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648: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22 16 25 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第百十四話 ―扶桑海事変-18― 【長門】を先頭にし、後方に【陸奥】。更に後方に【伊勢】【日向】【田代】【焼石】が、ハ乃字に並んで航行していた。 上から見ると逆さまのY乃字にも見える。 これは【田代】艦長 古田高雄の具申を受け入れた形なのだ。 今まで輪形陣による対空防御を取っていたが、今現在はその形をとる必要が無いと判断。 護衛の狐狸部隊は首を捻ったが、無線で指示を受けると納得した。 足場を広げた“ヤマ”の下部に突入した第二打撃艦隊に、すぐさま護衛のネウロイ達が襲い掛かってきた。 数少ない彼等は、あまり広がり過ぎて味方の援護が出来なくなることを恐れ、ある程度纏まって行動している。 それを目にした古田高雄はにやりと笑う。 「敵の戦力も残り僅か。もう、余裕などない。」 確かに襲来してくる敵は脅威ではあるが、思ったほどの数ではなかった。 それは迎撃戦を切り抜けた戦艦四隻も同様。この程度の数ならば捌き切れると判断している。 その敵に向かってウィッチが攻撃を仕掛けた。 無論迎撃に移るネウロイではあるが、まったく攻撃に出る事は無く、回避行動をメインにして攻撃も牽制程度。 ネルギー問題を抱え始めており、余計な消費が出来なくなっていた。 「敵接近中。」 「うむ。」 それでも敵は進撃を止めない。 流石に護衛を務めるだけは有り、ウィッチが群がって攻撃しているのにも拘らず、まだ撃墜されるネウロイはいない。 しかし・・・目的は達成できそうだ。 「敵、密度上昇。」 見張りの声が艦橋に響き渡る。 まだ、まだ遠い。自分が考えた妙策は、この特別な状況下だからこそ機能しうるもの。 通常の戦闘では、下策ともいえる策だ。 予定通りに多方向に散らばる事を抑制した彼女等は、対空砲の有効射程内に入った事を悟ると距離を取り始めた。 一名・・・いや、三名ほど首根っこ掴まれている様に見えるが気のせいだろう。 「ウィッチ・・・離れます!」 「撃ち方・・・」 すぐさま報告がとび、 「始めえ!!」 「うちぃかたぁはじめぇ!!!」 号令が下された。 真後ろから迫っていた敵群は、何時もより濃密な対空砲火に見舞われた。 【長門】【陸奥】を覗いた対空砲火は、目論見通りにクロスファイヤ地点を作り出し、一気に敵を葬る。 対してネウロイ達は攻撃しようとした矢先の攻撃に、出鼻をくじかれて右往左往してしまった。 もし、ここに指揮官型が居れば違ったのだろうが、こちらには一体もいない。 更にベテランの、戦場を生き残り続けたネウロイもいない。だから、無様に叩き落されていく。 一体のネウロイが機首を上げるが、すぐにある物を見て中断してしまう。 そこに高角砲の砲弾が命中し、胴体を粉砕されて墜落。海中に没した。 その光景をみつつ古田は呟く。 「もし・・・」 視線をゆっくりと上に向け、 「天井が無かったならば、お前達が優位だったろうな。」 黒い足場を見て敵に同情した。 徐々に低くなる天井。この戦闘でしか発生しないであろう特別な条件。 三次元に動ける敵が、二次元的な動きを強要される空間。 まだ高さはあるが、頭上に何かがあるという圧迫感はどんな対象であれ、心に重くのしかかる。 だからこそ逆Y乃字という陣形がいきた。 「敵の進路さえ強制してしまえば、こちらの火力を存分に叩きつけられる。」 視線を戻せば大慌てで退避するネウロイがおり、有効射程外に居座ったウィッチが戻る様に追い立てていた。 それでも強引に突破し、逃げ帰るネウロイもいる。 だが、その数は襲撃してきた時よりも少なく。8体ほどしかいない。 彼等は大きく旋回し、第一打撃艦隊を襲撃している味方に合流しようと急いだ。 狐狸部隊は追い駆けようとしたが、主任務は飽く迄も障害の排除と護衛。 649: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22 17 55 なんだか刀をブンブン振り回しているのが見えたような気がする。 気のせいだろう。 「以外に骨が無いな。」 「あれだけ火力を叩きこまれ、味方が少ないですからね。 自分でも退避を選びます。」 それもそうかと思い、視線を敵方前に向ける。 陽の差さない視界だが、薄ぼんやりと下向きに長く突き出した何かが見える。 恐らく、目標である核がその中に入っているはずだ。 後もう少しと逸る気持ちを抑え、トラブルに備える。 その少し後に、考えた通りに敵の弱点が視線の先にある報告を受け取った。 ――北郷隊:観測班―― 親友の若本徹子の惨状に嘆く事もできず、不満をさらけ出す前に気迫負けを期した。 流れ出る涙をぬぐい、坂本美緒はエンジンを吹かして速度を上げる。 その後方から竹井醇子が追いかけているが、何を言えばいいのかわからない。 自分も泣きたかった。だけど、そんな事をしてもなにも良い事はない。 (美緒ちゃん・・・) 皮肉なものだと思う。前向きに志願したのは徹子、自分たち二人は心配だから着いてきた。 それが・・・徹子はもう、ウィッチとしての活動は出来ないだろう。 人一倍努力し、負けず嫌いな彼女がどうなるのか、それはわからない。 無線越しで聞いた能力の詳細は衝撃的であり、親友の覚悟の強さを思い知った。 自分には何ができる? 何をすればいい? (とにかく、今は話しかけよう!) 意を決し、無線を起動させた。 「美緒ちゃん。」 『・・・・・・』 坂本美緒は答えない。 「さっきはキツイこと言ったけど、私も徹子ちゃんが心配。これは本当だよ?」 『・・・・・・』 「私は・・・」 何も答えない親友の態度に、心が締め付けられる。 だが、ここで逃げてはいけない。気持ちを奮い立たせて言葉を紡ぐ。 「美緒ちゃんにも死んでほしくない!」 『・・・・・・』 無視をされているのかもしれない。だが、それでも耳には届いていると信じる。 「もう、誰にも死んでほしくはないよ。」 『・・・・・・っ。』 「だから、私は信じるよ。徹子ちゃんは絶対生還するって。 だって死んでほしくないと思うなら、絶対に生きて帰れるって信じなきゃ。 死んじゃうなんて思う事が、一番駄目なんだ。 徹子ちゃんは決死の思いで飛び出したんだと思う。だから、私達は・・・」 『・・・』 言葉が上手く出ない。 「私達は・・・怒ろう。」 『・・・ぇ?』 「だってそうじゃない。ずっと黙っていたんだよ? 知らされていなかったんだよ? 親友だと思っていたのに、そんなに付き合いが長くない委員長には教えておいて。 そんなに私達が信用できなかったの?!」 『ちょっ、醇子。落ち着いt「落ち着いていられないよ!!」ア、ハイ。』 なんだかいきなり起こり始めた親友にビビる。 美緒の怒りはどこかに飛んで行き、代わりに困惑がやってきて頭が痛い。 「頼りにしてほしかった・・・」 『そうだね・・・』 「だから、怒りに行こうよ。なんで黙っていたのって。」 『わかった。』 ぴしゃりと何かを打つ音が聞こえる。 おそらく顔を叩いて気合を入れなおしたのだろう。 『ごめん。心配かけた。』 「いいよ。」 650: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22 18 55 短い謝罪であるが、これだけで十分。 若本徹子には取りあえず反省文として100枚くらい書いてもらおうと、二人は話し合いで決めた。 そんなこんな話をしていたら、観測地点に到着していた。 早速魔眼を起動させる。本当なら接近して観測した方が良いが、すぐに戻る事を考慮してちょっと遠目にしている。 「さて・・・どう?」 『う~ん。下にあるのは間違いない。』 言い淀む回答に眉をひそめる。 聞きたくはないが、あまり良い予想ではない考えを脳裏に浮かべつつ問うた。 「もしかして・・・装甲が厚いの?」 『うん。少なく見積もっても10m以上はある。』 10mと聞いてどのくらい分厚いかわからないだろう。 設計にもよるが、マンションの3階の天井から4階の床くらいまでの高さを、そのまま装甲にすればいい。 史実の戦艦【大和】の舷側上部が410mmのVH(ヴィッカース非滲炭)甲鉄であったことを考えれば、とてつもない厚さだ。 しかもネウロイの体は金属のように硬い。 一体何発命中させればいいのか見当もつかない。 「『はぁ・・・ あ。』」 思わず二人とも同時に溜息を吐いてしまった。 それが何だか恥ずかしくて、とても可笑しく思える。 笑いたいのを大きく深呼吸する事で整え、醇子は北郷章香に通信を繋げた。 三点観測から導き出された敵の弱点、その装甲厚の問題も添えて。 「以上です。」 『そうか。まったく、厄介な問題が次から次に出てくるな。 しかし、当初の想定よりは希望がある。 一キロ四方の四角錐の中心だったなら、どこまで掘削すればいいのかわからなかったからな。』 確かに。 内心で同意し続いて戻る旨を伝え、大きく銃を振るって美緒に帰還を促した。 此方をチラチラ見ていのですぐに気が付き、そばを通過するコースで飛んでくる。 それに追従する形で自分も飛翔。美緒の右後方に着いた。 「これで、残敵を捌けば。」 「そうだね。これでケリがつく。でも、油断はできないよ?」 「わかっているよ。でも、そうそう悪い事なんて」 起きない。と続けようとした時。緊急通信が入った。 それは平文で、全ての回線を用いて伝えられる緊急事態。 『ネウロイ出現! 繰り返す! ネウロイ出現! 敵の構成は“スズメバチ”“アホウドリ”“オニグモ”の高速部隊! 作戦海域に向かっている!! 方位は・・・!!!』 緊急通信に耳を傾けつつ、いらぬフラグを立てた元凶を睨み付ける。 目の前の犯人は気まずいのか、顔をそむけていた。 「美緒ちゃん・・・」 「わ、私のせいじゃないぞ!?」 以上です。 敵が減り過ぎたから、増やしましょうね~
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160 :ひゅうが:2012/01/18(水) 19 11 12 ――同 皇紀4249(宇宙暦789=帝国暦480)年1月 銀河系 南十字腕 「伊予・安芸星域」 大日本帝国の地方制度はいくつかの星系(国)をあわせた「道」あるいは「州」と呼ばれる行政区画を基本としている。星系ごとの自治制度こそ緩いが、道あるいは州への中央政府の監査統制と自治は司法をあわせた疑似的な三権分立という厳しいものになっている。 一例を挙げれば、自由惑星同盟における星あるいは星系首相は「知事」とされ官選。副知事が民選である。 こうした点を見る限り、日本帝国という国家はどちらかといえば中央集権的といえる連邦制をとっている。 これは、銀河連邦崩壊時にルドルフ・フォン・ゴールデンバウムに対抗し「大遷都」を実行するために行われたものの名残であり、常に銀河帝国による追撃を警戒していたためであった。 銀河連邦時代の自国領内には日本神話の神々の名がつけられていたのではあるが、「大遷都」後の日本帝国は各地の星系に地球時代の日本列島やその古名を名付けている。 彼らは二度と本土喪失という事態を引き起こす意思は持っていない。言いかえれば、新たな大地を是が非でも守り切るというそれは決意表明であるのだ。 「すごい密度ですね。」 「この『瀬戸』は南十字腕の大動脈ですからね。帝都へ向かうためにこれから向かうサザンクロス回廊を通る『東海道』はこんなものではありません。」 艦長の言になるほど。とヤンは頷いた。 ここは、日本側の汎用戦闘艦「秋月」のブリッジ。 連絡武官として交換の形で日本側の武官と引き換えに彼はこちらへ乗り込んでいた。 当初はどんな中身なのかと戦々恐々としていたヤンだが、ブリッジは思いのほか普通に見える。 配置は同盟軍の戦闘艦に似ているが、視界を重視するために全天モニターで囲まれた中心にコンパクトにまとめられたブリッジが配置されているのでヤンにとっては単座式戦闘艇に乗った時のように宇宙空間にぽつんと浮かんでいるような気分になり、あまり落ち着かない。 ブリッジには艦長だという男性と操艦手と呼ばれる女性のほかは増設されたアドミラルシートに座る嶋田中将とヤン以外に人はいなかった。 不思議に思って尋ねてみると、小型艦のために制御にそれほど人手を使うわけではないらしい。それに、必要となれば機関長や各砲塔にいる乗組員をモニターに投影し疑似的な艦橋を作りだすこともできるため常に艦橋につめる必要もないのだという。 嶋田提督いわく、「電脳化が前提のシステムだが、こういうものはなくならない」らしい。 ヤンたち一行が回廊を抜けてから初の長距離ワープを行った先にあったのは、まるでハイネセンのフリーウェイのような宇宙船の列だった。 一行はその外側を悠然と高速で進み始めていたのだ。 「周囲の船舶には十分距離をとるように伝達。」 嶋田提督が脚を組み直しながら言った。 「了解しました。」 見ていると、艦長がどこからか空間投影パネルに文章を呼び出し、それを指先ひとつで「通信」と書かれたアイコンに投じている。 どうやら信号発信も自動化されているらしい。 161 :ひゅうが:2012/01/18(水) 19 11 50 「自動化が進んでいるのですね。」 「おや?漢字が読めるのか――そうか。ヤン中佐は中華系だったな。そうだ。我々は銀河連邦を継承した帝国に対抗するためには圧倒的に数が足りなかったからな。 経済的発展を優先するためにどうしても省力化が必要だった。」 嶋田提督はそう説明してくれた。 この人物は意外と面倒見がいいようで、ヤンの質問にはたいてい答えてくれている。 嶋田にしてみれば物語で知っている主役級の人間を相手にして少し舞い上がっているのだが、軍用義体は某義眼レベルで嶋田の「見せたくない」表情を隠しきっていた。 「はぁ。名前表記がE(イースタン)式である以外はそれほど自覚があるものでもないですが。」 「だろうな。あの戦争以後は特にそうなっている。」 ヤンは頷くにとどめた。 内心は驚きの感情を覚えている。伊達に4000年以上の歴史を誇るわけではない。でなければ900年前のシリウス戦役をこともなげに「あの戦争」などとは言わない。 「ヤン中佐は――」 ヤンの思考を中断させ、嶋田提督は言った。 「民主主義は最悪の政治体制だという言葉を知っているかな?」 「いえ。」 「はは。そうしかめっ面をしないでほしい、悪かった。その言葉には『それ以外に比べてはるかにマシであるが』と続く。ウィンストン・チャーチル卿の言葉だ。」 「第2次大戦時の悲劇の英国宰相でしたか。」 ヤンの返答に嶋田は頷いた。 そうか。我々が変更した歴史にあってはチャーチルはそうなっているな。第2次大戦回顧録も書いていない。 「そうだ。統治者にNoを言え、無血で交代させることができるという一点において民主政治――というよりは議会政治は独裁や専制政治に勝っているという意味だ。」 「君主制国家の方からそんなことを聞くとは思ってもみませんでした。」 「まぁ、ギリシアとペルシャの昔から民主政治と君主制時のどちらがマシかという問題は議論されてきたがね。 私は共和制よりも立憲君主制――いや統治者と権威者を分離する方式の方がいいかもしれないと言っておくことにするよ。これでも私は大日本帝国の軍人だから。」 「権威者と統治者、ですか?」 うん。と嶋田は頷く。 「専制者というものはその人格や伝統をもって権威を帯び、統治にあたって独裁的な権力を振るう。 だが、最初から権威を持つ者から統治権を離しておけば、独裁的にはなっても専制者にはなれない。権威を持つ者が権威としての継続性と伝統を継承している限り専制者はそれを上回るものを持てない。 よしんば制度疲労を起こしても、権威者はそのままにして統治機構を作りなおせばいい。」 「王権神授説の神の役割を君主に置き、統治者を王にするわけですか?どうも納得しがたいのですが。」 「日本の歴史はそうしたことの繰り返しだよ。ヤン中佐。統治者がいくら変わろうとも皇室はそのまま君臨され続けてきた。現状の議会政治が暴君を生まない、生んでも排除するシステムであるなら、皇室は議会と統治者の両方に任免の正当性を付託するシステムであるといえるのかもしれないな。三者ともに幸福でいられる。」 おっと、これは言いすぎか。と嶋田提督は話題を打ち切った。 「少なくとも、我々は陛下を敬しているし、人間が皆賢いとも思っていない。それだけは覚えておいてほしい。」 ヤンは頷いた。 自由惑星同盟の中の極右共和制一派が日本帝国の共和主義者への援助を主張していることへ釘を刺したのだろう。と彼はそう理解していた。 「さて。今日中には呉へ寄港し、帝都へ出発できるだろう。そろそろ食事にしないかね?」 どうも似合わぬことをすると腹が減る、と言った嶋田に、ヤンは「お供します。」と返した。
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23 :ひゅうが:2016/08/24(水) 21 45 33 艦こ○ 神崎島ネタSS――「第二次上海事変」その13 ――同 神崎島 昼餐会場 アメリア・イアハートは歓待に上機嫌だった。 アメリカからみれば西の果て、あるいは東の果てにある島という印象であったのだが、この島はイメージした以上に都会であり、快適に過ごすことができたからだ。 ホテルの中のラジオでは、米本土からの放送を受信することもできたし、ホテル内で食べることができたのは本格的なフランス料理だった。 いささかアレンジしているらしく生魚のカルパッチョが出てきたときには驚いたが、食べてみればこれはとてもおいしい。 冒険旅行の覚悟を決めて旅立った中にあって、この島はシンガポールあたりで期待していた蛮地の中の文明そのものだった。 何しろ冷房すらあるのだ! そして、夏らしく雨が降ったのを理由に一日ゆっくり休んだアメリアとナビゲーターのフレッド・ヌーナンは、盛装してこの島の政府である鎮守府本庁舎へと足を運んだ。 記者の数は少なかったが、珍しい女性記者がいるあたりこの島は開明的なようだ、と再び評価を上方修正。 この島駐留の日本の大使的な役割であるという高等弁務官の案内で、若きこの島の指導者に面会し、無事ルーズベルト大統領の親書を渡すこともできた。 この時点で彼女の任務はすでに終わったといってもいい。 だが、彼女は先方の厚意に甘えてもう2,3日この島に滞在するつもりだった。 情報収集というだけではない。 機体のエンジンをオーバーホールし、オイル交換などをやってくれるというからだ。 オクタン価106と120の燃料を無償で給油してくれるというのは何より彼女らを喜ばせた。 心配せずとも、機内に取り付けられた記録機材は二重に施錠されている。 飛行許可も、余裕をもって7日間、それも希望すれば発進可というものをもらっている。 控えめにいっても歓待といってよい。 そして、二人は正式な鎮守府側の招きにしたがって昼食を共にすることとなった。 希望時間帯はと聞かれて二人は午後2時すぎといった。 飛行機パイロットとしては、太陽の南中からの位置測定が日課になっていたし、着替える時間も必要だったからだ。 この時代の会食には、ドレスコードというものがある。 よくTVドラマなどでも晩餐を蝶ネクタイ姿で過ごしているように、昼食には昼食にふさわしい格好があるのだ。 男性はネクタイ姿が基本であるし、女性はワンピースにバックをあわせるのがふさわしい。 このルールを守らなければ、会場に入ることすらできないのだ。 アメリアは、米国女性らしく裾の広いスラックスとごく薄いアイボリーホワイトの帽子をあわせることにした。 既婚者であるから、純白はまとわないのだ。 同僚のフレッドはジャケットにネクタイ、白いズボンという姿だ。 まことに新大陸的な格好だった。 これにパナマ帽をあわせればマニラあたりの小洒落た二人連れになる。 男性が帽子をかぶらないのは、外を歩くわけではないからだ。 今回は、鎮守府さしまわしの車で会場へ向かう。 「静かな車ですね。」 「これは電気駆動ですからね。市内の騒音に配慮しているんですよ。」 未来的な流線型の車に迎え入れられた二人に、運転手の女性は笑った。 制服制帽であるあたり、正規に雇用されたスタッフなのだろう。 24 :ひゅうが:2016/08/24(水) 21 46 57 「どうりで。何キロ走れるんですか?」 今度はフレッド。 30年ほど前には、電気自動車は米国でもガソリン車と市場を二分する存在だった。 T型フォードが市場を席巻する前は。 加速も安全性も当時は電気自動車の方が上であったそれがみられなくなったのは、アメリカ的には充電時間と航続距離というボトルネックがあったからである。 重い蓄電池というデッドウェイトもある。 「正規で200キロは。特別製の電池と回生ブレーキのたまものです。」 「それはすごい。」 昔の4倍以上である。 「輸出の予定は?」 興味本位でアメリアは聞いた。 「島はアメリカさんのような訴訟地獄はごめんですから。」 「なるほど。」 この当時、アメリカでは路面電車を買い取りその路線をバスに置き換えようという動きが加速していた。 主要自動車会社や石油企業がタッグを組んだこの動きは、要するに自分たちの市場確保のために電気動力を締め出すという意図をもっているといわれ、100以上の路面電車運営会社が買収され、次々にスクラップにされていたのである。 もちろん陰謀論者のたわごとと片付けることもできるが、そうしたトラブルを抱えるのはごめんということを運転手は一言で言ってのけたのだった。 「そろそろ到着です。」 運転手がいった。 鎮守府本庁舎のヴィクトリア調の建物の前には、数人の記者とそれに数倍する歓迎の人員が待っていた。 提督をはじめ、主要スタッフとおぼしき人々もいる。 「お招きにあずかり光栄です。」 「あらためてようこそ。」 二言三言話し、昼餐会場にゆく。 今回は南欧風の食事であるようだ。 前菜に生ハムとほどよい甘さのメロンに加え、この島産だというキャビアが出、ついでコンソメスープの冷製――ジュレといったものが出る。 ほどよいスパイシーな香りは、山椒という調味料によるものだという。 続いて、真鯛のポワレに夏野菜のラタトゥイユ(刻み野菜煮)がけ。 アメリアとフレッドは料理を堪能し、バケットを二度おかわりした。 「失礼します!」 楽しい昼餐の最中、恐縮した様子のオオヨド…たしか提督の秘書官の女性と、厳しい顔をした男性が会場に入ってきて、そしていった。 「提督。緊急事態です。上海特別陸戦隊および日米英三カ国艦隊に対し中国軍機の爆撃が行われ、米砲艦『パナイ』が轟沈。脱出船団の輸送艇1隻も運命を共にしました。 死者は少なくとも300名を超えています。」 「なんだと。」 一瞬で軍人の顔になったアドミラル・カンザキに対しオオヨドが言葉を続ける。 「また、米アジア艦隊旗艦および英香港戦隊旗艦に対し爆撃が行われ炎上中。 日本海軍の空母『カガ』も大破炎上しています! 現地報告によると陸戦隊はアメリカ・フィリピン駐留軍とともに居留民5万および在住住民120万人を守るべく戦闘を開始したとの報告!」 「ミセス・イアハート。申し訳ない。少々中座いたします。ここの牛フィレとカレーソースは絶品ですよ。こんなときで恐縮ですがぜひ味わっていってください。」 「アドミラル。私たちにできることがあれば何でも仰って下さい。あそこには…」 口をついて出た言葉に、若き提督は微笑して言った。 「わかっております。居留民は私たちと日本帝国陸海軍が必ずやお守りいたします。 幸い、たのもしい米比軍がついておりますので。」 一礼し、軍服姿のカンザキ提督は悠々と歩き去った。 次の料理として、メインの牛フィレのカレーソースかけが出てくるまでの3分間、二人の旅行者は上の空のままだった。 彼らが英語で喋っていたことにも気がつかず、忘れてしまうほどに。 25 :ひゅうが:2016/08/24(水) 21 47 51 【あとがき】――計画通り。 その11を13に修正
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842 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22 30 59 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第八十五話 ―決戦前夜02― 敵の進路を予測し、その日数を計測した結果をもとに、訓練は忙しく進んだ。 航空母艦からの発艦・着艦もそうだが、もしもの為のトンボ釣りも同時並行で進められた。 「司令、そろそろです。」 「うむ。先程発艦する影が見えた。」 夢幻会所属となった木村昌福は、この世界でも駆逐隊の司令として現場に出ていた。 前世でもそうだったし、やっぱりやった事が有るからシックリくる。 本当は別の事でもしようかと思っていたのだが、幼馴染となった少女がウィッチになったことで運命は決まったようなモノ。 結局木村は心配したので、彼女よりも少し後に(微妙な差異はある)海軍に入る。 そこで古い仲間達と再会し、また夢幻会が存在する事を知った。 もっとも彼に栄達の気はあんまり無いので、前世同様現場で奮闘することにした。 けして山本五十六の苦労を知ったからではないし、個性が強すぎる夢幻会についていけないからなどと言う情けない理由は無い。 少女も海軍所属であったのだが、前世同様1921年に木村とお見合いをしてそのまま結婚。引退した。 一部の夢幻会会員からは「なんだよ。今世でも勝ち組か!」などとお祝いと言う呪詛を貰ったりしたが。 本人は最初、前世の嫁に操をたてるつもりであった。だがお見合いをした翌日には、すぐに婚約。 なんでも「嫁に叱られた。」との事。 そんな事もあったが子供にも恵まれ(双子の姉妹、長男)、この世界でも彼は幸せを掴んでいる。 話を戻し、木村はそのまま双眼鏡で上空に上がったウィッチを見る。 まだ小学生と言える少女達。 そんな彼女等が、まだしなくていい訓練をする。 前世の習慣を引きずる木村としては、彼女等に頼らないといけないという事実に情けないと思うし、生存できる確率を上げるための手伝いをしたいとも思う。 今世の嫁も早くから導術士学校に行き、軍属となったが、それでも職業軍人として存在していた。 家に帰れば「復帰した方が良いのかしら・・・」などと言うが、やめてほしい。 「お、下りてきましたね。」 「むぅ・・・」 今回は飛行中にトラブル。もしくは被弾して飛行不能に陥ったという想定だ。 だから少女達は一度ホバリング状態になってから、ワザと発動機を切って落下してくる。 まあ最初は手慣れている【瑞鳳】のウィッチが手本を見せてからだが。 ストライカーユニットは、片肺でも飛行は可能だ。 しかし出力が落ちるのでさっさと退避するのが基本。 だから早々落ちてしまう事はあんまりない。だからと言って備えない理由にはならないのだ。 手本を見せるウィッチが防風シールドを展開し、パラシュート代わりにして減速しながら落下してきた。 そして海面に当たる前に体制を変え、足から海に突入する。 その際、防風シールドをそのまま円錐に変えて、矢尻のようにするのも忘れない。 海中に潜ったウィッチがストライカーを投棄して浮かび上がる。 「ふぅ・・・」 ウィッチの顔を見て、木村は安心して息を吐く。 隣にいる副官も帽子をかぶり直して、安心したように呟く。 「訓練とはいえ。パラシュート無しですからね。」 「事故と言うのは、何時、いかなる時に起きるかわからんからな。」 頷く副官を横目で見て、こちらに泳いでくるウィッチ。 続いてもう一人、手本を見せるウィッチが落下してきた。 こちらは大きなシールドでかなり速度を軽減している。 そして海面に落下するが、今度は背中から落ちてくる。 今度は先程よりもかなり減速しているので、水しぶきの高さは低い。 「やはり、胆が冷えるな・・・」 「そうですね。」 「上の話では決戦は八月の末を想定している。 時間があるようでないな・・・」 「艦隊も順次簡易的な整備を行っています。」 「次は我々だったか?」 「ええ。ようやく意味のない魚雷と爆雷を下せますね。」 そう言って副官は魚雷のある方角を見る。 843 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22 31 32 「水雷長には悪いが、次の作戦においては必要ないからな。 被弾したら、轟沈の原因になってしまう。」 「そうですね。しかし・・・なぜ今まで装備していたのでしょうか?」 「どうも上の派閥争いの影響の様だ。」 「戦艦屋・・・ではなく?」 「君も覚えていた方が良いぞ。最近では派閥引き込み競争も激しいと言うしな。」 「自分はあまり興味が無いのですが・・・ どちらかと言うと、次期生産予定の陽炎型駆逐艦の方が、興味が有ります。」 「陽炎型か・・・」 この世界の陽炎型駆逐艦は“対艦”を意識した駆逐艦であり、対外戦を想定している。 これを企画したのはもちろん堀井一派。彼等の派閥は九鬼派と半々の具合で建艦計画に口出しできる。 九鬼大将としては計画を変更したいと思っているが、堀井大将と共に推進している大型戦艦建造計画に噛んでる為に何も言えない。 夢幻会側としては、対空迎撃能力特化の秋月型を企画しているという。 だが、口出しできないので机上の空論としかならない。 唯一航空母艦に関して言えたくらいだ。 【翔鶴】【瑞鶴】は、ストパン世界では改飛龍型空母といえる艦。 しかし口出しにより憂鬱世界版の、全く違う空母となる予定。 代償として、少なくない人員を海軍から追い出されたが。 そんな物思いに使っていたのだが、狭い艦橋に兵士がやってきた事で中断してそちらに振り向く。 「ウィッチ二名の回収が済みました!」 「そうか。異常はあったか?」 「いえ。ストライカーの回収も無事に、済みました。」 今回、更に試験導入された機構の動作テストもあったのだが、旨く起動したようだ。 ストライカーユニットに増設された物。それは海中に落ちた際に膨らむクッション。 ウィッチが溺れない様にするためでもあり、回収を容易にするためでもある。 訓練で損失する事も無くなるため、大急ぎで開発された代物だ。 海上戦を想定した装備であるが、止め栓が水分を吸収して溶けて外れる機構なために、雨に濡れても事故で濡れても起動してしまう。 「さて。これからが本番だ。 今度は慣れていないウィッチが相手になる。気を引き締めよ!」 「「「「「はっ!」」」」」 ――――― 大陸の荒野を進む巨大な建築物・・・ではない。 扶桑皇国命名“ヤマ”と呼ばれる、観測史上最大級の大きさを誇るネウロイだ。 多脚を使って大地を突き進んでいく姿は、蟲が這っている様でおぞましく、護衛の陸戦型ネウロイも害虫の様に見える。 上空を仰ぎ見れば、巨体を回転させながら周囲を見張る“オニグモ”が二体。 更に御付として“アホウドリ”が、無数の“スズメバチ”“ウシアブ”も舞っている。 黒い軍団は、無言で突き進む。 それを隠れながら観察する集団がいた。 「ふぅ・・・ 隠蔽しているとはいえ、気が狂いそうだ。」 「本当ですね。」 彼等は調査のために、もう一度上陸してきた陸軍の兵士達だ。 この地で育ち、この地で活動してきた彼等にとってここは庭みたいなもの。 今回の様に地形を縫って進んでいくのは、お手の物だ。 数少ない調査用の機材を動かしつつ時計を見る。 「そろそろのはずだが・・・ 手間取っているのか?」 「入念に隠蔽していましたからね。 列車砲に改造してあるとはいえ。引きずり出すだけでも一苦労でしょう。」 今回の調査で使う物それは、前回“オニグモ”を仕留めるために使った改造砲だ。 それを二門だけ列車砲に改造し、港に土や木材で機関車共々覆い隠しておいた。 一応名目としては、 「ネウロイに占領されていても、そのまま使えるか。」 「大陸反攻作戦時に使用する。」 等々。・・・夢幻会の入れ知恵もあるのではあるが。 本命として敵の反応速度や、迎撃精度の高さ、どのくらい頑強かを調べるため。 そして目的通りに使用されることが決まった。 相手は移動目標とはいえ一キロ四方の巨大な物体。 当てられないわけが無いだろうが、別に当てられなくとも良い。 長射程を狙う山形弾道だから、自然と砲弾は上から下に垂直落下する。 傾斜しているので触発信管にしてはいるが・・・ 兵士達は息をひそめて観察を続けていると、唐突に“ヤマ”が動きを止めた。 「記録開始!」 号令と共に双眼鏡に飛びつく者、時計を見て時間を確認する者、取り巻きの行動を感朝つするものなどに別れる。 息をのんで双眼鏡を敵の頭頂部に合わせると、紅い部分が発光を開始し始めた。 「敵、赤色部、発行開始、計測始め!」 「了解!」 844 :影響を受ける人:2016/02/04(木) 22 32 08 “ヤマ”は少し体を動かし、すぐに静止する。 そして・・・チャージを終えると、すぐに発射した。 今までにないほど太いレーザーは雲を突き抜け、空に大穴を空けてその先から飛来した砲弾を見事に撃墜した。 爆炎が更に大名を広げ、その中から二発目が飛来する。 二門用意された列車砲はほぼ同時に、ほぼ同方向から砲撃をした。 たとえ一発を迎撃したとしても、僅かな差で一発は命中するように仕向けられている。 豪速で迫る砲弾に、“ヤマ”も慌ててチャージする・・・前に“オニグモ”の一体が猛烈な砲撃を開始した。 体を回転させてチャージ時間を無くす戦法をとる“オニグモ”だが、動いているが故に当たりにくい。 “アホウドリ”も迎撃態勢でもって迎え打ち、空が赤い光で埋め尽くされる。 その中の一つが砲弾に命中したのだろう、周りにある物すべてを吹き飛ばして爆発した。 「凄まじいな・・・」 「奴ら、相当懲りているのでしょうね。」 「墳進砲もそうだが、前回の大型砲弾が堪えたと?」 「ええ、強力な一撃・・・ それを学習したのではないかと。」 「ふむ・・・ ここで考察しても仕方がないな。 急いで撤収する! かかれ!」 彼が掲げる双眼鏡の中では“アホウドリ”二体と、“スズメバチ”“ウシアブ”の群れが不届き物に天誅を加えるべく分派されていくのが見えた。 彼等に徹底的に破壊されるだろうが、列車砲は放棄前提でタイマー起動式になっていたから問題ない。 すでに人員は帰りの汽車に乗って帰投しているだろう。 地面に這うネウロイに気付かれる前にこちらも撤収だ。 これらの結果からどう判断するかは上に任せればいい。 指揮をとる男も、必要なモノだけ纏めて外に出ていく。 そして待っているのは、荷馬車だ。 鉄に引き付けられるという特性を持つネウロイは、こう言った原始的なモノにはとことん反応しない。 今の話ではないが、トラックに乗る避難民が狙われても、個人的に馬に乗る、牛車に牽かれるなどの行為で助かる者が続出するようになる。 殆ど布製の熱気球といった偵察も有効だとわかり、ブリタニアにて軟式飛行船が復活したりもするのだが・・・ あまり関係ないので話を戻す。 乗馬に慣れた者は、貴重な資料をもって先に戻る。 大き目の機材と、馬に乗れない人員を荷馬車に乗せ、 「よし。逃げるぞ!」 一目散に駆け出す。 流石に荷馬車は重いので速度は出ない。 舗装された道を走るわけでもないからなおさらだ。 兵士達は頼りないライフルを構え、視線の先にいる敵を不安そうに見つめ続ける。 それは帰りの木造船まで続き、曇り空の大陸が今後を更に不安にさせた。 以上です。 今回は応募オリキャラが入れられなかった。 次回には入れたい。
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847: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23 21 04 HOST 70.244.32.202.bf.2iij.net 銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「出発」 「はい、吹雪ちゃん、黒雨ちゃん。 おはぎだよ、宇宙船でみんなで食べてね」 「間宮の羊羹もあげるっぽい。 吹雪ちゃん達だけでなくフェルさん達の分もあるっぽい」 「わぁ、おいしそう。 睦月ちゃん、夕立ちゃん、ありがとー!」 「アリガトウ」 「こっちはカレーで向こうはおはぎに羊羹、 宇宙行くって話なのに遠足かハイキングな気分だなぁ・・・」 記者会見でガークによる騒乱騒ぎがあってから数日。 ついに宇宙へ旅立つ日が訪れ羽田空港のVIP用待合室に待機していた。 記者会見での投石騒ぎがあっただけに、 周囲だけでなくVIP用待合室内部にも護衛が隙間なく警戒している。 とはいえ、睦月、夕立、吹雪、駆逐棲姫、もとい黒雨のやり取りは完全完璧に遠足気分で思わず柏木がぼやく。 「遠足ではなくてどちらかと言えば二ホンで言うところの、 『ふぇりー』の旅に近いデスヨ、マサトさん・・・んぐんぐ」 白木の手土産であるカレー弁当を早速口にするフェルが回答する。 なお【原作】あるいは平行世界ともいうべき世界線と違って2人で堂々とイゼイラへ行くことになっている。 何せ、 「私達結婚することにしました、 世界初の異星人間婚姻でちょっと嫁の実家へ行きます」 と派手に記者会見で発表したもんだから隠す必要なんてまったくない。 ついでにこのお陰で「日本だけ異星人国家に行くなんてずるい!」という批判も、 「嫁の実家に行く」という大正義を前にして表面上祝福モードとなって政治的批判は抑え気味となっている。 「いや、無理もねーぜ。 考えてみろよ今人類が宇宙に行くためにはどれほど訓練が必要なのかと、 民間による宇宙旅行計画はあるがまだまだ先に話だしそれがお前でも行けるから相当なもんだぜ」 「お前でも行けるなんて失礼だな、白木。 まあ、確かに宇宙服なしでスーツ姿で問題なしなんて地球にとってはチートだわな。 ・・・しっかし、なんか似たような話をどこかで読んだ記憶がするな、学生時代読んだ小説で」 白木の言葉に突っ込みつつ首を傾げる柏木。 848: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23 21 41 HOST 70.244.32.202.bf.2iij.net 「星新一の『空への門』ですね」 と、ここで入室してきたサラトガが答えを提示した。 「おお、それだ! いやあ、よく知っているなぁ」 「ふふふふ、 最近二ホンの小説を読むのが好きなのです」 と、笑顔で答える。 あふれ出る母性とお嬢様オーラに部屋に男衆は思わずときめく。 既に既婚者で神崎提督の嫁であるという事実は一時的にフェードアウトする。 そしてフットボールといえばキチンとした制服を着こんでいても、 なお自己主張する胸部装甲の大きさも丁度フットボールぐらいありそうで思わず視線が・・・。 「マ・サ・ト・サ・ン?」 などとアホな事を考えていた柏木だったが、 先祖は鳥さんな嫁ことフェルがとってもとっても良い笑顔を浮かべていた。 しかし目はちっとも笑っておらず米神にはうっすらと青筋が走っている。 ―――――笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。 そんな言葉が脳内に浮かび、 片腕のない某侍のように神妙な表情を浮かべると・・・。 「ご、誤解だ、フェル! というかすまなかった、ごめん!」 「ふ~ん、ふ~ん。 いいですもーん、どうせ男の人はみんなおっぱい星人なのデスカラ」 即座に平謝りを始めた。 フェルは『3』な口元を作りそっぽ向いている。 「ぶはははは! 相変わらずだな先生」 「仲がよくて何よりです」 2人の様子を見ていた三島が爆笑し二藤部が微笑まし気に見ている。 「・・・で、先生よ。 そろそろ出発の時間だけど、 陛下から託された物だからくれぐれもよろしく頼むぜ」 「フブキさん、黒雨さん。 提督から託されたのを必ずサイヴァル議長閣下へ渡してくださいね」 「はい、必ずや」 「分かりました!」 「・・・ウン」 柏木は天皇陛下、吹雪と駆逐棲姫は提督。 それぞれから託された物の重みを再度確認した。 「んじゃ、いこうか」 そして間を開けず、 柏木がピクニックに行くような口ぶりでVIPルームからロビーへ踏み出た。 849: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23 22 42 HOST 70.244.32.202.bf.2iij.net んで、予想はしていたがそりゃもう凄い人手であった。 仕事がら人に囲まれることは慣れている柏木も思わずたじろぐ程で、 群衆から噴出している熱気と歓声からかかるプレッシャーは半端ない、とはいえ。 【祝!!しばふ村代表吹雪殿、宇宙開拓!】 【フェルさん結婚おめでとう!だが柏木、テメーは絶対許早苗】 「頑張れ」というプラカードに混じって、 ネタに走った物がチラホラと見受けられ思わず吹き出しそうになる。 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ 柏木氏ねええええええーーーー!!! 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ 堂々と手をつなぎやがって・・・ぱるぱるぱるぱる 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ で、ブッキーといえば何度見ても芋である 今夜もお芋の味噌汁だべ! 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ あっさりーしっじみーはーまぐーりさーん 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ 芋をよこせ! 芋をよこせ! しばふ芋の見返りに我が鎮守府をくれてやる! 名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~ リチャード3世提督乙 なお電子空間でもやんややんやの大騒ぎである。 柏木に対する嫉妬団が大量発生し、しばふ村の住民がしばふ芋を称えるカオス空間と化しつつあった。 「アハハ・・・すごい人手ですネ」 女性から熱烈な歓声を浴びるフェルが苦笑気味に呟く。 「それだけ注目されているってことですよ! これを機会に私も那珂さんみたくアイドルデビューしたり、したり!?」 「ソレハナイト思ウカモ、吹雪チャン」 すっかりテンションが上がっておのぼりさん丸出しな吹雪。 対して黒雨(駆逐棲姫)が突っ込みを入れる。 などと言っている間にやがて出発ゲートに到着。 空港で停止しているデロニカまで送り届ける黒塗りの政府公用車が待機している。 乗ってしまえば後は宇宙へ行ってしまう。 そう思って一物の寂しさを感じたのか吹雪が振り返る。 「・・・・・・・・・」 振り返った先にいつもいる提督はいない。 あるのは歓声の声を上げる群衆だけだ。 「・・・行ってきますね、司令官」 吹雪は小さく呟き、踵を返して再び歩き始めた。 おわり 851: 第三帝国 :2018/10/31(水) 23 27 47 HOST 70.244.32.202.bf.2iij.net 以上です。 皆様方の創作意欲を刺激できたら幸いです、では。 追記 以前自分のゲートネタで盗作疑惑云々の話がありましたが、 見たところ内容丸パクリとかが特に見受けられなかったのでそのままにします。
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471: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22 36 28 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第百十三話 ―扶桑海事変-17― 列車砲ネウロイを殲滅し、勢いを止められていた突撃を再び行えるようになった打撃艦隊は、機関をフル回転させて“ヤマ”の下に潜り込もうとしていた。 無論それをただ見つめているネウロイではない。 もはや数頼みの“コバエ”はもういない。数少ない“スズメバチ”で抑えるほかない。 相手の攻撃力は想像を絶するモノ。出来れば撃退が望ましいが・・・何度やられても彼等は諦めない。 もう、お互いを殲滅するしかもう方法が無い。小さな脅威達は陸戦戦力を無視して下に潜り込んでいった。 大きな脅威に合流する為だろう。合流させる気は全くないが、泊めることは出来ないと感じている。 それでも身を挺して守らなければならない。 ―おい。最小出力で攻撃し続けろ!― ―もう指示するなぁぁァァァ!! 自分は自分で何とかしてやるぅ!!― もうやだ。帰りたい。遠くの地に飛ばされた先代の後を追って行きたい。 護衛はもうこちらの言う事を聞いてくれない。 確かに下した指示は悉く裏目に出てしまっている。だからって自分勝手に動かれては困るのだ。 ―自分達は下にもぐる。当てるなよ?― ―しるか! 自分で避けろよぉ!!― 取り付く島も無い。もう、どうにでもなれ~・・・っと投げ出したい。 人間なら大きなため息を吐き出したいだろうが自分はネウロイ。飛行速度がちょっと遅くなる程度だった。 とにかく、敵を押しとどめないといけない。部下を率いて降下していった。 ――――― 「・・・♪」 ああ、もう。 「ぃ・・・ひひ・・・・・・♫」 帰ってきてから録に愛でる行為が出来ない。 「き・・・ひぃぃ・・・♬」 さっきから敵は好き勝手に暴れていて、それもストレス。 「きっひひ・・・ぃぃ♩」 でも・・・ 「良い事思いついたぁぁぁ♯」 (なんか、邪悪な気配が・・・) にったり笑う風間ランの表情は誰にわかっていないが、周りの空気が歪んできているので皆恐れおののいていた。 それを秋月璃子はあえて見ないようにしつつ、念話で木更津千早に指示を送る。 (了解。春香、もう少しオクターブを低くして。) (は、はい! でも、限界は近いですよ?) (そんなのわかってる! 速攻戦だったのに、時間をかけ過ぎたわね。) (すみません・・・ って、あれ?) (どうs・・・ なにこれ、魔力の流れが?!) 何時ものように謝った天宮春香は、何かに引っ張られる感覚を感じ取る。 同時に木更津も感じ取り、困惑すると周りにも動揺が広がり始めた。 すぐに原因を探ると、強引に魔力を引っ掻き集めて練り始めていた犯人は、周りの空気を漆黒に染めて・・・ 「ぃひっ!」 顔が黒く染まって、口が三日月形に歪み、目を極限まで広げて“ヤマ”を睨む。 風間ランは可愛い物を愛でる人物でもあり、同性でも構わないという変態っぷり。 同時に・・・どうしようもない弩Sでもあった。味方に優しく、敵には無慈悲に無感動になる。 正常な人間から見れば異常者にしか見えない。 いままで北郷章香の前で暴走した事などなかった彼女であったが、さすがに今回はブチ切れた。 「ギャハハハハハハハハハハァッ!!!!!!!」 呪歌をいったん止め、狂笑をあげたかと思うと複雑な声を出し始めた。 それはホーミーの様な、それで違う声を同時に三つ、発している。 急に唱和を止めて独自に呪歌を紡ぎ出し、その歌が強引に魔力を分捕り始めて呪歌隊全員が驚いて制しようとし、 472: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22 37 24 (な、なにこれ!?) (歌が、歌がとまらないよ!!) 未知の強制力に困惑が広がった。 驚き慌てふためく隊員をなだめようと、副隊長の木更津は必死に呼びかける。 たいして秋月はこの歌の正体を知っていた。 (禁呪歌まで習得していたの!? しかも三つ!) 風間が歌う三つの歌。三つ歌う技術はシールド技術が必須だが、別に特別な事ではない。 大抵は歌一つだが歌二つ歌えるもの方が多く、三つは習得しても持続時間が短くなるわ、効果が薄くなるわ、で意味があまりない。 だから【強制唱和】を歌っていた。効果は強引に呪歌を歌い続けさせることと、強制的に魔力を分捕れること。 次に【強制演算】。効果は・・・ (あぎ・・・ぃ・・・!) (あだまがいだいぃぃ?!) 味方の頭脳を自分が使用して計算するようにしてしまう。異なる思考を強制にやられるために頭痛が酷くなり、最悪な場合だとロボトミー手術を施された人間の様になってしまう。 最後は敵味方無差別禁呪歌【狂乱乱舞】。効果は、防御を考えない暴走。 (な、なんて馬鹿げた事を!) 秋月は隊長として、人として風間を止めようとした。が、いつの間にか帯刀していた刀を突きつけられて止った。 流石に戦闘しながら歌う事は彼女にはできない。ベテランで、才能が有った風間だからこそ刀を振り回しながらも歌える。 頭痛が酷いが、仕方なしに念話による通信を試みる。 (この歌を止めて! まだ若い子や、精神力に余裕が無い子が参ってしまう!) (・・・♩) (打撃艦隊や、挺身隊はもう敵に十分近付いたわ! ここまでくれば無理をする必要なんてない!!) (ダカラナンダ♬) (え・・・) 此方を顔だけ向けた。風間は笑っていた。 その顔に張り付いた昏い暗い黒笑を見て、秋月は少し下がった。正気を失いかけた狂人が目の前にいる。 (コウスレバヨカッタ♪ アハァ♩ コウスレバヨカッタンダ♫) 狂人の視線が前に向く、彼女の熱い視線が“ヤマ”の主砲を見ると同時に、朱いレーザーが発射された。 溜めなどない即時発射。だから細く、しかし持続して出し続けられる。 その光はまっすぐ伸びて、その先に“オカ”に命中・・・することなくはるか前でへし曲げられて、展開した足場に命中した。 (*1)) 秋月璃子・木更津千早・天宮春香ほか、正気を何とか保っていた数名が同じように呆然とした。 そりゃそうだ。敵の射撃が、敵の体に命中したのだから。 へし曲げるシールドは今までと変わらない。ただ、今までは戦艦に命中するのを防ぐために直前で曲げていた。 しかし今度は発射してすぐに曲げている。つまり・・・ (当たる前じゃなくて、根元から曲げることにした・・・のね。) なるほど、理屈としては正しい。しかし同時にこれは負担が大き過ぎる。 シールドを常時展開し続けるのは負担が大きいし、消耗も早い。 よくよく観察してみれば、禁呪歌を使用しているのに味方は正気を保ったままだ。 魔力も台風のエネルギーを変換した魔力を、自分達と言うフィルターを通して得ているのに過ぎない。 頭痛は酷いけど。対して敵は・・・ (うわぁ・・・) 陸戦ネウロイ達が同士討ちを開始し始め、“ヤマ”が自己防衛を捨てた乱射砲撃をしている。 自分の身を攻撃しているのにも拘らず、ひたすら砲撃し続けていた。 秋月の頬を冷や汗が垂れる。同時に暴走しつつも高度な制御を行っている風間の実力を思いしった。 自分などまだまだ。自分以上の実力者はまだいるのだと。 (ギャハハハハハハハハハハ♯ タイチョウノ○πヨリモヤワイナァァァァ♪) だからと言って、こんな変態に師事したくはないが。 ――――― 「っぅ・・・!」 「どうかしましたかぁ?」 北郷章香がいきなりブルリと震えたので、後ろを飛行していた旭川梨奈が隣に並んだ。 「あ、いや・・・ なんか悪寒が・・・」 「風間さんが何か言ったのでわぁ? 帰ってきてからそんなに接触していませんしぃ。」 「そうかもな・・・」 小さく溜息を吐く。北郷はなんで気に入られているのかわからない。最初あった時からああだった。 今はそんな思考は置いて置こう。そう思って小さく頭を振るい、視線を別の方向に向ける。 視線の先には、こちらを阻まんとする“スズメバチ”が接近してきていた。 473: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22 38 43 「くるか。」 そう言って、銃器を構える。同時に坂本美緒等に指示を出す。 「観測班は先行せよ。敵の弱点をもう一度探れ。 弱点がどのくらい奥底にあるか、その計測もするように。」 『『了解!』』 前方に戦艦【紀伊】以下が見えてきたので護衛の布陣を取る。 「下田隊は左翼、佐伯隊は右翼を頼む。」 『『了解。』』 「後方は旗本隊と共に私達が付く。」 『ギッギッ! 殿か!! こりゃぁ、踏ん張りどころだz『・・・黙れ。』ア、ハイ。』 『あ、アチキは帰って『・・・弾薬はまだあるだろう。』いや、ごずなとこオラいたにぃずらぁ!!』 『ちょっと! 貴方この呪歌使いが暴走しているんだけど!?』 「済みません。風間さんについてはノータッチでお願いします。」 元北郷隊メンバーはずいぶんハッチャケているようだ。 頭が痛い。とりあえず暴走している風間の様子を聞いてみるが、禁呪歌を歌っている割にはこちらに影響はない。 相変わらず技術力と、制御が凄い。 一回溜息を吐き、気を取り直す。 「ここが正念場だ! 目標までもう少し、気を抜かずに引き締めて行け!!」 『『『『『了解!!』』』』』 全員が一斉に答えた。 敵は我武者羅に突っ込んできており、とにかく手当たり次第に攻撃をしのぐしかないだろう。 取りあえずは、 「両舷に敵を分断する!」 【氷刻刀(ひょうこくとう)】を振り上げ、一気に振り下ろす。 しかし切っ先からは何も生まれない。そのかわりに、海面に異常が発生し始めていた。 巨大な氷が、海面を割って出現し始めたのだ。 北郷は細く、長い魔力撃による海中干渉を行っており。 海中に氷を生成し、鋭く高い氷山を作り出した。 魔力消費も高いが、敵は見事に左右に割れていく。 天井が有るという特殊な戦場。遥かな高さから奇襲をかけられないこの状況では、左右からの挟撃しかない。 此方はそれに気を付けるだけでいい。 驀進していく戦艦を後方に置き、北郷大隊は気力を振り絞って攻撃に移った。 以上です。
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14: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22 31 48 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第百十二話 ―扶桑海事変-16― ――第一打撃艦隊:戦艦【紀伊】対空機銃座―― 船体が激しく揺れ動く。 「うぉわ!」 佐宗縄斗【さむね なはと】は揺れる足場に翻弄されて転びそうになったが、記者魂を発揮させて耐える。 両足で踏ん張り、両腕は片時もカメラを離さない。 “ヤマ”の迎撃を掻い潜るナニカを撮影した後、フィルムを急いで交換した。 その直後、今まで“ヤマ”の周囲を飛行していた“オカ”が、いきなり散らばった。 離れた距離も、高さもバラバラ。 「な、なん・・・なんだぁぁぁぁ!!??」 疑問を口にしたら、今度は“ヤマ”が変形を開始し始めたではないか。 大急ぎでカメラを向けて激写する。 要塞としての機能を発揮した“ヤマ”は、輸送していた陸戦戦力をも投入してウザい空の敵を撃ち破らんとしていた。 もっとも縄斗にはわからなかったが、それでも確実に敵を追い込み始めていると確信し、“ヤマ”から大きな爆炎が上がると共に顔を蒼褪めさせた。 「ぉぃ・・・おいぃ!!」 言葉にならない。疑問を口に出来ない。だが体は動いた。 “ヤマ”から放たれた大重量質量弾が、加熱して真っ赤になった金属塊が、戦艦【紀伊】の真横に落着前に艦内に避難を終える。 そして、海面に敵弾が衝突。今までにない衝撃が船体を襲った。 「うぐぅぅ!」 歯をくいしばって耐えるが、今度は立っていられないほどの衝撃の為、床にたたきつけられた。 咄嗟にカメラを庇った為、仰向けになっており、背中に激痛に呻きつつも壁に手をついてよろよろと起上る。 ふと、先程避難してきた扉を見る。締めきれていなかったのか、半開きになって海水が流れ込んでいた。 痛みを訴える身体を叱咤し、扉から覗き込めば再び発砲炎が上がっているのが見えた。 ――第一打撃艦隊:戦艦【紀伊】艦橋―― 光線という避けられない攻撃を如何にかしたと思ったら。 「今度は実弾攻撃と、ぉわな!?」 「そうですね・・・」 古賀峯一が愚痴を苦労して言うと、副官も頷いて同意する。 「この衝撃と水柱からして、本艦と同口径かな?」 「恐らく、っと!」 今度は右舷から衝撃が襲ってきた。 たった一門の敵だ恐れる必要性はないと言いたかったが、連射速度が戦艦の装填よりも圧倒的に早い。 相手が人ではないという事がよくわかる。 さらに厄介な事にもう一つ、問題が発生していた。 艦橋の左横側の窓に赤い光が後ろから差し込んで、前に一気に通過していく。 「ええい、鬱陶しぃ!」 古賀は忌々しげに首だけ振り返り、見えない後ろの空に浮かぶ敵を睨む。 「反射衛生砲は反則だ! 今は2199年じゃないぞ!!」 「本艦はヤマトでも無いですしね!」 (いや。そいう問題じゃないだろう!?) 艦長は心で叫びつつ、部下に適切な指示を出す。 しかしそう思うのも無理はない。何しろ散らばった“オカ”は、もうエネルギーをお互いに回すことはせず、中継して直接狙いを付けてきたからだ。 初撃は只一直線の攻撃で躱せたが、二撃目からは薙ぎ払い攻撃による角度調整が入った。 四撃目には、シールドが展開されるとさっさと経由先を変え、別方向から襲い掛かってくるように。 多彩になった攻撃方法だが、絶えず“ヤマ”の主砲を攻撃して妨害する事により頻度は少なめだ。 ただし、 15: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22 33 27 「弱点は移動していますよね?」 「予想が正しければ、あの形態は陸上で行うはずだったはず。 となれば、弱点はもっとも攻撃されない部分に移動する事になるだろう。」 二人の視線は、僅かに下に突き出した角を見ている。 変形稼働する事には驚いたが、報告と変形により弱点は最も安全な場所に移動させるはずと予測した。 「・・・やはり下に潜り込まないと話になりませんか。」 「それも急いでだ。どうだ、奴の高度はそのままか?」 参謀の一人に聞くと、予想通りで嬉しくない報告が入った。 「高度は徐々に下がっています。降下速度も上昇中です。 潜り込むならば・・・一回が限度かと。それも全速航行で、です。」 「一回だけ、二度目は無しか。」 きつい条件だ。まだ原作の方が条件が緩いと思う。ハードモードすぎではありませんか神様? いかに嘆いても現実は改善しない、原稿の締め切りを長くしてくれない編集長の様に。 長く溜息を吐きつつ覚悟を決め直し、“ヤマ” を睨む。 「先程挺身隊から報告があったな?」 「はい。列車砲モドキを発見し撃破すると。」 「ならば、それを合図とし、最大船速で突撃する。」 ――第二打撃艦隊:戦艦【長門】艦橋―― 回避中心の蛇行を行っているせいで中々敵に近づく事ができない。 前部の主砲が吠え砲弾が“ヤマ”に向かって行く。命中するのだが、もう怯んだりせずに修復が完了した面からレーザー砲撃を敢行、避けがたい一撃を放ってくる。 「ぬぉ!」 堀川吉郎はよろめいたが、普段から鍛えておいた足腰は期待に応えて耐える。 『左舷に落着! 浸水の被害なし!』 すぐに被害報告が上がってきたが、顔は優れない。【長門】の被害は拡大しているのだから。 実体弾の直撃も、レーザー砲撃の直撃も無いが、確実に船体は痛めつけられていた。 さらに後方を航行する【陸奥】は実体弾の直撃を喰らっている。 航行には問題はないが、第三砲塔に命中した砲弾は上手い具合に弾かれたものの、砲身を歪め、旋回が上手くいかなくなってしまった。 【比叡】の様に爆沈しなかっただけましと言うべきか。 【金剛】【霧島】【榛名】も無事ではない。 反射レーザー砲撃はランダムで照射相手を変えてくる。 屈折シールドがある程度威力を軽減してくれているとはいえ、直撃を喰らえば装甲の薄い三隻は【比叡】同様の運命をたどるだろう。 『報告! 榛名に直撃弾。榛名に実体弾が直撃した模様!』 最悪な事を考えていたら、本当に起きてしまった。 悔いる様に歯を食いしばり、うめき声を上げる。 暫らくすると被害状況が分かったのか詳しい報告が上がってきた。 「榛名の被害は左舷に実体弾が命中、大穴があいたようです。 浸水が止まらず、速度も低下。傾斜の回復も巧く行っていないようであります。」 「そうか・・・ 退避はどうなっている?」 「すでに台風の外に艦首を向け、航行を開始しているようです。」 その報告にようやく安堵を得た。同時に戦力の低下を危惧する。 戦闘開始から紀伊型戦艦二隻がこの場に来れなくなり、金剛型戦艦が一隻轟沈、一隻大破。 愚かな判断で山代型戦艦が二隻居ない。 六隻もの戦艦が戦力外となっている。もはや、突撃すべきではないか? そんな思いが胸中を駆け巡る。 懐に飛び込めば、あの実体弾を無視する事ができる。 問題はレーザー砲撃だ。屈折シールドが何時まで持つかわからない。 視線を台風の壁に向けると激しい雨で見えない黒い空間、雲海の白い壁が見える。 台風を無理やり拘束し、そのエネルギーを用いてこちらを守ってもらっている。 しかし台風の維持には熱が必要で、その熱量は補給できない。 拘束にエネルギーを使い、結界に使い、台風の維持にも使う。 消費しかない現状、台風は徐々に小さくなり、最終的にただの低気圧になる。 その速度は自然界の比ではないくらいに早いはずだ。 急がなければならない。っと、視界に光が瞬いた。その光源は列車砲ネウロイが盛んに砲撃していた場所であった。 自分達で破壊すれば早いとは思っていたが、レーザー攻撃を封じなければならない関係上できない。 その為、ウィッチに任せていたが・・・ 成功したのだろうか? 『報告! 狐狸部隊が敵列車砲怪異の殲滅に成功したとの事です!』 艦橋が歓声に包まれた。同時に堀川は指示を下す。 16: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22 35 32 「全速前進! ここが勝負の決め時だ。急げ!」 「「「「「了解!」」」」」 ――雲仙型重巡洋艦三番艦【田代】―― 全艦突撃。 この命令を受けた時、古田高雄はようやくかと思と同時に気持ちを引き締めた。 なかなか近づけず、近づいたと思ったら実体弾が飛んできて、変幻自在の光線の悩まされ続けた。 それがようやく終わる。 まだレーザーが残っているが、攻撃が一つ減ったのは幸いだ。 「時間が無い。」 だからこそ急がなければならない。 すでに打撃艦隊の各司令部は、敵の高度が下がっていることなどわかっているはずだ。 たとえ戦艦よりも背丈が低い重巡と言えど、一度の攻撃しかできないはず。 粘ることは出来るだろうが、重巡の砲撃で倒せるとは思っていない。 「後ろの敵はどうなっている?」 「“オカ”は相変わらず大物狙いの様です。こちらには見向きもしません。」 「敵航空戦力は?」 「大幅に減殺されていると思われます。特に“コバエ”はもう無視しても構わないかと。」 「“ウシアブ”の姿も確認できません。“アホウドリ”も、です。」 残された懸念材料も、どうやら問題の程度が低くなったようだ。 まさに千載一遇のチャンス。 「まさに今しかない。と、言う事か。」 眼光鋭いままに眼前を見る。視界に入るのは大きく体を広げた“ヤマ”。 最初は変形に驚いたものだが、よくよく見れば大きな隙が出来上がっているのに気が付く。 あの下にさえ潜り込めば、上からの攻撃は無視していい。 何しろ“ヤマ”の張り出した足場が邪魔になるからだ。 そうすれば横方向にのみ気を付ければいい。 「対空警戒は続けるんだ。」 「了解です。」 部下の返答に頷き双眼鏡でウィッチ達を探す。 “ヤマ”の上では盛んに対空砲火が上がっている。その先を見れば彼女達が戦っているはずだ。 ワザと囮になり、敵の目を引き付ける役目を持っているとはいえ、何時までもあの対空砲火の中にはいないだろう。 「【日向】【伊勢】に通信をつなげよ。対空攻撃について妙案をだすと。 彼女等の負担を軽減する事ができるとな。」 以上です。 今回はオヤジーズ
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269 :影響を受ける人:2016/10/02(日) 21 50 43 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第九十七話 ―扶桑海事変-01― 作戦開始の報を聞き、北郷章香はすぐさま突入隊に準備をするように伝えた。 同時に江藤敏子の方も同様に伝えているだろう。 既に通常飛行機部隊が稼働を開始し始めており、エンジンを豪快に唸らせ、プロペラが順次回りだしているのが見える。 それを一瞥した後、すぐさま会議室に向かう。 「さてぇ。作戦開始ですねぇ。」 「ああ。もう後には引けん。」 副官の旭川梨奈が後ろから声をかけるが、ズンズンす進む足は止まらない。 「それで、状況はどうなっている?」 「今、この時間ですとぉ。釣りをするための通常戦闘機部隊が接敵しているはずですよぉ。」 「例の、ベテランネウロイがいる場合はきつい任務になるな・・・」 「釣られた方に行けば、我々が楽になりますけどぉ?」 「ベテランが、技術や経験を自分の物のままにしておくと思うか?」 「なるほどぉ。それもそうですねぇ。」 二人共何時もの通りに会話しつつ会議室の前に到着し、扉を開く。 室内には、この基地から発つ、突入隊メンバーがすでに着席していた。 ――【天城】所属:通常戦闘機部隊―― 「後続、ちゃんとについてきているか?」 『ちゃんと隊長のケツについてきてますよ。』 「お前はホモか。」 『いえ。自分はノンケです。』 アホな事を言う副隊長に対し、隊長はなんだかなぁという思いを抱くが、同時に緊張しすぎていないという確認も出来た。 この遣り取り自体、何時もの恒例行事。 なので、他の隊員は何も言わない。 「さて、そろそろか?」 『ええ。情報が正しければ。』 「何時も淡々としていて、お前は面白味も無いな。」 『性分ですので。』 その割にはしっかり冗談を言う。真面目な顔で言うので、何時も勘違いしがちだが。 会話を切り上げ、あたりをキョロキョロ見回してみるが雲が多く、視界が限られていて視認がし辛い。 それでもよく目を見開いて捜すのだが、目標は見当たらない。 これは進路を変えるべきか?そう思い、進路変更を指示しようとして、視界の端に何かが光ったのに気が付いた。 「ん?」 よくよく目を凝らし、じっと見つめていると・・・ 赤い光が飛び込んできた。 「うぉぉ!!」 慌てて操縦桿を捻って攻撃を避ける。 通信機から副隊長の声が高らかに聞こえてきたが無視。すぐに機体を安定させると勘に従って上空を仰ぎ見る。 『隊長!』 「慌てるな。無事だ! それよりも・・・」 視線の先に黒いシルエットが、陽光を反射しつつ急降下してくるのが見える。 「3番隊、4番隊は上から奇襲を行おうとした奴らを攻撃しろ! 1番隊と2番隊は今攻撃をかけた奴らに向かう! お前ら、油断するなよ!」 『『『『『了解!!』』』』』 先手を取られたが、すぐさま反撃にでる。 もう余計な考えはもたず、ただひたすらに敵を斃す。 「いいか! 死なない奴が勝ちだ!!」 最後の激励を吠えて、彼も部隊を率いて突撃して行く。 270 :影響を受ける人:2016/10/02(日) 21 51 45 ――宮城―― 「すでに始まっている頃か・・・」 天皇陛下がポツリと呟いた。 それを聞いているのは御茶を入れていた九曜のみ。 「はい。その通りかと。」 「この戦で、また命が散るな。」 「・・・はい。」 「九曜よ。子は旅立たねばならぬか?」 「はい。」 この扶桑を守り続けた守護者を陛下はみた。 しばし沈黙のが部屋を満たす。わずか数分だったはずだが、長く時間が経っかのような感覚に陥る。 そして九曜葛葉は口を開いた。 「子は、何時かは親元から旅立ちます。 自然界に置いては、親が子の旅立ちを促すために、あえて襲い掛かる事もあります。 未熟であったこの国は、すでに私の助けが無くとも未来に進んで行ける力がございます。 災害に立ち向かい、怪異に打ち勝ち、国としての誇りを持つ。 織田信長公が目指した先であるかわかりませぬ。 しかし、この扶桑皇国にとって、この戦が分岐点でございましょう。」 陛下は只々静かに聞きに徹し、淹れてくれた御茶を一口飲む。 「あえて、試練を課すか・・・」 「はい。必要となればこそ。」 九曜葛葉の、嶋田繁太郎の、神崎博之の考えは変わらない。 過去に生れ落ち。たった一人であるとわかり絶望し。 それでも幸せを求めつつ、記憶に残る罪を受け入れ。 不老長寿の化物とかしても変わらなかった意思。 もしかれが嶋田繁太郎になっていなければ、大日本帝国の首相になっていなければ、核兵器を使用する決断をすることが無ければ・・・結果は変わっただろう。 しかし彼は、彼女はその全てを経験している。 変わり果てて未来知識が役に立たなくなった前世の世界。 その世界で奮闘した記憶と経験が、過去に子孫に対してどうにかしなければならないという考えが出来ていた。 この世界における日本である扶桑皇国でも、それは生きているのだ。 「そうか、わかった。」 考えを変えない事を再確認し、小さく心の中で溜息を吐く。 現在のウィッチが束になっても敵わないほど強力な人物。 それ故に、昔ほど幻想と言う言葉では片付けられない現代。 その力を振るう場面は、確かに無いのだろう。 「九曜よ。」 「何様で御座いましょうか。」 「銅鏡の間に行きたい。」 はて? 銅鏡の間に? 「子が旅立つのが今日ならば、それを見守るのが責務であろう。」 その発言に納得するが、同時に血なまぐさい戦争という現実を見せて良い物か、深く思案する。 こればかりは即答できずにいたが、力強く覚悟を決めた陛下の視線を受け、渋々ながら同意した。 そして二人はそのまま執務室から出ると、銅鏡の間に向かう。 部屋に入ると、宮城仕えの護衛巫女が二人、ちょうど銅鏡を磨いていた。 「く、九曜様!?」 「陛下!」 まさか来るとは思っていなかった二人は慌てて掃除用具を片付けようとしたが、九曜はそのまま掃除を続ける様に言い、尻尾を振るって分体を生成する。 生成した分体は8体。 「お前達、中継を頼む。」 「「「「「「「「承知!!」」」」」」」」 分体達はすぐさま部屋から出て行き、飛行能力を持って飛翔していった。 別に分体が無くても、道具を用いた遠視ならば九曜も出来る。しかしやっぱり中継地点が有った方が負担が小さい。 その光景を見ていた護衛巫女二人は、惚れ惚れと呆けた顔で、偉大なる魔女を見詰めた。 が、さすがに見詰められるのには慣れていない。すぐに二人が動かずにいるのに気が付き、注意をする。 「・・・手を動かしなさい。」 「「も、申し訳ありません!」」 慌てて動く護衛巫女に対し、浅く溜息を吐く。 その様子を見ていた陛下は「くくく・・・」と小さく笑っていて、九曜は何とも言えない気分になった。 271 :影響を受ける人:2016/10/02(日) 21 52 27 ――輸送船【泡瀬丸】:台風牽引部隊―― 巨大な台風の中央部。 上空を見上げればそこは、芸術的に迄に綺麗な円筒状の雲が見えた。 輸送船【泡瀬丸】は高速の輸送船であり、本土に帰還する途上の船であったことから、本作戦にて皇国軍に協力を求められた。 本社は了承し、気難しい艦長の方も承知したので、特に問題も無く航行している。 戦争に赴く為、詰むはずだった荷物は積載していない。 代わりに派遣されたウィッチ達が乗り込み、台風を制御している。 完全制御された台風と言う、常識はずれの現象を見ながら戦場に向かう輸送船上では、艦長と副艦長が会話をしていた。 「本日も快晴ですね。」 「ああ。」 「今でも信じられませんな。台風の目の中心になって、しかも付いて来るなんて。」 「ああ。」 「・・・艦長。」 「ああ?」 「そんなに女性を乗せたくなかったのですか?」 「ああ。」 不愛想に頷くのを見て小さく溜息を吐く。 艦長は昔ながらの海男らしく、女性を船に乗せること自体を忌避している。 しかし今回は会社からの説得。ウィッチを率いてやってきた高齢のウィッチによる懇願により、一応は乗せているつもりにしているようだ。 そんな二人の視界に件の高齢ウィッチが映った。 「軍属最高齢の女性隊長ですか。」 「ああ。」 「確か、幼馴染でしたっけ?」 「ああ。」 「初恋で、いなくなってから気が付いて。」 「・・・ああ。」 「いつの間にか結婚していて。」 「・・・・・・ああ。」 艦長はあの人を視界に入れようとはしない。 歯切れが悪くなっているのを感じ、副艦長もそれ以上の追及を止めた。 彼女は優秀で、気立てもよく、お見合い相手とも相性が良かったのか子宝に恵まれている。 しかし結婚式当日に艦長は、まあ当時は艦長ですらなかったが、とにかく式場に乗り込んで新郎を殴りつけて「絶対幸せにしろ!死んでも幸せにしろ!!」と言って一同を唖然とさせて出て行ったとか。 それ以降まったく顔を合わせていないかったらしく・・・ ぶっちゃけ、彼女の報復が怖くてだんまりを決め込んでいるだけだ。 そんなに怖いならしなければよかったのに・・・ 当時、自分はいなかったからどうでもいいけど。 「お? ほら、手を振っていますよ。」 「ああ・・・」 艦長は不愛想な顔で、目を合わせないで答える。 そんな様子に溜息を吐く。と、彼女が困った顔でお辞儀をした。 恐らく「こんな人ですが、よろしくお願いします。」とでもいう意味だろう。 もうすぐ終わる仕事だが、気を抜かずに完遂する事を考えよう。 ついでに艦長の狼狽を肴にして。 以上です。 ずいぶんお待たせしました。 視点切り替えで切り抜けたけど、今度は無しにして頑張りたいなぁ・・・
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740 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 25 53 艦こ○ 神崎島ネタSS――「接触」その4 「こんなものを見せて、我々に何をさせる気なのかね?我々はこんなものを見せられてはいそうですかと返す程度の無能ではないぞ。」 「さすがは俊英をうたわれた米内提督だ。話が早い。」 「というよりは君らが露骨すぎるのだ。君らが我が帝国に単純ならざる感情を持っていることは理解したよ。いやというほどね。」 米内光政は肩をすくめた。 ここで腹の探り合いをする気がないのは理解した。 映像の持つ魔術的な作用も。 「わが鎮守府は、今後約70年間の医学的・科学的成果を大日本帝国に提供する用意があります。 加えてわが鎮守府が実効支配する島嶼のうちいくつかを防衛目的で提供し、さらには本島から採掘される豊富な資源も。」 「具体的には?」 掛け金を釣り上げてきやがった。と米内はもとよりGF司令部の面々の表情が固まる。 「まずは年間40万バレルの製油済み重油・軽質油・高オクタン価ガソリン。 同じく年間30トンの金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデンなどのレアメタル各種年間3000トン程度。 高品質調整済み鋼材100万トンもおつけしましょう。もちろん無償で。」 さらりと挙げられた数字に今度こそ参謀どもが目を剥く。 「加えて、南鳥島北方、大東島東方、伊豆諸島西方の泊地。 ドイツ製のそれを桁で2つほど上回る精度の新品の工作機材、そして――わが神崎島鎮守府の保有する兵器類とその部品も。」 「…剛毅な話だ。」 それだけの物品を生産する能力があるということか? しかし、本邦の石油消費量は現在のところ年間450万トン――多く見積もっても28万バレル。 そのすべてを賄ってのけるだけの石油を提供するという。 それはすなわち、帝国海軍のアキレス腱である石油問題が解決することを意味する。 さらには、帝国海軍が決戦海面として想定するフィリピン海から太平洋にかけての泊地まで。 そして、兵器類。 これは…今乗るこの巨大戦艦も、ということか。 「それで。そこまで大盤振る舞いしたのだ。何を望む?帝国臣民ならざる日本人。」 「大日本帝国への編入。」 ぴしゃりと神崎提督はいった。 「我々は、帝国陸海軍および帝国政府に大きな疑念を抱いておりますが、不忠や叛逆をたくらむようなことはいたしませぬ。 理由は、お分かりでしょう?」 「君らが、未来ないしは別の世界から来たというならそれも当然だろう。 一夜にして深い森林を有する巨大な島が出現するなど、尋常なことではない。」 そう。 彼らは、自分達が何者かという問いに答えていない。 ただ、巨大な島を前にして自らの力を見せ、映像を見せ、要求をしているのだ。 映像を信じるならば、だが。 しかし、この交換条件をみるところ、あの島に先に到達したのは彼らである。 でなければ資源採掘量を詳細に算定することも、製造能力をさらりと述べることはできまい。 あの島は彼らごと、唐突にこの世界に現れたというのが自然な解釈だろう。 「だが、よいのかな? 帝国へ編入されれば、君らはその帝国政府のもとに統治され、艦艇は我々帝国海軍のものとなる。 我々としてはもろ手を挙げて歓迎するが。」 741 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 26 32 「ええ。しかし帝国政府に島とそこに暮らすわが鎮守府の『市民』をあなた方のもとに引き渡すことはできない。」 「それが理由か。資源供給の。だが貴官は琉球処分を忘れたのか。朝鮮併合を忘れたのか。 わが帝国は国内政権を許さない。」 「承知しています。ですが戦争は避けるべきだ。」 「やってみようじゃないか。この島にはそれだけの価値があるのだろう?ならば帝国のものとする。」 「結構。ならばわが鎮守府の保有する戦艦17 空母24 航空機3000をもって帝国海軍を殲滅し、そのまま放置いたしましょう。わが鎮守府には帝国本土を統治する意思も能力もありませんからね。」 視線がぶつかる。 「帝国に属しはする。しかし安易には従いはしない気か。 どうやって?」 「畏れ多くも、畏きところに奏し奉る。」 「貴様!!」 憤怒の表情で米内は唾を飛ばす。 「外道が。見切ったぞ。貴様らはあの昭和維新を呼号したバカどもと何の変りもない。 何が不忠はしないだ。 貴様らこそ日本の禍。貴様らこそが罪悪だ。この米内、艦隊が全滅しようとも貴様らを滅ぼしつくし、もって宸襟を安んじ奉る。」 「実に結構。その頑迷さをもって貴官らが日本を滅ぼしたことを確認できた。 かかってこられよ。」 GFの参謀どもが立ち上がる。 対して、神崎提督側は男女の士官たちが鋭い目でGF側を睨みつける。 対峙すること1分余。 米内は鬼の形相を崩さぬままに問う。 「問おう。貴様何者だ。」 「ある日本人の亡霊。」 「問おう。貴様ら、何者だ。」 「太平洋戦争において奮戦し、その悉くが水底へ斃れた『軍艦の英霊』たち。」 「問おう。亡者ごときが何をなす。」 「再びの護国。此度は国を焼かれ、国民に塗炭を舐めさせぬよう。」 「問おう。なぜ帝国に叛す。」 「再び国を焼かぬため。」 「問おう。――ならば何を護る?」 「1億の民を背に立ったある御方と彼の愛した民を。」 742 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 27 09 その言葉に、米内は苦いものを飲み込んだような表情を面に出した。 ゆっくりと、座る。 「帝国では…役者不足か。」 「負けた、と言いたくないがために国を滅ぼすような自尊心のみ肥大化した組織を信用するのは難しいでしょう。誰でも。」 「そう。そうだな。たとえその中には廃墟から国を新たに作り直した傑物たちがいるとしても『僕』なら色目で見るだろう。」 やっと理解に達したか、という表情でこちらを見る神崎提督側の面々に、米内は疲れたような目を向ける。 「軍艦の英霊、か。信じられぬが、突拍子もないことを言うからにはその証があるのだろう。」 「はい。たとえば…陸奥などは米内長官の秘密を知っていたりも…」 「なるほどな。検証はあとに任せるとして、君らはあくまで君らの体制を守りつつ帝国を護るつもりか。 そのためには何でも利用する。」 「防衛には協力しましょう。しかし、使い潰されるのは御免です。」 743 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 28 05 ゆえに…と神崎提督はいった。 「帝都東京において、わが神崎島の『政権を維持したままでの』日本領編入を願い奉りたく。」 「帷幄上奏か。少し違うが。」 帝国憲法によると、軍の統帥権は天皇のみが持っている。 実態はその行使にあたって陸海軍と政府による曖昧な文民統制がとられている国民軍なのであるが、それでも連合艦隊司令長官にも上奏を行う権利があった。 「そうでなければ、握りつぶされてしまいます。」 「よろしい。」 米内はいった。 「すべては検証を待ってからだが、今ここでは君の要求を容れよう。 どちらにせよ、新島発見報告は満天下に宣言する必要があるからな。」 「ご配慮、有難く。ついては、国際水路機関にこれを提出していただきたく。」 神崎提督が目配せすると、彼の横に座る女性士官が鞄から黒い筒を取り出す。 「測量済みの神崎島地図と水路図です。歴史的経緯などについてはこちらに…」 「はじめから計画通りか。抜け目のないことだ。」 ――1937(昭和12)年1月8日 午前11時30分。 連合艦隊司令長官米内光政名義で全周波数帯に対し「新島発見」の宣言が発せられる。 「なお、最低数万の島民は日本人」との但し書きと即刻編入の許可を求める米内からの電文を受けた広田内閣は国土への編入を即日閣議決定。 開催中の帝国議会においてこれを公表するとともに、国際放送においてこれを諸外国に通知した。 同日、米国の定期航空航路に属するチャイナクリッパー水上機が神崎島を視認。 アメリカ本土に報告を上げていたが、迅速な対応により日本側はこれに十数時間先んじることに成功する。 帝国議会では万歳三唱によって新領土の編入が祝われ、早くも新領土の開発計画が議題に上がり始めた。 だが、これと同じ日、帝都東京にたどり着いた水上機から大量のフィルムが運び出されたことや、そのフィルムある官庁へと向かったことに気付いたものはごく少数だった。 これを受け取った人物の名を、鈴木貫太郎。 彼は、走り書きのような文章を一瞥すると、麹町の海軍予備役大将 百武三郎に電話をかけた。 744 :ひゅうが:2016/07/07(木) 17 29 43 【あとがき】――以上です。書いていて地雷原でタップダンスしているような気分になりました。 重いネタは嫌いな人も多いみたいですので、この辺で止めておくべきかな…
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871: 名無しさん :2020/10/13(火) 17 42 30 HOST 220212249034.cidr.jtidc.jp こんにちは ネタの書きこみその133で小ネタを投稿した者です。 皆さんに刺激されたので、小ネタを投稿します。 銀河連合日本×神崎島 小ネタ3 第四号海防艦「四号です。六号じゃないですよ」 フェルさん「『番号なんかで呼ぶナ! 私は自由な人間ダ!』ですカ?」 柏木「いや何でそんな古いの知ってるの?」 最年少艦娘(外見)と出会った柏木夫妻。 ガンビアベイ「はわわ、ここはどこなんでしょうか?」 ???「あらー、外国の方ですかー?」 ガンビアベイ「あの、ここに行きたいですけど、わかりますか?」 ???「あらー、ここなら私も近くに行きますので、一緒に行きましょうかー?」 ガンビアベイ「はわわ、助かります」 どたぷーんなアイドルと同行する事になったガンビアベイ。 (なお目的地に着いたのは丸一日たってからである) 大淀「提督、今度は近〇日本鉄道からです」 神崎提督「前はJR西〇本とJR〇州、次は東〇鉄道と〇武鉄道。大〇川鐡道以来、イベント列車の依頼が増えたな」 大淀「それだけ向こうも必死なんでしょう」 神崎提督「艦娘たちも大変だからな。特別手当を頼むよ」 イベント列車でのPRを図る鉄道各社と神崎島。 『悪の秘密結社神崎島を牛耳る幹部達の会合写真!』 (緑色の四角いテーブルを囲む大人たち) 独国総統「お、来た来た。リーチ!」 共産書記長「テンパイ即リーか。もう少し待てばいいものを」 独国総統「うるさいな、こういう時は即断即決よ!」 共産書記長「まあ好きにすればいいが……もう少し待つか」 英国首相「手が早い奴が羨ましい。こっちはまだまだだぞ」 伊国統領「そう言ってさっき三色ダマテンしたのは誰なんだ。お、こっちも来たかな?」 独国総統「くそっ、ツモらん!」 英国首相「あ、それロン」 独国総統「チクショーメ!」 伊国統領「またダマテンかよ!」 英国首相「ふふふ」 妖精さん達の東3局中継 『次のニュースです。 今朝未明、在日米軍基地に侵入者があり、米軍MPに拘束されました。 調べによりますと、NPO団体『ビューティ〇ルコンタ〇ト』のメンバーと名乗っており。「サマルカ人と正しいファーストコンタクトを行う為に必要な行為だ!」と供述しており、背後関係の調査と今後NPO団体の認定取り消しを行う……』 NHK沖縄版ニュース 872: 名無しさん :2020/10/13(火) 17 43 13 HOST 220212249034.cidr.jtidc.jp 某野党議員「総理! 総理! 尖閣諸島に避難した中国船を排除したとの事ですが、これは国際法違反ではないですか!」 二藤部総理「航行不能(自称)になった中国公船を安全な公海上に移動させただけで、排除した訳ではありません」 (中国公船を肩に担いで移動する妙高型4姉妹と高雄型4姉妹) 領海侵犯に新たな塩対応をする日本と神崎島 「ロケットエンジン搭載ゼロ戦か……」 「桜花に40mm機銃搭載型ってあったか?」 「こっちの桜花には何で日本刀が?」 「大イ車だよな……何で『イカヅチ』って書いてあるんだ?」 「すげぇ……ジェットとレシプロのハイブリッド夜戦だぜ」 「誰だよ悪役1号作ったのは?」 「鉄人27号だと! 何で28号作んないのよ?」 「ホントに飛ぶトリープフリューゲルだと!?」 「三式戦車の上にデカイ板つけて何がしたいんだ?」 メロンと不明な総長とヤル研が大暴走した火葬兵器の展示会。 サーバメンテナンス作業者募集! 1日2回のメンテナンスを行うだけの簡単な仕事です! 年齢:18歳から40歳 時間:午前8時から午後5時まで 勤務地:某県某市 資格:KANーSENを実体化できるレベルの方 待遇:社員寮有り、制服貸与、食事付き メンタルキューブ持参の方は特別手当有り 応募:電話連絡後に履歴書を送付して下さい 某ブラウザゲームの募集広告 金剛「ムド〇ンカ……」 霧島「姉さんそれはやめて! カレーに擬態した化学兵器ですから!」 比叡、磯風「「ほほぉ……」」 仮面4の魔のレシピを見て。 それぞれの秋 食欲の秋 赤城「このラーメン、美味しいですね」 ???「そうですわね、あ、らぁめん、おかわり」 正規空母と麺妖なアイドルのグルメレポート。 芸術の秋 秋雲「降りて来たっ!、これで勝つるっ!」 巻雲「もう少し早く降りて来ないんですかねぇ……」 ベレー帽の漫画妖精「打倒黒ネ〇ミ!」 片腕の漫画妖怪「また描いて見ようかなぁ」 コミケ復活に盛り上がる駆逐艦と妖精妖怪達。 スポーツの秋 ???「44ソ〇ック!」 叢雲「貰ったわ!」 ???「なっ! あんな細い槍で打ち返すとは!」 島風「おっそーい!」 ???「何ッ! 俺より早いだと!」 鋼鉄な選手達と艦娘たちの野球風景。 写真 「アームレスリング中のサウスダコタと霧島」 「長野県産の食材のPRをするホーネット」 「佐賀食品フェアにいる有明」 「『提督日記』と書かれた携帯電話を見つめる迅鯨」 「ハロウィンで練り歩く巨大カボチャの上に乗っている涼月」 「小五ロリの妹の衣装の松」 「きさらぎ駅に佇む如月」 以上になります。 転載はご自由にどうぞ。 936: 名無しさん :2020/10/14(水) 16 55 15 HOST softbank126242134156.bbtec.net 635さん ゑ?……ああっ何て間違いを。 おいは恥ずかしか() というわけでwiki掲載時に以下の様に修正をお願い致します。 誤:「セルカッツ人と正しいファーストコンタクトを行う為に必要な行為だ!」と 正:「サマルカ人と正しいファーストコンタクトを行う為に必要な行為だ!」と