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2008年03月17日 23 52 02 投稿 夢の中から幻想郷入り3 今回はかなり短いです。ニコニコムービーメーカーは画質きれいになるけど長い動画アップロードできないみたいなのでかなり削りました・・。次は長くしようと思ってます!多分。あとクロスオーバー大歓迎です! -- (名無しさん) 2008-09-13 13 31 10
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幻想郷大物産展 ~東方まんがまつり⑨~ 2008年1月27日 日本ガイシフォーラム特設会場にて開催 サークル名 頒布物 dakimakura.net 東方缶バッチ第7弾「特大ver」 蒼空の丘 幻想郷大物産展 ~東方まんがまつり⑨~販売(蒼空の丘) エカナテテ 東方カーカカカ1/2 カラノツキ 幻想郷大物産展 ~東方まんがまつり⑨~販売(カラノツキ)
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クリスマス、聖人たるイエス・キリストの生誕日といわれ、彼を信仰する信者達によって聖誕祭が行われる日。 最も、そんな事は東洋に位置する幻想郷の人々には関係なく、寧ろもう片方のクリスマスであるサンタクロースに関連する話題の方が中心であった。 紫「……というわけで貴方にサンタクロースを御願いしたいのだけれどよろしいかしら?」 シン「……まぁ、さとり達は女だけのクリスマスパーティにでてるんで 時間があるからいいですけど、俺一人じゃ流石にきついですよ?」 紫「そのあたりは大丈夫ですわ、 貴方にお願いするのは貴方が特に親密な人達へのプレゼントだけだから」 シン「そうですか、でも今からプレゼント用意するにしても相手が欲しい物が……」 紫「其方も大丈夫ですわ、全て此方で滞りなく準備しているから 後は彼女達が宴会で潰れた後枕元に置くだけ、 とはいっても幻想郷の妖怪達は酒に強いですし、 それまで私達もちょっとしたパーティとしゃれ込みましょう」 シン「…わかりました、今から帰ってもどうせ一人ですし、お付き合いさせてもらいます」 ~~~~~~~~シンと隙間妖怪宴会中~~~~~~~~~~~~ ユカリ「アラ、ドウシテニゲルノ? ビジョノオシャクヲコトワルノハオトコラシクナイワヨ」 シン「シタギスガタデニジリヨラレタラダレダッテニゲルニキマッテルデショウガ!!」 ユカリ「アラアラ、セイヤナンダカラコレクライイイデショウ」 シン「ゼッタイアンタチガウカンジノセイヤデイッテルダロ!!」 ユカリ「アラ?ソチラガオコノミ?ウフフ、イイワヨ、オネエサンガオアイテシテアゲマスワ」 シン「イイカゲンニシロヨアンタッテヒトハー!!」 ~~~~~~~~隙間妖怪がシンで宴会中~~~~~~~~~~~ 紫「あら、残念だけどそろそろ時間みたいね」 シン「ハァハァ……… に、逃げ切った……」 紫「じゃあこれが一覧で、この袋に中身が、 後其処にサンタクロースのコスチュームがあるか ら御願いしますわ」 シン「わかりました、それじゃあ俺は之で!!」 紫「あらら、逃げられちゃったわね… まぁいいわ、さて隙間で配達見学としゃれ込むとしま しょうか♪」 一軒目 紅魔館~地下室~ シン「此処がフランの部屋か… 然し紫さん、本当に根回ししてるんだな、 門番の人に話しかけたら直通で此処に通されたし、えっと、プレゼントは…」 紙『ボールを相手のゴールにシューット!! 超エキサイティンッグ!! 3Dアクションゲーム バトルドーム!!』 シン「……紫さんの趣味か? えっと袋に… あったあった、 って之四人用じゃあ… まぁいいか、それじゃあ之を枕元に…」 フラン「ン~…… ふゎぁ… 寝すぎちゃった…」 シン「……え? (何でフランが…ってフランは吸血鬼、じゃあこの時間が寧ろ起きる時間に…!!)」 フラン「……ン~…… 貴方誰?」(寝ぼけ眼でサンタシンを見る) シン「(まだ寝ぼけてる、なら…!!) ヤァ、ワタシハサンタクロース、イイコノキミニプレゼントダヨ!!」 フラン「サンタクロース…… え?サンタさん!!」 シン「ソウダヨ!!コレガキミヘノプレゼントダ!! タノシイオモチャダカラタイセツニスルンダヨ!! ソレジャアワタシハコレデ!!」 フラン「あっ!! ……いっちゃった、色々お話聞いてみたかったのに… でも…えへへ、初めてだ、サンタさんのプレゼント…♪ 中身は何かな~… あ、新しいおもちゃだ、しかも四人用の… お姉様の嘘つき、ちゃんとサンタさんはいるんじゃない。 さて、早速遊ぼう♪ フォーオブアカインドー!!」 二軒目 人里~稗田家~ シン「ふぅ、危ない所だった… だから紅魔館が一軒目だったのか、 多少遠回りになってもちゃんと考えたルートになってるんだな、紫さん恐るべし…… 次は阿求か、さて、プレゼントは何かな」 紙『菅原道真公認書道有段者向け筆セット』 シン「…また渋いな、まぁ阿求は幻想郷縁起とか書いてるから下手なプレゼントよりも 良い筆とかの方が良いってことかな、さてと、之も枕元に……」 阿求「ん~……」 シン「……フウッ、寝返りか、さてと、枕元に置いたしそろそろ次に…… って、しまった、服をつかまれた……」 阿求「シンさん……」 シン「…(寝言か? 夢に俺が出てるのか? ってやばい、結構強く掴まれてて放せない……)」 阿求「いっちゃ… やです……」 シン「…(俺がどっか(異世界)に行く夢でも見てるのかな…?) ……大丈夫、俺は此処に、幻想郷にいるから… だから、大丈夫だ」(優しく頭を撫でる) 阿求「ン……」 シン「……おっ、手が緩んだ、さてと、悪いけどまだ配る荷物もあるし次にいくか、 お休み阿求、良い夢を……」 阿求「…むぅ、想像以上にシンさんは鈍感でしたか、折角の寝たふりも無意味になるとは…… またシン陥落計画を練り直す必要がありそうですね……」 三軒目 天界~~伊吹の庭~~ シン「次は萃香と天子か… というか天子はともかく萃香はプレゼントとか欲しがるタイプか…? なんか半分は想像つくけどプレゼントはっと……」 紙『萃香:外界の最高級大吟醸15本セット 天子:そんなの必要ないですわ』 シン「……まぁ、紫さんと天子の仲の悪さを考えたら当然といえば当然か、 念の為に適当にぬいぐるみとか買っておいて正解だったな さてと、起こさないように慎重に……」 萃香「慎重に、どうするの?」 シン「そりゃプレゼントを枕元……に……」 萃香「ん~ふふ~、その後は帰っちゃうのかい? それじゃあちょっと冷たすぎないかな?」 シン「いや、まだ他の家に配らなきゃいけないし… って鎖で縛るな!!」 萃香「よいではないかよいではないか~、 紫に頼んだ大吟醸セットも届いたようだし折角だからいっしょに飲もうよ、 天子もおこしてさ~」 シン「それはダメだろ!! って引きずるな!! さも当然の様に鎖を増やすな!!」 衣玖「お待たせしました、外界のクリスマスに倣って鶏肉を焼いてきました、 とはいっても御酒にあう様に塩焼きになりましたが。 後総領娘様も今寝巻きからお着替えになって此方に参っておりますので、 どうぞお先におくつろぎください」 シン「いや、おかしいだろ!! なんで衣玖さんはこの状況を見て平然としているって言うか何で先に鶏肉を焼いてるんだ!!」 衣玖「私は空気を読める女ですので… では総領娘様のお手伝いをしてきますのでここで失礼いたします」 シン「説明になってない!! 寧ろ空気を読むんだったらこの小鬼を止めてくださいよ!!」 萃香「むふふ~、残念だったねシン、どうやら空気は此処で宴会をする流れらしいよ、 さぁ、堪忍して大人しくしなよ、痛くはしないからさ~」 シン「は、放せ!! まだ、まだ俺にはやらなきゃいけない事が……!! こんな、こんな所で俺ハァアアアアアアアアア!!!」 四軒目 地霊殿 シン「……うっぷ… くそっ、結局逃げられなかった… 時間もギリギリだけど、此処で最後みたいだし… さて、誰に配れば……」 紙『地霊殿在住の女性陣全員:シン・アスカとの子ど』 シン「……うん、やっぱり全員女の子だし縫い包みがいいよな、 外界で色んな縫い包み買ってきたしそれにするか そうと決まったら善は急げだ、枕元に縫い包みを置いて、 服脱いでシャワー浴びて寝よう、うん、そうしよう」 こいしの部屋 シン「さてと、まずはこいしの部屋から……寝てる…な、 こいしは小動物系が好きだったはずだからこのリスのぬいぐるみを… ん? あ、これは俺のヘルメット… そうか、なくなってると思ったらこいしが持ってたのか…… あの時、こいしに拾われてなかったら俺はここにはいなかった… ありがとう、こいし、こいしのお陰で、俺はまだ生きてる ……起きたらまた、クッキーでも焼いてやるかな… んじゃお休みこいし、良い夢を見ろよ」 空とお燐の部屋 シン「次は空と燐か…… よしよし、二人とも確り寝てるな、二人のはやっぱりネコと鳥の縫い包みかな… それだけだと流石に厳しいか…? 二人とも食い気の方が強いしな… やっぱりこのネコ缶と温泉卵セットも置いとくか さとりには… まぁ俺が後で怒られればいいか、んじゃ二人ともおやすみ…」 さとりの部屋 シン「さてと、此処が一番の難所だな、望遠鏡でさとりの目は… よし、第三の目も閉じてるし呼吸も一定、深い眠りみたいだな。 それじゃあ手早く犬のぬいぐるみでも置いて… ふゎ… やべ、気を抜いた… 急いで戻らないと、此処で寝そうだ… おやすみさとり、良い夢を…ふわ……」 後編へ 一覧へ
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霊夢/6スレ/470 タグ一覧 ○○視点 依存 束縛 標準的なヤンデレ 監禁 霊夢 俺は幻想の郷に居る。 居る、らしい。 なんでこんな言い方になるかと言うと、確かめようがないからだ。 「なぁ、霊夢。いい加減ここから出してくれよ」 朝食を地下牢の格子口に置いた巫女は、返事もせず薄笑いを浮かべて去っていく。 普段はあんな素っ気ない態度だが、牢の中に入ってきた時は人が変わる。 俺の反応を無視して甘え、依存し、時折獣のように求めてくる。 悲しい話だが、今、接触を取れるのは彼女だけだ。 俺に生活に必要な物資や糧を与えてくれるのも彼女だけだ。 同時にこの場所に拘束し、俺を監禁しているのも彼女だけれども。 「……はぁ」 川魚の干物と山菜のお浸し、麦が混じった白米と浅漬けで食事を摂る。 そう言えば海洋の魚介を口にしたのが何時だったか、忘れてしまっていた。 「本当に、ここは、幻想郷とかいう場所なのかよ……?」 それを口にし俺に説明したのは霊夢だけだ。 俺が山道での自動車事故で意識を失ってから、意識を取り戻して話した事があるのは霊夢だけである。 俺が知っている情報は全て彼女が話した事だけだ。 つまり、彼女の情報が全て嘘であり、実は正気ではない巫女に地下牢で監禁されているだけかもしれない。 しかし、それを俺が調べる事なんて出来ない。 ここを知っているのは霊夢だけみたいだし、事実、彼女以外に訪れる存在はない。 八畳ほどの広さの部屋と簡単な浴室と地下水脈に通じてるらしい水洗式厠。 そして牢越しに見える地下道と階段。これが俺が知覚出来る全てだ。 ここが本当に幻想郷なのかどうかは解らない。 俺は最近になって、霊夢が持ち込んだ徳利に手紙を入れ、入り口を鑞で蓋をして地下水脈に流している。 誰か、俺に気付いてくれ。 俺に真実を教えてくれ。 俺が、本当に、幻想の郷に居るのかどうかを。 感想 名前 コメント
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登場人物 魂魄妖夢 白玉楼の庭師。感情の整理のつく前に、出来事が加速する。 西行寺幽々子 白玉楼の主。何かを企んでいたが、結果は……。 ○○ 白玉楼の居候。記憶を取り戻し、帰る運命になる。 帰る。 いなくなる。 それは、単に、 元に戻るというだけのこと。 一人だった。 幽々子様と、二人だった。 それが三人になった。 問題があって、いつも頭を悩ませて。 同じくらい、喜んで、喜ばせてくれた。 それがいつしか、当たり前に感じて、ました。 だから、元に戻るのではなく。 元に、戻らなくなると。 そういう風に、感じました。 「先ほどの議論を簡単に解決すると、こうなるんですよ。つまり、彼は、元の世界に帰る運命を持った人間なんです」 過去の人間だから、仕方ないと、思わないといけないんでしょうか。 幽々子様はいつか、時間が無いかもしれないと、そうおっしゃられていました。 「お勧めしない理由って、まさかこのことなのかしら、紫?」 「ええそうよ。別にあの時には理由まで聞かれなかったもの。応えなかったわ。 だから、貴女が危惧したとおりに怠惰で普遍な生活が続くだけのことじゃないし、幻想郷のバランスを欠く要素だったわけでもないわ」 紫様が幽々子様に真実を伝えているようだけれど、どうでも良かった。 私は、○○さんに尋ねる。 「○○さん」 「なんでござろうか、妖夢殿」 「何故、帰らないといけないんですか?」 尋ねると、○○さんは、辛そうな顔をしました。 「嫌な理由なら、ここに残っても――」 「そうはいかぬのでござるよ」 私の言葉を遮って、○○さんは言います。 どうやらそこに、強い理由があるようです。ここに残ることよりも、別れる事よりも。 その辛そうな顔を、私は、見ていられなくなる。 「理由は、言わなくてもいいです」 「……かたじけない、妖夢殿」 辛そうな顔をしてくれるということは、せめて別れは惜しんでくれているということでしょう。 少しは、気が紛れます。 「まあ、今すぐどうこうって話じゃないのだけれど、変える時間までにはちょっとあるわよ」 「どういうことなの、紫?」 「そうね。どこかの巫女の勘では異変の前兆ね。どこかの誰かさんがここにきて歴史改変の要素を持った。 まあ、これだけでも十分異変よね。それに、まあ、歴史食いの半獣も気づかない事でもないでしょう。 ただ、歪みが許容できなくなるまで、少しだけあるの」 「何をもって限界とするのかしら?」 「彼の年齢ね。要は誕生日。その日に、帰ってもらうわ」 拙者の生まれた日となれば、 そう、明後日でござるか……。 つまりは、別れを惜しむ最後の日も、一日しかござらぬということか。 先日は、衝撃のあまり妖夢殿や幽々子殿。幻想郷の歴々と語ることも叶わぬ事でござった。 「はてさて、如何なるものやら……」 妖夢殿はやる事があるとどこかへ行かれ、拙者は白玉楼に一人で空を見上げていた。 置かれる身の置き所こそ、因果なるものよ。 命を帯びて剣術の修行に明け暮れる傍らに探す居所。それぞ、桃花源なる極楽浄土にも通ずる楽園。 渡来人の言葉を真に受けた命ゆえ、拙者はただ修行のみをしておればよかったものを……。 「あらあら、何を悩んでいるのかしら?」 声をおかけいただいたのは幽々子殿でござった。 「拙者の、身の処し方を」 「○○ちゃんったら。そんなこと、考えなくてもいいんじゃないかしら。貴方は帰ってやる事がある。決まっているのでしょう?」 「そうで、ござるな」 命こそ戯れの一言。 すぐにでも帰り、『無かった』とでも伝えられよう。 この地、野心には相応しくない。全てを受け入れると紫殿はおっしゃられども、逆に求める野心家どもの命すら食らい尽くせよう。 ただ、その様な血なまぐささを拒絶しようとは、拙者の自己満足でござろう。 この風景、血で汚したくは無い。 「そういえば、○○ちゃんって、名前も思い出したのかしら? だったらそっちの方で呼んだ方がいいのかしら?」 「いえ、今はまだ、○○とお呼び下さらぬか」 その名が、今は自然でござる。 改名などおこがましい身分でござろうが、拙者には、今や相応しき名でござろう。 「妖夢殿は、いずこに?」 「さあ?」 妖夢殿とも、お話をしたく思っていたのでござるが。 「一つ、聞いてもいいかしら?」 「なんなりと」 「○○ちゃんは、妖夢のことを、好き?」 「……口にすれば未練となりましょう」 それは、答えたも同然の言葉でござろう。 だが、それでも口にするのははばかられた。恐れ多くもあり、未練でもある故。 「そうかしら、ね。紫の気まぐれで、こんな事になるとは思わなかったわ。いくらなんでも、時間の理に触れるなんて」 「仕方なき事。されど、ここですごした時間はとても有益な、かけがえの無き事。幽々子殿にもお教えいただいたでござる」 自覚したとすれば、その時でござろう。 いつの間に、で、ござろうな……。 妖夢殿を師と仰ぐ一方で、恐れ多くも恋慕の情もあったということ。 最初、童と見ていた御方が娘に見えていた時すでに、拙者は想いを募らせていたのでござろうな。 叶わなき事ではござるが。 「妖夢には、いい相手だと思ったのだけれど、残念ね」 「恐悦至極」 「お世辞じゃなのよ。だって、そのために呼んだものだもの」 「呼んだ、で、ござるか?」 「そう。あの子は未熟だから、傍らにいるに相応しい者が欲しいって、呟いてみたの。紫の前で。そうしたら、貴方が来たのよ」 「そうでござったか」 「ええでも、こうなってしまった。けど、感謝しているわ。妖夢はきっと、成長できるもの」 「それこそ、恐悦至極」 きっと、本当は世辞なのでござろう。 拙者の方が妖夢殿にお教えいただいたことは多いはず。拙者が妖夢殿にして差し上げた事など、雀の涙ほどか。 例え拙者に恋慕の情があれど、妖夢殿にしてみれば手のかかる弟子でござろう。 もっとも、それで良かろう。それで良いのでござる。 「さて、時間も少ないでござる。一仕事かかるでござるか」 「あら、何をするのかしら?」 「せめてもの、手向けでござる」 「そう……、後悔のないようにね」 「承知」 特に、用事なんかありませんでした。 私が今いるところは、ただの雪景色が見える場所。どこなのかなんて分かりません。 何故、こんなところにいるんでしょう……。 単に、いていられなくなって出てきてしまったような。 そんな感じです。 理由も実に単純です、ね。 「はあ……」 吐く息が、とても白いです。 吹雪くわけでもなく、深々と、静かに淡く降る雪に、身を包んでいました。 寒い、ですね。 せめて、何か考えないと、いけないですね。 このまま、逃げたままではいけないでしょう。 そう、逃げたままでは……。 雪景色が寒々と映るのは何故でしょう? それは、今までとも変わらないことなのに、とても冷たくて寂しい。 寂しいと感じるのは、多分。 雅やかな雪模様を教えてくれた、隣に立っていたあの人のせい、です。 せい、なんて、言い方は……無いですよね。 あの人のおかげなんですから。 でも、そのおかげで、今は、寂しい……。 「こんなところで何をしているのかしら?」 突然、背後から声をかけられました。 油断、気付かないなんて、なんて、私は今、ひどいんでしょう……。 声から敵意は感じられず、私は、その人に向かって振り返りました。 「あら、ひどい顔じゃない。何かあったのかしら?」 「貴女は……」 「別に思い出さなくてもいいわよ。名前も言わなくていい。私はただ、ちょっとした質問に答えてた冬の妖怪よ」 冬の妖怪。そう名乗る、白と青の様相である雪のような妖怪。 彼女はそう言って、おおらか顔をしてくれました。 「そう、なんですか」 「ええ、そうよ。まあ、といっても、ただ適当に質問に答えてただけなのだけども」 「はあ……」 どこぞの新聞のコラムでにいたような、そんな話しを聞いた事があります。実際に見たことはないですけど。 まあ、どうでもいいです。 「もしここで何もする事が無いなら、少しお話させてもらえるかしら?」 「はあ、別に……いいですけど」 「そう、良かったわ」 近くにあった石の雪を払いそこに座ると、彼女も隣に腰掛けました。私の顔を見ながら、口を開きます。 「私もね、ちょっと、嫌な事があったのよ」 「そう、なんですか……」 「そうなのよ。だって、もうすぐ春じゃない。だから私にとっては、憂鬱なの」 「そうなんですか」 何を言いたいのかよく分かりません。 いやな事って、ただ、春が来る事についてでしょうか。 「そういうわけで、もうすぐしたら私はいなくなるの」 「はあ……」 「その間にね。私のことを好きだって言った男が生きるか死ぬかの手術を受けるのよ」 「え?」 突然、雰囲気が変わりました。 「悪性腫瘍らしいのよ。人間の事ってよく分からないけど、とにかく命に関わる事らしいわ。普通は、死ぬことらしいの」 「手術に立ち会えないって事なんですか?」 「あら、ちょっとは興味を惹けたみたいね。……ええ、そうなのよ。だから、私は、ちょっとした選択を迫られてるの」 「選択、ですか?」 「ええ」 彼女は、ぼんやりと空を見上げました。 「妖怪として、その人を襲うこと」 「え!?」 「妖怪なんだから、驚く事じゃないわ。まあ、中には仲良くやれているのもいるみたいだけど、それはとっても特殊なもの」 「そうです、けど。割り切れるんですか?」 「だから、選択を迫られてるの。もう一つ、私の生き方を、考えてるの」 「生き方、ですか……」 また、彼女は私の顔を見ました。 「手術の成功率は、あの天才が五分の保障をしてくれたわ」 「それって……」 「ええ、半分は、失敗するの。それに、術後の経過で一年は様子見。もしかしたら、手術に成功しても容態が急変するかもしれない」 「あんまり、ですね」 「ええ、ひどいものよ。人間って、弱いわよね。嫌になるわ……」 ひどく憂鬱そうな顔で、彼女は言います。そんな彼女を見て、私は、一つ尋ねたくなりました。 「その人のこと……」 「何かしら?」 「貴女は、その人のこと、好きなんですか?」 彼女は、……ひどく、 穏やかな顔をしました。 「分からないわ」 「でも……」 聞いている限りでは、彼女はその人物に対して、好意的であるように感じられます。 「でもも何も無いわ。そういうことなの」 「そういうこと、なんですか」 「ええ、だけどね」 彼女は顔を背けるように立ち上がって、 「いなくなると、悲しいとは思うのよ」 泣く様な声で、呟きました。 「やっぱり、近しい人がいなくなるって、寂しいですよね」 「そうね」 気持ちの整理がつかないけど、ただ単純な感情は、今も心にあって、冷たく冷たく、滲みこんで来る。 邪険にしていたあの頃が嘘のように。 隣に自然にいた今までが幻のように。 答えにならない気持ちが霞のように。 思い出しては消える、走馬灯のよう。 「貴女が別れる人は、好きな人なのかしら?」 「分かりません」 こちらの事を知っているように言うけれど、それよりも今は、彼女の真摯な問いを自分に移して考えたい。 「嫌いじゃないのでしょう?」 「はい」 「なら、見送ってあげなさい。今みたいに、向き合わないで別れたら後悔するわ。今こうしてる時間だってきっと後悔する」 「貴女はどうなんですか?」 「今は自分のことを考えるべきよ。まあ、参考程度に答えてあげるわ。私は……、もう、言う事を言って済ませたわ」 「後悔のないようにですか?」 「ええ。妖怪の一生は人間に比べたら長いもの。だから、その長い時間に引きずるわけには行かないの」 まるで自分本位の言葉だけれど、彼女はそれに付け加えた。 「彼も、私の中で枷になることを望んでいない。だから、私の行動は、彼の意思なの。貴女は、どうしたいのかしら?」 「私は……」 どうしたら、なんて。 今ここまで言われて、思いついたことなんて……。 「今思いついた事があったら、そうしなさい。簡単に思いついた事が、ちゃんと出来たか出来なかったかでも、後に残るものだから」 「そう、ですね……」 心のうちを読まれたようだけど、確かに言われたとおりだと思う。 ああ、そういえば。 いつか、○○さんも言っていました。 『妖夢殿。妖夢殿は妖夢殿らしくあってほしいでござる』 『然り。後ろ向きに悩むことはござらん。真っ直ぐにしていて欲しいというのが、拙者のわずかばかりの願いにござる。 聞き届けていただけるでござろうか?』 何を、うじうじしていたんでしょうね、私は。 「あら、憑き物の落ちた顔をしてるわね。あ、でも、半霊にこういう言い方をしてあってるのかしら? まあ、それはともかく、もう大丈夫ね?」 「ええ、大丈夫です。ありがとうございました」 「私は何もしていないわよ。でも、どういたしまして」 気持ちに整理もつかないし、かける言葉も思いも分からないけれど。 ただ、逃げたまま。 悲しい別れにしたくない。 笑顔で、 あの人と同じ笑顔で、送ってあげたい。 思いついたことは、ただそれだけで……。 それだけでも、やっておきたい。 酒無くて何の己が桜かな。 では、ござらぬか。 一人晩酌に盃を傾けるが、酔いもせぬなら気分も晴れぬ。 花の無くして何の酒か……。 「○○さん、何をしているんですか?」 「妖夢、殿。……お戻りでござったか」 すでに時の遅く、夜も十分に暗くなってから、妖夢殿はお戻りになられたようでござる。 「用事はいかがだったでござろうか?」 「用事は……、ありませんでした」 「なんと……?」 言葉の意味を図りかね、妖夢殿の顔を見る。 否、夜闇が表情を覆い、読み取れず。月明かりも雪明りも弱々しき故、ご拝顔もかなわぬ。 「私も、お酒をいただけますか?」 「む、承知仕る」 言の葉の意気や、なにやら沈むかのごとく静か。 されど、悲嘆の意も読み取れず。 「いただきます」 「どうぞ」 くい、と、妖夢殿は一気に盃を傾けられた。 「酔い飲みっぷりでござるな。妖夢殿」 「○○さんは、もう飲まないんですか?」 「これまでに散々飲んでいたでござるよ」 「私から注いだら、飲んでくれますか?」 またも、意を図りかねる。 しかし、断る理由などがあろうはずもなく。 「喜んで」 思えば、妖夢殿と落ち着いて酒を飲み交わす事は始めてであったと、思い至る。 その事は、妖夢殿も、どうやら御承知であったよう。 「今まで、けっこう忙しかったんですね、私たち。今までこんな機会、いくらでもあったはずなのに」 「左様でござるかな」 「はい、左様です」 妖夢殿は盃を傾け、拙者もそれに習う。 酔えぬ酒でござったが、今は打って変わり、美味いと思える。 「やはり、花でござろうな」 「なんですか?」 「何でもござらぬ。妖夢殿」 口にすれば成る未練。なれば、そのことを秘めしままに、拙者は帰ろう。 だが、その前に、 「約束が、あるのでござるよ」 帰らねばならぬ理由を、妖夢殿には告げねばなるまい。 「約束、ですか? 誰と?」 「大事な御方にござるよ」 「大事な、人……?」 命とは違い、単なる約束事。 しかし、それは拙者が剣術に励む理由に繋がりしこと。 「左様。その御方と、真剣勝負の約束があるのでござるよ」 「真剣勝負……。男の人ですか?」 「左様でござるが?」 「あ、いえ、それで、剣術を頑張っていたんですね」 「そうなのでござろうな。否、そうでござるよ」 ただお話しておらぬこともある。 命にせよ、約束にせよ。 どちらも、拙者は命を落としかねぬ事である事を。 言う必要も、あるまい。 「じゃあ、大丈夫ですね」 「大丈夫、で、ござるか?」 「はい。○○さんは、真っ直ぐに、一生懸命頑張ってました。何の憂いもありません」 「左様で、ござろうか?」 「はい、左様ですよ。○○さん」 ここでようやく、つきは妖夢殿を照らす。 美しき、笑みを、お見せくださった。 「ちゃんと、笑って見送りできるようにしました」 「……」 意は問わぬ。分かる事ゆえ。 今日を外し、こうして笑っていただけるその御配慮、想い。 なんと、嬉しいことでござろうか……。 妖夢殿は、自分が口付けていた盃に酒を注ぎ、それを拙者に差し出した。 「どうぞ」 拙者も、それに応える。 受け取り。 拙者の盃に酒を注ぎ、妖夢殿に差し出す。 「どうぞ、妖夢殿」 「はい、いただきます」 盃酌み交わす。 そこにある想いも交わし、傾け、一気に飲み下す。 その味に勝る銘酒なし。 「美味い」 「美味しい」 とは、口をそろえて出た感想。 そして、返礼としての全て。 「妖夢殿」 「はい」 「ありがとうございまする」 「……はい、がんばってください」 これにて、白玉楼の居候も終わりと相成る。 良き花と良き酒のとの別れは難く、悲しいくあれど。 妖夢殿の笑顔に報えるよう、 笑って別れようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※誠に申し訳ありませんが、担当者不在のためお休みになります。 月日は百代の過客にして、行きかう人もまた旅人也。 この言葉を表したお方は拙者の生まれし世より後の人物。 なるほど、と。 拙者が没するであろう年月よりも先の言葉を知る事になる時の因果よ。 自身もまた、月日の旅人。逆しまに歩む望郷への念、欠しかれど。 さもありなん。 我が世は、今この時にあり。しかれば、留まる事こそ本懐也。 だが、叶わず。 なさねばならぬ事があるゆえ。 「あら、帰るの?」 「うむ。お世話になり申した、霊夢殿」 所は博麗神社。拙者と見送りに同行された妖夢殿と、神社の主たる霊夢殿がこの場に居合わせる。 結界の都合上、この場所が良いとは紫殿の言。 当の紫殿はといえば、まだ現れぬところ。 出る際に少しばかり髪を切り、すでに旅立ちの覚悟は済ませているのでござるが。 「ふうん。まあ、あなたなら大丈夫だと思うけど、元気でやりなさい」 「かたじけない」 「じゃあ、私は外すわ。時間まで妖夢とでも話していなさい」 「左様でござるな。霊夢殿、お達者で」 「ええ、またね」 「おさらば。これにて御免仕る」 霊夢殿のお別れはあっさりしたもの。物事に固執する事が少なかれば、悲しさもなし。寂しさは、あれども。 そして境内、人の姿なし。 あるのは拙者と、妖夢殿の姿のみ。 沈黙の時が降りる。言葉にするような別れは、当に過ぎたようにも思える。 昨夜に酌み交わした酒。未練にもなりはしようとも。 「行かれるのですか」 静かに、妖夢殿がおっしゃられる。 「それが拙者の古き約定ゆえ、違えることは出来ぬでござる」 「そうですか……」 沈んだ声でござった。拙者の別れに、悲しみを抱いていただけるのならば僥倖とも。 拙者も、悲しみがあれども、それを口にする事ははばかられる。 「いなかった間の事、なんていうつもりですか?」 「ふうむ、そうでござるな。一乗谷で燕と稽古していたとでも言うでござるよ」 「燕、ですか?」 「うむ。妖夢殿は燕でござるよ」 速さ、強さはもとより、優しさゆえに。 妖夢殿は口を閉ざされ、どこか視線をさまよわせる。 しからば、拙者より、切り出すべき。 「いろんな事が、あったでござるな」 思えば、幻想郷に来た数奇なる運命。様々な出来事があって、翻弄されては喜び、過ごした日々の数々でござった。 「行き倒れたのを見つけたときには驚きました」 「その後、幽々子殿のご厚意にあずかり、居候の身になり」 「庭師見習いをしながら剣の修業、でしたね」 出会い。 立ち行かぬ我が身を、妖夢殿はしぶしぶといった風情で身請けしていただいたのでござった。 「霊夢殿と出会い、射命丸殿には取材を受けたでござる」 「異変がどうとか。それと新聞の部数が増えたとか、でしたね」 霊夢殿との出会いもあり、その後に射命丸殿とお知り会いになったのでござった。 実に、さばさばとしているのは霊夢殿。 快活なる記者である射命丸殿。 「秘湯への旅もござった」 「あの時は、すみませんでした」 「なんの。これも思い出でござる」 しっかり者と思うた妖夢殿の本質を垣間見たときでもござった。 相応に、あるものと、このとき思えればこそ。 「香霖堂にも縁がありましたね」 「霖之助殿とは男の友誼を固く結んだでござる」 「その後に現れた布切れ一枚は悪夢でしたけど」 「魔理沙殿には御世話になったでござる」 「弾幕ごっこの稽古もよかったのですが、命がけなのは感心しませんでしたよ」 「クリスマスの時は、あちこちの人に彫刻を贈ってましたね。あの時はいいものを頂いて、ありがとうございます」 「それはこちらも同じ事でござるよ」 「新年は紅魔館で宴でござったな」 「メイド姿には驚きましたけど」 「蛍のたゆたう雪景色をご一緒したでござるな」 「スペルの訓練もしましたね」 「宴では彼のお三方に真髄を賜ったでござる」 「いつの間にかぼろぼろでしたね」 「妖夢殿より彫り物の課題を頂いたでござる」 「昔の事を、気にかけ始めましたね」 「幽々子殿に反魂蝶を受けたときには、生きた心地がしなかったでござる」 「そんなことがあったんですか!?」 「あったでござるが、これも必要な事だったのでござるよ」 それなくば、今はここにこうしておられぬだろう。 我が身の危険ではなく、己が気持ちの自覚について必要でござったから。 「みなすべて、良き思い出でござる」 それも、傍らにおられるお方がいたがゆえ―― 「本当に、行くんですね」 「武士に二言はないのでござるよ、妖夢殿」 再三のご心配、まるで妖夢殿が拙者に未練でもあるかのよう。それも、思い違いでござろうが。 そして、拙者の未練ともなろう。ただそれを、拙者はこのまま持ってゆくのみ。あろうはずの一念も、既に託した後ゆえ。 が――、 「私に出来る、せめてもの手向けです」 「妖夢殿……」 妖夢殿は、刀を、抜かれた。 携えし剣の名を白楼剣。人の迷いを断つといわれる、妖夢殿のお家に伝わる名刀。 これは、良きかな。 「良い思いでは、良い思いでのままで。あなたの枷にならないように、前に進めるように、断ち切ってあげます」 「妖夢殿……。かたじけない」 断ち切るならば、せめてご本人の御手によって。 是非もなく。 否、 願っても……、無い。 妖夢殿の御手に携われた白刃は、拙者に向かい真っ直ぐに構えられる。お顔は、凛と、らしくある。 これは、未練になるはずもなし……。 おさらばでござる。 白楼剣を手にしていた私には、まだ、未練があった。 この剣で、○○さんの世界に対する未練が消えれば、あるいは、と……。 けど、それは押し付けがましく、高望みで、誰に対しても優しくない。ただ、自分に甘くするだけの未熟な事。 ○○さんの師匠らしく、できない。 そんな自分が、情けなくありながら。 私は、剣を、振り下ろした。 「時間よ」 いつの間にか現れた紫様が刻限を告げていた。 別れも、すぐ近くにあった。 「これにて幻想郷ともお別れにござる」 「そうですね」 変わったところもなく。 でも、少しばかり、顔は晴れやかで。 「では達者で――」 私は、未熟さゆえに、 断ち切った。 「……見知らぬ方」 「!?」 私は一体、何を断ち切ったのか? 旅立ちという名の別れの言葉を口にし、幻想郷の名を口にした彼から断ち切った、名を紡がれる事のなかった自分の事。 未練は、元の世には無い。 幻想郷にしてもない。 欠けたからこそ分かった、一番の未練。 あろう事か自らの手で断ち切った。 ○○さんの一番の、 未練――想い 彼は、頭を下げて背を向ける。 その背に掴みかかろうとして、手を伸ばし、そして、 掴めなくて……。 拳を握り、声を殺し。 自分を殺し。 ただ、一言を、 「さよう、なら」 とだけ、搾り出した。 「良かったの。あれで?」 お別れが済んで、紫様もお帰りになって、それからどれくらいか経ってから、不意に、 いつの間にかいらっしゃった幽々子様が話しかけてきました。 「いいんです。私は、私で、断ち切ったのですから」 「早まった事しちゃったわね」 「そんなこと、ないです」 「そう?」 「そうです。未練があって、実力が発揮出来なければ、修行した意味がありません」 あの人の大事な約束です。そのための枷にならないために、私は、白楼剣を使ったのだから。 「……そう」 「そうです」 「ねえ?」 「なんですか?」 「泣いてもいいのよ?」 「泣きません。泣く事はありません。私は、最後まで笑顔で見送りますから」 「そうなの。でも……」 「なんですか?」 「貴女の笑顔、泣いてるわよ?」 涙は流れていないのに、 私の笑顔は、泣いていた。 白玉楼に戻って、私は自室に帰りました。 気持ちが疲れているのかもしれない。 けど、○○さんを笑顔で見送った手前、情けない姿ではいられません。 それに、私はあの人の師匠だったから、もっと胸を張っているべきだと、そう思います。 「ふぅ……………………………………あれ?」 部屋の隅に、見慣れないものが目に付きました。 どうも小物の様。 「これは……」 木材を綺麗に磨き上げたような、そんな置物。 何を模しているかは分からないし、そのまま、気を磨いただけにも見えました。 多分、これは、あの人の……。 「どういう意味なんだろう、これ……」 私が、好きなものを、と。 しかし、これは、なんだろう? あの人が残してくれた、私が好きなもの、なんでしょう。 これには、どんな意味が……。 「これ……」 よく見たら、蓋のようなものが。 とりあえず、開けて……。 「……え?」 入っていたのは、髪。 意味を図りかねていると、蓋の裏に、文字があることに気付きました。 そこには、 「ぁ……」 『我が心、妖夢殿の元に在り』 気付かないわけには、いかない。 整理がつかないと、自分に言い訳をし続けて、 手を伸ばしかけたくせに、掴まず、理性的に努めて。 こうして、ようやく気付いて。 「わ、た、し……」 斬って、落とした、 あの人の心に対する、私の想い……。 「あ、ああ……」 好きだったんだ。 「う、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 私は、 泣きました。 後、歴史に強いあの人に尋ねるところ、おおよその推測がなっていました。 生まれをおよそ安土桃山の時と。 ともすれば、人間である以上は400年ほど前に、没しているのでしょう、とも。 あの人は、戻った世で、どんな景色を見たのでしょう。 願わくば、幸せであった事を、願います。 本当に、心の底から。 <幻想郷の白岩さん> A.質問は来ていないけど、一方的に伝えるわね。 ●●、あなたを助けた冬の妖怪の事。 雪女のことは、忘れなさい。 貴方の病気が完治したときに私がいる保証も無いもの。 人間同士の付き合いに、妖怪の話題は禁物ね。 これは、貴方を思っていっているの。 分かって頂戴。 貴方は無事に治る。これは絶対よ。 じゃあ、今までありがとう。 さようなら。 あの日から、一週間、といったところでしょうか。 「残念ですね。○○さんがいなくなるなんて。せめてお別れくらいしたかったです」 そう言うのは文さん。○○さんともけっこう親しくしていたみたいですし、そう思う気持ちも当然あるでしょう。 少し、ちくりとしました。 「すみません。急な話だったので」 「いえ、別に妖夢さんを責めているわけじゃないですよ?」 「そうですか」 正直な話、責められても仕方ないと思います。 実際、変える事が決まってから一両日はありました。その間にでも、文さんくらいなら容易に駆けつけられたでしょうし。 これも、私自身が未熟だったからこそ。 「しかし、妖夢も悲しかろう」 もう一人、ご一緒していた慧音さんからも一言。 元々ここには、○○さんの本当の時代について聞きにきたのですけど。 「寂しくはありますけど……」 悲しいとは、口にしません。 「胸を張っていないと、○○さんに申し訳ありませんから」 それが、結局のところ、私が得た結論であり、覚悟でした。 「そうか……野暮な事を聞いた」 「いえ」 「それで、彼のいた時代についてだったか」 「はい。せめて、少しだけでも知っておきたくて」 未練、とは、思います。 本来は本人に聞くべき本人の事だけど、もう、いないから。 「ふむ。言語野については、多少こちらの寺子屋の入れ知恵もあって参考にはならない。知識からあたれば、おおよその見当はつく」 「本当ですか?」 慧音さんは鷹揚に頷き、 「実に、400年ほど前のだな。現在の外来人の知識と稗田の文献と私の知識を参考にして、それほどだ」 「そんな、時代に……」 「でも、それって……」 文さんは、気付かれたみたいです。 「うむ。そういうことだ。人間の、運命だな」 既に、あの人は……。 「そうですか。ありがとうございます」 「つまらない話をしてすまなかったな」 「いえ、分かっていた事です」 時代が違うのだから、分かって当然のこと。 「さて、妖夢。この後何か用事があるかな? せっかくだからお茶でもしていくがいい」 「あ、いえ、せっかくですけど……。この後用事が有りますので」 用事は、幽々子様のお使いの事。 場所は彼岸で、別に珍しい事じゃない。冥界は元々幽霊を受け入れる場所ですから。 「残念ですね。妖夢さん」 「ええ、すみません。では、これで」 「あ、ちょっと待ってください」 去ろうとする私を、文さんが引き止めました。 「なんですか?」 「あ、これ、これです。本当は新聞の記事に使おうと思っていたのですけど」 取り出したのは一枚の写真。 そこに映っているのは、私と、○○さん。 あのとき、文さんに弾かれそうになった○○さんをかばって、写真にはまるで寄り添ういあうように映ってしまっている。 「これは、載せられませんから」 「……」 「もらってください。というよりも、妖夢さんのものです。これはもう」 思い出は、風景を切り取った一枚の写真の中に。 いつまでも変わらぬ風景を残す写真を、あの人は風情があると言うでしょうね。 「……ありがとう、ございます」 「どういたしまして」 「それでは、今度こそ失礼しますね」 「それではな」 「はい、さようなら」 冥界に、幽霊を迎えにいく。 取り立てて珍しい事じゃないですし、時には人魂灯をもって大勢を誘導する事もあります。 また、今回のように、ただ一魂を迎えに行くことも。 ただ、それが、と……。 今は邪念が浮かぶ事を禁じえない。 すでに、期待は裏切られてるから。 一週間のうちに、彼岸に足を運んだけども、期待通りのことは無い。いや、最初から望みがあったことじゃないから裏切るも何も無い。 また、仕事をする。 それだけのこと。 ああ、でも、 あの人のように、もう少し、風景を見て、歩こうと思います。 彼岸の渡し場に、幽霊がいました。 正確には、亡霊、でしょうか……。 男の人の背格好というだけで、少し期待をしましたけど。 当然、違いました。 「ああ、冥界の方ですか?」 「はい、そうですけど」 実に普通に話しかけてくる人です。 「それでは着いて来て下さい。これから白玉楼に行きますから」 「あ、いえ、そうじゃなくて……」 「? 何でしょう?」 ずいぶんと歯切れの悪いその人は、なにやら思案するように頭を抱えながら、切り出しました。 「私じゃないんですよ」 「違うんですか?」 「はい。私はここの渡し守の……、そう、同僚ですね」 「ああ、そうでしたか。それは失礼しました」 「いえ、それはいいんですけど。実は……」 「実は?」 「貴女にお迎えいただく予定だった魂が、どこかへ行っちゃったんですよ?」 「は?」 これは、聞いたことも無い話です。 ともすれば、亡霊が未練の有った場所にでも行ったのでしょうか? 「詳しい事は小町さんが来れば……、あ、来ました!」 視線の先を追う。 私の背のほう、来た道から小町さんがやってきました。なにやら、困った様子で。 「さって、どうしたもんかねぇ……」 「小町さん、どうでした?」 「ん、ああ。お手上げだね。どこに行ったか見当もつかない」 小町さんとその同僚という人はそろって頭を悩ませているようでした。 「見つからないんですか?」 「ああ、妖夢。そうなんだよ。こいつはちょっとした失態だよ。映姫様に怒られちまう」 「怒られるだけならまだいいですよ。もしかしたら説教地獄に減棒も覚悟しないといけないです」 「うわ、まずいねえ」 二人は一層、頭を悩ませているようです。 「探すの、手伝いましょうか?」 「あ、頼めるかい?」 「構いませんよ。特徴を教えてくれますか。……といっても、幽霊は見た目に違いがありませんでしたね」 しゃべれもしないし、おかげで区別もつかない。 でもまあ、幽霊がその辺を浮いていれば分かるような……。いえ、幽明結界はほころんだままだし……。 この際、全部つれて帰りましょうか……。 「いんや。あいつは人の姿だよ」 「あ、では亡霊ですか」 「まあ、そんなところじゃないのかい。でもまあ、あんな明るい亡霊じゃあ、何も呪いやしないだろうね」 「小町さん……。そうもいかないでしょう」 同僚の人が呆れています。 生前の姿で映る亡霊は、意識なく人を死に誘う。そこに悪意が無いだけに、お互いにたちが悪いでしょう。 「では、せめて背格好でも」 「ああ、そうだね」 「それなら、私から説明しましょう」 と、突然、誰かの声が割って入った。 いち早く反応したのは小町さん。 「え、映姫様! これはちょっと、いろいろと……」 「何を慌てているんですか小町。別に、貴女を責めようというわけじゃありませんよ。 裁きが終わって冥界に移送する幽霊について、伝えるだけです」 「う、うう……」 何か泣き所を突かれた様に、小町さんは力なくうなだれました。 「では、説明します」 「お願いします」 こほん、と、一呼吸、置きました。 「日、月、星といった自然の気質を現す三精。次いで、誕生の春、成長の夏、衰退の秋、死の冬と生命の流れを意味する四季。 そして、五行、木火土金水。これらの組み合わせで自然を表します。その周期を積で言って六十年」 「あ、あの、それが?」 どうも、背格好や幽霊に対する説明には聞こえません。元々、閻魔様は説教魔ともありますし、これはただ説明好きなためでしょうか。 これは、以前に聞いた事があるんですけど……。 「花の事件のときに……」 「ええ、お話しましたね。さらに、これに六道をかけて見ましょう。六道輪廻……、いえ、 転生していませんから六道巡りとでも言いましょうか。転生六回分をふいにしたとも言えますね」 「あの……」 「それが360年。さらに、六道一転してきたとして、その後こちらですごしたおよそ40年。計400年ほど」 「……」 そこで、閻魔様はため息を吐きました。 「最後の40年も、浄化と裁きですよ。転生を拒み、この『時』まで待ったと言うのですから。もう、お気づきでしょうか?」 400年と、その数字に聞き覚えがある。 でも、確信に至れないのは、真実を聞いていないから。 それとも……。 「一応、背格好を伝えておきましょうか。性別は男、背は貴女より大きく、体格はあなたに鍛えられたくらい逞しい。 顔は、貴女の好みじゃないでしょうか?」 そう言って、閻魔様は、にこりと笑いました。 「そんな人がいて、帰るとしたら見当がつくかと思います。行って、迎えてあげてください」 「は、はい!」 ――走る。 彼岸から冥界が、こんなに遠いと思ったことは無い。 ――走る。 過ぎ去る景色が、まるで走馬灯のように流れる。 早く、過ぎてしまうのは、もったいないというでしょう。 ――走る でも、景色を見るなら、 ――走る 思い出として、景色を見るなら、 ――走る 隣に、いるんです。 ――――走る! 要るんです! 白玉楼。 二百由旬とも謳われる広大且つ雅やかな庭。 そこには、我が方自慢の桜並木。 秘奥の桜、西行妖。 その前、に……。 いつか、 あの時、 掴み損ねた背中が、あった。 「はぁ、はぁ……」 全力で駆けて、息も絶え絶え。 最初に、どう声をかけたものかも分からず、ただ、その背を見つめる。 息を整えて、せめてかける声に淀みないようにしたいと。 しかし、同時に思い出す。 未練は断ち切った。 想いは、斬り落とした。 私の手で。 そこに、本当に何と声を出せばいいのか……。 でも、 でも……、 逃げないで、私から、今度は、今度こそ―― 「○○さん!」 あらん限り、届く声で、拳を握って見送った背にぶつける。 振り返る、その人。 こちらを見る、どの目。 ああ、間違いない……。 「妖夢殿。お久しぶりでござるか……。おっと、とはいえ、数日振りでござるな。 よもや、あちらに戻ってたったこれだけで帰ってこようとは、情けないやら面目ないやら」 嘘を吐いてる。 本当は、およそ400年の月日を耐えしのいできているのに。 覚えてる。 私のことを。 「いやはや、件の勝負に拙者負けましてな。全く、妖夢殿の弟子として不甲斐無きこと。 これからはますます鍛錬に励むゆえ、妖夢殿、今一度――」 「○○さん!」 もう一度、私の口から出た彼の名が怒号になって遮った。 嘘つきと、叫びたい。 本当は長い時間をかけてここに帰ってきたのに。 嬉しいと、泣きたい。 断ち切られた未練の中でも覚えていてくれた事。 でも、 一番、叫ばないといけない事が、 ある。 魂魄家当代、魂魄妖夢。 一世一代の、清水舞台 「好きです!」 言の葉は切り込む一刀の一振りの如く。 斬られた○○さんの、顔は……。 口の端を、きっと結び。 目を閉じ。 少しゆがめて、 笑みとなった。 「燕は、拙者の方でござる。また、返った、……帰ったでござる」 燕は帰巣本能があり、また、もとの居場所に帰ってくるという。 だから、そう表したのでしょうか。 だから、○○さんの居場所は、ここだと。 「拙者も、好きでござるよ。妖夢殿」 その言葉を聴いた瞬間に、私の足は、駆け出していた。 今迄で一番遠い距離で、 今迄で一番愛しい距離を、 今迄で一番早く、縮める。 どんと、体当たりするように、抱きつく。 揺れない、ここにある、○○さんの体。 ここにいる。ここにある。 「おかえりなさい、……○○さん!」 「ただいまでござる。妖夢殿」 かつて、未練を断ち切られしとき、 しかして、断ち切れぬものもあった。 未練は消えども、想いは消えず。 後ろ向きでなく前を向くためとあれば、消える道理もなし。 『次は手を貸さないわ。貴方が、自分であの子への道を見つけなさい』 紫殿の、別れ際の一言。 六十年の周期ごとにかすれそうな記憶に負けじと、想いは募った。 思い続けて幾星霜。 さ迷いて出でたこの地にて見つけた、かけがえなきこと。 この御方、妖夢殿共に、拙者はあろう。 共に、三精、自然に触れよう。 季節を、四季を見よう。 五行の如く感情に、心に触れ合おう。 この、 一番、愛しき人を、 抱きしめ続けようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※突然ですが、当コーナーは今回より終了とさせていただきます。 人間が一人、寝込んでいる。 そこに妖怪が押し入るなんて、とても簡単なこと。 バン 勢いよく、扉を開いてあげる。 ここには何度も来たから、どうなってるかも知っている。 家主は布団に臥しているみたい。 それは前から知ってる事だけど。とにかく、当人に用がある。手っ取り早く、そこまで言ってみる。 すると、家主の当人が、目を丸くしてこちらを見ていた。 顔は少しこけたかしら。病人らしくなりすぎね。 まったく、これじゃあ――、 「ど、どうしたんですか、レテ――」 開きかけた、その口を掴んで黙らせた。 彼は、また別に意味で目を丸くしている。それもそうでしょうね、いきなり押しかけて口を閉ざされたら強盗みたいだし。 でも、そういうことじゃないのよね。 「いいかしら。雪女っていう昔話知ってる? 昔、気まぐれに命を助けた雪女がその男と恋に落ちて家庭を持って、 その後正体をうっかり漏らしてしまった男の命を子供を想って奪いきれず引いてしまう。そんなお話よ」 彼は、私の言葉をしっかりと聞いて、頷いた。 「そういうことなのよ」 理解が得られたところで、口を離す。 「けほ、けほ……」 「あ……、ちょっと。大丈夫?」 少し、やりすぎたかもしれない。 でも、そうやって口止めしないと元も子もないし。 「あ、大丈夫ですよ。えっと……」 「ああ、そうね。名前ね。同じだと問題あるかしら。好きに呼んだらいいわ。 思いつかないならさっきのお話からとって『お雪』でもいいわね」 「お雪、ですか……。それで、着物を着てるんですか?」 「あら、気付いたのね」 「それは見たら気付きますよ。似合ってますよ」 「そう、ありがとう……。ああ、でも、そんな事を聞きに来たんじゃないのよ」 素直に褒めてくれたことは嬉しい。人間らしくしてみて着たけど、実は、ものすごく嬉しい。 でも、順列は守らないと。 「じゃあここで、お便りを読む事にするわ」 「レ……お雪さん」 「ああ、やっぱり面倒ね。レティでいいわ。人間にも同じだ名前はいるでしょうし」 「あ、はい。それでレティさん」 「なにかしら?」 「ここでそれを呼んで、正体とか……」 「だから、貴方が口外さえしなければいいのよ。じゃあ、読むわね」 Q.白岩さん、あなたのことを愛しているのですが 結婚を前提としたお付き合いをしていただけませんか? 彼は、●●は、顔を真っ赤にしてたわ。 そして、もう一枚。 Q.白岩さん、いえ、レティさん。 先ずは匿名を希望した無礼から謝罪させていただきます。私は●●、しがない一人間です。 確かに今回の告白は早計でした…。しかし、あなたを想うにつけ募りに募るこの思いは、伝えずにはいられませんでした。 妖怪? だから何だと言うのです、誰に否定されようと糾弾されようと、どんな問題が起ころうと、私は貴方を愛し通します。 冬の間だけ? 私は、貴方を目にする度に恋に落ちてしまうのです。三ヶ月の幸福の為ならば、九ヶ月など何でもありません。 ですからどうしても、お願いです。友達でも良い、貴方の傍に居させてください 軽く固まった彼を横目に、ちょっと笑っちゃったわ。 「で、どうかしらね?」 「え?」 「あ、この場合、私が答えるほうなのよね。ああ、そうそう。 私はここで言うところの白岩さんって言う雪の妖怪じゃなくて、そうね……、特殊な代弁者」 「特殊、な?」 「ええ、私にとって、本音って言う事」 A.こちらこそ、私のそばにいてくれてありがとう。 これからも、そばにいて……。 結婚して頂戴。 聞いた、彼の顔。 もっと、真っ赤になってたわ。 私の顔も、多分、ものすごく赤いでしょうね。 「と、いうことなんだけど」 「……でも」 言いたいことは分かってる。でも、言わせない。 「あら、私がこう言ってるのにひどいわね。遊びだったの?」 「そんなつもりはありません! 真剣に――」 「なら、私も真剣よ。どうせ、体の事がどうとか思ってるんでしょう?」 「そうです、けど……」 「人間の言葉に、『病は気から』って言うのがあるのよ。 ついでに貴方の言う事の悪性腫瘍とやらが気持ち一つで治癒する例もあるそうよ。これは、その為のこと」 「その、為の?」 「あら、勘違いしないでちょうだい」 つい、順番が逆になったけど、これも言わないといけない言葉。 「私は、貴方が好きなの。だから、貴方といたい、生きていて欲しい」 「レティ、さん……」 「言い忘れたけど、『さん』もいらない。レティって呼んで、あなた」 「そんな、気がはや――」 「それくらいの気持ちがないとダメ。早く治して。そして、結婚して、人並みの夫婦みたいにいちゃイチャしましょう」 そこまで言って、耐えられなくなって。 真っ赤になった顔を隠すために、彼の胸に飛び込むようにして顔をうずめた。 「レティさ――、レティ?」 「ねえ、ちょっと駆け足でいろいろ言っちゃったけど、本心なのよ?」 「……はい」 「分かってるわね」 「はい」 「だったら、貴方からも、言って」 「……好きです……。好きだ、レティ」 そこまで、聞く事が出来て。 私はようやく顔を上げた。 「合格」 合格のご褒美は、今一番近い顔と顔の、アレ。 続きは、ちゃんと治ってからよ? ▲ あとがき ながらくやってきました、本シリーズ。 ござると妖夢、白岩さん。これにて終了となります。 なお、糖分保管のため幾つかおまけが収録されておりますのでお召し上がりくださいませ。 おまけ1 「あらあら、なるようにあったわね」 白玉楼にて、妖夢殿のあれだけ大きな声を聞こえぬはずもなく。 拙者と妖夢殿が抱擁しあうところに幽々子殿がいらっしゃった。 「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ、幽々子様! こ、これは、その! あの……」 「別にいいのよ。むしろ、目標どおりよ」 「目標、でござるか?」 「ええ。妖夢に(未熟なところが直るような)素敵な恋が出来ますようにって」 「あの、幽々子様。今何か聞こえたような……」 「あらあら、妖夢ったら気が早い事。祝言の日取りだなんて」 「そんなこと言ってませんよ!?」 「嫌なの?」 「嫌じゃありません!」 「あらあら、素直ね。○○ちゃん。遅れたけど、お帰りなさい。それと、ご成婚おめでとう」 「幽々子殿。ただいまでござる。まこと、めでたき言葉、感謝いたしまする」 「なんで貴方までそんなに気が早いんですか!!」 「世が世なれば、当然でござろう」 拙者が知る限り、男女の契りは知り合ってから早いものでござる。 「妖夢殿。異論ならば、これは――」 「あ、その、嫌じゃないんです。だけど、その、まだ早いと思うんです……」 「あらあら、妖夢ったら初心ね」 「うぅ。幽々子様、からかわないでくださいよ」 「幽々子殿、拙者の妻をあまり苛めてくださるな」 「つ……!?」 「大丈夫よ、○○ちゃん。ああ、お布団は一緒の部屋に一つでいいわよね?」 「幽々子様ぁ!?」 「むう、それが通例ならばお願い申し上げます」 「なんでそこだけ意味を分かってないんですかぁ!!」 おまけ2 「あら、貴女は……」 「初めまして。私はレティ。この人の妻になったの」 「あら、そうなの。病人なのに、すごくタフなのね」 「その、そういう言い方は止めてください」 「そうよ。いろいろと、治ってからなんだから」 「レティも、もう少し自重してください」 ●●は弄ると可愛いのよね。 もしかしたら、その辺はこの医者の通じるものがあるかもしれないわ。 あ、でも、手出ししたら許さないけど。 「まあ、いいわ。それで今日からこの永遠亭に入院っていう形になるんだけど、貴女はどうする気なのかしら」 「もちろん、彼の介護をするわ」 「そう。じゃあ、隣にベッドを用意させるわ。くれぐれも、旦那様に無理をさせないようにね」 「あら、それくらい分かってるわ。大丈夫よ。お楽しみは後にとっおいた方がおいしいって言うもの」 「あの、二人とも、女性がそんなことをいうもんじゃ……」 「あら偏見よ。それに、男の人が下品な事を言うよりもオブラートに包んだ表現なのよ」 「貴女にお薬が必要なときは私が飲ませてあげるわよ。口移しとか、期待してもいいわよ?」 「レティ!?」 「ここは診療所なんだけど。まあ、事と次第によっては産婦人科になってもいいわよ」 「先生も!?」 「まあ、こんな風になったら、治らなきゃ損よね」 永琳は、寝台から離れたわ。ようやく出て行ってくれるようね。 「貴方達の選択、敬意を評するわ」 それは、私たち二人の存在のことを言ってる。 でも、そんなこと、 「余計なお世話よ」 好きだから。 理由はそれだけなのよ。 結婚するのも。 治ってもらうのもね。 永琳が部屋から出て行くのを見計らって、彼に話しかける。 「ところであなた」 「なんだかその呼び方くすぐったいけど、何?」 「子供は何人くらい欲しい?」 「あ、あの……」 「オーソドックスに一姫二太郎ね。理解のある夫で嬉しいわ」 「……、あははは」 病は気から。 だったら笑えばいい。 ほら、彼を笑わせるなんて、簡単。 最初に、彼に言葉をもらってから、ずっと彼のことを考えてたんだから。 妻として、当然ね。 おまけ3 妖夢です。 なんだかすごい事になってます。 今、○○さんと一緒のお布団で寝てます。 なのに、 「ぐう……」 (なんでそんなぐっすり眠れるんですか!!!) 一緒の布団に入ってるのに、一緒にいるだけでもどきどきしてるのに、なんだかこれじゃあ不公平じゃないですか! それに、この体勢、おかしくないですか!? 私、○○さんに抱き疲れてますよ!? もう、抱き枕ですよ!! 顔近いですよ!!! ……○○さんの寝顔が可愛いですけどね! ちょっと軽く自我崩壊寸前です。 ちなみに、とっても暖かくて、幸せです。 少し背を丸めると、○○さんの抱擁にすっぽり収まって、気持ちがいいです。 少し顔を上げると、○○さんの顔がすぐ目の前。 もうちょっと頑張って、首を伸ばして……も、これは、ちょっと届かないです。 ああ、でも、こういうことはもう少し雰囲気のいい場所でした方がいいですよね。 雰囲気で言うなら、○○さんは期待を裏切りませんから。 「妖夢殿」 (ビクゥ!!!) 名前をいきなり呼ばれて全神経で警戒状態になり、それが寝言だと分かって一気に脱力。もう一度、ちょっと顔を見上げる。 と、そこで、○○さんは少し寝相が変わって。 (うあ! 顔が、近い! 鼻が! 鼻と鼻が! 当たってる! おでこも!) 色々と密着状態。 恥ずかしくて息が止まりそうです! どうも、まともに眠れそうにありません。 おまけ4 私と○○さんは、里を歩いていました。 言ってみれば、逢引のようなものです。 お使いですけど、逢引なんですよ!? いろんな人に散々からかわれましたけど! その度に、○○さんが妻妻いって嬉恥ずかしでしたけど……。 と、遠目に、見覚えのある女性を見つけました。 その女性は男性と歩いています。 ああ、そうなったんだ……。 あちらも私に気づいたようで、声をかけず、でも微笑んでくれました。幸せそうです。 おめでとうございます。 「良かったですね」 小さく呟くと、それに○○さんは反応して。 「どうしたでござるか、妖夢」 今ではすっかり呼び捨てにしてもらえるようになりました。 まだ、あなた、とは呼び難いんですけど。遠くから、小さくは言ったりするんですよ? 「いえ、なんでもないですよ」 「左様でござるか」 「はい、左様です」 そして、○○さんの腕にぎゅっとしがみつき、彼も、握られた手から指先を探して絡めてくれる。 ああ、人を好きになるって、素敵ですね。 好きな人と一緒にいられるって、素敵ですね。 ねえ、レティさん。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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幻想郷のゆっく輪廻 10KB ※DelPASSは"yukkuri"です。問題があったら削除してください ※じゃりあきさんの作品「ゆっきゅん物語」に触発されて書きました ※東方原作キャラが登場します ※設定捏造しまくり 幻想郷に突如現れたゆっくり。幻想郷の新顔。 今、私はその存在に大してある疑問を持っている。 限界のある人の身では確認する術がなかった。だが今、幾つかの幸運に恵まれ、その疑問 を解消する機会を得た。 幸運のひとつ。 それは、射命丸文という存在がいたこと。 この幻想郷であっても、人間が妖怪と縁を持つことは難しい。本来人間と妖怪は対立する もの。博麗の巫女や魔法使いの森のなんでも屋のような人間は特例中の特例であり、私の ように低級な術者では妖怪と仲良くするなど恐ろしくてできたものではない。 ところが、新聞を配るこの天狗は強力な妖怪であるにもかかわらず、比較的人間でも話し かけやすいと言う希有な存在だ。 もう一つの幸運。 それはなんと言っても、こうして偶然新聞を配る射命丸文と出逢い、話をする機会を得ら れたことだ。 そして、私は彼女に尋ねる。 ゆっくりについての疑問と、それに対する私の仮説が正しいのか、確認するために。 幻想郷のゆっく輪廻 ゆっくりについての疑問。それは、あるゆっくりの発見から始まった。 ゆっくり。 最近になって幻想郷に現れた、饅頭の生首。妖精とも妖怪とも言われているが、判然とし ない。 山や森で薬草や山菜の採取を生業としている私はよく目にする。 最近は数が増え、人里にも姿を現し、畑や人家を荒らすようになってきたらしい。 ゆっくりは私の採取とかち合うことが多く、何度も潰してきた。それなのに一向に数は減 らない。被害を受けた人里でも、何度も駆除を試みたと聞く。私も何度か手伝った。だが、 一時的に減ってもすぐに戻り、それどころかどんどん数を増している。最近、強力な妖怪 に縁を持つ者が根絶を依頼しようとしているという噂も聞くようになった。それも一度や 二度ではない。近いうちに実現するのではないだろうか。 そんなある日のこと。 いつもの採取のために山道を歩いていると、あるゆっくり達を見つけた。 普段、ゆっくりを見つけた場合は仕事の害になるから排除するか、あるいはどうせすぐに 増えるのだから無駄と放置するかの二択だ。迷うことはない。 だが、その日はしばし迷わされた。 「あっきゅん♪ あっきゅん♪」 初めてみるゆっくりだった。だが、その顔には見覚えがある。 おかっぱの黒か髪に花の髪飾り。新聞で見たことがある。九代目阿礼の乙女、稗田阿求の 顔と、そのゆっくりはとてもよく似ていた。さしずめゆっくりあきゅうと言ったところか。 ゆっくりあきゅうは大きさからして子ゆっくりのようだった。おそらくは姉妹であろうゆ っくりれいむ、ゆっくりまりさと共に楽しそうに跳ねている。 私はその三匹のゆっくりをしばらく観察することにした。 仕事上、ゆっくりの生態を把握する必要がある。極端に私の採取対象を荒らすものなら、 根絶は無理でも優先的に潰すことを考えなくてはならない。 「ゆっ、ゆっ~♪」 ゆっくりは背後の私に気づかずのんきに跳ねている。 この無警戒っぷりは観察が楽で助ける。 人里を離れ、山や森に入るのを生業にしている私だ。妖精や低級な妖怪に見つからない隠 形術ぐらいは身につけている。ゆっくり相手なら見つかることは絶対にないと断言できる。 「ゆぐっ!? いぢゃいよおおおおっ!」」 と、突然ゆっくりまりさが悲鳴を上げる。 見れば、跳ねたときに尖った石に引っかけたようだ。しかも不用心に跳ねたものだからそ の身体は大きく裂け、餡子がはみ出している。人間で言えば出血多量を警戒しなくてはな らない重傷だ。 まったく、こんな無警戒で脆弱なナマモノがのさばってるのは非常に納得いかない。それ を補うほどに繁殖力に優れている、という話だが。 「ぺーろぺろしてあげるね!!」 ゆっくりあきゅうは素早くまりさに近づき、はみ出る餡子を舐め始めた。 「いたいのいたのとんでいってね!」 「ゆぅぅ」 目に涙を溜めながらも、あきゅうは献身的に舐め続けた。 れいむは心配そうにしているが、あきゅうを信頼しているのか、不安はないようだ。 ふむ、おとなしいゆっくりなら特別注意する必要はないかもしれない。 このゆっくりも普通のものと同様、出会ったときに潰すか無視するか、その日の気分で決 めればいい。 雲行きがおかしくなってきたのは、そんなことを考えていたときだった。 「ゆあっ……? ああっ……! ああ、あ、あっきゅ……!」 「ゆああ……やべで……いぢゃい……!」 あきゅうの声が艶を帯び始め、目は熱に浮かされたかのように虚ろになる。その舌はまる でそれだけがひとつの生き物のように動きを激しくしていく。その激しさは餡子を舐め取 るどころか傷口をえぐり広げていくほどだ。まりさは出餡が多く動けないのか、痛みに震 えうめくだけだ。 あきゅうの舌の動きはいよいよ激しさを増し、今や傷の治療どころかまりさの体内から餡 子を吸い出すまでになっていった。 「おねえちゃんのばかあっ! まりさしんじゃうよぉ!」 ようやく異常に気づいたれいむの呼びかけに、あきゅうの目が正気の色を取り戻す。 その声に私もはっとなった。見入っていた。まりさを治療する……いや、貪り喰うあきゅ うの表情とその声は、まるで妖艶な遊女のような色気を持っていたのだ。 あきゅうは今さら自分がしたことに気がついたのが、 「ゆげぇぇぇぇ!」 はき始めた。当然だ。ゆっくりから流れ出る餡子は人間に例えれば血肉と同じ。ときにゆ っくりは生き残るために同族を喰らうこともある、それでも普段は禁忌とされていること と聞く。吐くのも無理はない。 まったく、このゆっくりあきゅうはどういうゆっくりなのだろう。おとなしいゆっくりだ と思ったが、違うのだろうか。 思考がまとまらない。 コトリ 唐突に、そんな音がした。 音の源に目を向ける。そこにはゆっくりあきゅうの吐いた餡があり、その中にトンカチの ようなものがあった。 ゆっくりは食べたものならなんでも餡子に変えることができるという。口に押し込み食べ させさえすれば、およそあらゆる有機物を餡子に変えてしまえるらしい。 では、逆はどうだろう。例えば、ゆっくりれいむのリボン。例えば、ゆっくりまりさのお ぼうし。例えば、ゆっくりありすのカチューシャ。 ゆっくりは、餡子から様々なものを作り出せるのではないのだろうか。 今、目の前でそれが行われたのではないだろうか。 ゆっくりあきゅうの吐き出したものは、小さな玄翁だった。 それを目にしてゆっくりあきゅうは一変した。 玄翁を口にくわえるやいなや、ゆっくりらしからぬ素早さで傷ついたまりさとそれを心配 するれいむへと襲いかかった。 「ゆ……ゆぎっ! ゆぎゃ……!」 「お、おねえちゃん!? なにをす……ゆべぇっ!!」 「あっ……きゅん! きゅん!」 一方的だった。小型の玄翁はトンカチ程度の固さと重さを持つらしく、饅頭であるゆっく りを容易に破壊した。 巧みに玄奥を操り、傷ついたまりさはもちろんれいむにも抵抗することを許さず叩きのめ していった。 「きゅん♪ きゅん♪」 その声はまたも艶に満ちたものに変わっていた。明らかにこの残虐な行為を楽しみ、その 上性的な興奮を得ている。 「あっ……きゅん!」 そして、れいむとまりさは原形をとどめないほどに叩き潰された。破壊の終わりに最高の 快楽を得たのか、あきゅうは感極まったようにひときわ高い声を上げた。 その瞳は閉じ、睫は快楽の涙に濡れている。満足げに微笑む口の端からははしたなく涎が 漏れ出し、頬はしっとりと紅潮していた。 その様は、まるで絶頂に達した遊女のよう。 元が純粋可憐な阿礼の乙女の顔をしているだけに、その違和感はいっそ背徳的ですらあっ た。 あきゅうはしばしその快楽の余韻に浸っていたが、やがて自分の潰したゆっくりの残骸を がつがつと食べ始めた。先ほどの禁忌への嫌悪など欠片もない。 「きゅん♪ きゅん♪」 むしろ、愉しんですらいた。 やがてすべてを食べ尽くすと、まるでなにごともなかったかのように跳ねて立ち去った。 いや、立ち去ったのではない。きっと次の獲物を探しに行ったのだ。 あきゅうが視界から消えると、私はようやく我に返った。 わけがわからない。 なんなんだ、あのゆっくりは。 ゆっくりがゆっくりを食べるのは必ずしも珍しくはない。先程述べたように生き残るため に同族を食べることもあるし、れみりゃやふらんといった捕食種もいる。 だが、あのあきゅうはそのどれとも違った。 餡の繋がった姉妹であるゆっくりを、ただ楽しみのためだけに玄翁で潰し、喰ったのだ。 なんとおぞましいゆっくりがいたものか。 こんなこと、できれば二度とみたくない。そう、思った。 しかし、私の願いはこれ以上ないと言うほどに裏切られた。 「ゆぎゃああああ! やべでぇぇぇぇぇ!」 あれから、ゆっくりあきゅうに襲われるゆっくりを見ることが日常的になった。突如現れ たゆっくりたちは、同じように突然現れたゆっくりあきゅうに狩られるようになったのだ。 山の中でも森の中でもよくゆっくりの悲鳴が響き、見に行けば大抵あきゅうが「あっ…… きゅん!」と嬌声をあげながらゆっくりを喰っていた。 「ざぐやぁぁぁ、ざぐやぁぁぁ! だずげでぇぇぇぇ!」 先日は片足をちぎられた胴付きれみりゃがはいずって来て、私に助けを求めてきた。 だが、私の元に辿り着くまえに無数のゆっくりあきゅうに群がられ、玄翁で照って敵に叩 きつぶされた。 あきゅうは捕食種のゆっくりすら捕食するらしい。 「ゆぎゃあああああああっ!」 谷底から響く大音声の叫びに下を覗けば、巨大なドスまりさが暴れ回っていた。 ドスには無数のゆっくりがまとわりついていた。ドスは壁に身体をぶつかたりドススパー クを放ったり、何匹もゆっくりを潰していく。だが、ドスにしがみつくゆっくりの数は減 らない。むしろ増えている。潰すより集まってくるゆっくりの方が圧倒的に多いのだ。 ドスは見る見る身体を削られ、やがて動かなくなった。 遠目で確認は困難だったが、わざわざ確かめるまでもない。 ドスを倒した無数のゆっくりは棒のようなものをくわえている。それは玄翁に違いなくて、 あのゆっくりはあきゅう以外に考えようがない。 そして、誰もが根絶するのは困難だと考えていたゆっくりは、幻想郷から姿を消した。 もう陽が落ちてだいぶ経つ。 ロウソクの明かりを頼りに、私はあらためて、仮説を書にまとめていた。 初めはふとした疑問からだった。 あまりにも印象的だったゆっくりあきゅう。そのモデルである阿礼の乙女は、知識を保ち、 何度も転生し続けているという。 それなら、そのゆっくりも何度も転生しているのではないだろうか。最近になって急に発 生したと思われていたゆっくりは、実は過去にも発生したことがあるのかもしれない。 それはなかなか面白い仮説に思えた。 我ながら物好きなことだが、そのためにわざわざ手続きを踏んで申し込み、幻想郷縁起を 閲覧させてもらった。ところが残念なことにゆっくりについての記述はなかった。 阿礼の乙女、稗田阿求に話を聞く機会もあった。だが、ゆっくりはまだわからないことが 多く、幻想郷縁起への記載は検討中とのことだった。 と言うことは、過去に発生したという私の仮説はやはりただの空想に過ぎなかったのだ。 しかし、どこかひっかかりを覚えた。 そして、今日。射命丸文に出会うことができた。人間よりずっと長く生きている妖怪。し かも彼女は新聞屋であり、あれほど目立つ存在が過去いたのなら覚えているはず。 彼女は言った。 「ゆっくりみたいなのは、知る限り過去2回ほどは発生していますね。だいたい百年程度 の間隔で」 何でもないことのように彼女は言った。 私の仮説は証明されたのだ! そして、その興奮は私の妄想を加速させ、仮説をより荒唐無稽なものへと押し進めた。 ゆっくりは発生するたびに、阿礼の乙女のゆっくりが全滅させているのではないだろうか。 まず、あきゅうの発生したタイミングが良すぎる。 ゆっくりは人里に影響を及ぼすほどに数を増やした。人里ではゆっくり根絶のために強力 な妖怪への依頼を検討していた。 そこに、あきゅうの発生。 まるでゆっくりが最高に数を増やすまで待っていたようであり、他のものに滅ぼされるま えに自分が滅ぼしてやると言わんばかりではないか。 あのゆっくりを潰しながら快楽に染まった顔を思い浮かべると、そうとしか思えない。 そして私はある恐ろしい結論に辿り着こうとしている。 阿礼の乙女は、ゆっくりを殺戮するために、ゆっくりが再び発生するタイミングを狙って 転生しているのではないか、と。 そこまで書に記したところで、私は吹き出してしまった。 バカバカしい。それに阿礼の乙女に大して不遜この上ない。まったく、私もどうかしてい る。 そのときだった。 誰かが、私の家に訊ねてきた。 こんな夜遅くに珍しい。いったい誰だろう。 戸を開けると、初めに目に入ったのは。 餡子にまみれて汚れた玄翁だった。 揺れるおかっぱの黒髪を見た。振りかぶる、小柄な少女を見た。端正な乙女の顔の、酷薄 な瞳を見た。 そして、その玄翁が私の顔に迫って―― 了 by触発あき 元ネタ絵 byじゃりあき 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る あっきゅんかわゆいーー! -- 2016-09-21 08 15 06 あっきゅんが自分の本性を知られたくなかったからじゃないの? -- 2014-07-26 14 55 03 ゆっくりぱちゅりーがこのSSみたら餡子はいて死ぬなWW -- 2013-04-01 03 58 16 この仮説とかが書かれてなかったのは実は先代からもこの仮説に行き着き知ってはならないことを知ってしまい毎回ころされるのくり返しとかだったりしてw -- 2012-08-06 02 48 14 最後酷かった。 -- 2011-12-20 20 49 44 ↓↓↓↓死なないけど食われたら消えるんじゃね? -- 2011-11-26 07 12 42 なんで最後「私」は殺されたの? あっきゅん的に気づいちゃ困ることに気付いちゃったから? -- 2011-02-27 17 00 08 程度低い?そう感じるのはあなただけかもね -- 2011-01-12 08 14 30 >•人様に逆らわせさせるな。程度低い。 ↓小柄な少女ってあるからモノホンなんじゃないか?理由は不明だが -- 2010-10-11 10 50 46 不死種とかいないのか?てるもことか。 -- 2010-08-18 23 01 09 人様に逆らわせさせるな。程度低い。 -- 2010-08-02 03 18 00 こええええ -- 2010-07-28 22 37 37
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僕は、幻想郷からこの世界に帰ってきた。 幻想郷、そこは人妖入り乱れる奇々怪々な土地であったけど、意外と交流が盛んで、種族を超えた交流なんて普通って感じだった。 そんな事もあってか僕にできた彼女は人じゃなかった。けど、とてもよくしてくれたし、僕の精神的な支えにになってくれた。時々、僕に対して行う異常なまでの愛情表現には困った物だった。 作ってくれる食事に、自分の一部を入れたり、勝手に人の布団に入り込んで来るのはいい方。四六時中視界のどっかにいる事なんてザラ、挙げ句の果てに自分のやることほっぽりだして、僕のとこに押しかけて来た時なんか、身内の方が連れ戻しにきて、結構な大喧嘩をやった最後に聞いてるこっちが顔真っ赤になるようなセリフをばらまいてんだから、流石にあん時は身内の方に泣いて謝ったような。まぁ僕もそれだけ大事にされてたって事かな。 ある日僕は、外にいる家族のために彼女に別れを告げた。 その時は身内の方とやり合った以上に、荒れた。 最初は、彼女は冷静に説得してたけど、途中から暴力的に訴えだし、最後は泣きつくように請うて来た時は少し心が揺らいだ。 でも最後まで一貫して意志を曲げない僕を見て彼女は、強烈な一撃をお見舞いして、泣いて出て行った。その時の傷はこうして思い出にふけってっていると今でも疼いて来る。 思い出にふけっているとこんな時間になってしまった。 早く寝よう。 コンコン ん?母さん?僕はもう寝るから何かあるんだったら明日にしてくれ。 ガチャ 母さん、 明日にしてくれって言ったじゃないか聞こえなかったのか? そう言うおうと、壁に向けていた頭を扉の方に向けた。 そこには到底信じられない物が映っていた。 彼女がいたのだ。僕の家族の首を持って。 僕は、頭が真っ白になった。どうして彼女がいるんだ。どうしてこの世界に来れたのか、どうして彼女が僕の家を知っていたのか。 そして どうして 僕の家族の 首を持っているんだ? 僕が、唖然としていると彼女は嬉しそうに喋り出した。 幻想郷からこの世界に抜け出して来た事、僕の家を調べる為に骨を折った事、そして自分への愛を。 僕は、そんな事より彼女の持っている物について聞こうとした。すると、聞くより前に話してくれた。 「だって、○○さんと私の仲を引き裂くような輩、いなくなってしまえばいいんですよ。○○さんだって本当はうっとしいと思ってたんでしょう?きっと、優しい人思いの○○さんの事だから、扶養の義務とか感じて家族を優先してたんですよね?でもそんな事もう考えなくていいんです。何も考えなくていいんです。何でも私○○さんにしてあげますから。○○さんは私の事だけ考えてればいいんです。」 僕は怒りにまかせて、言い終わる前に彼女に向かって殴り掛かった。しかし、軽く去なされ、抱きかかえられる形になってしまった。抵抗するが所詮は人間、無力な物である。 「あはっ。○○さんそんなに私の事好きなんですか!良かった私も○○さんの事好きですよ。さぁ一緒に幻想郷に帰りましょう」 僕は彼女の締めを食らい、薄れゆく意識の中で、もっと早くこうなる事が予測できていたんじゃないかと後悔の涙を流すしかできなかった。
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その女神は、遙か昔の日本にて恐れられた悪神だった。 山神たる荒ぶる力を持って気の赴くまま侵略を繰り返し、各地の信仰と畏怖を独占していった。 神々やそれらに仕える人間を打ち負かし、組み伏せて屈服させる事を楽しんでいた。 誰も彼もが彼女に屈していった中、1人の人間の男が女神に立ち塞がった。 確かに強大な力を持った勇者だったが、所詮は人間。彼女の敵では無かった。 それなりに好みの容姿だったので彼女は男を散々に玩んだ後、屈従を迫った。 だが、男は屈しなかった。戯れに自分達の国を侵攻した女神に等従えるかと。 かなり気に入っていたのか、何時にも無く激した女神は男を殺して冥土へと送り込んだ。 それから暫く、数十年程度、女神にとっては極めて短い時間の後、男は転生を果たして再び彼女に挑んできた。 前よりは強かったがやはり女神にとって格下に過ぎず、敢え無く男は敗れた。 以前よりも激しく幾晩も嬲り尽くした後、女神は再び男に服従を迫った。だが、男は再び彼女を拒絶した。 そして男はまた冥土に送られ、そしてまた数十年後に女神へと戦いを挑むのだった。 それが何回繰り返されただろうか。男は何回犯され、殺され、蘇りを繰り返しただろう。 様々な国の土地で戦った。諏訪の国で土着神と組んで戦いを挑んできたのが、最後の戦いだった。 女神は、戦いを繰り返しながらも言い様の無い不愉快感を抱いていた。 何故この男は、この土着神と共に居るのか。自分の事はあれ程までに拒絶したと言うのに。 気が付くと、女神は全力で二人を叩きのめしていた。 倒れた土着神など捨て置き、女神は男を引き摺り起こし問い詰めた。 何故自分をそこまで拒絶する。私に従えば、私を信仰すれば、私を愛せば全てを与えると言うのに。 男は言った。あなたは私の故郷と愛する人々を奪った。 あなたが私の存在すら奪おうと言うのであれば、私は決してそれを渡さない。 幾らあなたが私を奪おうとしても、私は断固としてあなたを拒む。と。 返事を聞いた女神の心中は、凄まじいばかりに荒れ狂った。 お前が如何に拒絶しようと、お前は私のものだ。何度転生しようともお前を手に入れてみせる。 激情のままに男を引き裂いた女神は、土着神の国を支配した後そこを拠点とした。 ここで待っていれば、何れまたあの男が転生し、挑んでくるのではないかと期待しながら待ち続けた。 だが、それ以来、男の魂は転生せず。男が女神の前に姿を現す事もなかった―――。 「はぁ、結局あれ以来、そのまま姿を見せなくなったんだよねぇ……」 神奈子は溜息を吐きながら幻想郷の空を眺めていた。 男が現れないと知った後の神奈子は酷かった。支配地も何もかも投げ打ち、男を求めて捜し回った。 何百年も必死に男を探した後、消沈した神奈子はかつての様な侵攻を一切行わなくなった。 諏訪の地での山神の役割をこなす以外は、全く能動的にはならなくなったのだ。 その内性格も円くなり、かつて対立した土着神である諏訪子とも友誼を築いた。 そして何百年も諏訪で過ごした後、信仰が廃れ始めた世界を捨て幻想の世界へと這入り込んだのだ。 「とうとう靡かなかったな。あいつ」 あの男を思い出すと胸が苦しくなる。下腹部が熱くなる。何百年経っても尚経たれない男への未練が暗く疼く。 もし、あの男がまた自分の前に現れたらどうするだろうか。 男を犯し尽くした後で、服従か隷属を迫るだろうか。いや、今度は殺しはしない。 男を強引に自分の眷属にし、それこそ千年かかろうとも自分のものにして見せてやる。 絶対に逃がしはしない、あれは誰にも渡さない、○○よ、お前は私のものだ―――。 「っと、いけないいけない、思わず神気が濁ってしまう」 「神奈子様。あのお話が……」 早苗が話しかけて来ていたのに、気が付かないとはうっかりしてたと神奈子は気まずく思ったが誤魔化した。 「で、どうしたんだい?」「あの……実は、私……」 早苗の相談事は目出度い事だった。何でも里で知り合った外来人と懇ろな仲になったらしい。 あの初心な早苗がねぇと思ったが、彼女の跡継ぎが出来るのは良いことだし幸せになるという事は良いことだ。 「で、その男と言うのはどんな男なんだい?」「あ、はい。この間一緒に撮った写真がありますので……」 恥ずかしげに差し出した写真を受け取り、何気なく見た神奈子の動きが止まる。 「…………………………○○」「え、神奈子様、あの人の名前を知っているのですか?」 写真に写っていた、早苗と一緒に写っていた男。 その男は、かつて自分と戦ったあの男と瓜二つだった。 そして、歴史は繰り返す―――。
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「大丈夫ですか?」 この奇妙な出で立ちの女の子が声をかけてくれていたとき 自分は3度目の放心状態に陥っていた。 「あの~?聞こえてます?」 「え、あ、あ、ああ、はい、えっと…」 あまりに常識の範囲を超えたことが起こりすぎ、 言葉をうまく紡ぐことができずにいたが、 ありがたいことに女の子が自分の焦りをくみ取ってくれたらしく、 現状の説明を始めてくれた。 「ええと、まずは落ち着いてください… 落ち着きましたか?」 「は、はい」 「ええと、何から話せばいいでしょうか… 恰好からすると明らかに外の人でしょうからね… ………あの、森か山を歩いていて、急に雰囲気が変わったりしませんでした?」 「え、あ、はい、………なんでわかるんですか?」 「まぁこれで確定ですね。 いいですか すぐには信じられないかもしれませんが、 とりあえず私の言うことを聞いてください ここは幻想郷という場所でですね…」 緑髪の子が言うことは要約すれば次のようなことだった。 まずここは幻想郷という場所であるらしい。 幻想郷は結界で隔離され、 通常は外の世界からは見ることも行くこともできない しかし結界も完璧なものではないため ときどき外の世界から人が迷い込むそうだ。 幻想郷には妖怪や神など、今では迷信となった存在が住むという。 彼女はこの世界で巫女兼現人神をしていて、名前は東風谷早苗というそうだ。 その袖のない奇妙な服は巫女としての衣装らしい。 なるほど、ただ話を聞いただけなら、まず10人中10人が信じられないと言うであろう荒唐無稽な話だ。 しかし、この状況に至るまで、あまりに非常識なことを連続で体験してしまった身としては ただのデタラメと切って捨てることは到底できない。 とくに最初のがらりと変わった景色… 自分は立ち眩みしたとはいえ、時間間隔を失ったわけではなかった。 あの一瞬の間で周りの景色をすべて変える、ということは いかに手を尽くそうと不可能だろう。 回りすべてが映像だった…という馬鹿な考えも一瞬頭によぎったが、 獣?に追いかけられてその風景の中を走りまわった実体験により 完全に否定せざるを得ない。 少し冷静になったことで、かえって自らの体験した事の異常性、超常性が露わになってきた。 明らかに自分は物理法則を超越した出来事を経験したのだ。 「しかし、まさに危機一髪!て感じでしたね~!」 「ええ、……やはりあの光の球は東風谷さんが?」 「ええ、私は風祝で現人神ですからね。あのくらいはちょろいもんです!」 「はぁ……、えっと、ありがとうございます」 「礼には及びませんよ、妖怪退治は私の仕事であり、趣味ですから!」 茶目っ気のあるかわいらしい笑顔で答える。 どうやら彼女に助けられたのはほぼ確実だろう。 とすると、あの光弾も彼女が出したということか。 妖怪退治はお札や呪文でするものだと思っていたが、どうやら間違いだったらしい。 考え事をしていると再び東風谷さんが話しかけてきた 「とりあえず、ここにいてさっきのみたいなのが現れると 面倒ですので、私の神社に行こうと思いますが、いいですか?」 「ええ。お願いします。神社はどの方向なんですか?」 「あちらの方向にあります。ここからは木々のせいで見えませんが、 かなり大きな山があって、そのの中にあるんです」 確かに木々のせいで向こう側が見えないが、高い山の上にある、 ということは、かなり歩かないといけないか… ほんのすこしだけ気落ちしていると 東風谷さんは再びこの場所がどんなところであるか再認識させるような とんでもない提案をしてきた。 「そのままだと時間がかかるので飛んで行こうと思います 手をつないでもらえますか?」 「へ?あ、え?飛ぶって…」 「言葉通りですよ、ほら」 そういうと、彼女の背丈がいきなり二回りほど大きくなった。 しかしすぐにそれは間違いだとわかる。 成程、彼女は確かに地面から50cmほど浮いているのだ。 「うお……… ……そんなこともできるんですか……」 これまでの茫然自失の様と比べればまだましとはいえ、やはり驚きを隠せないでいると、 「ええ、まぁそういうことなんで、一緒に飛ぶために 手をにぎってください。 ……ああ、そうだ、何か忘れたり、落としたりした物はありますか?」 落し物… 「いえ、ありま…、あっ、そういえば」 MP3プレーヤーはどうなっただろうか、と一瞬考えたが、 ポケットの中に突っ込んだ感触ですぐに存在を確認できた。 しかし妙なノイズも入ったし、何か壊れているかもしれない、 と確認のために取り出すと、 「あ、!それ新しいMP3ですか? へぇ~最近のはそんな感じなんですね~」 「ええ、まぁ、半年くらいの前のですかね…」 「何曲はいってるんです?」 「600曲くらいかな…あまりおぼえてないな。」 「そんなに入ってるんですか! えと、後で聞かせてくれませんか?」 「ええ、気に入るのがあるかわかりませんけど… そういえば幻想郷にもこういうのはあるんですか? 妖怪とか神とかいうからもっとファンタジーな世界かと思ってたんですが」 「え?、あ、いえ、幻想郷にそういうハイテクなものはありません。 自分も外から来たので…」 どうやら彼女も外の世界の住人であった経験があるらしい。 MP3プレーヤーがわかるということは、およそ十年以内に こっちに来たのだろう。 別に故障した様子はなかったので、とくに忘れ物はない というと、 「じゃあ出発します。手を握ってください」 言われた通り手を握ると、急に風が自分を押し上げてくるような感覚が 体を包んできた。 とはいえこの程度の風で体が浮くとは思えない。 やはりなにか不思議な力が働いているのだろう。 お、お、と呻いていると、彼女はすぐに神社のあるほうを向き飛ぶ体勢?に入った。 「つきましたよ。 えっと、ようこそ、守矢神社へ」 「……ええと、……おじゃま、します……」 正直空を飛ぶという体験はかなり怖かった。 いくら無重力のような浮遊感があるとはいえ、 自分の力で飛んでいるわけではないし、 下を見たときの光景は変わらない。 神社に到着したときには、緊張の反動がでて かなりぐったりしてしまった。 「じゃあ、私は神奈子様たちに今後のことを聞いてきますので ちょっとそこのところで待っていてください」 「……あ、っと、よろしくお願いします」 神奈子とは誰だろう、この子の親かな…しかし、様…? と思っていたら、またもや思惑の外の答えが返ってきた。 「神奈子様から今夜はここで泊って行ってもいいとの許可が出ました それと、一応顔を見たいそうです。」 「わかりました。ええと、そちらですか。」 「はい。あ、それと念のために言っておきますが、 神奈子様はこの神社に祭られている神であり、 この妖怪の山一帯に強い影響力があります。 多少のことで怒られるような方ではありませんが、 できるだけ粗相はしないでくださいね?」 …神ときたか…まぁ妖怪、そして神社と巫女がいて、ここは幻想郷なんだから 神がいてもそりゃ不思議はないわな。 「聞いてます?」 「えっ、あっ、はい!わかりました。気を付けます」 驚きは少なくなってきたが、まだ思考停止はどうしてもしてしまうな… そうこうしているうちにその神様に面会することとなった。 「お前が○○か。私がこの神社の祭神の八坂神奈子だ いきなりこんなところに紛れ込んで疲れているだろう? 今日はゆっくりしていくといいだろう」 なるほど、この方がその神様か、 確かに影響力の強い神様らしいだけあって 奇抜な衣装にもかかわらず、それを感じさせない威厳のようなものが 発せられているのがわかる。 「○○です。本日は東風谷さんのお世話になり、その上寝床まで用意してもらって… 本当にありがとうございます」 「いや、礼はいい。同じ世界出身だからか、早苗の機嫌もいい それにお前が来た一因は私たちにある可能性が高いからな…」 どうやらここ最近ここ幻想郷にとって異変と称される事件がたびたび起き、 それが原因で結界にほころびが起きていた可能性があるとのこと。 そしてその異変にこの神様は少しかかわりがあったらしい。 少し、と言っていたときに妙にばつの悪そうな顔をしていた気がするので ひょっとしたら少しどころじゃなく関わっていたのかもしれない。 とはいえ助けてもらった身の上であるし、悪い神様ではなさそうなので 神奈子様には心の中で感謝しながら寝床についた。 翌日、さすがに宿をただ手かしてもらっているのに お客様気分でいるわけにはいかないので、朝食の準備やらを手伝い、 いろいろと家事がひと段落したとき 東風谷さんに声をかけられた。 「お疲れ様です。あの、きのう話してたmp3プレーヤーの曲を 聞かせてもらってもいいですか?」 「ええ、いいですよ。」 最初は電池の状態が気になっていだが、驚くことに 幻想郷で、しかもこの山の中に電気が通っているらしく、 こちらも街中で充電するためのコードをもっていたため、 充電の条件がそろい、その心配は杞憂に終わることとなった。 しかしよく周波数と電圧の問題がクリアできたな… (※一般家庭に流れる電圧や電流の周波数は 一定の値以内に収まるように調整されており、 例えば電圧なら101±6Vなどとされ、コンセントをさしてつかう機器も それに合わせて作られています。) さて、東風谷さんにいろいろと音楽を聞かせていったが、 結論としては、かなり高評価だったといっていいだろう。 正直なところ洋楽邦楽ともにマニアックなものも多かったと思っていたが、 彼女は外の世界の流行にあまり乗らないタイプらしく、 「個性的な雰囲気で、おまけにすごく印象に残る いいメロディーばっかりでびっくりしました! こんないい曲が世の中にたくさんあるなんて知りませんでした!」 と、その特徴的な部分がかえって良い印象になったようだ。 まぁ、好きな曲がほめられて悪い気はしない。 上機嫌のまま、今日は買い出しに人里に行くことになった。 人里はこの魑魅魍魎の集う幻想郷のなか、人だけが暮らしている集落らしい。 ついでに結界を管理する博麗の巫女の動向を聞くそうだ。 なんでも外と幻想郷を行き来するにはその巫女に頼むのが一番だとか。 「それでは行きましょうか」 と、いうわけでここに来た時のように彼女に手をつないでもらい、空を飛んでいる。 本当は怖かったが、世話になりっぱなしの中で我儘をいうわけにもいかない。 脂汗をかいている自分とは対照的に 東風谷さんは上機嫌だった。プレーヤー聞きながら飛んでいるからだろうか? 「つきましたよ、ここが人里です。」
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SS書きとして挑戦しないわけにはいかない・・・・というわけでアホ毛のおかんのSSをば おや?こんな時間に宅配便が・・・・ オニンギョウアソビ 魔界 それは幻想郷に接する異世界の一つ 創造神である神綺が統治するこの世界は、全てが彼女の創造した存在「魔人」で運営されていた 幻想郷のように意図的なパワーバランスを必要とするわけでも、旧地獄のように暴力と悪徳に支配された世界でもない 「退屈だわ~~~~~」 豪華な執務室で輝くような銀髪をサイドテールにした妙齢の女性がひとりつぶやく 彼女が魔界神 神綺その人だ 彼女が魔界を作ったのはただ「自分以外にも人間が居たら退屈が紛れるかも」との思いつきだった しかし、それで退屈が紛れたのは、ほんの一千年だけだった そこで自意識を持った魔人を作った 困ったことは、その自意識を持った魔人も同様に退屈を感じ始めた そこで今度は「自意識を持ち、成長する魔人」を作り、神綺は彼女に「アリス」と名づけた だが、アリスも魔人特有の病である「退屈」から逃れることはできず、隣接した異世界「幻想郷」で一人暮らしを始めた 結局アリスの存在も彼女の退屈を癒すことはできなかった 「お会いできて光栄です。私の名前は○○と言います。此処へはアリスさんの紹介できました」 私は目の前の青年を見る 魔界に人間が来ることは初めてではない しかし、人間の、しかも幻想郷の外にある外界からきた外来人は初めてだ ましてや魔法使い志願とは 「あなたがどういう人物かはアリスちゃんから連絡を受けています。図書館及び研究室の使用を許可しますが条件があります」 「私にできることなら・・・・」 玉座から降りて○○の頬をなでる 「例えば、夜の相手とか・・・・」 ○○の顔が赤くなる 「ちょっと・・・・それは・・・」 かわうぃーーーーーーーーー! でも自重自重 「冗談よ。ここでの家事を手伝ってもらうわ。あら?ちょっと期待した?」 「ちっちがいます!」 これで当分は退屈が凌げそうだわ ありがとうねアリスちゃん 彼、○○はよく働いた 教育係の夢子ちゃんも彼を誉めていた ただ・・・戦闘能力はからっきしで、おまけに魔法の才能もない とはいえ、真面目に研究していることは事実だ だが、彼には足りない 人を捨ててまで研究したいと思う強い思いが アリスちゃんは自立行動できる人形を作ること 彼にはそれがない 彼の実力なら中級の悪魔くらいなら倒せるだろう しかし、それでは大成できるわけではない 彼には目標がない 必死さがない まるで、借り物の目標をもっているようだ 最初はただの興味 彼の研究ノートを覗き見た そこにあったのは・・・・ 「アリスちゃんと同じ研究・・・・」 自立起動型人形 それはアリスちゃんが魔界を捨てた理由 私は全てを知った なぜアリスちゃんが○○を送り込んだのか アリスちゃんは恐れている 自立した意識を持っているがゆえに、絶対的な創造主を裏切ることができない 魔界に「一度でも」戻ったら自分は支配におかれる 意識を持つ人形にとって、自分が再び人形にされることを何よりも恐れる だから自立意識を持つ人形を作り、その研究をもとに創造主に対する恐怖を克服する 「魔人」でない、人間の○○を使って必要な資料や術式を集めながら・・・ 「かわいそうな○○・・・・」 純真な○○はきっと騙されているんだ 現に女の匂いはしていても彼からは童貞の匂いがする 本気で愛しているなら彼からは男女の陰陽の力があるはずだ 所詮、人形遊びにすぎないのだ ならいっそ・・・・ 「たまにはいいわね~男と交わるのも・・・」 汗と淫液に塗れた肢体を月明かりに照らす ベットの上には白目を剥き、死んだよう動かない○○ 心臓は鼓動している でも彼は「死んでいる」 現に彼からは人間特有の霊力はなく、魔人の持つ魔力が根付いていた まぐわいとともに霊力を抜き取り、代わりに魔力を注ぎ込んだ 彼はもう人間ではなく、魔人○○という新たな人形に過ぎない 魔人となった○○はいつもの○○と変わらなかった いつものように邸での家事をこなし、研究室で「アリスからお願いされた」資料や術式を集める 彼の意識「では」いつもと同じだった 神綺が密かに用意した魔人を再び人形に戻す術式とは知らないままに 「愉しみだわ~あの子が自分が再び人形化したのを知った時はどんな顔をするかしら?」 玉座の上で、意識のない目をした○○の奉仕を受けながら魔界の神らしく笑みを浮かべた