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988:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 30 00.31 ID hpeqfj4Jo魔王「ガァ……ァァ……」 勇者「はぁ……はぁ……」 キラーマジンガ「……」 ドラゴン「魔王……様……」 魔王「死なぬ……我……は……しな―――」 僧侶「……」 魔法使い「……たお……したの……?」 エルフ「魔王……」 勇者「はぁ……はぁ……はぁ……」 キラーマジンガ「エネルギー補給完了しました」 エルフ「勝った……んだ……」 魔法使い「や、やった……のね……?」 僧侶「私たちが……魔王を……!!」 ドラゴン「ああ……魔王は倒れた……我々の手によってな……」 勇者「ふっ……ふふふ……はははは……やった……ついに……やったんだ……」ガクンッ 989:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 34 21.06 ID hpeqfj4Jo魔法使い「大丈夫?!」 勇者「腰が抜けました……」 ドラゴン「情けないな」 エルフ「そういうドラゴン様も足がガクガクしてますけど?」 ドラゴン「これはあれだ……8ビートを刻んでいるだけだ」 キラーマジンガ「全然8ビートではありません」 僧侶「勇者さまー!!!」ギュッ 勇者「おぉ?!」 僧侶「やったのですね!!私たち!!!」ギュゥゥゥ 勇者「はい……やりました。僕たちの勝ちです」 僧侶「勇者様……夢みたいです……私……私……!!」ギュゥゥ 勇者「ええ……まさか、本当にここまでこれるとは……っと、僕は初めからこうなることが分かっていましたけど」キリッ 魔法使い「腰が抜けた状態でいわれてもかっこよくないわよ。―――ほら、手」 勇者「ど、どうも……」ギュッ 魔法使い「お疲れ様……かっこよかったわよ?」 990:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 39 59.61 ID hpeqfj4Jo勇者「でも、殆どキラちゃんの活躍によるものですし」 ドラゴン「そうだな……。俺を殺していれば、もう少し楽に勝てたものを」 キラーマジンガ「最終的な決断は自分の意志で下してもいいと言ったのはマスターです。私はそれに従いました」 ドラゴン「まぁ……な……」 キラーマジンガ「私にも譲れないモノがありますから」 エルフ「まるでニンゲンみたいだね、ガーちゃんは」 キラーマジンガ「それは最高の褒め言葉です」 ドラゴン「周囲にいた魔物も撤退しているようだな」 キラーマジンガ「はい。魔物の反応が遠ざかっていきます」 僧侶「勇者様、これからどうされるのですか?」 勇者「まずはキャプテンの治療を行いましょう」 魔法使い「勝利の余韻に浸っている場合じゃないのね」 勇者「魔物が襲ってこないとも限りません。疲れているとは思いますが、お願いします」 僧侶「分かりました」 ドラゴン「この船も時期に沈む。移動しよう」 991:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 45 10.59 ID hpeqfj4Jo―――海賊船 医務室前 船長「キャプテンはどうなったんだよ?!」 エルフ「右目はもう……駄目だったよ」 勇者「どうにもならないと?」 僧侶「神経がやられていました。傷を癒すことはできても……そこまでは……」 船長「そんなぁぁ……!!!」 勇者「面会はできますか?」 僧侶「はい。まだ、意識は戻っていませんが」 勇者「では、失礼します」スタスタ 船長「俺も面会する!!!するぞぉぉぉぉ!!!」 エルフ「騒がしいから貴方はダメ」 船長「なんだとぉ!!」 僧侶「キャプテンさんの体に障りますから」 船長「キャプテェェェン!!!!」 エルフ「大人しくしててよ!!」ドガァ 992:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 49 51.06 ID hpeqfj4Jo―――医務室 勇者「……あ」 キャプテン「ダーリンじゃないか……」 勇者「気がついたのですね」 キャプテン「どうだい?眼帯つけて……海賊らしくなったろ?」 勇者「……」 キャプテン「こっちのほうが……かっこいい……ね……」 勇者「貴女の美しさは損なわれていませんよ」 キャプテン「……」 勇者「貴女は綺麗です」 キャプテン「ほ、本当だろうね……?」 勇者「勿論」 キャプテン「じゃ、じゃぁ……こんな……顔でも……あたしを……お、お、およめに……してくるの……?」モジモジ 勇者「拒む理由がどこにありますか。むしろ、こちらから頭を下げて懇願したいぐらいです」 キャプテン「も、もう……ダーリンの……そ、そういうところが……あ、あたしは……好きだ……ぞ……」 994:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 54 52.31 ID hpeqfj4Jo―――甲板 少女「……沈んでいく」 キラーマジンガ「……」 魔法使い「魔王の最後ね。船を一緒に海の底か……」 少女「これでよかった……これで……魔族も変わる……」 キラーマジンガ「私にはよくわかりませんが、マスターがそういうのでしたらきっと変わるのでしょう」 魔法使い「でも、新しい魔王がいないと魔族が混乱しちゃうんじゃないの?」 少女「だろうな」 魔法使い「どうするの?」 少女「まだ分からない」 キラーマジンガ「マスターが新魔王になるべきでは?」 魔法使い「あ、それいいわね。私も応援するわよ?」 少女「馬鹿いうな。俺は裏切り者だぞ。そんなことをすれば余計な混乱を生むだけだ」 魔法使い「そうかしら?」 少女「そうだ。それに……俺にはできないな……統治なんて……」 995:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 12 58 42.25 ID hpeqfj4Jo―――夜 甲板 勇者「……」 少女「勇者よ」 勇者「どうしました?」 少女「俺は何も感じないが、夜は冷えるのだろう?中に入ったらどうだ?」 勇者「……」 少女「……どうした?」 勇者「もうそろそろ来るかなと思っています」 少女「誰がだ?」 勇者「僕は魔王を殺してしまった」 少女「おい」 勇者「きっと僕は魔族に恨まれている」 少女「……」 勇者「このままじゃ……また、繰り返すだけ……」 少女「お前……まさか……」 996:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 04 42.90 ID hpeqfj4Jo勇者「……」 少女「まて……!!」 勇者「来たようです」 少女「?!」 キマイラ「―――ここに居たか」 勇者「船を直接狙ってこなかったのは、感謝するべきですね。紳士的な対応に感服する次第です」 キマイラ「……」 少女「おい……やめろ……!!」 勇者「俺も復讐から始めたようなものだった……」 少女「勇者!!考え直せ!!こいつ程度なら俺が―――」 勇者「俺にだって親友や最愛の人はいた……魔王はそれを全て奪った……」 勇者「だから、死んで当然だって思っていた」 少女「勇者よ!!目を覚ませ!!」 勇者「でも……それは……魔族だって同じだった……。ドラゴンのように……仲間のために苦心し、涙を流せるなら……」 勇者「魔王を倒せば俺は誰かに恨まれる……。終わらない……何も解決しない……」 997:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 10 58.48 ID hpeqfj4Joキマイラ「では、どうする?」 勇者「俺一人の命で済むか?」 キマイラ「大人しく殺されるのなら」 少女「やめろ……!!」 キマイラ「ここで殺せばまた戦火は広がるな」 ドラゴン「―――やめろぉ!!!」 勇者「でも、俺を殺さないと気がすまないだろ?」 キマイラ「勿論だ」 勇者「ドラゴちゃん」 ドラゴン「勇者……」 勇者「これで復讐は終わりです」 ドラゴン「なぜだ……!!」 勇者「俺で終わりにする……そう決めたのです……ずっと前に」 ドラゴン「間違っている!!!」 勇者「俺は人知れず死ぬのです。何人もの女性を口説き、収集がつかなくなったから蒸発した。そういうシナリオです」 998:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 14 19.41 ID hpeqfj4Joキマイラ「では、こい」グイッ 勇者「ああ」 ドラゴン「まて……!!」バサッバサッ 勇者「ドラゴちゃん」 ドラゴン「行かせはせんぞ……!!」 キマイラ「本調子ではないのでしょう、ドラゴン様?」 ドラゴン「ぐっ……」 勇者「ドラゴちゃん!!」 ドラゴン「な、なんだ!?」 勇者「僕は死なない」 ドラゴン「ふざけるなぁ!!!」 勇者「可愛い側室がいっぱいいるんだ。必ず帰ってくるよ」 ドラゴン「やめろぉぉ!!!」 勇者「おかしいなぁ、僕を信じられないの?」 ドラゴン「当然だ!!」 3:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 33 17.94 ID hpeqfj4Jo勇者「そもそも僕は女性陣の裸を見たことがないんですよ?それを見ないまま成仏は不可能」 ドラゴン「嘘をつくな!!」 勇者「あ、キラちゃんのはバッチリ見ちゃったな。確かに」 ドラゴン「そういうことじゃない……!!」 勇者「しかし、君の裸も見てないので、見るまで殺されても死ねないですよ、いや、本当に」 ドラゴン「いい加減に……!!」 キマイラ「今のドラゴン様では勝てませんよ」 ドラゴン「ふざける―――」 勇者「戦うな。君が戦い、傷ついたら、僕はまた剣を抜かなければいけない。そうなれば泥沼の消耗戦になる」 ドラゴン「残される者たちのことを考えろ!!!」 勇者「自分勝手な勇者で……本当に申し訳ありません」 ドラゴン「帰ってくるんだ!!!」 勇者「みなさんによろしく……貴女も牙を剥くことはもうしないください……僕からの最後のお願いです……」 キマイラ「失礼します」バッ ドラゴン「ふざ……けるなぁぁぁぁ!!!!!!!」 4:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 38 13.44 ID hpeqfj4Jo魔法使い「―――どうしたの!?」 僧侶「え?え?敵襲ですか?!」 エルフ「何かあった?」 少女「……」 キラーマジンガ「マスター?」 キャプテン「なんだい、うるさいねえ……」 少女「魔王の残党が……来ただけだ」 魔法使い「そいつは?」 少女「俺が追い払った」 キャプテン「なんだ、それだけかい。―――あたたた」 僧侶「寝ていないとダメですよ」 キャプテン「そういうわけにもいかないだろう。ダーリンが大仕事をこなしてくれたんだ。あたしが休んでるわけにもいかないよ」 魔法使い「どうせ、港に帰るまでは何もできないでしょ?」 キラーマジンガ「休養は重要です」 キャプテン「はいはい……分かったよ……うるさいねえ……」 5:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 43 49.07 ID hpeqfj4Jo少女「……」 エルフ「ドラゴン様?」 少女「なんだ?」 エルフ「……何か……あったのですね?」 少女「……」 エルフ「あの……」 少女「勇者は去った」 エルフ「え……」 少女「もう帰ってはこないだろう」 エルフ「ど、どういうことですか?!」 少女「だが、必ず帰ってくるとも言った……」 エルフ「は……?」 少女「だから……俺は待つことにする……勇者の凱旋を……」 エルフ「どこに……行ったのですか……」 少女「奴の決意を無駄にはできない……」 8:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 13 50 55.49 ID hpeqfj4Jo―――翌日 魔法使い「あれ?あのタラシは?」 エルフ「……」 少女「奴ならこの船から降りた」 僧侶「えぇ?!」 キラーマジンガ「海に飛び込んだのですか?」 少女「色々な女性を口説きすぎて、故郷に帰ったあとのことが怖くなったと言っていた」 魔法使い「はぁぁぁぁぁ?!」 キラーマジンガ「パパの側室は私を含め7人いました」 僧侶「あの……」 キラーマジンガ「しかし、側室であれば別に問題はないように思えますが」 魔法使い「何が側室よ!!ふざけんじゃないわよ!!私はそんなの認めてないわ!!」 キラーマジンガ「そういうわれましても」 少女「とにかく奴は去った。探すなら探せばいい」 魔法使い「誰が探すのよ!!あんなやつ!!」 10:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 14 28.89 ID hpeqfj4Jo―――甲板 魔法使い「ボートは?」 キャプテン「んなもんでこの大海原に出る気かい?」 魔法使い「聞いただけよ」 キャプテン「ダーリン……どこいったのかねえ」 魔法使い「新しい側室でも探しにいったんでしょ」 キャプテン「本当にそう思ってる?」 魔法使い「……ふん」 キャプテン「何か一言ぐらいあってもよかったのにねえ」 魔法使い「ホントよ……。私物は全部置いていくとか……誰が管理すると思ってるのよ」 キャプテン「あたしがするよ?」 魔法使い「え?」 キャプテン「ダーリンの服とかあるんだろ?―――あー、毎晩匂いを嗅ぎながら……ふふ……」 魔法使い「だめよ!!何いってんのよ!!」 キャプテン「あたしに任せておけばオールオーケーさね」 11:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 20 02.82 ID hpeqfj4Jo―――客室 僧侶「勇者様……何か置手紙でも……」ゴソゴソ エルフ「……無いと……思うけど……」 僧侶「どうしてですか?あの勇者様ならきっと何を残しているに違いありません」 キラーマジンガ「はい。パパはふざけた人でしたが、とても訳もなく失踪するとは考えにくいです」 エルフ「それはだから、女性関係が煩わしくなったから……」 キラーマジンガ「話は伺いました。誰もパパとは肉体関係がないとか」 エルフ「そ、そりゃないよ!!」 僧侶「残念ながら……ありません……」 キラーマジンガ「誰とも一線を越えてはいません。その程度で煩わしく思うような人物ならば、最初から手当たり次第に口説こうとはしないはずです」 エルフ「ガーちゃん……」 キラーマジンガ「と、恋愛マニュアルに書いてありました」 エルフ「誰の本?」 キラーマジンガ「パパのです」 エルフ「あぁ……そう……」 12:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 33 41.78 ID hpeqfj4Jo僧侶「あ……」 キラーマジンガ「便箋ですか?」 僧侶「これは……姫様のラブレター……」 エルフ「なんて書いてあるか見る?」 僧侶「でも……」 キラーマジンガ「何か手がかりがあるかもしれません」 僧侶「そ、そうですね……よ、よし……」 僧侶「えい!!」ペラッ キラーマジンガ「なんと書かれていますか?」 僧侶「えっと……昨夜はご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした―――」 ―――きっと約束を守ることはないでしょう。勇者様の言葉の奥、そして見つめる先には尋常ならざる覚悟があるようでした。 こう書くと失礼ではあるのですが、私には勇者様が生への執着を捨てたようにしか見えませんでした。 もしも、貴方が平和のために、他人のために命を捨てるつもりなのであれば、思いとどめて欲しいです。 私は貴方を愛しています。貴方自身の犠牲で紡がれる未来など私はいりません。 死なないで。絶対に。 13:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 39 52.95 ID hpeqfj4Jo―――甲板 少女(目に映るもの全てを守るとは……こういうことだったのか……?) 少女「お前は愚かだ……これから先……誰が守ってくれるというのだ……」 魔法使い「ねえ」 少女「どうした?」 魔法使い「他に何か言ってなかったの?」 少女「気になるのか?」 魔法使い「野垂れ死にされたら……夢見が悪いでしょ……」 少女「ふん……少なくとも野垂れ死にはしないだろう……」 魔法使い「そうなの?」 僧侶「―――大変です!!!」 魔法使い「どうしたのよ?」 僧侶「ゆ、ゆ、勇者様は……!!!」 魔法使い「なに?」 僧侶「し、し、死ぬつもりだったんですよ!!!」 14:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 44 31.28 ID hpeqfj4Jo魔法使い「は?」 僧侶「こ、これを!!」 魔法使い「これ……姫様の手紙じゃない……」 少女「……」 魔法使い「え……」 僧侶「きっと、姫様には最後の挨拶を済ませていたのではないでしょうか?」 魔法使い「でも……死ぬって……」 僧侶「敵討ちの連鎖を……止める為に……では……?」 魔法使い「連鎖って……」 僧侶「魔王を倒したのですから人間は魔物から恨まれます。勇者様はそうさせないために……」 魔法使い「人間代表で生贄に……なったっていうの……」 僧侶「……どうなのですか?」 少女「それが正解だったとして、俺たちに何ができる?」 魔法使い「助けに行けば!!」 少女「助けに?勇者が命を賭けてまで全てのニンゲンを守ろうとしたのに、それを反故にするのか?」 16:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 51 23.92 ID hpeqfj4Jo魔法使い「そ、それは……」 少女「この話はこれで終わりだ」 僧侶「そんなのってないです!!」 少女「なら、行け。俺は止めない」 魔法使い「……」 僧侶「ゆうしゃ……さまぁ……」ウルウル 少女「これで終わりなんだ……世界は救われ、ニンゲンが魔物と争う理由も潰えたのだから……」 魔法使い「アイツは……最後まで自分勝手で……他人の気持ちなんて……何も考えなくて……!!」 僧侶「ゆうしゃさまぁぁ……ぁぁぁぁ……!!!!」 少女「見てみたかったな……勇者が統治するところは……」 魔法使い「なんでよ……どうして最後まで……何もかもを滅茶苦茶にしていくのよ……あの馬鹿は……!!」 僧侶「ゆうしゃさまぁ……ゆうしゃ、さまぁ……ぁぁ……!!」 魔法使い「もういいわ……あんな奴……大嫌いよ……世界で一番……」 魔法使い「きら……い……なんだから……」 キャプテン「―――島が見えたぞぉぉぉ!!!てめえら!!上陸の準備しなぁ!!!」 17:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 14 57 29.25 ID hpeqfj4Jo―――海賊の村 キャプテン「色々世話になったね」 エルフ「それはこっちのほうだよ。ありがとう」 僧侶「……」 キャプテン「大丈夫かい?」 魔法使い「ああ、平気よ。楽しかったわ。初めは……海賊なんて嫌な奴らだって思ってたけど……」 キャプテン「まぁ、昔も今も海賊は鼻つまみ者さ。まあ、これからは平和になるだろうし、漁業でもしようかねえ」 船長「手伝います!!キャプテン!!!」 海賊「うっす!!!」 キャプテン「たっりめーだよ!!!アンタたちはあたしに一生を捧げなぁ!!!」 少女「楽しそうだな」 キャプテン「船に乗りたかったらいつでも言って頂戴な。あんたたちなら大歓迎だからね」 キラーマジンガ「海はもうこりごりです」 キャプテン「そういうなって。特にキラキラちゃんの腕っぷしは買ってるんだからね」 キラーマジンガ「買ってもらっても困ります」 キャプテン「あっはっはっは!!じゃあ、またね!!元気でな!!」 魔法使い「ええ!貴女たちもね」 エルフ「さよなら」 キャプテン「絶対に遊びにくるんだよー!!!」 18:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 05 34.67 ID hpeqfj4Jo―――港町 魔法使い「え?ここに住むの?」 少女「ああ。悪くない場所だからな」 魔法使い「でも、どうして……」 少女「ここに居ればきっと様々な情報が入ってくるはずだ。それに海賊たちからも情報を仕入れやすい」 エルフ「情報って?」 少女「魔族の動きだ。新たな魔王が誰になるのか分からないが、不穏な動きはかならずあるだろう」 キラーマジンガ「マスターは迅速に対応するため、永住を決めたのですね」 少女「永住はしない。暫くの間だ」 キラーマジンガ「では、私はマスターの下で色々とお世話させていただきます」 少女「結構だ……といいたいが、まあ、頼む」 キラーマジンガ「はい」 魔法使い「ここでお別れね」 エルフ「今までありがとう。ガーちゃんには優しくしてね」 少女「分かっている。ああ、道中危険だろうから、キラーマンジガを連れて行け。それじゃあな」 19:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 12 55.63 ID hpeqfj4Jo―――フィールド 魔法使い「貴女はどうするの?」 エルフ「ボクは……どうしよう……」 魔法使い「里に帰るの?」 エルフ「うーん……それが一番いいかなぁ……」 キラーマジンガ「里に戻られると、こちらから会いにいくのは非常に困難ですね」 魔法使い「そうねー、見えないものね」 エルフ「あはは、そうだね」 僧侶「……」 エルフ「……でも、今更帰ったら、根掘り葉掘り色々聞かれそうで面倒かもね」 魔法使い「じゃあ、どうするつもりなの?」 エルフ「もう少し、みんなと一緒にいてもいい?」 魔法使い「勿論よ。ね?」 僧侶「……」 エルフ「ありがとう。嬉しいよ」 20:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 19 52.65 ID hpeqfj4Jo―――城下町 キラーマジンガ「では、ここまででよろしいですか」 魔法使い「護衛ありがとう。助かったわ」 キラーマジンガ「いえ、私も補給を兼ねていますから」 エルフ「ドラゴン様によろしく」 キラーマジンガ「はい」 魔法使い「貴女に言うのも変だけど……元気でね」 キラーマジンガ「はい」 僧侶「……」 魔法使い「なんとか言ったら?当分、会えないんだし」 僧侶「……今までありがとう……ございます……」 キラーマジンガ「こちらこそお世話になりました」 エルフ「またね、ガーちゃん」 魔法使い「マーちゃん、またね」 キラーマジンガ「はい。いつか必ず」 21:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 28 14.01 ID hpeqfj4Jo―――夜 宿屋 魔法使い「あー!!!もう!!報奨金が出ないってどういうことよぉ!!」 エルフ「世間では海賊艦隊の功績だから仕方ないね」 魔法使い「大金が手に入るはずだったのに」 エルフ「大金なんて手に入れてどうするつもりだったの?」 魔法使い「お店でもやろうかなって。もう、冒険はこりごりだし」 エルフ「商売か……」 僧侶「そうです!!」ガタッ 魔法使い「え?な、なに?」 僧侶「お花屋さんをやりましょう!!」 エルフ「薬草屋じゃなくて?」 僧侶「お花屋さんです!!なんとなく考えていました!!」 魔法使い「アイツのことで悩んでたんじゃないの?」 僧侶「いえ。勇者様が帰ってくるまでどう過ごそうかずっと考えていただけです」 エルフ「あぁ……そうなんだ……」 22:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 34 37.99 ID hpeqfj4Jo僧侶「がんばりましょうね」 魔法使い「お店をやるのはいいけど……資金は?」 僧侶「ないんですか?」 魔法使い「無いわよ」 エルフ「じゃあ、まずは資金を集めるところからだね」 魔法使い「どこで集めればいいかしら?」 僧侶「また傭兵として登録しておきますか?」 魔法使い「……そうね。まあ、そっちは片手間でいいけど」 エルフ「傭兵?二人とも傭兵だったの?」 魔法使い「あれ?言ったことなかった?」 僧侶「傭兵登録所で私たちと勇者様は出会ったのです」 エルフ「へえ……」 魔法使い「でも、魔王はいなくなったし……傭兵の需要なんてあるのかしら?」 僧侶「魔物がいなくなったわけじゃないですから、きっとありますよ」 魔法使い「私たちにあればいいわね……需要……」 23:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 42 02.06 ID hpeqfj4Jo―――数ヵ月後 傭兵登録所 魔法使い「暇ね……」 僧侶「今日の新聞ですよー」 魔法使い「んー……なになに……大漁船艦隊、密漁発覚か?……艦隊の首領は否認……」 僧侶「キャプテンさん、楽しそうですね」 魔法使い「トラブルも絶えないみたいだけどね」 僧侶「そういえばジーちゃんとゴンちゃんからも近況報告の手紙がきたんですよ」 魔法使い「なんだって?」 僧侶「最近、すごいことが舞い込んだとのことです」 魔法使い「すごいこと?」 僧侶「魔族の中で保守派と革新派が対立を始めたそうで。で、革新派のリーダーにゴンちゃんが選ばれたとか」 魔法使い「あの子、なんだかんだ言って魔族のために動いてるのね」 僧侶「ジーちゃんを秘書にするって書いてありましたよ?」 魔法使い「みんな……色々してるのね……」 僧侶「何も変わっていないの……私たちだけですね……」 24:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 47 56.76 ID hpeqfj4Joエルフ「ただいまー。いやー、疲れた」 魔法使い「おかえりなさい」 エルフ「魔物は目的なくニンゲンを襲うようになったみたい。もう大変だよ」 僧侶「お忙しいようで羨ましいです」 エルフ「お花屋さん開業のためにバリバリ働かないとね」 魔法使い「ありがとう……でも、私たちにも仕事くれぇぇ……」ウルウル 僧侶「お願いしますぅ……」ウルウル エルフ「ボクに言わないでよ!!」 魔法使い「そもそも私たちが魔王を倒したのに世間の風は厳しいわね」 僧侶「キャプテンさんばかりが記事になってましたからね」 魔法使い「はぁ……美味しい仕事……ないかしらねぇ……」 僧侶「そうですねえ……」 エルフ「なんか最近老け込んでない?」 魔法使い「老け込んでないわよ!!」 僧侶「ちょっとヤル気が起きないだけです!!」 25:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 15 52 44.80 ID hpeqfj4Jo受付「あーちょっといいですか?」 僧侶「はい?」 魔法使い「なぁに?」 エルフ「また仕事?ボクはパスだよ」 受付「ああ、いえ……それが……」 魔法使い「なによ?」 受付「魔法使いと僧侶とエルフ族を出せと言う人が今来ているのですよ」 僧侶「え……」 エルフ「ボクがエルフってことは……」 受付「もちろん公表なんてしてませんよ!!」 魔法使い「……ねえ、他に条件とかつけてこなかった?」 受付「すごく美人で有能なって言ってましたね」 僧侶「もしかして……!!」ガタッ エルフ「そんな……こと……」 魔法使い「い、行きましょう?」 26:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 06 06.30 ID hpeqfj4Jo受付「―――お待たせしました」 「……おぉ!素晴らしい!」 受付「こちらの方々でよろしいですか?」 「ええ。勿論ですよ」 魔法使い「……」 「よろしくお願いします。いやー、実は知り合いが遠く離れた港町にいるらしいのですが、このご時勢一人で出歩くのは危険でして、はい」 僧侶「うっ……うぅ……」 「そこでとっても美人な傭兵を探してここにやってきたわけなんですよ。いやー、ここまで見事な美人だとは思いませんでしたが」 エルフ「……っ」 「短い間……いや、長い間、いやいや、一生涯、僕だけの傭兵になってもらいたいぐらいですね」 魔法使い「馬鹿じゃないの?」 僧侶「うぅぅ……うぇぇん……んっ……ぐすっ……」 エルフ「……話してくれるよね?今まで何があったのかぐらいは。こっちは本当に心配したんだから!!」 「それを語るにはまずはベッドインからしないとダメですね。でも、その前に……ただいま戻りました。みんなが大好きな元・勇者です」 END 27:NIPPER(東海):2012/06/29(金) 16 09 19.22 ID QOyjeThAO乙!みんなキャラが活きててすげーよかったわ 28:NIPPER(チベット自治区):2012/06/29(金) 16 09 52.36 ID tNTgYFMMoおつ よかったよ 29:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 10 24.46 ID lvpKWy+Eo乙! 最高な勇者だった 32:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 12 02.53 ID uIwUZlNIOおっつん ここ数日楽しかったよ 33:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 13 32.10 ID QxHVsswWo乙乙!! すげー楽しかった! 35:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 14 23.53 ID lY+TsFRe0おつー 終わるのが残念なくらい面白かったよ 45:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 16 50 46.07 ID yIZoe/ngoおつんつん 後日談とかあれば書いてほしい 47:NIPPER(東京都):2012/06/29(金) 17 26 40.08 ID CmdM6DtCoそれぞれのキャラが破綻する事なく書ききれてて凄かった 内容も〆方も文句の付け所がなかったし、またなんか書いてほしいな 51:NIPPERがお送りします:2012/06/29(金) 17 45 33.14 ID fsw0v+Ktoおつおつ 空白期間とその後が気になるな 52:NIPPER(大分県):2012/06/29(金) 17 49 56.99 ID 7tnTjpTwo 1乙!いや、 1お疲れ様でした! 最高だったぜ! 71:NIPPER(チベット自治区):2012/06/29(金) 23 09 12.37 ID nA5K04410最高だった! 乙! 75:NIPPER(北海道):2012/06/29(金) 23 36 32.49 ID w+BzSYoAOホントに面白かった 魔法使いもあれはあれで、必要なキャラだったしね 乙でした 80:NIPPER(中部地方):2012/06/30(土) 02 03 50.73 ID UrfOh3iloこのあと 1は後日談を書いてくれるんだ・・・ 書いてくれるんだ・・・ www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/22.html
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注意:死ねたを含むSSもあります。苦手な方はご遠慮してください。 ギャグ系短編SS 感動・カオス短編SS その他・カオス短編SS ※ジャンルがわからないSS R-18・変態系短編SS シリアス系短編SS 鬱系短編SS 戻る
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464:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 20 27 51.53 ID hpeqfj4Jo―――最上階 少女「……あ」 勇者「お待たせ。何かあったか?」 少女「ううん……」 キラーマジンガ「マスター……」スタスタ エルフ「……」 キラーマジンガ「埋葬を開始します」 魔法使い「どうするの?」 キラーマジンガ「マスターの自室に棺桶があるはずです。それを持ってきます」 勇者「手伝おうか?」 キラーマジンガ「いいえ。私一人で大丈夫です」 勇者「そう」 キラーマジンガ「お心遣い、感謝いたします」 エルフ「衰弱した人の様子は?」 魔法使い「さっきより弱ってるみたいね。急がないと……」 465:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 20 34 41.59 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「……」サッサッ 勇者「もしもし?」ペチペチ 僧侶「うぅん……」 勇者「やはり深い眠りについているようですね」 魔法使い「全魔力大放出だもの」 勇者「しばらく寝ていてもらうほうがいいですね」 エルフ「んー……」 魔法使い「なに?」 エルフ「貴女もかなりの魔力を放出できるのに、彼女のようにはできないの?」 魔法使い「あの子は魔法を止められない。私は魔法が飛ばせない。そういう違いがあるの」 勇者「でもドラゴンの炎も防いだんですよ」 エルフ「それはすごいね。人間でそんな芸当ができるのは大魔導士ぐらいだと思ってたのに」 魔法使い「でも、あれは向こうも本気じゃなかったでしょうし」 勇者「いえいえ。もうドラゴンの炎なんか余裕で霧散にしていたではないですか」 少女「……」 468:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 21 59 15.51 ID hpeqfj4Jo魔法使い「でも、何度も通用はしないわ。あれ一回でもかなりの魔力を消費したし」 エルフ「ドラゴン……。いつかは戦うときが来る……」 勇者「大丈夫ですよ。こちらには絶世の美女であり閨秀魔法使いと、容姿端麗・艶麗のエルフがいるのです」 魔法使い「はぁ……舌がよく回るわね」 エルフ「嬉しいくせに」 魔法使い「うるさいわね」 勇者「ドラゴンなんてちょちょいのちょいやで」 少女「……」 勇者「どうかした?」 少女「え!?」 勇者「怖い顔してたから。―――もう怯えてないみたいだね」 少女「そ、そんなこと……」 勇者「……」 キラーマジンガ「今から埋葬のために塔を降りたいのですが」 勇者「あ、少しまってください」 470:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 07 23.62 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「なんでしょうか?」 勇者「マスターはどうする?」 キラーマジンガ「埋葬が終了したあとに行います。新たなマスターが埋葬の中止を命じる可能性もありますので」 勇者「なるほど」 エルフ「じゃあ、この人たちも運ばないと」 キラーマジンガ「どうしてですか?」 魔法使い「この人たちは貴女にエネルギーを分けて、衰弱しているの」 キラーマジンガ「なるほど。私からこの方々にエネルギーの供給を行えというのですね?」 勇者「そういうこと。やってくれる?」 キラーマジンガ「……そうですね。あなた方の中から新たなマスターを選出しなければならないようですし、エネルギーの供給ぐらいなら」 魔法使い「本当?!」 キラーマジンガ「はい」 勇者「よかった」 魔法使い「じゃあ、パパっとやってくれる?」 キラーマジンガ「了解しました」 471:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 11 29.87 ID hpeqfj4Jo―――魔道士の塔 入り口 キラーマジンガ「……」ザッザッ 「ありがとうございました」 魔法使い「いえいえ」 女性「なんとお礼を言っていいか」 勇者「僕の側室になってくれれば、それで」 女性「え……でも、私には……夫が……」 勇者「人妻でもオッケーです」 女性「そ、そんな……」 エルフ「いくらなんでもそれはダメでしょ?」 勇者「む。人妻の魅力を説くときがついに―――」 エルフ「来てないから」 女性「えっと……貴女は……?」 エルフ「ボクは……ただ彼と知り合い……」 勇者「未来の側室です」キリッ 472:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 15 41.91 ID hpeqfj4Jo女性「まぁ」 エルフ「いや……」 勇者「行くあて、あるんですかねぇ?」 エルフ「……」 キラーマジンガ「埋葬、完了しました」 魔法使い「終わったのね」 キラーマジンガ「早速、マスターの選出を行いたいのですが」 勇者「パパにしておきなさい」 魔法使い「ダメよ!!こいつだけは!!」 勇者「なんですと?どこがダメなのですかね?」 魔法使い「そもそもパパじゃないでしょ?!」 勇者「義父ですよ。そういう設定です」 魔法使い「いや……」 キラーマジンガ「―――そこの人物が我がマスターに相応しいと判断します」 少女「……え?わ、私……ですか?」 473:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 21 46.61 ID hpeqfj4Joエルフ「ど、どうして?!」 キラーマジンガ「知力、体力、魔力。どれをとっても前マスターに引けを取らない、いえ、一部ステータスはそれを凌駕しています」 少女「そ、そんなこと……!」 魔法使い「こんな子どもが……?」 エルフ「ボクたちの中で一番優秀ということ?」 キラーマジンガ「はい」 勇者「君……」 少女「な、なんですか……!?」 勇者「すごいね」 少女「あ、いや……えへへ……」 エルフ「でも、そういう逸材を集めていたし、ありえなくもないか」 魔法使い「ねえ、えっと魔法とか使えたりするの?」 少女「少しだけ……」 勇者「それは大変だ。この歳で魔法が使えるというなら、きっと優秀な師がいるか、名家の出なのでしょう」 魔法使い「親が心配しているかもしれないわね」 474:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 30 07.65 ID hpeqfj4Jo勇者「そうでしょうね」 魔法使い「じゃあ、とりあえず街にいってこの子の親探しをしましょうか」 勇者「ええ。それがいいでしょう」 キラーマジンガ「私のマスターになっていただけますか?」 少女「いや……」 キラーマジンガ「そんな」 勇者「いきなり言われても困惑するでしょう」 エルフ「そっか」 少女「あの……私の代わりに……」 勇者「僕が?」 少女「うん」 勇者「じゃあ、側室になってくれる?」 少女「うん……なるから……」 魔法使い「ちょっと!見境なしなの?!」 勇者「下は6歳、上は49歳までオッケーですよ?」 475:NIPPERがお送りします(長屋):2012/06/18(月) 22 33 53.01 ID ukt8+FHP0守備範囲広いな さすがは勇者だ 477:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 34 45.29 ID hpeqfj4Jo魔法使い「幅広いわね」 勇者「勇者ですから」 キラーマジンガ「では、不本意ではありますが、貴方を代理マスターとして認証いたします」 勇者「くるしゅうない」 キラーマジンガ「では……」スッ 勇者「なんですか?」 キラーマジンガ「私の目を見てください」 勇者「はい」 キラーマジンガ「……」ジーッ 勇者「んー」 キラーマジンガ「あの……」 魔法使い「どうしてキスしようとしてるのよ?!」 エルフ「何も分からない女の子に手を出すのは勇者としてどうなの?」 勇者「おっと。そうですね。僕としたことが、あっはっはっは」 キラーマジンガ「マスター認証が終了いたしました。ただし、代理であることをお忘れなきようお願いいたします」 478:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 39 30.20 ID hpeqfj4Jo勇者「じゃあ、僕の命令には絶対服従ということでよろしいですね?」 キラーマジンガ「はい」 勇者「そうだなぁ。まずは服を脱いでくれる?」 キラーマジンガ「はい」スルッ 勇者「あ、やっぱりいいです」 キラーマジンガ「……?」 魔法使い「……命拾いしたわね」 エルフ「……」 勇者「と、とにかく街までもどりましょう。助けた人を安全な場所に連れて行かないと」 魔法使い「賛成ね。疲れたわ」 エルフ「うん」 勇者「起きてますか?」ペシペシ 僧侶「うぅん……ゆう、しゃ……さまぁ……」 勇者「ダメか」 キラーマジンガ「マスター。私が彼女を運搬いたします」 482:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 49 52.12 ID hpeqfj4Jo―――街 宿屋 魔法使い「はぁー!!」ドサッ エルフ「長い1日だった……」 僧侶「すぅ……すぅ……」 勇者「全くですね」 魔法使い「なんでアンタがこっちの部屋にいるのよ」 勇者「いいではないですか」 魔法使い「よくないわよ。……で、あのキラーマジンガと女の子は?」 勇者「キラちゃんに女の子の両親、あるいは自宅の捜索をお願いしています」 エルフ「護衛も兼ねて?」 勇者「キラちゃんの正規マスターはあの子なので危害を加えることはないでしょうし、従順に付き添ってくれるはずです」 魔法使い「そうだろうけど」 勇者「僕たちは吉報を待つことにしましょう。―――さぁ、一緒に寝ましょうか?」ギュッ エルフ「え?ボクと寝るの?」 魔法使い「おい……」 483:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 22 58 34.60 ID hpeqfj4Jo―――街 住宅街 キラーマジンガ「ここでもないようですね」 少女「……ちょっといいか?」 キラーマジンガ「はい?」 少女「正規のマスターは俺なのか?」 キラーマジンガ「飽く迄も貴女がマスターです。しかし、代理マスターの認証を行いましたので直接的な命令権は貴女にありません」 少女「つまり、俺の命令は聞けないと?」 キラーマジンガ「いえ。私本体、代理マスターに不都合が起きない程度のご命令であれば従います」 少女「なるほど。お前、全員の能力値を計測したんだよな?」 キラーマジンガ「はい」 少女「各人物の長所や短所も分かるのか?」 キラーマジンガ「はい」 少女「教えてくれ」 キラーマジンガ「それはできません。不利益が生じます」 少女「ちっ……これだから木偶人形は嫌いだ。見ているだけで吐き気がする」 484:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 08 58.67 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「申し訳ありません」 少女「よし。マスター認証をする」 キラーマジンガ「よろしいのですか?」 少女「ああ」 キラーマジンガ「では……代理マスターコードを破棄。マスター認証を行います」 少女「ふふ……」 キラーマジンガ「―――認証、完了しました」 少女「勇者一行の身体情報を全て教えろ」 キラーマジンガ「了解しました」 少女「よし……これで……!!!」 キラーマジンガ「どなたからお聞きになりますか?」 少女「勇者だ。奴の弱点を教えろ」 キラーマジンガ「了解しました。―――彼の弱点は女性です」 少女「え?」 キラーマジンガ「彼は異性に近づくと緊張から体温を上昇させ、発汗しています。恐らく女性に免疫がない、あるいは何らかの精神的外傷があるものと判断します」 487:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 19 07.08 ID hpeqfj4Jo少女「本当か……?」 キラーマジンガ「間違いありません。私と代理マスター認証をする際、目の焦点も定かではありませんでした」 少女「あの魔法を使う女は?」 キラーマジンガ「彼女の弱点は魔力の制御ができないところにあります。彼女の先天性の障害があると思われます」 キラーマジンガ「彼女の体組織では魔法の発動が困難でしょう。発動し、対象に損傷を与えるためには相対距離を無くす必要があります」 少女「あの修道女は?」 キラーマジンガ「彼女もまた魔力を制御できないところにあります。先天性の異常により、一度流れ出した魔力を自分の意思では停止することができません」 少女「なるほど。では、あのエルフは?」 キラーマジンガ「平均的なエルフ族の能力であり、秀でたものも劣っているものもありません」 少女「どういうことだ?」 キラーマジンガ「長所も短所もありません」 少女「……」 キラーマジンガ「以上です」 少女「……そ、それだけか?もっとないのか?」 キラーマジンガ「ありません。各ステータスも平均的な人間と変わりがないため、弱点は言えません」 488:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 25 38.17 ID hpeqfj4Jo少女「バカな……それだけの弱点を抱えながら……どうやって数々の魔物を……」 キラーマジンガ「……」 少女「本当に目を見張るようなところはないんだな?」 キラーマジンガ「ありません」 少女「……」 キラーマジンガ「ありません」 少女「わかった。マスターを辞退する。もう一度、奴を代理マスターとして認証しろ」 キラーマジンガ「何故でしょうか?」 少女「お前が嫌いだからだ」 キラーマジンガ「マスターのことは私、大好きです」 少女「いいから言われた通りにしろ!!」 キラーマジンガ「しかし、次のマスター登録は現マスターが亡くならない限りはできません」 少女「……こっちにこい」 キラーマジンガ「はい」 少女「本当に手間がかかるな……!!こんな奴を部下になんて死んでも御免だ……!!」 490:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 30 10.60 ID hpeqfj4Jo―――郊外 少女「よくみておけ」 キラーマジンガ「はい」 少女「……っ」メリメリ キラーマジンガ「……」ジーッ ドラゴン「―――どうだ!!!」 キラーマジンガ「マスター……マスター……」オロオロ ドラゴン「マスターは死んだ!!」 キラーマジンガ「マスター……埋葬を……」 ドラゴン「そういえば埋葬までしなければいけなかったか」 キラーマジンガ「マスターのご遺体がない……」オロオロ ドラゴン(こいつには死んだふりも通用しないな。なら―――) 少女「―――ここだ」 キラーマジンガ「マスター!!!マスタァァ!!!生きていたのですね!!!」テテテッ 少女「……」 491:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 35 27.58 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 勇者「遅いですね」 エルフ「はなれて」ググッ 勇者「まあまあ」 魔法使い「でも、本当にちょっと不安ね」ギュッ 勇者「あっつ!?火傷した!?―――応急処置!!!」ムニュ 僧侶「あぁん」 魔法使い「……」 キラーマジンガ「―――遅くなりました」 少女「ごめんなさい」 勇者「キラちゃん。首尾は?」 キラーマジンガ「残念ながら、彼女の自宅はありませんでした。マスター」 勇者「そうか……」 魔法使い「残念ね」 少女(どうやら演技ぐらいはできるようだな。そのままお前は勇者をマスターだとしておけ。付き纏われては敵わない) 492:NIPPERがお送りします:2012/06/18(月) 23 42 12.05 ID hpeqfj4Jo僧侶「すぅ……すぅ……」 勇者「じゃあ……この子は……僕が保護するとして」 魔法使い「然るべき場所に預けるべきよ」 勇者「しかし!!この子はもう結婚できる!!!」 魔法使い「できないわよ!!」 勇者「まだ子どもの産める状態ではないと?そんな……そんな馬鹿な……」 少女「あの……」 エルフ「どうしたの?」 少女「わ、私のパパとママね……こことは違う街にいるの……」 勇者「本当に?」 少女「うん」 魔法使い「どこ?」 少女「海が見える街」 勇者「港町か」 エルフ「えっと……この辺で港町っていったら……」ペラッ 503:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 02 01.15 ID hpeqfj4Jo勇者「ここしかないでしょうね」 エルフ「そこまで遠くないし、ボクたちも船に乗って次の国を目指すっていうのもアリかな」 少女「……」 魔法使い「船旅かぁ」 キラーマジンガ「前マスターが言っていました。まだ海水は危ないと」 魔法使い「錆びるの?」 キラーマジンガ「はい」 勇者「……いいのですか?」 エルフ「え?」 勇者「船旅となれば多くの人間と鮨詰めに」 エルフ「な、なんで、そんなこと……ボクは別に……」 勇者「……」 魔法使い「とにかくこの子の自宅を探すのが最優先よね?がんばりましょう」 勇者「ええ。ご両親に挨拶はしておかないといけませんしね」 少女「ありがとう……」 504:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 07 04.30 ID hpeqfj4Jo―――夜 宿屋 屋上 エルフ「……」 勇者「ここにいましたか」 エルフ「どうかした?」 勇者「今なら里に戻れますよ?」 エルフ「……」 勇者「嫌なんですよね、人間が多い場所は」 エルフ「嫌というか……人間は醜い生き物だって聞かされて育ったから」 勇者「この街に来るときも、嫌そうでしたものね」 エルフ「よく見てるね」 勇者「だって僕は勇者ですから」キリッ エルフ「人間は嫌い。だけど……魔王も好きじゃない」 勇者「え?」 エルフ「あの魔道士はエルフ族をもエサにしていた。なのに魔王は野放しにしていた。それって、ボクたちを魔族としてみてないってことになるよね?」 勇者「魔族間での確執、というには些か酷いですね」 505:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 15 26.41 ID hpeqfj4Joエルフ「今回の一件で分かった。魔王はいつかボクたちを狙ってくる」 勇者「……」 エルフ「人間の次は……きっとエルフ……そう思う」 勇者「そうですか」 エルフ「だから、魔王は倒さないといけない」 勇者「人間と協力してでも?」 エルフ「死ぬのは嫌だから」 勇者「分かりました。では、僕にもそのお手伝いをさせてください」 エルフ「何言ってるの?貴方は元々、魔王を倒すために……」 勇者「僕の目的は飽く迄も多くの側室に囲まれて老衰死ですから。魔王討伐なんてその目的達成のための手段でしかありませんよ」 エルフ「そう……なんだ……」 勇者「はい。ですから、貴女が目指す魔王討伐とはまた志しが違います」 エルフ「……」 勇者「貴女を殺させはしない。貴女を守りましょう。我が命に代えても」 エルフ「臭い台詞。それ、みんなに言ってるでしょ?」 506:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 19 20.72 ID hpeqfj4Jo勇者「いえ。言ってません」 エルフ「嘘つき」 勇者「それに僕から頼み込んだという形にしておくことも大事かと思いまして」 エルフ「どうして?」 勇者「人間と協力したとなると角が立つでしょう。でも、勝手についてきたならまだ印象はそこまで悪くなりませんよ」 エルフ「そうかな」 勇者「間違いないです。僕のことは悪質な変質者だと思ってくれて構いません」 エルフ「実際、そうだし」 勇者「え!?そんなぁ!!どこがぁ?!」 エルフ「ボクを脅して同行させようとしたり、意味もなく肩を抱いてきたり……」 勇者「それは貴女が美しいからですよ。むしろ貴女が悪いと思います」 エルフ「……」 勇者「好きだ!」 エルフ「はいはい。おやすみ」スタスタ 勇者「好きだ!!!側室になってくれぇ!!」 507:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 26 18.05 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 廊下 キラーマジンガ「マスター」 少女「やめろ」 キラーマジンガ「マスターの実力と私の力があれば、人間3人とエルフ1人程度なら問題ありません」 少女「奴らの能力が判明するまで直接的な戦闘はするなと魔王様に言われている」 キラーマジンガ「魔王という人はマスターの力を過小評価しているのではないでしょうか?」 少女「いいか?奴らよりも実力が上であった魔物が次々にやられている。もしこちらの想定を超えてくると怪我だけでは済まないだろう」 キラーマジンガ「しかし」 少女「いいから俺にはもう話しかけるな。お前のマスターは勇者。そうだったな?」 キラーマジンガ「はい。マスターにそのように言われています」 少女「絶対に俺が―――」 エルフ「何してるの?」 少女「……ううん。ちょっとトイレに……」 キラーマジンガ「はい」 エルフ「そう……。明日は早いから夜更かしはしないようにね」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/15.html
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注意:死ねたを含むSSもあります。苦手な方はご遠慮してください。 ギャグ系短編SS その他・カオス短編SS ※ジャンルがわからないSS R-18・変態系短編SS シリアス系短編SS 鬱系短編SS 戻る
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279:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 00 46 47.26 ID hpeqfj4Jo―――翌朝 エルフの里 牢屋 兵士「出ろ」 勇者「……」 僧侶「ついに……」 魔法使い「ふぅー……」 兵士「ついてこい」 勇者「……」 僧侶「まさか……こんな森の奥で死ぬことになるなんて……」 魔法使い「はぁ……怖くなってきたわ……」 僧侶「わ、私も体の震えが……止まりません……」 勇者「……」 魔法使い「アンタは?」 勇者「え?」 魔法使い「怖いでしょ?」 勇者「僕だけなら相当怖かったですが、貴女たちがいるなら怖くありませんね。むしろ、緊張できなくて困るぐらいです」 280:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 00 51 38.18 ID hpeqfj4Jo魔法使い「また強がり言って」 勇者「本当ですよ」 僧侶「相手はエルフですよ?!」 勇者「僕は勇者です。そして貴女たちは有能な魔法使いと僧侶です」 僧侶「そ、そんな真顔で言われても……」 魔法使い「いい?!今までの魔物みたく本能で向かってきたり、魔法が簡単に通じる相手じゃないのよ?!」 勇者「でしょうね。だからこそ、戦術が大事になります」 僧侶「えぇ……」 魔法使い「無理よ……。今度ばかりは……」 勇者「できますよ」 僧侶「どうして……そこまで断言できるのですか……?」 勇者「貴女たちがすごい術者だからです」 魔法使い「はぁ……なんの根拠もないってことね……」 僧侶「うぅ……」 勇者「絶対勝つぞー!!おー!!」 281:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 00 56 45.96 ID hpeqfj4Jo―――処刑場 長老「ではこれより、洗礼の儀を執り行う!!」 長老「罪人よ。聖地へ足を踏み入れることを許可する」 兵士「上がれ」 勇者「……」 僧侶「……っ」ガクガク 魔法使い「できるだけ、苦しくない方法で殺して欲しいわね」 僧侶「そ、そうですね……」 長老「罪を流す者よ、聖地へ」 神官「……」 勇者「あの人たちが……神官ですか……」 神官「……準備は整っております」 神官「右に同じ」 神官「いつでも、どうぞ」 長老「罪深き者たちに洗礼を!!!」 282:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 02 57.69 ID hpeqfj4Jo勇者「では、手筈通りに」 魔法使い「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」 僧侶「勇者様……本当に私は抱きついているだけでいいのですか?」ギュゥゥ 勇者「ぬほほぉ。―――はい」キリッ 魔法使い「なんで私が矢面に……」 勇者「貴女の能力なら大丈夫です」 魔法使い「信じられないけど」 勇者「向こうは魔法のプロフェッショナル。だからこそ、貴女たちの苦しみなど絶対に分からない」 僧侶「それって……」 神官「では……洗礼を始める」 勇者「来ます!!」 魔法使い「ええい!!もうどうせ死ぬなら……!!!」 神官「炎よ!」ゴォォォ 魔法使い「―――はぁ!!!」コォォォ 神官「な……!!炎を掻き消した……?!」 283:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 08 03.14 ID hpeqfj4Jo長老「ん……?!なんだ……今のは……?」 エルフ(まさか……全力ではないとはいえ、いとも簡単に……神官の魔法を……) 魔法使い「ほ、炎なんて私には効かないわ!!」 魔法使い(冷気を纏っただけだけど……) 神官「面白い……では……!!―――凍れ!!!」コォォォ 魔法使い「氷も効かない!!」ゴォォォ 神官「なんだと……」 神官「中々の能力者。注意せよ」 神官「うむ」 魔法使い「……っ」 勇者「よし。警戒を強めた」 僧侶「それって……本気にさせたってことですよね?」 勇者「さあ、次行きますよ」 僧侶「は、はい!」ギュゥゥ 神官「では、手加減はしない。―――雷よ!!」バリバリ 284:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 12 37.33 ID hpeqfj4Jo勇者「雷!?」 神官「終わりだ」 僧侶「きゃぁぁ!!!」 勇者「絶対に離れないでください!!」 僧侶「は、はい!!」ギュゥゥゥ ―――ドォォォォン!!!! 長老「―――終わったか」 エルフ「……」 神官「儀式は終了」 神官「では、死体の回収をおこな―――」 勇者「―――はぁぁ!!!」ゴォッ 神官「なに……!!」 勇者「せいっ!!」ザンッ 神官「バ……カ……な……」ドサッ 勇者「砂塵を巻き上げては、敵を見失う。状況によっては今みたいに隙をつくることになります。覚えておいてください」 285:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 19 29.45 ID hpeqfj4Jo神官「理解不能」 神官「何故、無傷でいる……。確かに直撃したはず……」 勇者「結構痛いですよ。でも、僕は無敵なんで」 僧侶「うっ……」ギュッ 勇者「(大丈夫ですか?)」 僧侶「(は、はい……)」 長老「どうなっている……!?」 エルフ「そんな馬鹿なこと……」 勇者「これだけははっきり言っておきます。僕を倒すことはできないぞ!!!」 神官「思考中」 神官「魔力を解放する。肉体を滅裂させれば再生も不可能のはず」 勇者「ああ、やっぱり力があるとそういう力押しができていいですねえ!!全くぅ!!」 僧侶「(勇者様、流石に治癒が追いつかない傷を負えば……)」 勇者「(分かっています)」 魔法使い「(ちょっと、あれは多分指定した空間を爆発させる魔法よ?!どうするの?!)」 286:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 24 22.05 ID hpeqfj4Jo勇者「指定した空間を?」 魔法使い「そうよ!!」 勇者「やったー!!」ダダダッ 僧侶「えぇ?!特攻?!」 神官「なに……?!」 勇者「爆発させる魔法は近距離では使えない。それは以前に聞きました」 魔法使い「あ……」 神官「くっ……!!」バッ 勇者「遅いっ!!!」ズバッ 神官「がっ……?!」ドサッ 勇者「二人目だぁ!!!」 神官「……」 勇者「ふん。いくら魔法ができるからって、やりようはいくらでもある!!」 神官「……」 勇者「もう声も出ませんか?!ええ、おい!!」 287:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 29 56.02 ID hpeqfj4Jo神官「……」 勇者「あーん?」 神官「爆発」 勇者「え―――」 ドォォォォン!!!! 僧侶「きゃぁ?!」 魔法使い「なっ……!?自爆?!」 勇者「うっぁ……ずっ……」 僧侶「勇者様ぁ!!!」タタタッ 神官「損傷甚大……」 勇者「まさ……か……捨て身……とは……」 僧侶「今、治癒を……!!」ギュッ 勇者「あ、ありがとうございます」 神官「治癒開始」 魔法使い「一撃でしとめないと、向こうも回復しちゃうわね……」 288:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 33 51.14 ID hpeqfj4Jo神官「爆炎放出」ゴォォォ 僧侶「きゃぁ?!」 魔法使い「炎なら!!」コォォォ 神官「……」 魔法使い「効かないわ」 神官「氷塊放出」 魔法使い「無駄よ!!」ゴォォォ 神官「……」 魔法使い「はぁ……はぁ……」 勇者(これ以上はまずい……タネがバレたら……) 僧侶「うぅ……」ギュゥゥ 神官「解析完了」 魔法使い「え……?」 神官「炎、継続放出開始」ゴォォォ 魔法使い「なっ……!!」コォォォ 289:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 39 26.11 ID hpeqfj4Jo神官「貴殿、魔法放出不可」 魔法使い「ちょっ……!!」 勇者「まずい……!!早くトドメを……!!!」ダダダッ 僧侶「勇者様!!」 勇者「うおぉぉぉ!!!!」 神官「爆炎放出」ゴォォォ 勇者「うぁ!!」 魔法使い「馬鹿!!なにやって―――」 神官「最大出力」ゴォォォォ 魔法使い「やめて……よ……!!もう……魔力が……!!!」コォォォ 僧侶「ど、どちらに抱きつけば……!!」オロオロ 神官「貴殿、魔力残量皆無」 魔法使い「うる……さい……やれる……これぐら、い……!!!」 神官「諦観推奨」 魔法使い「そ、そんなこと……奨めないでよ……!!」 291:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 01 53 15.22 ID hpeqfj4Jo長老「どういうことだ……これは……?」 エルフ「あの二人の術者。少し様子が変ですね」 長老「うむ。神官の魔法を相殺できるほどの魔力を放出しておいて、それを攻撃に転換しないとは」 エルフ「しないというより、できないのでは?」 長老「む……それは……」 エルフ「できるのであれば、治癒も抱きつくほど密着する必要はないですし、魔法で攻撃するのも安全な遠距離で行うはず」 長老「相手との力量が違いすぎるから奇をてらった方法を用いているのではないか?」 エルフ「攻撃魔法を防御に使うのはありえますが、それなら先ほど神官が弱っているときに追撃をかけないのが不自然です」 長老「そういえばあの術者たちは魔法について学びたいを言っておったな……」 エルフ「魔法を上手く使いこなせないということでしょうね」 長老「そういうことか。分かってしまえばどうということはないな」 エルフ「ええ。時間をかければ終わります。エルフの魔力量は人間の数十から数百倍ですからね」 長老「ああ……。人間にとっては無限に等しいだろう」 エルフ「儀式終了も時間の問題ですね……」 エルフ(悪く思わないで……。これも全て貴方たちが魔王と戦おうとするから……) 297:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 22 48.89 ID hpeqfj4Jo勇者(このままじゃ……!!) 神官「……」ゴォォォ 魔法使い「くぅ……ぁ……ん……!」コォォ 僧侶「……っ」タタタッ 魔法使い「え……?」 僧侶「……」ギュッ 魔法使い「あんた……!!」 僧侶「うぅ……」ガクガク 魔法使い「……もう!!」コォォォ 神官「無意味」ゴォォ 魔法使い「死にたくないから足掻くのよ!!悪い?!」 僧侶「うぅぅ……ぅ……ぐすっ……ゆう……しゃさま……たすけて……」 勇者「あ……!!」 勇者(あ、いや……上手くいくかはわからない……それ以前に二人を危険な目に合わせてしまう……) 勇者(だが……迷ってはいられない……!!) 298:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 27 34.01 ID hpeqfj4Jo勇者「わかった!!諦める!!」 神官「……」ピクッ 魔法使い「ど、うし……て……」 僧侶「そ、んな……」 勇者「もうお二人を苦しませないでください」 神官「……」 魔法使い「まだ……やれる……のに……」 勇者「もう無理ですよ。やめましょう。お二人とも、もう魔力が……」 僧侶「あぁ……うぅ……」ガクッ 魔法使い「しっかりして!」 僧侶「私たち……ここで……終わり……なんですね……」ウルウル 勇者「残念ですが……治癒する術が無い以上、勝ち目はありません」スッ 僧侶「……」 勇者「申し訳ありません。僕が不甲斐ないばかりに……」 僧侶「いえ……」 299:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 34 02.58 ID hpeqfj4Jo魔法使い「やめて……」 勇者「……」 魔法使い「アンタはいつも諦めなかったじゃない……!!」 勇者「勝算があったからですよ」 魔法使い「何よ……今はないっていうの……?」 勇者「はい」 魔法使い「どうしてよ!?綺麗なお嫁さんと側室を10人はべらせるんでしょ?!」 勇者「志半ばで力尽きる人が殆どですよ」 魔法使い「なんで……やめて……」 勇者「本当に申し訳ありません。自分が馬鹿なことをしなければ、貴方達を巻き込むこともなかったのに……」 魔法使い「……」 勇者「僕から処刑しろ」 神官「……」 魔法使い「本気なの……」 僧侶「勇者様……」 300:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 38 30.61 ID hpeqfj4Jo長老「観念したのか……致し方ないな……。所詮は人間だったか……」 エルフ「……」 神官「処刑容認」スッ 勇者「魔法で殺すのか……?」 神官「肯定」 勇者「できるだけ痛くないように頼みます」 神官「了解」 勇者「ふぅー……」 魔法使い「いや……だ……め……」 僧侶「……」 神官「―――爆破」 勇者「……っ」 僧侶「―――やめてぇ!!!」バッ 神官「!?」 ドォォォン!!! 301:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 43 23.75 ID hpeqfj4Jo魔法使い「なっ……!!」 長老「どうした!!」 エルフ「庇ったの……?」 僧侶「ぅ……ぁ……」 勇者「……!!」 神官「失敗」 勇者「……」 魔法使い「いやぁぁぁ!!!!」 神官「処刑開始」スッ 勇者「くっ……!!」ジリジリ 神官「撤退不可。抵抗無意味」スタスタ 勇者「……っ」 魔法使い「あぁ……ぁ……!!!」ガクガク 神官「処刑開始」スッ 勇者「……」 303:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 50 17.96 ID hpeqfj4Jo僧侶「……」スクッ 長老「なに?!」 エルフ「え……!?」 神官「……?!」バッ 僧侶「……」 神官「理解不能……!!」スッ 勇者「―――でぁぁぁ!!!」 神官「……!!」 勇者「あぁぁぁぁ!!!!」ザンッ 神官「はっ……ぁ……!?」 勇者「はぁ……はぁ……戦闘中に背中を向ける奴が……あるか……ど素人め……!!」 魔法使い「え……どうして……?」 僧侶「や……やりま……し……」フラッ 勇者「危ない!!」パシッ 僧侶「ゆう……しゃ……さま……」ニコッ 306:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 21 56 27.63 ID hpeqfj4Jo長老「馬鹿な……神官の魔法を受けて……立ち上がるなんて……!!」 勇者「彼女は常に治癒魔法が漏れている状態なんです」 エルフ「え?」 勇者「だから、魔力さえ残っていれば自動的に自分を治癒する」 魔法使い「でも……もう治癒できるだけの魔力は……」 勇者「魔力を回復させれば問題はありません。たとえ雀の涙ほどでも魔力があるなら、多少なりとも傷は癒えます」 魔法使い「それはそうだけど……どうやって回復させたわけ……?」 勇者「大丈夫ですか?」 僧侶「気絶しなかったのが……奇跡……ですね……」 勇者「本当に。だから、危ない賭けでした」 僧侶「ふふ……私でも……お役に……立て……ましたか……?」 勇者「ええ……」 僧侶「うれ……し……ぃ……」 魔法使い「大丈夫なの!?」 勇者「気を失っただけです。問題ありません。でも、絶対安静ですね……」 307:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 02 11.87 ID hpeqfj4Jo長老「馬鹿な……人間に……負けるとは……」 エルフ「こんなことって……」 勇者「まずは彼女の休む場所を用意してください」 魔法使い「大丈夫!?ねえ!!」 僧侶「うぅ……」 勇者「魔力はもう残っていないでしょうね。傷が殆ど癒えていない」 長老「そんな……こんなことあってはならん……!!」 エルフ「長老……」 長老「人間に……我々が……!!」 エルフ「長老、しっかりしてください」 勇者「慢心した結果だ。人間は貴方たちが思っているほど、弱くはない」 長老「数の暴力しか知らぬ……野蛮な種族……のはず……なのに……」 勇者「お願いします。今は一刻も早く、彼女を休ませてあげたいのです」 エルフ「……こちらに」 僧侶「ぁ……ぅ……」 308:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 05 01.60 ID hpeqfj4Jo―――エルフの家 エルフ「……」パァァ 僧侶「うぅ……ぅ……」 エルフ「これで大丈夫でしょう」 勇者「本当ですか?」 エルフ「ええ」 魔法使い「よかったぁ……」 エルフ「だけど、しばらくは安静にしておかないと……」 勇者「……」 エルフ「それでは、ボクはこれで」 勇者「待ってください」 エルフ「なに?」 勇者「……ありがとうございました」 エルフ「……ごゆっくり」 勇者「……」 309:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 10 35.29 ID hpeqfj4Jo僧侶「すぅ……すぅ……」 魔法使い「本当によかった……」 勇者「いやー、死ぬかと思いましたね」 魔法使い「ねえ……どういうことなの?この子は魔力がなくなってたはずなのに」 勇者「以前、彼女に携帯させた物を使ったのですよ」 魔法使い「え?」 勇者「すぐに魔力が枯渇する彼女にとって最大の武器に成り得る……これを」スッ 魔法使い「それ……非常食?」 勇者「僕を庇う直前に食べるように言っておきました。魔力は睡眠か食事を取ることで回復するとのことですので」 魔法使い「死んだらどうするつもりだったの?」 勇者「そのときは……諦めるしか……」 魔法使い「……」 勇者「申し訳ありません。僕は最低の手段を選び、彼女を危険に晒しました。どんな罰も受けるつもりです」 魔法使い「私に言われても……困るわ……」 勇者「申し訳……ありません……」 310:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 18 44.04 ID hpeqfj4Jo―――長老の家 長老「魔王様……」 魔王『結果は?』 長老「勇者は生きております」 魔王『殺し損ねたか。下等種族では荷が勝ちすぎていたか?』 長老「勇者らの体質を知っていれば、負けはしませんでした」 魔王『言い訳はよい。して、体質とはなんだ?』 長老「勇者は魔法の類を一切使えぬ人間であり、剣術に長けています」 魔王『ふむ……』 長老「そして二人の術者ですが……こやつ等が一癖ありまして……」 魔王『早く言え』 長老「一人は魔力の放出ができず、相手に接触しなければ傷を負わせることが叶いません」 長老「治癒魔法を操る者は常に魔力が漏れている状態で、魔力が尽きぬ限りは自身と自身に触れた者を癒します。ですが、魔力はすぐに尽きてしまいます」 魔王『欠陥の特異体質というわけか。ふはははは……そうか……感謝するぞ、エルフの長よ。これで我の勝利は約束された』 長老「はい……」 311:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 24 08.84 ID hpeqfj4Jo―――エルフの家 僧侶「……」 勇者「……」 魔法使い「いい加減、休んだら?」 勇者「……」 魔法使い「目が覚めるまでもう少しかかるわよ」 勇者「ですが……」 魔法使い「いいから。もしかしてアンタ、無意味に服を脱がせたりしようなんて考えてないわよね?」 勇者「そんなこと考えていません」 魔法使い「本当かしらぁ?」 勇者「僕の所為で……彼女は……」 魔法使い「……いいから、休んで。アンタだって、傷ついてヘトヘトのはずよ?」 勇者「……」 魔法使い「これは命令。休め」 勇者「わかりました……」 313:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 31 15.38 ID hpeqfj4Jo―――エルフの里 勇者「……」 エルフ「何をしている?」 勇者「……」 エルフ「怒っているの?」 勇者「はい」 エルフ「でも、貴方たちだってボクたちに対して……色々と酷い仕打ちを……」 勇者「自分が許せません」 エルフ「え……?」 勇者「僕が囮になるべきだった……!!」 エルフ「……」 勇者「生き残れる可能性があると分かったとき……僕は最も可能性が高い方法を手にとってしまった……」 勇者「二人を守る立場にいる僕が……」 エルフ「でも、誰が囮になっても失敗したらみんな死んでいた。なら、成功率が高い手段を選ぶのは当然だと思うけど……」 勇者「誰が囮になってもよかったのなら……僕がなるべきだったんです……!!」 314:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 38 47.20 ID hpeqfj4Joエルフ「……」 勇者「すいません。貴女にこんなことを言っても……仕方ないですね……」 エルフ「別に……」 勇者「……」 エルフ「貴方達三名は現時刻をもって、解放されることになりました」 勇者「ありがとうございます」 エルフ「できればすぐにでも立ち去ってもらいたいのですが」 勇者「それは……」 エルフ「わかっています。一人は重傷ですから、暫くの間は面倒を見ます」 勇者「もしかして僕だけを……?」 エルフ「ええ。元はといえば、貴方が騒ぎを大きくしたわけですから。貴方がこの里からいなくなれば、誰も文句はいいません」 勇者「わかりました。なら彼女たちだけでも―――いや、それはしないほうがいいですね……」 エルフ「え?」 勇者「こちらの弱点は魔王を通じて他の魔族にも伝わっているはず。彼女たちだけを置いていくことは……もう出来ません」 エルフ「そうですか……」 315:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 44 35.08 ID hpeqfj4Jo勇者「……」 エルフ「道中、お気をつけて」 勇者「はい?」 エルフ「それでは」 勇者「ちょっと待ってください!!」 エルフ「なんですか?」 勇者「おかしいなことを言わないでください」 エルフ「は?」 勇者「貴女がどうして旅の成功を祈る側にいるのですか?」 エルフ「だって……」 勇者「貴女は祈られる側ですよね?」 エルフ「なんで?!」 勇者「あれー?約束……忘れたなんて言わないですよね?誇り高きエルフ族が、そんな馬鹿なこと……」 エルフ「な、なんのこと……?」 勇者「僕たちが勝てば貴女は僕の側室になるって約束……しましたよね?」 316:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 49 36.00 ID hpeqfj4Joエルフ「あ……!!!」 勇者「ぬほほぉ!!」 エルフ「ボクは……!!」 勇者「ダメ」 エルフ「待って!!ボクはエルフだ!!人間と関係を持つことは許されない!!そういう戒律がある!!」 勇者「あっそ。いや、でも、約束は守ってくださいね」 エルフ「待って!!エルフ族に伝わる妖精の剣と鎧を貴方に差し上げるから!!!」 勇者「そんなのいりません」 エルフ「じゃあ、盾もつける!!」 勇者「いりませんて」 エルフ「兜もあげるぅ!!!」 勇者「僕はね……貴女が欲しいのですよ」キリッ エルフ「そんなぁ……」 勇者「では、すぐに支度を整えてください」 エルフ「待って!!お願い!!あれはなかったことにぃ!!!」 317:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 22 58 15.98 ID hpeqfj4Jo―――エルフの家 魔法使い(アイツ……大丈夫かしら……) 魔法使い(すごく自分を追い詰めてたみたいだけど……) 魔法使い「はぁ……ああいうとき……どう声をかけたらよかったの……?」 魔法使い「ねえ……?」 僧侶「すぅ……すぅ……」 魔法使い「私って……やっぱり……ダメね……」 魔法使い「気の利いたことも言えないなんて……」 勇者「ただいま戻りました」 魔法使い「あ。さっきは―――え?」 エルフ「おねがいしますぅぅ!!!許してくださぁぁぁい!!妖精の妙薬もあげますからぁぁぁ!!!」ギュゥゥゥ 勇者「だから、貴女以外いらないのですよ。分からない人ですねぇ」 エルフ「戒律を破るとボクが処刑されるんですよぉ!!!」 勇者「なら僕が生涯をかけて匿ってあげます。ほら、解決した」 エルフ「ちがうぅぅ!!!そういう問題じゃないぃぃ!!!」 320:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 06 56.47 ID hpeqfj4Jo魔法使い(元気そうね……) 勇者「まだ、目覚めてないのですか?」 魔法使い「ええ」 勇者「少々酷ですがいつでもここを発てるようにしておいてください」 魔法使い「え……!!でも!!」 勇者「エルフ族は仲間意識が非情に強いですから。ここに留まることは危険です。色々と」 魔法使い「それって……他の魔物を呼んで私たちを……」 エルフ「そんなことはしない!!」 魔法使い「でも……魔族は魔族でしょ?―――あと、ソイツから離れてくれない?」 エルフ「あ……」パッ 勇者「ちっ」 エルフ「我々は人間と友好関係を築いていた過去がある。そのため、他の魔族からは敵視されているぐらいだ」 魔法使い「じゃあ、魔王とも敵対関係なの?」 エルフ「中立……といいたいところだけど、魔王が何か命令してきたら逆らえない。逆らえばきっと……一族が滅びるから」 勇者「それは酷い。こんなに美しい一族を葬るなんて……魔王!!許さん!!」 321:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 13 41.27 ID hpeqfj4Jo魔法使い「まあ、いいわ。要するに魔王には絶対服従なのね?」 エルフ「……」 勇者「僕たちは魔王に目をつけられていますからね。処刑命令が出てもおかしくありません」 魔法使い「わ、私は嫌よ!!もう一度、エルフと戦うなんて!!」 勇者「それは僕もです。だから、彼女が目覚め次第、いつでも動けるようにしておきましょう」 魔法使い「……仕方ないわね」 勇者「貴女もですよ」 エルフ「ちょっ……!?」 魔法使い「え?どういうこと?」 勇者「彼女とは約束しましたからね。僕たちが勝てば僕の側室になると」 魔法使い「あー……」 エルフ「だ、だからぁ!!!あれはその場の勢いで……!!!」 勇者「約束も守れないのか!!!それでも誉れ高きエルフ族か?!えぇ!!おい!!!こっちは命かけたんだ!!お前も命かけろ!!!」 エルフ「め、めちゃくちゃじゃないですか……」ウルウル 勇者「おっと。すいません。つい熱くなってしまいました。でも、大丈夫です。僕の側室になれば将来は約束されたようなものですから」 322:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 18 56.07 ID hpeqfj4Joエルフ「いやぁ……なんで……こんなことにぃ……」メソメソ 勇者「僕に惚れられたのが運の尽きですね」 エルフ「全くです……」 魔法使い「ちょっと……ということは、このエルフもこれから一緒に行動するの?」 勇者「はい」 魔法使い「それって……あの……」 エルフ「あの……妖精の笛もつけますから」 勇者「そんなに嫌ですか?」 エルフ「はい……」 勇者「わかりました……」 エルフ「えっ?!」 勇者「そこまで嫌だというなら……僕も考えましょう」 エルフ「ほ、ほんとうに?!」 勇者「無理強いなんてさせたくありませんからね」 エルフ「よ、よかった……理解ある人間で……」 323:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 25 45.47 ID hpeqfj4Jo勇者「貴女が一緒にこないというなら、僕たちはこの里のことを号外で人間たちに伝えます」 エルフ「えぇぇぇ?!」 魔法使い「それは流石に……!!」 勇者「そうなったらこの森に何万という人員が投入され、貴方達は……喰われますよー!!がおー!!!」 エルフ「いやぁぁぁ!!!」 勇者「さぁ!!!どうする?!貴女一人が犠牲になって里を救うか、それとも人間たちから逃げ隠れる道を選ぶか!!!」 エルフ「そんなの酷いっ!!」 勇者「好きなほうを選んでください。無理強いなんてさせたくないですから」 魔法使い「あんた……悪魔なの……?」 勇者「さぁ?どうするんですかぁ?」 エルフ「くっ……」ウルウル 勇者「ぬほほぉ……」 エルフ「……ます……」 勇者「え?」 エルフ「行きます!!ボクも連れて行ってぇ!!!」 324:NIPPERがお送りします(岡山県):2012/06/13(水) 23 29 06.34 ID ZE2EHKqao容赦なくなってきたな 325:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 30 12.87 ID hpeqfj4Jo―――夜 魔法使い「一応、いつでも出発できるようにはしておいたわ」 勇者「ありがとうございます」 魔法使い「……」 勇者「軽蔑しますか?」 魔法使い「いや……アンタらしくないなと思って……」 勇者「どうしても必要でした」 魔法使い「側室に?」 勇者「……はい」 魔法使い「あきれた……」 勇者「……」 魔法使い「ねえ……それじゃあ……私たちはここまでなの?」 勇者「え?」 魔法使い「エルフがいるなら……私たちはいらない……でしょ?エルフ一人で攻撃も治癒もできる……し……」 勇者「何を言ってるんです?」 326:NIPPERがお送りします(東京都):2012/06/13(水) 23 30 33.94 ID wMTPuDUAo鬼畜にも劣る下種だなこの勇者…… やはり変態紳士の名は伊達ではないということか 328:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 36 45.33 ID hpeqfj4Jo魔法使い「だって……」 勇者「お二人も必要ですよ。無論、連れて行きます」 魔法使い「でも……一回、別れてるし……」 勇者「こうして再会できました。これも赤い糸で結ばれている証拠ですよ」 魔法使い「はぁ!?」 勇者「それに一緒に行動してもらわないと困ります。魔王は僕たち三人を狙っているわけですから」 魔法使い「そうだけど」 勇者「もう休んでください。彼女の看病は僕が引き受けましょう」 魔法使い「……」 勇者「どうしました?」 魔法使い「あ……ありがとう……」 勇者「何に対してですか?」 魔法使い「バーカ」 勇者「……?」 勇者「まあ、いいか」 329:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 41 56.00 ID hpeqfj4Jo勇者「……」 僧侶「……」 勇者「……申し訳……ありません……」 僧侶「……勇者様……自分を責めないでください……」 勇者「……!!」 僧侶「あのときはああするしか……無かった……」 勇者「しかし……」 僧侶「貴方は最善の策を……」 勇者「違う。貴女を危険に晒すことなく突破できた……のに……」 僧侶「それだと……勇者様が……私のような目に……」 勇者「……」 僧侶「いつもそうですね……」 勇者「なにがですか?」 僧侶「貴方はいつも……全部一人で解決しようとしていました……。わざと別行動をとったのも……」 勇者「やめてください。あれは僕の失言が原因です。意図もなにもありません」 331:NIPPERがお送りします:2012/06/13(水) 23 53 07.42 ID hpeqfj4Jo僧侶「エルフを探そうと考えたのは……私たちだけではドラゴンに……魔王に勝てないと判断したからですよね?」 勇者「魔王。今まで誰も魔王と対峙することが叶わず散っていったために、その力は未知数でした」 勇者「ですが、おとぎ話の怪物を従えていると分かり、愕然としました。恐らく……いや、確実に人間では敵わないと悟った」 僧侶「……」 勇者「貴女たちの能力が劣っているから、僕が勇者としては未熟だからなんて理由ではない。絶望的な力の差がある」 僧侶「だから……私たちを突き放して……同じおとぎ話のエルフ族を仲間に……?」 勇者「貴女たちの目的が復讐だと聞き、きっと簡単には別れてくれないと思いました。だから……」 僧侶「勇者様……」 勇者「あの時は酷いことを……そしてこの度も……」 僧侶「よかった……」 勇者「何がでしょうか?」 僧侶「少しだけ……あれは本心だったのではないかって疑っていました……でも……勇者様はやはり……お優しい……」 勇者「……」 僧侶「好きです……そんな勇者様が……。だから……傍にいさせてください……」 勇者「……何を言っているのですか。貴女は側室候補。傍にいてもらわないと僕が困りますよ、はい」 332:NIPPERがお送りします:2012/06/14(木) 00 03 19.30 ID hpeqfj4Jo僧侶「ふふ……嬉しい……」 勇者「え?」 僧侶「私は側室で構いません……よ……?」 勇者「えっ?」 僧侶「……」 勇者「あの……」 僧侶「すぅ……すぅ……」 勇者「……おやすみなさい」 エルフ「あのー」 勇者「おや、どうされました?」 エルフ「いつ出発するの?」 勇者「明朝にします」 エルフ「わかった。ボクは森の外で待ってるから……」 勇者「こっそり出るのですね」 エルフ「当然でしょ!?見つかれば極刑だし……。もうこの里には戻れないし……うぅ……」ウルウル 339:NIPPERがお送りします:2012/06/14(木) 23 26 18.34 ID hpeqfj4Jo―――翌朝 魔法使い「起きて……ねえ……起きて……」ユサユサ 勇者「ん……?」 魔法使い「ほら、顔でも洗ってきて」 勇者「あ……はい……」 魔法使い「もう……」 僧侶「おはようございます」 勇者「おお!!もう大丈夫なのですか?」 僧侶「はいっ。勇者様が一晩中、お傍にいてくれたおかげです」 勇者「それはよかった」 僧侶「ふふ……」 勇者「……」 僧侶「あの……なにか?」 勇者「いえ。では、洗顔してきます。そのあと、すぐに出発しましょう」 僧侶「はい」 340:NIPPERがお送りします:2012/06/14(木) 23 32 59.69 ID hpeqfj4Jo魔法使い「顔色もいいし、もう大丈夫みたいね」 僧侶「ご心配をおかけしました」 魔法使い「いいのよ。―――それよりも……アイツが心配だわ」 僧侶「勇者様がですか?」 魔法使い「あんたを傷つけたって、すごく落ち込んでたから」 僧侶「そうみたいですね……」 魔法使い「まだ引き摺ってなきゃいいけど……」 僧侶「……」 勇者「―――お待たせしました」 魔法使い「はい、荷物」 勇者「ありがとうございます」 魔法使い「さ、行きましょ」 勇者「そうですね。きっとボクっ娘さんも待っていますし」 僧侶「え?誰ですか?」 魔法使い「エルフよ。こいつ、ついに人外にまで手を出したのよ。呆れちゃうでしょ?」 341:NIPPERがお送りします:2012/06/14(木) 23 39 13.91 ID hpeqfj4Jo僧侶「その方も……側室候補なのですか?」 勇者「はい」 僧侶「そうですか」 魔法使い「それだけ?もっと批難すべきよ、これは」 僧侶「いえ。人間とエルフの恋は実際にあったと聞きます」 魔法使い「え?」 僧侶「それは悲恋だったようですが……。でも、勇者様ならきっとエルフとも純愛を貫けると思います」 魔法使い「ちょっと!!側室10人って時点で不純じゃないの!!」 僧侶「私は……勇者様のお傍に居られたら……」 魔法使い「はぁ?!」 僧侶「あ……すいません。失言ですね」 魔法使い「……」 勇者「ふっ。僕は正妻と10人の側室を区別しません。変わらぬ愛情を注ぐ覚悟があります」 僧侶「それで十分です……勇者様……」 魔法使い「あの……え……?」 342:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 03 53.80 ID hpeqfj4Jo―――エルフの森 勇者「それでは色々とお世話になりました」 僧侶「ありがとうございました」 魔法使い「本当、色々とお世話になったわね」 長老「……もう会うことはないだろう」 勇者「あの、一つだけよろしいですか?」 長老「なんだ?」 勇者「この里、随分と見つかりやすい場所にあったようですが……今まで、人間に見つかったことはないのですか?」 長老「おぬしらが倒した神官たちの力を合わせれば、結界を張り集落そのものを不可視にすることも可能だ」 魔法使い「不可視ですって?」 僧侶「そんな……でも……私たちには今もこうして見えてますよね?」 勇者「そのようなことができるのに、僕たちの侵入を許したのですか?」 魔法使い(そうよね。こんなにあっさり見つけられるんじゃ、大勢の人間に見つかっているはず……) 長老「……」 勇者「やはり魔王ですか?」 343:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 12 55.34 ID hpeqfj4Jo長老「魔王から勇者一行が近くにいると伝えられた。そして勇者が目の前に現れれば、その能力を測れともな」 勇者「やはりそうでしたか」 長老「初めは一人だけだったから、また我らの身柄を狙う不貞の輩と思ったがな」 勇者「不可視にできるのに拉致されるのですね」 長老「人物そのものを透明にすることはできん。特定の場所に結界を張ることで初めて不可視になるのだからな」 勇者「透明人間……というわけではないと?」 長老「そんな魔法ありはせん。誘拐されるエルフは決まって狩りの最中だからな。結界の中に居続けるのは難しいからな」 勇者「優秀な神官がいるからこそ広範囲で不可視にできるが、個人だと範囲が狭まると?」 長老「そういうことだ。その範囲も人一人で限界だろう」 勇者「……」 魔法使い「覗きに使えるとか思ってないでしょうね?」 勇者「どうして僕はエルフじゃないのでしょうか。神様は酷いことをしますね」 魔法使い「この……!!」 長老「さぁ、もういいだろう。早く行ってくれ」 勇者「はっ。それでは、お元気で」 344:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 19 39.30 ID hpeqfj4Jo勇者「里が見えなくなっていく……」 僧侶「すごい……」 魔法使い「あー!!!」 勇者「どうしました?下着を着忘れたとか!?」 魔法使い「違うわよ!!私たちの重大な欠点を直して貰うっていう目的があったじゃない!!」 僧侶「そうでした。色々あって忘れていましたね」 勇者「欠点?」 魔法使い「魔力を上手くコントロールできるようになるかもって思って、私たちはこの森にきたのよ」 勇者「僕の側室になるために追ってきたのではないのですか?」 魔法使い「違うわよ!!あんたからも言ってあげて!!」 僧侶「……」モジモジ 魔法使い「え?」 勇者「まあまあ、とにかく今は森を出ましょう。―――外でエルフが待っているのですから」 魔法使い「そうよ……そうだったわ。エルフが仲間になったのよね」 僧侶「そうですね。ボクっ娘さんというエルフが仲間になってくれたのなら、私たちの欠点を改善することも―――」 345:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 24 35.00 ID hpeqfj4Jo―――フィールド エルフ「無理」 魔法使い「え……」 僧侶「本当ですか?」 エルフ「貴女たちはそういう特異体質だから。魔力を調整することで改善されることはないよ」 魔法使い「そんなぁ……」 勇者「残念でしたね」 魔法使い「他人事だと思って……!!」 エルフ「でも……補強はできるかもしれない」 僧侶「補強?」 エルフ「定期的に魔術による補強を行えば魔力が一時的に漏れないようにすることはできる」 魔法使い「それでもいいわ」 僧侶「お願いします」 エルフ「かなり面倒だけど……。まあ、これから先のことを考えれば―――」 勇者「ゆるさんっ!!!!」 346:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 30 50.22 ID hpeqfj4Jo魔法使い「なっ?!」 僧侶「ひぐっ」ビクッ エルフ「どうして?」 勇者「ならん!!!お母さんから貰った体を大切にしないやつなんて、俺は嫌いだ!!!」 魔法使い「何言ってるのよ?!旅を続けるなら―――」 勇者「ダメー!!!!絶対にノー!!!ノォォォ!!!!」 エルフ「ど、どうしてそこまで……」 僧侶「勇者様……?」 魔法使い「どうしてよ!?私たちが一般的な魔力の扱い方ができれば、戦いだって劇的に楽になるわよ?!」 勇者「貴女たちの体質が改善される……それすなわち、他の魔法使いや僧侶と同じになるということ」 僧侶「そ、そうですね」 勇者「つまり、治癒をするとき対象の人物に触れなくても大丈夫になるってことですね?」 僧侶「はい」 魔法使い「いちいちくっつきに行くのはタイムロスだし、離れた場所からでも治癒ができるって相当いいことじゃない」 勇者「没個性じゃん!!!なにいってんのぉ?!」 347:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 37 05.33 ID hpeqfj4Joエルフ「没個性って……。そんな考えで魔王と戦うつもりだったの?」 勇者「何か問題でも?」 エルフ「いや……」 魔法使い「ちょっと。アンタの足りない脳みそでよく考えなさいよ」 勇者「僕の頭には欲望がぎっしり詰まってますが」 魔法使い「いい?私たちは基本的に前線で戦えない」 勇者「当然です。前に出て戦うのは僕の役目ですから」 魔法使い「でしょ?なら、離れたところから治癒ができるってすごく便利よね?」 勇者「そうですね」 魔法使い「分かってくれたのね」 勇者「はい」 魔法使い「じゃあ、補強を―――」 勇者「ならんっ!!!」 魔法使い「なんでよ?!」 勇者「するなら魔力が漏れないようにするだけ!!治癒は今までどおり抱きつかないとできないようにしなさい!!!」 348:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 42 48.41 ID hpeqfj4Jo魔法使い「なんの解決にもならないでしょ!?」 僧侶「それに魔力の漏れを防いでしまうと、密着しての治癒は不可能になりますよ」 勇者「そうなのですか?!じゃあ、だめ!!今のままでいい!!自然体っていいですよね!!!」 僧侶「え……」 勇者「ね!?」 僧侶「は、はい……」 勇者「さあ、いざ行かん!!魔王の城!!!」 エルフ「え?結局、補強はしなくてもいいってこと?」 魔法使い「ちょっと!!デメリットが消せるのよ!?」 勇者「黙ってくださいよぉ!!」 魔法使い「拒む理由を言って!!」 勇者「理由?そんなの……一つしかないですよ……」 エルフ「あ……もしかして、二人の特異体質を利用して相手の意表を突く作戦を色々考えているとか?」 魔法使い「そうなの?」 勇者「違う。―――僕がぁ!!!いや、俺がぁ!!!合法的に女体に触る機会が減るでしょう!?分かってくださいよぉ!!!」 351:NIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/06/15(金) 00 46 44.42 ID HYAX4iBooゲスっぷりが素晴らしいな 352:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 50 48.30 ID hpeqfj4Joエルフ「は……?」 勇者「普段からガード固いくせに……更に強化するとか……マジで勘弁してくださいよぉぉ……」ウルウル 魔法使い「……」 僧侶「勇者様……私に抱きつかれるの……お嫌いじゃないんですか?」 勇者「なんで?!むしろ好きですよぉ!!!」 僧侶「そ、そうですか……よかった……」ホッ 魔法使い「待って」 勇者「なんですか?」 魔法使い「あの……その……なんて言ったらいいか……分からないんだけど……」 エルフ「サイテー……こんな人間が勇者って……」 僧侶「あの……きっと勇者様にもお考えがあってのことでは?」 魔法使い「考えって!!たった今、本音を語ったじゃない!!!」 僧侶「目に見えること全てが本質とは限りません」 エルフ「やけに肩持つね。何かあったの?」 僧侶「い、いえ……私は勇者様のことを信頼しているだけでして……」 353:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 00 59 09.07 ID hpeqfj4Jo勇者「流石ですね。貴女の側室度が5ポイント上がりました」 僧侶「わーい」 魔法使い「ちょっと!!!なによその不愉快なポイントは!!」 勇者「ええい!!とにかく、今のままで何も問題はありません!!!」 魔法使い「嘘でしょ……」 勇者「本当です」 エルフ「ボクはどっちでもいいけど……どうする?」 勇者「……」 魔法使い「……私はまだいいわ。でも、こっちはどうするのよ」 僧侶「わ、私ですか?」 魔法使い「この子は常に魔力が漏れている状態、休んだり食事をとったりしないと1時間ほどで魔力が無くなるのよ?」 勇者「……」 魔法使い「今後、内部が複雑な塔や洞窟を探索するようなことがあればどうするの?」 勇者「そのためにエルフ族を仲間にしたのですが?」 魔法使い「おい!!!いい加減にしなさいよ!!!」 354:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 01 07 07.62 ID hpeqfj4Jo僧侶「えっと……勇者様……私は……不必要ということですか?」 勇者「何を言っているのですか。貴重な側室候補なのに、必要ですよ」 僧侶「ゆうしゃさまぁ……」 エルフ「あのー……」 魔法使い「あのねえ!!!!」 勇者「とまあ、冗談はこれぐらいにして」 エルフ「どういうこと?」 勇者「定期的に魔術を施しても一時的にしか効果が得られないのであれば、労力の無駄遣いでしょう」 エルフ「それは……」 魔法使い「……」 勇者「もっと効率のいい方法はないですか?―――例えば普段は魔力漏れを完全に遮断し、治癒が必要なときだけそれを解放させるとか」 僧侶「いいですね」 勇者「ええ。それなら長時間の活動もできるようになります」 エルフ「なるほど。うん。それなら魔力を封じる装飾品を身につければできるかもしれない」 魔法使い(反論したいけど……できないわ……悔しい……) 355:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 01 13 48.05 ID hpeqfj4Jo勇者「では、その方法で試してみましょう」 エルフ「わかった。じゃあ、作業に集中できる場所に行きたいのだけど」 勇者「それなら街に向かいましょう。宿屋で道具の製作を」 エルフ「街……か……」 勇者「……?」 僧侶「この道をまっすぐいけば着くはずです」 魔法使い「これからのこともそこで考えたほうがいいわね」 勇者「はい。情報収集もしないといけませんし」 僧侶「あの……勇者様」 勇者「なんでしょうか?」 僧侶「人身売買を行っている組織のことご存知ですか?」 勇者「人身売買?」 魔法使い「ちょっと」 僧侶「今から行く街にその組織があると……噂で……」 勇者「……」 357:NIPPERがお送りします:2012/06/15(金) 01 21 20.79 ID hpeqfj4Jo魔法使い「それ今、言っても仕方ないでしょ?」 僧侶「でも、私は放っておけません」 勇者「人身売買……ですか。組織ぐるみでそんなことを」 僧侶「もしかしたらエルフ族を拉致している人もいるかもしれません。いえ、きっと居ます」 エルフ「だろうね。人間はそういう生き物だ。見方によってはボクだって誘拐されたようなものだし」 勇者「営利誘拐です」 エルフ「はっきり言わないで」 勇者「わかりました。勇者としてもそのような非人道的行為を看過することは出来ません」 僧侶「ありがとうございます」 魔法使い「でも、裏世界の話よ?どうやって調べるの?」 勇者「裏世界の人物に聞けばいいだけの話です」 僧侶「どうやって……?」 勇者「こちらには今、いいエサもありますし。ね?」 エルフ「え?」 魔法使い「まさか……」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/12.html
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508:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 32 01.72 ID hpeqfj4Jo―――翌日 街 僧侶「勇者様~」タタタッ 勇者「すいません。病み上がりでおつかいを頼んでしまって」 僧侶「いえいえ。はい、どうぞ」 勇者「これです。ありがとうございます」 僧侶「いつでもなんでも仰ってくださいね?」 勇者「なんていう従順ぶり。ランクを側室奴隷に引き上げましょう」 僧侶「やったぁ」 魔法使い「下がってるわよね?ねえ、それって下がってるわよね?」 勇者「―――どうぞ」 エルフ「え?」 勇者「貴女の武器です。空手では何かと不便なときもあるでしょう?」 エルフ「まあ、相手があの魔道士ぐらい強ければ魔力もすぐに無くなるけど」 勇者「ですから、武器を。ボーガンなら扱えると思いまして」 エルフ「あ、ありがとう。でも、いらないと思うけど……」 509:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 40 07.96 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「私がいますから」 勇者「おぉ。おはようございます」 キラーマジンガ「おはようございます。マスター」 少女「お、おはよう」 勇者「おはよう」キリッ キラーマジンガ「マスター。朝は早かったようですがどちらに?」 勇者「え?ああ、色々です」 キラーマジンガ「私に言ってくだされば何でもご要望にお応えしたのですが」 勇者「なんという犬っぷり。君の側室ランクは犬だ」 キラーマジンガ「恐縮です」 僧侶「犬のほうが可愛い……」 魔法使い「馬鹿ばっかりね……」 エルフ「まあまあ」 勇者「では、行きましょうか。目指すは海の方角!!!魅惑の港町!!!」 少女「……」 511:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 49 03.55 ID hpeqfj4Jo―――フィールド エルフ「でも、こうして並んで歩くと大所帯になったね」 魔法使い「少し前まで3人だったのにね」 僧侶「私は楽しくていいと思いますよ」 勇者「―――いいですか?男を振るのにも色々方法があるんですよ」 キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ 少女「……」 勇者「―――待ってくれ!!俺が悪かった!!考えなおしてくれ!!!」 勇者「―――いつも!いつもそう言ってるじゃない!!嘘つき!!もう知らない!!」 勇者「―――今度は本当だ!心を入れ替える!!だから見捨てないでくれぇ!!!」 勇者「―――じゃあ、昔の貴方に戻ったらまたここに帰ってくるわ。それまでは……さよなら……」 勇者「こうして、更生したら寄りを戻すと言っておけば、上手く逃げられるわけです」 キラーマジンガ「なるほど。男性を立ち直らせるきっかけにもなれば、別離もできる。その女性は男性にとって恋人以上の存在になるわけですね」 勇者「そう!!もう元に戻ることはない。だけど、あの女が人生において、ただ1人のオンナだった。まるで美談!!女性も色んなところで美化される。いいことばかりだ」 少女(人間とは面倒な生き物だな。そんな奴、喰えば終わりだろうに) 512:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 22 56 08.16 ID hpeqfj4Jo勇者「ここまでで質問は?」 キラーマジンガ「はい」 勇者「キラちゃん」 キラーマジンガ「本当に更生し、もう一度やりなおそうといってきた場合はどうするのですか?」 勇者「君ならどうする?」 キラーマジンガ「もう一度、恋人関係に戻ります」 勇者「どうして?」 キラーマジンガ「男性は約束を守りました。なら、私もその約束を守ります」 勇者「そのとき君に好きな人がいた場合はどうする?」 キラーマジンガ「え……」 勇者「男の更生を信じ、待ち続ける。いい話だが、待っている間にも愛を欲する。それが人間だ」 キラーマジンガ「で、では……そのときは……」オロオロ 勇者「―――それは君が決めることだ。人に聞くことじゃない。人間の感情とはそういうものだ。答えなんて……ない」キリッ キラーマジンガ「なるほど。奥が深すぎてショートしそうです」メモメモ 少女(俺なら約束を守った奴に敬意を賞して縒りを戻すかな……) 513:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 01 59.60 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ちょっとー、あんまり変なこと教えないでよ」 勇者「キラちゃんには必要なことですから」 魔法使い「本当に?」 キラーマジンガ「勉強になります」 僧侶「勇者様ならどうするんですか?」 勇者「え?」 僧侶「振った女性がもう一度、やり直してほしいって言ってきたら、やり直します?」 勇者「無論―――」 エルフ「側室にするとかは無しで」 勇者「それはつまり僕が勇者ではなく平凡な市民で人生を終えるという平行世界での話ですね?」 エルフ「え……うん、そんな感じだと思う」 勇者「ならば……戻しませんね」 魔法使い「へえ……どうして?」 勇者「勇者というステータスがなければ愛せる女性は1人が限界。ならば、今現在愛している女性を徹底的に嬲ります」 キラーマジンガ「流石はマスター」パチパチ 514:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 10 02.85 ID hpeqfj4Jo魔法使い「意外ね。浮気性な男かと思ってたけど」 勇者「僕はそれほど器用ではありません。勇者という肩書きがなければ一夫多妻なんて実現はしないでしょう」 僧侶「勇者様……」 勇者「でも、現実はいつも悲しい。僕は勇者に選ばれてしまったぁ!!つまり、選ばれた男!!」 勇者「女に不自由のない人生が約束されてしまったのです!!ああ!!!なんてこったぁ!!」 魔法使い「あの……」 勇者「故にみんなから愛されてしまう!!選ばれてしまったから!!そんなみんなの愛を無碍にはできない!!受け取るだけの資格が僕にはあるからぁ!!」 エルフ「どうして?」 勇者「勇者だから」キリッ キラーマジンガ「マスター」 勇者「勿論、君は僕の娘としても側室としても―――」 キラーマジンガ「魔物です」 少女「え……」 魔物「ガルルル……!!!」 勇者「いつの間に。―――戦闘準備!!」 516:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 14 22.71 ID hpeqfj4Jo魔物「ガァァア!!!」 僧侶「きゃぁぁ!!」 魔法使い「なっ!」 勇者「せいやぁ!!!」ズバッ 魔物「ギャァァ……」 魔法使い「あ、ありがとう」 勇者「いえ」 エルフ「やぁ!!」バシュ 勇者「お。早速、使ってますね。ボーガン」 エルフ「試してみただけ」 キラーマジンガ「下がってください」 少女「う、うん」 キラーマジンガ「低級な魔物では私には勝てません」 魔物「ガァァァァ!!!!」バッ キラーマジンガ「遅い」ザンッ 517:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 24 23.41 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「お話になりません」 勇者「すごい。やはり戦闘力は並じゃない」 キラーマジンガ「マスターに迫る脅威を排除する。それが私の使命です」 エルフ「もう居ないみたい」 僧侶「よかったぁ。怪我はありませんか?」 魔法使い「ええ。大丈夫よ」 勇者「それにしてもいち早く魔物に反応したな」 キラーマジンガ「魔物を探知する機能が搭載されています。ある程度、魔物が接近してると察知できるようになっています」 勇者「なるほど。そんな便利機能が」 キラーマジンガ「はい」 エルフ「……」 勇者「知っていましたか?」 エルフ「う、うん……。でも……」 勇者「ですね……」 僧侶「どうかしました?」 518:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 33 26.78 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ああ、そういえばこの子のエネルギーはどうするの?」 勇者「それも考えないといけないですね」 キラーマジンガ「私のエネルギーは無限だと聞いています」 エルフ「でも、人間の生命エネルギーや魔力を吸い取るんでしょ?」 キラーマジンガ「はい。ですが、ニンゲンに拘る必要はありません」 魔法使い「ど、どういうこと?」 勇者「まさか」 キラーマジンガ「前マスターはニンゲンからの摂取が最も効率が良いといっていましたが、生命エネルギーはどの生物からでも一定量得ることが可能です」 僧侶「先ほど倒した魔物からでもエネルギーを得ることができるってことですか?」 キラーマジンガ「その通りです」 少女「……」 勇者「そういえばあの魔道士、虫や獣からでも同じエネルギーを得られるって……」 エルフ「人間から得るとは言ってたけど、別に人間限定の話じゃなかったね」 魔法使い「生きていればなんでも良いってこと?」 キラーマジンガ「はい。生命体であることが第一です。あとは生命の鮮度で得られるエネルギーが増減することがあります」 519:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 39 47.83 ID hpeqfj4Jo少女「殺戮兵器……」 魔法使い「ちょっと」 少女「……」 勇者「他の命を吸い取りながらでないと活動できない……」 キラーマジンガ「はい。そのように私は作られています」 僧侶「それって……あの……」 エルフ「先のことは考えないようにしようよ。今は貴重な戦力であることには変わりないし」 勇者「ええ。そうですね」 キラーマジンガ「マスターのために尽力致します」 勇者「ありがとう。ところで、エネルギーの補充はどれくらいの頻度で行うんだ?」 キラーマジンガ「私が活動している限りは消費していきます。最小限の活動をしない場合でも、供給が途絶えてから七日で活動は停止します」 勇者「そうか」 キラーマジンガ「なので小まめな供給を推奨いたします」 エルフ「うん。まあ、嫌でも魔物とは戦うし、意識する必要はないってことだね」 少女「……」 520:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 44 44.79 ID hpeqfj4Jo―――港町 勇者「さて、じゃあこの子のご両親に挨拶しにいきましょうか」 魔法使い「なんのためによ」 勇者「側室にください。と一言言わないと怒られてしまうでしょう?」 魔法使い「いくら丁寧に言っても怒るわよ!」 キラーマジンガ「マスター。私が捜索に当たります」 勇者「いやいや。僕が」 キラーマジンガ「どうぞどうぞ」 エルフ「じゃあ、ボクは情報収集でも」 僧侶「わ、私も行きます」 魔法使い「待って、私も行くわ。アンタも」 勇者「えぇ?!だから!!ご両親にぃぃぃ!!!!」 魔法使い「ダメ!!!」 少女「……」 キラーマジンガ「行きましょう、マスター」 522:NIPPERがお送りします:2012/06/19(火) 23 53 30.65 ID hpeqfj4Jo―――港 僧侶「あ、あの……船は出ていますか?」 船員「どこまで行きたいんだ?」 魔法使い「ここから北のほうに行きたいの」 船員「無理だな」 僧侶「どうしてですか?」 船員「旅の人みたいだけど、知らないのか?―――北の国はもう魔王の手に落ちたんだよ」 勇者「……いつの話ですか?」 船員「一、二ヶ月前だな。おかげで魔物が増えて漁船は言うに及ばず、客船だって何隻も沈んでる」 エルフ「魔王……」 船員「こんな海で自由に航海してるのは海賊ぐらいだな」 勇者「……海賊ですか。それって、この海域にいるっていう噂の海賊ですね?」 船員「よく知ってるな。色んな場所を冒険している荒くれ者の集団だ。海の魔物を退治してるから一部では英雄だが、海で商売している俺たちには害でしかない」 勇者「聞きました。それこそ魔物と同じように漁船や客船を襲っては金品を奪うとか」 船員「陸には盗賊や山賊もいるのに、海ぐらい平和でいきてえよ……」 524:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 02 41.93 ID hpeqfj4Jo僧侶「困りましたね」 魔法使い「今まで通り、陸伝いにいくしかないんじゃない?」 エルフ「そうだけど。それだと……」 勇者「魔王が力をつけ始めている。急がないと、手がつけられなくなるでしょう」 僧侶「勇者様……」 勇者「北にある国は世界でも有数の軍事国家でした。そこが陥落したとなると……」 魔法使い「でも、どうして。今まで拮抗を保っていたんじゃないの?」 勇者「キラーマジンガの技術を魔王が流用しているとしたら?」 エルフ「それって……生命エネルギーを?」 勇者「あの魔道士だって魔族。魔王と繋がりがないはずがない。技術提供もしていたと考えるほうがいい」 僧侶「では、魔王は今……無尽蔵の魔力を手に入れているのでしょうか?」 勇者「奴らにとって人間など視界の隅に移る塵に同じ。それが己が血肉になると分かれば喜んで手を出すでしょう」 エルフ「そんな……それならエルフも……」 勇者「急がないと……なんとしても海を渡る方法を……!!」 魔法使い「故郷に帰るならまだしも、進めないんじゃ……」 525:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 08 49.93 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様、やはり……」 勇者「ええ。それしかないでしょう」 魔法使い「どうするの?」 勇者「海賊と接触します」 エルフ「海賊……」 魔法使い「待って。どこにいるかも分からないのに?」 僧侶「そ、それなら、ちゃんと調べてきました」 魔法使い「いつの間に?!」 勇者「人身売買組織の盗賊団。あの人たちにですよ。前の街で聞き込みをしてきました」 魔法使い「えー?」 勇者「あの人たちはこの国全域で活動をしていました。情報はたんまり持っていましたよ」 エルフ「なるほど。ああいう人たちだからこそ、様々な事を耳朶に残しておかないとダメだもんね」 勇者「その通りです」 魔法使い「海賊かぁ……嫌ねぇ……」 勇者「魔物ではないので話せば分かってくれる分、楽な相手だと思いますよ?」 527:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 16 01.84 ID hpeqfj4Jo魔法使い「それで、あの海賊は?」 勇者「ここから西に行った沿岸部にアジト……というか村があるそうです」 エルフ「海賊の村?」 勇者「海賊を支持する人たちが集まっている村でしょうね」 魔法使い「海賊を支持って、さっき言ってた英雄扱いにしている人たちのこと?」 僧侶「恐らく。助けられた人も少なくないと聞きました」 魔法使い「でも、やっていることは盗賊や山賊と変わらないんでしょ?」 勇者「関係ありませんよ。命を張って戦ってくれたのなら、どんな極悪人でも命の恩人になるわけですから」 魔法使い「そうだけど」 エルフ「じゃあ、そこに行くの?」 勇者「自由に航海できる人たちならきっと北の大地まで連れて行ってくれるはずです」 僧侶「そうですね。魔王を倒すって言えばきっと協力してくれます!」 勇者「そして……ふふふふ……ぬほほぉ……」 魔法使い「海賊のキャプテンって女?」 勇者「はい」キリッ 529:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 20 45.77 ID hpeqfj4Jo魔法使い「やけに真剣になっていたのはその所為ね……全く……」 勇者「さぁ!!では、このまま突入しましょう!!」 僧侶「おー!!」 エルフ「二人はどうするの?」 勇者「相手が相手ですし置いていきましょう」 魔法使い「そうね。それがいいわ。女の子は勿論、あのマーちゃんだって見世物小屋に売られるかもしれないし」 僧侶「マーちゃん?」 魔法使い「キラーマジンガだからマーちゃん」 エルフ「キラちゃんじゃなくて?」 魔法使い「キラちゃんってなんか可愛くないじゃない?」 僧侶「ラーちゃんじゃダメですか?」 エルフ「それならガーちゃんでもいいよね?」 勇者「キラちゃんはキラちゃんです」 魔法使い「マーちゃんよ」 僧侶「ジーちゃんでも可愛いですよね?」 530:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 25 18.94 ID hpeqfj4Jo―――広場 キラーマジンガ「マスター。あの雲、何かに似ていませんか?」 少女「……」 キラーマジンガ「検索中……検索中……。分かりました。猫です。あそこが耳で……あれがヒゲで……」 少女「黙れ」 キラーマジンガ「了解しました」 少女(海に出るなら数多くの部下がいる。そこで奴らの力を引き出して……) 勇者「キラちゃーん!!」 キラーマジンガ「……」 僧侶「ジーちゃん!」 キラーマジンガ「……」 魔法使い「マーちゃーん!!」 キラーマジンガ「……」 エルフ「ンちゃん!」 キラーマジンガ「呼称は一つでお願いします」 531:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 30 20.96 ID hpeqfj4Jo勇者「え?見つけられなかった?」 キラーマジンガ「申し訳ありません」 魔法使い「じゃあ、ここじゃないの?」 少女「うん……。ここじゃない……」 僧侶「もしかして北にある国から……?」 勇者「確かに魔王の領土から拉致されてきた可能性は高いですが」 エルフ「とりあえず二人は宿にいて。今から船を調達してくるから」 キラーマジンガ「お留守番ですか?」 僧侶「そういうことになります」 キラーマジンガ「……」 勇者「僕から離れたくないのは分かる。でも、君を危険に晒したくはないんだ。分かっておくれ、娘よ」 キラーマジンガ「パパ……私のこと……キライ?」 勇者「好きだよ。毎日一緒にお風呂に入って、体の隅々を舐め回すように観察したいぐらい大好きだ」 キラーマジンガ「そんなパパが好き……抱いて……」 魔法使い「ちょっと。いつのまにそんなの仕込んだのよ」 532:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 35 45.07 ID hpeqfj4Jo勇者「練習ですよ」 魔法使い「何の!?」 キラーマジンガ「マスター曰く、私は娘でありながら実父に恋心を持つという倒錯した人物らしいので」 魔法使い「はぁ?!」 キラーマジンガ「その感情の勉強のために、色々教わりました。―――マスター、今のはどうでしたか?」 勇者「70点だな」 キラーマジンガ「くそぉ」 エルフ「えっと……早く行こうよ」 勇者「そうですね。じゃあ、行ってきます」 キラーマジンガ「行ってらっしゃいませ」 少女「……」 キラーマジンガ「では、マスター。我々は宿に―――」 少女「尾行するぞ」 キラーマジンガ「了解しました」 少女(目を離すわけにはいかないからな……) 533:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 43 47.72 ID hpeqfj4Jo―――海賊の村 勇者「ここのようですね」 エルフ「じゃあ海賊のことを……」 魔法使い「そんな簡単に教えてくれるのかしら?」 僧侶「海賊さんの支持者だって言っておけば大丈夫ではないでしょうか?」 魔法使い「そうね……あまり気乗りはしないけど」 勇者「では二手に分かれて情報を集めましょう」 エルフ「どうして?」 勇者「固まっていて、もし敵だと認知された場合、一網打尽にされてしまうかもしれませんから」 魔法使い「そうね。相手は海賊の仲間だし……」 僧侶「わ、分かりました」 勇者「僕と一緒に行動したい人、挙手!!」 僧侶「はい!」ビシッ エルフ「……」ビシッ 魔法使い「え!?―――じゃあ、私も!!」ビシッ 534:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 48 30.34 ID hpeqfj4Jo勇者「理由を聞こうか」 僧侶「私は勇者様のお傍にできるだけいたいので。あと、どんな些細なことでもお手伝いしたいです」 エルフ「ボクは二人が貴方の毒牙にかからないように」 魔法使い「み、右に同じよ!」 勇者「まいったな。みんな側室なんだから仲良くしてくれないと困りますよ。あっはっはっは」 エルフ「早く決めて」 勇者「じゃあ、行きましょうか」 エルフ「……うん」 僧侶「あー、残念です」 魔法使い「……まあ、あんたじゃないだけマシね」 僧侶「え?どうしてですか?」 魔法使い「あんた、アイツに何されても嫌がらないどころか嬉しがってるでしょ?」 僧侶「ダメですか?」 魔法使い「ダメよ」 僧侶「でも、勇者様は口に出すだけで何もしてきませんし……。私の胸を触るのも主に治癒のためですし……うーん……」 535:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 00 54 24.61 ID hpeqfj4Jo勇者「すいません」 村人「はい?旅のお方ですかな?」 勇者「ええ。実はどうしても僕たち、海を渡りたいのです」 村人「どうして」 エルフ「魔王を倒すために」 村人「魔王を……?」 勇者「はい」 村人「なら、安心しなさい」 勇者「え?」 村人「魔王なら海賊団が倒してくれるから」 エルフ「海賊といっても普通の人間のはず……。魔王に太刀打ちできるとは思えないけど」 村人「海賊たちの力を見縊ってはいかん。ここいらの魔物なんて海賊の敵ではないからな」 勇者「それほどまでに兵力が充実していると?」 村人「そうだ。巨船を10隻も有する大艦隊。魔王の一団など相手にもなりはせん」 勇者「そんなに大規模だったのか……」 536:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 03 09.10 ID hpeqfj4Jo村人「と言っても、その10隻は常に別行動を取っているけどね」 僧侶「なるほど。あえて別の場所で活動して、広い範囲で自衛に当たっていると?」 村人「そういうこと。魔物も、いや魔王すらも下手に手出しできないほどなんだから」 魔法使い「でも、人間も襲っているんでしょ?」 村人「それはちゃんと理由があるんだよ」 僧侶「理由、ですか?」 村人「民間船を襲うことで、危険な海に人を出さないようにしているのさ。ほら、魔物のほかにチョー強い海賊がいるとなれば、海に出ようとはしないだろ?」 僧侶「まあ、萎縮はしますよね。そんな大きな武力を持っているなら」 村人「そう。ちゃんと人々の安心安全も考えてるんだよ」 魔法使い「でも、それで命を落とした人もいるんじゃないの?」 村人「小さな犠牲は仕方ないだろ?」 魔法使い「そうだけど……。漁船すらも海に出さないってどういうことよ?あの人たちは、それで生計を立てているのよ?」 村人「死ぬよりはマシだろ」 魔法使い「口で言えば分かることなのに。やり方を間違えているとしか思えないわ」 僧侶「お、抑えてください!!言いたいことはわかりますが!!」 537:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 09 51.34 ID hpeqfj4Jo村人「てめえ……海賊のやり方にケチをつけるっていうのか?」 魔法使い「正義の味方みたいな顔をしないでって言ってるの」 村人「んだとぉ……!!」 僧侶「あ、あの!!ここで騒ぎはまずいですから!!」 魔法使い「でも……!!」 村人「お前ら……海賊を潰しにきた兵士か……?」 魔法使い「違うわよ。ただ、言い方が気に入らないだけよ」 村人「あぁ?」 魔法使い「海賊の所為で困窮している人もいることを自覚して」 村人「んなことは分かってるよ!!」 魔法使い「なら!!人の生活まで奪うなんてことできるわけないでしょ!!」 村人「やっぱりお前ら……!!」 僧侶「や、やめてくださーい!!!」 村人「みんなー!!であえー!!!国の兵隊が海賊団を潰しにきたぞー!!!」 魔法使い「ち、違うって言ってるでしょ!!」 538:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 13 12.23 ID hpeqfj4Jo勇者「―――え?」 エルフ「なんだろう……?」 勇者「嫌な予感がするので、こっそり行きましょう」 エルフ「う、うん……」 「捕まえろ!!」 魔法使い「やめて!!燃やすわよ!?」 僧侶「それはダメです!!」ギュッ 魔法使い「くっ……」 「悪いが牢屋に入ってもらうぜ」 魔法使い「どうしてよ」 「決まってるだろ。海賊団は世界を救う唯一の希望だ。それを何もできねえ国の兵士に潰されてたまるかよ」 魔法使い「だから、兵士じゃないってば」 僧侶「もう何を言っても無駄です……」 魔法使い「もう……」 「連れて行け!!」 539:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 17 50.39 ID hpeqfj4Jo勇者「むぅ……」 エルフ「捕まったね」 勇者「エルフの里とは立場が入れ替わりましたね」 エルフ「どうする?」 勇者「海賊と敵対したくはなかったですが……致し方ありませんね」 エルフ「今は警備の目が厳しいから、夜になるまで待とうか」 勇者「それがいいでしょう」 少女「……」 キラーマジンガ「お二人が拿捕されましたね」 少女「ふんっ……馬鹿な連中だな」 キラーマジンガ「救出いたしますか?」 少女「放っておけばいい。どう逃げ出すか。いや、あいつらなら簡単に逃げ出すはずだ」 キラーマジンガ「私も同意見です、マスター」 少女(こういう事態でこそ、能力を発揮するはず。見せてもらうぞ……) キラーマジンガ「……潮風で錆びてしまいそうです、マスター」 541:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 24 00.63 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 寝室 勇者「さて、夜まで待とうと思うのですが」 エルフ「うん」 勇者「しかしですね、考えたのですが」 エルフ「どうかした?」 勇者「助け出したあと、この村を離れないといけないですよね?」 エルフ「うん。みんな怒るだろうし」 勇者「となると海賊と接触できるチャンスがなくなりますよね」 エルフ「まあ、ここぐらいしか会える場所はないから」 勇者「そうなると海を渡れませんよね?」 エルフ「そうだね」 勇者「困りました」 エルフ「……」 勇者「素直に謝りますか?」 エルフ「許してくれるかな?」 543:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 29 54.87 ID hpeqfj4Jo勇者「あの」 店主「なんだい、お客さん?」 勇者「さきほど、騒ぎがありましたよね?」 店主「ああ。海賊たちの悪口を言った奴らな」 勇者「どうなるんですか?」 店主「恒例だが、海賊に引き渡すだろうね」 勇者「海賊に?」 店主「ああ。まあ、どんなことをしたのか海賊たちが聞いて、それで処分を下すと思うよ」 勇者「今まで捕まった人はどんなことに?」 店主「海に放り出されたり、魔物を誘き寄せるための餌にしたり、半年以上雑用で働かせたりだな」 勇者「なるほど」 店主「といっても、海賊たちが自分たちのしていることはどれだけ正しいことなのかを見せ付けてから、だけどな」 勇者「……」 店主「どうかしたかい?」 勇者「いえ。ありがとうございます」 544:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 34 51.38 ID hpeqfj4Joエルフ「おかえり」 勇者「ただいま。行きましょう」 エルフ「どこに?」 勇者「こうなったら、僕たちも捕まりましょう」 エルフ「どうして?」 勇者「捕まれば海賊と直接話ができます」 エルフ「でも、心象最悪になるから協力してくれなくなるんじゃ」 勇者「二人が捕らえられた時点で心象なんて気にするだけ無駄でしょう」 エルフ「そうかもしれないけど」 勇者「それにこれは直感ですが、海賊たちは話が分かる人たちだと思います」 エルフ「え?」 勇者「勿論、下っ端の人たちではダメです。上、つまり船長クラスの人なら……」 エルフ「……信じていいの?」 勇者「未来の夫を信じられないかい?」 エルフ「……はいはい」 545:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 38 09.73 ID hpeqfj4Jo―――村 広場 勇者「海賊はー!!!わるーい!!!!」 エルフ「わるーい」 「なんだ!?なんだ?!」 勇者「海賊はー!!はんざいしゃー!!!」 エルフ「はんざいしゃー」 「おい!!てめえ!!なにいってんだ!!!こらぁ!!!」 「黙らせろ!!!」 勇者「海賊はー!!!人間の屑ー!!!」 エルフ「くずー」 勇者「海賊、はんたーい!!!」 エルフ「はんたーい」 「捕まえろ!!!!」 勇者「ええい!!無礼者!!はなせぇ!!!」 エルフ「つかまったー」 546:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 41 42.65 ID hpeqfj4Jo―――牢屋 村人「入ってろ」 勇者「おとと」 エルフ「……」 ガチャン 魔法使い「ちょっと」 勇者「これは奇遇ですね」 僧侶「勇者様!!申し訳ありません!!捕まってしまいました!!」 勇者「僕もです」 僧侶「お揃いですね」 勇者「相性バッチリじゃないですかね、これは」 僧侶「もう……勇者様ったら」 魔法使い「あの……助けに来てくれたんじゃないの……?」 エルフ「うん」 魔法使い「そう……仲間だってことがバレたのね……。ごめんなさい……」 548:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 53 17.88 ID hpeqfj4Jo勇者「しかし、どうして逮捕されてしまう事態に?」 魔法使い「ついカッとなって……」 エルフ「どういうこと?」 魔法使い「自分たちは正しいことをしているって……言うから……ちょっと腹が立って……」 勇者「なるほど。海賊の支持者が海賊の正義を主張してきたと?」 魔法使い「うん……。海賊の行為で苦しんでいる人もいるのに……全てを正当化して……それで……」 勇者「……」 魔法使い「ごめんなさい。反省しているわ」 勇者「いえいえ。それは僕が同じ立場なら、貴女と同じ事を言っていたでしょう」 魔法使い「え?」 勇者「こちらにも譲れないものはあります。一元論で語れることではありません」 魔法使い「でも……」 勇者「気にしないでください」 魔法使い「ごめんなさい……」 勇者「……次のことを考えましょう。これから海賊たちに身柄を引き渡されるわけですが……いいですか?そのとき―――」 550:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 01 56 54.06 ID hpeqfj4Jo―――海賊の村 キラーマジンガ「皆さんが捕らえられました」 少女「何やってんだ……あいつら……」 キラーマジンガ「何か作戦があると思われます」 少女「まあ、牢獄内で合流し、協力して脱獄する腹なんだろう」 キラーマジンガ「助力いたしますか?」 少女「静観でいい」 キラーマジンガ「了解しました」 少女「……」 キラーマジンガ「……マスター」 少女「……なんだ?」 キラーマジンガ「潮風は私にとって毒です」 少女「知るか」 キラーマジンガ「出来れば屋内に退避したいのですが」 少女「知らん。どうして俺がそこまで面倒をみなければいけないんだ」 551:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 00 54.06 ID hpeqfj4Jo―――数日後 牢屋 村人「―――出ろ」 勇者「来たか……!!運命のときが!!!」 村人「いいからでろ!!」 魔法使い「……」 僧侶「はぁ……ドキドキします……」 エルフ「街に置いて来た二人が心配だね」 僧侶「そうですね……心配してなければいいですけど……」 海賊「こいつらか?」 村人「ああ。騒ぎを起こした四人だ」 海賊「よし、こい」 勇者「優しくしてください」 海賊「それはできねえなぁ」 勇者「なんだと?!ゆ、ゆるさないぞ!!僕にエッチなことしたら!!許さないからなぁ!!するなら優しくしてぇ!!」 海賊「しねーよ!!!」 552:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 04 43.12 ID hpeqfj4Jo―――船着場 海賊「頭、こいつらです」 船長「ふーん」 勇者「あれぇ?!」 船長「なんだよ?」 勇者「船長は女性だってきいてますけどぉ?!」 船長「それはキャプテンのことだな。総括の」 勇者「じゃあ、キャプテンを出してください」 船長「キャプテンは大海原で魔物狩りをしてるよ」 勇者「なんてこったぁ!!!」 僧侶「落ち込まないでください」 エルフ「きっと会えるって」 魔法使い「……」 船長「俺たちも忙しいんでな。早く乗船しろ」 勇者「くぅぅ……!!!こんなことなら!!もっと別の策を考えるべきだったぁ!!!」 553:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 08 08.19 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「マスター」 少女「分かっている」 キラーマジンガ「みなさんが出航します」 少女「見えている」 キラーマジンガ「どうされますか?」 少女「このまま海に出る気か……」 キラーマジンガ「私、カナヅチで」 少女「知らん」 キラーマジンガ「では、私はお留守番ですか?」 少女「そうだな」 キラーマジンガ「そんな、マスター」ギュッ 少女「はなせ!!急がないと奴らは海に出てしまうだろうが!!」 キラーマジンガ「置いていかないでください」ギュゥゥ 少女「黙れ!!ええい!!鬱陶しい!!!」 キラーマジンガ「私の目が届かないところで何かがあっては遅いのです、マスター」 554:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 13 45.38 ID hpeqfj4Jo―――船内 甲板 船長「―――罪状は把握した。つまり、我々の正義が理解できないというわけだな?」 勇者「……」 船長「ふん。解せないな」 勇者「何がですか?」 船長「お前はそんなつまらないことを言うような奴には到底見えない」 勇者「ならば貴方の目は節穴ということになります。実際に騒ぎを起こしたのは僕ですから」 魔法使い「……っ」 船長「後ろの女どもは関係ないと?」 勇者「僕の巻き添えを食らっただけです」 魔法使い「ちが―――」 エルフ「しっ」 魔法使い「……」 船長「まあいい。罪自体は大したことではないし、国の兵士でもない。なら、半年間の雑用で許してやる。後ろの女どももだ」 勇者「待ってください。彼女たちは関係ありません。やめてください」 555:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 19 47.27 ID hpeqfj4Jo船長「口答えか?」 勇者「貴方達は曲がりなりにも正義の味方だ。何の罪もない人も罰するのですか?」 船長「それがここのルールだ」 勇者「しかし、見たところここは男ばかりです」 船長「そういう世界だ」 勇者「ならば一つだけお願いを聞いてください」 船長「罪人の分際で……」 勇者「キャプテンのいる船までこの三人を護送してください!!!」 僧侶「勇者様……もしかして……」 船長「なに?」 勇者「そこでならキリキリ働かせてくれてもかまいません。でも、ここにだけは置いておけない!!」 船長「てめえ……」 勇者「男たちの慰めに使うというなら、僕はこの場で暴れる」 船長「武器も無しにこの人数を相手にするのか?」 勇者「……俺にも譲れないものはある」 556:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 24 42.58 ID hpeqfj4Jo魔法使い「……!」 エルフ「……」 僧侶「勇者様……」 船長「面白い。確かに俺たちは外道じゃない。海賊だ。お前の女に手を出すつもりはない」 勇者「話の分かる人でよかった」 船長「お前の女は誰だ?そいつだけは見逃してやろう」 勇者「全員です」 船長「ふざけんなよ」 勇者「全員、俺の女だぁ!!!文句あるかぁ!?あぁ!!!」 船長「そんなわけあるかぁ!!!出鱈目もいい加減にしやがれ!!」 勇者「お前ら、言ってやれよ!!俺の女だってなぁ!!!」 僧侶「は、はい!!私は勇者様の女です!!」 エルフ「ボ、ボクも……えっと……何度も体を……預けた……」モジモジ 魔法使い「私も……あの……夜はいつも……はだ、かの……付き合いを……」モジモジ 勇者「な?」ドヤッ 557:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 29 34.65 ID hpeqfj4Jo船長「俺たちの世界じゃあ、落とし前が大事なんだよ」 勇者「なら約束守れよ。俺の女には手を出さないんだろ?」 船長「……いいだろう。だがな、貴重な女だ。そう簡単には見逃せねえなぁ」 勇者「見逃せよ!!」 船長「お前の得物は?」 勇者「剣だ」 船長「ふん……。これか」ポイッ 勇者「返却感謝」 船長「抜け」 勇者「お前で?」 船長「意味が違う」 勇者「―――戦うのか」 船長「譲れないものがあるんだろ?なら、守ってみせろよ」 勇者「魔王の軍勢をも退ける力……見せてもらおうか」 船長「お前が負けたら全員この船で雑用。勝てばお前だけが雑用だ。いいな?」 558:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 34 19.72 ID hpeqfj4Jo勇者「いいよ」 船長「ふん……後悔するなよ?」 勇者「航海中だけどな」ドヤッ 「頭ぁ!!やっちまえ!!!」 「かてるわけねーだろ!!ばぁーか!!!」 「やったぁ!!女の雑用だぁ!!!ひゃっほぉ!!!」 僧侶「勇者様……」 エルフ「相手は人間……でも……」 魔法使い「……」 船長「いくぞ?」 勇者「こいやぁ」 船長「―――はぁぁぁ!!!!」ダダダッ 勇者「おぉ!?」ギィィン 船長「訓練で鍛えた動きだな……。やっぱり兵士か?」 勇者「くぅ……!!元兵士だ……よ!!」ギィィン 561:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 41 49.07 ID hpeqfj4Jo船長「元?」 勇者「今は勇者だ」 船長「勇者……?馬鹿な。勇者は魔王によってほぼ全員が殺され、生き残った奴も逃げ出したって聞いたが……」 勇者「せぇぇい!!!」ブンッ 船長「そうか!!お前……あの国の勇者か!!」ギィィン 勇者「え……」 船長「俺たちは海の支配者。他国の情報も色々積んでるぜ?」 勇者「なんだと?」 船長「はっ!!!」ブンッ 勇者「くっ?!」 船長「弱小国から生まれた勇者。魔法はおろか剣術すらも他国の兵士に劣るって話だ」 エルフ「え……」 勇者「……」 船長「他国の勇者は勇者として育てられる。だが、てめえの国では勇者が育たなかったんだよな?」 勇者「ああ。だから、王による任命で勇者が決まる。そんなこと国のことを調べればすぐに分かるだろ」 563:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 50 15.52 ID hpeqfj4Jo船長「その任命制の弊害で、お前みたいな屑でも勇者になれるんだよなぁ。いいよなぁ」 勇者「だまれぇ!!」ブンッ 船長「おっと」ギィィン 勇者「何が言いたい……!!!」 船長「あの国から排出された勇者は数十人に上る。だが、誰一人として帰ってはこなかった」 勇者「それがなんだ?!」 船長「全員、敵前逃亡したからだろ?」 勇者「……!?」 僧侶「敵前逃亡?」 エルフ「勇者なのに……?」 船長「しかたねえわな。正統なる勇者様でも逃げ出すぐらいだ。一兵士じゃ無理もない」 勇者「黙れ……!!」 船長「お前も逃げ出したいんじゃねえの?王から任命時にたんまり貰ってるはずだろ?金をよ」 勇者「黙れと言っている!!―――覚悟もないまま、ここまで来るわけないだろう!!!」 船長「どうかなぁ?本当は隠居できる土地を探していただけじゃねえのか?」 564:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 02 58 34.30 ID hpeqfj4Jo勇者「……っ」 船長「でぁ!!!」ズバッ 勇者「ぐっ!?」 僧侶「勇者様!?」 魔法使い「あ……」 船長「おーおー。剣が鈍ったな。図星か?」 勇者「違う。俺は勇者だ……魔王を倒すために旅をしている」 船長「ふん。どうだか。その女たちも黙ってついてきてくれる奴を選んだんじゃねえのか?」 勇者「そんなわけ……!!」 船長「逃げ出すときでもお前の背中についてきてくれる女を探してたんだろ?寂しいもんなぁ、独り身は!!!」 勇者「違う!!!」 船長「俺たちも勇者って名乗る奴は数人見てきた。全員、お前みたいな考えだったぜ?」 エルフ「そうなの……?」 船長「ああ。どいつもコイツも女をはべらせて、逃げる場所を求めてやがった。勇者もただの人間。そんな奴らに希望を抱けってほうが、無理だ」 魔法使い「それは……」 566:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 04 19.22 ID hpeqfj4Jo船長「お前だって人間の敵う相手じゃないことぐらい理解してんだろ?」 勇者「……!」 エルフ「……」 僧侶「勇者様……」 船長「だから俺たちは生まれた。勇者はアテにならねえ!!自分たちの手で魔王を倒すことにしたんだ!!!」 勇者「俺は……」 船長「大人しく雑用をしていろ。俺たちは近く魔王の城に攻め込む。それで魔王を討ち取る」 勇者「できるわけ……」 船長「できるさ。アレさえ見つかればな」 僧侶「アレ?」 船長「魔王を打ち滅ぼすための武器だ。それさえ見つかれば勝てる。兵力は十分、足りないのは魔王に止めを刺すだけの武力」 魔法使い「そんなものが……」 船長「ここで雑用として生きろ。一応、魔王を討ち取ったことになるぜ?」 勇者「俺に逃げろというのか?」 船長「死にたくねえだろ?」 570:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 11 52.39 ID hpeqfj4Jo勇者「あははははは!!!!!」 船長「な……なんだよ」 勇者「いいか。よく聞けよ、糞野郎」 船長「くそ……?!」 勇者「俺はトロルも倒した!!黄金の国で魔人も倒した!!ついでにいうとドラゴンだって退けた!!!」 魔法使い「それ……私……」 僧侶「静かに」 船長「ドラゴン……?出鱈目抜かすな。ドラゴンなんて居るわけないだろうが」 勇者「いるっつーの!!!最近だと多くの人を拉致していた魔道士も倒した!!!この俺が!!!」 エルフ「……それは……違うような……」 勇者「俺はちょー強いぜ!?」 船長「ふん、だから逃げないと?」 勇者「逃げない。逃げたら、誰がこの人たちを側室にするって言うんだ?」 船長「強がりだな」 勇者「そう思うなら、かかってこい。祖国の兵士たちを侮辱したこと後悔させてやるからなぁ!!!」 571:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 20 05.73 ID hpeqfj4Jo船長「腰抜けの連中を腰抜けと言ってなにが悪い!!!」ブゥン 勇者「腰抜けだぁ?!―――てめえは知ってるのかよ!!!」ギィィン 船長「何をだ……!!」 勇者「俺たちは市民を守る為に休むことなく毎日毎日訓練をしてきた!!!」 船長「んなこと当然だろうが!!」 勇者「ああ!!そうだ!!当たり前だ!!自慢することじゃない!!」 船長「じゃあなんだよぉ!!」 勇者「―――どんな想いで敵に背を向けたか考えたことはあるのか?」 船長「なっ!?」 勇者「力のない人々を守るためだけに強くなったのに、その人々を見捨てる。どれだけの覚悟がいると思う?」 船長「臆病風に吹かれて逃げただけだろうが!!偉そうなことぬかすなぁ!!!」 勇者「お前は逃げたことまでしか耳にしないようだけど。俺たち祖国の人間は違う」 船長「あぁ?!」 勇者「数十人の勇者は皆、逃げ出したことを恥じて自決している」 船長「おいおい!!だからなんだよ!!死んだからって美談にしようってか?!」 572:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 34 46.93 ID hpeqfj4Jo勇者「違う!!」 船長「……っ!?」 勇者「自分の力では及ばなかった。だから、自分よりも力のある者を勇者にしてください」 船長「はぁ?」 勇者「彼らの死にはそんな想いがある」 船長「体よく逃げたんだろ?」 勇者「そうかもしれない。戦いの中で死んだ者もいるからな」 船長「その想いだってお前らの妄想だろ?」 勇者「……」 船長「勇者なんてただの人間だ。何が選ばれた者だよ。俺らと変わらない。群れて初めて力が発揮できる弱い人間だ」 勇者「それでも……」 船長「あ?」 勇者「それでも―――俺たちは守るために強くなり戦った!!それだけは嘘じゃない!!!愚弄するなぁ!!!」 船長「大声だして勝てると思うなよぉ……」 勇者「自分の命惜しさに逃げ出した者なんていない!!!勇者たちは守るべきもののために戦ったんだ!!!!」 573:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 42 32.33 ID hpeqfj4Jo船長「うるせえよ!!」ギィィン 勇者「くっ!―――だから、俺も戦うぞ。守る者がいるからなぁ」 船長「それが後ろの女か?」 勇者「俺の我侭に付き合ってくれた人がいる」 エルフ「負けるな……」 勇者「俺のどんな要求にも笑顔で応えてくれる人がいる」 僧侶「勇者様!!」 勇者「俺を信じ、いつも背中を守ってくれる人がいる」 魔法使い「やれぇぇ!!!」 勇者「その人たちを守る!!それが俺の使命だ!!!」 船長「このやろうぉ!!!」ブンッ 勇者「はぁぁぁぁ!!!!」ギィィィン 船長「なっ?!」 勇者「大事な人も守れない勇者なんて俺は知らない……だから俺は負けるわけにはいかない。相手が海賊でもドラゴンでも魔王でもだ!!」 船長「……でも、負けるよな?お前程度の力じゃ……」 574:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 47 05.76 ID hpeqfj4Jo僧侶「まだ言いますか?!」 エルフ「負け惜しみだ」 魔法使い「そうね」 船長「事実だろうが。たった4人で魔王に勝てるとでも思ってんのか?」 勇者「……約束は果たしてもらいますよ?」 船長「分かったよ。―――おい」 海賊「はい」 船長「キャプテンと連絡を取れ」 海賊「アイアイサー」 勇者「はぁ……疲れた……」 僧侶「勇者様、今治癒を」ギュッ エルフ「……」 魔法使い「……」 勇者「なんですか?黙って見つめられると興奮するんですが……」 魔法使い「いや……なんていうか……」 575:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 03 54 06.08 ID hpeqfj4Joエルフ「あの……さ……」 勇者「はい?」 エルフ「色々訊きたいことができたんだけど」 勇者「……なんですか?」 エルフ「貴方は一体、何の為に旅をしているの?」 魔法使い「……」 勇者「そんなのずっと言ってきているではないですか」 エルフ「……」 勇者「……側室をいっぱい作って老後を面白おかしく過ごすことですが、何か?」 魔法使い「アレだけの啖呵をきっておいてそれを言うの?」 勇者「それ以外にありませんから」 エルフ「嘘つき……」 僧侶「勇者様、もう大丈夫ですか?」 勇者「はい。もう全快です。いつもありがとうございます」 海賊「頭ぁ!キャプテンと連絡がつきました!!明日の昼過ぎには合流できるそうです!!」 576:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 00 11.19 ID hpeqfj4Jo船長「よし!!わかった!!」 勇者「では、この人たちには手出し無用ですよ」 船長「分かってる。―――それよりお前」 勇者「なんですか?」 船長「なんとなく分かったぜ。お前がどうして三人も女をはべらせているのかをな」 勇者「は?」 船長「悪かったな、色々きついこといって。そういう戦い方なんだな、お前は」 勇者「何を仰っているのかよくわかりません」 船長「まあ、いい。しっかりやれよ」 勇者「毎晩、ハッスルハッスルですよ」クイックイッ 船長「おい!!こいつらは今から客人だ!!!丁重にもてなせ!!!」 勇者「え?僕は雑用では?」 船長「バカ野郎。勇者様にそんな無礼なことができるかよ。しっかり接待させてもらうぜ」 勇者「ふっ……」 船長「わらうんじゃねえよ。気持ち悪い」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/16.html
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578:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 08 19.22 ID hpeqfj4Jo―――船内 食堂 船長「てめえら!!!客人にはくれぐれも失礼のないようにな!!!」 海賊「「うーっす」」 勇者「いやぁ、罪人から客人にグレードアップとは驚きましたね」 エルフ「うん」 僧侶「勇者様のおかげですね」 魔法使い「そうね」 勇者「で、どういう意図があるのですか?」 船長「キャプテンと合流してから詳しいことは話すが、お前ら俺たちの仲間になれ」 勇者「え?」 僧侶「海賊になれというのですか?」 船長「目的は一緒だろ?」 勇者「確かにそうですが」 魔法使い「私たちとはやり方が違うわ」 船長「まあ、すぐに答えが欲しいわけじゃない。ゆっくり考えてくれ。キャプテンもお前たちのことならきっと気に入ってくれるだろうしな」 579:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 10 09.69 ID hpeqfj4Jo―――夜 甲板 勇者「海賊か……さて……どうしたものか……」 魔法使い「ここにいたのね」 勇者「どうしました?」 魔法使い「……」 勇者「どうにも眠れなくて。興奮しっぱなしです」 魔法使い「……」 勇者「これはここで貴女をオカズに……」 魔法使い「ごめんなさい」 勇者「え?」 魔法使い「私が騒ぎを起こさなかったら……こんなことにはならなかったのに……」 勇者「結果オーライですよ。何事も最後が良ければいいのです」 魔法使い「……ごめんなさい」 勇者「あの……僕に叱られたいのですか?」 魔法使い「そ、そういうわけじゃ……あ、いや……そうかも知れないわね……」 580:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 18 49.62 ID hpeqfj4Jo勇者「なるほど……」 魔法使い「な、なによ……」 勇者「では、叱らせて頂きましょう」 魔法使い「……」 勇者「いつもいつも貴女は直情的に行動しすぎです。僕と別れる際、ドラゴンに独りで立ち向かうといいだしたときはぶん殴ってやろうかと思いますた」 魔法使い「ご、ごめんなさい……」 勇者「貴女は確かに高威力の魔法が使える。だけど、限りなく接近しなければダメ。猪突猛進で勝てるのは下級の魔物ぐらいです」 魔法使い「はい……」 勇者「ドラゴンになんてとてもじゃないですが、数秒で轢死でしょうね。貴女はポンコツだということを自覚してください」 魔法使い「そうですね……はい……アンタに褒められるたびに勘違いしてたのかもしれないわ……」 勇者「もう少し周囲を見て、考えて行動してもらわないと僕が困ります」 魔法使い「ごめんなさい」 勇者「あと、僕にはもう少し優しくしてください。一緒にお風呂入るとか、口移しで飲み物をくれるとか、夜はベッドで運動会するとか」 魔法使い「はい……え!?いや!!それとこれとは……違う……わよね……?」 勇者「てめえ!!反省してねえな!!!」 581:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 25 57.01 ID hpeqfj4Jo魔法使い「だ、だって!!エ、エッチなこととは関係ないじゃない!!」 勇者「側室のくせに偉そうだな!!あぁ!?」 魔法使い「側室じゃないって言ってるでしょ!?」 勇者「いいや!!もうおめえは立派な側室だ!!いいか?側室レベルでいうなら、軽く50だぜ?」 魔法使い「レベルの上限はいくつなのよ?」 勇者「30」 魔法使い「突き抜けてるじゃないの!!側室を超えた側室なの!?」 勇者「ああ。もう肉便器だな」 魔法使い「人権侵害でしょ!?」 勇者「トイレに人権なんてあるわけねーだろ。バァーカ」 魔法使い「なんですってぇぇ……!!!」 勇者「悔しかったらなぁ、俺の前で裸になって「抱いてください」って恥ずかしそうに言え」 魔法使い「できるわけないでしょうがぁ!!」 勇者「え?ドMだろ!?やれよ!」 魔法使い「ちが……!!ちがう!!マゾじゃないわよ!!」 583:NIPPER(北海道):2012/06/20(水) 04 27 27.14 ID F2gX0rIAO結局そっちにいくのなww 586:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04 38 49.66 ID hpeqfj4Jo勇者「えー?Sなのー?イメージとちがーう」 魔法使い「あー!!もう!!真面目に話したいだけなのにぃ!!!」 勇者「それは無理な相談でござる」 魔法使い「もういいわよ!!」プイッ 勇者「おやすみなさい」 魔法使い「おやすみ!!!」スタスタ 勇者「ふぅー……」 勇者「さて……明日はどうするか……」 勇者「海賊に協力し、強大な戦力を得るか……」 勇者「それとも6人の力を……信じるか……」 勇者「あ、いや、5人か……」 勇者「はぁ……」 勇者「感付かれたのかな」 勇者「軽蔑されるだろうか……?」 勇者「君たちをただの言い訳にしているなんて言ったら……」 608:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 02 33.54 ID hpeqfj4Jo―――翌日 海賊「キャプテンがきたぞー!!!」 勇者「なんだってぇ!!!」 魔法使い「ちょっと!なんでアンタがいち早く反応するのよ?!」 勇者「祭りだぁ!!飯食ってる場合じゃねえ!!!」 船長「よくわかってんじゃねえか!!―――おめえら!!キャプテンを出迎えろ!!」 海賊「「アイアイサー!!」」 僧侶「あいあいさー!」 エルフ「大規模な組織を纏めるリーダー……一体どんな人物なんだろう」 魔法使い「女性みたいだけど、ゴリラみたいな体格なんじゃないの?」 エルフ「ゴリラ……」 僧侶「女性でそういう体型になるのは体質的に無理じゃないでしょうか?」 エルフ「魔族だったりすれば、あるいは」 勇者「ごちゃごちゃ言うな!!いくぜぇ!!!」 魔法使い「はいはい」 609:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 07 45.42 ID hpeqfj4Jo―――甲板 キャプテン「久しぶりだなぁ!!野郎どもぉ!!!」 海賊「はいっ!!!」 船長「キャプテン!ご無沙汰しております!!」 キャプテン「一ヶ月ぶりぐらいか。元気だったか?」 船長「そうりゃあもう!!」 キャプテン「で、話に出てきた勇者っていうのは?」 船長「あいつらです」 キャプテン「……」 勇者「ヘロー、アイアムユウシャ」 僧侶「ど、どうも……」 魔法使い「……」 エルフ「……」 キャプテン「ふーん……」 勇者「美しい……年上の女……ふふふふ……!!!!ぬふふふふ!!!」 611:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 15 09.76 ID hpeqfj4Joキャプテン「あたしが大艦隊の総轄を務める者だ。よろしく」 勇者「こちらこそ、側室を前提としたお付き合いを」 キャプテン「話はこの船頭から大体聞いたよ。魔王を倒すために旅をしてるんだって?」 勇者「いえ。違います」 キャプテン「え?」 勇者「綺麗なお嫁さんと10人の側室を得る為に魔王を倒そうとしています」 キャプテン「あ、あっそ……」 勇者「貴女は記念すべき7人目の側室候補になりました」 キャプテン「……本当に魔王に勝てるって思ってるのかい?」 勇者「まず無理でしょう」 魔法使い「そうなの?」 エルフ「多分」 キャプテン「へえ……自分の力を弁えているみたいだね」 勇者「でも、貴女と共に戦うのなら!!17割の確率で勝てますねぇ!!!!」 僧侶「いつもの勇者様です」 614:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 21 28.67 ID hpeqfj4Joキャプテン「ああ、そう」 船長「お前!!悩んでたんじゃねーのかよ?!」 勇者「だまれぇ!!美人と戦えるなら俺は何もいらねえ!!!」 船長「このやろう!!」 勇者「にしても、船長さんは僕のことを知っていましたが、貴女は知らないのですか?」 キャプテン「あたしは勇者に興味はないからねえ。まあ、噂ぐらいは耳にしたけど」 勇者「どのような?!」 キャプテン「トロルを倒して国一つを救ったってことは知ってるよ」 勇者「さっすが」 キャプテン「でも、国一つを救った勇者なんて過去に何人もいるし、別段珍しいことじゃないだろ?」 勇者「確かに」 キャプテン「船頭にガチンコで勝ったみたいだし、実力は認めてやるよ」 勇者「え?ということは側室になってくれると?」 キャプテン「話がある、きな。仲間も一緒にね」 勇者「ふっ。子どもは5人ぐらいでいいですよ?女女男女女が理想です」 615:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 25 07.44 ID MzvOJkgIOじゅうなな割て・・・170%て。鉄板ぢゃなひか() 616:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 27 48.25 ID hpeqfj4Jo―――会議室 キャプテン「話っていってももう勇者は快諾したみたいだが……あたしたちと共に戦う気はあるかい?」 勇者「ありますっ!!!」 キャプテン「お前はいいんだよ。後ろの女どもはどうだい?」 僧侶「わ、私は勇者様の決定に従います」 エルフ「ボクは魔王が倒せるならどんな方法でも構わないよ」 魔法使い「……」 キャプテン「あんたは?」 魔法使い「私は……反対なんてしないわ。いつだってコイツの選択は正しかったから」 勇者「側室ポイントが9アップしましたね」 魔法使い「そんなにいらないわよ!!!」 僧侶「いいなぁ」 キャプテン「そうかい。満場一致ってわけだ」 勇者「はいっ!!罵ってください!!!」 キャプテン「でも、あたしはまだ認めてないけどね、あんたらのことなんてさ」 617:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 38 14.88 ID hpeqfj4Jo勇者「えー!?そんなぁ!!お姉様ぁ!!!」 キャプテン「当然だろう。とくにお前」 勇者「ご指名ありがとうございます」 キャプテン「あたしは男をすぐに信用はしない。きちんと見定めてからじゃないとね」 勇者「では、夜の営みで僕がどれだけ男なのかを見せ付けてあげましょう」キリッ キャプテン「魔王と戦うためには兵力と武力がいる。あたしたちの兵力は十分にある」 キャプテン「あとは武力が欲しいのさ」 僧侶「そういえば船長さんもそのようなことを……」 キャプテン「数百年前、まだ人間とエルフが仲良く手を繋いでいた時代だ。あるとき人間は魔王に喧嘩を売った」 エルフ「……」 キャプテン「そのときエルフは人間にあるものを託した。なんだが知ってるかい?」 魔法使い「聞いたことないわね」 僧侶「はい」 エルフ「……魔法銃」 キャプテン「正解。よく知ってるね。才能がない人間でも魔法を扱えるようになる強力な武器があったのさ。それが魔法銃だ」 618:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 47 41.85 ID hpeqfj4Jo魔法使い「へえ……そんなものがあったなんて……」 キャプテン「それを手に入れた人間たちは魔王を倒す一歩手前までいった。でも、結果は歴史の教科書にも載ってるだろ?」 僧侶「確か疲弊した魔王軍は孤島に逃げ、その周辺海域に近づけないようにしたとか」 キャプテン「今でもその海域はどんな船でも通るとこはできない。一瞬で海の藻屑になっちまう」 エルフ「でも、魔王はもうその孤島にはいないと」 キャプテン「あそこは最後の砦ではあるけど、あそこから世界を手中に収めることはできないからねえ」 勇者「魔王の居場所を知っているのですか?」 キャプテン「勿論さ。奴は今、かつての軍事大国に城を築き、ふんぞり返ってる」 勇者「……」 僧侶「魔王は自ら少しずつ動いているということですか」 キャプテン「そういうこったね。最近は力も増してきているし、早く戦争をしなきゃならない」 エルフ「そうだね。今のままでも十分に強いだろうけど」 キャプテン「だからこそ、魔法銃が欲しいのさ!!―――そこで、あんたたちをテストしたい」 勇者「腰の強度テストですか?」 キャプテン「魔法銃の探索だ」 619:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17 53 45.85 ID hpeqfj4Jo僧侶「そ、それはどこに?」 キャプテン「殆どの魔法銃は海の底にある。けど、最近ある船団が過去の遺産を見つけた」 エルフ「それって」 キャプテン「数百年前、魔王の孤島に挑んだ勇者の船」 魔法使い「数百年前って?!それ船なの!?」 キャプテン「まあ、あれだよ、幽霊船ってやつだねぇ」 僧侶「幽霊船……怨念が形となって海を彷徨うという……あれですね」 エルフ「海って色々あるんだ」 勇者「ゴーストシップですかぁ。美人幽霊を側室ってどうですかね?」 魔法使い「幽霊と一緒なんて私は嫌よ」 キャプテン「魔法銃を見つけてきたら仲間として迎えてやろう。どうだい、悪い話じゃないだろ?」 勇者「でも、どうして僕たちに探索をさせるのですか?部下にやらせれば……」 キャプテン「昔から海の世界では幽霊船には乗るなって言われてるんだよ」 僧侶「乗船した者を永遠の航海に連れて行くといいますね」 魔法使い「そ、それ……危険じゃない?」 620:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 06 19.89 ID hpeqfj4Jo勇者「つまり誰も乗りたがらないと?」 キャプテン「とんだ腑抜けどもだよ。全く。海の男が聞いて呆れるね」 勇者「貴女も?」 キャプテン「いや。あたしは別に怖くないけど。何かあったらまずいだろ?」 勇者「……」ニヤァ 魔法使い「悪い顔になってるわよ」 勇者「おっと。自重」 キャプテン「で、どうするんだい?やるかい?」 勇者「ふっ。貴女のためならたとえ火の中、水の中。幽霊船の中にも行ってみせましょう」 キャプテン「ふふ。たくましいじゃないか。気に入ったよ」 勇者「ですがその前に、海賊の村に戻って欲しいのです」 キャプテン「どうしてだい?」 勇者「港街のほうに大事な仲間を置いてきているので」 キャプテン「ふーん……強いのかい?」 勇者「恐らく、人間では歯が立たないほどに」 621:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 11 16.13 ID hpeqfj4Jo―――海賊の村 キャプテン「ここに帰ってくるのもいつ以来だろうねぇ」 「キャプテンだぁ!!」 「キャー!!!キャプテン!!おかえりなさーい!!」 キャプテン「お前ら!!元気にしてたかぁ!!!」 僧侶「人気者なのですね」 魔法使い「カリスマはあるものね、あの人。なんていうか信頼できるって一瞬で思わせてくれるなにかがあるわ」 エルフ「早く港町に行こうよ。猶予は1日だけだし」 勇者「そうですね。急ぎましょう」 村人「おい、あんたら」 勇者「なんですか?」 村人「宿に小さな女の子と可愛い女の子がいるんだが、知り合いか?その二人、勇者を探してるって言ってたけど」 僧侶「ジーちゃんでしょうか?」 エルフ「心配になって探しにきたのかな?」 勇者「案内してください」 622:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 16 59.24 ID hpeqfj4Jo―――宿屋 魔王『どうだ?勇者のことは何か掴めたか?』 少女「それがまだ……。中々尻尾を出さないので」 魔王『あまり余裕はないぞ。最近、ニンゲン共に不穏な動きもあるからな』 少女「はい」 魔王『頼むぞ。世界を我が手にするために、些細な障害も捨て置けない』 少女「承知しております」 魔王『隙があればお前の判断で殺しても構わんが、絶対に無理はするな?お前を失いたくはない』 少女「心得ております」 魔王『吉報を期待している」 少女「はい」 キラーマジンガ「……」 少女「はぁ……やはり海に出るか……」 キラーマジンガ「マスター、海は危険です。やめましょう」 少女「お前にとってはだろうが!!!」 623:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 21 16.69 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「ほら、サメとか出ますし」 少女「黙れ!!」 勇者「―――しつれい!!」ガチャ 少女「うわぁあぁ!?」 勇者「おや。やはり貴女たちでしたか」 魔法使い「だからノックしなさいっていってるでしょうが!!」 勇者「ノックしては裸が拝めません」 エルフ「ごめんね。心配かけたみたいで」 少女「う、うん……遅いから……」 僧侶「申し訳ありません。でも、船は確保できましたから」 キラーマジンガ「それは重畳です」 勇者「ただ君の自宅探しは少し後回しになるけど、いいかな?」 少女「う、うん……いいよ。気にしないでね」 勇者「いい子だ。僕の側室にはこういう素直な子も必要ですね」 魔法使い「ロリコンめ……」 624:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 26 56.93 ID hpeqfj4Jo―――船着場 キラーマジンガ「私も……ふ……船に乗るのですか……?」 僧侶「勿論ですよ」 キラーマジンガ「……」 魔法使い「マーちゃん?どうかしたの?」 キラーマジンガ「沈む確率を計算しています」 エルフ「沈まないって」 キラーマジンガ「75.56%の確率で轟沈します。乗船を拒否させていただきます」 魔法使い「ダメよ。マーちゃんのマスターだって乗るんだし」 勇者「乗りますよ。まあ、夜は僕の上に乗っていただきますけどね。なんちゃって」 キャプテン「早くしな!!時間がないんだよ!!」 エルフ「ほら!乗るよ!」ググッ キラーマジンガ「やめてください。乗船を拒否します。自爆プログラムも発動させますよ?いいんですか?」 僧侶「そんなのないですよね?」 エルフ「うん」 625:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 32 48.26 ID hpeqfj4Jo魔法使い「ほら……!!」ググッ キラーマジンガ「いやぁ……!!」 僧侶「我侭言わないでください……!!」ググッ キラーマジンガ「人殺し……!!貴方達は人殺しです……!!」 勇者「オーエス!オーエス!」ググッ キラーマジンガ「やめろ!人間の醜い部分が露呈しているぞ!!お前ら!!」 エルフ「それは君だ……!!」ググッ キラーマジンガ「マスター!!お許しを!!海だけはダメなのです!!」 少女「……」プイッ キラーマジンガ「あぁぁ……!!!」 キャプテン「おいおい、これが本当に頼れる仲間なのかい?あたしにはただの臆病者にしか見えないけどねえ」 勇者「やれば出来る子なんですよ!!キラちゃんは!!」ググッ エルフ「そうそう!!」ググッ キラーマジンガ「てめえらは悪魔だ!!!」 僧侶「ジーちゃんが壊れちゃいました……」 626:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 39 10.41 ID hpeqfj4Jo―――甲板 キャプテン「出航!!!目指すは幽霊船の出る魔の海域!!!」 海賊「「アイサイサー!!!」」 キラーマジンガ「おぉぉ……揺れる……揺れています……」ガクガク 魔法使い「この子、本当に機械兵士なの?」 エルフ「改造人間だから、根っこの部分は人間だと思うけど」 僧侶「でも可愛いじゃないですか、弱点があるなんて」 勇者「キラちゃんは僕が守ってあげるから。ほら、おいで」 キラーマジンガ「パパぁ……パパぁ……こわいよぉ……」ヨロヨロ 勇者「ほーら、ここまでおいでー」 キラーマジンガ「うぅぅ……パパぁ……いじわるしないでぇ……」 勇者「もうちょっとだ……がんばれっ」 キラーマジンガ「パ……パ……」ヨロヨロ 勇者「よし……よくがんばったな、娘よ」ギュッ キラーマジンガ「パパ……大好き……抱いて……」ギュッ 627:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 45 58.14 ID hpeqfj4Jo魔法使い「なにやってのよ……」 少女「……」 僧侶「ごめんなさい。寄り道することになってしまっていて」 少女「ううん。いいよ。―――私、部屋で休んでるね」 エルフ「うん。わかったよ」 勇者「……」 キラーマジンガ「パパぁ」ギュゥゥ 勇者「よし。終了」 キラーマジンガ「今のはどうでしたでしょうか?自己採点では過去最高得点なのですが」 勇者「『パパぁ』の言い方が素晴らしい。だが、最後の抱いてはいただけない」 キラーマジンガ「なんですって?」 勇者「いいか?最後の『抱いて』は処女を散らす前の娘っぽさがない。あれでは売女の惚気だ」 キラーマジンガ「む……違いが理解できません」 キャプテン「おまえらー!!魔の海域に着くまでは一日以上かかる!!それまで自由にしてな!!!」 勇者「はい!!」 628:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18 54 34.39 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様っ」 勇者「なんですか?」 僧侶「船の中を探索しませんか?」 勇者「いいですね。船内ランデブーとしゃれ込みますか」 僧侶「わーい」 魔法使い「私は部屋に行くわ。船旅って疲れるし……」 エルフ「ボクは……」 キラーマジンガ「私はマスターのところへ」 エルフ「ねえ」 キラーマジンガ「なんですか?」 エルフ「君のことなんだけど」 キラーマジンガ「私の知っていることは既に皆様にお伝えしましたが」 エルフ「これ」スッ キラーマジンガ「これは?」 エルフ「貴女の開発者の日記。あの塔で手に入れてちょっとずつ読んでたんだ。それで分かったよ、君がなんの目的で作られたのかを」 629:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19 04 30.51 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「来るべき戦いのために私は作られました」 エルフ「誰と戦うため?」 キラーマジンガ「分かりません」 エルフ「貴女の開発者はこう書いている。―――魔王を倒すためにもこの機械兵士キラーマンジガの開発を急がないといけない」 キラーマジンガ「魔王……」 エルフ「君は魔王を倒すために作られた」 キラーマジンガ「……」 エルフ「ボクが少し変だって気がついたのは君に魔物を探知する機能が搭載されていると知ったとき」 エルフ「それってつまり、魔物に狙われることを前提にしていることになるから」 キラーマジンガ「……」 エルフ「あの魔道士がどういうつもりで魔王と戦おうと思ったのかはどこにも書かれていないけど、君は魔王と戦うために生まれた」 キラーマジンガ「そうですか。でも、どうしてそのことを私に打ち明けたのですか?」 エルフ「ほら、心を持っているみたいだし、魔物と戦うことに迷いがあったら辛いかなって……思って……」 キラーマジンガ「前マスターが魔族だったから、ですか。お心遣い感謝いたします。ですが、私の使命はマスターをお守りすることが第一ですので」 エルフ「そう。ならいいんだ。ごめん、余計なこと言ったみたいで」 630:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19 11 30.60 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「ですが、魔王と敵対する者たちがマスターを狙った場合はどうしたらいいのでしょうか」 エルフ「え?」 キラーマジンガ「開発者の意思を汲み、魔王と戦うべきなのか。それともマスターを守護するべきなのか」 エルフ「難しいね。でも、そうなったら君の信じたほうでいいんじゃないかな?」 キラーマジンガ「信じたほうですか?」 エルフ「そう」 キラーマジンガ「信じたほう……」 エルフ「えっと……」 キラーマジンガ「なんですか?」 エルフ「足、震えてるけど大丈夫なの?」 キラーマジンガ「まさか。私が震えるなんて……本当ですね。私、震えています」ガクガク エルフ「部屋に戻っていたほうがいいんじゃない?」 キラーマジンガ「私も同意見です。ですが、問題が発生しました」 エルフ「どうしたの?」 キラーマジンガ「足が動きません。助けてください」 631:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19 14 23.19 ID hpeqfj4Jo―――客室 少女(海か……。ならば……ここは奴らを呼び出すか……) 少女「……」 トントン 少女「はい?」 エルフ「よっと」 少女「ど、どうしたの?」 キラーマジンガ「申し訳ありません。ここで休憩させてください」 少女「別にいいけど」 エルフ「船だめなんだって」 少女「機械兵士のくせに?」 キラーマジンガ「面目ありません」 エルフ「君と一緒がいいみたいだから。それじゃあ」 少女「うん」 キラーマジンガ「……」 633:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19 21 30.66 ID hpeqfj4Jo―――船内 食堂 勇者「色々メニューがあるんですねえ」 僧侶「ですね。あ、このカレーって美味しそうです」 キャプテン「―――この船のカレーは絶品だよ」 勇者「おお。別嬪さんがキター」 キャプテン「二人は恋人か何かかい?」 僧侶「そ、そんな大それた関係では……」モジモジ 勇者「未来の側室なんですよね?」 僧侶「はいっ」 キャプテン「側室側室って、お前さん何言ってんだい?」 勇者「英雄、色を好むといいますよね?」 キャプテン「まあ、何人も女を転がせるだけの器量があるなら問題はないけどねえ」 勇者「ありますよ」キリッ キャプテン「あたしには見えないけどねえ」 僧侶「勇者様はすごい人なんですっ」 634:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19 35 13.68 ID hpeqfj4Joキャプテン「ははっ。まあ、それは幽霊船での活躍に期待させてもらうさ」 勇者「そうだ。その件でお話があるのですが」 キャプテン「なんだい?今更泣き言はききたくないねえ」 勇者「その幽霊船探索なんですけど、僕たちでやるんですよね?」 キャプテン「ああ、そうさ」 勇者「それってどうなんですか?」 キャプテン「何がいいたんだ?」 勇者「いや。僕たちのことは……ああ、いや、僕のことは信頼できないんですよね?」 キャプテン「ああ」 勇者「なら魔法銃の捜索を見張りもつけないで任してもいいんですかぁ?」 キャプテン「海の上じゃあ逃げられないだろう」 勇者「あははは。これはこれは。大艦隊を率いる貴女がいう台詞とは思えません」 キャプテン「なんだって!?」 勇者「魔法銃は魔王をも追い込んだ伝説の武器。なら、それを手にした僕がこの海賊団を脅してしまうとは考えないのですか?んー?」 キャプテン「そ、それは……」 635:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20 45 18.32 ID hpeqfj4Jo僧侶「勇者様はそのようなことしないですけどね」 勇者「でも、これだけの大艦隊です。力で屈服させ、我が手に収めたいという欲望に駆られてもおかしくない」 僧侶「ですね」 キャプテン「お前……本気で言っているのかい?」 勇者「可能性の話ですよ」 キャプテン「……」 勇者「ここは探索に貴女もついて来るべきだと思うのですが」 キャプテン「ふ、ふざけんな!!どうして……!!」 勇者「おや?何故?ついて来るだけなのに?」 キャプテン「だから……幽霊船には乗るなって海の世界では決まってんだよ」 勇者「迷信でしょう?」 キャプテン「バッカ!!幽霊船をなめるんじゃないよ!!」 勇者「……まさかとは思いますが、幽霊が怖いとか?」 キャプテン「そんなわけないだろうがよ!!」 勇者「なら、一緒に行きましょう。共に行動していれば魔法銃を見つけたとき貴女が真っ先に手にできるわけですし」 636:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20 50 35.46 ID hpeqfj4Joキャプテン「そんなことしなくてもあたしたちが……」ガッ 僧侶「きゃ?!」 キャプテン「あんたの女を人質にすればいいだけの話だろ?」 勇者「魔法銃と引き換えにというわけですか?」 キャプテン「ああ、そうだ」 勇者「そんなことしたら僕は魔法銃を貴女の大事な船に突きつけて人質にします」 キャプテン「卑怯だぞ!?」 勇者「なら一緒に行きましょう」 キャプテン「ふ、ふざ……」 勇者「ついてきてくれるのでしたら、人質は何人でも構いません。やってくれますか?」 僧侶「はい。人質になります」 キャプテン「くぅぅ……!!」 勇者「どうするんですかぁ?」 キャプテン「か、考える……ちょっと待ってな」 勇者「ごゆるりと」 637:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20 55 54.85 ID hpeqfj4Jo―――客室 少女「……頼むぞ」 少女「これでよし」 キラーマジンガ「マスター。魔王との交信ですか?」 少女「いや」 キラーマジンガ「そうですか」 少女「……」 キラーマジンガ「マスターにとって魔王とはどのような存在なのですか?」 少女「それを知ってどうする?」 キラーマジンガ「いえ……」 少女「魔王様は我ら魔族の王。絶対的な存在。魔王様に疑問を抱いたことなどない」 キラーマジンガ「……」 少女「その王に楯突くニンゲンを駆逐する。当然のことだろう?」 キラーマジンガ「はい」 少女「ふん……」 656:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20 42 21.68 ID hpeqfj4Jo―――魔王の城 側近「魔王様、兵が整いました」 魔王「ご苦労だったな」 側近「いえ」 魔王「では、遅延していた計画を進めるとしようか」 側近「はっ」 魔王「兵力は十分。時間も掛けた。これで負けることは無い」 側近「ドラゴンは呼び戻さなくてもよろしいのですか?」 魔王「奴は我の最後の憂いを取り除く為に行動している。まだ時期ではない」 側近「そうですか」 魔王「海に蠢く有象無象も挑発ばかりで攻めてくる様子はないな?」 側近「はい。兵の増強を行っているようではありますが、今のところ仕掛けてくる素振りは見せておりません」 魔王「よし。―――では、進軍開始は三日後とする。それまでに出来うる限りの準備をしておけ」 側近「了解いたしました」 魔王「トロルが攻め落とせなかったあの大地……今度こそ……」 658:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20 47 50.72 ID hpeqfj4Jo―――翌日 魔の海域周辺 キャプテン「てめぇらぁ!!!男だろうが!!!股間についてるもんは飾りかぁ!!!?あぁぁ!?」 海賊「……」 船長「キャプテン、しかし幽霊船は俺たちにとっては禁忌で……」 キャプテン「んなことはわかってんだよぉ!!!ダボがぁ!!!」 勇者「揉めてますね」 僧侶「そうですね」 魔法使い「何があったの?」 エルフ「幽霊船に同行する人を募ってるみたいだね。誰も行く気なさそうだけど」 少女「……」 キラーマジンガ「海賊船の乗組員の方々は、幽霊船を極度に恐れています」 魔法使い「どうして同行させるのよ?」 僧侶「見張りがいないと私たちが魔法銃で脅してしまうかもしれないという話になりまして」 少女(魔法銃……?) 魔法使い「そんなことするわけないじゃない。まあ、信頼できないって言っていたし、仕方ないか……」 659:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20 54 41.73 ID hpeqfj4Jo勇者「分かりました。ここはキャプテンが行くべきでしょう」 キャプテン「あぁ?!嫌ににきまってんだろ!?」 勇者「怖い?」 キャプテン「こ、こわくねえよ!!ざっけんな!!!」 船長「待て。それは流石に反対だ。キャプテンに何かあったらどうする」 キャプテン「おう!そうだ!もっといてやりな!!」 勇者「おやおや?キャプテンは幽霊を恐れるようなか弱い御人だと?」 船長「そんなわけねえだろ!!キャプテンはこの海で最も美しく!!気高く!!そして強いんだよ!!」 海賊「「そーだ!そーだ!!」」 勇者「なら、適任でしょう。僕らが魔法銃を見つけ、謀反を働こうとしたとき下っ端の人たちでは到底無理。一度負けた船長さんも無理」 船長「そ、それは……」 勇者「キャプテンしかつとまりませんなぁ」 キャプテン「ぐっ……いや……でも……しかし……」 勇者「威厳……見せるときじゃねえですか?仮にも大勢を纏める指揮官でしょう?そのカリスマを増大させるチャンスかと思いますけどねえ」 キャプテン「だ、だから……えっと……うん……」 660:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 00 41.75 ID hpeqfj4Jo勇者「ここで武勇伝をつくれば、士気も上がる。信頼度も跳ね上がる」 キャプテン「そ、そうかもしれないけど……」 勇者「貴女の英雄譚を聞きつけた有能な部下が増えるかもしれない」 キャプテン「そ、そうなのか?」 勇者「強い人の下に強いやつが集う。これ常識アル」 キャプテン「……」 勇者「さあ、魔王を倒し人類の英雄となるときですよ。海賊の存在を公に認めさせるチャンス」 キャプテン「確かに……」 勇者「何を迷うことがありますか!!―――何かあっても僕が必ず御身を守護いたします」 キャプテン「……」ピクッ 勇者「神に仕える者も僕の仲間にいます。彼女がいれば幽霊なんて怖くない」 僧侶「……」 キャプテン「そうだな……ふっ。そうだよ。あたしは大艦隊の海賊団総轄だ!!幽霊船ごときにびびってどうすんだい!!!」 勇者「と、言うことは……!!」 キャプテン「いってやらぁ!!!あたしに不可能はないんだよぉ!!!」 661:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 06 53.76 ID hpeqfj4Jo勇者「聞いたかお前らぁ!!!腰抜け共に代わってキャプテン自らが出撃する意思をかためたぁ!!!」 海賊「「おぉぉー!!!」」 船長「キャプテン……漢だ……!!俺……俺……一生ついてきます!!!」 キャプテン「あたしについて来る奴はいねえのかい?!」 「幽霊船はなぁ?」 「うん……流石に……」 船長「生きて帰ってきてください!!!キャプテン!!!」 キャプテン「てめえら。戻ってきたら覚えてろよ」 勇者「では準備をしましょうか」 キャプテン「まちな。こっちも人質を取らせてもらうよ」 勇者「ああ、そういう約束でしたね。どなたを人質にしますか?」 キャプテン「そうだねぇ……」 魔法使い「人質ってどういうことよ?!」 勇者「信頼できない相手に何かを依頼するとき、担保は必要でしょう」 エルフ「なるほど……裏切らないように予防線を張っておくわけだ」 662:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 16 36.36 ID hpeqfj4Jo勇者「―――幽霊船に行くメンバーは、僕と」 僧侶「はいっ」 エルフ「はーい」 キャプテン「ふん……」 魔法使い「大丈夫?」 勇者「心配してくれるのですか?ふふ、側室としての意識が芽生えたのですね」 魔法使い「違うわよ」 キラーマジンガ「最もバランスの取れた陣営だと思われます」 魔法使い「はっきり言われるとなんか悔しいわね」 勇者「まぁ、凶悪な魔物がいる可能性もありますが、危なくなったら発炎筒で危険を知らせますので」 僧侶「悪霊の類なら魔法よりも私の力が役に立つと思います」 キラーマジンガ「気をつけてね、パパ」 勇者「行ってくるよ。我が娘たち」 少女「……それ私も?」 キャプテン「じゃあ、幽霊船が見つかり次第乗り込むよ」 664:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 24 27.04 ID hpeqfj4Jo―――数十分後 海賊「キャプテン!!三時の方角!!謎の船影を確認しましたぁ!!!!」 船長「き、きたか……!?」 キャプテン「本当に……あったんだねえ……」 勇者「ふっ。僕が幽霊を蹴散らしてやりますよ」 僧侶「お願いしますね」 エルフ「幽霊か……魔法が通じる相手ならいいけど」 魔法使い「実体がない相手には利かないと思うけど」 少女「……」 キラーマジンガ「あぁ……もしもあの幽霊船が砲撃してきたら私たちは海の底に沈む……そしたら錆びる……」ガクガク 少女「おい」 キラーマジンガ「はい?」 魔法使い「ん……?」 キャプテン「よ、よし……り、り、隣接……しな……」 海賊「「あ、あああ、アイアイ、アイサー!!」」ガクガク 666:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 30 31.25 ID hpeqfj4Jo船長「キャプテーン!!おげんきでー!!!」 「キャプテーン!!大好きでしたー!!!」 「俺!!カーチャンにキャプテンと付き合ってるって報告してました!!ごめんなさーい!!!」 「キャプテンのブラジャーを昔盗んだの俺でーす!!」 キャプテン「……」 勇者「あれ?お見送りに応えてあげないのですか?」 キャプテン「いくぞ」 勇者「はい」 僧侶「もしかして緊張されているとか?」 エルフ「そんな馬鹿な。魔物の軍勢とも何回か戦っているって言ってたのに?」 僧侶「ですよね」 キャプテン「あれ?!―――おい!!こら!!お前はあたしの前だろ!!なにやってんだい!!」 勇者「そうなんですか?」 キャプテン「勇者は先頭を歩くもんだろうが!!!そんな基本も知らないのかい!?えぇ?!あぁ!?」 勇者「分かりました。僕が先頭になります」 667:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 35 55.02 ID hpeqfj4Jo船長「ああ……言ってしまった」 海賊「寂しくなりますね」 船長「ああ、そうだ。人質役になった―――」 キラーマジンガ「やはり私たちも幽霊船に乗り込みます」 船長「なんだと?!」 少女「探さないでください」 船長「バカ野郎!!そういうわけにも―――」 海賊「頭ぁ!!大変だ!!!」 船長「どうしたぁ!?」 海賊「幽霊船の野郎がいきなり動き出して……うわぁ!?」 ゴゴゴゴ…… 船長「なんだと?!帆だって破れてんのに波の影響でしか移動なんて……」 キラーマジンガ「急ぎましょう。海に落ちたくありませんので。―――しっかり捕まっていてください」 少女「うん」ギュッ 船長「てめえらも勝手なことすんじゃねえよ?!」 668:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 42 13.70 ID hpeqfj4Joキラーマジンガ「海が怖いので私は目を閉じます。飛ぶタイミングが自分ではわかりません。なので踏み切る瞬間の合図をお願いします」 少女「わかった」 船長「やめろぉ!!」 キラーマジンガ「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!」ダダダダダッ 少女「うっ……」ギュゥゥ キラーマジンガ「おちたくなーい!!!!」ダダダダッ 少女「―――今だっ!!!」 キラーマジンガ「はっ!!」バッ 海賊「本当に飛び移りやがった……」 船長「あぁ!!キャプテンになんて言えばいいんだぁ!!」 海賊「頭ぁ!!大変だぁ!!」 船長「今度はなんだよぉ!!」 海賊「もう一人の姉さんがいなくなってやがるぅ!!人質が全員いねえ!!」 船長「ぎゃー!!キャプテンに怒られるじゃねえかぁ!!ええい!!幽霊船をおえ!!絶対に見失うなよ!!!」 海賊「「アイアイサー!!」」 669:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 47 19.17 ID hpeqfj4Jo―――幽霊船 甲板 勇者「至るところがボロボロですね」 キャプテン「……」ギュゥゥ 勇者「板が腐っています。足下には十分に気をつけてください」 僧侶「わかりました」 エルフ「うん」 勇者「ところで」 キャプテン「魔法銃は見つかったのか?」ギュゥゥ 勇者「僕にしがみ付いてくれるのはありがたいですが、せめて目ぐらいは開けていてもらわないと」 キャプテン「しっかりさがせ……こらぁ……」 僧侶「どうかしたんですか?元気が無いみたいですけど……」 キャプテン「無駄口叩く暇があった―――」 ―――ドンッ!!! キャプテン「きゃぁぁああああ!?!?!?」 勇者「なんだ?背後から音が……?」 670:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 52 10.36 ID hpeqfj4Jo僧侶「魔物でしょうか?」 エルフ「……」 キャプテン「おぉ……な、なんだよ……こらぁ……」ギュゥゥ 勇者「確かめに行きますか」 キャプテン「待てよ……魔法銃を探せ……よぉ……」 勇者「しかし、海には魔物も多くいます。乗り込まれたら厄介ですよ?」 エルフ「ボクが見てくるよ。三人は待ってて」 勇者「そんな危険です。全員で―――」 エルフ「キャプテンが動きそうにないし」 勇者「……わかりました。ですがすぐに戻ってきてください」 エルフ「うん。了解」タタタッ 僧侶「……」 勇者「キラちゃんを連れてきたほうが良かったかもしれませんね」 僧侶「魔物探知機能ありますもんね」 キャプテン「まだか……よぉ……」ギュゥゥ 671:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21 56 14.84 ID hpeqfj4Jo勇者「―――遅い」 僧侶「見に行きましょう」 勇者「物音一つしないのが気になりますが……」 キャプテン「怨霊か!?悪霊か?!」 僧侶「禍々しい怨嗟の念が充満していることは確かですが」 キャプテン「やめろよ!!そういう脅しはよぉ!!」 勇者「どうしたんですかー!!!早く戻ってきてくださーい!!」 僧侶「船尾のほうで何かあったのでしょうか?」 勇者「急に視界も悪くなってきましたし、やはり行きましょうか」 僧侶「はい」 キャプテン「魔法銃はどうなったんだよぉ」 勇者「ちゃんと探しますから」 キャプテン「うぅ……」 勇者「何事もなければいいが……」 僧侶「……」 672:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 00 05.72 ID hpeqfj4Jo勇者「どうしたんですかー!!」 僧侶「返事をしてくださーい!!」 キャプテン「おう……」 勇者「貴女が返事をしてどうするのですか」 キャプテン「わ、悪いね……」 僧侶「いませんね」 勇者「下に向かうような場所もないですし」 僧侶「勇者様、ここ穴があります」 勇者「板が腐って抜け落ちた感じですね。まさか、この穴から落ちた……?」 僧侶「それなら私たちも」 勇者「いえ。どこに繋がっているかわからない以上、正規のルートを辿っていくほうが安全です」 僧侶「それもそうですね」 勇者「行きましょう」 僧侶「はい」 キャプテン「まてよ……ゆっくりあるけよ……」ギュゥゥ 673:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 05 35.66 ID hpeqfj4Jo―――幽霊船 Aフロア 勇者「ここは……」ガチャ 僧侶「お部屋ですね。無残な感じですけど」 勇者「ふむ……」 キャプテン「なんかあったか?」 勇者「いいものがありました」 キャプテン「なんだよ……」ソーッ 勇者「乗組員と思しき頭蓋骨が」 キャプテン「ぴゅっ!?」 勇者「手がかりになるようなものはありませんね」 僧侶「船尾のほうへ行きましょう」 勇者「ええ」 キャプテン「……」 勇者「どうしました?」 キャプテン「……こし……ぬけ……た……」 674:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 08 28.00 ID hpeqfj4Jo勇者「ガイコツぐらいで何をいっているのですか?」 キャプテン「ばかやろう!!こういうところで見るとまた一味ちがうだろうがぁ!!」 勇者「―――どうぞ」 キャプテン「なんの真似だ……」 勇者「おんぶしてあげます」 キャプテン「ざっけんなぁ!!」 勇者「では、ここで待っていてください」 キャプテン「え?」 僧侶「勇者様」 勇者「はい」 キャプテン「まてぇ!!おいてくなぁぁ!!!」ギュゥゥ 勇者「なんですか?」 キャプテン「見張りのあたしを置いていくとかありえねえなぁ!!!」 勇者「では、おんぶで」 キャプテン「ちくしょう……」 675:NIPPER(千葉県):2012/06/21(木) 22 09 12.83 ID ADLHJ+REoキャプテンが怖がりすぎなのか勇者たちのきもが座りすぎなのか 676:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 12 42.49 ID hpeqfj4Jo勇者「よっと」 キャプテン「……おもくないかい?」 勇者「いえ。いい感じに弾力があって空中に浮いてしまいそうです」 キャプテン「はぁ?」 僧侶「勇者様。こっちも同じような部屋だけです」 勇者「そうですか。では、下に向かう階段を探しましょう」 僧侶「わかりました」 勇者「それにしても不気味なほど静かですね」 キャプテン「たいまつの灯りは大丈夫だろうね?」 勇者「問題ありません」 キャプテン「……」 僧侶「勇者様!ありました!!こっちです!!」 勇者「わかりました」 キャプテン「はぁ……」 勇者「おふぅ……吐息が耳に……ぬほほぉ」 677:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 17 12.48 ID hpeqfj4Jo―――幽霊船 Bフロア 勇者「気配は感じますか?」 僧侶「いえ……。船全体から悪鬼の熱を感じるので」 勇者「幽霊の胃の中にいるようなものですか」 僧侶「そう思ってください」 キャプテン「あたしたち食べられたのかい?!」 勇者「食べられに行ったというべきでしょう」 キャプテン「帰りたい……」 ギシ……ギシ…… キャプテン「なに?!なになに!?」 僧侶「誰かがこの先にいるようです」 キャプテン「いるわけないだろう?!」 勇者「静かにお願いします」 キャプテン「う……」 ギシ……ギシ……ギィィ……バタンッ 678:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 21 56.40 ID hpeqfj4Jo勇者「この部屋ですね」 僧侶「恐らく」 キャプテン「ひぃぃ……」チャカ 勇者「耳元で銃は発射しないでくださいね。鼓膜が破れますから」 キャプテン「そんな軟弱な鼓膜なのかい……」ガクガク 勇者「鼓膜は鍛えられません」 僧侶「開けます」 勇者「お願いします」 キャプテン「おぉぉ……」 僧侶「……」ガチャ キャプテン「ひっ」 勇者「……誰もいませんね」 僧侶「違う部屋だったのでしょうか?」 キャプテン「この部屋……見た感じ、船長かなんかの部屋っぽいね」 勇者「何か分かるかもしれません。調べてましょう」 679:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 31 12.83 ID hpeqfj4Jo―――船長の部屋 勇者「うーん……」ゴソゴソ キャプテン「魔法銃はないねえ……」 僧侶「……」ペラッ 勇者「どうしました?」 僧侶「航海日誌を見つけました」 勇者「ほう」 キャプテン「いいね。他人の航海日誌ほど面白いものはないよ」 ―――今日は快晴。絶好の航海日和だ。俺たちは王国の勇者を乗せ、魔王が住む孤島へ向けて出発する 先日の戦いで奴らは大きな痛手を負ったはずだ。魔物を駆逐する最大の好機が巡ってきたわけだ。 エルフ族が開発した魔法の銃さえあれば、俺たちは絶対に負けない。勇者もそう確信しているからこそ、俺たちは魔王の根城に乗り込む。 勇者は船出の際に皆に宣言した。必ず勝てる。すぐに人間たちだけの時代がくる。俺もそう信じている。 キャプテン「時代だねえ。今じゃ魔族のほうが強すぎて、人間じゃあ歯が立たないっていうのに……」 僧侶「そうですね。でも、魔法銃によって一度魔王を追い詰めているわけですし、自信があったのでしょう」 勇者「続きを見てみましょう」 680:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22 42 57.83 ID hpeqfj4Jo―――今日は快晴。魔王がいる孤島まではおよそ五日の航海となる。 その長旅の間に士気が落ちてはいけないと、勇者一行は色々と考えてくれていた。 魔物は海にもでやがる。そこで勇者たちは海の魔物を捕らえて、魔法の銃の威力を見せてくれた。 引き金を引くと大きな音がして魔物の顔が吹っ飛びやがった。他に捕らえた魔物の驚いた顔は傑作だった。 写真機でも積んでおけばよかった。 僧侶「……」 キャプテン「ふーん。すごい威力かと思っていたけど、大したことはないのかねえ……」 勇者「分かりません。どんなモノでも破壊する力があったのかもしれません」 ―――今日は曇天。三日目にして問題が起きた。空を見る限り、大時化になる。 それだけならよかったが、魔物の軍勢が攻めてくる様が肉眼ではっきりと見えた。 ここで戦力を消耗したくはない。なるべく遠方から攻撃するべきだと勇者たちは言う。 魔王との決戦を占う大一番になりそうだぜ。 勇者「―――うーん……大したことは載っていなさそうですね」 キャプテン「じゃあ、どうするのさ」 勇者「とにかく先を急ぎましょう。今頃、逸れてしまった彼女がワンワン泣いているかもしれませんし」 www57.atwiki.jp/matome_ssm/pages/17.html
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勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編1 出会いの章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編2 姫の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編3 黄金の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編4 噂の森の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編5 処刑の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編6 裏世界の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編7 塔の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」前編8 最上の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編1 海賊の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編2 幽霊の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編3 海の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編4 龍の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編5 戦乱の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編6 魔王の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編7 終章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」EP1 監獄の章 勇者「美人な僧侶と魔法使いを」EP2 元勇者の章