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日本テレビ系列 日本テレビ 終了済み ローカルセールス メレンゲの気持ち スポンサー情報 メレンゲの気持ち 2020年1月~20年3月 メレンゲの気持ち 2020年4月~20年6月 メレンゲの気持ち 2020年10月~20年12月 メレンゲの気持ち 2021年1月~21年3月
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最近、楓の視線が痛く感じる。いつもの細めを見開いた状態にしてじっと見ていた。 まるで獲物を狩るライオンかトラのような目つきである。 「どうした龍宮」 刹那に声をかけられて一気に現実に引き戻された。それを見てなのか楓は振り向いて廊下を歩いていく。 気にならないわけではないが、その目は何かを訴えるような目をしている。 「いや、なんでもない」 真名にはその感覚が別の何かであることを知っている。 いや、知っているからこそ表に出したくないことなのだ。 「龍宮さん、この本お願いしますね」 「分かった」 その日はネギに魔法関連の本を探すように頼まれた。 図書室に入ってその本を簡単に見つけることが出来てすぐにでも帰ろうとした時。 「楓……」 「そこにいたでござるな」 話によればさらに追加の本があってたまたま近くに居た楓に頼んだと言うことだ。 別に一緒に探してくれるのは嬉しかったのだが、やはり目は閉じていてもあの視線の感覚だった。 本を探し終えると真名は一刻も早くこの場から去りたかった。 どうしてもあの視線が苦手で、そしてその意味を……。 「助かった、後は私だけで……」 すると楓は真名の手をしっかりと掴んで本棚に向かって体を押さえつけた。 「な、何をする。離せ!」 「………」 だが楓は何も応えようとしない。 じっとあの時の視線のまま睨むような訴えるような目つきだ。 「なん…だ、いきなり」 やっと言葉を発するがそれでも楓は何も応えない。 その鋭い目つきが苦手だ。 「何故でござる……私の知っている真名は凛々しく、強さと自身に満ち溢れていたでござるよ」 そんなことを告げられてもいきなりのことでどう反応していいのか分からない。 その問いの意味を知ってしまえば、きっと……。 「何を怯えた顔をしているでござる」 「たまたま調子が悪いだけだ、お前が勘違い…っ!」 楓の手が動いた瞬間、真名の持っていた本が地面に落下した。 そしてそのままの体勢で持っていたモデルガンを楓に突きつけてしまった。 ただ手をこちらに差し伸べただけなのに、過剰に反応してしまう。 「す、すまない。咄嗟に反応してしまって」 「勘違いでござるか……」 モデルガンとはいえいきなり武器を突きつけられたはずなのに、楓は殆ど無反応だった。 慌ててモデルガンを片付けるがその瞳のせいでどうしても手放しに出来ない。 「本当は気付いているのでござろう」 その瞬間、自分と楓以外の世界が一瞬にして凍りついた。 真名の頭の中で警告灯が静寂の深夜を切り裂くパトカーのごとく大音量で流れ出す。 そこで『何が』と返してはいけない。 「……」 何も言えない。何かを言えばすべてを言い当てられてしまいそうだから。 「まただんまりでござるか」 「知らないな、何のことだか」 だが平静を装ってもすぐに無意味なことに気付く。 楓は真名の体を抱き寄せてキスをしてきたからだ。 仮契約という意味合いを別とするなら、これが始めてだった。 唇か重なり合う心のこもったキス。すると楓はそのまま舌まで入れてきた。 「―――っ! 何の真似だ!!」 真名は楓を力の限り振り払った。 口元を押さえている楓、どうやら舌を噛まれたようだ。 楓は口元から流れてくる赤い血を見ると、さらに睨みつける。 「真名はずるいでござるな」 「……」 「分かっていて、気付いているはずなのに気付かないフリをする……卑怯でござるよ」 知っていた、気付いていたんだ。 あの視線も態度の意味もすべて、一体自分にどんな思いを込めているか。 「……あ」 「この本は拙者が代わりに渡してくるでござるよ」 床に落とした本を拾うと、楓は一度も真名に振り向くことなく図書室から去った。 扉を閉める際、軽く咳き込んだのが見えたが、そんなことを気にする今の余裕は真名にはなかった。 「………」 真名はそのまま尻餅をついてそこから動かなかった。 気付きたくなかった、ずっと戦友―とも―として、ライバルとしていたかった。 だがこのことに気付いた以上、もう言い訳も何も出来なくなった。 自分にすら嘘をつくことも苦痛に感じてきたからだ。 翌日、楓は学園に来なかった。 「えーと…楓さんは風邪のためにお休みです」 朝のHRでのネギの言葉に一瞬動揺の顔を見せた真名。 昨日の咳き込みは風邪の前兆だったのかと思うと、胸がキリキリと締め付けられる衝動に駆られた。 また知っていて何も告げられなかった。 こんな感情は初めてで、自分がどうしていいのか分からず自問自答する。 ――どうすればいい。私は一体何をすればいい。 どんな顔して楓に会えばいいのかすら検討もつかなかった。 『軽い風邪でござるから、一日休めば明日には出てこれるでござる』 「そうか……」 休み時間に携帯電話で楓に連絡をしてみた。 なかなか気の利いたセリフが思い浮かばず、逆に楓の問いにうんうんと答えるのみだった。 『…昨日は悪かったでござる。あんなことはもう言わないから、気にするなでござる』 何故そんなに優しくする。 そんなことを言われると自分がまた惨めに見えてくる。 最強のスナイパーだとか隊長だとかの肩書きなど全く役に立たない。 楓は自分以上に悩んで言ったのに自分は何一つ解決しようともしない。 答えが出ているくせに口には出さずに逃げている自分を……だから。 「先生! 一身上の都合により早退させてください」 それが答えだった。 真名は授業を午前で切り上げ早退すると真っ先に楓が寝ている寮に向かった。 それまでの道のりはいつもの通学路のはずなのにすごく遠く見える。 到着してすぐ扉を捻ると、丁度風邪薬を飲んでいた楓と出くわした。 「真名!? 学校は」 「早退した」 真名は鞄をその場に投げ捨てると楓と向かい合う。 「楓。お前の言う通り、私は卑怯だ」 その言葉に楓のあの視線が戻ってきた。 だが今度は怖くない、自分も同じ目をするから。その行為の意味を楓は理解した。 「こんなことは始めてで、私はお前の気持ちからも自分の気持ちからも逃げた……だから」 そしてしばらくの間を置いて、真名は喉の奥に引っかかっていた言葉を投げかける。 「楓、私はお前が好きだ」 やっと言葉にしたと思えば、真名は顔を反らして歯を必死になって食いしばっていた。 今にも泣きそうな顔をしている真名を楓はそっと抱き寄せる。 「拙者も真名のことが好きでござるよ」 まるで憑き物でも落ちたかのような顔をする楓は真名に自分の思いを伝えた。 そしてそのまま二人はそっとキスをした。 「ははは、何て顔をしているでござる」 「う、うるさい!」 さっきまで泣きそうだった顔のため、目が限界まで潤んでいた。 その目を擦って必死に弁解を図ろうとしたが無意味だった。 「楓、私はお前に伝えたいことがいっぱいあるが……今はまだ上手く伝えきれないけど」 「それまで待つでござるよ」 初めての感情に怯えていたけど、これからゆっくり話そうと思う。 そう考えるだけで、真名の顔は自然と笑顔に変わっていった。 これから、ゆっくりと今の気持ちを話そうと思う。それでいいのだ。 終
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共創時の気持ち 楽しげ 誰かと何かを創り上げる、そんなときはワクワク感があり楽しげである。自分や自組織だけでは成し遂げないことを、皆で協力して創り上げる。そこには否定しない気持ちや心のゆとりを生み出す。 自然と笑顔がこぼれ、自由で活発にアイデアが出される。楽しい雰囲気につられて仲間が増えていき、それが新たな発見となる。言葉や考えが溢れ出し、苦痛なく新たなものが創り出されていく。 やる気 誰かに頼るのではなく、志を持って挑んでいく。士の心、という強い意思を持ち、信念を持って取り組む。やる気が自然と湧き上がってくることもあれば、自らを奮い立たせてモチベーションを上げていくこともある。 マイナス方向からから、やる気が出ることもある。危機感を持つことで自分自身を追い込み、自然とその気にさせていく。やる気が伝播していくと、チーム全体に活力が生まれ、各々が自発的に動き出すチームとなる。 愛 悪意無く仲間を受け入れる。ハートな気持ちに満ち溢れ、お互いをリスペクトしあう。失敗をしてもなじるのではなく、助け合う精神が生み出される。同じ目標に向かって不足分を補いながら歩んでいく。 他メンバーやチームに対しての貢献心を持つ。自分がどういったことで役に立てるのか、それを考え実践していく。そこには社会に対する愛、すなわち道徳心も大切である。仲間だけ得をすれば良いというものではない。 素直な状態 人と交わりあうときには素直な状態であることが大切。人の印象や意見に対してフィルターを通すのではなく、素の状態を受け止める。自由度を増し、それぞれの人が自分の力を発揮できる状態を創りだしていく。 他メンバーに気遣うだけでなく、利己の気持ちも大切に持てばよい。自分自身のために活動し、それが全体の力となっていく。オタクと呼ばれるような、一見変わった部分も併せ持ち、個の力を最大限出せる土壌にしていく。 チームワーク 色々な人が交じり合いながら創りだす状態においては、チームワークが大切となってくる。お互いが自分の役割を認識し、協調性を保ちながら活動していく。多様な中にも和を重視し、完全なる個人プレーにならないように注意する。 チームの中ではリーダシップを持った人がいることも大切。強制力のあるリーダではなく、率先してチームを纏めていくようなリーダ。そこではお互いの信頼感が生まれ、一人ひとりがチームの一員であることを誇りに思い、力を合わせていく。 前のページ 次のページ ■
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ゆえ吉の気持ち
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――キョン視点―― 高校2年の初秋。放課後。特に変わったこともなく何もすることがない 暇な俺はいつもどおり文芸部室で朝比奈さんはのお茶を飲みつつ、古泉とオセロをしていた。 長門は指定席で分厚い本を読んでいる。ハルヒネット見てマウスをカチカチしている。 またとんでもないこと思いつかなければいいんだがな。被害を受けるのはいつも俺だ。 朝比奈さんを見ると、妙に真剣な顔で俺と古泉の勝負を眺めていた。 ああ…マイスウィートエンジェルの真面目な顔もいいもんだな。 「どうしたんですか?よそ見してると負けますよ?」 相変わらずのにやけスマイルが言ってきた。 おまえ相手にこの盤面から負けるほうが難しい。そうゆうことはもっと強くなってから言え。 むしろ2年になってから負けた覚えがないぞ。オセロでも将棋でも囲碁でも。 その後、当然のごとく古泉に圧勝(盤面真っ白)したところで長門が本を閉じ、今日の団活は終わりとなった。 平和な一日だったな。 「キョン君、また明日」 朝比奈さんの甘い声を聞いて、俺は部室をあとにした。 帰り道、肌寒さを感じる秋風をうけながら俺は考えていた。 朝比奈さんに対する気持ちは最初はアイドルを見るような憧れの気持ちだけだった。 だが、SOS団で一緒の時間を過ごしていて朝比奈さんの優しさ、 ちょっとどじっ子なことなどいろいろな一面を知りだんだん惹かれていった。 朝比奈さんのことばかり考えるようになっていた。 日に日に思いは強くなっていったが告白することはできなかった。 朝比奈さんは未来人だ。この時間の人と付き合うことはできないと言っていた。 それにいまはハルヒの観察でこの時代にいるが、いつか未来に帰らなければいけない。 『かぐや姫』 朝比奈さんはまさに現代のかぐや姫とも言うべき人。必ずくる別れにあらがうことができない。 そんな人に俺が気持ちを伝えても迷惑なだけだ。 ――みくる視点―― 「また明日」 部室から出ていくキョン君に、みんなにむかってわたしは言う。 わたしはこの時代の人間じゃない。 いつかは未来に帰らなければいけない。 それは一年後かもしれない、一ヵ月後かもしれない。もしかすると明日かもしれない。 帰還命令がでたら未来に帰らなければいけないから 明日はもう会えないかもしれない。 だからわたしはまた明日も会えるように願いをこめて言う 「また明日」 わたしはこの時間平面で恋をすることはできない。 未来が変わることになるかもしれないから。 だけど、好きな人ができてしまった。 キョン君は優しい。 困っときにわたしことを助けてくれる。 いつもおいしそうにお茶を飲んでくれる。 好きになってはいけないから、あまり仲良くしないようにしようって決めたのに。 それでも、キョン君のことが好きになってしまった。 気がつくとキョン君のことばかり見ていた。 ――キョン視点―― 週末の土曜日。今日はSOS団の恒例行事となっている市内探索の日だ。 「キョン君、朝だよ~~!」「ぐおっ」 今日も妹の強烈な一撃で目を覚ました。妹よ、もうちょっとやさしく起こすことはできないのか? あまり痛くはないんだが、心臓に悪いだろ。 「えへへ~」 ……………まあいいか。いや、よくないがな。 ん? 時計を見てみると6時をさしている。早いな。集合時間に余裕で間に合う時間だ。 「今日はミヨちゃんと遊園地に行くの」 ああ、そういえば昨日そんなことも言ってたな。 だが、俺まで早くおこさなくてもいいんじゃないのか?眠くて仕方がない。 「キョン君、いつも遅刻してるんでしょ?ハルにゃんがこの前会ったとき言ってたよ、殴ってでも早く起こしなさいって」 ハルヒ……余計なことを。妹にいらんことを吹き込むな。 まあしかし、たまには他のやつに奢らせるのもいいか。できれば古泉とか古泉とか古泉に。 それからゆっくりと準備をした。人間、余裕を持って動くもんだぜ。俺が言えたことじゃないが。 一時間前にでれば最初につくだろ。いや、長門はすでにいるかもしれないが。 あいつは何時間も前から、本を読み待っている姿が容易に想像できて恐い。 しかし、予想ってものは裏切られるようになってるんだよな。 ………おいおいおい、どうしてもう全員いるんだ?いくらなんでも早すぎるだろ。 「今日は、危険な気がしたから集合時間を一時間前にしといたのよ!」 意味がわからん……お前はなんの危険を感じ取ったんだよ。 しかも俺はそんな話聞いてないぞ。 「おい、俺は「じゃあキョンの奢りね」 抗議しようとした声もかるく無視された。いつものパターン。 「私はアイスコーヒーね。みんなは?」 結局、俺が奢ることになりいつものファミレスにきている。 やれやれ。奢らないつもりできたから財布の中身が貧しいんだけどな。 「僕もアイスコーヒーでお願いします」 「……メロンソーダ」 「あっ…じゃあメロンソーダにします」 朝比奈さんと長門はいいとしても、古泉に奢るのは不本意だ。 班分けの結果、午前は朝比奈さんと探索することになった。 今日はついてるな。朝比奈さんを見ると、天使のような顔でこちらに微笑みかけてきた。 「真面目に探しなさいよ!遊んでたら死刑だからね!」 ハルヒは不機嫌そうな顔をしている。たまには何か違うことを言って みてもいんじなゃないか?第一、こんな近くに不思議が転がってるわけがないだろ。 ハルヒはフンッと鼻を鳴して古泉と長門をつれていった。 まったくなにを怒ってるんだか。 「あ、あの!買い物に付き合って…くれませんかぁ……?」 ハルヒ達がいなくなったあと朝比奈さんが上目遣いで遠慮がちに聞いてきた。 朝比奈さん…そんな目でみられて断る男なんていませんって。 谷口とかが見たら鼻血出して気絶しちゃいますよ。 「いいですよ。何を買うんですか?」 「本当ですかぁ!新しいお茶を買ってみようと思ってるんですけど、キョン君の意見も参考にしたくて…」 まあ、お茶のことなんて分からない俺に聞いても意味がないとおもうが というわけで駅近くのお茶っ葉専門店というところにきているわけだがにきているわけだが。 ……… うん、未知の世界だな。 来店している人は女性ばかり、ラフな格好でいる俺は明らかに浮いて見える。 売っているお茶はよく分からない難しい漢字の名前のお茶ばかりだ。しかもけっこう値段が高い。 俺はいつも部室でこんなお茶を飲んでいたのか…… 朝比奈さんは試飲したりしながらお茶を選んでいる。楽しそうだなぁ。 たまに俺のところにお茶を持ってきて感想を聞いてくる。正直、味の違いがわからなかった。 30分ほどあれこれと見てまわっていた朝比奈さんはうんと頷くと2種類のお茶っ葉を買って、俺たちは店をでた。 朝比奈さんはお茶の入った袋を胸に抱いて持ちながらにこにこしている。 まだ時間はあるな。次はデパートでも行くか。ここからすぐ近くにあるし。 それからの時間はデパートで過ごした。小物を見てまわったり、ソフトクリームを食べたり…… ふと、デートしてるみたいだと思った。休みの日に2人だけで買い物……まわりの人からみればデートのシチュエーションだ。 心なしか殺意のこもった視線をたまに受けている気もする。 確かに、こんな可愛い人が俺みたいなの歩いてたら殺したくもなるよな。 まあ、現実は違うんだがな。朝比奈さんも班分けが俺とだったから俺を誘っただけだ。 俺がそんなことを考えていたとき朝比奈さんがポツリと言った。 「……なんだかデートしてるみたいですね」 言ってから顔を真っ赤にして慌てて口をふさいでいた。 俺は朝比奈さんの突然の発言に頭がついていけず朝比奈さんの顔を見て、 人間ここまで顔を赤くすることができるのかなんてことを考えていた。 「ご、ごごごめんなさい!変なこと言っちゃって」 「い、いや気にしてませんから。落ち着いて。あ!そ、そろそろ時間だから戻りましょう!」 ようやく頭がおいついてきて、話題をそらすように言った。 実際、いそがないとないと間に合わない時間だった。遅れたらまたハルヒに文句を言われる。 ――みくる視点―― 毎週恒例の市内探索の日。午前はキョン君と探索することになりました。 今日は良いことがありそうです。 そういえば最近、駅の近くにお茶の専門店ができたんですよ。 今日はキョン君をつれてお茶を買いにいきたいな。やっぱり部室ではキョン君の好きなお茶をだしたいですよね。 お茶の専門店のなかはお茶のいい匂いでいっぱいでとってもいい雰囲気です。 良さそうなお茶をキョン君のところに持っていって飲んでもらったけど、 キョン君は全部おいしいと言うのであまり参考になりません。 結局、わたしの気に入ったお茶を買いました。 そのあとはデパートにいきました。デパートには未来にはない珍しいものがいろいろあるからよく出かけてます。 「なんだかデートをしているみたいにですね。」 言ってしまったあと慌てて口をふさぐ。考えていたことがおもわず口にでてしまっていました。 キョン君とわたしがデートをすることなんてありえないのに。 わたしはキョン君のことが好きになってしまった。だけど気持ちを伝えることはできない。 この時代の人と付き合うことは禁則事項だから。 それに……キョン君はたぶん涼宮さんのことが好きなんだと思うから。 ――キョン視点―― 「遅い!!」 他の3人はもうきていた。ハルヒが腕を組んでにらんでくる。 「まったく、どおしてあんたは一日に二度も遅刻するのよ!」 待て!朝に遅れてきたのはハルヒが時間変更を伝えなかったのが原因だろ! 「ん?みくるちゃんどうしたの?顔赤いわよ。まさか、キョン!!みくるちゃんに変なことしたんじゃないでしょうね?」 「するわけないだろ」 ハルヒが探るような視線でみてくる。古泉、その気持ち悪い笑顔をやめろ。にやにやするな。 「………まあ、いいわ。午後の班分けしましょう」 古泉、長門、朝比奈さんが印なし。てゆうことはハルヒとか。 俺がくじを引こうとしたらハルヒが慌ててくじをひっこめた。 決まったんだから引かなくてもいいでしょ!だそうだ。 「じゃあ古泉くん、有希、みくるちゃん!しっかり探すのよ!」 「キョン!いくわよ!」 おい、そんなにひっぱるな。袖がのびる、袖がのびるって。そしてなんでそんなにハイテンションなんだよ。 時刻は5時をすぎていた。古泉達は先に帰したらしい。 まったく、こいつは疲れるということを知らないのか? 数時間も動きまわっているのにまったく疲れた様子がない。 「なあ、休まないか?」 「もう疲れたの?だらしないわねぇ」 こんだけ歩いて、つかれないお前がおかしいんだろ。俺は人並みの体力はあるつもりだ。 「じゃあ、そこの公園いきましょ」 俺達は公園のベンチで自販機で買った飲み物を飲んでいる。いや、生き返るね。「ねぇ、みくるちゃんと何かあったの?」 俺が疲れた体を休めているとハルヒが突然聞いてきた。 「なんか、いつも恥ずかしがってるときと少し様子が違った気がしたんだけど」鋭い。女の感ってやつか 「い、いや、そんなことはないと思うぞ。」 そんなにじっと見るな。恥ずかしくなってくるだろ。 「……じゃあ、私のことはどう思ってるの?」 「ぶっ!!」 飲み物を口から吹いてしまった。い、いきなり何を言いだすんだよ。 落ち着け、落ち着くんだ俺。 「いきなりどうしたんだよ?熱でもあるのか?」 。俺は動揺する気持ちをおさえてそう言った。 「バカ!私は真面目に聞いてるの!いいからはやく答えなさい!」 「あー、…………そのだなあ」 そんなこといきなり聞かれてもなかなか答えられないだろ。 「はっきりしないわねぇ!私はキョンのことが好きなの!あんたはどうなの!?」 …………これは告白されてるのか?されてるんだよな? これが告白っていうのか?ハルヒらしいといえばハルヒらしいが。 普通は恥じらいながら『まえからあなたのことが好きでした』とかいうんじゃないのか? 告白されたのは今回が初めてだから知らないが。 公園にいた人が驚愕の表情でこっちを見てる。こんなことを大声で言ってるやつ見たら驚くよな。普通。 俺は朝比奈さんが好きだ。ハルヒのことは……どう思ってるんだろうな? 高校にはいってからハルヒとは多くの時間を過ごした。 ハルヒのおかげで普通の人ができないような体験をたくさんできた。 ハルヒがいなかったら俺はここまで充実した高校生活をおくれていなかっただろう。 ハルヒのことは俺にとって特別な人だと思っている。 でも、それは恋愛感情があるからではない 俺は…… 「俺はハルヒのことを大切な仲間だとおもっている。」 思っていることを正直にハルヒに伝える。 「だけど……恋愛感情は持っていない」 ハルヒは俺の言葉を聞くと泣きだした。 「どうして?どうして私じゃだめなの?私はこんなにキョンのことが好きなのに!」 俺はハルヒの隣で黙っているしかなかった。こんなハルヒを見ているのは辛かった。 しばらく泣き続けたあと、ハルヒはようやく落ち着いてきた 「キョンはみくるちゃんのことが好きなんでしょ?」 ハルヒの発言にまたも取り乱す。なぜこの場面で朝比奈さんの名前がでてくる。 「やっぱりそうなのね……いつも部室でみくるちゃんばっかり見てるし」 俺のキョドった様子を見たハルヒは勝手に決め付けている。 ハルヒは普段のハルヒからは考えられないほど沈んだ顔をしていた。 「……ずるい。」 ん??なんだって? 「団長である私が告白したのに、雑用が本当の気持ちを隠してるなんてずるいわ!キョン!あんたみくるちゃんに告白しなさい!」 はぁ!?何言ってるんだこいつは? 「なんでおまえが告白したからって、俺まで告白しないといけないんだ?それに俺は朝比奈さんのことが好きなわけ 「なに?あんたは私に告白させておいて、自分は告白する勇気もないの?」 人の話を聞くきがないな。朝比奈さんは未来に帰ってしまうんだ。告白なんてできるはずがない…… 「だから、朝比奈さんが好きなわけじゃないって言ってるだろ。 それに……もしそうだとしても、朝比奈さんほどの人に告白して上手くいくはずない。」 バシン 俺はハルヒに殴られていた。しかもグーで 「あんたなにあきらめてんのよ!やる前から失敗することばっかり考えて! あとのことなんてかんがえないで好きなら好きって伝えればいいじゃない! 私はあんたにはっきり伝えたのに!あんたがそんなんじゃあ、告白した私がバカみたいじゃない!」 ハルヒはそう言って走っていった。ハルヒはまた泣いていた。 最後に見せた複雑な表情が印象的だった。 俺は……どうすればいいんだ? ハルヒは自分がふられたのになんでこんなことを言うんだ? それにしても痛いな。殴られた頬っぺたがひりひりする。 古泉には………話しといたほうがいいだろうな。神人と戦うことになるのは俺のせいだ。 俺はポケットから携帯をとりだして、古泉の番号を押した。 「はい、何でしょう?」 「古泉。今、大変なことになってないか?」 「何がですか?」 「例の閉鎖空間ってやつだ」 「閉鎖空間は発生していませんよ。」 発生していない?まさか? 「本当か?また特殊な閉鎖空間で発生してるのがわからないってことはないのか?」 「そんなことはないと思いますが……。 去年の閉鎖空間のように入れなくとも、発生はわかるはずですから。どうかしたんですか?」 「ハルヒに……告白された。」 俺は古泉に告白されたときのことを話した。古泉に驚いた様子はなかったが、 電話の向こうで古泉の雰囲気が変わった気がした。 「………そうですか。あなたはどうしたんですか?」 「断った。驚かないのか?」 「いえ、いつかこうなると思ってましたから。」 なんだ?実は超能力者には予知能力もあるのか? 「いつかこうなると思ってたってなんだよ?」 「涼宮さんを見ればあなたのことが好きなのは明らかでし たから。気付いてなかったのはあなたぐらいですよ?」 全然気付かなかったな。ハルヒが俺のことを好きな様子を見せたことなんてあったか? 「じゃあ閉鎖空間が発生してないのはどうしてなんだ?」 ………ハルヒは泣いていた。あの様子だと世界崩壊の危機になっていてもおかしくない。 「それは……おそらく涼宮さんもあなたに断られるとわかっていたからではないしょうか。 あなたの気持ちが自分に向いていないと気付いていた。 それでも、あなたに自分の気持ちを伝えたかったのでは? 涼宮さんもこの一年間でだいぶ大人なりました。覚悟はできていたのでしょう。」 覚悟か…‥ 「あなたはどうするんですか?このまま自分の気持ちから逃げ続けるのか、それとも覚悟を決めるのか」 古泉との電話が終わったあと、俺は朝比奈さんに電話をかけていた。 ハルヒは自分が辛くなるにもかかわらず、俺のために朝比奈さんに告白しろと言ってきたんだ。 そんなハルヒの覚悟を俺が無駄にしたらだめだろ。だから、俺も覚悟を決めることにした。 「朝比奈さんですか?」 朝比奈さんの携帯なんだから朝比奈さんがでるに決まってるんだがつい聞いてしまう。 「キョン君?こんな時間にどうしたんですかぁ?」 「ちょっと話したいことがあるんですけど、今から会えませんか?」 「い、いまからですかぁ?」困惑したような声がする。 「はい。だめですか?」 「だ大丈夫ですけど……今日じゃないとだめなんですか?」 思い立ったら吉日とかって言葉もあるしな。 「今日、話しておきたいんです。」 「わわかりました!どこに行けばいいんですか?」 ……… …… … 俺は川沿いのベンチにきていた。朝比奈さんに未来人であることを打ち明けられた場所。 あのときは本当に驚いた。長門の例があったとはいえいきなり『私はこの時代の人間じゃありません』だもんな。 朝比奈さんに告白するのならここ以上にふさわしい場所はない。 しばらくすると走ってくる朝比奈さんが見えた。かわいらしい走り方で ゆっくりとこちらに向かってくる。やばい、緊張してきた。 「はぁ……はぁ、ご、ごめんなさい!遅くなっちゃって!」 「ぜんぜん待ってませんよ!いきなり呼び出した俺が悪いんですから、そんなに謝らないでください」 「そう…ですか?」 朝比奈さんはそれでも申し訳なさそうな顔をしていた。 とりあえずベンチに座る。緊張で心臓がドクンドクンと鳴っているのがわかる。俺は朝比奈の息が整うの待ってから話しはじめた。 「今日……ハルヒに告白されたんです。」 「ええ!?ほほ本当ですか?」 朝比奈さんが驚きの声をあげ、潤んだ目でこちらを見つめてきた。 頭がクラッときた。その目は反則ですよ、頭の中が全部吹っ飛びそうだ。 朝比奈さんはすぐに俯いたからなんとか耐えきれたが。 「じゃあ……キョン君と涼宮さんは付き合うことになったんですか……」 「ハルヒとは付き合ってません」 朝比奈さんがまた驚いた表情でこちらを見つめてくる。その目からは涙が流れていた。 「え!?キキキョン君?」 俺は思わず朝比奈さんを抱き締めてしまっていた。 「ど、どどうしたんですか?」 「朝比奈さん!好きです!!」 「えええ!?」 もう考えていた台詞なんて全部忘れていた。 シンプルイズベスト。とにかく自分の思うままに気持ちを伝えるだけだ。 「今まで、朝比奈さんは未来人だってことを考えると告白することができなかった。 だけどハルヒに言われて気付いたんです。 俺はあとで後悔したくない。自分の気持ちに嘘をつくのはもうやめることにしました。 俺と付き合ってください!」 朝比奈さんを抱き締める力が自然と強くなった。 「わ、わたしもキョン君のことが……」 朝比奈さんは口をぱくぱくさせて、喉をおさえている。 朝比奈さんの涙が首筋落ちてくる。 禁則事項か…… それ以上、聞かなくても朝比奈さんの気持ちは伝わった。 朝比奈さんは小さな手を俺の背中に回して抱き締めてきたから。 「ご、ごめんなさい……ヒック…ど、どうしてもキ、キョン君のこと……って言えなくて……」 「大丈夫です……わかってますから」 朝比奈さんの泣き声がいっそう大きくなる。 「わたしも…ひぐっ…この時代に生まれてきてればよかったのに…ヒック…そうすればもっと……普通にキョン君と……」 朝比奈さんの気持ちは痛いほどよくわかる。俺はもう一度強く抱き締めようとして腕に力をこめた。 「え!?」 腕のなかの感触が突然消えた。 そこにいたはずの朝比奈さんがいなくなっていた。 ――みくる視点―― 集合場所にはもう涼宮さんたちはきていました。 涼宮さんがさっそくキョン君に何か怒っていたけど、わたしは さっき言ってしまったことが恥ずかしくてよく耳にはいりませんでした。 午後は長門さんと古泉くんとですか。 涼宮さんはさっきまで怒ってたのに、今はすごくいい笑顔をしています。 やっぱり涼宮さんもキョン君のことが好きなんですよね…… 「さて、どうしますか?」 涼宮さんとキョン君と別れたあと古泉くんが聞いてきます。 「とりあえず、この辺りを歩いて見ますか?」 「そうですね」 「…………」 長門さんが何も言わないのは肯定してるってことですよね? それからは古泉くんと話ながらその辺を歩いていました。 長門さんはどこからか取り出した本を読みながら歩いています。 本を読みながら歩いているのに、誰ともぶつからないのってすごいですよね。 わたしなんて普通に歩いててもぶつかったり、転んだりするのに。 古泉くんは隣でいろんなことを話しています。 おもしろい話ばかりで自然と話に聞きいってしまいます。 小泉くんの機関では話し方の訓練もしているんでしょうか? その後は歩くのも疲れてきたので、図書館に行くことにしました。 わたしはキョン君ほど長門さんの表情に詳しくはないけど、 それでも長門さんが生き生きしてるような気がします。 本を読んでいると、涼宮さんから先に帰っていいとメールが来たので、その場で解散することになりました。 「ふぅ……」 家に着いて、ベッドに腰をおろす。キョン君たちは今、何してるのかな…… ……… …… … 携帯が鳴る音がする。寝ちゃってたみたいですね。 「朝比奈さんですか?」 携帯にでるとすぐにキョン君の声が聞こえてきました。 あれ?涼宮さんと一緒にいるはずじゃなかったのかな? 「今から会えませんか?」 い、今からですか?何かあったのかな? キョン君がもうベンチに座って待っている。 川沿いのベンチ。 わたしが未来から来たことをキョン君に伝えた場所。こんな所で話って何だろう? やっと息が整ってきたときにキョン君が話をはじめた。 「今日……ハルヒに告白されたんです。」 頭の中が真っ白になった。涼宮さんがキョン君に……… そっかぁ……そうだよね……涼宮さんもキョン君のこと好きなんだもんね… やっぱり二人は付き合うことになるんだよね…… 気付くとわたしは泣いていた。涙が流れてくるのを止めることができない。 ああ……わたしは本当にキョン君のことが好きなんだなぁ 「ハルヒとは付き合ってません」 わたしまた困惑した。 だって涼宮さんが告白したんならそうなるんじゃないんですか? 一瞬何があったのかわからりませんでした。 突然キョン君が抱きついてきていて…… 「朝比奈さん!好きです!」 夢に見ていたような光景が現実に目の前にひろがっていることが信じられませんでした。 キョン君が……わたしのことを…… キョン君のことが好きでした。キョン君のことが好きで好きでたまりませんでした。 このときは自分の役目を忘れて、とにかくキョン君に気持ちを伝えたくでしょうがありませんでした。 でもどうしても好きって言うことができなくて…かわりにわたしはキョン君を思いっきり抱き締めかえした。 声にだすことできないけどキョン君はわかってくれた。 キョン君の温もりが伝わってくる。それだけでわたしは幸せだった。 え??突然TPDDに強制命令がくる。同時に時間移動が始まる. 久しぶりに見る部屋。TPDDを確認する。どうして?なんで?わたしはもとの時間に戻って来ていた。 わたしは訳がわからないまま呆然としていました。上司がわたしに近づいてくる。 信じられない説明をされた。 規定事項。あのときにわたしが未来に帰ることが決まっていた。 まわりから慰める声が聞こえる。こんなことをしておきながら同情するんですか? 「……お願いだから一人にしてください」 私もキョン君と同じ時代に生まれてればよかったのに。 キョン君と遊んで、デートして……結婚して幸せに暮らしていければ……。 未来のことになんか縛られずにキョン君といることができたら……。 後ろから近づいてくる足音が聞こえた。一人にして欲しいのに 「ごめんね」 すごく馴染みのある声がしました。毎日聞いている声。同時に睡魔が襲ってくる。 わたしは何があったのかわからないまま眠りについた。 ――キョン視点―― 目の前で起ったことが信じられない 何が起ったんだ?朝比奈さんが消えた?さっきまでここにいたのに? そして俺はすぐに一つの考えに辿り着く。 時間移動か……。でもどうして今このタイミングで? この答えもすぐにわかった。もしかして俺のせいなのか? 朝比奈さんが今日未来に帰る予定はなかったはずだ。 あの人のことだ。未来に帰ることになったら絶対にいつもと違う様子をみせる。 でも、そんな様子はなかった。 ということはなにか緊急で帰らなければいけない理由ができた。 あの状況でいなくなる理由なんて一つだけだ。 俺のせいで禁則事項を破ることになったんだ。 この時代にいないはずの朝比奈さんがこの時代の人と付き合うことになるのは重大な違反のはずだ。 それを俺のせいで……。 禁則を破ることになるとは思ったが、まさかすぐに未来に帰すなんて くそっ!未来人達はどうしてこんなことができるんだ! このまま終わらせることなんて絶対できない。 もう未来なんて関係ない。このまま朝比奈さんと会うことができない未来なんて、俺は認めない。 でもどうすればいいんだ……未来にいるんじゃあこちらからは手をだせない。 そうだ!長門だ!あいつなら何か知ってるかもしれない! あまり誰かに頼るようなことはしたくないが、何の力もない俺ができることなんて限られてる。 長門の部屋の前に着く。同時に部屋のドアが開いた。 「入って。」 中から長門の声がする。 やっぱり長門は全部お見通しってわけか。 中に入る。 この一年間、ハルヒは長門の部屋が殺風景すぎると言って、 部屋にくるごとにいろんな物を置いてったから 中はいかにも女の子のといった感じの部屋になっていた。 「飲んで」 長門がお茶を持ってくる。俺はそれには手をつけずに聞いた。 「長門。わかってると思うが……朝比奈さんのことだ。」 長門は無表情のままでこちらを見ている。 「俺は朝比奈さんを未来に帰したくない。朝比奈さんも こんなかたちで未来に戻りたいなんて思っていないはずだ。」 そうだ。朝比奈さんだってこんな結果になることを望んでいるはずがない。 「何か朝比奈さんを取り戻す方法はないか?」 期待をこめて長門をじっと見る。 「………私には何もできない。」 唯一の希望がなくなっていく……長門ができなかったら誰ができるんだ。 「本当に何もないのか!?何かできることは!?」 「………」 長門は黙ったまま何も答えない。待てよ…ハルヒの力があるじゃないか! あの力を使えばなんでもできるはずだ! 「そうだ!ハルヒに力のことを話して、朝比奈さん がこの時代で暮らせるように改変することはできないのか!?」 「それは推奨できない。それに危険すぎる」 「どうして!?」 「涼宮ハルヒの改変は本気で望まないと起らない。この場合、涼宮ハルヒが 本気で朝比奈みくるが戻ってきてほしいと考えることができるとは思えない。 また、改変能力を知ることで何が起るかわからない」 都合がよすぎるか……好きな人に他の人と一緒にいたいから そう願ってくれって言われて素直にはいそうですかって思えるはずがないよな…… 「……いきなりおしかけてきて悪かったな」 「いい」 長門は相変わらず表情に変化を見せない。 「……じゃあな」 長門ができないんだったらあとは……古泉の機関か。 だが長門が何もできないんだったら機関も無理だろう。 そもそも機関は閉鎖空間外では特殊な力は何も持ってないない。 帰り道、俺は泣いていた。自分の無力さにどうしようもなく情けなくなった。 俺にできることはないのか……いや、まだ何かあるはずだ 「キョン君お帰り~」 家に帰ってくる。自分の部屋に入りベッドに倒れこんだ。 「あ!そういえばポストにキョン君へって書いてある手紙が入ってたよ」 勝手に部屋に入ってきた妹が一枚の手紙を見せる。 その便箋には見覚えがあった。 妹の手から手紙をひったくる。中には可愛い丸文字で 長門さんをつれてベンチにきて とだけ書いてあった。 見間違うはずがないこれは朝比奈さんの字だ。 「なになに?ラブレター?キョン君もてもてだね」 「誰がポストに入れてったか見なかったか!?」 「わかんな~い。どうしたの?」 俺の尋常じゃないあせりっぷりに妹が心配そうな顔をする。 「ちょっと出かけてくる」 家から飛び出る。後ろから母親がなんか怒鳴っていたがスルーした。すまん。今だけは許してくれ。 自転車をフルスピードで走らせる。信号を無視してい けば長門のマンションまで15分ほどで着くだろう。 長門はマンションの前に立っていた。最初からわかってるなら先に言ってくれていたら楽だったのだが……。 とりあえず後ろに乗ってもらう。 「しっかり掴まってろよ」 またも自転車をフルスピードでとばす。 ようやくベンチが見えてきた。ベンチの横に人影が見える。 女教師のような服。遠目にもわかる完璧なプロポーションに長い髪。 予想どおり、そこには朝比奈さん(大)がいた。 そしてベンチに寝かされてるあの小柄な人は…… 「朝比奈さん!」 ベンチには朝比奈さんが寝かされていた。もう会えないのではないかと 半ばあきらめていたのに……喜びがこみあげてくる。 「キョン君!」 朝比奈さん(大)がこちらに気付いた。俺はベンチに寝ている朝比奈さんに駆け寄る 「まだ起こさないであげてください。私を見ると面倒なことになるので」 「朝比奈さん!朝比奈さんは大丈夫なんですか!?」 ややこしいな……二人そろっているからどちらも朝比奈さんと呼ぶと変な感じがする。 かといってみくるさんなんて呼ぶのは恐れ多い。 「大丈夫です、心配しないで。あまり時間がないので手短に話します。」 朝比奈さん(大)が話しだす。 「この過去の朝比奈みくるからTPDDを消します」 は?TPDDを消す?TPDDは脳内に無形であるものなんだろ?消すことなんてできるのか? 「TPDDは本来消すことはできない。だけど長門さんの情報操作を 使えば消すことができるはずです。長門さん手を」 それまで黙って立っていた長門が手を差し出す。朝比奈さんがその手にそっと触れた。 「長門さんにTPDDに関するデータを送りました。これで消すことができるはずです。長門さんお願いします」 長門がコクッと頷き朝比奈さんの頭に手をかざす。 「TPDDの消去を完了した」 朝比奈さんがホッと胸をなでおろす。 話の流れが速過ぎてさっぱりわからない。結局どうなるんだ? 「それでTPDDを消してどうするんですか?」 「この私をこの時代で普通に暮らせるようにします。」 朝比奈さんがこの時代で暮らせるようになる!? 「本当ですか!?」 「はい。TPDDがなくなれば強制的に帰還させることはできなくなります。 あとの未来のことは……私がなんとかします」 朝比奈さんが……ん?でもまてよ。そうすると朝比奈さん(大)はどうなるんだ? 朝比奈さん(大)は未来にいるのだから朝比奈さんが未来に帰るのは規定事項であるはずだ 「でも……あなたはどうなるんですか?これは未来を変えることになるんじゃないですか?」 朝比奈さん(大)は一瞬俯いたが、すぐに顔をあげて言った。 「私はキョン君と別れたままになってしまった未来からきました。 あれから私はずっと辛い思いをしてきた。私は私に同じ思いをさせたくないんです。」 そのためなら未来が変わってもいい。 朝比奈さん(大)は今の朝比奈さんからは想像がつかないくらい強くはっきりと言い切った。 「朝比奈さん……」 俺は何も朝比奈さん(大)にかける言葉が見つからなかった。 「……じゃあ私はそろそろ行きます。長門さん協力ありがとうございました」 長門に向かって深々と頭を下げる。長門はほんの少しだけ頷く。 「それから…キョン君」 いつかの文芸部室での時のように朝比奈さん(大)が抱きついてきた。 「私を幸せにしてあげてね」当たり前じゃないですか!何があろうとも絶対に幸せにします! それを聞くと朝比奈さん(大)は離れ、男なら誰もが悩殺されそうな笑顔を見せながら光とともに消えていった。 朝比奈さん(大)は未来でどうなるんだろう?少なくとももう未来人達の 組織にいることはできないだろう。でも……朝比奈さん(大)の目に迷いはなかった。 俺が彼女のためにできることはこれから朝比奈さんと誰よりも幸せに過ごすことだけだな。 朝比奈さん(大)が未来に帰ったからもう起こしてもいいだろう 「朝比奈さん!起きてください!」 朝比奈さんの肩を掴みゆっくりと揺らす。朝比奈さんは丁重に扱わないといけないからな。 「ふぇ……」 可愛らしい声をだしながら起き上がる。俺と目があった。 目を擦る。俺を見る。また目を擦る。 「ふぇぇ!?キキキキョン君!?どどどうして未来に……あれ?ここどこですか?」 手を胸の前にだして震えている姿はまさに小動物といった感じだ。 こっちがビックリするぐらいの驚きかた。まあ、状況を理解 できないのもしょうがないか。辺りをキョロキョロと見回している。 「ここは未来じゃありませんよ。もう未来に帰る必要もありません」 そう。朝比奈さんはこの時代の人間として暮らしていくことができる。もう未来に縛られなくてもいい。 朝比奈さんはキョトンとした表情になる。あたまの上に疑問符が10個くらい浮かんでそうだ。 「えっと……それって……どうゆうことですか?」 「ずっとこの時代にいられるってことですよ」 頭の上の疑問符が数えられないほどに増えたな。間違いなく。 「で、でも未来のことは?」 朝比奈さん(大)はきっとうまくやってくれるだろう。 「問題なしです」 説明を省いてる俺が悪いのだが、朝比奈さんは疑問を続けようとする。 「でも、でもどうして……」 最後まで言わせずに抱きよせる。いきなり抱き締めるのは今日、二度目だ。 あったかい。朝比奈さんの体温が伝わってくる。 「大丈夫です……大丈夫ですから」 それ以上何も言わせなかった。 しばらくすると啜り泣く声が聞こえてきた。 本当に朝比奈さんはよく泣く人だな。涙でその素敵なお顔がくしゃくしゃになってますよ。 「だって…ひぐっ…もう…ヒック…会えない思ってたのに……それに…ヒック…キョン君だって……泣いてるじゃないですかぁ」 これは不覚だ。俺も人のことを言えないな。 今の朝比奈さんの魅力はどんな比喩を使おうとも表現することはできない。 ただ単純に可愛く、綺麗だった。 「キョン君……大好き」 朝比奈さんがゆっくりと顔を近付けてくる。そのまま俺たちは唇をかさねあわせた。
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――キョン視点―― 高校2年の初秋。放課後。特に変わったこともなく何もすることがない 暇な俺はいつもどおり文芸部室で朝比奈さんはのお茶を飲みつつ、古泉とオセロをしていた。 長門は指定席で分厚い本を読んでいる。ハルヒネット見てマウスをカチカチしている。 またとんでもないこと思いつかなければいいんだがな。被害を受けるのはいつも俺だ。 朝比奈さんを見ると、妙に真剣な顔で俺と古泉の勝負を眺めていた。 ああ…マイスウィートエンジェルの真面目な顔もいいもんだな。 「どうしたんですか?よそ見してると負けますよ?」 相変わらずのにやけスマイルが言ってきた。 おまえ相手にこの盤面から負けるほうが難しい。そうゆうことはもっと強くなってから言え。 むしろ2年になってから負けた覚えがないぞ。オセロでも将棋でも囲碁でも。 その後、当然のごとく古泉に圧勝(盤面真っ白)したところで長門が本を閉じ、今日の団活は終わりとなった。 平和な一日だったな。 「キョン君、また明日」 朝比奈さんの甘い声を聞いて、俺は部室をあとにした。 帰り道、肌寒さを感じる秋風をうけながら俺は考えていた。 朝比奈さんに対する気持ちは最初はアイドルを見るような憧れの気持ちだけだった。 だが、SOS団で一緒の時間を過ごしていて朝比奈さんの優しさ、 ちょっとどじっ子なことなどいろいろな一面を知りだんだん惹かれていった。 朝比奈さんのことばかり考えるようになっていた。 日に日に思いは強くなっていったが告白することはできなかった。 朝比奈さんは未来人だ。この時間の人と付き合うことはできないと言っていた。 それにいまはハルヒの観察でこの時代にいるが、いつか未来に帰らなければいけない。 『かぐや姫』 朝比奈さんはまさに現代のかぐや姫とも言うべき人。必ずくる別れにあらがうことができない。 そんな人に俺が気持ちを伝えても迷惑なだけだ。 ――みくる視点―― 「また明日」 部室から出ていくキョン君に、みんなにむかってわたしは言う。 わたしはこの時代の人間じゃない。 いつかは未来に帰らなければいけない。 それは一年後かもしれない、一ヵ月後かもしれない。もしかすると明日かもしれない。 帰還命令がでたら未来に帰らなければいけないから 明日はもう会えないかもしれない。 だからわたしはまた明日も会えるように願いをこめて言う 「また明日」 わたしはこの時間平面で恋をすることはできない。 未来が変わることになるかもしれないから。 だけど、好きな人ができてしまった。 キョン君は優しい。 困っときにわたしことを助けてくれる。 いつもおいしそうにお茶を飲んでくれる。 好きになってはいけないから、あまり仲良くしないようにしようって決めたのに。 それでも、キョン君のことが好きになってしまった。 気がつくとキョン君のことばかり見ていた。 ――キョン視点―― 週末の土曜日。今日はSOS団の恒例行事となっている市内探索の日だ。 「キョン君、朝だよ~~!」「ぐおっ」 今日も妹の強烈な一撃で目を覚ました。妹よ、もうちょっとやさしく起こすことはできないのか? あまり痛くはないんだが、心臓に悪いだろ。 「えへへ~」 ……………まあいいか。いや、よくないがな。 ん? 時計を見てみると6時をさしている。早いな。集合時間に余裕で間に合う時間だ。 「今日はミヨちゃんと遊園地に行くの」 ああ、そういえば昨日そんなことも言ってたな。 だが、俺まで早くおこさなくてもいいんじゃないのか?眠くて仕方がない。 「キョン君、いつも遅刻してるんでしょ?ハルにゃんがこの前会ったとき言ってたよ、殴ってでも早く起こしなさいって」 ハルヒ……余計なことを。妹にいらんことを吹き込むな。 まあしかし、たまには他のやつに奢らせるのもいいか。できれば古泉とか古泉とか古泉に。 それからゆっくりと準備をした。人間、余裕を持って動くもんだぜ。俺が言えたことじゃないが。 一時間前にでれば最初につくだろ。いや、長門はすでにいるかもしれないが。 あいつは何時間も前から、本を読み待っている姿が容易に想像できて恐い。 しかし、予想ってものは裏切られるようになってるんだよな。 ………おいおいおい、どうしてもう全員いるんだ?いくらなんでも早すぎるだろ。 「今日は、危険な気がしたから集合時間を一時間前にしといたのよ!」 意味がわからん……お前はなんの危険を感じ取ったんだよ。 しかも俺はそんな話聞いてないぞ。 「おい、俺は「じゃあキョンの奢りね」 抗議しようとした声もかるく無視された。いつものパターン。 「私はアイスコーヒーね。みんなは?」 結局、俺が奢ることになりいつものファミレスにきている。 やれやれ。奢らないつもりできたから財布の中身が貧しいんだけどな。 「僕もアイスコーヒーでお願いします」 「……メロンソーダ」 「あっ…じゃあメロンソーダにします」 朝比奈さんと長門はいいとしても、古泉に奢るのは不本意だ。 班分けの結果、午前は朝比奈さんと探索することになった。 今日はついてるな。朝比奈さんを見ると、天使のような顔でこちらに微笑みかけてきた。 「真面目に探しなさいよ!遊んでたら死刑だからね!」 ハルヒは不機嫌そうな顔をしている。たまには何か違うことを言って みてもいんじなゃないか?第一、こんな近くに不思議が転がってるわけがないだろ。 ハルヒはフンッと鼻を鳴して古泉と長門をつれていった。 まったくなにを怒ってるんだか。 「あ、あの!買い物に付き合って…くれませんかぁ……?」 ハルヒ達がいなくなったあと朝比奈さんが上目遣いで遠慮がちに聞いてきた。 朝比奈さん…そんな目でみられて断る男なんていませんって。 谷口とかが見たら鼻血出して気絶しちゃいますよ。 「いいですよ。何を買うんですか?」 「本当ですかぁ!新しいお茶を買ってみようと思ってるんですけど、キョン君の意見も参考にしたくて…」 まあ、お茶のことなんて分からない俺に聞いても意味がないとおもうが というわけで駅近くのお茶っ葉専門店というところにきているわけだがにきているわけだが。 ……… うん、未知の世界だな。 来店している人は女性ばかり、ラフな格好でいる俺は明らかに浮いて見える。 売っているお茶はよく分からない難しい漢字の名前のお茶ばかりだ。しかもけっこう値段が高い。 俺はいつも部室でこんなお茶を飲んでいたのか…… 朝比奈さんは試飲したりしながらお茶を選んでいる。楽しそうだなぁ。 たまに俺のところにお茶を持ってきて感想を聞いてくる。正直、味の違いがわからなかった。 30分ほどあれこれと見てまわっていた朝比奈さんはうんと頷くと2種類のお茶っ葉を買って、俺たちは店をでた。 朝比奈さんはお茶の入った袋を胸に抱いて持ちながらにこにこしている。 まだ時間はあるな。次はデパートでも行くか。ここからすぐ近くにあるし。 それからの時間はデパートで過ごした。小物を見てまわったり、ソフトクリームを食べたり…… ふと、デートしてるみたいだと思った。休みの日に2人だけで買い物……まわりの人からみればデートのシチュエーションだ。 心なしか殺意のこもった視線をたまに受けている気もする。 確かに、こんな可愛い人が俺みたいなの歩いてたら殺したくもなるよな。 まあ、現実は違うんだがな。朝比奈さんも班分けが俺とだったから俺を誘っただけだ。 俺がそんなことを考えていたとき朝比奈さんがポツリと言った。 「……なんだかデートしてるみたいですね」 言ってから顔を真っ赤にして慌てて口をふさいでいた。 俺は朝比奈さんの突然の発言に頭がついていけず朝比奈さんの顔を見て、 人間ここまで顔を赤くすることができるのかなんてことを考えていた。 「ご、ごごごめんなさい!変なこと言っちゃって」 「い、いや気にしてませんから。落ち着いて。あ!そ、そろそろ時間だから戻りましょう!」 ようやく頭がおいついてきて、話題をそらすように言った。 実際、いそがないとないと間に合わない時間だった。遅れたらまたハルヒに文句を言われる。 ――みくる視点―― 毎週恒例の市内探索の日。午前はキョン君と探索することになりました。 今日は良いことがありそうです。 そういえば最近、駅の近くにお茶の専門店ができたんですよ。 今日はキョン君をつれてお茶を買いにいきたいな。やっぱり部室ではキョン君の好きなお茶をだしたいですよね。 お茶の専門店のなかはお茶のいい匂いでいっぱいでとってもいい雰囲気です。 良さそうなお茶をキョン君のところに持っていって飲んでもらったけど、 キョン君は全部おいしいと言うのであまり参考になりません。 結局、わたしの気に入ったお茶を買いました。 そのあとはデパートにいきました。デパートには未来にはない珍しいものがいろいろあるからよく出かけてます。 「なんだかデートをしているみたいにですね。」 言ってしまったあと慌てて口をふさぐ。考えていたことがおもわず口にでてしまっていました。 キョン君とわたしがデートをすることなんてありえないのに。 わたしはキョン君のことが好きになってしまった。だけど気持ちを伝えることはできない。 この時代の人と付き合うことは禁則事項だから。 それに……キョン君はたぶん涼宮さんのことが好きなんだと思うから。 ――キョン視点―― 「遅い!!」 他の3人はもうきていた。ハルヒが腕を組んでにらんでくる。 「まったく、どおしてあんたは一日に二度も遅刻するのよ!」 待て!朝に遅れてきたのはハルヒが時間変更を伝えなかったのが原因だろ! 「ん?みくるちゃんどうしたの?顔赤いわよ。まさか、キョン!!みくるちゃんに変なことしたんじゃないでしょうね?」 「するわけないだろ」 ハルヒが探るような視線でみてくる。古泉、その気持ち悪い笑顔をやめろ。にやにやするな。 「………まあ、いいわ。午後の班分けしましょう」 古泉、長門、朝比奈さんが印なし。てゆうことはハルヒとか。 俺がくじを引こうとしたらハルヒが慌ててくじをひっこめた。 決まったんだから引かなくてもいいでしょ!だそうだ。 「じゃあ古泉くん、有希、みくるちゃん!しっかり探すのよ!」 「キョン!いくわよ!」 おい、そんなにひっぱるな。袖がのびる、袖がのびるって。そしてなんでそんなにハイテンションなんだよ。 時刻は5時をすぎていた。古泉達は先に帰したらしい。 まったく、こいつは疲れるということを知らないのか? 数時間も動きまわっているのにまったく疲れた様子がない。 「なあ、休まないか?」 「もう疲れたの?だらしないわねぇ」 こんだけ歩いて、つかれないお前がおかしいんだろ。俺は人並みの体力はあるつもりだ。 「じゃあ、そこの公園いきましょ」 俺達は公園のベンチで自販機で買った飲み物を飲んでいる。いや、生き返るね。「ねぇ、みくるちゃんと何かあったの?」 俺が疲れた体を休めているとハルヒが突然聞いてきた。 「なんか、いつも恥ずかしがってるときと少し様子が違った気がしたんだけど」鋭い。女の感ってやつか 「い、いや、そんなことはないと思うぞ。」 そんなにじっと見るな。恥ずかしくなってくるだろ。 「……じゃあ、私のことはどう思ってるの?」 「ぶっ!!」 飲み物を口から吹いてしまった。い、いきなり何を言いだすんだよ。 落ち着け、落ち着くんだ俺。 「いきなりどうしたんだよ?熱でもあるのか?」 。俺は動揺する気持ちをおさえてそう言った。 「バカ!私は真面目に聞いてるの!いいからはやく答えなさい!」 「あー、…………そのだなあ」 そんなこといきなり聞かれてもなかなか答えられないだろ。 「はっきりしないわねぇ!私はキョンのことが好きなの!あんたはどうなの!?」 …………これは告白されてるのか?されてるんだよな? これが告白っていうのか?ハルヒらしいといえばハルヒらしいが。 普通は恥じらいながら『まえからあなたのことが好きでした』とかいうんじゃないのか? 告白されたのは今回が初めてだから知らないが。 公園にいた人が驚愕の表情でこっちを見てる。こんなことを大声で言ってるやつ見たら驚くよな。普通。 俺は朝比奈さんが好きだ。ハルヒのことは……どう思ってるんだろうな? 高校にはいってからハルヒとは多くの時間を過ごした。 ハルヒのおかげで普通の人ができないような体験をたくさんできた。 ハルヒがいなかったら俺はここまで充実した高校生活をおくれていなかっただろう。 ハルヒのことは俺にとって特別な人だと思っている。 でも、それは恋愛感情があるからではない かけがえのない仲間ってところか。 「俺はハルヒのことを大切な仲間だとおもっている。」 思っていることを正直にハルヒに伝える。 「だけど……恋愛感情は持っていない」 ハルヒは俺の言葉を聞くと泣きだした。 「どうして?どうして私じゃだめなの?私はこんなにキョンのことが好きなのに!」 俺はハルヒの隣で黙っているしかなかった。こんなハルヒを見ているのは辛かった。 しばらく泣き続けたあと、ハルヒはようやく落ち着いてきた 「キョンはみくるちゃんのことが好きなんでしょ?」 ハルヒの発言にまたも取り乱す。なぜこの場面で朝比奈さんの名前がでてくる。 「やっぱりそうなのね……いつも部室でみくるちゃんばっかり見てるし」 俺のキョドった様子を見たハルヒは勝手に決め付けている。 ハルヒは普段のハルヒからは考えられないほど沈んだ顔をしていた。 「……ずるい。」 ん??なんだって? 「団長である私が告白したのに、雑用が本当の気持ちを隠してるなんてずるいわ!キョン!あんたみくるちゃんに告白しなさい!」 はぁ!?何言ってるんだこいつは? 「なんでおまえが告白したからって、俺まで告白しないといけないんだ?それに俺は朝比奈さんのことが好きなわけ 「なに?あんたは私に告白させておいて、自分は告白する勇気もないの?」 人の話を聞くきがないな。朝比奈さんは未来に帰ってしまうんだ。告白なんてできるはずがない…… 「だから、朝比奈さんが好きなわけじゃないって言ってるだろ。 それに……もしそうだとしても、朝比奈さんほどの人に告白して上手くいくはずない。」 バシン 俺はハルヒに殴られていた。しかもグーで 「あんたなにあきらめてんのよ!やる前から失敗することばっかり考えて! あとのことなんてかんがえないで好きなら好きって伝えればいいじゃない! 私はあんたにはっきり伝えたのに!あんたがそんなんじゃあ、告白した私がバカみたいじゃない!」 ハルヒはそう言って走っていった。ハルヒはまた泣いていた。 最後に見せた複雑な表情が印象的だった。 俺は……どうすればいいんだ? ハルヒは自分がふられたのになんでこんなことを言うんだ? それにしても痛いな。殴られた頬っぺたがひりひりする。 古泉には………話しといたほうがいいだろうな。神人と戦うことになるのは俺のせいだ。 俺はポケットから携帯をとりだして、古泉の番号を押した。 「はい、何でしょう?」 「古泉。今、大変なことになってないか?」 「何がですか?」 「例の閉鎖空間ってやつだ」 「閉鎖空間は発生していませんよ。」 発生していない?まさか? 「本当か?また特殊な閉鎖空間で発生してるのがわからないってことはないのか?」 「そんなことはないと思いますが……。 去年の閉鎖空間のように入れなくとも、発生はわかるはずですから。どうかしたんですか?」 「ハルヒに……告白された。」 俺は古泉に告白されたときのことを話した。古泉に驚いた様子はなかったが、 電話の向こうで古泉の雰囲気が変わった気がした。 「………そうですか。あなたはどうしたんですか?」 「断った。驚かないのか?」 「いえ、いつかこうなると思ってましたから。」 なんだ?実は超能力者には予知能力もあるのか? 「いつかこうなると思ってたってなんだよ?」 「涼宮さんを見ればあなたのことが好きなのは明らかでし たから。気付いてなかったのはあなたぐらいですよ?」 全然気付かなかったな。ハルヒが俺のことを好きな様子を見せたことなんてあったか? 「じゃあ閉鎖空間が発生してないのはどうしてなんだ?」 ………ハルヒは泣いていた。あの様子だと世界崩壊の危機になっていてもおかしくない。 「それは……おそらく涼宮さんもあなたに断られるとわかっていたからではないしょうか。 あなたの気持ちが自分に向いていないと気付いていた。 それでも、あなたに自分の気持ちを伝えたかったのでは? 涼宮さんもこの一年間でだいぶ大人なりました。覚悟はできていたのでしょう。」 覚悟か…‥ 「あなたはどうするんですか?このまま自分の気持ちから逃げ続けるのか、それとも覚悟を決めるか?」 古泉との電話が終わったあと、俺は朝比奈さんに電話をかけていた。 ハルヒは自分が辛くなるにもかかわらず、俺のために朝比奈さんに告白しろと言ってきたんだ。 そんなハルヒの覚悟を俺が無駄にしたらだめだろ。だから、俺も覚悟を決めることにした。 「朝比奈さんですか?」 朝比奈さんの携帯なんだから朝比奈さんがでるに決まってるんだがつい聞いてしまう。 「キョン君?こんな時間にどうしたんですかぁ?」 「ちょっと話したいことがあるんですけど、今から会えませんか?」 「い、いまからですかぁ?」困惑したような声がする。 「はい。だめですか?」 「だ大丈夫ですけど……今日じゃないとだめなんですか?」 思い立ったら吉日とかって言葉もあるしな。 「今日、話しておきたいんです。」 「わわかりました!どこに行けばいいんですか?」 ……… …… … 俺は川沿いのベンチにきていた。朝比奈さんに未来人であることを打ち明けられた場所。 あのときは本当に驚いた。長門の例があったとはいえいきなり『私はこの時代の人間じゃありません』だもんな。 朝比奈さんに告白するのならここ以上にふさわしい場所はない。 しばらくすると走ってくる朝比奈さんが見えた。かわいらしい走り方で ゆっくりとこちらに向かってくる。やばい、緊張してきた。 「はぁ……はぁ、ご、ごめんなさい!遅くなっちゃって!」 「ぜんぜん待ってませんよ!いきなり呼び出した俺が悪いんですから、そんなに謝らないでください!」 「そう…ですか?」 朝比奈さんはそれでも申し訳なさそうな顔をしていた。 とりあえずベンチに座る。緊張で心臓がドクンドクンと鳴っているのがわかる。俺は朝比奈の息が整うの待ってから話しはじめた。 「今日……ハルヒに告白されたんです。」 「ええ!?ほほ本当ですか?」 朝比奈さんが驚きの声をあげ、潤んだ目でこちらを見つめてきた。 頭がクラッときた。その目は反則ですよ、頭の中が全部吹っ飛びそうだ。 朝比奈さんはすぐに俯いたからなんとか耐えきれたが。 「じゃあ……キョン君と涼宮さんは付き合うことになったんですか……」 「ハルヒとは付き合ってません」 朝比奈さんがまた驚いた表情でこちらを見つめてくる。その目からは涙が流れていた。 「え!?キキキョン君?」 俺は思わず朝比奈さんを抱き締めてしまっていた。 「ど、どどうしたんですか?」 「朝比奈さん!好きです!!」 「えええ!?」 もう考えていた台詞なんて全部忘れていた。 シンプルイズベスト。とにかく自分の思うままに気持ちを伝えるだけだ。 「今まで、朝比奈さんは未来人だってことを考えると告白することができなかった。 だけどハルヒに言われて気付いたんです。 俺はあとで後悔したくない。自分の気持ちに嘘をつくのはもうやめることにしました。 俺と付き合ってください!」 朝比奈さんを抱き締める力が自然と強くなった。 「わ、わたしもキョン君のことが……」 朝比奈さんは口をぱくぱくさせて、喉をおさえている。 朝比奈さんの涙が首筋落ちてくる。 禁則事項か…… それ以上、聞かなくても朝比奈さんの気持ちは伝わった。 朝比奈さんは小さな手を俺の背中に回して抱き締めてきたから。 「ご、ごめんなさい……ヒック…ど、どうしてもキ、キョン君のこと……って言えなくて……」 「大丈夫です……わかってますから」 朝比奈さんの泣き声がいっそう大きくなる。 「わたしも…ひぐっ…この時代に生まれてきてればよかったのに…ヒック…そうすればもっと……普通にキョン君と……」 朝比奈さんの気持ちは痛いほどよくわかる。俺はもう一度強く抱き締めようとして腕に力をこめた。 「え!?」 当然腕のなかの感触が消えた。 そこにいたはずの朝比奈さんがいなくなっていた。 ――みくる視点―― 集合場所にはもう涼宮さんたちはきていました。 涼宮さんがさっそくキョン君に何か怒っていたけど、わたしは さっき言ってしまったことが恥ずかしくてよく耳にはいりませんでした。 午後は長門さんと古泉くんとですか。 涼宮さんはさっきまで怒ってたのに、今はすごくいい笑顔をしています。 やっぱり涼宮さんもキョン君のことが好きなんですよね…… 「さて、どうしますか?」 涼宮さんとキョン君と別れたあと古泉くんが聞いてきます。 「とりあえず、この辺りを歩いて見ますか?」 「そうですね」 「…………」 長門さんが何も言わないのは肯定してるってことですよね? それからは古泉くんと話ながらその辺を歩いていました。 長門さんはどこからか取り出した本を読みながら歩いています。 本を読みながら歩いているのに、誰ともぶつからないのってすごいですよね。 わたしなんて普通に歩いててもぶつかったり、転んだりするのに。 古泉くんは隣でいろんなことを話しています。 おもしろい話ばかりで自然と話に聞きいってしまいます。 小泉くんの機関では話し方の訓練もしているんでしょうか? その後は歩くのも疲れてきたので、図書館に行くことにしました。 わたしはキョン君ほど長門さんの表情に詳しくはないけど、 それでも長門さんが生き生きしてるような気がします。 本を読んでいると、涼宮さんから先に帰っていいとメールが来たので、その場で解散することになりました。 「ふぅ……」 家に着いて、ベッドに腰をおろす。キョン君たちは今、何してるのかな…… ……… …… … 携帯が鳴る音がする。寝ちゃってたみたいですね。 「朝比奈さんですか?」 携帯にでるとすぐにキョン君の声が聞こえてきました。 あれ?涼宮さんと一緒にいるはずじゃなかったのかな? 「今から会えませんか?」 い、今からですか?何かあったのかな? キョン君がもうベンチに座って待っている。 川沿いのベンチ。 わたしが未来から来たことをキョン君に伝えた場所。こんな所で話って何だろう? やっと息が整ってきたときにキョン君が話をはじめた。 「今日……ハルヒに告白されたんです。」 頭の中が真っ白になった。涼宮さんがキョン君に……… そっかぁ……そうだよね……涼宮さんもキョン君のこと好きなんだもんね… やっぱり二人は付き合うことになるんだよね…… 気付くとわたしは泣いていた。涙が流れてくるのを止めることができない。 ああ……わたしは本当にキョン君のことが好きなんだなぁ 「ハルヒとは付き合ってません」 わたしまた困惑した。 だって涼宮さんが告白したんならそうなるんじゃないんですか? 一瞬何があったのかわからりませんでした。 突然キョン君が抱きついてきていて…… 「朝比奈さん!好きです!」 夢に見ていたような光景が現実に目の前にひろがっていることが信じられませんでした。 キョン君が……わたしのことを…… キョン君のことが好きでした。キョン君のことが好きで好きでたまりませんでした。 このときは自分の役目を忘れて、とにかくキョン君に気持ちを伝えたくでしょうがありませんでした。 でもどうしても好きって言うことができなくて…かわりにわたしはキョン君を思いっきり抱き締めかえした。 声にだすことできないけどキョン君はわかってくれた。 キョン君の温もりが伝わってくる。それだけでわたしは幸せだった。 え??突然TPDDに強制命令がくる。同時に時間移動が始まる. 久しぶりに見る部屋。TPDDを確認する。どうして?なんで?わたしはもとの時間に戻って来ていた。 わたしは訳がわからないまま呆然としていました。上司がわたしに近づいてくる。 信じられない説明をされた。 規定事項。あのときにわたしが未来に帰ることが決まっていた。 まわりから慰める声が聞こえる。こんなことをしておきながら同情するんですか? 「……お願いだから一人にしてください」 私もキョン君と同じ時代に生まれてればよかったのに。 キョン君と遊んで、デートして……結婚して幸せに暮らしていければ……。 未来のことになんか縛られずにキョン君といることができたら……。 後ろから近づいてくる足音が聞こえた。一人にして欲しいのに 「ごめんね」 すごく馴染みのある声がしました。毎日聞いている声。同時に睡魔が襲ってくる。 わたしは何があったのかわからないまま眠りについた。 ――キョン視点―― 目の前で起ったことが信じられない 何が起ったんだ?朝比奈さんが消えた?さっきまでここにいたのに? そして俺はすぐに一つの考えに辿り着く。 時間移動か……。でもどうして今このタイミングで? この答えもすぐにわかった。もしかして俺のせいなのか? 朝比奈さんが今日未来に変える予定はなかったはずだ。 あの人のことだ。未来に帰ることになったら絶対にいつもと違う様子をみせる。 でも、そんな様子はなかった。 とゆうことはなにか緊急で帰らなければいけない理由ができた。 あの状況でいなくなる理由なんて一つだけだ。 俺のせいで禁則事項を破ることになったんだ。 この時代にいないはずの朝比奈さんがこの時代の人と付き合うことになるのは重大な違反のはずだ。 それを俺のせいで……。 禁則を破ることになるとは思ったが、まさかすぐに未来に帰すなんて くそっ!未来人達はどうしてこんなことができるんだ! このまま終わらせることなんて絶対できない。 もう未来なんて関係ない。このまま朝比奈さんと会うことができない未来なんて、俺は認めない。 でもどうすればいいんだ……未来にいるんじゃあこちらからは手をだせない。 そうだ!長門だ!あいつなら何か知ってるかもしれない! あまり誰かに頼るようなことはしたくないが、何の力もない俺ができることなんて限られてる。 長門の部屋の前に着く。同時に部屋のドアが開いた。 「入って。」 中から長門の声がする。 やっぱり長門は全部お見通しってわけか。 中に入る。 この一年間、ハルヒは長門の部屋が殺風景すぎると言って、 部屋にくるごとにいろんな物を置いてったから 中はいかにも女の子のといった感じの部屋になっていた。 「飲んで」 長門がお茶を持ってくる。俺はそれには手をつけずに聞いた。 「長門。わかってると思うが……朝比奈さんのことだ。」 長門は無表情のままでこちらを見ている。 「俺は朝比奈さんを未来に帰したくない。朝比奈さんも こんなかたちで未来に戻りたいなんて思っていないはずだ。」 そうだ。朝比奈さんだってこんな結果になることを望んでいるはずがない。 「何か朝比奈さんを取り戻す方法はないか?」 期待をこめて長門をじっと見る。 「………私には何もできない。」 唯一の希望がなくなっていく……長門ができなかったら誰ができるんだ。 「本当に何もないのか!?何かできることは!?」 「………」 長門は黙ったまま何も答えない。待てよ…ハルヒの力があるじゃないか! あの力を使えばなんでもできるはずだ! 「そうだ!ハルヒに力のことを話して、朝比奈さん がこの時代で暮らせるように改変することはできないのか!?」 「それは推奨できない。それに危険すぎる」 「どうして!?」 「涼宮ハルヒの改変は本気で望まないと起らない。この場合、涼宮ハルヒが 本気で朝比奈みくるが戻ってきてほしいと考えることができるとは思えない。 また、改変能力を知ることで何が起るかわからない」 都合がよすぎるか……好きな人に他の人と一緒にいたいから そう願ってくれって言われて素直にはいそうですかって思えるはずがないよな…… 「……いきなりおしかけてきて悪かったな」 「いい」 長門は相変わらず表情に変化を見せない。 「……じゃあな」 長門ができないんだったらあとは……古泉の機関か。 だが長門が何もできないんだったら機関も無理だろう。 そもそも機関は閉鎖空間外では特殊な力は何も持ってないない。 帰り道、俺は泣いていた。自分の無力さにどうしようもなく情けなくなった。 俺にできることはないのか……いや、まだ何かあるはずだ 「キョン君お帰り~」 家に帰ってくる。自分の部屋に入りベッドに倒れこんだ。 「あ!そういえばポストにキョン君へって書いてある手紙が入ってたよ」 勝手に部屋に入ってきた妹が一枚の手紙を見せる。 その便箋には見覚えがあった。 妹の手から手紙をひったくる。中には可愛い丸文字で 長門さんをつれてベンチにきて とだけ書いてあった。 見間違うはずがないこれは朝比奈さんの字だ。 「なになに?ラブレター?キョン君もてもてだね」 「誰がポストに入れてったか見なかったか!?」 「わかんな~い。どうしたの?」 俺の尋常じゃないあせりっぷりに妹が心配そうな顔をする。 「ちょっと出かけてくる」 家から飛び出る。後ろから母親がなんか怒鳴っていたがスルーした。すまん。今だけは許してくれ。 自転車をフルスピードで走らせる。信号を無視してい けば長門のマンションまで15分ほどで着くだろう。 長門はマンションの前に立っていた。最初からわかってるなら先に行ってくれてたら楽なんだが……。 とりあえず後ろに乗ってもらう。 「しっかり掴まってろよ」 またも自転車をフルスピードでとばす。 ようやくベンチが見えてきた。ベンチの横に人影が見える。 女教師のような服。遠目にもわかる完璧なプロポーションに長い髪。 予想どおり、そこには朝比奈さん(大)がいた。 そしてベンチに寝かされてるあの小柄な人は…… 「朝比奈さん!」 ベンチには朝比奈さんが寝かされていた。もう会えないのではないかと 半ばあきらめていたのに……喜びがこみあげてくる。 「キョン君!」 朝比奈さん(大)がこちらに気付いた。俺はベンチに寝ている朝比奈さんに駆け寄る 「まだ起こさないであげてください。私を見ると面倒なことになるので」 「朝比奈さん!朝比奈さんは大丈夫なんですか!?」 ややこしいな……二人そろっているからどちらも朝比奈さんと呼ぶと変な感じがする。 かといってみくるさんなんて呼ぶのは恐れ多い。 「大丈夫です、心配しないで。あまり時間がないので手短に話します。」 朝比奈さん(大)が話しだす。 「この過去の朝比奈みくるからTPDDを消します」 は?TPDDを消す?TPDDは脳内に無形であるものなんだろ?消すことなんてできるのか? 「TPDDは本来消すことはできない。だけど長門さんの情報操作を 使えば消すことができるはずです。長門さん手を」 それまで黙って立っていた長門が手を差し出す。朝比奈さんがその手にそっと触れた。 「長門さんにTPDDに関するデータを送りました。これで消すことができるはずです。長門さんお願いします」 長門がコクッと頷き朝比奈さんの頭に手をかざす。 「TPDDの消去を完了した」 朝比奈さんがホッと胸をなでおろす。 話の流れが速過ぎてさっぱりわからない。結局どうなるんだ? 「それでTPDDを消してどうするんですか?」 「この私をこの時代で普通に暮らせるようにします。」 朝比奈さんがこの時代で暮らせるようになる!? 「本当ですか!?」 「はい。TPDDがなくなれば強制的に帰還させることはできなくなります。 あとの未来のことは……私がなんとかします」 朝比奈さんが……ん?でもまてよ。そうすると朝比奈さん(大)はどうなるんだ? 朝比奈さん(大)は未来にいるのだから朝比奈さんが未来に帰るのは規定事項であるはずだ 「でも……あなたはどうなるんですか?これは未来を変えることになるんじゃないですか?」 朝比奈さん(大)は一瞬俯いたが、すぐに顔をあげて言った。 「私はキョン君と別れたままになってしまった未来からきました。 あれから私はずっと辛い思いをしてきた。私は私に同じ思いをさせたくないんです。」 そのためなら未来が変わってもいい。 朝比奈さん(大)は今の朝比奈さんからは想像がつかないくらい強くはっきりと言い切った。 「朝比奈さん……」 俺は何も朝比奈さん(大)にかける言葉が見つからなかった。 「……じゃあ私はそろそろ行きます。長門さん協力ありがとうございました」 長門に向かって深々と頭を下げる。長門はほんの少しだけ頷く。 「それから…キョン君」 いつかの文芸部室での時のように朝比奈さん(大)が抱きついてきた。 「私を幸せにしてあげてね」当たり前じゃないですか!何があろうとも絶対に幸せにします! それを聞くと朝比奈さん(大)は離れ、男なら誰もが悩殺されそうな笑顔を見せながら光とともに消えていった。 朝比奈さん(大)は未来でどうなるんだろう?少なくとももう未来人達の 組織にいることはできないだろう。でも……朝比奈さん(大)の目に迷いはなかった。 俺が彼女のためにできることはこれから朝比奈さんを誰よりも幸せに過ごすことだな。 朝比奈さん(大)が未来に帰ったからもう起こしてもいいだろう 「朝比奈さん!起きてください!」 朝比奈さんの肩を掴みゆっくりと揺らす。朝比奈さんは丁重に扱わないといけないからな。 「ふぇ……」 可愛らしい声をだしながら起き上がる。俺と目があった。 目を擦る。俺を見る。また目を擦る。 「ふぇぇ!?キキキキョン君!?どどどうして未来に……あれ?ここどこですか?」 手を胸の前にだして震えている姿はまさに小動物といった感じだ。 こっちがビックリするぐらいの驚きかた。まあ、状況を理解 できないのもしょうがないか。辺りをキョロキョロと見回している。 「ここは未来じゃありませんよ。もう未来に帰る必要もありません」 そう。朝比奈さんはこの時代の人間として暮らしていくことができる。もう未来に縛られなくてもいい。 朝比奈さんはキョトンとした表情になる。あたまの上に疑問符が10個くらい浮かんでそうだ。 「えっと……それって……どうゆうことですか?」 「ずっとこの時代にいられるってことですよ」 頭の上の疑問符が数えられないほどに増えたな。間違いなく。 「で、でも未来のことは?」 朝比奈さん(大)はきっとうまくやってくれるだろう。 「問題なしです」 説明を省いてる俺が悪いのだが、朝比奈さんは疑問を続けようとする。 「でも、でもどうして……」 最後まで言わせずに抱きよせる。いきなり抱き締めるのは今日、二度目だ。 あったかい。朝比奈さんの体温が伝わってくる。 「大丈夫です……大丈夫ですから」 それ以上何も言わせなかった。 しばらくすると啜り泣く声が聞こえてきた。 本当に朝比奈さんはよく泣く人だな。涙でその素敵なお顔がくしゃくしゃになってますよ。 「だって…ひぐっ…もう…ヒック…会えない思ってたのに……それに…ヒック…キョン君だって……泣いてるじゃないですかぁ」 これは不覚だ。俺も人のことを言えないな。 今の朝比奈さんの魅力はどんな比喩を使おうとも表現することはできない。 ただ単純に可愛く、綺麗だった。 「キョン君……大好き」 朝比奈さんがゆっくりと顔を近付けてくる。そのまま俺たちは唇をかさねあわせた。
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ペットの気持ち ペットの気持ち アクション シンボル:赤 必要コスト<赤:2 無:2> 目標のキャラクター1枚を自分の場に活動状態で移す。 目標のキャラクター1枚は、ターン終了時まで-1/-1を得るとともに、ターン終了時に、活動状態で持ち主の場に移る。 「うん、うん、私から叱っておくから大丈夫よ、お燐。」 illus:宇田てとら コメント もの凄いアドバンテージのカード。ただし効果が色々難しい。 似たような効果をもつ月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」との最大の違いは閃光で撃てる点と活動状態でこちらのものになる点だ。 このカードの使い方の色々。 奪ったキャラでアタッカーのブロック。-1/-1下がるので、上手い具合にブロックしたい。 相手のブロッカーを一時的に排除する。攻撃宣言前であれば、奪ったキャラもアタック可能。 自キャラのアンタップ。一応自分のキャラを目標に取れば、-1/-1下がるもののアンタップが可能。自分のキャラと相手の場次第ではこの選択もありうる。ターン終了時の擬似活起も見逃せない。 耐久値-1の火力として使う。耐久値1のキャラは奪えないので、使った結果がそうなる事が多い。 単体アタッカーを奪いパンチを防ぐ。奪えるキャラが他に居ないのなら・・・ カリスマは相手のキャラのテキストの目標にならないことから、これで奪って自キャラにする事により相手のキャラのカリスマを擬似的に消去し処理可能。 コストをそれなりに要するが、六道みょんや、ブロックから傷を負ったところにヤマメやお空ビームが効く。 関連 コントロールを得る系のカード 霧雨 魔理沙&アリス・マーガトロイド 魔符「アーティフルサクリファイス」 罠符「キャプチャーウェブ」 月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」 「幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)」
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律「催眠術?」 唯「そう!この本に書いてあるんだよ!」 梓「またおかしなことを…」 澪「そもそも素人がそんな簡単に催眠術なんて…」 律「そうだぞ、唯。大体こういうのはインチキなんだって」 紬「あら、でも面白そうじゃない?ちょっとやってみましょうよ」 律「ムギ…マジかよ…」 唯「さっすが、むぎちゃん話が分かる!よし、じゃあ手始めにりっちゃん!」 律「なっ、私かよ!」 唯「ふっふっふっ、覚悟は出来てるかね?りっちゃん」 唯「それじゃ、いくよ」 唯「あなたはだんだん眠くなる~」 澪「これまた古典的な…」 梓「ベタですね~」 紬「?」(あの五円玉はなんなのかしら?) 唯「眠くなる~眠くなる~」 律「な、なんだか意識が朦朧と…」 澪「なっ!そんなバカな!!」 梓「本当ですか!?律先輩!」 唯「すごい!私才能あるのかも!」 律「な~んてな、ウソウソ、これっぽっちも眠くならねぇよ」 唯「え~そんな~りっちゃんヒドイ~」 律「バ~カ、そんな簡単にかかるわけないだろ~」 澪「そうだぞ、唯。そうそううまくいくわけないんだから」 梓「……」 唯「ぶ~」 紬「まぁまぁ、もしかしたら唯ちゃんとりっちゃんの相性が悪かっただけかもしれないし今度は他の人にかけてみたらどうかしら?」 澪「ムギ、あまり煽ってやるな…」 唯「う~ん、そうだ!あずにゃん!」 梓「わっ、わたしですか!?」 唯「あずにゃん、このネコミミつけて~」 梓「なっ、突然何を言っているんですか!」 唯「おねがい、あずにゃん。催眠術かけてる間だけでいいから~」 梓「ううっ、わかりました。ちょっとだけですよ」 唯「あずにゃん、ありがと~。よし、じゃあリラックスして~目をつぶって~」 律「おいおい、何を始めるつもりだ、唯。」 唯「あずにゃん、あなたは猫です。かわいいかわいい黒猫ちゃんです」 律「本気かよ…」 澪「いきなり高度になったな…」 紬(ワクワク) 唯「私が三つ数えて指を鳴らしたら、あなたは完全に猫です、それではいきますよ」 梓「…………」 唯「いち、に、さん、ハイッ」パチンッ 唯「どう?あずにゃん」 梓「……」 唯「あずにゃん?」 梓「にゃ、にゃ~」 唯「え?」 律「あ?」 澪「ん?」 紬「ムギュ?」 梓「ニャ?」 律澪紬「え~~~~~!!!!!!」 唯「やった、あずにゃん成功だよ!!大成功だよ!!」ダキッ 梓「ニャ~♪」ペロペロ 唯「あははっ!!あずにゃん、くすぐったい、くすぐったいよ!」 澪「そ、そんなバカな…」 律「おっ、落ち着け!これは梓の悪ふざけだ!そうに違いない!」 紬「でっ、でもあの梓ちゃんがそんなことするかしら?」 律「うっ…」 澪「たっ、確かに…」 唯「あ~ずにゃ~ん」スリスリ 梓「ニャ~♪」 澪「お、おい唯、そろそろ戻してやってもいいんじゃないか?」 唯「え~やだ~」 律「また、いつでもできるだろ~」 唯「ぶ~わかったよ~」 唯「あずにゃん、あなたは人間です。いち、に、さん、ハイッ」パチンッ! 梓「ニャ?」 唯「あ、あれ?」 澪「どうした?唯」 律「まだ戻ってないぞ?」 紬「もしかして唯ちゃん…」 唯「お、おかしいな、いち、に、さん、ハイッ」パチンッ! 梓「ニャア」 唯「……」 唯「戻らなくなっちゃった…」 澪律紬「…………」 律「しょうがない、今日はもう帰るか…、そのうち元に戻るだろ…」 澪「お、おい、いいのか?そんなんで」 紬「でも、戻らないものは戻らないんだし…」 澪「だ、だからってこのまま帰すわけにもいかないだろ、家族にどう説明したらいいんだ」 唯「あ、そういえばあずにゃん今日は家に誰もいないって言ってたよね?」 梓「ニャア」 澪「よ、余計だめじゃないか…」 唯「じゃあ、今日はうちにあずにゃん泊めるよ。それでいいでしょ?」 律「まぁ、いいんじゃないか?」 澪「律、お前またそんな適当なこと言って」 律「だって、それしかないだろ。大丈夫だって。一晩寝て目が覚めたら元に戻ってるさ」 澪「そんなもんか?」 律「そんなもんだ」 唯「よし決まり、今夜はよろしくね、あずにゃん」 梓「ニャア♪」 律「っと、そのまえにネコミミぐらいはとってやるか」 梓「ニャア!!」フーッフーッ 律「おわっ!!」 唯「りっちゃん、あずにゃんいじめないでよ~」 唯「よしよし、怖かったね~」ナデナデ 梓「ニャア~♪」 律「別にいじめようとしたわけじゃ…」 澪「というか、あれつけたまま帰るのか?」 律「…マジかよ」 平沢家 唯「ただいま~」 憂「あ、お姉ちゃん、お帰り~」 梓「ニャ~」 憂「え?あ、梓ちゃん?どうしたの、様子が変だよ?」 唯「じつはね~、かくかくしかじかで…」 憂「へ、へぇ~そんなことが…」 唯「ということで、今日はご飯三人分作ってくれる?」 憂「うん、分かった。腕によりをかけてつくるからね」 唯「わ~い、ありがとう、うい~」ギュウ 憂「お、お姉ちゃん////」 梓「ニャ、ニャ、ニャア~」 唯「あずにゃんもやってほしいの~?じゃ、二人まとめてギュウ~」 憂(ああ、幸せ…) 梓「ニャア~♪」 唯「いただきま~す」 梓「ニャア~」 唯「あっ、ダメだよあずにゃん、ちゃんとお箸使わないと」 梓「ニャ?」 憂「梓ちゃん、本当に猫になりきってるんだね。」 唯「う~ん、しょうがないな~私が食べさせてあげるよ。はい、あずにゃん、あ~ん」 梓「ニャア!」パクッ 唯「フフッ、あずにゃんかわいいな~」 憂(いいな~) 唯「ふぅ~、ご馳走様でした」 梓「ニャア~」 憂「お粗末さまでした。お姉ちゃん、お風呂沸いたから入ってきなよ」 唯「そうさせてもらうよ。じゃ、あずにゃん一緒に入ろう」 梓「ニャア♪」 憂「え…」 唯「」ヌギヌギ 梓「ハァハァ////」ジィー 唯「あれ?どうしたの、あずにゃん?早く脱ぎなよ」 梓「ニャ、ニャア////」 唯「あっ、そっか、自分じゃ脱げないんだね。分かった、私が脱がしてあげるよ」 梓「ニャ~////」 唯「やっぱり猫になっても恥ずかしいのかな?大丈夫だよ、女の子同士なんだもん」 梓「ニャア~……////」 ジャ~ 唯「あずにゃんの髪ってきれいだよね~」 梓「にゃ、にゃあ」 唯「それにちっちゃくってかわいくってお人形さんみたい」 梓「ハァハァ////」 唯「あぁ、もう、本当に可愛いよぉ!!」ギュウ 梓「!!!!!?????」 ダラー 唯「え?あ、あずにゃん鼻血鼻血!!」 唯の部屋 唯「あずにゃん、大丈夫~?」 梓「…………」 唯「のぼせちゃったんだね~」 梓「……」ギュウ 唯「?あずにゃん…?」 梓「にゃあ~」ペロペロ 唯「ひゃあ!あずにゃん、くすぐったいよ!」 梓「ハァハァ」ペロペロ 唯「んっ…あっ…やぁっ…あっ、あずにゃん、息荒いよぉ?」 梓「ハァハァ」チュウ 唯「!!!???」 梓「んっ…ちゅう…んちゅっ…んんっ…はあっ」 唯「ん~~!!!!ん、んん!!んっ…プハァッ!!」 唯「あ…あずにゃん…?」 梓「にゃあ~、ハァハァ」 唯「いやっ!ダメ!そんなところに顔うずめちゃダメだよぉ!!」 梓「ハァハァ」ペロペロ 唯「やっ…んっ…ひゃんっ!!あ…あずにゃん…なんかへんだよぉ…おかしいよぉ…」 梓「唯先輩ぃ……好きぃ……」 唯「えっ?」 梓「あっ!!」 唯「あ、あずにゃん、今なんて…」 梓「…………」 唯「催眠術にかかってたんじゃなかったの?」 梓「……嘘ですよ…」 唯「え?」 梓「全部…嘘ですよ…。初めから…催眠術になんてかかってませんでした…」 唯「え?え?」 梓「ごめんなさいっ!!」ダッ 唯「あっ、あずにゃん待って…!」 ズルッ 唯「うわっ」 ドテッ 唯「イテテ…」 憂「お姉ちゃん、どうしたの?」 唯「う、憂!あずにゃんがっ、あずにゃんがっ!!」 かくかくしかじか 憂「そ、そんな梓ちゃんが…」 唯「とにかく私探しに言ってくるね!! 憂「あっ、お姉ちゃん!!」 コンビニ 律「え~っと、聡はコンソメパンチとコーラだっけか?」 律「あいつ、夜中にこんなもん食べてたら太るぞ…」 律「んっ、あれは唯?」 律「お~い、唯どうした~、夜の運動か~」 唯「あっ、りっちゃん!」 律「ん?そういえば梓はどうした?お前の家に泊めてるんだろ?」 唯「それが…」 律「なにぃ、突然でていったぁ?」 唯「うん…私どうしたらいいか分からなくて…」 律「自分の家にでも帰ったんじゃないのか?」 唯「私も一応あずにゃんの家に行ってみたよ。でも明かり点いてないし、呼び鈴押しても反応ないし、鍵もかかってたし…」 律「まっ、そのうち帰ってくるだろ。犬猫だって勝手に帰って来るんだし…」 唯「りっちゃん!!!」 律「じょ、冗談だよ…。そうムキになるなって…」 唯「言っていい冗談と悪い冗談があるよ!」 律「悪かったって。私も探すの手伝うからさ。許してくれよ。」 唯「むう…」 律「っと、そうだ一応澪にも応援たのむか」 ピ、ポ、パ prrrrrrrr 河原 澪「うう、ここに来ればなにかいい詩が浮かぶんじゃないかと思ったけどだめだな~」 澪「ん?あれは…梓?」 澪「お~い、梓。こんなところでどうしたんだ~。」 梓「み、澪先輩…」 澪「あれ?催眠術解けたのか?」 梓「そ、それは…」 澪「?」 澪「最初から催眠術になんてかかってなかった?」 梓「はい、あれは全部演技です…。」 澪「なんでまたそんなことを…」 梓「唯先輩に…」 澪「え?」 梓「唯先輩に甘えたくて…」 澪「なっ…」 梓「私…唯先輩のことが好きなんです…。先輩として、とか、友達として、とかじゃなく… 抱きつかれたりするのだって、本当はうれしくって…だけど素直になれなくて…」 澪「梓…」 梓「き、気持ち悪いですよね…女同士でこんなの、グスッ」 澪「そ、そんなことないぞ!!」 梓「澪先輩…?」 澪「大事なのは男とか女とかそんなことじゃなくて、自分の気持ちに正直になることだと思う。唯のこと好きなんだろ?だったらその気持ちをまっすぐぶつければいいじゃないか。 そうすれば、唯はちゃんとその気持ちを受け止めてくれると思う。唯はそういうやつだ。」 梓「澪先輩…」 梓「ありがとうございます…。でも、もうダメです…。私、唯先輩に酷いことしちゃった…。きっと、もう嫌われてる。」 澪「梓…、大丈夫、ちゃんと謝れば分かってくれるさ。あいつは人を許せないような人間じゃない。唯がどういうやつかは梓もよく分かってるだろう?それから自分の気持ちを素直に伝えるんだ。唯がどう返事をするか、こればっかりは保障できないけど、梓の気持ちを踏みにじるようなことだけは絶対にしないはずだ」 梓「澪先輩…分かりました…。私、唯先輩にちゃんと自分の気持ちを伝えます…!」 澪「うん、頑張れ」 梓「澪先輩…ありがとうございます、グスッ」 澪「こらこら、まだ泣くには早いだろ。全部終わるまで涙はとっておけ。」 梓「はいっ…!」 prrrrrrrprrrrrrr 澪「ん?電話?律からだ」 澪「はい、もしもし」 律『あ、澪?あのぉ、実は梓がさー…』 澪「梓?梓ならここにいるぞ?」 律『な、なにぃ~!待ってろ、今、唯連れてくから!って、ここってどこだー!!』 唯「はぁはぁ…、あずにゃんやっと見つけた」 澪「ほら、梓、嫌われてたらあんなに必死になって探さないだろ?大丈夫、自分と唯を信じろ」 梓「はっ、はい!」 梓「あっ、あの!唯先輩…さっきは私、どうかしてました。唯先輩の気持ちも考えずに酷い事してしまって本当にごめんなさい!」 唯「…うん、本当にあの時はびっくりしたよ…」 梓「ごっ…ごめんなさいっ」 唯「でもね、あんまり嫌な気持ちはしなかったんだよ…。」ギュ 梓「え…唯先輩…?」 唯「本当はうれしかった。あずにゃんのほうから私を求めてきてくれたんだもん。私ね、実はいつも不安だったんだ。あずにゃんが本気で私のこと拒絶してきたらどうしようって…」 梓「唯先輩っ…!あの、わたしっ…!」 唯「それでね、今日私気づいたんだよ、私、あずにゃんは可愛い後輩って思ってきたけど、そうじゃなかった。あずにゃんは私の特別な人…。ずっと一緒にいたいって…。あずにゃん好きだよ、大好き。愛してる」 梓「ゆ…い…せんぱい…ヒック、ひ、ひどい…ヒック、ですよ…」 唯「あ、あずにゃん?」 梓「わ、わたしが…ヒック、ずっと…ずっと、いいたかったこと…ヒック、さきに…いっちゃうなんて…ヒック」 唯「あずにゃん…」 梓「唯先輩!好き!大好きです!ずっと、ずっと私のそばにいてくださいっ!!」 唯「うん、もう絶対に離さないよ…」ギュウ 梓「…ヒック、唯先輩…!唯先輩…!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」 唯「よしよし」ナデナデ 澪「ふぅ、これで一件落着だな」 律「イッタイナニガオコッテイルンダ」 後日 唯「あ~ずにゃ~ん、きょうもかわいいね~」ギュウ 梓「ゆ、唯先輩も可愛いですよ////」 唯「えへへ~ありがと~」 唯「あずにゃ~ん、ペロペロしていい?」 梓「ダッ、ダメです!そういうことは二人っきりのときだけって言ったじゃないですか!」 唯「ええ~、いいじゃ~ん、私たち軽音部公認の仲なんだしさ♪」 梓「それとこれとは関係ありません!」 唯「ペロペロ」 梓「ニャア~!!」 澪「…………」 律「おい、誰かあいつらなんとかしてくれ…」 紬「うふふふ…」 おわり これは良い梓唯 -- (名無しさん) 2011-02-23 17 25 59 >紬「うふふ…」WWW みんなの唯梓に対しての気持ちかな -- (名無し) 2011-08-22 11 28 39 梓の度胸に脱帽 -- (名無しさん) 2011-11-29 17 55 20 やるね〜あずにゃん?あと、澪先輩は真の同性愛をわかってらっしゃる。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 02 01 37 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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今の俺の気持ち 作詞/53スレ52 薄暗い部屋 光るディスプレイ 閉ざされた扉の奥深く 悪いのは僕じゃない そう思ってても 僕の道は見つからないまま だれかつれってっておくれよ 何処にとは言わないけれど 僕には誰かが必要なんだ こんな世界で僕が創れるものなんて せいぜい人を傷つける言葉ぐらい 僕にはあなたが必要なんだ
https://w.atwiki.jp/miyanagake/pages/32.html
1/2 父親の気持ち どうも、須賀咲ちゃんです! 高校時代一人でいる時にはサラダうどん(ぼっち)→サラダうどん(ぼっち)のループをしていた宮永咲ちゃんはもういない! 思えば京ちゃんがレディースランチを頼まなかったり、優希ちゃんが誘いに来なかったりしたら一人で食べてたっけ……。 そ、そんな黒歴史はもうないの! 今は幸せな毎日です! そんな幸せな咲ちゃんの前に、おっさん臭を漂わせた私のお父さんが…… 「あいたっ」 「そんな強く叩いてないだろー? 変なこと言った罰だ」 「うう、お父さんひどいよ。これは訴訟ものだよ!」 「いーか咲。男にむかって言ってはいけないことは三つある。 一つは加齢臭。一つは髪の話。一つは大きさだ」 「セクハラだよ! 潰すよ!」 ガタイのいい京ちゃんですら『ソコ』に一撃加えれば昏倒するんだからね! だいたい娘に何言ってるのさ、もー! 「って、お父さん何してるの?」 「……ん、これか」 お父さんの手にはタバコのケース。それもたくさん。 ヘビースモーカーってほどではないけど、そこそこ嗜んでいるお父さんがこんなところで何をやっているんだろう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2/2 「子供」 「っ!!」 「産まれるんだろ。初孫だ。かわいがらせろよー」 そう言いながら、お父さんはタバコの箱を全てゴミ袋に入れてしまった。 「もっと早く、辞める予定だったんだけどな」 「お父さん」 「いい両親、いい父親とは言えなかった。 でもな、咲。 娘の幸せを祈らない父親なんていないんだ。 幸せになれよ」 きっと普通の女の子は大なり小なりお父さんのことを格好悪いと思って生きていくんだと思う。 私だってそうだ。 お父さん不潔だとか、服を一緒に洗わないでとまでは行かなくてもカッコイイなんて思ったことはなかった。 初めて、かな。 お父さんカッコイイって思ったのは。 「まぁ問題は本当に辞められるのかって話だよね」 「手厳しーな……咲……」 この後お父さんはニコチン中毒に苦しみ、京ちゃんのお世話になりました……。 お父さん。カッコ悪い…… これ以来、宮永家の京ちゃん依存が増えた気がする……。 京ちゃんは私のだからね! カン!