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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (3)始祖の祈祷書 「ここまでする必要、あったのかい?」 森の中。 白目を剥き、涎を垂らしながら脳髄を陵辱されつくし、廃人となったシェフィールドが横たわっている。 そんな無惨な姿を見ながら土くれのフーケが、ワルドに問いかける。 「ここまで、というのは?」 「そりゃあ、あんた……… 別に、こんなことしなくても、捕まえて自分で色々白状させりゃ良かったんじゃないかってことさ」 「白状?この女が自分から真実を話すと思うのかい、君は。 それに折角のミョズニトニルンだ、利用しない手は無いだろう」 ワルドがそう言いながら、もう既に在りし日の面影を残さないシェフィールドの額に手を当てた。 「そうだ、フーケ。 今日から君がミョズニトニルンになってみるかい?」 「いらないよ、そんなもの」 「それは残念だ」 ワルドが呪文を唱え、手を離すとシェフィールドの額からルーンが輝き、続いてワルドの手に吸い寄せられるように浮き上がった。 「それじゃあ、これの使い道はおいおい考えるとしよう」 ワルドは変わってしまった。 レコン・キスタの大攻勢がニューカッスルの城を落としたあの日から… 当初、目的を達成した後、ニューカッスルの城内で合流する手筈のワルドであったが、合流場所の礼拝堂を貴族派が制圧した際、そこには生者の姿無く、ウェールズ皇太子の亡骸が横たわるのみだった。 礼拝堂に残る血痕や周囲の破壊状況、それに天を貫くように伸びた穴、それらの事柄から、ワルドはウェールズの殺害には成功したものの、虚無の担い手を確保する段で失敗したと結論付けられ、生存は絶望的と考えられていた。 だが、クロムウェルがニューカッスルの城に到着したその日に、ワルドは突然の帰還を果たしたのだった。 この時、フーケはワルドにそれまで何をしていたのかを問いただしたのだが、彼は怪しい微笑を返すばかりであった。 そう、後にして思えばこの時には、ワルドは既に別の何かに変質してしまっていたのかもしれない。 帰還後、ワルドはレコン・キスタ、クロムウェルの側近達の間で一つのグループを形成していった。 年齢も、性別も、身分さえ共通しない一団。 彼らの中に、唯一つ共通するのは、その空ろな雰囲気。 ある日、フーケがクロムウェルの居室に呼び出されると、そこにはワルドと、胸を貫かれ、どう見ても死体と成り果てたアルビオン神聖皇帝の姿があった。 「君に虚無の系統を見せてあげよう」 驚愕に体を「固定化」でもされてしまったかのようなフーケを見ながら、ワルドは愉快そうに言い放った。 「さあ、お目覚めの時間だクロムウェル皇帝陛下」 なんの邪気も感じさせない、聖者のような声色でワルドがそう詠うと、今度こそフーケの思考を完全に吹き飛ばす出来事が起きた。 「おはよう、ワルド子爵」 ――死者が、蘇った―― その後、どういったやり取りがあったのか、当のフーケも覚えていない。 確かなことは、ワルドはグループのメンバーを増やしていき、瞬く間に新政府の中枢を影響下に置いてしまったということだ。 そして、今日のこの惨劇に至るのである。 「そいつは、生き返らせないのかい?」 「ん?君がそうして欲しいと望むなら、別にそうしても構わないが?」 足元で痙攣を繰り返す、ミス・シェフィールド。 生けるも死ぬるも、全く頓着しないという顔のワルド。 狂ってる。 そう思わずにはいられない、フーケであった。 「ルイズ、ちょっとお待ちになって」 部屋でのやり取りの後、その場を辞そうとするルイズにアンリエッタが声をかけた。 アンリエッタは指に嵌めた指輪を外し、続いて机にあった、古ぼけた本を手に取った。 風のルビー、始祖の祈祷書。 アンリエッタは王家にとって重要な意味を持つそれを、ルイズに手土産でも持たせるかのように渡した。 「ひ、姫さまっ!一体何を!?」 「ふふふ、ルイズ、忘れたのですか?私はもう少しすれば、ゲルマニアの皇帝と結婚するのですよ。 この本は『始祖の祈祷書』。わが国の国宝です。 トリステイン王室の伝統で、王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女を用意しなくてはなりません。 巫女はこの本を手にし、式の詔を詠みあげる習わしとなっています。 ルイズ、私はあなたに式の『巫女』をやってもらいたいと考えています。 お願いできますか?」 「姫さま…」 アンリエッタのその言葉に、目頭が熱くなるルイズ。 そのルイズの目じりをアンリエッタがそっと撫でる。 「そして、ウェールズさまのお持ちになっていた風のルビー。 これもあなたに持っていてもらいたいの。 この指輪はとてもとても大切なもの、大切なウェールズさまの指輪。 でも、この指輪があると、弱いわたくしは、きっとウェールズさまを思い出して泣いてしまいます。 けれど、ウェールズさまはそんなことを望んでいないでしょう、だからあなたに預けるのです。 わたくしが幸せになって、ウェールズさまのことを受け止められるようになる日まで、あなたに持っていて欲しいのです」 笑顔のアンリエッタ、その瞳からははらはらと玉のような涙が零れ落ちる。 そんな姿に心をうたれ、ルイズは自然と膝立ちになり、深々と頭を垂れる。 「『始祖の祈祷書』と『風のルビー』、謹んでお預かりいたします、アンリエッタ姫殿下」 「頼みましたよ…ルイズ、わたくしの大切なおともだち、ルイズ・フランソワーズ」 王宮から学院までの帰りの馬車の中、ルイズはオールド・オスマンと向かい合って座っていた。 元々別件で王城へと向かうオスマンと同行する形で王宮へ向かった経緯から、帰りもまたオスマンと同じ馬車なのである。 そのルイズの手には、先ほどアンリエッタから手渡された指輪と本が置かれている。 ちなみに、ルイズ自身は先ほどのやり取りから、未だ心ここにあらずといった風体である。 「………それが風のルビーと始祖の祈祷書か、どれ、見せてもらっても構わんかのぅ」 「あ、はい。どうぞ」 オスマンの問いかけに我に返ったルイズが、慌ててオスマンにその本を手渡す。 「ふぅむ、まがいものではないかのぅ」 古びた革の装丁がなされた、ボロボロの表紙、色あせ茶色く黒ずんだ羊皮紙。 何も知らなければ小汚い古本にしか見えないそれ、『始祖の祈祷書』をオールド・オスマンが眺めながら呟いた。 「しかし、まがい物にしても、ひどい出来じゃ。何も書かれておらぬではないか」 「けれどオールド・オスマン。仮にもトリステインの国宝なのですから、本物じゃないんですか?」 「うーん、どうかのぅ。『始祖の祈祷書』なる書物は世の中には星の数ほどもあるからのぅ」 「はぁ」 流石に気になって、オスマンが広げている始祖の祈祷書を覗き込むルイズ。 確かに、そこには何もかかれていない。 「本当に何も書いていないんですか?」 「どうやらそのようじゃ、お預かりしたのはミス・ヴァリエール、君じゃ。何なら自分で確かめてみると良い」 オスマンの手から、始祖の祈祷書が再びルイズの手に戻される。 「時間がたち過ぎて消えちゃったのかしら」 ルイズが何の気は無しに、始祖の祈祷書を開く。 そして、なんらの心構えも無しに開かれた本より突然に光が発せられた。 この時、あまりの驚きに立ち上がった二人が馬車の天井に頭をぶつけたことを、誰が責められるであろうか。 光りだした始祖の祈祷書、そこに浮き上がってきたのは古代ルーン文字であった。 「オールド・オスマン!文字が、文字が浮き出ました!」 「むう!?わしにはその文字が読めぬのだが…ミス・ヴァリエール!そこにはなんと!?」 「は、はい!」 オスマンに急かされ、ルイズ自身の知的好奇心も膨れ上がる。 もどかしい気持ちでページをめくるルイズの指先が、無意識に震えた。 「虚無の系統……ここに書かれているのは虚無の系統についてです!」 興奮しながら読み進めるルイズ。 そこには序文と題された始祖ブリミルによる虚無に対しての注意書き、そしていくつかの呪文が記されていた。 だが、読めば読むほど、ルイズの中で何かが冷めていく。 この書によれば、虚無の系統は選ばれた読み手にだけ与えられるものらしい。 そこに書かれたいくつかの呪文、それらはルーン文字を読めば何となく意味が伝わってくる。 驚嘆すべき事実を突きつけられているにも関わらず、ルイズの心は凪いだ海のように静まりかえる。 やがて訪れる唐突なる理解。 「ああ、そういうことなんだ…」 そこに書かれている呪文こそが、キュルケとの勝負の日に自分が使った呪文であることを理解した。 一つが真の姿を見せると、ルイズの中で次々に疑問のピースが全体像を結び始める。 『伝説』、それこそが数多くの疑問の中核にあることを、彼女は知った。 彼女は大きな流れに翻弄されることとなるだろう それを運命と言って流されるままになるか、決めるのは本人だ。 ―――熟達の魔道師オスマン 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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「……問うのも莫迦らしくなってくるな。」 日本人を守ると抜かした相手は乱入者によって逃げられ、 因縁の敵にも最終的には乱入者によって逃げられた。 追跡しようにも地図を見れば水路は枝分かれし続けており、 場合によっては目視できる小島に逃げている可能性だってある。 なので追跡をやめて辺りを散策してみれば、余りに奇妙な面子だ。 一人は人間なのでまだ問うべきかもしれないが、他は別である。 いや、うさぎについても正直なところ別に問題ないとしていた。 狼牙軍団には確かに変なのも多いとは聞いた。噂なので真偽は不明だが、 ネコを筆頭に動物も連れているとのことで、まあ別に参加者にいてもおかしな話ではない。 あれに日本人かどうかを問いかけるのは流石に莫迦らしく感じてしまう。あれは別だろう。 問題は深淵の冥王だ。あれはどう見ても魔界孔から出てきた異形の怪物の類ではないか。 元々ジャンヌ、ひいてはホーリーフレイムが日本人を忌み嫌うのは、 魔界孔の原因が外国人にあると言われて迫害され続けてきた果てにある。 無論、魔界孔もまた日本を穢れさせた原因そのものであり許しはしない。 「問おう。お前達は異形といるようだが、己の意志で従っているのか?」 だが、一応は確認しておくべき事柄だとして問いはかけておく。 穢れた存在と一緒の時点で処刑が妥当ではあるのだが、ジャンヌは早計と考えた。 此処は神なき地。あの高笑いする男を断じて神とは認めるつもりはない。 神を騙る狂人に歪められたこの地において、そのような行動は早計なのだと。 だから明石にも温情をかけた。結果は徒労に終わってしまっているが。 「フン、愚問だな! 愚問と言うほかあるまい! 俺はこいつに従うつもりも、あの神を名乗る男に従うつもりもない。 このジャック・アトラスが信じる道、それを俺は走り抜けるだけだ! そしてこちらからも問わせてもらおう。イリヤと司について心当たりはあるな。」 「会ったようだな。」 会った上でそのような話を聞く。 話を聞いている時点で彼は彼女達と敵対していないのだろう。 しかし、彼の世界が同じ世界かどうかはまた別の可能性がある。 イリヤ達は自分をホーリーフレイムとも、ジャンヌとも認識していなかった。 近年まではキュウシュウで競り合ってたので組織としてはかなり小さいものの、 狼牙軍団と言う多くの地を統一してきた相手が残る敵となり交戦目前ではあった。 日本中にその名を轟かせてもおかしくないことだ。それを知らないとは思えない。 『ほら、こういう奴だ。お前の守る日本も、こいつが行ったら日本人は皆殺しだ。』 蛇王院の言っていたあの言葉から察するに、 異なる世界から呼ばれたと言うのが自然なのだろう。 ならば合点がいく。デュエルモンスターズが常識的な扱いで、 この会場の様々な参加者に支給されたり制限されている代物が、 彼女の耳に届かないような代物だとは余り思えない。 なので即座に交渉決裂とはせずに話を続ける。 「又聞きでしかないが、貴様は日本人を相当嫌悪しているらしいな。 肩入れするつもりはないが、司はただの小娘にすぎないように見えたが?」 あれはどこにでもいるような人間にしか見えない。 ネオ童実野シティほど裕福でもなければ、かといってサテライトほどの貧困もなく。 平穏な場所で生きてきた、ごく普通の人に何故そこまで刃を向けるのか。 言葉通り司に特別肩入れはしていない。あくまで純粋な疑問だ。 或いは、司が何か本性を隠している可能性もありうるので尋ねた。 「───差別や迫害。さも当然のように私たちを追いやった穢れた存在。それが日本人だ。」 ジャンヌは語る。自分達が元の世界における立場を。 魔界孔が発生した際、外国人は異端視されてきたことを。 紛れもない冤罪からの扱いだ。放火、暴行、殺人は当たり前だ。 彼女達が拠点としていたナガサキでは特にその被害が多く見られる。 ただ魔界孔の怪物が、伝承の西洋の怪物に似ていた……それだけの類似点。 それだけで人を追いやる。募った怒りはそのような連中を許す要素などないと。 恐怖は理性を駆逐する。そんな一言で片づけられるものではない禍根がそこにある。 「差別……か。わからなくはないな。」 「ほう?」 思わぬジャックの反応に少しだけ眉が動く。 ゼロ・リバースによるサテライトとネオ童実野シティの隔絶。 格差は凄まじいもので、勉学や食事も満足に行き届いてないぐらいに。 クロウを筆頭に拾ったカードのテキストで文字を勉強したことだってあるし、 一つのカップラーメンを三人で食う時だってあるぐらいに貧富の差は激しかった。 逞しく生きてこそはいたが、サテライト側の人間の方はきっと不満も多かっただろう。 互いを繋ぐダイダロスブリッジが建設されてからは差別は減ってきてはいるとしても、 全てが丸く収まるほど人間は簡単ではない……まあ、ジャックの出身がバレた瞬間、 サテライト出身の遊星に敗北した勢いもあるだろうがファンが掌返ししたのを思い返すと、 簡単ではないのもそうなのか、甚だ疑問ではあるが……その辺は面倒なので気にしないでおいた。 お世辞にもあの街の民度がいいとは言えないのは、チーム太陽の時も似たようなものだ。 散々バーンダメージと言う地味な戦い方に対して罵詈雑言を投げかけたかと思えば、 誰も召喚したことのないモンスターを召喚が見れるとなれば掌を返していたわけで。 結局のところ、あの民度については根本的には余り変わってないのかもしれない。 元々街の発展に至った海馬コーポレーションも尖った企業ではあるので、 ある意味その性質を持っているかもしれないが。 「俺達サテライト以上の迫害を受けたのであれば、 そのような考えに至るのは当然と言ってもいいだろうな。」 寧ろ、ラリーを人質にしてスターダスト・ドラゴンを奪って、 遊星が普通に理解していて許していたのが異常とも言い切れることだ。 人の命をただ異邦の民であるだけで殺そうとする輩からの迫害を受け続けて、 相手を憎まずにいると言う方が難しい。寧ろできる奴は基本的に聖人や菩薩だ。 「フゥン。」 (まずい、非常にまずい!!) この男の単純さから『貴様のやり方などただの殺戮者に過ぎん!』と、 一蹴すると思ってみれば、まさかの理解するのに冥王は慌て始める。 闇を全て支配する程の力があった彼とて、それは降格処分される前の話。 今では、そんな面影は何処かへと消えてしまった現状では貧弱な存在だ。 支給品もない。このままでは最早頼みの綱は隣のうさぎしかいない。 「ハァ?」 (駄目だ、何言ってるか分からんわ……こ奴。) 一方でその頼みの綱は何を言ってるのかさっぱり理解できない、 と言うよりも、ジャックがさも平然と会話してるのが余りに謎すぎる。 視線を向ければ人を煽るような一言二言で終わってしまうのだから。 これは司も理解してなかった様子なので、少なくとも彼に限った話ではない。 「いけませんアトラス様! 奴は……」 「今はこの女と話をしている! それを阻むのならば、 例え殺し合いに懐疑的な貴様であっても容赦はせんぞ!」 「ヒィ!」 割り込もうとしたが物凄い圧と共に一喝され、 思わず尻もちをつく冥王にうさぎはポンと肩を置く。 「ウラッ。」 せめて伝わる言葉でしゃべってくれ。 お前は味方しているのかはっきりしてほしいと思わずにはいられない。 「分かっているのならば話は早い。私と共に日本人を───」 「だが、俺には根強いファンがいると同時に憎まれる立場だ。」 先のラリーを使っての行為もあってか、 ラリー達にはかなり嫌われてたりもすることも多い。 また、ジャックはその不遜な態度はどうしても敵を作りがちであり、 と言うより人の金で高級コーヒーを飲んだくれるこの男の人柄も大概である。 「……何の話をしている?」 「貴様が異端とした相手にも、恐らく善人がいたのではないのか? 異端と一括りしたのであれば、それはその時の日本人と同じだけだ。 貴様は個人を見ようとしていない! 聖戦だ浄化だと耳障りの良い御託を並べ、 己の行為を正当化するならば、貴様のやり方は嘗ての日本人同様、ただの殺戮者に過ぎん!」 これが埋めようがないことなのは彼も分かっている。 きっとそれはZONE達のように譲れないものであることも。 仲間を殺され続けて自分達はしてはならないなど納得しようがない。 それでも彼は否定しよう。彼の言う日本人を殺すと言うのはつまり、 遊星や遊戯達も手に掛けると同義。彼女のいる世界の日本人ならまだしも、 彼女の言う特体生でも、魔界孔とも無縁な人間達までも関係ない日本人も含む。 恐怖で理性を失った日本人と何ら変わらない。それはただの思考停止でしかない。 サテライト出身と言うだけで、マーカーがついてるだけで非難される嘗ての社会と同じ。 猶更受け入れてはならない。改めて相容れない存在だと理解できたことで、 デュエルディスクから剣となるカードを引く。 「……容易に同胞を同じように堕落させるか。」 改めて、日本人とは恐ろしいものだ。 瞳を閉じて溜め息をついて、再度開くと同時にジャンヌは動き出す。 冥王もうさぎもその疾風迅雷の動きには全く反応できなかったし、 ジャックもまた後手に回るため反応自体は遅れてはいたものの、 「フン、甘いな!」 即座に召喚された音叉と尖端が丸い叩き棒を持つ小さい悪魔が、ジャンヌの攻撃を防ぐ。 防ぐと同時に吹き荒ぶ豪風。ウサギと冥王はその勢いに吹き飛ばされ、 ジャックも軽く後退をさせられるほどに凄まじい風圧が周囲に巻き起こった。 これだけの攻撃を、小さなモンスターが防ぐことにジャンヌも僅かに反応する。 (モンスター効果は再現されているようだな。) ジャックが召喚したモンスター、 ダーク・リゾネーターは一ターンに一度だけバトルで破壊されない。 どれだけ攻撃力の差があろうとも、その耐性があれば十分に受けきれる。 しかしジャンヌの猛攻を考えれば、動かずにいる猶予は非常に短い。 「俺のターン! ボーン・デーモンを通常召喚!」 ドローと同時に続けざまにほぼ全身が骨だけで構成されている、 異形の怪物がカタカタと音をならしながら召喚される。 (後はレッド・デーモンズにつなげるだけだが……) レッド・デーモンズのレベルは8。 今のモンスターの合計は7ではあるが、 ボーン・デーモンにはレベルを変化させる効果を持つ。 問題はダーク・リゾネーターで攻撃を防いだことで、行動を変えるだろうと。 「今更、モンスターを相手する理由などないだろう。」 予想はしていたが、対応速度は異次元のレベルに達する。 ジャンプしてモンスターの壁を通り越し、瞬く間に剣の間合いへ持ち込む。 デュエリストの一番の欠点。それは自由意志で動くモンスターがほぼいないこと。 遊戯のブラック・マジシャンのような魂のカードならば当人の意志で動くだろうが、 それがないのでは、敵の攻撃の間合いに入ってる場合の対応は極めて困難になる。 牛尾には小鳩、遊星には達也、城之内には結芽と前衛たる存在がいてこそ安全に戦えた。 いずれも出会った参加者は強敵であり、ポセイドンは別としてジャンヌもそれらに引けを取らない。 普段のうさぎなら前衛だったしれないが、彼の武器はデュエルディスクなので同じ役割になる。 冥王はモンスターではあるので少なくとも常人よりは強いが、前衛の戦力には足りえない。 「フッ、そう来ると読んでいたぞ。」 けれども、これについて想定内の範囲だ。 この舞台には数々のデュエリストが参加している。 その中でモンスターとの交戦を予選時点で経験したのはジャックだけだ。 予選が終わった後もモンスター同士の戦いを経験しているのもまた遊星だけで、 故に彼だけが、従来のデュエルとは違う厳格なルールが存在しないものを深く理解している。 だからいわばメインフェイズだろうと、バトルフェイズにしか使えないカードが発動できることも。 ルール無用で相手ターン中とも言える中ダーク・リゾネーターを出して防いだのも、同じことだ。 (そも、相手の先攻でダイレクトアタックをしてる時点でルール無用なのは似たようなものだが) 何よりモンスターを破壊できなかったとなれば、次も破壊がうまくいかない疑心暗鬼はあるはずだ。 相手はデュエルモンスターズをよくは知らない。先入観があればなおのこと本体を狙ってくると。 故に『発動していた』。鐘を鳴らしながら現れた、小型の振り子のモンスターを召喚しながら。 キングのデュエルとは、常に相手の一歩や二歩先に行くものだ。 「バトルフェーダーの効果だ!」 相手が直接攻撃してきた瞬間、 手札のこのカードを特殊召喚してバトルフェイズを強制終了させる。 強引にエクスカリバーを振るう動きを止められ、思わぬ事態にジャンヌが距離を取る。 当然、そう予想していた以上その隙を見逃すようなジャックではない。 「ボーン・デーモンの効果でデッキから悪魔族のチューナーモンスター、 クリムゾン・リゾネーターを墓地へ送りボーン・デーモンのレベルを一つ上げる! レベル5となったボーン・デーモンに、レベル3のダーク・リゾネーターをチューニング!」 攻撃を防いだ間を利用しシンクロ召喚を行う。 デモンストレーションで見た光景の召喚方法だ。 ジャンヌにはルールの理解は浅くとも強力な力であることは伺える。 なので再度踏み込むがジャックは先んじて攻撃を予想し、後方へとジャンプして近くの崖の上に立つ。 遊星のフィジカルが人間離れしてるせいで忘れがちだが、ジャックも素のスペックは常人としては高い。 アウトローな組織のアジトへ単身突入し、そこにいた連中数十人をリアルファイトで殴り倒してるぐらいだ。 サテライト育ちであり、チームサティスファクションで様々な経験を経たジャックだからこそでもある。 先にそうするのを読めていたからこそ対応はできた、と言うのも一応あるにはあるが。 相手の動きを常に読まなければ、此処では敗北ではなく死が待っているのだから。 「王者の鼓動、今ここに列をなす! 天地鳴動の力を見るがいい! シンクロ召喚! 現れろ! 我が魂、レッド・デーモンズ・ドラゴン!」 光の中から現出するは赤と黒で構成された一体のモンスター。 竜の名を冠するが、体格はどちらかと言えばドラゴニュートのような人型に近しいフォルム。 悪魔の名を冠するドラゴンだけあって、頭部には捻じれた三本の角がよく目立つ。 ジャックたちを超える巨躯に違わぬ赤黒い翼を広げながら、赤き悪魔の竜は咆哮を轟かせる。 咆哮だけでも常人なら竦むような、ビリビリとした感覚が他の三人を襲う。 「魂と言うだけあって力はあるらしいな。だが、私がその程度で臆すると思うか?」 聖剣の剣先と鉄仮面の如き冷徹な眼差しをジャック達へと向ける。 高低差も相まって聖女と悪魔を従える王者の、一枚の絵画のような構図になっていた。 「ならばその実力を見せてみることだな、バトル! レッド・デーモンズの攻撃! アブソリュート・パワーフォース!」 この舞台でも数多の強力なモンスターを蹴散らした竜の拳。 モンスターを余裕で掻い潜るジャンヌと言えども、無視できない速度だ。 エクスカリバーを横薙ぎに振るい、レッド・デーモンズの攻撃とぶつけ合い相殺させる。 一人の人間と竜の相殺は並のものではなく、周囲には衝撃が広がっていく。 ジャックも腕で風を防がなければ視界が遮られるぐらいに。 (正面からの攻撃でレッド・デーモンズの攻撃を防ぐのか! 奴の装備してる剣、あれはイリヤ曰くエクスカリバーと聞くが、 よもやあのエクスカリバーと同等の強力な装備魔法の類だとでもいうのか!) 遊戯が使ったカードにもエクスカリバーがあったりするので、 ジャックの言うエクスカリバーとは基本的にそちらの記憶がある。 其方は戦闘ダメージを半減させる代わりに装備モンスターの攻撃力が二倍になるので、 それだけの代物であると言うのは、強ち間違いではないのかもしれない。 仮にもシグナーのドラゴン、ナスカに封印された邪神と戦った竜の一体。 その上で攻撃力はシグナーのドラゴンの中で最も高いとされる3000。 生身の人間が対応するなど、驚嘆するほかないだろう。 「アトラス様、まずいですよ!」 「元冥王、言わずとも分かっている! 紅蓮魔竜の壺を発動!」 レッド・デーモンズが存在する場合に、 カードを二枚ドローする効果で手札を補充していく。 このカードの発動だけでも何度も拳と聖剣の衝突が起きている。 実力伯仲、と言いたいところだがレッド・デーモンズの肉片が頬を掠る。 恐らく僅かな差ではあるだろうが、ジャンヌの方が上回っていると見ていい。 下手をすれば先にやられかねない状況では、手数はあるに越したことはない。 (幸いスタンディングデュエル用ではあるが、 ライディングデュエルなしでは此処まで厄介とは。) 遊星とジャックと牛尾の世界では、 Dホイールと言う乗り物に乗ってデュエルするライディングデュエル、 遊戯達同様に立ったままデュエルするスタンディングデュエルの二種類が存在する。 ただライディングデュエルが主流で、そのルールでは通常の魔法カードが使用には大きなリスクを持つ。 故にその状況下でも使える専用の魔法カードか、それとは関係なく使える罠カードを積極的に使う。 ジャックも同様だ。魔法と違って罠カードは原則的にセットしてから発動を待つタイムラグがある。 この刹那の間の判断を求められる舞台において、一ターンと言うのは余りにも長い刹那の時間だ。 仮に無理矢理今すぐ発動しても恐らく効果が薄いものか、発動しないと判断して無闇には使えない。 「埒があかん! レッド・デーモンズ! クリムゾン・ヘル・フレア!」 幸い二人はこの余波を受けないよう後方にいる。 今なら範囲攻撃も問題ないと判断し、レッド・デーモンズは炎のブレスを放つ。 寒々とした雪原は草原に、草原は瞬時に焦土に変えていく灼熱の業火が辺りに広がっていく。 「私を火炙りにするには足りないな。」 しかし、これも主霊石で風を駆使し驚異的な速度で動き、攻撃はまともに成立していない。 本当に同じ人間なのかと疑わしくなってしまうほどに、人間離れした身体能力を披露していく。 迫る炎を背にジャックへと文字通り疾風の如く雪原だった場所を駆け抜けて三度迫る。 まだ罠は発動できない。レッド・デーモンズに指示しようにも間に合わない。 できることは、それを避けるため先んじて回避行動以外にできる手段はなかった。 「ウラララララララララ。」 あくまで彼一人の話ならばの話。此処には彼を味方する仲間はいる。 突如として敷かれたレールを道としながら、巨大な青い列車が二人の間を割り込む。 列車の上部は白と赤を基調とした戦闘機のような形状で、一般的な列車とはかけ離れている。 まさにロケットの如く推参したそれを前に、即座に踏み込むのを中断して縦に斬撃を見舞う。 車体に傷跡こそできているが、破壊に至るにはかなり時間がかかるダメージの具合だ。 (攻撃力が5000だと!?) 乱入したモンスターのステータスに思わず目を見開くジャック。 素のステータスが5000のモンスターと言うのは滅多にいない。 結果的なステータスが大幅に高まったモンスターは数多く存在するが、 テキストに書かれたステータスだけで5000はハラルドのオーディン、 アポリアのマシニクル、ZONEのセフィロン等、名だたる強敵のエースを超えた存在だ。 (破壊は困難。ならば───) そこからの判断は素早く、 即座にジャンプして上空から攻めにかかる。 当然、複数を相手にする以上簡単にはいかない。 即座にレッド・デーモンズの拳を受けそうになり、足から風を放ち空中で旋回して回避。 主霊石から風の力を行使し続けたことにより剣以外からも放出ができるようになった。 本来ならば空中と言う身動きの取れない場面で旋回し、その回転の勢いのままに斬撃で拳を斬り落とす。 (破壊こそまだされてないが時間の問題か。まずはあの風の能力を削ぎ落すのが先決!) バトル・フェーダーが突如破壊される。 レッド・デーモンズは攻撃宣言をしていない自分モンスターを破壊するデメリットを持つ。 確かにデメリットではあるが、同時にそのタイミングはエンドフェイズであると言うこと。 うさぎの支援のお陰で時間は稼げたことにより相手ターン、即ち伏せたカードは全て使用可能。 反撃の狼煙を上げるべく、カードを使用していく。 「罠発動! スカーレッド・コクーン───」 「させん。」 レッド・デーモンズと戦いながらも、 しっかりとジャンヌはジャックの方にも警戒を怠らなかった。 風の斬撃を飛ばし、当人は横へ飛ぶことでギリギリ回避するが、 当たろうと当たるまいと、その点については彼女には関係なかった。 (スカーレッド・コクーンが破壊されているだと!?) 凌牙の時同様、風属性の力を得たことで魔法・罠を破壊する力を獲得。 スカーレッド・コクーンはドラゴン族シンクロモンスターに装備することで、 相手モンスターとのバトルの際に、全ての効果を無効にすることができるカード。 本来ならば、罠カードを発動の際にカードを破壊しても基本効果を止めることはできない。 しかし装備する工程が必要なカードや永続罠は、その条件に当てはまらないカードになる。 破壊こそ確かに彼女は意図していたが、それが最適解な行為であるのはただの偶然ではあった、 しかし容易に魔法・罠を破壊できるとなれば、悠長にカードを出し惜しみしてる暇はない。 「ならば次のプランだ! 罠発動! バスター・モード! レッド・デーモンズをリリースすることで、モードチェンジさせる!」 時期に破壊される可能性も危惧し、ジャックは別の手段に移行する。 レッド・デーモンズが炎のような形へと分解され、別の姿へと変えていく。 翼は黒く、より猛々しく変質し、筋骨隆々の身体には真紅の鎧を纏った攻撃的な姿になる。 「灼熱の鎧を身に纏い、王者此処に降臨! 出でよ! レッド・デーモンズ・ドラゴン/(スラッシュ)バスター!」 「……別の姿へと変えたか。」 「先ほど前と同じと思うな! 再び迎え撃てレッド・デーモンズ! エクストリーム・クリムゾン・フォース!」 巨腕に熱を纏った掌底。 受けるのはまずいと判断しその場から離れるも、 掌底を叩き込んだ瞬間周囲へ爆風が広がっていく。 /バスターは攻撃時に他のモンスターを全て破壊する攻撃的能力を持つ。 スカルサーペントに爆弾のエキスパートがいたのは記憶にあるが、 そんなものは比にならない威力で直撃を回避すれども、 ジャンヌも少なからずダメージを負っていた。 (退くのも策の内、か。) 此処には参謀のジョドーも、バイラルを筆頭とした騎士たちもいない。 支給品も全てが一級品と言っても過言ではないが、体力には限界がある。 日本人に虐げられてきたことで退く、基耐えることについての理解もある。 少なくとも向こうには召喚したモンスターが自壊してるうさぎ達がある為、 其方へ攻撃を向ければジャックは絶対に其方を守ることを選ぶだろう。 その隙に逃げること自体は、さほど難しいことではない。 なお、うさぎが先程召喚したモンスターこと爆走特急ロケット・アローには、 維持コストとして手札を五枚も捨てなければ自爆するデメリットがある。 デュエリストとしては新参者の類のうさぎではあるが手札の重要度は理解してる方だ。 手札の重みを知っている現状、維持するつもりがないので自壊させただけである。 自壊することを知らない為、冥王がうさぎの肩を掴んで思いっきり揺らしていたが。 適当に攻撃を仕掛け、そのまま逃げに徹する。現状はそれが最も得策だと。 けれど、此処はデュエルと言う名のバトルロワイアルの舞台─── 「かめはめ波ッ!!」 うさぎが乱入できるように、他もまた乱入することが可能なのだ。 そこにペナルティなどなく、純粋な暴力がレッド・デーモンズの胴体を貫いた。 →
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (2)分析+葛藤 「ふむ…この契約のルーン、悪くは無い」 ウルザはマジマジと自分の左手に浮き上がったルーンを見ていた。 魔法的構造までを解読するにはウルザを以てしても時間を要するが、効果だけは読み取ることが出来た。 1.武器に関する熟達 2.武器所持時の肉体の強化 3.術者に対する忠誠を対象の深層心理へ植えつける 要するに強化と忠誠。 シンプルだが実に強力なエンチャントである。 これを効果を拡大し軍勢に影響するように作り変えれば、新兵の軍団も一朝一夕で熟達の兵士となるだろう。 また、効果対象が個人のままであったとしても人間としての基本骨子にこれを刻みつけ、品種改良を続ければいずれ強力な力を持つ人間を作り上げることが出来るだろう。 ウルザはそれらがファイレクシア攻略の手助けになるとほくそ笑むのであった。 また、この世界についてウルザを喜ばせる原因は他にもあった。 今は夜、ここは学院の図書室である。 ウルザが手にしているのは、この世界、ハルケギニアの魔法体系についての本である。 この世界には火、水、風、土の魔法要素があるらしい。 一方ウルザが扱うマナは、赤、青、緑、白、黒である。 赤のマナで行う魔法は、四系統の中では火と土といったように、必ずしも一対一で相対するものではないようである。 一方で、この世界には根本的に白と黒のマナの魔法に相当する魔法は無いようである。 (黒の魔法にあたる死者の蘇生などは先住の魔法という形で存在するらしい) 何より、ウルザが注目したのは「虚無」である。 これは始祖ブリミルと呼ばれる何ものかが確立させた、今は失われた系統であるらしい。 どのようなものかまでは、この図書室では分からなかったが…ウルザの頭には一つの仮説が浮かび上がっていた。 「このような世界で、ファイレクシア攻略の手掛かりがみつかるとはな…失われた力を取り戻すまでの骨休みと思っていたが、そうもいかないらしい」 ルイズがもしこの場に居合わせたなら、ウルザの口元に浮かんだ笑みと、体中から滲み出るもので言葉を失ったに違いない。 朝 ルイズは自室のベットの上からぼーっと天井を見上げていた。 (ええと、染みが一つ、二つ…) 無為なことを考えながら、幽鬼のような表情で部屋の片隅を見る。 そこには、どこから持ってきたのか小さいながらもしっかりとした机が置かれている。 その机に向かい、何かの作業をしているウルザの背中。 どうやら何かを作っているようだが、何を作っているのかはわからない。 (私、どうしてあんなメイジと契約しちゃったのかしら……それに、私のファーストキスぅ…) 枕を抱いて涙目で転がるルイズ。 一応、昨日の晩に自分の中では決着をつけることが出来たのだが、一晩経つとまた挫けそうになるのである。 (そうよ、あれは執事みたいなもんよ!従者なの!本人も認めたんだから、執事みたいなもんなのよ!) ハルケギニアにおいて、メイジは貴族である。 当然、召喚されたメイジであるところのウルザも、何処かの貴族であると考えられた。 その点をコルベールやルイズが問い詰めたが、ウルザ本人は「記憶が混乱している」だの「記憶が欠落している」だのらりくらりと交わし、どこの貴族かは分かっていない。 そもそも杖を持ってローブを来ていたからメイジ、と言うことになっているが、本人が魔法を使っているところはまだ見ていない。 もしかしたら平民なのかもしれないが、「魔法見せて」というのも………正直怖い。 魔法をまともに使えないルイズでも分かる、あの貫禄と得体の知れない雰囲気。 きっとどこぞの名のあるメイジに違いない。 ヴァリエール家は公爵家であるから、身分で負けているとは思わない。 しかし他国の貴族、しかも記憶喪失の者を使い魔や従者として扱ってもいいものかと一晩悩んだのだ。 (もしも何処かの王家の縁の者だったら………) ―ぶるりと悪寒が走る。 (だから執事、執事なら文句ないでしょ!それに本人も使い魔になるのは同意してるんだし!) こうしてメイジを使い魔にする、という部分はルイズの中で一応の決着を見た。 問題はキス、乙女心な甘酸っぱい、青春のメモリーである。 (アレはノーカウント!ノーカウント!使い魔の契約なんだからノーカウント!じゃ無かったらお父様にキスしたのと一緒!そうなのよ!わかったルイズ!?) ごろんごろんと転がるルイズであった。 「お目覚めかな、ミス・ヴァリエール」 大丈夫、決着したと言い聞かせてルイズはベットから起き上がった。 「おはよう、ミスタ・ウルザ。それと昨日も言ったけどルイズでいいわ」 「そうだったね、ミス・ルイズ」 「じゃあ、起きて着替えるから…いいわ、外で待ってて」 「そうかね?てっきり貴族は従者がいる場合手伝わせるものだと思っていたがね」 「いいから、出ていって頂戴、ミスタ・ウルザ」 バタンと扉が閉まり、ウルザは外へ出て行った。 ルイズも最初は手伝わせようかと思ったのだが、あの色眼鏡に見つめられると思うとどうにも落ち着かなくなってしまったのだ。 何より、眼鏡の奥、彼の瞳に何か恐ろしいものが潜んでいる気がするのだ。 「?」 着替える最中、ウルザの机の上に作りかけの何かが置いてあった。 「何これ…鉄の、…動物?」 これは、…壊れてる ――炎蛇の魔道師 コルベール 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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イーグル号が浮遊大陸アルビオンに到着したころ、ワルドが口を開いた。 「ルイズ、結婚式なんだがね、ここで挙げないか?」 その申し出をさも嬉しそうにルイズは答える。 「それは素晴らしいですわワルド様。今なら何年後でも予約できますわ」 「ああ、そうだね…」 (もうあきらめたらいいのに…) その様子をウェールズは本当に愉快そうに見ていた。 明日には死ぬ運命にある人間がここまですがすがしく笑えるものだろうか? もしかして本当は戦争なんて起きていないんじゃないか?とすら思える。 「ウェールズ王子さま」 「なにかな?ミス・みかん」 「どうして笑ってられるの?」 みかんにしてみればそれは気になって当たり前だった。 しかし、今聞くことではなかっただろう。 ルイズや船員、心なしかオルトロスさえ落ち込んでいるように見えた。 そんな中でも王子が笑みを絶やすことはなかった。 「ミス・みかん。明日死ぬからこそ、今は楽しく過ごしたいのだよ」 その発言に老メイジが追い打ちをかける 「おお、王家に仕えること60年、これほど勇ましいお言葉を聞いたのはいつぶりのことでしょう!!」 とたん、湧き上がる歓声、いいしれぬ恐怖を感じるルイズとみかんを気にするでもなく船は港に着いた。 ウェールズはルイズたちを少し待たせてから手紙を持ってきた。 「大事に保管していたからね、持ってくるのも少しばかり時間がかかってしまった。すまない」 何度も読み返さねばこうはならないことが誰の目にも明らかだった。 「ウェールズ王子…」 「アンリエッタの密書、確かに受け取ったよ、大使の皆。心から感謝する」 今この場で笑みを浮かべているのは王国軍のみだろう。旅支度を済ませたふうの女子供は一様にうつむいていて表情が分からない。 「あの、ウェールズ王子、手紙にはなんと書いてあったのですか?」 「密書の内容を知ろうとするのは大使失格ではないかな?」 当たり前のようにそう返すウェールズを見たルイズは言葉に詰まった。 「ですが、王子…」 なおも食いさがろうとするルイズの肩をワルドがつかんで制止する。 ルイズはためらったものの、みかんが後を継いでしまう。 「ウェールズ王子、にげちゃおうよ、たたかうひつようなんてないよ!!」 一瞬だけ、その場が静かになる。 しかしそれは本当に一瞬だけだった。 すぐに兵士たちは用意されていた酒や料理を囲んでまた騒ぎを始める。 「ミス・みかん、そういう問題ではないのだよ」 「じゃあどういうもんだいなの?!」 困ったように笑うウェールズの代わりにワルドが答えた。 「みかんちゃん。もしウェールズ王子が亡命したとなると、僕たちの国も戦争になってしまうんだ。政治というのはそういうものなのさ」 二人が絶句しているうちにウェールズはばか騒ぎの中に紛れてしまう。 ワルドもそれに続いた。 後には名誉の死なるものが理解できない二人の少女のみが残された。 星空の下、戦場を知った少女達は肩を寄せ合い泣いていた。 みかんとルイズは話し合いたかった。 しかし話し合えなかった。 もう自分たちではどうにもできないことが分かっているからだ。 どうしようもないのは分かる。 諦める諦めないではなく、次に進まなければならないとも。 それでも涙は止まらなかった。 相手の体温が温かく感じられた。 澄んだ空気はなんだか肌寒かった。 涙がかれるころにはきつく抱きしめあっていた。 そうでもしないとダメになりそうだからだ。 「ルイズお姉ちゃん」 「なに?」 「お部屋、戻ろう?」 「そうね、それがいいわ」 手をつないで部屋に帰る二人の後を、オルトロスがしっかりとついていきたまにその手を嘗める。 まうで慰めるかのように。 二人が夢に落ちるまでオルトロスは二人の側で起きていた。 ルイズは、本来慰めに来るべきワルドが来ないのは彼なりの配慮だと解釈いしていた。 それが、翌日の悲しみをいっそう強めることになるなど微塵も考えなかった。 よほど泣き疲れたのか、ルイズが目を覚ましたのは太陽が真上を過ぎたころであった。 窓の外を見たルイズは焦った。 確か戦争は今日始まってしまうはずだ。 皇子の説得も何もかもがこれでは遅すぎる。 いや、自分の命の安全さえ危うい。 なんにしても一秒でも早く誰かに会わなければ。 そう思い隣のみかんをたたき起そうとするが、なぜかみかんがいない。 みかんがいなければ当たり前といえば当たり前なのだが、オルトロスもいないではないか。 敵地で朝目覚めてみれば周りにいるはずの仲間がおらず独りぼっちになっていた。 さながらB級ホラーのような恐怖におぼつかない足を叱咤し、なんとかベッドの外に出る。 ようやく心臓が落ち着いてきたところで昨日のあの場所からかすかに音が聞こえることに気づく。 とりあえず誰かがいる。 その事実に安心したルイズは少しの迷いもなく音のする方へと向かった。 そこに待ち受ける惨劇も知らずに。 その光景を見た瞬間、ルイズは心底あきれた。 なんとあの兵士たち全員が眠りこけているではないか!! 豪勢な食事に囲まれて頭から酒をかぶり泥のように眠っている。 今日が命日だの何だのと散々騒いでいたのに昼過ぎまで眠っているとは一体どういうつもりなのだろうか? いろいろとつっこんでやりたくはあったが、まずはみかんと合流したい。 そしてできれば王子を説得して一緒にトリステインに帰るのだ。 姫様を悲しませたくはない。 そう思いルイズは近くの兵士の脇腹を、ある程度の、しかし決して弱くはない強さで小突き言い放った。 「ねぇ、ちょっと起きなさいよ。みかん見なかったかしら?」 しかしその兵士は微動だにしない。 まだ寝むっているのだろうか? 今度容赦のない平手打ちを叩き込む。 軽快な音が響き渡るが、そのものはおろかその場の誰一人として目を覚ましはしない。 悪夢にうなされだしたかのようにしだいに不安になってゆくルイズ。 じっとりと汗ばんだ手でその兵士をゆすり起こそうとして初めて、ようやく、その決定的かつ絶望的な異変に気づいたのだ。 「体温が、無い…!!」 へたり込み、ただ虚空を見つめる。 数秒、窓の外を見つめた後思い出したかのように全員を見回す。 やはり起きない。 どうあっても起きてはくれないだろう。 誰も息をしていないのだから。 これはきっと毒殺だ。 自分も王族の親戚であり、優秀すぎる母と父に囲まれて育ったのだ。 それぐらい分かる。 では誰が? 先ほどの物音の犯人が? みかんはどうした? 再度きづいたようにあたりを見回し、壁にもたれ目を見ひらくウウェールズと目が合う。 身近な死をようやく理解した頭は限界を超え、ただ嘔吐を繰り返した。 みかんはどこ?オルトロスは?死んじゃったの?何で私は生きているの? 説明のつかない現状に恐怖と焦りを感じながらルイズは震える足でなんとか前に進んでいた。 目的地などない。 もはやまともな思考回路なんてものはない。 そんな彼女がみかんを庇うように立つオルトロスと対峙するワルドが出会ってしまったことは少なくとも幸運ではないように思えた。 みかんが、驚きと苦しみの目でこちらを見る。 オルトロスはただワルドを、そしてワルドは銃をみかんに突き付けながら、ルイズを見やり苦笑した。 「やぁ、ルイズ。僕のルイズ。やっぱり魔法の混ざった薬は無効化されてしまったんだね」 茫然と立ち尽くすルイズにそう言い放つワルドの表情は、やはり苦笑であった。 「ワルド…、何をしているの?」 しかしワルドは答えなかった。 一瞬も油断しまいとオルトロスに注意を払っている。 しかし銃口を向けているのはみかんだ。 これだけの距離があればオルトロスに飛びかかられる前にみかんを撃ててしまうだろう。 見ればみかんは結界をはっているではないか。 なぜ二人が戦っているのか? 決闘? 昨日の続き? いや、仕切り直し? …一体何をしているの?この二人は!! 「あなたたち!!こんな時に何してるのよ!!敵が攻めてきたのよ?!王子様が死んじゃったのよ?!」 「そうだね、ルイズ。僕が殺したんだ」 え? 何を、言って… 「僕が食事に毒を混ぜたのさ」 ワルド? 「いや、一人の例外もなく騒いでいたからね。簡単だったよ」 なんで? 「ミス・みかんはともかく使い魔は始末しておきたかったのだがね。睡眠薬のにおいで飛び起きってしまたんだよ。殺そうにも足が速くってね。ミス・みかんは是非とも仲間に入れたかったので彼女を背に乗せて逃げる使い魔ごと殺すわけにもいかずおいかけっこになってしまったんだ」 だからなんで? 「そうこうしているうちにミス・みかんが起きてしまってね。困ったものだよ。ルイズ、君まで起きてしまうとは」 どうして? 「彼女の力は素晴らしいじゃないか!!なんとも不思議な力だ!!僕が世界を手に入れるためにはぜひとも欲しい力だ!!」 その言葉に、ようやく、いまさらに彼女は理解した。 「ワルド、あんた、レコン・キスタ…!!」 「その通りだよ、ルイズ。僕にはミス・みかんの、そしてそれ以上にルイズ!!君の力が、才能が必要なんだ!!」」 信じられなかったし、信じたくはなかった。 しかし、あの死体も、目の前のワルドも現実だ。 つい、その場にへたり込んでしまった。 涙が頬を伝うが、ワルドの演説は終わらない。 「君には絶対に才能があるんだよルイズ!!僕は、君にはあの虚無の才能があると思ってるんだよ。大丈夫、虚無の魔法を使う手段はもう調べてあるんだ。君をゼロだなんて二度と呼ばせない!!僕と一緒に来るんだ!!」 私に虚無の才能が? 「そうだとも!!君さえ協力してくれれば必ずや聖地を奪還してみせる!!」 そんなことのために? 「これはとても重要なことなんだよルイズ。僕たちは真理を知る術と義務がある」 「そんなの要らないわ!!」 ルイズの杖がワルドをとらえるが、ワルドは表情を崩さない。 「無駄だよ僕のルイズ。ここじゃ魔法は使えないし使えるようになったなら僕は誰よりも早く魔法を唱えられる」 言葉に詰まるルイズを楽しそうに眺めるワルドの言葉にみかんは震えながらも、しかしはっきりとした敵意をもって答えた。 「おじさん…」 「なんだい?ミス・みかん」 「わたし、きめた」 その言葉にワルドは嬉しそうな表情を浮かべる 「仲間になってくれるんだね?!」 「ちがうよ?」 矢継ぎ早な返答にワルドはつまる。 そして優しい声で話しかけた。 「どうして仲間になってくれないんだい?それと、決めたって何をだい?」 ルイズもまた、みかんの言葉を待つ。 「おじさんをゆるさないことをきめたの」 静寂、そして失笑。 笑い声の主が語りかける。 「いったい何を許さないんだい?」 耳に響く笑い声にルイズはうつむいてしまう。 今この場を支配しているのはワルドだ。 平時の彼女であればたとえどんな状況であっても抵抗したかもしれないがこんな状況では立ち向かう気にはなれなかった。 みかんは、その笑い声を打ち消すかのように先ほどよりも強い口調でしゃべる。 「わたしのけっかいは、まほうを『ぜんぶ』消すわけじゃないんだよ?」 言葉の意味がわからない、そんな風に構えるワルドの杖を灼熱が包み込んだ。
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戦士 各スキルの消耗CP、充電CPなど詳細はデータサイトを参考にして下さい。 スキル一覧 スキル名 スキル難易度 必要スキル 説明 打ち下ろし Lv1 - 剣の重さを利用して敵に垂直に振り下ろす。 二段打ち下ろし Lv2 打ち下ろし[6] 剣を2回素早く振り下ろして3回のダメージを与える。 ブロードブレード Lv3 二段打ち下ろし[3] 敵に精巧で威力のある一撃を放つ。 ソニックブレード Lv3 ブロードブレード[3] 剣を大きく振り下ろし、真空波を作って遠距離の敵を攻撃する。 ディレイクラッシング Lv4 ブロードブレード[6]ソニックブレード[6]ブラッドレイジ[3] 複数の分身を生み出し、敵に連続攻撃を行う。 ストレートスパイク Lv5 ソニックブロー[12]ソニックブレード[12] 素早く地を突き、地面に剣圧の嵐を起こし、前方の一直線上にいる敵に大きなダメージを与える。 水平振り回し Lv1 - 剣を横に振り回して攻撃する。 ラウンディングブーム Lv2 水平振り回し[6] 剣を出したまま回転して、周囲の敵に剣圧の風を飛ばす。 ソニックブロー Lv3 水平振り回し[12]ソニックブレード[3] 剣を素早く振り下ろし、真空波で広い範囲の敵を攻撃する。 ブラッドシェーカー Lv3 水平振り回し[12]ソニックブレード[3]ソニックブロー[3] 自分の体と剣に付いている血を拭い、その血を刃の形にして敵に飛ばす。 最後に受けたダメージと与えたダメージに比例して攻撃力が上昇する。 タイフーンインパルス Lv4 ソニックブロー[6]ブロードブレード[6] 激しく剣を振り回し、前方の敵に向かって剣圧の嵐を飛ばす。 ドラゴンツイスター Lv5 タイフーンインパルス[6]ストレートスパイク[3]ハリケーンショック[6]ブラッドレイジ[6] 剣を大きく振り回し、氷の竜を召喚する。氷竜は戦士の周りを旋回し、周囲の敵に大ダメージを与える。 ※一時期クールタイムが付いていたが削除された。 強突き Lv1 - 力を込めた刃を素早く突き出す。 スピンスラスティング Lv2 強突き[6] 剣を螺旋状に突き出す。普通の突きより威力が強い。 サイクロンピーク Lv3 強突き[12]スピンスラスティング[6] 回転を加えた剣で敵に突攻撃を行う。 周囲の敵もその剣圧に巻き込まれるとダメージを受ける。 ハリケーンショック Lv4 打ち下ろし[18]水平振り回し[18]強突き[18] 分身術を利用して、敵に垂直振り下ろしと水平振り回し、突き攻撃を同時に行う。 ジャンプ Lv1 打ち下ろし[3] 剣を上に持ち上げてジャンプを行う。 着地点の敵は押し出されてしばらく麻痺する。 ジャンプ攻撃 Lv2 ジャンプ[6]打ち下ろし[6] ジャンプの後、着地点で剣を垂直に振り下ろす。 着地点の敵は押し出される。 ワイルドスタンプ Lv3 ジャンプ攻撃[6]ブロードブレード[3] ジャンプの後、着地点で剣を振り回し、その周囲の敵にダメージを与える。 着地点の敵は押し出される。 オルターリングヒッター Lv4 ジャンプ攻撃[12]ディレイクラッシング[3] ジャンプ中に複数の分身を生み出し、敵に連続攻撃を行う。着地点の敵は押し出される。 アタックインターセプター Lv1 打ち下ろし[3] 攻撃を受けた瞬間、反撃を行う。 アーマークラッシャー Lv2 打ち下ろし[6]アタックインターセプター[6] 攻撃を受けながら敵の鎧を壊すぐらいの高威力な一撃を加える。敵の防御力が少しずつ減少し、ダメージも与える。 ミサイルブロッカー Lv3 アタックインターセプター[12] 瞬間的な反射神経で敵のミサイル攻撃を剣で防ぐ。 ウェポンブレイカー Lv3 アタックインターセプター[12]アーマークラッシャー[6] 敵が攻撃する瞬間、その攻撃を防いで敵の武器を叩き潰す。相手は武器破壊状態になり、若干のダメージも受ける。 ブラッドレイジ Lv4 ウェポンブレイカー[6]アーマークラッシャー[12]ブラッドシェーカー[6] 敵の攻撃を受けると怒り状態になって攻撃力と速度が上昇する。※2011年のアップデートでアクティブスキルに変更され、魔法攻撃力上昇効果(5秒)が追加されました。ゲーム中の説明文は間違っているので注意。 戦士スキル・メモ 習得候補スキル一覧 スキル名 スキル難易度 必要スキル 説明 二段打ち下ろし Lv2 打ち下ろし[6] 3回攻撃スキル協会支援のエンチャ付加が3回乗るので序盤は強力。 ディレイクラッシング Lv4 ブロードブレード[6]ソニックブレード[6]ブラッドレイジ[3] 連続攻撃スキル戦士の花形スキル1最大で10回攻撃敵の攻撃無視で敵を切刻む。消費が大きいのでCP獲得スキルを充実させてから取った方が良い。攻撃全段に異常攻撃判定がある。通称:ディレイ 上記は昔の話。今では攻撃速度固定なのが致命的欠点になっており、物理火力職スキルとしては相当貧弱である。下手するとハリケーンショックの方が強い。 水平振り回し Lv1 - 命中率の高い攻撃スキル獲得CPは多くないが、Lv50で+7.5%の命中補正が魅力通称:水平 ドラゴンツイスター Lv5 タイフーンインパルス[6]ストレートパイク[3]ハリケーンショック[6]ブラッドレイジ[6] 5段ヒットの水属性魔法範囲スキル水属性攻撃だが、コールド等の追加効果は無い。全魔法スキルの中でも1、2を争うほどの性能を誇り、戦士=ドラツイと言っても過言ではない。当然ながらダメージは知識依存なので、物理攻撃メインの場合は取らない方が無難。また、戦士は刺青やブローチなどを装備できないため、水抵抗弱化付きのDXU装備がないと狩場が限定される。消費CPも心臓必須に近いほど高く、強力だがお金持ち向けのスキル。通称:ドラツイ、ドラゴン ハリケーンショック Lv4 打ち下ろし[18]水平振り回し[18]強突き[18] 3回同時攻撃スキル物理戦士の主力スキル2消費CPは一律60で固定、獲得CP・攻撃力・命中率も優秀な部類に入るこのスキルでCPを溜めてからディレイクラッシングに繋ぐ戦士が多い。通称:ハリケン ジャンプ Lv1 打ち下ろし[3] 地形指定型の移動スキルCPが足りていれば何時でも跳ぶ事が出来る。位置ズレによる移動不可状態からの脱出も可能で、滞空中はすべての攻撃を受け付けないのが強み。一応、Lv48以降は若干のCP獲得がある。スキル表などを開いた状態で画面右端に向かってスキル発動すれば最大飛距離飛ぶ事が出来る究極の蛙飛び頭で考えるのではなく、心で感じる類のスキルだPTで飛び回ると周囲から白い目で見られるので頻繁に使うのは止めよう アタックインターセプター Lv1 打ち下ろし[3] リアクションスキル その1攻撃を受けた瞬間に通常攻撃で反撃する反撃時にすべての行動をキャンセルしてしまう。特殊効果が無い為、使う人は少ない。ダメージはしっかりと受けるので注意。 アーマークラッシャー Lv2 打ち下ろし[6]アタックインターセプター[6] リアクションスキル その2攻撃を受けた瞬間に防具破壊効果を持つ反撃を行う。敵の防御力が目に見えて下がるのでコレとウェポンブレイカーを併用する人が多い発動時にすべての行動をキャンセルしてしまう。発動したら効果が切れるまでOFFにした方が良いダメージはしっかりと受けるので注意。通称:AC ミサイルブロッカー Lv3 アタックインターセプター[12] リアクションスキル その3遠距離攻撃をブロックする。 ウェポンブレイカー Lv3 アタックインターセプター[12]アーマークラッシャー[6] リアクションスキル その4攻撃を受けた瞬間に、その敵に対して反撃する敵の攻撃力が目に見えて下がるのでコレとアーマークラッシャーを併用する人が多い反撃時にすべての行動をキャンセルしてしまう。発動したら効果が切れるまでOFFにした方が良いダメージはしっかりと受けるので注意。通称:WB ブラッドレイジ Lv4 ウェポンブレイカー[6]アーマークラッシャー[12]ブラッドシェーカー[6] リアクションスキル その5敵の攻撃を受けた瞬間に、自分の攻撃力・行動速度を上昇させるスキルだったが、自分で使用するタイプに変更された。また、従来の効果に加えて魔法攻撃力が5秒間上昇する。クールタイム10秒。通称:レイジ シューティングスター Lv2 垂直斬り[6]袈裟斬り[3]戦士:打ち下ろし[6] 命中率100%の武器投げ攻撃スキル分類は剣士スキルだが、スキル使用直後に戦士に武器変更される。遠距離攻撃で命中率100%、獲得CPも多いこのスキルでタゲ取り CPチャージ→オルターリングヒッターやハリケーンショック等のスキルに繋ぐという戦闘スタイルもある。 コメント やはり戦士はどのジョブより攻撃力が高く強いですが隙がかなり多いのが傷です;; -- たそがれ戦士 ディレイの全弾に異常攻撃がつくのでかなり使えます^^ -- 某 Gvではノックアウト装備でディレイすると快感です(・∀・! -- Spyderco 高速装備が整えばかなり強い -- コメント休止中。 Sorry, This Comment is stopped for SPAM.
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レグナードにおける戦士は現状結構不遇とみられる。 主に、パラディン抜き構成での被弾時のリスクを軽減する真やいばくだきの活用がメインとなります。 両手剣自体はドラスラで特攻ダメージは出せるものの、 ミラクルブーストや必殺全霊が打てるバトルマスターと比較するとやはり劣ってしまう。 対レグナードに斧自体が不遇なのが戦士不遇にも繋がっている。 立ち回り方 野良での戦士の立ち回りに多く見られるのがブレス盾を装備して100から0まで戦い続ける戦士がまれにいますが 基本的にブレスを吐かせる立ち回りになってしまい、味方に迷惑をかける他、 2回行動の誘発で非常に危険なので避けた方が無難と言える。
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異名 名前 タイプ 職業 武器 成長 初期HP 初期ATK スキル(消費マナ) アビリティ1 アビリティ2 破壊魔神 ロレッタ 戦士 Merchant 打 普通 2000 2000 デストロイスマッシュ(3) 商才 破壊魔人の本性 強運の戦士 ニンファ 戦士 Warrior 斬 普通 1770 1770 ハッピーストライク(3) 天運 ハッピートレジャー 刀匠 ヨルデ 戦士 Smith 斬 普通 2300 2300 一之太刀(2) 土妖精の肉体 吸魂刀 ぬるい炎 キキ 戦士 Fighter 2350 2260 フレアスプラッシュ(2) “龍殺し” ヴォルグ 戦士 Warrior 斬 普通 1400 1800 ドラゴンスレイヤー(2) ドラゴンキラー 戦闘狂 微笑む悪魔 アンジェリカ 戦士 Assassin 斬 普通 1500 1700 デモンスマイル(2) 疾風 暗殺者の一撃 土妖精戦士団隊長 エルダ 戦士 Warrior 打 普通 2100 2000 フルスイング(2) 職人見習い アイナ 戦士 Smith 打 晩成 1980 1950 ダッシュプレス(2) 洞窟戦闘 夢への修行 みならい吟遊詩人 ハサン 戦士 Minstrel 斬 普通 2000 2100 ソウルビート(1) 宿命の剣士 トウカ 戦士 Samurai 斬 普通 1600 1600 無音の剣(2) 恋するお嬢様 ベルナデッド 戦士 Berserker 打 普通 1600 1600 ラブボンバー(1) 二刀の剣士 イオ 戦士 Swordsman 斬 普通 1500 1500 ラピッドブレード(1) 黒き鋭刃 リュビア 戦士 Warrior 斬 早熟 1140 1190 ダークエッジ (2) 疾風 None 百戦の勇士 スレイ 騎士 Guard 斬 普通 1450 1200 スラッシュ (1) 防衛本能 None お調子者 フランツ 戦士 Thief 斬 普通 1000 1200 ダッシュブレード (1) 窮鼠 None 熱血武器商人 ダスティ 戦士 Merchant 斬 普通 700 1200 ウェポンラッシュ(1) 商才 None
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新しい輝き 適正レベル:5 授与NPCの名前:ハルリ 授与NPCの所在:フレリンの中庭 前提クエスト:―― 派生クエスト:―― 授与ダイアログ 「やあこんにちは。今やらなければならないことを全部考えていたところだ。わしはここに勤務しているんだよ」 「わしは兄の鎧を磨くために預かってるんだ。カルリにやる気があるのなら自分でやるはずなのだが、兄は一族の義務感というものを持っていない。兄はいつも遅刻するし、任務には熱心に取り組まないし、いつも古く擦り切れた鎧と汚れた制服を身に着けている。それに対して指揮官の敬意を得ようなんてしないんだ」 「年老いた戦士のために、お前の力を少し貸してくれないだろうか?この鎧を鎧職人のブルーニ・ストーンヘルムのところに持っていって、磨いてもらってきてくれないか?ブルーニはトーリンの館の西の広間に、鎧職人たちと一緒にいる。そこには山を走り抜ける運河が流れている」 背景 ハルリは兄の鎧を磨くことによって守衛たちの間での兄の評判を上げようと計画し、その手助けをして欲しいとあなたに頼んだ。 目的 目的1 ブルーニ・ストーンヘルムはトーリンの館の西の広間で、鎧職人たちと共にいる。そこには山を走り抜ける運河が流れている。 ハルリはあなたに、彼の兄弟のアーマーをブリーニ・ストーンヘルムに持っていくように頼んだ。 目的2 ブルーニはハルリの鎧を磨く代わりに、トーリンの館から南にある駐屯地、ノグロンドにいる守衛たちから傷ついた鎧を集めてくるよう、あなたに頼んだ。 目的3 あなたは集めた鎧を、トーリンの館の鍛冶屋にいるブルーニのところへ持っていかなくてはならない。 目的4 ブルーニはあなたに、持ち主に返すようにと、汚れを落として磨かれたハルリの鎧を渡した。 報酬 固定報酬 金:90cp 片手用矛:光る矛 選択可能な報酬 ―― 経験点 経験点:――XP 攻略情報 ―― コメント/ヒント等 名前 コメント
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「ほう…広いな」 歩くにつれ、少しづつ収まってきたルイズを前に食堂に着いたのだが、その結構な広さに、素直に感嘆していた。 「ここで教えているのは魔法だけじゃなくて『貴族は魔法を以ってしてその精神となす』のモットーのもと 貴族たるべき教育を受けているの。だから、ここも貴族の食卓に相応しいものでなければってことね」 長ったらしい説明を受けたが、まぁイレーネにとってはどうでもいい。 ルイズが席に座ろうとすると、絶妙のタイミングで椅子を引くと、驚いたようにルイズが反応した。 「意外と気が利くのね…」 「組織から一通りの事は叩き込まれてきたからな」 妖気を消す薬を使った上での潜入任務用のものだが、その気になれば娼婦の目だってやれるのだ。 使用人の動きも当然叩き込まれている。 「…こんな所で役に立つとは思わなかったが」 まぁ、そのNoの高さ故に潜入などには使われる事は無かったので、今回が初披露という事になる。 しばらくルイズの近くに立っていたが、人が集まろうとしない。 いや、他の席は人で埋まっていたが、ルイズの周りの席だけ綺麗に空いている。 少し考えたが、その理由は一瞬で分かった。 (ああ、ここでは私はエルフだったな) 要は仕事を成した後に姿を見せたがらない街人のようなものだと思えば納得できる。 つまり、恐れているという事だ。 ただ、朝のルイズが嫌そうにしていた赤い髪のキュルケはそうでもなかったようだが。 「見た目より、仲が悪いというわけではないようだ」 からかっているようにも見えたが、それなりに気にかけた上での行動だろうと検討を付ける。 本人に言えば否定されるだろうから、あえて言わないでいるが、とにかく、ここに居ては食事も始まらないだろうとし外に出ておく事にした。 どのみち、まだ一週間は持つはずだ。 「私は外に出ておく。済んだ頃には外で待っている」 「へ?何で外に出る必要があるのよ」 「気付いていないのか…周りを見ろ」 結構大物になるかもしれんと思ったが、場の状況を把握できないというのは、後で後悔するハメになる事が多いので確認させるように促す。 それはもう、夥しい数の視線がこちらに向けられている。 自分にではなく、主にイレーネに。 「と、いうわけだ」 そう言うが否やイレーネが食堂を後にする。 「…って、待ちなさい!あんたの食事は…」 そこまで言って、昨日、自分が言った事を思い出したのか口篭る。 もっともイレーネはそれを気にした様子も無く、とっとと食堂から出てしまったのだが。 「もう…勝手にしなさい!」 「少し、ここを探るか」 食堂から出たイレーネだが、まだ時間はある。 これからしばらくここに居るのだ。少し、学院の構造を調べておく事にした。 「確か、今居る塔が本塔だったな、他にも分塔が分かれているというわけか。…しかし、妖力がほとんど回復していない…やはり再生の影響か」 攻撃型の上位Noが腕一本再生するとしても、数ヶ月かかるのだ。それをこの短時間で行えたのだから、その影響だろう。 高速剣は腕を覚醒させ精神力で押さえつける技のため気にしなくてもいいだろうが、こうなればいよいよ一割の妖力解放すら温存しておいた方がよさそうだ。 少し考えながら歩いていたため、曲がり角で思いっきり人にぶつかってしまった。 これが妖魔なら事前に察知できていたのだが、相手はただの人だ。 「妖魔のようにはいかんものだ…すまんな、大丈夫か?」 「い、いえ…こちらこそ申し訳あり……」 イレーネはそのまま立っていたがぶつかった方はしりもちをついて倒れている。 戦士として鍛えられたイレーネと、そうでない者なら当然の結果か。 「珍しい色だ。私が居た場所でも滅多に無いが…確か『獅子王リガルド』がそんな髪の色だと聞いたな」 男の時代のかつてのNo2。イレーネ自身、直接遭遇した事は無いが、外見はそうだと聞かされている。 が、倒れている方は、イレーネを見たまま固まっている。 「…どうした?立てないのか?」 手を差し出すが…何故か思いっきり叫ばれた。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!わわわ、わたしなんか食べたっておいしくないですよぉ!!」 「食べる…?何を言って「ああ…!父様、母様ごめんなさい…!シエスタはエルフに攫われてしまいます!」」 どうにもこうにも、シエスタと言うらしい少女が一人で何か別の世界に突入しているが、それを見たイレーネも動じていないあたりさすがだ。 「ど、どうしよう!学院にエルフがいるってことは貴族の方たちも、連れ去られてしま「とりあえず落ち着け」」 言うと同時に手刀を頭に叩き込む。もちろん角度60°の綺麗なやつをだ。 髪型がクレアに似ていたので思わず後頭部を掴んで、土下座体勢にさせたくなったが、チョップで我慢しておく。 「ひぁ…!た、食べないでくださいぃ~~~!」 「エルフというのは人を喰らうのか?…だとしたら妖魔か?しかし、それならなんで私がそれと同列に扱われなくてはならないんだ」 妖魔扱いされたと思い少しイラついたが表情には出さない。 「い、いえ、わたしも人から聞いただけなんですけど…違うんですか?」 「私はエルフではないから、知らんし、お前達が使うような魔法なども使えん」 「…そういえば、ミス・ヴァリエールがエルフを使い魔にしたって噂になってましたけど…魔法使えないんですか?」 「少なくとも、空を飛んだりする事などできんさ。大体、お前達はどこで私をエルフだと判断しているんだ」 今朝、エルフだと思われていた方がいいと判断したばかりだが、即撤回だ。 半人半妖だが、さすがに妖魔のように人を食うとは思われたくない。 「その…えっと…耳ですかね」 「確かに一般的なものとは違っているが…私はエルフではないよ」 クレアを襲っていたあの女もそうだが、あっちではそう珍しくない。どうやらこっちでは尖っている=エルフというらしいと認識した。 「エルフじゃなくて魔法が使えないって事はわたし達と同じ平民なんですか?」 「同じ?お前、魔法は使えないのか?」 「魔法が使えるのは貴族の方達だけなんですよ。わたしは貴族の方々をお世話するために、ここでご奉公をさせていただいているんです」 「ふん…ならここでは、私もそうなるのだろうな」 ルイズにならともかく、この少女に半人半妖だと言っても理解すらできまいとし、それを言うのは止めたのだが、一つ疑問が浮かぶ。 「…いや、私を召喚したというやつも魔法だったか」 なら、何故に空を飛ばなかったのかは気になったのだが、まぁ些細な事だ。 攻撃型、防御型の違いのように得手不得手があるのだろうというところで納得した。 「わたしはシエスタっていいます。よろしくお願いしますね」 「さっき私に攫われると言っていた時に聞いたよ。イレーネだ」 さっきの事を思い出したのかシエスタが慌ててながら赤くなった。 「す、すいません…!でも魔法を使える貴族ですらわたし達にとっては怖いんです…。その貴族ですら恐れるエルフと思ったんですから…」 「怖い…か。私にも怖いと思うことぐらいあるよ」 もちろん、プリシラに左腕を持っていかれた時の事だが、シエスタは自分と同じだと思ったらしい。 「やっぱりそうですよね。…そうだ!余り物で作った賄い食でよければ食べていかれませんか?」 「ああ、私は…」 「遠慮なんてしないでくださいな。こちらにいらしてください」 大丈夫だと答える前にシエスタに手を掴まれ阻まれた。どうも見た目に反し押しが強いらしい。 こうなればあちらと違って、恐れられていないだけに一方的に弱い形になる。 戦士によっては、どこまでやるのかは違うが、少なくともイレーネは一般人と揉め事を起こすようなタイプではない。 無理に断っても拗れるだけだし、一週間は持つが、食べる必要が無いというわけではない。まして妖力が尽きているのだ。 引っ張られるままに食堂の裏手の厨房に連れていかれ椅子に座らされ待つこと数分。 シエスタが皿に入った暖かいシチューを持ってきた。 半分ぐらい食べたところでスプーンを置くとニコニコしていたシエスタが急に不安そうな顔をして聞いてきた。 「もしかして…お口に合いませんでしたか…?」 「ああ、性質でな。私は大体、二日に一度この程度食べれば事足りるんだ」 まぁ戦士にもよるが、大体このぐらいだ。クレアはさらに少ない方だったようだが。 「駄目ですよ!ちゃんと食べないと大きくなれません!」 長女としてのプライドか、どうも食事を残す妹や弟達とかぶったらしく、思わず似たような説教が出た。 「これ以上成長するというのもどうかと思うが」 身長180センチ、一般的に見ても高身長だ。 「そうですけど…毎日のご飯は大事なんですからね」 (やれやれ…クレアに『欲しくなくても無理にでも体に入れておけ』と言った私の立場が無いな) 因果応報。弟子にやった事がそのまま返ってきたような気がしたため、とりあえずその場は全部食べる事にした。 味は美味かったため、そう苦にはならなかったのは幸いというところか。 というか、本気で久方ぶりにまともな料理を食べた。 戦士時代から性質上、どういったものでも少量摂取すればいいというだけあって、基本的に生でいける果実か、そのまま焼いたものぐらいしか食べていない。 例外も居るだろうが、大抵の戦士はそれで済むため、わざわざ、一般人が食べるような料理を食べようなどというものは非常に少ないのだ。 だから、素直に感想が出た。 「旨いな」 「よかった。全部食べてくれて。いつでも食べに来てくださいね。わたし達が食べているものでよければお出ししますので」 「さすがに、毎日というわけにはな…ルイズの方も終わったようだ、世話になった」 「それじゃあ、またお昼に」 マントを翻し厨房を出るが、先行き不安と言えば不安だ。 「四肢接続を繰り返せばいけるか…?」 本気でそんな危ない事を考えつつ、ルイズと合流し教室へと向かう事になった。 ルイズがイレーネを伴い教室へ入ると、今まで結構話し声とかしていた教室が一気に静まり返った。 全員、正面を向き誰も一切ルイズを、もといイレーネを見ようとしない。 唯一の例外は今朝のキュルケと、その近くに座っている青髪の少女ぐらいだ。 風属性の教師曰く「学院として理想的な状態だ」とのこと。 さすがに、イレーネもこう大人数から人を食うエルフと思われてはたまらないので、ルイズに問いただす事にした。 「…お前達が言うエルフというのは人を食うのか?」 「人を食べるのはオーク鬼とかでエルフは強力な先住魔法を使うけど人なんか食べないと思うわ。急にどうしたのよ」 「そうか。…いや少しな」 どうやらシエスタの思い込みだったようで、一先ず安堵した。 なら訂正する事もあるまいと思い床に腰を落す。 やはり、こうなると背中に大剣が無い事に多少違和感を感じる。 「しかし…あれ全てが使い魔というやつか?」 「そりゃそうよ」 (まるで覚醒者の展示会だな…) もちろん普通の動物も居るが、中に浮いている巨大な目玉。蛸人魚。六本足を持つトカゲ。どれもこれも40番代ぐらいの下位の覚醒者ならありえる形だ。 そうしていると、扉が開き中年の女性の教師が入ってきた。 教室を一瞥するなり、満足げに微笑むと 「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」 と、口を開いたが、ルイズとその使い魔であるイレーネと目が合うと一気にその調子が下がった。 「ず、ずいぶんと、変わった…いえ、立派な使い魔を召喚したものですね?ミス・ヴァリエール」 瞬間、ただでさえ冷えていた教室の空気が下がる。それはもう、生徒から空気読めよと言わんばかりの視線がモロにシュヴルーズと呼ばれる教師に集まっていた。 「で、では授業を始めますよ。私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法を、皆さんに講義します」 こほん、と咳払いをし授業が始まるが、イレーネの興味は属性などよりも二つ名の方に移っている。 「お前達は、全員二つ名を持っているのか」 「そうね、大抵二つ名で属性が分かるのよ。あそこの小太りが『風上』。あのキザったらしい金髪が『青銅』。その横のは『香水』。後は…キュルケの『微熱』ね」 「順に、『風』『土』『水』『火』といったところだな。もう一つあるようだが…誰も使えないのか」 「伝説になってるぐらいだしね。虚無は」 「…それでルイズ、お前の二つ名は何なんだ?」 イレーネ自身、『高速剣』という二つ名を持っていたからには、そこのところはやはり興味はある。 そう聞かれてもルイズが答えないので、まぁ深くは聞かなかったのだが、かなり静かな教室の中、話していたので結構目立っていた。 「ミス・ヴァリエール、使い魔と親睦を深めるのは構わないのですが…授業中は慎みなさい」 「ああ、すまん。続けてくれ」 ルイズが謝るより先にイレーネがそう言ったのだが、思いのほか素直に謝られた事に対して緊張が取れたようで、ようやく何時もの調子に戻ったようだ。 「判っていただければ幸いです。ミス・ヴァリエールには、ここにある石ころを私がやったように金属に変えてもらいましょう」 「わ、わたしですか?」 もじもじしつつ立ち上がらないルイズを若干疑念を含んだ目で見たが、土系統は苦手なのだろうと判断した。 「や、やります」 そんな、視線に気付いたのか、緊張した面持ちでルイズが前に向かうが、別の方向から待ったがかかった。 「先生、ルイズにやらせるのは危険だと思いますけど…」 他の生徒もそれに同調しているが、シュヴルーズは止めさせるどころか、むしろ促している。 「失敗を恐れていては何もできませんよ。気にしないでやってごらんなさい」 もう止められない。ルイズが教壇の前に行き杖を構えると生徒が一斉に机の下に隠れ始めた。 ルイズが呪文を唱えるが、戦いから離れていたとはいえ戦士。イレーネの体が反応した。 体のあちこちが妖力解放した時のように音を立てている。 何か分からんがマズイ! 「そこまでだ、止めろ!」 何故か限界を突破しそうな予感にかられ、ルイズを止めたのだが、もう杖を振り下ろしていた。 「いかん!」 瞬時に妖力解放。大して回復していない妖力を全て回し床を蹴った瞬間、爆発が起こった。 教室がパニックに陥り、他の使い魔達が暴れ出す。 フレイムが火を吐き、飛行可能な使い魔はガラスを突き破り外へ逃げ、その穴から入ってきた大蛇が小太りの少年を飲み込もうとしている。 「ああ!マリコルヌが食われた!」「まだ、食べられてない!助けてくれ!」「火を消せぇーーーー」 まるで、妖魔か覚醒者が町を襲った時の様な阿鼻叫喚だ。 「だ、だから言ったのよ!ルイズにやらせるなって!ってルイズと先生は!?」 キュルケが教壇を指差しながらそう言ったのだが、二人は居なかった。 「うそ…二人とも爆発で!?」 その場に居たはずなのに居ないので、爆発で消し飛んだと思ったらしいが、教室の後ろの方から声がかかった。 「まったく…問題児もいいところだ」 イレーネが珍しく焦った様子で、その右腕にルイズを抱えている。 「左腕が無いんでな。悪いが蹴ったぞ」 その視線の先にはシュヴルーズが倒れていた。 爆発に巻き込まれたわけではないが、イレーネの蹴りが良い所に入ったようで気絶している。 先住魔法というざわめきが起きたが、何の事は無い。ただ疾く動いただけの事だ 妖力解放し、教壇まで一足飛びに飛ぶと同時に教壇のルイズを掴み そのままの勢いで壁を蹴り反転。ついでにシュヴルーズを蹴り飛ばしたのだが、鳩尾に綺麗に決まったようだった。 当然、手加減はしたが急所である。そりゃあ気絶もする。 瞬間的な妖力解放による高速移動。『幻影』程ではないが、かなりのスピードで移動はできる。 ただ、もう回復した妖力を使い果たしたようだったが。 「ちょっと失敗したみたいね」 そんな教室のざわめきを受けても淡々とした声でと事も無げに言う姿を見て改めてイレーネは、こいつは大物になるな。と本気でそう思った。
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (5)あなたもわたしも ガリアとトリステインの国境沿いに位置するラグドリアン湖、その近くにある古ぼけた建物、旧オルレアン公爵屋敷。 かつて将来有望とされたものの、王位を継いだ弟ジョゼフ一世に謀殺されたと噂される王弟の屋敷である。 今、そこには驚くべき短期間でアルビオンを掌握した怪人、ワルドの姿があった。 邸内にいる他の住人は老執事ペルスラン、それに気のふれた婦人だけである。 ワルドは先日からこの屋敷に、ガリア王ジョゼフ一世の知り合いという触れ込みで滞在している。 素性の確かではない、更にはジョゼフ王の知人を名乗る人間の滞在を許すようなペルスランではなかったが、男が振りまく絶望的な何かに逆らうことが出来ず、その滞在を認めていたのだった。 加えて先日、北花壇騎士を名乗る刺客が現れ、その結果として催された一方的な虐殺劇を目撃してしまってからは反抗する気力すら萎えてしまっている有様である。 その屋敷の一室、先日から寝泊りしている客室で、ワルドは紅茶を飲みながら小さくため息をついた。 窓から見える景色は闇に包まれ、天には優しい光を放つ月が昇っている。 既に、北花壇騎士を名乗る刺客を六人ばかり相手にした。 だがそれは、ワルドにとって実に退屈極まりない余興でしかなかった。 もっと心躍る戦いを望んでいたというのに、出てきたのは力を使わずとも相手に出来るような小物ばかり。 これではわざわざガリアまで足を運んだ甲斐が無い、いっそエルフでも現れてくれないかと思い始めたとき、暗闇の中で何かが動いた。 それを察知したワルドは、猫科の動物を思わせる身のこなしで窓から勢い良く飛び出し中庭に降り立った。 闇の中には悪魔が住まう。 ワルドは暗い視界に目を凝らしながら、そんなことを思い出した。 果たして、宵闇の奥には全長25メイルにも達しようかという、巨大な剣士人形の姿があった。 その肩には男、金髪の髪から尖った耳を突き出した、エルフが立っている。 エルフ、ハルケギニアのメイジ達から最も恐れられる存在が口を開く。 「私は"ネフテス"のビダーシャル。出会いに感謝を」 そう告げられたワルドこそ、この出会いに感謝して打ち震えた。 「エルフ、エルフか!?いいぞ!遂に面白そうな相手に出会えたじゃないか!」 頬を高潮させ、興奮した様子のワルドを見ながらも、ビダーシャルは冷静に続けた。 「お前に要求したい、どうか抵抗しないで欲しい。我々エルフは無益な戦いを好まない。 我はお前の意思に関わらず、お前をジョゼフの元に連れて行かねばならない。 どうか穏やかに同道願えないだろうか」 エルフと名乗り、相手に恐怖を呼び起こす。蛮人相手の交渉の常套手段であったが、目の前の男には通じない。 むしろ喜び勇んで走り寄ってくる姿を見て、ビダーシャルは違和感を覚えずにはいられないのであった。 「さあ!エルフのビダーシャル!お前の力を見せるがいい!」 「えー、皆さん、明日から夏季休暇となりますが、早寝早起き、普段通りの規則正しい生活を心がけてください。 休みだからと羽目を外しすぎてはいけませんぞ、それからそれから…おおっと、もう時間がっ! いいですか!皆さん!詳しいことは夏季休暇のしおりに書いてあります、必ず読んでくださいね!」 トリステイン魔法学院。 口早にまくし立てているのは光る頭が麗しい教員、ミスタ・コルベールである。 季節は既に夏、ついこの間まで春の優しい陽気だったものが、今では身を焦がすような厳しい熱気に変わっている。 トリステイン魔法学院では、この時期になると夏休みという形で長期休暇に入る。 そして、コルベールの発言にもあったように、明日からはその夏季休暇なのである。 「それでは、新学期に元気な顔でお会いしましょう!」 「それでルイズ、あんたは夏季休暇の間はどうするのよ」 慌てて飛び出したコルベール、それに続いて大部分の生徒も教室から出て行き、残ったのはルイズとキュルケにタバサ、その他数名の生徒だけである。 「別に予定なんて無いわよ。使い魔が張り切っちゃってるから、私一人実家に戻るわけにも行かないしね」 件の使い魔は今頃コルベールと合流し、また建造現場か、火の塔にでも向かったに違いない。 「そういうあんたはどうなのよキュルケ」 「んー、本当は面倒だから国境越えて帰るつもりなんて無かったんだけどね。 戦争も近いし、実家から休暇中だけでも帰って来いって煩いのよ、それに…」 キュルケがチラリとタバサを見やる、当のタバサはいつもの通り本を広げて読んでいた。 そんな本の虫にルイズが問いかける。 「タバサ、あなたはどうするの?」 それまで読んでいた本を閉じて顔を上げるタバサ、ちなみに本は古代の魔法の研究書であるらしかった。 「帰る」 「そうなの。そういえばタバサ、あなたの家ってどこなの?」 「ガリア」 「へー、ガリア、ガリアなんだ………ってガリア!? ガリアってあのガリア王国!?」 驚きに思わず声のボリュームが大きくなったルイズに対して、タバサがこくりと頷いた。 「驚いたわ…タバサも留学生だったのね。 だからツェルプストーとも留学生同士仲が良かったのね」 「まあ、それだけって訳じゃないんだけどね」 意味ありげにタバサを流し見るキュルケ。 「へぇ、何があったか知らないけど、人に歴史有りって訳ね」 「そうよ、今度あんたにも機会があったら話してあげるわ」 アルビオンから戻った後すぐに倒れたルイズを付きっ切りで看病した二人である。 多少なりとも距離が縮まった二人との関係を、ルイズは悪くないと思った。 「ははは、夏季休暇の予定を話しているのかい?」 そしてルイズを看病したもう一人、ギーシュが話の輪に加わろうと話しかけてきた。 「ええ、そうよ。 ギーシュ、そういうあんたはどうするのよ?」 「僕は寮に残るつもりさ。モンモランシーも一緒にね」 「モンモランシーも? ………ねぇギーシュ、まさかあんたモンモランシーにいやらしいことしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」 ルイズが疑惑のまなざしでじろりと、目前の好色一代男を見つめた。 「な、なななな、何を言っているんだい! 僕のような紳士がそんなことを考えているわけが無いじゃないか!」 「ふーん、まあいいけどね。後で一応モンモランシーには忠告しておくわよ」 「む、むぐぐぐ………」 そんなやり取りを傍観していたキュルケがくすりと忍び笑いを漏らす。 「何よツェルプストー、気持ち悪い笑い方なんかして」 「いえ、ちょっと面白くてね」 今度は誰にでも分かるようにくつくつと笑い出だすキュルケ、それを見たルイズが心底気味悪そうにキュルケに聞いた。 「ホントどうしたのよ、胸に栄養行き過ぎて頭がお天気にでもなったの?」 「そんなわけ無いじゃない、自分の胸が栄養失調だからって僻まないでよ。 私が思ったのはね、ルイズ、あんたちょっと変わった?」 「はあ?」 突然のキュルケの言葉に、口を開けたまま世にも面白い表情で聞き返すルイズ。 ルイズだけではなく、ギーシュも意味が分からないという顔をしている。 当然だがタバサは面を下げて本を読んでいた。 「さっきのギーシュとのやり取りもそうだったけど、あんた最近随分と余裕が出てきたじゃない。 以前のあんたならもっとキリキリして、自分のことで手一杯って感じだったわよ。 それがギーシュと話しててモンモランシーの心配までするなんて、周りってものが見えるようになったじゃないの」 「そうかしら?私は普段どおり、いつもの自分だと思うけど」 「本人がそう思ってるほど、あんたは昔のあんたじゃないってことかもね。 あたしとしては、からかいがいのあるゼロのルイズの方が良かったけどね」 言いながら杖でつんつんとルイズの胸を突く仕草をするキュルケである。 「ふん、私はもう大人なの、そんな安い挑発になんて乗らないわよツェルプストー」 と、語りながらも握り締めた拳が微妙に震えているルイズであった。 はい皆さん、ご一緒に! ―――ギーシュ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む