約 933,824 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2559.html
『2年前、あの光の巨人が暴れたとき、初めて機関という存在を僕は知った。テレビ演説で華々しく公表された超能力者を 有する組織。多分、これが平和な日常の中だったら誰も信じず、ただのオカルト話として笑いのネタにされていただけだと思う。 だけど、あんな大惨事の後だったから、みんな簡単に信じてしまった。その存在と目的、そして、惨劇の原因について』 朝倉撃退後の夜、俺は機関の連中や谷口の目を盗んで、国木田のノートを読んでいた。どうやら、ここに来る前までに 書いていたものらしい。内容はぱっと見では日記帳のように見えたが、よくよく読んでみると回想録のようなものだった。 個人的な思い出を語るものだったら、プライバシーの侵害になるからあわてて閉じるつもりだったが、 その内容は興味深い――それどころか俺の猜疑心をえらく揺さぶるものだった。 特に、一番最初のページにあわてて付け加えられたように書かれていた文。 『キョン、僕の身に何かあった事を考えてこのノートを託すよ。でも、このノートの内容は機関に属する人間には決して 見せないこと。もし見せればキョンの命の関わるからね。機関を信じないで』 訳がわからなかった。国木田の奴、人の荷物に何でこんなものを仕込んでいたんだ? 大体、命に関わるって…… 俺は近くで新川さんと談笑する古泉の姿を横目で見る。二人とも明日の移動ルートについてでも話しているのだろう。 ほどなくして、森さんと多丸兄弟が見回りから帰還し、その環に入る。確かにプロフェッショナルな雰囲気を醸し出す彼らだったが 今までふれあってきた限り危険視しなければならないような人たちには見えない。対朝倉戦では、 これ以上ないほどに俺を守ってくれたしな。 まあ、そんなことを言っても国木田ノートの内容の続きが気になるので、こっそりと読み続けることにする。 『……この日、僕は難民キャンプへと移送された。家に帰ろうにも、すでにそこは閉鎖空間に飲み込まれているらしい。 やむえず、遠く離れたところで仮設住宅暮らしをすることになった。幸い、友人たちも多くいたから、寂しくはなかったけど。 そんな生活が続いて半年ぐらい経った後、機関の人間たちがやってきた。用件は僕をスカウトしたいらしい。 最初は新手の詐欺か何かと思ったよ。だって僕に超能力があるとは思えなかったし、特化したものも大して無かった。 そんな僕をどうして? と思ったけどどうやらキョンがらみの話らしい』 ――俺はついノートの内容に没頭していることに気がつき、あわてて周囲を見渡す。幸い、機関組はまだ話し合いを続けていた。 ほっと胸をなで下ろして、次のページを開く。 『どうやら機関はキョンが目覚めた後、閉鎖空間の中心に攻勢を仕掛けるつもりみたいだった。この時点でキョンは半年以上 眠ったままだったのに、気が早すぎるんじゃないかと思ったんだけど、なぜか彼らはいずれキョンが目覚めることを 確信しているみたいだった』 確信? 古泉はありとあらゆる手段を行使したが、俺を目覚めさせることができなかったと言っていたんだが。 それともその内目覚めるに違いないと希望的観測でもしていたのだろうか。まさか、俺の目覚める時間を知っていたわけが…… 俺は次のページを開き、その内容に目を疑うことになる。 『結局僕は機関に入ることになった。提示された報酬も悪くなかったし、何よりもお世辞にも良いとは言えないキャンプ生活から 家族とともに抜け出せるからね。ただ、家族とは離ればなれにされてしまった。閉鎖空間という機関の機密の中枢に 関わることになるから少しでも情報漏洩の芽は潰しておく必要があるだってさ。しかも、書かされた誓約書は物騒な文言が 並んでいて、機関の任務遂行に影響を及ぼす問題を引き起こせば、最悪極刑もあり得るとか書いてあるほどだよ。 このときはちょっと機関入りを後悔したね。その後、いろいろな訓練とか説明とかを半年ぐらい受けた後に、 ようやく僕がやるべき任務の内容を教えてもらった。複雑な説明はややこしくなるだけだから避けて、簡単に要約すると キョンが目覚めた後、機関の人たちと一緒に北高に向かうってことだった。大体、予想していたことだったけど その中で驚いたのがキョンが目覚める日時が具体的に示されていたこと。機関はずっとキョンの治療や昏睡状態の原因解明を 続けていると言っていたのに、どうしてそんなことがわかるんだろうか? 僕の頭に初めて疑念が生まれたのはこの日だった。 キョンを眠らせているのは機関なんじゃないかって』 「何を読んでいるんですか?」 突如俺にかけられる声。目を離せない国木田ノートの内容に没頭している中での事だったので、 思わず悲鳴に近い驚きの声を上げてしまいそうになるが、ぎりぎりのところで飲み込むことができた。 俺はできるだけ冷静さを保ちつつ、 「ああ、せっかくだから体調管理とかを兼ねて日記をつけているんだ」 「なるほど。それは感心なことです。せっかくだから任務完了後に一緒に自伝でも出版しませんか? 閉鎖空間滞在日記~~それでも僕たちは諦められない~~という感じで」 「俺は自分の日記を世間に公表するほど派手な人間じゃねえよ」 そう軽く受け流して、国木田ノートをバッグの中に片づけた。 機関が俺の目覚める時間を正確に把握していた。ひょっとしていたら俺を昏睡状態にしていたのは機関なのかも知れない。 確かにこのノートの内容を機関の連中に見せるわけにはいかないな。 ◇◇◇◇ 「そうですか。あの時長門さんと再会していたんですね」 「ああ。ずいぶん久しぶりに声を聞いたよ」 「何か言っていませんでしたか? 涼宮さんの具体的な居場所や現在の状況など」 「いや……何かに追われているみたいだったぞ。すぐにどこかにいっちまった」 「そうですか……少しでも有益な情報が得られればと思ったんですが……」 古泉は残念そうな笑みを浮かべて嘆息した。 翌日の朝。俺たちは北高への移動を再開した。正直、第2第3の朝倉が出現するんじゃないかと思っていたが、 全くトラブルもなく順調に目的地との距離を縮めていっていた。このペースで歩けばあと2~3日で北高に到達できそうだが…… はっきり言って国木田ノートの続きが気になって仕方がねえ。あの後、古泉たちの目が終始俺に向けられているような気がして 結局続きを読むことができなかったせいだ。とんでもなく重要な事を見せつけられておきながら、続きが読めないでは 生殺しも良いところである。 ついそわそわしているところが身体に出てしまったのか、古泉が俺をのぞき込むように、 「どうかしましたか?」 「……何でもねえよ」 そう言ってかわした。 さて、気がついてみればもうA島の最北端に近くなり、着々と目的地に近づきつつある。 だが、あの国木田ノートを見てから俺は先に進むことに激しい抵抗を憶えるようになって来ていた。 機関は俺が目を覚ますタイミングを知っていた。いや、俺を昏睡状態にし続けていたのが機関なら 俺をいつでも目覚め指させることができる。ならどうしてそんなことをする必要がある? これから何をしようとしている? ああ、そういや俺を眠らしていたのが機関なら、そのきっかけとなった交通事故を起こしたのも連中なのか? そうなると事故から閉鎖空間の発生、そして、機関の存在を全世界へ公開し俺を目覚めさせて北高に向かうという流れは 奴らが全て仕組んだものだったのか? だったら何のために? 俺が思考をめぐらしている間に、自動車道のICが見えてきた。朝倉に襲われた場所とは違い、ここは無傷で残っている。 ここを越えればA島と本土をつなぐ連絡橋まではすぐで、橋を渡り終えてしまえば北高は目と鼻の先だ。 機関の行動の疑惑が出てきている以上、安易に先に進むわけには…… 地図を確認すると、このICはSAもあるようだ。ある程度留まれる環境はあると考えても良い。 俺は古泉の方に振り返り、できるだけ本心を悟られないように疲れた表情を浮かべて、 「古泉。ちょっと話があるんだが」 「何でしょうか。改まって」 ――ここでヘルメットを脱いで―― 「前回の朝倉との戦いで思い知ったんだよ。ここでは一瞬のミスで命を落としかねないって。 国木田がやられたのも一瞬の出来事だったしな」 「その通りです。これからはあれ以上に厳しい状況に追い込まれるでしょう。以前にこの辺りに入った偵察隊が 無傷で出てきたことは一度もありませんからね。で、何が言いたいんですか?」 ――ここで一旦躊躇するようなそぶりを見せてから―― 「言いにくい話なんだが」 「遠慮無くどうぞ」 「俺は疲れている。昨日の戦いの疲労が蓄積しているみたいで、正直歩くだけでもつらい。こんな状態でさらに危険地帯に 入ってもいいのかと思うんだ。もっときっちり疲労を取ってから進むべきじゃないかってな。幸い敵の襲撃もここじゃなさそうだ」 「正論ですね。身体が弱っている状態で敵に遭遇すれば、まともに戦うこともできずにただやられてしまうだけです。 休息も戦いの内と言えますからね。それにこの辺りまではいると無線で外側と連絡も取れなくなります。 怪我一つが致命傷になりかねません」 ――俺は古泉に軽く頭を下げて―― 「すまない。閉鎖空間に入ってからこれで3度目のわがままになっちまうんで、自分でも言いづらい話なんだが……」 「良いですよ。正直、僕も超能力を使ったおかげで結構疲労があるんです。朝倉涼子との戦いで中心的役割を果たした 森さんたちはそれ以上でしょう。ただ任務を果たすために口に出さないだけです。あなたが休息したいと言えば森さんたちも きっと喜んで賛成してくれますよ」 古泉はあっさりと俺の申し出を受け入れてくれた。だが、あまりに簡単に受け入れすぎて逆に不安を煽られた気分になる。 機関は先を急いでいないのか? それともいつでも北高に行けるということなんだろうか? いや、考えすぎだ。まだ国木田ノートの内容は全部読めていないし、大体それが事実とは限らない。 あれだけ俺のことを助けてくれた人たちだ。安易に疑うのはやめよう。 と、後方を歩いていた谷口が追いついてきて、 「なんだよぉー。またストライキか、キョン。おめーは本当に貧弱だなぁ」 「……仕方ないだろうが。あれだけの戦いを見せつけられた後じゃ、万全に万全を期したくもなる」 「まっ、そーだな。実を言うと俺もちょっと疲れ気味だからな。助かったぜ、サンキュな、キョン」 そう俺の方にぐっと親指を上げる。そう言えば、谷口はどうなのだろうか? 国木田とこいつは機関にスカウトされた 立場のはずだ。ならこいつには国木田ノートの内容を話しても良いのか? いや、待て。焦らずにとりあえずノートの続きを 確認しよう。きっと谷口についても何らかの言及があるはずだ。 やがて、前方を歩いてきた森さんたち機関組が俺のところまで戻ってきて、 「話は古泉から聞きました。100メートル先にあるSAでしばらく休息を取ることにします。新川。最大でどのくらい休める?」 「食料を考えれば三日は留まれるでしょうな」 新川さんの返答に森さんは軽く頷き、 「わかりました。では三日ここで休息し、その後に連絡橋を越えて閉鎖空間の中心部分に突入します。 恐らくこれ以降急速を取ることは困難になるでしょうから、各員しっかりと疲れを取ること」 俺は森さんの言葉に感謝の気持ちを持つように心がけた。 ――無理にでもそうしないと、疑念ばかり向けてしまうからだ。 ◇◇◇◇ SA到着後、俺はトイレと偽って機関組と谷口から目の届かない部分へ移動する。留まれるのは三日間だけ。 その間に国木田ノートを全て読み、今後どうするのかを決めなければならない。 俺は適当な林の中に入り、茂みに身を隠した後、腹の部分に押し込んでいたノートを取り出す。 『機関に入ってから僕は独自に疑惑について調査を始めることにした。でも、重要な任務を与えられているとはいえ、 立場は末端の兵士と同じようなものだったから表向きの情報しか得ることしかできなかった。 そこで、北高時代にキョンと同じSOS団にいた古泉さんに近づくことにした。最初はあまり話す機会がなくて接点を 持てなかったけど、その内一緒に訓練することも増えてきてだいぶ親しくなることができた。 プライドが高くて話しづらいような印象があったけど、話してみるとなかなかフランクな人ですぐに仲良くなれたよ』 古泉がフランクねぇ……記憶の大半がSOS団時代のもののおかげで、ニヤニヤしているイエスマンというイメージの方が 強いせいか違和感を憶えるな。 『ちょうどそのころ、谷口が機関にいることを知った。キョンの知り合いと言うことで僕がスカウトされたから ひょっとしたら谷口もそうじゃないかと思っていたけど、それが現実になっていたみたいだ。 ほどなくして予想通り僕と同じプロジェクトチームに配属されてきた。でも、相変わらずの調子ぶりで安心したよ。 機関の人たちはいまいち信用できなかったから、久しぶりに楽しく話せる相手ができて嬉しかった。 さすがに一時間ものろけ話を聞かされるとうんざりしてきたけどね』 谷口はずっとあんな調子なのか。全く国木田も苦労しただろうな。 『古泉さんとの仲をきっかけに僕はじわりじわりと機関の中枢に入り込めるようになっていった。 結構ランクの高い機密文書とかも見れるようになったし、公表されない情報も耳にはいるようになってきていたけど、 やっぱりキョンや閉鎖空間の発生にどう介入したのかまではわからなかった。 ただ僕が決して知ることのできないトップクラスの機密情報というものはやはり存在していることには気がついた。 となればやはりそこに知りたい情報があるに違いない』 ――次のページへ進んで、 『さすがに機関の最高機密だけあってなかなかそこにたどり着けなかった。色々やったよ。機関幹部の尾行はもちろん クラッキングから立ち入り禁止ゾーンへ不法侵入して文書をコピーしたりってね。 ある時は訓練名目で閉鎖空間内に入れてもらったりもした。でも、結局わからずじまい。 気がつけば、キョンが目覚める予定まで一週間になっていた。けどそんな絶望的な状況の中、ある日僕宛のEメールが届いた。 宛先は巧妙に偽装されているらしく誰が送ってきたのかはわからない。だけど、そこに添付されていた情報は 僕がずっと追い求めていたものだった』 と、ここでつい読みふけってしまっていることに気がついて時計を確認する。気がつけばトイレ使用の数倍の時間が 経過していた。これ以上、ノートを読みふければ心配した古泉たちが探しに来るかも知れない。 俺ははやる気持ちを抑えてノートを閉じた ◇◇◇◇ 俺がSAに戻ろうとしているときに、駐車場の脇で森さんと古泉が何やら話し込んでいるのに気がついた。 すぐに二人の前に出ようかと思ったが、 「彼の様子はどう?」 「昨日から少し様子がおかしいですね。朝倉涼子との一件かと思いましたが、その日の夜は特に変わったそぶりはなかったですね」 こんな二人の会話を聞いてしまうと出れなくなってしまう。まずい。やはり俺の変化を悟られているのか? 国木田ノートの一件もあるので、俺はそのまま身を潜めて二人の会話を盗み聞きすることにした。 「そう。何かきっかけになったようなものはあった? 些細なことでも教えて」 「そうですねぇ……そう言えば、昨日日記をつけていたようですが」 「日記? 以前はつけていた?」 「いえ、昨日僕も初めて気がつきましたね」 国木田ノートの話をしているのか。幸い古泉は日記だという俺の言葉を信じてくれているみたいだが、 どうやら森さんはその部分に何かを感じ取っているらしい。まずいな。余り深く追求されて、日記を見せろなんていわれれば 本当はそんなものを書いていないんだから出しようがない。荷物検査をされれば一発でノートの存在がばれるだろう。 こんなことならダミーの日記を作っておくべきだったか? ふと、俺の方に森さんの視線が向かっていることに気がついて、あわてて茂みの中に頭を引っ込める、 まずい、気がつかれたか? ここで盗み聞きをしていることまで見つかれば、余計森さんは疑惑を強めるだろう。 だが、幸いなことに森さんは俺の方に気がつかなかったらしく、古泉との会話を続ける。 「……まあ、いいでしょう。確かに全員に疲労があるのも事実だわ。特に不自然なところも見当たらない。 問題なしとして処理します」 「わかりました」 そう言うと二人はSAの建物の方に歩いていった。やれやれ。何とかばれずにすんだか。 俺は二人の姿が完全に見えなくなってからSAへ戻った。 ◇◇◇◇ SA内に戻ると、森さんたち機関一同が何やら談笑をしていた。いつもはキツイ表情で辺りを警戒しているというのに、 珍しく明るい笑顔を浮かべて何やら話し込んでいる。 一番以外なのは森さんだ。メイド姿の時は作り笑顔っぽかったし、朝比奈さんが誘拐された時は笑顔だったとはいえ、 あれは楽しさから来るものではなく、相手を脅迫する威圧のものだ。しかし、今の笑顔はまるで子供のように屈託のない笑顔を 浮かべている。それは――なんつーかだ。はっきり言って可愛い。表情から年齢を読み取りづらい森さんではあるが、 今の笑顔を見ている限りは俺と同い年ぐらいじゃないかと思いたくなるほどだ。 「お~い、キョン。お前何見とれてんだよ~」 気がつけば俺の肩に手を回して、ニヤニヤ顔を浮かべている谷口が隣にいる。俺はあわてて首を振って、 「別にただ何を話しているのかっと思ってみていただけ――」 「嘘だなウソUSO! おまえの視線は完全に森さんにロックオンされていたぜ。いくら言い訳しても俺の目はごまかせねえぞ」 お前の目ほど信用にならないものは無いと思うぞ。 そんな俺の疑惑の視線を完全に無視して、谷口は得意げに 「だがよー、おまえの気持ちもよーくわかるぜ。だって森さん可愛いじゃねえか。凛としたときは大人の魅力を、 笑ったときは少女の魅力は振りまくっているんだからな。俺は未だかつてあれクラスの女には出会ったことがねえぞ。 そうだな――朝倉のAA+以上のSS+の称号を与えるほどにだ」 「お前から与えられる称号なんて、ただ不名誉なだけだろ。大体、事実上のフィアンセがいるくせに、そんなに色気づいていて いいのか? 彼女が聞いたら悲しむぞ」 俺のズバリな指摘で谷口は動揺するかと思いきや、やたらと真剣な表情で俺の肩をつかんだかと思うと、 「良いかキョン。男ってのはな、悲しかな可愛い女性やりりしい女性に反応しちまうもんなんだ。 見てみろ。あんな笑顔を振りまく女性がいるってのに、欲情の一つもしないってのははっきり言って男失格だぜ? ずっと涼宮一直線だった不健康極まりないお前にはわからんだろうけどなぁ」 俺の知っている限りナンパ成功率0%で歩く公衆欲情マシーンのお前を基準に世界中の男の常識を語られても それこそ全人類の男性を敵に回すだけだぞ。 「あー? どうやらお前が眠りこけていた間に鍛え上げたナンパテクニックを見せてやらなきゃわからないようだな。 なら今から森さんに突撃しようぜ。俺の華麗な話術で森さんが独身かどうなのか聞き出してやるからよぉ」 そう言って嫌がる俺を引っ張り、機関組の話の中に突入する谷口だ。やれやれ。こいつは本当に変わっていないな。 それからしばらくの間、ここにいる全員で朝方の子供たちを送り出した後に行われる奥様方の井戸端会議の如く、 雑談に興じることになった。 森さんや新川さんの今までの活躍ぶりを多丸兄弟がおもしろおかしく話してくれた。 新川さんの戦地でもっとも危険な状態に追い込まれたときの話はやたらと緊迫したムードで聞くことに。 超能力者になりたての時の古泉の話は興味深く聞かせてもらったが、こっそりと古泉が耳をふさいでいたことが一番の収穫だな。 どうやらこいつでも見返したくない過去ってものがあるようだ。しばらくはこのネタでからかってやるか。 ちなみに谷口の巧妙なる話術による『森さんは独身なのか否か聞き出してやる作戦』は見事な森さんの会話テクニックにより、 すべて煙に巻かれてしまった。ところで谷口。お前の巧妙なる口説き文句って歯の浮くような露骨ものばかりだぞ。 2年間経っても全く成長していねえじゃねえか。ま、せっかく可愛い彼女がいるんだから、身の丈をきっちり把握して あまり無茶な色気は出さない方が身のためってところだな。 この数時間の雑談の間、俺は完全に国木田ノートの存在を忘れてしまっていた。ここまで機関の人たちと心ゆくまで話したのは 初めてだったが、みんなこれ以上ないほどにいい人たちだ。こんな人たちを疑うなんてどうかしている。 この時、国木田ノートを破り捨てることができれば良かったんだが…… ◇◇◇◇ その日の夜。相変わらず機関の人たちは周辺への警戒で出払っていた。あれだけ動き回っていると休息にならないんじゃないか? と思いつつも、今の俺には出払ってくれてもらっていた方が好都合だ。谷口は俺の護衛って事でここにいるが、 さっきから携帯ゲームに夢中になっているから無視しても問題ないだろう、 俺は谷口から少し離れたところに座り、国木田ノートを取り出す。機関の人たちと雑談を満喫した後で このノートを開くのははっきり言って気が進まなかった。むしろ、古泉たちにこいつを差し出してしまいたくなる。 しかし――今までのノートの内容を思い出していくにつれ、さっきまでのワイワイ気分が薄れていった。 機関がこの閉鎖空間発生に何らかの形で関与している。これに興味や好奇心、猜疑心が揺すぶられない方が どうかしているってもんだ。 俺は首を2,3回振ってノートを開いた。機関が何かをたくらんでいても、森さんや古泉がそれを知らない可能性だって 十分にあり得るんだから。そうならすぐに古泉にこいつを差し出して、その陰謀を打ち砕いてやればいい。 ただ、用心を用心を重ねておいた方がいいと思い、いざ誰かに見つかっても日記帳だとごまかせるように、 ボールペンを手に持っておく。ノートの後ろのページは何も書かれていない白紙だったのでそこに何かを書いているふりで ごまかせるだろう。 『Eメールの本文は【君が知りたいものを送る】とだけ書かれていた。ウィルスメールかスパムかと思ったけど、 いざ添付ファイルを開いてみると、膨大な量の資料があったんだ。全部読むのに三日間はかかったね。 で、肝心のその内容だけどどれも衝撃的なものばかりだった。かなり複雑かつ膨大な量の内容のため、 僕なりにまとめた上で目的別にその真相を記していく』 次のページからの内容に俺は……はっきり言おう。怒りを覚えた。さっきまでの楽しい雰囲気なんて完全に飛散して 世界中で怒鳴り散らしても収まらないほどに。 『まず、全ての始まりであるキョンが事故にあった件は予想通り機関が関与していた。 事故を装ってキョンに怪我を負わそうとしたんだ。キョンが死に至る可能性は考慮されたけど、 機関内では涼宮さんがそれをさせないと結論を出したみたい。そして、それは実行され予想通りキョンは事故にあったにも かかわらず無傷の状態になっていた。けど、そのままでは何もならないので、気絶している間に薬物を投与し 昏睡状態に陥らせてたんだ。継続して薬物の投与できるように機関の息のかかった病院に入院までさせた』 ――俺は怒りで震える手を押さえつつ先を読む。 『どうしてこんなことをしたのか。その理由はあの涼宮さんの情報創造能力が目的だった。 機関はあの能力を手に入れようとしていたみたい。けど、能力を人に渡すなんていうことはできないから、 涼宮さんにショックを与えて呆然喪失状態に追い込み、あとは薬物でも何でも使って何でも言うことが聞く人形に仕立て上げようと した。事実、キョンが入院してからというもの涼宮さんの精神状態はきわめて不安定状態になり、 閉鎖空間の発生が乱発していた。機関はその心の隙間を利用して涼宮さんに近づこうとしていた』 なぜだ? 機関は内部に異論があるとはいえ、大半はずっと現状維持を貫いてきたはずだ。 どうしてここに来てハルヒの能力を手に入れるなんて言うばかげたことを考え始めたんだ? 俺はページをめくって読み進める。そこにはまるで俺の疑問に答えるかのような内容が書かれていた。 『機関はずっと涼宮さんの精神状態を安定させて、現状を維持するという方策をとり続けてきた。 涼宮さんがどれだけすごい能力を持っていたところで、しょせん地域限定の超能力者を保有しているだけの機関では 利用のしようがなかったからね。それに情報統合思念体という強大な勢力が涼宮さんの観察を続けている以上、 手出しは厳禁と言っても良い。うかつなことをして彼らの怒りを買えば、一瞬でこんな地球なんて滅ぼされるかもしれない。 だからこそ、現状維持を貫いてきたんだ。でも、ここに来てその状態を覆す存在が現れた。それが情報統合思念体が天蓋領域と 呼ぶ勢力。彼らもまた涼宮さんの能力に興味を示していた』 別の宇宙人勢力の出現により力の均衡が変化したと思ったのか。スケールは壮大だが、考えることはしょせん人間って事だな。 『ちょっと話が逸れるけど、機関の中心的メンバーには結構なナショナリストがいたりする。ま、いわゆる極右って奴だね。 そう言う人間は多くのTFEI端末を派遣し、いつでも地球を握りつぶせる勢力である情報統合思念体に恐怖する一方 反発もしていた。事実上地球は情報統合思念体に支配されているに等しい。我々は彼らに媚びを売って生きていくことしか できていないと。だから、どうにかして現在の状況を変えてやりたいと思っていた。涼宮さんの能力を使えば 情報統合思念体の影響力を地球から排除して、真の独立を得られる。しかし、その能力は一人の少女の気まぐれでしか使えない。 またたとえ身柄を拘束しても使い方がわからない。そんな行き止まりの状態に希望の光となったのが天蓋領域だった。 彼らの協力を得られれば、涼宮さんの能力を使い放題にできるかも知れない。実のところ、情報統合思念体にも同様の協力を 要請していたらしいけどつっぱねられたみたいだね。でも、天蓋領域と接触して交渉した結果、彼らはあっさりと了承した。 捕獲は機関が行い、その能力の解析を天蓋領域が行い、涼宮さんの能力を機関・天蓋領域で共有して使用するという条件で。 全くひどい話だよ。本人の意志は完全に無視だから』 本当にひどい話だ。ハルヒの意志は完全に無視して、そんな野望をたくらんでいやがったのか。 『その目的でキョンは昏睡状態に追い込まれた。情報統合思念体も動こうとしたけど、天蓋領域が本格的に牽制を始めて にらみ合いの状態になっていたらしく手出しができなかった。その間に機関の計画は着々と進行し、 ついに涼宮さんは部室に閉じこもりっきりの状態まで追い込まれてしまっていた。後はそこで彼女の身柄を拘束して 作戦の第一段階は完了する予定だった』 ――次のページをめくり―― 『でも、身柄拘束の際に予想外の事が起こった。涼宮さんが現実世界にあの青白い巨人――神人を世界中に発生させたんだ。 どうやら襲いかかってくる人たちをすべてなぎ倒そうと思ってしまったみたいだね。そこまで追いつめられていって事だよ。 結局、機関はその場で身柄を押さえることができず世界中の神人の対処に追われ、作戦は事実上失敗に終わった。 でも、それでも機関はまだ諦めなかった。しつこいことに次の作戦を実行に移そうと――』 ――ここで、俺の視線に人影が入る。あわててノートの最終ページを開いて、何かを書いているふりを始める。 視線をちょっと上げてみると、多丸兄弟が見回りから戻ってきたらしい。ちょうど俺の前を歩いて通過していた。 以前ならまじめな顔で歩いているだけにしか見えなかっただろうが、今では全身から何か黒いものを吐きだしているように見えた。 この人たちが心底機関のやり方に賛同しているなら、一緒にいることは危険だ。 俺はノートを閉じ、荷物の中に隠す。見れば、森さんたちもSA内に引き上げ始めていた。 今日はこれ以上読むのはまずい。続きは明日にするしかないが、まだ肝心な部分が読めていなかった。 今俺たちが北高へ何をしに向かっているかの部分だ。それを読まない限り、俺が今後どうするかはまだ決められないんだ。 ふと空を見上げると、灰色の空に灰色の月が昇っている…… ◇◇◇◇ 俺は朝早くにまたトイレと偽ってSAを抜け出した。もちろん国木田ノートを読むためだ。 移動再開まであと二日あるが、機関の本当の目的がわかった以上、早く全てを読み終えて対策を練らなきゃいかん。 少なくともこれ以上古泉たちと一緒に移動するのは危険だ。 ――ふと、俺は古泉のニヤケスマイルが脳裏に浮かべた。あいつはどうなんだろうか? SOS団に入ったときはさておき 最近では副団長の地位に満足していると言い、SOS団のためなら機関を一度だけ裏切るとまで言ってのけた。 2年経ってもその考えは同じなんだろうか? それともその発言そのものが俺を安心させるためだけの方便だったのか? いや、そんなことを今考えても仕方がない。とにかくノートを読み終えなくては判断のしようがないんだ。 『しつこいことに次の作戦を実行に移そうと動き始めた。神人を全て排除した時には北高を中心に巨大な閉鎖空間が発生して、 うかつに近寄れない状態。最初はもう一度超能力者を使った上で、特殊部隊を突入させて涼宮さんを捕らえようと考えた。 でも北高に行った人たちは誰一人として帰ってこなかった。どうやらもう力押しではどうにもならないと理解した機関は、 路線を変更する。まず機関の存在を世界に知らしめ、閉鎖空間の発生原因が涼宮さんにあると宣言した。 世界中が訳のわからない化け物と灰色空間でめちゃめちゃの状態に併せて、神人を撃退したという実績のおかげで 世界からはすんなりと機関の存在と主張は受け入れられたよ。そうやって機関は世界中の協力を得られる立場になった』 自分たちがその原因を作ったくせに、ぬけぬけとハルヒに全責任を追いやるなんて、機関の連中の程度が知れる。 『機関は自由に世界中の軍事力を利用して、閉鎖空間の状況を調べた。どこまで入れるのか。どこが危険なのか。 徹底的に人的資源を使って調べ尽くしたよ。一方でキョンの存在が涼宮さんに与える影響についても調査を行った。 どうやら涼宮さんはキョンの存在を認知しているみたいで、閉鎖空間に近づけると拡大が停止するという 具体的な効果も確認できた。そこで機関は準備が整い次第キョンを目覚めさせて閉鎖空間に突入するという作戦を立てた。 当然嘘の情報を与えて涼宮さんを救い出そうという気持ちにさせた上でね。ただ、キョンも見知らぬ人と一緒に行動するのでは 精神的に不安定になる可能性もあるから、顔見知りの機関の人たちと僕と谷口が突入部隊に選ばれた。 そして、国連軍による大攻勢も失敗した時点で最後の手段になるこの作戦が実行されることになった』 具体的な作戦内容はないのか? 北高についてから何をするかとか…… その答えは次のページに書かれていた。 『作戦は短絡的といっても良いようなもので、まずキョンを北高に連れて行く。当然、涼宮さんはキョンを攻撃できないから 高い確率で無事につけるはず。そして、涼宮さんを確保後、彼女の目の前でキョンを殺害し混乱状態に陥ったところで 薬物注射により思考能力を奪う。これで何でも言うことの聞く人形のできあがりってわけだね。キョンはあくまでも機関の人を 無事に北高に送り届けるための道具に過ぎない』 あいつら……! 散々人を騙しておいて、最後は俺を殺すつもりだったのかよ! なんて野郎どもだよ! 怒りで目の前が真っ赤になる。頭の血管の一つが切れて、血が吹き出るんじゃないかと言うほど血が上っていた。 だが、まだ続きがある。 『この作戦がわかった時点で、僕は一度機関から脱走しようと思った。だけど、すぐに思い直したよ。 ここで逃げ出してもすぐに追っ手が来るだろうし、僕に関係なく作戦は実行されるだろうしね。 僕はあくまでも念には念をってだけの利用価値しかないから。だから、逆にこの作戦を阻止してやろうと思った。 北高についてキョンと涼宮さんを守る。そうすれば、あとは涼宮さんが機関をどうにかしてくれるだろうし、 そうなれば閉鎖空間も必要なくなる。それで全てが終わるんだ。同じ事を谷口にも話した。でも、谷口は僕以上にまずい――』 「何を読んでいるんだい?」 唐突に浴びせられた声に、俺ははっと顔を見上げた。見れば目の前には多丸圭一さんの姿が。 俺は驚きのあまり2,3歩後ずさりしながら、 「い、いえ……大したもんじゃないですよ……?」 完全な失策だ。ノートの内容に没頭する余り、周りの状況が全く見えていなかった。今更茂みに隠れて日記を書いていました なんていう言い訳なんて失笑ものだ。かといって、正直に言えば何をされるかわかったもんじゃない。どうする――どうする? 俺はこうなったら逃げるしかないと思い、さらに数歩後ろに歩いた辺りで気がついた。いつの間にか、俺の手から 国木田ノートがなくなっていることにだ。 「へえ、これ彼のものなんだ。厳重な監視下にあったはずなのに、よくこんなものを書けたもんだね」 背後から聞こえてきた声に、俺はとっさに振り返る。見れば、いつの間にやら背後に経っていた多丸裕さんの姿があり、 その手にはノートがあった。数ページぺらぺらとめくって内容を流し見している。 「返せっ! この野郎っ!」 俺は裕さんに飛びかかりノートを取り返そうとするが、ひらりとかわされてしまう。そして、裕さんは懐から拳銃を取り出すと、 俺に銃口を向けながら圭一さんのそばに移動した。 圭一さんは裕さんからノートを受け取ると、その内容を確認し始めた。すぐにでも取り返してやりたいが、 裕さんが銃口を俺にぴったり向けているので全く動けねえ。 やがて、ノートの内容を読み終えたのか、圭一さんはそれを閉じると、 「……なるほどな。これは非常に興味深い話が書かれているようだ。創作にしては良くできているんじゃないかい?」 そうにこやかな笑顔で俺に言ってきた。俺はその言葉に激高して、 「創作だって!? 白々しい嘘をつきやがって! 国木田がそんなことをやる理由はねえ!」 「彼はこの内容を信じて書いたのかも知れないが、どんな証拠があるというんだい?」 その反論に俺はうっとうなってしまう。証拠を見せろと言われても正直そのノートだとしか言いようがない。 だが、俺には国木田がでまかせや妄想を書いていたんじゃないと確信していた。そんなことをする理由なんて全くないからな。 大体、そんなものを俺に渡して何になる? 一向にノートは創作って事を受け入れない俺に業を煮やしたのか、圭一さんは裕さんにノートを預けると、 「……どうやらひどい誇大妄想を見せられて混乱してしまっているようだな。一つ懲らしめて目を覚まさせてあげよう」 そう言って拳をならしながら俺の方に向かって歩いてくる。身構えるか、逃げたいという気持ちはあるが、 裕さんに銃口を突きつけられている状態じゃ―― 「――ぶっ!?」 腹を捻り切られそうな衝撃で、俺の口から胃液が飛び出した。何が起こったのか理解できず、そのまま地面に膝をつく。 しばらく胃をさすり、気管周辺にたまっていた胃液をはき出そうと咳き込んでいたが、ようやく何が起こったのか理解できた。 一瞬の間に間合いを詰めた圭一さんが俺の腹を思いっきり殴りつけてきたようだ。俺は圭一さんから視線を外さなかったのに、 いつの間にこんな近くまで来ていやがったんだ―― 今度はこめかみ辺りに強い衝撃が与えられ、その勢いで地面に倒れ込んでしまう。激しく脳を揺さぶられたためか、 視界が揺れて安定しない。どうやら今度は頭を殴られたらしい。ちくしょう、圭一さんの動きが全く見えねえ…… 「どうだい? 少しは目が覚めたかな?」 俺の耳に、圭一さんの飄々とした声が届く。俺は自分の意思示すために、顔だけを上げちょうど真上に位置していた 圭一さんの顔をにらみつけながら、 「腹と頭の痛みはひどいが、残念ながら考えを変える気は全くないね……!」 そう言いきる。すると、圭一さんは困ったようにこめかみを掻き上げ、 「……そうか。どうやらお灸を据えても効果がないようだな。できればこれ以上手荒なことはしたくなかったんだが」 「君は筋金入りのバカみたいだね。抵抗しても無駄だってわからないのかい?」 少し離れたところから聞こえる裕さんの声。姿は見えないが、まだ拳銃は構えているだろう。 と、ここで国木田ノートの内容を思い出す。俺はハルヒのいる場所までたどり着くための大切な『道具』とされていた。 だったら、こんなところで俺を殺す事なんてできないはず。 俺は力を振り絞って立ち上がると、 「へっ……。手荒な事って何だよ。お前らは俺が必要なんだろ? いくら殴ったところで殺すことができないんじゃ こけおどしに過ぎねえんだよ……!」 口の中に残っていた胃液をはき出す。だが、多丸兄弟は二人で顔を見合わせると、軽く笑い声を上げて、 「君の言うとおりだ。確かに君なしでは目的地への到着はほぼ不可能になるだろう。だから我々には君は殺せない」 「でもね、言うことを聞かせるためには暴力しかないって言うのは短絡的じゃないの? 他にいくらでも方法はあるさ。例えば」 圭一さんに続いて口を開いた裕さんは耳に付けられている無線機に手を当てて、 「例えば、この無線機で君の大切な人を今すぐ殺してくれと、指示を出すとか。当然、君がこちらの指示に 従わなかったときだけどね。誰が良いかな……最初から家族だと勿体ない……そうだ、確か昔付き合っていた可愛らしい女の子が いたよね? この無線一本で彼女をとんでもなくひどい目に遭わせることだってできるんだ」 ……佐々木か!? ふざけんじゃねえ! 指一つでも触れてみろ! 絶対に未来永劫てめえらの指示なんて従わねえぞ! だが、裕さんは表情一つ変えずに、 「無論、率先してやるつもりはないよ。これはあくまでも君との交渉の一環だからね。君が僕たちの指示に従えば そんな悲劇は起こらずにすむんだ。ああ、でもあまり駄々をこねると見せしめが必要になるかも知れないよ」 「そう言うのは交渉とは言わずに、脅迫って言うんだよ……!」 怒りの身体を震わせる俺だったが、はっきり言ってどうしようもない。 このままでは佐々木や家族が犠牲になるかも知れないんだ。それだけはどんなことがあっても…… ……いや待て。そういや、古泉が言っていなかったか? ここだと無線での連絡ももう取れないって。 その事実を思い出したとたん、俺は勝ち誇ったような気分になり、 「だからどうしたってんだ。そんな脅迫に応じるつもりはねえよ。勝手にやればいいさ。できるならな」 急に強気になった俺を見た多丸兄弟は、不思議そうに顔を見合わせるが、やがて二人そろって嘆息し、 「仕方ないな。こういう手段は好きじゃないんだが……」 「意外と傲慢な人間だったんだね。でも、後悔することになるよ」 「好きにしやがれ」 俺は耳に入った二人の言葉を吐き捨てるように言う。これは完全なハッタリだ。無線連絡はここから確実にできない。 だからこそ、二人はまるでこっちの焦りを誘うように、じっと見つめたまま一向に指示を出そうとしないんだ。 だが、次の裕さんの言葉で俺の足が自然と動いた。 「君の要望通りにしてあげるよ。あ、ひょっとしてここからじゃ無線は届かないからハッタリだと思っている? それなら無線が使える地域まで移動すればいいだけさ。そんなに遠くじゃないからね」 「……この野郎っ!」 俺は全力で一番近くにいた圭一さんに飛びかかった。さすがにこの動作は予測していなかったのか、 俺の体当たりを完全に食らった圭一さんは俺ごと茂みに突っ込む――次の瞬間、俺に強烈な落下感が襲った。 茂みの向こう側が高さ5~6メートルの崖になっていたのだ。 俺たち二人は組み合いながら悲鳴を上げて落下する。着地と同時に鈍い衝撃が俺を襲うが、運良く圭一さんがクッションに になったおかげでダメージは思ったより大きくない。だが、感謝なんかしねえぞ。 一方、二人分の重量の衝撃を背中に受けた圭一さんが少しもだえるような表情を見せたが、すぐに立ち上がると どこから取り出したのか右手に構えたナイフを俺に斬りつけてきた。 斬撃をかわすべく俺は圭一さんと距離を取ろうとして気がつく。俺たちがいる場所は崖の途中にある出っ張りの上に過ぎず、 少しでも動けばまた10メートル程度下まで落ちてしまう。これじゃ、まともに避けられねえぞ。 すぐに自動小銃を構えようとするが、どこにもないことに気がついた。ノートを読んでいたときは肩にかけていたはずだ。 恐らく圭一さんに殴られたときにどこかに落としてしまったのかも知れない。あるのは腰にある拳銃だけ―― だが、圭一さんがそれを抜かせる時間を与えてくれるわけもなく、またナイフで俺に襲いかかる。 とっさにナイフが握られている腕をつかみ、必死にそれの移動を妨げようとするが、力の差は歴然だ。 ゆっくりとナイフの刃が俺に向けられてくる。おまけに圭一さんの顔は完全に怒りに染まっていた。 おいおい! 我を忘れて俺を殺すか!? このままではやられる。そう判断した俺は、一か八かで足払いをかけた。腕に集中力が向けられていたためか 圭一さんはあっさりとバランスを崩す。俺は間髪入れずに崖の下へ突き落とそうと、力の限りはねとばそうとするが、 「うわっ!」 思わず悲鳴を上げたのは俺だ。崖の下に落下し始めた圭一さんは死なばもろともと言わんばかりに、俺の迷彩服の胸ぐらを つかんだからだ。当然、不意打ち状態だった俺は一緒に崖下へと落下する。 ………… ………… ………… 俺は自分が意識を失っていることに気がつき、はっと目を覚まして起き上がった。周りを見ればすぐ隣に横たわった圭一さんの 身体がある。目を見開いたまま指一つ動かなかったが、それもそのはずだ。まるで仕組まれたかのように眉間にナイフが 突き立てられているからだ。完全に……死んでいる。 「うっ……」 始めて見る死体に、俺は猛烈な嘔吐感に襲われた。あまりのひどさにリバース寸前まで来たが、すぐにそれも収まった。 目の前の木に一発の銃弾が命中したからだ。とんできた方向を考えれば、俺の頭すれすれに放たれたものだったということは すぐにわかった。 俺はとっさに近くの岩の陰に身を潜める。すぐに3発の銃弾が俺のそばに着弾した。 どうやら裕さんが俺を銃で狙っているようだ。 「くっそ……もう何が何やら……」 はっきり言って展開が急すぎてついて行けていない。頭の中は大パニック状態だぜ。 そう愚痴りつつも、俺は拳銃を取り出し裕さんの姿を探し始める。と、崖の上をちらりとかすめる影の存在に気がついた。 移動していく先は緩やかな下り坂になっていて、その内崖下につながるだろう。隠れている場所を把握されている以上、 こっちも移動しないとまずいな。 俺は足音を殺しつつ、別の岩の陰に隠れた。この位置なら裕さんが移動している下り坂がよく見えるはずだ。 「……いた」 予想は大当たりだった。裕さんはまだ俺が移動したことに気がついていないのか、拳銃を構えながら堂々と崖下めざして 歩いている。拳銃で狙うには距離が遠すぎるが、弾は届く距離だ。 銃を構えようとして一瞬躊躇という言葉が脳裏に過ぎった。圭一さんの死は事故だ。偶然といっても良い。 だが、今から俺がやろうとしていることは完全に裕さんを殺すという行為だ。当たり前の話だが、俺は生まれてこの方 人を殺したことなんてない。朝倉は宇宙人だから例外だ。そんな俺に撃てるのか? ――彼女をとんでもなくひどい目に遭わせることだってできるんだ―― 裕さんの言葉が脳内にリピートされた瞬間、俺の頭から躊躇なんていう感情は完全消滅した。ここで撃たなければ、 佐々木や俺の家族の命が危ないんだ。迷っている暇はねえ。やるしか…… ゆっくりと銃口を歩く裕さんの方に向ける。向こうはまだ俺に気がついていない。撃ち合いになれば勝てる相手ではない以上、 ここで確実に仕留めるしかない。 撃て、撃て、撃て、撃て――当たれ、当たれ、当たれ、当たれ…… 俺は念じるように唱え、そして拳銃の引き金を引いた。パンという鼓膜を貫く発砲音と硝煙匂い。 やがて、裕さんの歩みが止まりぐらりと崖下へとその身を落下させる。 「……当たった」 俺は呆然とつぶやいた。一発で命中し、裕さんはそれで命を散らせた。そう俺は裕さんを撃ち殺した―― 殺人を自覚したとき、俺はもう嘔吐感に抵抗もできずもどし始めた。人を殺したという感覚。 ドキュメンタリーかなんかでこういった症状を引き起こすことがあるっていうのは知っていたがこれほどとは…… 数分間、そのまま俺は動くことができなかったが、はっと気がつく。さっきの発砲音を聞きつけて森さんたちが こっちにやってくるかもしれない。その前にノートを回収してとっとと身を隠さなければ。 今なら俺が機関の事実を知ったのではなく、敵に襲われたと言い逃れができるかも知れないんだから。 俺は岩陰から飛び出すと、裕さんの死体に駆け寄る。こめかみに銃弾が直撃したみたいで即死だったようだ。 自分が死んだことすら理解していないように、目を見開いたままぴくりとも動かなかった。 幸いなことに、手にはノートがしっかりと握られていたので、それを引きはがすように取り戻すと立ち上がって―― 「どこに行くつもりですかな?」 俺の後頭部に冷たいものが押しつけられていることに気がついて、身体が硬直した。同時に聞こえてきた声の主は、 「……新川さん。見ていたんですか?」 「ええ、一部始終全て見させて頂きました」 新川さんも多丸兄弟と同じように、いつもと変わらぬ口調だった。だが、明らかに俺の後頭部に押しつけられているのは 拳銃だ。そして、すぐにでも引き金を引きそうな殺気がそこから放たれていることを感じる。 と、今度は崖の上から誰かが飛び降りてきた。森さんだ。 しばらく地面に死体となって転がっている多丸兄弟を一瞥した後、俺の目をしっかりと見つめて、 「……面倒なことをしてくれましたね」 そう冷たく言い放った。その時の森さんには昨日見た屈託のない少女の顔はなく、恐ろしいほどに洗練された殺し屋の 素顔があった。 ◇◇◇◇ 「話せ、この野郎っ!」 俺は森さんと新川さんに両腕を掴まれ、SAの駐車場に連行された。そこには困ったような表情を浮かべる古泉と、 ばつが悪そうに目をそらす谷口の姿があった。どうやらこの二人も完全にグルみたいだな。 やがて、俺は古泉たちの前に跪かせるように座らせられた。両腕をがっちりと固められたままなので、 まるで磔に架けられたような感覚に陥る。 そんな俺を古泉の野郎は目を細めてしばらく見つけていたが、やがてわざとらしく大きなため息を吐くと、 「全く面倒なことをしてくれましたね。この先は更なる障害があるだろうと予測はしていましたけど、 まさかあなたが反乱を起こすとは思っていませんでした」 「……反乱だと? 今まで俺を散々だましていたのはどっちだ」 俺は森さんと同じことを言うニヤケ野郎を睨み付ける。だが、古泉は全く動じることなく、 「仕方がないでしょう? 本当のことを言えば、あなたが僕たちに協力する可能性は皆無ですから」 「当たり前だろうが! お前ら機関はハルヒに全責任を押し付けただけじゃなくて、ハルヒの意思を無視して 能力だけを奪い取ろうとしたんだ。絶対に許せねえ」 「ですが、それも仕方のないこと」 俺の怒りに返答してきたのは、新川さんだった。じっと俺の目を見つめ、言葉を続ける。 「あなたには理解できないことなのでしょう。TFEI端末や情報統合思念体というものがどれほどのものか 直に見たことがないのですから。ですが、私たちはその強大な力にずっと触れ続けてきました。 彼らの力は私たちの住む世界など指一つ動かすだけで作りかえられます。この星の存在が危険だと認識すれば 即座に抹消されるかもしれませんな。所詮はこの世界など彼らの手のひらの上で踊るちっぽけな存在でしかない」 新川さんに続き、森さんも口を開く。 「機関という組織ができ、TFEI端末と初めて接触したその日から私たちはただおびえる毎日でした。 気の向くままに世界を作り変えかねない涼宮ハルヒという存在と情報統合思念体という強大な存在の両方に。 そんな中、私たちができることは涼宮ハルヒの精神状態を安定させ、情報統合思念体の観察に 支障をきたさないことだけです。そのため機関は奔走する羽目になりました。まるで主に仕える奴隷のようにです。 そんな状態に私たちはいつまで耐えればよいのですか?」 その問いかけに俺は答えられず黙っていることしかできなかった。さらに森さんは続ける。 「機関だけではなく、この世界そのものが涼宮ハルヒと情報統合思念体の玩具にすぎないのです。 だからこそ、私たちはその奴隷・モルモット的状態に陥っている世界を救わなければなりません。 ですが、その方法が全く見つからなかった。どうすればよいのかすらわからなかった。 そんな袋小路の状態のときに、ようやく救世主が現れた」 「……天蓋領域ってやつか」 「その通りです。彼らは涼宮ハルヒの存在に強い興味を示していましたが、彼らもまた情報統合思念体により その行動が移せずにいたのです。この時点で両者の利害は完全に一致していて、協力関係になるまで さほど時間を有しませんでした。機関は涼宮ハルヒを天蓋領域に提供する代わりに、その能力を使わせてもらう。 情報統合思念体などという全てを超越した存在に対抗できるだけの力を有することができれば、 人類は強大な存在に縛られず、自由に自らの意思で判断できるようになり、真の独立を勝ち取れるのです」 森さんの演説じみた言葉は、国木田ノートに書かれていたことと全く同じだった。 もうノートの内容に間違いはないと思っていいだろう。 古泉は二人の演説を黙って聞いていたが、やがて腕を組んで俺に見下すように顔を近づけると、 「どうですか? お二方の主張を聞いても、まだ僕たちに協力する気にはなりませんか? 拘束状態から脱して、自由を得るということは人間なら誰しも望むことですよ?」 「……そのためにはハルヒがどうなってもいいって言うのかよ?」 「やむ得ないと考えられます。大事の前の小事なんて考えるに値しません。恨むのなら、涼宮さんがあのような能力を 持ってしまったことを恨むしかないですね」 古泉は表情一つ変えずに淡々と言ってくる。 はっきり言って納得できねえし、理解する気もねえ。確かに機関の主張は誤りではないだろう。 だが、ハルヒが神がかり的な能力を得てから4年間、水面下ではいろいろあったとはいえ 世界は特に変化なく続いていたはずだ。それをぶち壊して混乱状態に置いたのは機関じゃねえか。 こんな惨事になるくらいなら、そのままハルヒをそっとしておいた方がずっとマシだったんだ。 一向に納得しない古泉は珍しくいらだちの表情を浮かべて、 「わかりませんかねぇ……自決権の取得は何に変えても保持しておくべきものなんですよ。 それが民族的感情というものです。どうしてあなたはそれを理解しようとしないんですか?」 「俺はそんなものなんて意識したこともないし、たとえ意識した今でも今までどおりの生活が続けられるなら 必要ないと断言できるぞ。確かにおまえら機関の働きがあってこそだから、それには素直に感謝するけどな。 だが、プライドだけにこだわった自決権とやらを得るためには、どんな犠牲を払ってもかまわないと言い出すなら 大きなお世話だと言ってやる」 「人類の生存権を取り戻すためには多少の犠牲は避けて通れません。それに涼宮さんはやむえない犠牲として、 また人類を救った英雄としてずっと祭られ続けるんです。悪くない待遇だと思いますよ?」 「それも気にいらねえ。まるでハルヒを道具か何かとして見ていやがるからな」 「人類が独立するためには神ですら利用する。それが生存本能というものです」 「……古泉、もういいわ」 俺と古泉の会話をぶった切ったのは森さんだった。いつの間にやら、その手には薬物らしきものが入った 注射器が握られている。 「これ以上説得しても無駄だと判断します。ですが、人類の悲願達成のためにはどうしてもあなたの力が要る。 そのためにはどんな手段でも用いるつもりです」 「……また脅迫か。言っておくが、俺の知り合いに少しでも手を出したら、二度と協力なんてしないぞ。 当然、手を出さなくても協力するつもりはねえけどな」 俺はそう森さんに強がって見せるが、正直どうすればいいのかわからなかった。本当に佐々木や家族たちに 手を出されたらどうする? しかし、だからといってハルヒを代わりにに差し出すなんてことはできない。 だが、森さんから返ってきた言葉は予想外のものだった。 「いいえ。脅迫という手段は時として有効です。そうすれば、あなたの身体は私たちの指示に従うでしょうけど、 心は反発したままです。そのような不確定要素を保持したまま作戦の遂行に支障をきたしかねません。 ですから、薬物注射であなたの思考能力を奪います。こちらとしてはあなたの外見上の存在だけでも 十分に大きな効果が期待できると考えていますので」 森さんの手に握られた注射器が俺に向けられる。どうやら、あれは何でも言うことを聞かせられるようになる 魔法の薬のようだな。冗談じゃねえぞ。あれを挿されたらもう反抗のしようがなくなる。 俺は必死にそうはさせまいと森さんと新川さんを振りほどこうとするが、力の差は歴然のようでびくとも動かない。 一方で古泉はただニヤニヤしながら、俺に注射器が刺さるのを見つめている。 「古泉! おまえはSOS団にいたときに言っていたじゃないか! 今ではSOS団副団長としての立場の方がいいって! 機関を一度だけ裏切るとも言っていたよな! あれは全部うそだったのか!?」 「……懐かしい話ですね。当然、方便に過ぎませんよ? あなたや涼宮さんに取り入るためのでまかせです。 僕があくまでも機関から派遣された人間であることをお忘れですか?」 冷酷に言い放つ古泉に俺は愕然としてしまった。全部嘘だったってのか? 俺はそんな嘘にころっと騙されて…… ゆっくりと俺の腕に注射器が近づけられてくる。抵抗もできず、助けも呼べない。もうどうすることもできないのか。 ――だが、突然森さんと新川さんが俺の両腕を離し、後方へ飛びのいた。同時に俺の両脇を銃弾が飛んでいく。 何が起きたのかわからず、俺は辺りを見回すとやや離れた場所に谷口が立っているのが見えた。 どういうわけだか、俺――いや、森さんたちに自動小銃の銃口を向けている。そして、 「キョン! 早く逃げろっ! 急げっ!」 そう言いながら今度は古泉に向けて撃ち始めた。理由はわからんが、とにかく感謝するぞ谷口。 俺はすぐに近くの林に向かって走り始めた。谷口も俺をかばうように銃を撃ちながら続いてくる。 「すまねえ谷口! 恩にきるぞ!」 「いいからとっとと走れよっ! すぐ追いついてくるぞ!」 谷口の言うとおりだった。俺たちがようやく林に飛び込んだあたりで、 「新川――!」 遠くから森さんの声が聞こえてくる。そして、次の瞬間一発の銃声が鳴り響き、後ろを走っていた谷口の身体が 前のめりに倒れようとしていた。俺はあわてて足を止めて谷口の身体を支える。 見れば、のどの一部から大量の出血が起きていた。谷口自身はショック状態に陥っているのか、 ほうけた表情のまま声一つ上げずに固まっている。撃たれたのは確実だった。 「くそっ!」 俺はすぐに谷口を背負うと、林の中を走り始めた。 ◇◇◇◇ 「谷口っ! おいしっかりしろよっ!」 俺は林の中にあったくぼみの中に逃げ込み、そこで谷口の容態を確認していた。喉の辺りを銃弾が貫通したようで 出血がひどく、全く手の施しようがない。このままではいずれ死に至るだろう。 だが、治療なんて俺にはできるはずもなく、ただ小声で谷口を呼びかけることしかできなかった。 「……すまねぇ……」 ようやく自分が瀕死の状態であることを理解したらしい谷口は、ほそぼそと俺に語りかける。 俺は今にも泣き出しそうな気持ちで、 「謝るのは俺の方だっ! どうして……なんで俺をいきなり助けたりしたんだよ……!」 「……我慢できなかった……これ以上、お前を……キョンを裏切り続ける……ことが……」 「だからってお前が死んだら意味がないだろうがっ! 頼む! 死ぬなっ!」 俺の必死に呼びかけに応じたとしても、谷口の容態が回復するわけもなく、次第に顔は白くなり 手も血の気が引いたようになってきた。俺は……ただそれを見ていることしかできなかった…… しばらく、谷口は息苦しそうに呼吸を続けていたが、やがて俺の手を握ると、 「キョン……ごめんな……騙しちまってごめんな……」 「いいんだっ……気にするなっ……」 もう俺の目からは土砂降りのごとく涙があふれ出ていた。長く付き合ってきた友人が目の前で息絶えようとしている。 そして、俺はそれを見ていることしかできない。悲しさと悔しさともどかしさが入り混じり、頭がおかしくなりそうだった。 そして、谷口が続けた言葉。俺はこれで完全に我を忘れてしまう。 「こんなことやりたくなかったんだ……。でも、あの子と家族が人質にとられていて……」 これを聴いた瞬間、俺は頭が爆発するんじゃないかというほどの血が上り、ひどい頭痛とめまいに襲われた。 ノートは全部読めなかった。だが、最後に書いてあった内容に、谷口は国木田以上にまずい状態にあるとされていた。 それが家族や恋人を人質にとられているっていうことだったのだろう。 「機関にスカウトされたときに……俺は最初は断ったんだ……でも、そうしたら奴らあの子が どうなってもいいのか言い出しやがった……当然、家族もだ……俺はNOとは言えなかった」 目もうつろで谷口は独白するように続ける。やがて、俺の方に顔を向けると、 「俺が死んだら……あの子と家族はどうなるんだろう……?」 「……わからない」 谷口の問いかけに俺は首を振って答えることしかできなかった。 次第に、俺の手を握っている谷口の力が弱くなっていく。 「キョン……頼む……あの子と俺の家族を……助け……助けて……」 その言葉を最後に、谷口の口が動かなくなった。俺の手から谷口の手がするりと抜け落ちる。 俺は谷口が息を引き取ったことを確認すると、開いたままだった目を閉じてやった。 そして、俺は谷口の武器を取り出すと、くぼみから立ち上がった。この時点で俺は完全に自分を見失っていた。 ……あいつら全員ぶっころしてやる……! ◇◇◇◇ タタタタと俺はSA近くの山の頂上から自動小銃を撃ちまくっていた。目標はSA内を移動していた 森さんと新川さんだ。距離は遠いが十分に届く距離ではある。 だが、距離が遠いためか二人には全く命中しない。それがわかっているのか、二人とも物陰に隠れることもなく じっとこちらを伺っているようだった。なめやがって。とはいっても、俺もここで撃ち殺せるとは思っていないけどな。 しばらくこのまま撃ち続けていたが、森さんたちは一向に動こうとしない。こっちの目的が何なのか考えているのか? それとももう俺の意図を悟られた―― バスっという鈍い音が聞こえたとたん、俺の思考が完全に停止した。見れば、俺の30センチ右側にある木の幹に 銃弾が当たったような痕ができている。当然ながらさっきまでなかったものだが…… 俺はとっさに双眼鏡で森さんたちの様子を伺った。そこには、自動小銃をこちらにぴたりと構えて立っている 新川さんの姿があった。 すぐに俺は身を翻してその場から走り出した。すると、まるで俺の姿を追うように背後を銃弾が飛んでいく。 あの距離からこれだけの精度で射撃できるのか。とてもまともに撃ち合って勝てる相手ではない。 どのみち最初から正攻法でどうにかできる相手とは思っていなかったんだ。落ち着いて作戦通りに進めよう。 ◇◇◇◇ それからの森さんたちの動きは早かった。俺が山を降りると、まるで瞬間移動でもしてきたかのように 新川さんが俺の前に立ちふさがる。しかし、すぐには銃を撃ってこなかった。そりゃそうだな。 俺を殺してしまえばハルヒの元へはたどり着けないってのが機関の見解なんだから。 それが唯一の俺が有利な状況である。 新川さんは自動小銃を投げ捨てると、歳に似合わない機敏な動きで俺に迫ってきた。 俺は近づけないように後方に下がりながら自動小銃を乱射するが、まるでこないだの朝倉のように機敏な動きで 全くヒットする気配がない。本当に改造人間か何かじゃないのか!? すぐに目前まで間合いをつめられると、新川さんはラリアットのように腕を回転させて俺にぶつけてくる。 俺はぎりぎりのところで身体を後ろにそらして、それをやり過ごした――が、今度は足払いをかけられて バランスを崩してしまった。続けざまに頭をつかまれると、今度はヘッドロックをかけてきた。 身体が引き裂かれそうな痛みで悲鳴を上げる。しかし、それでも口からは絶対に悲鳴を上げなかった。 ここで痛みに身を任せればそれ以上動けなくなるかもしれないからだ。 ただし、別の意味での声は上げる。 「痛い! 痛い! 首が折れる! 死ぬ死ぬ!」 自分でも演技くさいとは思うが、新川さんは俺を殺すことができない。オーバーにリアクションをとれば 絶対に力を緩めるはずだ。 案の定、ほんの少しだけヘッドロックの力が弱る。それはそれで身体が動くようになったことを感じ、 すぐさま腰に入れていた拳銃を取り出すと、新川さんの腹の部分に密着させて数初発射した。 驚いた新川さんは俺から飛びのく――んだが、何でまだ動けるんだ? その理由はすぐにわかった。新川さんが自分の迷彩服を調えるように引っ張るとばらばらと銃弾が地面に落ちた。 防弾チョッキか――いやだから! いくら貫通を避けられても、あれだけの衝撃を受ければアバラが折れたり、 内臓のどっかがいかれてもおかしくないはずだろ!? やっぱり改造人間か何かなのか!? やはりまともに相手をするわけにはいかない。俺はまた自動小銃を撃ちながら、新川さんから走って逃げ出した。 ◇◇◇◇ 「……来たか」 前方の獣道を新川さんが歩いてくるのを、茂みの中で身を潜めていた俺は確認した。 あの後、全速力で俺は逃げ出したんだが、不思議なことに新川さんは追ってこなかった。 いや、走って追いかけてこなかっただけだが。おかげでこちらの準備にもある程度余裕ができた。 新川さんが歩いてくる獣道には、俺が仕掛け爆弾のトラップが仕込まれている。 あと数メートル新川さんが前進すると、獣道に張っておいたロープに足を引っ掛け、その衝撃で 両脇に仕掛けてある手榴弾のピンが抜けるという寸法だ。いくら防弾チョッキをつけていても至近距離で手榴弾の破片を 浴びれば、身体の中まで機械製とかでない限り耐えられまい。 新川さんがトラップの位置に迫る。さあ来い。一歩先で谷口の仇をとってやる…… だが。 「新川」 突然かけられる声。その発生源は俺のすぐ横だった。あまりの脈絡のなさに俺は一瞬声を上げてしまいそうになるが あわてて手で口を覆う。 見れば、いつの間にやら森さんが俺の右数メートルの位置に立っていた。全く気がつかなかったぞ。 本当に瞬間移動ができるんじゃないだろうな? しかし、幸いなことに森さんは俺の存在までは気がついていないようだ。そのまま新川さんの元に近づき、 「迂闊よ。これを見て」 そう言って持っていた自動小銃の先でトラップのロープを突っつく。ちっ、もうちょっとだったのに、 森さんに気がつかれちまったか。 ――だが、それがばれるのも計算のうちだ。正攻法じゃあの人たちにはかなわないからな! 俺は手元に引かれているロープ2本を思いっきり引っ張った。気がつかれることを考えて、こちらからでも 手榴弾のピンが抜けるように細工しておいたのさ。 すぐに森さんたちはピンの抜ける音に気がつき、逃げようとするが即座に周辺の手榴弾4発が炸裂した。 映画とかとは違い、手榴弾が爆発しても火が出たりはしない。代わりに激しい衝撃と火薬の中に混ぜられていた鉄くずが 周辺に飛び散り、草木が悲鳴を上げるかのようにざわめいた。 しばらく砂煙がたちこめ視界が利かない状態になった。俺は確認したい気持ちをぐっと抑え、 煙が晴れるのをじっと待った。 2~3分ほど立つと砂煙は完全になくなった。森さんと新川さんが折り重なるように地面に倒れているのが見える。 俺は本当に死んだかどうか確認すべく茂みから出て、二人の元に駆け寄った。 二人とも顔がささくれるようになりスプラッタ映画状態だ。白目をひん剥き、どうみても生きているようには見えない。 「…………」 俺はしばらく呆然とそれを見つめる。谷口の仇を取ったという気分よりも、あの二人がこんなに簡単に くたばるだろうかと不安になってしまう。 だが、立ち止まっている場合ではない。まだ古泉が残っている以上、こんなところで立ち止まっている場合ではない。 俺は2,3回頭を振ると、その場から走り出した。 ――違和感は確かにあった。だが、罪悪感は全くなかった。 ◇◇◇◇ 「動くな」 俺は自動車道の上で古泉の後頭部に拳銃を突きつけていた。森さんたちに任せておけば安心だと思っていたんだろうか。 能天気にぼけっとしているもんだからあっさりと背後に取り付けてしまった。 「おやおや、まさか森さんたちを出し抜いてきたんですか? ちょっと以外ですね」 淡々とそんなことを言ってきやがった。背後に立っているせいで古泉の表情は見えなかったが、 どうせいつものニヤケ顔なんだろう。余裕じゃねえか。 「まず、国木田のノートを返してもらおうか。後で告発の証拠として使わせてもらうからな」 「どうぞ」 古泉はあっさりとノートを俺に背を向けたまま渡してきた。俺はそれをズボンにねじ込む。 「さて……これからどうするつもりですか?」 「確認したいんだが」 ――俺は一拍置いてから、 「はっきりと言っておくぞ。森さんと新川さんは死んだ。多丸兄弟もだ。これで機関の人間はお前だけってことになる」 「そのようですね」 「谷口は脅迫されていた。家族と恋人を人質に取られて無理やり連れて来られたらしい」 「知っています」 「……お前は違うのか? もう他の連中はいない。正直に答えてくれ」 俺は祈るようにその言葉を古泉に告げる。そうだ。お前も谷口と同じように機関から脅迫されていたんだろ? でなけりゃ、こんな命を賭けた仕事なんてやるはずがないからな。それにお前は超能力者だから機関から 目をつけられる理由も十分にある。さあ、答えてくれ。そうだって。 だが、古泉が言い放った言葉は、俺を完全に裏切った。 「答えはNOです。僕は僕自身の意思で機関に所属し、ここまでやって来ました。 誰からも強制されていませし、脅迫も受けていません。僕はね、心底機関に忠誠を誓っているんですよ。 得体の知れないこんな超能力を持っているにもかかわらず、彼らは僕を必要としてくれました。 待遇もすごくいいですし、今の立場に非常に満足しています。あと、機関の上層部が持っている人類独立の目標にも 強く賛同していますから」 「そうかよ……!」 俺は古泉から返された裏切りの返答にはき捨てるように答える。さっき言っていた通り、今までSOS団として なじんできているのは全部フリだけだったのかよ。ハルヒや朝比奈さん、長門、そして、俺を裏切ってきたのか。 「それが僕の任務だったんですよ。涼宮さんに近づき、できるだけ理想である人物を演じ、ずっと機会を伺う。 全ては機関の指示――そして、理想を果たすためにね。これで満足ですか?」 「……ああ、満足だ。初めててめえの本音が聞けて、俺の怒りは最高潮だからな……!」 俺の頭の中にあった最後の希望の火は完全に消えてしまった。古泉が裏切った――いや、最初から仲間ですらなかった ことがわかってしまった以上、もうあのときのSOS団には戻れない。俺の知っている胡散臭いが信頼できる古泉は もうどこにもいなくなってしまったのだから。 裏切られた怒りともう元には戻らないという絶望。両者が入り混じり俺は軽いパニック状態に陥っていた。 おかげで何のためらいもなく引き金を引けそうだがな。 「質問はそれだけですか? では次は?」 「……今考えているところだよ」 俺は苛立ちをこめて返す。正直、古泉が脅迫されているんだと信じていたし、そうであってほしかった。 だから、万一そうでないときのことなんて全く考えていなかったのが本音だ。しかし、混乱しているためか どうするべきかなかなか頭が回らない。 「そうですか……!」 ――次の瞬間、古泉がくるりと振り返ったかと思うと、俺に向けて腕を振り回した――いや、その手に握られている ナイフで俺を切りつけてきたんだ。 そして、俺は反射的に一発の発砲する。狙ったつもりはなかったが、その銃弾はきれいに古泉の額に命中した。 撃たれた衝撃で古泉は仰向けに倒れる。 「……ちくしょうっ!」 目を見開いたまま、路面に大の字で倒れた古泉を見て、俺は毒づいた。ピクリとも反応しないところを見ると 完全に即死だったのだろう。苦しむ暇もなく、自分が死んだことにすら気がつかないように呆然とした表情を浮かべていた。 「何で……こんなことになっちまったんだよ……」 俺は力なく路面に座り込んでしまう。 ハルヒの無実を証明するため、SOS団としてまた日常を過ごすために俺はここにやってきた。 にもかかわらず、その内の一つがかなわぬ夢と化してしまったのだ。この先、俺一人で北高まで向かい、 ハルヒを助け出してきたとしても、もう以前のようなSOS団はできない。事故にあったあの日より前にはもう戻れないだ。 それを認識したとたん、俺はどうしようもないけだるさに襲われた。何もする気が起きない、何もしたくない…… 「でも、そういうわけにはいかないんじゃない?」 唐突にかけられた声。俺が顔を上げると、そこには消えたはずの朝倉涼子の姿があった。 なぜだ? 古泉と長門に消されたはずじゃなかったのか? 俺はあわてて立ち上がり拳銃を向けようとするが、持ち前の高速移動であっという間にそれを取り上げられてしまった。 そして、すぐに自動車道の外に投げ捨ててしまう。 「安心して。あなたに危害を加えるつもりはないの。ただ、ちょっと話したいことがあるだけ」 「……何の話だ?」 やわらかい微笑を見せる朝倉だが、俺の警戒心が解かれることはない。こいつには何度も危ない目にあわされているんだ。 今だって安心させておいて、ドスッとやられかねない。 朝倉はまず手に持っていたノートを開き――いや待て! あれは国木田のノートだ。俺が持っていたはずなのに いつの間に奪いやがったんだ? 「ごめんね。ちょっと借りるわよ」 「返せ!」 俺はあわてて取り返すべく飛び掛るが、それをひらりと朝倉はかわしてノートを読み続ける。 相変わらず、あの異常な身体能力は健在なようだ。これじゃ、捕まえようがねえ。 しばらく俺との鬼ごっこが続いたが、やがて朝倉は全てのページを読み終えると、 「ふーん。大体、理解できたわ。で、このノートの結果がこれ?」 朝倉は死体となって動かなくなった古泉を指差す。俺は朝倉を追い回したおかげで上がりきっていた呼吸を整えつつ、 「ああ、その通りだ。人のことを散々騙しやがったからな。当然の結果だ」 「へえ、でもこのノートに書かれているのって、あたしのポエムだけど? それでどうしてそんな結果に?」 「……は?」 朝倉から返ってきた想定外の言葉に、俺は間の抜けた返事をしてしまった。バカ言え。 そこには国木田が書いた機関の悪行の告発が書かれているんだぞ。 「読んでみたら?」 そう言って朝倉は俺にノートを投げつける。そして、それを開いて見て驚愕した。 そこにはさっきまで読んでいたはずの国木田の告発文が一切なく、代わりに女性が書いたような丸みを帯びた文字が 並んでいるからだ。全てのページを見ても同じ状態になっている。いや待て―― 「……偽物とすり替えやがったのか。本物はどこに隠したんだ?」 「ううん、それはあなたから借りたときと全く同じものよ」 「嘘をつけ! 俺が読んだノートはこんな……」 俺はそう激高しながらノートへ再度目を落としたときに気がつく。そこには俺が知っているあの国木田の書いた 告発文が並んでいた。 「どういうことだ? 何がしたいんだ?」 朝倉がノートに細工をしているのか。だが目的が分からない。そんなことをやって何の意味がある? 訳が分からなくなって、朝倉を怒鳴りつける。だが、朝倉は全く動じず、 「ま、大体分かったけどね。もうちょっとそのノートを読んでみたら?」 とりあえず、朝倉の言うように俺はもう一度ノートを読み始めた。同じ内容だと最初は思った。だが何かが違う。 告発の内容は大筋では一緒だった。だが、微妙にページの位置がずれていたり、俺がさっき古泉から 聴かされた裏切りの言葉まで書かれている。最初に読んだときはこんな内容はなかったはずだ。 まだ読んでいなかった部分かと思ったが、それはもっと先ページの箇所だった。どうなってやがる……!? さらに気がついたが、ページをめくったりしているうちに、同じページであるはずなのに内容が 微妙に異なっていることに気がついた。内容ではなく、改行の位置やページを跨ぐときの最後の文字が違う。 まさか……と思いつつ俺は、今度はあることを念じながらページをめくって見た。 すると、頭に浮かべた内容がそのままページに書かれているではないか。 「ど、どういうことだよ……!?」 俺は明らかに動揺していた。思ったことがそのままノートに書かれる? そんな馬鹿なことがあってたまるか。 それなら――それが本当なら―― 朝倉は頭がこんがらがっている俺から再度ノートを取り上げると、 「思ったとおりの内容がここに書かれるみたいね。結構面白いわね、これ。 でも、こんな惨事の原因となったノートの内容もあなたが思い浮かべていただけの妄想ってことになるんじゃない?」 ドクンっ……俺の心臓が跳ね上がった。そんなわけがない。そんなわけがないんだ。 ああ、そうだ。このノートに書かれている内容がただの妄想っていうなら、古泉たちの言っていたことと 明らかに矛盾することになるんだぞ。ここに書かれているとおりのことを機関の連中は口に出していっていたんだ。 ただの俺の妄想だったら、古泉たちは当然それを否定するはずだ。 「あら、このノートもっと面白いことができるみたい」 そう言って朝倉はノートを見つめ始める。すると、SAの建物が突然大爆発を起こし木っ端微塵に砕け散ってしまった。 なんて事しやがる―― だが。 俺の脳裏にある可能性がよぎった。いや、これもただの妄想に違いない。そんなご都合主義なことがあってたまるか。 あるわけがない。ありえない! だが、朝倉が俺に告げた内容は、 「このノートに書いてあることは現実にも反映されるみたいね。ああ、なるほど。だから、あなたの妄想が ノートに反映されてそれが現実になってしまったってことみたいね」 「バカ言え! そんなわけがあってたまるか! そんな馬鹿げた話があってたまるか! そんなわけが――」 「でも、それが現実よ。ここは閉鎖空間。何が起こっても不思議はないわ」 朝倉の声がとても冷たく感じた。 あるわけがない。 あってたまるか。 なぜなら。 なぜなら! そうならば、俺が古泉たちを…… あんな非道な連中に仕立て上げたことになっちまう! 「あなたがそれを全て考えていたわけじゃないかも。きっと誰かの誘導は入っているはずよ。 でも、あなたはちょっとそれらしいことを吹き込まれただけでそれを信じ、あまつさえ妄想を拡大させてしまった」 やめてくれ。 「本心の部分で疑ってしまっていた。だから、他の人たちを信じられなかった。信じられると思っているなら、 こんなノートとっくに破り捨てているはずだしね」 やめてくれ! 「そう……これはあなたが無実の人たちを殺したことと同じ。どうする? どうやって責任を取るつもり?」 閉鎖空間に俺の悲鳴が響く…… ~~その4へ~~
https://w.atwiki.jp/niconicokaraokedb/pages/2990.html
涼宮ハルヒの組曲 すすみやはるひのくみきよく【登録タグ:sleeping inoopy アニメ メドレー 曲 曲す 曲すす 涼宮ハルヒの憂鬱】 曲情報 作詞:?? 作曲:?? 編曲:sleeping inoopy? 唄:?? ジャンル・作品:メドレー アニメ 涼宮ハルヒの憂鬱? カラオケ動画情報 オフボーカルワイプあり オンボーカルワイプあり コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/121.html
涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート新宿バルト9(2010年02月06日 9 20の回上映終了後) シネマサンシャイン池袋(2010年02月06日 11 25の回上映終了後) 京都シネマ(2010年02月20日 11 05の回終了後と、同14 30の回上映前) 京成ローザ10(2010年03月06日 11 50の回終了後、16 00の回上映前) サンフランシスコ Viz Cinema(2010年05月21日 19 00の回上映前)※現地時間 シネマート新宿(2010年12月04日 13 00) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート 新宿バルト9(2010年02月06日 9 20の回上映終了後) 登壇者:平野綾・杉田智和・茅原実里・後藤邑子・小野大輔・桑谷夏子・松岡由貴・あおきさやか・武本康弘監督・石原立也総監督・白石稔(司会)・松元恵(司会) 涼宮ハルヒの消失 特設ファンサイト 涼宮ハルヒの消失初日舞台挨拶レポート! http //www.haruhi.tv/fanclub/syoshitsu_special_report.html シネマサンシャイン池袋(2010年02月06日 11 25の回上映終了後) 登壇者:平野綾・杉田智和・茅原実里・後藤邑子・小野大輔・桑谷夏子・松岡由貴・あおきさやか・武本康弘監督・石原立也総監督・白石稔(司会)・松元恵(司会) 電撃オンライン SOS団と愉快な仲間たちが池袋に登場! 映画『ハルヒ』舞台あいさつレポ http //news.dengeki.com/elem/000/000/234/234758/ 京都シネマ(2010年02月20日 11 05の回終了後と、同14 30の回上映前) 登壇者:白石稔(司会)・池田晶子・西屋太志・伊藤敦 京都シネマ イベントリポート http //www.kyotocinema.jp/report/re2010/re_2010_03.html 速記:アニメ映画板本スレPart46 458,487 458 名前:見ろ!名無しがゴミのようだ![sage] 投稿日:2010/02/20(土) 17 05 51 ID ix1vCjPn おまたせ、とりあえず前半な どこか記憶違いとか俺の主観が入ってるかも知らんが たぶんだいたいあってるはず 京都舞台挨拶レポ(1回目の方)① まず白石が出てきて池田、西屋、伊藤Pの順に登場 各々軽い挨拶のあとにまずそれぞれのお気に入りシーンについての話 池田: 絵コンテが上がってきた段階で「おっ!」と思ったのが屋上のシーン ただ「キョン、そこまでやっていいのか?w」と思ったらしい。 おそらく男が女にあんなことするのって、普通アレだよね的な意味で 西屋: 今回はアクションシーンはほとんど無いがその分キャラの表情、心情といった部分を 強く打ち出せた、そんな中でお気に入りなのはキョンが栞を見つけるとこと谷口と口論するとこ。 うまく描けてたらいいなーって言ってた そこで白石が一生懸命演じましたアピール→会場笑→なんで笑うの!?→拍手といった流れになる 伊藤P: とにかく朝倉のおでんのシーンがお気に入り、特に帰りの鍋つかみをしたままのエレベーターシーン そしてその後の鍋つかみをしたまま手を振ったところ、ここが一番怖くて綺麗だと言ってた。 なんでも鍋つかみが萌えポイント、あれをつけてないとだめだとか。 製作時からずっと言ってるらしい それで朝倉おでんの開発を提案したのも伊藤Pらしい、もう少しで劇場にも並ぶと言っていたが 既にグッズのとこで一緒に売ってたやつのことを言っているのかは不明 白石: ハルヒが寝袋から出てきた直後の手ぐしで髪を直してるシーン ここには西屋も同意してた 487 名前:見ろ!名無しがゴミのようだ![sage] 投稿日:2010/02/20(土) 17 51 37 ID ix1vCjPn 続き。 京都舞台挨拶レポ(1回目の方)② 製作時における印象に残った出来事について 池田: 夏にキャラ設定を作っていたが屋上のシーンのキョンの格好をどうするか、 暖かい格好にするべきなどと話し合っているとき 武本「半纏に病室スリッパがイイ!!(・∀・)」 他スタッフ一同「えっ」 みたいなことになっていたらしい、結局はパジャマの上にコート、ちゃんとした靴に落ち着いたが。 西屋: ない…w、必死すぎて、とのこと。コンテが多く2000カットくらいあったとか 怒涛のように早く過ぎ去ったと言ってた。 伊藤P: まずキョンのコートについて。もしやと思い武本に確認してみたら 案の定、踊る大捜査線の青島刑事のコートをモチーフにしてるのだと。 もうひとつ、みのりん、白石、伊藤Pとその他スタッフの8人ほどで 長門と朝倉のマンションに現地取材に行った際の話。 マンションを見ていたら中からリアル管理人さんが出てきて、てっきり怒られるのかと思ったら 「谷川先生のファンの方ですか?」と、あろうことかみのりんに問いかけたらしい みのりんも「はい、ファンですー」みたいな感じで答えたとか。 それでスタッフであることは打ち明けられなかったそうだ。 一応取材なので早々に退却というわけにはいかなかったのだが 「いつまでいられますか?」と管理人に邪魔者扱いっぽく言われたため しかたなく後ろ髪惹かれる思いで帰ったらしい。 白石: 優しい忘却のPV撮影に立ち会ったらしいが、 みのりんファンの学生が見に来てて、なぜかその子たちをずっと 白石が対応していたらしいが一切自分が誰か気付いてもらえなかったらしい。 みのりんファンの文芸部の子がみのりんに挨拶に行ったが白石の前は素通りだったとも言ってた。 また、東京での舞台挨拶後の話で、メインキャストは出待ちされてるから メインキャストの面々が出て行って出待ちのほとんどがいなくなってから出ていったが その際、残ってた出待ちの人たちが白石よりも一緒にいたランティスの斎藤Pの名前を呼んでて 白石は通り過ぎた後に「あれ、白石じゃね?」とか言われてたそうだ。 話は大体こんなもん、声優陣の舞台挨拶とはまた違った話が聞けただろうと思う。 京成ローザ10(2010年03月06日 11 50の回終了後、16 00の回上映前) 登壇者:茅原実里・後藤邑子・桑谷夏子・松岡由貴・松元恵(司会)・西山洋介(司会) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(京成1回目) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(京成2回目) (長文のためページ分割しました) サンフランシスコ Viz Cinema(2010年05月21日 19 00の回上映前)※現地時間 登壇者:Christina Vee(ASOS Brigade団長) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(サンフランシスコ) 喜緑さんの保管庫 そうだサンフランシスコへ行こう サンフランシスコから還つつある男 サンフランシスコから還ってきた男 今日もやられやく 映画『涼宮ハルヒの消失』 サンフランシスコまで見に行った人のレポ Youtube 動画(1) 動画(2) 動画(3) ASOS Brigade! Episode 8 - The Disappearance of Haruhi Suzumiya U.S. Premiere Highlights (ASOS団公式。日本語インタビューあり) シネマート新宿(2010年12月04日 13 00) 登壇者:茅原実里・松岡由貴・西山洋介(司会) 速記:アニメ映画板本スレPart143 356 356 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 00 40 25 ID CksTCQ8G 「あーあー、えー皆さん、本日はですね、劇場版涼宮ハルヒの消失、えー、BD、DVD発売記念限定上映&舞台挨拶にお越し頂きまして誠にありがとうございます。」 \パチパチ/ \ワーワー/ \うおぉぉん/ 「ありがとうございます。私今回、司会の方つとめさせていただきます角川書店の西山と申します、よろしくお願いします。」 \パチパチ/ \ヒュー/ 「ありがとうございます。えーとお約束ですけれども、先にちょっと諸ちゅっ諸注意の方させてください。えーと携帯電話の方、電源切るなり、音のでないようにするなりしといてください、ご協力よろしくお願いします。」 「撮影録音は勿論禁止とさせて戴いております。こちらもご協力お願いいたします。もし発覚しちゃった場合最悪、舞台挨拶の方中止となっちゃうかもしれないので、ご協力の方よろしくお願いします。」 (※速記に関しては言及無し(重要)) 「えー後はですね、他のお客様のご迷惑になるようなことをしないでいただければ全然問題ないかと思いますので、短い時間ではございますが、舞台挨拶の方お楽しみいただければと思います。」 「では早速ですね、ゲストのお二人をお呼びしたいと思いますので、皆さん、あのー、拍手の準備は大丈夫ですかね?」 \パチパチパチ/ 「大丈夫ですね!ありがとうございます。ではですね、お呼びしたいので盛大な拍手でお出迎えください、えー長門有希役、茅原実里さん、そして鶴屋さん役、松岡由貴さんでーす」 (二人が右翼より入場、登壇) \パチパチパチ/ \みのりーん/ \あ゛あぁぁぁあっ!/ 366 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 00 56 44 ID CksTCQ8G \みのりん愛してる!/ 西山「ははっ、サイリウム振ってますねw落ちついてぇっw」 「えー早速ですね、お二人から簡単に自己紹介の方お願いいたします。では、茅原さんからお願いします。」 茅原「はいっ、みなさん、こんにちはー」 \こーんにーちわぁぁぁぁぁ!/ 「んー、凄いですねw沢山皆さん来て戴いて嬉しいです!長門有希役の茅原実里です!よろしくおねがいしまーす」 \パチパチパチ/ \ヒューゥッ/ 松岡「みなさーん!めがっさげんきにょろー?」 \うおおぉぉぉぉぉ!/ 「鶴屋さん役の松岡由貴でーす!こんにちはー!」 \……こんにちはー/ 「……はいっ。」 \ドッw/ 「みなさん、ね、あのー、みのりんみのりーんって、みのりんみのりーん・・・・・・」 \まつおかさーん!/ \ゆきちゃーん!/ 「あ、やった、よかったそういう黄色い声援がね、私も、欲しいなーって思ってw」 西山「黄色いのかなw」 松岡「野太い声援がねwよかったよかった、元気が出ましたwありがとうございます、よろしくお願いしまーす!」 西山「はい、ありがとうございまーす」 \パチパチパチ/ 368 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 13 16 ID CksTCQ8G 西山「では、えー、限られた時間ではございますが、ゲストのお二人にですね、この涼宮ハルヒの消失という作品についていくつかお伺いしたいなと思っております。」 「まずですね、当然作品の始まる前に涼宮ハルヒの消失という作品の脚本を渡されてご覧頂いたかと思うんですけど、まずその時のご感想をお聞きしたいなーと思うんですが、茅原さんいかがでしたか?」(松岡さんを見て問いかける) 茅原「はいっ!?えーっとォ、」 \ドッw/ 松岡「ずっと私のこと見てましたよ今w」 茅原「鏡やハルヒの消失は小説、まぁ読んでいたので改めて台本いただいて、中をこう読んで、先ず一番最初にびっくりしたのは、台本の厚さ?大きさ?重さ?私、劇場版が初めてだったので涼宮ハルヒの消失が、なので台本の厚さに驚いて、その後はキョンの台詞の量に驚いて」 \ワハハハハ/ 「そして、その後は小説の中にはないオリジナルのシーンとかが詰め込まれているのにちょっと感動して、いろいろびっくりしました。」 西山「そうですね、まず分厚いって部分から言えば、」 茅原「すごいですよねー!」 西山「アニメ映画の中でもかなりの長編なので、本当に尺が長いのと、」 松岡「何分有るんでしたっけ?」 西山「えーと2時間…あー、2時間43分くらいですね」 松岡「そんな長いんだー!」 西山「あとは今出てきたキョンの台詞、」 松岡「ねー、ほとんどキョンでしたもん」 西山「杉田さんへろへろになってましたよねwまーでもね、あのー、杉田さんの渾身の演技が当然この後スクリーンで見れる訳なんでね、杉田君頑張ったなーと思って皆さん見て戴けると、ね、思います。」 372 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 27 43 ID CksTCQ8G 西山「松岡さんはどうでしたか?」 松岡「全く同じ意見です」 西山「全く同じ?w」 松岡「2番目はそうだなーっておもってきいてましたwあのね、2版に別れてるの、あまりの多さにw劇場版って、厚くても一冊で、重たいなーって思いながらやったりするんだけど、 今回の消失のは、その劇場の重たいなーって思うのが2冊有るの。上・下みたいな。で私収録の時どっち持ってけばいいんだろーとか思いながら確かに半端無い、 初めて劇場やるんだったら、他の劇場そんな、タウンページみたいになってないw」 茅原「ほんとにタウンページみたいだったねw」 西山「松岡さんは他の作品で、劇場アニメってのは、既にもう」 松岡「そうですね、今公開になってるモノも、あってたりするん・・・・・・」 西山「まぁまぁ、その辺の話はね、後でこう、後ほど後ほど」 松岡「そうなんですけれども、えーと、いくつか作品をやりましたけれども、確かにあの二冊は凄いなと思ったのと、どこまで行ってもキョンなのよwあたしどこにでてんのとw」 「そうねー、あぶり出しかと思いましたよwよくよく探せばありましたよw」 西岡「いやー、この場に杉田さんがいないのが悔やまれますけどねwあのー、」 377 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 41 13 ID CksTCQ8G 西岡ってだれだ 西山「いやー、この場に杉田さんがいないのが悔やまれますけどねwあのー、次の質問がですね、 実はご自身のキャラクター以外で特に消失という作品の中で気になったキャラクターはいますか?っていう質問なんですけど、 まぁ、キョン、キョンはどうしても気になっちゃうとは思うんですけれども、あえてキョンを外してみると他に気に入ったキャラクター、気になったキャラクターって」 茅原「んーーーー、キョンを外すのかー、わたしねー、キョンのことそんなに意識してなかったですよ」 \おーーーっ?!/ 松岡「うーん、あたしはー、その前に舞台挨拶って前も見た人いるー?」 \はーいっ/ (かなりの人数が手を挙げる) 西山「ああ、それね、僕も聞きたかった。池袋でもやったし、千葉の方でもやりましたよね。千葉きた人?」 (かなりの人数挙手) 「おー、すごーい!」 「池袋きた人?」 (かなりの人数が挙手) 「おー!」 「バルト9来た人」 (かなりのn(ry) 西山「気のせいか同じ人が3回挙げてるような気がするんですけどもwありがたい話ですけどねw」 松岡「四回来てる人」 西岡「いますねーwありがとうございます」 茅原「ありがとうございます」 \京都は!京都は!/ 西山「あっ京都ね!京都行った人」 384 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 58 29 ID CksTCQ8G 西山「あっ京都ね!京都行った人」 (やっぱりいる) 西山「おおー」 松岡「すげー」 西山「京都はね、あのー、スタッフの方が行って、」 松岡「ねー、白石が行ったと噂で聞きましたけど。」 西山「私も出張で行けるかなーと思ったんですが行けなかったですねw」 松岡「千葉行ったときにさー、白石のファンが2人くらい居たのw」 西山「すみません、すみませんそのとき私が白石ですって行ったとき思いっきり滑ってこの後の流れどうしようかなーって思って、本当にスイマセンでしたw」 松岡「そんなことで私が話してたのが、桑谷夏子の殺戮シーンが一番好きです。『ゆきさん、それは、私じゃない。』ってwあそこのシーンあの作品の私は一番の目玉だと思っているんですよねー」 西山「あー、あっ!先に聞いとけばよかったんですけど、まだ見てない方、消失を」 (いくらか手が上がる) 「えぇっうそーぉ!」 「あ゛ーっ耳ふさいで!もう遅いけど!」 「あぁー」 \あーっ/ 松岡「これから私たちに与えられてる質問て、見てることを前提になってるんだよねw」 西山「ひどい仕掛けですねーwいや、あのー、フォローさせて戴きますけど、消失の小説読んでれば勿論顛末はわかっちゃう訳じゃないですか。 それでも絶対楽しめます。それはもう保証付きなんでそこはご安心ください。ネタバレしやがってって思ってるかもしれないですけれども、それ以上の、 やっぱりね、映像とか音とかのクオリティがあるので、ご安心ください。絶対大丈夫です。」 松岡「大丈夫だよ、だって桑谷夏子の殺戮シーンないもん。」 387 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 02 14 15 ID CksTCQ8G 松岡「なっちゃんは別に殺してないからねw」 西山「そうですねw」 松岡「なっちゃん役だって話ですからねw」 西山「ま、今その話出てきましたけども、茅原さんはどうですか?一押しのシーン。」 茅原「一押しのシーンですか、そうですねー、たくさんありますねー。なやむなー」 松岡「小声(かんがえとけよ!)」 茅原「そうですね、いくつもあるんです、入部届のところもそうですし、あっキョン」 松岡「キョンを外してしまうと悩むんだよね」 西山「この、お気に入りのシーンはキョン入っていてもいいですよ、キョンのシーンでもいいです」 茅原「病院でキョンが目を覚まして、あ言っていいのかなー」 西山「またやばい人耳ふさいでくださいw」 茅原「うん、キョンがー、顔を触るシーンがあって、そこがすごいきゅんとするところで、そこで初めてキョンも男の子なんだなっていうのを凄く感じて、唇も触るんですよ」 松岡「キョンっていう」 茅原「うん、なんかすごい気持ちが伝わってくるって感じで」 松岡「どうなっていくんだろうねー、あの二人ねー、」 茅原「ねー」 西山「まぁ本当になんだろう、見てない人がいる前でしゃべっちゃいけない部分、以降の見せ場が凄いですからね。ほんとに。今しゃべってるのだってほんの一部ですからね。もうフォローに必死ですけどもw」 476 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 40 35 ID OR+KteV3 西山「まぁ本当になんだろう、見てない人がいる前でしゃべっちゃいけない部分、以降の見せ場が凄いですからね。ほんとに。今しゃべってるのだってほんの一部ですからね。もうフォローに必死ですけどもw」 西山「ああ、あとこれはね、是非聞いてみたかったんですけど、今回消失ってああいうストーリーじゃないですか、ある日突然お二人がですね、消失のキョンと同じ立場に立たされたらどうします?」 松岡「どうする?」 茅原「どうしよーかなー」 松岡「考えとけよーw」 \ドッ/ 松岡「まぁ私はねー、私のことを知ってる人を必死で探すと思う。で、なんか、探し倒して、たった一人でもいたらほんとうわ゛あ゛ぁーー(抱きつく仕草)ってなる」 茅原「www」 松岡「確かに、こんな妄想してましたが、数秒の間に思いついた?」 茅原「思いついた、うん、私キョンと一緒だと思います。」 西山「あー、その、元に戻そうと?」 茅原「元に戻そうって言うかあの人ただハルヒに逢いたかっただけ」 \ドッ/ 茅原「多分なんか、・・・・・・あの人とか言っちゃったw」 松岡「同じ感覚?杉田君とw」 478 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 45 38 ID OR+KteV3 西山「なるほど、んー、わかりました、ありがとうございます。で、ここから先、矛先が変わってと言うですかね、会場にいる皆様にですねお知らせがございます」 松岡(わざとらしく)「うぇー!?」 \オオォォォ!/ 西山「けっこうね、時間がわりと早く進んでるんですよ」 松岡「もうちょっと広めてもいいよw」 西山「もうちょっと広めてもいい?w(袖のスタッフに尋ねる)」 「ああ、今ね、オッケーサインが出ました。もうちょっと広げさせて戴きたいと思いますハイ。」 松岡「わかりましたwちょっとハッピーターン食べ過ぎてw 茅原「ハピっwすごかったねーw」 松岡「楽屋でさ、『ハッピーターンがー』とか言いながら、気がついたら山ができてるんだよ、包み紙の。」 茅原「おいしかったーw」 西山「もの凄い勢いで食べられてましたよねw」 松岡「全部あけたんじゃないの?w」 茅原「ヒトフクロアケテナイデスヨーソンナンw二個ぐらいしか残ってなかったけどw」 西山「松岡さんもものすごい勢いでポテトチップス食ってましたよね」 松岡「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」 西山「これちょーおいしーとかいいながらw」 松岡「そう、ウチのマネージャーが買ってくれたのかわからないんだけど、カライーっていう激辛のポテトチップスがあって、凄く美味しかったよねw」 茅原「おいしかったよねー」 松岡「誰か止めてあたしを羽交い締めにしてーってw」 西山「延々食べてましたもんねw舞台挨拶前に大丈夫かなーって思ったけど」 481 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 51 16 ID OR+KteV3 西山「延々食べてましたもんねw舞台挨拶前に大丈夫かなーって思ったけど」 松岡「ちょっとあたしも躊躇いながらw楽しい楽屋トークを繰り広げつつ」 西山「そろそろお知らせもどっていいっスか?」 \ドッ/ 松岡「じゃあお知らせ」 西山「ええ、そうですね、まあお知らせもあるんですけども、ご自身のキャラクターとキョン以外で気になったキャラクターを未だ聞けてなかったかなーと思って。」 松岡「あたしはほら、朝倉の話をさっきして。」 西山「茅原さんからまだ聞けてなかったかなーと思って。このキャラは・・・・・・」 茅原「そうですねー。そうですねー・・・・・・」 西山「どうしてもね、消失ってお話はキョンと長門の話になってきちゃうので二人を取り除かれるとけっこう厳しいと思うんですけど、あえて。」 松岡「白石か。白石か!白石なのか」 西山「誤解されるので言っておきますけど白石さんはあくまで中の人ですからねwあの白石ってキャラは居ませんからw」 \ドッ/(居なくても笑いをとる白石) 茅原「最近白石さんに会いましたよ。久々に。」 西山「会いましたかw」 茅原「2日前くらいに。」 松岡「どうだった?」 茅原「・・・・・・元気でした。」 \ドッ/ 西山「私も会ったんですけど肉付きよくなってましたね」 松岡「なんか、ぽにょの歌歌いながらおなかつまんでるよねあの人」 茅原「うん、なんか、落ち着いた感じがしました。」 西山「いいフォローだと思いますw」 茅原「はい。」 482 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 56 41 ID OR+KteV3 西山「はい、というわけで気になったキャラクターは?w」 茅原「そうですね、キョン君以外って難しいなー、難しいなぁ。なんて言ったら面白いんでしょうね?」 松岡「あたしかなー?w」 \シャミセン!/ 茅原「シャミかーwうーん、でもあたし、普通にハルヒが好きだったりします。」 西山「おー、それはあの、消失の改変された世界のハルヒ、を好き?」 茅原「はい、はい。クールでね、カッコイイデス。」 西山「カッコイイデスねーw あのね、その、外見的に・・・・・・なんで笑ってるんですかw」 茅原「わかる?」 松岡「わかるーw」 西山「いつものなじみのある制服じゃなくて、よりカチッとしてなんか、よりシャンとした感じはしますよね」 松岡「ハルヒの髪長い姿が凄くびっくりしたというか印象的だったというか」 茅原「そうですよねー、存在感がなんかもう圧倒的」 484 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 04 00 ID OR+KteV3 西山「より長い髪のせいで、よりクールな感じがしましたよね。だけどいざこう進んでくといつものハルヒの・・・・・・」 松岡「みくるの大人にちょっと萌えた人」 \はい/ \ハイ/ (ちらほら手が上がる) 松岡「やっぱみんな巨乳が好きなのかw」 西山「しょうがないでしょうw」 茅原「しょうがないw」 松岡「おっぱい大好きなんだろ!w」 \大好きです!/ 松岡「はいっw」 西山「好きです!・・・・・・はい、ということでおっぱいの話はしまったところで、ここでそろそろ告知のコーナーに移りたいなと思ってます。あのー、楽屋で戦々恐々としてましたけど、ちゃんと言えますでしょうか?」 二人「言えます!」 西山「いえます!じゃあまず茅原さんの方からですね、情報の方、お願いします。」 茅原「はい!」 西山「はい。」 485 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 10 22 ID OR+KteV3 茅原「劇場版涼宮ハルヒの消失がDVDとブルーレイになって、12月18日に発売になります!・・・・・・そして、・・・」 西山「そして、?」 茅原「こちらは、限定版と、通常版、の、2種類有るので、パッケージが・・・・・・4パターン!・・・・・・」 (時間差で)\おぉ~/ 茅原「ホームページ等々で見れるんですよね?」 西山「そうですね、ホームページで絵柄確認できます、はい」 茅原「そして、」 西山「はい」 茅原「なんと」 西山「はい」 茅原「ブルーレイの、限定版、には、・・・・・・ふぅ~」 \ワハハハハ/ \ガンバレ!/ \がんばれ~/ 西山「パッケージイラストがね、BD限定版は違うじゃないですか」 茅原「いとうのいぢ先生の、書き下ろしの!」 西山「唯一いとうのいぢ先生の書き下ろしは、ブルーレイの限定版だけですね」 茅原「そうなんです!」 西山「そして!」 茅原「まだまだ終わらない、ブルーレイ限定版の方には。。。涼宮ハルヒの消失の脚本集が付きます!わ~」 \パチパチパチ/ 茅原「12月18日発売になりますので、よろしくお願いします!」 西山「はい、きちんと言えましたwありがとうございます。」 \パチパチパチ/ 488 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 19 57 ID OR+KteV3 西山「では続いて、松岡さんの方、お願いします」 松岡「はい、えー、こちらの新宿シネマートさんでですね、また2週間の公開があります。消失の。12月17日までの公開になるので是非皆さん来て下さい。あとですね、スタンディポップってあるじゃない、大っきい」 西山「キャラクターの画が描いてある看板みたいなモノですね、はい」 松岡「見かけたでしょ?アレも抽選でプレゼントされたりするそうなので、お見逃し無くと言うことで。」 西山「はい、そうですね、ロビーとかにも飾ってあると思うので、是非ご覧下さい。で、ロビーと言えば、ハルヒグッズが今ですね、ひしめき合ってます。新宿の劇場とは思えない、今、ハルヒグッズが一角を占めてますので是非皆さんお時間有ればね、お買い上げいただいてと、思っております、ハイ。」 茅原「はい。」 西山「はい。というわけで、以上告知コーナーでございました。」 \パチパチパチ/ 西山「台本持ってくるか持ってこないかって話をずっと控え室でしてて、」 茅原「そうなんです」 松岡「で、『無理~』っいうから大丈夫だよ~って、そしたらあーあーなんだっけなんだっけーって」 西山「でも結果的にはね、ばしっと決めていただいてよかったと。ということでですね、早いものです。もうなんとね、時間が迫って参りました。」 \えぇ~/ 489 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 25 50 ID OR+KteV3 \えぇ~/ 西山「ねぇ~、残酷ですねーwまぁでも劇場ってしょうがないんですよ。時間区切って端端とやっていかなきゃいけないので、ここで残念ですが最後にお二人からですね、今後のご活動、この際だから他社の作品でもいいです、今後のご活動展開等含めてお客様にですね、お別れのご挨拶の方お願いしたいと思います、はい。」 茅原「はい」 西山「それでは先ず茅原さんの方からお願いしたいと思います。」 茅原「はい!えー、今日は短い時間でしたが、お会いできてとっても嬉しかったです。えーと、えーと、涼宮ハルヒシリーズいろいろ展開していけてるのは、応援して下さってるお客様のおかげだと思います。改めて本当にどうもありがとうございます。」 \パチパチパチ/ 茅原「涼宮ハルヒの消失、とっても素敵な作品なので、ぜひ今日も楽しんでみていっていただきたいですし、18日、DVDブルーレイとして発売されますので、そちらの方も是非手に入れていただいて、お打ちの方でも楽しんでいただけたらと思います。今日はどうもありがとうございましたー!」 \パチパチパチ/ 490 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 35 42 ID OR+KteV3 西山「はい、ありがとうございました。では続いて松岡さんの方からもお願いします。」 松岡「はい、えーと、今日はほんとに沢山来ていただいて、なんか、入ってくるときにもうチケット売り切れましたって書いてて、流石だなーと皆熱い思いが伝わってくるなーと思いながら、わくわくしながら皆さんと会えるのを楽しみにしてきました。凄い短い時間でしたけどもね、とても楽しんで舞台挨拶ができて凄く嬉しかったです。えーそしてお知らせですが、えーとーえーとー、ブリーチ劇場版がですね、」 \ワハハハハ/ 西山「ブリーチ!?」 松岡「はい、ただいま公開中です、井上織姫出ております、是非ご覧になっていただきたいと思います。えー、年明けからですね、ドラゴンクライシスという作品に出ることになっております、是非そちらの方もご覧になっていただきたいと思います。」 「というわけで、ハルヒの方もね、又なんかね、皆さんに会えるタイミングがあるといいなと」 茅原「ねー」 松岡「ねー、思いながら頑張っていますので、これからも是非是非涼宮ハルヒの憂鬱シリーズを愛していただけたらな、嬉しいなと思ってます。今日は本当にありがとうございました!」 \パチパチパチ/ 494 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 47 17 ID OR+KteV3 西山「はい、それではありがとうございました、ご来場の皆様、最後にゲストのお二人に盛大な拍手をお送り下さい!茅原さん松岡さん、今日は本当にありがとうございましたー」 二人「ありかとうございましたー」 (二人退場)\ みのりーん!/ \ みのりーん!/ \愛してる!/ 西山「コレより劇場版涼宮ハルヒの消失本編の上映となります、最後までSOS団の一員として作品に参加していただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました!」 \西ー/ 西山「あ、ありがと」 \西山ー!/ \ パチパチパチパチ/ \ピィー!(指笛)/ 西山氏、盛大に見送られながら退場 そして本編へ ロビーのポスターへのサイン 所狭しと並ぶハルヒグッズ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3171.html
涼宮ハルヒの24 シーズンⅡ~それぞれの休日~ 2キョン4 2ユキ4
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/5656.html
涼宮ハルヒの約束 機種:PSP 作曲者:神前暁,中矢博元 開発元:ガイズウェア 発売元:バンダイナムコゲームス 発売年:2007 概要 『涼宮ハルヒの憂鬱』の初のゲーム化作品。ジャンルは非日常体験アドベンチャー。 ゲームで初めてモーションポートレートを使用。開発元が同じ『とらドラ・ポータブル!』でも同じシステムが使われている。 アニメの音楽を担当した神前暁がスタッフに参加。 また「冒険でしょでしょ?」「恋のミクル伝説」といったアニメテーマソングも使われている。 収録曲(サウンドテスト順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 さあ、行くわよ! いつもと変わらぬ日常 優しさの予感 かくしてトラブルの女神は舞い降りた あの…それ、本気ですか? 危険がいっぱい!? 憂鬱な午後 閉鎖的閉鎖空間 手のひらの中の世界 崩壊 なつかしい日々 伝えたいキモチ もう一度、アナタと… カタストロフ 恋のミクル伝説 涼宮ハルヒ(神前暁) 歌:朝比奈みくる(後藤邑子) 渚のビーチバレー ラブラブポーカー ザ・デイ・オブ・サジタリウス 最終未来を見せて!(ハルヒバージョン) 作:田代智一編:安藤高弘作詞:畑亜貴 歌:涼宮ハルヒ(平野綾) 最終未来を見せて!(みくるバージョン) 歌:朝比奈みくる(後藤邑子) 最終未来を見せて!(長門バージョン) 歌:長門有希(茅原実里) 最終未来を見せて!(三人バージョン) 歌:平野綾、後藤邑子、茅原実里 世界が夢見るユメノナカ(ハルヒバージョン) 歌:涼宮ハルヒ(平野綾) 世界が夢見るユメノナカ(みくるバージョン) 歌:朝比奈みくる(後藤邑子) 世界が夢見るユメノナカ(長門バージョン) 歌:長門有希(茅原実里) 世界が夢見るユメノナカ(三人バージョン) 歌:平野綾、後藤邑子、茅原実里 冒険でしょでしょ? 作:冨田暁子編:藤田淳平 歌:平野綾サウンドテスト未収録 サウンドトラック 涼宮ハルヒの約束 世界が夢見るユメノナカ/最終未来を見せて!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1026.html
第六章 とりあえずあの未来人…これからは俺(悪)としておく、によると俺はあの二人を何とかせねばならんようだ。 長門なら朝倉と一対一なので大丈夫だろうが古泉はあのアホみたいな顔をした巨人約50匹と戦っている、一匹でも数人がかりなのにな、かわいそうなこった。 やはり俺とハルヒが最初に閉鎖空間に閉じ込められたときと同様、ほかの機関の超能力者は入って来れないようで一人で戦ってるように見える。 俺は走って病院の駐車場に走った、窓から見るに古泉は病院に近いところににいる神人から倒しているようだったので。比較的近くにいたのですぐに古泉の下まで来れた。 「古泉!大丈夫か?」例の赤玉姿なのでやつの状態はわからないので聞いてみた。 「大丈夫です、涼宮さんはのほうは大丈夫ですか?」古泉は非常につらそうに言った。 「ああ、いろいろありすぎたが多分大丈夫だ。半分はな。」手伝えることが無いのはわかっていたがとりあえず聞いてみた。 「半分?まあいいでしょう、あなたが大丈夫だと言うなら大丈夫です。実はほんのちょっと前にわかったんですが、涼宮さんの能力を消去できるツールがあるようです。いったいどこにあるのかはわかりませんが存在していることは確かのようです。できればそれを探してきていただけませんか?恐らく近くにあるはずです。 一応言っておきますが何故わかったのかと言うとわかってしまうのだから仕方がありません。」 そんなモンが近くにあるのか?タイミングがよすぎるだろう。だがここはしかたない。 「わかった、探してくる。それがあれはハルヒは普通の人間戻ってこの巨人どもも消えるんだな?それまで持ちこたえてくれよ」 俺は古泉がニコッと微笑んだように見えた。そして古泉は返事をしなかった。 とりあえずそのツールとやらを探そう、古泉によるとこの近くにあるんだよな、とりあえず情報が少なすぎる、長門なら何かわかるかもしれない。 とりあえず病院内で朝倉と交戦中の長門のところに行って聞いてみることにする、なに場所なら簡単だ、どっかんどっかん言っているところがそうに違いない。なぜ病院が崩れないのかが不思議だ。 朝倉の目的は恐らく俺なので攻撃してくるだろうが長門が何とかしてくれるだろう。全く長門には頼りっぱなしだ。俺は恐らく長門と朝倉が戦ってるであろう場所を目指し走った。 爆音地に着くとやはり朝倉と長門がいた、長居は無用なのですぐに用件だけ伝えた。 「長門!古泉によるとハルヒの能力を消すツールがこの辺にあるらしいんだがどこにあるのかわからないか?」 すると高速で朝倉のどっかの細目の警官のような突きを交わしながらなんと俺のほうを指差した。 何?俺?俺がそのツール?いやいやありえねーよ、そんなわけが無い。まさかそんな真実があったなんて、やっぱ俺の正体も何かしら隠されてたのかー…などと喜んでいいのか悲しんだらいいのかよくわからん状態になってたら長門が「その後ろ。」 やっぱり?でー俺の後ろ?俺の後ろには何も無いぞ?と思った瞬間さらに長門が心を読んでいるのか「もっと。」だと。 なるほどね、ヒントはもらった。 つまりはこの方角のずっと先にあるってことね。「サンキュー長門。」 そうして走り出そうとし後ろを向いたとき、長門がそっと言った。「sleepingbeauty…」 またこれか…今はそんなこと気にしてる場合じゃない。「サンキュー長門」と言いなおしとっとと外に出た。 そして俺が長門の指した方向を見て俺はおどろいた、なんと見覚えのある大豪邸だ、言うまでも無くあれは鶴屋邸だ。 そうするとそのツールとは恐らくあのオーパーツの事だろう、そういえば10cmくらいの棒って…そんなお菓子があったような…、 なるほど。だいぶ話が見えてきたな。などと考えつつ鶴屋邸を目指した。病院から鶴屋邸までは5分も走れば何とかなる。 5分たったころには俺は鶴屋邸に着いた。 とりあえずとっととオーパーツを探そうとしよう。ここも閉鎖空間の範囲内なので誰もいないので大丈夫なはずである。 泥棒のような感じで嫌なのだが世界がかかってると言うことになると話が変わってくる、俺は鶴屋邸に不法侵入…もとい家宅捜索を開始した。 手当たり次第に探すのも効率が悪いので金庫などを調べてみようと思う。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………あれ? 金庫ぶっ壊したり手当たりしだい金目のものを隠してあるような場所を探してみた が見つからない。 30分は探しているが見つからない。 どこにあるんだ、俺はある場所以外を懸命に探していた。 それは鶴屋さん本人の部屋である。 いくらなんでもそれは鶴屋さんに悪いと思ったからだ。 しかしなんとか世界を救うためと自分に言い訳をして彼女の部屋に入った。 そして俺は驚嘆した、なんと例のオーパーツがなんと彼女の学習机の上においてあったのだ、メモのようなものもあった。 「キョン君がんばってくるにょろよ。」 全く…この人には驚かされてばっかりだ。 わかってるのかわかってないのか、なにものなんだろうか。 ていうか何をがんばるのか、その辺を詳しく書いて欲しかったな。 さて長居は無用である、すぐに病院に戻って何とかしなければならない。 古泉を何とかしてやらないとな。 俺は必死に病院を目指し走った。 しかしこれはどうやって使えばいいんだろう、古泉は何も言ってなかった。 ハルヒに向かって振ればいいのか? 1つだけ心当たりがあるのだが…恐らくこれは無いので今は考えないでおこう。 あれこれ考えているうちに病院に着いた。 俺は古泉に一礼し病室へと急いだ。 長門もまだ戦っているようで爆発音が鳴り響いていた。 朝比奈さんは気絶したまま、未来人も腕組んで壁にもたれてて、ハルヒは朝比奈さん(大)と話ていた。 一応聞いてみる。 「ハルヒ、この金属棒でお前を何とか直せるかも知れん。やり方とかわかるか?」 当然ハルヒがわかるわけも無く、首を横に振った。 「おい、そこの未来人。これの使い方わかるか?ていうかわかるだろ。教えてくれ。」 未来人は顔色一つ変えずに「教えない、これは俺の規定事項だ。お前にとってもそうだろう?朝比奈みくる。」 「ええ、そうね。でもこれは私の抵抗、キョン君。あの時の…最初のヒントを思い出して頂戴。」 最初のヒント…白雪姫か。 「わかりました。」 俺は考えた、ここは閉鎖空間であり、長門はsleepingbeauty、朝比奈さんは白雪姫。 やっぱあれか。じゃあこの金属棒はどうするんだろう。今は考えてばかりいる場合ではないような気がする。 何かしらの行動を起こしてみるか。 じゃあやはり学校に言ってみるか。あの時のようにすればいいのかもしれない。 思い立ったが吉日だ。 「おい、ハルヒ。お前外に出る余裕あるか?学校に行ってみよう。何かわかるかもしれない。」 ハルヒは一瞬考えて首を立てに振った。いつも主役なのに空気過ぎないか?お前。 とりあえずハルヒと俺だけの二人だけで学校に向かうことにする。 第七章
https://w.atwiki.jp/gemu/pages/78.html
涼宮ハルヒシリーズとは角川スニーカー文庫から発行されている谷川流先生のライトノベルのシリーズ。 2006年8月現在シリーズ八冊で300万部の売り上げを記録している。 また2006年4月にアニメ化された。 作品紹介 公式サイト 涼宮ハルヒの憂鬱 オフィシャルサイト 一応キョン(一部長門)が作った事になっている公式サイト いろいろな仕掛けが満載 涼宮ハルヒの憂鬱 特設ファンサイト どっちかっていうとこっちが公式サイト 涼宮ハルヒの憂鬱 京アニサイト 制作の京都アニメーションの公式サイト EDの絵コンテが公開されている
https://w.atwiki.jp/otomadstar/pages/556.html
▽タグ一覧 テレビアニメ 京都アニメーション 兵庫 時間ループ 涼宮ハルヒの憂鬱 野球 音MAD素材 高校生 ニコニコで【涼宮ハルヒの憂鬱】タグを検索する 概要 角川スニーカー文庫のライトノベル。 作者:谷川流 イラスト:いとうのいぢ 2006年には京都アニメーションによりアニメ化。 アニメが大ヒットし「ハレ晴レユカイ」「最強パレパレード」による踊ってみた・歌ってみたブーム、ニコニコ動画におけるMADブーム、「涼宮ハルヒの激奏」によるアニメによる声優ライブブームとキャラソンブーム、その後の「らき☆すた」「けいおん」などにも繋がる京都アニメーションブームなど様々で大きなムーブメントを引き起こしたヲタク界における2000年台を代表する作品のひとつ。 ストーリー 女子高生・涼宮ハルヒが、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的に設立したクラブ「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」(通称:SOS団)のメンバーを中心に展開する、「ビミョーに非日常系学園ストーリー」。
https://w.atwiki.jp/lightnovelstory/pages/42.html
涼宮ハルヒシリーズ 著者/谷川流 イラスト/いとうのいぢ 角川スニーカー文庫 涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの溜息 涼宮ハルヒの退屈 涼宮ハルヒの消失 涼宮ハルヒの暴走 涼宮ハルヒの動揺 涼宮ハルヒの陰謀 涼宮ハルヒの憤慨 涼宮ハルヒの分裂 涼宮ハルヒの驚愕(前) 涼宮ハルヒの驚愕(後)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5833.html
…… とりあえずだ、現実逃避してる場合じゃないぞ。いや、だって、今のってどう見ても告白だったろう?? いつから告白ってのは…こんな日常会話に混じる親近感あふれる代物になったんだ?? …待て待て!とりあえず落ち着け!今は告白の定義などどうでもいいだろう…!? それよりも佐々木にどう返答するか、それを考えねばならない。改めて佐々木を見る。…かわいい。 いや、第一声がそれってのもどうかと思うが…しかし事実なのだからどうしようもない。フィルターをのけたって、 余裕で平均は超えてるだろう。顔以外にも目を向けてみるが…そのプロポーションの良さだって言うに及ばず。 認識した途端、この状況が物凄く不思議に思えてきた。なぜ俺みたいな平凡野郎がこんな美少女と 談笑できているのかと…慣れってのは恐ろしいもんだな。そう考えるとハルヒもそうか。 あいつにも佐々木同様のことが言えるかもしれない。朝比奈さんや長門にしてもそうだが、 どうしてこう俺の周りにいる女の子はレベル高いコばかりなのか。つくづくそう思った。 「…キョン?さっきからどうしたんだい…?僕の顔や足に何かついてるのかな。」 佐々木が顔を伏せ気味にして、何やら恥ずかしそうに声を発してる。って、え?顔や足? …… 「!す、すまん!」 つい声を張り上げてしまう。そんな俺に、佐々木はキョトンとしていた。 おそらく俺は佐々木の体を…舐めまわすかのごとく見てた…んだと思う。何やってんだ俺…!? 「いや、まあ、別にいいんだけどさ。僕も一応女の子だから、殿方に理由もなしに ジロジロ見られるのは恥ずかしいんだ。そこはわかってほしいな。」 「あ、ああ…すまん。次からは気をつける。」 「というか…何をそんなに動揺してるんだい?まさかとは思うが…『好き』をそういう意味でとった?」 え…?どういうことだ??『そういう意味』って何??【好き】は【好き】でしかないんじゃないのか…!? 「あ、あのねえキョン。さっき言った好きってのは友達としての好き、つまりlikeだよ。 愛してるのloveじゃないんだ。状況的に後者じゃないってことは言わなくてもわかると思ってたけど…」 「……」 あまりの脱力で死にそうになった。何この茶番は?そして、俺のあのドキドキも一体何だったのか。 いろんな意味で涙が出そうになった。とりあえず、心の中だけでいいから一言叫ばせてください。 まぎらわしすぎる…っ!! 「ああぁ…悲しい顔をしないでキョン。こっちも悪かったよ…安易に好きって言ったりしてゴメンね。」 「いや、いいんだ。もうそれについては…」 疲れた。以上。 「ただ、涼宮さんがlikeかどうかはわからないけどね。案外loveだったりするかもしれない。」 「佐々木…この局面でからかうのはやめてくれ…俺をオーバーキルしたって良いこと何もねえぜ…?」 「別に冗談で言ったんじゃないけどなぁ今のは。で、実際のところどうなんだい?彼女は。」 「どうなんだって…俺にそれを聞くか!?どうしたもこうも、相変わらず涼宮ハルヒその人よ。 今日の昼会ったときだって、団長様以外の何者でもなかったさ。」 「今日…ああ、そういえば日曜はSOS団の不思議探索だったか。何にせよ、彼女は元気そうだね。」 「元気すぎて困るくらいだ。」 「くっくっくっ、そのバイタリティー、僕にも分けてほしいものだ。しかし…ふむ、 その様子だと何もかもうまくいったようだね。本屋で会った時点でなんとなくわかってはいたけど。」 「?何の話だ?」 「隠さなくていいよ。昨日何があったかは…橘さんや周防さんから聞いたからね。」 っ! 一瞬びっくりした俺だったが…よく考えれば、佐々木が知っていても別段不自然というわけではない。 昨日の事件に橘や周防たちが介入してきた時点でな。 「…どこまで知ってるんだ?」 「大方の事情は知ってるかな。涼宮さんが何者なのか…いや、何者だったのかという点も含めてね。」 「……」 一昨日ハルヒが卒倒した際、長門が観測した未特定情報の大規模拡散。 もし長門がいなければ俺は…そして古泉や朝比奈さんも今回の事件の核心に迫ることは決してなかったろう。 それほど長門のはたらきは必要不可欠だったわけだが…長門が観測できたということはつまり、 天蓋領域の周防だってそれは可能だったんだろう。ということは、真実を知った奴らが 別世界の朝比奈さん殺害を決定したのも…このときか。時を同じくして俺らは大混乱だったわけだな。 「聞けば、じきに世界が崩壊するらしいとのことじゃないか?それを知った僕は自分も何かできないかと 橘さんたちに打診してみたんだが…ことごとく断られてしまった。そのため彼女たちが何をしたのかも 結局は教えてくれなかったが…まあ、僕は関わるべきではなかったってことなんだろうね。 僕にはキョンたちの無事を祈ることくらいしかできなかった。」 「…そうだったか。」 その一点においてだけは連中に感謝してやろう。佐々木を巻き込んでくれなくて本当によかった… まあ、連中からすりゃ佐々木は重要な保護対象なんだから当たり前っちゃ当たり前なのかもしれないが。 それと、『僕は関わるべきではなかったってことなんだろうね。』だが…俺からすりゃ、 関わるべきじゃなかったってよりは、知る必要のなかったって表現のがシックリくる。 なんせ、結果として奴らは朝比奈さん殺害を断行したのである。結局未遂に終わりはしたものの… そんな物騒なこと佐々木に教えられるわけがない。知る必要のないこととは、まさにこのことだ。 「…それにしても涼宮さんの過去には驚かされたよ。 僕が彼女の立場だったら…とてもではないが耐えられないね。おそらく発狂して終わりだ。 そうならなかっただけでも彼女の、その強靭な精神力には目を見張るものがある。 ただ、そんな彼女も…昨日でようやく終わったのだろう?君が…彼女を【解放】した。違うかい?」 「…そうだな。何もかも…全て終わったと思う。」 あくまで『思う』としか言えない。ハルヒの一連の能力も…消えた可能性こそ高いが、まだ断定できた というわけじゃないからな。とりあえず、古泉曰く閉鎖空間自体は一切見えなくなったとのことらしいが。 そしてここで気付く。ハルヒの能力の、それに至る過程を知っているということはつまり… 「…なあ佐々木。もしかして、お前のそれも消えちまったのか?」 つい代名詞を使ってしまい、しまったと思ったが… 今の話の流れならおそらく『それ』でも佐々木には十分伝わったはずだ。 「察しがいいね。そうだね…消えてしまった。気付いたのは今日の朝かな。 目眩がしたり、どこかが痛かったわけでもないんだが…何かこれまでとは違う強烈な違和感をを覚えたんだ。 具体的に説明できないとこが歯痒いけれど。それで気になって橘さんに電話してみたら… 案の定というわけだよ。」 …… 本人がここまで言うということは佐々木の…能力は消滅したとみてもいいんだろう。 となると、逆算的に…ハルヒの能力もなくなってるってことになる。まさかの古泉説当たりか? 『やれやれ』とか言って気だるそうに話聞いて悪かったな古泉。 「…そうか。消えて何か思ったりしたか?」 「いや、特別には。今までが大した能力じゃなかったからね。 そもそも、閉鎖空間が存在してるだけのそれを能力と言えたかどうかも怪しい。 大体そんなところではあるけど。敢えて言うならば、なくなって少し不安だったかな。」 不安? …… 一瞬意味がわからなかった。逆ならすんなり通るんだが… 「…すまない。涼宮さんの気持ちを考えるなら、なくなって不安だとか そういうことを言うべきじゃなかった。僕ときたら…本当自分勝手な人間だ。」 「いや、別に俺はそんなこと思っちゃいないが…」 逆に俺はその理由が気になっていた。確かに…ハルヒならばありえないだろう。なくなった今、 あいつは幸せなはずだからな。だからこそ、なぜ佐々木がそんな正反対のことを言ったのかが気になるのだ。 「…佐々木。よければその理由教えてくれないか?なに、それで怒るほど俺は卑小な人間じゃない。」 「……」 言うのを躊躇ってたようだが、やがて彼女は決心したのか、静かに口を開く。 「…怖かった。」 「え?」 「怖かった。君との接点がなくなるのが、怖かったんだ。」 「……」 一体何を言い出すのか?と思ったが、なんとなくその意図は伝わった。いや、確かに伝わった。 決して特別なことを佐々木は言ってるわけじゃない。彼女もまた、古泉・長門・朝比奈さんたちと 同じだった、ただそれだけだ。今日の不思議探索時、俺は古泉・朝比奈さんと…ハルヒの能力がなくなっても SOS団であり続けることを確かめ合った。元々の存在意義を失ってまでも2人は、俺たちと一緒にいてくれることを 選んでくれた。最初はなかったかもしれない繋がり…だが、今ではちょっとやそっとの理由じゃ決して離れない、 そんな強固な絆が確かに俺たちにはあった。だからこその『SOS団であり続ける』という答え。そしてそれは、 後で確認した長門も同様の答えだった。しかし…一方の佐々木はどうだろうか? 俺には、佐々木に対してそこまで露骨な役割意識はもってなかった。が、それでもだ。 SOS団と敵対してたはずの藤原・橘・周防が佐々木に接近、ないしは取り込もうとしていた客観的事実。 それを前にして俺たちと佐々木の能力に、果たして接点がないと言えただろうか?中学の卒業以来、 俺と佐々木が塾という学習環境以外で会うことが多くなったのも、これらの要素が無関係だと果たして 言えただろうか?残念ながら答えはNoだ。一部においては、俺はそれを認めなくてはならない。 佐々木本人も俺たちの関係がそれを前提として成り立ってたことを知っていた。 それは先程の彼女の言葉から明らかである。ならば、ここからが問題だ。 その接点が消えてしまったとき、俺と佐々木は一体どうなるのか?それを考えなくてはならない。 さて、どうなるのだろう。まず古泉や長門、朝比奈さんにはSOS団という明確な繋がりがあった。 だからこそ、ハルヒの能力が消えても俺たちは『俺たち』であり続けられた。しかし、佐々木はどうだ…? 彼女には…SOS団のようなわかりやすい繋がりというのがない。…繋がりがない。 つまり、接点無き今、佐々木とは元の白紙の関係に戻るというわけだ。 …… …ちょっと待て、それはおかしくないか?第一、この論法には俺個人の感情が全く反映されていない。 佐々木の感情だってそう。機械的概念で割り切れるほど、人との付き合いってのは無機質なものだったか?? そんな単純なものだったか??…何か違う気がする。 そこでふと、佐々木との会話を思い出す。今日俺に投げかけてくれた、その一連の数々を。 ------------------------------------------------------------------------------ 「とはいえ、いきなり話しかけたりしてすまなかったね。久々に君を見てしまったんで、つい…ね。 衝動が抑えきれなかったんだよ。旧友との素晴らしき再会、それに免じて許してはくれないかな?」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「僕はキョンが食べるのと同じものにするよ。」」 「それまたどうして?」 「気分さ。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「その意見は至極妥当だと言える。そしてサイズだって、自分に不釣り合いなのはわかってたよ。 それでも今日だけは君と同じ…あ、いや、何でもない。とりあえずさ、食べるの手伝ってくれないかな?」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「僕はねキョン、君に行動原理をしっかりと把握されてる、そんな涼宮さんが羨ましいと言ったんだよ。そして、 そんな彼女も君のことを把握してるからこそ、理不尽な要求が通せるんだ。互いが互いのことをわかってる… なんとも理想的な、仲睦ましい男女じゃないか。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「あ、あのねえキョン。さっき言った好きってのは友達としての好き、つまりlikeだよ。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「…そうか。消えて何か思ったりしたか?」 「いや、特別には。今までが大した能力じゃなかったからね。 そもそも、閉鎖空間が存在してるだけのそれを能力と言えたかどうかも怪しい。 大体そんなところではあるけど。敢えて言うならば、なくなって少し不安だったかな。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「怖かった。君との接点がなくなるのが…怖かったんだ。」 ------------------------------------------------------------------------------ …なるほど。冷静に回想してみて、なんとなくわかった。佐々木が…俺のことをどう考えていてくれたか。 そして、これから俺とどういう関係でいたいのかってのがな。接点が切れてしまった今どうするのか? その解決法はあまりに単純だった。 「…佐々木。」 俺は思ったことを素直に口に出す。 「なければ…作ればいいんじゃないか?」 「え?」 「接点をだ。」 佐々木はわけがわからないといった顔をしている。まあ、それも当然だろう。俺がお前の立場だったとしても、 そりゃ頭を抱え込むさ。昔、誰かさんとそういうやり取りがあったから尚更そう確信できる。 「接点って…どういうことだい??」 「どういうことって…お前が今日、俺に散々言ってたことだろう?…まあ、わからんようならストレートに言ってやる。」 一息つき、俺は言い放った。 「たった今から俺とお前は正式に『親友』とする。一方的なもんじゃなく、互いがそれを認め合う仲だ。 それは…これからもずっとだ。どうだ?これで接点ができただろう?お前が不安がる心配なんか、 どこにもなかったんだよ。」 …… 「くっくっ…アッハッハッハ!!」 それまでの重い空気を吹き飛ばすかのごとく、緊張の糸でも切れてしまったのか…佐々木は笑い出した。 「おいおい、何も笑うことはないだろう?」 「いや、この状況で笑うなってほうが無理だよ…!くっくっく…というか、 まさか君が真顔でそんなセリフ言うなんてね…!夢にも思わなかったよ…!」 「……」 俺の真顔というのは、それはそれはシリアスとは程遠いらしい。…地味に傷つきましたよ佐々木さん。 「…で、面白かったのはわかったから、結局お前はどうなんだ?『親友』になるのかならないのか?」 「おお、怖い怖い。まるで『イエスかノーか』で英軍司令官アーサー・パーシバル中将相手に 降伏勧告を迫ったマレーの虎、山下奉文大将そのものだね。いや、マレー作戦時においては 彼の階級はまだ中将だったから、山下中将と呼んだ方が適切なのかな?」 「…ぶっとんだ例えで俺を幻惑するのはやめてください…。」 「くっくっく、ゴメンゴメン、ついノリで。」 ノリであんな例えを即座に思いついたのか!? 「もちろん、答えはYesだよ。正直、キョンに面と向かって言われたのにはびっくりしたけど… でも、僕はそれを聞けて本当に嬉しかった。冗談じゃなくね。だからキョン、ありがとう。」 「…お、おう。」 こっちこそ、面と向かって礼を言われるとは思わんかったぞ?いかんな…こういう場面は恥ずかしくなる。 などと思ってた矢先 …? 佐々木はいつもと変わらないニコやかな表情をしていた。…気のせいか? 一瞬表情に陰りが生じたように見えたんだが… 「あれ?あんなところに涼宮さんが。」 現実に引き戻された。 「ハ、ハルヒだと!!?」 俺はパニックになった。いや、決して佐々木とやましいことをしてるわけじゃないが、このタイミングで 鉢合わせはいろいろとマズすぎる…!?というか、なぜここにハルヒが!?どうして!?Why!? 佐々木が向けていた視線の先…もはや何も考える気は起きなかった。俺はただただ一目散に振り返った。 …… 「なあ、佐々木…」 「何だい?キョン。」 「ハルヒなんてどこにもいないんだが…」 「軽いジョークさ。」 「……」 俺は考えることをやめた。 「ゴメンねキョン。つい魔が差しちゃった。」 「魔が差したってお前…いや、もういい。」 俺はテーブルにうつ伏せた。もはや語ることなど何もない。 というか佐々木よ、まさかこの局面でからかってくるとは、よもや思わなかったぞ…?? 俺の心臓はというと、いまだバクバク波を打っていた。お前のその『魔が差した』とかいう 刑事史上最低最悪の動機で、俺がショック死という最低最悪の死を遂げそうだったというこの客観的事実ッ!! 原因と結果のあまりの落差に目眩がしてきた。…マジで、いきなりハルヒの名前を出すような真似は やめてほしい。切実に、本当に切実にそう思った。寿命が10年は縮まったのは言うまでもない。 ということは、これを後6回くらいやられたら、俺は死ぬのだろうか? 佐々木の顔色が一瞬だが悪かったような…とかいう昔のことは、今となってはもはや忘却の彼方だった。 「ところでキョン、話は戻るけど…」 戻るも何もお前がとばしたんだがな…それも1歩どころか別次元へ。 「戻るって…どこまでだ??」 「さっきのお礼の続きからだよ。」 ああ、マジメな話をしてたあの頃か。ひどく懐かしく感じる。 「『ありがとう。』と言ったのはもちろん本心だったんだけど…君にはもう1つ言うべきことがあったんだ。」 「…何だ?言っとくけどな、さっきみたいな不意打ちはもうナシだぜ??」 「大丈夫。もう変なことは言わないよ。」 一息つき、覚悟を決めたかのごとく俺に視線を合わせ、そしてヤツはこう言い放った。 「キョンは…涼宮さんとくっつくべきだ。」 「……」 …… さっき変なことは言わないって言いませんでしたっけ?人間不信に陥りそうなんですが… 「…とりあえず聞いていいか?くっつくってどういうこと?」 「付き合うってことさ。」 さらりと言ってのけた。 …… これが…さっきの話の続き?ちょっと待て。一体どこがどこに繋がってんの??互いを親友だと 確認したまでは覚えてる。それに対し、佐々木が俺に伝えたかったこと…それが『ありがとう。』のお礼、 そしてさっきの『キョンは…涼宮さんとくっつくべきだ。』の台詞。なるほど、よく考えたら繋がってるように… ダメだどう考えたって見えない 「あのなぁ…前後関係が全く見えないんだが!?どうしてそこでハルヒが出てくる!?」 「…なるほど、君はやっぱり気付いてなかったんだね。キョンが…あの場面で強く『親友』という ワードを強調したこと。とっさに出てきた言葉が『親友』だったこと…それが全てというわけさ。」 「??」 「親友というのはね、辞書には載ってないだけでもう1つ意味があるんだよ。 まあ、わからないならわからないでいい。君は…知らなくてもいいことさ。」 やはりというか、やはり意味がわからなかった。ちょっと気になるところではあるが…まあ、本人が知らなくても いいって言ってるなら別段気にする必要もないか、といった具合で俺の中で、それは完結したのである。 …… どこか遠くに視線をずらしたかと思うと、再びこちらに向き直る佐々木。 「…君だって満更じゃないはずだ。涼宮さんのことが…好きなんだろう?」 「……」 …… 「…ああ。」 気付けばそう答えてしまっていた。肯定するのは少し恥ずかしかったが…しかし後悔はしてない。 そもそもの自覚は…第三世界終焉の地だったか。その思いを昨日、俺は確かに【ハルヒ】に伝えた。 その思いに偽りはなかった。 「…なるほどね。君の口からそれを聞けてよかった…ともなれば、後はタイミングだ。 涼宮さんも、キョンのことは好きに違いないからね。付き合う前からすでに相思相愛だなんて… もはや幸せな未来しか見えないな!いやー、実に羨ましい限りだね?キョン。」 「…勝手に決めつけられても困るんだが?なぜそう根拠もなしに ハルヒが俺のこと好きだって断定できるのか…その自信の在りかを知りたいもんだね。」 「じゃあキョン、君と涼宮さん以外のSOS団のメンバーにそれを聞いてみてごらん? きっと僕と同じ回答をするだろうからさ。」 「いや、そんなバカな話が…」 あった。 「くっくっくっ、これで当事者を除いて満場一致だね。 そういうわけで、つまりは君たちの仲をみんな応援してるんだよ。 …僕も含めて。だから、後は君が一歩踏み出せばそれでフィナーレということさ。頑張ってねキョン!」 「そんなお前、他人事みたいに…」 …… しかし、応援されてるってのは、少なくとも悪い気分ではない。 みんなが俺たちのことを祝福してくれてる…実感こそなかったが、実はこれって凄く幸せなことなんじゃ…? と心地よい感傷に浸ってたところに佐々木が一言。 「あ、キョン。後5分で9時だよ。」 …佐々木よ。お前、本当なりふり構わずだな?こんなときまで俺をからかおうってか? さすがにその手はもう喰わんわ…俺にも一応学習能力はある。で、俺はもう少しこの感傷に浸っていたい。 「信じてないって顔だね…くっくっくっ、まあ、それならそれでいい。 ただ、僕が現代に生きるイソップ物語の体現者になるというだけさ。」 「……」 凄まじく嫌な予感がした俺は、自分の携帯で時刻を確認した。 「8時…56分!?」 「あちゃー、どうやらこうやって話してるうちに1分経っちゃったみたいだね。どうするのキョン?」 「どうするって…帰るに決まってるだろう!?」 そういうわけで、急いで勘定を済ませた俺たちは直ちに店外へ出たというわけさ。 …12月の夜ということもあって肌寒かったのは言うまでもない。こっちの意味でも早く帰る必要がありそうだ。 「で、後3分で9時だけど。」 「あのな…常識的に考えて間に合うわけがないだろ…!?死のカウントダウンのごとく 時を宣告すんのはやめてくれ…それより、お前だって門限は9時なはずじゃなかったか??」 「確かに。けど言ったよね?今日は両親がいないって。だから、今日に限ってはそれは通用しないのさ。」 ああ、そうですか。だからお前は余裕もって笑顔でカウントしてたんだな。納得したよ。 しかし…どうせ間に合わないのなら焦るのもバカらしくなってきた。もちろん、早く帰るに越したことはないが… 「佐々木、帰りは送っていかなくていいか?」 かなり暗くなってたんで、一応気になった。 「いや、心配は無用だよ。明るいところを通って帰るからね。 その好意だけ受け取っておくよ。…それに、今日は1人で帰りたい気分なんだ。」 「…そうか。ま、それならいいんだけどな。」 「ところで…キョン。体のほうは大丈夫なのかい?明日学校行ける?」 「ん?ああ…そうだな。」 いつからだろうか。体の倦怠感はすっかり取れてしまっていた。死に体になってた食事前が 嘘みたいなこの感覚。人間の体はうまい具合にできてると聞いたことあるが、それがまさにこれってやつか。 「いつのまにか回復してたらしい。学校にも行けそうだ。」 「そうか…それはよかった。確かに、今は元気そのものと言っていいくらい生き生きとしてる感はあるよ。」 「これも全てはオクラ牛丼特盛りのおかげだな。食べもんの力は偉大だ。」 「おいおい…ここはお世辞でも『佐々木が一緒にいてくれたおかげだ』って言う場面じゃないかな?」 「ははは、そう呆れなさんなって。今のは冗談だ冗談!もちろん、お前にだって感謝してるんだぜ?」 「…別の意味でまた呆れたよ。随分とまあ、してやったり顔だね。よもや君が僕にそんなことを言うとは…。」 「『親友』…だからな。これくらいの言葉のキャッチボール、お前からすりゃまだ全然遊び足りねーだろ? これからもいろんな種類、試していけたらいいよな?」 「…キョン。まったくもう、君ってやつは。仕方のない人だ。」 そう言いながらも、そんな佐々木の顔は…とても笑顔に富んでいたように思えた。 俺の他愛ない言葉一つで楽しんでくれるなら…俺はそれで満足だ。 「ちなみに、それはデッドボールも可なのかな?」 そして、笑顔で何を言い出すんだ?このお方は。 「お前の言うデッドボールって、一体…?」 「うーん、暴言とかその類かな。」 「全力で断る!!そんなのハルヒだけで十分だッ!!」 佐々木に『バカ』とか『死ね』とか言われた日にゃ全力で泣く。いや、マジで。 「ほう…なるほどね。デッドボールは恋人だけの特権というわけだ? まったく、そこまで涼宮さんを特別視するなんて、君の熱の入れようにはあっぱれだよ。」 ヤツはこれを本気で言ってるのか… それとも、すでに俺の反応を伺う変化球タイムに突入してしまってるのか… 今の俺には判断のしようもなかった。これからも親友を続けていればいつかは… こういった差異も見抜けられるようになるのだろうか?ふと、そんなことを思った。 …… 「…羨ましいな。」 「?何か言ったか?」 「くっくっく。なぁに、ただの独り言だよ。キョン。」 Fin