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ジブリ映画とオカルティズム ⑧ ロード・オブザ・リング編 『ロード・オブ・ザ・リング』。 宮崎作品ではないが、宮崎映画の本質を理解する上でわかりやすい好例である。 原作はハリーポッター、ハウルに続き、こちらもイギリス出身の作家 J・R・R・トールキン。 第二次世界大戦中に執筆され、1954年から55年にかけて 3巻本で出された小説を元にしたハリウッド映画である。 ☤ 多くの視聴者はこの作品を見て、矮躯で醜く、好色・残忍・野蛮なオークたち、 蟻の如くわらわらと出現し、文明世界を破壊する邪悪な冥王軍の侵略を忌み嫌うだろう。 そして理性的で美しいエルフや賢者、人間の勇士たちが結束し それらの侵略を跳ね除け、遂には壊滅に追い込む活躍に快哉を叫ぶだろう。 事実日本でも大ヒットした。 しかし宮崎駿はそれについて揶揄するように苦言を述べている。 それもその筈、この作品の本質とは大衆が見る表層とはまったく別のところにあり、 サウロン軍だのオークだのは、劣等人種である黄色人種や黒人の暗喩であり、 それらを“優秀”で“正当”で“選ばれた人種”である白人が駆逐し殲滅する、 言ってしまえば民族浄化、大虐殺物語であるからだ。 大衆に受けるように作られた表層と、一部の者にのみわかる 最も重要な裏面の眞實とを、表裏一体にして作り上げて来た稀代のクリエイターである宮崎は その程度の事は一目見た程度でとっくに承知だったのだろう。 しかし息子の吾朗は『ゲド戦機』の出来を見る限り、どうやら本質を掴むことすらできず、 『ファンタジー大作マジカッケー』と皮相のみに捉われ、 軽薄に浮かれ騒ぐタイプであると思われる。 それこそハリウッドの手を借りて元々のメタファーをより骨太に作り換えられた、 自分たち黄色人種を虐殺する物語であるにも関わらずだ。 「ロード・オブ・ザ・リング」だってそうです。 敵だったら、民間人でも兵隊でも区別無しに殺していい。誤爆の範囲なんですよ。 一体アフガニスタンの爆撃で何人殺してるんですか? それを平気でやっている映画が「ロード・オブ・ザ・リング」です。 原作を読めば分かりますけれども、実は殺されてるのは、 アジア人だったりアフリカ人だったりする。 それがわかんないでファンタジーが大好きって言ってるのは、馬鹿なんです」 (宮崎駿 原文ママ) ハリウッドが世界中に垂れ流す流行りモノ映画には、原作者の意向とは関係なしに 視聴者の精神を感化する何からの政治的メッセージが常に隠されている。 映画業界の第一人者である宮崎ならその程度の事は最前承知であったろう、 とても信じられない、と、いまやかつての多様な血が単一化された、 平和な日本に住む者たちは思うであろう。 しかし海外では一昔前まで、そのような極端な人種差別が当たり前のように横行していたのだ。 ☤ 例えばリンカーンというアメリカ大統領がいる。 表向きは虐待された黒人奴隷を解放するため、南北戦争を行ってまで戦った 偉大な解放者ということになっている。 だが実像はとても偉大とは言えないばかりか、 稀代の人種差別主義者ともいえる虐殺者であった。 例えば彼が行った事業で最も有名な奴隷解放だが、南部諸州にのみ限られ、 北部では解放しなかった。 これは“敵”である南部諸州の産業をタダ同然で支え、綿花などの 安い価格をキープしている労働力の奴隷を解放すれば、 ちゃんと賃金を払って労働させねばならなくなり、南部の産業が壊滅して 経済力が大きく減衰することが見込めたからであった。 戦争を繰り広げた裏では軍需産業と手を組んでおり、連中とともに大儲けしている。 そればかりか、エイブラハム・リンカーンほどいわゆる先住民族=インディアンに対して 冷酷無比な政策を実行した大統領はいない。 黒人やネイティブアメリカンに対して、まるっきり「人間扱い」しなかったのがリンカーンである。 リンカーンは、自分と同じ名前のエイブラハムという祖父がインディアンに殺されたとされる。 勿論その祖父もインディアンを虐殺し、先祖伝来の土地を奪うなど 恨まれるようなことをやった結果殺されたのだろう。 しかしその結果どれほどリンカーンが対インディアン討伐に情熱を燃やし、 若い頃は実際に戦闘に参加したり、大統領として虐殺命令を出したりしたか、 その経歴は、wikipediaにも載っている。 人間を人間扱いせず、「人間狩り」に精を出したのだ。 有名なホームステッド法もリンカーンが制定した。 狩猟や遊牧をネイティブアメリカンたちに禁じ、定住させて農業民にすることを強制したのである。 反抗する部族は殲滅した。 「士農工商なんとやら」と言うが、リンカーンにとっては 白人>>>>>>>>>黒人>>インディアンの順だった。 ちなみにリンカーンが大統領だった時代(1861~65年)は、日本では 坂本龍馬や新撰組が活躍していた時代である。 さて、リンカーンが若かりしころの1840年代は、彼自身もネイティブアメリカン部族の 討伐に兵隊として参加していた。 この時代はアメリカ政府そのものが、北米大陸全体でネイティブ部族と「戦争」をしていた。 ヨーロッパで食い詰めたならず者たちが勝手にアメリカ大陸に移住して来て、 先住民族を思いつく限りの非道な方法で追い出しにかかっていたのだ。 当時のネイティブらはバッファロー(バイソン)を生活基盤とする独自の生活、経済を持っていた。 そこで白人どもはバッファローさえ居なくなれば、ネイティブ部族は食料が尽き、 暮らしが立ち行かなくなると考えた。 そこで政府は何千人というハンターを雇って、食べるわけでもないのに 数千万頭のバッファローを銃殺させた。 これにより全土に膨大な数が生息していたバッファローは絶滅寸前にまで激減し、 ネイティブたちはついに白人に降伏せざるを得ないところに追い込まれた。 やがてアメリカ政府はネイティブに、そこに定住すれば年金は支給してやると言って騙し、 指定した荒れ地に強制移動させ、挙句その年金さえ払わなかった。 ために部族の暴動が起きると、徹底した弾圧をやってのけた。 それを行った人物がリンカーンなのである。 歴代有数の人種差別意識にこり固まった冷酷な虐殺者であった。 そのリンカーンをはじめとする虐殺者たちの顔を、 金(ゴールド)ほしさにやってきた白人たちがダコタ族(スー族)を虐殺して追い払った後 その先祖伝来の聖地であるサウスダコタのラッシュモア・マウンテンに 戦勝記念とばかりにデカイデカと刻みつけさせたのだから、 アメリカ政府の底知れぬ悪辣さが知れるというものである。 ☤ そうした虐殺者たちはプロバガンダによって汚い部分が覆い隠され、 正義の体現者としてあらゆるメディアで囃し立てられ、「英雄」として祀られた。 その洗脳教育は今でも続いており、いまだにリンカーンを弱者の味方、正義の大統領だなとどと 勘違いしているものが多々見受けられる。 日本でも同様の大虐殺劇が過去にあり、中央政府の大和王朝はそれを記念するものとして 虐殺者の坂上の田村麻呂を英雄として祭る「ねぶた祭」を行わせた。 昔日本では土着民を「根」と呼んで賤民扱いしていたが、 中でも厄介な連中を東北に追いやって「蓋」をした挙句虐殺したのである。 国内も国外も、戦前はそういう人種差別、賤民差別と虐殺の時代であった。 そういう中で著されたのが異なる人種間の侵略戦争と殺戮劇を ファンタジー世界というオブラートにくるんで著した「指輪物語」という作品である。 原作はその辺りが曖昧であるが、映画においては当たって、 よりその「本質」を強調した形で映像化がなされている。 何も知らない無邪気な者たちがそれを観て、戦争と虐殺と勝利を追体験して楽しみ、 これを賞賛しているのである。 あまり認めたくはない事だが、古今東西を問わず、人を殺す事は「楽しい」事であり、 大衆にとってこの上ない娯楽なのだ。 古代はコロッセオの殺戮ショーや公開処刑に多くの民衆が群がって熱狂してこれを鑑賞した。 現在では人間を射殺するFPS、ゾンビにメタファーした愚かな人間たちを 大量虐殺する、ゾンビ映画やゲーム、漫画(悪魔にメタファーした作品も同様)などが 世界中で人気を博しているのも同じ理由からである。 ☞ジブリ考察その⑨ その他編 ─────────────────────────────────────
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葉車九重に関する報告書或いは 二人の指輪物語 by旭ゆうひ トップ > SS置き場 飯のタネを探して 「葉車九重」の周辺を調査していた「百地忍」は 途中、なんだか懐かしいような心落ち着くような男性と出会う 己の異常な過去を明かしてもなお求婚してくれる男性に心惹かれつつも その過去に彼らを巻きもむまいと彼の許を去る忍 世界を支配しうるという指輪 支配の指輪を目の前に その力さえあれば過去を断ち切り幸せをつかむことができるのではないか 指輪に魅せられた忍は 仲間たちに背を向けて指輪を奪い姿を消のだった 蓬莱神社に近い高層マンションの一室 高層階にあるその部屋で、この部屋の主は沈み込んでいた 「お兄様……」 袴姿の女の子は 肩を落とす兄へ声をかける しかし、声をかけられた兄の三月(みつき)は答えない 三月にとっては「月陽」(つきひ)、九重にとっては「忍」(しのぶ)である女性 彼女が姿を消してから、三月はずっとこんな様子だ あの日、己の所有する映画館で出会った「月陽」は 三月にとってどんな映画のヒロインよりも魅力的に見えた 彼の妹達は皆、容姿に優れているし 社交界で合う多くの女性もやはり美しかった でも「月陽」は別格だった 三月の心を鷲掴みにし「運命」を信じさせるには十分だった 微笑みの中にある影、やさしい物腰の中に潜む鋭さ そして強さ 今まで周りにいなかったタイプだった 映画を見て感想を口にする 新鮮な視点だった 映画好きには映画の感想の内容で相手の性格が分かるという 三月はまさにこの特技を持っていた 三月の見立てによれば月陽は 弱さと強さを併せ持ち 柔軟さと強固さをもつ 外交的でありながら内向的でもある 最初はこの矛盾した性格に興味を持っただけだった けれど、話せば話すほど三月は月陽にのめりこむ 話自体は月陽の話術ではあったが その裏にある彼女の性格を見抜いての事だった 化粧っ気のない彼女の笑い顔が瞼に浮かぶ 「お兄様……」 「九重か……どうしたんだい?」 妹にやさしく答える、いつもの様に 何事もないように 「お兄様……お食事をとられませんとお体に障ります」 「………食欲がないんだ」 「そうおっしゃると思って、私がおにぎりを作ってまいりました 置いておきますので、無理にでも食べてくださいね」 九重はおにぎりとお味噌汁の乗ったお盆をテーブルに置く 「ありがとう 九重が作ってくれたなら 頑張って食べなきゃな」 「お兄さま 私あの方の事をよくは存じませんが、あの方のお友達なら存じていますわ」 「……」三月は答えない 「もし、その気になったらおっしゃってください 未来の義姉様探しをお手伝いいたします」 「…………」三月は まだ答えを出せないでいた 袴姿の女の子 九重は兄のマンションから出るや 「佐藤!」鋭く声を発する 「おそばに」 「忍様の行方はまだわからないのですか!?」 「申し訳ございません ただ今 手の者に顔写真を配布し捜査網を敷いておりますが……」 「くれぐれも、外に漏れることの無いように」 「こころえております」 黄昏時が迫っていた 迫る闇が九重の心にプレッシャーとなっていた 九重は兄の将来を慮って出来るだけ九重の身内で事を収めようとしていた プロポーズした相手にOKをもらって その日のうちにその相手が出て行ったのだ 目的は「兄の思い人」を見つけること しかし、見つけた後の事も考えなければならない もし、彼女が本当は兄と結婚をしたくないとしたら? 「婚約者」と思っていたのがじつは違ったとなれば 兄 三月の今後の事に大きく響いてくるだろう そんな事態は避けなければならない 「九重様、やはり十人会議にご協力を要請されたほうが……」 「なりません 今はまだ」 十人会議 たいそうな名前だが兄妹たちのネットワークだ まだ小学生の末の妹「十美恵」(とみえ)を除いて 長男の「一重」(かずえ)以下 九重までの9人がこの学園に所属し それぞれに地位を得ている その気になればクーデターも成功するだろう そんな十人会議に協力を要請したらとんでもない騒ぎになることは目に見えている 特に「五葉と六花」の双子の姉には知られるわけにはいかない あの二人に知られたが最後 事は面白い方向へしか動かなくなる 問題は『双子の姉が面白いと思う方向』へしか行かなくなるということだった 兄を思う袴姿の女の子は 己の持てる権能のすべてを使う 三月は空腹だと抗議する腹の虫を黙らせるべく 九重の作ってくれたおにぎりに手を伸ばす そこには不揃いながらも心のこもったおにぎりが並んでいた 彼は思う いま月陽は何をしているのだろうと 彼女の過去を知っている 彼女の今を知っている おにぎりを頬張りながら考える じんわりと胸の内に広がる暖かさ 自分の知っている月陽は何故出て行ったのかと 彼女の過去を知る三月は考える 彼女の今を知る三月は考える 冷えたお味噌汁でおにぎりを流し込む 心の奥でくすぶっていた思いに燃料が投下される 彼女のやさしさと彼女の愛情を知る三月は考える 九重の愛情を受け 死んでいた身体が蘇っていく 一時なりとも彼女を失ったショックで茫然自失となっていたが 三月は考える そして、一つの答えを導き出す 【里の報復に巻き込まないように距離を取った】 彼女らしいと思った そして憤る 僕はそんなにも頼りないかと 彼女は知らないのだ「葉車」が何かを 彼女は知らないのだ「葉車の三月」とは何者かを 九重の作ってくれたおにぎりが 愛情が握りこまれた不揃いな このおにぎりのおかげで 三月の心に再び火が灯る それは激しく燃え盛って三月の体に力を満たす 何をすべきか? 答えは出た 「月陽を探し出す」 ついでに「朱点の里を潰す」 三月の覚悟は いま決まった しかし、三月と九重が己の権能を使い尽くしても 彼女を見つけることはできなかった 「くそ! いったいどれだけ隠れるのがうまいんだ!」 「お兄様……」 彼女の目撃情報はあるのに追跡しようとすると足取りがつかめなくなる バレンタインの時期には「魔法のバニラ」という食材を換金している すぐその場へ駆けつけたが すでに姿はなかった GW 噂の怪盗の写真を撮ったという あれだけの衆人環視の中でだれも彼女を見たものはいないという 彼女の影を見つけたとたん彼女はいなくなる 三月と九重にとっては まるで幻のようだった 「お兄様……」 「…………」 落ち込む兄の手にそっと手を重ねる 「きっと きっと見つかります」 三月は疲れていた 最初はもっと簡単に見つかると思っていた 九重の屋敷で休息をとる兄妹 メイドたちが作る食事が疲れをいやしてくれる しかし……本気で隠れた彼女がこれほどまでに厄介だとは思わなかった 「さすが朱点の者というべきか・・・」 「朱点……先日報告があった忍者の里の事ですね?」 「ああ 酒呑童子の末裔を自称してるそうだよ」 「潰してしまいましょう」九重の心にも焦燥感は募っていた 「それがそうもいかなくてね」 「何故です?」 九重はメイドが持ってきた急須で兄の湯飲みへお茶を注ぎながら尋ねた 「蓬莱会というものがある」 「はい、名前だけは聞いたことがあります」 「うん その蓬莱会の息がかかった組織が運営するのがその朱点の里なんだ」 「まとめて潰してしまいましょう」 「蓬莱会というのは、実体が不明でね それでいて存在理由も不明なんだ」 「お化け見たいですわね」 兄妹は煎れたてのお茶をすすりながら話を続ける 「そうなんだよ、何人もの決定権を持つものがいて それぞれがバラバラに動く まるで膨張するアメーバか、ヒュドラみたいな感じだよ」 「……面倒ですわね?」 「そう 本気になった葉車なら勝てるかもしれない けど、それはもう戦争だ」 「戦争……」 「終るまでにどれだけの被害が出るかわからないし、相手はお化け見たいな連中だ 誰をつぶして行けばいいのかさえ分からないんだ」 「九重様!」 障子が激しく開けられる 佐藤が慌てて九重のもとへ駆け寄ってくる 「どうしたのです?」 「忍様が指名手配されました!」 「なんだって!?」 「なんですって!?」 九重の屋敷の一番厳重な場所 そこは九重の自室兼人形工房兼葉車家の歴史資料庫 その地下室 モニターには8人の兄妹たちが映っている 双子の姉 五葉が口を開く 「つまりこの数か月間 三月お兄様と九重ちゃんは私たちに黙ってそんな面白いことをしてたってことね?」 「お姉様! これは三月お兄様の失踪した思い人を探す会議ですよ! 面白いなどと「それなら! それならなぜもっと早くに行ってくださらなかったのです?」」九重の言葉をさえぎって五葉は真面目な顔で言う 「その通りだ すまない 彼女を見つけた後 皆に受け入れてもらえるか自信がなかった……」 五葉にそっくりな六花がため息をついて 「はぁ…お兄様、私たちは家族ですのよ? 例え半分しか血がつながっていなくても、私たちは家族ですの」 「ああ」 「家族が認めた女性を私たちが受け入れないとでも? それとも、何か特殊な経歴をお持ちなんですの?」 「……」三月は言葉にできない 彼女の過去はむやみに話せる内容ではない だからまだ彼女の事は、これまで手伝ってくれた九重にさえ詳細を伝えてない 「三月 その彼女は 葉車の一族に迎え入れるにふさわしい人物なんだな?」 「双葉兄さん……」 「答えられないのか?」 「ごめん…でも……」 「なら、答えは決まったな」 「でも! 僕は彼女を愛している! 彼女を迎え入れられないなら僕が葉車を抜ける!」 モニターの中で五葉と六花がハイタッチして喜んでいる 三月の隣にいる九重も笑顔だ 「三月の要請は 「百地忍の身柄の確保」「指名手配の解除」「彼女の今後の安全の確保」以上だな? ……では決を採る」 結果 三月の要請は受諾された そして…… 学園の有力委員会、有力クラブが一斉に動き出す それを予算委員会がバックアップし、構内巡回班や銃士隊にも協力要請が出る いま、まさに全校が「百地忍」を捜索するに至った。 もちろん、一般生徒に至っては学園名物のお祭り騒ぎにすぎなかったが。 それでも彼らは、快く捜索に参加する なぜなら、学園生徒がお祭り騒ぎに参加しないなんてことはないからだ 三月はいま航空部と飛行委員会の 主だったメンツをあつめたブリーフィングルームの扉の前に立っている 深呼吸して扉を開く 三月を見つめる20人 彼が信頼して且つある程度の裁量を持つメンバーだ 「集ってくれたことに まずは礼を言う ありがとう」 古参の飛行船船長が「いいてことよ 俺たちの仲だろう!」と茶化す 「じつは 全くの私的な頼み事なんだ」 「なんだよ 女でも攫って来いってのか?」別のスタッフが笑って突っ込む 「その通りだ」笑いに包まれる20名 しかし、彼らを集めた男は真剣そのものだった 「まじでか……もしかして、指名手配の?」 「ああ」 「すると大佐がふられたってのが彼女なのか……」 「なに不思議がってるんです? 大佐の普段を見てれば『失恋した』くらいは想像つきますよ」 「すまない皆 この通りだ 力を貸してほしい」 深く頭を下げる この男は肩書もあってこのように頭を下げることはない それが上に立つ者に求められる一面でもあるからだ しかしいま、部下に 深々と頭を下げる たがいに目を合わせる男たち 「いいでしょう! 俺たちはあんたの部下だ そして友人でもある その友人の恋の悩みだ! 一肌脱いでやろうじゃねぇか! なぁ!みんな!」 三月は再び頭を下げる 感謝を込めて 通常の指名手配の裏で葉車による指名手配の私物化 全ての情報は彼らの知るところとなり 公開情報の取捨選択がなされる 十人会議はあくまで裏方だ 表に出るのは三月だけとなる 三月達以外にも忍を追う者たちが居る SS残党・と党・外国のエージェント等 彼らの目的は忍の持つ支配の指輪 忍の安否など気にかけない連中だ そんな連中よりも先に彼女を見つけ出さなくては しかし、もたらされる情報に誤報、虚法が混じる 「くそ! 連中もやる事はやってるってことか!」 振り回されて若干の遅れが出ている 今も「百地忍 確保」の方を受けて新町まで車を走らせたところだ 結局、似ても似つかない女装男子生徒が無惨にも拘束されていた 三月の焦りは募る 愛車のハンドルを殴りつけるくらいには 車載モニターに九重が映る 「お兄様 忍様を海上空港方面への誘導 成功しました!」 葉車が誇る天才少女 九重 彼女のバックアップは少ない時間で 学園中に数千体の人型監視カメラ「護鬼一型」を放ったことにある 彼女の本気のほどがうかがえる、そんな妹からの報告なら間違い無いだろう。 問題はその場へ三月自身が間に合うかどうかだ。 学園の交通網はいま、朝比奈事件以降最大となる麻痺を引き起こしていた しかし 間に合ったとして今の忍を取り押さえる戦力を三月は持たない なら、持つ者を使うまで! 三月は忍の交友関係を把握していた 「九重 僕は空港へ向かう 忍の友人である宮里家の一党を忍へぶつける作戦はどうなってる?」 路地のゴミ箱を跳ね飛ばし、歩道に乗り上げ歩行者を慌てさせ それでも車を走らせる 「それが……あの方々は、あの方々でごたついているようです」 「なら 屋台の彼女は?」 「宮里家のそれに……」 「なんてこった……」三月は天を仰ぎ見る 「ですがお兄様 どうやらなんとかなりそうです」 「というと?」 「相馬左門 宮里さんの彼氏さんが空港連絡橋で忍様と接敵しました」 「くそ! まだ10分は掛かるってのに!」 「お兄様?」九重とは違う声 もっと幼いこの声は 「十美恵!?」 「はい 詳しくはまた……信号を全て青にいたしますアクセル全開でどうぞ 3.2.1」 すると進行方向にある全ての信号が青になる 「お兄様 御武運を」 「おう! お前ら最高だ!!」 時間はほんの少し前 陽は沈み夕刻からの雲が空を覆っている 突撃報道班と書かれた報道ヘリが低空を飛び 大型ライトで地上を照らす それを牽制する公安委員会が装甲車を走らせる 野次馬があふれ、お祭りと見たお料理研の装甲屋台が出店を開く カップルがそれをはしごして 消防団の爆発がおこる 現場は混乱していた そしてその中心にいるのは「百地 忍」 いつもの おしゃれの欠片も無いおさげがほどかれて 目立たなくするための化粧も落ちている 顔を隠すための野暮ったいメガネもかけていない もともと伊達メガネだ、視力の低下には期待できない 薄汚れた制服はあちこち破れている 彼女を知るものがこの場に居たらきっとこう言うだろう 「誰?」と そこには美少女という言葉では足りないくらいの美少女が佇んでいた ヘリの風圧にたなびく髪 巻きあがる改造制服の巻きスカート ちらりと見える 褌 彼女を知るものがこの場に居たらきっとこう言うだろう「あ 忍だ」と 「そこの女性徒! 地面に伏せて両手を頭の上へ!」 装甲車から出てきた武装した公安機動隊が銃を構えて忍を包囲する 「まて! 彼女に銃器の使用は許可されていないはずだぞ!」 先着していた公安委員会の制服組の七三分けでメガネをかけた生徒が、機動隊の指揮官に抗議する 「許可は下りている、この場は我々が仕切らせてもらう」高校生とは思えない鍛えられた肉体にの厳つい機動隊の隊長は言う 「ばかな! 彼女はまだ何もしてないんだぞ!」 「許可は出ている」 「くそったれ!今確認する! 確認が取れるまで早まったことはしてくれるなよ!」 突撃報道班のヘリ 低空を飛び回り その風圧で地上に混乱を巻き起こしている 「ご覧ください! あの女生徒が南郷の再来と噂される女性徒です! みなさんもご存知の南郷は90年動乱において首魁となった人物で1級危険人物に指定されています! 彼女はその南郷の再来と噂されています! その美貌を武器に学園を再び混沌へ叩き込むのでしょうか! 今もなお我々突撃報道班に情報規制の圧力がかけられています! 我々は報道の自由のために最後まで――」 装甲屋台 「さぁ買った買った! 南郷5歳の時の頭蓋骨形のりんご飴だよ!」 「百地忍! 百地忍が愛した焼きそばだよ!」 「先日の海洋生物! 花嫁追って返り討ち! 供養してやろうじゃねぇか! たこ焼き たこ焼きだよ!」 「ねぇ私 あの綿菓子食べたい!」 「ああ買ってこよう」 爆発! 「恋愛消防団だ!」 「さぁ!はったはった!百地忍が拘束されるまでの時間をかけるよ!」 「公安のバカ野郎!そこをどけ!見えないだろうが!」 混乱の中心で忍は破壊衝動とも言うべき感情と 押し留めようとする理性とで葛藤していた。 (私は本土へ行って朱点の里を滅ぼしたい その為に飛行船に乗りたい なのにみんなが邪魔をする 邪魔者は排除すれば良い 壊れようがどうしようが関係ない) (駄目よ! 彼らは指輪を管理したいだけ! 指輪を渡せば邪魔しなくなるわ!) (そうして里を滅ぼす力を失うのか? それこそ駄目だ!) (でも、誰かを傷つけていい理由にはならないわ!) (これから里の連中を皆殺しにしようって私が何言ってんだ!) その間 周りでは野次馬の層が厚くなり 屋台も増えていく 「狂化研特製 別アングルから見える君 だよ! これで色々見放題だ! なんと12万のところ2個20万! 3個で25万だ!」 「百地忍の6歳の時の頭蓋骨だよ! 芸能・健康・家内安全・安産祈願にどうだい!」 混乱が混乱を呼び臨界点を突破する 1発の銃声 倒れる様にうずくまる忍 静寂が当たりを包む ヘリの音さえ沈黙したかのようなこの空間に 含み笑いが聴こえてくる うずくまる忍の体から 赤や黒の蒸気のようなものが漂い始める 「クソ! 誰が馬鹿なことを! とにかく確保だ! 確保! 確保しろ!」 「機動隊突撃! 最悪 指輪さえあればいい! 腕ごともってこい!」 「ご覧ください! 今 公安が動きました!こちらからは百地忍嬢が撃たれたように見えました! 彼女は現在まで法に触れることは確認されていません! にも関わらず! 公安でしょうか!? 発砲という暴挙の前に今 百地忍嬢は倒れています!」 忍の身体から立ち登る赤と黒の湯気のようなものに、一瞬怯んだ捕り方連中は其れでも飛んでくる命令に半ばやけになりながらも殺到していく 忍を十重二十重と下敷きにし捕り方連中は積み重なっていく 「最初からこうしておけばよかったのだ」機動隊の隊長はそう言ってため息をつく 「ふざけるな! 発砲の許可は降りてないんだぞ!」 言い争う二人の背後で 人が宙を舞った 忍を押さえ込んでいた捕り方が 爆発的な衝撃波によって弾き飛ばされたのだ 七三眼鏡「何が起こってるんだ! 一旦退避! 下がれ! 下がれ!」 機動隊隊長「怯むな! 撃て! 撃て!」 白波「カメラ!今の撮った!? ご覧ください!今 忍嬢に襲いかかっていた捕り方連中が吹っ飛びました! これが南郷の力でしょうか!? それとも忍嬢の力でしょうか!」 忍は同じ場所に立っていた 半目で数メートル先の地面を見ているように見える ゆっくりと大きく息を吸う そして 空気を劈く音とともに 目の前の強化アクリル製の盾が隊員ごと吹っ飛んだ 口に含んだ弾丸を吐き出したのだ! 人間技ではない 人間技では無いが指輪に支配されつつある忍は、その肉体をも強化されつつあった 次の瞬間崩れた陣形へ突入する忍 軽々と舞い上がる機動隊 そこへ校内巡回班が到着 抜刀 忍に襲いかかるも 目に見えない何かで 刀は弾き飛ばされ、着物は切り刻まれる 「巡回班が到着! 一斉に切りかかって行きました! あれは何が起こったのでしょうか!? 忍嬢の間合いに入った瞬間に刀は弾き飛ばされて班士は素っ裸になってしまいました!」白波の実況は続く 巡回班が撤退する頃には連絡橋の中程に差し掛かっていた 「よう 忍 元気だったか?」 そこには忍の友人でもある一人のサムライが待ち構えていた だんだら羽織を脱ぎ捨てて 袴姿に襷を占めたその姿を、報道ヘリのライトが浮かび上がらせている。 逃げ行く班士たちをしり目に不敵に笑う彼の名は「相馬左門」 「左門先輩……ええ 元気ですよ これ以上にないくらい」 「そうか……できればその指輪をこっちに渡して欲しいんだがな?」 「ふふ…単刀直入ですね……無理…といったら?」 「そうか……なら やるしか無いんだな?」愛刀「鼬斬り」の鯉口を切る左門 「先輩 怒ってるんですか?」 胸元を強調し上目遣いで左門への距離を一瞬で詰める忍 「あん?」 「私が「先輩と宮里先輩以外の女がいちゃついてる写真」を宮里先輩へ渡したから?」既に戦は始まっていた 「な!?……いや ブラフだな そ…そんな写真は存在しない!」 「本当に? 先輩がそう言っても宮里先輩がどう思うかが重要なんじゃないですか?」にまにまと笑ながら左門を煽る 「旦那は……わかってくれる」 「へぇ?じゃぁ……赤毛のメイドは? 彼女は黙っていますかね?」 「...むしろ……」左門は続くセリフを飲み込んだ ジト目で己の肩を抱く忍 「ひくわぁ……」 走る忍 追う左門 連絡橋を渡切り空港の施設 破壊の嵐が施設を無残な姿に変えていく 「しつこいですよ! 変態侍!」 「誰が変態だ! お前こそ痴女じゃねぇか!」 「私は普通のJKですぅ!」 「普通のJKはな! 鋼線でソファを切り刻んだり! コンクリの柱を輪切りにしたりできねぇんだよ!」 「はぁ!? 出来ますぅ! 知らないのは先輩がDTだからでしょ!」 「どどどDTちゃうわ!」 「今の宮里先輩に言いつけますね!」 「指輪の後で絶対泣かしてやるからな!」 「きゃー 犯されるぅ!」 「うがーー!!」 破壊の嵐はその勢いを増す 心理戦では忍に軍配が上がったようだった 三月は自分の車「DATSUN240Z」という旧車を愛している 見た目こそ古い型だが中身はカスタマイズされており 最新のスポーツカーにも負けない性能を誇っている 週に一度は洗車をしそのままドライブへ出かける そしてそのまま車中で夜を明かす それほどにこの車を愛している 「お兄様! ルートを逸れています!!」 モニターの向こうで見守る九重の悲鳴が聞こえる 「大丈夫! これでいいんだ!」 彼の駆る240Zは駐車場へのルートではなく 空港のフェンスに向かって直進していた 金網の向こうに空港ターミナルが見える 三月はこの車を愛している しかし、愛車を犠牲にしてでも行かなければならない時がある それが今だった 240Zは火花を散らしフェンスを突き破る 美しかったフロント部分は吹っ飛び見る影もない 「いま行くぞぉ!」 忍と左門が周囲を気にせず戦闘をくり広げたために施設の照明はとっくに落ちていた ターミナル上層はガラス張りの展望フロアとなっているが そのガラスが内側から吹き飛ばされる 報道ヘリの大型ライトに照らされてキラキラとガラスが舞う そのガラスとともに忍が宙を舞う 左門は流石に飛び降りるわけにはいかず踵を返す 「……空港に来れば本土への足があると思ったけど 流石に派手にやりすぎたかな」 そう、この事態を予想した三月が事前に欠航を仕組んでおいたのだ。 戦闘になれば周りへの被害は少なくない。 なら、空港のように開けた場所ならと…しかし、結果、空港施設は半壊 彼は航空部の大佐から少佐へと降格するのだがそれはまた別の話。 自分の求める男がそんな気を使ってくれているとは露ほども知らない忍 「私はおとなしく本土へ渡るつもりだったのに……」 そこへ車が走って来る 「はぁ 今度はなんなの……そうだ あの車で町へ戻って今度は船で……」 その車はフロント部分がなくなっており 忍のすぐ近くでタイヤを鳴らしながら止まる 忍はその車のドライバーと「お話」して町へ載せてもらおうと車へ近づく ドライバーが降りてくる ドライバーを見た 忍は動けなくなる 会いたかった、ずっと会いたかった、 彼との時間を得るために 手を出してはいけない指輪にも手を出した 彼と会うために、里を潰すためにここまで来た その彼がいま目の前にいる 心臓が指輪を手に入れた時以上の鼓動を打つ 彼だ! 三月だ! 会いたかった! 好き! ああ! 声が聴きたい! 好き! 三月! 三月! 運転席から降りた三月もまた動けないでいた 忍だ! 忍を見つけた! 忍! 会いたかった! あれ? なんか前よりかわいくない!? 凄い! カワイイ! 好き! 会いたかった! 忍! 忍! お互いの視線を外すことができずにいる (なんて声をかけたらいいのか「こんばんは」?) (元気だった?) (どうしてた?) (ああ! なんて声をかけたらいいの!?(いいんだ!)) お互いに何を言えばわからないまま少しずつ距離を詰める まるで武術の達人が間合いを図ってるかのような動きだ 「うおおおおおお! しのぶぅぅう!!」 そこへ左門が斬撃を飛ばして来る 大きく飛びのいて躱す忍 2人の間に割り込む形で忍に切っ先を向ける左門 「相馬君!もうやめてくれ!」 しかし、二人は三月の叫びに答えない かつてない忍の殺気に左門の肌が粟立つ しかし退くわけにはいかない理由が左門にもある 「決めさせてもらうぞ! 竜よ来い!」 瞬間 突き出された左門の拳から雷が生まれ やがて「竜」を象る 「竜」は空を駆け その首をもたげて召喚主の左門へ視線をやりながら 「この娘が主の敵か……哀れな……」 竜は忍の過去を垣間見た それは神話の御代から在る竜だからこそ出来た技だったが 召喚主の意向こそが竜にとって至上命題だった 鋼線が空を切り裂き 左門と竜がそれを躱し、いなし、打ち返し、反撃に出る 忍は舞うようにその斬撃を躱していく 躱しながらあらゆる態勢のまま鋼線での斬撃を繰り出していく 「やめてくれ! 相馬君! 頼む! やめてくれ!」 三月の叫びは届かない 竜は空間から巻物を出現させる 巻物は自然に解かれる すると炎に包まれ光となって左門の身体に淡い光が宿る 竜はさらに札を出現させる 札は左門の体に張り付き力を与える すべてを出し終わったころには 左門の身体能力は倍になり、鼬斬りはその鋭さを増していた 忍は勿論それを黙って見ていたわけではない しかし、左門の相手をしつつ竜の行動を阻害するには手数が足りなかった せめて、実体のある何かなら鋼線で切り刻めただろう それが超常の力となれば鋼線では歯が立たない オマケに竜が施した術には忍の五感を乱し四肢に麻痺を齎すものも含まれていた それでもなお決着はつかない 忍の体からは赤と黒の蒸気のような靄が立ち上っており、もはや妖気とでもいうべき状態だった それは時間がたつほどに濃くなり、ついには実体を持つようになっていた それが鎧のように忍を守り、忍の五感を補っていた とはいえ麻痺が完治したわけではない 指先の繊細な動きを必要とする鋼線はこれによって封じられていた 「左門君! 頼む! やめてくれ! 忍! 指輪を渡してしまうんだ!」 三月の声は2人に届かない いつの間にか雨が降り始めていた 忍と左門そして竜は長時間に及ぶ戦闘に疲労困憊だった 上空では報道ヘリの数が増え、遠巻きながら武装した公安や巡回班・銃士隊など治安組織が介入の機会を虎視眈々と狙っている 左門は左足を前 腰を落とし切っ先を地面すれすれの右下段に構える 忍は左門よりもより低い構えをとる その身にまとう赤と黒の妖気の為にまるで獣のようだ 「宮里家 食客 我流 相馬左門 推して参る」 「百チ しノぶ……ワタ…シは……しの……」 「くそ! 指輪に飲まれ始めたか!」 お互いに目の前の敵を相手に 退くことはなく 必殺の一撃たらんと全霊をかけ 互いの間合いを侵略する その刹那 左門は見た 応石「切」が胸に輝いていることを 忍の刃が当たろうが当たるまいが、その効果範囲であれば相手を両断する応石 忍は切り札として今の今まで隠していたのだ (ああ……これは避けきれねぇ エステルすまんな……ちゃんと言ってやればよかった) 左門が死を覚悟した時 2人の間に割って入るものがあった 240Z 鉄と鋼とチタンとカーボンの塊である三月の愛車 「やめろぉぉぉおお!」 運転席から叫ぶ忍こと月陽の思い人 三月 車はエンジンを両断され勢いのまま横転する 車を両断したことで勢いを失った「切」の力 第二撃は飛んでこない その隙をついて左門の一撃が忍に入る 両膝から崩れ落ちる忍を抱きかかえる左門 「う……みつキは……」 「あ? ああ……無事のようだぞ」見れば三月が車から這い出すところだった 「ヨカ…た……」そのまま気を失う忍 左門はその場に忍を横たえて、すぐさま指輪を回収 そのままその場を立ち去る 「あいつが割って入らなきゃ…俺は今頃……」ぶるりと体を震わせる 左門は次になすべきことを思い出す 追ってくる武装公安の手から逃れながら つけるべきけじめをつけるため島へと向かう 「凄まじい戦闘にようやく決着がつきました! たった二人の戦闘で空港がその機能をほぼすべて失うという自体に陥っております! 南郷の再来とまで噂された百地忍嬢ですが なんと今までのところ誰も怪我を負わしておりません! 南郷の再来といわれた女生徒の割には全く常識の範囲です! いったい誰が言い出したのでしょうか! 噂の出所に何かがあるような気がしてまいります! 我々突撃報道班は学園の真の自由のため――」 実況内容が開始当初からすると忍擁護とも取れる内容に変わってきていた 「月陽!」 三月痛む全身にむち打ち 忍のも許へ駆け寄る すでに公安が忍の身柄を確保している 報道ヘリは上空にとどまっている 各治安組織は野次馬の整理と周辺の警戒をこなしている 保健委員会から回ってきた救急車が忍を担架に乗せる 「忍!」 「葉車 三月さまですね? どうぞ一緒に乗ってください」 「君は?」問いながら乗り込んでいく 「五葉様・六花様から伝言を預かっております」 救急車は走り出す 現場は公安が整理していてスムーズに抜け出すことができた 「『かっこよかったです! 惚れ直しましたわ!』だそうです」 「見られてたのか」 「それはもうばっちりですよ 報道班はいい仕事をしましたね」 忍を見る あの妖気はもう出ていない (やっと…取り戻した……もう 何処にもいかないでくれ月陽……愛している……) 救急車は連絡橋をわたり切る お祭り騒ぎはいまだ収まらず、あちこちで混乱が続いていた 車道にあれれる人、人、人 そして突然の衝撃 横転する救急車 放り出される三月 いまだ恋愛消防団は爆破し続けていた 救急車はそれに巻き込まれたのだ 三月が気が付いた時には そこに忍の姿はなかった…… 忍の意識はいまだ混濁していた (指輪を取り戻さなくては……三月……会いたい……彼の許へ帰るためにも…三月に会いたい…………里を潰さなきゃ…もういい…それには指輪が……三月に抱きとめてほしい……里を! 指輪を!) 忍は 左門を追い宮里家一党と露子と対峙することになる ※リプライ44話 そして気が付けば なぜか露子の屋台裏で芋の皮をむいていた…… ※SS或る屋台における芋の皮剥き (あれから ずっと 心に穴が開いたようだ……) 忍は芋の皮をむきながら考えていた 全身にいたるところにまかれた包帯が痛々しい (どうしてここにいるんだろう……) 次の芋の皮をむく 応石「切」を使って皮をむくのは昨日怒られたところだ (赤毛のメイドに精神汚染を除去してもらったまではなんとなくわかる……けれど、なんで露子の屋台で芋を剥いてるんだろう……帰ろうとすると此処へ連行されるし…… 三月に 会いたい……でも……指輪の影響下にあったとはいえ……あんな姿を見せてしまって…………どんな顔をして会えばいいっていうの……此処から抜け出そうと思えばいつでもできる けれど、抜け出して何処へ行こうというの……彼に合わす顔がない ……はぁ どうすれば……) 表から露子の忍を呼ぶ声が聞こえる 「しのー お客さんだよー!」 (こうやってこき使われている……なぜなんだ……) のそのそと表へ回る 「貴女が『百地忍』様ね?」 (ずいぶんと美人な女性だな……しかも双子か……) そこには赤い華を染めた白い着物の女と、同じく赤い華を染めた黒い着物の女が立っていた 白い方の女が口を開く 「お体はよろしくて?」 「え?……ええ……?」 黒いほうが口を開く 「お姉様、いきなりで混乱されてますわ まずは自己紹介を致しませんと」 「そうでしたわね お会いできたのがうれしくてちょっとアレでしたわ」 「ええ 分かります 私も同じくアレでしたもの ですがお姉さまのアレを見て落ち着きましたわ」 「まぁ意地悪だこと」 「お姉さまの妹ですもの」 「まぁ!姉の顔が見てみたいわ」 「どうぞ」そういって見つめあう2人 「……えーっと?」 2人で手を取り合い見つめあう2人は首だけ忍に向けて 眼で語っていた『面白かった?』と ふふふ……ははははは 忍の口から久しぶりに笑い声が響く (ああ なんだろう 涙が出てくる) 「あらあらあら! いけませんわ!」 「まぁまぁまぁ! いけませんわ!」 「悲しいことがありまして?」 「寂しいことがありまして?」 鼻の奥が つん とくる 涙があふれてくるのを止められない 感情をコントロールできなくなった忍は その場にへたり込んで泣き出してしまう そう 忍は悲しいのだ寂しいのだ 「辛いことがありまして?」 「嫌なことがありまして?」 そう忍は 辛いのだ 嫌なことがいっぱいあったのだ 「でもきっと大丈夫ですわ」 「ええきっと大丈夫ですわ」 何が大丈夫だというのか忍には愛する男と会うことすらできずにいるのだ 過去を清算することもできずにいるのだ 「私たちは幸せを運んできましたのよ」 「私たちの幸せを運んできましたのよ」 忍には何を言っているのかわからなかった この白と黒の双子は楽しそうに微笑んでいる 「さぁお立ちになってくださいな」 「さぁ涙を拭いてくださいな」 双子は忍の手を取り立たせると袂から出したハンカチで涙をぬぐう 「改めて見ますと納得ですわ」 「本人は否定しておりますわ?」 「でしたら棚ぼたかしら?」 「ええ棚ぼたですわ」 また忍には分からない話をしている 「ふふふ あんまり焦らすのもいけませんわね」 「ええ 意地悪なお姉様がいたものですのね」 「ふふふ 妹の姉ですもの」 「まぁ そんな妹の顔が見てみたいいですわ」 「どうぞ」と今度は白い方が黒い方へ また見つめあう二人 「えーっと……」 2人で手を取り合い見つめあう2人は首だけ忍に向けて 眼で語っていた『面白かった?』と 「んん!」 2人の向こうで咳払いが聞こえる 「忘れておりましたわ」 「私は覚えてましたわ」 「裏切るんですのね?」 「ひどい妹がいたものですね」 「顔が見てみたいですわ」 「ごほん!」声の主が催促するように再び咳払いをする ほおっておいたら何度でも繰り返しかねないのだろう 「ふふふ」 「あははは」 白いほうが口を開く 「さて、忍様 貴女に答えていただきたいことがありますの」 「さてさて、貴女の未来を選択いただきたいんですの」 2人は言うと忍の返事も聞かずに話を続ける 「復讐と」 「愛情と」 「「どっちをとります?」」 忍は考える (復讐といえば忍にとって標的は「朱点の里」だろう 愛情といえば「三月」だろう) しかし、答えはすぐに出た 「手に入れられるなら『愛情』を優先するわ」 黒い方がうなずく 「でももし愛情を手に入れる障害になるなら『復讐』を選ぶわ」 今度は白いほうがうなずく 「さぁ 私たちが運んできた貴女の幸せを受け取ってくださいな」 「さぁ 私たちが運んできた私達の幸せを受け取ってくださいな」 そういって左右へ分かれた白と黒の後ろから 車いすの人物が進み出る 「やぁ 元気だったかい?」 それは葉車三月だった あの日2度も車の横転を経験した彼は全身7か所の骨折をしており、今日の今日まで会いに来れなかったのだ 「み…みぃじゅきぃ……」忍の涙が再びあふれ出す 一歩 また一歩 今まで縮めるることができなかった距離をゆっくりと確実に 忍は三月の手を取る 三月はポケットから小さな箱を取り出して 「月陽、貴女の過去をすべて聞いても 貴女への思いは変わりません貴女の事を愛しています。 どんな名作映画よりも貴女とともに歩む人生を見ていきたい。結婚してください」 箱を開ける 中には指輪が入っている 二度目のプロポーズだった 「僕の指輪をつけてくれないか?」 ずっと すっと 不幸だった少女の【幸せ】は いま始まったのだった 了
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青の川 the Lune 指輪物語文庫版 指輪物語普及版 VII-21,39 指輪物語愛蔵版
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エントリ名 例 青の川 英語名(英語版で対応する名称) 例 the Lune 指輪物語文庫版 指輪物語普及版 頁の書き方は ローマ数字(巻数)-アラビア数字(頁数) 例 VII-21,39 指輪物語愛蔵版 シルマリルの物語
https://w.atwiki.jp/suttoko/pages/100.html
【巻数】 1巻 【ページ数】 147ページ 【解説】 エルフは元々妖精の一種として伝承されて来たが、指輪物語のレゴラスや、ロードス島戦記のディードリットのようなイメージを最初に使ったのはJ.R.R.トールキンの指輪物語から。特徴は細身の体、とがった耳、切れ長の目、美形。 指輪物語にハイエルフの記述は無いが、エルフがD&D等のテーブルトークRPGにキャラクターとして採用されるようになると、ゲームプレイの幅を広げるためにキャラクターが細分化され、その中にエルフの上位種族として「ハイエルフ」が発生したのではないかと思われる。 【コメント】
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Treantトレント精霊/霊樹ヨーロッパ----------出典----------民間伝承、『指輪物語』 エント[Ent]とも言う。 意思を持った木の精霊。 J=R=R=トールキンの『指輪物語』に登場する。 知能が高く、力も強いが、動きは鈍い。
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会場 いずみっくす宅 参加者 いずみっくす,ドリーマー,伝五郎,雪風,あねご プレイしたゲーム 指輪物語 指輪物語 あねごが未プレイだったので、「指輪物語」を選択。 モリアがイベント連発で瞬く間に終了し、サウロンは迫るはみんな暗黒面に進むはで散々なスタート。 早くも惨敗ムードが漂います(;´Д`) しかし、そこから挽回。 イベントが余り出なかったため、いい感じにヘルム峡谷とシェロブの巣を通過することに成功しました。 いい流れです。 モルドールでも善戦し、最終マス手前まで行ったんですが、最後の賭けが失敗して指輪所持者がサウロンに飲み込まれてジ・エンド。 終わってみれば過去最高の進捗度でした。 それだけにかなり悔しかったですね(;´Д`) 本当にモリアでの惨敗ぶりが悔やまれます・・・。 しかし、「全てはイベントの進行度次第」というのを改めて感じましたね・・・。 今回のモリアのイベント発生は異常でした _| ̄|○ (いずみっくす) キャラ 結果 コメント 雪風 フロド 60 大英帝国ばんざーい。 いずみっくす メリー 60 キー悔しい。 あねご サム 60 盾10点も集めたのにあんまり役立たなかった。 ドリーマー ボルジャー 60 ボルジャー再び!? 伝五郎 ピピン 60 ピピンにして指輪の王。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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2005年下半期例会報告のトップ。 2005年12月 2005年11月 2005年10月 2005年9月 2005年8月 2005年7月 2005年12月 2005年12月31日例会カルカソンヌ+拡張1+川2 2005年12月18日例会フラックス/幻影奇譚 2005年12月11日例会ハチエンダ/フラックス 2005年12月4日例会アンコールワット/指輪物語 2005年11月 2005年11月27日交流会フラックス/ヒクタス/すしエクスプレス 2005年11月4日例会パイレーツ 2005年10月 2005年10月??日例会指輪物語 2005年9月 2005年9月25日交流会フランクフルト狂想曲/ワードバスケット/火吹き男/ワイルドパイレーツ/LAND GRAB/トンガボンガ/インカの秘宝 2005年9月17日例会サンクトペテルブルグ/インカの秘宝 2005年9月10日例会サン・ファン 2005年9月3日例会エル・カバレロ/キャント・ストップ 2005年8月 2005年8月28日交流会ア・ラ・カルト/ヤヌス/ゴキブリポーカー/シット! 2005年8月14日例会トップレース/バベルの塔 2005年8月13日例会マニラ/ポイントポーカー 2005年7月 2005年7月24日交流会勝利への道/シチリアノス/スイム 2005年7月23日例会ラ・ストラーダ 2005年7月2日例会パラッツォ/お誕生日パーティ/コロンブス/指輪物語
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装備名 所持者 装備部位 バラヒアの指輪 アルウェン 装身具 入手条件 固有任務1 固有任務2 固有任務3 必要ミスリル 彼が欲しければ取りに来るがよい 限りある命を選んで エルフの芸術 紫60(30K) アルウェンの固有任務を達成する(裂け谷でのクエスト) アラゴルン2世を募集する 裂け谷の銀竪琴を1個所有する ステータス 対象 無強化 ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ [指揮官]精神力 +16 + + +32 +40 +48 [指揮官]速度 +10 + + +20 +25 +30 [兵種]速度(エルフ) +5 + + +10 +12 +15 スキル 対象・効果 無精錬 ★ ★★ ★★★ ★★★★ ★★★★★ 人間の絆 [アルウェン]あなたの軍勢にエルフと人間がいる場合、精錬レベルに応じて受ける回復量と与える術ダメージが上昇する。 各+5.0% 各+10.0% 各+15.0% 各+% 各+% 各+% 固有装備一覧へ 装備品一覧へ 新版 指輪物語 全7巻 ホビージャパン 指輪戦争:カードゲーム 日本語版 (2-4人用 90分 13才以上向け) ボードゲーム
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ヤッツィー 2011/02/12~ Yahtzee m@ster(賽遊戯P) 指輪物語 2011/01/22~ 遠隔ボードゲーム実況・「指輪物語」を遊んでみた 傭兵隊長(コンドッティエーレ) 2008/09/28~ 傭兵隊長(コンドッティエーレ)を垂れ流しルール解説 ★完結 Yomi 2011/09/05~ まことのスーパー「Yomi」ファイター!(TakP) 2011/09/24~ yomi って日本語の「読み」からきてるんだよ ここを編集