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運命への殉死を遂げた先に、何が待っているのだろう。 ###### 【運命には抗えず】 鳴海歩の人生はいつだって奪われてばかりだった。 それは、普通の人間なら無条件で迎えることが出来る未来であったり、初めて好きになった女性であったり。 天使の指先と評されたピアノも、兄である鳴海清隆からすると子供のお遊びだ、滑稽極まりないものにしか映らない。 【運命とは無明の闇】 抗いは無意味だった。どれだけ手を伸ばそうとも、世界に光は灯らない。 短い人生しか生きていないが、歩は太鼓判を押せるだろう。 このどうしようもない世界は、運命に縛られている、と。 【運命は終末の盤面を描く】 それは今までの短い人生で嫌というほど証明されている。 誰を思おうが、憎もうが、愛そうが、正義も悪も夢も現実もごった混ぜにかき混ぜられ、消えていく。 神が望んだのは綺麗な世界、盤上の駒が全て粉々に砕け散ったゼロなのだから。 【運命は絶望の鐘音を鳴らす】 確かに、ゼロは美しい。 あらゆる事象、不確実性、絶望、希望を無くした世界はきっと幸せを築けるだろう。 その過程で少数の犠牲が発生しようとも、他の大多数は幸せになれる。 来たるであろう困難を回避し、最良の未来を確実に掴むことができるのだ。 【運命に抗うものに憐れみを】 それでも、歩はゼロを否定した。 一人一人が恐怖に打ち勝つ可能性を秘めた最高の未来を信じたのだ。 その未来を信じるに足らせる為にも、歩は創造を選んだ。 孤独の中の神の祝福を――踏み越える。破壊よりも創造を。憎しみよりも許しを。 それはどれだけの覚悟だっただろうか、希望だっただろうか。 無論手放しで褒められる選択ではない。事実、彼はその選択を選ぶ時、大切な友人を切り捨てた。 周りからはトチ狂ってると評されるぐらいに――自分を押し潰す選択を歩は取り続けた。 【そして、運命を踏み越えた者に賞賛を】 それでも。それでも。歩は満足だった。 クローン故に満足に生き抜くことが出来ないけれど。 他の人間とは違って、未来なんて何処にもありはしないけれど。 残された者達が自分を覚えてくれるなら、きっと大丈夫だ。 【運命は君を見捨てない】 そして、運命の螺旋の果てに――――歩は方舟に運ばれた。 「…………満足した、つもりだったんだがな」 どうやら、知らず知らずの内に自分は願ってしまったらしい。 もっと、生きていたい。ようやく見つけた自分だけのピアノを弾き続けたい。 断ち切った未練も、別れを選んだ少女も、歩にとっては消えない想いとなって胸にこびりついていたのだろう。 だから、月は歩を呼び寄せた。残留した願いはゴフェルの木片を呼び寄せ、発動に至らせた。 そして、記憶を取り戻すのも、特段に苦戦はしなかった。 絶対に忘れることのない意志は、記憶封印程度で完全に消されるものではない。 「そんなの、嘘ね。貴方は飢えている。運命に捻じ曲げられてなお、再臨を望んでいる」 かけられた声は、鈴の音のような凛と響くものだった。 薄紫の髪にゴスロリの衣装、そして何と言っても背中に生えている黒の両翼。 威風堂々とはこのようなことを言うのだと歩は心中で呟いた。 「それを読み取ったのは、あんたの力か? レミリア・スカーレット」 「ええ。運命を操る程度の力によって、見させてもらったわ、貴方の運命。驚いたかしら?」 「生憎とそこまでは、運命を操られるのは慣れてるんだ、特段に驚くことじゃないさ」 「……なによ、可愛げがないわね」 「十六歳の高校一年生に可愛げを求めないでくれ」 「五百年は生きてる私からすると赤ちゃんみたいなものよ」 くつくつと笑い合う彼らの空気は弛んでいながらも、油断はない。 見極めている、互いの相棒を。 自分の背中を預けるに足る胆力を持っているか、切り出そうとしている。 「それで、再臨を望むアユムはこれからどのような方針を私に見せてくれるのかしら」 「まあ、一応聖杯を手に入れる可能性を探ってみるのが一番だと考えている」 何気なしに切り出した言葉は、直球だった。 このような手合に回り道は不評を買うだけだと判断したのだろう、歩は真っ直ぐな視線をレミリアへと向ける。 「本来なら、俺に未来はない。満足に動くことすら出来なくなるまで必死に意地を張って生きるだけだった。 だが、今回みたいな機会が巡ってきたということは――俺に何かしろということなのかもしれない」 淡々と紡ぐ言葉には意志が灯っている。 借り物でない本物、紛れも無いレミリアが望んでいた不屈。 「ともかく、俺らは無知だ。このムーンセルの全貌を解き明かしてもいないのに、優勝しか道はないと決め付けるのは早計が過ぎる。 もっとも、こんな胡散臭い奇跡なんて望むべきじゃないとは思っているんだがな」 薄く笑う容貌からは必死さが見えないが、中身は伴っているようだ。 絶対に折れない、例え命が尽きようとも――この意志だけは違えないことを誓う。 それがわかるだけで、レミリアには十分だった。 「けれど、掴める可能性があるのに掴まないのは傲慢だろう? それに、最後まで生き残る以外に方法がある可能性だって否定はできないはずだ」 「そうねぇ、やる前から諦めるのは私も大嫌いよ。どうせなら、果てまで見てみたいじゃない? このムーンセルの、ね」 だから、レミリアは歩を信じることができた。 膨大な運命の中でも一際に輝く運命に縛られた少年が何を選ぶのかに興味を抱いたという理由もあるけれど。 そして、その運命にどこまで抗えるのか一番近くで観察する為にも。 「いいわ、此度の戦争で宛てがわれた“ランサー”の役に基づいて。勝利への運命を引き寄せてみせるわ」 レミリア・スカーレットは、持てる力の全てを尽くして、彼と共に戦場へと飛び立つことを、誓う。 ただのちっぽけな人間を五百年超、生きている吸血鬼が認めよう。 「そういえば、あんたは何を望んでサーヴァントになったんだ。どうも、あんたからは誰かに仕えるイメージが湧かなくてな」 こうして傲岸不遜な態度で自分に接する彼とは長い付き合いになりそうだ。 だが、不思議と悪い気分はしない。むしろ、気分は高揚している。 「言うなれば――――世界征服、かしら?」 人間は弱い。浅ましくて、力も足りない下等な種族である。 そんな人間に立場だけとはいえ仕えることになることが何と愉快なことか。 これを笑わずに要られるか、とレミリアは歯を剥き出しにして笑みを浮かべる。 「戯言だな」 「いいえ、真実にするのが私よ。貴方の願いも含めて、私が全てを手にするのは――決まっている」 運命の袂に集った主従が、月の聖杯に挑む。 【クラス】 ランサー 【真名】 レミリア・スカーレット@東方Project 【パラメーター】 筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運D 宝具B 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 対魔力:C…魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 【保有スキル】 吸血鬼:B…強靭な肉体、再生能力の賜物。 スペルカード:B…レミリアの持つ魔法を惜しげも無く使えるスキル。 飛行:B…両翼による飛行が可能。 【宝具】 『神槍「スピア・ザ・グングニル」』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-99 最大補足: 1人 魔力で生み出した高濃度の槍を生成。振り回すも良し、ぶん投げるも良し。 多種多様な使い方で敵を屠ることを可能とさせる武器。 【weapon】 なし 【人物背景】 500年以上を生きる吸血鬼の少女。 威厳や体面を重視しているが、性格は見た目通りの子供で非常にわがままである。 ツェペシュの末裔を名乗っているが、実際の血縁関係にはない。 また、吸血鬼らしく日光に当たると気化してしまうという設定がある。 【サーヴァントとしての願い】 世界征服? それと、鳴海歩の運命を見届ける。 【基本戦術、方針、運用法】 優れた身体能力を活かした白兵戦がベストの戦術である。 しかし、日光を浴びると気化してしまう弱点を持っているので朝昼に戦闘は行うことはできない。 吸血鬼という要素を頭に入れた活用をしなければ、辛い戦いとなるだろう。 【マスター】 鳴海歩@スパイラル~推理の絆~ 【参加方法】 残留した未練にゴフェルの木片が反応した。 【マスターとしての願い】 普通に生きていける身体が、欲しい。 【weapon】なし 【能力・技能】 類まれなる頭脳と何があっても折れない信念。 【人物背景】 世界一の天才と称される鳴海清隆を兄に持つ、兄に対して劣等感満載の高校1年生。 基本的にはクールで飄々とした少年だが、お人好し。 可能性、絶望といったものを信じない「持たざるものの強さ」を戦いを経ることに持つようになっていく。 ちなみに、彼の身体は、清隆のクローンという驚愕の事実が存在し、寿命は保ってあと数年と言われている。 それでも、前へ進むことをやめなかったことから、どんな事実を目の当たりにしても折れることはないだろう。 家事全般が得意であり、特に料理はプロ級の腕前。 【方針】 ムーンセルを探る。その過程で、別のアプローチが見つかったらそれを実行。 情報収集の過程で方針を定めていく。
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「はっ、はっ、はっ───」 少女は駆ける。 記憶は取り戻した。 聖杯戦争、そのシステムなどは全て頭の中に入っている。 しかし─── 「何なのだ、アレは・・・ッ!」 灰色の制服を風に靡かせ、駆けるその背後。 黒い図体をした理性の無い怪物が、その少女を狩らんと追い詰める。 (チィッ、まだ私のサーヴァントとも会えておらぬというのに!) このままじゃ、やられる。 追いつかれたのち、この身体を引き裂かれてこの体は無残に意思持たぬ肉塊へと成り下がる。 それだけは御免だ。 ここまで来て、記憶を取り戻して───あと少しのところでやられるなど、我慢の出来ようはずもない。 ならば、と。 少女は怪物に向き直る。 ───何度も繰り返した、内なる力を練る感覚。 「───『君臨者よ』」 掌を向け、正面の敵へ。 轟音を挙げながら、怪物は迫り来る。 直撃させる───己の意思は、その一点のみに向けられる。 「『血肉の仮面・万象・羽博き・ヒトの名を冠す者よ。 真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ!』」 ガン、と怪物が正面に到達する。 振り上げられる極太の右腕。 直撃すれば少女の身体などひとたまりもないであろう威力。 ───しかし。 彼女の身体には、触れることすらできない。 ふわり、と彼女の身体が浮き上がる。 死神として戦っていた時の身のこなし。 力を失った今でも、その動きは身体が覚えている。 「───!?」 怪物の驚愕の声が耳に届く。 それも当たり前だろう。 狙っていた子ウサギが、まるで虎のような魔力を身に滾らせ顔面直前にまで跳躍したのだ。 ビクリ、と本能が怪物の身体を震わせる。 ニィッ、と少女の口角が釣り上がる。 突き出された掌から沸き起こる魔力の奔流。 今更避けることなど、敵わない。 「破道の三十三───『蒼火墜』」 ───解き放たれた蒼き炎がその身は要らぬと焼き尽くす───!! 「*****───!!!」 蒼い炎に焼かれ、怪物が暴れ狂う。 顔面を蒼き炎が呑み込み、その皮膚を焼き、爛れさせ、その動きを止める。 ───それだけだった。 「****、**!!」 「な・・・に───?」 蒼火堕によって与えたダメージは、それだけだった。 普通のサーヴァントなら倒せないにしても、隙を作り逃げることも出来たかもしれない。 だが、目の前の怪物は狂戦士。 炎の痛みよりも、負ったダメージよりも、怒りと本能を最優先に行動する。 「****───!!」 グンッ!と速度を上げ、突進する狂戦士。 ───ダメだ、間に合わない。 避けようにも相手はサーヴァント。 本気でこちらを狩りにきたら、反応するのは至難の技だ。 「くっ、まだここでやられる訳には───」 言葉は、届かない。 彼女の 身体 は 無残 も 砕か ───訪れない。 確実に訪れるはずの死が、訪れない。 「───?」 どんっ、と。 間の抜けた音が、足元から鳴った。 「───すまねぇな、遅れた」 恐る恐る目を開く。 そこには、意識を失い地に落ちた狂戦士と。 「ああ、そうだ一応聞いておかねぇとな」 その狂戦士の身体の上に立ち、圧倒的な存在感を漂わせる者が一人。 その者はこちらに手を開き、一言告げる。 「───問おう。お前が俺のマスターか」 狂戦士の体がサラサラと風に乗って消えていく。 ルキアは無意識に、これが霊体化というものなのだと理解できた。 撤退。その二文字が、ルキアを安堵させる。 そして。 「危ねぇ!」 ビュン!とルキアの投げた革靴が目の前の大男の顔の真横を通り抜ける。 背後の樹木に当たった革靴はそのままクルクルと宙を舞い、ルキアの手元に帰還。 素晴らしいコントロールだった。 「たわけ!もう少しで死ぬところだったではないか! 予選を突破したというのに、一体貴様はどこに居たというのだ!?」 「はっはー、そんな目尻に涙溜めた状態で怒っても何も怖くなだから危ねぇ!」 二度目の投擲。 またもや顔面スレスレの場所に革靴が飛ぶ。 美しいコントロールだった。 「・・・まあよい。結果的に生き残った訳だしな」 怒りはまだ収まらないが、とりあえずひと段落。 目の前のサーヴァント───派手な鎧に着物を纏った男───についても聞かなければならない。 勝負の基本は己を知ること。 己を知り相手を知れば百戦危うからず、とは誰が言った言葉かは知らないが、まさにその通りである。 「貴様のクラスは───見たところ、セイバーか?」 ルキアは目の前の大男が背に負う大きな刀を見て問う。 これほどの大刀、誰が見てもセイバーのクラスと思ってもおかしくはない。 「いんや。俺はランサー、槍兵のクラスだ」 大男は、ランサーと名乗った。 ランサーと言えば、槍を主武装にするクラス。 とてもじゃないが、目の前の大男がランサーとはとても信じられなかった。 「む・・・?じゃあその大刀は何だ」 「ん?話すより見せた方が速いな。んじゃあちょっくら見せてやるよ、ッと!」 抜かれる大刀。 ───その名も、超刀。 ルキアの体躯など軽く越えるソレは、まるで重みなどないかのように軽々しくランサーの腕力で自由自在に動き回る。 そのまま超刀の柄に、超刀と仕舞うだけの大きさを持った鞘を差し込む。 ───これが、ランサーが槍兵として召喚された由縁。 あり得ないほどに巨大な槍、『朱槍』である。 「───大きいな。こんなものを振り回せるのか?」 「当ったり前よ!これしきのモン、軽い軽い」 ドンッ!と地面を揺るがすほどの音と共に、朱槍を地面に差し、自立させる。 「で、マスター。アンタの願いはなんなんだ」 ランサーの瞳がルキアを射抜く。 脳天気なようにも見えるが、彼も一流の英霊。 そして今回は共に戦う主従。 隠し事は、ルキアとしてもしたくはない。 「私は───力を取り戻したい。 緊急事態だったとはいえ、あるヤツに力を譲り渡してしまってな。 あやつ一人に戦わせるのは私としても嫌なのだ」 正直に、全てを曝け出した。 続く言葉は、迷いの言葉。 最初は、願いが叶うとの伝承を聞いて木片を求めた。 しかし、人の命を犠牲にしても、いいのだろうか。 「そのためなら・・・私は聖杯戦争で優勝することも考え「なんだ、簡単じゃねえか」───は?」 ルキアの苦渋の決断を、ランサーはいともたやすく打ち切る。 その顔には、祭りを楽しむような笑顔があった。 「力が欲しいなら丁度いい。ここは聖杯戦争、猛者の中の猛者が集まる大喧嘩の大祭りよ! 踊る阿呆に見る阿呆、こんだけのヤツらがいるんだ、踊って楽しんで強くなりゃいい!」 聖杯などに頼むより。 己の力を聖杯戦争の最中で磨けと。 ランサーは、そう言い放った。 「幸い、相手にゃ困らねぇ。鍛えたいってんなら俺が鍛えてやるよ」 そう、これがランサー。 祭りと喧嘩をこよなく愛し、恋と愛を掲げ戦場で踊り狂う。 天下一の傾奇者。 普段なら一蹴しているほどの、無茶な理論。 だが、今回ばかりは───その姿が、その声が『彼』に似ているからだろうか───この男を、信じてみたくなった。 「では、ランサー・・・私を強くしてくれるか?」 「おうよ!任せとけってんだ!」 ランサーは笑顔で言い放つ。 ここに。 力を失った死神と、天下一の傾奇者の主従が誕生した。 ランサーが地に突き立てた朱槍を引き抜き、空へと掲げる。 目指すは至高の英雄たちとの大喧嘩。 未だ見ぬ強敵に胸を踊らせ、彼は決意の一言を言い放つ。 「サーヴァント・ランサー───前田慶次。 此度の聖杯戦争にて、いざ、罷り通る───!」 【CLASS】 ランサー 【真名】 前田慶次 【パラメーター】 筋力B 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具C 【属性】 秩序・中立 【クラススキル】 対魔力 C 魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 【保有スキル】 傾奇者 A ランサーの生前の行いによって追加されたスキル。 威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。 恋のかけひき B ランサーの戦闘技術。 あらゆる行動を途中キャンセルし、動きの異なった攻撃を放つことで相手の反応外からの攻撃を可能にする。 不殺 B ランサーの誓いがスキルとなったもの。 如何なる時も彼の戦いは喧嘩であり、戦ではない。 相手を戦闘不能・撤退を選ばせる絶妙なラインを見定め相手を攻撃することが可能になるスキル。 しかし、相手を殺害したorしようとした場合、俊敏以外のステータスが一時的に一段階ダウンする。 心眼(真) B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 【宝具】 『喧嘩よ恋よの大回転 魅せるは前田の傾奇者』(バサラワザ) ランク:C 種別:大軍宝具 レンジ:5~40 最大補足:50 朱槍を掲げ、目にも留まらぬ大回転を行う。 一度受けたら最後、嵐のような大回転による連撃によって防御、逃走も許さず相手を斬り伏せ叩きのめす。 その威力、素早さ、範囲は凄まじい者があり、生前はこの技で多くの武士を戦闘不能に追いやったという。 『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地』(ゆめごこち) ランク:D 種別:- レンジ:ー 最大補足 ー ランサーの急速な自然回復能力が宝具にまで昇華されたもの。 その場で休息(睡眠)をとることにより、体力・魔力を大幅に回復することが可能。 【weapon】 超刀 ランサーの主武装。身の丈以上の大きな刀で、重量もかなりある。 しかしランサーはこの超刀を振り回し突き立て薙ぎ払い、アクロバティックな動きで強烈な一撃をお見舞いする。 朱槍 超刀の柄に鞘を合体させたもの。巨大な槍となり、威力も更に跳ね上がる。 【人物背景】 前田夫妻の甥っ子で、前田家の風来坊。 自由をこよなく愛し、戦よりも喧嘩好き。 京の都では、老若男女問わず彼を慕う者も多く、慶次の舞う舞は絶品だとも言われている。 束縛を嫌い、普段は前田軍に属しておらず、京都で自由に暮らす遊び人として扱われている。 京の町人からは老若男女問わず人気があり、京の遊び人達を仲間として連れている。 戦場では敵を殺さないが、これは彼の卓越した戦闘技術が成せる技であり彼が戦場で戦った相手は皆撤退扱いとなった。 行く行くは「新生・前田軍」の総大将となり謙信の依頼を受けて将軍・義輝との謁見に臨む。 今回は朱槍を扱っていたことがランサーとしての適性となり、現界した。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯戦争、この祭りを楽しむしかない。 殺しはしない。 【基本戦術、方針、運用法】 戦闘力・技術、共に高水準のサーヴァント。 基本は一対一。大勢の敵とも戦ったことがあるので二対一でもいけるだろうが少し厳しいか。 漢らしく一対一に持ち込み、傾奇者らしいトリッキーな動きで敵を翻弄し、強烈な一撃を叩き込もう。 相手を撤退・戦闘不能に追いやることに特化しているが、殺しをしようとしないのが最大の難点か。 拠点や集団を組んで安全な場所で『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地』にて回復を狙うのも一つの手だ。 使い方によっては色々な戦法が取れるサーヴァントであり、非常に万能である。 【マスター】 朽木ルキア@BLEACH 【参加方法】 ゴフェルの木片の伝承(願いを叶える)ことを聞き、浦原商店から盗み出す 【マスターとしての願い】 死神としての能力の復活 しかしランサーの提案により、この場で強くなれるのなら優勝して叶えなくてもいいと思い始めている 【weapon】 鬼道 【能力・技能】 死神の頃に培った身体能力。 主に鬼道を使用する。 死神の能力は殆ど失われているため使用不可。 使える鬼道は以下記載 破道の四 白雷 白い雷をビーム状にして発射 貫通力に特化している 破道の三十一 赤火砲 対象に向け火の塊を飛ばす。直撃すると爆発・炎上。 破道の三十三 蒼火堕 蒼い炎を発射する。並の虚なら一撃の威力らしい 破道の七十三 双蓮蒼火堕 蒼火堕の更に上の技。威力も桁違いに上昇している。 縛道の一 塞 四肢を己の背中で固めさせる。身動きが取れなくなり、その場で地面に伏せることとなる。 縛道の四 這縄 指先から紐上の光を発射。敵に絡ませ動きを鈍くする。 縛道の六十三 六杖光牢 六つの光の杖が、敵に突き刺さり動きを完全に止める。ダメージはないが身動きが取れなくなる。 威力は死神の力を殆ど失っているため、威力は下がりサーヴァントにはほとんど効かない。 対魔力Cもあれば完全に防がれてしまう。 しかし、人間に対しては十分の威力を持っている。 【人物背景】 護廷十三隊の十三番隊に所属し、物語開始時に初めての現世駐在任務として、本来は一ヶ月程の短期予定で空座町を担当していた死神。口癖は「馬鹿者」「たわけ」。 黒髪のセミロングで後髪がはね、真ん中辺りの前髪が鼻の付け根を通って左斜め下に向かって伸びている。 外見は小柄で、初期の頃は小学生だった一護の妹の遊子のパジャマがちょうど合うほど。 恋次曰く「どこか気品が漂っている」。 基本的にやや古風な固い言葉遣いで話し、男勝りで気が強いが、常に自分より相手を気遣う優しい性格。 一話目で一護の10倍近く生きていると言っているため、年齢は少なくとも150歳弱。 黒崎一護との接触の際、虚に襲われ重傷を負う。 家族を、ルキアを助けたいと願う一護に力を授けるが、その代わり自分の力を失ってしまった。 戦闘が続くにつれ、大虚などの強大な敵と戦う一護を見て「力があれば」と思うようになり、その時にゴフェルの木片の伝承を聞く。 浦原商店に忍び込み、手に入れることに成功した。 そして箱舟で出会ったサーヴァントは、背が高く身の丈ほどの大刀に漢らしい声。 どこか黒崎一護を思わせる青年だった。 【方針】 まずは情報収集。 力をつけるための手段も探す。 今のところは乗る気では、ない
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井之頭五郎&ライダー ◆bi4ho.tYN. (まいったなぁ……。なんだろう、ここは……。) 井之頭五郎は座り込んでいた。 五郎の仕事で旅をしたどの国とも違う、奇妙な空を眺め、煙草を口に咥え、紫雲を燻らせ、道に備え付けのベンチに、ただ座り込んでいた。 五郎は輸入雑貨商であった。それが、倉庫の商材の整理をしていたら、いつの間にか知らない場所にいたのである。 (見たところどこかの町みたいだが……) (いかんせん土地勘がない。どこへ向かえばいいんだか) (その上、いつのまにか左手に刺青のようなものができているし。これは困るな) たまたま所持していた、フランスの古物店で購入した木彫りの置物をなんとなく触りながら、 五郎は愚にも付かない、他愛のない思考を巡らせていた。 「何かお困りですか?」 「ああ、大丈夫です」 そこに一人の男が話しかけてきた。 (若いな。スーツ姿だが……営業だろうか) 「いいえ、あなたは困ってるはずですよ。俺だって困っているんですから」 「ですから、大丈夫で……あ、いや、あの…… おかしな話をするのですが……もしかして、あなたも、気が付いたら、いつの間にかここに?」 「察しが良くて助かります」 五郎は心の中で胸を撫で下ろした。 (どうやら、俺だけ、という訳ではないらしいな) (……ん? それっていうのは、つまり、こういうのが他にも居るかもしれない訳で) 「なおさら困るじゃないですか!」 「ええ、そうですね」 「あ、すみません……」 思わず飛び出てしまった大声に、五郎は謝罪した。 「まあ、ひとつ、そこのお店にでも入って落ち着きましょう。あ、私、斑鳩真と申します。 よろしければ、名刺をどうぞ」 「ああ、これはどうもご丁寧に。私は井之頭五郎と申します」 男から名刺を渡され、思わず五郎は上着を探り、名刺を取り出した。 (ん……。 どうやら、財布やカードケースは無事なんだな。 煙草もそのままだったし) (拉致、というには放置がすぎるな。なんなのだろうか) 「へえ、井之頭さんは輸入雑貨商を営んでいらっしゃるんですか!」 「そういう斑鳩さんは……ASE……ASE(エース)ですか!? あの国際的な人材会社の!」 「ええ、まあ。と、言っても既に引退してるんですけどね」 「いや、でもお若いのに素晴らしい。私はこういう商売なもので、ASEのお噂は色んな所から聞こえてくるのですよ」 「お上手ですね、井之頭さんは」 「とんでもない。あなたのお勤めだった会社が、それだけ立派なのですよ」 「否定はできませんね。私も誇りを持って勤めていたのですから。ただ、死んでしまったのですけれどもね」 「死んだからと言って、あなたのお仕事……え、死んだ?」 「そうなんですよ。でも、あなたのサーヴァント、ライダーとしてここに呼ばれてきまして」 (サーヴァント? ライダー? もしかして、関わってはいけない人だったのだろうか) 五郎は怪訝な顔をした。初見の他人がおかしなことを言っているのだ。当然である。 しかし、五郎にはどうしてもこのスーツの青年が、気が触れているようには見えなかった。 「そのような顔をしないでくださいよ、私だって非常に理解しがたい話をしているのは自覚しています」 ともなれば、この、困ったような顔になった青年を追い払おうとするのも気が咎めてくる。 (まあ、腹もペコちゃんだし……たまには知らない人間と飯を食べるのも悪くないか) 「分かりました、そこのお店で食事でもしながらお話をお聞きしましょう」 「ありがとうございます。井之頭さんが話の通じる人で良かった。これが百舌鳥なら……ああ、いや、なんでもありません」 (部下かなにかだろうか? やはり、会社勤めだと、そういうのも大変だろうな) (まあ、俺はこの体一つで十分だしな) (それにしても、この青年と飯を食った後……どうなっちゃうんだろうなあ、俺……) 【クラス】ライダー 【真名】斑鳩 真 【パラメーター】 筋力E 耐久E 敏捷D 魔力E 幸運C 宝具D 【属性】 中立・善 【クラススキル】 騎乗 A(C) 人造の機械に限り、ありとあらゆる物を乗りこなすことができる。 ライダーのクラスの恩恵により生物に対する騎乗も可能だが、本人が乗り気でないためランクは落ちる。 対魔力 E 騎兵のクラスに付与される対魔力。英霊自身に魔術的なものと遭遇した経験がないため、最低限のものになっている。 無効化はできないが、ダメージをいくらか低減できる。 【保有スキル】 心眼(真):A 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す判断能力。 ナビゲーション:C 一度通った道の構造、状況を完全に把握し、記憶できる。 ただし、自身の経験に無く、専門知識を必要とするトラップは看破できず、 破壊や劣化等の変化が有った場合は把握しなおす必要がある。 精神耐性 C 様々な局面を潜り抜け培った、相手の威圧を跳ね除け、自分のペースを保つ能力。 ライダーは殺害される間際にも揺るぐことはなかった。 【宝具】 『万機の操術士』(スーパーマルチドライバー) ランク D 種別 対物宝具 レンジ -- 最大補足 1 ありとあらゆる機械仕掛けの乗り物を乗りこなし、ありとあらゆる任務をこなした逸話の具現。 操縦するありとあらゆる物をDランク相当の宝具として扱える。 また、自身の敏捷、幸運も1ランクアップし、仕切り直しのスキルを得る。 【weapon】 無し。ASEエージェントとしてあらゆる乗り物を使用したのが仇となり、象徴となる武器が現れなかった。 【人物背景】 皆川亮二作品「D-LIVE」の主人公、斑鳩 悟の父。 国際的人材派遣会社「ACE」に所属する、ありとあらゆる乗り物を扱うエージェント、スーパーマルチドライバーだったが、 「東洋の破壊王(アジアンクラッシャー)」の異名を持つ元傭兵、火浦 剛斉との戦いの際、仲間を庇い負傷し、 仲間と分断され負傷の影響により殺害された。なお、火浦は後に負傷が無ければ殺せなかったと回想している。 非常に冷静で、分析能力と機転に富むが、言動にもそれが反映されているため、頭でっかちで説教じみているともとれる。 元傭兵の同僚を、登山で引きずり回せる程の体力を持つが、何かの乗り物が無ければ戦闘技術を持たない。 【サーヴァントとしての願い】 無念はあるが、それ以上に生前の同僚を信頼しているため、願いは無い。 あえて言うならば、ASEエージェントとして五郎の依頼を完遂したい。 【基本戦術、方針、運用法】 とにかく機械系統の乗り物に騎乗したい。 それができなければ、すこしサバイバル能力に長けるだけのおじさんである。 ぶっちゃけサーヴァントとしての本分を果たすことすら難しいだろう。 逆に、騎乗スキルさえ発揮できれば、戦闘能力を得、さらには逃走など生存には類を見ない能力を発揮するだろう。 【マスター】 井之頭 五郎(いのがしら ごろう) 【参加方法】 ムーンセルによる召還。 個人経営の雑貨輸入商である五郎の商材の中にゴフェルの木片が加工されたものが混ざっていた。 【マスターとしての願い】 無し。(というかまず状況を理解していない) 【weapon】 無し。 【能力・技能】 海外の輸入品を取り扱うため、ある程度の審美眼がある。 商談の交渉から経営、経理、倉庫の管理まで個人で執り行っている模様。 また、嗜む程度に肉体を鍛えており、一般人ならば容易く制する程度には古武術が扱える。 【人物背景】 漫画、「孤独のグルメ」の主人公。 個人経営の輸入雑貨商を営むいつもスーツ姿のハードボイルドな中年。 商売は上手くいっているようで、結構良い車に乗り、しかも度々乗り換えており、昼間から焼き肉食ったり、 夜食にコンビニで2000円近く買い物していたり、経済状況からその手腕がうかがえる。 基本的に物腰は柔らかく、周囲に合わせようとする良識人だが、半端に決断力があるのか結構思い切った行動にもでる。 そして大体ほろ苦い思いをする。 作中は基本一人のためボッチに見えるが、友人にお弁当のアドバイスを貰ったり、 商談の相手に甘味所を紹介してもらったり、女優と付き合ったことがあったり、別に人間関係が苦手ということは無いと思われる。 【方針】 食事をする。その後なんとか帰りたい。
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吉井明久・セイバー ◆mIEy19SzEw その木片を見つけたのは通学の途中だった。 宝箱に入っていたとか魔物からドロップしたとかそんなんじゃなくて、普通に道端に落ちていたんだよね。 何かあったとき雄二を殴るのにちょうど良さそうなサイズだったから思わず拾っちゃって……。 その後いつものように鉄人に捕まって、雑用をさせられることになって。 サ モ ン 「試獣召喚ッ!」 鉄人に逃走防止のアイアンクローをされながら、決まりきった文句を叫んで。 ポケットに入れた木片が光っているのを視界の端に捉えたのを最後に、僕の世界は暗転した。 【第一問】 ドリルを使う利点を答えなさい。 セイバーの答え 『360度回転するから攻撃力が360倍になる 』 マスターのコメント いやあり得ないよ! ……でも、僕より戦いに詳しいセイバーが言うなら本当なのかな? ということはドリルの二刀流なら720倍になるの!? 「――スター。おーい、マスター!」 誰かに身体を揺すられている。揺すられているということは、少なくとも雄二ではないことはたしかだ。 あいつが身体を揺するなんて優しい方法で僕を起こすわけがないもんね。 ムッツリーニはたぶん起こそうともしてくれないから、候補は秀吉ぐらいなんだけど……。 そんなことを思いながら目を開けると、目の前に知らない男の人が立っていた。 誰だろう。学校にこんな赤い服を着てきているってことは、少なくとも 生徒ではないよね。 ツンツンの茶髪。赤い服。紺のズボン。やっぱり赤いブーツ。腰に下げた二本の剣と鞘――剣? 「い、命だけはお助けをぉッ!?」 即座に起き上がって距離を取る。Fクラスで、試召戦争で培われた危険察知能力は伊達じゃない。 剣を持ってるなんて生徒ではないどころか明らかな危険人物だ。 いくらババアが腐りきっているとはいえ、そんな人が学校に侵入するなんて……ん? 「……あれ、学校は?」 辺りをよく見てみると、そこは学校ではなく屋外だった。更に言うと、朝じゃなくて夜だ。 おかしい。てっきり鉄人のアイアンクローで気を失っちゃったのかと思ってたのに。 いくら鉄人が鬼でも、気絶した生徒を外にほっぽり出して夜まで放置す るなんてことはないはず。 謎だ。僕の優秀なる頭脳を持ってしても現状が把握できない。 「ああっと、悪い、驚かせちゃったみたいだな」 うんうんと悩んでいると、男の人が声をかけてきた。 思わず身構えちゃったけど、その笑顔はすごく気さくで、Fクラスの皆のように性根が腐りきっているようには見えない。 もしかしていい人なんだろうか。完全に信用するのも危ないけど、よくよく考えてみれば僕の周りにいたのはこの人だけ。 そうなると、この人が何か事情を知ってるかもしれないよね。 聞いてみよう。 「あの、ここは一体……というか、君は?」 「人に名前を訪ねる前に、まず自分から名乗ったらどうだ?」 正論で返された。 雄二相手なら間違いなく文 句を言っていただろうけど、今ここで文句を言ったら斬られるかもしれない。 「あ、うん。僕は吉井明久」 「明久か、よろしくな! 俺はロイド・アーヴィング。明久のサーヴァントだ。クラスはセイバーだぜ」 「ロイド、ロイドね。うん、よろしく」 男の人――ロイドはどうやら僕のサーヴァントらしい。 セイバーのクラスを引けるなんて、かなりラッキーな……。 そこまで考えて、ある疑問が頭に浮かぶ。 サーヴァント。セイバー。 それらは馴染みのない言葉のはずなのに、意味をすぐに理解することができた。 聖杯戦争を戦うマスターに召喚される英霊。その中でも最優と呼ばれる剣士のクラス。 聞いたこともない単語なのに、どうして僕はそれを知っていたんだろう? 不思議なのはそれだけじゃない。色んな知識が次々に頭に浮かんでくる。 願いを叶える聖杯。それを巡る聖杯戦争。 99 名前:吉井明久・セイバー ◆mIEy19SzEw[] 投稿日:2014/07/02(水) 03 22 15 ID jN4nCsV.0 [5/9] 覚えようとしたわけでもない知識を完全に暗記しているというこの状況。 ……どうしてこれを勉強に活かせないんだ! 僕の馬鹿! こんなことができるなら、勉強しなくてもテストでいい点をとれるのに! 「……ぷっ、明久、お前面白いな!」 頭を抱えていると、ロイドが僕を見て吹き出していた。 人の悩んでいる姿を見て笑うなんて失礼な。 「それでさ、明久。明久はこの聖杯戦争、どうするんだ? いや、どうしたいんだ?」 文句を言ってやろうかと思ったところで、ロイドが真面目な顔で聞いてきた。 どうしたいか。それはつまり、優勝を目 指すのかどうかということだろう。 優勝すれば願いを叶えられる。でも、負けたら消滅してしまう。 文章にしてみればシンプルで、それでいてすごく恐ろしい。 それなのにそれを自然に受け入れているのは、やはりそれを知らぬ間に知っていたからなんだろうか。 でも、願いが叶うってのは魅力的だけど、思い浮かぶ願いといえば頭が良くなりたいとかゲームがいっぱい欲しいとかその程度。 それが死んじゃう危険を冒してまで叶えたい願いかと言われると……違うよね。 それに、これは試召戦争とは違う。相手を倒すということは相手を消滅させちゃってことだ。 別室送りで済むなんてことはない。 「うん、僕は……僕は、この聖杯戦争には、乗らないよ」 「そっか。じゃ、どうする か考えないとな!」 僕の言葉に、ロイドはあっさり頷いて笑顔を見せた。 ……あれ、サーヴァントとして召喚されるってことは、ロイドも何か願いを持ってるはずなんじゃ……。 「えっと、ロイドはそれでいいの?」 「ああ。明久がそう決めたんなら、俺はサーヴァントとして協力するよ」 「でも、ロイドの願いは?」 「たしかに俺にだって願いはあるけどさ。なんでも叶うものでそれを叶えちまったら面白く無いだろ? それに、そんなものに頼らないで、皆の力で叶えなくちゃいけない願いだってあるしな」 皆の力で叶えなくちゃいけない願い。 そう口にするロイドは、どこか寂しそうだった。 「さて、方針も決まったところで、明久に俺の武器を知ってもらわ ないとな」 「武器っていうと……宝具のこと? その剣とか?」 ロイドが腰に刺している剣を指さす。 セイバーのクラスなんだから、きっと宝具も剣のはずだ。 でも、ロイドから返ってきたのは意外な答えだった。 「いや、これは宝具じゃないんだ。大切なものだけどな」 「あれ、そうなんだ」 「ああ。俺の宝具は二つあって、その片方が剣なんだけどさ……今は見せられないんだよな」 「消耗が激しいとか?」 「そんなところだな」 消耗が激しいものを無闇に使いたくないのはよくわかる。 僕だって必要でなければフィードバックのある試験召喚獣は使いたくないもの。 ……まあ、そう考えていても結局必要な場面が来ちゃうんだけど。 「もう一つの宝具 は?」 「そっちは――」 宝具の説明を受けたところで、目覚めた直後から気になってみたことをロイドに聞いてみる。 「そういえば……剣が二本ってことは、ロイドって二刀流なの?」 「ああ、そうだぜ」 「二刀流かぁ。かっこいいよね」 「おお、明久も二刀流の良さがわかるのか!」 「うん、知り合いにも二刀流がいるけど、たまに羨ましくなるよ」 「手数の多さが魅力だし、それでいて強さの真髄はシンプルなのがいいよな」 「強さの真髄?」 「もちろん――」 一呼吸置いて、ロイドは自信満々に言った。 「剣が二本で二倍強い! これしかないぜ!」 ロイドとは仲良くなれそうな気がする。 そう、強く感じた瞬間だった。 【マスター】吉井明久@バカとテストと召喚獣 【参加方法】『ゴフェルの木片』により召還 (雄二を殴るために拾った木片がたまたま『ゴフェルの木片』だった) 【マスターとしての願い】生還 【weapon】なし 【能力・技能】試験召喚獣という自分によく似た召喚獣を呼び出せる。 その力はテストの点数次第であるが、明久は馬鹿であるため能力値自体はそれほど高くない。 その代わり、観察処分者として雑用などをするために物に触れる(本来試験召喚獣は物に触れない)ようになっている。 また、雑用をこなしているため他の生徒と比べると召 喚獣の操作が上手い。 【人物背景】テストの点数によって強さが決まる召喚獣を用いて戦う『試喚戦争』を導入している文月学園の生徒。 学力によって分けられる6つのクラスのうちの最低ランクであるFクラスに所属している。 Fクラスのメンバーがあまりにも性根が腐っていることもあって、荒事にはある程度慣れている。 【方針】聖杯戦争には乗らない。 【クラス】セイバー 【真名】ロイド・アーヴィング@テイルズオブシンフォニア 【パラメータ】筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具EX 【属性】秩序・善 【クラス別スキル】対魔力:B 騎乗:D 【保有スキル】精霊の加護:B 大樹の精霊の加護を受けている。一定ランク以下の精神干渉を無効にする。 道具作成:E 手先が器用。魔術的なものは作れないが、様々なものを加工することができる。 【宝具】 「時統べる永劫の剣 -エターナルソード-」 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:??? 最大捕捉:??? 精霊王より与えられし時間と空間を操る魔剣。世界を二つに分かつほどの力を持つ。 ロイドが持つマテリアルブレード(weapon参照)を融合させることで発動が可能。 「天駆ける蒼翼-天使化-」 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 自らの身体を無機生命体化し、それによる耐久の向上などの恩恵を受ける。 また、その背中にはマナ(この聖杯戦争では魔力)で構成された翼が出 現し、飛行が可能となる。 【weapon】 マテリアルブレード…フランベルジュとヴォーパルソードからなるロイドの愛用の二刀。 フランベルジュは炎の、ヴォーパルソードは氷の属性を持つ他、二刀を融合させることでエターナルソードとなる。 【人物背景】 ドワーフの義父に育てられた少年。 世界再生の神子である幼なじみコレットの旅に同行する中で、彼女の身に起こる天使化の弊害に心を痛めながらもそれを助ける。 「目の前の人間も救えなくて、世界再生なんてやれるかよ!」 などの信念を持つ優しい理想論者であり、その強き想いが精霊王にも認めらろ、かつて二つに分かたれた世界を統合する「真の世界再生」を成し遂げるに至った。 なお、17歳であるにも関わらず九九ができない他、「一刀で100の力なら二刀流にすれば200の力になるだろ」というロイド理論により二刀流を選択するなど、学力に関しては少々残念な頭脳の持ち主である。 【サーヴァントとしての願い】 現段階では不明。 【基本戦術、方針、運用法】 マスターに従う。
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君は 刻の涙を見る 配点(人の心の光) ―――――――――― 本日の最後の授業は、特に問題もなく終わった。 最初は武蔵アリアダスト教導院とは勝手の違う授業に戸惑いもしたが、思いの他すんなりと慣れる事ができた。 それは正純本人の適応力もあるかもしれないが、それよりも『日常』の中で覚醒を待っていたあの予選期間、その記憶によるものが大きい。 ……もしかするとあの予選期間は、この聖杯戦争における日常生活に慣れさせるためにもあるのか? 自分のようにこの世界の常識からは遠く離れた世界に住む人間を呼び出しても、どうしても齟齬が生じる。 同じ時代の人間であったとしても、住む地域の違いなどでやはり生活の違いは現れるだろう。 そこで記憶を奪い、この世界の人間としての生活を経験させることで異世界の常識を頭の中に刷り込む。 推理としては筋は通っている、と考える。 そしてこの推理が当たっている場合、 ……やはり聖杯は、この方舟の中での『再現』に重きを置いている可能性が高いと思う。 このような手順を踏んでまで、冬木市を戦争の場に選んだ。 それを更に一歩進めれば、 ……聖杯がもし『この土地』での聖杯戦争に価値を見出しているのなら、その理由があるのは冬木市自体に関連するものじゃないのか? 無論、推論に推論を組み合わせた拙い論理だ。明後日の方向を向いている可能性がないとは言えない。 だが、それでもこの聖杯戦争を理解する助けとはなるだろうか。 ……ともあれ、今は目の前にある事から片付けないとな。 終礼の終わった教室を出て、幾らか足早に歩いていく。 玄関口へと向かう廊下の途中。そこでまた、柳洞の姿を見かけた。 「柳洞、すまないが今日はこのまま帰らせてもらうぞ」 「ああ、先刻言ったアズナブル候補の後援会の会合だろう? 岸波の件もよろしく頼んだぞ」 軽く挨拶を交わし、柳洞と別れる。短い会話の内にそれでも脳裏に浮かぶのは、 ……岸波白野の件となにか隠している様子の遠坂凛、どちらを優先すべきか。 普通に考えれば、事前に約束をしている岸波白野の方に行くべきだろう。 ただ正純としては、予選において知り合いだった遠坂凛に対しても幾らかの情は存在する。 ……しかしまあ、情にかまけて決め事を流してはいかんな。 政治家として、一度口にした事を「記憶にございません」とやるのは最後の手段だと父が言っていた。 それに、こちらに仕事を任せてきた柳洞の信頼を無碍にするのも気が咎める。 遠坂凛について調べるのは、会談の後でもいい筈だ。 ……流石に、私一人で【B-4】に行くのは無謀だろうしな。 先程も確認した通り、遠坂凛の家は【B-4】にある。 おそらくそこでは今も何らかの形でサーヴァントの陰謀が進行中の筈であり、そこに正純一人で向かうのは非常に危険な行いだろう。 それこそライダーとの相談ではなく、協力が必要だ。 ならば岸波白野だが、こちらにも問題がある。 ……バス代、やっぱり必要だよなあ。 岸波白野はバス通学のようだ。 それなりに近場である冬木ハイアットホテルならばともかく、河を越えた新都まで行くとなると徒歩ではアズナブル候補との会合までには間に合わないだろう。 バスを使えば岸波白野の家を訪問し爆発事故の現場について見て行くくらいなら十分間に合うだろうが、 ……いや、バスにも乗れないほど困窮してるってわけじゃないけどな!? 別にそういうわけではない。 そういうわけではないが、しかしバス代を払えば明日以降の食生活に不安を残すのは間違いない。 ……父にその辺ねだるのは心苦しいんだがなあ。 とはいえ、何らかの臨時収入が欲しいのも確かだ。 これからも聖杯戦争を戦わねばならない以上、現金が必要な事案が来ないとも考えられない。 ……あー、虚空から金塊でも湧いて来ないかなあ。 沈鬱な気分でバスに乗り込み、他の座席からの死角となる位置で表示枠を開く。 ●副会長:『私だ。今学園を出た』 ●戦争狂:『そうか。こちらも先程彼等と話を済ませて来たところだ。結論から言おう、彼等は乗って来たよ、君との交渉にな』 ●副会長:『そうか。……一応聞くが、相手の機嫌を損ねたりはしなかっただろうな』 ●戦争狂:『なに、実に楽しい、そして有益な会話だった』 ……それ、相手の反応については一言も書いてないよな。 大丈夫なんだろうな、と正純が懸念した次、表示枠に少佐の新たな言葉が浮かんだ。 ●戦争狂:『そして、これでお膳立ては整った。後はそう、君の、そう君の出番だ武蔵副会長』 ●副会長:『……ああ』 その言葉の意味はわかる。 少佐はアズナブル候補との交渉をセッティングした。正純の方針を達成するため、自らの役目を果たした。 ならば後は正純の役目、という事だ。 ……私達にとっての聖杯戦争の行方は、私に任せられたという事か。 それは信頼なのか、あるいは見定めなのか。 どちらであっても、 ……重いな。 しかしどちらであっても、それに応えなくてはならない。そう思う。 ……っ、と。 不意に正純は、こちらも少佐に報告しておくべき話題があるのを思い出した。 ●副会長:『それと、一つ用事ができた。冬木ハイアットホテルに行く前に、寄らせてもらいたい場所がある』 ●戦争狂:『ほう? 何処だね』 ●副会長:『学園で、今日登校してきていない生徒の一人の様子を見て来るように頼まれた。例のアズナブル候補が絡んだ爆発事件が起きた場所の近くだし、そちらが問題無いならば後援会の会合の前に寄って行きたいんだが』 ●戦争狂:『……ふむ』 ●副会長:『幾らか軽率だったかもしれないが、少しでも情報が手に入るならそれに越した事はない。ただでさえ私達は戦力が不安だからな』 ●戦争狂:『ああ、いや、いや。別に責めるつもりは無いとも、武蔵副会長。君の言う事はもっともだ』 ●副会長:『そう言ってくれると助かる。後援会までには戻る予定だからそこまで入念に調べるつもりもないが、なるべく気をつけておく』 ●戦争狂:『では待っているよ、武蔵副会長』 ●副会長:『……あ、いや、ちょっと待ってくれ』 ●戦争狂:『む?』 もう一つ、聞いておくべき事を思い出した。少佐が解決策を持っているとも思えないが、ないよりはマシだろう。 ●副会長:『私の現状とはそこまで関係の無い事なんだが、なにかお金になりそうな物に心当たりはないだろうか』 ●戦争狂:『そこまで貧困極まっていたのかね君は』 ……バレるよなー、そりゃ。 ●副会長:『……申し訳無い話だが、かなり』 ●戦争狂:『だろうな。余程切羽詰っていなければ、君はそのような要求などするまい』 ●副会長:『……ああ。サーヴァントである少佐に金の話をしても仕方ないとは分かっているが……』 ●戦争狂:『いや、問題無い。そちらから言ってくれれば、必要な分だけ援助しようじゃないか』 ●副会長:『……む? ありがたい話なんだが、しかし何処からそんな金が出てくるんだ?』 ●戦争狂:『うむ。私の固有結界に手を突っ込んでだね、そこから金塊を取り出してきたのだよ』 ……本当に虚空から金塊が湧いて出るのかよ! 憤りのようなものを感じないではないが、しかし助かるのは事実だ。 そこに突っ込むのはよしておこう、と結論する。 ●戦争狂:『しかし、だ。アルバイトまでしているというのに、何故そこまで困窮しているのかね?』 ●副会長:『え? ああ。アルバイト代とかほとんど本に回してるからなー……』 ●戦争狂:『………………』 ……あれ? 通神が切れてしまった。 なにかマズかっただろうか、と思案する正純を乗せながら、バスは橋を渡っていく。 ◆ 本多・正純。 それがあのライダーのマスターの名前らしい、とシャア・アズナブルは知った。 あのライダーの伝えてきたところによると、ライダーのマスターと自分の会談は『この冬木にいる政治家の子息であるライダーのマスターが、親の伝手を使って現職政治家であるシャアに挨拶をする』という形で行うそうだと聞いていた。 ならば近々その親からの接触があるだろうと思っていたが、果たして会合の準備中シャアに声をかけてきた男がいた。 本多・正信。確かにその名前はシャアの記憶の中にもある。冬木市議会の議員の一人で、小西という商売人とよく一緒にいる男だ。それは癒着ではないのかと思う事がなくはないが、厳格な男と通っているようだしそういう事はないのだろう。 その男が、シャアに自らの娘が会ってみたいと言っている、と言ってきた。 タイミングからして、これがライダーのマスターの事に違いないだろう。 ――要件を伝え終わった後邪気の混じった視線で睨んできたり、去りながら小西とリアル幼な妻がどうとか声を潜めて喋っていたのは何だったのだろうか。 それは置いておくにしても、 (……意外だな。あのような男が認めたマスターが、20にも満たない少女だとは) 無論、年齢のみで判断するのは危険だと解ってもいる。 シャアも、そしてそのライバルと呼べる男も初陣は20になる前だった。 そして、あのライダーは年齢で己の判断を誤る男ではあるまい。 (油断はできんな。あるいは魔物かもしれん) 「……マスター?」 「む」 内心の緊張を気取らせてしまったか、傍に控えたアーチャーが心配するように声をかけてくる。 (……情けない男だな、私は) 思えば、アーチャーには負担をかけてばかりいる。 それを詫びても、彼女には「大丈夫」と返されてしまうだろう。 だからシャアは、努めて普段通りを装いながら返答する。 「なに。それより、君にもここで仕事をしてもらわなければならない。できるか?」 「ええ、大丈夫よ。マスターこそ主賓さんなんだから頑張ってね?」 「はは、手厳しいな。やってみるさ」 そう、まだ見ぬライダーのマスターより先に、シャアにはせねばならない事がある。 会合の準備へと、再びシャアの意識は埋没していった。 ● 冬木ハイアットホテル、後援会の会合の会場へ続く通路を急ぎ足で歩きながら、正純は幾らかの後悔と収穫を同時に噛み締めていた。 ……いかんいかん、聞き込みに夢中になってたら少し遅れてしまった。 結論から言うと、岸波白野に会う事は叶わなかった。 部屋には鍵がかかっており、呼び鈴を鳴らしても反応がなかったのだ。居留守を使っている事も考えたが、外から調べられる範囲では中に人がいる様子もなかった。 よほどの事がない限り、家の中にはいない、と考えた方がいいだろう。 そこで周囲の住民に岸波白野を見なかったか聞き込みをしたところ、 ……早朝に綺麗な女性と出ていくのを見ていた住民がいた、と。 そして、 ……その女性は巨大な角と尻尾を持っていた、か。 十中八九、その女性はサーヴァントだろう。岸波白野は、聖杯戦争に関わった事柄で家を出たと見て間違いない。 岸波白野がそのサーヴァントのマスターなのか、それともサーヴァントに魅了の魔術をかけられて連れ出されたのかは定かではないが―― ……後者ならまだ生きている可能性は低いだろうな。 政治に太いパイプを持ち、前総理の遺児という立場を持つシャア候補の場合は魅了して傀儡に使う、という推理も立てられたが、ただの学生という身分である岸波白野を魅了したところで得られる利益は少ないだろう。 学生という身分を利用して学園を探らせるというのも考えられなくはないが、岸波白野が今日学校に来ていない以上その可能性も低い。 ならば考えられる利用法は一つだ。 魂喰い。 ヒトの魂を喰らい、魔力とする手段。 岸波白野がその標的として選ばれたならば、もはやこの世にはいないだろう。 ……柳洞には言えない話だな。 だが、逆に岸波白野がまだ生きているならば、それは彼がマスターである可能性が非常に高いということだ。 そして、もしその推測が正しければ、サーヴァントを実体化させて連れ歩いているという事実、そして学園を休んでどこかへ出かけているという行動から、彼もまた聖杯戦争に対して積極的である可能性は高い。 ……もし見かける事があったら、接触を視野に入れるのも悪くない、か? 無論聖杯戦争に対して積極的、ひいては好戦的であるならば、接触には細心の注意を払う必要がある。 シャア候補との交渉の結果も考慮に入れて決めていくべきだろう。 それよりも、そのサーヴァントが「角と尻尾」という明らかな異形であったにも関わらず、住民がそれを「派手なアクセサリー」程度にしか受け取っていなかったのが気にかかる。 異族の存在が珍しくない武蔵ならばともかく、冬木市にはそのような住民の姿はない。だというのにそれが大きな異常として受け取られないというのは、NPCが“特異な外見”程度の異常ならば異常として認識しないように操作されているのではないか。 方舟がNPCに対してそのような措置を施す理由は、 ……聖杯戦争を円滑に進めるためか。 サーヴァントのみならず、異形を持ったマスターがこの方舟に呼ばれている可能性はゼロではない。 正純の場合にしても、あの木片を受け取ったのが有翼族のナルゼやナイト、半竜のウルキアガだったならば、彼等がこの聖杯戦争に参加していたかもしれないのだ。 マスターがそのような人物だった場合、いちいち奇異の目で見られていては日常生活を送るのは難しくなってしまう。 日常生活を円滑に送らせるために、NPCが過剰に反応しないようにしているというのは十分考えられる。 ……やはり、聖杯には聖杯戦争を遂行させるための意思がある。 方舟の中での聖杯戦争を成立させるための『解釈』を、ここまで細かく行っているのがその証拠だ。機械的なやり方では、こうも細かくは設定できまい。 問題は。だというのに何故、ルール違反を犯した参加者を直接処罰しないのか、ということだ。 ……あるいは意思があるからこそ、処罰をしないのか? もし意図あっての措置だとして、この実質放置にも近い措置が、何を意図するのか。 情報が少な過ぎる。どうにかしてB-4、あるいはルーラーや管理者に接触できないものだろうか。 「……、っと」 廊下の終わり。後援会の会合の会場へと続く扉の前で、おそらくは正純を待っていたのだろう人が立っていた。 父だ。 本多・正信は、普段通りの厳格な表情のまま正純に問うた。 「予定よりも少し遅いが、どうした」 「すみません。学園での友人が休んでいるらしくて、様子を見に行ったら予想外に時間がかかってしまって」 「……そうか。誤差の範囲内ではあるが、遅れるならば連絡を入れろ」 「……申し訳無い」 「いい。予定よりは遅いが、間に合ってはいるのだからな。行くぞ。シャア候補は既に会場に入っている」 ……ここからが本番か。 知らず緊張していた体を、大きく深呼吸して解していく。 気合を入れ直した正純は、父に促され後援会の会合の会場であるホールへと入室した。 ● 正純が末席に座った後援会の会合は、熱気に満たされていた。 多くの人で賑わったホールの中。主賓の席を用意された男が立ち上がり、聴衆へと演説している。 「本日はお集まり頂き感謝する。議員選を前にし、これだけの人数に集まって頂けたことに感謝する」 シャア候補だ。金髪をオールバックにまとめた、品の良いスーツを着た男は、その熱弁を大いに振るっていた。 「議員選に当たっての私の理想は明らかだ。 私の父の理想、それはまだ果たされていないと愚考する。ならば私の理想も、父のそれに準ずるべきだろう」 「そう、人類の宇宙進出、ひいては地球の保護、そして人類の革新である」 ……調べた通りだな。 正純が事前に調べた前総理の演説においても、同様の思想について語られていた。 将来的に人類は宇宙に上がる事で成長し、そしてこれまで負担をかけてきた地球を浄化する必要があるという、ある種の聖地思想だ。 「父ジオンは、この志半ばで倒れた。ならば私は、その志を継ぎ、理想を実現させなければならない!」 ……大したカリスマだな。 人類の宇宙進出、人の意識の変革による新時代、地球の保護。どれも余人が言えば、この世界ならば夢物語か妄想と断じられておかしくない内容だ。 しかし、シャア候補の演説には、確かにそれを実現できると信じられるカリスマ性がある。 正純とて各国の代表達との幾度もの交渉を経た身だが、シャア候補の器は彼等に優るとも劣らないだろう。 自らの挑む相手を再確認し、知らず生じた震えを、しかし正純は抑え込んだ。 ……いかんいかん、交渉の前から呑まれるところだった。 そしてそれよりも正純が気になったのは、 ……これ、私も知ってる、よな? ◆ 演説を終えたシャアは、後援会の人々と語らう中、一つの思いを確信に至らせていた。 (やはり……人々が危機に対して他人事にすぎる) 昼頃にガルマとの会話で得た直感と同じだ。 この冬木市の異変に対して、人々の危機感覚はシャアからすれば鈍感すぎる。 無論、個々の事件については物騒だと噂しあったり、注意喚起を促したりしているのはわかる。だが、聖杯戦争に対しては無防備極まりない。 (歪んでいる、か) 先程のライダーとの会話、それが脳裏を過ぎる。 単なる能力テストであるならば、NPCの存在は不合理にすぎる。 しかし戦争を模したにしても、この戦争は制約が多すぎる。 (……いや、ここまでだな) すぐ後に、ライダーのマスターとの面会が控えている。 彼女は雑念を抱いたまま相対できる相手ではないだろう。今はそのことに気を向けるべきだ。 「アーチャー、正信氏をお呼びしてくれ」 「いや、その必要はない」 シャアがアーチャーに声をかけてすぐ、人混みの奥から聞こえてくる声がある。 二つに割れた人混みの間を抜けてくるのは、本多・正信だ。その後ろには、ロングヘアの黒髪を後ろに流した少女の姿がある。 正信はシャアの眼前まで辿り着くと、背後の少女を促すように、 「シャア殿。こちらが先程お話した私の娘だ」 「……本多・正純です」 そう言って、本多・正純はシャアへと会釈した。 「ああ、既にお父上に話は聞いている。その若さで、だそうだな。私がシャア・アズナブルだ」 挨拶の言葉を交わしながら、シャアは正純を観察する。 (なるほど。悪くない) 邪気は感じない。年少ながら、気張っている様子もない。 若さはあるが、それも真っ直ぐさであり、即ち原動力として捉えられる。 (あのライダーが認めるならば、この程度は当然か) やはり油断ならない相手か、と確信しながら、シャアは話を続けた。 「部屋は用意してある。会合が終わったら話をしよう」 「光栄です」 ◆ 会合の後、シャアが冬木ハイアットホテルに用意した一室に二人のマスターと二騎のサーヴァントは集まっていた。 「ここでは敬語はいらない。方舟での役職はともかく、我々は聖杯戦争を戦うマスターという点では同等である筈だ」 片方はシャア・アズナブルとアーチャー。 もう片方は、 「配慮頂き感謝する。――では、交渉を始めさせて貰おう」 本多・正純とライダーだ。 「交渉、か。そういうからには、何らかの要求があると見てよろしいのだな?」 「ああ。だが、その前にまず一つ、聞いておきたい事がある。その後に、私達の目的についても話そう。 ……よろしいだろうか」 ソファに腰かけたシャアの前。同じようにソファに座る正純は、シャアを正面から見据えている。 それに応じるように、シャアも正純を見据えた。 「構わない」 「ありがたい。……シャア候補、貴方は『聖杯戦争の存在を知って、この聖杯戦争に参加したマスター』だろうか」 「……ふむ?」 質問の意図が掴めない、とシャアは困惑する。 単純に、この聖杯戦争に対して積極的かどうか、なら話はわかる。 だが、事前に聖杯戦争の存在を知っていたかどうかとはどういう事か。 (……ええい、ままよ) 質問の意図が掴めない以上、言葉を弄する意味もない。真実を語る他ないだろう。 「……いや。私がここに来たのは、半ば事故のようなものだ。聖杯戦争の事は知らなかった」 「成程、そうか。……感謝する」 シャアの返答。それに対する正純の声に、シャアは落胆の色を微かに感じ取る。 (聖杯戦争を知っていたマスターである方が、彼女にとって都合が良かったという事か?) 「失礼した。では、私達の目的について話そう。 ――私達の目的。それは聖杯との交渉だ」 訝るシャアを前に正純の続けた言葉。それは、シャアの困惑を更に深めるものだった。 「……聖杯との交渉?」 「それってどういうこと? 聖杯って……聖杯戦争の、聖杯よね?」 横に控えていたアーチャーが、シャアの疑問を代弁するかのように問うた。 聖杯。この聖杯戦争を勝ち残った者に与えられる、万能の願望機。 それと交渉するとは、一体どういう事なのか。 「簡単な話だ。聖杯には意思がある。聖杯が意思のないただの装置であるならば、このような聖杯戦争は起こらず、もし起こったとしてもこのような形にはならないだろう。 故に、聖杯には、そして聖杯戦争には“解釈”の余地があると私は判断する」 (……なるほど) それは先刻のシャアの疑問。歪んだ形の戦争への一種の答えでもあった。 歪んだ形の戦争。それが行われているならば、それを行わせる意図が存在する。 意図があるならば、それと会話を試みる事は不可能ではあるまい。そして、聖杯戦争を別の形で行わせる事も。 (それが可能ならば、人々は聖杯戦争から解放される。――さながらニュータイプだな) ニュータイプ。お互いに判りあい、理解しあい、戦争や争いから開放される新しい人類の姿。そう父が提唱した、新しき人類。 聖杯との交渉による聖杯戦争の終結、それが成されるならば、それはある種のニュータイプの理想の形と言っても過言ではあるまい。 だが、シャアの世界でのニュータイプが戦争の道具と化してしまったように。 本多・正純の思想は、反面更なる戦いを呼ぶ火種となる。 シャアには同時に、それも理解できた。 「確かに理はある思考だ。しかしそれは余地があるというだけで、相手が交渉の場に着くという保障ではない。 もし聖杯が交渉を蹴ったとしたら?」 半ば答えを予想しながら、シャアは問いかける。 相手がライダーのマスターであるならば。あの戦争の英霊のマスターであるならば、答えはひとつだろう。 「その時は戦争するさ。――聖杯とな」 ◆ 横のアーチャーが息を呑む気配を感じ取りながら、やはりか、とシャアは対面の正純を見据えた。 正対する正純は言葉を続け、 「この戦争は間違っている。私は、この間違った戦争で理不尽に喪われる命を認めない。 彼等に対し、死ねばいい、などとそんな言葉を信じるつもりはない」 だから、と一息吐いて、 「戦争をしよう。彼等が喪う事を望むなら、私は喪わせないために彼等と戦争をする。 聖杯戦争を、正しい戦争として彼等の鼻先に突き付けてやろうじゃないか」 言い切った。 「故に、私が求めるのは私達との同盟だ。聖杯と戦争する為のな」 (……戦争の為に戦争をする、か。……あのライダーが認める訳だな) 本多・正純が言ったのは、つまりそういう事だ。この聖杯戦争という舞台の上で、本物の戦争をする。 彼女にとっての戦争は、交渉と手段として等価だ。無論戦争よりは交渉を優先するだろうが、その交渉が成立しないならば躊躇いなく戦争の引き金を引くだろう。 (悪しき人間ではないが……しかし危険だな) 才覚がある。若さがある。度胸がある。 故に、それを実行し得る。彼女は正道の人間でありながら、同時に戦争を振り撒く人物だ。 しかし―― (正道であるのも事実、か) シャアは隣に座ったアーチャーの様子を伺う。 横目に見た彼女は、迷っているように見えた。 (無理もない) 彼女が戦争を厭うのは知っている。しかし同時に、敵すらも救いたいと願っているのも知っている。 本多・正純の目的は、それを同時に突き付けるものだ。彼女にとっては、二律背反に近いだろう。 故に、シャアが測らなければならない。 「なるほど、そちらの方針は理解した。ならばこちらの方針も明かそう」 本多・正純は、果たしてシャアが人類への希望を見るに値する人物なのか。 「私達の目的。それは、この聖杯戦争を通じて人類の行く末を見極める事だ」 「……人類の行く末?」 聞き返す正純に対して、シャアは言った。 「――幾度の戦争を経ても人類はそれから学ばず、争いと弾圧を繰り返し地球を汚染する。それが私の世界の人類だ。 故に私は、彼等に絶望した」 そうだ。過去シャア・アズナブルは、人類に絶望し、地球に蔓延る人々を抹殺しようとした。 だが、 「今、私は人類の可能性を知りたい」 それも現在の事実だ。今のシャア・アズナブルは、迷っている。 人類は裁かれるべきなのか、そうではないのか。 人の心の光、それが真実なのかどうかを。 「故に本多・正純。幾多の戦争を経た者が、戦争を望む者に問おう」 「戦争の先に、君は新しい時代を作る事ができるか?」 ● ……人類の行く末、か。 正純は、シャア候補の問いに正対した。 相手はライダーと違い、戦争を経た英雄にして、戦争を厭う者だ。 戦争を求めたライダーとは、求める物が違うし、交渉の仕方も違う。 この段に及んでも、ライダーは沈黙を保っている。しかし、視線と熱はある。 私は語るべきは語った、今度は君の番だ、と。 ……そうだな、私は知っている。シャア候補が求める答え、その一つを。 だから、正純はそれをシャア候補に伝えなければならない。 交渉材料として、そして、 「シャア候補」 「私はあなたにとって、未来の世界を知っている」 未来の人間として、だ。 「……なにっ?」 「私は貴方が理想とした時代の、その未来を生きていた人間だ」 ……そうだ。私は彼の思想、それを実現した出来事を知っている。 「私達の世界において、神代の時代と呼ばれる時代の事だ。私達の世界の人間、その祖先は、荒廃した地上を癒すため天上へと上った」 「……それは……!」 「そう」 「貴方の提唱するジオニズムだ。奇しくも私の世界は、貴方の思想を実行していたことになる」 シャア候補が語った宇宙進出及び環境保護の思想。そこに正純は目をつけていた。 父から受け継ぐ思想だというのならば、シャア候補が元いた世界においてもそれが重要なファクターであったろう事は間違いない。 ならば、シャア候補が求める人類の可能性とは。自らの理想、それが再現された世界にならば、興味を示すのではないか。 そう正純は推論していたが、 ……当たりのようだな。 ならば、とばかりに畳み掛けるように言う。 「天上……宇宙において、人々は神となり、他の惑星を開発するなどして繁栄した。しかし神同士の争いにより疲弊し、人々はまた地上に降りたとされている」 「そして我々は今、地球で過去の歴史を再現しながら天上に戻ろうとしている」 そうだ、と一息ついて正純はシャア候補を指差した。 「歴史は繰り返す、そうかもしれない。我々は未だに戦いあう世界から脱せていないのだからな」 だが、 「無意味な戦いは一つとしてなかったはずだ。戦いの果ての積み重ねがあったからこそ、私はこうしてここにいるのだから。故に戦うのも栄華も滅ぶのも、全てひっくるめて次へと進むステップだ」 「シャア候補。戦争の先に新しい時代を作る事ができるか、と言ったな。ならば過去の積み重ねを知る新時代の本多・正純が、新時代を願った過去のシャア・アズナブルに言おう」 「――私がその答えだ」 ◆ 「戦い、栄華、そして滅びまでもが未来へのステップ……か」 正純の答えを聞いたシャアは、我知らずの内にそう呟いた。 気の遠くなるような話だ。正純の世界がシャアの世界とは違う世界の話だとしても、数百、数千年に近いサイクルの果ての話だろう。 (私は急ぎすぎたのか? ……なあ、アムロ) 宿敵の言葉が、脳裏に過ぎる。 わからない。何時しか理想郷が来るとして、シャアの目の前にあるのは絶望した現実だ。 それを待つ事はできなかった。だから裁こうとした。 「マスター……?」 だが、今のシャアには支えてくれる人がいる。 人の心の暖かさを教えようとしてくれるサーヴァントがいる。 「大丈夫だ、アーチャー」 ならば試そう。自らの理想の先から来たと語る者、その心を。 (見せてもらおうか。戦いの中であっても、人の心の光は生まれるのかを) 宇宙から地球へと引きずり下ろされ、戦いの積み重ねを肯定する者。 その者の中に人の心の光を見出せたなら。シャアの世界の地球の人々も、きっと変われるという可能性となる。 「ならばその答え、同じ陣営で観察させてもらう」 それが、シャア・アズナブルが出した答えだった。 ● ……どうにか、なったか。 正純は、内心胸を撫で下ろした。 ……勝手に世界の代表ぶって交渉失敗しましたじゃ、色んな場所に申し訳が立たんからなー。 それでも、どうにか交渉は成立した。その事実に、疲労と達成感を得る。 「ならばまた日独同盟の成立という事だな、お嬢さん」 そんな正純の横。喜色を隠さぬ様子のライダーが、アーチャーに向けてそう言った。 「……っ!」 自らの身を掻き抱くようにするアーチャーの前、ライダーは笑いながら言葉を続ける。 「そう不思議ではあるまい。そちらに私の事がわかるように、私にもそちらの事がわかるというのは何の矛盾でもないだろう?」 「そうではあるがな」 そのライダーを窘めるような響きの声を、シャア候補が挙げた。 そして続けて告げる。 「交渉は終わった。ならば次は、今後の打ち合わせといきたいがどうか」 「……ああ、問題ない。では、この戦争をどう戦うかと行こう」 同じくソファに腰掛け直しながら、正純は返答した。 【C-6/冬木ハイアットホテル/一日目 夕方】 【シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】 [状態]:健康 [令呪]:残り三画 [装備]:無し [道具]:シャア専用オーリスカスタム(防弾加工) [所持金]:父の莫大な遺産あり。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争によって人類の行方を見極める。 1.本多・正純と今後について話し合う。 2.赤のバーサーカー(デッドプール)を危険視。 3.サーヴァント同士の戦闘での、力不足を痛感。 4.本多・正純と同盟を組み協力し、彼女を見極める。 5.ミカサが気になる。 [備考] ※ミカサをマスターであると認識しました。 ※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)、ライダー(少佐)のパラメーターを確認しました。 ※目立つ存在のため色々噂になっているようです。 ※少佐をナチスの英霊と推測しています。 【アーチャー(雷)@艦隊これくしょん】 [状態]:健康、魔力充実(中) [装備]:12.7cm連装砲 [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:マスターに全てを捧げる。 1.シャア・アズナブルを守る。 2.バーサーカー(デッドプール)を危険視。 [備考] ※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)、ライダー(少佐)の姿を確認しました。 【本多・正純@境界線上のホライゾン】 [状態]:まだ空腹 [令呪]:残り三画 [装備]:学生服(月見原学園)、ツキノワ [道具]:学生鞄、各種学業用品 [所持金]:さらに極貧 [思考・状況] 基本行動方針:他参加者と交渉することで聖杯戦争を解釈し、聖杯とも交渉し、場合によっては聖杯と戦争し、失われようとする命を救う。 1. シャアとの今後についての打ち合わせを行う。 2. マスターを捜索し、交渉を行う。その為の情報収集も同時に行う。 3. 遠坂凛の事が気になる。 4. 聖杯戦争についての情報を集める。 5. 可能ならば、魔力不足を解決する方法も探したい。 6. シャアと同盟を組み、協力する。 [備考] ※少佐から送られてきた資料データである程度の目立つ事件は把握しています。 ※武蔵住民かつ戦争に関わるものとして、アーチャー(雷)に朧気ながら武蔵(戦艦及び統括する自動人形)に近いものを感じ取っています。 ※アーカードがこの『方舟』内に居る可能性が極めて高いと知りました。 ※孝一を気になるところのある武蔵寄りのノリの人間と捉えましたがマスターとは断定できていません。 ※柳洞一成から岸波白野の住所を聞きました(【B-8】の住宅街)。 ※遠坂凛の電話越しの応答に違和感を覚えました。 ※岸波白野がまだ生きているならば、マスターである可能性が高いと考えています。 ※アーチャー(雷)のパラメータを確認しました。 【ライダー(少佐)@HELLSING】 [状態]魔力消費(大) [装備]拳銃 [道具]不明 [所持金]莫大(ただし、そのほとんどは『最後の大隊(ミレニアム)』の飛行船の中) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯と戦争する。 1.シャアとの打ち合わせを行う。 2.通神帯による情報収集も続ける。 3.シャア及び雷と同盟関係を取る。雷に興味。 ※アーカードが『方舟』の中に居る可能性が高いと思っています。 ※正純より『アーカードとの交戦は必ず回避せよ』と命じられています。令呪のような強制性はありませんが、遵守するつもりです。 ※アーチャー(雷)を日本軍関係の英霊と考えています。 BACK NEXT 118 前門の学園、後門のヴォルデモート 投下順 120 勇者よ―― 118 前門の学園、後門のヴォルデモート 時系列順 120 勇者よ―― BACK 登場キャラ NEXT 113 角笛(届かず) 本多・正純 134 Gのレコンギスタ 109 ライク・トイ・ソルジャーズ ライダー(少佐) 134 Gのレコンギスタ シャア・アズナブル&アーチャー(雷) 134 Gのレコンギスタ
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NO.301~NO.353 No. タイトル マスター クラス 真名 作者 301 深井零&アサシン 深井零 アサシン 雪風 ◆Ee.E0P6Y2U 302 本多正純&ライダー 本多正純 ライダー 少佐 ◆TAEv0TJMEI 303 うずまきナルト&ライダー うずまきナルト ライダー シモン ◆DpgFZhamPE 304 桜井智樹&アーチャー 桜井智樹 アーチャー 伊月 ◆V0MzQy6yoM 305 七荻鏡花&セイバー 七荻鏡花 セイバー アバン・デ・ジュニアールⅢ世 ◆bi4ho.tYN 306 シロエ&ランサー シロエ ランサー キノ・ポゥ・コルーム ◆ACfa2i33Dc 307 カトル・ラバーバ・ウィナー@アーチャー カトル・ラバーバ・ウィナー アーチャー エックス ◆OSPfO9RMfA 308 野比のび太&キャスター 野比のび太 キャスター ドラえもん ◆ZTnr6IpaKg 309 ミリアム・C・タチバナ&アーチャー ミリアム・C・タチバナ アーチャー ジョン・メイトリックス ◆kiwseicho2 310 クロエ・フォン・アインツベルン&アーチャー クロエ・フォン・アインツベルン アーチャー アイオロス ◆zOP8kJd6Ys 311 カオスヒーロー&ランサー カオスヒーロー ランサー ダンターグ ◆EIyzxZM666 312 瀬戸幸助&キャスター 瀬戸幸助 キャスター 麻倉ハオ ◆ZETT/RRB.g 313 堂島菜々子&キャスター 堂島菜々子 キャスター アウレオルス=イザード ◆X8NDX.mgrA 314 レックス&セイバー レックス セイバー 少名 針妙丸 ◆vE7Jb4ucI6 315 御坂美琴&アサシン 御坂美琴 アサシン 紫木一姫 ◆4etfPW5xU6 316 劉備&キャスター 劉備 キャスター 諸葛亮 ◆ggowmuNyP2 317 フランドール・スカーレット&アサシン フランドール・スカーレット アサシン 赤屍蔵人 ◆Q2eX7XjK2o 318 村上良太&アサシン 村上良太 アサシン 藤井八雲 ◆zOP8kJd6Ys 319 呉島光実&キャスター 呉島光実 キャスター ロード・オブ・ザイバツ ◆FFa.GfzI16 320 オーヴァン&アサシン オーヴァン アサシン 栄斗 ◆Vj6e1anjAc 321 右代宮戦人&キャスター 右代宮戦人 キャスター ベアトリーチェ ◆xN4V.PAAec 322 怪盗クイーン&ライダー 怪盗クイーン ライダー 江戸川コナン ◆dH/nzLjIxA 323 BB&ライダー BB ライダー メドゥーサ ◆holyBRftF6 324 南風森愛恋&アサシン 南風森愛恋 アサシン デリヴァラー/ニスイ・タニグチ ◆KORpq6DB2. 325 間桐雁夜&キャスター 間桐雁夜 キャスター 神野明影 ◆6fyLoSYK52 326 我那覇響&アサシン 我那覇響 アサシン 真夏の夜の淫夢 ◆DKvcDfNaFA 327 インディアナ・ジョーンズ&ライダー インディアナ・ジョーンズ ライダー セルティ・ストゥルルソン ◆6PazegkVqw 328 エイスリン・ウィッシュアート&セイバー エイスリン・ウィッシュアート セイバー 加藤鳴海 ◆wKs3a28q6Q 329 ジョンス・リー@エアマスター、アーチャー ジョンス・リー アーチャー アーカード ◆hqLsjDR84w 330 少佐&バーサーカー 少佐 バーサーカー ン・ダグバ・ゼバ ◆WRYYYsmO4Y 331 井伊直虎&アーチャー 井伊直虎 アーチャー サバタ ◆9VDUiEaDTY 332 犬飼伊介&キャスター 犬飼伊介 キャスター 食蜂操祈 ◆BATn1hMhn2 333 間桐慎二&アーチャー 間桐慎二 アーチャー 天池善次郎 (トリップ無し) 334 鹿目まどか&キャスター 鹿目まどか キャスター リインフォース ◆6lxR/IpNsk 335 エリザベート・ブラントルシュ&キャスター エリザベート・ブラントルシュ キャスター アッシュ・クリムゾン ◆wgC73NFT9I 336 神代剣&アサシン 神代剣 アサシン 桜庭音操 ◆JeeDxpjSHo 337 ヨナ&セイバー ヨナ セイバー 雷電 ◆JEU0nKNmAc 338 遠坂時臣&ライダー 遠坂時臣 ライダー 桐生一馬 ◆ACrYhG2rGk 339 有栖零児&キャスター 有栖零児 キャスター 小牟(シャオムゥ) ◆mfg5leK6Ng 340 ルナティック&バーサーカー ルナティック バーサーカー バオー(橋沢育郎) ◆Y4Dzm5QLvo 341 武藤カズキ&ランサー 武藤カズキ ランサー うしおととら ◆zOP8kJd6Ys 342 凰蓮・ピエール・アルフォンゾ&キャスター 凰蓮・ピエール・アルフォンゾ キャスター 百江なぎさ ◆DKvcDfNaFA 343 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ&ランサー レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ ランサー ヒュンケル ◆HOMU.DM5Ns 344 白月光(栗山未来&セイバー) 栗山未来 セイバー 月蝕仮面ジャークムーン ◆dKBETGTMMY 345 セイギノトモガラ(平坂黄泉&ライダー) 平坂黄泉 ライダー 空蝉丸 ◆dKBETGTMMY 346 おとことおんなのはなし(千反田える&アサシン) 千反田える アサシン ソラ(滝川空→グレムリン) ◆dKBETGTMMY 347 personality(エコロ&バーサーカー) エコロ バーサーカー リュウガ ◆dKBETGTMMY 348 上条当麻&セイバー 上条当麻 セイバー アルトリア・ペンドラゴン ◆KORpq6DB2. 349 剣とカード サバタ ライダー 不動遊星 ◆9VDUiEaDTY 350 ラニⅧ&ライダー ラニⅧ ライダー 呂布トールギス ◆Gc3b00.81E 351 来ヶ谷唯湖&ランサー 来ヶ谷唯湖 ランサー エリザベート・バートリー ◆S2NYXu2lPk 352 ナノカ・フランカ&アーチャー ナノカ・フランカ アーチャー 安藤まほろ ◆Mti19lYchg 353 黒羽寧子&アサシン 黒羽寧子 アサシン 黒(ヘイ) ◆FbzPVNOXDo 番外(エクストラクラスのため) XXX 遠坂時臣 遠坂時臣 ルーラー ■■■■■ ◆ZTnr6IpaKg 000 タイトル マスター クラス 真名 作者
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◆w7FNZrLzJw No タイトル 登場キャラクター 場所 時間 作者 028 テンカワ・アキト&バーサーカー テンカワ・アキトバーサーカー(ガッツ) ◆w7FNZrLzJw コメント 名前 コメント
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レイ・ラングレン&アサシン ◆FFa.GfzI16 ――――その瞬間、レイ・ラングレンがまず覚えたものは強烈な怒りと哀しみであった。 全てが突然の事だった。 レイ・ラングレンが記憶を取り戻したのも。 レイ・ラングレンの目の前にアサシンのサーヴァントが現れたのも。 レイ・ラングレンへとアサシンのサーヴァントが襲いかかったのも。 レイ・ラングレンに降りかかった凶刃をルーラーのサーヴァントが防いだのも。 レイ・ラングレンへの刃を瞬時に収めてアサシンのサーヴァントが撤退を始めたのも。 レイ・ラングレンの前に現れた管理者が聖杯戦争の名を口にしたのも。 全てが、突然の事だった。 嵐のように現れたアサシンのサーヴァントと管理者達はすぐに消え去り。 レイ・ラングレンの前には、血に濡れた偽りの伴侶だけが残されていた。 虚ろな表情のまま、レイは書斎へと向かう。 そこには自身と同じく、科学者として『設定』されていた妻の成果も眠っている。 地熱エネルギーの活用、及び、光学機の発明。 続いて、レイは妻の遺体を見つめる。 何の因果、いや、悪意か。 それはまさしく妻であるシノと全く同じものだった。 ぬるま湯に浸かりきったレイの心が、ふつふつと沸き立ってくる。 長らく忘れていた。 なぜ、忘れることが出来たのだろうか。 忘れてはいけないことを、なぜ、忘れてしまったのだろうか。 悪意に満ちた生活を提供した願望器ではなく、それを受け入れた自分自身へと強い憎悪を抱く。 その憎悪が引き金となり、一つの光が現れた。 「初めまして、アサシンのクラスにて今回の聖杯戦争に参加させていただきました」 レイ・ラングレンの身体に令呪が浮かび上がり。 その憎悪は当然のようにサーヴァントを召喚させた。 「コードネームは『バッドエンド』、あるいは『ナンバー3』。 聖杯をその手に収めることにご尽力させていただきましょう。 ……っと、おやおや」 長い黒髪。 白い民族衣装。 女のように見えるほどの細身。 男が当然感じさせるはずの雄臭とも呼べる気配の一切を断ち切っていた。 ただでさえ細い目を更に細めている。 アサシンのサーヴァント。 その真名は『巫紅虎(ウ・ホンフー)』 仲間と愛する人を、幸福の全てを失ったことで、世界に悲惨な終焉を課せることで自らを慰めていた男。 レイ・ラングレンが召喚したサーヴァントは、そんな男だった。 ◆ レイ・ラングレンは一つの木片を握りしめていた。 ――――それは全ての元凶であり、全ての希望である『ゴフェルの木片』。 かつて、囚人惑星エンドレスイリュージョンにて、星の真ん中に一つの空間があった。 そこは奇妙な空間であった。 まるで裏返ったかのように木々が生い茂、水たまりが存在し、生命が息づいていた。 目を疑う光景の中、人型の地中兵器であるヴォルケインの観測機を確かめる。 酸素は当然存在し、大気は地上のそれとなんら変わりがない。 地中の中でありつつ、そこは確かに地上そのものの空間だった。 レイ・ラングレンは己の気が触れたのかと想いながら、半ば衝動的に愛機ヴォルケインから降りる。 しつこくなるが、そこは確かに地上そのものであった。 水をすくい、臭いをかぐ。 奇妙なものはない。 ヴォルケインが放つ光源に照らされた光景は、この世の常識を塗り替えるものだった。 レイはゆっくりと歩を進め、奇妙な光景を眼にした。 『木棺』が存在した。 自然物にあふれたその空間に、たった一つだけ人工物が存在した。 レイはゆっくりと木棺に触れ、その棺の蓋を開けた。 まるで全ての災厄が詰まっているかのような棺の中には、たった一つの木片しか存在しなかった。 レイは確認をしなかったが、恐らくその比率は『300・50・30』を示しただろう。 レイは『希望』そのものである木片を、恐る恐る手に取る。 憎しみを抱いたレイは、しかし、だからこそその木片に希望を感じ取っていた。 レイの内部に潜めた見せかけの狂気と純粋な憎しみに反応し。 その木片自体が一つの『方舟』とも呼べるゴフェルの木片は、伴侶を失ったレイをノアの方舟へと導いた。 ◆ レイは握りしめた木片のことを想いながら、ゆっくりと目を開いた。 そこには一度だけ眼にした二人の女性が居た。 この聖杯戦争を管理する者達だ。 場所は喫茶店。 内容は、事務報告。 「端的に言いますと、全ては終わりました」 「……」 レイはコーヒーを口に運ぶ。 カップの中の水面が揺れた、いや、正確に言えば視界が揺れた。 視力が落ちている、いずれ、近い未来に世界を失う可能性を承知する。 「サーヴァントは令呪により自害し、サーヴァントを失ったマスターの消滅も確認しました。 予選を勝ち抜いた貴方は本戦への挑戦権を得ました。 どうか、がんばってくださいね」 事務的に応える管理者――――カレンと、応えずに顔を凍らせ続けるレイ・ラングレン。 そのレイを見るカレンのサーヴァントであるルーラーと、そのルーラーを見て笑みを深めるアサシン。 アサシンはスプーンを手に取ると、同時にルーラーへと問いかけた。 「ルーラーという立場も大変ですね」 目の前のパフェをつつきながら、アサシンはルーラーを見据える。 その瞳に嘲りや侮蔑と言った感情はなく、純粋にルーラーの立場を労っているように見えた。 「ルールを守るだけじゃなく他人にも守らせるために動くなんて、私にはとてもとても…… 性に合わない、なんて話じゃありませんね」 「アサシンのサーヴァント、それは言外に我らと敵対する意思を示しているのですか?」 「いえいえ、決してそのようなことは。 まあ、悪いことは楽しいからやりたいですけど、貴方の善行と違って『しなければいけない』わけではないので。 善はルールを破っちゃいけないから悪いことをしてはいけません。 ですが、悪はルールを破っていいから善行をしても良いのですからねぇ」 ニコニコと笑いながら、アサシンはルーラーの問いに応える。 レイは表情を固めたまま、修道女を見据える。 彼女達は強い、いかなる英霊をも従えることが出来る。 令呪とはすなわちルールそのもの。 その令呪を無条件に行使できる目の前の管理者に従うことで初めて聖杯戦争が成立する。 「なぜ、殺した……」 レイはコーヒーをテーブルにゆっくりと落とすと、カレンへと向かって非難の眼を向けた。 怒りと憎しみの籠もった、復讐鬼の眼。 全てを取り戻し、全てを零した彼の眼に柔らかなものは宿っていなかった。 本来ならば、レイ自身が殺さなければいけなかった相手。 たとえ偽りのものが殺されたのだとしても、レイが抱いた感情は偽りではない。 ならば、その感情から基づく衝動はレイ自身が終わらさなければいけなかった。 そうでなければ、レイは――――。 「……」 そんな眼を向けられてもカレンは動揺せず、その問に答えない。 ついで、レイは隣に座るパートナーへと眼を向けた。 その眼には、やはり深い憎悪。 「なぜ、殺さなかった」 「まだ召喚されてなかったんですもの、私を責めるのはお門違いというものですよ。 なんなら、あんなぬるま湯に浸かって記憶を取り戻せないままだった貴方が一番悪い」 呑気にパフェを突きながら、チャイニーズの服をまとったアサシンが細い目をさらに細めながら応える。 事実、アサシンが召喚されたのは全てが終わった後。 レイの妻が殺害され、管理者達が訪れ、襲撃者は逃げ、管理者が追い、レイは呆然と立ちすくんでいた。 その折に、アサシンは現れた。 徒手空拳、しかし、目に移らぬところにあらゆる凶器を隠し持った暗殺者。 雄臭を感じさせない、空虚な男。 真名を『巫紅虎(ウ・ホンフー)』といった。 「ここは私が払っておきます」 「これはどうも、お世話になります。 領収書って書かれるんですか?」 伝票を持って立ち去ろうとするカレンへ、無言のレイに変わってアサシンが応える。 カレンは応えず、背中を見せる。 その背中を守るようにルーラーが立ち上がり、アサシンに一瞥をくれる。 警戒と警告を多分に含んだ視線。 アサシンは大げさに肩を竦めてみせた。 「さて、マスター、何をしますか?」 「聖杯を手にする」 「それはいい、私はそこそこには強いですよ。 周囲が英霊ばかりだから、あまり当てにならない発言では有りますが」 「……」 「少なくとも、ここに居る二十五人をマスターがまばたきをしている一瞬で殺すことが出来ます。 話を聞く限り、マスターの偽りの伴侶を襲った相手も何をされたのかわからぬまま殺すことが出来ます。 まあ、今となっては何の意味もない話ですがね」 「具体的に、何が出来る」 「なんでも出来ます、私は。いや、これは本当に。 私の宝具は、そういう、他の人ができることを模倣する宝具ですので。 あっ、ご馳走様でした」 アサシンはパフェの中に、カラン、と音を立てながらスプーンを投げ入れる。 レイは何も言わずに席を立ち、アサシンはその影を踏まぬように付き従っていく。 その喫茶店から外に出ると、月が嗤っていた。 アサシンは妖かしの光そのものである月の笑みへと、やはり笑みで応える。 そして、その妖しげな笑みのままレイへと向き直った。 「グッドイーブニング、マスター。 これから楽しい楽しい悪夢のお時間ですよ」 アサシンは、確かに笑っていた。 女性と見間違えるような細身と、雄臭を感じさせない柔らかな雰囲気。 その男性器は自らの手で去勢しており、アサシンの一生よりも遥かに短い生涯であった一人の女性に貞操を捧げている。 アサシンはその気になれば、対城宝具を持つサーヴァントや大魔術を行うサーヴァントと同じように、この街のNPCを一瞬で皆殺しに出来る。 それこそ、瞬きをしている間に、だ。 しかし、多くの英雄にとってそのようなことが意味がないように、アサシンにも何の意味もない。 自らの愛する人を殺した二十五人を一瞬で殺せようとも、レイの0と1で彩られただけの偽りの妻を殺したサーヴァントを瞬殺出来ようとも。 時を戻れぬ以上、何の意味も持たない話なのだ。 「しかし、マスターは聖杯に何を願うのですか?」 「願いなど多すぎる」 レイは語らなかったが、その瞳の奥には激しい怒りと圧倒的な後悔に染まっていた。 鉤爪の男を殺す。 自らの妻、シノを蘇らせる。 あるいは、その二つを同時に叶えるために時を逆戻る。 レイの願いは怒りと後悔に染められて、曖昧なものとなっていた。 憎悪とは希望を求めるものだが、同時にその憎悪は純粋な希望を濁らせる。 希望を奪われたからこそ、生まれるものだからだ。 その希望を純粋なものにするのならば、少なくとも、その憎悪に一つの区切りをつけるしかない。 レイ自身も。 バッドエンドの異名を持つ男も。 それを痛いほどに知っていた。 だからこそ、アサシンは笑ってみせる。 「そんなものですよ、希望なんて、あまりにも残酷なものですから。 簡単に一つに決まらないものです。 しかし、そう思いながら全てを捨ててなお残るもの。 それこそが本当の願いです」 「……」 「マスターの哀しい哀しい悪夢が奇跡という茶番でどのような終わりを迎えるのか、私も楽しみにしていますよ」 バッドエンドの異名を持つ男は、どこか憧憬に満ちた顔でレイへと語りかけた。 【CLASS】 アサシン 【真名】 巫紅虎@パワプロクンポケットシリーズ 【パラメーター】 筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:D 幸運:C 宝具:B 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 気配遮断:A 自身の気配を消す能力であり、完全に気配を断てば発見はほぼ不可能となる。 攻撃態勢に移るとランクが大きく落ちる。 【保有スキル】 中国武術:A++ 中華の合理。宇宙と一体となることを目的とした武術をどれだけ極めたかを表す。 修得の難易度が最高レベルのスキルで、他のスキルと違ってAランクでようやく「修得した」と言えるレベル。 ホンフーはその時代における中国武術の無双を誇るほどの腕前。 心眼(真):B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 【宝具】 『変貌する終焉(ドゥームチェンジ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人 『一つの存在が身につけた能力』である限り、スキル・宝具、マスター・サーヴァントの区別なく相手の能力を自らのものにすることが出来る宝具。 ただし、ランクB以上の宝具とランクA以上のスキルは模倣できず、また、模倣した能力はランクを一つ下げる。 能力は一度に一つしか使用できないため、同時併用は不可能である。 元々はホンフーの天賦のものである『他人の動きを模倣する』才能が超能力として開花したもの。 以下、ホンフーが生前にコピーした能力。 『私の影は誰にも追えぬ(ドゥームチェンジ:ブラック)』 高い気配察知のスキルを持たない限り、どのような時でもホンフーの姿を捉えることは出来ない。 『何人たりとも我が言葉には従えない(ドゥームチェンジ:デス・マス)』 ホンフーの言葉には絶対に従えなくなる洗脳能力、ただし、否定形のように漠然とした命令では効き目が薄くなる。 対魔力によって無効化できる。 『かすり傷でも致命傷(ドゥームチェンジ:バジリスク)』 生命であろうと機械であろうと、かすり傷だとしても傷をつけることで殺すことが出来る。 対魔力によって無効化することが出来る。 『我にとりて重力は縛りに非ず(ドゥームチェンジ:ダークスピア)』 自身にかかる重力の方向を変えることが可能である。 また、ホンフーが服のようにそれは自分自身だと認識すれば巨大な軍艦であろうと重力の方向を変えることが出来る。 『七つの虹を見たことがありますか?(ドゥームチェンジ:ストームレイン)』 気象現象を操作することが出来、超局地的に気温を氷点下に下げることや雷を発生させることが出来る。 『我が手に光あれ(ドゥームチェンジ:デイライト)』 光を操作する能力。 遠距離からのビームでビルを溶解させる、光を屈折させることで自身の姿を隠す、光を操ることで遠視を可能とする。 『偏在する兎の穴(ドゥームチェンジ:ワームホール)』 自分自身の身体に、過去に訪れたことがある場所へと続くワームホールを生成することが出来る。 『天網恢恢疎にして漏らさず(ドゥームチェンジ:ピンク)』 自身の視界内である限り、たとえ透明化していようともあらゆる存在を知覚できる。 『私は貴方、貴方は貴方(ドゥームチェンジ:カルマミラー)』 自らにかかる攻撃に対して、攻撃を行ったものへと反射することが出来る。 自爆や攻撃がホンフー自身に届く前に対象が死亡するなど、反射できる相手が居ない場合は使用できない。 対魔力によって無効化することが出来る。 『その手はおもちゃの兵隊(ドゥームチェンジ:グレムリン)』 銃火器も含めたあらゆる機械の機能停止させる。 【weapon】 針や仕込みナイフはもちろん、無数の暗器を隠し持っている。 また中国武術を収めており、素手による戦闘でも16インチ砲を無傷で防ぐ耐久スーツすらも傷つける一撃が撃てる。 【人物背景】 世界を支配する組織であるジャジメントで三番目に強い男。 コードネームは『バッドエンド』、あるいは『ナンバー3』。 若い頃は自分にも他人にも厳しい高潔な拳法家であり、さる流派の後継者にまで上り詰めた。 しかし、虚名を高める処世術の数々が「一子相伝の奥義」として継承されてきた事実を知って憤り、後継者の椅子を蹴って奥義の全容を公表しようとする。 結果、流派の人間たちを全て敵に回すこととなり、夥しい血の流れる惨劇の末、師も仲間も愛する人も全てを失った。 全てを失った後、怨みも怒りもぶつける相手が居ないために胸の内へと溜め込み続けている。 【サーヴァントとしての願い】 『時を戻る能力』を『コピー』、もしくは、聖杯によって今の強さのままで時を戻ること。 【基本戦術、方針、運用法】 宝具はストックの限界が存在せず中国武術の達人であるため、どのような敵にも対応できる。 ただし、能力の関係上、高い対魔力を持つ三騎士とは比較的相性が悪い。 【マスター】 レイ・ラングレン@ガン×ソード 【参加方法】 地中の空間にぽっかりと開いていた空洞内部に見つけたゴフェルの木片を入手。 【マスターとしての願い】 あの日に戻り、鉤爪の男を殺す。 【weapon】 刀のような形をした銃。 鞘に見える部分がマガジンとなっており、短機関銃と似た性能を持っている。 【能力・技能】 銃撃の腕前は群を抜いており、また、機械工学にも深い知識を有している。 【人物背景】 かつては心優しい青年だったが、鉤爪をつけた男に妻を殺されることで復讐の道を歩み始める。 ヴォルケインと呼ばれる妻の形見である巨大ロボットを操り、その腕前は作中でも屈指のもの。 生身でも有数の実力者であり、また、形見のヴォルケインを自爆させるなど復讐のためならば手段を選ばない。 冷徹ではあるが、弟のジョシュア・ラングレンに対しては非情になりきれない一面がある。 ある戦闘で眼に負傷を負い、着実に視力を失いつつある。 【方針】 優勝を目指す。
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【マスター】 岸波白野(男) 【参加方法】 不完全な初期化による記憶復帰。 【マスターとしての願い】 「」(自身のサーヴァント)のことを取り戻す。 【能力・技能】 コードキャストが使えるかもしれない。あと無印でなくCCC出典なのでジャンプできる。 【人物背景】 『Fate/EXTRA』『Fate/EXTRA CCC』の主人公。通称ザビエル。 プレイヤー没入型の無個性主人公……らしい。アンデルセン曰く「典型的な汎用救世主型主人公」。「こいつには内容が無い」とも。 外見はNPCのそれだが、異様なまでの諦めの悪さを持つ。 月の聖杯戦争の優勝者であり、意志を持ってしまったNPC。 『Fate/EXTRA CCC』においてCCCルートでなく、かつサーヴァントフラグを立てなかった場合のEDより参戦(要するに無印EDに繋がる場合) “月の聖杯戦争”の記憶は表裏問わず保持しているが、ところどころ破損がある。特に自らのサーヴァントが誰だったかは思い出せない。 【方針】 一先ず“方舟”の調査。 「」を取り戻す為、せいぜいあがいてみる。 登場話一覧 +... No タイトル 登場キャラクター 場所 時間 作者 010 岸波白野・ランサー 岸波白野ランサー(エリザベート・バートリー) ◆Ee.E0P6Y2U 034 既視の剣 岸波白野&ランサー衛宮切嗣&アーチャー B-7(北東)/海浜公園B-7(南西)/ビル 早朝 ◆DpgFZhamPE 055 diverging pointMoondive Meltout 岸波白野&ランサー遠坂凛&ランサー B-4/遠坂邸 午前 ◆ysja5Nyqn6 078 aeriality心の在処 ルーラー(ジャンヌ・ダルク)カレン・オルテンシア岸波白野&ランサー遠坂凛&ランサー ?-?/???C-3/商店街近くの公園 午前 ◆ysja5Nyqn6 087 卓袱台会議 岸波白野&ランサー遠坂凛&ランサー B-4/遠坂邸 午後 ◆OSPfO9RMfA 113 角笛(届かず)角笛(確かに) 東風谷早苗&アーチャー本多・正純岸波白野&ランサー遠坂凛&ランサーカレン・オルテンシア D-5/教会周辺C-3/月海原学園B-4/遠坂邸D-5/教会 午後 ◆ysja5Nyqn6 116 導火線に火が灯る凛として散る戦士の如く 岸波白野&ランサー遠坂凛&ランサーウェイバー・ベルベット&バーサーカーアサシン(ニンジャスレイヤー)バーサーカー(黒崎一護)足立透&キャスタールーラー(ジャンヌ・ダルク)カレン・オルテンシア B-4/高層マンション跡地B-4/跡地より少し離れた場所(北)B-4/跡地より東に少し離れた場所 夕方 ◆DpgFZhamPE 121 selector infected N.A.R.A.K.U 岸波白野&ランサー遠坂凛ウェイバー・ベルベット&バーサーカーアサシン(ニンジャスレイヤー)足立透&キャスターバーサーカー(黒崎一護)ルーラー(ジャンヌ・ダルク)カレン・オルテンシア B-4/高層マンション跡地C-5/ビルの屋上B-6/市街地 夜間 ◆fhD3y9RNl2
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それでもいったいこの僕に何ができるって言うんだ 窮屈な箱庭の現実を変える為に何ができるの ◇ 最後の電車が行ってしまった。 がたがたと揺れる車体は汚れが目立ち、動く様はどことなく億劫そうに見えた。 去りゆく電車の後ろ姿を神名綾人はたった一人で眺めている。 壁によりかかり息を吐く。くすんだコンクリートじっとりと冷たい。 隣りでは傷の目立つ時刻表が電灯の鈍い光を反射している。 何の音もしなかった。 何時しか風は止んでいたし、客はおろか駅員さえも姿が見えない。 最後の仕事を果たした駅はこれから眠りに付くのだろう。 誰も居ない、夜の地下鉄。 入り組んだ街の片隅で、彼は茫洋と立ち尽くしている。 (……ここって、東京だっけ) 不意に、綾人の脳裏にそんな疑問が浮かんできた。 ぽつり、と。 そんなことを思ったのだ。 東京。かつて自分はそこに暮らしていた筈だ。 そこで普通に学校に通い、帰って絵を描く。 ここは、そんな街だっただろうか。 綾人はじっと線路の向こうを見つめた。電車は既に行ってしまった。先は色濃い闇に包まれ何も見えない。 それでも何となしに、ただ見つめた。 ――間があって、 「え……?」 ――見覚えのある髪が、舞った。 綾人が見たのは一人の少女だった。 彼女を自分は『識って』いる。彼女はいつだってあやふやで、しかし確かに自分を見つめている。 黄色い服に身を包んだ彼女は、長い髪をたなびかせながらホームに立っていた。 ゆっくりと、振り向いた。 柔らかく、そして儚い微笑みが、綾人を捉えた。 それはまさしくあの絵の少女そのものだった。 ずっとずっと、綾人が描いてきたあの…… 「…………」 綾人は少女を見つめた。 少女は無言で綾人を見返した。 風がひゅう、と吹いてきた。闇の向こう側から溢れるように風が押し寄せてくる。 不意に少女は、背中を向けた。 「待っ……」 去っていく少女を綾人は駆け寄る。 誰も居ないホームの中、綾人は何かに突き動かされるように少女に追い、止まったエスカレーターを駆け上った。 登った先に彼女は待っていた。 微笑みを浮かべ、綾人を真直ぐと見つめている。 綾人はただ叫ぶように、 「美嶋――」 ◇ 遠い昔、どこから来たの 遠い未来にどこへ行くの ◇ 「え、と。貴方が私の奏者<マスター>……なのかな?」 そうして綾人は自らのサーヴァントと出会った。 誰もいない駅。エスカレーターを上った先に、アーチャーは待っていた。 彼女はフリルのついた可愛らしいドレスに身を包み、柔和な笑みを浮かべ綾人を見上げている。 桃色の髪が揺れた。その手にはアーチャーらしく小振りな弓があった。 綾人ははっ、としてその手を見た。 そこには赤々と光る三画の紋章――マスターの資格たる令呪があった。 そのカタチに、綾人は見覚えがあった。 これとよく似たものを自分は見たことがある。 他でもない自分の腹部に刻まれた痣に、それは酷似しているのだった。 「ええと、僕は……」 綾人は頭を押さえた。 アーチャーが戸惑ったように見上げてくる。まだ幼さの残るその顔には心配の色が浮かんでいた。 じん、と痛みがする。考えることに痛みを感じつつも、それでも何とか言葉を絞り出した。 「……うん、君の奏者<マスター>みたいだ」 そう言うと、さっと視界が開ける感覚がした。 (そうだ、僕は聖杯戦争に参加したんだ……奏者として) 神名綾人は奏者<マスター>であり、奏者<オリン>である。 (そしてここは東京じゃ……ない) 2013年2月、全世界は消滅し東京だけが奇跡的に生き残った。 東京の人々はそう教えられ疑わずに暮らしていた。 しかし、事実は逆だった。 東京を残し世界が滅んでいたのではない。東京こそが滅んでいたのだ。 MU<ムウ>と呼ばれる存在の支配下に置かれた東京は、外ではこう呼ばれていた。 “TOKYO JUPITER”と。 (僕はあそこで育った。世界が滅んだと知らされ、それなのにおかしなほどの平和ができていた、東京で) 世界が滅んだだけで、何の変哲もない、ただの学生生活。 満足していた訳ではないが、しかし疑ってもいなかった。 そこから連れ出し“本当のこと”を教えてくれたのは―― 一人の女性だった。 紫東遙と名乗る彼女に手を引かれる形で、綾人は真実に触れることになった。 (そのあと――僕はラーゼフォンの奏者<オリン>になった) ラーゼフォン。 東京の最深部の神殿に祭られていた、機械仕掛けの巨神。 まるで綾人の目覚めを待っていたかのように、それは覚醒し綾人を東京の外へと連れ出した。 そして、待っていたのは、滅んだ筈の世界だった。 時の流れのズレに困惑したけれども、しかし新たな世界で綾人は生きていこうと決めた。 時計の針を世界のそれに合わせ、かつての世界――東京から送り込まれてくるMUとの戦いに身を置くことになった。 それも全てラーゼフォンの奏者<オリン>であったから。 何が正しいのかは分からなかった。どうするべきなのかも分からなかった。 それでも、できることをしたいと思ったから。 そして、MUとの戦いの果てに――果てに? うっ、と綾人は呻きを上げた。 焼きつくのような痛みが頭を走り抜ける。 「だ、大丈夫?」 アーチャーが呼びかけてくる。 綾人はそれを手で制し、はぁはぁと息を落ち着ける。 「ごめん、少し……思い出せないことがあって」 「もしかして、予選のメモリー復帰が不完全なのかな? ならちょっと休んだ方がいいかもしれないね」 気遣う声に軽く頷き、綾人はよろよろと壁に寄りかかり、服が汚れるのも構わず座り込んだ。 記憶が曖昧――でいいのだろうか。 少なくとも聖杯戦争のルールは明確に“思い出せる”。 サーヴァントのことも、ムーンセルのことも、方舟のことも。 (僕はここに――) やってきた。 願いの為に。誰かの為に。 「マスターの記憶が曖昧みたいだから、まず私の自己紹介からしてみるね」 綾人を慮りながらも、アーチャーはそう口を開いた。 視線を向ける。すると、僅かに頬を紅潮させながら彼女は名乗った。 「アーチャー、鹿目まどかです」 言葉と共に彼女のステータスが脳裏に浮かび上がってくる。 綾人はそれを呆と受け入れた。 能力は低い訳でもなく、かといってさほど高い訳でもない。 宝具もアーチャーらしく弓だ。奇抜さはないが堅実な性能を持っている。 ただそれ故――幸運のパラメーターがEX(測定不能)なのが目立っていた。 それが何を意味するのか。 「マスターとのパスはしっかりしてるみたいだね」 アーチャーは目を瞑りそう呟いた。綾人との繋がりを確認しているのだろう。 綾人自身も奏者<マスター>として、彼女に力を注いでいる感覚が掴めた。 性能として気になるのは幸運値くらいで、あとは能力的にも性格的にも付き合いやすいサーヴァントに思えた。 彼女について気になることは何もないだろう。そう、何も。 「ええと……よろしくね? マスター」 「うん、よろしく頼むよ」 言って綾人は精一杯の微笑みを浮かべた。 痛みは引かない。何かが遠のくような、あるいは近づいてくるような感覚はこびり付いてくる。 (ただ僕は――ここに来たんだ。誰でもない僕の意志で) 願いはある。 それだけは確かだ。 だから奏者<マスター>として綾人は月を望んだ。 そう思い綾人は立とうとする。 しばらくアーチャーと話さないと、そう思って彼女を見上げると―― 「…………」 ――そこに、見覚えのある少女が居た。 黄色い服に身を包んだ、かげろうのようにあやふやな彼女が、綾人を見下ろしている。 その姿を見たとき、綾人は考えるより早く口を開いていた。 「違う!」 君じゃない。 僕がここに来たのは君じゃなく―― 「えっ、あ、どうしたの?」 ――アーチャーが戸惑いの声を挙げていた。 「あ……」 「えと……何か私しちゃったかな?」 困惑するアーチャーを余所に、力が抜けた綾人は再び壁に寄り掛かった。 俯き、自分の身体をじっと眺めた。 白い肌は、ヒトのそれだ。まだ自分はヒトであることを止めていない。 綾人は近くに捨てられていたガラス片を拾い上げると、おもむろにそれを手に当てた。 ――青い血が流れている気がした。 アーチャーが声を上げる。 マスターの突然の奇行に戸惑っているのだろう。しかし、綾人は躊躇わなかった。 ガラス片を指先に押し当てぴっ、と皮膚を切り裂いた。 ――母さんみたいに、青い血が。 一瞬の痛みののち、つう、と血が流れてきた。 その色は…… ◇ 僕は僕のことが知りたい。 【クラス】アーチャー 【真名】鹿目まどか 【パラメーター】 筋力D 耐久C 敏捷C 魔力A 幸運EX 宝具D 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力 B 魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 単独行動 C マスターを失っても現界が可能になる。Cランクならば1日は現界可能。 【保有スキル】 魔法少女 - 魔女を狩るものにしてやがて魔女になる成長途中の少女。 身体は抜け殻に過ぎず、破損しても死ぬことはない。 魔術 B 魔法少女としての力。治癒魔法などを習得している。 【宝具】 『星に弓引く<スターライトアロー>』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:4~10 最大捕捉:1 力を込めた弓による射撃。 収束させた光の矢を前方に放つ。 『天に弓引く<マジカルスコール>』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:4~10 最大捕捉:1~30 力を込めた弓による射撃。 複数の矢を天に向かって放ち、頭上から雨のように広範囲に攻撃をする。 【weapon】 弓(ステッキ) 魔法少女としての装備。矢はピンク色の軌跡を描く。 自動追尾性能があり、一度に複数の矢を構えて撃つことも可能。 ステッキのような形状とり殴ることもできる。 【人物背景】 『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公。 中学2年生の平凡な少女だが、本編時間軸では魔法少女としては途方もない素質を持っている。 これはほむらによる時間遡行が原因で、彼女を中心に大量の因果が積もっていったからである。 アーチャーとして現界したのは本編10話などで見せた「魔法少女としての鹿目まどか」であり「円環の理」ではない。 能力、戦闘スタイルなどはPSP版を参考。弓による射撃と治癒魔法を身に着けている。 【サーヴァントとしての願い】「誰かの役に立つこと」 【基本戦術、方針、運用法】 潤沢な魔力量を誇り、魔力を込めた射撃の火力は中々に高い。 収束と拡散の二種類の宝具も使い勝手がよく、燃費もさほど悪くない。 接近戦もこなせなくはないが、ステータスはさほど高くない為、基本的に距離を取って戦う方がいいだろう。 前衛に向いたサーヴァントを手を組むことができれば、堅実に戦果を上げることができる。 と、実にオーソドックスな「弓を使うアーチャー」。 平凡と言えば平凡な性能であるが……? 【マスター】神名綾人 【参加方法】不明。ラーゼフォンが関わっている……? 【マスターとしての願い】調律……? 【weapon】なし。 【能力・技能】奏者<オリン>としての資格。 その力は奏者<マスター>としても機能するようで魔力を滞りなく供給できている。 【人物背景】 『ラーゼフォン』の主人公。神の名を綾つ人。 「TOKYO JUPITER」の中で平穏な高校生活を送っていたが、ある日東京を謎の戦闘機群が襲った。 避難する最中に綾人は神秘的な少女・美嶋玲香と出会う。彼女に導かれるまま東京地下の世音神殿に辿り着き、母の見守る前でラーゼフォンを呼び覚ます。。 ラーゼフォンの奏者となった綾人は対「MU」戦略機関「TERRA」の庇護の下、MUとの戦いに身を投じてゆく。 当初は内向的であった彼も、遙と共に暮らすことで、友人や家族の絆の暖かさを知る事となり徐々に心を開いていく。 しかし彼は次第に自身の出自に疑問を持つようになり、またTERRAの一部の人間からも「青い血」を持つ「ムーリアン」である嫌疑を常に持たれていた。 彼は疑問を解き明かすべく、如月久遠の導きでTOKYO JUPITERへの帰還を果たし、そこで自らがムーリアンであるとの確信に至る。 改竄されていた記憶を取り戻すことで遙と自分が時を隔たれた恋人同士であったことに気づき、彼女の想いを守る為、 ラーゼフォンの心である「イシュトリ」と一体化。人の姿を捨てた超常存在である「ヨロテオトル」なって、不安定化した平行世界を再構築し、崩壊を食い止める「調律」を為した。 【方針】 戦う?