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クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス) 「ここにコピー・推薦文をお願いします」 あらすじ +... 「 絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?新青春エンタの傑作、ここに誕生!第23回メフィスト賞受賞作。 」 ミステリー 天才 探偵 西尾維新 タグ投票(この投票をもとにタグ登録、検索の充実を行っています) 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 アニメ化作品 1 (25%) 2 クローズド・サークル 1 (25%) 3 ミステリー 1 (25%) 4 竹 1 (25%) 5 "密室[1] 0 (0%) 6 天才 0 (0%) 7 探偵 0 (0%) 8 西尾維新 0 (0%) その他 投票総数 4
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スタンド使いが幻想入り 動画リンク コメント・レビュー スタンド使いが幻想入り 678人目の幻想入り 作者 マタンゴ ひとこと 結構、ハードな展開もあるのでお気を付けください。 主人公 ディオ・ブランドー 東方仗助 動画リンク mylist/31733587 新作 一話 コメント・レビュー 0678にしてついにDIOが -- (名無しさん) 2008-07-09 09 46 21 まさかの三部構成 -- (名無しさん) 2008-07-18 05 13 36 二次設定ないのが斬新でいい。 -- (名無しさん) 2008-07-31 18 47 46 熱い -- (名無しさん) 2008-08-23 11 46 49 続投求みます -- (名無しさん) 2008-10-11 12 41 38 一部のマナー知らずのせいでせっかくの良作が・・・。 -- (名無しさん) 2009-01-19 17 20 49 自重出来ない東方厨とジョジョ厨の激しい口論で泥沼化 して作者さん病んじゃったのか? -- (名無しさん) 2009-02-03 16 01 54 ↑ そんな感じじゃね? 一部の礼儀知らずのせいで動画が荒れれば嫌気が差すのも当然。 -- (名無しさん) 2009-05-19 22 03 45 どこだろうと。信者は痛いな。新でくれ。良作が・・・ -- (名無しさん) 2009-12-05 16 03 38 別作者が許可とって引き続き動画更新している模様 -- (名無しさん) 2012-05-17 00 44 53 ジョジョを汚さないでくれ -- (名無しさん) 2012-12-08 22 56 38 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「……おや?」 目を覚ました。特に前置きもなく、面白みもなく。どうやらぼくは背後にある巨大な石造りの壁に背を預けて眠りこけていたようで、背中のあちこちが固くなっている。ボロボロの体でどうにか立ち上がり、周囲に目を向けるが、周りは暗くてよく見えない。しかし遠くからはまばゆい光が明滅を繰り返しているのが見えるので、それによってぼくの周囲はその輝きによって見づらくなっているらしい。上を見上げると、まっくろな雲と群青色の空がマーブル模様を形成していた。おそらく時間帯としては真夜中なのだろう。 「どう見ても天井ってわけではなさそうだし……うん、屋外だよな、ここ」 光が射す方向からは人々のざわめきが聞こえてくる。 さて、情報を整理しよう。まず、ぼくは大学から帰ってきて骨董アパートの一室にいたはずだ。布団に潜り、目を閉じてじっとしていた(つまり眠ろうとしていた)のだが、なにか仰々しい声が頭の中に響いていたような気がする。多分寝ぼけて幻聴が聞こえていたのだろう。そして目を覚ますと、ここにいた。 「つまり、これは現実世界のぼくが見ている夢の世界ってことか」 うん、早く起きて大学に行かないとな。夢から目を覚ますにはどうしたらいいのだろう。とりあえず壁に背を預けて体育座りし、目を閉じてみる。「それじゃあおやすみ……なんてね」 ぼくはそう呟いて、眠りにつくことにした。 「いや、寝てんじゃねえよ気づけって!?」 「え?」 暗闇から謎の声が聞こえたので顔を起こす。逆光で顔がよく見えないが、目の前にはいつのまにか少年が立っていた。 「やあ、おはよう。きみ、いつからいたの?」 顔面をグーで殴られた。 「ぐふっ」 「死体みたいな顔したやつが眠りこけてたからさあ、何度も声かけたり揺さぶったりして、ようやく目を覚ましたかと思ったら……こっちを無視してなんか独り言を呟いたり……あんた一体なんなんだ?悪魔か?それなら叩っ切るぞ」 「気づかなかったのはすまない、ぼくは鈍いんだ。だがぼく自身は悪魔でもなんでもない、どこにでもいるような弱い人間なので叩き切るのはやめてほしい」 「わかってるっつうの。あんた別に戦うタイプってわけでもなさそうだしな。立てるか?」 少年はこちらに手を差し伸べる。 「いや、大丈夫」 ぼくは手を取らず、自力で立ち上がった。目の前の少年をじっと見てみる。アシンメトリーな髪型に、「NO WAR」と白い文字が書かれている緑色のスーツ。耳にピアスを開けているのと、ぼんやり緑色に光る頬と手の模様が印象的だ。なんとなく、あどけない表情と噛み合わないアナーキーな装いをしている上に、刀のようなものを背負って銃をベルトに付けている。 少年はこちらを一瞥して、口を開いた。 「んで、あんた名前は?」 もちろんぼくの返事は決まっている。 「人に名乗らせるなら、まず自分から名乗るのが普通じゃないか?」 「……あー、うん。そうだな。僕はナナシ。なんか違う名前も名乗ってた気がするが忘れた。……で、お前は?」 「ナナシくんか、うん。よろしく」 「いや、あんたの名前はって聞いてんだけど」 「期待してくれているところですまないが、ぼくは人生で1回しか名前を名乗ったことがないのを誇りに思っていてね。それでもぼくの名前を知っている人間は、皆、もうまともに生きていないのさ。……結局これも、戯言なんだろうけど」 「なんか親近感を感じる話だな……でもそれだったらあんたのこと、なんて呼べばいいんだよ」 「スプーキーe」 「ウソつけ」 またグーで殴られた。 「戯言なんだけどな……」 「んだよ、戯言戯言って喧しいな。じゃあ、あんたのこと戯言クンって呼ぶから」 「おや、なかなかいいセンスをしているね。人はぼくのことを戯言遣いと呼ぶ」 「だったら最初からそう名乗れよっ!?……あー、まあ、とりあえずよろしくな。戯言遣い」 「ああ、よろしく。ナナシくん」 ぼく達は、互いの友情を想って固く握手をする。ことは別になかった。 それぞれの家に帰る方法とか、ここは一体どういう場所なのか、とか。色々話し合った(と言っても半分以上はナナシくんの話に頷いているだけだったが)結果として、ナナシくんとぼくは宛もなく深夜の繁華街を歩き回っていた。 「なあ、戯言遣い」 「なんだい?」 「あんたさ、いかにも弱そうな顔してっけど、ああいうの気にならないタイプなのか?」 「ああいうの?」 ああいうの、とは一体。彼が何を疑問に思っているのかいまいち掴めなかった。 「いや、だから僕らが目を覚まして、それからあんたが寝ようとしたあの場所だよ」 「え?」 とすると、さっきの路地裏だろうか。あの空間には特に問題も疑問も、何もなかったはずだ。 「あの時、あんたの側に人型の悪魔が居たんでちょっと手持ちの武器で切り捨ててやったんだが」 ああ、確かに。あの場所には人間の死体みたいなものが地面に転がっていて、僕はその血溜まりの側で眠っていたのだった。ナナシくんに言われてようやく思い出したが、目の前に広がるものが夢の中の景色だとすっかり思い込んでいたので気にならなかったのだ。まあ、それでも。うん。 「……そうだね、猟奇的な殺人事件と死体には見慣れている。これでも色んな修羅場を颯爽と潜り抜けてきたんだよ」 「本当?」 「ああ、この首に賭けたっていい。ぼくが嘘を吐いていたら死神のデスサイズがぼくの首を切り落としにくるだろう。……とまではさすがに言わないけどね」 「ふーん」 「それにしてもナナシくん、きみはよく喋るよね」 「あんたが喋らなさすぎるから困ってんだよ。普段はもっと黙ってるけどさ、非常時において情報の整理や共有は大事だろ?」 「なるほどね……」 さっきから疑問に思っていたのだが、ナナシくんの言う『悪魔』という言葉はいったい何なのだろう。何らかの固有名詞を指しているような気はするものの、彼はぼくがそれを知っているのを当たり前のように話すので質問するタイミングを見失っていた。しかしこのまま疑問を放置していたらロクな事にはならないと、今まで遭遇した事件によって、ぼくにしてはとても珍しく学習していたので聞いてみることにした。 「ナナシくん。きみの言う、その————」 その刹那、ランタンやネオンの輝きとは比較にならないほどまばゆい光がすぐ近くの空に見えた。あまりにも強い光だったからか、ナナシくんもぼくの話よりそちらを優先したようで、一緒に空を見上げる。 光は繁華街の中心にある塔から、街に降り注いでいる。その光はまるで、天使の背から伸びる後光のようだった。と言えば詩的なのだろうけど、実際のところぼくは眩しいなあ、としか思わなかった。 自慢でもなんでもない戯言だが、ぼくはある策士に「なるようにならない最悪」と呼ばれたことがある。今にして思えば、“それ”はその言葉がぴったりと当てはまるような出来事だった。 【D-2/ナナシ(真・女神転生IV Final)/一日目・午前0 25】 【D-2/戯言遣い(戯言シリーズ)/一日目・午前0 25】 GAME START 戯言遣い GAME START ナナシ
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外界の弾幕使いが幻想入り 動画リンク コメント・レビュー 外界の弾幕使いが幻想入り 1061人目の幻想入り 作者 フィナ(シナリオ&ディレクター) タマ(プログラム) ライン(立ち絵) アビ(STGパートのBGM) シノ(シナリオ校閲)←新メンバー あらすじ 外界で起きている(神隠し)と(幻想漏れ)の異変を調べにやってきた。 主人公 弓射 和也(ゆみい かずや) 外界に存在する組織(常識の番人)の戦闘員で非能力者 能力を持たず博麗大結界の影響を余り受けないので幻想郷に送り込まれた 大量に所持する様々な銃器を使い弾幕を作り出す ~能力:無し?~ マイケル・E・スター 和也と一緒に入ってきた謎の男 目的はマイシスターに合うために来たらしいのだが、それが誰なのか現在不明 どうやら能力者らしく手品師みたいな力を使う 大量のトランプや薔薇を何処からか取り出し投げる事で弾幕を作り出す ~能力:現在不明~ 何か意見要望ありましたらこちらに連絡お願いします fina7530○yahoo.co.jp(○を@に) 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー フィナーレ(通称フィナ) カニタマ(通称タマ) ノベル(ADV)+弾幕シューティングゲーム(STG) 初めまして、ニコ幻のROZEという者です。 今回私の幻想入り(?)にて誠に勝手ながらクロスオーバーっぽい事をやらせて頂きましたので一応報告致しますです。 ・・・え~と、まずクロスが駄目でしたらお許し下さいです; もし何かありましたらログに書いて頂けると嬉しいでございますです。 フィナ&タマさん達の新作楽しみに待っています。 でわ。 -- (ROZE) 2009-11-22 08 24 24 返信遅れてすいません、と言うかたった今気づきましたw クロスはOKですよ~出来れば、どんな感じになるか話し 聞かせてもらうと嬉しいです^^ 連絡先もしくは連絡方法はありませんか? IRC利用していれば簡単に連絡できますのでお勧めします。 応援ありがとうございます^^ -- (フィナ) 2010-02-22 00 28 10 どうも、先程メールを送らせて頂きました。 なんというか…殆どゲストに近い感じですが大丈夫かな、なんて思っています。 現在本家では全作品の閲覧が出来なくなっているので時間を見てブログの方に載せていこうかと思いますです。 それでは。 -- (ROZE) 2010-04-04 19 48 51 どうもお久でございます。 メールが繋がんなかったのでここに書き込みました。 一応クロスさせて頂いた回の修正版を載せときました、ってだけです。 では失礼します(笑) -- (ROZE) 2011-01-30 10 23 55 お久しぶりです。 さて、幻想入りに提供させてもらった曲のデータを失くしてしまいました。 もし持っていれば、アップローダーか何かに上げて送ってもらえると嬉しいです。 abi_pc○excite.co.jp(○を@に) -- (あび) 2011-10-16 10 20 35 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
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第009話:戯言遣いとモトラドとメイドさんと 作:◆xSp2cIn2/A 生き残りたいなら殺せ 殺したいなら生き残れ ルールは無用 自分がルールだ 禿頭の男から無言で渡された荷物を持って、ゲートをくぐると…… そこは雪国でも不思議な町でもなく、鬱蒼と茂る森林の中だった。 「それにしても殺し合いねぇ……そういうのは出夢くんや零崎の領分だよなぁ。ったく、なんて戯言だよ」 誰ともなしに『ぼく』こと『いーちゃん』はつぶやくと、とりあえず支給されたアイテムを調べるべくバッグの中に手を突っ込んで 一番最初に手に触れた物をつかんだ。 あれ? なんかこれどこかで触ったことがあるような…… 「あぁ、そうか」 これは二輪車のハンドルだ、どこかで触ったことがあると思ったのは、このハンドルが巫女子ちゃんに貰ったベスパのハンドルと感触が似ているからだ。 「って、いや待て落ち着けぼく。こんなデイパックにベスパが入るわけ―――」 「ねぇ、誰だか知らないけれどさぁ。そろそろここから出してほしいんだけど」 どこからか聞こえた声 ――男の子のような妙に高い声だ――に、ぼくの背筋に戦慄が走る。 やばい、誰か居る、見つかったか? だとしたら早くここを離れなければ! やばい、殺され―― 「うわっ! ちょっと手が汗でべとべとだよ! も~汚いなぁ」 また声、しかし今度はその間の抜けた声がどこから聞こえてきたのかすぐに分かりホッとする。 いや、本当にそうならホッとするどころではない。なぜなら声が聞こえてきたのは―― 「おーい、聞いてる? いつまでぼくのハンドルを握ってるわけ?」 ――デイパックの中からだったからだ。 また、声が聞こえた。ぼくは何かの罠ではないかと疑ったが、何時までもこうしている訳にもいかない。 それに、万が一このゲームに乗った奴がこの謎の声を聞きつけたらたまったものではない。 (もしかしたらそういうハズレアイテムかもしれない) ぼくは強くハンドルを握りなおすと、満を辞して、握ったハンドルを、引き抜いた。 ずるり と、ありえないほどに大口を開けたデイパックから飛び出してきたものは、近くの地面の上にガシャンと着地した。 それは、しっかりとセンタースタンドで地面に立つ、少し古ぼけた二輪車だった。 「ふぅ、やっと出られた。はじめまして、ぼくはモトラドのエルメス。お兄さんは?」 ぼくの思考能力はしばらくの間フリーズした。 再起動。 「あぁ、僕の名前? それは秘密と言う奴だよ、エルメス君。 ぼくは今まで他人に本名を教えたことが一度しかないのを誇りに思っているからね」 よし、一度再起動したおかげで冷静になれた。 やはり戯言遣いであるところのぼくとしては、いつでも余裕を持っていたいのだ。 「ふぅん、まぁいいや。ところでお兄さんいつまでここに居るつもり? 誰か来て殺されても知らないよ」 あまり興味がなさそうに言うエルメス君。どうやら細かい事は気にしない主義のようだ。 「それもそうだね、こんなところでグズグズしているわけにもいかないし。とりあえずここから離れておこうか」 ぼくは二輪車がしゃべるという異常事態は置いといて、デイパックの中からコンパスと地図を取り出すとそれぞれを眺める。 「とりあえず南にいこう。南の浜に出て西回りに歩いていけばとりあえず町にいける」 そこで適当に寝床でも探すことにしよう。そう決めて、うい。というエルメス君の返事を聞くと ぼくはエルメス君を押して南方向に歩を進める。が、 ぐにゃ 「うっ……」 何かを踏んでぼくは慌ててそこから足をどける。 その何かを見て、ぼくは驚愕に目を見開いた。え? 何でぼくはこれ――いや、彼女に気づかなかったのだろう。 その彼女は、 「いたたたた……あれ…ここは…………ッ!」 ぼくを見て、ぼくと同じように目を見開く。 ぼくはつぶやく。 彼女は―― 「メイドさん?」 【残り117人】 【F-5/森の中/一日目・00 10】 【いーちゃん】 [状態]:健康/メイドさんに動揺中 [装備]:エルメス/コンパス [道具]:初期配布アイテム一式 [思考]:町に行く/???(メイドさん)に遭遇 【???(メイドさん)】 不明 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第008話 第009話 第010話 第006話 時系列順 第047話 - いーちゃん 第075話 - エルメス 第075話
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- クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い 出版社 西尾 維新 ★×3 えらい新人さんが出てきたなーと思った本。 まず痛々しい(あー言っちゃった)表紙とかキャラ造形とかキャラ名とか口調とか、厨っぽさを漂わせてるのにきちんとしてるんだよなあ。 ノリだけ見ると、勢いだけの同人誌的オタク臭がするのに、そこをこらえて読んでいくと物語としてのまとまりもちゃんとあるというか。 第一印象が上記のようなかんじなので、それと対比しての「ちゃんと」でしかないのかもしれないけど、 謎→謎解き→一件落着と見せかけて更に謎解き っていう形、おおーと思いました。 とりあえず見た目と第一印象を裏切らないオタクらしさです。 ちょっとオタクっぽいとかそんなレベルじゃないぞ。 こういう屁理屈こねるオタクってよくいるよねー、でもここまでのレベルの屁理屈はあんまり見ないぞ、というかんじ。 見た目だけで食わず嫌いされそう(というかそもそも非オタクのミステリ好きのアンテナにもひっかからないこともありそう)だけど、一方でこの路線の人を集めてもいるだろうからプラマイゼロ…なのかな。 作者が単にこういうのを好きなのか、これは売れると思ってこうしているのか、サブカルとミステリの融合だーという気概でやってるのか知りたいです。 この装丁が誰のアイデアなのかとかも。 (普通は担当さんが決めるものだと某所で読みましたが、作者の意向が通ることもままあるそうなので) シリーズ続いてますが、とりあえず続きは気になります。 やたら「昔のぼく」を持ちだされるのも気になる… 積極的にではないかもだけど、機会があれば読みたい。
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零崎「おお、運動会か?寝てたからぜんぜん気づかなかった。 」 いー「あ、お前は僕と鏡のような存在で殺人鬼でごっつい刺青してる癖に何か 先生方に許されてしまう零崎人識じゃないか。」 零崎「そうゆうお前は俺と鏡のような存在で戯言使いで冴えないからまったく 誰にも許されない少女虐待変質者じゃないか。」 いー「最後だけは取り消せ。はあ....しかしまったく」 零崎「戯言だよな。」 いー「………。」 キノ「あ、いーちゃんさんに零崎さん,狐先生が探してましたよ。」 いー 零崎「げ。」 キノ「何か悪いことでもしたんですか?」 いー「人類最悪の先生にわるいことしたから呼び出されると思われるなんて、 心外だなぁ。」 キノ「なるほど、悪いことはしたんですね。」 いー「………。」 師匠「キノ、次の競技が近いですよ。」 いー「あ、先生ちょうどいい所に、狐せn」 ぱんぱんぱん。 師匠「師匠と呼びなさい。」 いー「………。」 零崎「戯言だよな。」 CAST 戯言シリーズ いーちゃん 零崎人識 キノの旅 キノ キノの師匠
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東方俺幻想 動画リンク コメント 東方俺幻想 27人目の幻想入り。 うp主 通称:ニット帽 ひとこと スーパーグレートニート。ひたすらニート。いやー、おもろい。2位の特技に吹いてしまったw かわいい絵なのにニート。2話おもろー。あやややがかわいい。ニットクラブに入りたいっす。 6話までUP済み 現在地:幻想郷内 状況:あややに取材され中 主人公 名前:ニット(27) 性別:男 見た目:ニート 能力:折り紙を折る程度の能力 年齢:21 本職:自称SGN(スーパーグレートニート)。ニートではない 趣味:エロゲ、JOJO 性格:ゆったりしてる 装備:ニット帽、折り紙 備考:後のことは考えずネタに走る。それゆえたくさんのトラブルに巻き込 まれる JOJO好き 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー SGNは伊達じゃない!・・・と思う。これからも頑張って! -- えぬ (2008-04-02 02 33 55) 漫画トレースで大量にネタがあります。パロ好きなら是非 -- 名無しさん (2008-04-07 16 58 38) ニット帽という新しい個性。これからの季節は暑かろうに...。折り紙という変わったスキルを持つ。 -- Stechkin (2008-04-27 16 07 10) 最近、折り紙大会1位のやつではないかと思われる男が幻想入りした。クロスはあるのだろうか -- (名無しさん) 2008-07-19 14 29 17 ↑詳細求む -- (名無しさん) 2008-09-29 21 16 26 ↑690番目の人じゃない? -- (名無しさん) 2008-09-30 21 36 56 さんくす -- (名無しさん) 2008-10-05 23 03 37 名前 コメント すべてのコメントを見る ※レビューについては、こちらもご覧下さい。
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「あのな、いーたん。お前、あたしに何が言いたいんだい?」 正面から覗き込むのは、人を食ったような笑い顔。 「哀川さんは処女ですよね」 首が曲がるかと思う勢いで頭をはたかれた。 「てめー、あたしを名字で呼ぶなって何度言ったらわかるんだよ」 怒るのはそこかよ。 「忙しい中、わざわざ時間を作って顔見に来てやったってのに、どういう態度だろうね。そういういの字こそ童貞だろ」 それから哀川さんは、続けてそんな風な言葉を吐いた。ぼくを挑発するためなのだと、はっきりわかる口調で。だからぼくは挑発に乗ってあげることにする。 「本当にそう思ってるんですか? だとしたらあなたも意外と人を見る目が無いですね」 「あわわわ。<百人斬り達成! だけど相手は全員ダッチワイフ>みたいなっ」 「巫女子ちゃんはやめてください。それに全然事実じゃねぇよ」 その言葉は強がりでも、ましてや戯言でもない。実際ぼくはERプログラム在籍中に、いわゆる「男になる」行為を済ませている。あの人間以外の存在が集まる集団の中で行われたそれは、やはり人間の交わりからは程遠かったけれど----いや、過去の話なんて、どうだっていい。 ともあれぼくは、一歩距離を縮める。哀川さんは微かに頬を引きつらせながら、軽く後ずさる仕草をしてみせる。 「なあ――冗談はよそうや、いーたん」 彼女の声には、珍しく焦りが感じられた。 「ぼくは冗談なんていいませんよ。戯言なら言いますけどね」 もう一歩。その距離をぼくは詰める。とん、と膝が触れた。 そのまま形の良い顎に手をかけて唇を塞げば、驚くべきことに彼女は抵抗しなかった。 想像以上に厚い舌が、挑む勢いでぼくのそれを捕らえてくる。 ねっとり絡みつき、また吸い上げながら、まるでぼくの舌を飲み込もうとするかのように動く、彼女自身の舌。唾液の味が口内に広がる。 いつしかぼくたちは自然と抱き合う格好になっていた。首から下だけみれば、それは愛を確かめあう恋人たちの姿に見えるのかもしれない。 だけど重ねあった唇の間では、静かに激しい戦いが展開しているのだ。 やがて唇を離した「赤き制裁」は、ゆっくりした息を吐いて、にやりと笑った。 「――そんで、どうする戯言遣い? 今なら下手な冗談だったってことで、腕の一本程度で済ませてやる。どうせお前の下手な愛撫じゃ濡れねーよ」 ぼくに抱き止められ、それでも自分が優位であることを、微塵も疑わぬ表情だ。 「キスが上手なのは認めてあげます」 「ああん? 認めてあげるだぁ? お前いつからあたしにそんな偉そうな態度を取れる身分になった?」 彼女の声に、若干の焦りが含まれていたと思うのは、決してぼくの気のせいではないだろう。その証拠に、タイトなスカートの裾から指を滑り込ませたぼくの指が、その張りのある太股の内側に触れた瞬間、哀川さんは「あっ」と小さな悲鳴をあげた。 「てめ、っ・・・・・・」 「キスが上手だからって」 体を密着させたまま、ぼくは彼女の体の中心に向けて指を動かした。下着の上から、ゆっくり亀裂を確認するようになぞる。 「セックスの経験が豊富だとは限らない――そういうことです」 指先でリズムを刻めば、哀川さんの体がびくんと揺れた。 ぼくは軽く彼女の体を押した。まったくと言って良いほどに抵抗感は無かった。何処か呆然とした表情で、哀川さんはその場に仰臥する。 もしかしたら、初めての感覚にオーバーフローを起こしたのかもしれない。 抵抗しない哀川さんというのも、薄気味悪い気はしたけれど、本気で抵抗されたら適う訳ないので、むしろここは僥倖と思うべきなのだろう。 ぼくはショーツの上から、幾度もそこを擦る。なるべく一本調子にならないように、時に早く、時にゆっくり。 その内に彼女の角は、布越しにもはっきり感じられるほど、その存在を誇示してくる。 それから、もう一度溝に添って指を動かせば、下半身を覆う布の中央部分が湿っているのが判然とした。 「――誰が下手な愛撫じゃ濡れないんですって?」 耳を噛むようにして囁く。聞こえているのか、いないのか。彼女から言葉は返らず、ただ荒い息だけが吐きだされている。 ぼくはショーツの裾から指を内側に走らせた。哀川さんの体が再びびくんと大きく弾んだ。柔らかな肉のひだをかき分けるようにして、すっかり濡れた蜜壷の入り口を探り当てると、そのまま奥まで押し込める。 狭かった。 「ひっ」 「おや、どうしました? 人類最強の名前が泣きますよ?」 ぼくの指に掻き回されてそこは、ぐちゅぐちゅと音を立てる。ぼくは熱い内臓の感触を確かめるように、何度も指を動かした。 「あっ・・・・・・んんっ・・・・・・く、うふ、ぅ・・・・・・っ」 苦い甘い吐息が、哀川さんの喉からこぼれ落ちる。 中指と薬指は膣内に残したまま、ぼくは親指を伸ばす。それで鞘を剥き上げるようにして、こりこりした核に触れてやると、押し込めた指がぎゅっと締め付けられた。 「は、あぁ、う」 ぼくの体の下、哀川さんは初めて見せる表情を浮かべる。泣いてるような笑ってるような困ってるような嬉しいような、自分を持て余している顔だった。 この人も、こんな顔をするんだな。 ぼくはもう一度指を深くねじこむ。先端を曲げて、ざらつく前方の肉壁をノックした。 「あふ」 哀川さんは息を漏らすと、またそこを強く締め上げた。叩く指の動きに合わせ、そこは何度も収縮を繰り返す。とろとろと分泌される液体が、指の動きを滑らかにさせる。 「ああ、哀川さんは、ここがいいんですね」 事更に音を響かせるようにしながら、ぼくは内側を掻き回してあげる。 「こんなに溶けてきましたよ。凄いな。それに、びくびくしてます。もう我慢できないんじゃないですか」 「・・・・・・てめ、調子、乗りやがって・・・・・・っ」 絶え絶えの息の下、突然哀川さんが小さくうめいた。ぼくを睨み付ける瞳には、激しい光が宿っている。 「誰が・・・・・・お前の指如きに、イかされっか、よ・・・・・・っ」 ぼくは正直驚いた。もうすっかり気持ちが萎えていると思っていたのだ。その精神力の強さは、さすがだと認めざるを得ない代物だ。 けれど――彼女の反抗も、そこまでのようだった。ぼくを押し返そうとする腕の力は、あくまでも弱い。 「・・・・・・わかりましたよ」 ぼくは小さく呟いた。 「指ではイきたくないと・・・・・・そういうことですね?」 ぼくは彼女の中から指を抜いた。そして腰までスカートをたくしあげ、下着を膝の辺りまで引き下ろす。溢れる愛液が細い糸を引いた。 そうやって完全に下半身を開放させてあげてから、ぼくは自分のズボンのジッパーを下げる。露出させたペニスは、彼女が見せてくれる新鮮な媚態のおかげで、既に挿入可能なまでに高まっていた。 固く反りかえったそれを、陰唇の間に押し付ける。ぐっと先端をめりこませた。哀川さんが低くうめく。けれどぼくは行為を止めない。 「行きますよ」 囁きながら、更に深い場所を目指して、一息に腰を押し進めた。 「あ」 哀川さんが息を飲む。 「ああ、あああああああ、ああっ」 続くのは人外の存在めいた叫び。同時に、ぼくの陰茎は確かに肉の裂ける鈍い感触を覚え、そして慣れ親しんだ鉄の匂いが鼻をついた。 ぼくは男だから、破瓜の痛みがどの程度なのかは、察することすらもできないが、最強を通り名に持つ彼女が、そんな風に悲鳴をあげるのだから、相当のものなのだろう。 強い抵抗を心地よく感じながら、そのまま膣道を進んで行く。哀川さんの声は止まらない。熱い肉壁が、ねっとりとぼくを完全に包み込む。やがて先端が、かつんと奥に当たった。 彼女の中は恐ろしく気持ち良く、正直なところぼくはそれだけで達しそうになる。その気持ちを押し殺して軽く動かせば、哀川さんは奇妙な息を漏らす。 「ひぅ」 面白い。もう一度動かしてみた。 「ふあぁ」 彼女の反応は、まるで小娘みたいだった。 「まるで小娘みたいですね」 口に出して言ってみた。反論は返らなかった。もはや、そんな余裕もないのだろう。 うーん、つまらん。 こうしてみると、まったくの無抵抗というのも味気ないものかもしれない。 つまらなかったので、半分ほど抜いてみた。 「や・・・・・・っ・・・・・・」 哀川さんが、びくんと身をよじった。よじりついでに、強く締め付けてくる。 もう一回深く刺した。再び奥に当たる。哀川さんは、がくんと大きく背を反らす。 抜いた。びくん。 刺した。がくん。 その反応が面白くて、ぼくは何度か軽い抜き刺しを繰り返した。その都度にぐちゅぬるした音が響き、哀川さんは切なそうに眉を寄せながら体を反応させた。 やがて、初めの内はさすがに動かすのが大変だった個所が、徐々に滑らかになってきたので、今度は強く突き上げる。 「あ、あっ」 「感じますか?」 聞きながら、もう一度強くえぐる。かくかく首が縦に振られた。女王様には、お気に召していただいたらしい。存外甘い声が、その喉からこぼれる。 ぼくはそのまま、緩急をつけながら、突き上げてはえぐり、また擦すっては叩いた。哀川さんは小刻みに息を吐く。いつしか腰は、ぼくの動きに同調させるように揺れている。さすがは哀川潤。こんなことにまで、順応が早い。ちょっと尊敬なんかしてみたり。 ぼくは接続したままで彼女を軽く抱き起こし、シャツの裾から指を潜らせた。背後に手をまわすとブラジャーのホックを外す。締め付けを解かれた胸が、服の内側でぷるんと震えた。 そのまま指を体の前方に滑らせ、張りのある胸を揉みながら、ぼくは何度も何度も前後運動を繰り返す。掌の内側で、意外と小さな乳首が固くなるのが伝わる。指先で、そこを摘まむ。そして転がす。 「あ・・・・・・ん、く・・・・・・」 胸を刺激すれば、彼女のヴァギナも収縮する。そこを押し広げるように幾度も突いた。 「ふ、うぅぅ、か、うぁ、ん、くふ」 ぼくに責め立てられる哀川さんの唇は、意味不明の言葉を紡ぎ続けた。指が虚空をかき、或いはぼくの背中や髪を強くむしり、腰は大きくグラインドして、自らぼくを奥深くまで捕らえようとする。そろそろ限界が近いのかもしれない。 ぼくは一度入り口間近までペニスを引くと、腰を捻るようにしながら一際深く打ち込んだ。 「や、は・・・・・・っ!」 その瞬間達したらしい。 「ああああああああああああああ」 哀川さんは切れることなく叫びを上げ続け、全身を突っ張らせながら、激しい痙攣を繰り返す。ぼくを飲み込んでいる膣壁が、更に強い締め上げを見せ、ぼくも絶頂を促される。 どうしようかな。 一瞬ぼくは逡巡する。 ぼくの腹の下で、瞳に薄く涙すら浮かべ、大きく開けた口の端に涎を垂らしたままで、がくがく震え続ける彼女の顔面に、思い切り熱い精液をかけてあげるというのも、悪くないなと思えたのだ。 いや、いっそ口の中に突っ込んで、そこで果てるのもいいかもしれない。初めて味わうザーメンに、彼女はどんな顔をするだろうか。 ・・・・・・案外それは初めてじゃなかったりして。 いるもんなー。処女のくせにフェラチオだけは上手な奴。 その手合いに限って、挿入を激しく拒むのは何故だろう。 まあ、それは今は関係ないけど。 「上と下、どっちの口がいいですか」 一応聞いてみる。もし希望があるなら、それくらいのサービスはしてもいいかな、と思ったのだ。だけど、やっぱり返事は返らなかった。まあ、当然か。 「じゃあ、このまま出しますね」 結局ぼくは、彼女の膣内に放出することを決めた。せっかくのフルコースなのだから、最後まで味あわせてあげるべきだろう。胸に爪を立てると、もう一度強く突き上げ、叩き込む勢いで一気に放った。 「は、あっ」 哀川さんの体が再び弾んだ。注ぎ込む律動に合わせて、その腰が震えていた。久しぶりだという訳でもないのに、ぼくの射精は自分でも驚くほど長かった。全部出し終えた時には、魂まで空っぽになったみたいな虚無感が全身を包み込むほどに。 獣の匂いが充満した部屋の中、しばらくぼくたちは抱き合ったままで、荒い息を吐き続けていた。 やがてぼくは、ゆっくり身を立て直すと、彼女の中から自分を抜き去る。内側から、血と愛液と精液の混合物が、ごぼりとこぼれる。それからぼくは、濡れたペニスを哀川さんのスカートで拭いた。 ふと。何処か焦点を失った眼で、哀川さんがぽつりと呟いた。 「このままで済まさないのがわたしなの」 誰だよ。 まあ、ある意味彼女も赤いし魔女だし間違いじゃないのかもしれないけれど。 そんなことを考えていたら、次の瞬間、哀川さんはバネ人形みたいに体を起こし――ぼくの額に強烈な頭突きをくらわせた。 痛い。 いや、痛いなんて、生易しいものじゃない。 頭に鉄板でも仕込んでるんじゃないのか、この女。 軽い脳震倒に見まわれかけたぼくの肩口を強く押さえると、彼女はそのままこちらに倒れ込んできた。 形勢逆転。「あ」も「う」も言う間を与えられないままに、ぼくは彼女に組み敷かれる格好になっていた。 「・・・・・・何のつもりですか?」 「だから今言ったろ、いっくん? このままじゃ済まさねーって」 そう言った哀川さんからは、さっきまでの雰囲気なんて、完全にオールリセットされている。そこにいるのは、いつもの彼女。人類最強。赤き制裁。なんという――強さ。 「この潤さんが他人に主導権握られっぱなしで、終わりにすると思ってたんなら、やっぱりお前は、まだまだ人間が甘いよな」 ぼくを見下ろしながら、哀川さんは笑う。笑う――そう、怒るのでも嘆くのでもなく、彼女はくっきりとした笑みを、その端正な顔に刻む。うっかり見惚れてしまいそうに、鮮やかな笑顔を。 「大体だな。お前の下らない魂胆なんざ、こっちは最初からお見通しなんだ。お前――あたしを試したかったんだろ」 確認する口調ではない。事実を事実として告げるような、そんな彼女の声。 「犯して汚してなぶって弄んで泣かせて傷つけて怒らせて――そしたら、あたしがどんな態度に出るのか。その結果をお前は知りたかったのさ」 知った風な口をきく彼女に、ぼくは少なからず苛立ちを覚え始めていた。だから口を突いて出た言葉は、自然と刺を含むものになった。 「つまりあれですか。身内に甘いあなたなら、ぼくの裏切りとも呼べる行為を許してくれるはずだ。ぼくはそれを確かめたかった、ってことですかね」 「違うね。そうじゃない。むしろお前は――」 まっすぐにぼくの瞳を見詰めながら、哀川さんは低く呟く。 「あたしに断罪して欲しかったんだ」 「そんなことは――」 ない、とは言えなかった。 少しでも考えはしなかっただろうか? 平穏な平静な平凡な平坦な、そんな毎日を望む一方で、ぼくがぼくであることが、着実に世界を壊している。 少しでも夢に見はしなかっただろうか? そのルーティンに自分の手で終わりを告げるだけの勇気を持たないぼくが、この人類最強に終わりを決めてもらうことを。 言葉を失ったぼくに、哀川さんは何故だかひどく静かな笑顔を向ける。 「残念だったな、いーいー。いみじくもお前が言った通りに、あたしは身内に甘いんだ。間接的な人殺しだろうが、直接的な強姦魔だろうが、それでもお前は、まだこっち側の人間だ。これしきのことで、あたしの敵にはなれねーよ」 淡々とした声が、宣言する。突き放しながら包み込む、二律背反の響きを込めて。 「だからあたしは、お前を殺さない」 ゆっくり体を動かしながら彼女は、依然剥き出しのままのぼくのペニスに、自分の下半身を擦り合わせ始めた。それは、ほんの数十分前まで処女だったとは思えないほどに手馴れた仕草だった。 いわゆる素股の状態で、哀川さんは腰を揺らす。覚醒を促そうとするように。 ぼくは呆然としたままで、その行為を甘受していた。 そしてぼくの体は、理性とかとは別の部分で、勝手な反応を返して行く。哀川さんは楽しそうに鼻を鳴らす。 「ふふん、さすがに若いだけあって回復が早いねぇ。さて、何回楽しませてくれるのかな。とにかく、あたしをその気にさせた責任は取ってもらうよ」 そして――正面から覗き込むのは、人を食ったような笑い顔。 「今後も仲良くやろーぜ、いーたん?」 戻る
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時間収斂、バックノズル。 それは、起こるべきことは避けようもなく確実不変に起こるという思考。 だが、そんなものは結局理想論であり想像論でしかない。完全無欠に結果論だ。これ以上ないくらいに戯言だ。 しかし、何故。 何故こんなにも、心が、揺れるのか。 ぼくは思考する。 仮にそれが真実だったとすれば、この世はどうしようもなく救えない、森羅万象全部が全部、予定調和の茶番劇でしかないという ことだ。幸福も不幸も努力も怠惰も成功も失敗も未来も現在も過去も生も死も、滑稽で自己満足な喜劇にすぎないということだ。 この世がおしなべて事もなし、ただあるがままにその時間を収斂させて行くだけのものだとすれば。 ただ単純に筋書きをなぞっているだけの、数式で表されるグラフのようなものなのだとすれば。 今ぼくが立っているこの状況──道端で突然現れた女の子に抱きつかれたところをみいこさんに見られた──も、やはり避けよう のないものなのだろうか。 「…………」「…………」「…………」「…………」「…………」 沈黙が交錯する。どれが誰発言なのか、いや、誰が誰なのか、いや、自分が誰なのかわからない。 誰か、三つのボタンを押してくれ。 「……まあ、別にいいけどね」 そう言って歩き出したのはやはりみいこさんだった。ぼくは咄嗟に追いすがろうとしたがしかし女の子が抱きついているために身動 きもとれず、声をかけようとしたが口を開いた時点で何を言えばいいのかわからず、そしてそのままみいこさんは去って行った。 ひゅるー。 秋にはまだ早いというのに、落ち葉が風に舞ってかさかさと音を立てた。中途半端に(無意識のうちに)差し出した手がこの上なく 哀しい。 「…………」「…………」「…………」「…………」 そして依然として継続する沈黙。寒い。心が寒い。 悲鳴をあげる脳味噌をなんとか説得しながら、抱きついたまま電池が切れたように動かなくなった女の子に声をかけてみる。 「…………えっと」 「…………」 「あのー……」 「…………」 「あの、ちょっと」 「…………」 無反応。 ちょっとむかついてきた。 「あのっ!」 ぼくは少し力を込めて女の子を押しのける。 「ちょっと、すいませんけどっ…………?」 「…………ぐー」 「…………」 「…………すぴー」 「…………」 「すやすや……」 「……寝ている」 現状をわざわざ口で確認したのは、ぼくの脳味噌が事実を認めようとしないからだった。 ぼくの脳内の混乱値が遂に臨界点を越えた。 神様はぼくをいじめるのがそんなに楽しいのだろうか? ……なんかもう、やめたくなってきた。人生。 「…………」 多分にへこたれてもうどうすればいいのか途方に暮れるどころの騒ぎではなくいっそ半泣きになりながら、彼女の身元がわかるよ うなものを探す。このままここへ放置していくという案がこれ以上なく魅力的に思えたが、もしそんな所を誰かに見られでもしていた ら、それこそぼくは前科一犯だ。 「ん……これは、定期入れかな」 ぼくは彼女のパーカーのポケットからそれらしいものを取り出し、 「…………」 瞬間、無意識下において何か違和感を感じて手が止まる。 一瞬止まった手を、しかし結局ぼくは状況の打開を優先し、行動を再開した。 その迂闊さを、後でどれほど悔やむかも知らずに。 「…………」 そしてその中には、零崎人識の写真が入っていた。 京都市内の某ホテル。 定期入れに入っていたルームキーに従って、彼女を背負ってその一室へやって来た。 ……さて。 これからぼくに取れる行動は、実際、多くはない。 彼女が零崎人識に関係のある人間であることはほぼ間違いないだろう。 問題は、どちら側なのか。 その言葉には幾つかの意味が混在している。 「…………」 ぼくはベッドに横たわる少女の寝顔を見つめる。 無垢と言っても過言ではないくらいの、純粋な寝顔。 普通の女子高生のようなブリッツスカートから伸びる、白くて細い足。 しかし、そこに巻きつけてあるホルスターに収められているもの。 「……やっぱあっち側なんだろうなあ」 あっち側。 殺し名。 死の、世界。 その足に装着されている無骨な刃物は、彼女が堅気の人間ではないことを声高に主張していた。 ……殺し名。 思い出すのは過去に出会った殺し名の異形たち。 零崎人識、匂宮出夢、匂宮理澄。この少女が、それと同類だというのか。 「そして、二つ目の『どちら側』なのか」 敵なのか、味方なのか。 もっとも、そもそも零崎人識がぼくの味方でも敵でもない以上、その概念はあまり関係がないのかもしれない。 そしてどちらであっても、ぼくの目的にはあまり問題はない。 と、その時、ベッド上に横たわる少女が身じろぎをする。 「ん……」 「…………」 彼女はぼくが見守る中、ゆっくりと目を開き、天井を見て驚いたようにがばりと上体を起こし、次いで周りを見渡したところでぼくを 確認して目を見開き、そして、 そして足のホルスターから抜き取った刃物をぼくにむかって投擲した。 「なっ……?!」 事前に身構えていなかったら、確実にそれはぼくの肩を貫いていだろう。辛うじて、間一髪というところでそれを避け、それを確認 したところで、既に二撃目は放たれていた。 「──……っ」 回避動作どころか声も出せず、彼女が投げた二本目のナイフはぼくの耳の皮を一枚と数本の髪を散らしながら、背後の壁に突き 刺さる。 戦慄するぼくを傍目に、しかし彼女はぼんやりと虚空を見つめており、そしてふっと、思い出したように言った。 「あれっ、わたし、どうしてホテルにいるんだろ?」 「…………」 …………。 遅。 そして今度はぼくを見て、再度驚いたように言った。 「あれっ、あなたは?」 「…………」 「あ、すいません、わたし寝起き悪くって」 「…………」 照れながら恥ずかしそうに言う彼女。 史上最強の寝起きの悪さだった。 「あ、あのー……何か言ってもらえないと、ちょっと不安なんですけど」 「……ああ」 ぼくは慎重に言葉を選びながら言う。 「ちょっとね、道端で君が突然寝ちゃったもんだから。持ち物からルームキーが出てきたから、運んできたんだよ」 「ああー、なるほど」 激しい既視感に襲われながら説明する。納得するってことは心当たりがあるのだろうか。とりあえず信じてもらえたらしい。 「それはどうも、ご迷惑をおかけしました」 「いえいえ」 ぺこりと頭を下げる少女。軽薄そうな見た目に比べて、意外とよく出来た娘さんだった。 「何かお礼をしたいですけど、何かわたしにできるようなことはありますでしょうか?」 「うーん、そうだなあ」 どうしようか。ここで訊いてみようか。「零崎人識とはどういう間柄か教えて下さい」とか。 「零崎人識とはどういう間柄か教えて下さい」 「自慢のお兄ちゃんです」 「なるほど」 「はい」 そう言って、零崎舞織は嬉しそうに笑った。 あれから後。 目を覚ました伊織ちゃんはとりあえずニット帽(赤い冬っぽい感じ。やけに似合っている)をかぶり、伊織ちゃんがおなかがすいたと 言ったのでぼくたちはルームサービスをとることにした。 「ところで、どうしてあなたはお兄ちゃんを知ってんですか?」 伊織ちゃんが今更ながらぼくに尋ねる。 ていうか本当に今更だ。 「あー、うん、まあ色々あってね」 「ふーん?」 あからさまに話をはぐらかすぼくを、不審気に見つめる伊織ちゃん。なんだか品定めされているようだ。 ……見られるのは、あまり好きじゃない。 「ぼくの顔に何かついてる?」 「いや、別にそういうわけでは、ないですけど」 けど、なんだよ。 ぼくは肩を竦めて、ルームサービスのハンバーグ(あんまりおいしくない)を口に運んだ。 「で。お兄ちゃんはなんなんですか?」 「何って?別に普通の歯牙ない大学生だよ」 「普通の大学生は零崎人識を知りません」 「…………」 いや、流すのか流さないのかどっちなんだよ。 伊織ちゃん、どうやら相当マイペースな子らしかった。 「うーん、その辺は、話すと長くなりそうなんだけど」 「似てますよね」行儀悪くフォークをぼくに向けながら言う伊織ちゃん。「人識くんと、あなた。そっくりですよ」 「…………」 その言葉に、思わず言葉に詰まる。 人間失格と人間失敗。 殺人鬼と戯言遣い。 鏡の向こう側。 「やっぱりあなたが人識くんの言ってた『あいつ』なんですね」 「…………」 「髪の短い女性は好みじゃないんですよね?」 何情報だそれは。 ていうかフォークで人を指しながら笑顔で喋らないで欲しい。 ……どうやらぼくの知らないところで話が進んでいるようだった。 やがてフォークを下ろした伊織ちゃんは、「へぇー」とか「ほぉー」とか言いながらご飯を口に運んでいる。 …………。 訊いてみるなら、今なのかな。 「伊織ちゃん」 「ん?」 「その人識のことなんだけどね。いや、本当はこれっぽっちも興味はないし全くもって関わりたくないしむしろ離れたいんだけど」 「じゃあ訊かなきゃいいじゃないすか」 そう言ってサイコロステーキを口に運ぶ伊織ちゃん。 もっともだった。 弁解の余地もない。 …………。 「……本当は最高に興味津々だし最上級に関わりたいし心の底から近付きたいんだけど」 「なんですか?」 「あいつってまだ生きてる?」 「はい、恐らくは」事も無げに言う伊織ちゃん。「少なくとも先週までなら、生きてましたけど」 とりあえず少し安堵するぼく。続けて問う。 「どこにいるのかはわかる?」 「一週間前は、北極に。今は知りません」 「そっか」 伊織ちゃんの言葉が本当だという保証はないけれど、ないけれども、しかしその言葉は大方においてぼくの予想通りだった。 死んでいるとは思っていなかったけど、それにしてもあいつ、どうやって哀川さんから逃げ切ったんだろう。少し気になったが、伊織 ちゃんに訊いたところでわからないだろう。 「にしても、なんで北極なんかにいたの?」 「あなたは知ってるでしょう?おにいちゃん、あの哀川潤に追われてたんですよ。で、逃げてるうちにたどり着いたのが北極ってわけ で」 「……そりゃまた随分大変だったね」 「あなたのせいだって聞いてますけどね」 あはは、と屈託無く笑う伊織ちゃん。 まるで普通の女子高生のように笑う。 とても、殺人鬼には、見えない。 「その時に私と人識君もはぐれちゃったんです。行く当てもなかった私は人識君の言葉を思い出して、それであなたに会いに来たん です」 「……でもぼくの家なんて知らなかっただろ?」 「人識君は、京都に行けば必ず会えるって。あなたには変質者牽引能力があるからって、そう言ってましたよ」 「…………」 どんな評価だ。 でも、否定できないのが悲しい。 「それに実際会えましたし、そんなことは今となってはどうでもいいんですよ」 「……どうでもいい、か。そんなのはどっちでも同じこと……」 時間収斂。バックノズル。 起こることは、避けようもなく必ず起こってしまう。 だとしたら、これも? 伊織ちゃんとぼくが偶然に道端で出会うことも、必然的に起こった偶然だったというのか。 「どうかしました?」 「……いや、こっちの話だよ」 ぼくは箸を置いた。 さて、目的──零崎についての情報を得ること──は、もう済んだ。 「それじゃ、そろそろぼくはおいとまさせてもらうよ」 「えっ!」 しかし意外にも伊織ちゃんは、驚いたようにぼくを見た。 「……え?」 「いや、ていうか、私あなたのことを頼って来たんですよ」 「え、そうなの?」 「もうほとんどお金もないし、一人じゃ生きていけませんよ? そんな無力な女の子を見捨てて行くんですか?」 「……えー、っと」 「あなたそれでも男ですか! この軟弱者っ!」 「…………」 ひどい言われようだった。 ていうか、セイラさん? 「……いや、ていうかですね、そもそもぼくに伊織ちゃんの面倒を見なきゃいけないっていう義務はないんじゃないかと思うんですよ」 狼狽のあまり、思わず敬語になるぼく。 「そんな……ひどいっ! ギムなんて、社会に生きる男性ならこんなうら若き少女を助けるのは当然の務めですっ!」 「…………」 無茶苦茶なことを言われた。 伊織ちゃん、一度ごねると何を言っても無駄なタイプの子らしい。なんとなく、名前にみが付く子を思い出す。 ≪みんなで渡れば怖くない、但し丸太橋≫みたいなっ! 「…………」 逃げ道を失って、ため息をつくぼく。 どうやらぼくは、また面倒ごとを抱え込んでしまったようだった。 「……わかったよ」諦めて再び椅子に座る。「但し、ぼくの家は駄目だ。この部屋にいてくれるなら、いいよ」 そう、それは最低限のライン。 これでもしこの子を家に上げでもしたら、みいこさんがなんて言うか。 「うう……わかりましたよう」しぶしぶといった感じで言う伊織ちゃん。「でもでも、夜はここに来て下さいね?」 「なんで?」 「私、夜一人ぼっちじゃ寝られないんです……」 「…………」 小学生か。 お化けは殺人鬼より強かった。 ……すいません、戯言です。 「えっと、それは真面目な話? 冗談とかじゃなくて?」 「…………」 沈黙は時に肯定を示す。 ぼくの呆れた視線から逃げるように、伊織ちゃんは目を逸らして小さな声で言う。 「その、実は、お兄さんに会った時も、この一週間くらい一人だったから夜寝れなくて、寝不足で、だから……」 先生に怒られた子供のようにこわごわと言う伊織ちゃん。 しかしその本質は、殺人鬼。 でも目の前にいるのは、か弱い少女で、心細そうにぼくを見ていて……。 ああ、もう。 わかったよ、流されてやるよ。 「……いいよ。わかったよ、夜はここに泊まろう」 「ほんとですかっ!」 途端に、ぱっと笑顔を咲かせる伊織ちゃん。 「ありがとうございます!」 「…………」 そんな伊織ちゃんを見て、ぼくは、少し。 ほんの少しだけど。 ……本当。 完膚無きまでに、戯言だ。 「早く自分の行く当てを見つけて出て行ってくれよ?。 で、伊織ちゃんはこれからどうするつもりなの?」 「え? え、えーっと」 「…………」 「や、やだなあ、そんな目で見ないで下さいよ。人識君を見つければいいんでしょう?」 「伊織ちゃんは人識君なしじゃ駄目なの?」 「えっ?」 驚いたように目を丸め、それからマジメに考え込む伊織ちゃん。 ……考えるなよ。 「うーん……」 「伊織ちゃんってさ、自活能力ゼロだよね」 「ぐさっ! お、お兄さん、そんな的確な突っ込み入れられたら私死んじゃいますよう」 「心配しなくても死なないよ」 ぼくは的確なアドバイスをかけつつ、再びため息をついた。 以前みいこさんがぼくを”人生万事天中殺”と評したけど、それは人生今までの所、正にその通り正鵠を射ている。 広がる前途は多難だった。 夜。 伊織ちゃんと別れて家に戻ってからのことは思い出したくもない。 それでもあえてかいつまんで説明するなら、 「あ……みいこさん」 「……さっきの娘はどうした?」 「ああ、ちゃんとホテ……家まで送って来ましたよ」 「…………」 「…………えっと、みいこさん?」 「あれから二時間くらい経つな」 「ああ、そうですね……」 「…………」 「…………」 「別に。何でもないよ。それじゃ、私はこれからバイトだから」 「あれ? 今日はお店は定休日じゃないんですか?」 「いや、ちょっと新しいバイトでも始めよっかなって。風俗でもやろっかなーとか」 「えっ……ちょ、みいこさ」 「何だ? 私が何をしようと私の勝手だろう? だから心配するな。いの字が何をやってもいの字の自由だから」 「…………」 「出会い系でもやろっかなー」 …………。 どうしようもなかった。 みいこさんでも拗ねるんだ……。 しかし伊織ちゃんの説明をしようとすると、どうしても零崎の話になってしまう。嘘をついてもどうせ見破られるだろうし、そうなる と状況は悪化するだけだろう。ならば最初から説明しない方がまだましだ。 それにぼくは、どんな形であろうともみいこさんをそっちの世界には関わらせたくなかった。もっとも、零崎とは既に一度顔を合わせ たことがあるようだが……、ともかく、今回のことは全てぼくの問題でしかないのであってそれ以上でも以下でもない。 というわけで、結局ぼくは全ての当て付けを甘んじて受けたのである。 こんな時間に出かけているってことも、きっとみいこさんを怒らせるんだろうなあ……。 憂鬱な気持ちが晴れないまま、伊織ちゃんの部屋のドアを叩く。 「伊織ちゃん? ぼくだけど」 「はいはーい!」 滅茶苦茶元気な声が返ってくる。 しばらくして、ドアが開くと共に物凄い笑顔の伊織ちゃんが現れた。 …………。 「もう、お兄さんったら遅いですよう!」 「そう? まだ九時前だけど」 「私お兄さんの連絡先も知らないし、このまますっぽかされたらどうしようって凄い不安だったんですから!」 「……ああ、そっか」 ぼくはうなずいた。 …………。 いえいえ、別にそうすれば良かったなんて、思ってませんよ? 「でも、ちゃんと来てくれてありがとうございます」 「まあね。こう見えてもぼくは英国紳士なんだよ。だから約束はちゃんと守る」 「凄い! 日本人なのに英国紳士だなんてっ!」 「本当はイギリス人なんだよ。不法滞在だから、あんまり言わないでね」 「へえー! へえーっ!」 「伊織ちゃんのお願いならなんでも聞くよ」 「ひゅーひゅー!」 なんだこの会話。 にしても伊織ちゃん、やけにテンションが高い。今まで寂しかった反動だろうか。 ……ということは、本当に一人がダメなのか。 部屋に通される。と、突然伊織ちゃんはきゃっほうと言いながらベッドに飛び込んだ。そしてそのまま「あ、どうぞご自由におくつろ ぎ下さいー」と笑う。やっぱり伊織ちゃんはお行儀が悪い子なのかもしれない。 「お行儀が悪いよ」 「えへへ、まあいいじゃないですか」 伊織ちゃんは寝転がったまま答える。スパッツを履いているとは言え、スカートの中がちらちらと覗くのは、なんというか、こう、視 線のやり場に困ります。 ぼくは手近なソファに座りながら尋ねる。 「伊織ちゃん、ぼくが来るまで何してたの?」 「えっと、ずっと暇でした」 「暇だからってぼーっとしてたわけじゃないだろう?」 「いえ、ぼーっとしてましたです。日が出てる間は窓際でひなたぼっこしてまして」 「それはなんとも微笑ましいエピソードだね」 「はい。……あ」 元気に答えていた伊織ちゃんの表情が微妙に変わる。 「……そう言えばその言葉、前お兄ちゃんにも言われました」 「お兄ちゃん? 零ざ……人識のこと?」 「違いますよ」伊織ちゃんは何故か誇らしげに言う。「針金細工みたいなお兄ちゃんです」 「……へえ」 針金細工みたいというのはあまり人間に対して使う比喩ではないような気がするが、なんとなく触れづらい話題なような気がした ので、ぼくは話題を変える。 「でもさ、伊織ちゃん、人識と一緒だったってことは哀川さんと遭遇したってことだろ? よく無事だったね」 「哀川潤ですか……あの人って人間なんですか?」 「……さあ。わからない」 実は本当にわからなかった。 「人識君より迅いし、普通のパンチで地面は割るし……。ジグザグまで効かないなんて反則ですよ」 「え? ジグザグ?」 「あ、はい。人識君の知り合いのくせに知らないんですか? 正しくは曲絃糸って言うんですけど、なぜか人識君がジグザグって呼んで たですよ。どうやら人識君に曲絃糸を教えた人のあだ名らしいんですけど」 「…………」 さりげなく、くせにとか言われた。 ……いやいや、そうじゃなくて。 零崎がジグザグに師事した? ジグザグって、姫ちゃんが? ……いや、市井遊馬の方か。 「……その顔は何か思い当たる節があるって顔ですか?」 伊織ちゃんの言葉に我に返るぼく。 「いや? 全然知らないよ。ぼくは善良な一大学生だから、曲絃糸なんてそんな物騒な物見た事も聞いた事もないし」 「……ふうん」 あれ。 なんでジト目で睨まれるんだろう。 「……ところで、伊織ちゃんってかわいいね」 「え」ぴたりと固まってしまう伊織ちゃん。「ちょ、お兄さんってば、いきなり何言いだすんですかっ」 「いや、なんとなくね。ぼくのタイプだなーって。ニット帽も似合ってるし」 「もうっ、おだてたって何も出ませんよう! あたし今すっからかんの素寒貧太郎ですからっ」 照れながら枕に顔をばふっと突っ伏す伊織ちゃん。 そんな予想以上のリアクションに、不覚にも面白くなってきてしまうぼく。 「別に、思ったことを言ってるだけだよ。うん、確かにぼくは髪が長めの女の子がタイプだけど、伊織ちゃんなら全然オッケーかな」 「うきゃ」 「性格も、まあ少し行儀が悪い所以外は元気でかわいいし、それに少し欠点があるっていうのも保護欲をそそるっていうか」 「はうあ」 「こんな妹がいて、人識が羨ましいよ」 「う、うぐぅぅう」 伊織ちゃんは遂に照れが限界を超えたらしく、例の無骨な刃物で枕をぶすぶす突き刺しながら身悶えている。 …………。 そろそろ、やめておこう、かな? 身の危険を感じる……。 しかし、話を逸らそうと適当に言っただけだったのだが、やっぱり伊織ちゃんは単純だった。なんというか、ますますみのつく子に似 ている。 ……≪半ライス下さい、但し大盛りで≫みたいな? 「でもでも、お兄さんも結構格好いいですよ?」 「…………」 は、初めて格好いいって言われた……! ちょっと感動。 死んだ魚の目だとか、そんなことばっかり言われてるしなあ、ぼく……。 「そのなんとなく病んだ雰囲気とか、いい感じかもです」 「…………」 「影のある男の人って好きなんですよー」 何か引っかかるが、誉められてるようなので聞き流そう。 というか、今ぼく、誉められてますか? こんな素直に、しかも外面を誉められるのって何年ぶりですか? 「えへへー、なんつって」 照れたように笑う伊織ちゃん。 伊織ちゃんのように照れ笑いを浮かべるというスキルを持たないぼくは、反応に困って、困って、結局黙ってしまう。 結果、訪れる沈黙。 「…………」 ベッドの上に座る伊織ちゃんは、ズタボロになった枕を胸に抱きながら、時折照れたようにぼくをちらちら見ている。 ぼくは気付かない振りをして窓の外を意味もなく眺める。 ……なんだ、この空気? なんだなんだ? 「……お兄さん」 「うん?」 なるべく平静を装ったつもりだが、明らかに変な声が出てしまって恥ずかしい。 「わたし、もう零崎らしいんですよ」 「…………」 「零崎って、殺人鬼のことです。自分以外の全ての人間を、殺すか殺さないかでしか判断できない……好きも嫌いも何も無く。一人の例 外も、一片の容赦も、一瞬の迷いも、一点の濁りも無く、ただ人を殺す鬼の集団」 伊織ちゃんは、何故か自虐的な風に言う。ぼくは相槌すら打てず、黙って伊織ちゃんの言葉を聞く。 「でもわたし、本当はそうじゃないんです。普通の高校生で、学校の友達とつまらない話で盛り上がって、適当に好きな人がいて、試験 前には一生懸命勉強して、家に帰ったらお兄ちゃんとお姉ちゃんとお父さんとお母さんと一緒に野球中継を見ながらご飯を食べて」 懐かしそうに話す伊織ちゃん。 「もう、ずっと昔のことみたいだけど……」 伏し目がちにため息をつく。 「…………」 ぼくは思い出す。伊織ちゃんが名乗った時のこと。 『はじめまして、あたしは零崎舞織と言います。あ、でもそれはペンネームみたいなもので、本当は無桐伊織です』 伊織ちゃんは、零崎舞織となってもまだ、無桐伊織の名を捨ててはいない。 零崎。 零崎とは、一体なんなのだろう。 「お兄ちゃん……双識さんは、それがあたしの”性質”なんだって言ってました。”踏み外してしまった””もうどこにも辿り着けない ”とも」 そして、切なげに笑う伊織ちゃん。 「でも、あたし、よくかんがえたらまだ十七歳なんですよね。全然、まだ子供でいい筈なのに」 「…………」 その表情を見て、ぼくは確信する。 伊織ちゃんは、零崎舞織であると同時に、無桐伊織でもあるのだと。 無桐伊織はまだ零崎になりきっていない──。 「伊織ちゃん」 「……はい?」 ぼくはできるだけ普通の声を意識しながら言う。 「零崎が行き詰まってしまっているというのは、間違いだよ」 「…………え?」 「よく考えてよ」 零崎が、人を殺すか殺さないでしか判断できない殺人鬼なのだとしたら。 「人識……、あいつは零崎の近親相姦の子、零崎の中の零崎と呼ばれる奴だ。でも、そうである所の零崎人識を、伊織ちゃんは知ってる だろ?」 「…………」 零崎人識。人間失格。 あいつを一言で表すなら……”自由奔放”。 「あれが伊織ちゃんのの言うところの”零崎”? 随分イメージが違うけど」 「…………でも」 「伊織ちゃん、零崎が行き詰まりだって言うのは、結局の所自称でしかないんじゃないかな? そりゃあ確かに、人識は人を殺せる。そ れもなんの迷いも疑問も躊躇も理由もなくだ。そして伊織ちゃんもそうかもしれない。でもさ、」 ぼくはじっと伊織ちゃんの目を見つめる。 「それをやるかやらないかは、あくまで自分の意思にすぎない。そして、今伊織ちゃんがそれを願っていない以上、その程度の自制はき くんじゃないか?」 びくり、と、伊織ちゃんの体が震える。 「……あ」 「…………」 ぼくは伊織ちゃんの言葉を待つ。 「で、でも……」 「うん」 ようやく、伊織ちゃんがぽつりぽつりと呟き始める。 「でもですね、あたしは確かに零崎舞織でもあるのです」 「伊織ちゃんのの認識している”零崎”そのものが間違いだって、言ってるんだよ」 ぼくの言葉に、怯えるように再び下を向く伊織ちゃん。 「ついでに言うと、人識同様伊織ちゃんも随分零崎のイメージとは違う」 「…………!」 「行き詰まり、終わっていると言う零崎一賊……彼らは終わっているんじゃなくて、自分で終わらせているだけなんじゃないか?」 「お兄さん」 「何?」 「トランプしましょう」 「……は?」 これはまた唐突だった。 面食らうぼくをよそに、テキパキとトランプを配り始める伊織ちゃん。 「七ならべは知ってますよね?」 「知ってるけど二人でやっても面白くないと思うよ……」 「それじゃ神経衰弱はどうすか?」 「絶対ぼくが負けるだろうけど、いいよ」 「……言っときますけどあたし、相当弱いっすよ?」 「ぼくはお前は記憶力がないんじゃないかと言われたことがあるけど」 「……それはさすがに言われたことはないですね」 言いながらせっせと準備をする伊織ちゃん。とても楽しそうだ。満面の笑みを浮かべている。 ……なんだかなあ。 無桐伊織。 零崎舞織。 まるで、普通の女子高生。 「えーっと、最初は……とりあえずこれ、っと」 昼間の事。 目覚めた伊織ちゃんの動きは、間違いなく向こうの世界の物だった。 零崎だった。 ……だが、このぼくの前にいる少女は。 「うおあっ! 凄いっ! 一回目から揃いましたよ!」 「…………」 ぼんやりと考える。 零崎の異端児、零崎人識。 殺戮奇術の功罪の仔、匂宮兄妹。 そして元殺し名の闇口崩子と石凪萌太。 ぼくの知り合いって例外ばっかりじゃねぇか……。 なんの参考にもなりそうもない。 ……まあしかし、本当に清く正しい殺人鬼が知り合いにいれば、今頃ぼくは生きてはいない、か。 …………。 しかし、真剣にカードを選んでいる(一巡目なんだから考える意味も無い気がするが)伊織ちゃんを見て、ぼくにはどうしても彼女が 零崎だとは思えない。 終わっているなんて、思えない。 「ああっ、さすがに二連続は無理ですか……。 さあ、次はお兄さんの番ですよ」 一体どうするのが正解なのか、ぼくにはよくわからなかった。 「20勝16敗! あー疲れたー!」 「そりゃ3時間もぶっ通しで神経衰弱やってれば、本当に衰弱もするよ……」 二人が二人ともなかなか二枚揃えられないせいで余計に時間がかかった……。 しかしぼくに16敗もするなんて、伊織ちゃんも相当の弱さだった。 「うなー」 ばふんと行儀悪く枕に突っ伏す伊織ちゃん。ぼくは散らばったトランプを片付ける。 「もう遅いし、そろそろ寝ようか」 「あ、はい。 そうですね」 そう言って布団の中に潜り込む伊織ちゃん。 「……着替えないの?」 「逃亡生活中にそんな物を買う余裕はないのです」 「そっか」 「ひもじいよう」 「…………」 「パジャマ、欲しいよう」 「……ええと」 「きれいなおべべが欲しいよう」 「…………」 「かわいいアクセサリーも欲しいよう。髪もそろそろ切りたいよう」 要求がエスカレートしてきた。 「……そういうのを買うにしても、今日はもう夜だから、とりあえず寝よう」 「はあい」 素直に返事をする伊織ちゃん。 うむ、えらいえらい。 「あ、その前にお風呂入りたいです」 「ああ、そっか」 「んじゃ入って来ますねーん。たりらーん」 謎の効果音と共に風呂場へ向かう伊織ちゃん。 …………。 そう言えばぼく、どこで寝よう。 伊織ちゃんの後にぼくもお風呂を使わせてもらった。 「……ふぅ」 お湯に浸かって一息つくと、自分がひどく疲れていたことに気付いた。 確かに、今日という日は急転直下の大展開だった。よく考えると伊織ちゃんと出会ってからまだ二十四時間も経っていない。昨日まで は、いや、出会ったその瞬間ですらこんなことになるとは思いもしなかった。降って湧いたようなというのは正にこのことだ。 ぼんやりとこの不思議な状況について考える。なんの因果でこんなことをしているのだろうか。自分のせいであるならまだしも、今回 の件についてはぼくの過失はほとんど見当たらない。あえて言うなら、 「変質者牽引能力……か」 零崎もうまく言うものだと、いっそ感心してしまう。 しかし、それを認めてしまうのはどうしても嫌だった。 それは、狐面の男の言う所の物語の肯定になってしまうから。 時間収斂、バックノズル。 代替可能、ジェイルオルタナティブ 「…………」 ぼくがここまで過剰に否定してしまうというのは、心の中のどこかで、それを認めてしまっているからなのでは── その葛藤がゆえに、激しく心が揺らされるのではないかと、時々思ってしまう。 ……戯言、だよな? ぼくはお湯をざぶりと頭からかぶって、お風呂を出た。 「伊織ちゃん、上がっ……」 「あっ、ああっ!」 「あ、おあがりなさいです」 絶句する。 ぐるりと首を回し、見事な敬礼と共に答える伊織ちゃん。 そして、その伊織ちゃんの奥のテレビに映るポルノビデオ。 「ほーら、ここか? ここがええんやろ?」 「やぁ……はっ…………ああっ!」 「…………」 硬直。 硬直。 硬直硬直こうちょくっ! 「……手に持っていたタオルがぱさりと音を立てて足元に落ちる」 「? あの、何言ってるんでしょう?」 「…………いや」 正気を失いかけたぼくに普通に突っ込む伊織ちゃん。 ていうか、普通だ。普通すぎる。さっきまでと全く変わらない。 「……変なお兄さんですね」 部屋に充満するピンクオーラと伊織ちゃんの普通っぷりのギャップに激しい違和感を感じる。 ……はっ。 もしや、これは幻覚? ぼくが日々崩子ちゃんとか玖渚とか巫女子ちゃんとかみいこさんとか三つ子メイドとかイリアさんとか、あまつさえ哀川さんのそうい う淫らな妄想をしていたばっかりに、ついに頭がおかしくなってしまったのだろうか? 「お兄さん、こういうのどう思います?」 どうやって死のうかと考え始めていたぼくに、相変わらず呑気な口調で伊織ちゃんが訊く。 「こういうのというのは、このテレビに映っているような淫らな行為についてなんですけれど」 「…………え」 伊織ちゃんを見る。伊織ちゃんは既にぼくを向いておらず、ブラウン管に映されるそれに夢中な感じだった。 「…………、えっと……。伊織ちゃん?」 「うふふ。お兄さん、こういうことしたことあります?」 楽しげに笑う伊織ちゃん。その理由がぼくにはわからない。 「…………」 返事を待っているのか、伊織ちゃんはそれきり黙ってしまう。仕方なしにぼくは答える。 「ある、けど」 「あれ、あるんですか!」 目を丸くして驚く伊織ちゃん。 ……なんでそこで驚く? 「それより、伊織ちゃ……」 「どうでした?」伊織ちゃんはぼくの言葉に上から質問を重ねる。「そういうことして、どうでした?」 「……あのね」 テレビのスピーカからもれる喘ぎ声が一際大きくなる。ぼくは伊織ちゃんの手元にあるリモコンを手に取ってテレビを消した。 ……部屋に静寂が戻る。 「伊織ちゃん、まだ十七歳でしょ? こんなもの見ちゃダメだよ」 「お兄さん、やっぱりこういうのって気持ち良かったですか?」 「…………」 いや、まあ、そういうのが気になる年頃なのはわかるけど。 いっそ無邪気に尋ねてくる伊織ちゃん。全く折れる様子がない。 「どうでした?」 「……最低だったよ」ぼくは正直に答えた。「最悪だった。二度と思い出したくもないけど、忘れられないだろうね」 「…………」 ぼくの暗い調子に、伊織ちゃんも深刻な顔になる。 「な、なんか、すいませんでした」 「いや、別に気にしてないよ」 「……月並みな励ましですけど、最初は誰だって下手ですよ」 「…………え」 「気にしない方がいいです、これから上手になっていけばいいんですから!」 「ちょ、ちょっとまっ」 「がんばってくださいね!」 握手までされてしまった。 なんだか盛大に勘違いされてるような……。 「ちなみにあたしはしたころありません」 「……あ、そう」 何気にカミングアウトする伊織ちゃん。 「でも、お兄ちゃんがそういうビデオをいっぱい持っていたのをこっそり見ていました」 「……へぇ」 「兄は胸が大きい女性が好きだったようです」 「…………」 妹って、こういうものなのか? ぼくにも妹がいたが、もし一緒に暮らしていたら……。 「…………」 ぼくがまだ見ぬ伊織ちゃんの兄に心から同情していると、その隙を突いて伊織ちゃんが再びテレビの電源を付けた。 「あっああっ、いっ、いっちゃう! いっちゃうう!」 「っも、いっ……あああああっ!」 タイミングがいいのか悪いのか、テレビがついたのは丁度ビデオの女優が果てる所だった。 ……思わずぼくも息を呑む。 息を切らせてくったりとベッドに倒れこむ女性、そしてそれをしげしげと眺める伊織ちゃん。 そして、ビデオが終わった。 ……静かになった部屋に二人分の沈黙がおりる。 「…………」 「…………」 伊織ちゃんはおもむろにテレビを消すと、そのまますたすたとベッドに向かう。 そしてごそごそと布団にもぐり、 「それでは、おやすみなさいです」 と言って部屋の電気を消した。 「…………」 …………。 なんだろう、この気持ちは……。 ぼくは、仕方なしに伊織ちゃんが今まで座っていたソファに横になる。少し小さいが、体を曲げればまあ、なんとか寝られそうだ。 …………。 そのまま一時間ほど黙ってぼんやり待ってみたが、何もイベントは進まなかった。 どこかで選択肢を間違えたのだろうか。あるいは何かフラグを立て忘れたか……。 ……よくわからない方向に思考が向き始めたので、ぼくは何も考えずに眠ることにした。 next→ 戻る