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僕は今、監禁されている。 監禁されているといっても、この屋敷を自由に歩きまわれるし、場合によっては外にも出られる。 しかし、僕は今ある女性によって『心』も『体』も監禁されている。 いや、今。という表現はふさわしくないだろう。 今、そして未来。はたまた永遠に 僕はこのままなのかもしれない。 ことの始まりは、僕がこの幻想郷というところに迷い込んだことに始まる。 確か大学に行くため通勤電車に乗っていて、その電車が猛スピードでカーブを曲がりきれずに脱線・・・したところまでは覚えていた。 しかし、この風景の説明がつかない。そしてこの妙な感じ。 この幻想郷というのは、どうやら自分が今まですんでいた世界とはまったく異質のものであると感じた。 そして、それは僕の目の前に妖怪とも化け物ともいえる存在に出くわした時に確信に変わった。 『fwphfjpわhfqenpgrwahgpr!』 なんともつかないような鳴き声を上げ、僕におそいかかる。 相手は鋭い爪、僕はリュックサックを持った状態の徒手空拳。勝てるわけがない。 僕は一瞬、自分の死を覚悟した。 その時に、弓矢を持って助けてくれたのが、彼女との最初の出会いだった。 彼女の名前は八意永琳(やごころえいりん) その時彼女は、風邪を引いてしまった弟子の代わりに、里に薬を届けに行く途中だったようだ。 僕が事情を話すと、彼女は、『なら私のところに来る?ちょうどお手伝いがほしかったの』ということで、帰る手段が見つかるまで 彼女の住処である屋敷で働くことになったんだっけ。 彼女からこの幻想郷のことを聞いた。そして彼女やその周囲の人物の生い立ちも。 彼女達は月の追っ手から逃れてこの幻想郷にやってきたということだった。 その話の全てに僕は驚きはしたが、それを受け入れることにした。 この世界と、彼女の目を見る限り、彼女の言うことは嘘ではないと思うから。 そして彼女の仕事は薬師・・・平たく言えば薬を調合する薬剤師のようなものだ。 そして彼女は天才的な頭脳を持っており、僕は彼女の知識の多さ・すごさに尊敬させられた。 実は元々僕は医学部で勉強していた身だし、在学中だったといえども知識はあるので、多少彼女の診療の手伝いもさせてもらっていた。 時にりりしく弟子を指導し、時に優しく弟子やみんなに接する。僕はそんな彼女に惹かれて行った。 ある時を過ぎたころから、彼女が僕に薬の調合を教えてくれるようになった。 『あなたは手先が器用で、頭もよさそうだから、薬の方のお手伝いをしてもらうわ』とは彼女の言。 昔とった杵柄とはいえ一応医学部。実際習って見ると、不思議なことは多かったけど、楽しくめきめきと上達していった。 気がつけば、彼女の仕事量の2割くらいを僕が手伝えるようになっていた。 そして、この幻想郷の人々とも触れ合うようになっていた。 僕の帰る方法を見つけてくれるために頑張っている霊夢という巫女さん。そしていつも空を飛ぶ魔理沙という魔法使い。 この永遠亭のウサギや鈴仙やてゐ。そして永琳が護っているという輝夜という少女(彼女はあのかぐや姫だというから驚きだ) そして里のみんな。彼らと触れ合うのは、正直とても心が和み、楽しかった。 日々の生活は、充実していた。 そして、あれはいつものように診察を終えたころだったか。僕が薬品の整理をしていると、彼女・・・永琳がやってきた。 彼女は僕の元に来ると、こう言った。 『あなたがこの幻想郷について、長い時間がたつけど・・・ちょっと聞いていい?」 僕に聞きたいこと?いったいなんですか? 『・・・私のこと、どう思ってる?』 どう思ってる?そりゃ師匠というか、尊敬できる先輩というか・・・ 『そうじゃなくって・・・』 ? 『私のこと、好き・・・だったりする?』 ・・・・・・・・・・えっ? 僕はこのとき、一瞬思考が固まった えーっと・・・好きとは? 『その・・・・私のことを・・・・・・異性として好きかっていうことよ』 彼女は顔を赤らめながら言う。 それって、もしかして・・・僕のことが好きとか・・・・・・? そういうと、彼女は真っ赤な顔をして 『そ・・・そういうことよ・・・あなたはどう?』 彼女は言った。その顔に緊張を成して。 僕ですか・・・・そりゃ・・・・・・・ もちろん。あなたが好きならお受けします。僕もあなたのことが好きです。 僕は答えた。それは嘘偽りない気持ちだった。 彼女は・・・・・・・・・・・・・・・・ 『・・・・・・・・ありがとう。嬉しいわ・・・・・・・・・・・』 彼女は言葉を搾り出すようにそういった。 僕も嬉しいです。あなたのような美しい人に告白されるなんて。 そういうと、彼女は聞いた。 『・・・・ねぇ。なら約束してくれる。私と永遠に一緒にいてくれる。どんなことがあっても私のそばにいるって。離れないって』 彼女は僕に顔を近づけてそう言う。 もちろん、約束します。僕はどんなことがあっても、貴方のことを嫌いになりません。ずっと一緒に居ます。 僕は言った。すると、彼女は僕になにやら液体の入ったビンを渡してきた。 えっと・・・これは? 『嘘のつけなくなる薬、あなたと私のエンゲージリングのようなものよ。私も飲んだから、あなたも飲んでね』 彼女がそういう、『嘘をつけなくなる薬』なんか少女幻想みたいな名前だけど、好きな人から渡されたものだ。まさか悪いものでもあるまい。 そう思って僕はそのビンのふたを開け、飲んだ。すると・・・ 猛烈な眠気に襲われ、僕の意識が遠のいた。 眠気に襲われる寸前、彼女を見た。すると・・・ 『ずーっと一緒に居ましょうね。そう【永遠】に・・・・・』 そう言って、僕に抱きつく彼女の姿だった。 まさかあれが竹取物語で有名な不死の薬『蓬莱の薬』だったとは。後で彼女に聞いて驚いたもんだ。 意識を取り戻すと、僕は病室のベッドにいた。 そして薬のネタばらし。 聞いたときは暴れた。そして嘘だとさえ思った。 しかし彼女も相当昔にその薬を飲んだこと、そして・・・・ ためしにメスで腕に傷をつけた時、一瞬血がにじんだがすぐに元の綺麗な皮膚に戻った時。どうやら彼女の言うことは本当なんだと感じた。 彼女に聞いた。どうしてこんなことをしたのか・・・ すると彼女はこう言った。 『私が好きになった人間は永く生きているから、何人も居たわ。でもみんな儚い命・・・すぐ死んでしまう』 『だから・・・こうすれば一緒に居られると思ったの・・・もう寂しいのはいや。ずっと一緒にいてほしかったから・・・・』 そういって彼女は肩を震わせた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 僕は黙って彼女を抱きしめ、深いキスをした。 薬のエンゲージとは違う、僕と彼女との永遠のエンゲージ【契約】。 そう、僕はこの運命を受け入れた。何もかも・・・彼女と永遠を生きることも そして今にいたる。 日常は何も変わっていない。 彼女の診察の手伝いをして、薬の調合を行い、たまに里に往診に行く。 なにも変わっていない。 ただひとつ変わったことといえば、 博麗の巫女である霊夢に、外の世界に戻らなくてもすんだ。と伝えたこと。 そして、僕自身も外の世界に未練がなくなったということ。 そして・・・ 何をするときにもいつも傍らには彼女が一緒にいてくれること。 最初にも言ったように、僕は監禁されている。 永琳という糸に絡め取られ 今も、そしてこれからも永遠に。 でも・・・・・ 愛している彼女は居る限り、互いに愛し合っている限り・・・これも悪くないんじゃないかな? とも思っている。
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palette ~人々が愛した幻想郷~ サークル:君の美術館 Disc1 -kimino-museum side- Number Track Name Arranger Lyrics Vocal Original Works Original Tune Length 01 暗闇の風穴 PHEVOTT 黒岩サトシ Cherose 東方地霊殿 暗闇の風穴 [03 58] 02 二色蓮花蝶 PHEVOTT 黒岩サトシ 市松椿&綾倉盟 秋霜玉 二色蓮花蝶 ~ Ancients [04 10] 03 明治十七年の上海アリス PHEVOTT - - 東方紅魔郷 明治十七年の上海アリス [03 35] 04 蓬莱伝説 PHEVOTT - - 蓬莱人形 蓬莱伝説 [04 30] 05 Bad Apple!! PHEVOTT 黒岩サトシ Cherose 東方幻想郷 Bad Apple!! [03 40] 06 童祭 PHEVOTT 黒岩サトシ 市松椿 夢違科学世紀 童祭 ~ Innocent Treasures [04 15] 07 閉ざせし雲の通い路 PHEVOTT - - 東方星蓮船 閉ざせし雲の通い路 [04 11] 08 桜花之恋塚 PHEVOTT - - 蓬莱人形 桜花之恋塚 ~ Japanese Flower [04 53] 09 今昔幻想郷 PHEVOTT 黒岩サトシ ユリカ 東方花映塚 今昔幻想郷 ~ Flower Land [04 34] 10 平安のエイリアン PHEVOTT 黒岩サトシ Cherose 東方星蓮船 平安のエイリアン [03 37] 11 天空のグリニッジ PHEVOTT - - 大空魔術 天空のグリニッジ [03 42] 12 神々が恋した幻想郷 PHEVOTT 黒岩サトシ ユリカ 東方風神録 神々が恋した幻想郷 [04 35] Disc2 -omnibus side- Number Track Name Arranger Lyrics Vocal Original Works Original Tune Length 01 恋した神々の唄 kaztora azuki lily-an 東方風神録 神々が恋した幻想郷 [04 45] 02 林檎たちの午後 白トカゲ 白トカゲ 白トカゲ 東方幻想郷 Bad Apple!! [03 43] 03 雲の無限回廊 ししまい三号 - - 東方星蓮船 閉ざせし雲の通い路 [03 25] 04 蓬莱伝説 Kou Ogata - - 蓬莱人形 蓬莱伝説 [03 22] 05 Flowering Heart kaztora azuki, lily-an lily-an 東方花映塚 今昔幻想郷 ~ Flower Land [04 44] 06 Dress Syrufit SHIKI fi-fy 秋霜玉 二色蓮花蝶 ~ Ancients [07 10] 07 桜花之恋塚 Kou Ogata - - 蓬莱人形 桜花之恋塚 ~ Japanese Flower [04 01] 08 上海グレイ ししまい三号 - - 東方紅魔郷 明治十七年の上海アリス [03 19] 09 臆病者の平安 白トカゲ 白トカゲ 白トカゲ 東方星蓮船 平安のエイリアン [03 56] 10 Leap in the Dark 五条下位 黒岩サトシ Cherose 東方地霊殿 暗闇の風穴 [04 28] 11 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life 小林哲也 - - 東方妖々夢 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life [04 22] 12 追想の郷 Syrufit 市松椿 fi-fy 夢違科学世紀 童祭 ~ Innocent Treasures [05 55] 詳細 コンピレーションCD 特製フォトアルバム風BOXパッケージ 国内プレス(2CD-全24曲) 画集&ブックレット(全34P-内16P画集) コミックマーケット77(2009/12/30)にて頒布 イベント価格:2,000円 ショップ価格:2,500円(税込:2,625円) Arranger ししまい三号 : (ししまいブラザーズ) kaztora: (Liz Triangle) Kou Ogata: (k-waves LAB) hiro.na: (Syrufit) TAK-sk: (Syrufit) 白トカゲ: (鉄腕トカゲ探知機) 小林 哲也: (PARADOX) 五条下位: (SYNC.ART S) レビュー ショップで見た「CD」というには大きいパッケージがすごく印象的でした。 中身もブックレットが非常に美麗で同人という枠組みとは思えない豪華さだった。 肝心のアレンジだが、君の美術館の特徴である生演奏にこだわったスタイルがさらに洗練されてきた印象。同サークルの今までの作品が好きな方なら間違いなく買いだと思う。 ブックレットにも書かれているのだが、主催者の方が本当に東方という作品を愛しているんだなぁ・・・というのが音からも伝わってくる。ここは個人的にすごく好印象だった。 細かいところを話すと、ボーカル曲はほとんどがバンドスタイル、インストはエスニック風味、あとはクラブ系?がちらほらといった感じであった。 個人的にはどれも好きなのだが、ギターフレーズはもう少し凝った趣向を出してもよかったと思う。これは良い意味でも悪いでも取れるのだが少しマンネリフレーズが多い印象を受けた(それだけギタースタイルが確立しているという見方もある) 後はボーカル曲の割合がもう少しだけ多くても良かったかな?と感じました。これは完全に個人の趣向の話でしょうが・・・ そして何よりすごいと思ったのは、これだけの曲数とアレンジャー人数でありながらCD全体の音質、アンビエンス感のバランスが統一されていたことです。 私自身も音屋をやっていることもあってこのマスタリング技術は脱帽ものでした。このことからCD2枚を通して一つの世界観を持っていて、聞いている間ずっと「palette」に浸ることができました。ここは素晴らしい!の一言です。 なんだが乱文になってしまいましたが、総括すると ジャケ、パッケージ、ブックレット、歌詞、楽曲全てを総合してよくここまでの作品を作ったな。というのが感想です。 家で全てを聞いた後に「やっちまったな・・・君の美術館!」とつぶやいてしまいした。(もちろんとても良い意味で) この作品を作った方々に大きな拍手を送ってあげたい気持ちです。 -- くれないみすず (2010-01-13 16 30 13) 感銘を受けると言うのはこういう気持ちを言うのでしょう。 内容については上のくれないみすず様のレヴューに詳しい。 ゲストアーティストの曲を個別に。 Liz-triangleは優しい女性ヴォーカル。歌は上手め。オーソドックスなバンドサウンドに、ピアノが相変わらずいい仕事。得意の美麗な旋律の曲を選び、見事に活かしている。結構ロック寄りで、Tr.1はアップテンポ、Tr.5は結構ハードな感じになっている。 鉄腕トカゲ探知機は癖のある男性ヴォーカルのゴリゴリオルタナ系ロック。怪しげな旋律を持つ原曲を選び、これまた持ち味と見事に合致した力作。初期に比べ、ただ下手糞だったヴォーカルが成長し、本来サークルがやりたかったであろう事がしっかりできるようになっているのが嬉しい。今や独特の歌い回しは、人こそ選ぶ物のアーティストの個性として昇華されている。個人的にはCOCK ROACHが思い浮かんだ。 ししまいブラザーズは、いつもながらピアノサウンド主体のスタイル。Tr.3では、高音で主旋律を奏でる笛が和楽の要素を演出している。 k-waves LABは、これもいつもながら民族楽器を使った癒しのサウンド。今回は、和の要素を感じるエスニックな編曲となっている。Tr.7の桜花之恋塚は、秀逸過ぎてお花畑で手を振る幽香が見えた。 SyrufitはTr.6で二色蓮花蝶、デジタル系の音圧で攻めの一曲。少し気だるい女性っぽい感じの歌い回しと僅かに少女っぽい透き通りを併せ持つ女性Vo.も目立った失点はなく、声質もよくあっている。ここにきて始めてのデジタルトランス系だが、正直結構な名曲。アルバムラストは、高音の笛が和風な味付けをする夜空系アンビエンスなバラード。 SYNC.ART Sは得意のキラキラシンセ曲だが、打ち込みビートやシンセで等普段よりトランス色が強くなっている(私がトランスを知らないので滅多な事を描けないが)。ノイジーなSyrufitとアルバム内で上手くバランスが取れるぐらいの音が出ている。こういう音もっとやってもいいのに。そしてVo.を主催サークルの男性Vo.が取っているのがかなり新鮮。今回上手く歌えており、情感の籠った歌唱に感情移入を誘われる。 PARADOXは、持ち前の演奏力とキャリアを活かしたバンドサウンドによる疾走ロックインスト。このアルバム初の突っ走りドラムとリードギター、そしてブンブン唸りを上げるベース。楽しみ所も多く、ギーソロベースソロもイイ。 各サークルが、その持ち味とする音楽性を見事に活かし切り、最高のパフォーマンスを見せてくれている一枚だったと思う。 君の美術館サイドも負けじと最高傑作を作り上げており、音から迸る情熱には時に圧倒され時に引き込まれる。まず1ループ目を冷静に聴く事の出来ない二枚組アルバムである。 上にも称賛されているが、自前サイドの一枚含めて、これだけの豪華アーティスト・曲・ジャンルを集めながら、各音・曲の雰囲気、アルバム全体から受ける印象・世界観、そのバランスが見事に統一・完成されている事には感嘆させられる。 美麗なジャケット、豪華な箔押しのピクチャープレートアルバム、CDのレーベル面から全てが一つの作品として完璧に完成されている。 本当に東方が好きでたまらない人達が、本当に作りたくてたまらない物を作り上げた感情の結晶。心が共振する。ああ、同人(好きに物を作る)っていいなぁ。 全く↑の方と同様、聴いた後「こいつら……やりやがった……ッ!」という言葉が自然に漏れる作品であった。 本当に、この凄まじい作品を作り上げられ、私たちに聴かせてくれた方々に、惜しみない称賛と感謝の言葉と、拍手を送りたい。素晴らしい。ありがとう。 一人のメタラーとして? 上海アリスカバーアルバムC77ベスト作品にこれを推したい。メタル一曲も無いですけれどもね(笑) しかし、利益をある程度度外視できるとはいえ、これだけの物が3000円切るって……カスラいえなんでもないです蛇足でした。 -- 鉄 (2010-01-14 01 33 51) このCD、発売を前から楽しみにしていたのですが…手に入れて良かった!期待以上のアレンジCDだと思いました。 まず、パッケージの豪華さに驚き。デザイン、紙質共に素晴らしく、感激です。また、2枚組のCDについては上の方も言っているように、2枚で1つの世界観を構成する、統一感あるアレンジ。しかし統一感ある中で、各々が自分のサークルの特徴を出している。 個人的に君の美術館サイドでは「明治十七年の上海アリス」、ゲストサイドではk-waves LABや、SYNC.ART Sのアレンジが好き。 私は音質だとか、ボーカルの上手さだとかを言えるような人ではありませんが、素晴らしいアレンジCDだったので、他人にオススメできるCDだと思います! -- Yunn (2010-01-25 22 00 47) 名前 コメント
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登場人物 魂魄妖夢 白玉楼の庭師。感情の整理のつく前に、出来事が加速する。 西行寺幽々子 白玉楼の主。何かを企んでいたが、結果は……。 ○○ 白玉楼の居候。記憶を取り戻し、帰る運命になる。 帰る。 いなくなる。 それは、単に、 元に戻るというだけのこと。 一人だった。 幽々子様と、二人だった。 それが三人になった。 問題があって、いつも頭を悩ませて。 同じくらい、喜んで、喜ばせてくれた。 それがいつしか、当たり前に感じて、ました。 だから、元に戻るのではなく。 元に、戻らなくなると。 そういう風に、感じました。 「先ほどの議論を簡単に解決すると、こうなるんですよ。つまり、彼は、元の世界に帰る運命を持った人間なんです」 過去の人間だから、仕方ないと、思わないといけないんでしょうか。 幽々子様はいつか、時間が無いかもしれないと、そうおっしゃられていました。 「お勧めしない理由って、まさかこのことなのかしら、紫?」 「ええそうよ。別にあの時には理由まで聞かれなかったもの。応えなかったわ。 だから、貴女が危惧したとおりに怠惰で普遍な生活が続くだけのことじゃないし、幻想郷のバランスを欠く要素だったわけでもないわ」 紫様が幽々子様に真実を伝えているようだけれど、どうでも良かった。 私は、○○さんに尋ねる。 「○○さん」 「なんでござろうか、妖夢殿」 「何故、帰らないといけないんですか?」 尋ねると、○○さんは、辛そうな顔をしました。 「嫌な理由なら、ここに残っても――」 「そうはいかぬのでござるよ」 私の言葉を遮って、○○さんは言います。 どうやらそこに、強い理由があるようです。ここに残ることよりも、別れる事よりも。 その辛そうな顔を、私は、見ていられなくなる。 「理由は、言わなくてもいいです」 「……かたじけない、妖夢殿」 辛そうな顔をしてくれるということは、せめて別れは惜しんでくれているということでしょう。 少しは、気が紛れます。 「まあ、今すぐどうこうって話じゃないのだけれど、変える時間までにはちょっとあるわよ」 「どういうことなの、紫?」 「そうね。どこかの巫女の勘では異変の前兆ね。どこかの誰かさんがここにきて歴史改変の要素を持った。 まあ、これだけでも十分異変よね。それに、まあ、歴史食いの半獣も気づかない事でもないでしょう。 ただ、歪みが許容できなくなるまで、少しだけあるの」 「何をもって限界とするのかしら?」 「彼の年齢ね。要は誕生日。その日に、帰ってもらうわ」 拙者の生まれた日となれば、 そう、明後日でござるか……。 つまりは、別れを惜しむ最後の日も、一日しかござらぬということか。 先日は、衝撃のあまり妖夢殿や幽々子殿。幻想郷の歴々と語ることも叶わぬ事でござった。 「はてさて、如何なるものやら……」 妖夢殿はやる事があるとどこかへ行かれ、拙者は白玉楼に一人で空を見上げていた。 置かれる身の置き所こそ、因果なるものよ。 命を帯びて剣術の修行に明け暮れる傍らに探す居所。それぞ、桃花源なる極楽浄土にも通ずる楽園。 渡来人の言葉を真に受けた命ゆえ、拙者はただ修行のみをしておればよかったものを……。 「あらあら、何を悩んでいるのかしら?」 声をおかけいただいたのは幽々子殿でござった。 「拙者の、身の処し方を」 「○○ちゃんったら。そんなこと、考えなくてもいいんじゃないかしら。貴方は帰ってやる事がある。決まっているのでしょう?」 「そうで、ござるな」 命こそ戯れの一言。 すぐにでも帰り、『無かった』とでも伝えられよう。 この地、野心には相応しくない。全てを受け入れると紫殿はおっしゃられども、逆に求める野心家どもの命すら食らい尽くせよう。 ただ、その様な血なまぐささを拒絶しようとは、拙者の自己満足でござろう。 この風景、血で汚したくは無い。 「そういえば、○○ちゃんって、名前も思い出したのかしら? だったらそっちの方で呼んだ方がいいのかしら?」 「いえ、今はまだ、○○とお呼び下さらぬか」 その名が、今は自然でござる。 改名などおこがましい身分でござろうが、拙者には、今や相応しき名でござろう。 「妖夢殿は、いずこに?」 「さあ?」 妖夢殿とも、お話をしたく思っていたのでござるが。 「一つ、聞いてもいいかしら?」 「なんなりと」 「○○ちゃんは、妖夢のことを、好き?」 「……口にすれば未練となりましょう」 それは、答えたも同然の言葉でござろう。 だが、それでも口にするのははばかられた。恐れ多くもあり、未練でもある故。 「そうかしら、ね。紫の気まぐれで、こんな事になるとは思わなかったわ。いくらなんでも、時間の理に触れるなんて」 「仕方なき事。されど、ここですごした時間はとても有益な、かけがえの無き事。幽々子殿にもお教えいただいたでござる」 自覚したとすれば、その時でござろう。 いつの間に、で、ござろうな……。 妖夢殿を師と仰ぐ一方で、恐れ多くも恋慕の情もあったということ。 最初、童と見ていた御方が娘に見えていた時すでに、拙者は想いを募らせていたのでござろうな。 叶わなき事ではござるが。 「妖夢には、いい相手だと思ったのだけれど、残念ね」 「恐悦至極」 「お世辞じゃなのよ。だって、そのために呼んだものだもの」 「呼んだ、で、ござるか?」 「そう。あの子は未熟だから、傍らにいるに相応しい者が欲しいって、呟いてみたの。紫の前で。そうしたら、貴方が来たのよ」 「そうでござったか」 「ええでも、こうなってしまった。けど、感謝しているわ。妖夢はきっと、成長できるもの」 「それこそ、恐悦至極」 きっと、本当は世辞なのでござろう。 拙者の方が妖夢殿にお教えいただいたことは多いはず。拙者が妖夢殿にして差し上げた事など、雀の涙ほどか。 例え拙者に恋慕の情があれど、妖夢殿にしてみれば手のかかる弟子でござろう。 もっとも、それで良かろう。それで良いのでござる。 「さて、時間も少ないでござる。一仕事かかるでござるか」 「あら、何をするのかしら?」 「せめてもの、手向けでござる」 「そう……、後悔のないようにね」 「承知」 特に、用事なんかありませんでした。 私が今いるところは、ただの雪景色が見える場所。どこなのかなんて分かりません。 何故、こんなところにいるんでしょう……。 単に、いていられなくなって出てきてしまったような。 そんな感じです。 理由も実に単純です、ね。 「はあ……」 吐く息が、とても白いです。 吹雪くわけでもなく、深々と、静かに淡く降る雪に、身を包んでいました。 寒い、ですね。 せめて、何か考えないと、いけないですね。 このまま、逃げたままではいけないでしょう。 そう、逃げたままでは……。 雪景色が寒々と映るのは何故でしょう? それは、今までとも変わらないことなのに、とても冷たくて寂しい。 寂しいと感じるのは、多分。 雅やかな雪模様を教えてくれた、隣に立っていたあの人のせい、です。 せい、なんて、言い方は……無いですよね。 あの人のおかげなんですから。 でも、そのおかげで、今は、寂しい……。 「こんなところで何をしているのかしら?」 突然、背後から声をかけられました。 油断、気付かないなんて、なんて、私は今、ひどいんでしょう……。 声から敵意は感じられず、私は、その人に向かって振り返りました。 「あら、ひどい顔じゃない。何かあったのかしら?」 「貴女は……」 「別に思い出さなくてもいいわよ。名前も言わなくていい。私はただ、ちょっとした質問に答えてた冬の妖怪よ」 冬の妖怪。そう名乗る、白と青の様相である雪のような妖怪。 彼女はそう言って、おおらか顔をしてくれました。 「そう、なんですか」 「ええ、そうよ。まあ、といっても、ただ適当に質問に答えてただけなのだけども」 「はあ……」 どこぞの新聞のコラムでにいたような、そんな話しを聞いた事があります。実際に見たことはないですけど。 まあ、どうでもいいです。 「もしここで何もする事が無いなら、少しお話させてもらえるかしら?」 「はあ、別に……いいですけど」 「そう、良かったわ」 近くにあった石の雪を払いそこに座ると、彼女も隣に腰掛けました。私の顔を見ながら、口を開きます。 「私もね、ちょっと、嫌な事があったのよ」 「そう、なんですか……」 「そうなのよ。だって、もうすぐ春じゃない。だから私にとっては、憂鬱なの」 「そうなんですか」 何を言いたいのかよく分かりません。 いやな事って、ただ、春が来る事についてでしょうか。 「そういうわけで、もうすぐしたら私はいなくなるの」 「はあ……」 「その間にね。私のことを好きだって言った男が生きるか死ぬかの手術を受けるのよ」 「え?」 突然、雰囲気が変わりました。 「悪性腫瘍らしいのよ。人間の事ってよく分からないけど、とにかく命に関わる事らしいわ。普通は、死ぬことらしいの」 「手術に立ち会えないって事なんですか?」 「あら、ちょっとは興味を惹けたみたいね。……ええ、そうなのよ。だから、私は、ちょっとした選択を迫られてるの」 「選択、ですか?」 「ええ」 彼女は、ぼんやりと空を見上げました。 「妖怪として、その人を襲うこと」 「え!?」 「妖怪なんだから、驚く事じゃないわ。まあ、中には仲良くやれているのもいるみたいだけど、それはとっても特殊なもの」 「そうです、けど。割り切れるんですか?」 「だから、選択を迫られてるの。もう一つ、私の生き方を、考えてるの」 「生き方、ですか……」 また、彼女は私の顔を見ました。 「手術の成功率は、あの天才が五分の保障をしてくれたわ」 「それって……」 「ええ、半分は、失敗するの。それに、術後の経過で一年は様子見。もしかしたら、手術に成功しても容態が急変するかもしれない」 「あんまり、ですね」 「ええ、ひどいものよ。人間って、弱いわよね。嫌になるわ……」 ひどく憂鬱そうな顔で、彼女は言います。そんな彼女を見て、私は、一つ尋ねたくなりました。 「その人のこと……」 「何かしら?」 「貴女は、その人のこと、好きなんですか?」 彼女は、……ひどく、 穏やかな顔をしました。 「分からないわ」 「でも……」 聞いている限りでは、彼女はその人物に対して、好意的であるように感じられます。 「でもも何も無いわ。そういうことなの」 「そういうこと、なんですか」 「ええ、だけどね」 彼女は顔を背けるように立ち上がって、 「いなくなると、悲しいとは思うのよ」 泣く様な声で、呟きました。 「やっぱり、近しい人がいなくなるって、寂しいですよね」 「そうね」 気持ちの整理がつかないけど、ただ単純な感情は、今も心にあって、冷たく冷たく、滲みこんで来る。 邪険にしていたあの頃が嘘のように。 隣に自然にいた今までが幻のように。 答えにならない気持ちが霞のように。 思い出しては消える、走馬灯のよう。 「貴女が別れる人は、好きな人なのかしら?」 「分かりません」 こちらの事を知っているように言うけれど、それよりも今は、彼女の真摯な問いを自分に移して考えたい。 「嫌いじゃないのでしょう?」 「はい」 「なら、見送ってあげなさい。今みたいに、向き合わないで別れたら後悔するわ。今こうしてる時間だってきっと後悔する」 「貴女はどうなんですか?」 「今は自分のことを考えるべきよ。まあ、参考程度に答えてあげるわ。私は……、もう、言う事を言って済ませたわ」 「後悔のないようにですか?」 「ええ。妖怪の一生は人間に比べたら長いもの。だから、その長い時間に引きずるわけには行かないの」 まるで自分本位の言葉だけれど、彼女はそれに付け加えた。 「彼も、私の中で枷になることを望んでいない。だから、私の行動は、彼の意思なの。貴女は、どうしたいのかしら?」 「私は……」 どうしたら、なんて。 今ここまで言われて、思いついたことなんて……。 「今思いついた事があったら、そうしなさい。簡単に思いついた事が、ちゃんと出来たか出来なかったかでも、後に残るものだから」 「そう、ですね……」 心のうちを読まれたようだけど、確かに言われたとおりだと思う。 ああ、そういえば。 いつか、○○さんも言っていました。 『妖夢殿。妖夢殿は妖夢殿らしくあってほしいでござる』 『然り。後ろ向きに悩むことはござらん。真っ直ぐにしていて欲しいというのが、拙者のわずかばかりの願いにござる。 聞き届けていただけるでござろうか?』 何を、うじうじしていたんでしょうね、私は。 「あら、憑き物の落ちた顔をしてるわね。あ、でも、半霊にこういう言い方をしてあってるのかしら? まあ、それはともかく、もう大丈夫ね?」 「ええ、大丈夫です。ありがとうございました」 「私は何もしていないわよ。でも、どういたしまして」 気持ちに整理もつかないし、かける言葉も思いも分からないけれど。 ただ、逃げたまま。 悲しい別れにしたくない。 笑顔で、 あの人と同じ笑顔で、送ってあげたい。 思いついたことは、ただそれだけで……。 それだけでも、やっておきたい。 酒無くて何の己が桜かな。 では、ござらぬか。 一人晩酌に盃を傾けるが、酔いもせぬなら気分も晴れぬ。 花の無くして何の酒か……。 「○○さん、何をしているんですか?」 「妖夢、殿。……お戻りでござったか」 すでに時の遅く、夜も十分に暗くなってから、妖夢殿はお戻りになられたようでござる。 「用事はいかがだったでござろうか?」 「用事は……、ありませんでした」 「なんと……?」 言葉の意味を図りかね、妖夢殿の顔を見る。 否、夜闇が表情を覆い、読み取れず。月明かりも雪明りも弱々しき故、ご拝顔もかなわぬ。 「私も、お酒をいただけますか?」 「む、承知仕る」 言の葉の意気や、なにやら沈むかのごとく静か。 されど、悲嘆の意も読み取れず。 「いただきます」 「どうぞ」 くい、と、妖夢殿は一気に盃を傾けられた。 「酔い飲みっぷりでござるな。妖夢殿」 「○○さんは、もう飲まないんですか?」 「これまでに散々飲んでいたでござるよ」 「私から注いだら、飲んでくれますか?」 またも、意を図りかねる。 しかし、断る理由などがあろうはずもなく。 「喜んで」 思えば、妖夢殿と落ち着いて酒を飲み交わす事は始めてであったと、思い至る。 その事は、妖夢殿も、どうやら御承知であったよう。 「今まで、けっこう忙しかったんですね、私たち。今までこんな機会、いくらでもあったはずなのに」 「左様でござるかな」 「はい、左様です」 妖夢殿は盃を傾け、拙者もそれに習う。 酔えぬ酒でござったが、今は打って変わり、美味いと思える。 「やはり、花でござろうな」 「なんですか?」 「何でもござらぬ。妖夢殿」 口にすれば成る未練。なれば、そのことを秘めしままに、拙者は帰ろう。 だが、その前に、 「約束が、あるのでござるよ」 帰らねばならぬ理由を、妖夢殿には告げねばなるまい。 「約束、ですか? 誰と?」 「大事な御方にござるよ」 「大事な、人……?」 命とは違い、単なる約束事。 しかし、それは拙者が剣術に励む理由に繋がりしこと。 「左様。その御方と、真剣勝負の約束があるのでござるよ」 「真剣勝負……。男の人ですか?」 「左様でござるが?」 「あ、いえ、それで、剣術を頑張っていたんですね」 「そうなのでござろうな。否、そうでござるよ」 ただお話しておらぬこともある。 命にせよ、約束にせよ。 どちらも、拙者は命を落としかねぬ事である事を。 言う必要も、あるまい。 「じゃあ、大丈夫ですね」 「大丈夫、で、ござるか?」 「はい。○○さんは、真っ直ぐに、一生懸命頑張ってました。何の憂いもありません」 「左様で、ござろうか?」 「はい、左様ですよ。○○さん」 ここでようやく、つきは妖夢殿を照らす。 美しき、笑みを、お見せくださった。 「ちゃんと、笑って見送りできるようにしました」 「……」 意は問わぬ。分かる事ゆえ。 今日を外し、こうして笑っていただけるその御配慮、想い。 なんと、嬉しいことでござろうか……。 妖夢殿は、自分が口付けていた盃に酒を注ぎ、それを拙者に差し出した。 「どうぞ」 拙者も、それに応える。 受け取り。 拙者の盃に酒を注ぎ、妖夢殿に差し出す。 「どうぞ、妖夢殿」 「はい、いただきます」 盃酌み交わす。 そこにある想いも交わし、傾け、一気に飲み下す。 その味に勝る銘酒なし。 「美味い」 「美味しい」 とは、口をそろえて出た感想。 そして、返礼としての全て。 「妖夢殿」 「はい」 「ありがとうございまする」 「……はい、がんばってください」 これにて、白玉楼の居候も終わりと相成る。 良き花と良き酒のとの別れは難く、悲しいくあれど。 妖夢殿の笑顔に報えるよう、 笑って別れようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※誠に申し訳ありませんが、担当者不在のためお休みになります。 月日は百代の過客にして、行きかう人もまた旅人也。 この言葉を表したお方は拙者の生まれし世より後の人物。 なるほど、と。 拙者が没するであろう年月よりも先の言葉を知る事になる時の因果よ。 自身もまた、月日の旅人。逆しまに歩む望郷への念、欠しかれど。 さもありなん。 我が世は、今この時にあり。しかれば、留まる事こそ本懐也。 だが、叶わず。 なさねばならぬ事があるゆえ。 「あら、帰るの?」 「うむ。お世話になり申した、霊夢殿」 所は博麗神社。拙者と見送りに同行された妖夢殿と、神社の主たる霊夢殿がこの場に居合わせる。 結界の都合上、この場所が良いとは紫殿の言。 当の紫殿はといえば、まだ現れぬところ。 出る際に少しばかり髪を切り、すでに旅立ちの覚悟は済ませているのでござるが。 「ふうん。まあ、あなたなら大丈夫だと思うけど、元気でやりなさい」 「かたじけない」 「じゃあ、私は外すわ。時間まで妖夢とでも話していなさい」 「左様でござるな。霊夢殿、お達者で」 「ええ、またね」 「おさらば。これにて御免仕る」 霊夢殿のお別れはあっさりしたもの。物事に固執する事が少なかれば、悲しさもなし。寂しさは、あれども。 そして境内、人の姿なし。 あるのは拙者と、妖夢殿の姿のみ。 沈黙の時が降りる。言葉にするような別れは、当に過ぎたようにも思える。 昨夜に酌み交わした酒。未練にもなりはしようとも。 「行かれるのですか」 静かに、妖夢殿がおっしゃられる。 「それが拙者の古き約定ゆえ、違えることは出来ぬでござる」 「そうですか……」 沈んだ声でござった。拙者の別れに、悲しみを抱いていただけるのならば僥倖とも。 拙者も、悲しみがあれども、それを口にする事ははばかられる。 「いなかった間の事、なんていうつもりですか?」 「ふうむ、そうでござるな。一乗谷で燕と稽古していたとでも言うでござるよ」 「燕、ですか?」 「うむ。妖夢殿は燕でござるよ」 速さ、強さはもとより、優しさゆえに。 妖夢殿は口を閉ざされ、どこか視線をさまよわせる。 しからば、拙者より、切り出すべき。 「いろんな事が、あったでござるな」 思えば、幻想郷に来た数奇なる運命。様々な出来事があって、翻弄されては喜び、過ごした日々の数々でござった。 「行き倒れたのを見つけたときには驚きました」 「その後、幽々子殿のご厚意にあずかり、居候の身になり」 「庭師見習いをしながら剣の修業、でしたね」 出会い。 立ち行かぬ我が身を、妖夢殿はしぶしぶといった風情で身請けしていただいたのでござった。 「霊夢殿と出会い、射命丸殿には取材を受けたでござる」 「異変がどうとか。それと新聞の部数が増えたとか、でしたね」 霊夢殿との出会いもあり、その後に射命丸殿とお知り会いになったのでござった。 実に、さばさばとしているのは霊夢殿。 快活なる記者である射命丸殿。 「秘湯への旅もござった」 「あの時は、すみませんでした」 「なんの。これも思い出でござる」 しっかり者と思うた妖夢殿の本質を垣間見たときでもござった。 相応に、あるものと、このとき思えればこそ。 「香霖堂にも縁がありましたね」 「霖之助殿とは男の友誼を固く結んだでござる」 「その後に現れた布切れ一枚は悪夢でしたけど」 「魔理沙殿には御世話になったでござる」 「弾幕ごっこの稽古もよかったのですが、命がけなのは感心しませんでしたよ」 「クリスマスの時は、あちこちの人に彫刻を贈ってましたね。あの時はいいものを頂いて、ありがとうございます」 「それはこちらも同じ事でござるよ」 「新年は紅魔館で宴でござったな」 「メイド姿には驚きましたけど」 「蛍のたゆたう雪景色をご一緒したでござるな」 「スペルの訓練もしましたね」 「宴では彼のお三方に真髄を賜ったでござる」 「いつの間にかぼろぼろでしたね」 「妖夢殿より彫り物の課題を頂いたでござる」 「昔の事を、気にかけ始めましたね」 「幽々子殿に反魂蝶を受けたときには、生きた心地がしなかったでござる」 「そんなことがあったんですか!?」 「あったでござるが、これも必要な事だったのでござるよ」 それなくば、今はここにこうしておられぬだろう。 我が身の危険ではなく、己が気持ちの自覚について必要でござったから。 「みなすべて、良き思い出でござる」 それも、傍らにおられるお方がいたがゆえ―― 「本当に、行くんですね」 「武士に二言はないのでござるよ、妖夢殿」 再三のご心配、まるで妖夢殿が拙者に未練でもあるかのよう。それも、思い違いでござろうが。 そして、拙者の未練ともなろう。ただそれを、拙者はこのまま持ってゆくのみ。あろうはずの一念も、既に託した後ゆえ。 が――、 「私に出来る、せめてもの手向けです」 「妖夢殿……」 妖夢殿は、刀を、抜かれた。 携えし剣の名を白楼剣。人の迷いを断つといわれる、妖夢殿のお家に伝わる名刀。 これは、良きかな。 「良い思いでは、良い思いでのままで。あなたの枷にならないように、前に進めるように、断ち切ってあげます」 「妖夢殿……。かたじけない」 断ち切るならば、せめてご本人の御手によって。 是非もなく。 否、 願っても……、無い。 妖夢殿の御手に携われた白刃は、拙者に向かい真っ直ぐに構えられる。お顔は、凛と、らしくある。 これは、未練になるはずもなし……。 おさらばでござる。 白楼剣を手にしていた私には、まだ、未練があった。 この剣で、○○さんの世界に対する未練が消えれば、あるいは、と……。 けど、それは押し付けがましく、高望みで、誰に対しても優しくない。ただ、自分に甘くするだけの未熟な事。 ○○さんの師匠らしく、できない。 そんな自分が、情けなくありながら。 私は、剣を、振り下ろした。 「時間よ」 いつの間にか現れた紫様が刻限を告げていた。 別れも、すぐ近くにあった。 「これにて幻想郷ともお別れにござる」 「そうですね」 変わったところもなく。 でも、少しばかり、顔は晴れやかで。 「では達者で――」 私は、未熟さゆえに、 断ち切った。 「……見知らぬ方」 「!?」 私は一体、何を断ち切ったのか? 旅立ちという名の別れの言葉を口にし、幻想郷の名を口にした彼から断ち切った、名を紡がれる事のなかった自分の事。 未練は、元の世には無い。 幻想郷にしてもない。 欠けたからこそ分かった、一番の未練。 あろう事か自らの手で断ち切った。 ○○さんの一番の、 未練――想い 彼は、頭を下げて背を向ける。 その背に掴みかかろうとして、手を伸ばし、そして、 掴めなくて……。 拳を握り、声を殺し。 自分を殺し。 ただ、一言を、 「さよう、なら」 とだけ、搾り出した。 「良かったの。あれで?」 お別れが済んで、紫様もお帰りになって、それからどれくらいか経ってから、不意に、 いつの間にかいらっしゃった幽々子様が話しかけてきました。 「いいんです。私は、私で、断ち切ったのですから」 「早まった事しちゃったわね」 「そんなこと、ないです」 「そう?」 「そうです。未練があって、実力が発揮出来なければ、修行した意味がありません」 あの人の大事な約束です。そのための枷にならないために、私は、白楼剣を使ったのだから。 「……そう」 「そうです」 「ねえ?」 「なんですか?」 「泣いてもいいのよ?」 「泣きません。泣く事はありません。私は、最後まで笑顔で見送りますから」 「そうなの。でも……」 「なんですか?」 「貴女の笑顔、泣いてるわよ?」 涙は流れていないのに、 私の笑顔は、泣いていた。 白玉楼に戻って、私は自室に帰りました。 気持ちが疲れているのかもしれない。 けど、○○さんを笑顔で見送った手前、情けない姿ではいられません。 それに、私はあの人の師匠だったから、もっと胸を張っているべきだと、そう思います。 「ふぅ……………………………………あれ?」 部屋の隅に、見慣れないものが目に付きました。 どうも小物の様。 「これは……」 木材を綺麗に磨き上げたような、そんな置物。 何を模しているかは分からないし、そのまま、気を磨いただけにも見えました。 多分、これは、あの人の……。 「どういう意味なんだろう、これ……」 私が、好きなものを、と。 しかし、これは、なんだろう? あの人が残してくれた、私が好きなもの、なんでしょう。 これには、どんな意味が……。 「これ……」 よく見たら、蓋のようなものが。 とりあえず、開けて……。 「……え?」 入っていたのは、髪。 意味を図りかねていると、蓋の裏に、文字があることに気付きました。 そこには、 「ぁ……」 『我が心、妖夢殿の元に在り』 気付かないわけには、いかない。 整理がつかないと、自分に言い訳をし続けて、 手を伸ばしかけたくせに、掴まず、理性的に努めて。 こうして、ようやく気付いて。 「わ、た、し……」 斬って、落とした、 あの人の心に対する、私の想い……。 「あ、ああ……」 好きだったんだ。 「う、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 私は、 泣きました。 後、歴史に強いあの人に尋ねるところ、おおよその推測がなっていました。 生まれをおよそ安土桃山の時と。 ともすれば、人間である以上は400年ほど前に、没しているのでしょう、とも。 あの人は、戻った世で、どんな景色を見たのでしょう。 願わくば、幸せであった事を、願います。 本当に、心の底から。 <幻想郷の白岩さん> A.質問は来ていないけど、一方的に伝えるわね。 ●●、あなたを助けた冬の妖怪の事。 雪女のことは、忘れなさい。 貴方の病気が完治したときに私がいる保証も無いもの。 人間同士の付き合いに、妖怪の話題は禁物ね。 これは、貴方を思っていっているの。 分かって頂戴。 貴方は無事に治る。これは絶対よ。 じゃあ、今までありがとう。 さようなら。 あの日から、一週間、といったところでしょうか。 「残念ですね。○○さんがいなくなるなんて。せめてお別れくらいしたかったです」 そう言うのは文さん。○○さんともけっこう親しくしていたみたいですし、そう思う気持ちも当然あるでしょう。 少し、ちくりとしました。 「すみません。急な話だったので」 「いえ、別に妖夢さんを責めているわけじゃないですよ?」 「そうですか」 正直な話、責められても仕方ないと思います。 実際、変える事が決まってから一両日はありました。その間にでも、文さんくらいなら容易に駆けつけられたでしょうし。 これも、私自身が未熟だったからこそ。 「しかし、妖夢も悲しかろう」 もう一人、ご一緒していた慧音さんからも一言。 元々ここには、○○さんの本当の時代について聞きにきたのですけど。 「寂しくはありますけど……」 悲しいとは、口にしません。 「胸を張っていないと、○○さんに申し訳ありませんから」 それが、結局のところ、私が得た結論であり、覚悟でした。 「そうか……野暮な事を聞いた」 「いえ」 「それで、彼のいた時代についてだったか」 「はい。せめて、少しだけでも知っておきたくて」 未練、とは、思います。 本来は本人に聞くべき本人の事だけど、もう、いないから。 「ふむ。言語野については、多少こちらの寺子屋の入れ知恵もあって参考にはならない。知識からあたれば、おおよその見当はつく」 「本当ですか?」 慧音さんは鷹揚に頷き、 「実に、400年ほど前のだな。現在の外来人の知識と稗田の文献と私の知識を参考にして、それほどだ」 「そんな、時代に……」 「でも、それって……」 文さんは、気付かれたみたいです。 「うむ。そういうことだ。人間の、運命だな」 既に、あの人は……。 「そうですか。ありがとうございます」 「つまらない話をしてすまなかったな」 「いえ、分かっていた事です」 時代が違うのだから、分かって当然のこと。 「さて、妖夢。この後何か用事があるかな? せっかくだからお茶でもしていくがいい」 「あ、いえ、せっかくですけど……。この後用事が有りますので」 用事は、幽々子様のお使いの事。 場所は彼岸で、別に珍しい事じゃない。冥界は元々幽霊を受け入れる場所ですから。 「残念ですね。妖夢さん」 「ええ、すみません。では、これで」 「あ、ちょっと待ってください」 去ろうとする私を、文さんが引き止めました。 「なんですか?」 「あ、これ、これです。本当は新聞の記事に使おうと思っていたのですけど」 取り出したのは一枚の写真。 そこに映っているのは、私と、○○さん。 あのとき、文さんに弾かれそうになった○○さんをかばって、写真にはまるで寄り添ういあうように映ってしまっている。 「これは、載せられませんから」 「……」 「もらってください。というよりも、妖夢さんのものです。これはもう」 思い出は、風景を切り取った一枚の写真の中に。 いつまでも変わらぬ風景を残す写真を、あの人は風情があると言うでしょうね。 「……ありがとう、ございます」 「どういたしまして」 「それでは、今度こそ失礼しますね」 「それではな」 「はい、さようなら」 冥界に、幽霊を迎えにいく。 取り立てて珍しい事じゃないですし、時には人魂灯をもって大勢を誘導する事もあります。 また、今回のように、ただ一魂を迎えに行くことも。 ただ、それが、と……。 今は邪念が浮かぶ事を禁じえない。 すでに、期待は裏切られてるから。 一週間のうちに、彼岸に足を運んだけども、期待通りのことは無い。いや、最初から望みがあったことじゃないから裏切るも何も無い。 また、仕事をする。 それだけのこと。 ああ、でも、 あの人のように、もう少し、風景を見て、歩こうと思います。 彼岸の渡し場に、幽霊がいました。 正確には、亡霊、でしょうか……。 男の人の背格好というだけで、少し期待をしましたけど。 当然、違いました。 「ああ、冥界の方ですか?」 「はい、そうですけど」 実に普通に話しかけてくる人です。 「それでは着いて来て下さい。これから白玉楼に行きますから」 「あ、いえ、そうじゃなくて……」 「? 何でしょう?」 ずいぶんと歯切れの悪いその人は、なにやら思案するように頭を抱えながら、切り出しました。 「私じゃないんですよ」 「違うんですか?」 「はい。私はここの渡し守の……、そう、同僚ですね」 「ああ、そうでしたか。それは失礼しました」 「いえ、それはいいんですけど。実は……」 「実は?」 「貴女にお迎えいただく予定だった魂が、どこかへ行っちゃったんですよ?」 「は?」 これは、聞いたことも無い話です。 ともすれば、亡霊が未練の有った場所にでも行ったのでしょうか? 「詳しい事は小町さんが来れば……、あ、来ました!」 視線の先を追う。 私の背のほう、来た道から小町さんがやってきました。なにやら、困った様子で。 「さって、どうしたもんかねぇ……」 「小町さん、どうでした?」 「ん、ああ。お手上げだね。どこに行ったか見当もつかない」 小町さんとその同僚という人はそろって頭を悩ませているようでした。 「見つからないんですか?」 「ああ、妖夢。そうなんだよ。こいつはちょっとした失態だよ。映姫様に怒られちまう」 「怒られるだけならまだいいですよ。もしかしたら説教地獄に減棒も覚悟しないといけないです」 「うわ、まずいねえ」 二人は一層、頭を悩ませているようです。 「探すの、手伝いましょうか?」 「あ、頼めるかい?」 「構いませんよ。特徴を教えてくれますか。……といっても、幽霊は見た目に違いがありませんでしたね」 しゃべれもしないし、おかげで区別もつかない。 でもまあ、幽霊がその辺を浮いていれば分かるような……。いえ、幽明結界はほころんだままだし……。 この際、全部つれて帰りましょうか……。 「いんや。あいつは人の姿だよ」 「あ、では亡霊ですか」 「まあ、そんなところじゃないのかい。でもまあ、あんな明るい亡霊じゃあ、何も呪いやしないだろうね」 「小町さん……。そうもいかないでしょう」 同僚の人が呆れています。 生前の姿で映る亡霊は、意識なく人を死に誘う。そこに悪意が無いだけに、お互いにたちが悪いでしょう。 「では、せめて背格好でも」 「ああ、そうだね」 「それなら、私から説明しましょう」 と、突然、誰かの声が割って入った。 いち早く反応したのは小町さん。 「え、映姫様! これはちょっと、いろいろと……」 「何を慌てているんですか小町。別に、貴女を責めようというわけじゃありませんよ。 裁きが終わって冥界に移送する幽霊について、伝えるだけです」 「う、うう……」 何か泣き所を突かれた様に、小町さんは力なくうなだれました。 「では、説明します」 「お願いします」 こほん、と、一呼吸、置きました。 「日、月、星といった自然の気質を現す三精。次いで、誕生の春、成長の夏、衰退の秋、死の冬と生命の流れを意味する四季。 そして、五行、木火土金水。これらの組み合わせで自然を表します。その周期を積で言って六十年」 「あ、あの、それが?」 どうも、背格好や幽霊に対する説明には聞こえません。元々、閻魔様は説教魔ともありますし、これはただ説明好きなためでしょうか。 これは、以前に聞いた事があるんですけど……。 「花の事件のときに……」 「ええ、お話しましたね。さらに、これに六道をかけて見ましょう。六道輪廻……、いえ、 転生していませんから六道巡りとでも言いましょうか。転生六回分をふいにしたとも言えますね」 「あの……」 「それが360年。さらに、六道一転してきたとして、その後こちらですごしたおよそ40年。計400年ほど」 「……」 そこで、閻魔様はため息を吐きました。 「最後の40年も、浄化と裁きですよ。転生を拒み、この『時』まで待ったと言うのですから。もう、お気づきでしょうか?」 400年と、その数字に聞き覚えがある。 でも、確信に至れないのは、真実を聞いていないから。 それとも……。 「一応、背格好を伝えておきましょうか。性別は男、背は貴女より大きく、体格はあなたに鍛えられたくらい逞しい。 顔は、貴女の好みじゃないでしょうか?」 そう言って、閻魔様は、にこりと笑いました。 「そんな人がいて、帰るとしたら見当がつくかと思います。行って、迎えてあげてください」 「は、はい!」 ――走る。 彼岸から冥界が、こんなに遠いと思ったことは無い。 ――走る。 過ぎ去る景色が、まるで走馬灯のように流れる。 早く、過ぎてしまうのは、もったいないというでしょう。 ――走る でも、景色を見るなら、 ――走る 思い出として、景色を見るなら、 ――走る 隣に、いるんです。 ――――走る! 要るんです! 白玉楼。 二百由旬とも謳われる広大且つ雅やかな庭。 そこには、我が方自慢の桜並木。 秘奥の桜、西行妖。 その前、に……。 いつか、 あの時、 掴み損ねた背中が、あった。 「はぁ、はぁ……」 全力で駆けて、息も絶え絶え。 最初に、どう声をかけたものかも分からず、ただ、その背を見つめる。 息を整えて、せめてかける声に淀みないようにしたいと。 しかし、同時に思い出す。 未練は断ち切った。 想いは、斬り落とした。 私の手で。 そこに、本当に何と声を出せばいいのか……。 でも、 でも……、 逃げないで、私から、今度は、今度こそ―― 「○○さん!」 あらん限り、届く声で、拳を握って見送った背にぶつける。 振り返る、その人。 こちらを見る、どの目。 ああ、間違いない……。 「妖夢殿。お久しぶりでござるか……。おっと、とはいえ、数日振りでござるな。 よもや、あちらに戻ってたったこれだけで帰ってこようとは、情けないやら面目ないやら」 嘘を吐いてる。 本当は、およそ400年の月日を耐えしのいできているのに。 覚えてる。 私のことを。 「いやはや、件の勝負に拙者負けましてな。全く、妖夢殿の弟子として不甲斐無きこと。 これからはますます鍛錬に励むゆえ、妖夢殿、今一度――」 「○○さん!」 もう一度、私の口から出た彼の名が怒号になって遮った。 嘘つきと、叫びたい。 本当は長い時間をかけてここに帰ってきたのに。 嬉しいと、泣きたい。 断ち切られた未練の中でも覚えていてくれた事。 でも、 一番、叫ばないといけない事が、 ある。 魂魄家当代、魂魄妖夢。 一世一代の、清水舞台 「好きです!」 言の葉は切り込む一刀の一振りの如く。 斬られた○○さんの、顔は……。 口の端を、きっと結び。 目を閉じ。 少しゆがめて、 笑みとなった。 「燕は、拙者の方でござる。また、返った、……帰ったでござる」 燕は帰巣本能があり、また、もとの居場所に帰ってくるという。 だから、そう表したのでしょうか。 だから、○○さんの居場所は、ここだと。 「拙者も、好きでござるよ。妖夢殿」 その言葉を聴いた瞬間に、私の足は、駆け出していた。 今迄で一番遠い距離で、 今迄で一番愛しい距離を、 今迄で一番早く、縮める。 どんと、体当たりするように、抱きつく。 揺れない、ここにある、○○さんの体。 ここにいる。ここにある。 「おかえりなさい、……○○さん!」 「ただいまでござる。妖夢殿」 かつて、未練を断ち切られしとき、 しかして、断ち切れぬものもあった。 未練は消えども、想いは消えず。 後ろ向きでなく前を向くためとあれば、消える道理もなし。 『次は手を貸さないわ。貴方が、自分であの子への道を見つけなさい』 紫殿の、別れ際の一言。 六十年の周期ごとにかすれそうな記憶に負けじと、想いは募った。 思い続けて幾星霜。 さ迷いて出でたこの地にて見つけた、かけがえなきこと。 この御方、妖夢殿共に、拙者はあろう。 共に、三精、自然に触れよう。 季節を、四季を見よう。 五行の如く感情に、心に触れ合おう。 この、 一番、愛しき人を、 抱きしめ続けようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※突然ですが、当コーナーは今回より終了とさせていただきます。 人間が一人、寝込んでいる。 そこに妖怪が押し入るなんて、とても簡単なこと。 バン 勢いよく、扉を開いてあげる。 ここには何度も来たから、どうなってるかも知っている。 家主は布団に臥しているみたい。 それは前から知ってる事だけど。とにかく、当人に用がある。手っ取り早く、そこまで言ってみる。 すると、家主の当人が、目を丸くしてこちらを見ていた。 顔は少しこけたかしら。病人らしくなりすぎね。 まったく、これじゃあ――、 「ど、どうしたんですか、レテ――」 開きかけた、その口を掴んで黙らせた。 彼は、また別に意味で目を丸くしている。それもそうでしょうね、いきなり押しかけて口を閉ざされたら強盗みたいだし。 でも、そういうことじゃないのよね。 「いいかしら。雪女っていう昔話知ってる? 昔、気まぐれに命を助けた雪女がその男と恋に落ちて家庭を持って、 その後正体をうっかり漏らしてしまった男の命を子供を想って奪いきれず引いてしまう。そんなお話よ」 彼は、私の言葉をしっかりと聞いて、頷いた。 「そういうことなのよ」 理解が得られたところで、口を離す。 「けほ、けほ……」 「あ……、ちょっと。大丈夫?」 少し、やりすぎたかもしれない。 でも、そうやって口止めしないと元も子もないし。 「あ、大丈夫ですよ。えっと……」 「ああ、そうね。名前ね。同じだと問題あるかしら。好きに呼んだらいいわ。 思いつかないならさっきのお話からとって『お雪』でもいいわね」 「お雪、ですか……。それで、着物を着てるんですか?」 「あら、気付いたのね」 「それは見たら気付きますよ。似合ってますよ」 「そう、ありがとう……。ああ、でも、そんな事を聞きに来たんじゃないのよ」 素直に褒めてくれたことは嬉しい。人間らしくしてみて着たけど、実は、ものすごく嬉しい。 でも、順列は守らないと。 「じゃあここで、お便りを読む事にするわ」 「レ……お雪さん」 「ああ、やっぱり面倒ね。レティでいいわ。人間にも同じだ名前はいるでしょうし」 「あ、はい。それでレティさん」 「なにかしら?」 「ここでそれを呼んで、正体とか……」 「だから、貴方が口外さえしなければいいのよ。じゃあ、読むわね」 Q.白岩さん、あなたのことを愛しているのですが 結婚を前提としたお付き合いをしていただけませんか? 彼は、●●は、顔を真っ赤にしてたわ。 そして、もう一枚。 Q.白岩さん、いえ、レティさん。 先ずは匿名を希望した無礼から謝罪させていただきます。私は●●、しがない一人間です。 確かに今回の告白は早計でした…。しかし、あなたを想うにつけ募りに募るこの思いは、伝えずにはいられませんでした。 妖怪? だから何だと言うのです、誰に否定されようと糾弾されようと、どんな問題が起ころうと、私は貴方を愛し通します。 冬の間だけ? 私は、貴方を目にする度に恋に落ちてしまうのです。三ヶ月の幸福の為ならば、九ヶ月など何でもありません。 ですからどうしても、お願いです。友達でも良い、貴方の傍に居させてください 軽く固まった彼を横目に、ちょっと笑っちゃったわ。 「で、どうかしらね?」 「え?」 「あ、この場合、私が答えるほうなのよね。ああ、そうそう。 私はここで言うところの白岩さんって言う雪の妖怪じゃなくて、そうね……、特殊な代弁者」 「特殊、な?」 「ええ、私にとって、本音って言う事」 A.こちらこそ、私のそばにいてくれてありがとう。 これからも、そばにいて……。 結婚して頂戴。 聞いた、彼の顔。 もっと、真っ赤になってたわ。 私の顔も、多分、ものすごく赤いでしょうね。 「と、いうことなんだけど」 「……でも」 言いたいことは分かってる。でも、言わせない。 「あら、私がこう言ってるのにひどいわね。遊びだったの?」 「そんなつもりはありません! 真剣に――」 「なら、私も真剣よ。どうせ、体の事がどうとか思ってるんでしょう?」 「そうです、けど……」 「人間の言葉に、『病は気から』って言うのがあるのよ。 ついでに貴方の言う事の悪性腫瘍とやらが気持ち一つで治癒する例もあるそうよ。これは、その為のこと」 「その、為の?」 「あら、勘違いしないでちょうだい」 つい、順番が逆になったけど、これも言わないといけない言葉。 「私は、貴方が好きなの。だから、貴方といたい、生きていて欲しい」 「レティ、さん……」 「言い忘れたけど、『さん』もいらない。レティって呼んで、あなた」 「そんな、気がはや――」 「それくらいの気持ちがないとダメ。早く治して。そして、結婚して、人並みの夫婦みたいにいちゃイチャしましょう」 そこまで言って、耐えられなくなって。 真っ赤になった顔を隠すために、彼の胸に飛び込むようにして顔をうずめた。 「レティさ――、レティ?」 「ねえ、ちょっと駆け足でいろいろ言っちゃったけど、本心なのよ?」 「……はい」 「分かってるわね」 「はい」 「だったら、貴方からも、言って」 「……好きです……。好きだ、レティ」 そこまで、聞く事が出来て。 私はようやく顔を上げた。 「合格」 合格のご褒美は、今一番近い顔と顔の、アレ。 続きは、ちゃんと治ってからよ? ▲ あとがき ながらくやってきました、本シリーズ。 ござると妖夢、白岩さん。これにて終了となります。 なお、糖分保管のため幾つかおまけが収録されておりますのでお召し上がりくださいませ。 おまけ1 「あらあら、なるようにあったわね」 白玉楼にて、妖夢殿のあれだけ大きな声を聞こえぬはずもなく。 拙者と妖夢殿が抱擁しあうところに幽々子殿がいらっしゃった。 「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ、幽々子様! こ、これは、その! あの……」 「別にいいのよ。むしろ、目標どおりよ」 「目標、でござるか?」 「ええ。妖夢に(未熟なところが直るような)素敵な恋が出来ますようにって」 「あの、幽々子様。今何か聞こえたような……」 「あらあら、妖夢ったら気が早い事。祝言の日取りだなんて」 「そんなこと言ってませんよ!?」 「嫌なの?」 「嫌じゃありません!」 「あらあら、素直ね。○○ちゃん。遅れたけど、お帰りなさい。それと、ご成婚おめでとう」 「幽々子殿。ただいまでござる。まこと、めでたき言葉、感謝いたしまする」 「なんで貴方までそんなに気が早いんですか!!」 「世が世なれば、当然でござろう」 拙者が知る限り、男女の契りは知り合ってから早いものでござる。 「妖夢殿。異論ならば、これは――」 「あ、その、嫌じゃないんです。だけど、その、まだ早いと思うんです……」 「あらあら、妖夢ったら初心ね」 「うぅ。幽々子様、からかわないでくださいよ」 「幽々子殿、拙者の妻をあまり苛めてくださるな」 「つ……!?」 「大丈夫よ、○○ちゃん。ああ、お布団は一緒の部屋に一つでいいわよね?」 「幽々子様ぁ!?」 「むう、それが通例ならばお願い申し上げます」 「なんでそこだけ意味を分かってないんですかぁ!!」 おまけ2 「あら、貴女は……」 「初めまして。私はレティ。この人の妻になったの」 「あら、そうなの。病人なのに、すごくタフなのね」 「その、そういう言い方は止めてください」 「そうよ。いろいろと、治ってからなんだから」 「レティも、もう少し自重してください」 ●●は弄ると可愛いのよね。 もしかしたら、その辺はこの医者の通じるものがあるかもしれないわ。 あ、でも、手出ししたら許さないけど。 「まあ、いいわ。それで今日からこの永遠亭に入院っていう形になるんだけど、貴女はどうする気なのかしら」 「もちろん、彼の介護をするわ」 「そう。じゃあ、隣にベッドを用意させるわ。くれぐれも、旦那様に無理をさせないようにね」 「あら、それくらい分かってるわ。大丈夫よ。お楽しみは後にとっおいた方がおいしいって言うもの」 「あの、二人とも、女性がそんなことをいうもんじゃ……」 「あら偏見よ。それに、男の人が下品な事を言うよりもオブラートに包んだ表現なのよ」 「貴女にお薬が必要なときは私が飲ませてあげるわよ。口移しとか、期待してもいいわよ?」 「レティ!?」 「ここは診療所なんだけど。まあ、事と次第によっては産婦人科になってもいいわよ」 「先生も!?」 「まあ、こんな風になったら、治らなきゃ損よね」 永琳は、寝台から離れたわ。ようやく出て行ってくれるようね。 「貴方達の選択、敬意を評するわ」 それは、私たち二人の存在のことを言ってる。 でも、そんなこと、 「余計なお世話よ」 好きだから。 理由はそれだけなのよ。 結婚するのも。 治ってもらうのもね。 永琳が部屋から出て行くのを見計らって、彼に話しかける。 「ところであなた」 「なんだかその呼び方くすぐったいけど、何?」 「子供は何人くらい欲しい?」 「あ、あの……」 「オーソドックスに一姫二太郎ね。理解のある夫で嬉しいわ」 「……、あははは」 病は気から。 だったら笑えばいい。 ほら、彼を笑わせるなんて、簡単。 最初に、彼に言葉をもらってから、ずっと彼のことを考えてたんだから。 妻として、当然ね。 おまけ3 妖夢です。 なんだかすごい事になってます。 今、○○さんと一緒のお布団で寝てます。 なのに、 「ぐう……」 (なんでそんなぐっすり眠れるんですか!!!) 一緒の布団に入ってるのに、一緒にいるだけでもどきどきしてるのに、なんだかこれじゃあ不公平じゃないですか! それに、この体勢、おかしくないですか!? 私、○○さんに抱き疲れてますよ!? もう、抱き枕ですよ!! 顔近いですよ!!! ……○○さんの寝顔が可愛いですけどね! ちょっと軽く自我崩壊寸前です。 ちなみに、とっても暖かくて、幸せです。 少し背を丸めると、○○さんの抱擁にすっぽり収まって、気持ちがいいです。 少し顔を上げると、○○さんの顔がすぐ目の前。 もうちょっと頑張って、首を伸ばして……も、これは、ちょっと届かないです。 ああ、でも、こういうことはもう少し雰囲気のいい場所でした方がいいですよね。 雰囲気で言うなら、○○さんは期待を裏切りませんから。 「妖夢殿」 (ビクゥ!!!) 名前をいきなり呼ばれて全神経で警戒状態になり、それが寝言だと分かって一気に脱力。もう一度、ちょっと顔を見上げる。 と、そこで、○○さんは少し寝相が変わって。 (うあ! 顔が、近い! 鼻が! 鼻と鼻が! 当たってる! おでこも!) 色々と密着状態。 恥ずかしくて息が止まりそうです! どうも、まともに眠れそうにありません。 おまけ4 私と○○さんは、里を歩いていました。 言ってみれば、逢引のようなものです。 お使いですけど、逢引なんですよ!? いろんな人に散々からかわれましたけど! その度に、○○さんが妻妻いって嬉恥ずかしでしたけど……。 と、遠目に、見覚えのある女性を見つけました。 その女性は男性と歩いています。 ああ、そうなったんだ……。 あちらも私に気づいたようで、声をかけず、でも微笑んでくれました。幸せそうです。 おめでとうございます。 「良かったですね」 小さく呟くと、それに○○さんは反応して。 「どうしたでござるか、妖夢」 今ではすっかり呼び捨てにしてもらえるようになりました。 まだ、あなた、とは呼び難いんですけど。遠くから、小さくは言ったりするんですよ? 「いえ、なんでもないですよ」 「左様でござるか」 「はい、左様です」 そして、○○さんの腕にぎゅっとしがみつき、彼も、握られた手から指先を探して絡めてくれる。 ああ、人を好きになるって、素敵ですね。 好きな人と一緒にいられるって、素敵ですね。 ねえ、レティさん。 ───────────────────────────────────────────────────────────
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さて諸君の中には今、引っ越しをしようとしている諸兄はおられるだろうか?もしそうであるならば これから紹介する記事を見て貰ってから、引っ越しをしてもらった方がいいかもしれない。なにせ 幻想郷はいくら広いといえども、諸兄の希望に添う物件は条件によっては少ないだろう。であるならば 事前に先人の記録を参照しておき、場合によっては他山の石としておくべきかもしれない。家のように 大きなイベントについて予め知っておけば避けられたことで後々後悔するならば、それはとてもとても やり切れないのだから。 マッチングAI パターン1 優先条件:プライバシー 今回諸兄にご紹介するのは、最近幻想郷に入ってこられたA氏についてである。外界ではしばらく の年月一人暮らしをしていたのだが、この幻想郷に入って以降は人里で長屋暮しをしているようだ。 では条件を伺ってみよう。 -長屋を引っ越しされたい御理由は? いえ、私は最近この幻想郷に放り込まれたんですが、それまでは外界で暮らしていたんですよ。 ちょっとばかし良い物件が無いかと思いましてね。それでこうして花果子念報を見ましたら、 まあ何と物件を紹介しているっていうじゃ有りませんか。それでこうして話しを伺いに来てみた 次第なんですよ。 -それでは御条件を伺いましょうか……成程、プライバシーが保たれる場所が欲しいということですね。 そうなんですよ。まあ今の住居に不満がある訳では無いんですが、もうちょっと条件が良い 家があればなあって思いましてね。長屋では音も気配もはっきりと分かってしまいますから、そこ が今回はどうにかなればなあっていうことなんですよ。 -そうですか、中々外来人には昔の長屋暮しはキツいですからね。慣れない人は少なからず居られる でしょうね。それでは当社のAIであなたの希望を分析してみましょう。きっと良い物件に出会えますよ。 -さて、結果が出ました。今回は第三マッチングまで出ていますね。まず一番目は紅魔館です。求人情報 では定番ですね。 うーん……。確かに個室はありそうですが、しかし一人という訳には行かないかもしれませんよね… -そうですね。執事として働いている場合には一日中呼び出しに備えることが必要です。その分待遇は 確保されていますが。 そうですね、他のマッチングはありますか? -二番目のマッチングは竹林です。迷いの森ですので、他の人が誤って入って来ないようになっています。 家の築年数は少々経っていますがその分、家賃が半分程度に安くなっています。 成程、一理ありますね。最後のマッチングは何ですか? -三番目は人里外れの農地ですね。他の家より離れた一軒家ですので、プライバシーが十分に保たれる 物件になります。 いやあ、これは良い物件ですね。それで家賃はどの位ですか? -他の物件よりもかなり割安になっております。一割程度です。 一割程度ならばそれ程でも…おやおや驚いた。10パーセントの大安売りじゃないですか。どうして こんなに安くなっているんですか? -実は太陽の畑に近いので心理的瑕疵物件となっているんですよ。他の方ならば色々危険ですが、 ○○さんならば大丈夫ですよ。少々他の家と遠いのが難点ですがどの道問題が無くなりますので…。 発行 花果子念報 文責 姫海堂・・
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白黒の範囲ではNo1ではなかろうかというほど描き込まれている、必見。さらに話も良く練られており演出もよい、完成度の高さでは間違いなく最高レベルの作品 -- 名無しさん (2008-02-19 23 47 22) ギャグとシリアスの緩急が素晴らしいw絵も上手だし、早く新作来ないかなあ・・・ -- 名無しさん (2008-02-23 18 45 57) 幻想入りトップクラスの画力と演出の良さ。間違いなく名作だと思う。 -- 名無しさん (2008-03-01 14 43 49) とにかく絵が巧い上に面白い。本気で視聴者を笑い殺しに来るヤゴコロも見所の一つ。 -- 名無しさん (2008-03-03 23 58 18) 裏方が秀逸すぎて本編に集中出来ない(良い意味で) -- 名無しさん (2008-05-06 11 16 13) いい意味で幻想入りと感じさせないほど世界観がすばらしい -- イケメソ (2008-05-09 17 45 42) 幻想入りが苦手な人にもお勧め。圧倒的な書き込みと丁寧な描写は幻想郷の空気を感じさせるほど。術を使って料理する妹紅など、生活描写もお勧め。 -- 名無しさん (2008-05-16 00 45 44) 名前 コメント 書き込みや描写の細かさ、演出の上手さは半端じゃない。 正気だとは思えない程の背景の細かさには脱帽。 -- (名無しさん) 2008-06-21 16 21 31 1つ1つがとても丁寧に書き込まれていて、その緻密さに思わず笑ってしまう。様々な描写も素晴らしい。 -- (名無しさん) 2008-06-22 01 09 01 設定や各キャラクターの行動理由など、深く練りこまれていてとても楽しめる。 背景の書き込み具合はなんかもう病気(とても良い意味で -- (名無しさん) 2008-08-26 16 47 59 良い意味で二次らしさが出てる作品。 絵に関しては文句無く。 シナリオも作りこまれている。 問題はその出来の高さ故?のキャラ雰囲気。 独自の雰囲気があるのでそれを楽しめる人にお勧め。 -- (名無しさん) 2008-11-03 04 36 32 ただ突然裸になるのはなんなんだあれwwww まぁいやな感じにはならないけど -- (名無しさん) 2008-12-12 05 20 37 最新話まだかと期待し続ける数少ない幻想入り -- (名無しさん) 2009-06-04 14 07 41 画風は若干古め。だが、それでも「かわいい」と思えるほどの実力を持っている。 特に背景は圧巻の一言。 筆も早いようだが、結局トラブルや怠慢で新作が遅くなってしまうところが玉に瑕 -- (名無しさん) 2011-04-29 18 53 20 結構前に見たけどまだ序章やってだったんだ -- (名無しさん) 2011-05-09 13 03 31
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複数/1スレ/879 タグ一覧 メリーバッドエンド 外界帰還要望 藍 複数ヤンデレ 過激なヤンデレ 霊夢 ○○が、こっちの世界に帰ってきて2ヶ月がたった。 ○○は行方不明となっていたが、見つかったときはすごく騒がれた そう、全国区を駆け巡るぐらいの大ニュースとなっていた ○○は幻想郷に居たおかげで、かなりいろいろなことを考えることができる、人間になっていた。 大学で授業を聞いていても、いろんな人が声をかける、幻想郷から帰ってきてから○○はもてるようになっていた。 ○○(なんで女性が俺の周りに多いんだろう?) と、考えていた。 相変わらず、鈍いようである。 だが、女性に囲まれている様子を幻想郷では見ていた 奴 がいた・・・・ そう、八雲紫の式神である、八雲藍と楽園の素敵な(ry)の博麗霊夢である。 彼女たちは、博麗神社でなにげに 外の様子を見たら見てしまったのだ。 このままではいけない! 彼女たちは幻想郷内では○○を取りあった恋敵だが今はそんな暇はない。 すぐさま、霊夢と藍は同盟を組んだ。 ______________________________________ ○○の家 深夜2時 霊夢と藍が○○の家に来た。○○を見つけて二人とも飛び掛ろうとするが、気持ちを抑えてミッションに向かった そして霊夢は部屋に細工を、藍は泥棒した奴を削除しに向かった。 10分後、すべてを終えた二人が居て、寝ている○○をぼんやりとしながら帰っていった・・・ _______________________________ 次の日、ニュースで○○は、自分の近くに居た人が死んだことを知った その日から○○は、怖くなって部屋から出ようとしなくなった。 しかし、それでも大丈夫だ。○○の家にはいつも誰かが居た跡が必ずあって。 必要なものは、全部そろえてくれる。 ○○は、再び幻想郷に行きたくなった。いや、幻想郷よりも 霊夢と藍に会いたかった。 藍のふわふわにくるまれたり、霊夢とたわいな話がしたかった。 感想 かわえぇ -- お便秘怪獣うんこマン (2022-06-26 23 49 42) 名前 コメント
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「あ、○○さんおはようございます」 「おはよう、美鈴」 おれは今、紅魔館住み込みで働かせてもらっている。 「しかし毎朝毎朝よく続きますねー」 そう美鈴が言っているのはおれが日課のジョギングのことだ。 別段褒めることではないが紅魔館では美鈴以外、積極的に運動をしたりする人も妖怪もいないので美鈴が関心するのも無理はないのかも知れない。 「そういう美鈴だって毎朝太極拳やらなんやらおれ以上にやっていじゃないか」 「ははは、私は年季が違うんですよー」 そう言いながらアチョーとポーズをとる、ジョギング前の楽しいひと時。 その後美鈴と分かれた後紅魔館をぐるりと回るジョギングをしていると、足をすくわれるように転んでしまいボキリと嫌な音がなった。 思わず悲鳴を上げると美鈴が悲鳴を聞いてか飛んできてくれた。 「わ!○○さん大丈夫ですか!?」 そう言いながら冷静に折れた箇所にあて木をし包帯を巻いてくれる。 「動かないでくださいね、今から気を送り込んで治療しますから」 そう言うがいなや、折れた箇所に手のひらをかざして意識を集中させる。 「凄い、もう全然痛くないや」 美鈴に治してもらった箇所は先ほど折ったばかりだというのにもう痛みがなく、いつも通りに動かすことができた。 「ふふふ、どんなもんです」 そう笑みを浮かべ得意げに胸を張る美鈴、思えばこの時から疑うべきだったのだ。 その日を境におれは劇的に怪我をする回数が増えていった。 そしていつもいの一番に駆けつけてくるのは美鈴だった。 階段を転げ落ちてしまった時も、バルコニーから落ちてしまった時も、はてまでは図書館の本が雪崩のように降りかかってきたときも、最初に駆けつけてくれたのは美鈴だった。 そして最初に骨折を治してくれたように気を送り込み治療してくれた。 「ははー、私が近くを通りかかっててよかったですねー」 外や館内ならともかく、図書館の奥での事故もなんで直ぐに駆けつけることができたのか疑問には思ったが。 結果的に美鈴のお陰で助かっているので深くは考えなかった。 そうした日が何日か続いたころ、体の異変に気がついた。 美鈴に治してもらった箇所が変になったのではなく、むしろ調子が良すぎるためだった。 しかしいくら調子がよくても石を砕けるようになったり紅魔館の塀を飛び越えられたりするのは、調子とかの問題ではなく明らかに異変であった。 さすがにこれはおかしい、誰かに相談しなければ、でも誰に?パチュリー様?咲夜さん?はたまたお嬢様? いやいや、やはり美鈴だろう、紅魔館では特別仲がよいし、なにしろここ数週間で美鈴には随分と世話になっている、きっと美鈴ならこの体がどうなっているのか突き止めてくれるに違いない。 そう思い美鈴の元へ向かう。ともかく美鈴に会えば全てが解決する、そんな気がした。 「なるほどなるほど、それは大変ですね」 そう言いながらも大して大変そうな態度を見せずに美鈴はうなずいた。 実に能天気な態度であったが、そんないつも通りの美鈴を見て不安が少し解消される。 「でも大丈夫ですよ、その異常の原因は私ですから」 胸の前でパンッと手を打ち合わせながら美鈴が言う、満面の笑みで。 解消された不安が大きくなって返ってくる。…なんだって? 「ですからね、その原因は私にあるんですよ。○○さんここ何日かたくさん怪我をしているでしょう?あれは私がやったんですよ」 どういうことだと美鈴に詰め寄る。 場違いにもエヘヘーと頬を掻きながら恥ずかしそうに美鈴は説明を始める。 「私の種族って幻想郷には私以外はいないんですよ、紅魔館の皆さんは優しいですし幻想郷も気に入っているんですが、やっぱり種族的に一人っていうのは凄く寂しいんですよ」 恥ずかしそうに、微笑みながら美鈴は続ける。 「それで○○さんには悪いと思ったんですけど、私と同じ種族になってもらおうと思いましてね?」 そう言う美鈴の言葉が理解できずに立ち尽くす。 おれが妖怪になる? 「わたしたちって仲もよいですし、○○さんも紅魔館は気に入っているんでしょう?妖怪になればずっと一緒にいられるんですよ」 それに私とも…とつぶやき、美鈴が近づいてくる、そして首に手を回し耳元で甘くささやく。 「だから…わたしと同じ種族になりましょう?」 その瞬間おれは美鈴を突き飛ばしわき目も振らずに駆け出す。 どこへ逃げる?どこでもいい、ともかく今はここを離れなくては。 「あいたたた、油断しちゃいましたか」 そう言いながらも大したダメージもなく美鈴は立ち上がり湖に視線を走らす、その先には湖上を走る○○がいた。 「うむむ、思っていたより妖怪化が進んでいるみたいですね、これなら直接背骨あたりを折っても平気かな?」 もう一回でも気を注ぎ込まれたら完璧に妖怪となってしまうまでに、そして美鈴の打撃を直接受けても死なないほどまでに、○○の体は妖怪化していた。 振られた形になっちゃったけど、どの道その体じゃ人間として生活するのはもう無理なんだから、完全に妖怪になっちゃったほうが幸せですよね?○○さん? それにわたしと○○さんの仲なんだし直ぐに仲直りしていつも通りになりますよね?そしてそれがずーっと続くんですよ。 そう美鈴は思い、納得し、笑みを浮かべ湖上を走る○○を見つめる。 「今行きますからね、○○さん♪」 鈴の音のような軽やかな声で、そうつぶやき、駆け出す。 紅の髪をなびかせながら、満面の笑みを浮かべて。
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概要 [#q41ebbfd] 協賛ネットワーク [#r0f26081] 加盟局の少なさによる課題 [#h21c5717] 主な番組 [#t1724597] 放送スローガン [#k8959632] 周波数 [#x1d0bda0] テレビ東方における非常事態編成 [#f8ebb1d7] 元ネタ [#x65b55ce] 概要 テレビ東方(英称:TV TOHO Corporation、蓬証:8909)は、主に東方地区を放送対象地域とする放送局である。 旧来は初音放送の地方サテライト局としての役割を担っていたが、東方地区独自の放送局を設立させるため、新規放送局の設立プロジェクトを立ち上げた。この頃から鴉天狗通信社の取材・放送網と連携を取っている。 後に独自ネットワークの放送免許を取得し、初音放送とは異なる独自視点からのニュース番組や、地元の蓬莱証券取引所の指数速報など、地域密着型の番組から全国規模の番組まで、幅広いジャンルの番組を提供している。 設立から間も無いため、番組制作費などの資金面に苦労しているようで、東方地区以外では初音放送の準キー局として数本の番組提供に留めている。 通称はテレ東(テレとう)。コールサインのJOTH-TVからTHと略称する事や、チャンネルナンバーが?番であることからから「?チャンネル」などと略する場合もある。 他のネットワークとは異なり、開業以来ニュースネットワークと番組供給ネットワークとの区別がないネットワークである。 また、他の放送局が報道特別番組を放送している中でも、テレビ東方だけは頑なに旅番組やアニメ番組を放送していることから、「テレビ東方伝説」なるものが存在するとか。 協賛ネットワーク テレビ東方(幻想郷支社) 初音島放送局 鴉天狗通信社(幻想鐵道株式会社) 蓬莱タワー・サテライトスタジオ テレビ鏡音(鏡音市支社) テレビ初盆(初盆支社) 主に鏡音地方向けにテレビ東方の番組を放送 加盟局の少なさによる課題 後発の放送局であると同時に資金面に乏しいため、全国展開が難しい。また、キー局の放送局がある大都市圏では、それらの放送局の帯域を直接受信もしくは区域外再送信できるところがあるが、それ以外の地域では同局及び系列局の放送を受信する事は難しいようである。 現在のところ、東方地区以外では人口が30万人を越える地区に隣接している町でしか受信することができない。 主な番組 テレビ東方提供 おはよう幻想郷(ニュース) ニュース?(ニュース) 弾幕ごっこダイジェスト(スポーツ) 火水木金土曜サスペンスシリーズ(ドラマ) 「メイド長は見た!シリーズ」など 火水木金土曜ロードショー(映画) 「パチュリー・ノーレッジと賢者の石」など シャンハイホーライ天気予報(天気予報) 秘封倶楽部通信(情報) 他、アニメ番組など 鴉天狗通信社提供 郷の出来事(情報) ニュース&蓬莱イレブン(ニュース・証券) カウントダウン東方(証券) 放送スローガン 疾きこと風の如く 視聴者の要望を反映(プレーオフ中継や映画放映で視聴者の要望を聞いて放送) 徐かなること林の如く 情報提供は冷静に(チー鉄の攻撃など他局が冷静さを失った放送の歳にも、テレビ東方だけは冷静な通常通りの放送) 侵し掠めること火の如く 視聴者が心行くまで時間延長 (21時から23時04分までの延長番組) 動かざること山の如し 緊急特番を入れずに通常通りの放映 周波数 テレビジョン放送(デジタル) コールサイン JOTH-DTV 視聴チャンネル テレビ 091-093ch ワンセグ 691ch 臨時 099ch 周波数 495.25MHz 映像出力 10kw テレビジョン放送(アナログ) コールサイン JOTH-TV 視聴チャンネル 9ch 映像周波数 217.25MHz 映像出力 50kw 音声周波数 221.75MHz 音声出力 12.5kw FMラジオ 周波数 89.0MHZ 送信出力 25w テレビ東方における非常事態編成 レベル1:初音放送が特番を開始。(注意報発令) レベル2:テレビ初盆・テレビ来栖など、テレビ東方を除く各局が特番を開始。(警報発令) レベル3:テレビ東方が速報テロップを入れる(避難勧告発令) レベル4:テレビ東方が通常放送を打ち切る (避難命令発令) レベル5:会長命令で地方に小須田部長を緊急派遣(非常事態宣言) レベル6:テレビ東方、放送中に番組を打ち切り緊急特番を開始する(地球滅亡。少なくとも幻想郷の終わり) レベル7:博麗神社神主が禁酒宣言(少なくとも人類滅亡) 元ネタ テレビ東京(TXN) キー局としては最後発のテレビ局。みんな大好きテレビ東京。 東方Project
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幻想郷に半年前に迷い込んで、優しい人里の人々に保護されて、住む所に仕事や食べ物に困らなく平穏に暮らしていた。 その間、幻想郷の屈指の実力を持つ人、妖怪、亡霊、神と様々な種族の女性達と知り合った。 今日は何度目かの博麗神社での宴会に呼ばれた。 毎回、ただ食べて飲んでばかりなのは悪いから今回は色んな材料を持って行き自分も作ろうと思う。 神社に到着すると、すでに飲み始めている連中を横目に台所に向かうと、いつも調理しているみんなが忙しく動いていた。 「あら〇〇さん、材料持って来てくれたの?」や「今日も美味しいのを作りますから楽しみにしていて下さい。」や「さぁ〇〇!早く飲もうぜ!」など反応が様々だった。 〇〇「今日は自分も作るよ。味はみんなより数段劣るけど頑張って作るから何を食べたい?」とみんなに聞いた。 すると、全員が目を丸くしてしばらく沈黙し… 全員「「「「じゃあ、〇〇(さん)を【性的に】食べたい!!」」」」」といつの間にか表に飲んでいた連中も台所に居て知り合い全員が宣言していた。 〇〇「いや…みんな…?」やばい、マジだ…。濁った目に笑顔が歪んでいる。 このピンチをどう切り抜けるべきか…? どうする?どうする?どうしよう自分ーーー!?
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クリスマス、聖人たるイエス・キリストの生誕日といわれ、彼を信仰する信者達によって聖誕祭が行われる日。 最も、そんな事は東洋に位置する幻想郷の人々には関係なく、寧ろもう片方のクリスマスであるサンタクロースに関連する話題の方が中心であった。 紫「……というわけで貴方にサンタクロースを御願いしたいのだけれどよろしいかしら?」 シン「……まぁ、さとり達は女だけのクリスマスパーティにでてるんで 時間があるからいいですけど、俺一人じゃ流石にきついですよ?」 紫「そのあたりは大丈夫ですわ、 貴方にお願いするのは貴方が特に親密な人達へのプレゼントだけだから」 シン「そうですか、でも今からプレゼント用意するにしても相手が欲しい物が……」 紫「其方も大丈夫ですわ、全て此方で滞りなく準備しているから 後は彼女達が宴会で潰れた後枕元に置くだけ、 とはいっても幻想郷の妖怪達は酒に強いですし、 それまで私達もちょっとしたパーティとしゃれ込みましょう」 シン「…わかりました、今から帰ってもどうせ一人ですし、お付き合いさせてもらいます」 ~~~~~~~~シンと隙間妖怪宴会中~~~~~~~~~~~~ ユカリ「アラ、ドウシテニゲルノ? ビジョノオシャクヲコトワルノハオトコラシクナイワヨ」 シン「シタギスガタデニジリヨラレタラダレダッテニゲルニキマッテルデショウガ!!」 ユカリ「アラアラ、セイヤナンダカラコレクライイイデショウ」 シン「ゼッタイアンタチガウカンジノセイヤデイッテルダロ!!」 ユカリ「アラ?ソチラガオコノミ?ウフフ、イイワヨ、オネエサンガオアイテシテアゲマスワ」 シン「イイカゲンニシロヨアンタッテヒトハー!!」 ~~~~~~~~隙間妖怪がシンで宴会中~~~~~~~~~~~ 紫「あら、残念だけどそろそろ時間みたいね」 シン「ハァハァ……… に、逃げ切った……」 紫「じゃあこれが一覧で、この袋に中身が、 後其処にサンタクロースのコスチュームがあるか ら御願いしますわ」 シン「わかりました、それじゃあ俺は之で!!」 紫「あらら、逃げられちゃったわね… まぁいいわ、さて隙間で配達見学としゃれ込むとしま しょうか♪」 一軒目 紅魔館~地下室~ シン「此処がフランの部屋か… 然し紫さん、本当に根回ししてるんだな、 門番の人に話しかけたら直通で此処に通されたし、えっと、プレゼントは…」 紙『ボールを相手のゴールにシューット!! 超エキサイティンッグ!! 3Dアクションゲーム バトルドーム!!』 シン「……紫さんの趣味か? えっと袋に… あったあった、 って之四人用じゃあ… まぁいいか、それじゃあ之を枕元に…」 フラン「ン~…… ふゎぁ… 寝すぎちゃった…」 シン「……え? (何でフランが…ってフランは吸血鬼、じゃあこの時間が寧ろ起きる時間に…!!)」 フラン「……ン~…… 貴方誰?」(寝ぼけ眼でサンタシンを見る) シン「(まだ寝ぼけてる、なら…!!) ヤァ、ワタシハサンタクロース、イイコノキミニプレゼントダヨ!!」 フラン「サンタクロース…… え?サンタさん!!」 シン「ソウダヨ!!コレガキミヘノプレゼントダ!! タノシイオモチャダカラタイセツニスルンダヨ!! ソレジャアワタシハコレデ!!」 フラン「あっ!! ……いっちゃった、色々お話聞いてみたかったのに… でも…えへへ、初めてだ、サンタさんのプレゼント…♪ 中身は何かな~… あ、新しいおもちゃだ、しかも四人用の… お姉様の嘘つき、ちゃんとサンタさんはいるんじゃない。 さて、早速遊ぼう♪ フォーオブアカインドー!!」 二軒目 人里~稗田家~ シン「ふぅ、危ない所だった… だから紅魔館が一軒目だったのか、 多少遠回りになってもちゃんと考えたルートになってるんだな、紫さん恐るべし…… 次は阿求か、さて、プレゼントは何かな」 紙『菅原道真公認書道有段者向け筆セット』 シン「…また渋いな、まぁ阿求は幻想郷縁起とか書いてるから下手なプレゼントよりも 良い筆とかの方が良いってことかな、さてと、之も枕元に……」 阿求「ん~……」 シン「……フウッ、寝返りか、さてと、枕元に置いたしそろそろ次に…… って、しまった、服をつかまれた……」 阿求「シンさん……」 シン「…(寝言か? 夢に俺が出てるのか? ってやばい、結構強く掴まれてて放せない……)」 阿求「いっちゃ… やです……」 シン「…(俺がどっか(異世界)に行く夢でも見てるのかな…?) ……大丈夫、俺は此処に、幻想郷にいるから… だから、大丈夫だ」(優しく頭を撫でる) 阿求「ン……」 シン「……おっ、手が緩んだ、さてと、悪いけどまだ配る荷物もあるし次にいくか、 お休み阿求、良い夢を……」 阿求「…むぅ、想像以上にシンさんは鈍感でしたか、折角の寝たふりも無意味になるとは…… またシン陥落計画を練り直す必要がありそうですね……」 三軒目 天界~~伊吹の庭~~ シン「次は萃香と天子か… というか天子はともかく萃香はプレゼントとか欲しがるタイプか…? なんか半分は想像つくけどプレゼントはっと……」 紙『萃香:外界の最高級大吟醸15本セット 天子:そんなの必要ないですわ』 シン「……まぁ、紫さんと天子の仲の悪さを考えたら当然といえば当然か、 念の為に適当にぬいぐるみとか買っておいて正解だったな さてと、起こさないように慎重に……」 萃香「慎重に、どうするの?」 シン「そりゃプレゼントを枕元……に……」 萃香「ん~ふふ~、その後は帰っちゃうのかい? それじゃあちょっと冷たすぎないかな?」 シン「いや、まだ他の家に配らなきゃいけないし… って鎖で縛るな!!」 萃香「よいではないかよいではないか~、 紫に頼んだ大吟醸セットも届いたようだし折角だからいっしょに飲もうよ、 天子もおこしてさ~」 シン「それはダメだろ!! って引きずるな!! さも当然の様に鎖を増やすな!!」 衣玖「お待たせしました、外界のクリスマスに倣って鶏肉を焼いてきました、 とはいっても御酒にあう様に塩焼きになりましたが。 後総領娘様も今寝巻きからお着替えになって此方に参っておりますので、 どうぞお先におくつろぎください」 シン「いや、おかしいだろ!! なんで衣玖さんはこの状況を見て平然としているって言うか何で先に鶏肉を焼いてるんだ!!」 衣玖「私は空気を読める女ですので… では総領娘様のお手伝いをしてきますのでここで失礼いたします」 シン「説明になってない!! 寧ろ空気を読むんだったらこの小鬼を止めてくださいよ!!」 萃香「むふふ~、残念だったねシン、どうやら空気は此処で宴会をする流れらしいよ、 さぁ、堪忍して大人しくしなよ、痛くはしないからさ~」 シン「は、放せ!! まだ、まだ俺にはやらなきゃいけない事が……!! こんな、こんな所で俺ハァアアアアアアアアア!!!」 四軒目 地霊殿 シン「……うっぷ… くそっ、結局逃げられなかった… 時間もギリギリだけど、此処で最後みたいだし… さて、誰に配れば……」 紙『地霊殿在住の女性陣全員:シン・アスカとの子ど』 シン「……うん、やっぱり全員女の子だし縫い包みがいいよな、 外界で色んな縫い包み買ってきたしそれにするか そうと決まったら善は急げだ、枕元に縫い包みを置いて、 服脱いでシャワー浴びて寝よう、うん、そうしよう」 こいしの部屋 シン「さてと、まずはこいしの部屋から……寝てる…な、 こいしは小動物系が好きだったはずだからこのリスのぬいぐるみを… ん? あ、これは俺のヘルメット… そうか、なくなってると思ったらこいしが持ってたのか…… あの時、こいしに拾われてなかったら俺はここにはいなかった… ありがとう、こいし、こいしのお陰で、俺はまだ生きてる ……起きたらまた、クッキーでも焼いてやるかな… んじゃお休みこいし、良い夢を見ろよ」 空とお燐の部屋 シン「次は空と燐か…… よしよし、二人とも確り寝てるな、二人のはやっぱりネコと鳥の縫い包みかな… それだけだと流石に厳しいか…? 二人とも食い気の方が強いしな… やっぱりこのネコ缶と温泉卵セットも置いとくか さとりには… まぁ俺が後で怒られればいいか、んじゃ二人ともおやすみ…」 さとりの部屋 シン「さてと、此処が一番の難所だな、望遠鏡でさとりの目は… よし、第三の目も閉じてるし呼吸も一定、深い眠りみたいだな。 それじゃあ手早く犬のぬいぐるみでも置いて… ふゎ… やべ、気を抜いた… 急いで戻らないと、此処で寝そうだ… おやすみさとり、良い夢を…ふわ……」 後編へ 一覧へ