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武将ドロップアイテム 足利家 武将名 配置 ドロップ品 種類 性能 ステータス 必要Lv 装備職 備考 狩野光茂 敵右先 ? 小笠原種盛 敵中先 ? 荒川晴宜 敵左先 ? 細川藤賢 敵右中 ? 真下元種 敵中中 ? 御牧景重 敵左中 ? 蜷川親長 敵右後 ? 上野清信 敵中後 ? 伊勢貞孝 敵左後 ? 大館義実 右先 義実の陣羽織 特殊 価6 重2.5 防2 耐24 生+20 耐+4 知+2 Lv13 全職 三淵晴員 中先 三淵の梓弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+3 土+1 火+2 風+2 Lv13 侍神 中川清秀 左先 天王山血戦の槍 槍 価5 重16.4 攻44 耐60 気+30 腕+1 耐+1 魅+1 Lv11 侍僧鍛薬 槙島昭光 右中副将 槙島重籐弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+2 知+2 風+4 Lv13 侍神 和田惟政 右中主将 惟政のロザリオ 首飾り 価7 重1.0 防13 耐19 生+10 知+3 魅+5 水+1 Lv15 全職 一色藤長 中中副将 一色狼牙棒 棍棒 価5 重19.2 攻54 耐68 生+20 腕+3 耐+1 Lv11 侍僧鍛薬 細川昭元 中中主将 蹴鞠秘伝書 書物 価7 重4.4 攻3 耐8 器+5 魅+2 風+3 Lv15 全職 伊丹親興 左中副将 大和守の金剛杖 錫杖 価5 重12.5 攻25 耐56 生+10 気+30 土+2 Lv11 僧神陰薬 朽木元綱 左中主将 朽木闇の太刀 刀 価7 重13.1 攻40 耐51 腕力+3 知力+2 風+5 Lv15 侍忍鍛 彦部信勝 右後副将 彦部忠義刀 刀 価 重 攻 耐 Lv 荒木村重 右後主将 兵庫の壷 茶器 価8 重1.0 防3 耐17 器用+3 魅力+6 土+3 Lv17 全職 松井康之 中後副将 佐渡守の大薙刀 薙刀 価7 重19.6 攻53 耐64 気+30 腕+2 風+5 Lv15 侍僧鍛薬 柳沢元政 中後主将 足利義昭感状 書物 価8 重4.7 防3 耐9 生+60 気+30 耐+3 Lv18 全職 曽我尚祐 左後副将 座右書礼 書物 価6 重4.2 防3 耐8 知+4 魅+2 水+2 Lv13 全職 山岡景隆 左後主将 美作守の大槍 槍 価8 重19.6 攻63 耐72 腕+3 火+6 風+3 Lv17 侍僧鍛薬 和久宗是 小荷駄 太閤祐筆の筆 特殊 価8 防0 耐27 知+6 水+3 風+3 Lv17 全職 細川晴元 四天王 管領奉行人奉書 書物 価9 重 防4 耐10 気+30 器+3 魅+8 Lv 京極高吉 四天王 道誉婆娑羅剣 剣 価9 重17.1 攻45 耐52 気+30 腕+3 火+8 Lv20 侍神鍛 池田勝正 四天王 筑後守の陣羽織 特殊 価9 重3.0 防3 耐28 生+30 耐+8 水+3 Lv20 全職 細川藤孝 四天王 歌仙兼定 刀 価8 重15.9 攻45 耐54 気+40 腕+2 器+6 知+2 Lv20 侍忍鍛 剣総覆輪阿古陀兜 筋兜 価 重 防 耐 Lv 赤筋兜+阿弥陀立物 足利義昭 軍師 足利義昭御内書 書物 価9 重4.9 防4 耐10 生+30 器+8 魅+3 Lv20 全職 足利義輝 大名 鬼丸 刀 価10 重15.4 攻57 耐80 気+80 腕+4 器+2 魅+2 Lv24 侍忍鍛 攻撃呪詛・壱 90回 下津一通 留守武将 ? 沼田元清 留守武将 ? 津田重久 留守武将 ? 野村定常 留守武将 ? その他情報 名前 コメント
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武将ドロップアイテム 足利家 武将名 配置 ドロップ品 種類 性能 ステータス 必要Lv 装備職 備考 狩野光茂 敵右先 ? 小笠原種盛 敵中先 ? 荒川晴宜 敵左先 ? 細川藤賢 敵右中 ? 真下元種 敵中中 ? 御牧景重 敵左中 ? 蜷川親長 敵右後 ? 上野清信 敵中後 ? 伊勢貞孝 敵左後 ? 大館義実 右先 義実の陣羽織 特殊 価6 重2.5 防2 耐24 生+20 耐+4 知+2 Lv13 全職 三淵晴員 中先 三淵の梓弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+3 土+1 火+2 風+2 Lv13 侍神 中川清秀 左先 天王山血戦の槍 槍 価5 重16.4 攻44 耐60 気+30 腕+1 耐+1 魅+1 Lv11 侍僧鍛薬 槙島昭光 右中副将 槙島重籐弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+2 知+2 風+4 Lv13 侍神 和田惟政 右中主将 惟政のロザリオ 首飾り 価7 重1.0 防13 耐19 生+10 知+3 魅+5 水+1 Lv15 全職 一色藤長 中中副将 一色狼牙棒 棍棒 価5 重19.2 攻54 耐68 生+20 腕+3 耐+1 Lv11 侍僧鍛薬 細川昭元 中中主将 蹴鞠秘伝書 書物 価7 重4.4 攻3 耐8 器+5 魅+2 風+3 Lv15 全職 伊丹親興 左中副将 大和守の金剛杖 錫杖 価5 重12.5 攻25 耐56 生+10 気+30 土+2 Lv11 僧神陰薬 朽木元綱 左中主将 朽木闇の太刀 刀 価7 重13.1 攻40 耐51 腕力+3 知力+2 風+5 Lv15 侍忍鍛 彦部信勝 右後副将 彦部忠義刀 刀 価 重 攻 耐 Lv 荒木村重 右後主将 兵庫の壷 茶器 価8 重1.0 防3 耐17 器用+3 魅力+6 土+3 Lv17 全職 松井康之 中後副将 佐渡守の大薙刀 薙刀 価7 重19.6 攻53 耐64 気+30 腕+2 風+5 Lv15 侍僧鍛薬 柳沢元政 中後主将 足利義昭感状 書物 価8 重4.7 防3 耐9 生+60 気+30 耐+3 Lv18 全職 曽我尚祐 左後副将 座右書礼 書物 価6 重4.2 防3 耐8 知+4 魅+2 水+2 Lv13 全職 山岡景隆 左後主将 美作守の大槍 槍 価8 重19.6 攻63 耐72 腕+3 火+6 風+3 Lv17 侍僧鍛薬 和久宗是 小荷駄 太閤祐筆の筆 特殊 価8 防0 耐27 知+6 水+3 風+3 Lv17 全職 細川晴元 四天王 管領奉行人奉書 書物 価9 重 防4 耐10 気+30 器+3 魅+8 Lv 京極高吉 四天王 道誉婆娑羅剣 剣 価9 重17.1 攻45 耐52 気+30 腕+3 火+8 Lv20 侍神鍛 池田勝正 四天王 筑後守の陣羽織 特殊 価9 重3.0 防3 耐28 生+30 耐+8 水+3 Lv20 全職 細川藤孝 四天王 歌仙兼定 刀 価8 重15.9 攻45 耐54 気+40 腕+2 器+6 知+2 Lv20 侍忍鍛 剣総覆輪阿古陀兜 筋兜 価 重 防 耐 Lv 赤筋兜+阿弥陀立物 足利義昭 軍師 足利義昭御内書 書物 価9 重4.9 防4 耐10 生+30 器+8 魅+3 Lv20 全職 足利義輝 大名 鬼丸 刀 価10 重15.4 攻57 耐80 気+80 腕+4 器+2 魅+2 Lv24 侍忍鍛 攻撃呪詛・壱 90回 下津一通 留守武将 ? 沼田元清 留守武将 ? 津田重久 留守武将 ? 野村定常 留守武将 ? その他情報 名前 コメント
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武将ドロップアイテム 足利家 武将名 配置 ドロップ品 種類 性能 ステータス 必要Lv 装備職 備考 狩野光茂 敵右先 ? 小笠原種盛 敵中先 ? 荒川晴宜 敵左先 ? 細川藤賢 敵右中 ? 真下元種 敵中中 ? 御牧景重 敵左中 ? 蜷川親長 敵右後 ? 上野清信 敵中後 ? 伊勢貞孝 敵左後 ? 大館義実 右先 義実の陣羽織 特殊 価6 重2.5 防2 耐24 生+20 耐+4 知+2 Lv13 全職 三淵晴員 中先 三淵の梓弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+3 土+1 火+2 風+2 Lv13 侍神 中川清秀 左先 天王山血戦の槍 槍 価5 重16.4 攻44 耐60 気+30 腕+1 耐+1 魅+1 Lv11 侍僧鍛薬 槙島昭光 右中副将 槙島重籐弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+2 知+2 風+4 Lv13 侍神 和田惟政 右中主将 惟政のロザリオ 首飾り 価7 重1.0 防13 耐19 生+10 知+3 魅+5 水+1 Lv15 全職 一色藤長 中中副将 一色狼牙棒 棍棒 価5 重19.2 攻54 耐68 生+20 腕+3 耐+1 Lv11 侍僧鍛薬 細川昭元 中中主将 蹴鞠秘伝書 書物 価7 重4.4 攻3 耐8 器+5 魅+2 風+3 Lv15 全職 伊丹親興 左中副将 大和守の金剛杖 錫杖 価5 重12.5 攻25 耐56 生+10 気+30 土+2 Lv11 僧神陰薬 朽木元綱 左中主将 朽木闇の太刀 刀 価7 重13.1 攻40 耐51 腕力+3 知力+2 風+5 Lv15 侍忍鍛 彦部信勝 右後副将 彦部忠義刀 刀 価 重 攻 耐 Lv 荒木村重 右後主将 兵庫の壷 茶器 価8 重1.0 防3 耐17 器用+3 魅力+6 土+3 Lv17 全職 松井康之 中後副将 佐渡守の大薙刀 薙刀 価7 重19.6 攻53 耐64 気+30 腕+2 風+5 Lv15 侍僧鍛薬 柳沢元政 中後主将 足利義昭感状 書物 価8 重4.7 防3 耐9 生+60 気+30 耐+3 Lv18 全職 曽我尚祐 左後副将 座右書礼 書物 価6 重4.2 防3 耐8 知+4 魅+2 水+2 Lv13 全職 山岡景隆 左後主将 美作守の大槍 槍 価8 重19.6 攻63 耐72 腕+3 火+6 風+3 Lv17 侍僧鍛薬 和久宗是 小荷駄 太閤祐筆の筆 特殊 価8 防0 耐27 知+6 水+3 風+3 Lv17 全職 細川晴元 四天王 管領奉行人奉書 書物 価9 重 防4 耐10 気+30 器+3 魅+8 Lv 京極高吉 四天王 道誉婆娑羅剣 剣 価9 重17.1 攻45 耐52 気+30 腕+3 火+8 Lv20 侍神鍛 池田勝正 四天王 筑後守の陣羽織 特殊 価9 重3.0 防3 耐28 生+30 耐+8 水+3 Lv20 全職 細川藤孝 四天王 歌仙兼定 刀 価8 重15.9 攻45 耐54 気+40 腕+2 器+6 知+2 Lv20 侍忍鍛 剣総覆輪阿古陀兜 筋兜 価 重 防 耐 Lv 赤筋兜+阿弥陀立物 足利義昭 軍師 足利義昭御内書 書物 価9 重4.9 防4 耐10 生+30 器+8 魅+3 Lv20 全職 足利義輝 大名 鬼丸 刀 価10 重15.4 攻57 耐80 気+80 腕+4 器+2 魅+2 Lv24 侍忍鍛 攻撃呪詛・壱 90回 下津一通 留守武将 ? 沼田元清 留守武将 ? 津田重久 留守武将 ? 野村定常 留守武将 ? その他情報 名前 コメント
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武将ドロップアイテム 足利家 武将名 配置 ドロップ品 種類 性能 ステータス 必要Lv 装備職 備考 狩野光茂 敵右先 ?? 小笠原種盛 敵中先 ?? 荒川晴宜 敵左先 ?? 細川藤賢 敵右中 ?? 真下元種 敵中中 ?? 御牧景重 敵左中 ?? 蜷川親長 敵右後 ?? 上野清信 敵中後 ?? 伊勢貞孝 敵左後 ?? 大館義実 右先 義実の陣羽織 特殊 価6 重2.5 防2 耐24 生+20 耐+4 知+2 Lv13 全職 三淵晴員 中先 三淵の梓弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+3 土+1 火+2 風+2 Lv13 侍神 中川清秀 左先 天王山血戦の槍 槍 価5 重16.4 攻44 耐60 気+30 腕+1 耐+1 魅+1 Lv11 侍僧鍛薬 槙島昭光 右中副将 槙島重籐弓 弓 価6 重7.2 攻21 耐36 器+2 知+2 風+4 Lv13 侍神 和田惟政 右中主将 惟政のロザリオ 首飾り 価7 重1.0 防13 耐19 生+10 知+3 魅+5 水+1 Lv15 全職 一色藤長 中中副将 一色狼牙棒 棍棒 価5 重19.2 攻54 耐68 生+20 腕+3 耐+1 Lv11 侍僧鍛薬 細川昭元 中中主将 蹴鞠秘伝書 書物 価7 重4.4 攻3 耐8 器+5 魅+2 風+3 Lv15 全職 伊丹親興 左中副将 大和守の金剛杖 錫杖 価5 重12.5 攻25 耐56 生+10 気+30 土+2 Lv11 僧神陰薬 朽木元綱 左中主将 朽木闇の太刀 刀 価7 重13.1 攻40 耐51 腕力+3 知力+2 風+5 Lv15 侍忍鍛 彦部信勝 右後副将 彦部忠義刀 刀 価 重 攻 耐 Lv 荒木村重 右後主将 兵庫の壷 茶器 価8 重1.0 防3 耐17 器用+3 魅力+6 土+3 Lv17 全職 松井康之 中後副将 佐渡守の大薙刀 薙刀 価7 重19.6 攻53 耐64 気+30 腕+2 風+5 Lv15 侍僧鍛薬 柳沢元政 中後主将 足利義昭感状 書物 価8 重4.7 防3 耐9 生+60 気+30 耐+3 Lv18 全職 曽我尚祐 左後副将 座右書礼 書物 価6 重4.2 防3 耐8 知+4 魅+2 水+2 Lv13 全職 山岡景隆 左後主将 美作守の大槍 槍 価8 重19.6 攻63 耐72 腕+3 火+6 風+3 Lv17 侍僧鍛薬 和久宗是 小荷駄 太閤祐筆の筆 特殊 価8 防0 耐27 知+6 水+3 風+3 Lv17 全職 細川晴元 四天王 管領奉行人奉書 書物 価9 重 防4 耐10 気+30 器+3 魅+8 Lv 京極高吉 四天王 道誉婆娑羅剣 剣 価9 重17.1 攻45 耐52 気+30 腕+3 火+8 Lv20 侍神鍛 池田勝正 四天王 筑後守の陣羽織 特殊 価9 重3.0 防3 耐28 生+30 耐+8 水+3 Lv20 全職 細川藤孝 四天王 歌仙兼定 刀 価8 重15.9 攻45 耐54 気+40 腕+2 器+6 知+2 Lv20 侍忍鍛 剣総覆輪阿古陀兜 筋兜 価 重 防 耐 Lv 赤筋兜+阿弥陀立物 足利義昭 軍師 足利義昭御内書 書物 価9 重4.9 防4 耐10 生+30 器+8 魅+3 Lv20 全職 足利義輝 大名 鬼丸 刀 価10 重15.4 攻57 耐80 気+80 腕+4 器+2 魅+2 Lv24 侍忍鍛 攻撃呪詛・壱 90回 下津一通 留守武将 ?? 沼田元清 留守武将 ?? 津田重久 留守武将 ?? 野村定常 留守武将 ?? その他情報 名前 コメント
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翌朝 レオニダス公爵機神廻組の教練は、安息日に行われる。 機神の乗り手にしてレオニダス公爵伴侶マルクスの、公爵領地帰還が安息日前後に限られてしまうからだ。その公爵伴侶マルクスも昼過ぎには領地を出立してしまうため、機神廻組教練は安息日の朝からという、少し変わった形で行われている。 だが、その朝の教練は、いつもより少しだけ遅くなった。機神の乗り手たる公爵伴侶マルクスが集合に遅れたのだ。 「諸君、遅参を詫びる」 朝日の中に整列する機神廻組を前に、彼はそう言い、さらに懲罰ものだなと冗談めかした。特に笑うものはいない。 「しかしながら公爵殿下」 列の脇から声がする。一歩進み出た白髪の初老男は、機神廻組番頭のスバーロフだ。 「殿下御遅参は、お役目諸々のことゆえでありましょう。われら廻組がお待ち申し上げるのは当然のこと」 機装甲の仕掛け仕組みを淡々と説くようにスバーロフは言う。もともとそういう男なのだ。初老のこの歳となるまで、工部として公爵家機甲諸役を担ってきた。工部であるスバーロフが今、機神廻組の番頭となっているのは、機装甲をはるかに超えた極みとしての機神を知りたくてなのだ。 「それよりも、廻組や警護組が殿下のお所を知らず、ただここに棒立ちとなってお待ち申し上げるのみのことのほうが差し障りありましょう」 そのようには言っているが、スバーロフ当人は警護にかかわるつもりがまったく無い。それはマルクスも知っている。スバーロフとしては、機神廻組番頭としては言わざるを得ないが、そのようなことは警護役がとりはからうべきと思っているのだ。 良くも悪くも、そういう男なのはわかっている。そしてそのような物腰と物言いに、警護役であるボナルパが苛立ちを隠せないこともだ。そのボナルパはマルクスの後ろから、焼き殺しそうな目でスバーロフを見ている。 「なるほど」 マルクスは応じて笑みを見せる。ボナルパといえども、今朝についてはいかんともしがたかったのだ。警護役といえども、女公爵寝所に踏み込むことはできない。 「それについては私のほうから改めるとしよう。この件は預かる。祐筆、覚書を」 祐筆のバルカが書きとめている間に、マルクスは機神廻組へと目を向ける。 「でははじめるとしよう。各組かかれ」 各組が散ってゆく。散ってゆくといっても、この教練に参画するのは、機装甲の乗り手ばかりだ。残りのものがいても仕方ない。それらに直立不動で見学させるなどということは、まったくマルクスの思うところではない。そのものらは、格納庫や建屋へと戻ってゆく。スバーロフもそうだ。 機神廻組といっても、この数百年の間、形ばかりのものだった。最初のレオニダス公の時には、公爵に機装甲組を持つことができずにいた、公爵家が帝國で機装甲を得たのは機神の乗り手を得られなかったからだ。 機神と機装甲を備えたのは、実にマルクスが乗り手となって初めてだ。そして当然のことながら、機神廻組がいかにあるべきか何一つ決まっておらず、マルクスはその形を定め、また鍛えねばならない。 もはや、レオニダス公勢皇帝軍参陣という形を取ることがないと、わかっていてもだ。 野には7機の機装甲が引き出され、乗り込みを待っている。片膝をついた機の列へと、乗り手たちは駆けゆき、その背を這い上がる。甲蓋を開いて、そのなかへと滑り込んでゆく。 マルクスは、彼らよりもゆっくりと歩いていった。指揮官とはそういうものだ。ゆとりは、あたりを見取るためにある。そして見取りが多いほど、より良く指揮できる。 マルクスのために支度された機装甲は、廻組機装甲とは違っている。トニトリュス・アルトという。 トニトリュス・アルトは公爵家の機装甲としてもっとも早いうちにつくられたものだ。まだ最初のレオニダス公が存命のうちに、鑓の機神の姿形から直に姿かたちを写し取り、作れる限り作り上げられた。 機の体の部分は、元の姿を良く模ってはいるが、鑓の機神の背負う飛ぶための仕組みを取り払ってある。空を飛ぶような仕掛けを作り出すことはできなかったからだ。それらは古代魔導帝國の精緻であったのだ。 だから退いて眺めればどこを模ったのかわからない。せいぜい左手に持つ扁桃型の盾が、機神のものによく似て見えるくらいだろう。右手に持つのは機神のような鑓ではない。教練刀だ。もちろんその他の得物も扱える。トニトリュス・アルトは時のレオニダス公爵家の力を尽くして作られたものだ。魔力増幅能すら持つ。 マルクスはトニトリュス・アルトの背へと回り込んだ。片膝をついた機体の背を伝い上る。甲蓋を開き、その中に滑り込んだ。 鑓の機神に受け入れら得なかった代々のレオニダス公爵は、このトニトリュス・アルトに乗った。ミノール=マルクスもそうであった。今も本来の乗り手はレオニダス女公爵ノイナである。そのノイナはマルクスに搭乗の許しをあたえているかたちだ。 だがマルクスにとっては、あまりやりやすくもない。長く公爵軍の旗頭であったものに、当主でないものが乗るというのは、それなりの波紋を広げるのだ。機神でなくとも、ものによっては機装甲も重く扱われる。 胎内の席につき、ふとルキアニスのことを思い出しかける。かぶりを振って想いから追い払い、携えてきた仮面をつけた。 たしかにルキアニスの家も、家格に似合わぬ機装甲を持つこととなって、めぐりめぐってルキアニスがひどく追い詰められたことがあった。もはや遠い話だ。 マルクスはいつものように心開き、機体とひとつになる。青の三や、白の三のときとは違う、何かに包まれたように感じる。気としか言えない何かだ。機装甲は人の心に似たものを持ち、それまでの乗り手を覚えているともいう。これは累代のレオニダス公の残した何物かなのだろう。魔力が機体の隅々に行き届くのがわかる。 「周囲注意!アルト、起立する」 鉄の機体の足に力を込め、トニトリュス・アルトを立ち上がらせる。 魔道の双眸には、続いて立ち上がる機神廻組の機装甲たちが見える。六機の機装甲たちだ。 トニトリュス・ムルタと呼ばれるのは、それが最も多く作られたものだからだ。今ではトニトリュスといえば、トニトリュス・ムルタを言う。公爵家郎党向けの機装甲は、トニトリュスよりさらに作りやすくはかったテンペスタスという機だ。トニトリュスとテンペスタスは見た目も中身も明らかに違う。 郎党の身分でありながら、トニトリュスに乗るということは特別な計らいだ。そしてそれは、廻組の任から決められている。 彼ら廻組機装甲の任は、鑓の機神が帰陣できなくなったときに、乗り手と機神そのものを守るために駆けつけることだ。 帝國軍の黒の二のように大斧と盾を持ち、また黒騎士同様に三機互いのみを頼りに戦う。彼らは機神援護のために、敵中へ斬り込まねばならぬからだ。ゆえに乗り手もまた選ばれたものだ。帝國軍の黒騎士ほどではないにしても、求めるのは強さと忠誠の二つのみだ。 彼らの機は思い思いに機体を動かしていた。身を捻り、あるいは膝を曲げ伸ばししている。冷えた機体を暖めほぐすためだ。マルクスも同じようにトニトリュス・アルトを動かし、それからムルタたちへと向き直る。 「それでははじめようか」 『一番、オット』 ムルタの一機が構える。乗り手は廻組機装甲筆頭の乗り手、オットだ。 『参る!』 オットのムルタが地を蹴った。大斧を振り下ろす。マルクスは身を翻した。大刃を見切ってかわす。かわってマルクスは踏み込んだ。突きを放つ。 その切っ先を、オットのムルタは跳ね上げる。だがそれも剣技の流れの内だ。マルクスは地を蹴った。盾を掲げ体ごと打ちあたる。 衝き打たれ、オットのムルタが退く。マルクスは、あえて半拍待った。退きかけたオットは、けれど後足で地を踏みしめてこらえる。再び来るだろうマルクスの突きに備え、盾を掲げる。 そしてマルクスは踏み込んだ。教練刀を振り下ろす。掲げた盾ではなく、ムルタのひざを打った。かの機が揺らぐ。その脇へマルクスはと滑り込む。そこで初めて突きを放つ。 手ごたえがあった。オットのムルタが大きくのけぞる。そこへマルクスはさらに体ごと盾を打ち付ける。オットのムルタは地を踏み削りながら退いて、かろうじて転ばずに踏みとどまる。ほんとうなら踏みとどまれる程度の衝き打ちにはとどめない。衝き倒してとどめまで刺す。 ここまでの仕合は教練というより、ただ、マルクスの方が強いと示すために行ったようなものだ。かつてマルクスと相対した黒騎士が、強さを示すためにマルクスらを嘲ったことに似ている。 彼らに守られながら、彼らより忠誠を受けるには、彼らより強くあるしかない。ゆえにマルクスは彼らを相手に教練を施しまた、彼らに勝つ力を保たねばならない。 だがもはや、機神廻組をもって皇帝軍に参陣することは無い。 今の帝國の軍勢はまずは帝國軍であるのだから。だから機神廻組は、公爵領から離れることはない。 公爵領から離れることがない機装甲組の真の任は、女公爵ノイナの最後の守りだ。ノイナは守られなければならない。女公爵として、あるいはただのノイナとして。かつての子供であったマルクスを、同じく子供であったノイナが打ち、そして倒したことがあったとしても。 「今の動きは悪くなかった。続けて来い!」 『参る!』 オットのムルタが身構える。再び地を蹴った。 ちなみに、この時間、ノインさんは何をしているかというと、お日様が黄色いーと思いながらベッドの中です。 たぶん、マル子も燃えちゃったのw 古人が本気で燃えたら、常人はきついと思うよーw 死んじゃう、が本当に死んじゃいそうって、それなんてエロゲ? 次回、ノインさんの逆襲(嘘 「君、古人だよね」 「ああ、それがどうしたんだよ」 「どうなってるの?」 自分より感度がいいことに複雑な心境のお話(嘘 だから、このシーケンスおしまい。
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ある河港からのオードリー (3) マルクス・ケイロニウス・レオニダスの供奉3 導かれた部屋は、さりげない調度に飾られた何気ない部屋に見える。大机が設えられ、ごくおとなしい会食の場にすら見える。 だが、調度一つとっても幾百年も続く帝國が、賓客のために整えたものだ。それもまた、さりげなく南方ふうのものがそろえられ、飾られた花もまた南方の花であった。 しかしここは前室に過ぎない。賓客がやってくるものらと面会するためのところだ。言ってみればここは賓客の謁見室とも言える。皇帝の招いた客は、当然のことながら帝國の最上のもてなしで己の客と面会できるようにされている。もっとも、多くの客は皇帝が別に仕立てさせた御殿内の部屋に導かれ、待たされるのであるけれど。 前室の奥にはもちろん別の部屋がある。エマ女官は導き、扉をそっと開く。そこは賓客のための執務室だ。執務机が備えられ、また祐筆のための机もあり、本棚には辞書から法典にいたるまでが揃えられている。 壁には大きな硝子の嵌めこまれた、人の背丈より高い大窓もあった。オルドリア公姫は歩み寄ってゆく。 その先には小さな噴水のある中庭がある。噴水ある中庭を囲んで、柱の列と廊下があり、さらに部屋に囲まれている。 オルドリア公姫は振り返ってエマ女官を見る。 「もう少し、休めるところはありませんか」 「はい殿下、御寝所にいたしましょうか?」 「いえ、座って飲み物をいただければというだけです」 「はい殿下」 エマ女官はオルドリア公姫を導いて、新たな扉を開いた。そこは前室とも執務室とも違う、もう少し心安らげる部屋だった。 白く塗られた壁は南方ふう、というよりマルクスはレオニダス公爵家の帝都屋敷を思い出していた。設えられた椅子はさすがに南方の編み椅子とは違っていて、帝都の気候に合わせて厚く詰め物をされているものだ。しかしその脇に置かれた小机は、南方ふうの彫りものに飾られた軽やかなつくりのものだ。 「よろしゅうございましょうか、殿下」 「ええ」 エマ女官はオルドリア公姫を導いて、椅子を引き示す。オルドリア公姫は静かにその席に着く。エマ女官は言った。 「お飲み物をお持ちします」 「ありがとう、エマ女官」 オルドリア公姫ははじめてエマ女官の名を呼んだ。エマ女官は静かな笑みを見せ、そして控え室へと退いてゆく。マルクスは入り口を静かに閉じて、その隣に立哨するのみだ。それが、ここにおけるマルクスの任だからだ。外は儀杖近衛騎兵が警護している。 何事もない静かなときが流れていた。 オルドリア公姫は椅子に座り、マルクスなどいないかのように、静かに中庭へ目を向けている。彼女の見る小さな噴水は、帝都の誇る水道の水だ。魔道によって清浄を保たれ、噴出す水を飲んでもまったく差し障りはない。 水受けに溜まる水に、小鳥たちが舞い降り、跳ねて戯れていた。ちきちきと鳴きさざめきながら、羽ばたき水を跳ね、やがて追いあうように飛び立ってゆく。四角く切り取られた中庭の空の中に見えなくなるまで、オルドリア公姫はその姿を見送っていた。 その空の色ははるか南の空の色とは、どこかしら違ったものに思える。オルドリア公姫の緑の瞳にはどのように映っているのだろうか。 「逃れなど出来ませんよ、騎士卿」 すこしの笑みとともに、オルドリア公姫は言い、マルクスへと目を向ける。 「いいえ、殿下」 マルクスはこたえる。 「わたくしは公姫殿下をここに押しとどめるためにおるわけではございません。わたくしは公姫殿下を御守するよう、命じられております。わたくしがここにあるのは、殿下をお守りになるという皇帝陛下のお心を果たすためでありまた、それをもって殿下に心安くすごしていただくためです」 オルドリア公姫は、かすかに眉をひそめた。一つ息をつき、かすかにうつむく。 「帝國の方々の仰る心安さとは、わたくしの思うものとは違っているようです」 「それでも心安くすごされますようとお心遣い下されるのが皇帝陛下であられます。心よりの安堵をさし上げられぬかもしれませんが、わたくしも命を解かれるまで、殿下にご一緒させていただきます」 「・・・・・・」 オルドリア公姫は口をつぐんだ。もとより納まりなどつかぬことはわかっていた。歓待で作られていても、檻は檻なのだ。餌を投げ込まれて暮らさねばならぬよう攫い来ておいて、さにありながらマルクスは自由を公姫に説いて見せた。 帝國のものの言葉は、表向きとは違うのだと責められてもやむをえない。 やがてエマ女官がお茶の用意と共に戻り来る。硝子の器と、薄切りにした柑橘の実、そして砕かれた氷は、この部屋に招かれる賓客にふさわしいものであるだろう。 エマ女官はお毒見をいたしますと申し出たが、オルドリア公姫は軽く笑ってそれを退けた。敬意に基づく申し出であろうとも、これほどむなしくうつろな親切も無かろう。 しかしエマ女官は申し訳ございません殿下と応じて退き、何事も無かったかのように冷えたお茶を注ぎ、差し出すのだった。 それが、彼女に叶う、まことだった。
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アムリウス 休息 目が覚めて、首が痛むことに気づき、それから、窓の遮幕の向こうはまだ暗いことにも、アムリウスは気付いた。 柔らかい寝台と、柔らかい枕を、己の体が拒んでいる。しかもまた、今になっても、いつもの時刻、そう、夜明け前に目が覚めている。いずれもいくさ場ではぐくまれたものだ。 己は、いくさ場の他では、生きてゆけぬのでは、と思った。生きているだけましであるはずだが、生きていることに必ずしも満たされていない己にも気付いていた。人は慣れ流されて生きるしかないのだろうかとも思う。 内戦は終わった。すこし前に。 終わりの始まりはずっと前に起きていた。そのあとは、終わりのない悪夢と同じで、行わねばならぬ難苦に沼のように溺れ、もがき、果てるともなく続いた。それが終わった今となっても、まだぶり返し、襲い来るのではと、心のどこかで思っている。そのような己にアムリウス自身も気づき、そしてまた言いようのない暗澹に襲われるのだった。しかも、たばこも無い。 いや、あるのはわかっている。部屋の一角にある組み椅子の卓の上には、煙草箱がある。あるのは知っていたが、今朝になるまで開きもしなかった。起き出して、そして開いてみれば思った通り、パイプと刻み煙草と、火の魔術を宿す魔晶石が入っていた。いずれも上等なものだったが、今のアムリウスの欲しいものではない。きつくて臭い代用紙巻きを、このような形で懐かしむとは、思っていなかった。 戸棚には酒と切子細工の硝子の器もあった。朝から飲み耽るほど、まだ箍は外れていない。外れたところでどうということはない、というのも判っていたけれど、ここで、そのような弱みを見せるのも癪であった。 今のアムリウスは、虜にすぎない。酒におぼれて生き腐れて、忘れられたころに死ぬのが一番都合よくもあるか。そう思うのは、拗ねているだろうか。大逆の罪人に似合うのは何かと思い、やはり宮城広場でのさらし首ではないかと思う。いや、そもそもこの館は、大逆の罪人の檻にしては豪華すぎる。 窓の紗幕を引きひらけば、まぶしい朝日が横なぎに差し込んでくる。塀の向こうには森の木々があるだけだ。どこかの別荘なのは知っている。帝都でも北方でもないどこかである以上のことを、アムリウスは知る気にもなれなかった。庭は空っぽで、静かで、当直の交代する様子もなければ、軍勢の、あのざわめきも無い。警備がいない訳ではない。それはむしろ、アムリウスを逃がさぬためにある。 そう、北方辺境は敗北し、軍勢は解体された。今ここに在るアムリウスは、その残滓だ。その身に、耳に、いまだに遠く聞こえている気はしていても。 『御身をお預かりすることになった』 あのとき、カリナスはそう言った。 カリナス・アドルファス・アレクシス。その顔を見た時、アムリウスも胸のうちに湧きあがるものがあったし、カリナスも、重々わかっているようだった。裏切り者と罵倒する気は無いが、しかし敵だった。カリナスは遠い若い日、アドルファス一門から出奔した。いつしか、副帝となる以前のレイヒルフトの一党になっていた。アムリウスがそれを知ったのはずいぶん後になってからだ。彼らが敵同士になってからではなかったか。 「是非も無い」 そう応じるアムリウスに、カリナスは一礼して、辞去する。アムリウスは、見送る気も無かった。虜の身となったとしても、アムリウスは宗家のもの、嫡子である。カリナスごときに平伏する謂れなど無い。その矜持は、アムリウスに常のありようを取り戻させるものともなった。この豪華な檻は、それ自体、彼らの思惑だ。是非も無い。 だが、その中のアムリウスに、無様はありえぬ。これより先、たとえ生き腐れるしかないとしてもだ。 用人を呼ぶ小鐘を鳴らす。ちりんちりんという、高く軽やかな音が響く。すぐに用人控室の扉が叩かれる。入れ、と命じると、すぐに扉が開かれ、用人女が一礼する。アムリウスは言う。 「おはよう。朝の支度をする」 「おはようございます。アムリウス様。お手伝い申し上げます」 女は背後に肯きかけ、すぐにさらに幾人かの用人女が姿を見せる。いずれも北方風のお仕着せを身につけている。女たちは窓の遮幕を開き、寝台を整え直す。最初の用人女は、アムリウスの朝服の着替えを取り出す。 「今日の予定は」 着替えを手伝わせながら、アムリウスは問う。朝服のまま外出はしないし、客は向かえない。それを檻の外の者が許すかどうかはともかく。 「うかがっておりません。執事に確かめてまいります」 女がわずかにうなずきかけると、部屋を整えていた女の一人が歩み寄る。そして要件を確かめ、一礼とともに退いてゆく。 「寝台が合わぬ。代えよ」 「いかがしましょうか」 「堅いものが良い」 「向かいの予備の寝室に、既に堅い寝台が備えられております。そちらをお使いいただく間に、この部屋の寝台をお取替えいたします」 「承知した」 アムリウスはうなずき、それから問うた。 「カリナスの細君の名、お前は承知しているか」 「はい、ユリア様と申されます」 「そうか。ありがとう」 嫌味なまでに整った手筈は、カリナス一人の手ではなかろうと思えた。もちろん、カリナスが細部にまで口を出すはずがないのだが、細部まで目を行き届かせたものがいるはずだ。アムリウスには、それは女の目に思えた。檻だとしても、アドルファス宗家の格は、それなりに保つ気でいる。 扉を叩き、執事が入る。白髪の癖毛を短めに整えた、眼鏡の男だった。 「おはよう、今日に私が知っておくべきことは」 「おはようございます、アムリウス様」 一礼し、執事は帳面を開く。本日の卜卦を言い、同日の帝國の史事を言い、北方の史事を言い、アドルファス一門にとっての史事はなく、本日に来客の予定なく、本日に外出の予定も無いことを告げる。初めの部分は、アムリウスも暗唱できるほど知っていた。毎日のように聞かされて育ったことだ。 「世事は」 「はい」 応じて執事は帳面をめくる。元老院は臨時開催され、皇帝陛下御臨席の下、討議が行われると続ける。 「・・・・・・」 討議はもちろん、内戦終結処理に関わるものになるはずだ。内容が元老院外に公式に示されるのは、日没後になる。夜の間に掲示用の版木が作られ、翌朝には刷られて、街区に張り出される。それは、もちろん内戦前のやり方だが、今も大して変わっていないだろう。それより早くに手に入れるには、元老院議員から得るしかない。アドルファス一門の元老院議員など、すでにいないだろう。どこか北方の元老院議員との連絡を、回復する必要があるかもしれない。 だとして、どうする。アムリウスはかぶりを振る。 頸帯を結んでいた用人女の手が止まる。いや、構わぬ。別のことだ、とアムリウスは打ち消し、女は、はい、と応じる。 「・・・・・・」 この先、どうするつもりなのだ、とアムリウスは自嘲する。大逆の一門ではないか。元老院の討議を手に入れてどうなる。何ができるというのだ。今上皇帝を否定し、弓引き、十年にわたって戦い、ようやく打ち破られたのだ。元老院のどこに、帝國のどこに、アドルファスの席がある。 この帝國は、すでに副帝のもの。レイヒルフトはうそぶく。そこに生きるものには、自由を与えると。 「・・・・・・」 用人女は姿見を引きだし、掛け布を上げてアムリウスを映す。 「・・・・・・」 その服は、内戦前のものとは形が違う。帝國を壊しかねぬいくさのさなかに作られた、あたらしい形。 己の姿を見返し、そして思った。 まだ、アムリウスはここにいる。生きて、ここにある。 自由。 なるほど、自由か。 失念していたなど、鈍ったものだ。 アムリウスはうなずく。女は一礼をして退く。アムリウスは顔を上げ、それから執事を見た。 「祐筆を用意せよ」 「すでに用意しております」 「カリナスの手筈か」 「カリナス卿には、アムリウス様のお望みを叶えて差し上げるように、とは申しつけられました」 「まあいい」 奴の、あるいは副帝の掌の上だとしても、アムリウスにはまだ行わねばならないことがあるのだ。 「しばらくはそれに専念する。外出はせぬ」 「承知いたしました」 書きとめ、帳面を閉じて、執事は一礼する。では執務室へ、と進み、アムリウスを導く。隣のその部屋へ続く扉が開かれる。そこではすでに祐筆が待ち、席を立ってアムリウスを迎える。よろしく頼む、と言い、アムリウスは席へ着く。 革の椅子に深く身を沈める。 ひとつ息をついて、アムリウスは始めた。 おぼえている限りの、北方辺境侯軍について、その編成について、そこで役に付いた貴族らの名と、働きについて、語り始めた。 すべてを失ってもなお、どこかに記さねば、生き残った者らに無用の害が、あるいは故なき賞罰が下されるかもしれない。行いは責められざるを得ないとしても、故なき事より避けられるようにしておきたい。それよりもなお、北方を書き記しておきたい。何が起きたのか知った後に、自由に思えば良い。 そして、アムリウスにもそう思い、そう行う、自由がある。 覚えている限り、と言うのは心もとないが、それでも、アムリウスの負うべき、グスタファス宗家の任だった。その任を我が身で受けると決めたのは、ずっと昔の事。我が身で行うと、わが心のみにて決めた。 やがて、アムリウスの元には、内戦中に彼の記した帳面が届けられるようになった。記憶とほとんど違いがないことを確かめ、少しの安堵をした。さらに後には、彼の父自身が記した、記させた資料のたぐいも届けられるようになった。 いずれにも筆写済みの印が押され、文章整理番号が書かれていた。取り上げた文書を皇帝軍は、そのようにあつかったのだ。念の入ったことだと思い、そうする余裕が皇帝軍にはあったのだ、と思いもした。 彼らは、歴史を記すつもりで戦い、そして勝ったのだ。だが同時に、己の筆のみに頼るつもりも無いのだ。 声なき宣言と同じだ。申し述べたき事これ有るなら、申し述べてみよ、と。 アムリウスもまた、退くつもりはなかった。これは、敵を排撃するための行いではない。 彼の行いは、出家した後も続き、それは後にアムリウス注釈北方軍史と呼ばれるものへと姿を変えた。主に北方辺境軍の組織について記述した組織編と、その人員組織が実際の戦場でどのように働いたかを示す記録編の二編構成が完成したのは、学院に籍を移してから大分経った後となった。 北方軍史は、同じく学院のネロの残した諸著作とともに、内戦の当事者の残した資料として、不朽の評価を得た。 もっとも、アムリウス自身は、その評価に対して冷淡であり、あれは覚書であり、正確性を、諸記録によって担保したものに過ぎない、と言ったという。彼は、北方軍史にいくらかの訂正を終えた後は、後年の調査と記録の掘り起こしの方が重要だと言い、自身の評価の話題を嫌ったともいう。 後年彼が熱心に行ったのは、別の著作の加筆と訂正だった。 アムリウスの物理と、アムリウスの化学、その二作の書籍としての命脈は、北方軍史よりもはるかに短い物であった。しかし彼は、その二作が、学院のみならず多くの者に読み親しまれたことを、ひそかに誇りとしていたとも伝えられる。 もちろん、これはこれで、で。 この時点では、アムリウスはヤン実弟の叔父オロフスが別の形で、帝國への貢献を始めたことを知らなかった。原本資料の皇帝軍への引き渡しは、オロフスが行ったも同然であったりする。 けれど、当然のことながら、懲罰を恐れた者らが、資料の少なからずを処分していた。 アムリウスの北方軍史の価値は、それ自体が記録であると同時に、記録のリファレンスでもあるところだったりする。資料の散逸した部分については「アムリウスの記憶による」と注釈が入っていて、この正確性について、後世かなりの議論が行われたはずである。 ちなみに用人女の名はフラウィア、である。
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青嵐 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)箪笥《たんす》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)井|硯斎《けんさい》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#6字下げ] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] 結婚してようやく十二日めであった。持って来た荷物もすっかり片付いてはいない、そのときも細ごました物の包みをといて、箪笥《たんす》や長持へしまっているところだった。 もう夕餉《ゆうげ》のしたくをする時刻が近いので、ひとまず止めようかと思っていると、下女のお由《よし》が来てけげんそうに、 「お客さまです」と告げた。 「奥さまにだけお眼にかかりたいと仰《おっ》しゃってございます、お台所へみえていらっしゃいます」 「台所へ、――どんな方なの」 「子供を負った女の方でござります」 誰だろう、登女《とめ》は鬢《びん》へ手をやりながら頭を傾《かし》げた。思いだせない。 「とにかくゆきます」 こう答えてあたまの手拭をとり、襟《たすき》や前掛を外した。 ――女は水口のところに立っていて、登女を見ると、「こちらへ」というめくばせをし、そのまま薪小屋のほうへ歩いてゆく。仕方がないのでこちらもそこにある物をつっかけて出た。 「伊能さまの奥さまですか」 女はこう云って登女を見上げ見下ろした。 「こんどお嫁に来なさった奥さまですね」 「御用を仰しゃって下さい、なんですの」 「此処《ここ》じゃあ精《くわ》しいことは云えないです。千羽町の菱屋《ひしや》という宿屋へ来て下さい」 女はどこやら鈍い調子で云った。 「わたし昨日からそこへ泊ってます、幾日でも話しが済むまで泊ってますから」 「貴女《あなた》の仰しゃることは訳がわかりません、どうしてわたくしが宿屋などへゆかなければならないのでしょうか」 女は唇を顫《ふる》わせてこっちを見た、激しい感情のこみあげるような眼だった。それから肩を捻《ひね》って、負っている当歳くらいの子供を見せた。 「伊能さんの子です」 高いところから墜《お》ちでもした後のように、登女は頭がぼうっとして直ぐにも考えることができなかった。女が去ってゆくのをぼんやり眺めながら、下女に呼ばれるまで新小屋の前に立っていた。伊能の子、良人《おっと》の子、いったいどういう意味だろう。 ――登女は夕餉のあとで良人に訊《き》いてみようかと思った。姑《しゅうとめ》の萩《はぎ》女に相談するほうがいいかとも思った、然しどちらにも話しだす決心がつかなかった。事が余りに唐突すぎる、ともかく事情をはっきり聞いてからにしよう、彼女はこう考えて不安なひと夜を過した。 翌る日。登城する良人を送りだし、あと片づけを済ませてから、「実家へ」と断わって登女はでかけた。 千羽町というのは城下町の端《はず》れに近く、もう二丁もゆくと草原や畑つづきに大瀬川が見える。軒の低いごみごみと古びた家並ではあるが、四五間おきに若い柳の木があって、そのしたたるような緑が美しく日に映え、清《すが》すがしい芳香のような雰囲気をつくっていた。 ――菱屋は軒の低い小さな商人宿で、屋根板ははぜ、庇《ひさし》は落ち、掛行燈《かけあんどん》の字さえはっきりと読めない古ぼけた陰気な家であった。よくよく慥《たしか》かめてから入ると、裏までぬける土間のまん中に、古綿をつくねたように一匹の老犬が寝ていた。 「おつね」という名を尋ねると、すぐに昨日の女が出て来て、腫《は》れたような不愛想な顔で、奥まった部屋の一つへ案内した。鼻の閊《つか》えそうな狭い庭を前にして廊下のどん詰りで、赤茶けた破れ畳の上に敷き放しの夜具があり、その中に子供が眠っていた。 「わたしは袖ヶ浦の観魚楼にいるんです、観魚楼って御存じですか」 女は歯切れの悪い重ったるい調子でこう云った。 「伊能さんの旦那には三年まえからお世話になってました、奥さんにしてやるなんて仰しゃったこともありました、わたしはそんなこと本気にしやあしません、男はみんなそんなことを云うもんですからね、――ただ月々のものと、子供が生れたらその始末をしてくれること、この二つだけちゃんとして貰えばよかったんです」 女の腫れたような逞《たくま》しい顔には少しも表情というものがなかった。眼がときどき異様に光るのと、唇の顫えるのが僅かに激している感情を示すだけで、ぜんたいに愚鈍な、無神経な性質がむきだしである。登女は軽侮といやらしさとで顔をそむけたいくらいだった。 「旦那さんが月々のものを下すったのは精ぜい半年ばかしのあいだでした、あとはなんだのかだのって、さんざんひとを騙《だま》しなさって、子供を産むんだって一文も足しちゃくれません、そして自分じゃよそから奥さんを貰いなさる、――奥さんだって女なら、わたしがどんな気持かわかって下さるでしょう、あんまりひどすぎるじゃありませんかね」 「それで、どうしろと仰しゃるんですか」 「わたしがそう訊きたいんですよ、奥さん」 女はま正直にこちらを見た。 「わたしはおっ母《か》さんを養っているんです、観魚楼じゃ親切にしてくれますけど、いつまでこんな小さな者を抱えてやっていけやしません、わたしは伊能さんの外聞を思って、お世話になってたことも子供のことも云わずにいました、観魚楼の人だって知ってやしません、そのくらいにして来たんですから、――少しはわたしのことだって考えて下さっていいと思います」 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] 登女は十九だった。嫁して、まだ半月にもならない、その女に同情するよりも、まず自分自身が叩かれ踏みにじられる気持だった。 良人は三年もまえからこの女と関《かか》わりを持っていた、子まで生《な》しているのに、自分という者を妻に迎えて平然と寝起きしている、――余りにひどい、こんなにひどい侮辱があるだろうか。頭のくらくらするような怒りと絶望とで、声いっぱいに叫びだしたい衝動を感じた。 とうてい長く女を見てはいられない、持っていた僅かの金を与え、「また相談に来るから」とだけ云って、登女は逃げるようにその宿を出て来てしまった。 樹々の緑に爽やかな風のわたる、眩《まぶ》しいほど日の明るい街のけしきが、黒い紗《しゃ》を透して眺めでもするように、自分からは遠くよそよそしいものにみえた。登女は殆んど夢中で歩いた、そして辻《つじ》町にある実家の鶴田の門をくぐり、案内も云わずに脇玄関から母の部屋へいった。 「まあびっくりした」 書の稽古をしていた母は筆を取落しそうになった。 「どうなすったの、いきなり、――」 だが登女はそこへ座るなり泣きだした。母の顔を見たとたんにすべての我慢がきれてしまったのである、――母親はなにか問いかけようとした、然し思い止った風で手を伸ばし、肩を抱くようにして黙ってひき寄せた。 登女は母親の膝《ひざ》に面を俯《ふ》せ、小さなまるい肩を震わせて泣き続けた。なにもかも云ってしまおう、そして伊能とは離縁にして貰おう、……こう心のなかで叫びながら。 「泣くだけお泣き、でも、今日はお母さんはなにも聞きませんよ」 母親は娘の背を撫《な》でながら云った。 「人間はみなそれぞれ欠けた弱いところを持っているものです、夫婦というものはその欠けた弱いところを、お互いに援けあい補いあってゆくものです、――こちらが苦しい悲しい思いをしている時は、相手も同じように苦しみ悲しんでいるに違いありません、自分のことだけ考えるのでは、決して世の中に生きてはゆけませんよ」 今日は気の済むまで泣いてお帰り、四五日してまだ気持が晴れなかったら、そのときは改めて事情を聞きましょう。母親はこう云った、なにを考えるにも伊能半兵衛の妻だということを忘れてはいけません。 登女は間もなく庭に咲いている牡丹《ぼたん》を剪《き》って貰い、なにも話さずに鶴田を辞した。母の言葉を首肯《しゅこう》したのではなく、母を愕《おどろ》かし悲しませることが怖くなった、自分はすでに鶴田のむすめではなく伊能家の嫁である、これは良人と自分との問題なので、母に話すならするだけのことをしてからでなければならない、こう思ったからであった。 伊能へ帰るとちょうど昼餉だった。登女は済ませて来たからと断わり、良人の居間へいって牡丹を活けた。ひどい、あんまりひどい、そんな人だったのかしら、――幾ら拭いてもあとからあとから涙がこぼれ、手が震えるためだろう、みごとに咲いた一輪がはらはらと散った。 伊能半兵衛は三百三十石の表祐筆《おもてゆうひつ》であった。ごく温和な性質で、いつも眉の明るい顔をしている。酒も嫌いではないが余り飲まず、ひとがらも才分も極めて平凡だ。勤めの余暇には野山を歩いて、雑草を採って来ては絵に描き、それを分類して蒐《あつ》めるのを楽しみにしている。 「なに、別に目的がある訳じゃあない、こんなことが好きなんだよ」 こう云って、登女にも見せてくれたことがあった。詰らない路傍の草などを置いて、いかにも大切そうに描き写している容子は、見ていても頬笑ましく温かい感じだった。とうていそんな厭《いや》らしい秘密を持つ人のようには思えない、現実にその女と会い、その子を見たのでなければ、登女にも信じられなかったに違いないのである。 ――今夜こそ良人に話してみよう、事実をはっきりさせて、それから自分の進退をきめよう。夕餉のしたくを指図するあいだも、登女はそのことだけを繰返し自分に云い聞かせていた。 それほどの決心にもかかわらず、やはり登女には云いだすことができなかった。食事が終り居間へはいると、半兵衛は子供のように楽しげな顔で、 「明日から非番になるんでね」と、納戸から胴乱を出して来た。 「弥陀《みだ》山はもうたいてい採り尽したから、明日は用賀村へゆこうと思うんだ、彼処《あそこ》には兎山というのがあってね、ずっとむかし薬草を植えたことがあるらしい、きっと珍しいものがあると睨《にら》んでいるんだよ」 少しも蔭のない眼であった。 「もう四五年もすれば領内の草類はたいてい蒐められると思う、五年で終るとして十三年かかる訳なんだが、それまでにもし出来たら金を拵《こしら》えて、古いのでいいから本草綱目を買いたいんだ。そして正確な分類図を作りたいんだがね、これはどうも及ばぬ夢で終るらしいよ」 「そんなに高価なものでございますか」 「元はそう高くはないんだが、少ない本なんで手に入れるとなると相当な値になるらしい、全部でなくっても草穀果菜木類部だけの端本でもいいんだが、まあむずかしいね」 なんという朴直な容子だったろう。欲しい玩具《おもちゃ》が高価すぎるので、ねだることができずに諦《あきら》めている子供のような、いじらしいほどすなおな云い方である、――いや今は話せない、登女はそっと頭を振った。帰ってからにしよう、今夜はとても話せない……。 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 朝になって良人が出ていってから、登女はまた用にかこつけて家を出た。どういうことになるかわからないが、いちおう子供の始末だけはして置きたいと思った。 ――自分が欺かれ侮辱されたという気持は少しも変らない、良人に対する憎悪も烈しく燃えている。人間は信じられないものだ、あの明るい楽しそうな顔、少しも蔭のない温かな眼、人の振向いても見ない雑草を蒐め、絵に描いたり分類したりして喜んでいる、あの恬淡《てんたん》と透明なひとがらの裏にもそんな事が隠されてあるのだ、こんなにも人間は信じ難いものなのだろうか。……登女は息苦しくなるような思いで、こんなことを考えめぐらしながら菱屋へいった。 おつね[#「つね」に傍点]というその女は、登女の顔を見ると紐《ひも》の緩んだように微笑した、もう来て貰えないと思っていたものらしい、眼にも異様な敵意の光はなく、安堵《あんど》と信頼のようすをあからさまに示した。――こっちで費用を出すから子供を里子に預けてはどうか、こう云うと喜んで頷《うなず》いた。 「そうして頂けばわたしも働けますから、わたしも手放すのは厭《いや》ですけどね、おっ母さんをみなきゃならないし、観魚楼にも借りが溜《たま》ってるしするもんですから」 女は哀れなほどほっとした顔つきをした。 「――見てやって下さいませんか奥さん、松太郎っていう名なんですよ」 敷きっぱなしの寝床の中で、なにかばぶばぶ云っている子供を、女はこう云って抱き上げ、登女のほうへ差出した。登女は手を出さなかった。ほんの義理だけに覗《のぞ》いてみた、色の黒いまるまると肥えた丈夫そうな子だったが、むっとする乳の香を嗅《か》ぐと吐気のような感じにおそわれ、「いいお子ね」と云うのが精いっぱいで、すぐに身を遠ざけた。 「もうお誕生くらいにおなりなの」 「ええもう、誕生ですけど、肥っているんで負っても重くって、――名はわたしが付けたんですけどね、松太郎でいいでしょうか」 預けた先がわかったら、誰かに書いて貰って手紙で知らせるように、裏には鶴田と書くこと、そう念を押して教え、差当っての入用だけ渡して菱屋を出た。 その日は良人がおそくなる筈で、夕餉は姑と先に済ませた。今夜こそ良人に云おう、そう自分を励ましながら、片づけたあと居間で鏡に向い、化粧を直した。 ――良人はなかなか帰らなかった。用賀村へは四里くらいある、そこから更に兎山というのへ登るので、弁当も二食ぶん持っていったが、それにしても余りおそいようだ。十時の鐘を聞いたあと、姉の部屋へいってみた、萩女もまだ起きていた。 「そう、少しおそ過ぎるようですね」 「泊っていらっしゃるようなこともございますの」 「ないこともないけれど、そんなときはちゃんと断わっていきます、暢《のん》びりしている癖にそういうところはきちんとする人ですから」 「平助でもみにやらせましょうか」 「こんな時刻ではみにやってもねえ」 姑はこう云ってふと気を変えたように、 「――まあ、なにかの都合でおそくなって、その辺の百姓家にでも泊ってくるのでしょう、そういう馴染の家が二三軒あるようですから、もう閉めて寝ることにしましょうかね」 姑を寝かせて戸閉りをみて、自分も寝所にはいったが、寝る気にはなれなかった。不安な苛々《いらいら》した、どうにもおちつかない感じだ。もし帰って来たらと思って、火鉢に炭を継いだり、良人の寝間へいってみたりする、暗くして行燈の光が、敷いてある夜具と、白い枕紙とを空《むな》しく照している、登女はその枕元に座って、ぼんやり人のいない夜具を見やっていた。 ――なにか間違いがあったのではなかろうか、崖《がけ》から墜ちる、水に溺《おぼ》れる、野獣に襲われる、色いろと不吉な出来事が想像される、いやそんなことはない、もう八年も野や山には馴れていらっしゃるのだもの、今日に限ってそんな事がある訳はない、……登女は行燈の火を消して自分の寝所へ戻り、火を深く埋めて寝巻に着替えた。 夜具の中に身を横たえたとたんであった。とつぜん胸が苦しくなり呼吸が止りそうになった、すぐに起直り、両手で胸を抱いた、自分の口からもれる激しい呼吸の喘《あえ》ぎが、他人のもののように恐ろしいほどはっきり聞える。どうしたのだろう、登女は歯をくいしばった。抱えている手へ、胸の動悸《どうき》が突上げるようにひびいてくる。 ――病気なのだ、こう思ったとき良人の顔が眼にうかんだ、良人の声がまざまざと耳に聞えた。温かな眼でこっちを見ながら、良人は悠《ゆっ》くりとこう云う。 「どうも及ばぬ夢らしいね、――」 登女はああと呻《うめ》きごえをあげた。あなた、……それは病気ではなかった、良人の不幸を惧《おそ》れる本能的な恐怖なのだ、登女にとって半兵衛は、もはやかけがえのない存在になっていたのだ。あなた、――登女は口のうちでこう呼びかけながら、夜具の上にうつ伏して噎《むせ》びあげた。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 半兵衛はその夜ついに帰らなかった。明くる朝はやく、平助という下僕を用賀村へみにやった。 暗い不安な時間、登女はひじょうな後悔と苦悶《くもん》に身を揉《も》まれる、夫婦というものはお互いの欠点や弱点を援けあい補いあってゆくものだ、鶴田の母がそう云った。自分のことだけ考えるのでは世の中に生きてはゆけない。 自分は良人に侮辱され欺かれたと思った、どうして、良人とあの女との関わりは自分の知らない過去のことではないか、良人はあやまちをしたのだ、あの朴直な温かい気性の良人に、悪意と無良心でそのようなことが出来る筈はない、人間の弱さ、誘惑に対する脆《もろ》さである、もちろんそれで済むことではないが、出来てしまったあやまちは誰かが赦さなくてはならない。 こちらが苦しみ悲しんでいるときは、相手も同じように苦しみ悲しんでいる、鶴田の母はそう云った。 あの気性で良人が苦しまなかったであろうか、……まちがっていた、責めるまえに赦さなくてはならない、妻である自分がまず赦さなくてはならないのだ、自分も弱い人間なのだから――。 午《ひる》近くに半兵衛が帰って来た。百姓馬に乗って、若い農夫と平助とで、殆んど抱くように玄関へ伴れこんで来た。姑も登女もいちど蒼《あお》くなったが、半兵衛の笑う顔を見てほっと息をついた。 「足を挫《くじ》いたんですよ」 平助と妻に支えられて居間へはいると、彼はこう云って木綿で巻いた右足を出してみせた。 「珍しい草があるので、崖といってもそう高くないもんですから、つい油断をしましてね、――掴《つか》んでいた笹の根がひっこ抜けたんです、登女、おまえ済まないが礼を少し遣《や》ってあの若者を帰してくれないか、たいへん世話になったから」 登女はすぐに立って幾らか包み、出ていって若い農夫に礼を云った。 農夫の話では、昨日の夕方もう暗くなってから、草を刈《か》って帰る途中、「沢渡」という崖上の道で助けを呼ぶ声を聞いた、覗いてみると高さ七十尺あまりの崖の下で声がする、そこからは下りられないので、二十丁余りも廻ってゆき、途中で会った農夫と二人で叢林《そうりん》をかき分けていって救い出したのだという。 「すっかり昏《く》れちまってわからなくなったもんですから、いちどは朝になってからとも思ったんですが、――」 若い農夫はこう云ったあと、ちょうど狼《おおかみ》が仔《こ》を産む時期だということを思いだしたものでと附加えた。 呼ばれて来た土井|硯斎《けんさい》という外科医は、脛《すね》の骨が折れていること、五六十日は歩けないだろうし、悪くすると跛《びっこ》になるかも知れないと云った。 午後になってから、硯斎は骨接ぎの上手だという老人を伴れて来、治療をしたうえに添木を当て、繃帯《ほうたい》を巻いて、 「当分は動かさないように」と注意していった。 役所へはすぐ届けを出したが、夕方になって遠藤又十郎という同役の人が見舞いに来た。 「やれやれ、ひどいことになったものだ」 夜になって妻と二人きりになると、半兵衛は苦笑しながら深い溜息をついた。 「五六十日の保養はいいが跛になるのは厭だね、そんなにたいそうな事とは夢にも思わなかったよ」 「硯斎さまがお威《おど》しになったのですわ」 登女はかい撫でるように良人を見た。 「動かないでじっと辛抱しておいでなさるように、あんなきついことを仰しゃったに違いございませんわ」 「そうありたいものだね、おれも不自由だが、おまえを跛の妻にするのは堪《たま》らないからね」 「今夜から暫《しばら》くこちらへ寝《やす》ませて頂きますわ、宜しゅうございますわね」 「私の世話なら必要はないよ」 「いいえ」 登女はじんと胸が熱くなった。 「独りでは淋しゅうございますから、ゆうべは、――淋しゅうございましたわ」 半兵衛はそっと妻の手を撫でた。登女はそれを片方の手で押え、眼をつむってこれが自分の良人の手だ、どんなものもこの手を放すことはできない、どんなものも――祈るようにこう呟《つぶや》くのだった。 見舞い客が続いた。遠藤又十郎という人がいちばん繁く来て、元気な声で長いこと話していった。良人とは少年時代からの友で、家は三百石の番頭格であるという、やはり表祐筆に席があるが、近く勘定奉行所のほうへ栄転するような話だった。 半兵衛は彼の見舞いを喜んでいるが、姑は余り歓迎しない容子で、来てくれても挨拶に出ることなど殆んどなかった。 「この三月に結婚をしなすってから少しは堅くおなりなすったようだけれど、甘やかされた独りっ子で、たいそうだらしのないひとなんですよ、半さんなどもずいぶん迷惑をかけられているんですから、堅くなったといってもあたしには信じられません」 姑がそんな風に云っていたのを、或る夜ふと良人に話すと、半兵衛は、 「それ程のこともないんだ」と軽く笑った。 「気が弱いんでつい人に騙されたりはめを外したりしたけれど、こんどは妻も貰ったし出世の途《みち》もついたんだから大丈夫さ、誰だって穿鑿《せんさく》すれば善い事ばかりはないからね」 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] あの日から数えて七日めに、おつね[#「つね」に傍点]という女から手紙が来た。谷川村の作蔵という農家へ松太郎を預けたという、月々の手当はこれこれ、衣類の入費はしかじか、病気のときはどうとことこまかに書いてあった。 谷川村とは大瀬川が袖ヶ浦の海へそそぐところから半里ほどこちらで、鶴来山の丘陵の裾に当り、古い観音寺のあるところで名高い。登女は手紙を見て二三日のちに訪ねてみた、家は中どころの農家で、老婆に若い夫婦と作男が二人ばかりいた、土地が少し高いから、背戸へひと跨《また》ぎ登ると海がよく見える。夫婦のあいだに松太郎とひと月ちがいの女の子があって、環境も家庭もどうやら申し分がなかった。 少し訳のある子で、父親の名は知られたくないこと、なにかあったらおつね[#「つね」に傍点]に連絡することなど、よく念を押し、代りに月々のものをやや多分に半年だけ置いて帰って来た。 子供を見たためだろう、すっかり割切った積りの感情がまたかき紊《みだ》されて、哀《かな》しく暗く胸が塞《ふさ》いだ。半兵衛にもそれがわかったとみえる、つとめて笑いながら、採集のときの可笑《おか》しい思出ばなしを色いろとした。 「それからこれはまだはっきりしないんだがね、稗《ひえ》というものを知っているだろう、田のまわりによく生えて稲の邪魔をする――」 「袖ヶ浦」と登女はとつぜん良人の話を遮《さえぎ》った。 「袖ヶ浦の観魚楼というのを御存じでございますか」 半兵衛はびっくりしたように妻を見た。彼女は話をまるで聞いていなかった、そしていきなり観魚楼、――彼は疑わしげな、眉をひそめた顔で暫く妻を眺めていた。 「観魚楼というのは知っているよ、袖ヶ浦ではいちばん大きい料理茶屋だろう、どうしてだい」 「――――」 登女は良人の眼をつよく瞶《みつ》めた、然し長くはつづかなかったし、口までつきあげる言葉も云いきる勇気はなかった。 「いいえ、なんでもございません、ただ伺ってみただけですの、それだけですの、稗のお話をお聞かせ下さいましな」 「おまえ今日はようすが違うね、登女、体のかげんでも悪いのか」半兵衛の眼にはまだ疑惑の色があった。 「それとも鶴田さんへいってなにか厭なことでもあったのじゃないか」 「鶴田へわたくしが」 こう云いかけてはっと登女は口ごもった、谷川村へゆくのに鶴田へと云い拵《こしら》えてあったのだ、彼女は激しく頭を振り、けんめいに笑顔をつくった。 「いいえ、なにも、そんな、厭なことなどございませんわ、本当になんでもございませんの、ただ少し頭が痛みまして、ほんの少しですけれど」 「おやすみ」 半兵衛はいつかのように、そっと妻の手を撫でた。 「顔色もよくない、今夜は自分の寝間がいいね、早くおやすみ」 倒れてから二十日ほど経って、半兵衛は表祐筆の役を解かれた。これはまったく意外な出来事であった。表祐筆の支配は岩沼久左衛門という人だったが、この六月に退任することに定まり、半兵衛がその後任に推されていた。同僚はいうまでもなく、関係方面すべてがこれを承認していた、その期日を目前にして急に解職されたのである。 どうしてだろう、半兵衛はともかく、姉の萩女の落胆はひどかった。支配の交代は七年と定まっているし、重任の例もあるから、この機会を失えば当分はその望みがない、然も単に支配になれないばかりでなく役目さえ免ぜられてしまったのだ。 「貴方《あなた》が詰らない道楽にお凝りなさるからですよ」 萩女はやがて半兵衛にまで不平を向けた。 「訳のわからない草を集めたり絵に描いたりして、お役目を疎《おろそ》かにしていると思われたに違いありません」 「そんなばかなことはありませんよ」 半兵衛は笑った。 「非番のときは誰だって碁を打つとか魚釣りにゆくとか、それぞれなにかしら道楽があるものです。私だけじゃないんですから、きっとなにかお上の御都合なんですよ」 然しそれから間もなく、支配の岩沼久左衛門が夜になって訪ねて来た。もう六十ちかい小柄な老人で、喘息《ぜんそく》があるとみえ、頻《しき》りに苦しそうな甲高い咳《せき》をする、登女は茶を運んでから隣りの部屋に座っていたが、「名は云わぬがやがてわかるだろう」とか、「まったく悪意を以《もっ》て」とか、「讒誣《ざんぶ》にしても余りに」などという言葉が聞えた。 誰かが良人を讒言《ざんげん》したという意味らしい、然し半兵衛はいつもの穏やかな声で、「なにどうにかなりましょう」とおちついた応待をしていた。――そのうち話が草本|蒐集《しゅうしゅう》のことになったようすで、暫くすると良人の呼ぶ声がした。登女はすぐに立っていった。 「絵の入っている箱を持って来てくれ、上から順に三つだけでいい」 云われたとおり運んでゆくと、久左衛門は説明を求めながら絵を見はじめた。それから半刻《はんとき》ほど和やかな話しや笑い声が続き、半兵衛は殊に楽しそうだった。 「これは道楽で片づけるようなものじゃない」 久左衛門は幾たびもそう云った。 「いや驚いた、こんなに丹念なものとは――」 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 梅雨が明けて暫くすると、退任した岩沼久左衛門のあとをうけて、遠藤又十郎が支配に任命されたことがわかった。 彼は勘定奉行のほうへ栄転すると思われていたので、この異動はかなり人びとを驚かした。当の又十郎にも意外だったとみえる、久しぶりに訪ねて来た彼は頻りにそのことを云った。 「なんだか伊能の席を横取りしたようで気持が悪くてしようがない、まるで想像もしなかったし、勤まるかどうかも見当がつかない」 「仮にもそんな弱音を吐いてはいけない」 半兵衛は改まった調子で云った。 「それだけのちからがあるから選ばれたんだ、自信をもつんだ遠藤、これで本当に一生が定まるんだぞ、いいか、こんどこそ確《しっか》り腰を据えて、本気になってやってくれ」 「そうは思うんだが、ずいぶんぐうたらな事をして来ているんでね」 又十郎は気弱そうに溜息をついた。 「これまでの同僚が、おれを支配として受|容《い》れてくれるかどうかさえ」 「遠藤、――」 半兵衛が低く鋭い声でこう遮った。 「ひと言だけ云って置く、やるだけさんざんやったんだ、今では妻もある、いいか、ここで本気にならないと取返しはつかないぞ、過ぎ去った事はすっかり忘れていい、これからが勝負だ、自信をもって堂々とやれ、いちばん強いのは本気だということだ」 登女はそのとき隣りの部屋にいたが、良人の言葉のきびしい調子にどきっとした。曽《かつ》ていちども聞いたことのない、じかな、彫刀を入れるような鋭い響きが感じられた。 裏には意味がある、登女はそう思った。過去の事はすっかり忘れていい、これからが勝負だ。それは自分の悔恨をも含めているのではないだろうか。人間は弱い、あやまちを犯し失敗を繰返す、傷つき泥まみれになる、然しその血を拭い泥を払って、幾たびでも強く立直るちからも持っている、……そういう意味をこめて云ったのではなかろうか。生きてゆくことの複雑さ、人の心の味わい深い翳《かげ》、登女はそういうものを覗いたように思い、じんと胸の温かくなるのを覚えた。 五十日まで待たずに半兵衛は起きた。幸い跛にもならず、秋風の立つ頃には駈けても跳んでも差支えないと云われた。待ち兼ねたように、すぐさま彼は山あるきを始めた、萩女はちょっと色をなしたが、半兵衛はまじめな顔で、 「こんどはもう道楽じゃありません」と云った。 「無役だからといって遊んでいては申し訳がありませんからね、こんどはなにかのお役に立てる積りでやるんですよ」 「子供のようなことを仰しゃるのね、そんなことがなんのお役に立つんですか」 「それは私にもわかりませんがね」彼は軽く笑った。「草ばかりでなく樹類や菜類や獣類や鳥類や魚類虫類まで、領内にあるものをすっかり調べようと思うんです、一人くらいそんな事をする人間がいてもいいじゃありませんか」 萩女は呆《あき》れて眼を瞠《みは》ったが、それ以来なにも云わなくなった。 登女は月にいちどずつ谷川村を訪ねた、子供は丈夫に育ち、這《は》うようになり立つようになった。農家のことで釜戸《かまど》や炉の煙に燻《いぶ》されるのだろう、色はますます黒く、固ぶとりに肥えたまるい顔で、きゃっきゃっとよく笑った。登女はかくべつ愛情も感じないが、はじめのような反感や嫉《ねた》みの気持は薄らいでゆき、ときには背戸の丘へ抱いていって海を見せたりすることもあった。 岩沼久左衛門が冬のかかりに三度ばかり訪ねて来た。三度めには老職の宇野|蔵人《くらんど》という人と一緒で、二刻もかかって草本図録を見たり、半兵衛の話を聞いたりしていった。 それからは宇野老職が独りで来るようになり、年が明けると粕谷図書《かすやずしょ》という人を伴れて来て紹介した。そのときのことであるが、二人が帰ったあとで半兵衛が、 「へんなことになりそうだよ」と、登女にだけ云った。 「粕谷という人は千石の大寄合で、藩政監査のような役にいるんだが、こんど殿さま直轄で私の席を設けて下さると云うんだ、もちろんまだ確定した訳ではないから母上には内証だが」 いかにも楽しそうな笑顔だった。 「林野取調べというような名で、下に四五人つかえるらしい、草木鳥獣菜魚の種類や分布や移動などを調べるんだ、実現すれば祐筆支配などよりやり甲斐《がい》がある、瓢箪《ひょうたん》から駒の出たような話だがね」 三月になって領主が帰国すると、半兵衛は物頭格でお側へあげられ、文庫の中に部屋を貰った。とりあえず三人の若侍がその部に附き、役料五十石のほかに領主から年々二十両ずつの手当が出ることになった。 「なが生きをすると色いろなことを見るものですね」 姑は喜んでいいか歎いていいかわからないという風に頭を振った。 「さむらいが雑草だの木だの毛物などを調べて、それでお役に立つなんて訳がわかりません、お父上がいらしったらなんと仰しゃるでしょう」 然し萩女は眼にみえて元気になり、家ぜんたいが戸障子をあけ放したように明るくなった。 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 八年も独りでこつこつやって来たことが、公けに認められて前例のない役が設けられ、部下を使って思うままに仕事が出来る、どんなに本望だろう、登女もこう思って充実した楽しい気持で日を送った。 それにも拘《かかわ》らず半兵衛のようすが少しずつ変ってきた。三月いっぱいで準備を終り、四月になると山あるきを始めたが、彼は冴《さ》えない顔色で、ふと眉をひそめたり溜息をついたりする、いかにも屈託のあるようすで、夜中に独り言を云ったり、沈んだ眼でじっと壁を眺めていることなどが多くなった。 ――どうしたのだろう、新しい仕事になにか支障でも起こったのではないだろうか。 登女は理由を訊くわけにもゆかず、側からできるだけ気をひきたてるようにし、劬《いたわ》り慰めるより仕方がなかった。――四月初旬が過ぎた一日、良人の出たあとで登女は谷川村へいった。その頃はひと月にいちどずつ訪ねる彼女を覚えていて、顔を見るなり子供は声をあげて喜ぶようになった。その日も二た誕生には少し間があるのに、登女をみつけると舌足らずになにか叫びながら、よちよちこっちへ駈けて来た。 「危ない危ない、駈けてはだめだめ」 登女はこう云いながら走り寄っていって抱き上げた、ひなたの匂いと汗臭さでむっとするようだ、ますます黒くなったおでこが、熟れた栗の皮のように黒光りに光っている。 抱かれるとすぐに、 「うみよ、うみよう」 こう云って躯《からだ》を捻り、背戸のほうへ手を伸ばす、向うで女の児を負った老婆が笑っているのへ、登女はちょっと会釈して、子供を抱いたまま背戸へまわった。 一段のぼったところが梨畑になっている。春に来たときはみごとに咲き競っていたが、今は葉がくれに指の尖《さき》ほどの実がみえる。その梨畑の端に立つと、低くなってゆく畑地や林のかなたに袖ヶ浦の海が眺められた。 「まあぼううみいった、うみいったよ」 子供は頻りにこう饒舌《しゃべ》る、両手で登女の頬を挾《はさ》んで、口と口を付けるようにして繰返す。 「じゃぶじゃぶ悪いよ、おっかけたよ、うなだんだよ」 「ほらほら見てごらん」 登女は子供の手から顔を離し、抱き直して海のほうへ向ける。 「あんなに青い海、きれいだわねえ、――」 こう云ったとき、うしろに人の近づいて来るけはいがした。老婆が来たのだろうと思って振り返ると、ついそこに良人が立っていた。 半兵衛の顔は白くばっていた、眼には明らかに苦痛の色があった。登女は「あ」と口のなかで叫び、身ぶるいをした。半兵衛は静かに近寄って来た、感情を抑えたぎこちない身振りで子供を覗き、「丈夫そうな子だね」と、喉《のど》へつかえるような声で云った。 「四つくらいにみえるじゃないか、松太郎という名だそうだね、――云ってくれればよかったんだよ」 登女にはまだ口がきけなかった。 「いつまでこんなことにして置くのはよくない」 半兵衛は低い声で続けた。 「だいぶ噂《うわさ》にもなっているらしいしね、なんとか方法を考えようじゃないか、私に出来るだけのことはするよ」 「でも、――」 ようやく登女は云った。 「わたくしはもう暫くこのままのほうが宜しいかと存じますけれど」 「知れないうちならいいが、かなり噂が広がっているらしいからね、母の耳にでもはいったら、――あの気性だから事が荒くなると思うんだ、今のうちなんとかするほうがいいよ」 「なにか御思案がおありですの」 「おまえには辛いかも知れない、事情もよくわからないが、相手の人に引取って貰うよりほかにないと思う、――登女は伊能の嫁になったんだからね、どういう人か知らないが、いつまでおまえの手を煩わすというのは」 登女はなかば叫んで良人の顔を見直した。 良人は思い違えている、それもひじょうな思い違いだ、登女は舌が硬ばるほど感情が昂《たかぶ》った。 「お待ち下さいまし、仰しゃることがよくわからなくなりました、相手の人というのはどういう意味でございましょうか」 「登女、もう隠すことはないよ、私は少しも責めているんではないんだ」 「なにを責めると仰しゃるんですの」 登女は額から蒼くなった。 「貴方は、――この子が、誰の子か御存じなのですか、この子が貴方のお子だということを御存じなのですか」 半兵衛は、あ、というように口をあいた。 「去年の五月まだ嫁入って十日あまりにしかならない日から、わたくしまる一年のあいだ出来るだけのことをしてまいりました、おつね[#「つね」に傍点]という方にも貴方の恥にならないだけのことは致した積りです、このお子だっていつかは」 「登女、お待ち、まあ待ってくれ」 半兵衛は強い眼で妻を見た。 「これが私の子だって、私の、――それはどういうことなんだ」 「申し上げても宜しいでしょうか、この子は貴方が観魚楼のおつね[#「つね」に傍点]という方にお産ませなすったお子ですわ、あのひとは母親を抱えていらっしゃる、このお子があってはやってゆけないからと、わたくしを頼っていらしったんです」 「観魚楼だって、おつね[#「つね」に傍点]だって――」 半兵衛はなお強く妻を見た。 「いったい登女はなにを云う積りなんだ、頼むからわかるように話してくれ」 [#6字下げ]八[#「八」は中見出し] 半分は泣きながら登女が話した。 彼は聞き終っても暫く黙っていた、余りに事が意表外で、ものが云えないという感じだった。然しやがて彼はべそをかくように微笑した。 「それで、登女はそれを信じたんだね」 「――本当ではなかったのですか」 「その子を置いておいで」 半兵衛はこう云って歩きだした。 「表の道で待っている、一緒に観魚楼へゆこう」 二人は袖ヶ浦へいった。観魚楼は二階造りの大きな料亭で、広い庭がすぐに海へ続いている、とおされた座敷からも、松林をとおして汀《みぎわ》へ白く波のよるのが見えた。 「おつね[#「つね」に傍点]という女中がいたら――」 半兵衛がこう云って呼ぶと、女はすぐに来て廊下へ手をついた。もう座敷へは出ないのだろう、くすぶったみなりで髪もほつれ、汚れた太い指をしていた。 「おまえおつね[#「つね」に傍点]というんだね」 半兵衛はそっちへ向き直った。 「――こっちをごらん、ここにいる人を知っているか」 おつね[#「つね」に傍点]は眼をあげて登女を見た。汗をかいて赤くなっている顔に、ふと鈍い微笑がうかび眼が動いた。 「はい、知っています。伊能さまの奥さまです」 「では、私を覚えているか」 半兵衛は穏やかにこう云った。 「覚えていたら遠慮なく云ってごらん」 登女はじっとおつね[#「つね」に傍点]の表情に見入った。どんなに微《かす》かな感情の動きをもみのがすまいと思って。おつね[#「つね」に傍点]はまじまじと半兵衛を眺め、意味もなく笑いをうかべた。 「どなたさまでしょう、御贔屓《ごひいき》になったかも知れませんけど、あたし頭が悪いもんで」 「じゃあ、伊能半兵衛という者を覚えているか」 「――ええ」 おつね[#「つね」に傍点]はふと怯《おび》えたように登女のほうへ眼をはしらせた。 「――知ってます」 「私を伊能半兵衛だとは思わないかね」 おつね[#「つね」に傍点]はけげんそうに首を傾げた。なにを云われたかわからないらしい、半兵衛は登女を見た、彼女の眼には涙があふれていた。 「伊能半兵衛というのは私だ」 彼は穏やかにこう云った。 「おまえは伊能が松太郎という子の父親だと云って、ここにいる妻の世話になったそうだが、今でもその子の父親が私だと思うかね」 「違います、貴方は伊能さんじゃありません」 「然し伊能というのはほかにはないんだよ」 半兵衛は女を励ますように云った。 「いったいそれはどんな男だったんだ、なりかたち、着ていた物、覚えていたら云ってごらん」 おつね[#「つね」に傍点]は愚鈍なくらい正直な眼で、座敷の一隅を眺めながら考えこんだ。 だが登女はもう殆んどその問答を聞いていなかった。激しい火のような感情が胸いっぱいにふくれあがり、声をあげて叫びたい衝動に駈られた。松太郎は良人の子ではなかった。良人はこの女とはなんの関係もなかった、なにもかもまちがいであり誤解だったのだ。 ああ、登女はとつぜん立って廊下へ出た、そして連子窓《れんじまど》のあるつき当りまでゆき、袂《たもと》で面を掩《おお》って噎《むせ》びあげた。悲しみも苦しみも煙のように消えた、一年のあいだ胸を塞いでいたものがきれいに洗い去られ、たとえようのない幸福感が全身を包む、今なら良人に子のあることを認めてもいいような幸福感だった。 「泣くことはないじゃないか」 半兵衛が来てそっと肩へ手を掛けた。 「わかったのだろう」 「――はい」 「私の名を偽った人間も見当がついた、あの女は仏のように正直なんだね、まるで疑うということを知らないらしい、――もっとも登女だってあの女の云うことをいきなり信じたんだからな」 半兵衛は軽く笑った。 「云えばよかったんだよ、いちばん初めにさ」 「貴方も思い違えていらっしゃいましたわ」 登女は涙を拭きながらこう云った。 「あの子供をわたくしの隠し子のように仰しゃったではございませんの」 ああそうかと半兵衛は苦笑した。彼の話は登女には意外であった、――彼女が伊能へ来るまえに、不義の子を産んで里子に預け、今でもひそかにその子に会いにゆく、こういう噂があるということを以前の同僚から聞いた。もちろん信じられなかったが、ほかの事とは違うので、幾たびも考えたのちとうとう慥かめに来たのだという。 「では、――暫くまえから沈んだようすをしていらっしったのはそのためでしたのね、ああ」 登女は感情のあふれるような眼で良人を見た。 「わたくしたち、二人ともずいぶん危ない道を通りましたのね」 「殊におまえは一年ものあいだね」 半兵衛も妻の眼を思いふかげに見まもった。 「――だが事実がわかってみれば悪くはない経験だったよ、ほかの夫婦なら五年も十年もかかるところを、僅かな期間でこんなに深くお互いを知りあえたんだからね」 登女は良人の眼をみつめたまま、大きく静かに肯《うなず》いた。 [#6字下げ]九[#「九」は中見出し] せっかく来たのだからと、二人はそこで昼食をとり、少し休んで観魚楼を出た。 やや強い風のしきりに吹き渡る野道を帰りながら、登女はまだ幸福に酔っているような気持で、一年の月日を回想し、自分の苦しみが決してむだでなかったことを思った、自分は今こんなにも深く、ぎりぎりいっぱいに良人を理解し愛することができる、こんな日が来るとわかっていたら、もっと苦しんでもよかったとさえ思った。 城下へはいる前で登女と別れた半兵衛は、城へ上って表祐筆の部屋へゆき、遠藤又十郎を呼び出した。 「暇はとらせないからちょっと来てくれ、話があるんだ」 彼はさりげなく云った。 「潮見櫓《しおみやぐら》のところで待っているよ」 又十郎はすぐにゆくと答えた。潮見櫓は城の東南の端にあり、周囲が松林になっている、又十郎はおちつかない容子でやって来た。半兵衛は黙って石垣のところまで歩いてゆき、振り返ってじっと相手を見た。 「遠藤――おれとおまえとは少年時代からの友達だね、これまでおれは苦いことはいちども云わずにつきあって来た、だが今日は云わなければならないことがある」 「たいがい察しがつくよ」 又十郎は虚勢の笑いをうかべた。 「おれが伊能を讒誣して、祐筆支配の席を横領したということだろう、あれには少し訳があるんだ、事情を話せばきっと」 「いや、そんな事はどっちでもいい、おれのことならいいんだ、友達だからな、然し、――罪もない女を泣かせてはいけない。茶屋女などを騙し、子供まで産ませて、そのまま捨ててかえりみないという法はない、それだけはよくない」 「そんな――」 又十郎の額がさっと白くなった。 「そんなばかな、そんな、………それこそ誹謗《ひぼう》だ、おれにはまるで覚えのない」 半兵衛の右手がとんだ、又十郎の頬がぴしりと鳴り、上体がぐらっと傾いた。半兵衛は左手でその衿《えり》を掴み、もう一つ力まかせに平手打ちをくれた。 「おまえは伊能半兵衛の名を騙《かた》った、女はそれを信じて、嫁に来たばかりのおれの妻のところへ、子供を負って泣き込んだ、おれの妻が、どんなにひどい打撃をうけたかわかるか、――妻は今日まで、おれの産ませた子供だと思って、里子にやって面倒をみて来た、するときさまはこんどは、おれの妻に不義の隠し子があるという噂をふりまいた、……遠藤、おれはむかしからきさまの尻拭いをして来た、もうたくさんだ、こんどは自分で始末をしろ、わかったか」 又十郎はぶるぶる震えながら頭を垂れた。半兵衛は掴んでいた衿を突き放し、つきあげてくる怒りを抑えながら、踵《くびす》を返してそこを去った。 然し二十歩ばかり来て振り返った、又十郎は頭を垂れたまま立ち竦《すく》んでいる。すぼめた肩、………蒼くなった横顔、――半兵衛は舌打ちをした。なんといういくじのない奴だ。思いきってゆこうとする、然し彼には出来ない、半兵衛は不決断にあとへ戻った。 「子供はあの女が松太郎という名を付けた」 半兵衛は脇を見たまま云った。 「よく肥えた眼の大きな、丈夫そうないい子だ。谷川村の作蔵という百姓の家に預けてある、――ああ、おまえは妻の訪ねる姿を見たんだから知っている筈だな、なるべく早くいってやれ、そして折をみて妻女にすっかり話すがいい」 「――――」 然し又十郎はくしゃくしゃに歪《ゆが》んだ顔でこっちを見た。 「そんなことをあれが承知するだろうか」 なんという哀れな弱いやつだ。又十郎の顔を見ながら、半兵衛は殆んど涙ぐましくさえなってきた。 「嫁に来て十日あまりにしかならないおれの妻でさえ、おれに隠して面倒をみたじゃないか、本当に後悔した気持で話してみろ、二年も夫婦ぐらしをして来たんだ、おまえが本気ならきっと赦してくれるよ」 彼は又十郎の肩へ手を置いた。 「――知っているのはおれ独りだ、妻にさえおまえの名は云わずにある、遠藤、………これ限りだぞ」 「勘弁してくれるんだね」 又十郎はこっちを見た。そのとたんにぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。半兵衛は頷《うなず》いて、その眼をやさしく見ながら、労《いたわ》るようにはたはたと肩を叩いた。 「元気を出してやれ、これが片付けばよくなる。但しもう懲りろよ」 すがすがしく洗われた気持で又十郎と別れた、松林にはしきりに風が渡っていた。 底本:「山本周五郎全集第二十一巻 花匂う・上野介正信」新潮社 1983(昭和58)年12月25日 発行 底本の親本:「講談雑誌」 1948(昭和23)年6月号 初出:「講談雑誌」 1948(昭和23)年6月号 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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Special skill 特技【とくぎ】 『4』のみに登場するシステムの一つで、女性キャラが最初から持っているものと主人公が習得するものに分けられる。 なお、他作品では単なるプロフィールの一部分である。 キャラクターの特技 こちらはキャラが主人公に何らかの影響を与える必殺技みたいなものである。 特技の中にも「プラス特技」と「マイナス特技」というものがあり、 プラス特技の場合は主人公と対面して発動すると、パラメータが若干上がったり、沈んだやる気を復活させたりする。 マイナス特技は体調を下げたり、やる気を最低にしたり、他キャラの傷心度を上げたり、装備している特技を一つ外したり、下校イベント時限定ではあるものの下校の誘いを無視されたりと、主人公にとっては一部を除き結構迷惑極まるものである。 プラス特技は主人公が真理の解明術を実践していないとその恩恵にあずかる事は出来ないが、マイナス特技は通常の状態でも発動されてしまうという点でも、マイナス特技のデメリットが目立ち厄介である。 キャラクター名 特技名 特技説明 星川真希 真希の笑顔 遭遇時に30%の確率で主人公の体調が6P上がるプラス特技 語堂つぐみ つぐみの文学 遭遇時に30%の確率で主人公の文系が3P上がるプラス特技 ツン 遭遇時に15%の確率で主人公のやる気を「さいあく」にするマイナス特技 龍光寺カイ カイ流闘魂術 遭遇時に30%の確率で主人公の根性が3P上がるプラス特技 眼力 遭遇時に15%の確率で主人公の体調が5P下がるマイナス特技 郡山知姫 知姫の知性 遭遇時に30%の確率で主人公の理系が3P上がるプラス特技 強制サプリ 遭遇時に15%の確率で主人公の体調が5P下がるマイナス特技 柳冨美子 なごみ冨美子 遭遇時に30%の確率で主人公の病気・ケガ・ノイローゼが回復するプラス特技 エリサ・D・鳴瀬 エリサ上々 遭遇時に30%の確率で主人公のやる気が「さいこう」になるプラス特技 前田一稀 一稀パワー 遭遇時に30%の確率で主人公の運動が3P上がるプラス特技 俊足 声かけモード登場時に90%の確率で前田が一瞬で退場してしまうマイナス特技 響野里澄 里澄の感性 遭遇時に30%の確率で主人公の芸術が3P上がるプラス特技 ノイズキャンセル 声かけモード登場時に100%の確率でボタンを押しても主人公を無視してしまうマイナス特技 皐月優 優秀の美 遭遇時に30%の確率で主人公の容姿が3P上がるプラス特技 高貴 遭遇時に20%の確率で主人公が実践中の特技を強制的に一つ外してしまうマイナス特技 大倉都子 傷心度上昇 遭遇時に50%の確率で他キャラの傷心度を10P上げてしまう友好時限定のマイナス特技 この中で一番ありがたいと思えるのはエリサの「エリサ上々」、逆に一番厄介なのは皐月の「高貴」だろう。 都子の場合他キャラの傷心度がアップするのはキツイが、これは友好時限定の特技であり普通時・ときめき時には特技はプラス・マイナス共に無い。 何にしてもマイナス特技を持っているキャラを攻略したい場合には、無効化する特技・心の開錠術を最優先で習得して装備した方が良い。 特に語堂・皐月のどちらかが登場しているなら、確実に装備すべきである。 龍光寺・郡山については本人を狙っているのでなければ、オリジナルブレンド紅茶等で十分対処可能だろう。 一稀・里澄は声掛けが出来ないだけなので大きな問題にはならない。 都子の特技は一見強力だが、都子自身は爆弾の影響を受けないため、単独攻略であれば無視できる。 主人公の特技 主人公の特技は、日々溜まっていく経験を使って学期始めに付け替えることができる。 特技は様々な効果を持ち、上記のマイナス特技を無効化するものや主人公の能力アップ補助などがある。 また、デートをしているだけで能力が上がっていったり、卒業式の日に自分から告白できたり等、とんでもない特技もある。 中には戦闘背景が代わるものや立ち絵が水着姿になるものなど妙なものも含まれており、攻略上は特にメリットはないので、他の役に立つ特技を装備した方が良いが、妙に背徳的な雰囲気を味わいたければ実践してみるのも一興だろう。 また、特技は掛け合わせ可能で、同一の能力があがる特技をセットすると一気にパラメータを上げる事も可能となる(詳しくは各特技の項にて)。 なお、一夜漬けや女神の加護等といったパラメータ上昇率アップ系を掛け合わせると、とんでもない伸び率を示すようになる。 参考として下記動画を紹介しておく。 +運動 運動 経験値 特技名 10 基礎体力、反射神経、根気力、病弱、抗ノイローゼ 20 頑強、抗ウイルス、運動センス、ガテン系、不屈の根性、ストレッチ術 30 精悍、絶ウイルス、スポーツマン、部活の鬼、信念、復帰術、絶ノイローゼ 40 タフガイ、格闘家魂、水神、運動部エース、独立独歩 50 運動スター、リフレッシュ術 +コミュニケーション コミュニケーション 経験値 特技名 10 語彙センス、協調性、パフォーマー、お笑い好き、爽やかな挨拶、情熱、人見知り 20 盛り上げ巧者、社交性、三顧の礼 30 会話ソムリエ、八方美人、リーダーシップ、華麗な挨拶、エスケープ 40 カウンセラー、火消し名人、平和主義、ときめく挨拶、虚仮の一念、心の開錠術 50 ボマー、友情の誓い、ステルス +学問 学問 経験値 特技名 10 読み書き、論理的思考、感受性 20 祐筆、学者肌、数学センス、芸術センス、芸術家肌 30 英会話、文才、科学的訓練、理学博士、表現力、芸術の閃き 40 機械工作、バイリンガル、文豪、文化部エース、アーティスト 50 文化部大御所 +課外活動 課外活動 経験値 特技名 10 マナー、甘党、情報通、節約上手 20 休日の鬼、おしゃれ上手、男の手料理、バイト達人 30 伊達者、女子力、アウトドア派、インドア派、流行センス、バイト超人 40 休日の神、フェロモン、フェミニスト、自分探し、サバイバル、ゲーマー、模倣成長、仕事術 50 祝福、遊びの王 特殊 原付免許、中型二輪免許 +その他 その他 経験値 特技名 10 超・能力、朝型、夜型 20 強さの見極め、守護霊、直感、モラリスト、計画性、一夜漬け 30 野生の勘、奉仕精神、多芸 40 Yの魔眼、女神の加護、精神統一、清廉潔白、堅実性、火事場力 50 終末思想、悟りの境地、大器晩成、鉄板 60 万能、全能 +上位特技 上位特技 経験値 特技名 1 告白する勇気 10 黒幕 40 真理の解明術 60 不断の精神力 80 優等生、文武両極道 100 火消しの匠、妄想具現化 関連項目 システム 経験
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グレートネイチャー(学園の狩人 レオパルド軸) グレートネイチャー(学園の狩人 レオパルド軸) 主なカードキーカード サポートカード デッキレシピ醒投入型 ☆型 コメント 戦術 このデッキの弱点 このデッキへの対抗策 外部リンク 主なカード +... キーカード 学園の狩人 レオパルド このユニットのヴァンガード候補。 ヴァンガードへのアタック時に任意のユニットのパワーを4000上げ、エンドフェイズ時に退却させる事ができる。 LBはその退却効果のサポートができるドロップゾーンからRへのスペリオルコール効果。 鉛筆英雄 はむすけ 鉛筆騎士 はむすけ 鉛筆従士 はむすけ エンドフェイズ時の退却で同名カードをサーチできる。パワーパンプのついでにデッキ圧縮が行えるユニット。 G1のはむすけはシールド5kガードが増える分得するが、枠が厳しい G2のはむすけは枠の競合は少なく、レオパルドのLB発動時にはG1同様ガードが増えるが、パワーが低く、ライン作りに貢献し難い。 G3のはむすけはラインが作りやすいが、ライドしてしまった場合にバニラユニットとなる。効果によってガード値は増えないが、フラフープ・カピバラのコストや完全ガードのコストとして処理できるためそれらとは良相性。 ボーカル・チキン ピアニカ・キャット リコーダー・ドッグ エンドフェイズ時の退却で指定のカードをサーチ、コールできる。レオパルドのLBと合わせるとサークルに空きが有った場合場アドを稼げる。 はむすけと比べると、全グレードに指定のカードを入れないといけないので構築を圧迫しやすいが、 基本パワーが高いので奇形ラインを作る心配は少ない。 サポートカード グレード3 武装教官 バイソン レオパルドと似たような性能。Vに乗っても大きな問題が生じない。 カリキュレーター・ヒッポ マグネット・クロコダイル アタック時12kとなれるユニット。9kブーストが居無いクランなのでリア殴りに役立つヒッポの方がやや優勢か。 グレード2 コンパス・ライオン 11kユニット。効果での退却はレオパルドのLBやはむすけなどと併用することでメリットにすることもできる。 バイナキュラス・タイガー ヴァンガードへのアタック時に任意のユニットのパワーを4000上げ、エンドフェイズ時に退却させる事ができる。 退却効果をレオパルドだけに頼ってしまうとこれや、コンパスライオンもいくらか積んでおくとエンドフェイズ時退却誘発の効果が使いやすくなる ジオグラフ・ジャイアント バニラユニット 爆発科学者 ぶんた 早期LB発動の他、ヒールでのLB阻害の抑止、デッキのトリガー率を上げる等、働きは多岐にわたる。 グレード1 ケーブル・シープ 完全ガード シルバー・ウルフ バニラ。g2はむすけのパワーが8000なのでそれとのパワーライン形成には役立つ。 ぐるぐる・ダックビル エンド時退却に1ドローを付与する効果。ブースト値も7000とまずます。 チクタク・フラミンゴ エンド時退却にCB回復を付与する効果。直接的なアドではダックビルの方が勝る。 スタンプ・ラッコ 効果によって退却しないユニット。 序盤からレオパルドやモノキュラスタイガーの効果を使っていけるが、レオパルドのLBも使えない。 退却させるユニットにはむすけやダックビルの効果を付けないならばCBを使わない分得。 ―トリガー考察 ☆…星を振った時だけバイナキュラスタイガーの効果を使うというようなこともできるので、好相性。 醒…自身に効果を使ったモンキー・ルーが居ないと場合引くかどうか分からない醒に賭けて既にアタックしたユニットをパンプ+退却させないと、特別なメリットは得られない。レオパルドの効果がVRRでアタックするのに向いているので、相性はかなり悪い。 引…☆が2種類しかないので必然的にデッキに入る。10kVなので15k要求されやすく、5kガード札を切る機会も多い。ダックビルの素引きがあるのであまり多く採用するのはやや難があるか。 治…レオパルドのLBを阻止するタイミングで引くこともあるので、重要度は他のデッキと比べるとやや低いが、速攻するデッキでも無いので外す理由としては弱い。 デッキレシピ 醒投入型 前列のユニットをバイナキュラスやレオパルドの効果に指定し、スタンドを狙う。 G ユニット 枚数 備考 0 ブラックボード・オーム 1 FV トライアングル・コブラ 2 カスタネット・ドンキー 4 イレイサー・アルパカ 3 アラーム・チキン 3 ディクショナリー・ゴート 4 1 シルバー・ウルフ 2 ぐるぐるダックビル 3 チクタク・フラミンゴ 3 ケーブル・シープ 3 鉛筆銃士 はむすけ 4 2 コンパス・ライオン 2 バイナキュラス・タイガー 4 鉛筆騎士 はむすけ 4 3 学園の狩人 レオパルド 4 鉛筆英雄 はむすけ 4 ☆型 後列のユニットをバイナキュラスやレオパルドの効果に指定する。トリガーが無駄になりにくい。 G ユニット 枚数 備考 0 ガーデニング・モール 1 FV トライアングル・コブラ 4 ルーラー・カメレオン 4 カスタネット・ドンキー 4 ディクショナリー・ゴート 4 1 ぐるぐるダックビル 4 ケーブル・シープ 4 スタンプ・ラッコ 3 鉛筆従士 はむすけ 4 2 コンパス・ライオン 3 ジオグラフ・ジャイアント 4 バイナキュラス・タイガー 4 3 学園の狩人 レオパルド 4 無双祐筆 ポンガ 3 コメント デッキの編集議論に。雑談をする場合などは共有掲示板をご利用ください。 ☆型のFVドングリマスターの方が良いのでは? -- 2012-12-28 23 42 42 G3引く自信あるならオームが良いな -- 2013-01-09 00 36 15 ☆型1枚多い。ヒッポ4抜いてアリゲーター3入れてもいいかも。あと、はむすけをG1バニラにしても良いかも -- 2013-01-27 16 11 52 ○○バニラってどういう意味なんですか? -- 2013-04-13 10 07 37 バニラ=遊戯王のノーマルの色がバニラ色だったから、効果なしってことだよ -- 2013-05-04 20 42 25 ☆型のデッキ総数51枚になってませんか? 気のせいならすみません -- 2013-05-29 01 57 46 ボーイングリヴァ~スに対してスタンプラッコつよくね? -- 2013-06-14 17 49 39 ちなみにクリスはクリ8スタ4治4だ。詳しくはケロA2012年8月号参照。3のハム太郎はいらん。完ガ用とはいえども、レオパルド4積みしてるとさすがに手札に余るからそれ使え。はむをクロコダイルにクリスはしてる。 -- 2013-07-14 21 17 30 今の時代、完ガ4積み基本。クリティカル増えるやつ増殖しつつある。まったく、なんでもかんでもクリティカル増やしゃあいいと思いやがって・・・ぶつぶつ -- 2013-07-14 21 21 48 ↑の意見に同意、☆意外になんか面白い効果ふえないかな~( ̄▽ ̄;) -- 2013-07-27 12 16 25 コメント すべてのコメントを見る 戦術 このデッキの弱点 このデッキへの対抗策 外部リンク カードファイト!! ヴァンガード Wiki カードファイト!! ヴァンガード 共有掲示板