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雨が降っている。車のフロントガラスを叩く水滴は当たると同時に激しく弾け飛んで、残した跡は風圧とワイパーで消されて行く。視界は悪かった。昼間だというのに薄暗い。 一等地の道路はスラムと違い手入れが行き届いていた。 空きビンやら新聞紙やら、時には人間の死体すら道に落ちているスラムとは違い、ゴミ一つ落ちていない。並木は激しい雨に打たれ枝を揺らしている。まるで生き物の様に動く様は不気味なくらいだったが、もし晴れていればさぞ美しい通りだろう。 誰もが羨む高級住宅地だが、残念ながらヘンヨにとってはあまり居心地の良い場所では無かった。 この仕事を始めて稼ぎ出した時、多少の憧れを持って移り住んだ事はあったが、どうにも馴染めず結局はスラムへと戻って行った経験がある。 やはり、人にはそれぞれの領分という者がある。スラムで育ったヘンヨにとってはあのハエとゴキブリに愛された汚い一角の方が居心地が良い。憧れは憧れのままにしておけば、後で落ち込む事もない。現実は常に理想を下回るものなのだ。 結果として、ヘンヨは一等地にはほとんど縁がない。ここにも仕事を持って来そうな厳めしい連中は大勢居るが彼らと面識はほとんど無い。表の探偵業ですら依頼してくる者は居なかった。その能力に見合わぬ程、ヘンヨは「業界」での知名度は低かったりする。 六話:【無価値な者共 ①】 現在時刻は午後一時十分。 後部ボンネットに弾痕が付けられたクーペは一軒の屋敷へと入って行く。薄いベージュの塀を越えると、高級住宅地に恥じない豪邸が現れる。キースが開発した無個性遺伝子のロイヤリティによって建てられた、キースとアリサが暮らしていた場所だ。 ヘンヨの哲学に因れば、これほどの所に住んで居たのならば、アリサにはスラムの空気は肌に合わないのではないかと思われる。スラム育ちのヘンヨが逃げるようにこの住宅地から離れたように、人にはそれぞれ「居るべき場所」というのがあるはずだ。 ただでさえ危ないと言われる地域なのだ。今考えれば、よくアリサは一人でヘンヨに会いに来たものだと感心させられる。 それが勇敢なのかただの馬鹿なのかは知らないが、行動力は認めるしかなかった。 玄関の大仰なドアを開ける。中は当然ながら人の気配はない。 まっすぐ進み、リビングへと侵入していく。ソファと暖炉。棚に閉じ込められたウイスキー。その上の写真立ての中では、キースとアリサが微笑んでいる。 他の写真ではアリサとキース以外が写っている写真もいくつかある。 栗色の頭髪と大柄な体格の男性。アルビン・グレンパーク。 長く艶やかな黒髪と東洋系の顔立ちの女性。キョウコ・グレンパーク。 幼いアリサを挟み、二人とも微笑んでいる。アリサの両親だ。キースとアリサを含め、写真の中で四人はとても幸せそうな笑顔を見せている。 ヘンヨが体験した事の無い家庭という奴だった。正確には覚えていないだけなのだが……。物心付いた時、ヘンヨは既にギャングだった。親を失ったヘンヨを引き取った祖母だけでは生活が覚束ず。気が付いた時、既にいっぱしのギャングメンバーになっていた。ただ生きる為に。 写真はそれだけでは無かった。 アリサの成長と共にそれを記録した写真の枚数は増える。棚の上を埋め尽くした写真立ての中には、キースとアリサだけの写真が増えて行く。アリサは相変わらずの笑顔。しかし、両親の姿は消えている。 「確か……四年前だったな」 キース、そしてアリサの身辺調査は済んでいる。 記録によれば、アルビンとキョウコは四年前に自動車事故で死亡している。一緒に車に乗っていたアリサも病院へ運び込まれ、なんとか一命を取り留めた事も事前の調査で解っている。 危うく家族を一気に失うかも知れない事態に陥ったキースはどんな気持ちだっただろうか。そして、奇跡的に命を繋いだアリサを見て、一体何を感じたのか。 「写真ばかり見ていても仕方ない……か……」 棚から離れるヘンヨ。リビングにこれ以上見るべき所は無い。そう考えたが。 ヘンヨは振り返る。並んだ写真達を少し離れた位置から見る。一見すると何も無いが、どうにも引っ掛かる違和感。正体は解らなかったが、気になる以上は確認するのが仕事でもある。ほとんど無意識にヘンヨは携帯電話を取り出す。 《……》 「……。おい、出たなら何か言え」 《何か用かヘンヨ……》 「何いじけてんだスレッジ。まだ根に持ってんのか」 《うるせぇ。で、何の用だ?》 「四年前の事故の事を聞きたい」 《事故? アリサの親が事故って死んだ奴か?》 「ああ。ちょっと気になってな。どこの病院へ運び込まれたとか、事故の状況とか、詳しく」 《ああ……っと。ちょっと調べる。そこら辺は警察の資料に載ってるはずだ。交通事故だからな。解ったらまた電話する》 「わかった」 《なんで今更そんな事調べるんだ?》 「気になっただけだよ」 《勘か?》 「そうかもな」 《ハン。腕は認めるが探偵のキャリアはまだ大した事ないだろ。よく言えるな》 「ごもっともだな。だが気になったんだよ」 《そうかい。ま、隠れた人間捜すのは『専門家』だからな》 「そんな所だ。とりあえず頼んだぞ。ああ、アリサに近づくなよ」 《……》 「聞いてるのか?」 《うるせぇよ! うわぁあああああああ――ツー……ツー……》 「……いきなり切りやがって」 一言余計な事を言ったかもしれない。だがいつもの事だ。ヘンヨはとりあえずキースとアリサが一緒に写った物と、それに両親が加わった物の写真二枚を拝借し、懐に収める。もっとも違和感を感じたのがその二枚だった。 リビングから出たヘンヨはさらに奥のキースの書斎へ。庭に面した場所に置かれているが、窓は高く外から中を覗く事は出来ない。さらに上にある天窓からは光が差し込み、アイレベルには壁しか見えないが圧迫感は感じない部屋だ。 きっちりと整理された大量のファイル、本棚にぎっちり詰め込まれた専門書。 ヘンヨはいくつか手にとってペラペラとめくってみるが、当然ながら理解でき得る内容では無かった。中には何語かすら解らない言語でかかれた物すらある。 さらに奥にはもう一つ扉があった。書斎からまた別の部屋へ通じている扉だ。ドアのプレートにはクローゼットと書かれている。 「……何なんだこれは」 ドアを開けて最初に目に飛び込んだのは、無数のアンドロイドのボディ。骨格から考えて、表皮を貼付けるタイプだと思われる。よくみると頭部の構造が妙な物も散見される。サイボーグボディだ。 「よくこれだけの数を……。気味が悪いな」 命を吹き込まれる前のボディ達は、よく見ると女性のプロポーションを取っている。骨格だけしか無いが、明かに男性の形をしたボディは無かった。 整然とサイズ順に並べられたそれは、説明しがたい不気味さを持ってヘンヨを出迎えた。 中はいわゆる物置である。ただ単に使用しないボディや機材を押し込んだだけのようだ。埃の具合から、相当長い間放置されている事が解る。 ボディの骨格には傷や擦り減り等は無く、よく磨かれた金属光沢を放っている。一度も使用される事なくここで眠ってる事が解る。 ヘンヨはふとした疑問を覚える。 実験用なのだろうが、表皮そのものは何にでも張り付く。わざわざフルスケールで試す事にあまり意味が無いのだ。つまりこれほど大量のボディを用意する意味がまず無い。 さらに、なぜわざわざ自宅にこれを用意したのか。アンダースが居る研究所のほうが遥かに設備がいい。会社からのサポートも受けられるはずだ。 そして最大の疑問。 ヘンヨはその一つの前に立ち、まじまじと観察する。 「サイボーグボディ……ね」 アンドロイドに混じって数体だけ置かれているサイボーグボディ。特に違法な改造をされている訳でも無い、一般規格の物だった。 ヘンヨはデジカメでそれを記録する。もちろん他のアンドロイドボディもだ。これらも全て、一般的に出回っている正規品ばかりであった。 それらを全て撮り終えて、ヘンヨはその不気味な部屋を後にする。 特に手掛かりがあった訳でもなく、代わりにキースのおかしな趣味を垣間見ただけだ。そんな気分になったのか、小声で「気持ちが悪い」と何度か言う。 ここで、この家には「生きている」アンドロイドが一体も居ない事にヘンヨは気づく。 これだけ大きな家で、しかも相当な財産を持っているならば一体二体のアンドロイドは普通なのだ。家事全般を押し付けても設定次第で文句一つ言わずに二十四時間働くメイドロボは、手に入れば家庭の主婦をただの置物へと変身させる。 老人と少女の二人暮らしであるこの家ならば、それこそ有り難い物のはずだ。 改めて家の中を歩き回り観察すると、リビングや浴室、ベッドルーム等の生活空間はそれなりにきっちりと整頓され、生活感がある。 だが、それ以外の場所、例えば客室等の使用されていないスペースは完全に閉ざされている。 キースとアリサはこの大きな家を必要最低限しか使っていない様子が解る。たった二人では、この豪邸を完全に持て余しているらしい。 自分で出来る事はさっさと自分で片付け、アンドロイドに頼った形跡は全くない。 「なるほどね……」 アリサの行動力と時折見せるマイペースっぷりはこうした生活環境で育まれたと思われる。 キッチンを見回すと見事に整理されている。棚の中の食器や調味料の類も整然と置かれ、冷蔵庫の中も適度に隙間を開けてチーズやハムが並べられている。 几帳面な一面もあるらしい。そういえば、隠れ家に居た時からきっちりと自分で食べる分は自分で用意し、自分で片付けていた。ヘンヨはまったく気にもとめなかったが、意外としっかり者だったようだ。もっとも、その行動はマイペースにやっていたのだが。 冷蔵庫の中にあったチーズをかじりながらヘンヨは再びキースの書斎へ。 家の中を見渡して解った事はキースとアリサの生活スタイルと、キースの妙な趣味とアリサの性格だけである。後は例の作戦を実行するだけだ。 パソコンのパワーを入れ、立ち上がるのを待つ。 面白みのない壁紙が表示され、チーズをくわえたままメモリーを取り出す。 そして、それを本体へと差し込もうとした時、胸に感じた振動がそれを邪魔してしまう。 「いいタイミングで電話しやがるな……」 携帯電話を取り出し相手の名前を見る。スレッジだ。 「……もう調べたのか。随分早いな」 《ああ。まだ全部調べた訳じゃないけどな。保険屋やらがうるせぇから公開されてないコトもあるし。》 「で、何がわかったんだ?」 《まず運び込まれた病院。都市部からは遠い場所だな。事故現場からは近いからそこに運びこまれたらしい》 「で、場所は?」 《そこからならフリーウェイ通って三時間って所か。海に面した所だ。バカンスを楽しむ連中だらけの所さ》 「両親の死因は? 具体的な」 《カルテによると二人とも外傷性ショック……。具体的には、アルビンはハンドルに胸部をツブされて即死。キョウコの方は頭部が粉々だったそうだ》 「不信な点はナシか?」 《事故そのものはな》 「アリサの方のはどうだったんだ?」 《頭部を強打して意識不明の重体。脳内出血で死にかけたけど手術が間に合って助かった……って所だな。よく植物状態にならなかったモンだよ》 「しばらくはそうだったんだろう。意思が回復したのはいつだ?」 《そこは個人情報って事でカルテが見れないんだ。回復過程は事故とは関係ない個人の事だからな。さっぱりだよ」 ヘンヨはチーズをまたかじる。口を動かしながら少し考える。 「……。なんでキースは隠したんだろうな」 《は? 珍しくもないだろ》 「それはそうだが……」 《また気になったか? でもそれはキースに聞くしかないな》 「そうだな……」 《で、そっちはどうなんだ?》 「今まさに例のメモリーを動かす所だったんだが、いいタイミングで邪魔されてな」 《そりゃ悪かったな! で、他は?》 「キースの性癖が解ったくらいだな」 《何調べてんだお前?》 「冗談だ。……あながちウソじゃないかもしれないが」 《はぁ? で、今から例の作戦をやるんだな?》 「ああ。少し考え事してからにするけどな。気になる事が多過ぎる」 《そうか。気をつけろよ。じゃあ切るぞ。俺ももう少し事故について調べてみる》 「わかった。ああ、アリサにちか――」 《……ツー……ツー……》 「……」 ヘンヨは腕を組んで椅子の背もたれに体重を乗せる。椅子がギギギーと鳴いている。 残りのチーズを全て口に入れ、天井を見ながら頭を働かせる。 疑問とも呼べない小さな事から、明らかに理解に苦しむ物まで、全てを頭の中で整理ししようとする。だが、それらは全て不定形のまま頭の中を回るだけ。 ピースは揃っているが、それぞれのサイズがあっていない。目的の絵は見えているのに、組み合わせられない。 そんな気分に陥りながら、ヘンヨは天井を見続けた。 リビングから拝借した写真を懐から取り出す。二枚を見比べ、よく観察していく。 もっとも違和感を感じた二枚の写真。それこそパズルのサイズを合わせる為に必要な枠組みだ。確証こそ無いが、勘がそう言っている。 そう思うと、どうしてもその違和感の正体をはっきりさせておきたかったのだ。 だが、その正体は掴みきれず。時間ばかりが無意味に過ぎて行く。 天窓から覗く空は先ほどとは違い晴れている。ヘンヨの心中とは違い雨雲は過ぎ去ったようだ。 当のヘンヨはそれに気付かず、ずっと写真を眺めている。どれだけ時間が経ったかはすっかり忘れていた。 そのヘンヨの意識を現実へと連れ戻したのは、胸に感じた携帯電話のバイブレーションだった。 「……? スレッジ?」 表示された名前を見てそう言う。 「おいスレッジ。随分早いな」 《……》 「スレッジ?」 《ヘンヨぉ? まだそっちは何もしてないの?》 「KK?」 電話の相手はKKだった。スレッジの番号からかけてくるのは珍しい事では無かったので、いつも通りにヘンヨも話す。 《どうなの?》 「ああ。考え込んじまってな。まだ例の作戦はやってない。スレッジはどうした?」 《今ちょっと寝てるわ》 「そうか。アリサは?」 《その事なんだけどねぇ……》 「どうした。まさかとは思うがスレッジが何かしたか?」 《実は……その……。怒らない?》 「勿体振るな。さっさと言え」 《じゃあ言うけど、心の準備はいい?》 「ふざけてんのか? 何なんだ?」 《アジト襲撃されちゃった。スレッジは今ノビてるわ。私も今、左肩から下吹っ飛んじゃって無いのよ。で、アリサちゃん連れていかれちゃったわ》 「……何だって?」 時刻は午後三時になる所。 ――続く ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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発言者:イヴァン・ストリゴイ 対象者:ネイムレス 「混ざるなら好きにしな、悪いが残らず消し飛ばす。これより先は乱戦で、遅れたならば死ぬだけだ」 「詫びねえぞ。今は何より優先して、こいつを砕くと決めたんでなァ───ッ!!」 美汐√―― 同僚であり戦友(・・)であるエリザベータが、突如標的を変更したネイムレス(友軍機)によって無機質に、無価値に、無意味に命を散らされたことに対し、 戦場での凡そあらゆる要素を愛している男が初めて発した憎悪と怒りの言葉。 序盤、エリザベータが戦場でやられた場合(シチュエーション)なら敵討ちということでたまらなく燃える……などと、 陶酔しながらその当人に語っていたおめでたい男の姿はそこに無く、あるのは純粋な怒りと憎悪であり――― 次の瞬間、鋼の戦鬼は全力で機械兵を破砕すると宣言し、蜘蛛へとその身を変じてゆく。 以下本編より抜粋 「調子づいてんじゃねぇぞ、ガラクタ風情が――」 「上げ底の力(・・・・・)ではしゃいで何が楽しい……?意味もなく、意志もなく、 矜持(プライド)すら持たずに見るモノ全て破壊して何が楽しい。どうしてテメェは生まれてきた」 「よく見ろよ、俺を、そこにいる新米共を。 生きてるだろう?生きてるんだよ、戦いたいって吼えてんだッ。 どんな感情だっていい、争いの炎に身を焦がしながら踊ってんだぜ? 分からねえかッ」 「無価値なんかじゃねえんだよ……それを、テメェはッ!」 価値観はガンダムwのエレガント閣下に似ているイヴァンさん -- 名無しさん (2017-03-23 20 49 47) なんか正統派ライバルみたいだな -- 名無しさん (2017-03-23 20 50 55) 実際礼さんのライバルポジ感あるからなイヴァンさん。ジュンルートでは礼さんと死闘の末敗北して、マレーネルートでは含蓄のある言葉を残しと -- 名無しさん (2017-03-23 20 53 59) 愛は理念に勝る。当然だよね -- 名無しさん (2017-07-31 21 40 29) 名前 コメント
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時刻はちょうど七時を過ぎた頃だった。 フリオ・アンダースは時計をちらりと見て、すぐに興味を別の物へと移した。時刻にあまり意味が無かったからだ。 どうせ今日も家に帰れずここに缶詰だ。押し付けられた作業は一向にうまく行かなかった。フレックスで働く彼にとっては、定時や残業といった概念が欠如していた。 八話:【無価値な者共 ③】 「キースめ。一体どこへ行ったんだ……」 その場に居ない者へと悪態をついた。彼はモニターを注視し、自分が用意したナノマシン達が働く様子をつぶさに観察していた。 彼の専門はそれだった。 ナノマシンを用いて、遺伝子を物理的に操作する。それが彼の仕事だったのだ。 「……ああクソ。難解な書き方だな。もっと素人にも解りやすく書けないのかキースは」 また文句を垂れた。机の上にあった大量の資料は全て、遺伝子操作に関する物ばかりだった。彼は資料とモニターの両方に目を配りながら、両手はキーボードを叩き続けていた。 こんな事をもう何日も続けていた。会社のロッカールームにある簡単なシャワーと、食堂と研究室を行ったり来たりする生活のせいか、頬はどこかやつれた印象を得ていた。日の光を浴びる時間も激減し、食事もおよそ簡単な物ばかりだったので顔色も悪い。 稀に頼むデリバリーのピザだけが現在の唯一の楽しみと化していた。 彼はモニターを注視していた。 ところが、突然にその作業を中断した。キーボードのエンターキーを押し、モニターを見るのを止めた。 彼はキーボードを投げ捨てたい衝動に耐えながら、スクリーンセーバーが作動したのも気付かずにしばらくぼーっとしていた。また失敗したのだ。 「トライゼンの狸親父め……。俺一人でどうしろってんだ……」 彼は両手で顔を擦りながら言った。指先に目やにがついた。 元々は精悍な顔立ちで、体格も立派であったが、今の姿はそれに陰りが見えていた。すっかり「研究にのめり込む科学者」と言った容貌だった。 「キース……。どこに行ったんだ……」 彼は言った。彼もまた、キースの行方を知りたがっている一人だった。 彼はキースを求めている。彼のナノマシン達は指示通りに様々な仕事を忠実にやり遂げるが、指示の出し方を知らなければどうにもならなかった。 そして、あくまでそれの専門家である彼はキースが居なければどうにもならなと喘いでいる。 どうしても必要だったのだ。遺伝子工学の専門家の知識が。 「あの狸親父は何をやらせたいんだ。素人め……。それにこの遺伝子は一体何なんだ……?」 不満は積もりに積もっていた。一向に進まぬ作業。狭い室内での閉塞感。ビタミンミネラルが不足した食生活は、彼の思考を負の感情で埋め尽くさんと躍起になる。いわゆるストレスだ。 ここではろくにストレス解消も出来ない。それ自体もまた、さらなるストレスを呼び込んだ。 彼はキースの事を思い出していた。 自分ではいいコンビだと思っていた。老獪で実績を携えた科学者と、好奇心と活力に満ち溢れた若い科学者。お互い足りない物を補い合える関係だと思っていた。 そして皮肉にも、片方が欠けてそれが正しかった事を証明してくれた。 突然の失踪は彼に二人分の負担を与える結果となる。それだけならまだしも、自分の手に余る事まで押し付けられる。そこは完全に彼の領分では無かったのだ。 それを押し付けた者に憎しみさえ抱いた。素人め。商売人が知った面をするなと。 もはやあの探偵を語る男だけが頼りだった。 あの恐るべき技能を有する元兵士ならば、或は。そんな希望を抱いていた。何より、隠された経歴がその探偵への期待を増長させたのだ。 ただの兵士では無い。表に出せないような作戦をこなす秘密の存在だったはずだ。おそらくは、スパイやそれに近い者ではないか。そんな事を考えていた。 「俺も軍に入ってたほうが楽だったかもな」 そうは言ってみたが、すぐに改めた。一日中走り回り上官に怒鳴られ続ける生活を想像して嫌気がさしたのだ。 そして、アリサの事も思い出した。先日ここへ訪れた時に初めてその姿を確認したが、少なからず驚きだった。 アリサの事はキースから聞かされていたので存在はよく知っていた。 孫の事となるとキースは饒舌だったのだ。もういいと言いたくなるほどに語ってくれた。 だが、その時のキースが妙な雰囲気を持っていた事も印象に残っていた。 あれだけ溺愛していた孫の事を語るのに、その表情はどこか悲しさを携えていた。どこか、孫に対して後ろめたい何かがあるのかと思わせる顔だった。 そしていつも、語った後は恐るべき集中力で研究にのめり込むのだ。 「気持ち悪かったなあれは……」 そう言った。 最後にまた、アリサの事を思い出した。そして、沸き上がるストレスは彼を衝動的な行動に走らせようとする。 頭に雑念が沸き起こる。それは脳内を縦横無尽に駆け回り、彼は我慢が効かなくなって行く。 やがてそれは一つの行動への欲求となって彼を襲った。 我慢の限界だった。もはや彼の心はこのストレスを抱えるだけのキャパシティが残されていなかった。 そして彼は、数日ぶりにストレスを解消する事にした。 ※ ※ ※ 《……今どこだ?》 「倉庫だ。仕事道具を揃えないと……」 ほぼ同時刻。 ヘンヨはスラムにある自分の借りている倉庫へ来ていた。 「大丈夫なのか? あまり無理は……」 《大丈夫だ。気絶させられただけだ。それより、お前が言ってた連中、ある程度調べがついたぞ》 「聞かせてくれ。スレッジ」 ヘンヨは携帯電話を片手に倉庫の中を漁っていた。 中はおびただしい数の物々しい道具で溢れ反っていた。銃口を上に縦に並べられた小銃、壁にかけられた対物ライフル。やたらと大きい木箱には「M61」と書かれていた。これに関しては完全にコレクションだったが。 その中から、いくつかの道具を選び出す。 その中にはどう言い訳しても逃れられないような非合法な道具まであった。この場面を見たら、ここは軍の倉庫か、銃火器の博物館かと思わせる。 しかし、実態はすべて個人の所有物なのだ。いくつかの趣味を除き、それらはすべて個人が使う為にそこへ集められていた。ヘンヨは急がなければならないが、準備不足は避けたかった。 「……で、何が解った?」 《トライゼン・B&M・インダストリー。中小企業だが相当稼いでる。やはりキースの影響だろうな。 社長のトライゼンも相当なやり手だ。バイオ表皮の他にも金属製のアンドロイドのパーツを多数開発してる。生産は別の大手の下請に一任しているが、開発元としてはかなり幅を効かせている》 「そこは知ってる。あまり新しい情報は無いな」 《ああ。トライゼンはどこまでも商売人だ。多少はマフィア連中と付き合いがあるらしいが、別におかしくはねぇしな》 「この件は最初から金の臭いがする。どこまでも商売人というなら、やはりそいつが黒幕で間違いないだろうな。簡単な事だったんだ。」 《おそらくな。キースの失踪に関与しているのも多分……》 「直接聞くだけだ。まずはアリサだ」 《そうだな。ああ。アンダースについても調べたら、ちょいと面白い事が解ったぞ》 「なんだ?」 《一部のコミュニティじゃ有名人だ。 フリオ・アンダース。三十三歳。学生の頃は成績優秀。品行方正。勉学とスポーツに励む好青年。お前と真逆だ》 「どうでもいい。で?」 《社会に出てからも変わらなかった。が、逮捕歴が一度だけある》 「なんだ? ドラッグか何かか?」 《買春だ》 「買春? 登録すりゃ合法だろう? 未登録の女を買っても逮捕なんて聞いた事が……」 《普通はな。だが相手が未成年なら話は別だ。売春を合法化する代わりにそこら辺の線引きは厳しい。 奴はそういったサークルやコミュニティでは結構知られている。ティーンエイジャー専門だったんだよ》 「……なるほどね。アリサには二重の危機か」 《まぁ今回の件に絡んでいればな。それに真人間である事も間違いない。それ以外で悪い噂もない。アリサを連れ去ったのが奴とは考えられない》 「まぁいい。どちらにせよ今から殴り込むんだからな」 《死ぬなよ。KKをやった奴はハンパじゃねぇぞ》 「解ってる」 ヘンヨは電話を切る。選んだ道具を持ち、クーペのエンジンを回す。 爆音が響いた。急がなければならない。 ※ ※ ※ アンダースはまだぼーっとしていた。久々にストレスを解消してみたものの、おかげでやる気まで放出してしまった。 おかげで作業は中断されたままだった。 彼のナノマシン達は、ずっと指示を待ち続けていた。もっとも、急いだ所で成果が上がるとも思っていなかったので、アンダースはここぞとばかりに徹底して思考を止めていた。 その彼を叩き起こしたのは内線の呼び出し音だった。 緑色の発光と共に鳴るそれは外線音ようなの強烈な目覚まし効果は無く、むしろ不快な程に穏やかだった。 彼はそれを取るべきか迷ったが、頭の片隅にある仕事という概念が働き無意識にそれを取る。 そして、今一番聞きたくない声がそこから聞こえて来た。 《……調子はどうだ?》 「トライゼン……。電話してくるなんてどういう風の吹きまわしだ?」 《当然だ。出資しているのは私なんだ。で、どうなんだ》 「何度も言わせるな。俺じゃどうにもならない。ベリアルから聞いているはずだ」 《そうか。まぁいい。その仕事は止めだ》 「……何だって?」 アンダースはにわかに目が覚めた。 「どういう事だ? あれだけ無理難題を吹っかけて今更中止とは……」 《別の仕事が出来た。そっちを先にして貰いたい。もちろん、今の研究を続けたいなら構わんが、新しい仕事の方を優先して貰う》 「さすがの身勝手だな。人の苦労を何だと思ってやがる……」 《君は雇い主に敬意を払う事を覚えたほうがいいな》 「おかげさまでイライラしてるのさ。で、新しい仕事ってなんだ?」 《社長室に来てくれ。見せたい物がある》 「なんだ? 電話じゃダメなのか?」 《見たほうが早い。君も興味があるとは思う事だ》 「いいだろう。今からそっちに行く」 ※ ※ ※ ヘンヨのクーペは幹線道路をひた走っていた。 速度は裕に百キロは超えていたが、ネズミ取りは居ないはずだったので迷う事なくアクセルを踏み込んでいた。 もっとも、そのクーペは本来であれば最大で三百キロ以上まで加速出来る性能を有していたが、周りの車の流れがそれを押さえ付ける。百キロ前後で限界だった。 おかげでいらいらするハメになっていた。 急がなければと思う半面、ヘタに事故など起こそう物なら元も子もない。それもまた、車の加速を妨害している。ヘンヨはイラ立っている。 いざという場合、トライゼンを殺害する可能性をヘンヨは考えていた。また、最悪のケースとしてアリサが殺害される可能性もだ。 そうなればトライゼンを殺害しようが例のチタンコートを破壊しようが、例えキースを発見しようが意味が無くなってしまう。それだけは避けなければならない。 速く到達しなければ。 そう思っていたが、クーペは思うように進んではくれなかった。周りから見れば十分に暴走運転と呼べる物だったが、それでもまだ不十分。 ヘリコプターでもあればこんな煩わしい道路など無視出来るのだが。そんな事すら考えた。 もっとも、直線の最大速度ならヘンヨのクーペのほうが速いのだ。 集めた道具が助手席でがたがたと揺れていた。もし今、警察に止められたら一発で逮捕されるだろう。トランクの中身まで見られたらテロリストと思われかねない。実際、これから似たような事をするのだから。 たどり着いたら、まずは派手に挨拶をしなければならない。事前の情報が少な過ぎて細かいプランを立てられなかったのだ。 力で押し進むしかない。そして、うまくトライゼンを捕らえる事が出来ればキースの居場所もすぐに解るかも知れない。 あくまで可能性だが、期待は出来る。そして、逆にトライゼンを殺害する事になったら。 「もうウンザリだ」 そう漏らした。彼にとってはもう飽き飽きしていたのだ。あまりに多くの死を見てきたのだ。そして、自分がそれを振り撒く存在だと思い知った時、彼は自分の手が汚れ過ぎている事も知った。 それだけは避けなければ。そう思っていたが、必要ならば自分は躊躇なくそれを行うだろうとも思っていた。 自分の感情と行動はちぐはぐな関係だった。そして急ぐ思いとは裏腹に思うように進まないクーペもまた、ヘンヨとはちぐはぐな関係と化していた。 それでもなお、ヘンヨは目的地へと急いだ。 ※ ※ ※ アンダースはエレベーターに乗り、三階まで上がる。 ドアが開くと一直線に廊下が見えた。 その左右には透明な仕切りで区切られたオフィスが見えた。それが四部屋、正方形を作るように並んでいた。 その廊下のまっすぐ先には社長室の扉が見える。透明な仕切りではなく、きっちりと塗り固められた壁の向こうにそれはある。 いかにも重厚な造りのドアが、回りのオフィスとの差別化を成していた。おそらく上空から見れば、このフロアは長方形となっているはずだ。 アンダースはつかつかとそのドアの前まで進んだ。 この時間まで仕事をしている者は居なかった。おかげでこのフロアに似つかわしくない白衣姿のアンダースに目を止める者は居なかった。 ドアの前まで来ると、脇にあるカードリーダーに付け加えられたインターホンを押した。社長室の扉を開けるカードキーを持たないので、中から開けて貰わなければならないのだ。 「アンダースだ。開けてくれ」 《分かった。少し待て》 ドアからカチと音が鳴る。それを聞いたアンダースはドアノブに手をかけて中へと侵入していく。 中は、大きなデスクと棚があるだけの、広いオフィスだった。 「来てやったぞ。見せたい物って何だ?」 「急かすんじゃない。まずは楽にしろ。休んで居ないだろう」 トライゼンはそう言って大きな体格を椅子から離した。スーツ姿がよく映える風貌だった。五十を過ぎたはずだが、若々しいエネルギッシュなイメージがある。だが、それはすべて虚構だろうというのがアンダースの印象だった。 解りやすいまでの営業マンにしか見えていなかった。アンダースは立ったままそれを見ていた。 「例の研究はどうだ?」 「いまさら聞く事か? キースの指示が無ければ何もできやしない。そもそも、あの遺伝子は異常だ。キースですら手に負えなかった物を、俺にどうしろと?」 「そうか。仕方ないな。無理な要求だった事は謝ろう」 「一つ答えろ。あれはキースの開発した無個性遺伝子なのか?」 「そうだ。例の人種の特徴を再現する為の」 「ウソを付くな」 「どういう意味だ?」 「あれは無個性遺伝子ではないだろう。あれは……間違いなく何者かのクローンだ」 「ほう。君でも気付いたか」 「当たり前だ。無個性遺伝子だけなら山ほど見てきたんだ。あれは絶対に違う物だ。キースが開発したとは思えない。お前の差し金か?」 「確かに私が主導で開発を進めた物だ。だが、あれは間違いなくキースが開発した遺伝子だ」 「バカな……。キースはクローンなんて興味が無かった。ではあれは何処の誰の物なんだ」 「まず勘違いを正そう。あれはクローン遺伝子ではない。間違いなく、キースが無個性遺伝子から発展させた物だ。君は気付かなかったか? あれの異常性に」 「……寿命が異様に短い。その反面、すぐさま細胞をガン化してしまうという特性もある。すぐ死ぬ上に、そんな特性を持っていたら、生物として成り立たない。ましてや人間の細胞なら」 「その通りだ。そして、それの克服こそがキースが目指していた物だ。残念ながら途中で離脱してしまったがね。 君にやって貰おうとも思ったが、いくら遺伝子を自在に操れたとてどんな形にしていいか解らなければやはり無意味だった」 「あれは何だ。俺に何をさせていた? キースは何をしたんだ?」 「焦るな。順に説明してやろう……」 トライゼンはデスクの上にある真新しい電話のボタンを押した。そして一言、「連れて来い」と言う。 その直後、さらに奥の部屋へと続くドアが開かれ、同時に必死に息をする音が聞こえて来た。 そして、チタンの塊がゆっくり姿を表した。肩に担がれているのは、さるぐつわをされた―― 「アリサ!?」 アンダースは驚愕の声をあげる。 チタンの塊は縛り上げたアリサを椅子に座らせ、デスクの前までそれを押してきた。 「……あの遺伝子はアリサのだというのか?」 「半分は正解だ。このアリサとは少しバージョンが違うがね」 「何だと?」 「最新のバージョン、つまりこのアリサの設計図はキースが持ち去った。そして今はあの元兵士が持っているらしい。仕方なくだが、まずは手元に見本を置いておこうと思ってね」 「何を言っている? アリサのクローンでも作るつもりか?!」 「落ち着け。説明しよう。クローンではない」 「では一体……!? キースは何をした!?」 「驚くべき事だ。キースは、およそ究極と呼べるアンドロイドを開発したのだ。……人間を造ったんだ。」 続く―― ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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時刻は午後四時半 暴力が過ぎ去った後。室内はひどい有様となっている。あらゆる物がずたずたに傷付けられ、それを行った者達も破壊され寝転がっている。 悪意を込められ送り出された者達は、ほとんどが無惨にも目的を果たせずに散った。ただ一人を除いては。 七話:【無価値な者共 ②】 「スレッジ!」 ヘンヨは叫んだ。玄関のドアを蹴破り、勢いよく中へ侵入していく。 そこら中に付けられた弾痕と飛び散ったパーツが見える。それは激しい戦闘があった事を教えてくれた。足元に転がるバラバラになった襲撃者と思われるアンドロイドが歩行を邪魔する。 それを乗り越えてリビングまで到達し、また叫んだ。スレッジ! KK! ……アリサ……!! そしてリビングでは衝撃的な光景が待ち受けていた。 それは、左肩から下が消滅したボディで天井のパイプにブラブラぶら下がっているKKだった。 「気持ち悪ッ!」 『開口一番でそれ?』 実際気持ち悪かった。KKはブラブラしていたのを止めて、真下のテーブルの上にぼとっと落下する。 『ごめんなさいねぇ。頑張ったけど負けちゃった』 「それはいい。アリサとスレッジは?」 『ビーンならなんとかソファまで起き上がって行ったけど、また失神しちゃった。まぁでも大丈夫よ。ビーンだから』 「アリサを連れ去った連中は?」 『わかんないわ。この身体じゃ追い掛けようもないし。まぁ強かったわ』 ボロボロのKKのボディは機能停止寸前だった。 徹底的な違法改造を繰り返したKKをして強かったと言わせるほどとなると警戒せざるを得ない。しかし、ヘンヨはそれを探し出さなくてはならない。 アリサはそこに居るはずだから。 『ちょっと首外してくれない?』 KKが言った。レストア時に利用する代替ボディに換装してくれと言っている。 言われた通りに首を外し、五十センチ程の大きさの蜘蛛のような物にそれを差し込む。かちゃかちゃと動くそれに生首が乗っかったそれも中々に気持ちが悪い。 とにかく、限度はあるがKKはこれでようやく自由に動けるようになった。 「映像はあるか?」 『もちろん。モニターに繋いでくれれば見れるわよ。監視カメラの映像も一緒に録画してるわ』 「よし……」 ヘンヨはテレビの前に移動した。コードをKKの後頭部にあるプラグに繋ぎ、テレビにもそれを繋ぐ。 「よくこんな機能を考えたモンだな……」 『これはありがちだけどね。なんだかんだでビーンって天才だし』 「……そうだな」 KKの目と監視カメラが録画した映像の時間がテレビに表示されていく。 「襲撃された時間は?」 『二時半くらいだったかしら。よく覚えてないけど』 「そうか。じゃあその少し前から再生してくれ」 『分かったわ』 テレビの画面が一瞬暗転する。そしてヘンヨが居ない間に何があったのかを映し出した。 最初に見えたのは、なぜか涙目のスレッジの姿だった―― ※ ※ ※ 「うわぁあああああん! 人を見た目だけで判断しやがってぇぇえええ!」 『見た目そのものが問題なのよビーン?』 やけ食いしながらスレッジが愚痴っていた。それをKKが宥めているが、それもかなり適当な物言いだ。 電話でヘンヨが一言多いのはいつもの事だったが、今回は原因となっているアリサという爆弾が家にいる。あからさまに距離をとられてスレッジは自分の人間性に自分で疑問を抱くほどダメージを負っていた。 とはいえ、切り替えが早いタイプなので誰も気にしていないのがなんともツラい所。 『調べ物あったんじゃなかったの?』 「グス……。ほとんど終わったよ。やっぱり事故は何にも無いね。あとはアリサの回復過程のカルテだけど……。 キースの野郎、いくら金積んだのか知らねぇけど入院してた病院のカルテがまったく見れない。ハッキングしようにもプロテクトが頑丈すぎる。……グス」 テーブルのドーナツがみるみる減って行く。これが見た目を崩す原因そのものなのだが、当のスレッジには自重する気配はない。仲介というストレスが貯まりやすい業種なので食べずには居られないのだ。 もし依頼人と請負人との間でトラブルが起きれば、仕事内容の性質上一発で胃に穴が空くほどのストレスになる事が多い。 それをヘンヨが解決していく事が多かった。その姿を目の当たりにしているヘンヨには「食うのを辞めろ」という一言だけはどうにも言えずにいたのだ。 「と、いう訳でKK、頼んだぞ」 『何を?』 「聞き出すんだよ。アリサ本人から。今考えりゃ直接聞いて来ればいいだけだ。だいたいの事は解るだろ」 『ああ~。だから私ね。ビーンが行ったら叫び声上げられて物投げられるのがオチだものね』 「うるせぇよ! うわぁああああん!!」 またテーブルの上のドーナツが減る。先程よりも速い。 『じゃ、行ってくるけど、いつ退院したとかそんなんでいいの?』 「グス……。うん? ああ。出来れば病院の中の事とかもな」 『分かったわ。じゃ、待っててね』 KKはテーブルから離れる。そして、アリサが篭っている部屋へ。 スレッジが自室のパソコンに向かっている間、たまに出て来てキッチンを利用したりリビングでテレビを見ていたりしたが、スレッジがリビングに来ると同時に素早く引きこもってしまったのだ。 おかげでスレッジはヘンヨが出てからアリサの姿をまったく見ていない。 KKには心を開いているのか、ドアをノックすると簡単に出て来た。寝ぼけ眼だった。昼寝をしていたようだった。 話があると言うと生返事を返しながら大きくドアを開けて、KKを中へと通してくれた。 「……眠い」 『さっきお昼食べたわよね? すぐ寝ると太るわよ。ビーンみたいに……』 「……意地でも太らない」 寝起き故か反応が鈍い。昨日失神させられてからを考えると結構な時間寝ている。よく寝る娘だとKKは思ったが、今考えれば寝るか食うかテレビを見るくらいしかやる事は無い。 きっと暇を持て余しているだろう。質問ついでにお喋り相手にでもなってやろうと考えた。 お互いベッドへ腰を降ろして、『あんまり思い出したくないかもしれないけど』と前置きしてから話し出す。入院中の記憶と、いつ退院したのかという事を。ついでに事故前の事も聞き出そうと思っていた。 が、意外なほど簡単にそれは失敗してしまった。 『覚えてない?』 「うん」 『全然?』 「うん。多分、意識が無い内におじいちゃんが家に連れてったんだと思う。もう意識が戻らないかもって言われてたらしいから……」 『じゃあ目が覚めた時は……』 「そこもよく覚えてないんだけど……。とりあえず事故の直後は覚えてない事が多くって。気が付いたら普通に生活してたし。 お父さんとお母さんは居なくなっちゃったけど……」 『そう。……ごめんなさいね。つらい事聞いちゃって』 「いいよ別に。四年も前の事だもん。生きてる限りは付き纏う事だし」 アリサは一旦言葉を切る。父と母の事は悲しげに語ったが、それ以外は割と淡々と言っていた。少なくとも、アリサは「四年も前だ」と割り切っている。肝心の所は結局聞けず終いだった。 「あ、そうだ」 突然、アリサが何かを思い出したように目を見開いてKKの方を見る。何か思い出したのかと淡い期待を抱いたが、全く別の事をアリサは思い出したようだ。 「ヘンヨってさ、前にどんな事してたの?」 『ヘンヨが? 本人に聞いたほうがいいんじゃない?』 「聞いてたんだけど……。途中で邪魔されちゃったから」 『あらそうなの。……。ん~、でもねぇ。言ったら怒られちゃうかも』 「でも別に隠すつもりもなさそうだったし。いいんんじゃない?」 『いいかしら?』 「いいって」 『じゃ、いいか』 ほとんど考え無しだった。実際に具体的な事以外は隠している訳でもないので別にいいやという判断だった。スレッジとKKはまだヘンヨが前の仕事をしている時期に出会っている。なのでどんな仕事だったかはよく知っていた。 そして、それこそアリサが聞きそびれた事。一般人では無い事は解り切っていたが、やはりちゃんと聞いておきたかった。 『最初にあった時は今みたいな感じじゃなかったのよねぇ。とにかくガンコでキレ易くて将校カットの髪型で。 ホント融通が効かない人だったわ。ビーンも大変だったでしょうね』 「それってどういう仕事なの?」 『うすうす分かってるとは思うけど、バリバリ叩き上げの兵隊さんよ。私達と出会った時はおかしな部隊に居たけど。海外を行ったり来たりして、たまにこっち来ては変な注文して行ったわ』 「注文?」 『ミサイル用意してくれとか、国外の協力者を斡旋しろとか』 「ミサイルなんて買えるの!?」 『買えるわよ。スポンサーが国だったんだもの。いくらでもお金持ってたわ。今はすっかりドケチだけどね』 「でも……。軍隊に居たなら、わざわざ買わなくても……」 『そこなのよね。いつも外国製のばっかり買っていたわ。きっと軍が用意出来なかった物、自国の武器を使えないって場合にこっちに来てたのね』 「?? 一体ヘンヨは何してたの?」 『それはね、ほとんど海外で、時には同盟国相手にでも――』 そこまで言ってKKの動きが止まった。いきなりピクリとも動かなくなってしまったのだ。 何事かと静観していたアリサを尻目に、今度は突然立ち上がる。そして…… 『ビーン!!』 叫んだ。その声は内線にアクセスされ、自動でリビングに居るスレッジにも届く。そしてスレッジからも返答が届く。 《分かってる。誰かがレーザー探知に引っ掛かりやがった。侵入者だ。アリサを連れて来い》 『分かったわ。お客さんは七名よ。準備はいい?』 《まさか。お前が頼りだぞ》 『仕方ないわね』 KKはアリサの手をとる。 『せっかくのお喋りだけど中断ね。接客しなくちゃ』 そう言って部屋の扉を開ける。アリサは訳も解らずについて行った。ここしばらくこんな事ばかりなので少し慣れてしまっていた。 「また敵!?」 『そうみたいねぇ。外のセンサーに思い切り引っ掛かっちゃって。マヌケな連中ね』 KKは軽い口調の割には急ぎ足だった。ヘンヨのような余裕はない。そのヘンヨの前職については結局また聞きそびれてしまった。 リビングに入るとヘンヨの銃より巨大なリボルバーで武装したスレッジが居た。強烈な威力を誇る大口径のモンスターハンドガンだ。 無意識にしかめ面をしたアリサ。一方のスレッジには余裕の色は無い。緊急事態だとわかる。 『お客さんは入口まで来たわ』 「分かった。……銃なんて久しぶりだよ全く……」 ハンマーを起こしながらスレッジは言う。巨大なシリンダーが回転する。 「俺達は地下に逃げるぞ。敵は?」 『監視カメラはツブしながら来てる。センサーの反応はさっきまであったけど……』 「バレたか」 スレッジはアリサを見て目線で合図する。無言で地下へ行けと行っていた。大人しくそれに従うが……。 「KK、足止め頼むぞ。お前ならまず負けないだろ」 即座にアリサが反論する。 「……ちょっと待って! じゃあ私スレッジと一緒に!?」 『我が儘言ってる場合じゃないわよアリサちゃん』 思い切り嫌な顔をするアリサ。スレッジがまた涙目になる。 それを無視して、今度はドアが破られる音。無理矢理にカギを破壊したらしい。そして、複数の足音が聞こえて来る。 それを聞いたスレッジは有無を言わさずアリサの手を掴んで地下の部屋へと走る。そこに立て篭もればしばらくは耐えられるはずだったからだ。 「頼むぞKK!!」 『任せなさい』 そして、侵入者が遂にリビングまで侵入してくる。最初に現れた三体のアンドロイドには何となく見覚えがあった。バイクに乗って襲撃してきたのと同じ機種の連中だ。 そのアンドロイドはKKを確認すると瞬時に発砲する。ところが……。 『なんだと……?』 『……あーあ。皮膚に穴開いちゃった。張替えるのお金かかるのよ?』 KKは仁王立ちしたまま平然としている。バイオ表皮の下に隠された防弾層が銃弾のエネルギーを見事に吸収してしまっている。 『弁償は要らないわよ。代わりにボコボコにしてやるけど……』 言い切ると同時に、KKは文字通りに飛び掛かる。アンドロイドの一体の頭部を掴み、そのまま膝蹴りを見舞う。顔面が破壊されアンドロイドは膝を付く。 膝のバイオ表皮が破れてしまったが気にする事なく、今度は身体を地面近くまで低くし、水面蹴りを繰り出す。それを受けたもう一人の敵は転倒し、天井を拝む。 直後に首に貫手が放たれる。それによって無造作に首を切断された。 それを見ていた残る一人は一瞬で行われたそれに対応仕切れずに立ったままだった。ようやく反応し始めた頃、KKの手が自分の頭部を掴んでるのに気付く。反応速度にはケタ違いの性能差があった。 そして、強烈な放電と共に全身からスパークを起こして倒れていった。KKに仕込まれたスタンガンの威力は電子機器を焼き切る程に強烈だった。 『なによ、弱っちい連中ね。これじゃヘンヨには百年経っても勝てないわよ』 横たわる三体の敵を見下ろしながら言う。そして、残る敵の内三体がさらに向こうから銃を構えている。KKは身構え、さらなる攻撃に備える。ところが、予想外な事態がさらに起こる。 敵の頭部が一つ落下したのだ。 ごとりと音を立てて転がるそれは、KKはもちろん敵のアンドロイドの動きすら止める。何が起きているのかは解らなかった。 『……役立たずめ。いきなり発砲してどうするんです? 聞き出す事もあるでしょう』 『??! お前……一体何を!?』 『見て解りませんか? 役に立たない道具はスクラップです。どうせお前達じゃあれには勝てません』 首を落とされた一体と、残る二体の背後に立つそれは淡々と言う。いつの間にか現れたそれは躊躇なく残る二体への攻撃を開始した。そしてそれは、たった二回で終わった。 ただ単に拳を突き出しただけだ。それだけで、機械のパーツが派手に飛び散って行く。KKよりも遥かに威力があるパンチ。 それは黒いコートで身体を隠してはいたが、隙間から除くそれのおかげで他のアンドロイドとは違う物だと解る。独特の黄金色のボディを持ったアンドロイドはつかつかとKKへと歩み寄り、仁王立ちしたKKと相対する。 『……。随分と酷いんじゃない? 味方でしょ?』 『いいえ? こんな役立たずはあっても無くても同じです。ここを捜すだけに使っていただけですから。 見つけた以上は用無しです。まぁ多少は期待をしましたが……。やはり役立たずは役立たずでしたね』 『ふーん。目的は?』 『アリサを渡して貰います。二つとも』 『二つ? どういう事?』 『……口を滑らせてしまったようですね。まぁいいでしょう。先程アリサの声を確認しました。何処に行きましたか?』 『私をやっつけたら教えてあげるわ。どっちにしろ隠したって家中捜すでしょ?』 『もうひとつの方はどこですか?』 『それは知らないわね。というより何の事なのそれって?』 『キース様が送り付けたはずです。アリサと、「アリサ」を収めたメモリーを』 『メモリー? もうひとつのアリサって――』 刹那、KKの腹部に衝撃。CPUが運動エネルギーで攻撃されたと判断し、それの対処を始めようとした。KKの視界は瞬時に流れ、再び安定した映像を捉えた時は壁に減り込んでいた。 攻撃を行ったと見られるアンドロイドは先程の位置から少しだけ前進していた。右の縦拳を放った体勢で。 『……あらら。随分速いわね』 壁に減り込んだ身体を引きずりだし、反撃を試みようと体制を整える。 しかし、反撃へと転ずる前に追撃される。今度は体当たりだった。 再び壁に打ち付けられ、身体のパーツからの信号が次々と切断されていく。肩から下のボディは大半が破壊された。 ただの体当たりではあったが、巨大な塊が高速で突進した威力は銃弾よりも大きな威力を見せた。銃弾の様に貫通するような攻撃ではないが、プレス機のようにKKのボディを押し潰す。 『まぁ。これは凄いわね……』 『先程言いましたね? やっつけたら居場所を教えると』 ガラガラと崩れて行くKKのボディ。それを見下す黄金色のアンドロイド。 KKの選択肢は一つだった。逆らったところで無意味だと悟っていた。それにKK達にはまだ、切り札がある。 『……アリサちゃんなら地下よ。傷付けちゃダメよ? 女の子なんだから』 『もうひとつは?』 『それはよく解らないけど……。メモリーならヘンヨが持って行ったわ』 『解りました』 頭部と左腕だけになったKKに既に興味が無くなったのか、それだけ聞いて襲撃者のアンドロイドは地下室へ降りる階段へと向かう。 『ちょっと』 KKはそれを呼び止める。 『……何ですか?』 『あなたが何者か知らないけど、ヘンヨには勝てないわよ』 『どういう意味です?』 『イレギュラーな人間って事よ。私達は所詮は作った人次第だけど、人間はそうじゃない。ヘンヨみたいなお化けが平気で紛れ込んじゃう。 もしヘンヨの造り手が居たとしたら、正直何考えてんだって感じね』 『それが何か?』 『だから言ったでしょ? 絶対勝てないから。核爆弾でもあれば別だろうけど』 『……戯れ事です』 それだけ言って、地下に降りて行った。 地下では既にスレッジとアリサが立て篭もっていた。 秘密の地下施設の入口は金庫のようなドアで塞がれていた。僅かな振動が、上の階での激しい戦闘を伝えてくる。 「KK、大丈夫かな……」 「問題無いって。はっきりいってやり過ぎなくらい改造したんだ。負ける事なんてない」 スレッジが言う言葉はアリサを安心させる為では無く自分へ向けた物だった。それほどの自信作だったのだ。 それが敗れたとはまだ知らなかった。ドアを破ろうとする音がするまでは。 「!! ちょっとスレッジ! 何か来たけど……」 「ウソだろおい!?」 ドアは重厚に閉ざされている。破れるはずがない。そのはずだった。ところが、ドアは少しずつ、しかし確実に変形していく。 ドアが少しずつ赤く変色していくのだ。鋼鉄で守られたそれを熱で破ろうとしている。それを短時間で行うには途方も無い高熱が必要になるはずなのだが。 「マジかよ……。とんでもない化け物だな」 「どうなるの……?」 「下がってろ」 スレッジはリボルバーを構える。ドアはみるみる赤くなり、その強度を落として行く。そして衝撃。大きくねじ曲がるドアのストッパー。 二度目の衝撃。皹が入る。ドアの一部が脱落する。 「来るわよ! 来ちゃうわよ!?」 「いいから下がってろ!」 三度目の衝撃。遂にドアは破られる。ただの重いドアと化したそれはゆっくり開いて行く。うっすら見えてきた敵の姿はドアから放たれる輻射によって蜃気楼の様に歪んで見えた。 そしてそれが一歩踏み入った時、スレッジのリボルバーが火を噴く。 『!?』 敵の姿が大きく後方へ吹き飛んて行く。大口径の銃弾はそのエネルギーを敵へと伝え、後ろへと吹き飛ばした。しかしそれは、貫通には至らなかったという事でもある。 さらに発射する。吹き飛んで寝そべるそれは一発ごとに身体を震えさせ、一時の優位をスレッジに感じさせた。しかし、五発目の発射と同時にそれも終わる。弾切れだ。 「畜生……!」 「どうするのよ……?」 「考えてるよ! 何とか脱出しなきゃ――」 言葉が途切れた。銃撃を受けていたはずのボディを起こし、それは瞬時にスレッジの意識を絶つ程度の打撃を繰り出していた。 殺す必要すら無い。そう判断した結果だった。また、それはスレッジに興味も無かった。 倒れるスレッジを見て、叫び声すら上げられずに立ち尽くすアリサ。身を守る武器さえ持たないアリサはただそれしか出来ない。 『アリサ、探しましたよ。やはりあの時に捕まえておけば楽だったのですが、余計な嫌疑をかけられる訳には行かなかった』 「え?」 『行きましょう。あなたを待っている人が居ます。キース様の事も少しお話するおつもりです』 「私を待っている……? あなた一体……誰なの?」 『あの探偵が持っているメモリーもそのうち回収します。まずはあなたです』「あなたは何!?」 襲撃してきたその敵はコートを脱ぎすて、隠されたボディをさらけ出す。被った目だし帽をも取り去り、正体をアリサへと見せ付けた。 「そんな……」 『余計な時間をかけたくありません。申し訳ないですが、寝てて貰います』 それはアリサの首を掴む。そのまま少し力を込めると、アリサはがくっと意識を失った。柔道で言う所の「落とす」と言われる物だ。それを片手で行った。 そして、アリサを抱え上げ出て行く様子が室内の監視カメラに記録されていく。後に残ったのは、それの爪痕だけだった。 ※ ※ ※ 『……映像は以上ね。この後に何とかあなたに電話したって訳』 「よく殺されずに済んだモンだな」 KKが残した映像を見終えたヘンヨ。両手を合わせ、大きくため息をついた。 「スレッジの様子を見てきてくれ。後は任せろ」 『それはいいけど……。どうするの?』 「カメラを全部つぶしたつもりだったんだろうな。着ていたコートが邪魔だったのかは知らないが、途中で正体さらすような失態をしている」 『? どこの誰か分かったの?』 「ああ。何が起きているかはまだよく解らないが、敵が誰かはとりあえず分かった」 『へぇ。知ってる相手だったの?』 「こないだ会ったばかりだよ。チタンコートボディのアンドロイドとはな」 続く―― ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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夜の小島を覚束ない足取りでふらふらと歩く女の影があった。 女の名は鈴原涼子。 人気アイドルグループ「ハッピー・ステップ・ファイブ」のセンター兼リーダーであり。 怒涛の如き勢いでアイドルシーンを上り詰めた、アイドル戦国時代を代表するアイドルの一人である。 光り輝くアイドル。 だが、その輝きは今や見る影もない。 その衣服は薄汚れ、輝きを写すはずのその瞳は、光なく虚ろな闇を宿している。 寒そうに震え、どこに行けばいいのかもわからないまま目的もなく彷徨っていた。 ふらついて、蹴躓いて、道端にあるには明らかに不自然な何かにぶつかった。 もたれかかりながら、なんだろうと呆とした頭でそれを見つめる。 それはコンビニに置かれているATMのような何かだった。 そう言えば、これまで通り過ぎていた道のりにもいくつかあったような気もした。 曖昧な頭で最初に確認した説明を思い返す。 確か、マップの所々にGPを使用するための交換機なるものが配置されているとか言う話だったか。 どうでもいい話だ。 彼女の興味はそんなところにはなかった。 それよりも一刻も早くみんなに会いたい。 彼女にあるのはそれだけだった。 「…………………」 だが、何か気づきがあったのか。 虚ろだった彼女の目が僅かに見開かれた。 もたれかかっていた体を起こし、タッチパネル式の交換機の正面に回って、躊躇いがちにゆっくりと手を伸ばす。 『はーい。あなたのシェリンです。初めてのご使用ですね。お助けが必要ですか?』 その手が画面に触れようとした瞬間、どこからともなく人形大の少女が彼女の目の前に実体化した。 『操作はタッチパネル式ですが、直接私に命じていただくことでも可能です。 ステータスアップは現在の能力値との差分だけ、』 「そういうのはいいわ。それよりも、この質問に答えるっていうのはどういう物なの? 今こうしてあなたとやり取りしているのとどう違うの?」 シェリンの言葉を遮り、矢継ぎ早に問いかける。 涼子が気にかけたのは『シェリンへの質問』という項目だった。 言葉を遮られたところでAIであるシェリンは気分を害するはずもなく、変わらぬ態度で応じる。 『基本的なシステムに関する事以外の、本来参加者に公開されない情報について回答が可能となります。 注意点といたしましては、運営上回答できない質問もいくつか存在しており、回答できない場合でも申請した時点でGPが消費されますのでご注意ください』 理不尽すぎる物言いだが、今更だ。それはいい。 涼子が知りたいのはただ一つ。 「例えばそれは…………他の参加者がどこに居るかなんて事も聞けるの……?」 『はい。お答えできます』 望みの回答を得て涼子の頬に赤みが戻る。 HSF(みんな)に会えるかもしれない。 そう考えただけで、凍えかけていた心に僅かに火が灯るようだ。 だが、涼子の探し人は5人。 5回の質問をするとなると250ptのGPが必要となる。 だが現在の涼子が支払えるGPは100ptまでである、全員は探せない。 なら誰を探す? 優先順位をつけなければならない。 心配な年少組のキララと由香里を優先するべきか。 それとも頼りになる利江や可憐と先に合流すべきか。 「……――あっ」 ひらめきがあった。 それは天啓だったのか。 霞がかっていた思考が晴れるようだった。 「――――本当に、一つの質問なら何でもいいのね?」 『はい。答えられるモノであれば』 答えになってない返答も気にならない。 これが通るならすべての問題は解決する。 「じゃあ申請するわ――――ハッピー・ステップ・ファイブのメンバーの現在位置を教えて」 対象は複数であろうとも、一つの質問であることに違いはない。 脱退した利江は対象から外れてしまうが、それは残りの50ptで聞けばいい。 『了承しました。GPが50pt消費されます。 問い合わせを申請しますので少々お待ちください』 特に異議を申し立てるでもなく、事務的にシェリンは対応する。 このルールのスキを突いたトンチのような質問が、果たして通るのか。 却下されれば50ptを失うだけの賭けである。 『お待たせしました』 数秒ほどで返答が返ってきた。 固唾を呑んで沙汰を待つ。 『申請が受理されました』 申請はあっさりと受理され、涼子の心配は杞憂に終わった。 『これからお教えするのはあくまで申請時の現在位置であり、その後その位置に居続けることを保証するものではありませんのでご了承ください』 「いいから、早くっ!」 注意事項を読み上げるシェリンを急かす。 シェリンは、それでは、と切り上げ、本題である回答を始めた。 『読み上げます。鈴原 涼子 H-6』 思わず拍子抜けする。 HSFという括りなら涼子自身も含まれるのも当然だろうが、そんな情報はどうでもいい。 いいから早く次をと、気持ちばかりが急いていた。 『安条 可憐 G-4』 ――――近いっ! 涼子の心が波のように沸き立つ。 現在の涼子がH-6、可憐がG-4。 地図上でも繋がっているし、すぐにでも会える距離だ。 『ソフィア・ステパネン・モロボシ H-8』 これも近い! 可憐とは逆方向だが、同じくらいの距離である。 可憐とソーニャに囲まれた場所にいる。 それだけで心が落ち着くようである。 『三条 由香里 G-1』 少し遠いが、許容範囲内だ。 反対側と言うほど離れてはいないし、上手くいけば全員合流できるかもしれない。 どん底だった心が僅かながら希望に傾きかける。 あとは、 『以上となります』 「……………………………は?」 その時シェリンが何を言っているのか理解できなかった。 来ると思っていたものが来ず、冷や水をぶっかけられたように沸き立っていた心が急激に冷める。 訳もなく心臓が大きく跳ねた。 「…………ちょっとまって、まだでしょ?」 息が荒くなる。喉がカラカラに乾いてうまく唾が呑み込めない。 こめかみが痙攣するようにひくひくする。 脂汗が全身からあふれ出して気持ちが悪かった。 嫌な予感がする。 「キララは? キララの現在位置は…………ッ!?」 バクバクと心臓がうるさい。 うるさすぎて、大事な…………大事な言葉を聞き逃してしまいそう。 「……ねぇ。答えなさいよ。キララはどこにいるの!?」 悲鳴のような声を上げて、目の前の立体映像に詰め寄る。 電子妖精は微笑を浮かべたまま、表情を変えることなく告げる。 『篠田 キララさんは死亡しました。現在位置は存在しません』 「―――――――ぁ」 全身から力が抜ける。 膝からその場に崩れ落ちた。 自分がこれまでどうやって立っていたのかすら分からなくなってしまったようだ。 「…………嘘よ。嘘言わないで。嘘よ! 嘘ッ!!」 『嘘ではありません。篠田 キララさんは死亡しました。現在位置は』 「うるさいッッッ!!!!!」 乱暴にウィンドウを閉じて訳の分からないことをいう女を消し去る。 「嘘よ。キララが死ぬなんてそんな……」 そこまで言ったところで、脳裏に紫の顔をした男の恨めしそうに見開いた瞳が浮んだ。 目の前で死んでいった、自分が殺した男の死を思い出す。 「…………ぅぷっ」 吐いた。 人を殺した後も吐かなかったのに、強烈な死のイメージに吐瀉した。 だが、アバターの胃の中身はからなのか、出てくるのは胃液のような物だけだった。 「うぅ。キララ…………キララ……キララぁ………ぅ……っ。キララ…………ぁ」 立ち上がることもできず 己の吐瀉物の上で胎児の様に丸まって泣いた。 自分の体の一部が欠けたような喪失感。 いや、その方がどれほどましだっただろう。 彼女の世界は壊れてしまった。 もう二度と、元に戻ることはないだろう。 ■ 最初は、私と利江の二人で『ハッピー・ステップ』だった。 ユニットの名前は二人で決めた。 二人とも家にはいたくなかったから、放課後の教室で一冊のノートにあーでもないこーでもないと言いあいながら二人でシャペンを走らせていた。 不幸だった過去から飛び出して、これから幸福をつかむんだ、という意味を込めた名前だった。 それから、手あたり次第にいろんなオーディションを受けまくった。 レッスンなんて上等なものを受けたことはなかったし、振りも自分たちで考えた拙いものだ。 今思えば、本当にお遊びみたいなレベルだったと思う。 当然のごとくオーディションは落ちまくった。けれど充実していたと思う。 辛いだけだった人生が、初めて輝き始めた気がした。 中学も終りに近づいた頃。 やっと今の社長の目に留まって、レッスン生として養成所に所属が許された。 可憐とは養成所で出会った。 同じレッスン生としてともにレッスンを重ね、仲を深めていった。 翌年には由香里と、特待生としてソーニャが養成所に加わり。 次の年にユニット結成の話が持ち上がったところで、最後に加入したのがキララだった。 私も名前くらいは知っていた。 ドラマの主演経験もある元子役。 何の実績もない私たちの中にそんな彼女が放り込まれるという事に、いろんな意図を感じて私は気後れした。 だが、そんな私の印象は彼女の第一声で覆された。 『今日からアイドルを始める篠田キララです。 3歳のころから役者をやってました、芸歴は皆さんの中で一番長いです。 けれど、アイドルとしては今日生まれたばかりの新人です。 先輩の皆さん、どうか私にアイドルを教えてください。よろしくお願いします』 そう言って深々と頭を下げた。 落ちぶれた元子役がアイドルになる。 それが周囲からどういう目で見られるのか。 自分がどういう意図をもってユニットに組み込まれたのか。 そんな自分の立場を誰よりも理解していたのがキララだった。 アイドルとして生きる覚悟。 素人の覚悟しか持っていなかった私たちの中で、彼女だけが唯一プロとしての覚悟を持っていた。 私たちの中で一番幼く、一番大人な彼女との出会い。 そんな事があった。 ■ もはや涙すら枯れてしまったのか、だらしなく口元を開いたまま何の感情もない顔で幽鬼みたいに彷徨い歩いていた。 考えると辛いから。 考えるのを放棄した。 そうすれば、何も感じず生きていけると、彼女は知っていたから。 「ッ…………子!」 自分がいつ立ち上がって、歩き始めたのか、明確な記憶がない。 継ぎ接ぎしたフィルムのようだ。場面が途切れ途切れだ。 ああ、どうでもいい。 こんな壊れたくらいにいるくらいなら、いっそ。 「涼子…………!」 「ぇ?」 顔を上げる。 自分を呼ぶ声。 懐かしいような、一番聞きたかった声が。 無意識の内に彼女を求めてそちらに歩いていたのか、それとも完全なる偶然か。 それは分からない。 ただ会えた。それだけで感情がないまぜになって枯れていたはずの涙がとめどなく溢れ出す。 「可憐…………? 可憐。可憐ッ!」 その存在を認めた瞬間、幽鬼のようだった足取りは駆け出すものに変わっていた。 飛びつく勢いで抱き着いた涼子を、可憐は両手を広げしっかりと受け止める。 可憐は自分の腕の中で泣きじゃくるリーダーの背を優しくなでた。 「おーおー。どないしたんやウチらのリーダーは泣きむしさんやなぁ。 こんな汚れてもうてせっかくの美人が台無しやないか」 そう言って可憐は涼子の涙を拭いて、衣服の汚れを払う。 そして嫌な顔一つせずに吐瀉物で汚れた口元を拭った。 「ぅぅ……可憐………可憐……ぅっ」 可憐は嗚咽を繰り返す涼子の背中をなだめるように擦り続ける。 決して急かすことなく、涼子が落ち着くのを待つように。 時間をかけて解きほぐし、涼子の嗚咽は徐々に落ち着きを取り戻して行く。 「それで。どないしたんや。なんや辛いことでもあったか?」 相手を落ち着かせるような優しい声で問いかける。 その問いに、涼子は答えようとして言葉を詰まらせる。 だが、言わねばならないと決意して、泣き叫ぶように言った。 「………………キララが、キララが死んじゃったよぉ…………ッ!!」 口にして再び涙を溢れさせる涼子。 その言葉は可憐に対しても頭を殴りつけるような衝撃を与えた。 「……なんで、そんな…………」 とっさに言葉が出ず、そんな事しか言えなかった。 「…………GPを使って聞いたの……みんながどこに居るのかって…………。 けど、キララの位置は教えられないって…………! キララはもう死んじゃったからって…………!!」 涙を流しながら、途切れ途切れに涼子は説明する。 その事情を聞き終えた可憐は、唇を噛みしめ固く目を瞑った。 だがそれも数秒。 すぐさま開かれた目の奥には何らかの決意の色が含まれていた。 「アホいいな――――それホンマに確かめたんか? 涼子が自分の目でキララが死ぬとこを見たわけやないんやろ?」 その問いに涙を流し続ける涼子は縦に首を振った。 「ほな、まだ分からんやないか! 何かの誤認や誤動作かもしれんし、仮に脱落してたとしても死ぬ言うの自体が嘘っぱちかもしれん。 いやそもそも、キララがここにおったちゅうんもホンマかどうかわからんやろ。 最初から呼んでもおらんのを死んだちゅうことにしとるだけかもしれへんやないか! せやから、悲しむんはちゃんと全部確かめてからでも遅ぅはないやろ!?」 「けど…………!」 何かを言おうとする涼子の頬を両手で挟んで発言を遮る。 そのまま手を引き、顔を近づけて視線を無理やり合わせながら問う。 「涼子。あんたはウチとあのシェリンとかいうお人形さんのどっちを信じられる?」 「そんなの。可憐に決まってる」 何の迷いもなく即答する。 聞くまでもない問いだった。 「せやったら、今はウチを信じてその悲しみを預けてくれへんか? それじゃ……アカンか?」 「…………ダメじゃない。可憐を信じる」 どうしもうない欺瞞だった。 そもそも発言した可憐自身ですらそんな可能性を信じていない。 涼子だってそれは分かっているだろう。 無理な理屈だと分かった上でそれでも可憐を信じて飲み込だのだ。 立ち上がるために必要な欺瞞だったと信じて。 涙を止めた涼子がようやく自分の足で立ち上がった。 その最初の一歩で、距離を取るように可憐から離れた。 「涼子。どないしたんや?」 「ごめんなさい。私、もう一つ言わなくちゃいけないことがあるの」 泣き笑いのような表情で、別れを告げるように告白する。 「――――私も、人を殺しちゃった」 その罪の告白に、先ほどまでとは違う緊張感が奔り、静寂が落ちる。 「怖い、わよね。気持ち悪いわよね。ごめんなさい。 あなたが一緒いられないと思うんなら、仕方ないもの。消えろと言うんなら消えるわ」 震える声で言う。 罪を告白する少女の姿は、嫌われることを恐れる子供の様だ。 だが、懺悔を受ける少女の心に動揺は少なかった。 正直、そんな気はしていた。 というより、最初に問いかけた時に返ってくると思っていた答えがこれだった。 予想外の方向からダメージを喰らってしまったけれど、ある意味覚悟は決めていた。 「なんやそれ。ウチの前から消えて、どないするつもりやねん?」 強めの口調で問う。 その声に彼女たちのリーダーは、取り残された迷い子の様に小さく自身の身を抱いた。 「………どうしたらいいのかしらね? 自首、すべきなんでしょうけど、出来るような状況でもないし。 何よりそんな事をしたら、あなたたちに迷惑が掛かってしまう。それだけは避けたい。 安心して、なんて言っても信じられないだろうけど。けど絶対、あなたたちの迷惑にはならないようにするから……!」 縋るような視線。 自罰的な態度。 その全てが癪に障った。 「…………迷惑ってなんやねん」 「え?」 余りも勝手なその言いぐさに、可憐の中で何かがキレた。 「迷惑かけたらアカンのか……? んなわけあるかい。迷惑くらいかけろや! ウチらはあんたのなんやねん……? それがダメやったら由香里なんてどうなんねん!? 毎日迷惑かけられっぱなしやっちゅうねん! せやけどウチはあの子が大好きやぞ! 可愛ゆうて仕方あらへんわ!」 「か、れん?」 ここまで怒っている可憐を初めて見た。 いや、怒っているのか? 発言内容は愛を叫んでいた。 「涼子!」 戸惑う涼子の手が取られた。 涼子の体が驚きにビクリと跳ねる。 「大丈夫や! 何があってもウチはあんたの味方や。ウチだけやない他のメンバーだってそうや、当たり前やないか!」 「……けど」 「けどもへったくれもあるかい! ウチが人を殺してたらどないや? あんたはウチを見捨てるんか!? できへんやろ!? 自分が出来もせんこと人に押し付けんなやボケェ!!」 怒鳴りながら、思い切り抱きしめる。 抱き潰してしまうのではないかと言うくらい力を込めて、思い切り。 「…………大丈夫。大丈夫やから」 可憐はそう繰り返す。 自分自身にも言い聞かせるように。 何が大丈夫なのか可憐自身もよくわからないけど、それでも続ける。 「あんたが堕ちるんならウチも堕ちたる。大丈夫や、ウチがおる。信じろ」 保証のない信頼を強要する。 どうしようもなく欺瞞だらけだった。 どんな事情があれ、人殺しは悪だ。 そんな事、考えるまでもない当たり前のことである。 だけど、 (こないに傷付いてボロボロになっとる涼子を突き放せるかいな) これで正解だったのか。 可憐には分からない。 だが、今の涼子を突き放すには、彼女は優しすぎた。 ソーニャならどうしただろう。 あれで締める所は締める女だ、もっとうまく答えを出せたかもしれない。 感情に素直な由香里なら、泣きながら糾弾するだろう。 一番年下だけど一番しっかり者だったキララなら、 「…………あっ」 そこで不意に可憐の視界がにじんだ。 抑えていたものが決壊して溢れそうになる。 (ッ。アカン。考えるな考えるな考えるな…………! 今ウチが折れたら終わりや…………!) 抱きしめている涼子に気づかれない様に必死で涙をひっこめる。 可憐を信じて無茶な理屈を飲み込んで立ちあがったのだ。 だから、今ここで可憐が折れるわけにはいかない。 (……スマンなキララ。今はウチらのリーダーを支えたらなあかんねん。 あんたの事を考えるのは全部が終わってからや。…………あんたの死を悲しんでやることもできへん、薄情な私を許してな) [H-6/島西寄り/1日目・黎明] [鈴原 涼子] [パラメータ]:STR:E VIT:E AGI:B DEX:B LUK:A [ステータス]:精神衰弱(ムードメーカーの効果により回復中) [アイテム]:ポイズンエッジ。不明支給品×5 [GP]:100→50pt(シェリンへの質問により-50pt) [プロセス] 基本行動方針:可憐を信じる 1.近くにいるソーニャとの合流 2.少し遠くにいる由香里との合流 3.どこにいるのか割らかない利江との合流(シェリンへの問い合わせも検討) [安条 可憐] [パラメータ]:STR:C VIT:C AGI:C DEX:C LUK:B [ステータス]:健康 [アイテム]:不明支給品×3 [GP]:40pt [プロセス]: 基本行動方針:HSF(家族)を守る 1.涼子を支える 2.HSFのメンバー(利江を含む)を探す 3.「陣野愛美」と「郷田薫」に警戒 ※魔王カルザ・カルマをゲーム好きのどっかの社長だと思ってます 「正貴さん。アイドルランキングって知ってるかしら?」 地下アイドル黒野真央は傍らの男に問いかけた。 問われた男、笠子正貴は少しだけ考える様にして、そうですねぇと相槌を打つ。 「聞いたことはあります。あまり詳しくはないですが、1位の子の顔くらいは見たことがある気がしますね」 名前なんかまでは知りませんが、と付け足す。 元よりそれほど興味がなかったというのもあるが、服役期間もあり最新の流行には疎かった。 流石に露出の多い1位ともなれば、刑務所内での食事時間中にテレビから流れる貴重な情報の一つとして耳に入るものもあるが。 「そう、それじゃあ私の順位、何位だと思う?」 「……さあ? アイドルには詳しくないので何とも」 正貴は口を濁して明言を避ける。 こういう時の女という生き物は面倒だ。 低く言っても機嫌を損ね、高く言っても嫌味になりかねない。 「それで、何位なんですか?」 迷っている衣服のどっちがいいかを聞くようなものだ。 女の中では既に答えは決まっている。 男の役割はその答えを女の口から気持ちよく述べさせるだけである。 望み通りか、問われて女はハッと、吐き捨てるように笑った。 「それがねぇ! 圏外よ圏外!? 地下アイドルは集計対象外なんですって!? 笑っちゃうわよねぇ。私の6年間は評価する価値もないんですって!」 そう言って、女は狂ったように笑った。 本当に狂っていたのかもしれない。 アイドルという狂気に。 「なにがぁアイドルランキングよ!? なぁにがアイドル戦国時代よ!? ふざけんなっての! あぁ下らない! 結局、権力者に股を開いて媚を売ればいくらでも操作できるものじゃない! そんなものに一喜一憂している奴らもバカみたい! アイドルもファンもみんなバカよ!!」 侮蔑を込めた声で吐き捨てる。 アイドルを憎んでいるのではない。 むしろ彼女はこれでもアイドルを愛している。 だからこそ自身をアイドルとして認めない世の中を恨んである。 男は女の激情を無言のまま見つめていた。 そうして、全てを吐き出しきったのか、すっと女の瞳は冷静へと戻る。 細められた、その視線の先には慰めあう二人の少女の姿があった。 「正貴さん」 女が男を引き寄せる。 二人は熱い口づけを交わした。 淫らに舌と舌が絡み合い糸引く。 「――――だから殺しましょう。私の6年間のために」 「はい。あなたが望むのならばそうしましょう」 [H-6/島西寄り/1日目・黎明] [黒野 真央] [パラメータ]:STR:E VIT:E AGI:E DEX:E LUK:E→D(「ヴァルクレウスの剣」の効果でLUKが1ランク上昇中) [ステータス]:ほろ酔い、回避判定の成功率微増 [アイテム]:ヴァルクレウスの剣(E)、VR缶ビール10本セット(残り6本)、支給アイテム×1(確認済) [GP]:10pt [プロセス]: 基本行動方針:絶対に生き残って、のし上がる。 1.正貴を使って涼子と可憐を殺す 2.できる限り自分の手は汚したくない。 [笠子 正貴] [パラメータ]:STR:C VIT:C AGI:B DEX:A LUK:C [ステータス]:黒野真央のファン、軽い酒酔い(行動に問題はない程度) [アイテム]:ナンバV1000(8/8)(E)、予備弾薬多数、支給アイテム×2(確認済) [GP]:25p [プロセス]: 基本行動方針:何かを、やってみる。 1.真央の望みを叶える 2.真央を護ることを「生きる意味」にしてみる。 3.他の参加者を殺害する。 ※事件の報道によって他の参加者に名前などを知られている可能性があります。少なくとも真央は気付いていないようです。 019.Easy Game 投下順で読む 021.敵か味方か!?『New World』にあらわれた最凶の男 033.検証:影の反対には太陽があるのか? 時系列順で読む 糸を辿る 鈴原 涼子 Stand by Me 譲れない私の 安条 可憐 TAXI DRIVER 黒野 真央 笠子 正貴
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調教 特別調教発生条件 PIL公式サイトのヒント(外部リンク) う、裏ワザ? 名前を沢渡 博之にすると真・沢渡博之mkIIになる(多分意味なし) 最初の質問 選択肢 キャラ 効果 雨降りの夜 マリノ 好感度+50 潰された果実 由架 留守番電話の声 亜矢美 薬瓶に入った錠剤 恵子 縛り上げて鞭で打つ 主人公 見えないステータス・嗜虐+50 浣腸をして辱める 見えないステータス・変態+50 徹底的にち×ぽを舐めさせる 見えないステータス・好色+50 どれともいえない 嗜虐・変態・好色+10 上へ 土曜日の進行度チェック 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 5月24日 由架 210 240 260 80 恵子 860 100 140 40 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 5月31日 由架 290 320 330 180 恵子 750 200 210 170 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 6月7日 由架 350 380 390 260 恵子 640 310 310 280 亜矢美 100 900 150 100 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 6月14日 由架 440 470 470 370 恵子 530 410 410 420 亜矢美 380 750 300 300 マリノ 700 70 165 70 70 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 6月21日 由架 530 550 550 480 恵子 420 510 510 560 亜矢美 800 300 700 700 マリノ 720 280 330 280 280 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 6月28日 由架 620 630 630 590 恵子 200 700 700 800 マリノ 740 500 520 500 500 日付 キャラ 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 進度 7月5日 由架 800 800 800 800 マリノ 850 850 850 850 850 上へ 調教によるステータス変動 由架 恵子 亜矢美 マリノ 由架 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 奉仕 フェラチオ もう許してやる ↑ ↑ ↑ ↑ まだまだ続けさせる ↓ ↑ ↑ ↑ 口の中に出す ↓ ↑ ↑ ↑ 顔の上に出す ↑ ↑ ↑ ↑ 足舐め ↑ ↓ ↑ 飲尿 ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 弄ぶ 顔 1~2回 ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 3回~ ↓ ↓ ↑ ↑ 粘着テープ ↓ ↑ ↑ 異物挿入 人形 ↓ ↑ ↑ 蛍光灯 ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ バナナ ↑ ↓ ↑ ↑ ↓ ハツカネズミ ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 責苦 鞭 1~4回 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 5回~ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 蝋燭 1~9回 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 10回~ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 針 ↑ ↑ ↑ ↑ 三角木馬 ↑ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 快楽 オナニー ↑ ↑ ↑ ↓ 媚薬 ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ バイブ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ SEX ↑ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 恥辱 局部検査 ↓ ↑ ↑ 放尿 ↓ ↓ ↑ ↑ 浣腸 ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 アナル開発 指 アナルのみ ↑ ↑ ↑ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ バイブ アナルのみ ↑ ↑ ↑ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ち×ぽ ↑ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 道具 レズらせる ↓ ↑ ↑ ↑ SEXを見せる ↑ ↑ ↑ 飲尿 ↓ ↑ ↑ 食糞 ↓ ↓ ↑ ↑ 上へ 恵子 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 奉仕 フェラチオ もう許してやる ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ まだまだ続けさせる ↓ ↑ ↓ ↑ 口の中に出す ↑ ↑ ↑ ↓ 顔の上に出す ↑ ↓ ↑ ↓ 足舐め ↑ ↓ ↑ 飲尿 ↑ ↓ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 弄ぶ 顔 1~2回 ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 3~6回 ↓ ↓ ↑ ↑ 7回~ ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 粘着テープ ↓ ↑ ↑ 異物挿入 人形 ↓ ↓ ↑ ↑ 蛍光灯 ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 茄子 ↑ ↑ ↑ ↓ ハツカネズミ ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 責苦 鞭 1~4回 ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ 5回~ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 蝋燭 1~4回 ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ 針 ↑ ↓ ↑ ↑ 三角木馬 ↑ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 快楽 オナニー ↑ ↑ ↑ ↓ 媚薬 ↑ ↑ ↑ ↓ バイブ ↑ ↑ ↑ ↓ SEX ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 恥辱 局部検査 ↓ ↓ ↑ ↑ 放尿 ↓ ↓ ↑ ↑ 浣腸 ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 アナル開発 指 アナルのみ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ バイブ アナルのみ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ち×ぽ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 道具 レズらせる ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ SEXを見せる ↑ ↑ ↑ ↑ 飲尿 ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 食糞 ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 上へ 亜矢美 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 奉仕 フェラチオ 口の中に出す ↑ ↓ ↑ ↑ 顔の上に出す ↑ ↓ ↑ ↑ 足舐め ↑ ↓ ↑ ↑ 飲尿 ↑ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 弄ぶ 顔 1~2回 ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 3~6回 ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 7回~ ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 粘着テープ ↓ ↑ ↑ ↑ 異物挿入 人形 ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 蛍光灯 ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ キュウリ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ハツカネズミ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 責苦 鞭 1~4回 ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 10回~ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 蝋燭 1~4回 ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 10回~ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 針 ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 三角木馬 ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 快楽 オナニー ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ 媚薬 ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ バイブ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ SEX ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 恥辱 局部検査 ↓ ↑ ↑ 放尿 ↑ ↓ ↑ ↑ 浣腸 ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 アナル開発 指 アナルのみ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ バイブ アナルのみ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ち×ぽ 未挿入 ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ 挿入可能後 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 道具 レズらせる ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ SEXを見せる ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 飲尿 ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 食糞 ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 上へ マリノ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 奉仕 フェラチオ もう許してやる ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ まだまだ続けさせる ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ 口の中に出す ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ 顔の上に出す ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 足舐め ↑ ↓ ↑ 飲尿 ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 弄ぶ 顔 1~2回 ↑ ↓ ↑ ↑ 3回~ ↓ ↑ ↑ 粘着テープ ↓ ↑ ↑ ↑ 異物挿入 人形 ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 蛍光灯 ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ニンジン ↑ ↑ ↑ ↑ ハツカネズミ ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 責苦 鞭 1~4回 ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ 10回~ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ 蝋燭 1~9回 ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ 10回~ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ 針 ↓ ↑ ↑ ↑ 三角木馬 ↓ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 快楽 オナニー ↓ ↑ ↑ 媚薬 ↓ ↑ ↑ バイブ ↑ ↑ ↑ SEX ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 恥辱 局部検査 ↓ ↑ ↑ 放尿 ↓ ↑ ↑ 浣腸 ↓ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 アナル開発 指 アナルのみ ↑ ↑ ↑ ↑ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ バイブ アナルのみ ↑ ↑ ↑ ↑ アナルの後、他の箇所触ると ↓ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ち×ぽ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 選択肢や回数 愛情 忠誠 気位 技術 肉欲 変態 忍耐 道具 レズらせる ↓ ↑ ↑ ↑ SEXを見せる ↓ ↑ ↑ ↑ 飲尿 ↓ ↓ ↑ ↑ 食糞 ↓ ↓ ↑ ↑ 上へ 特別調教発生条件(攻略本より) 期間 キャラ 調教内容 条件 共通 ビデオ撮影 進度500以上 5月22日~ 由架 スパンキング 体力201以上理性151以上忠誠350以下主人公の体力100以上 5月26日まで 由架 全身バイブ責め 体力151以上理性101以上肉欲370以上バイブを1回以上やっている主人公の体力70以上 5月27日~ 恵子 ブランデー責め 体力151以上理性151以上肉欲279以下主人公の体力30以上 6月3日~ 恵子 三本責め 体力151以上理性151以上技術579以下フェラチオを1回以上やっている 6月10日~ 亜矢美 生き埋め 体力201以上理性201以上忠誠649以下忍耐699以下 6月11日~ 恵子 公園調教 体力101以上理性151以上変態430以上オナニーを1回以上やっている主人公の体力30以上 6月12日~ マリノ レズビアン 体力151以上理性151以上肉欲244以下 6月13日~ 亜矢美 卵責め 体力101以上理性201以上変態399以下奴隷全員が元気主人公の体力100以上 温泉浣腸 体力101以上理性101以上変態400以上浣腸を1回以上やっているバイブを1回以上やっている主人公の体力50以上 6月17日~ 公衆便所 体力151以上理性151以上気位350以下主人公の体力30以上 マリノ 逆さフェラ 体力201以上理性151以上技術379以下フェラチオを1回以上やっている主人公の体力100以上 6月19日~ 由架 公園調教 体力151以上理性201以上気位249以下バイブを1回以上やっているアナルバイブが入った主人公の体力30以上 6月20日~ マリノ アナルポンプ 体力201以上理性151以上アナルSEXを1回以上やっているまだアナルに挿入できていない 6月23日~ 恵子 校門調教 体力151以上理性201以上気位200以上主人公の体力30以上 6月24日~ マリノ へび責め 体力151以上理性201以上忠誠809以下主人公の体力50以上 6月25日~ 恵子 駅前調教 体力101以上理性101以上気位180以下変態800以上浣腸を1回以上やっている 6月26日~ マリノ 公園調教 体力151以上理性151以上気位150以下フェラチオを1回以上やっている主人公の体力100以上 6月27日~ 由架 逆さ水責め 体力201以上理性201以上忍耐750以下主人公の体力100以上 6月30日~ マリノ 蝋燭責め 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コンシューマ エロゲー
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縛技のレベルと取得ポイント レベル 縛技 ポイント 1 両手縛り 1 股縄 1 3 一本縛り 1 5 後高手小手縛り 1 7 後頭小手縛り 1 乳房縛り 3 M字開脚 3 8 股菱縄 1 9 蟹縛り 2 10 後手たすき縛り 1 11 あぐら縛り 1 12 後手菱縄 2 13 菊門晒し縛り 1 15 長棒開脚 1 18 背面合掌縛り 2 20 片足吊り 2 25 立ち吊り 1 閉脚逆さ吊り 2 開脚逆さ吊り 1 上へ 特殊な組み合わせ 両手縛り+両手縛り 後高手小手縛り 両手縛り+M字開脚 蟹縛り 両手縛り+蟹縛り 長棒開脚縛り 後高手小手縛り+後高手小手縛り 後手たすき縛り 後手たすき縛り+後手たすき縛り 後手菱縄 後手たすき縛り+一本縛り あぐら縛り 後手菱縄+後手たすき縛り 背面合掌縛り 一本縛り+片足吊り 閉脚逆さ吊り 股縄+股縄 股菱縄 股菱縄+股菱縄 菊門晒し吊り 上へ ひなの 服 蓮華 縛り1 縛り2 縛り3(アイテム) 経験値 下着 諸手股縄縛り 両手縛り 股縄 15 諸手股縄縛りR ピンクローター 38 後手M字開脚縛り 後高手小手縛り M字開脚 38 後手M字開脚縛りH 張り型大 60 後手M字開脚縛りV 張り型バイブ 60 M字菱縄 M字開脚 股菱縄 50 亀甲縛り 後手菱縄 股菱縄 63 搾乳縛り 乳房縛り 乳房縛り 長棒開脚縛り 68 セーラー服 高手股縄縛り 後高手小手縛り 股縄 23 胸くびり開帳縛り 乳房縛り M字開脚 45 胸くびり開帳縛りR ピンクローター 68 後頭海老反り縛り 後頭小手縛り 一本縛り 38 たすき桃縛り裏式 後手たすき縛り 後手たすき縛り 蟹縛り 60 亀甲縛り裏式 後手菱縄 股菱縄 一本縛り 63 振り袖 桃割り菊門縛り 蟹縛り 菊門晒し縛り 75 桃割菊門縛りC クスコ 98 合掌あぐら縛り裏式 背面合掌縛り あぐら縛り あぐら縛り 90 秘肉晒し吊り裏式 後手たすき縛り 立ち吊り 片足吊り 150 秘肉晒し吊りH 立ち吊り 開脚逆さ吊り 張り型大 173 横海老吊り 立ち吊り 閉脚逆さ吊り 165 亀甲開脚吊り 開脚逆さ吊り 後手菱縄 126 亀甲開脚吊りE 浣腸チューブ 149 メイド服 閉脚一本縛り 後高手小手縛り 一本縛り 30 開脚豆縛り 後手たすき縛り M字開脚 53 開脚豆縛りH 張り型大 75 股割り菊晒し縛り 長棒開脚縛り 菊門晒し縛り 90 股割り菊晒し縛りA アナルビーズ 113 股割り菊晒し縛りE 浣腸チューブ 113 あぐら菱縄 後手菱縄 あぐら縛り 72 あぐら菱縄A アナルビーズ 95 開帳吊り 立ち吊り M字開脚 98 開帳吊りV 張り型バイブ 120 上へ 栞 服 蓮華 縛り1 縛り2 縛り3(アイテム) 経験値 下着 一本晒し縛り 両手縛り 一本縛り 23 乳房肉芽縛り 乳房縛り 股縄 30 胸くびり開帳縛り裏式 乳房縛り 乳房縛り M字開脚 45 胸くびり開帳縛りT M字開脚 茶筅ローター 68 だるま縛り 後高手小手縛り あぐら縛り 51 だるま縛りA アナルビーズ 74 立ち膝吊り裏式 立ち吊り M字開脚 M字開脚 98 立ち膝吊りE 浣腸チューブ 120 ブレザー 前手股縄縛り 両手縛り 股菱縄 15 後手M字開脚縛り裏式 後高手小手縛り M字開脚 M字開脚 38 乳房くびり股菱 乳房縛り 股菱縄 50 乳房くびり股菱R ピンクローター 72 長棒乳晒し縛り 乳房縛り 長棒開脚縛り 68 搾乳吸引縛り 搾乳機 90 亀甲縛り戒式 後手菱縄 後手菱縄 股菱縄 63 袴 後頭開脚海老縛り 後頭小手縛り M字開脚 38 後頭開脚海老縛りV 張り型バイブ 60 たすき桃縛り 後手たすき縛り 蟹縛り 60 たすき桃縛りC クスコ 83 たすき菊門晒し 後手たすき縛り 菊門晒し縛り 75 たすき菊門晒しV 張り型バイブ 98 合掌あぐら縛り 背面合掌縛り あぐら縛り 90 合掌あぐら縛りE 浣腸チューブ 113 一本たすき吊し 後手たすき縛り 閉脚逆さ吊り 120 一本たすき吊しE 浣腸チューブ 143 ウェディングドレス 股菱棒開脚縛り 股菱縄 長棒開脚縛り 72 股菱棒開脚縛りH 張り型大 95 亀甲縛り奉式 後手菱縄 股菱縄 股菱縄 63 秘肉晒し吊り 立ち吊り 片足吊り 150 秘肉晒し吊りH 張り型大 173 くの字片足吊り 乳房縛り 片足吊り M字開脚 45 くの字片足吊りH 開脚逆さ吊り 張り型大 68 開帳吊し 立ち吊り 開脚逆さ吊り 165 開帳吊しE 浣腸チューブ 188 上へ