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丘の公園清里ゴルフコースをお気に入りに追加 楽天課 <丘の公園清里ゴルフコース> 楽天GORAでコースガイドを見る、予約をする。 情報1課 <丘の公園清里ゴルフコース> #bf 外部リンク課 <丘の公園清里ゴルフコース> ウィキペディア(Wikipedia) - 丘の公園清里ゴルフコース 楽天GORAで探す プレー曜日 平日 土日祝 プレー料金 指定なし 5,000 7,000 9,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 円~ 指定なし 5,000 6,000 8,000 10,000 11,000 13,000 15,000 17,000 19,000 21,000 23,000 25,000 円 エリア 全地域 北海道・東北 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 関東 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 長野県 静岡県 北陸 新潟県 富山県 石川県 福井県 中部 岐阜県 愛知県 三重県 近畿 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 中国 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 四国 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 九州・沖縄 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 海外 Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <丘の公園清里ゴルフコース> 使い方 サイト名 URL 0314_golf-ladies_165x100%5B1%5D.jpg ezaki-g165.jpg 20090902_golf_putter_165x100.jpg 1221_golf-comparison_165x100.jpg 情報2課 <丘の公園清里ゴルフコース> #blogsearch2 成分解析課 <丘の公園清里ゴルフコース> 丘の公園清里ゴルフコースの55%は野望で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの35%は柳の樹皮で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの5%は明太子で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの3%はスライムで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は華麗さで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は株で出来ています。 報道課 <丘の公園清里ゴルフコース> gnewプラグインエラー「丘の公園清里ゴルフコース」は見つからないか、接続エラーです。 情報3課 <丘の公園清里ゴルフコース> #technorati JAWS_260.jpg CAJ3CYVY.jpg 楽天GORAゴルフ場索引 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 楽天売れ筋ランキング ゴルフ総合 クラブ(メンズ) クラブ(レディース) ボール グローブ シューズ メンズウエア レディースウエア バッグ ヘッドカバー トレーニング用具 パーツ 小物 コンペ用品 その他 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ページ先頭へ 丘の公園清里ゴルフコース このサイトについて 当サイトはキーワード毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日そのキーワードに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、キーワードが同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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丘の公園清里ゴルフコースをお気に入りに追加 くちこみリンク #blogsearch #technorati キャッシュ 使い方 サイト名 URL 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 楽天GORAで予約する 丘の公園清里ゴルフコース 楽天GORAでゴルフ場を探す 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 プレー曜日 平日 土日祝 プレー料金 指定なし 5,000 7,000 9,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 円~ 指定なし 5,000 6,000 8,000 10,000 11,000 13,000 15,000 17,000 19,000 21,000 23,000 25,000 円 エリア 全地域 北海道・東北 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 関東 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 長野県 静岡県 北陸 新潟県 富山県 石川県 福井県 中部 岐阜県 愛知県 三重県 近畿 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 中国 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 四国 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 九州・沖縄 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 海外 報道 gnewプラグインエラー「丘の公園清里ゴルフコース」は見つからないか、接続エラーです。 コース解説 丘の公園清里ゴルフコースの55%は野望で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの35%は柳の樹皮で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの5%は明太子で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの3%はスライムで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は華麗さで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は株で出来ています。 ウィキペディア 丘の公園清里ゴルフコース JAWS_260.jpg burner_res.jpg ページ先頭へ 丘の公園清里ゴルフコース このページについて このページは丘の公園清里ゴルフコースのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される丘の公園清里ゴルフコースに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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丘の公園清里ゴルフコースをお気に入りに追加 楽天GORAで予約する 丘の公園清里ゴルフコース 楽天GORAでゴルフ場を探す 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 丘の公園清里ゴルフコースとは 丘の公園清里ゴルフコースの55%は野望で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの35%は柳の樹皮で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの5%は明太子で出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの3%はスライムで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は華麗さで出来ています。丘の公園清里ゴルフコースの1%は株で出来ています。 丘の公園清里ゴルフコースの報道 gnewプラグインエラー「丘の公園清里ゴルフコース」は見つからないか、接続エラーです。 丘の公園清里ゴルフコース@ウィキペディア 丘の公園清里ゴルフコース 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 丘の公園清里ゴルフコースのリンク #bf ページ先頭へ 丘の公園清里ゴルフコース このページについて このページは丘の公園清里ゴルフコースのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される丘の公園清里ゴルフコースに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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清里町駅 釧網本線 清里町水元町にある釧網本線の駅である。駅ナンバリングはB69である。 清里町駅の様子 清里町駅の駅名標 清里町駅のホーロー駅名板 名所案内 ホーム側からみた駅舎 清里町駅の駅ノート 清里町駅前のトイレ 駅構造は、2面2線の交換可能駅である。駅舎側の1番線は釧路方面の列車が発着する。網走方面は跨線橋を渡った2番線の列車が発着する。 歴史 1929年に上斜里駅として開業。1956年に清里町駅に改称された。1965年に駅舎が改築され,1968年には跨線橋が新設された。1983年に貨物営業廃止、1986年に簡易委託駅になった。1990年には窓口での簡易委託が取りやめられ駅構内のキヨスク委託になった。1993年、キヨスク閉店に伴い駅前の商店に委託されたが1996年に委託廃止、完全無人化された。現在は知床斜里駅管理の無人駅である。 利用状況 2015年度の乗車人員は48人である。2014-2018年度の特定日調査における乗車人数の平均は42.8人である。 駅周辺 清里町の中心部の集落がある。 大きな地図で見る [2020/2/22,乗リツ] 隣接駅 南斜里(B70)←清里町(B69)→札弦(B68) 駅めぐりトップに戻る別館トップに戻る Copyright 1997-2020 北海道大学鉄道研究会 (Hokkaido University Railway Research Group, Japan)
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0324:清里高原大炎上戦① 趙公明vsデスマスク これは、限りある時間の中で、運命の道標に立ち向い、 閃光の如く輝いた者達の、物語だ。 ―――☆ 吹き荒ぶ風に草原が波立っていた。 俗に、八ヶ岳おろしと呼ばれるこの地域特有の強風である。 長野県と山梨県の境界にあるこの高原を、故人は清里高原と名付けた。 縦横に広がるこの大草原に立つ者がいれば、彼方に八ヶ岳連峰と呼ばれる、 日本国最高峰の山郡の壮大な連なりを臨む事が出来るだろう。 しかし、現実にこの景色を愉しめる程、心に余裕がある者はこの場所には居ない。 誰もがただ、目前に繰り広げられる、途方も無い光景の前に立ち尽くすのみだった。 言葉を失う仙道と槇村香の横で、デスマスクが呻く様に呟いた。 「と、とんでもねぇ事になっちまったな」 一瞬の出来事だった。 見上げる程の巨大な植物が、眼前にそそり立っていた。 二階建ての建造物程はあろうかという高さ。 天へ向かい伸びる茎は、どんな千年樹の幹よりも圧倒的に太く、 縦横に放射状に広がる無数の草葉は、一枚一枚が人一人を裕に覆い隠せる程広く、長い。 これが『妖怪仙人』(動植物・鉱物の化身)の元型、趙公明の真の姿である。 「待て、驚くのは早いぞ。アレを見るのだ」 太公望の指し示す先を槇村香は見た。 趙公明の化けた巨大植物の頂点に、これまた巨大な、花の蕾の様なものが蠢いていた。 やがて花弁が徐々に開き始め、五分咲きを過ぎた辺りで一息に開花した。 香は息を呑んだ。 リアルサイズの10倍~20倍はあろうかという大きさの山百合の花が、夜空に咲き誇っていた。 しかもその花弁には、趙公明自身の場違いな程に爽やかで、且つ濃ゆい顔が、 これでもかといわんばかりに鮮やかに描かれていたのだ。 直後、深夜の清里高原に、趙公明の声が大音響で響き渡った。 『 さ あ っ 、戦 お う じ ゃ あ な い か 。 ハ ーーッハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ 』 悲鳴が聞こえた。 あたしの悲鳴だった。 「さて、帰るか」 「うっす、帰りましょう」 「待てい」 香の悲鳴が続いている。 悟ったような表情で揃って踵を返し掛けたデスマスクと仙道の肩を、太公望はむんずと掴んだ。 帰りたくなるのも無理はない。いや、むしろわしだって帰りたい。 しかし、趙公明をこのまま放置しておく危険性は、誰より理解しているつもりだった。 あらゆる意味でおぞましく、且つ恐ろしい趙公明の元型。 しかしこの世界の制限の為か、かつての規格外の巨大さはない。 うねりながら伸びてきた趙公明の触手を、太公望は真空の刃を放ち切り裂いた。 未だ唖然としている者達を叱咤する。 「たわけが、ボサッとするでない。このまま放って置けばネズミ算式に増え続けるぞ」 ようやく事態が呑み込めたのか、我に返り身を硬くする三者を横目に太公望は考える。 やはり、収集が付かなくなる前に、何としても決着を着けたい。 「良いか、わしが策を授けよう。心して聞くのだ」 頷いて、固唾を呑みながら言葉を待つ三名に、太公望は口早に作戦を伝え始める。 清里高原は、長野県と山梨県に跨っていた。少なくとも、この両県は焦土と化してしまうだろう。 問題は、被害をそこで喰い止められるかどうか、であった。 激闘の予感を、太公望は感じていた。 ――――☆ 『見 給 え 見 給 え 、 こ の 僕 は 更 に 更 に 美 し く 華 麗 に 分 裂 す る 』 高らかに笑う趙公明の巨大花。 花から撒き散らされた『種』は、強風にも助けられ、瞬く間に清里高原の大草原に散りゆく。 大地に落ちた種はとてつもない速さで、地に根を生やし、茎を伸ばし、葉を広げ花を咲かす。 それらは各々が趙公明の『下僕』とも云える存在で、意思を持つかの様に標的に襲い掛かり、 また大地の養分を吸収して更に増殖する恐るべき兵器だった。 既に趙公明の『元型』、巨大花の周辺は『下僕』の密林と化していた。 本体の位置に近い程、成長も早いという事なのか。 「くっ、きりがねえぜ」 「た、耐えるのだ。これはおぬしにしか出来ぬ事なのだぞ」 ボロボロの衣服、全身には無数の浅手。確かに仙道や香を守ってやる余裕等無かっただろう。 絡みつく触手を引き千切り、涎を滴らせた巨大な食虫植物に気孔波を叩き込む。 棘のある蔦が、鞭のように撓りながら太公望に襲い掛かる。 それを辛うじて避わした太公望が叫んだ。 「危なっ。ふう、良いか、虎穴に入らずんば虎児を得ず。 わしらの狙いは『首輪』の付いておるヤツの『顔』だ」 「あ、ああ。何度も云うな。解ってるよ。くそっ」 太公望の真空刃により、足元に散らばった触手を踏み越え、デスマスクは悪態を吐いた。 趙公明の『核』のある、巨大花を一挙に叩き潰す。それが太公望の作戦だった。 しかし、密林の中心部まで後10m程、四方を囲む『下僕』達を乗り越えて、 本体に辿り着く事が出来るのか。 舌打ちしてデスマスクは伸びてきた触手を断ち切った。 全ては仙道と香の働きに掛っていた。 竜の咆哮。鍵爪が一閃し、又一つ趙公明の『下僕』を屠る。 仙道は、『元型』のある密林から50m程の距離を保ちながら、 撒き散らされた植物達を各個撃破しつつ、風上に回り込もうとしていた。 大粒の汗が額に浮かんでいた。細心の注意を払い『真紅眼の黒竜』を操る。 既に密林に突入したデスマスクと太公望の姿は見えなくなっていた。 仲間は背後でウソップパウンドを振り回し、生まれかけの『分身』と格闘している香だけだ。 「香さん。オレとこいつ(『真紅眼の黒竜』)から離れないで下さい」 「大丈夫よ仙道くん。あたしの100トンハンマーの威力を知らないな?」 声を掛けると香は、ハンマーを軽々と振るいながら、得意げに言った。 蛙が潰れる様な音がした。見ると一体の『下僕』が、押し花の様に真っ平らになっている。 確か、あれハリボテのハンマーだったよな。と、仙道は香の(怪)力に舌を巻いた。 『元型』から吐き出された『種』は、この風に流され殆どは逆方向に飛んで行った。 個別に点在する『下僕』も在ったが、単独で来る分には、黒竜と香の敵ではなかった。 更に風上に移動する。一刻も早く太公望より与えられた策を実行に移さねばならない。 不意に悲鳴が聞こえた。 振り返り、仙道は仰天した。 見落としていたのか、或いは何処かに潜んでいたのか。 地中から蝿取草に似た巨大な植物が湧き出し、鎌首を擡げ香に襲い掛っていた。 ひと呑みにされようとしているのにも関わらず、香は一歩も動かない。 いや、動けないのか。香の右足に蔦らしき物が、絡み付いていた。 愕然とした。間に合わない。『真紅眼の黒竜』の黒炎弾でも、間に合わなかった。 『フフフフフ、キミ達の考えは全てお見通しさ。 風上に回り込もうとしている人間達には、僕の『下僕』達を幾つか放っておいたよ』 大音量で趙公明が得意げに告げる。 隣で奮闘しているデスマスクが、凍りつくのが分かった。 太公望の耳にも香の悲鳴は届いていた。密林の中心部まであと5m程か。 苛烈さを増す植物の波状攻撃に、懸命に耐えながら機を待っていた矢先の事だった。 しかも気が付けば、無数の触手が完全に二人を包囲していた。 粘着性の触手を揺らめかせ、幾体もの巨大な食虫植物がバリケードさながら、 二人と巨大花の狭間に立ち塞がっている。デスマスクが荒い息を吐いて言った。 「聞こえたか太公望」 「うむ、不味い事になってきたのう」 太公望は額の汗を拭った。疲労が圧(の)し掛かる。 デスマスクの奮闘を盾にさしたる外傷はないが、俄仕込みの真空呪文を連発してきたのだ。 太公望の真の狙いは即ち『火計』だった。 デスマスクと太公望が囮となり中心部に進入。 その間に仙道と香が『分身』の掃討をしていると見せかけ、 風上に回り込み、『真紅眼の黒竜』にて火を放つ。 植物は火に弱く、ましてこの風だ。 成功すれば労せずに趙公明を分身もろとも葬れた筈だった。 しかし策は看破され、仙道達の消息は知れず。 更に自分達は視界を埋め尽くす程の触手に包囲されている。 「まさに四面楚歌じゃな。やむを得ぬ。こうなったら第二の策じゃ。ぬ?デスマスク」 最早一刻の猶予もならぬ。 こうなったからには人命が優先。仙道と香を一刻も早く救出せねばならない。 新たな策を伝えようとして、そこで太公望はデスマスクの異変に気が付いた。 「デスマスク。しっかりするのだ」 迫り来る無数の触手の気配も感じてはいた。太公望の切羽詰った声も耳に入ってはいた。 冷静さは失っていない。遠隔視の能力で、事態の確認をしていただけだった。 見えた。仙道と香。 趙公明の言う通り、二人は食虫植物に囲まれ、今にも捕食されようとしていた。 『デスマスクさん。俺を助けてください』 『デスマスクさんが俺の力になってくれると嬉しいっす』 『OKだ。おめーに付き合うぜ』 交わした約束を思い出す。 守ってやると誓った。なのに、側にいてやる事すら叶わない。 あの誓いは何だったのか、仙道に感じた希望は何だったのか。 「く、来るぞデスマスク」 紫龍がこんな気持ちだったのかもしれない。ふとデスマスクは思った。 かつての十二宮で戦いの最中、紫龍の女(春麗)を、超能力で滝壺に落としてやった事がある。 あの時の紫龍の絶望と悲しみ表情ときたら、それなりに傑作ではあった。 「ダアホ!動けデスマスク!」 『オレ達はムウに小宇宙の真の意味を語ってもらった。 究極の小宇宙は第七感(セブンセンシズ)だと。 人間誰しもが持っている六感を超える能力の事なのだと。 その意味とは人から人へ教えられるものではなく、 己自身が戦いの中で自覚し、高めていくものだからだ』 紫龍の声。デスマスクの脳裏に当時の戦いが甦る。 その後、豹変した紫龍の逆襲に合い、無様な敗北を喫した。 そこまで思い出して、デスマスクは目が覚める様な気持ちになった。 ―――フッ、そうか、オレ様はそんな事も忘れていたのか。 『 そ ら っ 、 ア ン ・ ド ゥ ー ・ ト ロ ワ 』 「ギャー(^o^)/」←太公望 盛大な掛け声と共に、無数の触手が一斉に襲い掛かってくる。 充分に攻撃を引き付けてから、デスマスクは太公望を突き飛ばした。 閃光が奔る。 『 ト 、 ト レ ビ ア ー ン 』 趙公明の声は驚愕に震えていた。 硝煙を漂わせながら、絡みついていた触手が、ばらばらと地に落ちた。 敢えて攻撃を一身に受け、その瞬間に小宇宙を爆発させる事で、纏めて焼き尽くしたのだ。 「お、おぬし」 尻餅を着き、驚愕の表情の太公望に一瞥をくれて、デスマスクは向き直った。 今なら分かる。何故、黄金聖衣に見捨てられ、格下の青銅戦士ごときに敗れたのか。 眼前に聳える巨大花を指差して、デスマスクは静かに言い放った。 「趙公明、お前はこのデスマスク様の逆鱗に触れたぜ」 『ブラボー、マーベラス。最高だよ。 こんなエレガントな戦いが出来るなんて思わなかったよ』 巨大花が揺れていた。恍惚とした趙公明の声が響き渡る。 『元型』の傍らにて、枝を振り回していた大木が、また一本薙ぎ倒された。 デスマスクの全身を朧気に包む光は何なのか。 恐らくは、ヤツの中で何かが目覚めたのだろう、と太公望は思った。 眼前に繰り広げられる桁違いの攻防を横目に、倒れていたウェイバーを立て直す。 凄まじい速度でデスマスクが跳び回る。 暗闇から無数に飛んでくる棘の弾幕を拳の連打で叩き落し、 背後から槍の様に突き出される枝の穂先を紙一重で避わす。 「やるのう」 思わず声が漏れていた。 デスマスクの動く先、止まる先で趙公明の植物達が消し飛んでゆく。 しかし趙公明も間断無く種子を撒き散らし増殖を図る。 破壊と成長。両者の攻防は互角に見えた。 「ここは任せたぞ、デスマスク」 太公望が声を掛けると、デスマスクは一瞬動きを止めて棒の様な物を放(ほう)ってきた。 何時の間に拾っていたのか。化ける前の趙公明が捨てた武器(如意棒)だった。 一瞬、デスマスクと視線が交錯した。 哀しみ。いや、それ以上の深い何かを湛えた不思議な目だ、と太公望は思った。 太公望は放られてきた如意棒を、しっかりと掴む。 「仙道達を、頼むぜ」 それだけを言い残し、再びデスマスクは群がる植物達に突っ込んでいった。 ここは任せろ、とデスマスクの背中が言っていた。 遊戯王カードとやらの召還の制限時間は15分という。まだ時は残されている筈だった。 仙道等を救出すれば、まだ『火計』も可能であるし、勝機も見える。 「うむ。死ぬなよ」 そう告げて、太公望はウェイバーに跨り、直後には走り出していた。 仙道と香を救出する為、緩んだ包囲網を突き抜け、悲鳴の方角に向かい草原を疾走する。 声が届いたかどうかは解らない。ただ、冷たい風が頬を打ち付けていた。 『アハハハハ、アハハハハハ。素晴らしい強さだよデスマスクくん』 「チッ、やかましい」 上空から、鋼鉄の様に堅い木の実を雨霰と降らせた。 同時に、地からも木の根を槍衾の様に何本も突出させる。 しかし、木の実は全て弾き返され、木の根は事も無げにへし折られてしまう。 このデスマスクという男、信じられない強さだった。 疲労があるとはいえ、この『元型』に戻った自分と生身で互角なのだ。 たった今、太公望が離脱したようだが、既に関心はデスマスクの方に移っていた。 「アイツらに頼るまでもねえ。そろそろ決着を着けてやる」 『フフフ、最早無敵のこの僕を、どうやって倒すというのだね』 攻撃を繰り出しながらデスマスクが不遜に言った。 虚言ではない。現にデスマスクの周囲の空気が変わり始めていた。 元より趙公明も勝負を急ぐ事に依存はなかった。 火を放たれたら、と考えると流石に悠長に構えてもいられないのだ。 名残惜しいが、そろそろ決着を着けよう。心に決めて趙公明は大地の養分を吸い上げた。 ―――高まれオレの小宇宙よ。 『セブンセンシズ【第七感】』それは小宇宙の真髄。 人間の持つ五感(視覚・味覚・聴覚・触覚・嗅覚)+第六感(精神)を越えた第七感。 いわば究極の小宇宙である。(尚、第七感に目覚めているのは黄金聖闘士だけである) 小宇宙が更に高まったようだ。 この現象に最も驚いたのは他でもないデスマスク自身だった。 覚醒した新しいが小宇宙が、躰の奥底から尽きる事無く湧き上がってくる。 デスマスクは、負ける気がしなかった。 「フッ、さあ趙公明よ。この『積尸気』を通ってあの世に行け」 デスマスクは右手を空に翳し、小宇宙を集中させた。 力こそ正義。未だその信念に揺らぎはない。 しかし、その力を生み出す源が何なのかを、 自分は理解して来なかったのだと思う。 気が満ちた。 総攻撃を仕掛けようとする趙公明に、デスマスクは裂帛の気合を込めて小宇宙を放った。 『 積 尸 気 冥 界 波 !!!』 『 な 、 な に ? 』 巨大花を純白の光が包み込む。 趙公明が苦悶の叫び声を上げながら地をのたうった。 絡み付いていた触手達が、力を失った様にポトリポトリと落ちてゆく。 密林に、明らかな異変が起きていた。 光が消えた。 趙公明の巨大花は見る影も無く萎び、枯れ木のような色彩に変わっていた。 ―――☆ 『何故だ、僕の『下僕』達が動かない?』 信じられない事が起きていた。 趙公明の呼び掛けに対し、蒔かれた植物達が全く反応しないのだ。 鉛の様に重たい疲労に支配され、趙公明は何をされたのかを悟った。 『今のは、僕の精神を攻撃する技だったのか』 鼻で笑うデスマスク。直後、追い討ちを掛ける様な事態が起こった。 後方から火の手が上がったのである。 「フッ?あいつら」 『し、しまった』 悪夢、だった。 風上に放たれた火の手は、凄まじい勢いで趙公明に迫る。 更にデスマスクの技により、植物達との交信も、増殖を図ることも封じられてしまった。 趙公明の『分身』である植物達は、あるものは萎れ、あるものは枯れ果て、炎に呑まれている。 強まるばかりの火勢に対し、趙公明は全く打つ手が見つけられなかった。 熱が伝わってくる。デスマスクは膝を着きそうになるのを堪えていた。 『積尸気冥界波』によるデスマスクの疲労も予想以上だった。 しかし、休息を取る余裕等ある筈も無い。炎に囲まれ、退路を絶たれようとしているのだ。 既に密林は燃え始めており、ただ巨大花のみがデスマスクと向かい合っていた。 それも最早、生ける屍だった。 「おめえはもう戦闘不能だ。念仏でも唱えてろ」 『お、恐ろしい男だキミは。『積尸気冥界波』といったね。蟹座の散開星団プレセペは中 国では『積尸気』と呼ばれているらしい。『積尸気』とは積み重ねた死体から立ち昇る 鬼火の燐気の事。そう、つまりプレセペとは地上の霊魂が天へと昇る穴。そして僕が見 せられたのは『黄泉比良坂』。それは死の国への落とし穴。冥界の入り口に来た亡者共 が黙々と入っていく坂。あそこに落ちたら二度と蘇(ry』 趙公明の声はそこで途切れた。大穴が、巨大花の中心部に開いていた。 デスマスクの隠し持っていたボーガンの鉄球が命中し、貫通したのだ。 轟音と地響き。倒れた巨大花を、容赦なく炎が包みこんでいった。 「マンモス哀れなヤツ」 言い捨ててデスマスクは、燃え盛る巨大花に背を向けた。 ―――☆ 深夜の清里高原が紅に染まっていた。 強風に煽られ、草原を舐めるように炎が侵食してゆく。 たった今15分の制限時間が過ぎ『真紅眼の黒竜』が消えた。 仙道は目を凝らし、戦況を確認しようとしていた。 小高い丘で、香と共に戦場を見下ろす。思ったより火の巡りが早かった。 濛々と立ち上る煙により、既に巨大花の姿を捉えるのは困難になっている。 先程、蔦が解けても立てなかった香に、遊戯王カード『ホーリー・エルフの祝福』を発動させた。 その甲斐があり、今は辛うじて歩ける程には回復していた。 あの時、もし太公望が来なければ、と流れる汗を拭いながら仙道は思い出す。 香を襲った食虫植物は、遊戯王カード(光の護封剣)にて封じ込めた。 しかし、直後に現れた大量の新手に囲まれ、進退窮まっていたところだった。 太公望がウェイバーに乗って現れたのは、死を覚悟した正にその時だった。 その後は協力して周囲を一掃し、共に風上まで移動し、『真紅眼の黒竜』にて火を放った。 「ここまで来れば大丈夫っす。香さん」 声を掛けると、香は気丈に笑い返してきた。 強いひとだ、と仙道は思った。足の痛みにも、心の痛みにも、決して弱音を言わない。 或いは、自分に気を使っているのかもしれない。お互いに、知り合いを全て亡くしていた。 自分だけが、泣く訳にはいかないと思っているのだろうか。 ―――ちくしょう。 ユニフォームで口元の汗を拭く。 今は指を咥え、二人の帰還を待つ事しか出来ない。 悔しいという気持ちと、諦めに近い気持ちが、同時に仙道の心に存在していた。 「あの二人なら大丈夫よ、きっと」 傍らで勇気付ける様に香が笑う。相槌を打って、再び仙道は視線を遠くにやった。 苦笑いが漏れて来る。心を見透かされていたのは自分だった、という事か。 燃え盛る炎。あの中に、太公望はもう一度戻っていった。 全てを見届けてから、再びデスマスクの救援に向かったのだ。 高々と立ち昇る炎の揺らぎに目を奪われながら、 仙道は、太公望に託そうとして拒まれた最後の遊戯王カードを握り締めた。 ―――☆ 「バカ野郎、来るんじゃねえ」 デスマスクの叫び声が木霊する。 しかし、太公望にウェイバーの速度を緩める気はなかった。 倒れた趙公明の巨大花は、炎が引火して凄まじい勢いで燃え上がっていた。 だが、趙公明が本当に死んだのならば、この事態はどう説明出来る。 燃え広がる炎の合間を縫う様に、太公望はデスマスクに接近する。 一刻も早くデスマスクを救出しなければならない。 一段と濃くなっている煙幕を、太公望は一気に突き抜けた。 見えた、デスマスク。触手に絡み付かれ、動きが封じられている。 尚も接近しようとする太公望に向かい、デスマスクが衝撃の事実を告げた。 「良く聞け太公望、オレ様は確かにこいつの『核』を(ボーガンで)潰した。だが、うぎゃP」 「なにっ?」 『そこからは僕が説明するよ。天国(ヴァルハラ)の土産にね』 不意にデスマスクの声が遮られ、その背後から巨大な影がむくむくと起き上がった。 一回り小さくなった巨大花。既存の物とは若干違う形態。そういえば位置も違うか。 しかし、紛れもない趙公明、その表情が刻まれた『元型』がそこにはあった。 趙公明。人質とばかりにデスマスクの首を締め付ける触手。密着されている。 太公望は唇を噛んだ。 懐にはリミッターを解除した宝貝『五光石』が忍ばせてあった。 しかし、ここで撃ってもデスマスクを盾にされてしまう公算が高い。 止むを得ず太公望はウェイバーを止め、降りた。 足元にも注意を払いながら、慎重に進んでゆく。 デスマスクは趙公明の『核』を潰した、と言った。 どういうことだ。『元型』は一体ではなかったのか。 炎のはぜる音。近い。いや、まだいける。 太公望は趙公明を見据えて言った。 「趙公明、おぬしの望みはわしと戦うことだろう」 『フフフ、まあ聞きなよ』 顎の先から汗が滴り落ちる。 舞い上がる火の粉を掻き分ける様に、太公望は如意棒を構えて間合いを詰めていった。 両者の距離は歩幅にしておよそ二十歩程。尚も接近する太公望を制し、趙公明は喋り出した。 『何故、僕が生きているのか。 その疑問に答える前に、まずキミ達の健闘を称えさせて貰うよ。 太公望くんの機転、デスマスクくんの強さ。どれをとっても素晴らしかった』 『さて本題に入ろう。先程、デスマスクくんの精神を攻撃する必殺技を貰った結果、 僕の『下僕』達は完全にその機能を失ってしまった。 更にこの僕の精神も深い傷を負い、種子を飛ばし増殖を図ることも封じられてしまった』 『さすがの僕もこれで終わりかと思ったよ。だがね、忘れないで貰いたい。 本来<僕らは一心同体>。全てを同時に滅ぼさなければ意味がない。 かつて太公望くんが実践した様にね』 『僕は残された精神力を振り絞り、鉄球が命中する直前に転移したのさ。 状況が状況ならもう少し遠くに行く事も出来たけれどね。 敢えて手近な、この場所を選んだ事には勿論理由がある。分かるかい?』 『転移するにも、遠くの植物達と交信ができなくなっていたからなのさ。 精神力を消耗した状態では、この辺りに転移するのが関の山だった。が、正確な答えかな。 それに決闘を途中で放棄するのも、紳士として相応しくないしね』 「もうよい」 一際強い風が吹き抜ける。太公望は話を遮り、如意棒を趙公明に向かい突き付けた。 幾らほざこうがデスマスクを救い出し、趙公明を倒す決定に何ら変更は無い。 しかし趙公明は挑発に乗らず、一笑して話を続けた。 『アハハハハ、まあ、待ちなよ。理由はまだあるのさ。良いかい? 僕が転移したこの植物は食虫植物と言ってね。 本来は飛び回る昆虫や微生物を捕えて、消化吸収する植物なのだが』 何を今更、と言いかけて太公望は息を呑んだ。趙公明の巨大花がぱっくりと口を広げたのだ。 朱色の口腔に大量の唾液を滴らすその穴は、人一人をひと呑みにするには充分な大きさだった。 「まさか」 『そう、デスマスクくんは、人質ではなかった、という事さ。感謝し給えデスマスクくん。 キミは僕と“ひとつ”になって、この世に華麗な“華”を咲かす事が出来るのだから』 話が終わる前に太公望は地を蹴っていた。 趙公明の触手が、もがくデスマスクを担ぎ上げている。 デスマスクは今にも趙公明に飲み込まれようとしている。 逃げろ、とその眼が言っていた。 『さあ、僕と“ひとつ”になろうじゃないか』 うっとりと開く趙公明の口元に、デスマスクの躰が運ばれる。 全力で、太公望は駆けた。 また、間に合わないのか。 また、犠牲者を出してしまうのか。 死に逝く者達の表情が、残された者達の慟哭が、太公望の脳裏を霞めてゆく。 ―――もう誰も、死なせはせぬ。 駆けながら太公望は、如意棒を振り翳し雄叫びを上げた。 【長野県と山梨県の県境、清里高原/一日目夜中】 【太公望@封神演義】 [状態]:中疲労。 完全催眠(大阪の交差点に藍染の死体)バギ習得、軽度の火傷 [装備]:如意棒@DRAGON BALL [道具]:荷物一式(食料1/8消費)・五光石@封神演義・鼻栓 ウェイバー@ワンピース トランシーバー×3(故障のため使用不可) [思考]:1、デスマスクを救い出し、火の手から脱出する 2、趙公明に対処する 3、新たな伝達手段を見つける 4、妲己から打神鞭を取り戻す (趙公明を追い詰めて原型化させたのは魔家四将の対策と同じ理屈です) 【仙道彰@スラムダンク】 [状態]:やや疲労 [装備]:遊戯王カード 「光の護封剣」「真紅眼の黒竜」「ホーリーエルフの祝福」…使用済み 「闇の護風壁」…未使用 「六芒星の呪縛」…二日目の午前まで使用不可能 [道具]:支給品一式 [思考]:1、(ちくしょう) 2、首輪を解除できる人を探す 3、ゲームから脱出。 【デスマスク@聖闘士星矢】 [状態]:少しのダメージ、疲労大。食虫植物に飲み込まれようとしている。 [道具]:支給品一式 [思考]:1、逃げてくれ太公望 2、仙道を・・・ 【槇村香@CITY HUNTER】 [状態]:触手に絡み取られ右足が捻挫したが「ホーリーエルフの祝福」により回復した。若干後遺症あり。 海坊主、冴子の死に若干の精神的ショック [道具]:ウソップパウンド@ONE PIECE。荷物一式(食料二人分) [思考]:1、仙道、デスマスク、太公望の無事を祈る 2、追手内洋一を探す 【趙公明@封神演義】 [状態]:原型化(伝説の巨大花)。超度の疲労、『積尸気冥界波』により、増殖した『分身』の操作不能。 現在、手近の食虫植物に転移済み。デスマスクを捕えた。 [思考]:1、デスマスクを取り込んで体力を回復する 2、戦いを楽しむ ※制限による趙公明の原型の変更点 1、弱点の存在・・・趙公明の顔がついた花が「核」であり、そこを破壊されると趙公明は死亡する 首輪もその花についており、爆発すれば趙公明は死亡する 「核」は趙公明の植物が制圧している場所なら移動可能 2、増殖力の制限・・原作程の増殖力はない 趙公明の体調が万全の場合、一日で県一つ制圧できる程度 ただし、増殖力は趙公明の状態に大いに依存する 3、大きさの制限・・最初の大きさは家と同じくらい 備考:黒炎弾の炎が凄まじい勢いで燃え広がっています。 備考:趙公明の荷物一式×2(一食分消費)神楽の仕込み傘(弾切れ)@銀魂、は地面に落ちています 備考:アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険とアイアンボール×2は趙公明の脇に落ちてます。 備考:ウェイバーは趙公明の巨大花から20歩程の場所に放置されています。 時系列順に読む Back 319:東京交差点~男と女~ Next 297:ピッコロ大魔王の世界~相×剋~ 投下順に読む Back 323:つぐない Next 325:清里高原大炎上戦② 0309:悪夢の泡 太公望 325:清里高原大炎上戦② 0309:悪夢の泡 仙道彰 325:清里高原大炎上戦② 0309:悪夢の泡 槇村香 325:清里高原大炎上戦② 0309:悪夢の泡 デスマスク 325:清里高原大炎上戦② 0309:悪夢の泡 趙公明 325:清里高原大炎上戦②
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0325:清里高原大炎上戦② プラネタリウムに花束を。 望ちゃん。 何かを成すには誰かの犠牲がつきものなんだよ。 それが大きな事であればある程犠牲の数も比例する。 でも僕らは決して自分を棄てた訳じゃない。 自分で決めた事だから、同情も憐れみもいらない。 ただ、悲しんでくれればいい。 ――― 普賢、またわしは繰り返してしまうのか。 火の海。風圧と舞い散る火の粉に、太公望は瞼を閉じかける。 大地に突き刺した如意棒がぐんと伸び、先端にしがみついた太公望を運んだ。 届け。願いを込めて、太公望は決して屈強とはいえぬその腕を、精一杯に伸ばした。 デスマスクも触手の狭間から辛うじて手を出し、縋り付こうとした。 「―――!」 太公望は天を呪った。二人の指先はあと一寸の差で繋がった筈だった。 だがその時、その刹那、デスマスクは趙公明の食虫花に呑み込まれていた。 太公望は尚も伸び続ける如意棒を掴んだまま、 趙公明の『元型』をも飛び越え、勢い余って炎の中に突っ込んでいた。 転げながら火を打ち消し、何とか炎から逃れた太公望の視界に入った光景は、 デスマスクを完全に呑み込んだ趙公明と、その身に起こる異変だった。 「やめろ、やめるのだ。趙公明」 太公望が叫んだのと同時、大地が揺れ、大音響が響き渡った。 躰が宙に浮いた。地面を突き破り突如現れた何かが、太公望に激突したのだ。 弾き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられ、その衝撃に胃液が逆流した。 太公望を直撃したのは、趙公明の『元型』の、凄まじい速度で成長する樹根であった。 振動と轟音は止まるを知らず、太公望は躰を伏せて事態を見届ける事しか出来なかった。 趙公明の周囲にたちまち新たなる森が形成されてゆく。 やがて振動が収まった時、そこには第二の密林が完成していた。 趙公明は目論見どおりデスマスクを養分として吸収し、失った体力を回復させたのだ。 「―――、――趙・・・公明」 炎の中、再び種子を撒き散らし始める趙公明の巨大花。 太公望は悲鳴を上げる四肢を叱咤し、如意棒を支えにして立ち上がった。 ―――☆ 『燃え上がる戦場。 なんて素晴らしい舞台(ステージ)なのだろうか』 見渡す限り朱色、灼熱地獄と化した草原。美しさに趙公明は溜息を吐いた。 眼下には太公望が如意棒を振り回し、無数の『下僕』達と、たった独りで戦い続けていた。 一体何が、彼をここまで駆り立てるのか。趙公明は悪戯心を覚え、問いかけてみた。 『何故、人間なんかに拘るんだい?逃げる事も出来たはずだろう、キミ一人なら』 それでも太公望は如意棒を振るい、無言で立ち向かって来る。 大方、予想が付いているのだろう。 避難している人間達。もし太公望が逃げる素振りを見せれば、自分が彼らに何をするのかを。 性格も、手の内も知り尽くした間柄だった。 細かい企みは隠せても、心の底に抱いている想いは隠せない。 それは太公望の唯一の、しかし致命的な弱点といっても良かった。 『可哀想に、キミはいつも、抱え切れ無い程の重荷を背負い込んでいるのだね』 聞こえたのかどうか、返事代わりに飛んで来た真空刃が、趙公明の巨大花を掠めた。 そう云えば、前にもこんな事を聞いたか。少し仰け反った姿勢のまま、ぼんやりと思い出す。 当時、返ってきた答えは趙公明の中に釈然としないものを残した。 今、改めて聞いたのは、ささやかな好奇心である。趙公明はやれやれと肩を竦めた。つもりだった。 『ところでキミは、気付いているかい?世界を裏で操る何か。 僕らを砂の城でも作るかのように操作し、生かし、殺す。その“存在”に』 太公望が僅かに反応を見せた。 その瞬間、お返しとばかりに飛ばした木の葉の手裏剣が、太公望の額を掠めた。 呻き声を上げ、太公望が傷口を押さえる。 直後に如意棒が一閃し、趙公明の操る植物がひとつ両断され地に落ちた。 『大いなる意思の前には、あらゆる力も、祈りも、努力も、無力に過ぎない。 所詮僕達は、運命の道標に抗う事等出来ないのさ』 太公望が、上着をばさりと脱ぎ捨てた。どうやらこちらの話に乗る気は無い様だ。 趙公明はほぼ壊滅状態になった第一陣の植物群を一旦引かせ、第二陣を繰り出した。 退却した第一陣の生き残りは、『核』の前に集結させておく。 既に親衛隊とも呼べる別の植物群が『核』を取り囲んでいたが、 それで安心する気が趙公明には無かった。 態度にこそ出さぬが、デスマスクを喰らったとはいえ、趙公明の消耗は深刻だった。 元型の規模は当初の半ば以下に縮小し、増殖力も著しく低下していた。 更に火の手が『下僕』達に移り始めていた。そろそろ転移を始めなければ、手遅れになり兼ねない。 しかし一方で、太公望の疲労は自分の比では無い筈だった。 四方から繰り出される植物達の波状攻撃は、太公望の生命力を着実に削り取っている。 確実に勝利は近付いている、と趙公明は戦況を分析した。 『さあ行けっ、麗しき兵士達よ』 号令と共に、再び戦端が開かれる。 夜空に揺らめく炎と煙雲。空を切る音。鈍い衝突音。弾ける気合。熱い呼吸。飛び散る鮮血。 眼下に繰り広げられる戦いのオーケストラを鑑賞しながら、趙公明は物思いに耽っていた。 或る日、気が付いた途方も無い“存在”。 所詮自分も駒に過ぎないのなら、自分の生とは何なのだろう、死は何なのだろう。 一体、僕は何処から来て、何処へ行くのだろう。結論は出なかった。 それならば、と趙公明は演説を続けた。 『僕は悟ったのだよ。どうせ、踊らされる運命なら、楽しまなければ損じゃないか。 誰かの荷物を背負って、息苦しく生きるのが幸福と呼べるのだろうか』 太公望が吼えた。絡みついた触手がぶちぶちと引き千切られる。 そのまま残りの力を振り絞るかの様に、如意棒を食虫植物のひとつに突き立てた。 血塗れの顔、にやりと笑って言った。 「やはり、何万年立ってもおぬしとは意見が合わぬのだろうな」 死を、恐れている目ではなかった。 むしろ、あの二人の人間が助かるのなら、自分はどうなっても構わないと、そう考えているのか。 下らない。全くもって理解できない。だがこれこそが太公望なのだ。と趙公明は思った。 『そうかもね。それでもキミは足掻くのだろうね。 誰かの意思で戦い、誰かの荷物を背負わされ、誰かの意思で死ぬのだとしても』 趙公明が言った直後、太公望が倒れた。 足元へ伸ばした植物の蔦が、太公望の片足を浚ったのだ。 追い討ちを掛けるように、幾本もの樹根が、続々と太公望に絡み付いていった。 成す術もなく、根の中に呑み込まれてゆく太公望。もう充分だろう。 そのまま窒息死するのが先か、炎に巻かれるのが先か。 趙公明は勝利を確信し、太公望に別れを告げた。 『アディオース、好敵手よ。トレビアーンな戦いをありがとう』 遂に自分の躰にも火が移り始めた。 太公望の最後を拝めないのが無念であるが、ここまでが限界だった。 ここで一発、勝利の祝砲でも打ち上げたいが、そうも言っていられない。 趙公明は『核』を安全な場所へ『転移』させる為に精神を集中させた。 太公望は呻き声を上げた。 幾本もの樹根に締め上げられながら、意識を手放すまいと精神を奮い立たせた。 しかし絶望的な戦いだった。凄まじい強さで圧迫され四肢が軋む。 既に身動きはおろか呼吸をする事も困難になっていた。 視界が霞んでゆきおる。 わしは、ここまでなのか。 思えば、趙公明の言にも一理あるやもしれぬ。 結果的に、皆を脱出させる事も、主催者を倒す事も出来なかった。 挙句の果てに趙公明にやられ。 そもそも自分には荷が重過ぎたのか。 ―――――(まだ諦めるのは早いぜ、太公望)太公望さん!! 名を呼ぶ声。一瞬、デスマスクの声が重なったのは気のせいだったのか。 大きな、温かい手が太公望を捕まえていた。そのまま一気に身体が引き上げられる。 抱きとめられて、まず目に入ったのは、忘れもしない針ネズミのような髪型。 その男、仙道が、真っ黒になった顔でにっこりと笑った。 「おぬしは、何故」 呆然と呟く太公望。二人を包む様に、火の粉が舞い上がる。 背後で趙公明の『華』が音を立てて炎上していた。 しかし、燃えているのは、いわば蝉の抜け殻と言っていい。 既に『核』そのものは、何処かへ転移してしまったのだろう。 それにしても仙道。 遊戯王カードの最後の一枚(闇の護風壁)を使ってここまで来たのか。 身を弁えて避難しておれば良いものを、何故わざわざ死地に赴いて来た。 太公望は拳を握り締めた。殴ってやろうか、とも思った。 「何故」 伝えなければならぬ事もあった。 だが、それ以上言葉が出ず、太公望は俯いた。 ―――☆ 「急ぐのだ仙道とやら。熱くて叶わん」 「太公望さん。まだ、慌てるような火の感じじゃないっす」 仙道はぼろぼろの太公望を背中に背負い、炎上する森の中を駆けていた。 駆け抜けた直後、燃え盛る大木が音を立てて傾き、背後に倒れた。 その衝撃で巻き起こる熱風が、躰を打ち付ける。 趙公明の森を脱出すると、炎が草原を覆い尽くしていた。 しかし、良く見るとまだ、風下に火が弱い場所がある。 そこを通り、大きく迂回すれば、香の待つ風上の丘へ辿り着けるかもしれない。 その方向を指差して、仙道は言った。 「あそこを抜ければ」 「うむ、だが趙公明がまだ潜んでいるやも知れぬ。用心するのだ」 走りながら仙道は、ちらりとデスマスクの事を考えた。聞く事は、許されない雰囲気だった。 いつか、話してくれる時が来る。今は生き残る事だけを考えよう。そう思うしかなかった。 火を避けながら無我夢中で走る仙道。疲れていた。だが、まだ走れる。生きている。 「止まれ、止まるのだ、仙道」 その太公望の声が聞こえる前に、仙道は足を止めていた。 正面に、立ちはだかる者がいたのだ。 『何となく、だったのだがね。 驚いたよ。本当に、キミは僕を楽しませてくれる』 炎を背にして、趙公明の巨大花が揺らめいていた。 まさかと云うべきか、やはりと云うべきか。何処までも一筋縄ではいかぬ相手だった。 勘の良いヤツ、と太公望はひとりごち、仙道の背中から降りて趙公明と向かい合った。 「もう止めにせぬか、趙公明」 『この期に及んで、野暮な事は言わないで欲しいね。太公望くん』 愚問だった。ここまで来て見逃すようならば、はなから待ち伏せ等する訳が無い。 太公望は、仙道の前に立ち、如意棒を構えて嘆息を吐いた。 「最早、何も言うまい」 如意棒を低く構え間合いを詰める太公望。 触手を揺らめかせ、今にも攻勢に出ようとする趙公明の巨大花。 懐に忍ばせた『五光石』が切り札だった。 転移直後の、植物の守りが手薄な今なら、命中させられる。 同じ世界から連れ去られ、そして再会したふたり。 正に腐れ縁だった。だがそれもここで終わる。 勝負は一瞬。 紅が、津波の様に広がりゆくこの清里高原で、二人の時間が止まった。 ―――☆ 香は草叢の中で一部始終を見ていた。 その攻防は相打ちだった。 趙公明の『核』に、石の様な物が命中したのと同時に、 地面を破り突き上がった樹根の槍が、太公望を串刺しにしていた。 枯れ木が傾く様に、まず趙公明が地に伏した。太公望も胸板を貫かれ、ゆっくりと倒れた。 仙道が太公望に駆け寄り、必死に声を掛けていた。 その光景を、香は見ている事しか出来ない。 絶望が、香を包み込んでいた。 燃え盛る炎は、もう完全に四者を包囲していた。 脱出は不可能。全てが手遅れとなっていた。 悔やんでも悔やみ切れなかった。 制止を振り切り、走り出した仙道を探しているうちに、ここまで来てしまったのだ。 仙道の姿を見失い、炎の中を彷徨っている最中に、この場で趙公明の下僕に捕えられた。 木の根が、鎖の様に全身に捲きついていた。 全身を拘束されて、もがく事も、声を出す事も出来なかった。 趙公明が倒れた今でも、その呪縛は解き放たれる事はなかった。 『まだ、だよ。まだ僕は、戦える』 不意に、声が聞こえた。 趙公明の巨体が、ゆっくりと起き上がってゆく。 見る影も無くヒビ割れた巨大花。その中心で趙公明の相貌が歪んだ。 激痛に遠のく意識を奮い立たせ、食虫花の触手を太公望に向けて伸ばした。 デスマスクを捕食した様に、太公望を喰らい、生命力を回復させてやる。 『さあ、仙道くん、だったかな、大人しく、そこを、退き、たまえ』 声が切れ切れになる。痛みは激甚という言葉でしか表せなかった。 制限の解除された『五光石』が、もろに『核』に命中したのだ。 趙公明は明滅する意識の中、転移が出来る程の精神力が残っていない事を自覚した。 生命力が尽きるのが先か、炎に焼かれ燃え尽きるのが先か。 しかし、趙公明にはまだ起死回生の道が残されていた。 太公望を喰らえば、また新たな場所に転移が出来る程に回復するかもしれない。 『悲しむ必要は無いよ太公望くん。 僕の中で、デスマスク君も待ってくれているから』 仙道が何か叫んだが、趙公明には良く聞き取る事が出来なかった。 視覚も聴覚も乱れ、致命傷に近い傷を負わされながらも、ただ執念が趙公明を支えていた。 眼下には、太公望を懸命に助け起こそうとする仙道の姿が、微かに見える。 無駄な事を、と趙公明は嗤った。既に完全に炎に取り囲まれ、脱出など不可能である。 戦う力を持たない、生身の人間に何が出来る。 「オレはバスケットマンですから」 荒んでも、沈んでもいない声が、趙公明へとはっきりと届いた。 霞んだ視界の焦点が徐々に合わさってゆく。 静かな、それでも毅然とした意思の光を発する仙道の瞳に、趙公明は微かなたじろぎを覚えた。 ―――☆ 「さ、いこーか」 太公望の躰を地面にそっと横たえて、仙道はぽつりと言った。 太公望の手から、如意棒が零れ落ちる。それを拾い、握り締めて仙道は歩き出した。 不思議と心は落ち着いていた。仙道は趙公明の巨大花を見上げて、声を張り上げた。 「一緒に連れてこられたオレの知り合いは、みんな死にました」 何故、戦わなければならないのだろう。 何故、死ななければならないのだろう。 自分達が一体何をしたというのだろう。 人は死ぬ。そんな当たり前の事すら、知らない世界にいた。 だが、それを嘆く事に、意味もなかった。 「香さんもオレと同じです。 大切な人を失って、苦しんで、それでも一生懸命、前を向いて生きようとしています」 デスマスクも太公望も、躰を張って自分達を守ろうとした。 三井は、襲撃者から香を庇って殺された。香は、大切な人達を失った悲しみと戦い続けている。 趙公明はおし黙っていた。仙道は更に声を張り上げた。 「みんな、何かを守るために精一杯、戦ったっす。だから、こんなオレでも、って」 手当をしても、助からないかもしれない。 炎の中で焼け死ぬ事に、変わりは無いのかもしれない。 それでも、命を懸けて自分を守ってくれた人達の為に、少しでも報いる事が出来るなら。 「ここからは絶対に抜かせない。お前の根っ子を掴んでもな」 言い放ち、仙道は如意棒を構えた。 剣道を真似たつもりだが、我ながらぎこちない構えである。笑うなら笑え、と思った。 やがて、口を閉ざしていた趙公明が、ゆっくりと話し出した。 『誰が何と言おうと、キミは、正真正銘の戦士だ。 この僕の、最後の相手に相応しい』 ―――☆ 自分はなんて無力なのだろう。香はただ涙を流していた。 明らかに慣れない手つきで如意棒を振り回し、仙道が絶望的な戦いを繰り広げている。 趙公明の攻撃が仙道の躰を捉え始める。しかし、倒れても倒れても仙道は立ち向かっていった。 『殺し合うのが戦だ、弱い者が死ぬのが戦だ、大切な人が死ぬのが戦だ』 心底、楽しそうに趙公明が叫んでいる。 ぎりり、と香の首元を締め付ける樹根の力が更に強まった。 どうやら、最後まで見届ける事も叶わない様だ。絶望感と共に香の意識は闇に堕ちた。 ――――まだ手は残されている。後は、お前次第だがな。 一面の闇。前触れも無く聞こえた覚えのある声に、香は驚いて目を覚ます。 声は聞こえども、姿は見えず。だがその声は、間違いなくデスマスクのものだった。 ―――デスマスク。何処にいるの? 香の叫びが闇の中に木霊する。やがて何者かの姿が、徐々に浮かび上がった。 切れ長の瞳、人を食ったような表情、靡く銀髪。紛れも無い、デスマスクの姿。 どうして、と呟いた香に向かい、デスマスクはこれまでの経緯を簡潔に話し始めた。 ――――オレは、死を司る蟹星座の黄金聖戦士・・・。 そう前置きをして、デスマスクは淡々と話し出す。溢れる気持ちを抑え、香は黙って聞いていた。 聞こえてきた会話から推察は出来ていたが、やはりデスマスクは趙公明に取り込まれてしまったらしい。 しかしそのお陰で、趙公明の内部から現実の世界に干渉が出来るのだ、とデスマスクは言った。 ――――それももう長くは無いがな。じきにオレの意識も消えちまうだろう。 だがその前に、お前に受け取って欲しかった。“これ”を、 デスマスクが両手で差し出す“それ”を、香は無言で受け取ろうとした。 直後、香は小さく声を上げた。“それ”の余りの重さに膝を着いてしまう。 ――――『アイアンボールボーガン』だ。感謝しろよ、鉄球は詰めてある。 ぶっきら棒に言い放つデスマスク。 ボーガンの余りの重みに跪く香を、無言で見下ろしていた。 視線が交錯した。彼の表情の中に微かな自嘲が見え隠れし、深い理由も分からず、香の胸は痛くなった。 やがて、香の心境を感じ取ったのか、デスマスクが諭すように言った。 ――――まあ、どうせ早かれ遅かれだ。気楽にやりな。 そう、命中するかも分からない。 そして、もし趙公明を倒したとしても、この炎の中から脱出する術も無いのだ。 無駄な事を、させられようとしているのかもしれない。 それでも、香はボーガンを抱え、しっかりと立ち上がった。 「ありがと、デスマスク」 片目を瞑り、香が微笑むと、デスマスクもにやりと笑った。 ごめんね。最後まで世話をかけて。今度はあたしが、仙道君を守るよ。 消えていくデスマスクの背中に香はもう一度、ありがとうと叫んだ。 聞こえたのか、デスマスクが後姿のまま、片手を軽く上げたのが分かった。 直後、暗闇に光が指した。眩しさに眼が眩む。 熱い。眩しさの正体は、迫り来る業火だった。 気が付くと、初めからそうであったかの様に、香は炎の草原に立ち尽くしていた。 夢だったのか。しかし、全身を締め付けていた樹根は解け、力なく足元に散らばっている。 そして、腕の中に抱かれた、ずっしりとした重量感が、全てを物語っていた。 鉄球が装填された『アイアンボールボーガン』。 間違いなくそれが、香の両腕の中にしっかりと抱えられていた。 仙道と趙公明の戦いはどうなったのだろう。 急いで香は眼を移す。見つけた。 それは壮絶な姿だった。 倒れた太公望と趙公明の狭間に、血塗れの仙道が仁王立ちしていた。 肩で激しく息をしながら、尚も前に出ようとする仙道。 その足がふらついた。もう立っているのもやっとなのだ。 何かを叫びながら、趙公明が触手を伸ばす。 一刻の猶予も無い。 腰を落とし、香はボーガンを構え、趙公明に照準を合わせた。 香が人を殺す事を、誰よりも拒んでいた“あの人”はもういない。 でも、言い訳なら彼の世で出来る。迷いは無かった。 「―――!」 ボーガンの引き金を引いた。発射の衝撃に躰が弾き飛ばされる。 背中から、ふわりと地に倒れた。 誰かが支えてくれたと思ったが、柔らかい草叢の中に倒れただけだった。 仰向けに倒れたまま、飛んで行く鉄球の軌跡を眼で追った。 放たれた鉄球は、趙公明の巨大花の中心に、吸い込まれる様に向かっていった。 ―――☆ 趙公明であったモノが地に倒れる振動を、仙道は全身で感じた。 同時に吹き付ける熱風、狂い舞う火の粉。思わず仙道は片手で顔を覆った。 傍らには、胸板を貫かれた太公望が、岩に凭れ掛かっている。 夜空に立上る業火は、容赦なくその包囲の輪を狭め、着実に仙道達の元へ迫っていた。 「香さん」 来ていたのか。煙の中から出てくる香を見て仙道は声を上げた。 状況は良く解らないが、趙公明を倒したのは彼女なのだろう。 待っていろ、と言ったにも関わらず来てしまった香。しかし責める事は出来なかった。 自分と同じ気持ちで、ここまで来たのだろう。 香は強風に靡く黒髪をたくし上げ、舌を出してはにかむ様に言った。 「ごめんね、仙道君。あたし、戻ってきちゃった」 しゃがみ込む香。倒れた太公望をそっと膝枕に乗せた。 そして取り出した布で、すすや血で汚れた顔を拭き始める。 少し綺麗になった顔で眠る様に横たわる太公望。結局、それが関の山だった。 そしてまもなく自分達も、生きたまま火葬されるのだろう。 せめて、一緒に死んでくれる人が居て、だがそれは果たして救いと呼べるのだろうか。 分からない。ただ香の表情は、何処か晴れ晴れとしていた。 「香さん、すいません。太公望さんも、デスマスクさんも守れませんでした」 頭を下げる仙道に、香が婉然と微笑んだ。 ずきりと胸が痛んだ。言わなくても良い事を言ってしまったようだ。 自分の無力さ、惨めさ。お互いに、嫌という程噛み締めてきた。 きっと想いは同じなのだろう。だから、もう言葉は要らない。 仙道も、香の傍にしゃがみ込んだ。 まるで他人事の様に、目前に迫り来る炎を眺める。綺麗だな、と思った。 「くぁ」 「もう、こんな時に」 欠伸が出てきた。それを見て香が、くすりと笑う。 だって、考えても見ろよ。丸一日、寝てないんだぜ。 それでも練習をサボったと、田岡監督は怒るのだろうな。 「帰ったら、釣りに行きたかったなあ」 のんびりと言って、大の字に横たわる。 目を閉じると、太陽に煌く湘南の海が、鮮明に瞼の裏に浮かんできた。 それにしても、疲れたな。全身が傷だらけだ。もうきっと、立つ事は出来ないのだろうな。 「ニジマスは、釣れるのか」 「ニジマスは川魚ですよ、太公望さん。オレは海派ですから・・・って、ええっ!!?」 仙道は仰天して起き上がった。 見ると、薄目を開けた太公望が、力なく苦笑していた。 「仙道君。あれは」 太公望の目が、指が、何かを指し示していた。 その方角に“あるもの”を見て、まず香が声を上げ、そして走り出した。 仙道は太公望に視線を戻した。目が合う。 その顔に浮かぶ何ともいえない苦笑いに釣られ、仙道もにっこりと笑って一言。 「湘南の海では、美味しいカマスが釣れます。 そうなったらもう、アツい夏の始まりですよ」 ―――☆ 香と仙道が運び、大岩に固定され立掛けられたウェイバー。 そこから噴出する竜巻以上の豪風により、炎の中に道が切り開かれた。 業火を貫く風のトンネルの中を、支え合う様に走り行く仙道と香。 その後ろ姿が遠ざかるのを、太公望はぼんやりと眺めていた。 足元が、燃え始めていた。既に呼吸をする事も困難になっている。 誰かが、エンジンを掛け続ける為に、残らねばならなかったのだ。そして、彼等は分かってくれた。 『五光石』に根こそぎ力を奪われ、趙公明に致命傷を与えられたこの身に、出来る事はその位だった。 四国にいる協力者、藍染という男の謎、そして富士山へ向かう目的。 始めに出会った時に、伝えなければならぬ事は伝えてある。 ――――最早、わしがおらんくても大丈夫だろう。 煙のせいか、視力が無くなってきているのか。 二人の姿はもう見えなくなっていた。次第に意識も遠のき始める。 何となく足元に視線を落とすと、一輪の花が、炎に呑まれようとしていた。 それは趙公明の名残。小さな小さな山百合の花。 花弁は熱風に吹き散らされ、葉も茎も焦げて、弱々しくしな垂れていたが、 それでもこの業火の中で、美しい姿ではないか、と太公望は思った。 ほれ、ホイミ♪ 心の中で試しに念じてみると、淡色の光が山百合を包み込んだ。 若干ではあるが、生気を取り戻したようにも見える。 ささやかな奇跡。喜びが孤独なものだと、分かったような気がした。 太公望は幻を見た。 青い空。芳しい香りが鼻腔を擽る。薄い霧に包まれた花畑に、太公望は立っていた。 色とりどりの百合の花が、地平線の彼方まで咲き乱れている。苦しさも、何処かに消えていた。 やがて徐々に霧が晴れてきて、目の前に立つ人影が在る事に、太公望は気が付いた。 『太公望くん。僕はキミに改めて問う』 霧の中から現れたのは、人型に戻った趙公明だった。 この期に及んでか、とげんなりする太公望に、趙公明は両手を広げ、微笑みながら語りかけてきた。 流石に敵意は無いようである。 『何故、キミはそこまでして、人間に拘るんだい? この閉ざされた世界から、抜け出せたところで、どうなる。 人間達は、いや僕達ですら、所詮は大いなる意思に操られるマリオネットに過ぎないのに』 しかし趙公明は答えを待たず、気障な仕草でフッと微笑み、でもね、と言葉を被せた。 『尤も、今なら分かる気がするよ。あの仙道くんと、もう一人のマドモワゼル(香か?)。 僕はあの二人を、所詮は力も持たない人間と決め付けていた。でも、彼等が勝負を決めた』 デスマスクくんも素晴らしい強さだったけどね。 と、趙公明は付け加え、まだ話を続ける。太公望は眼を逸らし、唇を尖らせた。 『太公望くん。キミは、彼らの気持ちが、何者かに操られた結果ではなく、 あの者達の内から出て来たものであって欲しいと・・・』 太公望はゆっくりと目を閉じた。 思い出が走馬灯の様に甦る。 富樫との出会いを、共に過ごした時間を、そして別れを。 ダイの真直ぐな瞳。 四国に集まった者達の願い。 デスマスクの捻くれた優しさと、 仙道と香の勇気を――― 『―――そう思うのだね』 何処からともなく現れた天使達に囲まれ、満足そうに微笑みながら、趙公明が昇天してゆく。 最後までゴージャスに、光の中に消えてゆく趙公明。 太公望は拳を突き上げて、「ちゃうわいボケー」と叫んだ。ざまあみろ。 そして、花畑に太公望は、独り取り残された。 深呼吸をひとつ。そして改めて考える。 この悲劇に救いは、終わりはあるのだろうか。 現状では、正直難しいかもしれぬ。 だが、楽観的過ぎるだろうか。 このアホらしいゲームを、それでも仙道なら、 ではのうて!残された者達がきっと・・・、 きっと何とかして終わらせてくれるのではないかと。 ううむ、だが、やはり無理かのう。 まず首輪をどうのこうのして主催者をなんたらかんたら・・・。 「ま、いっか」 呟いて、肩の力を抜いた。 太公望の躰も、ゆっくりと天に昇り始める。 良い友に巡り会えた。残された者達に、希望を託す事も出来た。 「さらばだ、みんな」 上を向くと、純白の世界が待っていた。 柔らかな光の中へ、太公望は溶け込んでゆく。 「後は、任せたぞ」 光の彼方、太公望は微かな懐かしさを覚えた。 自分が笑ったのが、わかった。 ―――☆ 主催陣の集う城塞。最上階のテラスにて。 柱に掛けられた時計の針は着実に時を刻み、程無くして二廻り目の終焉を迎えようとしている。 大魔王バーンは玉座に鎮座して、眼下に広がる夜景を肴に葡萄酒を嗜んでいた。 何処からともなく流れているこの楽音は、クラシックと呼ばれる芸術音楽であるという。 この荘厳にして優雅な音の輪舞を、バーンは事のほか気に入っていた。 ふとバーンは顔を上げた。旋律の調和を、乱す者がいる。 「報告致します。長野県と山梨県の境界にて、大規模な火災が発生致しました。 ただ現在は降雨により、火災は収束の方向に向かっている模様です。 尚、現地にて行われた戦闘により、デスマスク、趙公明、太公望以上三名の死亡が確認されております」 片手を挙げて労いの言葉を掛けると、恭しく敬礼をして兵士は下がった。 これにより脱落者は全体の半数に上った。戦いに果てた者がいれば、裏切りに散った者もいる。 しかし、結果という名の現実は、善も悪も、光も闇も忖度しない。 人の想いなど押し潰し、絶望も希望も呑み込みながら、運命の車輪は廻り続ける。 「もののふは死んでゆく」 呟いて、バーンは視線を彼方に運んだ。 晴天の夜空と、何処までも流れる星屑の河が、視界を駆け抜けてゆく。 かつて、星に名を付けた者に敬意を表そう。 風情に理解を示す魔族など、魔界広しといえども一握に足らぬ。 常闇の世界で戦に明け暮れ、明日をも知れぬ日々を送る我等が眷族に、 趣や芸術など、幾ばくの糧にもならぬからだ。 オーケストラがフィナーレを迎える。 訪れる静寂。時計の針が時を刻む音だけが、ただ鳴り響いていた。 まもなく放送である。 杯を置いて玉座を立ち、最後にもう一度、天に一瞥をくれた。 この空の下に、数々の生が、死が流れていった。そしてこれからも流れ続けるのだろう。 星屑の如く、閃光の如く、人は生まれ消えてゆく。 それでも星の名は受け継がれるのだろう。 名付け人の名が、例え忘却の彼方に葬り去られても、悠久に。 星に馳せた想いが、いつか色褪せる日が来ても、時を超えて、燦然と。 それでも余は、忘れる事はあるまい。 限りある時間の中で、運命の道標に立ち向かい、 閃光の如く輝いた者達の、物語を。 いざ任地へ。と足を踏み出したその刹那だった。 バーンは夜空に広がる満天の星空に、一筋の流れ星を見たような気がした。 ―――☆ 【長野県と山梨県の県境、清里高原/一日目真夜中】 【仙道彰@スラムダンク】 [状態]:疲労大、負傷多数(致命傷ではない)。軽度の火傷。太公望からさまざまな情報を得ている。 [装備]:如意棒@ドラゴンボール [道具]:支給品一式 遊戯王カード 「光の護封剣」「真紅眼の黒竜」「ホーリーエルフの祝福」 「闇の護風壁」…二日目の真夜中まで使用不可能 「六芒星の呪縛」…二日目の午前まで使用不可能 五光石@封神演義、トランシーバー×3(故障のため使用不可)※脱出前に太公望から貰った。 [思考]:前向き 【槇村香@CITY HUNTER】 [状態]:右足捻挫。少し走れる程には回復した。太公望からさまざまな情報を得ている。 [道具]:ウソップパウンド@ONE PIECE。荷物一式(食料三人分、※太公望から貰った。) アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険(弾切れ) [思考]:前向き 備考1:デスマスクと趙公明の支給品一式、太公望の鼻栓、ウェイバー@ワンピース、 神楽の仕込み傘(弾切れ)@銀魂、アイアンボールボーガンの鉄球×2@ジョジョの奇妙な冒険、は炎に呑まれた。 備考2:真夜中現在、降雨により、炎は鎮火の方向に向かっています。 【デスマスク@聖闘士星矢 死亡確認】 【趙公明@封神演義 死亡確認】 【太公望@封神演義 死亡確認】 【残り59人】 時系列順に読む Back 323:つぐない Next 326:微睡と微笑(マドロミとホホエミ) 投下順に読む Back 324:清里高原大炎上戦① Next 326:微睡と微笑(マドロミとホホエミ) 324:清里高原大炎上戦① 太公望 死亡 324:清里高原大炎上戦① 仙道彰 346:墓前の誓い 324:清里高原大炎上戦① 槇村香 346:墓前の誓い 324:清里高原大炎上戦① デスマスク 死亡 324:清里高原大炎上戦① 趙公明 死亡
https://w.atwiki.jp/mtc-kzm/pages/10.html
https://w.atwiki.jp/progolf/pages/4310.html
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