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小ネタ ココロはいつも。 12月14日 PM.23 49日付がそろそろ変わる時間帯。しかし、上条は寝ていなかった。ベットに寄りかかり、ぼんやりと月を見ていた。上条は現在高校2年生。居候だった白いシスターは、今は仕事でイギリスにいる。1人になった寮の部屋。来客もめったにないので一段と寂しくなっていた。1年前までは。「すー・・・」柔らかな寝息をたてて上条のベットで眠っているのは、愛する恋人の御坂美琴である。現在、上条は中学3年生の美琴と恋人同士だ。1年前から付き合い始め、今では美琴は頻繁に泊まりに来るほどラブラブだった。「お前はホント・・・無防備だよなぁ・・・」そっとつぶやく。確かに、年頃の男女が同室で寝るのはあまり良くない。上条は美琴の羽毛布団を肩まで掛け直すと、美琴の頭を撫でた。少し伸びた、茶色の美しい髪。絹の糸に触れているようだった。「サラサラだな・・・俺とは大違いだ」髪に触れていた手が、頬に移る。柔らかく、温かい肌から体温が感じられる。自分は1人の少女をこんなにも愛しているということを実感した上条は、優しく美琴の頬にキスをした。「んッ・・・」すると、美琴の瞳がゆっくりと開いた。どうやら起こしてしまったようだ。「・・・当麻?ど・・したの?眠れないの?」「起こしちまってごめんな・・・。ああ、ちょっと眠れなくてな」「そっか・・・何してたの?」「寝顔の鑑賞」「え・・・ッ」とっさに美琴の顔が赤くなる。上条はくすっと笑い、「寝顔も可愛いな」「・・・もう・・・感想言えるまでジロジロ見てたってことだよね」「悪い悪い。」「ねぇ、当麻。明日は今日より冷え込むらしいから、あったまる場所行かない?」「おっ、いいな。どこ行きたい?」「温泉はどう?」「そうだな。安いし、明日は予定もないから温泉行くか!」「やったぁ。ありがと、当麻」「俺も行きたかったしな。案出してくれてサンキューな」「えへへ。どういたしましてー」何気ない会話。それだけでも十分に恋人の幸せを感じていた。この少女が笑ってくれるだけで。不幸は幸せに変わる気がしていた。12月15日 AM.0 18「美琴。そろそろ寝ないと明日起きられなくなるぞ」「うー。もっと話したいもん」そういうと美琴は両手を布団から出して小さくバタバタさせた。「ほら、冷えるから布団に入れろって」上条は美琴の両手を羽毛布団に入れると、肩まで掛け直した。「おやすみ、美琴」「おやすみ、当麻」日常の中に、幸せがある生活にこの少女と歩みたい。そう決めた。少年は目を閉じると、ゆっくりと眠りについた。12月15日 AM.8 23まぶしい朝の陽ざしが窓から差し、澄んだ空が広がる頃。「おはよ!当麻」美琴の元気な声が聞こえた。目覚めない頭とともに目を開けると、美琴がのぞきこんでいる。「おはよう、美琴」思わず笑みがこぼれる。そのくらい彼女は明るかったから。上条はいつだって、素直なココロで美琴を愛しているから。fin.
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朝になると、一番最初に美琴が起き始めた。 起きてみるとキッチンから料理をしている音がした。 美琴がキッチンに向かってみると、なぜか上琴の母親がいた。 「ふにゃ?何で母達がいるの?」 「何でって美琴ちゃん、今何時だと思ってるのよ」 美琴が時計を見ると時計の針は10時半を指していた。 「美琴ちゃん10時に家に来るって言ってたじゃない。昨日、何時に寝たの?」 「やっば、寝坊した! ごめん、急いでみんなを起こしてくる!」 そう言って美琴はみんなを起こしに行った。 そして、みんなで戻ってきた。 「あのー、なぜ母達がいるんでせうか?」 「あらあら当麻さんたら~クリスマスの時に言ったじゃないですか『10時にここに来るから』って」 (確かにそんなこと言ってた気がする) 上条はクリスマスの時に母達が言ったことを思い出した。 そして、美鈴は人が増えていることに気付いた。 「あれ~なんか白いシスターと神父さんが増えているんだけど…」 「母さん、昨日ちょっとしたことがあって泊まったの」 「ふーん、まぁ美琴ちゃん達がいいならいいわよ。とりあえずご飯を食べてたら初詣に行くわよ~」 「「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」」」 そう言ってみんなでご飯を食べることになった。 が!!! 「でも挨拶位しないといけないわね、お久しぶりね。シスターさん、ステイルさん」 「はい?」 上条、土御門ドッキーン!!そう言えば、エンゼルフォールの時に神裂がステイルになっていた!! ((ヤ、ヤバい!!どうしよう!?)) 当麻と土御門はステイルの首根っこを捕まえて皆から離れる。 そして御使堕し(エンゼルフォール)の時に起こった出来事を話し、話の辻褄を合わせるようにステイルに要求する。 「つまり僕は御使堕しのせいで神裂が僕の姿になっていて、上条当麻の母親とは顔見知りになっているからそのように振舞えと」 「そうゆうことだにゃー。ちなみにねーちんはパーティーであの母親二人に名前で呼ばれてたぜよ。つまりステイル、お前さんには」 「ちょっと待て! まさか僕に神裂の弟を演じろとでも言うのか!」 「それしか無いな。ステイル、これはお前とインデックスの宿代代わりだ。やってくれるよな?」 家主の当麻の何気ない脅し、ひいてはインデックスの為と思い、ステイルは神裂の弟を演じることを決意する。 しかしステイルは勿論、当麻と土御門は知らない、すでにクリスマスの時に初春が神裂の歳を18歳だとズバッと当てて、母親達もその年齢を知っていることを。 「お久しぶりです上条当麻のお母様。火織姉さんの弟の神裂ステイルです」 「あらあら~、火織さんの弟さんだったの~? 私的にはステイルさんは火織さんのお兄さんと思ってたのだけど~」 「ステイル何言ってるの? 一体いつからステイルはかおりのムグッ!」 「「「わーーーーーーーーーっ!!」」」 詩菜からしてみれば老け顔少年ステイルは見た目なら20代なので18歳の神裂の弟だということに驚いていた、一応。 そこに事情を知らないインデックスが余計なことを言いそうだったので当麻、土御門、ステイルは彼女の口を押さえて再度、皆から離れる。 インデックスを交えての話の辻褄合わせが再度行なわれる。 「にゃー、禁書目録、実はお前さん海の宿で青髪ピアスになってるんだにゃー。」 「へ?それどういうこと?」 「だからだな…」 三分後… 「よーく分かったんだよ。つまりとうまはそのせいで私の首を絞めたり、砂浜に首まで埋めたりしたんだね…」 「何!?上条当麻!!それはどういうことだ!!」 「だからですね、さっきから言ってる通りその時は青髪ピアスに見えてしょうがなかったんだよ!!」 まあそんなこんなで納得はしてくれた。 「ステイルさんどうしたんですか~?」 「いえ、なんでもありません。」 「それじゃあ、みんなでおせちを食べましょう!!」 「わーい!!おせちおせち!!」 「「食い意地はほどほどにね♪」」 「…はーい」 親2人の杞憂は……… 杞憂ではなく現実のものとなった。 「い、インデックスちゃんだっけ?よく噛んで食べないと………」 「モグモグ、ん?大丈夫だよ。5回噛んでるから。」 「「「「「「「「「「「「絶対足りてない!!」」」」」」」」」」」」 「5噛みで飲み込めるアナタって何者!?ってミサカはミサカは自分でやってみて……ゲホゲホッ!」 「おいこらクソガキぃ!!真似しちゃいけねェって言っただろォ!!」 「どうりで食べるのが早いわけだ………」 「……同情するぜカミやん」 「…女子寮の経費もとい食費が倍になったわけだ…」 「…夜も思ったけどあの子の胃袋ってブラックホールか?」 「はまづら、ブラックホールに失礼。」 「凄まじいの一言に尽きますわ。」 「…黒子はん、ボク思ったんやけどシスターさんってこんなに食って良いもんなん??」 インデックスの食べっぷりに感心している詩菜だったが、インデックス一人だけが料理を食べることには困っていた。 少し考えた後で詩菜はインデックスの食事のスピードを抑えるための手を打つ。 「インデックスさ~ん、ちょっとお箸をおいてもらえるかしら~?」 「え? どうかした? とうまのお母さん」 「食べっぷりは惚れ惚れするくらいなんだけど~、お味の方はどうかしら~?」 「おいしいよ!」 予想通りの返答が返って来たことを確認すると、詩菜が次の一手を打つ。 「じゃあインデックスさん的にはどう美味しいのか私に教えてもらえるかしら?」 「どうって言われてもおいしいものはおいしいとしか言えないんだよ」 「そうね。でも味覚で料理を楽しむのも有りだと思うの~。少し食べる速度を落として料理を味わうと、もっと美味しくなってお腹いっぱいになるのよ~♪」 「ホント! ホントにお腹いっぱいになってもっとおいしくなるんだね! 分かったよとうまのお母さん。これからは料理を味わって食べるんだよ!」 実の所、インデックスはちゃんと料理を味わってはいたが人から言われるとそうでもないのかって思ってしまったのだ。 それを詩菜は分かっていて先程のようなことをインデックスに勧め、見事に料理の減る速度を落とすことに成功したのだ。 しかし詩菜は知っていた、あくまで『インデックスの料理を食べる速度』が減っただけに過ぎないと。 「ありがとう母さん! 母さんのおかげで俺達もご飯にありつけそうです!」 「いやー、一時はインデックスちゃんに全て食べられるって不安だったけどさすが詩菜さんね。上手く丸め込んでくれたわ♪」 「でもね~結局食べることは止めないわけだから料理を食べる量は変わらなわけだから大変なことには変わりないのよね~」 「「あっ……」」 そう、結局インデックスの食欲自体は変わっていないので食糧危機が変わるということは無いのである。 その当の本人は深夜の時のように滝壺に食べさせてもらい頭を撫でてもらうという、滝壺の飼い犬のようになっていた。 「詩菜ママさん、美鈴ママさん。一体いつになったら初詣に超行くんですか? 私、超待ちくたびれました」 「ごめんね最愛ちゃん。まだみんなの食事が済んでないから上がって待っててもらえる?」 「最愛さん、あの子はどこにいったのかしら~?」 そこに初詣を楽しみにしていた絹旗が着物(二人からのプレゼント)を着て上琴新居に現れた。 着物姿の絹旗に5バカップルは感心していたが、当の本人はそれどころではない感じで視線にはまだ気付いていない。 詩菜が行方を捜していた人物のことを話そうとしていたが、話すのを止めて上を指差す。 「当麻おにーちゃーん! あけおめのボディープレスだよーっ!」 「……今、超華麗に超幻想殺しお兄ちゃんにダイビング敢行中です」 当麻の従妹こと竜神乙姫が新年早々、当麻にボディープレスをかましている所だった。 「ぎゃー!!新たなる義妹四号ですか!?」 「何言ってるのお兄ちゃん、乙姫だよ?お・と・ひ・め!!」 「(ああ…そういえば夏に美琴になってた従妹か…)冗談!!冗談ですよ!?」 「お兄ちゃん夏に会った時もそんな事言って無かったっけ?」 「しょうがないだろう?久しぶりに会ったんだから…?」 何故最後がクエスチョンマークになったかというと。美琴がガン見しているからである。 「…当麻って妹フェチ?」 「違う違う!!俺は美琴しか愛せない美琴バカな男ですっっっ!!」 「そんな事知ってる♪ん………………………ふぁ…♪」 それを上条の背中から見ていた乙姫は… 「おっ、お兄ちゃん!私というものがありながらっ!!??」 「ムッ!!当麻、今の発言どうゆうこと?そしてコイツ誰?」 「美琴サン正月早々バチバチ言ってますのことよ!!その発言は単なる戯言でそいつは俺の従妹ですっ!!」 「戯言って何よ当麻お兄ちゃん!?私はお兄ちゃんの為に花嫁修業してるのに!!」 「聞けば聞くほどアンタってやつは………」 「み、美琴?その『アンタ』って言い方懐かしいなあ……スイマセン下手な誤魔化しでした許してくださいゴメンナサいっ!!!」 0.1秒で彼女への土下座敢行!! だが 「そんなに妹系が好きだったのかこのクソバカーっ!!!!!」 「ぎゃーっ!!!不幸だーっ!!!!」 久方ぶりに追いかけっこが始まる。 2人が庭へと飛び出していった後、取り残された乙姫は……… 「お兄ちゃん彼女いたんだ…詩菜さんが言ってたショッキングな事ってこの事だったんだ…。」 「まあまあ乙姫ちゃん、当麻さんも年頃なんだから仕方ないじゃない。」 「うう…、でもさぁ…大好きなお兄ちゃんがいきなり知らないキレイな人とキスしてたら誰だって驚くよ…。」 「おとひめ、その気持ちよーく分かるんだよ!!」 「あ…、お兄ちゃんに首絞められたり砂浜に首まで埋められたシスターさんだ…。」 「ううっ…、そのことは掘り返さないでほしいかも…。」 「ごめんなさい」 「別に謝らなくていいんだよ。でもおとひめはとうまの事が大好きだったんだね。」 「うん…」 「でもね、好きな人の幸せを願うのが本当の愛だと私は思うんだよ。」 「…」 「だからおとひめは別にとうまと縁を切らなくても、ずっと好きでもいいんだよ?」 「本当…?」 「本当なんだよ!!」 乙姫はその言葉を聞くと何かが切れた様に泣き出した。インデックスはそんな乙姫を抱きしめた。 この時、インデックスを見た者はこう思った…。 ―――初めてシスターに見えた…。 と。 ちなみにとっくに仲直りした二人が覗いてたりする。 ご飯が食べ終わったあと… 「さて、そろそろ初詣に行くわよ~」 「そういえばインデックス達は一緒に付いて来るのか?」 「うん。初詣に行ったあと、イギリスに帰ろうかな~って考えてたから」 「インデックス、イギリスに帰っちゃうの?」 「うん。とうまとみことの邪魔しちゃいけないから」 「やべ、インデックスが大人になった気がする」 「とうま、それはどういうことかな……」 「すみません謝りますから牙を向けないで!!」 「はいはい、そこで喧嘩しないで行きますよ~」 ということで、みんなで上琴の新居を後にした。 しかし、初詣で大変なことになるとは・・・・・・・・・。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/起きないあいつ 御坂美琴は、上条当麻の胸に飛び込み、ありとあらゆる言葉と涙を,、感情のまま叩きつけた。 「………」 上条は何も言わず、左手で美琴をきつく抱き締め、右手で彼女の頭に触れたまま、黙ってその衝撃を受け続けていた。 美琴は、上条に抱きついた時から漏電を起こし、バチバチと放電していたのだが、上条の右手のおかげで周りには出ていない。 「美琴…」 もはや美琴が何を言っているのか、何と言っているのかは問題ではなかった。 彼女の叩きつけるような感情の波が、上条の首を絞めるように巻きついて来る。 ―このまま縊り殺されても文句は言えねぇよな。 ただ彼女の想いだけを感じ、受け止めていることだけが、その時上条が出来るただ一つのことだった。 どれ程時間がたったのか、やがて上条は口を開いた。 「美琴…、ごめんな…」 泣いている美琴の肩がビクリとした。 「それと…ありがとう…」 その一言で、美琴の嗚咽が止まった。 「…えっく…、えっえっ…く…、…えっく…、…ふぅ…」 美琴はまだ俯いたままではあるが、肩の震えも少しずつ治まっているようだ。 やがて… 「当…麻…の…」 美琴はそれだけ言うと、上条の顔を見た。 美琴の泣き顔が上条の胸に突き刺さる。かつて、守ると約束した少女が流す涙が、上条の心を痛めつける。 上条を見つめる美琴の目がキッと強くなった瞬間… 「馬鹿ッ!」 パシィ!と乾いた音が響く。 上条は左頬に熱い痛みを感じ、思わず美琴を抱いていた手を離した。 上条は左手をその熱さを感じるかのように、頬に当て、真剣な面持ちで美琴の顔を見た。 「何で…、何であの時…、私の手を振り払ったのよ…」 ―わかっていたさ。俺だって、本当は一緒に逃げたかったよ 「アンタ、何でいつも一人で抱え込もうとするのよ…」 ―でもそれが、俺が知っているたった一つの生き方 「いつもいつもボロボロになって… アンタは…それで満足かもしれない… でもね…」 美琴の言葉が上条の首を更に締め付ける。 「そんなアンタを見ている私はどうしたらいいのよ…」 ―……… 「いやよ… 私、アンタが傷付いて、苦しんで、それでも… 笑っている顔なんて見たくないのよ!」 「美琴…」 「私はアンタに救われた。絶望の中から引っ張りあげてくれた。 そしてアンタに居場所を教えてもらったの。 生きててもいいって言われたの。 今のアンタによ! 昔のアンタじゃない。記憶をなくした後の上条当麻によ! 私はそんなアンタが好き。今の上条当麻が大好きなの… 当麻の笑った顔が大好きなの… ううん、そうじゃない。記憶なんて関係ない。 アンタがいつ記憶を無くしたかはっきりとは知らない。 でも多分、私は記憶をなくす前のアンタを知ってる。 だから…今も昔も…上条当麻のことが大好きなの。 私はアンタの知らない上条当麻を知ってるのよ。 この嘘つき!偽善者! わかってるわよ…。 アンタがどうして、どこで、誰と戦ってるかってことぐらい…。 今の私じゃ、アンタの力になれないことぐらいわかってる。 でもアンタの傍にいて…話を聞いてあげることなら…私にも出来るんだから… なのに…どうして…いつもアンタはそうやって… いつも本当の気持ちを隠し続けるのよ! 何もかも全部、ぶちまけて見なさいよ! 泥くそだろうがなんだろうが、アンタの汚いものも、何もかも全部受け止めてやるから!」 美琴の言葉が、上条の壁に突き刺さる。こじ開ける。叩き潰す。その強固な扉を。 美琴は再び涙を流しながら、上条の目を見つめ続けた。 「だから逃げるな!誤魔化すな!私の目を見なさいよ!」 御坂美琴が、上条当麻の奥底にある『何か』を叩き壊した瞬間だった。 ―もう…だめだ… ―怖い… ―いやだ… ―見るな…そんな目で… ―もうだめだ… ―苦しい… ―やめろおおおおお… ―いやだあああああ… 上条当麻の胃の底から、何かこみ上げてくるものがある。 胸がムカムカする。吐きそうだ。 頭の中が真っ白になる。 そして扉が開く。 「なんでそんなこと言うんだよ…」 上条が搾り出すように口にした言葉に、美琴は一瞬立ちすくんだ。 「わかんねぇんだよ!俺にだって!」 上条の両目から涙がこぼれだした。 「俺だって…。俺だって…言いたいけど… ―なんて言ったらいいかわかんねぇんだよ!」 奔流のように流れ出したものに、上条は翻弄される。 膝を折り、泣き崩れた上条を、美琴は何も言わず優しく抱き締めた。 上条はただ泣くしかなかった。美琴の胸に抱かれながら。 何も言葉にならず、ただ声にならない声を上げながら。 さながら聖母マリアに抱かれた赤子のようでもあった。 やがて上条は少しずつ、美琴に話をはじめた。 自分の記憶をなくした日からのことを。 流れる涙を止めようともせず。 美琴は何も言わず、同じように涙を流しながら、それでいてやさしく、微笑みをうかべて上条の話を聞いていた。 「ありがとう当麻。話してくれて。 本当につらかったんだよね。 ずっと言いたかったんだよね」 「ああ…、やっと…言えた…気がする。たぶん…」 「今は全てじゃなくてもいいのよ。また言いたくなった時に言えばいいから。 私なら、いつでも聞いてあげるし、アンタの全てをいつでも受け止めてあげる。 言えない時は、また今日みたいに手伝ってあげるから。 でも当麻。今ほんとにすっきりした…いい顔…してるわ… 私しか知らない当麻の、本当の顔…よね」 「美琴…ありがと…。 でさ…俺…、もう一つ、謝らなければならないことがあるんだ…」 「知ってる。約束のこと、でしょ…」 「―知ってたのか…お前」 「『御坂美琴とその周りの世界を守る』だったよね」 「…ごめん」 「そんな約束、捨てちゃえば?」 「えっ」 「アンタが勝手に他人とした約束が、私を傷付けたらどうするの?」 ―! 「そんなの勝手じゃない。 私の世界は私のものよ。 アンタのものでもソイツのものでもないわ。 そんな勝手にされた約束が、本当に私と私の周りの世界を守れるって思うの?」 「しかし…」 「しかしもくそも無いわよ…」 美琴は笑いながら言った。 「残酷なようだけど、私の世界は、ソイツとは何の関係も無いわ。 思ってくれる気持ちはありがたいけど、自分勝手な想いの押し付けは、私にとっては迷惑なだけ。 私の世界なんて、一体どれだけ知ってるっていうのよ、ソイツが。 ならアンタとじゃなくて、直接私とするべきじゃない。 勝手に人の世界を決めてくれるなってのよ」 「美琴…」 「だったらアンタが私としなさい。ソイツとじゃなくて。 私との約束は、厳しいわよ。 私の世界は、私の大好きな上条当麻が中心にいるの。 上条当麻が今のような笑顔で、私の前にいてくれることが、今の私の世界なの。 その世界を、本当にアンタ、守れる?」 「ああ、守るとも。必ず…」 パシン! 「嘘つき!」 美琴の手が再び上条の左頬に飛んだ。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/起きないあいつ
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◆AMqj9t925Y 氏が手がけた作品 話数 タイトル 登場人物 009 「パンティとストッキングが交差するとき、物語は始まる!」 feat. 坊主-T 上条当麻、アナーキー・パンティアナーキー・ストッキング、寺生まれのTさん 氏が登場させたキャラクター 一回 上条当麻、アナーキー・パンティ、アナーキー・ストッキング、寺生まれのTさん 没SS 種類 タイトル 没になった理由 SS ドラ焼きを食わしてやりたいんですが、かまいませんね!! 書き手による破棄 氏に寄せられたコメント 名前 コメント 戻る ▲
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芝村:/*/ 芝村:少しづつ、灯りがつきはじめる セントラル越前@越前藩国:「進路をとれ!目指すはパーフェクトワールどっ」 セントラル越前@越前藩国:最後、少し噛んだ。 芝村:まずはセントラル越前だ。 鴻屋 心太@越前:「了解!」 芝村:次に、鴻屋 心太 刀岐乃@越前藩国:「了解です!」 芝村:次に、刀岐乃 ガロウ@越前藩国:「了解です」 芝村:光に照らされる。ガロウ RANK@越前藩国:「了解」 芝村:RANKに光が入った 夜薙当麻@越前藩国:「了解」 戯言屋@フィーブル藩国:「了解です」 黒埼紘@越前摂政:「進路、パーフェクトワールドへ。」<復唱 芝村:全員がゆっくり、照らされていく。 萩野むつき@レンジャー連邦:「了解です」 ポイポイダー:「了解した。進路。12時」 七海:「陸戦隊、降下用意!」 殿田:「エンジン、回転数正常」 MAKI:「出帆まで120秒」 芝村:桜子が最後に映し出された。越前の隣のシートにいる。 桜子:「いつも、ここに座ると緊張します」 セントラル越前@越前藩国:「…恥ずかしいことをひとつ、言っても?」 桜子:「どうぞ」 セントラル越前@越前藩国:「私、こういうの初めてなんだ。……とても緊張している」 桜子:「ご指示を。マイマスター」 セントラル越前@越前藩国:首をこきっと回す 桜子:「シビリアン・コントロールのない軍隊はただの暴力です」 セントラル越前@越前藩国:「……ああ。そういえばアイドレスでそれを言われるのは、二度目だ」 桜子:「最初はどなたに?」 MAKI:「出帆まで55秒」 セントラル越前@越前藩国:「帝国の、宰相に」 殿田:「メインエンジン、出力98%」 MAKI:「出帆まで20秒」 セントラル越前@越前藩国:「……10秒からカウントダウン」 桜子:「10秒よりカウントダウン!」 MAKI:「10」 MAKI:「9」 MAKI:「8」 MAKI:「7」 MAKI:「6」 MAKI:「5」 MAKI:「4」 MAKI:「3」 MAKI:「2」 MAKI:「1」 MAKI:「0」 セントラル越前@越前藩国:「冒険艦・夜明けの船 出帆!」 桜子:「夜明けの船 出帆せよ」 芝村:艦がもちあがりはじめた。 芝村:凶悪なGがかかりはじめる。 黒埼紘@越前摂政:(摂政脇で感涙) 黒埼紘@越前摂政:(してる場合じゃなかったらしい)<Gで 芝村:20Gを越えてシートに体が埋まる 芝村:小学生達は笑っている。 鴻屋 心太@越前:「どわわ…っっっ!!!」 セントラル越前@越前藩国:サイボーグなのでがんばって耐えます。 あ、ちょっと無理だった 刀岐乃@越前藩国:「このくらい…!」 夜薙当麻@越前藩国:「う・・・ぉお・・・」 RANK@越前藩国:「ぐ・・・これは・・・」 ガロウ@越前藩国:「ぐうっ‥」 萩野むつき@レンジャー連邦:「(蝶子さん、ヤガミ、どうか無事で!20G-?)」 戯言屋@フィーブル藩国:「みんな負けるなー……うううー……」 黒埼紘@越前摂政:ギークの体で頑張って耐えます。Gで顔が歪む 芝村:交通事故2回分だね 刀岐乃@越前藩国:「(バーベキュー食べなくてよかったw)」 芝村:小錦二人の打っちゃり分だ 芝村:星の海に出た。音も振動もない、出陣だった。 セントラル越前@越前藩国:「……」 こっそり安心したように一息。 桜子:「超光速ドライブ、始動開始、リューン注入。00」 刀岐乃@越前藩国:「ふ~終わった・・・?」 鴻屋 心太@越前:「…ふう。。。サイボーグの身体でよかった。。。」 桜子:「本格的にGがかかります。ご注意ください」 RANK@越前藩国:「すごい体験だったな・・・」 黒埼紘@越前摂政:(崩れた人工皮膚の顔をぐにぐに直している) 鴻屋 心太@越前:「これ以上かい!?」 刀岐乃@越前藩国:「なんか今の序の口みたいですよ?w」 セントラル越前@越前藩国:「うむ。皆も気をつけろ。私も座るっ」 ガロウ@越前藩国:「まだやるのか‥」 萩野むつき@レンジャー連邦:「私、死にそうです(やわらか設定にて」 RANK@越前藩国:「なっ!?まだ来るのか!?」 夜薙当麻@越前藩国:「お、おぉ・・・、おぉ??、また!?」 戯言屋@フィーブル藩国:「宇宙。宇宙かあ……」 なんかきらきらした少年の瞳で 鴻屋 心太@越前:「…(気合いをいれて)よっしゃ来い!!」 戯言屋@フィーブル藩国:「よし、こい!」 萩野むつき@レンジャー連邦:「でも耐える!」 芝村:星の海が見える。涙が出るほど美しい、死の海だ 黒埼紘@越前摂政:「対ショック及び覚悟完了。いつでもどうぞ。」 セントラル越前@越前藩国:「ああ。くそ、涙腺まで改造するんじゃなかった」 芝村:だがその海を翔ける子供たちがいる。 刀岐乃@越前藩国:「わあ・・・宇宙久しぶりだなあ・・・」 RANK@越前藩国:「じゃあ、もう少し頑張りますか!」 桜子:「リューンドライブ。点火。100G」 夜薙当麻@越前藩国:「…よし、ばっちこいっ!!」 芝村:全員が口を開けたのと加速は同時だった。 刀岐乃@越前藩国:「舌かまないようにだけ気をつけよ」 セントラル越前@越前藩国:「ひゃ」 鴻屋 心太@越前:「ひ…ひゃくじー!?」 萩野むつき@レンジャー連邦:「…!」 黒埼紘@越前摂政:「歯をくいしばr・・・へぁ!?」 RANK@越前藩国:「な!?」 戯言屋@フィーブル藩国:「んんっー!」 夜薙当麻@越前藩国:「…………!!」 芝村:全ての星が、流れた。 刀岐乃@越前藩国:「ひゃわーーー!!!!」 芝村:貴方がたは光よりはやく移動を開始した。 芝村:/*/ 芝村:永遠に続く苦しみと思ったが、時間は10分ほどだった。 芝村:地球が見える。 ガロウ@越前藩国:「え?あれは地球?」 桜子:「遠距離砲戦用意。降下部隊、前へ」 セントラル越前@越前藩国:「はは… 一瞬、真理が見えた… 気がする」 黒埼紘@越前摂政:「ちょ!」 刀岐乃@越前藩国:「お花畑が・・・」 RANK@越前藩国:「えぇぇ!?」 夜薙当麻@越前藩国:「……青いなぁ…」 黒埼紘@越前摂政:「ほら藩王、手綱をしっかり。」 萩野むつき@レンジャー連邦:「亡くなったおばあちゃんがみえた」 セントラル越前@越前藩国:「黒埼、待て。 難しいことを言うが、誤爆は避けたい」 桜子:「第一弾、情報弾」 刀岐乃@越前藩国:「情報弾?」 桜子:「正面正射、10秒」 刀岐乃@越前藩国:「とりあえず策敵ってことかな・・・」 MAKI:「照射直径4万kmを越えます」 鴻屋 心太@越前:「まずは敵を知らんとな?」 桜子:「撃て!」 芝村:今、地球中の携帯が一斉になり始めた。 刀岐乃@越前藩国:「な。なんか大変なことになってる気がするけど・・・まあいっかw」 黒埼紘@越前摂政:「・・・こりゃすごい。なんという情報戦能力だ」 RANK@越前藩国:「はははwやっぱすごいなw」 鴻屋 心太@越前:「…すごい。。。」 刀岐乃@越前藩国:「うちにも欲しいですね、摂政」 芝村:”汝の名をたからしめよ、汝の名をかがやかせよ、八重咲桜子の名を” 夜薙当麻@越前藩国:「うわぁ、すっげー…」 黒埼紘@越前摂政:「艦長、うちの優填もお手伝いしてよろしいですか?」 黒埼紘@越前摂政:<越前の電子妖精 桜子:「はい。喜んで」 セントラル越前@越前藩国:「目標、要救助者の回収と全員の生還。仲間外れと置いてけぼりは可哀そうだ」 桜子:「続いて第二弾、情報弾、電子妖精」 刀岐乃@越前藩国:「な、なんか携帯使った洗脳のような気がするのは私だけかな?(汗」 黒埼紘@越前摂政:「ゆけ、優填。蝶子藩王とヤガミさんを探し出せ。」 萩野むつき@レンジャー連邦:(すみません落ちてしましました) 鴻屋 心太@越前:「優填がんばるんやで?」 桜子:「撃て!」 刀岐乃@越前藩国:「た~まや~!」 芝村:携帯電話で取られたものから順次、透明な羽の電子妖精たちが飛び始めた。 萩野むつき@レンジャー連邦:「電子妖精がんばって!」 黒埼紘@越前摂政:「優填、現地への展開開始。情報を整理してそちらに回します。」>藩王へ RANK@越前藩国:「優填頼んだぞ~」 ポイポイダー:「翼の友より入電。特定した。座標、入力する」 鴻屋 心太@越前:「よっしゃ!」 刀岐乃@越前藩国:「さっすが優ちゃん!」 黒埼紘@越前摂政:(自分のコンソールには滝のように文字が流れる) ポイポイダー:「映像、出る」 夜薙当麻@越前藩国:「よしっ!」 セントラル越前@越前藩国:「流石だな…」 芝村:黒い翼の槍をもったものが大量に映っている 萩野むつき@レンジャー連邦:「蝶子さん、ヤガミ!」 芝村:そして巨大な要塞。20km級 セントラル越前@越前藩国:「これは…!」 黒埼紘@越前摂政:「既に、来ていたのか・・・。」 桜子:「楽しい戦争が出来そうですね」 夜薙当麻@越前藩国:「なんだ、この巨大なモノは・・・」 RANK@越前藩国:「すごいのが映ったな・・・」 刀岐乃@越前藩国:「桜子さん楽しそうだねえw」 黒埼紘@越前摂政:「彼我の戦力差は?」 桜子:「要塞みたいですね。戦力差は・・・」 七海:「ださないでもいいよ。やるんでしょ?」 桜子:「そうね。いってくれる、七海ちゃん」 黒埼紘@越前摂政:「ま、違いない。」 鴻屋 心太@越前:「どうします?おやかたさま?」 刀岐乃@越前藩国:「ま、目的は二人を助けるって事忘れなければ多少はつぶしてもいいよねw」 セントラル越前@越前藩国:「そうだな…心太、こういうとき国本ではどんなことを言ってたかな」 七海:「貴方の名前を輝かしめます。八重咲の桜の名を」 夜薙当麻@越前藩国:「…くっ、ははは…。確かにそうだ」七海と桜子の会話を聞いて、思わず笑いだす セントラル越前@越前藩国:「“善きにはからえ”、かな」 鴻屋 心太@越前:「了解♪(にやり)」 黒埼紘@越前摂政:「藩王それ暴走フラグぢゃ?」 桜子:「被害に構うな。名誉こそを誇れ、陸戦隊、降下開始。二人の男女のためにことごとく戦って死になさい」 七海:「了解」 MAKI:「転送シーケンスに入りました」 セントラル越前@越前藩国:「大丈夫だ。私は信頼している」 セントラル越前@越前藩国:「大丈夫だ。そうだろう?」 黒埼紘@越前摂政:「うちの剣も送りましょうか。」 鴻屋 心太@越前:「じゃ、うちの風刃雷刃もいってもいいやろ?」 MAKI:「転送」 黒埼紘@越前摂政:「あの子らに遅れをとるつもりもあるまい?」>部下を見る 萩野むつき@レンジャー連邦:「(誇りある子供達、どうか二人をお願いします!)」 刀岐乃@越前藩国:「RANKさん!やっと出番みたいだよっ!」 鴻屋 心太@越前:「夜薙さん、行くで!」 RANK@越前藩国:「よし、ちょっと暴れてきましょうか!」 芝村:映像に続々400名の戦士たちが現れて悪鬼のように戦い始めた。 セントラル越前@越前藩国:「今日の晩御飯は私のおごりだ。皆、食いっぱぐれるなよ」 夜薙当麻@越前藩国:「さあ、行こうか我が王よ」 セントラル越前@越前藩国:自分の手をぎゅっと握りしめます ポイポイダー:「核を使えば一瞬のはずだが」 萩野むつき@レンジャー連邦:「勝利と無事を祈ります」 黒埼紘@越前摂政:「優填その他の電子妖精から得た情報を元に, 黒埼紘@越前摂政:オペレートを続けます」 刀岐乃@越前藩国:「了解~!藩王様、その言葉、後悔させましょう(にやりと少女らしからぬ笑みをうかべる」 桜子:「上層指揮官は歩兵の死をお望みだ」 鴻屋 心太@越前:「後悔せんといてやw」 萩野むつき@レンジャー連邦:「ポイさん、核は使いません、無くても勝ちます」 黒埼紘@越前摂政:「藩王、我々の兵の直接指揮の権限を、私に。」 桜子:「それに、たまにはいいでしょう」 セントラル越前@越前藩国:「それに、ひとつだけ違うぞ」 セントラル越前@越前藩国:「皆、生きて還る」 芝村:既に要塞の中央部に七海が一人で突入している。 刀岐乃@越前藩国:「久しぶりに暴れられる~♪(大剣をかつぐ)」 セントラル越前@越前藩国:「無茶をする… 援軍を!」 刀岐乃@越前藩国:「って、七海ちゃんせっかちなんだから!行くよ、RANKさん!」 鴻屋 心太@越前:「MAKI、僕らも転送して!七海に遅れとりたくない!」 黒埼紘@越前摂政:「剣王隊、子供達を守れ!」 RANK@越前藩国:「流石だなぁ七海ちゃん!俺たちも負けてられないな!」 夜薙当麻@越前藩国:「…さすが、藩王。解ってらっしゃる」 MAKI:「転送開始」 鴻屋 心太@越前:「了解!ほな、いってきます!」 ガロウ@越前藩国:「役に立つか分からないけど、自分も!」 セントラル越前@越前藩国:「ガロウ、君の席はここだ」 芝村:戦場に転送された。 刀岐乃@越前藩国:「行ってきま~す!」 ガロウ@越前藩国:「行かせてくださいよ!」 RANK@越前藩国:「よし!やるぞ!」 セントラル越前@越前藩国:「ハッカーの仕事はオペレーション!」 夜薙当麻@越前藩国:「風陣・雷刃部隊、出る!!」 鴻屋 心太@越前:要塞に向かいます 芝村:敵の評価は単体で20だ。 萩野むつき@レンジャー連邦:魔術的舞踏子はなにかできることはあるでしょうか? 桜子:「見ていてください」 桜子:「我々が、どう戦って、どれだけ死ぬかを」 黒埼紘@越前摂政:「さあてこき使うぞー?(楽しそう)」>ガロウ 萩野むつき@レンジャー連邦:「はい、しっかりと焼きつけます」 夜薙当麻@越前藩国:鴻屋さんとコンビで行動します。 ガロウ@越前藩国:「はい‥」 芝村:蝶子、ヤガミ、確保された。 セントラル越前@越前藩国:オペは可能ですか? セントラル越前@越前藩国:>評価値20 芝村:ええ。オペレーション可能です。 セントラル越前@越前藩国:その場合、必要になる評価値はいくつになりますでしょうか 芝村:20 刀岐乃@越前藩国:電子妖精込みならいけますが。。。 芝村:蝶子、ヤガミが転送された。 芝村:艦橋に戻った。 萩野むつき@レンジャー連邦:「蝶子さん!ヤガミ!(泣)」 桜子:「お客人を医務室へ」 黒埼紘@越前摂政:情報戦評価(知識+器用)によるオペレートは今回可能でしょうか? セントラル越前@越前藩国:黒埼さん、可能ですよ 鴻屋 心太@越前:「蝶子さん、ヤガミ無事保護されたって」 刀岐乃@越前藩国:「よかった!」 芝村:ええ。可能です>黒埼 芝村:歩兵は200名ほどに減っている。 夜薙当麻@越前藩国:「よし、あとは撤退戦だな!」 芝村:防御陣形に入った。 鴻屋 心太@越前:「みんなを守るんや!」 萩野むつき@レンジャー連邦:「まだ、ここにいます。治療をおねがいします…(みてなくちゃ」 桜子:「殿田、撤退はまて。作戦変更」 刀岐乃@越前藩国:「これ以上やらせないから!」 セントラル越前@越前藩国:電子妖精によるオペレートのサポートは可能でしょうか? RANK@越前藩国:「まだだ!まだ戦える!」 夜薙当麻@越前藩国:「おおっ!これ以上、死なせないっ!!」 鴻屋 心太@越前:七海は近くにいますか? 桜子:「動物病院が3つ、老人ホーム1つ、集会所2箇所を確保。急げ」 萩野むつき@レンジャー連邦:(ただただ 萩野むつき@レンジャー連邦:いのります) 芝村:七海は既に巨大な蜘蛛と戦っている 鴻屋 心太@越前:そっちに加勢…できるかな? 黒埼紘@越前摂政:藩王も情報戦評価に足します。 芝村:蜘蛛の評価は40だ 鴻屋 心太@越前:ぐはっ… RANK@越前藩国:そんなものまでいるのか 芝村:七海は単独撃破した。 夜薙当麻@越前藩国:加勢したいですなぁ 鴻屋 心太@越前:さすが。。。 夜薙当麻@越前藩国:ぐはw 刀岐乃@越前藩国:「うわ・・・一人で勝っちゃったよ・・・」 RANK@越前藩国:「おおw流石だw」 七海:「撃破成功。次は」 夜薙当麻@越前藩国:「つよ・・・」 桜子:「遺体回収、全員を収容して」 鴻屋 心太@越前:「七海?怪我ないか?」 刀岐乃@越前藩国:「七海ちゃん、大丈夫!?(声をかけつつ駆け寄ります」 萩野むつき@レンジャー連邦:「桜子さん、七海さん強いね、さすが貴方のパートナー」 黒埼紘@越前摂政:3名ギークブースト、電子妖精+11を得て情報戦評価27です。 黒埼紘@越前摂政:遅いか。 夜薙当麻@越前藩国:「大丈夫か七海?」 芝村:オペレートがかかりだした。 RANK@越前藩国:「七海ちゃん、大丈夫かい?」 芝村:死者の数に歯止めがかかりはじめた。 七海:「うん。慣れているから」 七海:「宇宙兵器使えないと、いつもこうだし」 黒埼紘@越前摂政:「ガロウ、ここから我々も反撃するぞ。」 ガロウ@越前藩国:「はい」 刀岐乃@越前藩国:「OK!じゃあ、どんどん行こう!!」 鴻屋 心太@越前:「はやいとこ片付けて…帰ってみんなで宴会しよな。」 夜薙当麻@越前藩国:「…慣れてても無茶はするな。心太くんが悲しむ」口からでまかせw 黒埼紘@越前摂政:「えーと、萩野さん。今回の燃料費用はレンジャー連邦もちって事でよろしく!」 萩野むつき@レンジャー連邦:「もちろんです!」 セントラル越前@越前藩国:「あとできっちり領収書切っておこうな」 鴻屋 心太@越前:(顔が真っ赤になる)<夜薙さんの言葉で 萩野むつき@レンジャー連邦:「名物の酒とイカもつけます!」 殿田:「民衆避難、成功しました」 桜子:「お金、皆さん好きなんですね」 桜子:「撤退する」 黒埼紘@越前摂政:「というかうちの燃料在庫が5万tでね!」 セントラル越前@越前藩国:「好きって言うわけじゃないんだ… ただ、苦労したことが多くてなぁ」 桜子:「仲間を一人も残すな」 鴻屋 心太@越前:「了解!みんな、撤退するで!」 黒埼紘@越前摂政:「敵をかく乱し、撤退を支援する!」 RANK@越前藩国:「よし!そろそろ引き上げるぞ!」 夜薙当麻@越前藩国:「応っ!」 黒埼紘@越前摂政:情報戦による撤退支援の難易度はいくつですか? 刀岐乃@越前藩国:「了解!」 芝村:22>黒埼 鴻屋 心太@越前:「夜薙さん、適当にそこらへん掃除して!」 芝村:さきほどが27なんで成功だね 黒埼紘@越前摂政:はい。27で。 萩野むつき@レンジャー連邦:「どうか、みなさん無事で、一人でも多く帰ってきてください!」 夜薙当麻@越前藩国:「任せろ!」剣を薙ぎ払って雑魚を一掃したいのでが・・・ 芝村:撤退に成功した。 MAKI:「敵、消えていきます」 セントラル越前@越前藩国:「退いたのか…?」 桜子:「帰還軌道まで20」 萩野むつき@レンジャー連邦:「皆さん急いで!」 刀岐乃@越前藩国:「怪我人をできる限り連れて帰らないと・・・!」 桜子:「死亡者のプレイヤーには私から一筆書く。急げ」 芝村:桜子はにこっと笑って越前を見た。 セントラル越前@越前藩国:「後で宰相府に一報を入れて、腕利きの医者の手配を嘆願しよう」 セントラル越前@越前藩国:「アイドレスなら…な」 黒埼紘@越前摂政:「背負えるだけ背負ってこい。サイボーグなら子供二人くらいはいけるだろう。」 桜子:「スピリチアには生き返りはありません」 鴻屋 心太@越前:動けないけが人をつれていきます セントラル越前@越前藩国:「……そうか。すまないことをした」 セントラル越前@越前藩国:「私も連名で署名を入れよう。今は撤収だ」 萩野むつき@レンジャー連邦:「桜子さん、私みてました、あの子達を、忘れません」 刀岐乃@越前藩国:うごけないけが人をできる限り担いで帰還します。 夜薙当麻@越前藩国:「仲間は一人も、痛いすら残さず連れて帰る」できる限り、遺体をぁついで行こうとしています。 夜薙当麻@越前藩国:かついで 桜子:「署名ではなく、一文をいれてあげてください」 RANK@越前藩国:「できる限りの事をしてやる!」子供を担ぎながら 戯言屋@フィーブル藩国:(八重咲さんがどういう表情なのか観察する戯言屋) 黒埼紘@越前摂政:「総員の撤収を確認。電子妖精も収容します。・・・完了。」 桜子:「ほかにできることなど、指揮官にはないのですから」 芝村:艦は帰還軌道に乗った。 セントラル越前@越前藩国:「……ああ。皆、よくやってくれた」 芝村:/*/ 芝村:はい。お疲れ様でした。 セントラル越前@越前藩国:お疲れ様でした ガロウ@越前藩国:お疲れ様でした、ありがとうございました RANK@越前藩国:お疲れ様でした 黒埼紘@越前摂政:お疲れ様です。ありがとうございました。 戯言屋@フィーブル藩国:お疲れ様でしたー 鴻屋 心太@越前:お疲れさまでしたー 黒埼紘@越前摂政:・・・くそー、評価値先に計算しときゃよかったー! がー! 刀岐乃@越前藩国:お疲れ様でした。ありがとうございました 夜薙当麻@越前藩国:「帰ったら、鮭のムニエルをふるまおう」200名の子供たちに セントラル越前@越前藩国:本当にありがとうございました。色々と体から出てきそうです… 萩野むつき@レンジャー連邦:お疲れさまでした、皆様ありがとうございました(号泣 夜薙当麻@越前藩国:っと、遅かった(汗 おつかれさまでしたー セントラル越前@越前藩国:(にゅるにゅると) 芝村:救出は成功です。 鴻屋 心太@越前:ありがとうございます? 刀岐乃@越前藩国:よかった・・・ セントラル越前@越前藩国:ありがとうございます。 一番最初の目標は達成できましたが… 迷宮が… ガロウ@越前藩国:よかったですw 鴻屋 心太@越前:(…ほんとよかった。。。無事救出できて) RANK@越前藩国:よかった・・・ 黒埼紘@越前摂政:子供達の損害がなんとも悔しい。 芝村:大量の歩兵を殺せばよかった?>迷宮 黒埼紘@越前摂政:損害いっちゃあれだが。 萩野むつき@レンジャー連邦:ありがとうございます、ありがとうございます!(子供達のことわすれません セントラル越前@越前藩国:うぐう…… <迷宮 芝村:子供には子供の理屈がある。核反対を言うのは簡単だ。軍人以外は。 夜薙当麻@越前藩国:迷宮は修復できそうですが、生き返りの無い、スピリチアの死者は取り返しがつきませんから。 戯言屋@フィーブル藩国:蝶子: お疲れ様です。本当にありがとうございました。 私からもぜひ散った兵の方たちに一文を。。。(涙 芝村:まあ、アイドレスで不眠不休で努力する意味を思い出すだろう。 黒埼紘@越前摂政:冒険艦に大きな借りができました。借りばっかりで倒産しそうですが。 セントラル越前@越前藩国:そうですね…… 久々に吐くような思いをしました。ありがとうございます。 芝村:アイドレスで血を吐くのは、死者を減らすための努力だわな。 萩野むつき@レンジャー連邦:今回の一連に関して、勉強させられました。 芝村:はい。それでは解散しましょう。 セントラル越前@越前藩国:あ、すいません 芝村:なんだい? セントラル越前@越前藩国:評価、そのほか何かありましたら教えていただきたいのですが… セントラル越前@越前藩国:(ACE等) 芝村:評価変動はないよ。さすがに人数多すぎてなにもなし。 芝村:自由号は死んでない。 芝村:ただ、核とか今回の作戦で邪魔なので、排除された 戯言屋@フィーブル藩国:フィーブルに帰還したんですか? セントラル越前@越前藩国:了解いたしました。指揮云々はこのゲームでのみ有効でしょうか? 芝村:いや。小笠原の海の底 戯言屋@フィーブル藩国:がーん! セントラル越前@越前藩国:か、回収っ回収っ 萩野むつき@レンジャー連邦:海の底! 鴻屋 心太@越前:あらら… 夜薙当麻@越前藩国:さ、サルベージしなきゃっ!(@@; RANK@越前藩国:自由号・・・・ 黒埼紘@越前摂政:い、いつ予約できるかしら・・・。 芝村:指揮についてはこのゲームのみ有効だ。 萩野むつき@レンジャー連邦:私は何故ねらわれたのでしょう?泉の水、ですか? 芝村:200人殺せば立派な指揮官失格だろう セントラル越前@越前藩国:半分ですからね… せめて最後の職務は全うします 芝村:では解散しましょう。 芝村:皆さんお疲れ様でした。 ガロウ@越前藩国:お疲れ様でした、ありがとうございましたー 鴻屋 心太@越前:今日はありがとうございました。 刀岐乃@越前藩国:はい。お疲れ様でした 黒埼紘@越前摂政:はい。重ねて、ありがとうございました。 戯言屋@フィーブル藩国:お疲れ様でしたー セントラル越前@越前藩国:はい。本日は長時間ありがとうございました。 RANK@越前藩国:お疲れ様でした。 刀岐乃@越前藩国:ありがとうございましたー! 夜薙当麻@越前藩国:ありがとございました。おつかれさまでした。 萩野むつき@レンジャー連邦:お疲れさまでした、皆様もありがとうございました、感謝しきれません。 RANK@越前藩国:ありがとうございました 芝村 が会話から退席しました。
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19時01分 その後、さんざんな目に遭った。 コスプレ衣装は没収された。描写不可能な形相をした白井に追い掛け回され助けを求めた他の常盤台中学生は敵に周り、上条当麻は『学舎の園』の中を走り回った。休む暇も無く、針や二〇〇〇℃を超す灼熱やカマイタチが襲ってくる。周囲はそんな光景を目のあたりにしながらもいたって驚くそぶりも見せない。つまりこれは上条当麻が起こす『普通の光景』なのだろう。常盤台中学の能力開発の優秀さ感心しつつも敵に回すとこれほど恐ろしいものはないということを上条は実感していた。 もっとも、上条当麻の敵ではないのだけれども。 命からがら逃げ出し、通学路の途中にある人気の無い公園のベンチで少年は項垂れていた。 三時間ほど走り続け、彼女たちを撒いてたどり着いた先がこの公園である。いくら体力のある年頃と言えど足に疲労を感じていた。空はすでに夜。下校時間を過ぎているので人通りは極端に少ない。携帯で時刻を確認すると十九時を過ぎている。 この状況を端的に表すとこの一言に尽きるだろう。 「…不幸だー」 不幸な少年は真っ暗な空を見上げて呟いた。夜空に輝く流れ星(実際は廃棄処分された人工衛星のデブリ)に心奪われながら、先ほど自販機で購入した缶ジュースに口をつけた。 「ぶわっ!?不味っ!」 口に広がる不快な味覚に上条は思わず吐き出した。口元を袖で拭いながら缶シュースの銘柄を見る。 「ゴホッゴホッ…んー、何々…抹茶味のサイダー!?て何だこりゃあ!?しかもホットだし!缶コーヒーを買ったはずなのに、また入れ間違いかよ!」 さらには缶の種類、サイズ、デザインの色合いも似ており、薄暗い公園で確認できなかったのも無理は無い。 ようやく訪れた静かなひと時を堪能したかった上条だが、ジュース一本でその雰囲気はものの見事に崩れ去ってしまった。カクテルバーで粗茶を飲むようなものである。 「うう、不幸すぎますー」 「不幸不幸と言っておるとまた味あわせてやるぞ?上条」 後ろからふいに声をかけられた。 振り返ろうとすると頬に暖かいものが押し付けられた。缶ジュースである。 「おしるこは嫌いか貴様?私は気に入っているのだがな」 見覚えがある。『今』の上条当麻にとってはつい最近会ったばかりだ。 「バードウェイ!?何でここに!?」 「……ふむ。私がここにいることがそんなに不思議か?」 先日帰ったばかりだろ!とは言えなかった。ここは一年後の未来。あの時から会っていないとすれば、一年ぶりの再会といえる。 しかし、上条は妙な親近感を覚えた。 高級感ある紺色のコートに白のプリーツブラウス。デザインの良い薔薇の刺繍が入った黒のストレッチベロアパンツを履いていて大人びた印象を受ける。 だが、その容姿はまるで変わっていなかった。可愛らしい容姿にひそむ鋭い目つきが。 「ひ、久しぶりだなー。突然の再開に少し驚いているだけだよ」 「ああ、それだ。それだよ。その『ヒサシブリ』という日本語を忘れてしまってな。貴様にどう話しかけようか思考を巡らせていたところだ」 「…また何かあったのか?」 外見は十二歳前後の少女とはいえ、『明け色の陽射し』のボスとして君臨する魔術師である。 この学園都市に観光目的で来日していないのは明白だ。さらに彼女ほどの実力と地位を持つ者が入ってくる事自体、ただ事ではない。 バードウェイは上条の変化を察したらしく、ニヤァ、と口を大きく引きつらせながら言った。 「なあに、大それた用事ではない。確かにここに来た目的は仕事の為だが、貴様に頼らずとも安易に完遂できるモノだ。私が貴様を訪ねたのはkotatsuをもう一度堪能しくなっただけだ。ウチにもあれを取り寄せたのだがな。アンティークが並ぶリビングでは案外つまらなくて、鬱憤晴らしに部屋ごと吹き飛ばしてしまった」 そう言って軽く舌を出すバードウェイのイタズラ心満点の笑顔に、上条当麻はギョッとした。片目を閉じながら、いつの間にか右手に持っている杖をクルクルまわしている。何かの拍子で術式が発動するかもしれない。 「そ、そうですか。今はまだコタツは出していないんでー、サヨナッ!?」 ガシイッ!襟首をつかまれた。かなり強い力で。 「貴様、どこに行く気だ?」 悪意たっぷりの笑顔を浮かべながらバードウェイは言う。 「い、いやー、カミジョーさんはただ家に帰ろうとしただけですよ?インデックスが腹を空かせてるかもしれないから、早く家に帰って夕飯の準備をしなくちゃならないのでェッ!?!」 足のつま先を踏まれた。かなり強い力で。 「それは奇遇だな。私もまだ夕食が済んでいないんだよ」 「…つまり」 「そこまで言ってもまだ分からぬか。やはり貴様は私の下僕にしてやったほうがいいな」 「…つまりつまり」 「喰わせろ」 ハイ、ワカリマシタ。 「お帰りなさいとうま(当麻)」 そこに二人のエプロン姿の美少女がいた。 上条当麻がとった行動は一つ。カバンをズリ落とした。それはもうドコかの漫画みたいに。 19時23分 バードウェイと共に見慣れない自分のアパートに戻ってきた。第七学区にある高級住宅地で十四階建の高級マンション。セキュリティの優秀性は知らないが、仄かに彩られる和風庭園を一望できる玄関があるだけでもその高級感は理解できるだろう。管理人のお姉さんも気立てがいい人で上条とバードウェイを見るなり「あららー?当麻ちゃんったらー『また』?」などと話しかけてきた。その直後にバードウェイが上条の足を踏みつけた。学生寮であれば男女揃って部屋に入ろうとしようものなら即刻先生たちに捕まり両親に知らせがいく。 しかし、上条は気にすることは無いだろうと思った。 管理人はアルコールの匂いをプンプンと発し、目の焦点が合っていないほど泥酔していた。 監視カメラを見過ごすあたりが上条らしいが、少年はそんなことを考えながらエレベーターに乗り最上階へと昇った。財布にあった二枚の黒色のカードキーを見る。一枚は玄関口を開けるカードキー。二枚目は「一四〇二号」と書かれたカードキー。上条の家である。 そして彼は見た。 エプロン姿の銀髪碧眼少女と茶髪茶眼少女が笑顔で上条を出迎えるのを。 上条の後ろに立っていたバードウェイを見るなり二人の笑顔が凍り付いたのは言うまでもないだろう。 そして今に至る。 四人用にしては比較的大きいテーブルに男一人と女三人が座り夕食を取っていた。 ハヤシライスがメインディッシュでサラダにチーズフォンデュ。加えてインデックスには蒲焼の缶詰が二パックある。 「ちょっとアンタ、食べすぎ」 「これくらい普通だよ。ね?とうま」 「あ、ああ、今日は少ない方じゃないかな」 「え!?」 「禁書目録よ。それは太るぞ」 「太らないもん!」 そんなやり取りをしながら夕食は進んでいた。上条の箸もすすんでいた。ハヤシライスもチーズフォンデュも舌をうならせる絶品だからだ。上条は三杯目に突入し、インデックスに至ってはルーを5回もつぎ足している。ハヤシライスはインデックス。チーズフォンデュとサラダは美琴が作ったらしい。しかもこのチーズ。一口食べただけでも分かるが、そこらのスーパーで売っているようなチーズは使っていない。おそらくそれに加えて美琴の腕もあるのだろう。とても美味しい。 「どうどう?とうま。美味しいでしょ、私が作ったハヤシライス!」 「ああ、美味え。インデックスが作ったとは思えないくらい…」 「ふっふ~ん。そうでしょそうでしょ。とうま、おかわりいる?」 「ああ、頼む」 得意げに話すインデックスは上機嫌で上条の食器を手に取った。 ご飯をつぎにキッチンに向かうインデックスを薄目で見ていると御坂美琴から脇腹を横から肘で小突かれた。 割と強い力で。 「いてっ、どうした?」 「…何か言うことはないの?」 インデックスとは反対に不機嫌そうな御坂美琴。 流石の上条も察することが出来た。自分の料理の評価が聞きたいのだ。 「ああ、美味いぜ。これ、チーズと牛乳の割合と加熱加減が難しいんだよな。いや、これはワインか。チーズも良いもん使ってるし、今度レクチャーしてくれよ。俺も作りてぇ。こんな美味いやつは初めてだからな」 上条の絶賛の言葉を聞いて面食らう美琴。それから少し間をおいてワザとらしく、コホンと咳をはいて、 「…フ、フン。いくら褒めたってもうお替わりは無いわよ」 「そうか。そりゃ残念だ」 なっ、と口を噤んだ美琴は顔を赤めると腕を組んでプイッと顔を背けた。 何だコイツ?と上条は美琴の挙動不審に首をかしげた。まあ、美琴がおかしいのいつものことだと考えてその疑問を放棄する。 「このチーズ、グリュイエール・アルバージュとみた」 「っ!!貴女、結構通ね…」 「もしかして一〇〇グラム八〇〇円もするあの!?」 「ああ、スイス産の安物だ」 美琴の予想以上の料理に対する入れ込みとバードウェイとの金銭感覚の違いに唖然とする上条はギギギ、と首を回して美琴の顔を見た。 赤い顔をしたまま美琴は上条の方をチラチラ見て、何かに気づいたような表情をした。 「あ、口についてるわよ」 美琴はナプキンで優しく上条の口を拭った。彼女の思わぬ行動にドキッとする上条だったが、そういう彼女の顔にも人に言えないものがある。 「…お前もついてるじゃねーか」 上条は仕返しのつもりで美琴の口元に付いている米粒を取った。 ごく自然に、それを口に含んだ。 そして気づく。 「「あ」」 事実を確認するや否や二人はみるみる顔が赤くなり、すごい勢いで顔をそらした。 恥ずかしすぎる!二人は心情まで一致した。 しかし、そんなやりとりは向かい側からは丸見えだ。 「何だそのツンデレ娘は?貴様の下僕か?」 ガチャン!とテーブルに頭をぶつける美琴。食器に直撃しなかったのは幸いだ。 そう言うバードウェイは退屈そうな顔をしていた。 「ななななな何言ってるのよアンタは!」 「図星か」 「ンなワケないでしょ!私は当麻のこ、恋人なの!」 「なら愛人の間違いだ。上条の正妻は禁書目録だろう?」 「「はぁ!?」」 ハモる上条と美琴。 「同棲しているではないか」 「ど、同棲!?」 『居候』の間違いだと上条は言いたかったが、若い男女が一緒に暮らしていること自体そのように受け取られていても不思議では無い。むしろ居候という方が異常だ。だがそんな事はお構いなしに口論はますますヒートアップしていく。 「インデックスはそっち側にとって危険なものなんでしょ?当麻はお人よしだから匿ってるだけよ!」 「何を言っている。禁書目録はイギリス清教の人間だ。上条は『枷』としての役割はあるが、安全性としては教会にいるほうがずっと高い。実際は禁書目録の意思が反映されているだけで、ここにいなければならないという適切な理由はない。そうだろう?」 少し驚いたようにインデックスは肩を震わせた。手元にあったハヤシライスを落としそうになる。上条はそれをキャッチした。 「…そうなの?アンタ」 「う、うん。それはそうだけど…で、でも私はここにいたいもん!」 「なっ!前にアンタの居候の理由を聞いた時は半信半疑で仕方無いことだと思ったけど、ここにいる理由はそれだけ!?」 「短髪には関係ないじゃん!」 「大アリよ!私は当麻の恋人なのよ!他所の女が恋人の家に住んでるなんてそんなの認められるかぁ!」 「心は私のものだ、などという勘違いは愛人にはよくあることだ」 ピタリ、と美琴の動きが止まる。 「…バードウェイ、だったけ?よっぽど死にたいらしいわね。アンタ」 「貴様こそ誰に向かって口を聞いてるつもりだ」 頭からピリピリと静電気を放つ美琴に平然と答えるバードウェイ。何故か口ごもるインデックス。 非常にまずい。 今、ここにいる御恩方を紹介しよう。 一〇万三〇〇〇冊の魔道書を保有する禁書目録―Index-Librorum-Prohibitorum。 魔術結社『明け色の陽射し』の首領であり他の魔術師を圧倒する強大な魔術師、バードウェイ。 学園都市「超能力者(レベル5)」の第一位。『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ御坂美琴。 学園都市最強の「絶対能力者(レベル6)」第一位。世界の英雄。上条当麻。 一見、女性関係のもつれによる口喧嘩だが、実際は国際問題に発展しかねない火ぶたがお茶の間のテーブルの上で切って落とされようとしている。原因は上条の女性関係という些細なものだが、古代文明の戦争なども案外似たようなものが発端なのかもしれない―――――――― などと現実逃避している上条当麻だった。 「インデックス。アンタ、覚悟しなさい」 「それはこっちのセリフだ、愛人。貴様こそ立場をわきまえてモノを言ったらどうだ」 「アンタは関係無いでしょ。部外者は黙ってなさい」 「禁書目録には借りがあるのでな。貴様が彼女に危害を加えようとするなら容赦はせんぞ。愛人」 「っ!愛人愛人って違うっつってんでしょ!」 ビリビリバチィ!と御坂美琴の頭から高電圧が放たれた。同時に電子レンジと液晶テレビから黒い煙が出る。 上条当麻以外は席を立ってお互いにらみ合っている。明るいムードから一転、いつの間にか一発触発の緊急事態に陥っていた。 どうしよう、と上条は考えていた。 事の発端はバードウェイの下僕発言でありそこからインデックスの居候の理由に矛先が向き美琴が上条の彼女であってインデックスの居候を快く思わないからでありバードウェイの愛人発言が美琴の神経を逆なでして今にも食ってかかりそうな勢いになってインデックスをかばうようにバードウェイが立ちはだかっており何でこんなことになったかというと上条当麻が御坂美琴という彼女がいながら年頃の美少女ことインデックスを家に置いているからであり、 結局、事の発端は「上条当麻」に帰結するのだ。 しかし、ここで上条が謝ったとしてもインデックスか御坂美琴の意見を聞くかで大きく事態が変わってしまう。しかし、上条はこの食事を楽しみたかった。だから何気なく呟いたのだ。 「お前ら、いいかげんにしろよ」 「っ!!!」 上条の言葉に三人の表情が凍り付いた。 あれ? と首をかしげる上条。 三人は渋々と席に着きながら、 「…そうね、ちょっとどうかしてたわ私」 「…フン、まあこれはお主の問題だ。客人の私が口を出すのはおこがましいな」 「…私はここにいたいもん」 皆、恐縮している。 一番恐縮しているのは上条当麻本人だ。 (あれー!?何で皆さんそんなにビビってんのー!?『うるさい!っていうかそもそもアンタが悪いんでしょうがあああ!』的展開を予想していたんですが!?) 「ごめんさない。インデックスがここにいる理由、前にも話し合ったもんね」 「気にしてないよ、美琴ちゃん。とうまの彼女なんだから、私のこと気にしないほうがどうかしてるもん」 「…中々、複雑な恋愛事情だな」 「……………………………………………………………この空気は一体何なんでせうか?」 「そ、そういえば、当麻。当麻は何で私の作った料理が分かったの?」 いきなりの話題転換。この暗い雰囲気を打破するために美琴があわてて上条に話題を振った。バードウェイもインデックスも苦笑している。 しかし、この期待を見事に裏切ってくれるのも他ならぬ上条当麻だ。 「んー…美琴の味がしたから、かな」 皆、絶句した。 硬直から五秒後。最初に口を開いたのはインデックスだ。 「とうま、それは一体どういう意味かな?」 「えっ!!!?い、いやそのっ!別に深いイミなんて無くってですね!?言葉のアヤというかなんというか!」 「そんなに挙動不審なのはどうしてなの!?ちゃんと説明してほしいかも!!」 怖い。向かい側の席でインデックスがとても怒ってらっしゃる。整った顔立ちをしているので余計に迫力があった。美琴は、というと上条の隣で耳まで赤くしてうつむいている。 バードウェイに目を見やると、これまた退屈そうに頬づえをついていた。 「禁書目録よ。言わずもながら分かるだろう?」 「!!!な、何を!?」 「…つまり、そういうことだ。なあ?御坂美琴嬢?」 「う、うん」 小さな声で、顔を真っ赤にした美琴はコクリと頷いた。 …短い人生だったな。 「とうまあああああ!いつ、どこで短髪に手を出したのおおおおおおっ!今日という今日はとうま殺す!カミコロス!私の腹の中で溶けちゃえええええええ!」 「では私がチョコ味にしてやろう」 「そんな魔術があんの!?っていうか皆で食事の続きをしましょうよ!結局こういうオチになるわけ!?やっぱ不幸ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」 「ちょっとー!!私の当麻に何すんのよー!!!」
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19時01分 その後、さんざんな目に遭った。 コスプレ衣装は没収された。描写不可能な形相をした白井に追い掛け回され助けを求めた他の常盤台中学生は敵に周り、上条当麻は『学舎の園』の中を走り回った。休む暇も無く、針や二〇〇〇℃を超す灼熱やカマイタチが襲ってくる。周囲はそんな光景を目のあたりにしながらもいたって驚くそぶりも見せない。つまりこれは上条当麻が起こす『普通の光景』なのだろう。常盤台中学の能力開発の優秀さ感心しつつも敵に回すとこれほど恐ろしいものはないということを上条は実感していた。 もっとも、上条当麻の敵ではないのだけれども。 命からがら逃げ出し、通学路の途中にある人気の無い公園のベンチで少年は項垂れていた。 三時間ほど走り続け、彼女たちを撒いてたどり着いた先がこの公園である。いくら体力のある年頃と言えど足に疲労を感じていた。空はすでに夜。下校時間を過ぎているので人通りは極端に少ない。携帯で時刻を確認すると十九時を過ぎている。 この状況を端的に表すとこの一言に尽きるだろう。 「…不幸だー」 不幸な少年は真っ暗な空を見上げて呟いた。夜空に輝く流れ星(実際は廃棄処分された人工衛星のデブリ)に心奪われながら、先ほど自販機で購入した缶ジュースに口をつけた。 「ぶわっ!?不味っ!」 口に広がる不快な味覚に上条は思わず吐き出した。口元を袖で拭いながら缶シュースの銘柄を見る。 「ゴホッゴホッ…んー、何々…抹茶味のサイダー!?て何だこりゃあ!?しかもホットだし!缶コーヒーを買ったはずなのに、また入れ間違いかよ!」 さらには缶の種類、サイズ、デザインの色合いも似ており、薄暗い公園で確認できなかったのも無理は無い。 ようやく訪れた静かなひと時を堪能したかった上条だが、ジュース一本でその雰囲気はものの見事に崩れ去ってしまった。カクテルバーで粗茶を飲むようなものである。 「うう、不幸すぎますー」 「不幸不幸と言っておるとまた味あわせてやるぞ?上条」 後ろからふいに声をかけられた。 振り返ろうとすると頬に暖かいものが押し付けられた。缶ジュースである。 「おしるこは嫌いか貴様?私は気に入っているのだがな」 見覚えがある。『今』の上条当麻にとってはつい最近会ったばかりだ。 「バードウェイ!?何でここに!?」 「……ふむ。私がここにいることがそんなに不思議か?」 先日帰ったばかりだろ!とは言えなかった。ここは一年後の未来。あの時から会っていないとすれば、一年ぶりの再会といえる。 しかし、上条は妙な親近感を覚えた。 高級感ある紺色のコートに白のプリーツブラウス。デザインの良い薔薇の刺繍が入った黒のストレッチベロアパンツを履いていて大人びた印象を受ける。 だが、その容姿はまるで変わっていなかった。可愛らしい容姿にひそむ鋭い目つきが。 「ひ、久しぶりだなー。突然の再開に少し驚いているだけだよ」 「ああ、それだ。それだよ。その『ヒサシブリ』という日本語を忘れてしまってな。貴様にどう話しかけようか思考を巡らせていたところだ」 「…また何かあったのか?」 外見は十二歳前後の少女とはいえ、『明け色の陽射し』のボスとして君臨する魔術師である。 この学園都市に観光目的で来日していないのは明白だ。さらに彼女ほどの実力と地位を持つ者が入ってくる事自体、ただ事ではない。 バードウェイは上条の変化を察したらしく、ニヤァ、と口を大きく引きつらせながら言った。 「なあに、大それた用事ではない。確かにここに来た目的は仕事の為だが、貴様に頼らずとも安易に完遂できるモノだ。私が貴様を訪ねたのはkotatsuをもう一度堪能しくなっただけだ。ウチにもあれを取り寄せたのだがな。アンティークが並ぶリビングでは案外つまらなくて、鬱憤晴らしに部屋ごと吹き飛ばしてしまった」 そう言って軽く舌を出すバードウェイのイタズラ心満点の笑顔に、上条当麻はギョッとした。片目を閉じながら、いつの間にか右手に持っている杖をクルクルまわしている。何かの拍子で術式が発動するかもしれない。 「そ、そうですか。今はまだコタツは出していないんでー、サヨナッ!?」 ガシイッ!襟首をつかまれた。かなり強い力で。 「貴様、どこに行く気だ?」 悪意たっぷりの笑顔を浮かべながらバードウェイは言う。 「い、いやー、カミジョーさんはただ家に帰ろうとしただけですよ?インデックスが腹を空かせてるかもしれないから、早く家に帰って夕飯の準備をしなくちゃならないのでェッ!?!」 足のつま先を踏まれた。かなり強い力で。 「それは奇遇だな。私もまだ夕食が済んでいないんだよ」 「…つまり」 「そこまで言ってもまだ分からぬか。やはり貴様は私の下僕にしてやったほうがいいな」 「…つまりつまり」 「喰わせろ」 ハイ、ワカリマシタ。 「お帰りなさいとうま(当麻)」 そこに二人のエプロン姿の美少女がいた。 上条当麻がとった行動は一つ。カバンをズリ落とした。それはもうドコかの漫画みたいに。 19時23分 バードウェイと共に見慣れない自分のアパートに戻ってきた。第七学区にある高級住宅地で十四階建の高級マンション。セキュリティの優秀性は知らないが、仄かに彩られる和風庭園を一望できる玄関があるだけでもその高級感は理解できるだろう。管理人のお姉さんも気立てがいい人で上条とバードウェイを見るなり「あららー?当麻ちゃんったらー『また』?」などと話しかけてきた。その直後にバードウェイが上条の足を踏みつけた。学生寮であれば男女揃って部屋に入ろうとしようものなら即刻先生たちに捕まり両親に知らせがいく。 しかし、上条は気にすることは無いだろうと思った。 管理人はアルコールの匂いをプンプンと発し、目の焦点が合っていないほど泥酔していた。 監視カメラを見過ごすあたりが上条らしいが、少年はそんなことを考えながらエレベーターに乗り最上階へと昇った。財布にあった二枚の黒色のカードキーを見る。一枚は玄関口を開けるカードキー。二枚目は「一四〇二号」と書かれたカードキー。上条の家である。 そして彼は見た。 エプロン姿の銀髪碧眼少女と茶髪茶眼少女が笑顔で上条を出迎えるのを。 上条の後ろに立っていたバードウェイを見るなり二人の笑顔が凍り付いたのは言うまでもないだろう。 そして今に至る。 四人用にしては比較的大きいテーブルに男一人と女三人が座り夕食を取っていた。 ハヤシライスがメインディッシュでサラダにチーズフォンデュ。加えてインデックスには蒲焼の缶詰が二パックある。 「ちょっとアンタ、食べすぎ」 「これくらい普通だよ。ね?とうま」 「あ、ああ、今日は少ない方じゃないかな」 「え!?」 「禁書目録よ。それは太るぞ」 「太らないもん!」 そんなやり取りをしながら夕食は進んでいた。上条の箸もすすんでいた。ハヤシライスもチーズフォンデュも舌をうならせる絶品だからだ。上条は三杯目に突入し、インデックスに至ってはルーを5回もつぎ足している。ハヤシライスはインデックス。チーズフォンデュとサラダは美琴が作ったらしい。しかもこのチーズ。一口食べただけでも分かるが、そこらのスーパーで売っているようなチーズは使っていない。おそらくそれに加えて美琴の腕もあるのだろう。とても美味しい。 「どうどう?とうま。美味しいでしょ、私が作ったハヤシライス!」 「ああ、美味え。インデックスが作ったとは思えないくらい…」 「ふっふ~ん。そうでしょそうでしょ。とうま、おかわりいる?」 「ああ、頼む」 得意げに話すインデックスは上機嫌で上条の食器を手に取った。 ご飯をつぎにキッチンに向かうインデックスを薄目で見ていると御坂美琴から脇腹を横から肘で小突かれた。 割と強い力で。 「いてっ、どうした?」 「…何か言うことはないの?」 インデックスとは反対に不機嫌そうな御坂美琴。 流石の上条も察することが出来た。自分の料理の評価が聞きたいのだ。 「ああ、美味いぜ。これ、チーズと牛乳の割合と加熱加減が難しいんだよな。いや、これはワインか。チーズも良いもん使ってるし、今度レクチャーしてくれよ。俺も作りてぇ。こんな美味いやつは初めてだからな」 上条の絶賛の言葉を聞いて面食らう美琴。それから少し間をおいてワザとらしく、コホンと咳をはいて、 「…フ、フン。いくら褒めたってもうお替わりは無いわよ」 「そうか。そりゃ残念だ」 なっ、と口を噤んだ美琴は顔を赤めると腕を組んでプイッと顔を背けた。 何だコイツ?と上条は美琴の挙動不審に首をかしげた。まあ、美琴がおかしいのいつものことだと考えてその疑問を放棄する。 「このチーズ、グリュイエール・アルバージュとみた」 「っ!!貴女、結構通ね…」 「もしかして一〇〇グラム八〇〇円もするあの!?」 「ああ、スイス産の安物だ」 美琴の予想以上の料理に対する入れ込みとバードウェイとの金銭感覚の違いに唖然とする上条はギギギ、と首を回して美琴の顔を見た。 赤い顔をしたまま美琴は上条の方をチラチラ見て、何かに気づいたような表情をした。 「あ、口についてるわよ」 美琴はナプキンで優しく上条の口を拭った。彼女の思わぬ行動にドキッとする上条だったが、そういう彼女の顔にも人に言えないものがある。 「…お前もついてるじゃねーか」 上条は仕返しのつもりで美琴の口元に付いている米粒を取った。 ごく自然に、それを口に含んだ。 そして気づく。 「「あ」」 事実を確認するや否や二人はみるみる顔が赤くなり、すごい勢いで顔をそらした。 恥ずかしすぎる!二人は心情まで一致した。 しかし、そんなやりとりは向かい側からは丸見えだ。 「何だそのツンデレ娘は?貴様の下僕か?」 ガチャン!とテーブルに頭をぶつける美琴。食器に直撃しなかったのは幸いだ。 そう言うバードウェイは退屈そうな顔をしていた。 「ななななな何言ってるのよアンタは!」 「図星か」 「ンなワケないでしょ!私は当麻のこ、恋人なの!」 「なら愛人の間違いだ。上条の正妻は禁書目録だろう?」 「「はぁ!?」」 ハモる上条と美琴。 「同棲しているではないか」 「ど、同棲!?」 『居候』の間違いだと上条は言いたかったが、若い男女が一緒に暮らしていること自体そのように受け取られていても不思議では無い。むしろ居候という方が異常だ。だがそんな事はお構いなしに口論はますますヒートアップしていく。 「インデックスはそっち側にとって危険なものなんでしょ?当麻はお人よしだから匿ってるだけよ!」 「何を言っている。禁書目録はイギリス清教の人間だ。上条は『枷』としての役割はあるが、安全性としては教会にいるほうがずっと高い。実際は禁書目録の意思が反映されているだけで、ここにいなければならないという適切な理由はない。そうだろう?」 少し驚いたようにインデックスは肩を震わせた。手元にあったハヤシライスを落としそうになる。上条はそれをキャッチした。 「…そうなの?アンタ」 「う、うん。それはそうだけど…で、でも私はここにいたいもん!」 「なっ!前にアンタの居候の理由を聞いた時は半信半疑で仕方無いことだと思ったけど、ここにいる理由はそれだけ!?」 「短髪には関係ないじゃん!」 「大アリよ!私は当麻の恋人なのよ!他所の女が恋人の家に住んでるなんてそんなの認められるかぁ!」 「心は私のものだ、などという勘違いは愛人にはよくあることだ」 ピタリ、と美琴の動きが止まる。 「…バードウェイ、だったけ?よっぽど死にたいらしいわね。アンタ」 「貴様こそ誰に向かって口を聞いてるつもりだ」 頭からピリピリと静電気を放つ美琴に平然と答えるバードウェイ。何故か口ごもるインデックス。 非常にまずい。 今、ここにいる御恩方を紹介しよう。 一〇万三〇〇〇冊の魔道書を保有する禁書目録―Index-Librorum-Prohibitorum。 魔術結社『明け色の陽射し』の首領であり他の魔術師を圧倒する強大な魔術師、バードウェイ。 学園都市「超能力者(レベル5)」の第一位。『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ御坂美琴。 学園都市最強の「絶対能力者(レベル6)」第一位。世界の英雄。上条当麻。 一見、女性関係のもつれによる口喧嘩だが、実際は国際問題に発展しかねない火ぶたがお茶の間のテーブルの上で切って落とされようとしている。原因は上条の女性関係という些細なものだが、古代文明の戦争なども案外似たようなものが発端なのかもしれない―――――――― などと現実逃避している上条当麻だった。 「インデックス。アンタ、覚悟しなさい」 「それはこっちのセリフだ、愛人。貴様こそ立場をわきまえてモノを言ったらどうだ」 「アンタは関係無いでしょ。部外者は黙ってなさい」 「禁書目録には借りがあるのでな。貴様が彼女に危害を加えようとするなら容赦はせんぞ。愛人」 「っ!愛人愛人って違うっつってんでしょ!」 ビリビリバチィ!と御坂美琴の頭から高電圧が放たれた。同時に電子レンジと液晶テレビから黒い煙が出る。 上条当麻以外は席を立ってお互いにらみ合っている。明るいムードから一転、いつの間にか一発触発の緊急事態に陥っていた。 どうしよう、と上条は考えていた。 事の発端はバードウェイの下僕発言でありそこからインデックスの居候の理由に矛先が向き美琴が上条の彼女であってインデックスの居候を快く思わないからでありバードウェイの愛人発言が美琴の神経を逆なでして今にも食ってかかりそうな勢いになってインデックスをかばうようにバードウェイが立ちはだかっており何でこんなことになったかというと上条当麻が御坂美琴という彼女がいながら年頃の美少女ことインデックスを家に置いているからであり、 結局、事の発端は「上条当麻」に帰結するのだ。 しかし、ここで上条が謝ったとしてもインデックスか御坂美琴の意見を聞くかで大きく事態が変わってしまう。しかし、上条はこの食事を楽しみたかった。だから何気なく呟いたのだ。 「お前ら、いいかげんにしろよ」 「っ!!!」 上条の言葉に三人の表情が凍り付いた。 あれ? と首をかしげる上条。 三人は渋々と席に着きながら、 「…そうね、ちょっとどうかしてたわ私」 「…フン、まあこれはお主の問題だ。客人の私が口を出すのはおこがましいな」 「…私はここにいたいもん」 皆、恐縮している。 一番恐縮しているのは上条当麻本人だ。 (あれー!?何で皆さんそんなにビビってんのー!?『うるさい!っていうかそもそもアンタが悪いんでしょうがあああ!』的展開を予想していたんですが!?) 「ごめんさない。インデックスがここにいる理由、前にも話し合ったもんね」 「気にしてないよ、美琴ちゃん。とうまの彼女なんだから、私のこと気にしないほうがどうかしてるもん」 「…中々、複雑な恋愛事情だな」 「……………………………………………………………この空気は一体何なんでせうか?」 「そ、そういえば、当麻。当麻は何で私の作った料理が分かったの?」 いきなりの話題転換。この暗い雰囲気を打破するために美琴があわてて上条に話題を振った。バードウェイもインデックスも苦笑している。 しかし、この期待を見事に裏切ってくれるのも他ならぬ上条当麻だ。 「んー…美琴の味がしたから、かな」 皆、絶句した。 硬直から五秒後。最初に口を開いたのはインデックスだ。 「とうま、それは一体どういう意味かな?」 「えっ!!!?い、いやそのっ!別に深いイミなんて無くってですね!?言葉のアヤというかなんというか!」 「そんなに挙動不審なのはどうしてなの!?ちゃんと説明してほしいかも!!」 怖い。向かい側の席でインデックスがとても怒ってらっしゃる。整った顔立ちをしているので余計に迫力があった。美琴は、というと上条の隣で耳まで赤くしてうつむいている。 バードウェイに目を見やると、これまた退屈そうに頬づえをついていた。 「禁書目録よ。言わずもながら分かるだろう?」 「!!!な、何を!?」 「…つまり、そういうことだ。なあ?御坂美琴嬢?」 「う、うん」 小さな声で、顔を真っ赤にした美琴はコクリと頷いた。 …短い人生だったな。 「とうまあああああ!いつ、どこで短髪に手を出したのおおおおおおっ!今日という今日はとうま殺す!カミコロス!私の腹の中で溶けちゃえええええええ!」 「では私がチョコ味にしてやろう」 「そんな魔術があんの!?っていうか皆で食事の続きをしましょうよ!結局こういうオチになるわけ!?やっぱ不幸ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」 「ちょっとー!!私の当麻に何すんのよー!!!」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル 「美琴」 「当麻」 「今日は一段と可愛いぞ」 「そ、そう?いつもと変わらない制服姿なのよ」 「それは……昨日よりも増して今日の美琴を愛してるからさ」 「私も……昨日の当麻より今日の当麻がカッコ良く見えるわ」 「それは……同じ意味なんだろ」 「決まってるじゃない」 「美琴」 「当麻」 「美琴、先に飲まないか?」 「当麻が先に飲んで」 二人の間、テーブルの上には飲み物が入った大きなグラス。それには二本のストローが刺さっていた。 「美琴、譲り合ってもしょうがないよな」 「そうね」 「一緒に飲むか?」 「……わかった」 学生中心のそれこそ友達同士で食事に来るような只のファミレス。そんなところでこれは辞めて欲しい。 店内の空気は二分。甘い空気にコーヒー、それもブラックをコーヒーサーバーに淹れに行く者多数。もう半分は食器をガチャガチャ云わせ唸り声をあげる者、要するに憎悪に取り付かれた者達。 顔がくっつく程に近づけストローをくわえる二人。 壁殴り代行に連絡を取る者も発生。 衆人監視のもと見せつけている。 「美琴、美味しいか?」 「当麻と一緒なら」 ウゼー!と言いたい店員達。 「美琴」 (名前で呼ぶべきなんだよな?) (名前呼ばれた!名前で返さないと!) 「当麻」 「今日は一段と可愛いぞ」 (服装を先ずは誉めるんだよな) 「そ、そう?いつもと変わらない制服姿なのよ」 (アンタ、ナニ言ってるのよ!見慣れてるでしょうが) 「それは(しまった!制服だった!え、えーと)昨日よりも増して今日の美琴を愛してるからさ」 「私も(バッ、云うに事欠いてなんちゅーこと言うのよ!!ゴルァァァ!)昨日の当麻より今日の当麻がカッコ良く見えるわ」 「それは(す、すみません、睨まないで)同じ意味なんだろ」 「決まってるじゃない」 (引き受けるんじゃなかった……し、心臓が) (次、ナニ言えば良いんだ?) 「美琴」 「当麻」 (また名前を呼ぶぅ……) 困った上条の目がテーブルの上に行く。 そこには二本のストローが刺さった大きなグラス。メニューから見つけ、それらしく見せるために注文した。 置いて在るだけでは意味がない。 しかし、 「美琴、先に飲まないか?」 (こんなん頼んじまっても……) 「当麻が先に飲んで」 (できっこないじゃない?) 「美琴、譲り合ってもしょうがないよな」 (覚悟を決めるしかないのか?) 「そうね」 (バカなこと言い出さないでよ?) (肯定の意味だよな?) 「一緒に飲むか?」 「(ギャー、アンタどうすんのよ?どうなるかわかってんでしょうね?ぐぬぬぬぬぬぬ)わかった」 ストローに顔を近づける。 ((ストローが……短い!)) メニューに有っても話の種ぐらいの商品、よほどのバカップルでもない限りオーダーが入ることは無い。故にグラスは用意してあっても専用の長めのストローは構えていなかった。 (御坂の顔が……近すぎ!) (ア、アイツの顔が!ひ、額がくっつく!) 覚悟を決めストローをくわえる二人。 (御坂の唇が目の前、近ッ!うあああああああああああああ) (ア、アイツの髪の毛が触れてる、私の髪にッ!うあああああああああああああ) 衆人監視のもと見せつけている。見せつけなければならなかった。 (ダメだ、耐えられん!) 「美琴、美味しいか?」 ストローから口を離すため、美琴に尋ねる。 「当麻と一緒なら」 (もう、どうとにでもなれ) ((……どうしてこうなった)) 「うにゃー。カミやーん」 「げっ、土御門」 「げっ、とは何ぜよ、げっとは?」 「何となく『エンゼルフォール』の時を思い出しちまったんだよ」 学校からの帰りがけ、上条に声を掛けてきたのは寮の隣人でクラスメートである土御門元春。ついでに言えばイギリス清教は必要悪の教会からの潜入工作員、ばかりでなく多重スパイをやっているらしい。 友人であるも何度か利用され迷惑を蒙っている。 「察しがいいにゃー、カミやんは」 「……またかよ、今度はなんだ? どこへ行けってゆーんだ、ブラジルかアフリカかそれともまたイギリスか?」 「すっかり疑り深くなってオレは悲しいにゃー」 「テメェのせいだテメェの!」 「今回はどこにも行く必要はないぜい」 「ってことは魔術師がまた潜入したのか?」 「ということでも無いんだにゃー」 「はー?」 「学園都市内でお守りってカタチでマジックアイテムが流通してんだにゃー」 「お守り? 学園都市でかよ」 オカルト否定の学園都市、お守りに興味が惹かれる者がいるとも思えなかった。 「普通ならな。そのお守りは聞いて驚け、恋愛成就のお守りぜよ」 「驚かねーよ、って恋愛成就?」 「そうぜよ、乙女が惹かれるにはピッタリだろ」 確かに恋いに焦がれる乙女は手に取ってみたくなるかもしれない。 「それがマジックアイテム?」 「効果は無いんだぜい」 「……無いなら問題ないだろ」 「オリアナの時を覚えてるかにゃ、カミやんは?」 「あっ、吹寄が」 「効果は無いも持ち主が強く願えばなんかの反応をするらしくてな、持ち主は倒れるか、もしくは」 「もしくは?」 「精神を変調させてストーカー化させちまうんだにゃー」 「へっ、ストーカー化?」 「既に刃傷沙汰も起こってるんだにゃー」 「……それで俺はどーすればいいんだ?」 「誰かと付き合ってくれ」 「付き合うってどーゆーこった!?」 「嘘でもいいんだが、普通にデートしたり、キスしたり」 「なっ、ななななななななな」 「舞夏はダメだぞ」 「怖い声出さんでもそんなことしねーよ、理由を言え理由を!」 「理由はにゃー、恋心が破れたら効果が消えるからぜよ」 「余計に判らなくなってきましたよ」 「恋してる相手に恋人ができたら、そのショックで影響が消えるようなんだにゃー」 「それが何で俺なんだ?」 「先ずは安全確保ぜよ、切り札のカミやんには万一に備えて身の安全を確保して置いて欲しいんだにゃー(フラグの数だけ危険があると言っても信用して貰えなかったら意味ないにゃー)」 「そんなの俺には無いだろうけど、そこまで言うなら……嘘でもいいんだな、でも誰に?」 「嘘でもいいがな見せつける必要があるにゃー、じゃないとショックを与えられないにゃー、付き合う相手の条件としてはレベル5クラスの相手を選んで欲しいにゃー」 「はぁ、なんでレベル5?」 「これも万一だぜい、ショックに負けない者が現れたら恋人役も危ないにゃー」 レベル4の学生がマジックアイテムの影響を受けていたら、大概の恋人役は危険を背負うことになる、かなり危ない役割と言える。 しかし、そうなると恋人役はあまりにも限られる。具体的に云うと頼めそうな人物は一人しかいない。 「お願いしても断られたらどーしよ、普通は断るよなー」 どう頼んだら良いものか悩む上条当麻。携帯電話を取り出し、まずは直接会う約束をすることにした。 その頃、常盤台中学の学生寮では 「黒子、どうしたのよっ!?」 「黒子は黒子はお姉様のことがっ」 それだけ聞くと御坂美琴を慕ういつもの白井黒子である。しかしその手には 「黒子、その包丁を降ろしなさい! どこから持って来たのよ!」 「お姉様が黒子のモノになって頂けないのなら、いっそのことこの包丁でお姉様を、黒子も後を追います、一緒に死んで下さいませですの」 「ナニ言ってんのよ黒子、また通販で買った変なクスリを間違えて飲んじゃったの、落ち着きなさい!」 「そして黒子とお姉様の愛は永遠に語り継がれますの。永遠の愛、なんと甘美な響きですの」 「聞いてないっ!?」 もはや、自分の世界に入っている白井に言葉は通じないようだった。 磁力で包丁を奪い取ろうにも、どうやらセラミック製。電撃で痺れさせるのが一番だったが、その前に白井が跳ぶ。11次元を物ともせず空間を跳ぶ。 そして美琴の背後に現れる。 「お姉様ぁぁぁ!」 美琴はその白井の行動パターンに慣れていた。姿が消えた、その時には背後へ電撃をぶちかます。 ドサッと人が床に落ちる音がした。 美琴が背後を振り返ると黒子が黒こげになって気絶していた。 「ちょっと加減間違えたかしら?……でも一体」 普段の白井も変態と云えば変態。しかし此処までの事は無かった。 美琴が考えていると電話が鳴る。 「えっ、アイツから?」 滅多に向こうから掛かってこない相手。 美琴が慌てて電話に出ると、 『その御坂、頼みが有るんだが会ってくれるか』 上条から積極的に頼み事をされることの無い美琴は勇んで上条の元に向かい、 とあるファミレスでバカップルを演じていた。 つづく 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル
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小ネタ ちょうどいい甘さで? 「アンタ、ブラックだなんてよく飲めるわね」「そういう美琴だって砂糖入れ過ぎじゃないか。胸やけしそうだぞ、これ」四月のある休日、無事に進級した上条当麻と御坂美琴はデートの度にいつも立ち寄る喫茶店にいた。上条当麻が頼んだのはごく普通のレギュラーコーヒー。それに対して御坂美琴が頼んだのはカフェ・オレ。お互いがいつも美味しそうに飲んでるので、たまには交換しようという流れになったのだが「この甘さは凶器だろ……」「こんな苦いだけのもの、飲んでたって美味しくないじゃない」「おやおやぁ、美琴さんはやっぱり舌が子供なんですね」「な、何よその顔は。ちょっと苦いのが苦手なだけで子供じゃないわよ!!」「……へー」「くっ、むかつく……」喫茶店の中ということもありさすがに電撃を出すのは堪えているが、「私怒ってます」と言わんばかりにこめかみを引きつらせている御坂美琴をよそに上条当麻は窓の外を見ていた。上条当麻と御坂美琴の全力の追いかけっこが始まるまであと五分。「はぁ…はぁ……つ、疲れた」「ただいまー。アンタが悪いんだからね」口ではそういうが、追いかけっこを堪能したのか「私、楽しくて幸せです」といった顔の御坂美琴。未だに素直になりきれない自分の彼女から、満足してますという感情を読み取った上条当麻は苦笑を浮かべると御坂美琴に座って待つように伝え飲み物の準備を始めた。「で、アンタはブラックを用意して私への嫌がらせをしたいの?」「今日のことで考えてたんだけどな、苦すぎず甘すぎずちょうどいい甘さに出来ればと思ったんだよ」「まあそうね……私もアンタと同じ物飲みたいし、ふ、深い意味なんてないのよ!!」「分かってるって、俺も美琴と同じ気持ちだしな」「あ……と、当麻」気持ちが同じ、通じ合ってるということに夢ごこちになる御坂美琴だったが、ようやくおかしなところに気づいた。「あれ?そういえば何で一つしかカップがないの?」「あぁ、それか。言ったろ、ちょうどいい甘さにしたい、一緒のもの飲みたいって」「え…え……え?それって」「こういうことだよ」「ぅん……」御坂美琴が感じたのは唇に感じる愛しい人の温もり、愛しい人の匂い、口の中に溢れてくるコーヒーの程よい苦味。「と、とうまぁ……もう一回、ダメ、かな」「ダメじゃないけど、そのあとは美琴が俺に飲ませてくれよな」「う、うん……頑張る」あまりの幸せに意識を手放しそうになるのを堪えて、目の前の彼の為に御坂美琴は微笑むのだった。
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死者たちのたまり場PART3 レス番号601~800 タイトル 登場人物 備考 第一回チキチキ女だらけの水泳大会:最終競技・最終決戦!水上騎馬戦(2) 死者スレ女性陣+α 第一回チキチキ女だらけの水泳大会:最終競技・最終決戦!水上騎馬戦(3) 第一回チキチキ女だらけの水泳大会:大騒乱! 第一回チキチキ女だらけの水泳大会:決着! 第一回チキチキ女だらけの水泳大会:没ネタ 彼らの「はじまり」 琴吹紬、八九寺真宵、刹那・F・セイエイ もうすぐ現世が動き出す ライダー、セイバー、アーチャー、戦場ヶ原ひたぎ 士郎到着による戦乱とその経過報告(前編) セイバー、池田華菜、アーチャー、上条当麻福路美穂子、竹井久、月詠小萌、龍門渕透華琴吹紬、レイ・ラングレン、カギ爪の男加治木ゆみ、海原光貴、アーニャ・アールストレイム片倉小十郎、伊達政宗、真田幸村、ヴァン田井中律、平沢唯、中野梓、キャスター、衛宮士郎 衣の誕生日と透華の後悔 龍門渕透華、伊藤開司 士郎到着による戦乱とその経過報告(中編) セイバー、アーチャー、上条当麻、ヒイロ・ユイ八九寺真宵、刹那・F・セイエイ、琴吹紬竹井久、真田幸村、伊達政宗、船井譲次ヴァン、アーニャ・アールストレイム、海原光貴田井中律、キャスター、利根川幸雄、玄霧皐月千石撫子、黒桐幹也、龍門渕透華、伊藤開司本多忠勝、明智光秀、リボンス・アルマークディートハルト・リートイリヤスフィーツ・フォン・アインツベルン 士郎到着による戦乱とその経過報告(後編) アーニャ・アールストレイム、竹井久海原光貴、本多忠勝、セイバー、琴吹紬八九寺真宵、戦場ヶ原ひたぎ、船井譲次真田幸村、伊達政宗、片倉小十郎、明智光秀カギ爪の男、衛宮士郎、レイ・ラングレン アーニャと部長のディナータイム アーニャ・アールストレイム、竹井久セイバー、福路美穂子 戦後の特攻野郎 琴吹紬、本多忠勝、八九寺真宵刹那・F・セイエイ、戦場ヶ原ひたぎ ひたぎの本心とは…… 千石撫子、八九寺真宵、戦場ヶ原ひたぎ琴吹紬、神原駿河 次のラジオマダー? 伊藤開司、龍門渕透華、御坂美琴、アーチャー アーニャにボーイフレンド(?)ができたようです アーニャ・アールストレイム、C.C.マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア 士郎の蘇生騒ぎ 衛宮士郎、セイバー、アーチャー、御坂美琴福路美穂子、伊藤開司、龍門渕透華、竹井久バーサーカー、池田華菜 士郎が蘇生するSSが投下された後破棄になる。 人間の不思議 龍門渕透華、伊藤開司 透華の誕生パーティ 伊藤開司、龍門渕透華、カギ爪の男、アーチャー衛宮士郎、加治木ゆみ、平沢唯、プリシラ中野梓、御坂美琴、利根川幸雄、兵藤和尊船井譲次、片倉小十郎、真田幸村、竹井久ライダー、安藤守、レイ・ラングレンリリーナ・ドーリアン、月詠小萌リボンスアルマーク カイジ誘拐! 伊藤開司、アーチャー、黒桐幹也、真田幸村リリーナ・ドーリアン、御坂美琴、片倉小十郎龍門渕透華、セイバー、竹井久、伊達政宗トレーズ・クシュリナーダ、八九寺真宵琴吹紬、上条当麻、リボンス・アルマーク、妹原村和、インデックス シロウは私のもの! セイバー、衛宮士郎イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 救出と裏帳簿と護符 龍門渕透華、伊藤開司、竹井久、張五飛アーニャ・アールストレイム、ゼクス・マーキス、黒桐幹也 扱いの悪さに定評のある律 平沢唯、中野梓、田井中律 空気たちの醜い争い 海原光貴、ゼクス・マーキス、張五飛トレーズ・クシュリナーダ、黒桐幹也 恋 御坂美琴、中野梓、平沢唯、田井中律琴吹紬 空気とそげぶと ゼクス・マーキス、トレーズ・クシュリナーダ張五飛、上条当麻 リボンスさん、そろそろ自重してください リボンス・アルマーク、妹A、妹B、妹C 今度は地獄の国獲りだ! 片倉小十郎、真田幸村、伊達政宗 第二十回死者スレラジオ:レイ編 御坂美琴、アーチャー、レイ・ラングレン安藤守 会長、利根川の企み 遠藤勇次、兵藤和尊、利根川幸雄、竹井久アーニャ・アールストレイム 妹達が何か動いているようです 上条当麻、龍門渕透華、御坂美琴、海原光貴竹井久、福路美穂子、妹達 死後の世界って? 玄霧皐月、八九寺真宵 それぞれの「ヒロイン」 上条当麻、C.C、海原光貴、妹達