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『並行世界(リアルワールド)』 「あ…あ……」 戦いにおいて、真の勝利とは、相手の敵対意思を消失させることにある。 戦意喪失。 一人の騎士(ウィリアム)は心を砕かれた。 自分たちが相手にしているドラゴンの強大さに。 「聖人。貴様は『識』っているであろう?この先の未来を」 『魔神』の声に、騎士の心が震えた。 「…何の事だ?」 『騎士団長(ナイトリーダー)』が神妙な視線を浴びせるが、ウィリアム=オルウェルは口を閉めた。 言えるはずもない。 自分が、敗北の未来を『識』っている、などという非現実的な事実を。 「さて、どう出る?」 魔神はウィリアムを真紅の眼でとらえ、右手を広げた。魔神の右肩から、大気を歪ませる無色の『竜王の翼(ドラゴンウイング』が出現する。魔術師たちは瞬時に事を起こす。 だが、唯一人、足が動かなかった。 『既視感(デジャビュ)』がウィリアム=オルウェルを襲う。 オッレルスが高く飛び上がり、バードウェイが『高速詠唱(クイックスペル)』を始め、『騎士団長(ナイトリーダー)』が突撃する。 その光景が、ウィリアムの脳裏に写る記憶と重なった。 後に、彼らはドラゴンに倒される。 『騎士団長(ナイトリーダー)』は右足を失い、 バードウェイは精神崩壊を起こし、 オッレルスは、内臓を潰され、 ウィリアムは―― 「やめろぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオ!!」 男の叫びは、三人の魔術師たちの足を停止させた。 だが、彼の人徳が災いした。ウィリアムの警告に、三人の魔術師たちは耳を傾けてしまった。彼が叫ばすにはいられないほどの罠が仕掛けられていると判断し、行動を中断した。 彼らに出来た一瞬の隙。 圧倒的な破壊力を有する無色の片羽が震える。 魔神の唇が三日月のように薄く歪んだ。 「実に愚かな選択をしたな。聖人」 ドバァア!!と轟音をかき鳴らし、炸裂した。 空気は、鉄は、土は、圧倒的な力に抉れ、破壊され、分解し、吹き飛ばされる。泥と鉄の混ざった灰色の津波が、『魔神』を中心に引き起こる。その高さは一〇〇メートルを超えていた。 消滅を本質とする上条当麻の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と異なり、『竜王の翼(ドラゴンウィング)』の本質は『消滅』ではなく『破壊』。物理的な力で物質に干渉する能力でしか無い。だが、そのチカラが、爆弾で生み出されるような爆発力とは比べ物にならないほど強いだけだ。 呪いも神の加護も無い、純粋なチカラ。 それこそが、ドラゴンの有する翼の本質。 魔神は周囲の大気を圧縮した。 ただそれだけで、四人の魔術師は成す術もなく吹き飛ばされた。 「がはっ!?」 「ふうっ!」 「うぐゥ…!」 「……ッ!」 華奢な体躯をしているバードウェイは地面に強く叩きつけられ、脳震盪に襲われ、身動きが取れない。『騎士団長(ナイトリーダー)』は意識を失い、オッレルスは岩盤に体を挟まれている。『金属棍棒(メイス)』を握り締めたウィリアム=オルウェルだけが、無傷でドラゴンを待ち構えていた。 土色の煙幕から現れたのは、大剣アスカロンを左手で持った『魔神』。 ドスゥン!と突如として、西方の建物が崩れ去った。 地盤に体を縫い付けられたステイル=マグヌスが姿を見せた。胸部、腹部、右腕、両足に数本の白い槍が貫通し、大量の血を流していた。 「がば…っ!」 右肩に刺さっていた槍を引き抜いたシルビアは、再びサーベルに手を取る。ふら付いた足つきで立ち向かうが、 グサッ!と三本の槍がシルビアの腹部を貫いた。 純白の翼と鎧を纏う五和の姿をした『天使』が聖人と神父をねじ伏せた。『天使』の槍が二人の体を射抜き、彼らは歩行すらままならない。何の感情も無い瞳が、二人の無残な姿を映している。 五人の魔術師は戦闘不能に陥っていた。 聖人は知る。 『魔神』と『天使』に立ち向かえる戦士は、ウィリアム=オルウェル唯一人となっていたことを。 荒廃した都市に、一人の聖人だけが生き残っていた。 不敵な笑顔を浮かべた『魔神』はフワリと飛びあがり、聖人との距離をあっと言う間に詰めた。五メートルを超える剣から重い斬撃を繰り出す。 大剣アスカロンと『金属棍棒(メイス)』が交差する。 ガキィィイン!と金属音が轟く。 「ッ!!?」 ウィリアム=オルウェルの筋肉が収縮する。 (な、何だ…この剣圧はっ!) 『聖痕(スティグマ)』を解放している状態でありながら、ウィリアム=オルウェルは圧倒されていた。聖人の腕力を持ってしても、『魔神』には及ばない。 「ふははは、怖いか?お前に迫りくる死が」 聖人の足が徐々に土に食い込んでいた。剣が音を立てて軋む。人を越えた力がウィリアム=オルウェルの肉体を捉え、『魔神』の瞳がウィリアム=オルウェルの心を捉えていた。 全てを見透かし、全てを掌握するような真紅の眼。 「この音が、貴様の命の音色か?いや、悲鳴にも聞こえるな?」 ザリザリと大剣アスカロンが『金属棍棒(メイス)』を削っていく。聖人は両手で『魔神』の剣圧を防いでいる。『魔神』は左腕の力だけで、聖人を抑え込んでいた。 「これが聖人か…つまらぬな」 『金属棍棒(メイス)』が砕け散れば、己の肉体が真っ二つにされる事をウィリアムは感じ取っていた。強靭な肉体が悲鳴を上げている。 「確か、ヴィリアンと言ったか?お主が守るべき主君は」 「…そ、れがっ…どう、した?」 「光栄に思え。その女を雌として喰ってやる」 『魔神』の笑みに聖人は凍りついた。 「選べ、聖人。ここで体を裂かれるか?愛しき君主が眼前で快楽に溺れていく様を横目に、死に絶えるか?」 「き、きっ貴様…!」 外道の言葉を浴びせ、ウィリアム=オルウェルを挑発した。一瞬で頭に血が上ぼる。腕に力が籠るが、『魔神』は徐々に圧していた。『金属棍棒(メイス)』の強度は限界に近い。 だが、聖人の心は折れない。命に代えても守るべき主君の危機に、聖人は屈強な騎士に変わる。この絶対的な力量の差に打ちひしがれる事無く、騎士は背を向けなかった。剣を握り締め、『魔神』に立ち向かう。 騎士は願った。 この状況を塗り替えるほどの剣が欲しい。 己が従う王女を守り抜く剣が欲しい。 『天使』を斬り裂く剣が欲しい。 『魔神』を討ち滅ぼす剣が欲しい。 未来を切り開く剣が欲しい。 その願いは、少女たちによって叶えられた。 「剣、ですか……幾らでもどうぞ」 ガガガガガガッ!と轟音が鳴り、ウィリアム=オルウェルの周囲にある突如としてアスファルトが変形した。 槍のような灰色の針が次々と突出する。多環の炭化水素の油やレジンの中にコロイド状に分散しているアスファルテンと呼ばれる高分子炭化水素がさらに形を変え、茎を形成し、柄を形成し、鯉口を形成し、鋭利な刃を形成した。 「なっ!?」 その光景に、ウィリアム=オルウェルは驚愕した。 彼の眼前に、一〇〇〇を越える剣が現れた。 カットラス、サーベル、ロングソード、レイピア、フランベルジェ、クレイモア、エストック、グレートソード、ショーテル、コピス、スクラマサクス、青龍刀、ダガー、日本刀、バスタードソードなど、古今東西の剣が創造された。 フワフワな栗色の髪をした、身長一四五センチほどの小柄な少女はペコリと頭を下げた。その場に相応しくないメイド服と黒マントを着用したままで、スカートの先端にあるフリルを両手で掴む。 「改めて初めまして。上条当麻様。私は常盤台中学二年、久蘭お姉様の終身メイドを務めております、剣多風水(けんだふうすい)と申します」 両手を前にかざす。 メキメキとアスファルトが音を立て、二本のショートソードが精製された。手元に置かれた剣は、『魔神』に穂先を向け、音速を超える速度で投擲される。ギュン!と耳を劈くマッハ波が鳴り響いた。続いて、背後に精製されていた剣が次々と突撃した。 『天使』と『魔神』に幾多の剣が襲いかかり、数十メートル後退した。 「私の能力は『金属使い(メタルオブオーナー)』。お姉様の盾となり、剣となる従僕。金属を操ることには長けているのですが、周囲に金属が無ければ、私は『無能力者(レベル0)』も同然」 剣多風水の周囲にある瓦礫が全て剣へと変換される。精製を終えた剣は、一刃の弾丸となり、その勢いは止まる事を知らない。彼女はウィリアム=オルウェルの元へと歩みより、一振りの剣を創造した。 聖人は眼を疑った。 漆黒の柄に黄金の竜の刺繍。輝く刀身には剣の名が刻まれていた。 『GALLATIN』 アーサー王に仕えた円卓の騎士の一人、ガウェイン卿が所持していたとされる、絶対勇者だけが持つことを許される剣だった。 勇猛果敢で強靭な騎士が、主君を守り抜くために振るう呪破の剣。 偶像崇拝の能力付加を基礎としたレプリカとはいえ、一本の聖剣は、一〇〇〇本の名剣に勝る。 「貴殿は、一体…」 栗色の髪と栗色の瞳をした少女は、淡々とした口調で言葉を発した。 「これもメイドの嗜みです」 ズドンッ! 続いて、秒速六〇〇〇メートルを超える五〇口径二五〇ミリ滑腔砲が『魔神』に激突した。 眩い閃光が大気を切り裂く。砲弾が潰れ、粘着榴弾が爆発する。 粘着榴弾とは目標に着弾後つぶれ、密着した後に起爆する「対戦車用」の砲弾だ。ホプキンソン効果によって、衝撃波が目標車両の装甲を伝わり装甲の裏側が剥離飛散するスポール破壊を引き起こす。飛び散った装甲の破片によって内部の人員、機材にダメージを与え、第二次世界大戦ごろに徹甲弾に取って代わられたアウトオブデイトだが、学園都市では「対能力者用」として改良された粘着榴弾が開発されていた。 現代の戦争において主流である徹甲弾よりも、対人間兵器として特化した弾丸が『魔神』に浴びせられた事となる。 それだけではない。 通常、五〇口径二五〇ミリ砲弾の初速は、毎秒一八〇〇メートル程度である。 外部から受けた一七億ボルトの高電圧により、ローレンツ力とプラズマと共に、速度表皮効果による加速がなされ、その破壊力はさらに増していた。 すなわち、正真正銘の『超電磁砲(レールガン)』。 砲弾の硝煙が晴れると、五〇口径二五〇ミリ滑腔砲を放った大砲と、二人の少女の姿があった。 ゴーグルを装着している一人の少女は、 「原始的な構造の牽引砲ですが、流石は学園都市最高の『武器職人(ウェポンスミス)』。即席の代物にしては文句のつけようがありませんと、ミサカは高く評価します」 「風水に自ら金属を生み出す能力があったら、とっくの昔に『レベル5(わたしたち)』の仲間入りしてたわよ…」 「ところで…アンタ、何してんの?」 パンパンと手を叩いたもう一人の少女は、爆炎に包まれた『魔神』に声をかけた。 腰まである茶色いロングヘアーに、日本女性の平均よりも高い一六五センチほどの背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。そして、剣多風水と至宝院久蘭と同じ、黒のマント。 学園都市『超能力者(レベル5)』第一位、『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ御坂美琴がそこにいた。 爆弾で羽を失い、全身が煤で汚れた純白の『天使』を目端に、彼女は、 「当麻、五和をどうしたの?」 「なに、甘い言葉を囁き、籠絡しただけだ。ただ嬲るだけには惜しい女だ」 「…恋心に漬け込むなんて、本当に最低」 御坂美琴は心底落胆したような溜息をついた。 全身を黒に覆うマントが風に靡く。 「a,aaaaaaAAAAH!」 爆発で翼を捥がれた『天使』を横目に、『魔神』は、 「どうだ?心地よい声だろう?快楽に組み伏した時の、お主の鳴き声ほどではないがな」 『魔神』の真紅の瞳が、二人を見つめた。言い知れぬ悪寒を感じ取ったミサカ一〇〇三二号は反射的にアサルトライフルを構えた。御坂美琴は腕を組んだまま、一息吐くと、 「当麻。大好きよ。世界中の誰よりも愛してる」 彼女は戦場の中で、意中の男に愛の告白をした。 遺伝子レベルで同一なミサカ一〇〇三二号すら、御坂美琴の行動が理解できず、思わず彼女の顔を見た。 「貴方が、世界を壊す魔王になるというなら、私は魔女になってみせる。私はね、上条当麻って男にめちゃくちゃ惚れてるの。そこらへんのカップルとか、恋愛小説なんかとは比べ物にならないくらい、私たちは愛し合ってる。 背は結構高いし、顔立ちだって整ってる。運動神経はズバ抜けて凄いし、最近は勉強も出来る。学生なのに、奨学金やら『神上派閥』やらでお金には困らない程の甲斐性ありだし。世界中探したって当麻ほどの超優良物件は無いわよ」 「随分と気の強い女だ。屈服させ甲斐がある」 ズドドドドンッ!! 一撃、二撃、三撃、四撃、五撃。 一瞬にして上空に暗雲が立ち込み、一〇〇〇億ボルトの雷が不自然に発生した。 バチバチと、青白い高電流が頭上で発生し、 「ねぇ…当麻。私、マジでムカついてんのよ」 三発の落雷は、『上条当麻』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』により打ち消され、二発の落雷は、再生しかけていた『天使』の翼を焼き尽くした。再び『天使』は叫び声を上げながら地に落ちた。『魔神』は右手を空に上げながら、 「…ほう?」 唇を三日月のように歪めていた。 「当麻はいっつもそう。他人の悩みはすぐに気づいて解決しちゃうのに、自分の事は一人で背負い込んじゃう…」 「確かに、この男は――」 『魔神』の声は、彼女の怒号によって遮られる。 「それが、大きな間違いだって言ってんだろうが!悩みを一人で抱え込むなんてのは、馬鹿がやることなんだよ!さらに性質が悪いのは、当麻はそれを一人で解決できるチカラを持っちゃってること!私はねぇ!男に守れられてばかりの女じゃない!アンタの帰りを待つだけなんて真っ平ごめんよ!」 『魔神』を睨みつける御坂美琴の瞳が黄金に輝いた。 (…なに?) 御坂美琴の変化に、『魔神』は眉を潜めた。 彼女は大声で叫ぶ。 「風水!!」 名を呼ばれた至宝院久蘭終身メイドこと剣多風水は、フリルのついたスカートを両手で持ち上げると、頭を深く下げた。 「了解しました。美琴お姉様」 剣多風水も御坂美琴と同じく、栗色の瞳から黄金に変わる。 メイド服の少女の瞳を見て、『魔神』の表情から笑顔が消えた。 「砲口制退器、砲身、駐退復座機、閉鎖機、砲耳、防盾、揺架、平衡機、上部砲架、下部砲架、架尾鐶、駐鋤、固定双脚を構成、三次元同時演算における精製に移行します」 ボゴボゴボゴボゴォ!と剣多風水の左右にある瓦礫の山が歪み始めた。 周囲の異変を察知したウィリアム=オルウェルは、聖剣ガラティーンを引き抜くと揺れ動く足場から立ち去った。倒れている魔術師たちに目を向ける。そこには、御坂美琴を同じ顔をした少女たちがコーグルを被ったまま、彼らの身体を数人がかりで引き上げていた。 「『魔術師(メイガス)』様、早急に離れた方が得策です、とミサカ一四五八二号は率直に警告します」 「…何をする気であるか?」 聖人の問いに答えることなく、『騎士団長(ナイトリーダー)』、バードウェイ、オッレルス、シルビア、ステイル=マグヌスを救出した一三人の『妹達(シスターズ)』は、彼らを抱えたまま後退した。 ウィリアム=オルウェルは足元を見た。地面に落ちている金属や砂利が大群の蟻のように蠢いている。この現象を引き起こしているのは、彼の手元にある聖剣を作りだしたメイド服の少女に違いなかった。 (これが…超能力であるか。魔術でもこれほどの業、出来るかどうか…) 『聖痕(スティグマ)』を発動させ、脚力を爆発させる。 ひとっ飛びで『魔神』と『天使』から距離を離した時、真下に広がる光景を目にして、ウィリアム=オルウェルは再び言葉を失った。 一人の少女によって、一〇〇を越える牽引砲が精製されていた。 一機の牽引砲には、三人の『妹達(シスターズ)』が傍に控えていた。一人は高低標準装置で狙いを定め、もう一人は方向標準装置を設定し、最後の一人は、五〇口径二五〇ミリ滑腔砲を揺架に装填した。 『魔神』と『天使』に、五〇口径二五〇ミリの大砲が向けられている。 瓦礫と崩壊したビルに囲まれた戦場は、瞬く間に、幾多の剣と牽引砲が聳え立つ軍地と化していた。 「標的をドラゴンから『天使』に変更。『マザー』の情報高速処理をバックアップとして、ミサカネットワークを通し、標準はコンマ04の修正を最重要命令として要求」 腕を組んだ御坂美琴は一息を吐くと、 「撃て」 戦場は轟音に塗り潰された。 断続的に初速一八〇〇メートルの五〇口径二五〇ミリ滑腔砲が放たれる。一発、二発、三発と、標準は寸分の狂いも無く、『天使』に直撃した。 魔術防壁と神の力によって保護されている翼も、一〇〇発を越える強烈な火薬弾頭と衝撃波には耐えられるはずもない。純白の翼を突きぬけ、五〇口径二五〇ミリ滑腔砲は天使の聖鎧に届いた。 「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHH!?!」 人間の言葉とも悲鳴とも異なる音を『天使』は発した。だが、その音すらも、大砲の銃声にかき消され、御坂美琴や『妹達(シスターズ)』の耳に届く事はなかった。 人ならざる『魔神』を除いて。 「なにっ!?」 『天使』が数キロ先に吹き飛ばされる光景を横目に、『魔神』の表情に初めて動揺が浮かんだ。 刹那、『魔神』がいる場所へと、一筋の道が現れた。 それは舗装されたアスファルトの道路のようなものではない。地面から発生している高電流によって、浮上した瓦礫の足場。 空中に出来た階段を、御坂美琴は人間離れしたスピードで駆け抜けた。 『魔神』は目を見開いた。 黒マントを靡かせながら、御坂美琴は『魔神』との距離を詰めていく。 『魔神』は右手をかざし、ゴバッァ!と宙に浮いている瓦礫を大気ごと消滅させた。 だが、御坂美琴は止まらない。 常人を超越した反射神経で、右手の消滅を免れた彼女は、自身の能力である電気をコントロールし、瓦礫を浮上させ、幾多の足場を作っていた。一つ一つの瓦礫を蹴飛ばし、数メートル離れた足場を、蝶が飛びまわる様に踏み越えていく。 ゴロゴロオオオッ!!と、御坂美琴は左手から一〇〇〇億ボルトの電流を『魔神』の方向に発射した。だが、電撃は『魔神』ではなく周囲に散乱した。 「!?」 『魔神』を幾多の灰色の刃が襲った。 御坂美琴の能力によって、振動した砂鉄の刃が『魔神』を中心に螺旋状の刃を形成する。ズバァッ!とアスファルトをいとも簡単に切り裂いた。幾多の刃が中心に重なり合う前に、『魔神』は一〇メートルほど飛びあがる。終結した砂鉄は剣山を形成し、間欠泉のように吹き上がった。空中に漂う『魔神』を追い詰める。 『上条当麻』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が、灰色の剣山をただの砂鉄に帰した。 その時、『魔神』と同じく、地上から約一〇メートルほど浮かび上がった足場にいた御坂美琴は『魔神』の射程範囲に入ってしまった。真紅の瞳が、茶色のロングヘアーをした彼女を見つめ、右手をのばす。 「『現実守護(リアルディフェンダー)』を――」 『魔神』はそこで言葉を止まった。 神すら理解できなかった。眼前で御坂美琴の姿が消えたワケが。 背後から聞こえた声に、『魔神』は反応が遅れる。 『魔神』が目の端に捉えたのは、懐から拳銃を引き抜いた御坂美琴の姿。 生まれた一瞬の隙に、彼女は迷いなくトリガーを引いた。 ドゥン!とソレノイドで加速された九ミリパラベラム弾が『魔神』の右腹部を貫いた。 「ぐあああああああああアアアっ!!」 『魔神』は悲鳴を上げた。 『超電磁砲(レールガン)』で右腹部を撃ち抜かれ、激痛が走る。 血が溢れ出る腹部を押さえ、『魔神』は膝をついた。 その瞬間を目撃したウィリアム=オルウェルは絶句する。 単独で一国の軍事力を誇る『魔王』ですら、 世界に二〇人といない『聖人』ですら、 最強と恐れられた名高い魔術師たちですら、 『神(ドラゴン)』に弄ばれ、傷一つ負わせる事すら出来なった。 だが、たった一人の少女によってその幻想が打ち砕かれることになる。 その現実を受け入れるのに、聖人は少々戸惑ってしまった。 彼女が操作していた、宙に浮かぶ瓦礫の足場は役目を終え、ガラガラと重力に引かれ地に落ちていく。『魔神』を見下ろしている少女、学園都市『超能力者(レベル5)』第一位、御坂美琴は茶色のロングヘアーをかき上げた。右手に持つベレッタW78には、彼女が施した電気がバチバチと煙を立てて発生している。 そして、九ミリパラベラム弾の『超電磁砲(レールガン)』の二発目が『魔神』に向け、躊躇なく発射された。 今度は『魔神』は被弾することなく、ズバァン!と『超電磁砲(レールガン)』は土を撒き散らしながら地面を深く抉った。 「『竜王の脚(ドラゴンソニック)』か……ほんっと、当麻の能力って反則レベルよね。努力なんてなんてものが、本当に馬鹿らしく思えてくるわ」 銃口から噴き出る硝煙に、フッと御坂美琴は息を吹きかける。 彼女の視線の先には、ワイシャツが血に染まる腹部を押さえている『魔神』が彼女を睨みつけていた。 『魔神』の表情に一切の余裕がない。ただ、言葉を綴る。 「貴様の『空間移動(テレポート)』……そのチカラ、『幻想御手(レベルアッパー)』か」 「ご明答♪」 『魔神』の真紅の瞳は、御坂美琴の黄金の瞳を捉えていた。 そう、御坂美琴が繰り出す一〇〇〇億ボルトの電撃も、剣多風水の大規模な演算処理も、『幻想御手(レベルアッパー)』を用いてミサカネットワークに介入し、『妹達(シスターズ)』と『マザー』の演算能力を借りての能力だった。勿論、先ほど御坂美琴が行った『空間移動(テレポート)』は白井黒子の能力であり、三次元から一一次元への特殊変換を要する複雑な演算も、五〇〇〇人を越える『妹達(シスターズ)』の並列作業でいとも簡単に処理することができる。 故に、御坂美琴は名実ともに『妹達(シスターズ)』の頂点に立っていた。 御坂美琴は左手を上げ、黄金の瞳が『魔神』を射抜く。 ゴロゴロォォォン!と、雷鳴に似た音と共に、一〇〇〇億ボルトの電撃が周囲を満たし、大量の砂鉄と金属が宙に浮かぶ。 数百キロを超える瓦礫が音速を越えて舞い、一〇〇〇億ボルトの電圧を纏う、死の螺旋。 眩い光を伴う竜巻の中心で、御坂美琴は漆黒のマントと長い髪を揺らせながら、 「ドラゴン、耳をかっぽじってよく覚えておきなさい。私は御坂美琴。上条当麻に相応しい女よ」 こうして、神を恋人に持つ一人の少女は、彼に相応しい『雷の女神』と化した。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある男女の恋愛生活 わかってくれるのかな 桜の時期が過ぎ、緑が盛りを迎える季節。 御坂美琴は、中学3年生に進級した。 まもなく連休間近のとある週末の夜、完全下校時間も過ぎ、街は春の闇に包まれかけている。 街灯の明かりに照らされた道を、美琴は息を切らせて走っていた。 学園都市第三位にして『超電磁砲』の通り名を持つ彼女は、常盤台中学の代表として、極めて多忙な毎日を送っていた。 そんな始業式以来の忙しさもやっと一段落して、明日は久しぶりに何の予定もない。 寮の門限を過ぎている中、ルームメイトの黒子のおかげで、今日も無事にこっそり抜け出せた。 彼女にはいつも迷惑をかけているが、それでも黒子は、お姉様のお役に立てればそれだけで充分すの、と協力を惜しまない。 こんな自分のために、一生懸命に尽くしてくれる黒子には、ホントに感謝してもしきれない。 また何かの機会にお礼をしなくちゃね、と彼女は走りながら思う。 さすがに息が切れ、喉が渇いたので、途中いつもの公園に、一息つこうとやってきた。 ここを抜ければ、アイツの部屋まであと少し。 でもそこで見たのは、自販機と街灯の明かりに照らされて、ベンチに座っていたのはツンツン頭のアイツだった。 私が会いたい、世界で一番大好きな人。 私の全てを壊して、何もかも攫っていった愛しい少年。 その姿を目にした途端、私は足がすくんでしまってた。 こんな時間に、アンタはここで何をしてるの? 春休みの間、始業式までほとんど毎日、アンタと一緒にいたのに、ちょっと会えなかっただけで、私はこんなに胸が苦しいのに。 会いたくて、会いたくて、泣きたくなるほどに胸が苦しいのに。 こんなときに電話をすると、声を聞いただけで私は苦しくて倒れそうになる。 いつもはメールで済ますのだけど、こうして会えない時が続いてしまうと、どうしても会いたい気持ちが抑えられない。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな。 いつか、わかってくれるのかな。 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな。 ロシアでアンタを失った時、私の心は死んじゃった。 私の前から、アンタが消えていくのは耐えられなかった。 まるで形見のように残されたゲコ太ストラップを握って、私は泣くしかなかったの。 そんな時、黒子だけは、そんな打ちのめされた私の横で、寄り添って私を支えてくれた。 アイツが私にとっての全てだったってことが、黒子にもわかっちゃったみたい。 そんな黒子は、あの殿方が戻っていらしたら、私はお姉様に協力を惜しみませんの、と言ってくれた。 黒子にまで、そんなことを言わせたアイツは、やっぱり私の特別な人。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな。 いつか、わかってくれるのかな。 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな。 アイツがロシアから帰ってきた時、私は何も言えなかった。 嬉しくて、だけど恥ずかしくて、でもやっぱり本当に嬉しくて、思わずアイツに電撃を放ってしまったの。 そんなアイツは、右手で私の電撃を受け止めて、「御坂、ただいま」って言ってくれた。 その言葉を聞いた途端、私の心は生き返ったの。 私の中に閉じ込めておいた何もかもが溢れ出して、私はアイツにしがみついて、泣くしかなかったの。 泣いて泣いて泣いて、それでも最後に、やっと笑って「おかえり」と言えた。 その時は、素直に言えた。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな? いつか、わかってくれるのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな? アイツはロシアで携帯をなくしたらしい。 素直に言うのはやっぱり恥ずかしくて、今回も罰ゲームってことで、もう一度ペア契約させちゃった。 ゲコ太キャンペーンは終わっていたけど、ロシアで拾ったゲコ太ストラップをもう一度つけたの。 これはアンタと私を繋げる大切なものだから、今度は絶対外れたりしないよう、神様にお願いしながら。 今度のツーショットは、お願いしたら、アイツは優しく抱きしめてくれた。 画面に写った、アイツの笑顔が眩しかった。 恥ずかしかったけれど、お店の人に頼んで、その写真を待ち受けにしてもらったの。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな? いつか、わかってくれるのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな? それから毎日のように、公園でアイツを待ってた。 メールで誘ったこともあるし、偶然を装って、自販機の前で待ち伏せたことだってある。 だってアイツの顔を見ないと不安になるんだもの。 今でもアイツが倒れる夢を見て、夜中に飛び起きることだってある。 だからいろんな理由をつけて、少しでもアイツと一緒にいたかった。 セールに付き合って、課題を片付けるのを手伝ってあげるのも実はそう。 私はアイツの笑った顔を見て、安心したかったんだ。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな? いつか、わかってくれるのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな? 実は前から気になってたことがあったの。 いつもアイツの横にいる、白い修道服の銀髪シスター、インデックス。 とうまは必ず帰ってくるって言っちゃって、私なんかよりずっとずっとアイツのことを信じてるみたい。 アンタはあの子のなんなの?って聞いてみたいけど、やっぱり怖くて聞けない。 でもやっぱりあの子に負けたくなくて、ある日勇気を出して聞いてみた。 アイツは記憶喪失でわからないとは言ったけれど、恋人とかそういうのではなかったみたいで安心した。 アイツは、インデックスの保護者みたいなもんで、まぁ娘とか妹みたいなもんかなって言ってた。 だけど一緒に住んでるって、聞いた時は、本当に胸が痛かった。 どうせアイツのことだから、また1人でなにか抱え込んでるに違いないって思ってる。 でもアイツを思う気持ちは変わらなくて、アイツの助けになるのなら、私に出来ることをしようって思ったの。 アイツがあの子を大切に思うのと同じように、私もアイツが大切だから。 その気持ちだけは誰にも負けたくないから、私がアイツの支えになれたらいいなって。 「私はアンタの力になりたいの」って言っちゃった。 そうしたら、アイツ、スーパーの特売に付き合ってくれだって……。 どうやらあの子の食欲は大変なようで、いつも食事には困ってるみたい。 どうせアイツは誰にも頼ろうとしないから、食材持って、アイツの部屋へ私から押しかけてやるって決めた。 「どうせたいしたもの食べてないんでしょ。育ち盛りに影響するからご飯作りに来てやったわよ」 そう言って、アイツが唖然としている間に、手際よく料理を仕上げて、どうぞ召し上がれってね。 美味しそうにパクついてる2人には、ちょっと意外だったみたい。 ま、常盤台のお嬢様舐めんなってとこかしら。 インデックスに「ごっはん♪ごっはん♪みことのごはんは、おいしいね」って言われたら、また作ってあげたくなるもの。 アイツだって、満更でもなかったみたい。 なら今度は土御門舞夏誘って、お隣の舞夏のお兄さん共々ご馳走してあげようかって言ったら、2人とも大喜びしてくれた。 それから舞夏と相談して、週末に2人でアイツの部屋へ押しかけた。 アイツなんて、こんなご馳走今まで食べたことないぞ、なんて言ってくれちゃって。 舞夏のお兄さんから、「花嫁修業は完璧だにゃー」なんて言われちゃった。 舞夏からも、「みさかみさかー。これで攻略は完璧だぞー」なんて言われて、思わず顔が赤くなっちゃった。 アイツ、毎日でもいいなんて呟いてたから、私も出来る限り、ご飯を作りに行こうって決めた。 アイツは無理するなって言ってくれるけど、アイツのためにしてあげたくて行くんだもの。 無理なわけないじゃない。 それにお昼も大変なようだから、私はアイツのお弁当を作ってあげることにした。 寮生活だから、毎日は無理だったけど、それでも出来る限り作ってあげた。 やっぱり恥ずかしかったから、高校生活に備えての練習よって誤魔化しちゃった。 俺でよければ、いくらでも協力するからなって言ってたけれど、それでもアイツは喜んでくれた。 アイツが喜んでくれれば、私も嬉しい。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな? いつか、わかってくれるのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな? クリスマスにデートに誘いたかったけど、先約があったみたい。 ちょっと、というか、かなりショックだったけれど、アイツはモテるから仕方が無いのかもしれない。 私がもっと素直でいられれば、誰かにとられることもなかったのかなって落ち込んじゃった。 そうしたら、アイツの方から、 「俺、知り合いからクリスマスミサに誘われてるんだ。なんならお前も一緒に来るか?」 なんて誘ってくれた。 アイツから誘ってくれたのは嬉しかったけれど、誰に誘われたのか、ものすごく気になってちょっとイライラしちゃってた。 教会に着いたら、神裂ってポニーテールでセクシーな格好した巨乳のお姉さんと、前に会った五和ってやっぱり胸の大きな女の子に、私のこと親友だって紹介してた。 アンタはそんなに巨乳が好きなのかあああって、後で思わずアイツをぶん殴っちゃった。 そんなことするから、いつまでたっても私はアイツの特別になれないんだなって落ち込んじゃった。 でもアイツはそんな私に、大切な友達って言ってくれた。 ただの友達じゃなくて、大切なって……言ってくれた。 それだけで、その言葉だけで、私は素直にごめんなさいって言えたの。 そんな私に、アイツは俺が悪かったんだし、気にすんなよと言ってくれる。 そんな優しいアイツは、やっぱり私の特別な人なんだって、気付かされちゃった。 だから帰り道には、素直にアイツの腕にしがみつくことが出来た。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな? いつか、わかってくれるのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな? 年末に実家へ帰ってたら、なぜだか両親がニヤニヤしてた。 すぐご近所に、仲の良い知り合いの家族がいて、そこの家の子も学園都市にいるらしい。 その時は特に気にも留めずに、家の近くを散歩してたら、ばったりアイツに出くわしちゃった。 アイツの実家もウチの近所にあるって……それもしかして……って思ってたら……。 元旦の挨拶に行くって言われて、振袖を着せられて、連れて行かれたのは、やっぱりアイツの実家だった。 お母さんに、ここ、美琴ちゃんの好きな人の実家よって言われて、恥ずかしくって真っ赤になったのを、しっかりアイツに見られちゃった。 だからアイツには、初詣のお神酒を飲んだからって誤魔化しちゃった。 両親達から、馴れ初めを聞かれたけれど、私はアイツの記憶喪失のことを知られないようにしてたから、何を言ったかほとんど覚えてない。 だけど後でアイツに、本当に助かったよ、ありがとうと言われて、アイツの役に立てて、私は本当に嬉しかった。 だからアイツに、 「あ、あ、アンタの役に立てたのなら、わ、私は本望よ」 って言っちゃった。キャッ♪ でもアイツは、私の顔が赤いのを、酔っ払ってると思ったらしくて、まだ酔いは醒めないのかって言いやがったから、思わずぶん殴っちゃった♪ 酔ってるから仕方ないわよねって言ってやったわよ。フン♪ でも私の振袖姿を見たアイツの顔も赤かったのを、私は見逃してない。 せいぜい後で思い出して、ドキドキすればいいのよ。 私なんて、いつもアンタにドキドキさせられてるんだから。 そんな私の気持ち、アンタはわかってくれるのかな……。 いつか、わかってくれるのかな……。 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、わかってくれるのかな……。 バレンタインデーに、私は初めて手作りチョコを作ったの。 もちろん大好きなアイツと、いつも迷惑かけてる黒子の分。 黒子のおかげで、私はアイツと時間を気にせず会えるのだから。 アイツは、お正月以来、私と会うたび顔を赤らめてるのがわかる。 やっぱりドキドキしてくれてるのかな。 私のことを、少しは意識するようになったのかな。 いつもの公園で会ったアイツは、その上なぜかボロボロになってた。 学校で、本命チョコが欲しいと口走ったら、クラスメイトにボコボコにされたらしい。 不幸だっていつもの口癖をつぶやいてたから、私はつい、 「私はアンタと一緒なら不幸にならない……」って呟いちゃった。 まずいと思って、急いでアイツにチョコを渡してやったの。 アイツ、これ手作りかって聞いてきたけど、内緒って言ってやった。 やっぱ義理チョコかとも聞かれたけれど、それも内緒って言ってやった。キャッ♪ でも……本当はそんなの、恥ずかしくて言えるわけ無いじゃない。 本命チョコだって言えるわけ……無いじゃない。 言いたかったけど……。 アイツ、ホワイトデーのお返し、何がいい?って聞いてきたから私、「アンタのくれるものなら何でもいいわよ」って言っちゃった。 やっぱりもっと素直になるべきなんだろな……。 そんな私の気持ち、だから、わかってもらえないのかな? だから、わかってもらえないのかな? 御坂美琴は、上条当麻が好きだってこと、やっぱりわかってもらえないのかな……。 待ちに待ったホワイトデー。 アイツに会う前から、ドキドキしちゃって、大変だったの。 アイツからは、ネックレスをプレゼントされた。 私、つい妹のしてたネックレスを思い出しちゃって、 「どうせアンタのことだから、姉妹で同じものをって考えたんでしょ……」 って言っちゃった。 そうしたらアイツ、怒ったのか、ちょっとビクッてしてた。 だから私、あわてて誤魔化しちゃった。 「アンタのくれるものなら何でもいいって言ったのはこっちだし、ありがたくもらっておくわ」 私、最低だ。 そのネックレスは、見ただけで妹のとは、出来が違うのがわかった。 アイツ、多分アルバイトでもして、私のために買ってくれたのだろうな。 そんな最低な私に、アイツは言うの。 「あまりお金なくて、常盤台のお嬢様がお気に召す様なもの買えなくてさ、ごめんな」 そんな申し訳なさそうな顔、させてしまったのは私なのに。 そんな自分が恥ずかしくて涙が出てきちゃった。 そうしたらアイツ、「体調悪いのか」って聞いて、いきなりおでこをくっつけてきた。 私、そのまま意識が飛んじゃった……。 気が付いたら私、公園のベンチでアイツに膝枕されてた。 アイツの優しい目が、私を見つめてた。 そんな瞳に見つめられたら、私……。 気が付けば、アイツの上着が、私の体にかけられてた。 アイツの底抜けな優しさが、私の心にじんわりと染みてくる。 ――あのね…… ――アンタが傷ついたとき、私は癒してあげられるのかな…… 私はそうアイツに言いそうになって、あわててその言葉を呑み込んだ。 アイツにそんな顔をさせたのは……他でもない私だ。 私に、そんなこと言える資格なんて……あるわけ……ないよね。 それでもアイツ、体調悪いのなら、無理すんなよって言ってくれる。 私、そんな辛そうな顔してたのかな。 私だって、アイツにはこんな顔、見せたくないって思う。 アイツも、辛そうな顔するんだもの。 突然腕をとられて、肩を抱き寄せられて、私の思考はストップした。 私を、寮まで送ってくれるって言ってくれてるの。 恥ずかしくってふらふらしちゃうけど……今はこのままでいたい。 ぎゅっと肩を抱かれて、触れたところから、アイツの温かさが伝わってくる。 そっと、アイツの肩に頭を寄せると、アイツの息吹が私まで伝わってきそう。 寮に着いたら、他の寮生に、アイツ、私の彼氏と勘違いされてたみたい。 でも否定しなかったよね。 でもそれって……少し期待しちゃっていいのかな。 その後黒子があわてて飛んできたわ。 後で聞いたら、私が倒れたと勘違いしたらしいのね。 騒ぎになる前に、私は黒子のテレポートで部屋へ戻ったの。 その日から、アイツにもらったネックレスは、私の大切で、特別な宝物。 ずっと毎日、肌身離さず着けていたの。 シャワーを浴びる時だって外してない。 これを着けてると、アイツがいつも傍にいてくれるような気がするの。 しばらくして、アイツに会ったときに言われたわ。 「白井から聞いたんだけどさ、あのネックレス、ずっとつけてくれてるんだってな。 頑張って選んだ甲斐があったな。 御坂に喜んでもらえたなら、俺も嬉しいよ」 その時、私、恥ずかしくって、素直になれなかった。 つい、いつもの照れ隠しで、アイツに言ってしまった。 「アンタへの借りを忘れないためよ…」 ホントに私、最低だ。 その時のアイツの顔が、苦痛に歪んだのは、私のせいだ。 なのにアイツは……アイツは……いつも優しいの。 「そんなつもりなんて無くてさ、俺はお前に喜んでほしいと思ったんだけどさ、もしかしてお前にいやな思いをさせていたのなら、俺のせいだ、謝るよ。 ごめんな、御坂……」 ――そんなこと言われたら……言われたら……私……どうしたらいいのよぉ……ばかぁ…… 胸をぎゅっと締め付けられて、目の前が滲んで、気が付いたらアイツの胸に飛び込んで泣いていた。 「違うの……違うの……私が言いたい事はそうじゃないの…… 私、アンタを傷つけたのに……アンタはなんで……そんなに優しいの…… 私のせいなのに……ごめんなさい……ごめんなさい……」 それだけ言うのが精一杯で、ポロポロ零れる涙が止まらなくて。 でもアイツはこんな私を、そっと抱き締めてくれた。 ここが私の居場所だったら、私はもう何もいらない。 私はやっぱり、アイツのほかに、何もいらない。 私はやっと気が付いたの。 これが、私の、本当に欲しかったものだって。 「ごめんな。泣かせるつもりはなかったんだけど、なにか俺の言い方が気に障ったのなら許して欲しい。 俺はお前に笑って欲しいんだけど、泣かせるようなことをしてしまった最低な人間だ。 どうしたら許してもらえるか分からないけど、俺がお前には相応しくないようなら、もう会わないほうがいいのかな」 違う! 私が欲しいものはアンタのそんな辛そうな顔じゃない。 私が欲しいのは、優しいアンタの……、当麻の笑顔なのよ。 私と一緒にいる時の、最高の笑顔なのよ。 涙は今も止まらないけど、当麻のために素直になろうと決めた。 当麻のために、笑顔になろうと決めた。 「会わない方がいいなんて、そんなこと言わないで。 私はアンタと一緒なら不幸にならない……。 アンタは……、当麻は……私と居ていいの、ううん、私と居て欲しい。 私は……当麻と一緒ならそれでいいの」 私の気持ち、わかってもらえなくてもいい。 御坂美琴は上条当麻が大好きだから、私は当麻に笑って欲しい。 当麻の笑顔、それが私の欲しかったもの。 だから私は、当麻の笑顔のために、出来ることをしよう。 こんなにも当麻が大好きだから、私は笑顔になれるのよ。 だから、ね。 そんなに辛そうな顔、しないで。 お願いだから。 「それよりそんな顔色だけど大丈夫?どっか気分悪い?」 その言葉で、当麻の顔がホッとしたように柔らかくなった。 よかった……。 そして……。 「ありがとうな、美琴……」 ――え……今……なんて……。 その言葉と、当麻の笑顔に、私の心は打ち抜かれちゃった。 当麻の優しい笑顔に、私は全てを奪われちゃった。 やっぱり御坂美琴は、上条当麻が大好き。 本当に……大好き。 学年末の、当麻の課題ラッシュは、彼にとっては大変だったけど、私には本当に楽しい日々が過ごせたの。 朝から晩まで、一日ずっと当麻のそばにいられるなんて、私には夢のような日々。 もちろんインデックスも一緒だし、課題をこなすのが目的なんだけど、違うのは私が素直にいられること。 ドキドキはするけれど、彼の笑顔が見られるならって思ったら、何も気負いもなくなった。 もっと早くにこうすることが出来たら、私……。 課題に取り組む、当麻の真剣な面持ちを見てると、やっぱり胸がきゅんとする。 当麻に聞こえないように、好き……って呟いてみたりしたの。 勉強漬けの当麻を置いて、インデックスと当麻の話をしながら晩御飯の買出しに出かけたり、疲れて、うたた寝する当麻のほっぺを、インデックスと二人して、ぷにぷにしてみたのも楽しかった。 でもインデックスが出かけてる時に、昼寝中の当麻に、そっと寄り添ってみたのは秘密……。 眠ってる当麻の唇に、指でそっと触れてみたのは秘密……。 その指で、自分の唇をそっと……のは、一生の秘密……。 誰も知らない私だけの秘密……。 だからこんな平穏な毎日が、ずっと続いて欲しかった。 でも……、当麻はしょっちゅう外の世界へ行ってしまう。 そして帰ってきたときには大けがで入院してたり、心配なことばかり。 でもね、今なら私、大丈夫だって言える。 ――当麻は、必ず私のところへ帰ってくるって。 ――当麻がきっと、それを望んでいるからって。 当麻はわかってくれるのかな。 いつか、わかってくれるのかな。 御坂美琴は、上条当麻が大好きだってこと、わかってくれるのかな。 御坂美琴は、上条当麻を信じて待ち続けるってことを、わかってくれるのかな。 ベンチに座ってたアイツは、なにやらブツブツ言ってたけど、いきなり立ち上がって叫びだしたわ。 「俺は、御坂美琴が、好きなんだ!」 え!? 「俺は、御坂美琴が、好きなんだ!」 なんて!? 「俺は、御坂美琴が、大好きなんだ!」 でもやっと……。 「俺は、御坂美琴が、大好きなんだ!」 嬉しい……。 「俺はああ、御坂美琴がああ、大好きだあああ!」 だけどやっぱり……。 「俺はああああ御坂美琴があああああ大好きだあああああ!!!!」 ――そんな大声で言われたら、恥ずかしいじゃないのよ!! 私は久しぶりに、アイツに向かって、電撃を放った。 「アンタはあああ、そんな大声でえええ、なにこっぱずかしいこと言ってるのよおおおお!!!!」 「へ、御坂さん……、今の……聞いて……」 あの馬鹿野郎は、こっちに向いて、間抜けな顔をしてた。 アンタのおかげで、私がどんな思いでいたか、わかってんのかしら。 「こんのおおお鈍感野郎おおおがあああ!!!!」 だから今、思い知らせてやるんだから!! 「御坂美琴はあああ、上条当麻があああ、大好きなのよおおおお!!!!」 どうだ、わかったか!! 「アンタねぇ、新学期始まって、人がてんてこ舞いの時に、夜の公園でなにを叫んでるのよ」 「あのですね、上条さんは、御坂さんに会えなくてですね、ちょっと寂しくてですね、それがなぜだかわからなくてですね……」 当麻が笑顔になった。 私が今まで見たことのない笑顔になった。 私の全てが、当麻のものになったんだと思えたの。 だから私は、当麻の胸に、思いっきり飛び込んでいったの。 ね、当麻はわかってくれたんだよね? 今、わかってくれたんだよね? 御坂美琴は、上条当麻が大好きだってこと、わかってくれたんだよね? 「ね、当麻は、わかったんだよね?」 「ああ、やっとわかったよ、美琴」 ~ Fin ~ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある男女の恋愛生活
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バルス! 紫電のリア友。ニコニコ中毒者。 常連チャットにてああああと言う名前で入室。 やってる事、言っている事、全てメチャクチャ。 ミサミコ『ホームページやりたいと思ってる俺にとってアイスペは先輩でありいい見本』 ↓↓ アイスペ管理人は童貞クソニート 私らしくそれがすべてだから。(ブログ) Author 御坂美琴 やあ、こんにちは! 私のブログにようこそ! 先にいっておくけど、 うp主は美琴バカの男です! 本物の御坂美琴ではありません! 間違えないでよね! 間違えたら 超電磁砲を撃つよ!? あと、この文章「!」多い とか言わないでよね! というわけでアンタ、 このページを見ていきなさいっ! それじゃあ、ビリビリ頑張るから よろしく! ちぇいさー! ※ブログへのリンクは後に記入。 俺の計画 1作目:ニコニコとか(ニコニコRPG的な) 2作目:影茶RPG(影チャット住民出演RPG) 3作目:未定 これらは全てRPGツクールで製作されると思われる。 ※影チャットへのリンクは後に記入。 私らしくあるためのwiki アイスペwikiの影響を受けたwiki。 ※wikへのリンクは後に記入。 名前の由来 御坂美琴 緋黒と将がお怒りだ。 別リンク 影のチャット→ 私らしくあるためのwiki 私らしくそれがすべてだから。(ブログ) 関連リンク 童貞クソニート
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小ネタ 学園都市のバカップル 番外編 バレンタインの悲劇 これは上条当麻と御坂美琴が付き合うきっかけとなった物語。まだバカップルと呼ばれる前のお話です。「アンタ今日は何の日か知ってる?」「知ってるよ、バレンタインだろ?」2月14日、バレンタインデー恋する乙女に勇気を与える魔法の日御坂美琴もこの日のためにチョコレートを用意していた。「こ・・・これ、チョコレート!」「・・・ありがとう、義理でも嬉しいよ」「義理じゃないわよ・・・」「それはどういう意味でせうか?」「鈍感!バカ!ちょっとは私の気持ちに気づきなさいよ!」「・・・・だからどういう意味で?」「ほんとバカなんだから!私はアンタのことが――― 当麻のことが大好きだって言ってんのよ!!!!」上条に衝撃が走る。御坂のことは嫌いではない・・・むしろ好きだ―――「それで・・・答えは?」御坂が顔を真っ赤にして聞いてくる。「えーっと、上条さんはどうして良いのか分からなくて困ってます」「そう、よね・・・いきなりこんなこと言われても困るよね・・・」「あー、勘違いするなよ?困ってるってのは、『好きな子』から先に告白されたから困ってるだけであってだな」「・・・・どういうこと?」上条は一呼吸おいて御坂に答える。「これ、やるよ」上条はラッピングされた箱を御坂に渡す。「これは?」「いわゆる逆チョコってヤツだ、御坂に会ってこれ渡して告白するつもりだった」「え?え?、どういうこと?」「はぁ・・・、俺のことを散々バカだの鈍感だの言っておいて、お前も鈍いじゃねえか・・・ 俺もお前のことが好きだって言ってんだ」「嬉しい・・・当麻・・・」「いきなり名前かよ!『アンタ』からずいぶん出世したな・・・」「ずっとそう呼びたかったの、でも素直になれなくて・・・」「御坂」「美琴って呼んで」「美琴・・・・これからよろしくな!」「うん!当麻!」こうして2人は付き合い始めた。2人はその後初めてのデートを楽しんだのであった。「この後のことなんだけど、当麻の部屋に夕飯を作りに行っていい?」「ええ!?どうして急に・・・」「ダメ?」「いえ、是非お願いします」スーパーで買い物を済ませて、上条と美琴は並んで歩く・・・「どうした美琴、何か嬉しそうだけど」「だって当麻のために夕飯を作れると思うと嬉しくてー」「上条さんも嬉しいですよー、美琴のチョコレートをもらっただけじゃなく手料理まで食べれるなんて!」そう言いながら2人は上条の部屋に着く・・・この後上条に地獄が待っているとも知らずに――― 「ここが当麻の部屋なんだー」(うわぁ・・・当麻の匂いがする)「どうした美琴?」「何でも無いわよ!とりあえずご飯の準備するね!」「おお!ありがとうな!」美琴は慣れた手つきで次々と料理を作っていった。「美味そうだな~、ちょっと食べてもいいか?」「ダーメ!もうすぐ出来るから待っててよ!!」上条と美琴は新婚気分を味わっていた、まだ付き合い始めて3時間しか立っていないのにいつの間にか長年付き合っている感じになっていた。料理を作ってくれる姿を見て、上条は更に美琴のことを好きになっていた。「出来たわよ!」料理が出来た、まるで一流シェフが作ったかのような料理。見るからに美味しそうだ。(これを俺のために作ってくれたのか・・・)「いっただっきまーす」上条は美琴の手料理にかぶりついた。「うめぇ!こんな美味いもん初めて食べたよ!!」「そりゃ私の愛情がたっぷり入ってるからね!お替りも沢山あるからいっぱい食べてね!!」「美味すぎる!これだといくらでも食べれるよ!!」「あははー、そこまで喜んでくれると作りがいがあるわーって泣かなくても!!」「だって・・・だって上条さんは嬉しすぎて・・・・こんな可愛くて料理も上手な女の子が俺の彼女になってくれるなんて・・・」「んもぅ!当麻ったら///」「美琴と結婚したら毎日こんなに美味しい物を食べれるんだよなー」「結婚しなくても毎日作りに来てあげるわよ!」楽しい時間は過ぎていった・・・「ね、今日は泊まっていい?」「ええ!?さすがにそれはダメに決まってるだろ!」「当麻は私のこと嫌いなの?」「嫌いなはず無いだろ!!!」「じゃ泊まるね!」「うぅ・・・」「ダメ?」「ダメじゃない」即答だった。上目遣いは反則だ・・・30分後「今美琴が風呂に入ってるんだよなー」風呂場からは美琴の鼻歌が聞こえてくる(耐えろ俺の理性・・・)そして5分後「腹がいてぇ・・・食べ過ぎたのか・・・トイレ・・・ ハッ!」ここで上条は、自分が絶望する事実に気づいた。上条の部屋はユニットバス―――風呂場には美琴が―――「不幸だ・・・」学園都市のバカップル 番外編 終
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人の旅行物語 あれから10時間余りの時間をかけて飛行機はイタリアの飛行場に着陸した。 「着いたな」 「そうね」 空港を出てタクシーを利用した俺達を出迎えたのが巨大な建造物だった。 「なんだここ?」 「ここはサン・ピエトロ大聖堂。カトリックの総本山でもある場所よ」 大聖堂の中へ入った俺達はその後も芸術品の一つ一つに感心させられた。 近くのシスティーナ礼拝堂ではミケランジェロ作の”最後の審判”を穴が空くほど眺めていた。 結局その日は疲れてたこともあり、近くのホテルに入って休むことにした。 で、今ホテルのフロントにいるのだが… 「御坂さん」 「なによ」 「一つつかぬことをお聞きしてもよろしいでしょうか」 「質問は一個までよ」 「なんで俺達同じ部屋に泊まることになってんだよ!」 「べ、別にいいじゃない。減るもんじゃないし」 「すり減るから!俺の精神が。やっぱ倫理的にマズイだろ、同じ部屋に年頃の男女ってのは」 「ふーん。でもアンタ中学生には手を出さないんでしょ?」 「当たり前だ。お前を襲ったら焼肉になっちまうしな。猛獣になんか手を出せるか。」 ちなみに上条の寮では上条が頑として譲らなかったので美琴はベッドで、上条は風呂場で寝た。 とりあえず黙って対黒子のために開発した蹴りをアイツに放った。 「ごばぁぁぁぁ!」 ゴキッという洒落にならない音とともにアイツは地に伏した。 これはやりすぎたかなという気もしたので、アイツの頭を膝に乗せてみた。 世間一般で言う”膝枕”である。 やってみてから気づいたがこれは相当恥ずかしかった。 あの時は必死すぎてそのことに気付けなかったのだろう。 本当に良かったと思う。もし気づいてたならアイツはとどめの電撃を受けて今頃天国にいたことだろう。 (全く…人様がここまでやってるというのに…いい加減気づきなさいよね) 「バカ当麻…」 そんなわけで夜も更けていき、旅行の1日目が終わった。 旅行2日目、ホテルの食堂にて 「今日はどこを回るんだ?」 「トレヴィの泉を見た後、アカデミア美術館のダビデ像を見て、夜はナポリに行くわよ」 「ナポリって何かあんのか?」 「アンタ、知らないの?世界三大夜景のひとつじゃない」 「へー。あとふたつって何なんだ?」 「香港と函館」 「楽しみだな。上条さんワクワクしてきましたよ」 夕方、ナポリ道中― ナポリ付近に道を歩く1組の男女がいる。よく見てみると何やら女性のほうが男性を慰めているようだ。 「ア、アンタ大丈夫…?」 「大丈夫なわけねーだろ!写真を撮ろうと思ったらカメラが急に故障するわ、財布をすられるわ、 スリと間違えられて警察に逮捕されるわで、上条さんのライフはもうゼロです。不幸だ…」 「ま、まぁ無罪って信じてもらえたわけだし…ね」 「それまでにだいたい5時間は取調室におっさん2人とカンヅメだったけどな…」 「ったく、仕方ないわねー。なら、この美琴センセーがそんな上条君を元気にしてあげよう!」 「は?どうやって?」 「こ…こうやってよ!」ギュッ 御坂のやつ何を思ったか、いきなり腕に抱きついてきた。 「うおっ!////」 「…////」 (YABAI!何か慎ましいものが腕にー!!!しかもなんか甘い匂いが) (って何考えてんだ俺はー!!相手は中学生、相手は中学生…) 「み、みみ御坂さん?離してくれると上条さん的には嬉しいんですが…」 (せっかくのチャンスを棒に振ってたまるか!いいわね御坂美琴、ここでアイツを意識させてやるんだから!) 「えっ?ダメ…かな?」ウワメヅカイ 「あ、いや、だめじゃないぞ////」 「じゃあこのままでもいいわね♪」 (少しは意識してくれてるかしら?) (やべえ、御坂がかわいい…、さっき落ちかけたぞ。保ってくれよ俺の理性、お前はやればできる子だ!) 「うおおお!スッゲー綺麗だな」 「わあああ!綺麗ね」 「さっきのカメラがあればなー…今ほど自分の不幸が恨めしいと思ったことはないぞ」 「…なあ、御坂」 「何よ?」 「ありがとな。旅行に誘ってくれて」 「どうしたのよ、藪から棒に」 「いやいや、御坂さんには感謝だよ。おかげで良い思い出ができたよ。この夜景もそうだけど、腕組みのほうも////」 「べべべ、別にいいわよ。////それにこの程度で満足してんじゃないわよ。もっと思い出つくるんだから////」 その後、二人は言葉を発さずただ恋人のように寄り添いながら夜景を眺めていた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人の旅行物語
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【種別】 年表 【解説】 とある科学の超電磁砲の各巻で起こった主な出来事を巻数と日付でまとめたもの。 本編(禁書目録)版は本編 年表、 禁書目録と超電磁砲を交えた時系列は統一年表を参照。 一巻第一話 七月十六日 第二話 七月十七日① 第三話 七月十七日② 第四話 七月十八日① 第五話 七月十八日② 第六話 七月十九日① 第七話 七月十九日② 二巻第八話 七月二十日 第九話 七月二十一日① 第十話 七月二十一日② 第十一話 七月二十四日① 第十二話 七月二十四日② 第十三話 七月二十四日③ 三巻第十四話 七月二十四日④ 第十五話 七月二十四日⑤ 第十六話 七月二十四日⑥ とある学徒の後日談集 第十七話 七月二十五日 番外編 とある二人の新人研修[前篇] 番外編 とある二人の新人研修[後篇] とある科学の超電磁砲SS(「禁書目録」目録)八月一日 アニメとある科学の超電磁砲八月二日~九日? 四巻第十八話 八月十日① 第十九話 八月十日② 第二十話 八月十一日 第二十一話 八月十五日① 第二十二話 八月十五日② 第二十三話 八月十五日③ 五巻第二十四話 八月十五日④ 第二十五話 八月十六日 第二十六話 八月十九日① 第二十七話 八月十九日② 第二十八話 八月十九日③ 第二十九話 八月十九日④ 第三十話 八月十九日⑤ 六巻第三十一話 八月二十日① 第三十二話 八月二十日② 第三十三話 八月二十一日① 第三十四話 八月二十一日② 第三十五話 八月二十一日③ 第三十六話 八月二十一日④ 第三十七話 八月二十一日⑤ 七巻第三十八話 八月二十一日⑥ 第三十九話 八月二十二日 『鉄橋は恋の合図』 第四十話 派閥① 第四十一話 派閥② 第四十二話 Rainbow's End 第四十三話 交渉 第四十四話 開会 八巻第四十五話 伏兵 第四十六話 胎動 第四十七話 遭遇 第四十八話 浸蝕 第四十九話 信頼 第五十話 開戦 第五十一話 解析 第五十二話 暗部 九巻第五十三話 瑕庇 第五十四話 連携 第五十五話 同舟 第五十六話 分進 第五十七話 捜索 第五十八話 疑心 第五十九話 追憶 第六十話 友達 第六十一話 SYSTEM 十巻第六十二話 参戦 第六十三話 渾沌 第六十四話 抗戦 第六十五話 敗北 第六十六話 誤算 第六十七話 右手 第六十八話 DOLLY 第六十九話 閉会 第七十話 約束 十一巻第七十一話 インディアンポーカー 第七十二話 BLAU 第七十三話 注視 第七十三.五話 とある少年の幕間挿話(エピソード) 第七十四話 予知 第七十五話 阻止 第七十六話 我儘 第七十七話 夢 第七十八話 胸 第七十九話 啓示 十二巻第八十話 奇縁 第八十一話 強襲 第八十二話 遊猟 第八十三話 Ha det bra 第八十四話 遊戯 第八十五話 魂魄 第八十六話 茶番 第八十七話 出勤 第八十八話 痛撃 十三巻第八十九話 厄日 第九十話 欺瞞 第九十一話 折衝 第九十二話 巨像 第九十三話 犠牲 第九十四話 推量 第九十五話 初心 第九十六話 再会 十四巻第九十七話 心馳 第九十八話 宣戦 第九十九話 緒戦 第百話 鉄壁 第百一話 院長 第百二話 蠱毒 第百三話 間者 第百四話 潜兵 第百五話 大穴 第百六話 開放 十五巻第百七話 怪生 第百八話 思惑 第百九話 風狂 第百十話 性悪 第百十一話 虚実 第百十二話 洞察 第百十三話 狂愛 第百十四話 苦肉 第百十五話 跳躍 とある科学の超電磁砲SS(アニメ禁書目録BD DVD初回特典)第一話 九月三日・昼 第二話 九月三日・夜 第三話 九月四日・朝~昼頃 第四話 九月四日・夜 第五話 九月五日・朝 第六話 九月五日・夜 第七話 九月六日・昼頃 第八話 九月六日・昼頃 とある科学の超電磁砲SS②(アニメ禁書目録2期BD DVD初回特典)第一話 七月一日 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 とある科学の超電磁砲SS③(アニメ禁書目録3期BD DVD初回特典)第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 とらドラ!vs禁書目録番外編 とある暗部の下着論争(○月×日) 一巻 第一話 七月十六日 朝、御坂美琴と白井黒子が路地裏で不良を一蹴。 美琴の期末能力測定が常盤台中学のプールで行われる。 放課後、美琴・黒子と初春飾利の目前で丘原燎多ら三人が銀行強盗を行う。 丘原ら二人を黒子が確保。同時に、車で逃走を目論んだもう一人の男を美琴が超電磁砲で車ごと吹飛ばす。 第二話 七月十七日① ファミレスにいた美琴と初春の前に黒子が現れ、初春を仕事に連れて行く。 美琴が風紀委員に間違われ、子供が無くしたバッグを探す事になる。 バッグを爆発物と勘違いしていた美琴が、児童公園でヌレヌレのグチャグチャになりながらも回収に成功する。 上条当麻がコンビニのATMにカードを飲み込まれる。 第三話 七月十七日② 【回想】六月十七日ごろ、美琴が不良に絡まれていた所に上条が乱入。逆に美琴を怒らせ雷撃を喰らうが無効化。以後数回遭遇→逃亡を繰り返すことに。 美琴の電撃で上条のカードが戻ってくるが、ATMの警報が鳴ったため逃げ出す。 河原で美琴が上条に決闘を仕掛ける。上条は途中で逃亡し、一晩中追いかける。 第四話 七月十八日① 【回想】七月十七日夕方、とある店で虚空爆破事件が発生。前兆を探知した固法美偉ら風紀委員が発生前に駆けつけるが、男性風紀委員一人が客をかばって負傷。 【回想】七月十一日、連続虚空爆破事件が始まる。 【回想】七月十日、レベル4の量子変速能力者である釧路帷子が原因不明の昏睡状態に陥る。 佐天涙子と初春が、美琴と共にセブンスミストに向かう。 第五話 七月十八日② 美琴がセブンスミストで上条に遭遇。 セブンスミスト店内で虚空爆破事件が発生するが、上条の活躍により人的被害は防がれる。 美琴が犯人の介旅初矢を確保する。 第六話 七月十九日① 初春が熱を出して寝込み、佐天に看病される。 御坂美琴と白井黒子が、佐天から幻想御手の情報を入手する。 美琴が、ネット上で幻想御手を使用したと実名で書き込みをしていた、スキルアウトらしき集団とファミレスでコンタクトを取る。 第七話 七月十九日② 上条の介入により、美琴が情報の入手に失敗する。 スキルアウトらしき集団が美琴に焼かれる。 上条相手に、人間相手では初めとなる全力を出した美琴の雷により、周辺地域で停電等が引き起こされる。 【翌日】介旅初矢が取調べ中に意識不明となり、水穂機構病院に搬送される。 【翌日】大脳生理学の専門チームとして、木山春生らが招聘される。 【翌日】佐天が、ネット上で幻想御手を入手する。 二巻 第八話 七月二十日 木山が病院内と喫茶店で服を脱ぎだす。 黒子が木山に幻想御手事件調査への協力を依頼する。 佐天が初春たちに幻想御手を見せびらかそうとするが、結局見せられずに終わる。 美琴が上条と勝負しようとするが、美琴が躊躇したため未遂に終わる。 黒子がスキルアウトらしき集団をぶちのめし、幻想御手の情報を入手。 第九話 七月二十一日① 黒子・初春、木山が幻想御手だと言われている音楽ソフトを手に入れ、本格的に捜査を開始する。 佐天が、幻想御手を鋼盾掬彦相手に金銭で売買しようとしていたスキルアウトらしき集団と遭遇。 スキルアウトと黒子が戦闘を開始。 黒子、テレポートでの戦闘が通じないスキルアウトのボス相手に苦戦。 第十話 七月二十一日② テレポートを無効化する能力は、自身の周囲の光を捻じ曲げる偏光能力だと判明。 黒子が、手傷を負いながらもビルそのものを破壊する事で偏光能力を動揺させ、拘束する。 佐天が友人のアケミ、むーちゃん、マコちんと会い、幻想御手を持っていることを告白。 第十一話 七月二十四日① 【二十一日】佐天と友人たちが、幻想御手を使用し能力者になる。 美琴と黒子が、幻想御手は共感覚性を利用したものだと気づく。 佐天と友人たちが幻想御手の影響で意識不明になり、冥土帰しの病院に収容される。 幻想御手の作成に使用されている脳波が、木山の物だと判明する。 第十二話 七月二十四日② 幻想御手を利用し、木山が擬似的に多重能力となる。 警備員を壊滅させた木山が、御坂美琴と対峙する。 第十三話 七月二十四日③ 美琴と木山が戦いを繰り広げる。 美琴、木山に敗北する? 三巻 第十四話 七月二十四日④ 木山春生が幻想御手を作成する事となった、理由と過去が語られる。 不意打ちで手痛いダメージを受けた木山春生から謎の胎児(?)らしきものが出現する 第十五話 七月二十四日⑤ 低能力に絶望して幻想御手に手を出した、生徒達の過去。(この日以前の回想、単行本加筆内容)野球に打ち込んで居た男子生徒が、試合で能力者の投手に惨敗。 とある女生徒が能力の使い方を教え、可愛がっていた後輩に身体検査で抜かれ、もう教わる事はないと後輩が言っているのを聞いてしまう。 レベル5を目指して地道に努力をしていた眼鏡の男子生徒が、偶然削板軍覇のすごいパーンチを目撃し、自分の目指す道に努力だけでは越えられそうもない壁があると悲観して向上心を失い、以後、能力開発から落ちこぼれた無気力な学生達に「諦めるな」等と励ますフリをして、上も前も見ずに自分よりも下の者を見る事で安心するようになる。 幻想御手のネットワークの暴走により出現したAIMバーストと御坂美琴が交戦を開始する。 初春が現地の警備員と連携して、幻想御手のワクチンソフトを学園都市中に流そうと行動を開始する。 ファミレスでだべっている、アイテムのメンバーがちょい役で出演する。 第十六話 七月二十四日⑥ 学園都市中に幻想御手のワクチンソフトが流される。 弱体化したAIMバーストが核を撃ち抜かれ、御坂美琴に撃破される。 木山春生が警備員に捕縛される。 佐天涙子が意識を取り戻す。 とある学徒の後日談集 第十七話 七月二十五日 美琴と黒子が常盤台中学学生寮に帰るが、寮監に見つかりプール掃除の罰を受ける。 番外編 とある二人の新人研修[前篇] 風紀委員の訓練所にて、白井黒子と初春飾利が出会う。 郵便局に強盗が現れ、黒子と初春が巻き込まれる。 番外編 とある二人の新人研修[後篇] 白井黒子が絶対等速と応戦し左足首を砕かれるが、美琴の陰からの援護により無事に捕縛する(美琴との出会いはなし)。 この時点では白井黒子は自身を空間移動させる事が出来ない事が判明。 とある科学の超電磁砲SS(「禁書目録」目録) 八月一日 テロリストによって衛星誘導車の『将軍』がジャックされる。 警備員の要請により、風紀委員から初春が派遣される。 黄泉川愛穂と初春が、最悪の事態を防ぐ為に奮闘する。 事件の顛末を見届けた美琴と黒子が、首謀者を制裁しに向かう。 アニメとある科学の超電磁砲 八月二日~九日? 『ポルターガイスト』事件。(アニメ最終話が九日。当てはめるとなるとこの時期が正しいと思われる) 四巻 第十八話 八月十日① 幼少の頃の、美琴がDNAマップを提供する経緯が明かされる。 第七学区にマネーカードを撒いていた長点上機学園の少女がスキルアウトに絡まれるが、話術と演出だけで鎮圧する。 第十九話 八月十日② 美琴が能力を使用して、長点上機学園の学生名簿にハッキングを仕掛け、寿命中断の少女の名前が、布束砥信だと判明する。 注:電撃大王連載時、下記の部分は次月に掲載され、こちらも「第十九話」の表記になっていた。単行本で統合した模様。 美琴が樋口製薬・第七薬学研究センターに進入。妹達の事を知るが、実験は行われる前に永久凍結されたと残されていた為にそれを鵜呑みに。 美琴と入れ違いで妹達の一人が現れ、残されていたデータを消去。 第二十話 八月十一日 美琴、当面の心配事が消えてハイになり、黒子に不審がられる。 三ヶ月前(おそらく五月一一日)、研究場内にてミサカ9982号が生まれる。 女性研究員により、施設内で殺害された、妹達最低でも10人の後片付けを命じられる。 第二十一話 八月十五日① 美琴、妹達の一人ミサカ9982号と遭遇。 第二十二話 八月十五日② 美琴、ミサカ9982号が自分のクローンであることを知る。 初春が美琴から実験の符丁(パス)についての相談を受ける。 ミサカ9982号、白髪の少年と合流。第九九八二実験に向かう。 第二十三話 八月十五日③ 21時00分、第九九八二次実験開始。 美琴、初春の手を借り、符丁(パス)から絶対能力進化計画の存在を知る。 第九九八二次実験、白髪の少年によるミサカ9982号の殺害で終了。 美琴、白髪の少年がミサカ9982号を殺害する現場を目撃。我を忘れ、白髪の少年に戦いを挑む。 五巻 第二十四話 八月十五日④ 美琴、白髪の少年と交戦。 白髪の少年の能力の前に美琴の攻撃はことごとく無力化、切り札の超電磁砲すら反射される。 白髪の少年の反撃前に、計画外戦闘を止めるべく妹達が到着。白髪の少年が警告を受け入れ戦闘終了。 美琴、相手が一方通行であることを知る。 第二十五話 八月十六日 (電撃大王連載時の表記は「八月十五日~十八日」。単行本で修正された模様) 美琴、布束と再会。 美琴、絶対能力進化計画関連施設に対し直接間接両面から破壊活動を開始。残り2基まで迫る。 実験の外部研究施設への引継ぎと施設の防衛が申請され、結果上層部からアイテムに施設の防衛が依頼される。 第二十六話 八月十九日① (電撃大王連載時の表記は「八月十八日②」。単行本で修正された模様) アイテム、キャンピングカーにて電話相手から依頼の詳細を聞き、分散し防衛に当たることに。 美琴、絶対能力進化計画関連施設の破壊に向かうが、施設内で待ち構えていたフレンダと交戦。 第二十七話 八月十九日② (電撃大王連載時の表記は「八月十八日③」。単行本で修正された模様) もう1基の研究施設のデータ移設作業の関係で、布束が研究施設に呼ばれる。 美琴、フレンダを撃破。 第二十八話 八月十九日③ フレンダの救援に麦野、滝壺が到着。美琴と戦闘になる。 布束、妹達に感情データを入力することで実験への妨害工作を試みるが、絹旗に捕縛される。 第二十九話 八月十九日④ 布束、絹旗の隙を突いてミサカネットワークに感情データの入力を行うが、セキュリティに阻まれ失敗。再度捕縛され連行される。 麦野、侵入者が美琴であることを察し、自分一人で勝負をつけるべくフレンダと滝壺を後退させる。 第三十話 八月十九日⑤ 美琴、麦野と交戦。フレンダの置き土産を利用し撃退に成功。 研究施設の破壊後、再度麦野の奇襲を受けるがフレンダの置き土産を利用し撃退。施設からの撤退に成功。 麦野、施設の研究員から資料を奪い絶対能力進化の全貌を知る。 (以下、日付的には八月二十日) 美琴、もう一方の施設に潜入。施設が稼働していない事を確認。 美琴、自販機前で悪戦苦闘中の上条に出逢う。 六巻 第三十一話 八月二十日① (電撃大王連載時の表記は「八月二十日」。単行本で修正された模様) 美琴、自販機に二千円札を飲まれた上条の前で裏技を敢行。その後上条の分を取り返すべく自販機に電撃、警報を鳴らす。 黒子、初春や佐天と自販機の警報を確認。方角から事態を察した黒子が単独で向かい、美琴の仕業であることを確認。 美琴、警報から逃亡した上条に追いつき電撃で入手したジュースの山を渡す。 黒子、美琴が上条と一緒にいる所を発見。 美琴、ミサカ10031号と遭遇。第一〇〇二〇次実験まで終了しており、計画が未だ進行中であることを知る。 第三十二話 八月二十日② スフィンクスのノミ取りをしようとしていたインデックスと姫神が、上条と一緒にジュースを運んできた御坂妹と出会う。 美琴、絶対能力進化計画が183もの外部施設に引き継がれたことを知り、施設への破壊工作を断念。 美琴、計画が学園都市主導の物であることを察する。 (以下、日付的には八月二十一日) 美琴、補習から帰宅中の上条と出会う。 美琴、計画を導き出した樹形図の設計者への破壊工作を決意。 第三十三話 八月二十一日① (電撃大王連載時の表記は「八月二十一日」。単行本で修正された模様) 美琴、樹形図の設計者ハッキングのため第二三学区へ向かう。 ミサカ10031号、道路脇に捨てられた黒猫に気づかず通りすぎる。 一方通行、自分に喧嘩を売った武装無能力集団の殲滅中に上条と一緒にいる御坂妹を発見。第一〇〇三一次実験に向かう。 美琴、施設への潜入に成功。ハッキングにより樹形図の設計者がすでに失われていることを知る。 第三十四話 八月二十一日② 美琴、半ば自棄気味に絶対能力進化計画の引継ぎ施設の一つを襲撃。 美琴、施設襲撃中に第一〇〇三一次実験の中継映像を発見。ミサカ10031号の最期を目撃する。 黒子、寮を訪ねてきた上条に応対。寮内に招き入れる。 上条、橋の上に佇む美琴を発見。寮のぬいぐるみから発見した書類を見せ、妹達や計画について知った事を告げる。 美琴、計画中止の最後の手として、自身が一方通行と戦い予測より早く自滅する計画を上条に明かす。 第三十五話 八月二十一日③ 上条、第一〇〇三二次実験へ向かおうとする美琴の前に立ちふさがる。 美琴、上条を排除するため電撃を放ち、上条は幻想殺しを使用しなかったため直撃。昏倒する。 上条、美琴の膝枕で目覚める。 上条、計画中止のため無能力者の自分が一方通行を倒すことを決意。第一〇〇三二次実験へ向かう。 上条、第一〇〇三二次実験中の操車場にて御坂妹と一方通行を発見。一方通行に戦いを挑む。 第三十六話 八月二十一日④ 上条、操車場にて御坂妹を保護。一方通行と戦闘を開始。 美琴、黒猫と共に操車場に向かう。 一方通行、上条の右拳で殴られる。 第三十七話 八月二十一日⑤ 美琴、操車場にて一方通行を殴る上条を発見。 一方通行、上条の言葉に最初の実験を思い出す。 (単行本化に際し研究者からの絶対能力進化計画への勧誘と、第一次実験の詳細が加筆される) 一方通行、風向操作による暴風で上条を吹き飛ばし、そこから風向操作による高電離気体の発生を思いつく。 美琴、上条を救うため一方通行に超電磁砲を向けるが、自滅して実験を止めても高電離気体の試し撃ちは止まらないと悟る。 美琴、高電離気体発生の妨害のための助力を御坂妹に懇願し、御坂妹はそれを承諾。 妹達により、学園都市各所の風車による高電離気体発生の妨害が開始される。 七巻 第三十八話 八月二十一日⑥ 妹達による風車を利用した妨害により、一方通行の高電離気体発生が阻害される。 美琴、『妹達』を守るため御坂妹をかばい、一方通行の前に立ちはだかる。 上条、満身創痍の身体を引き摺り立ち上がる。 一方通行、上条を倒すべく接近。右手をかわされ、左人差し指を右拳で折られる。 一方通行、上条の右拳を喰らう刹那、『絶対』を目指した最初の理由を思い出す。 上条、右拳を一方通行の顔面に叩き込み、撃破。上条も倒れる。 第三十九話 八月二十二日 美琴、上条の病室へ見舞いに行き、帰りに御坂妹と会い公園で子供らと遊ぶ。 (病院の廊下を歩くインデックスの後ろ姿が一コマあり) 美琴、御坂妹からの「ワガママ」を受諾。 『鉄橋は恋の合図』 (日付は八月二十二日以降と推測) 美琴、佐天の部屋で台所を借り上条に渡すためのクッキーを作る。 美琴、鉄橋にて退院してきた上条と出会うが、クッキーは渡せず。 上条、別れ際に美琴を「ビリビリ」ではなく「御坂」と呼ぶ。 第四十話 派閥① (以下、日付的には八月二十七日頃と推測) 婚后、常盤台へ転入手続きのため来訪。学舎の園内部の寮に向かおうとして外部の寮に行ってしまう。 美琴、海原光貴と遭遇。アステカ展に誘われる。 黒子、間違えて外部の寮に来た婚后と口論になり、二人とも寮監のげんこつを喰らう。 美琴、学舎の園への道に迷っている婚后光子を発見。海原光貴からの誘いを断るダシに使い、二人で学舎の園へ向かう。 婚后、美琴の名前を海原美月と誤解。 美琴、婚后と学舎の園を遊び歩き、最終下校時刻に別れる。 (以下、日付的には九月一日と推測) 婚后、湾内と泡浮に出会い『派閥』について聞き、食蜂の派閥を見て自分の派閥を作る事を宣言。 (以下、日付的には九月十四日と推測) 婚后、能力測定の授業中に超電磁砲の片鱗を肌で感じる。 第四十一話 派閥② (以下、日付的には九月十四日以降と推測) 冒頭、婚后が幼い頃に父と交わした友達についての会話が描かれる。 (婚后の幼少期は単行本化に際し全面的に描き直され、盛大だが友人席に誰もいない誕生会の光景も加筆されている) 婚后、派閥を作ろうといろいろな生徒に声を掛けるも玉砕。 婚后、美琴との会話から自身の勘違いに気づき、派閥ではなく友達を作ることに方針転換。湾内や泡浮とも友達になり、美月=美琴であることに気づく。 食蜂、図書館にて美琴を牽制する。 第四十二話 Rainbow s End (以下、日付的には九月十四日以降と推測) 佐天、初春を誘い虹の根本を目指して出発する。 佐天と初春、途中で大覇星祭の準備を行う学生(吹寄と姫神)を見かける。 第四十三話 交渉 (以下、日付的には九月十四日以降・九月十九日以前と推測) 上層部から大覇星祭運営委員会に、あることを超能力者にやらせるよう指令が下る。 Case#1 一方通行の元にネゴシエーターが向かうが、依頼を告げる前にぶちのめされる。 Case#3 美琴に依頼すべく運営委員が常盤台に向かうが、前学期末に他人の目を気にしてノイローゼ気味だった事(恐らくOVAの事件)を心配した教師により辞退。 第六位を探しに行った山根は、依頼どころか見つけることも出来ず委員会に帰還。 Case#2 垣根帝督にエージェントから依頼が来るが、一蹴。その際に能力について茶化され激昂し、部屋を破壊する。 Case#4 麦野にも依頼が来るが仕事の関係もあり当然却下。同業のフレンダがお気楽に立候補して麦野にとっちめられる。 Case#5 美琴の代打ということもあり最初は乗り気でなかった食蜂だったが、絶対能力進化計画研究者の後押しもあり依頼を受諾。 Case#7 削板軍覇に依頼をするため運営委員が学校へ出向くが、欠席。だが削板の性格を考慮した教師により依頼が受諾される。 結果、食蜂操祈と削板軍覇により大覇星祭の選手宣誓が行われることが決定する。 第四十四話 開会 (日付は九月十九日) 大覇星祭開会。食蜂操祈と削板軍覇により選手宣誓が行われるが、文言を忘れた削板のアドリブ+能力でぐだぐだに。 佐天、不在金属(シャドウメタル)を探そうとして黒子に説教される。 美琴と婚后が二人三脚に参加。 (以下、電撃大王連載時は「第四十五話 開会②」となっていた部分。単行本化に際し統合された模様) 二人三脚中に吹き飛んだ羽場跳高(未編集)の生徒を美琴と婚后が救助。二人三脚は常盤台の勝利に終わる。 ショチトル、佐天と遭遇。偽装していたため佐天は気づかず。 ショチトル、博士からの電話を受け『メンバー』としての初任務に向かう。 食蜂、能力使用に必要なリモコン入りカバンを実行委員に取り上げられる。 八巻 第四十五話 伏兵 (電撃大王連載時は上記「第四十五話 開会②」部分と合わせて第四十五話という扱いだった 美鈴、美琴や初春、佐天と出会う。 美鈴、初春や佐天と、美琴の『アイツ』の話題で盛り上がる。 御坂妹、美鈴や初春らとすれ違うが、双方気づかず。 御坂妹、大覇星祭の観戦に来た所湾内に美琴と間違われる。 美琴、美鈴らを撒いて競技会場に戻ってきたが、常盤台の生徒が御坂妹を自分と思って競技に参加させてるのを見て隠れる。 (競技会場に戻る途中の一コマに、オリアナと思われる後ろ姿あり) バルーンハンター開始。相手学校の作戦により戦力が分散され、大能力者の切斑(未編集)が無能力者の重石と相打ちになる。 第四十六話 胎動 (日付は九月十九日) 口囃子(未編集)を始めとする常盤台の生徒が、馬場の戦術により各個撃破されていく。 御坂妹、妹達が対一方通行戦で蓄積した実戦経験を生かして奮戦。美琴はそれを遠くから見守る。 御坂妹に対し、馬場の提案による『対美琴』戦術が発動。御坂妹は奮戦するが、馬場の本命である蚊を模したロボットによる薬物注入を受け、それにより出来た隙を突かれ撃破。勝負は常盤台の敗北となる。 勝負より服の汚れを優先した常盤台生徒の行動に対し寮監から寮のトイレ掃除を当番制にする提案がなされ、綿辺が賛同。 御坂妹、美琴と別れた後に注入された薬物の効果で昏倒。そこに食蜂と片言の研究者(未編集)と思われる人影が現れる。 第四十七話 遭遇 (日付は九月十九、二十日) 御坂美琴、美鈴と昼食にチーズフォンデュを食べる。(このとき手前でインデックスが食事している) 美琴と上条が話していると食蜂と遭遇する。食蜂、自己紹介をする。 佐天と初春、不在金属(シャドウメタル)を調べる。美琴、勘違いから清掃員に電撃を浴びせる。 大覇星祭一日目のナイトパレードが行われる。 翌日の朝、美琴はミサカ10032号が湾内に体操服を返していないことを知る。 第四十八話 浸蝕 (大覇星祭二日目) 美琴が防犯カメラをハッキングし、ミサカ10032号が搬送されたことを確認する。 ミサカ10032号を搬送した救急隊員の証言とカーナビの記録が食い違っており、美琴は食蜂操祈による記憶の改竄を疑う。 白井黒子、初春飾利、佐天涙子が食蜂操祈によって『御坂美琴との思い出』を消される。 美琴の救急隊員への詰問が『公共機関への脅迫』となってしまい、綿辺先生(心理掌握で洗脳済み)に食蜂派閥の見張りをつけられる。 第四十九話 信頼 美琴が白井らに協力を頼もうとするが、馴れ馴れしい赤の他人としてあしらわれる。 いつもの3人に頼れないため、美琴は競技の最中に婚后光子に相談。ミサカ10032号本人を連れて帰ることを約束される。 『メンバー』の馬場芳郎が『上層部』の命令でミサカ10032号の捜索を開始する 第五十話 開戦 婚后が御坂妹の捜索をしていると御坂妹の猫を発見する。 馬場芳郎が婚后に接触し戦闘を仕掛ける。婚后がT GDに能力で善戦するも御坂妹の猫という隙をつかれ敗北。 佐天涙子、湾内絹保、泡浮万彬が駆けつける。 第五十一話 解析 湾内、泡浮が馬場と交戦。馬場は二人の能力の弱点を把握したつもりになる。 傷だらけで運ばれた婚后を見た美琴が食蜂派閥の生徒を押し切って湾内らの元へ向かう。 第五十二話 暗部 湾内と泡浮に敗北し、大型ロボットのT MTを持ち出すが、本物の御坂美琴に破壊される。 『メンバー』の指示役である警策看取が動き出す。 九巻 第五十三話 瑕庇 湾内らの知り合いの能力者が、御坂妹の猫の記憶を対動物戦闘の読心能力で読み取る。 初春飾利と御坂美鈴が再び出会い、同行することになる。 (御坂美鈴との記憶は消されていないため、違和感無く接することができる。) 御坂美琴との思い出が消された可能性に気づいた佐天が美琴と連絡を取る。 第五十四話 連携 警策看取が水銀でできた等身大人形で初春と御坂美鈴を人質に取り、御坂や白井と交戦。 第五十五話 同舟 美琴、ダミーサイトで埋め尽くされていた都市伝説サイト『Auribus oculi fideliores sunt.』の本物を能力で発見し、食蜂操祈の隠れ家を発見し彼女に接触する。 美琴、食蜂から一連の事件に関わっている組織の概要やミサカネットワークが狙われていることを聞かされる。 第五十六話 分進 美琴と食蜂、ミサカネットワークを狙う木原幻生が秘密裏に来場している公演会場に潜入。木原幻生を捕えるべく洗脳や襲撃を開始。 第五十七話 捜索 白井、初春、佐天が『大質量の水銀を精密に操れる高位能力者』を特定するべく『書庫』を調べ上げる。 第五十八話 疑心 佐天、借り物競走で御守りのクジを引いてしまった上条当麻に御守りを貸す。 佐天、液体金属を扱っていた廃工場に侵入。警策看取らに襲われる。 食蜂らが木原幻生を捕えるが読み取った記憶から、それが変装させられた別人であることや木原幻生に『外装代脳』が狙われていることが判明。 第五十九話 追憶 『御坂美琴を殺さず捕らえる』という命令に疑問を抱いた『メンバー』のリーダーが独自に調査を行った結果、警策看取が『統括理事会』と繋がっていないことが判明。 (メンバーは統括理事会から勅命を受けて活動する組織であるため警策と敵対することとなる。) ショチトル(四十四話で佐天が携帯電話の使い方を教えた女性)が襲われていた佐天を防護する。 ショチトルが魔術の存在を仄めかし、警策を退かせる。その後佐天を外に連れ出す。 『外装代脳』の所在地に向かう途中で渋滞に巻き込まれるが、食蜂が数千人を操って道を切り開く。 第六十話 友達 【回想】食蜂、ドリーと出会う。以前のドリーの友達だった『みーちゃん』に成り代わるよう研究者から頼まれる。 【回想】食蜂は『みーちゃん』としてドリーと親しくなるが、ドリーが間もなく亡くなり、研究所のすべての人員を心理掌握で支配する。 第六十一話 SYSTEM 食蜂が美琴に『外装代脳』について打ち明ける。 御坂妹を看病していた施設が特殊部隊に襲撃され、カイツが御坂妹を連れ出す。 木原幻生に『外装代脳』が乗っ取られ、その力でカイツが無力化される。ミサカネットワークに特製ウイルスが撃ち込まれ、世界各地の学園都市協力機関に移っていた妹達が昏倒する。(アニメでは一方通行が倒れる描写もあり。) 上条と佐天は、ショチトルから木原幻生と警策看取の狙いが『御坂美琴を絶対能力者(LEVEL6)に進化させること』であることを聞かされる。 妹達から発生した力が御坂美琴に注ぎ込まれ、『もう一つの絶対能力進化計画』が開始する。 十巻 第六十二話 参戦 警策看取が精神世界で御坂美琴を唆し、諸悪の根源である『窓のないビル』に雷を落とさせる(が、傷一つつかず失敗に終わる)。 御坂美琴を元に戻すため、食蜂は警備員の上層部を操り第二学区の一画からあらゆる人間を避難させ、上条当麻を参戦させる。 第六十三話 渾沌 白井がカイツと御坂妹を敷地外に、食蜂を『外装代脳』を所有する施設にテレポートさせる。 御坂美琴の操る大質量の瓦礫を削板軍覇が粉砕し上条に助太刀する。 第六十四話 抗戦 食蜂が『外装代脳』の迎撃システムを発動させるが、木原幻生は『多才能力』でそれに対抗。御坂美琴の精神をこの世に縫い止めるための『外装代脳』の『リミッター解除コード』を狙う。 次の段階(Phase5.2)に進化した御坂美琴に不意打ちを受け、削板が額に深傷を負う。 白井黒子と警策看取が交戦。 第六十五話 敗北 上条当麻と削板軍覇の介入に興奮した木原幻生が食蜂を取り逃がす。 食蜂が自らの『自壊コード』と『リミッター解除コード』の認識を入れ替え、その発想と行動した記憶を消去する。 初春と佐天、警策が『警備員』の避難確認用カメラを利用していることに気づく。 呼吸を封じられ意識が断絶した食蜂は『心理掌握』で精神干渉を妨害することができなくなる。 木原幻生が食蜂の脳から『外装代脳』の『リミッター解除コード』を入手する。 警策はハッキングしたカメラで、水銀の人形が白井の胸を貫いたことを確認する。 (実際には初春飾利がそうなったかのように映像を操作しており、白井黒子は生存している。) 御坂美琴がPhase5.3に到達し、木原幻生が『リミッター解除コード』を使用。 白井黒子が、下水道に潜む警策を発見する。 第六十六話 誤算 白井、警策に勝利。警策はドリーの姿を思い出す。 木原幻生が『自壊コード』を入力し精神崩壊。 第六十七話 右手 御坂美琴に別世界からの力が入り込み、精神が侵食され始める。 削板が御坂美琴の暴走する力を抑え込み、上条がその隙に御坂美琴を覆う別世界の力を幻想殺しで打ち消そうとするが、打ち消しきれず右腕が吹き飛ぶ。 上条の右腕から八柱の『竜王の顎』が出現し、別世界の力を喰らい尽くす。 第六十八話 DOLLY 【警策の回想】研究所の人間に媚を売っていた結果、ドリーの世話役を任せられる。 【同上】ドリーと次第に打ち解けていったが、ある日ドリーがクローンであることや非道な実験に統括理事会が関わっていることを知り、研究所に歯向かい監禁される。 【同上】見張りが突然消えた為研究所から脱出。統括理事長暗殺計画が失敗し少年院に入る。 【同上】とある日、木原幻生に極大の憎悪を認められ協力者となる。 警策、食蜂に連れられドリーと記憶や経験を共有する『妹』の元に向かう。 第六十九話 閉会 美琴、病院で婚后と面会。その後白井らと談笑する。 順調に大覇星祭が進行し最終日となる。 上条と美琴がフォークダンスをする。 第七十話 約束 警策と食蜂、ドリーと再会。海に行く約束をする。 御坂妹、病状が完治し海に行きたいと思う。 十一巻 第七十一話 インディアンポーカー 美琴、帆風潤子とゲコ太トークをする。食蜂と喧嘩し、帆風からお詫びに最近広まりだした『他人の夢を見られるカード』を贈られる。 美琴、佐天との会話で需要の高い夢を安定供給できる『天賦夢路』の存在を知る。 美琴、帆風から贈られたカードで食蜂操祈に仕える悪夢を見る。 第七十二話 BLAU 帆風潤子、美琴と食蜂の親睦を深めさせようとお茶に誘う。 BLAU(ブラウ)が取り巻きに、美琴と食蜂が登場する性的な夢を紹介していたため壁の向こう側からやってきた本人達が彼らに制裁を下す。 風紀委員の白井と初春、近々事件が起こる座標と時間が分かるアプリについて話す。 第七十三話 注視 白井と初春、アプリにあった座標に向かい事件を死亡者0で食い止める。 白井、屋上から事件を見ていた美山写影と接触。 第七十三.五話 とある少年の幕間挿話(エピソード) 美山、バス停でショタコン疑惑アリのとある女子高生に話しかけられたり、制服のズボンに茶をこぼした途端に家に迎え入れられそうになる。 美山は、待つバス停を間違えていたためその場を去る 第七十四話 予知 白井と初春は美山に能力の詳細について説明を受ける。 川に溺れる、復讐、看板の落下、ワニの脱走、暴力沙汰など数多の予知された事件を食い止める。 『夢で勉強した』女子高生が桜の木に怪しげな薬品を注入し一年中桜を咲かせようとする。 既に発火による事件が予知されていた公園でもう一つ事件が起こるという新しい予知が出る。 第七十五話 阻止 風紀委員総勢40人で、出入り口での検問や危険物の有無、『書庫』による能力照合を行い、付近の消防も警戒態勢に入る。 不自然に桜が開花していることが確認される。 美山、能力の酷使で倒れる。 【美山の回想】同級生が建物の崩落に巻き込まれるという予知を回避しようとするが失敗する。その後愛犬のペロが公園の発火事件に巻き込まれる予知が出る。 第七十六話 我儘 公園が発火。火が異常な速度で燃え広がる中、白井ら風紀委員が人々を救助する。 白井によって桜の木の根本にあった引火性の高い植物アンプルが公園全体に浸透している可能性が指摘される。 警備員が到着し消火を開始。白井、固法先輩と共にペロを救助する。 第七十七話 夢 植物アンプルを注入した女子生徒が自首し『インディアンポーカー』で学んだと供述。 美山、手紙で大川内と仲直り。ペロを引き取ってもらうこととなる。 (未来予知編(仮)はここで終了) 佐天、美琴に『インディアンポーカー』で会得したけん玉の大技を披露。 美琴、インディアンポーカーのトレーダーの元に向かうと絹旗最愛と遭遇。 第七十八話 胸 【絹旗の回想】『アイテム』のとある下部構成員に体型をバカにされたと勘違いする。 美琴と絹旗、最上位のSランクカードの『巨乳御手』を取り合う内に売られていたカードの中に混ざってしまう。仕方なく二人ですべてのカードを買い、近くのネットカフェで『巨乳御手』探しを始める。 第七十九話 啓示 美琴と絹旗、数多くの夢を消費する内にコンプレックスを過度に刺激され発狂。 美琴と絹旗、ネットカフェから追い出されホテルの野外ラウンジに移動。 美琴、誰にも乗り移らず『放置できない脅威に直面したとき君ならどうする?』と少女に問われる謎の夢を見る。 『巨乳御手』が偶然カラスに持ち去られどこかの少女の手に渡る。 絹旗、例の下部構成員の発言を誤解していたことに気づく。 初春と佐天、驚異の胸を持つどこかの少女と遭遇。 十二巻 第八十話 奇縁 佐天、スーパーで残っていた最後のサバ缶を買うがベテランの水煮サバ缶愛好家のフレンダにせびられもう一つのサバ缶を渡す。 その場でフレンダが誤って着火器で焦がしてしまった為、佐天がサバカレーをフレンダにご馳走する。フレンダ、サバカレー好きとなり佐天とSNSでやり取りをする。 佐天、『箸さばきの超絶技巧の使い手のカード』を入手。フレンダにSNSでこれを話す。 目的のため『ピンセット』を求める暗部組織『スクール』がインターネットを捜査。佐天の書き込みが『ピンセット』との関連が疑われる会話の一つとして浮上する。 第八十一話 強襲 フレンダがとある少年へのプレゼントを選んでいた最中、『スクール』の末端が佐天を連れ去る瞬間を目撃。ロケット弾やぬいぐるみ爆弾を駆使し佐天を救出。 暗部組織『スクール』の念動使いである誉望万化が『ピンセット』との関連が疑われる研究所に侵入し、インディアンポーカーの情報をスキミングする。 『スクール』のスナイパーである弓箭猟虎がフレンダを狙撃。 第八十二話 遊猟 弓箭、群衆の中に溶け込むなどして佐天とフレンダに反撃の隙を与えずに攻撃を続けるが、偶然すれ違ったクラスメイトに気を取られ取り逃がす。 佐天、時限式のぬいぐるみ爆弾(もどき)を持って弓箭の前に現れる。 弓箭が爆弾から身を護る行動を取ったためフレンダが奇襲をかける。 第八十三話 Ha det bra フレンダ、戦闘集に仕掛けておいた爆弾を一斉起爆。割れた窓から酸素を吸おうと弓箭が開けた口に小型爆弾を詰め込み、ビルから突き落とし爆破する。 佐天、安全のため警備員の施設に数日ほど宿泊することになる。 弓箭、直前で滑り込んだ誉望のおかげで一命を取り留める。 弓箭、『スクール』のリーダーである垣根帝督の命令に背きフレンダを殺害しに行く。 佐天、フレンダに一週間後に家で夕飯をご馳走することを約束する。 佐天、一向にやってこないフレンダを待ち続ける。 第八十四話 遊戯 美琴、佳茄ちゃんと出会う。食蜂が彼女を操り幼女にふさわしくないことを言わせる。 美琴、気を取り乱して食蜂の胸を鷲掴みする。 第八十五話 魂魄 インディアンポーカーによる『学舎の園』の情報漏洩が問題になる。 食蜂、インディアンポーカーの作成者の情報を得る。 美琴と食蜂、操歯涼子のサイボーグ実験(詳細は操歯涼子のページを要参照)について話す。 第八十六話 茶番 第八十七話 出勤 第八十八話 痛撃 十三巻 第八十九話 厄日 第九十話 欺瞞 第九十一話 折衝 第九十二話 巨像 第九十三話 犠牲 第九十四話 推量 第九十五話 初心 第九十六話 再会 十四巻 第九十七話 心馳 第九十八話 宣戦 第九十九話 緒戦 第百話 鉄壁 第百一話 院長 第百二話 蠱毒 第百三話 間者 第百四話 潜兵 第百五話 大穴 第百六話 開放 十五巻 第百七話 怪生 第百八話 思惑 第百九話 風狂 第百十話 性悪 第百十一話 虚実 第百十二話 洞察 第百十三話 狂愛 第百十四話 苦肉 第百十五話 跳躍 とある科学の超電磁砲SS(アニメ禁書目録BD DVD初回特典) 第一話 九月三日・昼 御坂美琴、白井黒子、佐天涙子、初春飾利たちが広域社会見学としてアメリカの学芸都市へ滞在開始。 御坂美琴ら、爆乳映画監督少女のビバリー=シースルーに遭遇。 学芸都市を来襲した雲海の蛇(ミシュコアトル)とラヴィーゼ飛行隊が戦闘を繰り広げる。 第二話 九月三日・夜 雲海の蛇(ミシュコアトル)に疑問を抱いた御坂美琴が学芸都市のシステムをハッキングする。 御坂美琴と偶然その場で出会った佐天涙子がラージランチャーに進入。 『係員』オリーブ=ホリデイに遭遇。戦闘になりかけるが、上層部の「手出し無用」の指示により事なきを得る。 第三話 九月四日・朝~昼頃 白井黒子が学園都市製のハイテクフェロモン水着で悩殺テロを起こしかける。 佐天涙子がショチトルに遭遇。拷問用具を鼻の穴に突っ込んで脅され、彼女の水着を買いに行くことに。 水着を買いにでた佐天がビバリーに出会う。結果、ショチトルの水着はジュエリービキニとなる。 ミシュコアトルが学芸都市を再び襲撃。ショチトル、トチトリに救助されて帰還。 第四話 九月四日・夜 夕食のケーキバイキングで初春飾利と白井黒子が大ハッスル。 学芸都市の不審点が気になる佐天涙子が御坂美琴を尋ねるが、出会えずに終わる。また、美琴の部屋の前でビバリーに遭遇。 佐天、唯一の心当たりとしてラージランチャーへ向かう。 美琴がこの後どう動くべきかを思索する。「昨夜一度しくじっている為、一人で動くべきではない」としてまだ動かず。 佐天、砕かれたミシュコアトルの安置部屋で巨大な扉ならびに『汚染注意』の警告を発見。直後、『係員』らしき女性に声を掛けられる。 第五話 九月五日・朝 美琴たち、佐天が部屋から消えていることに気づく。 佐天、オリーブ=ホリデイに殺されかける。 ミシュコアトルの襲撃により、ついに街がパニックを起こす。 佐天、ショチトルに助けられる。 第六話 九月五日・夜 美琴たち、佐天の言葉を聞き、学芸都市の客たちを救命艇で避難させることを思案。 美琴たちの部屋が『係員』によって襲撃されるが、失敗に終わる。 経営陣、プロジェクト凍結の指令を受ける。 アレイスター、経営陣に学園都市からの増援を提案する。 第七話 九月六日・昼頃 太陽の蛇(シウコアトル)が学芸都市への進撃を開始する。 一般の観光客・従業員がサーモンレッドに退避する。 美琴、シウコアトルのうち3機を撃墜する。 美琴、水の翼を展開し、最後のシウコアトルを撃墜しに向かう。 第八話 九月六日・昼頃 美琴、学芸都市に突入した最後のシウコアトルを半壊させる。 ショチトル、落下するシウコアトルを破壊し、佐天を助ける。 ショチトルとトチトリ、テクパトルの命令に背き、救命艇を守るため組織のミシュコアトルと戦闘する。 学芸都市の経営が破綻、学園都市の協力を受けて解体作業が始まる。 広域社会見学が切り上げられ、美琴たちが学園都市への帰路へ着く。 ショチトルとトチトリに、制裁として『原典』が執行される。 とある科学の超電磁砲SS②(アニメ禁書目録2期BD DVD初回特典) 第一話 七月一日 御坂美琴、『ショッピングセンター』で起きたオレンジの事件に巻き込まれる。 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 とある科学の超電磁砲SS③(アニメ禁書目録3期BD DVD初回特典) 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 とらドラ!vs禁書目録 番外編 とある暗部の下着論争(○月×日) 妹達の研究に関わる男性研究員達が、妹達をよりオリジナルに近付ける為に、御坂美琴がどんな下着を着用しているか論議する。 樹形図の設計者に申請を出すが却下され、猟犬部隊に出動を要請する。 猟犬部隊が常盤台中学学生寮に潜入するが、寮監により瞬く間に撃退される。 芳川桔梗の采配により、妹達の下着が縞パンになる。
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小ネタ 大掃除イベント(仮) 3 12月29日 -上条家-美琴「おじゃましますー」 ・ ・美琴「へぇ結構いい部屋じゃないの」上条「まぁ1人暮らしだと困らないんだけどな」美琴「某サイトの情報によると独り暮らしの男性は大抵エロ本があるとか、ないとか」ジィィ…とこっちを見る美琴。上条「どこの情報だよそれ!偏見じゃねぇか!…御坂さん、上条さんはそんなのないですからそんな目で見ないでくだしあ」美琴「まぁアンタには縁がないかもね。それであたしは何手伝えばいいわけ?」上条「そうだなぁ…洗面所拭くとか…。手がしもやけになるか。うーん…」美琴「掃除機とか物運ぶとかならできるわよ?」上条「じゃぁちょっと掃除機かけてくれ。俺は…洗面所でも拭いとくか…」美琴「了解~」しばらく掃除タイム…美琴「流石学園都市の掃除機、音がないわ」上条「ん?お前普段掃除機とか使わないわけ?」美琴「一応お嬢様ですから」上条「お嬢様ねぇ…って俺はそのお嬢様に掃除させてるんだよな…俺って常識知らず?」美琴「別に今回は私から手伝ってるんだから別にいいわよ」上条「…(こうみると御坂はただの女の子なんだよな。掃除機かけてるとことか女の子らしいというかなんというか…)」しばらく固まる上条。美琴「どうしたの?おーい?もしもし? こうなれば奥の手…それ!」軽く上条に触れて静電気を流す。上条「うおッ!!なんだ何だ!?」美琴「アンタがずっと固まってるから起こしてあげたわけ、目が覚めた?」上条「むしろ目覚めが悪いです…」美琴「で、さっきどうしたの?」上条「別に…掃除してるお前がちょっと女の子らしいなと思っただけですよ…」美琴「えっ!?(女の子らしい?)」一瞬で顔が赤くなる美琴。アピールできてうれしいのもあるがそれ以上に照れて恥ずかしいのだ。上条「どうしたんだ御坂?顔が赤いけど…まさか風邪ひいたか?しんどいならベットで休んでろ」美琴「えっ…べ、別に大丈夫大丈夫!…ってうわ!」足元の袋を踏んで滑ってしまった。それから上条に向かって倒れる。上条「うわっ!」支えきれなくなり倒れてしまう。ズドーンという音が部屋全体に響いた。現在の状況…美琴が滑り倒れる。支えようとした上条も倒れる。上条の上に美琴が倒れている。少しでも体を動かすと唇と唇が触れてしまう。上条「って…大丈夫か御坂…よいしょ…」起き上がろうとした時、上条の唇が何か柔らかいものに触れる。美琴「!!!??!?!?(え!?今アイツの唇が私のほっぺに?え!?キス!?)」かなりパニックになる美琴。上条「うわ!?ごめん、御坂。悪気はなかったんだ!」美琴「べぇ、別にきにしてなんきゃいにゃいわよ…」ブルブル実際、嫌というよりすごくうれしいのだが、やっぱり恥ずかしいのである。美琴「にゃんで能力のコントロールができにゃいのよ…」バチバチ 上条「なんかやばいバチバチいってる!」美琴「ふにゃー」
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186 その手で守ったものは(前編) 「ごめんなさい、初春さん」 今はもう答えない少女に向かい、穂乃果は一言だけ弔いの言葉を残す。 外での戦闘音が静まり、巨大な足音が遠ざかっていく。 戦場を変えたのか、あるいはどちらかが逃走を始め、追跡が始まったのか定かではない。しかし、一つだけ言えることがある。 恐らくエンブリヲはこの気に乗じ、あわよくば邪魔者を消そうと画策しているのではないかという事だ。 倒壊した学院から、穂乃果は飛び出し周囲の様子を確認する。やはり、予想は当たっているかもしれないと穂乃果は思った。 (多分、エンブリヲは邪魔な人を……特にヒルダさんなんかを殺したいと思ってる筈。 ならきっと、エンヴィーを利用するんじゃないかな) 確証はないが、エンブリヲはあの時、穂乃果を連れて脱出しようとはしなかった。 一応の協力体制を取っている以上は、二人で行動した方が両者の安全も考慮できる。 勿論、穂乃果が単に足手纏いだったり、あの瞬間移動は、自分一人でなければならない等の制約があったのかもしれないが、しかし些か引っかかる部分が残る。 エンブリヲは何らかの思惑があり、それを穂乃果に見られたくはなかったのではないか? (何にしても、私が近くにいればあの人は妙な事は出来ない。 ヒルダさん、花陽ちゃん、白井さん……!!) 穂乃果の判断は、間違ってはいなかった。 エンブリヲはエンヴィーを参加者の数減らしに利用し誘導していた。 ただ、彼女の読み間違いは一つ、それはエンブリヲ自らは学院周辺に留まっていたことだ。 だが穂乃果は誘導にエンブリヲもまたその身を晒していると推理し、飛び出してしまった。 こうして二人はすれ違い、思惑は交差したまま、互いに逆の方へと進む事となる。 □ 「トロいってのも罪よね」 電撃が撓り、それが花陽の横方に直撃した。 青い紫電が花陽を照らし、彼女は余波に巻き込まれ地面を転がった。 制服が土で汚れ、スカートから覗くソックスが擦り剥け、赤に彩られる。痛みに耐え悲鳴を押し殺し、顔を歪める花陽に御坂は更に電撃を放った。 ほぼ、無我夢中で動いたことが幸いした。 理性的に動いたのであれば、花陽の動体視力と身体能力では、二撃目の電撃は避け得なかっただろう。 直感的な動きがこの一瞬のみ、御坂の予想を遥かに超えたのだ。 自分の真横に空いた黒焦げのクレーターを凝視しながら、花陽は自身の幸運とそれが尽きてしまった事を悟る。 「ぐっ……ハァ……ハァ……」 「案外粘るじゃない。 運が良いんだか、悪いんだか」 これだけ雷音を鳴らしながら、誰の姿も見えないとなると、どうやら先に逃げた花陽よりもエドワード達の方が、先に行ってしまったのだろう。 恐らくはすれ違い。いくら消耗しているとはいえ、ただのスクールアイドルと鍛錬を重ねたエドワード達では脚力には差が出る。 一エリアも、決して狭くはない。明確な集合場所がなければ、再度の合流も難しい。 「……そうか、学院に向かおうとしたのね、アンタ。 じゃあ、あそこにはアンタのお仲間が沢山いる訳だ」 御坂が凶悪な笑みを浮かべ花陽に問いかける。 これが意味するのはここで花陽を殺し、その後で学院にいるであろう仲間達も殺すという宣告だ。 花陽の顔色が更に青くなり、冷や汗が流れた。その様を見て、御坂は学院がある一定の人物達の集合場所として、活用されている事を確信する。 「ち、違……!」 「嘘が下手。 まあいいや。どっちにしろ、アンタはここで殺すから」 ディバックを置き、花陽は全速力で御坂から距離を取る。 運が良ければ、御坂はまだディバックに人が収納されていることを知らない。せめて、最期はあの二人を巻き込まない場所で死ねば、この場での死者は最小限に抑えられる。 「……ごめんなさい、皆――」 視界が一転し、黒色に染まる。 一瞬、ここがあの世なのかと思ったが、それは花陽の早とちりだった。 黒より深い闇色が、花陽の視界を染め上げる。それが人の形をしていると気付いた時、花陽の前で背を向けていた男が振り返った。 「小泉花陽だな?」 「は、はい!」 「高坂穂乃果の知り合いだ。 黒と言えば分かる、先に行け」 「でも……」 「早くしろ!」 躊躇うが、以前のヒルダの死に様が頭の中で浮かび、花陽はディバックを掴んだまま走り出した。 このまま残った所で足手纏いがいい所だろう。 むしろ、ヒルダのように自分を庇って、黒を死なせてしまうかもしれない。 (逃げたか) 花陽が走り去っていくのを確認しながら、黒は内心で舌打ちをした。 銀を見つけ出すか、イリヤを止めるかの事態にこのような場面に出くわすのは、はっきり言えば運が悪い。 もしも彼女が穂乃果から聞いたとおりの花陽の特徴と、一致していなければ見捨てていたかもしれない。 だが、見つけてしまった。そうなった以上、一時的にとはいえ同行していた、穂乃果の友達を黒は見捨てられなかった。 「……トロいのは、私もか」 「早めに、ケリを着けさせてもらう」 「私としては、もうちょっと遊んでても良いんだけどね」 黒からすれば、さっさと御坂を片付け銀とイリヤの探索に戻りたい。 時間との勝負だ。 逆に御坂からすればもう少し遊んでても良い。 彼女はまだ黒子と対峙し、殺し合う覚悟が完全には決めていないのだから。 互いの思惑のズレを感じながら、黒はもう一度舌打ちをし一気に駆け出した。 □ 「しまむー大丈夫?」 「は、はい……」 「もうすぐで、学院だから!」 卯月の手を引きながら、未央は周囲を警戒しながら走り続けていた。 彼女達が逃亡先に選んだのは音乃木坂学院、理由としては所在不明のエドワードより、ある程度居場所が分かる鳴上と合流した方がいいのではないかと未央が考えた為だ。 勿論、未だエンブリヲに捕らえられている可能性もあったが、放送で名を呼ばれていない以上、鳴上もエンブリヲからの脱出に成功したのかもしれない。 何より、学院はアカメ達が向かった先でもある。彼らと合流できれば、これ以上なく心強いのは間違いない。 しかし、その考えは誤っていたと二人は思い知らされる。彼女達の近辺で、巻き起こる戦闘音に巨大な氷のドーム、これらの戦闘にエスデスが関与しているのは、誰の目から見ても明らかだ。 二人は身を潜めながら、それでも着実に学院へと歩を進ませていく。 「か、かよちん!?」 「未央ちゃん!」 二人の眼前に息を切らした花陽が写る。 卯月の件が既に知られている事も考慮し、若干緊張気味に口を開く未央だが、それらの思惑は一瞬にして消し飛ぶことになる。 見れば以前とは違い、足は傷だらけ、服も泥に塗れたりと明らかに普通ではない。しかも、同行者であるアカメはおろか新一、雪乃すら居ないのだ。 嫌でも彼女達の身に何かあったのだと、未央に予想させてしまう。 「何があったの? 皆は?」 「アカメさん達なら大丈夫、色々あって別行動してて……。 それよりも……卯月ちゃん……」 花陽は卯月へと視線を向ける。 学院での情報交換で、真姫を殺めたのが彼女であることは知っていた。 そして、未央は固唾を呑む。 分かっていた事だ。学院を目指す以上、いやそうでなくても卯月の犯した罪を、彼女達の前で謝罪させなくてはならないことは。 花陽の目は怒りに染まっていた。普段、温厚な彼女からは考えられないほどの鋭い目付きで卯月を睨む。 それでも、彼女は敢えて目を逸らし何も言及はしなかった。 「今はこの場から離れる方が先だから」 酷く、感情を抑えた声だった。 聞いているだけで、胸が抑えつけられる。今すぐにでも逃げ出したいほどだ。 未央でこれなのだ。真姫を殺した卯月など、耐えているだけでも奇跡と言ってもいいかもしれない。 「事情を話すね」 花陽は未央の様子を見る限り、卯月は少なくとも今は殺し合いに乗る素振りがないのだと考える。だから、怒りを抑えこみ、合理的に思考する。 サリアの時とは違い、強引な手に出ようとしたアカメが居なかった分、花陽の中で冷静さが失われていくようだったが、それを押さえ込むように口を開いた。 出来る限り簡略し、二人に事の経緯をある程度話す。 その間に花陽は卯月への怒りを忘れられるような気がした。 「そっか、鳴上くんが……」 事情を聞く限り、グッドニュースは二つ、先ずエスデスが戦いに赴き足止めを食っていること、それから、鳴上は既にエンブリヲから開放されていることだ。 問題はそのエスデスが闘争を終え、こちらに向かってくるかもしれないことだろう。 ウェイブは行方不明、アカメと新一は雪乃救出の為不在となるとエスデスに対して、自分達だけで対処しなければならなくなる。 しかも近辺には、まだ御坂などの危険人物もいる。考えたくはないが、黒が万が一敗北でもすれば次にその毒牙に掛かるのは花陽達だ。 「とにかく、早く逃げないと、学院に行けば、少なくともエンブリヲさんは居るから」 「その人、私達を最初に襲ってきた人だけど……」 「大丈夫、少なくとも穂乃果ちゃんが居れば」 そう言いながらも、花陽も内心ではエンブリヲを怖れている。 本当ならアカメや新一と合流したい。だが、現状で頼れるのはエンブリヲしかいないのだ。 自分の無力さを実感させられながら、花陽は未央と卯月の顔を見た。 二人とも異論はないらしい。 「北から、イリヤが来る」 「え?」 聞き覚えのない第三者の声、それは花陽の掲げるティバックから響いたものだった。 それと同時に桃色の光が花陽達に降り注ぐ。 普段ならば、見とれていると思えるほどに綺麗な光だが、この場で潜った修羅場の経験が花陽にあれが自分達に害を為す存在だと直感させる。 それは未央も同様で、咄嗟にマスティマを広げ、光を撥ね退ける。 衝撃に耐え切れず、未央は体制を崩し背中を地面に打ち付けるが、光はそのままあらぬ方へと逸れていった。 「やっと、見つけた」 空から舞い降りる白銀の少女、その姿は花陽達が幼い頃に憧れた、正義のヒロインにも似ているような気がした。 それでいて、その目付きは彼女達が憧れたものよりも、歪で歪んだものだった。 似ていた。花陽を襲った御坂の目付きと、目の前にいる少女の目付きはある種同質のものだ。 「……イリヤ」 「貴女を殺す、その後で黒さんも殺す」 花陽のティバックから這い上がり、銀は光を感じない虚ろな瞳をイリヤに向ける。 「ヒルダさんは? 何処行ったの」 「……亡くなったよ」 「ヒルダ……」 「そうなんだ」 顔見知りが死んだことに、イリヤと銀は僅かに動揺を見せたが、イリヤは即座に気持ちを切り替え杖を向けた。 また桃色の光が集約し砲弾として放たれる。 その寸前に卯月が糸を引き、イリヤの周囲を糸で囲む。だが一瞬でイリヤは、卯月の真後ろへと移動した。 帝具の扱いに慣れたところで、転身し身体能力が上昇したイリヤの敵ではない。 むしろエスデスのようになまじ実力があり、慢心や楽しみが入れ込む隙がない分、弱者に見せかけた帝具の不意打ちは難しいだろう。 「先ずは貴方から」 「ひっ……」 杖から魔法が放たれるより早く、花陽はヘルメットを取り出しイリヤへと振るった。 最悪の犯罪者、槙島すら屠る強度、固さを誇るサイマティックスキャン妨害ヘメットだが、それはあくまで彼の完全な不意を突いてこそ為しえた事だ。 加え、槙島を打倒した常守朱もまた曲がりなりにも犯罪者を取り締まる監視官であり、その身に幾重もの鍛錬を積んでいる。 戦闘における心得、純粋な腕力共に一般人の比ではない。 だが花陽は学生、良くて誇張してもスクールアイドル、多少の運動に長けていたとしても、実質は無力な一般人に過ぎない。 「――え」 『い、イリヤさん、何てこと――』 「か、かよちん……嘘……」 ザンという、鈍く鋭い音が耳を付く。魔力を斬撃に変化させたものだ。 振りかぶったヘルメットはイリヤに回避され、そのまま花陽の“右腕”ごと吹き飛んでいった。 花陽の肩より下からは鮮血が飛び散り、花陽と近くに居た卯月の顔を赤く汚す。 「あっ、あ、ぁ……」 絹を裂くような悲鳴と共に、花陽は肉体と精神的なダメージの二重苦に堪らず膝を折る。 その残酷な場面に卯月も未央も、ルビーですら呆気に取られてしまう。 イリヤはそんな事に構いもせず、再び杖を振りかざす。今度は腕などではなく、その命を摘み取る為に。 「……!? なっ」 イリヤの即頭部を強い衝撃が襲った。 遠心力を受けたヘルメットが、そのままイリヤの頬にも減り込み、彼女の小柄な身体は堪らず吹き飛んでいく。 確かに、花陽の反撃は失敗に終わった。だがいくらイリヤでも、姿の見えない死角を突かれれば一溜まりもない。 「花陽ちゃん!!」 「ほ、のか……ちゃ、ん」 花陽と同じ制服を纏った、茶髪の少女が駆け寄ってくる。 その姿に安堵を覚えた花陽は意識を手放し上体が傾く、それを穂乃果は両手で支えた。 「そんな、花陽ちゃん……こんな……」 片腕を失くした友人の姿に、穂乃果は狼狽し取り乱す。 ここまで血は嫌と言う程見てきたが、その対象が親しい身内となれば話は別だ。 「は、早く! 腕を拾ってバックの中に、まだ間に合うと思います!! それに、あの娘また……!!」 最も早く、冷静さを取り戻したのは卯月であった。 良くも悪くもこの場で一番残酷な光景を目に、尚且つ作り出した為にそれらへの耐性が多少なりとも上がったことに加え、彼女は腕の再生にあてがある。 彼女はセリュー存命時、イェーガーズ本部でマスタングは自身の右腕を練成し、再生したのを目撃していた。 更に言えばディバックの特異な空間は、氷の融解や生物の腐敗を防ぐ作りになっているのも聞いている。 即座に腕を保存し、傷口を止血して錬金術師、マスタングが最後に記したあのエドワードと合流すれば、あの右腕は再び花陽の一部に戻れるかもしれない。 それらの希望的観測が卯月に思考を緩ませず、迅速な指示を与えさせた。 「花陽ちゃん、ごめん!」 穂乃果は、腕を咄嗟にバックに放り込む。そして激痛に顔を歪ませている花陽の左肩に手を回してから、半ば引き摺るような形で駆け出す。 その時、僅かにイリヤへ視線を向ける。 あの一撃が効いたのか、まだふらついていた。逃げるなら、今が絶好にして最後の好機だ。 未央も我に帰り、銀の腕を引き一気に駆け出す。 逃げていく穂乃果達に、イリヤは杖を振るって光弾を放つが狙いが定まらない。 「ルビー……何で、後ろのこと……教えてくれなかったの?」 『ち、違います。私もうっかりしてて、それで』 「……役立たず」 頭から流れる血を拭い、イリヤは舌打ちをした。 あの場で、また誰も殺せなかった苛立ちが増していく。そして、何より言い様のない不快感が、イリヤの中を占めて行くのだ 腕を、人体を切り落とした感触が手に残り、吐き気がする。以前のイリヤなら、吐いていたかもしれない。 「行かないと」 だがそんな不快感も、無視できるようになってきた。 内心に秘められた様々な思いを振り切るように、イリヤは遠くへ逃げた穂乃果達の追跡を始めた。 □ しばらく走り、穂乃果は地図にはない民家を見つけた。 学院ではイリヤに見つかりやすい。エンブリヲと合流できれば良いのだが、そのエンブリヲも所在が不明なのだ。 下手に学院に戻るよりは、ここに留まる方が良いだろう。 穂乃果は花陽の怪我も考慮し、この民家で一先ずイリヤをやり過ごす事を決意した。 「花陽ちゃん、しっかりして!」 「もう少し、圧迫して」 「わ、分かった」 制服のブレザーを包帯かわりに巻きつけ、花陽の腕に巻きつける。 紺色が真紅に染まっていく様は、怪我人の花陽のみならず見ている者達の不安も煽っていくようだった。 更に銀の指示で、穂乃果は傷口を抑えていく。 「あと氷水、腕の保存に使える」 「私、探してくる!」 「タオルや袋も、居るんですよね?」 幸いにして、ここは本当に一般的な民家だ。 腕の保存に必要なものは探せばすぐに揃う。 何より、ドールとはいえ元エージェントであり黒のサポートもしていた銀は、応急手当の心得を多少は齧っていたのも幸運だった。 こうして迅速な処置により、花陽の容態は一先ず落ち着き生命の危機は辛うじて去った。 「ありが、とう……ごめんね、みんな……」 未央が氷水を見つけ、卯月がタオルや袋を調達する。 腕をタオルで包み、袋に入れ更に水を入れた袋に押し込む。 そのまま、ディバックの中に仕舞い込んだ。 「っ、あぁ……」 「かよちん!」 「花陽ちゃん!」 だが決して、痛みが消え去った訳ではない。 改めて腕をなくした衝撃と、痛覚を刺激された物理的な苦痛は花陽を容赦なく甚振っていく。 こればかりはどうしようもない。鎮痛剤もなければ、それを扱える医療関係者もいないのだから。 いっそのこと、気絶していればここまでの苦しみはなかったのだろうが、花陽の意識は嫌と言うほどクリアで鮮明だ。 「高坂さん、話さなきゃいけないこと、あるの……」 「え?」 「未央ちゃん……」 苦々しく未央は口を開く。 「ごめんね、しまむーちゃん、こんな時に話さない方が良いかもしれない……だけど、私は高坂さんに全部真実を伝えなきゃいけないと思う。だから……」 「……」 「穂乃果ちゃん、私も学院で別れた後の事を……話さなきゃ」 未央の話そうとしていることには、恐らく卯月の事も含まれているのだろう。 そう避けては、通れないことだ。むしろ、それを未央の口から伝えてくれるだけ、情けを掛けてくれているのかもしれない。 未央は一度卯月の顔を見てから、ゆっくりと頷いた。 穂乃果もその苦しそうな声に堪らず、耳を塞ぎたくなるが、こうまでして伝えたい以上は最後まで聞き取らねばならない義務があるのだと覚悟を決める。 花陽は穂乃果と離れてから巻き込まれたエスデス、エンヴィーが巻き起こした乱戦を、未央は目の前にいる少女が真姫を殺めた卯月である事を全てを伝えた。 「そんな……」 ほんのつい数時間前まで、会話をしていたヒルダが死んだ。 アンジュに続き、彼女まで死なせてしまった。 そして、真姫の仇である卯月までもが目の前に居た。 穂乃果は頭の中が真っ暗になるような錯覚を覚える。 「何で、殺したの」 「それは……私、あの、その」 自分の犯した罪を償わねばならない。そう考えて、卯月は事の経緯を話そうとして言葉に詰まった。 どう話せば良い? まず高坂勢力の事から話さねばならないが、どう見ても目の前の穂乃果は悪の首領には見えない。 むしろ、悪の被害者。友を想う、ごく普通の少女ではないか。 高坂勢力なんて、ただの肥大妄想に過ぎない。挙句の果てに、それが理由だなんて言えない。 怖い、絶対にこんな事、口が裂けても言えるはずがない。 「あの……」 気付いたら、一歩後退りしていた。 怖い、怖い、怖い。逃げたい、逃げたい、逃げたい。 助けて、助けて、助けて、セリューさ―― 「逃げちゃ駄目だよ。しまむー」 そっと、温かい手が卯月の背を押し支えてくれた。 「一緒に私も居るから」 そして温かく手を握り締めてくれる。 「未央ちゃん……」 こんな罪に汚れた自分でもずっと一緒に居てくれる。 だから、勇気を出せた。例え、ここで殺されたとしても怖くない。 「全て、話します」 全て受け入れる勇気を以って、卯月は言葉を紡ぐ。 「――ふざけないで」 そして、卯月の勇気の告白に対する返答は怒りだった。 セリューのふざけた陰謀論に、彼女に対する穂乃果の心象は最早覆らないレベルで、どん底にまで落ちている。 尚且つ、そんなものを信じ込み勝手な理由で、それこそ下手をすれば海未を殺したサリア以下の理由で、真姫に手を掛けた卯月を許せるわけがない。 押さえ込む理性すら沸かず、穂乃果は拳を卯月へと振り抜いた。 女性とは思えぬ腕力で、卯月の頬がミシリと音を立てる。唾と口内に出来た切り傷の血液を撒き散らしながら、卯月がそのまま床へと倒れこむ。 「まっ――」 未央は穂乃果を止めようとする自分を無理やり律する。 これは、当然の報いなのだ。殴られるぐらいされて当然だと。 「貴女みたいな人のせいで!!」 そのままマウントポジションを取り、穂乃果は卯月の胸倉を掴み上げ怒鳴り散らすと床へ叩きつける。 頭こそ打たないが、背に走る衝撃が穂乃果の怒りを物語っていた。 きっと、殺される。だけどしょうがない。 それで気が済むのなら、構わない。 「返して……返してよ! 返して真姫ちゃんを!!」 頬を何度も何度も平手で打ち続ける。 卯月の顔は赤く染まり、腫れ上がっていく。 (多分、もっと痛かったんですよね) 糸で切り裂いた真姫の表情は、忘れられなかった。 驚愕と苦悶と絶望に染まった顔は、絶対に自分じゃ味わいたくない。 ――けれど、私はそれを他人にしてしまったんだ。 「セリューも、貴女も、自己満足で身勝手の殺人者の癖に……! 貴女は、貴女達は正義の味方でも何でもない!」 「それは違う、セリューさんは私達を守ろうとしてくれたから、だから」 そこで未央は口を挟んでしまった。 例え、間違っていたとしても彼女の信念は本物だったと思うから。 自分達を守り、散っていったセリューに対して、その言葉だけは未央は聞き流せない。 だが穂乃果は未央を見もせず、更に怒りを込めた声で叫ぶ。 「……何が正義なの? そうだよね、ことりちゃんは殺し合いに乗った。だから、悪だったんだよね。 でも真姫ちゃんは何をやったの? 教えてよ、何がいけなかったの。 そっか、貴女達の気に入らない事をすれば悪、気に入る事をすれば正義なんだ」 「ち、違――」 「じゃあ、私も同じ事するね。 これも正義だよね」 穂乃果はそう言い、ヘルメットを振り上げる。 例え女性の力でも、この至近距離で顔面を何度も殴打し叩きつければ、死かそれと同等の痛みを与えられるだろう。 未央も流石にマスティマを広げるが、やはり躊躇う。 もしも、ここで穂乃果と決別すればきっと卯月は一生罪を償えない。だが放っておけば、卯月は死ぬ。 「やめて、お願い……お願い!! 殺さないで!!」 卯月を救い、罪を償わせる。その両方を選んだ結果、未央が取ったのは懇願。 涙が溢れ、鼻水と混じったぐちゃぐちゃな汚らしい顔で未央は穂乃果に向かい、卯月の命を懇願した。 恥も何もかも捨て、頭を下げて土下座までする。 それでも構わない。こんな奴は殺さなきゃいけない。 正義の味方面をして、好き勝手し続けた奴を許せるわけがない。 ――撃てないのなら止めておきなさい。 ――あなたには、人の命は背負えないのよ アンジュの声が頭の中で反響した。 (アンジュ、さん……) あの時はアンジュに止めてもらった。 けれど今は、止めてくれる者は誰も居ない。 居るのは、死刑の執行を待つ愚かな罪人と、それを止めて欲しいと請うしかないと哀れな罪人の友だけだ。 (アンジュさんが言ってた。 恨んでるけど、それを覗くと殺す理由が見つからなかったって) 少なくとも今の卯月は殺し合いに乗ってはいない。 むしろ、花陽の為に動いてくれすらいた。それでも、やはり許せない。 彼女が抱いていた正義が、未だそれを何処か肯定しつつあり、狂気の根源にあったセリュー=ユビキタスが。 ――あの女が許せない。 ヘルメットが床を叩き、転がっていく。 足元に転がったヘルメットを銀が担ぎ上げ、腕の中で抱いた。 「良いの?」 振り上げたヘルメットを穂乃果は手放した。 最後に全力でその頬を引っ叩き、それだけで穂乃果は卯月から離れる。 未央の顔は途端に喜びに染まり、卯月の胸へと飛び込んでいく。卯月も唖然としながら、強く未央を抱きしめた。 「あ、ありがとう、穂乃果ちゃん……!」 「――やめて」 それだけ言い、穂乃果は黙って花陽の横に座り込んだ。 いっそ、殺し合いに乗っていたら殺せたのだろうか。それとも、やはりサリアの時のように―― 「……これで、良いんだよね」 銀のティバックから、飛び出したカマクラがヘルメットを玩具にするのを見て、穂乃果は自分にそう言い聞かせた。 「ニャー」 このわざとらしい猫声をあげて、カマクラがヘルメットを転がながら穂乃果に寄って来る。 穂乃果が手を伸ばすと目を細め、頭を伸ばすカマクラ。顎を撫でてやると、気持ち良さそうに喉を鳴らしてきた。 「猫、好きなの?」 銀もカマクラに手を伸ばし尻尾の付け根辺りを撫でる。 実はここは猫の性感帯で、最も気持ちよくなる場所だ。カマクラは更に目を細め、恥ずかしそうに首を振る。 それでも満更ではないのか、抵抗はしない。 「……どうかな、犬の方が見慣れてるんだけど」 犬の話をしたせいか、カマクラが唐突に不機嫌そうな素振りを見せると、そのまま穂乃果から離れて銀の膝の上に乗ってしまった。 「あーあ、嫌われちゃったかな」 □ 電撃を練り上げ、眼前の敵へと叩きこむ。 もう幾度となく繰り返し、そして見飽きた光景だ。 タイミング、その射程規模、まさしく必殺の電撃だったと御坂は思う。 だが、目の前の男はそれをまるでものともせず、正面から突っ込んできたのだ。 電撃の中を突破した黒は、手にした友切包丁を振るう。砂鉄を操り盾として受け止めたが、逆に欠けたのは砂鉄の方だった。 (間違いない、コイツ電撃が効かない……!) 御坂の経験上考えられる要因は三つ、その内二つは反射されているか、打ち消されるかのどちらかだ。 しかし、電撃そのものに異常はない。つまり電撃自体が黒には通用しないのだろう。 「同じタイプの、能力ってことか」 電撃を地面に放ち、その反動を用いて御坂は後方へと飛翔する。 御坂も、暗部で殺し合いを経験したフレンダと肉弾戦で渡り合う猛者だが、それでも本職の暗殺者である黒の方が遥かに格上だ。 このまま、近接戦闘で御坂が勝ち得る要素はない。 加えて、あの包丁もどきも厄介といえる。砂鉄と斬り合いながらも、寧ろ消耗してるのは砂鉄の方という有様。 あれで包丁の体をしていなかったら、誰もが認めた稀代の名刀であったことは間違いない。 (御坂美琴、最強の電撃使いか) 黒子からその詳細は聞かされたが、改めて対峙するとその強大さが嫌でも分かる。 御坂の飛ばす砂鉄を防ぎながら、また黒も攻めあぐねていた。 電撃の感電は同タイプな以上は無力だ。これは以前交戦した、ニックとの戦闘でよく理解している。 故に接近戦で物理的に仕留めるしかないが、御坂の砂鉄の刃を包丁一本を頼りに突破するのは自殺行為だ。 砂鉄を友切包丁で弾きながら、黒もまた一気に後退する。 仕切り直し。 互いに体制を整え、戦力を図り合い、戦術を練り直す。 真っ先に動いたのは黒。 この辺が市街地である事を利用して、周囲の建物へと回り込む。 砂鉄による追撃は全てコンクリートを抉り、灰色の粉塵を撒き散らすだけで、黒本人には掠りもしない。 遮蔽物を利用し、距離感を曖昧にさせ、御坂の狙いを疎かにさせるのが黒の狙いだ。 「――なんて、すばしっこいのよ!」 今までの戦ったDIO、ブラッドレイ、エスデス、後藤などの大物達は全て真っ向から御坂に挑んできた。 それは彼らがより優れ、まさしく最強の力を有した強者であるからだ。 だが、黒はいま彼ら強者とはまた真逆の戦法を用いた。それは傍から見れば、あまりにも小細工に徹したつまらぬ戦法だろう。 そして御坂もどちらかと言えば、ブラッドレイのような大物達の戦いを望む方だ。 気性が逆の黒の戦いに苛立ちが溜まっていき、集中力が疎かになるのは時間は掛からない。 「そこっ、取った!!」 十を超える攻撃の末、黒の影を完全に捉え砂鉄の刃が人影を抉った。 黒の上体はぐらりと揺れ、そして一気に前屈みになり疾走する。 ほんの僅か数ミリ先、紙一重で砂鉄を避けたまま黒は友切包丁を手に、御坂の心臓へと一直線にその刃を奔らせる。 これ以上ない、完璧な一撃、御坂が避けれる道理はない。 「……何!?」 否、御坂の身体を紫電が巡り、御坂は黒の翳した友包丁を見事に避けた。 脳に直接電気を流し、その反射速度は極大にまで高めたのだ。 一瞬で、人間を超えた動体視力を経た御坂に、黒の対応が僅かに遅れる。 その隙を見逃さず、御坂は腕を伸ばしきった黒の胴体に砂鉄を滑り込ませ、容赦なく腕を引く。 自らの胴体が、バターのように切り裂かれる前に素早くワイヤーを撓らせ、御坂の腕に巻きつける。 腕の動きと連動していた砂鉄が逸れ、コートの端を僅かに刻んでいく。 肉に食い込み、血を滲ませるワイヤーを砂鉄で切りながら御坂は後ろへ下がり、忌々しく黒を睨み付けた。 黒も御坂も互いに思う。 もしも、電撃が通じてさえいれば今の攻防で、既に決着は付いていた筈だと。 (不味いな) 時間がない。 黒の焦りが募る。 このまま仮に御坂を倒したとしても、イリヤに銀を殺されれば意味がない。 やはり、あの時に花陽を見捨てるべきだったか。契約者ならば、迷わずそうしていただろう。 「やっぱり、急いでるのね」 「……」 「釣れないわね。少しくらい、話してもいいじゃない」 「御坂美琴、お前に構っている暇はない。消えろ」 「何で私の名前を……黒子にでも会ったの? それと、私に喧嘩売ってきたのは、アンタなんだけどね。 だからって訳でもないけど、見逃すわけにはいかないわ」 「なら、死ね」 幾人もの契約者を屠った神速の腕捌き。 反射神経を高めた御坂でも、見逃しかねない程の速度で飛来物が投擲される。 飛来物を砂鉄の剣で切り伏せる、同時に黒が一気に加速し肉薄した。 御坂の首に向けて薙ぎ払われる友切包丁、上体を逸らし避ける。僅かに切っ先が首の皮一枚を掠り、痛覚が刺激された。 だが、そこまでだ。突っ込んできた黒は、その体制を大幅に前のめりへと傾けている。 勝負を焦り過ぎたあまり、一か八かの賭けに出た結果は惨敗。 手元に集結させた砂鉄が剣を為し、御坂は黒の頭上へと容赦なく振り下ろす。 今度こそ完全な詰み、黒の身体能力に技巧を考慮してもこれは回避不能な一撃だ。 「アンタ、焦りすぎよ!」 黒の投げた投擲物が、音を立てて地面を打ち付ける。 真っ二つに切られた容器からは、液体が絶え間なく零れ落ち地面を湿らせていった。 それらの光景が、コマ送りのように黒の目に写る。これが俗に言う、走馬灯という奴なのだろう。 「なっ……!!?」 濡れた地面から湧き上がる、砂鉄の槍。 御坂の操作したものではない別種のそれが、勝利を確信し剣を振り上げた御坂の胸元へと直撃した。 「がっ、は、」 黒が投げたのはローション、液体だ。 御坂とは違い黒の能力は規模があまりにも矮小で、空気中に電撃を流すことも出来ない下位互換にある。 しかし、その反面同じ能力であることに違いはない。ならば、御坂と同じ使い方も規模が下がるだけで可能である筈だ。 故に黒はローションを通し、地面に電撃を間接的に砂鉄に干渉させ槍を形成した。 「……ハァ……ハァ……」 もっとも砂鉄の操作は電撃から発生する、副産物の磁力によるものである。 慣れない能力の応用は、異常なまでの集中力が要求された。今回は何とか成功したが、これから先の実戦でも決して使える様なものではない。 「――ったく、やるじゃない。今のは死ぬかと思った」 「……チッ」 槍に突き上げられた御坂は、重力に従い落下していく。 だが、そのフォームは生気を失くした屍のものではない。生きた人間の華麗な着地だった。 「いい線は行ってたわね。同じ電撃使いとして、感心したわよ。 私の砂鉄を、見よう見真似で使うなんてさ。アンタ頑張れば、もっとレベルが上がるんじゃないかな」 御坂は砂鉄の槍が迫る寸前、黒の磁力以上の磁力でその操作権を強引に奪い去ったのだ。 「……ジャック・サイモン、そいつもアンタみたいな変な光を出してから氷を操ってたわね。 あれを見てなかったら、もしかしたらアンタの奇襲に対策が遅れたかも」 「お前が、ノーベンバー11を殺したのか」 「ノーベンバー……そういう名前だったんだ。 ……もしそうだったら、アンタは怒るわけ?」 「いや」 「そう……。てっきり、仲間かと思ったけど」 後藤との戦いで、杏子やジョセフと共に共闘した白スーツの男。 飄々として掴みどころがなかったが、今思うとあまり嫌いな人物ではなかったかもしれない。 (って、感傷に浸る場合じゃないか) 黒の電撃の規模は大体は知れた。 能力だけならば、こちらが確実に勝てる。 あとは着実に相手を攻め、消耗させ詰ませていくだけだ。 「ほう、君が御坂美琴か」 再度、仕切りなおし。 また両者が距離を取り、体制を整えなおした時、新たな第三者が来訪した。 □ →
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学園都市第七学区。 高級住宅街にあるマンションの一室。朝食の用意や新聞を読むために上条家の家は早い。 その家主たる高校生、上条当麻はすでに起床していた。 いつもなら彼は台所で朝食の用意に励んでいるのだが、今日は、 ベッドの上で正座していた。 目の前には居候の銀髪碧眼少女、インデックスがいた。 とても怒っていらっしゃる。額に青筋が数本浮き出ている。その容姿はまさに阿修羅と呼ぶべきなのだろうか。 「とうま、わたしは別に短ぱ…美琴ちゃんと付き合ってるのは知ってるから全然怒っていないんだよ?」 じゃあその表情は何なのか。とツッコミたい上条だったがそれは押しとどめた。言ったら状況が悪化することは目に見えている。だからここはひたすら謝るしかないのだ。父、刀夜から受け継がれた天然女誑しの遺伝子が切に訴えている。 「…すいません」 「とうま、だけど美琴ちゃんは中学生なんだよ?」 「……スイマセン」 「中学生、なんだよ?」 「………………スイマ」 ガジリ。 (二日目)7時11分 上条当麻は第七学区の大通りを歩いていた。土御門からの連絡もなく、解決の糸口すら見つからないのでとりあえず長点上機学園を目指して登校していた。 というより部屋からインデックスに追い出されたのだ。 「うぐっ、えぐっ、ひぐっ、不幸だー」 頭が痛い。とてつもなく痛い。 昨日といい今朝といいインデックスは終始不機嫌だった。 現状から察するに上条当麻は御坂美琴と深い関係を持ってるらしい。 『今』の上条当麻にとってそんな関係はないし、覚えもない。 仕方なくインデックスのお怒りを真正面から受けたのだがそれが酷かった。 朝から頭をかまれ続け、朝食は抜き。なのに食器を洗わせられるという始末。これを不幸と言わずに何と言うか。 「これ食べる?当麻」 「あ、ありがとう。美、美、美琴」 上条がマンションの玄関をくぐると、カップルのお約束のように待っていた冬服姿の常盤台中学生の彼女。 携帯食品を手渡してきた彼女を見て、まるで幸運の女神が舞い降りたと錯覚した上条だったが、その彼女こそ今回の主たる原因なのである。 そんな複雑な感情を渦ませながら、手渡された食べ物を有難く頂戴していると、 「ん?どうしたの」 と上条の顔を怪訝そうな顔で覗き込んできた。。 大きく胸を高鳴らせる上条。整った容姿を直に見るだけでも驚くのに、さらには香水らしき甘い匂いすら漂ってくる。 「っ、何でもない!」 「…当麻。また裏で厄介な争いごとに巻き込まれてない?」 「い、いやそんなことないよ」 「巻き込まれてんのね…」 「何故そこでアッサリとスルーしますか?」 「分かりやすいのよ当麻は。顔に出てるじゃない」 頬を少し膨らませながら彼女は言った。そんな些細な表情すらとても可愛い。 どう言い訳をしようか、などと頬を掻きながら彼女から目をそらしていると、 いきなりネクタイをひぱっられた。 彼女の顔が急接近する。 「って、うおっ!」 吐息が上条の顔に当たる。肌寒い季節なので、吐息の暖かさが余計に伝わる。 「…私じゃ力になれない?」 「そ、そんなわけ…」 「私じゃ…ダメ?」 その言葉に上条は押し黙った。 上目遣いで上条の顔を見上げる彼女。その顔には「当麻が心配なの」と書いてあるように見えた。間近で見るとますます可愛かった。肌は白く、とても綺麗だ。その強い瞳も、風に靡く茶色の長髪も。 「当麻…」 「――――――っ」 そう言われたとき、上条はそっと彼女の顎を持ち上げた。何をしなければならないか。 そんなことは言わなくとも分かってしまう。 こんな可愛い彼女が求めているのは一つ。 潤んだ瞳。潤んだ唇。 その唇に吸い込まれるように、そっと口を近づけていき―――――――― 「何やってんのよアンタたち!!」 その声の方に目を向けると、 御坂美琴がいた。 「へっ?み、みみみ美琴??」 え?だって御坂は今俺の目の前に… 「……ったく、空気の読めないお姉様(オリジナル)の登場にミサカは舌打ちします」 腰まである茶色いロングヘアーに、上条よりも十センチほど低い背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。上条の目の前にいる彼女はそう呟いた。 「ええええええっ!?御坂妹!?」 「うふ、気づかなかったのですか当麻さん?とミサカは隠し笑いを禁じえずお姉様(オリジナル)の代わりに罰を与えようと思います」 「は?」 ちゅっ 「…アンタって奴はわああああああああァ!そんなに『妹』が好きなのかああああ!!」 ズドオオオン! 清々しい青空の下で、10億ボルトを超える雷が落ちた。 周囲の通行人から悲鳴が聞こえる。 「ちょ、おま、おまっ、お前殺す気か――?!死ぬぞ普通!!」 御坂妹にキスされたことに呆ける暇もなく、体制を崩した。 「殺す気よ!てか当麻の何処がフツウなのよっ!…って何時までくっついてんのよアンタは!」 ビシッ!と御坂妹を指さした。 指された当人は転がった上条の肩を担いで立ち上がるのを手伝っていた。 「大丈夫ですか。当麻さん」 「ああ、ありがとな。……本当に妹、なのか?」 と、その手助けに礼を言いながら立ち上がる上条。 「はいっ、貴方の大好きなミサカです、とミサカは頬を染めながら答えます」 機械のようなポーカーフェイスのイメージしかない上条。しかし、そんな彼女の不意打ちともいえる微笑みに胸が高鳴ってしまった彼を誰が責められようか。 「っ!!こンのっ!私を無視してんじゃないわよ――――――――――――――――――!!」 ズドン!ズドン!ズドドドン!! 立て続けに上条に落雷した。一発でもまともに当たれば死に至る雷だ。 「無駄なことです、とミサカはお姉様(オリジナル)が勝敗の分かりきった勝負に挑戦していることに首を傾げます」 「…そんな勝負を吹っかけさせたのはアンタだって分かってんの?」 人が殺せそうなほど殺気をこめた低い声で御坂美琴は話しかけてきた。頭上では青白い電流が舞っている。しかし、御坂妹はそんな彼女に臆することもなく平然とした態度だった。 それどころか、 「ミサカに少しくらい当麻さんの愛を分けてくれたって良いではないですか、とミサカはお姉様(オリジナル)の心の狭さに落胆します」 などと御坂美琴の神経を逆撫でするような言葉を言い放った。 「っ!!私は寛大よ!こいつがそこらへんで女を引っ掛けたって全然目くじらなんてたてないんだから!そんなことでイチイチ怒ってたらこいつと付き合えないわよ!」 「…私は当麻さんが他の女性と関係を持っても気にしません、とミサカは貴女よりも寛大な心の広さをアピールしつつお姉様(オリジナル)よりも2センチ大きい胸を当麻さんに押し当てます」 ムニュ、と柔らかい感触が左腕を通して伝わってくる。 悲しいことに、上条当麻は健全な高校生だ。 「わ・た・し・が気にすんのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」 「ちょ、ちょっと美琴さーん!?もうビリビリはやめてー!!」 五分ほど当麻に電撃を浴びせ続け、ようやく気分が収まったらしく膝に手を置いて肩で息をしていた。 快晴な空なのに何故か周辺の上空には暗雲が立ち込めている。また雷の衝撃波で砂埃が舞っている。周囲にいた人だかりも直径100メートル以内には誰もいないが、その端から野次馬が出来つつあった。 「はぁ、はぁ…、当麻ーぁ。その耐久力は、くぅ、は、反則よっ!!」 「…耳が、いたい」 「…流石の私も耳がいたいです、とミサカは苦言をお姉様(オリジナル)に不満を露にして告げます」 雷は音速を超える衝撃波、すなわち雷鳴を引き起こす。間近で数回の落雷を浴びていれば鼓膜もただでは済まない。 「…ですが、お姉様の攻撃から助けて下さってありがとうございます。と、ミサカは感謝の意を行動で示します」 「え?何?ちょっと聞こえな…」 ちゅぅ とまたもや上条の唇は奪われた。 御坂美琴の目の前で。 「っっっッ!!アンタってやつはあああああああああああ!!!!」 「っ、ぷはぁ…。って、みさ、みさかっ、いやっ、美琴!!これはみさ、みさかがっ」 「一体どちらを指しているのですか?とミサカは呂律の回っていない貴方に無垢な顔で尋ねてみます」 御坂妹は上条の制服の袖を両手でつかんで離さない。すぐ近くでは美琴の電撃が今にも放たれようとしている。 何気ない登校時に起きた絶体絶命のdieピンチ♪ この窮地を打破する策を上条は閃いた。 美琴との距離は10メートル足らず。 上条は御坂妹を左手で抱えると、美琴に向かって一直線に走り出した。 「なっ!?」 上条の行動に美琴は体を振るわせた。左腕で担がれた御坂妹は目を丸くしている。 その一瞬をついて、美琴との距離を詰めた。 上条は美琴を右腕で抱きしめた。 「ひぁあっ!?」 思わぬ行動に美琴は声を上げる。 『右手』で美琴の肩を掴み、胸に抱き寄せた。 御坂美琴の体中に帯電していた電気が嘘のように消えた。 「ああああの、ちょっと、と、当麻?」 美琴が離れないように上条は強く抱き寄せた。 こうすれば美琴は電撃を使えない。 「ちょっと、離してよ!」 というが抵抗は弱い。 「いやだ。ずっとこうしてる」 「えっ?」 思わず声をもらした美琴は顔を上げて、みるみる顔を真っ赤にしていく。 数センチの差で、上条と美琴は目が合った。 美琴の瞳は少しばかり潤んでいた。逆立っていた髪もサラサラとした長髪に戻っている。 その心地よさが右腕を通して伝わってくる。美琴の綺麗な顔立ちを見ていると、上条はまたもやドキッとした。 「ったく、少しは落ち着けよ」 その事を悟られないために、上条は平常な声で言った。 「っ!落ち着いていられるワケないじゃない!アンタが他の女とっ!」 「分かってる分かってる!これは全面的に俺が悪い!だから……すまねぇ」 「そ、そうよ!アンタがいつも他の女と、いつも、いーっつも…」 美琴の頬に涙がつたった。 「えっ!み、美琴っ!?」 女を泣かせる男は最低だ、と両親から言われ続けていた。だから上条はとてつもなく焦っっていた。 「お、おおお落ち着け!み、美琴。ホンっトにごめん!ゴメンナサイ!」 至近距離で叫んでしまったために唾が美琴の顔に飛んでしまった。しかし美琴はそれを拭おうともせず、じっと上条を見つめた。 そんな彼女の涙で濡れて輝く瞳や、白く綺麗な素肌や整った顔立ちを一言で言うと、 めちゃくちゃ可愛い。 「じゃあ、安心させてよ」 そう言って、美琴はゆっくりと目を閉じた。 上条は思った。こんな可愛い子が自分の彼女なのか。自分のせいでいつも彼女に不安な思いをさせているのか。もし目の前に『未来の自分』がいたら思い切りぶん殴ってやりたい。 そんなことを思いながら、『未来の自分』に怒りを覚えながらも「すまない」と心の中で告げて、そっと彼女の唇を―――――― 「姉妹セットで御購入ですかコノヤロウ、とミサカは予想外の展開に驚きを隠せません」 瞬間、上条は御坂美琴から渾身のアッパーを喰らった。
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遅れましたが、エラッタ情報を反映。考察文のほうはお任せします。 -- (名無しさん) 2015-11-25 01 17 18 エラッタに応じて考察を改訂。前の考察は消すのには惜しかったのでコメントアウトしております。 -- (名無しさん) 2015-11-28 15 07 53 アーツは御坂と違ってダメージがある←御坂もダメはあります。修正お願いします -- (名無しさん) 2016-04-07 02 55 43