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***** 1月15日。 雪はやんでいる。 当たり前だけど今日は平日。律は仕事。 でもちょっと早めに上がってくれるみたい。 うれしいな。待ち合わせは、18時。 雪の通学路を歩く。 3年間、この道をふたりで歩いて通った。 あの頃、毎日のように見慣れた風景が、今はこんなに懐かしい。 つるっ。 うわっ。 周りをキョロキョロ見ていて足元がお留守になっていた。 凍った道に足を滑らせて危うく転ぶところだった。 そういえば昔もこんなことがあったな。 私が滑って転びそうになって、律にしがみつこうとして律まで巻き込んでふたりで転んで…。 思い出し笑いをかみころす。 今はしがみつく相手がいないんだ。転ばないように気をつけなきゃな。 少し早い時間に着いた。 律が来るまでコーヒーを一杯だけ注文して席に着く。 放課後のファーストフード店は女子高生でいっぱいだ。 大きな声で笑い、はしゃぐ彼女たち。 制服の着こなしが自分が高校生だった頃とはちょっと変わっていることに気がついて、時間の流れを感じる。 自分もかつてあの中にいた。 あんなふうに笑っていた。 昨日も今日も明日も…同じような毎日が永遠に続くように思えてならなかった。 「今」が「過去」になるなんて思いもしなかったそんな頃があった。 随分早く着いてしまった。 まだ約束の時間まで30分もある。 ぼんやりと窓の外を見やる。 また少し、雪が降り出していた。 ***** 私に好意の眼差しを向けてくる相手は、異性に限らなかった。 女子高女子大と7年間女の園で暮らしていたから、 所謂同性愛者がいることは知っていた。 けれど、私自身が同性に対して特別な感情を抱いたことはなかったし、 昔からそういうアプローチはなくなかったけれど、丁重にお断りしてきた。 私は外れることが怖かった。 私が恋をする相手は異性でなくてはならなかった。 同性が同性に恋をする…世の中にそういう恋が、愛が、存在するのだと頭で理解していても…私自身が嫌悪を抱いていないとしても…まわりはどうだろう?はたして世の中は許してくれるだろうか? 世界の多数派からこぼれ落ちた存在を許容してくれる場所はあるのだろうか? あったとしても私はそこにたどり着くことはできるのだろうか? 私は怖かった。 だから、考えることをやめた。 とにかく、深く深く気持ちを心の奥にしまい込んだ。 ***** そんな私の前に現れたのは高校時代の同級生、佐々木曜子だった。 恥ずかしい思い出を披露すると、高校時代の私にはファンクラブなるものが存在した。 結成に至った理由はここでは明かせない。 元来照れ屋だった私にとって、その存在は黒歴史。 彼女はその一員だった。 彼女が私に憧れの視線を向けていたことは知っていた。 あの日、高校卒業以来初めて会った彼女は、もう立派な大人の女性だった。 あれは偶然の出逢いだったのだろうか? あの日、直前になって約束をすっぽかされた私は、 ひとりで喫茶店でコーヒーを飲みつつ本を読んでいた。 そんなときたまたま同じ店に入ってきた高校時代のクラスメイトに声をかけられるなんて。 出来過ぎた偶然じゃないだろうか。 最初、彼女のことがわからなかった。 曜子は曖昧な笑顔を見せた私の表情を見て、そのことを悟ったのだろう。 寂しそうに笑い、高校時代にクラスメイトだった佐々木曜子だと名乗った。 「私は後ろ姿を見てすぐに秋山さんだ、ってわかったよ」 「あの頃から素敵だったけど…本当にきれいになったよね」 曜子はそういって笑った。 彼女の笑顔と言葉には、普通の女友達のものとは異なる意味合いが含まれていることを、私は感じ取っていた。 「もし、よかったら…」彼女は言った。「ちょっと映画でも見に行かない?」 どうせ予定はなくなったのだ。私は彼女の申し出を受けた。 映画はありきたりなラブストーリーだった。 映画の登場人物たちは、どうしてこんなに…自然に…「まともな」恋ができるのだろう。私にはわからない。 まったく持って退屈な展開。 眠たくて仕方がなかったけれど、さすがにそれは誘ってくれた曜子に悪い。 うつらうつらしながらも、寝落ちしないように2時間をやり過ごした。 「退屈だった?」 「え?いや、そんなことなかったよ」 どうやら曜子にはバレていたらしい。 「うそ。秋山さん、寝てたじゃない」 「あ…ごめん」 「ううん、いいの。だって私が無理に誘ったんだし。でも意外」 「なにが?」 「だって、秋山さん。こういうラブストーリー好きかなって思ってた」 十年だぞ。 人が変わるには十分すぎる時間だ。 でも、高校時代の私は、いつかこんな映画みたいな恋をするんだって、 当たり前のように信じていた。 「せっかく誘ったのにごめんねー…そうだ、お詫びに晩ご飯おごるよ」 「いいよ、悪いし」 「なにか予定、あった?」 「ないけど…悪いよ」 「じゃあ、割り勘でいいから付き合って。いいでしょ、久しぶりに逢ったんだし」 こんなに積極的な子だったろうか?いや…そもそも私は曜子のことはあまりよく知らなかった。 それに人は変わる。 十年だぞ? 人が変わるには十分すぎる時間だ。 断る理由のなかった私は、曜子に付き合うことにした。 なかなか雰囲気のあるレストランでディナーを済ませると、彼女はちょっと飲み直さないかと私をバーに誘った。 もうこうなったら、最後まで付き合うつもりで私は彼女についていった。 「映画にレストラン、最後はバー。いかにも定番のデートコースね」 「…そうだな」 「相手が私で残念?彼と一緒に来たかった?」 「そんなことないよ。久しぶりに同級生に会えて嬉しい。楽しいよ」 「そう?ありがと。お世辞でも嬉しい。私も秋山さんに逢えて…嬉しい」 曜子は笑った。 彼女は笑うとき、けして私の瞳から目を離さない。 私はいまさらながらこのときに初めて、なんだか急に緊張したように胸の鼓動が早くなるのを感じた。 「顔が赤いよ、秋山さん。大丈夫?」 「うん、大丈夫。そんなに飲んでないから」 「そう?あまり無理、しないでね」 曜子はそういいながら、カウンターの左隣りに座った私の背中をさすってくれた。 その撫で方は、私の体をさわる時の男のそれとよく似ていた。 「でもちょっと残念だな」 「何が?」 「さっきの話。さらっと流されちゃったけど…恋人、いるんだね」 「まあ、ね。もういい年なんだし」 「そうよね、いるわよね。恋人くらい」 私には曜子の意図がよくわかった。 羽虫のように私に寄ってくる男たちは、こんな風に私を口説くことがあったから。 それに気づいた私は、少し意地の悪い質問をしようと考えた。 「佐々木さんは?恋人、いないの?」 「今はね」 「前はいたんだ。どんな人?」 「いいじゃない。そんなこと。もう忘れちゃった。それより秋山さんは?」 「え?なに?」 「…結婚とか…しないの?」 上目遣いをしながら曜子が尋ねる。 「うまくいけばね。でもよくわかんないかな」 「どうして?何か問題でもあるの?」 「いや別に…何もないよ。たぶんうまくいってる」 その時付き合っていた相手は、本を読むことが好きな、のんびりとして穏やかな男だった。 毎日真面目に働き、帰宅して料理を作り、洗濯を欠かさず、休みの日には部屋をきれいに掃除して整理整頓を怠らず、少しの余暇に読書を楽しむ男だった。 ときに、私をアクセサリーのように…ただ美しい女を横に携えて町を歩きたい…そんなくだらない願望を隠すこともない破廉恥な男もいたけれど、彼はそんな男ではなかった。 彼が、顔を真っ赤にして私に愛を告げてくれたことは、私にとっても嬉しい出来事だった。 いろんな男たちが(ときには女たちも)私に言い寄ってきたけれど、彼ほど真剣なまなざしを向けてくれた人はいなかったように思う。 私は素直に嬉しかったのだ。でも。 私は恋をしていなかった。 彼に恋することはできないでいた。 残酷だけれどもそれは真実だった。 彼がそれに気がついていたかどうか、私にはわからない。 けれど、彼は自分が愛されていなくても、 私が側にいてくれさえすればそれだけでよいのだ、と多くを望んでいないようにも見えた。 彼も、私と同じなのかもしれない。 私がそうであるように、彼も都合の悪い真実から目を背けていたのかもしれない。 この女は自分を愛していない、 そして自分は一生愛されることもないのかもしれない、 という疑念を封じ込めて、私と付き合っていくことができる男のように思えた。 彼となら、恋をしなくても自分の「役柄」を全うできるような気がしていた。 ちゃんと次の舞台に上がることが出来るような気がしていた。 彼となら…結婚して出産して子供を育てて…「まともに」暮らしてゆける。普通に。 恋なんて必要ないじゃないか。 私たちは必要以上に恋愛に縛られ過ぎている。 恋なんてしなくたって生きてゆける。 そう、恋をするより「まともに」生きて幸せになる方が、よっぽど大事なんじゃないか…。 恋って、どんなものなんだろう。一体、なんなのだろう。 それがわからないのだとしたら、私にとって大切なのは、「普通」をはみ出さず、「まともに」生きていくことだった。 彼はいつだって私を大切にしてくれた。 酒の付き合いもほどほどに、約束の時間に遅れたこともなく…今日がはじめてだ。 約束を違えたのは。急な仕事って言っていたけれど…。 「どうしたの秋山さん。ぼうっとして」 「ごめん、なんでもない」 「何か悩みでもあるんじゃないの?」 「ないよ、ないない」 「そう?ならいいんだけど…でも秋山さんも結婚かぁー」 「いやまだ決まったわけじゃないから」 「いずれはそのつもりなんでしょ?」 「うん。たぶん…」 「たぶん、って何よ…好きなんでしょ?彼のこと」 なんでこの歳になって、こんなときに上手にごまかすことすらできないのだろう。 私は変なところで自分に正直だった。 答えに詰まって返事の遅れた私の隙を、曜子が見逃すはずはなかった。 「…好きじゃないの?」 「そういうわけじゃないんだけど…」 「そうかしら?秋山さん、自分に嘘ついてるでしょ」 そう言って、曜子はまた私の瞳をじっと見つめた。 私の神経を逆なでした彼女の図々しい物言いに、腹が立って強い口調で言い返す。 「そんなことない。久しぶり会った佐々木さんに何がわかるんだよ」 「興奮しないで、秋山さん」 手をぎゅっと握られる。心臓を鷲掴みにされたみたいだった。 「私にはあなたの考えていることがわかるの、あなたの本当の気持ち」 「何がわかるっていうんだよ!なんでそんなことが言えるんだ!」 「わかるわ。だって私…ずっと澪のこと見てたもの」 曜子はごく自然に…まるで昔からそうしていたかのように、私を下の名前で呼んだ。 「気づいてなかった? そうよね、あの頃の澪は私のことなんて少しも見てくれなかった。 ずっとあの人のことばかり見てたもの。 でも今は違うわ。 今、私は澪を見てる。 そして澪は私を見てる。 そうね、私なら教えてあげられるわ。 澪も、澪の彼も知らない本当のあなたの気持ち。 私が教えてあげる」 曜子はそう言って、蠱惑的に微笑んだ。 獣を相手に隙を見せてはいけない。 わかっていたはずのに油断した私が悪かった。 今までまとわりついてきた獣(男共)と勝手が違うのは、 相手が同性で旧友だったことだ。 うさぎだと思っていて気を許してしまっていた。 けれど曜子は狼だった。 十年のときを経て、彼女は立派な獣になっていた。 狼は、期を見て牙をむき、私に噛み付いた。 私は振りほどくことができずそれに飲み込まれていった。 ***** 17時55分。律からのメール。 『悪い!残業が長引いて帰れそうにない!もうちょっと待ってもらっていい?』 おい。5分前に送る文面じゃないだろ。 『わかった。でも新幹線の時間があるから、待てるの20時までだぞ』 ブーッブーッ…返信早いな。 『な、なんとかその時間までには…ガンバリマス』 おい。それ、ちょっと待つじゃないだろ。まったく律の奴… でも高校時代と変わらないやりとりに、私はしあわせを感じていた。 3
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そそり立った僕の充血部にゆっくりと体を重ねた彼女は、そのままそのたわわな胸をいきり立つ僕自身に押し付けてきたではないか。 「え?」 ふこっとした柔らかな感触に一瞬意識が遠くなったが、快感の瀬戸際でなんとか踏みとどまった僕は慌てて彼女に突っ込みを入れた。 「お、おおおおおおいっ!い、いいいい、いきなりソレかぁ!?」 「えええっ?ち、違うんですかっ!?」 「い、いや、ああアレだ、ちち、違うってわけじゃないが、な、何でまた…」 「でもっ、お兄ちゃんのビデオってこういうのばっかりだったし………」 ………さ、佐伯聡め………あんな人畜無害そうな顔をしておいて乳フェチかよ……… しかし、奴に関する資料を見る限り、奴の女は華奢でとてもそんなタイプじゃなかったが……… そう思いながら佐伯優子の豊かな胸に目を移すと、奴がどういう目でこの妹を見ていたのか、邪な妄想が次々と頭をよぎる。 佐伯聡。殺しておいていろんな意味で正解だった…………奴め、今頃草葉の陰で地団駄を踏んでいるに違いない。 「私、何か…違ってたんですか…?」ふと見ると、泣きそうな怒ったような顔を僕に向けている佐伯優子。や、やばいっ! 「ちっ、ちちち違わない違わない!だいたいほらっ、こういうのに違うも違わないもないって! そ、それに、僕は嬉しいからさっ!」 「本当ですか?」 ぱぁーっ、と彼女の表情が晴れる。た、助かった…とにかく、こいつは怒らせると厄介だ。ていうか、正直、怖い。 「ほ、本当だよ!だから、さ………つ、続けてみてくれないかな?」 「はい!」 彼女は嬉しそうに答えると、両手で胸を抱えるようにして再び相変わらずにそそり立ったままの僕自身を包み込んだ。 抱えた胸に更にぎゅっと彼女が力をこめると、柔らかな胸の圧迫感がひたりと吸いつくように僕の猛った一物を襲う。 やばい、気持ちいい……… 「…うっ……」 「! 青山さん、ごめんなさい痛かったですか?」 「い、いや………気持ち…いいんだよ……続けて」 「………うん」 彼女はこくんと頭を縦に振り、その行為を続けた。強弱リズミカルに柔らかな心地よさと劣情的な圧迫感が押し寄せてくる。 しかも、胸なのに、ぴったりときめ細かく吸い付いてくるようなこの感触はどうだ………たまらないじゃないか。 こいつ、肌質が無茶苦茶いいんだよな…こっちも素っ裸で抱きしめたら絶対に気持ちいいに違いない… 彼女にされるがままそんな事をぼんやり考えていると、今自分の両腕の自由が利かないのが本当にもどかしく思えてきた。 こいつは半日近くこんな状態だったのか…悪いことしたかな。 そんな考えを巡らせながら、恥じらいの表情を浮かべたまま胸で奉仕を続ける佐伯優子を見つめる。 ふと、視線を上げた彼女と目が合う。妙にどきりとした。 「青山さん………気持ちいいですか………?」 「あ、ああ……すごく気持ちいいよ………」 心細げに訊ねてくるこの女がなんだか可愛く思えて、僕はつい素直に答えてしまっていた。 どうやら、僕の気の迷いは加速しつつあるらしい。形勢、再逆転かよ。 僕の答えに嬉しそうに小さく微笑んだ彼女は、両手で抱えて押し付けた胸を擦るように上下に動かし始めた。 「!? ちょっ、ささ、佐伯さんっ………ああっ!」 彼女は答えずに奉仕を続ける。彼女の豊かな谷間に埋もれた僕の一物は、柔らかさと圧迫感と極上の肌触りに加え 猛りを加速させるような摩擦感に襲われて何がなんだかタマラナイ状態になりつつあった。 「何か…出てますよ?青山さん?」 「あ、ああ………そ、それはっ………はぁっ………」 言うまでもない。辛抱たまらない状態の僕の鈴口からは、先走りのてろりとした透明な液が次々に溢れていた。 彼女は悪戯っぽく、ちろっと小さな舌で鈴口を舐め上げる。 「あああっ!?だだ、だめだってば佐伯さんっ、き、気持ちよすぎるっ!!」 僕はたまらずに叫んだが、僕の反応に気をよくしたのか、彼女は舐め上げた鈴口をそのまま小さな口に含んだ。 「うっ!さ、佐伯さんっ………!」 気持ちよすぎて言葉にならない。 摩擦感に加え、僕の先走りと彼女の唾液が混ざり合ったぬちゃぬちゃといやらしい滑りが更にそれに加わり、 極め付けが彼女の唇の柔らかさとぬるりと含まれた口の中の温かさ。 僕は、限界が近かった。 上気した彼女の頬、唾液や汗やいやらしい汁で汚された彼女の豊かな双丘、 その膨らみに擦られながらも彼女の口内を侵食する僕自身。 何もかもがたまらない。我慢などできる筈もなかった。 「ちょっ…ま、待っ…出っ………佐伯さっ…ああああっ!!」 びくん、と僕の体が跳ねる。 「んくっ!?」 僕の躍動に彼女が驚いて顔を離したその時、びちゃっ。彼女の顔めがけて僕の白濁液が勢いよく放出されていた。 「キャッ!?」 反射的に逃げるように彼女は顔を背けたが、どろりとした白い液体はそれを逃がさない。 どくどくと止まらない勢いのまま次々に放出され、彼女の綺麗な顔を汚していく。 「はぁ………はぁ…………さ、佐伯さん…………」 欲望を吐き出すとともに、ぐったりと心地よい脱力感に襲われていた僕は、そんな中でも少なからず興奮していた。 狙った訳じゃないけれど、思わず彼女に顔射なんて行為をしてしまった事。 それに、困ったようにその顔を汚す僕の精液を手で拭う彼女が、無茶苦茶いやらしく見えたからだ。 「ご、ごめん………わ、わざとじゃないんだ、不可抗力でつい………」 「ううん、私も、驚いちゃって、つい………ごめんなさい………」 「拭いてあげたいんだけど、この通りでさ…………さ、佐伯さん?」 青山が後ろ手の手錠をガチャガチャと鳴らしたその時、彼はようやく目の前の彼女の異変に気がついた。 精液に汚された顔を拭う彼女は、ぽろぽろと涙を流しながら懸命に目をこすっている。 「さっ佐伯さん!?ごご、ごめん、僕が悪かった!悪気はなかったんだ!」 「いえ、違うんです!ちょっとだけ、目が痛くて………」 「え、ええっ!?ごご、ごめんっ、め、目に入っちゃったの? だだだ、大丈夫!?」 「大したことないです、大丈夫ですから………」 佐伯はそう言いながらも、相変わらずにごしごしと目をこすり続けている。 「いや、大丈夫ったって、かなり痛いって聞くし、そんなにあんまりこすっちゃ………」 そんな青山の言葉を遮るように、佐伯は泣き笑いみたいな、それでもとびきりの笑顔を青山に向けて言った。 「ううん、青山さんのだから…大丈夫です!」 ズギュゥゥゥゥゥン(←青山の心臓の音) !? ななな、なんだ今のは!? 「? どうしたんですか、青山さん?」 「あ…………い、いや………………あ、あれっ………?」 顔を赤面させて呆けたように佐伯を見つめる青山に、それを不思議そうに小首をかしげて見つめ返す佐伯。 青山は、自分の異変に少なからず動揺していた。顔が、全身が妙に熱い。動悸が激しい、胸が痛い。なな、何だこれは? 先ほどまでの脱力感はどこへやら、涙ぐみながらもきょとんと自分を見つめる彼女の顔を見ているうちに どくんどくんとどうしようもない昂ぶりの波が再び押し寄せてくるのを感じていた。 それは、衝動だった。目の前にいる女を押し倒して自分だけのものにしたいという男としての衝動。 なんでだ?僕はこいつが嫌いなはずだ。 ………いや、ちょっと待て。そういえば、そもそもこいつは僕が殺す予定だったんだ。 そうだよ、もともと僕の物同然じゃないか!こいつは僕のだ、僕だけのものだ!誰にも渡すものか! 好きとか嫌いとかプライドとか屈辱とかそんなものはもうどうだっていい!この衝動の理由とか、そんな理屈はどうだっていいんだ!! やりてぇんだよ!とにかく、今僕はこの女を押し倒してぶちこんで無茶苦茶にしたいんだよ!! 「あ、青山さん………? 気分でも悪いんですか…………?」 今にも吠え出しそうな獣の形相で睨むように佐伯を見つめガチャガチャと手錠を鳴らす青山と、 そんな青山の無茶苦茶な思考回路など知る由もなく、様子が急変した青山を心配そうに覗き込む佐伯。 「佐伯さんっ!」 「は、はいっ!?」 力いっぱい手錠を鳴らしながら、青山、吠え叫ぶ。 「コレ、今すぐ外してくれ!君をちゃんとこの手で抱きしめたいんだ、今すぐに!!」 「え……………は、ハイッ!!」 態度が急変した青山に驚きつつも、どこか期待に胸ときめかせながら佐伯は言われるままに手錠を開錠した。 青山の両手が自由になる。 「佐伯さんっ!(がばっ)」 「キャアッ!?」 刹那、会話をする間もなく佐伯は青山に押し倒され組み伏せられていた。 「青山さんっ!? どうしちゃったんですか?な、なんだか目の色が違いますよ………?」 「どうもしないよ?僕はもともとこういう人間なんだよ(ハァハァ)」 佐伯の耳元で、荒い呼吸を吹きかけるように青山は囁いた。その呼吸に反応するように、佐伯はびくびくと身を震わす。 「んんっ………」 「君もこういうのを望んでたんだろ?」 「………は、はい………」 あまりに積極的な青山に頬を上気させてゆく佐伯。 「キミの言う愛とやらを、今からボクなりに証明させてもらうよ!」 青山は佐伯の顎に手をかけ、そのまま本能のままに熱いくちづけを………しかけたその時、 ファンファンファンファンファンファンファンファン 突如耳に飛び込んできたけたたましいサイレンの音に、あと数センチの距離で青山と佐伯は互いに目を丸くした。 それは、どんな興奮も一気に冷まさせる悪夢の音。 「さ、サツかっ!?」 青山は血相を変えすかさず身を起こし、サイレンの音がする方向を見やった。佐伯はと言うと、 「チッ」 「ちょっ………"チッ"って佐伯さんなんだかキャラ違うぞ!?」 「警察なんかに………」 「へっ?」 「警察なんかに青山さんとの仲を邪魔されてたまるものですか!!」 佐伯はそう怒鳴り、鬼神の如く表情でサイレンの音がする方向を睨みつけた。 (な、なんて女だ………とんでもねえ………) 「ちんたら梯子下りてる時間はないわ!ここから飛び込みますよ!」 「えええ!?ととと飛び込むって、ちょっ、待っ…」 手早く服を着てダム水面へと続くハッチを開く佐伯。 まだカチャカチャとスラックスを慌てて整えている青山を容赦なく急かす。 ガチャリと開かれた遥か階下の水面へのハッチから、ゴオッと冬の風が吹き込む。 覗き込むと、雪の吹きすさぶ中、ビル5~6階分はありそうな遥か彼方下に見える水面。 パトカーのサイレンは、もう部屋の前で聴こえている。 「飛び込みますよ、青山さん!」 「むむむ、無茶だぁ!き、君は怖くはないのか!?」 「私は、青山さんと一緒なら怖いものなんかないんです!(とびっきりの笑顔)」 ドギャァァァァァァァン(←青山の心臓の音) か………可愛い………………… 佐伯の笑顔に鼻の下を伸ばした青山、次の瞬間、視界が180度回転。 「へっ?」 頭上に見える水面、足元に見える水質管理塔と佐伯。 佐伯にダム底へ蹴り落とされたという事実を認識するまでに要した時間は約1秒間。 「☆※▲#◇%!? うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」 だばーん。…………………ごがぼげぼがぼっバシャバシャバシャバシャ 「………………… 大丈夫そうね。よしっ!」 水面に騒がしく浮かんできた青山を確認した後、佐伯は華麗なフォームで水面へとジャンプ。 たすーん。水しぶきも少なくジャンプ同様佐伯優子、華麗に着水。 着水した佐伯が浮かんでくるやいなや、盛大に水を飲んだ青山が怒鳴りかかってきた。 「ごぼがぼっ……げはげはげはっ、ここここ、殺す気かぁっ!?」 「何言ってるんですか!この程度で死んだりしたら許しませんよ!?」 「は、はいぃぃっ!?」 「ほら、早く行かなきゃ!警察から見えない場所まで急いで泳ぎますよ!」 「は、ハイ………」 何だ?何で僕は素直に従ってるんだ!? 「ぐっ…ち、ちっくしょーーーっ!!」 「静かにしてください、青山さん!警察に聞こえちゃいます!」 「ぐぐぐっ…こ、このアマぁ…………ッ! 畜生、後でぎったんぎったんに犯してやる!覚悟してやがれ!」 「もうっ、静かにしてくださいってば! でも…………期待してますね(ぽっ)」 「……………今はっきりわかった!おまえ、僕を馬鹿にしてるだろーーーっ!?」 サイレンの音をBGMに、ちょっと内容が普通でない、それでもどこか楽しそうな痴話喧嘩が奥富の冬空に響きわたっていた。
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壁紙GJ!野谷きゅんと一緒におにぎり食べたいwww -- (名無しさん) 2012-02-03 22 19 48
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牙山の壁紙かっこ良すぎるしハードボイルドだったな。 -- (名無しさん) 2019-08-21 09 27 29
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タマネギと蘭丸の票差がやや近い。油断すると危ないぞ -- (名無しさん) 2011-12-15 15 42 42
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ツールギなんかに似てると思ったらアレだ ヨーギラスに似てるわ -- (名無しさん) 2012-01-13 21 34 14
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少し↑の物好きな腐女子とか書かれてたやつのブログで変な迷言みたいな事書いてあったぞw -- (名無しさん) 2011-11-28 06 55 56
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ツール使ってる奴誰だよ・・・ まさか運営じゃないだろうな? -- (名無しさん) 2011-11-26 20 58 20
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ツール城ラッシュは来ないだろう、と思いたいてか来るな -- (名無しさん) 2011-12-16 19 17 38
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クレバー砲はあくまで腐女子への情報流出を防ぐための名前に過ぎません -- (名無しさん) 2011-11-20 09 10 41