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#blognavi htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。 枚数が多い上かなりきれいなプリンターじゃないとダメっぽい 相当の作り応えがあるらしい! カテゴリ [映画] - trackback- 2005年07月07日 05 00 05 名前 コメント #blognavi
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「ここが生徒会長の家、ね」 「はい。ここが決戦の場です」 森さんの言葉を聞きながら闇夜にそびえ立つ巨大な建造物を見上げる。 月明かりに照らされたそれは、まるで中世の古城のように…………は、見えないわね、流石に。 スケールは文句ないけど、見た目が新しすぎてファイナルステージにしては風格が足りないわ。 もっと、こう……燃え盛る高層ビルとか、沈みゆく豪華客船とかを希望したいとこだけれど……ま、仕方ないか。 「ここにキョンと古泉君、ついでに谷口がいる訳ね?」 「そうです。彼らの交友関係や目的を考えれば、ここがもっとも理想的な逃げ場所と言えるでしょう」 ……無駄にデカい家ね。金持ちのボンボンで、陰険な性格で、更に生徒会長……これで悪事の一つでも働いてなきゃ詐欺ね、詐欺。 それにしても、古泉君と生徒会長が友人同士だったなんて意外だったわ。捕まえた後で色々と問い詰める必要があるかしら? 意外と言えば――。 「喜緑さん、だったっけ?これからあなたの彼氏の家に乗り込む訳だけど、本当にいいの?」 「はい。他ならぬ長門さんの頼みですから」 「……私は頼んでなどいない。江美里が面白がって勝手について来ただけ」 「最近、長門さんが冷たいです……昔はあんなに懐いてたのに」 「……江美里、そんなことを言いながら、どさくさに紛れて抱きつくのはやめて欲しい」 「やっぱり冷たいです……反抗期でしょうか?」 ――この二人が親戚同士で、しかも、こんなに仲が良かったなんてね。 「……頬擦りも禁止」 あの有希が好き放題にやられてる光景を見てると、なんとなく納得しちゃったけど。 ……そう言えば有希って森さんとも親しくしてたみたいだし、あたしが思ってるより交友関係広いのかしら?……って言うか……。 「……もしかして」 古泉君のことと言い、あたしってば団員のことあんまり知らないんじゃ……? 「す、涼宮さぁん……本当にキョン君たちと戦うんですか~?」 胸の奥でもやもやを感じていると、愛らしい我がSOS団のマスコットがおどおどと泣き言を言ってきた。 「本気よ。あいつらは団長であるあたしに……ううん、世の女性全てに喧嘩を売ったの。あたしたちには同じ団の仲間として、あいつらを罰する義務があるの」 ふえぇ~、と情けない声を上げるみくるちゃん。 もしキョンたちと全面対決になったなら、みくるちゃんが戦力になるとは思っていないけど、今回ばかりはみくるちゃんにも戦って貰わなきゃ。 「みくるちゃんも覚悟を決めなさい」 ふと気付くと、さっきまで感じていたもやもやが消えていた。 そうよ、色々考えるのは後回し。今はキョンたちを捕まえることだけを考えればいい。 キョン……待ってなさい! 「さて、どうしようかしら?」 「さて、どうするかな?」 ハルヒたちは玄関の前に陣取って何やら話しているが、何らかのアクションを起こすのは時間の問題だろう。ハルヒのことだ、扉をぶち破って乗り込むくらいはやりかねん。 「……このままじっとしてても埒が明かないな」 こういう場合、真っ先に動いてくれそうな人物に話を振ってみる。 「古泉、何か策はないか?」 俺がそう言うと、古泉はいつになく真面目な表情で頷いた。 「どうやら、アレを使う時が来たようですね」 「アレ?」 古泉はソファをどけて、床下収納庫みたいな扉を開けた。 そこから取り出されのは細長い金属製の筒に、いかつい柄や引金などが付いたもの。 ……つまり、ライフルだ。 「あ、もちろん実弾ではないのでご安心を。流石に洒落になりませんから」 そう言って、古泉はハリウッドのアクション映画辺りで見掛けそうな装備を次々と取り出す。 「これはサブマシンガンタイプ、連射が利きます。こっちはハンドガンタイプ、制服のポケットに入るでしょう。あとはゴーグルや手錠などですね」 「凄ぇ!これだけあったら涼宮たちを余裕で撃退出来るな!」 「待て待て待て!何故俺の家にこんな物騒なモノがあるんだ!?」 「森さんにお古を押し付けられたんですけど、僕の部屋には置くスペースがありませんから。遊びに来る度に少しずつ持ち込ませて頂きました」 「古泉、貴様……ッ!」 「ほらほら、そんなことよりも会長は自分のコレクションを持ってきて下さい。早くしないと敵が来ますよ?」 「……チッ、この馬鹿な騒動が治まったら必ず話を付けるからな!」 ……エアガンとか電動ガンってヤツか。こういうものを使うのには抵抗があるが……向こうのメンバーを見ればそんなことも言ってはいられないな。 「やるしかないか」 「森さんのことです、僕たちと同程度の装備を持って来ているかも知れません。やらなければ殺られます」 やらなければ……って。 「迎え撃つつもりなのか?」 「はい。逃げるにしても時間を稼がなければいけません。相手には車がありますし、こちらはコレクションを持って移動しなければいけませんから」 ……しかし、長門や喜緑さん、森さんを相手に戦えるのか? 森さんは明らかに堅気じゃない経歴を持っていそうだし、宇宙パワー持ちの二人に至っては最早反則の域だ。 「ふふ……機関の模擬戦で麒麟児とまで言われた僕の知謀を、とくと御覧に入れましょう」 と、不敵な笑みを浮かべる古泉。メジャーリーガーにリトルリーグのチームで挑むような絶望的な状況のはずなのに、その余裕すら感じさせる落ち着きぶりからは自信の程が窺える……が、 「……知謀、ね」 ……その割には将棋とかチェスとか弱いよな、こいつ。 俺の不安をよそに、古泉はどこからともなく会長宅の見取り図を取り出し、一人で作戦の説明を始めた。 「僕の考えた完璧な作戦を説明する前に、まずは敵の戦力の分析です。要注意人物筆頭の長門さんですが……観察者という立場上、積極的に参戦はしてこないでしょう。そして、喜緑さんと森さんですが――」 と、古泉の弁舌が乗りかかったところで、武器を漁っていた谷口の横槍が入った。 「古泉ぃ~これはなんだ?この化粧品みたいなヤツ」 「それは迷彩メイク用顔料です。今回のケースでは役に立ちませんが」 「おぉ、テレビで見るアレか。使ってみていいか?」 「……どーぞ」 嬉々として顔料を塗りたくる谷口。本人の中では単身で敵地に乗り込む兵士のイメージなのだろうが……着ている服が北高の制服ではただの奇人だ。 「……説明の途中だったな。で、喜緑さんと森さんは?」 「あ、はい。喜緑さんも会長絡み以外なら無茶はしないでしょう。あとは、森さんですが――」 「古泉ぃ~これは?」 「……森さんお手製の催涙弾です。効果は低いですけど、危ないのであまりいじらないで下さいね」 「催涙弾か……」 度々説明の邪魔をされ、少し不愉快そうな顔をする古泉。こいつみたいなタイプは話の腰を折られることを何より嫌いそうだからな。 「古泉、話の続きを」 「……分かりました。森さんが一番問題です。まず間違いなく積極的に参戦してきます。ですが、涼宮さんの前では無茶はしないでしょう」 「古泉ぃ~使い方は?」 「……ピンを抜いて投げるだけです。今大事な話をしてるので邪魔しないで下さいね」 「ピンを抜いて投げる、ね」 「……話を戻しましょう。今から説明する作戦は、前提条件としてTFEI端末のお二人にはちょっかいを出さず、あくまで静観して頂くことが――」 「喰らいやがれ涼宮!」 ガラッ! 「これはエロを奪われた俺たちの怒りだ!」 ブンッ! 「…………」 「…………」 「よっしゃ!キョン、古泉!俺はやってやったぜ!」 「……谷口よ。今、お前は何をした?」 「ん?いや、見ての通り催涙弾で先制攻撃をだな」 「……お前……今、俺と古泉が作戦について話合ってるってのに……そのスタンドプレーでぶち壊しだぞ!?」 俺が怒鳴ると、谷口は珍しい生き物を見るようにキョトンとした顔をして、こう言った。 「キョン……何をそんなにビビってるんだ?相手は女の集まりだぜ?男が女に負ける訳ねぇだろ?」 「それがただの女子高生相手ならな!」 「……ただの女子高生じゃねぇか?」 「あ……」 ……そうだった。谷口にとって、ハルヒたちは『ただの女子高生+保護者』に過ぎない。俺たちのように危機感を持っていないし、直接対決なら作戦なんか必要ないと考えるのが普通か……。 「古泉、他にはないのか?爆弾系」 がっくりと膝を着き、ブツブツと愚痴を言っている古泉に、迷彩メイクをした谷口が無邪気に問い掛ける。 コレクションを抱えて戻ってきた会長も、その奇妙な光景に首を傾げていた。 「たかだか数分の間に、一体何があったんだ?」 すまんな、会長……早々に負けが決まったようだ。 何故なら……長門のヤツ、涙目になりながら、もの凄い形相でこっちを睨んでるからな。あれはどう考えても『静観』してくれる顔じゃないぞ……。 ……待てよ?……涙目? 「古泉……おかしくないか?」 「……なんですか?もうどうでもいいですよ。この戦いは負けです」 ……見事なまでにやさぐれてるな。 「そう言わず見てみろ。長門や喜緑さんが催涙弾でダメージを受けてる」 長門たちにそんなものが効くのか?……いや、それ以前に長門なら投擲された瞬間にどうにかするはずだ。 「言われてみれば……」 「ハルヒの前だから演技してる、ってことはないよな?」 喜緑さんは分からないが、少なくとも長門はそんなに器用じゃない。 「……なるほど。そういうことですか」 「どういうことだ?」 「これは推論ですが……涼宮さんは自分の手でこの騒動を解決することを望んでいるのではないでしょうか?」 「……つまり?」 「その願望が、涼宮さん自身が知らないはずの長門さんたちの能力を無意識の内に抑え込んでいる、ということです」 ……相変わらずハチャメチャな能力だな、おい。 「ですが、長門さんたちが何らかの制限を受けているのは明白です。これでまともに戦えるかも知れません」 「それはそうだが……」 なんとなく、ハルヒの思考が腑に落ちないな。いくら目立ちたがりのあいつでも、無意識とは言え仲間の足を引っ張るだろうか? 「今回はあなたが敵ですからね。事情が少々特殊なせいもあるでしょう」 ん?今妙に意味深なこと言わなかったか? 俺が先程の古泉の言葉の意味を尋ねようとすると、劇団俳優顔負けの近所迷惑な声量で怒鳴り声を上げる奴がいた。 「キョン!そこにいるんでしょ!?」 あぁ、もう……ややこしいタイミングで……。 ……とは言え、俺も言いたいことがあるのでハルヒの呼び掛けに顔を出す。すると、憤怒の形相をしたハルヒが更にデカい声で罵声を飛ばしてきた。 「よくもやってくれたわね!いきなり仕掛けてくるなんて随分なお出迎えじゃないの!?」 だから、やったのは谷口だ。グラビアの件と言い、全てを俺のせいにしないと気が済まないのか、こいつは? 「一応降服勧告をしようかと思ったけど、その必要はなさそうね?……今からあんたたちを捕まえて、たっぷり罰を与えてあげるから覚悟しなさい!」 問答無用か。催涙弾攻撃で相当お冠のようだな……だがな、 「今回ばかりは俺も頭に来てるんだ……誰が降服なんかするか!」 ポニーテールの怨みは恐ろしいんだぞ?ハルヒよ。 「ふん……いい度胸ね。あくまで団長であるあたしに歯向うのね?」 「当然だ」 お互いの顔を見据えて、見下ろす俺と、見上げるハルヒ。 どうやら激突は避けられないらしいな。 ……もっとも、避ける気はないけどな。 「ハルヒ……」 「キョン……」 「戦争だ!」 「戦争よ!」 最終決戦の火蓋が、切って落とされた。 ハルヒへの宣戦布告を終え、室内を振り返ると古泉たちが苦笑いをしていた。 「やれやれ、勝手に二人で盛り上がって貰っては困りますね」 「全くだ。俺たちもいることを忘れるなよ、キョン」 「古泉……谷口……」 「気は進まないが、やるしかないようだな」 「会長……」 何と答えようか迷っていると、仲間たちが無言で俺に頷き掛けてくれた。 ……そうだよな。俺一人で戦う訳じゃないんだよな。 「……よし!皆でこの戦いを勝ち抜こう!」 おう!と心強い掛け声が返ってくる。 ……今、俺たちの心は、エロの元に一つになった。 「いいねっ!盛り上がってきたさっ!」 「鶴屋さんも、やってやりましょう…………って鶴屋さん!?」 「にょろ~ん」 突然の闖入者に、全員が一斉に距離を取る。 い、いつの間に?全く気配がなかったぞ? 「いやぁ~みくると遊んでたら今回の話を聞いてねっ。面白そうだから先回りして見物しようと思ったんだけど……」 鶴屋さんは俺たちをぐるっと見回し、 「な~んか男衆が不利みたいだから、こっちに助太刀しようと思って忍び込んだのさっ」 と、ハルヒ顔負けの笑顔でおっしゃられた。 「それはありがたいですけど……一体どこから入ったんですか?」 「いや、二階の窓の辺りにいい感じで枝が届いてたから、そこからお邪魔させて貰ったよっ」 なかなか無茶をなさる。ご近所に見付かったら普通に通報モノだ。 「少し驚きましたが……何にせよ味方が多いに越したことはありません。歓迎しますよ、鶴屋さん」 「頑張るさっ!」 しかし……鶴屋さんはこの戦いに何が賭かっているのか知ってるのだろうか?理由を知っていれば、普通なら女子が味方してくれるとは思えないが。 その事を聞いてみるべきかどうか迷っていると、笑顔の鶴屋さんと目が合った。 「大丈夫、分かってるさっ。要するにエロ本防衛戦ってことにょろ?」 そこまで伝わってるのか……それはそれで複雑な気分だ。 「な~に、男の子は助平なくらいのほうが健康的でいいさっ!……それに」 それに? 「男の子のエロを容認出来ないほど、あたしはお子様じゃないにょろよ?」 ……失礼しました。 近所の気さくなお姉さんって感じだな。うん、年上の女の人はこういう感じでなくては。 ……鶴屋さんの半分くらいハルヒの物分かりが良ければ敵対することはなかっただろな。 「ふぅ……」 ふと気付くと、鶴屋さんがニヤニヤしながらこちらを見ていた。 「心配ないにょろよ?キョン君とハルにゃんならどっちに転んでも大丈夫さっ」 ……なんか勘違いされてるようですが、今のあいつは敵です。俺はあいつを倒すこと以外考えてませんよ。 「ま、そういうことにしとくにょろ」 「さて、人数も揃ったことですし、敵を迎え撃つ準備をしましょう」 「あぁ!もう!漫画やドラマみたいには行かないわね」 いつぞやの時みたいに針金で鍵を開けようとしてみたけれど、やっぱりというか、鍵は開いてくれない。 「こうなったら強行突破しかないわね」 幸い扉は木製だし、その辺の岩を投げ付ければ壊せなくはないはず。 庭に転がっている岩の目星を付けていると、森さんが話し掛けてきた。 「少々、よろしいでしょうか?」 そう言って、森さんは鍵穴を覗き込む。 「流石はお金持ちの家、鍵にも金を掛けてますね。ですが……これなら少し時間を掛ければ開錠出来ます」 「本当に?凄いわね、森さん」 「メイドならこの程度出来て当然です」 と、きっぱりと笑顔で言い切る森さん。やっぱり本職のメイドさんは違うわ……今度みくるちゃんを研修に出してみようかしら? 「その前に皆さんにお渡しするものがあります。相手が武装している可能性が高いので、こちらも装備を用意しました」 そう言って、森さんは車から山盛りの武器を持ち出してきた。 「色々ありますね?スタンガン、木刀、警棒に……」 「拳銃と手留弾!?」 「あ、それはゴム弾仕様になってますが、充分危ないので取り扱いには気を付けて下さい。こっちの手留弾は煙幕が出るモノで、殺傷力はありません」 なんで森さんがこんなものを……。 「か弱き乙女の嗜みです。本当は人数分のライフルタイプを揃えたかったのですが、時間がありませんでしたので御容赦を」 ……ま、確かにこっちは普通の女子ばかりだし、こういうのも必要かもね。 「んじゃ、あたしは木刀を貰うわ」 「あ……」 「え?」 あたしが一振りだけの木刀を手に取ると、何故かみくるちゃんが残念そうな顔をした。 「なに?みくるちゃん木刀がいいの?」 駄目よ?みくるちゃんの細腕じゃ逆に怪我しちゃうわ。 「い、いえ……そういう訳じゃ……あ、私はどれにしよっかなぁ?」 あからさまに誤魔化しながら武器の物色を始めるみくるちゃん。時代劇にでも影響されたのかしら? 「では、私も何かお借りしますか」 「…………」 みくるちゃんに続いて喜緑さんと有希が武器を手に取る。 「それじゃ、森さんが鍵を開け次第、皆で乗り込むわよ!」 「装備は行き渡りましたね?それでは、各員所定の迎撃位置に移動して下さい」 すっかり作戦参謀の座に収まった古泉の指示が飛ぶ。 俺も手に馴染まないエアガンを片手に、渡されたゴーグルを装着する。いよいよ間近に迫った激突の予感に体が身震いするのを止めることが出来ない。これが噂に聞く武者震いというヤツなのだろうか? 「よっしゃ、先鋒は任せろ!」 そんなことを考えていると、我がチームの鉄砲玉……もとい、核弾頭谷口が意気揚々と出撃する。 ……というか、メイクはそのままなんだな、谷口……頼むから朝比奈さんとは遭遇しないでくれ。あの人なら見ただけで泣き出しかねん。 「俺も行くとするか……パートナーがヤツというのは甚だ不安だが」 「じゃあ、あたしも行くさっ」 続いて上級生コンビが出撃する。鶴屋さんの運動神経の良さは野球大会で証明されてるし、会長もなんだかんだで荒事には慣れてる雰囲気がある。この二人は大丈夫そうだな……っと。 「鶴屋さん、どれか武器を。相手も武装して来ますよ?」 はりきって出撃しようとしている鶴屋さんだが、よく見るとゴーグル以外は何も装備していなかった。流石に丸腰は危険だ。 「ん~飛び道具は苦手でねっ、この部屋に来る時にいい感じの得物を見つけたから、それを使うさっ!」 「そうですか?では、気を付けて」 「キョン君と古泉君も、ファイトにょろよっ!」 グッと力こぶを作るポーズをする鶴屋さんに、俺も親指を立てて返す。それを見て満足したように笑い、鶴屋さんは部屋を後にした。 そうして、残ったのは俺と古泉の二人になった。 「んじゃ、俺たちも行くか」 俺たちは相手が二手に別れて進軍してくることを予想しての、正面とは正反対の裏ルートの受け持ちになっている。ちなみに正面ルートが谷口と会長。遊撃部隊として鶴屋さんが二階に陣取る手筈だ。 「そういう予定でしたが……裏ルートは僕一人に任せて貰います」 と、古泉が真面目な表情で顔を寄せてきた。こいつがこういう顔をする時は大抵よくない話なんだが……やっぱり聞かない訳にはいかないんだろうな。 「戦いの前に、少しお話があります」 「なんだ?」 「涼宮さんの特性について、ひとつ忘れていることがありませんか?」 特性と言っても、あいつほど特殊かつ多種多様な性質を持った人間もいないだろう? 「僕のバイトに関する話です」 バイト?……あ。 「……閉鎖空間か?」 「そうです」 「……もしかして今発生したのか?」 「いえ、グラビア事件の当日こそ大規模な閉鎖空間が発生しましたが、それ以降は比較的に落ち着いています」 「そいつは結構な話だ」 もし閉鎖空間が発生したなら、古泉が戦線離脱することを止めようがないからな。 「ですが、このまま僕たちが勝利を収めると、恐らく大規模な閉鎖空間が生まれるでしょう」 「……ちょっと待ってくれ」 ……なるほど、確かにハルヒの性格を考えれば負けた時にどうなるかは自明の理だが……。 「それじゃあ俺たちがやってることは無意味なことじゃないのか?」 勝っても負けても俺たちが得るモノはない。回避しようのない負けのために戦うなんて、無意味を通り越してただの道化だ。 「普通に戦えばそうなるでしょう……それでも、僕たちが勝利を収める道は必ずあるはずです。そして……それは藁にすがるよりも遥かに頼りない、分の悪い賭けになるでしょうが」 「……相変わらず回りくどい言い方をするな?」 たまにはシンプルな言葉で、俺の脳を休ませて欲しいものだ。 しかし、古泉は俺の言葉を無視し、またしても難解な謎掛けのような言葉を俺に投げ掛けた。 「あなたが鍵です」 ……何度目だろうな?その手の台詞を聞いたのは。 今回が一番真剣に言われた気がするのはスルーしておこう。 「……正直な話、僕にもこの選択が正しいのかは分かりませんが……あなたにはラスボスとしてここで涼宮さんを迎え撃って貰います」 「……その前に、裏ルートはお前一人で大丈夫なのか?」 いくら長門たちの能力が制限された可能性が濃厚と言えど、相手には森さんもいる。その賭けとやらに打って出るとしても、その前に陥落されては意味がない。 「僕がこの家に持ち込んだモノは武器だけではありませんよ。既に仕込みもほとんど済んでいます」 ……あまり会長の心労を増やしてやるなよ。 「善処しましょう……それで賭けに乗ってくれますか?そうなると、あなたに全てを託すことになりますが」 賭け、か……古泉がそう言う以上、これは非常に厳しい戦いになるんだろうな……。 「……分かった」 お前の期待にどこまで答えられるか分からないが、俺もその賭けに乗るとしよう。他に生き残る道も思い付かないしな。 「ありがとうございます」 「それにしても……何故俺なんだ?」 戦いのラスボス、というのなら会長や鶴屋さんの方が遥かにそれっぽいだろ。 「……そこまで行くと尊敬しますよ」 「……なんか引っ掛かる言い方だな?」 「そうですね……この戦いを無事に終えることが出来たなら、あなたも気付いているでしょう。それは僕が気付かせることではありません」 そう言って、古泉は片手を上げながら背を向け、 「では……この戦いが終わったら、あのポニーテール本を探してみましょう。僕もうなじは嫌いではありませんよ?」 と、肩越しに俺に微笑み掛けた。 嫌味なほどキザったらしい仕草だが、こいつがやると結構様になるな。 ……だがな、古泉よ。 「それは死亡フラグだ」 続く
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日本人はもともと、余り毛が濃い人種ではないようです。 そのために毛が濃い人は悩んでいる人がいますが、あまり悩む必要はないと思います。 無理に家庭用脱毛器のケノンを購入してみたり、大手のエステサロンに大金をはたいて通う必要はありません。 今はテレビの影響で、世界中の人が見ることが出来ますので、沢山の毛深い人がいます。 そのために慣れてしまっています。 色々と毛深い海外の人も多く日本に来ています。 そのために毛深いのに慣れてしまっています。 昔のように、気にすることはないと思います。 それでも気になる人は、色々な脱毛法があるので、脱毛器のケノンを購入してでもしてやってみたらいいと思います。 簡単にできるものが多いです。毛処理は特にそうですね。自分でできるものも多く売られています。 当然脱毛サロンのようなところもあります。 色々と試して自分に一番合うものを探してみるのがいいと思います。 脱毛することによって自分に自信を持てるようになることはとても良いことです。 自信を持つことは人生を変えていくことにもなります。 脱毛をあまり気にしない人も多いようですが、それはそれでいいと思います。 今の時代は色々な選択肢がありますが、どの選択も色々と支持されていますので、 自分の好きなように、生きていくのがいいと思います。 家庭用脱毛器ケノンを使っても良し、使わなくても良し。 あなた次第ですね。 自分がいいと思ったことは、一番いいと思います。 昔の様に人の意見に振り回される時代ではないです。
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武器の入手法 青森 NP40短機関銃 (東南のガレージ内の兵士) Ge43自動小銃 (東北のガレージ、奥の部屋の兵士) 宮城 N1911拳銃 (北側の兵士) 秋田 日本刀 (北東端の区画、東南側の兵士) 山形 N1ロケット砲 (緑の兵士) 茨城 N1ロケット砲 (壊れた戦車の手前の兵士) 埼玉 R43ロケット砲 (トラックがあるところの兵士) NP5機関銃 (同上) T92重機関銃 (緑の兵士) T97狙撃銃 (トラックがあるところの兵士) 84m無反動砲 (マップ右上の仲間から) 千葉 N1A1反機関銃 (南側の兵士) 神奈川 N1918機関銃 (スタート地点の反対車線の兵士) 三重 T100機関銃 (中央から北付近の兵士) 岐阜 N24狙撃銃 (道なり、緑の兵士) T89小銃 (道なり、赤い減速帯の辺りの兵士) 富山 Mg42機関銃 (最初のバス付近の兵士) 石川 St44突撃銃 (東南端の区画の兵士) 福井 N1903狙撃銃 (中央辺りの兵士) 京都 T89小銃 (マップ中央辺り、緑の兵士) 大阪 5・56軽機関銃 (戦車の西側、バスの付近の兵士) 兵庫 H-POW (スタートして北側、車の付近の兵士) 和歌山 T96軽機関銃 (北西ガレージ、奥の部屋の兵士) 鳥取 M942機関銃 (スタート地点正面、砂浜の緑の兵士) 島根 N24狙撃銃(駐車場、北側の兵士) 広島 Ge43自動小銃 (北西の十字路付近の兵士) 徳島 N2キャリバー (道なり、1つ目の鉄塔付近の兵士) 香川 T94拳銃(ガスタンク「C」と「E」の間にいる兵士) P38拳銃 (中央のガスタンク「A」、北側の兵士) 高知 N24狙撃銃 (戦車付近の兵士) 佐賀 備前長船 (道なり、2人目の兵士) 鹿児島 1941狙撃銃 (南側車道、トラックの辺りの兵士) PO8拳銃 (北側車道、緑の兵士) 東京 N82狙撃銃 (スタート地点から南、廃車の陰の仲間から)
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基本報酬 確率入手 ステージ名 金 糧 名声 経験値 経験石 進化石 アイテム1 アイテム2 アイテム3 アイテム4 アイテム5 アイテム6 アイテム7 アイテム8 アイテム9 新野の戦い-1 7300 7300 10 780 78 銅の宝箱 玉鋼 水晶 新野の戦い-2 7400 7400 10 790 79 銅の宝箱 玉鋼 水晶 新野の戦い-3 11900 11900 12 1260 126 6 軍師の服 銅の宝箱 水晶 新野の戦い-4 7500 7500 10 800 80 銅の宝箱 玉鋼 水晶 新野の戦い-5 12200 12200 14 1290 129 6 点鋼槍 銅の宝箱 水晶 井水の護符 新野の戦い-6 7600 7600 10 810 81 銅の宝箱 玉鋼 水晶 新野の戦い-7 12500 12500 16 1320 132 6 馬謖武魂 呂氏春秋 銀の宝箱 黄金の護符 新野の戦い-8 16800 16800 19 1800 180 10 大喬武魂 連環の鎧 武器欠片袋 金のお守り ソーセージ 肉だんご ベーコン キャベツ巻
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いきなりダゴン キャラクター コメント 日本アニメーション製作のアニメ作品。 キャラクター ビークイン:マリリン コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 ゴウカザル:ストリープ ラグラージ:ゴジ リリィー:ビビヨン(たいりくのもよう) -- (名無しさん) 2021-06-06 10 31 41 草案 ヒコザル:ダゴン アリアドス:フロッピー アイアント:スキッパー ストライク:ジザム フェローチェ:メリル ガマゲロゲ:ゲッポー -- (名無しさん) 2019-12-02 22 35 45 草案 ヒコザル:ダゴン アイアント:フロッピー アイアント:スキッパー ストライク:ジザム フェローチェ:メリル ガマゲロゲ:ゲッポー -- (名無しさん) 2019-12-02 22 35 21
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このステージ最終戦から副将が登場する 副将も倒すのであれば、サイコロに余裕を持ってクリア優先を 襄陽の戦い 最終戦 襄陽の戦い 四戦目 襄陽の戦い 三戦目 襄陽の戦い 二戦目 襄陽の戦い 一戦目 襄陽の戦い 最終戦 必要士気:13 サイコロ×25 最短ゴール:17マス 大将 孫堅[弐] 副将 孫策[弐] 登場左慈 光マス アイテムマス ●●●[●]●●●●●● ●●●[●]●●●●●● 登場なし ●●●[●]●●● 甘夫人[壱]●●●●●● 襄陽の戦い 四戦目 必要士気:12 サイコロ×23 最短ゴール:19マス 大将 黄蓋[弐] 登場左慈 光マス アイテムマス ●●●[●]●●●●●● 登場なし 劉キ 魏延[壱]●●●●●● 襄陽の戦い 三戦目 必要士気:11 サイコロ×23 最短ゴール:21マス 大将 劉表[壱] 登場左慈 光マス アイテムマス ●●●[●]●●●●●● 左慈 ●●●[●]●●● 凌統[壱]蜀騎兵[弐]●●● 襄陽の戦い 二戦目 必要士気:10 サイコロ×23 最短ゴール:19マス 大将 文聘[壱] 登場左慈 光マス アイテムマス 文聘[壱]●●●●●● 登場なし ●●●[●]●●● 朱霊[壱]呉弓兵[弐]●●● 襄陽の戦い 一戦目 必要士気:10 サイコロ×23 最短ゴール:18マス 大将 伊籍[壱] 登場左慈 光マス アイテムマス ●●●[●]●●●●●● 登場なし ●●●[●]●●● 蜀槍兵[弐]左慈●●● 名前 コメント
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「ここが生徒会長の家、ね」 「はい。ここが決戦の場です」 森さんの言葉を聞きながら闇夜にそびえ立つ巨大な建造物を見上げる。 月明かりに照らされたそれは、まるで中世の古城のように…………は、見えないわね、流石に。 スケールは文句ないけど、見た目が新しすぎてファイナルステージにしては風格が足りないわ。 もっと、こう……燃え盛る高層ビルとか、沈みゆく豪華客船とかを希望したいとこだけれど……ま、仕方ないか。 「ここにキョンと古泉君、ついでに谷口がいる訳ね?」 「そうです。彼らの交友関係や目的を考えれば、ここがもっとも理想的な逃げ場所と言えるでしょう」 ……無駄にデカい家ね。金持ちのボンボンで、陰険な性格で、更に生徒会長……これで悪事の一つでも働いてなきゃ詐欺ね、詐欺。 それにしても、古泉君と生徒会長が友人同士だったなんて意外だったわ。捕まえた後で色々と問い詰める必要があるかしら? 意外と言えば――。 「喜緑さん、だったっけ?これからあなたの彼氏の家に乗り込む訳だけど、本当にいいの?」 「はい。他ならぬ長門さんの頼みですから」 「……私は頼んでなどいない。江美里が面白がって勝手について来ただけ」 「最近、長門さんが冷たいです……昔はあんなに懐いてたのに」 「……江美里、そんなことを言いながら、どさくさに紛れて抱きつくのはやめて欲しい」 「やっぱり冷たいです……反抗期でしょうか?」 ――この二人が親戚同士で、しかも、こんなに仲が良かったなんてね。 「……頬擦りも禁止」 あの有希が好き放題にやられてる光景を見てると、なんとなく納得しちゃったけど。 ……そう言えば有希って森さんとも親しくしてたみたいだし、あたしが思ってるより交友関係広いのかしら?……って言うか……。 「……もしかして」 古泉君のことと言い、あたしってば団員のことあんまり知らないんじゃ……? 「す、涼宮さぁん……本当にキョン君たちと戦うんですか~?」 胸の奥でもやもやを感じていると、愛らしい我がSOS団のマスコットがおどおどと泣き言を言ってきた。 「本気よ。あいつらは団長であるあたしに……ううん、世の女性全てに喧嘩を売ったの。あたしたちには同じ団の仲間として、あいつらを罰する義務があるの」 ふえぇ~、と情けない声を上げるみくるちゃん。 もしキョンたちと全面対決になったなら、みくるちゃんが戦力になるとは思っていないけど、今回ばかりはみくるちゃんにも戦って貰わなきゃ。 「みくるちゃんも覚悟を決めなさい」 ふと気付くと、さっきまで感じていたもやもやが消えていた。 そうよ、色々考えるのは後回し。今はキョンたちを捕まえることだけを考えればいい。 キョン……待ってなさい! 「さて、どうしようかしら?」 「さて、どうするかな?」 ハルヒたちは玄関の前に陣取って何やら話しているが、何らかのアクションを起こすのは時間の問題だろう。ハルヒのことだ、扉をぶち破って乗り込むくらいはやりかねん。 「……このままじっとしてても埒が明かないな」 こういう場合、真っ先に動いてくれそうな人物に話を振ってみる。 「古泉、何か策はないか?」 俺がそう言うと、古泉はいつになく真面目な表情で頷いた。 「どうやら、アレを使う時が来たようですね」 「アレ?」 古泉はソファをどけて、床下収納庫みたいな扉を開けた。 そこから取り出されのは細長い金属製の筒に、いかつい柄や引金などが付いたもの。 ……つまり、ライフルだ。 「あ、もちろん実弾ではないのでご安心を。流石に洒落になりませんから」 そう言って、古泉はハリウッドのアクション映画辺りで見掛けそうな装備を次々と取り出す。 「これはサブマシンガンタイプ、連射が利きます。こっちはハンドガンタイプ、制服のポケットに入るでしょう。あとはゴーグルや手錠などですね」 「凄ぇ!これだけあったら涼宮たちを余裕で撃退出来るな!」 「待て待て待て!何故俺の家にこんな物騒なモノがあるんだ!?」 「森さんにお古を押し付けられたんですけど、僕の部屋には置くスペースがありませんから。遊びに来る度に少しずつ持ち込ませて頂きました」 「古泉、貴様……ッ!」 「ほらほら、そんなことよりも会長は自分のコレクションを持ってきて下さい。早くしないと敵が来ますよ?」 「……チッ、この馬鹿な騒動が治まったら必ず話を付けるからな!」 ……エアガンとか電動ガンってヤツか。こういうものを使うのには抵抗があるが……向こうのメンバーを見ればそんなことも言ってはいられないな。 「やるしかないか」 「森さんのことです、僕たちと同程度の装備を持って来ているかも知れません。やらなければ殺られます」 やらなければ……って。 「迎え撃つつもりなのか?」 「はい。逃げるにしても時間を稼がなければいけません。相手には車がありますし、こちらはコレクションを持って移動しなければいけませんから」 ……しかし、長門や喜緑さん、森さんを相手に戦えるのか? 森さんは明らかに堅気じゃない経歴を持っていそうだし、宇宙パワー持ちの二人に至っては最早反則の域だ。 「ふふ……機関の模擬戦で麒麟児とまで言われた僕の知謀を、とくと御覧に入れましょう」 と、不敵な笑みを浮かべる古泉。メジャーリーガーにリトルリーグのチームで挑むような絶望的な状況のはずなのに、その余裕すら感じさせる落ち着きぶりからは自信の程が窺える……が、 「……知謀、ね」 ……その割には将棋とかチェスとか弱いよな、こいつ。 俺の不安をよそに、古泉はどこからともなく会長宅の見取り図を取り出し、一人で作戦の説明を始めた。 「僕の考えた完璧な作戦を説明する前に、まずは敵の戦力の分析です。要注意人物筆頭の長門さんですが……観察者という立場上、積極的に参戦はしてこないでしょう。そして、喜緑さんと森さんですが――」 と、古泉の弁舌が乗りかかったところで、武器を漁っていた谷口の横槍が入った。 「古泉ぃ~これはなんだ?この化粧品みたいなヤツ」 「それは迷彩メイク用顔料です。今回のケースでは役に立ちませんが」 「おぉ、テレビで見るアレか。使ってみていいか?」 「……どーぞ」 嬉々として顔料を塗りたくる谷口。本人の中では単身で敵地に乗り込む兵士のイメージなのだろうが……着ている服が北高の制服ではただの奇人だ。 「……説明の途中だったな。で、喜緑さんと森さんは?」 「あ、はい。喜緑さんも会長絡み以外なら無茶はしないでしょう。あとは、森さんですが――」 「古泉ぃ~これは?」 「……森さんお手製の催涙弾です。効果は低いですけど、危ないのであまりいじらないで下さいね」 「催涙弾か……」 度々説明の邪魔をされ、少し不愉快そうな顔をする古泉。こいつみたいなタイプは話の腰を折られることを何より嫌いそうだからな。 「古泉、話の続きを」 「……分かりました。森さんが一番問題です。まず間違いなく積極的に参戦してきます。ですが、涼宮さんの前では無茶はしないでしょう」 「古泉ぃ~使い方は?」 「……ピンを抜いて投げるだけです。今大事な話をしてるので邪魔しないで下さいね」 「ピンを抜いて投げる、ね」 「……話を戻しましょう。今から説明する作戦は、前提条件としてTFEI端末のお二人にはちょっかいを出さず、あくまで静観して頂くことが――」 「喰らいやがれ涼宮!」 ガラッ! 「これはエロを奪われた俺たちの怒りだ!」 ブンッ! 「…………」 「…………」 「よっしゃ!キョン、古泉!俺はやってやったぜ!」 「……谷口よ。今、お前は何をした?」 「ん?いや、見ての通り催涙弾で先制攻撃をだな」 「……お前……今、俺と古泉が作戦について話合ってるってのに……そのスタンドプレーでぶち壊しだぞ!?」 俺が怒鳴ると、谷口は珍しい生き物を見るようにキョトンとした顔をして、こう言った。 「キョン……何をそんなにビビってるんだ?相手は女の集まりだぜ?男が女に負ける訳ねぇだろ?」 「それがただの女子高生相手ならな!」 「……ただの女子高生じゃねぇか?」 「あ……」 ……そうだった。谷口にとって、ハルヒたちは『ただの女子高生+保護者』に過ぎない。俺たちのように危機感を持っていないし、直接対決なら作戦なんか必要ないと考えるのが普通か……。 「古泉、他にはないのか?爆弾系」 がっくりと膝を着き、ブツブツと愚痴を言っている古泉に、迷彩メイクをした谷口が無邪気に問い掛ける。 コレクションを抱えて戻ってきた会長も、その奇妙な光景に首を傾げていた。 「たかだか数分の間に、一体何があったんだ?」 すまんな、会長……早々に負けが決まったようだ。 何故なら……長門のヤツ、涙目になりながら、もの凄い形相でこっちを睨んでるからな。あれはどう考えても『静観』してくれる顔じゃないぞ……。 ……待てよ?……涙目? 「古泉……おかしくないか?」 「……なんですか?もうどうでもいいですよ。この戦いは負けです」 ……見事なまでにやさぐれてるな。 「そう言わず見てみろ。長門や喜緑さんが催涙弾でダメージを受けてる」 長門たちにそんなものが効くのか?……いや、それ以前に長門なら投擲された瞬間にどうにかするはずだ。 「言われてみれば……」 「ハルヒの前だから演技してる、ってことはないよな?」 喜緑さんは分からないが、少なくとも長門はそんなに器用じゃない。 「……なるほど。そういうことですか」 「どういうことだ?」 「これは推論ですが……涼宮さんは自分の手でこの騒動を解決することを望んでいるのではないでしょうか?」 「……つまり?」 「その願望が、涼宮さん自身が知らないはずの長門さんたちの能力を無意識の内に抑え込んでいる、ということです」 ……相変わらずハチャメチャな能力だな、おい。 「ですが、長門さんたちが何らかの制限を受けているのは明白です。これでまともに戦えるかも知れません」 「それはそうだが……」 なんとなく、ハルヒの思考が腑に落ちないな。いくら目立ちたがりのあいつでも、無意識とは言え仲間の足を引っ張るだろうか? 「今回はあなたが敵ですからね。事情が少々特殊なせいもあるでしょう」 ん?今妙に意味深なこと言わなかったか? 俺が先程の古泉の言葉の意味を尋ねようとすると、劇団俳優顔負けの近所迷惑な声量で怒鳴り声を上げる奴がいた。 「キョン!そこにいるんでしょ!?」 あぁ、もう……ややこしいタイミングで……。 ……とは言え、俺も言いたいことがあるのでハルヒの呼び掛けに顔を出す。すると、憤怒の形相をしたハルヒが更にデカい声で罵声を飛ばしてきた。 「よくもやってくれたわね!いきなり仕掛けてくるなんて随分なお出迎えじゃないの!?」 だから、やったのは谷口だ。グラビアの件と言い、全てを俺のせいにしないと気が済まないのか、こいつは? 「一応降服勧告をしようかと思ったけど、その必要はなさそうね?……今からあんたたちを捕まえて、たっぷり罰を与えてあげるから覚悟しなさい!」 問答無用か。催涙弾攻撃で相当お冠のようだな……だがな、 「今回ばかりは俺も頭に来てるんだ……誰が降服なんかするか!」 ポニーテールの怨みは恐ろしいんだぞ?ハルヒよ。 「ふん……いい度胸ね。あくまで団長であるあたしに歯向うのね?」 「当然だ」 お互いの顔を見据えて、見下ろす俺と、見上げるハルヒ。 どうやら激突は避けられないらしいな。 ……もっとも、避ける気はないけどな。 「ハルヒ……」 「キョン……」 「戦争だ!」 「戦争よ!」 最終決戦の火蓋が、切って落とされた。 ハルヒへの宣戦布告を終え、室内を振り返ると古泉たちが苦笑いをしていた。 「やれやれ、勝手に二人で盛り上がって貰っては困りますね」 「全くだ。俺たちもいることを忘れるなよ、キョン」 「古泉……谷口……」 「気は進まないが、やるしかないようだな」 「会長……」 何と答えようか迷っていると、仲間たちが無言で俺に頷き掛けてくれた。 ……そうだよな。俺一人で戦う訳じゃないんだよな。 「……よし!皆でこの戦いを勝ち抜こう!」 おう!と心強い掛け声が返ってくる。 ……今、俺たちの心は、エロの元に一つになった。 「いいねっ!盛り上がってきたさっ!」 「鶴屋さんも、やってやりましょう…………って鶴屋さん!?」 「にょろ~ん」 突然の闖入者に、全員が一斉に距離を取る。 い、いつの間に?全く気配がなかったぞ? 「いやぁ~みくると遊んでたら今回の話を聞いてねっ。面白そうだから先回りして見物しようと思ったんだけど……」 鶴屋さんは俺たちをぐるっと見回し、 「な~んか男衆が不利みたいだから、こっちに助太刀しようと思って忍び込んだのさっ」 と、ハルヒ顔負けの笑顔でおっしゃられた。 「それはありがたいですけど……一体どこから入ったんですか?」 「いや、二階の窓の辺りにいい感じで枝が届いてたから、そこからお邪魔させて貰ったよっ」 なかなか無茶をなさる。ご近所に見付かったら普通に通報モノだ。 「少し驚きましたが……何にせよ味方が多いに越したことはありません。歓迎しますよ、鶴屋さん」 「頑張るさっ!」 しかし……鶴屋さんはこの戦いに何が賭かっているのか知ってるのだろうか?理由を知っていれば、普通なら女子が味方してくれるとは思えないが。 その事を聞いてみるべきかどうか迷っていると、笑顔の鶴屋さんと目が合った。 「大丈夫、分かってるさっ。要するにエロ本防衛戦ってことにょろ?」 そこまで伝わってるのか……それはそれで複雑な気分だ。 「な~に、男の子は助平なくらいのほうが健康的でいいさっ!……それに」 それに? 「男の子のエロを容認出来ないほど、あたしはお子様じゃないにょろよ?」 ……失礼しました。 近所の気さくなお姉さんって感じだな。うん、年上の女の人はこういう感じでなくては。 ……鶴屋さんの半分くらいハルヒの物分かりが良ければ敵対することはなかっただろな。 「ふぅ……」 ふと気付くと、鶴屋さんがニヤニヤしながらこちらを見ていた。 「心配ないにょろよ?キョン君とハルにゃんならどっちに転んでも大丈夫さっ」 ……なんか勘違いされてるようですが、今のあいつは敵です。俺はあいつを倒すこと以外考えてませんよ。 「ま、そういうことにしとくにょろ」 「さて、人数も揃ったことですし、敵を迎え撃つ準備をしましょう」 「あぁ!もう!漫画やドラマみたいには行かないわね」 いつぞやの時みたいに針金で鍵を開けようとしてみたけれど、やっぱりというか、鍵は開いてくれない。 「こうなったら強行突破しかないわね」 幸い扉は木製だし、その辺の岩を投げ付ければ壊せなくはないはず。 庭に転がっている岩の目星を付けていると、森さんが話し掛けてきた。 「少々、よろしいでしょうか?」 そう言って、森さんは鍵穴を覗き込む。 「流石はお金持ちの家、鍵にも金を掛けてますね。ですが……これなら少し時間を掛ければ開錠出来ます」 「本当に?凄いわね、森さん」 「メイドならこの程度出来て当然です」 と、きっぱりと笑顔で言い切る森さん。やっぱり本職のメイドさんは違うわ……今度みくるちゃんを研修に出してみようかしら? 「その前に皆さんにお渡しするものがあります。相手が武装している可能性が高いので、こちらも装備を用意しました」 そう言って、森さんは車から山盛りの武器を持ち出してきた。 「色々ありますね?スタンガン、木刀、警棒に……」 「拳銃と手留弾!?」 「あ、それはゴム弾仕様になってますが、充分危ないので取り扱いには気を付けて下さい。こっちの手留弾は煙幕が出るモノで、殺傷力はありません」 なんで森さんがこんなものを……。 「か弱き乙女の嗜みです。本当は人数分のライフルタイプを揃えたかったのですが、時間がありませんでしたので御容赦を」 ……ま、確かにこっちは普通の女子ばかりだし、こういうのも必要かもね。 「んじゃ、あたしは木刀を貰うわ」 「あ……」 「え?」 あたしが一振りだけの木刀を手に取ると、何故かみくるちゃんが残念そうな顔をした。 「なに?みくるちゃん木刀がいいの?」 駄目よ?みくるちゃんの細腕じゃ逆に怪我しちゃうわ。 「い、いえ……そういう訳じゃ……あ、私はどれにしよっかなぁ?」 あからさまに誤魔化しながら武器の物色を始めるみくるちゃん。時代劇にでも影響されたのかしら? 「では、私も何かお借りしますか」 「…………」 みくるちゃんに続いて喜緑さんと有希が武器を手に取る。 「それじゃ、森さんが鍵を開け次第、皆で乗り込むわよ!」 「装備は行き渡りましたね?それでは、各員所定の迎撃位置に移動して下さい」 すっかり作戦参謀の座に収まった古泉の指示が飛ぶ。 俺も手に馴染まないエアガンを片手に、渡されたゴーグルを装着する。いよいよ間近に迫った激突の予感に体が身震いするのを止めることが出来ない。これが噂に聞く武者震いというヤツなのだろうか? 「よっしゃ、先鋒は任せろ!」 そんなことを考えていると、我がチームの鉄砲玉……もとい、核弾頭谷口が意気揚々と出撃する。 ……というか、メイクはそのままなんだな、谷口……頼むから朝比奈さんとは遭遇しないでくれ。あの人なら見ただけで泣き出しかねん。 「俺も行くとするか……パートナーがヤツというのは甚だ不安だが」 「じゃあ、あたしも行くさっ」 続いて上級生コンビが出撃する。鶴屋さんの運動神経の良さは野球大会で証明されてるし、会長もなんだかんだで荒事には慣れてる雰囲気がある。この二人は大丈夫そうだな……っと。 「鶴屋さん、どれか武器を。相手も武装して来ますよ?」 はりきって出撃しようとしている鶴屋さんだが、よく見るとゴーグル以外は何も装備していなかった。流石に丸腰は危険だ。 「ん~飛び道具は苦手でねっ、この部屋に来る時にいい感じの得物を見つけたから、それを使うさっ!」 「そうですか?では、気を付けて」 「キョン君と古泉君も、ファイトにょろよっ!」 グッと力こぶを作るポーズをする鶴屋さんに、俺も親指を立てて返す。それを見て満足したように笑い、鶴屋さんは部屋を後にした。 そうして、残ったのは俺と古泉の二人になった。 「んじゃ、俺たちも行くか」 俺たちは相手が二手に別れて進軍してくることを予想しての、正面とは正反対の裏ルートの受け持ちになっている。ちなみに正面ルートが谷口と会長。遊撃部隊として鶴屋さんが二階に陣取る手筈だ。 「そういう予定でしたが……裏ルートは僕一人に任せて貰います」 と、古泉が真面目な表情で顔を寄せてきた。こいつがこういう顔をする時は大抵よくない話なんだが……やっぱり聞かない訳にはいかないんだろうな。 「戦いの前に、少しお話があります」 「なんだ?」 「涼宮さんの特性について、ひとつ忘れていることがありませんか?」 特性と言っても、あいつほど特殊かつ多種多様な性質を持った人間もいないだろう? 「僕のバイトに関する話です」 バイト?……あ。 「……閉鎖空間か?」 「そうです」 「……もしかして今発生したのか?」 「いえ、グラビア事件の当日こそ大規模な閉鎖空間が発生しましたが、それ以降は比較的に落ち着いています」 「そいつは結構な話だ」 もし閉鎖空間が発生したなら、古泉が戦線離脱することを止めようがないからな。 「ですが、このまま僕たちが勝利を収めると、恐らく大規模な閉鎖空間が生まれるでしょう」 「……ちょっと待ってくれ」 ……なるほど、確かにハルヒの性格を考えれば負けた時にどうなるかは自明の理だが……。 「それじゃあ俺たちがやってることは無意味なことじゃないのか?」 勝っても負けても俺たちが得るモノはない。回避しようのない負けのために戦うなんて、無意味を通り越してただの道化だ。 「普通に戦えばそうなるでしょう……それでも、僕たちが勝利を収める道は必ずあるはずです。そして……それは藁にすがるよりも遥かに頼りない、分の悪い賭けになるでしょうが」 「……相変わらず回りくどい言い方をするな?」 たまにはシンプルな言葉で、俺の脳を休ませて欲しいものだ。 しかし、古泉は俺の言葉を無視し、またしても難解な謎掛けのような言葉を俺に投げ掛けた。 「あなたが鍵です」 ……何度目だろうな?その手の台詞を聞いたのは。 今回が一番真剣に言われた気がするのはスルーしておこう。 「……正直な話、僕にもこの選択が正しいのかは分かりませんが……あなたにはラスボスとしてここで涼宮さんを迎え撃って貰います」 「……その前に、裏ルートはお前一人で大丈夫なのか?」 いくら長門たちの能力が制限された可能性が濃厚と言えど、相手には森さんもいる。その賭けとやらに打って出るとしても、その前に陥落されては意味がない。 「僕がこの家に持ち込んだモノは武器だけではありませんよ。既に仕込みもほとんど済んでいます」 ……あまり会長の心労を増やしてやるなよ。 「善処しましょう……それで賭けに乗ってくれますか?そうなると、あなたに全てを託すことになりますが」 賭け、か……古泉がそう言う以上、これは非常に厳しい戦いになるんだろうな……。 「……分かった」 お前の期待にどこまで答えられるか分からないが、俺もその賭けに乗るとしよう。他に生き残る道も思い付かないしな。 「ありがとうございます」 「それにしても……何故俺なんだ?」 戦いのラスボス、というのなら会長や鶴屋さんの方が遥かにそれっぽいだろ。 「……そこまで行くと尊敬しますよ」 「……なんか引っ掛かる言い方だな?」 「そうですね……この戦いを無事に終えることが出来たなら、あなたも気付いているでしょう。それは僕が気付かせることではありません」 そう言って、古泉は片手を上げながら背を向け、 「では……この戦いが終わったら、あのポニーテール本を探してみましょう。僕もうなじは嫌いではありませんよ?」 と、肩越しに俺に微笑み掛けた。 嫌味なほどキザったらしい仕草だが、こいつがやると結構様になるな。 ……だがな、古泉よ。 「それは死亡フラグだ」 続く
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「トートん!」 「おい、トート!」 巨人が門へ吸い込まれ、同時に倒れるトートの元へ向かう二人。 トートは立てない程、力を消費していた。 「はぁ・・・はぁ・・・あの魔法、やっぱり私には早いのかもね・・・疲れが凄い。ごめん、手を貸してちょうだい」 プレーヌは、トートの手を取り起き上がらせる。 すると、彼女らの後ろから拍手が聞こえたのだった。 「すげえじゃん。教会術ちゃんと使えるんだ。お前」 彼女達は、拍手と声の方を向くと、赤い髪をし、ラフな格好をした若い男が立っていた。 「貴様、何者だ!」 そこに現れたのは屋敷の人間では無く、ただならぬ気配に剣を構え向けるキリル。 「今回の件の大元の本人-だけど?そんな物騒な光物しまいな。あんたらに危害加えねえから」 男は軽く笑いながら言うが、一向に引かないキリル。 剣を向けられても全く動じない。 「そこの教会のお嬢ちゃん。お前のじいさん殺った教会術使ってどうだ?気分は良いですかー?」 そう、あざ笑う男。 その言葉に動揺するトート。 「な、何で知ってるの?貴方、一体誰?」 「俺?教会関係者だけどね、上層部の一人。上からの依頼で今回、テストしてこいっての事だから」 「テ、テスト・・・?」 彼女達は口を揃えて言った。 「ああ、教会のお嬢ちゃんじゃなくて、そこの羽根生えたお嬢ちゃんのだ」 どうやら、テスト対象はプレーヌらしく、男はプレーヌを指差している。 「わ、私?テストって何?!」 プレーヌは訳が分からず、テストと聞き一連の行動で怒っていた。 無理も無い、彼女らは命をかけて戦ったが、彼にとってはただの遊びのようなものなのだから。 「知らねーよ俺は。別にお前らが生きようが、死のうが関係ねえから。ってか本当なら邪魔だから殺してえんだけどな」 男は、笑いながら言ってるとき、男の方から何か音楽が聞こえてきた。 男は、音楽の鳴っている妙な箱のようなモノを見ると、ゆっくり言葉をかけた。 「えーっと、次は、魔法国家ポートガルドに一ヵ月後同じ事やるってよ。この国はもうやらねーってさ。良かったじゃん。じゃ、俺帰るわ」 そう言い放ち、その場を去ろうとした時、キリルは逃がさまいと、斬りかかる。 だが、軽く避けられ、剣を持った手を押さえつけられてしまった。 「止めとけ。殺さないでおくって言ったんだ。素直に従っとけ」 キリルは、敵わないと思い剣を落とし、その場にひれ伏してしまった。 そして、男は軽く手を上げ、去っていった。 「くっ、私が動けないなんて・・・情けない。そうだ、姫様!」 キリルは、雪璃を思い出し、立ち上がった時。 謁見の間の奥にある、王座の奥から雪璃の声がした。 「そんな心配せんでも、大丈夫じゃ。すまぬが、一連の話は聞かせてもらったぞ」 「雪ちゃん、話は後でも良いかな?今は・・・トートん休ませたい・・・」 「うむ、童の部屋で休ませると良いじゃろう。キリル、彼女らへの案内をお願いできるか?童は少し屋敷内を見て回りたい」 プレーヌは、トートに肩を貸している。 そうでもしないと、トートは倒れる程だからだ。 雪璃は、トートの姿を見て、トートを、謁見の間から近い雪璃の部屋で休ませる事にした。 話は、トートの体調が治り次第と言って、雪璃は屋敷内を見て歩く事にした。 屋敷内では、敵が消えたと知り、怪我人の手当てや、遺体の供養に慌てふためいていた。 「大丈夫ですか?今、手当てしますね」 救護に一番動いていたのは、アモーレだった。 雪璃は謁見の間を離れ、屋敷を見て回り、アモーレの姿を見ていた。 「アモーレ、お主も無理しすぎないのじゃぞ。無限に治癒出来るわけでもないじゃろ」 「そうですけど・・・私には今、これくらいしか出来ませんから」 そう、アモーレは言うと、次々に傷ついた者への介護に動いていた。 -童が一番、何もしておらぬではないか- 雪璃は悩んでいた。こういう時、何をして良いのか。全く分からなかったのだ。 けれど、屋敷内を歩き、兵達や、使用人達は、雪璃が無事と分かると、泣いて喜んでいた。 その者達の姿を見て、雪璃は気が付けば、怪我人の介抱や、恐怖感が取れない使用人への言葉をかけたり、救護班への手伝いに回ったりしている。 そこには、一国の主の姿ではなく、1、人としての姿があった。 「姫様は、お休みになられても大丈夫ですよ!」 と、救護班の連中らは言うが、雪璃は首を横に振り、悪い足を引きずりながらも、必死に手伝っていた。 そうでもしないと、不安になるからであろう。 「手が空いてる者は、介護へ。救護班まで倒れては無理もない。交代制でやるのじゃ」 雪璃の一言で、周りが動く。 もう、外は明るくなっており、悪夢のような一日は終わり、徐々に陽の光りが差し込んでいた。 その頃、雪璃の部屋で休んでいたトートは、目を覚ました。 彼女が眠っていたベットの横には、トートの手を握って眠っているプレーヌがいた。 「ん・・・もうちょっと横になっておこうかしら」 一旦起きたが、寝ているプレーヌを起こすのも悪いと思い、トートは一言。 -ご苦労様- と、プレーヌの頭を撫でると、眠りに着こうとしたが、プレーヌは、起きてしまった。 「あ、ごめん。起こしちゃった?プレーヌ、お疲れ様」 「んー?んー?・・・ふぅん・・・」 どうやら、プレーヌは寝ぼけているようだ。 辺りを寝ぼけ眼でキョロキョロすると、ガクっと頭をベットへ埋め、再び夢の中へと旅立った。 その時、そっと部屋の戸が開いた。 そこに現れたのは、キリルだった。 キリルは、起きていたトートを確認すると、近寄り言葉を掛ける。 「気分はどう?休んだら、マシになった?」 キリルは、そう言うと、トートは軽く頷く。 トートは、そっと手を握っている、プレーヌの手を離し、起こさぬようにベットから離れ部屋にある椅子へ腰を掛けた。 「お陰様で気分はそこそこ。それより、屋敷の被害はどう?」 「兵達が結構亡くなったな。負傷者は今、救護班に手当てをしてもらってるが・・・アモーレの力が凄いな。彼女は、ポートガルドで治癒魔法でも習ったのか?」 「いや、アモーレさんは元々、そういう能力があったみたいなの。ポートガルドと言えば、さっきのあいつ言ってたわね。何とか手を打たないと・・・」 「そうだな。あの国は外交が厳しいからな。姫様の力を借りないと恐らく入国も、間々なら無いかも知れんな」 キリルはそう言うと、トート同様に部屋にあった椅子へ腰を掛ける。 「そう言えばキリル。ポートガルドには行った事は?」 「あるよ?子供のころ、私はこれでも魔法学を勉強しに留学をしてたんだ。まぁ素質無くて結局使えず仕舞いだけどな。ははは」 「へぇ、そんな過去あったなんてね。どういう国なの?少し色々聞かせてくれないかしら?」 ポートガルドの事についてキリルに尋ねる。 すると、キリルは思い出すかのように上を見、ゆっくり口を開いた。 「印象あるのは、乗り物と治安が悪かったのと文化が全然違う事くらいかな?」 「まず、乗り物が馬車とか、人力じゃなくて、魔法力で動かす鉄の乗り物なんだ。しかも速い。あれは実際見ないと分からないな」 「治安の方だが、これは正直言うと治安を守る警察がしっかりしてない気がするな。噂じゃ、盗賊の方が治安改善に努めているって聞くくらいだしな」 「文化の方は、日の国とは全然違う。何から何まで。夜でも明るいんだよあの国。ざっとこんなとこかな?」 キリルは言い終え、トートの方へ目をやると、トートは手帳にきっちりメモを記していた。 「なるほどね。治安の事だけど警察より何で盗賊・・・?そこまで警察がだらしないの?」 「そうらしいな。頼りにならないらしいが、私が犯罪に巻き込まれたりしてないから何とも分からん」 双方軽い溜息を付くと、ベットの方から物音がし、目をやるとプレーヌが起き始めた。 「んー・・・んー・・・んはーっ!良く寝たぁ。お?お二人さん、おっはよー!」 椅子に座っていた二人は、再度溜息を付いて、軽く答えた。 すると、部屋の戸が開き、姿を見せたのは雪璃。 どうやら、救護の方は一息付いたらしい。 「お?全員起きておるな。みんな、ご苦労様じゃった。さて、早々ですまぬが、トートよ。ポートガルドへ向かうのか?」 「ええ、向かうしか無い。大陸橋、通行出来るようにしてもらえないかしら?」 「まぁ、待て。急ぎたい気持ちは分かるが、そう急ぐ出無い。ポートガルドには知り合いがおる。その者に通達をしてからでも遅くはなかろう?」 「ん、まぁ。けど徒歩で向かうから、極力時間はかけたくないのが本音ね」 トートはそう言うと、雪璃は軽く笑っている。 「トートよ、徒歩は流石に厳しかろう。ここから、ポートガルドまで徒歩で行くとなれば、長旅になるぞ。何とか迎えを大陸側まで寄越す手配はしておく」 「ん、ありがと。手紙を飛ばしてだから、かれこれ1週間後くらいになりそうね。あの国、教会が無いから同じ事起こったら誰も立ち向かえないのが痛いわね」 「あの国では、教会の存在が警察のようなものじゃからなぁ。さて、そうと決まれば早速手紙を書こうかの」 雪璃はそう言い、部屋にある机へ向かいペンを取る、その後キリルは軽く会釈をし部屋を出て行った。 その時、プレーヌがトートの肩をポンポンと叩いた。 「トートん、ポートガルドに行っちゃうの?」 「うん。行かないと、この国みたく同じ事起きるかもだからね。プレーヌはどうする?行くなら暫く帰ってこれないけど」 「・・・んー・・・」 プレーヌは顔を下に向け、考え込んだ。 暫く帰ってこれないとなれば、大好きなアモーレや、公園や、商店街の人々共会えなくなるからであろう。 「・・・行く。私も行くー」 顔を上げ、悩んだ挙句出た答えは行くであった。 「本当に良いの?だって、アモーレさんとかと会えなく・・・」 「行くの!そう決めたの!」 プレーヌは大声で、そう答えた。 その声に驚き雪璃はペンを置き、二人を見ていた。 「な、なんじゃ?いきなりどうしたのじゃ?」 「雪ちゃん、私もポートガルド行くー!トートんと行く!」 雪璃は、目を点にしてトートの方へ確認を取ると、トートは溜息を付いて首を縦に振るだけであった。 「分かったのじゃ。プレーヌ、後でちゃんとアモーレにも言うのじゃぞ?」 「うんっ。ちょっと私、街でお世話になった人にも言って来るね!」 プレーヌは走って部屋を出て行った。 「しっかし、本当にプレーヌも行かせていいのか?」 「ええ、彼女はああ見えても頼りになるから。もし、プレーヌが今回居なかったら、恐らく今頃、私は間違いなく死んでたでしょうね」 トートの表情は暗くなく、どこか嬉しげであった。 「ふむ・・・。トートよ、お主嬉しそうじゃな。久々に笑った顔を見たぞ」 「そうね。じゃ、私も一旦帰るとするわ。これから大変だろうけど、倒れない程度にね」 そう言うと、トートも部屋を出て行った。 一人残った雪璃は、再びペンを走らせる。 屋敷内では、位、職関係なく、人と人が手を取り合い救護がスムーズに行われ、事が進む。 街も徐々に普段の活気を戻していった。 そして、時は進み、ポートガルドからの手紙も数日で返事が来て、プレーヌ、トートの二人は日の国を離れ、ポートガルドへ向かう日が来るのであった。 第一章 終わり
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▼ Fetichism パルブロ鉱山を占拠しているクゥダフを 倒し、彼らの持っているアイテム、 クゥダフ人形の4パーツを集めること。 バストゥーク鉱山区・南門ゲートハウス Rashid 以前、バストゥークの手によって 開発されたミスリルの採取できる鉱山、 パルブロ鉱山が、現在獣人の支配下にある。 Rashid このパルブロ鉱山に棲む獣人、 クゥダフ(Quadav)を倒して、証拠として 彼らのもつクゥダフ人形の頭,クゥダフ人形の胴 クゥダフ人形の腕,クゥダフ人形の足を奪ってこい。 Rashid 必ず4パーツそろえて我々 ミッション担当のガードに渡すように。 ミッションを受けた! (Rashidに指定されたアイテムをトレード) クゥダフ人形の[部位] Rare 黄銅でできたクゥダフの呪術用人形。 その[部位]の部分。 Rashid おお、ちゃんとクゥダフ人形を 4パーツ持ってきたようだな。よくやった! Rashid このミッションを達成したことにより、 おまえはランク2になった。 Rashid パルブロ鉱山に行ったなら わかっただろうが、獣人たちの力は さらに強大なものとなりつつある。 Rashid これからもミッション、そして コンクェストでこのバストゥークの 未来に貢献してほしい。 Rashid なお、今まではミッションを コンプリートすると、次のミッションを 受けることができた…… Rashid しかし、これからは、 ランクポイントをためなければ 新しいミッションを受けることができない。 Rashid ランクポイントをためるには、 コンクェストに参加して、クリスタルを 納めるか、すでにコンプリートした ミッションをもう一度受ける必要がある。 Rashid コンクェストに関する詳細は、 ゲートハウスのハイガードに聞いてくれ。 RANK2 1000ギルを手にいれた! ※どのエリアのガードに渡すかでイベントが異なる。 バストゥーク鉱山区・南門ゲートハウス +... Iron Eater 御苦労だったな。 クゥダフは手ごわかったか? Rashid こ、これは、アイアンイーター様! このようなところまで見回りとは!! Iron Eater どうだ? 鉱山区の様子は? Rashid はっ! 何も異常ありません! Iron Eater そんな形式通りの 回答を求めているのではない……。 おまえも知っているだろう? ウェライ(Werei)の失踪を……。 Rashid アイアンイーター様の 剣の師であった方と承っております。 転生の旅に出られたそうで、心中お察し 申し上げ…… Iron Eater そのような事を聞くために ここに来たのではないと言っている!! 鉱山区、特に鉱石通り沿いの住民に 動揺が広まっているのを懸念しているのだ! Rashid 大変申し訳ありませんでした! その件に関しましては、より一層の調査を進めます! Iron Eater ……よろしく頼む。 取り乱してすまなかった。 Rashid 不動の岩壁とまで言われた あのお方があそこまで怒られるのは 珍しいことだ……。 Rashid やはりあの方も ガルカだと言うことか……。彼らの絆は 我々ヒュームには理解できぬものが多い。 バストゥーク商業区・西門ゲートハウス +... Dalzakk こっちもミッション完了だ。 報告を頼む。 Cleades おお、ダルザック、 御苦労だったな。 Dalzakk ところで私がバストゥークを 離れている間に、鉱山区で何かあったのか? どうも様子がおかしい気がするのだが。 Cleades ああ、これは鉱山区のガードに 聞いた話なんだがな……。 Gwill ダルザックさん、大変だよ! ウェライさんが、ウェライさんが……。 Dalzakk ウェライがどうかしたのか? Michea どうやら、転生の旅に出たみたいなの……。 Dalzakk そうか、いつかは訪れる こととは言え、今の求心力を失った鉱山区の ガルカたちには動揺は抑えられぬか……。 Gwill ダルザックさん、どうしよう……。 Dalzakk うろたえるな、グィル。 誰かに頼らねば生きていけぬようでは 人は何者にもなれぬ。 Dalzakk とは言え、心配なことは確かだ。 私はまた準備を整えて冒険に出るが、 何か情報がないか調査は進めてみよう。 バストゥーク港・北門ゲートハウス +... Cid おつとめ御苦労だな。 Argus こ、これは工房長! Cid そんなにしゃちほこばらんでもいい。 港に変化はないか? Argus はっ。 従来よりも飛空艇を利用する冒険者や 輸出品など増えておりますが、混乱は ありません。 Argus この港の発展も 工房長の飛空艇技術研究の賜物かと……。 Cid かーっ、だからそんな むずがゆいお世辞はいいってんだよ。 あんなのは偶然の産物だ。 Cid それよりも、今鉱山区では ウェライの失踪もあり、動揺が広がっている。 この問題が港側にもなんらかの影響を与えるかも しれん。注意を怠らないようにしてくれ。 Cid:また、最近ノーグの 動きが活発だ。辺境行きの飛空艇の航路も 目処がたった。冒険者たちの動きも変わるだろう。 くれぐれも油断しないように。それと……。 Cid 「蒸気の羊」亭は最近どうだ? その……おかしなことはないかとか、 売上はどうだとか、おかみさんに変な男が……とか。 Argus は? 私も仕事帰りによく寄ったりしますが、 変わらず繁盛しているようですが……。 Cid そうか、ならいいんだ。 気にしないでくれ……。 Argus どうしたんだ? 工房長は……。 Tiger Tooth 知らんのか? 工房長は「蒸気の羊」亭のおかみさんに お熱だって話だぜ。あそこのおかみさん、 若いのに旦那さんを亡くしてな……。 Argus へぇー。 工房長も人の子って訳か……。 大工房・大統領府入口 +... Naji お、それはクゥダフ人形だな。 オレも昔、お守り代わりに集めたことがあるぞ。 Lucius それはあまり趣味のいいこととは 言えないな……。 Naji あ、ルシウス補佐官! Lucius こんな話がある……。 パルブロ鉱山は、元々、クゥダフの聖地であり、 そこを我々バストゥークは奪い、鉱山とした。 Lucius そのクゥダフ人形は実は その信仰の象徴であり、彼らの始祖と言われる 英雄を示している……と。 Lucius もちろんそのことと このミッションの目的は一切関係がない。 それは単に敵を倒したことによる証にすぎない。 Lucius ただ……これだけは覚えておくといい。 ひとつの立場では見えないものがある。 見えないものを追う義務はなくとも、それでは 新しい世界を見ることもかなわぬ。 Naji ルシウス様は時々話が難しすぎてな……。 だいたいああいった時は、大臣たちとやりあった 後だったりするのさ。大変だよな、補佐官て仕事も。 ▲ 彼の名はシド 終わらぬ戦い クリスタルライン ■関連項目 バストゥークミッション Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.