権力者たちの利権のために、再び利用されようとしていることを、まだ知らない。 3 ~ツーアイズ・ゼロ~ ;--------------------------------------------------------- ゼロの起動実験は順調だった。 《IIS―0》これがゼロの開発コード名だ。 磁場の乱れの多いバグネストにおいて、電波障害を無効化して作業するパワードスーツ。 高度な計算能力と、分厚い装甲、携帯火器を選択することによって汎用性のある兵装を実現することから、IIS《インテリジェンスインパクトスーツ》と呼ばれた。 屋外や悪天候下での起動は始めてではないが、この粉塵が舞う、ある意味砂漠よりも性格の悪い土地で起動させるのかと思うと、陽菜は少し緊張していた。 階級は大翔より下の三等陸尉であったが、このIISプロジェクトチーム、通称ツーアイズチームの試験担当責任者としての全権限は彼女にあった。 本来ならプロジェクトリーダーであり開発主任の牧野一尉が担当するはずだったのだが、彼女は別の案件で忙しく、 「テストだけなら沢井に任せても問題ないでしょう」 と、うっかり口を滑らしたため、バグネストに現地入りしたくない他の研究者らの賛同を得て、急遽試験担当責任者として大抜擢されたのだ。 要するに貧乏クジを引かされたのだ。 だが、陽菜自身は、尊敬する上司である牧野一尉直々の推薦ということもあり、必要以上に張り切っていた。 沢井陽菜。一七歳になる健康でうら若き女性自衛官。 言い寄る男性は多々あるが、自分よりも頭が良く、クレバーな男性像を理想とする彼女を射止める男性はまだ現れていない。 唯一望みがあった上司の牧野は既婚者だったのでどうしようもない。 「陽菜くんさあ。早く起動してくれない? マジで頼むよ。このままだと蒸し焼けになって死んじまうぜ。ゼロの空調最優先な!」 インカムから伝わる下品な大翔の声で、陽菜は我に返った。 なんでコイツがゼロのパイロットなんだろう。 陽菜はバグネスト方面隊、第一三師団、第一三戦車大隊の司令である東城一佐を怨んだ。 幾人ものテストパイロットが怪我で故障して、設計を見直すしかないと言われて落ち込んでいた時、東城一佐の推薦で結城二尉がパイロット候補として転属してきた。 約一年前の話だ。 そうしていきなり初対面で、 「キミ、可愛いね。彼強いるの? いや、いないよね。いたらもっとこう、柔らかい感じがするはずだよな。どうかな? 俺と付き合ってみない?」 と言ってのけた大翔を、陽菜は思わずグーで殴ってしまい、三日間の謹慎処分を食らってしまった。 屈辱に震えながら始末書を書いた記憶が鮮明に蘇える。 それは、陽菜の輝かしい経歴を汚す、唯一の失態であった。 なにしろ生まれてこのかた表彰はされても、反省文や始末書の類を書いたことが無いというのが陽菜の自慢だったから尚更である。 もちろん大翔もセクハラ行為で陽菜以上に重い処分を受けたが、日報のような感覚で始末書を提出している大翔とでは、その意味合いが根本的に異なる。 とにかく第一印象から最悪だった。 そうして大翔に対する評価は、一年経ったいまでも余り変わっていない。 それでもゼロをマトモに扱える自衛官は、いまのところ大翔くらいしか居なかった。 もちろん、ちゃんと探せば大翔以上に適正のある自衛官は居るのだろうが、ツーアイズプロジェクトにかける予算と人員では、それは過ぎた願いだった。 一五七箇所にも及ぶチェック項目をクリアして、ようやくゼロの機体に動力が伝わる。 特殊合金で組み上げられた芸術作品。 現代技術の結晶である白銀の巨人にいま、命が吹き込まれてゆく。 「結城二尉。空調が入りましたよ。気分はいかがですか?」 嫌味がブレンドされた口調で、陽菜が訊ねる。 「最っ高だね。科学万歳。計器もオールグリーン。なんの問題もないよ」 既にゼロの中に入っている大翔は、目の前に広がる無数の計器を眺め、そう答えた。 剛性チタンフレーム。強化カーボン複合材による特殊装甲など。 その他できうる限りの軽量化を施したゼロの乾燥重量は八五四キログラムと、軽自動車並である。 燃料、内臓武器の弾薬、それからパイロットである大翔を搭乗させると、一トンを僅かに越えるが、それでもその軽さは驚異的であった。 そのゼロは、胎児のように四肢を丸めた状態で、コンテナのハンガーに吊るされて外へと運び出される。 大きく開いたコンテナの上部ハッチに吊るされたゼロの四肢が、窮屈な檻から開放された獣のようにゆっくりと伸びてゆく。 「ジャイロバランサーチェック完了。結城二尉、準備はよろしいですか?」 「問題ない。やってくれ」 「ゼロ、投下します」 陽菜はトレーラーと連動した助手席のコンソールから、ハンガーのフックを解除した。 バシュッ! という音を立ててハンガーより切り離されるゼロ。 地上から一メートル高い位置に吊るされていたゼロが、ズゥウウンと音を立てて北海道《バグネスト》の大地に着地する。 もの凄い砂塵がぶわっと舞うが、防塵対策を施してあるゼロに影響はなかった。 「脚部および碗部の関節異常無し。結城二尉。室内環境訓練と同じ手順でゼロの運用をお願いします」 「はいよ」 大翔は軽く右足に力を入れる。 するとその筋肉の動きをトレースするように、ゼロの右足が持ち上がる。 インナースーツが筋肉の微細な動きをモニタし、ゼロ本体に伝えているのだ。 「操作手順にのっとり、歩行テストから始める」 ゼロに乗った大翔が実際に歩くことはない。 大翔の筋肉の反応を予測シミュレートしたゼロのコンピュータが、即座に脚を動かす。 上手く歩行させるにはコツがいるのだが、もう何百時間もゼロに乗ってきた大翔にとって、ゼロの操作は女性を口説くより簡単なルーチンワークでしかない。 二〇近くのテスト項目を淡々と消化して行く大翔。 それはまるで空手の形のように、荒々しい動作だったが、洗練され美しくもあった。 限りなく人間に近い動作を見せるゼロ。 装甲の都合上、人間に及ばない動きもあったが、逆に人間ではありえない動作をすることも可能だ。 陽菜は、その光景を見せ付けられる度に、悔しいがゼロのパイロットとしての大翔は一流だと認めざるをえなかった。 「ついでに新兵器の試射もやっておくかい?」 全てのテスト項目を終え、コンテナトレーラーまで戻ってきた結城のゼロが、インカムを通して陽菜に尋ねた。 「ちょ、ちょっと待ってください。新兵器は磁場の影響を受けるので計算してみます」 流れるようなゼロの動きに思わず見とれていた陽菜は、突然の大翔の提案に虚をつかれ、少し慌ててしまった。 「沢井三尉殿、磁場は問題ありません。結城ニ尉殿の提案通り、新型レールガンの試射もやっておきましょう。バケモノが出た後では調整が間に合いませんよ」 上園一曹は暇を持て余していたので、周囲の磁場チェックを怠っていなかった。 それに兵器オタクでもある彼にとって、強力すぎて内地では試射できなかった最新鋭のレールガンの威力テストは、とても興味深い事項なので、いつでも試射できるよう整備を怠ったことはなかった。 「そうですか。それでは付近に難民もいないみたいですし、いつ磁場が不安定になるか分からないので、今のうちにやっておきましょう。結城二尉、聞こえていますか?」 「聞こえてるよ沢井三尉。だがあんたにしちゃ詰めが甘いな。本当に付近に道民が居ないのかどうか、ちゃんと調べてくれ。そのための難民マップだろう」 いつになく真剣な口調で陽菜に注文を付ける大翔。 陽菜も、大翔が自分のことを『陽菜くん』ではなく『沢井三尉』と呼んだので少し驚いていた。 ひょっとしたら初めてそう呼ばれたかもしれない。 「わ、わかりました。確認してみます」 「頼むよ。真っ平らになっちまった北海道で、レールガンなんかを水平掃射したら、流れ弾が道民を巻き込む恐れがあるからな」 「さすが二尉殿、思慮深いですね。敬服します」 インカム越しに上園一曹が呟く。悔しいが陽菜も同じ意見だった。 陽菜は最新の難民マップで難民の分布状況を調べ始めた。 数分に及ぶ検討の末、最適な試射位置が割り出された。 「網走方面に向けて試射願います。硫黄山痕に僅かな隆起部分が認められますので、それを目標としてください」 「そこなら撃っても大丈夫なのか?」 「絶対に大丈夫という保証はできません。ですが、そこが一番安全だと思われます」 「そうかい。しっかし難儀な武器だね。威力強すぎやしねーか?」 「仕方ありませんよ。バケモノ相手にはそれくらいの威力の兵装でないと効果ありませんから」 上園一尉が割って入る。 「えっと、なんていったっけ、そのバケモノの名前」 「バグリーチャーです。上園一曹もバケモノなんて言わないで下さい」 「し、失礼しました!」 「そう、そのバグリーチャーってのシミュレーションで何度も戦ったけど、ホントに居るのかい? 特撮とか映画じゃないの?」 「発生固体数三四体。破壊個数二九体。所在不明個数三体。捕獲個数二体。難民の死傷者数二二八名。自衛官の死傷者数六八名。すべて事実です」 陽菜はバグリーチャーに関するデータをつぶさに報告する。 「それもこれもこのブラックホールのおかげってわけかよ。放射能汚染がないだけ核よりマシかと思ったら、とんだ二次災害を巻き起こしてくれたな。いわゆるバイオハザードってやつか?」 「そうですね。ですが二尉殿、そのバケモノ、いえ、バグリーチャーを殲滅するためにこのゼロは開発されたのです」 熱っぽく上園は語る。 そんな上園を無視して大翔は兵装コンテナからレールガンを取り出すと、ゼロの右腕部に固定し、グリップを掴んだ。 釣竿のように伸縮した折り畳み式のレールガンが伸びる。 その長さは五メートル弱。 電磁誘導によって打ち出される高速の弾丸を加速するには、充分な長さが必要で、これでもまだ短いくらいだ。 最初の試作機は全長二〇メートルほどあり、これでようやくバグリーチャーの分厚い甲羅を粉砕できると検証された。 それから技術者たちの試行錯誤の末。ようやくこの長さまで短縮できたのである。 「レールガン試射するぞ。陽菜くん。方角を指示してくれ」 「北北西、現在の位置より、三〇度左に旋回してください。細かい微調整はゼロのコンピュータが行います。静止物掃射モードにセットしてください。いまデータを送りました。目標をロックオンしてください」 「ロックロン完了。電力供給問題なし。チャージも完了。よーし撃つぞ!」 「どうぞ」 大翔はレールガンを水平に構え、硫黄山に向けてトリガーを引いた。 張り裂けるような電気の咆哮と共に、光の弾道が一直線に走った。 数秒後、ドォォンというレールガンが着弾した音が、網走方面から微かに聞こえてきた。 4 ~電磁の咆哮~ ;--------------------------------------------------------- ものすごい地響きが聞こえた。 あと少しでオオアカゲラを捕まえることが出来そうだった美羽は舌打ちしながら、地響きのする方向に目をやった。 僅かに根を残した枯れ木のてっぺんへ器用に登ると、そこには土煙を上げる硫黄山の姿が確認できた。 「あれは、なに……」 「恐らく軍の演習だろう。ここには人が住んでないことになっておるからな」 気が付くと木の下にはシャクシャインが立っていた。 その表情は暗く、苦虫を噛み潰したように歪んでいた。 「未登録であるわたしたちの存在は無視されるわけね。やはり難民登録をした方がいいんじゃない?」 「難民認定され、所在位置を特定する、発信用の刺青を彫られたいのか?」 「まっぴらごめんよ。だけどこの辺で演習なんてやられたら、せっかく戻ってきた魚や獣たちが逃げてしまうじゃない!」 美羽は取り逃がしたオオアカゲラのことを思い出し、もう一度舌打ちした。 「ワシに考えがある。美羽。美優を呼んで来てくれ。出掛けるぞ」 「わかったわよ」 美羽はシャクシャインの言葉に従い、廃ビルへと向かった。 「まったく、好き勝手なことばかりやりおる……」 土煙を上げ続ける硫黄山《アトサヌプリ》を見つめ、シャクシャインは拳を握り締めた。 美優はまだ眠っていた。 余り身体が丈夫ではない美優は、よく熱を出して寝込んでいた。 栄養が足りないというのが最大の原因だった。 それゆえに、美羽はせめて栄養のあるものを美優に与えようと、栄養価の高いものはすべて美優に与え、自分は木の根などをしゃぶって飢えを凌いできた。 いつぞやか、美優が高熱を出した時は、こっそりと難民キャンプへ忍び込み、医薬品を盗んできたこともあった。 シャクシャインに見つかり、足腰が立たなくなるまで折檻を受けたが、それでも薬を美優に与えてくれと懇願し続けた。 その根性に免じてか、シャクシャインも医薬品を捨てることはなく、美優の治療に使用してくれた。 共にシャクシャインに拾われて、姉妹のように育ってきた二人は、血の繋がりこそないが、本物の姉妹以上に固い絆で結ばれていた。 「美優起きてる? 出掛けるわよ」 美羽は美優が包っているシーツを剥いだ。 「あふぅ、おふぁよう。おねえちゃん」 「おはようじゃない。もうすぐお昼よ。それよりシャクシャインが呼んでるわ。出掛けるってさ。早く着替えなさい」 「おでかけするの?」 普段あまり外出を許されない美優は、出掛けると聞いて飛び起きた。 「そうよ。だから早く着替えてね」 「はーい」 美優はシャクシャインの肩に座って、代わり映えのしない景色を眺めていた。 何も無くても外に出るのは気分が良かった。 粉塵が肺を傷めるので、粉塵対策として、ゴーグルとマスクを被っていた。 「ひゃべりふゅらいよ」 喋り辛いと文句を言うが、シャクシャインに外したら家に帰すと脅されているので、外すことは出来なかった。 「どこまで行くの?」 もうかれこれ三時間近く歩いていた。 距離にして二〇キロ弱。 別にこれくらいの距離と時間歩いていたって美羽は平気だったが、狩り以外でこんなに遠くまで歩くのは滅多にないことだった。 それにシャクシャインの装備はキャンプ仕様で、大きなリュックにテントまで持参していた。 今日は家には帰らないつもりなんだなと、美羽は感じ取った。 「昼間に見ただろう」 「何のこと?」 「硫黄山《アトサヌプリ》が燃えていたのを見ただろう」 「見たわ」 「あれは自衛隊の演習だ。連中はこの地を灰にしただけでは気が済まないらしい。ワシらの平穏な生活を再びかき乱すつもりらしい」 「え? まさかシャクシャイン……」 「心配するな。連中と会って、話をするだけだ」 「うん、わかった」 結局その日は野宿する羽目になった。 レールガンの弾道に沿って歩いてきたが、自衛隊のキャンプ地までたどり着くことができなかった。 「明日は早い。もう寝よう」 「わーい。おとまり、おとまり~」 はしゃく美優をあやしているシャクシャインは普段の彼そのものだったが、美優が寝静まった後に見せた表情は、苦悩する男の顔であった。 5 ~虚栄とプライド~ ;--------------------------------------------------------- ゼロの実験は順調そのもの。 進捗が前倒しになっていたので、沢井三尉はすこぶる機嫌が良かった。 朝の定期報告にて、開発主任の牧野一尉に「よくやったな」と、誉められたことも一役買っていた。 残された試験は特に磁場や電波障害の影響を考えないで済むテストだったので、言うなればいつでも消化できる。 それともう一つ。 これが最大の目的なのだが、バグリーチャーとの実戦テスト。 このデータ取得がこのツーアイズプロジェクト実機評価のメインテーマであった。 とはいえバグリーチャーの出現は完全にランダムなので、偶然の遭遇に頼るしかない。 最後に発見されてから、二ヵ月以上が経過していた。 いつ来るか分からない敵に、陽菜は重いため息を吐いた。 ;(回想始) ――最初に報告があったのは一年前。 ブラックホールの特異点から突如として現れた異形のバケモノ。 動くものを完膚なきまで破壊する狂暴な性質をもった殺人鬼。 バグネストより出ずるクリーチャーという理由で、バグリーチャーという安易でセンスの無い呼称が政府の高官によって決定された。 また、このバグリーチャーの存在は内地の人間には極秘とされ、国内はおろか、海外のメディアにも圧力をかける徹底ぶりだった。 バグネスト内では、強力な電波障害のため、誘導兵器が無効化される。 それに大型ミサイルの類は磁場の悪化を招き、現在安定しているブラックホールに悪影響を与える危険を孕んでいるので、使用は硬く禁じられていた。 バグリーチャーに対抗するには機甲部隊と連携をとった重装歩兵が、対戦車ミサイルで仕留めるか、装甲車両に取り付けたレールガンで屠るしか戦略が立てられなかった。 そのため犠牲も多く発生した。 そもそもツーアイズ・ゼロはバグリーチャーを殲滅するために設計されたわけではない。 その基本設計は、軍事機密の特殊案件に基づいて開発されていたのだが、バグリーチャー出現の報を受け、急遽、対バグリーチャー殲滅兵器として再設計されロールアウトした。 ;(回想終) 「まっ、本来の目的もロクなものじゃないんだけどね」 陽菜は独り言のように呟いて、無限に広がる荒野を見渡した。 目を凝らすと、遠くに人影が見えた。 難民だろうか? 陽菜はノートパソコンのカバーを開いて、難民マップを調べたが、前方に見える人影からは何の反応も無い。 「幽霊? まさか、いえそんなありえない……」 政府が道民の保護政策を行うようになって一〇年余。 このバグネストの難民はすべて登録済であると報告を受けていた。 難民には発信タトゥーが耳の裏に刷ってあり、それによって難民の位置状況が把握できる。 人権蹂躙だという道民の反発を受けながらも、配給を均等に分配するためという理由の元、強制的にタトゥーを刷られた道民たち。 タトゥーを刷ってない道民イコール、配給を貰っていないということになる。 「じゃあ一〇年間配給無しで、この地で過ごしてきたって言うの!」 目の前の影が大きくなるにつれ、陽菜の動揺は増した。 友軍かも。 同じ自衛官なら発信タトゥーは付けてない。 そう思いたかったが、友軍なら識別コードもしくは事前に連絡があるはずだった。 「まさかバグリーチャー!」 陽菜は特異点の観測という手順を忘れ、慌ててスクランブル用のスイッチを押した。 サイレンの音で叩き起こされた大翔は、怒鳴り込むようにトレーラーに乗り込んで来た。 「なんだってんだよ、いったい!」 「識別コードを持たない移動物が前方に……。バ、バグリーチャーかも……」 陽菜は明らかにうろたえていた。 気が強そうな女だと思っていたが、意外と可愛いじゃないかと結城は思い直してニヤついた。 「笑い事じゃないでしょう。早くゼロの着装準備に取りかかってください」 ヒステリックに陽菜は叫ぶ。 「まあまあ落ち着こうよ。陽菜くん。とりあえずモニタで確認してみよう。な?」 大翔はトレーラーに積んである監視用モニタを人影に合わせると、最大望遠まで倍率をあげた。 ぼやけた人影にピントがあってくる。 「あのさ、陽菜くん。あの人影はどう見ても人間だよ」 「えっ?」 陽菜は慌ててモニタに視線を送る。 確かにそこに写し出されていたのは、奇妙な衣装を纏った人間でだった。 大男が一人に、その肩に子供が一人、更にその脇にも子供が一人付いて、こちらのキャンプに向かって歩いてくるのが分かった。 「人間、それも子供が二人も……」 「子供はお互い様だろ。とりあえずスクランブルは解除しといたから。陽菜くんはお客さんを迎える準備でもしといてよ。そうだな。とりあえず冷たい麦茶でも入れといて」 大翔はそれだけ言うと、トレーラーを後にした。 「ちょ、ちょっと、迎え入れるって、このプロジェクトは極秘で……」 だがもうそこには大翔の姿は無かった。 「だ、誰がこのプロジェクトのリーダーだと思ってるのよ!」 大翔が出ていったドアに向かって陽菜は悪態を吐いたが、このスクランブルの件からしても、非は自分にあり、大翔のフォローが無かったら、ゼロを民間人に見せてしまうという大失態を演じてしまうところだった。 また、陽菜にとって残念なことに、大翔は人当たりが良く、ツーアイズチームから信頼を勝ち得ていた。 逆にカタブツの陽菜の方がチームの中では浮いた存在になっていた。 悔しいが、チームメイトも事実上のリーダーは大翔だと認めているフシがある。 陽菜本人ですら、半ばそのことを認めていた。 6 ~偏見と謝罪~ ;--------------------------------------------------------- ツーアイズチームのキャンプ地へ向かうシャクシャインたちの眼前に、二人の士官と、三名の武装した自衛官が立ち塞がった。 「私はバグネスト方面隊、第一三師団、第一三特務四科に所属する沢井三尉です。ここは我々の演習地となっており、民間人及び難民の立ち入りは禁止されています」 中央に立った若い女性が無表情でそう述べる。沢井三尉だった。 シャクシャインは不快感を押し殺しながら、自衛官らを伺っていた。 その瞳は陽菜ではなく、隣に立つ男、大翔に向けられていた。 シャクシャインは本能的にリーダーを見抜いていた。 銃を構えて自分たちを牽制する三人の自衛官は下士官なのだろう。 一言も言葉を発せず、黙って銃口を向けていた。 「ここは、北海道は、誰のモノでもない。貴様らはどうしてそんなに傲慢なのだ」 ゆっくりと、落ち着いた口調でシャクシャインが答える。その視線は、ずっと大翔に向けられていた。 「あなたたちは難民登録されてないようですが、この近くに難民キャンプがありますので、そこで登録をお願いします」 無視されていると分かり腹を立てた陽菜。それでも平静を装い、話を続けた。 「その必要はない」 きっぱりとシャクシャインは断った。 「こ、国民の義務なんですよ!」 「義務だと? ではおまえたちは責任を果たしたのか?」 「ちゃ、ちゃんと配給を支給しています」 「そんなものは必要ない。よって登録も不要だ。この話はこれでおしまいだ。それよりもここへ何しに来た」 「それを説明する義務はありません。軍事機密です」 シャクシャインの問いかけは陽菜ではなく、大翔に向けられていた。 そもそも始めからシャクシャインは陽菜と話し合う気はなかった。 「OK分かった。俺から説明しよう。陽菜くん。悪いけど席外してくんない?」 「なっ!」 「なんていうかさ、そんな頭ごなしじゃこのひとたち納得してくれないよ」 確かに大翔の言う通りだった。そのことは陽菜自身が良く分かっていた。 住人との交渉なんて面倒なだけだった。だったら結城二尉に任せればいい。 陽菜はそう結論を下した。 「分かりました。好きにしてください。そのかわり責任はとってもらいますからね」 陽菜は肩を震わしながらキャンプ地へと戻っていった。 「おまえたちも戻っていいぞ」 大翔は銃を構えた自衛官らにも、そう告げた。 「しかし二尉殿」 「いいから、心配すんな。そんなもの構えて話し合いなんて出来ないだろ。それより陽菜くんのお守り頼むよ」 「はっ、了解しました」 三人の自衛官は苦笑しながら陽菜の後を追った。 「さてと……」 大翔は改めてシャクシャインたちを見やった。 長身で筋骨逞しい初老の男と、その彼の肩に乗った穏やかな表情の少女美優に、獣のように鋭敏な気配を放つ赤毛の少女美羽。 実に奇妙な取り合わせだった。 「同僚の無礼は詫びます。すいませんでした」 大翔はシャクシャインに頭を下げた。 「おまえ、道産子だな」 シャクシャインの問いに、大翔の眉が微かに動いた。 「……よく、分かりましたね」 「匂いで分かる。おまえは他の連中とは違う」 「そんなに匂いますか。確かに水不足で風呂には入ってませんけどね」 大翔は袖をめくって腕の匂いを嗅ぐ真似をした。 「このお兄ちゃんおもしろいね」 シャクシャインの肩に乗った美優が大翔の仕種を見て微笑む。 「そちらのお嬢さんは?」 「ワシの娘、美優だ。そっちの小娘は美羽だ」 「美優に、美羽か……。いい名ですね。で、アナタは?」 「お前は何者だ?」 「失礼しました。私はしがない自衛官の結城大翔と申します」 「ワシはシャクシャインだ」 シャクシャインの硬い表情が少しだけ柔らかくなった。 「改めて問う。ここへ何しに来た」 「政府の広報とか知らないでしょうから、かいつまんで話しますね。一年ほど前から、ここにバケモノが現れたんですよ。お偉いさんはバグリーチャーとか言ってますがね」 「バケモノの噂は聞いたことがある」 「それなら話しが早い。我々はそのバケモノを殲滅する兵器の運用試験に来たんですよ」 「あの光の槍か?」 「レールガンっていうんですよ。あれで退治する予定で試射したんですが、まさか硫黄山付近に人が住んでるとは思ってなかったもので……、本当にすいませんでした」 大翔は深々と頭を下げた。 「どうしてワシらがその辺に住んでると思った?」 「苦情を言いに来たんでしょう。だったら地域住民だと思うのが当然でしょう」 「そうか、まあいい。それよりも忠告だ。いま一〇年の歳月を費やして、ようやく北海道の自然が再生しようとしている。その邪魔だけはするなよ」 「分かってます。俺も道民です。内地の人間の好きにはさせませんよ」 「ワシらは平穏な生活を望んでいるだけだ」 「もう試射は完了しました。ご面倒をかけることはないと思います」 大翔がシャクシャインに敬礼する。そこへ……。 「あんたたちのせいでオオアカゲラ取り逃がしたのよ。どうしてくれるの?」 いままで黙って会話を聞いていた美羽が飛び出してきて吠えた。 「へえ、オオアカゲラか。絶滅してなかったんだな……」 大翔は虚空を見つめ、嬉しそうに語った。 「あ、いや、悪かったな。……そうだ、お詫びにこれをやるよ」 大翔はそう言うと、腕にはめた時計を外し、美羽に向けて投げた。 美羽はそれを片手でキャッチすると、もの珍しそうに時計を眺めた。 「施しは受けん。返すんだ美羽」 シャクシャインにそう言われた美羽は、がっかりした顔をして結城の前に歩み寄り、渋々時計を差し出した。 「施しじゃない。お詫びです。俺たちの実験でオオアカゲラを取り逃がしたんだ。配給を受けてないあなたたちにとってそれがどれほどの損失なのか、俺には分かります。だから受け取ってください」 「むう……」 美羽はドキドキしながら二人のやりとりを見守った。 「こんなことを言ってはなんですが、俺には妹が居ました。生きてりゃ丁度彼女くらいの歳です。別に同情心からって訳じゃないんです。このサバイバルウォッチは絶対役に立ちまず。どうか受け取ってください」 「おまえの家族は?」 「全員死にました。俺はそのとき東京に居たんで助かりました。七歳の時です」 「そうか。美羽よ。その時計は貰っておきなさい」 「いいの?」 「ああ」 シャクシャインはゆっくりと頷いた。 「ありがとう!」 「美羽だっけ? 使い方教えてやるからちょっと来いよ」 大翔は美羽の腕に時計を巻いて、機能についてレクチャーを始めた。 「いいなあ、おねえちゃん。あたしもなにかほしいなー」 美優が不満を漏らず。 「美優には今度木彫りの人形を作ってやる」 「ほんとう!」 「ああ、約束だ」 大翔と別れ、美羽たちは帰路についた。 「あれでよかったの?」 大翔に貰った時計をいじりながら、美羽が尋ねる。 「なにがだ」 「文句を言いに行ったんじゃないの?」 「そうだな。あの若者が居れば大丈夫だろう」 「そうだね」 美羽は大翔のことを気に入っていた。 時計で懐柔されたと思われるのが癪なので、シャクシャインには内緒だったが、それ抜きにしても好感が持てる人物だった。 「美羽よ。今日はたまたま運が良かったが、内地の人間を信用するな。あの男は希有な存在だと思え」 「わ、分かってるわよ」 シャクシャインと美羽は、真っ直ぐに家路に向かった。 美優はシャクシャインの背の上で、静かに寝息を立てていた。 ;--------------------------------------------------------- 2章「Ludimion《ルジミオン》」 ;--------------------------------------------------------- 0 ~銀河の中心~ ;--------------------------------------------------------- それは一瞬にして、永遠の出来事だった。 銀河の中心にて、種としての究極の進化を遂げ、繁栄を極めた精神生命体ルジミオン。 永遠に続くと思われた彼らの栄華は、彼ら自身が創り出した技術によって失われようとしていた。 肉体を必要としないルジミオンであったが、その生命活動を維持するには微量の電荷、すなわち電力を必要とした。 その身を機械に寄生させ、巨大な発電機に寄り添って生活する、平温で退屈な日々。思考実験や哲学の探求、闘争本能を持たない彼らは、そのまま平和の中で、悠久の時を過ごすはずだった。 少なくとも、彼と彼女が現れるまでは……。 そのルジミオンは、好奇心が強くて思慮が浅い、若者特有の性急さを持っていた。 まだまだ教育が必要な年頃のルジミオン、彼の名はサフィール。 永遠の時を生きる彼らにとって時間は無限であり、熟成を急ぐ必要はなかった。 ゆっくりと、長い時間をかけて大人になれば良かった。だが、その若きルジミオンのサフィールは、ルジミオンとしては異例な程の探求心と行動力を持っていた。 先人達の頭脳を結集して完成した完璧なシステム。ブラックホールを制御し、電力を安定供給するシステムに、サフィールは興味を示した。 その理論は完璧で、システムのセキュリティも万全だった。 そこに油断があった。成熟した、大人のルジミオンたちは、先人達の遺産に絶対的な信頼を置き、そのシステムを過信していた。 誰も、一人として、サフィールの行動を諌めようとする者はいなかった。 なぜなら、それはすでに自分たちが歩んできた道であり、若い頃特有の熱病みたいなものだったからだ。 サフィールは、果敢にシステムをアタックした。何万回、何億回と、星が生まれ、超新星となって爆発するまで、その執拗な解析作業は繰り返された。 そうして……。 ついにシステムの防壁は破られた。 サフィールは達成感に酔いしれた。その瞬間、彼の好奇心は満たされ、サフィールは再び瞑想を行う日々へと戻った。長い年月が、サフィールを成熟した大人のルジミオンに成長させていたのだ。 だが、基本的な性格だけは変わらなかった。 しばらくして、単調な思考実験に飽きたサフィールは、今度は自らが創り出した相転移エンジンを搭載した船に乗り、宇宙の大海原へと旅立った。 だれもサフィールを止めるものは居なかった。ルジオミンは、たとえ百万光年離れていても、意思の疎通が可能だった。離れていても、近くに居ても、生きている限り、存在する場所はどこでも構わないのだ。 安定した電力が供給されるという理由で、一箇所に留まっているに過ぎない。 それからしばらく。どれくらいの時間が経っただろうか。 再び、システムに挑もうとするルジミオンが現れた。 今回もまた、大人のルジミオンは放っておいた。だが、サフィールの時とは少し条件が異なっていた。 確かにサフィールは悠久の時をかけて、システムのセキュリティを突破した。そうして達成感に満ち足りてそれ以上は何もやらなかった。時が彼を大人にしたからである。 だが、今回は違った。 すでにシステムの防壁は破られているのだ。 サフィールはカギを空けたままにしておいたのだ。 当然の事ながら、その若いルジミオンは、難なくシステムの核にたどり着いた。 そうして、若きルジミオンの姫、ユリア・ジルヴァナの好奇心は微塵も満たされていなかった。 彼女の好奇心の矛先は、そのシステム本体に向けられた。 ユリアはシステムの内容を解析し、その若さゆえの傲慢さによって、自分ならもっとスマートなやり方ができると考えた。 そうしてシステムを書き換えた制御装置は、より洗練されたものとして生まれ変わる筈だった。 だが、ユリアが冗長なコードとして削除した一万箇所に及ぶ項目の一つは、絶対に省いてはならない重要なセキュリティコードだった。 数十億年という長い時間、ルジオミンたちにエネルギーを与え続けていたブラックホールの制御システムは、一瞬にして崩壊した。 1 ~ユリア・ジルヴァナ~ ;--------------------------------------------------------- ユリアを乗せたカプセルは、無事に特異点ジャンプを果たしたようだ。 だが、余りにも突然のことだったので、機能に支障が生じており、修理しないと二度と使い物にならないという有り様だった。 (ここはどこだろう……) ユリアは意識を広げようと周囲にアンテナを伸ばしたが、電波妨害が多くて正確な位置は分からなかった。 それでも、銀河系の隅にある原始惑星に到達したことだけは分かった。 (どうして惑星なんかに特異点が発生するのかしら?) ユリアは思考した。そうしてこの惑星が貯えている情報を得るべく、働きかけた。 星々が持つ記憶。――プラネットメモリ―― ユリアたちルジミオンは有機生命の思考はおろか、無機物の記憶まで読み取ることが出来た。 むしろ複雑な感情を持たない珪素たちの方が、簡単に情報を読み取ることができる。 そうして、この惑星のメモリを読むことによって、この星には原始的だが生命が発生していることが分かった。 更にメモリを解析すると、この星が文明を持った惑星であることが判明した。 (文明レベルは二から三ってところかしら……) そうしてひとつの情報を入手した。 (ここの原住民もブラックホールを作ったのね) それは、ルジミオンのユリアたちに比べたら、稚拙で子供のオモチャのようなものであった。 (制御すらされてないし、野放し状態じゃないの!) ユリアは少々呆れてしまった。 (失敗したかな。もう少しレベルの高い星に到着できるかと思ってたんだけど……) ユリアは自分の使命を思い出し、少し憂鬱な気分になった。 その時である。ユリアを乗せたカプセルが、何者かの手によって、回収されたのだ。 思考に没頭していたため、原住民の接近に気付かなかった。ユリアは慌てて外界にアンテンアを伸ばした。 原住民は、脊椎を持つ内骨格形をしており、二本足タイプだった。軟らかな外皮はとても脆く、真空中ではとても生存できそうに無かった。 ただ、その姿は、ユリアたちルジオミンの遠い祖先と共通点があり、好感が持てた。 原住民はユリアのカプセルを宝石か何かだと勘違いしているようだった。 ユリアは原住民の思考にアクセスした。 原住民の名は美優というようだ。そうして彼らは雌雄別になっており、彼女は雌、すなわち女性であるようだ。 思考アクセスによって分かったことだが、どうやら原住民には異星人とのコンタクト経験がないらしい。 ユリアは更に原住民の思考を読み、彼女の記憶にある、母親像を模倣するのが最良であると判断した。 実体ホログラフィを作動させ、カプセルをコアとして、美優の母像に少しアレンジを加えた姿にユリアは変身した。 突然現れたユリアに、原住民の美優は慌てた。 (怖がらないで。わたしはあなたのお母さんの遠い親戚のユリアよ) ユリアは美優の記憶から学んだ日本語を駆使して、美優の脳裏に直接問いかけた。 「ユリア……さん」 (そうよ、ユリアよ。お母さんから聞いてない?) 「よくわからない。でもお母さんに似てるような気がする。でもいままでどこにいってたの? おとうさんは事故でぜんいん死んじゃったって言ってたけど、ユリアさんはどうやって生き残ってたの?」 (この不思議なカプセルが守ってくれたのよ) 「そうなんだ。なんかすごーい! そうだ! みんなにしらせてあげなくちゃ」 美優はユリアをにぎりしめ、廃ビルに向かって駆け出した。 (ちょ、ちょっと待って、わたしのことは秘密にしておいて!) 美優の脚が止まる。 「えー、どうして?」 (大人は怖いの。子供だったらいいわ) 「じゃあ美羽おねえちゃんは子供だから見せていい?」 (構わないわよ。普段はこのカプセルの中に入ってるから、用事があるときに呼んでね。出てこいって念じれば出てくるわ) 美優の母親像を模っていたユリアのホログラフィが消滅し、最初のカプセル、深緑に光る丸い珠に戻った。 「あたしがこのタマ持ってていいの?」 (いいわよ。なくさないでね) 「うん!」 とりあえず原住民との接触は果たした。ユリアはこれからのことを考えるため、しばらく思考に耽った。 2 ~深夜の告白~ ;--------------------------------------------------------- 深夜。すでに皆が寝静まった寝床にて、美優はむっくりと起き上がり、美羽を揺さぶった。 「おねえちゃん。おねえちゃん起きて。おねえちゃんったら」 なかなか起きない美羽に腹を立てた美優は、美羽の小ぶりな胸をわし掴んだ。 「きゃっ!」 いきなりの急所攻撃で、飛び起きる美羽。もちろん目は覚めた。 「な、なにを!」 「しぃー」 人差し指を口に付け、美優は黙って付いてくるよう美羽に言った。 美羽はブツブツと文句を言いながら、美優の後について外に出た。 外は少し肌寒く、長居したら風邪を引いてしまいそうな気候だった。 「こんな夜中にどうしたの。一人でトイレに行けない歳じゃないでしょう」 「トイレじゃないよおねえちゃん。これを見てよ」 美優は服の中から深緑に光る珠を取り出した。 「毬藻?」 「違うよおねえちゃん。ユリアさんだよ。お母さんの親戚だよ」 「はあ?」 少し頭の弱い子だと思ってはいたが、ここまで酷いとは……。 美羽は美優を不憫に思った。 「あのね……」 美優に親戚なんて居ないと、諭そうとした瞬間。突然、深緑の珠がまばゆく発光した。 (はじめまして) 眩しさに目が眩み、瞬きした直後。そこには確かに、等身大の人間。金髪の女性が立っていた。 「う、嘘……。本当に美羽の親戚なの?」 (もちろん嘘よ。わたしはユリア。ユリア・ジルヴァナ。異星人よ) 「異星人?」 (待って! わたしに話を合わせて。美優はわたしのことを親戚のユリアだと思ってるの。というよりそう思わせた方が良いと判断したの。でもあなたには通用しないみたい。だから本当のことを話すわ。だから黙って聞いて頂戴。お願い) 「わかったわ」 (ありがとう。この会話は美優には聞こえてないわ。あなたとわたしだけ。それから始めに断っておくけど、わたしはあなたたちの思考が読めるの。だからあなたには本当のことを話すの) 「わたしが嘘を信じないと思ったから?」 (正解。飲み込みが早いわね。賢い子は好きよ。じゃあついでに美優に寝るように伝えて頂戴。二人きりで話したいわ) 「わかった。……美優。あなたはもう寝なさい。夜風に当たりすぎると風邪を引くから」 「えー」 「えーじゃない。美優が倒れたら、わたしがシャクシャインに叱られるのよ」 「あ、うん。わかった。おねえちゃんがおこられるのいやだもん。でもユリアさんは?」 (わたしはもう少し美羽とお話するわ。ちゃんと話しが終わったら美優のところに戻るから。ねっ) 「うんわかった。おやすみなさい」 「おやすみ美優」 (おやすみなさい) 美優は不承不承寝床に戻っていった。 ユリアは美羽に自分のことを話した。 精神生命体であること。 銀河の中心からやってきたこと。 何故やってきたのか、その理由をすべて話した。 最低限の教育しか受けてない美羽には、ユリアがいう話の半分も理解できなかったが、嘘を言っているわけではないことは分かった。 それは直接脳裏に響いてくるユリアのテレパシーには、疑いようが無い真実しか見えなかったからだ。 逆に美羽が考えていることも筒抜けで、この脳内で行う会話では嘘をつくことは不可能だった。 「そのユリアがいうベムっていうのは、バグリーチャーって奴のこと?」 美羽は先日会った自衛官の大翔が言っていたことを思い出していた。 (あなたとその自衛官の会話から推察すると、恐らく間違いないと思うわ。奴等はブラックホールの特異点から出現する悪鬼よ) ルジミオンであるユリアには、悪鬼という概念などない。 美羽に理解しやすいよう、ユリアは意訳しているに過ぎない。 「見たことはない。だけど、そのバグリーチャーに会った人はみんな殺されたって聞くわ」 (彼らの目的は生物が持つ魂よ。生命元素と言っても良いわ。生物の生命活動を捕食すために殺すの、彼らにとって肉体は入れ物でしかない) ユリアはまるで唇をかみ締めるかのように思念を発していた。 「気休めしか言えないけど。多分ユリアの仲間は無事よ。みんな賢いんでしょう?」 (でも、目の前で、何億もの意識が消えてゆくのを共感したわ。肉体を捨て、武器も捨てたわたしたちに抗う術はなかった。みんな逃げるのが精一杯で……) 「ここも。この北海道も実験の事故で沢山の人が死んだわ。わたしの本当の両親も死んだと思う。わたしはショックで事故以前の記憶は忘れちゃったけど、知らない方が幸せだってシャクシャインも言ってたし、わたしも知りたいとは思わない。問題はこれから。今後どう生きるかで、人生の価値は決まるって。シャクシャインがそう言ってた」 (ありがとう。優しいのね。そうね。くよくよしても仕方ないわね。わたしは、わたしにできることをやるわ) 「わたしに出来ることがあるなら協力するわ」 (ありがとう。気持ちだけ受け取っておくわ。それよりもあなたは寝た方がいいわ。生命活動が維持できなくなるわよ) 「そうする。ユリアはどうするの?」 (わたしに睡眠は必要ないわ。電力の続く限りずっと……) 「すごいわね」 (それじゃあ行きましょう) ユリアは、美羽の後について寝床へと歩いて行った。 自分の慢心によって、同胞を危機に晒してしまったユリア。 不要だと思い、制御システムから削除したコードのひとつが引き金となり、ブラックホールが不安定になってしまった。 特異点が急激に増加し、やがてその特異点たちは互いに干渉し合い、特異点の間に安定したゲートを作り出した。 そうしてそのゲートから突如として現れたベム《バグリーチャー》によって、多くの同胞を失った。 まるで長い間封印されてきた魔物が喚起するかのように襲いかかかるベム《バグリーチャ》たち。 その光景はとても筆舌に難しく、思い出すだけで魂が震え、消滅しそうになる。 自責の念に苛まれているユリアを見て、美羽はこの北海道を灰にした人物も、同様に後悔しているのだろうかと考えてみた。 だが、たとえ後悔し、反省していたとしても、とても許せるものではなかった。 そうしてユリアもまた、同胞に怨まれいるのだろう。だが何故か、そんなユリアを可哀相だと美羽は思った。 この矛盾した感情に美羽は戸惑い、なかなか寝付けなかった。 ユリアの目的は、バグリーチャーを殲滅できる兵器を接収することだと言っていた。 肉体を捨て、精神生命体へと進化したルジミオンに武器は必要なかったため、その知識は封印されていた。 争うことを放棄した種族ルジミオン。 美羽にはとても信じられなかった。 その、武装などしなくとも、絶対安全と思っていた彼らに天敵が出現したのだ。 自ら武装することができない彼らの取る道は逃げるか狩られるかの二つに一つだった。 ユリアらにできることは、武器を持つ文明に接触し、その助けを借りることだけ。 そうしてその報奨として、ルジミオンが持つ莫大な知識を分け与える。 そのためにユリアらルジミオンの生き残りは、自分らを救ってくれる文明を探す旅に出たのだという。 ベム《バグリーチャー》を殲滅する兵器。 美羽にはひとつだけ心当たりがあった。 自衛官の大翔が言っていた兵器。それさえあればユリアの願いは叶う。 明日になったらそのことを教えてやろう。 そう思いを馳せながら、美羽は深い眠りについた。 ――ユリアは、そんな美羽の幼いが純真でくもりの無い思考を愛でながら走査し、美羽が眠ったと知るや、その想いを、遥か遠い銀河へ向けて放った。 ;--------------------------------------------------------- 3章「Iyomante《イヨマンテ》」 ;--------------------------------------------------------- 0 ~クロス~ ;--------------------------------------------------------- 反政府ゲリラと言えば聞こえが良いが、やっていることはただの窃盗、強盗、追剥ぎという盗賊まがい。ならず者の集団がいた。 道民にも自衛隊にも嫌われている厄介者たち。 それが北海道を拠点とするレジスタンスの風評だった。 学生服を着た若い男が、高台になった丘から双眼鏡を覗き込んでいた。 ほぼ平坦な更地になってしまった北海道《バグネスト》だが、さすがに多少の高低差はある。 北海道解放同盟イヨマンテ。 その幹部である黒須川は、斥候に出た先で、ツーアイズチームを補足した。 クロスカワだからクロス。 進んで危険な任務に赴き、常に成果をあげていた黒須川は、いつの間にはそう呼ばれるようになっていた。 黒須川の右耳には異常な数のピアス穴があけられていた。 難民の証として耳たぶに刷り込まれた発信タトゥーを、ピアス穴をあけることで無効にしたのだ。 それにより、自衛隊が管理する難民マップ上には、黒須川の姿は映らない。 そのような理由もあり、彼は斥候として抜擢され、重宝されていた。 他のレジスタンスにも、彼と同じようにタトゥーを削いだ者は存在した。 だが、最初にそれを実行したのは、他でもない、黒須川その人だった。 「……一六、一七、一八台か。大漁だな。しかしあの数を制圧できるのか? まあ決めるのはオレじゃないしな。とりあえず連絡を入れるとしますか」 脇に伏せてあったバイクを起こし、キックでエンジンを付ける。 常にエンジンの調子が悪いボロボロのバイクであったが、この北海道では貴重な足だった。 黒須川は愛車のGTサンパチに跨ると、アジトに向かってスロットルを回した。 大型トレーラーを筆頭に、延々と連なるトラックの群れ。久々の大物を前に、黒須川は少し興奮していた。 1 ~マンイーター~ ;--------------------------------------------------------- 配給品の不味い国産たばこを燻らしながら、マンイーターは黒須川の帰りを待っていた。 最後にボランティア団体を襲ったのは一ヶ月前のことで、その時奪った配給品も、そろそろ尽きかけてきていた。 筋骨逞しい体躯に、手入れがまったく行き届いてない長髪は、見る者に不快感を抱かせる。 レジスタンスでもっとも年長で、キレると恐ろしいという理由だけでリーダーになったマンイーター。 その短気で粗暴な黒衣の男は、人望よりも、恐怖でレジスタンスを仕切っていた。 「オッセエなぁ。クロスのヤロウ……」 マンイーターは、たばこをフィルター近くまで吸い尽すと、ヤニ色の唾液と共に床に吐き捨てた。 そんなイライラしているマンイーターを、他のメンバーはオドオドしながらが見守っていた。 だだ一人、アメジストの双眸に、長いストレートの髪を持つ若い女性だけが、冷静にマンイーターの動向を伺っていた。 最後のたばこを吸い尽くして、パッケージを壁に叩き付けたマンイーターのイライラは頂点に達していた。 「バックレやがったのかアノやろう!」 手に持った拳銃のグリップで、コンクリートの壁を叩く。 もろくなったコンクリートの破片が剥離し、パラパラとこぼれ落ちる。 狭く、暑苦しい廃虚ビル内の緊張が高鳴る。 その時である。不規則なサイクルで回転するエンジン音が遠くから聞こえてきた。 黒須川のサンパチのエンジン音だった。 「ちっ。ようやく帰ってきやがったか」 黒須川の帰還により、アジトを被っていた緊張感が溶けてゆく。 「ただいま戻りました」 一七歳とまだ若いが、その明晰な頭脳と行動力は、レジスタンスのサブリーダーとして相応しく、皆がそれを認めていた。 なにより黒須川には人望があった。 だが、それこそがマンイーターを不機嫌にしイライラを募らせる原因でもあった。 「オッセエぞクロス! どこで油売ってたんだ!」 「そう怒鳴らんで下さいよリーダー。それよりも大物を見つけましたよ。大型トレーラー一両に、大型トラック一八両。それと装甲車が二両。摩周湖方面に向かって移動してましたよ。ただし相手は自衛隊です。装甲車が護衛していることから武装してると見るのが妥当でしょう。どうしますか?」 黒須川の報告に、マンイーターの目の色が変わった。 ニヤニヤと顔が緩んでいる。すでに略奪後のことを考えているのだ。 前にも一度自衛隊を襲ったが、被害ゼロで略奪できた。 運が良かっただけなのかもしれないが、ロクな武器も持たずにそれをやり遂げた自信がマンイーターにはあった。 そうしてそのときの戦利品が、拳銃や自動小銃がいまは手元にある。 内地で平和に浸った自衛隊になど負ける気がしなかった。 「武装してない自衛隊なんて居るか? モチロンやるさ。急いで仕度しな!」 マンイーターの掛け声で、レジスタンスたちは一斉に立ち上がった。 夕暮れ。もうすぐ日が沈む頃、レジスタンスは移動を開始した。 闇に紛れて奇襲する作戦だった。 これまでもこうやってきたし、これからもそうするだろう。 失敗しない限りずっと繰り返す単調な作業だ。 「どうしたノア、いかねえのか?」 自衛隊から奪ったトラックの運転席から、マンイーターが長髪の女性に声をかける。 「行くわよ。だけどそんな暑苦しいトラックに乗るのはいやよ。今日はクロスのバイクに乗ってゆくから先に行ってていいわ」 防塵用に、ゴーグルとマスクを付けて、ノアは黒須川が跨るバイクに腰掛けた。 「そんなボロバイクの乗るなんて物好きだな。どうでもいいけど遅れんなよ」 レジスタンスたち一二人を乗せたトラックが、黒煙を吐きながらアジトを出発した。 「さてと、アタシたちも行くわよ」 「姐さん、しっかりつかまってて下さいよ」 「はん。このポンコツに、そんなスピードが出るのかい?」 「ひでえな」 黒須川は脅かしてやろうと、スロットルを思いっきり回したが、エンジンはプスンプスンと情けない音を立てて止まってしまった。 「やべっ!」 「やべえじゃないよ。どうすんのさアンタ?」 「……どうしましょう?」 黒須川は慌ててバイクを降り、プラグを掃除したり、交換してみたりと、色々試してみた。 「だめだなこりゃ」 結局バイクは治らなかったので、ふたりは仕方なく虎の子のジープで追いかけることにした。 「急がないとマンイーターにどやされるよ」 「分かってますって、しっかり捕まっててくださいよ」 今度こそ。 黒須川は、慎重にアクセルを踏み込んで、ジープをを走らせた。 2 ~報告書~ ;--------------------------------------------------------- 陽菜はかなり苛立っていた。 先日の難民の一件といい、大翔の自分を小馬鹿にしたような態度といい、何もかも気に入らなかった。 思い出す度に、報告書をタイプする指が震える。 なによりも頭にくるのが、命の次に大事にしなければならないはずのゼロのキーアイテムを、あろうことか難民の子供に渡してしまった大翔が、全く反省してないことだった。 思い出すだけでも腹が立った。 「ぐ、軍法会議ものですよっ!」 「予備がいくつかあっただろう? それを出してくれよ」 「あのリストウォッチにはゼロの機密が色々入ってたんですよ? 情報が漏洩したらどうするつもりなんですかっ!」 「情報が漏洩? どうやってするんだ? あの娘たちにそんな技術力はないさ」 「あの子供になくても、あれがレジスタンスの手にでも渡ったらどうするんですか」 「プロテクトキーを解除しなきゃ中のコードは見えないんだろ? そんなにセキュリティに自信がないのかい?」 「セキュリティは完璧ですっ。世界中の演算機を使用しても解読には百年以上かかります」 「ベリーグット! じゃ、なんの問題も無いじゃないか。ほんじゃおやすみ」 そういってキャンプに戻っていった大翔を、陽菜は憤怒の表情で睨み付けていたが、大翔は気にするそぶりも見せない。 陽菜はいま、その大翔の自衛官としてあるまじき行為を告発すべく、報告書をまとめている最中だった。 「みてなさいよ。絶対にチームから追い出してやるんだからっ」 大翔の素行に対する報告書は、原稿用紙に換算すると、既に五〇頁を越えていた。 哨戒任務は陽菜の仕事ではないが、特異点発生時の時空歪曲率の波形などは、素人である自衛官が見ても判断に困り、少しでもおかしな数値を検出したら、その都度陽菜に報告があがってくる。 陽菜も、始めは真面目に波形を分析していたが、こうも頻繁に分析依頼が来ると、その目も多少曇ってくる。 慣れというのもあって、多少の波形では問題視することはなくなった。 そうして今日も、哨戒任務にあたっている自衛官から、定期的に報告があがってくる。 「観測所から波形が送られてきましたので転送します。あと、難民マップを確認したところ、数十名単位の難民がこちらに向かっています」 「了解しました。引き続き警戒を怠らないでください」 陽菜はそれだけいうと、報告書の続きを書き始めた。 それから三〇分くらい経過した時、再び報告があった。 「観測所から警告。時空歪曲率に変動発生。チェックお願いします」 「……わかりました。データを送ってください」 報告書作成がノってきたころだっただけに、陽菜の感心は薄かった。 そうして送られてきたデータをざっと眺めただけで、問題なしと断定した。 そう返答した直後、今度は難民がキャンプ地のすぐ側まで来ていると連絡が入った。 「どうしてここまで放っておいたんですか?」 「さ、三尉殿の言う通り警戒は怠っておりませんでした」 難民マップを見る限り、もう目と鼻の先まで来ており、肉眼でも目視できる距離まで近付いていた。 「ここまで近付かれては意味が無いでしょう? 武装した兵士を連れて追い返してください。移動に従わないようなら難民キャンプまで強制送還してください」 「了解しました」 陽菜は通信機を置くと、ため息をついた。 「今日は厄日だわ」 書きかけの報告書を保存し、パソコンを閉じると、陽菜はトレーラーのモニタ画面に難民マップを表示させた。 「一二名。どこへ向かうつもりだったのかしら? この辺のキャンプは阿寒湖くらいしかなかったはずだけど……。釧路キャンプに行くにしてはルートがおかしいわね」 ひとりぶつぶつと呟いていると、突然トレーラーのドアが開いた。 「えっ?」 「なにをボサッとしてんだ。早く各員を戦闘配備につかせろ。連中は難民なんかじゃねえぞ。十中八九レジスタンスだ!」 大翔は、指揮車両であるトレーラーに乗り込むと、自衛官らを叩き起こすサイレンを鳴らし、戦闘配置の命令を下した。 大翔の行動をポカンと見つめていた陽菜は、言われてみれば確かにその通りだと思った。 そうしてその考えに至らなかった自分の迂闊さが恥ずかしくなり頭を垂れた。 「気にするなよ陽菜くん。キミは技術職なんだから、それに見合う仕事をすればいいんだ。引き続き警戒頼む。俺は護衛チームとレジスタンス鎮圧に向かう」 大翔はそれだけ言うと、トレーラーから飛び降りた。 「追い返しに行った連中にレジスタンスかもしれないって連絡入れといてくれよ!」 大翔の怒鳴り声がキャンプ地に響く。 「私にできること……か」 そう呟いた陽菜の視線の先に、警戒を促す俺ンジ色のLEDが点灯していた。慌ててモニタの画面を切り替えると、そこには警戒レベルを遥かに越えた時空歪曲率の波形が写し出されていた。 「う、うそ! よりによってこんなときに……」 陽菜は急いで上園一曹を呼び出した。 3 ~浅知恵~ ;--------------------------------------------------------- カモが歩いてきやがる。 マンイーターたちレジスタンスは難民を装って、近付いてくる自衛官を待っていた。 至近距離に達したとき、隠し持った武器で間抜けを取り囲んで身包みを剥ぐ手筈だった。 そうして間抜けから奪った通信機を使って少しずつ応援を呼ばせ、先と同じ手順で無力化してゆく。 マンイーターたちの前に歩いてくる自衛官は三人。 こちらは黒須川とノアがまだ到着していないが、それでも一二人居る。 全員武装しているので確実に勝てる。 「これだけの大部隊なら女もいるかもな。よかったなお前ら」 マンイーターの下卑た言葉が意味するものを汲み取ったレジスタンスたちは、マンイーター同様含み笑いを漏らした。 殺さない。犯さない。 そういう理念を掲げていたが、それは口うるさいノアを牽制したものであった。 彼女が見ていない裏で、マンイーターたちは暴虐の限りをつくしていた。 幸いなことに、いまノアは居なかった。 制圧さえしてしまえばやりたい放題だった。 あと数十メートルで間合いに入るというところで、自衛官の足が止まった。 暗くてよく見えないが、なにやら通信しているようだ。 「チッ!」 マンイーターが舌打ちする。 「どうしたんですかね」 「どうしますボス」 「ウッセーな。いま考えてる」 マンイーターは迷った。 ひょっとしたらバレたかもしれないという疑念がマンイーターの脳裏に浮かんだ。 だが、仮にバレたとしても、目の前の自衛官を捕らえ、人質にして交渉すればいい。 だとすれば答えはひとつだった。 「バレるまえにやるか!」 マンイーターはダブダブの黒衣をを翻して、自動小銃を剥き出しにした。 「イクぞ!」 マンイーターの号令によって、レジスタンスたちは一斉に自衛官に向かって走った。 レジスタンスが襲ってくるのを確認した自衛官らは、多勢に無勢なので逃げ始めた。 「逃がすなよ! 殺しても構わねえが、一人は生きたまま捕らえるんだ!」 暗闇の中。銃声と火花が舞う。 めくら撃ちなので、そうそう当たるものではなかったが、偶然の一発が、自衛官の足を捕らえた。 「ぐわっ」 大腿部を射抜かれた自衛官が地面に突っ伏して倒れ込む。 「斎藤三曹大丈夫か?」 「自分に構うな、逃げろ」 「俺の肩に捕まれ……」 二人の自衛官が斎藤三曹の肩を担いで持ち上げる。 そうしてキャンプ地に向かって逃げようとした時、自衛官の足元に銃痕が走った。 それはマグレや偶然ではなく、正確な射撃によるものだった。 「アハハッ! チェックメイトだ間抜けども」 自衛官を取り囲むように、マンイーターたちレジスタンスが包囲していた。 「イヤイヤ、投了するのはオマエさん方だよ。早く『ありません』とか『まいりました』とか言えよ」 突然、マンイーターの背後から車載スピーカーの音が聞こえた。 驚いて振り返ると、まるで振り向くのを待っていたかのように、強烈なライトが灯った。 「うわっ」 眩しくて目が眩んだレジスタンスの隙をついて、ライトを灯すトラックの両脇から、装甲車が二台突っ込んできた。 慌てて装甲車を避けるマンイーターたち。 その混乱に乗じで、トラックは囲まれた自衛官を回収していた。 「あー、あー、レジスタンスの諸君。武器を捨てて速やかに投降したまえ」 今度はレジスタンスを照らし出すかのように、照明が四方から灯る。前後左右をトラックによって包囲されていた。 そうしてそのトラックからワラワラと武装した自衛官たちが降りてきて、マンイーターたちレジスタンスに銃口を向ける。 「死にたくなかったら五秒以内に武器を捨てるように。はい! いーち、にーい、さーん……」 スピーカーから聞こえる声に、気の弱そうなレジスタンスの一人が武器を捨てた。 それを見たレジスタンスたちは、連鎖反応のように次々と武器を捨てていった。 最後にマンイーターだけが、状況を飲み込めないまま武器を握り締めていた。 「そこの人、死にたいの? よーん、ごー……」 レジスタンスの一人が、マンイーターから武器を奪って、投げ捨てた。 「よろしい。えーと、杉本一曹。あとはまかせたから」 「了解しました」 大翔は隣に座った杉本一曹に事後処理を任せ、トラックから降りた。 4 ~初陣~ ;--------------------------------------------------------- 拘束され、連行されるレジスタンス。 自動小銃を構えてその様子を見送る大翔の元に、伝令が駆け付けてきた。 「結城二尉殿、伝令です。沢井三尉殿より至急連絡してほしいと連絡がありました」 「ん、分かった。通信機借りていい?」 「はい、どうぞ!」 自衛官は大翔に通信機を差し出した。 「もしもし、どうしたの陽菜くん?」 「た、大変です。時空歪曲率が増大しています。過去のパターンと照合したところ、九割の確率で出現します」 「なにが出るの?」 「なにって、バグリーチャーです。ゼロの着装準備は整ってます。急いでコンテナまで来てください」 「ふう、なんだか今日は色んなことが起こるね」 「感慨に耽ってないで早く来てください」 「はいよ」 大翔は通信機を伝令に放り投げると、駆け足でトレーラーに向かった。 トレーラーコンテナに乗り込むと、既に上園一曹とその部下達が、大翔の到着を待っていた。 「お待ちしておりました。結城二尉殿。ゼロの方はいつでも出せます」 「五分くれ。着替えて身体を作る」 大翔はインナースーツを掴み、大急ぎで着替えた。 インナースーツを着込んで、インカムのスイッチを入れた矢先、 「キャアアアア!」 と耳をつんさく悲鳴が聞こえた。 「どうしました沢井三尉殿」 「し、陽菜くん。もう少し静かに悲鳴をあげてよ。鼓膜が破れるかと思ったよ」 「静かに悲鳴なんて、そんな器用なことできません。それより、でました。バグリーチャーの固体と思われる質量を、特異点ゲートから現れるのを観測しました!」 もともと高い陽菜の声は、緊張で裏返り、カナキリ声になっていた。 「バグリーチャーは一匹だけなの?」 ゼロに乗り込みながら大翔は確認する。 「現在は一体のみです。ですが、まだ特異点ゲートが存在するんため、新たに現れる可能性が、ああっ、来ました。二体目です。続いて三体目も来ました」 陽菜の声は悲鳴に近かった。 「落ち着こうよ陽菜くん。とりあえずこのゼロは、最大五体までのバグリーチャーと同時に渡りあえる性能を持ってるんだろう?」 「は、はい、ミドル級なら五体まで対応可能です。ただ、ライト級なら二体、ヘビー級なら一体までという理論値が算出されています」 「出現したバグリーチャーのサイズは?」 「ライト級一体、ミドル級二体です」 「続報ある?」 「はい?」 「特異点からまた出てくる気配はあるの?」 「あ、特異点反応減少してゆきます。これまでの観測値から推定すると、これ以上のバグリーチャーの出現確率は極めて低く、このまま特異点は消滅すると思われます」 「上等! なら敵は三体だけだな。上園くん。武器は何がいいかな?」 「はい。ライト級ならスタンワイヤで動きを止め、ハンドグレネードでとどめを刺す戦法が有功かと思われます。また、ミドル級にはスタングレネードで動きを止め、リニアカノンでトドメを刺してください」 「レールガンは?」 「アレはヘビー級用です。それに、ライト級やミドル級だと動きが素早くて、その、恐らく当たりません」 「俺の技量じゃ当たらないってか」 「そ、そういう意味ではありませんよ。二尉殿」 「冗談だよ。それじゃあ装備の換装を頼む」 「いま述べたのが標準装備になっているので、もうできてます」 「そうかい。じゃあ出撃する」 ゼロのハッチがゆっくりと閉じて行く。 中世の甲冑を現代風にスタイリッシュにアレンジし、ボリュームアップしたよう形をしたゼロの姿態、その頭部センサーが作動し、バイザーがグリーンに染まる。 インテリジェンスインパクトスーツ、通称ツーアイズ・ゼロ。 その白銀の騎士が、ハンガーから射出され、大地に解き放たれた。 軽口を叩いてきた大翔だが、バグリーチャーとの戦闘経験は皆無だった。 シミュレーションによる模擬戦なら、百時間以上行っており、八割以上の勝率を収めている。 だが、バグリーチャーに同一固体は存在しない。 類似する個体は居るものの、殆どが一体ごと形状が異なり、その性格や特性も異なる。 生物と考えれば当たり前のことだった。爬虫類や哺乳類が異なるように、人間でも大翔や陽菜が異なるように、バグリーチャーにも個性がある。 確認された三七体のバグリーチャー全てと模擬戦を行ってきた結城だが、最初に特性を見誤ると、かなりの苦戦を強いられることは、シミュレーションによって実証されていた。 「結城二尉。ライト級の一体がこちらに向かってきています。時速約九〇キロメートルのスピードです。三〇秒後には到達します。キャンプ内に進入させないよう牽制してください」 「了解。他の二体は?」 「こちらに向かってはいますが、ミドル級アルファは四〇キロメートル、ミドル級ブラボーは二〇キロメートルです」 「時速九〇キロか……。ちょっと厄介だな」 「気を付けてください」 「優しいんだね陽菜くん」 「ゆ、結城二尉が頑張らないと皆が困るんですっ!」 「そうだった。装甲車両の連中と重装歩兵をバグリーチャーの進行方向に展開よろしく」 「展開まで一分を要します。それまで最初のライト級を足止め願います」 「足止めなんて面倒臭い。撃破してみせるさ」 大翔はフットペダルを踏み込み、ゼロの踵部に仕込まれた無限軌道ホイールを展開させ、砂ぼこりを舞わせながら、バグリーチャーに向かって一直線にゼロを走らせた。 二足歩行だと、走ってもせいぜい時速二〇キロメートルがやっとであるが、この無限軌道ホイールで加速することにより、直線なら最高八〇キロメートルで走破できる。 「相手は時速九〇キロか……。一〇キロ負けてるな」 エネミーハザードが点灯する。バイザースコープにバグリーチャーの姿がロックオンされ、補足した画像が拡大される。 それはまるでカンガルーを凶悪化したような、なんとも言えないデザインをしていた。 太い二本の脚と対照的に痩せた上半身と二の腕。 首から上はなく、胸部に瞳らしきものが確認された。 全身を被う体毛は針ねずみのように太く鋭く、指先もアイスピックのように鋭く尖っていた。 「さてと、どう料理するかな」 大翔はゼロが持つユニークライフルに、散弾を装填した。 「これでも食らえ!」 バグリーチャーに向けて発砲した散弾は、射線上を三五度の角度で拡散する。射線上に居たバグリーチャーはその鉛の玉を避けようとせず突っ込んできた。 散弾とは言え、バグリーチャー用に開発された物で、その一つ一つの威力はライフル銃に匹敵する。 だが、その威力をもってしても、バグリーチャーの進行を止めることは叶わなかった。 僅か一瞬、グラついただけである。 「マジかよ」 バグリーチャーとの距離はもう一〇〇メートルも無かった。次の弾丸を装填している暇はない。 「しゃあねえな」 大翔は上園が言った通り、ゼロの手の甲に仕込まれたスタンワイヤを射出するべく構えた。 もの凄いスピードで、バグリーチャーがゼロに迫る。 それぞれの固体により性格が異なるバグリーチャーだが、唯一共通する特性があった。 それは、一番近くに居る生命体を狙うというものだった。 つまり、ここでゼロに乗った大翔が絶命しない限り、バグリーチャーはゼロに攻撃を加え続ける。 逆にパイロットが死亡した場合、たとえゼロが無傷でも、バグクリーチャは素通りするだろう。 ゼロとバグリーチャーの距離が無くなり、重なり合う。 ゼロに覆い被さるように襲ってきたバグリーチャーがのけぞるように弾き飛ばされる。 ゼロの手の甲より射出されたスタンワイヤが、バグリーチャーの胴体を貫いて一直線に伸びていた。 「電撃浴びてくたばりやがれっ!」 スタンワイヤに高圧電流が流れる。象を一瞬で即死させる電流だ。 「そしてとどめだ」 左手の上腕部に内蔵されたハンドグレネードを射出する。 一発、二発、三発と、立て続けに爆発が起こる。 「どうだ?」 埃が舞い視界が悪くなる。 「ライト級バグリーチャー、仮称ナンバーライトアルファの沈黙を確認しました。後続のバグリーチャー来ます。油断しないで下さい」 視界が晴れないうちに、陽菜がバグリーチャーの撃破と、再接近の胸を告げる。 「二体同時か……。大丈夫かな?」 「装甲車両と重装歩兵の展開完了しました。結城二尉は後退しつつ、素早い方のミドルアルファにターゲットを絞ってください」 「そうかい。そりゃ助かる」 大翔は、次に現れるバグリーチャーに備え、ユニークライフルにナパーム弾を装填し、後退を始めた。 通常、戦いにおいては、小型の方が組し易く、大型の方は退治が困難と思われがちだ。しかしバグリーチャーに限っては、そうとは言いきれなかった。 バグリーチャーの最大の脅威は、そのスピードにあった。 時空の歪みにより、バグネスト内では誘導兵器が使用できないという弊害が生じていた。 そのため、速度は強力な武器と成り得た。 高速で移動するバグリーチャーに対する有効な兵器を見出せなかった自衛隊にとって、先ほど見せたゼロの活躍は、大いに喜ばしい戦果であった。 足ののろいバグリーチャーはそれほど脅威ではなかった。 そうして、大型バグリーチャーの殲滅は、マンモスの狩猟に似通っており、距離をおいて地道にダメージを与え続けていれば、なんとか撃退できた。 つまり、最初の高速バグリーチャーを撃退した時点で、ツーアイズチームの勝利は確定したのだ。 「いいか、無理に倒そうと思うなよ。牽制すればいい。早い方を倒したら俺がでかい方もやるから無理だけはするなよ。この状況で万が一にも負けるとは思わないが、無駄な犠牲だけは出したくない」 装甲車両と重装歩兵が並ぶ防衛ラインまで戻ってきた大翔は、インカムでそう指示を出すと、再び迫り来るバグリーチャーに向かって歩き始めた。 5 ~勝利と敗走~ ;--------------------------------------------------------- ことの成り行きを一部始終を見守っていたノアと黒須川は、二人そろって大きなため息を吐いた。 「なによあれ?」 「最近噂になってるバケモノじゃないっすか? あんなの相手によく戦えるな」 「つまりアタシたちは自衛隊の中でもとびっきりの戦闘集団に喧嘩売ってたってワケ?」 「そうみたいっすね。オレたち素人じゃとても太刀打ちできそうにないわ」 「それよりどうするの。助けるならこの混乱に乗じた方がいいんじゃない?」 「そうだけど、このジープは五人乗りだから全員は助けられないないっすよ。どうしましょうか?」 「とりあえずはリーダーを優先して、あとは車を運転できる奴と武器を扱える奴、まあ適当に拾える奴を回収すればいいんじゃない?」 「ですね」 二人はジープに乗り込み、エンジンを始動させた。 かなり混乱していたので、闇夜の中二人が乗ったジープは、自衛隊のキャンプに違和感なく溶け込んだ。 「撃てーっ!」 護衛チームのリーダー、村雨二尉が号令をかける。 その号令に呼応するように、もの凄い量の弾丸が、雨のようにバグリーチャーに降り注ぐ。 「派手にやってるなぁ。実戦経験が有ると無いとじゃまるで違うね」 大翔は感心したように呟く。 ツーアイズチームの護衛として、バグネスト方面隊、第一三師団、第一三特科大隊より、バグリーチャーとの交戦経験のある村雨二尉を隊長とする、二四名の第二中隊が派遣されていた。 ツーアイズチームと呼ばれる特務四科は五四名の人員で構成されていた。 先の護衛部隊が二四名、技術チームが二〇名。ゼロのパイロットが一名。医師が一名に看護師が二名。運転手、通信などの雑務が六名という内訳になっていた。 大翔と村雨が戦闘している間、技術チームは、その戦闘データを漏らさずモニタしていた。陽菜もゼロのオペレータとして、結城に指示を出すので精一杯だった。 誰も、彼も、バグリーチャー撃退に忙しく、暇を持て余している人員など居なかった。 そこに、レジスタンスのつけいる隙があった。 マンイーターたちレジスタンスは、自衛隊のキャンプの隅に後ろ手に手錠をかけられ、その手錠にワイヤを張られ、ひとまとめにされていた。 そうして二人の見張りがマンイーターたちを監視していたが、その感心はその場になく、バケモンの退治がどうなっているのか気になって仕方がないといった感じを受けた。 「とりあえずわたしが注意を引き付けるからヒロはマンイーターたちを救助して」 「引き付けるってノア。一体どうするつもりなんだ?」 「まあみてて」 ノアは黒須川にウインクすると、見張りの自衛官に向かって駆け出した。 「きゃああああぁぁ……」 と、悲鳴を上げながら、ノアは自衛官に向かって走った。 「だ、誰だ!」 「止まれっ!」 自衛官は、悲鳴を上げるノアに対して銃を構えるが、ノアは銃など眼中にないという慌て様で、そのまま走り続けた。 「助けてっ! バ、バケモノがこっちに……」 必死の形相でノアが叫びながら駆けてくる。 その迫力に、見張りの自衛官は一瞬戸惑いを見せた。 「ほらあそこっ!」 ノアは黒須川の方を指差した。 それに気付いた黒須川は、「なんてこった」と悪態を吐いて、慌ててその場を離れようとした。 「早く、早く退治してっ!」 ノアの迫力に気圧された自衛官は、黒須川を確認すると、自動小銃を構えて発砲した。 だが、ノアが自衛官に体当たりしたおかげで、その狙いは逸れ、弾丸は明後日の方向に飛んでいった。 「こら、放せ!」 「いやっ助けてっ!」 ノアは思い切り自衛官の腕を握り、その銃口を黒須川からそらした。 「分かった。分かったから落ち着け、おい、お前は村雨二尉に報告してこい」 「しかし……」 「いいから行け」 「はいっ」 もう一人の自衛官は、ノアとレジスタンスを残して、その場を後にした。 「もういいぞ。安心し……」 自衛官がノアにそう声をかけた瞬間、彼の後頭部に衝撃が走った。 ノアの持ったスタン警棒が脊椎に命中したのだ。 「ぐはっ!」 「ごめんなさいね」 ノアは自衛官の腰から手錠の鍵を奪い取ると、マンイーターらの戒めを解いてやった。 全員の拘束を解いた頃、黒須川が運転するジープがやってきた。 「いいタイミングだよクロス」 「クソッタレがっ!」 後ろで拳銃の発砲音が鳴り響く。マンイーターが自衛官に向けて発砲したのだ。 「バカッ、殺しは御法度って……」 「コロシちゃいねーよ」 見ると、太股を射抜かれてのた打ち回ってる自衛官の姿があった。 「仲間を呼びに行かれちゃ困るだろ?」 「気絶してたじゃないか! それに、手錠をかけりゃ済むことだろ。それよりもグズグスしてたらまたみんな捕まるよ」 ノアはマンイーターを睨んだまま、ジープの助手席に乗り込む。次いでマンイーターと、その側近二名が、後部座席に乗り込んだ。 「お、おれたちは?」 「置いてかないでくれよー」 残されたレジスタンスが情けない声をあげる。 「オマエラは走ってついてこい。出せよクロス!」 砂塵を巻き上げ、黒須川が運転するジープが発車する。 「ま、待ってくれよ!」 「おーい!」 その後を追いかけるように、レジスタンスたちが走ってついて行く。 しばらくすると、自衛隊キャンプから歓声がが聞こえてきた。バグリーチャーを殲滅した歓喜の声だった。 「クソッタレ! このままじゃ済まさねえぞ。絶対に……」 ジープの車上。マンイーターの呪詛のような呟きが、闇夜に溶けるように響く。 ;--------------------------------------------------------- 4章「01《ゼロワン》」 ;--------------------------------------------------------- 0 ~ピクニック~ ;--------------------------------------------------------- 今日は天気も良く、風も無風に近かったので、美優はシャクシャインの許しを得て、外に遊びに出た。 「おねえちゃんはどこに行ったの?」 「今日は屈斜路湖で釣りをしているはずだが、美優の足ではそこまでは行くのは無理だぞ」 「じゃあつれてってー」 「ワシは別の用事がある。よいか、ここから一キロ以上離れるんじゃないぞ」 「はぁい」 美優は不承不承返事をすると、シャクシャインは美優の頭を撫でて外出した。 「ねえねえユリアいる?」 シャクシャインが完全に見えなくなったのを見計らい、美優は服のポケットに入れた深緑の珠を取り出した。 それは精神生命体であるユリアの乗った生命維持カプセルだった。 もちろん、そんなことを美優が知る由も無かった。 (いるわよ。どうしたの?) ユリアは美優の意識に直接返事をする。 「おねえちゃんのところへ行きたんだけど場所とかわかる?」 (場所って、それはすぐに分かるけど、いまシャクシャインが行っちゃ駄目って言ってたでしょう) 「うーん。そうなんだけど。でもおねえちゃんが狩りしてるところ、あたし一度も見たことないんだもん」 (しょうがないわね。でも結構遠いわよ。大丈夫?) 「だいじょうぶ。かえりはおねえちゃんにおんぶしてもらうから」 (あっ、そう……) ユリアは屈斜路湖で釣りをする美羽の意識を探して、テレパシーを飛ばし、今から美優と二人で行くことを告げた。 1 ~弟子屈町~ ;--------------------------------------------------------- ツーアイズチーム指揮車両。 その巨大コンテナトレーラーには、居住モジュールが搭載されていた。 シャワー室、トイレ、簡易ベッドと小さなデスクが、六畳間くらいのスペースに、コンパクトにまとめられている。 ここはプロジェクトリーダーの陽菜に与えられた部屋であり、指揮車両から片時も離れずに済むように考案されたものだった。 陽菜がこのバグネストに上陸してから、彼女がバグネストの土を踏んだのは、僅か数時間足らずである。 汗と埃を洗い流すため、熱いシャワーを浴びる陽菜の肢体は、まだ少女と言っても過言ではない。 このツーアイズチームの構成メンバーの殆どは一〇代の学徒自衛官である。 そうして大翔がそうであるように、陽菜もまた被災孤児であった。 陽菜だけではない。この場に存在する学徒自衛官の殆どは、一〇年前の事故によって両親を無くした孤児たちで構成されている。 訓練は厳しく、一〇代とはいえ、内地でぬくぬくと育った同世代とは比べ物にならないくらい、彼女らは鍛えられた。 身体的能力が乏しかった陽菜は、いつしか情報分析、開発部門へとその才能を開花させてゆく。 その結果が、いまの現状である。 普段は軍服に身をつつみ、女としての弱みを見せまいと、気を張っているが、裸になってシャワーを浴びている時だけは、無防備で気弱な女に戻れた。 根が真面目で小心者の陽菜には、プロジェクトリーダーとしての責務は重たかった。 だが、初めての実戦で、ゼロは開発者が予想していた以上の戦果を上げた。 開発チームの一員として、陽菜は素直に喜んだ。 大翔のパイロットとしての腕は確かなものだった。 いや、すでに大翔以上にゼロを扱える自衛官は居ないだろうと陽菜は思った。 シャワーを浴びながら、色々と考えていると、天井に取り付けられた防水スピーカーから陽菜を呼び出すアナウンスが流れた。 「沢井三尉殿、特異点反応が検出されました。データの解析をお願いします」 「わかりました。すぐに解析します」 陽菜はシャワーの栓を締め、バズタオルを巻いて浴室を後にした。 軍服に着替え、濡れた髪をタオルで押さえながら、指令本部にあたるトレーラーの助手席に座ると、隣の運転席にはすでに大翔が座っていた。 「風呂上がりかい? いつもの倍は艶っぽいね。その濡れた髪がとっても……」 陽菜はタオルを大翔に投げ付け、一言も発せずに、インカムを取り付けた。 「状況を報告願います」 「旧弟子屈町付近で特異点らしき時空歪曲率を検出しました。前日のバグリーチャー発生時と酷似しています」 「そのようね」 陽菜はモニタに写し出される時空歪曲率を眺めながら、そう呟いた。 「観測をおこたらないよう。データはバグネスト方面隊、第一三師団、第一三特科大隊の浜岡一佐に報告し、引き継いて貰ってください」 これ以上のバグリーチャー殲滅は、自衛隊の本隊に任せた方が良い。 ゼロの実戦データを取得したいま、これ以上危険な橋を渡る必要はないと陽菜は判断したのだ。 「いたっ!」 不意に陽菜の横顔に、濡れたタオルが投げ付けられた。 振り向くと、話を聞いていた大翔が、真剣な表情で陽菜を睨んでいた。 陽菜はタオルの文句をいうことも忘れ、その大翔の発する無言の抗議に当惑していた。 「な、何をするんですか!」 ようやく気を取り直した陽菜が、大翔に食ってかかる。 「何をするんですかだって? それはこっちの台詞だよ」 「なんのことです?」 冗談ではなく、本気で大翔の言うことが陽菜には分からなかった。 「正気か? いま弟子屈町に一番近いのは俺たちだ。釧路の第一三特科大隊が急いでも特異点まで到達するのに五、六時間はかかるだろう。だが俺たちなら一時間だ」 「それくらい分かります」 馬鹿にされてると思った陽菜の声には、少し刺があった。 「オーケー。そうしてあそこには美羽と美優、それにシャクシャインって家族が三人で仲良く暮らしている。沢井三尉も二日前に会ったから覚えているよな?」 大翔にそう言われ、陽菜はようやく難民の少女たちのことを思い出した。 だが、思い出したのは大きな初老の難民に馬鹿にされたという屈辱でしかなかった。 「な、難民登録もしていない道民を保護する義務はありません」 「義務はないって……。おい三尉! おまえそれ本気で言ってるのか?」 大翔の怒りと失望がないまぜになった瞳が、陽菜の目の前に迫ってくる。 いつものにやけた顔ではなく、真剣な表情。 その瞳は陽菜を怒っているというより、むしろ哀れんでいた。 陽菜は自分の発言を振り返っていた。 確かに言い過ぎた個所が有ることは認めざるを得ない。 自衛隊は国民を守るために存在する。 難民登録をしていなくても、美羽たちはこの荒廃した北海道《バグネスト》を必死で生きる、立派な国民だった。 だが、ここで自分の非を認めるのは、プライドの高い陽菜には耐え難い屈辱だった。 「も、もちろん本気です!」 心にも無いことを返答する陽菜。大翔の顔がみるみる曇って行く。 「沢井三尉。キミには失望した……」 大翔はそれ以上語らず、トレーラーのエンジンを始動させた。 「な、何をするんですか!」 だが、大翔はそれには答えず、通信機を掴むと、特異点の調査に向かうので全隊準備に取りかかるよう指示を出した。 「か、勝手にチームを動かさないで下さい!」 「降りろっ!」 「え?」 「おまえは降りろ」 大翔は陽菜を見ず、冷酷にそう言い放った。 「な、なんでそんなことをいう資格が……、あなたにそんな権限なんて無いでしょう!」 「美羽たちを見殺しにする権限があんたにはあるのか?」 「なんでそんな言い方をするんですか?」 「事実だろ?」 「そんなにあの女の子が気になるの?」 「当たり前だろ? 人命がかかってるんだぞ?」 「このプロジェクトの重要性は……」 「人間を三人見殺しにするほど重要なのかよ!」 それ以上言葉を発せないように、陽菜の言葉を大翔が遮る。 「と、東城一佐に報告しますよ?」 「したけりゃすればいいさ。それよか、いい加減鬱陶しいから降りてくんない?」 「あ、あなたの方が鬱陶しいじゃない。階級が上だからって威張らないでよ。プロジェクトリーダーはわたしなのよ」 「階級なんか関係ねえよ。なに勘違いしてんだこのバカ女は。そんなんだから彼氏もできないんだよ」 「彼氏が居ないとか、そんなの全然関係ないでしょ!」 陽菜は泣きながらドアを開け、自分の城である居住モジュールの中に逃げ込んだ。 「まったく、あたまでっかちの技術屋の女ってのは扱い辛いったらねえや」 大翔は頭を掻き毟り、トレーラーのクラクションを鳴らした。 ほどなくして、全隊の発進準備が整った。 「いつでも行けます」 インカムから上園一曹の声が聞こえる。 「それじゃあ出発する。目標は弟子屈町に発生した特異点だ」 燃料電池の電力が、大型のモーター音を唸らせ、大翔を乗せたトレーラーが動き出す。 そのトレーラーに付き従うよう、数十台のトラック、装甲車両が後を追った。 2 ~沼地での異変~ ;--------------------------------------------------------- 僅か一〇年前は、山々があり、原始林が茂っていたこの屈斜路湖周辺も、いまでは吹き飛ばされ、なぎ倒された木々が横倒しになって腐食しており、屈斜路湖の水が染みて足場の悪い沼地となっていた。 そんな足場の悪い沼地を、美優は何度も転び、泥だらけになりながら美羽の元へと進んでいた。 もはや何色だったのかも分からなくなった泥だらけの格好で突き進む美優だが、ぬかるんだ足場は、彼女の体力をいたずらに消耗させた。 立ち上がったそばから苔に足をとられ、ベシャっという音と共に倒れ込む。 何度目なのか、数えるのも面倒なくらい、美優は転んでいた。 (どうしたの? 起きなさい) 「もうやだっ!」 (やだじゃないでしょう。こんなところで寝てたら病気になるわよ) 「もうつかれた。もう一歩も歩けないよ」 美優は手足をばたつかせて泣き出した。 (困った子ねぇ……) ユリアは仕方なく、美羽の思念を探ろうと、その思考を拡散させた。 だが、ユリアの思考は美羽の思念を掴む前に、この地帯の異常な空気を感じとった。 (なっ! こ、これは!) 思考を拡散するとき、ユリアは異常なほどの時空の歪みを感知した。 (特異点に相転移反応! それも近い) ユリアは慌てた。 この嫌な感じは紛れも無く特異点より何者かが現れようとしている兆候だった。 そうして、あのベム《バグリーチャー》がやってくる可能性も否定できなかった。 ユリアの一族を襲った貪欲なベム。 この地ではバグリーチャーと呼ばれるバケモノが、この近くに出現するかもしれないのだ。 先日もバグリーチャーの出現を感知した。 しかしここから離れていることと、美羽が言う自衛隊が殲滅したのか、その存在そのものが消失したので、美羽や美優にその事実を話してはいない。 いたずらに不安を煽るのは良くないと判断したからだ。 だが今回は違う。 バグリーチャーは最も近くの生命体を襲うという特性を持つ。 そうしてその嗅覚は鋭敏である。 もしもバグリーチャーが出現したら、まず真っ先に美優や美羽が狙われるだろう。 もちろんユリア自身も。 (美羽! 聞こえるなら返事して! 美羽ッ!) ユリアは全方位に向けて思考を走らせた。 一方その頃。 美羽は先ほどから妙な胸騒ぎがしていた。 虫の知らせというのか、第六感というのか、とにかく、嫌な予感がした。 釣りの手を休め、辺りを伺っていると、誰かが自分を呼ぶような声が聞こえた。 耳を澄まし、神経を集中させる。 (美羽……、美羽……) 確かに聞こえた。ユリアが呼んでいるのが美羽には分かった。 「どうしたの?」 美羽は思考と言葉を同時に発した。 (危険が迫ってるわ。わたしの居場所を美羽に伝えるから合流して。ここには美優も来ているの。お願い早く来て) 「わかったわ」 美羽は釣りの道具を片付けると、ユリアが示した方向に駆け出した。 ぬかるんだ沼地も、美羽にとっては何の障害でもなかった。 腐食した木々を踏みしめ、獣のように素早く移動する美羽。 その並外れたバランス感覚と運動神経は賞賛に値した。 僅か三分足らずで美羽はユリアたちの元へと到着した。 「おねえちゃーん」 泥だらけの美優が美羽にしがみつく。 「ひどい格好ね美優。ほら、わたしの背中につかまって」 美羽はしゃがみ、美優をおんぶする。 燃料用に、水を吸った大木を引いて帰る体力がある美羽にとって、美優の体重はまったく問題にならなかった。 それ以前に、美優自身がとても軽かった。 「どうすればいいのユリア?」 (とにかくここから離れて。家まで全力で戻って頂戴) 「分かったわ」 再び美羽は駆け出した。 美優を背負っているのが嘘みたいに、跳ねるようにその身体は家路を目指した。 結局美羽は、美優が一時間近くかけて歩いてきた道を、一〇分足らずで引き返してきた。 その背に美優を背負ったままで。 「これからどうするの?」 美羽には時空の歪みのことなど分からなかったが、先ほどからねっとりと絡み付くような不快感を感じていた。 何かおかしい。美羽は直感でそれに気付いていた。 (――凄い感性だわ――) ユリアは美羽の持つ発達した感性に感心した。 魂を肉体に固定した生物は、どうしても感覚が鈍くなるものである。 ユリアたち精神生命体のテレバシーを受信できない種族は珍しくない。 その中で、この美羽と美優の精神は、自分達に近かった。 きっとこの過酷な環境がそうさせてしまったのだろう。 荒廃した大地を前に、ユリアはそう思いを巡らした。 「いやなかんじがするね……」 美羽に続いて、美優も身体中に感じる悪寒で震えていた。 (――ここで死ぬわけにはいかない――) (――この娘たちをここで死なすわけにはいかない――) ユリアは思考のアンテナを更に広げた。 指向性を強めるため、円を描くように、狭い範囲を調べる。 それはさながらレーダーのようであった。 思考のアンテナを伸ばすこと数分。 そうしてようやくユリアはとびっきりの情報をキャッチする。 (この国の軍隊みたいなものが、こちらにむかってるわ) ユリアはツーアイズチームのトレーラーをキャッチした。 (南南東に向かって進めば彼らが保護してくれるわ。急ぎましょう) 「待ってユリア!」 (急がないと間に合わないわ。美羽に見せたあのイメージ。わたしの同胞を滅ぼしたベム《バグリーチャー》が現れるかもしれないのよ!) 「わかってる。だけどまだシャクシャインが戻っていない。ここに置いては行けないわ」 (でも……) ユリアは意識を飛ばしてシャクシャインを探した。 だが、シャクシャインの思念は寡黙で、微量にしか思考が漏れないので探すのには一苦労しそうだった。 「聞いて美優。これからユリアの言う通りに走るのよ。わたしはシャクシャインを探してから行くから。いいわね?」 「おねえちゃん……」 美優は不安そうな視線を美羽に送り、その服の裾をぎゅっと握った。 「お姉ちゃんが嘘ついたことある?」 「ない……」 美優はゆっくりと首を振る。 「必ず行くから先に行ってて。ユリア。美優の誘導をお願い」 (任せて。それからシャクシャインは東の方に居るわ。これくらいしか分からなかったの。ごめんね) 「充分よ」 それだけ言うと美羽は東に向かって駆け出した。 (わたしたちも行くわよ) 「う、うん」 美優は立ち上がり、ユリアが示す方角に向かって、よたよたと走り始めた。 3 ~家族の墓標~ ;--------------------------------------------------------- 家族の墓参り。 シャクシャインは住処の廃ビルから東へ三キロほど歩いた場所で、コンクリートの柱で作った墓標に祈りを捧げていた。 そこには、彼の本当の家族、妻と息子が眠っていた。このことは美羽や美優には話してはいなかった。 僅か七歳で死んだ息子は、生きていれば結城大翔という自衛官と同じ歳になっていただろう。 ;(回想) 妻と息子を同時に失い、生きる目標を無くした大男は、死を覚悟した。 そうして、自暴自棄になって彷徨っていたとき、人形のように佇んでいた美優を見つけた。 泣きもせず、笑いもしない。 表情一つ変えない金髪の幼女を目の前にして、シャクシャインは災厄の罪深さに怒りを覚えた。 家族を失った失意よりも、奪われた怒りが勝ったのだ。 シャクシャインはまだ死ねないと思った。 抱きかかえられても無表情のままの美優を連れ、再び荒野を歩き始めた。 そうして数日後、飢えと寒さに震える美羽と出会った。 美羽の冷たい手を握ったとき、この娘はもう助からないと思った。 だが次の瞬間、シャクシャインの胸に希望の炎が灯った。 今にも生き絶えそうなそのか細い腕は、生き延びるために、精一杯シャクシャインの腕を掴んできたのだ。 何処にそんな力が残っていたのか。 そう驚嘆した後、美羽は力尽きて気絶してしまった。 美優と美羽を背負いながら、シャクシャインは二人を育てる決意を固めた。 事故から一週間後、ようやく政府が重い腰を上げて、被災者の救済に乗り出したが、シャクシャインはそれを拒み、妻子の眠るこの摩周で、二人を育て始めた。 ;(回想終) 「一〇年か。早いものだな。知床では畑を耕している連中もいるらしい」 墓前に向かって、北海道《バグネスト》の移り変わりを報告するシャクシャイン。 復興に向けて地道に努力する道民達の相談役として、シャクシャインは道内を行脚していた。 始めは美羽と美優も連れて回ったが、美羽たちが大きくなり、食料も備蓄も増えてきたここ二、三年は、一人で行くことの方が多い。 「さてと……」 墓標への報告が終わったシャクシャインは、引き返すべく踵を返して歩き始めた。 シャクシャインは東北東に居る。 そうユリアに言われ、大翔に貰った腕時計に内蔵された磁石を使ったが、磁場が乱れているのか正確な表示はされなかった。 そのため美羽は勘を頼りにひた走っていた。 事故によって荒野になった北海道《バグネスト》は、たいへん見晴らしが良くなっていた。 とはいえ、ちょっとした凹凸はあり、丘を登ってみるまでその先がどうなっているのか分からない個所はいくらでもあった。 美羽は立ち止まり、目を瞑って神経を集中させた。 シャクシャインの気配を辿るように一心に念じた。 ユリアと思念でやりとりをするようになり、そのやりとりのコツを教わったのだ。 美羽はそれを応用しようとしていた。 雑念を振り払ってシャクシャインのことだけを考える。 初めて出会った頃から、厳しく仕込まれた日々が脳裏に巡る。 そうして美羽は、シャクシャインの気配を、初めて出会ったときの温もりを感じ取った。 「見つけた!」 開眼し、シャクシャインの気配がする方へ、一遍の迷いも無くひた走った。 一キロ近く走ったところで、美羽は大男の影を見つけた。 シャクシャインと合流した美羽は、早口でここが危険であることを告げた。 始めは当惑していたシャクシャインだが、美羽の真剣な口調と、大翔の言うバケモノの話を思い出し、危険が迫っていることを納得した。 「美優はどうした?」 「自衛隊に保護してもらうため、先に逃がしたわよ」 「どういうことだ美羽?」 シャクシャインはユリアのことを知らない。もとより話したところで信じないだろう。 アイヌの神々は信じても、宇宙人やオカルトの存在を信じるシャクシャインでは無いというのは、美羽自身が身をもって知っていた。 それでも美羽は事情を説明した。 ユリアのこと、特異点のこと、バグリーチャーのことを……。 「馬鹿者! 来るかどうかも分からない自衛隊を信じて美優を逃がしたというのか!」 「自衛隊は絶対に来るの。わたしを信じて!」 「……もういい。ここで口論していても仕方が無い。とにかく美優が心配だ。後を追うぞ」 それは美羽の言動を信じたわけではなく、これ以上無駄な議論に時間を割けないという大人の判断だった。 「わかったわよ」 美羽もシャクシャインが信じていないことに気付いていたが、ここで言い争っても時間の無駄だというのは分かったので、それ以上は言葉を発せずに、美優が向かった方角目指して走り始めた。 美羽の後に従い、シャクシャインも走り始めた。 シャクシャインは、その巨漢と齢でありながらも、驚くべき速度で走っていた。 美羽の走りにも負けてはいない。 4 ~特異点出現~ ;--------------------------------------------------------- 大翔が運転するトレーラーの隣には、ツーアイズチームの技術スタッフの一人、と言っても主な仕事内容は雑用という、レン・ロバイン二等陸士が座っていた。 若干一六歳の少年兵で、彼自身、何故このチームに配属されたのか分かっていなかった。 線が細く、女の子かと見間違う容姿で、ごつい自衛官の中で異彩を放っていた。 「レンちゃんはスジがいいね」 「あのう、ちゃん付けはやめてくださいよ結城二尉殿」 「いいじゃないか。レンちゃんにオペレータやって貰えたら俺もう張り切っちゃうよ」 「あの、冗談でもそういうこと言うのはやめてください」 嫌がるレン二等陸士を、半ば無理矢理トレーラーに乗せた大翔は、ゼロのオペレータとしてのレクチャーを施していた。 陽菜が居住モジュールですねているので、急遽オペレータの変わりを用意しようというのだ。 大翔たちと同じく被災孤児のレンは、ロシア系のハーフだと言う。 絹のようなサラサラのストレートヘアは、女性のように美しい光沢をかもしだしている。 透き通るような白い肌。 押せば折れてしまいそうな可憐な雰囲気があり、男だというのに若い自衛官のアイドル的存在だった。ある意味陽菜より人気がある。 「特異点の様子はどうだい?」 「えっと、屈斜路湖周辺にて反応が増大中です」 「歪曲率臨海点までどれくらいだと予想されそう?」 「ええっと、よく分かりませんけど、過去のデータと照合すると……、あと一〇分程度で歪曲率臨海点に達すると想います」 「上出来だ。偉いぞ」 「あ、ありがとうございます」 「それじゃあ俺はゼロの着装準備に入るから、上園くんと連携とって指示頼むよ」 「あっ、はい、あの、でも、沢井三尉殿は……」 レンは後部に見える居住モジュールをチラッと伺いながら、消え入りそうな声で尋ねた。 「ほっとけ!」 大翔はそう返事すると、トレーラーをオートランに設定し、コンテナ部に向かった。 その大翔と入れ替わるように、ゼロの整備スタッフの一人が、緊張した面持ちでトレーラーの運転席に座り、オートランを解除して運転を再開した。 「よ、よろしくでありますっ!」 「こちらこそ、よろしくご指導おねがいします」 ペコリとレンは頭を下げ、微笑んだ。 大翔と運転を交代したスタッフは、その笑顔にハートを直撃された。 男でも構わない。そんなジェンダーフリーな魅力がレンにはあった。 本人にとっては迷惑以外の何者でもなかったが。 「ま、任せるでありますっ!」 必要以上に張り切るスタッフが思い切りアクセルを踏み込んだものだから、着装準備に取りかかっている大翔たちから思い切り罵声を浴びた。 屈斜路湖の湖畔上では異変が起こっていた。 時空の歪みによって、周りの風景が歪んで見えるのだ。歪みは湖面に不規則な波紋を作り、歪みの中心では振動するかのように泡立っていた。 波紋は徐々に大きさを増し、湖面はまるで、大漁の魚が跳ねているかのようにざわめいていた。 振動がピークに達したとき、湖面に何かが落ち、水柱を立てる。 湖面にこぼれ落ちた物体は、水を掻き分けながら、ゆっくりと湖面を進み、陸へと上陸を果たした。 屈斜路湖に現れた異物。 それは、身の丈三メートル程度のバグリーチャーであった。 ずんぐりとした体躯は、この北海道《バグネスト》では絶滅した羆を連想させた。 三本の足が大地に延び、左右非対称の腕を持っていた。 右手は野太く棍棒のように粗野で、左手は鋭く鋭敏な刃物を連想させた。 バグリーチャーの頭部に付いた触覚のようなものがピンと立つ。 それがゆっくりと旋回し、まるで何かを探しているかのような動作だった。 そうしてその触覚がある方向に達したとき、獲物を見つけたとばかりにビクンと震えた。 バグリーチャーはその三本の足を巧みに動かし、触覚が指し示す方角へ向かって進み始めた。 バグリーチャーが出現した特異点。 その産道とも言える時空の穴は、まだ開いたままで、塞がる気配はなかった……。 ついに現れた。 ユリアはその邪悪な思念を素早く察知した。 特異点から現れたベム《バグリーチャー》が、狙いを定めて真っ直ぐこちらに向かっているのが分かった。 (美優、辛いでしょうけど急いで走って。ベム《バグリーチャー》が現れたわ) 「お、おねえちゃんと、おとうさんは?」 半分泣きながら走る美優。 その走りは大人が歩いているのと同じくらい遅かった。 美優の不安を取り除くべく、ユリアは美羽の思念を探した。 (大丈夫よ。こっちに向かってきてるわ) だが、若干ながらベム《バグリーチャー》の方が早い。 先にここへ到達するのは美羽たちではなくベム《バグリーチャー》の方が先になるだろう。 その前に、ユリアは美優を誘導して自衛隊に接触しなければならない。 自衛隊と美優たちの距離も微妙だった。 現状のスピードのままだと、ベム《バグリーチャー》の方が先にたどり着いてしまう。 だが、美優の歩調はこれ以上早くはならないだろう。 万事窮すかと思った。 ユリアの脳裏に美優を見捨ててカプセルで脱出しようかという考えが浮かぶ。 自分だけなら助かる。 美優が持つユリアの生命維持カプセルは、故障しているとはいえ、移動能力はまだ生きていた。 この程度の重力下であれば、時速約二〇〇キロメートルのスピードで飛行することが可能だ。 見捨てるか、このまま心中するか。 ユリアは迷った。 自分の使命を、旅の目的を考えれば、原住民に付き合ってベム《バグリーチャー》に襲われるリスクを負うべきではないのは分かっていた。 だが、そこまで冷徹にはなりきれない。 それがユリアであり、精神生命体ルジミオンの最大の特性でもあった。 そのときであった。こちらへ向かってくる自衛隊の車両のスピードが上がったのだ。 (――こ、これなら間に合うかも――) ユリアは思わず自衛隊の方向に向けて思念を送った。助けて……と。 インナースーツを着て、ゼロに乗り込もうとしていた大翔を呼ぶ声が聞こえた。 「誰か呼んだか?」 大翔は尋ねるが、誰も心当たりはなかった。インカムの通信記録も無かった。 空耳だったのだろうか? 大翔は首を傾げた。 「な、結城二尉、バ、バグリーチャーと思わしき物体を補足しました!」 レンがうわずった声で報告する。 「運転手! スピードを上げろ!」 「は、はいっ!」 「結城二尉殿、これ以上スピードを上げるとゼロの発進準備に支障が出ます」 揺れる車内、機材にしがみついた上園が、大翔に進言する。 「作業は続けろ。できませんじゃない。やるんだ」 「わ、分かりました」 「嫌な予感がする。多少手順を省いても構わないからゼロの起動を急げ」 「結城二尉殿、ゼロの起動パスコードは沢井三尉殿しか……」 「"IIS-0-aif235klas0aezo"でいいはずだ。起動頼む」 「な、なんで結城二尉がパスコードを知ってるんですか?」 上園は唖然としていた。 ゼロの起動コードは陽菜以外誰も知らないはずだった。 万が一、怪我や事故で陽菜本人がコード入力出来ない場合は、本土の司令部に問い合わせる必要があり、その管理は厳重だった。 「備えあれば憂い無しってね。いいからコード入力頼む」 「まったく、どうなっても知りませんよ」 上園は苦笑しながらゼロの起動コードを入力した。ちなみにどうなってもとは、懲戒処分、始末書提出などのことである。 「バグリーチャー接近中です。目標は、あの、微妙に我々ではないみたいです……」 オペレータのレンがモニタを観察してそう結論を下した。 確かにこちらに向かってはいるのだが、コースをトレースすると微妙に座標が異なるのだ。 「どういうことだ?」 「あのっ、そのっ、バグリーチャーは恐らく、多分、別の誰かを追っていると推測されますです。はい」 「クソッ、嫌な予感が当たっちまったぜ!」 大翔は瞬時に悟った。 バグリーチャーが追跡しているのは自分達ではなく、美羽たちだという解を導き出した。 「どういうことですか?」 「いますぐゼロを発進させる。各種調整は遠隔操作により、後追いでやる」 「無茶です。今の状態でゼロを出しても、従来の半分の性能しか引き出せません」 「道民の人命がかかってるんだ。村雨隊にも出動を要請しろ」 「分かりました。ですが、気をつけてください」 「了解した。結城二尉。ゼロ、発進する」 移動するトレーラーの後部ハッチが開き、ハンガーに吊るされたゼロがせり出してくる。 「移動中の射出は初めてですから、接地時のバランスに気を付けてください」 「分かってる」 「ゼロ、射出します」 上園一曹の掛け声と共に、ゼロが大地に向かって投げ出される。 接地時に、一瞬バランスを失い、横転しそうになるが、無限軌道ホイールを巧みに利用し、なんとかバランスを保った。 そうして、トレーラーと並走するようにゼロを移動させると、結城はアクセルペダルを踏み込んでフル加速でゼロを走らせた。 「頑張って下さい。結城二尉……」 砂塵を巻き上げながらトレーラーをブッちぎって進むゼロを、上園とレンはモニタ越しに見守っていた。 また陽菜も、居住モジュールに引篭ったまま、一連のやり取りに聞き耳を立てていた。 「あんな奴、死んじゃえばいいのよ……」 陽菜は膝を抱えた格好でベッドに座り、シーツをにぎりしめながらそう呟いた。 5 ~白銀の騎士~ ;--------------------------------------------------------- 美羽とシャクシャインは、ひとつの丘を越えたところで、美優の姿を発見した。 目測で五〇〇メートルくらい離れていた。 そうしてその脇から美優に迫る黒い物体も視界に入っていた。 美優と黒い物体の距離は二〇〇メートルくらい。 美羽が全力で走っても間に合いそうになかった。 「美優! 美優ぅ!」 それでも美羽は走った。 下り坂を転がるように走った。 シャクシャインも負けてはいなかった。 美羽に続いて、その老体に鞭打って走るが、その体力は限界に近かった。 ここまでの数キロを休み無しで、全力で走ってきたのだ。 若く、体力のある美羽には苦も無かったが、巨漢で年老いたシャクシャインには地獄の荒行にも似ていた。 それでも、シャクシャインは走るのをやめなかった。 美優の足はもうほどんど止まっていた。 上り坂になっており、四つんばいになって、這うように移動する美優。 それを狙う黒い影、バグリーチャー。 目と鼻の先だというのに、あとほんの僅かだというのに、間に合わない。 「くそぅ……」 美羽の喉からバグリーチャーを罵る悪態が漏れる。 下り坂が終わり、今度は上り坂になった。 美優が四つんばいでしか歩けないくらい、急な傾斜を持つ坂だった。 すでにバグリーチャーは坂の半分を登っている。 「美優、逃げて!」 美羽の声に美優が振り返る。 二人の距離は僅か一〇〇メートルくらいであった。 視線の先にバグリーチャーと美羽が見える。 「おねえちゃん……」 バグリーチャーの恐怖と、姉美羽の姿を見た安堵で、緊張の糸が切れた美優は、力尽き、その場に座り込んだ。 「座るな。立って逃げるのよ!」 バグリーチャーはもう美優の目と鼻の先であった。間に合わない。 誰もがそう思った時、その時――。 砂塵を巻き上げながら、坂の頂上から白銀に輝く鉄の巨人が舞い下りた。 大翔の視界にバクリーチャが飛び込む。 眼下にはいまにも襲われそうな美優がしゃがみ込んでいた。 ゼロはいま、空中に滞空している。 陸戦兵器として開発されたゼロに飛行能力はない。 ラリーカーのジャンプと同じ原理で、無限軌道ホイールによって坂を駆け登ったゼロは、放物線を描いて宙に舞っていたのだ。 美羽はその姿に神《カムイ》を見た。 美優は天使を見た。 そうしてユリアは、ルジミオンに失われた技術である兵器というものを目の当たりにして興奮していた。 「このやろうーーーっ!」 ゼロの体勢を空中で立て直し、まるで飛び蹴りのように無限軌道ホイールの鋭いエッジが、美優に迫るバグリーチャーの胸部を切り裂く。 重さ約一トン。 それに加速が加わったことにより、実質二〇トン近くの威力が、バグリーチャーに叩き込まれた。 三本足のバグリーチャーは、倒れこそしないものの、上体を仰け反った。 大翔はそのままゼロのアクセルペタルを底まで踏みつける。 ガリガリガリッ! とバグリーチャーの固い皮膚を削る音が響き、そのままゼロはバグリーチャーの胸を横断して地面に着地した。 地面に着地するや、一八〇度のアクセルターンによって、バグリーチャーの背後をとったゼロは、その腕に仕込まれたスタンワイヤをバグリーチャーに叩き込む。 「その子から離れやがれっ!」 無限軌道ホイールをバックギアにセットし、絡めとったバグリーチャーを引きずろうとした。 だが、三本足のバグリーチャーは、まるで大地に根を下ろしているかのようにビクともしない。 無限軌道ホイールが虚しく空転を続ける。 「このままじゃ攻撃できないな……」 大翔はスタンワイヤに電流を流しながら舌打ちする。 ここで実弾兵器を使うと、美優にまで被害が及ぶ。 当の美優は腰が抜けたのか、座ったまま動かない。 だが、その心配は杞憂だった。 ゼロはまだ調整不足で、火器管制プログラムが正常に作動しておらず、火器の使用はできなかったからだ。 バグリーチャーはゼロを無視し、美優に襲いかかろうとゼロを引きずる。 力ではバグリーチャーの方が勝っている。 「嘘だろ? これだけの電流を浴びて動けるのかっ!」 大翔はバグリーチャーの生命力に呆れ返った。 そのとき、ゼロの赤外線モニタが移動する人型を捕らえた。 通常モニタに目をやると、ゼロの脇を通りぬけるように、美羽が走り込んできた。 「ばかっ、何しにきた!」 だが大翔の声が美羽に聞こえるはずもなく、美羽は美優の元へと向かった。 美優の元へ向かう美羽をバグリーチャーは見逃さなかった。 美羽の距離が美優より近くなったとき、バグリーチャーはその標的を美羽に向けた。 棍棒のような大きな右腕が振り上げられる。 だが、その動きはスタンワイヤの電流によって緩慢な動きになっており、野生児美羽にとって、その振り下ろされた腕を避けることは造作も無いことだった。 腕をすり抜けて、美羽は美優の元へとたどり着く。 「捕まって美優!」 美羽が差し出す腕に、美優は手を伸ばす。 美優の腕をがっちりと掴んだ美羽は、柔道の背負い投げよろしく、思い切り引っ張って美優を宙に浮かすと、落ちてきた美優を両手でチャッチする。 美優の体重が重かったら脱臼していたところだった。 そうして、脱臼こそしなかったものの、美優は肩に激痛を覚え、涙が滲んできた。 だが、それ以上にいまは姉の腕に抱かれていることの嬉しさが美優の胸をいっぱいにして他のことなど考える余裕を与えなかった。 「おねえちゃん。おねえちゃん。おねえちゃん……」 美優は必死になって美羽にしがみついた。 美羽はそんな美優を壊れそうなくらいぎゅうっと抱きしめ、シャクシャインが待つ坂の下まで走り抜けた。 「そっちへ行くんじゃないっ!」 ゼロの横を通りぬける美羽たちに叫んだところで、密閉されたゼロから声が漏れることはない。 大翔は、ゼロに外部スピーカー機能がついていないことを呪った。 美羽が美優を救出してくれたのはありがたかったが、逃げる方向が逆だった。 特異点側へ逃げるのは、極めて危険な行動だった。 そうしてその危険な予感は的中する。 「た、大変です! バグリーチャーが次々に特異点から出現してきます。その数……八体、いえ九体ですっ」 インカムからレンの悲鳴に近い声が上がる。 「村雨二尉の特科部隊はどうした?」 「向かってます。ですが歩兵に合わせた行軍だと、そちらに到着するのに五分はかかります」 「装甲車両だけでも先に向かわせろ。民間人がいるんだ。救助させるんだ」 「わ、わかりました」 大翔は後手に回るレンの対応にイラついたが、所詮にわか仕込みである。むしろよくやっていると言えたが、この状況ではジリ貧だった。 「上園くん。ゼロの調整はまだかい?」 「いま、七〇%です」 「もっと急げないかな?」 「無理です。機能毎に転送しないとゼロのOSがハングアップする恐れがあります。そうなったらアウトです」 「そうか……できるだけ早く頼む。こいつ一匹に構ってられないからな」 「全力を尽します」 上園は通信を終わると、部下達に急ぐように指示を出す。 「沢井三尉がいてくれたら……」 上園は、陽菜が篭城する居住モジュールをチラリと眺めた後、ため息をついて作業を再開した。 6 ~見えない敵~ ;--------------------------------------------------------- (美羽。そっちへ行っては駄目よ) ユリアは既に、新たに現れたバグリーチャーの気配を察知していた。 その固体数も把握しており、絶望的な気分に陥っていた。 「シャクシャインを放ってはおけない。それに三人で固まって行動した方がいい」 (……わかったわ。でもシャクシャインと合流したら、すぐに自衛隊に向かって逃げるのよ) だが、その自衛隊も頼りになるか分からなかった。 ユリアはその思考を発信すること無く、自分の胸の中に飲み込んだ。 「分かってる」 美優を抱いたまま、美羽はシャクシャインの元へと向かった。 シャクシャインは、美羽が美優を救出したのを見て、安堵と疲労のため、その場で立ち止まり、荒い息を整えていた。 住処からここまでずっと走ってきたのだ。その蓄積された疲労は限界に近かった。 美羽が美優を連れてシャクシャインの元へとたどり着く。 「ここは危険だよ。あっちに行けば自衛隊がいる。さあ行こう」 「連中の、世話になど……」 「馬鹿なことを言わないで。あんなバケモノに素手で適うわけないじゃないか。あの鉄の巨人だって、苦戦してるのよ! 頼むからたまにはわたしの言うことも聞いてよ!」 美羽は振り返ってゼロを指差した。 三本足のバグリーチャー相手に、苦戦を強いられているゼロの姿がそこにはあった。 シャクシャインの目にもその様子は容易に伺えた。 確かに人間の力ではどうしようもない圧倒的な暴力を、バグリーチャーから感じとった。 「……仕方ない。だが今回だけだぞ」 「ありがとうシャクシャイン」 美羽は美優を抱いたまま、シャクシャインに背を向けると、自衛隊の部隊に向かって再び走り始めた。 シャクシャインも、ゆっくりとだが、歩いてその後を追った。 大翔は切羽詰まっていた。火器管制プログラムが未調整だったため、バグリーチャー相手に素手で渡り合う羽目に陥っていた。 「ハンドグレネードさえ使えればこんな奴……」 棍棒のような右手の一振りをかわしながら、大翔はプログラムがセットアップされるのをひたすら待った。 「苦戦してるようだな?」 インカムから落ち着いた男の声が聞こえた。特科部隊の村雨二尉からの通信だった。 「おっせえよ。この給料泥棒!」 村雨二尉率いる特科部隊の対バグリーチャー用装甲車両が、坂を登ってようやく現れた。 弾丸さえ弾き飛ばす巨大な八輪のホイールは全て独立したモーターで駆動する。 六〇ミリの厚さを誇る最新の複合装甲に、簡易型電磁レールガンと三五ミリ機関砲二門を装備した自衛隊の虎の子兵器。 二九式戦闘装甲車両、通称バウンザーが、黄土色の砂塵を撒き散らし、悠々と現れた。 バウンザーに装備された三五ミリ機関砲が唸り声をあげる。 バグリーチャーの背中に、毎秒約五〇発×二の機関砲弾が炸裂する。 人間ならば一発でミンチなのだが、バグリーチャーに対してそれは、牽制くらいにしか効果がなかった。 だが、機関砲で足止めをしている隙に、簡易型電磁レールガンの照準がセットされ、号砲を打ち鳴らす。 その威力は簡易型と言えすさまじく、轟音と共に、バグリーチャーの上半身は根こそぎえぐり取られて消し飛んだ。 ピクリとも動かない三本足の下半身だけが、地上に取り残された。 「楽勝だな。陸自の研究所もそんな役に立たない人形なんか作ってないで、こいつを量産すれば済むことなのにな。そう思わないか?」 村雨はバウンザーの中から皮肉めいた口調で大翔に尋ねた。 「うっせぇよ。俺が足止めしといたか仕留められたんだろうが。それより民間人の救助に行ってこいよ」 「もう行ってるよ」 その言葉通り、すでにもう一台のバウンザーが、美羽たちの前で停車していた。 「素早いね。ところでバケモノはあと九体いるらしんだが……」 「問題ない。オレ達はその倍以上のバグリーチャーを殲滅してきた」 虚勢ではなく、絶対の自信を持ったひとことだった。 だが、次の瞬間。前方で美羽たちを保護しているはずのバウンザーから煙が上がった。 次いで、そのバウンザーはまるでオモチャのように横転した。 美羽の目の前に、自衛隊の装甲車両《バウンザー》が現れたとき、ようやく助かったと思った。 シャクシャインが追いつくのを待って、装甲車両《バウンザー》に乗り込もうとしたときである。 (危ない、避けて!) ユリアの叫びが美羽と美優の脳裏に響く。 その叫びはシャクシャインにも、バウンザーに乗っていた自衛官にも聞こえるくらい、強力な思念だった。 美羽は咄嗟に美優とシャクシャインの手を引いて、バウンザーから離れた。 二人を押し戻すように、飛び掛かったため、美羽ら三人は地面に転げ落ちた。 「どうした?」 ハッチの上から自衛官が声をかけたその瞬間、バウンザーに衝撃が走った。 見ると、機関砲の砲身が、への字に曲がっていた。 何かが高速でバウンザーにぶつかったようだ。 (立って、立ち上がって走るのよ!) 「この声は?」 シャクシャインにもユリアの声が聞こえたようだ。 「みんな走って!」 美羽は美優を抱えると、シャクシャインに向かってそう叫んだ。 「う、うむ」 シャクシャインは美羽に言われるがまま立ち上がり、黙々と走った。 (迷彩能力を持ったベム《バグリーチャー》よ。こんな近くに来てるなんて……、まったく気付かなかったわ) 振り返ると、ぼんやりとゼリー状に空間が歪んでいる場所が見えた。 その物体は、バウンザーの車輪に取りつき、その豪腕でバウンザーをひっくり返した。 「どうなってるんだ一体?」 大翔はオペレータのレンに尋ねる。 「わ、わかりません」 「わからないじゃないだろう。モニタではどうなってる!」 「すいません。えと、モニタには何も……、あ、バグリーチャーの反応がありました。あ、でもまた消えました。ど、どういうことでしょうか?」 「こっちが聞きたいよ……」 「余り考えたくは無いが、ステルス機能を持ったバグリーチャーなのかもな」 村雨が口を挟む。その口調は冗談で言ってるわけではない。本気だった。 「そんなのありかよ!」 「泣き言を言うな。バグリーチャーは理不尽な存在なんだよ」 幾多のバグリーチャーと激戦を繰り広げてきた村雨の一言は、とても重たくシビアだった。 「くそっ」 大翔は舌打ちする。 丁度その時、大翔たちの前に、逃げてきた美羽たちが到着した。 「バケモノは迷彩能力をもってるらしいよ。気を付けて!」 大声で美羽は叫ぶ。 ゼロとバウンザーの中に入っている人に伝えるため、ありったけの声量で叫んだ。 そこまでしなくても、ゼロやバウンザーには集音装置が付いているので、美羽の声ははっきりと聞こえているのだが、その声は、大翔と村雨の迷いを打ち消す効果をもたらした。 「迷彩能力だとよ。どうする?」 「弾幕を張っていぶり出す」 「それいいね。採用」 「歩兵隊も追いついた。行くぞ」 ゼロとバウンザーの背後に、重火器で武装した重装歩兵隊が到着する。 大翔と村雨は、重装歩兵隊を引き連れて、横転したバウンザー目指して移動を開始した。 大翔はゼロのマニピュレーターでVサインを美羽に送った。 7 ~ゼロワン起動~ ;--------------------------------------------------------- ゼロとバウンザーから三〇〇メートルほど離れたところに、ツーアイズチームのトレーラーやトラックが待機していた。 そうしてそれらをガードするかのように、小銃を持った歩兵が四名、護衛についていた。 護衛に連絡が届いていたのか、美羽たちが到着すると、検査なしで陣内に招き入れた。 「よく頑張ったな」 「お嬢ちゃんたち。もう安心だよ」 護衛の歩兵たちが美羽たちに声をかける。 「喉が渇いた……」 ずうっと走り続けてきた美羽の喉がカラカラだった。 「奥に赤い十字が描いてあるトラックがある。そこに医療チームが待機してるからそこへ行けば水が貰える」 「とりあえず三人ともそこへ避難するんだ」 「ありがとう」 「ありがとうお兄ちゃん」 「……世話になる」 三人はほっと胸をなで下ろして、赤十字のトラックへと向かった。 「おいしい」 美羽は一リットルのスポーツドリンクを一気に飲み干した。 普通の水と違ってすごく飲みやすく、すんなりと身体に吸収されてゆくのが肌で感じ取れた。 「どうした? まさかスポーツドリンク飲むのは初めてか?」 従軍医師は美羽の飲みっぷりに呆れていた。 美羽が無言で頷くと、医師はもう一本ペットボトルを取り出して美羽に差し出した。 美羽はそれを受け取ろるべく、手をだそうとしたが、シャクシャインの視線に気付いて手を引っ込めた。 だが、シャクシャインは首を横に振って「頂きなさい」と言うや、美羽は奪うようにペットボトルを受け取り、再び一気に飲み干した。 「ありがとう」 「どうってことないさ。それよりも、そっちのあなた、ちょっと脈を計らせてくれないだろうか?」 医師はシャクシャインに向き直ってそう言った。 「……ワシはいい」 「顔色が悪い。見たところ、そう若くも無さそうだし、一度診察を受けて貰えんかね?」 「おとうさん。みてもらって!」 美優がシャクシャインの服を掴んで懇願する。 病気がちな美優は自分以上に他人の健康に敏感だった。 いまにも泣き出しそうなつぶらな瞳で見つめられると、シャクシャインも観念するしかなかった。 医師の前に座ると、大人しく手を出した。 「手短に頼む」 「あんた、いい娘さんを持ったな」 医師は血圧計と、聴診器を取り出した。 ユリアはいま、全神経を集中させ、自衛隊とバグリーチャーの戦力比を計算し、勝率を割り出していた。 これまで見て感じてきた自衛隊の戦力と平均的なバグリーチャーの戦力を冷静に比較すればするほど、その勝機の少なさに愕然としていた。 (――このままでは全滅する――) ユリアの種族は武器を持たなかった。 争うという概念が失われていたのだ。 数十億年に渡る平穏な日々が彼女らの種族をそうさせた。 だが、武装するという概念がなくとも、この地球に着いて、自衛隊を観察することにより、兵器というものの概念は分かった。 ユリアたちの技術からすれば石器で出来たナイフのようなシロモノではあったが、それは紛れも無くバグリーチャーに対抗できる武力だった。 そうして、戦力分析の最中、コンテナトレーラー内に、まだ未使用の兵器があるのを発見した。 それはゼロと同じ人型兵器だった。早速ユリアはその性能を分析した。 (――これはっ――) その兵器は、ゼロとは比較にならないくらい精巧な技術で作成されていた。 そもそも根本的な基本原理から異なっていた、外観こそ似通っているものの、中身が全然違っているのだ。 それはもう、全く別の兵器といっても過言ではなかった。 (――これを運用させれば、もしかしたら――) だが、この兵器の構造を分析すればするほど、運用者に尋常じゃない負荷がかかることが判明した。 (――それでも、やるしかない――) ユリアは生き残るため、バグリーチャーを殲滅するために兵器の運用を決意した。 (美羽、話があるの……) ユリアの思念が美羽にだけ向けられる。 「どうしたの?」 (みんなを、美優やシャクシャインを守りたい?) 「当たり前じゃない」 (あなた、そのために死ぬ覚悟はある?) 「どういう意味?」 (恐らくこのままだと全滅するわ。それを回避できる方法が一つだけあるの) 「わたしが死ねばみんなは助かるの?」 (そうじゃない。死ぬ危険があるってことよ。あなたに戦う意思はある?) 「もちろんあるわ」 (じゃあついてきて、こっちよ) ユリアは、美優の持つ生命維持カプセルから抜け出すと、その半透明なホログラフィのような姿を美羽が持つ時計(大翔から貰ったもの)に宿らせる。 そうしてその時計に内蔵されたレーザーポインタを光らせながら美羽を導いた。 「何処へ行く美羽!」 診察を受けるシャクシャインが怒鳴る。 「おねえちゃん!」 美優も叫ぶ。 「大丈夫よ。みんな守るから。絶対に……」 美羽はそういうと、トラックから飛び降りた。 時計に乗り移ったユリアに導かれて、美羽は大きなトレーラーの前にやってきた。 (いまからこのトレーラーのシステムに介入するから少し待ってて) ユリアはそういうと、その半透明な身体をトレーラーに重ね、同化した。 ほどなくしてコンテナのハッチが自動的に開く。 (乗って美羽) 美羽はいわれるがままコンテナに飛び乗った。 「うわ、なんだキミは」 「ロックがかかっていたのに、一体どうやってはいったんだ」 コンテナの中には、ゼロの火器管制プログラムをチェックしていた上園たちが居た。 ハッチのセキュリティは万全なのに突然開いたことと、そこに美羽が飛び乗ってきたことで驚いている。 「わたしは美羽。みんなを守るためにやって来た」 美羽は真顔でそう答えた。 (システムはだいたい把握したわ。運がいいわ美羽。あなたが貰ったというこの腕時計、それって唯一のネックだった兵器のハードキーだわ) 「どういうこと?」 (この兵器を動かすカギみたいなものよ) コンテナトレーラーに格納された、真紅のコンテナが音を立てて開いて行く。 「ど、どういうことだ!」 「ゼロワンがどうして!」 動揺し、パニック状態になる上園たち。 そんな自衛官を尻目に、美羽は真紅のコンテナの元へと向かった。 (乗って美羽。あなたはこれで戦うの) 「これってさっきの巨人よね」 (ツーアイズ・ゼロワン。それがこの機体の名前よ) 「ゼロワン……」 (扱い方のレクチャーは動かしながらやるわ。起動するから乗って) 「わかった」 美羽はゼロワンに搭乗した。 上園ら技術チームは、まるで夢を見ているような気分だった。 恐ろしいスピードでゼロワンの起動設定がなされており、上園はもとより、陽菜でさえ知らされてない起動コードを僅か数秒で解読されたのだ。 「な、何が起こっているんだ?」 「おれたちは夢をみているのか……」 起動テストを行っていないゼロワン。それを一から起動させるには丸一日を要す。 起動マニュアルだけでキングサイズのファイル六冊あるのだ。 その起動におけるチェック項目が、ものすごい勢いでグリーンになってゆく。 ジグソーパズルのマス目を埋めるかのように、ゼロワンの制御システムが構築されて行く。 そうして更に驚くべきことに、ゼロワンの基本OSすらも書き換えられてしまった。 それらは全て、精神生命体ユリアが行ったことである。 (起動プログラム改修完了。実働シーケンスオン。美羽、その黒いコンテナを取ってみて) 「どうやって動かすの?」 (イメージして、あなたの考えをわたしが実行するわ) 「わかった」 美羽はモニタに写し出される黒いコンテナを取ろうと思った。 すると、ゼロワンは膝を付いてしゃがみ込むと、黒いコンテナを手に掴んだ。 「取れたわ」 (今度はコンテナの中身を取り出して) 「わかった。やってみる」 美羽が思考すると、ゼロワンはコンテナのロックを解除し、中から折り畳まれた銃、レールガンを取り出した。 (この世界での最強兵器よ。それを持って行きましょう) 「うんわかった」 まるで人間のように、スムーズな動作でゼロワンはコンテナトレーラーを飛び降りた。 「私たちは夢を見ているのか……」 「う、上園一曹、ゼロの火器管制プログラムが完成してます」 「なんだって?」 それは完璧なソースコードだった。文句のつけようもない美しい仕上がりに、上園は嘆息を漏らした。 それは、ゼロワン起動のおまけにユリアが片手間に修正したものだった。 「何が起こったのか分からないが調査は後回しとする。この神のプログラムをゼロに転送するぞ」 「了解しました」 8 ~殲滅~ ;--------------------------------------------------------- 大翔と村雨は、見えない敵を相手に苦戦していた。 幸い破壊力はそれほどでもなかったので、バウンザーはその装甲に守られて被害は軽微だったが、闇雲に機関砲を連射したので、もう残弾がなくなってしまった。 反対にゼロはかなり深刻なダメージを受けていた。 強化カーボン複合材の装甲は、所々亀裂が走っており、関節部の気密性が失われたため、機動性も鈍くなっていた。 なにより、中に入っている大翔の体力は限界に近かった。 ゼロの運用限界は二時間だが、それは通常に運用した場合で、戦闘時においてはその時間は格段に縮まる。 最大三〇分。これが大翔の体力が持つ限界のであった。 そうして戦闘はすでに二〇分以上経過している。 この見えない敵の後に、まだ九体近くのバグリーチャーがこちらに向かっているのだ。 幸い足はそんなに速くはなかったが、あと数分もすれば、第二派がやってくる。 「戦闘レンジ内に、三、いえ、四体進入しました」 レンのつたない報告がインカムに響く。 「ちょっとやばくないか?」 「喋ってる暇があるなら奴を足止めしろ」 めくら撃ちの簡易型電磁レールガンが虚しい号砲を上げる。 「お前こそ無駄弾打つなよ、バッテーリが干上がっちまうぞ」 そう大翔が悪態を吐いたときである。 ゼロとバウンザーの間をすり抜け、迷彩能力によって身を隠したバグリーチャーにレールガンの弾道が貫通し爆散する。 まるで正確な位置を掴んでいたかのような、完璧な狙撃だった。 「な、なんだ!」 「いまのは……」 慌てて後部モニタを表示する二人。 そこには、真紅の人型兵器、ツーアイズ・ゼロワンが、スナイパーのようにレールガンを構えて立っていた。 「ゼロワン……だと……?」 大翔は信じられないという口調で呟く。 「あれはゼロか?」 村雨の問いに大翔は答えない。それほど混乱していたのだ。 「結城二尉殿、火器管制プログラムお待たせしました。転送します」 上園一曹の声がインカムから流れる。 「オ、オイ、それよりなんでゼロワンが、誰が動かしているんだ!」 大翔はプログラムの転送どころではなかった。 ツーアイズチームのトップシークレットとして極秘に搬入されたゼロワンが起動していることに驚きを隠せなかった。 「我々にも分かりません。ただ、先ほど保護したツインテールの少女が乗っていることだけは確認しています」 「……ツインテールの少女って、美羽のことか?」 「はい、恐らくその少女です」 「確かにゼロやゼロワンの起動キーとなる腕時計はあいつにやったけど……、それだけで動く代物じゃないだろ」 「ですが現実です」 「み、みなさん。お取り込み中すいません。あの、もうすぐそこまでバグリーチャーが着てます。危ないです。注意してください」 レンの言葉で我に返った大翔は、ダウンロードした火器管制プログラムを実行した。 ゼロの内臓火器のアラームが解除され、グリーンになる。 「ようやく反撃だ」 とにかくいまは目の前の敵を倒そう。 大翔は気持ちを切り替えて、バグリーチャーに対峙した。 美羽は自分が行ったことが信じられなかった。 あれだけ必死になって逃げ回ってきた相手を一撃で屠ったのだ。 照準その他、すべてユリアのサポートがあったからこそ命中したのだが、トリガーを引いたのは美羽自身である。 戦うことを禁忌とされているユリアにとって、トリガーを引く美羽は不可欠な存在だった。 ユリアはいま、ゼロワンと一体化し、頭から爪先まで全てを制御下に置いていた。 美羽の身体になるべく負荷をかけないよう、細心の注意を払いながらゼロワンを操る。 それはこの地球のコンピュータではとても制御できない複雑な処理だった。 ユリアと美羽。 この二人が揃ったからこそ、この兵器、ゼロワンは稼動することが出来たのだ。 「す、すごい……」 (感動するのは後よ。目の前にもう四体のベム《バグリーチャー》が迫ってるわ。その後にもう五体控えてるわ) 「そんなに沢山のバケモノ相手に勝てるの?」 (このゼロワンの性能なら勝てるわ。わたしと美羽。あなたとのコンビならきっと勝てる) ユリアの思考は自信に漲っていた。 「わかった。ユリアの仲間を苦しめた奴等を、美優を泣かせた連中をやっつけてやるわ」 (行きましょう) 「ええ!」 ゼロワンは脚部スラスターによって、ホバリングしながら移動を始めた。 その最高速度は時速二〇〇キロメートル。 ゼロの無限軌道ホイールでの走行の倍以上だった。 ゼロワンは前方を移動するゼロとバウンザーを余裕で追い越すと、移動しながら最初に目に付いたバグリーチャーにハンドグレネードをお見舞いした。 爆散し、肉片が飛び散るバグリーチャー。 その青い体液をゼロワンは浴びるが、時速約一八〇キロメートルで滑空するゼロワンは、その体液を風圧で洗い流した。 真紅の塗装が黄土色の大地に映える。その赤はまるで、血の赤だった。 赤い血をもった人間の証であるかのように、赤々と輝いていた。 ゼロとバウンザーも負けてはいなかった。 火器が使用できるようになったゼロは、水を得た魚のごとく、ハンドグレネードを連射する。出し惜しみしないその攻撃によって、一体のバグリーチャーが破壊される。 バウンザーに取りついたバグリーチャーを、村雨はフルブレーキで引き剥がし、その倒れたバグリーチャーが立ち上がったところに簡易型電磁レールガンを叩き込む。電荷が足りなかったため、一発では完全に破壊できなかったので、もう一発叩き込む。 そうしている間にも、ゼロワンは残ったバグリーチャーをレーザーメスで三枚に下ろす。 僅か三〇秒足らずで四体のバグリーチャーを殲滅した。 「ノってきたな」 「これが実力だ」 「おーい美羽、聞こえるか」 大翔はゼロワンに向かって通信した。 「ど、どうすればいいの?」 (いま回線を開いたわ。話せるわよ) ユリアが美羽に告げる。 「え、えっと。なに?」 美羽は緊張した口調でそう呟く。 「うひょう! 本当に美羽かよ」 「誰だ美羽とは?」 村雨が怪訝そうに尋ねる。 「民間人の少女さ。なんでお前が乗ってるんだ?」 「そ、それは……」 美羽は言いよどんだ。 (お喋りはそこまで、第二弾来たわよ) 「また敵が来たから後で話すわ」 美羽はそれだけ言って回線を切ると、ゼロワンを走らせた。 「お、おい待てよ!」 「やれやれ……」 ――三分後。 特異点より出現したバグリーチャーは、すべて殲滅された。 戦場から一キロほど離れた丘の上で、三人の男女がゼロワンたちの活躍を見つめていた。 「圧巻でしたね」 双眼鏡から目を離した黒須川が嘆息を漏らす。 「あの赤い奴はおれが頂くゼ!」 マンイーターはゼロワンのすさまじい戦闘能力に惚れ込んでいた。 「今度はドジ踏まないでよね」 ノアは、はやるマンイーターを窘める。 「ッセーなノア。ダマッてろ!」 「それじゃあ計画通り、クロス頼んだよ」 「分かりました姐さん」 黒須川は愛車のGTサンパチに跨ると、スロットルを回してバイクを走らせた。 「上手くいくのかしら?」 「イかせるんだよ。是が非でもな」 マンイーターとノアはジープに乗り込むと、アジトへ向かってアクセルを踏んだ。
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「―――――トレース出来ないって……」 第97管理外世界、地球 その遥か上空 青く美しい人類の故郷たるこの星の、大気圏を隔てた宙空 それを見下ろす形で待機していた現機動6課の旗艦――巡洋艦クラウディア 「どういう事ですか!?」 そのブリッジ内にまだ少女といっても良い女性の声が響き渡る だが、、大音量で荒げた声を気に留める者はいない 見ればその周囲 コンソロールに向かうオペレーターその他諸々が ハチの巣を突付いたような大騒ぎとなっている 騒然と動き回る局員達の表情を見れば 何かとてつもない不測の事態が起こった事は容易に想像できた 「反応がないの、、」 それを受けて答えたのは前のに比べれば幾分落ち着きの見て取れる声 眼鏡をかけた理知的な女性から発せられた言葉だった しかし、その彼女もまた口調の裏にある微かな震えを抑えられなかった 内心の動揺を隠しきれない様相で、目の下には深い隈が刻まれている 「あの星はおろか、、、この宙域全般に――――」 そして一言一言紡ぐように…… ―――― なのはさん達の生体反応を認められない… ―――― 眼鏡の女性、シャリオ=フェニーノから告げられた言葉は 現任務を一通り終え、後発組として到着した元機動6課フォワード陣、、 スバルナカジマ、ティアナランスター、エリオモンディアル、キャロルルシエ―― 入隊当初は甘さの抜けない新人であったこの四人も 幾多の任務、経験を経て今や一人前の局員として成長していたが、、 その彼らをして、絶望のどん底に突き落とすに余りあるものだった 高町なのはを初めとした6課中核を担う隊長陣が行方不明…… 隊が解散する事が決まった、あの時の最後の模擬戦 己の全てをぶつけ、全部を受け止めてくれた強くて偉大な先輩たち あの綺麗に咲き誇った桜の下で、いつかまたこのメンバーが集える日が来ますようにと―― 頬を伝う涙の元に誓った そして今回、期せずして早く訪れた再開の機会 スカリエッティの脱走という緊迫した状況ではあったが 不謹慎なのは百も承知で、そこに嬉々とした感情が、、 かつて教えを乞うた、あの素晴らしい先輩達とまた一緒の任務に就ける… 自分の成長した姿を見て貰いたい… 四人にはそんな思いが少なからずあった筈だ それがまさか………こんな事になるなんて、、 「ちょっと落ち着きなさい、スバル」 興奮気味の相棒を嗜めたのはツインテールの髪を束ねた少女、ティアナランスターである あのエースオブエース高町なのはの直指導を受け、フェイトテスタロッサハラオウンの元で経験を積んだ この努力のサラブレッドは今や誰もが認める立派な執務官である 「で、でも…」 言いよどむスバルだったが この目の前の元パートナーの不安や心配もまた自分に勝るとも劣らないだろう事は明白だった 揺れる心を鉄の意志で抑え、おくびにも出さない親友の顔は スバルにそれ以上、無様にうろたえてはいけないと悟らせるに十分な貫禄を放っていた 第一この事態は、目の前のシャーリーに猛りをぶつけても何も解決しないのだ 「状況を聞かせて貰えますか? 通信や交信記録とか…」 「何も無いの……何も、、 異常を感じてから二週間、あらゆる空間、次元軸をサーチしたけど痕跡、足跡を全く見つけられない…… まるでこの世界そのものから存在ごと消えてしまったとしか思えないのよ、、」 エリオがシャーリーに問い正すも 返ってきたのは絶望的な答えだった ブリッジに重苦しい雰囲気が流れる これは事実上の遭難だ… あの不沈のトップエース達が、奇跡の部隊=機動6課の主力部隊が 任務着手を前にして忽然と姿を消すなど、、 「6課の柱にしてニアSランク魔道士がこぞって行方不明…これはもう私たちだけでどうにかなる問題じゃない 今、クロノ艦長やカリム理事官……アコーズ査察官や無限書庫のユーノ司書長も動いてくれてる」 シャリオの口調も、そしてブリッジで動くスタッフ達の様子も重々しい 見れば明らかに疲労の色が濃く現れ、覇気もなくただ手を動かしているだけの者もいる それはこの二週間、あの手この手を駆使して駆け回り―― その全てが水泡に帰した絶望感がありありと見て取れる光景だったのだ 「とにかく私達に出来る事はありますか?」 重苦しい空気の中、ここに来て真っ先に前向きな姿勢を見せたのは フォワード陣の中で最も幼いキャロルルシエだった 「まずは休んで体力を温存しておいて頂戴…… そんな気分じゃないのは分かるけど、、 イザという時、真っ先になのはさん達の下に駆けつけられるように」 「…………」 だが、、言うまでもない 出動部隊である自分達に、この事態に対処する術など初めからある筈もない ここはオペレーター、そしてその道のエキスパートである者たちに任せるしかなく そして、それでもまるで光明を見出せない現状なのは明らか 暗雲立ち込める艦橋の中で ある者は唇を噛み締め、ある者は虚空に目を泳がせ 呆然と立ち尽くすしか術を持たなかったのである ―――――― 機動6課 ミッド地上における未曾有の危機―― JS事件と呼ばれる大規模テロを迅速かつ、被害を最小限に抑えて解決に導いた通称 「奇跡の部隊」 局始まって以来のスペシャルフォースと呼ばれているその所以は 何も戦闘力に特化した魔道士、騎士が揃い踏みであるという事だけが理由ではない オペレーター、サポート陣に至るまであらゆる分野の優秀な人材を揃え 物資や機材の質、量の充実は言うに及ばず 出資者、後見人に至るまで多岐に渡るスペシャリストが一同に会した集団 それが八神はやての提唱した夢の部隊――機動6課の全容なのだ もっともドリームチームと呼べば聞こえは良いが、、 構想段階ではまさに夢物語以外の何者でもなく 発足当時は外見上の華々しさとは裏腹に、当然のように水面下での誹謗、中傷が絶えなかった ―――お友達感覚で寄り集まったお遊び部隊 ―――貴重な戦力を強引な手法で、無駄に一箇所に集中するなど愚かの極みだ ―――キャリアを鼻にかけた小娘の越権行為 、、等等 お偉方の辛辣な意見は後を絶たなかったという だがその因習を跳ね返し、不可能といわれた特選部隊を実現させ 見事結果を出した六課部隊長、八神はやて その手腕と行動力だけでも彼女が並の士官でない事を裏付けるものであろう 実際、問題は多々あったのだ ミッド地上部隊の実質上のトップ=レジアスゲイズとの思想、政策の違いから 地上と6課は事ある毎に衝突……なかなか良好な関係を築けなかった そして彼の悲劇、、 海に人員を悉く吸い上げられた事による地上近辺の治安の悪化 その果て無き憂いから、道を誤り非業の最期を遂げてしまった彼…… その弊害を戦力独占という形で、期せずして自分たちが演じてしまったという悲しいすれ違い この事実は、全てが終わり真実が明るみに出た後で八神はやてを傷心させるには十分過ぎるものだった 子供の甘い理想――かつて管理局の対応の遅さに業を煮やし 自分の手足となり、自由に動かせる部隊を作ろうと思い立った一人の少女は 後先や周りを鑑みない若年の先走りで、周囲に与えてしまった数々の非行に苦悩した… それでも、、彼女が突き進んだ事で救われた命があったのだ 手段を選ばず ありとあらゆるコネと人脈を総動員し 汚い裏技を駆使して 自分に向けられる批判をすべて覚悟の上で、、 元々、優秀なレアスキル持ちの彼女はその類稀なる力ゆえ 局内でも重宝され、能力自体は周りから高く評価されていた だがその一方で…… 彼女には決して消えない忌まわしき烙印があった ――― 闇の書 の八神はやて ……という、嫌悪と揶揄の存分に込められた二つ名 大勢の管理局員の命を奪い 多くの星を食い犯してきた滅びのロストロギア 消滅と転生を繰り返す、あの忌まわしき悪魔の書を受け継いだのが他ならぬ彼女、という事実が はやてを常に嫌悪と敬遠の視線に晒してきた 故にはやて自身も分かっていたのだろう 自分はどれだけ功績をあげようと決して空の英雄―― 今や、エースの中のエースとまで謳われる親友、高町なのはのような心からの喝采は得られないという事を そう、彼女は己を取り巻く環境、状況を全て理解していた そして………それでもいいと思っていた 自分は誰かの喝采が欲しくてこの道に入ったんじゃない あれを継ぐと決めた時から、その罪も罰も 一心に背負う覚悟はできていた…… それは、車椅子から解き放たれた少女が代わりに背負った重き十字架 悲壮な覚悟の元、苛烈な十年を送ってきた非力で儚げな少女は今や ちび狸と皮肉交じりに揶揄される程に、歴戦の古強者に一歩も譲らぬ したたかな士官に成長していたのだった そんなはやての元、集められた特殊部隊、、 平均年齢は有り得ぬほどに若く、単独作戦を行える特権を与えられた独立部隊としては極めて異例な存在 だがしかし経験不足を補って余りある若さゆえの力と しがらみに捕らわれぬ勢いと結束力を武器に一致団結して事に臨む姿勢、、 その絆はもはや、隊員全員が家族であるといっても過言ではないものであったのだ 闇の書の最期の主――八神はやて その苦しみと辛さ、、胸に秘めた思いと葛藤 それを真に理解する者は少ない―― だがどれほどに歪で悲しい道であろうとも…… 彼女の歩んできた足跡、そして蒔いてきた種は密やかに だが確かな力強さを持って、こうして芽吹いているのだった ―――――― 6課の隊長陣が行方不明になって二週間 地上本部のみならず、海にまで捜索範囲、協力依頼を広げた機動六課に対し 周囲の反応は意外なほどに協力的だった 現金なもので、目に見える大きな結果を出した今となってはこの部隊の利用価値は決して少なくない 今や管理局の正義をアピールするプロパガンダ――広告塔としての価値も大きい 借りを作っておこうと企む輩も多いのだった しかし既に月の半分を浪費しようとしているこの昨今 生え抜きのナビゲーターやエキスパート達が昼夜問わずに動いて それでもまるで手がかりなし はやての副官であるグリフィスやヴァイス陸曹長も奔走している中 割り振られた部屋でただ時間を潰すなど 消息を絶った隊長達と特に強い絆で結ばれたフォワード陣が我慢出来るはずもない 「スバル、アンタは部屋に戻ってなさい」 「そ、そんな……ティアはどうするの?」 「少し手伝ってくる、、なり立てのヒヨッコとはいっても執務官だからね 少しはコネや使える情報筋もあるのよ」 言って踵を返すランスター執務官 別々の道を行き、久方ぶりに再会した彼らであったが、、 「私にも何かやらせてよ!」 「いいから休んでなさい、、災害救助のエキスパートでしょアンタは 出動に備えて万全の体制を整えておくのも仕事のうちよ」 やはり四人の中では基本、このティアナがリーダー格となって場を仕切る雰囲気になる 身を乗り出すスバルに対して上手に手綱を握る彼女の構図 四人にとってもなつかしい空気であった 「ほら、アンタらも…」 未だ引っ込みのつかないスバルを諭しながらライトニングの二人にも休息を促すティアナ 確かに彼女やシャリオの言い分の方が今は正しい、、全面的に 「分かりました、、行こ……エリオ君」 今は少しでも体力を回復し、各々が次に繋がる行動を取るしかない 理屈では割り切れない部分を多々抱えながらも、四人はそこで別れ 沈んだ思いを胸に抱きながら自分の部屋へと帰っていくのだった ―――――― 「エリオ君…?」 「あ、、うん ごめんキャロ」 不安に沈む少年の顔を覗き見、心配そうな声をあげる少女 そう、6課解散後 僅か一年を隔てぬ期間ではあったが 少年が、少女が成長するのはとても早い 当時、子供であった二人もエリオの方は立派な体躯を持った竜騎士 キャロも僅かながらに女性の魅力を纏う大人の階段を登りつつあった しかしながらそれでも――家族の安否を気遣う心に年齢は関係ない 自分を気遣うキャロの視線に力なくも微笑みを返すエリオ スターズの二人と別れ、自分達の部屋に戻る二人は その境遇から、互いに兄妹同然の認識を持っていた そしてこの少年、少女を繋げたのは言うまでもなくフェイトテスタロッサハラオウン その生い立ちから辛い仕打ちを受け、心が砕ける寸前だった少年であった自分を その持って生まれた力から、部族から追放された自分を あの心優しき金髪の女性は優しく包み込み、自分の子供のように育ててくれた そして自らの道を見失わないように 強く羽ばたき飛ぶ力を授けてくれたのが高町なのは―― あの尊敬すべき教導官であったのだ 「エリオ君……今は、、」 「大丈夫 ティアナさん達の言うとおり… その時が来たら自分達に出来る事を精一杯しよう」 「………うん」 言うなればフェイトとなのはは二人にとって本当の母親であり、父親だった 大空を翔る白と金の閃光 常に自分たちを見守り、時には後押ししてくれた二人 平時は仲睦まじく寄り添う彼女達を少年少女は幻視する 二人は思う―― 高町なのはが太陽のような人だとしたら フェイトは月のような人だ、と ひっそりと、決してその存在を過度には主張せず しかし確実に優しい光を以って地面を照らし 地上に住まう人達を見守ってくれている 二人は思う―― そして信じている どんな困難に陥っていようとも…… あの二人が一緒にいる限り大丈夫だと きっとすぐに帰ってくる…… 白と黒の法衣を纏ったその肩を並べて 優しい笑顔を称えて、 ―― ただいま……心配かけたね ―― と言ってくれる、、 そんな場面をひたすらに――――少年少女は幻視する ―――――― 現実と虚実の狭間にて 全てが織り交ざるセカイ 高町なのはは謂わば太陽であり、その名に恥じぬ力を見せた 異世界の最強の英霊を向こうに回し、傷つき地に付しながらも一歩も引かずに戦った そして今―― 今度は月が戦わねばならない時が来る ただしそれは太陽のそれとは違い 誰にも知られず、誰にも主張せず、、誰にも称えられない――― まるで夜の帳にて 皆が寝静まった空を一人 煌々と照らし出すかのように それは誰知る事のない自分だけの戦いになるだろう 未だ陰を落とすフェイトの心の亀裂との闘い その幕開けは今 全てが閉鎖された空間にて 自分を慕ってくれる愛しい少年少女の思い届かぬ 無限の欲望の手の平の上にて――― 静かに始まるのだった ―――――― 暗い山道を走るダークメタリックのボディから 空気を震わせる排気音が勢い良く響き渡る 日本の峠道を走らせるには幅広のボディは しかしこの無人の世界においては些かも不自由を感じさせる事はない 「どうですか?」 「………ダメだな」 その車内においてステアリングを握る金の長髪の見目麗しき女性が何かを尋ね それに対して赤みがかったポニーテイルの凛々しい顔立ちの女性が耳に手を当て かぶりを振ってそれに答える 彼女らはあの機動6課の片翼を担うライトニング隊 その隊長のフェイトテスタロッサハラオウンと副隊長のシグナムその人である 「もう少しで県境だと思います、、通信の状態も少しはよくなるかも…」 気休めにもならない事を重々承知しているフェイトの言葉にはやはり力が無い 小さな声で、ここが海鳴市ならばの話ですが…と付け加えた 彼女達の所持する通信手段は安物のトランスレシーバーではないのだ そのデバイスと直通しているのは管理局の有する無線ネットワーク 少し離れた程度で電波が届かない、通信が繋がらないなど有り得ない 何か……そう、、何か決定的な欠損がなければ 局員同士の通信が途絶するなど天地が引っくり返っても起こりようが無い筈だ 重い空気に支配される車内 沈黙の中、規則正しいスキール音だけがその音を世界に刻む 「………安全運転だな」 通信の状態に耳を傍立てながら何の気なしに話題を振るシグナム 無機質で一見取っ付きにくそうな声だが、フェイトにとっては慣れた間である 「法を守る執務官が法廷速度を守らないわけには行きませんから…」 「それはそうだが、この速度はあまりにもやきもきしないか? 何といっても運転手はお前だ」 横目で、揺れる金髪の奥にある顔を見やるシグナム すると少し苦笑した感のある戦友の表情が見て取れた 「やきもきはしないのですが……免許を取る際、何回か注意されました その、、スピードを出しすぎだって」 「そうか……やはりな」 クク、と笑いを漏らすシグナムに照れくさそうな表情を作る執務官 その様子がとても可愛らしい 何せ6課最速のオールレンジアタッカーの異名を持つフェイトである トップスピードは最新鋭の戦闘機に匹敵する彼女にとって 時速20~30kmなど止まって見える世界であろう かたつむり以下の体感速度で走る乗用車に業を煮やして ついアクセルを踏み過ぎ、怒られる金髪少女の姿が思い浮かぶようだった 「まったく、相変わらずシグナムはフェイトを弄るのが好きだなぁ…」 その騎士の肩上から、フェイトでもシグナムでもない第三者の声が響く 見ると二人より……否、人間の寸法よりも遥かに小さい まるで小人のような、悪魔が背に背負っているかの如き黒い翼を 元気にはためかせた女の子がいた 彼女の名前は「剣精」アギト―― 古代ベルカより残っている純粋な融合機にして 騎士の戦闘力を飛躍的にアップさせる融合型デバイスである少女である かつては機動6課の敵であったゼストグランガイツのデバイスであった彼女は その彼の遺言とも言うべき言葉によって目の前の騎士、シグナムに受け継がれ 今や自身の意志で彼女をロードと認める、機動6課の立派な一員であった 「も、弄ばれてるんですか…? 私は」 「ただのコミュニケーションだ、気にするな」 「ひっでーゴマカしたよ! あはははっ!!」 暗く沈みがちな状況でも、こうした陽気な性格の持ち主がいると随分と違うものだ 少ない言葉を交わしながら探索を続ける二人+一体 光の届かぬ山道を走り続ける車は県境と思われる場所を抜け 上り坂続きだった道も、勾配のある下りへと変わっていく 重心が傾き、下腹を持ち上げられる感覚は シートベルトによって肩と胸を締め付けられる感覚によって相殺される 小高い山道を折り返し、あとは道なりに進むだけで 恐らくは10分と掛からぬうちに視界は開け、隣の県の入り口に差し掛かるだろう そんな時だった―――― 「「……………!」」 車内の空気 否、中の二人を纏う空気が一変する 「………? シグナム? ……フェイト?」 アギトが、その二人の様子が変わった事に驚き おずおずと言葉をかける だが二人は答えない 答えないままに――その鋭敏な感覚を研ぎ澄ませ、、 今、確かに感じた違和感に対し意識を傾ける そう、ただでさえ無人の空間 人の営む様々な音も喧騒も無いこの世界 しかも空気の澄んだ一本道の山道 その空気が震えて音となり 二人の耳に届くのに―― さして時間はかからなかった 今、確かにフェイトの車のエンジンボックスから紡ぎ出す排気音とは異なる音が二人の耳を捉えた それは言うなれば、よく真夜中の峠やサーキットで聞くようなタイヤの軋む音 ギャリギャリ、という耳障りな騒音に酷似しており 数多くの任務によって鍛えられた二人の鼓膜が容易くソレを捉えたのも自然な流れであったのだ 「後ろからですね…」 「念のためだ、少し速度を上げた方がいいな」 転送されてよりこっち、未だ誰にも出会わずに来た二人である それがこの人里離れた山道で、突然に現れる人影…… まだ自分らを追走してきたのだとは限らない 限らないが、、それでも一抹の不吉を感じずにはいられないフェイトとシグナム 「普通の乗用車ですか? それともボックスタイプ…」 「いや、よく見えん」 もしこちらに悪意ある者だとしたら、予め人数や規模を計る事が重要 咄嗟に問いかけたフェイトの言葉は既にその緊張―― 襲撃の可能性を多分に含んだものだった 現在、速度は40km弱をキープ こんな峠道、それも下りを走るには些か速度超過気味であり きついヘアピンを抜ける度、ギシギシと車体が揺れて体が流される感覚に囚われる そして―――その異なる音は、、 明らかにこちらの速度を上回るスピードで追随してきていたのだ ギャリギャリ、ギャリギャリ、、 タイヤの擦れる音がだんだんと大きくなっていく こういった峠道には所謂レースの真似事をして 公道をサーキットに見立てて暴走する輩がいる事は知っている、、 だがこのタイミングで、後ろから追走する影が ただの通りすがりのレーシング好き(所謂走り屋)だと断ずるほど二人は暢気ではない 「車? ……バイク?」 「いや、、、」 だがフェイトはここに来てまたも違和感―― その車輪が道路の接地面を滑る激しい音に反して 「それに付随するもの」が全くない事に対する、、 えもいわれぬ違和感を感じていた (………静か過ぎる) そう、モーターとガソリンによって動く自動車 その醸し出すエキゾースト―― 激しく回転し、排気ガスを吐き出すエンジンの咆哮が その後ろからは全く聞こえないのだ 「………?」 そして隣に座る、頼るべき騎士の様子が一変した事―― 横目でチラっと見た騎士の顔がはっきりと強張り その目が見張られるのが分かった 「シグナム…?」 相棒の、密かに息を呑む様子を見逃す執務官ではない その様相の変化に声をかけるフェイト それを受けて、、ゆっくりと息を吐くように―― 「――――――自転車だ」 自分達を猛追してきた影の正体―― 「……………は?」 「追走してきているのは―――自転車だと言った」 まるでモトクロスよろしく バンプした峠道の段差をゆうゆうと飛び越えて宙に舞いながら 貧弱な車輪と人力のペダルを伴った乗り物で猛追する姿を今、、 騎士の双眸がはっきりと認めたのだ――― 「ええっ!???」 フェイトが素っ頓狂な声を上げる シグナムの顔と速度計を交互に見やりながらステアリングに悪戦苦闘する執務官 メーターを繰り返し凝視するフェイトの目に映る数値はどう見積もっても……40~50kmは軽く出ている 決して全速というわけではないが、自転車に煽られるようなスピードでは絶対にない 「マジかよ……おい」 アギトも驚きの声をあげる そしてフェイト自身も、次々と接近してくるコーナーを丁寧にクリアしながら 今やミラー越しに確実に見え隠れする影を凝視し、、その事実を……… 果てしない驚きと共に受け入れざるを得なかった 「気をつけろ……どうやらまともな相手ではないようだ」 「そ、それはもう、、、ええ」 些か動揺の残る戦友を嗜め、後部に目をやる騎士 黒い鉄の箱と、後方から迫る軽装の二輪がなだらかなS字を抜け直線に突入した途端 影はまるでジェット噴射でもついているかのように加速を開始 みるみるうちに接近してきたのだ 「!! ちっ!?」 まさか、あそこから更に速度が上がるなどと思えるはずがない 舌打ちするシグナムだったが、、遅い ついにその影とフェイトのクルマが並んだ 助手席側に並走してくる人力の二輪 それを狩る謎の怪人と今、初めて至近で目が合い―― 「えっ!?」 「……!」 その、二重に意外な事実に驚きの声を上げる二人、、、いや… 「な、何で……!?」 それに小さな少女の吐き出すような声が重なる 三者の驚愕の理由―― まずはこんな有り得ない速度で追走してくる自転車の操車が 一般人の胴回りほどもある太股を有する競輪選手のような、筋骨隆々とした男性――ではなく、 美しい髪とスラリと伸びた華奢な手足を車体に絡ませ その魅力を存分に感じさせる腰をサドルに任せている女性であった事 そして――― (ルー、、テシア…?) その容貌が、かつてJS事件で出会った一人の少女 ジェイルスカリエッティにその身を利用され、アギトと一緒に行動を共にしていた 一人の召喚師の面影を持った女性だったからだ 彼女には母親がいると聞いたが、目の前の女性はそれにしては若い… ともあれその紫の髪をはためかせ、両のサドルを蹴りつけて舞うモトクロスライダーの姿は異様としか言いようが無い そしてそんな事よりも遥かに異様で、ルーテシアやその母親とは違う決定的な点 それはその顔の大半を覆い、表情を隠している眼帯の存在だった あれでは完全に視界が閉ざされてしまう 一体どうやってこのきついカーブの多い山道を全力疾走で抜けてきたというのか、、 多大な疑問を抱かせる光景だった そして、後部に付かれている時は死角になっていて分からなかった新たなる事実 その更なる事態に、もはや驚きの表情を隠そうともしないフェイトとシグナム&アギト 疾走する自転車の助手席にもう一つ、人影があったのだ そう、風を切り弾丸のように疾走する華奢な女性の狩る自転車は 一定速を出した車に難なく追いついてきたその二輪は、、、 あろう事か二人乗り… 後部席の人影は男だった 全身を蒼で統一したスーツに身を包んだ、一見素朴で粗野な出で立ちは しかしその精悍で猛々しい相貌、その身に纏う空気が装飾品となり全く貧相さを感じさせない そしてその右肩に担いだ細い棒のようなナニカ―― 物干し竿のような長物が、この場にて得も知れぬ存在感を誇示し異彩を放っていた 「よう」 だが、緊迫した場にあげられた声は 取り巻く空気に全く似つかわしくない、ある種の陽気な響きさえ含んでいた 歴戦の勇者であるライトニング隊の二人がどう答えてよいか分からぬほどに それは開けっぴろげで馴れ馴れしい、、 まるで見知った友人に話しかけるかのような初顔合わせの挨拶であったのだ だが、、、そんな事はどうでもよかった この男にとっては恐らく、初めましての挨拶が陽気なものであろうが険悪な響きを持たせようが 礼儀に悖ったものだろうが何でもよかったのだろう 「さっそくで悪いが――」 何故なら男が駆け抜けてきたその生涯は剣舞い、槍踊る戦場 言葉など、、、何の意味も持たないセカイだったのだから 「死んでくれや」 サイドバイサイドで並び疾走する大型のクーペと二輪 紫の女の後部にて、その宙舞う矢の様な激走に全くバランスを崩すことなく 男は構えた――その肩に担がれた細い棒 否、、、血の様な光沢を放つ真紅の槍を… 「!! 貴様ッッッ!!」 ハンドルを握る手が強張るフェイト 助手席のシグナムが怒号を上げる だがその二人が行動に移す、それよりも遥かに速く 頬を打つ風が後ろで縛った蒼い髪を揺らす中 まるで紅き春雷を思わせる閃光の如く放たれた槍が、、 ポニーテイルの騎士の座す助手席のウィンドガラスに 深々と叩き込まれていたのだった ―――――― 並走するは3Lを勇に超える排気量を叩き出す黒いボディと、、自転車 まるで馬と戦車を並べた不釣合いな電撃戦 ともあれ二者は出会い、今まさにその刃を晒し 戦闘の火蓋を切った 先に仕掛けたのは貧弱な馬にその身を預けるカウボーイ&ガール 手に持つ得物で巨大な猛牛を連想させる黒きボディの横っ腹に鋭敏な刃を突き入れる クルマがその車体を大きく揺らし、四つのタイヤが軋みを上げて横滑りする 安定した四輪がこのような挙動を見せるのは即ち 操車であるドライバーのステアリングが乱れた証拠だ 濁走するメタリックボディ その車内にて――真っ赤な鮮血が飛び散った 「シ、シグナムぅッッ!」 アギトが悲鳴に近い声を上げる このデバイスのロードである騎士の肩口から 下げたシートベルトが切断され はらりと騎士の腿の部分に落ちる その肩から下――― 鎖骨の辺りから噴き出す赤い液体を認め 金髪の魔道士の顔も青ざめる 「………大丈夫だ」 だが、ややもして何事もなかったかのような声を返すベルカの騎士 その懐から抜かれているのは彼女の愛剣レヴァンティン 狭い車内、しかもシートベルトに身を拘束されていながら この卓越した腕を持つ女剣士は横から突き入れられた稲妻のような槍の軌道を見事、逸らしていたのだ 「………少しへコますかも知れんぞ」 「え?」 ボソっと呟いた騎士の言葉 その後、間髪を入れずに轟くボコン!!!!!、という 大きな鈍い音にフェイトが息を呑む それはサイドドアに刺さった槍を持つ男と そして人力二輪を繰る女の二名をそのまま ドア越しに勢い良く蹴り飛ばし、引き剥がした音だった 「うおっ!?」 声を上げる男と共に 大きく弾き飛ばされた女の乗る自転車が みるみるうちに後方へと置き去りにされていく ロックを外し、開け放たれたドアから吹き込む風が金とピンクの髪を揺らすのも一瞬 騎士の伸ばした腕がドアの取っ手を引き付け 助手席のドアは間を置かずに閉められた 「すまんな、、手荒に扱った」 「い、いえ……」 短い謝罪の言葉に、受け答えするフェイトの声は些か固い 不自然に上ずった声は動揺の現れであろう 自分の所持物をおろそかにする所など想像も出来ないこの執務官 不可抗力とはいえ、流石に申し訳ない気分になる将であった だがシグナムは実はそれどころではない 容易く斬り払ったように見えたあの一撃、、 内心、その全身に寒い汗をかかずにはいられない凄まじい一突きだった 人体において、胸骨と胸筋に守られている正面からより わきの下から縫い入れられるように突いた方が効率よく貫けるものがある それは―――心臓 あの敵は間違いなく、側面から数分違わず心臓を狙ってきた それも自分だけではない 隣にいるパートナーをも一度に串刺しにする軌道でだ 反応が少しでも遅れていれば自分とフェイト、二人まとめて仕留められていたのは間違いなかった ドア越しで、更に姿勢を取ることすら難しい自転車の後部席から あの相手は数分狂わぬ切っ先をこちらに向けてきたのだ 「そのままガードレール沿いに走れ」 「え? でも、、」 「いいから言うとおりにしろ、絶対にそちら側を空けるなよ…」 そしてもう一つの僥倖―― もし先ほど運転席側に回られて一撃を繰り出されていたら ステアリングで両手が塞がってるフェイトは為す術もなかったはずだ この友が無残に突き殺される様を想像し、唇を噛むシグナム 女剣士の表情にはそんな事は絶対にさせない、という固い意志が見て取れる だが、この狭くて小回りの効かない車内で あの凄まじい一撃をもう一度防げる保障はどこにもない 何とか助手席から飛び出し、戦闘体勢を整えたいシグナムだったのだが、、 (―――駄目か…) 後方に追随する謎の敵は 先ほど思いっきり蹴り剥がしたにも関わらず転倒もせずにこちらに追随してくる 何という敵だろう、、 初邂逅からこっち、その異常性に得体の知れない危機を感じずにはいられない騎士と魔道士であった とにかく今飛び出すのはよろしくない 顔を出した途端、あの槍で狙い撃ちにされるのは確実だ 空戦の基本―― 空を主戦場にする者は、離陸時が一番危ない事を肝に命じるべし 速度も乗らず、戦闘態勢も整わぬ柔らかい腹を敵に無様に晒すことなかれ 教導の基本を思い出す二人 「先に出る、、どうにかしてあれを引き離せないか?」 「……やってみます」 フェイトの右足が愛車のアクセルを思いっきり踏み込む こんな緊急事態において、今更法廷速度がどうのだの言ってる場合ではない アクセルを全開にした事によって加速度的に上がるエンジンの回転数 それによって叩き出される馬力は凄まじく 例え相手が競輪選手並の脚力を持っていたとしても―― みるみるうちにその差が開いていくのは当然の事である 「おいおい、差が開いてんぞ…… 大丈夫か? チンタラやってねえで次で刺せよ」 「―――」 しかし今、、フェイトに誤算があるとすれば二つ それはここが峠の下りだという事 そこはつるべのように続くヘアピンやS字カーブが続くコーナーの坩堝 3000cc以上の大排気量を最大限に発揮出来る地点などなく 踏み抜いたアクセルにより加速を続けるフェイトの車がこのままの速度を維持していては 崖下にまっ逆さまに落ちるのは自明の理である すぐ間近に迫るヘアピンカーブに減速を余儀なくされる黒い鉄の塊 そして、下りゆえに車体同士のパワー差は著しく縮まるというセオリー、、 もう一つの誤算は――― 自転車を繰る女の脚力が、 競輪選手など問題にもならない人知を超えたものであったという事だ 女の隠された両の瞳には今やはっきりと 相手のクルマの減速を表す点灯したブレーキランプが見てとれた ここが相手を刺す絶好のポイントである事は槍の男に言われずとも分かっている この紫紺の女怪が「騎兵」の名を持つ英霊であるが故に 走りにおいて勝負所を見誤る女ではない
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「―――――トレース出来ないって……」 第97管理外世界、地球 その遥か上空 青く美しい人類の故郷たるこの星の、大気圏を隔てた宙空 それを見下ろす形で待機していた現機動6課の旗艦――巡洋艦クラウディア 「どういう事ですか!?」 そのブリッジ内にまだ少女といっても良い女性の声が響き渡る だが、、大音量で荒げた声を気に留める者はいない 見ればその周囲 コンソロールに向かうオペレーターその他諸々が ハチの巣を突付いたような大騒ぎとなっている 騒然と動き回る局員達の表情を見れば 何かとてつもない不測の事態が起こった事は容易に想像できた 「反応がないの、、」 それを受けて答えたのは前のに比べれば幾分落ち着きの見て取れる声 眼鏡をかけた理知的な女性から発せられた言葉だった しかし、その彼女もまた口調の裏にある微かな震えを抑えられなかった 内心の動揺を隠しきれない様相で、目の下には深い隈が刻まれている 「あの星はおろか、、、この宙域全般に――――」 そして一言一言紡ぐように…… ―――― なのはさん達の生体反応を認められない… ―――― 眼鏡の女性、シャリオ=フェニーノから告げられた言葉は 現任務を一通り終え、後発組として到着した元機動6課フォワード陣、、 スバルナカジマ、ティアナランスター、エリオモンディアル、キャロルルシエ―― 入隊当初は甘さの抜けない新人であったこの四人も 幾多の任務、経験を経て今や一人前の局員として成長していたが、、 その彼らをして、絶望のどん底に突き落とすに余りあるものだった 高町なのはを初めとした6課中核を担う隊長陣が行方不明…… 隊が解散する事が決まった、あの時の最後の模擬戦 己の全てをぶつけ、全部を受け止めてくれた強くて偉大な先輩たち あの綺麗に咲き誇った桜の下で、いつかまたこのメンバーが集える日が来ますようにと―― 頬を伝う涙の元に誓った そして今回、期せずして早く訪れた再開の機会 スカリエッティの脱走という緊迫した状況ではあったが 不謹慎なのは百も承知で、そこに嬉々とした感情が、、 かつて教えを乞うた、あの素晴らしい先輩達とまた一緒の任務に就ける… 自分の成長した姿を見て貰いたい… 四人にはそんな思いが少なからずあった筈だ それがまさか………こんな事になるなんて、、 「ちょっと落ち着きなさい、スバル」 興奮気味の相棒を嗜めたのはツインテールの髪を束ねた少女、ティアナランスターである あのエースオブエース高町なのはの直指導を受け、フェイトテスタロッサハラオウンの元で経験を積んだ この努力のサラブレッドは今や誰もが認める立派な執務官である 「で、でも…」 言いよどむスバルだったが この目の前の元パートナーの不安や心配もまた自分に勝るとも劣らないだろう事は明白だった 揺れる心を鉄の意志で抑え、おくびにも出さない親友の顔は スバルにそれ以上、無様にうろたえてはいけないと悟らせるに十分な貫禄を放っていた 第一この事態は、目の前のシャーリーに猛りをぶつけても何も解決しないのだ 「状況を聞かせて貰えますか? 通信や交信記録とか…」 「何も無いの……何も、、 異常を感じてから二週間、あらゆる空間、次元軸をサーチしたけど痕跡、足跡を全く見つけられない…… まるでこの世界そのものから存在ごと消えてしまったとしか思えないのよ、、」 エリオがシャーリーに問い正すも 返ってきたのは絶望的な答えだった ブリッジに重苦しい雰囲気が流れる これは事実上の遭難だ… あの不沈のトップエース達が、奇跡の部隊=機動6課の主力部隊が 任務着手を前にして忽然と姿を消すなど、、 「6課の柱にしてニアSランク魔道士がこぞって行方不明…これはもう私たちだけでどうにかなる問題じゃない 今、クロノ艦長やカリム理事官……アコーズ査察官や無限書庫のユーノ司書長も動いてくれてる」 シャリオの口調も、そしてブリッジで動くスタッフ達の様子も重々しい 見れば明らかに疲労の色が濃く現れ、覇気もなくただ手を動かしているだけの者もいる それはこの二週間、あの手この手を駆使して駆け回り―― その全てが水泡に帰した絶望感がありありと見て取れる光景だったのだ 「とにかく私達に出来る事はありますか?」 重苦しい空気の中、ここに来て真っ先に前向きな姿勢を見せたのは フォワード陣の中で最も幼いキャロルルシエだった 「まずは休んで体力を温存しておいて頂戴…… そんな気分じゃないのは分かるけど、、 イザという時、真っ先になのはさん達の下に駆けつけられるように」 「…………」 だが、、言うまでもない 出動部隊である自分達に、この事態に対処する術など初めからある筈もない ここはオペレーター、そしてその道のエキスパートである者たちに任せるしかなく そして、それでもまるで光明を見出せない現状なのは明らか 暗雲立ち込める艦橋の中で ある者は唇を噛み締め、ある者は虚空に目を泳がせ 呆然と立ち尽くすしか術を持たなかったのである ―――――― 機動6課 ミッド地上における未曾有の危機―― JS事件と呼ばれる大規模テロを迅速かつ、被害を最小限に抑えて解決に導いた通称 「奇跡の部隊」 局始まって以来のスペシャルフォースと呼ばれているその所以は 何も戦闘力に特化した魔道士、騎士が揃い踏みであるという事だけが理由ではない オペレーター、サポート陣に至るまであらゆる分野の優秀な人材を揃え 物資や機材の質、量の充実は言うに及ばず 出資者、後見人に至るまで多岐に渡るスペシャリストが一同に会した集団 それが八神はやての提唱した夢の部隊――機動6課の全容なのだ もっともドリームチームと呼べば聞こえは良いが、、 構想段階ではまさに夢物語以外の何者でもなく 発足当時は外見上の華々しさとは裏腹に、当然のように水面下での誹謗、中傷が絶えなかった ―――お友達感覚で寄り集まったお遊び部隊 ―――貴重な戦力を強引な手法で、無駄に一箇所に集中するなど愚かの極みだ ―――キャリアを鼻にかけた小娘の越権行為 、、等等 お偉方の辛辣な意見は後を絶たなかったという だがその因習を跳ね返し、不可能といわれた特選部隊を実現させ 見事結果を出した六課部隊長、八神はやて その手腕と行動力だけでも彼女が並の士官でない事を裏付けるものであろう 実際、問題は多々あったのだ ミッド地上部隊の実質上のトップ=レジアスゲイズとの思想、政策の違いから 地上と6課は事ある毎に衝突……なかなか良好な関係を築けなかった そして彼の悲劇、、 海に人員を悉く吸い上げられた事による地上近辺の治安の悪化 その果て無き憂いから、道を誤り非業の最期を遂げてしまった彼…… その弊害を戦力独占という形で、期せずして自分たちが演じてしまったという悲しいすれ違い この事実は、全てが終わり真実が明るみに出た後で八神はやてを傷心させるには十分過ぎるものだった 子供の甘い理想――かつて管理局の対応の遅さに業を煮やし 自分の手足となり、自由に動かせる部隊を作ろうと思い立った一人の少女は 後先や周りを鑑みない若年の先走りで、周囲に与えてしまった数々の非行に苦悩した… それでも、、彼女が突き進んだ事で救われた命があったのだ 手段を選ばず ありとあらゆるコネと人脈を総動員し 汚い裏技を駆使して 自分に向けられる批判をすべて覚悟の上で、、 元々、優秀なレアスキル持ちの彼女はその類稀なる力ゆえ 局内でも重宝され、能力自体は周りから高く評価されていた だがその一方で…… 彼女には決して消えない忌まわしき烙印があった ――― 闇の書 の八神はやて ……という、嫌悪と揶揄の存分に込められた二つ名 大勢の管理局員の命を奪い 多くの星を食い犯してきた滅びのロストロギア 消滅と転生を繰り返す、あの忌まわしき悪魔の書を受け継いだのが他ならぬ彼女、という事実が はやてを常に嫌悪と敬遠の視線に晒してきた 故にはやて自身も分かっていたのだろう 自分はどれだけ功績をあげようと決して空の英雄―― 今や、エースの中のエースとまで謳われる親友、高町なのはのような心からの喝采は得られないという事を そう、彼女は己を取り巻く環境、状況を全て理解していた そして………それでもいいと思っていた 自分は誰かの喝采が欲しくてこの道に入ったんじゃない あれを継ぐと決めた時から、その罪も罰も 一心に背負う覚悟はできていた…… それは、車椅子から解き放たれた少女が代わりに背負った重き十字架 悲壮な覚悟の元、苛烈な十年を送ってきた非力で儚げな少女は今や ちび狸と皮肉交じりに揶揄される程に、歴戦の古強者に一歩も譲らぬ したたかな士官に成長していたのだった そんなはやての元、集められた特殊部隊、、 平均年齢は有り得ぬほどに若く、単独作戦を行える特権を与えられた独立部隊としては極めて異例な存在 だがしかし経験不足を補って余りある若さゆえの力と しがらみに捕らわれぬ勢いと結束力を武器に一致団結して事に臨む姿勢、、 その絆はもはや、隊員全員が家族であるといっても過言ではないものであったのだ 闇の書の最期の主――八神はやて その苦しみと辛さ、、胸に秘めた思いと葛藤 それを真に理解する者は少ない―― だがどれほどに歪で悲しい道であろうとも…… 彼女の歩んできた足跡、そして蒔いてきた種は密やかに だが確かな力強さを持って、こうして芽吹いているのだった ―――――― 6課の隊長陣が行方不明になって二週間 地上本部のみならず、海にまで捜索範囲、協力依頼を広げた機動六課に対し 周囲の反応は意外なほどに協力的だった 現金なもので、目に見える大きな結果を出した今となってはこの部隊の利用価値は決して少なくない 今や管理局の正義をアピールするプロパガンダ――広告塔としての価値も大きい 借りを作っておこうと企む輩も多いのだった しかし既に月の半分を浪費しようとしているこの昨今 生え抜きのナビゲーターやエキスパート達が昼夜問わずに動いて それでもまるで手がかりなし はやての副官であるグリフィスやヴァイス陸曹長も奔走している中 割り振られた部屋でただ時間を潰すなど 消息を絶った隊長達と特に強い絆で結ばれたフォワード陣が我慢出来るはずもない 「スバル、アンタは部屋に戻ってなさい」 「そ、そんな……ティアはどうするの?」 「少し手伝ってくる、、なり立てのヒヨッコとはいっても執務官だからね 少しはコネや使える情報筋もあるのよ」 言って踵を返すランスター執務官 別々の道を行き、久方ぶりに再会した彼らであったが、、 「私にも何かやらせてよ!」 「いいから休んでなさい、、災害救助のエキスパートでしょアンタは 出動に備えて万全の体制を整えておくのも仕事のうちよ」 やはり四人の中では基本、このティアナがリーダー格となって場を仕切る雰囲気になる 身を乗り出すスバルに対して上手に手綱を握る彼女の構図 四人にとってもなつかしい空気であった 「ほら、アンタらも…」 未だ引っ込みのつかないスバルを諭しながらライトニングの二人にも休息を促すティアナ 確かに彼女やシャリオの言い分の方が今は正しい、、全面的に 「分かりました、、行こ……エリオ君」 今は少しでも体力を回復し、各々が次に繋がる行動を取るしかない 理屈では割り切れない部分を多々抱えながらも、四人はそこで別れ 沈んだ思いを胸に抱きながら自分の部屋へと帰っていくのだった ―――――― 「エリオ君…?」 「あ、、うん ごめんキャロ」 不安に沈む少年の顔を覗き見、心配そうな声をあげる少女 そう、6課解散後 僅か一年を隔てぬ期間ではあったが 少年が、少女が成長するのはとても早い 当時、子供であった二人もエリオの方は立派な体躯を持った竜騎士 キャロも僅かながらに女性の魅力を纏う大人の階段を登りつつあった しかしながらそれでも――家族の安否を気遣う心に年齢は関係ない 自分を気遣うキャロの視線に力なくも微笑みを返すエリオ スターズの二人と別れ、自分達の部屋に戻る二人は その境遇から、互いに兄妹同然の認識を持っていた そしてこの少年、少女を繋げたのは言うまでもなくフェイトテスタロッサハラオウン その生い立ちから辛い仕打ちを受け、心が砕ける寸前だった少年であった自分を その持って生まれた力から、部族から追放された自分を あの心優しき金髪の女性は優しく包み込み、自分の子供のように育ててくれた そして自らの道を見失わないように 強く羽ばたき飛ぶ力を授けてくれたのが高町なのは―― あの尊敬すべき教導官であったのだ 「エリオ君……今は、、」 「大丈夫 ティアナさん達の言うとおり… その時が来たら自分達に出来る事を精一杯しよう」 「………うん」 言うなればフェイトとなのはは二人にとって本当の母親であり、父親だった 大空を翔る白と金の閃光 常に自分たちを見守り、時には後押ししてくれた二人 平時は仲睦まじく寄り添う彼女達を少年少女は幻視する 二人は思う―― 高町なのはが太陽のような人だとしたら フェイトは月のような人だ、と ひっそりと、決してその存在を過度には主張せず しかし確実に優しい光を以って地面を照らし 地上に住まう人達を見守ってくれている 二人は思う―― そして信じている どんな困難に陥っていようとも…… あの二人が一緒にいる限り大丈夫だと きっとすぐに帰ってくる…… 白と黒の法衣を纏ったその肩を並べて 優しい笑顔を称えて、 ―― ただいま……心配かけたね ―― と言ってくれる、、 そんな場面をひたすらに――――少年少女は幻視する ―――――― 現実と虚実の狭間にて 全てが織り交ざるセカイ 高町なのはは謂わば太陽であり、その名に恥じぬ力を見せた 異世界の最強の英霊を向こうに回し、傷つき地に付しながらも一歩も引かずに戦った そして今―― 今度は月が戦わねばならない時が来る ただしそれは太陽のそれとは違い 誰にも知られず、誰にも主張せず、、誰にも称えられない――― まるで夜の帳にて 皆が寝静まった空を一人 煌々と照らし出すかのように それは誰知る事のない自分だけの戦いになるだろう 未だ陰を落とすフェイトの心の亀裂との闘い その幕開けは今 全てが閉鎖された空間にて 自分を慕ってくれる愛しい少年少女の思い届かぬ 無限の欲望の手の平の上にて――― 静かに始まるのだった ―――――― 暗い山道を走るダークメタリックのボディから 空気を震わせる排気音が勢い良く響き渡る 日本の峠道を走らせるには幅広のボディは しかしこの無人の世界においては些かも不自由を感じさせる事はない 「どうですか?」 「………ダメだな」 その車内においてステアリングを握る金の長髪の見目麗しき女性が何かを尋ね それに対して赤みがかったポニーテイルの凛々しい顔立ちの女性が耳に手を当て かぶりを振ってそれに答える 彼女らはあの機動6課の片翼を担うライトニング隊 その隊長のフェイトテスタロッサハラオウンと副隊長のシグナムその人である 「もう少しで県境だと思います、、通信の状態も少しはよくなるかも…」 気休めにもならない事を重々承知しているフェイトの言葉にはやはり力が無い 小さな声で、ここが海鳴市ならばの話ですが…と付け加えた 彼女達の所持する通信手段は安物のトランスレシーバーではないのだ そのデバイスと直通しているのは管理局の有する無線ネットワーク 少し離れた程度で電波が届かない、通信が繋がらないなど有り得ない 何か……そう、、何か決定的な欠損がなければ 局員同士の通信が途絶するなど天地が引っくり返っても起こりようが無い筈だ 重い空気に支配される車内 沈黙の中、規則正しいスキール音だけがその音を世界に刻む 「………安全運転だな」 通信の状態に耳を傍立てながら何の気なしに話題を振るシグナム 無機質で一見取っ付きにくそうな声だが、フェイトにとっては慣れた間である 「法を守る執務官が法廷速度を守らないわけには行きませんから…」 「それはそうだが、この速度はあまりにもやきもきしないか? 何といっても運転手はお前だ」 横目で、揺れる金髪の奥にある顔を見やるシグナム すると少し苦笑した感のある戦友の表情が見て取れた 「やきもきはしないのですが……免許を取る際、何回か注意されました その、、スピードを出しすぎだって」 「そうか……やはりな」 クク、と笑いを漏らすシグナムに照れくさそうな表情を作る執務官 その様子がとても可愛らしい 何せ6課最速のオールレンジアタッカーの異名を持つフェイトである トップスピードは最新鋭の戦闘機に匹敵する彼女にとって 時速20~30kmなど止まって見える世界であろう かたつむり以下の体感速度で走る乗用車に業を煮やして ついアクセルを踏み過ぎ、怒られる金髪少女の姿が思い浮かぶようだった 「まったく、相変わらずシグナムはフェイトを弄るのが好きだなぁ…」 その騎士の肩上から、フェイトでもシグナムでもない第三者の声が響く 見ると二人より……否、人間の寸法よりも遥かに小さい まるで小人のような、悪魔が背に背負っているかの如き黒い翼を 元気にはためかせた女の子がいた 彼女の名前は「剣精」アギト―― 古代ベルカより残っている純粋な融合機にして 騎士の戦闘力を飛躍的にアップさせる融合型デバイスである少女である かつては機動6課の敵であったゼストグランガイツのデバイスであった彼女は その彼の遺言とも言うべき言葉によって目の前の騎士、シグナムに受け継がれ 今や自身の意志で彼女をロードと認める、機動6課の立派な一員であった 「も、弄ばれてるんですか…? 私は」 「ただのコミュニケーションだ、気にするな」 「ひっでーゴマカしたよ! あはははっ!!」 暗く沈みがちな状況でも、こうした陽気な性格の持ち主がいると随分と違うものだ 少ない言葉を交わしながら探索を続ける二人+一体 光の届かぬ山道を走り続ける車は県境と思われる場所を抜け 上り坂続きだった道も、勾配のある下りへと変わっていく 重心が傾き、下腹を持ち上げられる感覚は シートベルトによって肩と胸を締め付けられる感覚によって相殺される 小高い山道を折り返し、あとは道なりに進むだけで 恐らくは10分と掛からぬうちに視界は開け、隣の県の入り口に差し掛かるだろう そんな時だった―――― 「「……………!」」 車内の空気 否、中の二人を纏う空気が一変する 「………? シグナム? ……フェイト?」 アギトが、その二人の様子が変わった事に驚き おずおずと言葉をかける だが二人は答えない 答えないままに――その鋭敏な感覚を研ぎ澄ませ、、 今、確かに感じた違和感に対し意識を傾ける そう、ただでさえ無人の空間 人の営む様々な音も喧騒も無いこの世界 しかも空気の澄んだ一本道の山道 その空気が震えて音となり 二人の耳に届くのに―― さして時間はかからなかった 今、確かにフェイトの車のエンジンボックスから紡ぎ出す排気音とは異なる音が二人の耳を捉えた それは言うなれば、よく真夜中の峠やサーキットで聞くようなタイヤの軋む音 ギャリギャリ、という耳障りな騒音に酷似しており 数多くの任務によって鍛えられた二人の鼓膜が容易くソレを捉えたのも自然な流れであったのだ 「後ろからですね…」 「念のためだ、少し速度を上げた方がいいな」 転送されてよりこっち、未だ誰にも出会わずに来た二人である それがこの人里離れた山道で、突然に現れる人影…… まだ自分らを追走してきたのだとは限らない 限らないが、、それでも一抹の不吉を感じずにはいられないフェイトとシグナム 「普通の乗用車ですか? それともボックスタイプ…」 「いや、よく見えん」 もしこちらに悪意ある者だとしたら、予め人数や規模を計る事が重要 咄嗟に問いかけたフェイトの言葉は既にその緊張―― 襲撃の可能性を多分に含んだものだった 現在、速度は40km弱をキープ こんな峠道、それも下りを走るには些か速度超過気味であり きついヘアピンを抜ける度、ギシギシと車体が揺れて体が流される感覚に囚われる そして―――その異なる音は、、 明らかにこちらの速度を上回るスピードで追随してきていたのだ ギャリギャリ、ギャリギャリ、、 タイヤの擦れる音がだんだんと大きくなっていく こういった峠道には所謂レースの真似事をして 公道をサーキットに見立てて暴走する輩がいる事は知っている、、 だがこのタイミングで、後ろから追走する影が ただの通りすがりのレーシング好き(所謂走り屋)だと断ずるほど二人は暢気ではない 「車? ……バイク?」 「いや、、、」 だがフェイトはここに来てまたも違和感―― その車輪が道路の接地面を滑る激しい音に反して 「それに付随するもの」が全くない事に対する、、 えもいわれぬ違和感を感じていた (………静か過ぎる) そう、モーターとガソリンによって動く自動車 その醸し出すエキゾースト―― 激しく回転し、排気ガスを吐き出すエンジンの咆哮が その後ろからは全く聞こえないのだ 「………?」 そして隣に座る、頼るべき騎士の様子が一変した事―― 横目でチラっと見た騎士の顔がはっきりと強張り その目が見張られるのが分かった 「シグナム…?」 相棒の、密かに息を呑む様子を見逃す執務官ではない その様相の変化に声をかけるフェイト それを受けて、、ゆっくりと息を吐くように―― 「――――――自転車だ」 自分達を猛追してきた影の正体―― 「……………は?」 「追走してきているのは―――自転車だと言った」 まるでモトクロスよろしく バンプした峠道の段差をゆうゆうと飛び越えて宙に舞いながら 貧弱な車輪と人力のペダルを伴った乗り物で猛追する姿を今、、 騎士の双眸がはっきりと認めたのだ――― 「ええっ!???」 フェイトが素っ頓狂な声を上げる シグナムの顔と速度計を交互に見やりながらステアリングに悪戦苦闘する執務官 メーターを繰り返し凝視するフェイトの目に映る数値はどう見積もっても……40~50kmは軽く出ている 決して全速というわけではないが、自転車に煽られるようなスピードでは絶対にない 「マジかよ……おい」 アギトも驚きの声をあげる そしてフェイト自身も、次々と接近してくるコーナーを丁寧にクリアしながら 今やミラー越しに確実に見え隠れする影を凝視し、、その事実を……… 果てしない驚きと共に受け入れざるを得なかった 「気をつけろ……どうやらまともな相手ではないようだ」 「そ、それはもう、、、ええ」 些か動揺の残る戦友を嗜め、後部に目をやる騎士 黒い鉄の箱と、後方から迫る軽装の二輪がなだらかなS字を抜け直線に突入した途端 影はまるでジェット噴射でもついているかのように加速を開始 みるみるうちに接近してきたのだ 「!! ちっ!?」 まさか、あそこから更に速度が上がるなどと思えるはずがない 舌打ちするシグナムだったが、、遅い ついにその影とフェイトのクルマが並んだ 助手席側に並走してくる人力の二輪 それを狩る謎の怪人と今、初めて至近で目が合い―― 「えっ!?」 「……!」 その、二重に意外な事実に驚きの声を上げる二人、、、いや… 「な、何で……!?」 それに小さな少女の吐き出すような声が重なる 三者の驚愕の理由―― まずはこんな有り得ない速度で追走してくる自転車の操車が 一般人の胴回りほどもある太股を有する競輪選手のような、筋骨隆々とした男性――ではなく、 美しい髪とスラリと伸びた華奢な手足を車体に絡ませ その魅力を存分に感じさせる腰をサドルに任せている女性であった事 そして――― (ルー、、テシア…?) その容貌が、かつてJS事件で出会った一人の少女 ジェイルスカリエッティにその身を利用され、アギトと一緒に行動を共にしていた 一人の召喚師の面影を持った女性だったからだ 彼女には母親がいると聞いたが、目の前の女性はそれにしては若い… ともあれその紫の髪をはためかせ、両のサドルを蹴りつけて舞うモトクロスライダーの姿は異様としか言いようが無い そしてそんな事よりも遥かに異様で、ルーテシアやその母親とは違う決定的な点 それはその顔の大半を覆い、表情を隠している眼帯の存在だった あれでは完全に視界が閉ざされてしまう 一体どうやってこのきついカーブの多い山道を全力疾走で抜けてきたというのか、、 多大な疑問を抱かせる光景だった そして、後部に付かれている時は死角になっていて分からなかった新たなる事実 その更なる事態に、もはや驚きの表情を隠そうともしないフェイトとシグナム&アギト 疾走する自転車の助手席にもう一つ、人影があったのだ そう、風を切り弾丸のように疾走する華奢な女性の狩る自転車は 一定速を出した車に難なく追いついてきたその二輪は、、、 あろう事か二人乗り… 後部席の人影は男だった 全身を蒼で統一したスーツに身を包んだ、一見素朴で粗野な出で立ちは しかしその精悍で猛々しい相貌、その身に纏う空気が装飾品となり全く貧相さを感じさせない そしてその右肩に担いだ細い棒のようなナニカ―― 物干し竿のような長物が、この場にて得も知れぬ存在感を誇示し異彩を放っていた 「よう」 だが、緊迫した場にあげられた声は 取り巻く空気に全く似つかわしくない、ある種の陽気な響きさえ含んでいた 歴戦の勇者であるライトニング隊の二人がどう答えてよいか分からぬほどに それは開けっぴろげで馴れ馴れしい、、 まるで見知った友人に話しかけるかのような初顔合わせの挨拶であったのだ だが、、、そんな事はどうでもよかった この男にとっては恐らく、初めましての挨拶が陽気なものであろうが険悪な響きを持たせようが 礼儀に悖ったものだろうが何でもよかったのだろう 「さっそくで悪いが――」 何故なら男が駆け抜けてきたその生涯は剣舞い、槍踊る戦場 言葉など、、、何の意味も持たないセカイだったのだから 「死んでくれや」 サイドバイサイドで並び疾走する大型のクーペと二輪 紫の女の後部にて、その宙舞う矢の様な激走に全くバランスを崩すことなく 男は構えた――その肩に担がれた細い棒 否、、、血の様な光沢を放つ真紅の槍を… 「!! 貴様ッッッ!!」 ハンドルを握る手が強張るフェイト 助手席のシグナムが怒号を上げる だがその二人が行動に移す、それよりも遥かに速く 頬を打つ風が後ろで縛った蒼い髪を揺らす中 まるで紅き春雷を思わせる閃光の如く放たれた槍が、、 ポニーテイルの騎士の座す助手席のウィンドガラスに 深々と叩き込まれていたのだった ―――――― 並走するは3Lを勇に超える排気量を叩き出す黒いボディと、、自転車 まるで馬と戦車を並べた不釣合いな電撃戦 ともあれ二者は出会い、今まさにその刃を晒し 戦闘の火蓋を切った 先に仕掛けたのは貧弱な馬にその身を預けるカウボーイ&ガール 手に持つ得物で巨大な猛牛を連想させる黒きボディの横っ腹に鋭敏な刃を突き入れる クルマがその車体を大きく揺らし、四つのタイヤが軋みを上げて横滑りする 安定した四輪がこのような挙動を見せるのは即ち 操車であるドライバーのステアリングが乱れた証拠だ 濁走するメタリックボディ その車内にて――真っ赤な鮮血が飛び散った 「シ、シグナムぅッッ!」 アギトが悲鳴に近い声を上げる このデバイスのロードである騎士の肩口から 下げたシートベルトが切断され はらりと騎士の腿の部分に落ちる その肩から下――― 鎖骨の辺りから噴き出す赤い液体を認め 金髪の魔道士の顔も青ざめる 「………大丈夫だ」 だが、ややもして何事もなかったかのような声を返すベルカの騎士 その懐から抜かれているのは彼女の愛剣レヴァンティン 狭い車内、しかもシートベルトに身を拘束されていながら この卓越した腕を持つ女剣士は横から突き入れられた稲妻のような槍の軌道を見事、逸らしていたのだ 「………少しへコますかも知れんぞ」 「え?」 ボソっと呟いた騎士の言葉 その後、間髪を入れずに轟くボコン!!!!!、という 大きな鈍い音にフェイトが息を呑む それはサイドドアに刺さった槍を持つ男と そして人力二輪を繰る女の二名をそのまま ドア越しに勢い良く蹴り飛ばし、引き剥がした音だった 「うおっ!?」 声を上げる男と共に 大きく弾き飛ばされた女の乗る自転車が みるみるうちに後方へと置き去りにされていく ロックを外し、開け放たれたドアから吹き込む風が金とピンクの髪を揺らすのも一瞬 騎士の伸ばした腕がドアの取っ手を引き付け 助手席のドアは間を置かずに閉められた 「すまんな、、手荒に扱った」 「い、いえ……」 短い謝罪の言葉に、受け答えするフェイトの声は些か固い 不自然に上ずった声は動揺の現れであろう 自分の所持物をおろそかにする所など想像も出来ないこの執務官 不可抗力とはいえ、流石に申し訳ない気分になる将であった だがシグナムは実はそれどころではない 容易く斬り払ったように見えたあの一撃、、 内心、その全身に寒い汗をかかずにはいられない凄まじい一突きだった 人体において、胸骨と胸筋に守られている正面からより わきの下から縫い入れられるように突いた方が効率よく貫けるものがある それは―――心臓 あの敵は間違いなく、側面から数分違わず心臓を狙ってきた それも自分だけではない 隣にいるパートナーをも一度に串刺しにする軌道でだ 反応が少しでも遅れていれば自分とフェイト、二人まとめて仕留められていたのは間違いなかった ドア越しで、更に姿勢を取ることすら難しい自転車の後部席から あの相手は数分狂わぬ切っ先をこちらに向けてきたのだ 「そのままガードレール沿いに走れ」 「え? でも、、」 「いいから言うとおりにしろ、絶対にそちら側を空けるなよ…」 そしてもう一つの僥倖―― もし先ほど運転席側に回られて一撃を繰り出されていたら ステアリングで両手が塞がってるフェイトは為す術もなかったはずだ この友が無残に突き殺される様を想像し、唇を噛むシグナム 女剣士の表情にはそんな事は絶対にさせない、という固い意志が見て取れる だが、この狭くて小回りの効かない車内で あの凄まじい一撃をもう一度防げる保障はどこにもない 何とか助手席から飛び出し、戦闘体勢を整えたいシグナムだったのだが、、 (―――駄目か…) 後方に追随する謎の敵は 先ほど思いっきり蹴り剥がしたにも関わらず転倒もせずにこちらに追随してくる 何という敵だろう、、 初邂逅からこっち、その異常性に得体の知れない危機を感じずにはいられない騎士と魔道士であった とにかく今飛び出すのはよろしくない 顔を出した途端、あの槍で狙い撃ちにされるのは確実だ 空戦の基本―― 空を主戦場にする者は、離陸時が一番危ない事を肝に命じるべし 速度も乗らず、戦闘態勢も整わぬ柔らかい腹を敵に無様に晒すことなかれ 教導の基本を思い出す二人 「先に出る、、どうにかしてあれを引き離せないか?」 「……やってみます」 フェイトの右足が愛車のアクセルを思いっきり踏み込む こんな緊急事態において、今更法廷速度がどうのだの言ってる場合ではない アクセルを全開にした事によって加速度的に上がるエンジンの回転数 それによって叩き出される馬力は凄まじく 例え相手が競輪選手並の脚力を持っていたとしても―― みるみるうちにその差が開いていくのは当然の事である 「おいおい、差が開いてんぞ…… 大丈夫か? チンタラやってねえで次で刺せよ」 「―――」 しかし今、、フェイトに誤算があるとすれば二つ それはここが峠の下りだという事 そこはつるべのように続くヘアピンやS字カーブが続くコーナーの坩堝 3000cc以上の大排気量を最大限に発揮出来る地点などなく 踏み抜いたアクセルにより加速を続けるフェイトの車がこのままの速度を維持していては 崖下にまっ逆さまに落ちるのは自明の理である すぐ間近に迫るヘアピンカーブに減速を余儀なくされる黒い鉄の塊 そして、下りゆえに車体同士のパワー差は著しく縮まるというセオリー、、 もう一つの誤算は――― 自転車を繰る女の脚力が、 競輪選手など問題にもならない人知を超えたものであったという事だ 女の隠された両の瞳には今やはっきりと 相手のクルマの減速を表す点灯したブレーキランプが見てとれた ここが相手を刺す絶好のポイントである事は槍の男に言われずとも分かっている この紫紺の女怪が「騎兵」の名を持つ英霊であるが故に 走りにおいて勝負所を見誤る女ではない
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;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 5章「father《シャクシャイン》」 ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 0 ~ナイトメア~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 配給を待つ少女がひとり。 両親を失い、難民キャンプに収容された少女は、薄汚れた毛布にくるまって順番が来るのをじっと待っていた。 配給を待つ列の近くに自衛隊のジープが止まった。 ジープには自衛官が四人乗っており、中から男が二人降りてきた。男達は列を見渡し、少女を見つけた。 男達は少女の手を取るとジープに乗せた。 「美味いものを食わせてやる」 そう言われた少女は黙って男達についていった。 たどり着いたのは、自衛隊の宿舎だった。 プレハブで建設された簡素な住居。 だが、難民達の吹きさらしの小屋よりは遥かにマシだった。 宿舎の中は暖かく、少女はストーブに張り付いて暖をとった。 男達はみな優しかった。 少女に食べ物を与え、いたわりの言葉をかけてくる。 やがて少女の警戒心も薄れ、久しぶりの満腹感にウトウトしかけていたとき、一人の男が背後から少女を抱きすくめる。 少女は男が戯れているのだろうと思った。 ただの冗談だと。 少女は軽く拒絶の意思を見せたとき、男達の様子が一変した。 どす黒い情欲に満ちた瞳を少女は忘れることはできない。 それくらい男達の瞳は濁り、曇っていた。 抵抗するだけ無駄だった。 屈強な男が四人、少女の華奢な身体に群がってきたのだ。 プレハプに悲鳴が響く。 だが、その声は誰にも届かない。 とっさに手にした果物ナイフが学徒自衛官のノドを切り裂き、生暖かい鮮血がノアの全身に降りかかってくる。 再び悲鳴。そこから先はいつも闇の中……。 薄汚いペッドが軋み、女性が飛び起きる。 「また、あの夢か……」 汗で肌に貼り付いた髪をかきあげ、近くに置いてあったペットボトルの水を飲むと、ノアは痛む頭を押さえながら立ち上がった。 一〇年前。 まだ一四歳だったノアの悪夢は、まだ終わらない。 頻繁に同じ夢を見てはうなされている。 ノアは男を、特に自衛官を憎んでいた。 自衛官らの不祥事はいまも絶えることはない。 本土と隔離されたこの土地で、連中はやりたい放題だった。 一人でも多くの女性を理不尽な暴力から救うため、ノアは女であることを捨て、レジスタンスに身を投じた。 だが、この理想を理解するものは黒須川くらいしかおらず、ノアはレジスタンスとしての活動に疑問を抱き始めていた。 ドンドンとドアを叩く音が聞こえる。仲間が起こしにきたのだ。 「いま行くわ」 ノアは拳銃の弾倉を確かめてホルスターに入れると、ドアへと向かった。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 1 ~尋問~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ゼロワンの起動から一夜が明けた。 ツーアイズチームは二班に分かれて、ゼロの修理とゼロワンの解析に奔走していた。 村雨の特科部隊も、中破したバウンザーの修理に人員を総動員させていた。 美羽は、大翔とレン、それと陽菜の三人に尋問を受けていた。 チームの中でゼロワンのことを知らされているのは、この三人だけだったからである。 とはいえ、ゼロワンの存在は、昨日のバグリーチャー戦で、プロジェクトチーム全員の知るところとなった。 アマテラスのように部屋に引篭っていたレンだが、ゼロワンが勝手に起動したと聞いて、出てこないわけにはいかなかった。 大翔とは一切口を聞かずに、淡々と美羽に質問を行う。 美羽はユリアの存在を公言しないよう口止めされていたので、乗り込んだら勝手に動いたと言い張った。 そんなはずはないというレンに対して、知らぬ存ぜぬを貫き通した。 「通信記録が残ってるんですよ。ゼロワンの中で誰かと喋っていたでしょう」 たしかに通信記録は残っていたが、一方的に美羽が喋るだけで、当然のようにテレバシーで話すユリアの言葉は残っていない。 だが、美羽の口調から会話しているように聞こえるので、そう問い詰めるしかないのだ。 そうして一番の難題は、あれだけ動いていたゼロワンが、いまはまったく沈黙し、レンや沢井がどう頑張ってもLED一つ点灯しなかったのだ。 まったく分からないことだらけだった。 これでは本部に報告もできない。レンはため息をついた。 「とにかく、アレは自衛隊の最高機密ですので、もう二度と触らないように。それからその腕時計は回収させて貰います」 「いやよ。これはわたしが貰ったの」 美羽は腕時計を庇うように手で被い、席を立った。 「いやよ。じゃありません。それは自衛隊の備品なんですよ!」 「そうなのヒロ?」 美羽は大翔を見つめた。 「持ってていいぞ美羽。そりゃお前んだ」 「ゆ、結城二尉! なに勝手なこと言ってるんですか!」 「まあまあ、落ち着こうやレンくん。とりあえず原因はわからないけど美羽のおかげで我々ツーアイズチームが無事だってことは確かなんだ。これは紛れも無い事実だ」 「結城二尉が不甲斐ないからでしょう!」 「きっついこと言うね。まあ正解だけどさ。それに今度同規模のバグリーチャーが出現したときにゼロとバウンザーだけで仕留められる保証はないぜ」 「ゼロワンが動くとも限らないじゃないですか」 「いや動くね」 「なんの根拠があってそんなっ!」 「そうだろ美羽?」 大翔は美羽に視線を送った。 「う……ん」 美羽はしばらく迷った末、ゆっくりと頷いた。ユリアが頷いて良いと許可したのだ。 「ほらな?」 「何が『ほらな?』ですか。まったく根拠がないじゃないですか」 「あーもう、美羽は行っていいぞ。あとは俺たちで話し合うから」 大翔は美羽にウインクして早く出て行くように促した。 「うんわかった。ありがとうヒロ」 美羽はそれを聞くと、脱兎のごとく、尋問を受けていたトレーラーの中から飛び出した。 「行かせて良かったんですか?」 いままで静観していた沢井一曹が恐る恐る尋ねる。 「いいよ」 「よくないです!」 大翔とレンが同時に答えた。 美羽は表に飛び出し、自衛隊のキャンプ地を歩き始めた。 「どうして秘密にするの?」 美羽はユリアに尋ねる。 (ごめんなさい。ちょっと考えがまとまらないの。それに喋らない方があなたたちのためでもあるのよ) 「そうなの?」 (切り札は最後まで取っておくものよ) 「ふーん」 美羽には分からなかった。 もし、ユリアの存在が発覚し、それを彼らが信じたら、恐らくこのプロジェクトは一旦棚上げとなり、彼女の調査が行われるだろう。 それではこの北海道《バグネスト》に現れるバグリーチャーを殲滅することは出来ず、いたずらに犠牲者を出すことになる。 そのことが容易に予想できたユリアは、いまは話す時ではないと判断したのだ。 博愛主義者ルジミオンのユリアは、目の前の犠牲者を放っておける性格を持ちあわせてはいなかった。 (それよりシャクシャインのお見舞いと説得に行かなくてはならないんじゃないの) 「そうだね」 昨日、従軍医師に診察を受けたシャクシャインは不整脈が検出され、レントゲン撮影の結果、肺に影が写っていたため、精密検査を受けるよう医師に言い渡されていた。 だが、なんともないと、シャクシャインは頑なにそれを拒んで、医師と美羽たちを悩ませていたのだ。 美羽はユリアに言われて思い出したように、医療トラックへ向かった。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 2 ~観測所~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 旭川市の大雪山跡を中心に広がるシュヴァルツシルト半径。 その外苑に添うように、時計周りに丁度一二個所、特異点の観測所が設けられていた。 そこで観測したデータをツーアイズチームに連絡している。コンテナトレーラーが万能でも、北海道《バグネスト》全域の特異点情報を把握することは出来ない。 トレーラーは観測所で観測された特異点のデータを受け取る受信機でしかなかった。 観測所は確かに重要な施設ではあるが、軍事的に重要な拠点と言う訳でもなく、その警備コストは出来る限り押さえられ、つまり警備が手薄ということだった。 だがそれでも良かった。 道民の殆どが、この施設が何なのかすら分かっていなかったからだ。 だが、その存在と目的を理解した道民が現れた。 北海道解放同盟イヨマンテ。 その幹部である黒須川が難民キャンプに訪れた自衛官を収賄し、その存在を知り得たのだ。 そうしてその報告を聞いたイヨマンテのリーダーマンイーターは、観測所を利用する作戦を考え出した。 網走方面をカバーする第二観測所に、武装したレジスタンス八名が到着した。 イヨマンテのサブリーダーの黒須川は、網走地区を拠点とするレジスタンス「キタキツネ」と手を結び、観測所を強襲した。 警備兵は僅か二人。舐めているとしか思えなかった。 突然の賊の侵入に、完全に不意をつかれた観測所は、SOSを発する前に占拠された。 「あっけないな」 キタキツネのメンバーはどちらかと言えば穏健派だ。 武装したのは今回が始めてである。 その素人集団に占拠されるとは、この国の国防は大丈夫かと、黒須川は他人事ながら心配になった。 「クロスさんよ。これからどうするんだ?」 キタキツネのリーダーが黒須川に声をかける。 「ここに提示した通りに動いてください。タイムスケジュールを守って、連中に報告させてくれればいいです。もしなにかあればここの通信機を使って連絡しても構いません」 黒須川はキタキツネのリーダーにスケジュールを記載した紙を手渡す。 「こいつの通りにやればいいんだな?」 「そうです。お願いします」 黒須川はそう言うと、キタキツネのメンバーを残して観測所を後にした。 「あと一時間後か。間に合うかこのポンコツ」 黒須川は、愛車GTサンパチにエンジンをかけ、襲撃ポイントの難民キャンプに向かってバイクを走らせた。 網走難民キャンプには、マンイーターらレジスタンスがすでに潜伏しており、自衛隊の詰所を占拠していた。 身包みを剥がされて猿ぐつわをされた自衛官が、風呂場に放置してあった。 自衛官の制服を拝借し、それを仲間に着させて待機させる。 マンイーター本人も、奪った制服を着込んでおり、自衛官になりすましているが、その凶悪な人相ではニセモノであることがすぐにバレてしまいそうであった。 「クロスからの連絡はまだかよっ!」 自衛官から奪ったたばこを吸いながらマンイーターが吠える。 「まだです」 「おっせえなぁ、あのヤロウ」 「他のレジスタンスと連携しての襲撃なんだから慎重にいかないとマズイでしょ」 どうしてこの男は黒須川を貶める言い方しか出来ないのだろう。 ノアの胸中にマンイーターへの嫌悪感が募る。 「やけに奴を庇うじゃねえかノアよ。オマエは男が大嫌いじゃなかったのかよ?」 「ああ嫌いだよ。だけどそれとこれとは別さ。それにどうせ決行は夜なんだ。ゆっくりと待てないのかい?」 「分かってるさ。おれぁ一眠りする。後は勝手にやってろ!」 マンイーターは詰所の休憩所に入って、ソファーに横になった。 「姐さん。あんまりリーダーを刺激しないで下さいよ」 「そうですよ。イライラをぶつけられるこっちの身にもなってくださいよ」 レジスタンスの仲間が冗談めかして進言する。確かに彼らの言う通りだとノアは思った。 マンイーターはおだてて持ち上げれやれば機嫌がいい単細胞だ。 扱いには慣れているはずだったが、どうしても嫌悪感が勝って刺のある言葉を選んでしまう。 「そうかい。悪かったね」 作戦前にギクシャクしてても仕方ないので、ノアは素直に謝った。 「まあ、あっしらは別にいいんですがね」 「そうそう大将を立ててやってくださいよ」 こいつらの方がよっぽど分かっている。 ノアは自分が少し意固地になっていたことを恥じた。 「おっ、来ました。クロスからの連絡が入りましたよ姐さん!」 通信機に耳を宛てていたレジスタンスが報告する。 「どうだって?」 「占拠完了したそうです。予定通り作戦を決行してくれとのことでさぁ」 「わかった。あんたはマンイーターを起こしてきな。いや、やっぱりいいや。リーダーには休息が必要だ。作戦決行時間まで寝かせといてやりな。ただし起きたら黒須川から連絡があったことを知らせるんだ」 「わかりやした。姐さん」 「それじゃあアタシも少し休憩するよ」 ノアはそれだけいうと詰所を後にした。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 3 ~真夜中の警報~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 深夜一時。損傷したゼロとバウンザーの修理も完了し、当直の兵士以外寝静まった夜。 セミも鳴かない北海道の夜はシンと静まり返っていた。 僅かに待機した車両のエンジンは全て燃料電池によって動作するため、アイドリングの音すらしない。 大翔はコンテナトレーラーで一人、観測所から送信される時空歪曲率の波形を眺めていた。 実際のところ、眺めていなくても危険領域に入れば警報が鳴る仕組みだったのだが、ゼロの修理を手伝おうにも陽菜たちが休んでいてくださいと締め出したので、仕方なくナビシートで暇つぶしをしていた。 どのみちメカに疎い大翔が修理を手伝っても足手まといになりそうな気がしたので、陽菜の判断は正しかったのだろう。 それにしても暇だと、欠伸をかみ殺した時のことだった。 ふと耳をすますと、サクサクと土を踏みならし、誰かが歩いている気配を感じ取った。 なんだろうと窓の外を見るが、誰も居なかった。 大翔はドアのウインドウを空け、もっとよく外を覗き込もうと顔を出すと、いきなり目の前に人の顔が降ってきた。 「うおっ!」 大翔は驚くとともに、思わず降ってきた顔の首を掴んでしまった。 「きゃっ!」 首を捕まれた人物は、大翔の両手を思わず引っかく。 「いてててっ」 大翔の手が首から外れると、その人物は器用に宙で回転し、ネコのようにしなやかに着地した。 「脅かすなよ美羽」 大翔が突き飛ばした人物は美羽だった。 プロジェクトの極秘であったゼロワンを操縦したという噂の道民の少女美羽が、トレーラーの下から美羽を見上げていた。 「驚いた?」 「ああ。わざわざ驚かしにやってきたのか? こんな夜中に?」 「トレーラーから明かりが漏れてたから、ヒロが居るかなって思ったんだけど……」 「なるほど。それで夜這いにきたってわけか」 「ヨバイ?」 「いや、知らなきゃいいよ。それでなんの用だ?」 「用がないときちゃいけないの?」 「いや別に。大歓迎だよ」 大翔はトレーラーのドアを開けて美羽を中に引っ張り上げた。 「ヒロはどうしてわたしがゼロワンに乗れるのか聞かないけどどうして?」 「聞いて欲しいのか?」 「そうじゃないけど、レンとかヒナは根掘り葉掘り聞いてくるのにヒロは聞いてこないから」 「難しいことは考えないことにしてるからな。美羽がどうしてゼロワンを操縦できるのか。レンくんやヒナくんに分からなけりゃ俺にはお手上げさ」 大翔は両手を広げてお手上げのポーズを作る。 「あのね」 「なんだ?」 「ヒロにだけだったら、特別に教えてあげてもいいよ」 「本当か? でも遠慮しとくよ」 「どうして? 知りたくないの?」 「知りたいさ。でもそんなことよりも他に聞きたい事が沢山あるんだけど」 「聞きたいことって?」 「美羽自身のことさ。いままでどうやって生きてきたのか。そっちの方が興味あるね」 「あまり楽しい話じゃないわよ」 「構わないさ。俺だって似たようなもんだ」 大翔と美羽はお互いの生い立ちと、これまでどうやって生きてきたのか、話して聞かせあった。 深夜三時。ウトウトとしていた大翔と美羽の耳元に、甲高い警報が鳴った。 二人は飛び起きて、目を擦って波形を見つめた。 「観測値増大……、特異点反応? またかよ!」 大翔はじっと波形を観測続ける。 特異点の反応が徐々に大きくなってきている。五分足らずで警戒レベルが一つあがった。 「報告すっかな。美羽はキャンプに戻ってろ」 「うんわかった」 美羽はドアも開けずに窓から飛び降りると、そのまま闇の中に消えていった。 それを見届けた大翔は警報用のインカムスイッチを入れて、特異点反応が増大中であることを主要メンバーに知らせた。 すぐにレンが飛んできた。 居住モジュールから出てくれば五秒で指揮車両に来れる。これは最大の利点だった。 次いで陽菜と技術スタッフやってきた。 「結城二尉。これはいったい」 「ああ、見ての通りだ」 大翔はモニタ席をレンに譲ると、自分は運転席に座った。 レンは難しい顔をしてモニタを眺めていた。 余りにも前回の出現パターンと酷似しているからだ。 「網走難民キャンプのすぐ側で特異点が発生してます」 「なるほどそれで?」 嫌味な奴。 レンは大翔に胸の中でアカンベーをすると話しを続けた。 「一番近い駐屯地は釧路です。今から応援を要請しても間に合うかどうか分かりません。難民キャンプには一〇名足らずの自衛官とボランティアの難民、それから約三〇〇名の難民が生活しています」 「それで?」 「いま一番近くて早いのは我々です。一応、釧路司令部には応援の要請はしますが、我々が向かって難民の保護及び、バグリーチャーの殲滅を行います。これで満足ですか?」 「もう大満足!」 死ね! と心の中で悪態を吐きながら、レンは各種事務処理をこなしてゆく。 そんなレンを大翔と陽菜は暖かい眼差しで見守っていた。 「それじゃあ俺たちはゼロの準備でもやろうかね陽菜くん」 「そうですね結城ニ尉。行きましょう」 大翔と陽菜の二人はレンを残し、ゼロのコンテナへと移動した。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 4 ~イージートラップ~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 深夜五時。 もうすぐ夜明けという頃、キャンプを撤収したツーアイズチームが移動を開始した。 目的地は網走難民キャンプ。 ここからなら一時間とかからない距離だ。 指揮車両のコンテナトレーラーを先頭に、その両脇をバウンザー二両が随伴する。 その三両の後に大型トラックが数十台追いかける。 深夜の行軍が始まった。 特異点反応はある一定の値を出した後、安定し、それ以上大きくなる気配はなかった。 それでも油断はできない。 網走難民キャンプの自衛官詰所に特異点のことを連絡し、難民を非難させるよう指示を出す。 「現在のペースで特異点が広がった場合、バグリーチャーが出現するのは早くても夜明けの八時頃です。現地への到着が午前六時を予定していますので、ゼロの展開、難民の非難は余裕をもって行ってください」 レンの指示が全車両に伝えられる。 出発時にドタバタしていたので、乗り込むトラックを間違えた美羽は、むさ苦しい歩兵たちと一緒になった。 美羽がゼロワンを動かしてチームを救ったという情報は自衛官たちの末端にまで広まっていた。 そのため、美羽は兵士たちに好意的に迎え入れられた。 「どこへ向かってるの?」 美羽は傍らに座っていた兵士に問い掛けた。 「ん? 網走だよ。網走難民キャンプ」 難民キャンプと聞いて美羽の表情が厳しくなる。 「わたしたちを連れて行く気か?」 美羽の問いの意味がしばらく分からなかった兵士たちはきょとんとしていた。 「なんか勘違いしてるようだな。バグリーチャーが現れそうだから向かっているんだ。俺たちはそれほど暇じゃねえよ」 「そうなの?」 美羽はそういうとトラックの後部へ行き、目を瞑って精神を集中させた。 「(ユリア聞こえる?)」 (聞こえてるわ。どうしたの?) 「(特異点が網走に出たらしいわ)」 (本当? でもわたしは何も感じないわよ。ちょっとまってて) ユリアは網走方面に向けて意識を集中した。 だが、そこには特異点反応の欠片も検出できなかった。 それもそのはず、その情報は第二観測所が送った偽の情報なのだ。 観測所を占拠したレジスタンスたちの手によって、捏造されたデータが送信され続けていたのだ。 だが、策略とか謀という概念を持たない優しい博愛主義者のルジオミンのユリアにはその陰謀の裏が読めなかった。 (おかしいわね。わたしには特異点の反応は感じないわ?) 「(どういうこと? 機械の故障なの)」 (そうなのかもしれないわね。でも警戒するに超したことはないわ) 「(分かった。ありがとう)」 (どういたしまして) 美羽は再び兵士のところへと戻った。 「どうした?」 「特異点は出てないらしいわ」 「何を言っているんだ? 観測所からの報告に間違いは無い」 「さっきから何を言ってやがんだこの小娘はっ!」 同じトラックに乗り合わせていた巨漢の学徒自衛官が、美羽の前に立ち塞がり、自動小銃のストック部で肩を突いて突き飛ばした。 「おい、平田士長! 女の子に乱暴をするなよ」 兵士が倒れた美羽に歩み寄る。 だが美羽は何食わぬ顔をして立ち上がり平田を睨んだ。 「生意気なガキだ。やはり野蛮人だな!」 平田と呼ばれる学徒自衛官はそう吐き捨てると、シートにどっかと座った。 「士長、その言い方はひどいですよ」 他の兵士からも美羽を庇う声が聞こえる。 だが士長はフンとそっぽを向き、美羽と兵士たちを無視した。 「すまない。平田士長に変わって謝罪する」 「あなたが謝る必要は無いわ。気にしないで」 美羽はそれだけ言うと、トラックの後部に移動し、開けっ放しの後部から飛び出して天幕に登った。 「見たかよ。猿だなありゃ」 だが、そんな平田の悪態も、当の美羽には届かなかった。 午前六時。 ツーアイズチームは難民キャンプに到着した。 自衛隊の詰所から詳細を知りたいので説明に来て欲しいという要請があったので、代表してレンと護衛の士官が詰所へと向かった。 そうして三〇分が経過したが、二人とも一向に戻ってくる気配がないので、気になった大翔が詰所に連絡すると、カンに触る男のダミ声が聞こえた。 「誰だお前は?」 「おれか? おれさまはマンイーター。北海道解放同盟イヨマンテのリーダー、マンイーターさまだよ。お客さんは預かった。無事に返して欲しかったら五分以内に武装解除して投降シナ。じゃないと二人の命は保証しないぜぇ!」 「…………」 「どうした? 喋れないのか? 黙ってないで返事しろよなっ! オイコラッ!」 マンイーターは短気らしいと知った大翔は、交渉は難しいと踏んで、相手の要求を一旦飲むことにした。 「オーケー分かった投降しよう」 「わかりゃいいんだよ。アハハッ、五分後に丸腰で広場に集まれ、後で誰か隠れてたりしたのを見つけたら皆殺しにするからな。てめえらの人数は偵察して把握してっから一人でも足りないときは分かってるだろうな!」 マンイーターからの通信はそこで切れた。 「やられたぜ畜生!」 大翔は強化プラスチック製の窓を拳で殴った。透明の窓に血が滲む。 それから大翔は、全隊に武装解除して広間に集合するよう命じた。 「各武装は安全装置をセットしてコードSを入力して保管庫に格納すること。以上」 コードSとは、自衛隊の本隊であるバグネスト方面隊の師団長クラスにしか解除できない特殊コードであった。 広間に集められたツーアイズチームの面々。 詰所から出てきたレンと護衛の兵士の無事を確認して、大翔はほっとした。 とはいえ、護衛の兵士は顔面に何発かいいのを貰っており、顔面が腫れ上がっていた。 「これが名簿だ。全員いるはずだ」 大翔はマンイーターにチームの名簿を渡した。 その名簿の中には美羽、美優、シャクシャインの名前は入っていない。 美羽ら三人は関係ないので、広間に来ないようにと大翔は言い含めて、学徒自衛官のみでやってきた。 「オイ、クソガキ! 確か難民のガキが居ただろう?」 「よく知ってるな。だが途中で降ろしてきた。軍属じゃない民間人だからな」 「フンそうかよ。まあいい。ガキの一匹や二匹どってことねえや。それよりあの人型兵器を頂くぜ。つーか装備一式丸ごと頂戴するけどよ。ヒャハハ」 「好きにしろ。あんたに扱えるのならな」 マンイーターの鉄拳が大翔の頬を捕らえる。 「オイ坊主、俺を舐めるなよ。何も知らないと思ってるだろうがそれは大間違いだぜ。あの女が動かし方知ってるってな。悪いが俺たちが運用できるようになるまであの女は借りとくぜ」 大翔の視線がレンを捕らえる。 ガタガタと震えており、今にも気絶しそうな雰囲気だった。 衣服も少々乱れているので、乱暴を受けたのかもしれない。 だが、レンを支えるように立っているレジスタンスの女性を見たとき、レンの貞操は守られていると確信した。 あの目は敵意に満ちているが、レンを抱く肩はどこか優しかった。 きっと乱暴しようとしたレジスタンスを彼女が制してくれたのだろう。 そう大翔は思った。 もちろんそれは勘でしかなく、本当のところは定かではない。 「ゼロのレクチャーはレンくんじゃなくても出来る。俺が変わりにやる」 「バカかオマエ。むさ苦しい野郎になんて教わってたまるかよ。オマエは死んどけ」 マンイーターの拳が再び大翔に襲いかかる。が、大翔は難なくそれをかわして、マンイーターの手をとって関節を逆手に取る。 「ッテテッテー、は、放しやがれこのヤロウ! 人質殺されてーのかっ!」 その言葉に反応して、大翔はマンイーターの手を放す。 「てめえ、動くなよ。動いたら人質ブッ殺スからな!」 マンイーターはそう因果を含めると、仁王立ちになった大翔を殴り続けた。 「や、やめて!」 そう言ったのはレンだった。 レンの不注意でこうなってしまったというのに、その失態をすべて引き受け、なおも犠牲になろうとしている大翔に、レンは自分の矮小さを思い知り、それ以上の暴行は自分が殴られるより痛く、辛かった。 「いい加減にしなよ。本当に死んじまうよ」 レンの言葉の後を継ぎ、マンイーターを止めたのは、レジスタンスのノアだった。 「クロス、止めてきな」 「分かりました姐さん」 執拗に殴り続けるマンイーターを、先ほど合流した黒須川が後ろから羽交い締めにする。 「なにしやがる。放せっ! バカ!」 「グズグスしてたら自衛隊の本隊が来ちまいますよ」 「なんだとっ?」 「連中がこっちに来るまでの通信で、応援を呼んでいたのを聞いたでしょう」 「そ、そうだったか?」 「そうですよ。無駄な体力つかってないで、テキパキと仕事しましょうよリーダー」 「分かったよ。うっせーな! オマエラこいつらを縛っとけ。行くぞノア」 マンイーターはノアとレンを連れて詰所に入った。 もう一人の人質、沢井は、レジスタンスに銃を向けられたままなので、手が出せないまま、大翔たちツーアイズチームは縛についた。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 5 ~沈黙する兵器~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 夜が明け、朝日が地平線より現れる。 マンイーターたちレジスタンスは苛立っていた。 拳銃一丁からトラックまですべてロックがかかっており、ピクリとも動かなかったからだ。 「どういうことだっ!」 ドアすら開かないトレーラーを前に、マンイーターは叫んだ。 その銃口は人質のレンに向けられている。 「あ、安全装置が作動して、全ての装備にロックがかかっています」 レンはマンイーターにそう答えた。 「解除しろ!」 マンイーターの銃口が、レンのわき腹に食い込む。 「くっ」 レンは恥辱で顔を朱に染めた。 「早く解除しろって言ってんだよっ!」 マンイーターの銃を持つ腕が、レンの腰をなぞるように卑らしく上下に移動する。 「か、解除は、できません。コードSでロックされた兵装は、自衛隊本部の幹部にしか解除できません」 「ハ、ハッタリだ!」 「嘘じゃありません。本当ですっ」 「俺が嘘と言ったら嘘なんだよっ!」 マンイーターの蹴りがレンの膝関節を捕らえ、拘束されたレンは無様に横転した。 「嘘じゃ、ありません。嘘じゃ……」 レンは悔しくて情けなくて、涙が滲んできた。 「やめなマンイーター」 レンに付き添っていたノアが止めに入る。 「納得できるかっ! ここまできて、武器を奪えませんでした。そうですか。……で済むと思ってんのかっ!」 「思っちゃいないよ。ただこの女は知らないってのは本当らしいから他の方法を考えたらどうなんだい?」 「何か方法があるってのか?」 「それを考えるのがアンタの仕事じゃないのかい。リーダー」 「フン、分かってるさそれくらい。作戦練ってくる、オマエはココで見張ってろ!」 マンイーターはレンとノアをその場に残し、再び詰所に戻った。 「あんたも馬鹿だね。女のくせになんで学徒自衛官になんかなったんだ……」 ノアは突っ伏して泣いているレンも向かって、独り言のように呟いた。 「そうするしか、そうするしか選択肢はなかったから仕方ないじゃない……」 か細く呟くレンの声は、喧騒にかき消され、ノアの耳には届かなかった。 詰所内の通信室には大翔と陽菜が呼び出されていた。 陽菜は二人がかりで押さえつけられ、その首にはナイフがあてがわれていた。 「聞くところによるとオマエが一番偉いんだってな」 マンイーターは先ほどのダメージが抜けきらず、少し朦朧としている大翔に向かってそう言った。 「状況は分かってるよな? オマエに拒む権利はない。そんときゃあのネエちゃんがズタズタに引き裂かれ、最悪失血死してしまうことになる。わかったら黙って自衛隊の本部とやらに連絡してコードを解除してもらえねえかな?」 大翔は答えない。酩酊しているかのようにフラフラしていた。 「聞こえねえのか! だったら目を覚まさせてやるぜ! オイ、その小娘を三枚に下ろしてやりな!」 「ゆ、結城ニ尉……」 陽菜が涙を流して大翔の名を呼ぶ。 「待てっ! 分かった。目が覚めた」 「分かればいいんだ。分かればな」 大翔は指令本部に連絡を入れた。 三〇分後。大翔はコードS発動を誤動作と報告した。 そうして厳重注意をうけながらも、なんとか解除コードを入手した。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 6 ~交渉~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 第二観測所。 レジスタンスのキタキツネが制圧したその場所で、観測者たちが慌て始めた。 「どうした?」 半分眠っていたキタキツネの見張りが、銃を構えて観測者に近付く。 「た、大変です。特異点、特異点が本当に現れました」 「どういうことだ?」 「バグリーチャーが現れるかもしれないということです。早く連絡を入れないと大変なことになる」 「どこに出現したんだ?」 「偶然にもほどがありますが、網走難民キャンブのすぐ側です」 「なんだと!」 「あなたたちの仲間が居るのでしょう? 連絡を入れさせて下さい」 「…………」 レジスタンスは考えた。 先ほど偽の情報を知らせて、今度また本当の情報を知らせた場合、先の情報に疑問を持たれるかもしれない。 そうなれば当然この観測所は疑われ、自分たちの存在に気付くだろう。 武装した自衛隊がやってきたら素人集団の自分たちに勝ち目は無い。 そう考えたレジスタンスは、首を横に振った。 「駄目だ。連絡することは許さない。知らせたら殺す!」 ターンという銃声が響く。弾丸は観測者の脇にある計器メーターを吹き飛ばした。 「通信装置はどれだ?」 レジスタンスの問いに、腰を抜かした観測者は素直に通信装置を指差す。 タタタタタタッ……、と自動小銃を連射して、通信装置を破壊するレジスタンス。 その音に他のレジスタンスも起き出してくる。 「どうした?」 「なにがあった」 「なんかやべえらしい。おまえらずらかるぞ!」 レジスタンスは適当に発砲しつつ、観測所から逃げ出した。 「な、なんとういうことを……、予備の通信機を早急に立ち上げるんだ。急げ!」 取り残された観測者は、通信装置の復旧を命じた。 「無知で無学なレジスタンスめ……」 観測者はバグリーチャーによる被害のことを考えると、背筋が凍る思いがした。 兵装のロックを解除したマンイーターは、早速指揮車両に乗り込み、ゼロとゼロワンを動かすようレンに命じた。 レンは、ゼロ及び、ゼロワンを動かすためのハードキーである腕時計をマンイーターに渡す。 「ゼロワンは、赤いマシンはまだテスト中で起動できません」 「ウソつけっ! 俺はちゃんと動いてるのを見たんだ。痛い目に遭いたくなかったらさっさと動かせ!」 「それは偶然動いただけで……」 レンはそこまえ言って、考えを改めた。 どうせ本当のことを言ってもこの男は信じないだろうと悟ったからだ。 「……わかりました。やってみます」 「分かりゃいいんだよ」 レンは無駄だと思いつつ、ゼロワンの起動を開始した。 すると、どういう訳か、昨日までピクリとも動かなかったゼロワンの起動がスムーズに進んでいるのである。 というより、レンはほとんど何もやっていなかった。 まるでゼロワンに意思があるかのように、次々に起動準備がなされてゆく。 「どういうこと……」 レンは突然動き出したゼロワンに動揺を隠せない。 「やりゃあデキルじゃねえかよ。オイ、ハッチを開けとけよ」 マンイーターはそういうと、レンの見張りを仲間のレジスタンスに任せ、コンテナ部へと移動した。 美羽と美優、そうしてシャクシャインは、コンテナトレーラーの居住モジュール内に居た。 ここはレンの城であるが、大翔にこの中に隠れていろと言われたのだ。 美羽たちは、ユリアによって外の様子を克明に知らされていた。 そうしてシャクシャインにもユリアの声は聞こえた。 ユリアの存在に猜疑的だったシャクシャインだが、こうなると、もはやその存在を認めるしかなかった。 三人は学徒自衛官らがレジスタンスに痛めつけられている間、じっとこの場所で機会を伺っていた。 幸い外の様子はユリアのおかげで筒抜けだった。 コードSが解除され、このモジュールに電源が供給されると、ユリアはトレーラーに同化し、そのシステムを掌握した。 ゼロワンを起動させたのもユリアの仕業だった。 そうしないとレンの身が危険に晒されると判断したからだ。 そうしてチャンスは突然やってきた。 (大変よ美羽。特異点が本当に現れたわ。かなりの規模よ。この間と同じくらいの規模と思っていいわ) 「どこに現れたの?」 (信じられない。まるでわたしたちを狙っているかのようだわ) 「どういうこと?」 (難民キャンプのすぐ側よ。ここは危険だわ) 「急いで知らせないと」 (慌てないで、観測所の人が知らせるわ。それを待ちましょう。わたしたちが出ていっても捕まってしまうだけよ) 「わかった」 だが、いくら待てども、観測所からの連絡はなかった。 いつまで経っても連絡がこないので、ユリアはその意識を観測所に飛ばした。 (なんてこと! 観測所の通信システムが破壊されてるわ。これでは連絡なんか来るわけないわ) 「連絡がこないとどうなる」 シャクシャインが口を挟む。 (ベム《バグリーチャー》の奇襲を受けるわ。目標が来ると分かっていても危険な相手なのに、奇襲なんかされたらここは全滅するわ) 「やっぱり知らせなきゃ」 美羽が居住モジュールのドアに手をかける。 だが、シャクシャインの大きな手が、その手を被うように重ねられた。 「ワシが行こう。外の様子はどうなんだ?」 (大丈夫、見張りは居ないわ。こっそり出ても大丈夫よ) 「ワシが飛び出したらすぐに閉めろよ。美羽。美優を頼むぞ」 「任せて」 シャクシャインは二つある出口のうち、外に出るドアノブを捻り、外へと飛び降りた。 シャクシャインはそのまま真っ直ぐに広間へと向かった。愛用の小刀を腰に下げた以外の武器は持たず、堂々と歩いて行った。 当然レジスタンスの見張りに見つかった。だが、それもすべて考えあっての行動だった。 「誰だお前は。止まれ!」 「クロス、と呼ばれている人物に会いたい」 「質問に答えろ! 何者だ!」 「ワシは見ての通り道民じゃよ。クロスに合わせて貰えんか?」 難民たちは皆、合同宿舎に閉じ込めて、外から鍵をかけたので出てこれないはずだった。 それに一人だが見張りもいる。 レジスタンスは余りにもシャクシャインが堂々としているので、他のレジスタンスなのかと勘違いした。 「どこの組織の者だ?」 「ワシは一匹狼だ。どこの組織にも属していない。だがこの土地を想う心は誰にも負けぬ。クロスに合わせて貰えるのか貰えないのか?」 「……分かった。合わせよう。だがどうしてクロスなんだ?」 「おまえたちのリーダー、マンイーターとやらに冷静な判断ができるとは思えないのでな」 レジスタンスは苦笑した。 「分かった。ついてこい」 シャクシャインはレジスタンスの後について、詰所の中に入った。 黒須川はシャクシャインの言葉をすぐに信じた。 だが、他のレジスタンスの手前もあったので、疑う演技は怠らなかった。 「キタキツネの連中が裏切ったと?」 「裏切ったというより、怖くなって逃げたようだ。通信システムが壊れて通信できないことは確認済みだろう」 シャクシャインの言う通り、何度観測所に打診しても返事が返ってこなかった。 「確かに通信はできない。しかし、それだけでバケモノが現れるという情報を信じろというのか?」 「信じなければ全員死ぬだけだ。ワシもアンタも」 「食えない爺さんだな。もしここにバケモノが現れた場合、オレたちの戦力じゃ適わないだろう。だからといって自衛隊に武器を返すわけにもいかない」 「まあそうだろうな。とりあえず警告はした。後は自衛隊と心中するか、逃げるか、好きな方を選ぶといい」 シャクシャインはそれだけ言うと立ち上がった。 「どこへ行く気だ?」 「外の幼い自衛官たちにも教えてやろうと思ってな。知っておいた方が覚悟できるだろう」 「勝手なことを!」 「生きてここから、でられると」 「行かせてやれよ」 はやるレジスタンスの言葉を遮り、黒須川はそう命じた。 「だ、だけどよ……」 「もちろん見張りは付ける。自衛隊の縛を解かれちゃ適わないからな」 「アタシが付いてくよ」 いままで黙って話を聞いていたノアが名乗り出る。 「姐さん……」 「クロス、あんたはマンイーターにこの事を伝えてきな。ただし、観測所から連絡が来たことにするんだ。マンイーターは爺さんの与太話を信じるようなタマじゃないからね」 「わかりましたよ」 黒須川はレジスタンスの一人に、バケモノが来たことをマンイーターに伝えるよう命じた。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 7 ~バグリーチャー強襲~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) シャクシャインはノアと共に、縛についた学徒自衛官らの前に立って、特異点が現れて、バグリーチャーが襲ってくる可能性が高いことを告げた。 その知らせを受けた学徒自衛官らは、すぐに縛を解くよう迫った。 「静かにおし。まだ来ると決まったわけじゃない。観測所との交信が途絶えただけよ。全部この爺さんの憶測に過ぎないから解くわけにはいかないね」 「一つだけ教えてくれ」 両手両足を拘束され身動きもままならない大翔がノアに尋ねた。 「一つだけだよ」 「どうしてその爺さんの話を、お前たちは信じる気になったんだ?」 「……勘さ。長いことレジスタンスとかやってると危険には敏感になるんでね。本土でぬくぬくと過ごしてきたアンタたちとは違うのさ」 ノアはそういうとシャクシャインを連れてその場を後にした。 「苦労してきたようだな……」 小銃を肩に下げ、隣に歩いているノアを隣に、独り言のようにシャクシャインは呟いた。 「下手な同情は勘弁してよ。アタシはずっと独りで生きてきたんだ」 「ではどうしてレジスタンスになんかと一緒に居る」 「い、いまだけだよ。アタシの戦いはこの北海道から自衛隊を追い出して、道民だけで自立することだから、その仲間を集めて何が悪い」 「悪いとは言っていない。やり方は人それぞれだ。ワシも北海道の復興を望んでいる」 「あんたこそ一人で復興なんてできるのかい?」 「一人ではない。道民の生き残りの中には、難民キャンプを離れ、畑を耕し、自立して生活している連中が居る。ワシはその手助けをしている」 「畑だって? この不毛の荒野に畑?」 「そこまで実を結ぶのに一〇年かかった」 「そ、そうかい」 「いま、あのバケモノたちを野に放てば、その苦労も水泡と化す」 「どうしろってんだい? アタシにあの連中の縄を解けというのかい?」 「それは自分で考えるんだな。ワシには守るべき者たちがいる。自衛隊の武器を借りるぞ」 「武器なんか持ってどうしようってんだい!」 「言ったはずだ。守るべき者たちがいると」 シャクシャインの言葉はとても静かだったが、その奥に潜む揺るぎ無い意思がひしひしとノアに伝わってきた。 「あんたがそこまでして守ろうとするものは一体なんだい?」 「ワシの可愛い子供たち。それと道民の未来だ」 「武器庫のものは勝手に使いな。ただし変な真似をしたら爺さんだろうと容赦はしないよ」 ノアの自動小銃が、シャクシャインの胸に狙いを定める。 「もしもあのバケモノを迎え撃つつもりなら、その程度の武器は豆鉄砲程度の威力にしかならないぞ」 シャクシャインはそういうと、武器弾薬が格納されているトラックへと向かった。 ノアは迷った。 このままマンイーターに従っていて道民の開放が出来るのか。 多分それは無理だろう。 マンイーターの気性と性格を見る限り、その結論を導き出すのは容易かった。 マンイーターの元に、バグリーチャー出現の可能性があるとの連絡が入った。 「嘘が真になっちまったな。ヒャハハ」 「笑い事じゃありませんよ。リーダー」 「そうだったな」 「どうします。逃げますか?」 「アホかテメー。ここまできてなんで逃げる必要がある。コイツさえあればバケモンなんてイチコロだろうが。これで撃退してみろや、イヨマンテの名前が一気に知れ渡るぜ」 ゼロワンに乗ったマンイーターは、その鉄の腕でレジスタンスを掴んで持ち上げる。 「な、なにをっ、助けて!」 「すげえだろ。ぜんぜん力を入れてないんだぜ」 そう言ってゼロワンの手を放すマンイーター。 どすんと尻餅をつくレジスタンスは腰が抜けて立ち上がれない。 「ヒャハハ、軽くヒネッてきてやんぜ。オイこら、ハッチを開けろ!」 マンイーターはレンにそう命じた。レンは言われた通り、コンテナのハッチを開けた。 「ヒャハハ、行くぜ!」 マンイーターの載るゼロワンが大地に降り立った。 そうして広間に向かってホバリングで前進を始めた。 ユリアのアンテナがバグリーチャーの姿を捕らえた。 (来たわ。距離は二キロ。全部で六体のベム《バグリーチャー》の出現を確認したわ。システムに強制介入するわ) ユリアはそういうと、トレーラーに積んである時空歪曲率の波形モニタの受信をストップし、自らが創り出した波形の出力を開始した。 同時にアラームランプも点灯させる。 驚いたのはレンだった。 急に連絡が途絶えた観測所からの送信が再開されたのだ。 しかもバグリーチャー出現のおまけ付きで。 「なんてこと……」 レンは突如現れたバグリーチャーに呆然としていた。 (美羽。あなたはゼロに搭乗して自衛官たちを解放しなさい。わたしがサポートするから) 「わかった」 (ちょっと待って、その前にレジスタンスを排除して頂戴。そこの扉を開けると同時に運転席の扉を開けるわ。運転席にいるレジスタンスを車外に叩き出してくれる?) 「任せて」 (行くわよ) ユリアの合図と同時に二つのドアが突然開く、見張りのレジスタンスは突然開いたドアを閉めるべく、身を乗り出していた。 その隙をついて、美羽は居住モジュールから指揮車両側に移動する。 「あ、誰だキサマ!」 レジスタンスが気付いて振り返るが、もうその時には美羽の鋭い蹴りがレジスタンスの顔面に炸裂し、情けない声をあげながら、レジスタンスは大地にキスをした。 そこで絶妙のタイミングでドアが閉まる。 外では起き上がったレジスタンスがドアノブを捻るが、びくともしない。 「大丈夫? 怖くなかった? どこも痛くない?」 「し、心配してもらわなくても大丈夫ですっ!」 レンの顔が真っ赤に染まる。 「そう。よかった。ちょっとゼロを借りるわ。ヒロたちを助けてくるから」 「あっ! ちょっと、待ちなさい」 だが、美羽はレンの言葉を無視してコンテナ部へ向かった。 美羽と入れ替わるように、居住モジュールから美優が這い出してきた。 「ねえねえ。おねえちゃんはどこにいったの?」 キョロキョロと指揮車両を見渡して美優は尋ねる。 「私はあなたのお姉さんの保護者じゃなありませんっ!」 「ひぃん」 美優は急に怒鳴ったレンが恐ろしくて泣き出した。 「うわああああああん。こわいよう」 「あ、あの、泣かないで、ほら、これ、飴あげるから泣き止んでよ」 レンはダッシュボートから飴を取り出すと、美優に与えた。 「なにこれ?」 「お菓子よ。知らないの? 美味しいわよ」 レンは飴を取り出して包み紙を取って口の中に運ぶ仕草をした。 美優は恐る恐る飴を受け取り、口に含んだ。 「あまーい」 「それ全部あげるから大人しくしててね」 レンは飴の入った袋ごと美優に手渡す。 「はーい。ありがとうおにいちゃん」 「おにいちゃんって……もういいわよ」 いつからここは託児所になったのだろうと、レンはため息をついた。 コンテナに到着した美羽は、腰を抜かしたレジスタンスを見つけたが、素早い身のこなしで、ほどんど気付かれることなくゼロに乗り込むことができた。 (起動準備は完了してるわ。ハッチ閉めるわよ) 「いいよ」 ゼロの搭乗用ハッチが閉じ、中は真っ暗になる。やがてモニタ類が立ち上がり、外部カメラが外の様子を写し出す。 (広間に向かって頂戴。見張りのレジスタンスが二人いるから、彼らをまず武装解除させて、それから自衛官の縄を解いてあげて。急いでね) 「わかった。こいつはどうするの?」 美羽は腰を抜かしているレジスタンスを指した。 「コンテナからつまみ出しといて下手に計器をいじられても困るし) 「わかった」 美羽はレジスタンスを片手でひょいと持ち上げると、一緒にコンテナの外に出た。 「閉めていいよ」 (頼んだわよ美羽) 美羽はハッチが閉まるのを確認すると、レジスタンスを地面に置いて、広間へと向かった。 先に広間へと着いたマンイーターのゼロワンは、自衛官らの見張りを残して、全員でバグリーチャーを狩りにでかけた。 嫌がるレジスタンスもいたが、ほとんど無理矢理連れて来させた。 レジスタンスの武装は貧弱で、拳銃とサブマシンガン、それに自動小銃と口径の小さな火器ばかりであった。 唯一、レジスタンスに合流したシャクシャインだけが、対戦車ミサイル、バズーカ砲などを携帯していた。 「なんで付いてきたんだい?」 ノアがシャクシャインに尋ねる。 「道民を守る。と言ったはずだ」 「あ、あんた……」 シャクシャインの言葉にノアは心底驚いた。 この老人のいう子供たち、道民という言葉の中には、自分たちも、ならず者のレジスタンスも含まれていたのである。 「あんたバカだよ」 ノアはそう言ったが、そんな馬鹿は嫌いじゃなかった。 美羽が広間に到着したときには、詰所にレジスタンスの姿はなかった。 見張りが二人、銃を構えて立っているだけだった。 美羽の乗るゼロが現れたとき、レジスタンスは仲間が乗っているのだろうと思っていた。 だが、銃を奪い取られ、胴体をわし掴みにされて拘束されて、ようやく敵が乗っているのだと理解した。 そのゼロのハッチが開き、中からツインテールの少女が出てきたので、レジスタンスたちはより一層驚いた。 「美羽!」 「美羽さん」 大翔と陽菜が声を上げる。 「ヒロは早くこれに乗って」 ゼロを降り、学徒自衛官らの縄を小刀(マキリ)で解きながら美羽は言った。 「おいガキ! その……、あ、りがとよ」 美羽を馬鹿にした平田士長が明後日の方角を見ながら礼を述べた。 素直に礼が述べられないが、彼なりに感謝していた。 そうして全員の縄を解くと、学徒自衛官らは各自自分の持ち場に戻った。 「特科部隊は五分以内に出撃準備を完了させろ!」 村雨二尉が感情を露にして叫ぶと、おおー! という気合の入った返事が響く。 ツーアイズチームは復活した。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 8 ~鋼の棺桶~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 特異点より現れたバグリーチャーは六体。 その歩みはほぼ同じで、時速二〇キロメートルほどのスピードだった。 ライト級に分類されるのが四体、ミドル級が二体であった。 ツーアイズチームの戦力なら充分撃退できる相手であったが、マンイーター率いるゼロワンと丸腰同然の装備のレジスタンスに勝機は望み薄だった。 そのことはゼロワンに乗っているマンイーターにも分かることであったが、彼は自分が安全なら他の人間が危険に晒されても意に介さないタイプの人間だった。 ゼロワンの中にいる限り安全という保証は、マンイーターに絶対の自信と余裕をもたらした。 「へへへ、ゾロゾロと来やがったな」 ゼロワンのレーダーにバグリーチャーの影が映る。 だがすでに肉眼でも認識できる距離だった。 その異形の姿にレジスタンスたちは驚愕し、戦意を失いつつあった。 「なんだよありゃ」 「やべえよ、やべえよ」 レジスタンスの銃を持つ手が震えていた。 蜘蛛の胴体に蟷螂の上半身を加えたようなバグリーチャーがレジスタンスに迫る。 バグリーチャーは最も近い生命体を襲う習性がある。 このレジスタンスは迂闊にもゼロワンよりも前にでていたのだ。 「う、うわああああ」 手に持ったサブマシンガンをフルオートで連射するが、まるでそよ風にでも当たっているかのようにバグリーチャーは意に介さない。 硬い皮膚が統べて弾き返し、その跳弾が撃ったレジスタンスの太股を抉る。 「いてぇーーっ!」 太股を抱えてうずくまるレジスタンスにバグリーチャーの容赦ない一撃が加えられる。 鋭い鎌のような腕が一閃し、レジスタンスの胴を寸断する。 死体はしばらく痙攣していた。 その様子を楽しむかのように、バグリーチャーは死体を切り刻んだ。 細切れなった死体が、乾いた大地に赤い染みをつくる。 「か、かなうわけがねえー」 その余りの惨劇に、他のレジスタンスの戦意は失われた。 まるで蜘蛛の子を散らすかのように各々好き勝手な方向に逃げ出す。 だが、それこそバグリーチャーの格好の餌食だった。 「テ、テメエラ逃げるんじゃねー」 マンイーターはそう叫んだが、ゼロワンの気密性によってその声は外には届かない。 「一人死んだくらいでオタオタしやがって。クソがっ!」 マンイーターはゼロワンのアクセルペダルを踏み込んだ。 もの凄いGがマンイーターの身体を襲う。 さっきまでとは勝手が違っていた。慌ててペダルを戻すと、急ブレーキがかかり、ゼロワンの荷重がマンイーターの背に覆い被さる。 「ぐあああ」 ミシミシという骨のきしむ音が聞こえた。 「ど、どうなってやがんだ……」 朦朧とした意識の中、目の前にバグリーチャーが迫ってくるのを知った。 猛牛のように、真紅のゼロワンに突進してくる四つ足のバグリーチャー。 その衝突の衝撃はまったく吸収されること無く、中のマンイーターを圧迫した。 「ごばぁ……」 折れた肋骨が肺に突き刺さり、吐血するマンイーター。気絶しそうになりながら、どういうことなんだと、何度も何度も反芻する。 崩れかけていたゼロワンの上体が起き上がり、四つ足のバグリーチャーにリニアパンチを繰り出す。その腕の振りのスピードはすさまじく、マンイーターの右腕の筋肉を断絶し、骨が砕け散る。 「あがががが……」 いまゼロワンの制御を行っているのは、ユリアではなくゼロワンに搭載された基本OSに他ならなかった。 美羽がゼロに乗り込んだとき、ユリアはゼロワンの制御を本来のシステムに移行して切り離していた。 そうして、ゼロワンの基本OSは、搭乗員が戦闘不能であることを心拍数、血圧などから算出し、ゼロワン本体の回収を優先する自己防衛プログラムが作動を開始していた。 ゼロワンが、ハンドグレネードで四つ足のバグリーチャーを粉砕したとき、中のマンイーターはすでに生き絶えていた。 動かなくなったゼロワン。 ゼロワンから生命活動が消えたことにより、バグリーチャーたちは他の生物を求めて迫ってきた。 今度の標的はノアだった。 「逃げるんだ!」 自動小銃をバグリーチャーに構えようとしていたノアを制し、シャクシャインがノアの手を引く。シャクシャインに握られた手をノアは必要以上に意識した。 男に触られたのは何年ぶりだろうか。 ノアは十年前に自衛官らに暴行を受けてからというもの、男性に触れること、触れられることを極端に嫌っていた。 彼女に気安く触った輩は、小銃のストックでぶん殴られるか、股間を蹴り上げられるか、どちらかの制裁を受けていた。 だが、いまノアの手を握って走っている老人の触れる手は優しく、一片の嫌悪感も抱くことはなかった。 自分でも不思議な感覚だった。 相手が老人だからだ。ノアはそう思うことで納得した。 「姐さん大丈夫ですか?」 所々に裂傷を負った黒須川が走ってきた。 「クロス、生きてたのかい」 「オレ以外はみんなバケモノにやられちまった。生き残りはオレらだけのようですよ」 「なんてこったい!」 「二人とも、死にたくなければ走れ!」 シャクシャインはノアを黒須川に向けて突き飛ばす。 「な、なにすんだ。このジジイ!」 「おまえたちは逃げろ」 「おまえたちって爺さん……」 黒須川はシャクシャインが言わんとしていることを瞬時に理解した。 「二人とも死ぬなよ」 「なに言ってんだい。あんたも逃げればいいだろ。ほら早く」 ノアはシャクシャインの手を引いた。 自らの意思で男性の手に触れるのは十年ぶりだった。 だが触れても何とも無かった。吐き気も、頭痛も無い。 「ノア……といったかな? 優しいな。レジスタンスなど止めるがいい」 「い、いまはそんなこと言ってる場合じゃないだろ!」 シャクシャインを引っ張るノア。だがその巨体はぐらつき、片膝を付いて咳き込み始めた。 地面に鮮血が飛散する。 「じ、爺さん。あんたまさか……」 「そうだ。ワシは肺を病んでいる。もう長くはない」 「なんだって!」 粉塵による道民の肺ガン、肺気腫の罹患率は内地の三〇倍近くあった。 肺の病は、この北海道《バグネスト》では一種の風土病のようなものであった。 「ワシがここで足止めをする。おまえたちは逃げろ!」 シャクシャインはノアの手を振り解き、突き飛ばした。 「クロスとやら、ノアを連れて逃げろ」 黒須川はシャクシャインを見つめ、ゆっくりと頷いた。 「は、放せ! バカ!」 ノアの罵声を無視し、黒須川はノアを連れて逃げ始めた。 「それでいい」 シャクシャインは対戦車ミサイルを両肩に担ぐと、バグリーチャーに向けて構えた。 大翔のゼロがバグリーチャーに向かって疾走する。 レジスタンスとはいえ人間だ。見殺しにするわけにはいかない。 レーダーは五体のバグリーチャーが一点を目指して進行している。 標的に向かっている証拠だった。 「間に合うのか?」 ゼロのサーモセンサーが二人組の人間を検出する。 センサーが検出した方向をモニタに映すと、ノアと黒須川が走っているのを確認した。 「レジスタンス二人がそっちに向かった。武装を解除させて保護を頼む」 大翔はそう連絡を入ながら、バグリーチャーに向かってゼロを走らせ続けた。 シャクシャインの視界には五体のバグリーチャーが映っていた。 無理をしすぎたせいか、肺が焼けるように痛んだ。 呼吸は荒く、逃げようにも、この場から動けそうになかった。 「いよいよここまでか。世津子、裕樹、もうすぐワシも逝くぞ」 妻と息子の名前を呼び、シャクシャインは対戦車ミサイルの照準をバグリーチャーに向けて引き金を引く。 狙い違わずバグリーチャーに命中するミサイル。 とても素人が放った弾とは思えない。 事実シャクシャインは素人では無かった。 シュヴァルツドライヴの事故に遭う前まで、彼は、シャクシャインは自衛官をやっていた。 特科部隊の砲兵として、その技術を磨いてきた。 二等陸士で入隊して、事故当時には陸曹長にまで昇格した砲撃のプロフェッショナルだ。 事故直前、米軍との演習と称して、北部方面隊の全軍が、海自と連携してオホーツク海に集結させられた。 それはまるで事故が起こるのを知っていたかのような対応だった。 そのとき、僅かに残された自衛官のうちの一人がシャクシャインであった。 残された自衛官の大半はウタリと、反骨心を持った自衛官たちで構成されていた。 そうして起こるべくして事故は起こった。少なくともシャクシャインはそう考えていた。 制服を脱ぎ捨て、民族衣装《アットゥシ》を身にまとい、名を捨てた。 すぐにでも妻と息子のところへ逝くはずだった。 だが、死に場所を求めて彷徨っている最中に、美羽と美優を拾い、彼女らを育てるという責任が生まれた。 そのことがシャクシャインを生に繋ぎ止める唯一の絆だった。 だがそれも、一人前に成長した美羽と、大翔、ノアらに希望を託すことにより、シャクシャインを縛っていた義務は、その役割を終えようとしていた。 硝煙が舞う大地を、バグリーチャーは平然と歩いてくる。 その数は四体。 シャクシャインはもう一丁の対戦車ミサイル砲を担いで狙いを定めた。 風向き、バグリーチャーの動きを読んでいるとしか思えないほど奇麗な放物線を描いてミサイルはバグリーチャーに命中し、爆散する。残りは三体。 バラバラに砕けたバグリーチャーの破片が、他のバグリーチャーに降り注ぐ。 シャクシャインは背中に背負ったミサイルを、バズーカ砲に装填し、再び放った。 命中し、爆散するバグリーチャー。 残るは二体。そうしてミサイルの残弾もあと二発だった。 砲身が冷めないまま、ミサイルを装填して撃つ。バグリーチャーには命中するが、その砲身は焼け、先端に歪みが生じている。 バグリーチャーもついに最後の一体となった。 焼けた砲身にミサイルを装填する。掌はすでに焼け爛れている。 最後に残ったバグリーチャーは他の四体より大きかった。ミドル級に分類されるバグリーチャーだ。これを破壊するには、ギリギリまで引き付けて撃つ必要があった。 早く撃つように誘っているかのように、ゆっくりとバグリーチャーが迫ってくる。 「ここから先へは一歩も通さん」 目の前には人型の巨人。身長四メートルはあるかという巨人が立っていた。それはまるで神話にでてくるギガンデスを彷彿とさせた。 そのギガンデスの豪腕が振り上げられる。 「この距離ならっ」 ほぼゼロ距離でシャクシャインは引き金を引いた。 だが、ミサイルは発射されなかった。連射による金属疲労でジャムってしまったのだ。 何度引き金を引いてもミサイルは出ない。 「ここまでか……」 シャクシャインは覚悟を決めた。 巨人の、ギガンデスの振り上げた腕が爆発する。 シャクシャインは自身のバズーカ砲を見るが、発射された形跡はない。 後ろを振り返ると、そこにはハンドグレネードで狙いを定めるゼロの姿があった。 「なんて爺さんだ。たった一人で四体ものバグリーチャーを倒しやがった」 大翔はここまで来る数分の間に、バグリーチャーの数が一体づつ減っているのを目の当たりにしていた。 「いったい何者なんだ?」 あそこまで正確にロケット砲を扱えるということは素人ではない。 恐らく軍属経験者。 その考えに到達するのに、そう時間はかからなかった。 「あ、あぶない!」 感心している場合じゃなかった。 その勇猛な老人はいま、目の前でバグリーチャーの攻撃を受けようとしてる。 大翔は誤爆の危険があるのは承知で、ハンドグレネードをバグリーチャーに見舞った。 その弾道は寸分違わずバグリーチャーの腕を吹き飛ばした。 「命中精度が上がっている?」 ゼロの火器管制プログラムはユリアによって書き換えられ、格段に性能が向上していた。 「これならいける!」 大翔はハンドグレネードの集中砲火を浴びせ、バグリーチャーを撃滅した。 そうしてゼロを走らせて、燃え盛るバグリーチャーの残骸の中からシャクシャインを引きずり出し、老人の体を抱き上げた。 シャクシャインはゼロを見上げ、微笑んだ。 初対面、あれだけ頼もしかったシャクシャインは見る影も無く、疲労し、弱々しく横たわる老人の姿がそこにあった。 何か喋っているようだが小さくて聞き取れない。 大翔は集音装置の感度を上げた。 「じ、……衛隊を信用するな……、美羽と美優を頼む……、そして……」 言葉の途中、シャクシャインは大量に吐血した。 「おっ、おいちょっと。しっかりしてくださいよ!」 だが、大翔の呼びかけも虚しく、シャクシャインは絶命した。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 9 ~氷解する心~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ユリアはシャクシャインの本心を、心の声を聞いた。 心を閉ざした寡黙な老人の思考が、積を切ったかのように溢れ出してくる。 後悔と絶望を繰り返しながらも、子供たちに未来を託すため尽力してきたシャクシャイン。 その人生の記録が、ユリアの中に流れ込んでゆく。 そうして最後に、子供たちを頼むと結んで、彼の思考は消えてしまった。 (そ、そんな……) そのシャクシャインの思考を、ユリアはできるだけ詳しく美羽と美優に伝えた。 「お、おとうさん……、うわああああああん」 再び泣き出した美優にレンは慌てて宥めたが、今度ばかりはそう簡単に泣き止むことはなかった。 そうして美羽は……。 「嘘でしょうユリア」 (真実よ。シャクシャインの生命活動は停止したわ。だけど安心して、その魂はベム《バグリーチャー》に侵されることはなかったわ) 「死んだことに変わりないわよ」 ユリアの慰めも美羽には無意味だった。 美羽と美優の悲しみは、誰よりもユリア自身が良く理解できた。 一瞬にして何千億という同胞をベム《バグリーチャー》によって失ったのだ。 しかもその原因は自分にあるのだ。 やりきれない思いがユリアの胸中に飛来する。 生き残った同胞はシュヴァルツシルトの内側に逃げ込んで、止まった時の中で過ごしている。 ユリアが地球に何億年留まろうと、事象の地平線に入った同胞たちには一瞬の出来事でしかない。 人間には想像もつかない時間軸の中で、ユリアは生きていた。 この宇宙で彼女の仲間は一人も居ない。 そんな孤独なユリアを癒してくれたのは、美羽であり、美優であった。 (二人とも聞いて。これはシャクシャインの遺言よ……) ユリアに宿ったシャクシャインの想いが美羽と美優に流れ込む。 朝日を浴び、ゼロの白銀のボティが黄金色に染まる。 太陽を背に、ゼロは難民キャンプの広間に戻ってきた。 その両腕には、生き絶えて横たわるシャクシャインの亡骸を抱いていた。 大翔の指示によって、ゼロの前に自衛官たちが集められる。 「被害が最小限で済んだのは、彼のおかげだ。彼は俺たちの大先輩でもある」 大翔の言葉に学徒自衛官らのどよめきの声が聞こえる。 「戦士シャクシャインは自衛官だ。一〇年前の事故で死んだと記録されている神野重蔵陸曹長と同一人物であることを、先ほど確認した」 「そんな、嘘でしょう!」 投降し、手錠をかけられたノアがシャクシャインの亡骸を見やってそう呟いた。 薄汚い自衛官。 自分を汚し、弄んだあの自衛官とシャクシャインが同じであるという事実に、ノアの心はかき乱された。 ほんの僅かしか交流しなかったが、ノアはシャクシャインに父親像を投影していた。 あの掌の温もりはいまもしっかりとノアに残っている。 「そんなのって、そんなことが……」 ノアはがっくりと膝をついて号泣した。 悔しさと悲しみがないまぜになった感情が流出し、それが涙となり、止め処なく溢れてくる。 「みんな。神野曹長、いや、シャクシャインに黙祷を捧げてくれ」 学徒自衛官らは全員が直立不動の姿勢でシャクシャインに敬礼した。 縛につき、鳴咽を漏らすノアの傍らに一人の少女が姿を見せる。 美優だ。 美優はノアの肩にそっと手を添える。 ノアは泣き腫らした瞳で美優を見上げた。 「泣いちゃダメだって。おとうさんがいってたよ。お姉ちゃんにがんばって生きろって」 美優自身、頬に涙の跡が残り、さっきまで泣いていたのが一目瞭然だった。 「あんたあの爺さんの……娘かい?」 色素の薄い少女美優。 ロシア人とのハーフであることが一目瞭然で、シャクシャインの実子でないことはすぐに分かった。 「そうだよ。あたし美優。おとうさんはしんじゃったけど、あたしもう泣かないの。お姉ちゃんもこれあげるから泣かないで」 美優は掌いっぱいの飴玉を広げて差し出した。 レンに貰った飴玉。 なんの変哲も無い官給品の飴玉を大事そうに差し出す美優に、ノアの涙腺がまた緩んだ。 「ありがとう、美優……ちゃん」 涙を見せないよう立ち上がり、美優から飴玉を受け取る。 飴は嫌いだった。 自衛官に乱暴されたときに連中がくれた唾棄すべき菓子のひとつで、見るのも嫌なはずだった。 だがノアはその飴玉を剥いて口に入れた。 飴はとても甘かった。 「おいしいでしょう?」 「ええそうね」 ノアの自衛官に対するわだかまりは、飴のように簡単に溶けはしないが、それでも、ゆっくりとだが、癒される日がくるだろう。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト)
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金属と金属の接触による重々しい衝撃音に、ディエチは反射的にイノーメスカノンの砲撃態勢を取る。 彼女の目前でゆっくりと開かれたハッチが、床面へと接しやや急角度のスロープを形成。 次いでモーター音が鳴り響き、ハッチより1台の軽装甲車両が姿を現す。 即座に砲口を向け、トリガーを引こうとするディエチ。 だが、脳裏へと届いた念話が、その行動を押し止める。 『待て、俺だ!』 その念話にディエチは、トリガーに掛けていた指を離した。 装甲車というよりは大型のバギーに近いそれは、ディエチの目前へと滑り込む様にして停車する。 そしてドアを開けて現れた顔に、彼女は呆れた様に話しかけた。 「何をしに行ったんですか、貴方は」 「生存者の捜索。で、見付けたのはこれだけ」 皮肉の言葉に対し男性、ヴァイスはハンドルを叩きつつ答えを返す。 ディエチは、装甲車が出てきたハッチへと視線を投げ掛け、短く問う。 「全滅?」 「分からん。血痕すら無かったが、どうやら相当慌てて艦を放棄したらしい。一切の作業が途中で放棄されている。だが、それから余り時間は経っていないらしい」 「と、いうと?」 「食堂で見付けたスープがな・・・湯気を立てていた」 その言葉にディエチは、無言で装甲車の外殻へと足を掛けた。 上部に備えられた砲座らしき窪みに乗り込み、イノーメスカノンを据える。 そして、砲座の縁に溶接された金属板、その表面に刻まれた異世界の言語に気付いた。 「これって・・・」 『気付いたか?』 ヴァイスからの念話。 すぐさま、ディエチは問い掛けた。 『この装甲車って、まさか』 『そのまさかだ。何処で回収したのか知らないが、第97管理外世界の車両だよ。取っ払われちまってガレージの中に転がってたが、対空誘導弾の発射機が其処に据え付けてあったらしい』 ヴァイスの言葉に複雑な感情を抱きつつも、ディエチは黙り込む。 此処で管理局法がどうこう言おうと、そんな事には意味が無い。 何より、胸中を満たす濁りを帯びたそれが何であるのか、聡明な彼女は良く理解していた。 それは、僅かな諦観。 クラナガン西部での救助活動以降、周囲が自身に対して向ける奇妙な視線、その意味に気付いた時に生まれたものだった。 彼女のISたるヘヴィバレルとは、固有装備イノーメスカノンへのエネルギー供給を経て放たれる砲撃の事を指す。 エネルギーモードならば幾分長いチャージ時間を経てSランク魔法に相当する砲撃を放ち、実弾モードならば炸裂弾から鉄鋼弾、特殊弾を含む各種砲弾を発射するそれは、半質量兵器とも呼べる代物だ。 外観からして無反動砲と呼ぶに相応しいそれは管理局による回収後、幾分「魔法的」な所のある他の姉妹達の固有装備とは異なり、碌に解析もされぬまま解体・保管されたのだ。 確かに、魔力とは異なるエネルギーを用いていた事を考えれば、あれは正しく質量兵器であると云えるだろう。 だが何故、管理局は他の固有武装とは異なり、イノーメスカノンのみを短期間の内に分解したのか。 ディエチはその理由を、質量兵器に対する拒絶によるものと考えていた。 外観のみならず機能すら質量兵器と酷似したイノーメスカノンは、局員の心理的な理由から碌に解析も為されず、保管という名目での封印を為されたのだと。 そして今、ディエチの手には「2代目」となるイノーメスカノンが握られている。 ヘヴィバレルより供給されるエネルギーを純粋魔力へと変換するそれは、発射される砲撃が直射または集束型魔法と化した以外には「先代」と大した違いは無い。 外観に関しても同様だ。 それ故か否かは判然としないが、イノーメスカノンを携えてのクラナガン西部区画への臨時派遣以降、局員が彼女へと向ける視線は少なからず拒絶と侮蔑を滲ませたものだった。 質量兵器に酷似した外観の固有装備と、その運用に特化したIS。 機動六課ヘリ撃墜未遂、地上本部へのエアゾルシェルによる砲撃、聖王のゆりかご内部での高町 なのはとの砲撃戦など、JS事件当時の記録とも相俟って、大多数の局員は彼女の現場への配属に否定的であったのだ。 他の姉妹達が徐々に受け入れられてゆく中、彼女達を除いてディエチに対し理解を示したのは、ゲンヤ・ナカジマとその娘ギンガ・ナカジマ、そして高町 なのはの3名のみ。 彼女は唯1人、孤独を噛み締めていた。 だが、転送事故により同一地点に送られた男性、旧機動六課に於いてヘリのパイロットを務めていたヴァイス・グランセニックは違った。 イノーメスカノンと同じく、質量兵器である狙撃銃を模したデバイス、ストームレイダーを操る彼は、他の局員の様な侮蔑の視線など欠片も見せはしなかったのだ。 同じ狙撃手としての共感か、はたまた彼自身もディエチと同じ経験を持つのか。 いずれにせよ、彼と同じ地点へと飛ばされた事実は、ディエチにとっては予期せず訪れた幸運だった。 多くを詮索する訳でもなく、かといって無関心でもない。 煩わしい視線を投げ掛けるでもなく、一切を無視するでもない。 こちらを信頼し、その上で気遣い、狙撃手の先達としての観点からアドバイスを齎す。 襲い掛かる汚染体の脅威を、決して恵まれているとはいえない魔力資質、そしてディエチの想像すら及ばぬ膨大な鍛錬と経験とに裏打ちされた技術によって悉く排除。 状況の変化に対し融通が利くとは言い難いISと武装のディエチを庇いつつ、同じく汎用性に乏しいストームレイダーを用いながら、遭遇する全ての敵性体を殲滅する。 何時しかディエチは、彼に対して畏敬と信頼、そして確かな親近感を抱いていた。 だからこそ彼女は、ヴァイスが何気なく言い放った言葉の裏を勘繰ってしまったのだ。 もしやこの男性も、内心ではこちらを質量兵器そのものであるかの様に捉えているのではないか。 そんな疑い、そして不安が脳裏を掠める。 だが、続く念話は、そんな彼女の懸念を掻き消した。 『運転、できないだろうと思ったんだが・・・余計だったか?』 『・・・いえ』 念話を返し、ディエチは軽く息を吐く。 何の事はない、ただ単に運転に慣れているから、彼女を砲座に着かせただけの話だった。 確かに、知識としての車両操作方法はインプットされているが、実際にハンドルを握った事など皆無である。 ならば経験豊富な者が運転席に着き、そうでない者が砲座に着くのは当然の事。 結局、ディエチの懸念は単なる被害妄想だった。 安堵と自嘲の溜め息を吐く彼女を余所に、装甲車はゆっくりと走り出す。 タイヤと床面の間で響く、油膜の剥がれる異様な音でさえも、今は軽快な環境音として捉えられた。 『いやぁ、こいつは快適だ。歩く度に靴底と床で糸を引く事も、慣れない飛行魔法で墜落死する心配も無い。モービル様々だな』 『良いんですか? 第97管理外世界の物でしょう。管理局法に抵触するのでは?』 『良いんだよ。砲塔部は外されてるんだし、今じゃこいつは唯の車だ。第一、移動の足に使うくらい大目に見てくれても良いじゃないか。こちとら根っからの陸戦タイプなんだぞ』 ヴァイスの愚痴る様な念話。 次いでエンジンが唸りを上げ、輸送路へと突き進む。 あっという間に速度が時速80kmを突破し、2人を乗せた装甲車は小型次元航行艦が鎮座する広大な空間を後にした。 『もう1隻の艦はどうなったのでしょうか』 『さあな・・・だが、碌な事にはなっちゃいないだろうよ』 念話を交わしながらも、ディエチは油断なく索敵を行う。 作戦開始時より未だ1発の砲撃も放ってはいないイノーメスカノンを手に、強化された視覚と聴覚、各種センサーを用いて得られた情報を分析。 敵性体、若しくは要救助者の反応を拾うべく、処理速度を更に上昇させる。 その時、ディエチの聴覚に破壊音が飛び込んだ。 『止まって!』 瞬間、装甲車が急制動を掛ける。 油膜に覆われた床面を数十mに亘って滑走し、車体が横向きとなった頃、漸くその動きが止まった。 すぐさま、ヴァイスからの念話がディエチの意識に響く。 『どうした!』 『待って・・・前方、約1600・・・右の通路から大規模な破壊音です。複数種の魔法発動音を確認。それと・・・』 『何だ?』 問い掛けるヴァイスの念話に、ディエチは一瞬ながら返答を躊躇った。 しかし、すぐに思考を落ち着かせると、事実を告げる。 聴覚へと飛び込んだ異音、その正体を。 『照合終了・・・クラナガン西部区画にて記録された聴音データに酷似・・・波動砲集束音2種、確認』 * * 『波動砲、来ます!』 『回避!』 閃光、衝撃と轟音。 異なる2種の光の奔流が解き放たれ、空間の其処彼処を埋め尽くし、蹂躙してゆく。 一辺が5kmを超える、余りにも巨大な空間。 砲撃と雷光に撃ち抜かれた壁面が、一瞬遅れて周囲数百mの構造物ごと跡形もなく吹き飛んだ。 黄金色の砲撃と無数の雷光、爆炎によって照らし出される下方の闇。 其処に浮かび上がるは、有限の存在とは思えぬ程の廃棄物の山、山、山。 汚染され、侵食され、圧縮され、粉砕され。 腐食し、溶解し、圧壊し、断裂した、軍用・民用を問わず無数の機械群の残骸。 更には明らかに有機物と分かる肉塊、機械か生命体かの判別が不可能なまでに入り混じった醜悪な物体など、凡そ人間が想像し得るあらゆる死の具現が其処にあった。 広大な、余りにも広大な集積所に充満する強烈な異臭は、下方に積もるそれらより漏れ出る有害物質だろう。 正常な生命の存在を否定し、人の手により創造されながらその制御を離れ、未だ正常な機能を保つ存在すら死の彼岸へと引き摺り込まんとする、悪意と害意に満ち満ちた機械仕掛けの墓穴。 必死に逃げ惑う生ある者達をその只中へと墜とし込まんとするは、魂なき鋼鉄の異形。 廃棄物を吸い上げては吐き出す、資源回収システムらしき3機の大型機械。 そして、死体が操るR戦闘機。 『大型敵性体、ゴミを吸い上げた!』 『迎撃用意!』 無数の鉄塊が擦れ合う際の、鼓膜を引き裂かんばかりの異音。 同時に異形の1体、その上部より大量の廃棄物が噴火の如く吐き出される。 30m近くも打ち上げられたそれらは空中に放物線を描き、雪崩を打って攻撃隊へと襲い掛かった。 『来るぞ!』 魔導弾と砲撃の嵐が吹き荒れ、襲い来る落下物を粉砕せんとする。 だが、幾ら強力な高速直射弾及び直射砲撃とはいえど、10t近い鉄塊までをも完全に粉砕するのは不可能だ。 何より、直射弾はともかく砲撃となれば、簡易型であれ連射できる者は限られる。 この場に於いては、それは1名しか存在しなかった。 フェイトの戦闘スタイルは接近戦に比重を置いており、砲撃魔法を使用するには少々の時間を必要とする。 オットーは射撃戦主体ではあるが、ISレイストームの威力は鉄塊を破壊するには至らない。 残る4名のうち3名も同様で、2名は砲撃魔法を使用できるものの、発動までに10秒以上の時間を必要とし、とても現状況下で使用できるものではなかった。 結局は簡易砲撃魔法を習得していた1名が迎撃の主体となり、それこそ獅子奮迅ともいうべき奮戦を継続している。 しかし、それも長くは続かないだろう。 彼が無理をしている事は、誰の目にも明らかだった。 何せその脚は、膝下から先が無いのだから。 あの機械とも生命体ともつかぬ、巨大な蟲が生み出す鉄柱に挟み潰されたのだ。 『回避成功! 攻撃を・・・』 『おい、あそこ・・・また吸い上げた! こっちに来るぞ!』 『総員退避! 押し潰される!』 降り注ぐ鉄塊と有害物質の雨を何とか凌いでも、次なる廃棄物の雪崩が襲い掛かる。 攻撃隊は、この一方的な状況の循環から逃れられない。 膨大な質量が頭上より降りかかるという事態が呼び起こす原始的な恐怖、廃棄物という生理的嫌悪感を呼び起こす存在が脅威となって襲い来るという事実が齎す本能的な恐怖。 それらがフェイトの精神を揺さ振り、その行動を妨げんとする。 他の隊員達も、同様の恐怖を覚えているのだろう。 皆、一様に表情が引き攣り、目には明らかな怯えが浮かんでいた。 何より恐ろしいのが、着地が一切できないという現状である。 スキャンの結果、眼下に拡がる廃棄物の海は大量の有害物質と、よりにもよって放射性廃棄物までをも内包している事が判明した。 各員のデバイスが告げた放射線量計測値に、戦闘中にも拘らずフェイトを含めた全員が絶句したものだ。 幾ら広大であるとはいえ閉鎖空間にも拘らず、確固たる足場が存在しないどころか、地表面に近付けば汚染による死は免れないという事実。 唯でさえ追い詰められた状況である上、更に精神的な面からの圧迫までもが加わり、攻撃隊は既に瓦解寸前だった。 それでも、フェイトと彼等は反撃を試みる。 目標は3機の大型機械。 降り注ぐ廃棄物さえ止める事ができれば、戦況は有利になると考えたのだ。 だがその試みも、今のところ成功しているとは云い難い。 それを妨げる存在が、この空間には存在していた。 『R戦闘機、波動砲再充填開始!』 空間の全てを、強大な魔力が侵食してゆく。 それを感じ取る事のできる魔導師、その誰もが信じ難い重圧に息を詰まらせる中、微かな紫電の光が空間を切り裂いた。 瞬間、フェイトは叫ぶ。 「散ってッ!」 念話を併用し放たれる言葉。 ほぼ同時、鼓膜を劈く轟音と共に無数の落雷が周囲へと降り注ぐ。 下方に積み上がる廃棄物の山が根こそぎ消し飛び、次いで集積所の其処彼処から爆音と共に業火が噴き上がった。 廃棄物より漏れ出ていた可燃性のガスが、引火により連鎖的に爆発したらしい。 眼下に拡がる廃棄物の山が内部から爆発すると同時、フェイトはそれを理解した。 飛来する破片に全身を打ち据えられながらも、瞬間的に背面方向へと飛翔した為に、彼女は致命的な負傷を免れている。 だがそれも、状況を乗り切る決定打とはなり得ない。 彼女の視線の先、燃え上がる廃棄物の山が宙へと浮かび上がり、200mほど上方に位置する異形、大きく口を開けたその下部へと吸い込まれる。 「ッ・・・また・・・!」 そして異形が、ゆっくりと移動を開始した。 低速ながら、着実に攻撃隊との距離を詰めてくる。 すぐさまカラミティを構え直し、先制攻撃の実行に備えるフェイト。 しかし直後、彼女は咄嗟に身を翻して下降する。 頭上、直前まで彼女が身を置いていた空間を突き抜ける、1基のミサイル。 衝撃波がフェイトの身を打ち据え、聴覚を麻痺させる。 微かな呻きを漏らしつつ、視線を動かしミサイルの機動を逆に辿れば、其処には幾分青み掛かったキャノピーを持つR戦闘機の姿。 上下逆転した視界の中、フェイトは閉じゆくミサイルユニットを睨み舌打ちする。 まただ。 また、あのR戦闘機が邪魔をする。 こちらが攻撃態勢を取るや目敏く反応し、もう1機のR戦闘機と交戦中にも拘らず、自身の安全を省みる素振りすら見せずに照準を変更、質量兵器による攻撃を仕掛けてくるのだ。 一度など、敵機のそれと同時に発射された波動砲が雷撃を掻き消した後に進路を変更、攻撃隊から然程に離れてはいない位置を通過した程だった。 幸いにして、弾速の問題から攻撃隊を直撃する軌道までの修正は間に合わなかった様だが、それでも以降の波動砲充填中にこちらの動きを抑制するには十分な成果だ。 このままでは、埒が明かない。 視線の先、漆黒のキャノピーを持つR戦闘機が放った連射型の質量兵器が、ミサイルを放ったR戦闘機の外殻装甲を穿つ。 被弾したR戦闘機は、瞬間的に側面方向へと長距離移動。 しかし、その回避運動を予測していたのか、移動先に散布する様にして放たれた弾幕、その内の1発がキャノピーを捉える。 吹き飛ばされる機首。 だが、その機体は何事も無かったかの様に戦闘機動を継続し、あろう事か再度充填していた波動砲を放つ。 対するもう1機のR戦闘機は、敵機の砲撃と同時に前方への爆発的加速を敢行。 巨大な機体の姿が視界より掻き消える程の加速を以って、弾体誘導限界を超える敵機至近距離へと接近を図る。 無論、波動砲を放った機体も別方向へと加速し距離を置いたが、波動砲の誘導自体には失敗した。 弾体は誘導限界の更に内側へと距離を詰められ、軌道修正を図ったままの歪な放物線を描き、廃棄物の只中へと着弾する。 爆発、引火、更に爆発。 砲撃を回避したR戦闘機が、またも膨大な魔力の集束を開始する。 雷撃が来るか、と身構えるフェイトだったが、バルディッシュからの警告がその予想を打ち砕いた。 『I detect distortion of the space. It is supposed that it is a high rank summon magic』 「召喚魔法?」 フェイトは目を凝らし、R戦闘機の機首を見据える。 そして、気付いた。 機体前方、明らかに空間が揺らいでいる。 どうやらあのR戦闘機は、異なる次元より何かを喚び出すつもりらしい。 そして、警戒するフェイトの視線の先で次の瞬間、紅蓮の光が炸裂した。 全身が打ち砕かれんばかりの衝撃が彼女を襲い、その身体を後方へと弾き飛ばす。 聴覚が麻痺する中で視界ばかりが機能を継続し、目まぐるしく回転する場景を映し出す中、フェイトは必死に姿勢制御を試み続けていた。 だが、その奮闘も空しく、再びの衝撃波が彼女を更に異なる方向へと吹き飛ばす。 爆発、それもかなりの規模だ。 それが何処で発生したのかは判然としないが、恐らくは波動砲の着弾によるものである事は容易に想像できる。 強烈な光が熱となって皮膚を炙り、鋼鉄の壁が衝突したかの様な衝撃が全身を打ち貫いた。 更に数瞬後、三度目の衝撃と共に、その意図せぬ機動は終わりを告げる。 オットーと1名の隊員が、彼女の身体を受け止めたのだ。 ふらつく意識を何とか立ち直らせ、感謝の言葉を紡ごうとするフェイト。 しかしそれより早く、オットーが警告を発した。 「頭上、来る!」 またも響く、鉄塊の擦れ合う壮絶な異音。 咄嗟に上方へと視線を向けるフェイトの左右から、無数の高速直射弾とレイストームの緑の光条が放たれる。 貫かれ、粉砕され、或いは反動によって落下軌道を逸らされる、廃棄物の雨。 しかしそれらの陰から、中型車両に匹敵する巨大な鉄塊が現れた。 レイストームが突き刺さり、直射弾が炸裂するも、鉄塊は砕ける事も軌道を外す事もなく落下してくる。 「せあッ!」 フェイトは即座に上方へと躍り出ると、裂帛の気合いと共にカラミティを振るった。 刃ではなく刀身側面を、鉄塊の側面へと叩き付ける。 轟音が鼓膜を劈き、衝撃がカラミティの柄を掴む手の表皮を引き裂くが、同時に鉄塊は3人へと直撃する軌道を僅かに逸れ、掠める様にして燃え上がる廃棄物の山の中へと落下していった。 それを見届け、フェイトはカラミティを振り抜いたままの体勢で荒い息を吐く。 その腕は衝撃に震え、皮の破れた手は柄との間から血を零し続けていた。 「執務官!」 「大丈夫・・・でも・・・」 隊員の声に答えつつ、フェイトは遥か彼方のR戦闘機を見やる。 目を離していた僅か数秒の間に壁面近辺にまで移動したその機体は、連射型質量兵器による弾幕を形成しつつ、敵機から放たれる同種の兵装による攻撃を回避すべく戦闘機動を継続していた。 流れ弾を警戒し視線を逸らさないまま、フェイトは背後へと問い掛けた。 「さっきの攻撃は?」 「詳しい事は・・・空間歪曲が発生した直後に、炎を纏った何かが飛び出して来て・・・」 「視認できたのは其処までです。我々も、貴女程ではないにしろ衝撃波を浴びたので」 「そう・・・バルディッシュ、解析できた?」 次いでフェイトは、自身のデバイスへと問う。 回答は、すぐに得られた。 『I confirmed the movement of the heat source of the hyperpyrexia. As a result of collation, it is supposed that the object is a meteorite』 「隕石だって!?」 バルディッシュの言葉を聞いた背後の隊員が、信じられないとばかりに声を上げる。 フェイトもまた、バルディッシュの言葉をすぐには信じる事ができなかった。 通常、召喚魔法とは使役対象となる生命体、または魔力によって構築された物質を喚び出す技術である。 具体的には、キャロの用いる錬鉄召喚や竜騎召喚、ルーテシアのインゼクトや地雷王召喚などがそれに該当する魔法だ。 それ以外の物質を喚び出すとなれば、最適な技術は召喚魔法ではなく転送魔法となる。 無論、両者の中間となる技術も存在はしているが、余り実用的ではない。 術者に転送魔法の適性が皆無である場合、事前に指標済みである対象を召喚魔法の応用で喚び出す事ができる、といった程度のものだ。 大きめの魔力消費量と比して転送可能な質量は余りに少量であり、実戦で用いるにはリスクが大き過ぎるのである。 恐らくは無機物である隕石、しかも高速移動中であるそれを喚び出すとなれば、召喚魔法よりも転送魔法の方が適している事は明らかだ。 だがバルディッシュは、あの隕石は召喚によって喚びだされたものであると告げている。 従来ならば、解析に何らかの落ち度があったのではと考えるだろうが、フェイトは自身の相棒を心底より信頼していた。 バルディッシュの能力を、バルディッシュを組み上げた師、リニスの腕を。 フェイトは、心から信頼しているのだ。 そして事実、バルディッシュは他のデバイスと比して、一線を画す性能を有していた。 バルディッシュが言うのならば間違いは無い。 あのR戦闘機が隕石を召喚する際に用いたのは、紛う事なき召喚魔法だ。 だが何故、より効率に優れた転送魔法ではなく、召喚魔法を用いるのか? 考えられる可能性は2つ。 あの隕石は、魔力によって構築されたものだった。 それならば、錬鉄召喚と同じ原理での説明が付く。 もうひとつは、ただ単に地球軍が完全な魔法技術体系の解析を成し遂げていない、という可能性だ。 この場合、無機物転送に最適な魔法の選択ができなかったとしても不自然ではない。 だが、そのどちらの可能性も問題の本質ではない事は、フェイト自身も気付いていた。 フェイトが、あの攻撃を召喚魔法であると信じ切れない、その最大の理由。 詰まる所それは、魔導師としての常識によるところだった。 有り得ない、有り得る筈の無い魔法。 「宇宙空間」から物質を、況してや「隕石」を召喚する魔法の存在など、聞いた事もない。 地表から宇宙空間への転送ならば、幾度か事例があった。 12年前の闇の書事件に於いても、ユーノ、シャマル、アルフの3名により、闇の書の闇に対する静止軌道上への転送が行われている。 だがそれは飽くまで転送魔法、それもその分野のスペシャリストが3名同時に、発動後の魔力残量を一切考慮せずに転送を実行した事例だ。 他の場合も同様で、中にはリンカーコアの崩壊を招いた事例も存在する。 転送ですらこれであるのに、召喚など以ての外だ。 況してや、宇宙空間を秒速数十kmなどという常軌を逸した速度で翔け続ける隕石、そんなものを転送するなど不可能。 第一にそんな魔法が存在するのであれば、嘗て次元世界に存在したどの古代文明も軍事用のロストロギアなど造り出しはしない。 オーバーSランクの魔導師が1人存在すれば、戦略級の攻撃を実行できるのだから。 尤も、実際に隕石が召喚されてなお、この空間に存在する全員が生き長らえているという事は、召喚できる隕石のサイズには限界があるらしい。 破壊された壁面に視線を投じつつ、フェイトはそう思案する。 彼女の視線は積み上がった廃棄物の上、露出している分の面積だけでも凡そ2,000,000平方m超という途方もなく広大な壁面、そのほぼ中央に開けられた直径500mはあろうかという「穴」に注がれていた。 今なお、活火山の火口と見紛うばかりの業火と黒煙を吐き出し続ける、その「穴」。 破壊は壁面に留まらず、その向こうに拡がる施設構造物にも及んでいるらしい。 「穴」を通して集積所内に響く警報と爆発音が、途切れる事なく鼓膜を打つ。 態々確認するまでもなく、その「穴」を穿ったのは召喚された隕石である事を、フェイトは理解していた。 「・・・冗談じゃない」 無意識の内に零れる言葉。 幾ら隕石のサイズに限度があるとはいえ、これ程までに常軌を逸した破壊を齎す魔法を、フェイトは他に知らない。 純粋魔力による砲撃ではなく、被召喚物による質量攻撃。 非殺傷設定などあろう筈もない、殺意の結晶。 アルカンシェルに代表される大型艦艇搭載型戦略魔導砲ならばともかく、兵器とはいえ艦艇とは比べるべくもない単体のそれが、それこそ戦術級魔導兵器にも匹敵する破壊力を秘めているなどと、管理世界に於いて予測し得る者が存在するだろうか。 気象を操作し、落雷を誘発し、隕石を召喚する漆黒の機体。 正しく異常、悪夢から抜け出し具現化した、御伽話の怪物の如き存在。 遠い存在である質量兵器ではなく、より明確な脅威として感じられる魔導の力を以って迫り来る、信じ難いまでの脅威。 「執務官・・・」 「分かってる」 何時までも思考に沈んではいられない。 フェイトは決断する。 このままでは2機のR戦闘機によって副次的に行動を制限され、頭上より津波の如く襲い掛かる膨大な量の鉄塊に押し潰される事となる。 R戦闘機か、大型機械か。 どちらかを早急に撃破し、状況を打開せねばならない。 何より現状では、確かめるべき事があるというのに、その確認の為の行動が取れないのだ。 あの魔力を操るR戦闘機のパイロット、それが誰であるのか。 フェイトとしては一刻も早くそれを確認したいのだが、迂闊に動けば即座に波動砲が飛来し、更には鉄塊が降り注ぐという状況下では、それが叶う筈もなかった。 そういった点からも、早急な脅威の排除が望ましい。 フェイトは、攻撃隊各員へと念話を飛ばす。 『総員、大型機械の動きに注意して。誘導型波動砲の発射と同時に仕掛けます。砲撃準備。R戦闘機への牽制は・・・』 『任せて下さい。貴女はあの機械どもを』 念話での交信を終えるや否や、フェイトの背後で3つの魔力が集束を始めた。 長距離砲撃の準備だ。 R戦闘機に対する牽制の役目は、彼等が担ってくれる。 残る1名とオットーの役目は、落下してくるであろう廃棄物の迎撃だ。 そしてフェイトの役目は、R戦闘機が攻撃態勢を整えるまでの間にオットー達が切り開いた道を辿っての、大型機械に対する近距離からの直接攻撃。 コアらしき部位を破壊し、脅威の一端を突き崩すのだ。 幸運な事に3機は今、其々のコアを中心に向かい合う様にして編隊を組み、下方より廃棄物を吸い上げつつこちらへと接近している。 3機は其々、側面に小型の近距離迎撃砲を有してはいるが、一方でコアの露出している面に武装が無い事は確認済みだ。 それらの中心に飛び込む事さえできれば、カラミティによる一撃で3機を纏めて撃破できる自信が、フェイトにはあった。 『R戦闘機、両機共に波動砲の充填を開始! 発射まで5秒!』 『敵性機械、頭上まであと僅か!』 そして遂に、その機会は訪れる。 膨大な魔力の爆発と共に隕石と雷撃が同時に放たれ、それらを迎撃すべく誘導型波動砲が放たれた。 紫電と紅蓮、金色の光を視認するや否や、フェイトは頭上の異形を目掛け突撃を開始する。 『今だ!』 誘導型波動砲を射出したR戦闘機が、フェイトの機動に気付いた。 隕石と雷撃とを迎撃した波動砲弾体の消失と同時、側面方向への回避運動を実行しつつ2基のミサイルを放つ。 だがそれらは、隊員の放った同じく2発の集束砲撃魔法により撃墜された。 弾体加速前に狙撃されたそれは、慣性の法則により母機と平行移動していた為、爆発に機体そのものをも巻き込む。 自らが放ったミサイルの爆発による巨大な圧力に押され、R戦闘機は大きくバランスを崩した。 其処へ撃ち込まれる、もう1機のR戦闘機からの連射型質量兵器による弾幕。 主翼、垂尾、左エンジンユニットが吹き飛び、更には残る1名の隊員が放った牽制の為の砲撃が、予期せずキャノピーの中央へと突き立つ。 R戦闘機は、機首右側面及び機体後部左側面のサイドスラスターを作動、瞬間的に機体中心を軸とする駒の様な回転運動を成し遂げ、砲撃を受け流そうと試みた。 結果、砲撃に機体を正面より貫通される事態は避けられたもののキャノピーを根こそぎ吹き飛ばされ、黒煙を噴き上げつつ高度を落とし、音速に達する速度もそのままに燃え上がる廃棄物の山へと突っ込む。 轟音、飛び散る廃棄物。 フェイトは波動砲発射時の衝撃に煽られながらも突撃を継続しつつ、バルディッシュを通し一連の推移を認識していた。 僅かに一瞬の攻防、その結果として得られた想定外の戦果。 驚異の一端が完全に消失した事を確認し、彼女はカラミティを握る手により一層の力を込めると、頭上に点る3つの緋色の光を睨む。 バリアジャケット、真・ソニックフォームへ。 敵性大型機械、エネルギーコア。 目標までの距離、約180m。 『ゴミだ!』 隊員からの警告。 目標、上部より大量の廃棄物を放出。 廃棄物のサイズ、最小は1m前後から、最大で5m弱。 対象数過多により、総数は即時計測不能。 進攻軌道上の対象数、約11。 『左へ!』 隊員からの念話に従い、左側面へと3m移動。 直後、空間を貫く簡易砲撃魔法2発、レイストームの束。 フェイトへと直撃する落下軌道を取る11の廃棄物、内9つへと直撃、粉砕する。 廃棄物、残り2つ。 共に5mサイズ。 カラミティを腰溜めに、刃の先端を後方へと向けて構える。 そしてフェイトは更に加速、2つの廃棄物の落下予測軌道を見極めるや否や、それらの交差する点を目掛け決定的な加速を敢行した。 ソニックムーブ、発動。 歪む視界、迫り来る廃棄物。 それらの間隙を擦り抜ける際、フェイトの背に灼熱の感覚が生じる。 「ッ・・・!」 背面を切り裂く、鉄片の感触。 大型機械によって吸い上げられる直前まで炎を纏っていたそれは、未だ拡散する事のない高熱を以って傷口を焼いた。 肌を切り裂かれ、肉を焼かれる苦痛に、フェイトの咽喉を悲鳴が込み上げる。 しかし彼女はそれを呑み込み、更に速度を上げた。 背後からは、2つの鉄塊が接触した際の衝撃、そして轟音が響く。 一瞬でも加速を躊躇えば2つの鉄塊に挟まれるか、若しくは頭上を塞ぐ様に落下してくる双方の廃棄物によって押し潰されていただろう。 だが、フェイトはその危機を切り抜けた。 不屈の意志と不退転の決意を以って、迫り来る脅威を打ち破ったのだ。 そして今、フェイトの視線の先、約30m。 彼女にとっては正に目と鼻の先である距離には、目標たる3機の大型機械のコアがあった。 フェイトがこの後に為すべき事は、単純にして明確だ。 距離を詰め、カラミティを振り、3つのコアを破壊すれば良い。 フェイトは事前予測に基き、その攻撃行動を取り行おうとした。 「ぁあああああッッ!」 自身の速度と合わせ、脅威的な速度で以って振るわれるカラミティ。 掬い上げる様な刃の軌道が、中空に黄金色の残像を生じさせる。 再度のソニックムーブ発動と共に、フェイトとコアの距離は一瞬にしてゼロへと近付き、そして。 「な・・・!?」 コアの傍ら、腐食した外殻へと刃が突き立った。 『執務官!?』 必殺の一撃が目標を外れた事に、隊員達から悲鳴の様な念話が飛び込む。 フェイトは答えない。 唯々、呆然と大型機械の外殻に突き立つカラミティ、自身の血に濡れたその柄を見やる。 彼女の手は、カラミティを握ってはいなかった。 主の手を離れた大剣、それだけが虚しくもコアの2mほど横、化学物質により侵食され爛れた肉壁の如き様相を晒す外殻、その表層へと突き立っている。 何故、自身は攻撃の最中にカラミティを手放した? 自問するフェイト。 その疑問は、彼女の左腕を伝い滴る、熱く、粘性を持った液体の存在により氷解した。 錆びた鉄の臭い。 フェイトは、自身の肩を見やる。 「あ・・・ああ・・・」 其処に「穴」があった。 親指ほどの直径の「穴」が、彼女の肩に開いていたのだ。 微かな白い煙を上げるそれは、詰まりの取れた排水管の如く血の塊を吐き出す。 遅れて意識へと伝わる、想像を絶する激痛。 堪らず悲鳴を上げようとするフェイトだったが、それより早く右大腿部に熱が奔った。 「うあぁッ!?」 その瞬間、フェイトは視認する。 後方より自身の脚を貫く、青い光線。 貫かれ、血を噴き出す脚を気遣う暇も無く、彼女は後方へと振り返る。 其処に、それは居た。 「・・・ガ・・・ジェット?」 フェイトは、その兵器を知っている。 ガジェットⅢ型。 球状のボディを持つ、嘗てジェイル・スカリエッティによって尖兵として生み出された、無人兵器。 それが、無限とも思える廃棄物の山の中から現れ、レーザーの砲口をこちらへと向けていた。 だが、フェイトが驚愕したのは、不意を突かれた事に対してではない。 信じ難いのはガジェット自体、その外観だった。 他の隊員達も同様の念を抱いたのか、念話にて呟きが漏れる。 『何・・・あれ・・・』 そのⅢ型は、機体上部が大きく抉れていた。 巨大な力によって叩き潰され、破壊された部位を跡形もなく削り取られていたのだ。 捩れ剥がれた外殻装甲の下からは内部機構が露わとなり、鈍色の機械系統が表層を覗かせる。 全体は黒ずんだ油膜と汚染物質により覆われ、外殻の其処彼処が蝕まれては腐食し、細かな穴が無数に開いていた。 それらの隙間より細いケーブルが零れ落ち、宛ら内臓の様に機体下部へと垂れ下がっている。 明らかに、機体制御に異常を生じているであろう様相。 致命的な損傷を受け、金属を腐食させる複数種の化学物質の混合液に浸され、そのままかなりの時間が経過していた事を窺わせる、凄絶な姿。 だというのに。 明らかに機能停止レベルの損壊と汚染にも拘らず、眼前のガジェットは機能していた。 僅かに残ったセンサー類に光を点し、レーザー砲に化学触媒を供給し、1本だけ残されたベルトアームを振り翳して攻撃態勢を取る。 垂れ下がった無数のケーブルの先端から汚染物質を滴らせ、本来の機体性能を大幅に下回る速度で接近してくる様は、正に亡霊を思わせた。 そして、呆然とその姿を見やる、フェイトの視界の中。 その砲口に、またも青い光が宿った。 「く・・・!」 レーザーが来る。 そう判断したフェイトは、咄嗟に回避運動を取ろうとした。 だがその直前、突如としてⅢ型のベルトアームが力を失い、垂れ下がる。 何が、と警戒するフェイトの目前で、Ⅲ型のセンサーが光を失い、機体が重力に引かれ落下を始めた。 呆気に取られてその様子を見守る攻撃隊。 機能停止したⅢ型は廃棄物の山に紛れ、すぐに区別が付かなくなった。 それを見届け、腑に落ちないながらもフェイトは、大型機械へと視線を戻そうとする。 その行動を遮ったのは、オットーからの念話だった。 『ガジェット・・・違う! 敵性機械、更に出現! 20、30・・・数え切れない!』 呆然と、ただ呆然と見やる事しか、フェイトにはできない。 廃棄物の山、その至る箇所から亡者の如く這い出す、無数の機械達。 ガジェット、作業機械、兵器類。 軍用・民用を問わず、あらゆる機械類が廃棄物の中より息を吹き返し、その砲口を、腕を、特殊作業用パーツを攻撃隊へと向けている。 それらの機械群に共通する点は、唯1つ。 本来ならば機能停止状態となっているであろう、重大な損傷・欠損。 内部機構を露わにし、無数の内蔵ユニットとケーブルを零し、汚染物質と合成油を滴らせながら動く、鋼鉄の亡霊達。 中には自らを焼く業炎を纏ったまま、消化する素振りさえ見せずに上昇する機影もある。 それらは徐々に高度を上げるも、しかし中途で力尽き、機能停止しては落下する影も少なからず存在した。 動かずにいれば自己保存の可能性もあるというのに、それを完全に無視して敵対者に対する攻撃態勢に入っているのだ。 保身を一切考慮しないその自殺的な行動に、明瞭し難い恐怖がフェイトの意識を蝕んでゆく。 だが彼女には、自身が恐怖している事実を認識するどころか、肩と大腿部の負傷を確認する暇さえ与えられなかった。 突然の浮遊感が、彼女の全身を襲ったのだ。 「なっ・・・!?」 『執務官?・・・いけない!』 『逃げて下さい! ハラオウン執務官!』 肉体を統括する意思を無視し、徐々に上昇しゆくフェイトの身体。 咄嗟に飛行魔法を中断するも、身体の上昇は止まらない。 訳の分からない現象に、フェイトの意識は混乱する。 だが続けて放たれた隊員の念話に、フェイトは自身に何が起こっているのかを把握した。 『大型敵生体、機体下部開放! 執務官が吸い込まれる!』 反射的に、頭上へと視線を投じる。 其処に、闇があった。 「・・・嘘」 大型機械の1体、機体側面にコアを備えたそれが、フェイトの遥か頭上、200m程の高度に位置している。 機体下部の外殻が大きく開放され、その中に漆黒の闇が口を開けていた。 それが何の為に存在するものであるのか、フェイトは既に理解している。 廃棄物回収用の吸入口。 彼女の身体は偏向重力場に捉えられ、今まさにその穴へと吸い込まれようとしているのだ。 「く・・・!」 焦燥も露わに、フェイトは改めて飛行魔法により下方へと降下を試みる。 だが、偏向重力による吸引力は、明らかに飛行魔法の推力を上回っていた。 徐々に上方へと引き摺られる、フェイトの身体。 「くぁ・・・ぁ・・・!」 『執務官、横へ! 横へ飛んで下さい!』 意識へと飛び込んだ念話に、フェイトは自身の斜め上方を見やる。 其処には、コアの傍らにカラミティの刀身を突き立てられたまま、廃棄物を吸い上げている大型機械の姿があった。 その高度は、フェイトを吸い上げようとしている機体から、60mほど下方に位置している。 それを理解するや否や、彼女はソニックムーブを発動した。 進行方向は下方ではなく側面、水平方向への移動を意識して加速。 しかしその瞬間、より吸引力を増した偏向重力により、彼女の身体は曲線を描く様にして斜め上方へと向かう。 だがその事態は、彼女にとって予測の範疇だ。 偏向重力により加速しつつ辿り付いた先には、ライオットザンバー・カラミティを突き立てたままの異形が存在していた。 フェイトは、その化学物質に侵された外殻を掠める様にして飛翔し、カラミティの柄へと手を伸ばす。 そしてその指は、確かに届いた。 右手の握力を振り絞り、確りと柄を握り締める。 自らの手に戻った相棒と短い意思の疎通を行い、異常の無い事を確かめると、フェイトの胸中に僅かながらも希望が生じた。 「いけるね? バルディッシュ」 『Of course』 その頼もしい答えに、フェイトは僅かに笑みを浮かべる。 しかし次の瞬間には、彼女はその瞳に怜悧な光を浮かべ、自身の傍らで光を放つコアを見据えていた。 外殻に着いた足に力を込め、一息にカラミティを引き抜かんとする。 先ずは、此処で1機。 最初の目標を定め、渾身の力を込めて外殻を離れようと試みた、その数瞬後。 フェイトの身体は、上下が入れ替わっていた。 「な・・・ッ!?」 『Sir!?』 一体、何が起こったのか。 それを理解する為には、数秒ほどの時間が必要だった。 異形の外殻に突き立ったカラミティ、その柄を掴む右手を支点に、フェイトの身体は上下が反転していたのだ。 瞬間的に吸引力を増した偏向重力によって、周囲数十m以内の重力作用方向が完全に逆転してしまっている。 それどころか、その吸引力は徐々に増してさえいた。 フェイトは右腕1本で、カラミティの柄を支えに「宙吊り」となっているのだ。 「うぁ・・・ぁ・・・ぁぁ・・・!」 凄まじい重力負荷の中、フェイトの全身から汗が噴き出す。 通常の倍にまで達した重力場の中、全体重を繋ぎ止める右腕の筋肉は今にも千切れんばかりに収縮し、限界を知らせる小刻みな痙攣を起こしていた。 肩部と大腿部より溢れ出す血液は、下方ではなく上方へと筋を描き伝い、大量の空気の流れと偏向重力に攫われて「穴」の中へと消える。 フェイトは、デバイスの柄から手を離す事ができない。 数十、或いは数百トンもの廃棄物を吸入する、漆黒の穴。 其処に吸い込まれた人間が如何なる末路を辿る事になるのか、フェイトは微塵たりとも知りたいとは思わなかった。 それが碌な結果にならない事は容易に察する事ができた上、余りのおぞましさに意識が考える事を放棄したという事もある。 フェイトは全身の神経を右腕へと集中させつつ、しかしある瞬間、ふと足下を見た。 見てしまった。 その結果、唯1つの感情が、彼女の意識を満たす事となる。 「ぁ・・・!」 「穴」は、すぐ其処にあった。 吸入を継続している機体が降下してきたのか、或いは自身がカラミティを突き立てている機体が上昇したのか。 どちらかは分からないが、現実に「穴」は彼女の足下から、僅か30mにも満たない位置にあった。 此処まで接近して漸く、フェイトは敵性機械の正確な大きさを知る。 自らが接触している機体については、距離が近過ぎる事もあり正確なサイズの把握は困難だったのだ。 上方の機体についてもそれは同様なのだが、彼女を吸い込もうとする「穴」のサイズから推測する事ができた。 長方形に近い形状のその「穴」のサイズは、全長20m、全幅40mを優に超えている。 其処から察するに、機体全長は40m、全幅は60m以上あると考えられた。 「穴」の中は漆黒の闇に閉ざされており、凄まじい勢いで流入する大気が立てる轟音、そして耳元の風切り音だけが、亡者の呻きの如くフェイトの鼓膜を震わせる。 「墓穴」より響くその音に、フェイトの精神は完全に支えを失った。 恐怖。 今や、彼女の心中を占めるのは、唯それだけ。 『砲撃を・・・援護して!』 攻撃隊に対し、必死に援護を要請するフェイト。 しかし返された答えは、彼女以上に切羽詰まったものだった。 『機械群の猛攻撃を受けている! 支援は不可能! 繰り返す! 支援は不可能!』 『来たぞ!』 約200m下方、フェイトにとっては「頭上」となった其処では、砲撃と直射弾、レイストームの嵐が吹き荒れている。 押し寄せる損壊したガジェットと作業機械の大群を、攻撃隊は必死に形成した弾幕で以って食い止めていた。 しかしそれも、徐々に綻びが生じている。 何しろ彼等の足下を埋め尽くすのは、何時動き出すとも知れぬ廃棄機械の山なのだ。 事実、円陣を組む様にして全方位に対する迎撃戦を展開する彼等の直下より時折、先端の欠損したベルトアームやらマニピュレーターを用いて廃棄機械が表層へと姿を現し、攻撃隊への突撃態勢に入る。 その都度、それを察した隊員が簡易砲撃を叩き込むのだが、それらの出現は止む事がなかった。 そして更に、状況の悪化を知らせる念話が発せられる。 『そんな・・・蟲です! またあの蟲が出た! こっちに来る!』 『迎撃を・・・くそ! 「AC-47」臨界値突破! 強制排出に移る!』 『こっちもです!』 R戦闘機によって破壊された壁面から、大量の蟲が現れた。 隊員の脚を潰した、あの鉄柱を生み出す鋼鉄の蟲である。 40体前後のそれらは、鉄柱の尾を引きつつ攻撃隊へと接近。 彼等を包囲し、物理的に圧殺せんとする。 最早、攻撃隊にフェイトを支援する余裕など無い事は、一目瞭然であった。 あの機体は? 魔力を操る機体、義父が搭乗している可能性がある、あのR戦闘機はどうしたのだ。 バイドと敵対しているであろうあれは、一体何をしているのだ? 無我夢中で視線を廻らせれば、雷光を以って迫り来る機械群を薙ぎ払う、漆黒のR戦闘機の姿がフェイトの視界へと飛び込む。 信じ難い威力を秘めた波動砲を備えるその機体はしかし、無限の廃棄機械群による絶対包囲と蟲どもの突撃によって、徐々に押されつつある様に見受けられた。 雷光が発せられる度に包囲は崩れ、廃棄物の山は消し飛ぶのだが、それこそ1秒と経たぬ内に新たな廃棄機械が動き出し、壁面より現れる蟲の群れが襲い掛かる。 撃ち掛けられる無数のレーザーとミサイル、迫り来る幾条もの鉄柱に、R戦闘機は隕石を召喚する為の満足な充填すら許されず、只管に雷撃とミサイルによる迎撃を繰り返していた。 大型機械の1機がその頭上へと接近しているが、それに対応する余裕すら無いらしい。 以上の情報を統合して得られた、無情な解答。 自己のみによる状況打開手段、皆無。 救援可能戦力、皆無。 心中の恐怖が、絶望が、より一層にその濃さを増す。 知らず、声が漏れた。 「嫌・・・いや!」 逆転した重力の中、首を振り怯えの宿った眼で「穴」を見下ろし、拒絶の言葉を放つフェイト。 膨大な大気の濁流、その只中で彼女は、足下に拡がる闇より逃れようと、その腕に有りっ丈の力を込める。 しかし、辛うじて彼女を生ある世界へと繋ぎ止めているそれ、バルディッシュ・ライオットザンバー・カラミティという名の楔は、己の意思に反してその役目を放棄しつつあった。 大型機械の外殻に突き立つ刃先が、強力な偏向重力によって外れ掛かっているのだ。 バルディッシュは「AC-47β」によって増幅された魔力を用いて刃先を拡大し、何とか外殻からの剥離を防ごうとするも、化学物質によって腐食の進んだ外殻はいとも容易く損傷個所を拡げてしまい、最早これ以上の拡大は不可能だった。 「嫌だ! 嫌ぁ!」 徐々に、徐々に、フェイトの握力が弱まる。 バルディッシュの柄を握り締める手、その小指が解け、僅かに全身が「穴」へと近付いた。 彼女は尚も抵抗するものの、偏向重力が弱まる様子は無い。 「バル・・・ディッシュ・・・ごめんね・・・!」 胸中を占める絶望と滲み出す諦観に、フェイトは自身の道連れとなるであろう相棒に謝罪の言葉を発する。 それに対しバルディッシュが何らかの返答を行ったらしいが、彼女にはそれを聞き取る事ができなかった。 確実に念話であったにも拘らず、彼女の意識は既にバルディッシュから離れていたのだ。 フェイトの意識を打ったのは、絶望的な迎撃戦を展開している攻撃隊、オットーからの念話。 『ゴミが・・・執務官!』 フェイトは足下の「穴」ではなく、頭上の廃棄物の山を見上げる。 その中から無数の廃棄物が浮かび上がり、こちらへと迫り来る様が視界に飛び込んだ。 10m級が複数、明らかに直撃軌道。 もう、術など無かった。 このままでは、廃棄物に押し潰される。 かといって手を離せば、眼下の「穴」に吸い込まれる事となる。 打開策はなし。 もう、何をやっても無駄なのだ。 迫り来る鉄塊。 フェイトは、何処か穏やかですらある思考のままにそれを認識し、終焉の訪れる瞬間を待つ。 せめてもの抵抗として、自身を押し潰すであろう鉄塊を睨む彼女。 そして遂に、鉄塊との距離が20mを切った、その時。 唐突に、偏向重力が消失した。 「・・・え?」 違和感。 突如として正常状態に復帰した重力作用方向に、フェイトは咄嗟の判断を行う事ができなかった。 頭から落下を始め、しかしバルディッシュにより強制的に発動された飛行魔法によって浮遊、逆転していた天地が元に戻る。 呆けた様に自身の相棒を見つめ、次いでふと眼下へと視線を投じれば、その先には落下してゆく鉄塊の影。 此処にきて漸く、フェイトは状況を理解した。 偏向重力が消失した事により、自身は危ういところで生命を繋いだのだ。 しかしそれを理解しても、彼女の胸中に歓喜の念が湧く事はない。 それよりも遥かに、現状に対する疑問の方が大きかった。 何故、重力操作が止んだ? あと一歩で自身を排除できたというのに、何故ここにきて攻撃を中断するのか。 頭上の敵性機械に、何が起こったのだ? そんな彼女の疑問は、頭上から響いた衝撃音によって掻き消された。 何らかの機械が停止する際にも似た、鋼鉄の鼓動が途絶える音。 反射的に上へと向く視線。 彼女の視界を覆い尽くす、腐食した灰色の外殻。 それが迫り来る大型機械であると理解した瞬間、彼女は回避行動へと移行した。 「バルディッシュ!」 『Sonic Move!』 バルディッシュの刃先が、大型機械の外殻を抉り離れる。 それを確認するや否や、フェイトは瞬間的に加速、側面方向へと逃れた。 そんな彼女を掠める様にして、大型機械は廃棄物の只中へと落下してゆく。 爆発も、何かしらの破壊音も立てる事もなく、山と積み重なった廃棄物を押し潰す様にして落着する大型機械。 一体、何が起こったというのか。 フェイトには、まるで状況が理解できなかった。 『Behind sir!』 バルディッシュからの警告。 我に返り背後へと振り返れば、先程まで自身が張り付いていた大型機械が此方へと迫りくる様が視界に飛び込んだ。 咄嗟にバルディッシュを構えようとして、左腕と右脚が機能していない事実に思い至るフェイト。 だがそれでも、戦うしか道は残されていない。 覚悟を決め、右腕のみでバルディッシュを振り被る。 瞬間、大型機械のコアに穴が穿たれた。 「・・・え?」 三度、呆けるフェイト。 大型機械は彼女から20mほど離れた位置を通り過ぎ、やがて落下を始める。 先程の機体と同じく、爆発も起こさず、破壊音すら響かせる事なく、瞬間的に機能が停止したかの様に、自由落下へと移行したのだ。 眼前で起こった現象を理解できずに、フェイトはその軌跡を目で追う。 その先、突き当たりの壁面の、遥か上部。 其処に、橙色の光が集束していた。 「あれは・・・?」 次の瞬間、その光が爆発する。 リンカーコアを通じて知覚される、強大な魔力による圧迫感。 先程までの状況もあり、思わず身を竦めるフェイト。 だが発射された光の奔流は、攻撃隊を襲う蟲の群れと廃棄機械群を纏めて貫いた。 明らかに、SSランクに匹敵する集束砲撃魔法。 数百もの廃棄物群を一瞬にして消し去り、着弾地点で起こった炸裂は堆積するそれらを山ごと粉砕する。 その砲撃に救われた攻撃隊ではあったが、自身等を包囲する廃棄機械群の半数近くが一瞬で掻き消えた事により、歓喜よりも驚愕と混乱とに支配されている様子であった。 しかし彼等の、フェイトの混乱は、更に加速する。 「何が・・・!?」 『ガジェットが・・・ガジェットが止まっていく! 機能停止だ!』 『味方の攻撃か? 一体何処から!?』 『攻撃が見えない・・・何をしているんだ!?』 次々と機能を停止し、物言わぬ鋼鉄の躯へと戻る廃棄物群。 それらが一体、何を為された結果として機能を停止しているのか、攻撃隊には理解できない。 だが、フェイトは理解していた。 この攻撃が何であるのか、それを実行している人物が誰であるのか。 眼前で大型機械のコアに穿たれた、自身の拳よりも一回り小さな穴。 微かに見えた、緑の魔力光。 この攻撃、一方的にして絶対的な攻撃の正体とは。 『超高密度魔力集束確認・・・壁面、通路です!』 狙撃だ。 『砲撃、来ます!』 再び、橙色の砲撃が放たれる。 R戦闘機を執拗に狙っていた最後の大型機械はその砲撃により半壊、攻撃行動を中断したところへ撃ち込まれたミサイルがコアを直撃し、機能を停止した。 上空の脅威が消えた事で機動性を確保したR戦闘機は、廃棄物の山より放たれるレーザーを回避、或いは装甲で受けつつ、波動砲の充填を開始する。 その様子を目にしたフェイトは、全方位へと向かって念話を放った。 『退避!』 魔導師達が、中空へと逃れる。 直後、召喚された隕石が集積所の中央、廃棄物の只中へと着弾した。 壮絶な衝撃と熱が轟音と共に攻撃隊を襲い、その身体を上空へと撥ね上げる。 実に5秒以上にも亘って意図せぬ空中機動を強いられたフェイトは、漸く態勢を立て直すと、朦朧とする意識を何とか引き締め、眼下へと視線を投じた。 廃棄物の山は、無い。 否、あるにはあるのだが、それらはもはや別個の存在ではなかった。 衝撃によって粉砕され、高熱によって溶解し、炎を噴き上げる液化金属となっていたのだ。 恐らくその下では、未だに隕石が燻っているのだろう。 時折、連鎖的に小爆発が繰り返され、液化金属が上方へと撥ね上げられる。 集積所の隅は辛うじて溶解を免れてはいるが、衝撃によって吹き飛ばされた廃棄物が積み上がり、今にも崩壊しそうだ。 これが、あの波動砲の最大出力か。 余りの惨状に、フェイトの口から無意識の言葉が零れる。 「狂ってる・・・」 『全くですね』 突然の念話。 フェイトはゆっくりと、その視線を壁面へと移した。 攻撃隊が集積所への侵入に用いたものと酷似した通路が口を開け、その縁に何やら動くものが見える。 それが誰であるのかを念話によって確信したフェイトは、疲労を隠そうともせずに思念を送った。 『危ないところだった・・・もう少し遅れてたら、今頃は挽肉になってた』 『間に合った様で良かった。奴さん、こっちにはまるで気付いてなかった様でしたんでね。存外に装甲が脆くて助かりましたよ。おかげで簡単にブチ抜けた』 『・・・凄い皮肉だね、それ・・・ディエチも其処に居るの?』 『はい、ハラオウン執務官』 『そう・・・助かったよ。貴方達の援護が無かったら、間違いなく全滅してた』 『御冗談を』 交わされる念話に、隊員達も漸く状況を理解したらしい。 2kmほど先の壁面を指差しつつ、信じられないとでも云わんばかりの表情で言葉を捲し立てている。 フェイトにしても、俄には信じ難い事柄だった。 2kmという距離からの狙撃、しかも砲撃でもない単なる直射弾の一撃で、大型機械2機を撃破せしめたヴァイス。 短時間の内にSSランク相当の砲撃を2回も行い、1000に迫ろうかという廃棄機械群を殲滅したディエチ。 いずれにしても、通常の魔導師の常識を大きく逸脱している。 ディエチはフェイトの発言を謙遜として捉えたらしいが、実際には本心からの言葉だった。 其々、常軌を逸した技術と能力を持つ、2人の狙撃手。 彼等が現れなければ今頃は間違いなく、彼女も含めて攻撃隊は全滅していただろう。 『グランセニック陸曹長、ディエチ』 その時、オットーからの念話が発せられる。 すぐさまヴァイスが反応し、言葉を返した。 『ヴァイスで良いぜ。何だ?』 『ディードを・・・ディードを見掛けませんでしたか?』 『双剣使いの? いや、見ていないが・・・』 『オットー、ディードがどうしたの?』 ディエチの問いに、オットーはディードが行方不明となった経緯を説明する。 しかし彼等は、ディードの姿を見た覚えは無いと答えた。 落胆するオットー、そしてフェイト。 この汚染された施設内で単独行動となれば、その危険性は計り知れない。 一刻も早く探し出さねばならないが、その前にやるべき事があった。 フェイトは念話で、ヴァイス等へと指示を与える。 『ヴァイス、ディエチ』 『何です』 『狙って』 『了解』 たったそれだけの言葉に、ヴァイスは何をすべきか悟った様だ。 返答は無かったが、その傍らに居るディエチも同様だろう。 溶鉱炉の如き炎と熱気の上昇気流の中、フェイトは甲高い異音の発生源へと向き直った。 R戦闘機、ホバリング状態。 「お待たせしました」 その言葉に対する反応は無かったが、間違いなく聴こえているとフェイトは確信する。 R戦闘機は逃げるでもなく、かといって攻撃に移るでもなく、ただ其処に浮かび続けていた。 フェイトは次いで言葉を発し掛け、しかし何を言ったものかと思案し口を閉ざす。 クライド・ハラオウンの名を以って呼び掛けを続ける? 駄目だ、反応の無い事は確認済みであるし、何よりも攻撃隊各員が不審を持ち始めている。 投降を促す? 地球軍が、管理局によるそれに従うなど想像できない。 虚を突いて攻撃? それこそ下策中の下策、10秒と経たずに雷撃と隕石によって全滅させられる事は間違いない。 フェイトが思考する間にも、R戦闘機は微動だにしなかった。 攻撃隊が周囲を包囲し、デバイスを突き付けても同様だ。 それが、フェイトには不気味で堪らない。 何らかの策略による沈黙か、或いはこの程度、瞬時に殲滅できるとの余裕か。 結局、判断は付かなかった。 しかし、フェイトは思う。 この機体には、間違いなく義父が深く関係しているのだ。 何としても此処で情報を手に入れ、義母と義兄の下へと届けたい。 それ以上に、捕虜となったパイロットの証言が本当ならば、この機体の搭乗者が義父本人であるかもしれないのだ。 何としても拿捕、それが無理ならば艦隊への同行という譲歩を引き出さねばならない。 何せ、ただ単に撃墜するよりも、遥かにメリットが大きいのだ。 R戦闘機が攻撃の意思を見せてはいない以上、たとえ表面的ではあっても意志の交換による交渉を行うならば、今しか機会はない。 その判断に基き、フェイトはバルディッシュの刃先を下ろす。 双眸は油断なくR戦闘機を睨み据えたまま、隊員達にもデバイスを下ろすよう指示。 幾分ながら戸惑いつつも全員がそれに従った事を確認し、フェイトは言葉を紡ごうとして。 「・・・避けてッ!」 その眼前で、R戦闘機は機体後部を抉り取られた。 『な・・・!』 驚愕する攻撃隊の眼前、黄金色の弾体が下方から上方へと突き抜ける。 エンジンノズル1つを残し、機体後部構造物の全てを失ったR戦闘機は、サイドスラスターを駆使しつつ集積所の隅、溶解が及んでいない廃棄物の堆積する地点を目指し落下していった。 無理矢理に視線を機体から引き剥がし直下へと目を向ければ、超高熱液化金属の海より覗く、元はR戦闘機のキャノピーであった部位。 それは、燃え盛る液化金属の波に呑まれつつも、機首へと光の集束を始める。 波動砲、再充填開始。 『まだ・・・動いて・・・!』 オットーが自身の驚愕を伝えるが、フェイトとてそれは同じだ。 嫌悪と、驚愕と、恐怖とが入り混じった、混沌の感情。 それは彼女の眼下、業火の海でのたうつR戦闘機に対するものであり、その存在を創造した地球軍に対するものであり、それをすら汚染せしめるバイドに対するものであった。 溶解した金属の只中へと沈み、なお動き続けるR戦闘機。 恐らくはバイドにより汚染されていたのであろうが、元となる機体を創り出したのは地球軍だ。 この様な常軌を逸した兵器、創り上げた彼等の狂気とは如何程のものか、想像すら付かない。 そして、これ程の力を持つ兵器群を大量に投入し、なお打倒すること叶わぬバイドとはどの様な存在なのか。 R戦闘機をすら汚染せしめ、その力を嘗ての友軍へと向ける事を強要する、悪夢の様な存在。 そんなものが一体、何処から現れたのか? 攻撃隊の眼下、波動砲の充填は滞り無く進行する。 しかしフェイトは思考を優先させ、特に動く事をしなかった。 そんな必要が無い事を、重々に承知していたのだ。 R戦闘機のから僅か1m側面、液化金属の海面に穴が穿たれ、飛沫が飛び散る。 直後に波動砲の充填が止み、R戦闘機は全ての機能を停止したらしく沈降を始めた。 集積所壁面に、微かな緑色の閃光が奔ってから、僅かに数秒。 R戦闘機は完全に液化金属に没し、二度と浮かび上がる事はなかった。 『仕留めましたかね?』 『・・・多分ね』 ヴァイスからの問いに、フェイトは無感情に返す。 そして、集積所の端に墜落したR戦闘機へと視線を移すと、そちらへと移動を始めた。 『2人、私に着いて来て。R戦闘機を調査、パイロットを確保・・・!?』 『何だ!?』 だが直後、集積所内に巨大な金属音が響く。 何事か、と周囲を見渡すが、特にこれといった変化はない。 混乱と警戒とに満ちゆく思考はしかし、ヴァイスからの念話によって状況を把握するに至った。 『上だ! シャッターが開くぞ!』 その言葉に上部構造物を仰ぎ見れば、其処には巨大な半球状のシャッター、直径200mはあろうかというそれが無数に並んでいるではないか。 それらは中心から8つに分かれ、徐々に外側へと開きつつある。 何が始まるのか、と警戒する一同の意識に、隊員の1人が放った念話が届く。 『廃棄ダクトだ・・・』 その見解が正しい事は、直に証明された。 大きく口を開けたそれらの奥、警告灯に照らし出された終わりの見えない深淵の中から、無数の廃棄物が降り注ぎ始めたのだ。 突然の事に反応し切れずに、フェイトを含め攻撃隊の初動は遅れてしまう。 潰される、と何処か冷静に判断する思考。 だが、三度放たれたディエチの砲撃が、鉄塊の雨を跡形もなく消し飛ばす。 『こっちへ、早く!』 ディエチの念話に、攻撃隊は即座に退避行動へと移った。 しかしフェイトは通路へは向かわずに、廃棄物の雨を危ういところで回避しつつ、壁面沿いにR戦闘機を目指す。 『アンタ、何やってる!? こっちへ来い、死ぬぞ!』 『執務官! 戻って下さい!』 『駄目だ! 先にパイロットを確保する!』 隊員達の制止を振り切り、フェイトは遂にR戦闘機の許へと辿り着いた。 バルディッシュが、直下の廃棄物群より放たれる放射能の危険性を知らせるが、彼女はそれすらも無視。 墜落時の衝撃か、罅の入ったキャノピーをカラミティで切り裂き、自らの魔力光を以って内部を照らし出す。 そして、遂に「それ」を目にした彼女の胸中に。 「・・・嘘だ」 闇が、溢れた。 * * 「車を使え! ナビに従って次元航行艦まで戻るんだ!」 「そんな! アンタ達はどうするんだ!?」 「執務官が来るのを待つ! 先に脱出の準備を頼む!」 「待って、1人足りない!」 通路へと退避した隊員達に対し矢継ぎ早に指示を飛ばしていたヴァイスは、その声を受けて背後へと振り返る。 フェイトの事を言っているのかとも思ったのだが、しかしすぐにそうではない事に気付いた。 ディエチが隊員の1人へと、切羽詰まった様子で何事かを尋ねていたのだ。 念話を用い、問題が生じたのかと問う。 『どうした、何があった?』 『陸曹長・・・オットーが・・・』 『確か・・・妹だったか? 彼女がどうしたんだ』 『此処へ来る途中で止まっちまって・・・ゴミに邪魔されて、助ける事もできないんです!』 その言葉にヴァイスは、咄嗟にストームレイダーを構えると、スコープ越しに攻撃隊が退避した軌跡を辿る。 果たしてその途中、凡そ600mの地点に、廃棄物の山の直上へと佇む、一見すると少年にも見受けられる少女の姿があった。 何かを胸元に抱え、俯いたまま動く気配が無い。 ヴァイスはとにかく、その情報をディエチへと伝えた。 『見付けたぞ! データを渡す、そっちで確認してくれ!』 『了解・・・確認しました! オットーです!』 その言葉も終わらぬ内、ヴァイスは狙撃を開始する。 オットーへと直撃する可能性のある落下物を狙撃し、機動を逸らしているのだ。 だがそれにも限界はある上、貫通力に特化した魔導弾では、大型の落下物に対して無力。 傍らのディエチが、砲撃でサポートを行う。 その間にも隊員やディエチが、念話でオットーへと退避を促し続けていた。 『聞こえないのか、こっちへ来るんだ!』 『早く! 早くして!』 『オットー、何をしているの!?』 その念話を意識に挟みつつも、ヴァイスは確実に落下物への狙撃を成功させていた。 スコープへと映り込む対象を次々に変更し、トリガーを引き続ける。 ガジェットの残骸、作業機械のアーム、機動兵器搭載兵装の一部、大型車両のタイヤ、何らかの制御盤と撃ち抜き続け、次の標的へと狙いを変更し。 「ッ・・・!?」 視界へと映り込んだ物体に、ヴァイスは凍り付いた。 落下するそれはオットーの傍らへと叩き付けられ、大量の液体を撒き散らしつつ弾ける。 その正体こそ看破は容易であったが、理解する事は困難以上の問題だ。 だが、続いて落下してきた同種の物体、数百体にも及ぶそれが、否が応にも現実を認識させる。 ディエチや隊員達もまた、同様の光景を目にしているらしく、念話を通して複数の悲鳴が届いた。 赤い飛沫を散らしながら、廃棄ダクトより無数に零れ落ちるそれ。 見紛う筈などない、見慣れたその造形は。 「人間」だった。 そして、ヴァイスは気付く。 オットーの足下、廃棄物の只中に転がる、半ばより溶け落ちた真紅の刃。 胸元から零れる、流れる様な栗色の髪。 慈しむ様に、両腕で抱え込まれたそれ。 ディードの「頭部」。 悲哀か、絶望か。 ディエチが絶叫する。 だがそれすらも、オットーの意識には届かない。 必死の銃撃を、砲撃を嘲笑うかの様に、降り注ぐ死体と廃棄物の雨は激しさを増す。 直上にダクトの存在しない壁面沿いの地点に落着したR戦闘機内にて、何かを発見したらしきフェイトが念話を用いて叫んではいるが、少なくともヴァイスにはそれを聞き留める余裕などありはしない。 落下物を撃ち、砕き、貫き、弾き。 まだ続くのかと、まだ終わらないのかと、微かな絶望が脳裏を掠めた、その時。 全長50mを超える次元航行艦の残骸、消息不明となっていたそれが、ダクトより現れる。 知らず、此処には存在しない何者かへの怨嗟が、小さな呟きとなってヴァイスの口を突いて出た。 呪いの言葉が誰へと届く事もなく掻き消え、より一層に悲痛なディエチの悲鳴が響く。 そして、直後。 オットーの姿は、次元航行艦の影に呑み込まれて消えた。 特異な過程によって生まれ、特異な道を歩み、特異な戦いを経て、光の下へと踏み出した姉妹。 自らの生を歩み始めたばかりの双子は、機械仕掛けの墓穴に呑まれて消えた。 それを見届けた者達の悲哀も、憎悪も、絶望も。 その一切が、墓守たる存在へと届く事はない。 未だ閉じる事もなく、鋼鉄の屍を吐き出し続ける無数のダクトだけが、犠牲者達の尊厳を辱め続ける。 1000を超える死者、そして無数の鋼鉄の骸を共に、2人は光の下を去った。 奪われた未来、踏み躙られた尊厳を取り戻す術を、生者は持ち得ない。 無力感と憤怒に打ち震える彼等の声が、死者に届く事はない。 彼等は。 脅威を打倒し、危機を切り抜け、自らの生存を勝ち取ったにも拘らず。 彼等は、紛れもない「敗北者」だった。
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作者:こばやしみちとも氏&山河晴天 新世紀2年8月3日 13 20 北海道石狩管区千歳市 新千歳国際空港 時空融合後の世界において、日本国内の航空輸送と言うものはかなり制限されていた。 ジェット燃料問題も有ったが、それ以上に国内各航空会社が使用している航空機の恒常性が著しく制限されてしまったからである。 ご存知の通り、日本国内の航空会社が使用している旅客機・貨物機は唯一の国産機であるYS-11やMRJ(三菱リージョナルジェット)を除いて殆どがアメリカ、ヨーロッパからの輸入品である。 時空融合によってヨーロッパがエマーン領域に置き換わったため、エアバスやボンバルディアを初めとしたヨーロッパの航空機メーカーからのパーツ供給は途絶え、ボーイングやマグドネルダグラス、ロッキードと言ったアメリカの旅客機メーカーも日本国内で使われていたボーイング767以前の機体……ボーイング737やマグドネルダグラスMD81などのパーツはとうの昔に生産をやめ、在庫ストックも底を付きかけている状態のものが殆どであった。 新品同然の747でも200形等のクラシックジャンボであればむしろパーツ取りにバラされてしまう程の状態である、と言えばお分かりであろうか。 エアバス系の機体は中華共同体に同様の国際間航空機開発機構が存在したためパーツの互換性があるかと思われたが、シズマドライブ動力のプロップファン機が殆どであり、もっとも疲労交換率の高いジェットエンジンのパーツはGEやP Hと言ったアメリカ製エンジンを除いて完全にアウトであった。 そんな中、唯一西暦2000年ごろの最新鋭機ボーイング777がつい10年前まで製造されていたと言う事でボーイングからパーツを供給され運用が可能な航空会社では主力となっていた。 この状態は新世紀6年以降、北崎重工や新中島航空機(戦前・戦中の中島飛行機と戦後の富士重工航空機部門が合併した富士重工グループの企業)、新中州重工(川崎重工航空機部門と川西航空機の合併)などの高い技術を持っていた航空機メーカーの協力。 さらにチラム化するアメリカから拠点を中華共同体に移したエアバスのアメリカ法人が元となって設立されたエアバスASIA(エイシア)の協力を得てようやく形を見た大型ジェット旅客機登場まで続く事となる。 ちなみに融合前、世界のジェットエンジン市場のシェアを大きく占めていたロールスロイスのイギリス国内、ロンドン近郊に出現していた工場が再稼動を始めるのは大分後になってからであり、その頃には神崎重工と新中州重工の共同開発による水素燃料ジェットエンジンや熱核タービンエンジンが実用化され市場をほぼ独占していたため、大きく後塵を拝す事となる。 英米のメーカーがシェアの大半を占めていた時空融合前とは、全く逆の状態になったとも言えるのは皮肉な話である。 そのため、国内航空路は札幌→東京間など対抗できる交通機関が貧弱な地域(北海道新幹線は札幌から新函館まで完成した状態で出て来ていたが、皮肉にも青函トンネル近辺の取り付け線が消失していたのだ)を除いて運行便数はかなり少なくなっていた。 その日の昼下がり、定刻通りに到着した北海航空のボーイング777(通称:レインボー・ダッシュ7)から降り立った客は、2,30分程するとそれぞれ目的とする所へ向かわんとJRの地下駅、バスターミナル、あるいは迎えの者が待つ駐車場へと散って行く。 そんな中、5人ほどの人影が取り残されたように人影でごった返すメインロビーに居た。 長身に蓄えられた白いあごひげが威厳を醸し出すロシア系の壮年の男。 サングラスで顔を隠しては居るが、長く伸ばした金髪が目を引くドイツ系の若者。 引き締まった体つきとばっさりと切ったショートカットが猫科の動物を思わせる中華系の女性。 容姿はジャニーズ系のタレントでも通用しそうだが、むっつりとした表情と全体から漂う威圧感がそれをスポイルしているまだティーンエイジャーと思える日本人の若者。 長く伸ばしたアッシュブロンドの髪を軽く結い上げた、小柄な北欧系ともラテン系とも受け取れる少女。 その一団を認めた微妙にSF的な印象のグレーのスーツ型軍服を着た銀髪の女性が近寄ると、踵をそろえて敬礼をした。 「ようこそ。陸上自衛隊第二独立空挺機動大隊第1陸戦機動中隊、セルマ・シェーレ一等陸尉です」 その女性を見た一団は、一瞬きょとんとした表情でセルマを見つめた後に軽く敬礼を返す。 『あの士官……何かテッサにそっくりじゃない?』 『俺もだ。一瞬、大佐殿かと思った。声だけ聞いたら分からないぞ……』 『ま、彼女がテッサの同位体って事はないだろ? 血の繋がりは有るかも知れないけど』 トパーズ色の瞳にゆるくウェーブしたアッシュブロンドの髪を持つセルマを見て、小声で彼等は会話を交す。 「はじめまして、『アルギュロス・ジャパン』のアンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニンです」 出来るだけ気さくな印象を与えるように笑顔を作り、カリーニンはセルマの手を取った。 『アルギュロス・ジャパン』を名乗った彼等こそ、この5月のお台場事件での影の主役とも言える存在「ミスリル」のメンバーである事をセルマは既に知らされていた。 「ようこそ、DoLLSへ。それでは、こちらへお越しください」 Super Science Fiction Wars Outside Story Steel Eye d ladies~鋼鉄の眼差しの乙女達 第5話 テクノロジィ・ギャップ2 新世紀2年8月3日 14 30 北海道石狩管区千歳市 航空自衛隊千歳基地内 陸上自衛隊第二独立空挺機動大隊 第一格納庫 八月の太陽がじりじりと千歳基地を照らしている。 基地上空でアクロバットを披露するブルーインパルスのF-2が起こす爆音が遠雷のように辺りに響き、それに負けじとクラブのDJばりに声を張り上げるアナウンスと観客の歓声が覆いかぶさる。 だが、千歳基地の中でも目立つその施設は、異様な程の沈黙に支配されていた。 そんな格納庫の中を、5つの人影が歩いている。 外資系警備会社「アルギュロス・ジャパン」…… ミスリル 特別対応班の視察団であった。 「しかし、見れば見るほどM9に似てるな」 5人の中では若く見える、無愛想を絵に描いたような男……相良宗介が呟く。 「ま、中身はM9程じゃなくて、機動性はせいぜいM6の6割増し程度らしいけどな」 その脇に居た、金髪の長い髪をした男……クルツ・ウェーバーが答える。 「クルツ、そう思うかも知れないけど、こいつは120mm砲やらヘルファイアクラスのミサイル、はてはレールガンをフル装備してその機動性を出せるって話なんだけどね」 クルツの言葉に、後ろの方にいた活発そうな印象を与えるショートカットの女性……メリッサ・マオが突っ込むようにして答えた。 「120mmにレールガンねぇ……」 納得が行かなさそうなクルツにマオが畳み掛けるように言う 「あんた、M9が120mmとヘルファイアを12発、さらにマシンガンとショットキャノンを持たせてまともに戦闘できると思う?」 「重すぎて機動性が損なわれるぜ、ましてや走行中に発射しようものならバランサーが追いつかなくて転ぶのがオチだな」 「無理だな。ASに搭載できるサイズの120mmなど初速も命中率も低いし、装填機構も信頼性が低くて使い物にならん」 その言葉にクルツと宗介はしばし考え、納得が行った様な顔を見せる。 「ま、M9にはその必然性が無いから改良もしなかったとも言えるんだろうけどね……だけどこの機体は120mmと88mm速射砲を両肩に付けて全力疾走中に同時発射出来る、って話よ」 そう言って大仰に肩をすくめるマオに、宗介とクルツは唖然とした表情を隠せなかった。 きわめて似通った外見、駆動システムを持つ2つの兵器……ASとPLDだが、運用される主なフィールドの違いがその2つを明確に分けていた。 見た感じ「忍者」と言った印象のM9に対して、機体の随所に取り付けられたハードポイントと様々な補機類を収納する関係上異様に太い太腿を持ち、M9に比べて全体的に重厚な印象を与えるX-4シリーズ。 ASは戦闘ヘリすら凌駕する高い3次元機動性とECSで人形機動兵器最大の弱点である前面被弾面積の高さをカバーしていたが、PLDはその生まれた環境ゆえに同じ目的で開発されたにしても答えの出し方は違うものであった。 元々、惑星オムニは地質タイムスケジュールで行けばジュラ紀に相応する若い惑星であり、人の手が入ってない領域では地球で言えばメタセコイア近似種である30mを超える高さの巨木が生い茂り、恐竜が闊歩する原始の森が大半を占めていた。 攻撃ヘリも用を成さない森の中で戦車以上の火力を用いたゲリラ戦を行うため、3次元機動力よりも十分な火力と装甲、高い悪路走破性を求められたのである。 やかましい3人を尻目に、他の2人は言葉少なめにハンガーに固定されたPLDを見つめていた。 「確か、26世紀の植民惑星からやって来たと言う話でしたけど……」 5人の中でもっとも小柄な、アッシュブロンドの髪を纏めた少女……ミスリル太平洋戦団司令強襲揚陸潜水艦「トゥアハー・デ・ダナン」艦長テレサ・テスタロッサ大佐……今やこの世界において「ミスリル」の総代表ともいえる地位に居る女性……が呟く。 「『ウィスパード』の存在は彼女らの世界では記録にすら無かったようです」 その言葉に答えようとした、この集団の中では年長である男……アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン中佐は途中で言葉を濁した。 意味不明に聞こえるが、この二人にはそれだけで何を指すか分かっていた。 (ウィスパードの存在が無ければ、この時代までこう言った兵器は出現しなかったのか……) カリーニンは、その事を単に自分の世界が進歩している証とは素直に思えなかった……。 新世紀2年8月10日 14 06 東京都新宿区市ヶ谷 防衛省技術研究所第一研究室 「しっかしまぁ……種々雑多と言うか何と言うか……」 そうつぶやいてナミは、モニターに写った人型兵器の画像を見る。 レイバー、WAP、AS、AWGS、HIGH-MACS……。 現在日本連合で運用されている主要な人型兵器がその画面に映っていた。 第一次要求仕様に基づいた新型PLD、仮称PLD-Xの開発のため、ナミを初めとした数名のDoLLS隊員と整備班員の中でもPLDメーカーであるレイランドダグラスおよびリッペンバールト、ディジェムからの出向組のメンバー達はここ市ヶ谷の防衛省技術研究所に出向となっていた。 「信じられませんよね、地球上でこれだけ人型兵器が実用化されているなんて……」 その脇のコンソールで資料整理を行っていた見た感じ妙な子供っぽさを与える女性……エリィ・スノウ陸曹長が答える。 そのモニターの上には、ハセガワ製M9ガーンズバックの1/35模型がアサルトライフルをガンダムよろしく構えたポーズで乗っている。 DoLLSとしては大陸ですら平地の少ないオムニでこそ人型、2足歩行は有効な兵器足りうると思っていただけに時空融合後、様々な人型兵器が当たり前のように実用化され運用されている日本連合には軽い眩暈を覚えずには居られなかった。 地球上でも運用可能な戦闘PLD実用化のためにDoLLSがまず始めたのが地球上で運用されている人型陸戦兵器の解析であった。 「その中でも異様なのが……このASだね、タカス中佐」 たまたまDoLLS基地を訪れている最中に時空融合に巻き込まれてやってきていたレイランドダグラス社技官ケント・ムーアが自分のコンソールの内容をナミたちに見せるようにして振り向いた。 PLD開発チーム"ダイブワークス"主任として独立戦争当時の名機X-3シリーズを開発し引き続き"トライフルワークス"主任としてX-4シリーズの殆どに関わった彼がここに居た事は奇跡と言っても良かったかも知れない。 その画面には、未だ実戦配備がされていなかったアメリカ製AS、M9ガーンズバックのCADデータを初めこの5月のお台場事件で湾岸を疾走するARX-7「アーバレスト」の画像など、ASに関する情報が表示されていた。 「確かにそうですね……外見も似ていれば駆動システムもそっくり、運用目的も不整地でのゲリラ戦用兵器と言う点でこのM9と言う機体はPLDと良く似ていると思います」 そうケントに答えながら、ナミはASと言う兵器にある種の異常さを感じずには居られなかった。 元々PLDは、宇宙空間でのデブリ回収作業用EVAユニットのゼロプレブリース(与圧作業)化とデブリ衝突対策を目的とした大型化によって生まれたものである。 それがたまたま地上でも使える事が分かり、大型化に従ってマスタースレイブ方式の操作系からコマンド入力への変更、独立動力ユニットの搭載、関節部リニアモーター駆動からPAM(人工筋肉)駆動への等の進化を経て今のPLDになったものである。 それに対してASは、1970年代に計画された「ハーディマン」を初めとした「ヒューマン・アンプ」の延長線上にある「純粋な兵器」として人型で生まれた存在である。 そして何より、それに使われている技術が問題であった。 常温核融合型原子力電池、電磁筋肉、電子式光学迷彩……。 自分たちの世界ではかなり後になって出現した技術が、殆ど20世紀末の1970年代末から1990年代末にかけて次々と実用化されていたのだ。 単にまだ開発されていなかった、もしくは必要が無かったと言うだけで、陽電子燃料電池や重力圏下で射撃可能なレールガンの実用化も可能だったかも知れない。 「私たちの世界なら、西暦2200年ごろようやく常温核融合を観測できる現象として実証できたのに……」 常温核融合の発見自体は、両方の世界とも1987年。アメリカはユタ州立大学でのフライシュマンとボンズの発表がきっかけである。 だが、その後それが再現不能な現象として片付けられたのがナミ達の世界であった。 ナミ達の世界では西暦2000年前後なら常温核融合など「疑似科学」「病的科学」の世界、つまりオカルトと大差ない世界で片付けられ、真剣に研究しようとする研究者は狂人かカルト信者のような扱いをされるのがオチであったのだ。 常温核融合の存在自体が忘れられた22世紀末、とある偶然によって明確に再現可能なレベルでの常温核融合反応が発見され、ようやくナミ達の世界でも常温核融合は本物であると言う判断が下された。 そのときにフライシュマンとボンズの発見が歴史の闇より発掘され、現代のコペルニクスとまで言われたのである。 「まぁ、驚くまでも無い。現に19世紀に解析機関を実用化してたり、1940年代に二足歩行兵器を実用化した世界だってあったんだからな」 ケントの言葉に、帝都区で見た蒸気を動力とする歯車式階差機関の事を思い出し、あぁそういえばとナミは気づいた。 大概の世界ではチャールズ・バベイジと言えば「早すぎた夢を見た見果てぬ夢の代名詞」だったのだが、帝都区の由来世界ではバベイジと言えば、エジソン以上の天才としてその名を知られる存在であったのだ。 1940年代に2足歩行兵器……鉄人28号を実用化した金田博士のグループもまた同じである。当時のまだ未熟な性能であった戦車であれば、平地でも十分な装甲強度を持った二足歩行兵器は十分脅威となりうる。 だが、他にこれだけ早期に(霊能力などが絡まない)二足歩行兵器を実用化した世界は他に無かったため、開発者である金田博士(故人)、その息子であり鉄人28号初代操縦者、現在新鉄人計画総責任者である金田正太郎、その息子正人は何らかの特殊能力者ではないのか?と言う説を唱える者も居る。 (ミスリルは金田一族が「ウィスパード」あるいはそれに類する能力保持者である確率が高いと見て調査を進めている) 「まぁ、そう言う信じられない世界に比べたら……遥かにまともな話ですよね」 そう言った世界よりは遥かにASはナミ達の世界でも説明が付く兵器であり、技術である。 時代が600年近い過去である、と言うことが判断を鈍らせていたとも言えるのだが……。 「確かにそうですね……私たちの世界は技術発展が遅れていた部類なのかも知れませんね」 エリィもつぶやく。 今までDoLLSはオムニでも最新鋭の兵器を操るもの、と言うプライドがあったのだが、そのプライドもやや揺らぎかけていた。 たとえるなら、我々の目の前に江戸時代初期に作られた、現代でもまともに使るパソコンや自動車が有ったらどう思うだろうか? 話だけを聞けば「何をふざけた事を」と一笑に付すような話題であるが、まさにドールズが感じていた気持ちはその様なものであった。 「まぁ、我々のPLDも決して他に劣る兵器ではないし、我々がアドバンテージを握っている技術はいくつも有る。それらを上手く活かしながらどうにかして行くしか無いのでは?」 「そうですねぇ……」 ケントの言葉に、ナミとエリィは声をそろえてぼやくように答えた。 パラジウムリアクターと構造的に近しいPFCが量産可能と判断されたのは、パラジウムリアクターに比べると構造が簡素でかつ、日本連合領土内で採掘される物質のみで生産可能であった事が最大の要因である。 ただし常温核融合より遥かに高度な技術の対消滅機関であるにも関わらず、エネルギー効率や連続稼動時間と言う面でASに搭載されていたパラジウムリアクターに劣っているのは事実だ。 その事もナミ達に取っては異様な事であった。 ナミ達の世界でのパラジウムリアクターはせいぜい鉄道車両(機関車)や小型船舶に搭載できるサイズがぎりぎりであり、それ以上のコンパクト化は出力などの面でまともに使える代物にならず、動力源としては鉄道車両や船舶に使われる程度でPLDの動力源に使おうと考える者は居なかった。 (PFC自体、パラジウムリアクターの小型高出力化・構造簡素化の研究から偶然対消滅反応が発見され、生まれた技術である) いささか技術的アドバンテージと言う点に置いて、ナミ達が不安になってしまう事も無いわけではなかった。 と、そこに無用心に思えるほどの勢いで二人の人物が入ってきた。 「中佐~、シミュレーション用のプログラムできましたよ」 長く伸ばした金髪に眼鏡が目立つ女性、第一小隊「シルバーフォックス」の索敵担当マーガレット・シュナイダー准尉だ。 元々技術畑出身でコンピュータに関しては専門家の彼女もまた、この計画のために東京行きとなっていたのだ。 「技術発展が遅れていたと言う事ですが、やはり600年後のコンピュータは凄かったですね……ははははは」 もう一人、何とも軽薄そうな笑い声を立てる技官。第一研究室で密かに故・斎藤弘之主席研究員の後継者と目されている「新人」こと東屋幸武技官であった。 彼は色々と特異な趣味を持っているのだが、それに関してはまた別の話で語る事となる(蛇足だが彼に限らず、技研には色々と「特異」な趣向を持った研究員・技官が多々居ると言われている。第3研究室の紐緒技官は高校時代真剣に世界征服を企んでいたとか……?)。 PLDの分析、再設計に関しては技研側ではDoLLSほど深刻に考えて居なかった。 これは単にわずか3ヶ月でWAPを十分実戦運用に持ち込めるレベルまで仕上げられたと言う経験が自信になっていたとも言えるが、今回はWAP開発に関わった技官らが少数の代わりに極秘裏ではなかったため、第3新東京大学よりMAGI3号機を貸し出されていたのを初めとして企業・他の研究機関からも十分なバックアップを得られていたのだ。 ましてや処理速度では現行のスーパーコンピュータを遥かに上回るペタフロップス単位の処理速度を持つオムニ軍のメインフレームもある。 OSと計算方式の違いは有れど、MAGIとオムニ製メインフレームをネットワーク接続し、分散メモリ型運用した場合の処理能力は計算能力に限って言えば西暦2000年代前半に日本にあった高性能スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を優に上回り、日本連合が所有するコンピュータの中でもトップクラスと言えるに違いない。 シミュレートと機体バランスの取り直しを考えても楽に仕事を進められるだろう、と言うのが技研と陸自側の思惑であった。 技研側としてはWAPの火力不足を補う存在として時速120km以上での巡航を目指した装輪戦車の開発を始めており、PLDが使用する滑腔砲の装填機構を早く解析し、量産にこぎつけたいと言う事も有ったのは事実である。 なぜなら、PLDが使用する滑腔砲の自動装填機構は現在自衛隊が持つ陸戦兵器の自動装填機構としては極めて信頼性が高く、初期型90式戦車の自動装填機構が100発射撃を行った場合のジャム率5%に対して0.005%と言う信じられないほど高度な耐久性を持っていたのだ。 自動装填機構を上手く利用できればMBTの搭乗員数を減らす事が出来、省力化に繋がる。 戸惑うドールズと余裕を持っている技研、事実上技研の単独開発であったWAPと違い自分たちも技術の恩恵に預かりたいと考える篠原重工を初めとする企業。 複雑に思惑が絡み合う中、プロジェクトは進もうとしていた。 新世紀2年8月10日 12 30 公海上 北緯20度50分 東経140度31分 ミスリル太平洋戦隊 トゥアハー・デ・ダナン 拠点 メリダ島 「ある意味、非常に安定した兵器。と言う印象でしたね」 超国家対テロ組織 ミスリル の施設の中で、唯一この融合世界に出現を許されたメリダ島……。 現在、この世界においてミスリルの唯一の砦とも言える場所である。 その島にしつらえられた軍事施設の会議室……ここに彼らは集まっていた。 「非常に安定した兵器?」 SRT隊長、ベルファンガン・クルーゾー大尉の言葉に、テッサは言葉を続ける。 「ASに比べると荒削りな所が多いけど、兵器としての完成度は上でした」 「マスタースレイブ操作方式ではなく、レイバーなどと同じコマンド入力方式でM6以上の機動性を出せると言う点において量産兵器としてのASとPLDを比較した場合、PLDの方が優秀と言えるでしょう」 テッサに続ける形で説明したマオは、内心「あの時テッサがM6じゃなくてこれに乗っていたら、あたしはもっと簡単に負けていたね」と以前メリダ島で些細なケンカをきっかけに起こした騒動を思い出した(短編『猫と子猫のR R』参照)。 マスタースレイブを用いたASの場合、わずか腕を数センチ動かしただけでそれが巨大な動きになる。 例えば慣れて居ない操縦兵がバイテラル角の設定がなって無いままの機体に乗り、歩くつもりで足をあげた場合、自機の胸にニーパッドを叩き込んで転倒し、駄々っ子のように手足をじたばた動かし地面をのた打ち回る事になる。 そう言う点でASの操縦者とはもともとの素質も必要であると同時に、育成に時間のかかる物である。 宗介のように戦場で鹵獲したASを修理してすぐに乗りこなせるような操縦兵の方がむしろ稀有なのだ。 特にミスリルが用いているM9は完全人工筋肉駆動など最新鋭技術をフルに導入しているため、M6に比べてもピーキーな操縦特性を持ちSRTのメンバーはともかく今後実戦配備先となるはずであったアメリカ軍でも機種転換の難しさが問題になっていたほどなのだ。 無論、慣れた兵士であれば「肉体の延長」としてまさしく香港アクション映画のごとき人知を超えた戦闘機動が可能なのであるが…。 その点PLDやWAPはコマンド入力方式が基本であり、レイバーなどの操縦に慣れたオペレーターなら短期間でその操縦手法を覚える事が可能であった。 これは熟練度の高いパイロットを短期間のうちに沢山揃えられると言う点で非常に重要なファクターである。 さらに、X-5、Xx-10に用いられて居るBEPAMは樹脂系半生体ナノマシンを構造材に用いており、ある程度の筋肉繊維体の損傷であればリキュールと呼ばれる反応剤を供給してやる事で回復が可能である。 前線での恒常性と言う点では、筋源繊維の断裂を防げずかなりの頻度でマッスルパッケージを交換せねばいけないASは不利な話であった。 兵器は個々の性能も重要であるが、「誰にでも短期間で扱える」「恒常性を高いレベルで保てる」と言う普遍性もまた重要なのだ。 太平洋戦争当時の零戦の故事を例に出すまでも無く、パイロットに高い熟練度を必要とする兵器はパイロットのレベルが下がると途端にその優位性を失ってしまう。ましてや恒常性を保てない兵器はなおさらである。 優秀なカタログデータよりも、そのカタログデータをより多くのパイロットが引きだす事が出来、かつそれを高いレベルで保てる事が量産兵器としては重要なのだ。 残念ながらBEPAMを製造する松村技研も現時点ではこの半生体ナノマシンを作る事は出来ず、ASのマッスルパッケージに近い電磁筋肉を採用すると言うことであるが……。 「……量産兵器、としては優秀……か」 休憩時間となったとき、喫煙所でカリーニンはそうつぶやくと、千歳で見たPLDを再度思い出す。 ASと似ていながら、なぜかPLDにはASに常々感じていたグロテスクさが感じられなかったのだ。 『やはり、 ブラックテクノロジーの産物 ではないからなのだろうか……?』 自分は高度技術の存在と言う物をどこかで恐れている、カリーニンはその事を認めていた。 ならば何故AS以上の高度技術が使われているPLDに畏怖を覚えないのか? 幾ら考えても、その答えは無いように思えた。 新世紀2年8月20日 11 23 東京都新宿区市ヶ谷 防衛省技術研究所中央電算室 「やはり機体バランスが微妙ですね……。大型キャノン砲の空中発射は諦めるしかないか」 コンピュータ画面上で試験モデルが何度目かの墜落をするのを見て、ため息混じりにナミは呟いた。 「肩装備型は仕方が無いでしょうね、手持ち式はHIGH-MACSを参考にすれば何とかなると思うんですが」 東屋技官がナミをフォローするかのように言葉を続ける。 様々な面で戦術が変わってくるだろうこの世界に置いてPLDを使う観点から、様々な兵器の要素を取り込む 必要性があることは早晩、判った結論であった。 その目的で参考資料と成りうる物の一つがAS、そしてHIGH-MACSだった。 「新中州もホワイトホールの改良に手間取っているって言うし、これじゃあ何のための高性能シミュレータなんだか」 ナミは溜息を突くと、センターコンソールに座る第三新東京大学から派遣されてきた女性オペレータに近寄る。 「伊吹さん、テストモデル120から199は破棄。201からのテストをお願いします」 「わかりました」 MAGIにシミュレーション条件が入力され、ペタビット単位の通信速度を持つ光ファイバーでLAN接続されたメインフレームより計算された状況設定が流れ込んでいく。 わずか一月で立ち上げられたこの急作りのシミュレータシステムだが、計算能力では日本でも最高の物と言える環境であった。 その構成は、第3新東京大学が東芝へライセンスを供給する事によって完成したMAGI3号機を核に、DoLLS基地の予備品として保管されていたオムニ製メインフレームを計6台ペタビットイーサでLAN接続し、分散/並列処理すると言うものであった。 このメインフレーム、業務用冷蔵庫程の大きさでメモリ容量は数百GQ(GQ=ギガクアド。1クアド(quad)=約1万テラバイト)に達し処理能力と言う点では公的機関が有するコンピュータの中では最高峰のものである。 業務用冷蔵庫サイズで数千兆ギガバイト単位のメモリ……と言ってもピンと来ないかも知れないが、現時点で我々の世界が持つ中でも最高性能のコンピュータの一つである「地球シミュレータ」が3250平方メートル、高さ17mのスペースを用いて総メモリ容量10TB(テラバイト。1テラ=10の12乗倍。1 兆バイト/一億ギガバイト)である事を考えるとその凄さがわかるであろう。 MAGIの供給元である第3新東京大学の赤城奈緒子博士曰く「これだけの環境なら風洞実験も模型実験も要らないわね」と言わせるほど、様々な環境を瞬時に再現し、シミュレートできる能力だ。 シミュレーションのために用意されたコンピュータと言う点で行けば、融合世界でも最高レベルのものである。 日本連合が持つ「モノリスに触れたとしか思えない技術の歪さ」が良い方向に働いた一つの例であろう。 「HIGH-MACSは確かに優秀な機体ですね、あんなのが500年以上前に作られていたなんて……。ぞっとしませんな」 ケントが東屋の言葉に同意するように言う。 習志野基地に実験小隊が二個、さらに北海道にて無人の機体が一機見つかった12式歩行戦闘車……通称HIGH-MACSは白兵戦能力が皆無と言う点を除けば、巡航速度98km/h、最高速度230km/h以上。 果てはPLDに匹敵する火力とペイロード容量を持ち、戦闘ヘリ以上の高い機動性を持つモンスターであった。 だが、白兵戦能力の無さと言う点や機体強度がWAPやPLDに比べて劣る点が自衛隊側が難色を示し、技術開発参照用として解析を進め、WAPを初めとした陸戦兵器の性能向上の参考とする形になっていた。 だが、高い3次元機動能力とペイロードに目をつけたヘリ部隊の関係者からは、AH-1S「スーパーコブラ」及びAH-64DJ「ロングボウ・アパッチ」の後釜として龍騎兵大隊を中心に配備できないかと言う意見も出ている。 「3軸の姿勢制御が問題ね……。東屋さん、例のアレは分析できてるんですか?」 「あれは……ちと難しいですね。何せ未知の技術の固まりの上に、2機とも彩雲計画でパイロット共々テスト行ってますからね」 ナミの言葉に、東屋は苦笑いを見せて頭を掻く。 「あれ」と言うのはついこの間まで「パンドラの箱」に眠っていた2機の可変戦闘機……YF-19とYF-21である。 戦闘機から人型へ変形すると言う複雑な機構を持つのであれば、それなりに高度な3次元機体制御技術を持っているはず、と思いYF-21のバランサーシステムの解析データを元にバランサーシステムを組めないか、とナミは思っていたのだがデータを手に入れられるのは今しばらく先になりそうだ。 「ですが、21(にーいち)はかなり複雑みたいですよ。何でも異星技術の応用とか聞いてますし」 YF-21のバランサー……キメリコラ特殊イナーシャ=ベクトル・コントロールシステムは構造自体は単純なのだが、それがどうやって三次元の機体制御を行っているのかの仕組みが理解できないのだ。 「ったく……異常すぎよ。こんなのが2040年の最新鋭戦闘機なんて……」 そう言いながらナミはYF-21の現時点で終わっている解析データを写したモニターに向かってため息をついた。 キメリコラのみならず熱核バーストタービンやエネルギー変換装甲等、オムニ世界では想像もつかなかった名前がずらずらと並ぶその詳細は見ているだけで気が滅入るような気分になってくるものがあった。 後に彼女のみならずDoLLSはある事をきっかけに2機の実物と実力を目の当たりにするのだが、それもまたもう少し先のことである。 同時間 小笠原諸島硫黄島沖15Km 海上自衛隊第一艦隊第二航空護衛艦群所属 航空護衛艦CV-01「ほうしょう」艦内格納庫 「えぶしっ!」 水銀灯に照らされた格納庫内に、文字にすればそう言った印象になる奇声が響く。 航空自衛隊客員パイロットにして航空技術検証班研究員ガルド・ゴア・ボーマンが、何の前触れも無く放ったクシャミがその正体である。 「っ汚ねぇ……手ぇぐらい当てろよガルド……。お前は加トちゃんか?」 唾のしぶきをモロに後頭部に喰らったもう一人の客員パイロット……イサム・ダイソンがいささかうんざりした口調で言う。 まるで自分の頭の上に金ダライが落ちてきたような様子だ。 「いや、そんな訳ではない……誰かが噂したような気がしたんだが……」 鼻をグズグズと鳴らしながら、ガルドは再び機体の整備指導に取り掛かる。 「まぁ、気を付けろよ……」 この「噂されるとクシャミをする」事に神秘学的要因が関わっているかどうかは不明である。
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第97管理外世界 『地球』―――その遥か上空。 青く美しいかの星の、大気圏を隔てた宙空。 それを見下ろす形で待機していた現機動6課の旗艦。巡洋艦クラウディア。 「トレース出来ないって………どういう事ですかっ!?」 そのブリッジ内に、まだ少女といっても良い女性の声が響き渡る。 「反応がないの……」 それを受けて答えたのは、前のに比べれば幾分落ち着きの見て取れる声。 眼鏡をかけた理知的な女性から発せられた言葉だった。 しかし、その彼女もまた口調の裏にある微かな震えを抑えられてはいない。 内心の動揺を隠しきれない様相。目の下には深い隈が刻まれている。 見ればその周囲。 コンソロールに向かうオペレーター諸々がハチの巣を突付いたような大騒ぎになっていた。 騒然と動き回る局員達の表情。何かとてつもない不測の事態が起こった事を容易に想像させる。 「あの星はおろか、この宙域全般に、なのはさん達の生体反応を認められない……」 そして一言一言紡ぐように……眼鏡の女性、シャリオ=フェニーノから告げられた言葉。 それは現任務を一通り終え、後発組として到着した元機動6課フォワード陣。 スバルナカジマ。ティアナランスター。エリオモンディアル。キャロルルシエ。 彼らを絶望のどん底に突き落とすに余りあるものだった。 入隊当初は甘さの抜けない新人であったこの四人も幾多の任務、経験を経て今や一人前の局員として成長していた。 だがその彼らをしてこの動揺。高町なのはを初めとした6課中核を担う隊長陣の行方不明というこの事態。 それは物的な危機以上に心情的なそれを以って四人の胸を苛み抉る。 隊が解散する事が決まって後の最後の模擬戦―――己の全てをぶつけ、全部を受け止めてくれた、強くて偉大な先輩たち。 可憐に咲き誇った桜の下で、いつかまたこのメンバーが集える日が来ますようにと頬を伝う涙の元に誓った。 そして今回、期せずして早く訪れた再開の機会は、スカリエッティの脱走という緊迫した状況ではあるにせよ そこに嬉々とした感情を抱いたとしても不思議では無いだろう。 自分の成長した姿を見て貰いたい……そんな思いを抱いて出向したその先でまさかこんな事になっているなんて…… 「ちょっと落ち着きなさい、スバル。」 興奮気味の相棒を嗜めたのはツインテールの髪を束ねた少女、ティアナランスター。 「状況を聞かせて貰えますか? 通信や交信記録とか今、分かっている事だけで良いんです。」 「何も無いの……何も……異常を感じてから二週間、あらゆる空間、次元軸をサーチしたけど痕跡、足跡を全く見つけられない。 まるでこの世界そのものから存在ごと消えてしまったとしか思えないのよ……」 返ってきたのは絶望的な答え。ブリッジに重苦しい雰囲気が流れる。 これは事実上の遭難だ。 あの不沈のトップエース達が、機動6課の主力部隊が任務着手を前にして忽然と姿を消してしまったのだ。 「6課の柱にしてニアSランク魔導士がこぞって行方不明。これはもう私たちだけでどうにかなる問題じゃない…… 今、クロノ艦長やカリム理事官、アコーズ査察官や無限書庫のユーノ司書長も動いてくれてる。」 「私達に出来る事はありますか?」 重苦しい空気の中、真っ先に前向きな姿勢を見せたのはフォワード陣の中で最も幼いキャロルルシエ。 「まずは休んで体力を温存しておいて頂戴……そんな気分じゃないのは分かるけど。 イザという時、真っ先になのはさん達の下に駆けつけられるようにね。」 だが、言うまでもない。 出動部隊である自分達に、事態に対処する術などある筈もなく、ここはオペレーター、そしてその道のエキスパートである者たちに任せるより他に無い。 暗雲立ち込める艦橋の中―――ある者は唇を噛み締め、ある者は虚空に目を泳がせて呆然と立ち尽くすしか術を持たなかったのである。 ―――――― 6課の隊長陣が行方不明になって二週間――― 既に月の半分を浪費しようとしているこの昨今、生え抜きのナビゲーターやエキスパート達が昼夜問わずに動いてそれでもまるで手がかりなし。 はやての副官であるグリフィスや、ヴァイス陸曹長を初めとした生え抜きの隊員達も奔走している中――― 割り振られた部屋でただ時間を潰すなど、消息を絶った隊長達と特に強い絆で結ばれたフォワード陣が我慢出来るはずもなかった。 「スバル。アンタは部屋に戻ってなさい」 「……ティアはどうするの?」 「少し手伝ってくる。ヒヨッコとはいっても執務官補佐だからね……少しはコネや使える情報筋もあるのよ」 「私にも何かやらせてよ!」 「いいから休んでなさい。災害救助のエキスパートでしょアンタは? 出動に備えて万全の体制を整えておくのも仕事のうちよ。」 身を乗り出すスバルに対して上手に手綱を握る彼女の構図。 やはり四人の中ではこのティアナがリーダー格となって場を仕切る雰囲気となる。 彼らにとってもなつかしい空気であった。 「ほら、アンタ達も。」 未だ引っ込みのつかないスバルを諭しながら、ライトニングの二人にも休息を促すティアナ。 「分かりました……行こ、エリオ君。」 今は少しでも体力を温存し、各々が次に繋がる行動を取るしかない。 理屈で割り切れない部分を多々抱えながらも、四人はそこで別れ――沈んだ思いを胸に抱きながら各々の部屋へと帰っていく。 「エリオ君…?」 「あ、うん……ごめん、キャロ。」 不安に沈む少年の顔を覗き見、心配そうな声をあげる白いローブの少女。 6課解散後、僅か一年を隔てぬ期間ではあったが―――少年が、少女が成長するのはとても早い。 当時、子供であった二人もエリオの方は立派な体躯を持った竜騎士見習い。 キャロも僅かながらに女性の魅力を纏う大人の階段を登りつつあった。 しかしながら、それでも家族の安否を気遣う心に年齢は関係がない。 自分を気遣うキャロの視線に力なくも微笑みを返すエリオ。 スターズの二人と別れ、自分達の部屋に戻る二人はその境遇から、互いに兄妹同然の絆で結ばれている。 そしてこの少年、少女を繋げたのは言うまでもなく―――フェイトテスタロッサハラオウン。 生い立ちから辛い仕打ちを受けて心が砕ける寸前だった自分を、持って生まれた力から部族から追放された自分を優しく包み込み 自分の子供のように育ててくれた心優しき金髪の魔導士。 「大丈夫………ティアナさん達の言うとおり、その時が来たら自分達に出来る事を精一杯しよう。」 「………うん」 そして自分達に揺るがぬ力を与えてくれた教導官。 言うなればフェイトとなのはは二人にとって本当の母親であり、父親だった。 大空を翔る白と金の閃光。 常に自分たちを見守り、時には後押ししてくれた二人。 平時は仲睦まじく寄り添う彼女達を少年少女は幻視する――― ―――――― 二人は思う―――― 高町なのはが太陽のような人だとしたらフェイトテスタロッサハラオウンは月だと。 ひっそりと、決してその存在を過度には主張せず しかし確実に優しい光を以って地面を照らし、地上に住まう人達を見守ってくれる。 二人は思う―――― そして信じている。 どんな困難に陥っていようとも……あの二人が一緒にいる限り大丈夫だと。 きっとすぐに帰ってくる。白と黒の法衣を纏ったその肩を並べて。優しい笑顔を称えて。 ただいま……心配かけたね、と。 そんな場面をひたすらに――――少年少女は幻視する。 ―――――― 現実と虚実の狭間にて全てが織り交ざるセカイ――― 高町なのはという太陽はその名に恥じぬ力を見せた。 異世界の英霊を向こうに回し、傷つき地に付しながらも一歩も引かずに戦った。 そして今、今度は月が戦う時が来る。 ただしそれは太陽のそれとは違い、誰にも知られず誰にも主張せず 誰にも称えられない、まるで夜の帳にて皆が寝静まった空を一人、煌々と照らし出すかのように それは誰知る事のない彼女だけの戦いになるだろう。 月の精霊セレーネのように、未だ陰を落とすフェイトの心。 その亀裂との闘い。 幕開けは今、全てが閉鎖された空間にて 自分を慕ってくれる愛しい少年少女の思い届かぬ、無限の欲望の手の平の上にて―――静かに始まるのだった ―――――― Chaser ――― 暗い山道を走るダークメタリックのボディから空気を震わせる排気音が勢い良く響き渡る。 日本の峠道を走らせるには幅広のボディは、しかしこの無人の世界においては些かも不自由を感じさせる事はない。 「どうですか?」 「………ダメだな」 車内においてステアリングを握る金の長髪の見目麗しき女性が何かを尋ね、 それに対して赤みがかったポニーテイルの凛々しい顔立ちの女性が耳に手を当て、かぶりを振って答える。 機動6課の片翼を担うライトニング隊。その隊長のフェイトテスタロッサハラオウンと副隊長のシグナムである。 「もう少しで県境だと思います。通信の状態も少しはよくなるかも……」 小さな声で「ここが海鳴市ならばの話ですが」と付け加えた。 重い空気に支配される車内にて通信手段の途絶に四苦八苦する二人。 沈黙の中、規則正しいスキール音だけがその音を世界に刻む。 「しかし、また偉く安全運転だな。」 「執務官が法廷速度を守らないわけには行きませんからね。」 「それはそうだが、この速度はあまりにもやきもきしないか? 何といっても運転手はお前だ。」 横目で揺れる金髪の奥にある顔を見やるシグナム。 すると少し苦笑した感のある戦友の表情が見て取れた。 「やきもきはしないのですが免許を取る際、何回か注意されました。 その、スピードを出しすぎだと……」 「そうか……やはりな」 クク、と笑いを漏らすシグナムに照れくさそうな表情を作る執務官。 何せ6課最速のオールレンジアタッカーの異名を持つフェイトである。 トップスピードは最新鋭の戦闘機をも凌駕するだろう彼女にとっては時速20~30kmなど止まって見える世界であろう。 かたつむり以下の体感速度で走る乗用車に業を煮やして、ついアクセルを踏み過ぎて怒られる金髪少女の姿が思い浮かんでしょうがない。 「まったく、相変わらずシグナムはフェイトを弄るのが好きだなぁ。」 その騎士の肩上から、フェイトでもシグナムでもない第三者の声が響く。 見ると二人より……否、人間の寸法よりも遥かに小さい、まるで小人のような――― 悪魔が背に背負っているかの如き黒い翼を元気にはためかせる女の子がいた。 剣精アギト。 古代ベルカより残っている純粋な融合機にして、騎士の戦闘力を飛躍的にアップさせる融合型デバイスの少女である。 「も、弄ばれてるんですか…? 私は」 「ただのコミュニケーションだ。気にするな」 「ひっでー! ゴマカしたよ! あはははっ!!」 暗く沈みがちな状況でも、こうした陽気な性格の持ち主がいると随分と違うものだ。 少ない言葉を交わしながら探索を続ける二人+一体。 光の届かぬ山道を走り続ける車は県境と思われる場所を抜け、上り坂続きだった道も勾配のある下りへと変わっていく。 重心が傾き、下腹を持ち上げられる感覚はシートベルトによって肩と胸を締め付けられる感覚によって相殺される。 小高い山道を折り返し、あとは道なりに進むだけで恐らくは10分と掛からぬうちに視界は開け、隣の県の入り口に差し掛かるだろう。 ――――――――そんな時だった 「「……………!」」 車内の空気。 否、中の二人の纏う空気が一変する。 「………? シグナム? フェイト?」 アギトが、おずおずと言葉をかけるが二人は答えない。 答えないままに――その鋭敏な感覚を研ぎ澄ませて今、確かに感じた違和感に意識を傾ける。 ただでさえ無人の空間。人の営む様々な音も喧騒も無いこの世界にて、しかも空気の澄んだ一本道の山道だ。 その空気が震えて音となり、二人の耳に届くのにさして時間はかからなかった。 「後ろからですね…」 「念のためだ。少し速度を上げた方がいいな」 フェイトの車のエンジンボックスから紡ぎ出す排気音とは異なる音。 それは言うなれば、よく真夜中の峠やサーキットで聞くようなタイヤの軋む音。 ギャリギャリ、という耳障りな騒音であった。 まだ自分らを追走してきたのだとは限らない……限らないが…… 「普通の乗用車ですか? それともボックスタイプ…」 「いや、まだよく見えん」 現在、速度は40km弱をキープ。 こんな峠道、それも下りを走るには些か速度超過気味であり、きついヘアピンを抜ける度にギシギシと車体が揺れる。 そして―――その異なる音は、明らかにこちらの速度を上回るスピードで追随してきているのだ。 襲撃という可能性は十二分にある。 ギャリギャリ、ギャリギャリ――― タイヤの擦れる音がだんだんと大きくなっていく。 「車? バイク?」 「いや……」 だがフェイトはここに来てまたも違和感―― (………静か過ぎる) その車輪が道路の接地面を滑る激しい音に反して「それに付随するもの」が全くない事に対する、えもいわれぬ違和感を抱いていた。 そう、モーターとガソリンによって動く自動車。その醸し出すエキゾースト。 激しく回転し、排気ガスを吐き出すエンジンの咆哮が全く聞こえないのだ。 「………!?」 そして隣に座る騎士の様子が一変した事――― シグナムの顔がはっきりと強張り、その目が見張られるのが分かった。 「シグナム…?」 相棒の、密かに息を呑む様子を見逃す執務官ではない。 様相の変化に声をかけるフェイト。それを受けて、騎士はゆっくりと息を吐くように――― 「…………自転車だ」 自分達を猛追してきた影の正体―― 「……………は?」 「追走してきているのは自転車だと言った」 まるでモトクロスよろしく、バンプした峠道の段差をゆうゆうと飛び越えて宙に舞いながら 貧弱な車輪と人力のペダルを伴った乗り物で猛追する姿を今――――騎士の双眸がはっきりと認めたのだ! ―――――― 「ええっ!???」 フェイトが素っ頓狂な声を上げる。 シグナムの顔と速度計を交互に見やりながらステアリングに悪戦苦闘する執務官。 メーターを繰り返し凝視するフェイトの目に映る数値はどう見積もっても40~50kmは軽く出ていた。 「マジかよ……おい!」 アギトも驚きの声をあげる。 「気をつけろ。どうやらまともな通行人ではないようだ」 「そ、それはもう……ええ!」 些か動揺の残る戦友を嗜め、後部に目をやる騎士。 黒い鉄の箱と後方から迫る軽装の二輪がなだらかなS字を抜け、直線に突入した途端 影はまるでジェット噴射でもついているかのように加速を開始し、みるみるうちに接近してきたのだ! 「!! ちっ!?」 舌打ちするシグナムだったが、遅い。 ついにその影とフェイトのクルマが並んだ。 助手席側に並走してくる人力の二輪 。 それを狩る謎の怪人と今、初めて至近で目が合い――― 「えっ!?」 その、二重に意外な事実に驚きの声を上げる二人。 「な、何で……!?」 否、それに小さな少女の吐き出すような声が重なる。 三者の驚愕の理由。 まずはこんな有り得ない速度で追走してくる自転車の操車が競輪選手のような筋骨隆々とした男性――ではなく 美しい髪とスラリと伸びた華奢な手足を車体に絡ませ、その魅力を存分に感じさせる腰をサドルに任せている女性であった事。 (ルー、テシア…?) そして―――その容貌が、かつてJS事件で出会った一人の少女。 ジェイルスカリエッティにその身を利用され、アギトと一緒に行動を共にしていた一人の召喚師の面影を持った女性だったからだ。 紫の髪をはためかせ、両のサドルを蹴りつけて舞うモトクロスライダーの姿は異様としか言いようが無く そしてそんな事よりも遥かに異様で、ルーテシアやその母親とは違う決定的な点。 それは彼女の顔の大半を覆い、表情を隠している眼帯の存在だった。 あれでは完全に視界が閉ざされてしまうだろうに、一体どうやってこの山道を全力疾走で抜けてきたというのか? そして、後部に付かれている時は死角になっていて分からなかった新たなる事実。 疾走する自転車の助手席にもう一つ、人影があったのだ。 そう、風を切り弾丸のように疾走する華奢な女性の狩る自転車は、一定速を出した車に難なく追いついてきたその二輪は―――あろう事か二人乗り。 後部席の人影は男だった。 全身を蒼で統一したスーツに身を包んだ、一見素朴で粗野な出で立ちは しかし精悍で猛々しい相貌。その身に纏う空気が装飾品となり全く貧相さを感じさせない。 そして右肩に担いだ細い棒のようなナニカ―― 物干し竿のような長物が、この場にて得も知れぬ存在感を誇示し異彩を放っていたのだ。 「よう」 だが緊迫した場にあげられた男の声は、取り巻く空気に全く似つかわしくない陽気な響きさえ含んだものだった。 歴戦の勇者であるライトニング隊の二人がどう答えてよいか分からぬほどに、それは開けっぴろげで馴れ馴れしい まるで見知った友人に話しかけるかのような初顔合わせの挨拶。 「さっそくで悪いが――」 だが、そんな事はどうでもよかった。 男にとっては恐らく、初めましての挨拶が陽気なものであろうが険悪な響きを持たせようが何でもよかったのだろう。 何故なら彼が駆け抜けてきたその生涯は――――剣舞い、槍踊る戦場。 「死んでくれや」 言葉など、何の意味も持たないセカイだったのだから。 「!! 貴様ッッッ!!」 ハンドルを握る手が強張るフェイト。 助手席のシグナムが怒号を上げる。 サイドバイサイドで並び疾走する大型のクーペと二輪。 紫の女の後部にて、宙舞う矢の様な激走に全くバランスを崩すことなく男は構えた。 その肩に担がれた細い棒……否、血の様な光沢を放つ真紅の槍を! シグナムとフェイトが行動に移すそれよりも遥かに速く、まるで紅き春雷を思わせる閃光の如く放たれた槍。 その凶つ刃がポニーテイルの騎士の座す助手席のウィンドガラスに深々と叩き込まれていたのだった。 ―――――― 並走するは3Lを勇に超える排気量を叩き出す黒いボディと、自転車。 まるで馬と戦車を並べたような不釣合いな電撃戦。 ともあれ二者は出会い、今まさにその刃を晒して戦闘の火蓋を切った。 先に仕掛けたのは貧弱な馬に身を預けるカウボーイ&ガール。 手に持つ得物で巨大な猛牛を連想させる黒きボディの横っ腹に鋭敏な刃を突き入れたのだ! クルマが車体を大きく揺らし、四つのタイヤが軋みを上げて横滑りする。 濁走するメタリックボディの車内にて、真っ赤な鮮血が飛び散った。 「シグナムぅッッ!」 アギトが悲鳴に近い声を上げる。 このデバイスのロードである騎士の肩口から下げたシートベルトが切断され、はらりと騎士の腿部分に落ちる。 その肩から下―――鎖骨の辺りから噴き出す赤い液体を認め、フェイトの顔も青ざめる。 「………大丈夫だ」 だが、ややもして何事もなかったかのような声を返すベルカの騎士。 懐から抜かれているのは彼女の愛剣レヴァンティン。 狭い車内、しかもシートベルトに身を拘束されていながら、横から突き入れられた稲妻のような槍の軌道を見事、剣先によって逸らしていたのだ。 「………少しへコますぞ」 「え?」 ボソっと呟いた騎士の言葉。 その後、間髪を入れずに轟くボコン!!という大きな鈍い音。 フェイトが息を呑む。 それはサイドドアに刺さった槍を持つ男と、二輪を繰る女をそのままドア越しに蹴り飛ばし、引き剥がした音だった。 「うおっ!?」 声を上げる男諸共に大きく弾き飛ばされた女の乗る自転車が、みるみるうちに後方へと置き去りにされていく。 「すまんな。手荒に扱った」 「い、いえ……」 騎士の伸ばした腕がドアの取っ手を引き付け、助手席のドアは間を置かずに閉められた。 短い謝罪の言葉に、受け答えするフェイトの声は些か固い。 不自然に上ずった声は動揺の現れであろう。 (…………!) だが、シグナムは実はそれどころではない。 容易く斬り払ったように見えたあの一撃の、その全身に寒い汗をかかずにはいられない凄まじい一突きに戦慄を感じずにはいられなかった。 人体において、胸骨と胸筋に守られている正面からよりも、わきの下から縫い入れられるように突いた方が効率よく貫けるもの。 それは―――心臓。 あの敵は間違いなく側面から数分違わず「それ」を狙ってきた。 それも自分だけではなく、隣にいるパートナーをも一度に串刺しにする軌道でだ。 反応が少しでも遅れていれば自分とフェイト、二人まとめて仕留められていただろう。 「そのままガードレール沿いに走れ」 「え? でも……」 「いいから言うとおりにしろ!絶対にそちら側を空けるなよ!」 もし先ほど運転席側に回られて一撃を繰り出されていたら、ステアリングで両手が塞がってるフェイトは為す術もなかったはずだ。 この狭くて小回りの効かない車内であの凄まじい一撃をもう一度防げる保障もまたどこにもない。 何とか助手席から飛び出し、戦闘体勢を整えたいシグナムだったのだが――― (駄目か…) 後方に追随する謎の敵は先ほど思いっきり蹴り剥がしたにも関わらず転倒もせずに追随してくる。 今飛び出すのはよろしくない。 顔を出した途端、あの槍で狙い撃ちにされるのは確実だ。 空戦の基本―― 空を主戦場にする者は、離陸時が一番危ない事を肝に命じるべし。 速度も乗らず、戦闘態勢も整わぬ柔らかい腹を敵に無様に晒すことなかれ、である。 「先に出る。どうにかしてあれを引き離せないか?」 「……やってみます」 フェイトの右足が愛車のアクセルを思いっきり踏み込む。 緊急事態において今更、法廷速度がどうのだの言ってる場合ではない。 アクセルを全開にした事によって加速度的に上がるエンジンの回転数。 それによって叩き出される馬力は凄まじく、例え相手が競輪選手並の脚力を持っていようとみるみるうちにその差が開いていくのは当然の事だ。 だがフェイトらにとっての不幸は、ここが峠の下りだという事。 つるべのように続くヘアピンやS字カーブが続くコーナーの坩堝において、3000cc以上の大排気量を最大限に発揮出来る地点など無いに等しく すぐ間近に迫るヘアピンカーブに減速を余儀なくされる黒い鉄の塊。 その背後に迫る女の隠された両の瞳には、今やはっきりと相手のクルマの減速を表す点灯したブレーキランプが見てとれた。 ここが相手を刺す絶好のポイントである事は自明の理。 この紫紺の女怪が「騎兵」の名を持つ英霊であるが故に、走りにおいて勝負所を見誤るわけもない。 相手の減速にまるで示し合わせたかのように黒いスカートで覆われた腰がサドルから浮き、身を乗り出して重心をぐんと前に倒す。 その時、非力な二輪車は―――峠を駆け下りる流星となった。 「な、なに…!?」 サイドミラーを見ながら飛び出すタイミングを見計らっていたシグナムが歯を食い縛って唸る。 一旦は突き放したかに見えた相手が、恐るべき速さで追い上げてくるのだ! 自転車は人力でありエンジンに当たる部分がその両足であるのなら、女の両足に潜む力はもはや地球上に現存するあらゆる生物を凌駕しかねない。 もっともこんな漕ぎ方を女性が、しかもタイトなミニスカートでぎりぎり腰上を覆ったような格好の女性が間違ってもするべきではない。 何故ならば―― 「おい。中が見えてんぞ中が」 「発情ましたか? 流石、野犬の二つ名は伊達ではないという事ですか」 「抜かせ。誰が貴様の尻など好んで見るか」 ―――倫理的に男性にとって、目のやり場に困る光景が展開される事になるからである。 馬上にてこんなやり取りをかます男女。 もっともこの女性の正体を知れば、そんな恐ろしいモノに劣情を催せる男など数えるほどもいないであろうが。 「こんの野郎……!!!」 穴の開いたクルマのボディから上半身を覗かせたのは小人の少女、アギト。 融合デバイスでありながら自身も炎系の魔法の使い手である彼女の手に得意の炎弾が具現化。 眼前に迫る怪人に火の玉の雨あられをぶち撒ける! まるで数百発のロケット花火を同時に打ち込んだかのような凄まじい弾幕が二輪を駆るライダーを襲う。 だが、まるで炎弾の間と間を縫うように――頼りない車体が右へ左へとあり得ない挙動をアスファルトに刻んで炎熱の道を掻い潜ってくる。 「サ、サーカス野郎がっ! 来るんじゃねぇ! 止まれぇぇぇ!!!」 剣の精が絶叫交じりに手を振りかぶり、その狭い道一杯に広がる炎の壁を生じさせる。 真紅のカーテンを思わせる灼熱の防壁が後方より猛追する化け物ライダーの進行を阻もうとする。 が、アギト渾身の燃え盛る壁は、まるで障子を突き破るかの如く炎の中に何の躊躇いもなく直進したライダーによって突き破られ 何事もなかったように追走を続ける彼女の姿を場に写すのみ。 「信じられねえ……チャリじゃねえよ……あれ」 「実は高性能デバイスというオチかも…… もしそうならシャーリーに持って帰ってあげれば喜びそうですね」 「やめろ。何とかにハサミだ」 U字の形をしたきついコーナーにさしかかり、フルブレーキをかけるフェイトの車体がグリップの限界を超えて横に傾く。 「くっ!?」 限界を超えてしまった車体を制御しようと逆ハンドルを切るフェイト。 空戦の姿勢制御のようにはいかない重いボディに四苦八苦する彼女を嘲笑うかのような横Gの洗礼。 黒い車体が身の毛もよだつスキール音と共にボディを泳がせるコーナー。 そこに後方、何とノーブレーキで突っ込んでくる、もはや火の玉と化した二輪車。 ギャリギャリ、とチェーンが軋む音が場に響き、細いタイヤからはレーシングカーのように火花が飛び散っている。 「―――往きますよ、参号」 それは眼帯の女から、己が手綱を任せる貧弱な機体に向けての言葉。 静かながらも騎兵としての誇りを乗せた言葉と共に―――二輪の操車、サーヴァント=ライダーは 黒い車体に体当たりするかの如き速度でコーナーに突っ込んだのだ! ―――――― 腰下までかかる紫紺の髪が凄まじい向かい風に煽られて、それ自体が独立した生き物であるかのように空に踊る。 ネコ科の獣が全身のバネを総動員する時に取る猫背の姿勢に酷似した姿で 眼帯の女は両手のグリップを捻じ切らんばかりに握り締め、足下のペダルを蹴りつける。 光差さぬ林道を弾丸のように駆け抜けるその姿はまるで一匹の神獣が疾走するかのような桁違いの迫力を以ってライトニングの二人に迫り来ていた。 自由度の高い二輪ならではの、ライダー自身の体重すら利用した荷重移動――ハングオンを駆使し あろう事か明らかに二つのタイヤのグリップを超えるスピード……というか、全くの減速無しでコーナーに突っ込む! 横滑りする二つのタイヤは制御を失い、吹き飛ばんとするその車体を 彼女は地面に押さえつけるかのように車体を倒して凌ぎ、凄まじい角度でのコーナリングを敢行。 ほとんど地面と平行になる体。アスファルトスレスレに傾くほどのハングオン。 その剥き出しの肘と膝を地面に擦り付けてのライディングは道路に黒と赤のベルトのような軌跡を刻んでいく。 黒はタイヤの削れた跡。赤はライダーの右半身の、削られたヒジとヒザから付着した血肉そのもの。 この速度だ。彼女の肉体は公式のスポーツのように分厚いパッドの保護など受けてはいない。 地面に擦り付けられる白い肘、膝が大根おろしのように肉や皮をこそぎ取られ、程なくして骨にまで達するような重症となるのは明白だった。 でありながら、それでも女の繰る自転車は確実に先に侵入した相手の車に迫っていく。 そう、彼女は騎兵。 あらゆる騎馬を使役し、誰よりも早く世界を駆け抜けるもの。 相手が何人であろうとも、自分の前を走る存在など認められる筈が無い。 「ふッ!――――」 目隠しで隠された双眸に今、確実に力が篭る。 女の口元がギリっと歪み、牙を含んだその歯を食い縛る音は車体が風を切る音に寸断されて消える。 地に擦り付けられている右の手足とは逆の足を自在に使いこなし 左足のみのペダルワークで、まるで電車や機関車の車輪を回す骨格の如き速度でホイールを回転させていく姿はもはや曲乗りの域。 超高速で回転するチェーンによってぐんぐんと前に押し出されていく車体。 人間の常識では有り得ないライディングによって、尾を引いた流星の如き暴力的な速さでコーナーを駆け抜ける自転車がついにフェイトの繰るクーペに並ぶ! 「こ、これ以上は……!」 フェイトが歯噛みし、シグナムが舌打ちしながら今一度、剣を構える。 コーナリング最中にてサイドバイサイドで並ぶ両者。自転車の後部席に座す男が再び槍を構えていた! 車体が地面とほぼ平行に傾いている最中でありながら、両の手に槍を構えて振り落とされる素振りさえ見せぬ彼。 未舗装の峠の道路の中、跳ねる車体の上で、しかもコーナリング最中でありながら、真紅の魔槍を手に持ち、右中段に構えて見せたのだ。 赤い光沢を称える槍よりもなお紅い男の双眸がギラリと光る。 そして、カーブに手間取るフェイトの車を完全に抜き去るライダーの「参号」 その追い抜き様に―――ランサーが、構えた槍を車の後輪に渾身の力でブチ込んだのだ! 「う、あっ!?」 自らの愛車に起きた異変―――それが取り返しのつかないものである事をステアリングを握るフェイトが分からぬ筈はない。 右下半身が一瞬浮き上がり、そして地に叩きつける感触に顔を青くする魔導士。 車の右後輪はあえなくバースト。 黒いボディが大きく傾く。 荷重の抜けた車体後部があえなく空転し、その狭いカーブで時計回りに一回転。 盛大にスピンした車体を立て直す術はもはや無く、フェイトとシグナムを乗せた黒いボディがガードレールに激突し 静寂の支配する森に凄まじいクラッシュ音が鳴り響く! 「ああっっ!!?」 車内に走る衝撃と振動は凄まじく、二人と一体の身体を上下左右へと叩きつける。 もはやシートベルトなど何の役にも立たない。 短い悲鳴を上げるフェイトを嘲笑いながら、その手を拱くは死神か―― 3トンを超える鉄の塊はガードレールを巻き込み、それを容易く突き破って漆黒の渓谷へとダイブ。 遥か崖下へと転落していったのだった。 ―――――― アスファルトに帯のように刻み込まれた焦げ臭い跡。 黒い飛沫、そして内溶液が飛び散り、オイルの独特の匂いを場に充満させる。 長いガードレールは無残にひしゃげ、真ん中から捻り千切れている。 後続の玉突きが起こらないのは不幸中の幸いか―――そう、後続の車など来る筈がない。 何故ならここは彼らが踊るための彼らだけの舞台。 セカイはその他一切の生物の存在を認めてはいないのだから。 一体誰が、何のために用意した演出なのか、渦中の者達にそれを理解する術はない。 ともあれ時間にして実に数分弱……電光石火のカーチェイスはこうして幕を閉じる。 奈落に落ちていったダークメタリックのクーペ。 そのボディはグシャグシャに潰れ、立派なフォルムを誇る大排気量のスポーツカーは見る影もない有様となっているだろう。 最もバトルを制した方も無事ではなかった。 操車である紫の女性の乗っていた自転車は今、サドルも、ベダルも、ハンドルも、チェーンも、一所には無い。 最後のコーナリングで相手のクルマを崖に叩き落してほどなく、限界を超えたライディングに耐えられなった二万円弱の汎用自転車は まず前輪、後輪共にバーストし、宙に吹き飛んだ車体がフレームを残し、焼き切れ、捻じ切れ、ひしゃげ 文字通りの空中分解を起こして乗車していた二人を上空へと投げ出していたのだ。 当然、そのような速度で空へと飛ばされた人間が無事で済む筈が無いのだが…… ―――ズシャリ、 だからこそ、このような陰惨な大事故の渦中にあって何事もなかったように地面に佇む二人こそ 正真正銘の人間を超えた存在と呼ばれるものであろう。 とある儀式によって現世に呼び出された一つの奇跡の体現。 地上に形を成した英霊―――サーヴァントと呼ばれる人外の存在。 騎兵のクラスに召還されたサーヴァントライダー。 槍兵のクラスにその身を置くサーヴァントランサー。 いずれも地球の伝承にその名を連ねる伝説上の存在、具現した神秘そのものである。 「ところで、ランサー」 その片方、紫紺の女サーヴァントが些か怪訝な表情で隣の槍兵に問いかける。 「我々は自らの足で走って強襲をかけた方が確実だったのでは…?」 「分かってねえな……戦にも様式美ってもんがあるんだよ。 良い戦車戦だった。久しぶりに堪能したぜ。」 核心を冷静についた騎兵の言葉など聞いちゃいない。 古アイルランドの大地を豪壮な戦車で走り回った過去を思い出し、目を細めるグラディエイターである。 「戦車、ですか? あれは私の新車の参号君ですが」 「うるせえんだよお前は。細かい事をグチグチと…… まあどの道、初顔合わせの挨拶としちゃこんなもんだろ。」 思い出に浸るのを邪魔されて口を尖らせる男が意味深な言葉を吐き、そして―――後方へ向き直った。 その横、ライダーもまた同様に、先ほどのコーナリングで傷ついた肘から滲み出す血をペロリと舐めながらに振り返る。 それは視線の先に二つの気配、佇む影を認めての事だった。 怒気と戦意を含んだ猛々しい気を放つ影を後ろに控えたサーヴァント二体。 男は飄々とした笑みを、女は無表情を崩すことなく、十分な余裕を以って振り返り相対する。 その相手とは言うまでも無く―――― 「貴様ら……」 先ほど谷底へと消えていった筈のライトニングの面々に相違ない。 明確な殺気を放って対峙するシグナムが怒りの声を上げる。 あれだけの事をしておきながら余裕満々で立つ二人を前に少なからず苛立ちを覚える将。 既に二人は、相手がどう出てこようと対処できるようBJを纏った完全武装体勢である。 (む……?) だがそこで騎士が、横にいる友の様子に気づいて訝しげに見やる。 謎の怪人相手に武装し、得意武器のサイスを以って相対している彼女であったが――― 何かこう心ここにあらずというか、精彩を欠いている感が見て取れたからだ。 どこか目が呆然としている節がある。 「テスタロッサ?」 この友人は極めて優秀な執務官にして武装隊の一員だ。 敵を前にしてこのような呆けた態度を取るなど有り得ない。 声をかけるシグナムであったが、 (…………、) その理由に程なくして気づく騎士。 フェイトの意識は今、自分らが落ちていった谷底に向けられていた。 否、自分らではなく――為す術なく落ちていった己の愛車に…… 「集中しろテスタロッサ。敵の前だ」 ああそうか……と思い至り、その傷心が痛いほどよく分かるだけに叱責を飛ばすシグナムの声にも今一張りがない。 元々がほとんど物欲を示さないフェイトが初めて大きな買い物をしたのが―――あの車だった。 今回のように仕事で使う事が大半であったが、忙しい中のたまの休日などに 子供のように可愛がっているエリオやキャロを乗せてハイキングにいったり、なのはを助手席に乗せてドライブしたりと そんなささやかな幸せを謳歌するために購入した彼女唯一の慎ましやかな贅沢。幸せの詰まった黒い箱。 ソレが今、暴漢の手によって無残な鉄屑と化し、谷底へと消えていったのだ。 その失望と悲しみは想像するに余りあるものであろう。 「……テスタロッサ!」 シグナムが再び強い口調で戦友の名を呼ぶ。 「大丈夫です」 乾いた声で答えるフェイト。 「ただ、まだ少し支払いが残っていたので……どうしようかな、と」 はは、と形だけの笑みを作る執務官。 痛々しくて見ていられない。 「保険で払って貰え…」 「いや、そいつは無理じゃねえかな?」 不器用なフォローを入れるシグナムだったが、相槌の声は意外なところからかけられた。 そのフェイトを悲しませている原因を作った目の前の男が、肩に槍をトントンと担ぎながらに飄々と口を挟んできたのだ。 「保険ってのは確か対象の具合によって金額が決まるって話だろ? 半損か全損か?部位は?状況は?と、五月蝿いくらいに状況を鑑みて初めて支払われるわけだが――あれじゃ、なぁ…」 チラリと谷底を見やり、まるで他人事のように口ずさむ男。 「確かにあれでは査定のしようがありませんね。 事故の状況を説明するにも、この状況では――」 そして隣の女性がしれっと続く。 「自転車に乗った二人組の男女に車ごと突き落とされました―― このような説明では冗談としか受け取って貰えません。 それにこの奈落の深さでは物品の回収も絶望的でしょう。」 つらつらと並べ立てる言葉には何故か凄まじい説得力がある。 まるで色々なアルバイトに従事してやけに世俗に詳しいフリーターであり まるで古書や骨董品のバイトで査定というものに精通するパートさんのような口ぶりである。 「かまいません」 だが、やがて(この執務官には珍しく)強い口調で言い放つフェイト。 「あなた方を捕らえて弁償してもらいますから」 本来ならここで犯罪者に対しての勧告、警告をしなければいけないのだが、そんな基本もすっかり頭から吹っ飛んでいる。 この心優しい雷神はかなり怒っていた。 「そいつは困ったな……俺、カネねえんだよ。」 「私は居候の身ですから。まあ、私の愛車もあの通り木っ端微塵なのでそれで痛み分けという事に……」 「……ふざけるな!」 怒りの口調を叩きつけるシグナム。 「そうだな………まあ、アレだ。俺に良い考えがあるんだが」 後ろ手に頭をポリポリと掻きながら、男が相手の怒りをなだめるように割って入る。 親近感の沸く表情は、こんな事態でなければ気風の良い青年にしか見えない。 まるで心底悪いと思ってるかのような男の様相に邪悪なものは感じない。 そんな男が――― 「死ねば―――残りの支払いからは解放されるぜ?」 ――――不意打ちのように、獰猛な殺気を解放した 前 目次 次
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第二話 戦争が見える 7月22日8時39分、NHK総合。ラジオ。BS1、BS2。 報道特別番組 「―――ただ今入ってきたニュースをお伝えします。内閣は日本が外部から武力攻撃を受ける恐れがあるとして、全自衛隊に対して、防衛出動命令を発令しました。これにより自衛隊は部隊を展開し、日本より外部から何らかの計画的・組織的の武力攻撃があった場合、我が国を防衛すべく必要な武力を行使することができます。繰り返しお伝えします。内閣は日本が外部から武力攻撃を受ける恐れがあるとして、全自衛隊に対して、防衛出動命令を発令しました。これにより、自衛隊は部隊を展開し、日本より外部から、何らかの計画的・組織的の武力攻撃があった場合、我が国を防衛すべく必要な武力を行使することができます。尚、これに伴いまして予備自衛官の召集が正式に決定。部隊展開のため一部幹線道路や鉄道、船舶、飛行機等の交通機関が使用されるものと見られます。これにつきまして、内閣は8時45分より緊急会見を行う模様です。繰り返しお伝えします―――」 同時刻、神奈川県横須賀市、海上自衛隊護衛艦隊旗艦『はるな』司令公室 海上自衛隊初のヘリコプター搭載護衛艦は、今や一部を司令部設備に改装し、海将旗を翻しながら、護衛艦隊旗艦としての任を全うしている。 護衛艦隊司令、後藤田一秋海将は長テーブルの先端、司令官席に一人腰掛け、黒縁眼鏡をかけて、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。 その姿はさながら自衛官というよりは、どこかの優しそうなおじさんである。 朝刊は例の、共産主義国家で起こった同時多発テロとモスクワの爆弾テロ未遂、そしてそこから突如として、さらに加熱しはじめた国際情勢について一杯だった。 ふン。後藤田は心の中で嘲う。 中国も改革開放政策によって、経済は立て直りつつあったが、逆に貧富の差を拡大するのものとなってしまい、それがいわゆる天安門事件、そしてそれに続く全土で勃発した、民主主義と共産主義の内戦じみた闘争へと発展していった。 現在は新政権がうまく軌道をたて直しつつあるが、それであっても90年代の闘争は内政、経済的に大きな打撃となった。 ソ連や東欧共産国家群も同じようなもので、いまや経済的現状から見れば、中国よりもひどい。 もう共産主義国家群が生き残る方法は武力でしかなくなってしまった。 最早共産主義諸国は終焉を迎えようとしているので無いかとさえ後藤田は思った。 だが民主主義と共産主義との間で起こる、生き残りをかけた世界戦争ははじまろうとしている。 そして現状から見て、その戦争の主戦線の一つが北海道となる。 ドアをノックする音が聞こえた。 「入れ」 後藤田が、どこか関西の訛りが入ったような発音で応答すると、若い情報幹部が入室した。 失礼します、情報幹部は護衛艦隊司令に敬礼。 「統幕より緊急電。政府より防衛出動命令が発令されました。これにより、統幕はQ号指令を発令。各部隊は命令に基づき、可及的速やかに展開せよとのことです。また海幕より緊急電。護衛艦隊は他の部隊と連携し、津軽海峡から釧路沖の制海権を維持し、北海道と本州の補給線を確保せよ。また今日中に名古屋港よりフェリー船団で陸自第10師団を輸送するべく、準備を開始。本日夕方までに護衛戦力を名古屋港沖に待機せよ。以上です」 わかった。後藤田は即答した。 「護衛艦隊司令部名義で各護衛隊群に緊急電。Q号指令発令に基づき、各部隊の展開を開始する。第1護衛隊群、第3護衛隊群は大湊へ緊急出航。第2、第4護衛隊群は名古屋沖に集結だ。本艦は輸送船団の指揮を執るべく、伊豆沖で合流する。あと幕僚達を大至急ここに呼んでくれ」 了解。若い情報幹部は直ちに退室した。 再び一人きりになった司令公室。そこで後藤田は再び思いにふける。 「―――どうなるかな」 相手はついに戦争をふっかけてきた。相手は勿論、俺たちも準備は整いつつある。 もう誰にも止められない。望む望まざるにかかわらず、世界はこれまでにない戦渦に巻き込まれるだろう。 核のパイ投げだって行われるかもしれない。 「―――まあ、ええわ」 どうなるかなんてわからん。この戦争で世界の破滅を迎えるかもしれない。だが、所詮は憶測の域を脱しない。 しかし、わかっていることがある。 自分は自衛官であり、その任務を全うすべき人間なのだ。 同日8時52分、北海道恵庭市、陸上自衛隊恵庭駐屯地 「ああ、去年、軽井沢におばさん一家が引っ越したはずだよ。……うん、あの、お前も気をつけろよ―――俺のことは気にしなくていいから」 駐屯地廊下の一角、隊員たちが右往左往している端で、高崎は妹の典子に携帯電話をかけていた。 「高崎!」 彼を呼んだのは、上山だった。 「―――ああ、じゃあ、またな」 彼は一方的に電話を切った。 「どうした、上山」 「第1戦車群の中隊長は全員集合だ。そろそろだぞ」 「そろそろ? 動くのか?」 「ああ、どうもそれっぽいな」 上山はふと携帯電話のほうに視線をやる。 「電話、のりちゃんか?」 「ああ」 上山は妙に暗い表情になった。 「二人きりの家族だもんな」 高崎兄妹は幼い頃、母親を病気で、それから数年後も経たないうちに父親を事故で亡くしていた。 高崎とは(高崎は千歳、上山は釧路の出身の違いはあるものの)同じ北海道の生まれであるせいから防大からの友人であり 同期の中でも同じエリートで、第1戦車群に二人で配属された時は、互いの家に遊びに行くほどの仲である上山も無論、そのことを知っている。 「のりちゃん、これからどうするんだ?」 「軽井沢に昔、施設でお世話になったおばさんがいるんだけど、これが終わるまでそこに身を寄せてもらうことにした」 「軽井沢か。遠いな」 「あいつ、俺らが防大生の時に時々上京してたし、東京まで行けば大丈夫だと思う。軽井沢なら、東京から新幹線で行けるしな。問題は北海道を出るまでだな。混乱すると思うから、どうなるか……」 上山は妹を思う兄の肩を、軽く叩くと、大丈夫さ、と声をかけた。 「ああ、ありがとう」 高崎は親友の心遣いに感謝した。 その後、少し集合に遅れているのではないかと感じた二人は、集合場所が向かって走り出した。 同日13時5分 東京都千代田区、現代報道社、『週刊未来』編集部 「―――ただいまかえりました」 『週刊未来』専属カメラマン、大友由佳が新宿中央公園前で半ば暴徒化した極左団体と、それを取り締まる警視庁機動隊の、一連の騒動を収めたカメラを片手に戻ってきた。 他の編集者達が挨拶するのを、彼女は軽く返し、現像するために暗室へと向かおうとした。 「おい。大友」 編集長がデスクから由佳を呼んだ。 何ですか、ちょっと不思議そうな色を浮かべながら、デスクへと向かう。 「ちょっと北海道行って来い」 由佳は一瞬、編集長が何を言っているのかわからなかった。 思考が止まった頭脳を再起動させると、彼女は言う。 「え? 北海道……」 「そう。北海道」 編集長を頷いた。話を聞いていた数人の編集者達も驚きや不思議そうな顔をして、二人を見る。 「ちょ、ちょっと待ってください。その前に私よりも宮田さんがいるじゃないですか」 宮田とは彼女の大先輩に当たるカメラマンである。 『週刊未来』の顔ともいえる存在で、様々なスクープ写真を撮ってきた。 「何言ってんの? 宮田君なら、ヨーロッパ行ったきりだ」 ああ、そういえば。 宮田は『赤い7月』演習を取材しに行って以来、帰ってきていない。情勢の変化が、彼を欧州にとどまらせたのだ。 「でも、あたし……ですか?」 そう、編集長はまた頷いた。 「いいチャンスじゃないか。全面戦争。社内賞、ワールドプレスフォト賞、ピュリッツアー賞。何でももらえるチャンスだぞ」 編集長は言った。 「し、しかし、どうやって北海道行くんですか? 飛行機とかもう…」 もうだめだね。通常運行はしてない。編集長が頷いた。 北海道各空港から離陸する便は増便されているが、北海道へ向かう便は各地より増援する陸自隊員たちの輸送に回っているためだった。 もっとも政府は自衛官以外の人間の北海道入りは制限しているほうであった。 マスコミはいくらか緩和されているが、それでも北海道入りに苦心している。 「でもいろいろと方法があるだろ。土下座して自衛隊輸送やら他の報道関係やらの飛行機やフェリーにのせてもらうとか、泳ぐとか」 はぁ……由佳はため息をつくように言った。 つまり土下座して何かに乗せてもらえ、と……。 それが最良、てか唯一の手段か……。 「何している? 今晩までには北海道入りしろ。早くいけ!」 突然の編集長の怒鳴り声に由佳は驚き、了解の返事をすると、自分のデスクから必要最低限の荷物をもっていくと、編集部を足早に後にした。 同日15時9分 北海道中川郡中川町佐久 天塩川が流れ、それに沿って宗谷本線のレールが敷かれている。 自然に囲まれ、北海道特有の爽やかな夏の気候と、今日の気持ちの良い日光が田舎情緒をさらに爽快にさせていた。 例え、ここが世界有数の国際的緊張状態の中にあり、さらに名寄国道や2つの地方道が交わる戦略的要所だったとしても。 第26普連戦闘団はここを拠点に天塩町海岸から中川町佐久、さらにここより北の、幌延町南幌延あたりまでを守備担当地域としていており、 第3中隊は後方予備として、ここに待機していた。 連隊本部の設営を手伝った後、中隊は交代巡回警備の隊員以外、待機命令が下っていた。まさしく軍隊の基本の一つ、「急いで待て」である。 第2小隊隊長の倉田二尉もやることがなく、部下と共に天塩川の川原で、自分の設営した一人用天幕のなかで寝そべっていた。 外では彼らの部下数人がたむろって、何かを喋っている。時々笑い声が聞こえるほどだから、そう悪い話題ではないのは見当がつく。 (本当に戦争なんてはじまるのか…?) 彼は天幕の天井を見ながら、そう思う。 平和な情景。嵐の前の静けさか。 彼は寝返りを打った。なかなか落ち着かない。 彼は天幕を出て、彼らの輪に入ろうとする。 「あ、小隊長」 たむろっていた部下達が倉田のほうを向き、敬礼。 「何してんだ?」 「これから上島二曹が持ってきたトランプで、なんかやろうと思いましてね」 小隊付曹長の渡辺陸曹長が言った。小隊最年長だが、がっしりとした体つきをしている。倉田の外見は中肉中背に見えるので、彼よりも精悍に見える。 「小隊長もどうです?」 上島が言った。彼は第3班長であり、滝沢や稗田の直属の上官である。 滝沢や稗田の姿もある。滝沢は見事にトランプをきっていた。 いいね。と倉田も彼らの中に入った。 どうぞ、と稗田が横のスペースに倉田を誘う。 「何やります?」 滝沢が言う。 「ポーカーなら俺得意だよ」 稗田が言った。 「ポーカーですか。俺、ちょっとわかんないですよ」 上島が苦笑を浮かべて、言う。 「何が得意だ?」 渡辺が言う。 「大富豪ですかね、それかババ抜き」 「なんか、修学旅行生みたいだ」 そう倉田が言うと、上島も含め、皆で笑う。 本当に修学旅行みたいだ。倉田はそう思った。 だが、彼が遠くに見える佐久橋を見た途端、その思いは消えた。 第2師団第21戦車連隊所属の90式戦車が群れを成して、走っていた。 同日17時19分 北海道中川郡音威子府村咲来 陸上自衛隊第1戦車群本部陣地 高崎は集落からやや離れたところに設営された、偽装網で覆われた本部を出た。 しばらく歩くと、天塩川が見えるあたりで、上山が煙草をくわえ、戦闘服のあちらこちらを両手で弄っていた。 「おい」 高崎が呼ぶと、上山は高崎のほうを振り返った。 「どうした?」 「いや、ライターどっかやっちゃってさ」 100円のならたしか持ってたぞ、高崎は胸ポケットからライターを取り出し、上山に渡す。 「おお。サンキュ」 どうよ? 上山はマルボロの赤丸の箱を高崎に差し出した。 じゃあ、戴く、と高崎は一本拝借。 その間に上山は煙草に火をつける。 「こんな時でもないと、当分、吸えないと思ってな」 たしかにな、高崎はライターを帰されると、また煙草の火をつける。 「……ところでさ」 ん? 上山の声に、高崎が応える。 「お前、カノジョとかいないのか?」 遠い目で上山は言った。高崎は苦笑する。 「何だよ、いきなり……」 「いや、お前、モテないんかなと思って……。お前、顔いいし。のりちゃんだって、もててるじゃん」 気持ち悪いぞ、お前。高崎がからかい半分にいうと、上山はいや、マジで女にもてないの? と相変わらず遠い目で、そして真剣な表情で聞いた。 「……あんま、そういうの興味ないからな。だいたい紀子の場合はおとなしくて、あまり断りきれない性格だからな」 高崎も真剣な顔で言う。 彼にとって、両親が不慮の事故で亡くなって以来、二人きりの生活だった。なれない孤児院生活。そこから脱出するための努力。そして脱出した後でも、それを維持するため、紀子と一緒に頑張ってきた。 もちろん、恋愛感情を持ったことがないわけではない。 青春の大半をそういった側面で費やした高崎真治は、あまりそういった恋愛沙汰に興味はなかった。むしろ、恋愛している暇などなかったと、彼は思う。全ては自分のため、唯一の肉親とも言える妹のため。 だから、進路を決める際、彼はひどく悩んだ。防大に入学するのは、生活の維持と同時に、有能な戦車乗員であった父の背中を見た、自分の夢であったからだ。 ―――自分だけ、夢なんて言っていいのか? 紀子はどうするのだ? だが、妹は強くすすめた。自分が、兄の足手まといになっていると思ったからである。 ―――兄さんは自分の道を進んで。私は一人でも大丈夫だから。 いつもおとなしい性格の典子が、ひどく強くすすめたおかげで、彼は防衛大学校に入学した。後ろめたさがあったわけではないが、典子がそう言ってくれたのだ。 一生懸命がんばろうと心に強く誓った。 この時、高崎の中でもう一つの人生の指針が決まったわけだが、これが彼をさらに恋愛から遠のかせた。 一部の仲間や、大学生の多くが恋愛にうつつぬかしているに対し、彼は防大生としての教練に取り組んでいた。 (そういえば…) ふと、高崎は思った。 「お前はいないのか? そういうの」 高崎は純粋に疑問として聞く。 こいつは防大時代からの、親友といっても差し支えない友人だが、こいつもそういう話、聞かないな。 「いないね……気はあるけど、苦手なんだ。いろいろあって」 上山はふと昔の苦い思い出を思い出す。不器用な自分。彼女の悩みすら気づいてあげられなかった。そして、あの病室と両親からの罵声、ベットの上の彼女。生きているだけ幸福だったかもしれない。だが、俺は彼女を守ってやれなかった。 愛する資格などないと上山は思いつつ、彼女のこれからの幸せを願って、俺は去った。 俺は本当に馬鹿だとつくづく思う。 「ごめん……」 高崎は触れてはいけない思い出に触れてしまった気がして、素直に謝った。 「いや、お前に何の悪気もないよ」 上山はそう言った。 重い沈黙が流れる。 「―――高崎一尉!」 後ろから高崎を呼ぶ声が聞こえた。杉田だ。 「いけ。杉田が待ってるぞ」 上山が言った。 わかった。じゃあ、また。そういうと高崎は駆けようとした。 「高崎!」 上山が声を出して、彼を呼んだ。 高崎はそこにとどまり、振り返った。何だ? 「……いや、何でもない」 高崎は不思議に思った。 「……いってこい」 上山がそういうと、高崎はああ、とそこを離れた。 「おい、杉田。声でけぇぞ」 高崎は、杉田の目の前にふと現れた。 「中隊長。帰ってこないから心配しましたよ。どこいってたんですか?」 「ん……上山と話してた」 「あ、邪魔しちゃいましたかね……」 「んなことないよ」 ―――だが 高崎は思った。 あいつ、何か言おうとしてたのか? 「中隊長。早い晩飯です。安藤二曹も待ってます。行きましょうか?」 「ん、ああ……」 高崎は杉田の言葉に頷き、中隊陣地へと向かった。 同日23時38分 北海道 吉岡海底トンネル駅ホーム 明るい照明がかかった海底トンネル駅のホームには28普連に所属する数人の自衛官達が警備任務に当たっていた。 迷彩服に89式小銃で武装している。 そのうち、2名の自衛官はホームを少しはなれた線路上から北海道側を見つめていた。 「二曹……」 若い一士は、隣にいた中年半ばの二曹に声をかけた。 なんだ、二曹は言った。視線は二人とも依然として前方だ。 一士は何か話そうとしたが、緊張と馬鹿馬鹿しさのあまり、いや、なんでもないですと返した。 「なら、呼ぶんじゃねぇよ」 すみません、一士はそう言った。 こいつ、びびっていやがる。 二曹は思った。もっとも、入隊して日も間もない。それでいきなりこれだもんなぁ… 二曹はため息をつきたくなった。 その時、急に一斉に照明が落ちた。 動揺する隊員達、二曹と一士もさすがに動揺する。 「落ち着け! 状況を確認せよ!」 ホームにいた一曹が周りの見えないまま、叫ぶ。彼とて動揺している。 片側ホームからうめき声。ふと動揺の音が静まったかと思うと、そのホームから光が複数点滅。 そしてもう片側ホームも静まり返る。 二曹はあれが発砲だとわかった。やつら、サイレンサー付の銃でも持ってるのか。 とっさに一士が迷彩服からライトをとりだし、つけようとした。 「やめ……!」 二曹が警告するには遅かった。彼の額に小さな穴が開き、ライトをつける間もなく倒れこむ。 二曹は89式小銃を構えようとした。だが、遅かった。 数名のスペツナズのパーフェクトゲームで終わった吉岡海底駅ホームの奪い合い。 少尉はホームの外から撃とうとし、今や、うつぶせになった最後の敵に消音機付きのマカロフPMM拳銃を向けながら、近寄る。 後方には伍長が同じように相手に銃口を向けている。 少尉は敵を踏むと、それを2、3度揺らす。すると、それを蹴飛ばして、あおむけにさせた。 敵は額に穴を開け、横たわっている。死んでるな、よし。 少尉は後ろを向いた。全員、こちらを見ている。 少尉は頷いた。それを見た各員は次の行動に移った。少尉も部下と共に行動を開始する。 ある者達は敵の生き残りがいないかを確認すべく、またある者達は退路を確保すべく、そしてまたある者は30トンの湧き水を排水するためのポンプを爆破すべく、それぞれ行動を開始した。 7月23日0時2分 東京 防衛庁 地下中央指揮所 「北部方面総監部より入電。青函トンネルが爆破されました」 オペレーターや幕僚達が様々なやり取りを行っている後ろ、指揮所後部の指揮幕僚区画にいた全員が、その報告に何らかの反応を見せていた。 「ついにやってきたな……」 指揮幕僚区画中央の大型地図台上にあった、大判の北海道地図を見ながら、航空幕僚長の浅沼空将が呟いた。 「被害は?」 ヘットセッドを被った陸上幕僚長の飯田陸将が言った。マイクを通じて、指揮所全体に響く。 「トンネル入口辺りと排水ポンプが破壊された模様です」 何てこった。奥歯をかみ締め、飯田は呻いた。 毎分30トンの湧き水を排水するポンプが破壊された。復旧に何週間か、かかるに違いない。 「くそ。スペツナズめ、これで輸送手段は空輸と海上輸送だけだぞ……」 浅沼や他の幕僚と共に海上幕僚長の竹本海将が呟いた。 彼はとっさに地図の道南辺りの主要港を見る。 函館、室蘭、苫小牧、釧路、小樽……ここが海上輸送の要となる。そして、同時に避難民にとって北海道脱出の最大の拠点だ。 昼頃からJR津軽海峡線も封鎖され、航空機も規制が始まっている。 「おい。避難民はどうなってる?」 田宮統幕議長が横から声を出した。竹本と同じことを考えていたらしい。 この質問に、統幕事務局長の加藤海将が答える。 防衛計画や演習計画、情報、事務関連を担う、統幕内の組織たる事務局。その長である。 「ひどいもんです。パニックで、こりゃソ連軍が上陸してもまだ避難民はいますよ」 「道北もか?」 統幕議長の質問に、加藤は頷く。 「どこも避難民誘導が遅れているようです。フェリーの増援も早急に北海道に回さんと……」 「そんなことくらいわかってる」 加藤の後ろで、竹本が言った。 「全速力で応援可能なフェリー全船を回した。だけど、まだ本格的な行動には入っていない」 「しかし港はソ連空軍や潜水艦が狙ってくるぞ。機雷封鎖や空爆しにくる」 飯田陸将が話に入ってきた。 「空自は増援戦力を北海道・東北に集結させた。米軍だって防空出撃する」 浅沼が飯田に言った。 「そういえば、極東の米軍は?」 田宮が言う。加藤がまた答えた。 「現在、空母『キティホーク』を中核とする空母任務部隊が横須賀より出撃。対馬海峡に向かうべく、九州沖を航行中です。沖縄の海兵隊も臨戦態勢が整い、待機中」 「やけに政治家が米軍を期待しているからな……」 田宮が言った。 「しかし、統幕議長。米軍が北海道に増援を送ってくるのでしょうか?」 竹本が言った。 「わからんが、朝鮮もあるしな……。人民軍はあんな調子だし」 田宮は朝鮮人民軍の現状をさして言った。 経済崩壊といってもさし変わりない現状である北朝鮮だが、人民軍に数百万単位の兵を集わせ、ソ連から友好国価格の名のもと、相当な安価で装備を一新し、大量の小火器を購入した。 それでも一世代古い兵器が主だが、朝鮮戦争時に使用されていた兵器はほぼ全てが現役を退き、また人民軍がソ連製の新鋭兵器を増やしたことに韓国政府は恐れていた。 また大量の小火器購入は、北朝鮮が近年スローガンにあげているものの一つ、「全人民の武装化」を本格的かつさらに強化したものだとして、韓国政府や一部の合衆国高官らの不安材料の一つにさせていた。 「おかげで北朝鮮の経済はもっとボロボロになりましたがね……」 飯田が言った。 「しかし、奴ら、統一にやる気満々だぞ。釜山まで攻められることを合衆国は現実問題として恐れている」 田宮がそう言った後、政治屋には何度も言ってきたんだがな…と呟いた。 「よほど政治屋に信用されてないのでしょうか……」 飯田が苦笑していった。 「らしいな。米軍が拠り所らしいが、最悪、米軍の増援はないかもしれんぞ」 「ひどいモンですな…」 浅沼がため息をついて、言った。 竹本も同じようにため息をつき、メインディスプレイを見た。 数十くらいの艦艇を示すシンボルマークがサハリン沖に集まっていた。ソ連海軍太平洋艦隊が集結中なのだ。 その時、サハリン沖のシンボルマークが全て消え、警報音が鳴り出した。 加藤は近くにあったヘットセッドを取り上げ、中央指揮所の管理を行う者としての義務を果たそうとした。 「何があった?」 「え、衛星からの通信が途絶しました!」 あせったオペレーターが叫ぶように言った。 「衛星が攻撃されたのか……?」 浅沼は呟いた。 「全部隊に緊急通達」 近くにあったヘットセッドのマイクをもって、田宮が宣言するように言った。 「戦闘態勢! 戦闘態勢!」 同日0時12分 国後島上空 イワン・カリーニン大尉は飛行服に身を包んで、滑走路を飛び立つSu27フランカー戦闘機に乗り込んでいた。 金髪がかかる、多くの女性を魅了してきた眉目秀麗な顔立ちは強張っている。 何せ誰もがそうであるように、彼とてはじめての実戦だ。 機体はある程度まで上昇すると、他のフランカー達と合流した。 レーダー上には多くの機影。暗いが、周りを見ると爆撃機や攻撃機もいる。 大編隊だが、『赤い七月』演習の際、オホーツク海上空で同じようなものを見たことがあった。 あの時はただ凄いと思っていたが、今回は違う。何せ実戦なのだ。 『総員、各機に命令する―――』 地上にいる司令官の声が、無線機越しに聞こえた。 『―――作戦を開始せよ』 この言葉を号令に各機は行動を開始した。 フランカー達は護衛すべき爆撃機を先導して、北海道の空へと侵攻した。 同日0時23分 北海道千歳市 航空自衛隊千歳基地 千歳基地は慌しさを増していた。 わずか15分もないうちに、日本の防空警戒システムが大打撃を受けてしまったからだ。 日本だけではない。朝鮮半島の南側、そして西欧の防空システム全てが東側の打撃を受けていた。 この事態に対し、第二航空団は全機に空中警戒任務を命令。三原玲子、松原耕治両一尉はその先陣をきる。 玲子はコクピットに乗り込み、システムをチェック、オールグリーン。 若い機付長が外で、タオルのような形状のミサイル安全ピンを見せた。向こうもOKということだ。 すると機付長は安全ピンをおろし、敬礼をした。初陣に向かうパイロットに敬意を表したのだ。 玲子もそれに返礼。機付長の心遣いに感謝する。 2機は平行して、駐機場から滑走路へ。即刻、管制官からのゴーサインがでる。 2機は直ちに発進。暗闇へと飛び立った。 千歳基地に警報がなったのは、ちょうどその時だった。 「低空侵入中の多数機影、未だ本基地へと向かっています!」 滑走路のすみで、千歳基地防空隊所属の81式短SAM数基が夜空にミサイルを向けて待機していた。 管制装置内で、若いオペレーターは絶叫したように言った。 「レーダーコンタクトだ。ペイトリオットはどうした?」 横に現れた指揮官がレーダーを見つめ、大声に近い声で言った。 「攻撃を行いましたが、多数機影は依然として侵入中」 別のオペレーターがそう答えた。 指揮官の視線はレーダー上に写るイーグル2機にくぎづけだった。 指揮官は上空にはすでにイーグルが2機、さらに目標の撃墜空域が人口密集地上空をだった場合を考慮して、まだ攻撃はしていない。 命令を下す指揮官自身、もどかしさもあった。冷や汗が流れる。 イーグル2機がこの上空から南へと全速で飛んでいく。今撃てば、敵機が人口密集地に落ちることはないだろう。よし! 指揮官は叫んだ。 「全弾発射!」 81式短SAMの発射装置数基から次々と白煙が上がり、あたりをそれが覆った。 ミサイルは白煙を上げて、目標に接近する。 フェイズドアレイ・パルスドップラー・シーカーによるアクティブ・レーダー誘導が行われる。 ジャミングのなか、自らが発する電波を頼りに目標へと突き進む。 「一部が電子妨害の罠にかかりました! で、ですが、ミサイルいまだ接近中!」 千歳基地爆撃の任務を帯びた10機近いTu160uブラックジャック爆撃機にミサイルが接近する。 妙に興奮した新入りの若いシステム操作士の声に、機長である中尉は舌打ちした。 護衛機は爆撃の本格的態勢を取ると同時に離れて、付近空域にて空中警戒任務中だ。 「来るぞ……」 隊長より各機散開の命令。ミサイルが突進してくる。 その命令以前に中尉はチャフを散布。散開する。だが大型な機体のため、機動力があまりない。 中尉の機体は編隊の外側にいたせいか、うまく回避できたが、僚機3機ほどが撃墜される。 「か、回避…」 システム操作士はそう言ってため息をついた。 機長のとなりにいた副操縦士は落ちていく僚機を見つめている。 システム操作士と同い年くらいの航法士もほっとした表情を浮かべていた。 その時、隊長から入電。侵入を開始せよ。 「侵入開始だ。目標を目視した」 あれだ。暗闇のなかで目標を見ながら、機長は思った。 突然、目標からいくつか白く何かがのびる。バルカン砲の光跡。こっちのほうに向かって撃っている。機長は言った。 「敵が高射砲で撃ってる。気を抜くな。爆弾倉開放準備……」 「総員退避! 総員退避!」 千歳基地に敵爆撃機がせまってきていた。 絶叫が辺りで響く。バルカン砲は必死に敵機を撃墜せんとしている。滑走路より整備員達が離れている。 「くるぞ!」 すでに上空にはブラックジャック。誰かが伏せろと絶叫した。 駐機場にいた整備員達はスライディングするようにそこに伏せた。 爆弾が大量に投下される。滑走路や駐機場に多くの爆弾が炸裂し、コンクリートを吹き飛ばして、いくつもの穴を作り出す。 主は滑走路の破壊だったが、一部爆弾は基地建物にも落下した。機体格納庫にも爆弾が落ち、そこに避難していた自衛隊員達を爆風で吹き飛ばし、熱で建物ごと炎上させていた。 他の建物も同様で、うち一発の爆弾は管制棟、管制塔付け根部分に命中。 管制塔は駐機場へとなぎ倒され、多くの破片を撒き散らした。 30秒もかからない内に、千歳基地はその基地機能に大打撃を受けていた。 穴だらけの滑走路、炎上する格納庫やその他建物、多くの負傷者に仲間の遺体、散らばる肉片。 この光景に、多くの隊員は容易に地獄を連想させた。 中尉は機体後方で炎上する目標を見て、大いに笑った。 ざまぁみろ! 仲間の仇だ! その時、機体横に護衛するフランカー戦闘機を見た。 「こちら、ヴォルガ05.敵機2機をレーダーで確認。津軽海峡を南下中だ。どうするか」 カリーニンはレーダーを見ながら言う。 「こちらヴォルガ01.放っておけ。深追いは禁物だ」 「ヴォルガ05、了解した」 カリーニンは南の、敵機のいる方角を見た。 ―――そのうち、あいつらとも戦うことになるだろうな。 同日0時32分 北海道、苫小牧港 フェリー乗り場 待合所 北海道を脱出しようとする人々は北海道南部の主要な港へと向かっていた。 その一つ、苫小牧港には多くの避難民が港所狭しと、自分を本州に連れて行ってくれるフェリーを待っていた。 フェリー乗り場の待合室にも勿論所狭しと多くの人がいたが、むしろ彼らは希望が持てるほうであった。 自治体が配布するフェリー乗船整理券の順番が回ってきたからだ。 次のフェリーに乗れる人々がここにいたが、そのフェリーがいつやってくるかわからなかった。 高崎典子は待合所隅に腰掛けて、ぼっとしていた。 横には彼女の分と、誰かの分であろう荷物が置かれていた。 「お姉さん」 彼女を呼ぶ声が聞こえた、彼女は座る人ごみの中に立つ、一人の活発そうなショートカットの女性を見つけた。 典子よりやや年下に見える。表情はやや疲れがちだ。 「ああ、愛ちゃん」 水越愛は典子の横に座ると、ため息をついた。 典子は自分のバックから清涼飲料水を彼女に渡すと、彼女は遠慮しながらも感謝してそれをちょっと飲んだ。 水越愛は札幌市近郊の大学に通う学生だった。 テレビで流れた東側同時多発テロを聞き、北海道が戦場になるだろうと危機感を覚えた彼女は北海道脱出を決意。 その途上、典子と会い、今は二人で北海道の脱出行を共にしていた。 「どうだった?」 典子は愛にきく。愛はわざわざ近くの自衛隊が設営した天幕に赴き、天幕外にかかげれている、苫小牧港に入港する予定のフェリーの現状情報がかかれたホワイトボードを見に行っていたのである。 これは随時、フェリーについて質問してくる避難民に対応してのものだった。 彼女の場合、自衛隊の天幕が近かったからその場に赴いたが、苫小牧港には他にも数ヶ所同じものがあった。 「……さっきとかわんない」 愛は9時近くにももう一度、それを見に行っていたが、ホワイトボードに書かれている内容は一緒だ。 「いつになったら、フェリーに乗れるんだろうね」 典子もため息をついた。 「……うん」 愛も頷き、 「こんなことになるとは思わなかったなぁ……」 と続けた。 そうよね……と、兄の顔を思い浮かべながら典子は頷いた。 「ねえ。愛ちゃんは北海道でた後、どこにいくの?」 典子は言った。 「んー、友達の家かな?」 え? 意外そうな顔で典子は愛の顔を見た。 「実家にでもかえると思った?」 典子はゆっくり頷く。 「私の実家、神奈川なんだけど、両親と折り合い悪くて、喧嘩ばかりしてて―――北海道の大学入ったのも、あいつらから少しでも遠くに行くため。だけどこんな風になって、大学も休校になって、ほら、テレビで札幌がソ連軍狙ってるってよく言ってるから、逃げようとしてるんだけど…正直どこ行くのかわからなくてさ」 そうなんだ……典子は声のトーンをやや落として言った。 愛は典子にあまり良くない気持ちにさせてしまったと思い、話題を変えようとした。 その時、構内放送からチャイムがなった。 「何だろう?」 愛はいった。典子も放送に耳を傾ける。避難民全員が放送に聞き入って、その場が静まった。 「えー、大変重要な放送を流します。皆さん、お聞きください」 野太い中年男性の声が聞こえた。 「先ほどから北海道各所でソ連軍による空爆等の攻撃がはじまりました。これにより主要な施設が攻撃を受けています」 周りからどよめきが聞こえる。典子と愛も驚いた表情になる。 「また苫小牧港近海にも機雷も敷設されました。これに船舶が触れると、機雷は爆発します。現在、海上自衛隊掃海艇が出動し、機雷の除去にあたる模様ですが、完全除去までにどれくらいかかるかわかりません。つきましては、無期限の出入港の禁止が決定いたしました―――」 フェリーは当分来ない! ざわつきが罵声や怒鳴り声、悲鳴や絶望に変わった。 放送は深く謝罪する男性の声が聞こえたが、多くの人々に耳には届いていなかった。 その時、誰かが待合所の外から絶叫した。 「飛行機だ。ソ連機だ!」 避難民達は悲鳴を上げた。空爆されると思ったからだ。 爆音が段々と近づいてくるにつれ、人々は右往左往しだした。 また誰かが伏せろと絶叫する。 パニックになった人々はその場に伏せはじめた。典子や愛たちはその場に伏せる。 爆音は彼らの頭上には来ず、そのまま東の方向へと遠ざかった。 苫小牧港近海に機雷を敷設したソ連軍爆撃機編隊は千島列島の飛行場へと帰投していく。 「お姉さん、大丈夫……?」 愛がそういうと、典子はうん、と言った。 すると、今度はうめき声や助けを呼ぶ声が聞こえた。 パニックになった際、怪我人が出たのだ。 「戦争……」 愛がそう呟いた。典子は急に現実に引き戻された気がした。 これが戦争なんだ…… 同日5時12分 北海道 天塩海岸沖合い 昇ったばかりの朝日を浴びながら、ソ連海軍太平洋艦隊は天塩海岸沖についに現れた。 まずソ連軍北海道上陸軍は三つにわかれ、天塩、稚内、浜頓別の各海岸にそれぞれ上陸する。 その一つというわけである。 「いよいよだな」 乗員らが右往左往する中、若干改装されたロプーチャⅡ級戦車輸送艦の艦橋から、ソ連軍第342自動車化狙撃師団所属の戦車連隊第2大隊を指揮するグレゴリー・シャイミーエフ中佐は天塩海岸を望んでいた。 山の辺りには黒煙もちらほらと見える。 「あれが北海道ですか」 横にいた第3中隊長のユーリ・ノヴィコフ大尉が同じように見ていた双眼鏡を下ろした。 スマートで気品のある若い顔立ちである。外見的には、戦車兵のイメージというより白馬の騎士である。 シャイミーエフ中佐は双眼鏡を下ろすと、大柄で彫りの深い顔立ちを頷かせた。 「抵抗がないですな」 同じように双眼鏡を下ろした第3中隊付政治将校の二キータ・トルプコ少尉がいった。 ノヴィコフより気品があるというわけではないが若い顔立ちで、中肉中背の体つきをしている。 トルプコは鼻で笑った。 「きっと、日本軍も我が軍の熾烈な空爆に全滅したか、あるいは恐れをなして逃げてしまったんでしょう」 馬鹿が。ノヴィコフは思った。ヤポニェチ(日本人の蔑称)とはいえ、それほど臆病者の集団ではあるまい。 まあ、それほど臆病者だったらどんなに楽か……。 突然、艦内に警報が鳴った。 「ミサイル接近! ミサイル接近!」 山の向こうから数発のミサイルが現れた。地対艦ミサイルがまだ生きていたようだ。 周りがあわただしくなる。 付近の護衛艦艇から迎撃ミサイルが発射される。 彼らの横にいた艦長も2基のAK630Ⅱ近接防御砲の発砲準備を命じる。 改装された時配備されたものだった。 一発の迎撃ミサイルが敵の放った対艦ミサイルに命中。爆発する。 これを皮切りに次々とミサイルが命中。 だが生き残った一発の対艦ミサイルがシャイミーコフらの乗るロプーチャⅡ級戦車輸送艦に接近してくる。 おびえる若い水兵ら、将校や多少年上の者になるとうろたえてはいけないと思うのか、はてまた本当に恐怖など感じていないのか、じっとしているものがほとんどであった。 トルプコはノヴィコフの横でおびえた表情を見せている。 ノヴィコフもそれほど動揺してないが、多少眉を歪めている。 艦長、AK630Ⅱの発砲命令。 6門の30ミリガトリング砲がうなりを上げた。 大きな爆発音。ミサイルは迎撃され、煙と炎と破片に変わった。 艦の近くで爆発したせいか、衝撃が艦にもとどく。 大小様々な破片が艦橋にたたきつけられる。 トルプコは冷や汗を流し、政治将校の威厳を保とうとしていた。 「おい」 シャイミーエフは静かに言った。ノヴィコフは彼を見る。 「貴様には見えんか?」 ノヴィコフはシャイミーエフの見る方角を見た。爆発の跡である白煙と、その先にある北海道が見えるだけだった。 「何がですか?」 ノヴィコフは再びシャイミーエフを見て言った。 シャイミーエフもノヴィコフを見て、答えた。 「戦争だよ」 前項 表紙 次項