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2007年12月公開。BLEACHの劇場第2作。第3作に劇場版 BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶがある。 http //www.tv-tokyo.co.jp/bleach/ 監督 阿部記之 原作 久保帯人 脚本 横手美智子、大久保昌弘 キャラクターデザイン 工藤昌史 特装設定 宇佐美皓一 美術監督 清水友幸 美術 高木佐和子 色彩設計 上谷秀夫、安斉寛美、阿部紀子 撮影監督 福島敏行 2Dエフェクト 佐藤勝史 特効 鈴木美保 編集 植松淳一、奥野英俊 音響効果 武藤晶子 調整 宮澤二郎、勝木敬一、西澤規夫 録音監督助手 森田洋介 音楽 鷺巣詩郎 文芸担当 大久保昌弘 アニメーション制作 スタジオぴえろ 絵コンテ 阿部記之 斉藤哲人 水野和則 深澤学 佐々木守 演出 阿部記之 水野和則 小柴純弥 神谷純 作画監督 工藤昌史 高木弘樹 河村明夫 大西雅也 三好和也 小木曽伸吾 細越裕治 ふかざわまなぶ もりやまゆうじ エフェクト作画監督 橋本敬史 ■関連タイトル 劇場版 The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸 【完全生産限定版】 劇場版 BLEACH The DiamondDust Rebellion Original Soundtrack 主題歌 サンボマスター/光のロック 初回生産限定盤 JUMP j BOOKS 松原真琴/劇場版 BLEACH ―The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸― 劇場版BLEACH 2008年 1/10号 MP3ダウンロード サンボマスター/光のロック 主題歌収録 BLEACH BEST TUNES DVD付き限定版 All Colour But The Black―BLEACHイラスト集 フィギュア・ホビー:BLEACH 原作コミック 久保帯人/BLEACH 1巻
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鉄輪「ミシカルリング」/Iron Ring ''Mythical Ring'' 鉄輪「ミシカルリング」/Iron Ring ''Mythical Ring''(2)(W)(W) ソーサリー いずれかの墓地にあるアーティファクト・カード1枚かエンチャント・カード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に戻す。 参考 記憶される幻想郷-レア
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劇場版 BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸関連 劇場2007 ブログ #blogsearch 口コミ #bf ニュース1 中井和哉さんお誕生日記念!一番好きなキャラは? 3位「戦国BASARA」伊達政宗、2位「ワンピース」ゾロ…“侍・剣士”キャラが上位独占!<21年版>(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ニュース2 中井和哉さんお誕生日記念!一番好きなキャラは? 3位「戦国BASARA」伊達政宗、2位「ワンピース」ゾロ…“侍・剣士”キャラが上位独占!<21年版>(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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※俺設定注意 厨ゆっくり注意 「ゆっくりの強化薬?」 「そう、ゆっくりの強化薬。ひとたび使えばその身体は強靭になり、被捕食種が捕食種を倒すことも容易になる夢の薬さ。 今までの硬化薬やトレーニングに依ることなく、それ単体で効果を発揮する。身体能力、知能向上。防水性の強化。その他諸々。 野良被害に悩まされていた飼いゆっくり達を救うにはうってつけの手段だと思わないかい?」 「それは素晴らしい話だな。ただし、副作用が無ければの話だが。そこん所は一体どうなんだ?」 「あるよ、もちろん。 まず被検体の性格に影響が出た。 非常に凶暴になり、同属の共食いに躊躇しなくなった個体もいる。廃ゆっくりも出た。 薬物の副作用に似ているね」 「駄目じゃねぇか」 「いや、それはあんまり問題が無かったんだ。 やろうと思えばそれに対抗するような鎮静剤みたいなものも作れるしね。ゆっくりだし。 それより厄介なことがあったんだ」 「それより厄介なこと?」 「変質だよ。 精神面でもそうだけど、肉体面でも変化が起こるんだ。 脱毛、変色、膨張は当たり前。 器官の増殖、新生なんてのもあった。 あるれいむは腕が生えて口と目が五つずつになってたよ」 「なんだそりゃ」 「そのれいむはふらん4匹をあっという間に解体したんだけどねぇ。 いかんせん僕達は『変えさせる』事はできても『直す』事はできない。 キミ、キミは自分の飼いゆっくりにそんな薬を与えたいかい?」 「いいや、御免だね。流石に彼女達をバケモノにする趣味は無い」 「そう!かくしてこの強化薬は廃棄、僕たちのプランも白紙になったわけさ! 永遠亭の協力もパァ!今までの苦労も水の泡! 当たり前ながら誰も愛するペットを恐ろしい化け物にする気はないって事だよ!」 「そりゃ、そうだろう。あ、でも虐待用の薬とかとしてなら許可が下りるんじゃないのか?」 「いや、それはもういいんだよ。 僕が作りたかったのは強化薬であって、そういうものじゃない。 まぁ大丈夫さ。次はうまくやるよ。 ・・・ところでさ、その強化薬の件なんだけど・・・・・・」 「何かあるのか?」 「実を言うとね、今ここにその強化薬のサンプルがあるんだ。 廃棄を免れたごく少量の、だけどね。 もし良かったらこれを使って報告をしてくれると嬉しい」 「嫌だよそんなもん。言ったろ、俺は彼女達をバケモノにする気はない」 「いや、そうじゃない。キミの愛するゆっくり達でなくても良いんだ。 キミはゆっくり農園とやらを経営してるだろ?他にもゆっくり養殖場とか。 そういうので良いんだ。適当なゆっくりを捕まえて、適当にサンプルを打ち込んでくれればいい」 「そいつが凶暴になってどんな被害を出すかわからないのに?」 「ああ、そうだ。でもキミなら大丈夫だろう。そう僕は確信している。 いくら凶暴になっても、ゆっくりはゆっくり。人間や、ましてやキミが遅れをとるとは思えない。 ゆっくりの扱いは心得ているだろう?それこそドスであろうと」 「確かにゆっくりの扱いは心得ているが、何故そんなことをしなければならないんだ」 「そりゃあ、次のためさ。 新しい製品を作るには多くのデータがいる。多くのデータを取るには大量のサンプルが要る。サンプルは多ければ多いほど良い。 とりあえずこの強化薬は失敗したが、それを無駄にはしたくない。できれば何故変質したのかを解明したいしね。 万事は試行錯誤。実験の積み重ねだよ」 「・・・・・・仮にその実験に付き合ったとして、その見返りは何だ?」 「特に何も。 ただ、そんなお願いを聞いてくれた優しいキミへ僕・・・いえ、私からの心ばかりのお礼があるだけだ・・・・・・わよ」 「急に女らしくなったりするな気持ち悪い。 ・・・・・・解った。いいぜ、その話乗ってやるよ」 「あぁ、ありがとう。やっぱりキミは良い人だね。頼んだ甲斐があったよ」 「こら、手を握るな。・・・・・・俺も少しは興味があるしな、その薬。適当なので良いんだろう?」 「ああ、勿論。ただし報告は忘れずにしてくれたまえよ。その方がぼ、私も嬉しいしね」 「だからその口調止めろ。何を意識してるんだよ」 「・・・・・・だって『お礼』って言ったら急に引き受けてくれたから。こういうの嫌い?」 「いや、嫌い・・・ではないが。なんか違和感ある」 「ところでお礼は何が良い?やっぱり・・・デ、デート、とか?」 「お前は何を言っているんだ」 ゆっくり鉄輪 ありすは幸せだ。 ありすは生まれついての飼いゆっくりだった。ブリーダーである男の元で生まれ、教育を施され、金バッジを取得した。 男の生活は変わっており、彼はゆっくり農園というものを営んでいた。 それはゆっくりのみで管理された大農園。ありすはそこで働いていた。 先輩であるゆうかや他のゆっくりの助言を頼りに、頑張って畑を耕し、水を遣る。 ありすの生活は充実していた。 そう、ありすの生活は充実していた。 頼りになる先輩達。優しい仲間。そして、最愛の夫。 ありすには伴侶がいる。優しいまりさが。 ありすが成体になって間もなく、散歩の途中、小川に架かる橋の上でそのまりさを見かけたことが始まりだった。 まりさの帽子には飼いゆっくりであると言う証明のバッジがついていない。 それは、このまりさが野生のゆっくりであると言う証拠だった。 ありすは飼いゆっくりだ。もちろん、人間たちの常識、ルールは叩き込まれている。 飼いゆっくりは野生や野良のゆっくりと仲良くするべきではない。そういう風にありすは教育されてきた。 野生と飼いでは常識が違う。飼いが悪とすることでも、野生のゆっくりにとっては正義となることがある。 だからお互いが悪影響となりかねないのだ。 だがありすは、そんなことに頓着することは出来なかった。 そのまりさをはじめて見たその瞬間、ありすに電流が走ったのだ。 少々汚れながらも精悍なその顔。芯の強さがにじみ出てくるその瞳。優しげに微笑むその唇。 ありすの一目惚れだった。 何も考えることが出来なくなり、思わず反射的に声をかけてしまった。 「ゆっくりしていってね!!!」と、その直後に後悔に襲われるありす。 ああ、やってしまった。野生のゆっくりに声をかけるべきではないのに、なにをやってるの、ありすは。 そんな思いに囚われるありす。挨拶すべきではなかったという後悔の念は―――。 「ゆっくりしていってね!!!」 その明るく、優しい声に吹き飛ばされた。 少し話してみると、このまりさがとても優しいゆっくりであることがわかった。 もじもじと恥ずかしがってばかりのありすに、まりさはいつまでも付き合ってくれたのだ。 「ねぇ、ありすはどこからきたの?」 「ありすはとってもきれいだね!」 「ありすはかいゆっくりなの?すごいんだね!」 楽しい時間はすぐに過ぎていった。 まりさがありすに質問し、ありすが答える。そんなぎこちない会話でも、ありすは幸せだった。 「ゆっ!もうおひさまがしずみそうだよ!たのしいじかんはすぐにすぎちゃうね!」 夕暮れになったときに、まりさはそう言った。 ありすもよ。ありすも、とっても楽しかったわ。 そう言おうとしても、満足に口を動かせないありす。 「それじゃあまりさはもうかえるね!ありす、またあしたもゆっくりできる?」 そんなありすに、まりさはまた会おうと言ってくれた。 言葉にならない感動に、ぶんぶんと首を振るありす。 「ゆぅ!よかった!それじゃありす、まりさはあっちのほうにおうちがあるから、もうばいばいだよ!」 そう言いながら森の方へと身体を向けるまりさ。 夕焼けに照らされたその笑顔は、とても温かい。 「あ・・・あの!まりさ!ありす、ありす、とっても、とっても・・・・・・」 別れ際に言おうとするその言葉も、ろくに出てこない。 言わなきゃ。とっても楽しかったって。何でこの口は動かないの。都会派ならちゃんとはっきり言わなくちゃ。 そう思っても身体はまるで金縛りにあったように動かない。ありすは自分に腹立たしくなる。 「まりさもとってもたのしかったよ!ありす、またあしたね!」 まりさは満面の笑顔でそう言ってくれた。 良かった。伝わった。ちゃんとわかってくれた。 まりさに自分の気持ちが伝わったことにありすの胸が熱くなる。 赤く照らされた森にぽよぽよとまりさは跳ねていく。 明日もまた会おう。ありすのカスタードにそのことが深く刻まれる。 ありすはまりさが見えなくなるまで、ずっとその背中を見続けていた。 それからありすとまりさは毎日橋の上で会い、遊んだ。 最初の数日間はぎこちなかったありすも慣れて、照れずにまりさと向き合えるようになった。 やはり数日間一緒に遊んでわかった。 このまりさは優しい。それだけでなく、機知に富み、勇気に溢れていた。 飼いゆっくりを妬む野良や野生のゆっくりは少なくない。 自分の境遇と比べて幸せである飼いゆっくりを嫉み、襲い掛かるゆっくりは後を絶たないのだ。 だがまりさはそんな事とは無縁だった。 飼いゆっくりと野生のゆっくりに隔たりなんか無いとばかりに、ありすに接してくれた。 初めて森の中に入ったありすに、まりさは綺麗な花をプレゼントしてくれた。 甘い香りを放つそれは、まりさが頑張ってとってきたものだと言う。 少し自慢そうに微笑むまりさに、ありすはどんどん惹かれていった。 ありすは飼い主である男にまりさを飼ってくれるよう頼み込んだ。 実際、男は性格の良いゆっくりならスカウトのように農園に迎え入れていたので、ありすには勝算があった。 頼りになる先輩ゆっくりの中にも、野生出身の者は少なくない。 「おねがいします!まりさをかってあげてください!」 「・・・・・・」 男はあまり良い顔をしなかった。 それはそうだろう。いつの間にか野生のゆっくりと親密になり、そして農園に入れてやってくれと頼み込まれたのだから。 元々彼は放任主義だったが、今回は少し頭を悩めた。 「まりさはいいゆっくりなんです!きっとおにいさんもきにいりますから!」 「・・・・・・そのまりさはここに居ないようだが?」 ありすはとりあえず飼い主の了解を得ることから先に始めた。 とにかくお兄さんの了解を得ないことには始まらない。先にまりさを連れてきてお兄さんを怒らせたらことだ。 ゆっくりにしてはそこそこ頭を働かせてありすはこの計画を立てたのだ。 「おにいさんがゆるしてくれたらつれてきます!だからおにいさん、おねがいします!」 「・・・・・・珍しいな、ありすがそこまで強情になるなんて」 男にとっては意外だった。 普段はおしとやかと言っても差し支えないほどに大人しいありすが、ここまで強情になるだなんて。 今まで彼に逆らったことなど数えるしかないありすがここまで入れ込むまりさに、興味をもったのも事実だった。 「・・・・・・そこまで言うんならしょうがない。いいよ、ありす」 「ゆっ!?ほんとう!?」 反対する理由などあまり無いのも確かだ。 本当に善良なまりさならありすの眼に狂いは無かったと言うことになるし、違うのならば潰せばよいことだ。 そんな軽い気持ちで男はありすに許可を出した。 「おにいさん、ありがとう!ありす、まりさをせっとくしてきます!」 言うや否や、ありすは森へと跳ねていった。 もしまりさがうんと言ってくれたなら、ありすとまりさは同じゆ舎の中で暮らすことになるだろう。 そうすれば、もしかしたら、ありすと一緒に・・・・・・結婚・・・・・・。 湧き上がるその思いを抑えきれずに、ありすは真っ赤になりながら森へと向かっていく。 「まりさ!まりさ、あ、あの、その・・・・・・」 「ゆ?なぁに、ありす?」 いつもの待ち合わせ場所である橋の上で、ありすはそう切り出した。 また口が満足に開かない。どうなっているんだ。 ありすは最初にまりさに出会った頃を思い出しながらも必死に続ける。 「あの、その、えっとね!お、おにいさんに、きょかをもらってきたの・・・・・・」 「ゆ?」 その突飛な申し出にまりさは思わず首をひねる。 いきなりこれでは訳が分からないでしょ、この田舎者。 そう自分に毒づきつつ、しどろもどろになりながらも必死に言葉を紡ぐありす。 「え、えっと、まりさ!まりさはかいゆっくりになりたくない?」 「ゆっ!?かいゆっくり!?」 きらきらと目を輝かせるまりさ。 当然だろう。飼いゆっくりになれば少なくとも野生よりは安全に生きられる。できる事ならそうなりたいのも確かだ。 まりさにとってもその魅力は大きかったようだ。 「もしかして、まりさはかいゆっくりになれるの!?」 「そ、そうよ!まりさはかいゆっくりになるのよ!」 問いかけるまりさに、答えるありす。 やった。確かな手応えに、ありすは歓喜する。 これで、まりさと一緒に暮らせる。 「ゆっ・・・・・・ゆわーい!!!やったー!!!」 よほど嬉しかったのだろう。飛び跳ねるまりさ。 その姿を見てありすもまた嬉しくなる。 こんなに喜んでくれるだなんて。本当によかった。 そう思うと、胸の奥からこみ上げてくるものがある。 「まっ・・・・・・まりさ!!」 「ゆ!?なぁに、ありす!?」 飛び跳ねるまりさに、思わす声をかける。 言ってしまおう。この想いをぶちまけてしまおう。 今なら恐れずに言える、そんな気がする。 「あ、ありすは!!ありすはまりさのことがすき!!すきなの!!だいすき!!! だ、だから、いっしょに、いっしょにずっとゆっくりしてほしいの!!」 真っ赤になりながら一気にまくし立てるありす。 言ってしまった。もう後戻りは出来ない。 このプロポーズをまりさは受けてくれるか、どうか。 「ありす・・・・・・まりさは・・・・・・」 はたと立ち止まり、ありすに向かってポツリと呟くまりさ。 まりさの答えを待ち望み、まりさを見つめるありす。 「まりさも、ありすのことがだいすきだよ!!いっしょにゆっくりしようね!!!」 最初に出会ったときのような満面の笑顔で、まりさはそう言ってくれた。 嬉しい。 思わずありすの頬に、一筋の涙が伝う。 「ま、まりさっ!」 「ありす!」 お互いに駆け寄り、身体を擦りつけあう。 それは友情ではなく、夫婦となったゆっくりに許される愛情のすりすり。 今ここに2匹は番となった。 それからありすはまりさをゆっくり農園に連れて帰った。 夫となったまりさを皆に紹介する。帰ってきたのは驚きの声と、祝福だった。 まさかありすがこんなに早くお相手を見つけてくるとは思わなかった。 そのまりさは野生のゆっくり?ありす、大人しいと思ってたのに大胆だねぇ。 そうだ、ありすのけっこん祝いになにかしてあげられないかな。 それはいいね。何がいいだろう。 おめでとう、ありす。 そんな皆の優しい祝福に、またありすは泣いてしまう。 どうしかたのかとおろおろし始める周囲に、ありすは微笑みながらも言った。 「ちがうの。ありす、とってもしあわせで、うれしくて、それでないちゃったの」 それから、ほんのちょっとだけありすの生活は変化した。 いくらスカウトされた善良なゆっくりと言えど、人間たちの常識に慣れるには時間が必要だ。 いきなり最初から農場で働かせるわけにもいかない。そのまま遊ばせておくなど論外である。 だから、男はそんなゆっくりのためにもう一つ農場を用意していた。 いや、正確に言うならそうではない。ただ単にあぶれ者の収容所というだけだ。 野外農場。 それだけならば聞こえは良いが実際は単なる奴隷農園だった。 人里に侵入を図った野生のゆっくりなどを捕まえ、そこで働かせる。 言うことを聞かなければ鞭が飛び、逃げようとすれば監督官であるふらんたちに食われる。 スカウトされたゆっくりとて少々大目には見るものの基本的に扱いは変わらない。 ありすはそんな野外農場で働くことになった。 夫のまりさがそこに行くのだ。付いて行かない理由などどこにも無い。 今まで培ったお野菜の栽培法を活かせば、恐ろしいことなんて何一つ無いはずである。 実際、ありすはそこで上手くやった。 言われるままに動くしかない他のゆっくりと違って、ありすには知識がある。ヘマをするようなことは無かった。 事情を知っているふらんたちも、わざわざ金バッジであるありすに目くじらを立てることは無かった。 ありすの夫であるまりさも同様に見逃されていたようである。 昼は悲鳴を上げる奴隷ゆっくりを他所にまりさに農耕を教え、夜には寄り添いあいながら眠る。 まりさもありすの教えを良く飲み込み、早くも農場で頭角を現し始めている。 逆恨みしてくる他の奴隷ゆっくりからは、ふらんたちが守ってくれた。 時々視察に来た先輩ゆっくりたちも、ありすに優しくしてくれる。 そう、ありすの生活は充実していた。 少し場所は変わったが、やる事に何一つ変わりは無い。 頼りになる先輩達。優しいふらんたち。そして、最愛の夫。 ありすには伴侶がいる。優しいまりさが。 そして。 そして―――子供が出来た。 ありすとまりさの愛の結晶。 今このお腹の中に、その命の息吹を感じ取れる。 ありすは胎生にんっしんっをしていた。 男の見立てによると、約一ヶ月で生まれてくるそうだ。 ゆっくりの妊娠期間は千差万別だ。 早ければ数分から、遅ければそれこそ人間とほぼ同じ時間ほどかかる個体もいる。 ありす自身も胎生にんっしんっで生まれたゆっくりだった。 そのときにかかった期間が一ヶ月。ならば今回もそれとほぼ同じ時間がかかるだろう。 それが男の考えだった。 わずかに膨らんだように見えるお腹を見て微笑む二匹。 どんな子が産まれるのだろう? ありすに似た子かな?それともまりさだろうか。 二人の愛に包まれて、この子は祝福されながら産まれてくるのだろう。ありすは思わず頬が緩んでしまう。 ゆっくりとして生きられるうちの最高の幸せ。 それを受けていると言ってもいいほどにありすは幸せだった。 これからはどんな困難もふたりで、いや、おちびちゃんとも一緒に超えていけるだろう。 そう、だからありすは幸せだ。 「ありす、まりさはありすのえいようのためにおいしいものをとってくるよ!」 「ゆ?まりさ?」 ありすがにんっしんっして一週間後、唐突にまりさはありすにそう言った。 身重となったありすは農場で働けなくなった。 その代わりとでも言うように、まりさはありすの分まで頑張っているとふらんから聞かされている。 更にまりさはありすの栄養のために、わざわざ森へ行って食べ物を持ってきてあげると言い出したのだ。 嬉しい。 迷惑をかけているのに、そんなことも気にせずにまりさはありすのことを案じてくれている。 この心遣いがとても嬉しい。でも――― 「ゆっ、いいわよ、まりさ。そんなにがんばらなくても」 申し訳なく、思う。 もうこれ以上の負担を負う必要はない。そんなに頑張らなくても誰もまりさを責めたりしないのに。 「だいじょうぶだよ!まりさはありすのためならへっちゃらだよ!」 そう笑うまりさの顔には、確かに疲れがにじみ出ている。 ありすの分も連日働き続け、まりさが疲労しているのは明らかだ。 それでもまりさはありすのために何かしたいのだと言う。 やっぱりまりさは優しいな。 ありすの胸が熱くなる。 「でも、まりさ・・・。まりさ、つかれてるじゃない。いいからきょうはやすんで・・・・・・」 「ありすはがんばってあかちゃんをうもうとしているときに、まりさだけやすめないよ!」 二匹の主張は平行線。 延々とお互いのことを案じ、助けようとしている。 「ゆぅっ!ありすはもっとゆっくりしてね!まりさはありすのためにごはんをとってくるんだよ!!」 「わ、わかったわよ、まりさ・・・・・・」 結局、ありすが折れた。 元々ありすは大人しく折れやすかったのだが、それに加えてまりさがここまで強情になるのも初めてだった。 こんなにありすのことを案じてくれているだなんて。 まりさの優しさに胸を打たれる。 「まっててね、ありす!まりさ、のいちごさんとか、はちみつさんとかたくさんとってきてあげるからね!」 「う・・・うん!まりさ、きたいしてまってるわね!」 ここまで意気込んでくれているのだ。もう応援して送り出してしまおう。その方がきっとまりさも嬉しい。 ありすはそう考え、まりさに満面の笑顔を向ける。 「じゃあ、いってくるね!・・・と、そのまえに・・・・・・」 「ゆ?・・・ゆゆ・・・♪」 まりさがありすに寄り添い、ほっぺたをくっつける。 すりすりと柔らかい感触。二匹の愛情に満ちたすりすり。 いってらっしゃいのキスと言わんばかりに、二匹は愛情をこめてお互いに擦り寄る。 「それじゃあ、こんどこそいってきます、ありす!」 「わかったわ、まりさ!がんばってね!」 お互いに満面の笑み。 行ってきますと森に向かうまりさに、行ってらっしゃいと見送るありす。 心なしかお腹の赤ちゃんも嬉しそうに震えているような気がする。 まだ一週間目だが、それでももう赤ちゃんの形くらいは出来ているはずだ。 きっと愛情たっぷりな夫婦のやり取りを感じて嬉しくなったのだろう。 お腹の中の赤ちゃんの感触と、まりさの優しさにありすは微笑む。 あと3週間ほどで、ありすたちは親子になるんだ。その光景を思い描くたびに頬が緩む。 こんなに幸せでいいんだろうか。ありすはそう思うほどに幸福だった。 森に向かうまりさのその姿が見えなくなるまで、ありすはずっとまりさを見送っていた。 しかし、その後ありすの元にまりさが帰ってくることは無かった。 ありすは泣いた。 泣いて、泣いて、泣き続けた。 一体まりさの身に何が起こった? もしかしたら、れみりゃに襲われて死んでしまったのかもしれない。 もしかしたら、何か事故にあって死んでしまったのかもしれない。 もしかしたら、もしかしたら・・・・・・ ありすの頭の中にあらゆる可能性が駆け巡り、それがまたありすを悲しみに突き落とす。 もうまりさはこの世にはいないのかもしれない。でも、それでも。 それでも、まりさが死んでしまったなどとありすは信じたくは無かった。 きっと生きているはずだ。今もどこかで、きっとありすの元に帰ろうとしているはず。 可能性は低い。だけどその可能性に縋り続けたかった。 今、ふらんや他の空を飛べるゆっくりがまりさの捜索に当たってくれている。 身重のありすにはそれを眺め、待つことしかできなかった。 ありすにはそれが悔しい。 にんっしんっさえしていなかったら、ありすは真っ先にまりさを探し出すだろう。 赤ちゃんが悪いと言うわけではないが、それでも・・・・・・歯がゆく感じてしまう。 赤ちゃんが動いた。 まるで母親を慰めるように。 それに気付いたありすは、赤ちゃんに小さく謝った。 ごめんね。 赤ちゃんのせいなんかじゃないんだもんね。 大丈夫よ。 あなたは安心して、生まれてくることだけを考えればいいのよ。 ねぇ、まりさ。 早く帰ってきて。お願いだから。 今、農場はあなたを探すために大変なの。 みんなが一生懸命まりさの事を探してくれているの。 栄養の付く食べ物なんていらないから。 ありすにはまりさが、あなただけがいればそれでいいの。 お腹の中の赤ちゃんもまりさのことを待っているの。 ねぇ、お願い。 早く帰ってきて。今すぐ帰ってきて。 そうじゃないと・・・・・・悲しくて、悲しくて、泣いてしまうから。 ねぇ、まりさ。 ありすは待った。 泣いて、泣いて、それでも待ち続けたのだ。まりさの帰りを。 あるはずの無い、夫の帰りを。 胎内の赤ちゃんは、少しずつ、大きくなり始めていた。 それから一週間後。 まりさが見つかった。 正確には、まりさを見つけたとふらんが報告してくれたのだ。 まりさは森の中にいる、とだけふらんは教えてくれた。 その言葉を聴いた途端、ありすは走り出していた。 目指すはまりさのいる森の中。 既にお腹は大きく膨れ、移動することすらおぼつかない有様だ。 だがそれでもありすは一生懸命跳ね、森へと向かっていく。 まりさに会いたい。その一心でありすは跳ね続けている。 沢山待った。とても長い間、ひたすら待ったのだ。 まりさの居ない朝ををすごし、一緒にとるはずだった昼食をひとりで食べ、夜は寂しく眠る。 そんな生活を、一週間も続けていた。 ゆっくりにとって一週間とは、短い時間ではない。 妊娠しているありすにとって、この一週間は何年、いや、それ以上の長さに感じたことだろう。 今はお腹の赤ちゃんのことも頭に無く、ひたすら身体を動かし、跳ねる。 まりさは既に死んでしまっているかもしれないと思ったこともあった。 でも、生きていた。生きていてくれたのだ。これほど嬉しいことがあろうか。 待っててまりさ。 今、ありすが行くからね。だからちょっと待ってて。 ほら、こんなにお腹も大きくなったんだよ。まりさとの赤ちゃんだよ。もうすぐ生まれそうだよ。 ありすは跳ねていく。 その瞳に愛しのまりさを映しだそうと森の中へと入ってゆく。 失くしかけた幸せ。失いかけた夫。それを取り戻さんと、ありすは森を駆けていった。 「ゆっくりかえったんだぜ、れいむ!」 「ゆぅ~ん!おかえり、まりさ!」 ありすは立ち尽くす。 木の陰に隠れ、遠く離れた2匹の饅頭をひたすらに見続ける。 「おまたせなんだぜれいむ!きょうのごはんはこんなにあるんだぜ!」 「ゆうぅ!すごいよぉまりさぁ!」 帽子を脱ぎそこに溜め込まれた木の実や虫を取り出していくまりさ。 そしてそれを見て感動するれいむ。 ありすは今何が起こっているのか理解できなかった。 今、ありすが見つめ続けているのは確かに自分の夫であるはずのまりさだ。それはわかる。 あのお帽子、あのきれいな髪。ありすがまりさを見間違えるはずは無い。 じゃあ、まりさの傍にいるあのれいむは一体何者だ? 見ればれいむの額には茎が生え、そこには5つの赤ん坊が眠りながら繋がれている。 れいむが3に、まりさが2。もうすぐ生まれ落ちそうなほどに良く育っている。 いや、そんなことはどうでもいい。一体何故、そのれいむにまりさの赤ちゃんが実っているのだ。 「やっぱりまりさはすごいね!れいむはこんなにたくさんのごはんみたことないよ!」 「ふん!こんなのかんたんなのぜ!まりささまはもっとつらいところにいたからこんなのらくしょうなのぜ!」 れいむの賞賛に、胸を張りながら答えるまりさ。 ありすにはまりさたちの会話が理解できない。目を開き、見つめ続けるだけだ。 「まりささまはむかしにんげんにつかまって、そこでじごくのようなろうどうをさせられていたのぜ!」 「ゆぅ!こわいよぉまりさぁ!」 まりさは軽薄な笑みを浮かべ、そう話し始めた。 ありすの知るまりさとはかけ離れた表情。少なくとも、ありすはこんなまりさを知らない。 「そこではまいにちまいにちつちをほったりみずをばらまいたりして、おやさいをつくらされていたんだぜ!」 「ゆぅ!?なにそれぇ!?」 「まったくだぜ!!おやさいはかってにはえてくるのに、まったくむだなろうどうだったんだぜ!!」 一体何を言っているのだ? お野菜さんは沢山世話をして、それでようやく収穫できるものだ。勝手に生えるなどありはしない。 まりさにそう教えたときはわかったと言ってくれたはずなのに。 「あるときまりささまはいやになってそこをとびだし、にげだしたんだぜ!!」 「ゆっ!だいじょうぶだったのまりさぁ!?」 「おそいかかるふらんやれみりゃをあいてに、なんとかまりさはこのもりまでにげのびてきたのぜ!!」 「ゆーっ!!すごーい!!」 違う。違う違う違う。 まりさはありすのために。栄養のある食べ物をとってきてくれるって。そう言ってくれたはずなのに。 そうやって、ありすがまりさを見送ったはずなのに。 「そこでまりささまはもりいちばんのきれいなれいむにであい、そしてふうふとなったってわけなんだぜ!!」 「ゆぅ・・・!はずかしいよぉまりさぁ・・・!」 思い返せば、まりさのことを教えてくれたふらんの表情は暗かった。 きっとこの事を知って、迷いに迷ったうえでありすに告げることを選んだのだろう。 何故ふらんの態度を疑問に思わなかったのか?それはありすがまりさのことだけを考えていたからだ。 こんなことが待ち構えているとは思いもしないで。 このまりさは飼いゆっくりになりたかった。 危険の無い生活。十分な量の食事。夜れみりゃにおびえる事も、突然の雨も心配することは無い。 同じ群れに暮らしていたぱちゅりーの話は、まりさの記憶の奥底に深く刻まれた。 そしてそんな夢を見ながら暮らしていたある日、ありすと出会った。 清潔な髪の毛。栄養をたっぷりとっていそうな肌。見るからに飼いゆっくりであるとわかった。 そこでまりさは、ある考えを思いつく。 このありすと夫婦になって、飼いゆっくりになってしまおう。 そうと決まれば話は早かった。 まりさはありすにモーションをかけ続け、ありすに惚れさせることに成功した。 もともと初心な飼いゆっくりのありすには、プレイボーイであるまりさにめろめろになるのも時間の問題だった。 そうしてまりさはありすと結婚し、飼いゆっくりとなるはずだった。 ところがどうだ。待っていたのはゆっくりとした生活ではなく、地獄のような労働の日々。 まりさにとっては寝耳に水どころではない。 聞いていた筈の生活などどこにも無く、毎日毎日意味の無い労働ばかり。 それがまりさを幻滅させるのにそう時間はかからなかった。 いや、むしろ一週間以上も良く持ったほうだということか。 そうとなればこんな場所に用は無かった。妻であるありすのことも最早どうでもいい。 すっきりしようと思えばいくらでも相手はいるし、この生活のお陰で身体も鍛えられた。 そしてある日まりさはありすのために食べ物をとってくると嘘をつき、農場を後にした。 まりさの演技力は抜群で、誰もが妻のために奔走する姿にしか見えなかっただろう。 勿論まりさはそんな気など毛頭ない。ただ森へと逃げ帰る事しか頭に無かった。 結局は、ありすはまりさに体よく利用されただけに過ぎなかった。 飼いゆっくりに憧れて幸運にもありすを孕まし、そして理想と違ったから逃げ出した。 ただそれだけに過ぎない。 だがそんなことをありすは知らない。 ただ何故と呟き、その場からあとずさるだけだ。 気付けばその双眸からは涙がとめどなくあふれ出てきている。 「ゆぅ~ん、れいむ、なんだかおそらがくらくなってきたのぜ」 「ゆっ!そうだねまりさ!もうすぐあめさんがふってくるかもしれないから、おうちにかえろうね!」 そうして2匹は巣の中へと戻っていく。 頭の先についた赤子をかばうようにそっと動くれいむを、まりさは支えている。 その姿はお互いを愛し合う夫婦のようだった。 嘘だ。 まりさはありすの夫で、そこにいるれいむの夫なんかじゃあない。 理解しきれない現実。理解したくない事実からありすは必死に目をそらそうとする。 だができない。ありすの視線は2匹を中心に収めたまま動かない。 開かれた瞳からは、更に涙があふれ出ている。 嘘だ。 あのまりさは本当のまりさじゃない。きっと偽者。そうだ。別の誰かがまりさの帽子を被っているんだ―――違う。 見間違えるはずも無い。あの顔、あの瞳、あの声、あの仕草。全てがまりさのものだ。帽子なんかは関係無く、判る。 つまりはあのまりさはありすが愛したまりさと同一人物。その事実がありすを一層苛む。 既に涙で視界はぼやけ、2匹が巣に入る瞬間は見えなかった。 嘘だ。 一体何が嘘なんだ?今見た光景がか?まりさと夫婦になったと言う事実か?それとも―――いま生きている、この世界のことか? 全ては現実。ありすが見たものも、ありすが今までにしてきたことも、ありすを取り巻く全ては現実のものだ。 それが耐えられない。それを理解したくない。ありすは声にならない絶叫をあげる。 嘘だったのだ。 まりさがありすを愛していたことは。ありすが思い描いていた幸せの日々は。 まるで足場が崩れ落ちるような感覚をありすは味わっていた。 この落下感にも似た感覚を、人は絶望と呼ぶ。 もうここにいたくない。 壊れかけた心がそう叫ぶ。もう一分一秒とて、この場所にいたくない。 もつれるように背を向け、ここから走り出す。少しずつ離れていく光景。 涙で濡れたその顔に、また一滴雫が落ちる。 それは、空から降ってきたものだった。 雨が、降り始めていた。 ―――ゆっくり鉄輪・後?へ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4281.html
※俺設定注意 厨ゆっくり注意 「ゆっくりの強化薬?」 「そう、ゆっくりの強化薬。ひとたび使えばその身体は強靭になり、被捕食種が捕食種を倒すことも容易になる夢の薬さ。 今までの硬化薬やトレーニングに依ることなく、それ単体で効果を発揮する。身体能力、知能向上。防水性の強化。その他諸々。 野良被害に悩まされていた飼いゆっくり達を救うにはうってつけの手段だと思わないかい?」 「それは素晴らしい話だな。ただし、副作用が無ければの話だが。そこん所は一体どうなんだ?」 「あるよ、もちろん。 まず被検体の性格に影響が出た。 非常に凶暴になり、同属の共食いに躊躇しなくなった個体もいる。廃ゆっくりも出た。 薬物の副作用に似ているね」 「駄目じゃねぇか」 「いや、それはあんまり問題が無かったんだ。 やろうと思えばそれに対抗するような鎮静剤みたいなものも作れるしね。ゆっくりだし。 それより厄介なことがあったんだ」 「それより厄介なこと?」 「変質だよ。 精神面でもそうだけど、肉体面でも変化が起こるんだ。 脱毛、変色、膨張は当たり前。 器官の増殖、新生なんてのもあった。 あるれいむは腕が生えて口と目が五つずつになってたよ」 「なんだそりゃ」 「そのれいむはふらん4匹をあっという間に解体したんだけどねぇ。 いかんせん僕達は『変えさせる』事はできても『直す』事はできない。 キミ、キミは自分の飼いゆっくりにそんな薬を与えたいかい?」 「いいや、御免だね。流石に彼女達をバケモノにする趣味は無い」 「そう!かくしてこの強化薬は廃棄、僕たちのプランも白紙になったわけさ! 永遠亭の協力もパァ!今までの苦労も水の泡! 当たり前ながら誰も愛するペットを恐ろしい化け物にする気はないって事だよ!」 「そりゃ、そうだろう。あ、でも虐待用の薬とかとしてなら許可が下りるんじゃないのか?」 「いや、それはもういいんだよ。 僕が作りたかったのは強化薬であって、そういうものじゃない。 まぁ大丈夫さ。次はうまくやるよ。 ・・・ところでさ、その強化薬の件なんだけど・・・・・・」 「何かあるのか?」 「実を言うとね、今ここにその強化薬のサンプルがあるんだ。 廃棄を免れたごく少量の、だけどね。 もし良かったらこれを使って報告をしてくれると嬉しい」 「嫌だよそんなもん。言ったろ、俺は彼女達をバケモノにする気はない」 「いや、そうじゃない。キミの愛するゆっくり達でなくても良いんだ。 キミはゆっくり農園とやらを経営してるだろ?他にもゆっくり養殖場とか。 そういうので良いんだ。適当なゆっくりを捕まえて、適当にサンプルを打ち込んでくれればいい」 「そいつが凶暴になってどんな被害を出すかわからないのに?」 「ああ、そうだ。でもキミなら大丈夫だろう。そう僕は確信している。 いくら凶暴になっても、ゆっくりはゆっくり。人間や、ましてやキミが遅れをとるとは思えない。 ゆっくりの扱いは心得ているだろう?それこそドスであろうと」 「確かにゆっくりの扱いは心得ているが、何故そんなことをしなければならないんだ」 「そりゃあ、次のためさ。 新しい製品を作るには多くのデータがいる。多くのデータを取るには大量のサンプルが要る。サンプルは多ければ多いほど良い。 とりあえずこの強化薬は失敗したが、それを無駄にはしたくない。できれば何故変質したのかを解明したいしね。 万事は試行錯誤。実験の積み重ねだよ」 「・・・・・・仮にその実験に付き合ったとして、その見返りは何だ?」 「特に何も。 ただ、そんなお願いを聞いてくれた優しいキミへ僕・・・いえ、私からの心ばかりのお礼があるだけだ・・・・・・わよ」 「急に女らしくなったりするな気持ち悪い。 ・・・・・・解った。いいぜ、その話乗ってやるよ」 「あぁ、ありがとう。やっぱりキミは良い人だね。頼んだ甲斐があったよ」 「こら、手を握るな。・・・・・・俺も少しは興味があるしな、その薬。適当なので良いんだろう?」 「ああ、勿論。ただし報告は忘れずにしてくれたまえよ。その方がぼ、私も嬉しいしね」 「だからその口調止めろ。何を意識してるんだよ」 「・・・・・・だって『お礼』って言ったら急に引き受けてくれたから。こういうの嫌い?」 「いや、嫌い・・・ではないが。なんか違和感ある」 「ところでお礼は何が良い?やっぱり・・・デ、デート、とか?」 「お前は何を言っているんだ」 ゆっくり鉄輪 ありすは幸せだ。 ありすは生まれついての飼いゆっくりだった。ブリーダーである男の元で生まれ、教育を施され、金バッジを取得した。 男の生活は変わっており、彼はゆっくり農園というものを営んでいた。 それはゆっくりのみで管理された大農園。ありすはそこで働いていた。 先輩であるゆうかや他のゆっくりの助言を頼りに、頑張って畑を耕し、水を遣る。 ありすの生活は充実していた。 そう、ありすの生活は充実していた。 頼りになる先輩達。優しい仲間。そして、最愛の夫。 ありすには伴侶がいる。優しいまりさが。 ありすが成体になって間もなく、散歩の途中、小川に架かる橋の上でそのまりさを見かけたことが始まりだった。 まりさの帽子には飼いゆっくりであると言う証明のバッジがついていない。 それは、このまりさが野生のゆっくりであると言う証拠だった。 ありすは飼いゆっくりだ。もちろん、人間たちの常識、ルールは叩き込まれている。 飼いゆっくりは野生や野良のゆっくりと仲良くするべきではない。そういう風にありすは教育されてきた。 野生と飼いでは常識が違う。飼いが悪とすることでも、野生のゆっくりにとっては正義となることがある。 だからお互いが悪影響となりかねないのだ。 だがありすは、そんなことに頓着することは出来なかった。 そのまりさをはじめて見たその瞬間、ありすに電流が走ったのだ。 少々汚れながらも精悍なその顔。芯の強さがにじみ出てくるその瞳。優しげに微笑むその唇。 ありすの一目惚れだった。 何も考えることが出来なくなり、思わず反射的に声をかけてしまった。 「ゆっくりしていってね!!!」と、その直後に後悔に襲われるありす。 ああ、やってしまった。野生のゆっくりに声をかけるべきではないのに、なにをやってるの、ありすは。 そんな思いに囚われるありす。挨拶すべきではなかったという後悔の念は―――。 「ゆっくりしていってね!!!」 その明るく、優しい声に吹き飛ばされた。 少し話してみると、このまりさがとても優しいゆっくりであることがわかった。 もじもじと恥ずかしがってばかりのありすに、まりさはいつまでも付き合ってくれたのだ。 「ねぇ、ありすはどこからきたの?」 「ありすはとってもきれいだね!」 「ありすはかいゆっくりなの?すごいんだね!」 楽しい時間はすぐに過ぎていった。 まりさがありすに質問し、ありすが答える。そんなぎこちない会話でも、ありすは幸せだった。 「ゆっ!もうおひさまがしずみそうだよ!たのしいじかんはすぐにすぎちゃうね!」 夕暮れになったときに、まりさはそう言った。 ありすもよ。ありすも、とっても楽しかったわ。 そう言おうとしても、満足に口を動かせないありす。 「それじゃあまりさはもうかえるね!ありす、またあしたもゆっくりできる?」 そんなありすに、まりさはまた会おうと言ってくれた。 言葉にならない感動に、ぶんぶんと首を振るありす。 「ゆぅ!よかった!それじゃありす、まりさはあっちのほうにおうちがあるから、もうばいばいだよ!」 そう言いながら森の方へと身体を向けるまりさ。 夕焼けに照らされたその笑顔は、とても温かい。 「あ・・・あの!まりさ!ありす、ありす、とっても、とっても・・・・・・」 別れ際に言おうとするその言葉も、ろくに出てこない。 言わなきゃ。とっても楽しかったって。何でこの口は動かないの。都会派ならちゃんとはっきり言わなくちゃ。 そう思っても身体はまるで金縛りにあったように動かない。ありすは自分に腹立たしくなる。 「まりさもとってもたのしかったよ!ありす、またあしたね!」 まりさは満面の笑顔でそう言ってくれた。 良かった。伝わった。ちゃんとわかってくれた。 まりさに自分の気持ちが伝わったことにありすの胸が熱くなる。 赤く照らされた森にぽよぽよとまりさは跳ねていく。 明日もまた会おう。ありすのカスタードにそのことが深く刻まれる。 ありすはまりさが見えなくなるまで、ずっとその背中を見続けていた。 それからありすとまりさは毎日橋の上で会い、遊んだ。 最初の数日間はぎこちなかったありすも慣れて、照れずにまりさと向き合えるようになった。 やはり数日間一緒に遊んでわかった。 このまりさは優しい。それだけでなく、機知に富み、勇気に溢れていた。 飼いゆっくりを妬む野良や野生のゆっくりは少なくない。 自分の境遇と比べて幸せである飼いゆっくりを嫉み、襲い掛かるゆっくりは後を絶たないのだ。 だがまりさはそんな事とは無縁だった。 飼いゆっくりと野生のゆっくりに隔たりなんか無いとばかりに、ありすに接してくれた。 初めて森の中に入ったありすに、まりさは綺麗な花をプレゼントしてくれた。 甘い香りを放つそれは、まりさが頑張ってとってきたものだと言う。 少し自慢そうに微笑むまりさに、ありすはどんどん惹かれていった。 ありすは飼い主である男にまりさを飼ってくれるよう頼み込んだ。 実際、男は性格の良いゆっくりならスカウトのように農園に迎え入れていたので、ありすには勝算があった。 頼りになる先輩ゆっくりの中にも、野生出身の者は少なくない。 「おねがいします!まりさをかってあげてください!」 「・・・・・・」 男はあまり良い顔をしなかった。 それはそうだろう。いつの間にか野生のゆっくりと親密になり、そして農園に入れてやってくれと頼み込まれたのだから。 元々彼は放任主義だったが、今回は少し頭を悩めた。 「まりさはいいゆっくりなんです!きっとおにいさんもきにいりますから!」 「・・・・・・そのまりさはここに居ないようだが?」 ありすはとりあえず飼い主の了解を得ることから先に始めた。 とにかくお兄さんの了解を得ないことには始まらない。先にまりさを連れてきてお兄さんを怒らせたらことだ。 ゆっくりにしてはそこそこ頭を働かせてありすはこの計画を立てたのだ。 「おにいさんがゆるしてくれたらつれてきます!だからおにいさん、おねがいします!」 「・・・・・・珍しいな、ありすがそこまで強情になるなんて」 男にとっては意外だった。 普段はおしとやかと言っても差し支えないほどに大人しいありすが、ここまで強情になるだなんて。 今まで彼に逆らったことなど数えるしかないありすがここまで入れ込むまりさに、興味をもったのも事実だった。 「・・・・・・そこまで言うんならしょうがない。いいよ、ありす」 「ゆっ!?ほんとう!?」 反対する理由などあまり無いのも確かだ。 本当に善良なまりさならありすの眼に狂いは無かったと言うことになるし、違うのならば潰せばよいことだ。 そんな軽い気持ちで男はありすに許可を出した。 「おにいさん、ありがとう!ありす、まりさをせっとくしてきます!」 言うや否や、ありすは森へと跳ねていった。 もしまりさがうんと言ってくれたなら、ありすとまりさは同じゆ舎の中で暮らすことになるだろう。 そうすれば、もしかしたら、ありすと一緒に・・・・・・結婚・・・・・・。 湧き上がるその思いを抑えきれずに、ありすは真っ赤になりながら森へと向かっていく。 「まりさ!まりさ、あ、あの、その・・・・・・」 「ゆ?なぁに、ありす?」 いつもの待ち合わせ場所である橋の上で、ありすはそう切り出した。 また口が満足に開かない。どうなっているんだ。 ありすは最初にまりさに出会った頃を思い出しながらも必死に続ける。 「あの、その、えっとね!お、おにいさんに、きょかをもらってきたの・・・・・・」 「ゆ?」 その突飛な申し出にまりさは思わず首をひねる。 いきなりこれでは訳が分からないでしょ、この田舎者。 そう自分に毒づきつつ、しどろもどろになりながらも必死に言葉を紡ぐありす。 「え、えっと、まりさ!まりさはかいゆっくりになりたくない?」 「ゆっ!?かいゆっくり!?」 きらきらと目を輝かせるまりさ。 当然だろう。飼いゆっくりになれば少なくとも野生よりは安全に生きられる。できる事ならそうなりたいのも確かだ。 まりさにとってもその魅力は大きかったようだ。 「もしかして、まりさはかいゆっくりになれるの!?」 「そ、そうよ!まりさはかいゆっくりになるのよ!」 問いかけるまりさに、答えるありす。 やった。確かな手応えに、ありすは歓喜する。 これで、まりさと一緒に暮らせる。 「ゆっ・・・・・・ゆわーい!!!やったー!!!」 よほど嬉しかったのだろう。飛び跳ねるまりさ。 その姿を見てありすもまた嬉しくなる。 こんなに喜んでくれるだなんて。本当によかった。 そう思うと、胸の奥からこみ上げてくるものがある。 「まっ・・・・・・まりさ!!」 「ゆ!?なぁに、ありす!?」 飛び跳ねるまりさに、思わす声をかける。 言ってしまおう。この想いをぶちまけてしまおう。 今なら恐れずに言える、そんな気がする。 「あ、ありすは!!ありすはまりさのことがすき!!すきなの!!だいすき!!! だ、だから、いっしょに、いっしょにずっとゆっくりしてほしいの!!」 真っ赤になりながら一気にまくし立てるありす。 言ってしまった。もう後戻りは出来ない。 このプロポーズをまりさは受けてくれるか、どうか。 「ありす・・・・・・まりさは・・・・・・」 はたと立ち止まり、ありすに向かってポツリと呟くまりさ。 まりさの答えを待ち望み、まりさを見つめるありす。 「まりさも、ありすのことがだいすきだよ!!いっしょにゆっくりしようね!!!」 最初に出会ったときのような満面の笑顔で、まりさはそう言ってくれた。 嬉しい。 思わずありすの頬に、一筋の涙が伝う。 「ま、まりさっ!」 「ありす!」 お互いに駆け寄り、身体を擦りつけあう。 それは友情ではなく、夫婦となったゆっくりに許される愛情のすりすり。 今ここに2匹は番となった。 それからありすはまりさをゆっくり農園に連れて帰った。 夫となったまりさを皆に紹介する。帰ってきたのは驚きの声と、祝福だった。 まさかありすがこんなに早くお相手を見つけてくるとは思わなかった。 そのまりさは野生のゆっくり?ありす、大人しいと思ってたのに大胆だねぇ。 そうだ、ありすのけっこん祝いになにかしてあげられないかな。 それはいいね。何がいいだろう。 おめでとう、ありす。 そんな皆の優しい祝福に、またありすは泣いてしまう。 どうしかたのかとおろおろし始める周囲に、ありすは微笑みながらも言った。 「ちがうの。ありす、とってもしあわせで、うれしくて、それでないちゃったの」 それから、ほんのちょっとだけありすの生活は変化した。 いくらスカウトされた善良なゆっくりと言えど、人間たちの常識に慣れるには時間が必要だ。 いきなり最初から農場で働かせるわけにもいかない。そのまま遊ばせておくなど論外である。 だから、男はそんなゆっくりのためにもう一つ農場を用意していた。 いや、正確に言うならそうではない。ただ単にあぶれ者の収容所というだけだ。 野外農場。 それだけならば聞こえは良いが実際は単なる奴隷農園だった。 人里に侵入を図った野生のゆっくりなどを捕まえ、そこで働かせる。 言うことを聞かなければ鞭が飛び、逃げようとすれば監督官であるふらんたちに食われる。 スカウトされたゆっくりとて少々大目には見るものの基本的に扱いは変わらない。 ありすはそんな野外農場で働くことになった。 夫のまりさがそこに行くのだ。付いて行かない理由などどこにも無い。 今まで培ったお野菜の栽培法を活かせば、恐ろしいことなんて何一つ無いはずである。 実際、ありすはそこで上手くやった。 言われるままに動くしかない他のゆっくりと違って、ありすには知識がある。ヘマをするようなことは無かった。 事情を知っているふらんたちも、わざわざ金バッジであるありすに目くじらを立てることは無かった。 ありすの夫であるまりさも同様に見逃されていたようである。 昼は悲鳴を上げる奴隷ゆっくりを他所にまりさに農耕を教え、夜には寄り添いあいながら眠る。 まりさもありすの教えを良く飲み込み、早くも農場で頭角を現し始めている。 逆恨みしてくる他の奴隷ゆっくりからは、ふらんたちが守ってくれた。 時々視察に来た先輩ゆっくりたちも、ありすに優しくしてくれる。 そう、ありすの生活は充実していた。 少し場所は変わったが、やる事に何一つ変わりは無い。 頼りになる先輩達。優しいふらんたち。そして、最愛の夫。 ありすには伴侶がいる。優しいまりさが。 そして。 そして―――子供が出来た。 ありすとまりさの愛の結晶。 今このお腹の中に、その命の息吹を感じ取れる。 ありすは胎生にんっしんっをしていた。 男の見立てによると、約一ヶ月で生まれてくるそうだ。 ゆっくりの妊娠期間は千差万別だ。 早ければ数分から、遅ければそれこそ人間とほぼ同じ時間ほどかかる個体もいる。 ありす自身も胎生にんっしんっで生まれたゆっくりだった。 そのときにかかった期間が一ヶ月。ならば今回もそれとほぼ同じ時間がかかるだろう。 それが男の考えだった。 わずかに膨らんだように見えるお腹を見て微笑む二匹。 どんな子が産まれるのだろう? ありすに似た子かな?それともまりさだろうか。 二人の愛に包まれて、この子は祝福されながら産まれてくるのだろう。ありすは思わず頬が緩んでしまう。 ゆっくりとして生きられるうちの最高の幸せ。 それを受けていると言ってもいいほどにありすは幸せだった。 これからはどんな困難もふたりで、いや、おちびちゃんとも一緒に超えていけるだろう。 そう、だからありすは幸せだ。 「ありす、まりさはありすのえいようのためにおいしいものをとってくるよ!」 「ゆ?まりさ?」 ありすがにんっしんっして一週間後、唐突にまりさはありすにそう言った。 身重となったありすは農場で働けなくなった。 その代わりとでも言うように、まりさはありすの分まで頑張っているとふらんから聞かされている。 更にまりさはありすの栄養のために、わざわざ森へ行って食べ物を持ってきてあげると言い出したのだ。 嬉しい。 迷惑をかけているのに、そんなことも気にせずにまりさはありすのことを案じてくれている。 この心遣いがとても嬉しい。でも――― 「ゆっ、いいわよ、まりさ。そんなにがんばらなくても」 申し訳なく、思う。 もうこれ以上の負担を負う必要はない。そんなに頑張らなくても誰もまりさを責めたりしないのに。 「だいじょうぶだよ!まりさはありすのためならへっちゃらだよ!」 そう笑うまりさの顔には、確かに疲れがにじみ出ている。 ありすの分も連日働き続け、まりさが疲労しているのは明らかだ。 それでもまりさはありすのために何かしたいのだと言う。 やっぱりまりさは優しいな。 ありすの胸が熱くなる。 「でも、まりさ・・・。まりさ、つかれてるじゃない。いいからきょうはやすんで・・・・・・」 「ありすはがんばってあかちゃんをうもうとしているときに、まりさだけやすめないよ!」 二匹の主張は平行線。 延々とお互いのことを案じ、助けようとしている。 「ゆぅっ!ありすはもっとゆっくりしてね!まりさはありすのためにごはんをとってくるんだよ!!」 「わ、わかったわよ、まりさ・・・・・・」 結局、ありすが折れた。 元々ありすは大人しく折れやすかったのだが、それに加えてまりさがここまで強情になるのも初めてだった。 こんなにありすのことを案じてくれているだなんて。 まりさの優しさに胸を打たれる。 「まっててね、ありす!まりさ、のいちごさんとか、はちみつさんとかたくさんとってきてあげるからね!」 「う・・・うん!まりさ、きたいしてまってるわね!」 ここまで意気込んでくれているのだ。もう応援して送り出してしまおう。その方がきっとまりさも嬉しい。 ありすはそう考え、まりさに満面の笑顔を向ける。 「じゃあ、いってくるね!・・・と、そのまえに・・・・・・」 「ゆ?・・・ゆゆ・・・♪」 まりさがありすに寄り添い、ほっぺたをくっつける。 すりすりと柔らかい感触。二匹の愛情に満ちたすりすり。 いってらっしゃいのキスと言わんばかりに、二匹は愛情をこめてお互いに擦り寄る。 「それじゃあ、こんどこそいってきます、ありす!」 「わかったわ、まりさ!がんばってね!」 お互いに満面の笑み。 行ってきますと森に向かうまりさに、行ってらっしゃいと見送るありす。 心なしかお腹の赤ちゃんも嬉しそうに震えているような気がする。 まだ一週間目だが、それでももう赤ちゃんの形くらいは出来ているはずだ。 きっと愛情たっぷりな夫婦のやり取りを感じて嬉しくなったのだろう。 お腹の中の赤ちゃんの感触と、まりさの優しさにありすは微笑む。 あと3週間ほどで、ありすたちは親子になるんだ。その光景を思い描くたびに頬が緩む。 こんなに幸せでいいんだろうか。ありすはそう思うほどに幸福だった。 森に向かうまりさのその姿が見えなくなるまで、ありすはずっとまりさを見送っていた。 しかし、その後ありすの元にまりさが帰ってくることは無かった。 ありすは泣いた。 泣いて、泣いて、泣き続けた。 一体まりさの身に何が起こった? もしかしたら、れみりゃに襲われて死んでしまったのかもしれない。 もしかしたら、何か事故にあって死んでしまったのかもしれない。 もしかしたら、もしかしたら・・・・・・ ありすの頭の中にあらゆる可能性が駆け巡り、それがまたありすを悲しみに突き落とす。 もうまりさはこの世にはいないのかもしれない。でも、それでも。 それでも、まりさが死んでしまったなどとありすは信じたくは無かった。 きっと生きているはずだ。今もどこかで、きっとありすの元に帰ろうとしているはず。 可能性は低い。だけどその可能性に縋り続けたかった。 今、ふらんや他の空を飛べるゆっくりがまりさの捜索に当たってくれている。 身重のありすにはそれを眺め、待つことしかできなかった。 ありすにはそれが悔しい。 にんっしんっさえしていなかったら、ありすは真っ先にまりさを探し出すだろう。 赤ちゃんが悪いと言うわけではないが、それでも・・・・・・歯がゆく感じてしまう。 赤ちゃんが動いた。 まるで母親を慰めるように。 それに気付いたありすは、赤ちゃんに小さく謝った。 ごめんね。 赤ちゃんのせいなんかじゃないんだもんね。 大丈夫よ。 あなたは安心して、生まれてくることだけを考えればいいのよ。 ねぇ、まりさ。 早く帰ってきて。お願いだから。 今、農場はあなたを探すために大変なの。 みんなが一生懸命まりさの事を探してくれているの。 栄養の付く食べ物なんていらないから。 ありすにはまりさが、あなただけがいればそれでいいの。 お腹の中の赤ちゃんもまりさのことを待っているの。 ねぇ、お願い。 早く帰ってきて。今すぐ帰ってきて。 そうじゃないと・・・・・・悲しくて、悲しくて、泣いてしまうから。 ねぇ、まりさ。 ありすは待った。 泣いて、泣いて、それでも待ち続けたのだ。まりさの帰りを。 あるはずの無い、夫の帰りを。 胎内の赤ちゃんは、少しずつ、大きくなり始めていた。 それから一週間後。 まりさが見つかった。 正確には、まりさを見つけたとふらんが報告してくれたのだ。 まりさは森の中にいる、とだけふらんは教えてくれた。 その言葉を聴いた途端、ありすは走り出していた。 目指すはまりさのいる森の中。 既にお腹は大きく膨れ、移動することすらおぼつかない有様だ。 だがそれでもありすは一生懸命跳ね、森へと向かっていく。 まりさに会いたい。その一心でありすは跳ね続けている。 沢山待った。とても長い間、ひたすら待ったのだ。 まりさの居ない朝ををすごし、一緒にとるはずだった昼食をひとりで食べ、夜は寂しく眠る。 そんな生活を、一週間も続けていた。 ゆっくりにとって一週間とは、短い時間ではない。 妊娠しているありすにとって、この一週間は何年、いや、それ以上の長さに感じたことだろう。 今はお腹の赤ちゃんのことも頭に無く、ひたすら身体を動かし、跳ねる。 まりさは既に死んでしまっているかもしれないと思ったこともあった。 でも、生きていた。生きていてくれたのだ。これほど嬉しいことがあろうか。 待っててまりさ。 今、ありすが行くからね。だからちょっと待ってて。 ほら、こんなにお腹も大きくなったんだよ。まりさとの赤ちゃんだよ。もうすぐ生まれそうだよ。 ありすは跳ねていく。 その瞳に愛しのまりさを映しだそうと森の中へと入ってゆく。 失くしかけた幸せ。失いかけた夫。それを取り戻さんと、ありすは森を駆けていった。 「ゆっくりかえったんだぜ、れいむ!」 「ゆぅ~ん!おかえり、まりさ!」 ありすは立ち尽くす。 木の陰に隠れ、遠く離れた2匹の饅頭をひたすらに見続ける。 「おまたせなんだぜれいむ!きょうのごはんはこんなにあるんだぜ!」 「ゆうぅ!すごいよぉまりさぁ!」 帽子を脱ぎそこに溜め込まれた木の実や虫を取り出していくまりさ。 そしてそれを見て感動するれいむ。 ありすは今何が起こっているのか理解できなかった。 今、ありすが見つめ続けているのは確かに自分の夫であるはずのまりさだ。それはわかる。 あのお帽子、あのきれいな髪。ありすがまりさを見間違えるはずは無い。 じゃあ、まりさの傍にいるあのれいむは一体何者だ? 見ればれいむの額には茎が生え、そこには5つの赤ん坊が眠りながら繋がれている。 れいむが3に、まりさが2。もうすぐ生まれ落ちそうなほどに良く育っている。 いや、そんなことはどうでもいい。一体何故、そのれいむにまりさの赤ちゃんが実っているのだ。 「やっぱりまりさはすごいね!れいむはこんなにたくさんのごはんみたことないよ!」 「ふん!こんなのかんたんなのぜ!まりささまはもっとつらいところにいたからこんなのらくしょうなのぜ!」 れいむの賞賛に、胸を張りながら答えるまりさ。 ありすにはまりさたちの会話が理解できない。目を開き、見つめ続けるだけだ。 「まりささまはむかしにんげんにつかまって、そこでじごくのようなろうどうをさせられていたのぜ!」 「ゆぅ!こわいよぉまりさぁ!」 まりさは軽薄な笑みを浮かべ、そう話し始めた。 ありすの知るまりさとはかけ離れた表情。少なくとも、ありすはこんなまりさを知らない。 「そこではまいにちまいにちつちをほったりみずをばらまいたりして、おやさいをつくらされていたんだぜ!」 「ゆぅ!?なにそれぇ!?」 「まったくだぜ!!おやさいはかってにはえてくるのに、まったくむだなろうどうだったんだぜ!!」 一体何を言っているのだ? お野菜さんは沢山世話をして、それでようやく収穫できるものだ。勝手に生えるなどありはしない。 まりさにそう教えたときはわかったと言ってくれたはずなのに。 「あるときまりささまはいやになってそこをとびだし、にげだしたんだぜ!!」 「ゆっ!だいじょうぶだったのまりさぁ!?」 「おそいかかるふらんやれみりゃをあいてに、なんとかまりさはこのもりまでにげのびてきたのぜ!!」 「ゆーっ!!すごーい!!」 違う。違う違う違う。 まりさはありすのために。栄養のある食べ物をとってきてくれるって。そう言ってくれたはずなのに。 そうやって、ありすがまりさを見送ったはずなのに。 「そこでまりささまはもりいちばんのきれいなれいむにであい、そしてふうふとなったってわけなんだぜ!!」 「ゆぅ・・・!はずかしいよぉまりさぁ・・・!」 思い返せば、まりさのことを教えてくれたふらんの表情は暗かった。 きっとこの事を知って、迷いに迷ったうえでありすに告げることを選んだのだろう。 何故ふらんの態度を疑問に思わなかったのか?それはありすがまりさのことだけを考えていたからだ。 こんなことが待ち構えているとは思いもしないで。 このまりさは飼いゆっくりになりたかった。 危険の無い生活。十分な量の食事。夜れみりゃにおびえる事も、突然の雨も心配することは無い。 同じ群れに暮らしていたぱちゅりーの話は、まりさの記憶の奥底に深く刻まれた。 そしてそんな夢を見ながら暮らしていたある日、ありすと出会った。 清潔な髪の毛。栄養をたっぷりとっていそうな肌。見るからに飼いゆっくりであるとわかった。 そこでまりさは、ある考えを思いつく。 このありすと夫婦になって、飼いゆっくりになってしまおう。 そうと決まれば話は早かった。 まりさはありすにモーションをかけ続け、ありすに惚れさせることに成功した。 もともと初心な飼いゆっくりのありすには、プレイボーイであるまりさにめろめろになるのも時間の問題だった。 そうしてまりさはありすと結婚し、飼いゆっくりとなるはずだった。 ところがどうだ。待っていたのはゆっくりとした生活ではなく、地獄のような労働の日々。 まりさにとっては寝耳に水どころではない。 聞いていた筈の生活などどこにも無く、毎日毎日意味の無い労働ばかり。 それがまりさを幻滅させるのにそう時間はかからなかった。 いや、むしろ一週間以上も良く持ったほうだということか。 そうとなればこんな場所に用は無かった。妻であるありすのことも最早どうでもいい。 すっきりしようと思えばいくらでも相手はいるし、この生活のお陰で身体も鍛えられた。 そしてある日まりさはありすのために食べ物をとってくると嘘をつき、農場を後にした。 まりさの演技力は抜群で、誰もが妻のために奔走する姿にしか見えなかっただろう。 勿論まりさはそんな気など毛頭ない。ただ森へと逃げ帰る事しか頭に無かった。 結局は、ありすはまりさに体よく利用されただけに過ぎなかった。 飼いゆっくりに憧れて幸運にもありすを孕まし、そして理想と違ったから逃げ出した。 ただそれだけに過ぎない。 だがそんなことをありすは知らない。 ただ何故と呟き、その場からあとずさるだけだ。 気付けばその双眸からは涙がとめどなくあふれ出てきている。 「ゆぅ~ん、れいむ、なんだかおそらがくらくなってきたのぜ」 「ゆっ!そうだねまりさ!もうすぐあめさんがふってくるかもしれないから、おうちにかえろうね!」 そうして2匹は巣の中へと戻っていく。 頭の先についた赤子をかばうようにそっと動くれいむを、まりさは支えている。 その姿はお互いを愛し合う夫婦のようだった。 嘘だ。 まりさはありすの夫で、そこにいるれいむの夫なんかじゃあない。 理解しきれない現実。理解したくない事実からありすは必死に目をそらそうとする。 だができない。ありすの視線は2匹を中心に収めたまま動かない。 開かれた瞳からは、更に涙があふれ出ている。 嘘だ。 あのまりさは本当のまりさじゃない。きっと偽者。そうだ。別の誰かがまりさの帽子を被っているんだ―――違う。 見間違えるはずも無い。あの顔、あの瞳、あの声、あの仕草。全てがまりさのものだ。帽子なんかは関係無く、判る。 つまりはあのまりさはありすが愛したまりさと同一人物。その事実がありすを一層苛む。 既に涙で視界はぼやけ、2匹が巣に入る瞬間は見えなかった。 嘘だ。 一体何が嘘なんだ?今見た光景がか?まりさと夫婦になったと言う事実か?それとも―――いま生きている、この世界のことか? 全ては現実。ありすが見たものも、ありすが今までにしてきたことも、ありすを取り巻く全ては現実のものだ。 それが耐えられない。それを理解したくない。ありすは声にならない絶叫をあげる。 嘘だったのだ。 まりさがありすを愛していたことは。ありすが思い描いていた幸せの日々は。 まるで足場が崩れ落ちるような感覚をありすは味わっていた。 この落下感にも似た感覚を、人は絶望と呼ぶ。 もうここにいたくない。 壊れかけた心がそう叫ぶ。もう一分一秒とて、この場所にいたくない。 もつれるように背を向け、ここから走り出す。少しずつ離れていく光景。 涙で濡れたその顔に、また一滴雫が落ちる。 それは、空から降ってきたものだった。 雨が、降り始めていた。 ―――ゆっくり鉄輪・後へ このSSに感想をつける
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合計 : - 今日 : - 昨日 : - 只今の時刻 2021年12月11日 (土) 21 30 25 トップページ 地域分類 25 鶴見線 2011-04-23T13%3A42%3A33-55d4f.jpg 別府駅発着で1〜2時間に1本程度。 本数は多くない。
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降りしきる雨の中、ありすはただ闇雲に歩き続ける。 土砂降りと言っても差し支えないその雨量は、既にありすの身体を溶かし始めている。 だがありすは止まらなかった。ただ前へ、それこそ亡霊のような足取りで前へと進む。 上空に広がる雨雲は、それはまるでありすの心情を表現したような暗さだった。 いや、それすらもまだ生ぬるいだろう。 今ありすの胸中には、例えようの無い悲しみと絶望だけが渦巻いている。 いや、違った。 悲しみと絶望と、そして疑問が渦巻いている。 何故、こんな事になったのかと。どうして、こんな事になってしまったのかと。 何故、まりさはありすを捨てたのだ。ありすはとても幸せだったはずなのに、何故。 何故、まりさはあのれいむと番になっているのだ。まりさの妻はありすだったはずなのに、何故。 何故、まりさと出会ってしまったのだ。出会わなければ、こんな思いをすることも無かったのに、何故。 何故、何故、何故・・・・・・。 疑問は尽きることは無い。雨に打たれながら、ありすは自問を続けている。 そして、ふと思った。 まりさが妬ましい。ありすを捨てたあのまりさが妬ましい。 れいむが妬ましい。ありすからまりさを奪ったあのれいむが妬ましい。 尽きぬ疑問を溶かすように火が灯った嫉妬は、一気に燃え広がる。 そうだ。妬ましいのだ。あの二匹が。ありすを置いて、幸せそうに暮らしているあの二匹が。 悲しみも、絶望も、溶かしつくされ、燃やし尽くされていく。 最早ありすの心にただ在るのは、嫉妬という名の炎、いや業火。 止まることの無かった涙が、その色を変えていく。 紅い。まるで血涙。一体饅頭であるその身体の何処にこんな紅さを持っていたのか。 あるいはこれこそが憎しみの色なのだろうか。 降りしきる雨の中、ありすは歩き続ける。 その瞳の中は確固たる意思に彩られ、身体を融かす雨をすら意にも介さないとばかりに進んでいく。 意思の名は嫉妬。その瞳を焦がす憎しみの炎は、どうしようもないほどに美しく深い翠色だった。 今、ありすの目の前には飼い主である男が立っている。 彼が差した傘によって雨は遮られ、もうありすの肌を濡らす事は無い。 しかし、遅かった。最早ありすの身体は崩れかけ、命の炎は尽きようとしている。 「・・・・・・ありす・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・おにいさん」 悲しみを湛えた表情でありすを見下ろす男に、ありすは話しかける。 微かな声。雨にこそぎ取られたように、ありすの声は小さく、弱弱しかった。 だが、それでも。 それでもありすの声は、しっかりとした意思を持って男に伝わる。 まるで、憎しみによって命を繋いでいるかのように。 「おにいさん・・・・・・ありすは"おに"になりたいわ・・・・・!」 その声は雨音に遮られても尚、辺り一面に響き渡る。 地獄の底から響いてくる亡者の声のように。悲しみに哭く鬼のように。 「そして・・・・・・あのねたましいれいむを・・・・・・まりさを・・・・・・!!」 既に半壊であるはずの身体から、何処にそんな力があったのかと思わせるほどの声が響く。 その目から流れるのは赤々とした、いやそれすら生ぬるいと言えるほどの真紅。 「・・・・・・無理だ。お前は死に掛けている。もう何処にもそんな力は残されていない」 「むりじゃないわ・・・・・・!!ありすは・・・・・・たとえしんだってまりさたちを・・・・・・!!」 断ずる男の言葉に、ありすは怨嗟の声をぶつける。 無理だなんだと理屈で測れるほどありすの憎しみは弱くなかった。 「ぜったいに・・・・・・!!ぜったいに、ありすは・・・・・・!!ありすは・・・・・・!!」 「・・・・・・・・・・・・」 「ありすは・・・・・・・!!まりさを・・・・・・!!れいむを・・・・・・!!」 「・・・・・・・・・・・・本当に、いいのか?」 ぽつり、と。 そう男は漏らす。 まるで、ありすの復讐を助けることが出来るかのように。 「本当に、例え死んでも、いやそれ以上に酷い結果が待ち受けていたとしても、お前はそれを望むのか?」 「・・・・・・もちろんよ・・・・・!!ありすが・・・・・・どうなろうとも・・・・・・かまわないわ・・・・・・!!」 「・・・・・・そうか」 いくら言ったところでありすの憎しみを燃え滾らせると解っていながら、それでも男はありすに尋ねた。 決して後悔しない様に。ありすも、そして自分自身も。 「聞け、ありす。お前の身体は水を吸いすぎた」 「・・・・・・そう」 「もう俺にも処置不可能なくらいに、お前の身体は壊れている。このままだと、お前はいずれ死ぬ」 「・・・・・・そう」 お互い淡々と事実を話し、そして聞く。 ありすには死ぬつもりなど一切無い。まだやらなくてはならない事があるから。 そして男も、このままありすを死なせるつもりも無かった。 「だけどな、ありす。もしかしたらお前を助ける方法があるかもしれない」 「・・・・・・そのほうほうって?」 「これだ、ありす。この強化薬がある」 そう言って懐からアンプルを取り出す男。 ガラス容器の中には、深緑の液体が保管されている。 「この薬はお前の身体能力を上昇させる効果がある。勿論、耐水性能もだ」 「・・・・・・・・・」 「この薬を使えばお前は助かって、そしてまりさたちに復讐する力を得られる、かもしれない」 「・・・・・・・・・」 「いいか、あくまで可能性だぞ。助かるという保証は何処にも無い。それに・・・・・・」 そう説明し、言いよどむ男。 ありすは喋らず淡々と男の話を聞き続けている。 「・・・・・・この薬には副作用がある、らしい。被験者をバケモノに変えてしまう」 「・・・・・・・・・」 「元の姿に戻ることも出来なくなる。もし助かっても一生バケモノの姿のままなんだ」 「・・・・・・・・・」 「だから、ありす。本当にいいんだな?本当にバケモノになってまで復讐をする覚悟が・・・・・・」 「・・・・・・・・・ふふっ」 唐突に、ありすは哂った。 思わず言葉を呑む男。今度は、ありすが話し始める番だった。 「ふふふっ・・・・・・やだわ、おにいさん。あったんじゃない、そんないいものが」 「・・・・・・・・・」 「おにいさんもひとがわるいわ・・・・・・はじめからそれをだしてくれればよかったのに」 「・・・・・・・・・」 滲み出る狂気をそのままに、ありすは哂っている。 血涙を流しながら哂うその姿は、ひどく物悲しく、そして恐ろしい。 「ねぇ、おにいさん。ありすは"おに"になりたいっていったでしょう?」 「ふくさよう?ばけもの?べつにいいじゃない。そんなのやすいものだわ。むしろ、のぞみどおりかも」 「まりさたちにうらみをはらせるのに、なんでそんなことをきにするの?」 滔滔と話すありすに、男は薄ら寒いものを感じていた。 最早このありすは男が知っているかつての優しいありすではない。 憎しみに取り付かれた一匹の怪物がいるだけだ。 「さぁおにいさん。それをはやくありすにちょうだい」 「・・・・・・・・・」 「なにしてるの?それがあればまりさたちにうらみがはらせるのよ?」 「・・・・・・・・・」 「ねぇ、おねがいよ。はやくそれをくれないとありすしんじゃうかも・・・・・・」 「・・・・・・・・・解ったよ」 男はアンプルの頭を折り、ありすに薬を飲ませた。 緑色の液体をごくごくと嚥下してゆくありす。 その表情は陶然としている。まるで美酒を飲んでいるかのように。 「ん、ふぅ・・・・・・おいしかったわ、おにいさん」 「・・・・・・・・・」 「ん、ふふ・・・・・・これで・・・・・・これでまりさたちに・・・・・・っ!?」 恍惚の表情でそう言ったありすの身体が、ごぼりと泡立つ。 早くも薬の効果は出始めていた。ありすの肉体が変質を起こそうとしている。 「・・・・・・っ!ふふ・・・・・・ふふふ・・・・・・!あははははっ・・・・・・!!」 だがそんな身体の事など眼中に無いかのように、ありすは笑い始める。 その声には紛れも無い歓喜が含まれていた。 「これでっ・・・・・・!!これでありすをすてたまりさに・・・・・・!」 「あのにくいれいむにうらみをはらせるっ・・・・・・!!」 「あは・・・あはははは・・・・・・あはははははははははははははっはっははっっっ!!!!!!!」 男は、ただありすを見つめ続ける。 覆水は盆に帰らない。 まりさがありすを裏切ったことも、男がありすを変えてしまったことも、もう元には戻せないのだ。 「あはははhはははハハハハハハhあはあハハハあああgはgはがアアアハハハああああハハハハハハっっっっ!!!!!」 降りしきる雨の中、ありすの哄笑とも狂笑ともつかない声が木霊する。 これは産声。 心に育んだ怨念の卵から、遂に殻を破って現れた鬼の声だった。 ありすのお腹にいたはずの赤ちゃん。 憎しみに囚われたありすにその鼓動はもう聞こえなかった。 それから二十一日の時が過ぎ――――― 今、まりさは暗い森の中を全力疾走している。 何故全力疾走しているかって? 決まっている。逃げているのだ。 まりさは幸せだった。 まりさには妻がいた。綺麗なれいむ。まりさの最愛の妻だ。 まりさには子供がいた。赤れいむが3に、赤まりさが2。皆親に似て優しく、そして勇敢な子供達だ。 朝起きて挨拶とすりすりをして、狩りをして皆でむーしゃむーしゃする。 まりさの狩りの腕は一級品で、今まで家族を飢えさせたことなど一度も無い。 皆が満腹になるまで食べて、それでしあわせーっと言ってご飯は終了する。 狩をしない時には皆でお散歩にいく。 森の中にあるいろんな物を見て、そしてとてもゆっくりするのだ。 捕食者に襲われても大丈夫。まりさは何度もれみりゃを撃退した事だってある。 そうして家に帰り、またむーしゃむーしゃとご飯を食べて、みんなで寄り添いあって眠る。 ゆっくりとしてはこの上ない幸せ。 それもこれもまりさが優秀だからだ。 だが、そんな幸せは壊された。 とっぷり日も暮れたある晩のこと、そいつは現れた。 まりさが知恵を絞って組み上げた扉。 れみりゃやふらんの体当たりにもびくともしないはずの堅牢な入り口が、それこそ木っ端のように粉砕された。 突然の轟音にまりさたちが驚いている隙に、そいつは巣の奥まで入り込んできた。 あっという間にまりさたちの目の前に肉薄してきたそいつは、赤れいむを一瞬で掴み上げる。 「ゆっ、おちょらをとんでるみちゃぶ!!!!」 感嘆の声を上げようとした赤れいむを、最後まで言い切らせずにそいつは握り潰す。 入り口が破られてから僅か5秒の惨劇に、誰もがその事態を認識できない。 「ぼびょえ゛!!」 「ぷぇ゛!!!」 「ゆ゛びぃ!!!」 「ばびょっ!!!」 目にも留まらぬスピードで次々と残りの赤ゆっくりを握り潰してゆくそいつ。 まりさとれいむがそのことにようやく気付いたのはそれから3秒後のことだった。 「ゆ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!おぢびぢゃんだぢをごろじだふらんはゆっぐりじねええぇぇぇ!!!」 そういって飛び掛るれいむを、そいつのアッパーカットが出迎えた。 底部から脳天まで一気に突き抜けた拳は、天井に餡子の花を咲かす。 違う。そいつはふらんじゃない。まりさは震えながらそう思う。 れいむはそいつのことをふらんと呼んだ。なるほど確かに胴体を具えた金髪のゆっくりはふらんに見えるだろう。 だが違う。そいつにはふらん特有のあの宝石のような羽が無い。そもそも羽と見受けられるようなものが無い。 服装も違う。赤を基調としたふらんと比べて、そいつの服は黒や、茶、青だ。れみりゃでもない。 そして金髪から覗く人間の耳を尖らせたようなもの。 いや、そんなことではない。 服の違いなど些細なことだ。羽の有無などどうでもいいことだ。耳なんてあっても無くても変わらない。 それより重要なのは―――まるで魂を蝕むようなほど美しい、その瞳だ。 そいつは巣に入ってきた時からずっとまりさとだけ目を合わせ続けていた。 闇から覗く深緑の双眸。 飲み込まれそうなほど深いその瞳に、まりさは動くことすら忘れて爛々と光るそいつの目を見続けていた。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 魂を震わせるようなれいむの絶叫に、まりさははっと気付く。 このままここにいれば殺される。 れいむはまだ息があるが、その次はまりさだ。 そう思った次の瞬間には、まりさは巣の外へ向けて走り出していた。 逃げ出せるのは今しかない。このチャンスを逃したら、自分に待つのは死だけだ。 既にれいむや赤ちゃんのことなどどうでも良かった。大切なのは、自分が生き延びる、ただそれだけ。 そいつは動かない。 今だ絶叫をあげ続けるれいむを解体し、まりさを追うそぶりすら見せなかった。 だが、見続けている。 そいつは―――その怪物は、昏く光る2つの緑眼をまりさに向け続けていた。 逃げるまりさもまた、その背中に視線を感じている。 ふとまりさはその双眸に、一瞬だけ既視感を覚えていた。 月の光だけを頼りに、まりさは夜の闇を全力疾走する。 とにかく離れなければ。あそこから少しでも。 夜に徘徊する捕食種のことは思い浮かばなかった。 張り出した木の根を飛び越え、低い木の葉を潜りながらまりさは考える。 一体あれは何者だ。あんなゆっくりは初めて見る。 確かにあれはゆっくりだ。だが、まりさが今まで一度も見たことが無いゆっくりなど限られてくる。 ふらんすら破れないはずの入り口をあそこまで容易く粉砕するそのパワー。 一瞬で肉薄し、5匹の赤ゆっくりをあっという間に握りつぶしてのけるそのスピード。 どれをとっても尋常ではない。通常の捕食種を遥かに超えている。 そして何より不可解なのは、あの怪物はまりさたちを食べるそぶりすら見せなかったことだ。 捕食種ならば食べるために巣を襲い、まりさたちを食うだろう。それは解る。 だが、あの怪物は違った。まるで、まりさたちを殺すことそのものを目的としているかのような・・・・・・・。 急に、視界が開けた。 まりさは森を抜けたのだ。 遠くには人家の光がある。 ああ、あれはあの農場を経営している人間のおうちだ。まりさは安堵する。 とにかく一旦人間の家へと逃げ込もう。 あれからしばらく時間が経っているが、まぁいい、どうせ大丈夫だろう。なんと言ってもまりさはありすの夫なのだ。 きつい労働も、今の危険に比べれば屁のようなものだ。やはり作っておくべきは現地妻だ。 そんなことを思いながら、まりさは農場へ向かうため小川にかけられた橋へと急ぐ。 そして、止まる。 月の光を受けてより一層目立つ翠の目。 橋の上にはあの緑眼の怪物が立っていた。 振り返り逃げ出そうとする暇も無く、怪物はまりさを掴みあげる。 逃げられない。どれだけもがこうとも怪物の指はがっちりとまりさの後頭部に食い込んでいる。 そしてそのまま持ち上げられる。足場をなくし、力なく宙を蹴る底部。 「ゆっ・・・ゆああああぁぁっ!!ゆひゃあああああああああああああああ!!!!」 それでも恐慌に陥ったまりさはじたばたと足掻く。 逃げないと殺される。れいむの様に。赤ちゃん達の様に。 しーしーを垂れ流しながら、みっともなく暴れまわる。 そんなまりさを哀れむかのように、クスリ・・・と小さく笑う声。 その声の主は、間違いない。今まりさの後ろにいる、あの怪物だ。 「どうしたの、まりさ・・・・・・?そんなにおびえちゃって・・・・・・」 初めて怪物が口を開いた。 あの惨劇を招いた張本人とは思えないほど、優しく、憐憫に満ちた声。 まるで夜闇を恐れる子供を慰めるかのような、慈母の響き。 「ゆああああああああああああ!!!たずけでぐだざいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさの行動は早かった。 言葉が通じる相手だとわかると、途端に命乞いを始める。 「たすける・・・・・・?もしかしてまりさはだれかにいじめられてるの?こわいわねぇ」 まるで他人事のように、その怪物は嘯く。 まりさの命を握っているとは思えない、軽い口調。いや、命を握っているからこそなのだろうか。 「はなじでぐだざいいいいいいいいいい!!まりざもうおうぢがえるううううううううう!!」 またも恐慌に陥り、暴れだすまりさ。 思わず口をついて出てしまった言葉に、怪物は反応した。 「おうち・・・・・・?おうちって、あのもりのなかにあったあなのことよね?」 「はいいいいいいいい!!ぞうでずうううううううううううう!!!」 一も二も無く肯定するまりさ。 ここでこの怪物の機嫌を損ねることだけは遠慮したかった。 「すてきよねぇ・・・・・・あんなおうち。わたしもいっかいすんでみたいわ。 あ、でもいまはあかちゃんのざんがいとか、れいむのなかみとかでたいへんなことになってるでしょうけど。 こわいわぁ。いったいだれがやったのかしら?」 ペラペラと怪物は喋りだす。 自分で引き起こした惨劇すら、他人事のように語る怪物にまりさはより一層恐怖を募らせる。 「あ、そうだ。ねぇまりさ。れいむからあなたに、おみやげがあるそうよ」 べちゃり。 まりさの顔に掛けられた濡れた何か。 まりさはそれを良く見ようとして・・・・・・そして。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」 絶叫を上げた。 今、まりさに掛かっているものの正体はれいむの死骸。 中身を全て取り除かれたれいむのデスマスクが、恨めしげにまりさを睨み付けている。 「すてきよねぇ・・・・・・おくさんからのおみやげでしょ?きっととってもいいものにちがいないわ、ねぇまりさ?」 「そっ、そうでずうううううううううううううううううう!!!」 絶叫を聞いていなかったかのような怪物の問いかけに、まりさは必死で理性を繋ぎとめながら答える。 今答えなければ殺される。まりさの本能がそう叫んでいた。 「あら?もしかしてきにいらない?じゃあしょうがないわね、すてちゃいましょう」 デスマスクを引っぺがし、そのまま地面に放り捨てる。 ズタズタになったれいむの残骸を、更に踏みつけ壊してゆく怪物。 「さぁきれいになった。やっぱりまりさにはれいむなんてにあわないわよねぇ?」 「はいいいいいいいいいいい!!!そうでず!!れいむはくずでず!!」 「いいへんじね、まりさ。やっぱりまりさはそうおもってたのね」 抑揚も軽やかに、怪物は続ける。 「ちょっとまえにね、まりさたちのかぞくをみにいったことがあるのよ、わたし」 「しあわせそうでねぇ・・・・・・なかもよさそうで。りそうのかぞくってかんじ?」 「ほーんと・・・・・・妬ましかったわぁ♪」 まりさには解る。 この怪物の楽しげな声、その薄皮を一枚めくれば、そこには殺意の牙が並んでいることを。 「ところでまりさ。まりさはいったいどこへいこうとしてたの?きになるわねぇ」 「はいいぃ!!にんげんざんのおうちへいごうどじでまじだぁ!!!」 「まぁ、にんげんさんのおうちへ?」 全ての問いに即座に答えるまりさ。 それを受けて、怪物は驚いたような声を出す。 「まりさはもりのゆっくりでしょう?にんげんさんのちかくにいったら、あぶないわよぉ」 「まりざはがいゆっぐりでじだ!!だがら・・・たぶん、だいじょうぶでずぅ!」 「まぁ、かいゆっくり?すごいのねぇ」 また驚いたような声を出す怪物。 あくまで驚いた「ような」であって、本当に驚いているわけではないのは明白だった。 「なんでかいゆっくりのまりささまがこんなへんぴなもりであぶらをうってたの?ねぇ、おしえてよ」 「はい゛ぃ!!まりざはもりのゆっくりでじだけど、かいゆっぐりのありずどけっごんじだんでず!! でも、そこのせいがつがぐるじぐなっでにげだじだんでず!ぞれがら、まりざはもりにもどっででいぶど・・・・・・」 「ああ、いいのよそこまでしゃべらなくて。わたしがききたいのはそこじゃないから」 「はい゛ぃ!!」 キリリ、とまりさに食い込む指の力が増した、気がする。 迂闊なことを言えば死ぬ。再度そのことを確認するまりさ。 「ふぅ~ん。せいかつがくるしくなってにげた・・・・・・。あのていどで?ちょっとやわねぇ、まりさ。 ま、そんなことより、まりさ。 ねぇ、まりさ。まりさにはおくさんのありすがいたんでしょ?」 「はいぃ!そうでずうううぅぅぅl!!!」 「ね、まりさ。まりさはそのありすとれいむ、どっちがすきなの?」 「ゆぅっ!?」 突然わけの分からない質問に、初めてまりさは言いよどむ。 そんなまりさを見て、怪物の気配に苛立ちが生じた。 「・・・・・・どうしたの、まりさ?もっとぱっときめてくれなきゃ、ありすがかなしむでしょ? それとももしかして、まりさはれいむのほうがすきだったり・・・・・・するのかしら?」 「ちがいばず!!ばりざはあでぃずがだいずぎでず!!!でいぶなんでごびぐずでず!!!」 今度は明らかに指の力が増した。 弾かれるようにまりさは答える。 「・・・・・・そうよねぇ~♪やっぱりまりさにはありすがおにあいよねぇ~♪」 「はい!!ぞうでず!!」 一体何の話をしているのだろう? まりさは疑問に思う。今のこの状況と、まりさの好みとどう関係があるのだ。 「それにしてもまりさったらひどいゆっくりよねぇ。ありすのおなかにはあかちゃんがいたのよ? それをほっといてほかのおんなをつくるなんて・・・・・・まったくつみつくりだわ、妬ましい」 何故知っている。 何故ありすが妊娠したことを、この怪物は知っているのだ。 「・・・・・・ねぇ、ところでまりさ?わたしのこと、みおぼえはないかしら?」 「ゆ゛ぁ゛っ!?」 またも理解不能の質問。 あちらはともかく、まりさは今日初めてこの怪物を見たのだ。 思わず口をつむぐ。 「・・・・・・あら?わからない?まぁそもそもまりさはあっちのほうむいてるからね。わからなくてもむりはないわ」 「でもしょっくねぇ。もしかしたらこえだけでもいけるとおもってたのに」 「まぁやっぱりこえもちょっとかわっているし?それもしょうがないか」 変わっている? もしかしてまりさは、この怪物に以前出会ったことがある? 解らない。一体誰だ。 くるりと、まりさの向きが変わる。 怪物と一緒の方向を見る向きから、怪物と見合う体勢へ。 月の光が、まりさと怪物を照らしだす。 そしてまりさは、声にならない絶叫をあげた。 美しい。 緑眼を擁したその顔は途方も無く美しく・・・・・・そして餡子に濡れていた。 れいむの中身だったもの。怪物は血化粧ならぬ餡化粧を施したその顔で笑いかける。 「どう?まりさ、これでわかったんじゃない?」 「ゆわわ・・・・・・ゆわわ・・・わ・・・・・・」 再びしーしーを漏らす。 そんなことすら意に介さぬ怪物は笑顔を作り、まりさを見つめ続ける。 いや、笑顔ではない。深い翠を湛えたその瞳だけは、欠片も笑っていない。 「あらぁ・・・・・・?これでもわからないの・・・・・・?まったくにぶちんさんね、まりさ」 「じゃあしょうがないわね、ここでだいひんとぉ」 「ちゃんとあててくれなきゃ、おこっちゃうわよ、まりさ?」 奈落よりも深いその眼に吸い込まれるような錯覚を覚える。 「『ゆ?まりさ?』」 「『ゆっ、いいわよ、まりさ。そんなにがんばらなくても』」 突如、何かを言い始めた怪物。 これがヒント?一体何がヒントだというのだ。 ・・・・・・いや、待てよ。この言葉、どこかで・・・・・・ 「『でも、まりさ・・・。まりさ、つかれてるじゃない。いいからきょうはやすんで・・・・・・』」 「『わ、わかったわよ、まりさ・・・・・・』」 ・・・・・・そうだ。 この言葉は、農場を出る際に交わした会話だ。 この会話を知っているのは、まりさを除いてこの世にただ一匹だけのはず。 「『う・・・うん!まりさ、きたいしてまってるわね!』」 「『ゆ?・・・ゆゆ・・・♪』」 信じたくない。 だが、この怪物は『大ヒント』と称してこの片割れの会話を繰り広げている。 それが意味する者は一体何か。 つまり、この怪物は一体誰なのか。 「あっ、あっ、あっ、あでぃずううううううううううううううううううう!!!?」 「『わかったわ、まりさ!がんばってね!』・・・・・・だいせいかい。ここまでしないとわからないなんて、妬ましいわ」 「なっ、なっ、なんでええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」 「なんでって、きまってるじゃない。あなたにあうためよ、まりさ」 そして昏く哂う、怪物、いや、ありす、だったもの。 今この瞬間も双眸はまりさを捉えて離さない 「ねぇまりさ、あなたはれいむよりありすのほうがすきっていってくれたわよね?」 「ゆうぅっ!!?」 「そうよね?まりさ」 「はい゛ぃ!!そうでずうぅ!!」 「それじゃあこのよでいちばんあいしているのはありすってことになるわよね?ねぇ、まりさ」 「はい゛っ、はい゛っ!!ぞのどおりでずううううううぅぅぅ!!!」 最早頷くことしか出来ないまりさ。 事態は理解の範疇を軽く超えている。 「よかった!じゃあ、ねぇまりさ。このよでいちばんあいしてるありすのおねがい、きいてくれる?」 「きぎまず!!きぎまずがら、だずけでぐだざいいいいいいいいぃぃぃ!!!!」 「ああ、それがききたかったわ、まりさ。それじゃあね、まりさ。ありすのおねがい・・・・・・」 「いま、ここで、しんでくれない?」 「・・・・・・ゆ?」 「ああ、ころすのはわたしがやってあげるわ。だいじょうぶ、ただすごくいたくてくるしいだけよ」 「ゆあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」 今度こそ恐慌に陥り、死ぬほどの力を振り絞って逃げようとするまりさ。 怪物は少し指に力を込める。 それだけで、まりさは逃げ出すことはおろか動くこともままならなくなった。 「ねぇ、どうしたの、まりさ?もしかして、しにたくないの?」 「いやじゃああああああああああ!!!!!しにだくないいいいいいいいいいいい!!!!!」 「だめよ、まりさ。『ありすのおねがいをきく』って、いっちゃったじゃない」 涼やかな顔をして、まりさに死刑宣告を告げる怪物。 その眼に宿る狂気は本物だ。まりさが死ぬことをなんとも思っていない、そんな瞳。 「だいじょうぶよ、まりさ。あのときのわたしにくらべたら、たいしてくるしくなんてないかもよ?」 「・・・・・・ゆぅっ!?」 そっと空いていた片腕を上げ、まりさの顔を撫で始める。 柔らかな指先は頬をなぞり、唇をなぞり、瞼をなぞり・・・・・・そして左の眼窩に突き入れられた。 「ゆっぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 月夜にまりさの絶叫が木霊する。 そんなことに構いもせずに、怪物はまりさの眼球を撫でるように指をかき回し始めた。 「ゆ゛あ゛っ!!いだい、いだいいいぃぃ!!!ぬいでえええええぇぇぇ!!!ぬいでえええぇぇぇぁぁぁぁあ!!!」 きゅぽん、と気の抜ける音。 怪物の指は引き抜かれた。ただし、まりさの眼球を伴って。 おそらくは視神経であろうひも状の物体に指を絡ませながら、怪物は陶然と呟く。 「まりさのおめめ・・・・・・きれいよね。妬ましいわ・・・・・・はむっ」 そのまま一口に、怪物はまりさの目玉を口に含んだ。 口の中でころころと転がし、涙と付着した餡子を味わう。 ぶちゅり。 口の中で、眼球を噛み砕く音。 漏れ出るシロップを嚥下し、残った眼球も咀嚼し、ゆっくりと飲み込んでゆく。 「んん・・・・・・おいしいわ・・・・・・まりさの」 妖艶な魅力を振りまき、そう言ってのける怪物。 まりさの残された右目には、最早それは死神か鬼かにしか映らない。 そして怪物が次に狙うのは、まりさの唇。 「んっ・・・・・・んふぁ・・・・・・あふ・・・・・・」 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!?ん゛ゥーッ!!!」 抵抗できないようにまりさの口をこじ開け、そこに己の舌を滑り込ませる。 まりさの口内を蹂躙してゆく怪物の舌。 皮肉にも自分の眼球の味は、どうしようもなく甘かった。 「んっ・・・・・・ふッ」 ぶちり。 「・・・・・・ッ!!!~~~~ぎゃああああああああっ!!!」 二人が離れる際、怪物はまりさの唇を噛み千切っていた。 艶やかな怪物の唇の奥で、まりさの唇は咀嚼され、また飲み込まれてゆく。 「・・・・・・んふ。やっぱりまりさはおいしいわぁ。おもったとおり、妬ましい」 「でもまだまだおわりじゃないわよ?まだまだまりさをあじわいたいもの」 「さぁ、がんばってね、まりさ。そしてわたしに、そのひめいをもっときかせて」 髪を抜かれた。 麺を啜るようにして、怪物はまりさの髪を食べてゆく。 まりさは絶叫する。 頬を剥がされた。 少しずつ味わうように、怪物はまりさの頬を噛み切っていく。 剥がされた頬からまりさの絶叫が迸る。 舌を抜かれた。 一気にむしゃぶりつき、怪物は勢いよくまりさの舌を飲み込んでゆく。 声にならない絶叫のような音をまりさは発する。 そして、今。 最早まりさに声を出す気力など存在していなかった。 襤褸雑巾ですらここまではないと言うほどに、まりさは嬲られ、消耗している。 「・・・・・・そろそろおしまいかしら?とてもたのしかったわ、まりさ」 怪物がそう呼びかける。 開かれたまりさの右目はただ震えてその深緑の双眸を見つめるだけ。 「・・・・・・ねぇ、まりさ。あなたがわたしをおいていかなければ、こんなことにはならなかったのに」 まりさは答えない。 そんな体力はまりさには無い。いや、それは問題ではない。それより大切なことがある。 まりさの心は既に死んでいた。答えられるわけが無い。 「あなたはこうかいしてる?わたしはこうかいしてないわ、まりさ」 怪物は両の手を使ってまりさを掻き抱く。 その胸に抱きこまれたまりさの左眼窩から、餡子がほとばしる。 「だって、こんなけつまつをむかえられたんですもの。これでまりさはわたしのもの。だれにもわたさない」 両の手に込められた力が強くなってゆく。 傷だらけの顔面を胸に押し付けられたまりさは、徐々に歪に変形してゆく。 「これであなたとわたしはひとつになるの。・・・・・・さようなら、まりさ。愛していたわ」 直後。 行き場を失った餡子が、まりさと言う風船を割って、弾けた。 降り注ぐ餡子を受け止める怪物の表情は、恍惚そのもの。 恐らくは絶頂すらも経験しているのではないだろうか。 やがて餡子の雨が止んだとき、そこにいるのは美しく、そして哀れな一匹の鬼だった。 「・・・・・・ふ、ふふ。ふふふ・・・・・・うふふふふ・・・・・・」 何処からとも無く聞こえてくる声。 鬼の口から漏れ出るそれは、地獄の響きにも、乙女の唄にも似ていた。 「ふ、はは・・・・・・あはは・・・・・・!あははははは・・・・・・っ!!」 止まらない。 哄笑は止まらない。 月夜の橋の上で、鬼は一人、孤独に、優雅に、そして悲しく哂う。 「あはははははははははは・・・・・・っ!!!!!あははははははははははははははははっ!!!」 この世の中で真に恐ろしいものとは一体なんだろうか。 類稀なる力を持った鬼?違う。 夜の闇を乗り越え忍び寄ってくる妖怪?それも違う。 覚えておくといい。それは、嫉妬だ。 「嫉妬は緑色の眼をした怪物で、人の心を餌食にして弄ぶのです」と、とある劇作家は書いたそうだ。 橋の上で哂うこの鬼もまた、最も恐ろしい怪物にその心を喰われた者に過ぎない。 「あはははhはははハハハハハハhあはあハハハあああgはgはがアアアハハハああああハハハハハハっっっっ!!!!!」 ふと、鬼の頬に一筋の血涙が流れた。 その理由を鬼は知らない。 ただ哂いながら哭くその鬼は、酷く滑稽にも、悲しくも、そして美しくも見えた。 「実験はほぼ成功だよ。 完全な四肢の形成、知能の異常な上昇、そして変異は最小限・・・と。 ここまで変質が良い方向に発揮された例は初めて見るよ。まさに奇跡といっても良い」 「・・・・・・・・・」 「できれば継承個体として彼女の子供を調べてみたかったんだが、それは無理なようだね。 我が子を取り込んだと言うのもこの事例の面白いところだよ・・・・・・あるいはそれこそが重要なのかな」 「・・・・・・・・・」 「残念ながら変質のメカニズムは最後まで解らなかったが、今回の結果で一つ言える事がある。 この薬も、使いようによってはあのような進化とも言えるものを促すと言うことだ。 今後は成分を徹底的に調査し、変質の安定化を計ることにしよう」 「・・・・・・正直、後悔している」 「あのありす、いや、今となってはあの外見はどう見てもぱるすぃ・・・・・・の事かい? 君が気にする必要はないと思うよ。彼女は彼女なりに目的を果たしたんだ」 「・・・・・・悪いが、俺はお前の事を嫌いになりそうだよ」 「それは困る。僕はキミの事が好きなのでね。キミに嫌われたら悲しくて死んでしまうかもしれない。 大丈夫だよ。彼女にはキミや、他のゆっくり達がついている。彼女が道を踏み外しそうなら、キミ達が導いてあげれば良い。 ・・・・・・それに、なんとなく彼女の気持ちもわかるんだよ。僕も一応女だからね」 「・・・・・・わかるとは、何が?」 「自分を捨てられた悲しみ。そして捨てた相手が幸せになっていることへの嫉妬。ああなっても不思議じゃない。 ・・・・・・柄にもないと思うかい?研究の事しか頭に無い僕が、色恋を語るだなんて」 「・・・・・・いや、思わない。・・・少しだけすっきりした、ありがとう」 「どういたしまして。・・・・・・ところで報告を見る限り、まるで宇治の橋姫伝説を再現しているようだね」 「・・・・・・お前はまたそういう事を言う。少しは俺に気を遣ってくれ」 「いや、すまない。・・・でもね、キミの演じた役割は一体なんだと思う?」 「・・・・・・貴船の神様だな」 「その通り。まるでゆっくりにとって人間達は神様とでも言うべきなのかね、この場合は。・・・正確には、人間以上も含めてだけど」 「やめてくれ。そういうのは好きじゃない」 「・・・・・・今度のデートは取り止めにして、旅行に変更しようか。行き先は貴船神社。 丁度彼女の縁結びも兼ねて。キミなら僕を連れて行くことが出来るだろう?どうだい?」 「・・・・・・ああ、そうだな。デートとか旅行とかと言うところがちょっと気になるがいいだろう」 「やたっ。彼女にも良縁を用意してあげなくてはね」 今日も橋の上で一人、ありすだったものは立っている。 その視線の先は森の中。幸せそうなゆっくりを見つけ出し、殺すのだ。 何故殺すか?簡単だ。憎いから。妬ましいから。 近寄る者は片っ端から殺した。 捕食種だろうと被捕食種だろうと大差ない。全て皆平等に屠ってきている。 唯一の例外は仲間であったはずの男の飼いゆっくり達。だがそれでも、もう馴れ合う気は起きなかった。 今日も上空を心配そうに見回る影がひとつ。ふらんだ。 ここ最近、心配して姿を見に来てくれるらしい。 頭が垂れる思いだが、今となってはありがた迷惑にしか感じなかった。 何故この橋の上に立ち続けているのかと問われれば、答えに詰まるだろう。 解るはずも無い。かつてありすが抱いた思い出を、今も手放したくないと心の何処かで思っているなどと。 最早手に入らない幸せを、必死にもがいて手に入れようと足掻くこの滑稽さ。 だがそれでも止められない。過日の幸せに縋るしか彼女には残されていないからだ。 あるいは今からでも遅くないのに、頑なに彼女はそれを拒んでいる。 今日もまた一組、幸せそうなゆっくりの番を見つけた。 途端に燃え広がる嫉妬の炎。 双眸に照らされた深緑が、また一段と深みを増した。 幸せそうな二匹の笑顔が、恐怖に引き裂かれるときにだけ、ほんの少し彼女の炎は弱まる。 それも長くは続かない。またすぐに獲物を待ち構える日々が続くのだ。 今日も橋の上で一人、ありすだったものが立っている。 見つからない幸せを探すかのように、爛々と開かれた瞳に映るのは深い深い翠の色。 嫉妬という名の怪物に取り込まれた哀れな犠牲者は、来る筈の無い幸せを待ち続けるのだ。 <了> ――――― あんまり書き溜めていない書き溜めです。おはこんばんちは。 元ネタは作中でも言われていた通りの「宇治の橋姫伝説」とタイトルから「鉄輪」のミックスです。 アリスとパルスィって似てるよね。外見とか五寸釘とか。そう思って書き始めました。 意外と原作キャラの元ネタは面白い話が盛りだくさんなのでネタにしやすいです。 あと橋姫って鬼とかの一種とも取れるんですね。酒呑童子とか茨木童子とか。「鬼切」とかも橋姫を斬って名付けられたらしいし。 そんな鬼どもを倒しまくる頼光四天王マジ人外魔境。 ちなみにこのあと、ぱるすぃはけーねやすいか、ゆうぎと大激闘を繰り広げたり 見るに見かねたお兄さんから差し向けられたみょんに討伐されてデレるなどといった展開がありますが、めんどいのでパス。 虐めというかバトルものになっちゃうしね! 書いてる途中「緑眼のジェラシー」聴いてたらなんかテンションが嫌な感じに上がって書いた。 あと、思いっきりネタ被りしてしまったことが痛いです。その代わりこんなダラダラと書いたんですけど。 ネタは思い浮かんだらすぐ書けって事ですね。 あーぱるすぃを抱きしめてクンカクンカスーハースーハーしたい。 このSSに感想をつける
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コマンド表記について ■地上■○中央近A始動 遠A始動 6A始動 L3A始動 ○画面端近A始動 6A始動 遠A始動 6C始動 ■空対空■〇中央JA始動 J6A始動 J8A始動 〇画面端J6A始動 ■空対地■〇中央J6A始動 J8A始動 JB始動 〇画面端古の鉄輪始動 ■梅雨限定古の鉄輪ループコンボ■ ■スペルカード使用■コスト2源符「諏訪清水」 神具「洩矢の鉄の輪」 コスト3土着神「洩矢神」 開演「二拝二拍一拝」 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 コスト4源符「厭い川の翡翠」拍手で掴むコンボ(画面端限定) 波を直に当てるコンボ 蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」 土着神「手長足長さま」 土着神「宝永四年の赤蛙」 コスト5祟り神「赤口(ミシャグチ)さま」 システムカード使用 コンボルート早見表地上中央 画面端 空対空 空対地 諏訪清水 洩矢神 二拝二拍一拝 ケロちゃん風雨に負けず 厭い川の翡翠 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 手長足長さま 宝永四年の赤蛙 赤口さま 避難所必要に応じて書き換えてくださいコメント欄 コマンド表記について コマンドは常に右向きの時の入力を記載してください。 以下の表に従い、コマンドを記載してください。 表記 意味 7 8 9 方向を示す。テンキーで8方向。稀に5やN表記があるが、それはニュートラルを指す。 4 * 6 1 2 3 A 打撃 B 弱射撃 C 強射撃 J ジャンプ jc ジャンプキャンセル(小文字jcはキャンセル行動、大文字JCがジャンプ強射撃) HJ ハイジャンプ hjc ハイジャンプキャンセル D(Dh/66) ダッシュ dc ダッシュキャンセル BD(44) バックダッシュ HS 飛翔 CH カウンターヒット 溜(H) ボタンホールド(溜め時間は各自調整) LA 葉っぱに乗ってる状態からのA L6A LAからの派生限定技 L3A 葉っぱに乗ってる状態からの3A ■地上■ ○中央 近A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× AAAA 2095 - × 0 魔方陣は出ないが確定ダウン。ただのA連だが高ダメージ、確定ダウン、硬直有利と高性能× AA 6A J6B 古の鉄輪 2498 - × 2 魔方陣は出ないが確定ダウン J6B 鉄輪は最速で× AA 6A JB 66 古の鉄輪 2100~2500 - × 2 各繋ぎは最速で JBの当たり方によってダメージが変わる○ AA B 6C 2255 - × 2 天子不可 Bはちゃんと出しきること○ AA B 9jc J6B J6C 2617 - × 3 天子不可 ダメージは高いがB J6Bの繋ぎが非常に難しい○ AA 6B J6C 2027 - × 2 安定だが後の状況が悪い○ AAA(3hit) JB 66 JA(3hit) JB 66 JA AAAA 3835 相手限(※) × 2 画面端まで運送後AAAA〆○ AAA(3hit) JB 66 JA(3hit) JB 66 JA AAA J2B J6C 4047 相手限(※) ○ 2 2回目のJAで端に到達すれば可能 (※) 安定する:早苗・鈴仙・文・レミリア・アリス 非密着で安定:美鈴・小町(?) JBの気紛れ次第では上に挙げたキャラ以外でも成功する場合があります 安定5キャラでも成功率100%にはならない?ver1.10で安定度大幅上昇 遠A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 遠A B 6C 1900 - × 2 Bの当たり方によってダメージが変動× 遠A B 9jc J6A J6B 1945 - ○ 2 B4hitからJ6Aが5hitした場合はその時点で魔方陣Bの当たり方にばらつきが大きいため、保険でJ6Bを入れておく 6A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 6A 古の鉄輪 1712 - × 1 6Aが当たる間合いなら届くが、CHからは不可× 6A J6B 古の鉄輪 2135 - × 2 J6B 鉄輪は最速で、距離が遠いor的が小さいと威力が若干下がるこちらは密着6Aじゃないと鉄輪が届かない L3A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× L3A 9hj JA J8A J6B 1997 - × 1 J6B 鉄輪も可能(ダメージ2553、陣×)× L3A(2hit) 9hj JA J8A JC 66 古の鉄輪 2800強 - ○ 2 L3A(1hit)でも可 魔方陣× ○画面端 近A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× AA 2A LB 大蝦蟇神 2633 密着 × 2 密着以外で始動時と小町、天子には決まらない× AA 6A J6B 古の鉄輪 2647 - × 2 全キャラ安定で確定ダウン× AA 6A JC 大地の湖 2122 - ○ 2 どうしても大地の湖を使いたい人用○ AA 6A J6B J6C 2249 - ○ 2 背の低い妖夢や諏訪子にも安定○ AA 6B J6C 66 JA AAA J2B J6C 3603 小町/天子以外 ○ 4 高難易度 66後のJAは最速だと次のAが決まらない○ AA 6B J6C 66 JA J2B J6C 3154 小町/天子以外 ○ 4 上記コンボの妥協版○ AAA J2B J6C 66 JA J2B J6C 3400 諏訪子・妖夢以外ほぼ立ち食らい限定 ○ 3.5 基本コンボ 高難易度だが安定は可背の低い相手や天子は安定させにくいが、AAAやJAの段数を調節すれば決まる× AAA JB J6C 66 JA JB J6C 3400 諏訪子・妖夢以外ほぼ立ち食らい限定 ○ 3.5 基本コンボ。上のコンボが安定しにくいキャラでも決まる。ラストのJ6Cを大地、鉄輪に変えるとダメージUP○ AAA J2B J6C 66 JA J6A 3223 - ○ 2 基本コンボ 霊力温存タイプ 6A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 6A J6B 古の鉄輪 2178 - × 2 6Aの当たる間合いなら届く× 6A AA 2A LB 大蝦蟇神or古の鉄輪 2565or2707 密着 ○、× 2 6A 着地から近Aで拾う 遠A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 遠A 2A LB 古の鉄輪 2466 - × 2 2Aはディレイをかけて× 遠A B 9hjc J6A(1~4hit) J6B J6C 2000~ - ○ 3 B(4hit) J6A(4hit)からは受身可のため次が決まらない× 遠A 6C J8A 2134 - ○ 1 J8Aのつなぎが難しいがJ8A締めなので有利時間が非常に長い 6C始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 6C 66 J6A J2C 2513 - ○ 2 J6Aは自分より下の相手を拾うように AAA J2B J6C 66 JA(3HIT) JB 66 JA J2B 咲夜限定 3800前後結構安定 失敗しても固め継続になるだけなので、わざと途中で切るのも AAA JB 66 JA AAA~ループ お空 屈食らい限定 完走で5000少し超運ゲー 数十回試して成功するかどうか AAA JB 66 JA AAA~ループ お空 屈食らい限定 上記より成功しやすいがダメージは4500弱運ゲー ただし上記よりはかなり成功しやすい ■空対空■ 〇中央 JA始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× JA J6A J6B J6C ~2190 中央~ ○ 2 hit数によりダメージが変動× JA J8A J6B J6C 2077 端寄り ○ 2 J6A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J6A(4hit) J6B 古の鉄輪 ~1815 - × 2 ダウン確定× J6A(4hit) J6B J6C 1550 - × 2 J6Aのヒット位置によりJ6BをJ2Bに変える J8A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J8A J6C 1446or1556 - × 1 × J8A J6B J6C 2142 端寄り ○ 2 × J8A(本体) J6B 古の鉄輪 2204 - × 2 本体hitからの追撃 ダウン確定 〇画面端 J6A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J6A J2B J6C 1700 - ○ 2 J6Aは5hit× J6A(1~4hit) J6B J6C 66 J6A J6B ~2069 - ○ 3 J6A密着ヒット時用非密着の場合J6Bは不要× J6A(4hit) J6B JC 66 JA(1hit) J8A 古の鉄輪 2589 端 ○ 3 端での結界狩りなどから安定魔方陣 ■空対地■ 〇中央 J6A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J6A J6B J6C 1734 - ○ 2 画面端は位置取りが難しい J8A始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J8A 遠A 6C 約2000 端寄り 1 × J8A J6B 古の鉄輪 2200 2 JB始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× JB 66 J8A J6B J6C 2522 端寄り 3 通常ジャンプの高い位置からJB× JB 66 J2B J6C 2315 3 〇画面端 古の鉄輪始動 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 古の鉄輪 AA 2A LB 古の鉄輪 約3200 × 3 1回目の鉄輪は最低空から着地キャンセルでAAにつなぐ ■梅雨限定古の鉄輪ループコンボ■ rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× L3A L古の鉄輪 下り古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪 6A 4418,4536 - ○ 4 L3A L鉄輪はディレイをかけて補正を切る事× L3A L古の鉄輪 下り古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪 洩矢神 5457,5530 - ○ 4 スペカ〆 ラスト前の鉄輪は最低空で× L3A L古の鉄輪 下り古の鉄輪 洩矢神 4534,4645 - ○ 2 ループ回数を減らして霊力温存× 古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪 6A 古の鉄輪 4000 - ○ 4 AAA 鉄輪などの固めでの低空鉄輪始動 中央では低空鉄輪後裏回るので2回目の鉄輪から逆入力になる× 古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪 洩矢神 4915 - ○ 3 上記コンボのスペカ〆× 古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪 8or9j 上り古の鉄輪 下り古の鉄輪( 諏訪清水) 4569,4863 - ×,○ 5 低空鉄輪始動の魅せコンボ× 古の鉄輪 前歩き 古の鉄輪 洩矢神 4388 - ○ 2 低空鉄輪始動、8or9j 鉄輪が苦手な人へ 中央では前歩きから逆入力× L3A(1hit) L古の鉄輪 下り古の鉄輪 前歩き 古の鉄輪 着地 6A 古の鉄輪 3856 画面端 ○ 4 8or9j 鉄輪が苦手な人へ× L3A L古の鉄輪 下り古の鉄輪 前歩き 古の鉄輪 諏訪清水 4211,4192 - ○ 3 8or9j 鉄輪が苦手な人へ スペカ〆 2コスで大ダメージ× L3A L古の鉄輪 下り鉄輪 6B J6C( 66 J6A) 3538,3460 画面端 ○ 4 ループ1回で低難易度、L3A2hit時はJ6Cで魔法陣 66J6Aはタイミングがシビア× L3A(1hit) L古の鉄輪 下り古の鉄輪 前歩き 古の鉄輪 着地 6B 古の鉄輪 4277 - × 4 6Bは最速 中央では6Bで裏回るため逆入力× L3A L古の鉄輪 下り古の鉄輪 着地 葉乗り 厭い川の翡翠 5000前後 密着 × 2 密着L3A始動後、厭い川(拍手)で掴む 最大で5500dmg程度 ■スペルカード使用■ コスト2 源符「諏訪清水」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足○ AA 6A 諏訪清水 2649 - ○ - × AA B 6C 諏訪清水 3117 端付近 ○ 2 6C後若干のディレイが必要× AAA J2B 諏訪清水 2907 - × 1 強制ダウン× AAA J2B J6C 諏訪清水 3172 端 ○ 2 J6Cを出し切る前にキャンセル× AAAA 諏訪清水 2755 端付近 ○ - 地面に潜る前にキャンセル× AAA JB 66 JA J2B 諏訪清水 3571 中央 相手限 ○ 運送コンボの応用× JA J6A(4hit)orJ8A J6B 諏訪清水 2600 - × 1 JAのhit数が少ないほど安定× J6A(4hit) J6B JC 諏訪清水 2639 端付近 ○ 2 古の鉄輪 AAA(3hit) 古の鉄輪 諏訪清水 約3500 魔法陣低空鉄輪で相手より先に着地し、落下を近Aで拾う 神具「洩矢の鉄の輪」 コスト3 土着神「洩矢神」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× AA B 洩矢神 3273 - ○ 1 完全に端だと不可その場合はAA B 大蝦蟇神 洩矢神で代替可だがキャンセルタイミングが難しい× 遠A 洩矢神 2856 画面端 ○ 0 hit確認可 CHの場合補正切りが狙える× J8A 洩矢神 3401 端付近 ○ 0 hit確認からの補正切り× 大蝦蟇神 洩矢神 2871 画面端 ○ 1 端でのグレイズ狩り等から キャンセルタイミングが難しい× 蛙石神 洩矢神 3180 - ○ 1 どこからでも狙えるが、蛙石神が空中の相手に当たった場合しか繋がらない× D6A 大蝦蟇神 洩矢神 2789 画面端 ○ 1 × D6B(CH) 洩矢神 3511 画面端 ○ 0 ぎりぎりまで引き付けて高ダメージ× D6C 洩矢神 2938 - ○ 0 中央では密着D6C(7hit)までしか繋がらない× 6A(CH) J2C C蛙石神 洩矢神 3257 密着 ○ 2 端が近ければ密着始動でなくてもOK J2Cは当てない 開演「二拝二拍一拝」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足○ AA B 二拝二拍一拝 3156 中央 ○ 1 Bを出し切ってキャンセルしないと繋がらない○ D6C 二拝二拍一拝 2923 中央 ○ - 密着D6Cからは10hitさせないと繋がらない 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× L3A ケロちゃん風雨に負けず 3000~ 画面端 ○ 0 引き付けて補正を切る× J8A(CH) 前歩き ケロちゃん風雨に負けず 3100~ 画面端 ○ 0 同上、引き付けて根元を当てる事 コスト4 源符「厭い川の翡翠」 拍手で掴むコンボ(画面端限定) rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× AA 2A LB 大蝦蟇神 厭い川の翡翠 3500~4000 × 2 相手の体格と掴む位置でダメージが大きく変わる× 遠A(CH) 葉乗り 厭い川の翡翠 4000前後 - × 0 遠Aが出るギリギリの位置でhitさせる× 3A(CH) 葉乗り 厭い川の翡翠 4000前後 - × 0 着地後最速で繋ぐ× J8A 葉乗り 厭い川の翡翠 4000前後 - × 0 AA B J8Aの画面端固めでのヒットからも狙える× LA 厭い川の翡翠 3500前後 - × 0 LA密着hitから可× L3A 厭い川の翡翠 3500前後 - × 0 掴むタイミングが難しいが、密着ならば端背負いでも可ただし、L3Aが2hitすると受身を取られるため決まらない× 古の鉄輪 AA 2A 厭い川の翡翠 4000前後 - × 1 低空鉄輪後、着地キャンセル近Aで拾う× 古の鉄輪 AA 2A 厭い川の翡翠 L3A 古の鉄輪 4200~4700 梅雨限 × 2 天候限定だが狙いやすくダメージが高い DB 大地 厭川 2931ディレイしっかりかける J2A(CH) 大地の湖(スカシ) 厭川 3351位置限定画面端から7ブロック目 J8A(CH) 地上66厭川 4481木の部分を当てる J2C 厭川(確認なし) 3650CHの場合確認する余裕ができる 大地の湖 ディレイ厭川 3308下のほうで掴めばダメージアップ 波を直に当てるコンボ rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J8A(CH) 葉乗り 厭い川の翡翠 4000前後 - × - 低空J8Aから各繋ぎは最速で 蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4535 端寄り ○ 1 以下のコンボが確実に繋がる距離はPractice時端から6番目辺りまでの位置× AA B 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4326 端寄り ○ 2 hit確認は容易だがBを出し切ってから6Cを当てる事× 遠A 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3806 端寄り ○ 1 牽制の主力から hit確認可遠A B 6C 蛙狩とした場合、Bが4hitすると6C時点で魔法陣となるため狙いにくい× J8A(CH) 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4135 端寄り ○ - よほどの高空からのJ8Aでない限り決まる× L3A(CH) 着地 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4350 端以外 ○ - L3Aが2hit時は不可 1hit(CH)であれば中央密着でも決まる× L3A(CH) 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる ~ 3500~ 端、梅雨限 - - 画面端密着以外でL3Aが1hitする距離からCH 蛙狩とした場合に最終段が当たらずバウンドした相手に追撃が狙えるというもの JC 66 鉄輪で約4500受身可× 蛙石神 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4017 梅雨限 ○ 1 梅雨時限定だが、どこからでも安定して決められる× 6A(CH) J2C C蛙石神 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3859 梅雨限 ○ 2 端に近すぎると決まらない 土着神「手長足長さま」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× L3A(CH) 9hj 手長足長さま 4739 - ○ - L3A(1hit)から 中央ではダメージが落ち魔法陣が出ない× JA J8A 手長足長さま 3502 - ○ - J8Aの当たる高度が低いと決まらない× 6A 手長足長さま 3255 密着 ○ - 対空6Aからも決まるがダメージは下がる× 地中間欠泉 手長足長さま 3500前後 - ○ 1 めくり間欠泉からでも決まる hit確認可× L3A LB 8、9hj 手長足長さま 4500前後 - ○ 1 LBはjc用 主に固めL3A LBからのhit確認後最速でhj 手長足長さまへと繋ぐ 土着神「宝永四年の赤蛙」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× AA B 6C 宝永四年の赤蛙 3200前後 位置限 ○ 2 practice端から6番目辺りの距離まで× J8A 宝永四年の赤蛙 3000前後 - ○ - hit確認不可 コスト5 祟り神「赤口(ミシャグチ)さま」 rep コマンド ダメージ 限定 魔方陣 霊力 補足× J2A(CH) 赤口さま 4134 端手前 - - 妖夢、アリス、衣玖は位置がpractice端から3つ目で決まる魔理沙、美鈴は3つ目+ノーマルヒットであれば繋がるが、チルノには決まらない× 遠A(CH) 赤口さま 3828 端、地上hit限定 - - hit確認可能× 遠A(CH) 赤口さま 3828 端、地上hit限定 - - hit確認可能 システムカード使用 AAAA 人魂灯 2400程度 AA 2A B 人魂灯 コンボルート早見表 地上中央 コマンド ダメージ 霊力 魔方陣近A A 6B J6C 2027 2 × 6A J6B 古の鉄輪 2098 JB 66 2100~2500 B 6C 2255 9jc J6B J6C 2617 3 A(3hit) JB 66 JA(3hit) JB 66 JA 近A A A A 3835 2 J2B J6C 4047 ○ 遠A B 6C 1900 × 9jc J6A J6B 1945 ○ 6A 古の鉄輪 1712 1 × J6B 古の鉄輪 2135 2 L3A 9hj JA J8A J6B 1997~ 1 J6B 古の鉄輪 2553~ 2 L3A(2hit) JC 66 2800前後 ○ 画面端 コマンド ダメージ 霊力 魔方陣近A A 6A JC 大地の湖 2122 2 ○ J6B J6C 2249 古の鉄輪 2491 × 2A LB 大蝦蟇神 2633 6B J6C 66 JA J2B J6C 3154 4 ○ 近A A A J2B J6C 3603 A J2B J6C 66 JA J6A 3223 2 J2B J6C 3400 3.5 6A J6B 古の鉄輪 2178 2 × 近A A 2A LB 大蝦蟇神古の鉄輪 25652707 ○× 遠A B 9jc J6A J6B J6C 2000~ 3 ○ 2A LB 古の鉄輪 2466 2 × 6C 66 J6A J2C 2513 3 ○ 空対空 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣JA J8A J6B J6C 2077 画面端 2 ○ J6A 2190 - J8A J6C 1446~1556 1 × J6B J6C 2142 2 ○ 古の鉄輪 2204 本体hit J6A J6B J6C 1700 画面端 J6A(4hit) J6B 1550 - × 古の鉄輪 1815 J6B J6C 66 J6A J6B 2069 画面端 3 ○ JC 66 JA(1hit) J8A 古の鉄輪 2589 空対地 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣J6A J6B J6C 1734 - 2 ○J8A 遠A 6C 約2000 画面端 1 J6B 古の鉄輪 2200 - 2 ×JB 66 J2B J6C 2315 3 J8A J6B J6C 2522 ○古の鉄輪 近A A 2A LB 古の鉄輪 約3200 画面端 × 諏訪清水 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣近A A 6A 諏訪清水 2646 - 0 ○ B 6C 3117 画面端 2 A J2B 2907 - 1 × J2B J6C 3172 画面端 2 ○ JB 66 JA J2B 3571 中央 1 A 2755 画面端 0 JA J6A(4hit) or J8A J6B 2600 - 1 ×J6A(4hit) J6B JC 2639 画面端 2 ○ 洩矢神 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣近A A B 大蝦蟇神 洩矢神 3218 画面端 2 ○ B 3273 - 1 D6A 大蝦蟇神 2789 画面端 大蝦蟇神 2871 遠A 2856 0 D6C 2938 - 蛙石神 3180 1 6A(CH) J2C C蛙石神 3257 密着 2 J8A 3401 画面端 0 D6B(CH) 3511 二拝二拍一拝 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣 D6C 二拝二拍一拝 2923 中央 0 ○近A A B 3156 1 ケロちゃん風雨に負けず コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣 L3A ケロちゃん風雨に負けず 3000~ 画面端 0 ○J8A(CH) 前歩き 3100~ 厭い川の翡翠 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣 LA 厭い川の翡翠 3500前後 画面端 0 × L3A(1hit) 近A A 2A LB 大蝦蟇神 3500~4000 2 遠A(CH) 葉乗り 4000前後 0 6A(CH) J8A J8A(CH) - 古の鉄輪 近A A 2A 画面端 1 厭い川の翡翠 L3A 古の鉄輪 4200~4700 画面端梅雨 2 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣 遠A 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3806 端寄り 1 ○6A(CH) J2C C蛙石神 3859 梅雨 2 蛙石神 4017 1 J8A(CH) 着地 4135 端寄り 0 近A A B 6C 4326 2 L3A(CH) 着地 4350 端以外 0 6C 4535 端寄り 1 L3A(CH) 着地 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる ~ 3500~ 画面端梅雨 - - 手長足長さま コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣 6A 手長足長さま 3255 密着 0 ○ 地中古の間欠泉 3500前後 - 1 JA J8A 3502 0 L3A LB 8or9jc 4500前後 1 L3A(CH) 9hj 4739 0 宝永四年の赤蛙 コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣近A A B 6C 宝永四年の赤蛙 3200前後 端寄り 2 ○ J8A 3000前後 - 0 赤口さま コマンド ダメージ 限定 霊力 魔方陣遠A(CH) 赤口さま 3828 画面端 0 -J2A(CH) 4134 避難所 必要に応じて書き換えてください 基本的にどこでも- B間欠泉(5-6HIT) 66 JA(2HIT) J8A J6C 1900~魔方陣 B間欠泉(5-6HIT) 66 JA(2HIT) J8A J6B B鉄輪 2500~魔方陣 めくりB間欠泉(6HIT) 44 JA(2HIT) J8A B鉄輪 1764~受身不可(紫入らず) めくりB間欠泉(5-6HIT) 44 JA(2HIT) B鉄輪 1695~1886受身不可 めくりB間欠泉(6HIT) 44 JA(2HIT) J8A 1672受身可能 B間欠泉 C間欠泉 ~1836 受身不可 めくり可 相手が高く飛んだときはC間欠泉をちょっと溜めるとフルヒット ※全部画面端か画面端付近、木偶は早苗さん。 AA 6A J6B JC 66 JAorJ6AorJ8A JA魔方陣無し2500、J6A魔方陣2600、J8A(頭)魔方陣2550一番状況が良い。 低空J6A J2B JC 66 JA J2B JC(66 JA・・・) ()内がもし入れば面白いかも。俺では繋げられなかった。 J6AとJAは1HITでキャンセル。チキガ狩りJ6Aから行けるからややもすると。 低空J8A JB透かし 66 JA J2B JC 66 JA 低空J8A後JB透かし JC(1HIT)でも入ったような気がする。最後JA後に何かあれば・・・。 L3A LC 9hj JA J2B JC 66 J6A(orJA 鉄輪) LC高めで当てる。2500魔方陣。鉄輪締めは2700。 L3A LC L66 JA 着地AA 2A L3A 滅多に成功しない。L3A1HITなら難易度が下がる。ダメージ1800。 J8Aカウンター 着地B水蛙神 9jc JA J2B JC 水蛙ヒット 約3200魔方陣。 遠Aカウンター 着地B水蛙神 9jc JA J2B JC 水蛙ヒット 約2500魔方陣。 6Cカウンター B水蛙神 9jc JA J2B JC 水蛙ヒット 約3400魔方陣 6C B水蛙神 9jc JA J2B JC 水蛙神ヒット 約3000魔方陣。 AA B 6C B水蛙神 9jc JA 鉄輪 約3300 相手の位置、上二つは端から一個。残りは端から二個。 ケロちゃんの位置は端から一回地上ダッシュした距離。 つーかB水蛙神が一回目の跳躍で端に届く距離まで。 J6A空vs空ヒット時レシピ 人形は早苗さん ダメージは最大時のもの、()内の数字はヒットさせる回数 J6A J6B JC 66 J6A 2066 霊力2 魔法陣 J6A(4) J6B JC 66 J6A J6B 2298 霊力3 魔法陣 ※完全端の場合66は44で安定 J6A(~4) J6B JC 66 JA(1~2) J2B J6C 2466 霊力4 魔法陣 ※JC,J2Bのヒット数によって非魔法陣に J6A(~4) J6B JC 66 JA(1) J2B JC 鉄輪 2811 霊力5 魔法陣 ※同様 鉄輪はスキカ宣言でも可 ◆参考 J6A J6B J6C 1734 霊力2 魔法陣 J6A(4) J6B J6C 66 J6A 2099 霊力2 魔法陣 また、遠A B 8hj J6A(~4) J6B JC 66 J6Aでダメ2500ほど+魔法陣を確認 JC 66 JAは繋がるけどその後は鉄輪以外繋がらない? 遠A始動は適当にしか調べてないから工夫すれば繋がるかも 木(D6BやJ8Aなど) J6B J6Cでダメ2000弱+魔法陣 霊力2 よっぽど変な当たり方しない限り魔法陣でるしコマンドも超簡単 始動技も木以外に遠A、J2Aなどでもいけるので非常に狙い易い コメント欄 新しいコンボ発見したけどwiki編集ができない方などはこちらへどうぞ DB - 名無しさん 2009-10-29 16 44 07 ごめん誤爆した。 DB B大地の湖>C間欠泉 が画面端魔法陣。湖まではどこでも入ると思う。安いけどDB引っかけた時に - 名無しさん 2009-10-29 16 46 00 C間欠泉の変わりに追加湖か厭い川も入る。 - 名無しさん 2009-10-29 17 03 19 よく見たら小さくかいてあったようで。すみませんでした - 名無しさん 2009-10-29 17 06 47 名前
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降りしきる雨の中、ありすはただ闇雲に歩き続ける。 土砂降りと言っても差し支えないその雨量は、既にありすの身体を溶かし始めている。 だがありすは止まらなかった。ただ前へ、それこそ亡霊のような足取りで前へと進む。 上空に広がる雨雲は、それはまるでありすの心情を表現したような暗さだった。 いや、それすらもまだ生ぬるいだろう。 今ありすの胸中には、例えようの無い悲しみと絶望だけが渦巻いている。 いや、違った。 悲しみと絶望と、そして疑問が渦巻いている。 何故、こんな事になったのかと。どうして、こんな事になってしまったのかと。 何故、まりさはありすを捨てたのだ。ありすはとても幸せだったはずなのに、何故。 何故、まりさはあのれいむと番になっているのだ。まりさの妻はありすだったはずなのに、何故。 何故、まりさと出会ってしまったのだ。出会わなければ、こんな思いをすることも無かったのに、何故。 何故、何故、何故・・・・・・。 疑問は尽きることは無い。雨に打たれながら、ありすは自問を続けている。 そして、ふと思った。 まりさが妬ましい。ありすを捨てたあのまりさが妬ましい。 れいむが妬ましい。ありすからまりさを奪ったあのれいむが妬ましい。 尽きぬ疑問を溶かすように火が灯った嫉妬は、一気に燃え広がる。 そうだ。妬ましいのだ。あの二匹が。ありすを置いて、幸せそうに暮らしているあの二匹が。 悲しみも、絶望も、溶かしつくされ、燃やし尽くされていく。 最早ありすの心にただ在るのは、嫉妬という名の炎、いや業火。 止まることの無かった涙が、その色を変えていく。 紅い。まるで血涙。一体饅頭であるその身体の何処にこんな紅さを持っていたのか。 あるいはこれこそが憎しみの色なのだろうか。 降りしきる雨の中、ありすは歩き続ける。 その瞳の中は確固たる意思に彩られ、身体を融かす雨をすら意にも介さないとばかりに進んでいく。 意思の名は嫉妬。その瞳を焦がす憎しみの炎は、どうしようもないほどに美しく深い翠色だった。 今、ありすの目の前には飼い主である男が立っている。 彼が差した傘によって雨は遮られ、もうありすの肌を濡らす事は無い。 しかし、遅かった。最早ありすの身体は崩れかけ、命の炎は尽きようとしている。 「・・・・・・ありす・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・おにいさん」 悲しみを湛えた表情でありすを見下ろす男に、ありすは話しかける。 微かな声。雨にこそぎ取られたように、ありすの声は小さく、弱弱しかった。 だが、それでも。 それでもありすの声は、しっかりとした意思を持って男に伝わる。 まるで、憎しみによって命を繋いでいるかのように。 「おにいさん・・・・・・ありすは"おに"になりたいわ・・・・・!」 その声は雨音に遮られても尚、辺り一面に響き渡る。 地獄の底から響いてくる亡者の声のように。悲しみに哭く鬼のように。 「そして・・・・・・あのねたましいれいむを・・・・・・まりさを・・・・・・!!」 既に半壊であるはずの身体から、何処にそんな力があったのかと思わせるほどの声が響く。 その目から流れるのは赤々とした、いやそれすら生ぬるいと言えるほどの真紅。 「・・・・・・無理だ。お前は死に掛けている。もう何処にもそんな力は残されていない」 「むりじゃないわ・・・・・・!!ありすは・・・・・・たとえしんだってまりさたちを・・・・・・!!」 断ずる男の言葉に、ありすは怨嗟の声をぶつける。 無理だなんだと理屈で測れるほどありすの憎しみは弱くなかった。 「ぜったいに・・・・・・!!ぜったいに、ありすは・・・・・・!!ありすは・・・・・・!!」 「・・・・・・・・・・・・」 「ありすは・・・・・・・!!まりさを・・・・・・!!れいむを・・・・・・!!」 「・・・・・・・・・・・・本当に、いいのか?」 ぽつり、と。 そう男は漏らす。 まるで、ありすの復讐を助けることが出来るかのように。 「本当に、例え死んでも、いやそれ以上に酷い結果が待ち受けていたとしても、お前はそれを望むのか?」 「・・・・・・もちろんよ・・・・・!!ありすが・・・・・・どうなろうとも・・・・・・かまわないわ・・・・・・!!」 「・・・・・・そうか」 いくら言ったところでありすの憎しみを燃え滾らせると解っていながら、それでも男はありすに尋ねた。 決して後悔しない様に。ありすも、そして自分自身も。 「聞け、ありす。お前の身体は水を吸いすぎた」 「・・・・・・そう」 「もう俺にも処置不可能なくらいに、お前の身体は壊れている。このままだと、お前はいずれ死ぬ」 「・・・・・・そう」 お互い淡々と事実を話し、そして聞く。 ありすには死ぬつもりなど一切無い。まだやらなくてはならない事があるから。 そして男も、このままありすを死なせるつもりも無かった。 「だけどな、ありす。もしかしたらお前を助ける方法があるかもしれない」 「・・・・・・そのほうほうって?」 「これだ、ありす。この強化薬がある」 そう言って懐からアンプルを取り出す男。 ガラス容器の中には、深緑の液体が保管されている。 「この薬はお前の身体能力を上昇させる効果がある。勿論、耐水性能もだ」 「・・・・・・・・・」 「この薬を使えばお前は助かって、そしてまりさたちに復讐する力を得られる、かもしれない」 「・・・・・・・・・」 「いいか、あくまで可能性だぞ。助かるという保証は何処にも無い。それに・・・・・・」 そう説明し、言いよどむ男。 ありすは喋らず淡々と男の話を聞き続けている。 「・・・・・・この薬には副作用がある、らしい。被験者をバケモノに変えてしまう」 「・・・・・・・・・」 「元の姿に戻ることも出来なくなる。もし助かっても一生バケモノの姿のままなんだ」 「・・・・・・・・・」 「だから、ありす。本当にいいんだな?本当にバケモノになってまで復讐をする覚悟が・・・・・・」 「・・・・・・・・・ふふっ」 唐突に、ありすは哂った。 思わず言葉を呑む男。今度は、ありすが話し始める番だった。 「ふふふっ・・・・・・やだわ、おにいさん。あったんじゃない、そんないいものが」 「・・・・・・・・・」 「おにいさんもひとがわるいわ・・・・・・はじめからそれをだしてくれればよかったのに」 「・・・・・・・・・」 滲み出る狂気をそのままに、ありすは哂っている。 血涙を流しながら哂うその姿は、ひどく物悲しく、そして恐ろしい。 「ねぇ、おにいさん。ありすは"おに"になりたいっていったでしょう?」 「ふくさよう?ばけもの?べつにいいじゃない。そんなのやすいものだわ。むしろ、のぞみどおりかも」 「まりさたちにうらみをはらせるのに、なんでそんなことをきにするの?」 滔滔と話すありすに、男は薄ら寒いものを感じていた。 最早このありすは男が知っているかつての優しいありすではない。 憎しみに取り付かれた一匹の怪物がいるだけだ。 「さぁおにいさん。それをはやくありすにちょうだい」 「・・・・・・・・・」 「なにしてるの?それがあればまりさたちにうらみがはらせるのよ?」 「・・・・・・・・・」 「ねぇ、おねがいよ。はやくそれをくれないとありすしんじゃうかも・・・・・・」 「・・・・・・・・・解ったよ」 男はアンプルの頭を折り、ありすに薬を飲ませた。 緑色の液体をごくごくと嚥下してゆくありす。 その表情は陶然としている。まるで美酒を飲んでいるかのように。 「ん、ふぅ・・・・・・おいしかったわ、おにいさん」 「・・・・・・・・・」 「ん、ふふ・・・・・・これで・・・・・・これでまりさたちに・・・・・・っ!?」 恍惚の表情でそう言ったありすの身体が、ごぼりと泡立つ。 早くも薬の効果は出始めていた。ありすの肉体が変質を起こそうとしている。 「・・・・・・っ!ふふ・・・・・・ふふふ・・・・・・!あははははっ・・・・・・!!」 だがそんな身体の事など眼中に無いかのように、ありすは笑い始める。 その声には紛れも無い歓喜が含まれていた。 「これでっ・・・・・・!!これでありすをすてたまりさに・・・・・・!」 「あのにくいれいむにうらみをはらせるっ・・・・・・!!」 「あは・・・あはははは・・・・・・あはははははははははははははっはっははっっっ!!!!!!!」 男は、ただありすを見つめ続ける。 覆水は盆に帰らない。 まりさがありすを裏切ったことも、男がありすを変えてしまったことも、もう元には戻せないのだ。 「あはははhはははハハハハハハhあはあハハハあああgはgはがアアアハハハああああハハハハハハっっっっ!!!!!」 降りしきる雨の中、ありすの哄笑とも狂笑ともつかない声が木霊する。 これは産声。 心に育んだ怨念の卵から、遂に殻を破って現れた鬼の声だった。 ありすのお腹にいたはずの赤ちゃん。 憎しみに囚われたありすにその鼓動はもう聞こえなかった。 それから二十一日の時が過ぎ――――― 今、まりさは暗い森の中を全力疾走している。 何故全力疾走しているかって? 決まっている。逃げているのだ。 まりさは幸せだった。 まりさには妻がいた。綺麗なれいむ。まりさの最愛の妻だ。 まりさには子供がいた。赤れいむが3に、赤まりさが2。皆親に似て優しく、そして勇敢な子供達だ。 朝起きて挨拶とすりすりをして、狩りをして皆でむーしゃむーしゃする。 まりさの狩りの腕は一級品で、今まで家族を飢えさせたことなど一度も無い。 皆が満腹になるまで食べて、それでしあわせーっと言ってご飯は終了する。 狩をしない時には皆でお散歩にいく。 森の中にあるいろんな物を見て、そしてとてもゆっくりするのだ。 捕食者に襲われても大丈夫。まりさは何度もれみりゃを撃退した事だってある。 そうして家に帰り、またむーしゃむーしゃとご飯を食べて、みんなで寄り添いあって眠る。 ゆっくりとしてはこの上ない幸せ。 それもこれもまりさが優秀だからだ。 だが、そんな幸せは壊された。 とっぷり日も暮れたある晩のこと、そいつは現れた。 まりさが知恵を絞って組み上げた扉。 れみりゃやふらんの体当たりにもびくともしないはずの堅牢な入り口が、それこそ木っ端のように粉砕された。 突然の轟音にまりさたちが驚いている隙に、そいつは巣の奥まで入り込んできた。 あっという間にまりさたちの目の前に肉薄してきたそいつは、赤れいむを一瞬で掴み上げる。 「ゆっ、おちょらをとんでるみちゃぶ!!!!」 感嘆の声を上げようとした赤れいむを、最後まで言い切らせずにそいつは握り潰す。 入り口が破られてから僅か5秒の惨劇に、誰もがその事態を認識できない。 「ぼびょえ゛!!」 「ぷぇ゛!!!」 「ゆ゛びぃ!!!」 「ばびょっ!!!」 目にも留まらぬスピードで次々と残りの赤ゆっくりを握り潰してゆくそいつ。 まりさとれいむがそのことにようやく気付いたのはそれから3秒後のことだった。 「ゆ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!おぢびぢゃんだぢをごろじだふらんはゆっぐりじねええぇぇぇ!!!」 そういって飛び掛るれいむを、そいつのアッパーカットが出迎えた。 底部から脳天まで一気に突き抜けた拳は、天井に餡子の花を咲かす。 違う。そいつはふらんじゃない。まりさは震えながらそう思う。 れいむはそいつのことをふらんと呼んだ。なるほど確かに胴体を具えた金髪のゆっくりはふらんに見えるだろう。 だが違う。そいつにはふらん特有のあの宝石のような羽が無い。そもそも羽と見受けられるようなものが無い。 服装も違う。赤を基調としたふらんと比べて、そいつの服は黒や、茶、青だ。れみりゃでもない。 そして金髪から覗く人間の耳を尖らせたようなもの。 いや、そんなことではない。 服の違いなど些細なことだ。羽の有無などどうでもいいことだ。耳なんてあっても無くても変わらない。 それより重要なのは―――まるで魂を蝕むようなほど美しい、その瞳だ。 そいつは巣に入ってきた時からずっとまりさとだけ目を合わせ続けていた。 闇から覗く深緑の双眸。 飲み込まれそうなほど深いその瞳に、まりさは動くことすら忘れて爛々と光るそいつの目を見続けていた。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 魂を震わせるようなれいむの絶叫に、まりさははっと気付く。 このままここにいれば殺される。 れいむはまだ息があるが、その次はまりさだ。 そう思った次の瞬間には、まりさは巣の外へ向けて走り出していた。 逃げ出せるのは今しかない。このチャンスを逃したら、自分に待つのは死だけだ。 既にれいむや赤ちゃんのことなどどうでも良かった。大切なのは、自分が生き延びる、ただそれだけ。 そいつは動かない。 今だ絶叫をあげ続けるれいむを解体し、まりさを追うそぶりすら見せなかった。 だが、見続けている。 そいつは―――その怪物は、昏く光る2つの緑眼をまりさに向け続けていた。 逃げるまりさもまた、その背中に視線を感じている。 ふとまりさはその双眸に、一瞬だけ既視感を覚えていた。 月の光だけを頼りに、まりさは夜の闇を全力疾走する。 とにかく離れなければ。あそこから少しでも。 夜に徘徊する捕食種のことは思い浮かばなかった。 張り出した木の根を飛び越え、低い木の葉を潜りながらまりさは考える。 一体あれは何者だ。あんなゆっくりは初めて見る。 確かにあれはゆっくりだ。だが、まりさが今まで一度も見たことが無いゆっくりなど限られてくる。 ふらんすら破れないはずの入り口をあそこまで容易く粉砕するそのパワー。 一瞬で肉薄し、5匹の赤ゆっくりをあっという間に握りつぶしてのけるそのスピード。 どれをとっても尋常ではない。通常の捕食種を遥かに超えている。 そして何より不可解なのは、あの怪物はまりさたちを食べるそぶりすら見せなかったことだ。 捕食種ならば食べるために巣を襲い、まりさたちを食うだろう。それは解る。 だが、あの怪物は違った。まるで、まりさたちを殺すことそのものを目的としているかのような・・・・・・・。 急に、視界が開けた。 まりさは森を抜けたのだ。 遠くには人家の光がある。 ああ、あれはあの農場を経営している人間のおうちだ。まりさは安堵する。 とにかく一旦人間の家へと逃げ込もう。 あれからしばらく時間が経っているが、まぁいい、どうせ大丈夫だろう。なんと言ってもまりさはありすの夫なのだ。 きつい労働も、今の危険に比べれば屁のようなものだ。やはり作っておくべきは現地妻だ。 そんなことを思いながら、まりさは農場へ向かうため小川にかけられた橋へと急ぐ。 そして、止まる。 月の光を受けてより一層目立つ翠の目。 橋の上にはあの緑眼の怪物が立っていた。 振り返り逃げ出そうとする暇も無く、怪物はまりさを掴みあげる。 逃げられない。どれだけもがこうとも怪物の指はがっちりとまりさの後頭部に食い込んでいる。 そしてそのまま持ち上げられる。足場をなくし、力なく宙を蹴る底部。 「ゆっ・・・ゆああああぁぁっ!!ゆひゃあああああああああああああああ!!!!」 それでも恐慌に陥ったまりさはじたばたと足掻く。 逃げないと殺される。れいむの様に。赤ちゃん達の様に。 しーしーを垂れ流しながら、みっともなく暴れまわる。 そんなまりさを哀れむかのように、クスリ・・・と小さく笑う声。 その声の主は、間違いない。今まりさの後ろにいる、あの怪物だ。 「どうしたの、まりさ・・・・・・?そんなにおびえちゃって・・・・・・」 初めて怪物が口を開いた。 あの惨劇を招いた張本人とは思えないほど、優しく、憐憫に満ちた声。 まるで夜闇を恐れる子供を慰めるかのような、慈母の響き。 「ゆああああああああああああ!!!たずけでぐだざいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさの行動は早かった。 言葉が通じる相手だとわかると、途端に命乞いを始める。 「たすける・・・・・・?もしかしてまりさはだれかにいじめられてるの?こわいわねぇ」 まるで他人事のように、その怪物は嘯く。 まりさの命を握っているとは思えない、軽い口調。いや、命を握っているからこそなのだろうか。 「はなじでぐだざいいいいいいいいいい!!まりざもうおうぢがえるううううううううう!!」 またも恐慌に陥り、暴れだすまりさ。 思わず口をついて出てしまった言葉に、怪物は反応した。 「おうち・・・・・・?おうちって、あのもりのなかにあったあなのことよね?」 「はいいいいいいいい!!ぞうでずうううううううううううう!!!」 一も二も無く肯定するまりさ。 ここでこの怪物の機嫌を損ねることだけは遠慮したかった。 「すてきよねぇ・・・・・・あんなおうち。わたしもいっかいすんでみたいわ。 あ、でもいまはあかちゃんのざんがいとか、れいむのなかみとかでたいへんなことになってるでしょうけど。 こわいわぁ。いったいだれがやったのかしら?」 ペラペラと怪物は喋りだす。 自分で引き起こした惨劇すら、他人事のように語る怪物にまりさはより一層恐怖を募らせる。 「あ、そうだ。ねぇまりさ。れいむからあなたに、おみやげがあるそうよ」 べちゃり。 まりさの顔に掛けられた濡れた何か。 まりさはそれを良く見ようとして・・・・・・そして。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」 絶叫を上げた。 今、まりさに掛かっているものの正体はれいむの死骸。 中身を全て取り除かれたれいむのデスマスクが、恨めしげにまりさを睨み付けている。 「すてきよねぇ・・・・・・おくさんからのおみやげでしょ?きっととってもいいものにちがいないわ、ねぇまりさ?」 「そっ、そうでずうううううううううううううううううう!!!」 絶叫を聞いていなかったかのような怪物の問いかけに、まりさは必死で理性を繋ぎとめながら答える。 今答えなければ殺される。まりさの本能がそう叫んでいた。 「あら?もしかしてきにいらない?じゃあしょうがないわね、すてちゃいましょう」 デスマスクを引っぺがし、そのまま地面に放り捨てる。 ズタズタになったれいむの残骸を、更に踏みつけ壊してゆく怪物。 「さぁきれいになった。やっぱりまりさにはれいむなんてにあわないわよねぇ?」 「はいいいいいいいいいいい!!!そうでず!!れいむはくずでず!!」 「いいへんじね、まりさ。やっぱりまりさはそうおもってたのね」 抑揚も軽やかに、怪物は続ける。 「ちょっとまえにね、まりさたちのかぞくをみにいったことがあるのよ、わたし」 「しあわせそうでねぇ・・・・・・なかもよさそうで。りそうのかぞくってかんじ?」 「ほーんと・・・・・・妬ましかったわぁ♪」 まりさには解る。 この怪物の楽しげな声、その薄皮を一枚めくれば、そこには殺意の牙が並んでいることを。 「ところでまりさ。まりさはいったいどこへいこうとしてたの?きになるわねぇ」 「はいいぃ!!にんげんざんのおうちへいごうどじでまじだぁ!!!」 「まぁ、にんげんさんのおうちへ?」 全ての問いに即座に答えるまりさ。 それを受けて、怪物は驚いたような声を出す。 「まりさはもりのゆっくりでしょう?にんげんさんのちかくにいったら、あぶないわよぉ」 「まりざはがいゆっぐりでじだ!!だがら・・・たぶん、だいじょうぶでずぅ!」 「まぁ、かいゆっくり?すごいのねぇ」 また驚いたような声を出す怪物。 あくまで驚いた「ような」であって、本当に驚いているわけではないのは明白だった。 「なんでかいゆっくりのまりささまがこんなへんぴなもりであぶらをうってたの?ねぇ、おしえてよ」 「はい゛ぃ!!まりざはもりのゆっくりでじだけど、かいゆっぐりのありずどけっごんじだんでず!! でも、そこのせいがつがぐるじぐなっでにげだじだんでず!ぞれがら、まりざはもりにもどっででいぶど・・・・・・」 「ああ、いいのよそこまでしゃべらなくて。わたしがききたいのはそこじゃないから」 「はい゛ぃ!!」 キリリ、とまりさに食い込む指の力が増した、気がする。 迂闊なことを言えば死ぬ。再度そのことを確認するまりさ。 「ふぅ~ん。せいかつがくるしくなってにげた・・・・・・。あのていどで?ちょっとやわねぇ、まりさ。 ま、そんなことより、まりさ。 ねぇ、まりさ。まりさにはおくさんのありすがいたんでしょ?」 「はいぃ!そうでずうううぅぅぅl!!!」 「ね、まりさ。まりさはそのありすとれいむ、どっちがすきなの?」 「ゆぅっ!?」 突然わけの分からない質問に、初めてまりさは言いよどむ。 そんなまりさを見て、怪物の気配に苛立ちが生じた。 「・・・・・・どうしたの、まりさ?もっとぱっときめてくれなきゃ、ありすがかなしむでしょ? それとももしかして、まりさはれいむのほうがすきだったり・・・・・・するのかしら?」 「ちがいばず!!ばりざはあでぃずがだいずぎでず!!!でいぶなんでごびぐずでず!!!」 今度は明らかに指の力が増した。 弾かれるようにまりさは答える。 「・・・・・・そうよねぇ~♪やっぱりまりさにはありすがおにあいよねぇ~♪」 「はい!!ぞうでず!!」 一体何の話をしているのだろう? まりさは疑問に思う。今のこの状況と、まりさの好みとどう関係があるのだ。 「それにしてもまりさったらひどいゆっくりよねぇ。ありすのおなかにはあかちゃんがいたのよ? それをほっといてほかのおんなをつくるなんて・・・・・・まったくつみつくりだわ、妬ましい」 何故知っている。 何故ありすが妊娠したことを、この怪物は知っているのだ。 「・・・・・・ねぇ、ところでまりさ?わたしのこと、みおぼえはないかしら?」 「ゆ゛ぁ゛っ!?」 またも理解不能の質問。 あちらはともかく、まりさは今日初めてこの怪物を見たのだ。 思わず口をつむぐ。 「・・・・・・あら?わからない?まぁそもそもまりさはあっちのほうむいてるからね。わからなくてもむりはないわ」 「でもしょっくねぇ。もしかしたらこえだけでもいけるとおもってたのに」 「まぁやっぱりこえもちょっとかわっているし?それもしょうがないか」 変わっている? もしかしてまりさは、この怪物に以前出会ったことがある? 解らない。一体誰だ。 くるりと、まりさの向きが変わる。 怪物と一緒の方向を見る向きから、怪物と見合う体勢へ。 月の光が、まりさと怪物を照らしだす。 そしてまりさは、声にならない絶叫をあげた。 美しい。 緑眼を擁したその顔は途方も無く美しく・・・・・・そして餡子に濡れていた。 れいむの中身だったもの。怪物は血化粧ならぬ餡化粧を施したその顔で笑いかける。 「どう?まりさ、これでわかったんじゃない?」 「ゆわわ・・・・・・ゆわわ・・・わ・・・・・・」 再びしーしーを漏らす。 そんなことすら意に介さぬ怪物は笑顔を作り、まりさを見つめ続ける。 いや、笑顔ではない。深い翠を湛えたその瞳だけは、欠片も笑っていない。 「あらぁ・・・・・・?これでもわからないの・・・・・・?まったくにぶちんさんね、まりさ」 「じゃあしょうがないわね、ここでだいひんとぉ」 「ちゃんとあててくれなきゃ、おこっちゃうわよ、まりさ?」 奈落よりも深いその眼に吸い込まれるような錯覚を覚える。 「『ゆ?まりさ?』」 「『ゆっ、いいわよ、まりさ。そんなにがんばらなくても』」 突如、何かを言い始めた怪物。 これがヒント?一体何がヒントだというのだ。 ・・・・・・いや、待てよ。この言葉、どこかで・・・・・・ 「『でも、まりさ・・・。まりさ、つかれてるじゃない。いいからきょうはやすんで・・・・・・』」 「『わ、わかったわよ、まりさ・・・・・・』」 ・・・・・・そうだ。 この言葉は、農場を出る際に交わした会話だ。 この会話を知っているのは、まりさを除いてこの世にただ一匹だけのはず。 「『う・・・うん!まりさ、きたいしてまってるわね!』」 「『ゆ?・・・ゆゆ・・・♪』」 信じたくない。 だが、この怪物は『大ヒント』と称してこの片割れの会話を繰り広げている。 それが意味する者は一体何か。 つまり、この怪物は一体誰なのか。 「あっ、あっ、あっ、あでぃずううううううううううううううううううう!!!?」 「『わかったわ、まりさ!がんばってね!』・・・・・・だいせいかい。ここまでしないとわからないなんて、妬ましいわ」 「なっ、なっ、なんでええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」 「なんでって、きまってるじゃない。あなたにあうためよ、まりさ」 そして昏く哂う、怪物、いや、ありす、だったもの。 今この瞬間も双眸はまりさを捉えて離さない 「ねぇまりさ、あなたはれいむよりありすのほうがすきっていってくれたわよね?」 「ゆうぅっ!!?」 「そうよね?まりさ」 「はい゛ぃ!!そうでずうぅ!!」 「それじゃあこのよでいちばんあいしているのはありすってことになるわよね?ねぇ、まりさ」 「はい゛っ、はい゛っ!!ぞのどおりでずううううううぅぅぅ!!!」 最早頷くことしか出来ないまりさ。 事態は理解の範疇を軽く超えている。 「よかった!じゃあ、ねぇまりさ。このよでいちばんあいしてるありすのおねがい、きいてくれる?」 「きぎまず!!きぎまずがら、だずけでぐだざいいいいいいいいぃぃぃ!!!!」 「ああ、それがききたかったわ、まりさ。それじゃあね、まりさ。ありすのおねがい・・・・・・」 「いま、ここで、しんでくれない?」 「・・・・・・ゆ?」 「ああ、ころすのはわたしがやってあげるわ。だいじょうぶ、ただすごくいたくてくるしいだけよ」 「ゆあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」 今度こそ恐慌に陥り、死ぬほどの力を振り絞って逃げようとするまりさ。 怪物は少し指に力を込める。 それだけで、まりさは逃げ出すことはおろか動くこともままならなくなった。 「ねぇ、どうしたの、まりさ?もしかして、しにたくないの?」 「いやじゃああああああああああ!!!!!しにだくないいいいいいいいいいいい!!!!!」 「だめよ、まりさ。『ありすのおねがいをきく』って、いっちゃったじゃない」 涼やかな顔をして、まりさに死刑宣告を告げる怪物。 その眼に宿る狂気は本物だ。まりさが死ぬことをなんとも思っていない、そんな瞳。 「だいじょうぶよ、まりさ。あのときのわたしにくらべたら、たいしてくるしくなんてないかもよ?」 「・・・・・・ゆぅっ!?」 そっと空いていた片腕を上げ、まりさの顔を撫で始める。 柔らかな指先は頬をなぞり、唇をなぞり、瞼をなぞり・・・・・・そして左の眼窩に突き入れられた。 「ゆっぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 月夜にまりさの絶叫が木霊する。 そんなことに構いもせずに、怪物はまりさの眼球を撫でるように指をかき回し始めた。 「ゆ゛あ゛っ!!いだい、いだいいいぃぃ!!!ぬいでえええええぇぇぇ!!!ぬいでえええぇぇぇぁぁぁぁあ!!!」 きゅぽん、と気の抜ける音。 怪物の指は引き抜かれた。ただし、まりさの眼球を伴って。 おそらくは視神経であろうひも状の物体に指を絡ませながら、怪物は陶然と呟く。 「まりさのおめめ・・・・・・きれいよね。妬ましいわ・・・・・・はむっ」 そのまま一口に、怪物はまりさの目玉を口に含んだ。 口の中でころころと転がし、涙と付着した餡子を味わう。 ぶちゅり。 口の中で、眼球を噛み砕く音。 漏れ出るシロップを嚥下し、残った眼球も咀嚼し、ゆっくりと飲み込んでゆく。 「んん・・・・・・おいしいわ・・・・・・まりさの」 妖艶な魅力を振りまき、そう言ってのける怪物。 まりさの残された右目には、最早それは死神か鬼かにしか映らない。 そして怪物が次に狙うのは、まりさの唇。 「んっ・・・・・・んふぁ・・・・・・あふ・・・・・・」 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!?ん゛ゥーッ!!!」 抵抗できないようにまりさの口をこじ開け、そこに己の舌を滑り込ませる。 まりさの口内を蹂躙してゆく怪物の舌。 皮肉にも自分の眼球の味は、どうしようもなく甘かった。 「んっ・・・・・・ふッ」 ぶちり。 「・・・・・・ッ!!!~~~~ぎゃああああああああっ!!!」 二人が離れる際、怪物はまりさの唇を噛み千切っていた。 艶やかな怪物の唇の奥で、まりさの唇は咀嚼され、また飲み込まれてゆく。 「・・・・・・んふ。やっぱりまりさはおいしいわぁ。おもったとおり、妬ましい」 「でもまだまだおわりじゃないわよ?まだまだまりさをあじわいたいもの」 「さぁ、がんばってね、まりさ。そしてわたしに、そのひめいをもっときかせて」 髪を抜かれた。 麺を啜るようにして、怪物はまりさの髪を食べてゆく。 まりさは絶叫する。 頬を剥がされた。 少しずつ味わうように、怪物はまりさの頬を噛み切っていく。 剥がされた頬からまりさの絶叫が迸る。 舌を抜かれた。 一気にむしゃぶりつき、怪物は勢いよくまりさの舌を飲み込んでゆく。 声にならない絶叫のような音をまりさは発する。 そして、今。 最早まりさに声を出す気力など存在していなかった。 襤褸雑巾ですらここまではないと言うほどに、まりさは嬲られ、消耗している。 「・・・・・・そろそろおしまいかしら?とてもたのしかったわ、まりさ」 怪物がそう呼びかける。 開かれたまりさの右目はただ震えてその深緑の双眸を見つめるだけ。 「・・・・・・ねぇ、まりさ。あなたがわたしをおいていかなければ、こんなことにはならなかったのに」 まりさは答えない。 そんな体力はまりさには無い。いや、それは問題ではない。それより大切なことがある。 まりさの心は既に死んでいた。答えられるわけが無い。 「あなたはこうかいしてる?わたしはこうかいしてないわ、まりさ」 怪物は両の手を使ってまりさを掻き抱く。 その胸に抱きこまれたまりさの左眼窩から、餡子がほとばしる。 「だって、こんなけつまつをむかえられたんですもの。これでまりさはわたしのもの。だれにもわたさない」 両の手に込められた力が強くなってゆく。 傷だらけの顔面を胸に押し付けられたまりさは、徐々に歪に変形してゆく。 「これであなたとわたしはひとつになるの。・・・・・・さようなら、まりさ。愛していたわ」 直後。 行き場を失った餡子が、まりさと言う風船を割って、弾けた。 降り注ぐ餡子を受け止める怪物の表情は、恍惚そのもの。 恐らくは絶頂すらも経験しているのではないだろうか。 やがて餡子の雨が止んだとき、そこにいるのは美しく、そして哀れな一匹の鬼だった。 「・・・・・・ふ、ふふ。ふふふ・・・・・・うふふふふ・・・・・・」 何処からとも無く聞こえてくる声。 鬼の口から漏れ出るそれは、地獄の響きにも、乙女の唄にも似ていた。 「ふ、はは・・・・・・あはは・・・・・・!あははははは・・・・・・っ!!」 止まらない。 哄笑は止まらない。 月夜の橋の上で、鬼は一人、孤独に、優雅に、そして悲しく哂う。 「あはははははははははは・・・・・・っ!!!!!あははははははははははははははははっ!!!」 この世の中で真に恐ろしいものとは一体なんだろうか。 類稀なる力を持った鬼?違う。 夜の闇を乗り越え忍び寄ってくる妖怪?それも違う。 覚えておくといい。それは、嫉妬だ。 「嫉妬は緑色の眼をした怪物で、人の心を餌食にして弄ぶのです」と、とある劇作家は書いたそうだ。 橋の上で哂うこの鬼もまた、最も恐ろしい怪物にその心を喰われた者に過ぎない。 「あはははhはははハハハハハハhあはあハハハあああgはgはがアアアハハハああああハハハハハハっっっっ!!!!!」 ふと、鬼の頬に一筋の血涙が流れた。 その理由を鬼は知らない。 ただ哂いながら哭くその鬼は、酷く滑稽にも、悲しくも、そして美しくも見えた。 「実験はほぼ成功だよ。 完全な四肢の形成、知能の異常な上昇、そして変異は最小限・・・と。 ここまで変質が良い方向に発揮された例は初めて見るよ。まさに奇跡といっても良い」 「・・・・・・・・・」 「できれば継承個体として彼女の子供を調べてみたかったんだが、それは無理なようだね。 我が子を取り込んだと言うのもこの事例の面白いところだよ・・・・・・あるいはそれこそが重要なのかな」 「・・・・・・・・・」 「残念ながら変質のメカニズムは最後まで解らなかったが、今回の結果で一つ言える事がある。 この薬も、使いようによってはあのような進化とも言えるものを促すと言うことだ。 今後は成分を徹底的に調査し、変質の安定化を計ることにしよう」 「・・・・・・正直、後悔している」 「あのありす、いや、今となってはあの外見はどう見てもぱるすぃ・・・・・・の事かい? 君が気にする必要はないと思うよ。彼女は彼女なりに目的を果たしたんだ」 「・・・・・・悪いが、俺はお前の事を嫌いになりそうだよ」 「それは困る。僕はキミの事が好きなのでね。キミに嫌われたら悲しくて死んでしまうかもしれない。 大丈夫だよ。彼女にはキミや、他のゆっくり達がついている。彼女が道を踏み外しそうなら、キミ達が導いてあげれば良い。 ・・・・・・それに、なんとなく彼女の気持ちもわかるんだよ。僕も一応女だからね」 「・・・・・・わかるとは、何が?」 「自分を捨てられた悲しみ。そして捨てた相手が幸せになっていることへの嫉妬。ああなっても不思議じゃない。 ・・・・・・柄にもないと思うかい?研究の事しか頭に無い僕が、色恋を語るだなんて」 「・・・・・・いや、思わない。・・・少しだけすっきりした、ありがとう」 「どういたしまして。・・・・・・ところで報告を見る限り、まるで宇治の橋姫伝説を再現しているようだね」 「・・・・・・お前はまたそういう事を言う。少しは俺に気を遣ってくれ」 「いや、すまない。・・・でもね、キミの演じた役割は一体なんだと思う?」 「・・・・・・貴船の神様だな」 「その通り。まるでゆっくりにとって人間達は神様とでも言うべきなのかね、この場合は。・・・正確には、人間以上も含めてだけど」 「やめてくれ。そういうのは好きじゃない」 「・・・・・・今度のデートは取り止めにして、旅行に変更しようか。行き先は貴船神社。 丁度彼女の縁結びも兼ねて。キミなら僕を連れて行くことが出来るだろう?どうだい?」 「・・・・・・ああ、そうだな。デートとか旅行とかと言うところがちょっと気になるがいいだろう」 「やたっ。彼女にも良縁を用意してあげなくてはね」 今日も橋の上で一人、ありすだったものは立っている。 その視線の先は森の中。幸せそうなゆっくりを見つけ出し、殺すのだ。 何故殺すか?簡単だ。憎いから。妬ましいから。 近寄る者は片っ端から殺した。 捕食種だろうと被捕食種だろうと大差ない。全て皆平等に屠ってきている。 唯一の例外は仲間であったはずの男の飼いゆっくり達。だがそれでも、もう馴れ合う気は起きなかった。 今日も上空を心配そうに見回る影がひとつ。ふらんだ。 ここ最近、心配して姿を見に来てくれるらしい。 頭が垂れる思いだが、今となってはありがた迷惑にしか感じなかった。 何故この橋の上に立ち続けているのかと問われれば、答えに詰まるだろう。 解るはずも無い。かつてありすが抱いた思い出を、今も手放したくないと心の何処かで思っているなどと。 最早手に入らない幸せを、必死にもがいて手に入れようと足掻くこの滑稽さ。 だがそれでも止められない。過日の幸せに縋るしか彼女には残されていないからだ。 あるいは今からでも遅くないのに、頑なに彼女はそれを拒んでいる。 今日もまた一組、幸せそうなゆっくりの番を見つけた。 途端に燃え広がる嫉妬の炎。 双眸に照らされた深緑が、また一段と深みを増した。 幸せそうな二匹の笑顔が、恐怖に引き裂かれるときにだけ、ほんの少し彼女の炎は弱まる。 それも長くは続かない。またすぐに獲物を待ち構える日々が続くのだ。 今日も橋の上で一人、ありすだったものが立っている。 見つからない幸せを探すかのように、爛々と開かれた瞳に映るのは深い深い翠の色。 嫉妬という名の怪物に取り込まれた哀れな犠牲者は、来る筈の無い幸せを待ち続けるのだ。 <了> ――――― あんまり書き溜めていない書き溜めです。おはこんばんちは。 元ネタは作中でも言われていた通りの「宇治の橋姫伝説」とタイトルから「鉄輪」のミックスです。 アリスとパルスィって似てるよね。外見とか五寸釘とか。そう思って書き始めました。 意外と原作キャラの元ネタは面白い話が盛りだくさんなのでネタにしやすいです。 あと橋姫って鬼とかの一種とも取れるんですね。酒呑童子とか茨木童子とか。「鬼切」とかも橋姫を斬って名付けられたらしいし。 そんな鬼どもを倒しまくる頼光四天王マジ人外魔境。 ちなみにこのあと、ぱるすぃはけーねやすいか、ゆうぎと大激闘を繰り広げたり 見るに見かねたお兄さんから差し向けられたみょんに討伐されてデレるなどといった展開がありますが、めんどいのでパス。 虐めというかバトルものになっちゃうしね! 書いてる途中「緑眼のジェラシー」聴いてたらなんかテンションが嫌な感じに上がって書いた。 あと、思いっきりネタ被りしてしまったことが痛いです。その代わりこんなダラダラと書いたんですけど。 ネタは思い浮かんだらすぐ書けって事ですね。 あーぱるすぃを抱きしめてクンカクンカスーハースーハーしたい。 このSSに感想をつける
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壁端近A始動のAA 6B J6C JA AAAAは立ち早苗にも入りました - 名無しさん 2010-02-26 00 22 00 端なら J6A J6B HC C鉄輪 とかで2600くらい出るね。最後の鉄輪は翡翠でも可。その場合2300くらい。近Aでチキガを狩ったときなんかも AAA J6B HC 鉄輪 って感じで3000くらい。 - 名無しさん 2010-02-26 16 18 58 ↑ちょっとミス。HCじゃなくてHJCね。まぁわかるだろうけど。 - 名無しさん 2010-02-26 16 21 16 妖夢 諏訪子不可 端の基本コンボとやらが普通に妖夢相手でもできるんですが・・・ - 名無しさん 2010-02-26 18 31 24 妖夢諏訪子相手に3400コンボ確認しました。J6Cの恩恵はここにも出ていたのか。 - 名無しさん 2010-02-28 11 54 40 D6C hj7 J6A~、最低空だと繋がるみたいです。 - 名無しさん 2010-04-25 02 34 25 C JA 鉄輪これいけるか? - 名無しさん 2010-07-04 11 37 44 C 66 JAだぞ - 名無しさん 2010-07-19 15 39 54 相手早苗でL3A LB 9hj JA C 鉄輪で2.9k確認 L3Aは近め JAは3HIT以上だとつながらないかな - 名無しさん 2010-07-25 00 06 16 B間欠泉背面 44 ディレイJA J8A J6B C鉄輪 当たり方にもよるが2.3k前後 受身も取れないので練習すればB間欠泉からいいダメになる - 名無しさん 2010-09-27 02 32 58 ↑の別パターン B間欠泉背面 44 ディレイJA JC 66 J6A JCの機嫌が悪いと受身を取られるが↑よりダメは伸びる - 名無しさん 2010-09-27 02 34 17 便乗して間欠泉コンボ 画面端 裏あてB間欠 44(ふりむかない) JA J8A JC 最速キャンセルC鉄輪or最速キャンセルC間欠泉 かっこいいだけ。ダメはのびない。 - 名無しさん 2010-09-30 10 02 21 画面端 近A空中当たり AAA J6B JC(フルhit?) C鉄輪 魔方陣がとれたりとれなかったり?体力満タンで3.3~3.4k 間違ってたらごめんなさい - 名無しさん 2010-09-30 10 04 18 遠A>C>J6Aで2090のどこでもコン、キャラ限かもしれない - 名無しさん 2010-11-13 11 20 35 JCを使ってみたかった、ただそれだけ 画面端 AAA>JB>JC>大地 たまに落とすことがあるけどご愛嬌 - 名無しさん 2010-11-19 16 06 30 投稿しようとしたら既出でショボーン C最大溜め>大地で2950~3450くらいですね。相手大地見えなければ繋がって無くても構わず - 名無しさん 2011-02-21 21 33 18 エンターダブルクリックの罠…↑続き:やりきれば2個削れるし運送できない諏訪子使われには中々重宝してます - 名無しさん 2011-02-21 21 35 46 画面端 L3A LA L3A 2323dmg 120% - 名無しさん 2010-12-23 18 29 59 ↑密着不可 というかこんな簡単なの書いて大丈夫だったのか不安になった。 - 名無しさん 2010-12-23 18 34 38 J8A ノーキャンセル着地 8hj J2B JC 66 C鉄輪 100% 鉄輪Lv1:3252 Lv2 3333 Lv3 3417~3418 Lv4 3499 Lv4+雹 3787 - 名無しさん 2011-02-03 19 37 53 ノ―コストで出せる紅火力コンボ - 名無しさん 2011-02-03 19 38 16 ↑途中送信申し訳ない 8hj時点で画面端から2キャラ分ほど離れてJ2Bを撃つと繋がりやすい J2BカスHITでは魔法陣出ない 66 C鉄輪に自信がない場合はJC C鉄輪でも少し火力が落ちるが魔法陣までつながる - 名無しさん 2011-02-03 19 42 53 ↑×3に書いてるコンボのリプをロダにあげておきました 編集する際に使ってください 天候はCHを出すのが難しかったので黄砂にしてますが黄砂限定ではないです - 名無しさん 2011-02-03 19 56 21 ↑の似たようなのでL3A(CH)始動でもできたよ!鉄輪Lv1:3384 Lv4:3640 火力ヤヴェェ - 名無しさん 2011-03-01 21 45 28 ↑のコンボです。L3A(CH) 8hj J6A(1HIT) J6B JC 66 C鉄輪 100% - 名無しさん 2011-03-01 21 46 26 L3A>ホールドLC100% - 名無しさん 2011-05-08 09 49 25 壁限だけどD6B HJC(1850付近)とD6B HJC (魔方陣出る前に)C古の鉄輪(2100~2300ぐらいは)とかあるよ - 名無しさん 2011-05-21 04 52 28 梅雨限定 葉乗りC鉄輪>空中C鉄輪>葉乗りC鉄輪>空中C鉄輪(ディレイかけて着キャン)>土着神「洩矢神」(約5000) - 名無しさん 2011-06-02 01 48 22 ↑鉄輪はレベル1だったとおもいます - 名無しさん 2011-06-02 01 49 48 近A画面端咲夜限定コンボはアリスにも入りました。修正済み - 名無しさん 2011-09-02 02 30 18 画面端限定 JA>J6B>HJC>C鉄輪 約3200 - 名無しさん 2012-01-18 01 26 31 ↑岩や鉄輪の当たり方によって、魔法陣安定しにくいかも - 名無しさん 2012-01-18 01 27 08 AA 6B J6Cのコンボの下を反転させるとなんかあるw - 名無しさん 2012-06-18 16 47 14 L3A>LA>L3A 魔法陣で2323。L3A始動に入ってないけど普通に強いよね? - 名無しさん 2012-09-29 07 32 11 画面端 AAAA B間欠泉 44 J8A 2940 最後J6Aで3063 既出だったらごめん - 名無しさん 2012-10-19 18 34 18 あと JA AAAAだと後のやつが繋がらないので注意 - 名無しさん 2012-10-19 18 35 42 壁付近でAAA→JB(2)→J6C→66→JA→JB(1)→J6C→66→JA→J6Aで3691(1回目のJBを1発でキャンセルすると3610) 立ち状態の紫、妖夢でしか確認したことありません。 - 名無しさん 2013-04-12 23 29 37 萃レ咲早等でも普通にできる。AAA、JA、JBのキャンセルタイミングがずれてるんじゃないかな - 名無しさん 2013-04-19 17 09 36 端、端付近 AAA J2B J6C C大地の湖 威力最高は3007で魔法陣 低くても3000弱安定 - 名無しさん 2014-04-20 22 43 33