約 5,341 件
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/298.html
僕は今、帯で月火の両手を縛って裸にして身体の上に乗っている。 むにゅ。――あっ。 むにゅ。――んっ。 むにゅ。――んふ。 むにゅ。――ぁあ。 触ると声が発せられる。 少し面白い。 月火は両腕を帯で縛られて寝転んでいる上に僕にマウントポジションを取られている。 抵抗できない月火は僕にされるがままだった。 だけれど、抵抗も嫌がる素振りも一切見せない。 頬をピンクに染めていて、どちらかというと悦んでいるようにみえてしまう。 調子に乗って乳首に触れた。 「ぁんっ」とちょっと艶の含んだ声が漏れる。 よしっ、やる気を補充できた。 これで勝負にいけるな。 「じゃあ、ちょっと行ってくるな」 そう言って僕は月火にキスをしておっぱいを何度か揉んで影縫さんのいる廃ビルへと向かった。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/105.html
七々見が、いた。 魔女らしい黒を基調とした服装が、暗闇に紛れていた。 果たして文字が読めているのかどうか知らないが、本を読んでいる、ようだった。 「うん?」と顔を上げて、僕を見る。 「お帰り。いのすけ」 「…………」 「ただいまと言え」 「勝手に人の部屋に入るなよ」 「いのすけの部屋は私の部屋。私の部屋は私の部屋」 「最初から知ってたけどお前馬鹿だろ」 えっと、貯金通帳はどこにやったっけな。記憶力が悪いとこういう時に難儀する。 「姫っちはどうした?」 うるさいなぁ。 お前には関係ないじゃないか。 誘ってもバイトに来なかったじゃないか。 興味なんかないんだろう? 「死んだよ」 「あっそ」 頷いて、ぱたんと本を閉じる。やはり読んでいたのだろうか。読んでいたのだろう。 「そんで?」 「何だよ」 「いのすけは何してんの」 「引越しだよ」 刹那、硬い何かが僕の額を打った。 痛みと驚きで僕は二、三歩後ろに下がり、壁に後頭部をぶつける。 ばさばさと紙がめくれる音がして、次いでそこそこに重い物が床に落ちる音がした。 どうやら、本を投げつけられたようだ。 本を大事にできない人間は友達を大事にできない、って言ったのは誰だっけ。 誰でもいいけど。 その人はきっと、箴言遣いだったのだろう。 にしても、痛い。 何を、する。 「いのすけの悩みなんか欠片も興味ないけどさ。一つだけ教えなよ。何処行くの」 ぼくは答えない。 何も答えたくない。 必要もない。 ない、はずだ。 「ふぅん、逃げるんだ」 「お前に、何がわかるってんだよ!」 あからさまに嘲りを含んだ言葉に、ぼくはらしくもなく激昂して、七々見に掴み掛かっていた。 自分が何をしているのか、わからない。 理解が数瞬遅れて、気づけばぼくは七々見の胸元を両手で掴んで、その場で強引に押し倒していた。 どくん、と何かがぼくの中で動いた。 足首までありそうな長いスカートが乱れ、七々見の白い足が露になっている光景に目を奪われる。 暗闇の中だというのに、激しいまでの自己主張を見せる鮮烈な白。人形的ではなく、むしろ生々しい情感を感じさせる淫靡な色だった。 見惚れるほどに艶かしいその足を、七々見は隠そうともしない。 「逃げねぇの?」 「うるさい!」 まだぼくを嘲ろうとする七々見のスカートを、力任せに引き裂いた。 足首から膝、膝から太股、扇情的な足がほとんど全容を晒す。そして内股辺りにはわずかに肌とは違う白が覗いていた。 今まで一度として感じたことのない色気を、七々見から感じた。 壊したい。 そう純粋に思った。 六年前のように。 あの青色のように。 壊したい。 踏み躙りたい。 侵したい。 冒したい。 犯したい。 そう思ったら、そこからは早かった。 「ちょっ、いのすけ、あんた本気で――」 「うるさいって言ってるだろ!」 馬乗りの状態から七々見の脚を強引に開かせて、剥き出しにした男根をショーツ越しに秘部に押し付ける。 「ん、っく……いのすけ、や、やめ――」 初めて聞く弱気な声で七々見が懇願してくるが、勿論やめるつもりなどない。むしろ嗜虐心をそそられる。もっと、もっと鳴かしたくなってくる。 手で太股を押さえて、閉じられないように固定する。滑らかで、それでいて弾力のある感触が手に返ってきた。 「すごい、七々見」 太股を撫でているだけで、身体中が熱くなってくるのを感じる。当然、肉棒は最高潮まで屹立していて、今にも弾けそうなぐらいにビクビクと蠢いている。 ソレを太股に押し付けると、七々見は「ひゃっ」と声をあげた。 「い、いのすけ、熱いよ」 「七々見のせいだろ」 ぼくの周りで人が死ぬのはぼくのせいだけど、これは、ぼくのせいじゃない。 「んんっ、んあ……やぁ」 ショーツに、太股に、スカートに、七々見の下半身を肉棒で蹂躙していく。 意思がある存在とは思えないほど、今のぼくは無茶苦茶で滅茶苦茶だった。 白い太股がぐにぐにと形を変えるのを愉しんだり、ショーツやスカートの不規則な刺激を愉しんだり、何より《あの》七々見を汚しているのだと思うと、堪らない愉悦を感じた。 「んぅ、ふあぁっ……はぁ」 七々見の声が嬌声に聞こえてきた頃にようやく我に返って、改めて七々見に向き直る。 露になった下半身の柔肌は、ぼくの先走り汁でじっとりとぬめっていた。 淫猥な光景に、さらに劣情を煽られる。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/389.html
「なぁ、神原。」 「なんだ、阿良々木先輩。」 「お前って意外とMの気があるんじゃないのか?」 「ふむ・・・阿良々木先輩、確かに私は相手の趣向に柔軟に合わせて行為を楽しむ自信はあるが、だからといってMというわけではないと思うぞ。」 「ふーん・・・まぁいいからやってみようぜ。」 「む、阿良々木先輩、いつのまに私を亀甲縛りに」 「ん?ああ僕は元吸血鬼だからな・・・これぐらいは簡単なんだよ。」 「こういう時は蝋燭からなのかな?それとも鞭だったかな?ククク・・・」 「阿良々木先輩がただドSなだけなんじゃないだろうか・・・」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/307.html
なんと言うかその場の成り行きで、降って湧いたようにはじまってしまった神原との情事に、僕ってハメられちゃったのかなぁとか、 戦場ヶ原に何て言やいいんだろうとか、この場合、喰われる側は神原なんだろうか、それとも僕なんだろうかなどと、いろいろな考えが 頭の中を駆け巡っていたのだが、それらの漠然とした考えは、目の前に横たわった、超高級セクサドールのように少しのたるみもない 流線型の肉体が放つ圧倒的な存在感によって、霧のように掻き消されていった。 いつもガン見していた後輩の股間を、ここぞとばかりに指でまさぐりながら、僕は言った。 「神原の腰つきって、スッゲーいやらしいよな」 現役アスリートでもある、神原の鍛えられた下半身は、細く見えるのに肉付きが良くて、見るからに締まりが良さそうだった。 「ええっ…」 このきれいな脚を、これから思う存分、揉んだり撫でたり、開いたり閉じたりして、そんでもって舐めたり啜ったり呑んだりしちゃうんだ、僕。 「体育会系の女子って、アソコの締まりとか、やっぱスゲーんだろうな」 「先輩ったら… 後輩の女子を… そーゆー目で見てたんだ」 「…と言っても、お前だけだけどな」 その人並み外れたスポーツの才能から、たちまち直江津高校のアイドルになった神原は、ルックスだって本モノのアイドル顔負けだ。 そんな健康的なナイスバディの持ち主とエッチするという状況に僕は、ちょっとニュアンスは違うが、あの凄惨な戦いの晩、悪魔の待つ 真っ暗な教室へ入っていったときと同じくらいガクブルしていた。 まるでグラビアから抜け出たようなお椀型の美乳にむしゃぶりつく。 「うあっ… 阿良々木先輩ッ…」 鮮やかなピンク色の乳首がみるみる尖っていく。 おっぱいの縁の急な立ち上がりを舌でなぞりながら、柔らかくて張りのある乳肉に頬を擦りつけ、揉みあやしてゆく。 そして、さらに下へ下へと、ゆっくりと舌を這わせていった。 「うあぁっ!」 だんだんと激しくなる呼吸に合わせて、乳房がぷるぷると震え、引き締まった腹部が波打つように上下した。 つるつるした下腹に顔をうずめて舐めまわすと、あたたかくじっとりした神原の吐息が、ぴんと立った僕のアホ毛を揺らしながら、 僕の髪の毛を湿らせていった。 「阿良々木先輩ッ、そこはダメだッ、きたない…」 16才の秘めやかな場所は、初々しいピンク色をしていた。 ゴクリッ、と自分が生唾を呑み込む音が、僕の耳に大きく響いた。 「いつも見せつけてたくせに、少しぐらい舐めさせてくれたっていーじゃん」 すでに蜜穴は、じっとり濡れて、なまめかしい光を放っている。 頬を真っ赤に染めて、神原が弱々しい声で否定する。 「べつに見せつけてるわけじゃ…」 その弱々しい声は、ピンクの花びらを舐め啜る、ぴちゃぴちゃという猥雑な音に掻き消された。 「あうううっっっ!」 長い腿とすらりとしたふくらはぎが、ピィーンと伸びて、張り詰めた筋肉でぱっつんぱっつんになる。 僕は口をすぼめて、ひだの奥から肉芽を吸い出して、舌先で転がすようにした。 「はうっ!!」 乳房を大きくバウンドさせながら神原は仰け反り、腰をくねらせて喘いだ。 引き締まったお尻に続いて、みごとな脚線美を両手で撫で回すようにすると、なめらかに張った筋肉が僕の指をやんわりと押し返す。 ピンクの肉裂から口を離さずに、僕は言った。 「レロレロレロ… あれだ神原、ウォーミングアップだよ」 「ううううんっ」 ショートカットの髪を、まるでいやいやをするように激しく振り乱しながら、昂まりゆく快感に耐えようとする神原。 花びらが開ききって、秘孔がぱっくりと口を開けたのを確認して、僕は言った。 「ウォームアップはこんくらいでいいだろう」 僕は神原のうえにのしかかって、さっきまで舌で舐め回していた彼女自身にペニスの先をあてがった。 「それじゃあ神原、行っくぜーッ」 「あふぁっ!!」 僕の身体のしたで、彼女の全身の筋肉がきゅっと張り詰め、まるで波打つように動いた。 そのまま、狭くなった肉の輪を一気にくぐり抜ける。 神原の股はやわらかく、ぜい肉がまったくないことも加わって、より深いところまで挿入することができた。 ペニスの先に何やらこりこりした突起が当たる。…どうやら最初の一突きで、子宮口まで軽々と到達してしまったらしい。 「スッゲー気持ち良い… 最後はちゃんと外に出すから」 鍛えられて二つに割れた背中を強く抱き締めながら、僕は腰を使い始めた。 彼女のなかはじっとりと湿ってあたたかく、あまりの気持ち良さに僕は、最初の数ストロークで果ててしまいそうになった。 ぐんぐんと膨らんでゆく射精感をなんとか堪えながら、無我夢中で腰を振った。 「せんぱぁい、阿良々木先輩ィーッ」 「かんばるッ、かんばるッー!」 荒々しく突き込むたびに、つるりとした下腹部やすべすべした内腿がぺたぺたと音を立てて僕の下腹部に押し当たる。 「せんぱぁいーッ!」 「かんばるうぅーッ!」 名前を呼びながら突き込む僕に、神原も更に締め付けながら応えた。 少女の美しさと女のいやらしさを同時に持つ、芸術的なまでの肉体が、快楽によってさらに艶やかに輝いてゆく。 じわじわと盛り上がってきた射精感が、一気にスパークして臨界点を超えて、阿良々木先輩は発射の秒読み段階に入った。 スパートをかけると、精液を搾り取ろうとするかのように、肉壷がぐっと引き絞られた。 本能に逆らって一気にペニスを引き抜くと、呆れるほどたくさんに白濁液がぶるんっと弾けるように散って、神原の腹といわず胸や顔にまで べったりと付着した。 二人でシャワーを浴びながら、僕は神原のお腹についた僕の精液を念入りに洗い落とした。 神原は目をつむり、僕に洗われるがままになっている。 (こいつの身体って、全身どこもかも、つるつるのすべすべなんだな…) ふと、現在の混乱した状況について考え、頭の中で整理してみようとした。 (……なんで、こうなっちゃったんだろーな~) さらに、これから予想される危機的状況についても考えてみる。 (戦場ヶ原のこと、ど~すんだよ…) ふと、神原が片目を開けて、僕の顔をちらりと見た。 (僕っていっつもこんな風に、流されてばっかりなんだよな…) でも、今朝の神原の扇情的なヘソ出しルック。 (あんなスゲー格好見せられちまったら、もう止まんねぇよなぁ~) 戦場ヶ原というちゃんとした彼女がいながらも、青春まっただ中の若い盛りである僕はどうしたって、他のキレイな女の子たちの身体にも 興味を持たずにいられない。 そんな僕にとって、今朝の神原の格好はマジで大興奮というか、もの凄くドキドキした。 神原は日頃から、男に媚びるような格好をまったくしない。なのに僕と待ち合わせていた今日、肌もあらわなセックスアピール全開の服装を してきたのだ。 こんなエロイ身体を見せつけて誘惑されたら、男はひとたまりもない。 あの短パンで大胆に強調された健康的な脚線美を見てしまったとき、ひょっとして、もう勝負は着いていたのかもしれない。 取り敢えず、この既成事実を受け入れるしかなかった。 (なんかハメられたような気がするけど、まぁいいか… 戦場ヶ原と付き合うようになったときも、何となく流されてって感じだったし…) 神原はいつもの人懐っこい微笑みを浮かべ、大きな目で僕のことをじっと見ている。 「阿良々木先輩、さっきから、なにを考えているのだ?」 「いや、…これからの身の処し方とか」 「戦場ヶ原先輩のこととか?」 「まぁ… そうだな」 「あんな女のことなんか、わたしは全然気にしてないぞ」 「いや、お前が気にしなくても、僕が気にするんだよ! つーか、戦場ヶ原はお前の愛しい先輩じゃなかったのかよ!」 「わたしの愛しい先輩は、阿良々木暦先輩だ」 「切り替え早ッ!!」 僕が頭を鷲掴みにして、わしゃわしゃと掻き乱してやると、神原はきゃっきゃっと声をあげて嬉しそうに笑った。 …この健康優良児め。 無邪気に笑う神原を見ながら僕も嬉しかった。 あの時ケチョンケチョンのズタボロにされた僕の尊い犠牲は、無駄じゃなかった。 怪異を追っ払って、神原が元のふつうの女の子の身体に戻って、相手はどうあれ、こうして人並みのエッチを体験することができた。それだけでも、 ボロボロになって頑張った甲斐があった。 ひょっとしたら、彼女から肉体関係を誘ってきたのは、お礼の意味もあったのかもしれない。 まぁ、身体を救ってくれたお礼に自分の身体を差し出すというのも、何だか凄く理にかなっているというか、至極まっとうな感じというか、 全然不自然じゃないように思えたので、ここはあれこれ余計なことを考えず、彼女の好意を素直に受け取っておくことにした。 続きます 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/340.html
「『鉄仮面の阿良々木』、ね…… そう言えば知っているかしら阿良々木くん。 機動戦士ガンダムF91に、自分の娘に対して触手プレイを迫った『鉄仮面』と呼ばれるキャラが居るのだけど…… まったく、昔からそんなキャラにちなんで二つ名を付けられていたなんて、 阿良々木くんの変態っぷりは筋金入りなのね。尊敬するわ」 「僕の呼び名とF91のメインキャラに対して悪意に満ちた解釈をするのをやめろ戦場ヶ原! 『鉄仮面』なんて一般的な表現をよくそこまで曲解できるな! ……あ、そうだ羽川。羽川は同じクラスになる前から僕や他の生徒の情報を把握してはいたんだろ? まぁ落ちこぼれではあったけど、そんな変態的な評判があったわけじゃないって、おまえから証言してくれないか」 「…………」 「……いや、羽川。そこで何故目を逸らす……?」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/200.html
「阿良々木くん、温泉行きましょう」 「ぶっ、マジか!」 「きたないわね、そんな驚くことではないでしょう」 「男としてカップル温泉に期待しないわけがないだろ」 「日帰りよ」 「……いい、行かない」 「湯上りひたぎー」 「…………」 「石鹸の香りひたぎー」 「…………」 「髪の濡れたひたぎー」 「明後日なら空いてる」 「阿良々木くんってちょろいわね」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/270.html
「阿~良々~木くんっ」 「ん、どうした?」 「えへへ、呼んでみただけっ」 「何だよそれ…………じゃ、戦場ヶ原~」 「なぁに?」 「へへ、呼んでみただけー」 「もー、何よそれ」 「阿良々木先輩、戦場ヶ原先輩、悪いが昼食は別で取らせていただく」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/259.html
「犯人はこの中におる!!」 「いきなりどうしたんだよ、忍」 「いやな、つい言ってみたくなったのじゃ」 「お前、本当に影響されやすいよな」 「そんなことはない。儂は鉄血のヴァンパイアじゃぞ? 鉄の意志を持つ者じゃ!」 「おいおい、そんな嘘は小さな胸張って言うもんじゃないぞ。 『ぱないのう』なんて言葉使うやつが言っていいことじゃないだろ、その台詞は」 「儂は流行に敏感なのじゃ! それと小さな胸は余計じゃぞ!」 「そんな言葉を使うのはごく一部の人間だけだ。 だから流行ってはない。一部分だけを切り取ってどうこう言うと随分と偏った見方になるから気をつけろよ。 そういやお前、いつだったか触って気にしてたろ? その胸」 「犯人はお前様じゃ!!」 「やけになったか!!」 「真実はいつも儂!!」 「自分のことしか信じてないのか!?」 「いや、そんなことはない。お前様も知っての通り、儂はいつも従順じゃ。 涙ながらにお前様の命令に従う毎日なんじゃ。儂が信じるのは――信じなければならぬのはお前様だけじゃ!」 「僕が嫌な奴みたいじゃないか!!」 「昨日もドーナツを買ってくれんかった。儂はショックと飢えで今にも死にそうじゃぞ?」 「死ぬ間際の態度じゃない! 昨日買えなかったのは、この前に行った時にお前が意地張って買いすぎたからだろ!! 僕はそんなにお金持ってないんだよ!」 「では作ってもらえ」 「なんで命令口調なんだよ」 「ツンデレ娘なら大丈夫じゃ。喜んで作るぞ」 「戦場ヶ原はもうツンデレじゃないぞ」 「そうじゃった。ドロドロ娘に頼むがよい」 「せめてデレデレ娘にしてくれ! それに作ってくれたとしても僕の為だぞ」 「では元委員長はどうじゃ?」 「頼みづらいだろ」 「エロ娘は?」 「あいつにはお菓子作りなんか出来ないんじゃないか? あと八九寺にも千石にも頼めないぞ」」 「なんじゃ、お前様にはロクな友がおらんのう」 「あいつらはみんな良いやつだよ!」 「では妹御はどうじゃ?」 「あいつらは何もできねえよ」 「なんじゃ、爛れた関係になることだけしかできんのか」 「僕らは爛れてなんかいない!」 「じゃが二人と接吻しおったし胸も揉んでおったの。これはごく親しい間柄の男女しかしないことではないのか? お互い喜んでおったようじゃしの」 「喜んでなんかなかっただろ! 悲鳴上げてたぞ」 「ああ、すまん。間違いじゃった。ふたりとも悦んでおったの」 「字は間違ってねえ! それだと本当に爛れた関係になるだろ!!」 「充分爛れておると思うんじゃが……、貞操観念崩壊じゃな」 「僕の貞操観念はしっかりしてるよ! 彼女の戦場ヶ原としかそんな関係になってない! 兄妹としても僕らはそんなに親しくはないぞ」 「お前様は親しくない相手と接吻をするのか。本当に鬼畜じゃの」 「そんなことはない! 僕がキスするのは戦場ヶ原だけだ!」 「その割には他の女ともしておるようじゃの。お前様の周りにおる者で接吻していないのは二人だけじゃと記憶しておるが……」 「二人って誰だよ。神原と千石か?」 「そうじゃ。他とはもう済ませたじゃろ?」 「な!? は、羽川とはしてないぞ!」 「元委員長とはしとるぞ」 「そんな描写はどこにもない!!」 「よう思い出してみい」 「……何も思い当たらないけど」 「元委員長が猫に取り憑かれたときじゃ」 「それはまだ物語になってないだろ」 「そうじゃが、元委員長のその時の記憶はないんじゃろ?」 「ああ、そうだよ。もしかして覚えていない振りをしているってことも考えられるけど、きっとそれはないだろうからな」 「本当にそうか?」 「嘘を吐く必要なんてないだろ」 「わからんぞ。GWに在ったことがあまりに恥ずかしすぎて忘れた振りをしておるかもしれん」 「そんなわけないって。羽川だぜ?」 「じゃがエロ娘のことを思い出してみろ。エロ娘は夢か何かで自分のしたことを覚えていたはずじゃ。 それを現実と照らし合わせて事実であることを知った。エロ娘でも気付くのじゃ。 あの頭の切れる元委員長が何も気付いておらぬということはおかしいのではないか?」 「……そう言われるとそうかもな」 「記憶がないということはいくらでも改変できるのじゃ。便利な機能じゃの」 「便利とか言うなよ」 「じゃから元委員長の唇を奪った犯人はお前様じゃ!!」 「そこに戻るのかよ!」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/300.html
1 「月火ちゃんになにやってんだ!」 叫びとともに気合一閃。目の前にあった月火の顔が一瞬でながれ行き、僕は壁までぶっとばされた。 常人なら首の骨が折れている。 僕は壁に当たって、重力にひかれてベッドに落ちた。 簡単にかかれているが、現実的にはかなりシュールな光景だ。 「う、があ……」 未知の痛みにうめきつつ、ベッドのシーツにひれ伏しながら、部屋の入り口をみる。 おっきいほうの妹がいた。 あいもかわらず、かわいいよりも格好いい、阿良々木火憐。 長めのショートカットといったヘアスタイルは、どこをとっても鋭く、凛々しく、格好いい火憐にはよく似合っているがあえつらえたように似合っていた。 ポニーテイルだった部分のなごりで、後ろ髪がちょっと長いのも高ポイント。うなじを隠す位の長さの髪が女の子をしている。 格好よすぎる。 僕の体に残るわずかな不死性のことを知ってから、ことさら暴力的になってしまった阿良々木家の長女が、理想的な前蹴りを繰り出した体勢でとどまっていた。 お気に入りサイクル・ジャージに身を固め、長い足をこれでもかと見せつけるレーパンを装備した火憐は蹴り脚をどん、と床にたたきつけ怒鳴った。 「月火ちゃんの眼球になにすんだ! 月火ちゃんの眼球を好きにしていいのはあたしだけだ! なあ月火ちゃん!」 「いや……火憐ちゃん……それもちょっと……」 ベッドに横になったまま、月火が若干引いていた。 ざまあみろ。 おまえと違って僕は月火の涙まで舐め尽くせるぜ。 首のすわりを確認しながら、やっとこ復活する僕。 あれ、いやちょっと待てよ? 火憐の奴、どうやってこの部屋にはいって来たんだ? 扉が開く音(火憐が扉を蹴り開ける音)もなにもきこえてこなかったぞ。 火憐でも扉を無音で蹴りあけることなど不可能だ。そんな忍者みたいなスキルは火憐の持ち物ではない。 トリックの証明よろしく、導き出される答えはひとつだ。僕は以前の失敗から(歯磨きゲームの際、月火に発見された失敗から)、部屋の扉は必ず閉じることにしている。だから、扉がもともとあいていたということは絶対にない。絶対に、だ。そしてカーテンからわずかに漏れる光に――火憐の濡れた指先が照らされた。 要するに、だ。 「おまえ、ドアをあけて僕と月火ちゃんの情事を覗いていたろ!」 そんな結論に達してしまった。達することすら恥ずかしい結論だが、的には必中しているはず。 火憐は一度おののくような動作をしたあと(もうこの時点でなにがなんだかばらしているようなものだが)、鼻でわらった。 「はぁ!? ふざけんじゃねえぜ兄ちゃん! なんで妹と兄の情事をどこぞの家政婦よろしく覗いてなきゃいけねーんだ!」 「家政婦が情事をのぞくわけないだろうがイメージでもの言うな! だったらその濡れた指先はなんだ。僕たちの情事を見て耽ってたなによりの証拠だろ!」 「はっ! 語るにおちたな兄ちゃん! さっき念入りに指をあらってきたから、濡れているとしたらそのときの水だ! ったく兄ちゃんの短慮にはおそれいったぜ!」 「語るにおちてんのはおまえだろ。自分から告白してるぞ!」 「う……なかなかやるぜ、兄ちゃん。そうだよ、二人の情事を見て耽ってたよ! 悪いか!」 「悪いかどうかは別として、もうちょっと頭を使え! 『外から帰ってきて手をあらうのは普通だ』っていう反論もあってしかるべきだろ! なんで思いつかねえ! あり得ない可能性を全部つぶさせろ!」 そして頼むから消去法をつかわせてくれ。 有効な証言をならべてくれ。 妥当な推理をさせろ。 「あ……なるほど。さっきのは兄ちゃんを試しただけだ。実は外から帰ってきたときに手を洗ったんだよ! だから手とか濡れてんだ!」 「『手とか』、とかさ……。なんかもういいや」 ほかにどこが濡れてんだよ、おまえ。 そんなに下着脱がされたいのか。 手を洗う前に着替えてこい。 その濡れた指先で後頭部をがじがしひっかきながら火憐が言う。 「でもよくわかるよなー。こんな真っ暗闇であたしの指のことに気がつくとは」 「あー……もうそんな時間か」 部屋の時計をながめる。夕食一時間まえといった時間だ。 さて火憐の指摘はもっともだったが、それにはトリックがある。 情事のおりには恥ずかしがって明かりを全面的に消したがる火憐と月火(どちらかといえば明かりを消したがるのは月火のほう。火憐は暗ければいいな、程度の消したがり)だが、実は吸血鬼スキルのせいで暗視が利き、わずかな光源さえあれば十分な明度が得られている。 だから二人が想像している以上に丸見えだったりするが、これに関しては黙っておく。いまさら照れられても困るし(萌えるけど)。 一人称なのにやけに細部が詳しいとしたらそのせいだ。 そもそもまっくらなのに桜色の頂点とかいえるわけがない。これは僕のスキルによるものだ。 決して一人称のルールをやぶるものではない。 さて、尋問を再会しよう。 「しかし、いつも乱入してくるくせに。今日に限ってどうして覗きだ」 「いやぁ。月火ちゃんのアヘ顔がかわいくって、つい。参加してるとさ、見えない面ってあるじゃん。それでタイミングを見失っちゃってさぁ。扉あけてても、兄ちゃんも月火ちゃんも気がつかねーし」 「気がつくかよ……。こっちは夢中なんだぞ? ただ覗きはわからなくもないけどな。おまえと月火ちゃんが絡んでいるときって、普段僕とやってるときと表情が違って見えるんだよな」 「……なんか語るにおちる以前の、とんでもない告白をされた気がするけどまあいいや。月火ちゃんサイコー」 「サイコー」 「月火ちゃんのどのあたりがいいのか聞くぜ兄ちゃん」 「そりゃもちろん――」 火憐とうなずきあう。僕と火憐。ちっちゃい妹のことに関して(特に情操面)ほとんどの場合意見が合致する。 「童顔な月火ちゃんの顔がゆがむのがいいんだよな……」 「童顔な月火ちゃんの顔がゆがむのがいいんだよ……」 「そろってロリコンかよ!」 月火が勢いをつけて起きあがった。いままでの情事の影響がうかがいしれる、快楽に疲労した顔をしながら僕と火憐を交互に見て、あきらめのため息をはきつつ言った。 「お兄ちゃんとお姉ちゃんが両方ともロリコンだったなんて……パパとママが知ったら卒倒しちゃうよ。長女と長男が犯罪者で、次女がその被害者なんて育て方を間違えたなんてレベルじゃないよ……」 たしかに僕がパパママの立場だったら自殺しかねない、子供たちの現状ではあるけど。まあ兄妹であるためには必要なことなので、しかたがないと目をつむってもらおう。 無理か。 でもばれないように細心の注意はしているし、大丈夫だろう。たぶん。 「まあ、僕の場合はロリコンとシスコンだけだからいいけど、火憐ちゃんの場合はロリコンかつシスコンかつ百合だからなぁ」 ――かたくなに否定していた僕のロリコン、シスコン疑惑を一時的に肯定することによって、火憐との変態項目比べに勝利する。肉を切らせて骨を断つだ。 それに対して月火は目尻をつり上げて言った。 「お兄ちゃん、五十歩百歩っていう言葉知ってる? あとお兄ちゃんには最後に『鬼畜』って属性がくっつくから百歩百歩だからね~」 「ははは。冗談はよせよ。たしかに僕は中途半端な吸血鬼で鬼だけど、鬼畜じゃないよ」 「いやがる妹の腰を押さえつけて犯したのはいったいどこのだれだ!」 「鬼畜々木さんじゃないのか」 「お兄ちゃんだよ! というかいきなりボケにまわるのやめてよ! プラチナむかつく!」 対応しきれないよ、と全裸のままベッドの上で頭を抱える月火。 小動物がぶるぶるふるえているようにも見える。もちろん全裸で。 そんな月火を視て、僕と火憐が思うのはただ一つだけなのだが。 「「いやぁ、萌えるわ」」 「いやぁあああああ! お、おそれていたバランス崩壊が! パワーバランスの崩壊が! 枕を涙で濡らす日々が……」 「「矯声と淫夢を抱いて眠れ……」」 月火のことに関しては僕と火憐の意見はかなりの確率でシンクロする。 びしっと月火を指さすのも忘れない。 非常に馬鹿っぽいけど。 「ま、楽しんでいた月火ちゃんはちょっと置いておいて。兄ちゃん、いっしょに風呂はいろうぜ~。背中流そうぜ~」 とかいいながら、ベッドの上にのっかってきた火憐が僕の左手首を両手でつかんだ。 ――これでは緊急性がいまいち伝わらないかもしれない。『火憐が僕の手首を両手でつかんだ』と、括弧つきで描写すれば、僕の背筋が凍りつくような戦慄がつたわるだろうか。 月火との情事の余韻なんて速攻で吹っ飛んだ。合気道式に固められているのか、どんなに力を入れてもふりほどけない。 ここで僕が、実の妹どうして風呂にはいらなければならないんだ気持ち悪いなどと吐こうものなら、動脈ごと手首をたたき折られる。予感ではなく、体で表現する予告に近い。 次回予告。 言うことを聞かないなら手首を折る――。吸血鬼スキルがあるから大丈夫――。 「な、なんだよいきなり。別に一人でも風呂くらい入れるだろ」 恐怖で声がうわずった。語尾がふるえなかったのは我ながら対したものだと思う。 火憐は僕の感情に気づいているのか、いないのか。 「それがさー。ためしてみたいことがあるんだよなー。でも兄ちゃんと一緒じゃないとできないことでさぁー」 火憐は手首を握りながらしなをつくり、ねだり声でつづけた。顔を身体を寄せてくる。おっぱいが――肘に当たった。 口ではおねだり口調なのに――手首の血の巡りが――停止する。 暴力が開始され、暴力を実行される。 やられたほうには恐怖しかない。 「僕がある程度の暴力に耐えられることを知ってから暴力がはげしすぎないか!? 手首の血の流れが完全にとまっているんだけど!?」 「実の兄をサンドバックがわりになんてしないよ。なんならダッチワイフにしてやるぜ」 「ダッチワイフにモノはない」 「性転換したダッチワイフだよ」 「それはすでにワイフじゃない!」 「兄ちゃんをワイフにしたいな……」 「その台詞。おまえがもし男だったら格好よすぎだからな!? 神原あたりなんていちころだ!」 「なぁ、兄ちゃんいいだろ? かわいい妹がこんなに頼んでいるんだからさぁ」 「一応聞くけどなにをするつもりなんだ」 「そんなおかしなことじゃねえよ。変態扱いすんな。このまえの歯磨きの続きだよ」 「は?」 「や、だから。歯磨きの延長で体磨きを」 「おまえに神原を紹介したのは、僕の人生のなかで一番の失敗だ!」 予想していたとはいえ、まさかこんなに早く神原に毒されるようになるとは。 火憐は不思議な顔をした。 「なんでそこで神原先生がでてくんの? あんまりにも脈絡がねーぜ、兄ちゃん」 「いまの体磨きのネタ元って神原じゃないの?」 「それはものすごく失礼じゃないか、神原先生に向かってさぁ。兄ちゃん――手首おっちゃうぞ?」 「かわいらしく言っても結局は暴力に訴えるのな!」 「あたしの暴力は芸術だ!」 「ちがう、ただの加害要素だ」 「あーもう。だから入るのかはいらないのか! どっちだ兄ちゃん! 入らないんだったらこっちにも考えがあるぞ」 手首の動脈がひきしぼられた。 握力だけで骨を握りつぶされる。 わずか数秒後には――。 たたき折られる――。 「はいるよ……」 結局僕は妹の脅迫に屈した。 「はいるよ!」 期待に胸を膨らませながら。 2 月火と火憐は、お風呂の時には電気を消そうとしない。消されたら危ないどころじゃないが、ベッドイン時よりも体の細部がよくみえるのに、ちっとも気にしていないのだ。 アンバランスきわまりないが、そこは男の僕にはわからざる理由があるのかもしれない。 高校生と中学生がふたりで浴槽に入って、スペースがあまるわけがないので、火憐は脚を浴槽の縁に投げ出している。僕は火憐の肩越しに顔をだして、水面のあたりに浮き沈みする乳房を何の気はなしにみていた。 わかったことがある。 どんなに発展途上中でもおっぱいは水に浮くのだ! 「こうやって二人でお風呂もひさびさだなあー」 ん、と体を少しのばしながら言う火憐。 確かに、『二人』で入るのはひさびさだ。 あの日以来、『三人』で入るのはめずらしくなくなったけれども。 「……そーだな。まさかこの年になってまで実の妹と風呂にはいることになるとは思っていなかったよ」 「あたしだって思ってなかったぜ」 まーいいじゃん、甘露甘露、とどこぞのおっさんのようなことをいいながら、火憐は僕に体重を預けてきた。 湯船にはったお湯に波紋が広がる。火憐の下敷きになっている格好だが浮力が効いているおかげでちっとも重くない。 そもそも火憐は格闘技に傾倒している割には軽い。本人曰く適切に鍛えられた筋肉と、タイミングさえあれば十分有効打になるのだそうだ。 理屈としては正しいが実際にはとんでもない高等技術だし、実行できる人間はそうはいない。中学三年生の分際で、そこまでの高みにのぼりつめてしまった火憐の最終着地点はいったいどこになるのか見当もつかない。いまだ成長期まっただなかの妹を体の上にのせながら、僕はそんなことをおもいつつ、湯船に肩を沈める。 情事のあとのけだるさが残っているので、ぬるめのお湯がちょうどいい。 しかし、それにしても……。 「脚がながいよな……火憐ちゃんは……」 踝から上を湯面の外に出し、浴槽のへりにのっけられた脚は、そして僕よりも若干長い脚は、べつにその方面のフェチでなくてもおもわずうっとりするような、そんな肉感的な美しさがある。 脚先から視線をおろしていくと、脂肪のかけらもない下腹部と恥毛がみえる。この下腹部。実はまことにさわりごこちがいいので、じゃまな恥毛を全部剃ってやったことがあるのだが、また生えてきてしまったらしい。こんど機会があったら、月火と一緒に剃ってやろう。 ちなみに月火はお休みして回復中。以前はすぐにでも求めてきたものだが、このごろはお休みしないと体が動かないらしい。 喜ばしいことだ、まったく。骨を折った甲斐はあるのだ。火憐に関して言えば、本当に骨を折っているわけだし、努力と傷はいまのところ報われている。 湯の中でゆらゆらゆれる黒若芽をぼうっと見つめる。黒いなー、つやあるなーとか思っていると、 「ん? なんか一瞬、股間のあたりに悪寒がはしったんだけど……兄ちゃん心当たりあるか?」 火憐が言う。 「妹の股間なんぞに興味なんてねえよ」 大嘘をはいた。 「妹の裸体を見て喜ぶ兄がどこにいるっていうんだ?」 念を押すようにもう一度言った。 そうだ。同年代の中学生よりもよっぽど色っぽい腰のラインや発育途上の乳房にときめいたりは、しない。 目隠しをされたまま局部の感触だけで二人の秘処をあてるゲームなど、やって、いない。 「兄ちゃんって本当に嘘が大好きだよな。体は正直だけど」 火憐はごそごそと体をゆすった。 下敷きにしているのは僕であり、僕のモノでもある。 火憐の全裸に反応してわずかに勃起していたのを見逃してはくれなかった。弾力のある尻の下にモノが敷かれているだけだが、刺激に対して僕のモノは素直だった。堅くなっていく。 「う……」 「にゃは。妹あいてになに欲情してんひゃっ!?」 最後までいわせるかと、僕は脇の下から手を通して、火憐の膣口にふれた。 明らかにお湯とはちがう粘ついた感触がした。そのまま入り口付近の肉皺を指先でもてあそぶ。男の体にはない、いく相も重なった皺を一つ一つ辿るように、指を動かす。 ひくっ。 太股の火憐がそのたびにひくぅ、ひくぅ、と震える。 「兄相手に欲情してんじゃねえよ。どれだけ淫乱だよ、おまえ」 「っ――手、はなせよ……」 火憐の手が僕の手首を補足する――が、力はあまりにも弱々しい。本気を出せば手首くらいたたき折れるはずの火憐は、むしろ手を添えるくらいの握力で僕の手首を握った。 体は正直だ。 さきほどのような殺気はまるで感じない。まるで続きを欲しているかのように、体を僕にすり寄せる。 お湯とは明らかに温度がちがう、火憐の体温をかんじながら指を進める。 想像よりも簡単に、火憐は僕の指を受け入れる。角度的に奥へ進入させるのは無理そうだったので第一関節までを膣道につき入れて、まさぐってみた。 「あっ……ひっ……」 風呂場のタイルに反響して、火憐の声がいつも以上に響きわたる。 男の体のどこにもない、なめらかなおうとつを確かめるように指を這わせる。 外側からではけっしてみえない、つぶつぶを指の腹で味わう。 「んっ、んっ、んっ……! 指がエロい……! そんなとこ触るなって……」 「気持ちいいか? さっきから指が締めつけられるんだけどさ」 「締めつけてねえ、よっ、あっ……んっ……。ちょっとせつないだけだって……」 「おまえいつもそんなこと言うけど、結局最後は……」 「言うなよ兄ちゃん……はずかしいんだからさ……」 明らかに感じているくせに認めない火憐を陥落させるべく、もう少しはげしく責め立てようと手の角度を変えた。 「う、わっ……」 わずかな動きでも、ぴったりとひっついた指先の動きを敏感に感じとった火憐が小さく悲鳴をあげる。 でも、その動きのせいで僕の手に乗っていた火憐の手がお風呂の縁にぶつかった。 こつ。 とたんに火憐が顔をしかめる。 「つつっ……」 手を水面のうえに出して、様子をみる火憐。 指が長くて、とても暴力につかわれるものには見えない綺麗な手。 だけど、いまその手は不格好だ。かさぶたがはがれてできた、新しい皮のせいで。 まだ痛みがあるのとはおもっていたけど、この痛がりようは予想外だ。 「あ、ごめん……」 思わず謝ったが、火憐はこっちを振り向きもせず、 「んにゃ。大丈夫」 と言って、不思議そうに自分の指を視ていた。 体の外傷の方は治ったらしいが、重傷だった拳の傷だけは癒えていない。指の付け根から皮がずるむけ、拳の骨はひび割れ、手首は折れているというひどい有様だったのだ。 僕の血を垂らしたおかげでふつうより治りは早いし、ひびはすぐになおったけれども、よく見れば腫れはまだ引いていないし、破れた皮膚はカサブタが治った後で痛々しい。 外傷かつ、体の外側からはみえない後遺症ものこっているはずだ。本人は顔にださないし、あえて指摘しようとはおもわない。 あのときは月火をとめるのに必死だったからなぁ……。 「まだ痛むのか」 「んーときどき。チクチクする感じだから、すぐにもとにもどんだろ。月火ちゃん殴ったときの方が痛かった」 手をにぎったり開いたりする。動きにはさして問題なさそうだが、そうは言っても痛みはあるのだろう。 「それならいいけどさ。せっかくきれいな指をしてんのに、カサブタまみれじゃもったいねーぞ」 「にっしっしっしっ。師匠にもそういわれてほめられたぜ。おまえの指は人体を破壊するのに適切な指先だって。長く! 細く! 理想的にきれい!」 「一度おまえの師匠を紹介しろ。マジで」 「特に二本指で眼球をつぶす技には――」 「明日おまえの師匠を紹介しろ! マジで!」 場合によっては火憐から引き離さなくてはなるまい。僕の戦闘スキルはそのお師匠様におよばないだろうが、羽川がいればなんとかなるだろう。手練手管をつかって妹を救い出さなくてはいけない。人を加害する前に。 でもさ、と火憐が手をぶらぶらと振りながら言う。 「今回はちょっとやりすぎだけど、格闘技やってれば自然とこうなってくよ。皮がやぶれて、カサブタになって、それで皮が強くなる。拳もだんだん戦闘形態になってくんだよな。だからこれくらいどうってことねえよ」 「おまえのそのストイックさってどこから来るんだろうな……。M心からだろうけど」 「ちがうぜ、兄ちゃん。それをなすのは負けぬ、揺るがぬ、諦めぬ、普遍と、愛と正義のなせること――だと思う……」 「……」 「正義だぜ、兄ちゃん。たぶん……」 火憐の声が消え入るように小さくなっていく。 あれだけ公明正大、声を大にして語っていた正義が、最近めっきり火憐の口から聞こえなくなってきた。 正義はほかの正義に倒されるまでの前座であると、月火の家出を発端とした事件から火憐なりに――理解し始めているのかもしれない。 ――なにせ、火憐の理想である強さ、どんな人間であろうと駆逐できる強さを得た月火の姿を見てしまっている。 強さに依った正義がどんなものなのか、すでに感覚でわかってしまっている。 頭の悪い部分を持ち前の直感力でカバーできる火憐は、理解したくなくても、感覚的に正義がどういうものかわかってしまっているはずだ。 next → 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/329.html
「で、どうなんですか歯磨きさん」 「僕がいつもそういうプレイをしているかのように言うんじゃない。 僕の名前は阿良々木だ」 「はぁ、つまりあれはプレイであったと」 「誘導尋問だ! やり直しを要求する!」 「ではやり直しましょう……で、どうなんですか歯磨きプレイさん」 「悪化しただと……」 「失礼。噛みました」 「違う。わざとだ」 「カルネアデスの板」 「お前はどこに緊急避難しようと言うんだ……」 「閑話休題ですよ阿良々木さん」 「あれについては実際にやってみて貰うのが一番だと思うんだけどな」 「世の中の男性が皆阿良々木さんみたいな変態じゃないんですよ?」 「ナチュラルに人を変態扱いするな。僕はノーマルだ。多分」 「多分という部分に逆に理性を感じます。丸」 「赤ペン先生かよ……」 「実際にやってみろというのは不可の方向で、詳細な解説をお願いします」 「ああ……人間って、自分で何かを動かす時って、常にどういう動かし方を するか、っていうのを無意識に自覚してるんだよ。だから、自分で何かを 動かして自分自身に刺激を与える時も、事前にどういった刺激がやって くるかを把握できちゃってるから、刺激の度合いが少なくなるんだな」 「へえ」 「だから、他人にしてもらうと把握できない、自覚できない、予想しかできない 方向から刺激が加えられる分、刺激の度合いが強くなるわけだ」 「へえ」 「そして、粘膜は総じて敏感な性感帯だという事も合わせて考えると、 他人にしてもらう歯磨きがどのような効果をもたらすか、理解してもらえると思う」 「……それ、神原さんから聞いたんですよね?」 「ああ、そうだけど」 「……神原さん、どのようにしてそれを知ったのでしょう?」 「………………」 「………………」 「まあ、あまり深く考えないようにしよう。神原だからな」 「神原さんじゃあ、仕方ありませんね!」 戻る