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◆基本情報◆ レアリティ T/R コスト 5 属性:黒 配置 全て 制限 なし 能力 なし 分類 男性 進化前 なし 進化先 なし 限界突破回数 10回 ◆カードイラスト◆ +画像を表示 no image イラストレーター/Hayaken ◆ステータス◆ LV 1 10 20 30 40 HP 120 AT 32 AG 25 限界突破 LV 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 HP AT AG ◆カード説明◆ ◆ダンジョンアビリティ◆ ◆行動◆ 特技:波旬の襲撃(ゲージ:3) 敵全体の特技ゲージを1増やして特技の発動を遅らせ、更にAT×0.65のダメージを与える 発動確率:100% 効果1属性:無 効果1範囲:絶対 攻撃範囲 ■■■ ■■■ ■■■ 効果2属性:無 効果2範囲:絶対 攻撃範囲 ■■■ ■■■ ■■■ 前列:渇望の魔槍 範囲内の敵にAT×0.75のダメージを与え、自分のAGをAT×0.15アップする(2ターン) 発動確率:100% 効果1属性:黒 効果1範囲:相対 攻撃範囲 クリティカル率 効果係数 □□□ 65% ×0.75 ■■■ 25% ×0.90 □□□ 10% ×1.15 効果2属性:無 効果2範囲:相対 攻撃範囲 クリティカル率 効果係数 □□□ 65% ×0.15 □●□ 25% ×0.18 □□□ 10% ×0.25 中列:天魔の突撃 範囲内の敵の特技発動確率を100%ダウンさせ(2ターン)、更にAT×0.7のダメージを与える 発動確率:100% 効果1属性:無 効果1範囲:相対 攻撃範囲 クリティカル率 効果係数 □□□ 100% ×1.00 ■■■ □□□ 効果2属性:黒 効果2範囲:相対 攻撃範囲 クリティカル率 効果係数 □□□ 65% ×0.70 ■■■ 25% ×0.84 □□□ 10% ×1.05 後列:欲界の招き 敵全体の特技ゲージを1増やして特技の発動を遅らせる 発動確率:100% 効果1属性:無 効果1範囲:絶対 攻撃範囲 クリティカル率 効果係数 ■■■ 100% ×1.00 ■■■ ■■■ 考察 関連カード コメント コメント すべてのコメントを見る
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人払いをした学院長室にて、コルベールとオスマンは神妙な顔つきで話し合っていた。 と言うのも、先程、異例であるミカヤの召喚について、コルベールが学院図書館特別閲覧区画『フェニアのライブラリ』で、 調べていた文献があったからであり、該当する情報を入手したのだ。 「では、間違いないのじゃな?」 「はい。ミス・ミカヤの額のルーンの写しと、文献の中にあったルーン文字は一致しておりました。」 コルベールが持ち出した書物は、『始祖ブリミルの使い魔』。 その一項の中の文字と、彼が模写したミカヤの額のルーン文字は完全に同じだった。 ―――神の頭脳『ミョズニトニルン』。あらゆる魔道具を行使でき、そのルーンから得られる膨大な英知をもって、 始祖ブリミルを導いたとされる、賢者の使い魔。 「それが正しく、ミス・ミカヤが『ミョズニトニルン』であるならば、確かに一大事じゃな。」 「はい、オールド・オスマン。ミス・ミカヤは言うに及ばず、ミス・ヴァリエールも・・・。」 そこでコルベールは言葉を切るが、含む意味はオスマンに十分に伝わった。 すなわち伝説の再来。ルイズは現代に再臨した、伝説の系統『虚無』の担い手ということになる。 「しかし、まだ確証は得られておらぬ。決めつけるのは早計かも知れん。」 「確かに。しかし、可能性を否定することも難しいかと思います。」 異界の精霊魔法と、それ自体に力を持つ杖を振るうミカヤ。 魔法を使えないルイズが『世界』を越え、召喚したことは異端とも言える。 考察をしながら論議する二人だったが、扉をノックする音にそれを打ち切られた。 「誰じゃ?」 「私です、オールド・オスマン。ロングビルです。」 扉の向こうの、エメラルドグリーンの、肩を覆う真っ直ぐな髪の女性―――学院長付秘書のロングビルが報告に来た。 普段はオスマンのセクハラを受ける等、女性としては散々な目に遭っている、下縁眼鏡が似合う美人である。 「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようで、大騒ぎになっています。 止めに入った教師もいましたが、生徒達に邪魔をされて、止められないようです。」 この聡明な彼女には珍しく、焦りを見せた口調で報告をしてくるのに違和感を感じたオスマンは、もしや、と思いつつも、 気に止めぬ様子を繕い、先を促す。 「全く、暇を持て余した貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。 で、誰が暴れておるんだね?」 「一人は、ギーシュ・ド・グラモン。」 ロングビルが上げた人物の名に、心からの呆れた口調で返すオスマン。 「あのグラモンのところの馬鹿息子か。大方女の子の取り合いじゃろう。 相手は誰じゃ?」 「それが・・・・・。 メイド服を召していたので、見間違いかと思われたのですが・・・。」 そう区切りロングビルは、一息飲んでから、その事実を告げた。 「ミス・ミカヤです。」 やはり、という表情になるオスマンとコルベール。 「教師達は、決闘を止める為に『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」 オスマンはあらゆるものを見通す、鋭い視線になりつつも、あくまで口調は投げやりに、ロングビルに指示する。 「メイド服姿をしていたから、平民と勘違いをして因縁をつけて来たんじゃろう。 あえてその決闘を受けたからには、何か心算があるはずじゃ。 ミス・ミカヤに任せておきなさい。」 「分かりました。」 その指示に従い、学院長室からロングビルは去って行った。 「オールド・オスマン。御覧になられますか?」 「うむ。わしらの推察が当たるかも知れん。」 そう二人は頷くと、オスマンは壁に掛かった、学院中の遠見を可能にする大鏡に杖を振るった。 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 第六章 『神の頭脳(ギーシュの章)』 時間は、決闘騒動の発端まで、遡る――― ルイズと共に、失敗魔法により、荒れた講堂の掃除を済ませたミカヤは、昼食の手伝いの為に、再びメイド服で給仕に勤しむ。 ルイズに付き切りではあるが、気に入った給仕を、貴族は専属にすることがあるので、周囲は気に止めることはない。 「私、魔法を使おうとすると、さっきみたいに爆発するの。 今まで、四大系統だけじゃなくて、日常に使う『コモン・マジック』すら爆発しちゃう・・・。」 あれから幾分か落ち着きを取り戻しているものの、深く沈んでいる感情を隠し切れていない。 しかし、ミカヤは彼女の言葉と、先程の授業で学んだことから、引っかかるものがあった。 四大系統全てが、爆発現象になるのはあまりにもおかしい。 もしや、と一つの可能性が脳裏に浮かぶ。 「魔法の成功回数は、魔法を学び始めた時からゼロ。 だから、私の二つ名は『ゼロ』のルイズなんて言われてるの・・・。」 そこまで言ったルイズは、劣等感と、先程の失敗からの落ち込みから目頭に涙を溜める。 ここでミカヤは、ルイズに言葉をかけた。 「ルイズ。確かに人が使える魔法が使えず、失敗ばかりかも知れないわ。 でも、こうは考えられないかしら? もしかしたら貴女だけにしか使えない、特別な魔法があるかも知れない、て。」 「私だけの・・・、魔法・・・?」 ミカヤを見上げ、訝しげに聞くルイズ。 微笑を浮かべながら、彼女の心をほぐすように、優しく語り掛ける。 「そう。使える魔法がなければ、見つけ出すの。 考え方次第では、意外なものが「答え」になる知れないわ。」 「・・・・・。」 彼女の一言一言を噛み締めるように、ルイズは考える。 自分に使える魔法とは? ミカヤが使うような精霊魔法だろうか?それとも、まったく別のものだろうか? 「ミカヤさん!あちらへのデザートの配膳をお願い致しますわ!」 そこへ、シエスタから声がかかり、二人の話は打ち切られた。 見ればそろそろ、デザートの配膳をするタイミング。 ミカヤはシエスタに返事をし、席から離れた。 「分かりました!・・・じゃあルイズ、後でね。」 「うん・・・。」 出来るだけ早く帰ってきて欲しい、というニュアンスを交え、上目遣いでミカヤに頷くルイズ。 それに笑みで返すと、デザートの乗るバットを受け取りに厨房へと向かった。 ゆるいウェーブの、金の短髪の少年―――『青銅』の二つ名を持つギーシュ・ド・グラモンは、歴代の魔法将軍の家系の 四男である。 しかし、兄らやこの学院の同期と見比べると、未だ『土』系統ただ一つの『ドット』であるため、何かと見比べられることが 多い。 それでも、軍人家系の息子らしく、同期の中では一目置かれていた。 問題は血筋故か、色を好むということである。 端正な顔つきであることもあり、女生徒への受けが良い。 「なあギーシュ!お前、誰と付き合っているんだよ?」 「一体誰が恋人なんだ?この色男!」 それを鼻にかけ、自身を「薔薇」と呼ぶ少年は、周囲の同期達に浮いた話で冷やかしを受けていた。 「付き合う?この僕が? 薔薇はより多くの乙女の為に咲く。そのような特別な女性はいない。 いや、いてはならないのだ。 誰かが摘み取ってしまうと、後の乙女達が薔薇を見られなくなってしまうじゃないか。」 芝居がかった仕草で友人達に、自分が如何に多くの女性から好意を寄せられて いるかをアピールして見せる。 それに、はやし立てる友人達。 とてもではないが、女性には聞き難い言葉である。 ―――事実、デザートの配膳で来て、その台詞を聞いたミカヤは、 内心溜め息をついていた。 「あら?」 その時、ギーシュのポケットから小瓶が転がり落ちた。 自身の所まで転がってきたそれを拾い上げると、瞬時に頭の中に製造者、過程が知識として入り込む。 「どうしましたの?あら、その香水・・・・・。」 その様子を一人の少女に見咎められてしまう。ギーシュに想いを寄せる―――くすぶり続ける淡い炎、『燠火』の二つ名に 相応しい、栗色の髪のメイジ、ケティ・ド・ラ・ロッタだった。 彼女は食事を終え、休憩時間の誘いにギーシュを探して来たのだ。 悪いことに、香水の製造者である女性と同じく、恋をする相手を。 この紫色の香水を製造出来るメイジを、ケティは一人しか知らなかった。 「やはり・・・・・、ミス・モンモランシと・・・・・。」 途端に思いつめた表情になり、涙が溢れた。 「貴族様・・・。」 恋に裏切られた少女に、声を懸け辛いミカヤ。 メイド服を着ている為、ルイズ以外とは平民として振舞っている。 「それは私が届けますわ。お渡しくださいな。」 「分かりました。」 あの少年には悪いが、これも良い薬になろうと判断したミカヤは、言われた通り渡す。 それを受け取ると、今度はケティは怒りをたたえた形相に変わり、ギーシュの方に足を向け、開口一番怒鳴りつけた。 「ギーシュさま!」 「な、何だいケティ?何をそんなに怒っているんだい?」 自身が粉をかけている後輩の様子に狼狽するギーシュに対し、ぬけぬけと、とさらに怒りを強め、ミカヤに視線を向けつつ、 彼女から受け取った香水を見せる。 「先程、そちらのメイドから受け取ったものですが、これはどういうことですか?」 「おいおい、その香水はもしや、モンモランシーの香水じゃないか?」 それを目ざとく見抜いた友人。 ミカヤが召喚された時、ルイズをからかった少女の一人、モンモランシーのみが製造できる、鮮やかな紫色の香水。 これがギーシュのポケットからこぼれ、それに対し、怒りの感情をぶつけるケティから、結び付けられる答えは一つ。 「ケ、ケティ、落ち着くんだ。僕の心に住んでいるのは君だけなんだ・・・。」 そう、浮気である。 必死に弁明しようとするギーシュに、ケティは――― 「言い訳は聞きたくありません。」 その言葉と共に、平手打ち一閃で斬り捨てた。 「その香水が貴方のポケットから出てきたのが何よりの証拠ですわ。 さようなら!」 香水瓶をテーブルに手荒な動作で置き捨てると、そのまま足を踏み鳴らし去って行った。 だが、泣き面に蜂。彼の不幸はこれだけではなかった。 遠くの席から此方の様子を見ていたモンモランシーが、これでもかと言わんばかりの憤怒の形相で向かってきたのだ。 「やっぱり、あの1年生に手を出していたのね。」 「モンモランシー、誤解なんだ。彼女とは一緒にラ・ロシェールの森へ 遠乗りしただけで・・・。」 ころころと表情を変えるギーシュの思考をたどると、ミカヤは納得する。 彼にとって、モンモランシーこそが本命であり、落ち着いたところで、他の女性に粉をかけた。 しかしながら、甲斐性の無さがこうして露見した以上、関係の修復は困難だろうと、瞑目する。 そうしている間にも、モンモランシーは言い訳をしようとするギーシュに、ワインを開けて頭の上からかけ、踵を返しつつ、 破局の言葉を告げた。 「嘘つき!あんたなんかもう知らない!!」 彼女が去って行った方向を呆然と見送るギーシュ。 暫しの間、その空間は沈黙に包まれた。 おもむろにハンカチを取り出すと、心では泣きつつも、虚栄心でそれをひた隠しにした、芝居がかった動作でこう言った。 「あのレディ達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ。」 それに溜め息をつき、その場を後にしようとするミカヤだったが、ギーシュは先程の、ケティが持ってきた香水を拾い上げた 人物である彼女を呼び止めた。 「待ちたまえ、そこのメイド。」 「何でしょうか?」 自業自得とは言え、恋敗れ、怒りの鞘当を探していたギーシュ。 巫女の姿をしていないことと、平民として振舞っているために、噂のルイズが召喚したミカヤとは知らずに、 声をかけたのである。 「君が軽率に香水の瓶を拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。 どうしてくれるんだね?」 「申し訳ありません。貴族様の所有されるものとは露知らず。」 頭を下げるミカヤ。しかし、反省の無いこの少年に一言添えた。 「しかし、お言葉ながら申し上げます。 あの時、お二人のお心を傷つけたのは貴族様、貴方ではないでしょうか? 身分は違えど、同じ女として、私は思います。 私に腹いせをされるよりも、まずはお二人に申し開きと謝罪を。」 きっぱりと、そして堂々と告げるミカヤの姿勢に、ギーシュは一瞬呑まれかける。 「その通りだ、ギーシュ!お前が悪い!」 「まずは弁解してこいよ、甲斐性無し!」 それに友人達が迎合し、茶々を入れる。 こうなってしまうと、彼のプライドは引き裂かれてしまい、怒りの感情しか浮かばなかった。 何より、自身の行動は図星を突かれていたからだ。 腹いせ、と。 図星を突かれた人間は、反省か、癇癪の二つの行動の内、一つを取る。 「平民の分際で、貴族に対するその不敬な物言い。万死に値する! どうやら、メイドとしての教育が行き届いてないようだな!」 ギーシュの場合、後者を選んだ。 貴族である自身が、メイド姿をしているミカヤは平民にしか見えない。 平民からの説教など、許容できなかったのである。 「ちょうどいい。ちょっとした腹ごなしだ。 君に貴族に対する礼儀を、僕自ら躾けてくれよう。」 その言葉に、周囲はあわ立った。 今の台詞は決闘の申し込みの文句だった。 平民のメイドに見える、ミカヤに決闘等、と正気を疑った。 「待て、ギーシュ!相手は平民だぞ!」 「幾ら決闘禁止法に抵触しないと言っても、メイジと平民じゃマズイだろ!?」 騒ぎを聞きつけて、近くに来たシエスタも驚愕の表情を浮かべていた。 如何に、ミカヤがメイジとは聞いていても、このままではミカヤが殺されてしまうという、最悪の事態を想像することは 難くない。 仲良くなれるかも知れない、銀髪の乙女を血で汚させたくない。 一度目をつぶった後、彼女は覚悟を決めた表情に変わる。 異国から旅して来たと言う、今は亡き、故郷の祖父譲りの蒼い瞳を見開き、 口を開こうとした。 「分かりました。その決闘、受けましょう。」 しかし、ミカヤはそれを受諾したことで、その覚悟は霧散した。 「いい心がけだ。」 それに満足したように、大仰に頷くギーシュ。 「しかし、平民とは言え、私もメイジ。私の魔法の使用許可が条件です。」 「それぐらいならば構わないよ。身分は違えど、メイジたるもの、杖を持たず闘うは愚者の振る舞いだ。」 ミカヤの条件を飲みつつ、踵を返す。 「ヴェストリの広場で待っている。給仕の仕事が一段落したら来たまえ。 くれぐれも、逃げないようにな。」 「分かりました。すぐに参ります。」 ギーシュの後姿にそう返すミカヤ。 彼は振り返ることなく、食堂を後にした。 色恋の修羅場が一転、決闘騒ぎに発展してしまったものの、食堂の喧騒はなりを潜めた。 まずは杖と魔導書を取りに行くために歩き始めたが、シエスタとルイズが駆けつけて来た。 「ミカヤお姉さま、どうしてギーシュとの決闘を受けたの!?」 「ミカヤさん、お願いだから行かないで。殺されちゃう。」 それぞれに口を開き、思い止まらせようとするが、ミカヤは二人に優しい笑みをたたえながら、横に首を振る。 「大丈夫ですよ。少し、浮気のことを懲らしめて来るだけですから。」 そう言うと、近くにいたギーシュの友人に一言告げ、退室する。 「少し準備をして参ります。」 「終わったら来いよ、メイド。」 不遜な物言いで返す友人。 「ああ、もう!ミカヤお姉さまもあんな奴、放っておけばいいのに・・・・・。」 極度に興奮しているために、自身が『ミカヤお姉さま』と言っていることに気づいていないルイズは、ミカヤの後を追いかける。 その場に立ち尽くし、思いつめた表情のシエスタを残して。 「・・・・・ミカヤさん、万が一のことがあれば、私が貴女を守ります。 お祖父ちゃんから譲り受けた技と、大剣『アロンダイト』に誓って・・・・・。」 ―――――そして、伝説がこの学院に降臨する様を、目の当たりにすることになる。
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41 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 03 01.67 ID +aUXCjVk0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;; , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;; ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;; ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;; ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;; .レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy .ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v |};;l`ヽl/ / `v ` /-l ト、 | / / ノY ヽ /-l ト、 | / / ノY ヽ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト 「ギャアアアァアアアァア!!!!!!!!!」 /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | 「ギャアァアアァアアアア!!!!!!!!」 /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | . ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ 42 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 03 53.11 ID +aUXCjVk0 ` 、 ;;;;;,,,,,` ――― 、 ____ ` 、 ;;;;;;;;;;;;;;; ,,,,,,,,...` 、 ‐-、;;;;;;;;;;;;;;`,,,、 l ;;;;;;;;;; ―-`、、 ヽ ` ‐、;;;;;;;;;;;;;` 、 .l .;;;;;;; ヽ ヽ ヽ , -‐,, ,=-,=‐―- 、 .ヽ ;;;;;;;.. ヽ;; ヽ ;;ヽ ヽ lィ‐vvv、` ´‐=‐-、 / l..;;;; ;;i .ヽ;;; ヽ; ;;;;;ヽ ;ヽ ヽii、;;;;;;´Wv、 ヽ`‐ ´‐=、 ,、 〉 ;;i );;;;,, ヽ;;;;;;;;;ヽ .;ヽ ` ii、,;;;;;;;;;;;´v ‐, ̄ニフフ l ヽ /; ;;;;;;;;i l ヽ;;i;;;; ト;;;;;;;;;ヽ ;l ,,‐ナ、;;;,‐ナ` ‐-、‐=トニ=-ト ヽヽ_, 、 ノ ;;;;;/l;i / ヽ; ;. |ヽ;;;;;;;;;;;i ;l ` ‐Til! / ト ;;lヽ、ヽl |‐‐, / / Yヽ;;;;/ レ ヽ | ヽ ;;;;;;i ;l Hi i タ /‐、| ト- l`ヽニフ ! l イ /l ノ/ ヽl ヽ;;;;i ;l トli タ ∧;;;;lヽ;;ヽク、ニ=llll/.|./{ ./ | /l´ ヽ;i l ヽ_/ l;;;;| ヽ;ヽ‐クTl/ V .V レ トヽ ヽ l ヽ;l ` lウ` Y ノ´ lヽノ トy ヽ | |};;l`ヽl/ / `v l | /-l ト、 | / / ノY ヽ !./ ノ`)ノヽ `l ./ ./ | i;;;ト /┐j´/ ヽヽ / ./|´`l | 「ギャアアァアアアアァア!!!!!!!!」 /ソ/l | .( /ヽヽ .//lヽノ/ ノ/ Y Yノ ヽl/ | ヽ‐ /ヽノ) .|/l /.| /´ |,、r、| lミl/l |、,、,l ,、 l{|/t-l.ト .lト |i |/lヽl,ノ l .l l | /,-‐ ‐- 、` ‐、 ヽlヽl ヽノ vvv レ ヽ/ ̄フ´l,,ノ‐ ` -‐ 45 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 04 59.06 ID +aUXCjVk0 . . . | ハ .. ヽ l. { . . . . . ヽ . . }/ .}ヽ. .ヽ .. . . .l. . } . . . | . | l . . .j{ . | . , . . . . . .. |ヽ/ 厶<ヘ. . .|. . . /|. / . . . l . . │l . . ハ . l . .l\, . . . . . ... レ lィ仗ヽ}ヾト |. . l. / j/ . . -―ヘ . . 十j ./ーl .‐七弋 ヘ . ヽ . . . イ圦 _ハ jN. /K ハ . . .. マ. 7/ 仟テ¨ヽ`トヽハ . l. . . / V イ j j/ .{小、 . . . . . . ∨ヘ {仗 ハ V} ./ ゝ彡′ {\| { ヽ __ . .∧ . . . . . ∧、 ∨f -イ j j/  ̄ , .. l . \ `ヽ 「ドラゴンが三匹も…… . . . ∧ . . . . . .. ゝ=彡’ ヽ } . l . . .. \ セトあなたいったい……」 . . /. . . . . . . .. ヽ イ . 八 . . . . . .. \ / . . . . ヽ . . . . . . \ _. -っ /. . . . . ヽ . . . . . . . ..\ . . . . . . . . ∧ . . . . . . \U ‘ー_ ´ /l. . . . . . . ... \ . . . . . . . . ... . . . . . . / .ハ!. . . . . . ヽ / ヘ . . . . . . . .... \ . . . . . . . . .. . . . . . / //l . . . . . . . ト __,.イ ヽ \ . . . . . . . . \ . . . . . . . . . . . . . / .}i . . . . . .. j__ | / \ ヽ . . . . . . . .. \ . . . . . . 50 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 07 40.92 ID +aUXCjVk0 _,,,,,,_ ________ _,,- ´ ヽ ,,- ´ `ヽ、 第六話 ~怒りの理由~ ,- レ′ ヽ ,; ヽ ,; ,; 7 `、 /,; / /ヽ、 ,r ´! ヽ // ! , /` ` `′´ ! `、 レ′i ,i i i ヽ i `、 、 i ! ! i ! i l ヽ ト、 `、`、 ! ! ! !i ! ! i ! ヽ ヽ i ! ! l,!l ! ! レ′ヽ `、! ! ! l ! ! ! l `、__.! ! 「お、おねがい…… ! ! ! !__,!,,,,,__ ,, -‐_,,¨,,,,,i ! ! 破壊の杖は返すわ…… ! !、`、!,,l-┬、-、 ,r ´i__!__,! l} !¨ i¨¨_ ‐-,,_ だから……」 ! _,,! ヽ ヾヽ!、`__!, ´ !l ! i ´ 。 ゚,/ _,,i- ´_,! ヽヾ`、 ,ノl l l_,, - i´i 。 。 ¨ ! ! `` ! l lヽ_,!、,! ! ` i- _i-! !、 ! ! ! lヽ , /! l l il ヽ、 -‐‐- /! ! l ! `ー〈 l ! l l ! `ヽ / ! / ! ヽ ! ! l l l !`ヽ、 / レ! ! !`ー ´! ! ! l ! ! ` ´ / ! l !、 i ! l ! ! /! i l`ヽ、 ! i / l ! l /_ / / ヽ、 `′! / l ! l /、 ¨ ‐----‐‐ i / !ー--!ヽ、 / ! ! ! ´ ¨ ‐--------‐! / ` 、 `ー,-,,_,! ! / __,,,,! l ! i ! / `ヽ、 ___ ヽ l 55 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 10 38.30 ID +aUXCjVk0 ,. ヽ. ヽ l l l l / ヽ. ヽ l l l l / / ヽ. ` 、 ヽ ヽ. レ、l l. l / / 丶、 ` 、 ヽ ヽ / ヘ \ l l / / ` 、_ \. ヽ. ∨ , `丶 \ ! l / ヽ - ニ_ー三>ィヘ、 ヽ ∨、ハ }. 〉j l l ト 、 \ ` 、 丶、  ̄ / j ` 、 ヽ}_」 j /∧. l l `丶、\ `丶、_`ァハ / ` 、 l!__, / Ⅵ l `丶\ゝ、_,イ{j } / ヽl.// ∧ Ⅴ ! `丶、 ヽ ´ Ⅵ ,ヘ ヽ l l ソ‐-、_` 、  ̄´ \ヽ. l. l 「ふぅん。そんなガラクタがどうなろうと / `丶 」____\ヽV 俺には関係ない」 / |  ̄ ̄ く、 | `丶, _ | `´、_ /| \ ,イ .| ,rf⌒ ┌‐\ ∠.」 ! { | \__/ | _l. 弋_ | 〈 ̄.l l l l l l l j _____j___/______ ____/___\ _ _ \  ̄\. | |. //´ ヽ /´〉 | レ 〈 62 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 13 38.64 ID +aUXCjVk0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ 「ちょ、ちょっとあんた何いってんのよ! l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 何のためにわざわざこんなところまで来たと思ってるの!? ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 破壊の杖を取り戻すためでしょ!?」 `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 65 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 17 10.88 ID +aUXCjVk0 , -─- 、 , -‐- 、 ,, - `V `‐、 / \ ./ \ / ヽ ./ / l ヽ / / / / ./ / l | .l .lヽ | l. l / / / ./ .l | | l / / l l.〉 l、 | | l / / ./ ./ |. l | ./ ./ ./ | |./ l、| | l // ///| l / / //// / / . l、l | /l///_/ l / //_|/_∠| / | / . /⌒ヽ | \ `ー ゝl // `ー /|/⌒v 「黙れ凡骨!!!! | l⌒l l|  ̄ ̄ //|〉 ̄ ̄ ̄ .|/^_l.l 何故俺が貴様らの不始末に付き合わねばならん!!! ヽゝ(ー| /| ´ \| ll ),l ノ 俺は俺の目的のために奴をつぶしにきたにすぎんわ!!!!」 lヽ_ / | ┌───7 /._/ .l/ | l ̄ ̄ ̄/ / / ,ノ! / |.. V´ ̄∨ ./ /,.-‐ .| ./ (;;) |\ `ー‐ ´ / / | | _|_\ /| ./ | (| ,.-‐ | \__/ .|/ _,.-─; |/ .(;;) |─────┤ _,.-‐ /  ̄ | |^l / 72 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 20 30.18 ID +aUXCjVk0 , -‐ ´ ` ー、 / `ー-、 ,‐´ 、 `ヽ、 f‐ | ヽ ヽ ヽ / ー、 ヽ_ / ヽ ヽ ヽ\ ヽ / } _ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i l / / ヽ l、 ヽ l ハ/f-f、 }l l、 |リ l l l_l_lr- {_ゝヽ ヽ |//fc リ /! /リ l |. . } l ハ、=ゞ==リ / ムソ /イ 〈 「ああああ、あんたってやつは……!! ノ l. . l イ /´七C、ム/ .. lゝ、ヽ、 どこまで自分勝手なのよ!?」 `ー-´ _-‐!. . ヾ l 弋ソ .. .. }l  ̄ ー----- f´ ヽ. . ヽ、 ,__ -= /ヽ、 . . . _-―‐´、 ヽ. . . ヽ、 /  ̄ノ/! ヽ、 . . . ヽ ヽ、 \ . . . ヽ、_ー‐ニ‐´ !. . ヽ、 . . . . .ヽ、ヽ ヽ、_ ヽ、! ヽフニイ / /ヽ . . ヽ . . ./ヽ、ヽ `ー-ヽ. . ヽl ll l / ヽ、. . ヽ . . . i ヽ \ }. . } l 7 | / }. . . } . . l \ `ヽ、 /. . . . , ヽTl / / /. . / . . .l \ \/. . . . /`ヽ、/ /. . . / . ./ ヽ/. . . . / / l| /. . . ,-‐´ 79 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 23 59.24 ID +aUXCjVk0 _,,,,,,_ ________ _,,- ´ ヽ ,,- ´ `ヽ、 ,- レ′ ヽ ,; ヽ ,; ,; 7 `、 /,; / /ヽ、 ,r ´! ヽ // ! , /` ` `′´ ! `、 レ′i ,i i i ヽ i `、 、 i ! ! i ! i l ヽ ト、 `、`、 ! ! ! !i ! ! i ! ヽ ヽ i ! ! l,!l ! ! レ′ヽ `、! ! ! l ! ! ! l `、__.! ! 「何なのよその目的って……!! ! ! ! !__,!,,,,,__ ,, -‐_,,¨,,,,,i ! ! まさかそこのお嬢ちゃんを傷つけたからなんて理由じゃないだろうね…… ! !、`、!,,l-┬、-、 ,r ´i__!__,! l} !¨ i¨¨_ ‐-,, そんなことのためにドラゴンを使ってまで……」 ! _,,! ヽ ヾヽ!、`__!, ´ !l ! i ´ 。 ゚,/ _,,i- ´_,! ヽヾ`、 ,ノl l l_,, - i´i 。 。 ¨ ! ! `` ! l lヽ_,!、,! ! ` i- _i-! !、 ! ! ! lヽ , /! l l il ヽ、 -‐‐- /! ! l ! `ー〈 l ! l l ! `ヽ / ! / ! ヽ ! ! l l l !`ヽ、 / レ! ! !`ー ´! ! ! l ! ! ` ´ / ! l !、 i ! l ! ! /! i l`ヽ、 ! i / l ! l /_ / / ヽ、 `′! / l ! l /、 ¨ ‐----‐‐ i / !ー--!ヽ、 / ! ! ! ´ ¨ ‐--------‐! / ` 、 `ー,-,,_,! ! / __,,,,! l ! i ! / `ヽ、 ___ ヽ l 85 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 27 34.35 ID +aUXCjVk0 ,. ヽ. ヽ l l l l / ヽ. ヽ l l l l / / ヽ. ` 、 ヽ ヽ. レ、l l. l / / 丶、 ` 、 ヽ ヽ / ヘ \ l l / / ` 、_ \. ヽ. ∨ , `丶 \ ! l / ヽ - ニ_ー三>ィヘ、 ヽ ∨、ハ }. 〉j l l ト 、 \ ` 、 丶、  ̄ / j ` 、 ヽ}_」 j /∧. l l `丶、\ `丶、_`ァハ / ` 、 l!__, / Ⅵ l `丶\ゝ、_,イ{j } / ヽl.// ∧ Ⅴ ! `丶、 ヽ ´ Ⅵ ,ヘ ヽ l l ソ‐-、_` 、  ̄´ \ヽ. l. l 「……ふぅん。いいだろう、特別に教えてやる / `丶 」____\ヽV 俺が貴様に対して怒っている理由は三つ / |  ̄ ̄ まず一つ目。貴様は俺が宝物庫へ入るときに邪魔をした」 く、 | `丶, _ | `´、_ /| \ ,イ .| ,rf⌒ ┌‐\ ∠.」 ! { | \__/ | _l. 弋_ | 〈 ̄.l l l l l l l j _____j___/______ ____/___\ _ _ \  ̄\. | |. //´ ヽ /´〉 | レ 〈 91 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 29 14.15 ID +aUXCjVk0 ,. ヽ. ヽ l l l l / ヽ. ヽ l l l l / / ヽ. ` 、 ヽ ヽ. レ、l l. l / / 丶、 ` 、 ヽ ヽ / ヘ \ l l / / ` 、_ \. ヽ. ∨ , `丶 \ ! l / ヽ - ニ_ー三>ィヘ、 ヽ ∨、ハ }. 〉j l l ト 、 \ ` 、 丶、  ̄ / j ` 、 ヽ}_」 j /∧. l l `丶、\ `丶、_`ァハ / ` 、 l!__, / Ⅵ l `丶\ゝ、_,イ{j } / ヽl.// ∧ Ⅴ ! `丶、 ヽ ´ Ⅵ ,ヘ ヽ l l ソ‐-、_` 、  ̄´ \ヽ. l. l 「二つ目。貴様ごときのためにこの俺をこのような場所まで来させたこと」 / `丶 」____\ヽV / |  ̄ ̄ く、 | `丶, _ | `´、_ /| \ ,イ .| ,rf⌒ ┌‐\ ∠.」 ! { | \__/ | _l. 弋_ | 〈 ̄.l l l l l l l j _____j___/______ ____/___\ _ _ \  ̄\. | |. //´ ヽ /´〉 | レ 〈 93 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 30 09.62 ID +aUXCjVk0 //;;; ;/. . ... \ / /; ,? /. ; .,; .;; . ;.、.丶. \ __,,; /⌒勹 ∠ノ i .; . .. . .、 .. ,, 〉 ../ /二 ´ / i i; .; .. 、 ;、.. .. .. / . | | | 匕 i /j ; , ヾ .、. .;゙,,i,. ; 、 ソ , へ . l | / i ノ 广 ノ;. ;..ヾ.゙ . ,;..丶i;;;;Λi / ,...、 \ . ノ ∨ .ノ/| / / . .....,_.,. .,.. i/ i .i丶 ,∠ ゞ ソ 丶 .《 / i ∧ノ /i ! i . ,、ァ.,; i../ i∠丿 `丶、 i .∧ | |/ || 〈\ヽ i ;匕`ニニ∠ ;i .イ 丶、 l 「そして三つ目……」 〈 ゙ ! || ! 入 丶ヾ.\ ! ノ∠/l |.| / l .∥ ? l. ┃ヽヽ / /l .l;.l / ..、l . 八 | l /i. |i .| / ( ソ | .┤ l 斤i´ ̄` ∠// i │ / `´ iヘ _ . i i i .A /∠ l . i人\_ ./ // / / . ∥ |\. _,ル 冫-.´. !. . Y \ ∨、..__ ,,.、// / / _ li i ;;,.. ̄ . l/ .... .. .. \ `ヾ=-..、\ ヾソ,Y / / / / 丶l. ;;; .. . .. |i.. . ... ... .. ... ..ヽ // ./ ,./ / / / | ;;;;; ..., ... liヽ . .. . . .... .Y ,,彡´ .. i ,;ニ `乂/ / 95 :社長の使い魔 ◆.H42NtoyGg:2007/12/08(土) 20 31 49.58 ID +aUXCjVk0 / \ / `ヽ 丶 / . ノ , ヽ / / / . . / ヽ . ヽ ヽ V l l. .| / . ./.;イ ヽ ... . l. . . | .. l l ! |. .| . l . \!/ l . { . . .|ヽ . }ヽ . j . .! | . | ヽハ l .| ! . . jV\{ 八 . . .l } /_,j;ィト .l . l . | ヽ从 . iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V . .jl . | \ト小._V;zソ ノ/ V;;_z1 / . . . ハ . . 八 「な、なんでこっちを見るのよ…… リ } . , .. / . . . /. .ヽ . . ヽ まさか……本当に私のため……」 _..ノ/八 / . . . /. . . . .\ . . \ , -‐´ / . . >,.、 ´ ヽ ィ′ . . . ハ;.__ . . . . \ . .  ̄`丶、 〃 . . / . . . . . ノ ¨ ヽ、_ , ィ≦7 . . ./ ´ ヽ. . . . .` ー- 、 . ヽ l . ./ . . . . . ;. イ\ ノ} /`∨ . . . { ゝー、. . . . . . . ヽ . } {. / . . . . . / } Vx1_/ { . . . ヽ ∧. . . . . . . } . . ,′ 〃 . . . ./ j/  ̄ ̄ ヽ入 . . . . .\ ヽ. . . . ./ . / { . . . .{ | / \ . . . . .\ ) . / .;イ 前へ トップページ 次へ
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固有名称 第六階層守護者 基本名称 アウラ レアリティ ★5 タイプ 技 ロール エンハンサー 種族 人間種 攻撃タイプ 物理 ※MAX~LV150 スキルLV100・親密度最大時 ※Fin ★5覚醒スキル解放ボーナス補正込み ステータス LV100 MAX LV110 LV120 LV130 LV140 LV150 Fin HP 6,062 6,562 10,871 15,371 攻撃力 4,870 6,144 8,007 9,507 守備力 2,491 3,139 4,166 5,966 素早さ 354 404 704 779 ★5覚醒後・スキル解放ボーナス補正 LV120 LV140 タイプ 石化 HP+450 HP+1,150 エンハンサー 獣種大特効 攻撃力+450 攻撃力+1,050 アタッカー 吐息 HP+900 HP+2,000 エンハンサー 獣種特効UP 防御力+540 防御力+1,260 エンハンサー 魔防UP 素早さ+15 素早さ+60 タンク 合計 HP +4,500 攻撃力 +1,500 防御力 +1,800 素早さ +75 スキル 石化 (ペトリフィケーション) 奥義ゲージ+6~9 MP4 敵単体に1回の魔法攻撃敵単体に一定確率で石化状態 獣種大特効 (ビーストキリング+) 奥義ゲージ+6~9 MP3 敵単体に1回の物理攻撃獣種キラー+20% 吐息 () 奥義ゲージ+12~18 MP3 敵単体に3ターン、物理攻撃力-50%敵単体に3ターン、素早さー50% 獣種特効UP パッシブ 獣種キラー+20% 魔防UP パッシブ 魔法防御力+5% ★5覚醒後・スキル効果 スキル LV 効果 石化 LV100 敵単体に1回の魔法攻撃敵単体に一定確率で石化状態 LV120 敵単体に1回の魔法攻撃敵単体に一定確率で石化状態 LV140 敵単体に1回の魔法攻撃敵単体に一定確率で石化状態 獣種大特効 LV100 敵単体に1回の物理攻撃獣種キラー+20% LV120 敵単体に1回の物理攻撃獣種キラー+20% LV140 敵単体に1回の物理攻撃獣種キラー+20% 吐息 LV100 敵単体に3ターン、物理攻撃力-50%敵単体に3ターン、素早さー50% LV120 LV140 敵単体に3ターン、物理攻撃力-52.5%敵単体に3ターン、素早さー50% 獣種特効UP LV100 獣種キラー+20% LV120 LV140 獣種キラー+30% 魔防UP LV100 魔法防御力+5% LV120 LV140 魔法防御力+22.5% 奥義 天河の一射 (レインアロー) Lv1 敵全体に1回の物理攻撃 Lv2 敵全体に1回の物理攻撃 Lv3 敵全体に1回の物理攻撃 Lv4 敵全体に1回の物理攻撃 Lv5 敵全体に1回の物理攻撃 ★5覚醒後 Lv6 敵全体に1回の物理攻撃 Lv7 敵全体に1回の物理攻撃 Lv8 敵全体に1回の物理攻撃 Lv9 敵全体に1回の物理攻撃 Lv10 敵全体に1回の物理攻撃 備考 2020年8月31日上方修正 HP 1,147 (5,731) → 1,213 (6,062) 攻撃力 948 (4,605) → 1,003 (4,870) 防御力 1,178 (2,355) → 1,246 (2,491) 素早さ 134 (334) → 142 (354) 石化 (ペトリフィケーション) 消費MPを5から4に変更 2022年11月10日覚醒(調整なし) 評価 良い点 獣種に対して特攻を持つ。 石化で即死が狙える。 週末無料ガチャ、無料チケットガチャ、大半のガチャで入手可能。 悪い点 ステータスが貧弱。最弱クラスの数値。 ステータスが低いため獣種キラーが発動しても火力は微妙。 名前 コメント
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《禍々しき波 第六相- 誘惑の恋人 (マハ)》 効果モンスター 星8/闇属性/植物族/攻1500/守2500 手札を1枚捨てる。 相手フィールド上のモンスターを1体選び、エンドフェイズまで そのモンスターのコントロールを得る。 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。 part20-352 作者(2007/09/21 ID Q0cSOh4B0)の他の投稿 part20-353 / part20-377 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/netapoke/pages/1706.html
du9e*各タイプの争い~第六世代 注意:各タイプの争い系列のページは非常に巨大なため、携帯での視聴を推奨しません。 また、環境によっては矢印、発言等が本来とズレて見える場合があります。 作製、編集の際はプレビュー機能などをうまく使用してください。 ここには ノーマル ほのお の第六世代での内部争いが書かれています。 第五世代はこちら 神々と、変わったやつらと、ノーマル野生王国 猿でもわかる炎の争い 神々と、変わったやつらと、ノーマル野生王国 【アルセウス】私が神だ←―――――――――――┐ 【レジギガス】特性が…特性さえなけりゃ俺だってよおぉ!【メロエッタ】技でフォルムチェンジ。珍しいでしょ? || |私こそがネ申だ|ノーマル格闘は私だけ |↓ |―ノーマル伝説の領域↑――――――――――――――――――――――――――――――――――― ↓立場をわきまえよ【キリンリキ】上手く弱点を相殺してるよ! 【ビーダル】今度はムラっけで神となるか…【メブキジカ】自然の力トライアタック化反対! 【ホルード】ちからもち万歳! ↑【エレザード】俺の火力スゲーだろ? |【カエンジシ】ハイボ一致で打つためだけのノーマルか…… |お前らだけ複合かよ。裏切り者め【プクリン】僕がばくおんぱ覚えないのってバグでしょ? |―そこまで珍しいわけではなくなった複合ノーマルの領域―――――――― |【ムーランド】私をげっ歯類どもと一緒にするな | ↑ ||ものひろい同盟 (序盤ノーマル一同)↓【マッスグマ】神速腹太鼓でネ申になる! ←┐ お前ら…【オオタチ】お見通しスカーフトリック美味しいです^^←―――――――→【ラッタ】(いかりのまえば安売りされすぎだろ…専用技だったのに)【ミルホッグ】ほほう、眠らせてやろうか? ←┘ 自分から火傷になるなんて変な鼠だなあ あなたは貧弱すぎる あなたは美しくない 一番美しいのは私よ!私より遅いくせに…【ペルシアン】←――――――――→【ブニャット】←――――――――――→【ミミロップ】←――――――――――【トリミアン】| 君たちには耐久が足りない!|妬ましい…↓【エテボース】ダブルアタックって便利だよなー【チラチーノ】スキルリンク!グォルェンダァ!↑|真の意味でテクニシャンなのはこの私だ|【ドーブル】 牛カップル これからはアフロの時代だ 何その頭【ミルタンク】←――――→【ケンタロス】←――――――――→【バッフロン】↑ (特殊振りまいてた時代が懐かしい…)|オカン同盟<アタシたちゃゴーストなんか怖かないよ!↓【ガルーラ】子供ががんばってくれるから怖いものなしさ! 若造が… ニートめ…【ヤルキモノ】←――――――――→【ケッキング】【カビゴン】何で爆発技弱体化したん?【ベロベルト】これからはノーてんきでいくとするかね…【リングマ】グランブルの野郎一人勝ちかよ…↑|アニメで迷惑同盟↓【バクオング】ばくおんぱktkr【オドシシ】四季鹿のような個性が欲しいぜ…【カクレオン】へんげんじざいGET! え?ゲッコウガでおk?【パッチール】外見の数なら全ポケモン一番なのになぁ【ザングース】毒で暴走してやるぜ!【ノコッチ】へびにらみてんのめぐみまひるみ、いきまーす【イーブイ】何に進化しようかな~↑―全タイプ最多!単色ノーマル動物園↑―――――――――――――――――――――――――――|↓てきおうりょく仲間 【ポリゴンZ】←――――――――――→【ポリゴン2】 しんかのきせきで下剋上だ! 調子に乗るな。トリックで取り上げてやろうか? 俺にもバトルやらせて… 頑張って卵作ってろwww【メタモン(夢)】←―――――――――――――→【メタモン(通常)】【ポワルン】天候パ弱体化って…||一応僕も妖精なんだな↓―科学の世界からきたポケモン達↑―――――――――――――――――――――――――――【タブンネ】なんでフェアリーもらえなかったし ↑|その気持ち、わかるわ... 私が特殊耐久最強よ! 【ラッキー】←――――――――――→【ハピナス】↑ しんかのきせきなんて邪道よ!|ピンクの悪魔どもめ…|【エネコロロ】こっちのスキンにも補正ついてもいいじゃないのさ!―身も心も癒される?妖精達の領域↑――――――――――――――――――――――――――――【ピジョット】種族値修正&鋭い目強化ktkr!【ヨルノズク】特殊耐久と豊富な補助技で頑張るかのう…↑|~相容れない壁~↓【ムクホーク】物理飛行最強は俺だ!ブレバ!インファイト!隼なんて知らない!【オニドリル】スナイパードリルライナーで頑張るぞ【オオスバメ】素早さと焼き鳥戦法で頑張ろう【ウォーグル】真の神鳥使いはこの俺だ!・・・ギャグじゃないぞ!?【ドードリオ】ヤバイ…立場が苦しくなってきたかも…↑|~超えられない壁~|【カモネギ】確定急所ktkr! …それでも苦しいのは否定できないけど↑|確定急所同盟↓【ケンホロウ】急所始まったな! カラスなんか知らん!【ペラップ】ランダムマッチ解禁だあああああああああああ!※飛行タイプの争いも参照―飛べる者たちの仁義なき抗争↑―――――――――――――――――――――――――――― とりあえずノーマルだけ作ってみた。修正点あれば頼んます。 猿でもわかる炎の争い 仲良くしようず ┌――――――――――【ビクティニ】 | サンドバックから解放された… | | 【レシラム】――――――――――――↓おーい、いい加減にしろあんたら――――――――――――― | 【マフォクシー】 お前ら庶民には爆発力というものの価値が分からんのだろうな 【ヒヒダルマ】 | これで同等… ↓ネタですらなくなったな 【ファイヤー】←―――――【エンテイ】←――――――――― 【ブースター】 …………。 こっちは聖なる炎 フレアドライブ習得したよ! ↑ | | あんたにそれを言う | 資格ないよ それでも私の方が強いですけど 【ヒードラン】←――――――――【シャンデラ】←――――――――→【バクーダ】 お前らに足りないのは何だ? 爆発力欲しいなら噴火しろよ ↑噴火前に殴られて乙だろw 火力だよ | ↑ トリパでボコんぞ↓ | 【バクフーン】 |威厳も無いくせに |伝説を名乗るな お前だれだっけ? 【ウインディ】←―――――――――【ホウオウ】――――→【クイタラン】 ↑ ゴキブロスは準伝だ | あんたこそだれよ・・ | |い 一緒にするな | |素早くて技が豊富なだけ有難いと思えよ |や | ↓ |9 | 【バオッキー】 |倍 飛行タイプじゃねーのかよw | |だ | | 貴方の存在で立場がないんですよ・・・ |ぞ ↓ お前ら夢に頼るな ↓ | 【バシャーモ】←――――――→【ゴウカザル】←―┬――【エンブオー】 |尻 | 鉄の拳(笑) ↑ | 速いっていいね |尾 メガ進化組 ├――――┐ | | |が 氏ね | | | | 【キュウコン】←――――→【リザードン】 | | |全くだな 俺も日照り手に入れたは | | 【ブーバーン】 【ヘルガー】 | 【ギャロップ】 最速ぶん取られてやんの 【ファイアロー】 ↑新参はすっこんでろ 【カエンジシ】輪に入れない |世代交代ですねw↓ 飛べないうえ水・地面4倍(笑) 物理受け(笑) 【ウルガモス】←―――――――――――→【マグカルゴ】←――――→【コータス】 ちょっと本気出す↑ 岩4倍(笑) 孵化要員(笑) | ↓地面4ば……何ィ!? \zzz..../ 【ヒートロトム】 【ドンメル】 一応仮作成。どんどん修正してください
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第六章 翌朝。 やはり妹のボディアタックによって強烈な目覚めを演じた俺は、さえない気分で朝食を食べ終えたあと自分の部屋で何をするでもなくセミの合唱に耳を傾けていた。 怠惰な姿勢から身体を少し動かすと、ベッドの枕元に放置されている携帯電話が目につく。こいつは朝起きたときからここにあり、したがって昨日の夜からここにあったということになる。夜のうちに誰かが動かしたという可能性は無視していいだろう。そんなことをしても何の利益も生まれない。 ようするに、と俺は身体を起こした。 ここはパラレルワールド、ハルヒが創り出した平行世界である。 そういう単語だけ聞くと恐ろしい思いになっちまうが、実際は全然そんなことないということを、俺は起きてからの一時間弱で悟っていた。指摘されなければ気づかない程度にいつもと同じ朝である。事実、俺は長門に指摘されるまで平行世界にいたということに気づかなかった。 それはいいとして、となると、この世界は昨夜ハルヒから電話のあった世界である。その内容はプールがどうのという話であったから、すなわち本日はSOS団でプールに行く予定の日なのだ。 そういうわけで手元には海パン等が入ったプールバッグが用意されており、サイフには千円札を何枚かしのばせてあって時計は午前八時三十分を示している。駅前集合は九時だったが、やたらに早く行くのもシャクなのでこうして何をするでもなく時間を潰しているのである。 枕元の携帯電話が着信音を奏で始めたのは、いい加減セミの鳴き声にも飽きてそろそろ駅前に向かうことにしようかと考え始めた頃だった。電子文字が表示している名前は涼宮ハルヒである。 「なんだよ」 何気なく通話ボタンを押すとすぐさま怒鳴り声が飛んできた。 『遅っいわよバカキョン! 早くしないとプール混んじゃうでしょ! あんた今どこで何やってんの!?』 「あー……」 家にいるなどと言えるような雰囲気ではない。 「自転車に乗ってそっちに向かう最中だ」 『ふーん、自転車乗りながら電話に出るとはいい度胸ね。今すぐ警察に通報して現行犯逮捕してもらうから、覚悟しなさい』 「お前は俺に早く来て欲しいのか遅れて欲しいのか、どっちなんだ」 『なに言ってるの、それとこれとは話が別よ。いくら急いでるからって市民の掟を破るような団員には、あたしから永遠に活動停止を言い渡してやるわ。だって法律を守れないようなヤツに団の規則なんか守れるわけがないもの』 「……すぐ向かうよ」 そうとだけ告げると、ハルヒ声がまだ騒ぎ立てていたが無視して電話を切った。脇に準備してあったプールバッグをつかんで、俺はすぐさま部屋を出る。 今日はプール。 さしあたり駅までママチャリでぶっ飛ばさなければならんだろう。 とはいえ、ハルヒの言うように交通法規を遵守していたら駅前までのタイムはいつもとあまり変わらないものとなってしまった。 集合場所には当然のように他の四人のメンツが揃っており、ママチャリを有料駐輪場に置いて小走りでやって来る俺を真っ先に見つけたのはハルヒだった。 夏らしい薄着をして、水着入りのビニールバッグを肩にかけているハルヒは、 「警察につかまらなかった?」 怪しげな笑いを浮かべて訊いてきた。 「ああ、つかまったね。つかまったとも。おかげで遅くなったんだ」 「バカなこと言うんじゃないの。どうせあんた、あたしが電話をかけたときにはまだ家にいたんでしょう」 別に見抜かれても構わないウソなので俺は否定も肯定もせず、ハルヒの横にちょこんと可愛らしく立っている団員に目を向けた。 俺はオシャレなプールバッグを両手で握っている朝比奈さんに頭を下げながら、 「すみません。待たせちゃったみたいで」 「いえ」 朝比奈さんは柔らかく首を振って、 「全然だいじょうぶですよー。まだ、九時にもなってないし」 俺に満天の微笑みを返してくれた。荒んでいた心が和んでいくのが解るね。俺も暑さをこらえできる限りのスマイルを返す。 もう少し朝比奈さんと談笑していたい欲望に駆られながらも俺は視線をさらに横移動させて、すっかり仏像と化している残りの二人を眺めた。 まず目に入ったのは古泉の微笑である。奴はこの暑さの中、長袖を羽織ってジーンズを穿いていた。俺はその憎らしいほど整った顔に小声で、 「お前もご苦労さんだよな。ハルヒのご機嫌取りと灰色空間を往復して」 古泉の顔が怪訝そうに歪んだ。 「灰色空間、ですか?」 しまった。こっちの世界では長門、朝比奈さん、古泉は普通の人間なんだっけ。 「いや、なんでもない。今の会話は取り消しだ」 「SFか何かの用語でしょうか。異空間の一種ですかね?」 「なんでもねえって」 それでも古泉はしつこく食い下がってきたが、俺が無視しているとそのうちお決まりの苦笑で肩をすくめて見せた。ところで、こいつはこの世界では素でこの性格なのだろうかね。だったら相当イヤな奴である。 古泉からさらに視点移動を行うと、真昼の月のごとき希薄な存在感を誇る長門の姿が目に入った。汗一つかかずモニュメントか何かと見まごうくらい微動だにしないその光景は目に馴染んだものだったが、長門は今日、珍しく私服だった。白のノースリーブワンピースに麦わら帽子。大方ハルヒに買わされたんだろうが、私服姿の長門というのもそれはそれで映えるものである。一見は地味でパッとしない服だが、長門が着ると妙にマッチングするような気がする。 そんなことを考えながら無表情娘を観察していると、長門がちらっと俺を見上げた拍子に目が合っちまった。 「あ……元気か?」 長門は物珍しそうな目で俺を見てから、やはり三センチくらい頭を傾けるだけだった。 「ほらキョン、有希も、早く来なさい! 急がないと電車に乗り遅れちゃうわよ」 盛夏のセミにも負けないよく通る声でハルヒが怒鳴る。振り返ると、ハルヒはプールバッグを振り回して駅の構内に入っていくところだった。 俺は長門を促し、走ってハルヒの背中を追いかけながら、 「なんだよ、市民プールじゃないのか?」 「うん。それでもいいんだけど、あそこは小っちゃすぎるのよね」 ハルヒは朝比奈さんの手を引きながら言う。 「やっぱりね、高校生のあり余るエネルギーを発散するには、もっとデカイとこじゃないとダメだと思うのよ。ビニールプールで水遊びするより海で泳ぐ方が思いっきり楽しめるでしょ? だから今年は隣町のオープンしたばかりのプールに行くことにしたってわけ」 お前のそのあり余るエネルギーがどこから来ているのか知りたいもんだ。俺はこの間の夏合宿で一夏分のエネルギーを発散し尽くしちまって、プールにくれてやるエネルギーはもはやどこにも残っていないぜ。おそらく朝比奈さんと古泉も同じだろうが、この二人は既に諦めの境地に達してしまったらしく苦笑を浮かべるだけであり、長門にはもとよりエネルギーを発散する気がない。かくいう俺も真夏の太陽なみに目を輝かせたハルヒに反論を唱える気にもなれず、おかげで今やSOS団は団長の独壇場、まるでファシズムである。もちろん、その一党独裁の時代にははたして恐怖しかなかったかと言われれば、それは違うと答えるだろうけどさ。 俺は渋々という言葉を体現しつつも、大股で堂々と歩くハルヒに続いて改札を抜けた。 ハルヒにせかされるまま走りに走るとホームには既に電車が到着しており、身体からぶつかるようにしてハルヒが真っ先に飛び込み、最後尾の長門がひっそりと乗り込んだところでドアが閉まった。発車時刻は九時前であり、だったら九時集合では明らかに間に合わんだろうと俺は憮然。息せき切って目を白黒させている朝比奈さんをなんとなく眺めながら電車に揺られること数分、目的駅の名前を告げるアナウンスがして一行はロクに休む間もなく電車を降りた。 駅を出ると確かにそこには地元駅とは違う駅前風景が展開していた。空気もなんとなく新鮮に感じられるね。どっちかというと田舎の部類に入る我が町と比べれば、大きな街だけあって見受けられる駅ビルの数も多い。 「プールまではバスで行くからね」 いつの間に調べ上げてきたのか、ハルヒはバスの到着時刻までも頭に入れていやがった。時間通り駅前のバス停にやって来たバスに乗り込むと車内は冷房がヌルヌルだったが、歩くよりははるかにマシなのでいいとしよう。 二十分ほどののち、ハルヒは目的バス停の一個手前で降車ボタンを押した。 間違えたのかと思ったが、そう言ってもハルヒはここで正しいと言い張る。わけが解らないまま、そのうちバス停に着くとハルヒ一人でずんずん降りていってしまうので、俺らも後に続かざるを得ない。 全員がバスから吐き出されてきたのを確認するとハルヒは不敵な笑みを浮かべつつ宣言した。 「みんないい? こっからプールまでは思いっきり走るわよ。それも全速力で!」 「何のために」 とすかさず俺。 「汗をかくためよ」 とハルヒは即答する。なんだそれは。この炎天下で汗をかいて何が楽しいんだろう。 「わかってないわねえ、あんたは。せっかく今からプールに入るってのに、ずっと涼しいところにいたら冷たい水に入った瞬間の喜びが激減するでしょうが。いい? 暑いからこそプールに入るの。つまり暑いのは前提なわけ。だから、暑くなるために走るのよ。そうよね、みくるちゃん」 「え、ふぇえ?」 急に話を振られて朝比奈さんは困惑していらっしゃるが、ハルヒはそれにも構わず背後から朝比奈さんに抱きついた。わかった。わかったから今すぐその役を俺と代われ。 ハルヒは朝比奈さんに抱きついたまま、建物の影と調和している長門に指を突きつけて、 「有希、勝負よ! どっちが先にプールまでたどり着けるか」 そう言うやいなやハルヒは朝比奈さんを突き放してプールに向かって走り出した、が残りの団員にはここは走るなという暗黙の了解的雰囲気が漂っていたらしく誰も走り出さない。当然と言えば当然だがハルヒは気に入らなかったらしく、後ろを振り向いてツカツカと戻ってくると声を張り上げて宣言した。 「ビリの人は、飛び込み台から突き落としの刑に処すわよ!」 そう言うハルヒの顔は、これ以上ないほど楽しそうなのだった。 はたして、ビリは俺であった。 少し言い訳をさせてもらおうか。 まず長門はこういう競技がもともと得意である。ハルヒに続いてさっさと行ってしまった長門を追う気にはなれず、俺は朝比奈さんか古泉あたりと休戦協定を結ぼうと考えていた。ほら、全員一緒にゴールで同着とか、そんな感じのやつだ。ところがいざ談合を持ちかけようとしたところで古泉が俺らを出し抜きやがってダッシュ、残ったのは俺と朝比奈さんだった。無論、真剣勝負となれば俺が朝比奈さんに勝つのはたやすいことである。あるがしかし、そこは俺である。人道的にこういう状況で朝比奈さんをビリにすることなどできるわけがなく、したがって俺は危なっかしいフォームでよたよた走る朝比奈さんの後ろをストーカーのごとくついていったのだった。 さっさと着替えに行けばいいものを、トップでゴールしたハルヒは俺たちをしっかり待っていた。奴は腰に手を当て策略通りと言わんばかりに勝ち誇った笑みをたたえながら、最後にやって来た俺に飛び込み台から突き落としの刑を求刑したのだった。 嫌だとは言わなかったけどさ。仲間内のプールなんてのはそういうのを楽しむために来るようなもんだろう。 かくして、いったん男性更衣室と女性更衣室に別れたSOS団の面々は、着替えを済ませてから激しい太陽光の下で合流した。 「朝比奈さん、こっちこっち」 とっくにシャワーを浴びて手持ちぶさたに突っ立っていた俺は、ワンピース姿でバスケットを抱えた朝比奈さんを見つけると、必要もないのに大げさに手を振ってやった。 なにしろどこに行っても一際目立って可愛らしい(誇張ではない)朝比奈さんである。当然、彼女に手を振っている俺にも好奇の眼差し向けられるわけで、それがむず痒くも愉快である。二人きりのデートではないところが残念だったが、普段は損ばかりしている俺だからせめてこんな時ぐらいはいい思いをさせてくれたっていいだろう。 「あれ? 古泉くんは?」 朝比奈さんの後に続いて小洒落たセパレートを身につけているハルヒが現れた。その傍らにはやはり飾り気のない水着を着た長門が伴われている。朝比奈さんだけでは抱えきれなかったのか、長門も小さなバスケットを持っていた。今日の昼飯は期待できそうだ。 「荷物の場所取りに行ったよ」 と俺は答えた。 「へえ、感心ねえ。さすが副団長だわ」 「まったくだ」 団長がこれじゃあ副団長もさぞかし大変だろうよ。 「まあいいわ。じゃあ古泉くんに感謝して、あたしたちは先に水に入っちゃいましょ」 言うなりハルヒはキョロキョロすると、手近なプールにいきなり飛び込んだ。舞い散る水しぶきを頭から被って俺もとっとと水浴びしたい衝動に駆られ、ハルヒに続いて水に入る。ちょうどいい感じに冷たくて気持ちいいぜ。 「みくるちゃーん、有希も! 早く飛び込んじゃいなさい!」 雲一つない青空にハルヒの声が響く。もちろん朝比奈さんも長門も命令通りに飛び込んだりせず、おっかなびっくり足から水に浸かっていく。 「へいっ、キョンこっち!」 無防備にハルヒを振り向いた俺に、大量の水がぶっかけられた。 夏休みだけあって、プールは盛況であった。 もちろん暇を持て余した子供とその親も大量発生していたが、さすが巨大プール施設だけあって中高生やカップルの姿もふんだんに見受けられた。みな一様に楽しそうな笑顔を張り付かせており、俺らもそんな中高生のうちの一グループなんだと思うと妙に落ち着かない気分になるね。なにしろ今の俺たちは何の能力も持ち合わせておらず、客観的にも主観的にも普通の高校生グループなのだ。 飛び込み台は敷地内のわりと隅っこの方にあった。 そのせいかどうかは知らないがまったく人気がなく閑散としていたため、実質SOS団が貸し切りの状態となってしまった。 そこで取り行われた俺の公開処刑は、両手を掲げている俺にハルヒが後ろから体当たりするという謎の儀式の様相を呈していた。もちろん監視員の目の前でそんなことやらかしたら利用禁止になること請け合いなので、監視の隙をついて行わなければならない。真っ黒に日焼けしたグラサンの兄ちゃんが一瞬、飛び込み台から目を離したのをハルヒは見逃さなかった。俺はハルヒに身体をぶつけられて吹っ飛ばされ、水面でしたたかに腹を打って動けなくなり即刻退場した。 「よくやりますよ、あいつら」 しばらく陸に上がってもがいた後、俺は飛び込みプールを囲む柵の外にいる朝比奈さんに歩み寄って言った。朝比奈さんの瞳には、三人の団員が餌を見つけたペンギンのように次々と水中に飛び込む姿が映っている。 「ええ。涼宮さん、すごく楽しそうです」 柔らかな微笑みをたたえたまま朝比奈さんが言う。 「やっぱりあいつ、入学当初とは違いますかね?」 「え?」 朝比奈さんはなんでそんなことを訊くのか考えるような間を空けてから、 「それは……ぜんぜん違いますよ。前はもっと、なんていうか、普通じゃないことばかりやってたような気がするし」 「宇宙人とか未来人ってさんざん騒いでましたからね。まだ見つかってないらしいですけど」 俺の頭には夜のグラウンドの巨大紋様が自動再生される。 「そうですねえ。すべての体力をそういうものを探すために費やしてましたよね、あの頃の涼宮さん」 遠い目をする朝比奈さんを見て、ああやっぱりハルヒは変わったんだろうなとか思った。 今まで謎にばかり向かっていたハルヒのエネルギーが、友人と遊ぶことにも向けられるようになったのだ。なぜかって? そんなん、ハルヒのあの抜群の笑顔を見ればすぐ解る。ハルヒにとっては友人と遊ぶことはが放っておけないくらい楽しいことで、ハルヒは自分の気持ちにウソをつくことができなかったからだ。やっぱり、なんといっても一番の楽しみは仲間と一緒に遊ぶことにあるのさ。それはハルヒじゃなくたって、誰だって同じだと俺は思うね。 そういうことである。たぶんそれ以上でも、それ以下でもない。 「まあ別に、悪いことじゃないっすけどね」 いつの間にやら、柵の周りには人が集まりだしていた。 それもそのはず、プールを占領して次々に頭から飛び込んでいく奇妙な団体が見えれば誰だって好奇心をそそられるだろう。しかもそのうち二人は(客観的に見れば)かなり可愛い部類に属する少女なのだから、これはもう水着姿を鑑賞するだけでも見る価値があると言っていい。ちなみに俺は女子部員の水着姿なら合宿でいらんほど拝ませてもらったので、今さら食い入るように見るようなもんでもないということを付け加えておこう。 「そういえば朝比奈さん、なんか喉乾きませんか?」 俺の使命はハルヒのヘソなんぞを見つめることではなくて、もっぱら朝比奈さんを気遣うことの方にあった。長く太陽光にさらされたせいか朝比奈さんの白い肌は赤っぽく上気している。 「そうです、ねえ」 「ならちょうどよかった、俺も何か飲み物を買ってこようと思ってたんですよ。朝比奈さんのもついでに買ってきますけど、何がいいですかね」 「あ……じゃあウーロン茶か何かをお願いします。……えっと、お金は」 「いえいえ」 気にしなくてけっこうですよ。俺のサイフに入った現金は罰金の支払い用としてではなく、本来はこういうふうにして使われるべきなんですから。あいつらもそっちの方が払われがいがあるってもんです。 「じゃあちょっと行って来ます」 俺は屋台の飲み物メニューにウーロン茶があったかどうか考えながら、小走りにサイフの置いてある更衣室まで戻っていった。 夏もいよいよ盛りの陽差しは強く、ベタ塗りみたいな青空からはさんさんと太陽光線が降り注いでいた。開場から二時間も経つと人がどんどん増えてきて、流れるプールなどはほとんど小学生以下の子供によって埋め尽くされてしまった。 もちろんそんなことを蚊ほどにも気にしないのがハルヒであり、 「ねえねえ、流れるプールで鬼ごっこやりましょうよ。わざわざ電車乗って来たんだもの、全プール制覇しないともったいないわ」 と言い出したのもハルヒである。夏の光が反射してハルヒの笑顔はいやにまぶしく輝いて見え、そのためだったかどうかは知らないが俺はそのハルヒの提案に賛成してやった。 イルカやらシャチやらに乗ったガキどもが漂流するプールに乗り込んだ俺たちは、我ながら恥ずかしくなるくらい大いにはしゃいだ。最後の方はもはや鬼ごっこではなくなっていたが、それでも楽しかったからいいさ。 一時間近くが経過して休憩時間を告げる放送が入ったところで、我々はようやく陸に上がった。俺はまともにスポーツした後くらいに疲れており、時間内の半分くらいずっと鬼役をやっていた朝比奈さんは息も絶え絶えで古泉さえも微笑が崩れていたが、長門だけは平然と直立していた。俺が追いかけてるときも長門は人外的な速度で泳いでいたし、こいつは本当に普通の人間なんだろうな。あまりにも宇宙人バージョンと変わりばえがしないので怪しくなってくるぜ。 昼も近くなっていたので、俺らはそこの休憩で昼飯を食べることにした。いやいや、昼飯というのは下品で失礼だな。ランチ。そんな感じか。 「去年と同じで申し訳ないんですけど……またサンドイッチを作ってみました」 なにしろ朝比奈さん手作りの昼ご飯である。おずおずとバスケットを差し出す朝比奈さんもメチャクチャ可愛い。そこらへんの屋台ではフランクフルトや焼きそばを売っていたりもしたが、ちっとも買う気にならんね。二つのバスケットにサンドイッチばかり大量に詰まっているのも全然問題になりません。食い物ならハルヒが何でも食べますし、長門なら喰ってろと命令すれば日が暮れるまで食べ続けていそうな気がしますからね。 昼食休憩の後も、まだまだ水遊びは続いた。 午後の部はどうやらウォータースライダーから始めるようであり、階段と水の滑り台を三往復したあたりで俺は古泉とともに観客側に回った。朝比奈さんもすっかりくたびれていらっしゃる様子だったが、哀れにもハルヒにワンピースの首根っこをつかまれて階段を引きずられていった。 「…………」 長門はというと、意外にもこういうアトラクション好きなのか無言で滑り落ちてきては無言で階段を上っていくのを繰り返していた。時々、短い髪から水を滴らせたまま何か確認を取るようにちらっと俺を見るのがいかにも長門らしい。 「気が済むまで何度でも行って来いよ。時間ならいらんほどあるからさ」 そう言われると長門は首を少し傾げてまた階段をすたすたと上っていく。その小柄な水着姿があまり楽しいと感じているようには見えんのだがな。俺には。 「まあ、長門さんですから。楽しそうでなくても本人が楽しければいいんですよ」 俺の隣で薄笑いの古泉が言った。 「夏だしな。ちっとはハイになってるのかもな、あいつも」 「だといいんですが」 俺は階段を上る長門の後ろ姿に去年のそれを重ね合わせる。一万何千回も夏休みをループしてきた長門の、わずかに退屈そうな表情を。 「なあ古泉よ。これは例えばの話なんだが、例えば、あの長門が宇宙人だったとしよう。火星とか水星とかの出身じゃなくて、もっとはるかに遠い望遠鏡でも見えないような宇宙出身のやつだ。で、もしそうだったとしたら、お前は長門に対してどんな感情を抱くんだろうな」 「それはまた、やけに難解な質問ですね。長門さんの性格や外見は変わらないものとするんですか?」 「ああ。ただ単に、今の長門に宇宙人っていう肩書きがついただけだ」 おそらく意味の解らんだろう俺の愚問に古泉は眉をひそめ、数学Ⅲの応用問題に挑戦するような雰囲気を漂わせていたが、 「たいして何も感じないでしょうね。ええ、それ以外にありません」 また普段の微笑に戻って言った。 スライダーから次々と吐き出されてくる連中をなんとなく眺める俺に古泉は続けて、 「意味のない肩書きなら存在しないも同然です。馴染んでしまえば関係ないんですよ、宇宙人だろうと人間だろうとね。……そうですね、こんなのはどうでしょう。本当のことを申し上げると、僕はなんと超能力者なんですよ。さて、あなたはどう感じますか?」 「冗談だよな」 「ええ、冗談ですけど」 冗談ならもっと解りやすいやつにしてくれ。そのたとえは俺にとっては非常に解りづらいし、しかも心臓に悪い。背筋に嫌な汗をかくところだったぜ。 俺が古泉に何事か文句をつけてやろうと思ったとき、目の前で派手なスプラッシュが上がった。俺も古泉もまともに水を食らっちまい、誰だよ非常識だなと思って見たらハルヒだった。すぐ後に朝比奈さんと長門も続いて着水する。 ハルヒは水をたらしながら俺に向かってずかずか歩いてきて、 「本当はもう十回くらいやりたいけど、あんたたちがサボってるからやめておくわ。次はあのでっかいプールで遊びましょ。今度はサボらせたりなんかしないから覚悟しなさい」 と言って施設の中央にあるメインプールを指差した。勝手にしてくれ。その代わり明日、筋肉痛で動けなくなってても俺は知らんぞ。 俺は陽光ですっかり火照ってしまった身体を冷やすため、ハルヒの後に続いて水に入った。 結局、その日は太陽が傾いてプールが夕陽に染まるまで遊び倒した。 というのも、古泉があきれたことに浮き輪とビーチボールまで持参してきやがったからである。たった一つのボールだけで三時間以上も遊び続けられるもんだということをよく思い知らされたね。 我々が着替えを済ませてプール施設を出る頃には客の姿もまばらになっており、帰りのバスはガラガラであった。朝比奈さんはもちろん、ハルヒもさすがに疲れ果てたのかすーすーと寝息を立て始め、駅に着いたところで二人とも長門に揺り起こされていた。 それから先はどうなったのかよく覚えていない。プールの輪郭ばかりがいやにはっきりと思い出され、その後は記憶からすっかり抜け落ちちまった。 ただ、自町の駅前に戻ってきて、帰り際にハルヒが、 「とりあえず明日は休みにするわ。またやることが決まったら電話するから、よろしくね」 と言ったのはなんとなく覚えている。 その後は解散の流れとなって、俺はそのまま自転車こいで家に帰り着いて、確かその頃には辺りは暗くなっていた。そんで晩飯喰って風呂に入って、携帯を忘れずに枕元に置いて、そのまま死んだように眠りに落ちた。 第七章 TOP
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~第六学区・アルカディア~ 姫神「………………」 結標「(気まずいわね…昼間とはまた違った具合に)」 17 16分。結標淡希は水先案内人として、姫神秋沙は避難所の学生達に混じって学園都市最大のスパリゾート兼総合アミューズメントパーク『アルカディア』に来ていた。 二人は今、ほとんど貸し切りも同然の薔薇の花片が揺蕩うローズバスにて一日の汗を流していた。しかし… 結標「(無理もないわね…あんな事があった後にあんなのに会っちゃ…)」 常日頃に増して姫神が寡黙なのは他でもない…新たな水先案内人として外部より雇い入れられたオリアナ=トムソンの存在に拠る所が大きい。 途中、月詠小萌の取りなしとオリアナ本人からの謝罪があったとは言え… 間違いで標的にされ勘違いで血塗れにされた相手に顔を合わせて平然としている方がおかしいのだから。 結標「(…こんな時まで外さないだなんて…よっぽど大切な物なのかしら)」 初日からチラつく胸元に下げられた十字架…インデックスより譲り受けられた『歩く教会』の一部であるそれが姫神の吸血殺し(ディープブラッド)を抑制するために必要な霊装である事を結標は知らない。 もちろん海原、土御門、そして最終戦争を通して魔術と魔術師の存在はそれなりに理解している。 他ならぬオリアナ自身も魔術師であるとも引き合わされた時に紹介された。しかし チャプッ… 姫神「………………」 結標「(ひゃっ…くっついてるくっついてる…すっ…すごく…近い)」 湯船の中でポニーテールに結い上げた姫神が結標の鎖骨辺りにそののぼせたようにほんのり赤い美貌を寄り添わせていた。 細い二の腕が、華奢な二の足が、あたたかなお湯と共に結標の身体にぴったり貼りつく。 結標「ど、どうしたの?の、のぼせたのなら上がる?」 姫神「…いい。このままで。いて」 ようやく発した声音は、響く浴場である事を鑑みても硬質で強かった。 まるで“黙って肩を貸せ”と言われたように感じて結標はビクッと身を震わせた。 結標「(なっ、何よ…年下のクセにそんな言い方ないじゃない…心配して損したわ)」 そう内心で思いつつも身体を預けて来る姫神の、ローズバスに濡れ光る肢体をつい見やってしまう。 うっすら汗ばんだ項と、流麗な鎖骨が見て取れた。 腰の細さならば自分の方が勝っていると言う自分があったが、肩のか細さならば姫神の方が小さかった。 結標「(この娘の身体…初日にちょっと見たけど…やっぱり綺麗よね)」 姫神「結標さん。そんなに見られると。落ち着かない」 結標「へっ!?」 そんな結標の視線を不躾なものと受け取ったのか、姫神がやや尖った声音で告げる。 パチャッ…と薔薇の花片の一つをお湯と一緒にすくって、零して。 姫神「私ばかり見られるのは。とても嫌なもの」 結標「ごっ、ごめんなさい…」 姫神が苛々して見えたのはこれが初めてである。 この五日間、そんな素振りはどんなに疲れていても見せなかったのに…それが本来強気で勝ち気な結標の気勢を削いだ。 怒鳴られた事すら結標が自分自身を追い込んでしまったあの中庭の一件以来だった。 結標「(昼間は…あんなに優しくしてくれたのに)」 年下に主導権を握られ振り回されるのは歯痒った。 しかしそれ以上に――結標は姫神に嫌われる事にどこかで怯えている自分を自覚していた。 結標「(なにか…なにか話題…そうだ)」 だからつい、重い空気を振り払おうと、話題を変えようとして口を開いてしまったのだ…姫神の触れざる領域へと 結標「そのクロス(十字架)いつもつけてるわよね…ちょっと貸してもらってもいい?」 ~ローズバス・姫神秋沙~ 柄でもない情念の熾火を姫神秋沙は自覚していた。 それはオリアナ=トムソンとの邂逅によって蘇る流血の記憶。 それに連鎖して甦る家族を、隣人を、村落を全滅させた自身の身体に流れる忌まわしい血が呪わしいから。 姫神「(このお風呂は。まるで血風呂)」 浴場に揺蕩う薔薇の花片がまるで血のようにすら見える。 しかしそれらを結標に告げるつもりはなかった。 死に絶えたはずの感情が、結標に八つ当たりのように向かっている今は特に。 姫神「(結標さんの身体。少し傷がある。綺麗なのに。可哀想)」 姫神は知らない、白井黒子の鉄矢や自らのコルク抜きが突き刺さった痕。 こうやってマジマジと裸の付き合いをしているといっそうその華奢な肢体が描く曲線を意識せざるを得ない。 昼間、図書室で結標を抱き締めた時腕で感じた細さを目で確認するように。 姫神「(指で押せば。埋まってしまいそう)」 湯気の中にも少し斜めに視線を漂わせる結標の相貌が近く見える。 卵形の自分とは異なる凛々しくシャープな輪郭と、昼間自分が奪った唇が。 そして肌から伝わってくる柔らかくスベスベした感触も。 姫神「(手を伸ばせば。届く距離)」 不意に、結標に触れてみたくなって見た。肩に身体を預けているだけはまるで物足りない。 指先で、手の平で、確かめてみたくなった。 オリアナと再会し蘇る流血の記憶、流血の記憶から連鎖して甦る…脳裏に焼き付いて離れない、あの日の惨劇から目を逸らしたくて…なのに―― 結標「そのクロス(十字架)いつもつけてるわよね…ちょっと貸してもらってもいい?」 それは、女同士ならばなんの事はない他愛のないやり取りだったはずだった。 いつもの姫神ならば『大事な物だからダメ』の一言でやり過ごせたハズだった。しかし―― その一言が、揺り戻しかけていた姫神の針を振り切らせた ~ローズバス・結標淡希~ 結標「ひ、姫神さん?」 姫神「………………」 結標が十字架の事について言及すると、いつの間にか姫神が自分の方へ向き直っていた。 熱を持たぬ黒曜石の瞳が、どこか底冷えするような暗い光を湛えて。 姫神「どうしたのよ一体!?私、なにか貴女を怒らせるような事した?なら言ってよ!黙ってられたらわからないじゃない!」 結標もまたそんな姫神の態度に苛立ちを覚えていた。そんなに大事な物(クロス)ならば言えば良いではないかと。 表情が読み取りにくい、口数が少ない、何を考えているかわからない。 普段ならば気に止めないそれらの要素すら今は腹立たしく思えて―― 姫神「淡希」 結標「…!」 ゾッとするほどひび割れた声音で名前を呼ばれ、結標は蛇に睨まれた蛙のように竦み上がった。苛立ちすら忘れて。 姫神の指先が結標の両頬に這うように添えられる。あたたかいお風呂の中のハズなのに、冷たく感じられる声音。 姫神「舌を出して」 結標「…やめてよ…ここどこだと思ってるのよ…」 姫神「淡希」 結標「やめて…やめてよ姫神さん…誰か入ってきたら…んっ…」 冷たい唇が重なった。初めての時とは違う、さっきの時ともまるで違う冷たいキス。 ヌルリッ…と冷たい唾液と冷たい舌の感触。舌から逃げようとして…噛まれる。 ゆっくりと味わうように、ねっとりと絡めるように。 結標「(やめて…やめてよ…どうしてこんな事するの…)」 添えた指先で上向かされ、艶消しの黒真珠のような視線が見下ろしてくる。 姫神はキスの時目を閉じない。涙を滲ませる結標をいたぶるように。 ネチャッ、ヌチャッと深く冷たいキスが続く。ひとかけらの愛情もひとつまみの温もりも伝えない、巧みな舌使いと残酷な口づけ。 姫神「綺麗…」 ツッ…と輝く架け橋が切れるのを見送る事さえせず、姫神は泣き濡れて潤んだ結標の瞳を見下ろす。 拒もうとする手が震える。逆らえば何をされるかわからない怖さが今の姫神にはあった。 結標「もう…やめてよ…姫神さん…もう…止めてよ!!」 バチャンッ!とお湯を叩いて結標は小さく叫んだ。 その飛沫が姫神の目元まで飛ぶ。しかし姫神は構う事なく。 姫神「――私達。友達でしょう?」 氷水を浴びせるような一言。その一言にもう結標は何も言い返せない。 友達だと言う大義名分を振りかざされては、そうでないと反論すれば認めてしまうような物だ。 今日、木山春生との対話で朧気ながら自覚してしまった感情を。 ――結標淡希が、姫神秋沙に対して芽生え始めている思いを―― ~ローズバス・姫神秋沙2~ 姫神「――私達。友達でしょう?」 姫神秋沙は震えていた。自分は何を言っている?なぜこんなにも結標を苛み、苦しめるとわかっている言葉の刃を突きつけるのか。 自分自身に向かう冷えた怒りが滲み出て、関係ない結標まで矛先を向けて、傷つけて。 姫神「(おかしい。私もおかしい。謝らなきゃ。謝らなくちゃ)」 家に上げてくれた優しい結標、ご飯を美味しいと喜んでくれた結標。 つまらない事で怒る結標。自分自身に悲しんでいた結標。自分の肩で眠っていた結標―― その結標をまるで弱い者いじめをするような暗い喜びに酔うままに虐げた。 姫神「(どうして。どうしてこんな事をしたの。私は)」 謝らなくてはいけない。許してもらえなくてもひっぱたかれても。 家から追い出されても同じことかそれ以上にやり返されても…謝らなくては―― ――うん。そうだよね姫神さん…私達、友達だよね―― ~ローズバス・結標淡希2~ 結標「うん。そうだよね姫神さん…私達、友達だよね」 結標淡希は、泣き顔をこらえて精一杯の笑顔で見下ろしてくる姫神を見上げた。 その様子に、まるで姫神は絶望したように目を見開いて言葉を失っていた。 結標「(わかるわよ…わかってる…貴女、震えてるじゃない)」 結標には今姫神が何を考えているかはわからない。 姫神が過去の惨劇にその神経をささくれ立たせている事も伺い知れない。 それでもわかる。姫神の手が震えている事は。 結標「(そうよね。気持ち悪いわよね。女の子が女の子を好きになったかも知れないなんて気持ち悪いわよね。だからこれは、私に対する罰なんでしょ?)」 姫神の震えを、結標はそう受け取った。当の姫神は、謝る機会を失った瞬間に呆然としている事も知らずに。 結標「(でも、友達ならいいんでしょう?友達でなら側に居させてくれるって、そう言ってくれてるんだよね?姫神さんは優しいものね)」 結標は知らない。今自分が姫神に向けている精一杯明るい笑顔が、瞳が、姫神の暗さを黒く塗り潰すほど冥い事を。 結標「(最初にキスしたのは私に気を使って、二度目にキスしたのは私が泣きそうだったから…今キスしたのは、調子に乗った私への…罰なのよね?)」 ~ローズバス・二人~ 結標「うん。そうだよね姫神さん…私達、友達だよね」 その一言は姫神の中に渦巻いて黒い炎など容易く飲み込むほど昏い洞穴のような声だった。 友達だから大丈夫、好きと言っていないから安全圏、そんな両者互いに抱えきれない思いが生んだ、最悪の逃げ道―― 姫神「…そう」 互いに無自覚の中で、無意識の奧で、互いに惹かれ始めていた事を認められずにいた。 二人にとっての『最善』の道を模索するより、『最悪』から逃げ回る分水嶺を選んでしまった事を姫神は感じとっていた。 姫神「私達は。友達」 結標「そうよねー涎垂らすわ吐いちゃうわ…キスまでしちゃう大親友だもの」 薔薇の花片が貼りつく、互いの身体を抱き締め合いながら…結標淡希は心の中で叫んだ。 ごめんね木山さん。 私、やっぱりダメだったみたい。 ねえ小萌 私、友達出来たのよ。もしかして初めての それもね、親友。一緒に暮らしてるの。まだ一週間も経ってないんだけど。 野菜炒めも作れない私と違って、料理がスッゴく美味しいの。太っちゃいそう。 ねえ、復興支援が落ち着いたらさ、三人で焼き肉しようね?約束通り!私、奢るよ。 小萌と 私と 姫神さんの 三人で ~第六学区・アルカディア内ゲームセンター~ 姫神「まっ。待って結標さん。早っ。くて。ついていけな」 結標「遅い遅いわ!貴女には速さが足りないのよ!ほら私に合わせて!」 御坂「あの二人仲良いわねー」 白井「…見ていられませんの…」 18 09分。結標淡希と姫神秋沙はスパリゾート兼総合アミューズメント施設『アルカディア』内のゲームセンターにいた。 水先案内人としての護衛・護送の仕事は他のボランティアが交代で引き継いでくれたからだ。 御坂「確かにあれはないわねー。なんかもうイチャイチャアツアツ過ぎて見てらんないって言うか(アイツとあんな事してみたかったなー…って何考えてんだろ私)」 白井「(わたくしもお姉様とあんな風に…って違いますの)…そういう事ではありませんの…」 学園都市謹製のダンレボでAvril Lavigneの『Girlfriend』のミュージックに合わせて踊る二人。 手と手と繋ぎ、指と指を絡ませて、身体と身体を合わせて学園都市限定協力プレイに興じる。 正確なステップだがスローな姫神を、大雑把なステップだがスピーディーな結標が補う様は確かに『女友達』同士の息の合ったそれだった。しかし 白井「(わたくしにはわかりますのよ。結標さん)」 一見、ガールフレンド(彼女)同士のように振る舞ってみせても、無理をしているのが白井には見て取れた。 女同士とはそういうものだ。水面下で何があろうと表面上では明るく仲良く振る舞う。 白井とて彼女らと同じ『女』なのだから。しかし 御坂「私達もあの娘(結標)と色々あったけど…人って変わるもんねーホント」 白井「(あの類人猿…ではありませんわ殿方の鈍さがお姉様に移ってますの)」 発電所での仕事を一時シスターズが肩代わりすると言ってくれたので御坂美琴もまた『アルカディア』に気分転換に来たのだ。 しかし白井黒子もまた気付けずにいた。御坂美琴の変化に。 ~ゲームセンター・御坂美琴~ 御坂「(次はLady GagaのPokerface?馬鹿ね。素直に泣いちゃえばいいのに)」 『残骸』事件以来となる目視での結標淡希の姿に御坂美琴の胸中は複雑であった。 『シスターズ』が肩代わりを申し出てくれるまでに個性や感情に芽生えてくれる事は嬉しくもある。 しかし御坂は未だ行方不明の『一方通行』を許すつもりはないし、その元凶となったツリーダイアグラムの『残骸』を用いようとした結標に対しても胸裡は混迷を極める。しかし 御坂「(選曲でいちいち気持ち伝えるくらいなら、はっきり言っちゃえばいいのよ…私みたくならない内に)」 『一方通行』『浜面仕上』『もう一人の男』と共に未だ行方不明の『上条当麻』への思いを自覚した時、御坂は少し大人の女になれた気がした。 少なくとも顔で笑って心で泣く結標淡希の、笑顔という名のポーカーフェイスが透けて見えるぐらいには。 御坂「…黒子!私達もやるわよ!そこの二人!勝った方がジュースよ!」 黒子「はっ、はいですのお姉様!それはもうお互いを知り尽くしたわたくし達が負けるはずございませんの!」 結標「いいわよ?私達が買ったらジュース?そんな甘い罰ゲームなんてつまらないわ。どうする姫神さん?」 姫神「貴女達が負けたら。吹寄さんオススメの青汁。ゆっくり飲ませる。一口ずつ」 御坂・白井「「一気じゃなくてなぶり殺し!?(ですの!?)」」 少なくとも、何かを忘れたい気持ちは ~アルカディア内・ロビー~ 生徒A「(マスクメロン…)」 生徒B「(スイカップ…)」 生徒C「(オレ貧乳スキーなんだよな…)」 オリアナ「ああん♪サウナより熱い視線にお姉さん汗以外のが出ちゃいそう」 ステイル「そんなに熱いのが好きなら手を貸すが?」 一方、オリアナ=トムソンとステイル=マグヌスは『アルカディア』のロビーにいた。 こちらに熱視線を向けてくる男子学生らを含めた『能力者』達を護送するために。 オリアナ「あら?貴方の恋人みたいに子供っぽいが方がお好み?ならお姉さん出る幕ないわぁ…」 ステイル「どっちの事だ!違う!!何の話だ!!物見遊山に来たならもう一度処刑塔にぶち込まれに帰れ!!」 イライラと煙草のフィルターを噛み潰すステイル。ケラケラと笑うオリアナ。 『刺突杭剣』絡みでの一件が未だにステイルの尾を引いているのか空気は一方的に最悪である。 しかしオリアナは油断なく生徒達を見渡しながら オリアナ「うふふっ…お姉さんだってプロの端くれだよ…この間のも含めて、もう来るまでに学園都市のほとんどの地理は頭に入れて来たわ」 ステイル「当然さ…追跡封じ(ルートディスターブ)が今更名前負けだなんて笑えない冗談だ」 オリアナの頭の中には地図が役立たなくなった第七学区すらしっかり入っている。 生徒達を逃がす逃走経路、能力者狩りの連中が来るであろう侵入経路、いざとなれば避難所の全員を救う避難経路に至るまでに。 逃走のプロとは言い換えれば『どこをどう行けばどうなるか』を知り尽くしている事に他ならない。 既に絵図に起こされたそれらは『彼等』に手渡されている。そう―― ~第七学区・崩落の小径~ フレンダ「麦野ー!結局、なんか聞き出せちゃったりした訳?」 麦野「ああ?ゲロす前にくたばりやがった。手応え無さ過ぎて笑えてくるわ。こんなのしかいないのかっての!プチプチプチプチスライム潰しにわざわざ私が出張ってくるまでもなかったわね」 絹旗「話すも何も、頭と内臓以外残ってないじゃないですか。麦野昔より殺し方超グロくなってませんか?前に浜面と見に行った超C級スプラッターみたいです」 フレンダ「結局、また麦野と一緒に仕事がしたかったって訳よ!ああ良い匂い…麦野香水変わんないね…これフラゴナールのオードゥボヌール?」スリスリ 麦野「きーぬはたぁー。今はアンタがリーダーなんだから敬語止めなよ。あとフレンダ、くっつくな返り血つくよ」 一つは『アイテム』である。オリアナが起こしたハザードマップを元に、その暴虐とも言うべき戦闘力で侵入者を屠ったのは今し方の話である。 もう一つは『スクール』であり、彼等は避難所の防衛に当たっている。 夕闇に乗じて何人少数精鋭のアリ(傭兵や魔術師)を送り込もうが、単独の軍隊相手に渡り合えるゾウ(レベル5)には無駄だと言わんばかりに。 フレンダ「結局、学園都市の防衛機構が復活するまでの勝負な訳よ!あーでももうただ働きは嫌な訳よ…夏の新作バック買えなーい!」 絹旗「超久しぶりで超鈍っちゃいました。って言うか超力加減間違えて超グチャグチャです。アルカディア超行きたかったのにー…麦野とまたサウナ対決超したかったです」 麦野「絹旗、超超テンション高過ぎ。フレンダははしゃぎ過ぎ。変わんないわねーアンタ達…なんだか私だけ老け込んだみたいでちょっと憂鬱ね」 『能力者狩り』も学園都市の防衛機構も戦火の痛手から立ち直れば直に止む。止まざるを得なくなる。 今ですら行方不明だった第六位(ロストナンバー)と『八人目のレベル5』となった滝壺理后が学園都市全域を監視しているのだ。 避難民に紛れてスパイを送り込もうにも『心理掌握』の目を盗む事は出来ないし、今更ハッキングしても御坂美琴の目を欺く事は出来ないのだから。 フレンダ「結局、この死体どうする訳よ?絹旗、刻む?」 絹旗「超埋めます!夏場なんで匂うと嫌ですから。麦野は?」 麦野「焼く。欠片の肉も一滴の血も一掴みの灰も残さずに。さっ、とっととゴミ片付けて帰りましょ…今夜はお昼のビーフカレーの残りにするか」 絹旗「あれだけ超殺しまくっといてよくお肉食べれますね麦野…さすが肉食系女子。フレンダは?」 フレンダ「もちろん!サバカレーな訳よ!」 麦野「滝壺にもなんか食べさせてあげるおやつ探しに行く?他の学区に」 絹旗「麦野、服服。服変えてからいきましょうよ。滝壺さん何超好きでしたっけ?」 フレンダ「麦野麦野!私にもなんか買って欲しい訳よ!」 『殺し』は『アイテム』と『スクール』が担当し、それ以外は各々の領分で戦う。 一方通行を除けど、レベル5全員が集結するこの第七学区は難攻不落の要所となっているのだ。そして麦野も 麦野「(殺し方がグロくなったぁ?引退したからって舐めてかかる肥溜め共をドブさらいするときゃガッツリ[ピーーー]わよん)」 暗部としての仕事は一年近いブランクがあったが、殺しそのもののスパンは一週間と空いていない。 引退して腑抜けた訳でも、避難所での嫌いな馴れ合いで日和った訳でもない。 愛した男に腰砕けにされ骨抜きにされた部分は否定し切れないが。 麦野「(だから…早く帰ってきてね)」 狩りはメスライオンの仕事。そう麦野沈利は割り切っている。 そういう意味で結標が麦野に抱いた『丸くなった』という印象は間違いだった。 ただ無駄な贅肉を削ぎ落とした、シンプルな殺し(こうどうようしき)に切り替わっただけ。 この日傭兵が14人、魔術師が8人狩り殺された。 『アイテム』というメスライオンの群れによる爪と牙で。 ~第六学区・『アルカディア』ゲームセンター~ 結標「ゼー…ゼー…」 姫神「ハー。ハー」 御坂・白井「「 」」 御坂美琴・白井黒子コンビは罰ゲームの青汁でダウン。 勝者たる結標淡希・姫神秋沙チームは協力プレイから対戦プレイへ移行していた。 結標は青息、姫神は吐息、負けず嫌いな二人のダンレボ対決は互いに五勝五敗。 しかしその意地の張り合いも次のゲームで幕を下ろされるだろう。 結標「選曲、Janne Da Arcの“ヴァンパイア”」ポチッ 姫神「選曲。ジャンヌダルクの“mysterious”」カチッ ローズバスでの出来事から互いに目を逸らす。今はただ体を動かして発散したかった。 互いを傷つけるような愛撫が、心を蝕む痛みを思い出させるから。 友達より近くて恋人より遠く、親友より遠くて他人より近い二人の距離。 結標「(絶対許さない…貴女だけは、貴女だけは)」 拒めなかった自分も悪い。逆らえなかった自分も悪い。抗えなかった自分も悪い。 そう思いながら結標はステップを踏む。 姫神「(良くも。この私を壊してくれたわね)」 傷つけるようなキス、痛めつけるような抱擁、投げつけるような言葉でなぶった自分が悪い。 そう思いながら姫神はタッチを伸ばす。 結標・姫神「「(*1)」」 相手への罪悪感と自分への内罰感が渦巻き、愛情と友情と憎しみと悲しみが逆巻く。 女同士の恋愛は、時に男女同士の恋愛よりも遥かに凄惨で救いのない物だと二人は知らない。 未だ入口で足踏みする二人ですら、その入口はひどく厚く高い扉に思えた。 結標「姫神さん」 姫神「結標さん」 どちらが悪くどちらが正しいなどと言う二元論はどのような恋愛であれ存在しない。 あるのは1(罪)と0(罰)の二進法が織り成す、共犯者同士の罪罰だけ。 結標・姫神「「――私達友達だよね――」」 それは肉体的な共依存による精神的な共倒れにも似ていた。 美しくなどなく、清くなどなく、正しくなどなく…二人は危うい針の上でダンスを刻む。 道化師(ジェスター)のような泣き笑いを心に秘めた結標淡希。 道化師(クラウン)のような笑い泣きすら出来ない姫神秋沙。 道化師(ピエロ)のような交わらない長針と短針で互いを見つめ合う二人。 二人の日付は、まだ変わらない。