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家庭教師のドライ 家庭教師の派遣業務を行っている全国チェーンの会社。 当然霧生ヶ谷市にも存在する。 受験勉強で上を目指したい人から、期末テストにひーひー泣いてしまう人まで顧客は幅広い。 正社員が少ないので、バイトが正社員並みにがんばっている変な会社でもある。
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家庭教師ヒットマン REBON!イラスト・画像へようこそ! このページでは、イラスト。画像。コメントなどに 使用していきます!ご自由に、 コメントや写真の取り込みなどをどうぞ! 使用中の注意!! ご覧になったりコメントなどは、 自由ですが、『荒らし!!悪用!!』は、 禁止です
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ツンデレ家庭教師 作者 6スレ286氏 ふと頭に浮かんだネタ、『ツンデレ家庭教師』 「こんな得点じゃ志望校はおろか留年さえあり得るんじゃない?」 「くっ…。」 「悔しかったら寝る間を惜しんででも勉強することね。」 ~~次のテストが返ってきて~~ 「先生、今回は良かったよ、クラスの平均点以上だったよ!」 「フン…その程度で浮かれてるようじゃ志望校合格なんて夢のまた夢ね。…努力はしたようだけどね。」 「くっ…いつか先生を見返してやる…。」 元ネタが海原雄山だなんて言えない…。
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amazonで探す @楽天で #家庭教師のトラコ を探す! 水22日テレ 2022.07.20~2022.09.21 5.8% 公式HP wikipedia 前 悪女(2022) 次 ファーストペンギン! Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / dailymotion検索 / bilibili検索 1 一万円で幸せになる方法 2022/07/20 7.5% 2 5千円の正しい使い方 2022/07/27 7.0% 3 20万円必勝投資術 2022/08/03 5.4% 4 1万円。拾うのとあげるの、どっちが幸せ? 2022/08/10 5.6% 5 子供のために4630万円残す方法 2022/08/17 5.0% 6 人は愛で動くのか、お金で動くのか? 2022/08/24 6.1% 7 トラコの本当の目的「家庭教師やめます」 2022/08/31 5.5% 8 トラコ先生が戻ってくる条件 2022/09/07 5.4% 9 トラコも知らない奇跡の過去 2022/09/14 5.8% 10 最後の授業?私の正しいお金の使い方 2022/09/21 4.7%
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519 :騎士 ◆0TvaEdYYAk :2008/07/18(金) 00 59 28 ID 2rFQTQ6i 墜落家庭教師・1 「はい、それじゃ今日は数学の57ページから始めるね。前回の課題はやってますか?」 先月からここの家庭教師をやることになった橋山亜美弥(高2)が、教え子である 双子の兄弟(横名浩介・祐樹、共に中1)に確認をとった。 「うーす」「できてまーす」 砕けた感じの前者が兄の浩介で、おっとりとした感じの後者が弟の祐樹である。 「ん、二人ともよくできてるよ」 僕なんか雇う必要ないんじゃないかな。 内心でそんなことを思う亜美弥。何でも両親が共働きであまり家におらず、勉強を見てくれる 人がいないから、ということで近所に住む自分に白羽の矢が立ったと。 にしても何で僕なんだろ。 以前からの疑問。それが今日判明することなろうとは、この時の彼はまだ知らない。 「えーと、今日はここまでにしようか」 予定していたペースを遥かに上回る勢いで学習は進み、本来なら 半年後くらいにやるべき範囲にまで手をつけていた。 やっぱりこの子ら、頭かなりいいよね……? 同時期の自分をぶっちぎりで凌ぐ二人の知能に驚きを隠しながら、亜美弥は 彼らが出したオレンジジュースで喉を潤わせた。 「……あ、あれ?」 視界がゆらぐ。座っていられなくなり、床にへたり込む。 急にもの凄い睡魔が亜美弥を襲い、そして―― 「あ、起きたみたい。先生おはよ~~」 手が動かない。背中の、尾てい骨のあたりで固定されてる?縛られてる? 目を開けても何も見えない。目隠しか? 「いやぁ、二対一とはいえ、やっぱ年上だしさ。なもんで薬を使わせていただきました」 薬? もしかしてさっきのオレンジジュース? それに、なんかさっきから下半身がスースーするぞ?も、もしかして……! 「ちょっ!な、何で下全部脱がしてるんだよ!変態っ!! こ、これは立派な犯罪だぞっ、わかってるのか二人ともおっ!」 いつもの余裕を含んだ喋りはどこへやら、亜美弥は二人を早口で罵った。 しかし。 「へ~~~~~~。 なあおい、聞いたかユーキ? 俺たち変態なんだってさ♪」 「え、失礼しちゃうなぁ、もう。 コート一枚でお散歩するような人に言われたくないよ、ほんと」 「馬鹿、コートだけじゃないだろ、あれ付けてたじゃん。バターとかいうやつ」 「ガーターでしょ」 520 :騎士 ◆0TvaEdYYAk :2008/07/18(金) 00 59 58 ID 2rFQTQ6i 墜落家庭教師・2 頭が真っ白になるとはこういう事なのか。 見られていた。誰にも秘密にしていたひそかな楽しみ。勉強に疲れたときの気分転換にしていた、深夜の徘徊。 「あれ、コーちゃん、先生フリーズしちゃったみたいだよ」 「そのうちまた再起動するって。とりあえず今は、どっちが先制か決めよ―ぜ」 むにゅる 「くふうぅん!」 肉付きのなかなかいい尻の谷間に中指を突っ込まれ、亜美弥は一気に現実に引き戻された。 男性にしては、亜美弥はスレンダーな体型をしている。ウエストのくびれも細い。 だからこそ女装などという性癖に目覚めたのかもしれない。 「ん? 思ったよりスムーズに入るぞ。亜美弥さん、もしかしてここでよくオナってる?」 亜美弥は浩介の的を突いた意見に、はぐらかすこともできず沈黙した。 くにゅん、くにゅん 「んんむうう、うふううううん………! や、やめないか……………ふっ、はふううっ…!ひうううう!」 「当たりみたいだね。女装で露出好きのうえにお尻マニアだなんて、先生のほうが変態だよ」 祐樹の直接的な嘲りで心を貫かれ、悔しさと恥ずかしさの涙で目隠しを濡らす亜美弥。 その後しばらく、二本に増やした指で肛門を存分にほぐすと、二人は どっちが先に目の前の美味しそうな処女果実をいただくかジャンケンできめることにした。 「おおお、おっほおおおおおお!! うぅっ、おうう、おううううううっっ!お、おほぉ、んほおおおおおおおおお!!」 後ろ手に縛られ、ベッドの上に上半身をあずけた膝立ちの姿勢で、亜美弥は 肛門をほじくる未成年ペニスによがり狂わされていた。 年下の教え子達に調教されるというこの状況が、これまで、 野外女装露出という性的嗜好しかなかった彼に新たな属性を追加していた。 『ショタの肉便器にされる』という属性が。 「先生、そんなにコーちゃんのチンコいいの? 早くボクもやりたいなぁ…」 「…ばっかだなぁ、ユーキ。こ、この声でわかんだろ、よくてたまんないんだよ。 おっ、痙攣してきたぞ。またイクんだな。 これで、さ、三回目かっ。くっ、くうう、チンポ喰いちぎられそうだぜっ……… ……目隠ししてるから表情はあんまわかんねーけどさ。ま、もうちょい待っ……」 「ひっ、あっひいいいいいいーーーーーーーー!! お、おひっ、すごっ、すごいいいい!こんなの初めてええええ!! あっ!あっあっあああああ!!あひーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」 言葉をさえぎり、女性の喉のような高い音程で絶頂のサイレンを鳴らす亜美弥。 イク直前になると必ず腰を高く上げ、腸壁がキュキュッと締まるので 実にわかりやすい。裏表のない彼の性格を表しているかのようだ。 ほとんど拡張せず指だけで自慰をしていた亜美弥の肛門は、まだ成人のペニスに及ばぬ 少年のそれに、ちょうどよい収まりをみせていた。 「おっ、俺もそろそろイク………! あ、亜美弥さんっ、腹いっぱい受け取ってくれよっ!んっ、んんんっ!!」 ビュッ、ビュルルルルッッ! ズビズビズビイイイイイイ!! 「んぎいいいいいいいいっ!?あっ、あ、熱っ!? おおお、おごおおおおおおおおおお!!ぎひいいいいいいいいぃーーーーーーーーーー!! や、焼ける、焼けちゃううう!お腹爆発するうううう! ややややややややけるやけるやけるやきぇりゅうううぅウううううウゥーーーーーーーーーーーーーーー!!」 人生初の腸内射精を受け、目隠しの奥で瞳を乱舞させながら この教え子用アナルマゾは狂乱大絶叫するのだった―― 521 :騎士 ◆0TvaEdYYAk :2008/07/18(金) 01 00 38 ID 2rFQTQ6i 墜落家庭教師・3 あれから三日が経過し、ふたたび家庭教師の日がやってきた。 「なぁユーキ、先生来るかなぁ?」 浩介は、ニヤニヤ笑いながら片割れにわかりきった問いかけをした。 「来るのはわかりきってるよ。ていうかコーちゃんが聞きたいのは 『喜んで来る』か『嫌々来る』か、どっちだろうってことでしょ?」 無邪気な笑顔で、祐樹が質問を返す。 「まあそうだけどさ、その答えはどっちでもないな」 「?」首をかしげる祐樹。 「正解は………『嫌々喜んで来る』さ」 ピンポーン 玄関のチャイムが鳴った。 性欲をもてあましたオスたちの宴を開幕する、肛姦の鐘が。 「そのセーラー服よく似合ってるよ、亜美弥さん」 右耳から浩介の褒め言葉。 「男のくせにこんな格好するなんて変態すぎじゃないですか?」 左耳から祐樹の責め言葉。 アメとムチを同時に脳に送り込まれ、亜美弥はどう返答していいかわからなくなっていた。 「褒めてくれても、う、嬉しくないっ。へ、変態じゃないっ。 僕は、ぼくは………っはうっ!」 双方から尻たぶを掴まれ、引きつけを起こしたような声を出してしまう。 「亜美弥さんは、お尻が弱いんだもんな……いいよ、もっとエロイ声出しても。 みんなが変態呼ばわりしても、俺は受け入れてあげるからさ」 「ほら、コーちゃんがああ言ってるんだから、あきらめて 変態宣言しちゃいなよぉ。ほらほらぁ………」 認めれば楽になれる。そんな悪魔の誘惑を、亜美弥はなけなしの気力とプライドで なんとか退けようとするが、無駄すぎる努力だった。 「あぁん、お、お尻の肉をモミモミしちゃうの駄目だよぉ。 ぼ、ぼくは変態じゃない、変態になんかなりたくないっ………! ああ、や、やめ…」 自覚がないのか、口では拒絶しながらも踊るように腰をくねらせ、 股間のモノはスカートを持ち上げてテントを張っている。 「尻ハメが大好きな変態の亜美弥さんが俺は大好きなんだよ。な、いいだろ? 俺たちの肛門奴隷になってくれよ、頼むからさぁ……」 「そーだよ。ここでOKしとかないと、先生の変態エッチの相手してくれる人なんか 二度と見つかんないよ。もう潮時なんだよ、ね?」 そう言って二人が人差し指を尻肉の合間、淫ら穴に突っ込むと、 それが最後の一刺しとなり、亜美弥は堕ちた。 「ぼ、ぼくは、ぼくはっ……………………ふ、二人の肉奴隷になりますううっ…… …………いつでも、二人が望んだときに、僕のメス尻を捧げますぅ……………!」
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ドキドキ家庭教師 糞ゲ 料金高杉 ゲーム自体はサクサク進む メッセージスキップが欲しい 絵はエロくない
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家庭教師 この家に通いだしてから、そろそろ一週間、随分と家族の人には慣れた。 「うぃす」 「ん……」 奥からオレンジの紙パックを飲みながら歩いてきて、玄関に立っている俺に、スチャッと手を上げて挨拶した女の子。 それだけで後は何も言わずに、軽やかな足取りで二階に行こうとするこの娘も、最初の無愛想と比べれば、かなり馴れた方である。 ただし、仮にも先生に対する尊敬の念は、未だ限りなくゼロに近い。 どうしたもんだろうと、その困ったちゃんの女の子、洋子の後姿を何となく眺めていたら、くるっと、視線でも感じたのか振り向いた。 「先生、とっとと上がれば? 今日はお母さんいないよ」 気まぐれな猫科の動物を連想させる、少し吊り目勝ちな瞳が、何だか小馬鹿にした様に、悠然と俺を見下ろしている。 「そこにぼ~~っと立ってられると、スカートの中、見えそうなんだけど…………」 確かに洋子の言うとおり、後一段でも階段を上がれば、俺の立っている位置は、スカートの中を覗くのにベストポジションだ。 「見たいの?」 訊いてくる洋子の瞳は猫の様に細まり、キラキラと愉しげに輝いてる。 「そんなわけないだろ」 と。 即座に俺はそう応えながら、靴を脱ぐため下を向いたが、それは誤魔化してるみたいで、何となく自分自身にムカついたりした。 生意気盛ってやがる中学生ゆえ仕方ないが、洋子はときどき、こういう大人の心を見透かすような言い方をする。 そのたびに、ドキッ、としたりする自分に、ちょっと自己嫌悪の日々だ。 「…………」 だがしかしそれにしたって、何も悪いのは俺だけじゃない。 洋子はブレザーだけを脱いだ制服姿だが、スカートがいくらなんでも短すぎる。 そんなもん見たくなくたって見ちゃうだろうが。 街中でふわっとスカートが捲れれば、どんな国宝級のブスのだって、どんな硬派な奴だって、一瞬だけは目を奪われるはずだ。 男って生き物はそういう風に、神様にプログラミングされている。 とてつもなく馬鹿で悲しい生き物なんだよ。洋子はそれがまるでわかってない。 「…………」 いや、わかってるのか? そんなどうでもいいことを何となく考えながら、俺はにやにやしてる洋子を無視して部屋に入る。 サッカー選手のポスターや各種ゲーム機、棚にぎっしり収まってる少年漫画やらで、相変わらず女の子らしさの欠片もない部屋だ。 まぁ、そっちの方が圧倒的に落ち着くけれど。 「そんじゃ、さっそくやるか?」 「うん? 何を?」 「お勉強」 「ああ、そっか。先生は一応、私に勉強を教えるために来てんだもんね」 またしてもこの小娘は、生意気なことを言いやがる。 「…………」 とはいえ実際、一体何の為にここに来てるのか、それがわからなくなることがよくあった。 洋子はあまり勉強熱心ではないが、頭の回転はすこぶる良い。 七、八年ほど長生きしてるアドバンテージの分、知識の量はともかくとして、知能でいったら、洋子は俺よりも余裕で数段上だろう。 与えた課題を黙々と解いていくのだが、その間質問はほとんどないし、一度した質問を二度は絶対したりはしない。 勿論答えはばっちり合ってる。 何しに来てるだろうと考えたこともあったが、そりゃ当然バブル全盛期みたいな、バイト代のために来ているに決まっていた。 「決まってる……よな」 「どうしたの?」 「んにゃ、授業始めっか」 「ねぇ先生、それよりさ…………この間の約束…………覚えてるよね?」 「……何だっけ?」 やはりきやがったか。 前の授業のときに余った時間で格闘ゲーをやったのだが、『負けた方が勝った方の言うことをきく』なんて賭けをしたのである。 魔が差した、というやつだ。 しかしそんな魅力的な、それも可愛い女子中学生のしてくる提案を、はたして断れる男がいようか、いや、いない。 反語法。 勝利の女神がどちらに微笑んだかは、あえて俺が言うまでもないだろう。 「それじゃ先生…………先生に…………してもらうのは…………ね…………」 ベッドにぽすっと座って、上目づかいで俺を見つめながら、洋子の大人びて感じられるハスキーな声は、少しだけ上ずっていた。 “ごくっ” 思わず期待に喉が鳴る。 自分のものなのに、その大きさに俺は驚いた。 あるいはそれは、まだあどけなさの残る蒼い誘惑への、期待の大きさだったのかもしれない。 「な、なんだ……よ」 それを表すかのように、俺の声は明らかに洋子以上に上ずっていて、さらにみっともなくどもっていた。 「くすっ……」 唇を微かに笑みの形に歪ませ、洋子は俺を見上げながら可笑しそうに笑う。喉はいまにも、ゴロゴロ、と鳴りそうなほど上機嫌だ。 この場の雰囲気に。 期待しているのが。 緊張しているのが。 意識しているのが。 何も自分だけではないとわかったからだろう。 頬をうっすらと朱に染めてはいるものの、完全にいつもの、小憎らしいばかりの洋子に戻っていた。 「ねぇ先生……」 甘えたような声で言いながら、悪戯っぽい笑みを浮かべながら、洋子は閉じていた両足を、ゆっくりと見せつけるように開いていく。 「私を……見て…………」 もうその声は震えてなどいなかった。 たださっきよりも、ずっとずっと、抑えきれない熱を帯びている 「…………」 そして言われるまでもなく、俺の視線は洋子の足の間に、汚れを知らない白い布地に、瞬きすらも忘れて釘付けだった。 飾り気のない平凡な白いショーツ。 なのにそれが少女の秘密を覆っているというだけで、背徳感と一緒に牡の征服欲を煽って、目を背けることを俺に許さない。 それは脆く未成熟な妖しい魅力だった。 「ちゃんと見てる?」 「み、見て――!? ってそうじゃなくて、何してんだお前はっ!!」 不意に呪縛が解ける。 俺は慌てて明後日の方向を見て、洋子の足の間から、何とか目を逸らすのに成功した。 「…………」 勿体無いなんて思ってない。 本当だ。 「女として見てくれてるのかなって思って、さ…………よかった…………見て……くれてるみたい…………だね?」 「…………」 声が徐々に小さくなっていく。 訝しんだ俺はちらっと、洋子にバレぬよう、様子をこっそりと横目で窺う。 上げては下げ上げては下げを、何度も何度も繰り返してるその目線が、明らかに俺の顔の高さと合ってない。 どこを一体見てるんだと、考えるまでもなく、この時点ですでにわかってはいた。 「…………」 だがそれでも俺は洋子の、熱っぽい視線を律儀に追いかける。 「げっ!?」 股間があらゆる言い訳も利かないくらいパンパンに、見事にこんもりと、その形が浮き上がりそうなほど絶好調で膨らんでいる。 まだ下半身の元気を気にする歳ではないが、それにしても、こんな立派な雄姿は久しぶりな気がした。 「あたしの……スカートの中を見たから……先生の…………そうなったんだよね?」 「……ああ、まぁ」 ここまで豪快に勃ったてといて、違うとはさすがに言えない。 「嬉しいな」 洋子の顔がにこっと歳相応に幼く綻ぶ。ころころと変わるその表情に、俺の心臓はドキッと、大きく激しく高鳴った。 「それじゃ本番ね」 「はい?」 刹那で俺の心臓がギクッと、大きく激しく高鳴る。 こんなに負担を掛けても平気だろうか? 何だか滅茶苦茶心配になってきた。 「ここからが本番」 「いまのはじゃ何だ?」 「お願い」 「これからするのは?」 「命令」 「…………」 こいつは将来絶対大物になる。俺でよかったら保証してやろうかと猛烈に思った。 「ふっふっふっふっふっ……」 いつの間にやらあの悪戯っぽい、猫を連想させる笑みが復活している。 それを見てさらに股間に、物凄い勢いで血液が収束していくのが、俺には呆れるほどはっきりと感じられた。 ロリコンでマゾって救いようがねぇな。 頭が痛い。 「…………」 股間もズボンが窮屈なほど膨れ上がって超痛い。 隠れてた自分を知るってことが、こんなにも苦しいとは、ついぞ知らなかった。 自分探しの旅になんて出る奴は七回死ね。世の中には一生知らなくていいことが確実にある。……でも知っちゃたなら仕方ない。 「何したらいいんだよ?」 これが自分を受け入れた瞬間、あるいは開き直った瞬間だった。
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赤黒クマから命がけで逃げ出したあすさんの体はもはやボロボロである。 クマの極太の腕から繰り出される強烈なスマッシュの直撃で受けたダメージと、 常識では考えられない速さで走ったことによる筋肉への負荷は甚大なものであり、 それ以前に女子高生たちとの対応で疲労の極限に達していたあすさんは 丸一日、眠り続けてしまった。 そして、次の日… 明海「あすさん……あたし、頑張って学校いくから……帰ってきたら目を覚ましてね……」 明海は小声であすさんに話しかけ、中身の詰まったカバンを抱えて部屋を出ていった。 あすさんは死んだようにベッドの上に横たわったままで、目を覚ますことはなかった。 正午が過ぎ、3時が過ぎ、しばらくすると… ピンポーン。 インターホンの音が鳴った。 明海が経験したものと同じである。 ピンポーンピンポーン。 人の気配を感じさせずに鳴り続けるインターホン。 ピンポーン。 この不可解な音であすさんは意識を取り戻した。 あすさん「……ここは……っ! ……いてて……激痛が痛い……」 あすさんが痛みで泣きそうになると、インターホンの音は聞こえなくなった。 それと同時に、自分のいる環境の異変にすぐに気がついた。 その部屋には一切の生活用具がないのである。 窓はあってもカーテンがなく、壁紙はすべて取り去られた形跡があり、照明器具もない。 明海の部屋なら学習机やクローゼットくらいはあるはずなのに、それも見当たらない。 自分が横たわっているベッド以外、何もない部屋なのだ。 ところが床にノートパソコンが置かれていた。 あすさん「この部屋は…いったい……明海はどんな生活をしているんだ……? このパソコン……電源が入ったままだ……明海のものだろうか……」 パソコンを見てみると電源が入っており、デスクトップが画面に表示されていることがわかった。 画面中央には「あすさんへ」という名前のファイルが置かれている。 あすさん「これは何だろう………」 あすさんがトラックパッドを操作し、そのファイルをダブルクリックして開くと… あたしのパソコン勝手に見たら怒るからね(#^ω^)ピキピキ 明海 あすさん「ああっ!!しまった…トラップか~~~~~~~!」 ガチャッ あすさん「ぎゃあっっっ!!」 次の瞬間、背後のドアがガチャッと開いた。 明海「あー! あすさんが復活してる~~~~~~!!」 あすさん「や、やぁ……」 明海「あすさん復活だー! 復活だー!」 あすさん「ふ…復活だぁ~………」 明海「よかった……もう目を覚まさないのかと思った……」 ようやくまともな形で対面することになった明海とあすさんであるが、 初めがあまりにも非常識であったために、しばらく沈黙が続いた。 あすさん「…嬉しいのやら悲しいのやら…といった感じだね……」 明海「う、うん……。にこあ としか思えない……」 あすさん「にこあ……」 明海「このままあすさんが目を覚まさないのかと思うと……」 あすさん「大丈夫だよ……私は見てのとおり…生きている…」 明海「もし…あすさんが帰らぬ人になったら……原因はあたし……」 あすさん「……何度も殺さないで……」 明海「とにかく無事でよかった!」 あすさん「にこっ」 明海「あ、あすさん、あたし、今日は学校に行ってきたんだよ」 あすさん「そうか、それはよかった!」 明海「死んだあすさんの分まで頑張らなきゃ、って思ったの」 あすさん「また殺された~…」 明海「このまま家にいてくれたらいいのにな…」 あすさん「…あぁ…そうだ…帰りのこと…どうしたら…」 明海「帰ってほしくないなぁ~…」 あすさん「そういうわけにはいかないよ…」 明海「どうしたらここに残ってくれる?」 あすさん「ははは…そりゃ、ここで生活していけることが条件だよ」 明海「ふーむ……」 明海は考え込んでしまった。 あすさんにはその様子が冗談なのか本気なのかを判断できなかった。 あすさん「ところで明海、この部屋はいったい……」 明海「ん? あたしの部屋?」 あすさん「人が住んでいるとは思えない部屋なのだが……」 明海「実はこの部屋、というかこの家、取り壊すことになったの」 あすさん「…え?」 明海「この家がもともと相葉家の住んでいた家なんだけど──」 あすさん「ふむふむ」 明海「お父さんが錬金術の事業を一気に拡大させてからは、 この家とは比べ物にならない巨大な家を建てて、そこに住むようになったの」 あすさん「ふむ。この家はずいぶん古いようだね」 明海「そうなの。耐震基準を満たしていないから、もう住むことはできないんだって」 あすさん「そうか。引越しをするわけか」 明海「うん。でもあすさんには、長年あたしが暮らしていた部屋を見てもらいたくて…」 あすさん「なるほど………」 明海「あすさん、新しい部屋に案内するね」 あすさん「いくお♪ てけてけ! あっつー……いててて……」 明海「大丈夫? 歩けない?」 あすさん「筋肉痛は、じわじわくる……」 明海「あたしにつかまって」 あすさん「申し訳ない……」 明海「いくお♪」 あすさん「てけてけ」 あすさんは明海に体を預けながら階段を下り、玄関を出た。 明海「あすさん……真冬なのに裸足で、しかもサンダルで来るとは思わなかったよ…」 あすさん「これが私の正装なんだ」 明海「aspirinさん、すごいです!最高です!」 路上を歩くこと数分。 あすさん「え……このローズタワーみたいな建物が?」 明海「うん。これがあたしの新居」 あすさん「……何人家族だっけ?」 明海「3人だよ」 あすさん「この建物の一室が、じゃなくて、建物全部で3人暮らしってことか?」 明海「そうだよ」 あすさん「そんなバカな………」 明海「あすさんを入れたら4人だね。ちょっと狭くなるかも…」 あすさん「いや、十分すぎる……」 3人で暮らす家としては桁外れの大きさである。 しかしあすさんは、実際に内部を見るまでは信用できなかった。 明海「この最上階にお母さんがいるから、今から会ってくれる?」 あすさん「最上階って何階だ……」 明海「77階だよ」 あすさん「……………」 明海「大丈夫だって! ちゃんとエレベーターついてるから!」 あすさん「これが本当に家といえるのか……」 明海「あ、あすさんって高いところ苦手?」 あすさん「いや……驚いているだけだ……」 エレベーターで77階へ向かうこと6分。 あすさんは明海の母と初めて会うことになる。 あすさん「77階を3人で割っても、1人あたり25階分のスペースだぞ……どうやって住むんだ…」 明海「そっか~。もうちょっと歩いてね」 あすさん「家の中でこんなに歩くことがあるなんて…」 明海「楽しいでしょ」 あすさん「いいえ、今は疲れるだけです……」 明海「にこっ」 明海「あ、お母さんだ」 あすさん「あ、あ~…えーと…」 明海の母「ようこそいらっしゃいました。明海の母です。どうぞよろしく」 あすさん「あ、どうも……このたび…明海さんの家庭教師…として……」 明海の母「あらあら。あすさん、無理をなさらないで」 あすさん「……といいますと……」 明海の母「無理に体裁を取り繕おうとなさらなくていいんですよ。あすさんは明海にできた初めてのお友達ですもの」 あすさん「は……」 明海「ばれちゃったか~」 明海の母「あすさんのことは明海からよく聞かされています。なんだか、まるで」 明海「お、お母さんっ!」 明海の母「…本当にわがままな娘ですけれど…よろしくお願いしますね」 あすさん「はあ…こちらこそ……」 明海の母「さっそくですが、これを」 あすさん「……?」 あすさんは明海の母から封筒を手渡された。 小さな封筒の中に書類の束がぎっしり詰まっているようであった。 あすさん「……これは?」 明海の母「ここまで来てくださったお礼と、気持ちです」 あすさん「……開けてもいいですか?」 明海の母「どうぞ」 あすさんが封筒を開けると、大量の一万円札が入っていた。 あすさん「ちょ…ちょっと……待ってください……これは……」 明海の母「今月分のお給料、300万円です」 あすさん「さ、さんびゃく……」 明海の母「それでどうか娘をお願いします」 あすさん「待ってください……ここへ来るまでの交通費の100倍じゃないですか……」 明海の母「足りないようでしたら……」 あすさん「い、いいえ! 逆に多すぎるのでは……いくらなんでも……」 明海の母「もしあすさんがお望みになるのでしたら、こちらにお泊りいただいてもかまいません」 あすさん「あの…っ! 本当のことを言いますと…私は家庭教師などではなくて……」 明海の母「いえいえ。身分など関係ないのです。わたくしも明海も、あすさんご自身を高く評価しています」 明海「そうだよ~、あすさん!」 明海の母「これからも娘をよろしくお願いします」 あすさん「……………」 明海「あすさん、そんなもんなんだよ。家庭教師に資格とか免許なんてないんだよ。あすさんの実力が問題なの」 あすさん「過大評価じゃないのか……」 明海「相応だよ」 明海の母「あすさんならすぐに慣れると思いますよ」 あすさん「慣れる……」 明海「何事も最初から上手くいくはずなんてない、って、あすさん言ってたよね」 あすさん「うーむ………」 明海の母「明海、あすさんのお話をよく聞くのよ」 明海「わかってる~」 あすさん「私のお話………」 明海「センセー、今日の授業はなんですか~?」 あすさん「……あすさん先生……」
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家庭教師のトラコ 登場人物 コメント 2022年7月20日より日本テレビ系「水曜ドラマ」枠にて放送中のテレビドラマ。 登場人物 ゼラオラ:根津寅子 名前から ダストダス:福田福多 使い手のオリーヴは秘書繋がり コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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約一ヶ月の住み込みでの夏期集中家庭教師。 この依頼に京子が飛びついたのは報酬額はもちろんだが、このような高報酬、しかも住み込みでの集中という特殊な条件での依頼主の場合、結果如何によっては太いコネができることを期待してのことだった。 今年で20代後半に入るきょうこにしてみれば、この後家庭教師を続けるにしても、別の職を見つけるにしても、富裕層へのコネは今のうちに作っておくに越したことはない。 仮契約を済ませたところで、京子は、その場所が避暑地…どころかかなり人里離れた場所であることをしった。 これはますます期待と奮闘を前提にすべきかもしれない。 この夏の結果次第によっては、この後数十年の収入の桁が変わってくるかもしれないのだ。 住み込みとはいえ、1ヶ月しかも人里離れた場所となれば準備もそれなりのものとなる。 旅行用トランクに大きなボストンバッグ、リュックサックに+手提げ2つという引っ越しかと思わせる様な格好で、比較的近くの駅に降り立った京子を出迎えたのは、どうみても高級車、どこからみても高級車。 「お迎えにあがりました。」 名前を確認するより早くそう言われてしまい、おそるそおる乗り込んだ先の車の運転手はこの暑さにかかわらず一分の隙もなくしっかりと着込んでいた。 車のグレードにくわえ、それに劣らぬ運転手の仕様。 京子は、自分の予想以上の富裕層に関わりをもったことをしって身震いを禁じ得なかった。それは車内に効きすぎているエアコンのせいだけではないだろう。 道路はすいていたとはいえ、目的地につくまで30分ほどかかった。かなりの部分が坂道だったとはいえ20㎞は走っただろう。 周囲の景色、そして車から降りた時の空気の涼やかさと草木の香りからかなり高い位置まで登ってきたことに気づく。 しかし、目の前のそそり立つ建物に京子は圧倒された。 ちょっとした市営アパートに匹敵する大きさの建物。しかも外見はどうてみても木造。 中身は鉄筋コンクリートだったとしても、こんな場所にこれだけの建物を建てられるというだけでその資産は想像するに容易い。 そんな京子を出迎えたのは、中年の男女2人。 一瞬、ここの管理人…こんな立地条件なのだがから十中八九別荘だろう…と思った京子だったが、その2人の外見…身なりも含めて…が庶民とは思えないことに気づく。 ということはこの2人は依頼人…これから自分が教師を受け持つことになる生徒の両親…夫妻と言うことか。 京子が判断しかねているうちに、2人の挨拶が答えをだしてくれた。 おかげで、京子も第一声と挨拶に関しては無礼を働かずに済む。 「いや、助かりましたよ。こんな場所に加え、1ヶ月とはいえ住み込みでの家庭教師ですから。なかなか引き受けてくれる方がいなくて。」 中年夫婦のうち、男性の方が、京子の中の小さな疑問に応えるように説明する。 「貴方、それより…」 女性の方が心配げに口を挟む。 「そ、そうだな…先生、まずは生徒…まずは、私達の娘に会ってももらえませんか。そうすれば色々とわかってもらえると思えますし。そうすれば、ここまでが仮契約ということも話分かってもらえると思えますし。」 その言葉に京子は、駅につくまで感じていた不安をより一層強く感じることになったが、ここまできたら引き返すこともまた困難であることを承知していた。 京子が案内されたのは建物の最上階の一室だった。 男性がドアノブに手をかけた瞬間、京子はこの階に脚を踏み入れた時に感じた違和感を理解した。 中に人がいるはずなのに存在感を感じない。 眠っているならともかく、そこに人間がいればなんらかの物音や気配、そういったものを感じる。例えば、そこに人がいれば出入りの際の痕跡が入り口や通路に残り、それが無言の存在感となっているはずなのに。 中にいるのはもしや そんなイヤな予感を覚えつつ、 開けられたドアを促されるままに通りすぎた京子が最初にみたものは、子供っぽい部屋、その奥に置かれたベッド…そしてその上で眠っているかの様に目の閉じた少女…年齢は7,8才だろうか、まだ10才より下ではあることはまず間違いない。 「え…あ…こ、この子って…」 眠っているに関わらず、美しく整った顔立ちをした可愛らしい少女だった。 こんな時でなければ抱き上げて頬ずりしたくなるところだろう。 「ちょっとまってください?もしかして、この女の子…」 京子の質問を、夫妻は最後まで続かせなかった。 男性側の手が少女の頭にかかる。 そこで、京子は眠っているかのような女の子の頭がおかしいことに気づいた。 彼女は横になって眠っているいる。にも関わらず彼女の頭は地面に対して限りなく垂直に近い状態に立っているのだ。まるで眠っていると言うより全身で立っているかのような状態だ。 「みてくだい。」 そういうと男性は、その右手で掴んでいる娘の頭をゆっくりと持ち上げた。 鍛えられた男性の力なら、そのまま身体まで持ち上げることもできるかもしれない。 しかし、その時持ち上がったのは、その少女の頭だけだった。 京子が悲鳴をあげなかったのは奇跡に近かった。いや奇跡がその前に起こってしまったから悲鳴どころではなかったのかもしれない。 男性で手で持ち上げられている少女の頭と、ベッドの間には、少女の身体はおろか、その他の何も見あたらない。 確かに手品などなら、こういったトリックを用いることができるかもしれないが、家庭教師依頼で自分を呼んだ夫婦がこんなことをする理由が見あたらないl。 「ちょ、ちょっとまってください。こ、これって一体なんなんです?!」 たまらず京子は疑問混じりで叫ぶ。 こんなことなら、クレーマーモドキの両親と我が儘な子供につきあった方がまだマシというものだ、 「もうしわけありません。最初に一番重要な部分をみせた方がいいと思ったのですが。」 そう応えながら、男性は、娘の頭をベッドの上に戻した。 「とはいえ、貴女ももうお分かりなのではないでしょうか。」 男性のその言葉に京子は背筋が震えることを禁じ得なかった。 「あ、申し訳ありません。私達は、貴女の秘密を利用して貴女を脅そうというわけではありません。しかし、貴女でなければできないそのことについて手伝ったもらいたいだけなのです。」 「ここまできたらズバリ切り出した方がいいですね。ろくろ首、飛頭蛮、あるいはデュラハン、その言葉の意味することを貴女は知っていますね。」 具体的な言葉がでたことによって、京子の震えはますます大きくなる。 「彼ら」は間違いなく自分の事を知っているのだ。 「か、勘違いしないでください。私達もまた貴女の同族ですよ。もっとも傍流である私達にはもうそんな能力は失われていますが。」 「傍流?失われている?じゃあ、この子は?」 「傍流だとしても、先祖返りなどで時たま能力をもった子が生まれることがあります。たまたま、この子がそうだったわけですが。」 「なるほど…先祖返りね…え、でも、首が離れているということは…まさか!?」 「そう、そのまさかです。私達も、傍流ということでこの子にそんな能力があるとは思ってもいませんでした。そして気づいた時にはもう手遅れに。」 「そういうことだったんですね。」 自分にも起こったかもしれないそのことを反芻しつつ京子は頷く。 「しかし、それなら、この後どうすべきかわかっているはず。なのに、なんでこのまま?」 「ええ、私達も傍流とはいえ、万が一の時の対策は教わっています。念のため、本家にも助けを求めました。しかし、ここで傍流であることが災いとなって。」 「傍流の災いということは…」 「ええ、傍流であるが故に様々な血が混ざり合ったことで、本家に伝わる方法ではもはや対処のしようがなくなっていたのです。今私達ができることといえば、本来なら頭が離れたままでは翌日の夜明けには失われる命を引き延ばすだけです。」 「なるほど。そういうわけで私を呼んだわけなんですね。けどちょっと待ってください。確かに我が家は多少本家に近い血筋ですが、こんな特殊な状況に対応できる能力も知識もありませんよ。」 「失礼は承知でいいますが、そのことは分かっています。私達が求めているのは貴女の体質とでもいうべきものでして。」 「体質?私にそんなものがあるなんて聞いたこともありませんが。」 「最後まで聞いてください。 そもそも娘がこんなことになったのは、ろくろ首のルール。一度、胴体から離れた頭h夜明けまでに胴体に戻らないと、そのまま元にもどれないどころかそのまま死んでしまう。 それに抵触したせいなのです。際どいところで娘は死こそ免れたものの頭と胴体は離れたまま、そんな状態が続いています。 しかし、これは延命処置に過ぎないわけです。このままでは、頭部がなく食物の補給が受けられない身体、身体がなく栄養の補給が受けられない頭。遠からず2つとも死を迎えることになります。」 「え…でも、それをどうやって?しかも私が?」 「ええ、その件に関して私達本家は元よりあちこちの分家の資料を求めました。そしてどうにか助けになりそうなものをみつけたのです。 本来の頭と胴体がくっつけあえなくなったろくろ首、その時、別のろくろ首の頭がその胴体にくっついて、代役を務めることができるということを。」 「え、そんなことができるんですか…あ!え!?も、もしかして、あ、ああ、あたしにそれやれと?」 「そうです。私達は傍流であるが故に、頭と胴体を切り離すことはできません。例えできたとしても、頭と胴体にはある種の相性があるため誰でもいいというわけではないんです。 貴女をみつけるのに実に2ヶ月以上かかりました。これ以上、たてば娘の身体はもうもたないかもしれません。」 「だ、だからといってあたしは家庭教師としてここに来たんです。ろくろ首の正体はともかくとして、そんなことに巻き込まれるなんて。」 「ここまで騙した同然に説明不足だったことはお詫びします。しかし、ろくろ首とという存在を広く知られるわけにも行かない以上、ぎりぎりまでお話するわけにもいかなかったわけですから。」 男性の説明は不満はあるが納得がいくものだった。 自分達がろくろ首という存在であることが世間にばれれば、よくて差別。悪ければ内乱か戦争が起こりかねない。 そのための用心はしすぎることはない。 「事情はわかりました、でも引き受ける引き受けない以前に、いつまでもあたしが、その子の胴体にくっついているわけにもいきませんよ。あたしにもろくろ首のルールは適用されるんですから。」 「そのことも分かっています。幸いと言うべきか、本家筋でかなり有効そうな方法が見つかって、娘はなんとか助かりそうなんです。 しかしそれがはっきりするまでまだ時間がかかって…その間だけでも娘の身体がもてば。それに1ヶ月間、娘の身体に栄養がまわれば、その後半年は身体がもつんです。そのために協力して欲しいんです。」 その言葉に京子は落ち着いて考え直した。 この娘が自分とおなじろくろ首であることは間違いない。 そして彼女は命の危機に瀕している。 同族であることはもちろん、まだ小さな存在を守りたいという思いが京子の心をくすぐる。 ろくろ首が、別人の胴体にくっつけるという話は初耳だったが、そもそも胴体から首が離れるということ自体眉唾だけに、そんなことができても不思議ではない。 それでこの娘が救えるならやってみる価値があるかもしれない。 そんな京子の考えを見透かしたかのように男性が話しかけてきた。 「もちろん、タダで…どころか、最初の家庭教師の報酬だけのつもりはありません。金額だけの問題ではありませんが、家庭教師の報酬の十倍、いえそちらが望むならもっと…」 金額だけの問題ではないにしろ、収入が十倍というのは心が揺らぐ。 結局、京子は引き受けることとなった。 報酬もさることながら、事情を聞いた後では、こんな小さな女の子を見捨てるわけにもいかない。 「あ、ありがとうございます!」 男性は涙を流さんばかりに、女性の方は人目を憚らず涙を流しながら、京子の手を握った。 数十分後、三人はあの少女の寝室にいた。 「分家とはいえ事情は分かっていると思いますけど、充分に気をつけてください。もし貴方達が娘可愛さに何かおかしなことをすれば本家は何もしないわけにもいかないですし。」 そう脅し混じりに説明しながら、京子は、ベッドの脇におかれた大きめの椅子のゆったりと腰掛けた。 未成年の頃を面白半分に何度もやってきたが、最近ではちょっとご無沙汰だっただけにコツを思い出すのにちょっと時間がかかったが、まもなく首から下の感覚がなくなるあの状態。 視線を下に向ければ、椅子に腰を下ろした「首ナシの自分の身体」が見えた。 そのままゆっくりとベッド上に「頭」を移動させる。 既に少女の頭は移動済みなので、胴体の首はみえる位置にある。 他人の身体との接合は初めてだけに京子の「首」の動きもどうしてもゆっくりと慎重になる。 (やめた方がいいんじゃないか。) そう思いかけた時、すぐ脇で、心配そうに、自分と娘の胴体を見守る夫婦の姿に気づいた。 ここまできた以上やめるわけにもいかない。 プール開きの時のまだ冷たい水に意を決して脚を入れる思いで京子は最後の十センチの高度を落とした。 自分の分離面と、少女の首の分離面とが触れあう感触。 しかし、それも一瞬のこと。 不意に消失していた身体の感覚が蘇ってくる。 京子は、今の自分の横になり、身体には軽い布団がかかっているという状況を認識した。 おそるおそる視線を横に向ければ、そこには自分の身体…頭のない身体がもたれるように椅子にこしかけていた。 つまり今感じている手足の感触は、本来の自分の身体のものではないということになる。 慎重に両手の指を握りしめてみると、いつもとは少しだけ違う感触。 どことなく力が弱く、そして小さくて短く柔らかな指の感覚。 肩や腰に意識を向けてみれば、起きあがるのに苦労はいりそうにない。 それでも、これがあの少女の身体だとしたら、自分のものとは勝手が違うだろうし、しばらくの間寝たきりだったことから筋力もそれなりに落ちているだろう。 まず両手両腕に力を入れると、ゆっくりと上半身を起こした。 かかったいたのは軽い羽毛布団だったらしく、思ったよりすんなりと起きあがる、今の京子の上半身。 布団が身体からずり落ちて、フリルとリボンがふんだんに使われた少女趣味が強いこと一目瞭然のネグリジェを着ていることが分かる。 と同時に京子は、今の自分の身体が間違いなく少女の身体、本来の自分のモノより明らかに小さくなっていることを実感した。 ゆったりしたネグリジェに包まれているとはいえ、それは明らかだ。 すっかり短くなって両腕、少し袖口に隠れてしまっている両手もまた小さく、そこから伸びる指も、如何にも子供の様な短く柔らかそうなものとなっている。 そして、なにより確実なのは胸の起伏の消失だ。 巨乳というほどでもないが、平均+α程度はあったバスト、胸の膨らみが無くなっていることは、ネグリジェのフリルに邪魔されていてもはっきりと分かる。 試しに胸に手をあててみれば、布地越しにアバラの感触。 ろくろ首同士とはいえ、他人の身体に頭をくっつけるなどということができるか、半信半疑の部分は多かったが、こうして、自分のものではない身体を自分の意志で動かしているという現実を目の当たりにしては信じるしかない。 「でも、こんなことが本当にできるなんて…ん」 ふと呟いたところで、京子は別の変化に気づいた。 声がいつもと違う。聞き慣れた自分の声とは何か違う。 と、その理由に気づく。 人の声は、声帯や顎の作りだけではなく、肺活量、肺や胸から喉にかけての筋肉などにも影響を受ける。 首から下は小学生の女の子の身体である以上、大なり小なり、声もまた影響を受けるのは当然だろう。 「う、上手くいったんですね?」 心配そうに見守っていた両親…男性の方が声をかけてくる。 「ええ、接合は上手くいったみたいだし、上半身…腕とかは問題なく動きます。立ち上がって歩き回っても大丈夫か、今から試してみます。」 そういいながら、かかっていた羽毛布団を完全に剥ぎ取ると、京子はベッドに腰をかけるような姿勢をとった。 ネグリジェの裾から細い脚と小さな足が覗く。 こんな小さな足で立てるか、ちょっと不安もあるが、脚が思う様に動かず立ったり歩いたりできないということになれば、他人の身体との接合には問題があるということになる。 そうなれば、京子はもちろんこの少女にもどのような悪影響がでるか分からないだけに、問題がありそうなら早めに確かめておく必要があった。 腰の脇でしっかりとベッドに手をつくと、両方の足の裏もまたしっかりと床につける。 毛足の長い絨毯の柔らかな感触。 脚と足へ力を込めてみれば、それなりの手応えというか足応え。 これなら立ち上がるのには問題はなさそうだ。 両手で上半身を浮かす様にして、京子は、少女の身体で立ち上がった。 腰がベッドから浮き上がる。 とはいえまだ両手はベッドについており、脚だけでたっているとは言い難い状態だ。 まずは左手を放してみる。 問題ない。 続いて右手もベッドから浮かせる。 と バランスをくずしかけ、前のめりに倒れそうになる。 慣れない身体ということもありバランスを取り戻すことができない。 だが際どいところで、体勢を整える。 背筋を伸ばし、両腕両脚を少し広げることで安定性を高めてみれば、その後は意外とすんなりと立っていることができ、やや摺るようではあるが、歩くこともできた。 「足腰も大丈夫みたいですね。後は、身体の感触になれてくれば、もっと安定すると思います。」 京子の説明に、少女の両親は、安堵のため息を吐いた。 「催促するようで申し訳ないんですけど、もう少し動きやすそうな服を用意してもらえませんか。この後のことを考えると、早めにこの身体に慣れておきたいですし。こんな格好だと動きにくくて、怪我をしてしまいそうですから。」 パジャマ派だった京子にしてみれば、ネグリジェというのはかなり落ち着かない。 母親は跳ねるようにして部屋から飛び出していった。 「服が用意できるまで、座ったまたせてもらいますね。」 そういうと京子はベッドに腰を下ろす。 「うまくいって本当によかった。これで当面の間ですが娘の命の心配はなくなりました。本当に有り難うございます。」 父親は今では奔流のように涙を流していた。 「こんなことができるかどうかあたしも心配でしたけど、うまくいってよかったです。ところでこの後のことですが。」 「え、あ…あ、はい。そのことですね。打ち合わせ通り、準備はしておきました。頭が離れている間、貴女の身体を保護しておく部屋は用意してありますし、その身体に戻るまでと戻った後の準備も整えてあります。」 「それだけはお願いしますね。ろくろ首は、夜明け前までに本来の身体にくっつかないと死んでしまうわけですから。」 ろくろ首は、一度頭を身体から離した後、夜明けまでにくっつかないとそのまま死んでしまう。 これは紛れもない事実だった。 人の頭が胴体から離れて飛び回ること自体、おかしな話とはいえ、あまり長時間、離れていれば死んでしまうのはある意味道理が通っている。 原因は不明だが、頭も身体も仮死状態でどうにか死を免れているこの少女は例外中の例外というべきだろう。 京子も、「もしできたとしたら」という前提の元、少女の胴体に自分の頭をくっつけるという作業に関して、安全策をいくつも設けさせてもらっていた。 短いとは言えない間、頭がないままの胴体が弱っていることは確実だった。 それを回復させるには、1日や2日ではとても間に合わないだろう。 「家庭教師」としての契約期間である1ヶ月ぐらいはかかっても不思議はない。 とはいえ、京子も1ヶ月の間、ずっと少女の身体にくっついているわけにもいかない。 夜明け前までに自分の身体に戻る必要があるのはもちろん、ずっと離れっぱなしでは今度は京子の身体の方がまいってしまう。 そこで次のようなシフトが組まれることになった。 まず、京子は自分の身体で起床、朝食をとる。その後、少女の身体に移行し、再度朝食をとる。日中はそのままリハビリ、昼食、そして夕食後、京子本来の身体に戻り、再度夕食、そして自由時間、就寝。これをほぼ毎日繰り返すことになる。 これならば、夜明け前というタイムリミットに引っ掛かることもなく、また本来の肉体も動かせるので健康面の問題もない。 また京子は、自分の頭が離れた後の身体の管理も入念にお願いしていた。 頭が離れた後の身体は、ある種の仮死状態にあり、新陳代謝が極度に落ちる為、丸一日ぐらいなら食事の必要もなく排泄もない。 だが、離れている状態では、その身体に何が起こっても、京子には何も分からない為、それこそ病人を扱うのと同じくらい、管理が不可欠なのだ。 火事などの事故はもちろんのこと、新陳代謝が落ちているということは汗もかかないということになる。 つまり気温があまりにも高くなった場合、汗がでないため体温があがりすぎて、熱中症になってしまう可能性が高い。一方、体温の維持能力も落ちているので冷房のかけすぎもまた危険だ。 時折、京子自身が確認にいくとはいえ、四六時中みていることも困難である以上、しっかりと管理してくれる設備が必要だった。 他人の身体との接合に成功したという高揚感も数分後にはかなり消え失せ、京子は、接合直後とは異なる視点で今の自分の身体をみつめることができるようになっていた。 改めて首から下が7歳の少女のものになっていることを確かめると何とも言えない不思議な気持ちがする。 数分前まで、れっきとした成人女性だっただけに尚更だ。しかも視界の隅に自分の身体を捉えていることもあって。 一時的とはいえ、こんな身体で生活すると言うことに一抹の不安を感じる自分を抑えきれない。 と、そこに母親が着替えをもって戻ってきた。 フリルだらけのネグリジェだっただけに、やはりフリルやリボン、レースなど装飾過剰なワンピースでももってくるのではないかと不安はあったが、動きやすい服という意味を理解してくれたらしい。 キャミソールにノースリーブのパーカー、そしてデニム地のミニスカート。それにスニーカー。 夏のアクティブ少女の服装といった感じのコーディネイトだ。 着替えを受け取った京子はネグリジェに手をかけたところで、父親がまだ室内にいることに気づく。 「あの…できれば着替えの時は外に…身体は娘さんのものかもしれませんが、あたしとしてはそういう割り切りはできないものですから…」 「あ、こ、これは失礼…」 顔を赤らめながら、男性は廊下に出て行った。 「あの…私は残っていてもいいでしょ?女同士だし、慣れない身体での着替えには手伝いがあった方がいいと思うの。」 先にそう言われてしまっては断るのも難しい。 小さく頷くと、京子はまずネグリジェを脱ごうと布地の手をかける。 と、早速手伝いが必要となってしまった。 当然のことだが、成人女性と7歳児では、腕のリーチが全く違いすぎる。 実際の腕の長さ以上に、その差を完全に理解していないため、手が思う様な位置に届いてくれないのだ。 しかも、このネグリジェは背中のホックを止めるタイプのため、それを外すことに四苦八苦するハメとなった。 「大丈夫かしら。ちょっとまってね。」 女性はそう呟きながら手を伸ばすと、ホックを慣れた手つきで外し始める。 ゆったりした造りのネグリジェとはいえ、背中が大きく開くとそれなりの開放感。 思わず、安堵にも似た息を吐いてしまう京子。 そのネグリジェを脱ぎ、身につけているのはパンツだけという姿になると、それまでとはやや違う意味で今の自分の身体が子供のものとなっていることを実感する。 手足がすっかり短くなっていることはともかくとして、胸の膨らみは全く存在しない。 色も薄く小さな乳首、触らなくても陰影でそれと分かるアバラ、ぽってりと膨らんだお腹、子供用の下着がそれを更に強調している。 モデルやグラビアアイドルほどではないにしろ、バストサイズも含めてスタイルに関しては人並み以上の自信をもっていた京子にとって、このような姿になったことは少なからず自尊心を傷つけられるものだったし、羞恥心を刺激されないわけにもいかない。 裸のままでいるとただ情けなくなるだけなので、さっさと着替えてしまおうと、まずキャミソールに手を伸ばした京子は、それが新品であることに気づいた。パーカーにスカート、靴下にスニーカー、いずれも新品だ。 一瞬考え込んだ後、京子はこの母親あるいは両親の気持ちを理解した。 子供に死なれた親は、その子が生きているつもりで、衣服やら学業用具を買い揃え続ける場合も多い。 しかも、今回の場合、この少女はまだ死んではいないのだ。 いつ目が覚めてもいいように、季節毎に衣服を新たに買い続けていてもなんら不思議ではない。 当然のことながら、衣服はいずれもぴったしだった。 「まあ、よく似合うわ。」 女性のその言葉が、自分にというより「娘」の身体に向けられたものであることに気づかないほど京子は鈍感ではなかった。 (うーん、父親はともかく母親のこの態度、後で厄介なことになるかも。) 再び一抹の不安を覚えながらも、ここまできたら、引き返すわけにもいかない。 数日は様子見、そしてこの母親には、自分は娘とは違うことをそれとなく理解して貰える様促していく様にしないと。 頭がつながっていない、いわば仮死状態が長く続いていただけに、この身体はかなり弱っているようだ。 着替えただけにもかかわらず、体育の受業直後のような疲労感がある。 ゆっくりとベッドの上に腰をおろした。 「着替えは終わりましたから、入ってもかまいません。」 廊下で待ち焦がれているだろう父親のことに気づき、声をかける。 ドアが少しだけ開き、男性が顔を覗かせる。 「おお」 小さいながらも感嘆の声を漏らしながら男性は部屋に入ってきた。 「ぴったりじゃないか。これは良かった。」 どうやら、父親の方も自分のことを娘としてみている部分があるらしい。 まあ、無理はないことだが。 「とりあえず、今日は夜まで、この身体で過ごしてみますね。実際に動いてみないと気づかない点も多いですから。ところで、この建物の中で注意した方がいいところとかありますか。特に、子供だと危ないところとか。」 「そ、そうだな…キッチンとか以外ならそれほど危ない場所はないはずだ。多少階段は急かも知れないが、手摺はあるし、窓とかベランダも手摺りは高めにしてあるから落ちる心配はないと思う。 ただ、ここはかなり山の奥だから、建物から離れると、あちこちに危ない場所があるかもしれない。」 「そうですね。この身体でいる時は、一人で外には出ないようにします。」 とそこで京子は不意に空腹感を覚えた。 長らく失われていた頭部が他人のものとはいえ戻り、仮死状態から復活したことで内臓の動きも活発化しつつあるようだ。 くぅ 可愛らしい、腹の虫の鳴く音。 思わず京子は顔を赤らめた。 「あらあら、ちょっと早いけどお昼にしましょうか。」 破顔しつつ、そう提案する母親。 「え、ええ、そうですね。でも注意してくださいね。 この身体の方は、長い間絶食のような状態だったんですから。胃とか内臓に負担がかからないようなものをお願いします。」 用意された料理は、薄目のコンソメスープに、かなり薄め、重湯のようなお粥だった。 それなりの空腹感はあったものの、小さくなった手をまだ思う様に動かせないこともあって、小さな食器に盛られていたにもかかわらず、半分ほど食べたあたりでもう満腹感に近いものを感じてしまう。 「あの…ごちそうさまでした。」 「おや、もういいんですか。」 「はい、まだこの身体に慣れていないこともあるし、それに今の時点では食べ過ぎは危険ですから。」 食事の後、京子は、2人に付き添われながら、建物の中を歩いてまわることにした。 リハビリとしてこの身体を動かし慣れるという意味の他、この身体で危険そうな場所を事前に確かめておこうという意味もある。 しかし、一緒に歩いてみると、歩幅の違いから、いつのまにか引き離されてしまう。 「あ、申し訳ありません。」 2人は立ち止まり京子が追いつくのを待つ。 「なんでしたら、今日は私がオンブでもしましょうか。」 「い、いえ、何はともあれ身体を動かさないことには始まりませんので。」 しかし、この建物は別荘であるにはかかわらず、かなり大きかった。 1階を全て回るだけで、京子はマラソンの後の様に疲れ切ってしまう。 「ちょっと、休憩しましょう。今日中に全て回らないといけないわけでもありませんし。」 「そうね。お茶にでもしましょうか。」 まだ胃腸の具合は完全に復調していないだけに、スイーツがつかないお茶だけというのはかなり寂しかったが、休憩したことで多少京子の体力も回復した。 2階へ向かう階段。 いうほど急勾配ではなかったものの、7歳の身体その脚では、それを登るのも少々大変というか、大人の身体とでは違う脚の動きが必要であり、それを思い出すのに少なからず時間を必要とした。 思いだしたのは結局階段を登りきった後のことだった。