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{*教会の鐘の音が背後に聞こえる*} 本日の音楽関連ニュースです: 毎度物議を醸しているトゥパック・シャクールが マキャヴェリ名義のアルバムを発表しました 音楽業界の消息筋によりますと、他のアーティストは アルバム発売日の調整に躍起になっているそうです 動向次第で売上チャートから蹴落とされる恐れがあるからです とはいえ、今回の新作が生まれた正確な背景を知る者はおりません 消息筋によれば、恵まれない数名のラッパーが 団結して陰謀を企てたうえで、シャクール氏のみならず Death Rowレコードをも抹殺しようとしているというのです 首謀者とされるNasはトゥパックに対して激しく怒りを表明しています 失礼しました、マキャヴェリの口撃に対してです Mobb deepやNotorious B.I.G.、さらにNYのラッパー数名 "Hawaiian Sophie"で名を売ったJay-ZからBig Littleらに至る ダサダサのmotherfucker達まで 今回のリリースに対して、理由もなく奮え上がっております 誰もが答えを知りたがっている疑問があります -- 何故彼らはこのniggaを駆り立てたのでしょうか? トゥパック、いやマキャヴェリから具体的コメントは出ておりません しかし、以下のような声明が発表されました: [Makaveli] 東海岸か西海岸かといった問題ではない niggaかbitchか、権力かカネか riderかpunkか、お前はどっちにつくんだ? {*撃鉄を起こして6発の銃声、薬夾が地面に転がる*} まだウダウダ喋ってるのか? まだ息をしているのか?ゴキブリ野郎が いいか、ゴキブリ退治を始めるぜ (一日中、毎日) お前らmotherfuckerどもへ奇襲攻撃だ (一発ブチ込んでやる) どうだ!キルミナティ・スタイルだ (アウトローのライフ・スタイル) マキャヴェリ・ザ・ドンのソロ曲だ、喰らえ! [Makaveli] まず俺に自己紹介させてくれ {*銃声*} マキャヴェリ・ザ・ドンだ ヒステリーでスピリチュアルなlyricは、まるで聖なるコーラン Niggaどもをビビらせる、まるでパトカー 45口径が付き添う俺の攻撃は、生き残るためさ カネ儲けのプラン、ピストルは手元、ポケットはパンパンだ トピックを紹介させてくれ、そしたら聴かせてやる ずる賢いヤツらはのうのうとしてるが、引っぱり出してやろうか? 世界中に存在するグラフィティ・アートのように 俺はNittiよりタフで、アティチュードはハンパじゃないぜ ヤク中のオッパイにくっついてる どの街でも俺を探し出せるだろうよ 俺が背負い込んだトラブルを調べてみろ Outlawzの連中は俺のために死んでくれるぜ、わかるか? ギロチンばりの俺の視線からniggaどもは身を伏せる 俺が居るだけで、俺のすべての言葉は悪夢となる 俺をハイにして、日の出と日没を見せてくれよ 仲間のためなら死をいとわないダチに捧げるぜ 俺達が極悪非道なヤツらに立ち向かう時は切り刻むぜ 地獄こそが、俺達がヤツらを送り込む場所さ 俺のチームは全員、着いてくるのか殺られるか ハッキリするよう訓練されてるのさ motherfuckerどもを言葉で殺す 泣いたりなんかしないぜ 俺は生まれながらのリーダーだから、銃なしに地元を放っておけない bitchなniggaを喰うヤツらと呼んでいるピットブルが2匹居る 哀願はお断りだ 血管を駆けめぐっているThug Lifeが俺を強くするのさ (Ha、ha、ha) バイバイバイ、ハイになって襲いかかってやるぜ niggaどもをどうやって始末しようか 俺はBad Boyキラーさ、Jay-Zも死んじまえ Mobb Deepを探してるヤツがいるぞ、俺が見つけてやる 女々しいmotherfuckerどもには息をする資格もない 俺のために死んでくれるniggazは何人だ?イェイイェイ! ウエスト・コースト・ライダーがお前らのすぐ後ろに迫ってるぞ 俺を敵に回さない方が身のためだぜ 俺が欲しいのはカネ、オンナ、セックス、そしてウィード 俺は仲間が自由になるまでこの手を休めない、先制攻撃だ! [Chorus] 俺達が先制攻撃仕掛ける時だぜ 頼むぜ、せいぜい死ぬ前に考え直せよ 今夜俺達は誰かを怪我させに来たわけじゃない そこに残るのは俺の命かお前の命、先制攻撃をお見舞いするぜ 俺達が先制攻撃仕掛ける時だ 頼むからよ、せいぜい死ぬ前に考え直せよな 今夜俺達は喧嘩をしに来たわけじゃない 残るのは俺の命かお前の命、だから俺は先制攻撃するのさ [E.D.I. Amin] もう何日も何通りものやり方で、俺達は流れ弾をかわしてきた 弾は飛んでくるけど、俺達はまだBad Boyキラーさ 失うものは何もない、行き着く先もありゃしない あるのは家が一つだけで、Death Rowに繋がれてるのさ Outlawzと共に行動するマキャヴェリが将軍だ 俺は兵士としての任務を遂行中 お前らにはやれない事をやるために送られてきた 理由があるから襲撃するんだぜ もちろんその理由のためなら死ねるのさ 俺がそのbitchを生かすようなことがあれば 俺はお前らと心中さ ナチより病んでる神風だ "Paparazzi"を作ったniggaに対してちょっと質問があるぜ ラップ・ゲームに参加しているお前の目的は カネ以外に一体何があるというんだよ 誰も俺達を養ってくれるわけでもないしな E.D.I. Aminは生まれながらの無価値なのさ 決戦の日が来るまで、俺は先制攻撃を仕掛ける事にしたぜ、BEATCH! [Young Noble] お前のスタイルはてんでなっちゃいない、まるでエナメル革 お前らには欠けてるものが多すぎて、恐ろしいほどに不完全だぜ ハンパなラッパーで、ハンパな麻薬王 お前が喋ってるのは単なるおとぎ話さ "キング・オブ・ニューヨーク"だと、お前みたいな野郎がか? 俺はニュージャージー出身だけど、そんなふざけたマネはしないぜ クレアからノース・ブリックスまで たとえハードでも、俺の仲間はみんなカネ儲けしてるぜ ホールに忍び込んでいって乱闘してやる リボルバーで傷つけずに 合図もせずにな お前は俺の仲間に5発撃ち込んだからな 俺は9ミリ銃を持った若造さ、覚悟はできている [Makaveli] 先手をブチ込んでやる、見ろよ頭から血が噴き出してるぞ 今夜そんな話を聞きたくなかったら俺を信じろよ 俺達がやる時は先制攻撃だぜ 頼むからよ、死ぬ前に考え直しておけ 'G'な連中とThugなniggaが勢いづいて来たぞ 計画、構想、戦術、そして先制攻撃だ 俺達が動く時は先制攻撃だぜ 頼むぜ、せいぜい死ぬ前に考え直せよ 'G'な連中とThugなniggaが黙っちゃいないぜ 計画、構想、戦術、そして先制攻撃だ
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たとえば、すべてが終わったとして。 終わるその寸前で、最後のチャンスを差し出されたとして。 火の、肌を焼く嫌な匂いが漂いながら、そんなことを考える。見上げれば綺麗な夜空か明けた朝が広がっていたかもしれないが、劫火に包まれたこの城内では生憎と星も日の明かりもすべてが届いてくれない。 そもそも視界はとうに焼け潰れていたし──いや、あるいはただ血が足りなくて見る力が尽きているだけかもしれないが、とにかく暗くて何も見えない。ごうごう、ごうごうと重く風の奔る音のような炎上を聞きながら、端から感覚をなくしていく四肢について乾いた恐怖を覚える。聴覚だけがまともに機能している、ということがこんなにも心細いものだと知れたのがこの終だったのは、よかったのかもしれない。 いずれは肉も骨も、燃えた瓦礫に呑まれていく自分の身体。きっとそのときに魂も消えてしまう。だからだろうか、もう言うまいと思っていた負け惜しみをこんなふうに内心吐露して、ああ、悔しいなと思い出していくのは。 結局のところ。 積み重ねてきた歴史書の厚さに織り込まれてきた過去の人物たちと、それは同じような話。 俺は戦って、負けて、これから死ぬ。変えられない現実というのは至極シンプルで、息ができているかも定かでない喉を動かしながら、かろうじて残る酸素を手繰り寄せて考えている。 これから、すべてが終わったとして。 終わるその寸前で、最後のチャンスを差し出してくれるのは。 当然だが、もちろん、世迷言だ。そういうことをしてくれそうな奴はとうに死んだか、いなくなった。 みんな、俺が決めた方針に付き従った。おそらくそれに逆らいたい奴もいただろうに、結局大した謀反が起きたわけでもない。ひっそりといなくなることはあったが、それは最善だったと俺は思う。戦力が削れるということを痛いとするのなら、俺は、そいつが悔いのない人生を歩んでくれるなら全然だとも思う。自分自身悔いのある人生しか歩めなかったから、そう、選べる人が羨ましいというのが本音かもしれない。 振り返ってみればなんとも不運の連続だった。恵まれてはいただろう、幸せだったのだろう。俺はきっと、誰かに愛されていたんだろう──そう、そうなんだろう(・・・・・・・)と不確かな物言いになってしまうほどに、俺は誰かによって奪われてきたし、何かによって喪ってもきた。それ以上に多くの物を奪い、無価値に消費したという事実もあるにはあるが、俺個人の人生に焦点を当てるというのならきっと、総評としては間が悪い男だったに違いない。 いつだかに言われた言葉をふ、と思い出す。 『お前は今、生まれてきてはならなかった』 笑いそうになった。ああ、確かにその通りだった。どこぞとも知れなかった人間の怨嗟の声は、的確なほど的を得ていて深く深く傷をえぐるように突き刺さる。生まれるべきではなかった。今、生まれてきてしまったからすべてが悪い方向に転がり落ちたのだと。 つまり、俺が端から息をしていなければ、たぶん、そういうことにはならなかったという話で。 恵まれて、幸せで、愛されていても、ただ存在からして呪いだというのならば、そうするしかない。そうであったことを、ここまできた以上俺は受け入れざるを得ない。 哀しく思う。資格があるかどうかは分からないが、自分で自分のことを憐れむ。馬鹿だ、と口に零す。それすらも炎に溶けていく。 もしくは、すべてが終わったとして。 終わるその寸前に、最後のチャンスというものがある場合。 願い事があるならば、そのときに叶えてもらうのがいいだろう。 でも、いったい何を願えばいい?この場にいる俺の生存?それとも死んでいった彼らの蘇生?戦争に巻き込んでいった無辜の民への酬い?あるいは。 あるいは、そう。 敵対した手前、お互いに退くことはもうできないと拒絶した彼らのことについて浮かぶ。 知らない人たちだった。あくまでも報告書を通して、それか戦火を交えてのものでしか俺は彼らを知らない。ただそこには強烈な戦意だけがあって、個人の事情を顧みることなどできなかった。因縁は確かにあったのだろう。彼らを率いる少女が当初は復讐のために武器を取り、最後には王の表情を見せたように、何か変わるものが見えていたのだろう。 それから、そう。 俺は、何も知らなかったのだろうと思い到る。彼らのことも、彼らのことも。敵も味方もまとめてしまえば、俺の理解が及ぶ前に過ぎ去ってしまった。理解しないと拒絶したから、いらないと思ってしまったから、最後まで誰一人として分からないまま終わった。 だから俺はひとりぼっちで死ぬのだ。孤独という報いを受けて、当たり前のように死ぬ。 そうであるならば、確かに願えることがひとつだけあるのだ。 ここから、すべてが終わって。 それでも、すべてが始まったとしよう。なあ、お前(・・)は何を願う? 過去の人々と同じ、死の淵に立たされたから湧き上がる。俺の望みは、否、担うべき役目(・・)は。 こんな結末(幕引き)を拒絶すること、だったのかも、しれなかった。 「運命っていろんな意味が含まれていると思わないか。運命的な出会い、というとポジティブだが、これは運命だったと称するときにはネガティブな要素も含まれる。 デスティニー、ドゥーム、フェイト、フォーチュン、ロット、ポーション……まあ言い方もそれぞれだが、とにかくひとは運命に特別な意味を求めているとは思うんだ。 ここでひとつ話は変わるが、たとえば物語の結末は何が好ましいと思う?完全無欠のハッピーエンド?非の打ち所がないバッドエンド?どちらともつかない終わり方?どちらとも受け取れる終わり方?ここについては人の好みに依存するだろうから、多くを聞くことはしないがそうだな。 少なくとも俺は、ハッピーエンドが好きだよ。たとえどんなに残酷な脚本だったとしても、最後にはメインキャラの誰も彼もが報われる話がいい。なるべく言うなら、生存していってほしい。もちろん、幻覚とかそういう姑息な手段でない、正しい幸せを掴み取った上でのことだ。そしてそこには、キャラクターたちの熱が息衝くものであるといい。注文が多いかもしれないが、なに、大したことはないよ。 だから、――そうだな。 お前が、俺と鼓動を合わせられるものであるのなら。こんな結末を拒絶すると願うのなら。 取引がしたいんだよ。 利害の一致というやつだ。お前も俺も、最高の結末を迎えたがっていた奴なんだから」
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発言者:《伯爵》 対象者:始祖リリス 「こう生きて(・・・・・)、そう死ぬしかない(・・・・・・・・)という無機物(マテリアル)。成る程な、道理だ母よ。 理想を叶え続けることなど生物には不可能、歯車にしか出来はしない!」 「生命は間違いを犯す。惑う、悩む、悔やむ、逸れる……この男に言わせれば、 自分自身すら判らぬらしい!そんな者には任せられぬな、納得だとも。理が通る───ッ」 「最初から完全で、間違えるべくもなく、己に疑問を持たぬ者が必要だ」 「……くく、くくくく。よって、私は遂に破綻した。 矛盾を見抜かれ、己が深淵を暴かれた。 かつての自動人形ではない。この身は今や、まさに────」 「嗚呼、素晴らしいぞッ! 私は今や、吸血鬼(ヒト)の心を得たようだ!」 アイザックとの会話で生まれた自分の起源への疑問。 そしてトシローとの戦いにおいて暴かれた、 「始祖リリスによって造り上げられた理想の吸血鬼像であり、魂を回収するための自動人形である」という己の真実。 それを聞いて生まれた隙をつかれトシローによって討たれたかのように見えた伯爵。 しかしその刃は届かず、代わりに伯爵に生まれたのは彼がするはずもない嘲笑や愉悦の笑みといった、人間のような感情だった。 伯爵は自分の始祖リリスを生まれ変わらせるための人形という機能を「自分は生命(いのち)を産むことができる唯一の血族である」と、己がリリスの道具であることを覆さぬまま誇りとして存在意義を肯定。 その心持ちを振り返る伯爵は、こう語る……。 「否定とは、試練だ────」 「不夜の幻想に向かい、現実を教授する。 闇の伝説に酔いしれるなと、幽鬼の如く告げるがために、おまえは試練を投げかける」 貴様は間違っている───その理由を語り、徹底的に弾劾する立ち振る舞いは物語において、確かに毛嫌いされる。 しかし同時に、主役の成長にはそうした役割を担う存在が必要となる。 誰もが立ち向かえるものではない、資格は限られた者にしかない。 だが、乗り越えればそれは最大級の糧となり、心身へ変革を生む魔法の言葉と成り得てしまう故に――― 現実を受け止め、こう生きて(・・・・・)そう死ぬ(・・・・)。 人間の頃のトシローが出来なかったことをただの道具の伯爵はいとも容易く成し遂げたという明らかな優劣の優。 物語の『そういう配役』として『そう宛がわれ、そういう運命となる』かのように、この瞬間、トシローは唯一の優位点であった人としての生き様すら伯爵の下位に追いやられることになるという、『究極の敗北』を刻み付けられることに…… 後の作品にも受け継がれることとなる、記念すべき昏式・高濱作品チーム最初のラスボスによる覚醒である。 + 真の“吸血鬼”の猛威による究極の敗北 真なる吸血鬼(ヴァンパイア)の言葉が、総身から放たれる略奪の波動が、 トシローのなけなしの意地と、肉体を徹底的に破壊し、生きる意義を得た“超越者”の糧として貪ってゆく。 愛する■■■の無念も晴らせず、友の“生きろ”という遺言さえ成し遂げられず…… 恐怖と理想の吸血鬼を前に、全てを上回られ、どこまでも無為に、消えてゆくトシロー。 「さよなら、宿敵よ───そして、ようこそ(・・・・)」 「共に、往こう」 敗北を決定づける伯爵の鋭き掌(かいな)。 だが―――その、一撃は、スカーレットに遮られ……届かなかった。 『───ああ』 『お怪我は、ございません────か?』 『────杜志郎、さま』 身体も思考も震え砕け散る寸前、確かにトシローは感じ取った。 かつてと同じように、守りたいと願っていた女が、自分の目の前で薔薇(いのち)の華を散らす瞬間を。 そして、彼女は告げる。 『私の、還るべき場所は、此処に…………』 『───この御方の魂に、私の故郷(ふるさと)は在るのですから』 瞬間、あの日の、沈丁花の香りと共に彼の裡に流れ込んだものは──── 主人公みたいな台詞を叫ぶラスボスはこの頃からの伝統だったんだな... -- 名無しさん (2016-11-04 15 15 07) 覚醒のページとか誰か作ってくれないかなあ。ヴェンデッタしかやってないから作れないんだよね。 -- 名無しさん (2016-11-04 16 22 10) つーても、昏式・高濱作品でも覚醒するのは基本主人公側だぞ。ゼロインとか主人公陣営ほぼみんな覚醒するといえばするし。 -- 名無しさん (2016-11-04 19 07 02) 声が某格ゲーのワラキアに似てるような気が -- 名無しさん (2016-11-04 23 34 26) 確か声優はその某格ゲーを作ったエロゲメーカーの代表作のCS版で、某ギリシャの大英雄やってる人だったと思う -- 名無しさん (2016-11-04 23 37 23) ダンディな亡霊乗りの魂の双子だったのか… -- 名無しさん (2018-02-11 15 33 37) 主人公みたいな台詞を言うラスボスが伝統というか、『物語の主人公』に対して『端役』が『端役にも端役の物語があるからな、主人公ムカつくから主人公の勝ちを無価値にするわ』という感じで『逆襲』するのが伝統というべきかね。朱銀幻燈の下りは闇の竪琴の『逆襲』のプロトタイプだろうしトリニティクライマックスも『灰と光の境界線』の『英雄譚(逆襲劇)』で光の奴隷ぶちのめしてるし、結構カタルシスはデカいしパターン変えて色々派生させているから良い意味で受け継がれて良かったと思う。 -- 名無しさん (2018-12-23 18 23 34) 今さらだが、伯爵→母孝行。アンヌ アリヤ→母好き。シェリル ニナ→母嫌い。 -- 名無しさん (2020-05-07 14 58 34) ↑あり得ない事だが、トシロー×ヒロインの母だったらどうなってたんだろ。 -- 名無しさん (2020-05-07 14 59 48) ↑少なくともニナとシェリルはキレる。 -- 名無しさん (2020-05-07 15 00 25) 声優さんの演技のおかげで、マジでここから同一人物の別人になるからなあ。トシローが覚醒した後の最終決戦時のハイテンションと覚醒前の淡々としてた頃と本当同じ奴かと疑うぐらい違いがある -- 名無しさん (2020-05-28 21 09 47) ↑4リリス「完璧な吸血鬼創った筈なのに悍ましい化け物になってる……」 -- 名無しさん (2023-12-12 06 55 47) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kakiterowa/pages/445.html
乱雑に紙束を捲る音が、静かな部屋に響く。 焦る息づかい。落ち着かない視点。動揺は行動から精密さを失わせている。 それでも――急げ。急げ、急ぐしかない。 時間があとどれだけ残されているかも判らない。 その上に何を見つければ良いのかも判らなかった。 (くそっ、何か無いのか。何か……何か、手掛かりは!) 思わず臍を噛む。 今はチャンスなのだ。定時放送が流れた直後の今が。 今なら奴は、放送直後の参加者達を見物するためモニターに釘付けされている。 定時放送直後、参加者達の悲喜こもごもは頂点に達するのだから。 無数の死、幾つもの喪失が参加者達を傷つけ、無数の悲しみと絶望を撒き散らす。 会場の見物を楽しみにしていた奴が、それを見物していない筈は無い。 少なくとも十数分は確実に。 ――ブゥンと、胸ポケットでマナーモードの携帯が鳴った。 「チィッ」 思わず舌打ちする。放送後十分経過のアラームだ。 それが真主催者ことWiki管理人の私室を捜索する限界として定めた時間だった。 撤収までにかかる数分も計算に入れた限界ギリギリの設定時間。 これ以上時間を費やすと彼女が戻ってくるかもしれない。 彼はデジタルカメラを取りだすと、目星をつけた書類を撮影した。 高解像度のカメラだ、後でパソコンに映せば十分可読に耐えるだろう。 それから急いで書類を元の場所に戻す。 最後に部屋の全景を何度か撮影してから退室し、元通り鍵を閉めた。 足早に鍵を管理室に戻し、モニタールームの前に来た所で。 目の前で扉が開いた。 「おや、どうしましたそんなに急いで」 「――――っ!」 顔を見せたのはWiki管理人だった。 彼は動揺する鼓動を必死に落ち着かせる。 (大丈夫、気取られてはいないはずだ。俺の来た方向は他にも設備がある。 その上にこいつがまだここに居た。下手を打たなければばれない) 彼、読み手は落ち着いた口調で答えた。 「別に。少し用を足していただけだ」 Wiki管理人はくすりと笑みを浮かべる。 それだけで読み手の心拍数は跳ね上がった。 「ダメね、君。嘘はいけないよ」 絶句する。 (まずい、気付かれた!?) 焦りを押し込め、返答。 「嘘など……吐いていない」 「そう? どうせ君の事だから」 Wiki管理人は笑う。今から告げられる次の言葉で読み手の命運は決する。 果たしてその言葉は。 「放送直後に嘆く参加者達を見たくなくてモニタールームから離れていたんでしょう?」 ……読み手にとっては幸運なものだった。 「…………そ、そんな事は無い」 内心の安堵を隠して動揺を見せる。本当はその通りだと思わせる為の動揺だ。 「そうかい? ……ふふ、まあいい、少し休憩をあげるよ。自室で休んできなさい」 「くそ……お言葉に甘えさせてもらう」 読み手はモニタールームに背を向け、自室へと足を向けた。 滝のような汗が流れる背中に、くすくすと笑い声を浴びながら。 * * * 読み手は自室に戻ると、早速撮影した書類をパソコンに映し出した。 だが彼にとって重要な情報はそうそう無い。 主催側である彼は大半の情報を最初から知っているし、そもそも……。 例えば参加者達のプロフィールがある。 (性格や外見が記されているな。書き手同士の繋がりも有る。参加者達にとっては垂涎物だろうが……) ロワ内に干渉する手段を殆ど持たない彼にとっては意味が無い。 どうにかして内部にこの情報を届けられなければ、この情報は無価値だ。 あるいは、首輪の内部構造。 対主催にとって喉から手が出る程に欲しい、首輪の解除法法。 (これも俺にとっては意味が無い。くそ、中にこれを届けられれば……!) 参加者にこれを渡せれば、対主催組は一気に決起できる。 彼、読み手こそ黒幕だと思われているのは問題だが、それでもこの価値は大きい。 参加者側に融通する事さえ出来れば。 「……くそ、なんてことだ」 思わずほぞを噛む。 読み手は主催側という安全な側に立ち、自由に内部を見物出来る権限を持っている。 だが参加者達を救おうと思っても、まるで手が出せない立場でもあるのだ。 その焦れったさが読み手には悔しく仕方がなかった。 (それでも、何か無いのか? 参加者達を……書き手達を助ける鍵は) 読み手は書類の写真データを次々にめくる。 次の書類を。次の書類を。 ――管理体制。 ――定時放送におけるカンペ。 ――支給品のリスト。 ――会場内の施設とその設備一覧。 ――第一回書き手ロワ主催側記録。 ………………。 「ん?」 それが気になったのはなんとなくだ。 第一回書き手ロワに関する記録。 この世界とは別の可能性世界で行われた書き手ロワイヤル。 その世界における人物は、この世界の人物と一部同じであり、同時に全くの別人だ。 (どこかの名も知らない読み手 1が始めた企画だったな) 恐ろしい事だと思う。 書き手がSSを書かなければ読み手が読むSSは無いというのに、 その読み手は書き手達を集めて殺し合わせたのだ。 なんという矛盾。 だが1の野望は 783-784で敗北を認めたズガンにより終わった。 ただそれだけの話。 もう終わり、そもそも別の可能性世界で行われた、全く接点の無い話。 この内容が何であれ、今回のバトルロワイアルに関係は無いはずだ。 だから読み手がそれに目を向けたのは限りなく偶然に近かった。 そして何か、違和感を感じた。 (なんだ……?) 写真を拡大し、縮小で潰れていた文字を見る。 そして気付いた。 (主催…………1、の後に何か書かれているな。これは、トリップか?) 1は名無しであると同時に、非公開だがトリップを持った人物でも有ったのだ。 恐らくは書き手か。 読み手は興味を持ち、更に写真を拡大した。 拡大しすぎた文字が画面一杯に広がる。 「…………え?」 表示された文字は半角英数字の三文字。拡大しすぎたせいで他の文字は画面外だ。 普通、これを見て判るトリップは既知ロワの有名人くらいだろう。 それでも判った。このトリップが誰を指しているのか、ほぼ確信した。 縮小した。思った通りのトリップが表示された。 「…………あんた、1stじゃ一応人畜無害じゃなかったのかよ」 混乱しながら漏らした呻き。 モニターには――『666』の三文字が表示されていた。 書き手ロワ1st主催、1◆CFbj666Xrw。 1stでも2ndでもロリな参加者として絶賛参加中。 コンゴトモヨロシクオネガイシマス。 ※:読み手がWiki管理人の部屋から撮影してきた書類は『参加者達のプロフィール』 『首輪の内部構造』『管理体制』『定時放送におけるカンペ』 『支給品のリスト』『会場内の施設とその設備一覧』『第一回書き手ロワ主催側記録』 他にもあるかも。どれも参加者にとって大変価値のある物ですが、 そもそも読み手は主催側なので大半を知っていた上、参加者に伝える手段を思いつけずにいます。 ※:666が1st主催である事が何か関係有るかは不明。単に別可能性世界の住人かもしれない。 128 温泉話っスか! Chain-情さん2 集まれ!コスプレ温泉 投下順に読む 130 一種のカミングアウト 128 温泉話っスか! Chain-情さん2 集まれ!コスプレ温泉 時系列順に読む 131 その名は「火蜥蜴」 082 ウラガワ 読み手 142 黄昏、来まくって 120 私のかがみ様、ツンデレのかがみ様 wiki管理人 142 黄昏、来まくって
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{*教会の鐘の音が背後に聞こえる*} 本日の音楽関連ニュースです: 毎度物議を醸しているトゥパック・シャクールが マキャヴェリ名義のアルバムを発表しました 音楽業界の消息筋によりますと、他のアーティストは アルバム発売日の調整に躍起になっているそうです 動向次第で売上チャートから蹴落とされる恐れがあるからです とはいえ、今回の新作が生まれた正確な背景を知る者はおりません 消息筋によれば、恵まれない数名のラッパーが 団結して陰謀を企てたうえで、シャクール氏のみならず Death Rowレコードをも抹殺しようとしているというのです 首謀者とされるNasはトゥパックに対して激しく怒りを表明しています 失礼しました、マキャヴェリの口撃に対してです Mobb SleepやNotorius P.I.G.、さらにNYのラッパー数名 "Hawaiian Sophie"で名を売ったJay-ZからBig Littleらに至る ダサダサのmotherfucker達まで 今回のリリースに対して、理由もなく奮え上がっております 誰もが答えを知りたがっている疑問があります -- 何故彼らはこのniggaを駆り立てたのでしょうか? トゥパック、いやマキャヴェリから具体的コメントは出ておりません しかし、以下のような声明が発表されました: [Makaveli] 東海岸か西海岸かといった問題ではない niggaかbitchか、権力かカネか riderかpunkか、お前はどっちにつくんだ? {*撃鉄を起こして6発の銃声、薬夾が地面に転がる*} まだウダウダ喋ってるのか? まだ息をしているのか?ゴキブリ野郎が いいか、ゴキブリ退治を始めるぜ (一日中、毎日) お前らmotherfuckerどもへ奇襲攻撃だ (一発ブチ込んでやる) どうだ!キルミナティ・スタイルだ (アウトローのライフ・スタイル) マキャヴェリ・ザ・ドンのソロ曲だ、喰らえ! [Makaveli] まず俺に自己紹介させてくれ {*銃声*} マキャヴェリ・ザ・ドンだ ヒステリーでスピリチュアルなlyricは、まるで聖なるコーラン Niggaどもをビビらせる、まるでパトカー 45口径が付き添う俺の攻撃は、生き残るためさ カネ儲けのプラン、ピストルは手元、ポケットはパンパンだ トピックを紹介させてくれ、そしたら聴かせてやる ずる賢いヤツらはのうのうとしてるが、引っぱり出してやろうか? 世界中に存在するグラフィティ・アートのように 俺はNittiよりタフで、アティチュードはハンパじゃないぜ ヤク中のオッパイにくっついてる どの街でも俺を探し出せるだろうよ 俺が背負い込んだトラブルを調べてみろ Outlawzの連中は俺のために死んでくれるぜ、わかるか? ギロチンばりの俺の視線からniggaどもは身を伏せる 俺が居るだけで、俺のすべての言葉は悪夢となる 俺をハイにして、日の出と日没を見せてくれよ 仲間のためなら死をいとわないダチに捧げるぜ 俺達が極悪非道なヤツらに立ち向かう時は切り刻むぜ 地獄こそが、俺達がヤツらを送り込む場所さ 俺のチームは全員、着いてくるのか殺られるか ハッキリするよう訓練されてるのさ motherfuckerどもを言葉で殺す 泣いたりなんかしないぜ 俺は生まれながらのリーダーだから、銃なしに地元を放っておけない bitchなniggaを喰うヤツらと呼んでいるピットブルが2匹居る 哀願はお断りだ 血管を駆けめぐっているThug Lifeが俺を強くするのさ (Ha、ha、ha) バイバイバイ、ハイになって襲いかかってやるぜ niggaどもをどうやって始末しようか 俺はBad Boyキラーさ、Jay-Zも死んじまえ Mobb Deepを探してるヤツがいるぞ、俺が見つけてやる 女々しいmotherfuckerどもには息をする資格もない 俺のために死んでくれるniggazは何人だ?イェイイェイ! ウエスト・コースト・ライダーがお前らのすぐ後ろに迫ってるぞ 俺を敵に回さない方が身のためだぜ 俺が欲しいのはカネ、オンナ、セックス、そしてウィード 俺は仲間が自由になるまでこの手を休めない、先制攻撃だ! [コーラス] 俺達が先制攻撃仕掛ける時だぜ 頼むぜ、せいぜい死ぬ前に考え直せよ 今夜俺達は誰かを怪我させに来たわけじゃない そこに残るのは俺の命かお前の命、先制攻撃をお見舞いするぜ 俺達が先制攻撃仕掛ける時だ 頼むからよ、せいぜい死ぬ前に考え直せよな 今夜俺達は喧嘩をしに来たわけじゃない 残るのは俺の命かお前の命、だから俺は先制攻撃するのさ [E.D.I. Amin] もう何日も何通りものやり方で、俺達は流れ弾をかわしてきた 弾は飛んでくるけど、俺達はまだBad Boyキラーさ 失うものは何もない、行き着く先もありゃしない あるのは家が一つだけで、Death Rowに繋がれてるのさ Outlawzと共に行動するマキャヴェリが将軍だ 俺は兵士としての任務を遂行中 お前らにはやれない事をやるために送られてきた 理由があるから襲撃するんだぜ もちろんその理由のためなら死ねるのさ 俺がそのbitchを生かすようなことがあれば 俺はお前らと心中さ ナチより病んでる神風だ "Paparazzi"を作ったniggaに対してちょっと質問があるぜ ラップ・ゲームに参加しているお前の目的は カネ以外に一体何があるというんだよ 誰も俺達を養ってくれるわけでもないしな E.D.I. Aminは生まれながらの無価値なのさ 決戦の日が来るまで、俺は先制攻撃を仕掛ける事にしたぜ、BEATCH! [Young Noble] お前のスタイルはてんでなっちゃいない、まるでエナメル革 お前らには欠けてるものが多すぎて、恐ろしいほどに不完全だぜ ハンパなラッパーで、ハンパな麻薬王 お前が喋ってるのは単なるおとぎ話さ "キング・オブ・ニューヨーク"だと、お前みたいな野郎がか? 俺はニュージャージー出身だけど、そんなふざけたマネはしないぜ クレアからノース・ブリックスまで たとえハードでも、俺の仲間はみんなカネ儲けしてるぜ ホールに忍び込んでいって乱闘してやる リボルバーで傷つけずに 合図もせずにな お前は俺の仲間に5発撃ち込んだからな 俺は9ミリ銃を持った若造さ、覚悟はできている [Makaveli] 先手をブチ込んでやる、見ろよ頭から血が噴き出してるぞ 今夜そんな話を聞きたくなかったら俺を信じろよ 俺達がやる時は先制攻撃だぜ 頼むからよ、死ぬ前に考え直しておけ G な連中とThugなniggaが勢いづいて来たぞ 計画、構想、戦術、そして先制攻撃だ 俺達が動く時は先制攻撃だぜ 頼むぜ、せいぜい死ぬ前に考え直せよ G な連中とThugなniggaが黙っちゃいないぜ 計画、構想、戦術、そして先制攻撃だ
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予期せぬ訪問客が訪れたのは閻魔と別れた翌日だった。 「こんちはー」 玄関前でにこにこ笑う紅い髪の少女。 手にはおよそ実用的でなさそうなぐにゃぐにゃした大鎌が一振。 こんな酔狂なものを持ち歩く奴は幻想郷でも滅多にいない わかりやすいトレードマーク、そう、彼女は死神だ。 「なんのようかな」 そっけなく答える。ここまで辿り着いたんだ。ボロは出したくない。 「いや、休憩中なんだけどさ、こうも寒いとあったかいお茶でもほしくなってさ そしたら丁度いいとこにあんたの家があったもんだから」 「つまりお茶をたかりにきたと」 「まあそんなとこさね」 わるびれもせずそう答える。 さてどうしたものか。この死神鈍そうにみえて結構鋭い。 多分俺と閻魔の関係には気づいていたろうが…… 「仕方ないな、あがりなさい」 「ありがと、旦那」 まあ適当にあしらえばいいさ、もう仕事は終わったも同然だ。 かたくなに拒んでいらぬ疑いを招き入れる必要もない。 畳敷きの居間に彼女をまたせお茶を淹れる。 「ぷはーありがと、やっぱりあついお茶がいちばんだねー」 「あいにく茶菓子はこれしかないがな」 「いやいやこんなおいしい羊羹までつけてくれるなんてあんたいいやつだね」 そういってぱくぱくと目の前の羊羹をかたげると満足したのか畳の上に大の字になってねっころがる。 どうやら用心しすぎたようだ。ただ単にたかりにきただけらしい。 「あーおいしかった。ところで書類はどこだい?」 虚をつかれるとはこういうことをいうのだろう。 最後の一言が脳に達するまで数瞬の時間がひつようだった。 「……書類?なんのことだ」 答えながらも心が冷えつく感覚を抑えられない 今この瞬間書類といえば俺にとっては一つしかない。 だがこいつにとってはそうでないはず。 「書類は書類さ。閻魔帳の一部っていったらわかりやすいかな」 あまりのことに二の句が継げない。何故ばれた、頭の中に警鐘が鳴り響く。 「どうして黙ってんだか。あんたが昨日ちょろまかした書類のことだよ」 目の前の少女は相変わらずニコニコ笑っていた。 玄関で出会ったときと全く変わらない。世間話でもするかのようにこちらの急所をついてくる以外は。 「四季様が閻魔帳の管理をおこたるなんて本来ありえないんだけどね フラれたショックで動揺するなんてかわいいところもあるじゃないか」 ゆっくりと体をおこし、こちらの反応をうかがう様子もなくそういってけらけら笑う。 「さっきからなんのことだかわからんのだが」 早鐘を打つ心臓を押さえつけ務めて冷静を装う。どういう方法でこちらの動きをしったかはしらんが 証拠を突きつけられたわけでもないのだ。しらばっくれる方法などいくらでもある。 「だから書類の場所だよ」 「なんのことだかわからんと……」 最後まで言い切ることができなかった。一瞬のうちに立ちあがった彼女の獲物が俺の首筋にビタりと当てられたからだ。 「じつのところあんたと問答するつもりはないんだ」 そういって大きくあくびをする。首筋に当てられた鎌の冷たさが身に染みる。 こんなもの役に立つはずはない。そう思っても体は動こうとはしなかった。 「わたしが知りたいのは書類の場所、そしたあんたが二度と四季様の周りをうろつかないこと、それだけ」 そういってこちらを見据える。さきほどまでのへらへらした笑みなどどこにもない。 無価値なものをみる凍てついた瞳、まさしく死神のそれだった。 「証拠もなしに失礼な話だな」 本能に逆らい抵抗をつづける。今回の依頼はいままでにない巨額の金が流れ込む。 それにいくら目の前の死神が真相に辿り着こうと証拠がなければ意味がない。 そして証拠を掴む前に雲隠れすればそれで依頼は完了なのだ。 「頑固だね」 そういって首筋に当てた鎌を引き戻す。助かったと思ったのもつかの間。 鎌を大きく振りかぶった彼女は私の足先に大鎌をたたきつけた。 衝撃とともに私の周囲は赤い霧状のものにつつまれる。 「何のまねだ」 震えそうな声をどうにか押さえ相手の目的を探る。 「そこからでてみなよ」 彼女のことばの意味を理解するのは簡単だった。 足を上げようにもほとんど前に進まないのだ。 「わかったかい、で、天井をみてみな」 彼女の指差す方向にはいつのまに呼び出したのか天井を覆いつくすほどの霊魂が集まっていた。 「あと2分後にあれが落ちる」 明日雨が降る、そんな調子で彼女は語る。 「のしいかになるかな、形がのこりゃいいけど」 「証拠も無しに裁判でもする気か!船頭風情にそんな権限などあるはずが」 「知らなかったのかい、あたいはいまさぼってるから仕事とは関係ないんだよ」 「そんな屁理屈がとおるはずが」 「あと一分、探し物は苦手なんだけどなあ」 世間話でもするかのように彼女はつぶやく。相変わらずこちらを見る眼は死神のそれ、蛇に睨まれた蛙、 いやもっとひどい、彼女にとって俺は虫けらにすら思われていない。 30秒。我慢できるのはそれが限界だった。 「小町、起きなさい」 「……ありゃりゃ四季さま。こっちまでやってくるなんて珍しい」 「あなたが勝手に閻魔帳を持ち出したせいで昨日は大変だったというのに」 「いやまあそのすいません……気づかれないと思ったんだけどなあ」 「気づかれなければいいというものではないでしょう、まったく」 「お陰でただでさえ眠れなかったといいのに……いえこれは関係ありませんね」 「……もしかして振られたんですか」 「関係ないといってるではありませんか!だいたいあなたは……」 「まあこれも閻魔経験ですって、裁判官たるもの経験豊富じゃなければ説得力がありませんからね」 「反省の色がまったくありませんね、仕方ない……」 「ありゃ罰則ですか?できれば軽いのがいいんですが」 「そうですね罰として今日は屋台にいきますよ」 「屋台ですか?なんでまた?」 「振られたら屋台で愚痴を吐くのが定番なんだそうで、これも閻魔経験ですね」 「これはぱわはらというやつでは?」 「ごちゃごちゃいわず付き合いなさい。それとそのう……ありがとう」 「へ……今なんて」 「とりあえずさっさと今日のノルマを達成しなさい。それができなければ給料抜きですよ!」
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作品名:PARADISE LOST 使用者:ジューダス・ストライフ 、ソフィア・クライスト(寄生) 別呼称:這う虫の王(ベルゼバブ)、偽の神 神座万象シリーズに登場する存在あるいはその能力を指す。 大罪の一つ。 赤血球に寄生して無限に増殖し続けるクウィンテセンスの群れであり、シンを通じて地獄の嵐を呼び、王国の気象を操る。 + “式”発動の詠唱 イザヘル・アヴォン・アヴォタブ・エルアドナイ・ヴェハタット・イモー・アルティマフ 主が彼の父祖の悪を忘却せぬように。母の罪も消えることのないよう その悪と罪は常に主の御前に留められ、その名は地上から断たれるように彼は慈しみの業を行うことを心に留めず、貧しく乏しい人々、心の挫けた人々を死に追いやった彼は呪うことを好んだのだから、呪いは彼自身に返るように祝福することを望まなかったのだから、祝福は彼を遠ざかるように呪いを衣として身に纏え。呪いが水のように腑へ、油のように骨髄へ、纏いし呪いは、汝を縊る帯となれ 武器としての詳細無生物の群体 無限増殖 能力についての詳細気象操作 使用者との関連性宿主の遺伝子情報を書き換える 元ネタ 関連項目 関連タグ リンク 武器としての詳細 無生物の群体 唯一知性も生命もなく創造されたバグプログラムの魔王本来ならば知性があるが、宿主の脳を喰らう僅かな間だけしか知性を取り戻せない。 「キミも、ヤツも、天使共も、皆高度な知能を持っていたのに、ボク らだけが下等な……しかも命すらない無生物として召喚された」 無限増殖 宿主に危機が生じると無限に増殖して肉体を修復する宿主の脳髄と引き換えに不死身を提供するバグプログラム。高速再生故の不死身であるため不滅ではない。 不死の魔群……ベルゼバブ。宿主の赤血球と同化して、母体に異常が あれば無限に増殖するこの再生蟲は、バグプログラムによく似てい る。 それ自体に意志はなく、生物とも言えない不定型なシンの群れ……彼 らの侵攻はやがて宿主の脳をアビスと繋ぎ、その自我を破壊するが、 代償として与える力はすさまじい。こと再生能力にかけるルーチンは、 他を圧倒していると言えるだろう。 宿主を原子レベルまで分解すればこの世から消失する地獄から召喚されたものなので魔群自体の死ではない。 魔群を滅ぼすことはできなくても、貴方という宿主なら消せます よ。 原子にまで分解されれば、さすがに再生も出来ないでしょう 能力についての詳細 気象操作 大気を操作する大気を圧縮してプラズマ砲や空を覆い尽くして溶解液を降らすなどの業を持つ。 大地の脈を反転させる魔刃は“腐蝕”という物質の死を顕現し、魔群 は門となる脳からアビスの嵐を喚ぶことで、気象と大気を自在に操 る。 使用者との関連性 宿主の遺伝子情報を書き換える クウィンテセンスを獲得する生来のシンによる器でなくても後天的に宿すことができる。 宿主の遺伝子情報が完全にアンノウンになる。 血液型、細胞核、染色体からDNAの塩基配列……その総てが 正体不明── 最終的には宿主の脳を食い潰す体内で増殖して脳を侵食し、脳をアビスと繋ぎ、更に侵食を加速するウイルス。 「生物と言うよりは、脳というコンピューターを破壊するバグ。 それを成す仮定に限り、僅かな間ながらも人格らしきモノを再生で きる。 そう、宿主の脳をアビスと連結させることで」 元ネタ ベルゼブブ(ヘブライ:Beelzebub、ギリシャ:Βεελζεβούλ)、 ベルゼブル(ギリシャ:Beelzebul)、 ベルゼビュート (フランス:Belzébuth) 聖書に登場する悪魔(サタン)、悪霊(デーモン)の王。 ベルゼバブ、ベールゼブブとも呼ばれる。 名はヘブライ語で「ハエの王」を意味する。 旧約聖書「列王紀」に登場するペリシテ人(フィリスティア人)の町であるエクロンの神バアル・ゼブブ(バアル・ゼブル)と同一とされる。 本来は「気高き主」あるいは「高き館の主」という意味のバアル・ゼブル (בַעַל זְבוּל)で呼ばれ、 冬に恵みの雨を降らせる豊穣の神として、当時オリエント世界で広く信仰されていた。 バアルの崇拝者は豊穣を祈る性的な儀式を行ったいたが、イスラエル(カナン)の地に入植してきたヘブライ人たちが この儀式を嫌い、バアル・ゼブルを邪教神とし「ハエの王」という意味のバアル・ゼブブと呼んで蔑んだ。 旧約聖書の「列王紀下」第1章では重傷を負った北イスラエル王国のアハズヤ王がバアル・ゼブブに自分の怪我の回復についての神託を求めたが、 ヘブライ人の神ヤハウェを蔑ろにすることであり、預言者エリヤはアハズヤ王に、回復することなくアハズヤ王は死んでしまった。 新約聖書ではイエス・キリストの奇跡を悪霊のかしらベルゼブル の力によるものと非難したことが記されている。 旧約聖書では辛うじて神と呼ばれていたベルゼブブは、この時代には完全に悪魔とされていた。 近世ヨーロッパのグリモワールでは大悪魔で魔神の君主、あるいは魔界の君主とされるようになった。 地獄においてサタンに次いで邪悪、実力ではサタンを凌ぐとも言われる魔王である。 ベルゼブブは神託をもたらす悪魔と言われ、また、作物を荒らすハエの害から人間を救う力も持っている。 この悪魔を怒らせると炎を吐き、狼のように吼えるとされる。 最近作られた説話では元々は熾天使であり、ルシファーの側近として神と戦い、堕天してからは 蝿騎士団という騎士団をつくっており、そこにはアスタロトなど悪魔の名士が参加しているとされる。 このことからか『失楽園』でベルゼブブは、賢王にふさわしい威厳ある姿として描写されている。 一方、『地獄の辞典』では、四枚の羽根にドクロの模様がある羽虫の姿で描かれている 他にも「ゾディアコ・ヴィテ」によると巨大で、王座もそれなりに巨大、炎の帯を額に巻き頭には大きな角が二本ある。 足はアヒル、尻尾は獅子、全身が真っ黒であったとされる。顔は眉毛はつりあがり、 目をぎらつかせていたとあった。 ジル・ド・レイによるとベルゼブブが豹の姿に変わるのを見たという。ナワルか 関連項目 シン 魔群の能力分類。 暴食の雨 ゴグマゴグ(神座万象シリーズ) 魔群が使う“式” 無価値の炎 イミテーション・デスサイズ ラファエル 天敵。というか後半の登場人物の能力 関連タグ PARADISE_LOST 不死存在 代償 増殖 存在 寄生 気流操作 神座万象シリーズ 精神汚染 能力 リンク Wikipedia ベルゼブブ
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予期せぬ訪問客が訪れたのは閻魔と別れた翌日だった。 「こんちはー」 玄関前でにこにこ笑う紅い髪の少女。 手にはおよそ実用的でなさそうなぐにゃぐにゃした大鎌が一振。 こんな酔狂なものを持ち歩く奴は幻想郷でも滅多にいない わかりやすいトレードマーク、そう、彼女は死神だ。 「なんのようかな」 そっけなく答える。ここまで辿り着いたんだ。ボロは出したくない。 「いや、休憩中なんだけどさ、こうも寒いとあったかいお茶でもほしくなってさ そしたら丁度いいとこにあんたの家があったもんだから」 「つまりお茶をたかりにきたと」 「まあそんなとこさね」 わるびれもせずそう答える。 さてどうしたものか。この死神鈍そうにみえて結構鋭い。 多分俺と閻魔の関係には気づいていたろうが…… 「仕方ないな、あがりなさい」 「ありがと、旦那」 まあ適当にあしらえばいいさ、もう仕事は終わったも同然だ。 かたくなに拒んでいらぬ疑いを招き入れる必要もない。 畳敷きの居間に彼女をまたせお茶を淹れる。 「ぷはーありがと、やっぱりあついお茶がいちばんだねー」 「あいにく茶菓子はこれしかないがな」 「いやいやこんなおいしい羊羹までつけてくれるなんてあんたいいやつだね」 そういってぱくぱくと目の前の羊羹をかたげると満足したのか畳の上に大の字になってねっころがる。 どうやら用心しすぎたようだ。ただ単にたかりにきただけらしい。 「あーおいしかった。ところで書類はどこだい?」 虚をつかれるとはこういうことをいうのだろう。 最後の一言が脳に達するまで数瞬の時間がひつようだった。 「……書類?なんのことだ」 答えながらも心が冷えつく感覚を抑えられない 今この瞬間書類といえば俺にとっては一つしかない。 だがこいつにとってはそうでないはず。 「書類は書類さ。閻魔帳の一部っていったらわかりやすいかな」 あまりのことに二の句が継げない。何故ばれた、頭の中に警鐘が鳴り響く。 「どうして黙ってんだか。あんたが昨日ちょろまかした書類のことだよ」 目の前の少女は相変わらずニコニコ笑っていた。 玄関で出会ったときと全く変わらない。世間話でもするかのようにこちらの急所をついてくる以外は。 「四季様が閻魔帳の管理をおこたるなんて本来ありえないんだけどね フラれたショックで動揺するなんてかわいいところもあるじゃないか」 ゆっくりと体をおこし、こちらの反応をうかがう様子もなくそういってけらけら笑う。 「さっきからなんのことだかわからんのだが」 早鐘を打つ心臓を押さえつけ務めて冷静を装う。どういう方法でこちらの動きをしったかはしらんが 証拠を突きつけられたわけでもないのだ。しらばっくれる方法などいくらでもある。 「だから書類の場所だよ」 「なんのことだかわからんと……」 最後まで言い切ることができなかった。一瞬のうちに立ちあがった彼女の獲物が俺の首筋にビタりと当てられたからだ。 「じつのところあんたと問答するつもりはないんだ」 そういって大きくあくびをする。首筋に当てられた鎌の冷たさが身に染みる。 こんなもの役に立つはずはない。そう思っても体は動こうとはしなかった。 「わたしが知りたいのは書類の場所、そしたあんたが二度と四季様の周りをうろつかないこと、それだけ」 そういってこちらを見据える。さきほどまでのへらへらした笑みなどどこにもない。 無価値なものをみる凍てついた瞳、まさしく死神のそれだった。 「証拠もなしに失礼な話だな」 本能に逆らい抵抗をつづける。今回の依頼はいままでにない巨額の金が流れ込む。 それにいくら目の前の死神が真相に辿り着こうと証拠がなければ意味がない。 そして証拠を掴む前に雲隠れすればそれで依頼は完了なのだ。 「頑固だね」 そういって首筋に当てた鎌を引き戻す。助かったと思ったのもつかの間。 鎌を大きく振りかぶった彼女は私の足先に大鎌をたたきつけた。 衝撃とともに私の周囲は赤い霧状のものにつつまれる。 「何のまねだ」 震えそうな声をどうにか押さえ相手の目的を探る。 「そこからでてみなよ」 彼女のことばの意味を理解するのは簡単だった。 足を上げようにもほとんど前に進まないのだ。 「わかったかい、で、天井をみてみな」 彼女の指差す方向にはいつのまに呼び出したのか天井を覆いつくすほどの霊魂が集まっていた。 「あと2分後にあれが落ちる」 明日雨が降る、そんな調子で彼女は語る。 「のしいかになるかな、形がのこりゃいいけど」 「証拠も無しに裁判でもする気か!船頭風情にそんな権限などあるはずが」 「知らなかったのかい、あたいはいまさぼってるから仕事とは関係ないんだよ」 「そんな屁理屈がとおるはずが」 「あと一分、探し物は苦手なんだけどなあ」 世間話でもするかのように彼女はつぶやく。相変わらずこちらを見る眼は死神のそれ、蛇に睨まれた蛙、 いやもっとひどい、彼女にとって俺は虫けらにすら思われていない。 30秒。我慢できるのはそれが限界だった。 「小町、起きなさい」 「……ありゃりゃ四季さま。こっちまでやってくるなんて珍しい」 「あなたが勝手に閻魔帳を持ち出したせいで昨日は大変だったというのに」 「いやまあそのすいません……気づかれないと思ったんだけどなあ」 「気づかれなければいいというものではないでしょう、まったく」 「お陰でただでさえ眠れなかったといいのに……いえこれは関係ありませんね」 「……もしかして振られたんですか」 「関係ないといってるではありませんか!だいたいあなたは……」 「まあこれも閻魔経験ですって、裁判官たるもの経験豊富じゃなければ説得力がありませんからね」 「反省の色がまったくありませんね、仕方ない……」 「ありゃ罰則ですか?できれば軽いのがいいんですが」 「そうですね罰として今日は屋台にいきますよ」 「屋台ですか?なんでまた?」 「振られたら屋台で愚痴を吐くのが定番なんだそうで、これも閻魔経験ですね」 「これはぱわはらというやつでは?」 「ごちゃごちゃいわず付き合いなさい。それとそのう……ありがとう」 「へ……今なんて」 「とりあえずさっさと今日のノルマを達成しなさい。それができなければ給料抜きですよ!」
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【価値】 れいむの心は期待でいっぱいだった。 厳しい試験を乗り越え、ついに「かいぬしさん」のところへ出荷されたのだ。 仲間たちとの別れはつらかったが、それ以上に「かいぬしさん」に可愛がってもらうのが楽しみだった。 いつも、 「良い子のゆっくりは良い飼い主さんに引き取られて、ゆっくりした生活ができる」 と聞かされていた。 おいしい食事、楽しい毎日。 夢の生活が、れいむを待っている。 ――――はずだったのだが。 「おい、俺が注文したのは国家試験を突破した優良ぱちゅりー種だぞ。こんなゴミみたいなれいむ種は要らん」 「……申し訳ありません、こちらの不手際のようです」 れいむの心は高鳴っていた。この人が、これから自分と共に生活する人なんだ。素晴らしい思い出をつくろう、そう思った。 「お詫びと言ってはなんですが、こちらのれいむ種を無償でご提供いたします」 「いらねえって言ってるだろうが。馬鹿なことほざいてる暇があったら優良ぱちゅりー種を持ってこい!」 ―――――― 「お前要らないわ。持って帰るのも面倒だから、今ここで廃棄な」 れいむが最後に見たものは優しい飼い主の笑顔ではなく、汚い靴の裏だった。 完
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前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ 浮遊大陸アルビオンの北東部、岬の先端に聳え立つ名城ニューカッスル城は、 激しい敵艦からの砲撃と、百倍を超える大兵団の前に、遂に陥落した。 ウェールズ皇太子は、混乱の最中に『味方の裏切り』で死亡。 老王ジェームズ1世は、城を枕に討ち死に。アルビオンのテューダー王朝は断絶した。 略奪が始まるも、もはや目ぼしいものは軍資金として売り払われ、非戦闘員は逃れた後。 腹いせのように、残った将兵は嬲り殺しにされ、仲間同士の醜い争いも始まる…。 「おおミスタ・ワルド、不用意に『あの姿』を現さないで頂きたい。こちらの兵にも死者が出たぞ」 「いやいや、済まないね、クロムウェル閣下。ちと面白い奴らがいたもので」 部屋に入ってきた青年貴族はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド―――― 今は彼を乗っ取った『魔眼のバックベアード』が、にたりと笑いながら答える。 松下の放った『照魔鏡』の閃光で右目を焼き潰され、隻眼だ。 相手は三十代半ばの痩せた男。法衣を纏い、カールした金髪に聖職者の帽子を載せている。 ここは陥落した城内の一室。時は深夜。忌まわしい者たちの策謀が巡らされていた。 「まあ、『ウェールズの命』と『アンリエッタの手紙』は私が奪った。 この恋文があれば、トリステインはゲルマニアと同盟を結べず孤立するだろう。姑息な作戦だがね」 「どちらにせよ侵攻するのに変わりはないさ。『聖地』に攻め込む前に、少し地上基地を作るだけのこと。 遅かれ早かれ、地上の諸国は皆我ら『レコン・キスタ』の下にひれ伏す!! 忌まわしきエルフさえも!!」 『レコン・キスタ』の代表者、貴族会議議長オリヴァー・クロムウェルは、興奮して諸手を天に掲げる。 彼は人間であり、魔法さえ使えない『平民』の司教に過ぎなかった。だが…。 「そうなれば、私の野望も叶うというものだ。協力は惜しみませんぞ」 部屋の隅で声がした。低い嗄れ声ながら、巧みに人心を捉えるような魔性の声。 「ふっはははは、感謝しますぞベリアル閣下。あなたが水の精霊から『アンドバリの指輪』を奪い、 古臭い王家を倒せるほどの強力な軍勢と権勢を私に授けて下さった。 あなたこそ私の救世主、いや、神かもしれない!」 そこにいたのは、白髭の老いた貴族の姿をした『悪魔ベリアル』。 偉大な公爵、炎の王、虚偽と殺戮の貴公子、隠れた賄賂と暗殺の魔神。 闇の王にしてこの世の王。『無価値・邪悪』がその名であり、堕天使のうちで最も美麗にして卑劣。 悪魔の王サタンの別名。クロムウェルは司教でありながら、『悪魔』と結託したのだ…。 「どれ、雌犬(ビッチ)の姫様の恋文を拝見させてもらおうか。ひひひひ」 クロムウェルが下品に笑い、亡きウェールズが遺した古い手紙の封を切る。 すると封筒の内側から『青い炎』が立ち昇り、彼の手を焼き焦がした! 「ぎゃあっ!? 何だと!?」 炎は手紙自身をも焼き捨て、白い灰が残る。 「ふふん、魔法の封印かな。どうもあの『東方の神童』のにおいがするぞ」 『ワルド』とベリアルは、呻いてうずくまるクロムウェルをゲタゲタと嘲笑した。 「さてクロムウェル閣下、アルビオンは滅び、その空中艦隊も接収できた。 準備が出来次第、難癖をつけてトリステインに侵攻することになろう。 その前に私はゲルマニアとガリアを巡り、援軍が送れないよう宮中に細工をしてこよう」 ベリアルが提案する。 「戦場の後始末と軍需物資の徴発には、私の部下をお付けしよう。アルビオンの貴族より有能だよ」 ベリアルの足元の影から、二体の『悪魔』が現れる。 片方は二つの鴉の頭を備え、黒い体と鉤爪を持つ。 もう片方は猿のような顔に黒猫の耳と尾を備え、小役人の制服を着ている。 「『富の魔神』マンモンと、『地獄の出納係』メルコム。力はたいしたことないが、 地下資源や金銭に関わることならお手の物だ。きっとお役に立つことだろう」 悪魔たちは人間に姿を変え、相手を軽蔑しきった笑顔でクロムウェルに恭しく一礼した。 クロムウェルは歯ぎしりしながら立ち上がる。 「ああ、頼みますベリアル閣下。陰謀にかけてはあなたの右に出る者はいない」 「そうだともクロムウェル閣下。私は『人の子』に虚偽と悪意と怒りを吹き込み、 それを大きく育て上げるのが何よりの愉しみなのだからね……」 ベリアルはこの上なく邪悪な笑みを浮かべ、闇の中へ姿を消した。 『ワルド』も同様に部屋から立ち去り、クロムウェルと二人の悪魔が残された…。 「新国家は、『神聖アルビオン共和国』とでも名づけよう。私の、私の国だ。 わ、私は『神聖皇帝』だ。平民も貴族どもも、この指輪で支配してやる」 クロムウェルは、『アンドバリの指輪』の妖しい輝きを見ながら、呟いた。 心を操り、死者にさえ仮初めの生命を与え、傀儡とする指輪。その使い手もまた、傀儡であった。 「ではお二方、まずは『皇太子のご遺体』を探し出して欲しい…」 「ご苦労だったな、『土くれのフーケ』。いや、マチルダ・オブ・サウスゴータ」 ラ・ロシェールの町に取り残され、場末の酒場で不貞腐れていたフーケのもとに、再び『白い仮面の男』が現れる。 「おかげさんでね、ワルド子爵。小童たちの足止めくらいにはなったかい? ……あたしは年増じゃない、二十三歳は女ざかり…ブツブツ」 よく分からないが、精神的に何かショックを受けている。ちょっと眼がうつろだ。 『ワルド』が仮面を外し、隻眼になった素顔を見せる。 本体は雲の上のアルビオン、ここにいるのは『遍在』の分身だ。 「ふふふ、『トライアングル』メイジは結構な戦力だ。もうすぐひと働きしてもらうさ。 なあ、年増、小母さん、オールドミス、お肌の曲がり角、熟女、更年期。ウワッハハハハハハハハ」 「ブチ殺されたいかい…と言いたいが、あんたとは『格』が違う。やめとくよ。 …第一人間かどうか、怪しいしね。命と自由とが保障されて、カネさえ貰えりゃ文句はないさ」 フーケ、いやマチルダも、『ワルド』の漂わせる冷たい妖気に引いている。 彼女はアルビオン貴族の出身。家はサウスゴータの太守で、かつて王家により家名を取り潰された。 アルビオン王家が滅んだと聞いても、『ざまあみろ』と思う以上の感慨はない。 いまさら貴族様に戻る気もないし、盗賊稼業が性に合っている。守りたいものもある。 …でも、一応結婚願望はあるのだ、やっぱり。 (ああ、始祖ブリミル様。どうかあたしに、いい男をお与え下さい。ロリコンの妖怪とかじゃなくて) (つづく) 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ