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熱月 雉鵠 ステータス(レーティング:禁) キャラクター名:熱月 雉鵠 よみ:テルミドール・じかん 性別:女性 体型:華奢 学年:中等部1年 部活:カランドリエ 委員:無所属 武器:時を刻むための針 初期ステータス攻撃力:0 防御力:0 体力:30 精神:30 FS(せっかち度):30 移動力:5 アビリティ①:『転校生』 アビリティ②:『三千世界の――』無視 ZoC無視 歪曲 当該キャラが関わる判定について、ダイスを一回だけ振り直せる 転移 基本移動力5 無極 特殊能力を使用しても休みにならない アビリティ③:『探偵・五箇条の御誓文』冷淡 味方死亡時における精神減少の対象から自身は外れる 鉄壁 スーパーZoC ※生存時、相手のZoC無視で自身のZoCを無視されない 必殺 通常攻撃における命中判定のダイス目が攻撃キャラクターの攻撃力以下だった場合、相手は体力や防御力に関わらず死亡する 不死 死亡しない 体力が0でも行動可能となる ただし、体力が0となる場合、敵陣営にDP2が発生し、生き残り人数にもカウントしない 逸脱 ステータスの初期上限がなくなる アビリティ④:『甲転校生。4ラウンド目、評価点数800点の魔人――(中略)。そしてそれを上回るこいつが私の禁力だ』武芸 通常攻撃回数自体が2倍になる 必中 通常攻撃が必ず命中する 超越 1ターンに移動→通常攻撃→特殊能力の順に行動できる 神格 オリジナル転校生スキルを取得できる失踪(疾走) 当該キャラが受けた永続戦線離脱を死亡に変更する。 ※不死との両立可能(オリジナル転校生スキル) アビリティ⑤:『賢者の贈り物』天賦 特殊能力を三つまでもてる 発現(F) レーティング F相当の特殊能力をもてる 発現(A) レーティング A相当の特殊能力をもてる 発現(S) レーティング S相当の特殊能力をもてる 特殊能力①『時計の中の(Even)ワイルド・グース(Clock)』(発動率:100%) フレーバー(ルール) 効果(能力概要) 雉鵠の登場以降に永続戦線離脱が発生した場合、キャラクターが盤面に復帰するまでに作中における一定時間が経過したらいいな。 ゲーム的な意味は特にないので、ご自由に解釈ください。 1:3X時間 2:3X日 3:3X年 4:3X千年 5:3X万年 6:3X億年 ※1 Xは1~100の間でランダム。乗数。 特殊能力②『雉時もぶたれちゃ(Beat)居られまい(Time)』(発動率:100%) 効果 100Xターン戦線離脱(※8) 範囲+対象 隣接1マス1体 時間 一瞬 ※2 Xは0~30の間でランダム。乗数。 特殊能力③『鴇の娘(Daughter of Time)』(発動率:100%) パッシブ(ルール) 効果(能力概要) 雉鵠の行動に従い、特定マスにターン経過付与(※3)。 この処置にともなって当レギュレーションにおける規定最大ターン数(※4)を超過したマスは即座に侵入不可(≒破壊)されたものとして扱う(※5)。 マス内にいたキャラはすべて永続戦線離脱扱いとなる。 被破壊マスははじめから存在しなかったものとして扱い、迂回も不要。移動力を消費せずに無視して通行可能(※6)。 通過(※7) +1 雉鵠が通常攻撃によってXダメージを受ける +X(※8) 雉鵠の通常攻撃によってXダメージを与える +X(※9) ※3 ターン終了後、能力処置とは別にMAP内すべてのマスに1ターンずつ加算され、超過した場合も下記の処置を行う。 ※4 四ターンだが、変更が生じた場合はその処理に従う。 ※5 退出可能 ※6 バリケードやフィールド解除の対象にならない。 ※7 一回につき。ターン経過の付与タイミングは退出後。 ※8 雉鵠のいるマス ※9 対象のいるマス 能力原理(総括) 時を翔ける少女(Time×Girl=∞) メフィスト流バリツを極めた先、セカイ系とも異なる新世界系に到達した転校生『熱月雉鵠』が自らの在り方にちなんで名付け直した能力の総称。 簡単に言えば彼女の一挙手一投足は中の住人を巻き込んでそのまま空間を破壊する痛撃になり、時が空間を癒してくれるまで外界から独立した空間「新世界」として切り離される。例外的に雉鵠本人はすぐ「旧世界」に戻ってこれるが、これは彼女の認識に大きく関わっている。 一応断っておくと、時と言う事象を扱う都合上非常に繊細な運用が求められるが、本人がせっかちであるため下記の通りうまくいくとは限らない。 能力原理①:『時計の中の(Even)ワイルド・グース(Clock)』 転校生以前の問題として狂った自分自身の時間感覚を自動補正する魔人能力。 客観的な経過時間を体内時計の調速機で変換し、外界で何千億年が経過していようが、実感としては「結構待たされるなー」程度で済ませる。 転校生特有の特徴も合わせて環境の変化に巻き込まれることもほぼなくなる。 雉鵠本来の固有能力であり、最も信頼する魔人能力。名付け直すまではこちらが「時を翔ける少女(Time×Girl=∞)」だった。 能力原理②:『雉時もぶたれちゃ(Beat)居られまい(Time)』 時そのものをぶつのではなく、彼女の認識する登場人物をぶっ飛ばすだけのメフィスト流バリツの技。 ぶっ飛ばすといっても物理ではなく、時間を吹き飛ばすという非常に単純な認識から成っているため、普通の時間感覚の範疇でしか未来に飛ばせない。 片道のタイムトラベルというには物足りないが、雉鵠は解決に邪魔な登場人物を排除するのによく使っている。 能力原理③:『鴇の娘(Daughter of Time)』 バリツ(※推理戦闘術)の到達点のひとつ。 この世の理を覆すのではなく、推すことで時間という事象を操ることに成功した。 意識して歩み、エネルギーを与える/得ることで時間≒衝撃力を空間に転嫁して過度の負荷を与えることで破壊する。 雉鵠の認識では破壊された空間は今までいた宇宙の一部から切り離され、破壊されることで想像(創造)の余地を生み、新たにな宇宙を生む。 しかし、宇宙はループしているので新宇宙は元になった宇宙と全く同じ歴史を歩む。 ――という認識の下、タイムパラドックスを生まない配慮のため旧宇宙と新宇宙が交わる一瞬(傍から見ると空間が破壊された後すぐ戻ってきたように見える)まで待って自分一人だけで世界間移動を行うことで邪魔な登場人物を排除す。 キャラクター説明 「「「針は落ちた!(Hurry down!)」」」 「「「何があっても三・千・点!絶対貯めるぞ三・千・点!!」」」 †13歳。時空を越える探偵魔人一族、山禅寺家の一人にして2014年現在、妃芽薗学園最強と目される女。 †中学デビューしたので髪を脱色し、長い後ろ髪を雉の尾か時計の針みたいにまとめてみた。 †が、髪が伸びる速度が思ったより早く地毛の赤色が頭頂部に。結果、上から見ると日の丸みたいになって落ち着いた。 †希望崎学園の秘密結社『暦』の妹組織として暗躍する謎の部活『カランドリエ』に属する一人。 †戦闘力においては「雨月星座(プリュヴィオーズ・せいざ)」と並ぶ二枚看板の一人であり、留年を続けている基幹メンバー「芽月リュドミラ」らに次ぐ重要メンバーである。 †妃芽薗には常駐しているわけではなく、『カランドリエ』との間に中二力と引き換えに召喚に応じる形で専属契約を結んでいる。 †今回は呼ばれてもいないのにやって来たため、用意していた中二力(≒応援ポイント)が足りず、活躍が危ぶまれている。 エピソード ダンゲロス流血少女・フライングSS『飛べない鳥より飛べる鳥?』 -Summon of Sedna- 熱月 雉鵠@流血少女SS解決編
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探偵を巡る別世界からの反応 「これが現地に潜入したわたくしの同期による報告の結果になります。 シシキリがネットロアとして世に流布され出したのはここ数ヶ月以内のようですね」 「そう、あちらはいいとしてこちらはどう? こちらとあちらが平行世界だと言うなら、もしかしたらこちらにもシシキリがいるかもしれない。 捕まえるなり、なんなりして情報を手に入れれば迷宮時計に一手近づく筈だけど?」 冗談だ。 二十四時間を切った以上、出来ることはたかが知れているだろう。 紹介が遅れた。 私は芽月リュドミラ、詳しいことは説明しないが、迷宮時計を巡って争っている世界とは別の世界の住人と思ってくれればいい。 そして、もう一人は探偵。私達の組織(部活)の協力者で、人と変わらない姿をしているが人造の探偵だ。名前を遠藤之(中略)菖蒲(あやめ)と言う。まぁ、情報員とでも思ってほしい。 「菖蒲。あれから、部長から達し事項が届いたんだよ。人員の損耗を避けろとね。 となると大前提として、私達はこの”迷宮時計”を巡る戦いにおいて外様でいなければならない。 平行世界や異世界を渡る部長(リーダー)、そして意図しては難しいけれど絵と絵を通じて世界を繋ぐことが叶う私。確かに、参加者の手に届く範囲にいない以上は漁夫の利を狙うには最適かもしれない。 けれど、確保した”欠片の時計”は十二ある内の一席(風月)を渡したあの探偵達に奪われてしまった。 姓を与えた時点で身内であるはずの部員、必ず一人を犠牲にしないと脱出が出来ない閉鎖空間。 多数決とは言え、雨月には悪いことをした」 一種の秘密結社である私達は、部長の連れて来た探偵に十二ある内の一席を渡した。 しかし、その結果は時計の持ち逃げだ。一応、まだ協力関係にあるはずだが、情報と技術を渡す先は複数確保しておかないといけない。つまりは、卵を盛るなら分けて盛れと言う奴だ。 「つまりは、危険な参加者の間引きとわたくしたちに好意的な参加者の勝ち残りを目指すと?」 「そう。我々に累が及ぶことを防ぐとともに、恩を売って迷宮時計の恩恵を僅かなりにも受ける――、消極策だけど、部外者が出しゃばっていいことはないとわかったから。 今後、我々は謎の情報提供者としての立ち位置を崩さずに、組織の名前も出さずにいきましょう」 そう、我等の事は誰も知らずにいればいい。 参加者はこちらから与えられる情報のみを精査してくれればいい。 単に、参加者の身内になれたと言うだけで恩恵が転がり込んでくれると思うような愚かな考えは捨てよう。 「了解しました。 現状、判明している参加者について報告します。 天樹ソラ、飯田カオル、山禅寺ショウ子、シシキリ、時ヶ峰健一、柊時計草(風月藤原京)、ミスター・チャンプ(Mr. Champ)、以上の七(八)名になります」 「内訳と理由は?」 「天樹ソラは、かねてよりマークしていたスズハラ機関のエージェント『N』との接触が確認されています。恥ずかしながら動機は完全な私事(私怨)ですが、早く確認が取れたのは僥倖であると思われます」 「そう、スズハラ機関との繋がりの方から判明するとは皮肉ね。天樹ソラ自身に特筆すべき点は?」 「はい。天樹ソラ本人は平凡な男子高校生のようです。こちらの世界と比較すると、幼馴染の菊頭ヒナが欠けているため、その絡みからの参戦であると考えられます」 「こっちとあっちに大した差異が無いってことは世界への影響力って点では大したことないか……? 続けて」 「飯田カオルについての報告はこちらになります。特筆すべき点としてワクワク動画生放送出演の後、大量の資金を集めていると向日葵(ひまわり)から連絡が上がりました」 「そちらは後に回して。風月からの情報が混じっているし、精査に時間がかかりそう。 どの道、国家機構が関わってくるとこっちにまで飛び火しかねないから気を付けるよう伝えて」 「わかりました。次はシシキリについて」 「ちょっと待って。山禅寺は?」「そちらは後に回した方がいいと……、いえ探偵の勘ですよ」 「そう。でもシシキリはさっき聞いたからもういいよ。いや、一応聞いとくかな」 「わかりました。シシキリについてのポイントは、 1.シシキリが達磨を集めるのは願いを叶えるため、と言うのは後付けされた噂の可能性が高い。 2.最初の犠牲者と思しき「祝薗盛華(ほうそのせいか)」の婚約者のみ手足も見つかっていない。 3.シシキリはネット発で広がった都市伝説、本人しか知る術の無いような描写も書き込まれている。 以上の三点でしたね。 当たった風月様からの情報交換分も含まれていますが、これは最優先で他の参加者に回します」 「当然だ。こんな奴が迷宮時計の力を手にしたら亜空間を含むすべての多次元並行宇宙が危ない。 次は時ヶ峰だったか? こいつは時空を操る魔人家系として有名だから見つけることが出来たのか」 「ご明察の通りです。あちら側で資金や人員の流入が激しくなっていると報告がありました。 未だ詳細はわかっていませんが、希望崎学園最強と目される彼が所有者であることは間違いないかと」 「風月については……、頭が痛くなるからこれも後々にしておいてくれ。 いずれ弱点を見つけないといけないんだろうが、探偵となると話が長くなるからな。 ミスター・チャンプは御本人が発言している以上のことは、それからわかった?」 「いえ。その辺りは流石に興行主、仮にあったとしてもボロは見せないようです あと、探偵方についてわかった点と言えば風月様については出生地が長野県、柊は生産地が静岡県で、ほぼ同時期に生まれたと言うくらいですね。特に申し上げるべき点は現状ありません」 「そう……、それでは大方針としてまず飯田カオル経由で危険人物の情報を流しましょう。 ここで言う危険人物とは天樹ソラとシシキリの両名。 風月と時ヶ峰は下手に突っつかないようにだけど、信用の出来る時計所有者と渡りが付いたら情報を流してもいい。飯田カオルとミスター・チャンプは保留でよろしく」 先に言ったことは忘れたわけではない。 が、探偵と聞くと何故か嫌な予感がするのは気のせいではない筈だ。 「で、最後に。山禅寺ショウ子って探偵のことだけど……」 「はい! 山禅寺様は著名な転校生探偵であらせられるのです!」 自信満々に言われても、その……何だ、困る。謎を解く探偵自体が謎(?)の固まりでどうするんだよと、説明を受けた後は本当に思うよ。喋るダッチワイフくらいに思ってたかつての自分が、恥ずかしい……。 「本格派と対立することが無いのが幸いでした。わたくし自身も救われたことがあるんです!」 専門用語は聞き飛ばしてくれ、この探偵は異なった探偵技術の取得を目的に我々に協力している。 探偵についての詳細は省くが、本音を言えば柊とか風月とかいう探偵も許されるなら解剖せんばかりの勢いだ。探偵と言う生き物は基本的に狂気の産物だと私は思うよ。 「山禅寺様はですね―― 「――ん? 疑問の途切れる音と共に、どんがらがっしゃーん。 そんなコミカルな音がした気がした。 「あー、いたたたた! 何、何なの! 事件!? と言うか字数は大丈夫!?」 『……落ち着くんだ、ショウ子。君の妄想を彼女らに押し付けることはないだろう。 それに事件はまだ始まっていない、ハズだ』 果たして、呼ばれてやってくるのが探偵である。二人は諸手を上げ、二人は頭を抱えた。 ×ツヅク ○オワレ このページのトップに戻る|トップページに戻る
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623 名前:モントゴメリー(リハビリ中)[sage] 投稿日:2024/01/04(木) 00 36 35 ID 116-64-135-196.rev.home.ne.jp [69/115] フロレアル級護衛駆逐艦 基準排水量:2,000トン 全長:96m 全幅:14m 高さ:33.4m 機関:ディーゼルエンジン(6,470 kW/8,680 hp) 4基 可変ピッチ・プロペラ 2軸 バウスラスター(200kW) 1基 速力:最大20ノット(公称) 航続距離:11,000海里(14ノット巡航時) 電力:ボードワン12 P15 2SR ディーゼル発電機 (590kW) 3基 乗員:約90名(航空要員含む) 兵装:50口径127mm単装砲 1基 37mm単装機関砲 1基 20mm単装機銃 2基 SIMBAD近距離対空誘導弾連装発射機 2基 エグゾセ対艦誘導弾連装発射機 2基 533mm連装魚雷発射管 2基 艦載機:汎用ヘリコプター 1機 C4I:シラキューズ衛星通信システム GFCS:ナジール 主砲用 1基 レーダー:DRBV-21対空・対水上捜索用 1基 DRBN-34 航法用 2基 ソナー:スフェリオンB 艦首装備式 1基 ATAS(V)2(後日装備) 1基 電子戦装備:ARBG 1A 電波探知装置 DAGAIE Mk.2デコイ発射機 2基 【概要】 フロレアル級護衛駆逐艦(destroyer d'escorte type Floréal)はフランス連邦共和国(FFR)海軍の艦級である。 1980年代初頭より同海軍で整備されて来た新型艦——「新世代(nouvelle generation)」と呼称される——の一翼である。 小型にして軽武装ながら、対潜・対空・対艦(及び対地)の各能力を最低限ながら全て保持しており海上交通線の守護者として国民からは親しまれた。 【計画】 FFR海軍では従来、「通報艦(Aviso)」という艦種を整備してきた。 これ自体は戦前から存在するものであり、海外県・海外領土での洋上警備・救難など領海・排他的経済水域保全を主任務としてきた。 しかしFFRの御代からはそれに「一定程度の対艦戦闘能力」が追加されることになる。 これはあのアムステルダム条約の“基準排水量2000トン以下の小型駆逐艦、植民地通報艦の保有数に制限は設けない。”という項目が原因であり、この「抜け道」を利用して艦隊戦力を少しでも増強しようとしたのである。 その結果、FFR海軍黎明期から初期——いわゆる「暗黒の30年」時代——の通報艦は小型の船体に重武装という特徴を持つようになり、当然安定性を始め様々な問題が発生することになる。 そこで1980年代初頭、「暗黒の30年」を乗り越え余裕が出来たFFR海軍は艦隊の一大刷新を決意、新艦艇の整備を開始する。 代表的なのは『我らが指揮官』の第一次再構築改装であるが、計画されたのは本級が最初である所にFFR海軍の意気込みが見て取れる。 計画の骨子としてはアムステルダム条約の制限一杯まで大型化した船体で航続性能を確保しつつ、通報艦から移管した対艦戦闘能力を付与するというものになった。 簡単に言えば「対艦戦闘能力を強化したフリゲート」を欲したのである。 FFR海軍は各種正面装備を整備しつつも海軍の存在意義——自国海上交通線の保護——を忘れてはいなかった。 「大陸軍(Grande Armée)」の栄光は忘れじとも、“海から資源を輸送しなければ立ち行かない”という点では、FFRは既に立派な「海洋国家」なのだから。 なお、艦級については当初「フリゲート(Frégate de surveillance)」とする予定であったが、条約的に面倒になるので「護衛駆逐艦(destroyer d'escorte)」となった。 624 名前:モントゴメリー(リハビリ中)[] 投稿日:2024/01/04(木) 00 37 54 ID 116-64-135-196.rev.home.ne.jp [70/115] 【船体設計】 本級ではコスト低減を目的として、積極的に商船の建造技法が導入されており、フランスの船級協会であるビューロー・ベリタスの規則に準拠して設計されている。 艦型としては長船尾楼型が採用されヘリコプター甲板の高さと船内容積を確保している。艦内にはコマンド部隊25名分の待機スペースがあり、また350立方メートルの物資を搭載できる。 【機関】 航続距離は『我らが指揮官』と同じ数値である14ノットで1万1000海里が設定された。 これはマルセイユ—エスト・デ・パリ間を無補給で航行できる数字であり、戦略的環境が同じであるため同じ数字になるのは必然であった。 この長足を実現するために、ディーゼル主機とされているが通報艦と異なり船型の大型化に伴い巡航用と高速用二つの主機を搭載することが可能となった。 主機は直列6気筒の高速ディーゼルエンジン、両舷2基ずつ計4基の主機は、減速機を介して両舷各1軸の推進器(可変ピッチ式プロペラ)に接続される。 抗堪性よりは整備性を重視して、主機室は1室構成とされている。 これに関しては異論も出たが、本級は艦隊決戦が主任務ではないため看過することになる。 【兵装】 主砲に50口径127㎜速射砲を装備。これは、『我らが指揮官』にも搭載された65口径127mm砲を軽量化のため短縮したものである。 このため初速が低下し威力も射程もそれに準じるが、対地攻撃には十分な威力を発揮するとして問題にはならなかった。 (対艦戦闘能力は後述する誘導弾が主役である) 対潜兵装は533mm誘導魚雷を装備しており、ソナーであるスフェリオンBは、6~8 kHzの周波数を使用して2~24 kmの距離を探知可能である。 正直、これは大洋では物足りない性能であるが、追加装備としてATAS(V)2曳航型ソナーが配備されたことで対潜能力は飛躍的に向上した。 本級の運用としては、複数艦で対潜警戒線を作成し、発見した潜水艦は陸上航空隊の対潜哨戒機や本職の艦隊駆逐艦に対処してもらうのが基本となる。 対空装備としては船体両舷に20mm機銃を1基ずつと、艦後部の艦載機格納庫上部に37mm機関砲が1基配備されている。 そして本級の目玉である対艦誘導弾として国産のエグゾセ発射管を前部マスト直後に配備している。 【船体軽量化】 ここまでお読みなった諸兄はこうお思いだろう。 「これ、2000トンに収まる?」 と。 実際、この規模の艦を従来通り建造すると基準排水量は3000トン前後となってしまう。 そこでFFR海軍技術部は材料的手法と構造的手法、二つのアプローチからこの問題に対処した。 まず材料的手法であるが、上部構造物に鋼材ではなくガラス繊維強化プラスチックを採用した。これを可能な限り使用し重量を低減している。 次に構造的手法として、船体構造物各所にハニカム構造を採用し必要な鋼材を削減、軽量化に成功している。 こうした努力の結果、見事基準排水量を2000トンに収めることに成功した。 【運用】 本級は『我らが指揮官』再就役に先駆けて就役し、「新世代たち」の先駆者となった。 名前はフランス革命暦に因み命名され、1番艦のFloréal (花月)から第一期組としてGerminal (芽月)まで12隻が建造された。 その後は第二期組としてフロレアルの第一日目Rose(薔薇)から三十日目のHoulette(牧杖)までの30隻が、その後も30隻ずつが建造され最終的には同盟国へ販売された分も含め132隻が就役し、FFRの海上交通線を守り抜くことになる。 なお新素材は新工法を採用したため、建造コストは当初それほど圧縮できなかったが、量産が進むにつれ予想以上の低減に成功した。 625 名前:モントゴメリー(リハビリ中)[sage] 投稿日:2024/01/04(木) 00 39 48 ID 116-64-135-196.rev.home.ne.jp [71/115] 以上です。 ウィキ掲載は自由です。 まだ駅前のデパートのエスカレーターに乗ったらひっくり返りそうになるような体ですが エラン・ヴィタールをかき集めて霧の咆哮氏のご帰還を祝します。 詳細と感想返しは明日でご容赦を……。
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蕾塔 蕾塔 Lv.1 [#lv1] 蕾塔 Lv.2 [#lv2] 蕾塔 Lv.3 [#lv3] 蕾塔 Lv.4 [#lv4] 蕾塔 Lv.5 [#lv5] 蕾塔 稀有卡 [#rare] 蕾塔 稀有Lv.1 [#rarelv1] 固有必殺技 [#skill] 引向宵闇 [#skill1] 逆襲引力 [#skill2] 羅恩格林之門 [#skill3] 繚亂舞刃 [#skill4] 整合 [#organize] 蕾塔 中文名字 蕾塔 日文名字 レタ 英文名字 Leta 生日 芽月9日 榿木日 血型 A 出身地 --- 身高 156cm 體重 47kg 興趣 畫畫 稱號 TheWanderer 有關係的角色 不明 住在異界的少女。一直思念著家人而持續旅行。 異界に住む少女。家族のことを思い続け旅をする。 卡片取得方式 Darkroom銅(普通卡)/銀(普通卡)/金(普通卡) + 開啟對戰台詞 對戰台詞 「自分の世界に戻る方法、あなたは知ってる?」 「你知道如何回去自己世界的方法嗎?」 「戦わなきゃいけないけど、人に会えるのは嬉しいね!」 「雖然不得不對戰,但能遇見人類真開心!」 「あのう、ここがどんな世界なのかわかる人知りませんか?」 「那個,有人知道這裡是個什麼樣的世界嗎?」 「あなたはどんな世界から來たの?」 「你是從什麼世界來的呢?」 「ここが一番おかしな世界。あなたもそう思うでしょ?」 「這裡是最奇怪的世界。你也這麼覺得吧?」 「パパ!? 本当にパパなの?」 「爸爸!? 真的是爸爸嗎?」(vs米利安限定) 蕾塔 Lv.1 能力值 HP 7 / ATK 4 / DEF 6Total 17 事件卡 ★ RARITY(稀有度) 5 ID 641 必殺技 引向宵闇 蕾塔 Lv.2 能力值 HP 8 / ATK 5 / DEF 6Total 19 事件卡 ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 642 必殺技 引向宵闇逆襲引力 合成方法 蕾塔Lv1 (2張) LEVEL UP 蕾塔 Lv.3 能力值 HP 9 / ATK 5 / DEF 7Total 21 事件卡 ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 643 必殺技 引向宵闇逆襲引力羅恩格林之門 合成方法 蕾塔Lv2 (4張) LEVEL UP ※期間限定成就:2015/08/13~08/27 11 00 當取得第一張蕾塔Lv3時,即可取得蕾塔專武 蕾塔 Lv.4 能力值 HP 10 / ATK 6 / DEF7Total 23 事件卡 ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 644 必殺技 引向宵闇逆襲引力羅恩格林之門 合成方法 蕾塔Lv3 (6張) LEVEL UP 蕾塔 Lv.5 能力值 HP 11 / ATK 6 / DEF 8Total 25 事件卡 ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 645 必殺技 引向宵闇逆襲引力羅恩格林之門繚亂舞刃 合成方法 蕾塔Lv4 (12張) LEVEL UP 蕾塔 稀有卡 蕾塔 稀有Lv.1 能力值 HP 10 / ATK 6 / DEF 8Total 21 事件卡 ★ ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 6 ID 646 必殺技 引向宵闇逆襲引力羅恩格林之門繚亂舞刃 合成方法 角色卡 等級 張數 蕾塔 普通 Lv1 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 5個 鐵幣 25張 Lv1 25隻 時間的碎片 10個 銅幣 50張 Lv2 50隻 靈魂的碎片 15個 銀幣 75張 Lv3 75隻 生命的碎片 - 金幣 - Lv任意 - 死亡的碎片 10個 白金幣 20張 各Lv 60隻 固有必殺技 引向宵闇 將對手拉到自己擅長的距離。 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 × ○ ○ 卡片 特2↑ 效果 DEF+8or10,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 攻擊 DEF+8 DEF+10 逆襲引力 服從操控者意志的重力。 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 ○ x x 卡片 防1↑,移2↑ 效果 DEF+4~6,防禦成功時,對對手造成2~3點直接傷害,對手「MOV-1」(2回合) 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 效果 - DEF+4,防禦成功時,對對手造成2點直接傷害 DEF+6,防禦成功時,對對手造成3點直接傷害 羅恩格林之門 不曉得會出現什麼的異次元之門。 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 x ○ × 卡片 無1↑,無1↑ 效果 無1X2...ATK=20,無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇。⇒無1×2…ATK=20,無1X2...ATK=20,無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇,無1X2+無2X2+無3X2...ATK=30,發動繚亂舞刃。 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 効果 ― ― 無1X2...ATK=20 ― ― 無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇 ― ― 無1X2+無2X2+無3X2...ATK=30,發動繚亂舞刃 註1 無1X2+無2X2的效果為ATK=25,縮短跟對手的距離1來到近距離。 註2 無1X2+無2X2+無3X2的效果為ATK=30,縮短跟對手的距離1來到近距離,對對戰隊伍待機的其中一人造成與這次戰鬥造成的傷害等值的直接傷害 MAX 6 。 繚亂舞刃 閃耀的刀刃將切開一切。 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 ○ × × 卡片 劍4↑,槍4↑ 效果 ATK+6,對對戰隊伍待機的其中一人造成與這次戰鬥造成的傷害等值的直接傷害 MAX 6 。 整合 普通卡 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 CharaImage 能力值 HP 7 / ATK 4 / DEF 6Total 17 HP 8 / ATK 5 / DEF 6Total 19 HP 9 / ATK 5 / DEF 7Total 21 HP 10 / ATK 6 / DEF 7Total 23 HP 11 / ATK 6 / DEF 8Total 25 事件卡 ★ ★ ☆ ★ ☆ ★ ★ ☆ ★ ★ ☆ Cost 8 13 16 17 22 必殺技1 引向宵闇 引向宵闇 引向宵闇 引向宵闇 引向宵闇 [條件]防禦/遠・中距離/特2↑[效果]DEF+8,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 [條件]防禦/遠・中距離/特2↑[效果]DEF+8,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 [條件]防禦/遠・中距離/特2↑[效果]DEF+10,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 [條件]防禦/遠・中距離/特2↑[效果]DEF+10,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 [條件]防禦/遠・中距離/特2↑[效果]DEF+10,縮短跟對手的距離1。防禦失敗時,拉開跟對手的距離1。 必殺技2 逆襲引力 逆襲引力 逆襲引力 逆襲引力 [條件]防禦/近距離/防1↑,移2↑[效果] DEF+4,防禦成功時,對對手造成2點直接傷害,對手「MOV-1」(2回合)。 [條件]防禦/近距離/防1↑,移2↑[效果] DEF+4,防禦成功時,對對手造成2點直接傷害,對手「MOV-1」(2回合)。 [條件]防禦/近距離/防1↑,移2↑[效果] DEF+6,防禦成功時,對對手造成3點直接傷害,對手「MOV-1」(2回合)。 [條件]防禦/近距離/防1↑,移2↑[效果] DEF+6,防禦成功時,對對手造成3點直接傷害,對手「MOV-1」(2回合)。 必殺技3 羅恩格林之門 羅恩格林之門 羅恩格林之門 [條件]攻擊/中距離/無1↑,無1↑[效果] 無1X2...ATK=20,無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇 [條件]攻擊/中距離/無1↑,無1↑[效果] 無1X2...ATK=20,無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇 [條件]攻擊/中距離/無1↑,無1↑[效果] 無1X2...ATK=20,無1X2+無2X2...ATK=25,發動引向宵闇,無1X2+無2X2+無3X2...ATK=30,發動繚亂舞刃 必殺技4 繚亂舞刃 [條件]攻擊/近距離/劍4↑,槍4↑[效果] ATK+6,對對戰隊伍待機的其中一人造成與這次戰鬥造成的傷害等值的直接傷害 MAX 6 。
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雨月星座 -最終調整後 ステータス(評価点数:Lv.1000) キャラクター名:雨月星座 よみ:プリュヴィオーズ・せいざ 性別:女性 体型:華奢 学年:高等部2年 部活:カランドリエ 委員:天文委員 武器:天体望遠鏡 初期ステータス攻撃力:11 防御力:12 体力:20 精神:3 FS(盗んだ星座の数):20 移動力:2 通常攻撃範囲:隣接1マス アビリティ『転校生』【1stキャラ:雪月通訳】 『観測』◇本戦狙撃:通常攻撃範囲が隣接1マスに拡張される 無視:ZoC無視 『昇天』◇本戦必中:通常攻撃が必ず命中する 必殺:通常攻撃における命中判定のダイス目が攻撃キャラクターの攻撃力以下だった場合、相手は体力や防御力に関わらず死亡する 『星屑』◇ホリラン節約:成長ダイスで、上限に達したステータスが出た場合振り直す 不屈:戦闘敗北時、50%の確率で精神減少なし 魔弾:クリティカル率×3 特殊能力『私たちが星座を盗んだ理由』(発動率:100%) 永続パッシブ 登場時および被解除時に自動発動する。 能力概要 星座の通常攻撃が命中した場合、ダメージ計算の後、通常の処置を行わず以下の状態変化を与える。 命中のみ 一時戦線離脱(一ターン) 死亡相当 永続戦線離脱 瀕死相当 永続行動不能 通常攻撃と同時に通常攻撃先のマスに死体を一体召喚する。 死体のないマスに移動した場合、味方フェイズ終了後に星座は一時戦線離脱し、次ターン以降の味方フェイズに死体のあるマスを任意に選んで転移する。 備考 移動先に死体がなくても通常攻撃を試行することは出来ますが、対象がいなければなりません。 死体のあるマスを任意に選んで転移可能 「次ターン以降の」はあくまで次のターン以降のターンで、死体がマップ上に存在している場合出現先を指定すると言う意味であり、出現確率がランダムに決定されるわけではない 次ターン以降の部分に関しては次ターン「必ず」出現するという意味ではなく、次ターン以降の任意のターンで(死体のあるマスから)出現位置を選べる 能力原理 少女にとって等しく訪れる思春期の訪れ。 愛憎離苦――、日々生まれ変わっていくわたしたちにとってそれは苦痛なのか快楽なのか、きっとわからないんでしょうか? だから、星座はかつての自分を棺に封印する。 凡俗はそばかすが出来たり、ほくろが生まれたり、にきびを作ったりする、そんな下らない一喜一憂をするのだけれど。この体は時間に抵抗する、何億年でも待っていればいい。 未来はいつだって恐ろしいから今を切り刻んで 過去はいつだって美しいから今が惨めになるんだ。 ガラス越しの自分はいつだって微笑んでくれる。 "見る"ことで網膜の鏡像に映った人の姿そっくりそのままな死体を作成する能力。 モデルとなった人物からは黒子の数から遺伝子構造まで寸分違わず複製された死体であるが、あくまで形を模しただけであり魂も命を持たない。 また、この死体はいわゆる不朽体であり、経年劣化や腐敗が見られることはない。 ……本来なら、そこで留まるだけの力だった。 だが、人の姿をした惑星と巡り合った日に「欲しい」と思った星座は"死んだ"星を夜空から奪い取ってしまう。生きている星まで嬉々として掴み取っていたその日の夜、今まで自分が何をしているか気付いた。 星座は魂のない死体を作っているのではなく、作った生体から魂を消していたのである。 転じて魂の輝きに心魅かれるようになり星座は、自分が容易く命の火を吹き消せることを知る。 弱いものは一目されただけで、彼女が愛でるための死体を残して掻き消され。 強いものも一瞥されただけで、己を魂の檻ごと見失うことになるだろう。 それは星座自身とて同じこと、今動いている自分と今止まっているあなた、そこにどんな違いがあるのだろうか? その結果、夜空からは太陽と月こそ見逃されたものの多くの一等星が失われ、彼女の宝石箱に閉じ込められるか髪飾りになるか、どちらかの運命を辿ることになっている。 必殺技『少女たちの羅針盤』 (消費MP:3) 効 果 : デメリットなし神速攻撃 必殺技原理 星座を見るのは誰なのだろうか? 自他を隔て、見て見られて、舵を取るのはあの方であった。 だから彼女は暦を臨む。 技ダイス 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 神速攻撃 回避 回避 気合 必殺技 必殺技 キャラクター説明 【プロフィール】 年齢:十七歳(七月七日生まれ) 瞳の色:星の色 髪の色:闇の色 好きな物:死んでいる人間、星、自由 嫌いな物:生きている人間、闇、束縛 希望崎学園の秘密結社『暦』の妹組織として妃芽薗学園にて暗躍する謎の部活『カランドリエ』に属する一人。 戦闘力においては「熱月雉鵠(テルミドール・じかん)」と並ぶ二枚看板の一人であり、留年を続けている基幹メンバー「芽月リュドミラ」らに次ぐ重要メンバーである。 暦およびカランドリエ http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=3363563 闇夜のように真暗い黒髪には無数の星が飾られ強い熱を発しているが、反面、肌の色は血の気に乏しく光すべてを溶け込ませる程に色白い。四季を問わず真っ青なセーラー服を着、その上から闇色の外套を肩にかけている。 ぞっとするほど美しいが、全身から不自然さと退廃的な雰囲気を漂わせる。 昼も夜も常に光っていることから仲間内からは「一つきりの星座」とあだ名されている。 感情的な性格に見えるが、実際は冷淡な性質を持ち凡人への興味も薄く己の美意識に耽溺する傾向が強い。 彼女個人に魅かれて集まってくる信奉者も多いが、星座も「カランドリエ」部長の信奉者の一人に過ぎない。 天文部を滅ぼしたその足で学園側に天文委員会の創設を認めさせて部をサポートしているが、独断専行が目立つのも確かであり他の部員からは何をするかわからない危険人物と見られている。 元は"大正時代"から留学してきた令嬢であり、名花十二客のひとつ「茉莉」に連なる探偵家「砲茉莉(つつまつり)」の一員である。 万国の血を注がれた人間として極めて平均的、けれど危うい均整に満ち満ちた風貌に育ち、それを惜しんだ父に女に”させられた”と言う過去を持っている。 その後、醜聞を恐れた一族の物によって異世界の妃芽薗学園へと幽閉され、現代に至る? 名花十二客 http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=3467541#2 エピソード ★ 1920年、帝都東京――。 ここはあなた達日本人が辿った歴史とは少し違う方向に捻じ曲げられた異世界"大正時代"。 退廃と円熟の時代。どこか先行きに不安を混じらせながらも自由と解放の雰囲気に満ちた大正浪漫、そして何より探偵を主役に据えるための、一個の舞台。 けれど、探偵に生まれることと探偵に生きることはイコールではないのだと、彼女は教えてくれた。 ……彼女について話す前に少し前置きが必要なようだった。 剣薔薇(つるぎばら)、砲茉莉(つつまつり)、矢車菊(やぐるまぎく)、扇牡丹(おうぎぼたん)。 内、扇牡丹は一世紀をまたいだ牡丹命子の一件により本家の煽りを喰らって滅んだが、残る三家は財界との繋がりもあり最も華やかなりし探偵家として繁栄を謳歌している。 先の第一次世界大戦の予見、最も的確な投資対象の選定によって莫大な財を築いた彼らの源流は名花十二客と言う名のある世界の財閥集団である。 彼女の生家、婚姻政策によって権勢を拡大してきた名家「茉莉」は遠客を意味する通り「近くの地縁より遠くの血縁」をモットーとしており、その拡大は世界各国はもちろん平行世界にまで及んでいた。 その分家である「砲茉莉」もまた発起人として他家を巻き込み、短期間の内に「剣薔薇(つるぎばら)」と並ぶ繁栄をここ百年前の帝都にて謳っていたのである。 何せ、未来人である彼らはちょっとしたズルが使えるのだ。 人工探偵と言う華やかな花たちが運んできた蝶の群れはバタフライ・エフェクトを生み出した。 未来が過去を作っている、ちょっとした逆流現象によって、いつしかこの世界は巨大ロボットと言う漢の浪漫まで実現させていた。 が、この物語(キャンペーン)は流血少女。少女たちの残酷歌劇(グラン・ギニョール)。 本筋と関係のないところまで紙面を裂くことまではいたしません。どうかご容赦くださいませ。 もっとも、この世界の仕掛け人が転校生にも匹敵する実力者である人工探偵「桜火(おうか)」と言う個人であることは脳の片隅にでも入れておくとよいかもしれません。 余技が過ぎました。不肖、この三毛猫が語りを引き継ぐといたしましょう。 鉄砲百合三毛猫、この世界で発生した探偵家の一員ですが、僕は"まだ"恋をしていません。 ★ 真黒の絵の具に色とりどりを重ね重ねて、より深い黒色を描き出すような、雑多な部屋でありました。 一歩踏み入って、そこに床があるのか。それとも淵なしの暗黒が口を開いているのではないかと、どうしても、しばらくの間は後ろに置いてきた片足を持ってくることが出来ませんでした。 進むに進めぬ体たらく。見かねた人工探偵の方に退路を塞がれました。この闇の中、瞬く星の光を目指すしか道はないと知っているのに踏み切れぬは男の成りをしていない惰弱さゆえなのかもしれません。 手探りで進むようなことがなかったのは救いであったかは、わかりかねましたが。 この閨屋が闇色となったのは、光が星の独占物であった故なのかもしれません。 光を放つなどと言うもったいの無い行いをこの強欲な星は許してくれるのでしょうか? 答えは「いいえ」でしょう。 昏い寝所にて、中央に座したその人はその腕で全身を抱きしめるようにしていました。 光の化身とも言える白い風姿の上にのびのびとして闊達な黒い髪を輪郭のように乗せています。 喩えるなら墨の河に落とした砂金の粒でしょうか。その柔らかい墨は青い、青い、軍で見た服に流れていたのです。 きらきらしていました。 星です。あの方が盗んだ天空の星なのです。それで自分の身を飾りたてる不善を為したのです。 返す術を知らない盗人だからこそ、彼女はここに幽閉されているのです。 ――ようやく、こちらに気付いていただけたのでしょうか? 三毛猫は、僕は言葉を心待ちにしている自分に気付きました。 「星座は名を雨月星座と言います。 砲茉莉の姓はとうに捨てましたが、呼びたければお好きにどうぞ」 ひやり、とした声でした。 ……知らない声でした。 知らない名、知らない顔、知らない人ではないはずなのに、まるで百年も昔のおとぎ話の住人が話しかけてくるような違和感があったかのように思えます。 光を通さない黒い帯で両目を塞がれてなお射抜かれるかのような視線に身震いをしました。 星の光を届けないよう厳重に封印された暗室は、まるで意味を為さないようでした。 僕の名前である鉄砲百合三毛猫、それを知っておられたのでしょうか? 答えは「いいえ」でしょう。それが、他の誰かであるならば、と言う但し書きは付きますが。 「おや、三毛猫ちゃんですか? 星座は小さくなってしまいました。 見苦しいところを見せましたね。うふふ……」 どれどれ、と宙に手刀にて空を切る仕草をする星座様はまるで見当違いの方向を向いています。 ぴょいぴょいと飛び跳ねる真似をしていますが、それで僕は2メートルの巨人になってしまいます。 空振りを繰り返していて、顧みることをされないのでしょうか、失礼ながら童女、もしくは何かに憑かれたかに見えました。 「星座様、知らぬ間柄ではございませんが、どうかお戯れはおよしになってくださいませ」 失礼ながら侮っていたのでしょうか、それとも怯えの色が混じっていたのでしょうか。 「惰弱!」 思わず、びくりとして頭を押さえても何かが飛んでくるわけもなく。 「……と、きみのことを今この時代では呼ぶのでしょう?」 ころころと、女のような声色で笑いかけながら。 けれど、変わらない少年のようないたずら心を孕ませて言ったのです。 「時の条理とは不条理です。"僕"の元に届けられる星の光は数千、数万を経ています。年老い、もう死んでいると思ったからこそこのようにして掌に収まるのですから。一つあげましょう」 こうして、いらぬ世話をしてくれる困った御仁でありました。 毛虫を押し付けてられて、投げ返すでもなくきゃーきゃー言っていた僕も僕でしたが。 長い長い黒髪に付けていたのは星飾り、自ずから瞬くそれを僕にくっつけようとして、声を上げずに、音を立てまいとかわす僕でした。ひょい、ひょいっと、見ているものがいれば滑稽でしょう。 まるで、双方の動きがわかっていたかのような息の合わせに後ろに立つ人工探偵も安心して寝息を立てていました。 そうして、ようやく飽きてくれた星座様はぽいと空中に投げ出しました。 おそらく四等星だろうその星は、蛍の光に見えてか細く。けれど、読書には向いていそうでした。 「つまらない子だね、三毛猫は」 それでも、いつもなら呆れの中に親愛を混ぜてくれるのにどこか寂しいものを感じて。 慌てていると、まるでわかっていたかのような迅さで手首を掴まれました。 「男女の別を設けて愛するを隔てる……か。 僕達、二つの時代と二つの世界を飛び越えた者の子孫たちは恩寵としてか呪いとしてか、二つの性別を孕んで生まれてくる。第二次性徴の先に、男女の別を選ぶ。選ぶ? ……この時代において自由はまだ遠いのだね」 夜の風の匂い、涼やかで好ましい香りの中にどこか悍ましい物が混じっていることに気付きました。 それでも振り切ることは出来ません。その手が三毛猫の頼りなさと比べてもなお繊細でか細いものであると気付いたのです。 「ふうん。面白いではないですか。きみは好きな方がいるから男を選ぼうと思っている」 振り払うまいと力を込める三毛猫に気付いたのか、言葉を続ける星座様に「いいえ」と答えることは出来るのでしょう。ですがそれをすれば手は離され、永久の別れとなるような気がしました。 「それが婦人の情であることに気付いていないのだから。 欲し欲される、浅ましい人の業を知らないからこそ、太平楽にここにやって来れる!」 打たれる身の辛さを知りながら、それでも身を投げ出すことをやめられない。三毛猫はどこか異常なのでしょうか? 「くだらない……。人間など所詮は欲と情に塗れた生き物だと言うのに。 本当に情欲を持っているなら女の身に成り下がってから僕の前にでも飛び込んで来たらどうだ!」 怒りに身を任せるようでいて、その前に身を投げ出す覚悟は出来ていました。後悔があるとすれば、女に犯されるこの身がどちらに変じるのか、推理の及ぶところではなかったことですが。 「これはねごとなのですね~」 え~い。 眠そうな声が割り込みます。浴衣姿の幼女が目元をこすりながら僕達の間に割り込むのです。 嫌な表情が浮かぶようでいて、いえこんな子どもに押されてやって来たのかと思うとバツが悪いのです。妄想で遊ぶから淫乱な夢を見ていたのだと、年中夢を見ている探偵に教えられるようでした。 「誰?」 「もうしおくれました~。わたくしじんこうたんていななじゅうにこうのひとり『はすはじめてひらく』をあずかります、すどう・ひつじぐさともうしまする~」 即座に熱の籠りを振り捨てて、冷ややかな声に戻しながら 「みけねこちゃんさま~。おはなししましょうよ~」 「冗談はやめてくれ、雑草風情が……ぁ?」 袖をはっしと掴みながらそれを言うのは何かの冗談でしょうか。 須藤未草、見た目の齢がとうに足らない子どもが既婚者であることに、未だ世間の暗闇を知らない僕……自覚していますは戦慄したことを今も覚えています。 目に見える異形は右の涙袋から生やすヒツジグサの花のみ。 水面を模すようにして涙で潤んだ目は水滴を落とすことなく、枯れずの花を真正面に立てていました。 そして、眠りながら会話をしています。これが未草の魔人能力「ひつじとはなのかぞえうた」、眠りながらでも活動が出来、彼女の寝言と会話をした者を強制的に眠りに落とす、そんな単純な能力です。 ここまでの会話も一方向的なものでした。互いが一方的に話すだけで傍から聞いていれば違和感に気付いただろう、そんな会話もこの部屋に入る前から途切れていました。 余談ですが人工探偵も探偵家に膾炙するにつれて、一種の階位付けが求められました。 頂点たる四季士に続くものとして九十六。つまり二十四節騎・七十二候、合わせて人工探偵百撰。 花よ花よと持て囃される人工探偵たちのエリート集団でした。すべてが一個世界に集うことは無いとは言え、一人一人が並の探偵ではないと聞き及んでいます。 人工探偵についてご存じない方は単語を聞き飛ばして結構だと、思いますよ。 ……、ひとつ誤算があったとすれば規格外の犯人、いや怪盗を前に規格に収まった探偵如きでは相手にならなかったことでしょうね。 「おふたかたともねごとをおっしゃられていたので」 呑気なようでいて、つんと澄ませたその響きは年相応にも聞こえました。 この闇の中に投げ出された星はかつて夜空に輝いた星の座、そのものでした。 随分寂しくなった星空の中に戻してあげるのは可能でしょうか? 「いいえ」と、僕はごめんなさいの言葉を飲み込んで足をずらしました。今はそれより掴まれた感覚なのに、手を離してしまったように思ってしまいたいのです。どうか傲慢でいいと思わせてください。 今はそれだけでいいんです。お願いします――。 ★ 絵と絵を通じて、異世界や平行世界を渡る能力『隠れ画(エルミタージュ)』。 カランドリエがいくつか抱える移動能力のひとつである。 「しかし、星を蛍光塗料代わりに使うなんて贅沢な真似をするな……」 百年前に消えた星座の絵を通して、異なる世界に移動する。果たして、百年後の現在(いま)に置かれた絵も同一の物であるのだから仕方がない。 自身も絵画であるからこそ、女は目利きに優れそれを看破する。これには本物の星が埋め込んであると。二束三文で買い叩いたそれが今までどのような来歴を辿って来たかについては割愛する。 問題は、シーツ一枚だけ身に着けた女が似合わぬ労働を強いられていたこと。 そして、今は切り札となる転校生をあの方の手札に加えられた、それで十分だろう。 元より肌に撫でついた水滴と、滲み出た汗の区別が付かないままに彼女をベッドに横たえる。 青空のような色をしたセーラー服を身に纏い、その上から闇の如き外套を引き掛けた。 夜空に似た黒髪、長い長い。永い永い、まるで宇宙のようだ。 「あなたに預けられる月の名は雨月(プリュヴィオーズ)……」 色付きの薄い肌も、呼吸で上下に振れる胸も、どこか生命になりきれない不器用さを感じた。 だから親近感を感じる。 死体を生み出す能力――じゃない。それだけなら最悪の法医学者になりきれたかもしれない。 星々を盗み取る能力――じゃない。それだけなら最悪の天文学者になりきれたかもしれない。 はじまりは美しい物を手元に永遠に置いておきたい、それだけの無邪気な子どもの妄想。 それは――探偵の発想ではなかった。 だから、変わることのない死体が手元に来たし、みんなが手を伸ばす星を掴み取れる。 死んだ星の光なら永遠になると言う理屈で、幾億光年先の星の魂を消し去れる。 真正面から向き合いもしない恒星の限界だ。彼女の目は潰せやしない。 そして、彼女は永遠になるのだろう。魂を見た以上は、美しいと信じているから。 「望めばいい。それを望めば五十億年先はキミのものだ」 閉じた瞼をめくると星の色が見えた。百年前の彼女では絶対に見ることの叶わない星――地球。 「その姓も、星も、性も、あなたを縛る物にはなり得ないさ……」 唯一人、あのお方を除いては……。祝福に続く言葉は心の中に消えた。絵にも魂があるのだろうか? 百年を生きる絵画はそれを知りたいとも思わない。 裸身を晒す女は芽月リュドミラ。 部長不在の秘密結社(カランドリエ)の羅針盤を睨む存在である。 さぁこれからどうしようか? そう思った時、キャニスター付きの電話ボックスが転がってくる。 リンリンと鳴り響くから今はお預けかと、妖精のような肢体に似合わぬ欲望の火をさっと消した。 ★ ……星座が天文部を滅ぼし、天文委員会の設立を学園側に承認させるまで次の夜明けを待たなければならない。百年前から変わらず六十八を保つ星座だが、ここ地上における星座は一人きりなのだから。 彼女を百年後に招き入れたリュドミラは部長の了解を取り付け、その威を借りた交渉によって"大正時代"に高官を送り込んでいる人工探偵たちを動かすことになる。 元々彼女たちカランドリエと人工探偵の縁は深かったのだ、当然と言えるだろう。 これにより星座の一件は砲茉莉家では内々の内に処分された。事を起こした当主は当然ながら、事態を知る者、知っていて見て見ぬふりをしていた者達は尽く押し込められることになる。 ……、このカウンターパワーをもってして近代思想と封建的家制度の優劣を比べることは出来ない。 ただ言えることは凡人が八十九番目の星座を家の物にすることに失敗した、それだけのことだ。 ★ +最終調整前 ステータス(評価点数:Lv.1000) キャラクター名:雨月星座 よみ:プリュヴィオーズ・せいざ 性別:女性 体型:華奢 学年:高等部2年 部活:カランドリエ 委員:天文委員 武器:天体望遠鏡 初期ステータス攻撃力:0 防御力:0 体力:6 精神:4 FS(盗んだ星座の数):20 移動力:2 アビリティ『転校生』【1stキャラ:雪月通訳】 特殊能力『私たちが星座を盗んだ理由』(発動率:100%) 永続パッシブ 登場時および被解除時に自動発動する。 能力概要 星座の通常攻撃が命中した場合、ダメージ計算の後、通常の処置を行わず以下の状態変化を与える。 命中のみ 一時戦線離脱(一ターン) 死亡相当 永続戦線離脱 瀕死相当 永続行動不能 通常攻撃と同時に通常攻撃先のマスに死体を一体召喚する。 死体のないマスに移動した場合、味方フェイズ終了後に星座は一時戦線離脱し、次ターン以降の味方フェイズに死体のあるマスを任意に選んで転移する。 備考 移動先に死体がなくても通常攻撃を試行することは出来ますが、対象がいなければなりません。 死体のあるマスを任意に選んで転移可能 「次ターン以降の」はあくまで次のターン以降のターンで、死体がマップ上に存在している場合出現先を指定すると言う意味であり、出現確率がランダムに決定されるわけではない 次ターン以降の部分に関しては次ターン「必ず」出現するという意味ではなく、次ターン以降の任意のターンで(死体のあるマスから)出現位置を選べる 能力原理 少女にとって等しく訪れる思春期の訪れ。 愛憎離苦――、日々生まれ変わっていくわたしたちにとってそれは苦痛なのか快楽なのか、きっとわからないんでしょうか? だから、星座はかつての自分を棺に封印する。 凡俗はそばかすが出来たり、ほくろが生まれたり、にきびを作ったりする、そんな下らない一喜一憂をするのだけれど。この体は時間に抵抗する、何億年でも待っていればいい。 未来はいつだって恐ろしいから今を切り刻んで 過去はいつだって美しいから今が惨めになるんだ。 ガラス越しの自分はいつだって微笑んでくれる。 "見る"ことで網膜の鏡像に映った人の姿そっくりそのままな死体を作成する能力。 モデルとなった人物からは黒子の数から遺伝子構造まで寸分違わず複製された死体であるが、あくまで形を模しただけであり魂も命を持たない。 また、この死体はいわゆる不朽体であり、経年劣化や腐敗が見られることはない。 ……本来なら、そこで留まるだけの力だった。 だが、人の姿をした惑星と巡り合った日に「欲しい」と思った星座は"死んだ"星を夜空から奪い取ってしまう。生きている星まで嬉々として掴み取っていたその日の夜、今まで自分が何をしているか気付いた。 星座は魂のない死体を作っているのではなく、作った生体から魂を消していたのである。 転じて魂の輝きに心魅かれるようになり星座は、自分が容易く命の火を吹き消せることを知る。 弱いものは一目されただけで、彼女が愛でるための死体を残して掻き消され。 強いものも一瞥されただけで、己を魂の檻ごと見失うことになるだろう。 それは星座自身とて同じこと、今動いている自分と今止まっているあなた、そこにどんな違いがあるのだろうか? その結果、夜空からは太陽と月こそ見逃されたものの多くの一等星が失われ、彼女の宝石箱に閉じ込められるか髪飾りになるか、どちらかの運命を辿ることになっている。 必殺技『少女たちの羅針盤』 (消費MP:3) 効 果 : デメリットなし神速攻撃 必殺技原理 星座を見るのは誰なのだろうか? 自他を隔て、見て見られて、舵を取るのはあの方であった。 だから彼女は暦を臨む。 技ダイス 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 神速攻撃 回避 回避 気合 必殺技 必殺技 キャラクター説明 【プロフィール】 年齢:十七歳(七月七日生まれ) 瞳の色:星の色 髪の色:闇の色 好きな物:死んでいる人間、星、自由 嫌いな物:生きている人間、闇、束縛 希望崎学園の秘密結社『暦』の妹組織として妃芽薗学園にて暗躍する謎の部活『カランドリエ』に属する一人。 戦闘力においては「熱月雉鵠(テルミドール・じかん)」と並ぶ二枚看板の一人であり、留年を続けている基幹メンバー「芽月リュドミラ」らに次ぐ重要メンバーである。 暦およびカランドリエ http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=3363563 闇夜のように真暗い黒髪には無数の星が飾られ強い熱を発しているが、反面、肌の色は血の気に乏しく光すべてを溶け込ませる程に色白い。四季を問わず真っ青なセーラー服を着、その上から闇色の外套を肩にかけている。 ぞっとするほど美しいが、全身から不自然さと退廃的な雰囲気を漂わせる。 昼も夜も常に光っていることから仲間内からは「一つきりの星座」とあだ名されている。 感情的な性格に見えるが、実際は冷淡な性質を持ち凡人への興味も薄く己の美意識に耽溺する傾向が強い。 彼女個人に魅かれて集まってくる信奉者も多いが、星座も「カランドリエ」部長の信奉者の一人に過ぎない。 天文部を滅ぼしたその足で学園側に天文委員会の創設を認めさせて部をサポートしているが、独断専行が目立つのも確かであり他の部員からは何をするかわからない危険人物と見られている。 元は"大正時代"から留学してきた令嬢であり、名花十二客のひとつ「茉莉」に連なる探偵家「砲茉莉(つつまつり)」の一員である。 万国の血を注がれた人間として極めて平均的、けれど危うい均整に満ち満ちた風貌に育ち、それを惜しんだ父に女に”させられた”と言う過去を持っている。 その後、醜聞を恐れた一族の物によって異世界の妃芽薗学園へと幽閉され、現代に至る? 名花十二客 http //www.pixiv.net/novel/show.php?id=3467541#2 エピソード ★ 1920年、帝都東京――。 ここはあなた達日本人が辿った歴史とは少し違う方向に捻じ曲げられた異世界"大正時代"。 退廃と円熟の時代。どこか先行きに不安を混じらせながらも自由と解放の雰囲気に満ちた大正浪漫、そして何より探偵を主役に据えるための、一個の舞台。 けれど、探偵に生まれることと探偵に生きることはイコールではないのだと、彼女は教えてくれた。 ……彼女について話す前に少し前置きが必要なようだった。 剣薔薇(つるぎばら)、砲茉莉(つつまつり)、矢車菊(やぐるまぎく)、扇牡丹(おうぎぼたん)。 内、扇牡丹は一世紀をまたいだ牡丹命子の一件により本家の煽りを喰らって滅んだが、残る三家は財界との繋がりもあり最も華やかなりし探偵家として繁栄を謳歌している。 先の第一次世界大戦の予見、最も的確な投資対象の選定によって莫大な財を築いた彼らの源流は名花十二客と言う名のある世界の財閥集団である。 彼女の生家、婚姻政策によって権勢を拡大してきた名家「茉莉」は遠客を意味する通り「近くの地縁より遠くの血縁」をモットーとしており、その拡大は世界各国はもちろん平行世界にまで及んでいた。 その分家である「砲茉莉」もまた発起人として他家を巻き込み、短期間の内に「剣薔薇(つるぎばら)」と並ぶ繁栄をここ百年前の帝都にて謳っていたのである。 何せ、未来人である彼らはちょっとしたズルが使えるのだ。 人工探偵と言う華やかな花たちが運んできた蝶の群れはバタフライ・エフェクトを生み出した。 未来が過去を作っている、ちょっとした逆流現象によって、いつしかこの世界は巨大ロボットと言う漢の浪漫まで実現させていた。 が、この物語(キャンペーン)は流血少女。少女たちの残酷歌劇(グラン・ギニョール)。 本筋と関係のないところまで紙面を裂くことまではいたしません。どうかご容赦くださいませ。 もっとも、この世界の仕掛け人が転校生にも匹敵する実力者である人工探偵「桜火(おうか)」と言う個人であることは脳の片隅にでも入れておくとよいかもしれません。 余技が過ぎました。不肖、この三毛猫が語りを引き継ぐといたしましょう。 鉄砲百合三毛猫、この世界で発生した探偵家の一員ですが、僕は"まだ"恋をしていません。 ★ 真黒の絵の具に色とりどりを重ね重ねて、より深い黒色を描き出すような、雑多な部屋でありました。 一歩踏み入って、そこに床があるのか。それとも淵なしの暗黒が口を開いているのではないかと、どうしても、しばらくの間は後ろに置いてきた片足を持ってくることが出来ませんでした。 進むに進めぬ体たらく。見かねた人工探偵の方に退路を塞がれました。この闇の中、瞬く星の光を目指すしか道はないと知っているのに踏み切れぬは男の成りをしていない惰弱さゆえなのかもしれません。 手探りで進むようなことがなかったのは救いであったかは、わかりかねましたが。 この閨屋が闇色となったのは、光が星の独占物であった故なのかもしれません。 光を放つなどと言うもったいの無い行いをこの強欲な星は許してくれるのでしょうか? 答えは「いいえ」でしょう。 昏い寝所にて、中央に座したその人はその腕で全身を抱きしめるようにしていました。 光の化身とも言える白い風姿の上にのびのびとして闊達な黒い髪を輪郭のように乗せています。 喩えるなら墨の河に落とした砂金の粒でしょうか。その柔らかい墨は青い、青い、軍で見た服に流れていたのです。 きらきらしていました。 星です。あの方が盗んだ天空の星なのです。それで自分の身を飾りたてる不善を為したのです。 返す術を知らない盗人だからこそ、彼女はここに幽閉されているのです。 ――ようやく、こちらに気付いていただけたのでしょうか? 三毛猫は、僕は言葉を心待ちにしている自分に気付きました。 「星座は名を雨月星座と言います。 砲茉莉の姓はとうに捨てましたが、呼びたければお好きにどうぞ」 ひやり、とした声でした。 ……知らない声でした。 知らない名、知らない顔、知らない人ではないはずなのに、まるで百年も昔のおとぎ話の住人が話しかけてくるような違和感があったかのように思えます。 光を通さない黒い帯で両目を塞がれてなお射抜かれるかのような視線に身震いをしました。 星の光を届けないよう厳重に封印された暗室は、まるで意味を為さないようでした。 僕の名前である鉄砲百合三毛猫、それを知っておられたのでしょうか? 答えは「いいえ」でしょう。それが、他の誰かであるならば、と言う但し書きは付きますが。 「おや、三毛猫ちゃんですか? 星座は小さくなってしまいました。 見苦しいところを見せましたね。うふふ……」 どれどれ、と宙に手刀にて空を切る仕草をする星座様はまるで見当違いの方向を向いています。 ぴょいぴょいと飛び跳ねる真似をしていますが、それで僕は2メートルの巨人になってしまいます。 空振りを繰り返していて、顧みることをされないのでしょうか、失礼ながら童女、もしくは何かに憑かれたかに見えました。 「星座様、知らぬ間柄ではございませんが、どうかお戯れはおよしになってくださいませ」 失礼ながら侮っていたのでしょうか、それとも怯えの色が混じっていたのでしょうか。 「惰弱!」 思わず、びくりとして頭を押さえても何かが飛んでくるわけもなく。 「……と、きみのことを今この時代では呼ぶのでしょう?」 ころころと、女のような声色で笑いかけながら。 けれど、変わらない少年のようないたずら心を孕ませて言ったのです。 「時の条理とは不条理です。"僕"の元に届けられる星の光は数千、数万を経ています。年老い、もう死んでいると思ったからこそこのようにして掌に収まるのですから。一つあげましょう」 こうして、いらぬ世話をしてくれる困った御仁でありました。 毛虫を押し付けてられて、投げ返すでもなくきゃーきゃー言っていた僕も僕でしたが。 長い長い黒髪に付けていたのは星飾り、自ずから瞬くそれを僕にくっつけようとして、声を上げずに、音を立てまいとかわす僕でした。ひょい、ひょいっと、見ているものがいれば滑稽でしょう。 まるで、双方の動きがわかっていたかのような息の合わせに後ろに立つ人工探偵も安心して寝息を立てていました。 そうして、ようやく飽きてくれた星座様はぽいと空中に投げ出しました。 おそらく四等星だろうその星は、蛍の光に見えてか細く。けれど、読書には向いていそうでした。 「つまらない子だね、三毛猫は」 それでも、いつもなら呆れの中に親愛を混ぜてくれるのにどこか寂しいものを感じて。 慌てていると、まるでわかっていたかのような迅さで手首を掴まれました。 「男女の別を設けて愛するを隔てる……か。 僕達、二つの時代と二つの世界を飛び越えた者の子孫たちは恩寵としてか呪いとしてか、二つの性別を孕んで生まれてくる。第二次性徴の先に、男女の別を選ぶ。選ぶ? ……この時代において自由はまだ遠いのだね」 夜の風の匂い、涼やかで好ましい香りの中にどこか悍ましい物が混じっていることに気付きました。 それでも振り切ることは出来ません。その手が三毛猫の頼りなさと比べてもなお繊細でか細いものであると気付いたのです。 「ふうん。面白いではないですか。きみは好きな方がいるから男を選ぼうと思っている」 振り払うまいと力を込める三毛猫に気付いたのか、言葉を続ける星座様に「いいえ」と答えることは出来るのでしょう。ですがそれをすれば手は離され、永久の別れとなるような気がしました。 「それが婦人の情であることに気付いていないのだから。 欲し欲される、浅ましい人の業を知らないからこそ、太平楽にここにやって来れる!」 打たれる身の辛さを知りながら、それでも身を投げ出すことをやめられない。三毛猫はどこか異常なのでしょうか? 「くだらない……。人間など所詮は欲と情に塗れた生き物だと言うのに。 本当に情欲を持っているなら女の身に成り下がってから僕の前にでも飛び込んで来たらどうだ!」 怒りに身を任せるようでいて、その前に身を投げ出す覚悟は出来ていました。後悔があるとすれば、女に犯されるこの身がどちらに変じるのか、推理の及ぶところではなかったことですが。 「これはねごとなのですね~」 え~い。 眠そうな声が割り込みます。浴衣姿の幼女が目元をこすりながら僕達の間に割り込むのです。 嫌な表情が浮かぶようでいて、いえこんな子どもに押されてやって来たのかと思うとバツが悪いのです。妄想で遊ぶから淫乱な夢を見ていたのだと、年中夢を見ている探偵に教えられるようでした。 「誰?」 「もうしおくれました~。わたくしじんこうたんていななじゅうにこうのひとり『はすはじめてひらく』をあずかります、すどう・ひつじぐさともうしまする~」 即座に熱の籠りを振り捨てて、冷ややかな声に戻しながら 「みけねこちゃんさま~。おはなししましょうよ~」 「冗談はやめてくれ、雑草風情が……ぁ?」 袖をはっしと掴みながらそれを言うのは何かの冗談でしょうか。 須藤未草、見た目の齢がとうに足らない子どもが既婚者であることに、未だ世間の暗闇を知らない僕……自覚していますは戦慄したことを今も覚えています。 目に見える異形は右の涙袋から生やすヒツジグサの花のみ。 水面を模すようにして涙で潤んだ目は水滴を落とすことなく、枯れずの花を真正面に立てていました。 そして、眠りながら会話をしています。これが未草の魔人能力「ひつじとはなのかぞえうた」、眠りながらでも活動が出来、彼女の寝言と会話をした者を強制的に眠りに落とす、そんな単純な能力です。 ここまでの会話も一方向的なものでした。互いが一方的に話すだけで傍から聞いていれば違和感に気付いただろう、そんな会話もこの部屋に入る前から途切れていました。 余談ですが人工探偵も探偵家に膾炙するにつれて、一種の階位付けが求められました。 頂点たる四季士に続くものとして九十六。つまり二十四節騎・七十二候、合わせて人工探偵百撰。 花よ花よと持て囃される人工探偵たちのエリート集団でした。すべてが一個世界に集うことは無いとは言え、一人一人が並の探偵ではないと聞き及んでいます。 人工探偵についてご存じない方は単語を聞き飛ばして結構だと、思いますよ。 ……、ひとつ誤算があったとすれば規格外の犯人、いや怪盗を前に規格に収まった探偵如きでは相手にならなかったことでしょうね。 「おふたかたともねごとをおっしゃられていたので」 呑気なようでいて、つんと澄ませたその響きは年相応にも聞こえました。 この闇の中に投げ出された星はかつて夜空に輝いた星の座、そのものでした。 随分寂しくなった星空の中に戻してあげるのは可能でしょうか? 「いいえ」と、僕はごめんなさいの言葉を飲み込んで足をずらしました。今はそれより掴まれた感覚なのに、手を離してしまったように思ってしまいたいのです。どうか傲慢でいいと思わせてください。 今はそれだけでいいんです。お願いします――。 ★ 絵と絵を通じて、異世界や平行世界を渡る能力『隠れ画(エルミタージュ)』。 カランドリエがいくつか抱える移動能力のひとつである。 「しかし、星を蛍光塗料代わりに使うなんて贅沢な真似をするな……」 百年前に消えた星座の絵を通して、異なる世界に移動する。果たして、百年後の現在(いま)に置かれた絵も同一の物であるのだから仕方がない。 自身も絵画であるからこそ、女は目利きに優れそれを看破する。これには本物の星が埋め込んであると。二束三文で買い叩いたそれが今までどのような来歴を辿って来たかについては割愛する。 問題は、シーツ一枚だけ身に着けた女が似合わぬ労働を強いられていたこと。 そして、今は切り札となる転校生をあの方の手札に加えられた、それで十分だろう。 元より肌に撫でついた水滴と、滲み出た汗の区別が付かないままに彼女をベッドに横たえる。 青空のような色をしたセーラー服を身に纏い、その上から闇の如き外套を引き掛けた。 夜空に似た黒髪、長い長い。永い永い、まるで宇宙のようだ。 「あなたに預けられる月の名は雨月(プリュヴィオーズ)……」 色付きの薄い肌も、呼吸で上下に振れる胸も、どこか生命になりきれない不器用さを感じた。 だから親近感を感じる。 死体を生み出す能力――じゃない。それだけなら最悪の法医学者になりきれたかもしれない。 星々を盗み取る能力――じゃない。それだけなら最悪の天文学者になりきれたかもしれない。 はじまりは美しい物を手元に永遠に置いておきたい、それだけの無邪気な子どもの妄想。 それは――探偵の発想ではなかった。 だから、変わることのない死体が手元に来たし、みんなが手を伸ばす星を掴み取れる。 死んだ星の光なら永遠になると言う理屈で、幾億光年先の星の魂を消し去れる。 真正面から向き合いもしない恒星の限界だ。彼女の目は潰せやしない。 そして、彼女は永遠になるのだろう。魂を見た以上は、美しいと信じているから。 「望めばいい。それを望めば五十億年先はキミのものだ」 閉じた瞼をめくると星の色が見えた。百年前の彼女では絶対に見ることの叶わない星――地球。 「その姓も、星も、性も、あなたを縛る物にはなり得ないさ……」 唯一人、あのお方を除いては……。祝福に続く言葉は心の中に消えた。絵にも魂があるのだろうか? 百年を生きる絵画はそれを知りたいとも思わない。 裸身を晒す女は芽月リュドミラ。 部長不在の秘密結社(カランドリエ)の羅針盤を睨む存在である。 さぁこれからどうしようか? そう思った時、キャニスター付きの電話ボックスが転がってくる。 リンリンと鳴り響くから今はお預けかと、妖精のような肢体に似合わぬ欲望の火をさっと消した。 ★ ……星座が天文部を滅ぼし、天文委員会の設立を学園側に承認させるまで次の夜明けを待たなければならない。百年前から変わらず六十八を保つ星座だが、ここ地上における星座は一人きりなのだから。 彼女を百年後に招き入れたリュドミラは部長の了解を取り付け、その威を借りた交渉によって"大正時代"に高官を送り込んでいる人工探偵たちを動かすことになる。 元々彼女たちカランドリエと人工探偵の縁は深かったのだ、当然と言えるだろう。 これにより星座の一件は砲茉莉家では内々の内に処分された。事を起こした当主は当然ながら、事態を知る者、知っていて見て見ぬふりをしていた者達は尽く押し込められることになる。 ……、このカウンターパワーをもってして近代思想と封建的家制度の優劣を比べることは出来ない。 ただ言えることは凡人が八十九番目の星座を家の物にすることに失敗した、それだけのことだ。 ★
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百合人狼編SSその5 Case1 Prologue“風月すず” これはとある月の綺麗な夜の物語。 月の光が差し込む教室の窓辺に立った少女が手にした宝石箱から一粒の紅玉(ルビー)を取り出し口に運ぶ。人間の歯の硬さは精々が水晶と等しい。 それでは口の中を荒らすだけ、歯並びを狂わせるだけの愚かな行為――、と言ってしまうには、いささか言が遅すぎる。 カン、カン、カン……。 口をすぼめて吐き出された鉱石を拾って眺めようというものは誰もいないだろう。 硬度9のその物体はその辺に転がっている石ころのようにつまらないものに思えたから。 「行きましょう」 きれいな少女――風月(ふげつ)すずは歩を進めた。 青みがかかった闇夜に月の柔らかな光がかかり、靄との隙間を千からなる紙飛行機が舞っていた。 Case2 3 Prologue“三国屋碧沙”&“宍月左道” 「願いを叶える千羽鶴?」 その頃、妃芽薗学園を訪れていた転校生・三国屋碧沙(みくにや・へきさ)が風紀委員会に呼び出されたのはちょうどその日の課業後のことだった。 転校生と言っても、一般生徒に明かしているわけでもなく、未だ事を成したわけでもない。魔人としても少々変わった範疇、黒いとんがり帽子に黒マントに収まっているのだから呼び出される筋合いはないだろう。 それでも足を運んだのは風紀委員のひとりが少し気に入っていたからだ。 オトモダチ同士の会話で光差す庭園(ガーデン)は魔女にはいささか居心地が悪く、お昼ご飯を食べる場所を探して、森を散策していたところだった。 別に授業に出る義務はないけれど、焦っていたことも確かで、わたわたと周辺を見渡す。高い木の陰に小柄な人影が隠れていた。 宍月左道(ししづき・さと)だった。かくれんぼの最中かと訝しむ。 初対面の私に対して、どことなく人懐こい表情を見せて手を振ってみせる。 「私?」、鼻頭を指さす私はさぞ間抜けた顔をしていただろうか。まぁ、初見で転校生だなんてわかるわけないし、別にいいかと思った。ハイド&シークなら慣れていたから。 私は彼女を殺気を孕んだお姉さんから隠したり、逃げ出したり――。 宍月左道も大げさに驚いたり、笑ったり――。 後になって孤高の者(ぼっち)特有の警戒心はどこにいったのかと、自分を叱りつけたくなったが、そんなことはどうでもよくなるくらいには楽しかった。だから私はここにいる。 Case4 Prologue“久利エイチヴ” 話は変わるが、久利(くり)エイチヴは誰かに見つかると死ぬ。 全身が恥部だと思い込んでいるから見つめられると社会的に――というわけではなく、恥ずかしさのあまり物理的に死ぬのだ。だが、彼女は死なない。死の結果を相手に押し付けるとまた逃げ隠れする。 魔人とは大体がそんなものだが、久利エイチヴもまた理不尽ないきものと言えよう。 彼女を見つけてしまった者は死ぬ。 姿を見せない彼女と命を賭したかくれんぼ、理不尽な都市伝説もしくは学校の七不思議に昇華していてもおかしくない。それでも、彼女が世界に溶け込んでしまわないのは学籍という枷があるからだ。 物質と溶け込むことで身を隠し、ギリギリのところで出席日数と人間性を保っている彼女が一番恐れることは次の転入先もしくは就職先を見つけられずに妃芽薗に留まり続けることだった。 だから、久利エイチヴは風月すずを殺さなければならない。 Case5 Prologue“折り鶴1000” それがどういうことなのかは追々語られることになるけれど。 浦嶋子(うらのしまこ)から数えること幾代か、鶴となって飛び立って亀の乙姫と番となった昔話に比べれば短く済む、しばし待て。 鶴の群れは人々の願いなど知る由もなく、天を駆ける。むしろ業と欲と言えるだろうか、折り鶴を一羽でも捕まえて願いを書き込めばそれが叶うなんて――ただの噂に過ぎないのに、ね♪ ALL 走る、走る、走る――。 追う、追う、追いかける――。 逃げること一直線の宍月が追いかける立場になるなんて、本人にも不本意なことだったけど。 思い出づくりなら強大な敵を相手に手を取り合って立ち向かったり、逃げ出したり、立ち直ったり、覆いかぶさったり――最後は幸せなキスを。ハッ、いけないいけない、妃芽薗思考に囚われていた。 ここだけの話をしてあげよう。 私こと、宍月左道は下宿先にケサランパサランを持ちこんでいる。 ケサランパサランとはふわふわとした綿毛のようなもので、おしろいをかけると増えたり、人に見せると消えてしまったりする幸せを呼び込む何かである。 今まで死ぬことなくナントカ過ごせてきたことは謎のふわふわのおかげなのかな、なんて思うけど。 宍月左道は誰か、思い出を共有する友達にケサランパサランを見せたくて仕方がないのだ。なくす危険性が高いところに幸せのアイテムを置くのはリスクが高い。 私は解放感を得るが、相手に罪悪感を与える。それを快く許す私、洗い流される罪の意識! 深まる絆、だというのに。誰も見やしない。 いや、気づけよ。私のぱんつの匂い嗅ぐのに必死で隣のケサランパサランは気にならねーのかよ、同室の織野真夏(おの・まなつ)ゥ! ・・・(てんてんてん)。 仕方ない。このイベントで願いを叶える折り鶴を手に入れたらさっさと仕掛けよう。 三国屋先輩、ちょろそうだし。 ☆彡 …………くしゅん。 「誰か、私の噂をしたようね。ふふ、私の武名――いや、魔術名も知れ渡って来たかしら」 そう。「友達」の友の字と今の今まで全く縁のなかった三国屋碧沙はとんでもなくちょろかった。 少なくとも初対面の後輩の頼みに従って夜の校舎まで汗だくになりながら全力疾走するくらいには。 転校生の力を解放した碧沙に敵はいない。少なくとも同列の転校生以外には。 魔女相手に虫取り網でどうしようというのか、彼女の前には一ダースのプレイガールたちが転がされていた。大方、噂を聞き付けた恋する乙女たちだろう。 夜間外出禁止令を破って想い人との間に深い絆を結びたいという根性はわかるけれど、彼女たちは生徒指導室送りとなる。ご愁傷さま。 「むしろ、感謝してほしいわ。ここがどこだかわかっているのかしら?」 蝶たちが蜘蛛の巣にかかって捕食されまいと守っているのなら、私の役回りは一体何でしょう? しばし考え込む。 ――探偵ですよ。 天の声(オラクル)は積極的に黙殺することにした。 ☆彡 七夕過ぎて、織姫と織姫の逢瀬に涙したのもごく最近。 乙女たちの関心は折り鶴に向かっている。そうと決めたら何も見えずに突っ走る。その行く先が鮫氷(さめすが)しゃちのプレイグラウンド、現世になき旧校舎であることにも気づかない。 校舎に入り込もうとするライバルたちを蹴散らしてもらって、絶好のハンティング・スポットを確保した宍月左道はうきうきのランラン気分、ついスキップをはじめてもおかしくないご機嫌模様。 さてさーて、私の魔人能力『ジ・アダナス』の御開帳といきましょうか? 必要もないのに腕をぶんぶん振り回す、肩を回して念を籠める。狙うは群れの最後尾、素人さんならピンクと白の紙飛行機の中で赤く染まってたり黒いレアっぽいやつを欲しがるのだろうが、私は違う。 そう、私ならそうめんを食べる時、赤い部分は人にあげるそぶりを見せて、ついうっかりを装って絡める。 そして、結局先っぽだけちょん切れたのが箸にかかるのを見てごめんなさいと言うのだ。 一羽、二羽。そうそう……こっちこっち。 つがいがいればケサランパサランみたいに増やせるかもしれない。魔法?生物なら三国屋先輩のいる私のもの、秘密の自由研究で夏の思い出は私のものだ! そう、ガッツポーズを取った瞬間だった。 その一瞬で世界は揺らいだ。立っていられなくなるほどの眩暈(めまい)は次の瞬間に消える。 ととっと、過去の思い出を思い出す。それは現在(いま)に力を与えてくれる。 「なにここ?」 私のハッピー☆ノスタルジック☆ワンダーは? そう思っていたのに。 左道は気が付いたら変な廃学校にいた。 色々不思議な少女に説明を受けたが、意味が分からない。 だが、転校生というのはイベント性の溢れる魅力溢れる存在だ。 上手く行けば、新たなアルバムがいくつも増える。 宍月左道は、ここで戦うことを決めた。 ――以上、『宍月 左道』プロローグより抜粋。 慣れない生活に慣れようとする中、行間を読むとこんなこともあったと言う話であった。 思えば彼女、流れ星に幸せを祈ってそれでハイおしまい☆……と、言えるような根性の持ち主ではない。転校生と立場が同じでないなら傾かせようとする。 宍月の思考の基本はギブ&テイクだ。中学時代を反省したことで学習した彼女は借りっぱなし貸しっぱなしは好まない。思い出は重い出と言っても荷重がどちらかに傾き過ぎるのは好まなかった。 傷を増やしながら人間関係のシーソーゲームを楽しんでいたのは知っての通り、だから思い出作りはやめられなかった。次はもっとうまくやろう。三国屋先輩は必要以上に恩に着るタイプだから。うん、そう決まってる! 宍月左道を追いかける三国屋先輩、仲間を追いかける折り鶴998、それを追いかける名も知れない生徒たち。 鮫氷しゃちの遊び相手(おもちゃ)が予定以上に増えたのはだいたいコイツのせいで間違いなかった。 ☆彡 風月すずはかねてからの手筈通り異界と化した校舎を歩いていた。 撒き餌代わりにした折り鶴たちには悪いことをしたと思うけど、なればこそ一羽残らずかまどに投げ込んでしまわないといけない。アレはかつての私が書いたラブレター――も入ってる。 みんなの願い。 千羽の折り鶴は病気が治ることを祈って形作られるものだけど、転じて願いを叶えると言われ。 もっと言えば形の無い祈り、全く何がしたいのかわからない願い事のために全く必要としていない不幸な人の元に投げ込まれることになった。 折り鶴1000は地震・雷・火事・親父、そういった縁(よすが)がなく何ら関係を結べていない他人から他人への何がしたいのかわからない願い、自己満足を叶えるための形の無いエネルギーが行き場を失ったものの塊だった。 「どうでもいい存在なら、せめて私の愛のために燃え尽きろ……」 口から漏れた憎しみ、怒り、きれいでないもの。 それはどれも「風月」ではない「人形」すずとしてのもので――。 この呪詛は折り鶴に向かうようでいて実は違う。 方向性の無い怒り、誰を襲うともわからない憎しみのことを人は俗に「狂気」という。 死の恐怖、自分が自分でなくなっていく快感と喪失感。 魔人の万能感。それらを一緒くたにしてミキサーにかけたものを、人形すずは「愛」と呼んだ。 けれど、人形すずは死に続ける。 今もまた死んだ。壁から生えた一対の眼、それを理不尽と言うにはあまりに勝手すぎたが。 ☆彡 自分が希釈されていく恐怖を久利エイチヴは味わい続けている。 人目を避けるために、床に壁に天井に廊下に教室に校庭に校舎に! 四六時中世界と同化し続けていておかしくならない方がおかしい。 強固な精神力でそれを押さえつけ自我の流出を防ぐ彼女はまさしく人ではなく魔人なのだろう。 違和感があった。 カラカラに乾いた口内を舌の感触で感じ取る時のような、と言えばわかりやすいだろうか。 具体的には虚無を感じていた。 原因は彼女の目の前、糸が切れたように横たわる彼女にあった。 人間としての「人形すず」は死に続け、人形(ヒトガタ)としての「風月すず」は生き続ける。 久利エイチヴに詳しい能力原理まではわからなかったけれど、すずが何ら自覚していない、呼吸に等しい生理現象によって、彼女の大切なものが削られ、なくなっていくことだけは、その存在に賭けて理解できた。 「きれいなもの」、面と向かいあっていない彼女にはわからないもの。 つまり、風月すずが存在しているだけで久利エイチヴは「きれいなもの」を奪われ、醜くなっていく。誰にもわからないままに存在が矮小化される、おそろしさ。 だから、久利エイチヴは風月すずを殺さなければならない。 ☆彡 人形すずは折り鶴1000を燃やさなければならない。 その熱で、光で、痛みで、先輩への愛を示すのだ。 いじめられっ子の発想だが、全くもって厄介である。失うものの無くなった人間は捨て鉢な行動に出る。積み上がった負債はもういくら桁が増えても持ち続けられるなら変わらない、と感覚がマヒするからだ。 人は普通行動に釣り合う結果を求めるものだから、その天秤が余りに狂うと人は恐れる、離れたがる。 恋文を燃やすためにスズメバチの群れに飛び込む行為、人は俗に「狂気」と言った。 久利エイチヴが立ち去った。 もう、敵はいない――なんて打算はない。不死者に計算は無い。だからこれはただの幸運だ。 むくりと起き上がると綺麗――とだけ評されるあまりに空虚な人形は空を仰ぐ。慣れない滅多刺しも、その後の傷跡も死んだ彼女、生きた彼女にはまるで関係のないことだ。 空になった宝石箱が転がり、手に持った絵筆が出鱈目に空を切った。 風月すずは芽月リュドミラを愛している。 けれど――その愛を表現する術を彼女は過去も未来も現在も永劫、知ることがない。 ALL 配役発表 ①.プレイガール:折り鶴1000 ②.風紀:三国屋 碧沙 ③.探偵:宍月 左道 ④.恋する乙女:風月 すず ⑤.サイコパス:久利 エイチヴ あなたはいくつ当てられましたか?
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傑多 傑多 Lv.1 [#lv1] 傑多 Lv.2 [#lv2] 傑多 Lv.3 [#lv3] 傑多 Lv.4 [#lv4] 傑多 Lv.5 [#lv5] 傑多 稀有卡 [#rarejead] 傑多 稀有Lv.1 [#rarelv1] 傑多 稀有Lv.2 [#rarelv2] 傑多 稀有Lv.3 [#rarelv3] 傑多 稀有Lv.4 [#rarelv4] 傑多 稀有Lv.5 [#rarelv3] 固有必殺技 [#skill] 因果之線 [#skill1] 因果之輪 [#skill2] 因果之刻 [#skill3] 因果之幻 [#skill4] 整合 [#organize] 傑多 中文名字 傑多 日文名字 ジェッド 英文名字 Jead 生日 芽月16日 生菜日 血型 B 出身地 尹貝羅達 身高 164cm 體重 52kg 喜好 大吃大喝 稱號 Vagrant 有關係的角色 阿貝爾 米利加迪亞年幼的貧民窟之王。使用著那不可思議的力量支配著一切。 ミリガディアの幼きスラム王。その不可思議な力はすべてを支配する。 卡片取得方式 Darkroom銅(普通卡)、獎勵遊戲、任務(夜影步道,忘卻之島)、Ex影之大陸 配音 白石涼子 + 開啟對戰台詞 對戰台詞 「ボクは負けない。なぜなら決まってるからさ」 「我是不會輸的,因為這已經是定數。」 (L1~L5) 「運命には逆らえない。ボク以外はね」 「命運是不能忤逆的,除了我以外。」 (L2~L5) 「君にはもう、何度も勝っているんだ。知らないの?」 「我已經贏你好幾次了,你還不知道嗎?」 (L3~L5) 「命が惜しいなら、逆らうのはやめておいた方がいいよ」 「珍惜生命的話,最好不要違抗我比較好喔。」 (L4~L5) 「ボクの「力」、本当に見てみたい?」 「我的『力量』,你真的想看看?」 (L5) 「終わりを見せてあげるよ。アンタには。」 「只有你、我會讓你見到終點的。」(vs阿貝爾限定) 「終わりが必要てことだろ、アベル。」 「阿貝爾,結束是必要的對吧?」(vs阿貝爾限定) 「誰かの助けなど、ボクにはいらない!」 「我不需要任何人的幫助!」(vs阿奇波爾多限定) 「何度だって終わりを見せてあげるよ!」 「不管多少次我都會讓妳看到終點的!」(vs瑪格莉特限定) 「全部、吹き飛ばしてやる」 「我要把你們全部打飛!」(vs羅索限定) 「何度、戦おうと無駄さ!」 「不管挑戰我多少次,都是沒有用的!」(vs米利安限定) 傑多 Lv.1 能力值 HP 6 / ATK 4 / DEF 5Total 15 事件卡 ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 61 必殺技 因果之線 傑多 Lv.2 能力值 HP 6 / ATK 5 / DEF 5Total 16 事件卡 ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 62 必殺技 因果之線因果之輪 合成方法 傑多Lv1 (2張) LEVEL UP 傑多 Lv.3 能力值 HP 6 / ATK 5 / DEF 6Total 17 事件卡 ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 63 必殺技 因果之線因果之輪因果之刻 合成方法 傑多Lv2 (4張) LEVEL UP 傑多 Lv.4 能力值 HP 7 / ATK 6 / DEF 6Total 19 事件卡 ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 64 必殺技 因果之線因果之輪因果之刻 合成方法 傑多Lv3 (6張) LEVEL UP 傑多 Lv.5 能力值 HP 8 / ATK 7 / DEF 7Total 22 事件卡 ★ ★ ☆ RARITY(稀有度) 5 ID 65 必殺技 因果之線因果之輪因果之刻因果之幻 合成方法 傑多Lv4 (12張) LEVEL UP 傑多 稀有卡 傑多 稀有Lv.1 能力值 HP 7 / ATK 6 / DEF 6Total 19 事件卡 ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 6 ID 66 必殺技 因果之線因果之輪因果之刻因果之幻 合成方法 角色卡 等級 張數 傑多 普通 Lv1 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 10個 鐵幣 50張 Lv1 50隻 時間的碎片 10個 銅幣 50張 Lv2 50隻 靈魂的碎片 10個 銀幣 50張 Lv3 50隻 生命的碎片 ― 金幣 ― Lv任意 ― 死亡的碎片 10個 白金幣 20張 各Lv 60隻 傑多 稀有Lv.2 能力值 HP 8 / ATK 7 / DEF 7Total 22 事件卡 ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 7 ID 67 必殺技 Ex因果之線因果之輪因果之刻因果之幻 合成方法 角色卡 等級 張數 傑多 稀有 Lv1 1張 傑多 普通 Lv2 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 10個 鐵幣 50張 Lv1 50隻 時間的碎片 10個 銅幣 50張 Lv2 50隻 靈魂的碎片 10個 銀幣 50張 Lv3 50隻 生命的碎片 ― 金幣 ― Lv任意 ― 死亡的碎片 ― 白金幣 ― 各Lv ― 傑多 稀有Lv.3 能力值 HP 9 / ATK 7 / DEF 8Total 24 事件卡 ★ ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 8 ID 68 必殺技 Ex因果之線Ex因果之輪因果之刻因果之幻 合成方法 角色卡 等級 張數 傑多 稀有 Lv2 1張 傑多 普通 Lv3 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 10個 鐵幣 50張 Lv1 50隻 時間的碎片 10個 銅幣 50張 Lv2 50隻 靈魂的碎片 10個 銀幣 50張 Lv3 50隻 生命的碎片 ― 金幣 ― Lv任意 ― 死亡的碎片 ― 白金幣 ― 各Lv ― 傑多 稀有Lv.4 能力值 HP 10 / ATK 8 / DEF 9Total 27 事件卡 ★ ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 9 ID 69 必殺技 Ex因果之線Ex因果之輪Ex因果之刻因果之幻 合成方法 角色卡 等級 張數 傑多 稀有 Lv3 1張 傑多 普通 Lv4 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 ― 鐵幣 ― Lv1 ― 時間的碎片 10個 銅幣 50張 Lv2 50隻 靈魂的碎片 10個 銀幣 50張 Lv3 50隻 生命的碎片 20個 金幣 40張 Lv任意 120隻 死亡的碎片 ― 白金幣 ― 各Lv ― 傑多 稀有Lv.5 能力值 HP 11 / ATK 9 / DEF 9Total 29 事件卡 ★ ★ ★ ★ ☆ ☆ RARITY(稀有度) 10 ID 70 必殺技 Ex因果之線Ex因果之輪Ex因果之刻Ex因果之幻 合成方法 角色 等級 張數 傑多 稀有 Lv4 1張 傑多 普通 Lv5 10張 碎片 硬幣換算 怪物換算 記憶的碎片 ― 鐵幣 ― Lv1 ― 時間的碎片 ― 銅幣 ― Lv2 ― 靈魂的碎片 ― 銀幣 ― Lv3 ― 生命的碎片 15個 金幣 30張 Lv任意 90隻 死亡的碎片 30個 白金幣 60張 各Lv 180隻 混沌元素 3個 ― 固有必殺技 因果之線 干涉因果,奪取對手的行動力。 Normal Ex 條件 階段 移動階段 條件 階段 移動階段 距離 近 中 遠 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 卡片 特1↑ 卡片 特3↑ 效果 奪取對手1張手牌 效果 奪取對手2張手牌 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 效果 奪取1張 稀有等級 Lv1 Lv2(Ex) Lv3(Ex) Lv4(Ex) Lv5(Ex) 效果 奪取1張 奪取2張 因果之輪 扭曲因果,使對手感到混亂。 Normal Ex 條件 階段 防禦階段 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 卡片 特2↑ 卡片 特4↑ 效果 將對手出的牌上下隨機轉換 效果 將對手出的牌上下全部轉換 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 效果 隨機轉換 稀有等級 Lv1 Lv2 Lv3(Ex) Lv4(Ex) Lv5(Ex) 效果 隨機轉換 全部轉換 註:非Ex技時,由於結果隨機,也可能沒有轉到任何一張牌。 因果之刻 操控因果,將對手行動轉換成自己的。 Normal Ex 條件 階段 防禦階段 條件 階段 防禦階段 距離 近 中 遠 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 卡片 特4↑ 卡片 特8↑ 效果 傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌。 效果 傷害計算後,將自己及對手出的牌加入自己的手牌。 依等級變化 等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 卡片 ― ― 特4↑ 稀有等級 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4(Ex) Lv5(Ex) 卡片 特4↑ 特8↑ 因果之幻 貧民王所驅使之,改變現實的能力。 Normal Ex 條件 階段 攻擊階段 條件 階段 攻擊階段 距離 近 中 遠 距離 近 中 遠 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 卡片 移1↑ 卡片 特2↑,移1↑ 效果 ATK+4丟兩次骰子,選擇較好的那方結果。 效果 ATK+14丟兩次骰子,選擇較好的那方結果。 註1:被防禦成功時,「較好的那方結果」指對方防禦正骰數最低那方,會影響古魯瓦爾多「血之恩賜」、艾伯「茨林」等技能 註2 對上唆惡之童時,會選擇傷害較高的一方(即使對方處於不死下亦然)。 整合 普通卡 等級 Lv 1 Lv 2 Lv 3 Lv 4 Lv 5 CharaImage 能力值 HP 6 / ATK 4 / DEF 5Total 15 HP 6 / ATK 5 / DEF 5Total 16 HP 6 / ATK 5 / DEF 6Total 17 HP 7 / ATK 6 / DEF 6Total 19 HP 8 / ATK 7 / DEF 7Total 22 事件卡 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ★ ☆ ★ ★ ☆ Cost 8 11 15 15 19 必殺技1 因果之線 因果之線 因果之線 因果之線 因果之線 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 必殺技2 因果之輪 因果之輪 因果之輪 因果之輪 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 必殺技3 因果之刻 因果之刻 因果之刻 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 必殺技4 因果之幻 [條件]攻撃/全距離/移1↑[效果]ATK+4,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果 稀有卡 等級 Lv 1 Lv 2 Lv 3 Lv 4 Lv 5 CharaImage 能力值 HP 7 / ATK 6 / DEF 6Total 19 HP 8 / ATK 7 / DEF 7Total 22 HP 9 / ATK 7 / DEF 8Total 24 HP 10 / ATK 8 / DEF 9Total 27 HP 11 / ATK 9 / DEF 9Total 29 事件卡 ★ ★ ☆ ☆ ★ ★ ☆ ☆ ★ ★ ★ ☆ ☆ ★ ★ ★ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ☆ ☆ Cost 19 21 23 26 29 必殺技1 因果之線 Ex因果之線 Ex因果之線 Ex因果之線 Ex因果之線 [條件]移動/全距離/特1↑[效果]奪取對手1張手牌 [條件]移動/全距離/特3↑[效果]奪取對手2張手牌 [條件]移動/全距離/特3↑[效果]奪取對手2張手牌 [條件]移動/全距離/特3↑[效果]奪取對手2張手牌 [條件]移動/全距離/特3↑[效果]奪取對手2張手牌 必殺技2 因果之輪 因果之輪 Ex因果之輪 Ex因果之輪 Ex因果之輪 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 [條件]防禦/全距離/特2↑[效果]將對手出的牌上下隨機轉換 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]將對手出的牌上下全部轉換 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]將對手出的牌上下全部轉換 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]將對手出的牌上下全部轉換 必殺技3 因果之刻 因果之刻 因果之刻 Ex因果之刻 Ex因果之刻 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特4↑[效果]傷害計算後,將對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特8↑[效果]傷害計算後,將自己及對手出的牌加入自己的手牌 [條件]防禦/全距離/特8↑[效果]傷害計算後,將自己及對手出的牌加入自己的手牌 必殺技4 因果之幻 因果之幻 因果之幻 因果之幻 Ex因果之幻 [條件]攻撃/全距離/移1↑[效果]ATK+4,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果 [條件]攻撃/全距離/移1↑[效果]ATK+4,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果 [條件]攻撃/全距離/移1↑[效果]ATK+4,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果 [條件]攻撃/全距離/移1↑[效果]ATK+4,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果 [條件]攻撃/全距離/特2↑,移1↑[效果]ATK+14,丟兩次骰子,選擇較好的那方結果
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後半戦第一試合SSその2 夏の夜。 古びた木造校舎。 月はもろくも雨雲に隠れ、電熱の途切れた暗闇の中にいた。薄明るい灯篭のように瞬く度に、瞬間の光と闇を瞼(まぶた)に焼き付ける。白いワンピースの女がハンドバッグを片手にして歩いていた。 ジ、ジィー……、彼女が歩く度に音がする。寿命を終えて落下した蝉の断末魔だろうか。喧しくも、朽ちてしまった木のきしむ音をかき消す程度に敷き詰められているというのだろうか? いいえ、そんな地獄のような光景ではありえない。これは古い映写機が立てる音、からからと回るリール音。白と黒、自然にはあり得ないモノトーンの女性が不自然と歩いてくる。 西洋人らしく鼻梁が通り、手足も長い。けれど、彼女の周囲は古い映画のように白黒だけで構成され、人間部分も時々ノイズらしきものが走っている。この世のモノでないことは明白だ。 「リュドミラ様。現地に到着しましたわ。鮫氷しゃちらしき者は見当たらず……」 「それはそうだろうね。あの気分屋め、ここを隔離したことすら忘れているに違いない」 女が手に持った写真に向けて語り掛けている。誰か――たとえば潜望鏡で観察している誰かとかなら、訝しむと同時に分析を進めていただろうか。けれど、写真からはアルト! 若い女の声がした。 (「おそらく、通信系の能力……?」) 複数立てた仮説を棄却、ひとつに絞る。 先の唐橋弥子のとの戦いでは後の先を取ることで勝利した伊六九だったが、相手の命を取ることまではしなかった。出来なかったというより、したくなかったというのが正しいかもしれない。 合理的に考えれば、必要なものが勝利だけというなら対戦相手を殺す必要は無い。もしかすると彼女は相次ぐ生と死の中で、戦いを倦んでいたのかもしれない。 「対戦相手は伊六九という方だそうですが。缶娘……ってなんなのですの?」 「それは私が聞きたい」 二人は敵地にあって、眼下の伊号缶娘を知る由もないのか呑気にも会話を進める。伊六九も情報を出来る限り拾い上げるべく聴音の精度を上げていた。 ごぽり。 木と肉、アルミとスチールが同化する。伊六九のパーソナルスペースは極端に狭い。小柄な体躯、密室に耐えられる恵まれた精神、潜水缶乗りには丁度いい。 一人と一枚が歩みを進め、一缶がそれを追う。音と音、反響と残響、暗闇の中で時折浮かび上がる真珠の瞳。白黒の女、風月(ヴァントーズ)ペルルが手を振る、足を振る。 歩いていく。朽ちた学舎を舐めたのか、履いてきたサンダルが滑り落ちて足の裏を埃が黒く汚した。 白と黒、鮮やかな世界を知らないのか、ペルルは気に留める素振りも見せずにサンダルを拾い上げると、正しい位置に戻す。 この間、伊六九は付かず離れずで理想的な距離を保っていた。 『暦』、『カランドリエ』、『蓮柄円』、『鮫氷しゃち』、『皐月咲夢』、『卯月言語』、『高二力フィールド』、『転校生』、『口舌院焚書』。 様々なキーワードが漏れ出でては消えていく。これがたゆたう水の中というのなら、魚たちに掻き消されてしまっただろう。吸音タイルを兼ねた黒いスク水は、余計な音を立てず潜航速度を保つ。 2.0kt/h(時速2ノット)。 丁度、女性の歩く速度に合わせ低速で回す。 空中に舞い上がった埃が『ペルルのキネマ』と外界との境界線上を四角く縁取りしては、平行に流れていく。足元の砂利が押し出されて溜まっていった。 解除しようと、瞬時。いや、考え直す。解除し実体なき映画の住人と化してしまえば写真を取り落とすことは確実だ。本来、彼女は物質世界の住人ではないのだから。 夜半の風が生ぬるく感じ、風月ペルルは、自分が壁の中に閉じ込められた女優でないことにほっとする。 渡り廊下を風雪雨から守るトタンの屋根が夏の嵐の予兆に、べコリと音を立てる。幻でしかない我が身を精一杯振るい立てて自己主張するようだった。 ペルルは、現のモノでない校舎と時折姿を見せる霊魂のことを少し哀れに感じたけれど、今は足早に道を急ぐ。 教室棟からグラウンドを横目に大回り、歩むルートから推察するに目指すはプールだった。 (「缶娘を探している……?」) 「缶」は元来水に浮くもの、対戦相手を探す発想としてはごく自然だ。 無論、前提として背後から土遁でニンジャが忍び寄っている事実に目をつぶっての話となるが。 風月は炎天下に晒され続けた名残か、枯れ草を踏みしめて水の香りがするプールへ足を踏み入れる。 重ねて言うが敵に背後を向け、隙だらけだ。 ここに来るまで偏差射撃を駆使すればクリーンヒットは容易いだろう。だが、それを伊六九はしなかった。なぜか? 甘えや迷い、と一言で片づけられれば随分楽になっただろう。 だが、合理的に考えて相手を倒す前に、ローリスクで確度の高い情報が手に入る現状を崩すつもりはなかった。 もうひとつ、街灯、そこから来る光と影に違和感を感じる。白いワンピースの女性「風月ペルル」の周囲の空間が独立しているフシがあった。 さらに、写真がこちらをちらちら見ているそんな気がしたから。いいえ、事実、写真の主は意志を持っている。写真そのものと言うより、そこを小窓にして覗き込んでいる何者か、だったが。 鍵は、壊れていた。 先客がいたから……だろうか? 写真に向けて不安をささやきながらも、そこから勇気をもらったのか歩みを進めていった。 瞬き、明滅を繰り返し、今にも息絶えようとする照明がペルルを照らす。 未だ地に潜ったままの伊六九はここが終着点であることを、実感した。 風月はところどころが罅割れたプールデッキに恐る恐る腰を掛けると、ほっと息をつく。生ぬるい水がパシャリと跳ねて指先を濡らした。 風月ペルルは写真の少女、芽月リュドミラの声を待つ。息をひとつ、ふたつめ。 「いない……か」 「逃げてくださっていると助かるのですが」 「そちらは望み薄だが、我らの目的は別に勝つことじゃあない。さて、鮫氷(さめすが)しゃち召喚の儀式をはじめようか」 風月ペルルはその場に跪くとハンドバッグから何かのパウチを取り出す。 続いて、その中身を盛大にプールサイドにぶちまけると、反応を待った。 なにかの干物と言うべきか、白い破片は水を吸って高級食材の片鱗たるその姿を取り戻す。 「フカヒレで呼び出せなかったら、次はズワイガニ。ズワイガニでダメだったらフォアグラ。フォアグラでダメだったら以下略」 明らかにハンドバッグに収まる量ではないが、これも何らかの魔人能力によるものか。 誰かが誰かを呼び出すために盛大に高級食材を不法投棄している。 接近。地中から水中に。 水中は、銀の帳(とばり)が降りない。空間系能力でも十中八九、光学系の能力原理と推測。 接近。 伊六九はスコープを覗きロックオンを開始する。これ以上の事態の進展が望めないなら。 いつでも撃てる、とりあえず撃ってから考えよう。そう、兵装のロックを解除した瞬間だった。 ソナーに感あり! 何かが私を目がけて浮上してくる! ああ、誰が予想しただろうか、毎度毎度飽きるまで食べ続ける鮫氷しゃちのマイブームがトコブシであったことに。もし、予算がもう少し潤沢であったらアワビを採用し、無反応であったのに。 水泳部兼シンクロ部所属、もうひとりのスク水少女。鮫氷しゃちは猫のように笑った。 浮上する少女、深海から大口を開けて食らいつく気まぐれな女神、転校生を相手にかつてのスペックとは程遠く、死を覚悟する。 死。 (「ちがう」) 遠隔。魚雷手裏剣。投擲。 (「違う」) 起爆。水煙。ソナーON/OFF間に合わず。 身体が軋む。航行に支障なし。聴感が死。 「違う!」 女と目が合う。 驚き、勇んだのか、女が砕かれた足元の陶片を手に取る。 「よせ!」 写真から制止する声も届かずに、鎖分銅を投擲。 地上を航行、走る。 12.0kt/h(時速12ノット)。 並の人間よりは、速い。 足を水面から抜く。飛び出す。瞬間。 背後で爆音が響き、私は意識を手放した。 再び意識を覚醒させてみると、そこは真っ白な空間だった。 空。 からっぽ。 圧倒的になんにもない。無色であって透明でなく。 “ある”けど“ない”。そんな存在感。世界が一枚の紙だとするなら、伊六九はその上にただ一人転がされた人形だった。 「一六九、これは……?」 何もかも見知ったといいたげな“彼女”が戸惑うことに、付き合いの長短を問わずともまずは小気味よさを感じるべきなのだろうが、そのことより伊六九は現状把握に徹することにした。 恐れを抱いていないわけではない。 だから、何気なく歩いていって、ぶつかっただけだった。 パタリ、パタリ、目の前からドミノ倒しのように真っ白な立割が倒れていく。先に、少女は世界の広さを知った。 視界の許す限り、宇宙空間。星が留まり、闇を切り裂き、明滅する。 そんな中をやたら個性的な文字が空気を読まずに自己主張をしていた。 ≪ごきげんよう。≫ 「ごきげんよう」 ≪さわやかな夢の挨拶が、銀河流星雨に木霊する。 ゆらぎ様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは(中略) もちろん、超光速航行で走り去るなどといった、はしたない征途など存在していようはずもない。 ここは宇宙私立妃芽薗女学園、お姫様の園。≫ エピソード4からはじまる壮大なBGMと謎のナレーションコミコミ字幕スーパーで壮大なモノローグが床から地平線の彼方まで駆け上がっていく。 思わず目で追ってしまっていた。 真っ白な少女が底に立っていた。絶世の美貌を有する六九をして伍すると言い切れる美少女。 呆れるほどに長い紙色の髪と肌色と言うしかないきめ細かい肌。小柄で貧乳、高そうな着物を着ていた。 ≪私はこの世とは違う『理系』の宇宙を支配する超銀河日本帝国皇女『口舌院焚書(くぜついん・ふんしょ)』。人は私のことを口舌院家のプリンセス覇王(はおー)と呼ぶ。 ついでに言うと銀河女帝ア・キ・カーンXとは敵対関係にあるわ」 焚書が手を叩く。その瞬間に超プレミア★ティ―セット一式が本体のお嬢様ともどもこの世界に顕現する。 字面はよくわからんが、とにかくすごい自信だった。 ロングストレート黒髪、清楚なお姉様、目を閉じている。 ≪こちらの人間もしくは魔人は安全院ゆらぎさん、あなたの時間軸――いや、あなたたちが今いる時間軸でつい最近、眠りについた人で、安全院綾鷹の娘よ。 ……どう、驚いた?≫ 先から流れているナレーションは彼女の意志だとでもいうのだろうか? 悪戯っぽく虚空に目線を向ける彼女に伊六九はポーカーフェイスのままに、同じところに視線を交差させる。 ≪ここは夢。あなたは夢を見ているの。夢と言っても生きている人は起きたままだし、死んでいる人は眠ったまま。要するに『放課後ウィザード倶楽部』、好き勝手に魔法を使える素敵な空間ね。≫ だから、眠り姫「安全院ゆらぎ」はその瞳を開かず茶話会の主人として振る舞うつもりのようだった。手は震え、危うげにティーカップの中身が注がれる。焚書は逸れて指先にかかる熱い液体に何ら注意を払わず、角砂糖を片手に弄ぶ。十に足りない程度だったが、溶かすべく落とし込む。 花園で繰り広げられたはじまりの流血少女、それからわずかばかりの間を置いて巻き起こった血の饗宴に彼女は何を思うのか、ある歴史ではアキカンの女王を戴いた彼女だったが、今の歴史では皇女にかしずいている。 「要するに、夢オチ……と」 鏡写しの六九が思考を代弁する。 ≪最初から夢と明言したうえでその前提上で振る舞うなら夢オチとは言わないわ。あなたたちは少々戦う理由が薄すぎたようだったから、お節介なようだけど介入させていただいたわ。≫ 「戦闘って前提条件が崩されたようだけど?」 “彼女”の発言に無思考に追随するつもりはなかったが、聴覚と言うより全身に深く染み込んだ共感が否応なしに六九をうなずかせる。 それを見て焚書は少しがっかりしたようだった。 ≪もし一(にのまえ)としての意志があなたを生かすのなら、私もそれに乗っかるまで。戦いの歴史なんてちょっと空間を遡(バックスペース)ってみれば幾らでも読むことが出来るのだから。 歴史などいくつでも分岐するのだけど、勝ち負けなく、前の試合の如く無関係の私がでしゃばる歴史があってもいいとは思わない?≫ 「思わない。そもそもあなたは誰?」 六九のもっともな指摘に対し、焚書はくつくつと笑うと人の悪そうな笑みで言った。 ≪私が誰かなんてどうでもいいじゃない。大事な家族のためと言ったらわかるかしら?≫ 「あなたは口舌院と自分で言った」 「ではあなたのことを何といえばいいの? 一六九(にのまえ・ろっく)。七十二通りも呼び名があるって大変ね。私は精々三つだけど!」 言葉と共に改札が降りた。これが夢の魔法だというのか。 運命を乗り換え、過去と未来を振り捨てる。 ≪1.21ジゴワットに達するまで私の計算では三日間、長めの休暇を楽しむといいわ。 それと、納得がいかないのなら野試合なんてどう? 夢のようじゃない。≫ 文字と共に意識が遠のく。 残り二つの名、わからぬままに。
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生徒会SS1 SS【ひめサバ! デストロイザモー! #1】 【ひめサバ! デストロイザモー! #2】 【ひめサバ! デストロイザモー! #3】 【ひめサバ! デストロイザモー! #4】 【エリカは待つ。待ち人は帰らない】 【投稿期間に間に合わなかった大鶴ぺたんエピソード#1】 【投稿期間に間に合わなかった大鶴ぺたんエピソード#2】 【たたかえ蟹ちゃんシリーズ「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#1】 【「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#2】 【「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#3】 【仔狐クリスと鮫氷しゃち】 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】 【【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#2】 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#3 【波に揺られて】 カランドリエ ~隣り合う月~ 1T目星座VSタイガービーナスSS 虎よ、虎よ! わが赴くは星の群 SS 【ひめサバ! デストロイザモー! #1】 ブッシュの中に身を低くして潜む。眼鏡の上には、サバゲー用ゴーグルを装着。迷彩柄のウェアは草木に紛れて視認しにくい。手にした狙撃武傘『ぺトータルレイン』をしっかりと構え、敵軍の想定進攻ルートを睨む。瞳に涙が滲み、視界がぼやける。いけない、こんなことでは。 ああ、なんて楽しいんだろう。初めての実戦形式。こうして敵を待ち受けているだけで幸せで幸せで涙が出てしまう。いけないいけない。集中しなきゃ。8m横で潜伏中のエリカの方を見る。エリカは「がんばろうね」のハンドサイン。私も「がんばろうね」を返す。 私たち副部長チームは、攻撃力の高い副部長中心にほぼ全員が攻勢に回り一気に敵フラッグを落とす作戦だ。自軍フラッグの守りは、初心者の私と、中学生時代からサバゲーをやっているエリカの二人だけ。速攻が決まれば私たち二人の出番は無いが、副部長たちの攻撃ラインをすり抜けた敵アタッカーがいれば…… 視界の先。草が微かに揺れたのを、眼鏡の力で飛躍的に高まった私の視力は見逃さなかった。(敵襲……!)緊張で全身にじっとりと冷や汗が滲む。茂みや樹木を遮蔽物にしながら、軽快な足取りで近付いてくる小柄な敵……これは間違いない。進藤部長だ! (……金星いただき!)功を焦った私はぺトータルレインのトリガーを引いた。ばしゅう! ガンランス機構が作動し、圧搾空気が傘の石突き部分に取り付けられた突剣を高速射出する。だが、サバゲー用にしつらえられたゴム製の突剣は、風圧に負けてあらぬ方向へ逸れた。……進藤部長がこっちを見た。 うわああ、ヤバイ楽しいっ! 突剣の再装填は間に合わない。私は涙目で左脇のホルスターから副武装のマカロフPMを抜いて闇雲に連射する。しかし、木の陰に隠れながら近付いてくる進藤部長には当たらない。ヤバイ楽しいっ! 進藤部長がジグザグに迫る。マカロフの連射は当たらない。 ふとエリカの方を見ると、エリカはマスケット風突撃銃を構えて進藤部長に狙いを定めていた。引き付けて撃つ。基本だ。エリカはできる子! タン! エリカの銃が小気味良い射出音を上げる。しかし、進藤部長は突然伏せて回避。そのままごろりと回転して向きを変えると、タタンと二発発射。 エリカは悔しそうに挙手し「ヒットしました」と自己申告した。すごい。やっぱり部長はとってもスゴイ! 鮮やかな進藤部長の技をしっかりと眼に焼き付けた私は、感動で涙ぐんだ。タタン!(あっ……)私の胸に、部長が撃った二発の弾が当たった。「あ……ヒットです……」私はおずおずと手を挙げた。 こうして、私たち副部長チームのフラッグは進藤部長の単機速攻によって落とされ敗北したのだった。……楽しかった! (【ひめサバ! デストロイザモー! #1】おわり) 【ひめサバ! デストロイザモー! #2】 全寮制魔人女子高等学校妃芽薗学園サバイバルゲーム部、通称「ひめサバ」は部員数約30名で、屋外文化系部活連合に所属している。以前はミリタリー趣味の少女たちが集まってモデルガンを愛でながら和気あいあいとお茶を飲むのが主な活動だったらしい。 “サバゲーの申し子”と呼ばれる進藤部長が入部してから、ひめサバの雰囲気は大きく変わったそうだ。今では体育会系の部活並みにトレーニングもするし、今日みたいに野外で実戦形式の紅白戦もよく開かれる。新入生である私は、基礎訓練を終えてようやく今回から紅白戦に参加できるようになった。 同級生の岡林エリカさんは以前からサバゲー経験があったので、紅白戦の参加はこれで四度目だ。「ウルメちゃん、今度はがんばろうね」陣地を入れ換えての二戦目、今度は私とエリカのツーマンセルは攻撃陣だ。「うん。がんばろう」エリカの暖かい励ましの言葉にちょっとウルっと来ながら私は答えた。 空は曇り模様。木々に覆われて昼間なのに薄暗い斜面を、音をなるべく立てぬよう慎重に進む。私が先行して斥候役。エリカは斜め後ろから身を隠しながらついてくる。私たち二人は谷回りで敵フラッグを狙うルートを担当する。左手にマカロフPM、右手に武傘『ペトータルレイン』。 そして、眼鏡によって飛躍的に高まった私の視力は捕捉した。前方で動く黒い影を。こちらの姿は見られてない。私は草陰に身を隠してエリカにハンドサイン(前方に敵発見)。エリカの応答(了解、これより挟撃)。私は右へ、エリカは左へ散開し、密やかに敵へとアプローチする。 射撃可能距離まで接近に成功。未だにこちらは発見されていない模様。私とエリカは90度角の位置で身を隠して銃を構え、息を殺して敵が姿を見せるのを待った。くううー、緊張する。まさに生きてるって感じがする! 私の目にまた涙が滲んだ時、ガサリと樹を揺らして敵が巨大な姿を現した……! 鋭い角を備えた牛の頭部。黒い剛毛に覆われた二足歩行の逞しい胴体。え、えええ? こんな人、ひめサバにいらっしゃいましたっけ?「ギャアアアーッ!? 怪物ーッ!!」エリカが叫ぶ。うん、そうだね。怪物だね。こいつは、ゴリロクス。魔界(にいがた)の生物が何故ここに!? うわー。ゴリロクスがこんなところで見られるなんて、なんてラッキーなんだろう! 思わぬ幸運に瞳が潤む。「ンモオオオオオ!!」ゴリロクスが嘶く。「に、に、逃げるよウルメちゃん!!」エリカが震え声で叫んで走り出す。ああそうか、逃げなきゃ! 私も走り出す。 「エリカ、召喚は?」斜面を走りながらエリカに能力発動の打診。「ンモオオオオオーッ!」ゴリロクスはゆっくりとこちらに向かってくる。奴が本気で走り出したら一瞬で追い付かれる!「ダメ。アレが相手じゃ敵を増やすだけにな…きゃあっ!」エリカが木の根か何かに躓いて転んだ! (ふーん、なるほどね)ここでエリカを庇って命を散らすのは悪くない死に方だ。絶好の“泥なんて”チャンスかもしれない。つまり、ゴリロクスが現れたのも『あいつ』の差し金ってことか。ありがたいね。(でも)ゴーグルと眼鏡を外す。武傘とマカロフを構える。(今の私の命は、そんなに安くない!) (【ひめサバ! デストロイザモー! #2】おわり) 【ひめサバ! デストロイザモー! #3】 眼鏡を外す。世界にガウシアンぼかしがかかる。私は昔の自分に戻る。敵は牛頭の巨猿ゴリロクス。怪物は倒れたエリカに、のしのしと歩み寄る。さあ楽しもう、非日常の戦いを。私は目を細める。多分とっても可愛くない表情。それでいい。大切な友達を、助けるんだ。 エイミングもそこそこに、左手に構えたマカロフ拳銃からBB弾を撃ち出す。BB弾には紫色のオーラが纏われている。私の能力だ。エアソフトガンから放たれる弾丸の飛行速度は遅い。それを能力でPKの如く誘導する。狙いはゴリロクスの牛面。弾丸を追うように駆け込む。 弾丸がゴリロクスの鼻に命中。物理ダメージは微々たるものだが……能力発動!「干物になれっ!」「ブモオオオーッ!?」鼻に生じた異変にゴリロクスが苦し気に呻く。ザアッ。ゴリロクスから奪われた水分が恵みの雨に変化し、周囲に降り注ぐ。鼻を強制乾燥されたゴリロクスはよろめき片膝をつく。 牛の鼻は、人間よりも遥かに鋭い感覚を持つ。その嗅覚はむしろ犬に近い。つまり、鼻を突然乾燥させることは、フラッシュバンの閃光を浴びせるのに等しい効果を生む。右手に武傘『ペトータルレイン』。左手にエアソフトガン『マカロフPM』。ゴリロクスに急接近。インファイト距離。 必殺……トライ・ペゾヘドロン! 武傘から刺突が来ると思う? 拳銃から能力弾が来ると思う? 私はゴリロクスの膝を踏み台にして跳んだ。「ドスコイッ!」相撲シャウトと共に、飛び膝蹴りをゴリロクスの顔面に叩き込む! 暗黒相撲技、シャイニング・ウィザード!「ブモオオオーッ!?」 ずしーん! 地響きを立てて倒れるゴリロクス! 見たか! これが傘術、サバゲー、相撲の三択攻撃『トライ・ペゾヘドロン』だ!「さあ逃げるよエリカ!」着地を決めた私は、大切な友達の手を取って助け起こす。そして、二人で暗い斜面を走り出す。「グモオオーッ!!」後ろでゴリロクスの咆哮。 走る。走る。エリカと共に走る。ミシミシ。メキメキ。背後から木々を薙ぎ倒しながら迫り来る怪物ゴリロクス。その走る早さは、およそ時速60kmだっけ? 私たちが逃げ続けられる時間はあとほんの僅かだろう。ふふふ、なんて楽しいロマンチックな逃避行! 息が切れる。足がもつれる。すぐ背後にゴリロクスの気配。振り向く。目の前にゴリロクス。思ったより近くて驚く。ゴリロクスが巨大ハンマーのような腕を振り上げ、降り下ろす。武傘『ペトータルレイン』を広げ、角度を付けて回転させながらガード。雨竜院流防御術『雨流』。 華奢な私の武傘と、華奢な私の体ではゴリロクスの打撃を止められない。武傘がへし折れる。バスン! ガンランス機構の圧搾空気シリンダーが破損して小さな爆発音。ゴリロクスの剛腕が私とエリカをまとめて殴り飛ばす。「ぐぶぁっ……」「きゃああーっ」二人は斜面を数メートル転げ落ちる。 エリカは私の下敷きになって気絶している。(どかなきゃ……)でも、私の体も動かない。辛うじて動く右腕で、私は胸ポケットから眼鏡を取り出して掛けた。暗い森の中、木々がざわざわと揺れている。世界は綺麗だ。ゴリロクスがのしのしと迫ってくる。私は見た。うふふ、楽しい! (【ひめサバ! デストロイザモー! #3】おわり) 【ひめサバ! デストロイザモー! #4】 私は笑った。妃芽薗ちかくの山の奥。私とエリカは折り重なるように倒れている。エリカは気絶。私の体も動かない。木々の隙間から微かに覗く曇り空。薄暗い灰色。風に葉がそよぐ。牛頭の魔獣ゴリロクスが、ゆっくりと坂道を歩いてくる。私は笑った。世界はこんなにも美しく、スリリングだ。 私は眼鏡に感謝する。この美しい世界を、こんなにも鮮やかに見せてくれるのだから。のしり。のしり。怪物が近付いてくる。荒い鼻息。黒い艶やかな剛毛に覆われた逞しい腕。その腕力で私たちをどうするつもり? 私は笑った。木立の向こうで、桜色に輝く蝶の翅が広げられるのが見えたから。 金満寺迦楼羅。妃芽薗サバゲー部、副部長。能力名『超多段跳弾』。背中に背負った桜色に輝く蝶の翅は、能力発動中の証。もちろん、サバゲー中の能力使用は禁止だ。つまり、金満寺副部長は私の能力によって降らせた雨の緊急コールに気付いてくれた! タタタタタタン! 無数のBB弾が跳ねる音! 金満寺副部長の能力は「跳弾の完全制御」。ゆえに、本来ならエアソフトガンでは届かない距離からも跳弾を繰り返して弾着させることができるし、狙いが外れることもない。「ブモモモモモッ!?」ゴリロクスの全身に四方八方から跳弾が命中! え? BB弾を当てて何になるのかって? まあ見てて! ふと気づくと、ゴリロクスの前に小さな少女が立っていた。突撃銃は片に背負い、握った拳を構えている。進藤莉杏。妃芽薗サバゲー部、部長。サバゲーの申し子。能力名『ゾンビバスター』。「二人とも、怪我はない?」私たちを気遣いながら、進藤部長は拳を振り抜きゴリロクスの脇腹を打った。 巨大なゴリロクスに、小柄な進藤部長のパンチ。効果があると思う? 進藤部長は一発当てるとステップアウトして残心の構え。「グ……ガ……ギャモオオオオーッ!!」ゴリロクスが断末魔の咆哮。全身の至るところら赤い血が噴き出す! これが『ゾンビバスター』の効果! 『ゾンビ』とは、被弾したのにヒット宣言をせず、そ知らぬ顔で戦闘を続ける違反行為だ。サバゲーを愛する進藤部長はゾンビ行為を許さない。『ゾンビバスター』は対象に、それまでに受けたBB弾の分だけ実弾相当のダメージを与える。ゴリロクスの巨体は倒れ斜面を転がり落ちていった。 ―□□― 怪物の出現により紅白戦は即中止。私とエリカは金満寺グループ傘下の総合病院に緊急搬送され入院措置となった。私の怪我は左腕脱臼と肋骨骨折と全身打撲。エリカは頭を酷く打ってでっかいタンコブを作った他は掠り傷程度。入院って楽しい! 珍しいものを色々見れるし、なにより本が沢山読める。 ゴリロクスの通ってきた魔界ゲートが何故開いたのかについては、区役所や魔人公安が調査中らしい。私はその理由について心当たりがあるけど……たぶん黙っておいた方が賢明だと思う。今度『あいつ』が現れたら、そんな方法では私は満足しないと厳しく言って聞かせなきゃ。 コンコン。私とエリカの病室の扉がノックされた。お迎えだ。「どうぞ」エリカが応えると「失礼します」金色の髪を二本のおさげに結った、清楚で可愛らしい女の子が入ってきた。雨竜院本家の末っ子で、私の大親友の金雨ちゃんだ。今日退院する私を迎えに来てくれたのだ。 「怪我の具合はどう?」金雨ちゃんの問いに私は、ギプスで固めた左腕をぺしぺしと叩いて「絶好調」と笑って見せた。エリカは軽い目眩が抜けないらしく、精密検査の結果が出るまでもう少し入院するそうだ。見た目は私の方が重体なのに変な感じだね。 「それじゃあエリカ、悪いけどお先に」主な荷物は金雨ちゃんが持ってくれたので、小さな手荷物と傘だけ持った私は、独り病室に残るエリカに声をかけた。「うん。ウルメちゃんも御大事にね」エリカはマスケット形アサルトライフルを掲げる。私はにっこりと笑って、狙撃武傘『ペトータルレイン』を掲げた。 高く掲げたマスケット銃と狙撃武傘をカツンとぶつけ合いながら、私とエリカは円陣チャントを小声で唱和する。「ひめサバ! デストロイゼムオール!」 【ひめサバ! デストロイザモー!】おわり ●登場人物紹介 【雨竜院愛雨(うりゅういん・めう)】 妃芽薗学園高等部一年。サバゲー部・傘部・相撲部。干物シューター。流血少女MMの黒幕候補。雨竜一傘流とサバゲー殺法を組み合わせた『ガン・カサ』を使う。眼鏡が似合う陽気な子だが、本気の殺し合いでは眼鏡を外す。感動屋さんで、すぐに目がウルウルするので“ウルメちゃん”と呼ばれる。能力名『リフメア・サーキュレーション』効果:脱水&降雨 【岡林エリカ(おかばやし・―)】(初登場) 妃芽薗学園高等部一年。サバゲー部。ウルメの級友で、渾名をつけた主犯。マナブーストからビートダウンする系の森ガールで、レインジャー技能が身に付くと勘違いして入部した。能力名『いいえ今は書けないわ・・・』効果:何らかの召喚能力? 【金満寺迦楼羅(きんまんじ・かるら)】 妃芽薗学園高等部三年。サバゲー部副部長。コングロマリット金満寺グループの令嬢で、四肢を義体化している。サバゲーによってヒューマンハント衝動を発散している限りは善良な人格者である。能力名『超多段跳弾』効果:跳弾の完全操作 【進藤莉杏(しんどう・りあん)】(初登場) 妃芽薗学園高等部二年。サバゲー部長。「サバゲーの申し子」と呼ばれる天才少女で、事実上の合コンサークルであったひめサバを一年間で変貌させた。能力名『ゾンビバスター』効果:仮想被弾の実体ダメージ化 【雨竜院金雨(うりゅういん・かなめ)】 妃芽薗学園高等部一年。傘部。雨を司る一族・雨竜院家(宗家)の末子。愛雨の親友である。破天荒な兄や姉を持つ影響か、気配りのできる良識的な性格。お菓子作りが得意。「黄色いお兄さん」と呼ばれる邪悪存在の加護を受けており、その能力は一族の中でも凶悪。能力名『神の雫』効果:失禁をトリガーにして尿の雨を降らせる 【ゴリロクス】(初登場) Gorillox. 新潟に生息する牛頭のゴリラ。 【エリカは待つ。待ち人は帰らない】 こんどこそはと あなたは言った 信じてるわと わたしは言った たぶん これが 終わりになると 予感だけがつのってた 暗い雨に 打たれながら こない あなたを待つ渚 せめて 空の太陽だけには 笑顔を見せて欲しかった (『もしもわたしが蟹だったなら』より) 【エリカは待つ。待ち人は帰らない】 「ふう……行ったか……」私は病室のベッドにゆっくりと倒れこんだ。三日間、見事にウルメちゃんを騙し続けることに成功した。すごいぞ私。入院中にウルメちゃんに借りた本、実は読んだことがある本だったんだ。で、読んでる振りだけして、ウルメちゃんに話を合わせてたってわけ。 だって、目の前がぐらぐらして字なんか読めなかったんだもん。でも、ウルメちゃんには心配を掛けたくなかったんだ。そうしたらきっと、ウルメちゃんの大切な時間を奪っちゃうもん。目眩が酷い。吐き気がする。でも、もうウルメちゃんは退院したから、安心して部屋の流しに吐ける。 大丈夫。きっと手術は上手くいく。だから、ウルメちゃんが心配する必要は全然ないんだ。全快して、髪の毛がはえ揃ったら、また一緒にサバゲーやろうね、ウルメちゃん。 ……独りぼっちになると、悲しいことばかり思い出す。私は、裏切られたことがある。君は私の元を去り、戻って来なかった。今でも、私は待っている。でも、君が戻ってくることはない。君を追いかけて『向こう』に行こうと思ったこともあるけど、怖くてできなかった。 もし手術が失敗したら……そう思うと背中の後ろから真っ黒な闇が現れて飲み込まれるような感覚に襲われる。対象の岡林エリカ1体を埋葬する。(岡林エリカは破壊され、再生できない)冷たいグレイブヤードが私を招いてる。死霧の猛禽ならざる私は、二度とそこから戻っては来れないだろう。 君のいない環境にも飽きてきたし『向こう』に行くのもいいかな? 目眩の渦に包まれた頭を、そんな考えがよぎったりもする。とんでもない! 私は、強くならなきゃいけない。強くなれば、君が戻ってきてくれるはずなんだ。だからまだ、私は諦めない。 アンタップ。勇気を奮い立てろ。アップキープ。意識をしっかり保て。そして、ドローだ。引くのは治癒の軟膏か、はたまた命の川か。私は負けない。強く在り続ける。君が帰って来てくれる、その日まで。 (【エリカは待つ。待ち人は帰らない】おわり) ●エリカちゃんのイラスト ≪魔女跡追い/Witchstalker≫を見た感想 tp //pic.twitter.com/EqxsBjjP3A ≪死霧の猛禽/Deathmist Raptor≫を見た感想 tp //pic.twitter.com/KtvgCsed2B 魔法対決! エリカvsウルメ tp //pic.twitter.com/aiRy4QtqWX 【投稿期間に間に合わなかった大鶴ぺたんエピソード#1】 大鶴ぺたん、高等部三年生。一応水泳部のエース候補だ。 そんなあたしの一日は常にささやかな怒りに満ちている。 朝、高等部の廊下を歩いていたあたしは一人の男子生徒に声をかけられる。 「あ、君。ここは高等部の教室だよ」 「あたしは高等部です。というか三年です」 あたしは溜息をついてから男子生徒をじろりと見上げるように眺めた。 秘められた怒りに男子生徒はたじろいだらしく慌てて姿勢を正した。 「え、先輩!?す、すみません、てっきり」 「てっきり?なんですか?」 「い、いえ!申し訳ありません!!」 男子生徒は逃げるようにその場から去っていく。 その様子を見てあたしは再び溜息をついた。 「……」 自分の体をぺたぺたと触る。 何故あたしはこんな貧相な体型なのだろう。 牛乳は毎日飲んだ。好き嫌いもない。 運動も毎日のようにしているし規則正しい生活をしている。 それなのに、体は一向に育たない。 背はもちろんの事、胸まで。 別に、別に気にしてはいない。 ただこのように些細とはいえ必要のないトラブルがしょっちゅう起きるのが問題なのだ。 そう、断じて子供っぽい体型を気にしているわけでも、胸が無い事を気にしているわけでもないのだ。 そこを誤解しないでいただきたい。 このようなトラブルは当然部活中にもある。 希望崎学園、プールサイド。 あたしの近くにこれみよがしな巨乳と見るからに貧乳が近付いてきた。 そんなに揺らして喧嘩売ってるんですか? いけないいけない、取り乱すところでした。 「ぺたんせんぱいー、聞いてくださいー、実はまた水着がきつくなってきちゃってー」 「……そうなんですか」 「しっ!大鶴先輩にそういうのは禁句です!」 なんですかその気の使い方は!!別に気にしてなんていませんし!! 別にいいですよ成長の報告くらい!!水着の新調とかもしなきゃいけないでしょう!あたしだってします!! ……サイズが変わった事は、それはないですけど……! 「別に、禁句とかでは、ありませんから。水着のサイズが合わないのは、大変ですね」 「ああー……ぺたんせんぱいってずっとその体型だからサイズが合わなくなるってことなくて楽そうでいいですよねー」 ああ!!? 舐めてんのかこの巨乳野郎が!!口のきき方には気をつけろよ!!? ……こほん、いけないいけない、取り乱すところでした。 「ぺたんせんぱい、元気出してください!需要ありますって!」 こ、このクソ巨乳のクソ脳みそのクソ女がァーーー……ッ!! 胸も頭もプリンで出来てんのかこんのアマはァ……!! 需要とかじゃねえんだよこのッ!!ふざけやがってッ!!! 【投稿期間に間に合わなかった大鶴ぺたんエピソード#2】 「……だ、大丈夫ですよ大鶴先輩、ほら、私だってそんなないですし……」 「……そうですか、そうですね」 あたしはゆらりと立ちあがって、貧乳の方を見る。 貧乳といっても、あたしよりは随分恵まれてるな?んん? 「乳なんて飾りですって!ね!」 ほう?言ったな?乳なんて飾りだな?その言葉に偽りはないな? 神に誓えるな?むしろあたしに誓えるな?ええおい、嘘ついたら針千本じゃすまねえぞ? 「ビィーッグ……(Big)」 あたしは右手を構え、貧乳を見据える。 「バーストォ……(Bust)」 貧乳は慌てふためき慌てて逃げようとするがもう遅い。 お前の言った事が真実かどうか試させてもらう。 「ボィーーーーーーンムッ!!!!(Beam)」 「ひゃあっ!!」 次の瞬間あたしの手からビームが放たれた。 それが貧乳に直撃する。 するとどうだ、貧乳の乳がみるみる膨れ上がり立派な巨乳に! これがあたしの忌まわしき魔人能力! 他人の乳を大きくするだけの力……Big・Bust・Beam!! 「……わあ」 「おい、喜んだなお前?今喜んだなお前!!乳なんて飾りじゃなかったのかオラーッ!!!」 「ひ、ひぃっ!!」 あたしは元貧乳の乳の間に水鉄砲を突っ込むと思いっきり揺らしてやる。 こういうのか!?こういうのんが望みなんだろ!?おお!? 「や、やめてくださいぃー!大鶴先輩ー!!ゆ、揺れちゃ、あ、やあ、だめ、み、水着が、ずれちゃ……ひゃああっ!」 「気にすんじゃねえよぉ、飾りなんだろぉ?ああぁん!?」 あたしは元貧乳の顔に何度も水鉄砲をぶっかけてやる。 何故だ。何故この能力はあたしには一切効果がないのだ。 ふざけている!何もかもがふざけている!! あたしは決めた。巨乳を全て倒してやる! 貧乳は巨乳にしてから倒してやる!! 全てあたしの敵だ!!覚悟しろ!!はーっはっはっはっはっはっ!! この後暴れすぎた事に対してぺたんは非常に後悔する事になる。 しかし彼女の怒りはまた爆発する事となるであろう。そこに巨乳がある限り…… 【たたかえ蟹ちゃんシリーズ「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#1】 ラクロスの試合終了を告げる笛が鳴る。スコアは12-3。お忍びとは言え、一国の王女がゴーリーを務めているにもかかわらず容赦なく12点を叩き込んだ妃芽薗ラクロス部には拍手を贈りたい。一年の恵比原静穂と蝦保江瑠璃奈のコンビネーションが冴えていたことも記しておこう。 「うわー、負けたーっ! 静穂も瑠璃奈も上手くなっちゃって!」真木ハルコは悔しがる。「ふふ……、ハルコはあまり上達してないね……」静穂がからかう。「まあまあ、ハルコは公務が忙しいから下手でも仕方ない仕方ない」瑠璃奈がフォローになってなるようななってないようなことを言う。「ぐぬぬ」 ハルコは歯軋りして悔しがるが、とても楽しそうだ。真木ハルコとは世を忍ぶ仮の姿。その正体は魔法王国マジカニアの第一王女パルピューラ・マジカニア・レガリス。通称、パルプである。一年間の人間界修行を終えたパルプは異世界の王国に帰ったが、多忙な公務の合間を縫って時々こうして遊びに来る。 人間界での得難い親友である静穂と瑠璃奈たちと暫し談笑した後、ハルコはグラウンドを離れて妃芽薗の森へと向かった。本日来国した目的を果たすために。手に持ったラクロス・スティックをくるりと回すと、クロスは白い光に包まれ星を象った金色のロッドに姿を変えた。 「マジカニック☆……」ハルコは金色のラクティ☆ロッドを優雅な所作で高く掲げた。「ポリモルフ」変身だ! ロッドの先から幾筋もの光が放たれ、真木ハルコの……パルプの身体を包み込む。その姿が変わってゆく……蟹めいた巨大なサイバネ☆クローの両腕を持つ異様な姿に! 「ククク……まさか奴があの世から舞い戻って来るとはなぁ……雨竜院のメガネ……フン、霧雨といいコイツといい、眼鏡が似合う奴は気に入らねえ…………ブッ殺すッ!!」ああ、これは民から愛されしマジカニア王女の知られざる姿、通称「蟹ちゃん」だ! ※通称がある時点でめっちゃ知られてる……。 そして、蟹ちゃんは標的を見つけ出した。ミリタリーウェアに、紫の晴雨兼用武傘『ペトータルレイン』。左手にはマカロフ拳銃のエアガン。くるくるの癖っ毛は長く、大きな眼鏡に大きなツリ目が可愛らしい。彼女は――ウルメは瞳を潤ませながら挨拶した。「はじめまして。お会いできて光栄です」 「ハハハ、光栄に思いながら死ね!」ジャキン! 蟹ちゃんのサイバネ☆クローが開き火遁の炎が噴出する。「まだ死にませんよー!」ウルメは武傘を開いて回転。雨竜院流『雨流』! 火遁放射の切れ目にマカロフによる銃撃。タン! 紫のオーラを纏った弾丸が飛ぶ。 タン、タン、タタタン! マカロフ拳銃のダブルアクションで紫の弾が次々に射出される。しかし「効かねェーなァーッ!」蟹ちゃんはサイバネ☆クローの堅固な装甲を盾にして銃弾を防ぎながら前進する。ウルメの能力による干物効果は金属には効かない! (ひゃー、ヤバイ楽しいっ!)ウルメは窮地に瞳を輝かせる。(さあ近付いてこい!)マカロフを連射しながら、ウルメは蟹ちゃんを待ち受ける。蟹ちゃんは銃弾を防御しながら前進。(ハッケヨイ……)引き付けて撃つ。サバゲーの基本だ。「……ノコッタ!」ウルメのサマーソルトキック! 「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#1 おわり 【「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#2】 古来より相撲にふたつの流派あり。ひとつ、己の体躯を活かし、肉の鎧を纏って圧殺する野見宿禰の宿禰相撲。ひとつ、己の技巧を磨き、巧みな体捌きで蹴殺する当麻蹴速の蹴速相撲。華奢で体格に恵まれぬウルメは、小結であった股の富士より蹴速相撲のインストラクションを受けている。 マカロフ拳銃の連射によって蟹ちゃんのサイバネ☆クロー防御を高く誘導し、近接状態から相撲奥義サマーソルトキックを叩き込む。「グワーッ!」ウルメの策は見事に当たり、顎を蹴り上げられた蟹ちゃんの脳が揺れる。蟹ちゃんダウン! 後方宙返りを決めたウルメは再び距離を取り武傘と銃を構える。 「ペッ」素早く立ち上がった蟹ちゃんが、血と折れた前歯を吐き捨てる。「チィーッ、貴様もこの技を使うとはなァ。サマーソルトは古代ローマカラテだけの技じゃないってことか」「当麻蹴速の相撲は古代ローマカラテを修めていたという一説もあります」「なるほど、ローマが訛って当麻というわけか」 「だが所詮、蹴速は野見宿禰に敗れた負け犬よ! 負けキャラの技を使う貴様に勝ち目はない! イヤーッ!」蟹ちゃんは古代ローマカラテで鍛えた三倍脚力で跳躍! 空中で前方二回転! 蟹爪めいたクローを開き上空からのサイバネ火遁放射!「イヤーッ!」ウルメは側転で回避しながら銃撃応戦! タタン! 空中の蟹ちゃんは十分な防御体勢を取れず胸部に被弾。BB弾の実体ダメージはほとんどないが……「干物になあれっ!」ウルメの能力『リフメア』が発動。蟹ちゃんの体から水分が奪われ、逆さまの雨となって天に昇ってゆく!「ぐがァッ……息が……ッ!」 収斂進化によって人類に似た姿ではあるが、マジカニア人は甲殻類。陸上生活に順応していても蟹ちゃんが鰓呼吸なのは変わりない。ゆえに、鰓の水分が奪われることは深刻な呼吸困難を引き起こす!「アバーッ! アババーッ!」着地に失敗した蟹ちゃんは、そのまま苦し気に地面をのたうつ。 「……サーキュレイション」ザアアーッ。突然の通り雨が、妃芽薗の森に降り注ぎ木々を潤した。これが、ウルメが新たに得た能力だ。天に昇った水は再び地に降る。それが繰り返される。人は生まれ死に、天に還り、そしてまた生まれ変わる。世界の理。 蟹ちゃんは血塗れの口を大きく開き、雨水を受け止めて喉と鰓を潤す。「ぜェ、ぜェ……助かったぜ」荒い息を吹き返す。ウルメはにっこりと笑う。「うふふ。じゃあそろそろ、殺す気で行きますね」ウルメは眼鏡をスッと外した。ウルメの眼が凶悪に細まる。戦いと殺しを楽しむ者の眼だ。 ガゴン。蟹ちゃんのクローが二つに裂け、上下に開く。「ならばこっちも、これからはブッ殺すつもりで行かせてもらうぜェーッ!」嘘である。蟹ちゃんは最初から殺す気満点だし、誰一人殺す気はない。開いたクローの中から細長いスティンガーミサイルが現れる。およそ対人に用いるべき武器ではない! 「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#2 おわり 【「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」#3】 眼鏡を外したウルメは武傘を天地逆に構え、凶悪な目付きで蟹ちゃんを睨みながら邪神の名を呼んだ。「■■■れ、■■■■■■■■■■」それが、彼女の持つ武傘の真名であった。本来持ち手である場所のカバーが外れ、仕込まれていた死神めいた鎌状の刃が現れる。首刈りパラソル。モード『メア』。 「ククク……面白い武器じゃねェか」スティンガーミサイル発射準備の整ったクローを構えて蟹ちゃんは笑った。「だが、てめェはもう終わりだ。良いことを教えてやろう。このミサイルは赤外線マーカーで自動追尾する。てめェはもう逃げられないんだぜ?」「へえ。良いことを教えてくれてありがとう」 ばしゅう! クローから炎が噴き出し、スティンガーミサイルが射出される!「死ねェーッ!」一直線にウルメ目掛けて飛ぶミサイル。ウルメは、マカロフ拳銃を自分自身に向けた。タタタン! 干物ショットによるセルフファイア! ウルメの体から奪われた水分が、逆さまの雨となって天に昇る! 「ぐうっ……」全身から水分を失った苦痛にウルメが呻く。「馬鹿め! とち狂ったか!」蟹ちゃんが嘲る。ウルメに迫るスティンガーミサイル。「ぐ……イヤーッ!」死力を振り絞りウルメは側転!「愚かな! 赤外線マァーカァーッ!」ウルメの体温を追跡してミサイルが軌道を…… 軌道を変えない! スティンガーミサイルは直進し、ウルメの横をすり抜けて後方で大爆発!「な、何だとーッ!? 何故誘導が効かない!?」ザアアーッ! 天に昇った水分が再び癒しの雨となって降り注ぎ、ウルメは失った体力を取り戻す。ウルメは蟹ちゃんへ急速接近! 近接格闘距離! ウルメは『リフメア』による脱水の副次効果による体温低下を利用して赤外線マーカーを回避したのだ。「トライ・ペゾヘドロン!」右手に首刈りパラソル。左手にマカロフ拳銃。脚にみなぎる相撲の力。傘術・サバゲー・相撲の三択攻撃!「ぬうゥーッ!」蟹ちゃんは防御姿勢。読み切れるのか!? ウルメの身体が一瞬沈む。それを蟹ちゃんは見逃さなかった。「ドスコイッ!」相撲シャウトと共に蟹ちゃんの顎を狙った蹴りが放たれる。「今だ! イヤーッ!」蟹ちゃんは上体を後方に大きく仰け反らせた。これは……! 古代ローマカラテが生んだ偉大なる回避ムーブメント、ブリッジだ!! ウルメの蹴りは目標を見失って空を切る。ウルメの身体が宙高く跳躍する。「ハッハハーッ! それじゃあ着地の隙に超必を決めさせてもらうぜェーッ!」蟹ちゃんのクローが赤いサイバネ光を放つ!「ウルトラ☆スーパー☆……」ナムサン! ゲージ3本使用の超ハサミ☆コウゲキだ! ウルメ危うし! だが、ウルメの態勢は崩れていなかった。空中で後方に一回転したウルメは首刈りパラソルを構え空対地攻撃の予備動作。「(サマソはフェイントだっただと!?)ビッグ☆マキシム☆グレート☆……」隙を作ったのは蟹ちゃんの方だった! 超必殺技シーケンスが間に合わない!「ウリューイン……」 「(あわわわわ……)ストロング☆ハサミ☆……」「ファストラッシュ!!」蟹ちゃんの上空から首刈りパラソルの連続斬撃が雨のように降り注ぐ! 雨竜院流の連続突き『篠突く雨』の、首刈りアレンジだ!「グギャアアアアーッ!!」断末魔の声を上げる蟹ちゃんを、白い光が包み込んだ……。 連続攻撃により、致死ダメージの4倍のダメージを受けてオーバーキルされた蟹ちゃんは血塗れで倒れた。だが、まだ息はある。それは、蟹ちゃんに掛けられた不死の魔法技術『ホーリーライト☆フォース』の加護によるものだ。蟹ちゃんは決して死なず、誰も殺さない。ウルメは眼鏡を掛けた。 ウルメは勝利と殺人の手応えによる歓びを圧し殺し、瞳を潤ませながら頭を下げた。「お手合わせ、ありがとうございました。……その……大丈夫ですか?」タン、タン。マカロフ拳銃で2発、セルフファイアする。ウルメから失われた水分が、癒しの雨となって蟹ちゃんに降り注ぐ。 暖かい白い光が蟹ちゃんを包み、変身が解除されてパルプの姿に戻った。「痛たたた……容赦ない攻撃だったなぁ……」「ごめんなさい。加減が良くわからなくて」「いえ、構いませんよ。その感覚を掴むための模擬戦ですから」体力を僅かばかり回復したパルプは笑顔を見せた。 「ホリラン、頑張ってくださいね」「はい!」パルプの言葉に、ウルメは力強くうなづいた。そしてウルメは寮にパルプを招き、彼女なりに丁重にもてなした。それは、一国の王女を迎えるのには、あまりにもささやかで庶民的な会食だったが、パルプは大いに満足したようだった。 「サイバネvsサバゲー、ローマ古代カラテvs相撲、魔法技術vs傘術」おわり 【仔狐クリスと鮫氷しゃち】 鬼の少女と虎の仮面の少女。 彼女らと出会った時、唐突に戦闘衝動に襲われた。 それは抗うことのできない程の凄まじい衝動で、「戦いたい」という思いが脳を支配し全身を突き抜けた。 何故そんな衝動が芽生えたのかは分からない。 分かることがあるとすれば、私は戦闘衝動の赴くままに彼女達と戦ったという事実だけだ。 私が戦った二人の少女達も、何らかの理由があって私に戦いを挑んでいるようだった。 戦闘中に分かったことは、彼女たちも私と“同等”の存在だということだ。 それすなわち、戦闘スタイルや身体能力は違えど、高い成長性を秘めた魔人であるということだ。 そしてもう一つ感じたことは、実戦経験など無いに等しい私だったが、思いの外渡り合えるということだ。 事実、私は鬼の少女と虎の仮面の少女に勝利した。 一人目は相手が隙の大きい攻撃を繰り出したところに私の大技である「エナジーフィスト」を当てて倒した。 二人目は他の“同等”の存在と戦ってかなり消耗していたようで、苦も無く二撃目で打ち破った。 そして私は、三人目の人影を見つける。 二戦終わって休息の間の無い状態だったが、まだまだ体力は有り余っている。 だから―― 「――このまま三人目も倒せる、なんて思ってないでしょうね?」 私の思いを見透かすような言葉を口にして、その絶望は舞い降りた。 その矮躯から発せられる圧倒的な存在感に気力を削がれた。 そして迫る四連撃。 一撃だけ回避することには成功したが、反撃するだけの気力はなかった。 続く四連撃で、私は完全にノックダウンした。 戦って、身に染みて理解した圧倒的な戦力差。 あれは違う。 あれは何か“私達”とは違う“別”の存在だ。 意識が薄れていく中で、悔しさを噛みしめる。 凄い存在になるためには、もっと強くならなくてはいけない。 今負けた相手にも勝てるようになりたい。 ――勝機はきっとあるはず。 何故ならアレは私達と違って、既に完成されている。 私はまだ成長性がある。いずれ成長すれば彼女を倒せるだけの強さを手に入れられるはず―― 一縷の希望の光を見出して、私は意識を失った。 【END】 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】 無限の闇を湛え、怖いぐらいに深い藍色をした水平線の上に、無数の星が瞬く。夜空の空気は澄み渡り、都会では見えないような暗い星まで明瞭に見える。だが、星々の配置は我々が見慣れた空とは趣を異にしている。星座の所々が欠けているのだ。だが、その話は今の彼女には関係ないので割愛しよう。 (気持ちのいい風……)夜の砂浜に独り佇む少女は、冷たい夜の海風が乱した前髪をかき上げ、整えた。その髪は夜の闇の中にあってなお、星の光を映して桜色の光を放っているようだった。その名も一十(にのまえ・くろす)。一族中の魔人率が99%を超える戦闘破壊家族、一家(にのまえけ)の一員。 妃芽薗学園高等部三年に在籍する十は、海の幸が贅沢に使われた夕食を食べた後、宿泊先の『メロウズホテル』を抜け出して浜辺にやって来た。十は、ことさらに孤独を好むような人物ではない。だが、彼女のことを慕ってやって来る友人たち(友人たちです!)を遠ざけて考え事をしたい時もある。 十は、何故だか同性に好かれやすい。その理由は百合粒子の存在を仮定すれば説明できることだが、今の人類の科学力は百合粒子の確実な観測に成功してはいない。しかし、十は百合ではない。百合ではないのだ。大事なことなので何度も言うが、百合ではないのである。 まあ、十が百合かどうかについても今日の話にとってはあまり本質的でないのでこれぐらいにして、彼女の今の悩みは先日受け取った手紙のことである。差出人不明の手紙。すわ恋文か。残念、そうではなかった。手紙の内容は、不可解で不吉なものだった。それはまるで…… 過去の(普通の意味で過去と言っていいものか疑問だが、ともかく過去の)辛い出来事を思い起こしそうになった十だが、夜の砂浜を踏み締めながら近付いてくる足音を耳にして思索を中断した。(あの子は確か……)大きな眼鏡。普段はくるくると跳ねている髪の毛は、風呂上がりのため幾分か大人しい。 「こんばんは、生徒会の一十さん。番長グループの矢達メアです」今は雨竜院愛雨(うりゅういん・めう)と名乗ることの多いウルメだが、今宵は敢えて昔使っていた名前を名乗った。「生徒会って、私はそんなに生徒会に関わっているわけじゃ……」十は、そう言いかけたところで気付いた。 「メアさん、もしかしてあなたも『あの』ハルマゲドンを知ってるの?」「やっぱり!」ウルメは瞳をキラキラと輝かせた。「十さんも『転校生』なんですね!」そう。彼女達は魔人を超えた魔人でありまさに魔人そのものの『転校生』なのである。わかりやすく言えばエクス魔人だ(それは違う)。 『転校生』と言ってもその実態は様々である。多くの場合、通常の魔人よりも遥かに強大な力を持っているが、そうでない場合もある。一十と雨竜院愛雨は、今の能力ならば普通の魔人と大差なく、むしろやや弱い方かもしれない。だが、彼女達は紛れもなく『転校生』なのである。 彼女たちは、久我原史香がリブートをかける前、『一周目』の記憶を持っている。その意味では正しく異世界からの『転校生』である。「敵陣営だったから全然お話できませんでしたが、私、十さんのことを素敵だなって思ってたんですよ」百合粒子に当てられたのか、ウルメは頬を染めながらそう言った。 「貴女は、あの頃と比べるとずいぶん変わったように見えます」十は、ウルメのことをそう評した。『一周目』の矢達メアは、厭世的でいつも暗い表情をしていた。「今の方が、ずっと素敵」十は華やかに笑った。「えへへ、ありがとうございます」ウルメは嬉しくて、瞳を潤ませた。波の音が静かに響く。 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#1 おわり 【【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#2】 暗く静かな夜の砂浜に、穏やかな波が寄せては返し、返しては寄せる。膝を崩して座っている十の隣に、ウルメも並んで腰をおろした。近い。距離がやたらと近い。十は軽く危機感を覚えた。「私、向こうでは死んじゃったんですよ。知ってますよね」「ええ」「世界が、こんなに綺麗なことも知らずに、ね」 ウルメは水平線と、煌めく星を見て瞳に涙を滲ませた。十も、星を見た。今夜の星空はひときわ綺麗だ。十は、星座の中の欠けた星に、『あの』ハルマゲドンに散った妃芽薗の愛すべき仲間たちのことを想った。十の心に隙ができたのを、ウルメは見逃さなかった。 ウルメは素早く十に組み付いて唇を奪う。そしてそのまま砂の上に押し倒す。十の唇に伝わる柔らかな感触。眼鏡の奥のウルメの瞳は閉じられ、真意は掴めない。十の視線の先には満天の星空。ウルメの口付けは、不馴れで拙いものだった。(ちょ……積極的すぎ!)十の反撃が始まる! 相手は手練れではない。コンマ5秒でウルメの技量を測りきった十は、余裕を持ってウルメの唇を楽しんだ。「ん……」次第にウルメの吐息に甘い響きが混じりだす。ウルメが眼を細く開くと、満天の星空。十と目が合ってしまい慌てて眼を閉じる。いつの間にか体勢が入れ替わっている! 「ん……、う……」最早、ウルメは十の為すがままだった。十の唇が動く度、ウルメの躯がびくりと固くなる。それが女性同士のものであるならば……十は宇宙一キスが巧い! 念のため。一十は百合ではないので宜しくお願いします。十はウルメの控え目な胸に手を伸ばした。お願いしますよ! (どういうつもりか知らないけど……貴女の心、見せてもらうよ!)ウルメの胸に当てられた十の手が、何かを掴んだ。百合粒子が収束して実体化してゆく。伝説のアーサー王がそうしたように、十はウルメの胸からひと振りの剣を引き抜いた。その剣は真っ直ぐで瑞々しく、どこか危うさを秘めていた。 十は輝く剣を手にして身を起こした。「なるほど……私に特別な想いがあるってわけじゃなくて好奇心なんですね」ウルメは超絶のキスから解放され、肩で息をしながら答えた。「へへ……宇宙一スゴいって聞いたから試してみたくて……」ウルメは、武傘を支えにして立ち上がった。「では、戦いましょう」 「メアさん……? 私たちに戦う理由なんて……」「あります」ウルメは懐から封筒を取り出した。「『転校生』の十さんの所にも、同じものが届いているはずです」それは、ホリランへの招待状。なさけむようのシングル・エリミネーション。ウルメは既に戦う覚悟を決めてここに来ている。 「正気なの? この招待状からは『あの』ハルマゲドンと同じ臭いがする! 貴女、自分がどんな目に遭ったのか忘れたの?」「覚えてる」ウルメの瞳が紫色に燃えた。「今度は、死なない。覚えてる。戦いを拒み、脱出を目指した“探索組”が、どんな最期を迎えたのかも。きっと今回も、逃げ場はない」 「だったら……」ウルメは瞳を輝かせて笑った。「楽しまなくちゃね! さあ楽しもう、『ペトータルレイン』!」ウルメが武傘の名を呼ぶと、傘先端の石突き部カバーが外れて鋭利な突剣が姿を現した。「やるしか……ないの……?」十はウルメから引き抜いた輝く心剣を構えた。 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#2 おわり 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】#3 暗い夜の浜辺で、ウルメと十の戦闘が始まった。月はなく、星が二人を静かに見守っている。ウルメの武器は、武傘『ペトータルレイン』と、エアガン『マカロフPM』。マカロフの銃口からは、仄かに紫の光。ウルメの能力による、ネガ雨乞いエナジーの光だ。十の武器は、ウルメから取り出した輝く心剣。 両手に武器を持ち自然体で構えるウルメだが、その構えはやや覚束ない。先程のキスがまだ足に来ているのだ。「メアさん、やめませんか?」十は最後通告。「デストロイゼムオール!」ウルメは笑顔と共に、“よろしくお願いします”という意味の英語で応えた。 最早戦いは避けられない。それならば、ウルメの脚が回復する前に速攻で決める。十は砂を蹴って一気に距離を詰めた。心剣士の剣気によって周囲の百合粒子が結晶化し、百合の花弁の如くに宙を舞い踊る。光の剣の軌跡が縦横に二度、ウルメを刻んだ。必殺の百合十字剣『リーリエ・クロイツ』! ミリタリー調迷彩柄のウルメの服が十文字に切り裂かれ、鮮血が滲む。手痛い損傷だ。だが、ウルメは笑った。戦いが楽しいから。「ぐっ……」十は苦しげな声を出してよろめいた。脇腹から砂の上に血がぼたぼたと落ちる。ウルメの武傘もまた、十を捉えていたのだ。 必殺『トライ・ペゾヘドロン』。傘術、サバゲー殺法、相撲の多彩な技から適切なものを選択することであらゆる状況に対応できるのがウルメの強みだ。『リーリエ・クロイツ』に対して完璧なタイミングで放った武傘の突きにより、十の傷は深い。だが、なぜウルメは初見の技に対応できたのだろう。 十の修めたドイツ流剣術は、失われた武術だ。だが、その技法の一部は伝承され……とある組織の暗殺術にも受け継がれていた。ウルメは、ドイツ流剣術と同様の歩法を身に付けた元暗殺者と何度も手合わせをしたことがあった。元暗殺者の名はクラウディア・ニーゼルレーゲン……あるいは、雨竜院霧雨。 互いに傷を負った両者が振り向く。傷の深さからか、十の動きが一瞬遅れた。ウルメは一瞬で間合いを詰める。密着距離。ウルメと十の顔が近い。右手には武傘。左手には拳銃。再び『トライ・ペゾヘドロン』。武傘で突くわけでもなく。拳銃を撃つわけでもなく。ウルメは両腕で、十を抱き締めた。 気中の百合濃度が高まり、飽和した百合粒子が結晶化して白い花弁となって二人の周囲を舞う。ウルメは十を強く抱き締め……そのまま押し倒した。暗黒相撲奥義『寄り倒し』だ! そして、仰向けに倒された十の豊かな胸の上に、ウルメは素早く馬乗りになった。十の額に、マカロフ拳銃を突きつける。 「フリーズ。干物にされたくなければ、降参してください」銃を額に当てながら、ウルメは宣言する。「うん。まいった」十は素直に投降した。かくして、『転校生』同士による戦いの宴『ホリラン』の緒戦はウルメの勝利で終わった。 雨竜院愛雨の身は、明日には灰になる定めかもしれない。一十の躯は、明日には塵と散るかもしれない。呪われしハルマゲドンの開戦が迫っている。だが今は。だからこそ。精一杯、この戦いを楽しもう。ウルメはそう考えている。互いの健闘を称え、二人はもう一度、軽い口付けを交わした。 【レイニィ・ドラゴン・トゥ・アッシュ、ダス・エルステ・トゥ・ダスト】おわり 【波に揺られて】 こころのスイッチをオフにする。 そう。私は、青く広い海の上に浮かんでいる。 ゆったりと躰を広げて、リラックス。リラックスしよう。 瞳を閉じればほら、綺麗な青空に眩しい太陽。 笑顔を忘れちゃいけない。ほら、スマイル、スマイル。 だって、辛そうな顔をしてたら、また殴られてしまうから。 ざぶり。ざぶり。 波のうねりに躰が揺れる。 私はとっても気持ちのいい海にいるの。 そう。気持ちがいいって言わなきゃね。スマイル、スマイル。 にっこり細めた瞳の端から、塩辛い水の流れがひとすじ、ふたすじ。 だってここは海だから、塩水はあたりまえだよね。 さあ笑おう。こころのスイッチをオフにして。 笑っていれば、そのうち終わるから。 心地よい海にゆらゆらと揺れる。 ちゃぷちゃぷと水の音がする。 でも、楽しい空想は、あまり長続きしない。 深く青い海の底から、やってくる。 大きな口に並んだ、鋭く光るたくさんの牙。 がぶり。私の右足に噛みつく。 私の足は、小枝のように簡単にぷつりと食いちぎられる。 おっといけない。スマイル、スマイル。 左足。右腕。左腕。とっても簡単に取れる。 怖くないよ。さあ、笑って。 だって、食べられてる私は現実じゃないから。 ああ、私のこと、本当に食べてくれたらいいのに。 そしたら、もう笑わなくていいから。 揺れる。揺れる。大きな海の上、大波小浪に躰が揺れる。 笑わなきゃ。気持ちいいって言わなくちゃ。 こころのスイッチ、オフにしなきゃ。 ねえ、お母さん、どうして助けてくれないの。 いけない。いけない。スマイル、スマイル。 私の躰は鮫に食べられてもうバラバラ。 だけど、波はお構いなしに私の躰を這い回り、揺らし続ける。 外は真っ暗な闇の夜。 家の中は、闇夜よりも真っ暗な、深い深い海の底。 (業ヶ深院シアクのモノローグ) カランドリエ ~隣り合う月~ ● フランスベッドは清潔なシーツを巻き取られ、寝床を取り上げられている。 給湯器付きの電話ボックスはティータイムを開くには申し分ない。 そして、不似合いなワイングラスを手に持たされた当世具足――。 天井はくり抜かれており、雨露を遮るものなどないだろう。立て掛けられたカンバスはいつかの星座を描いていたその絵を支えていた。 部屋の三隅を埋めるようにして置かれ、残された一角は一応の出入り口として残されている。 カランドリエの部室は酷く殺風景だ。物がないと言うわけではないのだが空間を埋めてやろうと言う意志がまるで希薄な上、統一性が存在しなかった。 部員の個性に由来したか様々なガラクタが辺りに散らばっているが、それにしたって足の踏み場を埋めるほどではない。 私は芽月(ジェルミナル)リュドミラ。絵画の魔人。 一応、カランドリエの中心メンバーとして頑張っているつもりだ。 「芽月(めつき)ィ。俺が出向いてやったんだからよォ。新人ちゃんに顔見せさすんのがスジってもんじゃねェのかァ?」 べらんめえ口調のドスの効いた声が部室に響いた。 「花月(フロレアル)、来ていたのか。姿を見せてくれない?」 私に知った口を利くのはアマリー、サビーネ、その新人ちゃんこと星座、もちろん部長――、知った中で候補は片手の指に足りる。槭 (かえで)に消えてもらったのはいつだったか。 足元に勝手に生やされたサボテンを躱して走り、続きを言わせる前に面頬を取り上げる。そこに太歳はいなかった。 「勝手に取ンのやめてくれる?」 ワイン色のスライムのようなものがつるりと滑り落ちて、ワイングラスにすぽりと嵌まると刹那。 「それと、何? そのファンシーな呼び方、普通にはなつきって呼べよな」 少々の苦笑い。確かに我々に与えられたこの姓の読みは自由だが。 それにしても一字の違いを物臭がるとは困った人だ。ちなみに我らの革命暦は月の並びに法則はなく月の定めに身の丈を合わせる必要もない。 「油臭い手で触ンじゃねェ」 何かの精霊か、今流行りのマスコットとでも言うべきか、ミニサイズの女の子がぴょこりと顔を出す。 「水彩絵の具が何を言うのかな?」 ゼリーのような弾力を持っているけれど、内側から赤く滲むような生々しさは血腥さを想起させるには十分だ。けれど、今はそれも愛しい赤い水だ。思わず、ひと呑みにしたいと妖として思うほどだ。 まぁ、それは戯言だが。 「はいはい、随分かわいらしいけど、少しは話を聞いてくれるってことでいいんだね?」 「少なくとも百分の一くらいはねェ。あの星座とか言う転校生について吐いてもらうぜ」 どっちなんだか、拗ねた様子を可愛らしいと見るのは私だけでいいだろう。 とは言え、私も十二ある月のひとつに過ぎない。この風来坊に教えてやれることなどさしてないということをわかってほしい。 「やれやれ、説明しようにも今回探偵連中を動かしたアマリ―は不在。仮にも転校生を引っ張ってくるなんて無理した建前、しばらくは帰って来れそうにないんだよ。 仮にも連中のスポンサーでゴタゴタを起こしてしまったのは確かだからね。 それより口舌院家の鬼札が動いたよ、言語さんの身辺に異常はない?」 「冗談はよしこさんだねェ。それよか知ってるぜ。善良な口舌院たァ、それだけでレアだからなァ」 呆れながらもぷるりと揺れる細やかな音の響きが何とも愛おしい。でも、今は我慢だ、我慢。 「そう言うこと、わざわざ言語さんが選んでよこしたってことはこっちとしても絶対に傷を付けて返すわけにはいかない。人質に妹をよこすなんて……本当に策士だよ、我らにとっても副部長は」 恐らく口舌院通訳には一切の裏が存在しない。こちらの切り札である雉鵠(じかん)がいつ帰って来るかわからない以上、弱味を見せたら指揮権を一気に持っていかれることは必定。 「で、霜月(サビーネ)のバカもいつの間にかあっちに持ってイカれてたと。ケッ。 いいのかい? 口止めしとかねェと俺は言語のヤツに洗いざらい話すかもしれないぜ」 「だからこそ中立で、部長――あの方にも忠誠を誓っていないあなたを話し相手に選んだんだよ」 これでも信用してるんだけどね、ほら気がつけば目が潤んできたよ。どうかな、何か話してくれる気になった? ……じっと見る。 「嘘泣きは止めろって話だ。 ハイハイ、わかったよ。俺は今回の一件はノータッチで済ーまーすッ! はいっ、これいいだろォ?」 ● 常に濡れてる私だけど、誠意ってものは案外通じる物だね。 日和見を決め込んでいる部員が多いのは困りものだけど、絶対に敵に回らないと確認が取れたのは大きい。状況を整理してみましょう――。 部長派、いや正確には私主導なのだけど明確に味方と言い切れるのは私と葡萄月(アマリー)だけ。 雨月は部長のためなら動いてくれるでしょうけど、何しでかすかわからないし……、嵐とみた方がいいか。 花月は今話した通り、必要以上に言語に便宜を図ることはないでしょう。 熱月さえいてくれれば、いてくれるだけで何もしなくても睨みは効くんだけど……。 風月は席としてまだ使えない。 霜月もどう動くかわからないけど、少し脅し過ぎたか……。アレが離れることは考えづらい。 雪月はあれで優しいお兄ちゃんに絆されてるから正攻法、それも短期間で攻略するのは骨が折れる。 霧月を引き込むのは問題外、その労力だけで計画が遂行できる。こんなことなら槭を殺さずにいればよかった……。 他三人は私達に刃向うだけの我は無いけど、暦の方からアプローチを掛けられたらどうなびくかわからない。下手に裏を教えていないのが仇になったか――! この辺りなら別にいくらでも替えはいるけど、下手に動いて均衡が崩れるとあっち側に持っていかれる。ギリギリで過半数を回避できていたんだから、取り込むのも下策。 芽月、葡萄月、雨月:部長派 花月:局外中立 熱月:無関心 風月:欠番 霜月、雪月、霧月:副部長派 牧草月、果実月、収穫月:日和見 上の構図はカランドリエと暦、両方に通じる花月もよく知っているはず。 別に副部長の率いる暦の傘下に入るのが嫌と言うわけではない。 けれど、下手に使い潰されるのは御免と言う物だ。 ……余程思いつめた顔をしていたのだろうか? ワイングラスから姿を消した代わりに、赤ら顔をした甲冑が動き出していた。 私の肩をぽんぽんと叩く。 「いや、もうさ。おめェの"令嬢"計画手放した方がいいんじゃね? てンでバラバラに動いているのが俺ら革命暦って連中なんだけどよ、まとめ役のお前さんまで好き勝手してどうするよ? 心配しなくても"探偵"連中とどっぷりな以上、あの腹黒だって必要以上にはどうにか出来ねェよ」 「しかし……」 いや、分かりきっていたことだ。カランドリエを暦に巻き込んだのも、同時に探偵を巻き込んでカウンターパートにしたのも朋友であるアマリーの功績だ。 私のささやかな計画もつまらない嫉妬心から来る意趣返しに過ぎないと認めよう。 「あいわかった! 近日中に試作品をそっちによこすから手出しは無用と伝えて」 「はいよッ。ただ霜月と雪月がどう動くかは気を付けろよ、アイツもそっちにまで手を回すつもりは毛頭ねェだろーからなァ」 承知。 だけど、それは同時に雨月がどう動くか手綱を取るわけではないということ。 それを知ってか、ニヤリと獰猛な笑みを見せるのが太歳だ。この女とも伊達に長く付き合っているわけではない。互いの心中など手に取るようにわかる。 「あ、そうそう。雨月だけど紅井と転校生同士の交戦に入ったらしいよ」 「寅忍ねェ、結構前に滅んだって聞いてるけど?」 「引き籠ってる割りには耳が早いのかもしれないね。ははっ」 「へっ、百年の前もカビの生えた探偵に後れを取るようなマネはしねェよ」 「華美の映えた探偵ね、まぁその通りだと思うよ。"令嬢"のモデルにいいんじゃないかな?」 「知ってて垂れ流してンのざァ知らねェが、俺は賛成しないぜ?」 なんだかんだで楽しいことが大好きな二人。 結果を知ったところで、笑い方、その程度の変化で済まされるのかもしれない。 ● 【登場人物紹介】 【花月太歳(フロレアル・たいさい)】(初登場) カランドリエ所属。飲める吸血鬼。吸精鬼の家系「蛭神」に属するが、彼女がどのようにして精を得ているかについて謎は多い。部長には個人的な恩義を持っているだけであり、部の活動方針については口を挟むことは無い。太陽光が苦手らしく、狭いところに潜むのが好き。能力名:『血に潜る千の目』効果:自身が血液であること 【芽月リュドミラ(ジェルミナル-)】 カランドリエ所属。水辺の妖画。百年ほど前に東欧の無名画家によって描かれた。部長と顔を合わせたことのあるメンバーの一人。常に全裸に近い格好で、しかも濡れているので嫌らしい想像を掻き立てるが、絶対に同性しか相手をしてくれない。能力名:『隠れ画(エルミタージュ)』効果:写真や絵を通じて平行世界や異世界へ移動する 【葡萄月アマリリス(ヴァンデミエール-)】 カランドリエ所属。捨て続けてきた一世紀。電話BOXとティータイムをこの上なく愛する。リュドミラの盟友であり、部長のために全存在を賭けている。探偵との間に強いコネクションを有しており、星座を連れてきたのは彼女の仕事。能力名:『ポケット・ビスカッセ』効果:万物を1:2の比率で分割する 【霧月槭(ブリュメール・かえで)】 カランドリエ所属。語られることのなかった物語。かなり無理をした擬古調の話し方をする文芸者。旧「雨月」が迷宮時計の犠牲になった一件で芽月に粛清される。彼女について語るべき事由は特に存在しないだろう。 1T目星座VSタイガービーナスSS 虎よ、虎よ! わが赴くは星の群 ★ まえがきに代えて雨月星座から読者の皆様へご挨拶があるようです。 僕は名前を雨月星座といいます。転校生です。 あの天空を支配する星に代わり「星座」を号するのはこの僕であると自負しています。 現に、輝きを失ったあの夜空を見上げる者は少なくなったと思いませんか? 故に、人と言う極小の身に一等星を詰め込んだこの星座こそが、何よりも『星座』足り得るのです。 もう誰も信仰していない色情狂の糞親爺の神話など、覚えなくて済むのですよ? (ここで星座は憎々しげに空をねめつけます) 矮小な人間は己の似姿を象って作った偶像を今も崇めている。あの星々の持つ可能性を理解しきれず、この青い星すら塵芥に過ぎないことを理解できない古の人を憎んだ、そう言うことです。 気に病む必要はないですよ、それが魔人と言う生き物なのですから。 既存の星座に代わり、僕と言う星座を見上げてください。きっと黴の生えた神話には拠らない、そんな素敵な物語が生まれるでしょうから。 (ここで星座は優しげに髪を撫でつけます) さて、少々話を戻しましょうか。 転校生の定義とは多岐に渡ります。一義に定めるのも無粋でしょう。 単に強い魔人に与えられる称号? いいえ、強さの定義こそ多岐ではありませんか。 識家に属するワールドメーカーとその眷属? いいえ、対抗勢力はいくらでもいます。 それとも――転び、校(くらべ)、生きる? これは僕たちの意見ですが、世界を回り、比べることが出来ればその人は違った認識を持てる。 通常とは異なり、大きく広がった可能性、それを持てる魔人だからこそ、強いのかもしれません。 (ここで星座は物憂げに息をつきます) 魔人の他にも世界を定義づけられる自由(事由)は大量にあり、一個に定めるのは難しく思えますね。 ここはひとつ、辞書を引いてみようではありませんか。 確かに探偵も、ラーメンも、手芸者も。ここでは少々毛色が変わっていてですね……。 何よりも、魔人、そして転校生は異能の力として広く衆愚に頒布された概念です。 言葉の定義は時代と世界によって異なってきて、本来の意味を失ってしまうのでしょう。 けれど、これらの異能の下敷きになっている以上は職能と、そこに込められた最初の意味は不変であると信じています。……だからこそ始末に負えませんが。 ――「塩」をご存じありませんか? ★ 珍妙な風体をした女が海坂を歩む。 海坂とは海神と人との国を分かち、繋ぐ境界上の場所。 期せずにして、彼女はそこに立っていた。外界から隔離されたことに気付きもせずにこの砂利道を辿っている。夕暮れ時、一人離れて熱気を帯びた風を避けるようにして歩き続け、ここにいた。 ……想い人を置いてきたのはどう言った了見だろう? 女の名を紅井影虎(あかい えいこ)、またの名をタイガービーナス。 海からやって来た最新にして最悪の概念『塩』の眷属である。 塩にどういった悪意を付け加えるか? などと言っても正気を疑われるだけだ。それを成し得てしまったのは人として有り得てはならない大罪である。塩十字団と言う意味不明な団体であった。 そして、虎穴に手を突っ込んでしまった紅井はその力を一端を得てしまった。 知らない、と言う事は時に罪になり得ると言う事を彼女は知らない。 知らないと言う事すら知らなかった。 切り立った崖道を進み、崩れかかった切妻破風の廃屋を横目にして進んでいくと。 道の真中に、黒い闇が蹲っていた。声をかけようかと迷っていると闇は立ち上がる。 それは空の色だった。体中に身に着けた光が舞った。残酷な西日さえ橙色に染まって恥じ入るように見えた。 「やあ、きみも転校生なんて面倒な肩書を得て難儀しているクチかい?」 夜空に似合うまるで死人のように真っ白な肌をした乙女であった。 日の光を蓄えるわけでなく、自ずから光を放つその正体は星の光。天空から二十の星座を奪い取ったその人、星座と言う名の転校生。 みるひと・みられるひと、人を二つに分かつとするなら紛れも無く後者に位置するそんな人でした。 ★ 衝動に身を任せて戦いに臨む。双方ともに、理由などないのだろう。 けれど、星座には衝動の正体がわかっていた。忍者と探偵の対立……なんて因縁めいたものでは無い。 家から逃げ出したか、家が滅んだか、違いはあるけれど。 家業が生き方を決定できるほど体に染みついてはいやしなかったから。 新興の探偵財閥、砲茉莉(つつまつり)に生を受けながら、父を狂わせ己も狂い果てた。 探偵等と微妙な関係であった内務省警察に星を献上し、百年後に追放された身になって気に病んでいないと言えば、嘘になるだろう。けれど、今は直近の怒りが身を焦がすようだった。 死体が立ち上がる。 足元に点々と散らばる星(骸)を繋げば、星座がどこに行こうとしているのかわかるのだろう。 『私たちが星座を盗んだ理由』、星座の名を冠した魔人能力は紛れも無く破格の物である。 けれど、それを一言で説明するのは難しく、今は起きた現象のみを追っていくのが精いっぱいだった。 敵を敵とも認識しえぬような唐突な邂逅を経て、先手を取ったのはタイガービーナスであった。 戦装束(?)に身を包んでいた時点で、これを予測していたのか。寅忍に誇りを持つべきか、それともと、複雑な思いを抱くには里の滅亡は早すぎた、それでも感謝と共に放たれる手甲の一撃はひらりと躱される。 いいや、先程立ち上がった人影は輝きをなくして崩れ落ちる。 そうして、代わるようにして立ち上がる死体のひとつは瞳に星の輝きを映す。 ここで言う星とは犯罪者の隠語であり、天空に上がった命の喩え――つまりは魂である。 魂を奪い、映し取る力。星座の魔人能力については、ひとまずそう理解いただければいい。 意表を突き、一見すれば絶好の好機をして雨月は次々と己の命の在処を替えていく、まるで何が出来るかを試すように。きっと、光速で飛び回る星群のいずれかに星座と言う人本来の星(魂)がいるのだ。 「不意を打つとは貴様、何者っ?」 凛々しく誰何するその声は自身を鼓舞した。それに、答える声としてひとつ。 「星座は、名を雨月星座と言います。百回前の催涙雨に生を受けたと言っておきましょうか?」 同じ顔をした死体に気を取られていたが、その手には望遠鏡がひとつ。 「僕(しもべ)達十二人は等しく惑い、同じ恒星を回る旅人なのです」 謎かけめいた言葉、まるで答える気がないような、いいえ実際ないのでしょう。 「故に号して『少女たちの羅針盤』。紅井影虎――勝ち星を頂きました」 瞬間、紅井影虎の世界は揺らいだ――。 ほうと吐き出される息は冷たい。星座はただの人ではない。 その肌の青白さは、精神と肉体を支える魂魄の片割れを失ったかのように半死と半生の境目を行き来する。で、なければ星座を二十も盗み取るなどと言う暴挙はしない。 「想い人を見捨て、一人逃げ出すような輩にはこれで二十分――」 踵を返し、海坂から常世――『メロウズ』に帰ろうとする。 あそこのポーチドエッグは絶品であると、どこかうきうきとした期待に鳴らない胸を高鳴らせた―― ような気がした。 魂を撫ぜられるような寒気を感じてなお、死神には遠い。転校生に準ずる者の力量がそうさせるのか。 「真・幻影虎陣形」 幻影と真なる影虎、合わせて数十の虎に背を向けた星は大きな痛みを受ける。結局、肉の檻から魂は逃れられないと当たり前のことを教えてくれる。星座は強い、けれど無敵ではない。 それは、幽世(かくりよ)に半ば足を踏み入れた星座にとって久々の感覚であった。 「何をしたかわかんないけど、敵に背を向けといて卑怯なんて言わないでよっ!」 一斉に唱和をするかのように見せ、その実一人きりの声に星座は動揺を隠せなかった。 それは力なき者の声ではない。それは、暴力だろうか? いいえ、愛の力である。 ★ 幅広の砂利道に影法師が伸びる。 西日が残酷に照り付ける中で立たされ、生と死の判別を付きにくくさせる。 輝いているものが本物の星座だが、今は唇の動きを読むだけで精いっぱいだ。 「星座の力なき輝きを誹るわけでなく……、愛ですか? 紅井、影虎様」 「い、いやいや。影虎は寅忍なんかじゃなくて――、ってなんで愛!?」 「存じておりますよ、タイガービーナス様。どうやら、あなたが美鳥様を見捨てるなんてことはあり得なかったようですね」 ふふ、と常の余裕ある笑みに戻しつつ、算段が狂ったことを内心に溜め込む。 翻って、随分のんきな返す言葉ですこと……いや久しく戦いから離れていたのは星座も同じことか。 「ここで鍛え直せるなら僥倖、ですね」 カランドリエの、あの御方の看板を背負っている以上負けは許されない。 その上で、今起ころうとしている魂の収穫祭に乗り遅れるわけにはいかなかった。 油断なく、星の光が飛び交う中で言葉を紡ぐのは探偵の倣いか、いいえ――違う。 「さきほど、あまりにも腹が立ったもので――、ここは今現在外界との唯一の出入口になっていますが、通れるのは一人きりなのです。……勘違いにまず、謝罪しましょう」 「閉鎖空間ってこと? 私が勝ったら洗いざらい教えてねっ!」 幻影に混じる真実にしたたかに打たれ、砂利道に擦り付けた肌が血を流す。これが痛みであり生の実感かと、自然笑みがこぼれた。 ★ 未来は刻一刻積み重なる過去によって作られるのか? 「百年……、重いなぁ。それをひっくり返すのは中々骨が折れる。いいえ……見えない」 「じゃあ、私の勝ちってことで洗いざらい吐いてもらうよ、塩十字団の刺客!」 「は?」 タイガ―ビーナスこと紅井影虎は転校生「雨月星座」に辛うじて勝利し、立ち上がりながらも荒い息を吐いていた。茜色の夕日はいまだ健在で星座の星を塗り潰すようだった。 魂の入っていない器を作り出し、魂を自在に移動させる『私たちが星座を盗んだ理由』。 手に掴める距離だと思ったから、幾光年を隔てた恒星はここにいる。魂を盗み取れる。 酷く身勝手な能力だったが、今の彼女に関係はなかった。 認識とは何を置いても"見る"ことからはじまる。 聞く/触る/匂う/味わう=感じる 人間本位に観測して現実を好き勝手に改変する彼女にとって、認識を阻害する分身の術は相性が悪過ぎた。ふふふ……、と精一杯の虚勢を張るかのように嗤う星座を見て、少し不気味に思った。 「僕は……星座は、連中とは関係ありませんが、約束はしていない気がしますが約束は約束。 今、この学園は魂の草刈り場になっているのですよ。死者は黄泉がえり、声を上げようとも奪われているから届かない、歩むたびに激痛が走るマーメイド……、僕らはそんな状況に置かれているんですよ?」 「どういうこと……! ここは平和な学園じゃないの?」 一笑に伏すことは出来ただろう。けれど、戦いの中で感じた真剣さは嘘と感じさせない。 「そう思うなら来た道をお帰りなさい。元いた場所に帰れるでしょう。大切な友人を見捨てて逃げ出すなら先に進むがいい。今なら蜘蛛の巣から逃げられるから――。 繰り返すが、星座は、紅井さん、あなたがそう言う輩と勘違いしたから怒っていた」 そこまで言うと、星座は崖に身を躍らせた。 「それでは紅井さん、メロウズでまた会いましょう」 止める間は無かった。慌てて駆け寄ったところで間に合いはしない。 落ちながら放たれた言葉が印象に残ったのが救いだったか。 「あ、それと。紅井さん、あなたが図書室に推薦図書で勧めていた探偵小説――凄くつまらなかったです。あそこでクレーンは無いでしょう。あんなもの、三毛猫ちゃんなら怒りますよ?」 妙に余裕があるのが――救いだった。 「……帰ろう」 傷はなく、勝利することが出来た。自分の理想とする姿に近づけた。 あの先輩の言葉に従うわけではなかったけれど、今はただ美鳥の無事を見たかった。 それだけは、何重とブレている私にとってたった一人の真実だったから――。 ……この帰路にタイガービーナスはもう一人の変身ヒロイン「仔狐クリス」に襲われてあえなく敗北する。 それはまた別の話であるのだが。 ★ 終了