約 18,803 件
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/975.html
315 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/21(土) 10 37 49.67 ID DVdNRQp20 季節の移り変わり・・それは目安程度しか思い浮かばない、バイトも大学卒業まで続けられるぐらいに店長の信頼を 勝ち取りながら本業であるレポートや課題をゆるくこなしいる。しかし、勉強が楽しく感じてしまうと課題やレポートとか はすぐに終わってしまうもので退屈になってしまう・・ バイトとかを増やすという手もあるのだが、車の免許を取った以外で大して使うこともなく差ほどが貯金と生活費に 溶けてはいるのだが、余裕はたくさんある。 「・・お前はなんで俺と一緒にこうやって飯を食べるんだ」 「別にそこは私の自由よ。・・でも強いて言うなら気分ね」 「理由を聞いた俺がバカだったよ」 かけうどんを食べながら俺は食堂の窓に映る季節の移り変わりを見つめていた。来年からは3年生になるのだが この時期になると就職のことが見え隠れするようなってくるもので場合によってはこの時期から備えることが大事だ。 とりあえず会社に就職が決まればそれなりに安泰した生活を手に入れられることが出来るので今までどおりに 安定した生活を手に入れることが出来るだろう。 「就職したら結婚とかするの」 「・・下らんな。女体化がどうのこうのとは言わないが夫婦なんて性的欲求は別としても俺の趣味に合わないね」 将来俺が結婚するとしたらお見合いとかでしか出会いがなさそうだ。夫婦なんて性的欲求さえ満たされればそれだけで いい、俺からしてみれば愛などという最も非現実的な感情を信じるほうがどうかしている。所詮は夫婦なんて人間と いう種の発展と互いの利害が一致して初めて結び付けられているものだ、昔から政略結婚というものが存在するが よく出来ているものだなぁっと感心すらしてしまう。 夫婦以前に他人といるだけで煩わしく感じてしまう俺にそういったものを求めるだけで野暮というものであろう。 316 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/21(土) 10 39 12.01 ID DVdNRQp20 「呆れるぐらい現実主義なのね。・・でもあなたらしいといえばあなたらしいわ」 「うるさい、ただえさえお前と飯を食うだけでも微妙なところだ」 「そうね。いい理由をありがと」 相変わらず掴みづらい奴だ、しかしこうやって必要以上に他人と喋っている自分を見ているとどこか可笑しく感じられて しまう。バイトとかでは他人とは必要以上は絶対に喋らない俺が理嗚とうどんを食べているだけで必要以上のことを 喋っているのだから考えるだけで不思議でしょうがない。 「・・そういえば前に講義の帰りに周りから昼飯のことを言われたわ。 “どうしてあの気持ち悪い奴と一緒にご飯を食べているの?”ってね、あなたよほど嫌われてるのね」 「別に嫌われたっていい・・そのほうが俺としてみれば余計なことをしなくて楽だからな」 「確かにあなたは騙される人間よりも騙す人間のほうがお似合いだわ」 「一応、皮肉のつもりだろうが、礼だけは言っておこう」 相変わらず嫌味のひとつを平然と受け入れる女だ。こいつは絶対に人間に備わっているはずの喜怒哀楽の感情が 欠落しているに違いない、俺も人とはどこかずれているとは自覚しているがこいつも人よりどこかおかしい部分はある。 だけどもこいつが俺と同属だなんて考えるだけで虫唾が走るものが感じられるもので妙な抵抗感も覚えてしまう。 やはり人間は同属嫌悪という言葉が一番よくお似合いだと自分を皮肉りながら可笑しくなってしまう。 317 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/21(土) 10 40 36.76 ID DVdNRQp20 「まぁ、それでも俺が一番大嫌いな人間はお前だよ」 「・・同属嫌悪って奴ね。でも、こうして嫌いな人間と一緒に食事を共にしているあなたのほうが矛盾してるわ」 「それも・・そうだな」 これ以上言ったって無駄だ。正論を吐く奴を言いくるめたってどうしようもない・・ かけうどんを食べながら今度は静寂を保つことにする。そういえば俺は女体化をしているのに未だに男のときの 言葉を使っている奴が昔から妙に気に食わなかった。所詮は治療の余地もない病なのにそう無駄な抵抗をなぜ するのだろうか疑問に思えて仕方ないものだがそんな理由を聞いても返ってくる答えなどたかが知れており、 答えが返っててもやれ意地だとか男のときの名残とかという典型的な答えが返ってくる。 それこそが下らないもので俺から言わせてもらえば男から女になっただけの現実を受け入れられないただのしがない 現実逃避に過ぎない。 女体化という病には偏見も持っていないし感染した奴らなんて俺と関係がなかったらどうでもいい・・ ただ、ああいった無駄な抵抗をしているのにだけには同情を通り越して哀れみしか感じられない。 318 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/21(土) 10 41 37.49 ID DVdNRQp20 「・・今度はシカトか。都合の悪いことになったら逃げるのね」 「少し言葉が違うな、逃げてるんじゃなくて下らないことに反論するだけ無駄だということだ」 「結局言葉を変えたって本質が一緒よ。それは」 そういって理嗚はかけうどんを食べながらささやかな突込みを入れてくる、傍から見れば俺たちの会話などはどこか 気持ちの悪く近くにいるだけでも席を替えたいところだろう。事実、俺の周りの席は理嗚が来てからこうして空席になる ことが多く誰も近寄っては来ない。周りの下らないバカ話を聞かなくていいというメリットが存在することは存在するの だが、かえってこいつの話を延々と聞くと鬱々しく感じるから余り俺の心境は変わっていない。 こいつは俺が嫌っているとわかりつつもこうやって昼時になれば俺と一緒に食事を共にするのだから変人といえば 変人だろう。 「ま、もう少しまともな言い訳を考えることね。・・お先失礼するわ」 「できたらもう二度と来るな」 「さぁね・・」 こう言っているんだから無駄だということだろう。相手にしないという方法もあるのだが、どうもこいつの言葉には 本能的な何かを感じてしまうのだから厄介なものだ。
https://w.atwiki.jp/wiki5_bluemoon/pages/25.html
#blognavi なんかもう気絶しそうな毎日です… 週末がんばることにします^^; カテゴリ [Sheba] - trackback- 2005年08月11日 00 24 07 今日はあみゅのクエで報酬を期待した為、ボウバンド集めに専念 -- 夏唯 (2005-08-11 07 39 47) そこで出会った女の子に協力してもらうかわりにレベ上げ手伝うはめに陥る -- 夏唯 (2005-08-11 07 40 34) 眠くてイライラしてたのもあり、めっちゃ素がでてました -- 名無しさん (2005-08-11 07 41 14) 別れ際にしゃべり方怖いよとかいわれたんで腹立った -- 夏唯 (2005-08-11 07 41 52) つかおめー何回死んでるんだよ・・・ -- 夏唯 (2005-08-11 07 42 52) 邪魔すんなら放置のほうがマシだと思った。 -- 名無しさん (2005-08-11 07 43 23) どうやらギル以外の人間には優しくないらしい。 -- 夏唯 (2005-08-11 07 44 01) 今の心境は(´゚д゚)、ペって感じ -- 名無しさん (2005-08-11 07 45 19) 青ちゃんはBBS見てたち悪いなあと思ったwwww -- 夏唯 (2005-08-11 07 46 32) つくちゃんは相変わらず辞めたそうだし -- 夏唯 (2005-08-11 07 47 10) シバちゃんは忙しくて来ないし -- 名無しさん (2005-08-11 07 47 28) ギゼちゃんは昼部だし -- 名無しさん (2005-08-11 07 47 40) 夏に同士六ちゅーーーーんじゃあああああああああ -- 名無しさん (2005-08-11 07 47 54) おもいっきり誤字った。 -- 夏唯 (2005-08-11 07 48 12) いいこと思いついたんだが -- 夏唯 (2005-08-11 07 48 59) まあそれはつくちゃんと相談してからだな・・・フフ -- 夏唯 (2005-08-11 07 49 22) まあどうにもこうにも つくシバ青はコンビで売り出せるほどコンビネーション良く夏をイジメる。 -- 夏唯 (2005-08-11 07 51 08) そして夏のこの切なさは誰もわかってくれないの・・・クスン -- 夏唯 (2005-08-11 07 51 52) どうでもいいけど†紅い月†というギルはどうなったのか不安 -- 夏唯 (2005-08-11 07 52 36) あ~しば漬け食べたいってシバちゃん食べたいって意味じゃないんだけど・・・そう聞こえたらごめんなさい -- 夏唯 (2005-08-11 07 53 37) 青ちゃん頼むからエロギルマスとか狩場で叫びで言わないでwww -- 夏唯 (2005-08-11 07 54 26) 今日はこのへんで・・・明日はインしないかもバイ -- 夏唯 (2005-08-11 07 56 18) シバちゃん仕事がんばれー -- 夏唯 (2005-08-11 07 56 50) 今日はシュラちゃん久々ログイン -- 夏唯 (2005-08-12 08 00 54) ジャイアントバットでシュラちゃんチヌ -- 夏唯 (2005-08-12 08 01 18) 敵討ちにメンバー集合 -- 夏唯 (2005-08-12 08 01 40) 青つくコンビが揃って「しまった!」とまずます後悔 -- 夏唯 (2005-08-12 08 02 35) 案の定イジメ発生。www -- 夏唯 (2005-08-12 08 03 00) シュラちゃんと由美ちゃんののレベ上げ手伝う -- 夏唯 (2005-08-12 08 03 43) いや~ほんとあみゅ頑張るよねえ・・・お疲れ様w -- 夏唯 (2005-08-12 08 04 14) シバちゃんログインみんなで記念写真撮る -- 夏唯 (2005-08-12 08 04 54) またつくちゃんいねえし・・・ -- 夏唯 (2005-08-12 08 05 22) みんな雪崩れ落ちでサブのレベ上げする -- 夏唯 (2005-08-12 08 06 00) そこでうさちゃんと出会いクエスト手伝ってもらった -- 夏唯 (2005-08-12 08 06 40) こりゃーお返ししなきゃとウサちゃんのストカ開始 -- 夏唯 (2005-08-12 08 07 18) あみゅでウサちゃんのレベ上げ手伝う -- 夏唯 (2005-08-12 08 07 49) HP見てびっくり夏の本性があらわに・・・SSでスキャンダル公開 -- 夏唯 (2005-08-12 08 09 08) モルア!いいかげんにしろおおおおおおお!w -- 夏唯 (2005-08-12 08 09 34) どうだ今日は全部名前書いたぞーーーーーーー -- 夏唯 (2005-08-12 08 10 18) あっはっはっはーーー -- 名無しさん (2005-08-12 08 10 30) _| ̄|○ 調子こんだら早速はい書き忘れました・・・ -- 夏唯 (2005-08-12 08 12 05) 寝るか・・・オヤスミ -- 夏唯 (2005-08-12 08 12 30) 写真拝見。なぜにハーレムばかりなのかはさて置こう… -- つくね (2005-08-12 22 53 00) ID停止につき新たなサブのレベ上げ -- 夏唯 (2005-08-13 15 17 17) しばらく夏がつかえない;;; -- 夏唯 (2005-08-13 15 17 37) ギルドいれてくれーーーー -- 夏唯 (2005-08-13 15 17 52) 14まで上げた。w -- 夏唯 (2005-08-13 15 18 19) ハーレムは気のせいです;;w -- 夏唯 (2005-08-13 15 19 03) 今日はサブのレベ上げwようやく16wマジシャンにしたwつくちゃんが手伝ってくれたありがとうw -- 夏唯 (2005-08-15 04 35 03) サブ上げに行ったのは、サブさんをギルに勧誘するためだったのですが -- つくね (2005-08-15 05 12 57) すでにゆきおさんのギルドに入っていたとは! -- つくね (2005-08-15 05 13 18) ということで、夏さんのサブは3日後に蒼い月メンバーになる予定。 -- つくね (2005-08-15 05 13 51) 当ギルド3人目のマジさん、よろしくです(気が早いけど) -- つくね (2005-08-15 05 14 36) ぶはwいいもんいいもん3日間一人でがんばるもん;; -- 夏唯 (2005-08-16 02 38 48) 今日もサブのレベ上げwwwwwww17になったw -- 夏唯 (2005-08-16 05 08 59) 自宅のPCが暑さで壊れてしまい次の給料日以降の復帰になります…;; -- Sheba (2005-08-16 09 40 46) ぶww暑さで壊れるって;;どこにおいといたんだw -- 夏唯 (2005-08-17 07 28 16) 給料日かあ・・・みんな金欠なんだねえw -- 夏唯 (2005-08-17 07 28 42) ひたすらサブのレベあげてますたw -- 夏唯 (2005-08-17 07 29 00) やっぱマジシャンって;;叩いてる感じがしないなあ;; -- 夏唯 (2005-08-17 07 29 42) 嗚呼・・・ズバズバモンスタ斬りたい・・・斬って血祭りにあげたい・・・ウフフフフ -- 夏唯 (2005-08-17 07 30 44) そういえば・・・また紅い月に会ったwメンバ多いなw -- 夏唯 (2005-08-17 07 31 36) 今日は朝からうさちゃんと遊びました。 -- 衛青 (2005-08-17 11 09 59) 深都さんにも会いました。 -- 衛青 (2005-08-17 11 10 38) 今日はいっぱい死にました。(おわり) -- 衛青 (2005-08-17 11 11 47) お仕事いってきます。 -- 衛青 (2005-08-17 11 13 08) お盆休みとったのでお昼のかきこっ -- つくね (2005-08-17 14 05 10) 紅い月、前後の記号がうちとこと同じなんですね。 -- つくね (2005-08-17 14 06 18) しかもみかけたのは+ギーゼラ+さんという方でした。 -- つくね (2005-08-17 14 06 40) 今、サブをスパルタ教育しているのでなかなかお会いできなくてすみません。 -- つくね (2005-08-17 14 09 33) 週末にはメイン中心になる・・・かも。 -- つくね (2005-08-17 14 10 08) いっぱい死にましたってwwwwwwwwwwwwww -- 夏唯 (2005-08-18 00 57 35) ギゼちゃんのサブが紅い月にはいってます☆ -- 夏唯 (2005-08-18 00 58 08) 今日はギルドの人といっぱい遊びました。 -- つくね (2005-08-19 06 21 00) ハーレムなのは仕様だそうですね、夏さん^^ -- つくね (2005-08-19 06 21 23) みなさんお忙しいようですが、体には気をつけて頑張ってください。 -- つくね (2005-08-19 06 21 56) 昨夜はニゥスさんにレベ上げ手伝ってもらったり、 -- 衛青 (2005-08-19 12 11 31) 夏さんにいっぱい死んでもらってw リザスキル上げしたり -- 衛青 (2005-08-19 12 11 56) シュラミスさんも来てたし、にぎやかで楽しかったです。 -- 衛青 (2005-08-19 12 12 21) 夏さんにまただまされたし・・・ -- 衛青 (2005-08-19 12 12 45) 倉庫のことは青もちょっと真剣に考えます。 -- 衛青 (2005-08-19 12 13 06) 今日、うさぎさんのサブがギルドに入りました。 -- つくね (2005-08-21 20 39 44) お名前は「ねこ缶」さん。ひさびさの?マシさんです。 -- つくね (2005-08-21 20 40 24) 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/animehaishin/pages/20.html
ストーリー・概要 放送情報 配信情報第1話「コンシューム大陸 厳しい(ハード)戦争」 第2話「キラー」 関連リンク ストーリー・概要 戦乱続くコンシューム大陸、そこでは、大陸の覇権(シェア)をめぐり、永きに渡りニンテルド帝国とセグア王国が激しく争っていた。「炎帝・マルクス」率いる強国ニンテルド帝国は、マルクスを筆頭に特殊能力を持つ優秀なキラーを多数有し、瞬く間に大陸の覇権を握り、近隣諸国をも傘下に収め、コンシューム大陸の大部分を占有した。一方、有効な打開策を見出せないセグア王国は防戦一方な展開になりつつあったが、ギアの登場で、戦局は大きく動き出していく。(公式サイトより) 原作 クリムゾンアナスタシア・シェスタコワ 監督 柳沢テツヤ アニメーション制作 フィフスアベニュー 制作 teamクリムゾン クール 2012年秋 話数 現在2話 キャスト 岡本信彦、下野紘他 放送情報 ※第2話のみ 地域 放送局 放送日 日時 埼玉 テレビ埼玉 2013年3月31日 24 30~25 00 契約 AT-X 2013年 配信情報 第1話「コンシューム大陸 厳しい(ハード)戦争」 非公式 Dailymotion [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] FC2 [1-1] Nosub [1-1] [1-1] anitube [1-1] B9 [1-1] [1-1] 第2話「キラー」 非公式 Dailymotion [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] [1-1] FC2 [1-1] [1-1] Nosub [1-1] anitube [1-1] B9 [1-1] 関連リンク 公式サイト
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/976.html
73 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 43 41.96 ID Jwx4iLhj0? 「ありがとうございました・・」 いつものように最後の客を愛想よく送り返しながら切りのいいところでバイトから上がる。 同じバイトの奴はまだこれからシフトを入れている予定なので俺よりも遅く帰宅することになるだろう。まぁ、そんなのは 俺にはさらさら関係ないしどうでも良いことなので略しておく。大学に入ったときからこのコンビニのバイトをしている のだが、店長以外の奴らは大学の奴ら同様に俺のことは避けているようだ。 事実、偶然にも俺に対する文句などの陰口を聞いたことがある、ムカつくとか一緒にいるだけでも蕁麻疹が止まら ないとかいろいろ言われていたのだが、所詮は俺に堂々と言えない奴らがああいった陰口でしか文句を言えないの だから怒りというよりも哀れみを感じてしまう。 まぁ、俺も余計な争いや些細なことで店長の信頼を崩さないためにもそのことは黙っているのだから ある意味お互い様だろう。 (さて、もう少しで給料も入ってくる・・適当に貯金して生活費に廻すか) 言い忘れていたのだが、俺は高校を卒業を機に一人暮らしを始めることにしたのだ。いつまでも家にいたら退屈だし、 向こうにもちゃんと頑張っているといってあるのでそう不安になることもなかろう、両親は俺の本性なんて全く気に せずに昔からよく勉強が出来る子供と褒め続けていたので俺に対する認識が甘い。だから俺の言うことなど ほいほいと信じ込んでしまうのだからある意味で平和な人物だろう。 いろいろ思い出しながら作業を続けているといつの間にか時間が来たので控え室に入ると荷物をまとめて帰る準備を していたのだが突然として店長が緊迫した顔をしながら控え室へと入ってきて帰ろうとしてた俺にこう告げてきた。 74 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 46 40.43 ID Jwx4iLhj0? 「あ、小林君。帰りのところすまないけどもう少しだけ出てくれないかな? 入ってくる予定のバイトがどうもばっくれちゃったみたいなんだよ」 「そうですか・・わかりました」 「悪いね」 店長は気まずそうな顔をしてたのだが、俺が出てくれると判断するとうれしそうにしながら控え室を後にする。 脱ごうとしていた制服を再び着なおすと俺は仕方なしに次のバイトがやるはずの時間帯に出ることになるが、 まぁそれでも店長の信頼が増えたということには変わりなく結果オーライというものだろう。 俺は客がいないことを確認すると商品の整理や値札の貼り付けなどをいそいそとしながら作業をしながら ばっくれた奴の分まで働くことにした。ま、そのおかげでさらに店長の信頼が増えているので俺にとっちゃ嬉しい 限りなのだがな それでもう一人の奴はというと俺が続けて出るのをわかったとたんに作業が楽なトイレ掃除を長時間しながら じっと待機をしている。多分俺が帰るまではどんなことがあっても出ないつもりだろう、俺が嫌いなのはわかるのだが それが長続きしているのがばれてしまうと後々自分の首を絞めることになるのだから面白くて仕方がない。 製品の整理をしながら後、そいつがばっくれられて機嫌の悪い店長に見つかるまで何分までトイレ掃除をやり続ける のかと考えていると自動ドアが開かれた音がした。どうやらこんな夜中にも拘らずお客が来たらしい、俺は振り返って いつものようにいらっしゃいませ~と挨拶をするのだが、お客のほうに振り向いた瞬間、俺の目の前には最も会いたくない 人物が立っていた。 75 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 50 13.31 ID Jwx4iLhj0? 「いらっしゃ――ッ!!」 「へー、無様ね・・って言いたいところだけど勘弁してあげるわ」 なんでこいつが俺の店を知っているのかというのはよくわからないが、それにしても嫌なやつに見つかったものだ。 だけども俺はそれを決して表に出さない、表に出してしまえばひょんなところから誰かに見られてしまい下らない 弱みを握られるのは少々勘弁と言うものである。だけども俺は予想外のことで体から出る動揺を抑えきるのに 精一杯だったのだが、こいつに弱みを握られてしまったら後々昼頃に何を言われるのかたまったもんじゃない。 それにこいつだっていつまでも深夜帯のコンビニに居続けられまい、もしかしたら偶然にここに立ち寄ってきた 可能性のほうが高いはずだ。それに気に食わないがこんな奴でも一応は客としての立場は変わりない、 動揺を隠せない体を何とか思考を仕事モードに切り替えてはいるものの予定外のことだからひょんなところから 崩れてしまう可能性もあるから気をつけないといけない、俺だって人間だから想定外のことには弱いし、どうすれば いいのか全くわからないときだってある。だけどもそう長くは居続けないと言う確たる自信と妙な確信もあってか 少し楽観視しているようになってる感じがあるような気がする。 しかし理嗚は俺の予想を覆すかのように適当に飲み物を選ぶとすぐにレジへと向かっていく、長年の経験から俺も それに合わせながら急いでレジへと向かう。 76 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 51 35.60 ID Jwx4iLhj0? 「・・これくださいな」 「全部で760円になります」 「・・どうも」 いつもと同じように物静かなしかめっ面の表情を保ったまま理嗚は店から立ち去っていった。 意外にあっけなかったことに俺は驚きを隠せないのだが、このまま平穏で過ごせることを考えると安いものでこっちと しても私情を挟まずにいつものように気楽に業務ができるのは難しいものかもしれない。 それにしても理嗚はこのコンビニにきたと行くことはこの近所に住んでいる可能性も考えられるがやはりあくまでも 偶然と考えたいしそうでなければ俺としても納得がいかない。 (あいつ・・何がしたいんだ?) 大学を卒業するまであと2年を切ったところ、早いところ就職を決めたら大学を卒業して理嗚すっぱりと別れたほうが それでいい。あいつと一緒にいるだけで胸糞が悪い、後数年我慢すればすっぱりと別れられるものだ。 だったら思い出の欠片として永遠と封印してするのがちょうどいい、後1年間強・・俺は辛抱を強いられながらも 理嗚をいつでも抹消すてもいいように頭を切り替えることにした。 77 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 52 51.61 ID Jwx4iLhj0? 「あら・・ご飯も食べずに勉強なんて珍しいわね」 「・・課題だ。もう少しでできる」 「熱心なこと・・」 いつものようにお盆を置くといつものようにかけうどんを食べ始める。結局あれから数日経ったのだが理嗚は一貫して 俺がバイトしているコンビニのことは何も話すことなく語られることはなかった。それにしてももうこんな光景に慣れて いる自分がどこか恨めしく感じてしまうもので慣習化されて体に染み付いたこの日常が憎々しいのだが、言ったって 仕方ないと思う。無駄なことを考えてる暇があったらこうして課題やレポートに勤しんでいたほうが機が楽だ。 無駄なことを追求するのはそれだけバカバカしく疑問さえ覚えてしまうし、この世には無駄なんてないという言葉が あるのだが所詮そんなのは無駄な現実逃避に過ぎない・・ 「そういえばあなたって生徒受けは悪いけど教師受けはよさそうね」 「・・下らんな」 教師受けしたって別にたいしたことはない、それに教師にすかれたってなんら利点もないし帰って熱血教師みたい なのに構われた日には不快すぎる・・ああいった人種は俺みたいな合理性を嫌いやれ信念とかいろいろな下らない 精神論を発揮するから相手にするだけでもバカらしい。 78 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 55 11.12 ID Jwx4iLhj0? 「そういえばあなたってどうやって女体化逃れたの?」 「お前に話す義理なんてない」 「・・どうせ風俗かそこらあたりでしょう。あなたのことだからお金なんてたくさんありそうよね」 「ああいった奴らは金さえ払えばちゃんとサービスをしてくれる。・・所詮世の中はある程度は金さえ払えば何とかなる」 この世の中、ある程度は金がものを言う時代で世の中の大半を動かしているといっても過言ではない。 だけども金で物事を図るのは下らない価値観にとらわれている奴のすることで、人が動けばそれだけで変わる場合も 多々ある。所詮金だけでは大局を動かすことなどで気やしないのだ・・ 79 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 56 04.64 ID Jwx4iLhj0? 「ある程度は金さえ払えば何となる・・実にあなたらしい答えね、世の中でも達観したの」 「まさか・・だけどお前みたいにムカつくお喋りをする女よりかはマシだね」 「それもそうね。あなたの予想を裏切るようで悪いけど普段の私は物静かな女で通ってるわ・・」 「そんなのはただの遊びだろ、お前の猿芝居に付き合うほど俺も気長じゃない。・・いい加減に本性を出したらどうだ?」 「猿芝居ね・・いい例えだけどつまらないわ。ワンパターンで」 互いに腹の探りあいをしながら食事をする・・こんなことも慣れたものだ。それにしても理嗚は自分の猿芝居を指摘され ても顔もピクリとも動かさずに平然としながら俺のほうをじっと見つめている、未だに俺は葉山 理嗚という人間の 本質をいまいち掴めてはいない。 今のこいつは自分で作り出した仮の人格で俺に接しているのは百も承知なのだが、人工的に作り出した人格にも 限りはあるものでいつかはぼろを出すのかと内心期待していたのだが・・どうも空振りしたようだ。 それにしても一般的な昼食と言うのはよくわからないのだが、会うたびにこうやって食事を食べながら嫌味の応酬や 腹の探りあいをするのもどこかおかしいと思う。俺はまだ心の奥底でこいつと言う人間を甘く見ていた節があったのかも しれない・・ 80 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/25(水) 14 59 45.77 ID Jwx4iLhj0? そんなこんなで俺が課題のレポートを書き終えた同時に理嗚はうどんを食べ終えてお盆を運ぶ・・帰宅を確認した俺は 少し休んでいるとそんなときに理嗚は歩を止め静かに俺の思考を見透かしたかのような言葉で帰りしなの一言。 「・・それに私の本性が知りたかったらもっと頭を柔らかくして観察することね」 「――何だと・・」 「あなたに付け入る隙など確かにないわ。・・だけども私から見ればそれが死角よ」 そういって理嗚は再び歩を進めて器の入ったお盆を元に戻すと食堂から消え去った。次第に俺は体からふつふつと 怒りが溜まってくるのが確認できる、勢い任せに握っていたシャーペンにも力が入ってしまい簡単に折れてしまいそうである。 俺は必死にそれを表に出さないように抑えながら書いたばかりのレポートを見つめるが、常に感情をセーブしながら 物静かな表情を保っていた理嗚からあの勝ち誇ったような顔をされるとさらに怒りが溜まってくる。 今日だけは・・理嗚にやりくるめられた忌々しいものだった。負け惜しみとは言わないものの・・俺はあの女に付け入る 隙を与えてしまった自分に苛立ちを募らせると同時にあの女が恐怖で竦み、怯える顔もどこか見たくなってくるもの なのだが、考え直してみるとあいつとは所詮、大学上での付き合いに過ぎない。それに落ち着いて考えてみると あの女は所詮、浅知恵が深いだけだ・・そう深く考えることもあるまい。 だけども怒りが収まらない俺は唯一頼んだコーヒーを啜りながら再びレポートにチェックを入れていた。 23 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 01 36.01 ID D9L1tjta0? 休日・・課題もレポートもすべて終わった俺にとって休日と言うのはいつもよりたくさんのタバコを吸う以外退屈より 他ならない。こんな日は図書館でゆったり過ごすということも考えたのだが、読みたい本もなければすぐに飽きて しまうのは目に見えているので他のことを考えることにするのだがなかなか思い浮かばんものだ。 体を動かすのもいいかもしれないが、普段の日課であるスクワット100回はすでにこなしてしまったし、かといって 練習量を倍増すれば余計な筋肉痛で学校を休むこととなる。 (ま、たまにはのんびりするのもいいだろう) 雑魚寝をしながら本を読むがいつもとは違ってどうもしっくりこないものもある・・そんなことを感じかけたときに 偶然にも本能的な欲求からか空腹を同時に感じることなり、わずかな脳内会議で空腹感が優先されることとなった。 空腹感を満たすには何か適当に作ればいいのだが、生憎そんなのはめんどくさいし元々、料理は既製品で済ませて いるので知識はあっても作る習慣はないのだ。財布のほうを見てみると最低限のお金以外は全然使っていないと 言うこともあってか半日は外食で賄える余裕があるぐらいだ。 24 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 02 14.59 ID D9L1tjta0? 「・・ファミレスにでも行くか」 秋も終わりを告げそろそろ肌寒い季節となってくる、外にでるにはコートも必要になってくる。寒い中、俺は飯を食べる ため近くにあるファミレスへと向かうことにする。ファミレスからは歩くだけで十分な距離なのだが都心のほうなので 歩いている途中からだんだんと人がたくさん来るようになったのだが、こうしてみてみると何を目的としてこの道を 歩いているのだろうと考えてみたくもなるのだ。 まぁ、人の思考なんてそれぞれだしいちいち考えてしまったら切がないもので、頭を悩ませるだけ無駄なもので 人間観察程度に収めておくのが丁度いい・・ファミレスに着くと俺は喫煙席に座り適当なメニューを頼んでタバコと コーヒーで暇を潰しながら頼んだメニューを待ちながら外の様子を見てみると空は徐々に曇り始めていた。 このままだと雨が降ってきそうだな・・ (雨か・・) 俺は雨の天気が嫌いだ、かといって晴れの天気も好きではない・・何の変哲もない風が少しだけ吹いている 曇り空のほうが心地よく人間に最も適している天気だからだ。そのほうが気分もベストな状態に保てるし気分もいい、 俺はタバコを吸いながら急激に降ってきた雨を見ながら料理を待っていたのだがそれにしても今は混んでもいない のに少し遅い、不機嫌になると余計にタバコの本数も増えてしまうものである。 25 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 05 00.29 ID D9L1tjta0? 「・・お待たせしました、カルボナーラです」 ようやくパスタが運ばれてきたので俺の空腹も満たされるようだ、タバコを消してチーズをかけてパスタを食べると 空腹感が程よく満たされて心地よい。食事で気分でこんな空気を味わったのはここ数日振りだ、大学での昼飯のこと は余り考えないようにしているのだが、たまにはこういった満足のいる昼飯もいいと思う。それにこんなところにまで 足を運んだら確実にストーカーの類に相当するだろう、それだけであんな女と食事をするだけでも癇に障るのだから・・ 久々に優雅で1人で心地よい飯を食べていると1人で食堂で昼飯を食べていたときがどんなに心地よかったのだろう かと思うと言葉に表せない気持ちだ。他人とくだらない会話をするより1人で黙々と飯を食べるのが俺にとっては 何よりもの心地よさだし唯一のストレス発散なのだ。あの女が俺の目の前に着てからと言うものの下らんお喋りに 付き合わされるようになってから俺の中で満足な食事と言う行為がストップしてしまう。だからこうやって1人で食事する のは本当に嬉しかったしできることなら今後もこういう風に一人で食事をしたい。 パスタを食べながら俺は優雅に過ごしていたのだが・・妙な違和感を感じてしまう。 最初はそんな感覚など気にしていなかったのだが段々と気になってしまいパスタを食べるフォークがついに止まって しまう、俺は恐る恐る人気が最も感じる目の前の席のほうに向くと・・思わぬ人物を発見してしまいぱべかけていた パスタを吹きそうになってしまった。 「お、お前は――・・」 「・・ごめんなさい驚かせてしまって」 「そこまで来るともうどうしようもないな。・・本気で訴えるぞ」 本来ならいないはずの相手・・その女は俺の都合などお構いなしにのうのうとしながらドリンクバーで取ってきたの であろう、コーラを余裕の感じられる表情で悠々と飲んでいる。その姿が俺にとってはかなり恨めしい・・ 26 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 06 05.57 ID D9L1tjta0? 「・・今日は御代は持ってあげるわ」 「当たり前だ! ・・お前のせいでせっかくの飯が急にまずくなった」 「そうね・・」 本来ならもう少し言いたいところなのであるが大学の食堂とは違い、ここだと周りの目もあるし目の前にこの女が いたとしても抑えなければならない・・ 「あっ、タバコちょうだい、なくなっちゃったの」 「自販機で売ってるだろ」 「いつも吸っているやつがないの」 仕方なく俺は自分のタバコを渡してやるがここまで図々しいとある意味では感心する。 俺は頑張って味の変わってしまったパスタを食べようとするのだが喉が進まない・・しばらくは俺のタバコを吸っていた 理嗚もハンバーグを頼んだようで到着すると美味しそうに食べていたのが恨めしい・・ ま、こいつに何を言ったって無駄なものなので残ったパスタをゆっくりと食べながら沈黙を保つことにする。 溜まる怒りというのはどうしようもなく体に溜め込むしか方法がない、発散しようにもここだと周りの目もあるし余計に ストレスも溜まってくる。 27 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 09 25.95 ID D9L1tjta0? 「・・もう食べないの?」 「誰のせいだと思ってるんだ・・」 「ま、仕方ないわね」 俺はパスタを下げてもらうと再びタバコで気を間際らすことにしたのだが、平常心と言うのはなかなか取り戻すことが 難しくタバコでもストレス発散が余りできない。それにどうもあの女に食事を奢られるのは考えてみればいささか ムカつくし男としてのプライドとか言う下らないことはいわないものの、どこか納得のいかない部分を覚えてしまう。 ハンバーグを食べ終えて再び俺からタバコを取り上げてそのまま吸うのだがどうも腑に落ちない部分がある。 そんな気持ちのままでじっと静かにタバコを吸っていた俺たちなのだが、いつものように理嗚はいつかの食堂のごとく 俺に話を振ってきた。このまま無視をしながら静寂を保つのも簡単だが周りの目もあるのでここはおとなしく 話さなければならないだろう、全くもって忌々しい。 「・・そういえばあなた女体化した人が嫌いなのよね」 「そうじゃない、女体化したくせに男のときの頃の言葉を使っている奴が嫌いなだけだ」 「結局は一緒じゃない。あなたの言葉には矛盾が多すぎるわ」 「うるさい・・」 人に正論を吐かれるのはなかなか好きになれないのだが、ことこいつに関してはそれが最も濃くでてしまう。 元々こいつとは相性が悪いと言うこともあるのだがそれだけでは納得のいかないものがありよりいっそうな警戒心を 俺の本能が敏感に感じ取っていた。 “コノ女ハ危険ダ・・”電気信号のごとく脳内でこの言葉がインスピレーションされるのだが、理嗚はいったい何を考え この俺に近づいているのかだんだんわからなくなってくる。 28 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 10 54.35 ID D9L1tjta0? 「さて、帰りましょうか・・」 思考を遮るかのように理嗚は立ち上がるとそのままレジのほうへと向かい始めた、俺もそれに合わせながら一緒に 会計に付き合うがそこで俺は驚くべき光景を目にすることになる。会計の際にチラッと理嗚の財布をみたのだが何と 支払いをクレジットカードで済ませてしまいやがった、俺でも金に余裕があるとはいえカードは余り使わないほうだし 何よりもその利便性の裏には大きな落とし穴があるので余り多用はしないほうなのだが・・理嗚の財布にはまだ たくさんのカードがあるようである。 会計が終わった後、すでに俺の視線に気がついたのか理嗚は俺の言葉などお構いなしにカードのことを少し説明した。 29 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/07/28(土) 21 11 50.44 ID D9L1tjta0? 「あ、これね。驚くのも無理はないけど・・」 「金持ちの自慢話なんて聞きたくないね」 「金持ちね・・確かに家のほうはそうかも知れないわね」 「家・・だと?」 今まで謎だらけだった理嗚の経歴が少しずつだけ見えてきた気がする、大学生にクレジットカードを持たしているの だから家のほうは相当の金持ちなんだろう。だけども虚勢の上で実際にはいくつものバイトを掛け持ちしながらカード 破産をギリギリ防いでいる馬鹿なやつとも取れなくもない。 でも後者の場合は明らかに見栄っ張りの性格が濃く出ている場合に相当するからこいつの性格からしてありえない のだが・・未だに性格がわからないのに決定付けるのは早計というやつであろう。 「・・そんなに考え込まなくても時期に教えてあげるわ」 「別にいい、お前の下らん過去なんか聞いたってためにならん」 「それも・・そうね」 結局この日、昼飯を食べにファミレスで理嗚別れた俺はまともな休日を送れずじまいであった・・
https://w.atwiki.jp/lovefessional/pages/47.html
【原作】六青みつみ 【イラスト】藤たまき 【キャスト】 ショア・ランカーム 福山潤 オルソン・グレイ 鳥海浩輔 エルリンク・クリシュナ 森川智之 キール 下野紘 サンミル 奥田啓人 レノ 畠山美和子 ロアン 志村知幸 フレイム 田坂秀樹 ダイラ 高田べん 本部長 前島貴志 ライラ 森永理科 船長 小原雅 主任 飯田浩志 【発売元】サイバーフェイズ CPCD-1071 / 海王社ガッシュ文庫刊 【発売日】2006年09月08日 【あらすじ】 天変地異、未曾有の大洪水に襲われ地上のほとんどのものが失われてから1,200年。 人類は、ひとつの陸上都市と4つの海底都市をつくり上げ、均衡と平和を保っていた― ショア・ランカーム『本当に役に立たない人間なんていない。人は誰かを支えるために生まれてくるんだ』 ―人類を無類なき悲劇と恐怖に陥れてきた『水腐病』から、全人類を救うたった一人の存在。完璧な抗体保持者。 全滅した島から救い出され、アストラン研究所で特効薬開発のために15年を過ごしたショア。 共に在ったのはエルリンク・クリシュナ――― 養父、そしてショアが『愛』と呼ばれる関係なのだと信じて疑わなかった男“エリィ”。 だが、特効薬の生成と大量生産に成功し、人類の救世主として崇め奉られるようになった彼の口からもたらされた言葉は…… 「あの子は、もう完全に用済みの存在です」存在そのものを隠蔽され、壊れた心を抱えたまま軟禁状態に置かれたショア。 そんな彼が見つけた一筋の光。それは資料用の記録盤に収録されていた、ある青年の姿だった。 太陽のような笑顔、澄んだ碧い瞳。やさしそうな声……。一度でいい、この笑顔が見てみたい。 ショアは最後の望みを胸に飛び出した。海底都市へ。オルソン・グレイの元へ―――
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/982.html
53 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 24 12.79 ID DOkVAh9O0 「相変わらず機械のように頑張るのね」 「・・お前もよくバカみたいにここに来るな」 「そうね、もう何年になるかしら・・」 この女と出会ってからというもののどこかしっくり来ない部分が多々ある。思えばいつしか俺はくだらない考えで 悩むことも多くなってきたしどうも思想も空回りしてくることも多いと思う、数日後に控えてある企業との面接に 影響が出なければいいのだが・・そういえば理嗚は大学を進学しても就職はせずに家のほうの手伝いをすると いっていたのだが、どうせ親のすねかじりでうまいこと就職でもするのだろう。 こいつの家は金持ちらしいのでそういった面では安心なんだろうが、だけどもコネ入社と言うものは余り良い気持ち でもないし周りからの視線もあまり良くないもので下らない恨みさえ買われることがある・・それにこの女に それなりの能力があることさえ疑問だ。 「おい、お前は卒論はいいのか・・」 「別に普通にやっているわ。ただあなたみたいに機械的にやらないだけよ」 卒論というのはそう楽なものじゃない、その膨大な量をこまめにこなすことが肝心なのだが普通にやっていっても 時間はかかるものだしそれなりに苦労するものだ。俺みたいに暇さえあればこまめにやるのが常なのだが・・ この女はどうも何らかの方法で一気にやっているのかと思ってしまう。 卒業したらこの女とはもう二度と会うことはないと思うが、こいつの存在感というものはそう簡単にはかき消せる ものではなく、仕事を続ければ忘れられると思う。 スーツのほうも購入は済ませたしバイトのほうもやめる手立てはつけてきたので後は企業との面接に全力を注ぐ だけだ、数日後にはとある企業との面接も控えてあるので気持ちを整えて落ち着いた行動を心がけたらいい評価に 結びつくと思いたい。 54 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 25 08.31 ID DOkVAh9O0 「相変わらず余裕があって羨ましいわ」 「お前にだけは言われたくない。ま、大学を卒業したらはれてお前とおさらばできるから良いのがな」 「ここ数年・・嫌われ者も悪くなかったわ」 感慨深く語りながら理嗚はかけうどんを食べているが、思えばなんでこいつは俺と一緒に飯を食べているのかと 思うと少しだけ疑問に覚えてしまう。もはやきっかけなどはどうでもよくなって考えるだけでも下らないものなのだが、 この女はなんで俺みたいな奴と腹の探りあいをしながら食事を続けて苦痛になるとは思わないのだろうか? お金持ちならそれ相応の相手もいるはずだし、何よりも俺とは違ってこの大学でも友達がいるようなのでそいつらと 付き合えば良いと思うのだが、なんでこうも昼時に限って何が楽しくて俺と他愛のない腹の探りあいをしているのか 疑問を覚えてしまう。 だけどもはっきりしているのは俺はこの女を好いてはおらずむしろ嫌っているということであった。 「あなたとこうやって食事をするのも後数ヶ月・・今思えば自分でもよくわからないわ」 「俺にとっては迷惑以外何者でもない。勝手にお前がついてきてからどこか調子が悪い」 「ならあなたが壊れるまでずっといてあげてもいいわよ」 「断固拒否する。それだったら死んだほうがましだ」 こんな女に付きまとわれるぐらいなら死んだほうがはるかにましであろう。それだけこの女は俺にとってかなりの 有害物質に近いものでありこのまま共に過ごしていると俺が俺でなくなってしまうという奇妙な恐怖感に包まれて しまうもので言いようのない不気味さがこの女からは常に発せられるのである。 55 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 25 36.69 ID DOkVAh9O0 「・・いいわね。あなたならどの企業も受かるでしょうね」 「お前にそういわれると余計に不安になる」 面接に卒論・・この重大なイベントをこなさなければならないだろう。あらかじめ小論文も書いておいたのだが後は はきはきと応対して行けば大丈夫だろう、俺は兄みたいにまともな職業につかずのうのうとしているのは勘弁だ・・ 俺はあいつとは違って普通に生きて安定した生活を送るのだ、そこには充実さなんてものは必要ない・・仕事を ただひたすらこなせればそれだけでいい、それだけ楽しみやそういった感情も必要はないだろう。 「ま、せいぜい頑張ることね」 「お前に言われるとどことなくムカつく」 「そう、だったら余計に頑張らないとね」 憎たらしくもかけうどんを食べ終える理嗚に心なしか自分の将来に不安になってくるものである。 56 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 26 48.48 ID DOkVAh9O0 結局、そんなこんだで月日と言うのはあっけなく過ぎ去っていくもので企業の面接の日がやってきた。 流石の俺も会社との面接ともあってか緊張は隠せないもので何度も深呼吸をしながら自分の心境を整えると 真剣な気持ちで企業との面接に望んだ。初めて着る背広に少し動きにくさを感じてしまったのだが我慢すれば 何とかなるだろう。面接官の質問にてきぱきと答えると俺は妙な自信めいたものを徐々に感じていた・・ 「ではこれで質問を終了させていただきます。遠いところをわざわざご足労ありがとうございました」 「いえ、これで失礼します・・」 深々と礼をすると静かに会社を後にする。この会社で5社目だがまだほかにも面接をするところはあるのだが 無理は禁物だ、その上これに卒論もこなさなければならないしバイトを辞めて正解だったようだ。最後の出勤は 実に呆気ないものであったが最初から愛着などなくバイトはバイトと割り切っていたのでそれほど寂しくはなかった のだが・・しばらくは家でのんびりと結果を待ちながら過ごせばいいだろう、夏も過ぎて秋も深まる季節・・徐々に 卒論の提出日も近づいてくる中で追い込みと言う試練が待っているだろう。 (結果がでたらあの女ともおさらばできるな) 早く俺は大学を卒業して理嗚との接点を絶って今までのように誰かを利用しながらも1人でこなしながら生きて いたいものであの女と一緒にいるだけでどこかおかしくなってしまう。今でも自分には若干の違和感を抱いている のだから仕方ない、早く結果がくればいいのだが採用しているとは限らないしもしかしたら今まで面接をした 会社に落とされている可能性だって大いに考えられる。でもそれらを差っぴいてももう二度と理嗚の顔を見なくて もいいのは俺にとっては何よりのメリットだ、それに早いところ家に帰って卒論をまとめなければならない。 もう少しで手が届くであろう自分の未来を予想しながら卒論をまとめるために家へと戻るのであった。 57 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 27 54.80 ID DOkVAh9O0 時間と言うのは非常に安定しており捉え方次第では短くも長くも感じるであろう、だけどもこう大変な時期ではあるが こうも落ち着いていられるのはどうしてなのだろうか・・? 多分心の余裕が働いている証拠だと思うが、どうもよくわからない部分もあると言えばあるもので人間と言うのは よくできているのだなぁっと思ってしまう。 「もう冬も近づいてるわ・・」 「あと少しでようやくお前ともおさらばできるな。俺にとっては待望の季節だ」 「それ以前にその台詞は就職も決まって卒論もこなしている人が言うことで成り立つものよ」 確かにこいつの言うようにそういった言葉はすべてが決まっている奴が言うべきものだろう。あの時の面接から かれこれ数日ぐらいで結果が来て見事に採用通知が届いてきたのにはある種の感銘を覚えたほどだ。 卒論もこないだに提出したばかりだし俺には悠々としながらも約束された将来が待っているので穏やかに流れる 時間に身を任せながら過ごせばいいだけの話だ。 「そういえば卒論は何のテーマだったの?」 「別になんだっていいだろ・・」 「頭が良いあなたならきっと大丈夫そうね。・・私はね女体化について調べてみたわ」 なんら脈絡もなく話を切り返してくるこいつにはもううんざりしているのだが、もう何年も一緒に飯を食っていると 自然と慣れてしまっているので考えるのはやめている。それにしても女体化について調べ上げたと言うのに少しだけ 興味が沸いてしまうものだ、俺も前に論文のテーマで女体化について調べ上げていたのだが女体化と聞くと兄の 事を思い出してしまいどうも嫌気が差してなかなか進まなかった。最近は小説とかでも女体化を主とした話が 多数出ており、この病気がどれだけ世間に知られているか容易に想像できてしまう。 58 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 29 13.77 ID DOkVAh9O0 「女体化シンドノーム・・その名のとおり15、16歳で童貞を保っていたら男性から女性の体へと変貌してしまう病気ね」 「・・そんなの文献で腐るほど書いてある。ついでに指摘するとこの病気が発見されたとき、国連の命令染みた 決定で加盟国全部に女体化への人権保護やアフターサービスなどを盛り込んだ法律を制定させたな。 世界の歴史が急変に変わったのはいいが皮肉なことに未だに世論からは差別や偏見があるから笑えるものだ」 「わざわざご説明ご苦労様。あなたの言うように女体化は未だに差別や偏見もあるわね・・私はそこを中心に いろいろ調べたわけ。女体化と聞くとどこか抵抗感が沸いてくるものでしょ? いくら女体化したとはいえ 元男性・・まさか自分がゲイだなんて思ってしまい自然と萎縮的になる。だから女体化した人は独身が多い・・ だけどももう数年したら女体化も日常的に染み付いてそういったのが減ると思うわ」 「立派なご説明お疲れさんと言いたいところだがな・・それはあくまでも男性から見た構図だろ? それだけじゃ話にならないな・・」 「まさか? ちゃんと女性からの視点も調べてあるわよ。女性から見て女体化した人間はどこか存在が中途半端で 理解しづらいものがあるらしいわ・・何せ女体化しても元男性ってことにはなんら変わりないわ。 まぁ、それが差別や偏見につながるとは限らないけどね」 それからもさまざまな角度で女体化を語る理嗚に俺は納得しながらもどこか引っ掛かるものを感じてしまうのは 何故だろう・・? 理嗚の卒論は俺が調べた頃よりもはるかに充実しており、納得してしまうものもある。流石に俺よりも念入りに 女体化について調べているから当たり前と言えば当たり前なのではあるだが、まだ女体化が定着して数十年・・ 満足な書籍も少ない中でよくこれだけ調べられたのには感心もしてしまう。 59 名前: ◆Zsc8I5zA3U? 投稿日: 2007/08/23(木) 01 29 51.89 ID DOkVAh9O0 「以上よ。何かご質問などがあれば受け付けるけど・・」 「いや別にない。それにしても女体化なんてあんな下らない病気をよく調べる気になったな」 「大した理由じゃないわ。そうね・・強いて理由とすればあなたと女体化の話をして興味を持ったって所かしら?」 確かにこいつとは女体化について話したことはあるが何も興味を持つほどまでに話したことはない。 俺は女体化した奴が嫌いとは言っていたが、それはあくまでも女体化しても男言葉を使う奴であってそれがなければ 別にどうだっていい・・それだけで卒論のテーマを女体化にしていたのはなんだか納得のいかない理由だが こいつの行動にいちいち考えていても仕方のないことだろう。それに後こいつといるのも数ヶ月ちょっとだ、だったら 好きにさせておけばちょうどいい。 すべてが決まった俺はただひたすら新たな生活の準備をしながら過ごすだけでいいのだ。
https://w.atwiki.jp/loveplus/pages/36.html
キャスト: (オルソン・グレイ)鳥海浩輔×福山潤(ショア・ランカーム) 森川智之(エルリンク・クリシュナ)/ 下野紘 (キール) 奥田啓人(サンミル) / 畠山美和子(レノ) / 志村知幸(ロアン) 田坂秀樹(フレイム)/ 高田べん(ダイラ)/ 前島貴志(本部長) 森永理科(ライラ)/ 小原雅(船長)/ 飯田浩志(主任) 発売日: 2006年9月8日 2枚組
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3349.html
力無き参加者がまず目指すだろう場所・軍事施設。 数多の銃火器が備えられている施設の外で、一人の男が怒りを露にしていた。 「………ふざけたpartyだぜ」 彼―――『奥州の独眼竜』こと伊達政宗は、素直に怒っていた。 戦国乱世の真っ直中から参加させられた戦国武将・伊達政宗。仮にも一国を納める者にとって、仲間を放り出してこんなところに呼びつけられるのは気に食わなかった。 しかもその内容もまた、悪趣味かつ下劣極まりない最低のもの。 「ナメやがって――――外道が、てめえは俺が叩き斬ってやるよ」 静かに、しかし全てを震え上がらせるような冷たい声で告げる。 『てめえ』とは、この殺し合いを運営する異常者共だ。 彼女らは不躾にも150人近い人間を集め、殺し合えなどと宣った。 そして、反逆を示した根性のあるチャイナ服の少女を惨殺した。 政宗にとっては、今まで見てきた外道たちと同じ、それ異常にさえ見えた。 尾張の第六天魔王・織田信長やその家臣の明智光秀。 彼らに抱いた敵意と嫌悪を、年端もいかぬ少女に容赦なく向ける。 「さぁて行くぜ――――Let s party!!」 主催者への明確な反逆の意志を示し政宗は叫ぶ。 奥州筆頭伊達政宗は、猛る。 □ 「殺し合いか………ふむ、悪くはない話だ」 時代を錯誤したような袴姿に、腰まで伸びている蒼い長髪。凛々しい顔立ちに長身な体駆の『侍』はそう呟くと不敵な笑顔を見せた。 万能の願望器『聖杯』をめぐる戦いの中で敗北し命を落とした筈が再度生を与えられ、挙げ句殺し合いなどに呼ばれたことにはさすがに少々理解し難かった。しかし、一人の侍である彼にとって、この殺し合いは悪くない宴だった。 強者との戦いを求める侍・アサシンのサーヴァント『佐々木小次郎』。 この殺し合いでなら、彼を奮い立たせるような猛者と剣を交えられる。 即ち、彼の望みは既に叶ったも同然なのだ。 「(常世に未練はないが、どうもこの身は神に愛されているらしい)」 アサシンは神様とやらが自分を愛しているとしか思えなかった。 二度の死を越えて尚、強者との戦いが自分を待ち受けるのだ。 たとえ地獄に落とされようと構いはしないが、その分暴れよう。 戦いを求む剣士を奮わせる魅力的な宴を、精々楽しむとする。 彼は、この喜劇の役者になることを決めた。 「では、遠慮なく愉しませて貰うとしよう」 先ずは剣か刀が無くては始まらない。 デイバックの中から取り出した一本の刀を視認したその時―――。 「Hey!!そこのアンタ!!」 「………?」 戦いの火蓋は早くも切って落とされた。 ■ バトルロワイアルを潰し、主催者を討伐する意志を固めた政宗。 その彼は今、支給された一本の刀を持って情報収集に赴いている。 誰でもいい、バトルロワイアルについての手がかりさえ見つけられれば。 実質アテなど無い、不明瞭な何かを求めていただけ。 しかし、それが幸か不幸かアサシンを発見することに繋がるのだった。 片腕には一振りの刀が有る。 アサシンは暗殺者にありながら不意討ちという行為を行わない。 だが政宗には分かった。発見した男が相当―――否。神代の手練れだと。 先手を打つに越したことはない、政宗はそう思って声を掛けた。 「アンタ、このDeath Gameには乗っているか?」 「乗っている――――但し、求めるのは強者との戦いのみだ」 物静かな応答だったが、そこには政宗への確かな興味が篭っていた。 政宗が相当の手練れだとアサシンの目は見抜いていたようだ。 不意討ちを仕掛けてこなかった―――なら、殺し合いには乗っていない。 姑息な手を用いない相手。 「OK………闘る気って訳か」 伊達政宗の目付きがキッと鋭くなる。それはまるで本物の竜のように。 眼帯の剣士。アサシン―――佐々木小次郎には、心当たりがあった。 三日月の付いた兜に眼帯。この特徴的な風貌、一人しか思い当たらない。 彼が生まれるより僅かに前に乱世を駆け抜けた蒼き竜。 想像よりも大分奇抜な人物だったが、小次郎の心を躍らせる。 「まあそうなるな―――――貴殿、相当な手練れと見た」 小次郎はにやり、と不敵な微笑みで政宗の敵意を迎え撃つ。 こいつ、やっぱり只者じゃねえ―――政宗もまた心中で呟いた。 相手として不足無し。互いにそう結論付ける。 「さて。ではそろそろ始めるとするか?蒼き竜」 「俺のことを知ってんのか――――上等。じゃあ一丁派手にいくか」 ExcitingなParlyをよ、と口火を切り、冷たい緊張が空間を支配した。 青き侍と青き竜。 本来の歴史では有り得ぬ、二人の武士(もののふ)の衝突。 殺し合いとはいえ、両者共に誇りを持つ剣士。 「奥州筆頭、伊達政宗――――――――――――――」 「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎―――――」 闘志と武士の笑みが交差した。 「「―――――推して参る!!」」 激突。 凄まじい金属音がして、二つの『あお』が衝突した。 素人なら目で追うことさえ難しい高速の剣戟が繰り出されては止められる。 地に罅が走り、大気が互いの得物の衝突の度に悲鳴をあげる。 二人の得物はどちらも相当の代物だ。政宗の持つは『デュランダル』と呼ばれる伝説の剣。対して小次郎の持つは奇しくも彼の『右目』の愛刀。どちらも業物であることに変わりはないのだが、政宗のデュランダルの方が僅かに上回る。 しかし、小次郎はサーヴァントだ。 聖杯に選ばれた英霊。その取った武器もまた、魔力を帯びる。 二人の剣士は打ち合いの中同時に悟る。 "この戦い――――武器の優劣など些事に過ぎない" 「どうした独眼竜。押されているのではないか?」 「言ってろ、アンタこそ剣の威力が弱っちいんじゃねえか!?」 どちらの言うことも間違ってはいない。 伊達政宗は剣を交える内、眼前の侍の恐ろしさを感じ取る。 何と言っても速い。 その斬撃の速度は政宗のそれを明らかに上回っている。 佐々木小次郎も同じく、伊達政宗が『竜』と称される理由を理解した。 一撃長々と防御に徹していては小次郎が敗北することは目に見えている。 ならば、より手数を増やして圧倒するしかない!! 高速の佐々木小次郎と重撃の伊達政宗。 互いに一歩たりとも譲歩する気はない。 「ハッ………アンタ、最高にCoolだ……だからこそ面白ぇ!!」 蒼い気のようなものを纏う政宗。小次郎はそれを見て感嘆の息を漏らす。 魔力は感じない。この男が英霊の類でないことは確かだ。 しかしこの蒼き闘気。これはただの人間に出せる物ではない。 彼はいずれ、サーヴァントになり得る逸材だ。 自分のような半端者よりよっぽど聖杯に相応しいだろう、と彼は思う。 だからこそ、だ。 この男には、持てる全ての力を以て引導を渡さなければならない。 真上に跳躍。宙返りのような動きで政宗から離れた場所に着地する。 「独眼竜伊達政宗。貴殿との戦い、我が奥義にて幕を下ろさせて貰う」 佐々木小次郎の持つ刀が、月の光を浴びて鈍く煌めく。 不味い。何かが不味いと、政宗の中の何かが警鐘を鳴らす。 今までに、尾張の魔王と戦った時とは別の、経験したことのない感覚。そうだ。あれが純粋な『恐怖』と『嫌悪』なら今の感覚は『震え』。一撃が重い。故に疲労する。 武者震い。誇り高き武士の、最上の興奮。 この肉体を震わせる得体の知れない感覚は、喜びに近いのだろう。 迎える。眼前の侍の究極の一撃を、竜の究極の一撃で迎え撃つ。 「上等だ!!来やがれ、侍野郎が!!」 「秘剣――――――――――――――――――――」 佐々木小次郎のシルエットが揺らぐ。 之より攻め入るは全てを喰らい尽くす蒼き竜の巣穴。 竜の鱗を剥ぎ落とし、その尾を切り離し、最後に頭を叩き割る。 飛ぶ燕を両断した伝説の秘技にして剣戟の極地を、解き放つ―――!! 「――――――――燕返し!!」 風が、吹き抜けた。 ■ 「これは手厳しいな」 佐々木小次郎の腹から、鮮血が迸っていた。紅く紅い、血が。 地に片膝を付き、額に脂汗を浮かべて自分に一太刀入れた蒼き剣士を見る。 ただ、立っていた。追撃を加えようにも、彼の体もまた限界らしい。 その内ぐらり、とそのシルエットが揺らぎ、うつ伏せに倒れ伏した。 さて、と呟き、佐々木小次郎――――アサシンは夜空を見上げた。 月が美しいことだけは今も昔も変わらぬな、と場違いなことを言う。 そして、彼は仰向けに倒れた。 意識は残っていたが、猛烈な睡魔に襲われている。死の間際、なのか。 走馬燈は見えない。ならばこれは死に際ではないか、と彼は呟く。 そして、薄れてゆく意識の中で一言、確かにこの世界に告げた。 「常世とは良きものだ――――やはり、まだこの命を散らすには惜しい」 そうこの世界を讃え、静かに意識を失った。 ◇ しかし。ここで彼らの物語は終わらない。 幸運にも彼らには救いがあった。しかも救いをもたらすのはただの、何の力も持たない少女。戦国武将の力強さも、侍の速さも、英霊の高貴さも持たない。 慌てて倒れている二人に駆け寄り、支給されたとある物を惜しげもなく使う。 『月の石』。 触れた箇所の傷を癒すという不可思議極まりない物質。 英霊であるアサシンの傷さえ癒す、まさにこの世の外の理を持つ。 二人の顔色が見る見る良くなっていき、少女は安心したように微笑む。 「よかったぁ~。死んじゃってたらどうしようかと思ったよぉ~」 彼女は何の力も持たない。 だからこそ、二人の武士を救うという結論に至った。 彼女の名を、神北小毬という。 【深夜/D-6】 【伊達政宗@戦国BASARA】 [状態]気絶 [所持品]デュランダル@とある魔術の禁書目録 [思考・行動] 0 殺し合いの打倒。 1 ……… ※アニメ版第一期終了後からの参加です 【アサシン@Fate/stay night】 [状態]気絶 [所持品]片倉の刀@戦国BASARA [思考・行動] 0 強者と戦う。 1 ……… ※Fateルート、死亡後からの参加です 【神北小毬@リトルバスターズ!】 [状態]健康 [所持品]月の石(残り一個)@金色のガッシュ!、不明支給品 [思考・行動] 0 殺し合いなんて良くないよねぇ~。 1 理樹くんたちを探そう ※小毬ルート後からの参加です
https://w.atwiki.jp/bluebardparty/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/418.html
ここはスラーグ東部の丘の上に有るユングナプ陸上大学浮遊機関解析研究所。 かつては諸島南部文化についての論文で一躍有名になったこの大学も、洋上都市への人口流出で年々倍率が下がり続けている。 「...諸君、今日ついに空軍本部から予算削減が言い渡された。」 所長は絶望してるのか、諦めているのか...多分その両方だろう。そんな表情をしながら皆の前で言い出した。 あぁ、遂に来てしまった。薄々気がついていた、ヤムイグル洋上大学では航空機用浮遊機関暴発技術開発などの華々しい研究成果が出ている、スポンサーが次々と移動するのは当然の事だろう。 そんな状況の我が研究室は予算の8割を空軍に頼っていた、そして今回頼りの空軍も遂に予算削減を決定した。 打ち切りではなく削減で済んだ事を感謝するべきだろうか? 朝のミーティングが終わるとまた一人が退職願いを出した。今年に入って17人目だ なんせ給料が3カ月も支払われていないのだ、最近では寒波の影響で日用品が高くなっている。私も最近では魚抜きの生活が続いている。 洋上首都建艦で海は戦時にも関わらず好景気だし、今なら直ぐに転職先が見つかるだろうし正しい判断だと思う。 「先輩は泥船に残るつもりなんですか?」 隣の席のヤエミナは小声で私に訊ねてきた。 「もう少し残ろうかと思う」 「何故です?」 「アイツが愛おしくなってしまってね」 窓の結露を袖で拭き、外に停泊してる船を見る。 外では我が国初の空中艦...になる予定の船が停泊している。 重浮遊機関を2つも積んでいるが、10000lcどころか9000lcすら超える事が出来ていない。 「11年間も関わってきたら何だかね...」 「先輩がそう言うなら私ももう少し残ろうかな」 「まだ双子に行ってない子がこんな泥船に乗ってちゃダメでしょ」 「双子を三回も行って独身の人に言われたく無いですー、それにまだ学生だから親からの仕送り有りますからね。」 「ハハハ、生意気言うな。結婚より研究を取っただけさ。」 「オデッタ新聞が届きましたよー」 軍服を着た青年が研究室の窓から新聞を投げ入れてきた。 私の今日の作業が始まる。 オデッタ新聞とはつまり新聞の見た目をしたスパイの定期報告書だ。 なぜオデッタ新聞と呼ばれるかと言うと、オデッタは諸島が作った民間諜報社の聖地になっているからだ。 警察機関も軍もマトモに機能していないので捕まる事は無いし、徴税システムもマトモに機能していない、そもそもオデッタに徴税されるような諜報力の会社はすぐに潰れる。 たとえ、アーキルやフォウでスパイが見つかっても諸島は手を汚さずに済む。捕まったとしても漏れて困る情報は民間に流れていないので痛くも痒くも無いのだ。 最近はオロゾロ諜報社のスパイすら使えなくなり、特別探偵社のスパイを使うようになった。 特別探偵のスパイは政府上層まで送り込めて無いらしく、目新しい情報は無かった。こんな情報に高い金を払ってると思うとゲンナリする。 オキクルミ国営情報局のスパイを使えていた頃が懐かしい。国営のスパイは安く優れた情報を売ってくれるので、貧乏研究室は大助かりだったのだが最近はフォウ王国の破壊工作に忙しいらしく、情報競売に登場しなくなってしまった。 結局今月は先月の情報を頼りに研究することになりそうだ。 きっとヤムイグル洋上大学は今月も高い金を払って良質の情報を購入しているのだろう。 夜、自宅に帰る前に街に寄った。既に首都の疎開は完了しており、残された街並みは三年前とは比べ物にならないほど寂しくなっている。 飲み屋に入ろうと思ったが、懐が寒いので食料品店で晩御飯の具材を買う事にした。 寒波の影響で食料品は軒並み高価で、特に南方の魚は非常に高価になっている。 仕方ないイヨチクを2,3本とパルエウオのトバを買って帰ろう。 寒波の影響で本島近海までイヨチクが侵食しており、イヨチクだけは寒波前よりも安価に販売されていた。 この寒波が終わった時はイヨチク伐採技術の研究が流行するだろう、マルダル沖の海底は既に1年半以上も手入れがされていないので既に取り返しのつかない段階まで竹林が広がっているのではないかという噂も耳にした。 次に研究するならイヨチク方面も良いかも知れない。きっとスポンサーも沢山つくだろう... ーーーーーー 「1044番パルス、出力1923lc!」 「これもダメか...皆は休憩していいぞ」 博士が溜息と共に昼休憩が始まった。 遂にスパイから得たパルス信号を全て試し終わってしまった。 アーキルの杜撰な情報管理から、何故浮遊機関のパルスコードを盗めないのか...やはり民間諜報社は駄目なのだろうか。 現状、重浮遊機関を使っても4000cl程度しか出力を取り出せていない。これでは空中艦を作れない。 今日の食堂の日替わり定食は魚饅頭だ。寒波が来て食料生産が不安定な中で、更にフォウと戦争中なのだ。 段々と魚の比率が減ってきているのを感じる。今日の魚饅頭はいったいどれだけ魚成分が有るのか... 既に商船は殆ど来なくなり、日用品や南方の美味しい魚はどんどん見られなくなってきている。 「先輩何一人寂しく食べてるんですかー」 ヤエミナが隣の席に座ってきた。 ズーーン...ズーン...ズーーン... 遠くで砲撃の音が聞こえる。フォウ陸軍と首都防衛艦隊が戦っているのだろう。 あんな老齢艦ばかりの艦隊でもそれなりに戦えるのだなと、改めて驚く。 既に首都防衛戦が始まって2カ月が経過した、始めは驚いたが定期的に来る砲撃は日常の物となりつつある。 「飽きないんですかねぇ、毎日砲撃して。」 「カタカタ揺れてスープが食いにくいからやめてほしいな。」 「ほんとですよ!」 「まぁまぁ、前線で軍人さんは戦ってるんだからそんな事言わないの」 テーブルの向こうにご機嫌そうな男が座ってきた。 「ウナカウシじゃねえか元気そうだな、もう逃げてると思ってたぞ」 「先輩の知り合いですか?」 「初めまして、かわい子ちゃん。先輩さんの同期、ウナカウシだ。陸上巡洋艦の研究してるぞ。」 「へぇ!陸上巡洋艦!今どんな感じなんですか?」 ヤミエナの頭を叩いた。 ナチュラルに、国家機密聞き出そうとするな馬鹿。 「いやぁ、陸軍が総出で研究予算つぎ込んでくれてるからね新型エンジン作り放題よ!」 そしてこっちは、女の子に持ち上げられてナニ良い気になってるんだコイツは。 「ただねぇ...陸上巡洋艦サイズになると自重で土に埋まって動けなくなるんだよ。陸軍の意地なんだろうけど、長さ200m陸上艦なんて無理だね。俺はフォウと同じく陸上武装漁船程度の陸上船を沢山作った方が良いと思うんだよなぁ。」 どうやら陸上巡洋艦計画もあまり進んでいないようだ。その予算の一部でも空中艦研究に回してくれないかとボンヤリと考えていると、休憩時間終了の時刻になってしまった。 午後からは、また浮遊機関の作動パルス解析作業が始まる。また基礎からのやり直しだ。 一体いつまでこんな事を繰り返すのだろうか 強い衝撃が窓ガラスを揺らす。研究室がざわめいた。 昼が終わって30分ほど経過した頃、遂に街に砲弾が落ちた。 まだフォウは北へ40㎞の地点でにらめっこしてるはずだ、最前線まで突入しなければここに街に砲弾を届ける事は出来ない。 一瞬空が暗くなる、見上げると空中艦...ではない巨大な爆撃機が空を飛び去って行った。 遅れて戦闘機が追いかけて行ったが到底追いつけそうにない。 遂に街に火の粉が降り始めたのだ。 人間は半径5m、クルカは1mの範囲で起きた事しか理解できないと言うがその通りだと思う。私はたった今自国が戦争をしているのだと実感した。 ーーーーーー 遂に都市爆撃が発生したことで、人の少なくなった街は更に静かで、街の空気が気温以上に冷えているかのような感覚を覚えた。 私の家には依然高級品のラジオが有った為、昨夜はアパートの住人が押しかけてきて深く眠れなかった。 住民達も昨日の私と同じく、戦争がどこか遠い異国の地で行われているような錯覚をしていたらしく、「フォウ軍が来たら返り討ちにしてやる」と大口を叩いていた隣人なんかはすっかりと大人しくなってしまっていた。 いつも満員だった公営市内巡回ゴンドラも、今日は三人しか乗客が居ない。 研究室へ向かう途中、ウナカウシが第三多目的室からドスドス怒り心頭で出てきた。 彼が言うには、昨日の空襲の標的が陸上巡洋艦を開発していた工場が爆撃されたらしく、研究続行困難と判断されたらしい。 陸上巡洋艦自体には被害が無かったので、都市防衛用の固定砲台としての実戦投入計画が出ているようだ。 「試作段階のあの陸上巡洋艦がマトモに戦えると思うか!?アレを失うとまた研究のやり直しだよ...糞っ!」 「ご愁傷様、爆撃で死ななかっただけ幸運と思っておこうな。陸軍は研究を続けて予算は減らさないそうじゃないか、次があるさ。都市からはいつ脱出するんだ?」 「...いや、俺はあの艦の最後を見届けるために市民軍に志願しようと思う。」 「お前のようなヒョロヒョロが銃を撃てるとは思えんがな、ハハハ」 「ハハハ、そういうお前こそ早く逃げた方が良いんじゃないか?」 「私は研究が終わるまでここに残るつもりさ。」 「俺も奴らがスラーグに入ってくるまで研究し続けるさ。」 今日は研究は殆どできなかった。 街に土嚢を積み、大学に有る使えそうな物を片っ端から集める作業に駆り出されてしまったからだ。 研究者がやる仕事ではない、と言っても既に人はかなり減り女子供の手も借りなければならないのだ。 また、フォウは昨日の爆撃で良い気になったのか今日は4回も爆撃をし、その度に作業は中止されるのだ。 爆撃機はあの巨体にも関わらず、音よりも早く飛んでいるようで接近してくるときは完全に無音なのだ。その為、防空壕に隠れる時間が短く毎回突然全力疾走をしなければならないのはインドアの私にはとても大変だった。 幸いにして私の真上に爆弾が降って来る事は無かったが、それでも防空壕に間に合わず担架で運ばれてくる人々を見ると何とも言えない嫌な気分にはなった。 フォウは一体何が目的で侵略しているのだろうか、寒波が終われば奪った領土を失うにも関わらず。 今日の日替わり昼食はアンゴのスープ。「アンゴスープ」なら普通は魚介出汁で取るのが普通だが、これは「アンゴのスープ」アンゴの肉で出汁を取ったイヨチクのスープだ。今日は豪華だなと期待した私がクルカだった。 何とも寂しい食事だが、飢えていない事には感謝しなければならないだろう。昨日のラジオのニュースは、大陸では食料危機で餓死者も出ていると伝えていた。 アーキル政府はチヨコを更に増産し連邦中に必要な量を行き渡らせると言っているが、それはつまりチヨコですら現在では需要量に追いついていないという事だ。 まぁ、国のプロパガンダニュースなので信用は出来ないのだが... 食器を返却すると食堂のおばちゃんが、今日で食堂を休業すると伝えてきた。 普段は学生でイヨチク洗い状態の食堂はもう片手で数えられる程度しか利用していない。 空爆も有ったのだから、疎開をするのは仕方が無いだろう... 明日からは弁当を作らないとな。 医薬品を外に運んでいる時、ゴリゴリという音と共に急に地面が揺れ始めた。私は危うく転びかけたが、とっさに壁にもたれかかる事で箱の中の消毒瓶を守る事が出来た。 前を見ると曲がり角から壁がゆっくりと動いていた。いや、壁ではない、巨大な船だ。 三階建ての家ほどの壁...陸上船の横では軍人達が慌ただしく動き回っている。あぁ、これがウナカウシが言っていた陸上巡洋艦なのだろう。 確かに重すぎるし遅すぎる。この速さでは釣り上げた亀よりにも追い抜かされてしまう。 陸軍は最初から高望みをしすぎだ。こんなに大きな船になったらそりゃあマトモに走る事なんて出来ないだろう。 よく見ると地面の煉瓦を砕きながら進んでいるため、周囲は小石や砂利で土埃ならぬ石埃をまき散らしている。 「やばいっすね、アレ」 何処からやってきたのか、ヤミエナが私に話しかけてきた。 「先日の空爆で、爆弾が直撃したらしいんですけど、弾き返したらしいですよ。どんだけ頑丈に作ってるだって感じですよね。」 「昔から陸軍は海軍に比べて扱いが低かったからな、海軍にマウントを取る為にも巨大兵器を求めたんだろう。」 「えー、そしたらアレは陸軍の自己満で作られたって事ですかー?もったいない」 「私もそう思う。昔、330計画って大陸の陸上武装漁船をマネた兵器を陸軍は計画してたんだよ。そいつは割と性能は良かったようなんだが、海軍本部から『小型砲艦しか作る技術を持っていないとは情けない』と議会で皮肉られた結果、採用取り消し陸上艦隊計画とかいう夢物語を言い始めたんだ。」 「陸軍と海軍仲悪すぎないですか?」 「ハハハ、この話は諸島研究員ならだれでも知ってる逸話だぞ。330計画を研究していた研究員がみんな海軍系研究所に行ってしまって、陸軍が科学研究省に泣きついたのは有名だな。」 「私達の研究する空中艦もあんなことにならないと良いですね...」 「そうだなぁ、もっと浮力を稼がないと...」 ん? ・予算が無くて困っている ・陸軍は予算をたっぷりくれる ・陸上巡洋艦は重すぎてまともに動けない ・ある程度浮力を得る技術が有る 私はウナカウシの研究室に走り出した。