約 5,342 件
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/12.html
人気商品一覧 @wikiのwikiモードでは #price_list(カテゴリ名) と入力することで、あるカテゴリの売れ筋商品のリストを表示することができます。 カテゴリには以下のキーワードがご利用できます。 キーワード 表示される内容 ps3 PlayStation3 ps2 PlayStation3 psp PSP wii Wii xbox XBOX nds Nintendo DS desctop-pc デスクトップパソコン note-pc ノートパソコン mp3player デジタルオーディオプレイヤー kaden 家電 aircon エアコン camera カメラ game-toy ゲーム・おもちゃ全般 all 指定無し 空白の場合はランダムな商品が表示されます。 ※このプラグインは価格比較サイト@PRICEのデータを利用しています。 たとえば、 #price_list(game-toy) と入力すると以下のように表示されます。 ゲーム・おもちゃ全般の売れ筋商品 #price_list ノートパソコンの売れ筋商品 #price_list 人気商品リスト #price_list
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/163.html
「ん……」 身体に違和感を感じて僕は目を覚ました。 「あれ?」 両手が動かない。 まさかまた何かの怪異か!? と思ったけど、ただ単に手首がベッドの柱に紐で括られているだけだった。 「いやいやいや、ただ単にじゃないって」 何でこんなことになってんだ? 枕元の時計を見る限り今は昼をちょっと過ぎたあたり。確か朝まで勉強して寝ようとしたら忍が出てきたから相手をしてやって……。 「ふむ、起きたか」 そこまで思い出したところで椅子に座っていた忍が声を掛けてきた。 「えーと、忍さん?」 「今朝は世話になったな」 ぴょんと椅子から飛び降りてこちらに歩いてくる。 ベッドの脇に立って僕の身体を撫で回し始めた。 「じゃからお礼をしてやろうと思ってな」 忍はにやりと唇を歪めて笑う。 その笑顔に僕は見覚えがあった。戦場ヶ原が僕に時折見せる笑顔。 もちろん愛情表現なんかではない、もっと違うものだ。 スマイルのSはサディスティックのS。 「いや、その気持ちは嬉しいけどなんで両手を縛るのさ」 「おぬしは手癖が悪いからの、こうしとかんとまた何をされるかわかったもんじゃないわい」 「何だよ、忍だって気持ちよさそうに」 「黙れ!」 忍は僕の股間を踏みつける。 そのままぐりぐりと足の裏で僕の肉棒を刺激し始めた。 ちなみにいつの間にか僕のトランクスは脱がされているし、忍も一糸纏わぬ姿だ。 指の間に挟まれてごしごしと乱暴気味に擦られ、僕のものが反応し始める。 「はっ、踏まれておきながら何を大きくしておるのじゃ? やはりこのあるじ様は変態じゃのう!」 忍は実に嬉しそうに足を動かす。 言葉は荒いが上手く加減されていて全然痛くない、ていうか気持ちいい! 絶妙な力加減で袋の方を踏まれたり先っぽを指でいじられたりしてすでにガチガチに固くなっており、もうカウパーが出てきている。 「う……くっ」 「何じゃ、もう汁を溢れさせおって。汚れてしまったではないか」 忍は足を離してベッドの上に乗り、僕の身体に覆い被さる。 「興奮してしまったのなら仕方ない。儂がたっぷり気持ち良くしてやるぞ」 そう言って僕に抱き付き、耳の穴に舌を這わせ始めた。 「くうっ」 くちゅくちゅと唾液の音が耳の中で響き、快感で全身がぞくぞくと震える。 ふにふにの身体を擦り付けながら顔中を舐められた。 「ほれ、舌を出せ」 言われるままに僕が舌を突き出すと、すぐさま絡めてくる。 唇で挟み込み、吸いながら先端を擦り合わせてきた。 裏や側面も余すとこなく舌が這い、じっくりと味わわれる。 なんだかこれって……。 「ふふ、まるでふぇらちお、みたいじゃのぅ」 「!」 考えていたことをずばり当てられて僕はドキッとした。 「ちゃんとあとでこっちもしてやるから待っておれ」 僕のものに少しだけ手で触れ、また舌の動きを再開させた。 首筋からゆっくりと這っていき、脇腹を経て下半身へと向かう。 が、屹立した僕のものには触れず、足の方に移動する。 これはひょっとして今朝僕がしたことに対する意趣返しなんだろうか? 確かに僕もだいぶ焦らしたけど、結構キツいものがある。 忍を見ると、意地悪そうな顔でにやにや笑っていた。 足から上がってきてまた僕のを無視し、今度は僕の胸に舌を這わせる。 「く……っ」 思わず呻き声が漏れた。 左右の乳首を交互に舐められ、ますます僕の怒脹が固くなっていって痛いほどだ。 忍はその様子を確認してはちらちらとこちらを見てくる。 僕はもう我慢がきかなかった。 「し、忍っ、出したい、出させてっ!」 身体を起こして忍はにやりと笑った。 「どこにどんなふうに出したいのか言うてみよ」 「忍にくわえてもらって口の中に出したい! それを飲んで欲しい!」 「………………………………おぬしというやつは苛め甲斐がないのぅ」 叫ぶように即答した僕に対して忍がつまらなそうに言う。 「まぁよいわ」 「うっ」 ちゅ、と先っぽに溢れてる我慢汁を吸われた。 「よいか、ちゃんと出るときは射精すると言うのじゃぞ」 そう言って僕の腹に頭を乗せ、臍まで反り返った僕のを舌で濡らしながらゆっくりと口に含んでいく。 忍の後ろ頭に隠れて角度的には見えないが、唇の輪っかが少しずつ根元まで進んでいくのがわかる。 その暖かさが心地良く、僕は腰を浮かして口内に突き込んでしまう。 「んむ……ほれ、動くでない」 腰が押さえ付けられ、ぎゅっと唇が締め付けられる。 頭が前後に揺れるのが見え、さらさらの金髪が僕の腹を撫でた。 ぞくぞくと身体が震え、先端に舌が這わせられると一気に射精感が押し寄せる。 「し、忍っ、出るっ! 射精するっ!」 その言葉に忍は口を離す。 また焦らされるのかと思ったが違った。 態勢を変え、僕と目が合う位置になる。 「ちゃんと全部飲んでやるから好きなだけ出すがよい」 そう言って再びその小さな口を開けて今度は先っぽだけ口に含んだ。 片手で竿をしごかれ、もう片方で袋をやわやわと揉まれる。 「あ、あ、出るっ! 射精するよ! 忍の口に出すよっ!」 唇をぎゅむぎゅむと動かされ、割れ目を舌で攻められるともう限界だった。 僕の身体は快感を求めて暴れまわり、ベッドがきしむ。 腰から頭にかけて電流が走り、ついに堤防が決壊する。 「あ、あ、うああぁぁっ!」 びゅるっ! 精液が我先にと尿道を通り、忍の口内にほとばしった。 「あっ……あっ……」 その勢いは衰えることなくびゅっびゅっと幾度も放たれた。 だらしなく声を漏らす僕の顔を見つめながら、忍はそれを受け止める。 その視線がまた僕をそそり、興奮させた。 やがて長い射精が終わり、ようやく落ち着いてくる。 余韻に浸っていると尿道に残ったものも全部吸い出され、つい声を上げてしまう。 「うあっ……」 ちゅぽん、と忍が離れて口の中に僕のを溜めたままずいっと顔を寄せてきた。 まさか僕に飲ませる気かと思ったがそうではないらしい。 少し顎を上げて白い喉を晒し、こくんと鳴らして飲み込むさまを見せつける。 「あ……」 僕が出したのが忍の喉を通って体内に入っていく。 一回で飲み込める量ではないらしく、二度、三度と喉を鳴らした。 そして飲み干したあと、あーと口を開けて僕に見せてくる。 「ほれ、ちゃんと全部飲んでやったぞ」 その仕草に胸がドキッとした。 できることなら思い切り抱き締めて頭を撫でてやりたかったが、未だ僕の両手はベッドに括り付けられたままだ。 代わりに頭を起こして首を伸ばし、忍のおでこにちゅ、と口付けをする。 「ん……」 口内に残ったものを舌で舐め取るのに専念していた忍には不意打ちだったらしく驚いたようだが、すぐにはにかんだ顔になった。 「忍、そろそろこれ外してくれないかな?」 「は?」 僕としては当然のことを言ったつもりなのに、何を言ってる?みたいな反応をされた! 「言うたであろう、儂もあれだけされたのじゃ。おぬしも同じくらいしてやると」 「え? え!?」 今朝の回数を思い出しながら僕は慌てる。 「いや、それは……うっ」 「ここもこんなに期待しているではないか」 いつの間にか元の大きさを取り戻した僕のものを忍がぎゅっと掴む。 「たっぷりと搾り取ってやるぞ」 恐怖かはたまた期待か、僕の身体がぶるっと震えた。 「嬉しいであろう?」 確かに全く嬉しくないと言えば嘘になるが。 「で、でも僕の身体が持たないってば」 「ふむ……では」 突然忍は僕の首筋に噛みついて血を吸い始めた。 「な……!」 が、悲鳴を上げる間もなくすぐに離れ、そのまま僕の目をじっと見つめてくる。 と、いきなり忍の目が妖しく光った!……ように見えたが気がつくと特に変化はなさそうに感じる。 気のせいかと思ったが、突如身体が熱くなり始めた。 いや、日本語は正しく使おう。 突如身体の一部分が熱くなり始めた。具体的には股間。 「うむ、その様子だと成功のようじゃな」 「な、何をした?」 「あー、ちょっと魅了っぽいものをな」 なんで目を逸らすんですか忍さん!? 「魅了の目的のひとつは以前言うたと思うが、それには相手をその気にさせて頑張らせる必要があるのじゃ」 「…………聞きたくないけど具体的にはどういうことなのかな?」 「簡単に言えば発情させて物凄い絶倫にしてしまう。ちょっと早漏気味になるがな」 超何だと!? 「何だよそのエロ漫画やゲームみたいな能力は……」 「ちなみに今の儂ではお前様にしか効かん、変なことを考えても無駄じゃぞ?」 「考えてねえよ!」 「でもあのツンデレ娘とするときには頼ってよいぞ。『もう許して……』などと言わせたくなった時とか」 「っ……い、いらないよ!」 ちょっぴりときめいてどもってしまった。 ちなみに僕の台詞に今いちキレがないのは必死に理性を保とうとしているからだ。 僕のものはビキビキと音を立てそうなくらい固くなっている。 「それにしてもすごいのう」 忍がそれをきゅっと握った。 瞬間。 「あっ! うあぁっ!」 びゅくんっ! 僕は射精した。 「おっ、うおっと!」 忍は慌てて出たものを手で受けとめ、口を開けて僕のをくわえる。 「うっ……う……っ」 僕はびゅくびゅくと口内に精を放ち、忍はそれをこくこくと飲み込んでいく。 「ん……ぷはっ」 忍は僕が出し終えたのを確認して口を離す。 「出るときは言えと言うたじゃろうが」 最初に手で受けとめた精液を啜りながら文句を言ってくる。 そうは言っても瞬間的に登り詰めてしまったのでそんな余裕はなかった。 と言うか今もない。 身体がマジでヤバい。手を縛っていなかったら何をしでかすか自分でもわからないくらいだ。 僕のは相変わらず衰える様子を見せない。 忍が僕の腹にこぼれた精液を舐めとり始める。 「くうっ!」 忍の髪の毛が敏感な先端に触れ、思わず声が出た。 その光景を見て、忍はにたりと笑う。 その金髪で撫で回すように頭をふらふらと揺らす。 「あっ、あっ!」 「ははっ、足だけではなく髪の毛なんかでも興奮するのか! 実に変態じゃのう、このあるじ様は!」 忍は自分の髪の毛をつかみ、くるくると僕のものに巻き付けた。 そのままギュッと縛って擦り始める。 「あっ、あうっ」 「ほれ、どんなことをされてどんな気分かそのだらしない口から聞かせてみよ」 「な……何を…っ」 「言わんのならやめじゃ」 忍は動きを止める。 「あ……」 「ちなみに今の状態を治すには術者を殺すか満足するまで出し続けるしかないぞ、厳しくも優しいお前様はどちらを選ぶのかの?」 「くっ……」 理性と本能が僕の中でせめぎ合うが、本能があっさりと勝利する。 なんて言うか1ラウンドKOだった。 「し、忍の髪の毛が気持ちいい……もっと弄って……っ」 「ふふ、出すまでそのまま続けい」 忍は再び髪の毛を絡め、僕のをしごき始めた。 「あ……あ……カリのとこに絡まって……さらさらの金髪……気持ちいいよ……っ」 さらに忍は空いた手でいろんな箇所を髪の毛の先端でいじり出す。 先っぽや内腿を撫でられると一気に射精感がやってきた。 「あ、あ、もうすぐいきそう……忍の髪の毛にしごかれて、撫でられて、出ちゃいそうだ!」 忍は僕の台詞を聞くと、割れ目の部分だけを口に含んだ。 右手で髪の毛を絡めた僕の肉棒をしごき、左手でやはり髪の毛を絡めた僕の袋を揉みしだく。 今まで経験したことのない感触に僕はもう堪えきれない。 「あっ! 忍っ、さらさらの、髪の毛っ、いじられっ、出る、口にっ、金髪、いいっ、射精っ!」 もはや自分が何を言ってるのかわからない。 思い浮かんだ単語が次々と口をついて出るだけだった。 くわえられていた先っぽがちゅ、と吸われた瞬間すべてが頭から消え、ひとつの言葉だけが僕の口から発せられる。 「出る……出る、出る、出るっ、出るっ! 出るぅっ!」 びくんと腰が震え、僕はまたもや忍の口内に射精した。 「んっ……んっ……んっ……」 量も勢いも全く衰えない精液を、忍は動じることもなく飲んでいく。 射精が止まっても口を離さず、残ったものも吸われる。 「うあっ……尿道の、吸い出されて……気持ちいい……っ」 口内に残ったものまで全部飲み干した忍は、ようやく顔を上げて髪の毛を整え始めた。 「あれだけ出していたのにまだすごく濃かったぞ、そんなに儂の髪は気持ちよかったか?」 くっくっと笑う忍だが、僕は肩で大きく息をするだけだった。 僕の身体が僕の身体じゃないみたいだ。 「しかしすごいのう、これだけ濃いのを大量に出してまだこうとは」 いまだにそそり立つ僕のを見ながら言う。 僕が何か言おうとしても言葉にならない。 理性はもはや肉体と完全に切り離されている感じだ。 「次はどうするかの……おお、そういえばそうじゃ!」 忍は何かに思い当たったらしい。 添い寝するような態勢になって僕の顔を覗き込むようにする。 「お前様はイくときいつも顔を仰け反らすからな、たまにはその顔を見せてくれい」 そう言って僕のをしごきだす。 「な……」 「大丈夫じゃ、出したものはちゃんと全部飲んでやるわい」 空いた方の手のひらで割れ目を中心に先っぽを包み込むようにする。 そのままぐりぐりと刺激し始めた。 「じゃから安心してイくときのその顔を見せるがよい」 「や……やめ……っ」 「やめてよいのか? 出したいじゃろう、儂の手に思う存分出せ」 相変わらず僕の理性は弱いことこの上なかった。 忍の手の動きに合わせて腰を振り始める。 「ほれ、口が止まっておるぞ」 忍に促され、僕の口は理性に関係なく言葉を発し出す。 「忍の手、柔らかくて暖かくて、気持ちいい……っ」 忍の唾液と僕のカウパーでぬるぬるになった性器が激しくしごかれる。 「あ、あ、また出る……出る!」 「見ていてやるから遠慮なくイくがよい」 今朝僕が忍に言ったような台詞だ。 違うのは僕が抵抗できないことか。 「あっ! あっ……あっ……あっ」 快感に堪えきれず、あっさりと僕は忍の手に精をぶちまけたのだった。 視線を感じているが気にする余裕はない。 手に収まりきらず、僕の腹にポタポタとこぼれるのがわかった。 「くくっ、本当にお前様というやつは可愛いのう」 ぺろ、と頬を舐められた。 たったそれだけの行為が大きな快感に変わり、ぞくぞくとする。 「あっ! かはっ!」 突如走った刺激に声が出た。 忍がまた僕のをしごき始めたのだ。 「し、忍っ、駄目っ、やめろ……っ!」 「今朝は儂がイった直後にいじってくれたじゃろう、そのお礼じゃよ」 …………なんかお礼というよりは仕返しのような気がするが。 「く……うっ」 自分の精液が肉棒に絡み付き、潤滑油となって電流がダイレクトに脳に伝わってくるようだった。 なんというか快感で頭がどうにかなってしまいそうだ。 歯を食いしばってこらえる。 「ん? 今度は何も言わんのか? やめてよいのか?」 僕は何も返さなかった。 今イったらおかしくなるかもしれない。 さすがにその恐怖が快楽の欲求を上回る。 「むぅ、仕方ないの、ほれ」 忍はそんな様子に気付き、僕の胸に顔を寄せてカリッと乳首に噛み付いた。 「あっ! が、はぁっ!」 ちゅ、と吸われると頭の中で何かがはじけ、僕の意識が一瞬飛ぶ。 気が付くと僕は射精し終わっていた。 忍の手と僕の腹に二発分の精液が溜まる。 「魅了の発情効果は本人の資質にもよるのじゃが……お前様はちと凄すぎるのう」 忍はにやにやと笑い、精液にまみれた両手を僕に見せつけてきた。 それを見て自分でびっくりする。 本当に僕の身体はどうかしてしまったのだろうか? これだけ大量に何発も出してまだ勃起状態が収まらない。 「ふふ、頼もしいことじゃ」 忍はその外見にそぐわない妖艶な笑みを浮かべ、自分の手についた僕の精液をすする。 「ちゃんとこっちも綺麗にしてやるわい」 今度は僕の腹にこぼれたものを掬い始めた。 腹だけでなく、肉棒や陰毛にこびりついたのまで丁寧に舌で舐めとる。 次々と喉を鳴らして飲み込んでいき、ぺろりと舌で唇を拭う。 「どうじゃ? 少しは落ち着いたか……って聞くまでもなさそうじゃな」 未だ大きさを失わない僕のをちら、と確認する。 「呆れるほどの耐久力じゃな、ほとほと感心するわい」 「……誰がこうさせたんだよ」 「ははっ、安心せい、最後まで面倒は見てやるぞ」 そう言って忍は僕のものを口に含み、歯を立てる。 とはいっても痛みはない。 敏感な部分を奥歯で甘噛みする感じだ。 唇を締められ、はむはむと噛まれる感触が心地よい。 「歯、歯がっ、歯が気持ちいいっ」 歯を使ってるだけに痛くされるのが怖くて自分から動けないのがもどかしい。 が、ゆっくりとだが確実に射精感は押し寄せてきている。 「んー、んむ」 忍はくわえる角度を変え、亀頭を頬の内側で擦る。 歯と舌の動きも手伝い、まだ遠くに感じてた限界が一気に押し寄せた。 「あ、あ、出る、頬肉の裏側、こすれて、いいっ! 出すよっ…………うあぁっ!」 いったい僕の精はいつ尽きるのだろう? 最初とほとんど変わらない量と勢いでどくどくと忍の口内に放つ。 忍ももう大量の精液を飲んでいるはずだが、未だ飽きることなく美味しそうに飲み干していく。 その表情がまた淫靡で僕をそそらせる。 茎に付着した液を舐めとられる刺激と相まって、結局僕のは大きいままだった。 「ん、ん」 ところでちょっと気になったので、むぐむぐと口の中で味わっている忍に訊いてみる。 「……なあ忍、それって美味しいのか?」 「ん?」 忍はこくんと溜めていたものを飲み込み、こちらを振り向く。 「ひょっとしてお前様は自分のを味わってみたいのか?」 「いやいや、そういうわけじゃ……」 「なに、遠慮することはない」 「うわっ!」 忍は突然僕の足を掴み、僕の身体を二つ折りにするように押し出す。 そのまま腰を持ち上げ、首で逆立ちしている態勢にされた。 足を開かされ、膝が僕の頭の両脇にくる。 そして自分の屹立した性器が目の前に晒された。 「お、おい、何を」 僕の腰が動かないよう支えている忍がにやにやしながら肉棒に手を伸ばす。 「このまま出せば自分のを味わえるぞ」 「や、やめろ、よせっ」 「まだまだこの中に詰まっておるのじゃろう? 気にせず出すがよい」 そう言って袋を揉み始め、肉棒をしごきだした。 「う……っ」 「ほれほれ、さっさとイかぬか」 忍の身体に万力のような力で抑えつけられる。 抵抗を試みたけどちっとも動かない。 迫り来る射精感を必死に堪える。 「ぐ……くっ……」 「強情なやつじゃな、ほれ」 「あっ! あうっ!」 有り得ない感覚が走った! 忍の舌が僕の大きく晒されているお尻の穴を這ったのだ。 れろれろと舐め回され、僕の身体がびくんびくんと跳ねる。 「し、忍、やめろっ、汚いよっ」 「それは今朝の儂の言葉じゃの」 短い返答がきて、すぐに舌の動きが再開される。 射精を堪えようと力を入れてる括約筋で締められたお尻の穴に、忍の舌が強引に侵入してきた。 「あ、あっ、それ駄目っ、出るっ!」 出す直前、袋を揉んでいた忍の手が僕の先っぽを包み込む。 先端を手の平で擦られ、その刺激で限界を超えた。 「あ……うっ! うっ! う……っ」 全身を痙攣させ、僕は忍の手に何度目かわからない射精をする。 手から溢れ出た精液がぽたぽたと僕の胸に滴ったが、顔の方に飛んでくるような懸念していたことはなかった。 ぬるっと舌が引き抜かれ、忍は僕の身体を解放する。 僕はばったりと足を投げ出し、ぼおっと余韻に浸った。 手の精液をすすり終えた忍が僕の上にのしかかり、にやにやと笑う。 「ふふっ、お前様もお尻で感じたか」 「…………」 射精までしている以上言い訳もできない。 そのまま忍は僕の胸に滴った精液をすすり出す。 「今のお前様の精液は全部儂のじゃ、決して分けてやらん」 ……いや、だから別にいらないんだけど。 「ま、染み付いた味くらいなら少しはくれてやる」 そう言って僕の口に二本の指を突っ込んで、中をぐちゅぐちゅといじってきた。 実際味なんかほとんどしなかったけど、僕はその指に舌を絡ませる。 「ん……っ」 胸を這う舌の刺激でぴくんと反応した僕の肉棒が忍の乳首に触れた。 それに気付いた忍はぐりぐりと先端を自分の胸に押し付ける。 「ん……む……」 ほとんど膨らんでなくとも柔らかい肌と固くなってる乳首の感触に、指をくわえている口の端から声が漏れ出る。 が、忍の指が口から抜けた瞬間僕はぞっとした。 朝自分が忍にしたことを思い出したからだ。 「忍、待っ……ああああっ!」 僕が言葉を発する前にぬるぬるになった忍の指がお尻の穴に当てられてずぷっと埋められ、身体がびくんと跳ねる。 「気持ちいいじゃろう? たっぷりと感じるがよい」 忍はくいくいと指を動かし、胸をぎゅっと押し付けて突起を擦り当てる。 「あっ、あっ、ああっ!」 女みたいな喘ぎ声が漏れ、腰が勝手に快楽を求めて動いてしまう。 「ほれ、口が止まっておる、いいならいいと言え」 「いいっ! ふにふにの胸、コリコリの乳首、気持ちいいっ!」 「後ろの穴はどうなんじゃ? 正直に言うがよい」 「ゆ、指っ、指がっ! あっ、あっ、あっ!」 「ん、よくないのか? やめたほうがよいか?」 「だ、駄目っ、気持ちいいっ……から、抜かないでっ!」 もはや快楽を貪ることしか僕の頭にはなく、忍の言いなりに卑猥な言葉が口をついて出る。 僕は無意識に足を忍の身体に巻き付けた。 「いく、いく、いきそう、もう出そう……」 「出したいか?」 「出したいっ……射精したいっ……」 「どこにどういう風に出したいか言うてみよ」 最初に出したときの台詞を忍はもう一度言った。 僕は欲望のままを口にする。 「忍にっ、口いっぱいにくわえてもらってっ、そのまま出したい! 出した精液を飲んでもらいたいっ!」 「手や指はどうして欲しいのじゃ?」 「お尻の穴、いじりながらっ、袋を揉んでっ! 忍の手と指でたくさん気持ちよくして欲しいっ!」 後で思い返すと死にたくなるような恥ずかしい台詞を並べて忍に懇願する。 忍は実に嬉しそうな表情をした。 「この様子だとたぶんこれが最後であろう、心行くまで出すがよい」 僕の足を解き、身体を移動させる。 口いっぱいに僕のを頬張り、唇、舌、歯などを余すとこなく使って刺激を与えてきた。 指がお尻の穴の中で動きまわり、袋を痛みがギリギリ感じられない程度に強く揉まれる。 「あ、あ、出る……射精するよ……っ」 ぐりっと舌先で割れ目をほじられた瞬間、腰が大きく跳ねた。 「いくよ忍っ、飲んで忍っ、忍っ、忍っ、忍っ、忍っ、忍っ! 忍ぅっ!」 僕は忍の名前を呼び続けながら射精をする。 びゅるっびゅるっと精液が尿道を駆け抜け、その都度頭の中で何かがはじけた。 今日の中でも一番長く、一番量が多く、そして一番気持ちいい射精だった。 出し切ったあとも身体の痙攣が治まらず、束縛されていた両手が解放されても満足に動けない。 忍が僕の身体に寄り添ってからしばらくしてようやく言葉を発することができた。 「やっと……落ち着いたかな……」 「そうか、何よりじゃ。でもまだしたかったらすぐにまた魅了してやるぞ?」 「いらないよ!」 気持ちよかったけど二度と御免だ! 「しばらく忍に飲ませるものはない」 「ぬう」 自分でもやりすぎな感があったのだろう、特に文句は飛んでこなかった。 「まあまた絶倫モードになりたいときはいつでも言うがよい」 「安心しろ、そんなときは二度とない」 「そうか……では儂は寝るとするわい、ごちそうさまじゃ」 ふわぁと欠伸をしてすうっと僕の影の中に消えていく。 それを確認して僕は自分の身体をチェックする。 血を吸われて多少は吸血鬼化していたのだろう、少し疲れた程度で問題はなさそうだ。 「つってもあっちは出るものも出ないだろうけど……ん?」 突然電子音が部屋に響いた。 携帯のメール着信のようだ。 「戦場ヶ原からか、どれどれ……」 中身を開いて本文に目を通した瞬間、僕は携帯を落としそうになる。 『阿良々木くんが欲しくなったわ。最近ご無沙汰であなたもたまっているわよね? 一時間以内に私の家に来なさい。たっぷり愛し合いましょう』 「…………助けて忍」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/280.html
「おとうさんとおかあさんってどうやってしりあったの?」 娘が小学校に進学して少し経ったある日のこと。 学校でそういう話になったんだとか。 娘は随分マセているようでたまにこういう話を振ってくる。 教育のためにもここは正直に言わなきゃいけないな。 「僕とひたぎは高校の時の同級生でさ、高三の時に脅されたんだよ。 『私に関わるな』ってな。それが出会いだったと思うけど」 「それでどうしてけっこんするの?」 「何日か後に突然『I love you』って言われたんだ。それまでの行動は好意の裏返しだったんだろうな」 * * * 「おとうさんとおかあさんってどうやってしりあったの?」 娘が小学校に進学して少し経ったある日のこと。 学校でそういう話になったんだとか。 娘は随分マセているようでたまにこういう話を振ってくる。 教育のためにもここは正直に言わなきゃいけないわね。 「私とお父さんはね、高校の時に出会ったのよ。階段でね、突然私のことを抱き締めたの」 「それでけっこんしたの?」 「お父さんは焦らし上手でね、私はお父さんの方から告白させようとしたんだけど知らないフリするの。 だから結局私から告白したのよ。結婚しようって言うのも私からだったわね」 * * * きょう、おとうさんとおかあさんにしつもんした。 よくわからなかったから、おねえちゃんにもきいてみた。 「二人は私の憧れの人たちだからな。何でも知ってるぞ! 阿良々木先輩も戦場ヶ原先輩の出会いか……。 ああ、そういえば……、私が阿良々木先輩を知ったのは付き合いだしてからだったか。 当時人を避けていた戦場ヶ原先輩が初めて心を開いたのが阿良々木先輩だったんだ。 付き合い始めて三ヶ月も経たないうちに二人ともデレデレになって目だけで会話出来てたな。 あれは誰が見ても引く光景だった。 ストーキングしていたから阿良々木先輩のエロの好みは知っているが……。 すまない。力になれないな。 だがそれ意外なら何でも知っているぞ。 どんなプレイが好きで、日々どんな要求をしているのかぐらいはお見通しだ。まかせてくれ」 するがちゃんのいうことは、『話半分に聞くように』っていわれてるけど、 はなしのはんぶんもわからなかった。 おとうさんとおかあさんは、なかがいいっていうのだけはわかった。 きょう、みちにまよったときに、へんなおじちゃんたちにあった。 あとでおとうさんにきいたら、三人でほーむれすをしてるみたい。 「やあ、キミは阿良々木っていうのかい? 珍しい苗字だね。嬉しそうだけど、何かいいことでもあったのかい?」 「おどれは子供捕まえて何聞いとんねん。道に迷った言うてんのやからちゃんと教えたりいや」 「この道を向こうに行ってあの大きな建物に向かえば目的地に着ける――僕はキメ顔でそう言った」 みちをあるかないひとに、みちをおしえてもらった。 だいじょうぶかな? きめがおってなんだろう。 * * * おこられた。 ちょっとうちにかえりづらい。 「あっ、はっちゃん」 「あら、××ちゃんじゃないですか。どうしたんですか? こんなところで」 「はっちゃんをさがしてたの」 「また何かあったんですか? はあ、阿良々木さんはいくつになっても成長しませんね」 「ううん。わたしがわるいの」 「そういうのも受け入れるのが父親というものですよ」 「そうなの?」 「そうですよ。お父さんたちの話をしましょうか?」 「うん」 「××ちゃんのご両親は私の前で告白して、付き合い始めたんです」 「へ~」 「私が帰れなくて迷っている時にお二人が助けてくれてですね、 家を探す前にひたぎさんが英語で告白していました。変わった方ですよね」 「おかあさん、かわってるの」 「ええ、かわっているっていうか極度のテレ屋さんですね。テンパって英語で告白なんて普通はないと思います」 「そうだったんだ。おかあさんかわいいね」 「外見は綺麗ですけど、意外と子供なんですよ。お二人とも。 だから子供を見る目でそっと見てあげると可愛く思えてきますよ」 「うん。じゃあこれからそうおもってみるね」 うちにかえったら、おとうさんもおかあさんもかわいくみえた。 * * * 「せんちゃんっ」 「××ちゃん、久しぶりだね。元気だった?」 「うん、げんきだよ。せんちゃんはおとうさんとなかいいよね?」 「うん、仲良いよ」 「どうして?」 「う~ん、前から大好きだったし、恩人だし……」 「おんじん?」 「うん、撫子が困ってたときに神原さんと××ちゃんのお父さんが助けてくれたの」 「こまってたの?」 「そうだよ。撫子一人だとどうしようもなかったんだけど、二人が助けてくれたからなんとかなったんだ」 「だいじょうぶ?」 「うん、大丈夫……じゃなかったかな。あの時は××ちゃんのお父さんに裸見られちゃったし」 「おとうさんがわるいの?」 「ううん、撫子が油断しちゃって。つい……ね。お父さんは悪いことしてないよ」 「よかった」 せんちゃんはよくうちにあそびにくる。 おとうさんとなかいいけど、おかあさんとはどうなのかな。 たまにわらいながら、みつめあってるけど。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/376.html
つきひスリープ 2段目のベッドに上ると月火は寝苦しいのか布団が最初からはがれており 水色をした薄いゆったりとした浴衣を寝巻きの代わりに着ていた。 暦がそろりと近づくところんと寝返りをうち仰向けになる。 「………………すぅ」 そうすると拍子に緩く結んでいた浴衣の帯がほどける。 肌蹴た隙間から慎ましやかなおっぱいが垣間見えた。 (これはこれで……) 一日一触をモットーにスキンシップをとっている小学生女子を 思い出したのかニンマリと笑い隙間を両手でさらに開放した。 月火のおっぱいに手を触れさせるとわずかに汗ばんだ肌が しっとりとした手触りを暦に伝える。 「んぅ…………」 小さめで感じやすいようだ。 揉むというほどではないなだらかな双丘を指で撫で回す。 暦は崩れない生クリームの触感を味わいながら月火の力ない右手を取ってモノを握らせた。 そして自分の左手を被せ上下に擦り始める。 火憐の口内でたっぷりの唾液を塗された肉棒は月火の右手の中で くちゅくちゅと音をたてながらしごかれて暦は気持ちよさそうだ。 妹の手をオナホールにしてるお返しにおっぱいをくすぐって 早くも尖りはじめた乳首を指先で擦る。 「……ふぁっ…………んっっ」 漏れた吐息は悩ましげで月火が眠ったまま感じているのが暦にもわかった。 月火の細いくせにぷにぷにと柔らかな手を、暦は被せた左手でぎゅっと握り 上下動の速度に変化をつけたり、捻るような動きを加えさせて 妹の手コキを何年も男のモノに触れ熟達してる女のように扱わせる。 男の手とは違う小さくて可憐な手はモノを握りきれないサイズなのに 暦の快感を引き出して、しごかせるたびに先走りが溢れていく。 中二少女の巧みな奉仕で快感を高めた暦は射精するために ずっと右手で弄っているおっぱいに目をつけた。 以前眠っている火憐のおっぱいに肉棒を押し付け射精した経験のある暦は 挟むほどの大きさがなくても擦り付けるだけで気持ちがいいのを知っているのだ。 月火の手でしごかせるのを少しだけ名残惜しそうにやめるとおっぱいへ先端をくっつける。 ぷよぷよとしたおっぱいは小さくても先端が埋まって心地がよく 握ったモノを胸に纏わり付かせるように動かすと暦も月火も等しく気持ちがいい。 大きくなれと耕すようにモノでつついて掘り返しちっちゃく尖った乳首を尿道とすり合わせる。 汗と先走った液でヌルヌルした肌にこすらせると鈍く湿った音が響く。 「やぁっ……」 まだしこりがある敏感な胸を嬲られて月火は甘い声をあげる。 興奮してきた暦はさらに快感を味わうため体勢を変えると 横から肉の竿をおっぱいにくっつけて腰を振った。 肉棒の裏側が二つの乳首とコリコリ擦れて甘美な快楽を伝えてくる。 「……んぅっ~~」 と、月火がまた寝返りをうって仰向けから暦のほうへと横向きになった。 暦は驚く。 乱れきった水色の浴衣から伸びる華奢ながら柔らかそうな肉付きのいい脚。 その根元にはうっすら産毛が生えているだけの可愛い少女の性器が はっきりと網膜に映し出されていたのだ。 (履いてないなんて……!?) 暦はゴクリと大きく唾を飲み込んだ 誘っているかのような妹のあそこ。開いた襞。滲む愛液。 「ふあぁっ……!」 手を伸ばし割れ目をなぞると嬌声が漏れ、潤いが指に残る。 妹の痴態に魅了された暦は月火と同じように横向きになり正面から抱き締めた。 「………………!?」 眠っているはずの月火は圧迫に身じろぐ。 素股の要領で猛ったモノを押し付けられるとビクッと止まった。 起きているのに気づいたが、もう今の暦には関係ない。 妹の亀裂へ肉の竿が擦れる愉楽だけを追い求め抱き締める力をますます強くする。 「あぁっ……」 柔肉と剛棒がクチュクチュと水音を鳴らし両者に快感を伝えた。 兄の厚い胸板に抱き締められた月火は耳を赤く染め子猫のように震えているが それでも兄と交わる禁忌への期待と興奮で幼裂を淫らに濡らしていた。 先端が月火の中へと飲み込まれていく。 「はぁぅっっ……!」 ひっかかるような感覚とともに、血が繋がった所からわずかに流れる。 激感に月火は泣き混じりの声をあげギュッと兄の身体を抱き締めた。 「お兄ちゃん。やっと……やっと、私の処女を貰ってくれた……」 ずっと閉じていた瞳を開き涙で頬を濡らしながらも呟く。 「ずっと悪戯ばっかりするんだもん」 泣き笑いながら、膣内を埋める煮えたぎったモノに必死で耐える。 「お前が可愛すぎるからさ。処女だけは我慢してたんだ」 だがその我慢も情欲に塗り潰されてこの通りだ。 「そうじゃない。処女を我慢してほしくなかったの」 ぷくっと頬を膨らませる月火。 「大体眠ってると思って好きなだけおっぱい触って、手とか脚の間で出しちゃってさー お兄ちゃんの一回目をお口に出されるとすっごく濃くて飲みにくいんだから…… 火憐ちゃんはそれが好きみたいだけど…… 私も別にお兄ちゃんのだし嫌ってわけじゃないんだけどぉ……」 ぼそぼそ赤い顔で呟く月火。 「あー続きやっちゃっていいか」 「にゃう!あ、いたっ……」 大きな声のため膣内が動いて擦れてしまう。 「そうじゃなくてさあ。妹の処女を奪っちゃったお兄ちゃんとしての感想はないの? 気持ちいいよとか大好きだよとか愛してるよとか妹に優しくすべきだよね」 「んー。月火ちゃんの中は気持ちいいし、大好きだし愛してるぞ」 「私の言ったことじゃん!」 たれめがわずかに釣りあがって炎がもゆる。 困り顔の暦は名案を思いついたかのよう目を輝かせ答えた。 「じゃ、ちゅーしよう。ちゅー」 「……お兄ちゃん、ほんとに妹の事馬鹿にしてるよね」 じっとりと兄を睨むものの、上向いて目を瞑った。 「ちゅー」 「ちゅっ……んぅ、んっ、くちゅ……はぁっ」 最初は啄ばむような軽いキス。 暦の舌が月火の唇に入り込んで舌と舌が触れ合うべろちゅー。 口内を舌で掻き混ぜられて月火は熱い吐息を零した。 「ちゅーだけでいっかなと思っちゃう自分が憎い……」 無念そうに溜息をつく月火。 「じゃあそういう事で動くぞ」 暦はゆっくりと腰を振り始めた。 横になったままでは早い抽送はできず月火の幼裂には暦のモノは大きく奥までは入りきれない。 「あぁっ!んぅっっ……んっ、んっ」 抽送に月火は苦痛の声を上げながらも兄を受け入れるため俯き胸に顔を押し付け耐える。 「先に謝っとく。ごめん月火ちゃん。我慢できない」 突然の暦の言葉に不思議そうに涙で濡らした顔をあげ兄の顔を見た。 「激しくするから」 横の体勢から月火を下に、暦が上になる。 そのまま暦は腰を月火の中へ撃ちつけた! 「ひゃうっ!い、いたい、あぐぅっ、お兄ちゃん痛いったら!」 まだ未成熟な膣を貫かれ削られて、快楽よりも痛みが勝ってしまう。 愛液と血が纏わりつくモノが月火を責め立てていく。 「月火ちゃん、すっごい気持ちいい」 妹の膣を激しく犯す兄は非情にも、責めを止める気はないようだ。 「うっうー ずるい、痛い、ずるい、痛い」 泣きながら兄を睨むが暴れたりはせず必死に耐える月火。 ぐちゅぐちゅと膣内を肉棒が擦られ、きつく絞めてくる。 先端がコツンと子宮口を叩きそのたびに月火は悲鳴をあげた。 暦は抽送しながらもちっぱいを揉んで撫でて月火の意識を少しでも散らす。 「んんっ、はぁっ、はぁっ、おっぱいは気持ちいいかも……」 それを聞いた暦は胸に口をつけ、小さくて固くなった乳首を啄ばむ。 「んにゃっ!」 変な悲鳴をあげる月火の反対側の乳首も指で擦ってあげると 膣内が少しだけ潤ってきた。 乳首ごとおっぱいをずずっと吸い上げる。 「やぁぅっ!」 わずかに膨らんだ胸が赤く色づきキスマークが残ると 暦はそれに興奮して胸の各所を好きなように吸った。 「あとのこっちゃうってば!」 そう言う間に、幾つもの内出血の痕が胸に残る。 「気が紛れただろ?」 月火をおっぱいの刺激に集中させて破瓜の痛みを分散させる。 そんな作戦という名の建前で、好き放題妹に自分の証しを刻み付ける暦。 それでもわずかながら効果はある。 「ふぁっ?う、うそ、あんまり痛くなくて……」 「なくて?」 「ちょっとだけへんな感じ…………はぁぅ」 月火は堅い肉の竿で自分の中を埋められる事に快楽を感じ始めていた。 「早くいくぞ」 「そんな、まだ無理、いやああああ!」 抜き出され、突き入れる。 じゅぶじゅぶと愛液を掻き混ぜながら激しく抽送する。 「ああぁっ!んっっ、やぁっ!」 だんだんよくなってきたのか、声がいつもより高い。 「月火ちゃん、気持ちいいって何度も言ってごらん」 突き入れながら悪魔のように囁く暦。 「そしたらもっとよくなるぞ」 「気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……」 まだ苦しげな顔で月火は何度も呟く。 「僕のおちんちんが気持ちいいって言うんだ」 「お兄ちゃんのおちんちんが気持ちいい……」 月火は処女を失ったばかりの膣で感じる、痛みとわずかな快楽に戸惑いながら素直に従う。 「もっとだ!」 言葉とともに、妹のなかを怒張で突き上げた。 「んぁっっ!気持ちいいよ!お兄ちゃんのが気持ちいいよお!」 痛み混じりの快楽が月火の全身を襲い無我夢中で叫ぶ月火。 抽送する勢いはさらに激しくなり、肉棒が亀裂を穿っていく。 月火は腹の奥まで進入した堅いモノで粘膜が削られながら 泣いて、苦痛に呻き、内から押し広げられる激感に翻弄される。 「あぁぅっ!お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!気持ちいいから! 気持ちいいから、もっと、もっと、私で気持ちよくなって!」 泣いているのに 痛くないはずがないのに 愛しい兄の欲望を甘んじて受けいれて 全身全霊で月火は兄と愛し合っていた。 モノが月火の膣内を抽送するたびに白く濁った愛液が飛び散って 苦痛よりも快楽が増しているのがわかる。 「ひゃっぅ!んっあっ!はゃぁっ!ねぇお兄ちゃん、んぅゅぅっ 好きって言って!ぎゅっとして!」 「月火ちゃん好きだ。月火ちゃんが、可愛くて 気持ちよすぎて、いつまでも、こうしていたい!」 上から圧し掛かるように抱き締め激しい抽送を続ける暦。 月火は体重がかかって苦しい事すら、兄と全身が触れ合っている幸せに感じていた。 堅さと柔らかさが混じる妹の膣を犯す快楽に酔う暦の腰が ビクビクと震えだして射精の前兆を見せる。 「月火ちゃん、中で出すよ!嫌って言っても絶対出すぞ!」 否定を受け付けない宣言。当然月火の答えは決まっている。 「いいよ!出して!お兄ちゃんの精液、いっぱい私の中に出して!」 返事の代わりに子宮まで貫かんばかりにモノが叩き込まれた。 幼い膣の最奥を穿つ衝撃と快楽で失神そうな必死に月火は耐える。 暦の腰から性器へと移行する、震えを月火は膣内で感じ取り 本能的に男の精を受け入れようと脚を暦に絡めた。 「いくぞ!」 「あぁぁっぁぁっぁあぁっ!」 月火の膣内が複雑に蠢き、肉棒が最高の快感に包まれて 子宮口に押し付けられた亀頭が怒涛の濁流をぶちまける。 二度目だというのに、精液は止まらず月火の膣内を埋めて 子宮の中まで熱しようとドロドロの熱いマグマを注ぎ込んでいく。 「はぁぁぁっ、あ、あつい……お兄ちゃんのあついよう……」 妹の一番大事な場所を溺れさせた精液は噴出を続けて 薄桃色のすじからねっとりと溢れ出した。 零れる精液を気にせず二人は抱き合ったまま最後まで 最愛の快楽を味わい続ける。 「はぁっはぁっはぁっ、イっちゃった。」 えへっと笑う月火は幸せそう。 「妹の中にこんないっぱい出しちゃって。絶対赤ちゃんできちゃうんだから」 「月火ちゃんが可愛すぎるのが悪いんだよ。ぱんつも履かず待ちやがって」 「お兄ちゃんなら、きっと襲っちゃうって思って」 「んー。完璧に読まれてたわけか。策士だな」 「私が策士なら、妹に毎夜悪戯するお兄ちゃんは外道だよね」 中だしまでしちゃうしさー そう言いながらもにやにやしてる月火。 「なあ、月火ちゃん。もっかいやっていいか?」 膣に入れたままのモノがまた硬化し始めていた。 「もー駄目って言ってもヤるくせにー お兄ちゃん妹の中に出しすぎ!」 そういいながら月火は腰をくねらせる。 「酷いキャラすぎる!けど言い訳できないな」 「今度は私も頑張るから。またぎゅってしてね♪」 両腕を開いて兄に向けた刹那。 「ずるい!!!」 突然傍らに梯子を上った火憐が現れて大音声をあげる。 「月火ちゃんの処女を奪ったのに、あたしのはいらないってのか!」 暦の暗視には、火憐の姿がよく見える。 ずっと妹と兄のSEXを聞いていた火憐は顔を真っ赤に 下着を濡らしながらもじっと耐えていたのだ。 「あたしも混ぜて。兄ちゃんに処女貰って欲しい」 熱っぽく懇願してくる。 「じゃ、火憐ちゃんも服脱げ。三人でやろう」 「流石兄ちゃん!」 暦の背中に火憐は圧し掛かってぷよんと胸が当たり 月火と火憐に暦はサンドイッチされた。 「お兄ちゃん、ほんと外道だよね。けどしょうがないかあ」 兄のモノを抜いて、火憐のほうへ向き直させる。 「んっ……火憐ちゃんにもしてあげて」 横向きの体勢で火憐の引き締まった肢体が暦に絡みつき、後ろからそっと月火が寄り添った。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/343.html
「『金』『玉将』という言葉はエッチだと思う」 「小学生かおまえは」 「『穴熊』という言葉もエッチだ」 「その辺りは中学生レベルか?」 「というか将棋という遊戯自体がエッチだと感じる」 「レベル測定不能だ!」 「いや、だって考えてもみてくれ阿良々木先輩。 敵から取った駒を後々で自分の駒として使える、というシステムはつまり、 『とらえられた捕虜がしばらくすると従順なしもべになっている』ということを意味しているのだろう? 捕虜が一体どんなことをして調教されたのか…… それを考えるだけで身体が熱を帯びてくるというものだ!」 「調教とか言ってんじゃねぇ!全国の棋士の皆様に謝れ!」 「む、確かに少々、礼を失していたか。そうだな、悪かった、全力で脱がせてもらおう」 「もはやおまえにとって土下座と全裸はワンセットなのか!?」 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/15.html
取得中です。
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/60.html
迷うこともあるのだけれど。 結局それは、 絵の具を混ぜあわせた時のような、次の段階へむかうために必要な混沌にすぎず、 誰かに向かって口に出したところで、 他人のことなら俯瞰して見えるから、よくわかるから。 生々しい温度なんて感じないから、どうしたって、 当事者の戯言にしか聞こえない。 ……困ったものだ。 本当に、参る。 出夢君に会いにきた僕は、こうして彼の部屋で一泊することになって、だから心底やるせなくなっている。 「あん? どーしたんだよお兄さん」 出夢君は布団に寝っ転がって不思議そうに言う。 全裸で、言う。 「……」 ほっそりと華奢に見える体は、それでも付くべきところに肉がついている。電気代がもったいないと夏の長い夕暮れだけに灯りを任せているので、その体は茜色に染まって部屋に浮かぶ。出夢君は頓着無しに黙っている僕の目の前で、突如起き出してあぐらをかく。 「どーしたっつってんだよ。早めに寝るかっつったのはお兄さんだぜ? 明日帰るんだろ? 十三階段に備えてさー」 「いや……どうして脱いだのかと」 片目をつぶって彼は首を振る。 「言ったろ、僕は裸じゃなきゃ寝れないんだよ」 「やっぱり畳で寝るよ」 暑さが残っているのでベッドの端によせていた、余っている布団を掴む。と、横から出夢君の足が伸びてきて僕のわき腹に蹴りが入った。うぐ。そのままきっぱり断言有無も言わせず合否も取らず是非も求めない口調で僕に指導する出夢君。 「ベッドで寝ろ」 「……」 といったところで出夢君はベッドの上から動かない。これでは一緒に寝てしまう。寝るっていうか眠ってしまう。 「だめだろ」 僕はツッコんでみる。展開からの反応は無い。 「いーから寝ろよ。こっちはこっちで襲われたって全殺しで対処できるんだよ。お兄さん、立場が逆だぜ?」 そう言われてしまうと返す言葉が無い。確かに相手が堂々としているのに、こっちが気後れするのもどうだろうか。 心は少年といえ身体は女性、出夢君はそういう自覚がちゃんとあった上で言っているのだ。出夢君の視線がどんどん鋭くなっていく。 これでは僕が……ううん。仕方ない。いや、決して、このまま頷かなければ全殺しどころか十二割殺しの目にあいそうだなんて思ったわけではない。 かなり気を付けながら、僕は出夢君の隣に腰を下ろし、タオルケットや毛布を身体に引き寄せた。 窓の外も藍色になりかけ、なんて健康的。僕らは二人そろって横になってもう眠ってしまう。 「おやすみ」 「おー」 のんきそうな出夢君の声に、僕は軽く切なくなった。息子の迷いはいったい。 とはいえ。 僕は他人の気配があると寝つけないタイプだ。しかも今回の場合は強烈で、寝返りを打とうとかちょっと手を遊ばせてみようとかした瞬間に地獄直行である。 そのくせ覆うもののない肌が醸しだす熱は、直接布団や毛布、空気にうつっては僕に数cm分の距離をささやく。あまりに露骨で、感覚を刺す。 甘い誘惑というより劣悪な情動に、僕は首を動かして出夢君を見ることすらできなかった。 息も、止めがちに。 「……お兄さん」 「……うん」 「昼さー、お兄さんが来たじゃん? 僕は直前まで寝てたんだよ」 「うん」 「寝れねーのな」 突、然、バサりと。 「お兄さんは?」 タオルケットも毛布も、出夢君が払ってしまう。彼は上体を起こしている。開けたカーテンからこぼれる薄い青っぽい光に、丸みを帯びた体を浮かび上がらせて僕を見ている。 輪郭と、かすかな陰影。それらがわかるギリギリの光量の中で、見下ろされる視線の意味を確かめようと僕は目をこらす。 「君は――」 言おうか迷う。 口に出すのを躊躇う。 そして結局つぐんだ。 すると、ふと思いついたように出夢君がベッドから降りて、まとめてある新聞紙のあたりでごそごそしだした。気になって僕も上体を起こす。戻ってきた彼の手の中にはビニールテープがあり、その端を出してから、 「お兄さん、手出しな」 言われたとおりにする僕の両手首を紐で巻いていく。絞られるとちょうど手錠のようになったのが見てわかる。端は切らずにそのままほっぽる。 「出夢君?」 顔を上げる。 唇を噛まれた。 次に、舌で噛まれた部分を舐められる。それからついでのようなキス。 「ぎゃは」 呆然とした顔が間抜けだったのか、顔を離した出夢君はかつてのように、笑った。 「言った手前全殺しはしねぇけどさー。暇だし久しぶりだし一人じゃ詰まらないし僕の称号は《人食い》だし」 体を押される。支えられず僕は倒れ、そこにのしかかられる。 「食ってやろう、って思ってさ」 取り払われたタオルケットは、ベッドから滑り落ちていた。 出夢君が僕のTシャツを捲り上げる。やばい、本気だ。焦って、縛られたままの両手を、腹筋を舐める出夢君を引き離すのに使う。 と言っても相手は元殺し屋、どれだけ力を振り絞っても出夢君は意にも介さず腹から胸に舌を遊ばせる。まるで無力、これでは抵抗たる反抗にもならない。 「い、出夢君、そろそろ冗談は――」 「ん、ん? なんだよお兄さん」 顔だけ上げて、目だけは僕を見て、出夢君は笑った。 「もしかして犯されるの怖ぇの?」 「……」 僕は答えなかった。 わずかばかりの知識によれば、強姦は『性器同士が接触を持つこと』で罪として成り立つ。射精があったか相手が感じていたかどうかはひとまず脇に置かれる――そしてこの状況。 僕が……可能な状態になったとするならば、あくまで僕が交渉を拒否し続ける意思を見せる限り、その行為の名称は『犯される』になる。 それはちょっと。 「知ってるだろう?僕は流される人間なんだよ。まして出夢君からなんて、その気にならないほうが――」 バシン、と頬が音を立てた。 目の前がちかちかする。 出夢君は返す手でもう一度反対側も打つ。それから前髪を掴まれた。そのまま枕に押しつけられる。 喉が反って苦しい。 「わかってねーな。僕は、お、か、す、つったんだぜお兄さん?僕はあんたを殺さないさ、殺さないがそれでもわだかまりがある。ぎゃははっ。お兄さん、実は少しぐらい叩きのめされるのも仕方ねぇって思ってんじゃねぇの?」 僕は出夢君の声音におされて黙り込む。彼はどこか寂しそうに、短く笑った。彼が止まっていたのはその一瞬だけだ。 「そうそう、できるなら最高に僕が楽しくて、お兄さんには――」 ジッパーを引き下げる音がした。体勢を変え、空いているほうの手で僕のジーンズにおせっかいをかけてるのだ。 布越しに触られると、体に一瞬電気が走った気がした。 「――最悪と似合いの屈辱ってやつを味わわせたいねぇ」 「……っつぅ!」 ややきつめに握りこまれる。ひゅうっ、と茶化すような口笛が聞こえた。 「イイ顔すんじゃん。楽しい限りじゃねーのー。ぎゃははっ」 なっ…出夢君、もしかしなくても夜目がきくのか…!? 僕のジーンズの前はすっかり晒されている。爪の先だけで、下着の布目にそって何度も撫でられる。余裕があるうちに逃げようと暴れた。 いや、余裕がある、というのは誇張表現かもしれない。 え、あれ、誇張って使い道あってたっけ。膨張は違うよな……それは今もっとも危険な状況の僕の股間のことだ。 出夢君の指は長く細く、するりと下着の中に入ってくると、硬さを確かめるように動いた。繊細かと思えば促すような荒っぽい上下運動。 問題はそれだけじゃなく、近すぎる他人の呼吸が耳から侵略してきて僕の理性を削る。獣みたいな、しんどそうな短い息に連動して、出夢君の肌、シャツをめくられた僕の肌が時々ぶつかる。実際、体勢的に出夢君は辛いのだろう。 徐々に僕の角度が変わってきたから、それに合わせて手首から肘、腕、上半身と、微調整しているのが分かる。 逃げるには――チャンス! 「それで抵抗かよ」 今度はちゃんと全力を出して暴れた僕の視界の端で、長い手が動いた、ように、見えた。ここで一つ伏線が消えたことに僕は実感として気づく。 両手を縛ったビニールテープの端が彼の手に握られていたのだ。根元で切らなかったのは、なるほど…… 僕は引っ張られて肩を掴まれ、上半身をなんとか起こしたまま出夢君と向き合う。 「お兄さん――」 「ぅ――」 悲しそうな声なのに、鼻先に近づいた顔は口の端をあげて笑っているのが分かる。怖い。僕はこういう種類の笑顔を、人類最強がよく浮かべているのを知っている。 「なーんだ、そーかそーか。水臭いぜお兄さん、『僕に』されるのが嫌なら言ってくれよ。自分でしたかったんだなっ?」 え? 思ってる間に出夢君は僕の両膝にのり(完璧な固定)、持っていたテープの端を、上向きになっていた僕自身にくるりとまきつけた。僕の手がちょうど股にくることになる。 「さー、どーぞお兄さん?」 「どうぞって……」 「だからマスターベーション?一人エッチ?自慰ってやつ!ぎゃはははっ。ちゃーぁんと僕が、一から十の隅から隅まで細部の深部の局部までしっかり見ててやるからさ!」 頭がくらくらした。意味がよくわからない。それは出夢君の言葉遣いのせいではなく。 ……この状況でしろ、というのか。一人で。 「イクまで外さねーからごゆっくり」 追い討ちがかかった。 僕はそっと指を這わせた。うわ。躊躇う。いやでも。 『隠遁』した出夢君に、さらに罪を――強姦なんて――かぶせたくはない。説得が無駄ならせめて形だけでも普通のセックスをと思う。たとえそれが一人よがりの戯言よりも馬鹿馬鹿しい行為であっても。 「……っう…」 手のひらで包んで軽く擦ると、脳の感覚が鈍感になってくらくらしてくる。鋭い出夢君の視線があるおかげで、まだ自分を客観的に見れる。けどそれは、同時にひどく恥ずかしかった。やばい。変な高揚がある。僕はそんなにマゾなのか。 屹立は野蛮な影を太腿に落としていた。薄暗さの中で、それが充分大きいことが見て取れる。 早く終わらせてしまおうという思惑と裏腹に、最後の瞬間は遠かった。ビニールテープが根元に食いこんでるせいで痛いのだ。興奮しているのか萎えているのか、自分で刺激を与えながら分からなくなってくる。 「出夢、く……こ…、はず、し…っ…」. 「何言ってんの?もっとはっきり言えよ戯言遣いのお兄さん」 「この、テープ、を、はず…し…」 「ん、ん?テープを、誰のどこから外せって?」 「だか……っく……」 混沌と曖昧な脳の中で、快感だけは着実に溜まっていく。 ひどく衝動的に、僕はその瞬間を迎えてしまった。 浅い息を繰り返して、僕は自分の手に目を落とす。不思議な感覚だった。 「イった?にしちゃ――萎えてないし出てないよな」 「いや、……縛ってたから、じゃ、ないかな」 それでも常態で言うところのイッた感じはある。軽い疲労交じりに息を吐くと、出夢君が冷静に言った。 「じゃあ続行」 「ぞ、続行!?」 「今度は僕もやるよ」 出夢君がまたがったまま立ち膝になった。腕が動く。その先は、薄い毛に覆われた、両足の付け根――体の真ん中だ。指がゆっくりとそこに入る様を、僕は見てしまう。 ちく、と水の音がした。 ぎし、と音を立てたのはベッドのスプリングだ。 それよりもっと生々しい、生ぬるい温度までわかりそうな、水がかき混ざる音と、湿った肉が吸いつくように摩擦を起こして股と指が密やかに響く。 顔を俯むけても決定的な蠢きが見える。 声を上げようにも喉が乾く。出夢君が一際高く鳴いて、抜いた指がぬめって引く体液の糸を、口で受け止めたくなった。 喉より、もっと、重要なところが潤う気がする。 「……エロい目」 出夢君は立ち膝で、足を伸ばして座る僕を見下ろす。 「やっと本気になったみてーじゃん。ぎゃははっ、こういうのそそられるんだ、お兄ーさんは」 そろそろ僕も麻痺している。縛られたままの手首も脳も。 出夢君は肩を押してシーツに横たわらせ、覆い被さってくる。最初の体勢だ。違うのは、性器への刺激は今度は手ではなく――出夢君のじっとり湿った、熱い粘膜だった。 声は堪えなかった。二人重なって、わざわざ自分の声を確認している余裕もない。喘ぎだけなら、どちらがどちらに追い詰められているのかわからない。実際は拘束されているぶん、追い詰められてるのは僕なんだが…… 「いず、む…っ…ん、………」 「……ぁあ、だあっ、て…ろっ…」 僕はその文句を無視する。 「……さぃ…っ…しょ」 そういえば昔は、羊を数える代わりの寝物語も、夜伽といったんじゃなかったろうか。 夜に語るお伽話は、いつも過剰に不思議で自分のいる世界とは遠い。 「――迷っていただろう?」 出夢君は笑った。動きを止めず、絡んだ体液をビニールテープに伝わらせながら、理澄ちゃんのように笑った。 返事はなく、ただ、根元と手首から解かれた紐が、ぐしゃりと卑猥な音を立ててベッドの祖とに放り出されて、 一度イッたばかりの僕は抑えが外れたことで、抜くのもままならないまま、胸の上に倒れこんで震える出夢君の中に出した。多分、二度分一気に。 終わった後の出夢君はあっけらかんとしたものだった。 「殺し屋もしくは匂宮は、全てが兄妹でチーム組んで生涯そういう繋がりだけのままっつーのが多いんだよな」 多い、という表現はすごく抑えた表現じゃないかと、横になりながら思う。 「愛してるなんて言葉は家族にしか使わねーんだよ。そういう愛しか無い」 てっとり早くてわかりやすい他人への愛情のお返しはセックスだと、そういう、思考。 ……。 コメントは控えて質問を向ける。 「布団に入ってしばらく迷ってたのは?」 「お兄さんって余計に頭回るよな」 「誉め言葉に頂く」 出夢君は僕の隣で面倒そうにつぶやいた。 「迷うこともあるけどさ。 結局そんなもの、絵の具を混ぜあわせた時みてーな、次の段階へいくのに必要なだけの混沌ってだけで、 誰かに向かって言ってやっても、他人のことなら俯瞰して見えるから、よくわかるから。生々しい温度なんて感じねぇから。 どうしたって、 当事者の戯言にしか聞こえねえよ」 僕はその言葉の意味を言及するべきだろうか。それは出夢君から僕に引いた境界線かと。愛してると言葉だけでも言った僕に対する返事。 いや、麻痺したままの思考回路では難しいことは止めよう。きっと際限無く逸れていく。 ただ一つ、残したことをやって終いにしようじゃないか。 「愛情のお返しはセックスだけじゃないよ」 「あん?」 「乾いた喉を潤してやるとか」 ぎゃははなんだそりゃ、と言った唇は、笑った形で僕のと合わさって愛液に似た唾液を送りこむ。 イくのは二度、キスも二度。 出夢君が、舌を絡めながら今はいない彼の妹の名前をなぞった気がした。 店仕舞い。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/317.html
するがローズ エピローグ 国道沿いのミスタードーナツ。 「ふん…やはりアロエヨーグルト味かの…いや抹茶も捨て難いの…」 「いいから話を聞け、忍。何のためにドーナツを奢ってやったと思ってるんだ」 「もへもへ…ふまむも…」 「食べてから喋れ!」 右頬にはフロッキーシュー。 左頬にはD-ポップ×3。 さらに、口にチュロス(シナモン)を咥える。 何だか、冬眠前のリスみたいで微笑ましい。 「…ぬし、今笑ったじゃろ」 「え!?いや全然!滅相もない!」 「本当かや……。して、何の話じゃったかの」 「昨日の神原の話だよ!さっき言ったばっかだろ!」 コイツ、歳くってとうとうボケたのか。 「…聞こえておるぞ…」 「嘘だっ!」 「前にも言ったじゃろう、儂とお主の感覚は共有されておると」 「ああ…そういやそうだったな」 「じゃから、主様が絶頂に達した時は色々破裂しそうで大変だったわ」 「どこが!?」 「…れでぃーの口からそれを言わせるのかや」 「あ、いや…そんなつもりは」 「脳幹じゃ」 「どうしてそんなところっ!?」 「頭の使いすぎじゃ」 「使いすぎで破裂するモノなのか!?」 やっぱり、リアルにボケてきてるんじゃないか。 見かけは子供、頭脳は痴呆! その名も吸血鬼シノブ! 「…全部聞こえておるぞ」 「…悪かったよ。で忍、あのまま神原を放置してたら一体どうなったんだ?」 「どうもこうも…薔薇は知らんが、藤や蔦なら知っておるぞ、まあ同じ植物だか ら、結末も同じじゃろう」 「そんなものなのか、で?」 「主が体験したように、大概植物の怪異は人を糧とする、人を喰ろうたり取り込 んだりして成長していくのじゃ」 「ええと…つまり?」 「あのまま放っておけば、小娘は怪異に取り込まれ、ぬしらも喰われていた、と いうことかの」 「…結構恐ろしい怪異だったんだな…」 「安心せい、街中を覆うような大樹になるには数ヶ月はかかる、その間に、燃や してしまえばいい話じゃ」 「でも、それじゃあ神原が…」 「うむ、確実に助からんの」 「そうか…よかった」 薔薇とは違うが、蔦などの植物は他の木に巻き付いて成長する。 そして、成長するにつれていつの間にか巻き付いていた木を締め上げ、枯らして しまうそうだ。 それを考えると、巻き付かれた神原はあの時点でかなり危険だったのかもしれな い。 決して解けない蔓。 締め上げられる幹。 まさに、「絞め殺し植物」に相応しい諸行といえよう。 「あーっ!」 「どうした忍!?」 「アップルパイ…落とした…」 「…もう買わないぞ」 サイフ(マジックテープ)残金 残り437円 するがローズ こんどこそ 完 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/149.html
001 戦場ヶ原ひたぎはあいかわらずだった。僕と戦場ヶ原は同じ大学に入学 し、以前から決めていた通りに同棲を始めたが、やはりというべきか、僕 の戦場ヶ原に対する印象はたいして変化しなかった。毒舌や暴言はその苛 烈さを失うどころか、より活き活きと放たれているし、僕もそれに毎回傷 つき翻弄されている。 無論、同棲してみてわかる新しい発見も両手で数え切れない程度にはあ ったが、それであの強烈なキャラが薄まるということはなく、むしろ濃く なる一方だ。いい意味でもわるい意味でも。 まぁ、恋人になっても僕に対してほとんど変化のなかった戦場ヶ原だ。 同棲して何か特別な変化があるというのもおかしな話だろう。 そして、あいかわらず戦場ヶ原はいまでも怪異、というより母親のこと で思い悩んでいるようだ。それは、会話の中のちょっとした一言だったり 何気ない仕草などに表れていた。 怪異。母親。宗教。貞操。 それは、怪異を払って解決するものではないし、体重とともに元通りに なるものでもない。まして、時がたてば慣れるなんて、そんな簡単な、単 純な話ではない。 とはいえ、癒えぬ傷――言えぬ傷。そんなものは、誰だって持っている ことだし、各々が一人で勝手に助かるしかない。それでなくても、彼女は 思い悩むことをずっと望んでいたのだから。それが日常になったのは彼女 にとって悪いことではないのだろう。 僕の、いや僕達の記念すべき日は、そんなあいかわらずの日常から始ま った。 002 「最近はヤンデレというのが流行っているそうね」 いつもの部屋で二人くつろいでいると、戦場ヶ原は突然そんなことを言 いだした。 「ん、いきなりどうしたんだ?」 「いつまでたっても蕩れが流行らないから、私が直々に世間を蕩れ蕩れに する為に、今の世の中の蕩レンドを調べたのよ」 何が言いたいのかよくわからないが、上手く言えてないことだけはよく わかった。 「……よっぽど蕩れが気に入っているんだな。というか、何をしてもお前 のキャラはそれ以上広がらないと思うぞ」 「うるさいわね。命蕩るわよ」 「そんな使い方もあるのか!?どんだけ活用範囲が広いんだよ!」 字面では天国へ行けそうなのに、こいつに言われると地獄のイメージし か浮かばないから不思議だ。 「それで、阿良々木くん、ヤンデレって知っていたら教えてくれないかし ら。阿良々木くんは救いようのない無知だけど、エロ方面の知識だけは豊 富でしょう」 「それが人にものを頼む態度か!?」 まぁ、ヤンデレという単語は知っているが、それはエロ方面の知識では ないし、僕は決してエロ方面に詳しいわけではない事をここに明記してお く。 ……本当だよ? 「ヤンデレってのはつまり精神が病んでしまう程に誰かを愛してる状態の ことだよ」 「ふぅん、常識人の私にはよくわからないわね」 いや、お前はツンデレとヤンデレのハイブリッドかつサレブレッドだと 思うのだけれど。 自意識過剰な戦場ヶ原にしては珍しく、自覚がないのだろうか。 「つまり、こんな感じかしら。『阿良々木くん、ずっと私の事だけを見て いてね。もし浮気したら命蕩るわよ☆』」 「普段と変わってねぇよ!お前絶対わかってやってるだろ!しかも、無表 情で抑揚もなく☆とか使うな!」 「だまりなさい。湯こ★ ぼし て天日★ ぼし にされたいの」 「僕は煮干しか何かなのか!?」 戦場ヶ原は薄く笑いながら言った。 「あら、雑魚の阿良々木くんにはちょうどいいでしょう?」 ぐ……、よくもまぁ、次から次へと毒舌が出てくるよな。僕の方が病ん でしまいそうだ。 僕を虐げているときだけ魅力的な笑顔を浮かべる様は、徹頭徹尾、完全 無欠にいつもの戦場ヶ原だった。 「それにしても、気付かぬうちに流行の最先端にいたなんて。自分の才能 が恐ろしいわ」 「僕も改めてお前の恐ろしさを認識したよ」 いろんな意味でな。 「ふぅ、でも困ったわね。これ以上どうすれば阿良々木くんを蕩れさせら れるのかしら」 うん、僕を? こいつさっきは世間をどうとか言ってなかったか? 「いや、僕は常に戦場ヶ原蕩れ一筋だよ」 「あら、気持ちのいいこと言ってくれるじゃない。でも――それじゃ足り ないのよ」 そして戦場ヶ原は、何事もないような顔をして特大級の爆弾を落として きた。 「困ったわね、今日はずっとノーブラなのだけれどこれでも興奮してない みたいだし、いよいよ打つ手なしだわ」 「……っ!?」 え、や、やっぱり気のせいじゃなかったのか!? 今日の戦場ヶ原の服装は清潔感あふれる白いブラウスに丈の長めのス カートと、普段通りの格好だ。 だが、だが待って欲しい。その美乳といって差し支えないであろうお椀 型の整った胸はよく見るとほんの少し(ほんの数㍉胸囲にして数㌢ほどな のだが)膨らみが増していてそしてその頂についさっきまで必死にただの 服の皺だと自分に言い聞かせていたかすかな突起がささやかに自己主張し ていてそれは目を凝らせば桜色が透けているような気までして――(長く なるので以下略) 「あら、どうしたの阿良々木くん?鳩が鉄砲を食らったような顔をして」 それは単なる動物虐待だ!とか、その鳩は明らかにもう生きてないです よね!とか、僕の顔は死体のような顔って意味なのか!とかつっこむ余裕 は僕にはなかった。 そこに追い討ちをかけるように、戦場ヶ原の爆撃は続く。 「何も返事しないのは感心しないわね。そういえば、今はパンツもはいて ないのだけれど、これだけ長いスカートがあるから関係ないわよね」 「▼※◎■☆〒Ф!!??」 その一言でもう僕の目は戦場ヶ原のスカートに釘付けになった。それな りに丈のあるスカートなのにその裾が揺れるだけで、僕の心が、いや魂が、 いやいや存在そのものが揺さぶられる! 以前にこれからの歴史は消化試合だとか確信した出来事があったが、あ れは早計だったようだ。そう、ロスタイムになっても世界は諦めていなか ったのだ!この劇的な同点ゴールを決める為にひたむきにひたすらに頑張 り続けていたんだ!あぁ、世界の声が聞こえる、『わが生涯に一片の悔い なし!!』と。そもそもノーパンっていうのは――(以下、阿良々木の阿 良々木による阿良々木のための濃密なノーブラノーパン能書きのため、中 略) ――全裸だって何度か見た事あるのに、露出は限りなく低いはずなのに、 何故こんなにエロスを感じるのだろうか。もう僕は女性の着衣姿に興奮す るのは避けられないのだろうか。こいつは僕をどんなレベルの変態に仕立 てあげるつもりなのだろうか。……このままいくと、女性向け服店に入る だけで興奮する体質になる日も遠くないかもしれない。 「――っていうか、お前は何がしたいんだよ!?」 「あら、阿良々木くんはこういうのが好きなんでしょう?」 「そんな馬鹿な。僕はたとえ目の前にノーパンノーブラの女の子がいたと しても、下着を返して下さいと言われたら即座に返すことができる男 だ!」 ――ん?今、どこからともなく委員長のツッコミが聞こえた気がしたが、 気のせいだろう。 「そのわりには、やけに長いモノローグだったけれど」 「え、ひょっとして僕はさっきの馬鹿なモノローグを口に出して喋ってた のか!?」 なんという古典的なミスを……。 「あら、違うわ。阿良々木くんって薄くて弱いから地の文まで透けて見え るだけよ」 「見るなよっ!たとえ見えてても見ないでくれっ!」 そんな前提があったら、本編のあんなシーンやこんなシーンが台無しじ ゃねえか! 二次創作の中で本編をぶち壊すなんて、どこまでおっかねぇ女なんだ、 戦場ヶ原ひたぎ! 「安心なさい、なんとなく冗談だから」 「なんとなくって……」 微塵も安心できねぇ……。 いや、この件は忘れよう。なかったことにしよう。 えっとそれで、何の話をしてたんだっけ? 「そうね。私が何がしたいのかって話だったと思うわ」 気のせいだ。地の文と会話なんてされてない。気のせいなんだ……。 「まったく、私のリハビリが終わったから阿良々木君に花を持たせて襲わ せようとしていたのに、阿良々木くんって本当に奥ゆかしいのね」 え、なに――マジで?今朝から何故か誘惑されているような気がしてた のは気のせいじゃなかったのか……。 というか、こいつよっぽど好きなんだな、誘い受け。まぁ、単に人にも のを頼むのが苦手なだけかもしれないけど。 「いや、奥ゆかしいっていうかさ――」 「そうね、童貞ごときに期待した私がどうしようもなく愚かで惨めで哀れ だったわ。童貞に罪はないものね」 「相対的に僕を貶めるな!」 「阿良々木くんは存在そのものが罪悪だわ」 「絶対的に貶めろって意味じゃねぇよ!」 「やぁね、罪と言っても罪作りという意味よ」 「え、僕が何かしたのか?」 「そうね、罪と言っても死罪だそうよ」 「僕が何をしたって言うんだっ!?」 「私の胸に聞いてみなさい」 「お前が裁判官だったのか!?」 この法廷では原告と裁判官と刑執行官が同一人物だというのか! それでも僕はやってない。何もやってないんだ! じゃなくて。 「それで、リハビリって、もう大丈夫なのかよ?」 「えぇ、これもすべて神原のおかげね」 一瞬、不埒な妄想をしてしまった僕を許してください。 だって、しかたないじゃない、にんげん(♂)だもの。 こよみ。 「……ぃゃ、ぃぃけどさ――にしても、意外だな。ここまで引っ張ったな ら、誕生日とかクリスマスとかそういった日を選ぶかと思ってたのに」 こいつはこれでいて、結構ロマンチックなとこがあるからな。 「そんなのいやよ、これ以上我慢なんてしたくないわ。遅いくらいよ」 戦場ヶ原は平坦な口調で続ける。 「これでもずっと前から早くしたいと思っていたんだもの――阿良々木く んは違うのかしら?」 戦場ヶ原の必殺技――直截的物言い。 いつまで経っても慣れないどころかその破壊力はどんどん増しているわ けで。僕の顔はもう千石にも負けないくらい真っ赤になっているだろう。 「い、いや、違わない。お前が大丈夫なら、僕が躊躇う理由はないよ」 「そう」 すると、戦場ヶ原はいつも通りに、無表情のまま抑揚もなく言った。 「セックスをします」 「……………………」 いやいや、いや。 「違うわね。こうじゃないわ。セックスを……して……いただけません か?……をし……したらどうな……です……」 「…………………………」 「愛しあいましょう、阿良々木くん」 「最終的に、そう落ち着くか」 妥当といえば妥当なところだった。 らしいと言えば、これ以上なくらしい。 僕と戦場ヶ原は見つめあったまま、どちらからともなく近づき――そっ とキスをした。 003 お互いの唇が触れ合ったとき、戦場ヶ原は僕の頭をそっと抱くように手 を添えてきた。 戦場ヶ原とキスするのは初めてじゃない。というより、むしろ頻繁にし てるんだけど、今日はやけに緊張す―― 「……んむぅっ!?」 し、舌?この口の中にねじこまれた柔らかい物体は舌なのか!? ちょっと待ってくれ、こんなキスしたことないだろうが! 「……っ、……ぅん……むぐっ」 とっさに身を引こうとしたが、ガッチリと僕の頭を掴む手に阻まれる。 僕のかすかな抵抗などものともせずに、長い舌が僕の口内を蹂躙してい く。舌をからめられ歯茎をなでまわされ口蓋をなぞりまわされ―― 散々口内をなぶりつくしたあと――ようやくその唇は離れた。 「ぅ……っぷはぁ!」 うう、むりやり犯された気分だ。 なんで僕がこんな乙女のような心境になってるんだ?普通は逆だろう! 「……こんなのいつ練習してたんだよ?」 「何を言っているの。ぶっつけ本番に決まってるでしょう」 あー、薄々気付いてたけど、こいつは攻めることに関しては天賦の才を お持ちのようだな。恨むぞ神様、癖になったらどうしてくれる――って違 う!なんでそんなにマゾキャラが板についてきてるんだよ、僕は! 「わかってたけど、納得いかなかったんだよ」 「くだらないことを聞くのね。あなたの頭の中には犬の糞でもつまってる んじゃない」 何を当たり前のことを聞いているのこのゴミは、という目で見下された。 ……最近、この目で見られると背筋がやけにぞくぞくするんだが、これ は何の病気なんだ? 一人懊悩する僕にはお構いなしに、戦場ヶ原は仁王立ちの姿勢のまま言 い放った。 「さぁ、どこからでもかかってきなさい」 「………………」 いや、そのせりふはおかしい。 そんな戦場の武者のように言われてもなぁ! さっきから、ときめきとかロマンとかそういったものが、片っ端から絨 毯爆撃に曝されているような感じだ。むしろ、自分の女性幻想にまだぶち 壊す余地があったことに感動すら覚える僕だった。 「どうしたの、阿良々木くん?」 「いや、被爆者の悲劇を今一度噛み締めてただけだ」 「それは阿良々木くんの顔が焼け野原という意味?それとも性格の方かし ら」 「間違いなく僕のハートのことだと、今確信したよ!」 なんでこういう大事な場面でも、いつも通りの漫才が始まるんだろう。 いや、考えたら負けな気もする。よし――それじゃあ気を取り直して。 「待ちなさい」 僕が手を伸ばそうとすると、戦場ヶ原はそう言って僕を遮った。 「――えっと、さすがに戦場ヶ原でもやっぱり、いきなりは怖いか?」 「そんなおあずけされた犬のような顔をしなくても大丈夫よ、そういった 惰弱なことではないわ」 うわ、そんな顔してたのか……。 複雑な心中の僕を尻目に、戦場ヶ原はそのまま続けていった。 「さて阿良々木くんに問題です。本番の前に私が言って欲しい言葉はなー んだ」 知らねえよ!と言いたいところだが、きっと戦場ヶ原にとっては大切な ことなんだろう。それにしたって、聞き方というか頼み方ってものがもっ と他にある気もするが。よりによってクイズ方式にしなくても……。 しかし、何だろう、ここで『いい身体してるね』とでも言おうものなら 何か大切なものが失われてしまいそうだ。具体的には僕の命とか。 そうだな、こいつが言って欲しそうな言葉というと―― 「『ひたぎさん……なんて美しいんだ。正に僕の理想の人だよ。愛して る』」 「87点」 「微妙に高っ!逆になんで13点引かれたんだか気になるよ!」 「あら、1万点満点よ」 「得点が1%以下になっちゃった!」 「いえ、それでも阿良々木くんにしては大健闘よ。私は阿良々木くんの能 力を少々甘く見すぎていたかもしれないわね」 本気で感心した風な戦場ヶ原。 「……お前は一体何様なんだ」 「ひたぎ様よ」 「はいはい……わかったよ、ひたぎちゃん」 僕がそう言うと、戦場ヶ原は優しく微笑みながら尋ねてきた。 「らぎ子ちゃんは、永遠の眠りにつくのと永遠に眠れなくなるの――どっ ちが好みなのかしら」 「全部僕が悪かったです、ひたぎ様!」 今にも土下座せんばかりに謝る弱い僕だった。 ……ちなみに、個人的には後者の方が拷問チックなのでご遠慮願いたい。 「で、結局お前は何て言って欲しかったんだ?」 僕が改めて尋ねると、戦場ヶ原は何故だか不機嫌そうな顔をして言った。 「あなたに、お前呼ばわりされる筋合いはないわ。今しがた教えた呼び方 を忘れるなんて本当に犬並みの知能ね」 「え、――ってことは、もう二人称はひたぎ様で固定なのか!?」 呼称それ自体よりも、その呼称を使う自分の姿に違和感があまり感じら れないという事実が、ただただ恐ろしい。 というか、なんでいつも犬呼ばわりされなきゃいけないんだ。僕の前世 は徳川綱吉だったりするのだろうか? 「どうしても嫌だというのなら、でき得る限りの敬愛と畏怖をこめて呼べ ば、様は勘弁してあげてもいいわ」 「ひたぎ――って呼んでもいいのか」 でき得る限りの警戒と恐怖をこめて呼ぶ僕。 「そうね、悪くないわ――暦」 ――――おお。初めて戦場ヶ原に名前で呼ばれたが、これはなかなか、 どうして。なんというか、うん、悪くないな。 「で、結局ひたぎは何て言って欲しかったんだ?」 「もう用件はすんだわ。だから、先を続けてちょうだい、暦」 …………ひょっとしてさっきまでの会話は、お互いを下の名前で呼び合 うというイベントの前フリだったんだろうか。だとしたら、回りくどっ! どんだけ遠回りしてるんだよ。 まぁ。 僕と戦場ヶ原――いや、ひたぎとの関係はいつだってそんな感じだった。 電光石火だったのは出会いと告白のときまでで、あとはゆっくりと、マイ ペースに遠回りにも思える道を二人で歩んできたんだ。だから、これはこ れで、悪くない。素直にそう思えた。 それじゃあ、いよいよ次は―― ――って、あれ?次?次ってどうすりゃいいんだ?まずは胸を揉めばい いのか?というか胸は右と左どっちから揉めばいいんだ?そのまえに胸を 揉むのは服を脱がしてからの方がいいのか?そもそも服は脱がしてしまっ ていいのか?着たままの方が興奮するんじゃないのか? いやいや、なんかずれてきてるし!ていうか、こんなこと初めてなんだ から次に何すりゃいいかなんてわかんねぇし、それはひたぎだって同じだ ろうし、あぁ、もう、どうすりゃいいんだ!くそっ、こんなことなら神原 でリハーサルし―― 「…………?」 僕が危うく男として最低の考えをし始めそうになったところで、その異 変に気付いた。 気付くことができた。 そう、ひたぎの手が、わずかに――震えていることに。 ――次の瞬間、僕は思わずひたぎを抱きしめていた。 「いきなりどうしたの、暦?」 「なんでもないよ」 なんでもない。 ――なんて訳がない。 いくら冷血に豪快にふるまってても、こいつは情が深くて繊細な、ただ の女の子だ。まして、こんな状況で怖くないはずがないじゃないか。 だから、今は、その震えがおさまるまでは―― 「もうちょっとだけ、このままでいさせてくれ」 「………………ふん、好きになさい」 でも――とひたぎは続ける。 「私は童貞の暦には見え透いた気遣いや繊細なテクニックとかは塵屑ほど にも期待してないわよ」 見え透いた気遣いには気付かないフリだろうが、まったくどいつもこい つも。 というか、ぎゅっと抱きしめかえしながら言う台詞じゃないっての。 あぁ、もう、こいつは本当に―― 「だから、ヘタレな暦は余計なことは考えずに、したいようにすればいい のよ」 こいつは、本当の本当に、筋金入りのツンデレなんだなあ。 「じゃあ、そろそろ始めるぞ」 そのまましばらく抱き合ってから、僕はそう切り出した。 本当はもう少しこうしてた方がいいのかもしれないけど、もう限界だっ た。だって、すっかり忘れてたけどこいつノーブラなんだもん!ぎゅっと 抱き合うとものすごく柔らかな感触があるし、かといって少し離れても二 つの固いモノが強調されるわけで。これはもはや性の暴力だろ!もちろん 性の警察だって対処できやしない! 「ばっちきなさい」 ……そんな日本語があるとはついぞ知らなかったが、ひたぎは比較的落 ち着いてきているみたいだ。言動はあまり変わってないけどな。 まぁ、許可もおりたことだし、む、むむ胸を、さ、触るぞ?触っちゃっ ていいんだよな?うん、いいはずだ。いいに違いない。――本当に問題な いよな?何か見落としてないよな? 女の子に了解をもらっているのに、なかなか踏ん切りがつかない情けな い男が、そこにはいた。 ぶっちゃけ僕だった。 「ふう……、暦は本当にヘタレなのね」 そんな僕を見かねたのか、ひたぎはおもむろにブラウスをはだけると、 僕の手を取りそっと自分の胸にあてがった。 「うわ……」 や、やわらかい……! ここに神が存在している――神がご降臨なされた! 人智を超える素敵滅法なこの感触をなんと表現すればいいのだろう。 とても一言では言い表せそうもない。 おっぱい万歳!!(一言だった) 「ぅ……ん………………っ」 ふと気がつくと、僕の意思を離れた両手がひたぎの胸を包みやわやわと 揉みしだいていた。 まあ、さすがの僕でもここまでされて動かないほどヘタレな男ではない ――というか、欲望に火がついちゃった。 もうどうにも止まらない。 先端をかすめるようにしながら、優しく握りこむように揉みほぐす。 「……んっ、……ぁ」 ひたすらにひたむきに、さながら、彼女にオアズケされ何年も待たされ た後ようやく初めて胸を揉んだ童貞のごとく執拗に胸を揉む。その例えが まるきり比喩になってないことも気にせずに一心不乱、無我夢中にただた だ揉む。 「……ぁっ……ん、…………はぁ……、くっ……」 すると、顔を赤らめながら快楽を強いて抑えている声で喘いでいる女性 が、そこにはいた。 ぶっちゃけひたぎだっ――って、えぇ!? 胸を揉むのに夢中で今まで気づかなかったけど、こいつが鉄壁の表情を 崩すところなんて滅多にみれないっていう設定じゃなかったか!?こんな 設定 弱点 があったなんて!これは徹底的に気持ちよくさせてあげないと な! もちろん、いつも徹底的に弄ばされてるから、そのお返しだとかそんな 低俗な理由ではない。純粋な好意からの行為である。もう何度も口が酸っ ぱくなるほどに繰り返し主張している通り、僕は紳士なのだ。 「い、痛くないか?」 「えぇ……んっ、ぅ……ふぅ……だいじょう……っ、ぶよ……」 「本当に?乳首をこんな風にいじっても痛くなったりしない?」 「ひゃうんっ!問題……ないわ……へい……きゃうっ!」 「そうか、じゃあこういう感じに軽く引っ張っても大丈夫だよね?」 「ぁんっ、ひゃっ……ちょ、ちょっと、こ、暦、んっ……ぁあっ!」 うわ、やりすぎたかも。でもほほを染めて喘いでる状態だと、戦場ヶ原 さんの睨みも怖くないんですね。新発見! ていうか、いくらなんでもひたぎをないがしろにしすぎたかもしれない。 でもまぁ、それも――ひたぎが肉体的にも精神的にも僕を拒絶しないで、 身も心も僕に全部任せきってくれてるのがわかるからこそ、できることな んだけどな。 考えてみれば、ひたぎはいつも全力で僕に応対してきていた。全力で攻 撃し、罵倒し、告白し、助力し。そして、今は全力で僕を受け入れようと してくれている。こいつは、そういう態度が僕に対してどれほどの影響を 与えているか、はたしてわかってるのだろうか。 やばい、マジやばい。萌えすぎて蕩けそうだ。 死ぬ、蕩け死ぬ、本当にこいつは、まったく。 ――そんなことをぼんやりと考えながら愛撫していたせいか、僕の片手 が無意識のうちにひたぎの下腹部に伸びていた。 「んっ……!」 ひたぎがびくりと反応した。 「あっ、ごめん……」 やば、先走りすぎたか。下手に暴走して全てがご破算になったらだなん て、そんなこと考えることすらしたくない。 僕がそんな恐怖に捕らわれて動けなくなっていると、すかさずひたぎが 言った。 「だから、暦のしたいようにすればいいのよ。まったく、二度も同じこと を言わせないでくれるかしら」 「ああ……そうだな――悪かった」 確かにここで躊躇うのは、せっかくのひたぎの決意を無下にするような もんだもんな。 僕はそう納得すると、慎重ににスカートをまくりあげてノーパンの股間 に手を伸ばした。 「んんっ!」 うわ、すげえ濡れてる。これって僕の愛撫で感じてくれてるってことな んだよな。 「お前って、すごい敏感だったんだな」 「ええ、私、とってもデリケートなの。だから、優しくしてね、お願い」 「……………………」 …………………………ぐはっ!この唐突なキャラ変更はもう使い古され たギャグだと思ってたが、感じて頬を染めているというファクターが加わ るだけで、ここまで強力なコンボになるのか。これは反則だ。正直、なん て突っ込めいいのかもわからない。 「あら、本気にしちゃったのかしら。冗談だから、気にしないでいいわよ ――私は暦のどんな薄汚くておどろおどろしい欲望でも、全てを耐えて、 受け入れてみせるから………………たぶん」 「その台詞こそ、冗談だと言ってくれ!」 ていうか、こいつは自分だけ格好よくなる台詞が大好きだよな。その分、 毎回僕はみじめな気持ちにさせられるんだが。 僕はなかば自棄な心境で、ひたぎの秘所を再び弄りはじめた。 「……んっ…………ふぅっ…………ぁっ」 痛くならないようにそっと割れ目を丁寧に往復させていると、水音がだ んだんと大きくなってきた。そして、ひたぎがその刺激に慣れてきた頃合 を見計らって、中に軽く指を押し込んでみる。 「……っ!」 ひたぎの中はとてもキツく、無理に入れると痛みが走るようだった。 「あ、痛かったか?」 「いいえ、大丈夫よ」 そんな顔を顰めて言われても。どう考えても強がりだよなあ。 あ、そういえば――。 僕は割れ目の上部の方にあるしこりを探り当てると、そこを親指で優し く撫でながら、中指をもう一度ひたぎの中にもぐり込ませた。 「……はあぁんっ!」 中からどぷっと愛液が湧き出てきた。これなら、上手くほぐせそうだ。 まさかエロ本の知識に助けられる日がくるとは。エロは身を助けるんだな。 「んっ、くあっ……ふぁあっ、あっ……やっ、……ひぁん!」 そのまま指でゆっくりかき回すように愛撫を続けていると、最初は指が 一本しか入らなかった穴が、二本の指がなんとか動かせるくらいの余裕が できた。そして、そのぶん僕の余裕が消えていっているのも見逃せない事 実だ。 「ひたぎ、そろそろ……いいか?」 「ええ、覚悟はできてるわ」 僕はその台詞を聞いて一つ頷くと、いそいそと服を脱いだ。僕の股間は ガチガチに固くなってもうとっくに臨戦態勢に入っている。まぁ、ひたぎ のこんな魅力的な格好を前にして何も感じない奴がいたら、そいつはイン ポテンツに違いない。 ――と、今気付いたんだが、ひたぎはいつまで着衣のままなんだ?こい つが、さも当然のようにしているから気にならなかったが、普通こういう ときは全裸になるのではなかろうか。いや、僕は童貞だから、詳しくは知 らないが、着衣のまま行為に及ぶのはどうも上級者向けの匂いがする。だ が、だからこそ、その格好に興奮している僕がここにいるわけで。 ……こ、このまま始めちゃっても、いいよな?ひたぎも別に気にしてな いみたいだし。 もうすっかり着衣属性に目覚めてしまった僕はそう判断すると、何気な い風を装い、努めて自然に切り出した。 「じゃあ、いくぞ。痛かったら、ちゃんとそう言えよ。正直、僕は自分の 理性をいまいち信用できないんだが、それでも、精一杯優しくしてやりた いんだ」 「さっきも言ったでしょう――私は暦の、全てを受け入れてみせるわ」 ――かっこいい。先ほどの台詞とだいぶニュアンスが違うけど、それを さっぴいても惚れ直してしまいそうだ。 僕はそれを聞いて安心すると、ひたぎに覆いかぶさって腰をゆっくりと 秘所にあてがった。 「くっ……ぅうっ」 先っぽが入っただけなのに、すごい力で僕の侵入を拒むように締め付け てくる。そのまま少し進むと何か壁のようなものに突き当たった。 「このままいけそうか?」 「問題……っ……ない、わ」 「……悪いけど、もう少しだけ我慢してくれ」 ひたぎは相当痛そうにしていたが、このままじわじわいくよりも一気に いった方がマシだと判断して、僕は腰を思い切り突き出した。 「っつ、っあぁぁあっ!」 ひたぎの叫びと何かが切れるプチッとした音が聞こえた次の瞬間、僕の モノはひたぎの中の一番奥まで収まっていた。 「あ…………っ、……ぅ……」 「おい、大丈夫か?ひた――」 ――え。 ――僕の中の時間が止まる。 ひたぎの目に浮かんでるのは――涙? そんな!?僕は何か間違ったのか!?何か取り返しのつかない間違いを 犯してしまったんじゃ―― 「いいえ、違うわ」 そんな僕の様子を見て取ったのか、ひたぎはそう言った。 「嬉しいのよ。暦と一つになれて嬉しいの。これからも、暦のことをずっ と好きでいられる――それはとても幸せなことだわ」 ひたぎは、無表情で平坦な口調でそう言った。涙を流しながら。それを 拭おうともせずに。 「僕もだよ。ひたぎと一つになれるなんて夢みたいだ」 「この痛みは夢なんかじゃないわ。でも、そんな痛みなんてどうでもよく なるくらい幸せよ。涙って嬉しくても出るものなのね」 ひたぎの涙を見るのはこれで二度目だが、そのどちらもこいつの情の深 さを実感させられる。この定型句を使うのもどうかと思うが、正しくツン デレの真髄を見せられた気分だ。 「まぁ、でも、そうは言っても、まだ痛いんだよな?何か僕にできること は、あるか」 痛がっているひたぎには悪いが、僕はとても気持ち良くなってきていた。 良すぎると言っていいくらいだ。すごく心地よい熱さで、ぎゅっぎゅっと 不定期に強く締め付けられると、思わず動き出してしまいそうになる。何 とかして気を紛らわせないと、自分で自分を律する自信が持てそうにない。 「キスをしなさい」 「仰せのままに」 僕はできるだけひたぎに負担をかけないように、優しく唇を寄せた。 ひたぎはまた舌を入れてきたけど、先ほどとは違い、愛おしむような舌 づかいだった。僕もそれに応えるように舌を絡める。 お互いの愛を確認するように何度も何度も口づけを交わしていく。そう している間にも、僕はひたぎの胸や脇腹や背中を撫でるように愛撫するこ とも忘れない。 「……ふぅ、…………ぁんっ…………はぁうっ!」 ――ふと気付くと、どこからか、ちゅくちゅくと水音が聞こえてきてい た。音のする方を見てみると、ひたぎの腰がかすかにくいくいと動いてい る。 うわ、エロい……。これは――もう動いても大丈夫ってことだよな。と いうか、初めて味わう膣の襞の感触が気持ちよすぎて、もう我慢できない。 ここら辺が童貞の性能の限界ということか……。 「そろそろ、動くぞ」 「ええ……んっ、わかっ――んぅっ!」 僕はそう告げると、返事を聞き終える前にゆっくりと動き始めた。 「んぁっ…………ひぅっ!……んっ」 中のキツさは変わっていないが、最初は拒むように締め付けていた膣壁 が、今は強く複雑に絡み付いてくる。襞がうねうねと動いて、僕に未だか つて経験したことのないもの凄い快感を与えてくれる。 「あっ、ぁあっ!んくっ……っ、ふあぁっ!」 ひたぎも、もう痛そうな素振りは一切なく、どこか陶然とした表情で、 今まで聞いたこともないような甘ったるい声を出して感じているようだ。 その表情、声、反応――感じ取れるひたぎの全てが、僕を昂ぶらせる。 もっと一つになりたい、一緒に気持ちよくなりたい。ただ、それだけを考 えながら腰を動かす。 「んぁああっ!……ひあっ、ぁあっ……っ」 ひたぎへの愛しさが際限なく込み上げてきて、一突きがどんどん早く、 深く、強くなっていく。 「はぁんっ、……ん、暦っ!……んっ、愛してっ、るわ!」 「うんっ、……僕もだ、愛してるっ!」 時折、キスをしたり、名前を呼び合ったりして、興奮をより一層昂めて いく。だんだん意識が朦朧としてきて、ゴールが近いことを悟る。一突き ごとに、ひたぎは搾り取るように肉襞をうごめかしてきて、射精を促して きているようだった。僕はその終わりに向けてラストスパートに入る。 「ひたぎっ、もう限界だっ!」 「っ、んっ、いいわよ、……きなさいっ!」 最奥に思い切り打ち込んだ瞬間、意識が焼け切れるような快感が僕を満 たして、ありったけの精液をひたぎの膣内に流し込んだ。 「んんっ!っ、はああぁぁ………………」 限界を超えた快楽でぼんやりと霞んだ視界の中、幸せそうなひたぎの微 笑がやけに印象的だった。 こうして――僕達の記念すべき初体験は終わりを迎えた。 004 後日談。というよりは、これからの話。 翌日――ではなく数週間後、いつものように二人の妹の火憐と月火に叩 き起こされた――というわけでももちろんなく(もう僕は実家暮らしでは ない)、ひたぎに電話で起こされた。どうやら、朝早くからどこかへ出か けていたらしい。 そして、そのままいきなり病院に呼び出された。 「できました」 本当にいきなりだった。 まあ、何のことをいっているのか漠然と察しはついた。 なにせ、呼び出されたこの場所は―― 「あら、いくら愚鈍、鈍感、感受性皆無、無責任な暦でも何のことを言っ ているのかぐらいわかるでしょう」 そう、その通りだ。 ここに――総合病院の産婦人科に呼ばれたときから、何を言われるか予 想はついていた。 そして、本当に理解が及び、実感が湧いた瞬間に僕の心の中を満たした のは、驚愕でも、困惑でもなく、ただただ喜びだった。 何故ならば、ひたぎが怪異を克服するのは。 蟹から取り戻した『おもい』とちゃんと向き合えるのは。 体重が戻ったときでもなく、二人で北海道へ蟹を食べにいったときでも ないし、ましてや貞操に関するトラウマが消えたときでもなく。 それはまさに今だと―― ひたぎ自身が母になったときだと。 ――確信したから。 ――確信できたから。 「それで、この子の名前はなんにしようかしら」 そのときの彼女の表情を、僕はきっと一生忘れないだろう。 初めて見た彼女の満面の笑みは、未だ見ぬわが子への慈しみに満ちた笑 顔だった。 戻る
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/33.html
新本格18禁魔法少女ツナギ 二度あることは五百十二度ある? キズタカが聞いてきたのが、ツナギと戦った夜の帰り道なの。 「それにしても――ツナギに喰われた時、りすかが悲鳴も上げなかっ たのにはびっくりしたな。あれって実際、どんな感じなんだ? 物理的 に『喰われる』だけじゃないんだろう?」 「……………」 「……悪い。思い出したくないよな」 珍しくきまり悪そうに眼をそらしたのがキズタカだったの。で、黙り こんじゃったのがわたし。 分からないのが、その時わたしがどんな顔してたのか。 分からなかったのが、その時どんな風に説明するべきか。 不完全だけど正しいのがキズタカの推測。相手の『存在そのもの』 を食べるのがツナギなの。ツナギの口の中の様子が外から見ても 分からないことだし、それに―― 五百十二の口があるのが、体の表面でなく口の中なの。 身体を細切れに噛み千切られる苦痛なんて、だから本当はささいな ことなの。「アレ」を五百十二回繰り返されることに比べたら。 ★ ★ ――人飼無縁は、意識を取り戻した。 何も見えない闇の中、横たわっている。 「……ふむ。我輩は一体、どうなっているのかな? 確か――ツナギ に『喰われた』はずだが? いや、『喰われなかった』はずだが、と言 うべきかな?」 状況も分からないまま、彼は軽口を叩いてみた。軽口を叩くことで、 己の冷静さを取り戻そうとする。 ある意味、虚勢のようなものだ。 生暖かく、湿気に満ちた洞窟――のようなところに横たわっていた ようだ。黒一色と思っていた闇は、目が慣れてくると微かに赤黒い。 地面は柔らかく、湿っている。とても高いところにある天井には大きな 割れ目がギザギザに走り、そこから微かに光が射している。 ゆっくりと身体を起こしてみる。噛み砕かれたはずの手足は自由に 動くし、触ってみた限りでは傷もないようだ。もちろん愛用のローブも 健在である。あらゆる攻撃から彼を護り、また彼の『魔眼』のカラクリ を隠してくれる、『あのお方』から拝領したローブ。 わずかに、魔力が減っているような気もするが――しかし、今日は 既に何度も『魔眼』を使っていたのだから、この程度の消耗は当然だ ろう。もちろん、まだまだ余裕はある。 「ふむ、ならば何とかなるのがこの状況、かな。いや、何ともならない のがこの状況、と言うべきかな?」 どういう経緯でこういうことになったのか、さっぱり見当もつかない が――人飼無縁の記憶はツナギに『喰われた』所で途絶えている。 だから何故、五体満足な姿でこんな所に寝ているのか全く想像も つかなかった――、しかし、少し安心した。 ここがどこだろうと、今どんな状況だろうと、ローブと魔力さえ無事 ならばなんとでもなる。大概のことからはこのローブが護ってくれるし、 いつ誰がこの場に現れても彼の『魔眼』は健在だ。 ――問題は、今この場所がどこだか分からないことと、この洞窟に 誰かが現れる様子が全くないこと。 「我輩が生きているということは、我輩に用があるということなのだ ろうが――ツナギに、知られていた以上の何らかの魔力があった ということなのだろうが――しかし、こうして放置しているのは解せ んな。我輩に用があるなら、さっさと出てくるのが礼儀だろう!?」 人飼無縁は、闇に向かって吼えた。しかし紅い闇は何も答えない。 声は反響さえしない。 彼はなおも、血走った目で叫び続ける。 「あるいは……臆したか!? ははは、そうだよな! 暗闇だろうと も我が『魔眼』は依然として有効! 我輩の傍に貴様は近寄れん! 駄人間が! 駄人間が! 我輩を生かしておいたことを後悔させて やる! あの妖怪口オバケ、若作りの糞ババァが出てきたら、すぐ にでも我輩の『魔眼』で――」 「――ふぅん、まだそんな元気あるんだ。活きのいいことね」 少女の、かすかな呟き。 赤黒い闇の中に響くその声に、人飼無縁は凍りつく。 「ど、どこだ! どこにいる?」 「怒鳴らなくても、すぐ傍にいるわよ」 狼狽する人飼無縁、クスクスと笑う声「だけ」のツナギ。 人飼無縁は周囲を見回すが、ツナギの姿はどこにもない。声から 位置を探ろうと耳を澄ましてみても、まったく方向が掴めない。まる で洞窟全体から声が響いてくるようだ。 「か、隠れてるのか!? 我輩の『魔眼』に恐れをなして隠れている のか!?」 「やあね、隠れてなんていないわよ。最初からずっとすぐ傍にいた わ。面白いから少し黙ってたけど」 「と、ともかく、姿を現せ!」 「いいわ。あなたにも分かり易く出てきてあげる」 唐突に、人飼無縁の視界にツナギの姿が『出現』する。 まるで地面から生えてきたかのように、何もない所から立ち上が るように――裸の少女が出現する。 人工物を何ひとつ身に付けていない、しなやかな身体。 肉体年齢は11歳前後。外見だけではごく普通の『人間』の少女に しか見えない。忌むべきあの『口』は、まだ『出して』いないらしい。 嫌というほど良く知っている、ツナギの姿だ。 ただそんな彼女の外見に、人飼無縁はかすかな違和感を感じ―― しかし、彼には何がおかしいのか見当もつかなかった。 「気分はどうかしら、人飼無縁? とりあえず、噛み砕き切り刻んだ 肉体を『再構成』してみたんだけど、どんな感じ?」 「ははは、有難いことだなツナギさま! しかし、我輩のローブまで 修復し、あまつさえ姿を見せたのは失敗だな! いや成功だな、と 言うべきかな?」 「魔眼が使えるってこと? ――まぁ、そうでしょうね。私は単に、私 の魔法で一旦『分解』したあなたを『元通り組み立てなおした』だけ だから。『ほぼ元通りの能力』を備えていて、当然ね」 勝ち誇り哄笑する人飼無縁に、裸のツナギは淡々と呟く。まるで 諦めたかのように。 (どういうことかな、このツナギの様子は。全く理解できぬ。いや、 理解できるのが今の様子、と言うべきかな?) 人飼無縁は、この一連の不可解な状況に眉を寄せる。 どこだか分からない洞窟。裸で無防備に現れたツナギ。そして 『敵』として殺したはずの自分を『再構築』したという彼女の言葉。 こんなことをしてツナギに利益があるとも思えぬし、しかし利益も なくこんなことをする必要があるとすれば―― (――ツナギの『魔法』の『付帯条件』か?) 強力な魔法には時折、発動に際して複雑な条件がつくケースが ある。それは『影の王国』の「相手の影にダーツを刺す」だったり、 人飼無縁の「相手と自分の間に視線を通す」だったりする。もっと もこれは基本的に魔方陣での話で、しかも魔方陣を書いた者が 自由に設定できる項目なのだが―― (ツナギの場合、ある意味で本人の『魔法』ではないからな。『あの お方』に創られた身体だ、言って見れば『あのお方』が書いた魔法 陣。もし『あのお方』が付帯条件をつけていたとしたら――) 例えば、「何らかの条件が満たされない場合、分解した相手を再 構築してしまう」などの制限がついた『魔法』。……考えてみれば、 ツナギの『解呪』は何の条件もなしに使うには、強すぎる。 その人飼無縁の推測を裏付けるように、ツナギが言葉を続ける。 「私も好きであなたを『直した』わけじゃないけど――仕方ないわ。 これが私の『魔法』なんだから」 「ははは、哀れなことだな劣等種の旧人類! 所詮は『あのお方』 から授かった魔法に縛られるだけの存在か! しかも今ここには あの忌々しい小僧も忌々しい『すくうたぁ』もない! もはや貴様は 我輩の前では裸も同然! いや裸そのもの、と言うべきかな?」 人飼無縁は目の前にいる裸の少女を嘗め回すように見る。嘲笑 しながらも油断はない。いつツナギが『口』を使って変形しようとも、 いつツナギが眼を逸らそうとも、いつツナギが喰いかかろうとも―― その瞬間に『魔眼』を発動させ、ツナギを殺す準備は整っている。 いや、たとえ目を逸らされても――もはや『魔眼遣い』の看板を下 ろしてしまった人飼無縁である。呪文を詠唱しさえすれば、噛み付か れた状態からでも先にツナギを殺すことができる。『変形の過程』を 見逃さなければ、先ほどのような『心臓の位置の偽装』も無効だ。 そして、そのことはツナギ自身も理解しているようだった。 すなわち――今のこの状況。ツナギはツナギ自身の命を人質に 取られ、人飼無縁に逆らえないも同然。 「……勃ってる」 「ん?」 ツナギの視線が人飼無縁の股間に向けられ、僅かに揺れる。 確かに彼の股間はローブ越しにも分かるほど、膨らんでいた。 「我輩、『影の王国』のような悪趣味を備えてはいないのでね―― 少女を捕らえて、ただ見てるなどという勿体無い真似はできんな。 やはり脱がして触って嬲って犯して愉しんで注ぎ込んでやらねば、 満足できぬのだよ。いや、満足できる、と言うべきかな?」 「十分悪趣味よ、それも」 溜息をつくツナギに構わず、人飼無縁は視姦を続ける。 顔――幼さの残る顔立ち。艶のある黒髪。切れ長の目。秀でた 額は剥きたてのゆで卵のようにツルリとしている。少々キツい雰 囲気はあるものの、文句なしの美少女である。 胸――かすかに膨らみかけてはいるが、しかしまだまだ薄い。 おそらくまだブラジャーは必要ないだろう。裾野の広い山のような 盛り上がりの先端、ほんのり桃色の乳首が可愛らしい。 腹――傷ひとつない白い肌の中、綺麗な形のへそが目を引く。 脂肪は少ない。というか、微かにアバラが浮いてさえ見える。好み は分かれるかもしれないが、決して不健康な痩せ方ではない。 腰――お尻も小さい。思春期直前の、いままさに膨らみ始めんと する生命力を内に秘めたヒップ。股間には当然余計な毛など生え ておらず、綺麗な縦すじが隠されることなく真っ直ぐ走っている。 ……やはり、どこか違和感を感じる。しかし人飼無縁には、その 違和感が何からくるものか分からなかった。 「……やらしい視線ね」 「いやなに、ツナギさまの身体がなんとも素晴らしくてなぁ。我輩、 つい見入ってしまったよ。しかしできれば、もっと見せて頂きたい のだがね。ツナギさまの奥の奥まで」 「……それ、命令?」 「そう取って頂いても結構。そうだな――こちらに顔を向けたまま、 その場に尻をつけて足を広げてもらおうか」 舌なめずりせんほどの人飼無縁の言葉に、ツナギは不思議な ほど従順に従う。赤く柔らかい洞窟の床に腰を下ろすと、自分の 足を抱えるようにしてM字型に開く。 ――そこまで足を広げても、股間に刻まれた一本線は崩れない。 二枚の白い大陰唇はぴったりと閉じ、はみ出すものがない。 「実に美しいものだなツナギさま! いや実にいやらしいものだな、 と言うべきかな?」 「…………」 「では、自分でそこを広げてみたまえ。我輩の顔を見ながら、だ」 「…………」 素直に股間に指が添えられ、ゆっくりと、割り広げられる。 「ほぅ………」 思わず声を上げる人飼無縁。 産毛も生えぬ白い大陰唇に囲まれた舟形の窪みは、桜色に 輝いていた。薄い小陰唇には色素の沈着もない。大小の陰唇 に挟まれ、小さく閉じた膣口がかすかに震えている。今まさに花 開かんとする、可憐な蕾のような女性器―― 「くぅぅ……そんなに……見ないで……」 「何を今更。見なければ我輩の『魔眼』が使えぬではないか。最 もツナギさまが目を閉じて抵抗しても、我輩の呪文詠唱の方が 早いわけだが」 相手の立場を噛んで含めるように言い聞かせる人飼無縁。余 裕に満ちた表情。先ほど一人きりだった頃、「出てきたらすぐに でも魔眼を使ってやる」と吼えていたことなど、綺麗さっぱり忘れ ているらしい。 ついでに言えば――先程まで闇に包まれていた『洞窟』が、前 よりも光が増し、細部の色彩に至るまで識別できるようになって いることにも気付かない。ツナギが姿を現した頃から、ゆっくりと 天井の割れ目が広がっていったのだが、彼は気付かない。 ――と、別のことに気付いた人飼無縁の眉が寄せられる。 「それに……本当に嫌なのかね? 本当に見られたくないのか ね? 我輩に見られて、悦んでいるのではないか? いや、泣い ているのではないかね、と言うべきかな?」 「……ッッ!」 そう、人飼無縁の指摘通り、彼の眼前に無防備に晒された蕾 はゆっくりと綻び始めていた。広げられた小陰唇はヒクヒクと蠢 き、その上方で包皮に隠れていたルビー色の真珠が恐る恐る 顔を覗かせる。閉ざされていた膣口は先ほどよりもだいぶ緩み、 いつの間にか潤いを得てテラテラと光っている。 男の熱い視線を受け、心拍数が上がる。なおも命令に忠実に 人飼無縁を見上げる少女の瞳も、情欲に潤んでいる。その白い 頬も秀でた額も、ほんのりと紅に染めあげられる。屈辱と劣情と 興奮と自己嫌悪の入り混じった、微妙な表情。 『少女』の幼い肉体と『豊富な人生経験』の精神を兼ね備えた アンバランスな存在。その双方が、死をももたらす人飼無縁の 視線だけで内なる炎を掻き立てられていた。 「さて、噛み付くなよ。いや、咥え込めよ、と言うべきかな?」 いつもの口癖なのかそうでないのか良く分からない口調で呟き ながら、人飼無縁はツナギの足の間にしゃがみ込む。少女は己 の性器を大きく広げたまま、潤んだ瞳で男を見上げる。 不安げな――しかし、何かを期待するような、熱い瞳。 人飼無縁はニヤリと笑うと、ツナギの股間に手を伸ばす。 つぷっ。 「んッ…………!」 「ふむ、どうやら処女ではないようだな――まだ何もしてないのに、 簡単に我輩の指を飲み込んでしまったではないか。例の魔法の 『口』同様、『下の口』も実に食いしん坊であるな」 「……そんな、こと、ないッ……」 「誤魔化しても無駄だ。いや、誤魔化してくれて結構、と言うべき かな? どちらにしたところで、ほれ、少ォし指を動かしただけで こんなに恥ずかしい汁が溢れてくるようでは、何を言っても」 「あっ、ちょっ、やめッ」 「……全く、こんなに幼い身体なのになんという淫売ぶりだろうね。 我輩は悲しいよ。いや、嬉しいよ、と言うべきかな?」 言葉でツナギを嬲りながら、人飼無縁は少女の中に埋めた右手 中指を動かしていく。いきなり指を突き入れられたにも関わらず、 潤い、緩んだ膣は彼の指を素直に咥え込んでいた。たった指一本 でもかなり窮屈な膣道。熱を帯びた媚肉。指を動かすたびに滴る 熱い液体。内側に触れる複雑な襞が、それぞれ独立した生き物の ように指を締め上げ、名器の予感を掻き立てる。 「ではどれ、他の場所も弄ってみようか――」 「んんんッ!」 人飼無縁は、右手中指をなおもツナギの中に埋めたまま、左手 で無遠慮に身体を撫で回す。ツナギは自らの足を抱えたM字開脚 の姿勢のまま、されるがままになっている。 お尻――見た感じ多少ボリューム不足な臀部も、触ってみれば 張りと弾力、柔かさのバランスが絶妙である。感度も悪くないよう で、ゆっくり撫でてやれば身体全体がビクッと震えるのが分かる。 腹――すべすべして実に触り心地がいい。へそに指を這わせる と、少しくすぐったそうな顔をして身を捩るのも可愛らしい。 胸――これは、さすがに今ひとつ不満が残る。成長期の少女の 胸がそうであるように、揉んでやっても「感じる」以前に痛みを覚え てしまうようだ。だが乳首だけは彼女の興奮を示すかのように、固 く勃起している。 顔――柔らかい頬を撫で、すべすべのおでこを指でなぞる。顔を 弄り物にされてなお、彼女は唇を噛み締め人飼無縁を睨みつける。 しかし視線に媚色が混じってしまっているので、全然凄みが感じら れない。唇をなぞり口の中に指を突き入れても、噛みつくどころか 積極的にしゃぶりついてくる始末だ。指を引き抜くと、つぅぅっと口と の間に糸が引き、実に卑猥な光景だ。 そうして左手で全身を嬲っている間も、股間に差し込んだ右手は 休まない。膣内を往復させたかと思えば、深々と突き入れて内部を 掻き回す。時折、親指や人差し指を伸ばし、小さな小陰唇を摘んだ り、肛門の回りをなぞってみたり、陰核を弾いたりする。その度ごと にツナギの小さな身体は跳ね、悶え、捩り、荒い息をつく。 人飼無縁、尊大で傲慢な性格の割に、案外丁寧なテクニシャンで ある。まぁ彼の使う『魔法』の方も、見た目の派手さと単純さの影に、 実に複雑な技巧を積み重ねた代物だったわけだが。 「はっ、ああッ、はァっ……も、もう、私っ……!」 「――もう、どうしたのかね?」 思わず漏れたツナギの吐息。人飼無縁は楽しそうに問いただす。 人飼無縁の指遣いが止まり、断続的に響いていた水音が止まる。 「………な、なんでも、ないわよッ……!」 「おやおや、ツナギさまは強情だな。我輩の目は誤魔化せぬと言う のに。我輩のテクニックの前に、メロメロになってしまったのだろう? そろそろ、指では満足できなくなってきたのではないかね? いや、 指で十分満足できる、と言うべきかね?」 「わ、わ、わたしは……!」 人飼無縁の言葉嬲りに、ツナギが揺れている。火のついてしまった 肉体を持て余し、しかし彼女の高いプライドが人飼無縁に屈すること を拒んでいる。だがどう見ても、彼女が折れるのは――人飼無縁の 指技に屈するのは、時間の問題だ。 で、あるのに――人飼無縁はあっさりと、彼女の中に突き入れて いた指を引き抜いてしまう。指が抜かれた瞬間、ツナギが「あッ!」 と小さく吐息を漏らしたが、構わず身を離す。 「我輩、こう見えても紳士でね――ツナギさまに選ばせてあげよう。 いや、選ばせてあげない、と言うべきかな?」 「え――?」 「ツナギさまが本当に嫌なら、ツナギさまが本当に止めて欲しいな ら、我輩、素直にここで止めてあげようではないか。我輩、嫌がる 娘を無理矢理犯すような趣味は持っておらんのでね」 「――――!」 明らかに、心にもない言葉を平然と吐く人飼無縁。自身の劣情を おくびにも出さず、人飼無縁はなおも詭弁を重ねる。 「しかし、もしもツナギさまが我輩の『コレ』を欲するなら――ツナギ さまのお身体を慰めてやってもいい。我輩、できればそんなことは したくないのだがね」 大袈裟な身振りで語りながら、彼はローブの前をはだける。―― そこに現れたのは、自慢の髭と同じくらい重力に逆らった、大きく、 長く、天を突くような怒張だった。 見つめるツナギの喉が、無意識のうちにゴクリと鳴らされる。 「さぁ、ツナギさま、返答やいかに?」 「……ぉ……さ……ぃ……」 「うん? 聞こえぬなぁ?」 「……お願い……それで……私を、貫いて……欲しいのッ……!」 羞恥に消え入るような、敗北宣言。 人飼無縁はその裂けたような唇をニンマリと歪めると、ツナギの 細い身体の上に覆い被さった。 ★ ★ 例えば、キスや握手、挨拶、そして互いの眼を見つめるといった 日常的な行為の数々がそうであるように――否、それらがそうで ある以上に、『セックス』というのは極めて『魔法的な』行為だ。 それは、愛情の行為であり、欲望の行為であり、支配の行為で あり、服従の行為であり、奉仕の行為であり、受容の行為であり、 快楽の行為であり、生殖の行為であり、罪悪の行為であり、神聖 の行為であり、奇跡の行為であり、普遍の行為であり、陵辱の行 為であり、純愛の行為であり、本能の行為であり、知性の行為で あり、闘争の行為であり、逃走の行為であり、洗練の行為であり、 野蛮の行為であり、遊戯の行為であり、真剣の行為であり、秘密 の行為であり、当然の行為であり、夫婦の行為であり、恋人の行 為であり、退屈の行為であり、好奇の行為であり、悦楽の行為で あり、苦痛の行為であり、種族の行為であり、個人の行為であり、 射精の行為であり、受精の行為である。 無から新たなる命を生み出す程の力を秘めた、魔力と生命力に 溢れる特別な行動。そこに秘められたパワーは、この行為に関連 し、『魔眼』と同レベルの伝説的な秘術の存在が『数多く』語り継が れているほどだ。 ゆえに魔法使いたちにとって、その意味は『城門』の『こちら側』 より、より重く、より深く、より強く、より尊いもので――だからこそ、 その行為に及ぶに当たり、それが「どちらの意思のコントロール 下で行われるのか」が重要になってくる。 たとえ、そこに直接『魔法』が関係してなかったとしても―― ★ ★ 「くぅっ……お願いッ……そんな、焦らさないでよ……」 「くふふッ、しかしツナギさま、どこをどうして欲しいのか具体的に 言って貰わねば、我輩としても何をすべきか困ってしまうな?」 大量の雫をこぼす陰裂を固く勃起した亀頭でなぞり上げながら、 人飼無縁はツナギにさらなる言葉を要求する。これは単なる言葉 嬲りではない――もちろんその要素はあるが、もちろん人飼無縁 の性的嗜好でもあるのだが、しかし一方でこれは魔法使い同士の 真剣な『闘い』でもあるのだった。ちなみに『声に出して言う』という 行為も、実は極めて『魔法的な』行為である。長崎の住民にとって それが持つ意味は大きい。 ――だがどうやら、今のツナギはそんなことにはお構いなしに、 もはや我慢しきれないようだった。羞恥に顔を真っ赤にしながら も、はっきりと嘆願の言葉を口にする。 「わっ……わたしの、お、オ○ンコに、あ、あなたの……あなたの 逞しいおチ○チンを、突き入れて、下さいッ……!」 「フフフ、そんな卑猥な言葉、よくもまぁ臆面もなく言えたものだな ツナギさま。だが、そこまではっきりお願いされてしまっては、我輩 としても答えてやらねばならん。――それッ!」 「あああッ!!」 ぎちっ、ぎちぎちっ。 まだ子供そのもの、といった狭い膣に、標準よりやや大きめの 成人男子の怒張がねじ込まれる。いくら事前に十分ほぐされてい たと言っても、いくら潤滑液が過剰なほどに分泌されていたと言っ ても、いくら外見からは想像しづらいほどに彼女が経験豊富だと 言っても――さすがに、抵抗が強い。 「力を抜きたまえ、ツナギさま。いや、力を込めたまえツナギさま、 と言うべきかな? いやしかし、本当に凄い締め付けだな。下の お口はよほど我輩を気に入ってくれたと見える」 「くっ、はっ、はぁっ……」 人飼無縁の軽口に、しかしツナギは荒い息を吐くだけだ。永ら く焦らされた末の挿入に声も出ない。性的快感と圧迫感と屈辱感 とが、ごたまぜになってツナギの脳髄を焼く。 上からのしかかる人飼無縁の方も、一見優位に立っているよう に見えて、実際にはさほど余裕があったわけでもない。ツナギの そこは、まさに名器と呼ぶに相応しい具合の良さだったのだ。 膣壁の襞々の一枚一枚が人飼無縁に絡みつき、締め上げる。 強い圧迫が、痛みと紙一重のところで快感を引き出す。ツナギの 体温が・鼓動が・興奮が、粘膜越しにダイレクトに伝えられる。 ただ入れただけなのに、早くも腰が砕けそうになる。その快感 が表情に出ないように噛み潰し、人飼無縁は腰を使い始める。 ぎゅぼっ、ぎちゅっ、ぎゅにっ。 「あっ、はっ、そ、そんなに動かないでってば、あはっ」 「何を仰るかなツナギさまは。動かんでどうしろというのかね? それにほれ、ここをこうすると、」 「ひっ、ひあァッ」 突き入れれば子宮口をノックされた膣道が一際強く締め上げ、 引き抜けば名残惜しげに絡み付く襞々が雁首を刺激する。中央 上方の天井を意識的にこすり上げれば、小さな悲鳴と共に熱い 飛沫が噴き出してくる。 正常位の姿勢で、音を立てて腰を打ちつけあう二人。 どちらにも余裕はなく、早くも限界は近い。 だが、まだこの程度では人飼無縁は満足できない。 まだ最後の、そして最期の愉しみが残っている。 ★ ★ 強姦魔のうち少なからぬ者が、強姦の被害者を殺してしまう。 それは多くの場合、発覚を恐れての行為であるが――しかし、 現実的に考えれば、それはかえって逆効果だ。ヒトの死体という のは始末が大変だし、見つかりやすいし、発覚した際の罪状が 遥かに重くなってしまう。被害者を脅して口止めするか、被害者 の泣き寝入りを期待した方がマシというものだ。 だが時に、それ以外の理由から殺害に至ることがある。それ らのデメリットを知ってもなお、殺害を止められないことがある。 サディズムの延長線にある過大な加虐性癖の暴走。復讐の手 段として強姦し、復讐の仕上げとして殺害する場合。乱暴かつ 強引な性交そのものが、被害者の命を奪ってしまうこともある。 そして時に――強姦者は、純粋に性的快感を得るために被害 者を殺す。 頚部が強く絞められると、窒息で死に瀕した生命は全身を硬直 させる。もちろん、股間に8の字を描いて走る括約筋もだ。 この括約筋の強い収縮が、強姦者に多大な快感をもたらす。 実際、強姦魔の中には、犯しながら被害者の首を絞める者が 少なくないし、それによる死亡例も数多く報告されている。 相手を殺し、刹那、絶大なる快楽を得る外道の愉しみ―― 人飼無縁もまた、その外道の快楽を知る者だった。 殺人に慣れ親しみ、虐殺に慣れ親しみ、破滅に慣れ親しんだ 『眼球倶楽部』人飼無縁。この程度の逸脱行為など、彼にとっ ては日常ですらある。 ただし。彼は首を絞めるなどという無粋な真似はしない。抵抗 されても面倒なだけだし、窒息で死に瀕した女の顔などとても見 れたものではない。 何より、彼にはもっとスマートな方法が―― もっと簡単に、もっと直截に、もっと確実に、被害者を死の淵に 追いやる方法が―― ★ ★ ――そして今、腰を振り続ける二人の快感は、まさに臨界点 に達しようとしていた。人飼無縁は悪意の欲求を胸に秘めつつ、 ツナギをさらに追い詰めていく。 「……イけ! 逝ってしまえツナギ! 貴様の絶頂に合わせて 我輩の精をたっぷりと注ぎ込んでやる! 逝け!」 「あっ、ひっ、だめっ、ひっ!」 口では「駄目」と言いながらも、両足を巻きつけ自ら腰を振る ツナギ。 人飼無縁は腰をリズミカルに打ち付けながら、両手でツナギ を責め立てる。乳首を捻り陰核を剥き臀部を撫で回す。自慢の 指技を駆使し、高い高い絶頂へと無理やりに押し上げていく。 そして、ツナギに限界が訪れた、その瞬間―― 「――ああああああッ!!」 「うおぉぉぉお! 我輩もいくぞぉお! こちらを向け、ツナギ! 我輩の眼を見ろぉぉオおォォぉッッッ!!!」 ど く ん っ 。 ツナギが達するとほぼ同時に―― 人飼無縁は少女の眼を覗き込み―― その恐るべき『魔眼』をついに発動させ―― 少女の膣は今まで以上に強く締めつけて―― ツナギの眼が、カッとばかりに見開かれて―― 人飼無縁は、憎むべきツナギの死、その興奮に打ち震えなが ら、憎むべきツナギの身体を抱きしめ、憎むべきツナギの膣内 で――永遠とも思える射精を、開始した。 ど く ん っ 。 人飼無縁は射精する。 ツナギに死の視線を送りながら。己の勝利を確信しながら。 ど く ん っ 。 人飼無縁は射精する。 絶頂と同時に『魔眼遣い』の視線を受けたツナギは、その膣を 強く強く締め上げながら――ニヤリと、笑う。 ど く ん っ 。 人飼無縁は射精する。 歓喜の表情はすぐに驚愕に変わる。改めて少女の目を見つ め直すが、不敵な笑みは変わらない。見れば殺す、防御不能で 見敵必殺なはずの『魔眼』の効果が現れない。膣の締め付けは なお強く、痛みすら感じるほどなのに射精が止まらない。まるで、 向こうから強く吸い出されているかのような―― ど く ん っ 。 人飼無縁は射精する。 成人男性の射精は通常1回で2.5~5.0ミリリットルだと言うが、 その軽く数倍は出しているというのに精液が止まらない。止まら ないどころかますます勢いが増していく。いくら『魔法使い』でも これは異常だ。永き射精は快感を通り越して苦痛になり、恐怖 にまで至っているのになお止まらない。咥えこまれた陰茎を慌て て抜こうとするが、ピクリとも動かない。 ど く ん っ 。 ど く ん っ 。 ど く ん っ 。 人飼無縁は射精する。射精を続ける。射精が止まらない。 その全てを吸い込むツナギの腹は膨らみもせずさりとて膣口 から溢れもせず全て全て底なし沼のようなツナギの子宮に飲み 込まれなおもなおも吸い込まれて締め上げられて射精が続いて どくんっ、どくんっ、どくん、どくん、どくんどくんどくんどくんどくん どくどくんどくんどくんどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどく ――と永遠に吸い出され続ける。 「ひっ、ひっ、ひ……な、なんだこれはなんだこの現象はなんだ この射精は! なぜ死なぬなぜ逝かぬなぜ『魔眼』が利かぬ! どうして我輩に従ったどうして我輩に逆らわなかったどうして我 輩に我輩に我輩に我輩に………!」 恐慌と混乱のあまり引きつる人飼無縁。ツナギは妖艶な微笑 で彼を見上げる。なおも放出の収まらぬ陰茎を咥えたまま、彼 を軽く押し倒し、正常位から騎乗位に移行する。 「さて、どれから答えてあげようかしら人飼無縁? それにして も――さすがの私も、絶頂と同時に『殺される』とは思わなかっ たわ。タダの馬鹿じゃあなかったのね、『眼球倶楽部』」 『ぎぎぎぎぎぎぎっ』。 ツナギの嘲笑に答えるように、二人を包む『洞窟』が嘲う。牙 を鳴らし口を広げ、人ならざる声帯から放たれる笑い声。 横たわり、天井を見上げる形になった人飼無縁には、今なら 分かる。 赤く柔らかい『洞窟』で――天井の『割れ目』が、嘲っていた。 18本の牙が形作るギザギザは、紛れもない、ツナギの『口』。 そう、ここはツナギの『口の中』。外界から、空間的にも時間 的にも魔法的にも遮断された異空間。赤く柔らかな口腔粘膜 に覆われた、生きた洞窟―― 「どうやら、ここが『口の中』だということは分かったみたいね? でもさらに教えてあげるなら――今あなたと繋がってる『ツナギ』 の『似姿』も、ツナギ本体ではなく、『舌』が『変態』したもの…… 体表の好きなところに『口』を出せるという私の『魔法』を、裏返 して裏向きに使った裏技よ」 「で、では、我輩の『魔眼』が利かぬのは――」 「あなたの『魔眼』は、標的の鼓動を止めることだけに特化して いる。けれど、その『魔眼』――果たして、『舌先の』心臓を止め ることができるのかしら? そもそも最初から心臓など存在さえ していない、こんな末端器官に意味があるの?」 それでは――そんなことが可能だと言うなら、今のこの状況、 人飼無縁の魔法では、打つ手が皆無だ。どうしようもない。 どくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくん。 壊れた蛇口のように、精液を吐き出し続ける人飼無縁の陰茎。 男性は一回の射精で数百メートルのダッシュに相当する体力を 消耗すると言われているが―ーそれを数分に渡って強要された 人飼無縁は、見る見る間にやつれていく。頬がこけ、皺が寄り、 自慢の髭が垂れ下がる。 対称的に――上に跨るツナギの方は、見る見るパワーを得て いく。肌が潤い、髪には艶を増し、瞳が輝く。 「これは『食事』。私の『咀嚼』――普通の人間の普通の食事で も、食べ物を何度も噛むでしょう? それと同じよ。私が『喰らう』 時も――何度も何度も、百回二百回三百回四百回五百回五百 十二回、繰り返し噛むわけよ。その過程の一つが、『再構成』。 噛み砕くために修復するという、水倉神檎の気まぐれが作った 大いなる無駄」 「な、ならば……この交わりも貴様の『食事』でしかないと言うの か!? これが『あのお方』に授けられた力だとでも?!」 「――いったい、どこの世界に『食事』をするだけで『若返る』生 き物がいるって言うのかしら? これはただの『食事』じゃない ……『房中術』、よ」 『房中術』。 それは伝説に語られる性の秘術の一つ。『性交』を介し、体力 回復、寿命の延長、若返り、そして究極的には不老不死さえも 達成するという、『魔眼』にも匹敵する究極魔術の一つ―― 「水倉神檎が『創った』のは、ただ他者の魔力を食べることで 多少長生きできる、という身体まで。『食物』を『再構成』した次 の刹那に再び『噛み砕く』、という生態まで」 「でも――この『食事』と『性交』を組み合わせた『房中術』は、 それをベースにした私のオリジナルアレンジ。これこそが私の 『若さ』の秘訣。私の二千年の時を支えた力。老若男女お構い なく、犯して犯して犯して犯し、五百十ニ回犯し抜いて、精気と 体力と魔力の全てをネコソギ吸い尽くしてやるのよ」 どくんどくんどくんどくんどくんどくん。 人飼無縁は、射精を通して十数リットルの水分を失いもはや ミイラ化さえ始めているというのに、まだ放出が止まらずまだ 死ぬこともできない。肌はひび割れ髪は抜け、『魔眼』と恐れら れていた瞳は白く濁る。 その姿はまるで、『赤き時の魔女』に『時間』を吸い取られる 犠牲者のような―― 「さぁ――まだこれは、たった『2回目』よ。あと五百十ある私 の『口』が、あなたを喰らいたいと騒いでいるわ。あと五百十 ある私の『舌』が、あなたを味わいたくて身を濡らしているわ。 早く、喰われて飲まれて分解されて消化されて再構成されて、 再び犯されなさい」 「ひ……! い、いやだ! こ、こんな苦痛、もう二度と……! わ、我輩もう……せ、せめてひと思いに、殺してくれ! 楽に 死なせ……」 死のさらに向こう側、エクスタシーの絶頂のさらに向こう側を 見せられる苦痛に耐えかね、恥も外聞もない嘆願の声を上げ る。完膚なきまでの敗北宣言。しかし、ツナギは答えない。 『ぎぎぎぎぎぎぎっ』。 ツナギが微笑うと同時に、再び天井の『口』が吼え―― ツナギの可憐な陰唇から、なおも繋がったままの陰唇から、 太く白い『牙』が、怪物的な『牙』が、牙が牙が牙が牙が牙が 牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙牙、牙が唐突に飛び出してそれぞれ 好き勝手に暴れだす。その数、実に18本。 言い伝えにある異形の女神、歯の生えた陰唇を持つ暴君、 ヴァギナ・デンタータ、まさに、その顕現―― 「ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ」 「く、くおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッッ!」 牙が動く。牙が食べる。牙が肉に刺さる。牙が陰嚢を噛み 砕く。牙が陰茎を噛み千切る。牙が人飼無縁を喰らいつくす。 小学生くらいのサイズの少女の膣に、成人男性の身体が まるごと一つ、飲み込まれていく――ありえぬ光景。激痛に 満ちた胎内回帰。凄惨なる逆出産。 その身体がほとんど飲み込まれ、頭部に牙がかかるその 瞬間――人飼無縁は、絶望的な光景を目にする。 乱れ動く牙の隙間に見えた、『歯のある陰唇』の向こうに 覗いた冥い洞窟。これから堕ちていく、無限の深淵。 口を開けた陰唇の中のその奥に、口を開けた陰唇が待ち 受ける。その陰唇の中には、さらに陰唇が。その中にはさら に陰唇。その中にも陰唇。陰唇。陰唇。陰唇陰唇陰唇―― まるで合わせ鏡のように、まるでロシアのマトリョーシカ人 形のように、まるでフラクタル図形のように―― 延々と、五百十の『牙の生えた陰唇』が、彼を順番に犯し 喰らわんと、口を広げ牙を鳴らして待ち構えている。 ――口腔粘膜も消化管粘膜も、生殖器粘膜も子宮粘膜 も、解剖学的には『表皮』の延長。ツナギの魔法、『体表に 五百十ニの口を持つ』は、かくして五百十ニ回の性交となり、 五百十二回の咀嚼となる。 「堕ちたくない、喰らわれたくない、逝きたくない――!」 「だ・め・よ。よく言うじゃない、二度あることは三度あるって ――いや、三度では済まないか、五百十二回よね。たとえ 『次の口の中』で恐怖のあまり勃たなかったとしても、たとえ 『次の口の中』でセックスする気が起きなかったとしても―― 『口』全体で押さえ込んで、肛門にぶっとい『牙』ブチ込んで 前立腺刺激して、無理やり勃たせて犯して逝かせて飲み込 んで喰らってあげるわ」 「いいぃやだぁぁぁああァァアアぁああ!?」 ご っ く ん 。 最期の最後まで見苦しい悲鳴を上げながら、人飼無縁は、 ツナギの陰唇の間に、性器の部分に顕現した『口』の中に、 吸われて噛まれて砕かれ飲まれて消えていった。 後には、髪一本残されない。 ★ ★ 人飼無縁が消え、『第一の口の中』は、静寂に包まれる。 陰部にあった『牙の生えた口』が、スルスルとツナギの体 を移動する。股間を離れ、本来の定位置である秀でた額に、 つるりと綺麗な額に、ピタリと納まる。 ようやくツナギの外見が、『いつものツナギの姿』に戻る。 「思っていたよりも『美味しかった』わね――でも、あの様子 じゃそう長くは持ちそうにないわねぇ。百回どころか二十回 も『咀嚼』したら完全に人格崩壊してるかしら。五百十二回、 完膚なきまで『咀嚼』しても正気を保っていたのなんて、後 にも先にもりすかちゃんくらいのものだし――」 そう、以前ツナギが水倉りすかを『食べた』時にも、ツナギ はこの『口の中』という異空間で、りすかの幼い肉体を徹底 的に犯し抜いたのだった。 相手が男なら『下の口』で咥え込み――相手が女なら『牙』 でもって貫き犯す。並の男性器よりも遥かに硬く巨大な『牙』 をディルドー代わりに、五百十二回。 その度ごとに『分解』され『吸収』され『再構築』され、その度 ごとに犯される直前の状態に引き戻され……水倉りすかは、 『赤き時の魔女』は、実に五百十二回にもわたって、ツナギ の白い『牙』を破瓜の血で染め上げたことになる―― その間、ずっと悲鳴一つ漏らさず、見苦しく取り乱すことも なく、自分たちの勝利を疑わず、ただひたすらに身体を硬く して耐え続けた、健気な健気な、小さな赤い魔女―― あれは本当に、『美味しかった』。 「ああ――思い出しただけで涎が出ちゃう」 じゅるり。 彼女を取り巻く『洞窟』が大量の液体を分泌し――『第一の 口』の中にあった『ツナギ』の似姿は、溶け込むように『洞窟』 の床と一体化し、消え去った。 ★ ★ 「……ねぇ、キズタカ」 「なんだ?」 「もし、もしもだけど――犯されたのがわたしの身体だとして、 そのあと27歳のわたしが時間を戻したのが犯される前なら ――辱められたことになったのがわたしなのかな?」 尋ねたのが切実だったのがわたしなの。あんな傷、簡単に 治るのが私の魔法だけど――忘れられないのがあの体験。 もし、キズタカに知られたら――。もし、キズタカがわたし の事を嫌ったりしたら――。 「なんだそりゃ。例えばあれか。影谷蛇之みたいな下衆野郎 に捕まって好き放題されたら、ということかい?」 「うん……構わないのがそう想定してもらうことなの。どう感じ るのがキズタカなの?」 「例え身体を治しても、記憶ある限りその身体にされた事実 は消せやしない。いやたとえ記憶を消したところで、過去の 事実が改変されるわけじゃない」 「…………」 「でも僕が疑問なのは『辱める』という言葉の方だ。そりゃぁ、 肉体的には何でもできるだろうが――精神までへし折られ ない限り、それはその人物を辱めたことにはならない。相手 がどんな下衆野郎だったとしても――りすかを『辱める』こと ができる奴なんて、想像できないな」 「…………きなのが、そういうとこなの」 「ん? 何か言った、りすか?」 「ううん、なんでもないの」 キズタカの答えにほっとしたのがわたしで――でも恥ずか しくてちゃんと言えないのもわたし。不審そうだったのがキズ タカの視線。 だから、前よりも怖くはないのがツナギ。……思わず同情 しちゃうのが、食べられちゃった『眼球倶楽部』だけどね。 《Vagina Dentata》 is Q.E.D. 戻る