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【うたわれるもの】からの出典 ハクオロの鉄扇 本編ではアルルゥに支給。 いくつもの鉄片を組み合わせた戦闘用の扇。 仕込み刃が出るようになっており、毒を流し込む溝もついている。 弓矢 本編では朝倉涼子に支給。 双子の兄弟であるドリィとグラァの持ち物。 トウカの日本刀 本編では朝倉涼子に支給。 正式名称は「疾風」と言うらしい。 エルルゥの薬箱 本編では朝比奈みくるに支給。 治療系の薬はなく、入っているのは筋力低下剤、嘔吐感をもたらす香、 揮発性幻覚剤、揮発性麻酔薬、興奮剤、覚醒剤などアブナイものばかり エルルゥの傷薬 本編では北条沙都子に支給。 治療用の薬草セット。 オボロの刀 本編ではアーチャーに支給。 二刀流のオボロが用いていた刀であるため、2本セットで支給された。 カルラの剣 本編ではキャスカに支給。 彼女曰く、「それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた 大きくぶ厚く重く そして大雑把すぎた それはまさに鉄塊だった」とのこと。 「絶対に折れず、曲がらず、刃こぼれしない剣」という注文の元に作られた剣で、見た目はなまくら。 斬るというよりも、叩き割るというような使われ方をする。 元々の持ち主であるカルラは、これを軽々と振り回すことができる。
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編集する。 2021-12-08 18 46 38 (Wed) - 涼宮ハルヒの憂鬱とは、谷川流によるライトノベル。 SOS団キョン(本名不明) 涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ) 長門 有希(ながと ゆき) 朝比奈 みくる(あさひな みくる) 古泉 一樹(こいずみ いつき) 準部員など鶴屋さん キョンの妹 谷口 国木田 リンク内部リンク 外部リンク 討論用 情報収集 編集者用ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 SOS団 キョン(本名不明) 団員の中でただ一人の一般人。 入学早々SOS団に入れられた。 頭はあまりよくない。 本編の主人公。 ハルヒの暴走を止める事が出来る唯一の存在である。(変態) 涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ) SOS団団長。 自分勝手であり 本人は気ずいていないが世界をも一変させる程の力を持っている。 明るくプラス思考で非常識なところがおおい。 いわゆるツンデレ。 長門 有希(ながと ゆき) 宇宙人。 文芸部部長、SOS団に真実上団員である。 情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェスである。 みくるや古泉に比べ制限のない能力を持っている。 無口で普段は部室で読書して過ごしている。 空に手をかざして少しあおぐだけでも雲をも動かす事が出来る程の宇宙人である。 朝比奈 みくる(あさひな みくる) 未来人。 ハルヒより1年年上。ハルヒが 無理やり連れてきた女の子。 実は未来から来た人物で。未来の事を聞いても「禁惻事項です。」と言い、未来の事を全く教えてくれない。 恥ずかしがりやで萌え要因。 古泉 一樹(こいずみ いつき) 超能力者。 ハルヒが出現させた生物とまれに対峙する事がある。女生徒に人気で、イケメンであり、実績もかなり良い。 準部員など 鶴屋さん もともとは朝比奈みくるの親友。 テンションが常に高く、ハルヒとも気が合う。 格闘術がとにかく凄い。 キョンの妹 キョンの妹で小学四年生。 性格がかなり単純である。 谷口 キョンの友達でお調子者。 国木田 ハルヒ程ではないが頭がいい。 キョンの友達で普通の生徒。 リンク 内部リンク 涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの憂鬱の登場人物 涼宮ハルヒの憂鬱の用語・設定・場面・解説 外部リンク SOS Dan web site 涼宮ハルヒの憂鬱 特設ファンサイト 涼宮ハルヒの憂鬱・京アニサイト【特報】 涼宮ハルヒシリーズ - Wikipedia 上へ 討論用 名前 コメント すべてのコメントを見る 編集する。 2021-12-08 18 46 38 (Wed) - 情報収集 トラックバック一覧 trackback テクノラティ検索結果 #technorati 口コミ一覧 #bf 関連ブログ一覧 #blogsearch リンク元 #ref_list 上へ 編集者用 ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 上へ
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ミク互換 <△> ねんどろいど方面の専門用語 ねんどろいどの顔部品が、ねんどろいど初音ミクと互換性がある事 自分の好きなキャラクターがミク互換の場合、沢山のねんどろいどの中から、一番好きな顔を選ぶ事が出来る 互換性の最新情報は、ミカタンブログに投稿された「ヘッド互換表」第5版(2009年7月現在) 互換表の確認では、類似の名前にご注意 上の行のみくは、朝比奈みくる(鈴宮ハルヒのシリーズ) 上の行のりんは、九重 りん(こどものじかん) 上の行のカイは、カイト(KAITO)で合っている メモ ねんどろいど鏡音リン、レン、KAITOもミク互換。但し、リン、レンの場合は、逆の互換性がないみたいなのでご注意 リン、レンの頭に、ミクの顔を合わせる事が出来ない ミクの頭に、リン、レンの顔を合わせる事は出来る 関連する記事 専門用語 - ねんどろいど 専門用語 - ねんどろいど初音ミク ニュース - ねんどろいど タグ ねんどろいど フィギュア 初音ミク 専門用語 ま行 MusicMaker MySpace ミク号 ミク互換 ミクさん ミクさんのやっつのひみつ ミクZ4 ミクダヨー ミク厨 ミク廃 MikuMikuDance ミクリーチャー みんなのミクうた 麦ふぁー MEIKO 巡音ルカ 専門用語 ▼あ行 ▼か行 ▼さ行 ▼た行 ▼な行 ▼は行 ▼ま行 ▼や行 用語一覧 上へ お役立ち度( - ) Copyright ©2008-2010 to_dk. _
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NO. タイトル 作者 登場人物 0 オープニング ギガゾンビ、野比のび太、ドラえもん、源静香、富竹ジロウ、古手梨花 1 魔術師少女リリカルりん ◆Bj..N9O6jQ 遠坂凛 2 子供と大人 ◆S8pgx99zVs 銭形警部、骨川スネ夫 3 彼女の最適解 ◆qwglOGQwIk 古手梨花 4 哀しい少年feat無邪気少年 ◆jzEmafGgFA ヘンゼル、野原しんのすけ 5 Ride on shooting star ◆B0yhIEaBOI 園崎魅音、ストレイト・クーガー 6 ルパン三世の憂鬱 ◆9NAb4urvjA ルパン三世、涼宮ハルヒ 7 竜殺し ◆.9Q8uilou6 北条沙都子、佐々木小次郎 8 愛する者の為の騎士 ◆u6VrQNC6KE ソロモン・ゴールドスミス、蒼星石 9 信頼に足る笑顔 ◆7jHdbD/oU2 由詫かなみ、鶴屋さん 10 普通の人間にしか興味はない ◆FbVNUaeKtI キョン、トウカ 11 信じること ◆WzpMn05TJA 前原圭一、竜宮レナ 12 守護者 ID VNbKIF+c アーチャー 13 北方の少年と南方の娘 ◆jC6t70h.xo ゲイナー・サンガ、レヴィ 14 奥様は6インチの魔法少女! ◆tC/hi58lI. 野原みさえ、佐々木小次郎、ガッツ 15 失われた時を求めて ◆k97rDX.Hc. 翠星石、剛田武 16 勝利すべき黄金の剣 ◆/XG/ITgUpI セイバー 17 海より深い父の愛 ◆VhFeOeiffk 先生、野原ひろし 18 お茶会inロワイアル ◆wNr9KR0bsc 君島邦彦、鳳凰寺風 19 喋る豚!ぶりぶりざえモン! ◆UJlsurBQPM 石田ヤマト、ぶりぶりざえもん 20 正義という名の覚悟 ◆bbg7GQM68o 劉鳳 21 闇に包まれた未来 ◆pKH1mSw/N6 朝比奈みくる、カルラ 22 サムライ、もえる ◆v3IQLoJSTY 石川五ェ門、ロベルタ 23 ドラえモンアドベンチャー 漂流? 殺戮の島! ◆I0.ou5lqlA 八神太一、ドラえもん 24 「うん、それ無理」 ◆LXe12sNRSs ルイズ、朝倉涼子 25 飢えた獣と魔法少女 ◆KZj7PmTWPo カズマ、高町なのは 26 鋼鉄の咆哮 ◆XkQ1qdE.bE ヴィータ、アレクサンド・アンデルセン 27 Fact or Fiction? ◆QcxMJGacAM フェイト・T・ハラオウン、長門有希 28 少年の決意 ◆WgWWWgbiY6 平賀=キートン・太一、野比のび太 29 少女の幸運と少女の不幸 ◆FbVNUaeKtI 古手梨花、アルルゥ 30 薔薇の風 ◆Bj..N9O6jQ シグナム、真紅 31 reckless snow wind ◆.9Q8uilou6 タバサ、アーカード 32 不死身のドラキュリーナひとり ◆C1.qFoQXNw セラス・ヴィクトリア 33 最速×騎士×被害者 ◆rsdlcw3Jk6 獅堂光、ストレイト・クーガー、園崎魅音 34 STALKER ◆B0yhIEaBOI 龍咲海、タチコマ、水銀燈 35 静謐な病院 ◆CFbj666Xrw 八神はやて、銭形警部、骨川スネ夫 36 見えない恐怖 female gorilla ◆5VEHREaaO2 ルイズ、草薙素子 37 夜空の再会 ◆lbhhgwAtQE 井尻又兵衛由俊、野原ひろし 38 しっぽの生えた薬師の少女 ◆g3BDer9VZ6 エルルゥ 39 「悪人」の正義 ◆CantuWVYnk 次元大介 40 たのしい遊園地 ◆WgWWWgbiY6 峰不二子、ウォルター・C・ドルネーズ 41 経験過多、経験不足 ◆Bj..N9O6jQ フェイト・T・ハラオウン、カルラ 42 請負人 ◆C0vluWr0so ゲイン・ビジョウ 43 不思議の国のバトー ◆S8pgx99zVs バトー、朝比奈みくる 44 怯える少年 ◆/1XIgPEeCM 桜田ジュン 45 吸血鬼の倒し方 ◆jC6t70h.xo ロック、アーカード 46 弓兵と使い魔、そして皇 ◆FbVNUaeKtI 平賀才人、アーチャー、ハクオロ 47 RESSRRECTION LOUISE~即席のスリーアロー~ ◆hqsGYwUFfw 衛宮士郎、草薙素子、ルイズ 48 復讐の道を行く男、愛に生きる女 ◆qwglOGQwIk ガッツ、野原みさえ、北条沙都子 49 決意の言葉 ◆wlyXYPQOyA 音無小夜、真紅 50 飛び込んで行け、夜へ ◆.9Q8uilou6 キャスカ
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Extra.4 喜緑江美里の報告 こん××は、皆さん。 ご存知の通り、長門さんが自分の分の報告で精一杯の状態なので、代わりに今回はわたし、喜緑江美里が報告します。 題するなら、そうですね……『朝比奈みくるの死闘』とでもしましょうか。なお、わたしは長門さんほど現地語の表記に慣れていないので、一般的な表記で報告します。 何分このような形での報告は慣れていないので、至らない点もあるかとは思いますが、よろしくお願いします(任務の一環として、議事録はよく取ってるんですけどね。)。 文芸部部室。地響きがしている――と思ってください。そして人の声。激しい物音。 ふむ。もうしばらく掛かりそうですね。 遮音領域を展開しているので周囲に音が漏れることはありませんが、このままではわたしもここを離れられません。この部屋に集う面々には、長門さんに足止めしてもらうようお願いしてあります。その他に人が来ることは、まずないでしょう。もし来ても、それはその時にわたしが対応すれば良いでしょうし。 それでは、こうなった発端から、順を追って説明していきましょう。 時間は、放課後直後。涼宮ハルヒが来ているこの部屋に、朝比奈みくるがやってきたところから始まります。 ………… ……… …… … (一度使ってみたかったんですよね、この三点リーダの連続。) 「あれ? 涼宮さん、今日は早いですね?」 「なあに、みくるちゃん? あたしが早く来てたら何か問題があんの?」 「ひっ!? い、いえっ、そんな訳じゃ……」(ひぇぇぇ……今日の涼宮さん、何かすっごく機嫌が悪い……) 彼女は恐る恐る鞄を置いた。 「あの、えっと、着替えますね……」 「みくるちゃん、今日は新しい衣装に挑戦してみましょうか。」 「え……新しい衣装、ですか?」 「そ。」 と言って、ハルヒはある物をみくるに示した。みくるの目が見開かれる。 「ちょ、ぇゑゑゑ!? それって!?」 「スクール水着。」 と簡潔に答えるハルヒ。 「これで男共を悩殺しなさい。」 「そそそそそそそそんなぁああああ!? い、いやですうう!!」 「うるさいっ! 良いから着替える!」 そう叫ぶとハルヒは、みくるの制服に手を掛けた。 「い、いやぁぁぁぁっ!! それだけは、それだけは!!」 その時、嫌がるみくるの肘が、ハルヒの鼻を捉えた。 「つっ……!!」 見る間に吹き出す鼻血。 「あっ……! ご、ごめんなさい、すぐ手当てを……」 「触るなっ!」 「ひっ!?」(うわー、どうしよう……涼宮さん、本気で怒ってる……) 床にいくつかの赤い斑点が作られる。部室をハルヒの不機嫌オーラが満たしていく。みくるは怯えている。 「みくるちゃん……あんた随分偉くなったもんね……」 「ひっ!? そ、そんなこと……」 「ちょっと可愛くて胸が大きいからって、調子乗ってんじゃないの? 図に乗るのも大概にしなさいよ?」 「ち、違いますぅ!!」 「何、そのぶりっ子。男に媚売ってんの?」 「そ、そんなんじゃ……! これは元から……」 「はぁ? 何だって!?」 「う……元からの……元からのものなんですっ!!」 「へぇ~、元から媚売るような口調なんだ? なんだ、生まれついての×××ってわけだ。」 「!! な、何てことを……!!」 「うるさい! あんたなんか、男に媚び売るしか能がない役立たずのくせにっ! 身の程を弁えなさいっ!」 「!?」 みくるが硬直する。 「……やく、たた……ず……?」 「そうよっ! 考えてもみなさいよ! あんた、これまでイベントやら何やらで、一体何してきた!? いつもいつもいつも、おろおろおどおど、キョンにフォローされてばっかりじゃないの! あんたの色香に迷って世話を焼くキョンもキョンだけど、そうやって女を武器に男を惑わすあんたを見てると、ムカムカすんのよ! 汚らわしい!! この×××っ!」 「あ……あたしは……」 「ふん! 泣けば許してくれるのは、すけべな男だけよ!」 「……じゃ、ない……」 「はぁ~ん? 聞こえんなぁ~!?」 「……あたしは……あたしは……っ!!」 みくるはハルヒを真っ直ぐに見据えて叫んだ。 「役立たずなんかじゃないっ!!」 ぱぁん。 みくるの右手が閃き、ハルヒの左頬を正確に捉えた。 「くうっ……今のは効いたわ……」 ハルヒはのけぞりながら呟いた。 「さて、みくるちゃん……団長であるこのあたしに、ここまでのことをしてくれたんだから、当然、覚悟はできてるんでしょうね?」 ハルヒは、仕事に着手した世界随一の狙撃手のような目でみくるを睨み付けた。 「ひくっ!? い、ううっ……」 「役立たずのくせに、生意気なのよあんたはぁぁぁぁ!!」 ハルヒの右正拳突きがみくるのみぞおちにめり込む。 「ぐっ……!」 「鼻血出したあんたの顔はぁぁ! さぞ間抜けでしょうねぇぇぇぇ!!」 今度はハルヒの左肘が、みくるの鼻を直撃する。見る間に鼻血を吹き出すみくる。 (何で……何でこんなことに……お願い……正気に戻って、涼宮さん……) 「何よ、その目はぁぁ!! 気に入らないっ!!」 ハルヒの右後回し蹴りがみくるのこめかみを撃ち抜いた。 「へぇ、まだ立ってられるとはねぇ……執念だけは、それなりにあるんだ。」 ハルヒは余裕の笑みを浮かべる。 「それも、いつまで持つかしら。」 ハルヒの右中段蹴りがみくるを襲う。 次の瞬間。 ハルヒの体が宙を舞った。 ハルヒは混乱していた。何が起こったのか分からない。みくるは、さっきまでハルヒが立っていた位置に、前傾して両手を前に突き出した姿勢で止まっていた。 「さっきから……黙って聞いてれば……人のこと散々好き放題言ってくれて……」 「へぇ、このあたしに楯突こうっての?」 ハルヒは起き上がりながら言った。 「ばかにしないで!!」 と叫ぶみくる。 「あたしだって、あたしだって……」 肩を震わせながらみくるは叫んだ。 「怒るときは怒りますっ!!」 みくるは……キレていた。 「役立たずかどうか、あなたの身体に教えてあげますっ!!」 「上等じゃない……」 部室は、二人から立ち上る闘気で満たされていた。 「今日という今日は、あんたの身体に役立たずの刻印を刻み込んだらあぁぁぁ!!」 二人が交錯する。 ………… ……… …… … という具合に二人の空前絶後の大喧嘩が始まって、今に至る、というわけです。 はっきり言ってこれは、一般的な地球人の女の子同士による喧嘩の範疇を超えています。 涼宮さんは、優れた身体能力の持ち主。女子格闘技大会に出たら、簡単に世界一になれるでしょうね。 そして朝比奈さん。意外に思われるかもしれませんが、彼女は強いんですよ? 何せ時間移動を行う身ですから、彼女達のいる時間平面で使われている便利な道具が、移動先でいつもいつも使えるとは限りません。故障でもしたら、大変です。 そこで彼女達は、特殊な訓練を受けています。主にサバイバル方面で。その中の一つに、武術があります。人間にとって、最後に頼れるのは己の肉体なんですね。男性も女性も、服を着ていれば分からない状態を維持したまま、鍛錬を重ね、『鋼の肉体』を作り上げます。もちろん、幼いとはいえ、彼女も時間移動を行って涼宮さんの監視を行うくらいですから、相当鍛えています。普段は彼女達の言う『禁則事項』に該当するので、身体能力は制限されているようですが、今回彼女は回し蹴りをもらって、生命の危機を感じ、制限が外れたようですね。 ……もっとも、どうやらそれだけでもないみたいですが。その辺りの人間の感情については、長門さんの方が詳しいと思うので解説は譲りますが、わたしにも分かる範囲で言うと、朝比奈さんも表には出しませんが、涼宮さんに含むところがあった。それが今回爆発した、ということでしょう。 それでは彼女達の闘いの流れをお伝えします。敬称略です。 最初は、まだまだ無駄な動きの多い、喧嘩の動きでした。二人でお互いの頬を張り合いながら、怒鳴り合っています。 「この××! ×××! ××が××のくせに××なんて、×××!!」 「(禁則事項)が(禁則事項)だからって、(禁則事項)よっ!!」 上手く言語化できません。ひどい悪口雑言だと思ってください。だんだん過熱した彼女達の動きが鋭くなっていきます。 張ろうとしたハルヒの手首を取って、みくるが逆向きに捻りました。すんでのところでハルヒが振りほどきます。 その隙を突いて、みくるのローキック。これは防ぎます。ハルヒは一歩踏み込んで……猫だまし。みくるの動きが一瞬止まりました。 そのままハルヒはみくるを掴んで豪快に背負い投げ。長机ごと吹き飛ばされるみくる。立ち上がろうとするみくる目掛けて、ハルヒのドロップキック。容赦ない攻撃ですね。 みくるは本棚に叩き付けられました。ハルヒの左正拳突きが追加されます。その瞬間、みくるが動きました。ハルヒの正拳を頭突きで迎撃します。苦悶の表情を浮かべるハルヒ。 解説すると、人間の頭にある骨、頭蓋骨は、最も重要な器官が集中する頭部を保護するため、とても硬く頑丈にできています。殴られ続けるのは危険ですが、防具を何も着けない拳に頭突きで対抗するのは、とても有効な技なんです。あの様子だと……ハルヒは手を骨折したでしょうね。 拳を押さえたために低くなったハルヒの脳天に、みくるの踵落としが突き刺さりました。たまらず倒れるハルヒに、馬乗りになったみくるの拳の雨が降り注ぎます。ハルヒは頭部の防御で精一杯です。上がりきったハルヒの脇を差したみくるは、ハルヒの腕を取ると、一気に極めに行きました。腕拉十字固め。きれいに決まりました。 しかしそこが闘いの非情な所。みくるはハルヒに降参させる機会を与えようとしたのでしょう。肘を一気に折ることはしませんでした。ハルヒには一瞬の余裕が生まれます。ハルヒは迷わず、みくるの脚に噛み付きました。これは『試合』ではありません。『死合い』です。非情になりきれなかったところが、みくるの弱点だったと言えるでしょう。とても彼女らしいですけどね。 一瞬、極める力が弱まりました。すぐにハルヒは脱出します。一気に立ち上がると、みくるにストンピング。本気です。わき腹にもトーキックを入れていますね。みくるに降り注ぐハルヒの足の裏。しかし顔を踏みつけようと、一瞬予備動作が大きくなったのが命取り。 みくるはハルヒの踏みおろす足を捕まえることに成功します。そのままヒールホールド。今度は一切の余裕を与えなかったみたいです。一瞬でハルヒの膝が破壊されました。 再びマウントポジションを取ろうとするみくるにハルヒの目潰し……はかわしましたが、その隙にハルヒはみくるを右腕一本で引き倒します。こんな豪腕にネクタイを掴まれて締め上げられる彼も大変ですね。 ハルヒが上になりますが、もはやほとんどまともに動けません。膝が破壊されていて踏ん張れないので、殴っても大した威力がありません。殴る方が疲れるだけです。 すると彼女は何を思ったか、みくるの豊かな胸を鷲掴みにしました。 「……羨ましい。ああ羨ましい。羨ましい。」 とブツブツ呟くハルヒ。 「痛っ! 離してっ!!」 「このでかい胸……!!」 ハルヒは掴む力を増します。 「あたしにも分けろ――――――――!!」 「それが本音かぁ―――――――――!!」 みくるの拳がハルヒの顎を捉えますが、ハルヒは破壊された膝でみくるを挟んで離れません。何という執念でしょう。再び掴みかかったハルヒは、突然みくるの唇を奪いました。 「んむっ!? んううぅぅ~~~~~!!」 混乱のあまり、みくるの動きが止まります。ハルヒは口付けをしながら、器用にみくるの頚動脈を圧迫しています。苦悶と恍惚が入り混じった表情になるみくる。 余談ですが、このように絞め落とされる瞬間、人間は快感を覚えるのだそうです。 やがて、みくるの身体が動かなくなりました。『落ちた』ようです。 「ぷはっ……やった……!?」 勝利の雄叫びを上げようとした瞬間、ハルヒの身体は崩れ落ちました。 何という執念でしょう。意識を失う瞬間、みくるは四本貫手をハルヒの右脇腹に突き立てていたのです。そこにあるのは、肝臓。人間の急所です。脳内物質の影響でダメージに気付かなかったハルヒですが、みくるを絞め落とし、勝利を確信した瞬間、脳内物質の影響が切れたのでしょう。一気にダメージが押し寄せたのでした。 1R5分19秒、ダブルK.O. タイミングとしてはハルヒの勝ちでしょうが、みくるの有効打撃は落ちる前に入っていた点、そして何より二人の死闘に敬意を表して、ドローということにしましょう。現に、闘いが終わって立っている者はいなかったのですから。 さて。物音が止んだので、わたしも中に入ることにします。 部屋の中は惨劇と言っても良い有様です。机は飛び、本は散らばり、あちこちに血痕があります。お掃除が大変ですね。本と壁に付いた血痕だけは消去することにしましょう。掃除しても取れませんからね。後はそのままにします。部屋の様子が彼女達の記憶と大幅に違ってしまうといけません。 さて、お二人さん。そろそろ目を覚ましてくださいな。 「ん、んううう……」 「あ、ふあああ……」 「どうしたんですか!? 一体何があったんですか!?」 わたしは、さもこの部屋の惨状を見て驚いたように装います。 「んあ、あれ? 確かあなたは……」 「生徒会書記の喜緑江美里ですっ! 一体これは何の騒ぎですか!?」 「ああ、えっと……」 涼宮さんは、朝比奈さんを見ながら言いました。 「ちょっと彼女と、友情を深め合ってたのよ……」 「どんな深め合い方ですか!?」 「あのぉー、それは。」 と朝比奈さん。 「ちょっと言葉だけでは伝え切れないことがあって、その。」 「拳で語り合ってたのよ。」 そう言うと二人は、血まみれの顔で見つめあいました。 「やっぱり涼宮さんには敵いませんね。」 「いやいや、みくるちゃん、あんためちゃくちゃ強かったわよ。」 涼宮さんは、そう言うと朝比奈さんを抱き起こしました。 「ごめんね、あたしの身勝手で酷いことして。」 「いいんですよ、涼宮さんの身勝手は今に始まったことじゃないですし。」 「お、みくるちゃん。言うようになったわね~」 「はい。言いたい事言って、思いっきり殴り合って、なんかすっきりしちゃいました。」 朝比奈さんは、片目を閉じながらぺろっと舌を出しました。 「あんまり言いたいことを溜め込むのは、良くないですね。」 そして朝比奈さんは、涼宮さんの頭を抱き締めて言いました。 「それにしても、涼宮さん。あたしの胸が羨ましかったんですかぁ~。涼宮さんもスタイル良いのにな。」 「それは……」 「キョンくんの視線ですか?」 「!? ば、ばか、ち、違うわよっ!!」 「うふ。ここまで語り合った仲ですよ? 今更隠し事はなしです。」 「むー。」 涼宮さんは、顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。朝比奈さんはそんな彼女を見て優しく微笑んでいます。 二人とも、顔も血まみれで、ボロボロなんですけどね。二人はとても仲が良さそうに見えます。人間の言葉で言うと、『雨降って地固まる』ということでしょうか。雨の降り方が半端じゃないですが、それも涼宮さんだからでしょうね。 「……とにかく、二人ともすごいことになってます。保健室に行きますよ?」 『はぁい。』 二人の声が見事に揃いました。本当に仲良しさんですね。 (了) 文責:喜緑江美里 (補注) 今回、なぜ涼宮ハルヒがここまで暴走したか、不思議に思われるかもしれない。そもそもの原因は、雪山の事件の時と同様、広域体宇宙存在によるコンタクト。今回彼らは、SOS団を仲違いさせ、その反応を観測しようとしたと思われる。しかし、そこに涼宮ハルヒの意識が加わり、ややこしいことになった。 彼女の意識は、仲違いをさせるという意思を感じ取り、とっさにあるものを連想した。それは、『少年まんが』。そこには、夕日を背に、拳で熱く語り合い、友情を深めるという定型が記されている。 それに巻き込まれたのが朝比奈みくるだった。 こう表現すると、彼女にとっては不運だったとしか言いようがない。しかし、実は彼女にもストレスが溜まっており、放置しておくのは良くない状態だった。今回の事件は過激だったが、結果的に朝比奈みくるのストレスをも解消し、正に少年まんがに記された通り、以前より強固な友情で、涼宮ハルヒと朝比奈みくるが結ばれることに役立った。 レアケースだが、このような場合もあるという貴重な例と言えよう。 なお、喜緑江美里は、致命的な損傷以外は彼女達の治療を行っていないが、これも彼女達の記憶との整合性を保つための処置である。 補注文責:長門有希 「報告しときましたよ。」 「ありがとう。協力に感謝する。」 ここは、長門さんのマンションの部屋。わたし、喜緑江美里は、長門さんの代わりに報告を行ったことを伝えるために来ています。わざわざ対面しなくても情報は伝えられるのですけど、長門さんの様子を見たかったこともあって、訪ねてみました。 「長門さんの方は、報告は順調?」 「…………」 首を横に振る長門さん。 「頭の中の情報を文字にするのは、難しい。」 「現地語で報告してるんでしたっけ? 大変ですね。」 「大変。それに……わたしに起きていることを報告するのは、何となく恥ずかしい。」 あらあら。『恥ずかしい』ですか。インターフェイスに、そのような概念が生まれるとは驚きです。わたしにもそのような概念を理解する日が来るのでしょうか。何だか、長門さんがちょっとだけわたし達より進んでいるような気がします。 さて、用も済んだし、お暇することにしましょう。 「待って。」 「何ですか?」 「お礼がしたい。食べていって。」 「あら、夕食をご馳走してくれるんですか? やっぱりカレーでしょうか。」 「そう、カレー。」 と長門さん。 「ただし今回は、香辛料の調合から行った本格派。自信作。」 何となく、長門さんの無表情が、得意気に見えます。 「一人より、二人で取る食事は、美味しい。」 そう言って長門さんは、台所へ向かいました。 「……あなたにも、それを知ってほしい。」 小声で長門さんは、そう呟きました。 【参考:Report.17 長門有希の憂鬱 その6】 |目次|Extra.5→|
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Extra.4 喜緑江美里の報告 こん××は、皆さん。 ご存知の通り、長門さんが自分の分の報告で精一杯の状態なので、代わりに今回はわたし、喜緑江美里が報告します。 題するなら、そうですね……『朝比奈みくるの死闘』とでもしましょうか。なお、わたしは長門さんほど現地語の表記に慣れていないので、一般的な表記で報告します。 何分このような形での報告は慣れていないので、至らない点もあるかとは思いますが、よろしくお願いします(任務の一環として、議事録はよく取ってるんですけどね。)。 文芸部部室。地響きがしている――と思ってください。そして人の声。激しい物音。 ふむ。もうしばらく掛かりそうですね。 遮音領域を展開しているので周囲に音が漏れることはありませんが、このままではわたしもここを離れられません。この部屋に集う面々には、長門さんに足止めしてもらうようお願いしてあります。その他に人が来ることは、まずないでしょう。もし来ても、それはその時にわたしが対応すれば良いでしょうし。 それでは、こうなった発端から、順を追って説明していきましょう。 時間は、放課後直後。涼宮ハルヒが来ているこの部屋に、朝比奈みくるがやってきたところから始まります。 ………… ……… …… … (一度使ってみたかったんですよね、この三点リーダの連続。) 「あれ? 涼宮さん、今日は早いですね?」 「なあに、みくるちゃん? あたしが早く来てたら何か問題があんの?」 「ひっ!? い、いえっ、そんな訳じゃ……」(ひぇぇぇ……今日の涼宮さん、何かすっごく機嫌が悪い……) 彼女は恐る恐る鞄を置いた。 「あの、えっと、着替えますね……」 「みくるちゃん、今日は新しい衣装に挑戦してみましょうか。」 「え……新しい衣装、ですか?」 「そ。」 と言って、ハルヒはある物をみくるに示した。みくるの目が見開かれる。 「ちょ、ぇゑゑゑ!? それって!?」 「スクール水着。」 と簡潔に答えるハルヒ。 「これで男共を悩殺しなさい。」 「そそそそそそそそんなぁああああ!? い、いやですうう!!」 「うるさいっ! 良いから着替える!」 そう叫ぶとハルヒは、みくるの制服に手を掛けた。 「い、いやぁぁぁぁっ!! それだけは、それだけは!!」 その時、嫌がるみくるの肘が、ハルヒの鼻を捉えた。 「つっ……!!」 見る間に吹き出す鼻血。 「あっ……! ご、ごめんなさい、すぐ手当てを……」 「触るなっ!」 「ひっ!?」(うわー、どうしよう……涼宮さん、本気で怒ってる……) 床にいくつかの赤い斑点が作られる。部室をハルヒの不機嫌オーラが満たしていく。みくるは怯えている。 「みくるちゃん……あんた随分偉くなったもんね……」 「ひっ!? そ、そんなこと……」 「ちょっと可愛くて胸が大きいからって、調子乗ってんじゃないの? 図に乗るのも大概にしなさいよ?」 「ち、違いますぅ!!」 「何、そのぶりっ子。男に媚売ってんの?」 「そ、そんなんじゃ……! これは元から……」 「はぁ? 何だって!?」 「う……元からの……元からのものなんですっ!!」 「へぇ~、元から媚売るような口調なんだ? なんだ、生まれついての×××ってわけだ。」 「!! な、何てことを……!!」 「うるさい! あんたなんか、男に媚び売るしか能がない役立たずのくせにっ! 身の程を弁えなさいっ!」 「!?」 みくるが硬直する。 「……やく、たた……ず……?」 「そうよっ! 考えてもみなさいよ! あんた、これまでイベントやら何やらで、一体何してきた!? いつもいつもいつも、おろおろおどおど、キョンにフォローされてばっかりじゃないの! あんたの色香に迷って世話を焼くキョンもキョンだけど、そうやって女を武器に男を惑わすあんたを見てると、ムカムカすんのよ! 汚らわしい!! この×××っ!」 「あ……あたしは……」 「ふん! 泣けば許してくれるのは、すけべな男だけよ!」 「……じゃ、ない……」 「はぁ~ん? 聞こえんなぁ~!?」 「……あたしは……あたしは……っ!!」 みくるはハルヒを真っ直ぐに見据えて叫んだ。 「役立たずなんかじゃないっ!!」 ぱぁん。 みくるの右手が閃き、ハルヒの左頬を正確に捉えた。 「くうっ……今のは効いたわ……」 ハルヒはのけぞりながら呟いた。 「さて、みくるちゃん……団長であるこのあたしに、ここまでのことをしてくれたんだから、当然、覚悟はできてるんでしょうね?」 ハルヒは、仕事に着手した世界随一の狙撃手のような目でみくるを睨み付けた。 「ひくっ!? い、ううっ……」 「役立たずのくせに、生意気なのよあんたはぁぁぁぁ!!」 ハルヒの右正拳突きがみくるのみぞおちにめり込む。 「ぐっ……!」 「鼻血出したあんたの顔はぁぁ! さぞ間抜けでしょうねぇぇぇぇ!!」 今度はハルヒの左肘が、みくるの鼻を直撃する。見る間に鼻血を吹き出すみくる。 (何で……何でこんなことに……お願い……正気に戻って、涼宮さん……) 「何よ、その目はぁぁ!! 気に入らないっ!!」 ハルヒの右後回し蹴りがみくるのこめかみを撃ち抜いた。 「へぇ、まだ立ってられるとはねぇ……執念だけは、それなりにあるんだ。」 ハルヒは余裕の笑みを浮かべる。 「それも、いつまで持つかしら。」 ハルヒの右中段蹴りがみくるを襲う。 次の瞬間。 ハルヒの体が宙を舞った。 ハルヒは混乱していた。何が起こったのか分からない。みくるは、さっきまでハルヒが立っていた位置に、前傾して両手を前に突き出した姿勢で止まっていた。 「さっきから……黙って聞いてれば……人のこと散々好き放題言ってくれて……」 「へぇ、このあたしに楯突こうっての?」 ハルヒは起き上がりながら言った。 「ばかにしないで!!」 と叫ぶみくる。 「あたしだって、あたしだって……」 肩を震わせながらみくるは叫んだ。 「怒るときは怒りますっ!!」 みくるは……キレていた。 「役立たずかどうか、あなたの身体に教えてあげますっ!!」 「上等じゃない……」 部室は、二人から立ち上る闘気で満たされていた。 「今日という今日は、あんたの身体に役立たずの刻印を刻み込んだらあぁぁぁ!!」 二人が交錯する。 ………… ……… …… … という具合に二人の空前絶後の大喧嘩が始まって、今に至る、というわけです。 はっきり言ってこれは、一般的な地球人の女の子同士による喧嘩の範疇を超えています。 涼宮さんは、優れた身体能力の持ち主。女子格闘技大会に出たら、簡単に世界一になれるでしょうね。 そして朝比奈さん。意外に思われるかもしれませんが、彼女は強いんですよ? 何せ時間移動を行う身ですから、彼女達のいる時間平面で使われている便利な道具が、移動先でいつもいつも使えるとは限りません。故障でもしたら、大変です。 そこで彼女達は、特殊な訓練を受けています。主にサバイバル方面で。その中の一つに、武術があります。人間にとって、最後に頼れるのは己の肉体なんですね。男性も女性も、服を着ていれば分からない状態を維持したまま、鍛錬を重ね、『鋼の肉体』を作り上げます。もちろん、幼いとはいえ、彼女も時間移動を行って涼宮さんの監視を行うくらいですから、相当鍛えています。普段は彼女達の言う『禁則事項』に該当するので、身体能力は制限されているようですが、今回彼女は回し蹴りをもらって、生命の危機を感じ、制限が外れたようですね。 ……もっとも、どうやらそれだけでもないみたいですが。その辺りの人間の感情については、長門さんの方が詳しいと思うので解説は譲りますが、わたしにも分かる範囲で言うと、朝比奈さんも表には出しませんが、涼宮さんに含むところがあった。それが今回爆発した、ということでしょう。 それでは彼女達の闘いの流れをお伝えします。敬称略です。 最初は、まだまだ無駄な動きの多い、喧嘩の動きでした。二人でお互いの頬を張り合いながら、怒鳴り合っています。 「この××! ×××! ××が××のくせに××なんて、×××!!」 「(禁則事項)が(禁則事項)だからって、(禁則事項)よっ!!」 上手く言語化できません。ひどい悪口雑言だと思ってください。だんだん過熱した彼女達の動きが鋭くなっていきます。 張ろうとしたハルヒの手首を取って、みくるが逆向きに捻りました。すんでのところでハルヒが振りほどきます。 その隙を突いて、みくるのローキック。これは防ぎます。ハルヒは一歩踏み込んで……猫だまし。みくるの動きが一瞬止まりました。 そのままハルヒはみくるを掴んで豪快に背負い投げ。長机ごと吹き飛ばされるみくる。立ち上がろうとするみくる目掛けて、ハルヒのドロップキック。容赦ない攻撃ですね。 みくるは本棚に叩き付けられました。ハルヒの左正拳突きが追加されます。その瞬間、みくるが動きました。ハルヒの正拳を頭突きで迎撃します。苦悶の表情を浮かべるハルヒ。 解説すると、人間の頭にある骨、頭蓋骨は、最も重要な器官が集中する頭部を保護するため、とても硬く頑丈にできています。殴られ続けるのは危険ですが、防具を何も着けない拳に頭突きで対抗するのは、とても有効な技なんです。あの様子だと……ハルヒは手を骨折したでしょうね。 拳を押さえたために低くなったハルヒの脳天に、みくるの踵落としが突き刺さりました。たまらず倒れるハルヒに、馬乗りになったみくるの拳の雨が降り注ぎます。ハルヒは頭部の防御で精一杯です。上がりきったハルヒの脇を差したみくるは、ハルヒの腕を取ると、一気に極めに行きました。腕拉十字固め。きれいに決まりました。 しかしそこが闘いの非情な所。みくるはハルヒに降参させる機会を与えようとしたのでしょう。肘を一気に折ることはしませんでした。ハルヒには一瞬の余裕が生まれます。ハルヒは迷わず、みくるの脚に噛み付きました。これは『試合』ではありません。『死合い』です。非情になりきれなかったところが、みくるの弱点だったと言えるでしょう。とても彼女らしいですけどね。 一瞬、極める力が弱まりました。すぐにハルヒは脱出します。一気に立ち上がると、みくるにストンピング。本気です。わき腹にもトーキックを入れていますね。みくるに降り注ぐハルヒの足の裏。しかし顔を踏みつけようと、一瞬予備動作が大きくなったのが命取り。 みくるはハルヒの踏みおろす足を捕まえることに成功します。そのままヒールホールド。今度は一切の余裕を与えなかったみたいです。一瞬でハルヒの膝が破壊されました。 再びマウントポジションを取ろうとするみくるにハルヒの目潰し……はかわしましたが、その隙にハルヒはみくるを右腕一本で引き倒します。こんな豪腕にネクタイを掴まれて締め上げられる彼も大変ですね。 ハルヒが上になりますが、もはやほとんどまともに動けません。膝が破壊されていて踏ん張れないので、殴っても大した威力がありません。殴る方が疲れるだけです。 すると彼女は何を思ったか、みくるの豊かな胸を鷲掴みにしました。 「……羨ましい。ああ羨ましい。羨ましい。」 とブツブツ呟くハルヒ。 「痛っ! 離してっ!!」 「このでかい胸……!!」 ハルヒは掴む力を増します。 「あたしにも分けろ――――――――!!」 「それが本音かぁ―――――――――!!」 みくるの拳がハルヒの顎を捉えますが、ハルヒは破壊された膝でみくるを挟んで離れません。何という執念でしょう。再び掴みかかったハルヒは、突然みくるの唇を奪いました。 「んむっ!? んううぅぅ~~~~~!!」 混乱のあまり、みくるの動きが止まります。ハルヒは口付けをしながら、器用にみくるの頚動脈を圧迫しています。苦悶と恍惚が入り混じった表情になるみくる。 余談ですが、このように絞め落とされる瞬間、人間は快感を覚えるのだそうです。 やがて、みくるの身体が動かなくなりました。『落ちた』ようです。 「ぷはっ……やった……!?」 勝利の雄叫びを上げようとした瞬間、ハルヒの身体は崩れ落ちました。 何という執念でしょう。意識を失う瞬間、みくるは四本貫手をハルヒの右脇腹に突き立てていたのです。そこにあるのは、肝臓。人間の急所です。脳内物質の影響でダメージに気付かなかったハルヒですが、みくるを絞め落とし、勝利を確信した瞬間、脳内物質の影響が切れたのでしょう。一気にダメージが押し寄せたのでした。 1R5分19秒、ダブルK.O. タイミングとしてはハルヒの勝ちでしょうが、みくるの有効打撃は落ちる前に入っていた点、そして何より二人の死闘に敬意を表して、ドローということにしましょう。現に、闘いが終わって立っている者はいなかったのですから。 さて。物音が止んだので、わたしも中に入ることにします。 部屋の中は惨劇と言っても良い有様です。机は飛び、本は散らばり、あちこちに血痕があります。お掃除が大変ですね。本と壁に付いた血痕だけは消去することにしましょう。掃除しても取れませんからね。後はそのままにします。部屋の様子が彼女達の記憶と大幅に違ってしまうといけません。 さて、お二人さん。そろそろ目を覚ましてくださいな。 「ん、んううう……」 「あ、ふあああ……」 「どうしたんですか!? 一体何があったんですか!?」 わたしは、さもこの部屋の惨状を見て驚いたように装います。 「んあ、あれ? 確かあなたは……」 「生徒会書記の喜緑江美里ですっ! 一体これは何の騒ぎですか!?」 「ああ、えっと……」 涼宮さんは、朝比奈さんを見ながら言いました。 「ちょっと彼女と、友情を深め合ってたのよ……」 「どんな深め合い方ですか!?」 「あのぉー、それは。」 と朝比奈さん。 「ちょっと言葉だけでは伝え切れないことがあって、その。」 「拳で語り合ってたのよ。」 そう言うと二人は、血まみれの顔で見つめあいました。 「やっぱり涼宮さんには敵いませんね。」 「いやいや、みくるちゃん、あんためちゃくちゃ強かったわよ。」 涼宮さんは、そう言うと朝比奈さんを抱き起こしました。 「ごめんね、あたしの身勝手で酷いことして。」 「いいんですよ、涼宮さんの身勝手は今に始まったことじゃないですし。」 「お、みくるちゃん。言うようになったわね~」 「はい。言いたい事言って、思いっきり殴り合って、なんかすっきりしちゃいました。」 朝比奈さんは、片目を閉じながらぺろっと舌を出しました。 「あんまり言いたいことを溜め込むのは、良くないですね。」 そして朝比奈さんは、涼宮さんの頭を抱き締めて言いました。 「それにしても、涼宮さん。あたしの胸が羨ましかったんですかぁ~。涼宮さんもスタイル良いのにな。」 「それは……」 「キョンくんの視線ですか?」 「!? ば、ばか、ち、違うわよっ!!」 「うふ。ここまで語り合った仲ですよ? 今更隠し事はなしです。」 「むー。」 涼宮さんは、顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。朝比奈さんはそんな彼女を見て優しく微笑んでいます。 二人とも、顔も血まみれで、ボロボロなんですけどね。二人はとても仲が良さそうに見えます。人間の言葉で言うと、『雨降って地固まる』ということでしょうか。雨の降り方が半端じゃないですが、それも涼宮さんだからでしょうね。 「……とにかく、二人ともすごいことになってます。保健室に行きますよ?」 『はぁい。』 二人の声が見事に揃いました。本当に仲良しさんですね。 (了) 文責:喜緑江美里 (補注) 今回、なぜ涼宮ハルヒがここまで暴走したか、不思議に思われるかもしれない。そもそもの原因は、雪山の事件の時と同様、広域体宇宙存在によるコンタクト。今回彼らは、SOS団を仲違いさせ、その反応を観測しようとしたと思われる。しかし、そこに涼宮ハルヒの意識が加わり、ややこしいことになった。 彼女の意識は、仲違いをさせるという意思を感じ取り、とっさにあるものを連想した。それは、『少年まんが』。そこには、夕日を背に、拳で熱く語り合い、友情を深めるという定型が記されている。 それに巻き込まれたのが朝比奈みくるだった。 こう表現すると、彼女にとっては不運だったとしか言いようがない。しかし、実は彼女にもストレスが溜まっており、放置しておくのは良くない状態だった。今回の事件は過激だったが、結果的に朝比奈みくるのストレスをも解消し、正に少年まんがに記された通り、以前より強固な友情で、涼宮ハルヒと朝比奈みくるが結ばれることに役立った。 レアケースだが、このような場合もあるという貴重な例と言えよう。 なお、喜緑江美里は、致命的な損傷以外は彼女達の治療を行っていないが、これも彼女達の記憶との整合性を保つための処置である。 補注文責:長門有希 「報告しときましたよ。」 「ありがとう。協力に感謝する。」 ここは、長門さんのマンションの部屋。わたし、喜緑江美里は、長門さんの代わりに報告を行ったことを伝えるために来ています。わざわざ対面しなくても情報は伝えられるのですけど、長門さんの様子を見たかったこともあって、訪ねてみました。 「長門さんの方は、報告は順調?」 「…………」 首を横に振る長門さん。 「頭の中の情報を文字にするのは、難しい。」 「現地語で報告してるんでしたっけ? 大変ですね。」 「大変。それに……わたしに起きていることを報告するのは、何となく恥ずかしい。」 あらあら。『恥ずかしい』ですか。インターフェイスに、そのような概念が生まれるとは驚きです。わたしにもそのような概念を理解する日が来るのでしょうか。何だか、長門さんがちょっとだけわたし達より進んでいるような気がします。 さて、用も済んだし、お暇することにしましょう。 「待って。」 「何ですか?」 「お礼がしたい。食べていって。」 「あら、夕食をご馳走してくれるんですか? やっぱりカレーでしょうか。」 「そう、カレー。」 と長門さん。 「ただし今回は、香辛料の調合から行った本格派。自信作。」 何となく、長門さんの無表情が、得意気に見えます。 「一人より、二人で取る食事は、美味しい。」 そう言って長門さんは、台所へ向かいました。 「……あなたにも、それを知ってほしい。」 小声で長門さんは、そう呟きました。 【参考:Report.17 長門有希の憂鬱 その6】 |目次|Extra.5→|
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人物画像 登場作品 基本情報 性格・容姿 正体 能力時間移動 その他(対極関係者) 脚注 関連記事 関連人物 人物画像 登場作品 第7巻『涼宮ハルヒの陰謀』 第9巻『涼宮ハルヒの分裂』 第10巻『涼宮ハルヒの驚愕(前)』 第11巻『涼宮ハルヒの驚愕(後)』 基本情報 初登場は第7巻『陰謀』で、キョンがみくる(みちる)とともにパンジーの花壇にて、謎のデータ記憶媒体を捜している際に登場する。 その後、第9巻『分裂』にて再登場し、この時初めて名前が判明するが、キョンのモノローグからして偽名だと思われる(それまでは「未来人野郎」の仮称だった)【1】。 古泉の台詞からして、みくる(みちる)誘拐事件を実行する際に中心となった人物だと思われる【2】。 性格・容姿 一人称は「僕」。ハルヒらと同年代の男で、過去の人間を見下すような態度をとる冷酷な性格であり、冷静。ラフな服装である。 また、その性格とは裏腹に素直に笑う場面もあるが、笑う理由が分からぬままスタンダード高校生トリオを茫然とした空気にさせた。 正体 みくると対を成す未来人。 みくるとは別の組織に所属していると思われ、現在とは地続きの、別の未来から時間遡行してきている。初の顔見せをした際はみくるを目の敵にしているような表情を浮かべた。 ハルヒ個人に関しては、特にこれといった感情を持ち合わせていないらしく、時空改変能力という力そのものを重要視しているようだ。 過去に朝比奈さん(大)と何かしら因縁があり、「姉」を失った自分の時代を過去から改変させることが目的であった。 その姉とは朝比奈さん(大)であり、彼女のことを「姉さん」と呼んでいるが、朝比奈さん(大)は自分には弟はいないと話し、 「あなたの時間線上にいたその人はわたしと違う」と語っている。 九曜と手を組んで佐々木と橘を利用し、長門とハルヒを人質にとってハルヒの能力を佐々木に移植、その能力で歴史を無理矢理改変しようとしたが、その目的は 他ならぬハルヒ自身によって阻止され、新たに生じた時間断層によって「現代」との時間の繋がりを途絶えさせられる。古泉曰く「二度と出てこられないだろう」。 能力 時間移動 みくると同様の手段で限定的な時空移動をしていると思われる【3】。 橘京子や周防九曜のように特別な力というものも殆ど無いため、能力的には殆ど普通の人間である。 その他(対極関係者) 朝比奈みくる 脚注 第9巻『分裂』185頁(β-4)より。キョン曰く「偽名でないほうが不思議なそいつの自称」。 第9巻『分裂』167(β-2)、170頁(α-3)より。古泉は橘が未来人(藤原)の甘言に乗せられて起こした事件であると推測している。 第7巻『陰謀』391~392頁より。朝比奈さん(大)曰く「それ(謎のデータ記憶媒体)は彼らの未来にも必要なもの」。 関連記事 未来人関連 関連人物 キョン 佐々木 橘京子 周防九曜
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よろしいならば参加者だ ※作品名は外部サイト「wikipedia」の該当部分へリンクしています。 6/6【涼宮ハルヒの憂鬱】 ○キョン/○涼宮ハルヒ/○朝倉涼子/○キョンの妹/○古泉一樹/○朝比奈みくる 6/6【キン肉マンシリーズ】 ○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○悪魔将軍/○ウォーズマン/○アシュラマン/○オメガマン 6/6【モンスターファーム~円盤石の秘密~】 ○佐倉ゲンキ/○モッチー/○スエゾー/○ホリィ/○ハム/○ナーガ 6/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 ○高町なのは/○スバル・ナカジマ/○フェイト・T・ハラオウン/○セイン/○ノーヴェ/○ヴィヴィオ 5/5【ケロロ軍曹】 ○ケロロ軍曹/○日向冬樹/○タママ二等兵/○ドロロ兵長/○ガルル中尉 4/4【スレイヤーズREVOLUTION】 ○リナ=インバース/○ゼルガディス/○ゼロス/○ラドック=ランザード 4/4【新世紀エヴァンゲリオン】 ○碇シンジ/○加持リョウジ/○惣流・アスカ・ラングレー/○冬月コウゾウ 4/4【強殖装甲ガイバー】 ○深町晶/○アプトム/○ネオ・ゼクトール/○リヒャルト・ギュオー 4/4【砂ぼうず】 ○水野灌太(砂ぼうず)/○小泉太湖(小砂)/○川口夏子/○雨蜘蛛 3/3【となりのトトロ】 ○トトロ/○草壁サツキ/○草壁メイ 48/48
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No. タイトル 登場人物 000 OP キョンくんの憂鬱 キョン、消失ハルヒ、イヨク青木 001 ライダーと怪人とただの人 小野寺ユウスケ、黒井ななこ、ベガ(タカロイド) 002 第二楽章♪キバの凡人 キョン 003 わしは全宇宙でもっとも押されたい存在なのじゃ トムじいさん、ガイ(アポロガイスト) 004 ゲームセンターY.N 長門有希 005 北郷軍の猛将たち 甘寧、呂布子 006 狂戦士に刃物 愛紗、柊つかさ 007 魔王飛翔 ハンス・ウルリッヒ・ルーデル、鶴屋さん 008 第八幕 見参魔道侍 腑破十臓 009 新ジャンル「頼んでもいないのにジョーカー」 GR孔明 010 ガーディアン 國木田、イシヅカンダーV 011 三国最強 呂奉先 朱拠、森さん、呂布 012 親バカと聖女と相談中 柊かがみ、空気王 013 罪と罰 高良みゆき、ジュクの秀(小島秀範) 014 仮面ライダー、その名の意味 鎌田、滝和也、甘寧 015 ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね 朝比奈みくる、うおのめ 016 警告:ダブト謀想中 骨のシタリ、立花藤兵衛、弟切ソウ 017 さすがに1歳児は守備範囲外 北郷一刀、あちゃくらりょうこ 018 涼宮ハルヒの邂逅 涼宮ハルヒちゃん、涼宮ハルヒ 019 離れ小島を出よう! 古泉一樹 020 龍我 傭兵将軍ドットーレ、アレルヤ(呂布子曹操)
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仮説4 情報統合思念体 仮説5との関連がなくなったので改造された元の文章 ゼロポイント時間 ドローポーカー4のフォーカード time brain destroid device(脳内の時間の概念を壊してしまう) キョンの仮死状態でみくる扮する巫女が出てくる 巫女衣装にするか (仮死状態で長門の父親に会うキョン) その日の夕方、ハルヒがすき焼きをするからと俺たちを自分のアパートに呼んだ。珍しいこともあるもんだ。 「ずっと牛肉食べたかったのよ。もう宮廷料理には飽き飽きだわ」 あれは宮廷というより精進料理に近い気がするが。添加物も化学調味料も入ってなくて実にヘルシーだ。そのせいか、少し太った気がする。この歳で中年太りなんて嫌だぞ。 「皆さん、トランプでもしませんか」 古泉がポケットからカードを取り出した。わざわざ持ってくるところなんざ、お前らしい。清く正しい日本文化を堪能した後なのでここは花札で盛り上がりたい気分なんだが、朝比奈さんがルールを知っているかどうか怪しいからトランプにしとこう。 「レートは?」 「遊びだからノーレートでいいですよ」 まあ古泉相手じゃ巻き上げるのもなんだしな。 古泉がしゃかしゃかとカードを切って全員分配った。手札をめくってみるといきなり4のフォーカードだった。 「な、なあ。レート上げないか」 「なによ、急にツキが回ってきたからってそれは許さないわよ」 チッ。今日はなんだか一生に一度の大博打が打てそうなポーカー放浪記な気分だったのに。俺はベットを続けて手札を見せた。 「なによこれ!イカサマだわ」 「なに言ってんだか。これが大人のポーカーってやつだよ」 俺はフフンと鼻を鳴らしてみたんだが、ズズッとしか鳴らなかったのは非常にくやしい。 ノーレートのときに限っていい手が回ってくるもんなんだ。二度目の札は……。 「ありえん」 俺は手札を見せた。札交換なしの4のフォーカードだった。 これは偶然ではあるまい。ちゃんと古泉がシャッフルするところを見たし、札も上から出していた。仮に古泉がやったんだとしてもそこまでして俺を勝たせる理由がない。 このカードの意味はいったい何だ。俺の潜在意識が語りかけているのか、あるいは未来からのメッセージか、はたまた宇宙からの御宣託にちがいない。誰が送ったにせよ、俺にそんなメッセージが来ることはこれからなにかヤバイことが起るか起りつつあるってことだ。あるいはすでにその渦中にいるのかもしれん。 俺がハルヒを見ながらそんなことを考えていると、ハルヒが眉毛をピクと上げた。 「キョン、あんたどんな魔法使ったのよ」 「断じて違う。魔法なんかじゃない」 「嘘。たった今超能力に目覚めましたって顔をしたわよ。教えなさい」 お前はいつから古泉ファミリーになったんだ。 「言わないとすっごく楽しいことしてあげるわよぉ、キヒヒ」 ハルヒが両手を熊手のように指を鉤状にしてゆらゆらと曲げ伸ばし、盛った雄ネコが怯える雌ネコを見るときのようなニタニタ笑いを浮かべた。酒が回ってんなこいつは。 「うわ、なにするやめっギャハハハ」 「笑いながら悶え死ぬがいいわ」 ハルヒは俺の腕を後ろ手にして羽交い絞めにし、わき腹をくすぐった。悶える以前に息ができん。正直、笑いのツボを押さえすぎ。 「さあっあんたたちも手伝いなさい」 ハルヒの部下三人は『朝比奈みくるの冒険 Episode_00』のちょい役だった鶴屋さんバリの演出で、両手をかかげて俺に迫ってきた。やめれ~古泉、あとで覚えてろよ。長門も笑いをこらえた無表情でくすぐってんじゃない。朝比奈さん、あなたにそんなことをされては俺は昇天してしまいま……アーッ。 「さっさとゲロ吐いてしまいなさい」 さっき食ったもんをまじで吐いてしまいそうなんだが。あれれ、なんだか視界が白く光ってきたぞ、おい。 そこからの映像は、俺の脳内では音声のみでお送りされた模様。 「たいへん!キョンが息してない」 「なんですって!?」 「顔が笑ったまんま意識不明よ。救急車、救急車呼んで」 「瞳孔が開いてますね。人工呼吸をしてみてはいかがでしょうか」 「そ、そうね。やっぱりマウスツーマウスよね」 「僕がやりましょうか。いちおう救急救命法のレクチャーを受けています」 うわ、まじでやめて。ハルヒが、いいえあたしがやるわ!と叫ぶ声を最後に、どう見ても笑えない状況なのに笑いながら昇天するという幸せなのか不幸なのか観客も混乱しそうなシチュエーションで幕を閉じた。最後の願いは、人工呼吸はせめて長門にやってもらいたかった、それだけだった。長門スマン、とうとうひとりにしちまったな。先に逝くぜ。 ここは、どこ。 目を覚ますと、なんて状況ではなくて目蓋は最初から開いていた。白く光る映像が少しずつ明度を下げ、なんとなくそこが、地上の界隈とは違う雰囲気を醸しているということを理解しつつあった。 俺はゆっくりと起き上がって両腕をさすった。白いトレーナーのような服を着せられている。実感はある。触覚もある。頬をパシパシと叩いてみたが痛覚もある。夢じゃないようだ。俺は白いベットのような台に寝かされていた。マットレスではなく、柔らかくも固くもない不思議な素材で出来ているようだ。 ベットの下にゆっくりと白い靄が流れていた。雲の上なのかと思って足で探ってみたが、ちゃんと床があって安心した。 俺はベットから足を降ろし、歩けることを確認して両足で立った。 「どこだここは」 誰かが聞いているわけでもないのに、もしかしたら誰かが聞いているかもしれないという期待がひとりごとを生んだ。 そこは部屋ではなく壁も天井もない空間だった。地平線らしいものは見えず、白くぼんやりとした光が頭上から差していた。振り向くと、ベットは支えがなく宙に浮いていた。空中に固定されているといったほうがいいか。 「誰かいるのか」 叫んでみた。音の反射はなく、声が四方に吸い込まれていくような感覚だ。 「俺は死んだのか?」 「左様。数ある死因の中でもお前のはユニーク度ランキング上位に属する」 振り返ると、どこかで見たことのある少女がそこに立っていた。白衣に赤いハカマを着て、背中に大きな羽根があり、後光が差している。なんかのアニメで見たような格好だな。頭の上に浮いてるのは天使の輪? 「あ、朝比奈さんじゃないですか。なんてかっこしてんですか」 「ほう。お前にはわしが朝比奈みくるに見えるのか」 一人称がわしの朝比奈さんは意表を突いててすごく萌えますよ。 「だってそうじゃないですか、その顔と体型はどうみても」 「わしは朝比奈みくるではない。お前の記憶が相対的にそう見せているにすぎない」 「ほんとに?その胸は朝比奈さん以外のなにものでもない気がしますが。ちょっと谷間見せてもらえませんか」 朝比奈さんの胸に触れるなどと俺も血迷っていたのかもしれないが、その朝比奈さんの姿をした何者かが烈火のごとく怒った。 「ぶ、無礼ものぉぉぉ」 周囲百キロに響き渡ろうかという怒号が雷鳴と共に鼓膜を直撃した。白と黄色の稲妻がいくつも走り俺の体を流れた。呆然とした俺の体から湯気が立ち、髪の毛からプスプスと煙が出ていた。 「痛いじゃないですか、感電死したらどうするんですか」 「お前はすでに死んでいる」 いつもなら、ひでぶっ、とか返すところなのだが、こいつに通用するのかわからないネタなのでやめとこう。 「俺は死んだんですか」 「そのとおりだ無礼者め」 「想像してた死に様とはだいぶ違ったな。もっとこう、みんなに惜しまれつつベートーベンの第九合唱でも聞こえそうなシーンを予想してたんだが」 「贅沢な妄想だな。無礼なお前には笑いながら悶死するのが相応だ」 「無礼無礼と連呼しないでくださいよ。人違いだったんですから」 「人違いでも胸に触れるなど言語道断」 「そうですよね。すいませんでした」 「まあいい」 「ところで、あなたは誰なんですか。神様?」 「お前がそう思うならそう呼べばよかろう」 「じゃあ神様、ここはどこなんですか」 「お前の思考には存在しない領域だ」 「死んだってことは天国ってことですかね」 「お前も罪作りなやつだ。女の子を三人も泣かせてしまったぞ」 「あそうだ。あいつらどうなったんですか、俺の体は」 「涼宮ハルヒは過失致死罪で目下服役中だ。古泉一樹は共犯、朝比奈みくると長門有希は解任。葬儀は社蔡で執り行われた」 「ってことは、俺が死んでからどれくらい経つんです?」 「ここでは時間の概念などどうにでもなる。時間は空間と同じだ」 この言い方、なにか覚えがあるぞ。誰かが同じことを言っていたような。 「あなたはもしかして情報統合思念体の人ですか」 「まあそのような者だ」 「ってことは長門のパパさん?」 「父親という概念はないが、そう思ってもらっても差し支えんだろう」 「こ、これは失礼しました。まさかお父さんだったとは。娘さんにはいろいろとお世話に……はい」 「まったく有希の趣味が理解しかねる。こんなチャランポランなどうでもいい男のどこが……。それはまあいいとしよう」 なにがいいんだかなにを怒ってるんだか分からないが、この思念体は俺と長門が付き合っていることが気に食わないようだ。 「昔から蓼食う虫も好き好きと言うじゃないですか。はっはっは」 「お前が言うな、はっはっは」 笑顔でグーで殴られた。 「痛いじゃないですか」 「お前が有希をそそのかして、くそったれなどと言わせたからだ」 「あ、あれちゃんと伝わってたんですか」 「有希にあんなことを言われたおかげで一パーセクほど寝込んだ。メシも食えなかったぞ」 「長門のことが心配です。結局ひとりにしてしまいました」 「お前のせいではない。だから今回は特別に地球に帰してやる」 「そ、そうなんですか。ありがとうございます」 「今回はちょっと有希のおいたが過ぎたようだ。それについては詫びる」 朝比奈さんに扮した思念体のおっさんは、俺に向かって呪文を唱えた。視界がふたたびぼんやりと光ってくる。 「ああそれから、これは四回目だ」 「何回目です?」 「四だ」 「四ですか」 「そう。四だ」 「四ですか……」 「ヨン」 「四なんですね……」 「ョン」 「……」 「ョン!」 「……」 「キョン!ふざけてないで起きなさいこのアホンダラゲ!!」 「あ……」 目を開けるとハルヒの顔が目の前にアップで映った。同時に去年の大型台風並みの水がバケツ一杯降ってきた。カエルが陸の上で溺れたような感覚に襲われて、俺は水を噴いた。 「いまは何月何日だ?」 「なに寝ぼけたこと言ってんのよ」 ハルヒが涙目で俺のほっぺたをペシペシっと叩いた。 「に、二度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!」 「なにアニメかぶれしたバカなセリフ言ってん、の、よっ」 ハルヒにヘッドロックをかけられた。我ながらバカなことを言った気がする。 「はぁぁ、心配しましたよキョンくん。硬直したまま動かないんだから」 朝比奈さんが大きく溜息をついていた。 「本当にそうですよ。からかったんだったら怒りますよ」古泉が言った。 「怒るのはこっちだ、ハルヒが悪いんだぞ。ほんとに意識を失ってたんだからな」 「意識を失ってる人が意識があるかどうかなんて分からないのではありませんか」 「そんな理屈っぽい突っ込みどうでもいい」 俺は古泉の手を振り払って起き上がった。俺は長門をじっと見た。あれは夢?意識混濁ゆえの幻想?それとも俺は本当に情報統合思念体に会ったのか。長門がすまなさそうに俺を見つめている。まあお前をひとりにしないで済んでよかった。思念体とやらに借りができたな。 暗転。 NGシーン 「死んだってことは天国ってことですかね」 「お前も罪作りなやつだ。女の子を三人も泣かせてしまったぞ」 「あそうだ。あいつらどうなったんですか、俺の体は」 「ハルヒは過失致死罪で目下服役中だ。古泉一樹以下三名は共犯。服役囚を集めて活動している」 懲りない面々がほんとに塀の中にいっちまったんだな、プッ。 「はっはっは、シャレてる場合か。また雷落とすぞ」