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スザク と 銃口 ◆U1w5FvVRgk TURN 1 舞い降りし は 薔薇乙女 森を駆ける二人組みの姿がある。 前を行くは、ブリタニアの白い悪魔と呼ばれる少年――枢木スザク。 一見して何の迷いも無く進んでいるようだが、時折走る速度を落としては背後を振り向いている。 視線の先には、セーラー服を着た少女――高良みゆきが足を踏み出すたびに、豊かな双丘を揺らしていた。 彼女の幼馴染である少女が見れば、思わず自分の平たい胸をぺたぺたと触り、 彼我の大きさの差に項垂れてしまうぐらい、それはもう見事に揺れている。 ましてや健全な男性諸氏ならば、注目しても仕方ないことだ。 いや、どうやらスザクの目が向いているのは胸元ではなく、みゆきの顔色のようだ。 男としてそれはどうなんだ? とも思われるが、それだけみゆきの顔色は悪く、息切れまで起こしている。 無理はない。男女の差を考慮したとしても、二人の体力差は比べるまでもないのだから。 片やブリタニアのエリート騎士であるナイトオブラウンズ。片やただの女子高生。 両者は本来なら比較対照にすらなりはしない。 今はスザクが走るペースを調整しているので、みゆきも何とか後を付いて来てはいる。 それでも元々の精神的な疲労も相まって、明らかにみゆきは足手纏いとなっていた。 そのような状態でも、二人が歩みを止める様子は無い。 こうまでしてどこに向かおうとしているのか? 二人の目的地は、地図上で示すならC−7――そこに居ると思われる北条悟史の許だ。 二人はつい先程まで森を出ようと、コンパスで方角を確かめながら歩いていた。 そこに悟史の放送が聞こえてきたのだ。 妹と仲間の身を案ずる気持ちは二人にも分かるが、あのような放送はどう考えても自殺行為でしかない。 運良く友好的な者が来れば良いが、この場で望むには高望みだろう。 スザクとしても彼を放ってはおけないが、向かうには一つ問題があった。みゆきの存在だ。 別にみゆきが反対しているわけではない。むしろ賛成していた。 だが彼女が同行しては、どうしても到着が遅れてしまう。 スザクだけで向かうという手もあるが、みゆきを一人にする訳にはいかなかった。 止むを得ず、みゆきに合わせて出来る限り急いでいるのだが、既にみゆきの体力は底を突きかけていた。 いい加減に休憩を取るべきだとは、スザクも理解しているが。 「高良さん。やっぱり少し休んだ方が」 「い、いえ、大丈夫です」 これ以上自分の所為で到着が遅れるのを、みゆきは良しとしない。 それ故に、頑として休憩を受け入れなかった。 とはいえ、もう限界は近いはずだ。 (どうする。無理矢理にでも休ませるか) そんなことを考えていたからか、スザクは周囲への注意が散漫になっていた。 だから、それに気付いたのはみゆきが先だった。 「枢木さん!」 不意に声を掛けられ、スザクはハッとした。 前を向けば、こちらに向かって細長い木の枝がゆっくりと迫ってきていた。 あれぐらいなら、このまま手で打ち払えば事足りる。 だが、気が付けばスザクは走る勢いを落とさずに、蹴りの体勢に入っていた。 そのまま右足を振りぬけば、バキリッと小気味良い音と共に、木の枝が圧し折られる。 俗に言う上段蹴りだ。 振りぬいた足を地に着け、スザクは静止する。 枝を折るだけにしては大袈裟だが、咄嗟のことだったので反射的に蹴りを繰り出していた。 スザクは深い闇が広がる森を見つめる。 「誰か居るのか」 枝が前から飛んできた以上、誰かが投げてきたと推測したのだ。 応答が無いようなら、こちらから行くつもりだったが。 「凄いキックだったわねぇ。惚れ惚れしちゃったわぁ」 静寂を破るかのように、暗闇から声と共に影が現れる。 二人が目を凝らしてみると、映ったのは異様な光景だ。 視線の先に、翼を生やした少女が浮遊していたのだ。 身長は目測で測っても、スザクたちより一回りほど小さい。 白銀の髪と黒色の翼。色彩が逆ならば、天使に見えたかもしれない。 赤い瞳と着用している黒のドレスも、白い肌に映えていた。 そのような少女を見た、二人の反応は正反対だった。 みゆきは乱れた息を整えつつも単純に見蕩れ、スザクは警戒心を露にする。 この場を鑑みれば、この場合はスザクの反応が正しい。 そんな様子に構わず、少女は二人から数メートル先に着地する。 「君は……何なんだ?」 警戒心を緩めずに、スザクは少女に話しかけてみた。 目の前に佇む少女が、人間でないのは明確だ。 背中に生えている翼がそれを示している。 スザクもV.V.のような不老不死の存在は知っているが、さすがに翼を持つ人間は知らない。 何より人間というには、少女は精巧と言えるまでに美しかった。 そう、人間というよりはまるで、 「私は水銀燈。貴方たちと話がしたいんだけど、いいかしら?」 人形のような印象を抱かせた。 ■ ■ ■ TURN 2 騎士 の 不覚 忽然と飛来し、水銀燈と名乗った少女は、自らの素性と今までの行動を僕たちに話した。 ローゼンメイデン――端的に表すなら、自分は生きた人形だと述べたところで、彼女の話は終わる。 生きている人形なんてものがあるとは思わなかったが、僕に大した驚きは無かった。 不老不死や超能力があるなら、生きた人形ぐらいはあってもおかしくはない。 それに人形だと言われれば、一回り小さい体や翼などの説明は付く。 とはいえ、彼女の動作はとても人形だとは思えないほど、人間に近しい。 もしかしたら、ギアスのような超常的な力に拠って作られたのかもしれない。 いや……そんなことよりも、今は水銀燈の話をどう判断するかの方が重要だ。 彼女の話を要約するとこういうことらしい。 水銀燈は元より殺し合いに乗るつもりは無く、協力出来そうな人物を探していた。 幸か不幸か、近くで一人の男を見つけ、接触を図ったそうだ。 男は桐山和雄と名乗り、二人は情報交換を行った。 最初は友好的な雰囲気だったが、交換を終えた途端に、桐山は水銀燈に攻撃してきたらしい。 水銀燈も応戦したが、桐山の身体能力は驚異的であり、ほうほうの体で逃げるのがやっとだったそうだ。 そんな状態で途方に暮れていたところに、僕たちを見つけたらしい。 この話を高良さんはあっさりと信じたようで、水銀燈に同情の篭った眼差しを向けていた。 対する僕は、正直なところ半信半疑だ。余りにも出来すぎた話だと思う。 昔の自分なら無条件で信じただろうが……今更ながら捻くれたものだな。 それとも、水銀燈が人間ではないから信用出来ないのか? そうは思いたくない。それに、もしも話が本当だったら見過ごせない。 襲われた場所がここからあまり離れていないなら、その桐山も悟史君の放送を聞いた可能性は高い。 殺人者からすれば、彼は絶好の獲物にしかなりはしないだろう。 もう一刻の猶予も無さそうだが、水銀燈に確認しないといけないことがある。 詰問じみたことは、僕の得意分野ではないけどやらないわけにはいかない。 「いくつか聞かせてほしいんだけど、いいかな?」 「ええ、構わないわよ」 「まず、どうして僕たちに接触しようとしたんだ? 襲われたばかりなら、普通は控えようとするはずだ」 「簡単よ。こういっては何だけど……足手纏いを連れてるようなら大丈夫と思ったの」 なるほど。確かに危険人物が態々無力な同行者を連れていることは、ほぼ無いだろう。 そして足手纏いとは、間違いなく高良さんだ。 彼女がそうかと聞かれれば、残念ながら否定は出来ない。 それでも、ここまではっきりと言い切らなくてもいいと思う。 チラリと高良さんの様子を窺えば、苦笑いとでも言えばいいのか、微妙な表情をしていた。 彼女は自分が足手纏いだと思っているはずだ。 付いてきてくれるだけでも、僕からすれば十分だが、彼女にとってはそうではないのだろう。 何か慰めの言葉でも掛けるべきなのかもしれないが、残念ながら口下手な僕には思いつかない。 ここは水銀燈との会話を優先しよう。 「接触しようとした理由は分かった。それじゃあ、僕たちに枝を投げたのは何故だ。 あんなことをすれば、悪印象を与えるのは分かるだろ」 「それに関しては謝るわぁ。ただ、貴方がどれ程の実力か試したかったの」 試す? 僕を試す必要がどこに……いや、あるのか。 彼女は協力者を求めているとは言った。 だが誰でもいいとは言っていない。 「つまり、君が求めている協力者とは、実力者限定ということか?」 「はっきりと言えばそうよ。少なくとも、今は貴方みたいに強そうな人としか組みたくないわね」 随分と勝手な言いようだが、仕方ないのかもしれない。 襲われたばかりなら、強い人と一緒に居たいと思うのは当然だ。 話に出た桐山がどれほどの実力かは分からないが、余程のものなんだろう。 とにかく、今は水銀燈の話が本当かどうか確かめるために、桐山という男との接触しよう。 目的地は変わらない。 放送を聞いているのなら、彼も悟史君の許に向かうはずだ。 居なければ悟史君を保護した後に探せばいい。 本当に危険人物のようなら倒し、嘘だとしたら水銀燈を問い詰めればいいだけだ。 「高良さん。僕は彼女と行動しても大丈夫だと思うけど、どうかな?」 「枢木さんがそう判断したのなら、私は構いません」 高良さんの承諾も得れた。 彼女の疲労もある程度は軽減されているようだ。もう少しだけ頑張ってもらおう。 「よし。なら行こう」 「ああ、ちょっと待って。私も確認したいことがあるの」 いざ歩き出そうとしたときに、水銀燈から抑止の声が上がった。 出鼻を挫かれた形になるが、止めるからには余程の理由なのか。 「何かな。出来れば手短にしてほしいんだけど」 「分かってるわよぉ。ただ、貴方たちの支給品を見せてほしいの」 「……何故だ?」 「お互いに何を持っているか知っておくのは、無駄じゃないと思うけど?」 確かに一理ある。 それに水銀燈の支給品は知っておいた方がいい。 まだ完全に信用出来ない以上、彼女の持ち物は後顧の憂いを絶つ意味でも知るべきだ。 でも、渡した途端にこっちの支給品を奪われる可能性もある。 そこまで考えたところで、水銀燈は自分のデイパックを投げ付けてきた。 僕は慌てて受け止める。 「私の支給品よ。言い出したからには、私から見せるのが筋でしょう。 なんなら終わるまで預かってくれてもいいわ」 まだ返事もしていないのに、見せ合うことは決定したらしい。 仕方ない。ここで断ってごねられたりしたら、それこそ時間の無駄だ。 「分かった。じゃあ、君の持ち物から検めさせてもらうよ」 僕は水銀燈のデイパックを開け、中を漁る。 入っていたのは基本品と、鎌、菓子パンの二つ。 とりあえず、危険なのはこの鎌ぐらいだろう。 パンに毒が仕込まれている可能性もあるが、そこまで疑っては切りが無い。 あまり時間を掛けたくもないので、さっさとデイパックを閉じて僕の足元に置いておく。 代わりに、僕のデイパックを水銀燈に投げる。 「始めに言っておくけど、武器は入ってないよ」 「確認するだけだから、何が入っているかは期待して無いわ」 あっさり答えると、水銀燈も僕のデイパックの中を漁りだす。 今のは警戒していると言外に匂わせているんだけど、気付いていないのか? しばらくして、水銀燈はデイパックを投げ返してきた。 別段に怪しいところは無い。 後は高良さんの分だけか。 そういえば、僕も彼女に何が支給されたのかは知らないな。 高良さんの方を見てみれば、慌てた様子でデイパックを開けようとしていた。 「高良さん、どうしたの?」 「お恥ずかしながら、まだ支給品を確認していませんでした」 僅かに頬を染め、彼女は気恥ずかしげに述べた。 恐らくは友達を心配していて、確認することすら忘れていたのだろう。 無用心だとは思うが、それを責めるよりも、今は言っておくことがある。 「高良さん。もし武器が入っていたら、除いておいて」 「え? あ、はい」 これは万が一の時の保険だ。 これでもし水銀燈が高良さんのデイパックを奪い取っても、水銀燈には武器が無い。 こんな場所で、武器も持たずにいることはかなり危険だ。 格闘に自信のある者は範疇に入らないが、水銀燈がそうだとは思えない。 「えっと、銃がありました」 銃か。殺し合いには打って付けだな。 高良さんがデイパックから一つの銃を取り出し――それを見た瞬間、僕は驚きを隠せなかった。 その銃を忘れられるはずが無い。 何故、どうしてそれがここにあるんだ? 分からないが、それを誰かに持たせるわけにはいかない。 「高良さん!」 「えっ!?」 気が付けば、自分でも驚くような大声を出していた。 高良さんが驚くと同時に、持っていたデイパックが放られた。 しかし、驚いた所為で力加減を間違えたのか、デイパックは水銀燈の眼前に落ち、衝撃で中身が散乱した。 「す、すいません」 「大丈夫よ。拾っておくから」 高良さんが謝るが、水銀燈は気にした風もなく、デイパックに近づいていく。 僕は構わず、高良さんに頼みを告げる。 「高良さん、その銃を渡してくれないか」 「……どうしてですか」 高良さんは少し怯んだ様子で問い返す。 いきなり武器を渡せなどと言われれば、疑問に思うのも当然か。 だけど、僕もこれだけは譲れない。 「理由は、言えない。でも、それを使わせたくないんだ。頼む、僕を信じて渡してくれ」 無茶苦茶を言っているのも、僕が冷静でないのも自覚している。 拒否されたとしても当然だ。 高良さんは、しばらくの間は僕と銃を交互に見ていたが、やがておずおずと銃を差し出してくれた。 脅し取ったも同然だな。受け取ったら謝ろう。 申し訳ないと思いつつ、僕は銃に手を伸ばした。 その時、何かが僕の側頭部に当たる。 何かと振り向けば、正方形の石が眩い光を放ち始めていた。 「……石が、光っ――――!?」 そこで、僕の意識は途切れた。 ■ ■ ■ TURN 4 目覚めは 全てが 終わった後に 意識が戻ったとき、スザクは現状を理解することが出来なかった。 ありのままを話せば『石版が光ったと思えば、次の瞬間には全身を黒い物で覆われていた』 何を言いたいのかよく分からないが、スザクにも何をされたのか分からなかった。 彼が最後に覚えているのは、石が光を放ったところだ。 それ以降の記憶は無い。 もしかしたら、自分は気絶したのではとも考えたが、それなら体勢に問題がある。 スザクの体勢は、振り向いたときのままだった。 気絶したら、普通は倒れるはずだ。全く動かないなんてありえない。 (だとしたら、どうして……違う、考えなければならないのはこうなった原因じゃない。 今僕が考えるべきことは、この状況を何とかする方法だ) 気持ちを切り替えたスザクは、何とか拘束を解こうとする。 だが僅かに身動ぎが出来るだけで、まともに動かせそうにない。 一体何が自分の体を覆っているのかと、よく見てみると気付いた。 これは黒い羽だと。 そして、スザクはこの羽に見覚えがあった。 「あら、漸くお目覚め?」 スザクを覆うものと同じ羽を羽ばたかせながら、水銀燈が目の前に現れた。 その姿を目にした瞬間、スザクは鼓動が跳ね上がった気がした。 自分の姿を見ても慌てる様子が無いことから、拘束したのは水銀燈だとスザクは確信する。 「水銀燈……僕に何をした」 「別にぃ。ただ、動きを封じさせてもらっただけよぉ」 動揺した様子も無く鋭い視線を向けるスザクに、水銀燈は人を馬鹿にした猫撫で声で答えた。 ふざけた返答に、スザクの睨みが厳しくなる。 身動きが取れないとはいえ、その眼には凄みが利いていた。 しかし水銀燈は意に介さず、スザクを眺めるだけだ。 「騙したのか。さっきの話も嘘だったのか?」 「戦ったのは本当よぉ。襲ったのは私からだけど」 結局は騙されたと分かり、スザクは不快げに顔を顰める。 もう話す必要は無いと、口を閉ざそうとするが、何かに気が付いたかのように周囲に目を向けた。 目に映るのは水銀燈と三つのデイパック、後は森の木々が見えるだけだ。 自分の同行者の姿が確認できないと、スザクは再度水銀燈を睨み付けた。 「高良さんはどうした」 抑揚の無い、冷淡とした声だ。 それでも水銀燈は、ただ薄笑いを浮かべるだけ。 その笑みが、どことなく自分の親友だった男に似ていたからかもしれない。 更にスザクの不快感を煽っていく。 (動きを封じたことで安心しているのか。だとしたら甘い) スザクの体にはギアスという呪いが掛かっている。 水銀燈がスザクを殺そうとすれば、どんな手を使ってでも生き延びようとするはずだ。 スザクとすれば頼りたくはないが、その力を持ってすれば、力ずくで拘束を解けるかもしれない。 今度は挑発の意味も兼ねて強めの口調で問い詰めようと、再び口を開こうとする。 「もう一度聞く。高良さんはどうし、ッ!?」 スザクの言葉は、突如として体内に湧き起こった熱に遮られた。 熱い、どんどんと体が熱くなっていく。 また意識が途切れそうになり、動悸は激しく、息も荒くなっていく。 拘束されていなければ、倒れていたかもしれない。 「あらあら、どうしたの? 何だか苦しそうだけど」 激変した体調に気を取られそうになりながらも、スザクは水銀燈に目を向ける。 彼女は相変わらず笑みを浮かべて、スザクを眺めている。 まるで、予想通りの事が起こったと愉悦に浸っているようだ。 (まさか、毒か?) スザクにも原因は分からないが、意識が途切れていたのは確実だ。 その間に水銀燈が羽を纏わり付かせただけではなく、更に何かした可能性がある。 まず考えられるのが毒。 この急激な体調不良はそうだとしか思えなかった。 もしそうなら、どうしようもない。例えギアスでも、解毒は出来ないだろう。 身動きが取れずに解毒の当ても無い以上は、もはやスザクには死を待つしかない。 それでも彼は抗おうとした。 当然だ、生物なら容易く死を受け入れられはしない。 嘗てのスザクは、父親を殺した罪を償う為に死を望んでいた。 今は違う。スザクには絶対に叶えねばならない目標がある。 騎士の最高峰――ナイトオブワンとなり、植民地化した日本を取り戻すことだ。 その為に親友まで売った。簡単に諦めるわけにはいかない。 (そうだ、僕は……俺は、こんな所で終われない!) 何とかしようと、スザクは必死でもがく。 しかし無情にも、体に蔓延る熱は抵抗を嘲笑うかのように、スザクの体を満たしていく。 そして、とうとうその意識まで呑みこもうとしていた。 視界すら朦朧としていく中でも、スザクは水銀燈から目を離さない。 自分を殺した相手を、その目に焼き付けようとしたのかもしれない。 彼女の小憎たらしい笑みを凝視したまま、次第にスザクの意識は薄れていく。 (ユフィ……ルルーシュ……) 最後に彼の脳裏に浮かんだのは、忠誠を誓った少女と、親友だった少年の姿。 それも熱に塗り潰されながら、スザクの意識は完全に消えていった。 ■ ■ ■ 鬱蒼と木々が生い茂る森の中を、みゆきはとぼとぼと歩いていた。 時々つまずきそうになるなど、その足取りは心許ない。 顔色も疲労の色が濃くなっている。 (どうして……どうして、こんなことに……) 彼女の内心では、様々な感情が渦巻いている。 焦り、悲しみ、混乱、後悔、疑問、自己嫌悪―――― それらの感情が綯い交ぜとなり、みゆきを責め立てていた。 何故、彼女はここまで憔悴しているのか。 原因を知るには、時を少し遡らなければならない。 TURN 3 少女 の 不幸 光が治まり、目を開いたみゆきが最初に目にしたのは、とても奇妙な光景だった。 「枢木さん?」 みゆきは不思議そうに声を掛ける。しかしスザクからの返事はない。 今度は体を揺すってみた。やはり反応は無い。 見たところ、スザクに傷の類は見当たらない。 それなのに、スザクは動かなかった。 彼は――まるで彫像のように停止していた。 ふざけている風ではない。 本当に瞬きすらせずに、固まっている。 博識の彼女をしてみても、訳が分からない状態だ。 もう一度揺すろうとするが。 「お馬鹿さぁん。まだ気付かないの?」 唐突に声を掛けられ、みゆきは振り向いた。 そこには、黒い剣を自分に突きつける水銀燈の姿があった。 顔には笑みを浮かべている。 思わず息を呑む。 その剣は、まるで彼女の為に誂えたかのように似合っていた。 (でも、どこから出したんでしょうか? さっきまでは持っていなかったのに) 疑問に思うが、今はそれよりも優先すべき事に気付く。 この様子から、彼女はスザクに何が起こったか知っている。 それを聞かなければならない。 「あの」 「黙りなさい」 みゆきの問いかけは、水銀燈に遮られた。 笑みを消して無表情となった彼女は、みゆきに恐怖を感じさせるには十分だ。 「貴方と問答をするつもりは無いわ。私が言いたいことは一つだけ。 さっさとこの場から消えてくれないかしら」 水銀燈の要求は不可解なものだった。 てっきり殺されるものだと、みゆきは思っていた。 なのに逃がすとは、意図が分からない。 しかし、ここで逃げるとはスザクを見捨てるということだ。 とてもみゆきに出来る選択ではない。 なので、声を出さずに首を横に振って拒否を示す。 そんな反応を見ても、水銀燈は変わらず無表情だ。 「聞こえなかった? 私はさっさとどこかへ行きなさいと言ったのよ どうしても行かないなら……二人纏めて殺すわ」 携えた剣が振り被られた。 みゆきに、初めて死の恐怖が湧く。 スザクを見捨てたくはない。 だがここに踏み止まっても、二人揃って殺される。 みゆきの足が、自然と一歩下がった。 「あっ」 後は簡単だった。 また一歩下がり、更に一歩下がり、次は踵を返して走り出していた。 みゆきは死の恐怖に屈していた。 それは生物ならば当たり前だ。 誰だって死にたくはない。 彼女を責めようとする者も居ないだろう。 (ごめんなさい、枢木さんごめんなさい) それでも、みゆきは胸中でスザクに謝り続ける。 どのような理由があれ、スザクを見捨てたことには変わりない。 大き過ぎる罪悪感に、みゆきは耐えられなかった。 その後はひたすら走っていたが、体力を消耗していたからか、直ぐに歩きへと変わってしまう。 みゆきには分からなかった。 自分の行動は正しかったのかも、これからどうすればいいのかも。 仕方なかったといえばそれまでだ。 もしもみゆきが拒んでいたら、スザク共々あそこで殺されていただろう。 それなら、みゆきだけでも生き延びるべきだ。理屈の上ではだが。 (枢木さんはどうなるんでしょうか……) 残されたスザクがどうなるかは、簡単に想像が付く。 恐らくは殺されているだろう。 何故水銀燈がみゆきを見逃したのかは分からないが、スザクを生かしておく理由は無い。 それなら、自分が殺したも同然ではないか? みゆきにそんな考えが浮かぶ。 どこまでもネガティブになっていく思考の中で、とうとうみゆきは座り込んでしまった。 膝を抱えて、そこに顔を埋める。 疲れていた。体も、心も、何もかも。 罪の重さに耐えかね、みゆきは自暴自棄に陥っていた。 しばらくの間そうしていたら、不意にみゆきの背後から足音が聞こえてくる。 誰か来ると分かっても、彼女は動こうとはしない。 今のみゆきは丸腰だ。 現状で危険人物に遭遇したら、隠れるか逃げるしかない。 音は段々と近づいていき、みゆきの数メートル後ろで止まった。 まだ、彼女は動かない。 このままでは危険だと分かっていても、どうしても動く気力が湧かなかった。 そんな様子を気にも留めずに、みゆきの背後に立つ人物は声を発する。 「高良さん」 漸く、みゆきが反応を示す。 それは、二度と聞くことが無いと思っていた声を聞いた、驚きに因るもの。 ゆっくりと立ち上がり、振り向いたみゆきの視界が捉えたのは、 「枢木、さん?」 自分が見捨てたはずのスザクだった。 何故、という疑問がまず浮かぶ。 あの状況から、どうやって逃げ出したのか。 だが、それよりも疑問に思うのは、スザクの表情。彼は――――笑っていた。 数時間前に見せた、ぎこちないものや作り笑いとは違う。 どこにでもある、普通の笑み。 「よかった。見つかって」 穏やかな声色で安堵しているスザク。 本当に、みゆきを見つけて喜んでいるようだ。 なのに、怖い。笑っているのに怖いという、どこか相反する思いがみゆきに湧き起こる。 みゆきは二度目の恐怖を感じていた。 一度目は、水銀燈からの死の恐怖に。 そして二度目は、得体の知れない恐怖だった。 (そういえば、聞いたことがあります。笑うという行為は、獣が牙を剥く動作に原点があると) もしかしたら、自分が感じている恐怖はそれに類するものでは? 恐怖を誤魔化す為か、そんなことを考えていたときだ。 スザクが笑顔のまま右手に持っていた物――銃をみゆきに向けたのは。 「高良さん。ごめん……彼女の為に死んでくれ」 ――――パンッ! 一切の躊躇もなく引き金は引かれ、軽い音と共に何かがみゆきの腹部を通り抜けた。 次にみゆきが感じたのは、腹部から発生した熱と液体――自分の血が染み出す感触。 (枢木、さん……どう……して……?) 力が抜けて、みゆきが後ろへと倒れていき、動かなくなった。 スザクは何の感慨も見せず、みゆきに一瞥をくれると踵を返して元来た方向へ歩き出した。 相変わらず笑みを浮かべながら。 ■ ■ ■ TURN 5 二体 の 人形 (少し、焦り過ぎたわねぇ) 手近な木に凭れながら、水銀燈は溜め息を吐いた。 一連の自分の行動を振り返って見れば、急ぎ過ぎたという結論に尽きる。 彼女の目当ては、元々スザクたちの支給品だった。 悟史の放送にどうすべきか悩んでいたところに、見つけたのがあの二人だ。 篭絡して協力させようかとも考えたが、進行方向から諦めざるを得なかった。 二人は放送が行われた方向へ走っている。 つまり、桐山たちと遭遇する確立が高い。 水銀燈が直ぐに悟史の所に行かなかったのは、桐山たちも向かうと考えていたからだ。 痛い目に遭わされたばかりの身としては、会いたいわけがない。 仮に二人と同行して、桐山たちと鉢合わせすればどうなるか? 間違いなく、水銀燈の危険性が訴えられるだろう。 信じられたら両方から攻められ、信じなくても水銀燈への疑念は残る。 それでは意味が無いが、かといって二人を見過ごしてもおけない。 このまま合流されても、水銀燈の悪名は伝わる。 なので、支給品と情報だけでも頂く為に接触しようとした。 結果は随分と違うものになってしまったが。 支給品の確認しようとしたまでは、想定内だった。 確認して、使えるものがあれば道中で奪うつもりだったのだ。 もし鎌を没収されても、自分の翼から剣を作り出せる水銀燈には問題なかった。 今彼女の手には二枚の紙が握られている。 これらはみゆきの支給品の説明書だ。そして、スザクに使用した物の説明書でもある。 みゆきがデイパックを投げようとした際に、スザクが声を掛けた所為で、 デイパックの中身は水銀燈の目の前に散乱した。 その際に目に付いたのが、石版と小瓶の二つだ。 支給品を確認した際に、みゆきはこの二つを武器と判断しなかった。 急いでいたこともあり、説明書にすら目を通していない。 確かに武器では無いが、ある意味ではこれらの方が、銃などよりも余程危険な代物だ。 スザクがみゆきに詰め寄っている隙に、水銀燈は拾う振りをして二つの説明書を読むことに成功していた。 最初は書いてある内容を信じられなかったが、偽の説明書を付属させる理由は無いので本物と判断した。 一つ目は『時の石版』 これは簡単に言ってしまえば、ロロ・ランペルージのギアスと同種の効果があるものだ。 つまり、対象の時間を停止させてしまう効果を持つ。 これだけを聞けばとんでもない代物だが、もちろん制約もある。 効果は一枚に付き一人にしかなく、対象に投げ付けねば発動しないという制約が。 そして、二つ目は『惚れ薬』 これは名称の通り、飲ませてから最初に見た異性に好意を懐くようになる薬だ。 人外の存在に対しても有効とも記載されていた。 二つの効果を理解した瞬間、水銀燈に一つの作戦が浮かんだ。 それは『時の石版でスザクの動きを止めて、惚れ薬を使い従わせる』というものだった。 (思い返してみれば作戦というより、単なる思い付きね) 粗末な事を考えた自分に呆れを感じ、再度溜め息を吐く。 どうして、ここまで性急に事を行おうとしたのか。 理由は彼女にも分かっている。桐山和雄の存在だ。 あの男に味合わされた屈辱を、水銀燈は一刻も早く晴らしたかった。 だから、自分に従い好きなときに切り捨てられる。 そんな手っ取り早く使える手駒を求めたのだ。 かなり綱渡りだったが、目論見は成功した。 だが現在の状況が、いくつもの偶然が積み重なって出来ていることを、水銀燈は理解していた。 あの時のスザクは、何故か激情に捕らわれていたので時の石版を簡単に当てられた。 みゆきを遠ざけたのは、誤ってみゆきに惚れられては元も子もないからだ。 だが、もしも石版を避けられていたら。 みゆきがしつこく残っていたか、惚れ薬を飲ませる前に石版の効果が切れていたら。 水銀燈の企みはあっさりと瓦解しただろう。 それ以外にも、惚れ薬の分量が書いてなかったので、全部飲ませたらスザクが気絶したことも挙げられる。 すぐに目覚め、自分に従うようになったからよかったが、死なれでもしていたら元も子もなかった。 こんな穴だらけの策を考えたことに、ついに苛立ちすら感じそうになったところに、足音が聞こえてきた。 見てみれば、スザクがこちらに歩いてきている。 水銀燈は苛立ちを抑えて、役目を果たしたはずの男を出迎える。 「お帰りなさぁい。ちゃんと殺してきたの?」 「もちろん。君の期待は裏切らないよ」 返答と同時に、スザクは跪いた。 その様子に水銀燈は満足そうに頷く。 (まあいいわ。手に入れた以上、ジャンクになるまで使い潰してあげるから、覚悟しなさいよ) 翼を生やした美しい少女に傅く男。 見ようによっては、神聖な光景にも見えたことだろう。 実際は悪魔との契約にも等しいものだが。 白騎士は意思を捻じ曲げられ、人形に忠誠を尽くす操り人形【マリオネット】と化した。 それはスザクの親友だった男が最後まで選ばなかった方法であり、彼が最も憎むやり方だ。 おかげで再び笑えるようにはなったが、そんなものは何の慰めにもならない。 今回は更にたちが悪いのだから。 使用された惚れ薬は、例え治癒されても使用中の記憶が残ってしまう。 水銀燈に忠誠を誓ったことも、みゆきを撃ったことも、何を使って行ったかも全て忘れられない。 みゆきに支給された三つ目の支給品であり、今はスザクが手にしている銃。 説明書に記載されていた名称は『ゼロの銃』 彼の最愛の女性が、射殺された際に使用された銃だ。 恋人が射殺された銃を目にしたために、スザクは激情に捕らわれ、この結果と相成った。 もしも正気に戻ったとして、彼はこの罪をどのように受け止めるだろうか。 父親を殺したときと同じように、受け入れて自棄気味に死を望むのか。 受け入れられずに、ただただ絶望するのか。 解けずに、このまま水銀燈に従うままという可能性もある。 唯一つ確かなのは、どのようになってもスザクに救いは残されていないということだ。 【一日目黎明/D−8 北西部 森】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】 [装備]ゼロの銃(弾丸を一発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ [所持品]無し [状態]健康、『生きろ』ギアスの効果継続中? 惚れ薬の効果継続中 [思考・行動] 1:水銀燈に従う。 [備考] ※参戦時期はシャーリー死亡直後です。 ※オープニングのルルーシュを見て、ルルーシュが記憶を取り戻したと確信しました。 ※『生きろ』ギアスがまだ掛かっているかは、後続の書き手に任せます。 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]農作業用の鎌@バトルロワイアル [所持品]支給品一式×3、メロンパン×5@灼眼のシャナ、不明支給品0〜3(確認済み、武器では無い) [状態]両腕に軽症、疲労(小) [思考・行動] 1:悟史の所に向かい、スザクに桐山和雄の相手をさせる。 2:出会った人間から情報を収集した後、利用出来そうなら利用する。 3:利用出来そうに無い場合は殺害(ローゼン勢は多少の無理はする)、最低でも支給品は奪いたい。 [備考] ※参戦時期は蒼星石のローザミスティカを取り込む前です。 ※D−8北西部に、時の石版(砕けている)@ヴィオラートのアトリエ、惚れ薬(中身無し)@ゼロの使い魔 ルイズの杖(折れている)@ゼロの使い魔が落ちています。 【支給品紹介】 【惚れ薬】 水のメイジであるモンモランシーが調合した薬。 飲んでから最初に見た異性に熱烈な好意を抱くようになる。 解除には水の精霊の秘薬が必要で、効果が続いている間の記憶は残る。 秘薬に順ずるものでも解除出来るかもしれない。 【時の石版】 錬金術によって製作された石版。 一枚に付き、一人の時間を止める。 使い捨てで、対象に投げつけなければ発動しない。 ■ ■ ■ LAST TURN 高良みゆき (私は……死ぬんですね) 仰向けに倒れた状態で、みゆきは虚空を眺めていた。 その表情はぼんやりとしており、目も虚ろとなっている。 聡明な彼女は、もう自分が助からないと理解していた。 認めたくなく、決して良い事とは言えない事実だが。 もう起き上がろうとする余力も残されていない。 今も服を染めていく血も、徐々に湧き出す量が少なくなっていく。 (痛みが無くなってきているのは、脳内麻薬が分泌されて、鎮痛作用が働いているから…… こんなときに思い出すことではありませんね) いつもの癖で、疑問に対する答えを考えていた。 彼女の脳裏に、こなたやつかさによく質問されていた光景が思い浮かぶ。 風邪とインフルエンザの違いを初め、今までに様々な疑問に答えてきた。 答えが分からないものは態々調べて、後で教えてまでいた。 自身が知識を得るのが好きなのもあるが、こなたたちが感心してくれるのが嬉しかったのかもしれない。 最初にかがみと友達となり、それが縁でこなたやつかさとも出会えた。 それからはずっと一緒だった。今では何よりも大切な親友たちだ。 (でも、私は皆さんを疑ってしまった) みゆきの心中は後悔で埋め尽くされていた。 スザクの『親友だと思っているのは、自分だけかもしれないんだから』という言葉。 聞かせるつもりではなかったのかもしれない。 彼は視線を逸らし、呟くように言ったのだから。 どうしてスザクがあそこまで『親友』という単語に反応したのかは、みゆきには分からない。 過去に余程のことがあったのかもしれない。 だが聞こえていたのならば、何故即座に否定しなかったのか。 スザクが恐ろしかったとしても、きちんと反論すればよかったのだ。 今となっては、全てが遅いのだが。 (枢木さん……貴方が変わってしまった理由は分かりません。ですが、何か訳があるんだと信じます。 そうだと信じさせてください) みゆきにスザクを恨む気持ちは無かった。 出会った時に『危なくなったら自分が守るから』というスザクの言葉を、嘘だとは思えなかった。 そして、人を恨みながら死にたくもなかった。 結局は自分の都合なのかと、みゆきは苦笑してしまう。 そこまで思ったところで、視界が少しずつ暗くなってきた。 もう時間が残っていないようだ。 おっとりとしている母の姿が脳裏に浮かぶ。 両親より早く死ぬのが、みゆきにとっては何よりも心残りだ。 最期に何かできることはないかと、殆ど働かなくなってきた思考で考えていく。 思い浮かんだのは――言葉。最後に、一つの言葉を口にしたいと思った。 誰も聞いていないとしても、どうしても言っておきたいことがあった。 しかし、それすら簡単には出来ない。 死を迎えようとしている体は、最初は口から無駄に空気が漏れるだけだ。 それでも必死に、声帯を震わして末期の言葉を紡ごうとする。 「皆さん、ごめん……なさい」 みゆきの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。 それはゆたかだけでなく、自分の死の悲しみまで与えてしまう親友たちへの、 そんな親友たちを疑ったことへの謝罪だった。 謝らずに死ぬことだけは出来なかったのだろう。 それが彼女らしいといえば、彼女らしかった。 しっかりと言えて安心したのか、みゆきの体から力が抜けていく。 誰にも届かない謝罪だけを残して、彼女の命は終幕を迎えた。 もしかしたら、彼女は少しだけ幸運だったのかもしれない。 親友であるこなたとつかさが殺人を犯し、かがみの死を知らずに逝けたのだから。 【高良みゆき@らき☆すた 死亡】 ※みゆきの遺体はD−8に放置されています。 時系列順で読む Back 三竦み Next これから先、訪れるであろう全て 投下順で読む Back 三竦み Next これから先、訪れるであろう全て 034 堕天使の微笑 水銀燈 069 BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(前編) 020 BLACK&WHITE 枢木スザク 高良みゆき
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作詞:悪ノP 作曲:悪ノP 編曲:悪ノP 歌:GUMI 翻譯:黑暗新星 復仇女神的槍口 罪孽深重的男人啊 來吧 請懺悔吧 (MASTER S ROOM) 吶媽媽 我啊 現在 正把槍口對著別人 他是個陷害了無數的人 以此來填飽私囊的壞傢伙喔 (ONE YEAR AGO) 爲了這個男人 我甚至親手殺死了心愛的人 接著還飲彈自盡了 (最後的左輪手槍) 最後卻沒有死成 復仇的時候到來了 來吧 請懺悔吧 Hello and good-bye 『Mr.Pere Noel』 我在你家中也點了火 請選擇吧 是要我射穿你的眉間呢 還是要在這業火之中 燃燒成灰呢 (THE REDEMPTION) 吶媽媽 不論是怎樣的惡徒 都應該給他們贖罪的機會吧? 所以啊我 對他這麼說了 「請放棄你的財產吧」 (金錢連地獄的審判都能左右) 「把一切都還給被搶走的人那裡」 「這樣我還能饒你一命」 他回答道 「我的財產」 (PERE NOEL FIRST SANTA CLAUS) 「絕不會交給 你這種混蛋」 (USE暗星廳長官 Gallerian=Marlon) 真是個無可救藥的渣滓啊 果然還是請懺悔吧 (罪惡的審判) Hello and good-bye 『Master Of The Court』 沉溺於慾望的罪惡法官 身負著人們與我的怒火 永眠吧 (SHE KILLED LOVER) (MASTER ORDERED HER) (SHE DECIDED TO REVENGE) (MEMORY) 吶媽媽 你單憑自己一個女子 將我一手撫養長大 (THIRTEEN YEARS AGO) 我誕生在森林里的破房之中 從來都不知道父親長什麼樣 吶媽媽 爸爸已經 無可救藥了啊 已經瘋掉了啊 (CLOCKWORKER S DOLL) 深信著那個人偶是我的義姐 (庭院造景的人偶) (FIVE YEARS AGO) 那個人早就在很久以前 沉入了 昏暗的海底 女兒明明 只有我 一個人而已啊 吶爸爸 看看我吧 (然後少女開始發狂了) (「被拋棄了」「被拋棄了呢」) (最後的左輪手槍) (罪惡的審判) 請你也 (master of the hellish yard) 看著我啊 (MOTHER) (MA) Hello and good-bye…good-bye 『My Father』 殺手的首領 罪惡法官 吶媽媽 爲什麽你會愛上 這種人呢? 這樣一來就真的要結束了 給一切都畫上句號吧 這罪孽深重的罪惡故事啊 永別了 (永別了) (我所愛的人) (我所恨的人) CAST Nemesis=Sudou(codename 8) GUMI Gallerian=Marlon KAITO Michelle=Marlon Clockworker s Doll 初音未來 Kayo=Sudou(禍世=首藤)(Ma) ? 部份有參考前幾首的翻譯
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Q: 854 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/12/27(木) 18 45 12 ID o8lmpEGj マリンフィッシャー系のガンランスには銃口が無いように見えるのですが、 どうやって砲弾や龍激砲を撃っているのですか? A: 855 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/12/27(木) 19 07 24 ID 0hOqGwCs 854 拡大してみてください 鉄芯の先端に銃口があります 正面からみるとみえないので 少し斜めからみてください ガンランス
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スザク と 銃口 ◆U1w5FvVRgk TURN 1 舞い降りし は 薔薇乙女 森を駆ける二人組みの姿がある。 前を行くは、ブリタニアの白い悪魔と呼ばれる少年――枢木スザク。 一見して何の迷いも無く進んでいるようだが、時折走る速度を落としては背後を振り向いている。 視線の先には、セーラー服を着た少女――高良みゆきが足を踏み出すたびに、豊かな双丘を揺らしていた。 彼女の幼馴染である少女が見れば、思わず自分の平たい胸をぺたぺたと触り、 彼我の大きさの差に項垂れてしまうぐらい、それはもう見事に揺れている。 ましてや健全な男性諸氏ならば、注目しても仕方ないことだ。 いや、どうやらスザクの目が向いているのは胸元ではなく、みゆきの顔色のようだ。 男としてそれはどうなんだ? とも思われるが、それだけみゆきの顔色は悪く、息切れまで起こしている。 無理はない。男女の差を考慮したとしても、二人の体力差は比べるまでもないのだから。 片やブリタニアのエリート騎士であるナイトオブラウンズ。片やただの女子高生。 両者は本来なら比較対照にすらなりはしない。 今はスザクが走るペースを調整しているので、みゆきも何とか後を付いて来てはいる。 それでも元々の精神的な疲労も相まって、明らかにみゆきは足手纏いとなっていた。 そのような状態でも、二人が歩みを止める様子は無い。 こうまでしてどこに向かおうとしているのか? 二人の目的地は、地図上で示すならC−7――そこに居ると思われる北条悟史の許だ。 二人はつい先程まで森を出ようと、コンパスで方角を確かめながら歩いていた。 そこに悟史の放送が聞こえてきたのだ。 妹と仲間の身を案ずる気持ちは二人にも分かるが、あのような放送はどう考えても自殺行為でしかない。 運良く友好的な者が来れば良いが、この場で望むには高望みだろう。 スザクとしても彼を放ってはおけないが、向かうには一つ問題があった。みゆきの存在だ。 別にみゆきが反対しているわけではない。むしろ賛成していた。 だが彼女が同行しては、どうしても到着が遅れてしまう。 スザクだけで向かうという手もあるが、みゆきを一人にする訳にはいかなかった。 止むを得ず、みゆきに合わせて出来る限り急いでいるのだが、既にみゆきの体力は底を突きかけていた。 いい加減に休憩を取るべきだとは、スザクも理解しているが。 「高良さん。やっぱり少し休んだ方が」 「い、いえ、大丈夫です」 これ以上自分の所為で到着が遅れるのを、みゆきは良しとしない。 それ故に、頑として休憩を受け入れなかった。 とはいえ、もう限界は近いはずだ。 (どうする。無理矢理にでも休ませるか) そんなことを考えていたからか、スザクは周囲への注意が散漫になっていた。 だから、それに気付いたのはみゆきが先だった。 「枢木さん!」 不意に声を掛けられ、スザクはハッとした。 前を向けば、こちらに向かって細長い木の枝がゆっくりと迫ってきていた。 あれぐらいなら、このまま手で打ち払えば事足りる。 だが、気が付けばスザクは走る勢いを落とさずに、蹴りの体勢に入っていた。 そのまま右足を振りぬけば、バキリッと小気味良い音と共に、木の枝が圧し折られる。 俗に言う上段蹴りだ。 振りぬいた足を地に着け、スザクは静止する。 枝を折るだけにしては大袈裟だが、咄嗟のことだったので反射的に蹴りを繰り出していた。 スザクは深い闇が広がる森を見つめる。 「誰か居るのか」 枝が前から飛んできた以上、誰かが投げてきたと推測したのだ。 応答が無いようなら、こちらから行くつもりだったが。 「凄いキックだったわねぇ。惚れ惚れしちゃったわぁ」 静寂を破るかのように、暗闇から声と共に影が現れる。 二人が目を凝らしてみると、映ったのは異様な光景だ。 視線の先に、翼を生やした少女が浮遊していたのだ。 身長は目測で測っても、スザクたちより一回りほど小さい。 白銀の髪と黒色の翼。色彩が逆ならば、天使に見えたかもしれない。 赤い瞳と着用している黒のドレスも、白い肌に映えていた。 そのような少女を見た、二人の反応は正反対だった。 みゆきは乱れた息を整えつつも単純に見蕩れ、スザクは警戒心を露にする。 この場を鑑みれば、この場合はスザクの反応が正しい。 そんな様子に構わず、少女は二人から数メートル先に着地する。 「君は……何なんだ?」 警戒心を緩めずに、スザクは少女に話しかけてみた。 目の前に佇む少女が、人間でないのは明確だ。 背中に生えている翼がそれを示している。 スザクもV.V.のような不老不死の存在は知っているが、さすがに翼を持つ人間は知らない。 何より人間というには、少女は精巧と言えるまでに美しかった。 そう、人間というよりはまるで、 「私は水銀燈。貴方たちと話がしたいんだけど、いいかしら?」 人形のような印象を抱かせた。 ■ ■ ■ TURN 2 騎士 の 不覚 忽然と飛来し、水銀燈と名乗った少女は、自らの素性と今までの行動を僕たちに話した。 ローゼンメイデン――端的に表すなら、自分は生きた人形だと述べたところで、彼女の話は終わる。 生きている人形なんてものがあるとは思わなかったが、僕に大した驚きは無かった。 不老不死や超能力があるなら、生きた人形ぐらいはあってもおかしくはない。 それに人形だと言われれば、一回り小さい体や翼などの説明は付く。 とはいえ、彼女の動作はとても人形だとは思えないほど、人間に近しい。 もしかしたら、ギアスのような超常的な力に拠って作られたのかもしれない。 いや……そんなことよりも、今は水銀燈の話をどう判断するかの方が重要だ。 彼女の話を要約するとこういうことらしい。 水銀燈は元より殺し合いに乗るつもりは無く、協力出来そうな人物を探していた。 幸か不幸か、近くで一人の男を見つけ、接触を図ったそうだ。 男は桐山和雄と名乗り、二人は情報交換を行った。 最初は友好的な雰囲気だったが、交換を終えた途端に、桐山は水銀燈に攻撃してきたらしい。 水銀燈も応戦したが、桐山の身体能力は驚異的であり、ほうほうの体で逃げるのがやっとだったそうだ。 そんな状態で途方に暮れていたところに、僕たちを見つけたらしい。 この話を高良さんはあっさりと信じたようで、水銀燈に同情の篭った眼差しを向けていた。 対する僕は、正直なところ半信半疑だ。余りにも出来すぎた話だと思う。 昔の自分なら無条件で信じただろうが……今更ながら捻くれたものだな。 それとも、水銀燈が人間ではないから信用出来ないのか? そうは思いたくない。それに、もしも話が本当だったら見過ごせない。 襲われた場所がここからあまり離れていないなら、その桐山も悟史君の放送を聞いた可能性は高い。 殺人者からすれば、彼は絶好の獲物にしかなりはしないだろう。 もう一刻の猶予も無さそうだが、水銀燈に確認しないといけないことがある。 詰問じみたことは、僕の得意分野ではないけどやらないわけにはいかない。 「いくつか聞かせてほしいんだけど、いいかな?」 「ええ、構わないわよ」 「まず、どうして僕たちに接触しようとしたんだ? 襲われたばかりなら、普通は控えようとするはずだ」 「簡単よ。こういっては何だけど……足手纏いを連れてるようなら大丈夫と思ったの」 なるほど。確かに危険人物が態々無力な同行者を連れていることは、ほぼ無いだろう。 そして足手纏いとは、間違いなく高良さんだ。 彼女がそうかと聞かれれば、残念ながら否定は出来ない。 それでも、ここまではっきりと言い切らなくてもいいと思う。 チラリと高良さんの様子を窺えば、苦笑いとでも言えばいいのか、微妙な表情をしていた。 彼女は自分が足手纏いだと思っているはずだ。 付いてきてくれるだけでも、僕からすれば十分だが、彼女にとってはそうではないのだろう。 何か慰めの言葉でも掛けるべきなのかもしれないが、残念ながら口下手な僕には思いつかない。 ここは水銀燈との会話を優先しよう。 「接触しようとした理由は分かった。それじゃあ、僕たちに枝を投げたのは何故だ。 あんなことをすれば、悪印象を与えるのは分かるだろ」 「それに関しては謝るわぁ。ただ、貴方がどれ程の実力か試したかったの」 試す? 僕を試す必要がどこに……いや、あるのか。 彼女は協力者を求めているとは言った。 だが誰でもいいとは言っていない。 「つまり、君が求めている協力者とは、実力者限定ということか?」 「はっきりと言えばそうよ。少なくとも、今は貴方みたいに強そうな人としか組みたくないわね」 随分と勝手な言いようだが、仕方ないのかもしれない。 襲われたばかりなら、強い人と一緒に居たいと思うのは当然だ。 話に出た桐山がどれほどの実力かは分からないが、余程のものなんだろう。 とにかく、今は水銀燈の話が本当かどうか確かめるために、桐山という男との接触しよう。 目的地は変わらない。 放送を聞いているのなら、彼も悟史君の許に向かうはずだ。 居なければ悟史君を保護した後に探せばいい。 本当に危険人物のようなら倒し、嘘だとしたら水銀燈を問い詰めればいいだけだ。 「高良さん。僕は彼女と行動しても大丈夫だと思うけど、どうかな?」 「枢木さんがそう判断したのなら、私は構いません」 高良さんの承諾も得れた。 彼女の疲労もある程度は軽減されているようだ。もう少しだけ頑張ってもらおう。 「よし。なら行こう」 「ああ、ちょっと待って。私も確認したいことがあるの」 いざ歩き出そうとしたときに、水銀燈から抑止の声が上がった。 出鼻を挫かれた形になるが、止めるからには余程の理由なのか。 「何かな。出来れば手短にしてほしいんだけど」 「分かってるわよぉ。ただ、貴方たちの支給品を見せてほしいの」 「……何故だ?」 「お互いに何を持っているか知っておくのは、無駄じゃないと思うけど?」 確かに一理ある。 それに水銀燈の支給品は知っておいた方がいい。 まだ完全に信用出来ない以上、彼女の持ち物は後顧の憂いを絶つ意味でも知るべきだ。 でも、渡した途端にこっちの支給品を奪われる可能性もある。 そこまで考えたところで、水銀燈は自分のデイパックを投げ付けてきた。 僕は慌てて受け止める。 「私の支給品よ。言い出したからには、私から見せるのが筋でしょう。 なんなら終わるまで預かってくれてもいいわ」 まだ返事もしていないのに、見せ合うことは決定したらしい。 仕方ない。ここで断ってごねられたりしたら、それこそ時間の無駄だ。 「分かった。じゃあ、君の持ち物から検めさせてもらうよ」 僕は水銀燈のデイパックを開け、中を漁る。 入っていたのは基本品と、鎌、菓子パンの二つ。 とりあえず、危険なのはこの鎌ぐらいだろう。 パンに毒が仕込まれている可能性もあるが、そこまで疑っては切りが無い。 あまり時間を掛けたくもないので、さっさとデイパックを閉じて僕の足元に置いておく。 代わりに、僕のデイパックを水銀燈に投げる。 「始めに言っておくけど、武器は入ってないよ」 「確認するだけだから、何が入っているかは期待して無いわ」 あっさり答えると、水銀燈も僕のデイパックの中を漁りだす。 今のは警戒していると言外に匂わせているんだけど、気付いていないのか? しばらくして、水銀燈はデイパックを投げ返してきた。 別段に怪しいところは無い。 後は高良さんの分だけか。 そういえば、僕も彼女に何が支給されたのかは知らないな。 高良さんの方を見てみれば、慌てた様子でデイパックを開けようとしていた。 「高良さん、どうしたの?」 「お恥ずかしながら、まだ支給品を確認していませんでした」 僅かに頬を染め、彼女は気恥ずかしげに述べた。 恐らくは友達を心配していて、確認することすら忘れていたのだろう。 無用心だとは思うが、それを責めるよりも、今は言っておくことがある。 「高良さん。もし武器が入っていたら、除いておいて」 「え? あ、はい」 これは万が一の時の保険だ。 これでもし水銀燈が高良さんのデイパックを奪い取っても、水銀燈には武器が無い。 こんな場所で、武器も持たずにいることはかなり危険だ。 格闘に自信のある者は範疇に入らないが、水銀燈がそうだとは思えない。 「えっと、銃がありました」 銃か。殺し合いには打って付けだな。 高良さんがデイパックから一つの銃を取り出し――それを見た瞬間、僕は驚きを隠せなかった。 その銃を忘れられるはずが無い。 何故、どうしてそれがここにあるんだ? 分からないが、それを誰かに持たせるわけにはいかない。 「高良さん!」 「えっ!?」 気が付けば、自分でも驚くような大声を出していた。 高良さんが驚くと同時に、持っていたデイパックが放られた。 しかし、驚いた所為で力加減を間違えたのか、デイパックは水銀燈の眼前に落ち、衝撃で中身が散乱した。 「す、すいません」 「大丈夫よ。拾っておくから」 高良さんが謝るが、水銀燈は気にした風もなく、デイパックに近づいていく。 僕は構わず、高良さんに頼みを告げる。 「高良さん、その銃を渡してくれないか」 「……どうしてですか」 高良さんは少し怯んだ様子で問い返す。 いきなり武器を渡せなどと言われれば、疑問に思うのも当然か。 だけど、僕もこれだけは譲れない。 「理由は、言えない。でも、それを使わせたくないんだ。頼む、僕を信じて渡してくれ」 無茶苦茶を言っているのも、僕が冷静でないのも自覚している。 拒否されたとしても当然だ。 高良さんは、しばらくの間は僕と銃を交互に見ていたが、やがておずおずと銃を差し出してくれた。 脅し取ったも同然だな。受け取ったら謝ろう。 申し訳ないと思いつつ、僕は銃に手を伸ばした。 その時、何かが僕の側頭部に当たる。 何かと振り向けば、正方形の石が眩い光を放ち始めていた。 「……石が、光っ――――!?」 そこで、僕の意識は途切れた。 ■ ■ ■ TURN 4 目覚めは 全てが 終わった後に 意識が戻ったとき、スザクは現状を理解することが出来なかった。 ありのままを話せば『石版が光ったと思えば、次の瞬間には全身を黒い物で覆われていた』 何を言いたいのかよく分からないが、スザクにも何をされたのか分からなかった。 彼が最後に覚えているのは、石が光を放ったところだ。 それ以降の記憶は無い。 もしかしたら、自分は気絶したのではとも考えたが、それなら体勢に問題がある。 スザクの体勢は、振り向いたときのままだった。 気絶したら、普通は倒れるはずだ。全く動かないなんてありえない。 (だとしたら、どうして……違う、考えなければならないのはこうなった原因じゃない。 今僕が考えるべきことは、この状況を何とかする方法だ) 気持ちを切り替えたスザクは、何とか拘束を解こうとする。 だが僅かに身動ぎが出来るだけで、まともに動かせそうにない。 一体何が自分の体を覆っているのかと、よく見てみると気付いた。 これは黒い羽だと。 そして、スザクはこの羽に見覚えがあった。 「あら、漸くお目覚め?」 スザクを覆うものと同じ羽を羽ばたかせながら、水銀燈が目の前に現れた。 その姿を目にした瞬間、スザクは鼓動が跳ね上がった気がした。 自分の姿を見ても慌てる様子が無いことから、拘束したのは水銀燈だとスザクは確信する。 「水銀燈……僕に何をした」 「別にぃ。ただ、動きを封じさせてもらっただけよぉ」 動揺した様子も無く鋭い視線を向けるスザクに、水銀燈は人を馬鹿にした猫撫で声で答えた。 ふざけた返答に、スザクの睨みが厳しくなる。 身動きが取れないとはいえ、その眼には凄みが利いていた。 しかし水銀燈は意に介さず、スザクを眺めるだけだ。 「騙したのか。さっきの話も嘘だったのか?」 「戦ったのは本当よぉ。襲ったのは私からだけど」 結局は騙されたと分かり、スザクは不快げに顔を顰める。 もう話す必要は無いと、口を閉ざそうとするが、何かに気が付いたかのように周囲に目を向けた。 目に映るのは水銀燈と三つのデイパック、後は森の木々が見えるだけだ。 自分の同行者の姿が確認できないと、スザクは再度水銀燈を睨み付けた。 「高良さんはどうした」 抑揚の無い、冷淡とした声だ。 それでも水銀燈は、ただ薄笑いを浮かべるだけ。 その笑みが、どことなく自分の親友だった男に似ていたからかもしれない。 更にスザクの不快感を煽っていく。 (動きを封じたことで安心しているのか。だとしたら甘い) スザクの体にはギアスという呪いが掛かっている。 水銀燈がスザクを殺そうとすれば、どんな手を使ってでも生き延びようとするはずだ。 スザクとすれば頼りたくはないが、その力を持ってすれば、力ずくで拘束を解けるかもしれない。 今度は挑発の意味も兼ねて強めの口調で問い詰めようと、再び口を開こうとする。 「もう一度聞く。高良さんはどうし、ッ!?」 スザクの言葉は、突如として体内に湧き起こった熱に遮られた。 熱い、どんどんと体が熱くなっていく。 また意識が途切れそうになり、動悸は激しく、息も荒くなっていく。 拘束されていなければ、倒れていたかもしれない。 「あらあら、どうしたの? 何だか苦しそうだけど」 激変した体調に気を取られそうになりながらも、スザクは水銀燈に目を向ける。 彼女は相変わらず笑みを浮かべて、スザクを眺めている。 まるで、予想通りの事が起こったと愉悦に浸っているようだ。 (まさか、毒か?) スザクにも原因は分からないが、意識が途切れていたのは確実だ。 その間に水銀燈が羽を纏わり付かせただけではなく、更に何かした可能性がある。 まず考えられるのが毒。 この急激な体調不良はそうだとしか思えなかった。 もしそうなら、どうしようもない。例えギアスでも、解毒は出来ないだろう。 身動きが取れずに解毒の当ても無い以上は、もはやスザクには死を待つしかない。 それでも彼は抗おうとした。 当然だ、生物なら容易く死を受け入れられはしない。 嘗てのスザクは、父親を殺した罪を償う為に死を望んでいた。 今は違う。スザクには絶対に叶えねばならない目標がある。 騎士の最高峰――ナイトオブワンとなり、植民地化した日本を取り戻すことだ。 その為に親友まで売った。簡単に諦めるわけにはいかない。 (そうだ、僕は……俺は、こんな所で終われない!) 何とかしようと、スザクは必死でもがく。 しかし無情にも、体に蔓延る熱は抵抗を嘲笑うかのように、スザクの体を満たしていく。 そして、とうとうその意識まで呑みこもうとしていた。 視界すら朦朧としていく中でも、スザクは水銀燈から目を離さない。 自分を殺した相手を、その目に焼き付けようとしたのかもしれない。 彼女の小憎たらしい笑みを凝視したまま、次第にスザクの意識は薄れていく。 (ユフィ……ルルーシュ……) 最後に彼の脳裏に浮かんだのは、忠誠を誓った少女と、親友だった少年の姿。 それも熱に塗り潰されながら、スザクの意識は完全に消えていった。 ■ ■ ■ 鬱蒼と木々が生い茂る森の中を、みゆきはとぼとぼと歩いていた。 時々つまずきそうになるなど、その足取りは心許ない。 顔色も疲労の色が濃くなっている。 (どうして……どうして、こんなことに……) 彼女の内心では、様々な感情が渦巻いている。 焦り、悲しみ、混乱、後悔、疑問、自己嫌悪―――― それらの感情が綯い交ぜとなり、みゆきを責め立てていた。 何故、彼女はここまで憔悴しているのか。 原因を知るには、時を少し遡らなければならない。 TURN 3 少女 の 不幸 光が治まり、目を開いたみゆきが最初に目にしたのは、とても奇妙な光景だった。 「枢木さん?」 みゆきは不思議そうに声を掛ける。しかしスザクからの返事はない。 今度は体を揺すってみた。やはり反応は無い。 見たところ、スザクに傷の類は見当たらない。 それなのに、スザクは動かなかった。 彼は――まるで彫像のように停止していた。 ふざけている風ではない。 本当に瞬きすらせずに、固まっている。 博識の彼女をしてみても、訳が分からない状態だ。 もう一度揺すろうとするが。 「お馬鹿さぁん。まだ気付かないの?」 唐突に声を掛けられ、みゆきは振り向いた。 そこには、黒い剣を自分に突きつける水銀燈の姿があった。 顔には笑みを浮かべている。 思わず息を呑む。 その剣は、まるで彼女の為に誂えたかのように似合っていた。 (でも、どこから出したんでしょうか? さっきまでは持っていなかったのに) 疑問に思うが、今はそれよりも優先すべき事に気付く。 この様子から、彼女はスザクに何が起こったか知っている。 それを聞かなければならない。 「あの」 「黙りなさい」 みゆきの問いかけは、水銀燈に遮られた。 笑みを消して無表情となった彼女は、みゆきに恐怖を感じさせるには十分だ。 「貴方と問答をするつもりは無いわ。私が言いたいことは一つだけ。 さっさとこの場から消えてくれないかしら」 水銀燈の要求は不可解なものだった。 てっきり殺されるものだと、みゆきは思っていた。 なのに逃がすとは、意図が分からない。 しかし、ここで逃げるとはスザクを見捨てるということだ。 とてもみゆきに出来る選択ではない。 なので、声を出さずに首を横に振って拒否を示す。 そんな反応を見ても、水銀燈は変わらず無表情だ。 「聞こえなかった? 私はさっさとどこかへ行きなさいと言ったのよ どうしても行かないなら……二人纏めて殺すわ」 携えた剣が振り被られた。 みゆきに、初めて死の恐怖が湧く。 スザクを見捨てたくはない。 だがここに踏み止まっても、二人揃って殺される。 みゆきの足が、自然と一歩下がった。 「あっ」 後は簡単だった。 また一歩下がり、更に一歩下がり、次は踵を返して走り出していた。 みゆきは死の恐怖に屈していた。 それは生物ならば当たり前だ。 誰だって死にたくはない。 彼女を責めようとする者も居ないだろう。 (ごめんなさい、枢木さんごめんなさい) それでも、みゆきは胸中でスザクに謝り続ける。 どのような理由があれ、スザクを見捨てたことには変わりない。 大き過ぎる罪悪感に、みゆきは耐えられなかった。 その後はひたすら走っていたが、体力を消耗していたからか、直ぐに歩きへと変わってしまう。 みゆきには分からなかった。 自分の行動は正しかったのかも、これからどうすればいいのかも。 仕方なかったといえばそれまでだ。 もしもみゆきが拒んでいたら、スザク共々あそこで殺されていただろう。 それなら、みゆきだけでも生き延びるべきだ。理屈の上ではだが。 (枢木さんはどうなるんでしょうか……) 残されたスザクがどうなるかは、簡単に想像が付く。 恐らくは殺されているだろう。 何故水銀燈がみゆきを見逃したのかは分からないが、スザクを生かしておく理由は無い。 それなら、自分が殺したも同然ではないか? みゆきにそんな考えが浮かぶ。 どこまでもネガティブになっていく思考の中で、とうとうみゆきは座り込んでしまった。 膝を抱えて、そこに顔を埋める。 疲れていた。体も、心も、何もかも。 罪の重さに耐えかね、みゆきは自暴自棄に陥っていた。 しばらくの間そうしていたら、不意にみゆきの背後から足音が聞こえてくる。 誰か来ると分かっても、彼女は動こうとはしない。 今のみゆきは丸腰だ。 現状で危険人物に遭遇したら、隠れるか逃げるしかない。 音は段々と近づいていき、みゆきの数メートル後ろで止まった。 まだ、彼女は動かない。 このままでは危険だと分かっていても、どうしても動く気力が湧かなかった。 そんな様子を気にも留めずに、みゆきの背後に立つ人物は声を発する。 「高良さん」 漸く、みゆきが反応を示す。 それは、二度と聞くことが無いと思っていた声を聞いた、驚きに因るもの。 ゆっくりと立ち上がり、振り向いたみゆきの視界が捉えたのは、 「枢木、さん?」 自分が見捨てたはずのスザクだった。 何故、という疑問がまず浮かぶ。 あの状況から、どうやって逃げ出したのか。 だが、それよりも疑問に思うのは、スザクの表情。彼は――――笑っていた。 数時間前に見せた、ぎこちないものや作り笑いとは違う。 どこにでもある、普通の笑み。 「よかった。見つかって」 穏やかな声色で安堵しているスザク。 本当に、みゆきを見つけて喜んでいるようだ。 なのに、怖い。笑っているのに怖いという、どこか相反する思いがみゆきに湧き起こる。 みゆきは二度目の恐怖を感じていた。 一度目は、水銀燈からの死の恐怖に。 そして二度目は、得体の知れない恐怖だった。 (そういえば、聞いたことがあります。笑うという行為は、獣が牙を剥く動作に原点があると) もしかしたら、自分が感じている恐怖はそれに類するものでは? 恐怖を誤魔化す為か、そんなことを考えていたときだ。 スザクが笑顔のまま右手に持っていた物――銃をみゆきに向けたのは。 「高良さん。ごめん……彼女の為に死んでくれ」 ――――パンッ! 一切の躊躇もなく引き金は引かれ、軽い音と共に何かがみゆきの腹部を通り抜けた。 次にみゆきが感じたのは、腹部から発生した熱と液体――自分の血が染み出す感触。 (枢木、さん……どう……して……?) 力が抜けて、みゆきが後ろへと倒れていき、動かなくなった。 スザクは何の感慨も見せず、みゆきに一瞥をくれると踵を返して元来た方向へ歩き出した。 相変わらず笑みを浮かべながら。 ■ ■ ■ TURN 5 二体 の 人形 (少し、焦り過ぎたわねぇ) 手近な木に凭れながら、水銀燈は溜め息を吐いた。 一連の自分の行動を振り返って見れば、急ぎ過ぎたという結論に尽きる。 彼女の目当ては、元々スザクたちの支給品だった。 悟史の放送にどうすべきか悩んでいたところに、見つけたのがあの二人だ。 篭絡して協力させようかとも考えたが、進行方向から諦めざるを得なかった。 二人は放送が行われた方向へ走っている。 つまり、桐山たちと遭遇する確立が高い。 水銀燈が直ぐに悟史の所に行かなかったのは、桐山たちも向かうと考えていたからだ。 痛い目に遭わされたばかりの身としては、会いたいわけがない。 仮に二人と同行して、桐山たちと鉢合わせすればどうなるか? 間違いなく、水銀燈の危険性が訴えられるだろう。 信じられたら両方から攻められ、信じなくても水銀燈への疑念は残る。 それでは意味が無いが、かといって二人を見過ごしてもおけない。 このまま合流されても、水銀燈の悪名は伝わる。 なので、支給品と情報だけでも頂く為に接触しようとした。 結果は随分と違うものになってしまったが。 支給品の確認しようとしたまでは、想定内だった。 確認して、使えるものがあれば道中で奪うつもりだったのだ。 もし鎌を没収されても、自分の翼から剣を作り出せる水銀燈には問題なかった。 今彼女の手には二枚の紙が握られている。 これらはみゆきの支給品の説明書だ。そして、スザクに使用した物の説明書でもある。 みゆきがデイパックを投げようとした際に、スザクが声を掛けた所為で、 デイパックの中身は水銀燈の目の前に散乱した。 その際に目に付いたのが、石版と小瓶の二つだ。 支給品を確認した際に、みゆきはこの二つを武器と判断しなかった。 急いでいたこともあり、説明書にすら目を通していない。 確かに武器では無いが、ある意味ではこれらの方が、銃などよりも余程危険な代物だ。 スザクがみゆきに詰め寄っている隙に、水銀燈は拾う振りをして二つの説明書を読むことに成功していた。 最初は書いてある内容を信じられなかったが、偽の説明書を付属させる理由は無いので本物と判断した。 一つ目は『時の石版』 これは簡単に言ってしまえば、ロロ・ランペルージのギアスと同種の効果があるものだ。 つまり、対象の時間を停止させてしまう効果を持つ。 これだけを聞けばとんでもない代物だが、もちろん制約もある。 効果は一枚に付き一人にしかなく、対象に投げ付けねば発動しないという制約が。 そして、二つ目は『惚れ薬』 これは名称の通り、飲ませてから最初に見た異性に好意を懐くようになる薬だ。 人外の存在に対しても有効とも記載されていた。 二つの効果を理解した瞬間、水銀燈に一つの作戦が浮かんだ。 それは『時の石版でスザクの動きを止めて、惚れ薬を使い従わせる』というものだった。 (思い返してみれば作戦というより、単なる思い付きね) 粗末な事を考えた自分に呆れを感じ、再度溜め息を吐く。 どうして、ここまで性急に事を行おうとしたのか。 理由は彼女にも分かっている。桐山和雄の存在だ。 あの男に味合わされた屈辱を、水銀燈は一刻も早く晴らしたかった。 だから、自分に従い好きなときに切り捨てられる。 そんな手っ取り早く使える手駒を求めたのだ。 かなり綱渡りだったが、目論見は成功した。 だが現在の状況が、いくつもの偶然が積み重なって出来ていることを、水銀燈は理解していた。 あの時のスザクは、何故か激情に捕らわれていたので時の石版を簡単に当てられた。 みゆきを遠ざけたのは、誤ってみゆきに惚れられては元も子もないからだ。 だが、もしも石版を避けられていたら。 みゆきがしつこく残っていたか、惚れ薬を飲ませる前に石版の効果が切れていたら。 水銀燈の企みはあっさりと瓦解しただろう。 それ以外にも、惚れ薬の分量が書いてなかったので、全部飲ませたらスザクが気絶したことも挙げられる。 すぐに目覚め、自分に従うようになったからよかったが、死なれでもしていたら元も子もなかった。 こんな穴だらけの策を考えたことに、ついに苛立ちすら感じそうになったところに、足音が聞こえてきた。 見てみれば、スザクがこちらに歩いてきている。 水銀燈は苛立ちを抑えて、役目を果たしたはずの男を出迎える。 「お帰りなさぁい。ちゃんと殺してきたの?」 「もちろん。君の期待は裏切らないよ」 返答と同時に、スザクは跪いた。 その様子に水銀燈は満足そうに頷く。 (まあいいわ。手に入れた以上、ジャンクになるまで使い潰してあげるから、覚悟しなさいよ) 翼を生やした美しい少女に傅く男。 見ようによっては、神聖な光景にも見えたことだろう。 実際は悪魔との契約にも等しいものだが。 白騎士は意思を捻じ曲げられ、人形に忠誠を尽くす操り人形【マリオネット】と化した。 それはスザクの親友だった男が最後まで選ばなかった方法であり、彼が最も憎むやり方だ。 おかげで再び笑えるようにはなったが、そんなものは何の慰めにもならない。 今回は更にたちが悪いのだから。 使用された惚れ薬は、例え治癒されても使用中の記憶が残ってしまう。 水銀燈に忠誠を誓ったことも、みゆきを撃ったことも、何を使って行ったかも全て忘れられない。 みゆきに支給された三つ目の支給品であり、今はスザクが手にしている銃。 説明書に記載されていた名称は『ゼロの銃』 彼の最愛の女性が、射殺された際に使用された銃だ。 恋人が射殺された銃を目にしたために、スザクは激情に捕らわれ、この結果と相成った。 もしも正気に戻ったとして、彼はこの罪をどのように受け止めるだろうか。 父親を殺したときと同じように、受け入れて自棄気味に死を望むのか。 受け入れられずに、ただただ絶望するのか。 解けずに、このまま水銀燈に従うままという可能性もある。 唯一つ確かなのは、どのようになってもスザクに救いは残されていないということだ。 【一日目黎明/D−8 北西部 森】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】 [装備]ゼロの銃(弾丸を一発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ [所持品]無し [状態]健康、『生きろ』ギアスの効果継続中? 惚れ薬の効果継続中 [思考・行動] 1:水銀燈に従う。 [備考] ※参戦時期はシャーリー死亡直後です。 ※オープニングのルルーシュを見て、ルルーシュが記憶を取り戻したと確信しました。 ※『生きろ』ギアスがまだ掛かっているかは、後続の書き手に任せます。 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]農作業用の鎌@バトルロワイアル [所持品]支給品一式×3、メロンパン×5@灼眼のシャナ、不明支給品0〜3(確認済み、武器では無い) [状態]両腕に軽症、疲労(小) [思考・行動] 1:悟史の所に向かい、スザクに桐山和雄の相手をさせる。 2:出会った人間から情報を収集した後、利用出来そうなら利用する。 3:利用出来そうに無い場合は殺害(ローゼン勢は多少の無理はする)、最低でも支給品は奪いたい。 [備考] ※参戦時期は蒼星石のローザミスティカを取り込む前です。 ※D−8北西部に、時の石版(砕けている)@ヴィオラートのアトリエ、惚れ薬(中身無し)@ゼロの使い魔 ルイズの杖(折れている)@ゼロの使い魔が落ちています。 【支給品紹介】 【惚れ薬】 水のメイジであるモンモランシーが調合した薬。 飲んでから最初に見た異性に熱烈な好意を抱くようになる。 解除には水の精霊の秘薬が必要で、効果が続いている間の記憶は残る。 秘薬に順ずるものでも解除出来るかもしれない。 【時の石版】 錬金術によって製作された石版。 一枚に付き、一人の時間を止める。 使い捨てで、対象に投げつけなければ発動しない。 ■ ■ ■ LAST TURN 高良みゆき (私は……死ぬんですね) 仰向けに倒れた状態で、みゆきは虚空を眺めていた。 その表情はぼんやりとしており、目も虚ろとなっている。 聡明な彼女は、もう自分が助からないと理解していた。 認めたくなく、決して良い事とは言えない事実だが。 もう起き上がろうとする余力も残されていない。 今も服を染めていく血も、徐々に湧き出す量が少なくなっていく。 (痛みが無くなってきているのは、脳内麻薬が分泌されて、鎮痛作用が働いているから…… こんなときに思い出すことではありませんね) いつもの癖で、疑問に対する答えを考えていた。 彼女の脳裏に、こなたやつかさによく質問されていた光景が思い浮かぶ。 風邪とインフルエンザの違いを初め、今までに様々な疑問に答えてきた。 答えが分からないものは態々調べて、後で教えてまでいた。 自身が知識を得るのが好きなのもあるが、こなたたちが感心してくれるのが嬉しかったのかもしれない。 最初にかがみと友達となり、それが縁でこなたやつかさとも出会えた。 それからはずっと一緒だった。今では何よりも大切な親友たちだ。 (でも、私は皆さんを疑ってしまった) みゆきの心中は後悔で埋め尽くされていた。 スザクの『親友だと思っているのは、自分だけかもしれないんだから』という言葉。 聞かせるつもりではなかったのかもしれない。 彼は視線を逸らし、呟くように言ったのだから。 どうしてスザクがあそこまで『親友』という単語に反応したのかは、みゆきには分からない。 過去に余程のことがあったのかもしれない。 だが聞こえていたのならば、何故即座に否定しなかったのか。 スザクが恐ろしかったとしても、きちんと反論すればよかったのだ。 今となっては、全てが遅いのだが。 (枢木さん……貴方が変わってしまった理由は分かりません。ですが、何か訳があるんだと信じます。 そうだと信じさせてください) みゆきにスザクを恨む気持ちは無かった。 出会った時に『危なくなったら自分が守るから』というスザクの言葉を、嘘だとは思えなかった。 そして、人を恨みながら死にたくもなかった。 結局は自分の都合なのかと、みゆきは苦笑してしまう。 そこまで思ったところで、視界が少しずつ暗くなってきた。 もう時間が残っていないようだ。 おっとりとしている母の姿が脳裏に浮かぶ。 両親より早く死ぬのが、みゆきにとっては何よりも心残りだ。 最期に何かできることはないかと、殆ど働かなくなってきた思考で考えていく。 思い浮かんだのは――言葉。最後に、一つの言葉を口にしたいと思った。 誰も聞いていないとしても、どうしても言っておきたいことがあった。 しかし、それすら簡単には出来ない。 死を迎えようとしている体は、最初は口から無駄に空気が漏れるだけだ。 それでも必死に、声帯を震わして末期の言葉を紡ごうとする。 「皆さん、ごめん……なさい」 みゆきの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。 それはゆたかだけでなく、自分の死の悲しみまで与えてしまう親友たちへの、 そんな親友たちを疑ったことへの謝罪だった。 謝らずに死ぬことだけは出来なかったのだろう。 それが彼女らしいといえば、彼女らしかった。 しっかりと言えて安心したのか、みゆきの体から力が抜けていく。 誰にも届かない謝罪だけを残して、彼女の命は終幕を迎えた。 もしかしたら、彼女は少しだけ幸運だったのかもしれない。 親友であるこなたとつかさが殺人を犯し、かがみの死を知らずに逝けたのだから。 【高良みゆき@らき☆すた 死亡】 ※みゆきの遺体はD−8に放置されています。 時系列順で読む Back 三竦み Next これから先、訪れるであろう全て 投下順で読む Back 三竦み Next これから先、訪れるであろう全て 034 堕天使の微笑 水銀燈 069 BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(前編) 020 BLACK&WHITE 枢木スザク 高良みゆき GAME OVER
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パーソナル !名前:~~(読み) 黒嗣 了~~(Ryo Kurothugu) !コードネーム:~~(読み) 影絵の銃口~~(_) !年齢/性別: 30歳/男 !身長/体重: 185cm/72kg !星座/血液型: 射手座/O型 !カヴァー/ワークス: 探偵/探偵 !ブリード: クロスブリード !シンドローム: ノイマン/ウロボロス/ !侵食率基本値: 30% !HP最大値: 31 !常備化ポイント: 16 !財産ポイント: 7 !行動値: 11 !戦闘移動/全力移動: 16m/32m 能力値・技能 !肉体: 1 !感覚: 1 !精神: 9 !社会 1 白兵 _ 射撃 4 Lv RC _ 交渉 _ 回避 _ 知覚 1 Lv 意志 1 Lv 調達 7 Lv 運転:4輪 2 Lv 芸術 _ 知識: _ 情報:裏社会 3 Lv 運転: _ 芸術 _ 知識: _ 情報:噂話 1 Lv ライフパス !出自: Dロイス !経験: 消せない傷 !邂逅: ビジネス !覚醒: 感染 !衝動: 闘争 固定ロイス 関係 名前 感情(P) 感情(N) Dロイス 達人 ○ 消せない傷 傷つけた相手 ○執着 恥辱 ビジネス 霧谷雄吾 ○誠意 隔意 エフェクト 名称 Lv タイミング 技能 難易度 対象 射程 侵蝕値 制限 参照 リザレクト 1 オートアクション - - 自身 至近 (不定) - R1P169 ワーディング 1 オートアクション - 自動成功 シーン 視界 0 - R1P169 コンセントレイト:ウロボロス :3 メジャーアクション シンドローム - - - 2 - _ 原初の赤 吠え猛る爪 :1 メジャーアクション 白兵,射撃 対決 - 武器 5 - _ コントロールソート 射撃 :1 メジャーアクション 射撃 対決 - - 2 - _ マルチウェポン :1 メジャーアクション 白兵,射撃 対決 - 武器 3 - _ 無形の影 :1 メジャーアクション 効果参照 - - - 4 - _ ファンアウト :1 セットアッププロセス - 自動成功 範囲(選択) 至近 4 - _ インスピレーション :2 メジャーアクション - 自動成功 自身 至近 2 - _ プロファイリング :1 メジャーアクション - 自動成功 自身 至近 - イージー _ 究極鑑定 :1 メジャーアクション - 自動成功 効果参照 至近 - イージー _ シャドウダイバー :1 メジャーアクション - 自動成功 単体 至近 2 イージー _ 『44マグナム』 エフェクト コンセントレイト:ウロボロス + 原初の赤:吠え猛る爪 + コントロールソート:射撃 解説:影を纏わせた弾丸を44マグナムで撃ち出す。 強靭な精神力で狙い打つそれは正確無比に獲物を捉える。 『影絵の使徒』 エフェクト コンセントレイト:ウロボロス + 無形の影 解説:己の影を操り、対象の影と重ねる。 それにより、対象が隠している事、考えている事を読み取る。 また、交渉を有利に進める事で、銃器の調達を行う事もできる。 装備品 武器 名称 種別 技能 備考 参照 大型拳銃 射撃 射撃 - _ 防具 名称 種別 備考 参照 _ 一般アイテム 名称 種別 技能 備考 参照 ウェポンケース その他 - 武器または防具ひとつをオートアクションで装備可 _ 情報収集チーム コネ - - _ 設定 (プロフィールなど) ノイマン/ウロボロスのクロスブリード。 地価の安いボロビルの一室にて探偵事務所"黒嗣探偵事務所"を開いている。 探偵事務所とは言っても、所員はクロツグと事務員が一人。 クロツグリョウという名前は偽名。 かつては神城グループの強行部隊の一員だった。 しかし、ある事件で当時の仲間に裏切られ、神城を抜け、偽名を名乗って探偵をしている。 なお、探偵としての仕事は一般に受け付けているわけではない。 基本的にUGNからの調査依頼が主な仕事になっている。 調査方法は《プロファイリング》、《シャドウダイバー》で相手の思考を読んで推察する。 主な武器は44マグナム(大型拳銃)、グロック17(演出用拳銃)。 必要に応じて50口径のバレットM82(アンチマテリアルライフル)を調達する。 「クロツグ探偵事務所所長の、クロツグリョウだ」 「ウチの事務所は少数精鋭でね。俺だけいりゃコトが足りるのさ」 「で、影使い――ウロボロスの俺に何の用だ、ツヅキキョウカ?」 「誰にだって"影"はある、それさえ見れば大抵の事は分かるさ」 「安いフェイトに出来る事なんざ、たかが知れてるさ」 「俺は足で稼ぐタイプだ。どこぞの安楽椅子探偵じゃあないんでね」 「ツテはある。銃は揃えておくさ」 「ガンシューティングは専門じゃないんだがね」 「鉄火場も嫌いじゃないのさ」 「こういう時はビビった奴から死んでくんだよ」 経歴 ロイス 関係 名前 感情(P) 感情(N) 取得 現在 _ _ ○_ ○_ _ _ _ _ ○_ ○_ _ _ _ _ ○_ ○_ _ _ その他、セッションを経ての成長などを記す。
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覚醒前 時空の銃口ガン 火 レア コスト3 1000 マシン・イーター ■このクリーチャーがバトルゾーンから離れるとき、相手のパワー2000以下のクリーチャーを1体破壊する。 ■覚醒―自分のターンの終りに、このクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。 弾丸セット! 覚醒後 弾丸の覚醒者ガン・ガガン 火 レア コスト6 2000 マシン・イーター ■このクリーチャーが覚醒したとき、このクリーチャーを破壊してもよい。 ■このクリーチャーが破壊された時、相手のパワー6000以下のクリーチャー1体を破壊する。 発射! 作者:yya まさかの使い捨てサイキック。とりあえず、相手がどうしようが必ず1対を体破壊できる厄介なやつ。覚醒すればノーリスクで《ボルカニック・アロー》が使え、焼ける範囲はなかなか広い。 評価 3マナで6000火力撃てることを考えたら十分強いです。バイスホールだったら、6000火力×2。どうでも良いですが、名前の響きがジョンに似てますねww -- 紅鬼 (2011-01-09 11 47 55) ジョンを眺めながら作ったらこうなりましたw -- yya (2011-01-09 11 53 37) 名前 コメント
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カード名 カードナンバー/レアリティ カード名:《 》() キャラ名:「 」() LPリミット: キャラクターシンボル: 属性: END:- カードテキスト フレーバーテキスト
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羅刹の記憶スキル。 「自身の「生前」に関する偽りの記憶の一部」から取得。 銃を向けられることに対して異常な恐怖感を覚える。 身体の震えが止まらなくなり、全ての判定に-20される。 また銃保持者に対して接近しての物理攻撃が出来なくなる代わりに 魔法での攻撃で1d(魔適)の追加ダメージを与える。 無いはずの左目が熱く、 震える口が言葉を唱える はやく、はやくアイツを殺さなきゃ
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104182C,パイロット,2,28,,0,,,,パイロットリスト.idn 104182E,機体,2,28,,0,,,,機体リスト.idn 1041830,優先ターゲット,2,28,,0,,,,パイロットリスト.idn 1041832,機体改造値,,28,,10,,,, 1041833,武器改造値,,28,,10,,,, 1041834,X座標,,28,,10,,,, 1041835,Y座標,,28,,10,,,, 1041836,?,,28,,16,,,, 1041837,?,,28,,16,,,, 1041838,登場順,,28,,10,,,, 1041839,平均Lv+,,28,,10,,,, 104183A,?,,28,,16,,,, 104183B,?,,28,,16,,,, 104183C,?,,28,,16,,,, 104183D,勢力,,28,,0,,,,0 青自軍|1 黄友軍|2 青友軍|3 緑敵軍|4 赤敵軍|5 黄敵軍|6 黄敵軍|7 緑敵軍| 104183E,?,,28,,16,,,, 104183F,?,,28,,16,,,, 1041840,パイロット,2,28,,0,,,,パイロットリスト.idn 1041842,機体,2,28,,0,,,,機体リスト.idn 1041844,優先ターゲット,2,28,,0,,,,パイロットリスト.idn 1041846,機体改造値,,28,,10,,,, 1041847,武器改造値,,28,,10,,,, 1041848,X座標,,28,,10,,,, 1041849,Y座標,,28,,10,,,, 104184A,?,,28,,16,,,, 104184B,?,,28,,16,,,, 104184C,登場順,,28,,10,,,, 104184D,平均Lv+,,28,,10,,,, 104184E,?,,28,,16,,,, 104184F,?,,28,,16,,,, 1041850,?,,28,,16,,,, 1041851,勢力,,28,,0,,,,0 青自軍|1 黄友軍|2 青友軍|3 緑敵軍|4 赤敵軍|5 黄敵軍|6 黄敵軍|7 緑敵軍| 1041852,?,,28,,16,,,, 1041853,?,,28,,16,,,,