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ここには、長編SSを掲載しています。 シリアス、コミカル、パロディ、ファンタジーetc, 読み応えたっぷりのSSをお楽しみ下さい。 ★★★律「やっぱ軽音部は最高だぜ!」 She may get happy.けいおん!クエストゲイナー「こっちにはボーカルマイクがあぁぁぁぁぁるッ!」君が私で私が君で唯「バイハザ!」律「この体が壊れても、死んでもかまわない」律「最後の演奏だ。おもいっきりやるぞ!」律「私は桜高校軽音部部長、田井中律だ!」律(私じゃ駄目、なのか…!?)監督「4、3…」唯「とりあえず軽音部って所に入ってみました!」笹の葉嬉遊曲
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短編SS集その2 蒼星石を抱き締めて部屋中を転げ回りたい もしも蒼星石のマスターになったら 勉強 策謀をチョンパです 濡れてるじゃないか 力ずくで 蒼星石が病気みたいです 宗教 これって姉妹丼ってやつだよね? 扇風機 蒼星石がぬるぽと言ったのでガッしたら 無理矢理 SOS団 おしおき 惚れ薬 紙相撲 鈍感 続・鈍感 勘違い 勘違い&暴走 ベトベト 独り占め 例えばこんな保守 …てぇ夢を見たんだがどう思う? いただきます ある春の涼しい夜 乾杯 銅鑼 あま~い オムライスを作ろう マスターと蒼星石の願い事 浮気現場 ホラー映画の最中に 荒らしの正体は蒼星石? 雨の中のキス 蒼星石の時間 蒼星石の相談 梅雨 カカオ99% ツンデレに挑戦 バナナ飴 痛い初体験 鈍感マスター しおり 蒼星石の反応(信頼度別)まとめ
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短編SS集その3 マスターのイメージ 心と身体 嫌いな物 蒼と翠の優しさの形 精処理人形(虐待注意) GWの終わりに 地球温暖化 PS3 七夕 VIP.ver 親愛なる翠星石へ(鬱注意) 海水浴 蒼い子マジギレ(人によってはトラウマ?) アホ人間 蒼星石HOLiC スランプ 仲良く? 掃除中に 奪われたローザミスティカ 三本の団扇 蒼星石の日記 平和な柴崎時計店 ドキッ! おじじと蒼星石のト・キ・メ・キ☆契約シーン 本日のニュース どんな存在? 夢と現実 9/10 一文字レスにて 初めてのドライブ クリーム大福 3週間ぶり 好きな季節 停電 一ヶ月の記念日 流れ星 シルクハット 納豆 帰宅 携帯チェック VIP復活おめ 今日の妄想な保守 こうして暖まれば…な保守 焼き芋 規則 (´・ω・`)やぁ 蒼星石のおしりはうにゅーなのー 双子とロー○ンへかき氷を食いに逝くぜ 双子と蕎麦を食いに逝くぜ ローゼン会議 新しい朝がきた 2/14
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SS集 量が多いので分割しています 短編SS 短編SS2 短編SS3 長編SS1 長編SS2 長編SS3 長編SS4 長編SS5 長編SS6 長編SS7 長編SS8 長編SS9 長編SS10 Sな蒼い子 信頼度別 ネタ系
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88:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 09 25.34 ID hpeqfj4Jo魔法使い「―――ふわぁぁ……遅いわね……」 僧侶「王様への謁見ですから時間はかかると思いますよ?」 魔法使い「そうはいっても。もうかれこれ三時間……」 トントン 僧侶「あ、勇者様!?」 魔法使い「ノックすること覚えたの?」 ガチャ 僧侶「え……」 兵士「勇者様のお連れのかたですね?」 僧侶「は、はい……」 魔法使い「なに?」 兵士「とても勇敢なお人です。我々は出来うる限りの恩を―――」 僧侶「あの……勇者様は?」 兵士「それが……王への謁見中に倒れてしまって……教会のほうに運ばれました」 魔法使い「え?!ど、どうして!?」 89:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 14 22.46 ID hpeqfj4Jo―――教会 僧侶「失礼します!!!」 神父「静かにお願いします」 僧侶「あ、す、すいません……」 魔法使い「あの……」 神父「今、眠ったところです」 勇者「……」 僧侶「えっと……容態は?」 神父「熱が出ただけです。しばらく安静にしていれば大丈夫でしょう」 僧侶「よかったぁ……」 魔法使い「風邪ですか?」 神父「心身の疲労からでしょうね……」 僧侶「疲労って……」 魔法使い(そういえば……こいつ、昨日から殆ど寝ずに動いてたんじゃ……) 勇者「……」 90:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 19 53.61 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様……」 神父「では、私はこれで。何かあれば言って下さい」 僧侶「ありがとうございます。何から何まで」 神父「いえいえ。王から話を聞きました。貴方たちはこの国の英雄だと」 魔法使い「英雄って……」 神父「あの軍勢の首領を倒したのでしょう?紛れも無く英雄です」 僧侶「そ、そんなこと……」 神父「それでは」 魔法使い「英雄……」 僧侶「全部、勇者様ががんばったから……ですよね」 魔法使い「いつの間にか道具を買い揃えてたり、情報収集もしてたり……」 僧侶「わ、私たち何もしてませんね……」 魔法使い「そうね」 僧侶「わ、わたし!何か食べ物を用意します!!勇者様が起きた時のために!!買出しに行ってきます!!」 魔法使い「あ、うん。よろしくぅ」 91:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 22 46.22 ID hpeqfj4Jo魔法使い「……」 勇者「……」 魔法使い「……」ピトッ 魔法使い「酷い熱……」 魔法使い「ふっ……」パァァ 勇者「ん……?」 魔法使い「あ、気がついた?」 勇者「きもちいい……貴女の手……冷たい……」 魔法使い「氷の魔法よ」 勇者「……体温が低い人は……心が温かいらしいですね……」 魔法使い「いや、だからこれは魔法だから」 勇者「……」 魔法使い「寝たの?」 勇者「……」 魔法使い「……お疲れ様。今はゆっくり休んでて……」 92:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 31 50.29 ID hpeqfj4Jo―――魔王城 魔物「―――報告は以上です」 魔王「……なるほど。下がってよい」 ドラゴン「まさか、トロルがやられるとは……」 魔王「どうやらあの国には中々骨のあるやつがいるようだな」 ドラゴン「どうされますか?私が攻め落としに……」 魔王「いや。想像以上の敵かもしれん……慎重になったほうがいいだろう」 ドラゴン「そうですか」 魔王「そやつの情報を集めることが肝心だ。我の脅威となるやもしれん」 ドラゴン「人間がですか?まさか……」 魔王「油断はできん」 ドラゴン「慎重になりすぎるのは如何なものかと」 魔王「世界を手に入れるためだ。小さな石でも排斥しておくことに越した事はない」 魔王「トロルを打ち倒した者を探せ」 ドラゴン「御意」 96:NIPPERがお送りします(岡山県):2012/06/05(火) 20 28 07.51 ID /6qya+hFoまだ序盤なのに二人の好感度がすごいことになってる 97:NIPPERがお送りします(千葉県):2012/06/05(火) 20 40 17.09 ID RBUlvnLe0変態紳士というか変態イケメンというか 101:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 21 28 35.64 ID hpeqfj4Jo―――教会 魔法使い「はぁ……ぁ……」 勇者「……」 魔法使い「もう……ちょっと……だけ……」パァァ 勇者「……」 魔法使い「ふっ……」 勇者「……」スリスリ 魔法使い「ひゃぁ!?」 勇者「……」 魔法使い「……」 勇者「……」スリスリ 魔法使い「どこ触ってるのよ……」 勇者「内腿は冷たくないんですね」 魔法使い「凍れ!!!」ゴォォ 勇者「ぎゃぁ!?」 102:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 21 35 26.28 ID hpeqfj4Jo勇者「ぶぁっくしょん!!!」 僧侶「勇者様、だ、大丈夫ですか?」オロオロ 勇者「さむい……」ブルブル 僧侶「リゾットを作りました。どーぞ」 勇者「あああ……指先が……震えて……もてません……」カタカタカタ 勇者「も、申し訳ありません……た、たべさせてください……」ブルブル 僧侶「わ、わかりました!!―――どうぞ、あーん……」 勇者「うぅ……ふーふー……してください……」 僧侶「は、はい!―――ふー、ふー。はい、あーん」 勇者「テルアイシって繰り返し言いながら食べさせてください」 僧侶「てるあいし?」 勇者「お願いします。それでこの病も和らぐのです」 僧侶「えっと……テルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル……」 勇者「ぬほほぉ」 魔法使い「馬鹿だ……」 103:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 21 41 56.70 ID hpeqfj4Jo僧侶「そもそも貴女が悪いんじゃないですか!」 勇者「もっと言っておあげ」 魔法使い「セクハラしたのはどっちよ!!折角、感謝の気持ちを込めて魔力を振り絞ったっていうのにぃ!!」 僧侶「やめてください、勇者様は病人なのですよ?!」 勇者「うんうん」 魔法使い「ぐっ……!!」 僧侶「こういうことは今後、無いようにお願いしますね」 魔法使い「私が悪いの……」 勇者「そうだ。町の様子はどうでした?」 僧侶「軍が動き出して残党狩りへ向かったようです」 勇者「そうですか……。これで一安心ですね」 僧侶「全て勇者様のおかげです!」 勇者「いえいえ。僕の力なんて微々たるものですよ」 僧侶「またまた、ご謙遜を」 魔法使い「なにか狙いでもあるんじゃないかしら?」 104:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 21 51 34.49 ID hpeqfj4Jo僧侶「狙いなんて……ないですよね?」 勇者「ここの姫様……まだ13歳なのですけど、中々別嬪なんですよね」 僧侶「え?」 勇者「ふふ……一国の姫君を側室にできるとか……役得ですよ。ホント」 僧侶「……」 魔法使い「ほらね」 僧侶「あ、あの!!勇者様!!」 勇者「はい」 僧侶「それは自分からくださいって言ったのですか!?」 勇者「いえいえ。王様のほうから「娘を是非」って」 魔法使い「ここの王様は見る目がないのね」 僧侶「それならセーフですね」 勇者「はい、もう純白です」 魔法使い「どの口がいうのよ……」 勇者「流石の僕でも手を出してはいけないラインは把握しているつもりになってます」 109:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 20 47 26.38 ID hpeqfj4Jo僧侶「はい、勇者様。あーん」 勇者「あーん……」 魔法使い「それより、これからどうするの?」 勇者「そうですね。僕の体調が万全になるまで少し待っていただけますか?」 僧侶「そ、それはもちろんです!!」 勇者「面目ありません」 僧侶「いえ、そんな……」 魔法使い「まあ、アンタがいないと……こっちも動けないわよね……」 勇者「明後日にはきちんと旅立てるようにしますので」 僧侶「あまりご無理は……」 勇者「いえいえ。はやく魔王を倒して、悠々自適な隠居生活をしたいので」 僧侶「そうですか」 勇者「そうなんですよ」スリスリ 僧侶「あの……足をそんなに触らないでください……」 魔法使い「はぁ……かっこよく見えたのは錯覚だったわね……」 110:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 20 51 52.04 ID hpeqfj4Jo僧侶「では、勇者様。ゆっくり休んでくださいね」 勇者「え?」 魔法使い「私たちは宿に戻るわ」 勇者「添い寝は!?ねえ?!」 僧侶「えぇ……?」 魔法使い「す、するわけないでしょう!!何言ってるのよ!!馬鹿っ!!」 勇者「そんな……こんなにがんばった僕に……ご褒美もないなんて……うぅ……」 僧侶「あ、あの……わ、私でよけれ―――」 魔法使い「ダメよ。こいつ、ただ同情を引こうとしてるだけなんだから」 勇者「同情!?僕が!?何をいっているんですかねぇ!?」 魔法使い「帰るわよ」 僧侶「あ……あの……ゆ、勇者様、ごめんなさい……」 勇者「外道がぁ!!ガード固すぎなんだよぉ!!」 魔法使い「散々痴漢を働いておいてなにいってんのよ!!」 僧侶「あ、あの……その辺で……」 111:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 20 56 18.31 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 魔法使い「全く……あいつは……。人の気も知らないで……」 僧侶「添い寝と言っても、きっと傍に居てほしかっただけじゃないですか?」 魔法使い「そんなわけないでしょ。襲う気満々だったじゃない」 僧侶「そうですか?きちんと嫌だといえば……」 魔法使い「そういう問題じゃないの」 僧侶「勇者様はああいう態度を取っていますが、すごくお優しい方だと思います」 魔法使い「ふん……」 僧侶「あの」 魔法使い「なに?」 僧侶「明日、私たちで色々情報を集めませんか?」 魔法使い「え?」 僧侶「今度は私たちが勇者様のお役に立たないといけないって思うんです」 魔法使い「……そうね。なら、朝から動くわよ」 僧侶「はいっ」 112:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 03 17.84 ID hpeqfj4Jo―――翌朝 広場 僧侶「さあ、情報収集をしましょう」 魔法使い「それはいいけど……なんの情報を集める?」 僧侶「え?―――色々です!」 魔法使い「だから、色々っていっても……」 僧侶「魔王討伐に役立つ情報とか」 魔法使い「アバウトね」 僧侶「とにかく魔王に関することでいいじゃないですか」 魔法使い「まあ、それしかないわね」 僧侶「でも、どこに行けば……」 魔法使い「お城に行ってみない?」 僧侶「お城ですか?」 魔法使い「王様に魔王の軍勢の残党がどうなったのかも訊きたいし、何か今後の指針になるかもしれないわ」 僧侶「なるほど」 魔法使い「行きましょ」 113:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 08 23.05 ID hpeqfj4Jo―――城内 謁見の間 王「これはこれは勇者一行の!!」 魔法使い「突然の謁見にも関わらず、ありがとうございます」 僧侶「……ます」 王「気にする必要などない。そなたらは我が国の英雄だ」 魔法使い「勿体無いお言葉です」 姫「あの……」 僧侶「は、はい」 姫「勇者様のお体は?」 魔法使い「ご心配には及びません。もう大丈夫です」 姫「よかった……」 王「はっはっはっは。もう勇者殿の花嫁気取りか」 姫「お、お父様!!」 魔法使い「あの……本当に姫様を……?」 王「ん?話を聞いたのか?……そう。何を隠そう、我が娘を勇者殿の嫁にしようと決めたのだ」 114:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 14 25.35 ID hpeqfj4Jo僧侶「……」 魔法使い「……」 姫「お父様!!まだ私はけ、結婚など……」 王「何をいうか。あと3年もすればお前も身を固めなければならん。勇者殿では不服か?」 姫「そんなことはありませんが。勇者さまの御意思も尊重せねば……」 王「勇者殿はノリノリだったぞ?」 姫「うぅ……」 魔法使い「あの……」 王「ああ、すまない。して、話とは?」 僧侶「あの……魔王の軍勢はどうなりましたか?」 王「おお。そのことか。うむ、残っていた魔物はそれほど脅威ではなかった。軍が到着したときには大半が逃げ出していたようだ」 魔法使い「そうですか」 王「まあ、あの首領をそなたらが討ってくれたこと。それが一番大きいがな」 僧侶「何か特別なことはありませんでしたか?魔物たちが何かを言い残したとか、どこへ向かうとか……」 王「いや。特段、報告するようなことはなにもない。それに勇者殿にも全てを話したしな」 115:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 18 15.36 ID hpeqfj4Jo魔法使い(不発か……) 姫「あの……」 魔法使い「はい?」 姫「勇者様にお伝え願いますか?」 魔法使い「何をでしょうか?」 姫「……またお会いしたい、と」 僧侶「……」 姫「ああ……恥ずかしい……」 王「はっはっはっは!!色気を出しおって!!」 魔法使い「あの、姫様。お言葉ですが、あの勇者は少し……いえ、かなり性格に問題があるのでやめたほうがいいですよ」 姫「え?」 僧侶「えぇ?!ど、どうしてそんなこと……!!」 魔法使い「とにかくスケベですし」 姫「殿方ならそれぐらい……」 魔法使い「度を越えているんです」 116:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 31 34.56 ID hpeqfj4Jo王「度を越えているスケベなのか?」 魔法使い「はい」 僧侶「な、なんてことを言うのですか!?」 魔法使い「でも、こういうことはちゃんと伝えておかないと」 王「むぅぅ……」 兵士「失礼いたします!」 王「どうした?」 兵士「勇者殿がお見えになりました」 姫「え?!」 魔法使い「アイツが……?」 僧侶「どうして……」 王「よし。通せ」 兵士「はっ!!」 王「合流する予定だったのか」 魔法使い「そういうわけでは……」 117:NIPPERがお送りします:2012/06/06(水) 21 41 11.47 ID hpeqfj4Jo勇者「失礼いたします」 姫「勇者さま!!」 勇者「ご機嫌麗しゅう、姫様。今日も変わらず美しいですね」 姫「そ、そんなぁ」 勇者「これを」スッ 姫「え……」 勇者「姫様に似合う花束をご用意しました」 姫「勇者さま……」 勇者「受けとっていただけますか?」 姫「もちろんです……」 勇者「ふふふ」 魔法使い「ちょっと」 勇者「え?おお。お二人とも。どうしたのですか?」 僧侶「勇者様こそ、お体は?」 勇者「いやぁ。もう大丈夫です。今日は姫様に昨日渡せなかった花束を渡しておきたくて」 119:NIPPERがお送りします(東京都):2012/06/07(木) 00 59 42.43 ID mLwxCzIM0この勇者って本当の意味で紳士と変態を両立させてるよなぁ 良いキャラだ 122:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 18 21 50.46 ID hpeqfj4Jo姫「すごく心配していました」 勇者「これは光栄の極みですね」 魔法使い「……」 僧侶「あ、あの、勇者様。どうしてここへ……?姫様にそれを渡したかっただけですか?」 勇者「はい」 魔法使い「言い切った……」 僧侶「……」 勇者「お二人こそどうしてここへ?」 魔法使い「行きましょう。もうここには用はないわ」 僧侶「え……でも……」 魔法使い「アンタも来る?」 勇者「折角のお誘いですが僕はもう少し姫様と談笑し、絆を深めたいと思います」 姫「そ、そんな……私なんかと……」 魔法使い「……勝手にしたらいいわ」 僧侶「あ、まってください!!―――勇者様、それでは後ほどっ」 123:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 18 27 41.41 ID hpeqfj4Jo姫「勇者さま、よかったのですか?」 勇者「彼女たちとはこれからも長い付き合いになりますからね。今は姫様との時間を大事にしたいのですよ。ふっふふー」 姫「もう……勇者さまったら」 王「いいな!!うむ!!流石は勇者殿」 勇者「姫様、では少しお話でもどうですか?」 姫「は、はい。私で宜しいのでしたら」 勇者「感謝いたします」 姫「それではお父様……」 王「ああ、ゆっくりしてくるといい」 姫「ありがとうございますっ」 勇者「王、今日は拝謁を許していただき、誠に感謝しています」 王「そなたの謁見ならばいつ如何なるときでも構わん」 勇者「ありがとうございます。これで姫様とはいつでも会えますね」 姫「い、いやですわ……そんな……」 勇者「では、まいりましょう」 124:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 18 36 49.35 ID hpeqfj4Jo―――城内 中庭 姫「勇者さま、明日には旅立たれるのですか?」 勇者「はっ。貴女の美しい肌とお尻には別れを告げねばなりません。残念です」 姫「そうですか……」 勇者「魔王の軍勢の残党は逃げたそうですし、勇者の身としては捨て置けませんからね」 姫「ええ。兵士長さんの話では、列を成して東の地へと移動していったらしいですよ」 勇者「東といえば……姫様、黄金の国はご存知ですか?」 姫「はい。家が黄金で出来ているとか、井戸から金が溢れてくるとか。すごい国なのでしょうね」 勇者「今度、ここへ戻ってくるときはその真意を確かめ、本当に黄金があるなら姫様に是非ともプレゼントいたしましょう」 姫「まぁ!本当ですか!!」 勇者「ふふふ、勇者は嘘が大嫌いです」 姫「ありがとうございます。ですが、魔王の軍勢を追うのですね。東の地は魔王の手に落ちて久しいと聞いています。どうかお気をつけて」 勇者「はい。帰りを待ってくれている貴女がいれば、死ぬに死ねませんし」 姫「勇者さまぁ……」 勇者「まだ時間がありますね。東の地について姫様が知っていること、話してもらえますか?」 125:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 18 44 35.72 ID hpeqfj4Jo―――酒場 店主「魔王のこと?」 僧侶「何か聞いたことありませんか?」 店主「そうだなぁ……」 魔法使い「なんでもいいのよ。こういう顔してるとか、すごい魔法を使うとか」 店主「そういえば、魔王の軍勢の首領はもう一匹いたって兵士の人に聞いたことがあるな」 僧侶「え?トロルだけじゃないというのですか?」 店主「ああ……なんでも空飛ぶトカゲとか……」 魔法使い「それって……」 僧侶「ド、ドラゴン……」 店主「伝説級の魔物だから、本当かどうかはしらねえ。その兵士も未確認情報だって言ってたしね」 魔法使い「もしドラゴンが相手なら……」 僧侶「お話通りの魔物だとしたら、人間じゃ太刀打ちできなくないですか?」 魔法使い「灼熱の炎を口から吐き、両翼を動かし竜巻を作る。最強の魔物ね」 僧侶「ま、まさか……そんなの……あり得ませんよね?」 126:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 18 51 17.82 ID hpeqfj4Jo店主「鋼の皮膚を持ってるって言い伝えもありますねえ」 僧侶「うわぁ……」 魔法使い「……まあ、敵にいるかどうかもわからないし、気にするだけ無駄ね」 僧侶「そ、それはそうですけどぉ」 魔法使い「それぐらいかしら?」 店主「そうですね」 僧侶「あ、ありがとうございました!」 店主「いえいえ。勇者様ご一行の役に立てたなら嬉しいよ」 魔法使い「まあ、あまり買い被らないほうがいいわよ?」 店主「え?」 魔法使い「この国の英雄はどうしようもない屑だから」 僧侶「そんな言い方は酷いですよ!!」 魔法使い「だって、一国の姫君を性の捌け口としてしか見てないじゃない!!」 僧侶「それはきっと誤解です!!」 魔法使い「10人の側近なんて話聞いたあとに誤解も何もないわよ!!」 127:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 00 46.22 ID hpeqfj4Jo僧侶「そ、それは……」 店主「10人の側近ってなんです?」 魔法使い「……こっちの話よ。それじゃあ、マスター、ありがとう」 僧侶「し、失礼します」 店主「え、ええ。またこの町に来ることがあれば是非とも寄っていってください」 魔法使い「必ず」 僧侶「それでは」 魔法使い「はぁ……あまり実のある情報とは言えなかったわね」 僧侶「童話の話をしただけのような気もしますね」 魔法使い「この町を出て、どこに向かえばいいのかもよくわからないし」 僧侶「ですね……」 魔法使い「アイツは姫様と仲良くやってるだろうし……。どういうことよ……全くもう……」 僧侶「き、きっと、王様に仲良くしてほしいって言われているのですよ」 魔法使い「どう見ても、アイツから手を出しているようにしか見えないけど……」 僧侶「勇者様にも考えがあるのです!きっと!恐らく!多分!」 130:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 07 55.37 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 僧侶「夕食、どうされますか?」 魔法使い「そうね……」 勇者「ただいま戻りました」ガチャ 魔法使い「ふんっ!!」ブンッ 勇者「むっ?!―――パジャマパーティーの前哨戦として枕投げ大会ですか?」 魔法使い「違うわよ!!」 勇者「では……!?むむ……?おかしいですね、どこにもイエスの文字がないですが……?」 魔法使い「なんでアンタにイエスノー枕を投げつけないといけないのよ!?」 勇者「ハハッ。そうですよね。常時、イエスですよね。僕ってば頭悪いっ」 魔法使い「こいつぅ……!!!」 僧侶「あ、あの……きっとノックをせずに入室してくるからでは……?」 勇者「ノックをしては着替え中に乱入するという僕の長年の夢が遠のくではないですか」 魔法使い「アンタねえ!!魔王を倒すことより覗くのに気合入れないでよ!!」 勇者「覗きなんてするかぁ!!!失敬な!!僕はあくまでも偶然、着替え中に遭遇したいという願望が強いだけだぁ!!」 132:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 15 03.79 ID hpeqfj4Jo魔法使い「何が違うのよ!!」 勇者「覗きは故意!!遭遇は事故!!!全然違うだろうが!!」 魔法使い「狙ってやってるなら故意でしょ!?」 勇者「これは異な事を。現に僕は狙っても遭遇できてはいません。故意ならば必ず成功させるように仕向けるでしょう?」 魔法使い「あー!!もういいわよ!!」 勇者「え?生着替え見せてくれるんですか?眼福眼福」 魔法使い「ころしてやろうか……」 僧侶「あ、えと……勇者様、何か御用ですか?」 勇者「ああ。そうでした。明日の朝、出発しましょう」 魔法使い「どこに向かうの?」 勇者「東の地。具体的には黄金の国と呼ばれる場所へ」 僧侶「黄金の国ですか。でも、どうしてそこに?」 勇者「魔王の軍勢がその方角へ逃げたらしいので。何かあるのかもしれません」 勇者「あと、黄金を姫様にお渡ししたいので」 魔法使い「そっちが本当の目的なの?あきれたわね……」 133:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 21 26.78 ID hpeqfj4Jo僧侶「……」 勇者「何か?」 僧侶「いえ……」 魔法使い「一応、私たちも気になる情報を聞いたわ」 勇者「え?なんでしょうか?」 魔法使い「魔王の軍勢にはもう一匹首領がいたらしい。それも、ドラゴン」 勇者「ドラゴン……灼熱の息を吐き、鋼の皮膚を持ち、翼から風を起こすという、あの?」 僧侶「は、はい。未確認情報らしいですが」 勇者「なるほど……」 魔法使い「本当にいたら洒落にならないわね」 勇者「そうですか……ドラゴンが……」 僧侶「勇者様?どうかされましたか?」 勇者「いえ。では、これで失礼します」 僧侶「あ、夕食はどうされますか?」 勇者「僕は既に済ませてきましたので。おやすみなさい」 134:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 26 00.39 ID hpeqfj4Jo魔法使い「何よ、アイツ……」 僧侶「……」 魔法使い「ご飯、食べに行きましょう?」 僧侶「あの」 魔法使い「なに?」 僧侶「……勇者様はまた一人で色々調べているのではないでしょうか?」 魔法使い「姫様から聞いたんじゃないのかしら」 僧侶「王様、言ってましたよね?勇者様には全てを報告したって」 魔法使い「そうね」 僧侶「それっていつですか?」 魔法使い「え?」 僧侶「勇者様はずっと寝込んでいたのに……いつ、王様から話を聞いたんですか……?」 魔法使い「それは……」 僧侶「私、勇者様のところに行ってきます」 魔法使い「あ、ちょっと待って!私も行くわよ!!」 135:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 32 23.80 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様?」トントン 勇者「はい?」 魔法使い「……なにしてたの?」 勇者「本を読んでいました」 僧侶「そ、そうですか。それってあの……」 勇者「エッチなやつです」 魔法使い「さいてー」 勇者「しかし、僕の身にもなってください。お二人のように美人が目の前にいるのに、何もできない虚しさを」 魔法使い「知らないわよ」 僧侶「あの、何か調べ物をされているなら……ご協力を……」 勇者「いえ。本当にムラムラしてただけですから」 魔法使い「……」 僧侶「えっと……あの……」 勇者「おっと、股間がいきり立っているようだ。どうする?戦う?」 魔法使い「へ、へんなものみせないでっ!!!」 136:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 38 32.05 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ただの変態よ!!」 僧侶「お、落ち着いてください」 魔法使い「あんたも怒るときは怒った方がいいわよ?」 僧侶「ぜ、善処します」 魔法使い「ホントに……別になにもしてなかったじゃない」 僧侶「そ、そうみたいですね」 魔法使い「なんか馬鹿らしいわね。ひょっとしたら裏で努力してるかと思ってもいたのに」 僧侶「うーん……」 魔法使い「あんなセクハラされてもまだ信じたいの?」 僧侶「間が悪かっただけかもしれないと思って」 魔法使い「ポジティブね」 僧侶「わ、私は勇者様を信頼していますから」 魔法使い「はいはい。ごちそうさま」 僧侶「わ、私は純粋に勇者様のことを信じているだけですっ」 魔法使い「分かったわよ。それよりも……お腹すいたし、何か食べに行きましょうよ」 137:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 19 49 20.66 ID hpeqfj4Jo―――翌日 広場 僧侶「いい天気ですねー」 勇者「そうですね」 魔法使い「なんでアンタの視線は胸に向けられてるわけ?」 勇者「あ、そうだ。これをお渡ししておきます」 僧侶「え?私に……ですか?」 勇者「はい。貴女に是非」 僧侶「……これって……所謂、非常食……?」 勇者「貴女にとってはこの上ない武器のはずです」 僧侶「確かにそうですね」 魔法使い「普通は武具を渡すんじゃないの?」 勇者「ふふ、そういわれるだろうと思い……盾も買っておきました」 僧侶「結構大型ですね……。もてるでしょうか……?」 勇者「普段は背負っていれば大丈夫ですよ」 魔法使い(いつ買ったのかしら……) 139:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 09 34.36 ID hpeqfj4Jo―――フィールド 勇者「東の地、黄金の国まではかなりの道程ですね」 僧侶「徒歩だとどの程度かかりそうですか?」 勇者「7日もかからない、といったところですか」 魔法使い「相当遠いのね」 勇者「食料も十分に買いましたし、それに道中に村や町もあるので。問題はないかと」 僧侶「よかった」 勇者「しかし、どうしても野宿をしなければならないときもあるでしょう」 魔法使い「そうね」 勇者「魔物に気をつけながら一晩中、見張りをしなければならない」 僧侶「はい」 勇者「夜は寒い。寒さを凌ぐために寄り添う二人。触れ合う肩……交錯する視線……」 魔法使い「え……?」 勇者「そして二人は互いの息遣いを感じる距離まで近づき……惹かれるように唇を重ねる……ふふふ。ロマンスですね」 魔法使い「なるわけないでしょ!!馬鹿っ!!」 140:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 15 27.94 ID hpeqfj4Jo―――夜 勇者「では、お二人は眠ってください」 僧侶「でも……見張りは……」 勇者「僕に任せてくれてかまいません」 魔法使い「変なことする気?」 勇者「しません。まだ、信用されていないのですか。ショックです」 魔法使い「どこで信頼を得たと思ってるのよ」 勇者「冗談はさておき、途中魔物とも戦いましたし、お二人とも魔力が残っていないでしょう?」 僧侶「そ、れは……」 魔法使い「まぁね。アンタが色々、指示出すから」 勇者「なので、十分に休息を取ってください。明日の夕刻には小さな農村に着けますが、それまでに魔力不足で立ち往生はしたくないで」 魔法使い「じゃあ……」 僧侶「あ、ありがとうございます」 勇者「いえ。気にしないでください。お二人は僕より何倍も働いていますから」 魔法使い「そう……。じゃあ、お言葉に甘えるわ……おやすみ……」 141:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 23 50.14 ID hpeqfj4Jo勇者「……」 パチパチ…… 勇者「そろそろ火を消すか……。魔物に場所を知らせるようなものだし」 魔法使い「……ねえ」 勇者「ん?どうかしましたか?あ、もしかして排泄行為を?」 魔法使い「違うわ。ちょっと眠れないの」 勇者「そうですか」 魔法使い「さっきの言葉……どういう意味?」 勇者「どういう意味もなにも……貴女が粗相をするのかなと思っただけですが」 魔法使い「馬鹿っ!違うわよ!!―――どうして私たちのほうが何倍も働いてると思うの?」 勇者「なんだ、そのことですか」 魔法使い「私たちなんて……」 勇者「勇者って戦闘技術は勿論、魔法の知識も有しているものなんですよね」 魔法使い「全てに秀でているからこその勇者でしょ?」 勇者「その通りです。―――もう気づいているでしょうけど、僕には魔法が使えないんです」 142:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 33 22.21 ID hpeqfj4Jo魔法使い「……」 勇者「簡単な切り傷も治癒できない。魚を焼くための火すら起こせない。天候を操り雷を呼ぶなんてもってのほか」 勇者「僕は出来損ないなんですよ」 魔法使い「待って。じゃあ、どうして勇者に選ばれたの……?」 勇者「わが国の勇者は半年前に命を落としました。それでも誰かを勇者として祭り上げ、魔王討伐に向かせなければならない」 勇者「国一番の実力者を生贄にしないと国民が納得しませんからね」 魔法使い「じゃあ、アンタが選ばれたのは……」 勇者「剣術が秀でていたからです」 魔法使い「そう……」 勇者「でも、ある種幸運ではあります」 魔法使い「どうして?死んで来いって言われたようなものでしょ?」 勇者「勇者に選ばれたから、貴女たちと出会えた。こんなに嬉しいことがあるでしょうか?」 魔法使い「なっ……。バ、バカじゃないの……」 勇者「前にも言いましたが、僕は馬鹿です。あ、ちなみに世界平和のためだなんて微塵も思ってません。全ては僕の野望のためです」 魔法使い「報奨金貰って、悠々自適に嫁と10人の側近と暮らすんでしょ?ホント、勇者としては出来損ないもいいとこだわ」 143:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 44 50.67 ID hpeqfj4Jo勇者「僕の悪口ばかりですね。許しませんよ?」 魔法使い「許さないならどうするの?」 勇者「僕の隣に座って、僕の肩に頭を預けて眠っていただきましょう。寝顔をさらせぇ」 魔法使い「お断りよ。ド変態」 勇者「僕のことが好きならはっきりそういえばいいのに」 魔法使い「話が飛躍しすぎでしょ?!」 勇者「でも、こういうシチュエーションの場合、恋焦がれる乙女が告白すると相場が決まっていますよ?」 魔法使い「どこの基準よ!勝手に押し付けないで」 勇者「そうですか。まだ側室の椅子は空っぽですから、いつでも声をかけてください。貴女なら第一側室としていつでも迎えましょう」 魔法使い「もういい」 勇者「はっ。まさか、嫁じゃなきゃいやとか、私だけを見てーってタイプですか?」 勇者「でも、まあ、人の感情とは不思議なもので、そういう生活を一ヶ月ほど続ければ自然と慣れていくものですよ」 魔法使い「もう寝るわ。アンタと話してたらおかしくなりそう」 勇者「え?じゃあ、婚前初夜ってやつですか?まいったなぁ」 魔法使い「なんで一緒に寝るって解釈するのよ!?」 144:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 20 50 01.81 ID hpeqfj4Jo勇者「ガード固いなぁ……魔法使いは普通、守備力が無いはずなんだが……」 魔法使い「それじゃあ、おやすみ!!」 勇者「はい。おやすみなさい」 魔法使い「風邪、ひかないでよ?」 勇者「馬鹿は風邪引かないって言葉、知ってますか?」 魔法使い「違うわ。馬鹿は体調管理が出来ないから、風邪を引くのよ」 勇者「おぉ。新説ですね」 魔法使い「ふん……がんばってね」 勇者「はい」 魔法使い「バーカ……」 勇者「……」 パチパチ…… 勇者「はぁ……」 勇者「ドラゴン……魔王の側近にいるなら……いずれは……」 勇者「童話の獣と戦うなんて……想像できないな……」 146:NIPPERがお送りします:2012/06/07(木) 21 12 30.54 ID hpeqfj4Jo―――魔王城 魔王「首尾は?」 魔物「はい。順調でございます」 魔王「そうか。トロルの失態で幾分かの後れは生じたが、今のところ問題はないか……」 魔王「あるとすれば―――」 ドラゴン「魔王様」 魔王「ご苦労。トロルを打ち倒した者について何かわかったか?」 ドラゴン「はい。どうやら、とある小国で選出された『勇者』のようです」 魔王「ほう?今まで、勇者と呼ばれる人間など何の脅威でもなかったが、ここに来てついに骨のある人選をしたわけか」 ドラゴン「しかい、交戦した者たちに聞きますとすこし可笑しなことが」 魔王「なんだ?」 ドラゴン「それが魔法を使う素振りを一切見せなかったようなのです」 魔王「魔術なくしてトロルが率いていた軍勢を突破することなどできないはず。それほどまでに武芸に秀でているか……あるいは……」 ドラゴン「もう少し調査の必要があるでしょう。幸いにも先日、その勇者一行は黄金の国に入ったとのことですので」 魔王「それは好都合だな。既にあの地は我らの領土。そこでそやつらのことを丸裸にしてくれよう……」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/9.html
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本編SS目次
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748:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 03 12.86 ID hpeqfj4Jo―――海賊船 会議室 キャプテン「―――では、以下の通り行動するってことでいいね?」 勇者「まずは僕たちがドラゴンとちんちんかもかもな関係になる。そして、その瞬間を見計らい、海賊船団が一気に攻撃を始める」 キャプテン「ここであたしたちが魔王の軍勢を叩き、魔王をあぶりだすってわけだ」 勇者「ドラゴンさえ居れば魔王がどこに移動しようとも、僕たちの勝利は揺るがない」 エルフ「裏返すと、ドラゴンが居なきゃ成功はしないってことだね」 勇者「そうなりますね」 僧侶「はぁ……ドキドキします……」 キラーマジンガ「あの……」 勇者「キラちゃんはどうする?」 キラーマジンガ「私が決めてもいいのですか?」 勇者「君には心がある。君自身が決めたほうがいい」 キラーマジンガ「……」 キャプテン「何はともあれ、まずはドラゴン懐柔作戦を成功させなきゃ始まらないんだ!!しっかりやりなよ、あんたたちぃ!!!」 僧侶「イエス、ボス!」 749:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 11 40.79 ID hpeqfj4Jo―――魔王の城 魔王「魔法銃……だと……」 ドラゴン「申し訳ありません」 魔王「まさか、そのような遺産が……」 ドラゴン「ここは我が身にかえましても……やつらを……」 魔王「よい。今は勇者のことよりも重大な作戦が控えている」 ドラゴン「トロルの領地だった場所へもう一度攻め込むのですか?」 魔王「イレギュラー因子がもういないことは確認済みだ。敗走はまずない」 ドラゴン「……」 魔王「あそこさえ落とせば、隣国は支援を一切受けられない孤立状態となる。そうなればニンゲンどもに残された道は絶望的な消耗戦だけ」 魔王「一気に我の領土を広げられる」 ドラゴン「では、私は……」 魔王「ここの守りを任せたい。お前の報告を聞く限り、恐らくすぐに攻めてくるはずだ」 ドラゴン「魔王様は?」 魔王「ここを離れ、機を待つ。魔法銃の対策を練る必要もあるしな」 750:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 19 13.26 ID hpeqfj4Jo―――数日後 海賊船 勇者「見えてきましたね」 僧侶「高い壁が見えますね」 エルフ「あそこがかつての軍事大国」 魔法使い「上陸は問題ないの?」 キャプテン「警備が薄いところは把握しているよ。まあ、そこから壁の向こうにいくのはちょっと骨だろうけど」 勇者「ここまでありがとうございました」 キャプテン「いいさ。―――生きて帰ってきなよ」 勇者「未亡人にはさせませんよ」キリッ キャプテン「もう!冗談ばっかりだなぁ!!やめろよぉ!!テレるじゃないのさぁ!!」 勇者「あっはっはっはっはっは!!かわいいお姉さんもいいものですねえ!!」 キラーマジンガ「は、はやく……陸へ……大地が恋しい……」ガタガタ エルフ「一緒に行くって、船にいたくないから?」 キラーマジンガ「違います。マスターが心配なだけです」 僧侶「あの子……戻ってきてくれるでしょうか……?」 751:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 28 34.27 ID hpeqfj4Jo―――軍事大国 陸地 勇者「―――行きましょう」 僧侶「なんか揺れてませんか?」ヨロヨロ 魔法使い「いや、あんたの足下が揺れてるのよ」 エルフ「ずっと船に乗ってたからなんか気持ち悪いね」 キラーマジンガ「そんなことはありません。今、生きていることに感謝しましょう。アーメン」 勇者「いい考えですね。ここまで生きてこれたのは、主に勝利の女神が微笑みっぱなしだったからでしょう」 僧侶「本当ですね」 キラーマジンガ「私たちの戦力ではいつ全滅してもおかしくありません」 魔法使い「今から敵の本陣に乗り込むんだから、そういうこと言わないでよ」 勇者「そうだぞ、娘よ。空気を読むんだ」 キラーマジンガ「空気を読む……?」 勇者「いいかい?人とのコミュニケーションでは気持ちを察することも大事なんだ」 キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ エルフ「歩きながらでもできるでしょ?いくよー」 752:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 34 28.50 ID hpeqfj4Jo―――フィールド 魔法使い「マーちゃんは着いてきてるけど、マスター居ないのにいいのかしら?」 エルフ「誰かの命令は聞かないって言ってるよ。今、僕たちについてきているのは自分で決めたことだからいいって」 僧侶「勇者様が仰いましたもの。自分で決めなさいって」 魔法使い「そっか。あいつはマーちゃんが困らないように……」 エルフ「心があるのは機械にとっては邪魔でしかないと思ってたけど、そうでもないかもね」 勇者「―――なぁなぁ」 キラーマジンガ「どうしました?」 勇者「昨日さ、彼女ができたんだ」 キラーマジンガ「本当ですか?」 勇者「これ、写真」 キラーマジンガ「うわ。ブッサ」 勇者「なにをぉ!!!死刑!!!」 キラーマジンガ「バ、バカな?!」 勇者「―――な?空気を読んで「綺麗な彼女ですね」と言っていれば、死刑にならずに済んだわけだ。空気を読むことは大事だぞ」 753:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 40 52.66 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「人間社会とか中々にスリリングですね」 勇者「気をつけたまえ」 キラーマジンガ「また一つ勉強になりました」 勇者「なんのなんの」 魔法使い「それはただのお世辞でしょ?」 エルフ「うん……別じゃないかな?」 勇者「一緒ですよ。僕が演じた男性は彼女を褒めてほしくて話を切り出したわけですから」 魔法使い「まぁ、そうね」 僧侶「でも、空気を読むって自分の気持ちを殺すことでもありますから、それができないこともあると思います」 キラーマジンガ「どういうことですか?」 僧侶「周囲の人があるモノに対して嫌悪し、悪口を言っているとします。でも、自分にとってはとても大切なモノだった」 キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ 僧侶「空気を読むという意味では自分もそのモノに対して罵詈雑言を並べるべきなのでしょう。でも、自分の気持ちを押し込んでまで大切なモノを貶めることは難しいはず」 キラーマジンガ「つまり……そういうことでしょうか?」 僧侶「そうですね……では、実演してみます」 754:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 43 49.05 ID hpeqfj4Jo魔法使い「あの勇者、マジでキモくね?」 エルフ「わかるわかる。なんかオタクっぽいよねー」 僧侶「うんうん。ほんとにねー」 キラーマジンガ「……」 勇者「や、やぁ……こんにちは……」 魔法使い「うわ、きたよ。かえれ」 エルフ「キンモー」 僧侶「ばい菌が移るので半径50メートル以内にこないでください」 勇者「うぅ……」 魔法使い「貴女もそう思うよねー?」 キラーマジンガ「わ、私は……」 エルフ「えー?なに?もしかして、あいつのこと好きなのー?」 僧侶「えんがちょ」 キラーマジンガ「ち、ちが……!!」 勇者「……」ウルウル 755:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 47 54.66 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「―――わ、悪くいうなぁ!!!」 魔法使い「はぁ?」 キラーマジンガ「た、確かにちょっと暗いところもあるけど……この人は優しい人です!!」 エルフ「なにこいつ」 僧侶「空気読んでくださいよー」 勇者「あ……あの……」 キラーマジンガ「大丈夫です。私は貴方のいいところをいっぱい知っていますから……」 勇者「うぅ……ありがとう……ありがとう……」 キラーマジンガ「いいんですよ……私が……守ります……」ギュッ 勇者「素敵……抱いて……」ギュッ 僧侶「―――はい。終わりです」 魔法使い「最後の台詞、いらないわよね?」 エルフ「うん」 勇者「感謝の気持ちに股を開くって大事だろうがぁよぉ!!!」 魔法使い「本当にキモイわね!!アンタはぁ!!」 756:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 52 47.74 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「なるほど……」 僧侶「どうでしたか?」 キラーマジンガ「少しだけ理解できました。譲れないモノに対して、空気を読む必要はないということですね」 僧侶「はい。心があるのなら」 キラーマジンガ「ありがとうございます」 僧侶「いえいえ」 魔法使い「早く行くわよ」 エルフ「キャプテンに貰った地図によれば、ここから北西に向かえば関所があるみたい」 勇者「関所?」 エルフ「門だね」 魔法使い「どうやって抜けるの?」 勇者「まずは行ってみないことにはわかりませんね」 キラーマジンガ「周辺に魔物はいないようです」 勇者「そうですか。まあ、無理はせずに命を大事にしていきましょう」 僧侶「はーい」 757:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 02 58 02.01 ID hpeqfj4Jo―――関所 勇者「誰か居ますか?」 キラーマジンガ「魔物の気配はありません」 エルフ「蛻の殻なの?」 キラーマジンガ「状況的にその表現はもっとも適切です」 魔法使い「通ってもいいのかしら?」 僧侶「罠では?」 キラーマジンガ「私のセンサーから逃れる術を有している魔物が大量にいることは考えにくいです」 勇者「いないなら通りましょう。好都合です」 エルフ「いいのかなぁ……?」 魔法使い「ほ、本当にいないでしょうね……」ドキドキ 僧侶「とおりまーす……」 勇者「……」 キラーマジンガ「私の索敵は信じられませんか?」 勇者「そんなことあるわけないよ。進もう」 758:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 04 57.60 ID hpeqfj4Jo―――フィールド 勇者「この街道を進めば、問題の城下町につけますね」 僧侶「魔王の城と化した……お城なんですね……」 勇者「貴女がいれば余裕です」 僧侶「勇者さまぁ……」 魔法使い「仲いいわね、相変わらず」 キラーマジンガ「うーん……」 エルフ「どうかした?」 キラーマジンガ「いえ……先ほどの授業で少し気になることが」 魔法使い「なになに?なんでも言って」 キラーマジンガ「空気を読まなかった結果、皆さんとの間に軋轢が生じました。これは敵対するということですよね?」 エルフ「うん。そうなるね。意見に沿わない相手を敵視するのは当然の流れだし」 魔法使い「対立したくない人とも対立しなきゃならなくなる。そういう決断はしなきゃだめね」 キラーマジンガ「なるほど……相当な覚悟がなければできないことですね」 魔法使い「それだけ自分にとって譲れないモノなら、時にはそういう決断もいるわね」 759:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 09 21.95 ID hpeqfj4Jo―――魔王城 城下町 勇者「静かですね」 僧侶「城下町なのにゴーストタウンです……」ギュッ 勇者「魔物は?」 キラーマジンガ「存在しません」 魔法使い「不気味すぎるわ……どういうことよ……」 エルフ「魔王かドラゴンが呼んでいる……ってことかな?」 勇者「僕も同じ事を考えていました。もしくはこの国はもう戦略的に不要な土地となったか……」 僧侶「人が生きている感じはないですね」 勇者「黄金の国と同じでしょう。人間なんて戦って殺されるか生き延びるために逃げるかしか選択肢はありません」 魔法使い「……」 勇者「罠の可能性も十分にあります。気を引き締めていきましょう」 エルフ「うん」 僧侶「はい」 キラーマジンガ「……」 760:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 14 05.85 ID hpeqfj4Jo―――魔王の城 城門前 勇者「ここが……」 魔法使い「あ、あけるの?」 勇者「ここまで誰もいないとなるとご招待されているとみて間違いないでしょう」 エルフ「そうだね」 僧侶「あぁ……勇者様……」 キラーマジンガ「センサーに反応」 魔法使い「え?!」 エルフ「どこ……?!」 僧侶「うぅぅ……!!」 キラーマジンガ「城内です。数は1」 勇者「……」 魔法使い「それって……」 エルフ「ドラゴンだね」 勇者「皆さん、装備品のチェックを。確実に総力戦になりますから」 761:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 20 55.65 ID hpeqfj4Jo―――魔王の城 謁見の間 勇者「……また、会いましたね」 ドラゴン「よく来たな」 エルフ「……」 僧侶「ド、ドラゴン……!!」 魔法使い「ついにここまで来たのね……」 キラーマジンガ「マスターはどこにいるのでしょうか?」 ドラゴン「木偶人形まで連れてきたか」 勇者「こちらには……これがある」チャカ ドラゴン「……」 勇者「あのクラーケンですら半身を根こそぎ持っていかれた。お前にも有効なはずだ」 ドラゴン「魔法銃か……。ああ、確かに脅威だ。その所為で魔王様はまた俺にその力の分析を命じた」 勇者「相変わらずだな。鉄の橋ですら叩いて渡るのか、魔王は」 ドラゴン「そうだ。完璧な確証をもってして魔王様は橋を渡る。だが、その魔王様が何百年と魔族を率いて、そして勝利と繁栄をもたらせてきた!!!」 勇者「防戦になれば凶悪だな。負けない戦いかたを熟知しているから」 762:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 30 24.54 ID hpeqfj4Joドラゴン「さあ、撃ってみろ……その魔法銃を!!」 勇者「しかし、その輝かしい戦歴の影にどれほどの同胞が泥をかぶり、血を流したんだ?」 ドラゴン「……」 勇者「負けない戦いには必ず犠牲がいる。側近のお前なら嫌というほどみてきたはずだ」 ドラゴン「それがどうした?」 勇者「この戦いも魔王にとっては明日の勝利への布石にすぎないんだろ?」 ドラゴン「何がいいたい?」 勇者「お前は捨てられたわけだ。情報収集のために死ねといわれたんだろ?」 ドラゴン「違う!!!」 勇者「違わないだろう。大昔、魔法銃という未知の兵器によって魔王は敗戦した」 勇者「情報が一切なかったからだ。だからこそ、魔王は鉄壁の孤島に引き篭もり、魔法銃の対策を練ろうとした」 ドラゴン「……」 勇者「でも、人間の行動は早く、船で攻めてきた。そこで魔王は魔法銃を詰んだ船を永遠に彷徨わせることで戦いを回避した」 勇者「当時の勇者も海流を操られ、しかも船そのものを幻惑させるという二段構えには意表を突かれたんだろう。抵抗もできずに幻覚の中で溺れ死んだ」 ドラゴン「そうだ。そしてエルフを弾圧し、人間との交流も絶えた。魔法銃の精製は完全になくなったはずだった……!!」 763:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 37 52.34 ID hpeqfj4Jo勇者「魔王はきっと馬鹿じゃない。当時の魔法銃対策は完成しているはず」 ドラゴン「……」 勇者「しかし、こうして情報収集をするということは、あることを懸念しているからだろ?」 ドラゴン「お前がエルフを連れているから……」 勇者「新しい魔法銃の可能性がある。昔よりも強化されたものかもしれない」 勇者「それが魔王の憂いなんだろ?」 ドラゴン「魔王様には説明した。古代の船から見つかったモノ。故に威力に変わりはないと」 勇者「……」 ドラゴン「しかしな……魔王様に油断はできないと言われたら俺たちはそれに従うしかない。今までもそれでニンゲンたちに勝ってきたのだからな」 勇者「こんな下らないことのために死ぬのか?」 ドラゴン「黙れ。魔王様は絶対だ」 勇者「やめろ。それよりも俺たちと手を組んで魔王を倒そう」 ドラゴン「エルフ族のようにニンゲンに尾を振れというのか?馬鹿馬鹿しい」 勇者「君が尾を振るとこは見てみたいな。可愛いと思うぞ?」 ドラゴン「ざ、戯言を!!さぁ!!撃て!!でなければ貴様たちをこの場で……八つ裂きにしてやるぞ!!」 764:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 44 38.44 ID hpeqfj4Jo勇者「ここまで言ってもダメか」 エルフ「魔王信仰を覆せるわけないって」 魔法使い「説得は無理か……」 僧侶「た、戦うしかないのですね……」 キラーマジンガ「マスターはどこですかぁ!!!!」 ドラゴン「黙れ木偶人形風情がぁ!!!」 キラーマジンガ「……」 ドラゴン「貴様が主といい慕っていたニンゲンは初めから存在しない!!あれは俺の仮の姿だぁ!!!一度、見せただろうがぁ!!」 キラーマジンガ「確かに……そうでしたね……」 ドラゴン「ふん……使えぬ人形めが」 キラーマジンガ「では……ここは私の意志で決めます」 魔法使い「何をよ?」 キラーマジンガ「空気を読むのならば、ここは貴方たちとの共闘が望ましいのでしょう」 勇者「そう来ますか……」 キラーマジンガ「ですが、私の譲れないモノのために―――敵対させていただきます」シャキン 765:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 51 03.03 ID hpeqfj4Joドラゴン「なに……?」 キラーマジンガ「私の知っているマスターはいません。ですが、あのドラゴンがマスターだということも知っています」 エルフ「うん……そうだね……」 キラーマジンガ「―――私はキラーマジンガ。マスターを守護するために、勇者という脅威を一掃します」 僧侶「……」 勇者「いいでしょう。あの幽霊船での一件から、こうなることは想像していたし」 ドラゴン「どけ。人形の手などいらん!!!」 キラーマジンガ「命令は受け付けません」 ドラゴン「貴様……!!!」 キラーマジンガ「貴方はマスターであって、マスターではありませんので。私の独断で行動させて頂きます」 ドラゴン「勝手にしろ!!どうせ魔法銃で―――」 キラーマジンガ「魔法銃は使用不可です」 魔法使い「それ言うの?!」 ドラゴン「なんだと?」 キラーマジンガ「魔法銃は古いモノで次弾がない可能性もあるためです。もし次弾がない場合、勇者たちは最大の抑止力を失います。撃つ勇気はないでしょう」 766:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 03 55 48.62 ID hpeqfj4Jo勇者「大正解。魔法銃は撃てない。よく知ってるね」 キラーマジンガ「勉強しました」 勇者「大きくなったな……娘よ……」 キラーマジンガ「私、パパのことが大好きです。だから―――」 勇者「キラーマジンガは僕に任せてください!!ドラゴンは貴方達が!!!」 魔法使い「そ、そんなこと!?」 ドラゴン「―――消し炭にしてやろう!!!!」 僧侶「きゃぁぁ!!!」 エルフ「下がって!!―――くらえ!!」バシュッ ドラゴン「柔な矢で俺の皮膚を貫けるとでも思っているのかぁ!!!」ゴォォォ 魔法使い「炎なら!!」コォォォ ドラゴン「ふん……。炎は通じないか」 魔法使い「何回もしないでね」 ドラゴン「無理な相談だな!!!」ゴォォォ 魔法使い「意地悪!!!」コォォォ 767:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 01 14.65 ID hpeqfj4Joエルフ「やぁぁ!!!」バッ ドラゴン「ぬ?!」 エルフ「風よ!!」ヒュゥゥゥ ドラゴン「下らない!!」バサッバサッ エルフ「翼の風……?!」 僧侶「怪我したらすぐに私に抱きついてくださいねー」 魔法使い「風の魔法使ったら?」 僧侶「もし通じなかったら回復する手段が減ります」 魔法使い「そうだけど……これじゃあ……」 エルフ「凍れ!!」コォォォ ドラゴン「無駄だぁ!!!」ゴォォォ エルフ「うっ?!」 僧侶「大丈夫ですか?!」ギュゥゥ エルフ「あ、ありがとう」 魔法使い「触れることができれば火傷ぐらい負わせられるのに……!!」 768:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 06 29.93 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「はっ!!!」ギィィン 勇者「うっ?!」 キラーマジンガ「諦めてください。人間では私に勝てません」 勇者「それはどうかな……」 キラーマジンガ「何を根拠に……!!」 勇者「君はもう何日エネルギーの補給をしてないか覚えていないのか?」 キラーマジンガ「……っ!!」ギィィン 勇者「はぁ……はぁ……船の上にいた期間。君は一切のエネルギー補給は行っていない」 キラーマジンガ「こうなると分かった上で……貴方は……」 勇者「戦闘をすればそれだけ燃料切れが早まる」 キラーマジンガ「貴方を殺せばいいだけの話ですね」 勇者「どうかな?君は確かにすごい力だ。でも、だからこそ直線的な動きしかできない」 キラーマジンガ「貴方の戦闘データはインプットされています。勝てる可能性は40%です」 勇者「意外に高いな。エネルギー残量の所為か?」 キラーマジンガ「……行きます!!」ダダダッ 769:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 11 21.33 ID hpeqfj4Jo勇者「はぁ!!」ギィィィン キラーマジンガ「ふっ!!」 勇者「まだ燃料は切れないのか……!!」 キラーマジンガ「貴方たちから学ばせてもらったことはとても有意義でした」ギィン 勇者「そうか」 キラーマジンガ「楽しかったです」 勇者「え……」 キラーマジンガ「とても……」 勇者「キラちゃん……」 キラーマジンガ「でも、私には使命があります!!!」 勇者「そうだな」 キラーマジンガ「貴方たちから貰った温情を反故にしてまでも、守りたいものがあるのです!!」 勇者「僕はそういう君が大好きだ」 キラーマジンガ「はぁぁぁぁ!!!」ブゥン 勇者「ぐっ!?」 770:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 16 33.91 ID hpeqfj4Joドラゴン「オォォォォォ!!!!!」バリバリバリ エルフ「まずい!!二人とも距離をとって!!」 魔法使い「な、なにあれ……?!」 僧侶「雷ですか?!」 ドラゴン「消えうせろぉぉぉ!!!」バチバチバチ エルフ「はっ!!」キュィィィン ドラゴン「これも通さぬか。エルフ族め……!!」 エルフ「……」 魔法使い「倒せる見込みは?」 エルフ「ゼロじゃない。だけど……ボクたちじゃ無理かも」 僧侶「勇者様の手助けがいりますか?」 エルフ「武器が欲しいね……」 魔法使い「ええと……鞭と……ナイフはあるわ」 僧侶「盾と一度も抜いたことのない剣なら」 エルフ「あとはボクのボーガンか……うーん……」 771:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 21 37.53 ID hpeqfj4Joエルフ「そうだ」 魔法使い「なになに?」 僧侶「なんでしょうか?」 ドラゴン「次で終わりにしてやろう!!!」 エルフ「―――じゃあ、それでやってみよう」 魔法使い「怖いけど……やるしかないわね」 僧侶「守ってるだけじゃ勝てません。―――どうぞ、大事に使ってください」 魔法使い「任せて!」 ドラゴン「なんのつもりだ?!」 魔法使い「この盾がある限り!!あんたの攻撃なんて通じないわよ!!」 エルフ「そーだ!!そーだ!!」 ドラゴン「貴様らぁ!!!舐めるのも大概にしろ!!!盾もろとも溶かしてくれるわぁ!!!」ゴォォォォ 僧侶「きたー!!!」 エルフ「盾に隠れて!!」 魔法使い「わ、わかってるわよ!!」 772:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 27 01.10 ID hpeqfj4Joドラゴン「オォォォォ!!!!」ゴォォォォ 僧侶「危ない!!」バッ エルフ「くっ……!!」バッ 魔法使い「きゃぁぁぁぁあああああ!!!!!!」 僧侶「なっ?!」 エルフ「大丈夫?!」 ドラゴン「―――終わったな」 僧侶「あぁ……盾が……とけて……」 ドラゴン「ふんっ。跡形もなく消えたか」 エルフ「嘘……そんな……」 ドラゴン「次はお前だ!!!」 僧侶「そうは行きません……!!」シャキン ドラゴン「はははははは!!!!そのような剣でなにができる!!お前の戦闘力のなさは承知しているぞ?!」 僧侶「わ、私だって……これぐらいのことは……」ガクガク エルフ「―――今だ!!!」 774:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 31 23.89 ID hpeqfj4Joドラゴン「なに?!」 魔法使い「はっ!!」ダダダッ ドラゴン「なんだと?!どこから―――」 エルフ「エルフ族の得意魔法を忘れてたの?」 ドラゴン「不可視化か!!」 魔法使い「よし!!懐に入ったぁ!!」 ドラゴン「何ができる!!」 魔法使い「私の全身全霊の冷気をくらえぇ!!!」ピトッ ドラゴン「なっ!?」 魔法使い「はぁぁぁ!!!」コォォォ ドラゴン「ぐっ……ぁ……」ピキピキ 魔法使い「まだまだぁ!!」 ドラゴン「―――オォォォォォォ!!!!」ドガァ!! 魔法使い「ぎ……ぃ……!?」 僧侶「きゃぁぁ!!」 775:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 37 24.01 ID hpeqfj4Jo勇者「な?!モロに?!」 キラーマジンガ「まずい!!」ダダダッ 勇者「君は……!!」ダダッ ドラゴン「はぁ……はぁ……くそ……」 魔法使い「ぁ……ぁ……」ピクッピクッ 僧侶「今、治癒を!!!」タタタッ ドラゴン「させ……るか……!!―――終わりだ!!」 エルフ「―――貴方がね」 ドラゴン「……?!」 エルフ「そのお腹、今とっても繊細でしょ?」 ドラゴン「まさか―――」 エルフ「魔法で強化した矢なら貫ける!!!」バシュッ キラーマジンガ「マスター!!!」 ドラゴン「お前……!!」 ―――ガギッ!! 776:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 43 10.27 ID hpeqfj4Joエルフ「え……」 僧侶「あぁ……」 魔法使い「ぅ……ぁ……」 勇者「……」 キラーマジンガ「マ……タ……ダ、い……じょ……で……す……?」 ドラゴン「お前……手出しは無用だと……」 キラーマジンガ「ま……す、タ……ゴ……ぶじ……で……?」 ドラゴン「……」 勇者「ああ。無事だよ」 キラーマジンガ「よか……た……マ……す……」 キラーマジンガ「わ、たし……ま、すた……が……ガ、ガ……ダ、イ……す―――」ガクンッ エルフ「そんな……ボクはそんなつもりは……」 僧侶「ジーちゃん……」 魔法使い「……」 ドラゴン「木偶人形め……最後まで無駄なことをしたな。全く使えなかったな」 777:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 49 32.61 ID hpeqfj4Jo勇者「本心か、それは?」 ドラゴン「魔法で強化した程度で俺は貫けない。そんなことも判断できずに敵の攻撃に当たりにいくとは……」 僧侶「……っ」 魔法使い「ダメ……魔法は使わないで……」 エルフ「ボクは……」 ドラゴン「出来の悪い人形はこれだからな」 勇者「―――そう自分に言い聞かせて、魔王の捨て駒にされた同胞を見捨ててきたのか?」 ドラゴン「きさまぁ!!!」 勇者「そうなんだろう?」 ドラゴン「違う!!魔王様は魔族の繁栄のために!!!」 勇者「繁栄のためにお前を慕った奴らをボロ雑巾のように扱う」 ドラゴン「黙れ!!!黙れぇぇぇぇ!!!!!!」 勇者「この木偶人形でも自分の譲れないモノのために戦った!!!お前にはそれがないのか!!!」 ドラゴン「俺は……俺は……魔王様の……ために……!!!」 勇者「お前は人形にも劣るな。自分をそうやって押し殺すことしかできないならな」 778:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 04 54 10.58 ID hpeqfj4Joドラゴン「いい加減にしろぉ……!!!殺す……!!殺す……!!!!」 勇者「……」チャカ 僧侶「勇者様!?」 エルフ「魔法銃……」 ドラゴン「ふぅー……ふぅ-……!!!」 勇者「確かに弾はないかもしれない。でも、あるかもしれない」 ドラゴン「俺は……俺はぁ……!!!」 勇者「お前が決めろよ」 ドラゴン「……っ?!」 勇者「キラーマジンガだってお前を守るって自分で決めたぞ?」 ドラゴン「俺は……!!」 勇者「魔王に疑問の一つぐらいあっただろ?」 ドラゴン「うぅぅぅ……!!!!!」 勇者「答えろ。お前の答え次第では引き金を引く。たとえ、弾が出なくても今のお前を倒す方法なんてごまんとある」 ドラゴン「オォォォォォォ!!!!!!」 779:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 05 00 16.44 ID hpeqfj4Jo魔王『―――そうか。では撤退だ』 ドラゴン『魔王様。私の部下がまだ敵地に』 魔王『捨て置け。我が死なぬ限り、負けではない。そう教えたはずだ』 ドラゴン『は……』 『ドラゴンさまぁ……!!お助けをぉ……!!!』 『いたい……いたい……いたい……』 ドラゴン『弱い奴らは必要ない』 『ドラゴンさ……ま……!!!』 『たす……け……!!』 ドラゴン『だまれぇ!!!』ゴォォォォ 『ギャァァァ……!!!』 ドラゴン『魔王様が捨て置けを言った。貴様たちは捨てられたのだ』 『アァァ……ァ……ァ……』 ドラゴン『役立たずはいらない……いらない……』 ドラゴン『役立たずは必要ない……必要ない……』 780:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 05 08 35.09 ID hpeqfj4Joドラゴン「―――いらない……いらない……」 勇者「崩れたか……」 僧侶「……」 魔法使い「ど、どうなったの……?」 エルフ「側近だからこそ、色々思っていたのかな?」 勇者「ずっと魔王のやり方には疑問だった。確かに勝利を揺るがないものにすることは大事です」 勇者「でも、有能な部下を次の勝利に繋げるために捨てるなんて俺にはできない」 魔法使い「……」 勇者「トロルも魔人も……先兵以上の役割はなかったのでしょう。全ては最終的な勝利のための布石にすぎない」 僧侶「勇者様……」 勇者「魔王……俺はお前を許さない……。人間だけじゃなく仲間をもずっと苦しめてきたんだからな……」 勇者「仇討ちをするのは俺たちで最後だ……!」 魔法使い「そうね。それが理想ね」 僧侶「仇討ち……」 ドラゴン「いらない……いらない……わけが……ない……」 781:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 05 14 24.83 ID hpeqfj4Joエルフ「ガーちゃん……ごめんね……ボクの所為で……ごめん……」 キラーマジンガ「……」 僧侶「ジーちゃん……安らかにお眠りください……貴方の御心は神が愛してくれることでしょう……」 魔法使い「マーちゃん……楽しかったわ……今までありがとう……」 ドラゴン「俺をどうするつもりだ……?」 勇者「仲間になってください」 ドラゴン「……」 勇者「魔王を倒すためには手を貸せないと?」 ドラゴン「お前の言うとおり魔王様の考えについていけないときもあった。だが、恩義があることもまた確かだ」 ドラゴン「でなければ、自分を誤魔化すことなどせず謀反を起こしている」 勇者「でしょうね」 ドラゴン「ふん……どちらにせよ……俺はもう……立ち上がれない」 勇者「……では、こうしましょう」 ドラゴン「なんだ?」 勇者「これから人間として生きるというのはどうですか?」 782:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 05 20 07.66 ID hpeqfj4Joドラゴン「なにを馬鹿な……これでも俺は由緒正しきドラゴン族の末裔だぞ?」 勇者「人間として生きて、ドラゴンになるときはなんかそれっぽい呪文詠唱して変身することにしたら―――」 ドラゴン「できるかぁ!!!ふざけるなぁ!!!」 勇者「できるっ!!あんなに可憐な女の子になれるんだから!!!」 ドラゴン「あのなぁ……」 勇者「結構、疑問だったんですけど、どうしていつも女の子になってたんですか?」 ドラゴン「ニンゲンの殆どは女児に甘い顔をすると聞いていたからだ」 勇者「貴女はメス?オス?」 ドラゴン「性別などない。元々ドラゴン族は神の使いとして―――」 勇者「えぇ?!」 ドラゴン「なんだ?」 勇者「両性具有ってやつですか?」 ドラゴン「そうだ」 勇者「これは……ほうほう!!益々、気に入りました。ようこそ、側室ワールドへ」ニコッ ドラゴン「気持ち悪いなお前」 783:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 05 24 56.71 ID hpeqfj4Jo勇者「とにかく、僕たちは魔王と戦うために貴女の力が必要なのです。そして側室へ」 ドラゴン「しかし……」 勇者「どうしてもダメですか?」 ドラゴン「……」 勇者「お願いします」 ドラゴン「……」プイッ 魔法使い「―――私からもお願い」 ドラゴン「……」プイッ 僧侶「あっちむいて、ほい」 ドラゴン「……」プイッ 僧侶「かったー」 ドラゴン「邪魔だ!!お前ら!!!今は独りにしてくれぇ!!!」 勇者「分かりました。では、後ほど」 僧侶「お願いします」 ドラゴン「ふん……」 799:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 21 43 39.78 ID hpeqfj4Jo―――夜 魔王の城 ドラゴン「……」 エルフ「……」カチャカチャ ドラゴン「……」 エルフ「えっと……ここは……」カチャカチャ ドラゴン「なにをしている?」 エルフ「え?」 ドラゴン「動かぬ人形で人形遊びか?」 エルフ「今は動かないだけで、動くよ」 ドラゴン「……」 エルフ「ガーちゃんは動くよ。まだ、生きてるから」カチャカチャ ドラゴン「……そうなのか?」 エルフ「うん。エネルギーはなくなっちゃったし、動力部の損傷も激しいけど、きっと……動く」 ドラゴン「動くのか……」 キラーマジンガ「……」 801:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 21 47 03.92 ID hpeqfj4Joエルフ「んと……」ガチャガチャ ドラゴン「……」ソーッ エルフ「これは……んー……」グイッ ドラゴン「おい。そんなに乱暴にしたら壊れるんじゃないか?」 エルフ「もう壊れてるし」 ドラゴン「余計に壊れるだろう」 エルフ「うるさいなぁ。―――そこの部品とって」 ドラゴン「これか?」 エルフ「違うよ。右のやつ」 ドラゴン「これか」 エルフ「違うよ!!これだよ!!」 ドラゴン「分かりにくいな」 エルフ「つかえねー」 ドラゴン「き、きさま……!!誰に向かって……!!!」 エルフ「いいから黙っててよ」カチャカチャ 802:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 21 52 20.66 ID hpeqfj4Joドラゴン「……エルフ族は口が悪いな」 エルフ「一応、敬語は使えるけど」 ドラゴン「じゃあ、使えよ」 エルフ「……ドラゴン様」 ドラゴン「なんだ?」 エルフ「魔王のことはどう思っているのですか?」 ドラゴン「我々にとっての絶対的な王だ。それは変わらない」 エルフ「……」 ドラゴン「エルフ族でも魔王様に対する信仰は続いているはずだ」 エルフ「それは……」 ドラゴン「ニンゲンに手を貸さなければ……お前たちの立場は違っていたのだろうがな」 エルフ「だから、あれはニンゲンたちが……勝手にしたことなんです……」 ドラゴン「お前は若いようだが、過去の過ちについては聞いているのか?」 エルフ「勿論です。―――ニンゲンがボクらを裏切ったと、長老から話は聞きました」 ドラゴン「……話してみろ。ああ、作業はしながらでいいからな」 803:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22 03 03.60 ID hpeqfj4Joエルフ「かつて、魔族はニンゲンと関係を持たないように暮らしていたと聞きました」カチャカチャ ドラゴン「そうだ。魔族は魔族の世界だけで生きてきた」 エルフ「故に争いは起こらず、互いに干渉もしない遠い隣人でいられた」 エルフ「ある日、一人のエルフがニンゲンに助けられ、そのお礼に簡易魔法を伝授したのが全ての始まり」 ドラゴン「火を指先から出すだけの魔法にニンゲンは群がったらしいな」 エルフ「はい」 ドラゴン「そうしていく内にニンゲンは欲を出し、様々な魔法を乞うようになったわけだ」 エルフ「そのうちにエルフ族とニンゲンは互いの不干渉だった境界を無くした。それによってニンゲンの文明は大きく進んだわけですけど」 ドラゴン「力を持ったニンゲンは世界の掌握に躍起なったがな。魔王様の話では随分と唐突な戦争だったらしい」 エルフ「……」 ドラゴン「当初はエルフが魔法を伝授したことは誰も知らなかったし、そもそも不文律を犯す同族がいることすら想像していなかったが」 エルフ「申し訳ありません」 ドラゴン「先祖の間違いを子孫が謝罪するか。ふん……100年ほど遅いな」 エルフ「魔法銃の開発もただニンゲンの文明発展の助力になればと提供したに過ぎません。それを魔王討伐の最終兵器にするなんて……」 ドラゴン「まあいいさ。もう過ぎたこと。既にどちらかが滅びるまで戦うことになった。悔やんでも怒りを露にしても手遅れだ」 804:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22 07 16.65 ID hpeqfj4Joドラゴン「幽霊船ではそれを言おうとしたのだな?」 エルフ「はい」 ドラゴン「手が止まってるぞ」 エルフ「あぁ……すいません」カチャカチャ ドラゴン「だが、どのような理由があろうともエルフに対する憎悪は消えないだろう」 エルフ「……」 ドラゴン「エルフさえいなければニンゲンが欲を出すこともなかったと言う者もいる」 エルフ「そうですね……ボクたちは……一生……恨まれて―――」 勇者「お茶いりますか?」 ドラゴン「おぉ?!」 エルフ「わぁ?!いつの間に?!」 勇者「ドラゴちゃんがキリッとして……勇者の側室になるしかねえな、と発言した辺りからいました」 ドラゴン「どこでそんなこといった?!言ってみろ?!」 勇者「照れちゃって、このこの」 ドラゴン「食べるぞ?足から食べるぞ?」 805:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22 11 50.12 ID hpeqfj4Jo勇者「僕が君を食べようかな?―――足の指の間を丹念に舐めてあげる」 ドラゴン「いやらしい顔をするな!!!」 エルフ「もう、びっくりさせないでよ」 勇者「いやぁ、久々に貴女の丁寧な言葉遣いを聴きましてね、もう僕の股間がお祭り騒ぎに」 エルフ「どんな性癖なの?」 勇者「君が泣いてあきれるほどに」キリッ エルフ「かっこよくないから」カチャカチャ 勇者「で、キラちゃんはどうですか?」 エルフ「時間はかかる。短時間ではまず無理かな」 勇者「じゃあ、今のうちにペロペロしておくか」 ドラゴン「やめろ、下衆が」 勇者「ところで今の話、本当ですか?」 ドラゴン「……エルフ族が言うなら本当なのだろう」 勇者「ニンゲンって悪いやつだなー。マジでさいてーじゃねーか」 ドラゴン「てめーだよ!!」 806:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22 19 22.65 ID hpeqfj4Jo勇者「僕は勇者。紳士の中の紳士。キングオブジェントルメンである僕を捕まえて、変態とは失敬ですね」 ドラゴン「ふん……」 勇者「協力したくない理由の一つでもあると」 ドラゴン「その通りだな。とはいえ昔の話だ。魔族の中にはどうしてニンゲンと戦をしているのか理解できていないものもいる」 勇者「エルフ族が人間を嫌うのは根幹にそういう訳があったのですね?」 エルフ「ボク自身は生まれる前の話だから、ピンとこないこともあるよ。周りの大人からニンゲンは屑だって言われて育ってきたから、先入観で嫌ってるだけ」 勇者「僕以外の人間は好きになれないと?」 エルフ「人間は例外なく嫌いだよ」 勇者「僕がこんなに愛してるのに?!酷いなぁー!!!えー?!」 エルフ「嘘ばっかり」 勇者「じゃあ、向こうで裸になろうか」 エルフ「やだよ!!あっちいけ!!作業の邪魔!!」 勇者「ガードかてえ。ここまで一緒にやってきのに……」 ドラゴン「お前は不思議なニンゲンだな」 勇者「そうですか?割と一般人だと思いますけど……ああ!!そっか!!俺、勇者だった!!一般人とは一線を画しますね!!」キリッ www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/19.html
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短編SS 「プロ野球愛好会 祝開幕会合」 今岡 栗実 2005/4/5 「伝説の本」 正木 聖香 2005/3/18 「プロ野球愛好会 沖縄キャンプ編」 二宮 央 2005/3/14 「高温の冷気と溶けそうな白雪」(玲&かずら姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「あなたといっしょにどこまでも。」(朔耶&彩さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「たとえ一億光年離れても、」(りなさん&萌さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「eternity rose」(朋子さん&ひめ乃さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「a picture of my sister」(聖香さん&芽衣子さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「あなたの定位置」(慧理奈さん&志保子さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「はちみつ色の幸福論」(京&慧理奈さん姉妹) 月城 玲 2005/3/11 「出会い」 中司 春菜 2005/3/9 「神田を愛でる会発足記念SS」 今岡 栗実 2005/2/13 「ふさふさしっぽのハムスター」 一ノ瀬 ひめ乃 2005/1/24 「ドラフト会議の朝・裏話」 今岡 栗実 2004/11/21 「ドラフト会議の朝」 今岡 栗実 2004/11/21 「結果報告。」 二宮 央 2004/11/18 「プロ野球愛好会(勝手に設立)つれづれ。」 二宮 央 2004/11/16 「人騒がせな春一番。」 私市 朔耶 2004/11/12 無題 石原 華央梨 2004/11/11 「片足だけあげて 後編3」 正木 聖香 2004/11/6 「片足だけあげて 後編2」 正木 聖香 2004/11/6 「片足だけあげて 後編1」 正木 聖香 2004/11/6 「片足だけあげて 前編」 雪村 芽衣子 2004/11/6 「図書室のティーパーティー」 中司 春菜 2004/11/5 「DvsL」 二宮 央 2004/10/13 「浅き夢にも」 一ノ瀬 ひめ乃 2004/10/4 「温室の歌姫」 中司 春菜 2004/8/15 「花言葉に想いを込めて」 中司 春菜 2004/6/3 「早朝の図書館にて 後編」 中司 春菜 2004/5/19 「早朝の図書館にて 前編」 中司 春菜 2004/5/15 「ドルチェ」 二宮 央 2004/4/10 「ワインレッド」 月城 玲 2004/3/14 「冬の日」 月城 玲 2004/02/23 「It s a beautiful day 」 月城 玲 2004/1/31
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/06/02(土) 23 30 23.40 ID hpeqfj4Jo傭兵登録所 受付「え?」 勇者「ですから、魔王を倒すためにすごく美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」 受付「あの……魔王を倒すのにすごく美人なのは関係あるんですか?」 勇者「あります」 受付「どのような?」 勇者「僕のヤル気が上がりますよね?じゃあ、魔王を倒す可能性もあがります」 受付「……」 勇者「この際、すごく美人な僧侶と魔法使いでも構いません」 受付「ちょっと待っていてください」 勇者「はっ」 2:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 33 58.71 ID hpeqfj4Jo受付「えーと……」キョロキョロ 僧侶「あー!?」 受付「お」 魔法使い「大声出さないでよ」 僧侶「だって、それは私が食べようと思ってたのに……」 魔法使い「あら、ごめんなさい。お詫びにこれをあげるわ」 僧侶「ブロッコリーは嫌いだって何度も……!!」 受付(あの二人は……確か……) 受付(まあ、いいか。顔はいいし) 受付「あのー、すいません」 僧侶「はい?」 魔法使い「なぁに?」 受付「勇者様がお呼びです」 僧侶・魔法使い「「えっ!?」」ガタッ 4:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 36 46.14 ID hpeqfj4Jo受付「お待たせしました」 勇者「いえ。待っていません」 受付「彼女たちでよろしいでしょうか?」 勇者「おぉ……!!」 僧侶「あの……ご指名頂き、ありがとうございます……」 魔法使い「よろしくぅ」 勇者「美しい……」 僧侶「そ、そんな……」 魔法使い「あら、ありがとう」 勇者「では、早速行きましょう」 僧侶「は、はい!!」 魔法使い「りょうか~い」 受付「お気をつけて~」 受付(よし、うちの不良債権が出て行った……) 5:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 41 12.71 ID hpeqfj4Jo―――街 勇者「まずは何より支度を整えないといけませんね」 僧侶「そ、そ、そうですね!!」 魔法使い「うんうん」 勇者「お二人とも、装備は……」 僧侶「杖!!」 魔法使い「棒」 勇者「……」 僧侶「だ、だめでしょうか……?」 勇者「まあ、前衛は僕に任せてもらえればいいですけど」 魔法使い「そうよね。勇者は戦ってなんぼだしね」 勇者「ええ。二人を守って見せましょう」キリッ 僧侶「さ、流石は勇者様!!かっこいいです!!」 勇者「ふっ。当然です。勇者なのですから」 魔法使い「おー」パチパチ 6:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 46 22.62 ID hpeqfj4Jo―――フィールド 勇者「さて、ここから北にいくと小さな村があるみたいなのでそこを目指しましょうか」 僧侶「さ、賛成です!!」 魔法使い「おー」 勇者「いや、でもお二人と出会えたことを僕は嬉しく思いますよ」 僧侶「え?ど、どうしてでしょうか?」 勇者「いや。まさかこんなにもお美しい人が旅を共にしてくれるなんて嬉しいじゃないですか」 魔法使い「そうよね。貴方はラッキーよ」 僧侶「い、いえ!わ、私はそんな……あの……」 勇者「貴女たちを守れること……そして、貴女たちから支援をしていただけること……」 勇者「それがとっても嬉しいのです」 僧侶「あ、あの……」 勇者「なんでしょうか?」 僧侶「えっと……支援って?」 魔法使い「もしかして手伝わなきゃダメなの?」 7:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 52 03.13 ID hpeqfj4Jo勇者「まぁ、物理的な攻撃では傷を与えにくい相手には魔法を頼らせて頂きますし」 魔法使い「……」 勇者「こちらが傷を負ったときは、治癒をお願いしたいのですが」 僧侶「……」 勇者「でも、不思議なものですね。貴女たちのような美人が二人も余っているなんて」 勇者「貴女たちのような人は真っ先に引き抜かれると思っていたのですが」 魔法使い「受付の人から何も聞いてないのね」 勇者「え?」 魔法使い「私たち、魔法は使えないわよ」 勇者「……え?」 魔法使い「正確には使えるけど、使えないって感じ」 勇者「ど、どういうことですか?」 僧侶「えっと……その……私たち、100年に一人の逸材らしいんです……」 魔法使い「悪い意味でね」 勇者「……」 8:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 54 58.90 ID hpeqfj4Jo魔法使い「だから、頼るだけ無駄だからね?」 勇者「それは一体―――」 ガサガサガサ……!! 勇者「むっ!?」 魔物「ガルルルル……!!」 勇者「魔物か!」 僧侶「ひっ」 勇者「後ろに下がって!!」 魔法使い「がんばれー」 魔物「がぁぁぁ!!!」 勇者「でぁ!!」ザンッ 魔物「キャン!?」 僧侶「強い!」 魔法使い「わぁお。さっすが」 勇者「この程度は―――二人とも、後ろ!!」 9:NIPPERがお送りします:2012/06/02(土) 23 58 48.28 ID hpeqfj4Jo僧侶「え―――」 魔物「ガァァァ!!!」ガブッ 僧侶「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」 魔法使い「なっ!?」 僧侶「いたい!!いたい!!いたい!!!あしっ!!あしっ!!」 魔法使い「このぉ!!」ドガァ 魔物「ガルルル……」 僧侶「いたい!!いたい!!!!」 勇者「下手に攻撃しないほうが!!」 魔法使い「しかたない……!!」 僧侶「たすけてぇ……」 魔法使い「この……魔物の分際で!!!」ギュッ 魔物「がぁ!?」 勇者「なに魔物に抱きついて……!?」 魔法使い「もえろぉ!!」ゴォォォ 20:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 18 32.89 ID hpeqfj4Jo勇者「なんと……」 魔法使い「はぁ……はぁ……」 僧侶「あ、ありがとうございます……」 魔法使い「世話かけないでよね」 僧侶「ご、ごめんなさい」 勇者「魔法使えるじゃないですか。それも結構な威力で」 魔法使い「……ダメなの」 勇者「え?」 魔法使い「私は全身を使わないとまともなダメージが与えられない」 勇者「ど、どうして?」 魔法使い「普通は指先や手のひらを銃口の代わりして、魔法を放つわけだけど。私の場合はそれができない」 魔法使い「今みたいに全身からしか放てないの」 勇者「それのどこに問題が?大口径になってむしろ威力が上がるのでは?」 魔法使い「全身が銃口ならよかったけど、銃身のほうが縦笛のように穴だらけ。遠くに放とうとしても魔力が散逸しちゃって、届かないの」 勇者「それって、有効な射程距離がゼロに等しいってことですか?」 21:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 19 03.87 ID hpeqfj4Jo勇者「なんと……」 魔法使い「はぁ……はぁ……」 僧侶「あ、ありがとうございます……」 魔法使い「世話かけないでよね」 僧侶「ご、ごめんなさい」 勇者「魔法使えるじゃないですか。それも結構な威力で」 魔法使い「……ダメなの」 勇者「え?」 魔法使い「私は全身を使わないとまともなダメージが与えられない」 勇者「ど、どうして?」 魔法使い「普通は指先や手のひらを銃口の代わりして、魔法を放つわけだけど。私の場合はそれができない」 魔法使い「今みたいに全身からしか放てないの」 勇者「それのどこに問題が?大口径になってむしろ威力が上がるのでは?」 魔法使い「全身が銃口ならよかったけど、銃身のほうが縦笛のように穴だらけ。遠くに放とうとしても魔力が散逸しちゃって、届かないの」 勇者「それって、有効な射程距離がゼロに等しいってことですか?」 23:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 35 50.33 ID hpeqfj4Jo魔法使い「そういうことね。魔法発動時は大丈夫だけど、流石に燃え始めた魔物に触れちゃうと火傷するし、爆発系なら爆風に巻き込まれる」 魔法使い「制限が多いの、私」 勇者「そうだったのですか。―――ひょっとして、貴女も?」 僧侶「えっと……」 勇者「そうだ!!足を怪我していたのでは?!」 僧侶「それは……あの……」 魔法使い「大丈夫よ。もう完治してるから」 勇者「え?でも、確かに噛まれて」 僧侶「わ、私はあの……と、止まらないんです……」 勇者「止まらない?」 僧侶「魔法……止められないんです……」 勇者「ど、どういうことですか?」 僧侶「魔力が尽きるまで勝手に治癒魔法が発動し続ける体質で……」 僧侶「怪我をしても魔力がある限りは体が自動的に治癒させてしまうんです」 勇者「それって……無敵ってことじゃないですか!!すごい!!」 24:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 42 36.99 ID hpeqfj4Jo魔法使い「いやいや、魔力が尽きたら終わりなんだから、無敵ではないわ」 僧侶「は、はい」 勇者「でも……」 僧侶「魔力は睡眠を取るなり、食事をするなりして回復しますが……私はずっと使い続けている状態なので……」 勇者「もしかて……」 僧侶「燃費……すごく悪いんです……」 魔法使い「十分に回復しても1時間ぐらいで底を打っちゃうものね?」 勇者「……」 僧侶「ご、ごめんなさい!!一応、攻撃魔法も習得していますが……それを使うと一気に……魔力が……」 勇者「なるほど……」 魔法使い「私たちが売れ残った理由、わかったかしら?」 勇者「……」 魔法使い「ポンコツなのよ、私たち」 僧侶「すいません……てっきり、受付の人が話してくれているものだと……」 魔法使い「ま、いるわけないわよね。私たちをわざわざ危険な旅に同行させようなんて考える馬鹿は」 25:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 47 55.17 ID hpeqfj4Jo僧侶「あの!!今からでも遅くありません!!他の人を連れていったほうが……」 魔法使い「私からもそれをオススメするわ」 勇者「……」 僧侶「やっぱり、私たちもうこういうことやめたほうがいいかもしれませんね……」 魔法使い「そうね……。勇者様と魔王討伐……夢だったけど……」 勇者「……」 僧侶「で、では……これで……」 魔法使い「ありがとう。指名してくれて。でも、残念。私たちでは貴方の寿命を短くする手助けしかできないの」 僧侶「これからは……お花屋さんでも経営します……」 魔法使い「いいわねー。棒も売りましょう、棒」 僧侶「棒なんて売れないですよー」 魔法使い「馬鹿ね。つっかえ棒とか物干し竿とか色々あるでしょ」 僧侶「花とどんな関係が……」 勇者「待ってください」 魔法使い「なに?」 26:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 52 44.62 ID hpeqfj4Jo勇者「僕が提示した条件はすごく美人で有能な僧侶と魔法使いでした」 僧侶「……」 魔法使い「なら、貴方の条件はまるっきり満たしていないわね」 勇者「でも、その後すぐに訂正しました。すごく美人な僧侶と魔法使いでいいと」 僧侶「え……」 勇者「ですので、僕は納得して貴女たちを連れていくことに決めました」 魔法使い「いや……」 勇者「さあ、行きましょう」 僧侶「ちょっと待ってください!!」 勇者「なんでしょうか?」 魔法使い「馬鹿なの?説明したでしょ。私たちは役立たずなのよ」 勇者「でも、魔王討伐に行くことが夢だからこそ、あの傭兵所で声が掛かるのを待っていたんですよね?」 僧侶「そ、そうですけど……」 勇者「なら、僕がお二人の夢を叶えて差し上げます」 魔法使い「何言ってるのよ!!死ぬ気!?」 27:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 13 58 15.54 ID hpeqfj4Jo僧侶「そ、そうです!」 勇者「死にません。僕は王国に選ばれた勇者ですから」 魔法使い「足を引っ張るだけよ……」 勇者「それはまだわかりません」 魔法使い「顔?私たちの顔が好みだから連れて行きたいわけ?」 勇者「はい」 僧侶「な、なにいってるんですか?!」 魔法使い「それなら魔王倒して、名前を売ればいいじゃない。名声と富を手に入れれば、私たち以上の女だって寄ってくるわ」 勇者「そのために屈強な男性と共に旅をしろというのですか?!ふざけんな!!」 僧侶「ひっ」ビクッ 魔法使い「あ、あんた……正気?!相手は魔王!!世界の3分の1を支配してる魔物の王様なのよ?!」 勇者「そうですね」 魔法使い「こんなダメな二人を連れて無事に済むと思ってるの?……いえ、絶対に死ぬ」 勇者「どんなに有能な人を連れていても死ぬときは死にます。なら、僕は自分の好みに合った人を連れて行きたいです」 僧侶「か、考えなおしてください!!」 28:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 02 42.29 ID hpeqfj4Jo勇者「どんなに思考しても行き着く結論は同じです」 魔法使い「真性の馬鹿か……」 僧侶「勇者様……」 勇者「とりあえず北の村に行きましょう」 魔法使い「……」 僧侶「……」 勇者「どうしてもというなら構いません。無理強いはさせたくないですし」 勇者「死ぬほど嫌なら抜けてもらってもいいですよ」 僧侶「でも……」 勇者「しかし、迷っているぐらいなら是非とも僕の後ろにいて頂きたいと思います」 魔法使い「……」 僧侶「ど、どうします?」 魔法使い「どうするといわれても……」 勇者「では、出発!!」 29:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 06 55.02 ID hpeqfj4Jo―――村 勇者「着きましたね」 僧侶「そ、そうですね……」 魔法使い「はぁ……」 勇者「お二人は宿の確保をお願いします。僕は魔物を狩って得た物を売ってきます」 僧侶「は、はい」 勇者「宿屋で合流しましょう」 魔法使い「ええ」 勇者「それでは、行ってきます」 僧侶「……あの」 魔法使い「なに?」 僧侶「ど、どこまで本気なんでしょうか……」 魔法使い「さぁ?でも、まあ、居ないよりはマシって考えじゃない?」 僧侶「そ、そうですね。道中、いい人が見つかるまでのサポートなら……」 魔法使い「さ、宿に行きましょう。あんたの魔力、とっくに空でしょ?」 30:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 11 40.56 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 勇者「ただいま戻りました!!」 魔法使い「おかえり。アンタの部屋は向こうね」 勇者「相部屋じゃないんですか!?」 魔法使い「当たり前でしょ!?」 僧侶「ご、ごめんなさい」 勇者「ちっ」 魔法使い「アンタ、本当に勇者?」 勇者「まあ、いいでしょう。それよりも……」 僧侶「な、なんですか?」 勇者「どうぞ」スッ 魔法使い「なにこれ?」 勇者「杖と棒だけでは心許ないと思いまして、ナイフと剣を買ってきました」 僧侶「わ、私たちにですか?」 勇者「魔法が不便ならせめて自衛のための武器は必要でしょう?」 31:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 16 49.14 ID hpeqfj4Jo魔法使い「まあ、そうね」 僧侶「このような立派な物を……あ、ありがとうございます!!」 勇者「いえいえ」 魔法使い「……ねえ」 勇者「はい?」 魔法使い「こんな物買ってきて……私たちを戦力として見てるの?」 勇者「当然ですよ」 魔法使い「魔法も満足に使えないのに?」 勇者「ですから、武器を―――」 魔法使い「それなら強い戦士を仲間にしたらどうなの?」 僧侶「ちょっと……」 魔法使い「非力な私たちが武器を持ってもプラスにならないわよ?」 勇者「筋肉質の女性はちょっと……」 魔法使い「そういう意味じゃないの!!アンタ、どうせ私たちを捨てるつもりなんでしょう!?余計なことにお金使わないほうがいいわよ?!」 勇者「捨てる?」 32:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 20 31.00 ID hpeqfj4Jo僧侶「そ、そんなこと言わなくても……」 魔法使い「どうせ……いい人が見つかるまでの繋ぎでしょ?」 勇者「何を言っているんですか?」 魔法使い「下手な気遣いはいらないわよ」 勇者「僕は貴女たちと魔王討伐をするつもりで武器を買ってきたんですよ?」 魔法使い「嘘」 勇者「嘘じゃないです」 魔法使い「……」 僧侶「あの……お、おちついて……」 勇者「貴女たち以外と旅をするつもりは微塵もありません」 魔法使い「……何が目的?」 勇者「え?」 魔法使い「私たちを同行させて……何か裏があるんでしょ?」 僧侶「や、やめてください……」 勇者「無論、目的はありますよ」 33:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 24 16.43 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ほらね。何?臓器でも売る?それとも私たちを人身売買にかけるつもり?」 僧侶「し、失礼ですよ!!」 魔法使い「だって……それぐらいしか……」 勇者「体目当てです」 魔法使い「え?」 僧侶「か、体?」 勇者「はい」 魔法使い「ふん……やっぱり……そういうこと……。身売りさせるわけ?」 勇者「いいえ。僕が貴女たちの体を狙っています」 魔法使い「はぁ!?」 僧侶「ど、どういうことですか?!」 勇者「僕は貴女たちを見ているとムラムラします」 魔法使い「何言ってるの!?馬鹿なの!?」 勇者「勇者に向かって失敬ですね」 僧侶「あ、あの……体って……それは……えっと……エ、エッチなこと……ですか?」 34:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 28 13.36 ID hpeqfj4Jo勇者「まあ、そうです」 僧侶「……」 魔法使い「な、なにそれ……」 勇者「でも、どうやら貴女たちはとてもガードが固いようですので、暫くは様子見します」 魔法使い「連れて行く代わりにヤラせろってこと?」 僧侶「ひっ」 勇者「強姦などしません。飽く迄もラブラブな状態でしか体を重ねたくありませんし」 魔法使い「……本気?」 勇者「勿論っ」 僧侶「目が怖いです……」 勇者「それではお休みなさい」 魔法使い「え、ええ……」 勇者「安心してください。夜這いもしませんから」 魔法使い「したらホールドファイアーしてやる」 勇者「なるほど。それは危険ですね」 35:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 35 27.58 ID hpeqfj4Jo僧侶「……あの」 魔法使い「まさかただの下心だったとはね」 僧侶「……」 魔法使い「どうする?帰る?」 僧侶「い、いえ……無理矢理にしないって言ってましたし」 魔法使い「それ信じるの?油断したときに襲われたら大変よ?」 僧侶「まあ、でも、邪念のみで体に触れようとしてきても勇者様では私たちに勝てませんし」 魔法使い「確かにね。私なら燃やせるし」 僧侶「はい」 魔法使い「あんたは危ないけどね」 僧侶「わ、私は勇者様を信じますから」 魔法使い「お人好しね」 僧侶「そ、それほどでも」 魔法使い「別に褒めてないけど」 僧侶「と、とにかく!魔王討伐に行くことは確定なんですからがんばりましょう!!」 36:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 39 24.23 ID hpeqfj4Jo―――翌日 勇者「おはようございます!!」 魔法使い「おはよ」 僧侶「はい」 勇者「では、早速出発しましょう」 僧侶「そ、そうですね!時間が惜しいですし!!」 魔法使い「で、今日はどこを目指すの?」 勇者「東にある森を抜けて、隣国に入りましょう」 僧侶「国境のある森ですね」 勇者「森自体はそれほど歩きにくいものではないようですが、魔物もいますし、なにより道のりが長いようです」 僧侶「そ、それはたいへんですね」 勇者「ええ。ですが、しっかりと休憩を挟みながら進めば何も問題はないでしょう」 魔法使い「だといいけど」 勇者「では、出発!!」 僧侶「は、はい!!」 37:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 42 25.51 ID hpeqfj4Jo―――森 勇者「魔力は大丈夫ですか?」 僧侶「まだ、いけます」 魔法使い「もうギリギリでしょう?」 僧侶「そ、そうですけど……」 勇者「まあまあ、薬草も十二分にありますし。気にしないでください」 魔法使い(いつの間に……) 僧侶「さ、流石は勇者様!!」 勇者「いやぁ」 ガサガサガサ…… 勇者「むっ!?」 魔物「ウゥゥゥゥゥ……!!!」 魔法使い「魔物……!!」 勇者「ふっ。掛かって来い!!!」 魔物「ガァァァ!!!!」ダダッ 38:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 45 36.95 ID hpeqfj4Jo勇者「せぇぇい!!」ザンッ 魔物「グァ!?」 勇者「もう一撃!!」 魔物「グアァ!!!」ガブッ 勇者「つっ?!」 僧侶「勇者様ぁ!!」 魔法使い「……っ」 勇者「―――はぁぁぁ!!!」ザンッ 魔物「ゥガ……」 勇者「勝った」 僧侶「勇者様!!大丈夫ですか!?」 勇者「ええ」 魔法使い「腕から出血してるわよ?」 僧侶「い、今、魔法で……」 勇者「いや、必要ありません」 39:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 49 11.55 ID hpeqfj4Jo僧侶「どうしてですか!?」 勇者「それは……」 魔法使い「それは?」 勇者「こうするからです」ムニュ 僧侶「へっ……!?」 魔法使い「なっ……?!」 勇者「素晴らしい弾力ですね」ムニュムニュ 僧侶「い……いやぁぁぁぁ!!!!」 魔法使い「な、なに堂々と胸を揉んでるのよぉ!!!」 勇者「でも、傷は癒えました」 魔法使い「ちょっと……!?」 勇者「思ったとおり、貴女の体に触れると治癒の効果が得られるのですね。いや、なるほど」 僧侶「うぅぅ……」 魔法使い「いい加減にしなさいよ!!あんたぁ!!」 勇者「魔力が垂れ流し状態なら、こうやって活用したほうがいいはず」 40:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 53 24.66 ID hpeqfj4Jo魔法使い「そりゃ……そうだけど……」 勇者「うん。仕方ありませんね」 僧侶「ぐすっ……」 魔法使い「でも、胸じゃなくてもいいでしょうが!!手を繋ぐとかでも!!」 勇者「それは盲点でした」 魔法使い「野郎……」 僧侶「……」 勇者「すいません。僕の思慮が足りないばかりに」 僧侶「い、いえ……わ、私もびっくりしてしまって……」 勇者「これからは手を繋ぎます」 僧侶「そ、そうしてください……」 勇者「よし。それではもう少し先に進んで休憩にしましょうか」 僧侶「は、はい」 魔法使い「わざとでしょ……?」 勇者「いや、僕の浅はかさが露呈してしまっただけです。本当に面目ありません」 42:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 14 58 16.26 ID hpeqfj4Jo―――川辺 勇者「ここなら安全そうですね。休憩にしましょう」 僧侶「はぁ……疲れた」 魔法使い「日没までには抜けられそうね」 勇者「抜ければすぐに城下町が見えるはずです。がんばりましょう」 僧侶「はいっ」 勇者「あの」 魔法使い「なに?」 勇者「パンを焼いてもらえますか?」 魔法使い「はいはい。―――よっと」ボッ 勇者「……」 僧侶「ここの川、すごく綺麗ですよ!」 勇者「魚でも捕りましょうか」 僧侶「できるんですか?!」 勇者「ふっ。僕に不可能はありません」 43:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 05 02.88 ID hpeqfj4Jo僧侶「すごい!すごい!大量です!」 勇者「はっはっはっは」 魔法使い「いや……そんなに食べられないでしょうが」 勇者「そうですね。キャッチアンドリリース」 魔法使い「火を起こすわ」 僧侶「あ、私も手伝います」 魔法使い「うん」 僧侶「できました」 魔法使い「ありがとう。ほい」ジジジジッ 勇者「なるほど。それぐらいの炎なら手のひらからでも出せるわけですね」 魔法使い「距離も近いからね。5メートル以上だと枯葉すら燃やせない。若干温かくなるぐらいね」 勇者「そうですか」 僧侶「さあ、いっぱい食べて魔力を回復させないと」 魔法使い「大変ね」 勇者「……」 44:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 08 59.34 ID hpeqfj4Jo―――森 勇者「段差になっているので足下に注意してください」 僧侶「は、はい」 勇者「よし」 魔法使い「……」 ガサガサガサ…… 勇者「ん?」 僧侶「え……ま、まさか……」 魔物「オォォォォォォ!!!!!!」 勇者「今度のはでかいな」 僧侶「ひぃぃ!?」 魔法使い「剣を構えて!!周りにも魔物がいるわ!!」 僧侶「そ、そんな?!」 勇者「森の主といったところか」 魔物「オォォォォ……!!」 45:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 15 50.36 ID hpeqfj4Jo勇者「いいだろう!!掛かってくるがいい!!」 魔物「オォォォォ!!!!」バキィ 勇者「がはぁ?!」 魔法使い「馬鹿!!」 僧侶「勇者様!!」 勇者「くっ……なんてパワーだ……」 魔物「オォォォ」 勇者「でぁ!!!」ザンッ 魔物「オォォォ!!!!」ブゥン ドゴォ!! 勇者「ずっ!?」 僧侶「あぁ?!」 魔法使い「強い……」 魔物「オォォォ!!!!」 勇者「ちっ……」 46:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 22 00.84 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様……!!」 勇者「こうなったら……」 魔法使い「どうするの?!」 勇者「耳を貸してください」 魔法使い「え?」 勇者「―――できますよね?」 魔法使い「いや……やったことないけど……」 勇者「お願いします」 魔法使い「でも……」 勇者「貴女ならできる」 魔法使い「……わかったわ」タタタッ 僧侶「わ、私は何をしたら……」オロオロ 勇者「そうですね。結構、至る所に傷を負ってしまったので、全身を癒してくれますか?」 僧侶「えっと……ど、どうやって……?」 勇者「無論、全身を癒すためには全身を使って頂かないと」 47:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 26 02.82 ID hpeqfj4Jo僧侶「そ、それって……抱きつくってことですか!?」 勇者「さあ!!早く!!生死を分ける瞬間なのですから!!」 僧侶「そ、そうですね……ここで躊躇していては……!!」 僧侶「勇者様!!今、癒します!!」ムギュゥ 勇者「よっしゃぁ!!!」 僧侶「も、もういいですか?」 勇者「もっと!!もっと強く!!」 僧侶「は、はい!!」ギュゥゥゥ 勇者「ぬほほぉ」 魔物「オォォォォォ!!!!!!」 僧侶「きゃぁ!?勇者様ぁ!!!」 勇者「まだまだぁ!!」 僧侶「えぇ!?」 メキメキメキ…… 僧侶「え?何の音……?」 48:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 33 07.43 ID hpeqfj4Jo魔物「オォォォ!!!!」 メキメキメキ……!! 魔法使い「よけて!!!」 勇者「とう!!」バッ 僧侶「きゃぁ?!」 魔物「……!?」 メキメキメキ……バキィ!! 魔法使い「喰らいなさい。大木ハンマァ」 ゴォォォン!! 魔物「オォ……ォォォ……ォ……」ズゥゥゥン 僧侶「魔物が大木の下敷きに……」 勇者「ふー。流石です。―――周りを取り囲んでいた魔物も主を失って逃げ出したみたいですね。よかった」 魔法使い「なんで私が木に抱きつかなきゃいけないのよ……」 勇者「火力を自由にコントロールできる貴女なら火事にならないように木を折ることだって出来る」 勇者「パンを上手く焼けるぐらい精密な火加減を可能にできる貴女なら、そう難しいことでもなかったでしょう?」 50:NIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/06/03(日) 15 37 15.18 ID oyXDtoDAO僧侶の万力で勇者がメキメキィかと思いますた 51:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 39 08.53 ID WoFZ094doそれで「何の音?」とか鬼畜の所業だろ 52:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 41 30.96 ID hpeqfj4Jo魔法使い「……まぁね」 勇者「さて、進みましょう。もうすぐ森を抜けられるはずです」 僧侶「は、はい!!」 勇者「魔力は?」 僧侶「余力はあります!魔法は一切使ってませんし」 勇者「なるほど。垂れ流しているだけだから、消費量はいつもと変わらないわけですね」 僧侶「は、はい……すごく燃費はダメダメですけど」 勇者「いやいや、便利ですよ」 僧侶「そ、そうですか……?」 勇者「ええ。だって一定量の魔力で全快になるんですから」 僧侶「そ、そういってくださると……嬉しいです……」モジモジ 勇者「ハッハッハッハ」 魔法使い「ちょっと……私もがんばったんだけど」 勇者「大木ハンマー。また、使いましょうね」 魔法使い「い、いやよ!!」 53:NIPPERがお送りします:2012/06/03(日) 15 54 10.85 ID hpeqfj4Jo―――城下町 勇者「はぁ……もう夜になってしまいましたね」 魔法使い「森から結構な距離があったわよ……嘘つき」 勇者「地図って難しいですね。ほらほら」 僧侶「本当ですね。地図上ではたった数センチなのに……」 魔法使い「馬鹿……。もういいわ。早く休みましょう」 勇者「では、僕は魔物から得た戦利品を売って来ます」 僧侶「わかりました」 魔法使い「じゃあ、私たちは宿をとっておくわね」 勇者「お願いします」 僧侶「勇者様、後ほど」 勇者「はっ」 魔法使い「……」 僧侶「どうしたんですか?」 魔法使い「別に。いきましょう」 56:NIPPERがお送りします(岡山県):2012/06/04(月) 18 59 29.79 ID K1zQ3n7yo木に抱きついた魔法使いと勇者に抱きついた僧侶 どこで差がついたのか 57:NIPPERがお送りします:2012/06/04(月) 19 15 27.00 ID i5ClRSbIOおっつん 慢心、努力の差 61:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 25 14.14 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 店主「では、二部屋ということで」 僧侶「はい。ありがとうございます」 魔法使い「早く横になりたいわね」 僧侶「そうですね」 店主「ちょっといいですか」 僧侶「は、はい?」 店主「こちらを持っていってください」 魔法使い「なぁに、これ?」 店主「今、冒険者の方たちにお配りしているんです。ここより北へは行かないようにと」 僧侶「北……ですか?」 店主「魔王の軍勢が侵攻してきているようで」 魔法使い「もうこんなところまで……。止められないの?」 店主「ええ。各国から選出された勇者様も悉く命を落としている現状では……。この国の兵力も長年の戦で疲弊してますし」 僧侶「そうですか……」 62:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 29 01.07 ID hpeqfj4Jo―――寝室 魔法使い「どの国の勇者もダメだったのね」 僧侶「そういえば最近、勇者様のお話って耳にしませんでしたね」 魔法使い「このままじゃ世界は……」 僧侶「……」 ガチャ 勇者「ただいま戻りました」 魔法使い「ノックぐらいしないさいよ!!」 勇者「どうして着替え中じゃないんですか!!!」 魔法使い「なんで怒ってるわけぇ!?」 勇者「ガード固いな!!全く!!!」 魔法使い「アンタ、本当に勇者なの!?」 僧侶「まぁ、まぁ」 魔法使い「あんたも怒りなさいよ!!馬鹿っ!!」 勇者「これからは常に着替え中でいてくださいよ、ホントに」 63:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 33 57.08 ID hpeqfj4Jo魔法使い「意味わかんないこといってんじゃないわよ!!」 勇者「それはさておき、これを」スッ 魔法使い「え?私に?」 勇者「はい。路銀も増えたので新しい武器を購入してきました」 魔法使い「なによ……」ガサゴソ 僧侶「あの……勇者様?私には……?」 勇者「申し訳ありません。一つしか買えなくて」 僧侶「あ、い、いえ!!ごめんなさい!!」 魔法使い「……鞭?」 勇者「はい。似合いますよ」 魔法使い「そう?」パシンッ 勇者「最高です」 魔法使い「でも、どうして鞭なの?」 勇者「なんか……そそるじゃないですか」 魔法使い「目がいやらしいわよ?」 64:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 40 35.21 ID hpeqfj4Jo魔法使い「……まあ、いいけど」パシンッ 勇者「お二人は何を?」 僧侶「あ、実はこれを」スッ 勇者「これは……なるほど……」 僧侶「どうしますか?北は危ないとのことですし、ここは……」 勇者「北に行きましょう」 魔法使い「え!?」 僧侶「勇者様!?でも、危ないって……!!」 勇者「危なくなれば逃げればいいだけです」 魔法使い「アンタねえ!!正気なの!?」 勇者「どうしてですか?僕は勇者。いつかは魔王と戦う身。ならば、魔王の軍勢とも戦うべきかと」 魔法使い「私たちを連れて?」 勇者「勿論です」 僧侶「勇者様……」 魔法使い「無理よ……。死ぬわ。絶対」 65:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 50 52.39 ID hpeqfj4Jo勇者「死にませんよ。僕がいるのですから」 僧侶「でも……!!」 勇者「なんですか?」 僧侶「森のときみたいに、上手くいくとは限りません」 魔法使い「そうよ。いい?私のこの子も、広範囲に魔法は使えない。集団で襲われたら終わりよ?」 勇者「ええ。そうでしょうね」 魔法使い「なら、魔王の軍勢に立ち向かうなんて無謀だわ。勇気と無茶を履き違えないで」 勇者「物量で勝てるのは恐らく、大国の軍隊だけですよ?」 僧侶「え……」 勇者「魔王の軍勢と張り合うだけの兵力なんてどこにもありませんよ」 魔法使い「そうよ。だから、戦うなんて馬鹿でしょ」 勇者「ええ。でも、僕は馬鹿ですから」 僧侶「ゆ、勇者さま?!」 魔法使い「なっ……!?」 勇者「魔王を倒すのであれば、その軍勢ぐらい圧倒できなくてどうするんだ!!って考えに至るんですよね。馬鹿だから」 66:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 16 57 55.62 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ちょっと……死ぬ気なの?」 僧侶「勇者様、危険すぎます!!」 勇者「僕は死ぬ気なんて更々ありません。僕の夢は魔王を討伐し、国から莫大な報奨金を得て、豪遊しながら老衰死することなんで!!」 魔法使い「だから!!その下らない煩悩だらけの夢が夢のままで終わるって言ってるでしょ?!」 勇者「綺麗なお嫁さんをもらって、尚且つ、10人の側室を得るまでは死にません!!」 魔法使い「軍勢に突っ込んでいってどうやって生き延びるっていうのよ!!馬鹿っ!!アホっ!!」 僧侶「そ、それは言いすぎですよ……」オロオロ 勇者「アホ?!アホとはなんだ!!!失礼な!!!」 魔法使い「怒るポイントがよくわかんないのよ!!!」 勇者「とにかく。明日は北に向かいます!!」 魔法使い「私は嫌!!断固拒否!!」 勇者「分かりました」 魔法使い「え……?」 勇者「では、ここで僕の帰りを待っていてくれますか?」 僧侶「な、何を言っているんですか……?」 67:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 04 40.00 ID hpeqfj4Jo勇者「だってほら、未来の側室候補が死んでしまっては本末転倒ですし」 魔法使い「だれが側室よ!!だれが!!」 勇者「貴女たちに決まってるだろうが!!」 僧侶「側室……」 魔法使い「せめて嫁候補っていいなさいよ!!」 勇者「まだお互いを知っていないのに、嫁ですが?え?いいんですか?やったー」 魔法使い「一人で盛り上がらないで!!!誰がアンタの嫁になるか!!」 勇者「まあ、ともかく。お二人ともここに居てください。僕が軍勢をなぎ倒して、歩きやすくしてきますから」 僧侶「そんな……!!勇者様、駄目です!!やめてください!!」 勇者「僕は勇者ですから。大丈夫です」 魔法使い「その自信はどこから来るわけ……」 勇者「知りたいのであれば、今夜僕と一緒にベッドで……寝ます?」 魔法使い「去れ!!」 勇者「おっと。失言でしたね。今夜は諦めましょう。それでは、おやすみなさい」 僧侶「勇者様!!まだお話は―――!!」 68:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 09 52.92 ID hpeqfj4Jo魔法使い「何よ……あいつ……訳わかんないわ……」 僧侶「本気なのでしょうか……」 魔法使い「本気だったら……どうするの?」 僧侶「……」 魔法使い「……私は同行しないから」 僧侶「え?」 魔法使い「もし本気で行くなら……私は足手まといでしかない……」 僧侶「そうですね……私も……すぐ魔力が空っぽになっちゃいますし……」 魔法使い「私だって、魔法の効果範囲が零距離だし……」 僧侶「私たち……」 魔法使い「……ホント、ダメね」 僧侶「はぁ……」 魔法使い「……もう寝ましょう?」 僧侶「はい」 魔法使い「アイツもきっと……冗談だろうし……」 69:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 13 41.18 ID hpeqfj4Jo―――深夜 僧侶「ん……」ムクッ 魔法使い「すぅ……すぅ……」 僧侶(お手洗い……)モジモジ 僧侶「……」ガチャ 僧侶(確か……この廊下の突き当たりでしたね……)スタスタ 勇者「……」 僧侶「あ……」 勇者「ん?」 僧侶「勇者様……どうしたのですか?」 勇者「いや。催してしまって」 僧侶「そうですか」 勇者「貴女も?」 僧侶「ど、どうしてそんなこときくんですかぁ!!!」 勇者「おっとっと。深夜だからと許されるものではありませんでしたか。反省します」 70:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 19 40.09 ID hpeqfj4Jo僧侶「何をされていたんですか?」 勇者「僕の部屋からだと月が見えなくて。今日は綺麗な満月ですよ」 僧侶「そうですね」 勇者「実に美しい」 僧侶「……」 勇者「なにか?」 僧侶「もしかして……今から出発を?」 勇者「……多勢と戦う場合、奇襲は常套的な戦術です」 僧侶「勇者様……」 勇者「では。行ってきます」 僧侶「……」 勇者「……」スタスタ 僧侶「―――待ってください!!」 勇者「なんですか?まさか……粗相をご披露してくれると?なんてこった……」 僧侶「ち、ちがいます!!―――行かないでください!!って言おうとしたんです!!」 71:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 28 05.84 ID hpeqfj4Jo勇者「何故ですか?」 僧侶「も、もし……勇者様が帰ってこなかったら……私たちはどうしたらいいんですか?!」 勇者「それはありえませんが……。まあ、そうなったら諦めて元の傭兵所に戻って頂くしか……」 僧侶「む、無責任ですっ!!」 勇者「え?」 僧侶「余り物の私たちを拾っておいて、勝手なこと言わないでくださいっ!!」 勇者「……」 僧侶「さ、最後まで面倒見てください……。それに……私たちの夢も叶えてくれるって言ったじゃないですか……」 勇者「あぁ……そうでしたね」 僧侶「それとも……私たちの夢を……約束を反故にするのですか?」 勇者「何を馬鹿な。守りますよ。勿論」 僧侶「なら……行かないでください……」 勇者「僕は死にません」 僧侶「まだ、出会って日が浅いのに信じられません!!勇者様のお言葉には根拠もありません!!」 勇者「え?勇者ってことが証明にならないんですか?びっくり」 72:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 33 24.01 ID hpeqfj4Jo僧侶「各国の勇者様だって何名も命を落としていますから」 勇者「なるほど。他の勇者が僕の信頼度を落としたわけですね。ゆ、ゆるせん!!」 僧侶「ですから……」 勇者「……でも、行かないと」 僧侶「どうしてですか!!」 勇者「だって、このまま魔王の軍勢を放っておいたら、僕の帰ってくるところが無くなりますからね」 僧侶「あ……」 勇者「故郷で超絶美人のお嫁さんと10人の側近をはべらせて老衰死するという目的が達成できないので」 僧侶「……」 勇者「だから、止めないと」 僧侶「……分かりました」 勇者「ご理解いただけましたか」 僧侶「わ、私も行きます!!」 勇者「え?」 僧侶「あ、足手まといかもしれませんが……それでも勇者様を癒すことは……できますから……」 73:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 39 07.47 ID hpeqfj4Jo勇者「いや、こう体を反らしてくれるだけで目は癒されますけどねぇ」 僧侶「勇者様!!私は真剣なんです!!」 勇者「付いて来てくれるのは嬉しいですが……いいのですか?」 僧侶「わ、私は勇者様のお供ですから!!」 勇者「ふっ……。40秒で支度しなっ!!」 僧侶「え!?あ、いや!!あの!!お手洗いにも行きたいので……!!」モジモジ 勇者「じゃあ……400秒まで待ちましょう!!」 僧侶「あ、ありがとうございます!」タタタッ 勇者「……」 僧侶「あの!!勝手に出発しないでくださいね!!」 勇者「しませんよ。ここで貴女が奏でる水の音に耳を傾けてますから」 僧侶「や、やめてください!!!」 勇者「さあ、あと375秒ですよ!!」 僧侶「あああ!!!」タタタッ 勇者「……」 74:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 43 44.62 ID hpeqfj4Jo―――寝室 僧侶「起きてください!!」ユサユサ 魔法使い「ん……?なに?まだ夜じゃないの」 僧侶「あと250秒しかありません!!」 魔法使い「え?なんの話?」 僧侶「今から魔王の軍勢と戦いに行くんです!!」 魔法使い「はぁ!?なんで?!どうしてよ!?」 僧侶「ダメ……ですか?」 魔法使い「いや……なんでそうなったか説明してくれないと……」 僧侶「勇者様は本気でした。故郷を守るために……戦おうとしているんです」 魔法使い「故郷を……?」 僧侶「はい」 魔法使い「……私でも役に立てると思う?」 僧侶「勇者様は出来れば私たちにも力を貸して欲しいって言っています」 魔法使い「そう……そうなの……」 75:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 50 31.94 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 入り口 魔法使い「……おはよ」 僧侶「お待たせしました」 勇者「ありがとうございます」 魔法使い「……ちゃんと守ってくれるの?」 勇者「もちろん。傷一つつけないようにしますよ。それが勇者の役目です」 魔法使い「ふん……。早死にするわね」 勇者「いえ。90歳までは生きます。魂だけでも現世に噛り付く勢いで」 魔法使い「そこまで行ったら潔くくたばりなさいよ!!」 勇者「生きるっ!!!」 魔法使い「もういいわ……。出発前から疲れる……」 僧侶「そ、それより……勇者様?奇襲をかけるといっても……夜ですし、魔物のほうが有利じゃないでしょうか?」 勇者「夜行性の魔物も配備されているみたいですが、地図を見る限り、山の裏側に回り込めば十分に奇襲はかけることはできます」 魔法使い(こいつ……いつからそんな下調べを……?) 勇者「では!出発!!」 76:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 17 57 12.26 ID hpeqfj4Jo―――北の山 魔物「……」キョロキョロ 魔物「……」ウロウロ 魔法使い「……すごい数……」 僧侶「こわい……」ブルブル 勇者「この軍勢を束ねているのは魔王の側近の一人であるトロルみたいですね」 魔法使い「そうなの?」 勇者「はい」 魔法使い「どうしてそのことを知ってるわけ?」 勇者「人の話を繋げて得た情報です。まあ、100%の保障はないですけど」 魔法使い「……」 僧侶「でも、魔王の側近となると……森の主よりも強いってことですよね?」 勇者「でしょうね。まあ、でもこっちは三人もいますし、作戦通りにいけば余裕でしょう」 魔法使い「その自信はどこから……」 勇者「では、作戦開始で」 77:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 02 26.89 ID hpeqfj4Jo―――山道 魔物「グルル……」ピクッ 魔物「グルル……?」 勇者「ふっ!!」ザンッ 魔物「ガッ!?」 勇者「よし、行きましょう」 僧侶「は、はい!!」 魔法使い「はぁ……はぁ……」 勇者「少し休憩しますか?」 魔法使い「大丈夫。先に進みましょう……」 勇者「裏側の道なので荒れていますし、無理をすることは……」 僧侶「でも、時間をかければ魔物たちが異変に気づいてしまいますし」 勇者「そうですね。行きましょう」 僧侶(できるだけ魔力を残しておかないと……!) 魔法使い(本当にこんなことで勝てるの……?) 78:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 07 46.79 ID hpeqfj4Jo―――山頂 勇者「―――ここですね」 トロル「待っていたぜ?」 勇者「!?」 魔法使い「え……!?」 僧侶「そ、そんな……」 魔物「グルルル……!!」 魔物「ギギギ……!!!」 勇者「待ち伏せされていたとは」 トロル「馬鹿が!!人間の臭いは熟睡してても飛び起きるぐらいにおうんだよぉ!!」 勇者「なるほど」 トロル「やれぇ!!」 魔物「「ガァァァァ!!!」」ダダダッ 勇者「退却!!!」ダダダッ トロル「追え!!逃がすな!!!」 79:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 14 05.26 ID hpeqfj4Joトロル「グフフフ……!!たった三匹で勝てるものか……!!!」 トロル「さぁて……もう死んでるころかな……。様子でも見てくるか」ズンズン トロル「……おい!!人間はどうなったぁ!!!」 トロル「……」 トロル「おーい!!!誰かこたえろぉ!!!」 「―――まさか一斉に嗾けてくれるとは、ありがとうございます」 トロル「ん!?」 勇者「……」 トロル「貴様……!?」 勇者「とりあえず、増援が来る前に終わらせるか」 トロル「俺様の部下は……!?」 勇者「埋めてやった」 トロル「はぁ!?」 勇者「さあ、三対一だ!!覚悟しろよ!!」 トロル「何をした!!貴様ぁ!!!」 80:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 20 28.62 ID hpeqfj4Jo―――山道 僧侶「さあ、早く勇者様を追いましょう!!」 魔法使い「ええ!」 僧侶「でも、まさかこんなにも上手く行くなんて」 魔法使い「落とし穴なんて古典的な罠だったのに……」 勇者『いいですか?今から落とし穴を作ります』 魔法使い『落とし穴?今から?!』 僧侶『そんなことできませんよ!!道具もないですし!!』 勇者『道具は鞭だけで十分です』 魔法使い『これ?』 勇者『今から貴女に巨大な穴を掘っていただきます。魔物を一網打尽にするために』 魔法使い『ど、どうやって?!』 勇者『全身ファイヤーで地面を溶かせてください』 魔法使い『馬鹿か!?そんなことできるわけ……!!!』 勇者『出来なければ他の方法を考えますけど、土を融解させるぐらい訳ないでしょう?』 81:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 26 49.63 ID hpeqfj4Jo魔法使い『できなくても文句言わないでよ……』 僧侶『が、がんばってください!!』 魔法使い『うおぉぉ……!!!』ジジジジ 勇者『おぉ……すごいすごい。溶けてる溶けてる』 魔法使い『んぐぐ……!!!』ジジジジ 僧侶『人間マグマ……』 魔法使い『で、これどうやって外に出るわけ!?』 勇者『鞭を使います。ひっぱり上げますから』 魔法使い『護身用じゃなかったのね……』 勇者『兼用ですよ』 魔法使い『あー!!もう!!魔力がぁ!!!たりないわよぉ!!!!』ジジジジッ 勇者『チョコ要ります?』 魔法使い「―――魔力が枯渇したわ……全く……」 僧侶「私の魔力も時間的に余裕はありませんし……急がないと……」 魔法使い「アイツ……私がついてこなかったらどうするつもりだったのかしら……」 82:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 33 58.27 ID hpeqfj4Jo―――山頂付近 トロル「おぉぉぉ!!!」ガキィン 勇者「ずっ……!?」 トロル「はんっ!!部下を排除したところで人間一匹に後れを取るわけないけどなぁ!!!」 勇者「ふっ!!」ザンッ トロル「きくかぁ!!」ドゴォ 勇者「がっ!?」 僧侶「―――勇者様!!」 勇者「あ。首尾は?」 魔法使い「大丈夫。すぐにはあがってこれないから」 僧侶「壁が恐ろしいほど湾曲するようしてますからね……」 勇者「よし……。さあ、トロル。今のうちに降伏するんだ」 トロル「誰がするかぁ!!」 勇者「回復を!!」 僧侶「は、はい!!」ギュゥゥ 83:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 38 20.43 ID hpeqfj4Jo勇者「ぬほほぉ」 魔法使い「なんで抱きつくわけ!?」 僧侶「え?」 トロル「余裕だなぁ!!きさまらぁ!!!」 僧侶「きゃぁ!!!」 ギィィン!!! トロル「ぐぅ!?」 勇者「らぁ!!!」ザンッ トロル「ぬぅ?!」 魔法使い「私だって……!!」バッ トロル「なに!?」 魔法使い「はぁぁぁ!!」ゴォォォ トロル(な……!?発動前からこの熱気……!?なんて魔力だ!!) 魔法使い「でぁぁぁ!!!」 トロル「しまっ―――」 84:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 42 21.29 ID hpeqfj4Joトロル「……あれ?」 魔法使い「……」 勇者「隙ありぃ!!!」 トロル「魔法はどうなったんだぁ!?」 勇者「彼女は火の玉一つ飛ばせないんだよ!!!」 トロル「えー!?」 勇者「今の熱気が全力の火炎放射だ、バカ野郎!!」 トロル「そんなポンコツ術士がいるのか!?」 勇者「僕にとっては有能な魔法使いだ!!」 魔法使い「……!!」 トロル「小癪ぅ!!!」 勇者「はぁぁぁぁ!!!!」 ザンッ!!! トロル「くそ……こ、こんなやつらに……ぐぁ……ぁ……」 勇者「ふぅー……よし。作戦完了」 85:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 47 33.16 ID hpeqfj4Jo僧侶「す、すごい!!勝ちました!!勝ちましたよぉ!!!」 魔法使い「え……ええ。そうね……」 勇者「さあ、早く退散しましょう。雑魚が群がってきては流石に困るので」 僧侶「あ、そ、そうですね!!」 魔法使い「でも、いいの?軍勢はそのままってことになるけど」 勇者「指揮系統が乱れた軍団など小国の兵力でも十分に勝てます」 僧侶「じゃあ、町に帰って王様に報告をするのですね?」 勇者「はい。三人でできるのはこれが限界ですから」 魔法使い「……」 勇者「なにか?」 魔法使い「いえ。そういうことなら早く行きましょう」 勇者「はっ」 僧侶「勇者様、お体は大丈夫ですか?」 勇者「そうですね。若干、痛いので手を握ってください」ギュッ 僧侶「あ……そ、そんな急に握ってこないでください……」 86:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 18 54 18.21 ID hpeqfj4Jo―――城下町 宿屋 入り口 僧侶「夜が明けましたね……」 魔法使い「疲れた……これは……だめ……ね……」 勇者「では、僕は王に謁見してきます」 僧侶「少し休まれてからでも」 勇者「このタイミングで軍に動いてもらわないと。新しい指揮官が到着したら苦労が水の泡ですから」 僧侶「そ、そうですか」 勇者「では」 僧侶「……」 魔法使い「さ、お言葉に甘えて私たちは休みましょう。流石にきつい……」 僧侶「そ、そうですね。私も魔力が完全になくなりましたし……」 魔法使い「まさかこの私に全力を出させる奴がいるなんて思わなかったわ……」 僧侶「あはは」 魔法使い「もうだめ……倒れる……」 僧侶「が、がんばってください……もうすぐですから……」 87:NIPPERがお送りします:2012/06/05(火) 19 05 01.95 ID hpeqfj4Jo―――寝室 魔法使い「つかれたー!!」ドサッ 僧侶「はい……」 魔法使い「にしても……よく私に穴を掘らせる……正確には溶かしたわけだけど、あんな方法を思いついたわね」 僧侶「普通の魔法使いだと継続して高温の魔法を放ち続けるのは至難の業ですからね」 魔法使い「零距離で効果が切れる私のダメダメ体質を逆手に取ったのよね……アイツ……」 僧侶「旅立ってすぐ魔物に襲われたとき、魔物を抱きしめたじゃないですか」 魔法使い「まさか、あのときに思いついてたの……?」 僧侶「結構豪快に魔物を炎上させてましたからね。土を融解させるほどの温度を出せるかどうかは分かってなかったと思いますけど」 魔法使い「……」 僧侶「これでこの地域も平和になってくれるといいんですけど」 魔法使い「ホントね」 僧侶「……ところで、お腹すいてませんか?」 魔法使い「ペコペコ」 僧侶「勇者様が戻られたら、何か食べましょうね」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/8.html