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春日局の人気番組「教えてササッキー」の4回目で20-776、21-446、21-535の続きだよ。今週も佐々木さんに対する質問を大募集だよ。 電話受付中。春日局に電話してね、待ってます。 先週は変な人が乱入して大変だったわね。 それじゃ、電話かかっているので早速いっちゃいましょう。まずは、前回聞けなかった方から。 26歳自営業(女性):佐々木さんに聞きたいのですが、現在4歳の子供がいるのですが、子供を勉強好きにするにはどうしたら良いですか? 佐々木:まず、親が勉強好きになることだと思います。キョンも勉強好きの私に教えられて、随分勉強が好きになったから。 それから、初めは絵本や学習漫画で勉強に入りやすくするのが良いと思います。 26歳自営業(女性):どうもありがとうございました。 88歳無職(女性):先週の元気な女の子達。ありゃあ、どうなったですか? 佐々木:涼宮さんは警察でかなりしぼられたらしいです。橘さんは今、精神病院で治療中です。 17歳カナダ在住(女性):キョン君は私がモーションかけても完全スルーしたのよ。あなたはどうやってキョン君を落としたの?教えてくれない? 佐々木:誰です、あなたは。 17歳カナダ在住(女性):私はキョン君のクラスメートだったのだけど、私がモーションかけても完全スルーしたのよ。 腹が立ったので、キョン君に軽い悪戯しようとしたら長門さんに邪魔されて。 佐々木:もしかして、あなたTFEIの朝倉さん?どこが軽い悪戯よ。あなたのせいでどれだけキョンが苦しんでいるか。私たちに関わらないでよ。 ガシャン 佐々木:そうだ、長門さんに私のキョンを助けてくれたお礼をしないと。今度お中元を贈っておこう。 150億歳急進派(性別不明):あんた、さっき、うちの涼子ちゃんをいじめたな。この落とし前はどうつけてくれるのじゃい。 佐々木:誰ですか。あなたは? 150億歳急進派(性別不明):ワシは泣く子も黙る情報思念統合体の急進派じゃい。うちの涼子ちゃん、おんどれにいじめられて泣いてたぞ。 この落とし前はどうつけてくれるのじゃい。 佐々木:あなたの所の涼子さんが、私のキョンをいじめたのに、全然反省してないじゃないですか。あなたから言い聞かせてください。 150億歳急進派(性別不明):有機生命体風情がワシら情報統合思念体に喧嘩を売るのか?ワシらは宇宙誕生以来進化し続けとるんだぞ。 その気になれば、ワシら地球など木っ端微塵にできるんだぞ。 佐々木:脅迫でしか会話できないなんて野蛮ですね。とても150億年生きていたとは思えませんね。 150億歳急進派(性別不明):何?おんどれ、命がいらないらしいな。 ―――『まあまあ急進派』という声が受話器の向こうから聞こえる。 150億歳急進派(性別不明):まあ良い。今日はこれくらいで勘弁してやるわ。 ガシャンツーツーツー 佐々木:あー恐かった。命が縮まる思いだった。 ちょっと早いけど一曲いってみましょう。私の生歌で「ハロー・マイ・フレンド」 (来週も続いたら良いね)
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ええ、確かに私は、長門有希により敵性と判断され 有機情報結合を解除されました 異常動作だったかですって すみません。 あの行動事態は確かに私の所属する急進派に正式に許可された行動ではありません。 その点に関しては弁解の余地はありません。 はい まず私に このような話をさせていただく機会を設けていただいたことを感謝します。 ご存知のとおり もともと人類が地球と呼称するあの惑星平面上で大規模な情報爆発が 観測されその中心にいた人物 涼宮ハルヒ の観測を実施するため私たちヒューマノイドタイプ のインターフェイスが作成されました。 まず最初の行動を開始したのは、長門有希です、彼女の当初の目的は観測対象の比定、 観測、および観測対象の無条件での保護でした、そのため彼女の能力は 人類への言語によるコミュニケートよりも観測分析 そしてなにより戦闘能力に特化したもに なりました。 地球時間で約3年間に渡る彼女の観測結果を受け検討分析し、その後より観測対象への 積極的なコミュニケートを行うために、この4月より 私 朝倉涼子が行動を開始しました。 そうです、観測対象である涼宮ハルヒにアクティブに対応しその結果を観測することは 私に当初与えられていた任務でした、そのため私の能力は彼女のそれに比べコミュニケート 能力を向上させ、比較として戦闘能力は低く抑えられていました。 当初目的を遂行するため、私は、観測対象である涼宮ハルヒと同じクラスメート そして学級委員(脚注)として彼女への積極的な接触を試みておりました。 しかし結果としては 観察対象である涼宮ハルヒは、私との間に有効な関係を築くことなく その後、第二観測対象(脚注)となったキョン(脚注)とSOS団(脚注)を結成、その際に 活動拠点を提供する形で長門有希との直接的な接触を開始してしまいました。 この事実をうけ、統合情報思念体各派は協議の上、派遣中のインターフェイスの役割分担を 変更 長門有希に直接的な観測対象の観測任務をあたえ、私には、彼女のバックアップとして 活動するよな指示をうけました。 一方的に行われたこのような指示の変更は、私の作成当時に付与されていた、行動原理と 一部相容れない部分が存在することとなり、今回指摘をうけているあのような行動として 発現されたと私 朝倉涼子 および 情報統合思念体急進派は判断しております。 このような事情を考慮の上 最終的な判断が公正に下されることを確信しております。 以上です ありがとうございました (編集注 脚注は別紙添付資料のため当報告書より除外)
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涼宮ハルヒの憂鬱シリーズに登場する宇宙人(情報統合思念体)によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース(TFEI)である。 彼女のキャラクターソング「雪、無音、窓辺にて」はその楽曲自体のクオリティー、担当声優である茅原実里の歌唱力によって高く評価されると共に、多くのMADや替え歌を産んでいる。特にスネークを真似て歌ったものが有名。 「長門は俺の嫁」という言葉によって語られることが多く、そのファンの多さが伺える。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2069.html
「あー、キョンくん待って、待って!」 朝。自宅を出る間際に俺を呼び止めるのは妹である。 「お兄ちゃんと呼んでくれたら待ってやらんでもない」 「キョンくんはキョンくんじゃない」 靴紐を結びながらつぶやくわが妹 「行ってきまーす」 「……あっ、お、お兄ちゃん待って!」 いよっし! 何年ぶりかで呼称変更に成功だっぜ! ……あぁ、耳に心地いいこの響き。俺はシスコンでも何でもないが、この呼ばれ方にはかなりの愛着というかノスタルジーがあるんだよ。悪いか。 「はいはい、お兄様はいくらでも待ちますよ」 「……よしっ、と。行こう、キョンくん!」 ダメだこりゃ。そろそろ中一なんだから何としてでも『キョンくん』だけは避けてほしいところなのに。 クラスに着くと既にしてハルヒも長門も来ていた。古泉は別クラスだ。 「ようキョン」 谷口である。俺は新年度に入っても一度も変わっていない自分の席に近付きつつ挨拶。 谷口は続けて、 「おいお前、今年のクリスマスの予定は決まったか?」 お前、そんな諸刃の剣を振りかざしていいのか? 「何言ってんだよ。俺はぜんっぜん構わねぇぜ。何たってもう予定が入ってるからな!」 びしぃっと親指を立てる谷口。お前あれか、毎年十二月限定で運気が上昇する星の元にあるのか? つまり来月にはまた別れてるってことだが。 「う、うるせぇ! 今度こそは長続きする!」 「へぇ、長続きねぇ。……キョン、谷口がどのくらい続くか二人で賭けない?」 入ってきたのは国木田。俺は鞄を置いてマフラーを取りつつ、 「そうだな。俺は年明けと共に関係がまっさらになるに缶ジュース二本」 「僕は年越せないと思うなぁ……缶ジュース三本ね」 「お前らなぁ!」 俺と国木田のパドックに来た客のような視線にたじろぐ谷口。安心しとけ、別れた時がクリスマス前だったら、またパーティに誘ってやるから。 「ぜってー行かねーぞ! 見てろよお前ら! ギネスもビックリの長期恋愛に発展させてみせるぜ」 引き続き談笑しているうちに担任が入ってきたので、俺たちは散って席につく。 「朝っぱらから元気ねぇ? あんたも」 一連のやり取りを見ていたハルヒが言った。 「こっちからエンジンかけとかないとお前についてけなくなるからな。特に最近はさ」 「はい、静かに、静かにーっ」 担任の声がかかった。俺は前を向く。 「今日は転入生が来ている。えーと、そこの長門くんの双子の姉妹だそうだ」 直後に俺は身を乗り出して耳の穴をかっぽじることとなった。 何だって? 「えー、本日づけでうちのクラスに転入してきた、長門由梨くんだ」 ……。 俺、絶句。 クラス、絶句。 長門が、もうひとりいた。 いや、違う。 姿形は長門有希そのまんまなのだが、髪の色が黒だ。それこそ真っ黒だ。同じくらい瞳も黒く、透き通りかたが長門とはまた別の印象を与える。 何と言えばいいのだろう。確固たる存在感というか、周囲の空気をシャープに磨いでしまうような、座ってる長門とは明らかにベクトルの違うオーラを放っている。言っておくと眼鏡はナシだ。 「何でもこれまで海外に留学していたのだそうだ。そういうわけで、これからみんな仲良くやっていこう」 教師の通過儀礼的紹介のほとんどは俺の耳を素通りした。 何だ、この展開は……! 俺はこの段になってようやく当事者の一人だろう長門有希を見た。苗字が一緒なので、都合上ここから先は下の名前で呼ぶが、他意はない。 有希はしばし由梨を見ていたが、やがて俺に視線を飛ばして、一瞬だけ首を横に傾けた。ひょっとして、心当たりないのか? 「キョン知ってた? 有希に姉妹がいたなんて!」 ハルヒに袖を思いっきり引っ張られたために着席させられた。知らん! 夢にも思わなかったとはこのことだろう。今さらほっぺたをつねる俺である。 「どっちが姉なのかしらね!」 ワイドショーで結婚二ヶ月の芸能人が離婚したニュースを見る主婦より興奮しているハルヒだった。むむ。単純に考えれば有希のほうが姉じゃないのか。……何せ有希は情報統合思念体のヒューマノイドインターフェースだ。最近忘れがちな属性ではあるが、平たく言って宇宙人である。ならばその姉妹たる由梨もほぼ間違いなく同じ属性を所持しているはずだ。単純に考えて、先にいたほうが姉ということになるのではないだろうか? 当の長門由梨は廊下側の一番後ろの席に腰を下ろした。 有希と同じく周囲を委細気にしない素振りは、まさに長門そのまんまである。 座った後で自分を見ているクラスメートたちをひとしきり見渡して、 「よろしく」 とだけ言った。声も長門そのものである。視覚情報なしに聴かされたら区別できるか自信がない。 そのまま一限に突入したが集中できるはずもなく、それはクラスの大半がそうであるらしかった。 誰もがチラチラと長門由梨のほうを盗み見ている。谷口なんぞ鼻の下が二センチほど伸びている。 何だお前、黒髪属性だったのか。 「こんにちは! あたし涼宮ハルヒ。あなた有希と姉妹なのね! どっちが姉?」 チャイムが鳴った直後にハルヒは五歩で由梨の元へ行き、同時にした質問がこれである。引っ張られるように俺も後について行き、ふと見ると有希も隣にいた。 長門由梨は俺たち三人に無感動な目を向けてからもう一度有希を見て、 「有希はわたしの姉」 とだけ言ってまた正面を向いた。ハルヒが続けて訊く。 「あなた! 姉さんが入ってる部活に興味ない?」 「ない」 即答しやがった。ハルヒが言ったのが文芸部を指すのかSOS団を指すのか分からんが、今は重要でない。 「そうなの? でも、今度一度見に来るといいわよ!」 「いい」 何となく初期の無反応だった長門に近い感じである。やっぱりこいつは最近ここに来たのだろうか。 「ん、つれないのね。有希、あんたからも誘ってあげてよ」 「……いい」 長門は明らかに戸惑っていた。ひょっとしたら俺とハルヒ以外のクラスメートが見ても分かったかもしれん。どうやらあらかじめ知らされてはいなかったと見て間違いなさそうだ。 「え? あんたたちひょっとして……。ううん、分かった。それなら、無理に引っ張ったりはしないから、暇な時にでも遊びに来てね。部室は旧館三階の端っこだから」 ハルヒの言葉に由梨はまったくうんともすんとも言わず、次の授業の準備を始めた。 「何か有希よりずっとクールなのね。とっつきづらいったらないわ」 二限開始直後のハルヒの台詞である。俺はどっちの長門にも訊きたいことが山ほどあったのだが、ハルヒがいる以上叶わぬ願いである。 俺の感想としては昨年春に最初に会った頃の長門もあんな感じだったと思うのだが、ハルヒは忘れてるのかもしれない。 しかし、何だってまた長門の妹なんてキャラが出てくるんだ? 観測役なら一人で十分じゃないの か? バックアップならまだ分かるが、それにしたって長門が事前に話を聞かされていないはずもないだろう。 ハルヒは次の休み時間にはいつも通り校舎内めぐりに出発した。何とも切り替えの早い奴だ。 さて、俺は早速有希のほうと共に由梨の机に再集合。 「長門由梨さんか。今さらだがはじめまして」 由梨は無感動に俺と視線を合わせた。黒く、それでいて透けた瞳が俺を射抜く。 俺は有希を指差しつつ、 「突然だが、キミもこいつと同じく統合思念体のインターフェースなんだよな?」 長門由梨は黙って頷いた。 「何をしに来たんだ」 「インターフェースの交換」 あっけらと言った。……理解しかねる。何だって? 「固体名長門有希はここ数ヶ月で観測者としての資質を失いつつある。それゆえ、処分があらためて検討されている」 調子を変えずに由梨は言った。重要事実だけを淡々と言うのは、まさに最初期の長門有希そのものだった。 「ちょっと待てよ、どういうことだ。あの時、俺は長門を消すようなことをすればハルヒと共に世 界を変えてやると言ったはずだ」 「涼宮ハルヒの能力の解析は最終段階に入っている。彼女が世界を作り変えるような状況にも対処は可能」 俺は由梨登場時よろしく絶句する。……何だって? 「長門?」 俺は有希のほうを向いた。有希はわずかに顎を引いて由梨を見ていたが、やがて、 「彼女の言っていることは……正しい」 とだけ言った。 おい、まだ何にも分からないぞ。一体どういうことだよ。ハルヒの力を調べ終わったら、お前たちはどうなるんだ? この問いに答えたのは由梨である。 「統合思念体の意識に戻る。今は過渡期。観測者には精度が要求される」 それじゃ何か。俺の長門じゃスペックが不足してるってのか。 「長門有希は涼宮ハルヒをはじめとする周囲の人物に影響を受けすぎている。思念体は新しい観測用インターフェースが必要と判断した」 それがお前か。……言ってみれば新品だな。だが俺はそんなの認めないぞ。それじゃこっちの長門はどうなるんだよ。 「有希が思念体への報告を終え、わたしの試行期間が終わった時、役割は交替される」 どういう意味だ。 「有希は先行して情報統合思念体の意識へ戻る」 三限目。何の授業を受けていたか後で思い出せないほど、俺の思考は勉学から逸脱していた。 ハルヒはハルヒで何やら画策している気配だったが、今は話しかけてこない方が好都合だから助かる。 とんでもない出来事はいつだって予告なく俺たちの前に立ちはだかる。例外なく今回も唐突な展開が突きつけられたわけだが、何をどうすればいいのかさっぱり分からない。有希は有希で自分の考えに没頭しているように見えた。人間に近付きすぎた……か。確かに、俺はここ数ヶ月、長門有希が情報統合思念体の一端末であることなんかほとんど忘れて、部室に欠かせない団員のひとりとして、クラスメートとして、また親友として接してきた。有希も今の生活を好意的に受け入れているように見えた。俺はこんな日々ができるだけ長く続けばいいと思っていたし、しかし朝比奈さんや鶴屋さんはあと二ヶ月あまりで卒業してしまうから、少なくとも部室で五人揃っていられるのはそう長くないということも承知していた。そこに今回の一件だ。 まずは、古泉や朝比奈さんに事情を話す必要があるだろうな……。 俺は放課後まで悶々とした時を過ごした。谷口なんかは昼休みの段階ですっかりニューカマーたる長門由梨のランク付けについて熱く激しく語っていたが、お前彼女持ちだろ。 「そんなの関係ねぇよ。それじゃお前はこれ(小指を立てて)がいたらアイドルのファンやめるのか?」 ……よく分からん論理である。つうかお前何時代の人間だ。頭の中だけは旧石器時代のそのまた昔にまで遡ってもよさそうだが。 「長門由梨さんねぇ。僕はお姉さんのほうがいいかなぁ」 などとのん気にミートボール食べながら言うのは国木田だ。やれやれ。俺もその常識的トークに気兼ねなく参加したい。 放課後。俺はハルヒと長門と共に部室へ向かう。長門由梨は授業が終わるとさっさと帰ってしまったが、ハルヒの観察はいいのだろうか。 部室に先にいたのは朝比奈さんで、古泉はまだ来ていないようだった。俺はいつもの場所に椅子を出して腰を下ろし、ハルヒと長門もそれぞれ同様にしたが――、 バサッ 長門のハードカバーが落ちる音である。 「長門?」 俺が呼びかけると、 「へいき」 とだけ言って本を拾い上げた。長門はまだ動揺しているらしかった。いつも通り振舞おうとしているのは分かるが、それが逆に普段との違いを浮き彫りにしているようで、俺は何だか複雑な気持ちになってくる。 自分が消えちまうかもしれないなんて聞かされて平気でいられる奴の方が、それこそ人間じゃない。 長門がこうした反応を見せるようになったことこそが、つまり普通の女の子に近付いた何よりの証なのだ。そしてそれが長門由梨なる代替インターフェースを思念体が用意する理由になってしまった。 ……皮肉なもんだな。 俺は長門からハードカバーを取り上げた。真っすぐな瞳が潤んでいるように見えたのはさすがに気のせいだろうが、それでも長門は何かをこらえているようだった。 「無理すんな」 それだけ言った。長門は二秒ほど俺を見ていたが、やがて顎を引くように目を伏せた。 「ちょっとキョン、いいかしら」 それまでパソコンを見ていたと思っていたハルヒが突如俺を呼び止めた。……何だよ。 「話があるの」 俺はヤカンを火にかけたままわけがわからないという表情できょとんとする朝比奈さんに苦笑いを浮かべつつ、ハルヒに付き従って廊下に出た。 「有希とあの……由梨って子。ほんとに姉妹なのよね?」 ドアを閉めるやハルヒが言った。……しかし廊下は寒いな。暖まりきってない部室の方がまだマシだ。 「あぁ、見りゃ分かるだろ。そっくりじゃねぇか、長門と」 「そうだけどさ。でも中身は正反対じゃない?」 正反対、ね。どうだろうな。両方を初めて見る人にとっちゃ髪の色くらいしか差がないように見えるんじゃないだろうか。ハルヒの発言はこれまで長いこと長門と付き合ってきたからこそのものだろう。 「由梨のほうもSOS団に入れる気なのか?」 何の気なしに訊いたが結構重要な質問だ。ハルヒの行動はこれまでいくつも俺たちの運命を変えてきたからな。チト大げさかもしれんが、間違いではない。 「さっきまではそのつもりだったけど……」 言いよどむとは珍しや。けど、何だよ。 「あの二人、姉妹仲悪いんじゃないかしら」 ……。 さて、俺はどんな表情をしていたんだろう。仲が悪い、か。何せ有希の代わりをするために由梨が派遣されてきたのだから、仲がどうこう以前に両者はもともと相容れない立場にあるのだ。 「ちょっと見ただけでそう決め付けちまうのは早計じゃないのか。単に両方無口なだけだろ」 「だといいんだけど。何か、有希はあの子に困ってるように見えたから」 あんだけ動揺する長門を見りゃそれは誰だって何か勘繰るだろうな。谷口なら一生分からないままかもしれんが。 「お前はどうしたいんだ?」 「そうね。……込み入った問題なのかもしれないし、しばらくは様子を見ようと思ってるけど」 「おや、お二人揃ってどうしましたか?」 現れたのは古泉一樹である。 「掃除当番だったもので、遅れてしまいました」 などと訊いてもいないイイワケをする。ハルヒは古泉を見て、 「古泉くん、有希に妹がいたって知ってた?」 腰に手を当てて問いかけるハルヒに古泉は一瞬笑みを崩し、ちらと俺と眼を合わせ、 「いえ、初耳ですね。長門さんに……妹さんが?」 俺は神妙に頷いた。 「なるほど。そういうことでしたか」 十分後の部室である。一応各自それぞれの放課後風景の一ピースとなっているが、長門は本を読まずに窓の外を見ているし、ハルヒはやたらとマウスをクリックしているし、朝比奈さんはそんな空気を感じ取ったのか一度茶を載せたお盆を盛大にひっくり返した。 俺と古泉は二人でイマイチ盛り上がらないダイアモンドゲームをついでのようにして、その間に俺が朝あったことをひとしきり説明した。 「お前の意見を聞かせてくれないか」 かなり小声で喋っている俺たちだった。昨日までのバタバタがウソのようにしんとしている。間もなく特典映像の撮影が始まるはずだったが、ハルヒはまだ号令をかけなかった。 「長門さんより先に僕の見解を訊くんですか?」 長門は今あんな状態だからな。上の空の長門なんてものを初めて見たぜ。いつも半分寝ているような眼をしている長門だが、今日はどこか別の世界に旅立っている気すらしてくる。 「仮に長門さんがここからいなくなってしまうとして、僕にそれを止めるのは荷が重たすぎますね」 ふいに夏場に果たされた雪山での約束を思い出した。あの時、こいつは十分すぎるほど俺たちに味方してくれた。そこで一部明かされた古泉の本心を、俺は今でも忘れていない。 「あなたも。誰が一番長門さんの力になれるのか、とっくに分かっているのではないですか?」 ぐむむ。訊いた俺がバカだったか。一年半もやって来て俺はどんだけ学習能力がないんだろうな。 「ですがそうですね。ひとつ言うならば、僕もまだこの日常を続けたいと思っています。なので、長門さんがいなくなってしまっては僕個人としても困りますね」 長門がいなくなって困らない人間などこの部室にいないってのは遥かSOS団黎明期に遡っても変わらない事実さ。あの時の俺はそう思ってなかったがな。 緊急事態といえば緊急事態であるはずなのだが、入学から今までに至る一連の流れにおける山場は、夏の一幕で片がついたという確信があったので、俺はこの一件に肩の力を抜いて接して行くつもりだった。少し悲しくはあるが、全体を起承転結とすれば転のパートが終わってしまったらしいことは事実なのだ。俺はこれまでを十分すぎるほど楽しんだし、今だって日常をどの時より楽しんでいる。だから長門妹の登場は結にあたる部分の始まりなのかもしれないと、どこかで思っていたのだった。 結局、その日は映画撮影の事後キャンペーンは一時凍結され、俺たちは普通に(誰も彼も全然普通じゃなかったが)放課後を過ごして終業となった。
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その日の授業を終えた女子生徒は教室で友人達と談笑していた。 急に大きな声で「助けて!」と叫ぶのを聞いた彼女等は驚いて廊下に飛び出すと 気絶した男子生徒とそれをささえる朝倉涼子が立っていた。 よく見ると男子生徒は腹部から血を流していて制服が真っ赤に染まっており 朝倉涼子のほうも、腕から血が流れでていた。 「助けて!ナイフを持った人が突然襲い掛かってきて!」 それを聞いた女子生徒はすぐに警察と救急車をよんだ。 「………くん」 「…ョンくん!」 声が五月蝿い… 誰だ俺を呼ぶのは…… 「んっ……あ?」 「キョン君!」 目が覚めて最初に飛び込んできたのは、泣き顔で飛び付いてきた朝倉だった。 「っぐ……痛い」 「あっ!ごめんなさい。キョン君怪我してるのに…嬉しくてつい。 だって、もう起きないかと思ったし…」 あたりを見渡すと、俺の部屋ではないことは確かだ というか、病室にしかみえん。 腕には点滴のチューブが刺さっているし、脇腹がもの凄く痛い。 朝倉も左腕に包帯を巻いていた。 SOS団の面々もいた。状況が全く飲み込めない 「なぁ…どうしたんだ?」 マヌケな質問だったのだろう。その場にいた全員が驚いた顔をしていた。 「…覚えてないの?」 朝倉が心配そうに顔を覗き込んできた。 しかし、何も覚えていない。 部活に行く前に朝倉と教室で話していたことは覚えている。 それがどうして病室のベッドの上で寝ているんだ? 「あんた本当に何も覚えてないの?」 もったいぶってないで早く話して欲しいんだが 「あんた刺されたのよ!学校で。朝倉さんから電話貰ってみんなですっ飛んできたけど あんたがここまでマヌケだったとわね!」 言い返そうとした間際、ハルヒの目元が赤く腫れているのに気付いてやめた 朝比奈さんはまだ泣いているし 古泉や長門も心配そうな顔をしている。 朝倉の詳しい話を聞いたが、まるで信じられないが、しかし 「そうだったのか…。みんな心配かけて悪かったな」 「べっ!別に心配なん…」 「おやおや?病室に入るなり泣き崩れたのは涼宮さんだと思ったんですが」 「もっ、もう!古泉君、余計なことを~」 笑いがこぼれる 「いや、ハルヒ心配かけて悪かったな」 「だから、私はっ!」 「朝倉も迷惑かけて悪かったな」 「そんなこと言ってないで、早く怪我治しなさいよ」 「ハハッ、努力する」 それから少し談笑し「体に触るとあれですので、そろそろおいとまさせていただきます」 と古泉の一言でハルヒ達は帰っていった。 帰り際、長門が 「気を付けて」 そう耳打ちしてきだが何だったのだろうか? 病室には俺と朝倉だけが残っていた。 「なぁ、左腕…」 「あっ!これはかすり傷だから気にしないで、ね?」 「悪い、俺のせいで…」 「別にあなたのせいじゃないわ」 「でもっ……」 喋ろうとしたら、朝倉が人差し指を俺の口の前に立てて 「キョン君も私も被害者なんだから、あなたが気にすることじゃないでしょ? まぁ、もし、お嫁さんに行けなくなったら責任とってよね?」 「お前みたいな器量の良い嫁さんが貰えるなら、こっちから頼みたいもんだ」 二人で見合って、ぷっと吹き出す。 「ふふっ、なんかこういうの中学の時ぶりね」 「そうだよ……あっ」 丁度、母親が病室に入ってきた。 「あっ、叔母さん。こんばんは」 「あら?涼子ちゃん!ごめんなさいね、うちのバカ息子が」 確かにそうだが本人の前で言うなよ。母さん 「いえ、そんなことないですよ。 キョン君がかばってくれなかったら私がそこに寝てたわけですし」 ん~、流石朝倉 やっぱ、良い奴だな んで、朝倉と母親がこういう時の通過儀礼的会話をして 「またくるから」 と帰っていった。 ふぅと溜め息をつくと母さんが俺のほうをみて 「涼子ちゃんみたいな幼馴染みがいて良かったわね」 「うっせぇよ」 勿論照れ隠しだ。 あんなに可愛く、器量の良い女の子が俺に良くしてくれるんだぜ? かたやクラスの人気者、かたや学校を代表する変人の一の子分。 リアルなら有り得ない話だろ?―――リアルなわけだがな――― その後、親はすぐに帰って一人になった病室で事件のことを思い出そうと 奮闘していたが1㎜も成果があがらぬまま眠りについていた―― ガラッと扉の開く音と共に待ち兼ねた客人が姿を現した 「こんにちは」 無論朝倉涼子だ 「おう。待ちくたびれぞ」 少し呆れたような、しかし、どこか嬉しそうな笑みを浮かべながら 「これでも終業のチャイムと同時に飛び出してきたのよ? そんなに待ってくれてたのは悪い気はしないけどね」 普段、怠惰と一緒に無駄な時間を貪っている俺でも、病院という特殊な空間での 余暇は苦痛なのだよ。 「あら、そうなの?大変なのね」 と、思ってもないことを冗談めいた口調で言う。 それからは、朝倉涼子が語る今日の楽しい学校の時間だ。 昨日の今日だと言うのに、誰も俺の話はしなかったという。 いやはや、俺の人望のなさが如実に現れましたね 「それで、怪我と……記憶のほうは?」 医者が言うには、事件のショックによる局部的な記憶障害だそうだ。 午前中いっぱいかけて、仮面ライダーにでもされるんじゃないかってくらいの 仰々しい精密検査をしたからまず間違いないだろう 「……治るの?」 「あぁ、落ち着けば治るだろうってさ。 まぁ、自分が刺された時の記憶なんて思い出したくないがな」 パァっと満面の笑みを浮かべる朝倉 「そっか。良かった」 それよりも朝倉の腕のほうが気になるのだが 「私の傷は浅いもん。全然平気」 「そうか」 それからなんとなく気まずい雰囲気が流れる。 その雰囲気を打ち破ったのは、俺でも朝倉でもなく 「おーす!出張SOS団でぇすっ!」 扉をぶち壊しそうな勢いで入ってきた我等が団長こと涼宮ハルヒだった。 「キョ~ン、生きて………ん?あら、朝倉さん来てたの?」 病院だってのにこのうるささ、まったく常識ってやつが欠落してるんじゃないか? 「えぇ。でも、涼宮さん達も来たみたいだから帰るわね」 「おい。もう帰るのかよ」 「そうよ!私達に遠慮なんてしなくていいのよ! こういう時はみんなで騒いだほうが元気がでるってもんでしょ!」 「じゃあ、お言葉に甘えましょうかしら」 「やぁっ!キョン君。鶴屋さんだよ!」 SOS団の面々の後ろからひょこっと顔をだす 「来てくれたんですか?ありがとうございます」 「いやぁ~、昨日みくるが泣きながら電話してきた時は 物凄いことになってるのかと思ったけど元気そうで何よりだよ!」 俺の朝比奈さんが泣きながら鶴屋さんに電話かぁ うん。実に良い! その様子を妄想するだけでご飯三杯は行けるな 「いやぁ~、しかしキョン君も罪な男だねぇ みくるはいつも泣くけどハルにゃんまで泣かせたんだってぇ 加えてそこの、え~と朝倉さん?も 実を言うとこの鶴屋さんもみくるの電話の後心配で泣いたにょろよ」 「それ嘘でしょ?」 「いやぁ、あっはっはっ」 それからはものっそい勢いで騒ぎだす。何度看護婦さんに注意されたことか ハルヒと鶴屋さん、いつもの二倍弄られている朝比奈さん。 それを微笑で眺める古泉に、我関せずの長門 それを見てると自然と笑みがこぼれる 「どうしのキョン?気色悪い」 「いや、俺の居場所はSOS団なんだなってな」 「何言ってんの!当たり前でしょ」 「そうですよ。今更僕達のような存在を受け入れてくれるのは 良くも悪くも涼宮さんぐらいのものです」 やはり奇人変人の集まりに首までどっぷり浸かってしまった俺を 快く歓迎してくれる奴などいないらしい。 そんな和気藹々と我等がSOS団への愛着心を語っていたとき ガタッと椅子の倒れる音がした。 「ごっ、ごめんなさい。ちょっと用事思い出しちゃって」 と、複雑な表情を浮かべた朝倉が脱兎のごとく帰っていった。 朝倉が帰って間も無くだ。病室の扉から現れたのは、鬼の形相のおふくろだった。 恐らく、騒ぎの一端を看護婦から聞いたのだろう 凍る空気を感じ取ったハルヒ達は薄情にも俺を残しそそくさと帰っていった。 その後、俺がこっぴどく叱られたのは周知の事実で、 あまりの怒声に今度はおふくろを止めに看護婦が割り込んできたほどである。 さて、看護婦に何度も謝った後おふくろは帰って行き病室には俺一人となった やっと静かになったと溜め息をつきつつ、 満更でもないという表情が鏡に写っているのに気付いた まさにその時だ 病室に誰かが入ってきた。 言い忘れでもあったのか?母さん しかし、扉から姿を現したのは違う人物だった。 随分前に帰ったはずの朝倉涼子だった 忘れ物でもしたのだろうか? しかし、俺の問いかけには答えず無言で近付いてくる 「おい!朝倉?」 「…え?あ、そうなの。忘れ物しちゃって」 「何を忘れたんだ?」 「え~っと、確かこのへんだったんだけどなぁ」 そう言いながら棚のあたりを探し始めた それから一分程たっただろうか 「ねぇ、キョン君?自分がどうしても欲しいモノが手に入らないときどうする?」 なんだ?忘れ物見つからんのか? 「普通の人は諦めたり、別のモノで誤魔化したりするじゃない?」 「何の話をしてるんだ?」 「でもね、昔から――本当に小さい時から欲しいモノだったの」 どうやら俺の質問に答える気はないようだ 「そんな時は殺してでも奪い取れって言うでしょ」 「言わなくもないが」 「でしょ?だからね」 ―― ― 「あなたが悪いのよ」 いつもと変わらない優しい笑みで言う朝倉――が、しかし、ほのぼのもしていられない。 なんたっていきなりマウントポジションを取られ、くわえてミリタリーナイフを 突き付けられてるのだからな。 どうせまたがるのならもっとエロい時に…… と妄想にふけりそうになる思考にストップをかけ 「おい?何の冗談だ」 「最初わね、あの女を殺そうと思ったの。あの泥棒猫をね」 「だって、そうでしょ? 私は小さい時から――物心ついた時からずっとキョン君が好きだったの 任務なんてどうでもよくなるほどね それなのに、いきなり表れて強引に奪っていった。 おかしいと思うでしょ?普通」 どこか遠くを見るように淡々と語りだした 「でも、それじゃあダメだって気付いたわ」 「だって、彼女が――涼宮ハルヒが死んだらあなた悲しむでしょ? それに彼女を殺したりしたら私が消されちゃうもの」 何を言ってるんだ? 朝倉が俺を好き?ハルヒがなんだって?消される? 「考えたわ。どうやったらあなたが手に入るかってね。 結論はすぐでたの」 急に俺のほうを向き、大好きなうちのおふくろが作ったおでんを 目の前にした時のような笑顔を作った 「『な~んだ、簡単じゃない。キョン君を殺しちゃえばいいんだ』ってね」 随分と物騒なことをさらっと言うんだな朝倉。それも満面の笑みで 「涼宮ハルヒが死んで悲しむのは、あなたが生きてるから。 あなたが死んだ後に彼女がどうなろうとわからないでしょ?」 ハルヒが死ぬよりも、俺は俺自身が死ぬほうが悲しいんだがな と発言しても今のこいつには無駄なのだろう 「思い立ったら吉日だっけ?私はすぐに行動に移したわ。 だって、あなたが涼宮ハルヒに汚される前に殺らなくちゃ 何の意味もないもの」 「次の日の放課後教室に呼び出した。 こんな可愛い幼馴染みの呼び出しだものね、なんの疑いもなくやってきたわ」 目は焦点があっておらず、怪しげに口元を歪めた 「ねぇ、覚えてないって言うけどもうわかったんじゃない? あの日誰に脇腹を 刺・さ・れ・た・か・♪」 次の瞬間バッと記憶が舞い戻る。 今まで無理矢理押し込められてた記憶が 今の台詞を『キー』に解放されたみたいな感じだ。 まるで、情報規制が解かれた翌日のテレビ番組のように はたまた、情報操作により歪められた記憶が正常に戻るかのように 記憶が土石流のように流れ込んでくる。 「…思い出した。でも……そんな…有り得ないだろ」 「この状況でもそんなことが言えるのね。ホントに優しい人」 だって、おかしいだろ? 襲われた俺を助けてくれて、病院でも毎日介抱してくれたのは紛れもなくコイツだ。 なのになんで俺の記憶にはナイフを持った朝倉が俺を刺してるんだ? 確かに今はこんな状況だ。 俺の上にはナイフを持ってる朝倉がいる。 いや、しかしだぞ。あの時殺そうと思ってたなら助ける必要が全くないだろ。 それに、まだまだおかしい所がたくさんある。 逃げ出そうとしたら、いきなり教室の扉も窓も無くなったり 化け物みたいに朝倉の手が伸びたり 変な呪文みたいなのを唱えたり やっぱりこの記憶は間違ってるんだ。 だってこれじゃあ、 まるで長門――つまりは対有機生命体コンタクト用以下略じゃねぇか 「ふふっ、何にもおかしくないのよ」 「どういうことだよ」 「だって、私も長門さんと同じ存在だもの」 「だって、長門は三年前にっ……」 「みんながみんな三年前に作られたわけじゃないのよ。 情報統合思念体は涼宮ハルヒが現れるよりも前から地球という惑星に住む 有機生命体に興味を持っていたの。」 「だから、涼宮ハルヒ発見よりも前に送り込まれた者がいてもおかしくないでしょ? つまりは、それが私。」 「だって、成長もしてるし…お前の親だって」 「有機生命体と同じ時間軸を生きることにより その進化について知ることができるんじゃないかって考えた情報統合思念体は 成長するインターフェースを作った。 これで問題ないでしょ?」 「親はどうなんだよ。長門にはいなかったのに…」 「親ね…。長門さんに聞かなかった? 私達の得意なことは情報操作だって」 じゃあ、俺の記憶は? やっぱりお得意の情報操作をされてて… 「確かに情報操作は行ったけど、それは事件のことを忘れる操作。 それが解かれたから記憶が戻った。 つまり、今のあなたの記憶は真実なの」 「っ。じゃ、じゃあ、なんで助けたんだ?」 「やっぱり後悔したから。だって、好きだものキョン君のこと」 恥ずかしそうな顔をする朝倉。 事が事じゃなかったらいますぐ抱き締めてやりたいって思ったくらいだ 「だから、私が刺したことは無かったことにしようって。自分勝手だけどね キョン君の記憶を消して、自分で腕を切って助けを呼んだ。」 「それからキョン君が目を覚ますまで気が気じゃなかったわ。 凄い後悔した。なんでこんなことしたんだろうって」 「それから涼宮さんが駆け付けてきた時には心は決まってた。 また今まで通りの関係に戻ろうって」 「涼宮さんはあなたに惹かれ、あなたも涼宮さんに惹かれていた。 私が入り込む隙間なんてないもの。」 「でも、やっぱり我慢できなかった。 あなたと涼宮ハルヒが仲良くしているのを見るのは」 俺はただ黙って聞くことしか出来なかった。 「17年前にね、情報統合思念体にこの地球に産み出された。 姿は赤ん坊だったけど、高度な知能があったから何も問題なかったわ。」 「それから周りの地域を調べたの。 で、たまたま同時期に産まれた人間の子供――あなたを発見した。 観測するにはうってつけの対象だったわ。」 「そこからは簡単。 あなたの家族に私の親や私の情報を書き加えるだけ みるみるうちに幼馴染みの完成ってわけ」 「それから観測を開始したわ。 時にはこちらで事を起こして欲しい観測データをとったりね」 「観測を始めてから数年がたったある日、私に重大なバグが生じたの。 本来生まれる筈のない感情。 ただの観測機でしかない私には邪魔にしかならない感情がね」 それが恋心ってヤツか? 「そう。それも観測対象に対して」 「そんなはずないって否定して忘れようとしたわ。 でも、情報統合思念体はそんな感情持ち合わせちゃいない。 情報統合思念体もわからないものをどうして私が対処できようか?いや、できまい。」 こんなときに反語って… 「だって、あなたがつまらなそうな顔してるんですもの」 つまらなくはない。ただただ呆然としているだけだ。 こんな打ち明け話されたら、誰だってそうなる。俺だってそうなる。 「それでね、対処ができないままズルズルと月日を重ねていった 幸い観測に支障を来すことなくね」 「でもね……」 ぐっと間をあける 「涼宮ハルヒが現れてから状況は一変した。 あなたと涼宮ハルヒが仲良くするのを見て胸が痛むようになったわ 有機生命体で言う所の嫉妬心ってヤツね」 「その感情は日に日に強くなっていった。あんな事をしでかすほどにね でも、諦めようって決めたから抑え込んでた。あの言葉を聞くまでは」 「あの…言葉?」 「そう。今日、涼宮さんと話してたでしょ? 俺の居場所はSOS団だからって」 「それを聞いた瞬間、私の中の何かが壊れたわ 言い表せないような感情が渦巻いた だから、私は決心した。 もう後悔はしない」 長い長い朝倉の話が終わった。 静かにナイフを振り上げる。 俺も覚悟を決めた。 怪我のせいで抵抗する気力も起きやしない。 緩やかにナイフが振り下ろされた 「じゃあ死んで」 終わり
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子育てA-DIC(仮題) このA-DICは公式ファンタジーA-DICにマウントして使用します。 ある日、神様からお告げがあり、子供を授かります PLは預けられた子供を成長させて立派にするのが目的です。 子供の年齢の設定は12歳以下で設定してください。 (ファンタジー原型で子供である少年期が12歳までだからです。) リザルトで根源力が5000まで到達すると、そのPCは個別にエンディングを迎えます。 セッション内容はファンタジー世界での日常、冒険など 通常のファンタジーセッションとあまり変わらない内容で構いません。 通常のファンタジーセッションに変化を加えるなら 学校のような施設にみんな通っている、と舞台設定したり エンドロールで親にセッション内容の報告、などのロールをすると良いかもしれません。 A-DIC作成者:SB Index 子育てA-DIC(仮題)追加ルール1.根源力、リザルトについて 2.絶技に関して 3.戦闘やダメージに関して 4.アイテム、買い物に関して 5.原型・原設定 原型 ファンタジー編の子供 (根源力1000~5000まで)原設定ボックス A:親の職業のボックス(親の設定) B:性別のボックス(子供の設定) C:A+Bで決まるもの(子供の設定) D:守護妖精について 原成功要素と配分比 成長▽根源力1001~根源力2500まで ▽根源力2501~根源力5000まで キャラシートキャラクター登録用ブランク(根源力1000・判定単位200) コメントをどうぞ 追加ルール 1.根源力、リザルトについて キャラクター作成時点の根源力は1000です。 判定単位は200を基本とします。 セッション時間30分につき、100のリザルトが与えられます。 1セッションにつき、最大で1000リザルトとします。 2.絶技に関して 絶技は公式ファンタジーの物をそのまま使います。 PCは根源力1000ごとに1つ絶技を習得できます、つまり初期状態では1つ習得している事になります。 その他に追加設定で習得数を増やすことができます。 絶技習得の条件に師匠の設定などは必要ありません。 ダブルキャストに関しては 成長による追加設定でダブルキャストを取得していて、さらにSDにより使用が認められた場合のみ そのゲームで使用する事ができます。 3.戦闘やダメージに関して ver3戦闘ルールを参照してください 4.アイテム、買い物に関して このA-DICでは買い物はありません、代わりにPC作成時に 根源力500のアイテムを二つまで作成して登録し、マウントすることができます。 それ以外のアイテムは追加設定で取得してください。 作成するアイテムは世界観に沿った物で自由に登録してください。 マウント可能な数は最大で5つまでです。(サポーター含む) 5.原型・原設定 原型 ファンタジー編の子供 (根源力1000~5000まで) 原設定ボックス 設定ボックスは、以下の事柄で構成されます。 A:親の職業:騎士(1、2)・商人(3、4)・没落貴族(5、6) B:性別:男(1、2)・女(3、4、5)・その他(6) C:A+Bで決まる物 D:守護妖精:監視型(1、2)・友人型(3、4)・親の思念体(5、6) Bの原設定、性別を「その他」にした場合に 成長により性別が確定した時は、原設定B、Cの変更を行なえます。 (必ずしも変更する必要はありません、変更しない場合は確定した性別を設定欄にでも記述しておいてください) A:親の職業のボックス(親の設定) 騎士 戦場で勇名を馳せたが、怪我により退役した 騎士団に所属している 個人武勇では高い評価を受けているが、地位は低い 商人 各地を転々とする行商人 特定の地域でのみ活動、それなりに評判が良い 頑固な商売人 没落貴族 食うに困らない財産は残っているが、名声は低い 名声は高いが、金に困っている いずれは御家を復興させたいと思っている B:性別のボックス(子供の設定) 男 外見が女っぽく、よく間違えられる 運動神経がよい 負けず嫌いである 女 男勝りで活発 内向的だが、いざとなると度胸が据わる 子供っぽく、笑うと可愛い その他 成長すると性別が決定する中性種族(根源力3500以上で男女どちらか決めてください) ・好きな人物ができた時に、その反対の性別になる中性種族(任意のタイミングでPLがNPCを指定する) 男女両方の身体的特徴を持つ種族 C:A+Bで決まるもの(子供の設定) 騎士+男 将来は親を越える男になりたいと思っている 武芸の才能豐かだが、飽きっぽい 礼儀正しい 商人+男 収集癖がある 色んなことに目聡い 口が上手い 没落貴族+男 プライドが妙に高い 没落した家と親を蔑んでいる 家の復興の為に手段を選ばずに実践するつもりである 騎士+女 自分を守る騎士を求めている 戦いは野蛮だと感じている 守られるより守る側になりたいと思っている 商人+女 計算高く、思考が大人びている あらゆる物を見た時に値踏みする 何事も手際がよい 没落貴族+女 社交的である 服装のセンスなどがよい 質素倹約を心がけている 騎士+その他 普段はナヨナヨしているが、戦闘や喧嘩などでは荒っぽくなる 弱きを助け、強きを挫く、そんな性格である 女性のしなやかさ、男性の力強さを併せ持つ肉体を持つ 商人+その他 相手を見て男女の特性を使い分けられる 先の為に今を犠牲にすることを厭わない 既存の枠に嵌らない思考ができる 没落貴族+その他 気分によって男女どちらの格好をするか決めている 頭の中に男女両方の思考が存在し、揺れ動いている 普段は強がっているが、時々弱気な本音が出る D:守護妖精について 監視型 神からの助力を得られます 常識で善行と思われる行動宣言で根源力の50%分の補正を受けられますが 悪行と思われる行動では難易度が50%上昇します(前提変換扱いの上昇) 善行例:人助けになること、世の中の為になること 悪行例:人を騙すこと、人を傷つけること 友人型 傍らで子供の面倒を見ています 雑用から相談相手など、手伝いに使うことができます (手伝いなどは、前提変換に使用できます) 親の思念体 親の設定として、絶技を一つだけ保有できます 行動で子供に力を貸す形で絶技を与えられます 子供の絶技と同時に使用することも可能です (追加設定を取得していれば、ダブルキャストも可能) 思念体保有の絶技使用による疲労はありません 原成功要素と配分比 原成功要素と配分比 原成功要素と配分比はファンタジーの物をそのまま使います。 配分比修正を加えた後で、根源力を割り振ってください。 1.体 力:1 2.知 力:1 3.知覚・器用:1 4.魅 力:1 5.素早さ:1 6.幸運 :1 7.技能 :2 A、親の職業:「騎士」を選ぶと「体力+1」、「商人」を選ぶと「知力+1」、「没落貴族」を選ぶと「魅力+1」 B、性別:「男」を選ぶと「素早さ+1」、「女」を選ぶと「知覚・器用+1」、「その他」を選ぶと「幸運+1」 成長 ○追加設定ボックス 追加設定ボックスから作成キャラクターの根源力が500増えるごとに追加設定を1つ得られます。 ▽根源力1001~根源力2500まで 根源力500のアイテムを新たに登録して所持できる 根源力による習得とは別に、絶技を新たに1つ習得する 原型Dが「親の思念体」の場合に、思念体の絶技と組み合わせたダブルキャストを1つ取得できる 親からアイテムを一度だけ借りられる(根源力2000で親の設定に沿った物をその回だけ使用可能) 最近、気になる子ができた。(根源力2000のNPCを登録できる、ただし登場するかどうかはSD次第) 実は○○を習っている(料理、武芸、魔法、礼儀作法、などを1つ。今後、前提として利用可能に) 実は○○でバイトしている(宿屋、酒場、市場、などを1つ。今後、前提として利用可能に) 実は年齢が違った(自由に設定可能) 実は神は邪神だった(原型Dが「監視型」の場合、善行と悪行の判定が逆になる) ▽根源力2501~根源力5000まで 根源力1000のアイテムを新たに登録して所持できる 根源力1000のサポーターを得られ、マウントできる。 所持しているアイテムを合成して1つに変えられる(根源力を合計した1つの新しいアイテムになる) 原型Dが「監視型」の場合に、ペナルティでの難易度上昇が無くなる 原型Dが「友人型」の場合に、根源力2000のサポーターとして使用できるようになる ダブルキャストを1つ取得できる 実はなりたい職業がある 実は神から重大な使命を与えられていた(使命に関するセッションを申請できるようになる) 実は神から授かったのではなく、ある理由で引き取った子供だった(原型Dが「監視型」の場合は取得不可) 実は婚約者が存在する。 (根源力4000のサポーターとして登録しておき、その後に全セッション中に一度だけ使用可能 使用後は設定上のみの存在、あるいはNPCとなる) 実は親に恋心を抱いている 実は亡くなった親の配偶者の生まれ変わりだった。 (親の設定で配偶者が子供を授かる前に死亡していることが条件) 根源力2501以上になっても、1001~2500の追加設定は取得できます。 サポーターに関して 成功要素はすべて、原成功要素「能力・技能」と「所持品」で登録可能な数を自由に セッション開始前に登録してください、すべて同名成功要素でも構いません。 サポーターは絶技を保有できません。 以上の追加設定は追加や変更の可能性があります。 キャラシート このA-DICでは判定単位200でセッションを行う事を主眼として設定されています。 キャラクター登録用ブランク(根源力1000・判定単位200) ○キャラクター設定 名前: 年齢: 根源力: PCの設定: 親の設定: 原型 A:親の職業:【】 B:性別:【】 C:A+B:【】 D:守護妖精:【】 ○追加設定 ○原成功要素:(配分比):(根源力):(成功要素数) 今回の判定単位:200 体力:(1):(100):(1) 【】 知力:(1):(100):(1) 【】 知覚・器用:(1):(100):(1) 【】 魅力:(1):(100):(1) 【】 素早さ:(1):(100):(1) 【】 幸運:(1):(100):(1) 【】 技能:(2):(200):(1) 【】 原型による配分比修正 A(親の職業):「」→「+1」 B(性別):「」→「+1」 マウント装備:(5つまで) (根源力500) 【】【】【】 (根源力500) 【】【】【】 保持アイテム:(マウントをしていない所持しているだけのアイテムです) ○保有絶技 【】(根源力000・疲労 点) 【】(根源力000・疲労 点) ダメージ:大成功:成功:中間 ダメージ:(根源力)(成功要素):(根源力)(成功要素):(根源力)(成功要素) (このA-DICはシュワ@デスゲームSDの製作した 伝奇A-DICを下地に作らせてもらっています) - コメントをどうぞ それらはとめることのできないものだ!ヾ(*′∀`*)ノ→ http //nn7.biz/anime/movie.html -- moon (2011-09-29 00 27 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mitisoodo25/pages/17.html
未知なる剣亭 未知なる剣亭はアルフレイム大陸南部、ブルライト地方に存在するハーヴェス王国(ルルブIP390)に存在する冒険者ギルドの支部です。ハーヴェスの中でも最も治安の悪いスラム街に居を構えています。 2~3階が宿屋、1階が酒場と食堂を兼ねたカウンターとなっていて、美味くはないが兎に角量の多い酒と食事が特徴的です。 未知なる剣亭では冒険の役に立つものは何でも歓迎するというのが基本方針になっています。 そのため支部の中には他にはない危険で実験的な設備が設置されていたり、通常の支部では嫌厭されるようなならず者や厄介者であってもやる気があるなら積極的に採用される傾向にあります。 通常の遺跡探索や蛮族退治の他に、この支部では支部長から特別な依頼が出されることがあります。 それは第四の剣、フォルトゥナの探索に関わる依頼です。 支部長はカルディア・イグニス・ルミエルに続く第四の始まりの剣であるとされるフォルトゥナの伝説を信仰しており、いつか自分の支部の冒険者がそれを発見する事を夢見ています。 支部の名前の由来でも有り、この支部が実験的な設備や事情を抱えた冒険者たちを受け入れようとするのも、ひとえにフォルトゥナを発見できる凄腕の冒険者候補を一人でも増やすためです。 貴方が冒険者として名声を上げていけば、いずれフォルトゥナに関わる依頼を彼から受けることになるでしょう。
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他のカテゴリに当てはまらない設定を書き連ねる所。 ■ライピルトの身分証について。 ライピルトにも住民票や身分証は存在しますが。様々な人種、文化、事情、目的のヒトが居る為、 身分証にレベルの違いを設けています。 レベルが高いほど獲得できる権限が多くなりますが、同時に登録情報の必須項目が増えます。 レベルが低いほど短期間で簡単に取得できますが、同時に許可される権限が少なくなります。 Lv.1身分証 必須項目 名前(自称、愛称可)顔写真遺伝子ID 本当にどこのどいつでも獲得できる身分証。 必須項目が非常に少なく、余程忙しい時期でなければ当日以内に発行できる。 ライピルトに保護されたばかりのヒトや、短期間だけ滞在するヒト、何かワケありのヒトが主に取得する。 これさえあれば一般人扱いを受けるには十分である。 また、遺伝子IDは、遺伝子IDを参照するフォース能力サービスを受けるための物なので、外部のヒトでも必須。 Lv.2身分証 必須項目 名前(本名)生年月日性別住所登録日時 人獣比種族比率精神波形コード遺伝子ID…他設定次第 ライピルトで最も一般的な身分証。 現実の日本で用いる住民票に近い、違いは種族欄や精神波形欄等があるぐらい。大体5日程で取得できる。 定期券や会員カードや保険証などの民間/公共サービスで登録する事に必要な情報は一通り証明できる。 ライピルトに永住するヒトの多くが持っている。 Lv.3身分証 必須項目 Lv.2で必要な項目各種所有資格所有固有能力所有FC 必須資格 フォースゴールド免許理術機構管理者資格 ライピルトに影響を与える立場のヒトが必要とする身分証。取得には資格試験が必要。 年に2回取得の機会があり、多数の必須項目に加え、いくつかの誓約書へのサインが必要。 フォース能力を用いたインフラ設備の製造を行う企業の社長や、ライピルトの公的機関の管理職になる時に必要になる。 取得は大変であるものの、これを持つ事で得られる権限は大きい。一般人でも資格試験等をがんばれば取得可能。 Lv.9身分証 必須項目 Lv.3で必要な項目各種カインの承認 必須資格 Lv.3で必要な資格各種 ライピルト内の極秘部署に所属する為に必須の身分証。取得には資格試験が必要。 様々な資格試験と誓約書へのサインが必要。 最終的にはカインが直々に面談をし、ワイルドコードによるカインの署名を以って漸く有効となる。 エルフとセリアノイド/アンドロイドの扱いについて サイバーエルフ、ネイチャーエルフ、セリアノイド、アンドロイドについては、 身分証を必要とする公共サービスが基本的に不要な為、身分証の所有の義務が無い。 この際、サイバーエルフ、セリアノイド、アンドロイドは、製造元の所有物。 ネイチャーエルフは自然現象として扱われる。 本人が希望し、ヒトと同様の扱いを希望する場合は、それぞれ定められた条件の下、 以下の項目を明らかにする事でヒトと同じ権限を持つ身分証を発行する事が出来る。(その際項目は少し変化する。) 四種共通Lv.1身分証の項目 必須項目 名前(通称)顔写真精神波形コード セリアノイド、アンドロイドのLv.2身分証の項目 必須項目 名前(通称)製造日性別志向住所登録日時 メンテナンス先種族比率精神波形コード製造番号…他設定次第 必須資格 人外種基礎責任能力検定 サイバーエルフのLv.2身分証の項目 必須項目 名前(通称)初回起動日性別志向住所登録日時 メンテナンス先本体FC情報精神波形コード製造番号…他設定次第 必須資格 普通型ロボットボディ操縦免許人外種基礎責任能力検定 ネイチャーエルフのLv.2身分証の項目 必須項目 名前(通称)性別志向住所登録日時 エルフランク本体情報精神波形コード…他設定次第 必須資格 普通型ゴーレム操縦免許人外種基礎責任能力検定 Lv.3以降はヒトと同じ条件の為省略。 ■ライピルトに存在する資格 ライピルトはその独特の文化や国柄による独自の資格が数多く存在する。 他にも現実世界でもありそうな資格もあるだろうがそこは省略。 立身権利責任者 概要 いち社会人として十分な自己管理能力と生活能力を有し、単独で法的な個人の権利を行使できる資格を証明する。 取得条件 筆記テストへの合格。コミュニケーションが可能である事。移動手段の確保。 基本的には、義務教育を完了し18歳以上になった時点で自動で取得できる資格。 何らかの理由で保護者による保護を受けられない子供や、基本形の教育を受けられなかった者や、種族的に成人や責任能力を保証できる基準が存在しない者などが取得する。 これを取得していれば、たとえ幼児でもいち大人の社会人と同じ権利を得る事が出来、住居を借りたり買ったり、国への各種申請などを行う事が出来る。 ライピルトにおいてはよくある子供の早熟現象や、人権を主張する事が珍しい種族などに対応する為の資格制度。 ファイターライセンス 概要 ライピルトファイターセンターが定めた基準以上の戦闘能力を持つ事を証明し、シェイドやBBB選手との戦闘を許可する。ファイターとしてのステータスも登録される。 取得条件 簡単な筆記試験と、ある程度の実技試験に合格する事。小学生以上。 個人で戦闘能力を所持、行使するのに必要な資格。 自由に戦う事が出来るが、その分諸申請や定期講習が面倒。(学生の場合は専門コースに行く事で免除される。) 義務教育でC級の基礎の知識は学ぶので、C級なら取得はそんなに難しくないが、資格にしてはあまり効力が強くない。 戦闘能力に応じてC級、B級、A級、S級のライセンスがある。 ■ランクごとの強さの基準。 C クロンノを討伐できる。普段の生活圏において自身の身を守る為の戦闘が一通り出来る。 B Cランクシェイドを単独で討伐できる。多数のシェイドとの討伐戦闘においても心の平静を保てる。 A Bランクシェイド(ボス)を単独で討伐出来る。確認されている全てのシェイドへの対抗手段を知り、それを実行できる。 S 苦手な状況への対応手段を持ち、理術と体術をそれぞれ極め、様々な状態で心理状態を保てる。 公務戦闘員 概要 ライピルトファイターセンターが定めた基準以上の戦闘能力を持つ事を証明し、シェイドとの戦闘を許可する。各種組織の所属者としての戦闘における各種権限と保証が受けられる。 取得条件 筆記試験と、ある程度の実技試験に合格する事。高校卒業以上。 組織の一員として戦闘能力を所持、行使する場合に必要な資格。 戦闘目的や権限等に制限が付くが、もしもの時の保証が充実していたり、諸申請が楽だったりする。 また、この資格の所持を条件とする仕事も多い。 フォースセンターやガーディアンセンター民間企業で戦闘を定職にしたい人は殆どがお世話になる。 FEGレーサーライセンス 概要 フォーミュラエルフグランプリで使用するレースマシンの扱いを習得している事を証明し、グランプリへの参加を許可する。レーサーとしてのステータスも登録される。 取得条件 簡単な筆記試験と実技試験に合格する事。エルフである事。 エルフのレース大会に出場する為に必要な資格。 エルフ専用なので、ヒトは取得する事が出来ない。 フォースゴールド免許 概要 自身が持つ固有能力、及び一般的とされるいくつかの追記能力の発動と制御を、様々な精神状況下で大きな失敗無く安定して扱える事を証明する。 取得条件 固有能力情報の登録と、ライピルトフォトンセンターが行う試験への合格。 要はちゃんと能力を制御できるかどうか。 これを習得していると、就職の際にフォース制御能力を評価されたり、高度な追記能力の習得が許されたりする。 取得難易度は、フォース能力への適性により多少変化する。成人近くの年齢で取得できる事が多い。 EXフォースマスター 概要 フォトンとフォースの基本的な挙動について熟知し、ある程度フォース能力を解析できる能力を持つ事を証明する。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う筆記試験への合格、自作追記能力の提出と、その審査の合格。 フォースゴールド免許の上位版。扱い方だけでなく、原理や作り方等も把握している事の証明になる。 ゴールド免許と違い、専門的な勉強が必要で、取得難易度も高め。 取得していると魔技術士やフォースプログラマになれる。 4級から1級まである。 第一種物理力能力免許 概要 フォース能力を用いた、フォトン非使用でも一般的な物理法則を再現した能力の性質と効果を把握し、その扱い方を習得している証明となる。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験への合格。 フォース能力を頻繁に利用する職場ではよく必要になる為、進路次第では取得しておくと有利。 第二種物理力能力免許 概要 フォース能力を用いた、フォトン非使用では存在しない特殊な物理法則を再現した能力の性質と効果を把握し、その扱い方を習得している証明となる。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験と筆記試験への合格。 第一種より専門的な能力の使い方をする場合に必要。取得難易度も比較的高い。 α種亜空間技師 概要 跳躍空間の性質と効果を把握し、転移や航行などに関するフォース技術を履修している証明となる。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う筆記試験への合格。 主に亜空間ワープに使う3.2次元跳躍空間の扱いを心得てる事を示す資格。 これを持ってるとワープポイント(スナップポイント)の整備を行ったり、 自分の判断で自由に跳躍空間を移動したり、好きな位置でワープアウトしてもいい権限が手に入ったりする。 β種亜空間技師 概要 圧縮空間の性質と効果を把握し、転移や空間維持などに関するフォース技術を履修している証明となる。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う筆記試験への合格。 主に亜空間倉庫に使う2.8次元圧縮空間の扱いを心得てる事を示す資格。 分野が少し違うものの、α種と共通する知識が多いので取得難易度も同じぐらい。 これを持ってると亜空間倉庫の確保や整備や拡張ができるようになる。 δ種亜空間技師 概要 エーテル亜空間の性質と効果を把握し、転移や航行などに関するフォース技術と異世界航行に関する影響責任と秩序維持法を履修している証明となる。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う筆記試験への合格。トラベラーデータベースへの登録 「世界の狭間」と呼ばれるエーテル空間の扱いと、やって良い事悪い事を心得てる事を示す資格。 エーテル空間は圧縮空間や跳躍空間と違い、別の宇宙や異世界に転移できる空間である為、 異世界に変な影響を与えたり与えられたりしない様に気を配る必要がある上、 下手をすると帰って来れなくなったり死んだりする場合もある危険な空間。 なので空間系の資格では一番取得難度が高い。 総合施設能力資格 概要 建築物や施設に利用する追記能力の性質と効果を把握し、その扱い方を習得している証明となり、それらの能力の使用、及び自動運用を決定する責任者になる事を許可する。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う筆記試験への合格。 建築業をする際に半ば必須で習得する事になる資格。 悪用すると他人の行動を大きく妨害できる能力が多い為、技術の証明と言うよりは誓約書に近い。 拘束力の強さに応じて3級から1級まである。 理力危険物取扱免許-阿種 概要 フォース能力により生み出される危険物の取り扱いや処分方法を熟知し、それらの危険物が発生する追記能力の使用を許可する。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験と筆記試験への合格、通常の危険物取扱免許の取得。 危険なフォース能力を使用する為に必要な免許。咄嗟の対応力も求められる為、取得難度は結構高い。 理力危険物取扱免許-吽種 概要 フォース能力によらないフォトンの性質や危険性を熟知し、それらの危険な性質への対抗手段の習得を示す。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験と筆記試験への合格、EXフォースマスターの取得。 龍脈に立ち入ったり、侵食式FCの取得をしたりするのに必要な資格。侵食式FC持ちのヒトに対する医療行為を行う際も必要。 ゴーレム操縦免許 概要 ネイチャーエルフが搭乗するゴーレムの基本的な扱い方を心得ている事と、大きな問題なくゴーレムを用いてヒトと同等の動作が出来る事を証明する。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験と筆記試験への合格。ネイチャーエルフであること。 ちなみにゴーレムに搭乗するだけなら、この資格がなくてもよい。 ゴーレムを用いて何かの責任を果たす際の保証や能力証明に使われる。 基本的に人類は取得できないが、何らかの理由でフォトンによる思念体となった元人類はその限りではない。 ロボットボディ操縦免許 概要 サイバーエルフが搭乗するロボットボディの基本的な扱い方を心得ている事と、大きな問題なくロボットボディを用いてヒトと同等の動作が出来る事を証明する。 取得条件 ライピルトフォトンセンターが行う実技試験と筆記試験への合格。サイバーエルフであること。 ちなみにロボットボディに搭乗するだけなら、この資格がなくてもよい。 ロボットボディを用いて何かの責任を果たす際の保証や能力証明に使われる。 基本的に人類は取得できないが、何らかの理由でフォトンによる思念体となった元人類はその限りではない。 よかったら「これいいな」とか思いついた事をコメント欄に残していってください。 皆さんのアイデアが見れると楽しいと思いますし、もしかしたら頂くかもしれません。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/faren_ency/pages/640.html
交錯する思いの中で 作者名 成香氏 配布元 成香のつれづれ日記 最終更新日 2011/02/26 (Ver1.06) -世界観 同作者の過去作品の流れを汲む3作目。 規模は中~大規模。 -システムの特徴 能力値はデフォルトに近いか少し上程度。魔法の消費MPなどが変わっている。 戦況を一気に覆すような強力な陣営がいる。 ひとこと感想: たのしー! (2021-08-25 19 28 38)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4961.html
「……あなた、一体何をしているの?」 凶刃を停止させて、朝倉は自分を遮る俺の長門に話しかける。 「あのね、今のあなたには何の能力もないの。何をやろうともそれは無駄なことでしかないわ。邪魔だから、早くそこをどきなさい」 俺の長門はわずかずつ後退し、後方のハルヒを守らんとする姿勢を崩さない。しかし、それは何処かプログラムを遂行しているかのような動きだ。 ……正体不明の頭痛も治まり、俺は緊迫した空気のなかにある朝倉と長門の姿を目にいれながら、必死にこの状況を打開する方策を探っていた。……すると自分の記憶とポケットの中に小さな引っ掛かりを感じ、それにゆっくりと手をやってみる。 ――金属棒。いつかこれを使う日がくるのかもしれない、と過去に俺が無根拠にそう感じた代物がそこにはあった。その正体はTPDDの部品で………周防九曜を制御した髪飾りの原料だ。だが……。これはこのままだと意味がないはずだ。何か情報操作のようなものを施すことによって髪飾りへと変貌するのだし、それに、確かその髪飾りも朝倉には効果がなかったように記憶する。しかしながら、現在はこれの存在に頼るよりないのも確かだよな。どうする? あまり賢い方法ではないが、試しに朝倉に投げつけてみるか? それをやるなら石つぶての方が効果はありそうだが。 「うう……。長門さん、涼宮さん……」 俺が懊悩としている隣で、実に不安そうに朝比奈さん(小)が呟く。今にも泣き濡れてしまいそうな横顔は、まるで己の無力さを嘆いているような…………。 ――って、ちょっと待て。そうだ、朝比奈さんは無力でも何でもないじゃねえか。むしろ、このお方ほど現時点において頼りに出来る人物は他にいやしない。多少反則的な感もあるが、あの無敵状態を誇る朝倉には文句を言われる筋合いなど皆無だ。 ……なんとか出来るかもしれない。そう。未来人なら――この状況を過去に乗り越えたことのある、朝比奈さん(大)だったら。 俺が大人の朝比奈さんに顔を向けようと思った、そのときだった。 「……わかった。もういい。あなたにもどのみち消えてもらうんだし、順番が変わっちゃうだけのことよ。それにわたしだって、あの長門さんにはあなたの姿をこれ以上見ていて欲しくない。丁度良いわ。あなたから先に消してあげる。安心して? あなたには痛みなんか感じさせないから。――じゃあね」 「な……!」 「え……? そ、そんな! 嘘……長門さんっ!」 ――朝倉涼子はハルヒを守る長門へと手を伸ばし、その頬を軽く一撫でする。 途端に長門の姿は淡く白い光に包まれ始め、次第にその輪郭を失っていく。 「――待て! ……長門!」 俺は長門の元へと駆け寄りながら、消えていく長門を絶対に手放したくないと片腕を伸ばした。……そして長門が俺へと向けた手は、俺の手のひらをすり抜けて―――姿もろとも、消失してしまった。 「うそ……。ちょっとあんた、なんてことすんのよ! なんで……こんな……」 眼前で起こった事態にうろたえながらハルヒが叫ぶと、朝倉は薄く笑って、 「……これれちゃった人形にはもう何の価値もないの。むしろそのままじゃ、あの長門さんを悲しませてしまうじゃない。だから何も問題なんてないわ」 「ふざけるんじゃないわよ! そんなの絶対におかしい――」 と、朝倉は責め立てるハルヒを睥睨し、 「――うるさいなあ。あんたは黙って恐怖だけしてればいいのよ。しゃしゃり出てきたあんたの王子様にだって、何にも出来ることはないんだから」 朝倉たちの間に介入した俺はハルヒをかばいつつ、凶行に及んだ朝倉の顔をハルヒと共に睨みつけていた。朝倉は俺たちの視線を真っ向から受けつつ、 「生まれ変わった長門さんにはあんたたちなんていらない。……そろそろ死になさい」 「……く」 ――もう、駄目なのか。 殺意表明の後で朝倉がナイフを腰元に構えるのと同時に、俺は後のハルヒへと素早く振り向き……ぐっと小柄な体を抱きしめる。 ……この日に再び訪れてから、俺はどこかで選択を誤ってしまったのかもしれない。背中にはまたあのナイフが突き立てられちまいそうだ。ああ、なんてバッドエンドを迎えちまったんだろうね。そのせいで、長門は……。 ――せめて、ハルヒ。こいつにだけは手を出させたりはしない。 中学生姿のハルヒを俺が強く抱きしめていると、背中への不快な感触の代わりに――思わぬ声が耳に飛び込んできた。 「――――な、」 ナイフをこの身に受け入れる覚悟を決めて身体を強張らせていた俺は、ゆっくりとその緊張を解き、なにやら驚きの声を漏らした朝倉へと振り向いてみる。 「……長門?」 やれ刺さんとばかりにナイフを構えた朝倉の腕を、眼鏡の長門がそれを阻止するかのように掴んでいた。 「長門さん……あなた……」 思わぬ人物からの干渉に戸惑いを隠せない朝倉。俺も同様に目を丸くし、眼鏡の長門の様子が今までと違っているのを感じていた。 「――朝倉涼子。みんな……ごめんなさい」 若干の哀愁を帯びてそう言う長門の表情は、頬を赤らめたりするあの長門のものではなく、俺の知る長門にもう少し感情の色を足したような感じだった。 「もしかして長門、記憶が……戻ったのか?」 俺が問いかけると眼鏡の長門は少し悲しそうに、 「わたしはわたし。だが……残念ながら、このわたしはあなたの知るわたしではない」 理解出来ないでいると、 「でも、あなたたちの知っている長門有希と同じ気持ちをわたしは持っている。だから、今から話すわたしの気持ちをみんなに聞いて欲しい」 すっと朝倉から手を離し、神妙な面持ちで話す長門。その言葉に従うように俺はハルヒの隣へと立ち、朝倉さえも、俺たちを襲うことを忘れてその場で長門に注視していた。 「――涼宮ハルヒの情報創造能力は真実を否定するものではなく、この世界に矛盾の存在をも認める……とても優しい力。それと同じように人は矛盾を許容することによって、他の有機生命体とは性質を異にする存在へと成り得たのだと思われる。だからわたしは、進化の可能性は涼宮ハルヒの生き方にこそあるのだと思う。……そして情報統合思念体の進化への希望となる一人の女の子を、わたしは知っている」 「……それって、朝比奈みゆき、か?」 「そう。人に育てられたインターフェイスである彼女は、人の心を持ったことによって、既に単なる端末を超越した存在となっている。人の心という矛盾するものを得た彼女は、それを自身の内にある真理と併合することによって、人にも思念体にもない……新たな可能性を導き出した。わたしは情報統合思念体も『心』を持つことによって、進化への道を踏み出せると考えている。それはどういうことなのかといえば、つまり……人の感情を思念体が持つということ」 ここで朝倉はハッとした表情を見せ、その後で秀麗な顔に影を落とした。 長門は続けて、 「わたしは……人間になって『死』というものを取り入れれば、人の感情が理解できるかもしれないと思ったからこの日を生み出したのだろう。……でも、そうではなかった。感情は死を回避するためだけのものでも、ウイルスのようにその者を蝕んでしまうものでもない。人の『心』は……人類が言語とは違う方法で己以外の存在と繋がり合おうと努力し、その進化の過程で組み上げられてきた一つの結晶。他の存在と繋がりあおうとする行為にこそ、進化への歩みを進める理由がある。それは感情によってなされるもの。だから――」 ……やめてよ、と朝倉は不意に呟き、俺たちの意識をその身に集めると、 「人の感情なんて……自分を害するものを拒絶して、脆い自分を保護するために作られてきたものなの。あなたが言ってるのとは正反対のシロモノよ。わたしには、それが進化を助長するものとは思えない」 長門は若干視線を落として、 「そういう部分もあるかもしれない。だけど、わたしはそれが人間の本質だとは思わない。何故なら、人は笑顔を作るから。悲しいとき、自分の弱さが表に出て無防備な状態のときでさえ、人は涙を流してそれを伝えようとする。それは、人が他者を利用して生きるものであれば矛盾すること。つまり人の感情は、人が自分の気持ちを伝えることによって互いに補完しながら生きてきたという証」 「そうだとしても……!」と朝倉はたまりかねたように「人間の中に他人を食い物にする奴がいるのは確かなことじゃない! それだけじゃないわ。どんなに人が手を差し伸べたって、頑として自分の世界を貫くだけの奴だって腐るほどいる。そいつらには、どんなにこちらが繋がりを持とうとしても何も解りはしない。そんな人間がいるから世界は乱れるのよ。それにね、あなたが好きだって言うSOS団はどうなの? あなたたちはちゃんと繋がっているとでも言うの? もしあなたがそれを肯定するとしても、それを証明するものなんてないじゃない!」 「……自分と他人が繋がっているかを証明するものは存在しない。だけどわたしは……それを信じることが出来る。でも、それは本当はとても怖い。全ては自分の独りよがりかも知れない、相手が本当は自分を嫌っているのかも知れないという可能性は決して消えたりなどしないから。――それでもわたしがそれを信じているのは、彼等と一緒に過ごしてきた時間があるから。人は人と手を取り合うことによって、互いの歪みを解消することが出来る。そして……」 長門は俺をゆるりと見つめ、朝倉の方へと向きなおすと、 「現在の情報統合思念体は……彼等を、大切な友だちだと思っている。思念体が彼等に意見を求めたのもそのため。そして未来からの来訪者も、全てを知る悲しみ、何も知らないことの苦しみに耐えながらこの時代の人と共に同じ『今』を作っている。涼宮ハルヒに異能力を授けられた者たちが仮面を被っていることも人と繋がるための一つの方法であり、その仮面の下には、わたしのことを思って泣いてくれる素顔がある。……今のあなたと同じように」 そう言って長門が視線を向ける先には……粒々と涙を溢れさせている、朝倉の姿があった。 朝倉はそれに気付いていなかったように手を自分の頬へと寄せ、その指に触れる水を確認したのと同時に、ストン。という音が地面へと滑り落ちたナイフによって奏でられた。 ……そうか、そうだよな長門。正直俺だって、最近まで宇宙人や未来人や超能力者のまとまりについて疑問に思うところがあったんだ。だがそれは、だんだん話を重ねていくにつれて……一緒に過ごしていくことによってその繋がりが確認出来たんだよな。今の俺は、長門の親玉だって、未来だって、機関だって信じることが出来る。 そう。本当に全部ひっくるめて、SOS団のみんなを。 「――でも、人が笑っていられるのは……そのとき、泣いている人がいることを忘れているからじゃない。だったら、最初から悲しみなんて……」 なおも大粒の涙をこぼしながら、消え入りそうな声で朝倉が言う。するとそこに、 「……いいえ。それは違うって、わたしは思います」 大人の朝比奈さんが双眸からポロポロと落涙する朝倉の肩に手をかけ、朝倉がその母のように優しい顔を見つめると、 「この世界には知らなくても良いことだってたくさんあります。……でもね、人は悲しみを知っているからこそ、幸せの姿を見つめることが出来るの。悲しみを知らない人は笑いながら人を傷つけてしまい、そして悲しみを知らなければ、自分が傷つけられていることさえ愛情だと錯覚してしまうわ。それぞれに幸せの形はあるけれど、悲しみを知らないことで幸福を感じている間は……いつだって悲劇でしかないんです」 「あ……」と朝倉は泣き崩れる数瞬前の顔で「じゃあ……わたしは……わたしがやったことは……」 すると朝比奈さん(大)はにっこりと微笑みかけ、 「いいえ。あなたを咎める理由なんて何もありません。だってあなたの長門さんを思う気持ちに偽りなんてないでしょう? それはね、結果があなたの考えたものとは違っていても、あなたのやったことに間違いはなかったっていうことなのだから」 キョンくんを傷つけてしまったのはいけないことだったけど、と俺への刺突行為を軽く諫める大人の朝比奈さん。 ……その言葉を受けて遂に朝倉の激情は霧消し、そこには、泣き咽ぶ少女とそれを抱きしめる女性の姿だけがあった。 ………… ……… …… 「そう。……長門さん、それがあなたの答えなのね」 すっかり落ち着きを取り戻した朝倉が、やさしい学級委員長のような気配で眼鏡の長門へと尋ねる。そして長門がこくりと頷いたのを確認すると、 「……でも、どうしてあなたは記憶を――」 俺も不思議に思い長門を見つめていると、思いっきりばっちり長門と目が合った。朝倉は不審そうに俺を見やると、 「―――まさか。そうだったなんて……」 何かに驚き、かつ何かを理解したような声を朝倉は漏らしたが……何なんだ? 俺にはさっぱりわからんが。 「……あと、もう一つ疑問があるわ」今度は俺の方を見つつ「あなた、どうやってここにやってきたの? いえ、あなたたちじゃなくて、そこで寝てるあなたの方」 俺は安らかに地面で寝転んでいる己の姿を一瞥すると、 「……ああ、俺は最初に変わっちまった世界を奔走して、三日後に長門の脱出プログラムを起動させたんだ。その後で過去の七夕へと跳んで、大人の朝比奈さんと長門に連れられてここにきたのさ」 「脱出プログラム……?」朝倉は思案顔で「……どういうことかしら。長門さんが作り変えた世界にはそんなものなかったはずなんだけど。それに脱出ってなに? あなた、長門さんから何も聞かされてなかったの?」 「なにいってるんだ?」 本当に理解しかねることを言っている。俺は長門から事前に劇的世界大改造について、ビフォアにもそういえばアフターにも説明を受けた覚えなど特にないし、改変後の世界に脱出プログラムがあったのも事実だ。 なので俺は何も嘘なんか言っちゃいないし全ては体験による情報なので勘違いでもないのだが、朝倉が勘違いしているという線も考えにくい。このズレは何が原因で発生しているのだろうか? ……と、思い悩むまでもない。ここにはそれの答えを出してくれそうな人物が二人ほど居てくれている。 俺は少し考え、 「朝比奈さん」 に質問することにした。もちろん大きい方の。 「これはどういうことなんです? それに、この後世界はどうなっちまうんですか? これから俺が走り回った三日間が始まるのなら、世界はいつ正気を取り戻すんですか?」 「……世界が元の姿に戻るのは、キョンくんが脱出プログラムを起動させた後です。それでね、本来長門さんは、世界改変後キョンくんにその理由を伝えるつもりだったの」 じゃあなんでそれが俺の体験したものと違っているのか、と聞くと長門の方が、 「これから世界を整えるためには、再度情報を調整しなければならない」 寝ている俺を一瞬目に入れ、すぐさま俺を見直すと、 「まずはわたしのデータを改変直後のものに再修正し、わたしが作った世界を再現しなければならない。そしてここで寝ているあなたには、これからの三日間をずっと眠っててもらうことになる。そして三日間を体験したあなたが脱出プログラムを起動させたとき、眠っているあなたは代替の記憶と共に元の世界で目覚めるようにする」 ……つまり、俺が三日間を過ごした世界は、最調整された後の世界だったのだ。……俺が一番最初に過去の七夕へと時間遡行をしたのも、この未来を固定するためだったというわけか。そう考えれば、長門が俺に知らせもせずに世界の情報を改竄したのも納得がいく。 それは、今の俺が頼んだことなのだ。 何故ならば、もし俺が世界改変の事情を知っていれば、心からSOS団の大切さに気付くなんてことはなかっただろうからだ。何故期限を示したのは。何も知らない俺が改変後の世界を果てしないものだと思ってしまえば身が持たないだろうし、こういうのは集中して行うべきで、それで無理だったらそれまでということなんだ。 「……そっか。多分、その調整はわたしがやることになるのよね」 喋り出した朝倉を俺が反射的に見ると、 「わたしは改変後の世界を見守ることにするわ。そしてあなたが三日後に七夕へと向かった後、わたしが世界を元通りに修正する。そういうことで良いんでしょ?」 「それが一番望ましいと思われる。朝倉涼子、すまないがお願いする」 「いいえ。かまわないわ。……それより、涼宮さん」 ハルヒが虚をつかれたように反応すると、 「さっきはごめんね。あなたを傷つけるようなことを言っちゃって。あれは間違いだったわ。あなたも長門さんも、一人なんかじゃなかったのだから。だから……長門さんをよろしくね」 「ん……あったりまえじゃないっ! 安心してあたしに任せてちょうだい。これはあたし自身のためでもあるんだしね。だって長門さんは、未来のあたしにとって大事な――」 ……ああ。欠かすことの出来ない大事な団員だよな――。 と心の中で先読みしていたのだが、その予想は外れてしまった。 そう、ハルヒは頼もしい声でこう言い放ったのだ。 「――友達なんだからね!」 そんな朝倉とハルヒのやりとりを見て、俺には一つの考えが浮上してきた。 もしかして先程のハルヒの宣誓がこの時間軸以降のハルヒに影響を及ぼし、冬の合宿で見受けられた過剰なまでの長門に対する気配りへと繋がったのではないだろうか? もしそうだとしたら、もう一つ疑問が解消される。 それはハルヒの手が加えられた朝比奈さんの小説の内容のことだ。 三日後に目覚める王子。そこはハルヒが手を加えた部分の一つで、一際無意味さを醸しだしていた箇所だったのだが……きっとそれも、この中学ハルヒがこの日を目撃していたことに起因するのだろう。この出来事がハルヒの無意識だか識閾下だかに残存していたのだ。三日目に目覚めるというのは、つまり、ここで寝ている俺のことで、俺が王子だという点にはあえて触れないでおく。 そして人魚姫。これは……ある意味で、朝倉のことだったのかも知れない。 「…………」 俺は沈黙する。俺はもう、朝倉に対して嫌悪感は抱いていない。むしろ、こいつはこいつで一生懸命長門のことを思いやっていたのだ。だが、王子をナイフで刺すことの出来なかった人魚姫の結末は…………。 そう思って一つ、つつましやかに朝倉へと尋ねてみる。 「――朝倉。お前は、また学校に戻って来る気はないのか?」 「あら、なんでそんなことをあなたが言うのかしら」 俺は報われない結末を迎える人魚の話を頭に浮かべつつ、 「……実のところ、進級したクラスの面子がそう代わり映えしなくてな。かつてのお前ほどみんなを取り仕切れる奴がいないんだよ。だから……カナダから帰ってきたことにでもして、またお前が来てくれるのも良いんじゃないかと思ってな」 朝倉は驚き眼をして、次に柔和な笑みで「ありがとう」と俺に言うと、 「でもごめんなさい。それは無理なの」 何故だと聞くと、 「わたしの行動が上のほうにも伝わっているから。二度までもあなたを脅かしたわたしは、もうあなたの近くにはいられないわ。だから、あなたの気持ちだけ受け取っておくね」 そんなのは関係ない、と食い下がる俺に朝倉は少々困った顔を見せ、 「……じゃあ、もしまた会う機会があったら、そのときはあなたになにかご馳走でもするわ。そうね、なにか好きな料理を教えてくれない? 頑張って作ってみることにするから」 「――そうか」と流石に俺は朝倉の意を汲み取り「……じゃあ、冬といえばやっぱり鍋だな。クリスマスにはSOS団でいろんな具材が入った鍋をやるから、なにか他の……そうだな、鍋と言えば我が家ではおでんだと決まってるんだが」 「じゃあ、そのときはおでんを振る舞ってあげる。美味しく出来上がるかはわからないけど」 「ああ、すまないな朝倉。……美味しかったよ」 と、朝倉はクスクスと微笑し、 「なに言ってるの? まだ食べてなんかないじゃない。感想を言うには気が早すぎるよ」 なに、不精な俺のことだ。もしかしたら馳走の礼を忘れるかも知れないからな。それに朝倉が作るおでんは、俺の舌をウマいと絶叫させるって決まってるようなもんだ。 「ありがと」 朝倉は目を細くして言うと、大人の朝比奈さんに顔を向けて、 「後はわたしに任せてもらうとして、あなたたちはどうするの?」 「そうですね」朝比奈さんは小さな自分を見ると「あなたはこのまま、古泉くんを迎えに行ってください。そして、またあの公園で落ち合いましょう」 「わかりましたっ。それじゃあ、あたしは先に古泉くんのところへ向かいますね」 すると朝比奈さん(小)は朝倉の名を呼び、 「ホントに……ほんとうに良かった。色々あったけど、これでよかったんだってあたしは思います」 「……そうね。わたしもそう思うわ」 ニコリと笑った朝比奈さんに、ちょっと待って、と長門が呼びかけ、 「その七夕の日のわたしに、全てが完了した後でパーソナルデータは初期の状態へと戻して置くように伝えて欲しい。そのままでは、以後の活動に支障をきたしてしまう恐れがある」 「はい。ちゃんと伝えておきます。……ではキョンくん、涼宮さん。目をつむってもらってていいですか?」 そうだった、と俺とハルヒは目をつむり、そして目を開けたときには、朝比奈さんは既に古泉の元へと飛び立った後だった。 ……朝比奈さんの言う通り、俺もこれで良かったんじゃないかと思っている。今までの経緯にはマイナス要素も含まれていたが、それはいわば計算式の一部であり、現在の結果となる答えにはそれも不可欠なのだ。終わりよければ全てよしという言葉はまさにそのことを表しているのだろう。 「そしてキョンくん。元の時空へと戻る前に、あなたに説明しておきたいことがあるの」と朝比奈さん(大)は「まず……長門さんが病気だと言って学校を休んだときから続いていた、彼女と情報統合思念体とのトラブルについて」 ……ああ、それもまだ明かされていない謎だったなと思いながら、俺は話を聞く体勢に入る。 「長門さんはね、世界が分裂していたことを最初は認知していたの。だけどその異常事態をわたしたちに教えることは、それの観測を重要視していた思念体から禁止されていました。そこで長門さんはとある仲間の思念体を自分の管理下に置き、その仲間を通してわたしたちに知らせようとしたのだけど、それが上のほうにばれてしまって阻害されてしまったんです。そこで長門さんは自身の力を振り絞ってなんとかその仲間の身体を保持することに成功したんだけど、個人の力では赤ん坊の身体を構成するので精一杯だった。そこで長門さんはその子に死の概念……えっと、普通の人間のように肉体的な成長を授けて、思念体の精神的干渉を防ぐようにしたんです。そしてわたしにその子を託して、未来の時の中で成長させようと考えていたの」 ……つまり、それが朝比奈みゆきだってことなのか。 「そうです。そしてもう一つ。今回長門さんのパーソナルデータが消去されてしまったのは、わたしが原因なの」 「それ、どういうことなんですか?」 「わたしが前日にみゆきを連れてキョンくんに会いにきたでしょう? みゆきを連れてきたことこそが、長門さんに死を思わせるキッカケとなったんです。何故かといえば、みゆきの存在を長門さんが感知したとき、長門さんはひどく動揺したんです。みゆきの元となった思念体の構成情報が変化して、まるで人と同じような精神構造を持っていたから。……そこで長門さんは、強く思ってしまったの。やはり、死というものによって感情は形成されるんじゃないかって」 じゃあ、あの時の会話を長門が聞いていたからじゃなかったのか。 「ええ。思念体は長門さんたちを通してでなければ人と触れ合うことが出来ませんし、長門さんにそんな機能はありませんから」 ちょっといいかしら、と朝倉が急に話へと加わってきて、 「……その思念体って、誰だったの?」 大人の朝比奈さんは、申しわけないのか何なのか分からないような微妙な表情で、 「――それは、禁則事項です」 「……そう。まあいいわ、興味本位で聞いてみただけだから」 どこか切なそうに言う朝倉に、 「ふふ。ほんとに、なんでみゆきは朝倉さんみたいな子にならなかったのかな。……わたしの育て方が悪かったのかしら?」 若干本気で心配するような顔を見せ、 「――じゃあ、この世界と長門さんをよろしくお願いします。また……お会いしましょう」 ん? 長門はここに残るのだろうか? と眼鏡の長門は、 「わたしはここに残らなければならない。あなたたちの傍にいるべきわたしは、あなたたちが元の時空に帰還した後身体を再構成したうえで、パーソナルデータが消去される直前のわたしのデータを入力してくれるといい」 「そうなのか。……でも、そうするとまた記憶を消されるんじゃないのか?」 安心して、と長門は俺に言い放つと、 「……わたしはもう死を願ったりはしない。わたしは、わたしとして生きていく」 そして俺の瞳をじっと見つめ――、 「みんなと一緒に」 「じゃあ、そろそろみんなともお別れね。……色々ごめんなさい。あなたにはいくら謝っても足りない程だけど、そう悠長にしている時間もないかな」 「ん? どういうことだ?」 訝しがる俺に朝倉がAAランクプラスの笑顔を披露しながら言った言葉は、まるで登校中の一ページを見ているかのようで、あの頃の優しい委員長が戻ってきたような懐かしさに満ちていた。 「――急がないと、学校が始まっちゃうよ?」 第十三章