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<通じない言葉>へ <拷問による尋問> 「もう1度だけ言おう。我々は君のポケモンとしての権利を尊重するつもりでいる」 椅子に座っている男が声を発する。 とても暗い部屋だ。小窓の1つもく、天井に吊るされた電球が照らすだけの暗い部屋。 電球に照らされた男の顔がやわらかい微笑みのかたちをつくる。 「さあ、なんの情報を流したのか正直に言うんだ。そうすれば、すぐにでも君を野生に返してあげよう」 軽く握り合わせた両手をテーブルの上に置き、テーブルの反対側にいる相手に優しく語りかける。 テーブルの反対側。そこにいるのは椅子に座っている――いや、座らされているタブンネだ。 手は後ろに回した状態で固定され、体を動かせないように、椅子の背もたれにロープで縛りつけられている。 最初はしびれていた足も、長時間の拘束によりすっかり感覚がなくなっている。 「ミッ……ミィィ……」 かろうじて動かせる顔を対面の男に向けて、必死に訴える。 自分は何もしていない。あそこにいたのは偶然で、敵の兵たちには暴行を受けていただけなのだと。 それは些かの誇張もない正当な主張。しかし―― バァン! 男が机をたたく。部屋全体が震えるかと思わせるほどの大きな音。 耳のいいタブンネにとって、その音はただ殴られるよりもつらいもの。目を閉じ、歯を食いしばる。 「さっきから言ってるだろう! 「ミィ」じゃわからん! 我々にもわかるように話せ!」 さきほどから何度も繰り返されるやり取り。 男は言っているのだ。鳴き声ではなく、人間の言葉を使って話せ、と。 もちろん、ただのポケモンであるタブンネにそんなことができるはずもない。 タブンネは涙を流しながら首を横に振る。 「ほう。首を横に振ったということは、教えるつもりはないってことか。なんとも見事な口の堅さだ。 スパイじゃなければ、看護兵として正規に使ってやってもいいぐらいだ」 タブンネはうつむく。 どうやったところで自分は解放されない。こうやって縛り付けられたまま生きていくしかないのだ。 タブンネは顔を上げると、部屋の中を見回して助けを求める。 部屋の中にいるのは男とタブンネだけではない。部屋の中には、男以外に数人の兵士がいる。 彼らは何かをするわけでもなく、ただじっと立ったまま、男とタブンネのやり取りを見つめている。 そして、その中の1人が前に出て発言する。 「あの……タブンネに尋問するということが無理な話なのではないでしょうか」 男はタブンネから、発言をした兵士のほうに目を向ける。 部屋の中が数瞬だけ沈黙し、男が口を開く。 「報告書は見たか? 戦場だというのに、このタブンネと敵の兵士が楽しそうに笑っていたらしいぞ。 タブンネが何か情報を流していたとしか考えられない。そうだろう?」 ちがう。 笑っていたのはあの男たちだけで、タブンネはひたすら叫び続けていただけだ。 まったく楽しくなんてなかったし、情報を流したりもしていない。 真実が正しく伝わっていないことにタブンネは悔し涙を流す。 そんなタブンネを無視して男は立ち上がると、前に出た兵士の肩にポンと手を置いて命令する。 「そうだな。どうも俺はタブンネの尋問には向かんようだ。お前が代わりに尋問しろ。 どんな方法を使ってもかまわん。1人でやってもダメなら、この部屋全員でやってもいいぞ。」 怪訝な顔をする兵士であったが、男の意図を察するとニタリと笑みを浮かべてうなずく。 兵士が部屋の中全体に呼びかけると、部屋にいた全員が集まりタブンネを囲む。 不穏な空気を感じたタブンネの表情が曇るのを確認すると、男は「殺さない程度にな」と言って部屋を出る。 男が扉を閉じる瞬間、兵士たちの怒鳴り声と、タブンネの「ギャァァァァァッ!」という叫びがかすかにもれたが、 完全に閉じた瞬間、不思議なことにその音はまったく聞こえなくなる。 「こんなことでもなきゃ、戦争なんぞやってられんよ」 男は晴れやかな顔で廊下を進む。 端から尋問する気などなかった。男がやったのはただのストレス解消だ。 戦争というものは想像以上にストレスがたまる。 だからこそ、何でもいいのでストレスを発散する方法を見つけなくてはならない。 今回、タブンネが何もしていないことなど理解している。 たまたま「タブンネと敵兵がいっしょにいて」「そこから笑い声が聞こえていた」という材料があったからこそ、 尋問する理由とするために事実を捻じ曲げて報告した。ただそれだけのことだ。 タブンネ狩りが当たり前に行われるイッシュにおいて、タブンネに暴力をふるうことに抵抗を持つ人は少ない。 あの防音性の高い部屋で行われている拷問、いや、尋問は相当に苛烈なものになっているだろう。 そんなことを考えながら男は廊下を進む。 尋問はまだ続いている。だから、部屋が使えないということを報告するために。 兵士たちのストレス解消を誰にも邪魔させないようにするために。 「ヒュー……ヒュー……」 人とポケモン。どちらが強いかと言われれば、誰もがポケモンだと答えるだろう。 ポケモンの力に人は及ばない。ポケモン相手に自分で直接戦わず、自分の持っているポケモンを戦わせる。 「ヒュー……ヒュー……」 だからこそ、人が直接ポケモンに攻撃を加えるとき、それは容赦のないものになることが多い。 そして、それは攻撃性が高いとは言えないタブンネ相手であっても例外ではない。 だがそれでも、この部屋でタブンネに対して行われた行為は、明らかに常軌を逸していた。 「ヒュー……ゴホッ、ゴホッ……ヒュー……ヒュー……」 木製のテーブルの上でうつぶせにされ、限界まで引っ張られた四肢を錆びた鉄釘が貫いている。 尻尾は引きちぎられ、背中には裂傷やみみず腫れが数えきれないほど大量に走る。 殴られ続けた顔面は目を開けられないほど腫れ上がり、舌にはいくつもの水ぶくれができている。 尋問という建前など完全に無視され、ただ一方的に暴力を振るわれたタブンネの姿。 男の言っていた「ポケモンとしての権利の尊重」など、そこにはひとかけらも存在していない。 「これ、そろそろ持ってっちゃっていいかな?」 白衣を着た老人が、部屋の中にいる兵士たちに尋ねる。 問いかけに対し、晴れ晴れとした笑顔を浮かべた兵士たちは「いいぜ」と言ってコクリとうなずく。 「じゃあ悪いけど、この台車に乗っけてもらえない? それ、けっこう重いからさ。 この歳になると、持ち上げるだけでもきついんだよ」 テーブルに固定されているタブンネの体を、兵士たちが力任せにテーブルから引きはがす。 鉄釘に貫かれていた四肢の一部が裂けていき、その激痛にタブンネが悲鳴を上げようとする。 しかし、その口からはかすれた叫び声が出るだけ。のどをつぶされて叫ぶことすらできないのだ。 「うるさいなぁ。……尻尾ってまだある?」 兵士の1人が部屋の隅に落ちていた尻尾を拾い、白衣の老人の方に持っていく。 老人は尻尾を受け取ると、必死に叫ぼうとしているタブンネの口の中にそれを突っ込む。 タブンネが静かになったことに満足そうにうなずくと、老人はタブンネを乗せた台車を押していく。 「さて、これの特性が『いやしのこころ』じゃないことを祈るばかりだ。 貴重な実験動物なんだから、簡単に死んでもらっちゃ困る。『さいせいりょく』だといいなぁ」 声を出すことすら封じられ、タブンネは台車の上で静かに涙を流す。 粗雑な扱いに加え、「これ」「それ」という言葉からはタブンネのことを物扱いしていることがわかる。 もはやポケモンとして扱ってもらうことすらできない。 そして「実験動物」という言葉。 これから何をされるかはわからない。 ただ―― 自分が仲間たちとの平穏な暮らしを送ることなど二度とできない。 それだけは、はっきりとわかった。 (<解剖実験>に続く)
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チェインブレード チェインブレード武器一覧(チェインブレード) スペシャル(チェインブレード) Mod(チェインブレード) 武器一覧(チェインブレード) ※プリズムセル : 全てのタイプのセルを装着することができる ※ロープ : 同じ属性を持つ別の武器を選択することによってパークとユニークスキルを選べる ※ユニークスキルは武器活性化済みの性能を記載しています 素材ベヒモス 武器名 属性 パーク セル1 セル2 ユニークスキル 素材ベヒモス 武器名 属性 パーク セル1 セル2 ユニークスキル トーガドロ 灼熱の苦悶 火 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ エンバーメーン エンバーブレード 火 闘争心 技巧 敏速 9連続攻撃に成功すると、追加で+250の部位ダメージを与える ヘリオン インフェルノファング 火 圧倒 残忍 残忍 15連続攻撃に成功すると、追加で+200ダメージを与え、炎属性ダメージが大幅に強化される チャロッグ 焼け焦げた双刃 火 ハンター 技巧 不屈 スタミナ150消費後、次の攻撃で円錐型の炎を発生させる。炎は範囲内にいる対象それぞれに+200の炎属性ダメージを与える フィーランクス タロン・オブ・ファイアーバード 火 エーテル回避 洞察 敏速 チャージされると、次のヒットがヒットしたベヒモスの部位にロックされる。ダメージを与えると連射中の一発おきに175ダメージ+175を与える誘導ミサイルが装填(最大4発)される。攻撃を回避すると、装填されたミサイルがすべて発射される。 ウルスカ ブリザードティース 氷 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ ボレアス ボレアスの運命 氷 疲労回復 残忍 不屈 スペシャルを使用すると、氷の精霊3体を発生させ、次の攻撃で+60ダメージと少量の氷属性ダメージを与える(精霊は最大4体) スクレーブ 寒獄の鎖鎌 氷 高揚 技巧 敏速 回避後、クールダウン30秒の氷地雷を3発落とす パンガー パンガークロー 氷 粉砕 技巧 不屈 チャージ後、次の攻撃は氷のブランドになり、30秒後に2,500の氷属性ダメージを与える。スレイヤーはブランドを破壊し、早めに爆発してダメージを50%増加させる。90秒ごとにチャージする。 フロストヴルフ フロストヴルフスキナー 氷 鍍金 洞察 不屈 ランタンアビリティを使用すると、頻繁に65の氷属性ダメージを与える間欠泉を生成する。初めて間欠泉の上を通るあらゆるスレイヤーは、25秒間維持される125のヘルスシールドが付与される(最大シールド値600)。 マルカリオン エレクトリッククルーエルティ 雷 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ ドラスク 雷鳴の二刃 雷 大型回路 技巧 残忍 ベヒモスの尾へのダメージ+30% サンダーディープドラスク サーキットブレイカー 雷 エーテル回避 残忍 技巧 ベヒモスの尾へのダメージ+30% ネイザガ ネイザガリーチ 雷 裂傷 技巧 洞察 ベヒモスの部位が破壊されると、200回復する ストームクロー ストームツインブレード 雷 活性化 技巧 敏速 回避後、攻撃でのゲージ上昇に100%ボーナスが+3秒間適用 サーヴィト サーヴィトピンサー 雷 波動 技巧 技巧 チャージされると、次の武器の振り/ショットで高頻度で325の雷属性ダメージをヒットした対象に与えるブーメランのような発射物を放つ。攻撃を回避することでチャージのクールダウンが短縮される。 アガルス デスブロッサム 地 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ スカーン スカーンマリス 地 粉砕 技巧 不屈 ランタンのホールドアビリティを使用すると、25秒間スタック可能な250のオーバーヘルス(最大600シールド)が与えられる カラバク カラバクの翼 地 斬影 技巧 敏速 チャージされると、次の攻撃で旋回する刃が発現し、75の地属性ダメージを与える。追加で攻撃( 10 / 20 回)すると刃の速度が上がり、効果時間が切れると爆発して速度に基づくダメージを与える コシャイ サヴリンラッシュ 地 突貫 残忍 洞察 4秒間ダメージを与えずにいると、次の攻撃6回はダメージが+50%増加 フェンロア フェンロアシスル 地 寄生 技巧 残忍 ジャンプ中、前方空中に3秒間持続する石の足場を生成する。アビリティのリチャージが必要になるまで、最大2連続のジャンプが可能。ランタンを起動するとジャンプ2回分が回復する。生成されてから短時間後に足場は落下し、250の地属性ダメージを与えるとともにベヒモスを妨害する。 クロノヴォア ウィーピングアワー 光 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ ヴァロミア ヴァロミアリベンジ 光 ハンター 残忍 洞察 チャージ後、次の攻撃に+700の光ダメージを追加。現在ヘルスが高いほどチャージ速度が上昇する レザキリ ファングオブドーン 光 会心 技巧 残忍 攻撃が2ヒットする確率+12% アライラ グリフウィーバーブレード 光 大型回路 残忍 不屈 ランタンを使用すると、アクティブな象形文字タイプに基づいた、3秒後にチャージされる象形文字を出現させる。チャージされると、ベヒモスが触れた際に象形文字の効果が発動する。赤の象形文字:範囲に2000の光属性ダメージを与える。青の象形文字:大範囲に25秒後に消滅するスタック可能なシールドを250付与する(最大シールド600)アクティブな象形文字タイプは、ジャンプで変更される。象形文字は10秒後に消滅する トラクス ナイトテラー 闇 ロープ プリズム プリズム ロープ ※レジェンダリーアビリティ リフトストーカー ストーカーの罠 闇 殺しの狂乱 技巧 洞察 ダメージを与えると一定の確率で与ダメージを+2.25%増加するシャドウソウルを5秒間発生させる。ソウルが5個以上あればボーナスダメージが倍になる。 シュラウド 宵闇の紫眼 闇 会心 技巧 洞察 ヘルスが20%以下になると、与ダメージが50%増加する ナッシャー レイジファング 無 扇動者 技巧 洞察 定期的に激怒状態になり、与ダメージが+15%増加し、気絶耐性を得る。ダメージを受けることによりより早く激怒状態になる。 クイルショット クイルボーンフック 無 アシッド 技巧 不屈 なし シュライク シュライクの迅羽 無 疲労回復 技巧 敏速 回避後、次の攻撃のボーナスダメージと部位ダメージが+100増加 エキゾチックなし エキゾチックなし - - - - - スペシャル(チェインブレード) スペシャル 説明 取得方法 リーパーズ・ダンス 無敵状態で付近の対象を押しのけ、第一または第二攻撃で追撃する。第一:推進力を1消費する対象へのダッシュ攻撃。第二:全ての推進力を消費した推進力1ごとに増加するダメージを与える回転叩きつけを行う。(追撃を行わなかった場合は推進力を1消費する。) 初期装備 クルーエル・リフトストライク 無敵状態で前方にテレポートし、最も近いベヒモスの部位を攻撃して75のダメージを与える。さらに7秒間、毎秒25ダメージを与える印をつける。印の効果が切れると、その時点で効果が有効中の他の印1つごとに200ダメージを与える。テレポート中に攻撃を回避した場合、印の持続時間が10秒間に延長される。 スレイヤーの道 インサティアブルダンス 無敵状態で付近の対象を押しのけ、第一または第二攻撃で追撃する。第一:推進力を1消費する対象へのダッシュ攻撃。第二:全ての推進力を消費して自身を回復し、推進力1ごとに150ヘルス回復するオーブを生成する回転叩きつけを行う。ヘルスが最大、または最大まで回復された対象は10秒間ダメージが+5%増加し、その効果は最大4スタックする。(追撃を行わなかった場合は推進力を1消費する。) ラッキーブレイクストア Mod(チェインブレード) Mod 説明 取得方法 軽量チェイン チェインの長さを+25%延長する。チェインプルのダメージが+25%増加し、さらに20メートル延長され、ゲージ付与量も増加する。 スレイヤーの道 ハリケーンブレード 回転斬り(ブレードスピン)を使用すると、別の攻撃を発動したときに消費されるダメージがスタックされる。 スレイヤーの道 ノコギリ刃 スライスでの攻撃(弱攻撃)により、一定の確率で続く4発の切り裂き攻撃の損傷ダメージが+50%増加する。 スレイヤーの道 デモリションブレード 子分、攻撃的な生物、そしてベヒモスが生成した物体に対してダメージが+50%増加する。子分や攻撃的な生物を倒す、または物体を破壊すると推進力が1付与される。 ラッキーブレイクストア モーメンタムブレード スペシャル使用後に、4秒以内に使用する次のスペシャルで推進力が消費されなくなる。 ラッキーブレイクストア
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通じない言葉へ <拷問による尋問> 「もう1度だけ言おう。我々は君のポケモンとしての権利を尊重するつもりでいる」 椅子に座っている男が声を発する。 とても暗い部屋だ。小窓の1つもく、天井に吊るされた電球が照らすだけの暗い部屋。 電球に照らされた男の顔がやわらかい微笑みのかたちをつくる。 「さあ、なんの情報を流したのか正直に言うんだ。そうすれば、すぐにでも君を野生に返してあげよう」 軽く握り合わせた両手をテーブルの上に置き、テーブルの反対側にいる相手に優しく語りかける。 テーブルの反対側。そこにいるのは椅子に座っている――いや、座らされているタブンネだ。 手は後ろに回した状態で固定され、体を動かせないように、椅子の背もたれにロープで縛りつけられている。 最初はしびれていた足も、長時間の拘束によりすっかり感覚がなくなっている。 「ミッ……ミィィ……」 かろうじて動かせる顔を対面の男に向けて、必死に訴える。 自分は何もしていない。あそこにいたのは偶然で、敵の兵たちには暴行を受けていただけなのだと。 それは些かの誇張もない正当な主張。しかし―― バァン! 男が机をたたく。部屋全体が震えるかと思わせるほどの大きな音。 耳のいいタブンネにとって、その音はただ殴られるよりもつらいもの。目を閉じ、歯を食いしばる。 「さっきから言ってるだろう! 「ミィ」じゃわからん! 我々にもわかるように話せ!」 さきほどから何度も繰り返されるやり取り。 男は言っているのだ。鳴き声ではなく、人間の言葉を使って話せ、と。 もちろん、ただのポケモンであるタブンネにそんなことができるはずもない。 タブンネは涙を流しながら首を横に振る。 「ほう。首を横に振ったということは、教えるつもりはないってことか。なんとも見事な口の堅さだ。 スパイじゃなければ、看護兵として正規に使ってやってもいいぐらいだ」 タブンネはうつむく。 どうやったところで自分は解放されない。こうやって縛り付けられたまま生きていくしかないのだ。 タブンネは顔を上げると、部屋の中を見回して助けを求める。 部屋の中にいるのは男とタブンネだけではない。部屋の中には、男以外に数人の兵士がいる。 彼らは何かをするわけでもなく、ただじっと立ったまま、男とタブンネのやり取りを見つめている。 そして、その中の1人が前に出て発言する。 「あの……タブンネに尋問するということが無理な話なのではないでしょうか」 男はタブンネから、発言をした兵士のほうに目を向ける。 部屋の中が数瞬だけ沈黙し、男が口を開く。 「報告書は見たか? 戦場だというのに、このタブンネと敵の兵士が楽しそうに笑っていたらしいぞ。 タブンネが何か情報を流していたとしか考えられない。そうだろう?」 ちがう。 笑っていたのはあの男たちだけで、タブンネはひたすら叫び続けていただけだ。 まったく楽しくなんてなかったし、情報を流したりもしていない。 真実が正しく伝わっていないことにタブンネは悔し涙を流す。 そんなタブンネを無視して男は立ち上がると、前に出た兵士の肩にポンと手を置いて命令する。 「そうだな。どうも俺はタブンネの尋問には向かんようだ。お前が代わりに尋問しろ。 どんな方法を使ってもかまわん。1人でやってもダメなら、この部屋全員でやってもいいぞ。」 怪訝な顔をする兵士であったが、男の意図を察するとニタリと笑みを浮かべてうなずく。 兵士が部屋の中全体に呼びかけると、部屋にいた全員が集まりタブンネを囲む。 不穏な空気を感じたタブンネの表情が曇るのを確認すると、男は「殺さない程度にな」と言って部屋を出る。 男が扉を閉じる瞬間、兵士たちの怒鳴り声と、タブンネの「ギャァァァァァッ!」という叫びがかすかにもれたが、 完全に閉じた瞬間、不思議なことにその音はまったく聞こえなくなる。 「こんなことでもなきゃ、戦争なんぞやってられんよ」 男は晴れやかな顔で廊下を進む。 端から尋問する気などなかった。男がやったのはただのストレス解消だ。 戦争というものは想像以上にストレスがたまる。 だからこそ、何でもいいのでストレスを発散する方法を見つけなくてはならない。 今回、タブンネが何もしていないことなど理解している。 たまたま「タブンネと敵兵がいっしょにいて」「そこから笑い声が聞こえていた」という材料があったからこそ、 尋問する理由とするために事実を捻じ曲げて報告した。ただそれだけのことだ。 タブンネ狩りが当たり前に行われるイッシュにおいて、タブンネに暴力をふるうことに抵抗を持つ人は少ない。 あの防音性の高い部屋で行われている拷問、いや、尋問は相当に苛烈なものになっているだろう。 そんなことを考えながら男は廊下を進む。 尋問はまだ続いている。だから、部屋が使えないということを報告するために。 兵士たちのストレス解消を誰にも邪魔させないようにするために。 「ヒュー……ヒュー……」 人とポケモン。どちらが強いかと言われれば、誰もがポケモンだと答えるだろう。 ポケモンの力に人は及ばない。ポケモン相手に自分で直接戦わず、自分の持っているポケモンを戦わせる。 「ヒュー……ヒュー……」 だからこそ、人が直接ポケモンに攻撃を加えるとき、それは容赦のないものになることが多い。 そして、それは攻撃性が高いとは言えないタブンネ相手であっても例外ではない。 だがそれでも、この部屋でタブンネに対して行われた行為は、明らかに常軌を逸していた。 「ヒュー……ゴホッ、ゴホッ……ヒュー……ヒュー……」 木製のテーブルの上でうつぶせにされ、限界まで引っ張られた四肢を錆びた鉄釘が貫いている。 尻尾は引きちぎられ、背中には裂傷やみみず腫れが数えきれないほど大量に走る。 殴られ続けた顔面は目を開けられないほど腫れ上がり、舌にはいくつもの水ぶくれができている。 尋問という建前など完全に無視され、ただ一方的に暴力を振るわれたタブンネの姿。 男の言っていた「ポケモンとしての権利の尊重」など、そこにはひとかけらも存在していない。 「これ、そろそろ持ってっちゃっていいかな?」 白衣を着た老人が、部屋の中にいる兵士たちに尋ねる。 問いかけに対し、晴れ晴れとした笑顔を浮かべた兵士たちは「いいぜ」と言ってコクリとうなずく。 「じゃあ悪いけど、この台車に乗っけてもらえない? それ、けっこう重いからさ。 この歳になると、持ち上げるだけでもきついんだよ」 テーブルに固定されているタブンネの体を、兵士たちが力任せにテーブルから引きはがす。 鉄釘に貫かれていた四肢の一部が裂けていき、その激痛にタブンネが悲鳴を上げようとする。 しかし、その口からはかすれた叫び声が出るだけ。のどをつぶされて叫ぶことすらできないのだ。 「うるさいなぁ。……尻尾ってまだある?」 兵士の1人が部屋の隅に落ちていた尻尾を拾い、白衣の老人の方に持っていく。 老人は尻尾を受け取ると、必死に叫ぼうとしているタブンネの口の中にそれを突っ込む。 タブンネが静かになったことに満足そうにうなずくと、老人はタブンネを乗せた台車を押していく。 「さて、これの特性が『いやしのこころ』じゃないことを祈るばかりだ。 貴重な実験動物なんだから、簡単に死んでもらっちゃ困る。『さいせいりょく』だといいなぁ」 声を出すことすら封じられ、タブンネは台車の上で静かに涙を流す。 粗雑な扱いに加え、「これ」「それ」という言葉からはタブンネのことを物扱いしていることがわかる。 もはやポケモンとして扱ってもらうことすらできない。 そして「実験動物」という言葉。 これから何をされるかはわからない。 ただ―― 自分が仲間たちとの平穏な暮らしを送ることなど二度とできない。 それだけは、はっきりとわかった。 (<解剖実験>に続く)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/237.html
アキトとキョウスケ ◆7vhi1CrLM6 体中の血管の中で蠢いていた子蜘蛛がいなくなる。 どろりとバターのように溶け出すと血流に呑まれて、一匹一匹と消えていく。 同時に視界が今までとは別の世界を捉え、急速にぼやけていっていた。 奇妙な感覚だった。 重い体が軽くなり、感覚が戻ってまた重くなる。 幻聴が消えて本物の音が戻り、また音が鈍くなる。 一瞬の通りすがりに正常な時間が存在する。だがそれはほぼ無意味ともいえる一瞬である。 正常な感覚の刻みつけ、あっけなく去っていく。また薬を服用するよう刻まれた暗示のように思えた。 ぼやける視界で時計の位置を確認すると、気だるく思い体を起こす。顔を近づけて時刻を確認した。 ――4 34 服用から一時間半と少し。 薬の効果が三十分。副作用が一時間。アルフィミィの言に嘘はなかった。 「だが、これは後をひくな」 ずるずるとコックピットシートに沈み込みながらぼやいた。 一時間の副作用に振り回された体が、疲労の極みにあるのだ。ともすれば眠り込んでしまいそうになる。 そのままの体勢で手を伸ばし、アルトを再起動させる。 明るく灯るモニター。擦りガラス越しのようにしか見えないそこに、突然起動兵器が映し出される。 咄嗟に出た行動は――様子を見る。状況を確認する。薬を服用する。否。 それらを頭に浮かべるよりも早く体は攻撃を仕掛けた。両肩のハッチが開き、大量のベアリング弾が放出される。 咄嗟のことだ。狙いなどつけていなかった。この視界、この体でつけられるはずもなかった。 牽制にしかならない一撃。 だから撃ち終りを待たずに後退を始めた。そして、反転。全速でその場からの離脱を図る。 相手の被害は愚か姿すら確認していない。する余裕もない。出来る体ですらない。 ただ真っ直ぐに機体を走らせ、その場から逃げ出す。そのくらいの力は残されている。そう信じたかった。 世界が回った気がした。そして、沈み込むような感覚とドンと突き上げられたような感覚。 「アルトから降りて来い。悪いようにはしない」 降って来た声。それで自分が捕まったのだと知る。 ◇ 片足でバックパックを踏みつけ、オクスタンライフルを背中越しにコックピットに突きつけた。 小さく溜息を吐く。正直肝を冷やした。 支給品の中に何か役に立つものはないか。そう思いファルケンに戻った瞬間の出来事だった。 男の様子を見て目を離しても大丈夫だと判断した直後だったのだ。自らの見通しの甘さが苦々しい。 しかし、やはりまともに機体を動かせる状態ではなかったのだろう。 クレイモアを咄嗟に避け、追撃に移った目と鼻の先でアルトは勝手に転んで倒れた。 倒れたことにも気づいていない動きだった。それが憐憫の情に拍車をかける。 「アルトから降りて来い。悪いようにはしない」 暫しの沈黙の後、声が返ってくる。音声のみ。映像は繋がっていない。 「……信用できるのか?」 「さあな」 曖昧な返事。ゼクスとカズイを殺した。 それが間違いだったとは思わない。間違いだったではゼクスが報われない。 だが、一方では敵対した新兵を生かしたりもしていたのだ。 やることがあべこべで矛盾している。状況が違うというのは言い訳にしかならない。 そのことが返事を歯切れの悪いものにしていた。それに基地に戻ればユーゼスもいる。 「悪いようにはしない。俺に言えるのはそれだけだ」 「聞くことだけ聞いて撃ち殺す。そうしないという保証は?」 「それは約束する。保証は……そうだな。まずは俺から機体を降りる。信用がなければ踏み潰せ」 一時的な感傷。カミーユに必ず戻ると伝えたことも忘れ、捨て鉢な気持ちが体を支配していた。 「いいな? 降りるぞ」 ◇ 敵機が離れていく気配。そして、停止する気配。 本気か、こいつは。そう思いながら、機体を起こし立たせる作業に集中した。 汗が玉になって額に浮かんでくる。 いくら自由の利かない体とはいえ、その程度の体裁は取り繕いたかったのだ。 踏み潰せ、か。笑わせる。 ただ機体を立たせるだけでこの神経の削りようだ。狙ったところに足を踏み出すなど、とんでもない重労働だ。 だが、薬を使えば簡単だ。確実に一人葬れる。しかし、ここで使ってしまうのか? あの時アルフィミィは言った。まだゲームの参加者は三十人近く残っている、と。 あれから三、四時間。そう数が減っているとも思えない。 僅か五錠しか残っていない薬を使っていいのか? それで俺は生き残れるのか? 奴らを根絶やしに出来るのか? 優先すべきは生き延びること。同行者を得れば生存率は上がる。だが、本当にこの男は信用できるのか? 渦を巻く思考。心の拠り所を求めるように腕が薬へと伸び、握り締めた。そして、異変に気づく。 ――ないッ!! 有るべき所に薬はなかった。 正確には、取り出しやすいところに入れておいた二錠がなくなっている。 念を入れて、別個に分けておいた三錠。そちらは無事だ。 握り締めた腕に力が篭り、ぼやけたモニターに映し出されている男を睨みつける。 薬の行き先は一つしか考えられない。 暫くして険のある表情を解いた。何にしろ、これでもうこの男を信用するしかなくなったのである。 薬を服用して踏み潰す。一緒に取られた薬も潰れて残り二錠では、どうしようもない。 だが、出て行くからには最大限利用させてもらう。薬を取ったということはこちらの状態を知っていることだ。 その上で抱え込もうというのだ。病人怪我人は保護すべきと考えているのだろう。 ならば立場を最大限に利用して守って貰う。疑われる余地はない。副作用がなくとも障害持ちなのだ。 そうすることによって薬の消耗を防ぎ、同時に奴に取られた薬の在り処も突き止める。 その後で仮宿は捨てればいい。 その為にもまずは協力の姿勢を見せることだ。ロジャー=スミスの情報など喜ばれるかもしれない。 接触できれば自分が危険ではないことの裏も取れる。 外部スピーカーのスイッチを入れ、「今、降りる」と答えを返した。 かくして大切な者を失い残された二人の男は顔を会わせ、数分後には協力することとなる。 その最初の道すがら、アキトはふと思った。この薬、健常者が服用すればどうなるのだろうか、と。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT) パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭、疲労状態 機体状態:胸部に軽度の損傷。3連マシンキャノン2発消費、スクエアクレイモア2発消費 現在位置:G-8 第一行動方針:キョウスケに情報を提供して同行する 第二行動方針:ガウルンの首を取る 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に“ボソンジャンプの使用”が追加。 備考2:謎の薬を三錠所持】 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、ユーゼスに対する不信 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み 現在位置:G-8 第一行動方針:アキトの保護 第ニ行動方針:基地へ戻る 第三行動方針:首輪の入手 第四行動方針:ネゴシエイターと接触する 第五行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考1:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています 備考2:謎の薬を二錠所持】 【二日目 5 05】 BACK NEXT 張り詰めすぎた少年 投下順 決意の刃を鞘に潜ませ それぞれの思惑 時系列順 決意の刃を鞘に潜ませ BACK NEXT Withdrawal Symptoms アキト leaving me blue Withdrawal Symptoms キョウスケ leaving me blue
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【名前】霜染神流(しもそめ かんな) 【性別】女 【所属】科学 【能力】雲相転移(プルームテクトニクス) レベル4 【能力説明】 水分子における熱の出入りを環境に左右される事無く操作する能力。具体的には吸熱反応(潜熱含む)と発熱反応(顕熱含む)を思うが儘に操る事ができる。分類上では熱系能力とされている。 潜熱とは物質が相転移を起こす際に必要な熱(融解熱・気化熱等)で物質そのものの温度変化は伴わない。逆に顕熱とは相転移以外の状態で温度変化を伴う熱を指す。 また、吸熱反応とは外部から熱を吸収する反応を指し、発熱反応とは内部から熱を放出する反応を指す。 用途に応じて変化する能力の基準点として霜染はまず能力行使領域を【雲 プルーム 】と呼称し、 その中でも吸熱反応を操る【吸熱雲 コールドプルーム 】及び発熱反応を操る【発熱雲 ホットプルーム 】という区分けをしている。 最大半径10m四方の空間を【雲】の基準点とし、空間内に存在する水分子の吸熱反応(周囲から吸熱)・発熱反応(周囲へ放熱)を操る。 但し、干渉できるのは空気に触れている水分子に限られるため人体内部(口腔内や鼻腔内等も含まれる)やペットボトルの中にある水等は適用範囲外である。 言い換えれば空気に触れている外部(=物体表面)の水分子には干渉できるので、眼球を保護している水分子や汗、裂傷により外部に出た血液等には干渉可能。 【雲】の設置数は最高10個まで。最大半径時は最高5個まで。設置範囲は自身より半径180m内。 【雲】の移動は可能だが最速でも時速40km強の速度でしか移動させられない。一度設置を解除すれば『解除した【雲】』を再び発現させるために1分間を要する。 【雲】内であれば干渉する・しないの取捨選択(水分子の選定)はできる。【雲】は【吸熱雲】・【発熱雲】どちらにも成り変われるし両立もできるが幾つか制約が課されている。 【吸熱雲】・【発熱雲】を両立する場合、『(吸熱or発熱)反応を100%とした時○○%を【吸熱雲】が、残る○○%を【発熱雲】が占める』という形になる。 また、割合を吸熱50%:発熱50%にする事はできず最大でも吸熱51%:発熱49%もしくは吸熱49%:発熱51%となる。 この制約における0%とは『(吸熱or発熱)反応を生じさせない』という意味であり、具体的には吸熱0%:発熱100%とする事で熱を吸収せずに熱を放出し続ける、 吸熱100%:発熱0%とする事で溜め込んだ熱を放出せずに熱を吸収し続ける操作を指す。 【雲】内に存在する水分子への干渉は取捨選択を除けば『全体干渉』となり『個別干渉』はできない。 ここで言う『個別干渉』とは、『水分子ごとに吸熱反応や発熱反応の按配(両立含む)を設定する』事である。(吸熱or発熱)反応を弄れば【雲】内の干渉中水分子全てが連動する。 雲相転移でできる事の一端を箇条書きにすると、 潜熱操作で水を蒸発させて水蒸気とするor蒸発により水蒸気になる筈の水を液体状態に止め置く。お手軽に涼む事ができるし簡単に熱中症を誘発させる事もできる。 過熱蒸気を作れる。やろうと思えば水蒸気が水素と酸素に分解される程の熱(およそ数千度)まで吸熱できる。制約により水蒸気爆発(全体反応型)を起こす事は難しい。 間接的に気流操作を行える。上昇気流や下降気流を生み出し、擬似ダウンバーストを発生させたり。小規模ながら雲(霧)を作る事も可能。気流の流れの可視化等応用色々。 全体的に気を付けなければならないのは、雲相転移はあくまで熱系能力であり水流操作でも大気操作でも無い点である。 水流操作のように水分子を縦横無尽に操れるわけも無く、大気操作のように気流を自由自在に操れるわけでも無いので自分の能力で起こした現象で返り討ちを喰らう危険性を考慮して能力を行使する必要がある…のだが……… 【概要】 葵葉中学付属高等学校に通う残念ポジティブシンキングバカ1年生。根は優しい人間なのだが、どうにも残念さが目立つ少女。 低位能力者であった小学生時代に常盤台中学や映倫中学校の入学要件(レベル3以上)を知らずに受験申し込みを行い、あえなく断られた事を不服に学校まで乗り込んで直談判したり、 教師から紹介された名門進学校明知中等教育学院を学院に存在する黄道十二星座制度を指し『1人1つしか宛がわれない称号を制度とする学校に何の興味もありませんわ。オホホホホホホ!!』などとのたまい蹴る等色々残念な思考回路を持つ。 葵葉には高校受験により入学した。「優秀な生徒をスカウトしようと第7学区にてPRしていた学校関係者の言葉にキュピーン!!と来たから」という理由だったりする。 普段の学校生活では能力によって霧を纏い、ミステリアスな雰囲気を漂わせる少女面をしている。黙っていればその清楚な佇まいも合わせて結構モテるタイプっぽいのだが、 一度喋り出せばその残念なバカさ具合が露呈してしまうので恋愛的では無く好奇的な視線を周囲から送られている。当然ポジディブシンキングな霜染がへこたれる事は無い。 この残念な性格は能力行使面にも現れており、ダウンバーストを起こせば自分も巻き込まれる可能性が大いにある状況でもキュピーン!!と来たら躊躇せずに行使し、 過熱蒸気を形成すれば自身にも火傷が及ぶ可能性が大いにある状況でもキュピピピーン!!と来たら迷わず行使する程のバカである。 ダウンバーストで吹っ飛ばされながらも笑い続け、火傷を負っても痩せ我慢しながら喋り倒すその根性だけは色んな意味で評価されていたりする。 とはいえ、能力が成長した現在ではそのような状況下に身を置く事は中々無い。現在の目標は『立派な雲を作る』。 雲の観察が趣味で、様々な雲の形・種類を暗記している。ちなみに、雲繋がりで綿菓子が大好物。 入学の経緯から学校の名を挙げるための活動に自主的に参加している。本人としては至極真面目に頑張っているのだが、 喋れば喋る程却って引かれたりするので最近では「無口でPRできる程の力を霜染さんは持っている~」などの口車に乗せられて活動時には沈黙を守っている。成果は上々のようだ。 【特徴】 身長168センチ。纏う霧から垣間見える漆黒のセミロングと日本人らしい清楚感溢れる佇まいが残念な性格によって全て台無しとなる。 お嬢様のような立ち振る舞いをするが、実際実家は金持ちでも何でも無い。お嬢様のような言葉遣いは幼少の頃見ていたテレビドラマから移ったものである。 ポケットや鞄には目安箱投函用のメモ帳を常に入れている。キュピーン!!(この際両目が眩く光る…気がするらしい)と来た発想を何時でもメモする事ができるようにするためである。 目安箱への投函開始前及び投函終了前には箱付近で仁王立ちし、「わたくし達の清く美しい発想を実現するための第一歩ですわよ、さぁドシドシ投函しなさいなオホホのホ!!」などと高笑い付きで喋り倒している。 【台詞】一人称「わたくし」。終始お嬢様言葉。PR活動時のみ無口を貫いているが、時々我慢できずに漏れ出る。 「………(PR活動時)」 「キュピーン!!わ、わたくしの素晴らしきお花畑(←脳内の事)が盛大にはためいた…こ、これはダウンバーストの出番ですわ!!」 「さぁ、わたくしのダウンバーストをとくと味わいなさいな!!オホホホホ!!!オホホホ…!!オ…ホ……ホ………ホ(←自分も吹っ飛ばされているが高笑いだけは止めない)」 【SS使用条件】 特になし
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「儂には、まだ成すべきことがある。孫を龍葬者として、1人の人として前に進めるように支えることじゃよ」 「病の魔人として多くの命を狩って来た、その事実は覆らん。じゃが、U=ONEとして生まれ変わった今の儂は龍を倒すためだけに存在する戦士である」 フォーミッド界・アクシミデロ星に住む600年以上生きている、護星の英雄にして3剣者とも呼ばれる古代バガルタ人(人となったヴィダール)で、神造兵器第3世代に該当する。なのだが、どうも所々怪しい点がある。 日之国出身(と言うことになっている)で、ダンディーでシルバーな渋いイケメン。若いころからよくモテるらしい。今でも彼の知名度や人気はハーネイトと肩を並べるほどで、彼が来れば勝つると言われるほど。ハーネイトの祖父が彼であることが分かると、更に群衆からの人気はうなぎのぼりとか。 ハーネイトと出会った経緯は、彼の剣の腕を確かめるため、修行していた山を下り一戦交えたことから始まる。 主であるハーネイトを孫のようにかわいがり、やや過保護な一面もあるが基本的には厳しい人物。あまり多くは口に出さないが、ハーネイトこそ次世代を引っ張る人材となってほしいと願っている。あと世継ぎを見たいと強く願うものの、基本的に孫であるハーネイトが戦闘兵器として改造され子どもを作れない体であることが分かり、息子のシルクハインについて憤りを隠せずにいる。 影を食らい支配する妖刀に認められた、伝説の魔剣豪として故郷では伝説の英雄とみなされている、終始落ち着いた雰囲気は、まだ若いハーネイトにとっては安定剤のような効果をもたらす。 性格は年相応に落ち着いているように見えて、かなりの戦闘狂。飄々とした好々爺な一面が強いが、敵には本当に情け容赦ない。趣味は各地を巡っての地元酒を飲むこと、剣術の鍛錬、物作りなど。手先がかなり器用で便利な道具などを手製している。 この老剣士の持つ刀は、倒した者の影を吸い込み自由自在に召喚し使役できるという破格の能力を持つ。その銘は「影喰(かげばみ)」実はこのカタナ、古代超技術により生み出されたオーバーウェポン計画の産物の一つ。元素表にない元素、幻天八素で生み出されたそれは、折れることがない。 決戦技は神奇影軍(しんきえいぐん)今まで切ったものの影を全放出する。その数約5000億。しかもデメリットなし。反則過ぎるその力だが、実は切った物の名前を憶えておかないと呼び出せないようで、年を取っているが故の悩みもあるとか。しかし影なしでも滅茶苦茶強く、龍の力を使えば大物も一撃必殺ではある。 + ... 実は、2代目龍葬皇(ドラグスレイヤード)であるらしく、第2世代と第3世代神造対龍兵器の力を併せ持っているとも言われている。またの名を、ヴァリオーラという元ウイルス系微生界人。その本性は天然痘という、あまりに狂暴凶悪な微生界人であり多くの命を生きるために奪いつくしてきた、いわば最強の病の魔人。 その圧倒的な力は複数の龍因子に耐える強靭な肉体にある。天然痘ウイルス本体がそもそも堅牢な作りをしており、これに起因するものらしい。 それに着目した初代龍葬皇・ドラギスはその力を制御しつつ病原性を無くすことで有用な龍葬者にしようと考え接触、戦闘の末に彼を無害化させ、本来の力を封印し代わりに、影の力を自在に操れる刀を渡し、記憶も消してヴィダールの1族にランクアップさせたのである。この時からヴァリオーラでなく、シェドブレン・スキャルバドゥ・ブラムダインという名を与えられ名乗るようになった。 ということで元々微生界人でありドラギスの力によりU=ONEになった最初の存在が実は彼である。最も血徒時代のことは全く忘れており力も現状出せないが、一応いざという時のためにドラギスは鍵を持っているという。ハーネイトは間接的に、彼の力の1部を宿している可能性が高く龍血皇になってしまうのはヴァリオーラの力によるものかもしれない。 彼をU=ONEにした技術は結果的にハーネイトにも組み込まれており、龍の力を受けて暴走する微生界人たちを治す力になっている。 ルベオラとは元々血徒という組織が生まれる前から親交があり、ルベオラは恋憧れていた。しかし突然行方不明になり、いつの間にかU=ONEの力を得ていたことに驚く。 セリフ + ... セリフ1 では、出陣じゃな。今日も行こうか、見えざる脅威を倒す戦いを セリフ2 世界の土台として封印された存在、旧支配者か。わし等も大分それに手を焼かされたものだ セリフ3 ソラ……わし等を生み出した生みの親だが、しかし何故病の魔人という呪いをかけたのだ セリフ4 U=ONEになろうとも、あの力は健在じゃぞ セリフ5 我が刀の錆になるがよい セリフ6 孫、ああ、ハーネイト様のことか。わしにとっては大事な、未来への希望を繋ぐ存在じゃ セリフ7 病の魔人として活動してきた時期は長い。故に、これからは新たな力であ奴らを守ろう セリフ8 時間がある時は、剣術の修業をしておる。日々の鍛錬が力になる セリフ9 やや、これはこれは。しかし、いいものを見つけなされましたな セリフ10 龍の力を宿した存在、ついに現れたか。わし等はそれを防ぐために悪役になってでも活動してきたが、複雑な心境じゃな セリフ11 今を生きる若者が、未来を創る鍵になるのだ セリフ12 好きなこと 剣の道を究めることだ 嫌いなこと 私欲に溺れ、全てを壊すものは許せん 目標 夢はもう叶った。ならば老兵は未来あるものを護り希望を紡ぐまでよ 龍について イベント レベルアップ スキル解放 具現霊:なし 影が地面に映らないほどの高速機動によるスピーディーな斬撃と、影を操り集団をせん滅するスタイルをうまく使い分けて戦場を支配する。また、鍛錬のおかげでAミッションではマスタークラスとして運用できる。 クラス適正 アタッカー シューター シールダー サーチャー アサシン サポーター Aミッション 全クラスをマスターしているので、あらゆる任務に臨機応変に対応できる。攻守ともに高水準で、チームの足りない部分を的確に補うことができる。際立った弱点はないものの、火力が少しアタッカーにしては弱いので、味方の援護か敵の弱体化を絡めて技を選べば問題はない。 通常戦闘 主に物理・暗黒属性を多用し、攻撃も守護も、補助技にカウンターと一通りそろっている。弱点を少しつきづらいキャラではあるため、CPFを使って属性弱点を突いてから影で攻撃すれば、面白いようにCPを獲得できる。 ステータス Aミッション:目前マス横3マス選択 通常攻撃:単体物理属性攻撃×3HIT Lv HP CP 力 霊 速 体 心 運 50 1500 700 175 183 141 148 117 85 具現霊戦技一覧 名称 消費CP(%) 習得LV 効果 影閃 1 - 単体に物理+暗黒属性ダメージ+鈍重+呪縛 影弾 4 - 単体に暗黒属性大ダメージ+DOT8%(3) 影遊 7 - 全体に1体当たり4~7HITする暗黒属性中ダメージ 影斬 5 - 全体に物理+暗黒特大ダメージ+回避半減&DOT5%(4) 影牢 8 - 全体にステータス半減+呪縛+DOT7%(3) 影人 6 - 複数体に合計16HITする物理+暗黒属性小ダメージ 影踏 11 18 単体に暗黒特大ダメージ+鈍重 影喰 14 45 単体に暗黒属性壊滅級ダメージ+即死+裂傷 霊気集中 20 49 自身の次の攻撃が会心確定+50%威力上昇 影命開放 21 30 自身の全能力が3ターン30%上昇 神奇影軍 36 35 全体に暗黒属性壊滅級ダメージ+即死 影襲虚苦 10 45 回避率が80%上昇し、モーメントゲージとは別にターン終了時追加攻撃が発生する 龍影葬破 単体に壊滅級暗黒属性ダメージ+即死効果
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「…せッ!…せッ!…せッ!」 暗闇の中円周上に配置された篝火の光の中心には四方を杭に結わえ付けられたロープで囲まれた空間だけが浮かぶ 周囲をぼうっと篝火に照らされる空間を熱狂しながら凝視する人間の顔だけが浮き上がらっせ、その光景は太古の神を祀る儀式を思わせる 「殺せッ!殺せッ!殺せッ!」 老いも若きも男も女もが狂ったように同じ言葉を繰り返す 人々の視線の先には互いの肉を食み、血を啜り合いながら殺しあう2匹の獣 …ならぬゆっくりの姿があった 里の野外に特設された即席のリングの中には1匹のゆっくりまりさとゆっくりフランが向かい合っている ゆっくりまりさは目と口の部分に穴が開いた底部以外顔全体を覆う派手なマスクを被っており、 そのマスクのそこらかしこはフランに切り裂かれたのか無残にも体までにもその裂傷は達して致命傷ではない物の餡がポタリポタリと垂れて 大きくその体を伸縮させて息をついている 方やゆっくりフランは素顔で、顔に自分の傷から漏れた餡とまりさの餡で汚れながらも、 その目には狂気の色が宿り口を大きく開いてこびりつく餡をなめると笑みを浮かべた ルチャゆっくり 最近考案されたゆっくりを使った娯楽のひとつ、早い話がゆっくりを使った賭け格闘技である。 リングで戦うゆっくりはゆっくりドールと呼ばれ相手が戦意を失うか・気絶するまで行われる… しかしゆっくりは本来温厚で臆病な性格なので捕食種を除け自発的に戦うことはない だが、彼らやその親しい者の危機には勇敢に立ち向かうケースもある その事から人間が野生の比較的体格がいいゆっくりを見つけると家族や親友を攫いそれを人質として戦いに赴かせるのである 場合によっては無理やり子供を孕ませてそれを利用する 負けたり・無様な試合をすれば人質の命は主人の気分ひとつ次第 故に戦うゆっくり達に躊躇いはない ……常にガチ勝負且つゆっくり特有の肉体の脆弱さもあいまって死者は耐える事はない 死の恐怖に抗い勝ち続けるゆっくりにはマスクが与えられ、そして更に勝ちぬいたマスクゆっくりは自由を勝ち取る事ができる マスクは数多の同族の屍を踏み越えた強者の証、それを脱ぐ時は敗北を意味する マスクを剥がれたゆっくりはそのマスクを捨て新たにマスクを得るまで再び戦いを続けなくてはならない ゆっくりドールにとってマスクは頭の飾りや帽子以上の価値、命そのもの ゆっくり達にとっては語源のルチャリブレよろしく自由を勝ち取るための戦いであるのだ このまりさはルチャゆっくりでは現在一番人気の花形ゆっくりドール。 デビュー以来負け知らずで特に華麗な空中技に定評がある ルチャゆっくりの中では殿堂入り確実の生ける伝説ゆっくりドールである かたやフランのほうは中堅クラスであるものの高い戦闘力と凶暴性で最近のし上がって来た実力派、決して楽勝な相手とは言い難い 今現在餡子が漏れているマスクまりさは体力的にも長期戦は不利、しかしフランは警戒を奇襲し徐々にコーナーへ追い詰めて行く いくら手負いとてマスク持ちは百戦錬磨の猛者、迂闊な攻撃は仕掛けない辺りフランも並みのゆっくりドールではない マスクまりさがコーナーポストに背をつきの呼吸が乱れかと思うとと体を僅かに傾けるのを見るや雷のごとく飛び掛った 「ますくとられてゆっくりしね――ッ!」 だがマスクまりさは睨み付けたまま動かない。 コーナーに居る以上フランの突進を下手に回避しようとしても逃げれず、リング外に逃げようとしてもその隙に無防備な部分を晒すだけという事を知っている。 そしてコンマ一秒の世界のタイミングで避ける事を決意した マスクまりさは息一つすると極限まで集中する。 一つ息を吐くと空気を震わす観客の歓声がフッと消え、今まで気にならなかった生暖かい風の張り付く感触を感じ、 目の前に向けられたフランの鋭い牙がスローモーションビデオを見てるかのごとくゆっくりと近づく 5センチ... 3センチ... 2センチ... 1センチ... フランは勝利を確信していた 牙は確実に柔らかい皮膚を突き破り餡を抉った後奴は豚のような悲鳴を上げるだろうと カチン!! だがフラン確信とは裏腹に牙のぶつかる音だけが響いた 「うっ!?うーっ!?」 いつの間にか眼前のまりさは霞のごとく消えていた まりさの見せた隙はフェイクだったのだ 後悔したところでもう遅い 次の瞬間頭部に強烈な衝撃が走り地面に叩きつけられると目の前が餡で真っ黒に染まり何がおきたか理解できぬまま事切れた フランだったものから飛び出した餡子の山からムクりとマスクまりさが立ち上がる お互いの鎬を極限まで削る我慢比べにまりさは勝ったのだ ――すたーだすとればりぇ マスクまりさの得意技の一つ 敵の攻撃を極限までひきつけてコンマ一秒のタイミングで敵の頭上に飛び上がりそのまま全体重をかけて敵を地面に叩きつける その一連の動作は流星の如く華麗でそれ見た誰もが魅了される程の高難度の空中技 「ウィナーッ!エルゥ――ッマリィーサァ――!!」 審判が勝者の名前を告げると観客席からは悲鳴のような歓声と怒声が起き周囲に紙吹雪が舞った 「まりさー!よくやったぞ!」 一人の若い男がロープを潜りリングにうつ伏せに寝転がっているまりさの元へ駆け寄る 「おにー…さん…まりさ…がんば…たよ」 ずり落ちた帽子を力なく少しだけ挙げて顔半分をセコンドの男のほうに向けるとにこりと微笑んだ 「ああ…頑張ったとも!後10勝だ!!後10勝てばお前は自由になれるんだぞ」 「うん…でも…まり…さだめ…かも…」 「何言ってんだ怪我はたいした事ないぞ!休めばすぐ治るからな!」 男がまりさを優しく抱きかかえて顔を見るとハッとしたと表情を見せると途端に真っ青になった 何とまりさの左目を両瞼が縦にぱっくり切れ眼球から透明な液が漏れている すたーだすとればりぇを決める為に跳躍した際、満身創痍のまりさはタイミングが少し遅れたため運悪くフランの牙が目を掠ってしまったのだ 「もう…まりさは…あかちゃんのために…たたかえないの…?」 後10回とはいえ戦う相手はどれも強敵ぞろい、片目で戦うには余りにも手に負えなさ過ぎる さりとて傷が癒えても片目に慣れるまでまでじっくり休養する時間などまりさには与えられない 「あ…今すぐ治療するからな!だからじっとしてろ!!」 男はまりさをマスクを丁寧に脱がし、しっかりとまりさを抱えると揺れぬ様急ぎ足で幕舎の中へ入るとベッドにおろして くすり箱をひっくり返すと治療を施したが潰れた目はどうにもならなかった 「畜生…なんてことだ…」 男がまりさを見下ろして項垂れていると幕舎の中に恰幅のいい中年の男が不機嫌な顔をしながら入ってきた 「全く何てことだ!あれだけ投資してやったのにこれからって時にしくじるとはなぁ!!」 どうやらまりさの主人はこの人物らしい 「お…御館様、こいつは片目をやられだけです再起不能になった訳じゃないんです!あと十勝なんです!!どうか見捨てないでやってください!!!」 「饅頭ごときに情が移ったのか?動ける動けねぇじゃねぇよ!確実に勝てるようなじゃなきゃ駄目に決まってんだろうが! 怪我をしてもう使い物にならんなんて知れたら商品価値は無いも同然なんだよ!」 中年男は腕を組むと幕の中を言ったりきたりしながらブツブツと何かをつぶやている 「そうだ…コイツとかなことの試合を組もう。目は形だけ直しとけ、眼帯とか包帯はつけるな。 伝説の終焉って売り込みでコイツには華々しく最後の花道を飾らせてやろう!次の試合だ!わかったな!」 そう捲くし立てると中年男は近くにあった水瓶をけり倒してがっくりと崩れ落ちる若い男を尻目に出て行った ふかんぜんねんしょー 複数の重賞を勝利した競走馬達もその最後は決して安らかじゃないんだってね byおれまりさとかイワレタ人 このSSに感想を付ける
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「私、だって。誰かの命を奪わずに生きていける存在になれるなら、と。ハーネイト、貴方の力は全てを変える力。微生界人に、希望をもたらす力。ようやく、本当の使命を思い出せた」 「病の魔人としての観測、その呪いを解くためなら、どんな手段でも……!え、ドラギスの後継者、あ、貴方がですか?」 ウイルス界系微生界人にして、水疱瘡(みずぼうそう)という感染症、病の概念ともいうべき微生界人。大昔から存在していると言うが、生き延びるためと言え多くの命を奪ってきたことにルベオラと同じく自己嫌悪している。また彼女はヘルペルス(ヘルペス)一族の出であり、大所帯であるが家族を嫌っている。 また本来はヴァリセラ・ゾスターナという名があるが真名隠しと自身の本来の名を嫌っているためかヴァリセラを文字ってヴァルチェラと自身は名乗っているという。 彼女も含めたヘルペルス一族は人だけでなく他の生物にも迷惑をかけまくる巨大な勢力を持つ一族であるが、ウイルス界系微生界人の宿命で他の生物なしに増やせない特性があるため、結構多くが目立ちたくないのに泣く泣く取り付いているという。 一族の中にはBウイルスやオーエスキー病、馬鼻肺炎などを起こす存在もおり全員が血徒ヴァリオーラが初めて手にした力の再現を、U=ONEとなって龍と戦いたいと思っている。それは年々人間たちの自分達への対策が進んでおり存在自体を維持できるか危ういというところもある。 それ故に、殆どの世界の住民が幽霊龍という存在を見ることができず知らないことに次第に怒りを覚え自分たちがそれを封印しているのにとオベリスを介して理解しつつどこかで痛い目に遭わせようと考えていた。 彼女もいい加減病、その中でも特定の感染症の象徴という呪縛から逃れたく組織に入り、血徒ヴァリオーラが伝説の力を得た件について何か手掛かりがないか一族から離れ調査していた。 血徒とは間接的にU=ONEに関して研究協力をしており、支援も惜しまなかったが突如血徒が離反する。その原因を探り潜入する中で恐るべき計画に気付きとめようとする。貴族院というウイルス界系の微生界人が持っている組織の諜報員として彼女は、友であるルベオラの奇妙な行動についても合わせ調査を開始する。 そんな中ルベオラの動向を追っていた彼女はハーネイトと出会う。彼から自分たちと同じ、いやそれ以上の力を感じ警戒する。その中で噂に聞いていた霊を喰らう幽霊龍の力と同じものも感じ取った。 それからドラギスの後継者が本当にいたことに驚き、U=ONEにしてもらったことで彼に忠誠を尽くすようになる。クロナとはその辺りで結構喧嘩している。ハーネイトにかなり懐いており病の魔人でなくなった自身をもっと認めてもらえるように動く。 ヴァルチェラは表向きは17の血魔人に従っていたが、実のところドラギスの後継者を連れてくればPという得体のしれない者の開放というバカげたことを止めてくれるのではと思いルベオラの話を信じていた。しかし彼女のやり方では時間がかかると思い直接捕まえて連れて行けばと思っていたが、既に血魔人たちは後継者のことを忘れているというか霊龍の洗脳で思い出せなくなっていた。ルベオラはそれを見抜いており魔人たちの状況を改めて聞いた彼女は戸惑っていた。 学園で事件を起こしたのはハーネイトを探すだけでなく、事件に深入りしようとしている存在への警告とこれからやろうとしている呪血テロのデモンストレーションということで魔人たちの目論見に早く気づいてほしかったためだという。 戦闘術は血闘術の水液術系をメインとしており、呪血系の呪術系統の達人。また、U=ONEになったあとはハーネイトからCDDとUAを受領しそれも使いつつ、血闘術も併用する。 血衣の形は悪魔型であり、大きな腕と龍因子との共鳴で形成された龍血鎧を纏う姿。 性格はとてもおとなしく、口数も少なく少したどたどしい。よく考えてから口に出すが、怒りにかられるとまくし立ててくる。元血徒であるヴァリオーラことミロクと出会った時はその変わりように己が目を疑っていた。しかしそれがドラギスという存在によるもの、その力を継いだ者が孫にいると聞いて流石に興奮したとか。生ける伝説であるヴァリオーラの隠れファンでもあるためその辺りだけ饒舌になりドラギスの後継者であるハーネイトにも興味津々である。 この影響か、それともU=ONEにしてもらったためかハーネイトに対し隠れヤンデレと化している。ハーネイトはそばにいる者に合わせたテンション、気勢を合わせる性質があり彼女の傍では物静かになる。伯爵については扱いがぞんざいである。しかし龍を止められなかった負い目があり、どうすれば早く彼の記憶が戻るか方法を模索中である。 彼女は、ルベオラと同じく今まで奪ってきた命の分、未来に生きる者を守ろうと加入する。それが、終わりのない旧支配者たる霊龍との戦いの日々を暗喩していても。 セリフ + ... セリフ1 いつでも行けます、だからご指示を セリフ2 私にも意地があります、覚悟があります。何よりも、揺るがない決意を抱いて戦っています セリフ3 負けられない、皆の望む未来のためにも セリフ4 私たちは病の魔人として、多くの命を奪ってきました。ですが、それはオベリスの欠片を見て恐るべき破滅の未来を危惧しての行動もあります。といっても、やってきたことは覆りませんが セリフ5 皆、苦しいのです。ですが呪いを解く手段があるならば私たちはそれを以て今までの罪を償いたい セリフ6 セリフ7 セリフ8 セリフ9 セリフ10 もう、誰もが諦めかけていた。だけど予言の神子は確かにいた。だけど、彼はまだその自覚が薄いようです。オベリス探索の中でそれが育てば彼は大成します、絶対に セリフ11 セリフ12 私たちの活動が弱まり、それで龍の力を宿す存在が増えてきた。これがどう未来を脅かすか、それとも希望につながるか 好きなこと 嫌いなこと 目標 龍について イベント レベルアップ スキル解放 現霊:なし 青と緑の龍因子を宿している。また血闘術に長けている。微生界人の中でもウイルス界系の者は探索能力が大きく劣りやすい。U=ONEになってもその影響を少し受けるがCDDのサポートなどである程度は補える。ヴァルチェラはその中でも割と探索性能が高い。ヘルペルス(ヘルペス)一族は探索能力が総じて高いらしい。ただしほとんどが病の悪魔、魔人であるためその力を捨て生まれかわるためにルベオラやインフルなどと手を組み血徒という組織の元になった組織を立ち上げている。 クラス適正 アタッカー シューター シールダー サーチャー レコンダー サポーター Aミッション 攻撃よりのサーチャーだが、制圧攻撃の面積は広くない。代わりに中ボスやエリアボスなどに対し大ダメージを与えるスキルを持っている。 通常戦闘 主に菌属性の戦戯(スキルアーツ)を覚える。追加効果を持つ戦戯でじわじわと追い詰めていく。 ステータス Aミッション:前方縦2マス×横3マス 通常攻撃:単体菌属性攻撃×2HIT Lv HP CP 力 霊 速 体 心 運 50 900 500 129 130 130 80 101 85 習得戦技一覧 名称 消費CP(%) 習得LV 効果 技説明 血闘術・血風斬閃 紅い風を吹かせ、当たると裂傷が発生 血闘術・血風断閃 紅い風を吹かせ、その領域内をずたずたに断つ 血闘術・血禍風嵐 紅い風の大嵐で吹き飛ばす 血闘術・血水溶壊 徐々に敵の身体を汚染し融かしていく血闘術の中でも凶悪な物の液術版 血闘術・血水魔弾 血液を弾丸にして飛ばす 血闘術・血魔解放 血衣に宿した魔の力を開放する 血闘術・血衣解放 血衣の力を開放し、強化モードになる。 血闘術・血水對砲 手元から血液の放射砲を放つ 血闘術・血水閃麗 強烈な血のレーザーで敵を一閃 血闘術・呪血拘縛 血闘術・呪血水域 血闘術・呪血泡爆
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ヴァイタリティに溢れていて、常に皆の行く先を先導していた一ノ瀬弓子クリスティーナが死んだ。 突然の喪失感に、こよみは呆然の後、涙をボロボロと流す。 悲しい。言葉にしたら三文字だが、彼女との思い出は決して三文字に収まるものではない。 喪失は、辛く重い。それを知っているからこそ、ベルガーは何も言わなかった。 ……悲しみは本人しか分からない。 どれだけ綺麗な言葉を並べようとも、それが届くのは悲しみを共有している者だけだ。 自分のような慣れてしまった存在が安々と踏み込んでいける領域ではない。 この世界では、死んだ人の数だけ想いが残る。 刻まれた真実に心を落としていく参加者もいるだろう。 「……俺は、そんな奴等を斬るしかないのかね」 本音を言えば、斬りたくはない。 元は、真っ当に生きていた人間なのだ。 根源たる罪を持ち合わせているのはこのゲームを開いた黒幕であり、憎むべき対象は其処にあると知っている。 けれど。そんな正論で止まる人間もいない可能性だってあるのだ。 正しさだけで人は救えない。いつだって、どんな時だって、救えるのは運と力を兼ね備えている者だけである。 「はっ、いつの時も自分の思いを貫くのは厳しいなあ」 それでも、諦められないのは性分なのか。 ベルガーは薄っすらと笑い、腰に差していた火迦具土を抜き放つ。 「コヨミ、悲しむのは一旦止めて下がれ」 火迦具土の切っ先を辿ると、一人の男が悠々と歩を進めてくるのが視界に映る。 ゆらゆらと、力なさ気なその足取りはまるで浮浪者のようだ。 だが、目だけは違う。両の瞳から放たれる意志の強さは、強靭。 目的を叶える為なら、どんな犠牲でも払える破壊者の目。 「ああ、何も言わなくてもわかるさ。その手に持っている武器が何よりの証拠だ」 血塗れの剣、グラムを握りしめた男――ヴァレスは何も答えなかった。 返答代わりに剣を上段に構え、臨戦態勢を整える。 「どんな事情を抱えてるかはわからんが、座して死ぬ程、俺はお人好しではないのでな」 言い終わるのと同時にベルガーは疾走。 互いにわかっていたのか、最初の軽いぶつかり合いの後は容赦なき殺意の一撃を応酬しあう。 「…………いいのか、後ろのお姫様を護らなくて」 「ふむ、どうやら言葉が喋れない空洞野郎ではないらしい。それと、その質問の答えは最初から決まっている」 ベルガーは繰り出される斬撃を適当にいなしながらも、口を滑らせることをやめない。 これもまた、戦術。少しでも刃を鈍らせることができる可能性を考えた口先の攻撃。 もっとも、この程度の口八丁で揺らぐやわな相手ではないとうっすらとわかってはいるが、やらないよりはましだろう。 全てはこよみを護る為。彼女のような戦場に立つべきではない者が死ぬのは、ベルガーは許容できない。 「護るさ。お前を適当に追い払って安全な所へと送り届けよう!」 「そうか……それならば、俺を相手取ることをせずに――逃げるべきだったな」 ヴァレスの口が少しだけ、三日月へと変わる。 瞬間、肉が突き抉られる音が耳に入った。 何故、気付かなかった。 ベルガーは愕然とした表情を浮かべながら転進。 脇目もふらず、こよみの元へと向かう。 腹部に槍を生やし、血溜まりに沈む彼女の所へ。 ###### 突如、背後から現れた男に対して、戦闘に長けた者ならば躱せただろう。 だが、こよみはある種一般人のようなものだ。 放送によって、心を大きく乱していたこよみが襲われるのも、必然だった。 そして、それなりの速さで繰り出された槍撃に対して、こよみは躱すことはできない。 地面に倒れ込んだ自分の身体はまるで、石のように固く動かなかった。 深く抉られた腹部を見て、こよみはベルガーにまた迷惑をかけてしまうなぁと想いをよぎらせた。 ……嘉穂ちゃんに怒られちゃうなあ。 もうじき、自分は死ぬ。腹部の傷はどう足掻いても治療が不可能であり、流れ出した血液も多量だ。 結局、最後までベルガーの足を引っ張ってばかりだった。 それが悔しくて、悲しくて。 もう自分にできることは何もない。後は、うっすらと残った意識が完全に消えゆくのを待つだけだ。 「あっ……」 ふと目を開けてみると、自分に槍を突き出した男が映る。 無表情に、意志を灯さない両目をサングラスで隠した彼。 そのぎこちない動きは、死体が無理矢理操られているといった表現が相応しいだろう。 そう、そんな状況だと想起させる魔法が彼の身体から感じるのだ。 「止め、ないと」 せめて。何も成すことをせずに死ぬ前に。 魔法をあるべき姿へと戻す。 それが、こよみが最後に残すことが出来る――魔法だから。 「魔法は、こんなことのために」 こよみは、力の入らない右手を必死に伸ばす。 震え、うなだれ、地面へと下がりつつある右手。 けれど。けれど。 彼女の右手は、力強く伸ばされる。 途切れ途切れの意志を繋ぎ合わせ、サングラスの彼へと。 「つかうものじゃ、ない」 それは、自分が憧れた魔法使いが教えてくれた魔法であり、夢の欠片。 それは、今はもういない親友が認めてくれた自分だけの想い。 間違いなんかじゃない。彼女達が誇っていた魔法は、こんな死者を操る事に使っていいものではない。 「こんな、悲しい魔法は」 だから、こよみはたった一つ、自分が使える魔法を構築する。 馬鹿な自分でもよくわかる現代魔法を、世界に刻むことで本当の魔法を証明する為にも右手を、彼の足へと伸ばした。 「あたしが、変えてみせる――!」 霞む視界にで、地面に崩れ落ちる彼と、銀のタライが映ることを確認して、こよみは薄く笑った。 森下こよみは、確かに此処にいたのだ。 その証明を最後の世界とし、覚めない闇へと堕ちていった。 ###### 「まさか、魔法を解除するとは。先に殺しておいて正解だったようだ」 物言わぬ死体の前で顔を歪めている“敗者”にヴァレスは悠々とにじり寄っていく。 歯を食いしばり、両目を細め、血が出る程に両手を握りしめ、ベルガーは絶望を感じていた。 真っ当に生きた少女を元の日常へと還す為に、剣を振るうのは――もう叶わない。 「次は、お前だ」 「……ッ!」 「ようやく、殺る気になったか。なりふり構わない復讐者とでも言えばいいのだろうか」 胸に沸き立つ黒い感情が、頭を上げた。 甘さなどいらない、今はただ武器を持て。 感情の赴くままに斬り伏せろと脳に木霊する。 「そうだ、あの男と同じくその少女を操るのもいいかもしれんな。 何せ、よい人形となってくれるかもしれん」 「貴ッ様ぁぁぁ!!!!!!!」 限界だった。 怒りを全開にベルガーは火迦具土を握りしめ、ヴァレスへと疾走する。 「――――もういいッ! ……俺が甘かった」 ベルガーの烈火の如き怒りを前にしても、無表情に剣を構えるヴァレスは揺らがない。 滅びへの願いを叶える過程で覚悟はしている。 憎まれもしよう、憐れみを投げつけられることも許容しよう。 全ては――願いの前では些細な事なのだから。 「斬られる覚悟は十全か? 金髪の男よ!」 【時間:1日目・朝】 【場所:F-1】 【ダウゲ・ベルガー@都市シリーズ】 【持ち物:火迦具土、不明支給品?、水・食料一日分】 【状況:健康】 【森下こよみ@よくわかる現代魔法】 【持ち物:不明支給品1~2、水・食料一日分】 【状況:死亡】 【リックラント・ヴァレス@都市シリーズ】 【持ち物:聖剣グラム、水・食料二日分】 【状況:全身に裂傷】 ※蜻蛉切を握りしめたダン・原川の死体が近くに転がっています。 その夢を越えていけ 投下順 喪失の夢見者達 その夢を越えていけ 時系列順 喪失の夢見者達
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第334話:Walking on the Blade 作:◆Wy5jmZAtv6 「やられたわね」 舌打ちするパイフウ…手の傷はともかく肩の傷が酷い。 ヒーリングをかけてはいるが…骨が繋がり動くようになるまでにはまだ時間がかかる。 左利きでしかも銃器使いである彼女にとって左肩の傷は命取りになりかねない。 森の中をよろよろと進むパイフウ、どこかでしばらく落ち着かなければ…。 藪を掻き分けたその先には…墓地と…そして古ぼけた教会があった。 ふらりと教会の門を押し開くパイフウ、音もなく扉は開く… 「?」 その扉の開き方に違和感を覚えるパイフウ…床に目をやる。 (足跡?) 埃の中うっすらと残る幾人かの足跡を見やったその時だった。 「!!」 真正面からの斬撃、間一髪で飛び退るパイフウ…前髪がわすかにはらりと落ちる。 そして彼女の視界には闇から溶け出してきたような黒衣の騎士が立っていた。 (この男…強い) あの大広間で散った二人の剣士もそうだったが、おそらくは彼も火乃香に匹敵する剣士だということを、 一瞬の邂逅で彼女は肌で感じていた。 いや純粋な剣技だけならば、わずかに上を行くかもしれない。 その黒衣の男の握る刃に龍を象った大薙刀が再び唸りを上げる、今度も紙一重で回避するパイフウ。 しかしその顔に満足感はない…あるのは怒り。 「どういうつもり?」 彼女は気がついていた、この男がわざと最初の一撃は紙一重で斬撃を行っていたことを…。 でなければ自分は今頃真っ二つだ。 本気であろう二撃目をギリギリで避けられたのは少し自慢したくなったが。 「敵なら討つが…だが迷い人とも限らんからな…それに主の眠りを血で汚したくはない」 平然と言い放つ黒衣の騎士、その名はアシュラム。 「早々に立ち去るんだな…そしてここの事は口外するな」 「ちょっと! 殺しかけておいてそれは無いんじゃないの?」 ついつい言い返してしまうパイフウ…アシュラムの目が鋭い光を放つ。 「やめておくんだな…利き腕を怪我しているのだろう? それを承知なら俺も舐められたものだ」 苦笑しつつも水を向けてやるアシュラム。 「お互い長生きしたいだろうからな」 その言葉にふっと息を吐くパイフウ。 皮肉にも今のやりとりがパイフウに失っていた自制と冷静さとを取り戻す契機になったようだ。 無論、焦りもあるし余裕もそれほどあるわけではないが。 しかしそれでもこのお世辞にも万全とは言いがたき状況で、目の前の黒き騎士を相手にするつもりはなかった。 まして万全であってもレートはおそらく五分と五分、今の自分の力では、 死力を尽くして何とか相打ちにもっていくのがやっと、それは彼女の望む結末ではない。 スキあらば別だが、それでもこの男がスキを見せることなど期待するだけ無駄である。 ならばここは退くか? しかし、ズキリと痛む肩に顔をしかめるパイフウ、 一刻も早く落ち着いて休息を取らねば肩の傷が慢性化する危険が出てくる…、 だが、ここを出てその落ち着ける場所までたどり着けるのだろうか? アシュラムをもう一度見るパイフウ、考えたくはないが正直このクラスがゴロゴロしてるとして、 そんな状況で往来を歩くのは自殺行為のように思えた、だから…。 「わかったわ、なら屋敷の中までは入らない、だから少しだけ休ませてくれない?」 まな板の鯉、大胆極まりない提案を持ちかけるパイフウ。 無論、彼女には彼女なりの計算もあった。 理由はわからないが彼にはここを動けない理由があるようだ。 なら自分の傷が治るまでついでに弾避けになってもらおう、もし手に余る相手が襲ってきたなら 彼を手伝って撃退するも、逆にそれに乗じるもありだ。 「その代わり誰かが襲ってきたら…出来る限りのことはさせてもらうわ」 (この女…狐だな) アシュラムはアシュラムでとうに自分とやりあうつもりはないにせよ、 こちらの事情を察して盾にするつもりであろうパイフウの魂胆に気がついていた。 力ずくで追い払うのが本筋ではある…だがアシュラムもまたパイフウの実力を察している。 いかに手負いとはいえ一筋縄ではいかぬ相手…今の彼女ならば退けることもできるが、 捨て身の攻撃で相打ちに持ち込まれぬとも限らぬ…狐は最期の瞬間でも油断できないのだ。 それは何としても避けたい。 こちらの手の内は見せた、相手も状態が万全に戻ればおそらくは自ら退くだろう。 狐は機を見るに敏でもあるのだ。 「いいだろう…お互い死ねぬ身のようだ、ならば一時休戦といこう…入れ。 そこに立たれていては目だって仕方が無いのでな…ただし」 アシュラムは刃を床に滑らし器用に線を刻んでいく。 「この線より手前に入れば休戦協定を破ったとみなす。それなりの覚悟をすることだな」 「望むところよ…お互い長生きしたいんでしょ、少しでもね」 アシュラムの言葉に鼻白んで言い返すと、パイフウはそのまま壁にもたれて、 おもむろに銃の手入れを始めるのだった。 カチャカチャと金属の触れ合う音が教会の中に響く。 空の薬莢がパイフウの足元に転がる…ちらりと横目でアシュラムの様子を伺う…水を飲んでいる。 握った薬莢に気を込めて指で射ちだす…狙いはアシュラムの手のペットボトル。 だが、アシュラムは右手に持った薙刀の刃をわずかに軽く翻す…それだけでパイフウの指弾を確認すらせず何事も無いように弾き返した。 薬莢はパイフウが放ったそれと寸分違わぬ軌道で彼女の手の中に戻っていく。 「悪ふざけは止めろ」 「やっぱこの程度じゃ動じないか」 軽く唇をゆがめるパイフウ。 やはり一戦交えるのは避けるべきという思いを再認識するパイフウ…しかし。 もしその時が、チャンスが来たとして自分に我慢できるだろうか? 何かがあってくれればいいと思う反面、何もなく過ぎ去って欲しいと願うパイフウ。 「ねぇ? あんたの主って…」 その時地下でなにやら争う物音、アシュラムの視線が剣呑なものに変わるが…。 『心配はいらぬゆえ、お前はそこにいるがよい…おお1人客が増えたか…ふふふ』 地下から響く声にそのまままた静かに祭壇の上に腰を下ろす。 「で、俺の主とは誰のことを言っているのだ?」 アシュラムの言う主とは、1人はもちろん今は亡き暗黒皇帝ベルド、 もう1人はこの地下に眠っている姫君のことである。 洗脳されているとはいえ、ベルドへの忠誠が消えうせたわけではない。 だがそれに代わる生きがいを与えてくれた地下に眠る姫君への忠義もまた本物。 それが一時の偽りの感情であったとしても、自分に恥をそそぐ機会を与えてくれた以上は、 この身朽ち果てるまで尽くす、たとえ本当の自分が戻ってきたとしても、 せめて夕刻までは身を挺して盾となる…それが彼の結論だった。 しかしパイフウはアシュラムの思いなど、先ほどの質問などもうすでにどうでもよくなっていた。 「何よ…こんなのがいるなんて…」 あの争いの最中一瞬だけ感じた、地下から湧き出るような恐るべき鬼気… まるで冥界から心臓をわしづかみにされたようなそんな気がした。 あれがアシュラムがいう主…なのだろうか? それでも何とか二の句を告げようとするが、もはや言葉は出てこなかった。 【D-6/教会/1日目・12 00】 【アシュラム】 [状態]:健康/催眠状態 [装備]:青龍偃月刀 [道具]:冠 [思考]:美姫に仇なすものを斬る 【パイフウ】 [状態]右掌に浅い裂傷(処置中)、左鎖骨骨折(処置中) [装備]ウェポン・システム(スコープは付いていない) 、メス [道具]デイバック(支給品)×2 [思考]1.傷が治るまで休息 2.主催側の犬として殺戮を 3.火乃香を捜す ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第333話 第334話 第335話 第313話 時系列順 第348話 第311話 パイフウ 第367話 第231話 アシュラム 第367話