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突然の来訪者は扉から現れた。 「な、な、なんじゃ!? おぬしらは!」 開かれた一枚のドア。その先にあるのは、畳が敷かれた小さな部屋。そして立っている のは一体のロボットと、四人の子供だった。 無造作に界王星に足を踏み入れようとする五人に、界王が忠告した。 「これ、いかんぞ! おぬしらではここの重力に耐えられ──」 「あ、ご心配なく。ぼくたちテキオー灯をかけてありますから」 「適応……?」 きょとんとする界王を尻目に、次々にドアを乗り越えてくる子供たち。高重力を物とも せず、誰もが平然としている。 頼んでもいないのに、自己紹介が始まる。 「初めまして、ぼくドラえもんです。ネコ型ロボットです」 「こんちは、ぼくのび太です」 「俺はジャイアン様だ。よろしくな」 「骨川スネ夫と申します。お会いできて光栄です」 「源静香です。よろしくお願いします」 口をあんぐりと開いたまま、呆然とする銀河の監視者。 「おい、のび太。こんな奴で本当に大丈夫なのかよ」 「何が?」 「俺たちの新聞記事だよ!」 のび太の頭に拳骨が振り下ろされた。 実は一昨日から、のび太たちは四人で学級新聞を作っていた。新聞の一面には偉い人の インタビューを載せることになったのだが、取材相手を決めかねていた。 校長、市長、大臣と、実現性はともかく、次々に挙げられる候補者。 そんな中、いつものように大きな口を叩いてしまうのび太。 ──どうせなら、宇宙一偉い人にしようよ。 この結果がこれである。 どこでもドアに「宇宙で一番偉い人の所へ」と話しかけ、開けたら界王星と通じてしま った。 いくらどこでもドアでも、さすがに大界王や界王神が住む領域はインプットされていな かったようだ。しかし、界王とて宇宙屈指の権威者である。たかが学級新聞の題材に使っ ていいような相手ではない。何しろ仮に全宇宙に配達される新聞があったなら、その一面 に毎日取り上げられてもおかしくないような地位にあるのだから。 だが、下々の住民であるのび太たちに分かるはずもない。 「くそっ、宇宙で一番偉い人っていうからどんなにすごい奴なのかと思ったら、昆虫みた いなおっさんじゃねぇか!」 「まったくだよ。これならぼくのパパを取材した方がよっぽどいいよ」 「こら、おまえたち。わしを何だと思っておる!」 子供の口喧嘩のような問答が続き、界王は大見得を切った。 「よし、分かったわい! わしが宇宙一偉いことをおぬしらに証明してやろう!」 体育座りで見学する子供たちから、疎らな拍手が送られる。なぜか照れる界王。 「さっそく始めるぞ、わしの超能力!」 近くにあったレンガがふわりと浮く。むろん、念力によるものだ。 「はいーっ!」 界王が両腕を振り回す。すると、腕の方向に合わせレンガが凄まじいスピードで飛び回 る。 縦横無尽に直方体が狭い星を行き来する光景に、少年たちは目を輝かせた。飛んでいる のが、何の変哲もないレンガであることすら忘れていた。 一転、大きな拍手が界王に浴びせられる。 これで銀河の監視者としての面目は保たれた。天狗になりつつも、界王はほっと胸をな で下ろしていた。 しかし、静香の何気ない一言で状況は一変する。 「でもレンガを動かせることと、宇宙一偉いことってどう関係があるのかしら?」 回復しかけた威厳が、優等生らしい鋭い指摘によって再び崩された。 寄り集まって、ひそひそと陰口を叩く子供たち。レンガでのパフォーマンスもこうなる と、「偉さを示す材料がないことを曲芸でごまかした」と受け取られてしまっている。 やむを得ない。こうなれば、あの能力を出すしかない。 界王は決心した。 「おい、今すぐわしの背中にさわるのじゃ! ……おぬしらの言葉を地球中の人間に伝え てやろう」 子供たちが一斉に振り返った。 界王は自らの背中に手を触れさせることで、宇宙中の誰とでも話をさせることができる。 範囲さえ自由自在だ。界王神すら持たぬ高貴な能力であるのだが、今回は界王の面目を保 つためという、もっとも安っぽい使われ方をしようとしていた。 「じゃあ、まずぼくからやってみるね」 のび太が界王の背中に掌をつけ、話し始める。 「あー、あー、えー、ぼくのび太です」 無意味な呟きが地球上にばらまかれた。 世界中の人々がのび太の声に反応する光景が、ドラえもんが出したテレビに流れる。界 王の神秘性が証明された。 だが、いかに素晴らしい能力だろうが、のび太たちにとっては新しい玩具と大差なかっ た。 「まだ少ししか話してないよ。もっとやりたいよ」 「のび太の声なんか聞いて誰が喜ぶんだ! 一度世界中に自慢話をしたかったんだ」 「あら、私だってやってみたいわ。自分の声が地球のみんなに伝わるなんて、とっても素 敵だもの」 ざわつく子供たち。だが、彼らは次の展開を心のどこかで予想しきっていた。 「ええいおまえら、俺様が先だ! 界王のおっさん、次は俺に喋らせてくれ!」 げんなりする子供たち。喉をいじりながらジャイアンが界王の背中に手を触れる。 今や地球という球体を包むのは大気でもなければオゾン層でもない。 絶望だった。 視力が失われ、両耳は役目を放棄した。体内を行き交う枝、血管と神経は朽ち果てた。 動くことを止めた骨と筋肉は主人(あるじ)の無力を呪いながら腐ってゆく。 例外はない。 一分も経たぬうちに、死は地上を覆った。 人類は今ようやく『人類不滅説』から目覚めたのだ。 かつて地球を滅ぼす候補といわれた核兵器と環境汚染。 だが、核兵器が撃たれると本気で心配していた人は果たして何人いただろうか。使われ ることなく未来永劫、人と核は共存すると楽観していた人がほとんどではなかったか。環 境汚染にしてもそうだ。昔の人が現代に描いたSFのような未来がまるで程遠いのと同様、 環境破壊によって荒廃する未来もまた程遠いと考えていたのではなかったか。 色々問題は山積みだけれども、結局人類の滅びは永遠にやって来ない。誰もが信仰して いたこの説は、核兵器とも環境汚染とも違う原因不明の猛烈な毒素によって粉砕された。 やがて、泥のような屍が地上を埋め尽くした。人間どころか、人の形すら世界から消え ていた。 界王を介したことにより、その殺人能力を増幅させたジャイアンの美声。もたらされた 悲惨な結末。 学級新聞の一面記事が決定した。 お わ り
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背中 【投稿日 2006/07/13】 未来予想図 七月 *** 7月の始め。荻上さんは悩んでいた。 ここのところ、ずっとスランプ気味だったのである。 (う~~………うまくシチュエーションが思いつけね………。 今までは勝手にイメージが向こうからやってきて、描く手が追いつかないほどだったのに………。) 今回、夏のコミフェスに当選して、ようやくハレガンで同人誌が出せる!と気合いが入っていたのに。 (どうすっかなー…。とりあえず今まで書き溜めてたイラストとかのシチュを使いまわしで、もっかいネームにおこして………。 いやいや、駄目だ。コミフェスで売る本だべ?やっぱ自分の力を存分に出しきらねーと!! 前回は50作って11しか…そのうち2冊はあげちゃったし。ってことは、売れたのは9冊。) (…今回は50作って、目標30冊は売りたいなァ…。そのためにもやっぱ、中身のクオリティを上げねぇと………。) …力みすぎてプレッシャーがかかっていたのだった。 (………考えすぎて頭痛い………ちょっと休憩するべか。 …はっ。もうこんな時間!?笹原さんがもうすぐ来るのに!!) 慌てて部屋を片付け始めた。 笹「こんばんは、荻上さん」 荻「こんばんは。…どうぞ」 笹原が来たのは夜11時ごろだった。今日も大変だったらしい。 荻上さんが麦茶を入れてくると、笹原はスーツの上着を脱ぎかけたままで床に伸びていた。 荻「…今日も疲れてるみたいですね」 荻上さんがテーブルに麦茶を置くと、笹原はゆっくりと起き上がり、グラスを手に取った。顔がげっそりしている。 笹「ああ、まあねぇ………担当の漫画家さんがなかなかネームあげてくれなかったからね。 もう2回ネームの〆切延びてるのに………。」 荻「え、2回?そんなに〆切延ばせるんですか?」 笹「いや、もうそろそろ原稿に入らないとやばいんだけどね。さっきようやくOK出て、やっと帰ってこれたんだ。」 荻「へえ………。大変ですね」 笹「…担当してる先生、煮詰まってくると逆切れはじめるからねえ………。 『思いつかないものは仕方ないじゃん』とか、まあそんくらいならいいんだけど、昨日は『君達が見てると集中できない』とか言い出してさ。 でも見張ってないと逃げそうなんだもん。実際何度か逃げたことあるらしいし。 そのうち八つ当たりになってきてさ。」 荻「へ、へえ………」 笹「あんまり理不尽なことばっか言うから、ついこっちも腹立ってさ。 『漫画描きたくないんなら、漫画家にならなきゃいいじゃないですか!』って言っちゃったんだ………」 荻「………………………(汗)」 笹「あとで小野寺さんに注意されたよ。『先生も言い過ぎだけど、言い過ぎ』って。でもねえ………」 荻「…笹原さんってけっこうキツいですよね」 笹「えー、そうなのかな?よく言われるけど…」 荻「ほら、現視研で夏コミに当選したことあったじゃないですか。それで、〆切前になっても漫画全然できてなくて。 そのとき久我山さんに、けっこうひどいこと言いましたよね。」 笹「でもあれは久我山さんが………」 荻「ええ、久我山さんが言い訳ばかりしてて、責任とろうとしなかったんですよね。久我山さんが悪いです。それはわかってます。 ………でも、あれは言い過ぎだと思うんですよ。」 笹「え?」 笹原は荻上さんのほうを見た。荻上さんは目線を下に落として考えながら話している。 荻「『だから久我山さん、マンガ家になれないんですね。マンガ家になろうとしたこともないじゃないですか。 安いプライドを守りたいだけでしょ?』………って。」 笹「………………」 荻「その言葉はひどいと思いました。いくら描きたい気持ちはあっても、描けないことだってあるのに。 自信がなかったり、思ったように描けなかったり、納得いくものができなかったり………。すごく悩むんです。 それを『安いプライド』って言葉で切り捨てられるのは、聞いてて辛かったです。」 笹「…そっか………」 荻「もちろん、だからって責任回避していいわけじゃないです。笹原さんが怒るのも無理なかったです。 でも。私には久我山さんの気持ちもわかるから………。」 言いながら、荻上さんは思っていた。 (………『描きたい気持ちはあっても、描けないことだってあるのに』って、それ今のわたすのことだァ………。 気持ちばっかり焦って、イライラして、どーしようもねぇ……………。) 笹「そうかあ………久我山さんにも、先生にも、悪いこと言っちゃったなあ………」 笹原はしょんぼりと肩を落とした。 荻「………………でもまあ、きつい言葉が必要なときもあるんですけどね。」 笹「そうなの?」 荻「あの時の久我山さんも、きっと一押し背中を押してもらいたかったんじゃないですかね?笹原さんに。」 笹「ええ?でもあの時久我山さん、喧嘩ごしだったじゃない。俺、『原口みたいだよね』って言われたし。」 荻「ああ…」 荻上さんは苦笑した。 荻「…まあ、なかなか素直にはなれないものなんですよ。 思ったように描けなくて、すでにプライドが傷ついてるときに、笹原さんにも指摘されて。 『何で描けないんだろう』って、自分でも思ってるのに、他人にも言われると腹が立つんですよ。 …もちろん、描くのを引き受けた以上は、そんな風に怒るのは理不尽なんですけどね………。」 笹「ふうん………。そうかあ…。俺、漫画ほとんど描いたことないからよくわかんなかったよ。 俺の担当の先生も、そんな気持ちだったのかなあ。」 荻「もしかしたら、ですけど、そうだったんじゃないですかねー………。」 荻「…あ、でも、後で久我山さん喜んでましたよ」 荻上さんはあることを思い出した。 笹「ええっ?」 荻「ほら、笹原さんが、斑目さんと印刷所に入稿しに行った日。 あの日、笹原さんたちが出てから久我山さん、力尽きて寝ようとしてたんですけど、その前に私にこんな風に言ってたんです。 『笹原がサークル申し込みして、俺に漫画描いてくれって言ってきてくれたから、ようやく漫画描いて残すことができた。 本当はずっと描いてみたかったけどなかなか勇気が出せなかったから。 最後、学生時代にいい思い出ができて良かった。笹原には感謝しないとなあ………』って。」 笹「………………久我山さん、そんなこと言ってたんだ」 笹原は驚いた顔をしていた。 (久我山さんがそういうの、分かる気がする。わたすも………。) 現視研で初めてサークル参加して、あの経験のおかげで自分も同人誌を出してみたいと思ったのだ。 いや、本当はずっとやってみたかったけど勇気が出なかった。 ………趣味を隠していたし、あの当時、自分の801妄想を描いた本を出して誰かに見せるなんて、考えられなかった。 ………でも本当は誰かに見て欲しかった。自分の描いたものを読んで、面白いと言ってくれる人がいたらどんなにいいだろうって、心の奥ではずっと思っていたのだ。 …なかなか自分に素直にはなれなかったけど。 …あの、中学時代のこともあったし。 笹「あ、そう言えば夏コミの原稿、進んでる?」 笹原に言われ、ぐっと言葉につまる荻上さん。 荻「いえ、まだ………」 笹「そっか。荻上さんいつも早いから、珍しいね」 荻「………………なんか、スランプになってるみたいです。うまく思いつかなくて………」 笹「うーーん。…そういえば、801ってどんなときに思いつくの?」 荻「ええ!?…そ、そーっスね。ハレガンとかだと、漫画読んでたりアニメ観たりしてるときに………。 あとは、急に思い出すんですよ。授業中とか、家までの帰り道とか、お風呂入ってリラックスしてるときとか。 『あのセリフ良かったなあー』とか、『あのシーンは使えるな』…って。 エドが、大佐と口論してるとことか。エドが大佐にどんだけつっかかっても、大佐は大人だから余裕なんですよね。 それでまァ、エドと大佐が口喧嘩してるうちにだんだんその………。 ええーと、ま、まあそんな感じです」 笹「ふーん、そうなんだ。」 荻「………………な、なんか恥ずかしいっすね、口で説明すると」 笹「あははは」 荻上さんは顔を赤くして下を向いてしまった。笹原はそれを見てつい笑ってしまう。 荻「わ、笑わねーで下さい!」 笹「いやいやゴメン、荻上さんが可愛いから」 荻「なっ………」 荻上さんは真っ赤になったが、ふと頭の中にイメージがよぎる。 (………………自分の辛い気持ちを大佐に吐き出すエド。『悪い、弱音なんか吐くつもりなかったのに…』 辛そうな表情で大佐を上目づかいで見上げると、大佐は何故かいとおしそうな目でエドを見つめる。 『そんな風に弱音を私に吐くなんて珍しいじゃないか』『悪い、もう言わないからさ…』 『いや、もっと聞きたいものだな』『え?』『その間ずっと、普段は見られない君の憂い顔を見つめていられるからさ』 『た、大佐…?何言って…』『すまない。君が可愛いからいけないんだ』『なっ………』 そんであーなってこーなって………………………) 笹「………さん、荻上さん?」 荻上さんははっと我に返った。笹原が困ったような笑顔をこちらに向けている。 笹「またワープしてたね」 荻「いえその………………(汗)」 笹「どうですか先生?そのネタ、原稿になりそうですか?」 荻「え、ええ、まあ………………」 返事をしながら、 (うわーでもこのネタ絶対笹原さんには見せらんね、恥ずかしい!!) …と思った荻上さんであった。 お風呂で浴槽につかりながら、荻上さんは考えていた。 乗り物に乗っているときとか、寝る直前とか、お風呂に入ってるときなど、気持ちがリラックスしているときに漠然とイメージが沸いてくる。 そんなとき、好きなカップリング同士が話してる所を想像すると、勝手にキャラが動いて会話が進んでいくのだ。 色々シチュを想像している間にいつの間にか漫画のネタができてくる。 そうやって想像しているときが一番楽しいかも知れない。実際にネームに切ってみると、イマイチってことも多いのだが。 頭の中で、コミフェスに出す本のイメージがだんだん固まってきた。 風呂から上がると、笹原はくじアンの新刊を読んでいた。 笹原は先に風呂に入ったので、スーツからラフなTシャツ姿に変わっている。 頭にタオルを載せたまま、床にぺったり座って真剣に読みふけっている。 荻「………………………」 荻上さんは、とりあえずドライヤーで髪を乾かした。 (…この耳の横の髪がいつもハネちゃうんだぁ。真横にぴーんと。やだなぁ。髪下ろしてると目立つなァ…。 寝癖で後ろの髪の毛まで逆立ってるときがあるし。) できるだけ下にまっすぐになるように念入りに乾かした。 髪を乾かし終えると、笹原のほうをちらっと見る。 笹原は真剣な顔で、ページを遡って読み返しているようだ。 (………時間かかるんかなぁ。そういえば、今回の新刊、卒業した会長が出てくる話があったっけ?笹原さん会長好きだから………。) (………………………。) ふと思い立って笹原の背後のほうに寄っていき、後ろに座る。 (…何やってんだァ私) (んでも、こっちに気づかんねぇかな………。) 笹原の背中を横目で見ながらしばらく待ってみるが、笹原はこっちを振り向かない。 (………………………………。) 一言声をかけてみればいいのだが、何となく声をかけづらい。 (………なんで声かけられねんだろ?) 心のどこかで、笹原さんのほうから気づいてこっちを振り向いてくれないかな、と考えているのだ。 (というか、何を期待してんだろ?私。い、いやそーでねぐて!) 一人で赤くなる。 笹原の背中を眺めた。 (男の人の中では笹原さん、小さい方だけど、私よりずっと肩とかがっしりしてて…。骨格とかも…。) 後ろから抱き付いてみたい、と思ったが、数センチ先の背中になかなか手を伸ばせない。 (………何で素直になれないんだろ?) さっきから自問自答ばかりしている。 (………………卒業式の日は、服に気合い入れて行ったどさくさで勇気出せたんだけどなァ…。でも大野先輩の罠にかかるところだったんだっけか。くそー大野先輩………) 思い出して腹が立ってきた。 (…って、そんなことはいいや、今は…。) また背中のほうへ目を向ける。 (………………………………………。) 気づいてもらえないのが、だんだん寂しくなってきた。自分から手を伸ばせないことが、勇気を出せないことが切なかった。 何故だろう?好きなのに。付き合ってるのに。 何で素直になれないんだろう?と、もう一度考える。 ………恥ずかしいから? そうだ。自分から手を伸ばすのが恥ずかしい。そしていつも、照れ隠しのためにきつい口調になってしまう。 素直になれないのは、………自分に負けてるようで、なんだか悔しい。 …でも。 (悔しいとか、恥ずかしいとかでねぐて…、ただ笹原さんが好きだから、でいいんじゃないだろうか? それが素直な気持ちなんだから、素直に伝えたらいいんじゃないだろうか?) 急に胸がいっぱいになる。思わずそのまま手を伸ばしていた。 漫画に夢中になっていた笹原は、急に背中から抱きつかれてびっくりした。 笹「うわ、びっくりした!…荻上さん?」 荻「…笹原さん」 荻上さんは笹原の背中に顔を押し当て、しがみつくように笹原の胴に腕を回した。 小さい声で名前を呼んだ。 笹「ん?…どうしたの?」 優しい声で荻上さんに言葉を返す。その声を聴いて、荻上さんの強張っていた体から力が抜けた。 荻「…大好きです」 さっきよりも小さい声で、ようやく一言つぶやいた。 笹「………うん」 荻「………………………………。」 (………言葉が続かない。どうしよう) やっぱり恥ずかしくて、一人で内心焦っていると、笹原が話し始めた。 笹「…荻上さんから好きって言ってくれたのって、初めてじゃないかな?」 荻「………そうですか?」 笹「うん。」 荻上さんは抱きついたまま、笹原の背中ごしに上を見上げる。 後頭部しか見えないので表情は分からないが、耳が赤くなっているのがわかった。 それを見て、胸の奥に暖かいものが広がる。 荻「…そ、そうですか?前にも一回言ったじゃないすか」 笹「え?そうだっけ」 荻「そうですよ。もしかして忘れちゃったんですか?」 …本当はこれが初めてだと分かっているのだが、照れ隠しからか、ついこんなことを言ってしまう。 困らせてみたくなったのだ。 笹「ええーーー?えーと、いつだったっけ?」 笹原の焦る声が聞こえる。そうやって焦ってくれるのが嬉しかった。自分のことを本当に好きでいてくれてるんだな、とわかるから。 我ながらイジワルだなァとも思うけど。 笹原が真剣に悩んでいるようなので、だんだん申し訳なくなってきた。 冗談ですよ、すみません、と荻上さんが言おうとしたとき、笹原が急に大きい声を出した。 笹「あ!もしかしてあの時かな?」 荻「へっ!?」 荻上さんはびっくりした。今回初めて言ったはずなのに、笹原は何を思い出したのだろう。 笹「えーと、ホラ、そのー…初めてしたとき………」 荻「ふぇッ!?」 (えっ!?そうだったっけか!?え?え?あの時!?でも記憶にないし…) 荻上さんが内心めちゃくちゃ慌てていると、笹原は聞いてきた。 笹「確かそうだったんじゃないかな?どうだっけ、荻上さん?」 荻「え、や、その…ち、違います!」 笹「あれ?でもあの時………」 荻「言ってません!絶、対、言ってません!」 笹「あれ~~~?」 荻「も、もういいです、その話は………」 笹「じゃあ正解教えてよ」 荻「教えません!」 笹「ええ~~~?気になるなあ」 荻「きっ、気にしないで下さい!!」 笹「あ、じゃあさ」 荻「…何ですか?」 笹原は自分の胴から荻上さんの手をゆっくりとどかし、荻上さんのほうに向き直った。 笹「答えの代わりに………もう一回、言ってくれないかな?」 荻「………………何をですか」 笹「や、だからそのー…大好き、って」 荻「もう言いません!」 笹「頼むよー」 荻「言いません!」 笹原は困ったような笑顔で荻上さんの顔を見る。 荻上さんは赤くなってうつむいてしまう。 笹「…荻上さん」 笹原が荻上さんの肩に手を置く。 顔がすごく近くにあるのを視界の隅にとらえながら、荻上さんはうつむいたままで言った。 荻「ま、また今度!…き、………気が向いたら………?」 笹「はい」 荻上さんがふと顔を上げると、嬉しそうな笹原の顔があった。 その顔がだんだんと近づいてゆく。 ………その後、恋人同士がすることは一つでしたとさ。 END 続く。 おまけ4コマ的な。 【そっち方面でも強気攻め】 小「笹原君って意外とキツイな。顔に似合わず」 笹「はは…。昔サークルの先輩にも言われました。やっぱ直したほうがいいですかねぇ…」 小「いや…そういうのもアリなんじゃない?面接で言ってたことと逆だけどね」 笹「え…そうでしたっけ?」 小「『作家のやる気を無くさせること』が一番してはいけないこと、って言ってただろ?」 笹「そうでしたかねぇ。でも、自分が言いたいと思ったことを言わないのは、自分を否定することになりますからね…。」 小「ほーー。」 笹「だから原稿をもらいに行くときは、強気でいかせていただきます!!」 小「あ、そう。まあ頑張れ」
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「背中」 一つ目の種子を手に入れ、二つ目の種子を求めて旅を続けるストライク一行。 しかし、その手がかりだけでも見つけ出すのは容易ではなく その日もろくな手がかりを見つけられないまま、一行は川のほとりで野営の準備を始めていた。 「今日もダメか…クソッ、何故見つからない」 「仕方があるまいて。今日はゆっくり休むことじゃな」 「のんびり休んでる余裕なんてあるのかよ!こうしてる間にも兄さん達は…」 ストライクは途中で発言を止め、自らが口にしかけた言葉に嫌悪を抱く。 こうしている間に、あの二人はどうしているのだろう。 ザフトに加担し、何をしているのだろう。 考えたくは無かった。たとえ自分に刃を向けた事実があったとしても。 二人がその手を罪もない人々の血で汚していることなど、考えたくも無かった。 深刻な顔で押し黙るストライクに、フラガが見かねた様子で声をかける。 「さて、暗くなる前に薪を集めないとな。行くぞ、坊主」 返事の有無も気にせず森に入るフラガを、ストライクは慌てて追いかけた。 「ん~~…おっ?この木の実うまそうだな」 気楽そうに口笛を吹くフラガに対し、ストライクは怪訝な面持ちだった。 騎士団長フラガ。王の護衛という特別な地位に着いている兄やイージスを除いた ラクロアの騎士達の頂点に立つ男。この旅で同行するまでは特に話す機会もなく、 自分のような一介の兵には雲の上のような存在、のはずだった。 考えてみればこうやって二人きりになるのも初めてかもしれない。 だが今は騎士団長という厳格な印象のある立場に対し、あまりにも飄々としたその態度にストライクは少々苛立ちを覚え、半ば睨みつけるようにその背中を見ていた。 「…なぁ坊主。坊主は、なんか趣味とか楽しみにしてる事ってあるか?」 「楽しみにしてる、事?」 急に話題を振られた事にも驚いたが、内容も突拍子のないものだったのでストライクはいっそう困惑した。その様子を見てフラガが肩をすくめる。 「若いんだからなんかあるでしょうがよ…本を読むこととか、女の子とお喋りすることとか…」 ストライクは首を捻った。学問がからっきしなので本はあまり好きではないし、 女性も苦手ではないが進んで会話をする事もない。 幼い頃から馴染みがある故に異性という認識が緩いラクスは別として。 「…じゃあ、飯を食うこととか」 あぁそれだ、とストライクは頷いた。鍛錬の後に食う飯は格別に美味いと思っているし、 普通に食べるだけでも楽しみだ。かつては『制限時間内に百皿完食でタダ』という ディアッカの店の企画に挑戦し、九十八皿目で吐いてメビウスゼロと兄を泣かせたこともある。 「そうか…なら明日はどっかの街で美味いモン食おう、そうしよう」 「えっ、種子探しはどうすんですか」 「んなもん一日くらい休んだって構わねえよ。この辺りは大方調べ尽くしたしな、ぶっ続けで」 楽しそうに笑うフラガに、ストライクはあからさまにむっとした表情を作り詰め寄る。 「ふざけんな…そんな事してる暇、俺達にはないはずだろ…!」 フラガは、声を荒げて今にも飛びかからんとするストライクの肩にそっと手を載せる。 「肩の力を抜けよ…お前は色々背負いすぎだ」 「構うもんか!早く種子を集めなきゃ、世界が危ないかもしれないんだぞ!」 未だ食って掛かるストライクに、フラガはため息混じりに呟いた。 「…少なくとも、俺はお前に世界の命運なんて背負わせたくねぇよ」 その言葉を聞いて、ストライクは愕然としてうなだれる。 この人は、自分の身を案じてくれていたのだ。 自分が選ばれたから、やらねばならない。 自分にはその力があるから、やらねばならない。 ストライクはそう言い聞かせて一心にこの旅を続けてきた。 もちろん自分で選んだことだから、誰も文句は言わないし誰にも文句は言えない事だった。 フラガはそれを見抜いていたのかもしれない。例え僅かでも、自分が辛いと思っていた事を。 口には出さないが、真剣な表情には出来る事なら代わってやりたいという思いがにじみ出ていた。 「大体その若さで今から種子だ戦争だ――んなもんに振り回されてちゃ、後の人生キツイって」 フラガの口調には、どこか苦々しいものが感じられた。思えば三十路にも満たないこの人が団長になったのもそれなりに若い頃のはず。騎士団の長としての誇りや、責任を背負ってきたであろう苦労は計り知れない。 そうだ、自分はこの人の事を何も知らないではないか。 ただ上辺だけを見て決め付けるなんて、何と愚かしい行為をしていたんだろう。ストライクの胸中は己を恥じる気持ちでいっぱいになる。 種子に選ばれたからって、自分だけ特別だと勘違いしていた。勇者でも気取っていたのだろうか。 「もっと気楽に行かなきゃ。旅も、人生もな」 フラガの言葉が妙に沁みて、なんだか目頭が熱い。ストライクはうつむいて誤魔化す。 「まぁでもお前さんのそういうところ、俺は嫌いじゃないけどね」 そう言って踵を返したフラガの背中が、ストライクにはいつもより大きく見えた気がした。 翌日、一行は近くの街で久々にゆったりと食事をとり過ごしていた。 だが物陰から彼らを狙う複数の影。ザフトの弓兵たちだった。 人通りの多い場所では、同じく種子を狙うザフトが目を光らせているのは当然のことだ。 弓兵が狙いを定めた矢が無我夢中で料理を平らげるストライクの頭めがけて解き放たれる。 食後のコーヒーを口にしながら、物陰を睨んでいたフラガがいち早く反応し立ち上がって ストライクの頭を押さえつける。顔面を料理まみれにしたストライクが抗議しようとするがテーブルに刺さった矢と、飛んできた角度に自分の頭があった事に気付き絶句する。 「こら、何ぼさっとしてんの!騎士たる者、常に周りに注意を払うのは基本だろうが!」 フラガは怒鳴りながらストライクの頭を叩くと、鞘を掴み物陰に向かって駆け出す。 ストライクは目を丸くする。昨日と言ってる事が矛盾しているじゃないか。そもそも俺は騎士じゃない。 「ちっくしょー…納得いかねぇ…」 ストライクは走るフラガの背を見つめた。相変わらず飄々としているが、ふざけている様子はない。 戦いに臨むという確かな緊張感と、焦りを感じさせない余裕が同居した背中だった。 どんなに時にでも、己を見失わない。それがこの人の強さなんだ。 ストライクは少しだけ軽くなった足取りで、フラガに続いた。
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デルフィン 名前 レアリティ 部位 最大レベル 必要コスト 物理攻撃力 光学攻撃力 命中率 リロード スキルスロット数 成長タイプ アギラ ET 背中 20 2 1400(2800) -(-) C D 0 普通 アギラ・アス ET 背中 20 6 1800(3600) -(-) C C 0 普通 アギラ・レイ UM 背中 40 14 1800(5760) -(-) C C 3 晩成 リウビア ET 背中 20 4 1600(3200) -(-) C D 0 普通 リウビア・アス ML 背中 30 5 1800(4500) -(-) C B 0 早熟 セロ・リウビア UM 背中 40 16 (6900) -(-) C B 2 バリエンテ ML 背中 30 9 -(-) 1800(4680) B C 1 晩成 バリエンテ・アス UM 背中 40 12 -(-) 2300(6900) C C 1 普通 セロ・バリエンテ UM 背中 40 16 -(-) (8100) C C 2 ブルヘリア UM 背中 40 12 -(-) 2000(6000) C B 0 早熟 ブルヘリア・アス HE 背中 50 16 -(-) 2400(8400) C B 1 普通 ブルヘリア・ウル FS 背中 50 25 -(-) (10500) S B 3 イグレシア HE 背中 50 20 -(-) 2100(7350) B A 1 早熟 イグレシア・アス HE 背中 50 30 -(-) 2400(8400) B A 2 イグレシア・ウル FS 背中 50 30 -(-) (8375) A S 3 バスラル HE 背中 50 25 2500(8750) -(-) A D 3 不明 バスラル・アス HE 背中 50 30 (10325) -(-) A E 3 バスラル・ウル FS 背中 50 30 (12500) -(-) SSS E 3 メリクリキャノン HE 背中 50 1 1000(3500) -(-) B C 2 普通 クアドラド・アス FL 背中 200 20 -(-) (14550) S G 3 ius 名前 レアリティ 部位 最大レベル 必要コスト 物理攻撃力 光学攻撃力 命中率 リロード スキルスロット数 成長タイプ メンダーク ET 背中 20 2 1400(2800) -(-) B D 0 普通 メンダークⅡ ET 背中 20 6 1700(3400) -(-) B C 0 普通 メンダークⅢ UM 背中 40 14 2000(6400) -(-) D D 3 晩成 ドロースス ET 背中 20 4 1800(3600) -(-) D C 0 早熟 ドローススⅡ ML 背中 30 5 2000(5000) -(-) C D 1 普通 サッピール ML 背中 30 9 -(-) 2000(5000) C D 1 普通 サッピールⅡ UM 背中 40 12 -(-) 2100(6720) C C 0 晩成 フォルテト UM 背中 40 12 2100(6720) -(-) C C 0 晩成 フォルテトⅡ HE 背中 50 16 2400(8880) -(-) C C 2 晩成 ファルクタス HE 背中 50 20 2200(7700) -(-) A C 1 早熟 ファルクタスⅡ HE 背中 50 30 2500(8750) -(-) A C 2 アロッガー HE 背中 50 25 2400(8400) -(-) A C 3 アロッガーⅡ HE 背中 50 30 (8750) -(-) C A 0 アロッガーZ FS 背中 50 30 (11250) -(-) SSS C 3 C.N.M. 名前 レアリティ 部位 最大レベル 必要コスト 物理攻撃力 光学攻撃力 命中率 リロード スキルスロット数 成長タイプ ペネレイト ET 背中 20 2 1400(2800) -(-) C C 0 早熟 ペネレイト改 ET 背中 20 6 1700(3400) -(-) C C 1 普通 ペネレイトSP UM 背中 40 14 1800(5400) -(-) D B 3 普通 ヒートレイン ET 背中 20 4 1700(3400) -(-) D D 1 早熟 ヒートレイン改 ML 背中 30 5 1900(4750) -(-) C C 1 普通 真ヒートレイン UM 背中 40 16 2600(7800) -(-) E A 2 ディバイダー ML 背中 30 9 2200(5500) -(-) C D 1 普通 ディバイダー改 UM 背中 40 12 2000(6400) -(-) C D 2 晩成 フォトン UM 背中 40 12 -(-) 2000(6400) C C 0 晩成 フォトン改 HE 背中 50 14 -(-) 2400(8880) A B 0 晩成 アドミラル HE 背中 50 20 3000(10500) -(-) E E 1 早熟 アドミラル改 HE 背中 50 30 3600(12600) -(-) E E 0 スケアクロウ HE 背中 50 25 3750(13125) -(-) D E 0 スケアクロウ改 HE 背中 50 30 (10850) -(-) D C 3 スケアクロウ極 FS 背中 50 30 (14375) -(-) C C 3 ジェネラス HE 背中 50 10 -(-) (9100) B C 3 アツガ 名前 レアリティ 部位 最大レベル 必要コスト 物理攻撃力 光学攻撃力 命中率 リロード スキルスロット数 成長タイプ デスペナルティ AF 背中 70 4 -(-) 1300(5850) C C 1 普通 デスペナルティ+ AFE 背中 100 8 -(-) 1300(7800) B C 3 エクスシア AF 背中 70 8 -(-) 1600(7200) C C 1 不明 エクスシア+ AFE 背中 100 16 -(-) 1300(9600) C C 2 不明 セレスティアル+ AFE 背中 100 12 -(-) 1500(9000) B C 3 普通 タスラム+ AFE 背中 20 (8700) -(-) A D 2 不明 ベルゼビュート+ AFE 背中 100 22 (6000) (9000) E A 0 不明 機体名 コメント すべてのコメントを見る ミスりました エクスシア、エクスシア+共にリロードBです -- (名無しさん) 2013-06-04 12 32 59 両方ともリロBです -- (エクスシア) 2013-06-04 12 31 56 管理者様へ 直接編集したので私が記載したコメントを消して頂けないでしょうか? -- (修羅丸) 2013-02-26 19 40 31 ■デルフィン 名前:バスラル レアリティ:HE 部位:背中 最大レベル:50 必要コスト:25 物理攻撃力:-(-) 光学攻撃力:8750(2500) 命中率:A リロード:D スキルスロット数:3 成長タイプ:不明 ■アツガ 名前:エクスシア レアリティ:AF 部位:背中 最大レベル:70 必要コスト:8 物理攻撃力:-(-) 光学攻撃力:7200(1600) 命中率:C リロード:C スキルスロット数:1 成長タイプ:不明 ■アツガ 名前:エクスシア+ レアリティ:AFE 部位:背中 最大レベル:100 必要コスト:16 物理攻撃力:-(-) 光学攻撃力:9600(1600) 命中率:C リロード:C スキルスロット数:2 成長タイプ:不明 -- (修羅丸) 2013-02-26 17 58 54
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ウォリア/パラディ/バーサー(背中装備) アーチャ/レンジャ/アサシン(背中装備) クレリク/テンプラ/プリスト(背中装備) メイジ/ウィザー/ネクロ(背中装備)
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このページはこちらに移転しました 遠い背中 作詞/282スレ20 夕暮れ一人 家路を急ぐ 私の横を 駆ける自転車 好きな背中は みるみる離れ 冷たい風が 二人を阻む 私の瞳に 映るのは いつだってそう 後ろ姿 舞い散る雪を 右手で払い 巻いたマフラー きつく締める いつか いつか 真正面から 彼と 彼と 向かい合えたら きっと きっと 伝えられるよ ずっと ずっと 抱いてた気持ち さよならは 言えなかった 言ったなら もう二度と 帰らない そんな気がして ただ影を 見送るだけ
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大きな背中 アイドレスWiKiページ該当ページ 大きな背中:15:#体格 筋力強化:15:#筋力 守りがい:15:#耐久 頼りがい:10:#知識 背中の感覚:15:#感覚 派生前 根源力ショップ
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背中の痛みのほとんどが車の運転やパソコンなど、姿勢が一定で いたことや、ゴルフなどの運動が原因のことが多いのですが、その 背中の痛みの原因が思いつかない、長く続くという場合、もしかしたら 内臓の疾患が原因の可能性もあります。 背中の痛みで内臓関係が原因ですと、腎臓やすい臓、または心臓ですと、 心筋梗塞や狭心症などでも背中が痛みが起きることがありますので、 注意が必要です。
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背中ニキビ
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――みんな、ありがとー! 歓声と拍手と照らしあげるライトの中、先輩は大きく手を振りながら叫んでいた。 本当にうれしそうに、楽しそうに。 初めてという言葉を差し置いても、成功といえた演奏の最後に。 私の視界の左半分で、本当に嬉しそうに、楽しそうに、両手をいっぱいに広げながら、笑っていた。 夜。 私たちはコタツを囲んで、のんびりとトランプへと興じていた。 憂の作った年越しそばを食べて、年末のテレビ番組を流しながら、ぼんやりと年の切り替わるその瞬間を待ちながら過ごしている。 さっきまでの緊張感がうそみたいな、のんびりした時間。 唯先輩は私の横でトランプを繰りながら、楽しそうにお喋りに興じていた。ほんにゃりと、すっかり力の抜けた笑みを浮かべながら。 不意にその目が少し細まったかと思うと、先輩は小さなあくびをする。そして、それをじっと見ていた私に気づいて、えへへと照れ隠しの笑みを浮かべて見せた。 「眠いですか?」 「んー、そうかも…」 無理も無い、と私は思う。初めてのライブハウスでのライブ演奏。何もかも初めてだったそれをこなし、そのまま唯先輩の家になだれ込んで今まで騒いでいたのだから。 実際のところ、私の方もさっきから眠気と格闘していたりするし。 その余韻じみた興奮状態で何とかそれをしのいでいたけれど、それももう限界みたい。私も、そして唯先輩も。 ぱらり、と先輩の手からトランプが落ちそうになり、そのままふにゃりと先輩はゆっくりと崩れ落ちていく。 「う~ん…もう、だめぇ……」 そう、最後に呟きだけを残して、先輩の体はぽすんと音を立ててクッションの上に倒れこみ、間髪いれずすやすやと寝息が聞こえ始めた。 その寝付きのよさに感心と、そして半分くらいの呆れを交えて、私もそれに追随するようにその隣、カーペットの上へと倒れこんだ。 それにしても、やはり冷たい空気は下に、暖かい空気は上にということなのだろうか。 コタツに突っ込んだままの下半身は暖められているけど、腰から上はひんやりと肌寒かった。 「寒い……かな」 ぽそり、と私は思わずそう呟いてしまう。 呟いたからといって、それは変わらない。変わるはずが無い、なんてそんなことはわかっていたことだけど。 だけど――きっとそうならないって、私は期待していた。 「すぅ……すぅ」 視線を横に向ければ、そこには小さな寝息を立てながら眠る唯先輩の背中が見える。 だから、私はコタツ以外には自分を暖めてくれるものを得られないまま、小さく肩を震わせている。 「ゆい、せんぱい……」 小さく、その耳にぎりぎり届くか届かないか、その程度の声量で、私は先輩に呼びかける。 けれども返事はやはり、返ってこない。私の目に映るのは、変わらない先輩の背中だけ。 いつもなら、あずにゃーんなんていいながらぎゅーっと抱きついてくるのに。 だから今も、この瞬間も、きっとそうされたまま私は眠りにつくんだと。そう思っていたのに。 「……」 ほんのちょっとだけ、恨みがましさをこめた視線を、その背中にぶつけてみた。それで何かしようというつもりは欠片も無かったけど、とりあえず抵抗のような何か。本気なんて半分も、どころかおそらく一割程度にもこもっていない。 だって、本当のところ、きっとこうなるだろうってことはわかっていたから。 まるで習慣のようにそうするから、私を取り巻く人たちはそれが当たり前のことだと思っているかもしれないけど。先輩は、いつも私にくっついているわけじゃない。先輩が私にそうするのは、この人の周りに私より興味を引くものが存在しないときに限られる。 そう、例えばこのところ。初めてのライブハウスにすっかり興味を惹かれてしまった先輩が、私に抱きつくことが無かったように。 先輩はいつもそう。 傍にいる、近くにいてくれると思ったら、いつの間にかすごく遠くまで歩いて行っていたり。 それでもまた気が付けば、びっくりするほど近くまで来てくれたりもするんだけど。 思うが侭、大好きを振りまいて、楽しいよって笑って、いつだってにこにことしてる。 本当に、この人は無邪気で、無垢で、憂の台詞じゃないけどまるで生まれたての天使のような人で――そして残酷だ、と思う。 先輩たちは私のことを、唯のお気に入りだな、なんて言ってくれるけど。それはときに皮肉のように聞こえてしまう。 つまりはそういうことで、私は唯先輩のお気に入りにしか過ぎない。私がその目に入ったときだけ、ぎゅっと抱きしめて可愛がって、そしてまたふいっと次のお気に入りに行ってしまう。 ずっと私だけ、なんて、そんな素振りは微塵も見せてくれない。 今もこうして、寒さに震える私のことなんてぜんぜん知らないよなんて、私に背中を向けて気持ちよさそうに寝息を立てているように。 距離的にはこんなに近くなのに、すごく遠くに感じてしまう。 それはとても苦しくて、胸がぎゅうっと締め付けられるように痛くなって、辛い。辛くて、苦しくて、泣き出してしまいそうなほど。 本当に、残酷だと思う。私を、これをそう思わせるまでにしてしまったくせに。 「……仕方ないけど、ね」 だけど、それを先輩のせいにはできないこともわかっていた。 だって、それは全部、私が勝手に思っていることだから。 抱きしめられても、素直にそれに甘えられない。先輩にはついつい小言ばっかりになってしまう――まあこれは先輩にも問題はあると思うんだけど。 いつもそれを受け取るばかりで、私は先輩に何も返してあげられてないから。 そんな私が、そんな状態でいながらそう望んでしまうこと自体が、間違っているんだと思う。 「ゆいせんぱい……」 だから、いつも私は後悔ばかり。いったいそれをいくつ重ねれば、私は素直になれるんだろう。 越えるべきハードルは、たくさん目の前に転がっているのに、私は全然足を踏み出せずにいる。 燃料になるべき想いを、まるで錘のように胸に抱え込んで、その重さに膝を震わせているだけ。 そして。 後いくつ後悔を重ねている間、私はこの場所にいられるのだろう。 まだ先輩が、私の傍にいてくれるこの場所に。 先輩は、いつも思うままに歩いていく。そして、思いのままに歩いていける力を、その胸にちゃんと抱え込んでいる。 先輩が思うよりもずっと、先輩は強いってことを、私はよく知っているから。 だからきっと、先輩はいつかずっとずっと遠くに進んでいってしまうんだろう。 足踏みしたままの私なんて置き去りにして、この手の届かないずっと遠くまで。 それは予想でも想像でもなくて、予言じみた何か。 このままなら、いつかきっとそれは実現してしまうとはっきりと瞼の裏に、夢の中に浮かべられる。 「……あ」 ふと気が付けば、私は先輩の背中、その服をきゅっと掴んでいた。 逃がさないように、離れないように、遠ざかってしまわないように。 それが嫌だと、そんなシーンなんて絶対に来てほしくないと、そう願うように。 それは普段の私らしくない、自分でも驚いてしまうくらいに素直な行動で、思わず小さく苦笑してしまう。 そんな素直な行動を、こんなに簡単に取れてしまった自分が、なんだかおかしい。 唯先輩が寝ているから、それに気付かれないという前提があるからだとは思うけど。 だけど、それでもそれはびっくりするほど簡単な行為だった。 今まで思い悩んでいたことが、そんな自分が馬鹿みたいに思えてしまうほどに。 「……はぁ、もう」 せっかくだから、とその勢いのまま、私はそうっと唯先輩の背中に寄り添う。掴んだ手をおなかの方まで回して、肩をきゅっと寄せて、頬を背中に当てて。 まるで、いつも唯先輩がしてくれるみたいに――なんてそこまでは積極的にはなれないけど。 「あったかい……」 背中越しの先輩のぬくもりは、やはり暖かかった。いつものそれには、少しだけ及ばないけど、だけどそれでもちゃんと暖かい。暖かい、先輩のぬくもり。このシーンでは諦めていたものが、今確かに私の胸の中にあった。 つまりは、私はずっと踏み出せなかったその一歩目を、踏み出せたということなんだろう。 「せんぱい、あったかいですよ……?」 浮かべた苦笑は微笑に変わって、それに押されるように私は小さく、でも甘えた声で先輩に囁く。 いまだ眠ったままの先輩は、それには応えてはくれないけれど。だけど、いなくなったりなんかしないまま、私を暖めてくれている。 私は先輩に抱きしめられていないのに、今こうしてそのぬくもりに暖められている。それは先輩に会ってから、そんな想いを抱くようになってから初めてのことで、それが嬉しくて私はくすくすと笑った。 ぎゅっともう少しだけ、先輩を起こさないほどの強さを右腕にこめて、その背中に顔を摺り寄せたまま、私は目を閉じる。 この幸せに浸ったまま、寝てしまおう。きっとそれは、ささやかだとは思うけど、とても幸せなことだから。さっきまでの私には決して味わえなかった、その一歩を踏み出せたからこそ、得られたもの。 そして起きたら、またいつか次の一歩を踏み出せたら、と思う。 起きている先輩相手に、顔をあわせながらは難しいとは思うけど。 例えば寒くて震えている先輩を、後ろから抱きしめるくらいなら……くらいなら、なんていえる難易度じゃないとは思うけど、がんばってみようと思う。 それができたら。ねえ、先輩。先輩は、私にどんな顔を見せてくれるのかな。 それを楽しみにさえ思えている自分に小さな驚きを浮かべながら、私はゆっくりと先輩のぬくもりの中、意識を沈めていった。 (終わり) こういう片思い的なのも結構いいよね -- (名無しさん) 2010-12-14 04 28 56 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る