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蒼星石 誕生日: 2004/10/07(アニメ「ローゼンメイデン」放送開始日) 主な活動場所: img/dat/may 概要: 愛称:蒼。 蒼い子とも呼ばれる。 その中性的な容貌から男と間違われるネタも多い。 二次裏での蒼星石は漫画/アニメ本編のスレ以外にもそれぞれ別のネタでスレが分かれている。 解説: 【元ネタ】 アニメ「ローゼンメイデン」の第4ドール・蒼星石。 【二次裏での動向】 特撮好きでダンバいさん、いぬてぃ、蔵女と一緒にSHTにはTVの前に集まる。 ダンバいさんには蒼坊と呼ばれている。この場合、特蒼石と呼ばれることもある。 中の人繋がりでカナ(未)を元にコラされたことがある。 蒼姉(未)、私生活蒼星石(未)、チンコ石(未)、象星石(未)等の派生キャラの元になった。 以下は蒼星石が登場する代表的なスレ。 【鬱蒼スレの蒼星石】 スクリプト(完結)。翠星石を事故で失った「」とその死に責任を感じて身代わりとして「」と生活した。 【チョンパスレの蒼星石】 スクリプト(完結)。マスターと心中を図るために首チョンパをしようとして言いくるめられるのから始まり、毎回いろいろなものをチョンパする。 【#スレの蒼星石】 スクリプト(完結)。ゴミ捨て場で拾った鞄から出てきた蒼星石と契約を結んだマスターの話。 【蒼×爺スレの蒼星石】 スクリプト。爺をマスターとした蒼星石の話。 【地味スレの蒼星石】 スクリプト。マスターと茶を飲む蒼星石の話であまりに地味なのでこの名前がついた。 【蒼の子歌スレの蒼星石】 may。聞々ハヤえもんというソフトで槙原敬之の歌のピッチを上げて蒼い子の声と同じになっているのを楽しむスレ。 【レンピカを探せスレの蒼星石】 スクリプト。福引で当たったカバンから出てきた蒼星石。虹裏キャラが多数登場する。 【ローゼン笑点スレの蒼星石】 水銀燈がお題を出して各ドールズが答え、めどいさん達がヤクルトを配ったりした。 「僕は第四ドール 蒼星石 貴方のお人形…」 カテゴリ: アニメネタ スクリプト 関連項目: 水銀燈 金糸雀 翠星石 真紅 雛苺 雪華綺晶 薔薇水晶 蒼姉(未) 私生活蒼星石(未) チンコ石(未) 象星石(未) 関連リンク: ふたばらヲトメ 上に戻る memo: 訂正、追加情報等。 名前 コメント 最終更新日:2013年07月30日 (火) 01時34分49秒
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蒼星石 ・・・・設定・・・・ 性格は、真面目を絵に描いたようなモノ。 男女共に絶大な人気を誇り、一部不良学生からも人気がある。 生徒の為に、自分の身を犠牲にする事もある。 また、何か武術をやっているのかその身体能力は高い。 ちなみに、初心。 心に悩みを溜め込みやすい体質でもある。 翠星石と仲が良く、助けたり助けてもらったりの関係。 耳に息を吹きかけられるのが苦手。 恩師に貰ったネクタイピンを大事に持っている。 最近、インターネットの回線をテプコひかりにしたらしい。 また、教師全体のストッパーであり親友の翠星石の最重要ストッパー。 意外に黒い所もあるが……蒼星石の生涯においてその黒が発動した所は、数回しかない。 数学課 担当教科は、数学と情報。 空手部&剣道部&書道部&アーチェリー部顧問 蠍座のAB型 height:163 3size:84(C)、59、80 愛車はハーレー・ダビッドソン 注:設定は、絶対にこれ! と、言う訳ではないので設定にとらわれない先生方を書こう! 蒼星石感想 蒼星石短編 蒼星石×水銀燈 翠&蒼の化学 蒼星石の数学Ⅱ 蒼星石の情報A 蒼星石の生物 蒼星石と数列 蒼星石と保健室 蒼星石の事情 蒼星石vs不良2 蒼星石と残業 蒼星石と舞踏会 蒼星石と万引き 蒼い巨塔 駐車場の蒼星石 蒼星石の激励 蒼星石と恩師 蒼星石とアイスキャンディー リストカット 学食のカレーライス 蒼星石と女子高生1(おあ氏ver 結婚 間違えられたCD 蒼い子マジギレ ほ し が きレス入り ゲーセンの蒼星石 蒼星石と女子高生2(書き散らし氏ver 進路相談:蒼星石の場合 蒼星石と催眠術 仮面○イダーカブトショー 蒼星石とチョーク 蒼星石と恐怖の家路 球技大会~一回戦第一試合G雪華綺晶vsF蒼星石~-野球- ドッペルゲンガー 蒼星石と旧校舎の胆試し 蒼星石と翠星石の心遣い 蒼星石覚醒 苦労人蒼星石 蒼星石とオバケとデート 並行世界 蒼星石の初めての料理 蒼星石のローゼンによる恐怖のドライブ 蒼星石幽霊克服大作戦 水銀燈が居るミセ、蒼星石が座ったイス 蒼星石と恐怖の監禁 飴玉婆さん RPGと蒼星石 黒い蒼星石 翠星石の蒼星石 蒼星石の初めてのイタズラ ハーネル蛾物故割れた 蒼星石と屋上と煙草 蒼星石と宿直と幽霊 蒼星石と加法定理 ピエタ OK、ブラクラゲット。流石だな姉者 蒼星石と昼寝 兎さんと蒼い子
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「あとは…この庭師の鋏でお相手するよ」 PEACH-PITの漫画『ローゼンメイデン』の登場キャラ。「そうせいせき」。 アニメでの声優は 森永理科 女史で、MUGEN的に言えばこんなシリーズ作品に出演している。 人形師ローゼンの製作したローゼンメイデンシリーズの第4ドール。 ファンからの愛称は「蒼い子」。 服装はシルクハットに袖口の長い白いブラウス、青いケープとニッカーボッカー風の半ズボンを着用。 翠星石同様、アニメではフリル部分が多少省略されている。 容姿は、瞳の色が姉の翠星石同様オッドアイで、右目がエメラルド色で、左目がルビー色。 髪は赤毛に近い焦げ茶色(アニメでは翠星石よりも若干赤みが強い)で前下がりのボブをベースにしたショートカットである。 一人称は「僕」。その口調と容姿のために男の子扱いされることもあり、ゲーム版ではジュンからも、「蒼星石って男の子?」と質問されている。 さらに、ローゼンメイデンが連載されていたコミックバーズでの同作品の紹介で、蒼星石を男扱いする文章もあったのだから笑えない。 至高の少女を決める戦いなのにね。 なお原作でのジュンの第一印象は「なんだアレ?シザーマンかよ。タチワリー」 ……ひでえなオイ。 性格はとても真面目で寡黙。アクの強い性格のドールズの中でも割と常識的な感性を持っている。 それ故に、アリスゲームで悩むことが多い。第2期ドラマCDでは真紅達と共に平穏な生活を送る事を選んだが、 薔薇水晶が見せたアリスに対して苦悩するローゼンの幻影の影響から最終的に擬似アリスゲームに参加。 「お父様の望みは僕の望みだ!」と、平和を望む翠星石たちと決別の意志を見せたが、水銀燈に敗れ、悲劇を招いた。 また、原作とアニメで変更点が多いキャラクターで 前述のように原作では真紅たちに「僕は馴れ合いをするつもりは無い」と言い放っており、徹底的に対立していた。 戦闘時には水銀燈と手を組み真紅を一方的に痛めつけるなど、アリスゲームに関して一片の情も挟まない態度を示している。 また、水銀燈によって腕をもぎ取られた真紅に対して「もう片方も切り落としては?そのほうが美しいよ」などと、 冷酷な皮肉を浴びせたりとかなりヒール的な要素も持っていた。 アニメでは翠星石の方が蒼星石にベッタリなのだが、原作では逆に蒼星石の方が翠星石から離れる事が出来ずに居た。 その事から、一見気弱そうに見えてその実しっかりと自立している翠星石との溝に苦悩するという繊細な面も持ち合わせている。 そうした弱い自分、曖昧な自分と決別する為に翠星石と対立する道を選ぶのだが…… それなりに出番の多かったアニメに比べ、原作では登場してすぐに死亡してしまった不遇なキャラクターである。 と思っていたら雪華綺晶から真紅と翠星石が蒼星石の体を奪還、水銀燈から奪われたローザミスティカを返してもらいついに復活を果たした。 「心の樹」の成長を妨げる雑草を取り除く「庭師の鋏」を持つ(心の樹の必要な枝を切り落とすこともでき その人の心にしまわれた大切な記憶を奪うことも可能)。それ故、「庭師姉妹」とファンに呼ばれている。 戦闘も庭師の鋏を使っての接近戦が中心。なぜか他のドールに比べアニメ版で追加された技などが少ない。 そのためなのか何なのか、原作では真紅のローズテイルから逃げ切るようなスピードを披露したのに対し、 アニメ版では翠星石、雛苺と三人がかりで水銀燈に倒されたり、水銀燈の息で吹き飛んだり、 薔薇水晶に挑んだ際に一撃で返り討ちにあったり、と妙にかませ犬化が進んでおり、戦闘面での不遇さが目立った。 特別編のオーベルテューレでは、作中屈指の実力者である真紅と互角に戦っており、シルクハットを使っての牽制技も披露し汚名返上なるか!と思いきや、 真紅が自分のミーディアムのサラ(CVジュンと同じ)に大して負担をかけなかったのに比べ、 蒼星石はミーディアムの力を瀕死になる限界まで追い込んでしまっていたことが判明、相変わらず戦闘面では不遇である。 人工妖精は「レンピカ」で、庭師の鋏を出したり、夢の扉を開いたりする。 ミーディアム(人間の契約者)は原作とアニメで異なっている。 + 詳細 原作では元華族で有名な結菱家の長男・結菱一葉。 双子の弟(船舶事故で死亡)と駆け落ちした女性に復讐するため、 蒼星石と翠星石の力を使い女性の心の樹を朽ちさせようとしたが、 彼女も二葉が死んで悲しむもそれを乗り越えて生きることを選んだことと、 そして自分も彼女を好きだったことを思い出し、改心した。 蒼星石が動かなくなってからは、寂しさを紛らわすかのように 毎日庭園でのお茶の時間に蒼星石を椅子に座らせて話をしたりしていたが、 その気持ちを汲んだ翠星石が週に1度、彼の元を訪れてはお茶の相手をしており、 彼女からは「おじじ」と呼ばれている。 アニメでは時計職人の老人・柴崎元治。 一人息子の一樹を失ったショックで妻・マツが寝たきりになってしまったため 彼自身も精神破綻を起こし、蒼星石を亡くなった息子だと思い込み束縛していた。 そのことを水銀燈に利用されるが、ジュン達がマツの夢に入り込んだことで彼女が目を覚まし、 元治自身も息子の死を受け入れて以前の自分を取り戻した。 以降も孫同然に蒼星石を可愛がっている。 翠星石からは「おじじ」、蒼星石からは「マスター」と呼ばれている。 余談だが水銀燈の「乳酸菌とってるぅ?」という名(迷)台詞は 元治と接触した際に言われたものだったりする。 また柴崎元治が「かじゅきいいいいいいい!」と呼ぶシーンは相当インパクトが強く よくネタにされている。 契約した人間への忠義心、鋏による他姉妹よりストレートな戦闘描写、日常パートでも姉妹で一番家事を安定してこなす等、 かっこよさや可愛さ、健気さ等を全編に渡って満遍なく発揮しており一定したファンを持つ。 またボーイッシュな故に、女性ファンからも圧倒的な支持を得ており、 アニメ第1期HPで行われた人気投票では第4位に、第2期では第3位に輝いている。 + 二次創作での扱い ニコニコでは姉達にくらべて出番は少ないが、それなりに人気は高い。 同人誌やSSではアニメ版をベースに原作の要素を加えたものが多い。まあ原作版の彼女は立場、性格、登場時期が扱いづらいからしかたないだろう。 翠星石の次にヤンデレ化ネタが多い。 普段は他のドールズと平和に過ごしているが、水銀燈や薔薇水晶の策に嵌って自分とマスターにとって邪魔な人間(他のドールズのマスター等)を排除するなど 仕向けた二人以上に残忍且つ冷酷になる。 立居地的には『北斗の拳』のシンと言えば解りやすいかも。 そしてそれ以上に、二次での変態化率がローゼン勢で一番多い。 「ボクも、君と同じ気持ちなんだ・・・ マスターのそばに居てあげたい・・・」 (以上、wikipediaより一部抜粋、改稿) MUGENにおける蒼星石 mugenではドロウィン氏が製作されたコンプゲー『Rozen MUGEN traumend』のものが存在していた。(現在はフリーティケットシアター終了によるリンク切れ放置で入手不可) 機動力はコンプゲーのキャラの中ではトップクラスで、超必殺技の中にはその機動力を生かしたものもある。 反面紙であり、単発火力も低め。 コンプゲーの中でもコンボに重点を置いたキャラクターとなっている。 翠星石とコンビを組むことで真の力を発揮する。 また黄金の仮面伝説の投稿者であるikuiku氏によってAIパッチが製作された。 出来るだけ色んな技で繋ぐようにしエリアルは捨てコンボも無理に繋がない感じのAIになっている。 公開当初は原作での冷血な台詞を喋る特殊イントロがあったが、現在は削除された。 専用の勝ち台詞はある。 出場大会 タッグトーナメント-アリスゲーム杯- 第3回遊撃祭 MUGEN祭 大盛りシングルトーナメント 総勢256名☆燃えて萌えるヒロインズトーナメント 削除済み ヒロインズトーナメント 皐の陣 出演ストーリー 黄金の仮面伝説
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121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09 25 05.88 ID ZuvhborM0 ぬふふと姉の劣勢を敏感に感じ取り、翠星石が口を開いた。 「そういえばぁ、今日もお菓子を皆で持ってくる約束!だったのにぃ、一人だけ忘れてきたドールが居たですねぇ?」 「そ、それは、慌てててぇ・・・・・・」 ミルクの瓶をやっとテーブルの上に置き、両手を胸の前に持ち上げ手の平を見せながら言う。 「どうだか。でも翠星石は事実を言っただけでーすよー」 隅にネズミを追いやった猫のごとく水銀燈をいたぶる。 「やめなさい翠星石」 真紅が止めに入った。 「ふーんですぅ」と両手を頭の後ろで組む。 「あ、カナも手伝うかしら!」 なくなったミルクを取りに台所に出向いていた蒼星石を、金糸雀が自分が持ってきた 手作りゼリーを切り分けて持ってくる物だと勘違いし、蒼星石の所に手伝いにゆく金糸雀。 結局、蒼星石が自分の紅茶にミルクを注ぐ事が出来たのは、その日の茶会が終わってからだった。 「ヒナは苺の部分がいいの!」 「缶詰ゼリーに苺なんてあるわけねーです」 雛苺の横で翠星石が小さく突っ込みを入れた。 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09 30 36.23 ID ZuvhborM0 「まあ、そう言う事だから、次の日曜日にでも連れてきなさい」 「えっ、で、でもぉ・・・」 「はい、どうぞ」 丁度その時、蒼星石が水銀燈の前にゼリーのお皿を置いた。 水銀燈は絶妙なタイミングで現れた蒼星石を力ない目で睨みつけた 「ん?どうしたんだい、食べれなかったのかな」 「いえ、いただくわぁ、ありがと・・・・・・」 しゅんとシナ菊のように萎れ、お礼を言った。 「じゃあ、次の日曜日よ、忘れないでちょうだいね」 「はぁい・・・・・・」 水銀燈には既に反論する気力すら残っていなかった。 その日食べたゼリーの味は、紙粘度のような味がした。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09 46 52.89 ID ZuvhborM0 くんくん探偵を皆で見て茶会が終わった。 いつもは楽しいはずのくんくん探偵も、今日は楽しく見る事が出来なかった。 水銀燈は帰り道、nのフィールドを使わず、夜の闇を漆黒の翼から 細かく黒い粒子をパラパラと撒き散らし、携帯片手に家に帰っていた。 友達のメグにどうしてもと頼まれ、ミーディアムに頼み買ってもらったプリペイド携帯だ。 <このままミーディアムを紹介しても大丈夫なのかな> と、めぐにメールを送信した。 携帯の液晶の光りが彼女の顔を緑に照らしていた。 数分後、携帯のバイブレーターの振動音が夜に響いた。 めぐからメールの返信だ。 <その前に私に紹介しなさい、でなきゃ総合病院総力をもって潰すが?> 水銀燈は溜息を一つつき<その内にね>とだけ返信した。 が、3mぐらい飛び、携帯をもう一度開き <いつも思うんだけど、病院の総力ってなんだろう?重病患者は遠距離支援ユニットなの?> とメールを送っておいた。これは水銀燈の力作のネタだったので、 心なしか水銀燈の顔はメールの返信を楽しみに待つ乙女になっていた。 結局、コレに対してのメグの返信は<つまんない>の一言だけだったのだが・・・・・・。 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 04 17.24 ID ZuvhborM0 水銀燈が家に帰り着き、最初に目に付いたのは 上半身裸で肩にエルパルス(低周波マッサージ機)をつけ びっくんびっくんと上半身を揺すってる彼、ミーディアムの姿だった。 「こ、こらあああ!!」 水銀燈が大声を張り上げた。 「あ、おかえり。お菓子忘れてたよ」 挨拶に返事もせず男ににじり寄り、エルパルスを肩から剥いだ。 「じじ臭い事、禁止ぃ!」 彼にはスタイリッシュなシティボーイに成って貰わないといけないのだ。 顔は、まあ、私的には問題ないとして、問題はこいつの行動だ。水銀燈は肩をいからせそう考えていた。 「肩の筋違えたみたいで、痛やばいから返してくれ」 彼はエレパルスの電源を落とし、空いてる手でくれくれと水銀燈の前に差し出した。 「だから、そ、そういう事、やめっ、やめてって、いっ、言ってるの、ひぐっ。にぃ」 水銀燈の言葉の途中から嗚咽が混じり出した。 「どうしたんだよ」と彼は水銀燈の頭を撫でながら聞いた。 「ま、まーくん。あのっ、あのねっ、ぐっ、今日の茶会でね、ひっく」 「うん」 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 04 42.48 ID ZuvhborM0 まーくんと呼ばれた彼は水銀燈の頭を撫でながら、相槌を打ち始めた。 「───と、いう、ずずっ、事、なのよぉ」 「うん、全然分らない」 水銀燈の顔を見据え言った。 「うっ、ふっ、ふぅぐぅ・・・・・・」と彼の言葉を聞いて、水銀燈は大泣きの前兆を表し始めた。 「嘘だよ嘘、冗談だよ。次の日曜日に一緒に真紅さん所に遊びに行けばいいんだろ?」 「う、うん、だから、それまでに真紅たちに自慢できる、男になっても」 「次の日曜日というと、明後日だね」 水銀燈の声を遮り、彼がそう言った。 「ふぁああああん、もう無理よぉ、絶望的じゃなぁい!」 水銀燈が声を上げて泣き始めた。 「大丈夫だよ、なんとかなるさ」 彼は水銀燈を自分の膝の上に座らせ、頭を撫でながらそう言った。 「・・・・・・本当?」 「ああ」と彼は頷いた。 「ヨーグルト味のゼリー買ってくれるぅ?」 「ん?ああいいよ」少し悩んだが買うと約束した。 「じゃあ銀泣かなぁい」 今まで泣いていた事をケロリと忘れたかのように微笑んだ。 よく見ると頬に涙の後もない。 「ちょ、嘘」 水銀燈の人差し指が彼の唇を塞いだ。 「じゃあ、明後日に向けて一緒に頑張りましょうねぇ」 片目を閉じてパチンと水銀燈がウィンクした。 彼は流れに乗せられ、何となくウンと頷いた。 「ふふ、だからまーくんって好きぃ」と男の胸に水銀燈は頭を埋め、 胸に『の』字を書き始めた。 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 19 51.36 ID ZuvhborM0 「おかえりなさぁい、何買ってきたのぉ?」 水銀燈はソファーで煎餅を食べ、雑誌を読みながらそう言った。 彼はスーパーの袋からポテトチップス九州しょうゆ味を取り出し 「これでどうですか」 「あの、私は明日持って行くお菓子を、お願いしたと思うのだけれどぉ」 肩を震わせ水銀燈が言う。 「なあんてね、冗談冗談。カステラ買って来ましたよ」 オレンジの紙袋からカステラを取り出す。 水銀燈は「まあ合格かな」といった視線で彼を見た。 「で、それはなぁに?」 彼がまだ開けていない袋に興味心身だ。 「皆くんくん探偵が好きだと聞いたからさ」 じゃん、とクンクン探偵靴下を見せた。 「明日はこれで行こうかと」 「没収」 「ああ、スーパーひとし君が!」彼なりのショックな時の表現の仕方で水銀燈に気持ちを伝える。 「もっと大人っぽい格好出来ないのぉ?」 「例えば?」 水銀燈は自分の顎を折り曲げた人差し指の爪の部分で摩りながらうーんと唸った。 「スーツ、とかぁ?」 今度は彼が自分の顎を触りながら、水銀燈になんと言ってスーツ案を却下にさせるかとうーんと唸っていた。 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 40 17.28 ID ZuvhborM0 結局、普段着でけりがついたのだが、水銀燈がどうしてもジャケットで折れず シャツの上から簡単なジャケットを羽織る事になった。 今からnのフィールドを通って桜田家まで行くが、くんくん靴下が無い代わりに、 くんくんハンカチを持ったから安全だろう。 何でも、nのフィールドにはくんくんグッズを差し出さないと絆に訴えかけるパンチをする空間があるらしい。 その筋のドールショップの従業員に聞いたから、間違いではないだろう。 「お菓子もったぁ?」 「持ってよ」 「みんなの名前ちゃんと覚えてるぅ?」 「ああ、色で覚えたよ」 一通り確認し終えた水銀燈は、大きく深呼吸をし「水銀燈、出るわぁ!」と気合を入れた。 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 41 11.49 ID ZuvhborM0 初めてnのフィールドを使ったが、こんなに便利な物だとは思わなかった。 家に置いてある姿見鏡を通り抜けたと思ったら、知らない家の物置に出た。 こりゃ龍騎達も鏡の中の世界使うわ。 「到着?」 「えぇ、ここが真紅の家よ」 ふーんと辺りを見渡すが、薄暗く何やら色々な物がおいてあり埃っぽい所だった。 「皆いないね」 「そ、そうねぇ、変ねぇ・・・・・・」 水銀燈が心配そうに辺りを見渡す。ドッキリじゃないと思うぞ。 その時、正面の扉が軋んだ音を立て開かれた。 「あ、どうも。おじゃましてます」 反射的にお辞儀と挨拶のコンボを入れたのだが、反応が無い。 というより正面に誰も居ない。 そのまま下に目線を下ろすと緑色をした人形がドアの隙間からこちらを覗いていた。 確か、翠星石だったかな。 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 49 10.47 ID ZuvhborM0 当の翠星石は「ふーん」だとか「ほー」だとか「へー」と僕を上から下まで念入りに品定めした後、機微を返し 「やっぱりこっちから出てきたですよお!」と、どたどたとかけて行った。 「間違えちゃったみたいだね」 「え、ええ・・・・・・」水銀燈はキョロキョロと先ほどより不安げに視線を動かしていた。 「大丈夫だって、心配する事ないからさ」 水銀燈と視線を合わせ、両手をにぎり上下に軽く振った。 「え、ええ」こっちは相当緊張しているな。 「気付にちゅーでもしようか」と水銀燈に顔を近づけている時、ドアの方から声が掛かった。 「お取り込み中悪いんだけど、いいかな?」 青色の人形が扉の所に立っていた。その背に隠れるように緑色の人形が立ってこちらを見ていた。 青色が蒼星石で、緑色の人形が翠星石だったかな。確か双子だとか。 「あ、お願いします」 水銀燈はただでさえ白い肌をさらに白く、薄らと青みがからせ双子を見ていた。照れるなよ。 双子にリビングに案内され、僕の自己紹介と彼女達の自己紹介が済み、話すことがなくなった。 普通は水銀燈が間に立って色々と言ってくれる筈なのだが、顔色が先ほどより青白くなっている、本番に弱い奴め。 ドール達の視線が僕を根定めしているようだった。 何か話題を作らないと。 「そういえば、桜田君は居ないんですか?」 「今日は図書館に勉強に行ってるのだわ」 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 51 05.96 ID ZuvhborM0 赤い人形、真紅が僕の答えにすぐさま答えた。 時計の針の音だけがリビングに響いていた。なんだよ、結婚を認めてもらう為の挨拶かよ、これ。 「あ、そうだ。僕は貰ったカステラを切ってくるね」 蒼星石が沈黙に耐え切れず逃げ出した。 「す、翠星石も手伝うですよ」 後を追うように翠星石が席を立った。 台所から「蒼星石はあの人間どうおもうです?」や「うーん、初めて見た時があれだったからなあ」 といった会話が聞こえてきたが、聞き流す事にする。 ピンク色、雛苺は何かを悟ったのか座ったままこちらと見つめており、 黄色、金糸雀は水銀燈より緊張しているようだった、 眼帯は・・・・・・よくわからい。 つまり、事実上真紅と俺との一騎打ちになったわけである。 時計の長針が目に見えて動いた頃、台所から「そ、蒼星石が先に行くです!」 「や、やだよ、翠星石が先に行きなよ!」と口論が聞こえてきたが、 僕と真紅はあれから沈黙を守ったままであった。 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 56 59.32 ID ZuvhborM0 結局、蒼星石がカステラを運んできた。 僕の目の前にカステラを置く時、水銀燈と僕の顔を交互に覗き込んできたのは、 さすがにローゼンの子だなと思わせた。 水銀燈がカステラに手をつけないので「食べさせてあげようか?」 のワンクッションを忘れ、カステラを適度な大きさに手際よく切り取り 「あーん」をしたら、真っ青だった水銀燈が顔を真っ赤にし 「ば、ばかぁ!時と場所をか、かんが、え・・・・・・」言葉の強さが下がるごとに顔色が青に変色していった。 家でしてるみたいにすればいいのに。 真紅はこの一連のやり取りを見て、持っていた紅茶カップを受け皿に戻し 「翠星石、あれの用意を」 重い口が開かれた。 「し、真紅さんそいつは、まじで言ってるですか!?」 真紅は無言で肯定を示した。 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 10 58 21.79 ID ZuvhborM0 「ひい!おっかねえ!!」と翠星石は二階に駆け上がり、戻って来た時には手に 人生ゲームDXの箱を抱えていた。 これで親睦を深めるつもりなのか? 他のドールズを見渡すとどのドールも、はっきりと口には出さないが、おびえが滲み出ていた。 いったいに、何が彼女達をここまで? ふと、真紅と目があった。 真紅は僕の目を見、ニヤリと笑い人生ゲームDXの蓋を開けた。 なるほど、これで経済力を見るつもりだな、いいだろう掛かって来いよ! どんな闇ルールで縛り付けられるのかと思ったが、まったく普通のボードゲームで、 提案した真紅はドンケツだった。ついでに言うと雛苺が一位になり、手に入れた札束の中で震えていた。 後から聞いた話だと、真紅は人生ゲームに壊滅的に弱いくせに あのゲームが大好きで、負けるたびに1位になった人に絡む癖があるそうだ。 なるほど、舎弟(妹)が一位を取ったら、そりゃ怯えるよな。 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 04 06.36 ID ZuvhborM0 「それにしても、マサユキさん勝負運強いですね」 「そうかな?」 蒼星石が話しかけてきた。 「本当ですぅ。本当ならお前が最下位だったんですよ?」 「いやあ、まぐれだよ」 人生ゲームが終わり、なんだかんだでよく分らないうちに、自然と他の姉妹達と言葉を交わせるようになっていた。 真紅はこんな事まで考えて、あのゲームを提案したのかと真紅を見ると、 早くも雛苺に絡み始めていた。 「ひ、ひなクンクンの人形いらないのぉ!」 「いえ、あなたが勝ったのよ。勝者は敗者の宝を強奪していいのだわ」 へへえと謙った物腰で、クンクン人形を差し出していた。 可哀想に、そして影で「新しい領主は──」とか言われるのだろう、恐ろしい罰ゲームだ。 「そんな事より、よくこの策士家で名高いカナの足元まで迫れたかしら!」 「あーアと少しだったね」 「少しは認めてやるかしら!」 効果音が決まりそうなほどポーズを決め、僕を指差しそう言った。 お前、あと1薔薇で俺に負けてたじゃないか。 他の姉妹達に、自分の紹介なく溶け込めているマサユキを、水銀燈は一人輪から離れて見ていた。 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 17 11.63 ID ZuvhborM0 何やら色々とお土産を貰い、真紅の家から帰ってきた。 帰る少し前に、ミーディアムの桜田君と出会ったが、特に悪い印象は受けなかった。 むしろ、何で女連れで帰ってきてるのか、問題はそこだったのだが、もうどうでもいいや。 「なんか、機嫌悪いね。どうしたの」 家に帰ってから、何か機嫌が悪い水銀燈に話しかけた。 「別にぃ」 ソファーの背もたれに肘を付き、自分の腕に顎を乗せ僕の顔を見ようとしない。 「ねえ、どうしたんだい」 銀色の髪の毛から突き出た耳に息を吹きかけたのだが、水銀燈のアクションは首をすぼめるだけだった。 「ねえ、機嫌なおしてよ」 僕は片手で後ろから水銀燈を抱きしめ、右手の人差し指で水銀燈の髪の毛の付け根をなぞり始めた。 観念したのか、ポツポツと水銀燈は口を開き始めた。 「だってぇ、私が居なくても皆と仲良くなれてぇ」 相槌を打たずに、水銀燈に続きを促す。右手は毛の付け根をなぞるのを止め、水銀燈の左頬を触っていた。 「私一人ではりきって、ばっかみたぁい」 この前のようなうそ泣きではなく、本当にグズり始めた。 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 20 54.17 ID ZuvhborM0 「なくなよ、水銀燈が居ないと僕は桜田家にも行けないよ」 「どうだかぁ」 水銀燈は相変わらずこちらを見ようとしない。 僕は左頬を触ってた指で彼女の涙を拭ってやった。 「もうっ!私にかまわず、他のドールズ達の所に行っちゃいなさいよぉ!」 なんだ、水銀燈は他のドール達と僕が話していた事に対し嫉妬し、へそを曲げていたのか。 「やだよ、だって僕は水銀燈の事が大好きだから」 耳の軟骨に唇を当てながら呟いた。水銀燈は首を猫のように捻り。 「・・・・・・聞き漏らしたわぁ、もう一度いいなさぁい」 「大好きだよ、水銀燈」 もう一度おなじように呟いた。 「つ、次は左耳にも教えてあげなさぁい」 僕は水銀燈の左耳を一度甘く噛み、 「愛してるよ、水銀燈」と言った。 水銀燈はここまで言われて満足したのか、何も言わなくなった。 だけど、君は本当に愛されてるよ。 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 25 59.19 ID ZuvhborM0 僕たちが家に帰る直前、階段の踊り場で真紅と二人っきりになった。 真紅が「水銀燈のミーディアム」と僕を呼び止めた。 「なんだい」と僕は振り返り、視線を落とす。 「姉を、よろしくお願いするのだわ」 真紅がペコリと頭を下げた。 「色々と問題がある姉だけれど、私達自慢の姉なのだわ」 「いえいえ、こちらこそ。お姉さんを幸せにします」 僕もペコリと真紅に頭を下げた。 こんな事が、君が知らない間に行われたんだぜ。 君は本当に愛されてるよ、水銀燈。 「ねえ、ちょっと」 水銀燈が振り向き僕の方を見上げた。 「今、私以外の女の子の事、考えたでしょぅ」 「そんな事ないよ」 勘が鋭い奴め。 「どうだかぁ」 水銀燈はジト目で僕を見てくる。 僕は水銀燈のオデコにキスをした。 「あ、えっ」 「次は何処に愛してるって教えてあげようか」 「ばかぁ」 水銀燈が顔を真っ赤にして呟いた。 結局、僕はあれから水銀燈の色々な所に「愛している」と教える事になった。 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 26 15.14 ID ZuvhborM0 水銀燈のミーディアムデビュー 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 11 26 30.59 ID ZuvhborM0 終わりです、お疲れさまでした
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 00 58 02.54 ID HsD1iU2i0 飽きっぽい性格だった。 熱しやすく冷めやすい性格だったのかもしれないが、一つの事が長続きしなかった。 実家の押入れを開けて見れば、習い事道具の見本市が出来るほどだ。 魅力的な物に心奪われても、奪われた心は直ぐに風化し、風に飛ばされる。 友達もそうだ、二年以上付き合えた試がない。 そして、僕は人を好きになるのが怖かった。 相手に、自分の気持ちが受け入れられないかもしれない、と思うよりも、 “何かを愛した自分の気持ちが、嘘になってしまうかもしれない” こっちの方が、饅頭なんかよりも何百倍も恐ろしかった。 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 01 06.54 ID HsD1iU2i0 冷たく、湿った香を鼻腔に感じる。 朝日がブラインド越しに、部屋を白が強い青で照らしていた。 楽しい夢を見ていたのか、心地よい倦怠感が体を包み、ベットマットに背を吸われる。 大きく息を吸い、吐き出す。時計を見ると九時を少し回った所だった。 夢を思い出そうと布団を被るが、電話のベルが鳴り始める。 僕は布団を蹴飛ばし、ベットから転がり降りて受話器を掴んだ。 「はいもしもし」 酷く掠れた声が出た。口を開けて寝るからだ。 「まきますか? まきませんか?」 靄に包まれた森のような声が言う。 「はい?」 間違い電話にしては新しい。 「分りました、では楽しみにしてまちます」 不思議な声はそれだけ言うと、一方的に電話を切った。 「あ、おい、ちょっ──」 受話器は僕の声を遮るように、無機質にツー、ツーと言い続けた。 「なんだったんだ……」 疑問の視線を受話器に投げかけ、定位置に戻してやった。 受話器には、僕の疑問に答えられない事を知っているし、 彼の仕事は完璧だった、難癖もつけようがない。 寝癖を撫でつけつつ、僕は重い足取りでベットに戻った。マットが優しく包んでくれる。 結局、僕はどんな夢を見ていたのか思い出せなかった。 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 04 47.25 ID HsD1iU2i0 次に目が覚めたのは三時過ぎだった。 何か大切な記憶を脳から引き離し、どこかに置いて来た様な、そんな目覚めだ。 部屋はすっかり薄暗く、現実味がない。夢の続きが流れ込んできたかのようだった。 あれも夢の続きだろうか。ベットの隣に鞄が二つ、並べて置かれてあった。 夢が混じる湿気を鼻で吸う。 アンティーク物なのか、鞄の四隅と、腹には薔薇の彫金がある。 鞄を包む焦げ茶の皮は、時間を切り取られたかのように新しいくせに、古い時代の匂いがしてくる。 詳しい事は分らないが高価な物なのだろう。 後頭部を撫でるように掻く。何でこんな物が僕の部屋に? ふと、鞄の鍵穴で何かが光った。 咄嗟に鍵穴に手を伸ばす。指先が鍵穴に触れると、金属が噛合う音がした。開いたのか? 鞄に手を掛け開くと、琥珀色の長い髪の女の子が、丸まって眠っていた。 服は、中世ヨーロッパ風の町民服をフリルでアレンジし、緑で染めたような物を着ていた。 「人間……いや、人形?」 思わず人と見間違ごうばかりの精巧さだ。 両脇に手を入れ、持ち上げてみる。思ったより軽い。 左右にゆらゆらと揺すってやると、キイキイと音を立て手足が動く、 頭は自分の髪の重さに耐えられないのか、天井を見上げながら、ガクンガクンと揺れた。 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 07 00.45 ID HsD1iU2i0 「面白いな。それに、柔らかい」 人形を引っくり返す。 腰に、穴が一つ、開いていた。 何かのスイッチかと指を入れてみたが、爪先は穴の奥で待つ闇に触れただけだった。 恒例のパンツチェックを終えると、する事もなくなり、人形を鞄に戻そうとしたら、 鞄の端に何かがある。螺子巻きだ。 「これか?」 螺子巻きを腰の穴に差込、螺子を巻く キリキリと歯車が噛合う音がする キリキ、ギ、ギギ歯車の悲鳴が聞こえてくるが、僕は螺子の類は限界まで巻かないと気がすまないのだ チョロQを買った時からの癖で、今更止められない。俺を怨むな玩具会社を怨め。 「いつまで巻いてるですか、この、馬鹿人間ッ!」 向う脛に衝撃が走った。思わず人形を取り落とす。 人形はあろうことか、自分で床から起き上がり、僕の目の前で仁王立ちしたのだ! 「それに、何が 面白いな~’ですか!」 面白いな~で顎を軽く突き出し、目を薄らと閉じ言った。僕の真似なんだろうか? 「首がもげるかと思ったですよ!この──」 息を吸い込み、 「駄目人間ッ!」 耳を劈くような声で言い放った。 「ご、ごめん」 勢いに押され謝る。 「分ればいいですよ、分れば」と人形はしたり顔で言った。 12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2007/11/03(土) 01 09 26.50 ID HsD1iU2i0 改めて人形──いや、彼女を見つめなおす。 さっきの騒ぎで、怖いだとか、ミステリー調査団だとか、そんな気持ちが吹き飛んでしまい、 純粋な好奇心だけで彼女を見ていた。 良く見ると可愛い顔をしている。人形だから当然と言われたらそれまでだが、 まるで、本当の少女のような、生を含んだ可愛さがある。 肝心の彼女は、怒りが引き潮のように引いたのか、今は小動物のように辺りを警戒し、 僕と視線が会うと慌てて下を向き、上目遣いで僕の様子を伺ってくる。 「あのぉ……」と彼女が口を開いた 「なんだい?」 「蒼星石の螺子も、巻いて欲しいのですけど……」 「蒼星石?」僕は鸚鵡返しに聞き返した。 「あの、あの鞄に、翠星石と同じように眠ってるはずですぅ」 自分が入っていた鞄の、隣にある鞄を指差し言った。 「あれか」 僕と彼女の間には、不思議な空気が流れていた。 言うならば、眠気を引き伸ばしミルクを混ぜ、七輪で焼いた煙のような、そんな空気だ。 「お、おわっ」 僕が立ち上がると、人形は驚き、身をそらした。 「? どうした?」 「いや、その、大きいですね」 彼女があんまり真剣な顔で言う物だから、思わず噴出した。 「な、なに笑ってるですか!」 「初めてだよ、人形に大きいって言われたの」 「なっ! もう、いいからとっとと蒼星石の螺子を巻きやがれです!」 表情の良く変る顔を、上から見下ろす。 「あっ……その、巻けぇーですぅ」 声を荒げたのが恥ずかしくなったのか、柔らかく言いなおした。 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 13 40.76 ID HsD1iU2i0 僕はもう一つの鞄を開けた。 中には琥珀色の、髪の短い人形が丸まって眠っていた。 青に染めた男装を纏い、黒い帽子を被っている。 同じように、螺子巻きで螺子を巻く。 キリキリ、キ、ギギッ歯車が悲鳴を上げる。怨むなら会社を怨んでくれ。 「お前は、ちったぁ勉強しやがれです!」 背中を蹴飛ばされれた。青い人形が床に転がるが、 「いててっ……」 腰を摩りながら起き上がった。 「蒼星石!」 痛みの原因が、青い人形の背中に逃げ込むように回り込む。 「あ、ちょっと、翠星石」 急に飛びつかれバランスを崩すが、なんとか体を支えている。 僕と目が合うと、コホンッと青い人形が喉の調子を整えた。 「はじめまして。僕はローゼンメイデン第四ドール蒼星石。後ろに隠れているのは 僕の双子の姉の翠星石。ほら、翠星石からもちゃんと自己紹介しなよ」 そう言われ、おずおずと蒼星石の背中から体を出し、 「ローゼンメイデン第三ドール翠星石です……よろしくです」 そう言うと、すぐに蒼星石の背中に引っ込む。お前はミーアキャットか。 「ごめんね、翠星石は人見知りなんだ」 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 16 49.77 ID HsD1iU2i0 苦笑いを作り、説明する。しっかりした妹だ。 それに、双子と言われたら、どことなく二人(二体?)共似ている 二人とも、赤と緑のオッドアイで、色の位置が二人とも違っていた。 「それと、マスターの名前を教えてくれないかな?」 「マサユキと言うんだ」 「まさ…ゆき……」蒼星石は口の中で僕の名前を呟いた。 「うん、覚えたよマスター。これからよろしくね」 「ん? ああ、よろしく。えーと、翠星石も、よろしくな」 「……空(から)人間」 翠星石が蒼星石の肩から顔半分を出し言った。 蒼星石は笑って翠星石の発言を流したので、僕も一緒に笑う事にした。 ははははは。 空笑いも飽きた所で、僕は本題を切り出す。 「ところで、家に何の用だい?」 僕の問いに蒼星石は空笑いをやめ、顔を引き締めた。 「ええ、今から説明します」 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 21 53.60 ID HsD1iU2i0 僕達は小さなちゃぶ台を挟んで座った。もちろん、翠星石は蒼星石の後ろだ。 「話しの前に、何か飲み物でも淹れようか」 僕は立ち上がりながら言う。 「あ、僕がやりますよ」と蒼星石が座布団から立ち上がるが、それを制して 「いいっていいって。それより、インスタントでいいかな?」 「はい、お願いします」と蒼星石が言う、後ろでは不満顔の翠星石が指を弄っていた。 コップにインスタンとコーヒーの粉を直接注ぐ。 コップにトントンと瓶の端を当て、絶妙なバランスで──── 「あっ」 蒼星石と僕の声が重なった。 粉の塊がコップにドサンと落ちた。良く見るとカビが生えてる。かもされた! 蒼星石に苦笑いを送ると、蒼星石も苦笑いで返してきてくれた。 「緑茶で、いいかな?」 「え、ええ、お願いします」 僕は戸棚から茶葉を取り出すと、適当に急須に葉をいれ、お湯を注いだ。 「どうぞ」とふぞろいなコップをちゃぶ台の上に並べる。 「ありがとうございます」 「ありがとです」と彼女達が不釣合いな大きさのコップを手に取った。 「……以外に上手ですね」 「うん、おいしいね」 好評のようだ。 彼女達はアリスゲームと言う物をしているらしい。 人形師ローゼンが作った七体の人形が、互いの命の元の『ローザミスティカ』を奪い合う。 その全てを揃えた時『アリス』となり、父親、ローゼンに会う事が出来るゲーム。 そして、僕の所に来た理由は『契約』の為らしい。 契約をする事によって、力を──簡単に言えば、彼女達のエネルギータンクになるって事だ。 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 25 55.13 ID HsD1iU2i0 「なるほど。で、契約ってどうするんだい?」 「この指輪を左手の薬指にはめて下さい」 蒼星石は何処からともなく、七の爪に支えられた薔薇の彫金が美しい銀の指輪を取り出した。 「ああ」と指輪を受け取ろうとすると、翠星石が僕の手に指輪を押し付けた。 「お、お前はっ、翠星石の螺子を先に巻いたんですから、翠星石から……契約するです」 龍の尾の様に言葉を絞り言う。 蒼星石を見ると、顎を軽く引いた。 「それじゃあ」 指輪を指に通そうとすると、翠星石が声を上げた。 「なんだい?」 「いや、その……契約なんですから、もっとおごそかにして欲しいですよ……」 それもそうだ。 「僕は、翠星石と契約する」 指輪を指に通す。 「ッ!?」 指輪のリングが溶け、薔薇の茨になり指に絡まる。 薔薇の棘が指に深く刺さり、指を締め付ける。熱い。 「落ち着いて! すぐに良くなります!」 蒼星石の声が遠くに聞こえる。 茨が次第に元のリングの形に戻り、熱が引いて行った。 「なん、なんだこれ? 急に熱く──」 「すみません、説明しておけばよかったですね」と蒼星石が謝る。 「ったく、翠星石のマスターなんだから、そのぐらい我慢しやがれですよ」 いつのまにか僕の横に立っていた翠星石がそう言った。 急にフレンドリーになったな。 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 29 42.81 ID HsD1iU2i0 「その、僕との契約も、いいですか……?」 蒼星石がおずおずと指輪を差し出してきた。 僕はさっきの痛みを思い出し、断りたかったが、蒼星石の申し訳なさそうな顔を見ていると そんな事を言う訳にも行かず、同じように契約の言葉を口にし、左薬指に指輪を通した。 指輪同士が触れ合うと、互いの指輪が溶け茨になり、絡み合いて一つの指輪となった。 薔薇の花が大きくなっている。 「よろしくね、マスター」と蒼星石が微笑みながら言う。 「よろしく、蒼星石」 「じゃあ、そう言う事だから晩飯の用意でもしろですよ」 「晩飯ィ?」 「マスター、僕も手伝うよ」 時計を見ると六時半だった。確かに、早い所はそろそろ夕食の用意をする時間だ。 「って、君ら人形だろ? 物食べれるのか?」 「当然です。……もしかして、翠星石達に何も食べさせない気だったですか?」 翠星石が露骨に不満を表した目で僕を睨む。 「ああ、いや、そんなつもりじゃ……」 「じゃあ、とっとと作れですよ」 「僕も手伝うから、頑張ろうよマスター」 何か釈然としないまま、夕食作りに取り掛かる事になった。 その日の晩は白米と鮭のムニエルにした。 「もう少し薄味でもいいですよ」 「よし、じゃあ次は一緒に作ろう」 「あっ、蒼星石。そのピクルスとって欲しいです」 「こいつ……」 狭いちゃぶ台を囲んで食べるご飯は、とても美味しかった。 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 33 26.02 ID HsD1iU2i0 空が高く、澄み。秋風が僕の頬を撫でた。 「いい天気だね、マスター」 蒼星石が僕の隣に立っていた。 「ああ」と頷く。 刷毛で描いたような薄い雲が窓の端から端まで、のんびりと流れた。 「なんです、外に何かあるですか」 翠星石が長らく窓辺に立ち、空を見上げている僕達に興味を持ち近づいてきた。 「……何だ、何もないじゃないですか」 オッドアイの瞳が空を写す。 「よし」 「おっ、何があるんです?」 「ああ、グリースメリアの空に、な」 「はぁ? グリース、なんですってぇ?」 蒼星石も、僕の隣で不思議そうに首をかしげた。 レッドアラートが鳴り響く。 バレルロールを繰り返し敵ミサイルを前面に押し出す。 エアブレーキ。カナード翼が真価を発揮する。 敵機のケツが見えた。電子音。ロックオンの時間が惜しい。 機銃を叩き込む、敵機は爆散、爆煙を鋼鉄の翼で引き裂く。 目の前に極限の青が飛び込んできた。 「ふう」 戦いが終わり、ジワリと手の平が汗ばむ。強敵だった。 32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 34 27.93 ID HsD1iU2i0 「で、さっきから何をピコピコとしてるですか」 横に座って画面を見ていた翠星石が不思議そうに尋ねてきた。 「ああ、これはねACECOMBAT6~解放への戦火~ってゲームなんだ」 「はぁ」と興味がなさそうに相槌を打つ翠星石。 「今してたのはオンライン対戦って言ってね、世界の人たちと戦えるんだよ」 「ふーん? 翠星石にはよく分らんですよ」 TV画面に お疲れ、またやろう とメッセージが入っていた 僕はキーボードを叩き ああ、またやろう。幸運を と打ち込む。 「それは、何してるですか?」 「これで向うの人と文字で会話できるんだよ、マイクも使えるんだけどね」 「君たち二人が居るから、マイクは使いづらいんだ」と、までは言えなかった。 「もっと、こう、外で元気に走り回るとか、そんな遊びはせんのですか?」 「そうは言うがな大佐」 「大佐じゃないです! 翠星石です! ったく、レディの名前を間違えるなんて……」 威嚇するように言う。まさにガルーダ……。 「あの、マスター」 蒼星石が僕の服を引っ張った。 「僕も、やっていいかな……」 33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 36 13.51 ID HsD1iU2i0 ああ、歓迎する 「あれ? マスターの声色が……?」 操作説明を行う、これに目を通してくれ 説明書を渡し、フリーミッションで操作に慣れさせる。 「わっ、こ、こうですか!?」 蒼星石が敵機を撃墜した。 そうだ、その調子だ蒼星石 「や、わっ、やった!」 最後の敵を撃墜し、ミッション終了の文字が画面に浮かび上がる。 それと、蒼星石喋り方は…… あ、ええ。ミッション終了R.T.B.です。マスター 「はぁ。ついていけんです……」 そんな二人を眺め、翠星石が溜息と一緒に搾り出した。 よし、次はオンラインだ はい! マスター 「……」 37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 40 04.27 ID HsD1iU2i0 翠星石は頬杖をつき、テレビゲームに夢中になる蒼星石を見つめていた。 「あ、ほら! そこ、右、右に行ったですよ!」 「分ってるよ翠星石、これで終わりだ」 「お茶が入ったよ」 小さなちゃぶ台を囲み、お茶を啜る。 「翠星石、そんなに欲張っちゃだめだよ」 「いいんです、ポッキーも翠星石に食べて貰いたいですよね?」 ポッキーに喋りかけ「ポッキー、翠星石に、食べてもらいたい」と声色を変え腹話術を披露する。 「何してるんだよ……」困ったように蒼星石が言った。 急に彼女達の顔に影がさした。 鉛色の雲が空を覆い、雨粒が窓をぽつぽつと遠慮がちに叩き始めた。 「乙女心と秋の空、か」 僕は窓を閉めながら、そう呟いた。 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 45 35.29 ID HsD1iU2i0 その日も雨が降り、夜になってからようやく雨雲が東の空に消えた。 鉛色の雲の切れ間から星が覗いている。 僕は、黒い大蛇のようなアスファルトの上を、家に向かい歩いていた。 ひび割れが目立つコンクリの階段を上り、安っぽいドアノブに手をかけた。 「ただいま……なんだ?」 居間から、蒼星石の威嚇を含んだ声が聞こえる。 まさか、アリスゲーム? 僕は台所に買い物袋を置くと、勢い良く居間のドアを開く。 黒い人形が、宙に浮いていた。 その人形を前にし、蒼星石は身の丈程もありそうな巨大な金の剣を構え、 翠星石はその左後ろで金の如雨露を握り締めていた。 「あら、貴方達のマスターが帰ってきたわね」黒い人形は宙に浮いたまま言う。 「下がってマスター!」 蒼星石が僕の前に立ち、黒い人形の射線上から隠す。 黒い人形は、腰まで届く銀の髪に、両肩から突き出た羽が印象的だった。 彼女の装いは白の逆十字が刺繍されている黒のドレス、ブーツ、カチューシャにてその身を固め、 ドレスの下から見える白い生地が柔らかな印象を与える。 あの、ファーみたいな羽で飛んでいるのか?まるでクマバチだな。 僕の頬を黒い影が掠め、壁に突き刺さる心地よい音が聞こえた。 頬から滴が零れ落ちる。傷口を触った手が赤い。 「あら残念。もう少しで片目のジャンクが出来上がったのに」 47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 50 28.16 ID HsD1iU2i0 黒い人形はカラスの羽根を芯まで黒くしたような物を一枚、指先で弄んでいた。 羽根をダーツのように投げたのか? 後ろを振り返り確かめたかったが、あの人形から目を離す事が出来なかった。 戦いの最中に敵から目を離すのは危険だ。それに何か、僕を惹きつける何かが、彼女から出ていた。 黒い人形は僕が怯えないのを見ると、詰らなさそうに舌打ちを一つ、双子に視線を戻した。 蒼星石に黒い羽を投げるが、蒼星石は金の剣の最小動作で羽根を撃ち落す。 「無駄だよ」 蒼星石が剣先を黒い人形から放さず言う。 「あら、そう……なら、これでどう?」 黒い羽を広げ無数の羽根の先がこちらを向いた。 「蒼星石!」 翠星石の如雨露から、部屋を二分化する巨大な樹気が表れる。 指輪が熱くなる。 銀のリングが何時かのように茨になり、無数の棘が指を締め上げ脈動し、赤く光っていた。 「なっ、なんだこれ……」 指輪の熱さよりも、目の前の超常現象に気を取られる。 樹木が現れたかと思うと、急に枯れ始め、蒼星石が踏み込む。 羽根を広げた黒い人形が、枯れた樹木の間から現れ、金の軌跡が襲う。 黒い人形は羽を盾とし身を守る。 さすが双子と言った所か、完璧なコンビネーションだ。固体としては劣っているのだろうが、 それを問題にしないコンビネーションで黒い人形を追い詰める。 50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 01 56 25.55 ID HsD1iU2i0 「メイメイ!」 黒い人形が叫ぶと、視界が赤に塗りつぶされた。まるで閃光弾だ。 視界が戻り始めると、黒い人形は姿見鏡の前に居た。 赤い光りが鏡の前で忙しなく飛び回っている。……あいつ、どこかで? 「そんなに本気になっちゃやーよ? また今度、遊びましょうねぇ」 僕の背筋を声がぞくりと撫でる、黒い人形が姿見鏡に手を触れると、鏡が光り始めた。 「水銀燈!」と蒼星石が吠える。 水銀燈と呼ばれた人形の手は鏡に溶け込み、そこから幾重もの波紋が広がっていた。 「待ってくれ」 その場の視線が僕に向く。 「水銀燈と言うのか?」 「……誰、あんた」 猫のように目尻を吊り上げ、僕を睨みむ。 「マサユキだ」 値踏みするように僕を見据え、黒い人形は黙って聞く。 「その、君の事をもっと知りたいんだ」 「……はぁ?」 「出来れば、人間、人形、敵、味方の壁を越えて、君と話してみたい」 「なっ、」 「はぁ!?」 双子から驚愕の声が漏れる。 55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 01 03.05 ID HsD1iU2i0 「……なに、こいつ」 蒼星石に視線を向け、黒い人形が言う。 「僕達の……マスターだ」 答える声が濁る。 「へぇ、これまた変なのと契約したのね」 黒い人形は僕を面白そうに見て、 「じゃあ、またね、変な人間」と言い、鏡の身を溶け込ませる。 「マサユキでいい」 不機嫌そうに振り返り、僕を睨みつけると、長いマツゲに隠された切れ長の眼を最後に、姿を溶かす。 僕は彼女が溶け込んだ鏡が光る事を忘れた後も、鏡を見続けていた。 「こぉらぁあ!」 膝裏を蹴られ、床に膝を付く。 「なぁに水銀燈に鼻の下伸ばしてるですか! この、空っぽ駄目人間ッ!」 翠星石が烈火のごとく捲し立てる。 蒼星石の方を見ると、彼女も不満の色を露に僕を見ていた。 「ごめん、なんか気になったんだ」 「ったく」と翠星石が悪態をつく。 「ところで、あの子は誰なんだ? 水銀燈って言う名前なの?」 「……ええ、そうです」と蒼星石が説明を始めた。 56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 05 39.54 ID HsD1iU2i0 彼女はローゼンメイデン第一ドール水銀燈、一番危険なドールらしい。 水銀燈の簡単な説明を受けた後、僕は彼女がいかに危険なドールかを教えられ、 いつのまにか、普段の生活態度から、お茶の時間に出すお菓子の批判にまで話が発展した。 彼女は水銀燈と言うのか。僕は、彼女が消えた鏡をもう一度見る。 鏡には二体の人形に怒られる、人間が映っていた。 「聞いてるですか!?」 「あ、ああ。聞いてるよ」 「だいたいですねぇ、マサユキはいつも───」 結局、彼女達が眠るまで、説教は続いた。 「どうすんだよ、これ……」 樹木と羽根でズタズタになった居間の中で、一人呟いた。 60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 09 59.83 ID HsD1iU2i0 いつかのように、水銀燈が居間を飛び回り双子と戦っていた。 ズタズタになった居間は、ローゼンメイデン不思議パワー『時を巻き戻す』で解決するらしく 皆、フィールドの事を気にせず戦っている。 水銀燈が角に追い詰められた。蒼星石は何処からか取り出した金の剣を構え、慎重に距離を詰める。 「なァ、姉妹で殺しあうって、おかしいんじゃないか?」 僕は水銀燈と蒼星石の間に割って入る。 「どいて下さい、マスター」と蒼星石が言う。剣先にブレはない。 「だって、死ぬんだぞ? ローザミスティカを取られた相手は」 蒼星石は剣先をこちらに向けたまま 「僕達は人形です、死にはしません、遠くに旅立つだけです」 「それを死ぬって言うんじゃないか!」 「それが僕達、ローゼンメイデンなんです。分ってください」 蒼星石が説き伏せるように言う。 「それじゃ、蒼星石。君はアリスゲームの為に、自分の姉に手をかける事が出来るのか!?」 蒼星石の後ろで如雨露を握り締めている翠星石と視線を合わせると、翠星石は僕から視線を外した。 「……お父様が望む事ならば」 苦虫を噛み潰したような顔で、蒼星石が声を絞り出した。 61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 15 34.38 ID HsD1iU2i0 今の僕は卑怯者だ、質問がフェアじゃない。 途中からアリスゲームを覗き始めた僕なんかより、最初から参加している彼女達の方が分ってる事だ。 場の空気が重い。 僕が謝ると、肩を後ろから叩かた。振り返ると、水銀燈が僕の頬にキスをした。 「なっ」言葉を発しようとしていた僕の唇を、水銀燈が人差し指で押さる。 「またねぇ」と水銀燈は鏡に飛び込んだ。 突然の出来事に、双子は狐に摘まれたような顔をしていた。 我に帰ったのか、翠星石が騒ぎ始める。 「なっ、なっ、なぁああああ!?」 「なにやってるですか」と言いたいのだろうが、感情の波にもまれ、言葉の舵取りが上手く出来ないらしい。 その場でプルプルと震えている。 冷静そうに見える蒼星石は、剣を構えたまま動かない。 二人が正気に戻った後の事が、頭を悩ませる。 時計を見上げる、彼女達が眠りに付く時間まで、たっぷり四時間以上あるじゃないか……。 64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 20 02.19 ID HsD1iU2i0 夢を見ていた。 夢と分るから明晰夢なのだろうが、面白い夢にもならないし、そんな夢じゃない。 僕は、長く、白い廊下に立っていた。 前を見ても後ろを見ても白い廊下。 廊下の窓からは教会が見える、懐かしい景色だ。 後ろから声をかけられ振り返る、水銀燈が立っていた。 白い廊下に、黒いドレスの彼女だけが、酷く浮いて見えた。 「こんばんはぁ、マサユキ」 「こんばんは、水銀燈」 挨拶を交わす。 「ここは、夢?」 水銀燈は「ええ」と答え「私の夢はお気に召さない?」と言った。 「そんな事ないよ」と僕が言うと、 「ありがとう」と微笑み言う。 戦いの時には見れない彼女の微笑みを目の当たりにし、頬が熱くなるのが分る。 「実は、お願いがあるの」と水銀燈は近づき、僕の手を握る。 「お願い?」 「そう、お願い」 「僕にできる事なら」 水銀燈が僕の瞳を見つめる。 67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 24 11.09 ID HsD1iU2i0 「双子のローザミスティカを渡しに頂戴」 「はあ!?」 何を言っているんだ!? 「簡単な事よ、彼女達が寝静まった後に、ジャンクにしてあげればいいの」 水銀燈の赤い眼から自分の瞳を逸らし、彼女が何を言ったのかを理解する。 握られた手は離さない。 「ねえ、お願い」 詰め寄る水銀燈。 彼女の息を鼻先で感じる、手が汗で湿るが水銀燈は離さない。 「お願い」 「だけど……」 「お願いを聞いてくれたら、あなたと、契約してあげる」 心が揺れる。 「だけど、彼女達は僕を信頼して、契約してくれた訳だし……」 「信頼?」と水銀燈が問い返す。 「気づいたら、いつのまにか居たのでしょう?」 出合った頃を思い出す。確かに、不思議な電話の後、いつのまにか彼女達の鞄があった。 「それに、いつかはアリスゲームで、あの双子は互いに刃を向け合わないといけないのよ?」 「……お父様が望む事ならば」蒼星石の言葉が蘇る。 「それはとても辛い事じゃない?」 「う、うん」 「だから、貴方がローゼンメイデンの宿命から、解き放ってあげなさいよ。そして、彼女達は アリスゲームがない所で平和に暮らすの、ずっと、ずうっと」 水銀燈の薔薇の蕾のような唇が目の前で妖し言葉を紡ぐ。 僕はこの言葉で、首を縦にふってしまう。 70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 28 24.84 ID HsD1iU2i0 ふふ、と笑い「素直な子は好きよぉ」と水銀燈が言った。 「だけど」 僕の言の葉が、乗せる気持ちを失い舞い落ちる。 白い壁に、二つの影が重なった。 「じゃあ、いつ取りに行けばいいかしら?」 「明日……いや、明後日来てくれ」 「分ったわぁ」 言葉のボールが、相手のミットから外れ、廊下を転がる。 消毒液の臭いがする廊下、 鉛の雲を突くかのように聳え立つ十字架、遠くで鐘が鳴っている。 今にもロザリオの音と、神を敬う念仏が聞こえてきそうだ。 「気に入った? この景色」 水銀燈が口を開く。ボールを拾ったようだ。 「私の夢が、あなたの夢に混ざりこんでいるのよ」 「……君の夢? これが?」 そう言った僕の顔を水銀燈が不思議そうに見つめ、何かを一人納得した。 「私達」と水銀燈が言い、僕は耳を傾けた。 「案外、契約したら上手くやれるかもね」 「え? ああ、そうかもね」 とりあえず同意した感が漂う僕を見て、水銀燈が微笑んだ。 床を見る。耳まで真っ赤なんだろうな、今の僕は。 「じゃあまたね、明後日会いましょう」 「もう少し、一緒に……いない」 視線を水銀燈に戻すが、既に彼女は居なかった。 白い廊下に黒い羽根が一枚、舞い落ちた。 72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 34 22.68 ID HsD1iU2i0 体に冷気がまとわりつく。 ブラインドの隙間から、街灯の明りが差し込んでいた。 時計の、蛍光塗料が塗られた『五』が、夜に削られている。 夢から覚めると、僕は芯まで黒い羽根を一枚、握り締めていた。 あれは、ただの夢だったんじゃないのか? 自答するが、指先で摘んでいる羽根がそれを否定する。 すっかり冷めたコーヒーを口に運ぶ。泥とカフェインを煮込んだような味がした。 水銀燈との約束を破る事も考えたが、何もしないという事は、 いずれあの双子は互いに刃を向け合うという事。 それだけは、だめだ。それならいっそ、僕が全部背負い込んでやればいい。 僕は、水銀燈との約束を果たす事を心に決めた。 この時の僕は、自分の正義しか、見えていなかったのだろう。 だけど、本当にその為だけに双子を……? 74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 38 15.76 ID HsD1iU2i0 双子がぷよぷよをしていた。 戦況は蒼星石が飛車、翠星石が角といった具合だ。 翠星石のコンボが決まる。 「姉に勝とうだなんて、100年早いですよ」と翠星石がコントローラーを握りながら言う。 「うーん、なんで勝てないのかなぁ」 ぷよを確実に消していく、自分の戦法を見直さない限り、勝てないんじゃないだろうか。 「なあ」と僕は切り出した。二人が僕の方を見る。 「マサユキも一緒にやりたいですか?」 蒼星石と同じ戦い方しか出来ない僕には、厳しい申し出だな。 「いやァね、こう、たまにはTVゲーム以外で遊ばないかい?」 「でも、マスター。今日はオンライ対戦の約束があるんじゃないですか?」 ACECOMBAT6~解放への戦火~のソフトケースを僕に見せながら言う。 「……戦いより、大切な事を見つけたんだ」 秋の澄んだ空に引かれた飛行機雲を見つめながら言う。戦う理由は見つかったかい? 相棒。 「んーまあ、そこまで言うなら、何か違う事するですよ」 「そうだね、僕達もたまには現実を見ないとね」 蒼星石がゲーム機とテレビの電源を落としながら言う。 「よし、じゃあ今日はお菓子を作ろう」 「へー? マサユキお菓子作れるですか?」 翠星石が関心したように言う。 「いいや、作れない。だから今日は翠星石に教えてもらいながら、皆で作ろうと思う」 「あれ、翠星石がお菓子作れるって、言ったですっけ」 「前、僕がマスターに教えたんだ」と蒼星石が言う。 「そうですか。まあいいです、じゃあスコーンでも焼くですよ」 75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2007/11/03(土) 02 40 57.70 ID HsD1iU2i0 翠星石が座布団から立ち上がり、緑のドレスの皺を正す。 こちらマサユキ、了解した 「えっ、あ、そうか」と蒼星石が何かを理解し、 こちら蒼星石、了解 と言い直した。 「いや、それはもういいですから……」 疲れたように翠星石が言った。 電子レンジと言う、現代の科学が生み出したオーブンから、180度の世界を20分近く体験した鉄板を取り出す。 「そちの勤め、大儀であった」 「何言ってるですか……熱いから注意するですよ」 翠星石がエプロンを畳ながら言う。 「マスター紅茶はないの?」と蒼星石が戸棚を開けながら言う。 「ああ、前買ってたな」 僕は上の戸棚を開き、茶葉の缶を取り出し蒼星石に手渡す。 「わあ、これいい葉っぱだよ。高かったんじゃない?」 花が咲いたように喜ぶ蒼星石。 76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 42 17.15 ID HsD1iU2i0 「本当ですね。ったく、お前の金銭感覚はどーなってるですか」と翠星石が呆れて言う。 「まあ、美味いならそれでいいじゃないか」 「今度から、何かを買う時は翠星石達に一声掛けて買うですよ」 「ん……ああ、そうだね」 「なんです? 文句でもあるですか?」 ずい、と翠星石が詰より僕の顔を下から見上げる。 「いや、何でもないよ。お茶の用意も出来たみたいだし、スコーンを運ぼう」 何か引っかかるのか、首をかしげ「ま、いいですけど」と翠星石が言った。 「どうです? 美味しいですか?」 「ああ、美味しいよ」と僕が返すと 「それは良かったですぅ」 翠星石が顔を綻ばせた。 79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2007/11/03(土) 02 48 20.92 ID HsD1iU2i0 朝から針で突けば泥がこぼれて来る様な、厚ぼったい雲が空を覆っていた。 僕達は昨日のスコーンの残りを電子レンジで温め、窓辺に並んで座り紅茶を飲んでいた。 ラジオのパーソナリティーの声が狭い部屋に響いている。 <いやあ、いい歌ですね。大好きなんですよ、これ。電子音で千切ったり捻ったり絞ったり、 そんな感じがたまらないですよ、コナミさんで歌も歌ってたとか──え、はい、じゃあお便りを……> カップから立ち上る湯気が鼻先を湿らせる。 <えー何々、『うちのニョウボが家事を自分に押し付けてきます、仕事で疲れてると言っても 分ってくれません。どうしたらいいでしょうか』あーうん、難しい質問だね、非常に難しい> 「あっ、マスターも砂糖いりますか?」 蒼星石が砂糖の瓶の蓋をこちらに向け言う。 「いや、大丈夫だよ」と言うと「分りました」と蒼星石が頷いた。 <昔の言葉にさァ『結婚は人生墓場だ』ってあるじゃん? あれって、あれで全部じゃないんだよ 『結婚は人生墓場だ、しかし私はその墓場に入りたい』こう続くわけ。 モーパッサンだったかな? そんな人の言葉なんだけどさァ> 翠星石が自分のカップにお茶を注ぎ、砂糖とミルクを多めに突っ込んだ。人形だからって油断してるな。 <確かに、結婚は人生の墓場かもしれないよ。でもさ、それだけの価値があるんじゃねェかなァ。 ま、俺独身だしわけんねえや> 80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2007/11/03(土) 02 48 59.42 ID HsD1iU2i0 厚ぼったい雲の切れ目から、光りが差す。 その時、チカチカと緑色の光りを点滅させ、緑の球が翠星石の側に飛んできた。 翠星石の人工精霊スイドリーム。人工精霊は持ち主の体のメンテナンス、お使いなどを頼まれてくれる便利屋だ。 僕には彼らの言葉はさっぱりだが、彼女達には分るらしい。 「はあ、まあ、伝えますけど……あー、マサユキは白粉持ってるですか?」 翠星石の後ろでスイドリームが、チカチカと足取り覚束なく飛んでいた。 「白粉……そういえば、前買った福袋に入ってたような」 僕の言葉を聞いてか、スイドリームが足を止め、点滅間隔を早くした。 「よければ、スイドリームにふり掛けてやってくれんですか?」 「ああ、いいよ」 僕はクローゼットの奥から白粉を取り出し、スイドリームにふりかける。 「レンピカにもお願い出来るかな」と蒼星石が言った。 白粉かけられて喜ぶなんて、まるでケセランパセランだな。 82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 02 55 40.67 ID HsD1iU2i0 北斗七星が北の空で輝き始めた頃、彼女達は眠りにつこうとしていた。 「じゃ、お前も早く寝るですよ」 翠星石が鞄に入りながら言う。 「おやすみなさい、マスター」と蒼星石が翠星石が鞄に入るのを待ち言った。 彼女達ローゼンメイデンは、夜の九時になると自分の鞄に入り眠りに就く。 人と異なる時間を生きる彼女達は、記憶をその身に留める為に鞄で眠らなくてはならないのだ。 静になった部屋に並べて置かれてある鞄を見る。 まるで、初めて出合ったあの日みたいだ。蛍光灯の光りに薔薇の彫金が鈍く光った。 草木も寝静まる。時刻は午前二時。カップの底に残った、冷えて水っぽいコーヒーを一気に流し込む。 不思議と興奮も緊張もない、脳が麻痺してしたのかもしれない。 あの日よりも、スムーズに鞄を開ける。鍵は掛かっていなかった。 琥珀色の長い髪を携えた女の子が、鞄の中で丸くなって眠っていた。開く順番まで、あの日と同じだ。 楽しい夢でも見ているのか、口端の線が柔らかい。 唾を飲み込んだ。翠星石の胴体を押さえ、顔を掴み、一気にへし折った。悲鳴はなかった。 手に持った翠星石の顔から、熱が砂のように零れ落ち、ただの陶器の顔に戻る。 体から、虹色の光りを放つ石が浮かび上がってきた。 「これが、ローザミスティカ……」 虹色の光りに目を奪われる。 「マスター……なに、してるの?」 振り返ると、蒼星石が後ろに立っていた。 85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 03 00 32.28 ID HsD1iU2i0 「やあ、おはよう。蒼星石は早起きだね」 僕はゆっくりと立ち上がり、蒼星石との距離を詰めようとするが一向に縮まらない。 「お茶にしようよ、それともゲームでもする?」 「なんで、翠星石は……あなたの事を……」 「それとも、何か別の遊びを?」 蒼星石の背が壁に当った。凛々しい横顔が姿見鏡に映っている。 「もしかして、水銀燈ですか!? 水銀燈に何か言われたんじゃないですか!?」 僕は何も答えず低く構え、飛び掛った。 蒼星石が苦虫を噛み潰したような顔になり「レンピカ」と叫ぶ、世界が真っ白になった。 視力が戻り始めた頃、僕を照らしていたのは虹色の光りだった。 鞄は二つあるが、蒼星石の姿は既にない。飛び掛られた時、咄嗟に鏡に飛び込んだのだろう。 その場で仰向けになり、天井に左手をかざす。薬指の薔薇が、小さくなっていた。 空が白み始めた頃、鏡を通して水銀燈が訪れた。 仰向けに寝転がった僕を見て、小さく眉を顰めた後、翠星石のローザミスティカその身に取り込んだ。 水銀燈がブラインドの羽根の向きを変え、朝日が僕を照らす。 「朝よ、起きなさい」と逆光に照らし出された水銀燈が言う。 僕は、朝日に照らし出される中、水銀燈と契約した。 87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/11/03(土) 03 05 28.52 ID HsD1iU2i0 夕焼け空が、窓辺に立つ水銀燈を照らしていた。 「昼も食べてないし、食べた方がいいんじゃないか?」 僕は狐色のトーストにバター、苺ジャムを水銀燈に勧める。 水銀燈は夕焼け空から狐色のトーストに視線を動かし「いらないわ」と言った。 「でも、お腹減らないか?」 「あのねぇ、私は人形なのよ? 人間と同じように物を食べる必要はないわぁ」 疲れを吐き出すように言う。 「でも……」 「私は気にしないから、あなたが食べなさい。お腹減っているんでしょう?」 「そりゃまあ、そうだけど」 僕が言い終わるのを待ち、水銀燈は夕焼け空に視線を戻した。 夜の帳が、焼けた空を東の空から覆い隠していく。 「その、これだけでも飲まないか?」 僕はヤクルトを水銀燈に差し出した。 「あら……」 水銀燈が僕の手からヤクルトを受け取り、指先が触れ合う。 「そうね、ありがとう」 「ストローいる?」 「ええ」 パックに付いてきたストローを一本手渡す。 僕は水銀燈の横に腰を下ろし、トーストにジャムを雑に塗りつける。 「いただきます」と言った僕をチラリと見やり、水銀燈がストローに口をつけた。 次へ
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?「よく集まってくれた、三人とも……」 レッド・ブルー・イエロー「はっ!」 ?「君たち三人は、数多くの【蒼星石とお話したいんだぜカンパニー】社員の中でも群を抜いて蒼星石への愛情が厚い。だからこそ君たちに特殊スーツを与え、3S(蒼星石の 死亡フラグを避けたいんだぜ)作戦を任せた」 ブルー「光栄です、社長」 レッド「(蒼星石と俺が結婚したらどうなるんだろう。蒼星石はもうお父さんとお母さんの娘みたいなものだし、息子×娘の禁断の兄妹愛になってしまうような……はっ! 今度からちゃんと翠星石を義姉さんと呼ばなくては!)」 イエロー「(ちょっとレッド! 真面目に話を聞いたほうがいいよ!)」 社長「うむ。そして君たちは既に二つの死亡フラグを消し去ってくれた。原作21話、トロイメント8話……。君たちの活躍はめざましい。給料弾むから楽しみにしとけよ」 レッド「ドラマCD購入が楽しみであります、社長!」 社長「うむ……しかしあと二つ。あと二つ死亡フラグを消し去らなくてはならない。そうすれば、蒼星石を生きながらえさせることが出来る。次の任務は……分かっているな?」 レッド「……早くも目から汗が出そうです」 ブルー「自分が泣いたのは、火垂るの墓を見たときとその時だけです」 イエロー「……うぅ、胃腸が……」 社長「正直、私もこの日が来るのが怖かった。今日なんか下痢気味だ。娘にまた『トイレが臭う』って文句を言われたよ。しかし、いつまでも避けるばかりでは活路は切り開かれない。今日というこの日を必ず成功に導かなければ、我々の蒼星石は戻ってこない。それと、妨害も考えられる。我々の存在は既に複数の組織に知れ渡っている。歴史を変えようとしている我らに、奴らが攻めてくるかもしれない」 レッド「必ずや成功させます。我々は今日のために生きてきたようなものです。蒼星石のためなら命を投げ捨てる覚悟もあります」 ブルー「相手は……この間のようにはいかないでしょう。自分もすべてを賭す覚悟です」 イエロー「彼女もまた、守るべきものを持っている……でも、僕らも負けるわけにはいかないんだ」 社長「……力強いな。さぁ、三人とも時間だ。パラレルワールド……アニメ世界での夜が来た。まもなくJUMが眠り、金糸雀以外の六体のドールが一つのNのフィールドに集合する。……9話に向かうのだ。今回の失敗はすべての終わりを意味する。すべては、蒼星石のために」 レッド・ブルー・イエロー「すべては、蒼星石のために!」 ――トロイメント9話に、このスレの住人が乗り込んできたら―― 蒼「邪魔をするなら、僕は君を断ち切る!」 翠「きゃあぁ!」 ???「待てェーーーーーーーーーーーイ!!!」 蒼・水「!?」 翠「この声……!(あいつら、やっぱり来てくれたですか! 今回ばかりは期待していたですぅ!)」 レッド「(俺は、この日のために生きてきた。パラレルワールドに取り込まれて、両親を見失った俺に愛を教えてくれたのは蒼星石だった。お父さんやお母さんを悲しませたくない。すべての蒼星石ジャンキーを悲しませたくはない。そして、俺自身が蒼星石を失いたくないと思っている。今の俺はカズキではない。蒼い星の守護者。マスター、レッドだ!)」 ブルー「(俺は無感動で、生まれてこのかた泣いたことがなかった。そんな俺が初めて泣いたのは、愛すべき蒼星石が水銀燈にやられた、この瞬間だった。憎かった。見ているだけで、何も出来なかった自分が。俺はすべてをひっくり返すため、レンジャーに入った。蒼星石、必ず君を助けてみせる!)」 イエロー「(僕は臆病だった。なにをするにも他人の目を気にして、自分の行動にこれといった信条を何一つ持っていなかった。そんな僕と比べて、蒼星石はとてもまぶしく思えた。守るべき人がいて、自分の考えを最期まで貫き通した。蒼星石は、僕の憧れだった。そんな彼女のピンチを救えなくて、なにが男か!)」 レッド「我ら、すべてを蒼星石に捧げし三人組!」 ブルー「生まれは違えど、志は一つ!」 イエロー「すべては、蒼星石のために!」 レッド「マスターレッド!」 ブルー「マスターブルー!」 イエロー「マスターイエロー!」 レッド・ブルー・イエロー「三人揃って!」 レッド・ブルー・イエロー「蒼星石とお話したいんジャー!」 蒼「カズキくん……」 翠「……(悔しいけど、カッコいいですよ……三人とも)」 水「また現れたか……ずいぶん早死にしたいようねぇ……。この間のようにはいかないわよ?」 レッド「敗れるのは貴様だ。手羽先ドール、水銀燈め。我らの蒼星石を死なせはしない。お前を倒して、蒼星石の死亡フラグを回避してみせる! 行くぞ、2人とも!」 ブルー・イエロー「「おお!!」」 水「かかってきなさい!」 ズババババババババ…… ブルー「くっ……、奴の羽根は厄介だ! レッド!」 レッド「分かった!」 レッド「ラピスラズリスペクタクルモード、展開!」 イエロー「ウルトラマリンランチャー、召喚!」 蒼「あれは……」 翠「ロケットランチャー……ですか?」 水「いったいなにを……」 ブルー「……愛情エネルギー充填、100%ォ!」 レッド「L・L・S、発射ぁ!!」 ズゴォォォォォォォォォ 水「速い……避けきれない! バッ(翼に包まる)」 ズドォォォォォォォォォォン! レッド「やったか!?」 イエロー「いいや、羽根だけだ!」 水「くぅ……やったわねぇ!」 ブルー「水銀鐙が剣を作り出したぞ! 白兵戦の用意だ!」 蒼「待って!」 レッド・ブルー・イエロー「!!」 蒼「この闘いは、アリスゲームなんだ。部外者の三人が、首を突っ込んでいい問題じゃない!」 レッド「しかし我々は……!」 蒼「もちろん、カズキくんの気持ちは嬉しいよ。僕は貴方たちがするように愛されたことがなかったから……。でも、盲目的な愛は物事の本質を濁らせるんだ。これはアリスゲーム。どうか、僕だけに戦わせて欲しい……」 ブルー「蒼星石……」 イエロー「……うぅ……(胃腸が……)」 翠「蒼星石、そんなことを言うもんじゃないですぅ! こいつらは、蒼星石を生かすためだけに頑張っているんですよ!?」 レッド「……」 蒼「分かっているよ……。でも、これじゃあ僕が弱いせいで生き残れないみたいじゃないか。大丈夫、僕は勝つよ。こんなところで負けるわけにはいかないんだ。……水銀燈、待たせたね。さぁ、正々堂々と戦おうじゃないか」 水「羽根をやられて正々堂々……? ハッ! あなたのお馬鹿加減には反吐が出そう。……いいわ。私は第一ドール、水銀燈。アリスに最も近い最強のドール! 剣と人工精霊だけでお相手するわぁ!」 翠「お、お前ら止めるですよぉ! 知ってるでしょう!? 水銀燈はとっても強いんですぅ!」 ブルー「……」 イエロー「……(止めなきゃ社長に怒られる……でも……)」 レッド「蒼星石」 蒼「……なに?」 レッド「カズキとして言う。……愛してる」 ブルー・イエロー「!!」 翠「お、お前はこんな時になんてことを……!」 蒼「……ありがとう。……僕、行くから」 レッド「ああ」 蒼「……お爺さんとお婆さん、お寿司取るって言ってたよ。今度帰ってあげてね」 レッド「一緒に食べよう」 蒼「…………うん」 蒼「……さぁ、仕切りなおしだ」 水「ふふふ……あなたに私を倒せるのかしら」 蒼「倒せるさ。負ける理由がない」 水「私もね……負けるわけにはいかないのよぉ。あなたのローザミスティカが欲しいの。いいえ、他のドールみんなのローザミスティカが欲しいわぁ……喰らいなさい!」 ヒュン! 蒼「なんの!」 ブン! 翠「なんで止めなかったですかぁ! 蒼星石が……蒼星石がやられたら恨んでやるですぅ! 謝ったって許してあげないですからね!」 イエロー「翠星石、落ち着いて……」 ブルー「レッド」 レッド「なんだ」 ブルー「規則だから一応言っておく。それ梅岡」 レッド「……分かってるよ」 水「やるじゃないの蒼星石。こんなに歯ごたえがあるのは初めてだわぁ」 ガン! 蒼「僕だってやる時はやるんだ。ハァッ!」 水「ふん!」 ズガガガガガガガガガ…… 翠「し、熾烈な戦いですぅ……蒼星石……!」 レッド「見守るんだ義姉さん。これは蒼星石の闘いだから」 イエロー「レッド、義姉さんって、抜け駆けは……!」 ブルー「押さえろ、イエロー」 イエロー「でも……!」 ブルー「蒼星石の顔見てみろ」 イエロー「……!(笑ってる……!)」 ブルー「悔しいが、蒼星石はレッドを……」 イエロー「……レッドを?」 ブルー「……信用してるのさ」 イエロー「そう願いたいよ」 蒼「レンピカ!」 水「メイメイ!」 ズドォォオオオオオオオオオオオオオ 翠「そ、蒼星石はどこですかぁ!?」 レッド「(蒼星石……)」 イエロー「上だ!」 ブルー「もう鋏を振りかぶっているぞ!」 蒼「水銀燈。これで終わりだ……!」 水「……っくぅ!(ここで負けたら……メグ……助けて!)」 ???「待てェーーーーーーーーーーーイ!!!」 蒼・翠・水「!?!?!?」 レッド・ブルー・イエロー「!?!?!?!?」 赤黒い変な人「ジャンクレッド!」 青黒い変な人「ジャンクブルー!」 黄黒い変な人「ジャンクイエロー!」 赤黒・青黒・黄黒「三人揃って!」 赤黒・青黒・黄黒「水銀燈とお話したいんジャー!」 水「へ? ……え、えええ?」 蒼「……( ゚д゚ ) ポカーン」 翠「ちょちょちょ! あいつらお前らの仲間ですか!?」 レッド「ち、違う! 我々は『蒼星石とお話したいんジャー』であって、水銀鐙はまったく関係ない!」 イエロー「まさかあれが……!」 ブルー「社長が言っていた『組織』か……!」 ジャンク赤「その通り! 我々は『非政府組織 水銀党』が作り上げた特殊戦闘集団、『水銀鐙とお話したいんジャー』だ!」 ジャンク青「待てレッド! その台詞は私が言う予定ではなかったのか!?」 ジャンク赤「黙れ弱小ブルー! 貴様青色だから蒼星石側のスパイではないのか!?」 ジャンク青「なんだと!」 ジャンク赤「やんのか!」 ジャンク黄「ふ、2人とも喧嘩はやm」 ジャンク赤・ジャンク青「「黙れ! 貴様は銀様に愛されたくないのか!?」」 蒼「……(あの、アリスゲームは……?)」 翠「あ、頭が痛いですぅ……こんな激しいデジャヴ感じたことないですぅ……」 レッド「水銀鐙側の人間も俺たちと同じようなレンジャーを作り上げていたのか……!」 ブルー「力は互角……か?」 イエロー「どっちにしろ、僕たちは戦わなくてはいけなさそうだね」 ジャンク赤「ヘイ! そこのふざけた三人組! 貴様らがローゼンメイデンの歴史を変えまくるからうちの党首が怒っている! 銀様をアリスへと導くため! 貴様らをハッ倒す!」 レッド「なんだとぉ!」 ブルー「イエロー、戦闘準備だ!」 イエロー「分かった!」 ジャンク青「イエロー、こちらも準備だ!」 ジャンク黄「分かったお!」 レッド・ブルー・イエロー「『蒼星石の日記』召喚!」 ジャンク赤・青・黄「『水銀鐙のフィールド』召喚!」 翠「な、なんですかあれは! 蒼星石と水銀鐙のホログラム(立体映像)ですか!?」 蒼「え、ちょ、ちょっと! 水銀鐙、これなんなの!?」 水「し、知らないわよぉ! あんなのがあったなんて……!」 レッド「悶えろ! OH!マイベイビーバトルだ!」 『説明しよう! 「悶えろ! OH!マイベイビーバトル」とは! 各々の人工知能に話しかけて、どれだけ相手を悶えさせることが出来るかを争う苛烈なバトルだと思うのだ!』 翠「だ、だれですかこいつは……」 『作者です!』 翠「でしゃばるなですぅ!」 『サーセンwww』 ジャンク赤「まずはジャブだ! 『抱き締めたい』!」 フィールド『貴方の体とても暖k(ry』 レッド・ブルー・イエロー「ヘブゥハアァッ!?」 ジャンク青「はっはっは……。奴らめ、悶えているぞ!」 レッド「ぐぅ……。普段ツンツンしている水銀鐙が甘えてくると、ここまで破壊力が増すのか……!」 ブルー「しかし、ここでやられては日記の中の(ry に申し訳が立たない!」 イエロー「レッド、こっちも攻撃だよ!」 レッド「分かった! 『会いたかった』!」 日記『うん…僕も……帰るのが…遅かっt(ry』 ジャンク赤・青・黄「ンムブフゥウウウウ!?」 ブルー「効いてるぜレッド!」 イエロー「単語攻撃より文章攻撃が有効のようだね」 ジャンク赤「ぐぅ……そ、蒼星石の健気さは異常だ……!」 ジャンク黄「水銀鐙には無い点を突いてくるとは、敵さんもなかなかやるお……!」 ジャンク青「こちらも考えて攻撃しなくては!」 水「ちょちょちょちょっと! 私こんなこと言わないわよ!?」 蒼「ぼ、僕だって! マスターはお爺さんだけだし……!」 翠「お、恐ろしい人工知能ですぅ……(翠星石の人工知能が出てこなくてよかったですぅ……)」 ジャンク赤「俺たちのターン! 『キス』→『ちゅっ』!」 フィールド『やぁよ……チュッ やだぁ(ry』 レッド・ブルー・イエロー「オモブゲラェエエエエ!?」 ジャンク青「レッド……キスは早計すぎではないか?」 ジャンク赤「いや……こいつらは早めに倒さないと、知能指数の差が顕著に現れてくる。攻撃力の強い反応を示していくべきだ」 レッド「い、嫌がってるのに無理やりキスしやがった……!」 ブルー「しかもまんざらでもなさそうな反応!」 イエロー「こちらもコンボだよ!」 レッド「喰らえ! 『キスしたい』→『キスする』!」 日記『えっと…その…恥ずかしいかr(ry』 ジャンク赤・青・黄「ジャボォオオオオオオ!?」 レッド「目には目を、キスにはキスを、……ってか?」 ブルー「擬音語があるぶん我々の方が優勢だな」 ジャンク赤「でぃ、ディープ! やつらいきなりディープキスを……!!」 ジャンク青「蒼星石が奥手かと思っていて油断したぜ……!」 ジャンク黄「こっちもなにか捻らなくちゃ!」 水「やめてぇやめてぇ! なに勝手にキスしてるのよぉ!」 蒼「ぼぼ僕はキスなんて一度も……!」 翠「これはヒドイですぅ……」 ジャンク赤「俺たちの力見せてやるぜ! 『パンチラ』→『スカート捲り』!」 フィールド『何見ようとしてんのよ!おばかさぁん(ry』 レッド・ブルー・イエロー「に、二個目の画像ブベラッハァァァアァァイ!?」 ジャンク青「ふふふ……パンチラ画像付きの同時攻撃には手も足も出まい」 ジャンク黄「ちんちんおっきしたお」 ジャンク赤「きめぇwwwww」 レッド「ぐぶふぅぅう……これは破壊力がありすぎる……!」 ブルー「イエロー? イエローしっかりするんだ!」 イエロー「ごめん……黒パンはエロ杉……ガクッ」 レッド・ブルー「イエロォォォォオオオーーー!」 レッド「許さん……許さんぞ水銀党め! 『抱き締めたい』→『ぎゅっ』→『あったかい』→『おいで』→『膝』→『重くないよ』!!!」 日記『…そんなの…一々了解を取らなくとも大丈夫(ry』 ジャンク赤・青・黄「6コンボはひきょムブフベラァァァアァアアッ!?」 レッド「はぁ……はぁ……」 ブルー「レッド、落ち着け!」 ジャンク赤「こ、こいつら数で埋めてきやがった……!」 ジャンク青「なんて甘い生活の一幕! これがオーバー200の底力か!」 ジャンク黄「正直……こんな生活に憧れていたお……ガクッ」 ジャンク赤・青「イエロォォォオオオオオーーーーッ!?」 水「いやぁ! 見ないでぇ! 見ないでぇ!」 蒼「(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい ききたくなーい」 翠「もうこの勝負止まらんですよ……」 ジャンク赤「ブルー……俺はアレを使うぞ……!」 ジャンク青「あ、アレって……アレか!? お、落ち着け! あれはまだ早すぎる!」 ジャンク赤「こいつらに勝つにはこれしかないんだ! 俺は一撃必殺にかける!」 レッド「なんだ!? 何が来るんだ!?」 ブルー「ま、まさかあいつら……!」 ジャンク赤「『おっき』→『踏んで』→『射精』→『エッチ』→『激しく』→『中出し』!!!!!」 フィールド『(18禁な内容なので作者による自主規制)』 レッド「!!!!!!!!(こいつら、18禁技を……)」 ブルー「!?!?!?!?(が、画像もエロい! 同人誌のものを使ってやがる! しかも、反応がまたツボを突いて……駄目だ、俺はもう……!)」 レッド・ブルー「ヘムぎゃあSHJSDじゃDFKGDルqwgへr不意wqhr5ejfwkdfhjかwsdfハwsk!!!!????」 ジャンク赤「流石にこのラッシュには耐えられないだろう……!」 ジャンク青「だ、大丈夫なのか!? 18禁ラッシュは党首でさえ使うのを躊躇うというのに……!」 ジャンク赤「見ろよ、あいつらを」 レッド「…………」 ブルー「…………」 ジャンク赤「あいつらはもう動けない。勝てばいいんだよ、勝てば。俺たちの勝ちだ」 ジャンク青「…………いや、待て!」 レッド「グフッ……、ふふふ……。まぁ~だぁ~だぁ~……」 ジャンク赤「こ、こいつ!」 ジャンク青「れ、レッド! 早く追い討ちを!」 レッド「……遅い! 『押し倒す』→『セックス』→『脱がす』→『揉む』→『くりくり』→『なぞる』→『舐める』→『じらす』→『クリトリス』→『挿入』→『怖い?』→『狭い』→『力抜いて』→『入ったよ』→『一つになった』→『動くよ』→『自分から動いて』→『すごい締め付けだね』→『やらしい子』→『イキそう』→『中に出す』→『イク』→『イった』→『いっぱい出たね』→『拭いてあげる』!!!!!!」 日記『(途方も無くエロいので作者による自主規制パート2)』 ジャンク赤「!!!!!!!!!!(ちょwwww25コンボとかありえねえwwww死ぬwwwww)」 ジャンク青「!?!?!?!?!?(前戯から後戯まで……! しかもところどころで言葉責めも忘れないという抜かりの無さ! こ、こいつは化け物だ……! もう悶えるとかそういうレベルじゃねえぞ!)」 ジャンク赤・青「あJDSH府RFDHVジュKウェ不jqwhるいhqr;vgcbねqrkjfbqwkdvbkjsdvbkhfjdvbqkwrvひlqwrhvbkwrvwrhbvkhwsvkf!!!!!!!?????」 レッド「ふふふ……、どうだぁ……! 蒼い子は必ず勝つのだ……!」 ジャンク赤「グフゥッ! わ、わしらの完敗じゃあ……。で、でもわいはでっかくなる。昨日のズボンは明日のわいには入らんで……ガクッ」 ジャンク青「ばってん、こいつら強すぎですたい……! わしらの力では太刀打ちできんとです……と、党首さま、銀様が弱いってわけじゃなかけんね……ガクッ」 レッド「いつでもかかってこい! 我々は甘んじて勝負を受ける!(なんで方言?)」 水「も、もも、もうやってられないわぁ!! こんな変態の居るフィールドなんて知らないんだからぁ!」 翠「あ、す、水銀鐙!(どっか行っちゃったですぅ……)」 蒼「………………ゴゴゴゴゴゴゴゴ」 翠「ヒィィイイッ!?」 レッド「蒼星石~っ! 俺、勝ったよぉ~!!」 翠「来ちゃダメですぅ!」 蒼「……ちょきぃっ!」 レッド「ギャース!!!」 回避最難関の関所、9話の死亡フラグを消去した3人! しかしまだ死亡フラグは残っている! 頑張れ、蒼星石とお話したいんジャー!【次回最終回】 続く
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登録日:2009/10/07(水) 01 16 33 更新日:2023/04/30 Sun 04 59 22 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 Rozen_Maiden こんな可愛い子が(ry オッドアイ カズキ クール シザーマン ショタっ娘 チョッキン ピクシー×チャッキー ボクっ娘 ボーイッシュ ローゼンメイデン 健気 双子 四女 存在が死亡フラグ 復活 戦わなければ生き残れない 森永理科 槇原敬之 毒親育ち 漫画ではある意味アホの子 第4ドール 素直クール 翠星石の弟←妹 蒼い子 蒼星会 蒼星石 鋏 「かじゅきぃ〜」 誇り高きローゼンメイデンの第4ドール CV 森永理科 一人称は「僕」←これ大事 姉妹の中では四番目に生まれ、翠星石とは双子で蒼星石は弟(ry…妹にあたる。人工精霊はレンピカ。オッドアイで翠星石と色が逆。 シルクハットを被り、ブラウスに半ズボンと他の姉妹と比べると、ボーイッシュ。性別を間違われることは気にしていないらしい。 戦闘方法は他の姉妹とは違い、庭師の鋏を使っての近接戦闘である。 武器 「庭師の鋏」 この鋏は姉「翠星石」が持つ「庭師の如雨露」と異なり、心の樹を剪定したり心の樹の成長を妨げる雑草をきる事ができる。 これにより、相手の心を縛るしがらみを伐ったり、逆に相手の心を殺す事もできる。 原作(新アニメ)と旧アニメシリーズとでは立ち位置が大きく違う。 原作では、マスターにとても忠実な性格で、マスターの命令を受ければ翠星石を傷つけたり、庭師の鋏を使って他の人間を殺す事にも躊躇がない。 立ち位置的には悪役にあたり、復讐の為にとある女性を殺そうと企てるマスター・結菱一葉の願いを叶える為、真紅達と敵対する。 その際、水銀燈と真紅の闘いで真紅が腕をもがれた時にも、「その方が美しいよ」と残酷な言葉で挑発したりしている。 翠星石の事は大嫌いだが、同時に大好きでもあるという複雑な状態。 旧アニメ版では個性的な姉妹たちの中でも良心的かつ常識人。 人を小馬鹿にする姉「翠星石」と比べ断然いい子で、原作の面影は全くない。 ちなみにマスターも違い、柴崎元治とマツの死んだ息子カズキの代わりになっていた(かじゅきいぃぃぃぃぃ!!!)。 穏やかで優しく、真紅たちとも仲良く接していた。 「地味」「いらない子」などと言われることが多い彼女だがその実、熱狂的なファンも数多く存在し、翠のツンデレ姉や銀の二強にも迫る程の人気を誇る。 でも地味。やっぱ地味。だがそれがいい …とここまでだと一般的な大人しい性格な印象を持つが二次創作だと、うって変わって変態キャラになる。 最近のローゼンSSではどんな内容でも変態キャラであると言っても過言ではない程に変態キャラが定着していて、SSから興味を持ち原作を見た人はあまりの原作の凜とした態度に唖然とするであろう。 原作、アニメ共にアリスゲームの最初の脱落者になる。 (因みに、雛苺は最初の敗退者。) 原作1期では、マスターの一葉を助ける為、全身全霊の力を使い力尽きた。ローザミスティカはその時に水銀燈にかすめ取られる。 その後、人形になり一葉の家にて保管されていたが、雪華綺晶が奪取、駒として利用されるが、一時的に意識を取り戻し、翠星石と再会。 その時でも自分より翠星石を心配し雪華綺晶について警告するが、その瞬間、翠星石と共に白い荊に包まれた。なお、この時点で一葉も雪華綺晶に囚われてしまう。 原作2期では、雪華綺晶がまかなかった世界に侵入する為の依代にされた。 (その際にバラバラにされたが、島田ジュンによって再び作られた。) が、翠星石の作戦と島田ジュンのちょっとした偶然により、島田ジュンと契約。 その際に雪華綺晶と分離に成功。 その後、翠星石が自らローザミスティカを蒼星石に授与される事で一時的に復活。 また、紆余曲折あって、期限付きで水銀燈から自分のローザミスティカも返してもらい、翠星石共々完全復活を果たす。 現在は「巻いた世界」の桜田ジュンに仕えている。 やはりアニメとは異なり、マスターであるジュンの許可が出されるまで部屋の前で待機している・他のドールと戯れないなど相違点が多い。 とはいえ未だに元マスターである一葉が気になるらしく、夜な夜な薔薇屋敷に出かけているらしい。また、彼が雪華綺晶に囚われている事を知ると水銀燈にローザミスティカを返すまでに必ず救出すると決意を露わにした。 アニメ2期では、真紅のアリスゲームの拒否を快く思っていなかった時、ローゼンに化けた槐の演技と薔薇水晶の話術によって、アリスゲームへの挑戦を決意する。 誰とも組むことなく、一人で戦いを続け、真紅達はもちろん翠星石にも刃を向ける。 蒼星石は言う。 「お父様の願いは、ボクの願いだ!!」 そして水銀燈と戦闘になり、ほんの少しの油断をし、水銀燈からの致命的な一撃を喰らう。 最後は翠星石に看取られながら、動きを止めた…。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 異なってたんだ。 真紅の腕がジャンクってこういう事か -- ペイン (2013-10-24 22 51 46) 事実上人生の中で初めて会ったオッドアイキャラ -- 名無しさん (2014-12-09 08 43 18) 艦これの時雨を見て蒼星石を思い出した人はたくさんいると見た。 -- 名無しさん (2014-12-09 11 08 08) YJで復活したのは意外だった -- 名無しさん (2015-01-25 23 51 41) この子と鶴屋さんにマッキータグ付いてて吹く -- 名無しさん (2015-07-23 15 57 08) ゼロのネタバレ 大正時代の坊っちゃんの正体案の定一葉だった -- 名無しさん (2016-04-19 15 14 09) マジで? -- 名無しさん (2016-04-19 23 40 11) 帽子の代わりにゴーグルをつけたら あのキャラに似ている。 -- 名無しさん (2016-06-01 20 37 18) 今月ついにウルジャンで・・・・・・・・・ -- 名無しさん (2016-06-18 18 27 07) ウルジャンで 翠ちゃんと一緒に寝ようとする蒼星石が可愛い -- 名無しさん (2017-04-15 18 48 21) 蒼星石の中華服姿がレアすぐる。 -- 名無しさん (2017-04-20 15 23 10) グシオンリべイクフルシティのシザーシールドみたいに相手をはさみ潰せればいいのに -- 名無しさん (2017-04-29 18 13 56) 今月 青年漫画特有 蒼星石の拘束バンドをつけながら 捕まった -- 名無しさん (2017-08-23 15 22 35) 蒼星石が眼帯つけた時、喰種reの六月と魔法少女キリカみたいな 眼帯アホ女を連想 -- 名無しさん (2017-09-26 14 23 05) 奇しくも龍騎でも一番最初の脱落者がハサミ使いという -- 名無しさん (2018-09-07 21 02 16) ローゼンメイデンの切なさ担当 -- 名無しさん (2022-09-14 23 26 51) 名前 コメント
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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 13 49.73 ID MP337JVt0 水銀燈「発売日に届かないなんて……」 真紅「一足先にペイバックタイムなのだわ」 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 18 27.30 ID MP337JVt0 トゥルルル トゥルルル 水銀燈「はい、もしもし」 真紅「大変なのだわ! 王様橋が落ちたのだわ!」 水銀燈「……」 真紅「それじゃあね、水銀燈。シュトリゴンを叩いてくるのだわ」 水銀燈「あ、遊びに……」 ツー ツー ツー 水銀燈「……アマゾンで頼んでkonozamaか」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 25 27.56 ID MP337JVt0 真紅「蒼星石。あなたの昨日の支援タイミング、完璧だったわ」 蒼星石「へへ、ありがとう」 水銀燈「……」 真紅「そういえば、水銀燈。貴方は何でオンラインに来ないの?」 蒼星石「だ、だめだよ。水銀燈は、アマゾンで注文したんだから……」 真紅「あっ、これはゴメンなさなのだわ」 水銀燈「べ、べつにいいのよぉ……あと4日待てば、来るのだからぁ……」 真紅「あらそう。なら大丈夫ね、それじゃあ蒼星石、今日もペイバックタイムなのだわ」 蒼星石「うん! 今日は僕がアタッカーをやるね」 真紅「ふふ、蒼星石もまだまだ子供ね」 水銀燈「なによ、PS2の時は見向きもしなかった癖に……」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 27 35.06 ID MP337JVt0 TV「戦う理由は見つかったか? 相棒」 水銀燈「……」 ピコピコピコ TV「撃てよ臆病者! 撃て!」 水銀燈「……」 TV「よう相棒、まだ生きてるか?」 水銀燈「……もう、死にそう」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 30 46.26 ID MP337JVt0 真紅「やっぱりラプたんは可愛いのだわ」 翠星石「A-10は男の機体です」 蒼星石「僕はイーグルが好きだなぁ」 水銀燈「(絶対、西の戦闘機の方がかっこいいわぁ)」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 32 39.00 ID MP337JVt0 水銀燈「トレーラー見飽きた」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 42 42.97 ID MP337JVt0 水銀燈「(ACE6にはモビウス1は出てくるのかしら)」 水銀燈「(やっぱり、グリフィス1=メビウス1なのよね)」 水銀燈「(そんな事より、ラリーはまだ国境沿いに?)」 メグ「あら水銀燈、難しい顔しちゃって、何を考えてるの?」 水銀燈「……うっさいわね、病人は寝てなさいよ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 44 48.57 ID MP337JVt0 俺「ACE6でエンブレム製作出来たら、水銀燈エンブレム作るよ」 俺「……」 十一月一日 発送メールなし 俺「konozamaか……」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 46 52.82 ID MP337JVt0 konozama・・・ 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 52 03.00 ID MP337JVt0 水銀燈「集まれピニャータとレースゲーいらないから、もっと安くしなさいよ」 真紅「やっぱりエリートは最高なのだわ」 水銀燈「……」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 16 55 13.56 ID MP337JVt0 水銀燈「Xboxのコントローラって単三電池で動くのねぇ。真紅に教えてあげなきゃぁ」 水銀燈「真紅いるぅ?……あら、真紅のコントローラー……」 真紅「エネループさえあれば、どこまでも羽ばたけるのだわ!」 水銀燈「そ、そう(真紅、それは地雷よ!)」 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 01 29.86 ID MP337JVt0 水銀燈「オンライン……楽しみだわぁ」 水銀燈「 リボン付きが飛んでるぞ! とか、とかとかとかぁ、言っちゃうのかしらぁ」 水銀燈「 全機、私に続け とか、言っちゃったら、どうしよう」 パタパタパタパタパタ 真紅「安心するのだわ、水銀燈。そんな事言わないから」 水銀燈「し、真紅!?」 真紅「 あ、やべえ。明日バイトだわ がいい所なのだわ」 水銀燈「やめて、私の夢を壊さないで」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 01 52.70 ID ng5C/Hsq0 ミサイル100発も積んで何が面白いんだよ・・・・・ 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 03 28.94 ID MP337JVt0 100発積んでも、戦闘妖精雪風~妖精が舞う空~より面白いと思う 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 04 38.90 ID MP337JVt0 いやまてよ、納豆ミサイルはロマンだろ 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 06 00.38 ID ng5C/Hsq0 そんなあなたにプレステ1のマクロスVF-X 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 06 07.23 ID MP337JVt0 納豆レーザーアニメはZOEだけでいいよ 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 07 08.40 ID MP337JVt0 マクロスはいいよな シンプルシリーズ地球防衛軍の親戚の戦闘機物も、いい納豆だった 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 09 42.41 ID MP337JVt0 水銀燈「(正直、もうラプターはいいや)」 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 16 13.54 ID MP337JVt0 水銀燈「ねえ、真紅」 真紅「なにかしら、水銀燈」 水銀燈「TNDってぇ、たーだーのーぽいわよねぇ」 真紅「あら奇遇ね、私もそんな風に思っていたのよ」 水銀燈「ほ、ほんとぉ?」 真紅「ええ」 水銀燈「それじゃぁそれじゃぁTyphoonって、TYPEMOONっぽいと思わなぁい?」 真紅「型月厨は死ねばいいのだわ」 水銀燈「な、なによなによ、あなただってプレイした事あるんでしょう?」 真紅「fateは文学」 水銀燈「じゃあCLANNADは?」 真紅「人生なのだわ」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/01(木) 17 17 12.11 ID lTeIAne50 鳥の唄は国家 ていうほどいい曲でもないよな^^ 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 20 38.69 ID MP337JVt0 国家増えすぎだろ 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/01(木) 17 23 42.24 ID MP337JVt0 水銀燈「(実機すら届いてないのに、MyXboxに登録しちゃったぁ)」
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水銀燈の逆襲 水銀燈だってれっきとした薔薇乙女 負けてばかりではありません。多分 観察1日目 ジュンを落とすのが先だ レバー入れで、大パンチで …うわあ 水銀燈は見た 今度は少しくらい居てやろう 計画を立てた水銀燈 観察2日目 水銀燈は少し懲りた 今日も来ました 観察3日目 和装で泣く水銀燈 観察4日目 首だけニュッポン水銀燈 コツコツ作ってきたアレ
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 02 14.10 ID TxBN4K740 雨が降っていた。 鉛色の雲が空を覆い、町は昼間だというのに薄暗い。 軒下から、空を見る瞳で冬の雲を見つめる少女が居た。 その目鼻立ちは整い、印象的な赤い眼をしている。 銀の髪は雨に濡れて白い頬に張り付き、ドレスは夜闇のようになっていた。 ここまでなら何処にでもありそうな光景だが、彼女の場合は少し違っていた。 浮いていたのだ。 彼女は背中から生え出た黒い二本の羽で、宙に浮いていた。 それに、よく見ると尺度もおかしい。隣に並んだ窓が大きく見える。 吐き出す息が白い。 手の平を紫に染まった唇を隠すように持ち上げ、己の息を吐きかけた。 彼女の手首に丸い球、球体間接が見える。 そう、彼女は人形だったのだ。 5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 05 35.62 ID TxBN4K740 雨は一向に止む気配がなかった。 彼女は自分を強く抱きしめるように腕を組み、背中を窓に預けた。 「あらっ……ちょっ、えっ?」 彼女は自分の疑問を言葉に出来ないまま、床に積もった埃を舞い上げていた。 後頭部を摩りながら自分が背を預けた窓を見上げると、内開きの鍵が掛かっていない 窓が、自分の体が滑り込むだけに必要な分だけが開いているのが見えた。 「内開き……」と彼女は恨めしそうに呟いた。 「おい」と部屋の暗がりから声がした。 彼女は声がした方に注意を払いながらゆっくりと姿勢を起し、 「誰?」と薄い氷のような声で言った。 「誰? じゃねえよ、馬鹿。お前こそ誰だよ」 彼女は少しだけ不機嫌そうな顔になり「水銀燈」と答えた。 「俺はピーちゃん、鳥だよ。……オスだけどね」 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 10 03.35 ID TxBN4K740 埃が積もった物置部屋の一角に、銀色の鳥籠が置いてあった。 時を止められ、セピア色に染め上げられた物に囲まれた銀の鳥籠は、 セピアの侵食を避け、不思議な色を放っていた。曇り空のせいかもしれない。 「鳥?」 「そう、鳥だよ。お前も鳥だろ?」 「私は人形よ、鳥じゃないわ」 自分の手首の球体間接の具合を確かめるように動かしながら言う。 「そうなのか。羽があるから、てっきり仲間だと思ったんだ。ごめん」 鳥籠の中から、済まなさそうに頭を垂れながら鳥は言う。 「……別に、謝る事じゃないわよ」と彼女、水銀燈は言った。 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 14 55.29 ID TxBN4K740 水銀燈と鳥の間に、埃がゆっくりと古い時代の匂いを巻き上げながら流れていた。 「邪魔したわね」と埃を舞い上げる事なく浮かび上がり、水銀燈が言った。 「お、おい、ちょっと待てよ。外は雨が降っている、上がるまでここに居たらいいじゃないか」 鳥籠の中でバタバタと羽を動かしながら鳥が言う。 「……それも、そうね」と水銀燈が水色をしていない、窓を流れる雨粒を見ながら言った。 水銀燈は雨が上がるまで自分の腰を落ち着けられる場所を探すが、適当な場所が見つからない。 どこもかしこも埃が幾重もの層になり、積み重なっている。 現に、自分が転がり落ちた場所には不恰好な跡が残っていた。 出来る事なら今すぐにでもその跡を消したかったが、埃が舞うのでやめた。 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 19 42.46 ID TxBN4K740 キョロキョロと辺りを見渡していると、鳥が口を開いた。 「そこのシートを取ると──そう、それ。ゆっくりとだぞ、埃が舞うから」 言われた通りにシートを取ると、中からリクライニングチェアーが出てきた。 椅子のクッションカラーはミッドナイトブルーで、良く見ると 同じトーンの色を使ったドット模様だった。 「それで?」と水銀燈が言った。手にはまだシートの端が握られている。 「座る場所を探していたんだろ?」 不思議そうに鳥は首をかしげた 「そうなんだけれど……」と水銀燈が椅子を見ながら言う。 「なんか、汚くない?」 目玉焼きを作るつもりが、消し炭になってしまった時のような顔で水銀燈が言った。 「じゃあ座らない?」 窓を流れる雨粒を見、埃の断層の数を数えて水銀燈が折れた。 椅子に腰を下ろすと、カビの臭いと一緒に湿った太陽の匂いがヒンヤリと香りたった。 「どうだい、座り心地は」と鳥が言った。 「まあまあね」と水銀燈は椅子の背に自分の体重を預ける。 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 22 34.75 ID TxBN4K740 __ /{・} `ヽ /¨`ヽ {・} | ヽ ._.イl / ヘ_/ノ_,,,.ノ | /  ̄ ̄ ̄\ / ― ―\ / ● ● \ | (__人__) | / ∩ノ ⊃ / ( \ / _ノ | | .\ “ /__| | \ /___ / 22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 25 00.73 ID TxBN4K740 雨が空を濡らす音だけが、埃っぽい物置部屋に流れていた。 「そういえば」と水銀燈が口を開いた。 「なんだい?」と止まり木の上で鳥が言った。 「なんであんたはこんな場所に居るの? 人間の事はよく分らないけれど、 普通はこんな場所に置かないんじゃないのかしら」 「聞きたい?」と鳥は声に嬉々を含んだ声で言う。 「別に。言いたくなきゃそれでいいわよ」と水銀燈は肩を竦めた。 「最初はね、俺も一階の広い部屋に居たんだ」 鳥は難しい顔をして一人で語り始めた。 「いや、もっと最初から話そう。俺はここの娘にプレゼントされたんだ。 ほら、俺って可愛いだろ? 愛玩にぴったりじゃないか。 ──まあ、そんなしてこの家に来たんだ。えらく可愛がられてたよ 『ぴーちゃん』『ぴーちゃん』ってね、愛玩動物明利に尽きるよ。俺オスなのに。 そんなある日娘が咳き込み始めてね、とても酷い咳だった。 内臓を全部吐き出すんじゃないかってぐらいにね。 だから俺はこっちに移されたのさ」 「それだけ?」と水銀燈が言った。 鳥が頷いた。 「ここの娘が咳をしたら、なんであんたがこの部屋に移されるの?」 「雑菌? ハウスダスト? そういうのが原因らしいかったから」 水銀燈は自分口を手で覆った。 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 29 49.71 ID TxBN4K740 水銀燈は足を組み、膝の上に肘をのせ、顎を手の平の上に置いた。 「ふーん? それじゃあアンタは死ぬまでここに居るの?」 「さあ、どうだろうね。そんなに俺の事が心配?」 止まり木の端まで移動し、鳥は言った。 「別に」と水銀燈はつまらなそうに返す。 「まあ、いいさ。それより、ほら」と鳥が嘴で窓を指した。 水銀燈の口から溜息のような声が漏れる。 厚ぼったい鉛雲を切り裂くように光りが差し込み、蛇の腹のような アスファルトにその剣先を当てていた。 「雨上がる、だな」と鳥が言った。 「そうね。それじゃあ、そろそろお暇しようかしら」 水銀燈はそう言うと、静かに腰を上げ音も無く飛び上がった。 「ああ、また遊びに来いよ。今度はお土産持って」と鳥が言った。 窓枠に手をかけ、頭を傾げるように鳥の方を見た水銀燈は思い出したように鳥に尋ねた。 「ところで、あんたってスズメ?」 「バーカ違うよ。十姉妹だよ」 怒ったように羽をばたつかせる十姉妹を見て水銀燈は肩を竦めて小さく微笑み、飛び立った。 「あいつ、窓閉めずに帰りやがった」と十姉妹は一人呟いた。 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 35 35.02 ID TxBN4K740 「窓、開けっ放しじゃない」 「無用心ね」と水銀燈が窓辺に立ち言った。手には紙袋を提げている。 「お前が閉めて行かなかったからだろ。俺は檻の中だし」 十姉妹は自分の羽毛に顔を沈めていた。 寒さに弱いのかもしれない。水鳥を見習って欲しいものである。 「あと、これ」と水銀燈が紙袋から、薄紙に包まれた物を取り出した。 「お土産?」と十姉妹が聞くと、「そう。ヒヨコよ、ヒヨコ」と水銀燈が答えた。 それを聞いて十姉妹はヘップリを噛み潰したような顔をした。 「なに、食べないの?」 水銀燈は鳥籠の扉を開け、餌置き場に一つ、ヒヨコを置いた。 「……ありがとう」とヒヨコの頭を十姉妹が突く。 「喜んで貰えて何よりよ」と水銀燈が言った。 26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 40 53.45 ID TxBN4K740 十姉妹がプラトレーを突くように水を飲んでいると(実際コツンコツンと音がしていた) 水銀燈がこんな事を言った。 「くんくん探偵って知ってる?」 「ああ、知ってるよ。テレビだ」と十姉妹は答えた。 「そう、テレビね。昨日のクンクン探偵は、こんな話しだったの」 先を促すように、十姉妹はチュチュンと鳴いた。鳴き声はスズメに似ていた。 「アライグマ君がね、熊おじさんを殺してしまうの。殺した理由はね、 自分のフィアンセのネズミさんを 熊おじさんに暴力的にレイプされて、 ネズミさんが自ら命を絶ってしまった事による復讐なの。ここまでは、よくありそうな話でしょ?」 「ああ、ありそうだね」と十姉妹は返した。 「でも、流石はクンクン探偵ね。アライグマ君のトリックを簡単に見破るのよ。 そして、猫刑事に連れて行かれる途中で、アライグマ君は自分の舌を 噛み千切って死ぬのよ、なんでだと思う?」 「なんでだったの?」と十姉妹は聞いた。 「私が質問してるのよ、あなたが答えたら教えたげる」 水銀燈の口元には柔らかな笑みが浮かんでいた。 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 45 42.48 ID TxBN4K740 「そうだね……月並みな答えになるけど『生きる理由がなくなった』からかな」 「あら、どうしてかしら?」 「アライグマ君の生きる理由はネズミさんだった。だけれど、熊おじさんにそれを奪われ、 その復讐の為だけにアライグマ君は生きていた。アライグマ君は熊おじさんを殺し、 彼の罪を白日の元に曝け出す事に成功した。彼はこれで自分の人生に満足したというか、 生きる意味を見失ってしまった。だから死んだんじゃないのかな」 十姉妹は小さな嘴をカチカチと打ち鳴らしながら、一気に喋った。 「どうだい、クンクン探偵も真っ青な推理だろ?」と十姉妹は付け足したが、水銀燈はそれを無視し 「あなたには、生きる理由があるの?」と聞いた。 十姉妹は、トントントンと止まり木を右に三歩移動して 「さあね、忘れちゃったよ。俺は鳥頭だから、三歩歩くと忘れちゃうんだ」と言った。 「君の生きている理由は?」と十姉妹が聞くと、水銀燈は鳥籠の前から三歩横に歩き 「忘れちゃったわ」と言った。 「そうか。それじゃあ、本当の答えは?」と質問を続けると、水銀燈は首を振って「それも、忘れちゃった」 「困ったな……それだと、今日は部屋が暗くなっても寝れそうにない」 十姉妹は鳥目をパチクリとさせそう言った。 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 50 08.82 ID TxBN4K740 水銀燈は「それじゃあね」と言い窓から飛び立とうとするが、十姉妹が呼び止めた。 「最後に、このケージの鍵を外してくれないか?」 水銀燈の頬に、硬く冷たい冬の風が窓の隙間から悪意を持ってぶつかって来た。 「春まで待ちなさいよ」 「俺の先祖はコシジロキンバラと言ってね、インドから来たらしい。だから日本の冬は俺には辛いのさ」 「それに、可愛いガールフレンドも居ないし」と十姉妹は付け加えた。 「あんた、インドが何処にあるか知ってるの?」 「左」と十姉妹は答えた。 「そう。まっ、あんたの選んだ道なんだから、せいぜい後悔しないようになさい」 水銀燈が鳥籠の鍵を外した。 十姉妹は軋んだ音を立て、開いた扉を見つめていた。 鉛色のはぐれ雲が窓の端から端へと消えた。 「やっぱり春まで待つ?」と水銀燈が声を掛けると 水銀燈の顔の直ぐ横を、茶色の影が横切った。 茶色の影、十姉妹の背を追った水銀燈が太陽に目を細めた。 十姉妹の影を探そうとするが、既に彼の茶色い影は透き通るような青空に溶けて、消えてしまっていた。 鳥を失った銀の鳥籠は、静に物置部屋のセピア色に染まっていった。 餌置き場に置かれた食べかけのヒヨコは、セピアに犯されるように腐っていった。 餌を取り替える者は、もう誰も居なかったのだ。 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 50 41.43 ID TxBN4K740 終わりです お疲れさまでした 35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 01 59 07.61 ID TxBN4K740 クンクン探偵湯煙殺人事件 解決編 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 00 07.96 ID TxBN4K740 僕と猫警部は偶然立ち寄った温泉旅館で殺人事件と遭遇してしまった! 熊おじさんが胸を鋭利な物で刺された後、顔が分らなくなるまで潰されてしまったのだ! 凶器も害者確認できない! これじゃ国家の犬はお手上げなんだくんくーん! (でも大丈夫! オーナーのキツネさんがズボンを下ろして熊おじさんと確認したからね!) 僕と警部は熊おじさん(彼がスポンサーだったんだ)が居なくなり、厨房の皿洗いという トホホッな路銀稼ぎをしていると! なんと! オーナーのキツネさんから 『この事件を解決したら、見逃してあげましょう』こう言われちゃったら、 僕の右脳がフル回転しちゃうぞ! アライグマ君が持つ冷凍ボックスの謎とは!? 謎が謎を呼ぶ湯煙殺人事件、解決編! チャンネルはそのままなんだくんくーん! 38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 05 27.06 ID TxBN4K740 「ふふふ、謎は全て解けましたよ」 クンクン探偵がエプロンを脱ぎ捨てながら言った。 「本当かねクンクン探偵!?」 猫警部はエプロンのまま言った。 「ええ、簡単なトリック。トリックの初歩の初歩……」 とキセルを口に咥えながら言う。 「早く、その犯人を教えて頂けるかしら、クンクン探偵」 オーナーのキツネさんは、クンクン探偵に寄り添うようにして言った。 「犯人はアライグマ君、あなただ!」 アライグマ君は後生大事に抱えていた冷凍ボックスを床に下ろし、 「ええ、その通りです」と言った。 辺りがざわめく。 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 09 10.01 ID TxBN4K740 「しかし、どうして彼が犯人だと分ったんだ!? 凶器の謎だってまだ分らないんだ!」 猫警部がバンザイして言う。お手上げという意味なのだろう。 「凶器がないのは逮捕に踏み切れない……確かに、道理……いいでしょう、ご説明します」 クンクン探偵は帽子の下から見える、触れたら切れそうな眼光を警察犬Aに向けた。 「すみませんが、アライグマ君の冷凍ボックスの中を見てもらえませんか? きっと秘密が隠されているはずです」 「了解だワン!」と警察犬Aは冷凍ボックスの中を検める。 みなの視線が冷凍ボックスの中に注がれる 「こ、これは!」 「そう、氷の凶器……ツララの剣(ツルギ)と名づけましょうか……。 アライグマ君はこの剣を使って熊おじさんの胸を刺し、殺した。違いますか?」 「流石はクンクン探偵。その通りですよ」 クンクン探偵は自分の顎を触りながら言う。 「そうですね……犯行動機は金銭トラブル、違いますか?」 「違います」とアライグマ君がキッパリと言った。 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 14 49.74 ID TxBN4K740 「じゃあいったい何が目的で殺したんだ!」と猫警部がまくしたてた。 「熊おじさ……いや、あの下衆野郎は僕のフィアンセだったネズミさんに関係を迫った…… だがそれを断られて、頭に血が昇ったあの下衆野郎はネズミさんを酷く暴力的に犯した。 そしてネズミさんは、その一連の出来事を僕に手紙で綴り……自殺してしまったんだ……」 辺りは水を打ったように静まり返っていた。その中でアライグマ君の語りは続く。 「彼女は僕の全てだった。一時期は彼女の後を追って自殺する事しか考えられませんでした。 でも、死ぬ前に一つだけ確かめたかったんです、あの下衆野郎に 『なんでこんな事をしたんだ』ってね 僕はアイツの事務所でそう聞きました。 そしたらあいつ、何て言ったと思います? 『あの顔面陥没ネズミ、お前の名前を叫びながら腰振ってたぜ』 ですよ? 人間じゃありませんよ。僕はその時誓ったんです、こいつを殺さないと 僕は死んでも死にきれない……と」 アライグマ君は、テーブルの上に置いてあった水差しから空のコップに並々と水を注ぐと、 一気に飲み干した。 「僕はその後、あいつが経営するこの温泉旅館の皿洗い番長の座に転がり込みました。 僕はアライグマです、皿洗いの仕事はすぐに見つかります。それからはアイツの 行動パターンを掴む為に毎日真面目に働きました。洗いすぎで手の皮が擦り剥け、 肉が剥がれた事もありましたよ。そして、今日やっと、奴を殺す事が出来たと言うわけです」 アライグマ君は何かをやり遂げたような、清清しい顔をしていた。 とても殺しを行った人物とは思えない顔をしている。 42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 19 10.03 ID TxBN4K740 「しかし、殺す事はなかったじゃないか……その為の、警察だ……」 猫警部が場の重い空気の層に、自分の言葉を流し込むように言った。 「いいんです、それが僕が選んだ道なんですから」 「連れて行け」 猫警部の声つぶれた声が、辺りに不自然なほど響いた。 隣に立っていた警察犬Aにアライグマ君は連れて行かれた。 「流石はクンクン探偵ね。あんな難事件もするする解決しちゃうだなんて」 オーナーキツネさんはクンクン探偵の腕を絡め取り、自分の胸に埋めるようにして言う。 「ははは、簡単さ。だって、君みたいな美人が隣に居たからね」とクンクン探偵が言った。 「まあ、お上手ね」とオーナーキツネさんが頬を赤らめた。 それと同時に悲鳴が聞こえてきた。アライグマ君が連れて行かれた方向からだ。 クンクン探偵一同は現場に駆けつける。 「そんな……」 44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 27 52.48 ID TxBN4K740 アライグマ君が自分の舌を噛み千切り、噛み千切った舌で呼吸困難に陥り死んでいたのだ。 「す、すみません。本官が目を放したほんの一瞬の隙をつかれまして…… ですから本官に落ち度はまったくありません!」 警察犬Aが猫警部に必死に弁解していた。 「そんな、そんな……なぜ自らの命を絶てるほどの覚悟を持った君が、 ネズミさんの死を背負って生きていく覚悟を持つ事が出来なかったんだ……。僕は、無力だ……」 クンクン探偵はアライグマ君の両目を、そっと閉じた。 彼の顔は、深く被られた探偵帽で隠されていたが、一瞬、頬を伝う水滴が見えた。 それはツララの剣の滴だったのか。それとも、彼の流した涙だったのか……。 答えは誰も分らない。クンクン探偵ですらも。 45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 34 04.70 ID TxBN4K740 「隣、いいかしら」とオーナーキツネさんはクンクン探偵に話しかけた。 「ええ、どうぞ」 ここは温泉旅館地下バー「如月本社」安っぽい緑のカクテルが売りの人気バーだったのだが。 バーテンが変ってからは安っぽさが消え、動物の森に安くないカクテルブームが浸透しようとしていた。 ついでに言うと、昔は故・熊おじさんがバーテンをしていた。 「ここで会うのは二回目ね」とオーナーキツネさんが言った。 「そうですね。でも、僕がここに足を運んだのも今日で二回目だ」 口端をニヤリと吊り上げ、クンクン探偵が言った。 「ふふ、そういわれたらそうね。そうだ、今日は私がカクテルを選んであげる」 「そうね……」とオーナーキツネさんが、愛しの探偵さんに何が似合うかと思案していると、横から 「ギムレット」とクンクンが言った。 「あら、私が注文したお酒は飲めない?」と少し不機嫌そうにオーナーキツネさんが言う。 「いや……今日は、自分の道は自分で決めたかったのさ」 「変なクンクン探偵」 「ふふ、そう?」 クンクン探偵の前に、沈痛な面持ちのバーテンダーがカクテルを差し出す。 胡桃大の氷がグラスが当り、チロチロと涼しげな音を奏でた。 46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 37 28.00 ID TxBN4K740 エンドロールが流れ終わりアイキャッチ、そして皇潤のCM。 テレビの画面がパチパチと音を立て消えた。 水銀燈暗くなった画面をじっと見つめていた。 彼女の後ろで横になり、同じく画面を見ていた男は 「初めて見たけど、凄いな」と言うが、水銀燈はそれに否定も肯定もせず、 ただじっと画面を見つめていた。 彼女は既に画面なんかじゃなく、もっと別の問題に焦点を当てていたのかもしれない。 そんな彼女の口が自分に向けて開かれるのを待つように、 男は水銀燈の後ろから動こうとしなかった。 47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 38 10.72 ID TxBN4K740 終わりです お疲れさまでした 48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 02 40 54.12 ID /yI9v/feO うらやましいです 49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 02 42 41.41 ID lZsuc8goO まーくんかわいいよまーくん 50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 02 42 51.55 ID uX9gp0dkO おつ! 51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 44 38.42 ID TxBN4K740 みんなねないんですか 53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 50 55.29 ID TxBN4K740 水銀燈とアリスゲーム 54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 51 44.85 ID TxBN4K740 暖かい日だった。 サンタのプレゼントが温もりだったと証明された日でもある。 そんな中、黒縁めがねの向こう側から真摯な視線を手元に送る少年が居た。 桜田ジュンである。彼は己の居場所を奪った裁縫と向き合い、 派遣労働者以上の収入を弱冠14歳で手にしていた。 彼は今、新作「小悪魔旋風脚」と言うタイトルのドレス製作に勤しんでいた。 その時、ドレスの名前に連れて来られたのか。一陣の小悪魔な風さんが 石油ファンヒーターから噴出し、彼の手元を襲った。 金の針が彼の手元から転げ落ち、太ももに刺さる。 運命の神の悪戯か、はたまたただの偶然か。針が落ちた先は経絡秘孔の一つ 「前世野事思胃出酢」であったのだ。 55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 53 30.01 ID TxBN4K740 ジュンは自分が自分の体から引き抜かれるような錯覚に陥り、数え切れぬほどの夢を見た。 身分違いの恋にその身を焼いた事、その少女を模して人形を何体も何体も作った事、 次第に愛しかった少女の記憶が薄れ、自分が恋焦がれた少女を再現する為、 様々なタイプの人形を作った事。 そして、何をしても自分を愛してくれる少女達を創った事に対して、虚しさを感じた事……。 その他にも色、図形、模様、数式、文字、言葉、ありとあらゆる事が目の前を通り過ぎた。 いつしか、彼はとても広く浅い海に立っていた。遠くから自分の名を呼ぶ声が聞こえてくる。 呼ばれるがまま、声の方へと歩いていく 「ジュン、起きなさい。ジュン!」 56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 02 56 37.61 ID TxBN4K740 最初に目に入ったのは靴だった。小さな靴だ。 「ちょっと、冗談は程々になさい」 小さな手が彼の肩を揺さぶり、青い目が見えた。 「真紅」と彼は呟いた。 「よかった……。あなたね、主人に心配をッ──」 真紅と呼ばれた人形は肺の空気が口から噴出す音を聞いた。 「すまなかった、本当に済まなかった。謝って済む事じゃないけれど、謝る事しか出来ないんだ」 ジュンの腕の中でもがきながら、真紅は掠れたようなハリボテな言葉をやっとの思いで紡いだ。 「た、確かに、主人を敬わない下僕だけれど、こ、このような情熱的な謝り方をしなくてもいいのだわ」 自前の赤いドレスのように耳まで真っ赤に染め上げ真紅が言う。 「違うんだ真紅。もう、戦わなくていいんだ、もう僕は戦いなんて望んでいない」 「あなたの気持ちは嬉しいけれど、これはお父様が望んだ──」 ジュンの腕に力が篭る。 「まさか、お父様……?」 真紅を抱きしめる腕は、あの日彼女を抱き上げた腕の温もりのそれだった。 「今まで苦労をかけたね、真紅。これからはずっと一緒だ」 そう言うと、真紅は泣いた。長い間欲していた父の温もりに包まれながら、大きな声で沢山泣いた。 こうして、数奇な運命の悪戯によりアリスゲームは幕を下ろした。 もう、彼女達は戦わなくていいのだ、戦う理由などなくなったのだから。 58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 01 45.22 ID TxBN4K740 アリスゲームの終わりは瞬く間にドール達の知る事となった。 あの日から真紅はジュンの事を名前で呼ばなくなり「あの」だとか「よろしいですか?」など 間接的にジュンに語りかけるようになった。行き成り「お父様」と 呼ぶのも気恥ずかしいし(外見はジュンのままだ) かと言って今まで通り「ジュン」と言うのも無礼な気がするのだろう。 これは時間が解決してくれる問題である。彼女自身が乗り越えなければならない壁なのだ。 しかしジュンから離れない所を見ると、彼の中にローゼンを感じ取っているようである。 59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 05 20.30 ID TxBN4K740 「みっちゃん……カナ、アリスには成れなかったかしら……」 ローゼンメイデン第二ドール金糸雀は己のマスター、草笛ミツにアリスゲームが終わった事を告げた。 ミツと呼ばれた女性は暫く物を考えた後、金糸雀に 「カナは何でアリスに成りたかったの?」と聞いた。 「それはアリスになって、お父様と会う為かしら」と金糸雀は言う。 「じゃあ、それでいいじゃない!」 「えっ? でもでも、ローゼンメイデンはアリスに成る為に作られた訳であって……」 両手をパタパタと振りながら、必死にアリスの重要性について説明しようとする。 「カナはアリスに成る為に皆を傷つけたいの?」と声のトーンを落としミツが言った。 金糸雀は首を振る。 「そして、カナはお父様に会う為にアリスに成りたかった。違う?」 小さな顎がコクコクと二回引かれた。 61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 09 27.33 ID TxBN4K740 「だっーたら万々歳じゃない! 楽してズルしてお父様に会えたのよ? ほら、一緒にばんざーい! ばんざーい!」とミツが金糸雀の手を掴み一緒に万歳させる。 「それじゃあお祝いに、あっまぁい特性玉子焼き作ってあげるからね!」 ミツのお祝いムードに飲まれてきたのか、自然と金糸雀も盛り上がってくる。 「そう言われればそうかしら! 楽してズルしてお父様を頂きかしら!」 「そうよ、その意気よカナ! ……断腸の思いだけれど、桜田君のお家ならお泊りも許可しちゃうからね!」 悔しそうに自分の親指の爪を噛みながら、ミツが言う。 「いいのよみっちゃん」 「かな……?」 「お父様はもう、自分のアリスを見つけたんだから」と金糸雀が言った。その表情はどこか寂しげである。 「そうね、そうよね! カナは私だけのアリスなんだから! ずっと一緒にいっぱい写真を撮ろうね!」 とミツは金糸雀に抱きつき、自分の頬を金糸雀の頬に高速で擦り付け始めた。 台所から、少し焦げ臭い臭いが漂ってきて、やっと金糸雀は解放されたのだ。 頬の摩擦熱と、アリスゲームから。 60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 03 06 31.64 ID lZsuc8goO だれかまとめサイトください 62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 12 23.26 ID TxBN4K740 http //www37.atwiki.jp/suiginto/pages/1.html 自分で出すのは恥ずかしいのですが まとめてくれてるナイスガイ、いつもありがとうございます 64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 14 36.07 ID TxBN4K740 オーブンから香ばしい匂いが漂ってきた。 「おっ、焼けたですね」と翠星石がオーブンから鉄板を取り出す。 「んー完璧です。これならジュンもちったぁ翠星石の事を見直すはずです」 即興で鼻歌を作りながら籠にスコーンを放りこんでいく。 長いスカートを意に返さず、お盆を抱え二階への階段をのぼり、 ジュンの部屋に入る前にお盆の上を指差し確認。お茶よし、お菓子よし。 「ジュン! 翠星石がスコーンを焼いてやったです。一緒に食うですよ」 ジュンは机の前に座り、裁縫作業をしていた。 「あら、真紅はいねーですか?」と翠星石が辺りを見渡しながら言う。 「ああ、少し出かけて来るってさ」とジュンが手元を整理しながら答えた。 「そ、そうですか。ま、翠星石にはなーんも関係ねーことですけどね?」 ほほほ、と笑いながら二人のカップに紅茶を注ぐ。 65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 18 19.67 ID TxBN4K740 ジュンと翠星石は小さなテーブルに向かい合って座っていた。 「久しぶりだな、こうして二人きりになるのって」とジュンが言った。 「そうです、ね」と翠星石が目を泳がせながら言った。 「あれから皆余所余所しくなったよな。お前だけだよ、 僕の事を『ジュン!』『ジュン!』って呼ぶのは」 「嫌……ですか? そういうの」 翠星石がティーカップを弄りながら上目遣いに言う。 「嫌じゃないよ。逆に嬉しいかな、あれから皆僕を『お父様』 と言う色眼鏡越しに見ている気がしてさ。なんとなく寂しかったんだ」 「そう、ですか……でも、翠星石の中でジュンはジュンです。 お父様かもしれんですけれど、ジュンはジュンなのです、それ以下でもそれ以上でもねーです」 翠星石は口を尖らせ、ティーカップに視線を落としながら言った。 視線を上げるとジュンと目が合う。二人の間に甘酸っぱい空気が流れていた。 彼女のアリスゲームはまだまだ続きそうである。 66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 21 15.39 ID TxBN4K740 寒風が一つ強く拭き、帽子が飛ばないように押さえた。 蒼星石である。 彼女は貯水タンクの上から、冬の暮れに飲まれようとしている影を失った町を見下ろしていた。 誰が想像出来ただろうか。 こんな小さな島国の小さな町で、アリスゲームが終わるなどと。 それも、まったく問題視していなかった第五ドール真紅のマスターによって……。 寒さが深々と身に染みるが、丹田に溜めた息と一緒に寒さを吐き出す。 「蒼星石、こんな所で何してるですか?」 蒼星石が見上げた先には、鞄の隙間から顔を覗かせる翠星石が居た。 「いい眺め。翠星石も一緒にどうだい?」 翠星石はピューピューと吹き荒む風に少しだけ躊躇い、蒼星石の横に並んだ。 「うー寒いです」と翠星石が言った。 「そうだね」と蒼星石が言った。 翠星石は何度か口を開き、閉じを繰り返し言う。 「蒼星石は何を怒ってるですか? 遠慮せずに姉に相談するですよ」 「別に、怒っていないよ。ただ、全てが終わっただけさ」 蒼星石の視線の先には空と大地の境界があった。 67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 23 15.45 ID TxBN4K740 翠星石が考え込むように腕を組んで、唸り言う。 「蒼星石がそう言うなら、そうなんでしょうけど……困った事があったら、すぐ言うですよ?」 「ありがとう」と蒼星石が言った。 突風。翠星石が小さな悲鳴。飛ばされる蒼星石の帽子。 咄嗟に蒼星石が手を伸ばすが届かない、小さな手が空を掴む。 「あーあ、難しい事ばっか考えてるからですよ。今翠星石が取ってきてやるから、そこで待ってろです」 こう言うと翠星石はスカートの裾を掴み、トンと一蹴り給水等から飛び降りた。 「あっ、ちょっと翠星石──」 蒼星石の小さな手が掴んだ空を放すが、翠星石の背中は既にない。 彼女の手は胸元で強く握り締められた。 「翠星石、僕はアリスを目指すよ」 「いんやー帽子の奴が生きてて大変だったですよ」 翠星石が帽子を抱え、給水等の上に戻るが帽子の持ち主の姿は既になかった。 小さな溜息を翠星石がついた。 蒼星石はアリスに成る為にアリスゲームを求め旅立った。 68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 29 17.04 ID TxBN4K740 苺大福の包み紙で作られた鶴が二羽、仲良く机の上で並んでいた。 畳の上にはクレヨンで絵を描かれた画用紙が、何枚も無造作に置かれてあり、 クレヨンケースにある白クレヨンの磨り減り方が他の物に比べ早かった。 部屋の隅にはクラシック鞄が一つ、置いてあった。 ガタガタとスリガラスと木の枠組みがぶつかり合い、玄関のドアが開く音がする。 クラシック鞄が勢い良く開き、中から小さな人形が飛び出した。 小さな人形は部屋の襖を重そうに開き、廊下を革靴を鳴らしながら走り玄関へと急ぐ。 「おかえり、巴!」と言うと、今しがた帰ってきたばかりの女子中学生に飛びついた。 女子中学生は人形を抱きとめ「ただいま雛苺。いい子にしていた?」と聞いた。 「うん、ヒナとってもいい子にしてたの!」 雛苺と呼ばれた人形は、これでもかと言わんばかりの微笑みを顔に詰め込み言った。 「そう、偉いわね。これはお土産」と巴と呼ばれた少女は小さな包みを手渡す。 「うにゅーだあ!」雛苺がそれを両手で受け取り、 「ありがとう巴!」と言った。 「いえいえどういたしまして」と巴が言った。 巴は雛苺を抱いたまま自分の部屋へと戻った。 二人を繋ぎとめる絆だったアリスゲームも、 二人を別つ壁だったアリスゲームも、既になかった。 69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/01/11(金) 03 37 19.93 ID TxBN4K740 何処までも暗く、何処までも深かった。 そんな世界の片隅に彼女は居た。 アリスになる為だけに作られた彼女は、静に消え去ろうとしていた。 彼女のアリスゲームは始まりを迎える事なく、終わったのだ。 70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 03 41 31.52 ID TxBN4K740 雨が降っていた。 鉛色の雲が空を覆い、町は昼間だというのに薄暗い。 軒下から、空を見る瞳で冬の雲を見つめる少女が居た。 その目鼻立ちは整い、印象的な赤い眼をしている。 銀の髪は雨に濡れて白い頬に張り付き、ドレスは夜闇のようになっていた。 そして、空を一睨みしてから、雨の中へと飛び出した。 彼女は古いアパートの一室の窓を手馴れた様子で開け、窓辺へと舞い降りた。 下水を流す音がした。若い男がトイレから出てくる。 「水銀燈?」と男が言うと、水銀燈は瞳を彷徨わせ男へと焦点を合わせた。 彼女が吸った雨水が床に染みを作る。 男は引き出しからタオルを取り出し水銀燈の頭に被せ、 「傘が嫌ならカッパ使えよ……」とガシガシと頭を拭いた。 ヘットドレスの存在を思い出し、タオルから彼女の頭を出す、 「痛い」と水銀燈は言った。 「俺の優しさが篭ってるんだよ」と男はヘットドレスのリボンを解き、 ちゃぶ台へと放り投げると水が潰れる音がした。 71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 03 46 34.95 ID TxBN4K740 水銀燈は頭は再びガシガシと拭かれ、体がそれに合わせて右へ左へと動いた。 次に、髪の毛の腹を拭くために水銀燈の両肩に手をかけ後ろを向かせる。 そして、髪を手に取りタオルに擦り合わせるように拭く。 「痛い」と水銀燈は言った。 「おいおい、ここは痛くないだろ」 手を止めずに拭いていると、水銀燈が肩を震わせている事に気がついた。 不思議に思い、横から水銀燈の顔を覗き込む。 男は水銀燈の両肩に手をかけ、ゆっくりとその身を近づけるが 自分の胸が彼女の頭に触れる直前に動きを止めた。 その顔には迷いと躊躇いが渦を巻いていた。 男はゆっくりと体を引いて、顎を引いた。 口は一文字に結ばれ頬がピクピクと動いている。 男の両手は、濡れた衣服が包む彼女の温もりに縫い付けられていた。 閉じ忘れた窓からは雨が振り込む、雨が降り止む気配はない。 72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/01/11(金) 03 53 20.98 ID TxBN4K740 壁に包まれたシャワーの音が遠くに聞こえていた。 雨はあれからいよいよ本降りへと差し掛る。 あれから僕は水銀燈を浴室に連れて行き、彼女の濡れたドレスを水を張った洗面器につけた。 彼女が下着を脱ぐのを待っていたら、やけに平面的な瞳で見つめられれ、 陶磁器のような肌に張り付いた濡れた下着に一抹の未練を残しながら、 僕はそそくさと脱衣所を後にした。 チビチビとお茶を啜り、つい先ほどの出来事を思い出していた。 濡れ鼠になって帰ってきた水銀燈。目には昨日までの輝きはなく、まるで本当の人形のようだった。 何故あの時、僕は水銀燈を抱きしめられなかったのか。 逃げていたのか。あの時、水銀燈を抱きしめる事によって彼女を受け入れる事に。 僕は彼女を拒絶しているのか? 違う、拒絶はしていない。彼女は僕の全てとさえ思った事もある。 ならば何が? そうだ、あの時僕は彼女の瞳を、表情を覗きこんでしまったのだ。 その奥には、僕には到底計り知れない物が渦巻いていた。 そうだ、僕は躊躇ってしまったのだ。彼女を抱きしめ、彼女がその身を委ねる事に。 僕はあの時の彼女を受けきれる自信がなかった。 怖かったのだ、受け入れられなかったらと考えると。 随分と身勝手な理由だ。彼女が本当に誰かを(僕を?)必要としているかもしれない時に何も出来ない。 今までが 何か出来た気’になっていただけかもしれないが……。 僕は、どうしたらいいのだろうか。 シャワーの音が止まった。ほどなくして風呂場の扉が開く音がした。 次へ