約 156,712 件
https://w.atwiki.jp/ad06/pages/22.html
強制振動(forced vibration) とは、ある系に外力が働く場合の振動をいう。 原点Oからの自然長をもつバネを考える。バネ定数をとし、右方向を軸正方向とする。 減衰振動*のときに加え、外力を考え、 の力がかかるとする。ここで、運動方程式 より , が成立する。 定常状態の解 ここでは定常状態の解を求めるために、解を と仮定してに代入すると、 となり、これを解くと、 ------ [1] となる。ここで速度は である。 の場合、 となりスティフネスの項が大きく寄与するため、スティフネス制御であるという。同様に、のときを抵抗制御であるといい、のときを質量制御であるという。 特に、のときを共振といい、このとき最も振幅が大きくなる。このときの最大振幅は である。( ) 参考文献 楽器の物理学 (N.H.フレッチャー/T.D.ロッシング) Vibrations and Waves in Physics (lain G.Main)
https://w.atwiki.jp/business-ethics/pages/127.html
上場企業の2008年度の労働分配率が55.1%と、過去25年間で最高になったことが日本経済新聞社の集計で分かった。業績悪化で企業の付加価値額が大幅に減少したことが主因で、今後は人員削減や賃金抑制が進む可能性がある。 集計対象は新興市場と金融を除く全国上場企業で単独決算ベース。08年度の付加価値額は前年度比20.3%減と、統計がさかのぼれる1984年度以降で最大の減少幅となった。合理化で人件費・労務費も2.7%減ったが、それを上回るペースで付加価値額が減少し、労働分配率は10.0ポイント上昇した。 [9月10日/日本経済新聞 朝刊] ソース:NIKKEI NET http //bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/index.cfm?i=2009090910563b4 【コメント欄】 不況下ほど労働分配率が高く、好況時は低くなるんだったか -- 名無しさん (2009-09-11 23 07 53) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kasoukokka/pages/41.html
日南労働者党 日南労働者党とは、日南共和国で唯一の政党。 1964年に当時20歳だったキム・ヨンチョルが華羅共産党に入党し、同期だった孔昭平からマルクス主義を伝搬される。 1967年に当時の委員長だった紅武導から日海半島での社会主義革命政府建設を命令され、翌年から72年にかけて「人民義勇軍」として、当時存在していた日海連合国を打倒するための「日海内戦」勃発。 現在も日海民国はこの日海内戦での敗北を認めていないため、内戦は継続状態である。 1972年に日海連合国政府を打倒した後、南部を占領し「日南共和国」の成立宣言と同時に「人民義勇軍」から現在に名称変更。 キム・ヨンチョルの死後は息子のキム・セニョンが委員長になる。
https://w.atwiki.jp/dunpoo/pages/355.html
1206 労働ビッグバンに連合会長が懸念 首相と会談 [朝日] 1129 「パート差別待遇禁止を」厚労省審議会が報告書素案 [読売] 1120 大阪府労委、ビクター子会社に業務委託先との団交命令 [読売] 1111 日亜化学、請負1600人を雇用へ 正社員の道も [朝日] 1106 国労とJR東日本、労使紛争61件すべて和解 [読売] 1028 請負会社への出向「違法」 厚労省、松下電器を指導へ [朝日] 1024 連合、経団連に非正社員の正社員化を要望 首脳会談 [朝日] 0913 UIゼンセン同盟、地域横断型の労組組織化を提案へ [読売] 0904 経産省研究会「成果主義に構造欠陥」“労働者の意欲低下 職場疲弊” [赤旗] 0826 請負適正化へ指針、製造業の「偽装」対策 厚労省作成へ [朝日] 0826 脱「非正社員」へ支援、高校生に予防策 厚労省予算化 [朝日] 0808 労働経済白書:非正規雇用が増加し所得格差が拡大 [毎日] ■雇用・労働06Ⅰ から続く 1206 労働ビッグバンに連合会長が懸念 首相と会談 [朝日] 2006年12月06日01時38分 安倍首相と連合の高木剛会長との「政労会見」が5日、首相官邸で開かれた。高木会長は、政府の経済財政諮問会議が検討している労働市場の規制緩和「労働ビッグバン」について、「新自由主義経済を進めていけば、非正規労働者が増え格差が固定化しかねない」と懸念を示した。 高木会長は諮問会議に労働組合側の議員がいないことにもふれ、「我々がいない場で議論し決めたと言われても、うんといえないことも出てくる」とくぎを刺した。労働ビッグバンでは、一定期間働いた派遣労働者に直接雇用を申し込む義務の見直しなどが検討され、企業に有利な内容になるとして、組合側が強く警戒している。 安倍首相は「フリーターやニート対策は重要。非正規労働者に光を当てたいと思っている」と、「再チャレンジ」支援策への応援を要請。高木会長は再チャレンジの方針は支持しつつ、議論の推移を注視する考えを示した。 URL http //www.asahi.com/politics/update/1206/001.html 1129 「パート差別待遇禁止を」厚労省審議会が報告書素案 [読売] パートタイム労働法の改正について話し合う厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会が29日開かれ、就業実態が正社員と変わらないパートについて、待遇の差別的な取り扱いを禁じる内容の報告書素案が提示された。 分科会は来月中にも正式な報告書を取りまとめる方針。 厚労省では報告書に基づき、同法改正案を作成して来年の通常国会に提出したい考えだが、経営側委員からは法改正の必要性自体を疑問視する声が強く、最終的な報告書の取りまとめに向けた議論の行方が注目される。 同法の改正論議は、正規労働者と非正規労働者との格差是正を掲げる政府方針の一環として始まった。現行法も、パートの待遇について正社員との均衡に配慮するよう求めているが、明確に禁止はしていない。 これに対し、学識経験者などの公益委員が作成した素案は、契約更新を重ねて長期間雇われ、労働時間や職務内容などが正社員と変わらないパートについて、差別的な取り扱いを禁じている。また、昇給や賞与、退職金の有無などの労働条件を明記した文書の交付を事業主に義務化し、指導、勧告後も履行しない場合には過料を科すとした。さらにパートの正社員化を促進するため、正社員への転換制度などの導入も義務づけている。 (2006年11月29日22時51分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20061129i114.htm 1120 大阪府労委、ビクター子会社に業務委託先との団交命令 [読売] 大阪府労働委員会は20日、大手電機メーカー「日本ビクター」(横浜市)の子会社「ビクターサービスエンジニアリング」(千葉県浦安市)に対し、同社が修理業務などを委託している「代行店」と呼ばれる個人事業主でつくる労働組合との団体交渉を拒否したのは不当労働行為に当たるとして、団交に応じるよう命じた。 労組側は「代行店は、会社側が一方的に決めた条件のもとで指揮、監督を受けており、労働者にあたる」として救済を申し立てていた。同社は中央労働委員会に再審査を申し立てる方針。労働者の非正社員化が進むなか、こうした業務委託の労働形態が企業社会に広がっており、雇用関係のあいまいさが問題視されている。 申立書などによると、代行店は会社側と委託契約を結び、ビクター製品のユーザー宅での出張修理を行い、会社側から委託料を出来高払いで受け取っている。 午前9時に各地域にある会社のサービスセンターに出勤。制服、社員証も正社員と同じものを支給され、会社が決定した手順、方法に従い、正社員と全く同じ仕事を行っている。委託料の算定など契約内容についても「自己の希望を述べる余地はない」とし、労組側は、会社側が使用者責任を免れるための「偽装委託契約」と主張している。 昨年1月、同社近畿支社の委託先の代行店29人のうち18人が労組を結成。これに対し、会社側は「代行店は『自営業者』であって、当社の労働者ではない」と反論、労組と認めず、団体交渉を拒否してきた。 同労働委員会は、労働組合法上の労働者について「契約の形態を問わず、雇用契約と同程度の使用従属関係にある者」とし、代行店を「労働者にあたる」と判断した。 個人事業主への業務委託を巡っては、住宅設備会社「INAX」の子会社「INAXメンテナンス」(愛知県常滑市)が修理や点検などを委託しているカスタマーエンジニア(CE)と呼ばれる個人事業主の労組による救済申し立てを受け、同労働委員会が7月、同社に団交に応じるよう命令を出し、中央労働委員会で再審査中。 (2006年11月20日14時40分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20061120i206.htm 1111 日亜化学、請負1600人を雇用へ 正社員の道も [朝日] 2006年11月11日06時12分 徳島県阿南市に本社のある国内最大の発光ダイオード(LED)メーカー「日亜化学工業」(小川英治社長)は10日、同社工場で働く請負労働者約1600人ほぼ全員について、勤続年数3年を超えた人から順次契約社員として直接雇用する方針を決めた。徳島労働局は昨年、同社での請負労働は実態は派遣労働で労働者派遣法違反の「偽装請負」にあたるとして、是正を指導していた。同様に偽装請負を指摘され、直接雇用に踏み切る企業が相次いでいるが、日亜は人数で最大規模となりそうだ。 請負労働者の一部が加入する全日本金属情報機器労組(JMIU)と同社が10日、徳島県の立ち会いのもとで合意した。日亜側は合意についてコメントしていないが、違法の疑いのある労働実態解消のため決断したとみられる。 JMIU側が明らかにした合意内容によると、同社は12月1日時点で勤続3年に達している約200人を同日付で雇用し、それ以外の人も3年に達した時点で切り替える。採用選考では面接や筆記試験も実施するが、「勤続経験を最も重視する」ことを約束したといい、労組側は「ほぼ全員が自動的に直接雇用される」と受け止めている。 契約は1年ごとの更新で最長3年だが、日亜は正社員採用の機会も保証。「中途入社」の社内規定に基づき半年ごとに適性を判断するという。 同社の約1600人の請負労働者は、いずれも同県内の人材派遣会社と契約。派遣会社が日亜と請負契約を結び、阿南市内の工場で携帯電話の液晶表示バックライトなどの製造に従事していた。このうち19人が10月、不安定な労働条件のまま同社工場での勤務が長期間にわたっているなどとして直接雇用を同社に申し入れ、徳島労働局にも是正指導を要請。同局が再調査を進めていた。 労働者、日亜双方から事情を聴いた同県商工労働部が、10日の協議を設定。早期の問題解決を望んだ日亜側が歩み寄り、合意に至ったという。 JMIUは「3年が必要という問題はあるが、就業期間を最重視して直接雇用の道をつくり、正社員への道も開く大きな前進。労働者に将来の展望を与えるもの」などとする声明を出した。 日亜化学工業は1956年創業。現在、資本金165億円、グループ内の従業員約4000人。海外にも拠点を持ち、近年は年間2000億円前後の売上高を計上している。青色LEDの発明をめぐる元研究員の中村修二氏との裁判が注目された。 URL http //www.asahi.com/business/update/1111/003.html 1106 国労とJR東日本、労使紛争61件すべて和解 [読売] JR東日本から出向・配転などの差別を受けたとして、国鉄労働組合(国労)東日本本部の組合員らが中央労働委員会などに救済を求めていた労使紛争で、国労側と同社が6日、係争中の紛争61件すべてについて和解した。関係者によると、和解内容には、〈1〉同社が健全で良好な労使関係の確立に努力する〈2〉同社が解決金を支払い、国労側が係争中の申し立てを取り下げる――などが盛り込まれた。 JR東日本の川野辺修広報部長の話「将来に向けた健全で良好な労使関係の構築を考慮し、今回の勧告を受諾したものであり、今後ともその確立に努力していく」 国労東日本本部の伊藤秀樹委員長の話「国鉄の分割民営化から約20年が経過した。その間、様々なことがあったが、今回の和解を労使関係の正常化に向けたスタートとしたい」 (2006年11月6日22時7分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20061106ic22.htm 1028 請負会社への出向「違法」 厚労省、松下電器を指導へ [朝日] 2006年10月28日06時21分 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」(MPDP)の茨木工場(大阪府茨木市)で働く松下の正社員が請負会社に大量に出向していた問題で、厚生労働省は、出向の実態が職業安定法に違反する労働者供給事業にあたるとの判断に達し、近く松下本体に対し、是正を求めて行政指導する方針を固めた。請負会社への正社員の出向は、「偽装請負」を禁ずる法の網の目をかいくぐる手法として、他の大手製造業にも広がる可能性があったが、これで歯止めがかけられる見通しとなった。 松下電器産業による労働者供給の構図 関係者によると、松下電器は今年5月、MPDPに出向させていた正社員約200人をいったん自社に戻し、改めて複数の請負会社に出向させた。グループ企業でもなく、直接の資本関係もない請負会社に正社員を大量に出向させるのは異例だが、松下は技術指導を目的に出向させたと説明していた。しかし、出向した社員は、MPDP茨木工場の製造ラインで、技術指導だけでなく、自らも直接製造に携わっていたという。この手法を使えば、松下の出向社員が請負会社の労働者を指揮命令しても同じ請負会社の中でのやりとりになり、「偽装請負」と指摘されにくくなる。 プラズマテレビの円滑な製造には松下の出向社員が製造ラインで働くことが不可欠な状況だった。通常の出向には合致しない実情があり、厚労省は、職安法で禁じられている「労働者供給事業」にあたると判断した。 URL http //www.asahi.com/business/update/1028/001.html 1024 連合、経団連に非正社員の正社員化を要望 首脳会談 [朝日] 2006年10月24日11時05分 日本経団連と連合の首脳が24日、東京都内で会談した。連合の高木剛会長は、パート、派遣、請負などの非正規雇用の増加を問題視し、「総じて低賃金で、所得格差の拡大をもたらしている」として、正社員化を求めた。これに対し、経団連側は「人物本位の採用を企業の実情に応じて検討したい」と、前向きな姿勢を示した。 経団連と連合の会合は年に3回あるが、御手洗冨士夫・経団連会長になってからは初めて。 連合側は、製造業の現場で違法な「偽装請負」の問題が広がっていることもあり、「働き方についてルール違反やルール自体の整備が不十分との指摘があり、是正改善が求められる」(高木会長)と強調し、適正な労務管理を求めた。経団連は、若年層、地方、中小企業などの雇用改善に取り組む姿勢をみせたが、偽装請負の解決策には言及しなかった。 一方、経団連は、春闘について「賃上げ一辺倒ではなく多様な働き方について意見交換すべきだ」と主張。御手洗会長は、年功ではなく職務や役割に応じた給与制度の導入を提案した。 URL http //www.asahi.com/business/update/1024/083.html 0913 UIゼンセン同盟、地域横断型の労組組織化を提案へ [読売] 中小企業の労組が多く加盟する民間最大の産別労組「UIゼンセン同盟」は、企業の枠を超え地域ごとに加入できる労組「地域型ゼネラルユニオン」を、組織化していく方針を決めた。 松山市で13日から始まった定期大会で提案する。 団塊世代が来年以降、大量退職する「2007年問題」に伴い、中小規模の労組の活動をリーダーとして支えてきた世代が不在となり、解散に追い込まれる組合が続出することを防ぐ目的がある。主要産業別労組では初めての試み。 UIゼンセン同盟は、サービス、流通、繊維業などの労組を傘下に構成され、現在の組合員は約95万人。この1年間で、大手スーパーのパート従業員などを中心に約10万人が新たに加入したが、脱退した組合員も約1万5000人に上る。 10~30人程度の零細組合が、リーダーの定年退職をきっかけに解散するケースも多く、6月半ばから1か月間で、23組合(367人)に達したという。 今回、組織化を目指す「地域型ゼネラルユニオン」は、地域ごとに10前後の組合を束ねる形で、同じ地域で働く人たちが横断的に加入できる仕組みにする。賃上げなどの団体交渉は当面、UIゼンセン同盟本部のスタッフらが支援する。 まず、中小の零細労組が多い東京、大阪、愛知などの都市部をモデル地区として組織化を図り、その後、段階的に全国に拡大する方針。将来的には各ユニオンが独自にリーダーを擁立できる組織作りを目指す。 (2006年9月13日11時29分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20060913i103.htm 0904 経産省研究会「成果主義に構造欠陥」“労働者の意欲低下 職場疲弊” [赤旗] 企業に成果主義を導入した結果、人件費は下がったが、労働者のやる気や協働意識は低下した―経済産業省の研究会が、いまの成果主義には「構造的な欠陥」があるとする報告書をまとめていたことが分かりました。研究会は「人材マネジメントに関する研究会」(座長=守島基博一橋大学大学院教授)。企業が「短期的成果」ばかり追い求めて、人材育成を軽視していることにも警告を発しています。 報告書は「現在の成果主義は導入の契機がコスト削減にあった」とし、人件費の抑制では「効果を上げた」ものの、社員のモラールアップ(士気向上)や業績向上に関しては「思うような効果は上がっていない」と厳しい評価を下しました。 そして、「予想していなかった問題点」として、(1)賃金などの処遇に対する納得感の低下(2)個人競争激化による協働意識の低下(3)人材育成機能の低下(4)現場の疲弊とプロセス(目標達成までの過程)管理の弱体化―の四点をあげました。 「チーム内のメンバーでさえもライバルと見なして仕事」をしなければならず、「個人間の競争意識は高まるものの、意欲が高まらない」と指摘。管理職同士も「個人間競争」に追われ、「優秀な部下の疲弊、他の多くの部下に対する育成面での軽視」につながっていると分析しました。 また、企業が「売上やコストなど目に見えやすい目標や短期的成果の目標に偏る」結果、「マネジメント側が人材育成を軽視することや、社員個々人がストレッチ(ワンランク上の仕事への挑戦等)を避けようとする事態」になっていると懸念しています。 「目標管理制度」が実際には「結果管理制度」になり、「部下が必要とする支援は十分に行われず、インプットのない中でアウトプットばかりを要求される“疲弊”状況が職場に広がり、すでに長い時間を経過してきている」と述べています。 同研究会は、経産省産業人材担当参事官室の委託調査として約一年かけて検討を行い、八月に報告書をまとめました。成果主義が批判を浴びているなかで、企業の人事政策のあり方を研究することが目的です。 解説 経済産業省の研究会がまとめた報告書は、いま全国の職場で問題になっている成果主義賃金の欠陥をほぼ全面的に認めました。 「成果に応じた処遇といっても評価が公平でない」「チームでする仕事なのに評価は個人ごと」「全員が競争相手なので職場がバラバラ」といったことが、成果主義を導入したどこの職場でも指摘されてきました。競争に追われ、長時間労働、精神疾患の激増も社会問題になっています。 研究会が指摘した「構造的な欠陥」は成果主義の本質です。組織全体で分担して仕事をしているのに、あえて個々の労働者に優劣をつけて賃金で差別するなど、もともとむちゃな話です。それをあえてするのは、国際競争に勝ち抜くためという口実で労働者の犠牲によるコスト削減を狙っているからです。そのために成果主義で労働者を競わせ、総人件費を抑制しようとしているのです。 研究会の立場は、働く人の意欲を向上させる「真の成果主義」をつくりあげていかなければならないというものです。そうした研究会の報告書ですら、「構造的な欠陥」があるとまでいわざるをえないところに、現状の深刻さがあります。 (山田俊英) URL http //www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-09-04/2006090401_01_0.html 0826 請負適正化へ指針、製造業の「偽装」対策 厚労省作成へ [朝日] 2006年08月26日13時50分 違法な「偽装請負」の広がりが問題化している製造業の請負事業について、厚生労働省は、社会保険加入や教育訓練など、労働者の職場環境の改善のために、請負業者や発注元のメーカーが取るべき対策について指針(ガイドライン)をまとめることを決めた。現状の課題を洗い出すために有識者の研究会を発足させ、来年6月をめどに作成する方針。 指針は、事業者やメーカーが、法令順守や、労働者の安全、福利厚生などのために取るべき措置について一体的にまとめる。現在、派遣事業で派遣元・派遣先企業などに示されている指針などを参考にする。 秋にも発足する研究会で、業者からヒアリングなども行い、現場の実態を分析した上で指針に反映させる。 ガイドラインのため強制力はないが、請負業に着目してこうした指針を設けるのは初めてで、同省では「請負事業の適正化を促したい」としている。 指針の実効性を高めるため、来年度をめどに請負・メーカーの全国団体で構成する協議会を新たに設置する。ガイドラインを実施するためのチェックシートを公表し、業界ぐるみでセミナーを開いたり、モデル事業を実施したりする考えだ。 また、連合(高木剛会長)は25日、「偽装請負」について、独自に実態調査をすることを明らかにした。傘下の組織を通じて職場に偽装請負があるかを点検。併せて請負や派遣労働者の有無や人数を把握する。実施は10月の予定。外部人材の活用については職場での労使協議の徹底を求める。 URL http //www.asahi.com/life/update/0826/004.html 0826 脱「非正社員」へ支援、高校生に予防策 厚労省予算化 [朝日] 2006年08月26日09時50分 厚生労働省は来年度予算の概算要求でパートの正社員化や年長フリーターの資格取得支援など、脱「非正社員」に向けた事業を並べた。ポスト小泉政権をにらんで「再チャレンジ」などが政策のキーワードとして浮上するなか、非正規雇用から正社員への移行を促す政策へ加速する。ただ、肝心の企業側との間には温度差が大きく、実効性は不透明だ。 非正社員については、これまで就業形態の多様化としてきた面があり、対応が遅れた。しかし、正社員との賃金などの「格差」が表面化し、将来設計が描けない若者の増加が出生率の低下を招き、少子化を加速させているとの危機感が増大。次期政権に有力視される安倍官房長官が掲げる施策と歩調を合わせ是正に向かう方針が色濃くにじんでいる。 同省が着目したのが、学卒時に就職氷河期で希望の職に就けず、景気回復した現在も就職が困難なままの年長フリーター対策。25~34歳で97万人(05年)とされる層を対象に、正社員になるための販売士などの資格を取得する「再チャレンジコース」を設け、スキルアップを支援する。 また企業で実習し、足りない技能を補うため専門学校などで訓練を受け、5カ月以内で正社員につなげる制度を新設する。 現在1266万人と、雇用者の4人に1人に上るパートについても、正社員化を進める。また一律の時給ではなく、職能評価を反映する正社員並みの賃金制度の普及を図る。地域の中小企業団体が、傘下の企業に対してパート社員の教育訓練や正社員への転換制度などを2年計画で実施する場合、1000万円を上限に助成する。取り逃げを防ぐため、実施企業の割合などをみて、成果に応じて支払う。 派遣や請負で働く人たちには能力開発を支援する。パソコン操作や販売などの能力を高めるために業種ごとに支援のモデル計画を作成する。 さらに、受け入れ先になる企業を開拓するため、ハローワークに「キャリアサポーター」を順次配置。求職者向けには正社員限定の企業説明会や面接会を実施したりする。 「予防策」にも力を入れる。全国の商業高校や工業高校などの1・2年生を対象に、職業意識の向上などを目的に実施してきた「就職ガイダンス」で、正社員とフリーターの賃金や能力開発などの「格差」の実態などを教えるプログラムも盛り込む方針だ。 ただ、非正社員化を進めてきた企業の姿勢を変えるのは容易ではない。日本経団連のアンケートでは、フリーターを正社員として積極的に採用したい企業は、わずか1.6%と温度差は大きい。連合の高木剛会長は、25日の会見で「再チャレンジと言っているが、実際の企業のマインドとのギャップは大きい」と述べ、企業の意識改革を促すような措置が重要との認識を示した。 URL http //www.asahi.com/life/update/0826/002.html 0808 労働経済白書:非正規雇用が増加し所得格差が拡大 [毎日] 厚生労働省は8日、06年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)をまとめた。非正規雇用の増加が著しく、所得格差が拡大していると指摘。格差の固定化を防ぐために職業能力開発の充実など「新しい日本型雇用」の創造を掲げた。 白書によると、正規雇用は、96年は3800万人だったが、05年は3333万人に減少。一方で非正規雇用は96年の1043万人から05年には1591万人に増加。非正社員は5人に1人から、3人に1人の割合になった。 パート、アルバイトの他、派遣、契約、請負など就業形態の多様化の進展について、「(人口減で)労働力供給が制約される中、高齢者や女性の就業希望に応え、多様で柔軟な就業機会の創造が不可欠」と分析。その上で、「均衡処遇などを通じ、どの就業形態でも意欲を持って働けることが大切」と指摘している。 一方、特に増えている若年者の非正規雇用については、「低い所得水準にあり、子供がいる率も低い。少子化傾向をさらに促進する」と危機感を募らせ、「企業が長期的・継続的な視点で人材を採用、育成することが重要」とした。 「新しい日本型雇用」のあり方については、長期雇用をベースに「職業能力の適正な評価を通じて実力主義の企業風土を養う」とまとめた。【東海林智】 毎日新聞 2006年8月8日 12時31分 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060808k0000e040073000c.html ■雇用・労働06Ⅰ から続く
https://w.atwiki.jp/dunpoo/pages/467.html
■雇用・労働06Ⅱ より続く ■雇用・労働? へ続く 0912 「日雇い派遣」建物清掃・駐車場管理など認めず…厚労省方針 [読売] 0523 過労自殺過去最多の81人、心の病で労災急増 07年度 [朝日] 0522 トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から [朝日] 0425 松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定 [朝日] 0423 「フリーター100万人を正社員化」 政府目標 [朝日] 0229 パンフ配布の主婦も「労働者」と認定 東京地裁 [朝日] 0229 日雇い派遣会社 指導強化を通知 各労働局に厚労省 [朝日] 0217 「常識から外れている」 連合会長がマクドナルドを批判 [朝日] 0213 派遣社員の労災死、派遣先にも使用者責任 東京地裁判決 [朝日] 0208 JAL側、賠償請求認める 客室乗務員情報の無断収集 [朝日] 0131 同じ仕事、パートも正社員も同一時給…りそなHD改革案 [読売] 1225 派遣法改正、結論見送りを提言 労政審が中間報告案 [朝日] 1126 客室乗務員がJAL労働組合など提訴 個人情報保有問題 [朝日] 1114 都市の労働者、半分が「1年前よりストレス増」 [朝日] 1004 偽装請負で文書指導、06年度急増2646件 厚労省 [朝日] 0928 年収200万円以下、1千万人超える 民間給与統計 [朝日] 0914 日雇い派遣に失業手当 厚労省、雇用保険初適用へ [朝日] 0914 キヤノン:「偽装請負」に是正指導…安易なコスト削減警鐘 [毎日] 0825 連合:非正規社員の支援・連携を最優先 方針転換 [毎日] 0823 天引き装備費返せ、派遣スタッフ26人がグッドウィル提訴 [読売] 0817 女性の労働で「雇用増」 内閣府、育児と両立効果試算 [朝日] 0809 フルキャスト事業停止へ 日雇い派遣の半数、失業も [朝日] 0803 労働経済白書:「労働者への分配強化を」異例の提言 [毎日] 0803 フルキャストに事業停止命令へ、違法派遣改善せず…厚労省 [読売] 0722 「再チャレンジ」公務員試験、152人枠に2万5千人応募 [読売] 名前 コメント ↑ご自由にコメントをお書き下さい。 0912 「日雇い派遣」建物清掃・駐車場管理など認めず…厚労省方針 [読売] 日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案について検討している厚生労働省は、日雇い派遣を例外的に認める業務を20業務程度に限定する方針を固めた。 例外業務については、専門性が高く、派遣期間に制限がない通訳や秘書など政令の26業務を軸に検討していたが、建物の清掃やビルメンテナンス、駐車場管理、電話で商品販売などを行う「テレマーケティング」などの業務については専門性が高いとは言えないとして削減することとした。12日の労働政策審議会の部会に提出される報告書案に盛り込まれる予定。 ほかに削減する業務は、放送機器等の操作やテレビ番組の演出、放送番組での大道具・小道具の設置や調達といった業務。 同部会の議論では、経営側から「製造業や運送業なども例外として認めてほしい」と業務削減に反発する声が出る一方、労働者側は例外の全廃を求めている。 (2008年9月12日03時03分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20080911-OYT1T01096.htm?from=main4 0523 過労自殺過去最多の81人、心の病で労災急増 07年度 [朝日] 2008年05月23日22時08分 仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害になり、07年度に労災が認められた人は前年度の1.3倍の268人で、過去最多を更新したことが23日、厚生労働省のまとめでわかった。そのうち、過労自殺も15人多い81人(未遂3人含む)で過去最多。長時間労働や成果主義が広がる中、心の病に悩む人が増えていることを示した。 精神障害による労災請求件数も前年度比16%増の952件で、過去最多だった。 労災認定された人は、年代別では30代が100人と約4割を占め、次いで20代が66人、40代が61人だった。職種別では、情報処理や医療福祉などの専門的・技術的職業が75人と最も多く、工場労働者などの生産工程・労務が60人、事務が53人など。 一方、過労などが原因で脳・心臓疾患になり労災認定された人も、前年度より10%多い392人で過去最多。そのうち過労死は前年度より5人少ない142人だった。 認定された人のうち、脳内出血や脳梗塞(こうそく)など脳疾患が263人、心筋梗塞や狭心症など心臓疾患が129人。認定理由が「長時間の過重業務」だったのは362人で、このうち199人は残業が月平均100時間以上だ。 職場のストレス調査を30年近く続ける小杉正太郎・早稲田大教授(ストレス心理学)は「IT系や研究開発など、職位階層が細かくなく管理職の少ない職場ほど、多様な仕事を任され強いストレスにさらされがちだ」と指摘。過労死弁護団全国連絡会議の岡村親宜代表幹事は「精神障害の労災の請求件数に対する認定率が3割前後と低いのは問題だ。認定指針にあいまいな面があり、見直す時期ではないか」と話している。 URL http //www.asahi.com/life/update/0523/TKY200805230291.html 0522 トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から [朝日] 2008年05月22日03時00分 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。労働組合も了承しており、6月1日から実施する。 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。 トヨタが「業務」と位置づけるのは、生産現場の従業員がグループ単位で改善提案に取り組むQCサークル活動。従業員のアイデアや知恵を引き出す「カイゼン」活動を支える中心的な取り組みで、64年から半世紀近く続いている。国内の生産現場の全従業員約4万人の全員参加が原則で、現場の工夫を収益向上に結びつけるトヨタ躍進の原動力だった。 現在、トヨタはQC活動を支援する名目で月2時間まで残業代を支給するが、2時間を超える賃金は原則支払っていない。しかし、QCの活動成果が人事評価の対象にされている実態があり、社員やその家族から「事実上強制された業務」との声が上がっていた。 昨年12月には、愛知県豊田市の堤工場の元従業員の男性(当時30)が急死したのは過労死だったと認める名古屋地裁判決が確定。判決は、QC活動の時間も「使用者の支配下における業務」と指摘していた。この男性は亡くなる直前の4カ月間で16時間をQC活動にあてていたが、実際は土日や有給休暇もつぶして資料作成などでサービス残業をしていたとされる。 自動車・電機など製造業を中心に国内で3万以上のQCサークルが活動しているとされる。業務なのか自主的な活動なのか線引きが不明確と指摘されていたが、トヨタは明確に業務と位置づける。 トヨタは、打ち切り上限の撤廃で「総額人件費の増加は避けられない」(幹部)見通し。QCに対する全員参加の意識が薄れ、一部の従業員の負担が増すといったひずみも出ている。そのためトヨタは活動を簡素化し月2時間以内におさめるように従業員に促す方針だが、QCサークルは国内だけで5千前後ある。実際に方針を現場に徹底させ、労働時間短縮につながるかどうか不透明な部分も多い。(大日向寛文) ◇ 〈カイゼン〉 徹底的に無駄を省くトヨタ生産方式の核をなす考え方。作業時間を縮めたり、工具に改良を加えたり、工場の従業員を含めた全員参加で取り組む。日本の製造業の強さの源泉とされる。QCサークル活動はカイゼンを支える手法で、欧米でも普及が進む。トヨタのQCは、国内の生産現場の全従業員約4万人を8人前後でグループ化し展開する。所定外労働時間で行うのが一般的。QCは、品質管理を意味する英語(Quality Control)の略。 URL http //www.asahi.com/business/update/0521/NGY200805210017.html 0425 松下電器子会社の偽装請負、直接雇用成立を認定 [朝日] 2008年04月25日16時10分 違法な偽装請負の状態で働かされていた男性について、大阪高裁が25日、当初から両者間に雇用契約が成立しているとして、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うよう就労先の会社に命じる判決を言い渡した。就労先で直接、指揮命令を受け、実質的にそこから賃金支払いを受けていた実態を重視。「請負契約」が違法で無効なのに働き続けていた事実を法的に根拠づけるには、黙示の労働契約が成立したと考えるほかないと述べた。事実上、期間を区切ることなく雇い続けるよう命じる判断だ。 原告側の弁護団によると、偽装請負をめぐって就労先の雇用責任を認めた司法判断は高裁レベルで初めて。 キヤノンなど大手メーカーの偽装請負は社会問題となったが、違法行為を指摘された企業が短期間の直接雇用のみで「是正した」と主張する事態が続発。行政もこれを追認していた。今回の判決はこうした法解釈を覆す可能性がある。弁護団は「労働の実態を踏まえた判決を高く評価したい。同様のケースに与える影響は大きい」と話している。 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ(PDP)」(大阪府茨木市)の工場で働いていた吉岡力(つとむ)さん(33)が同社を相手に提訴した。若林諒裁判長は直接雇用の地位を確認しなかった一審判決を変更。06年の解雇後の未払い賃金(月約24万円)の支払いを命じ、内部告発に対する報復があったと認定して、慰謝料の額も一審の45万円から90万円に増額した。 判決によると、吉岡さんは04年1月から、松下PDPの茨木工場で「請負会社の社員」という形で働いていたが、翌05年5月、「実際は松下側社員の指揮命令のもとで働いており、実態は直接雇用だ」と大阪労働局に偽装請負を内部告発した。同8月、松下PDPに期間工として直接雇用されたものの、06年1月末、期間満了を理由に職を失った。期間工だった間、吉岡さんは他の社員と接触できない単純作業に従事させられた。 判決はまず、請負会社の社員だった吉岡さんらの労働実態について「松下側の従業員の指揮命令を受けていた」などと認定。吉岡さんを雇っていた請負会社と松下側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」であり、職業安定法や労働基準法に違反して無効だと判断した。 そのうえで、労働契約は当事者間の「黙示の合意」でも成立すると指摘。吉岡さんの場合、04年1月以降、「期間2カ月」「更新あり」「時給1350円」などの条件で松下側に労働力を提供し、松下側と使用従属関係にあったとして、双方の間には「黙示の労働契約の成立が認められる」と認定した。この結果、吉岡さんはこの工場で働き始めた当初から直接雇用の関係にあったと結論づけた。 松下側が06年2月以降の契約更新を拒否したことについても「解雇権の乱用」で無効と判断した。 さらに、吉岡さんが期間工として直接雇用された05年8月以降、配置転換で単独の作業部屋に隔離されたことについて、「松下側が内部告発などへの報復という不当な動機や目的から命じた」と認定した。 昨年4月の大阪地裁判決は「偽装請負の疑いが極めて強い」として、就労先には労働者を直接雇用する義務が生じるとの判断を示す一方、雇用契約の成立は否定していた。 URL http //www.asahi.com/national/update/0425/OSK200804250070.html 0423 「フリーター100万人を正社員化」 政府目標 [朝日] 「フリーター100万人を正社員化」 政府目標、3年で 2008年04月23日09時00分 政府は23日の経済財政諮問会議で、10年度までの3年間に「フリーター、ニートなどの若者100万人を正社員化し、女性と高齢者の計120万人の雇用を増やす」という数値目標を打ち出す。少子高齢化で働き手が減る中で経済成長を維持するため、福田内閣が近くまとめる「新雇用戦略」の柱とする。 会議では、舛添厚生労働相が30歳代後半の「年長フリーター」の就職支援策の拡充を始めとする具体案を示す。「計220万人」は、そうした一連の施策で達成すべき目標として明確に位置づける。 目標達成に向け、諮問会議の民間議員は同日、(1)働く女性や高齢者が不利にならないように税制・年金制度を改革すべきだ(2)働き手を支える保育サービスの財源確保については、消費税を含む税制の抜本改革の中で議論すべきだ――と提言する。 厚労相案は政府がすでに打ち出している政策の延長線上にある内容だが、民間議員は税制・社会保障制度の改革と十分な財源が伴わなければ、施策の効果は十分に出ないとの考えだ。 さらに、自宅で子どもを預かる「保育ママ」の資格要件の緩和や、在宅勤務について深夜や早朝も含め勤務時間を柔軟に設定できるような法解釈の明確化、といった規制緩和も提案する。 こうした改革案に対し、厚労省や労働組合は慎重姿勢だ。今後の議論では、民間議員案が最終的にどこまで盛り込まれるかが焦点となる。 URL http //www.asahi.com/politics/update/0423/TKY200804220350.html 0229 パンフ配布の主婦も「労働者」と認定 東京地裁 [朝日] 2008年02月29日01時13分 千葉県の県民共済の「普及員」として加入を呼びかけるパンフレットを配っていた千葉市の主婦(60)が腰の骨を折るけがをしたのに、「労働者ではない」として労災が認められなかったのは違法だとして国を訴えた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。中西茂裁判長は、主婦の請求を認め、労災の給付金を支給しなかった千葉労働基準監督署の処分を取り消した。 判決によると、普及員は主に専業主婦が務めており、受け持ち区域を巡回して、配布量に応じた報酬を受け取っていた。中西裁判長は「普及員は業務マニュアルなどで具体的な指示命令を受けており、報酬も実質は労務提供の対価といえる」として、県民共済との間に使用者の関係があったと認定。「専業主婦のパートなど、短時間でも労働者とみられる関係はある」とし、「業務時間や日報の拘束は緩やかだった」とする国側の主張を退けた。 URL http //www.asahi.com/national/update/0229/TKY200802280483.html 0229 日雇い派遣会社 指導強化を通知 各労働局に厚労省 [朝日] 2008年02月29日01時38分 日雇い派遣をめぐる相次ぐ違法行為を受け、厚生労働省は28日、日雇い派遣を手がける派遣会社や派遣先企業への指導を強化するよう全国の労働局に通知した。日雇い派遣を対象にした、労働者派遣法に基づく全国一斉指導は初めて。同日出した日雇い派遣の指針や改正省令を解説した冊子も作り、企業や労働者に配布して徹底を図る。 厚労省は「緊急違法派遣一掃プラン」と銘打ち、日雇い派遣や偽装請負への指導強化を労働局に指示した。違法な給与天引きなどの労働基準法違反を取り締まる労働基準監督署と、派遣会社を指導する労働局との連携も強める。 新指針や改正省令は、携帯メールなどで簡略に示されることが多い就業条件の詳細な明示を求め、派遣先企業にも日雇い派遣の管理責任者を置くことを義務化。解説用冊子では、派遣会社のマージンを透明化するため、派遣料金と労働者の賃金の平均をホームページなどで公開することも求めている。 URL http //www.asahi.com/national/update/0229/TKY200802280487.html 0217 「常識から外れている」 連合会長がマクドナルドを批判 [朝日] 2008年02月17日19時21分 連合の高木剛会長は17日、名古屋市で会見し、店長を残業代の出ない管理職扱いしている日本マクドナルドについて「店長に残業代を認めた東京地裁の判決は当たり前(の内容)なのに、控訴したマクドナルドの判断は常識から外れている」と批判した。日本法人に抗議しても効果がないとして、他国の労組に反対運動を呼びかけ、米国本社にも直接抗議する方針を示した。 高木会長は、「名ばかり管理職」が横行するなかでマクドナルドの問題が注目されていると指摘。「日本の経営トップといえども、労働問題は米国本社の指導のもとで対応しているようだ。米国本社に直接働きかけるため、私が行ってもいい」と述べた。マクドナルドは各国で、労働条件の低さや労組との交渉を嫌う傾向が問題になっているといい、「世界的な抗議活動を呼びかけていきたい」と語った。 連合の民間企業に対する国際的抗議活動は極めて異例で、この問題では譲れないという姿勢をアピールする狙いがある。 URL http //www.asahi.com/national/update/0217/TKY200802170175.html 0213 派遣社員の労災死、派遣先にも使用者責任 東京地裁判決 [朝日] 2008年02月13日20時02分 03年に派遣された工場での作業中に死亡した男性(当時22)の両親が、工場が安全対策を怠っていたとして派遣元と派遣先の企業2社などに計約1億9000万円の支払いを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。山田俊雄裁判長は、派遣先にも男性の使用者としての責任があったと認め、2社に約5100万円を支払うよう命じた。 派遣元は「テクノアシスト相模」(神奈川県相模原市)で、派遣先は製缶大手の「大和製缶」(東京都中央区)。判決によると、男性は03年7月に派遣元と雇用契約を結び、派遣先の工場で缶の検査を担当した初日に、脚立から転落して死亡した。 山田裁判長は「派遣元の従業員は、実質的には派遣先の指示で働いていた」と認定。さらに派遣先について「男性との雇用契約がなくても使用者と同じ安全配慮義務を負う」とし、転落を防ぐ措置を怠った責任を認めた。 会見した原告側の代理人は「製造工場への派遣が増え労災が多発する中で、派遣先、派遣元両方の責任を明確にしたことは、企業側に警告を発するものだ」と評価した。 URL http //www.asahi.com/national/update/0213/TKY200802130295.html 0208 JAL側、賠償請求認める 客室乗務員情報の無断収集 [朝日] 2008年02月08日00時54分 日本航空の最大労組「JAL労働組合」が客室乗務員の病歴などを含む個人情報を無断で収集し、リストにしていた問題をめぐる損害賠償請求訴訟で、労組とともに被告になっている「日本航空インターナショナル」(東京都品川区)は7日、東京地裁で開かれた初の口頭弁論で、原告の請求を認める意向を明らかにした。原告側は、同社が訴訟から退くことは「違法な情報収集の真相を闇に葬ろうとするものだ」と反発している。 日航側はこの日発表したコメントで「原告の主張は認められないが、労使間で新たな係争を行って社会やお客様の信頼を損なう事態は避けたい」との考えを示した。 リストをめぐっては、客室乗務員194人らが計4800万円の損害賠償を求め、昨年11月に提訴した。原告側は今後、原告の数を増やし、同社に対し別の訴訟を起こすことも検討するという。 URL http //www.asahi.com/national/update/0208/TKY200802070419.html 0131 同じ仕事、パートも正社員も同一時給…りそなHD改革案 [読売] 大手銀行グループのりそなホールディングスが検討している抜本的な人事改革案が30日明らかになった。 男女を問わず職種による処遇の差をなくし、同じ仕事であればパート社員でも正社員と同じ時給とするなど大企業では異例の試み。 優秀なパート社員(スタッフ社員)や女性の待遇を改善することで実力のある人材を活用する。労使協議がまとまれば7月から実施する。 対象は傘下のりそな銀行や埼玉りそな銀行の正社員約1万2000人とスタッフ社員約1万1000人。 改革案の柱は、転勤がある総合職の「エリアフリー」職と転勤なしの一般職である「エリア限定」職に分かれていた正社員の区分をなくし、全社員を「関東」や「関西」など希望する地域内に職場を限定。さらに個人、法人、管理などの配属先の志望に適性や経歴なども考慮して振り分け、各分野のプロを育てる。2009年4月入行者にも同様の措置を取る。優秀なスタッフ社員を引き留めるため、同じ仕事をする正社員との時給格差をなくす。 一方、55歳までに役員に昇格しなかった社員を関連会社などに出向・転籍させる「役職定年制」も7月から廃止。年齢を問わず、優秀なベテラン社員を積極活用する。 (2008年1月31日03時06分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080131-OYT1T00134.htm 1225 派遣法改正、結論見送りを提言 労政審が中間報告案 [朝日] 2007年12月25日08時02分 労働者派遣法の見直しを検討している厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会の中間報告案が24日、明らかになった。登録型派遣の是非など労使の隔たりが大きい論点は結論を先送りし、学識経験者による研究会を新設して審議を続けることを提言。一方で、違法行為が相次ぐ日雇い派遣などについては、規制強化に必要な省令や指針の整備を急ぐことを求めており、厚労省は年明けから具体的な内容を詰める方針だ。 25日に開く部会で公益委員が提案し、労使代表も了承する見通し。これを受け、厚労省は08年の通常国会に派遣法改正案を提出することを正式に断念。09年の提出を目指し、新設する研究会で審議を続ける方針だ。 中間報告案では、労働者派遣を「原則自由」とする使用者側と、「限定的なもの」と考える労働者側とでは「根本的な意見の相違がある」と指摘。「議論を続けても有意義な結論に到達することは困難」と断言した。 また、日雇い派遣に対する規制強化や派遣元の情報公開の促進については「一定程度労使の意見の一致が得られている」と明記。現行法に基づく省令や指針の整備を急ぐよう提案している。 URL http //www.asahi.com/life/update/1224/TKY200712240149.html 1126 客室乗務員がJAL労働組合など提訴 個人情報保有問題 [朝日] 2007年11月26日19時59分 日本航空の客室乗務員の病歴や思想信条などを含む大量の個人情報のリストを「JAL労働組合」(JALFIO)が本人に無断で収集・保有していた問題で、客室乗務員194人(OB含む)が26日、JALFIOや同労組の役員、「日本航空インターナショナル」(東京都品川区)に1人当たり22万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。 JALFIOは日本航空の最大労組。提訴した現職乗務員の多くは別の労組である「日本航空キャビンクルーユニオン」に加入しており、同ユニオンも会社に550万円の損害賠償を求めた。 原告側は、JALFIOの情報収集が人格権を侵害していると主張。会社についても「JALFIOとともにリスト作成に関与した」とし、違法行為に責任があるとしている。 提訴後、東京・霞が関で会見した原告の女性の一人は「今も一緒に働いている上司が日々、陰で情報収集していたことが一番のショックでした」と話した。原告の男性OBは「自由にものをいえない職場では安全も後退する」と訴えた。 URL http //www.asahi.com/national/update/1126/TKY200711260265.html 1114 都市の労働者、半分が「1年前よりストレス増」 [朝日] 2007年11月14日12時29分 都市で働く労働者の2人に1人が「ストレスが1年前より増えた」と感じていることが、連合総合生活開発研究所の調査でわかった。物価上昇を感じる人の割合も急増しており、生活が厳しさを増しているようだ。 調査は10月に実施し、首都圏と関西の10都府県の20~50代の労働者776人から回答を得た。 1年前と比べて仕事や職場でのストレスが「かなり増えた」「やや増えた」と答えた人は合計48.3%。ストレスを感じているのは、「仕事量に比べて働く人の数がかなり不足している」と考える人の73.7%、「週50時間以上働く」という人の64.2%、「成果や業績による賃金・処遇の差が拡大した」と思う人の63.9%に上った。 残業を含め週50時間以上働く人は26.2%(昨年調査比6.0ポイント減)、週60時間以上の人は10.7%(同4.7ポイント減)。残業代が支払われない「サービス残業」をしている人は36.9%(同0.5ポイント減)だった。 生活面では、1年前に比べて物価が上がったと思う人の割合から下がったと思う人の割合を差し引いた指数は38.6(同19.8増)で、01年の調査開始以来最大の増加幅だった。 URL http //www.asahi.com/life/update/1114/TKY200711140127.html 1004 偽装請負で文書指導、06年度急増2646件 厚労省 [朝日] 2007年10月04日08時24分 厚生労働省が06年度に偽装請負関連で文書指導をした件数が、前年度の2.7倍の2646件に激増していることが3日、わかった。労働者派遣法違反に対する指導件数の全体も73.5%増の6281件で、調査に入った件数に占める指導割合(指導率)は64.2%に達した。規制緩和で労働者派遣が拡大したのに伴い、違法行為も横行していることを示している。 厚労省は、実態は派遣なのに請負を装う違法な偽装請負への批判を受けて、指導を強化。06年度は、偽装請負関連の立ち入り調査を前年度の2.3倍の3474件に増やした。その結果、請負事業主への文書指導は前年度の3倍の1843件、発注者への指導は2.2倍の803件に増えた。偽装請負関連の指導率は76.2%に上った。 指導内容は、請負事業主向けでは契約内容の不備が645件で最も多く、二重派遣などの職業安定法違反が485件、港湾荷役など派遣禁止業務への派遣が35件。発注者向けでは、無許可業者からの労働者の受け入れが192件だった。 偽装請負以外では、派遣元企業への指導が前年度より36.2%多い3032件、派遣先企業向けが43.6%増の603件。派遣元への指導は、派遣契約の不備(1380件)や就業条件を明示しない(1325件)など。最長3年の派遣可能期間を超えた違法派遣も100件あった。派遣先に対する指導でも契約の不備が目立ち、派遣可能期間を超えた労働者の受け入れも55件あった。 この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する URL http //www.asahi.com/national/update/1003/TKY200710030341.html 0928 年収200万円以下、1千万人超える 民間給与統計 [朝日] 2007年09月28日08時00分 民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。年収別でみると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9万5000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。 年収300万円以下の人の層は5年前の34.4%から年々増加しており、昨年は全体の38.8%を占めた。男女別では、年収が300万円以下の男性は21.6%と5年前から4.6ポイント増え、女性は66.0%で5年前から2.3ポイント増えた。アルバイトや派遣社員など給与が比較的少ない非正規雇用者が増えている状況を浮き彫りにした格好だ。 一方、年収300万円から1000万円以下の人の割合は一昨年の57.6%から56.3%に減少した。 また、1年を通じて働いた給与所得者は4485万人と前年に比べ9万人減少した。男性は01年から減少傾向にあるが、女性は逆に03年から増加傾向にあるという。 URL http //www.asahi.com/life/update/0927/TKY200709270647.html 0914 日雇い派遣に失業手当 厚労省、雇用保険初適用へ [朝日] 2007年09月14日03時02分 厚生労働省は13日、日雇い派遣労働者に対し、建設現場などで働く日雇い労働者向けの雇用保険を適用する方針を固めた。14日、日雇い派遣大手フルキャストの渋谷支店を第1号の保険適用事業所として認める予定。対象者には最大日額7500円の失業手当(日雇(ひやとい)労働求職者給付金)が支給される。別の支店や同業他社にも順次拡大する見通しで、不安定な日雇い派遣労働者の安全網として期待される。 日雇い雇用保険は建設作業員など、日替わりで複数の事業所に直接雇用される労働者の失業対策として始まり、派遣労働者には適用されていなかった。だが、労働者派遣法の緩和で、日々別の会社に派遣されて単純作業を行う日雇い派遣労働者が増加。「日雇い派遣にも安全網が必要だ」としてフルキャストの労働者らが保険適用を求め、同社が今年2月、厚労省に適用事業所としての認可を申請していた。 同省は日雇い派遣労働者の実態を調査。日雇い労働者と同様、毎日別の派遣会社から仕事を受けている労働者が確認できたため、保険適用を認めることにした。 失業手当をもらうには、保険適用事業所の労働者が職業安定所に勤務実態を申告。日雇い労働者並みに不安定な働き方だと認められれば、受給に必要な手帳を渡される。保険適用事業所から派遣されて仕事をするたびにもらえる印紙を手帳に張り、受給月の直前2カ月間で通算26枚以上の印紙を集める。印紙は、複数の保険適用事業所から集める必要がある。 仕事がない日に手帳持参で職業安定所に行き、失業と認められると、印紙の枚数に応じて日額4100~7500円の失業手当を受け取れる。 ただし厚労省は「安易な給付は不安定就労を定着させる恐れがある」としており、失業認定の際には、安定的な職業の紹介にも力を入れる考え。 URL http //www.asahi.com/life/update/0914/TKY200709130454.html 0914 キヤノン:「偽装請負」に是正指導…安易なコスト削減警鐘 [毎日] 光学機器大手、キヤノンの宇都宮光学機器事業所が栃木労働局から「偽装請負」の是正指導を受けた問題は、安価な労働力として製造現場に請負労働者や派遣社員を広く受け入れてきた国内製造メーカーに、大きな警鐘を鳴らした。キヤノンの御手洗冨士夫会長は、日本経団連会長。経済界を代表するトップ企業の違法行為を国が認定した形だけに、他のメーカーも雇用形態の見直しなど抜本的な対策を求められそうだ。 偽装請負は、実態は派遣労働なのに、派遣業者と業務請負契約を結んだかのように装う行為。派遣の場合、一定の派遣期間を超えるとメーカー側は労働者に直接雇用を申し入れなければならない。しかし、業務請負の場合、労働者の指揮・監督責任を派遣業者が負うため派遣期間の縛りがない。コスト削減のため製造現場の非正規社員化を進めるメーカーにとって、人件費を低く抑えられるメリットがあった。 「偽装請負はない」としてきたキヤノンも問題発覚後の今年8月、同事業所の請負労働者82人に対し「期間社員」として直接雇用する方針を申し入れた。国は偽装請負の防止に向けたガイドラインを作成するなど労働者の処遇に厳しい目を光らせており、対応が遅れたメーカーは、企業イメージの低下など厳しい批判にさらされそうだ。【赤間清広】 毎日新聞 2007年9月14日 2時13分 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/20070914k0000m020166000c.html 0825 連合:非正規社員の支援・連携を最優先 方針転換 [毎日] 連合(高木剛会長)は24日に開いた中央執行委員会で、パートなど非正規社員や中小零細の労働者への支援・連携を最優先とするなどとした今後2年間の運動方針案を確認した。大企業の正社員や公務員中心の労働運動ともいわれる連合の大きな方針転換といえ、増え続ける非正規労働者の問題に正面から取り組むことになる。 方針案では、今後2年間(08~09年度)の運動の力点として非正規社員などへの「支援・連携の強化、組織化の推進に最優先で取り組み、働き方の改革を進め、労働諸条件の底上げ・向上を図る」とした。10月の定期大会に提案され、了承される見通し。 具体的には、そうした労働者に支援、連帯する「非正規労働センター」(仮称)を、全国106カ所の地域協議会などに設け、雇用、労働条件の相談など総合的なサポートや組織化に取り組む。インターネットを通じて、そうした労働者をネットワーク化する。 連合はここ数年の春闘で、中小企業の労組やパート労働者の賃上げに取り組むなど格差是正の運動を進めてきた。しかし非正規労働者の雇用条件の劣化が進み、「企業の競争力優先、収益優先の追求に対し立ち向かわなければならない」との危機感から非正規労働者支援強化にカジを切った。 連合の古賀伸明事務局長は「不公正で不条理な労働がまかり通れば、その悪影響はすべての労働者に及ぶ。本腰を入れて支援をやらなければならない」と話している。【東海林智】 毎日新聞 2007年8月25日 3時00分 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070825k0000m040180000c.html 0823 天引き装備費返せ、派遣スタッフ26人がグッドウィル提訴 [読売] グッドウィル・グループの人材派遣会社「グッドウィル」(東京都港区)が、「日雇い派遣」のスタッフの給与から1回の勤務あたり200円の「データ装備費」を天引きしていた問題で、派遣スタッフで作る労働組合の組合員26人が23日、天引きが不当利得にあたるなどとして、同社を相手取り総額約455万円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。 訴状によると、同社の就業規則では、データ装備費は任意に徴収されるもので、安全装備や民間保険料に充てられていると説明しているが、同社は1995年の創業当時から、労働者の同意を得ずに一方的に天引きしており、使途や経理処理について説明を求めても明確な回答を示していない、としている。 同グループは5月以降、グッドウィルを含む子会社3社のデータ装備費を順次廃止。賃金請求権の時効を参考に、制度廃止までの過去2年分、計約43億円のデータ装備費について返還作業を進めている。しかし、原告側は、天引きが違法行為にあたるとして、98年までさかのぼっての返還を主張。返還額は最近2年分を除くと、1人あたり2万9200円~40万3400円になるとしている。 グッドウィル広報室は「訴状が届いていないので、コメントは控えさせていただく」としている。 (2007年8月23日22時48分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20070823i213.htm 0817 女性の労働で「雇用増」 内閣府、育児と両立効果試算 [朝日] 2007年08月17日08時45分 出産や育児で女性が働くことをやめなければ、雇用は44万人増え、経済成長も押し上げられる――。内閣府は16日、こんな委託調査の結果を発表した。短時間勤務や在宅勤務を進める先端企業の取り組みを調べ、その効果を試算したものだ。 調査は三菱総研に委託してまとめた。それによると、日本は他の先進国と比べて育児などで仕事をあきらめる女性が突出して多いと指摘。短時間勤務などで働き続けていれば、06年の労働力人口は6658万人から6702万人に増えるとはじいた。仕事を続ければ知識や能力が失われずに済むため新規採用より経済効果が高いとし、国全体で06年から10年にかけて経済成長を0.4ポイント押し上げる、とも分析した。 政府は出生率回復や労働力確保のためワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の推進に躍起で、内閣府は調査結果について「(短時間・在宅勤務は)社員の評価が高いのはもちろん、企業側もコストパフォーマンスも良好との評価が圧倒的」としている。 URL http //www.asahi.com/life/update/0816/TKY200708160378.html 0809 フルキャスト事業停止へ 日雇い派遣の半数、失業も [朝日] 2007年08月09日23時00分 違法派遣で東京労働局から事業停止命令を受けた日雇い派遣大手フルキャスト(東京都渋谷区)は、10日から新規の派遣ができなくなる。事前に契約を終えていた取引先への派遣はできるが、1日約1万2000人の同社の派遣労働者のうち半分近くが仕事を失うとみられる。失業補償が受けられる見込みはなく、労組は「安全網のないまま放置された状態」と訴えている。 フルキャストは労働者派遣法で禁止されている港湾業務に派遣したとして、違法派遣をした神戸市の3事業所は2カ月、残る全事業所(6月末で313カ所)は1カ月の事業停止命令を受けた。 ただ、処分が始まる10日までに適正に契約が結ばれているものは、労働者の仕事を守る必要性もあり、そのまま派遣を続けることができる。同社は3日に事業停止命令の通知を受けた後、取引先との契約を長期化するなどで影響を抑えようとした。それでも半分近い仕事が失われる見込みだ。 新たな仕事の募集がなくなり、日雇い派遣労働者があてにしていた給料をもらえないとしても、補償される仕組みはない。日雇い労働者への失業手当制度(日雇い雇用保険)も、厚生労働省は「現在の日雇い派遣は想定外」として適用していない。学生らが一時的に働く事例も多いとして、保険適用の前提となる「生活を支える仕事」に該当するとは言い切れないとの判断だ。 派遣労働者でつくる派遣ユニオンは「事業停止で仕事からあぶれてしまったら、寝るところや食べるものさえ奪われかねない」と指摘している。 URL http //www.asahi.com/life/update/0809/TKY200708090362.html 0803 労働経済白書:「労働者への分配強化を」異例の提言 [毎日] 厚生労働省は3日、07年版「労働経済の分析」(労働経済白書)をまとめた。仕事と生活の調和を図るワークライフバランス(WB)と雇用システムを分析のテーマとして、「労働者への(成果)分配を強化することが大切」と異例の提言を盛り込んだ。経営者側には耳の痛い内容になり、好景気の実感が薄いとされる中、注目を集めそうだ。 白書では、WBの実現に関連して(1)企業の利益率の推移(2)長時間労働の現状(3)労働生産性と労働時間短縮、賃金への配分--などを分析した。 (1)では、大企業の経常利益率がバブル経済期のピークを超えているが、利益は株主への配当金や企業の内部留保に回されていると分析。(2)では、企業が収益力の強化を目指す中、長時間労働と短時間労働の二極化が進んでいるとしている。30、40代で長時間働く労働者が増加したと指摘。原因は仕事量の多さと人員不足で、「長時間労働前提の働き方を見直さなければ、家事、育児の分担は困難で、女性の就業継続や就業参加が難しい」と主張している。 (3)については、90年代には0.2%の賃金上昇、1.1%の労働時間短縮で実質賃金は計1.3%上昇したが、00年代はそれぞれマイナス0.1%、0.1%となったと指摘。00年代の労働生産性は90年代から0.3ポイント上昇しているが、実質賃金は上がっていないことから、「一人一人の働き方に応じた成果の分配が重要。我が国の経済循環において労働者への分配を強化することが大切だ」と結んでいる。 若年者は非正規の不安定雇用で結婚をためらう層と長時間労働で異性に巡り合う機会がない層とに二極化していると指摘。少子化対策には「正規雇用を拡大し若者の自立を促し、働き過ぎの是正に取り組むことが求められる」と主張している。 厚労省は「分配は労使関係のことでもあり、これまで口を挟んでこなかった。白書をきっかけに労使の真剣な議論に期待したい」と話している。【東海林智】 毎日新聞 2007年8月3日 11時36分 URL http //www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070803k0000e010040000c.html 0803 フルキャストに事業停止命令へ、違法派遣改善せず…厚労省 [読売] 厚生労働省は2日、大手人材派遣会社「フルキャスト」(東京都渋谷区)に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令を出す方向で検討を始めた。 同社は、今年3月に同法が禁じる建設、警備業に労働者を派遣したことを理由に事業改善命令を受けているが、同省では、その後も同様の違法派遣が行われていた疑いがあるとして、さらに重い処分が必要と判断したとみられる。 東京労働局が今年3月に同社に出した事業改善命令は、昨年1~12月に全国329支店のうちの53支店で、労働者派遣法が禁じる建設業や警備業への労働者派遣を繰り返していた疑いが浮上したことを受けたもの。横浜市旭区の二俣川支店では昨年8月、建設業などへの派遣を行わないよう神奈川労働局から是正指導を受けながらも改めなかったほか、その後も、甲府支店(甲府市)で昨年10~12月の9日間に延べ66人を警備業に派遣するなど、各地で同様の違法派遣が行われたことが確認されていた。 関係者によると、同社はその後、東京労働局に改善報告書を提出したが、別の支店などで違法派遣が依然として行われていることが確認されたという。同社は1992年創業。昨年末現在の登録労働者数は約163万人、昨年9月期決算の連結売上高は901億円。 (2007年8月3日3時7分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/national/news/20070803ic02.htm 0722 「再チャレンジ」公務員試験、152人枠に2万5千人応募 [読売] 政府が今年度から始めた「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の申込者数が、採用予定152人に対し2万5000人を超える大人気となった。 再チャレンジ試験は、大学や高校卒業者の就職内定率が低迷した1990年代以降のいわゆる「就職氷河期」に、自分の意に反してフリーターになった人たちに新たな挑戦の機会を与える狙いから、受験資格を4月1日現在で29歳~39歳の人に限った。 難易度は高卒者を念頭においた国家公務員3種試験と同程度で、行政事務、税務、刑務官、皇宮護衛官、入国警備官などの職種で採用を予定している。9月に学科試験を行い、合格者をそれぞれの府省が面接した上で、11月に採用者を決定する。 7月上旬に申し込みを締め切った時点で、約2万5000人の応募があり、競争率は160倍を超える難関となった。人事院では、「もともと公務員希望だった人、今の職業に満足していない人、もの珍しさから応募した人など様々な動機が考えられる」と分析している。 今年度の3種試験の申込者数は約1万7000人と昨年度比約2割減となるなど、若者の「公務員離れ」が懸念されている。政府内には「これだけの倍率なら有能な人材を確保できる」(政府筋)と、公務員の人材確保策の観点から再チャレンジ試験に期待する声も出ている。 (2007年7月22日1時31分 読売新聞) URL http //www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070721it13.htm
https://w.atwiki.jp/staff-officer/pages/267.html
参 - 運輸委員会 - 閉2号 昭和24年09月13日 委員長(板谷順助君) これより会議を開きます。それでは海上保安廳長官大久保武雄君より最近における日本船舶の拿捕状況について御説明を願います。 説明員(大久保武雄君) 日本船舶の最近における拿捕状況につきまして御説明をいたします 日本船舶の拿捕問題は昭和二十一年ごろから発生いたしました。 各年別に申上げますと、昭和二十一年において七隻、昭和二十二年において十一隻、昭和二十三年において四十隻、昭和二十四年におきまして三十九隻の多きに上つております。この中 ソ連に拿捕されましたものが三十九隻であります。それから中國に拿捕されましたものが三十二隻、朝鮮に拿捕されましたものが三十一隻に上つておるような次第であります。 そこでこれらの中で未帰還船舶が中國関係が二十六隻、ソ連関係が九隻、朝鮮関係が九隻、合計四十四隻になります。船員の未帰還者は二百七十名、中國関係百六十名、ソ連関係百名、朝鮮関係九名、こういうことになつております。 死亡者は中國関係六名、ソ連関係二名、朝鮮関係一名、合計九名、かような数字に相成つております。 そこでソ連関係の拿捕船舶は昭和二十三年の八月ごろから急速に殖えて参りましたが、これは主として根室野沙布岬、あの一帶におきまして拿捕されております。最近は稚内と樺太の間の海峽等におきましても拿捕船舶を出しておるような次第であります。 朝鮮におきましては、朝鮮海峽の済州島附近におきまして拿捕されましたものが多数あります。 中國におきましては、東支那海の一帶に亘りまして拿捕せられておりますような次第であります。そこで現在マッカーサー・ラインは緯度、経度によりまして、太平洋から野沙布岬と貝殼島の中点を取りまして、更に稚内、樺太間、日本海を縦断いたしまして、対馬の北島の北端から済州島の南を東支那海を中断し、台湾の北方に達する、かようなマッカーサー・ラインがあるわけでございます。そこで最近における最も頻繁に拿捕せられておりますのは東支那海でございまして、中國の拿捕状況が二十四年の六月頃から急速に増加をいたしておりま4宵うな状況からいたしますると、一番問題は多く発生しておりまするし、而も未帰還船舶は殆んど二十六隻、中國関係が大部分を占めておりますような状態でございます。 そこでこの拿捕されました、或いは抑留されまして中で、第一〇五明石丸は東支那海において抑留曳航の途中において撃沈をせられました。筏によつて漂流避難しようとしました船員は、更に機銃掃射を受けまして殆んど船員を全滅されるような措置を取られた次第であります。僅かに生き残りました四名の船員がパナマ船に助けられまして帰國いたしました。この船員の口によつてこの遭難事情が判明をした次第でございます。 そこでこれらの船舶が拿捕せられまして、船員が未帰還であるということは非常に遺憾でございます。多数の船員の家族のことも考えまして、一日も早くこれが返還をせられるように訟置しなければならない、かように考えまして、先般外務省を通じまして、正式に関係方面に対しまして、この返還に関する依頼の懇請の書類を提出いたしましたような次第でございます。拿捕されました船舶は、現在中國関係におきましては、諸般の軍事的要務に使役せられておるということを、帰還船員並びに漁業会社からの陳情書によりまして報告いたされております。即ち一部の船舶は軽武装をされまして軍事任務に使役せられ、一部の船舶は軍人、將兵の輸送に從事せしめられ、一部の船舶は軍事用途のために漁撈に從事せしめられておるというような報告を受けておる次第であります。私共海上保安廳といたしましては、これらの船舶の一日も速かに帰還ができますように、今後努力しなければならないと考えておる次第であります、尚又マッカーサー・ラインの一番太平洋の尖端は、横浜から千五百海里ございます。北方は釧路から九百海里ございます。これらのマッカーサー・ライン内で漁撈しております船舶は、或いは時に逮捕され、或いは時に海難を起す次第でありますが、海上保安廳の船舶の主力は木造船でありまして、これは速力八ノット約八百海里の航続距離しか持たないのでありまして、これが哨海任務まで行うといたしますると、海上せいぜい二百海里そこそこの哨海しかできない状態でございます。そこで海上保安廳の現在の主力船舶がマッカーサー・ラインの全区域に亘りまして、活動しておる日本漁船の遭難の場合すらこれを救助することが非常に困難を極めておりますような次第であります。かような関係でありまして、本年六隻の新船を建造いたしておりまするが、來年はどういたしましても、海上保安廳の船舶を強化しなければ、海上における船舶の保護並びに密航、密輸の取扱は困難であると、かように想像される次第であります。引続きまして海上保安廳船舶の強化に努力いたしたいと存ずる次第であります。 甚だ簡單でありますが、これを以て説明を終ります。 委員長(板谷順助君) 何かお尋ねありませんか。……密航、密輸の何か統計でもできておりますか。どれだけ密航者が入つて來たか、或いは密輸入がどれだけあつたか。 説明員(大久保武雄君) 海上保安廳が昨年の五月一日創立されましてから本年の四月末日まで、即ち満一年間におきまする密航、密輸の檢挙件数は百九十四件でございます。逮捕人員は二千五百四十九名に相成つております。そこでこの密航、密輸の逮捕状況は最近になりましてから、又急激に増加をしております状況でございます。即ち最近私共の方に入りました情報といたしまして、 南鮮における徴兵忌避の目的で約千人の鮮人が日本に向け密航しておる。尚近日中に約一万人の鮮人が密航の疑があるという情報を八月の末に得た次第であります。 それ以來海上保安廳では、日本海佐度以西並びに紀伊水道以西の全船舶を動員いたしまして、非常警戒をいたしておつたのでございまするが、 八月二十五日から九月六日までにすでに二百三十九人の密航者を逮捕いたしておりました。その後におきましても僅か数日にしてすでにもう百十数名の逮捕者を出しておりますような次第でございます。 非常に最近は集團密航の形勢が濃厚でございまして、去る九月三日には新潟縣と山形縣の縣境附近に、夜間暗夜を利用いたしまして、百トン程度の機帆船四隻に二百人乃至三百人が乘船いたしまして、約千人の朝鮮人が密航を計画をしまして、これは不成功に終つて海上に逃走したという情報を得ております。 更に最近は積極的に海上保安廳に抵抗して來るという事例が非常に多くなつて参りました。去る九月初旬に神戸におきまして逮捕しました密輸船は、台湾の北方の與那國島を経由して参しました密航船でございますが、これは警戒中の海上保安廳の警戒網を突破いたしまして、神戸の西灘において砂糖の揚陸をいたしておつたのであります。 この船は四十ミリ捕鯨砲一門、三十六ミリの予備砲一門、合計二門の大砲を裝備いたしておりました外、裝填用の実彈二発を所持しておることが判明いたしたような次第でございます。 更に同樣の捕鯨船型の集團密航が北上中であるという情報によつて警戒いたしておりましたところ、豊後水道において五隻の捕鯨船型の密航船團が北上中を哨戒視察をいたしまして、直ちに港内船の「きさらぎ」をして追跡をせしめました。足摺岬の東側沖合におきまして、同船團に「きさらぎ」が追いついたのでありますけれども、この船團は「きさらぎ」に対しまして、或いは石を投げる、或いは魚網を流すといつたようなことをいたしまして、「きさらぎ」の追跡を妨げまして、遂に北方に姿を晦したといつたような事例がございます。更に高知におきまして、これは密輸出のために出港いたしました北見丸という密航船に海上保安廳の船艇が追いつきまして、これを逮捕いたさんといたしましたところ、強硬に抵抗いたしました結果、船上において格鬪の結果、これを逮捕して台湾人その他を檢挙した事例があるのでございます。かようにいたしまして、最近は集團密航が多いことと、むしろ積極的に抵抗をするという状況でございます。この密航者の兇惡なる傾向に対しまして海上保安廳の全船が殆んど一挺の挙銃すら持たない無武裝の状態において、而も百トン足らずの木船を以ちまして、現に海上の治安の任務に服しているような次第であります。今年度における新造船並びに來年度における海上保安廳船隊の強化によりまして、海上治安につきまして今後強院して行かなければならないと、かように感ずる次第であります。 委員長(板谷順助君) 逮捕した人間はどうしていますか。 説明員(大久保武雄君) 海上保安廳は逮捕いたしましたものは、或いは國警に引継ぎ、或いは調書を副えまして檢事局に送りまして、それぞれの機関において善後処置をして参ることにいたしております。 村上義一君 只今長官のお話によりますと、随分密航船が、武裝密航船と言つてもいいような状態 のようでありますが、然るに我が國の保安に從事している船が丸腰だというような御説明でありますが、これについて相当の意見を以てGHQの方へ交渉は進められていると思うのでありますが、速記を止めて頂いて結構ですが、一つお話を伺いたいと思います。 委員長(板谷順助君) 速記をちよつと止めて…… 〔速記中止〕 委員長(板谷順助君) 速記を付けて。 小泉秀吉君 その逮捕された人間を海上保安廳関係当局でけではちよつと思うようにそれが処置が行かないというような風評も聞いているのですけれども、先刻長官のお話だと、國警やなんかと連絡を取つて極めて巧妙にうまく行つているようなお話で、少し私の聞いた風評と違うようなんですが、実際長官が仰せになつたようにうまく行つていますか。 説明員(大久保武雄君) 小泉委員の御質問がちよつと分りませんが、或いは海上保安廳が留置場を持たないという点を御指摘かも知れないと思つておりますが、実は海上保安廳が留置場を持つべきか否やということは、海上保安廳を創設いたしましたときから相当これは檢討いたしたのでございます。併し関係方面におきましてもいろいろな経費の節約その他からいたしまして、むしろ留置場はこれは持たない方がよかろう。一本にして陸上の留置場を使つた方がよかろうということに相成りまして、現在國警並びに自治警察の留置場を使つているような次第であります。ただ御案内の通り留置をいたしますと、これは人間でございますから食事を攝らなければなりません。その費用の負担その他におきまして、いろいろ実際問題としては前線において若干の話合い等に手間取ることがございますが、原則的には國警及び海上保安廳は非常に緊密に情報の連絡、通信連絡、或いは警官並びに職員の相互数育ということによつて仕事を進めている次第でございます。 委員長(板谷順助君) 何千何万という者を留置場に入れて食わせたり何かしなくちやならんですが、それは直ぐ帰せないのか。やはり何か裁判にでも附する、そういうことになるのですか。 説明員(大久保武雄君) これは私の方で調書を作りまして関係機関に引継ぎまして、関係機関でポツダム勅令による密航者に対する取締法令、その他の法令を参酌いたしまして、取調の結果、最近は大体において強制送還をいたしている次第であります。 佐世保に集結いたしまして佐世保から朝鮮に強制送還をいたしている かような状態であります。 委員長(板谷順助君) 如何ですか。それでは一應承つて置きまして、その善後処置については又後日委員会において相当に研究して見たいと思います。これは日本の將來に対する重大問題です。 衆 - 外務委員会 - 15号 昭和25年04月10日 並木委員 不法侵入、渡航と申しますか、朝鮮から正式の資格なくして日本に入つて来た者に対する処置というものは、どうなつておるでしようか。またもしわかりましたらその数はどれくらいあるものか。要するにいわゆる外国人登録令に載れば、それははつきりして来るでしようけれども、登録しないで密航して来た者なんかが相当いるのではないかと思います。この問題もその密航者などとの関連で、かなり混乱しておる節があるのではないかと思いますが、その者の取扱いはどういうふうになつておるかお伺いいたします。 それから朝鮮人というものは、第三国人としての扱いを受けておるように思うのですけれども、実際には日本人としての扱いだというふうにもいわれておるのです。私たち、ちよつとその辺がはつきりいたしませんが、外国人登録令には適用を受けながらも、実際には外国人ではないという点があるのですかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。 殖田国務大臣 その密入国がはつきりどれくらいあるかは、これはほんの見当でありましてわかりませんが、先般登録令によりまして登録の切りかえをいたしましたときに、従来六十三、四万の登録があつたのでありますが、密入国が大分多いという話を聞いておりましたので、ほんとうは今度は登録をしてくれればいいと考えておつたのでありますけれども、やはり新しい登録も六十万より減つておりまして、かえつてもとの登録より減つて参つたのであります。そういたしますと、 密入国をした人たちは登録をしなかつたのではないかと思うのであります。多分登録をすれば初めの密入国がばれて、強制送還をされると考えたのではないかと考える のでありますが、そういうわけではなかつたのでありまして、ちよつとこれは期待に反したのであります。そこで どのくらい密入国者があるかということは、ちよつと人によりましてまちまちでありまして、四十万と言う人もあるし、二十万ぐらいだと言う人もあるし、もつと少く十四、五万だと言う人もありますし、わからないのであります。 今強制送還は二つの場合がありまして、 第一の場合はすなわち密入国であります。密入国と申しますのは、連合国最高司令官の承認を受けずに入国する場合、こういうことであります。入国をする場合には承認を受けなければならない。承認を受けないもの、この場合には。ほんとうの密入国ということがはつきりわかれば、ただちに強制送還をしております。 しかし古くからおりまして登録をしていなかつた者が、必ずしも密入国というわけではないのであります。そのところはごく実情に適したように処置をしておるのであります。 この純粋な密入国というものがはつきりしました場合には、裁判をいたしませんで、ただちに退去を強制することができるわけであります。 それからもう一つのものは、登録をしていない、つまり無登録その他はつきりした密入国以外の――いわゆる密入国ということのはつきりした者は、先ほども申し上げた通りでありますが、密入国の問題はともかくとして、そのほかの、 外国人登録令にいろいろな條件がありますか、それに違反した場合、これは法規の違反、外国人登録令違反でありますが、この場合には一ぺん裁判をいたしまして、その法規違反を確かめまして、確かめた上で有罪の確定判決を受けた場合には、これまた強制送還をすることができる こういうことであります。でありますから、強制送還と申しますのは、そう簡單にはなかなか行い得ないのであります。この点につきましては事務当局もおりますから、詳しいことをお尋ね願いたいと思います。 それから朝鮮人がどういう待遇を受けるか、これは実はなかなかむずかしい問題でありまして、外国人登録令によりましては、外国人として待遇を受けておりますが、その他の面におきましては、大体日本人として待遇を受けておるのであります。われわれの称する外国人の中にはいわゆる連合国人がおります。連合国人と申しますのは、これは非常な自由な身分を持つておるのでありまして、朝鮮人はそれには入らないのであります。台湾人は多くは中国国籍を取得いたしましたので、これは連合国人ということになる人が多いのであります。従つて台湾人と朝鮮人との間にも大分待遇上の差別があるのであります。朝鮮人はその国籍が従来は日本の国籍を持つておつた人でありますが、日本の国籍を持つておつて、しかも台湾人のように、新しい連合国というようなところへ移ることができなかつたのであります。つまりビクトリァス・アライド・ネーションということに行かないのであります。そこである場合には二重国籍というような場合もあります。日本人の場合もあるし、あるいは外国人の場合もある、これは講和條約ができますまではこういう不明瞭な状態が続くのではないかと思われます。これは何とか早くきまりをつけたいとも思うのでありますけれども――いろいろな関係でそういうわけに行きません。ただいまそういう状態になつております。しかし日本に在住しております以上、やはりなるべく日本人と同じように、差別待遇をしないで、日本人に対すると同様な待遇を與えたいと思うのであります。政府はそういう考えを持つておるのでありますけれども、いろいろ地方の自治体等におきまして、朝鮮人を差別するというわけではありませんけれども、朝鮮人にとつては差別に当るようないろいろやり方をしておるところもあるように聞いておるのであります。今日の新しい日本の行政機構のもとにおきましては、その辺の調節に実は非常に困るのであります。苦慮をいたしておりますけれども、はつきりした名案が得られないような次第であります。 衆 - 予算委員会第二分科会 - 1号 昭和26年02月20日 江崎(一)委員 外国人登録令違反で送還された人が、すでにもう過去二、三年間に相当の数に上ると思いますが、この退去者を強制送還して、その人たちの朝鮮におけるその後の動静がどんなになつているかということについて御承知かどうか。今までわかつております点を明らかにしていただきたい。 鈴木(一)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、送還をいたしますのは、すべて司令部を通じてやつております。司令部の方から、これだけをいついつか、何の船に乘せて帰せという命令を受けまして、その命令によつて送つておりますので、直接にこちら側から朝鮮内地におきます取扱いがどうであるかということを知る方法はないのであります。御了承願いたいと思います。 江崎(一)委員 特に朝鮮の人たちが強制送還された後、あちらでどういう待遇を受けたかということ、その後どんな運命をたどつたかということについて、われわれいろいろ情報を持つております。それによりますと、特に 昭和二十三年、二十四年ごろに送還された朝鮮人――われわれのいつております進歩的な人たちが、あの韓国に送られまして、今度の朝鮮動乱で 一万数千名の人が李承晩の手によつて虐殺された ということを聞いております。そしてまた最近大量送還を行うというような政府の言明でありますが、やはり同じようにあちらの朝鮮の地に着くやいなや、こういつた銃口が待つておるのではないかと考えられるのであります。人道上みすみす死刑の宣告を與えるようなこの強制送還について、外務省は一体どう考えておられるか、これは人道上の問題でありますので、特にこの点は明確にひとつお答えを願いたいと考えます。おそらくこういう事情については、日本の外務省は情報によつて知つておられると思うのでありますが、その点を腹蔵なくこの公開の席上において明らかにしておいてもらいたいと思います。 鈴木(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、詳しい情報を得てはおりませんが、司令部を通じましていろいろ話を聞きますところによりますれば、こちらから送り返します人たちが、朝鮮に入りましてから、韓国政府の厚生省と申しますか、社会省と申しますか、そういうところで世話をされまして、その受入れ態勢ができましてから、司令部を通じて送還が行われるというふうに聞いておりまして、 大量虐殺というようなお話がございましたが、われわれただいままで知り得ました情報におきましては、そういうことは聞いてないのでございます。 江崎(一)委員 おそらくそういうお答えをなさるだろうと予期しておつたけれどもこれはわれわれが聞いておるだけではなく、世界の各国が公然の事実としてこれを認めておるのです。それを日本の外務省あたりが知らぬわけはない。事実をもう一回繰返して言いますと、送還された人たちが、あなたがおつしやつたような收容所に入りまして、そしていろいろ教育されて、いろいろな任務につかされるのです。その後、朝鮮はああいう状態で国内が非常に混乱しておりますから、 どうもこいつはあやしいということで、みそもくそも一緒に銃殺されております。こういうことがもう朝鮮じや平気で行われる そういう條件下に、再び日本から進歩的な朝鮮人の諸君を送り返すということによつて、その運命がどうなるかということはきわめて明らかである。これがわかり切つておつて強制送還をどんどん進めようとすることは、人道上の大きな問題である。しかもこれを知らぬ存ぜぬと言われることは、はなはだ問題だと思うのです。これは国民全体の大きな問題であり、関心の的でありますから、そういう観点に立つて腹蔵なく話してもらいたい。説明のための説明なら聞きたくありません。どうぞ説明して下ださい。 草葉政府委員 これは御承知のように、日本では外国人登録令に違反した者を送還いたしておるわけであります。従つてただいま管理庁長官から御答弁申し上げた通りに考えておりまするが、それが向うへ行つてから、あるいは待遇がいいとか、あるいは惡いとかいう問題について、かれこれ日本の政府がこれを申し上げる筋合いでもありませんし、またそういう批評をすることは妥当ではないと思います。 江崎(一)委員 今のお話は外務省の責任ある地位にある、しかも次官としての言葉としてははなはだ奇怪に感じます。戰争しておる二箇国から第三国へ亡命して来たとする。そういう場合には、その該当の国から身柄をよこせという要求があつても、これはなかなか渡さぬ、これが大体慣例でしよう。人道上の大きな観点に立つて、われわれは後世の歴史家の笑いもの、つまはじきの種にならないように、十分考えてもらいたいと思います。これには御返答はいりません。 衆 - 外務委員会 - 24号 昭和27年05月14日 岡崎国務大臣 日本側としましては、講和條約が成立いたしました日から、在留朝鮮人は日本の国籍を喪失するということだけは確かであります。そこで無国籍の人になるということも、なかなかむずかしい点もありましよう。先方はこれに対して原則的には、在留朝鮮人はすべて大韓民国民であるということをむろん主張しておるわけであります。そこで実際上どうなりますかと申しますと、これには前に御審議を願つた、たとえば出入国管理令であるとか、その他いろいろの法律等もありまして、原則的には、大韓民国政府というのは、本来ならば国際連合の監督のもとに朝鮮全体に対して選挙を行つて、その選挙の結果できるべき政府であつたのであります。ところが実際上は北の方に対しては国連の監視員等が入ることを拒絶されましたので、南の方では選挙は行われましたが、北の方では選挙が行われなかつた。しかし国際連合の認めておる政府というものは、やはり大韓民国政府であることは疑いないのであります。大韓民国政府の議会等においても、北鮮側から選出せらるべき議員の議席を明けて待つておるというようなかつこうにもなつておりますから、原則的には、いつの日かはこれを統一して、一つの政府になるであろうと予想もされるのでありますが、現在の事態はそうはなつておらない。従つてこの在留朝鮮人の待遇につきましても、過渡的には種々の便法を講ずることになりますが、全部の着すべてが一ぺんに大韓民国の人であるということには、ただちにはならないであろうと思います。これにはさしあたり條約ができてから六箇月の期間とか、それから今度は二年の期間とかいうことがありまして、その間には種々の便法を講ずることになつておることは、先般御説明した通りであります。従つてその間に、どういうふうな事態に朝鮮がなるかということにも関連がありまして、たとえば二年たつたあとの状況を見まして、まだ種々の困難なり、不便があるとすれば、そのときにまた実際に適応するような方法も考慮しなければならぬかと考えておりますけれども、まだそれまでには時間がありまして、すぐそういうことに、つまり大韓民国の国籍をすぐさま現実に取得するということにも、事実はなりませんからして、もう少しその間の様子を見てみたい、こう考えておるわけであります。 岡崎国務大臣 これは、今お話になつた出入国管理令の第二十二條ですか、あれは永住許可の問題じやなかつたかと思いますが、それと関連があるかどうか、実はその点はわからないのであります。ただ私の言えることは、大韓民国政府側でも、先ほど申したように、日韓の間の関係を円満にするために、法を犯して日本国民から擯斥されるような人、これは主として不法入国等もありましようけれども、こういう人たちもむしろ両国間の親善関係を阻害するから、これは受取るという原則的な意向は、ずつと表示しておるのでありますから、そう日韓協定等と直接関連はないと私は考えておるのでありますが、しかし先方の今度の言い分がどうであるかは、まだよく知らないのであります。もう一両日たたないと、はつきりしないのじやないかと思います。あるいは長官の方で知つておるかもしれません。 佐々木(盛)委員 まず第一点は、先刻来問題になつております強制送還というものは、日韓交渉が何らかのとりきめに到達しない限り、実際の実現はほとんど不可能に近いのじやなかろうかという点であります。先ほどの大臣の御説明を承りましても、日韓交渉の過程において、韓国政府側は、日本の国籍を離脱するすべての旧朝鮮人は、ことごとく大韓民国の国籍を持つものである、という前提に立つておるようであります。しこうして今度の山澄丸における強制送還者の拒否事件も、この主張に韓国側は立つておるように思われます。従つてもしも韓国側が朝鮮人の国籍を明らかにするのでなければ受取らぬという主張に立つとするならば、日韓会談において何らかの国籍所属の問題が決定しない限りは、解決しない問題ではないかと思うのでありますが、この点いかがでありましようか。 岡崎国務大臣 私はむしろ今度の送還の問題については、先ほども申したように、まだ正式なというか、はつきりした理由が私どもにはわかつておりません。ですからわかりませんが、もしお話のような点であれば、むしろそれは 大韓民国側の議論が非常に矛盾しておる ように考えるのであります。というのは、 大韓民国側は、要するに日本国内における朝鮮オリジンの人は、全部大韓民国の国籍を持つものであるという主張をいたしておるのであります。従つてこれに対して強制送還ということもまた先方は原則的には認めておるわけであります。 つまり両国の親善関係から考えても、日本人に信用を失うような者を日本に置くことは、おもしろくないという考えを持つておる。そこで基本條約が成立しようとしまいと、先方は日本における朝鮮オリジンの人は、すべて大韓民国人であるという主張をとつておるのでありますから、強制送還した場合に受取らないというのは、それでは日本におる朝鮮オリジンの人の一部は、大韓民国の国籍を持たないものであるという主張みたいにとられまして、非常に矛盾しておるように思うのであります。この点は、なおはつきり先方の理由も確かめないと、ここでどうであるということは申し上げられないのであります。ただ何か基本條約に関連して、あるいは別の考えから、こういうものを受取らなかつたかもしれません。その点はよく確かめまして、さらに先方の理解を深めたいと考えておるわけであります。 参 - 法務委員会 - 5号 昭和27年12月12日 委員長(岡部常君) これより委員会を開きます。 議題は検察裁判及び行刑の運営に関する調査でありますが、本日は出入国管理令の施行に関する件を議題といたします。 先ず入国管理局長の鈴木政府委員に御説明をお願いいたします。 政府委員(鈴木一君) 出入国管理令は、御承知のようにこの前の国会におきましてポツダム政令からこれを法律的に裏付けをして頂くということで、丁度四月の二十八日、最終日に法律にするということの決議を頂きまして出入国管理令が管理令という名前のままで法律になつたわけでございます。出入国管理令の成立は、実は昨年の十一月一日から施行になつておりまして、今回法律になりましたが、その主な要点は大して実質的には問題はなかつたのでございます。従いまして法律効果を与えるということに主な意味がございましたので、法案の内容、出入国管理令自体につきましては勿論各条に亘りまして慎重な御審議を得たのではありますが、すでに十一月一日から実施して参つた管理令をそのまま法律にして頂くということになつておりますので、我々仕事の上から申しまして、法律になりましたから前回の方針を改めるというようなことは大してなかつたのでございます。 一番大きな問題は、 出入国管理令の第二十四条というのに、いわゆる外国人に対しまして、好ましくない外国人を強制退去することができるという規定がある のでございますが、この二十四条が如何に運用されるか、この運用如何によつては出入国管理令を法律として認めるわけには行かないという、国会のほうの、衆議院におきましても参議院におきましても御要望がございまして、この点につきましては政府としまして十分な用意を以つてかかるということを、参議院におきましては岡崎国務大臣が本会議で最終の決議の前にお述べになつておるわけであります。 その内容を申上げますと、どういう点が問題であつたかということを申上げますると、この法案ができまして、四月二十八日に成立いたしたのでございますが、五月六日に、当時入国管理庁でございましたが、早速その趣旨を各要所々々に、政府の関係機関に流すのみならず、新聞発表をいたしまして、政府の意のあるところを声明をいたしたのでございますので、これを御披露を申上げますれば、この出入国管理令の一番眼目が何であつたか、そうしてそれに対して政府がどういう声明をしたのかということがおわかりになると思いますので、それを御披露を申上げたいと存じます。 五月六日に出しました新聞発表におきましては、 外国人登録法及び出入国管理令に関する措置法は、本年四月二十八日両院を通過成立し、即日公布されることになつた。右両法の要点は次の通りである。 一、従前ポツダム政令であつた出入国管理令が法律の効力を持つこととなつた。 二、外国人登録令が廃止せられ、大体同内容の外国人登録法が制定された。 三、北緯二十九度以南の南西諸島に本籍を有する者が本邦に渡航することは自由となつた。 右に関連し、昭和二十年九月二日以前より、本邦に居住する外国人、特に日本国との平和条約発効に伴い外国人となる朝鮮人及び台湾人の出入国管理令上の取扱方針は、大要次の通りである。 一、本邦在留については、平和条約発効後も、その特殊事情を考慮し、何等かの方法で引続き在留を認める。 二、出入国管理令第二十四条の送還の規定の運用については、人道上苛酷な結果を生じないように留意し、不法入国者及び一定の刑罰を受けた者等は別として、 1、第四号中(ハ)の癩患者(ニ)の精神病者(ホ)の貧困者等で公共の負担になつている者については、社会の秩序を害する悪質なもののみが該当するものとし、且つ、これが決定に当つては、受入先の療養施設等を考慮し、当該国政府と充分連絡の上処置する。 2、第四号の(ハ)(ニ)(ホ)(ヌ)(ル)(オ)(ワ)(カ)の如き、行政上の判断のみで処置する場合は特に公正且つ慎重を期し、担当官は本庁の個別的又は包括的指示に基いて決定するよう訓令する。 以上でございますが、これで御承知頂けましたと思いますが、この法案審議に当りまして一番問題になりましたのは、従来終戦前にすでに日本人であつた朝鮮人、台湾人がどういう取扱いを受けるかということに論議が集中されたのでございますが、 その一番の問題がこの二十四条の強制退去をいたします該当条項の中に(ホ)というところがごいまして、その(ホ)に、貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になつておる者がこれに該当いたします場合、国外に退去させることができるという取扱い規定 になつておりますので、この規定をこの朝鮮人、台湾人に適用することは非常に酷ではないか。今までも、曾つては日本の国民であり、数十年も日本におつたのであるから、それが一旦生活の環境が悪くなつて貧困者になつたからといつて、そのために、その理由で退去させられるということは、一般外国人と比べて、特に朝鮮人、台湾人は曾つて日本国民であつた。日本に来て生活をしておるというその理由がほかの外国人とは違うのではないか、この点について政府はどういう用意があるかということが一番大きな問題であり、又当時、朝鮮人、中国人が一番陳情その他をいたしまして、まあ騒動はございませんでしたけれども、輿論を喚起しまして、非常に重大に扱われたのでございます。 中には、日本政府はヒトラーがユダヤ人を追放したように朝鮮人をこの規定で追放するのじやないか、全部を追い出すのじやないかという一部のデマもございまして、そういうデマに動かされました朝鮮人たちが相当真剣に問題を取上げたのでございます。 勿論我々役所等にも陳情が参りましたし、三千通に及ぶ脅迫状も受けておるのでございます。 この点は政府としては、只今申上げましたように、ただ貧困であるという、生活保護法の適用を受けて、生活扶助を受けておるというその事実だけで返すということは絶対にしないということを繰返し繰返し声明をいたしたのでございます。これは現状におきましても同様でございます。実は日韓会談というものがもつと早くできまして、朝鮮人、台湾人の国籍処遇というような点がはつきりいたしますれば、こういう問題も、もつと明瞭に彼らに安心の行くような方法が講ぜられたであろうと思いますが、現在におきましては日韓会談もまだ成立に至つておりませんので、我々政府としましてこういうふうに声明を出す、機会あるごとに声明を出すということが唯一の方法であるのでございます。 要点はこの二十四条の貧困者をどう扱うかということにあるのでございまして、この点につきまして政府におきましても、従来通り厚生省の予算において生活保護法の適用を従前通り続けて参るということに一致をいたしておりますので、現在におきましては、ややその点が滲透いたしたように存じます。 従いまして、平和条約の発効いたしました四月二十八日以後今日に至ります間、この出入国管理令が如何に適用されて来たかということにつきまして、特に申上げる問題はその点だけでございまして、御質問に応じまして後刻いろいろお答えを申上げたいと思いますが、ただ一つ日韓会談が進行いたしません影響が現われまして、政府自体といたしましても困つたことになつておる事態はあるのでございます。それは御承知でございましようが、いわゆる我々の業務といたしまして、この強制退去に該当いたします人たちを、朝鮮、特に朝鮮の問題でございますが、送り還しておるのでございますが、お手許にもいろいろ資料を差上げてございますように、毎月一回くらい大体一船に二百五十人乃至三百人程度というものは現在送り還して来ております。 この送り還す人たちの主な者は、その大部分は不法入国者でございます。 不法入国者以外に外国人登録令違反者が若干入つておるのでございますが、外国人登録令違反者は我々はその部分を手続違反者と申しておりますが、例えば登録をしないで日本に居住しておつたり、或いは登録書を偽造して、或いは他人の分を使つておつたというようなことで、外国人登録令違反に問われまして、一年以上の処刑を受けました人たちをやはり送還をいたしておるのであります。これはこの新法によりましで、手続違反について送り還したのはまだないのでありますが、この出入国管理令が発効になります前に、外国人登録令というのがございまして、旧法によつて密入国者と手続違反者とを合せまして、登録違反として強制送還を継続いたしておつたのでございます。 その手続違反者につきまして、従来送り帰しておつて、朝鮮側もこれを受取つておつたのでありますが、突如受取らない、これは受取れないという事態が起つたのでございます。 これが五月の十二日でございまして、それまでに我がほうから朝鮮に対しまして、前後七回送還をいたしておつたのであります。七回同じようなことを繰返しておつたにかかわらず、第八回目になりまして、密入国者だけはよろしい。ちよつと四百名ばかり送り帰したのでありますが、そのうち密入国者だけは韓国側は受取る。 併し、いわゆる手続違反者、密入国でない、日本に前からおつた者を受取るわけには行かないということで、百二十五名だけ逆送還と申しますか、受取らないので、止むを得ず我々はそれを大村の収容所に連れ戻つたのでございます。この事件がございましたために、いろいろなことが現在まで波及をいたしておるわけであります。 で、どうして韓国側がこれを受取らなかつたかと申しますれば、それは我々には了解に苦しむのでございますが、韓国側の言い分といたしましては、日韓会談が朝鮮人の国籍処遇をきめることになつておるのである、それは終戦前からおつた朝鮮人の国籍処遇ということを日韓会談できめることになつておるのであるから、それまではちよつとそれは受取れない。 その人たちは、密入国のように、終戦後に朝鮮から出掛けて行つて日本に密入国したと、それを帰すのは受取るけれども、それ以前からおつた者については日韓会談を待ちたい。こういうことで拒否を受けたのでございます。 我がほうといたしましては、前後七回、むしろ国際慣行にもなるわけでありますが、前後七回受けておきながら、今になつて受けないということは非常に大なことではないかということで、その理由のないことを何回も機会あるごとに注意を喚起しておるのでございますが、現在に至るまでまだ受取るということを積極的に申しておらないのでございます。 従つて、我々のほうといたしましては、現在は密入国者だけを送り帰しておるのでございます。 ところが、五月の十二日に逆送還がありまして以来、五月の十九日でございましたか、長崎県の大村に、こういう送還をする人たちを収容しております大村収容所という施設がございますが、そこに 約千名ばかりの朝鮮人が参りまして、それを返せという、いわゆる奪還運動が起きた のでございます。そのときには、バリケードを築きましたりしまして、一晩中その収容所の廻りをぐるぐるやりまして、騒ぎがあつたわけでありますが、幸いにいたしまして、退散をして事なきを得たのでございますが、そういう事件に対しまして、我々といたしましては、収容施設大村収容所というものは、従来は密入国者を主にいたしまして、それを送り帰す、従いまして、女、子供が非常に多いのであります。我々のほうは、この出入国管理令に関する限りは、全部行政処分で一貫しております関係上、送還する者も罪人という考え方は全然ないのでございます。密入国をして参りましても、それは司法処分で或いは不起訴になり、或いは罰金を受け、或いは体刑を受ける、然る後に我々のほうに身柄を渡されてあるのでありますが、これを大村の収容所に収容いたしまして、月に一回の船で返してやる。従つて大村収容所の施設は、船待ちであるということに基礎を置きまして設計をいたしております関係上、こういうような騒動が起きます際には、非常に困るのでございます。 こういうことを予想しておりませんので、外にめぐらしております塀のごときは、一枚板であつたのでありますが、そういう関係から、急遽これを少しコンクリートの塀にしなければならんというようなことで準備をいたしておつたのでございます。ところが、その後、この五月十二日の送還が第八回の送還になるわけでありますが、第十回目の送還のときに、この百二十五名韓国側で受取らないと申しておりましたその中の七名だけが帰りたいという希望がございましたので、それを韓国側に伝えましたところが、それは一つ引受けようということになりまして、百二十五名のうちの七名だけは送還に応じたのでございます。 自分の国民が本国に帰りたいというのに、それを拒否するという手はないという意味と存じまして、我々のほうにおきましては、そういうことであれば非常に結構であるというふうに考え、この送還問題も、逆送還の問題もやや解決ができるのではないかと思つておつたのであります。ところが、第十回目の七人の希望者を受入れましたけれども、その次の船で、今度希望者を募りましたところが、約四十名ほどの希望者が出て来たのでございます。そこで約四十名の希望者を韓国側で引取つてもらいたい、韓国に帰りたいという熱烈な希望があるということを伝えたのでありますが、 どういうわけでありますか、韓国側では今度は一人も受取らないということになつたのでございます。 そこで五月の十二日以来、この大村収容所に収容されて、韓国側では受取つて呉れないというので、いつ帰される、いつ帰ることができるか、前途に光明を持たない人たちがそこにできて来たわけでございます。その人数、いわゆる不法入国でない、手続違反で韓国側で受取らないと認められるものは、この百二十五名から七名を引きますと、それが漸次積り積りましてこの十一月の初旬におきましては三百五十名になつたのでございます。その人たちが片方には大村収容所の周囲にコンクリートの塀ができるのがまだ準備中で、穴を掘つたり何かしておるということが一つの条件になり、又五月以来収容所におりますので痺れを切らして、何とか一つ自分の処置をしてほしいということで、そういうことから、早く帰りたいということから、この大村収容所の内部の空気が漸次険悪になつて参つたのでございます。で、いろいろ収容所長に対しまして内部から要求がございまして、その要求を申上げますと、大村収容所の収容者全員を即時釈放してくれ、それから収容所に外部と直接連絡の取れる電話の架設を望む、それから新聞記者との共同会見を許せ、帰国希望者を特に早く帰国させるようにせい、以上の四つの項目に対しまして、その返事を大村収容所長の直接の口から聞きたい、而も自分たちの収容されておる部屋の真中に来てそれを話せと、こういう五つの、いろいろ要求がございましたが、順次個々の要求が整理されまして五つになつたわけでございます。そのうち大体これはノーという返事になることを予想いたしまして、最後にはとにかく自分たちの要求について所長が我々の中に来て説明をせいという不穏の空気が漲つて参つたのでございます。それが最後に問題が起きましたのが十一月の十一日でございまして、所長はそのときに連中の意図しておりますところが察知されましたので、この収容所内の連中がおります居室の中に入るということを拒否いたしたのでございます。そのために、それを口火にいたしまして午後三時から約十二時間揉み合いが起つたのでありまして、その当時この三百五十名の手続違返者のほか、不法入国者が約三百名おりまして、合せまして六百五十名の人たちが一団になりまして窓という窓を壊し、戸という戸を壊して外に出まして、外壁がございますが、これは先ほど申しましたように板塀であつて、それを四十数カ所、大きな人の通れる穴を作りまして、窓その他にありました棒切れを以ちまして壊しまして、六百五十名が集団脱走するという事件があつたのでございます。 このことは、十一日以前から中の不穏な空気を察知いたしまして、大村収容所といたしましては警備の万全を尽しておつたのでございますが、大村収容所の人員といたしましては僅かに二百五十名程度でありまして、そのうちの百四十名が警備官と申しまして、警察官と同じような服装をいたしておるわけであります。その人たちが第一線に立ちまして、なだめると同時に、出ないように、脱走のないようにということで警戒いたしたのでありますが、 遂に暴行を働くということになりました ので、大村の市警、或いは長崎の国警本部というようなところから応援を得まして、又大村の消防団というような方面からも応援を得まして、約千名足らず、九百何十名という人たちを動員しまして、この大村の収容所の廻りに人垣を作つたと言つていいのでありますが、防備をいたしまして、その間、消防用ポンプで水を出しまして、そして穴から出掛けるのを防ぐ、それから極く少量の催涙ガスを、密集して塀に突撃して来る事態になりましたので、そこに催涙弾を極く少量投げまして、やや落ち着くことができたのであります。このために死傷者はなかつたかというと、これは一人もなかつたのでございます。 収容者のほうからはその場にありました石なんかを頻りにこちらに投げて参つたのでございますが、警備官、警察官のほうには石を受けて怪我をした者もございますが、幸いにしまして瘤を作る程度のことでございまして、どちら側にも大した怪我はなかつたということで漸く事なきを得たのでございます。 早速落ち着きますと同時に、医療班の看護婦を内に入れまして手当をいたしたのでありますが、手当を特に要する者はなかつたのでございます。現在におきましては 六百五十名の集団暴行と申しますか、そのうちで三十名が検挙されまして目下調べが進行 いたしておりますが、最近におきましてそのうちの十二名はすでに釈放になつておるのであります。あとの者はまだ取調を受けておるという状況であります。このために大村収容所は非常に建物の脆弱を暴露いたしまして、これを速やかに補強しなければならん。こういうような事態が再び起らないように早くコンクリートにしなければならん。又、今まではいわゆる船待ちという観念で、処遇その他につきまして相当自由を与えておつたのであります。 例えば大きな部屋に皆が雑居しておつたということであつたのを、大きな部屋を二つに仕切るというような、多少の制限をいたさなければならんという事態になつて、今それらのことについて手を打ちつつあるのでございます。騒ぎました連中の中にはいろいろ大村収容所の待遇が悪いというようなことを申す者もあつたようでございますが、実際におきましては、我々のほうといたしまして、一日米麦五百グラム、主食だけで五百グラム、そのほかに副食物を入れまして、カロリーといたしましては二千四百カロリーを上廻るような食事をいたしております。寝具等につきましては毛布一人当り八枚ずつを給与いたしております。これは一遍御覧願いますればおわかりと存じますが、食事その他につきましてむしろ我々の仲間でございます警備官などよりもいい食事を現実には受けておるというようなことでございまして、その点について人道的な取扱いに欠くるところはない、これを自信を以て申上げられるのでございます。ただ収容者のうちで、密航者のほうは、向うから然るべきまあ資金その他を持つて入つて参ります。又日本にもそれの連絡先があるというような関係で、密航者は原則として返すという方針で扱つておりますが、この大村に収容されております間、日本の縁者から何らかの差入れなりいろいろな仕送りがありまして、やや物資に不足しないということは事実でございます。これに引比べまして、手続違反者というほうは、一年の懲役を受けて刑務所から出て来た人たちでありますので、これに対して差入れをする人たちがない連中も幾分かはある。そういう人たちは十分に「たばこ」ものめないというようなこともあるのでございますが、この点につきまして、例えば塵紙であるとか、手拭であるとか、石鹸であるとか、そういうものは支給いたしておるのでありますが、多少不平というものがあるといたしますれば、そういう点があろうかと思うのであります。 今後問題といたしまして只今国会に補正予算といたしましてお願いをいたしておる大村収容所の増設の問題を最後に申上げたいと存じます。この今あります大村収容所は約千人収容力がある。これは密航者、特に女、子供というような人達、船待ちという観念、そういうような構想で約千人くらいは入れるであらうということで運営をいたしておりますが、只今申上げましたように、数ヵ月帰れない、或いは 刑務所を出て来た、まあ相当凶悪な人達もおる わけでありますが、そういう人達を相手にいたしました場合には、この大村収容所では現状のままでは到底収容ができない。そのほか最近におきまして五月のメーデー事件以来特に密航者以外で朝鮮の人達で治安を乱す人達が相当殖えて来ております。この人達をいずれは送り帰さなければならない。そういう際に密航者以外に送還すべき悪質の人達を収容いたします施設を是非作らなければならない。而もそれが来年度の予算を待てない。今年中にも即刻建てねばならないという状況になつておりますので、補正予算におきましては約千人の収容力があります今の収容所よりは設備もよろしい、又警備上からも心配のない、少しぐらい騒いでも出られないようになつている、併しながらやはり船を待つという観念で罪人扱いはしない、明るい収容所という目標によつて、一億七千万円の建設費を本補正予算として国会にお願いをしておるのでございます。 大体この大村収容所の逆送還事件をめぐりまして最近までの情勢はこのようになつておりますが、最後にこの出入国管理令を運用いたします上において、是非皆さん方に御承知を願つておきたいということを申上げたいと存じます。出入管理令は昨年の十一月一日から出発いたしておりますことは先ほど申上げた通りでありますが、これは外国人全部に対しまして、日本に入るとき、出るとき、又日本に滞在しておる間、公正に取扱のできるような扱いを、これは国際慣例によつて最も民主的な方法でいろいろな手続をいたしたい、特に人権を尊重し、いやしくも罪人として扱うということはないように十分配慮を持つた規定になつておるのでございますが、成規に日本に入つて来る、港から入つて来る、或いは飛行機、羽田であるとかいろいろございますが、船で入る、飛行機で入る、そういう人たちに対して、正規に入つて来る人たちを一々チエツクしまして、日本に成規に入つて来たかどうかということを調べる出先があるわけでございます。又出るときも船に乗つて成規の手続で出るかどうかということを調べる組織になつておるのでございます。これを扱いますのは入国審査官と申しまして、港或いは羽田その他空港におきましては、税関のほうは物を検査いたしますが、我々のほうは人自体を見るわけでございますが、青い空色のユニフォームを着ました者がおるわけでございますが、こういう人たちが出ておりますが、如何にも人数が少いのでございます。そのために、その人たちは、特に羽田のごときは二十四時間勤務をいたしておりまして、飛行機が一時間おきぐらいにどんどん夜中にも着くのでございます。一回に四、五十人ぐらいも入つて参りますので、そういう人達を僅か二十人ぐらいの者が交替で勤務をいたしておりましても、実に過労に堪えないというのが現況でございます。又、港におきましても大きな船が入る、大きなプレジデント・ラインのごときは、一つの船で七百人も観光客があるというような場合にも、横浜におります入国審査官が僅か十数名で、そういう人たちを、極く短期間にそのハス・ポートを全部調べてやるということも到底うまく行かない。そのほかに一番我々の心配いたしておりますのは、大きな船を利用しまして船員に化けて密入国する者が相当あるのでございます。それがあるということはわかつておりますけれども、それをつかまえる、取締るということにおきまして、我々の役所が非常に手不足であるということについて、誠に残念に存じにておるのでございますが、現在におきまして我々のほうといたしましては、入国管理局関係の全国におります人員を全部集めましても八百五十名しかないのであります。その中で四百五十名が先ほど申しました警備官ということでございまして、この人たちが不正に入つて来た人たちをつかまえ、そして取締りをして大村に送る。で、大村の収容所で警備してその人たちを又船に乗せて帰すということをいたしておるわけでありますが、これが全国に七十二の港がありますのに、そこに配置されております者、これは審査をするほうの審査官でありますが、六十二名しかないというようなことで、例えば横浜のごときは審査官を十名以上も一カ所に置く、羽田のごときも二十名近くも置いておくという関係で、或る港には審査官が一人もいないというような所もあるのでございます。そういう所は船が多くございませんので、船が入る都度こちらから出かけて行く。併し人員の関係で、船が幾日も滞留しているのにそこに滞在させておくわけには行かないような場合も出て参るので、船の取締り、船員の上がり下りというようなことにつきまして万全であるということは申し上げられない残念な状態になつております。 又不法入国、その一例を、今船員の点で、 大きな船の船員に化けて入つて来る という点について申上げたのでありますが、そのほかの不法入国、例えば 朝鮮半島から我が本土に漁船漕ぎ寄せる、このケースが非常に多い のでございますが、 密入国の朝鮮からの径路は、大体対馬が半分以上を占めている のであります。最近におきましては、対馬の警備が、海上におきましては海上保安庁、陸上におきましては国警と我々のほうの警備官というようなことで、特に海上保安庁の船の配置が少し多くなりまして、対馬の警備がやや強化された関係もございまして、一時ほど対馬に多くないのであります。一時は半分以上、三分の二は対馬から入つて来ておりましたが、最近は半分程度になつております。 あとは北九州、場合によりましては鹿児島あたりまで、朝鮮から漁船に乗つて来る という例も見受け轤黷驍でございます。で、こういう不法に入つて参ります者に対しまして、勿論入国管理局だけの力ではできないのでありまして、今申上げましたように、海上では海上保安庁、陸上では国警、自治警というようなところに実際の取締をお願いをし、それをつかえた上で我々のほうで出入国管理令の法規に従いまして慎重に処理をして行くという現状でございますが、こういうばらばらなやり方が果して外国人の密入国を防止するという面からいつて万全であるかどうか、非常に疑問があるのでございます。我々事務当局といたしましては、一元的な運営によつて海岸線を守り、又日本に入つて来た者についても常時観察をし、ただこれは警察に任すべきでなくして、多少国際常識ということにつきましても十分訓練を受けた入国管理局の職員によりまして、罪人としてでなしにこれを遇しつつ処置するということが一番大事だと思うのでございますが、理想には非常に遠いのでございます。大体現状を申上げまして後ほど御質問にお答えいたします。 参 - 内閣委員会 - 16号 昭和28年03月09日 松原一彦君 第五に大村入国者収容所であります。この収容所には終戦前から日本におる朝鮮人で旧登録令の手続を違反しておる者及び朝鮮人の不法入国者が現在全部合せて四百九十人収容されております。これまでに朝鮮へ送還された者は五千四百二十七人でありますが、 手続違反者は韓国政府においては国籍がきまらぬとの理由で受入れを拒否しておるため、収容者数は増加の一途 を辿つておるとのことであります。従つてここに収容せられておりまする五百人に近い者は、不当拘束を理由とする釈放要求や待遇改善要求等のために騒動がこれまでたびたび起つておるのでありますが、当局としては速かに日韓関係の整備、施設改善等を要望しておることを見て参りました。この収容所は大村の湾に近い、元の飛行場の建物を利用しております。そうして収容者を入れております所は、丁度刑務所と同じように、非常に厳重な囲いがしてありますにもかかわらず、数カ月前に暴動が起つて、建物を叩きこわした、塀をこわしたというようなことから、今度はその外廻りに見上げるような高いコンクリートの塀をこしらえ、四隅に高い監視所を設け、刑務所以上ともいうべき手厳しい監視をいたしております。今までは外での運動も許し洗濯等も行われておつたそうでありますが、最近にそういうことがありましてから全部家の中に閉じ籠めておりますために非常に不平が多い。陽の目を全く見ないのだというので、運動も外に出さないというところから非常な不満を訴えております。これは誠に気の毒なのでありますが、併し今日の法規の上から何ともいたし方がない 強制送還もできない、向うで受取らないというのであります。 で、私はこれら朝鮮人の収容状況を監察し、彼らからいろいろな訴えも聞きました直後に、佐世保に参りましたところが、町中で前方から来る多数の、丁度元の日本の海軍水兵のごとき一団に出会つたのであります。その顔色から見ても、服装から見てもどうしても日本の海軍水兵のような感じがしましたので、立ちとまつて聞いてみますというと、これは韓国の水兵であります。 一方には鉄筋コンクリートの高塀の中に密入国者或いは被送還者として収容せられておるにもかかわらず、佐世保の市内では何ら関係のない韓国の軍艦が入港し、韓国の水兵が市内を横行濶歩しておるという、誠に矛盾した現状を目撃して参つたのであります。 私はこの間に大きな矛盾を感ずると同時に奇異の念を抱くことを禁じ得なかつたのであります。なおついでに私は市役所の船を出してもらいまして、佐世保湾口の防潜網を見て参りましたが、相当大規模のもので、これじや魚も入つて来ないのであろうと素人目に見て参りました。 参 - 内閣委員会 - 20号 昭和29年04月13日 竹下豐次君 現在のところ私の頭に浮んでおりますのは、近頃東京都で問題になつております朝鮮人学校の教育ですね、これも新聞で見ますと都の要求が入れられたようでありまして、一応おさまつた形になると思うのでありますが、私今日までの学校の状況など別に詳しく調べたわけでもございませんけれども、どうもやはりいわゆるボスみたいなものがおりましてそれが中心になつているようで、日本としては好ましくない態度をとつているようなことが長い間繰返されているのではないか、こういうふうに想像するのですが、大体誤つていないだろうと思うのですが、私の観測は。そういう人たちを強制送還することはこの法律ててきるわけですか。実際の問題で、それを認定するということは別の問題といたしまして、そういうようなことはできるのですか。 政府委員(鈴木一君) 好ましからざる人物であるという理由だけで退去させます条文はこの二十四条の中にございます。それは二十四条の四号のヨで申しますと、「イからカまでに掲げる者を除く外、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者」、これに若し該当しますればそういうことが可能でございます、法律上は。ですから道はあいているわけでございますが、「法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する」ということが非常に問題でございまして、まだこの条文を扱つて強制退去を命じた例はないのでございます。 それからそれに附け加えましてもう一つ現状を申上げたいことは、日韓会談というのが平和条約発効前に話が始まりましたのでございますが、それが今以て会談の妥結に至つておりません。そのためにそのとばつちりを受けまして 韓国側で日本から強制送還をいたしておりますうちの一部分を向うで引受けるのを拒否して参つたのでございます。 それは一昨年の五月でございまして、いわゆる終戦前から日本におつた朝鮮の人でこの管理令の適用上どうしても返すべきである、例えば 強窃盗を何回も犯した。日本としてはどうしても送り還さなければならない。或いは登録法の違反をして偽造の登録をしたというようなことで、どうしても法令上還さなければならないと決定しまして、船に弄せて送つたのてありますが、ところが朝鮮側では今、日韓会談で国籍の問題を扱つている、従つて国籍処分の問題で話合がつくまでは、終戦前から日本におつた人を受けるわけにはいかないという理由で還して来た。 現在韓国側で受取つておりますのは密入国をした者、要するに終戦後において日本に入つて来た者は受取る、併し終戦前から日本におつた者については暫く受取らないということになつております。 向うで受取らないというために送り還せないで大村の収容所に遺憾ながら収容を続けております人が現在三百七十名ほどいるわけであります。二年をこえる者は極く一、二名だと思いますが、相当長く大村に収容されている者もいるわけであります。こういう人たちに対しまして法律上は違法はないのでございますが、全体の趣旨から申しまして如何にも当てなしに入つているという感じを与えておりますので、我々といたしましても何とか救う途はないものであろうかということを今研究をいたし、多少考えつつあるわけでございます。 竹下豐次君 そうしますと「法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者」、認定してこの法律を通用したものは今までないというお話でしたが、これは認定するということにしますれば、調査をしますればここに該当する者は相当あるのじやないかと思われますが、併しそれが事実やられていないということは、日韓の会談がまだ途中にあるからということで、認定すべきか否かを調査されたということもないということになるのですか。そう了解してよろしうございますか。 政府委員(鈴木一君) その点も多少はございますが、我々といたしましては、ただ好ましくないということだけで退去を命じますということは非常に重大なことでございますので、この運用につきましては関係治安当局とも十分議を尽くした上でどういうふうに運用したらいいかということを研究したいということで、この管理令が法律になりました当時からずつと研究いたしておるわけでありまして、これは慎重に扱いたいと思つております。 政府委員(鈴木一君) この管理令、今の二十四条は各項を検討頂きますと非常に詳しくいろいろなことが載つておりまして、最後に好ましくないというようなことで還し得ることになつておりますが、これはもう本当の例外的なものを取上げるという趣旨でございまして、大体今のお話のようなことは、その前にいろいろ例えばいわゆる思想的に困るというような人たちにつきましては、オ、ワ、カ、というような条項におきまして、これは公安調査庁のほうの関係になると思いますが、破防法なりそういうようなものに直接触れました者につきましてはそういう条項で黒白をはつきりさして頂いて、そして送還というような措置をとつて行きたい。成るたけこのヨの、ただ大臣の認定だけでというような条項はその発動を非常に慎重にしたい、できる限り法令に基きまして刑罰をはつきりして、その結果で体刑に相当しますものについて拾つて行くという趣旨で我々のほうとしては考えております。
https://w.atwiki.jp/hagiho/pages/11.html
まずは、働いてらっしゃる方の労働状況について伺いたいのですが…。 とにかく労働時間が長いんです。 朝の7時頃に送迎バスが出ますが、早朝保育を行っている関係で、 朝の6時すぎ~30までには出勤します。 で、夜は延長保育をやってる関係で、 19時20時は当たり前。 週一の職員会議の日は更に遅く、宴会とかに連れ出された時はもう……。 その上、家でも働けってな感じで… 毎日、寝不足状態で車運転して通勤して、子供をみていました。 そうですか、1日12時間は越えていたという事ですね。シフト労働とかは? 無いです。 パートの職員は時間を決めて働いていますが、 正規の職員は長時間労働を強いられてます。 タイムカードもありませんから、時間の記録もありません。 出勤簿に判子をおすだけです。 では、有給休暇とかは自由にとれるのですか? とれません。 盆休みが有給だと言われました。 就業規則は? 見たことないです。
https://w.atwiki.jp/business-ethics/pages/155.html
景気の悪化に伴う雇用不安が深刻化する中、個人で加入できる労働組合が注目を集めている。組合のない職場で働く人、パートやアルバイトといった非正規労働者も気軽に参加できるのが特徴だ。宮城県内でも、若者や女性を中心とした特色ある組織が活動している。 「解雇問題などの相談が月に2~3件ある。正社員からの問い合わせも多く、組合活動の重要性は増している」 随時受け付けている労働相談について説明するのは、仙台市を拠点とする「みやぎ青年ユニオン」の大友聡志書記長(27)。東北3番目の青年ユニオンとして、2月に20~30代の会社員やパート、アルバイトら23人で結成した。 「労組の役割を知らず、職場で問題が起きたとき、自分一人で何とかしなければいけないと悩んでいる若者が多い」と大友さん。解雇されて再就職先探しを焦り、目を血走らせて相談に来る人も少なくないという。 月例会や街頭アンケートなども実施。労働相談をもとにした企業との団体交渉も既に4回行い、企業側に、解雇に伴う補償金支払いを承諾させるなどの成果があった。 しかし、問題解決後、組合活動に関心を示さなくなる人がいるのが悩みの種。大友さんは「人間関係の希薄さから、孤独感を感じている若者の居場所になりたい」と話し、地に足を着けた息の長い活動を見据えている。 30~50代の女性を中心に約30人が参加する女性ユニオンぷらす(仙台市)は1995年から活動を続けている。「景気の悪化で、女性の正社員をパートや派遣に切り替えたり、妊娠などを契機に解雇したりする企業が増えている」と黒沢清美代表(49)。 もともと、妊娠に伴う解雇を不当として訴訟を起こした黒沢さんが、支援者と結成したのが始まり。不当解雇や配置転換などのほか、セクシュアルハラスメントなど女性に多い問題にも積極的に取り組んでいる。 黒沢さんは「労働法などについて知らず、企業の言いなりになっている人が多い。権利を振りかざす必要はないが、知識は大事。職場の問題を上手に解決するために労組を活用してほしい」と呼び掛けている。 みやぎ青年ユニオン、ぷらすともに組合員を募集中。1カ月の組合費は青年ユニオンが月収に応じて500円から、ぷらすは1口500円。 連絡先は、みやぎ青年ユニオン(0120)******、女性ユニオンぷらす070(****)****。 (生活文化部・矢嶋哲也) 2009年09月25日金曜日 ソース:河北新報ニュース http //www.kahoku.co.jp/news/2009/09/20090925t15042.htm 【コメント欄】 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/icinm4/pages/71.html
世界労働者連合とは 世界の労働条件改善や民主主義政治・反共産主義を掲げる同じ政策・理念を持つ政党が協議や会談などを行い互いに交流と理解を深め世界規模での労働者運動を推進する国際組織 主な構成政党 ・トラニア共和国 トラニア労働者党 ・ハティクヴァ共和国 救世民主党
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/858.html
第570話:Long live the ―― 作:◆685WtsbdmY 【録音開始】 呻き声。 再び呻き声。内容の聞き取れない、おそらくは悪態。 誰かが身じろぎする音。潜めようとして、潜めきれていない息遣い。 地面をマントの裾が擦過する音。消そうとして、消しきれていない足音。 『お? おおおっ?』 ゴクリ、と唾を飲みこむ音。一呼吸、二呼吸、三呼吸。 『く、ふはは、はっはっはっはっ。 え~と、なんだかよく分からんが、やはりこの俺様に仇なして無事にすむわけはなかったようだな。 こいつめ、こいつめ』 どたどたとした足音に続いて軽い衝撃音。一度、二度、三度。 『まあ、これぐらいで良いだろう。 さて、あれに見えるは俺様英雄の剣。まずは再びこの手に取り戻して――ん?』 怒号。 悲鳴。 そして沈黙。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「すいませんすいませんすいませんすいません」 ボルカンは謝っていた。とにかく謝っていた。ただひたすらに謝り続けていた。 大地に額をこすりつけ、相手の慈悲を請い願う。無様だ、滑稽だ――何とでも言うがいい。 英雄たるもの、大事のために恥を忍ぶことをためらってなんとする。 唐突に蘇った化け物を前にして戦略的転進を図るも果たせず、それがために降りかかったこの災難。 すでに、地上と宙空を3回ほど往復したあげく、両の頬にビンタをもらって真っ赤に腫らすはめになっている。 下手に逆らって、これ以上痛い目にあうなどまっぴらごめんだ。 まあ、目覚める前に何度か蹴りを入れておいたことに気付いていない様子なのは勿怪の幸い。 ここはただただ媚びへつらい、結果的に強制労働に従事させられることになろうとも、 しかる後に機を見て正当な報酬を約束させるのが英雄的行動というものだ。 「をっほほほほ。どうやら少しは反省したようね」 「反省しました」 「その言葉、嘘偽りは無いであろうな?」 「嘘偽りなどございません」 「これからはその重責から逃げることなく、誠心誠意、心をこめてあたくしに仕えると誓うかえ?」 「誓います誓います」 この答えは、怪女にとって一応満足できるものだったようだ。 鷹揚に頷くと、地べたにはいつくばるこちらを見下ろしてこのようにのたまった。 「よろしい。あたくしは不忠を決して許さないけれど、忠義には厚く報いる乙女よ。 本来なら敵前逃亡と窃盗、あたくしへの不敬という天をも恐れぬ大罪をおかした由にて処刑するのが筋だけれど、 今回は特別に許してしんぜよう」 そうして再び、化け物はあの「をほほほ」という奇怪な高笑いをあげた。いや、あげようとしたかに見えた。 が、傲然と口元に手をやったその瞬間、やにわに体を折ると激しく咳込み始める。 口を押さえた手指の間から血が垂れるのが見て、ボルカンはあることにようやく気付いた。 (むう……奴は負傷している) 考えて見れば、一言物を言うにも窓の隙間を風が吹き抜けるような音が混じっていた。 周囲が暗く、それと思わなければ分からないが、よくよく見れば顔色も悪い。 「とにかく、まずはあたくしが休息するための寝所を用意するのよ」 「へ? あ、はい」 「それと、あたくしのことは 姫様と呼ぶように」 “姫”。不吉極まりない単語だが、目の前の暴君にはぴったりと言えなくもない。 ボルカンは嘆息して立ち上がると、何とはなしに時計に目をやった。 (む? ……) その一瞬。何か、この上もなく素晴らしい考えの欠片が頭の中を通り過ぎた。 それが正しいものであるかを確かめるために、ボルカンは必死で記憶を手繰りよせる。 記憶が正しければ、この場所、そう遠くない時刻に何かが起きるはず。そして今、時計が指し示している時刻は―― 「何をぼけっと突っ立っているの? さっさとおし」 「かしこまりました。え~と、姫様」 「……そこで間をとるということは、あたくしを馬鹿にしているのかえ?」 「め、めめめ滅相もありやがらんでございますよ、はい」 ――時刻は、20時00分。21時00分まであと一時間。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「貴女様は北半球で一番~」 ボルカンは軋む門扉を押し開け、庭先へと入り込んだ。 「美しくて賢い女 ラララ~」 庭を通って縁側へ。そこに立ってガラス戸を開け放つ。 「愛と正義のために戦うの~ ああ ナツコ・ザ・ドラゴンバスター♪」 廊下からその部屋へと通じる戸を開け放ってみると、草でふいたマット ――ボルカンは知らないが、ようするに畳である――の床はなかなか居心地がよさそうで、 休息をとる場としては申し分ないように思える。 「おお ナツコ・ザ・ドラゴンバスター♪ ……ここなぞ良いのではないでしょうか?」 小早川奈津子は鼻をならすと、縁側にどっかと腰を下した。 「なかなか良さそうではないの。……決めたわ、ここで休むことにしてよ」 「ははっ。それでは、俺さ……私はあたりを見回ってきますので」 言ってボルカンは、再び庭へと飛び降りた。 これでいい。このまま自分だけこの場を逃れてしまえば、21時にここは禁止エリアに指定されて勝手に始末がつく。 これぞまさしく、大天才にして偉大な英傑たるボルカン様に相応しく、 また、そうでなければ思いつくことすらかなわぬ完璧な作戦と言えるだろう。 思わず駆け出そうになるのをこらえ、一歩一歩前へと慎重に足を踏み出し…… 「お待ち」 口から心臓が飛び出るかと思った。 「は、はい!! ええと、なんでしょうか?」 「あたくしは“用意せよ”と言ったのよ。それを、布団を敷こうともしないとは不届き千ば――」 「すぐにやらせて頂きます!」 この後、すっかり慌てていたボルカンは土足のまま縁側、そして廊下にまで駆け上り、 憤慨した小早川奈津子の手によって地面にはたき落とされることになる。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「……できました」 「うむ。よろしい」 悪戦苦闘の末、ついにボルカンは布団を敷くことに成功した。 ボルカンは考える。限界時間――21時まであとどれほどの時間があるのだろうか? あいにく部屋に時計はないし、自分の時計を見ようとするたびに邪魔がはいって結局果たせなかった。 何はともあれ、ここは一刻も早くこの場を立ち去るのみ……! 「でしたら――」 「行ってもよい、と思っていたけれどどうも気になるわね。 ……もしや、あたくしのために働くという崇高な使命を放棄して、 もとの怠惰な暮らしに戻ろうなどと考えているのではあるまいな?」 「と、とんでもありません」 ばれた。いや、ばれていない。まだ罠には気付かれていない。 ……いや、だからこそまずいのか? うわべだけはなるべく平静を装う様努力しつつも、ボルカンの脳裏では恐怖と焦りがうずまいていた。 罠には気づかれず、しかし逃亡を警戒されているならば、女主人はこの場に留まるよう命じるだろう。 もしそんなことになれば、その時こそ待っているのは確実な死だ。 「……まあよいわ、お退がり。だが、その前に褒美をとらせてしんぜよう」 「は? ははっ!! ありがたき幸せ」 冷や汗を流しつつ見つめあうことしばし。どうにかこの場を切り抜けることができたらしい。 “褒美”。その言葉に顔を輝かせたボルカンが平伏し、たれた頭を再び上げると、眼前には巨大な脚が迫っていた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 衝撃に耐えられなかったふすまを巻き込んで、ボルカンの体は奥の部屋へと転がりこんだ。 「な、何しやが――!!」 ボルカンは抗議の声をあげ、――立ち上がろうとしたところで足をしたたかに踏みつけられた。 たまらずに、怒りとも苦悶ともつかない呻きをあげてのたうちまわる。 その頭上から、容赦ない言葉が降り注いだ。 「をほほほほ。盗っ人猛々しいとはこのことね。 ……お前、このあたくしを謀略によって害せんとしていたであろう」 呆然として、ボルカンは小早川の発言――いや、宣告を聞いていた。 「なんたる不実! なんたる不忠! 殊勝な態度でごまかそうと、その瞳の奥の下卑た光は隠しようが無くってよ!! ここもじきに禁止エリアになることくらい、最初からお見通しなのよ」 ようやくボルカンは悟った――見抜いていたのだ、この怪女は。ボルカンの浅はかな企みなど全て。 見抜いた上でこちらをためしていたのだ。 「べっ、別にそんなつもりは……」 「お黙りっ! せっかく下僕として使ってやろうと思っていたのに、この恩知らずの劣等民族! そんな言葉に騙される、このあたくしと思うてか? ええ、お~も~う~て~か~」 なんとか言い逃れようとするボルカンを一喝して、小早川奈津子は大見得を切った。 大見得を切って……そのまま咳き込み始めた。 一方のボルカンはこの隙に逃げ出そうとして、再びもんどりうってその場に倒れた。 踏みつけられた足は、どこか捻ったのか熱を帯びている。 ボルカンは立ち上がることさえできずに尻を床につけたままその場をはいずった。 とにかく外へ。 だが、そう思ったときにはすでに退路を塞がれていた。 小早川奈津子がその足を一歩踏み出すごとに、その歩幅の分だけ後ずさる。 それを繰り返すうちに、後頭部に何かがぶつかった。 壁だ。もう、これ以上は下がれない。 「……ち、違う」 視界の中で次第に膨れ上がっていく巨体を見つめたまま、ボルカンはうわ言のように呟いた。 「違う、俺じゃない。 黒魔術士が、この世の暗黒を凝縮したど腐れヤクザが俺様を近所のおばさん井戸端殺すと脅して……」 何故だろうか。その時、ピクリ、と正義の執行人の眉が動いた。 一声唸って、考え込むようなそぶりを見せると、やおら手にした長剣をボルカンの首すじに突き付けて言った。 「その黒魔術士とやら、もしやオーフェンと名乗っているのではないのかえ?」 オーフェン。その名がよもや目の前の怪女からでてくるとは。 ボルカンは驚きに目をむいた。 (もしかして……これはチャンス?) 「そ、そうですそうですその通りです。 俺様がこんな目にあっているのも姫様の苦境もすべてあの凶悪黒尽くめのせい。 民族の英雄様たる俺様の実力に嫉妬してよくわからん島にほうりこんだだけでは飽き足らず、 あまつさえ、塵取り殺すと脅迫して姫様を害せんとする企みに無理やり加えるとはまさしく無礼千万恐悦至極!! すなわち姫様におかれましては、私が彼奴めの居所へご案内いたしますので必ずや正義の鉄槌を下されますよう――」 「……よく分かったわ」 小早川奈津子は大きくうなずくと、ボルカンの讒言を遮って言った。 「このあたくしとて慈悲深き乙女。 最後の最後とはいえ真実をあかしたあっぱれな心がけに免じて、ここで楽に死なせてやろう」 「おいっ!?」 「をぼぼぼ、ごほげほ……。 この期におよんで往生際が悪いわね。所詮は劣等民族。潔さという美徳は理解できないと見える。 本当だったら、そこの柱にでも縛り付けて死ぬまでたっぷり恐怖を与えてやるのが妥当なところを、 ここでけりをつけてやろうというの。感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いなんてなくってよ」 最期に善を成したことで、閻魔様の裁きも少しは温情豊かになることでしょう。 そう言うと、処刑人は手にした長剣を構えなおした。 「をほほほほほ。あの世でとっくり後悔おし」 狙っているのは首筋か腹か。ボルカンの眼前で、突き付けられた刃がギラリ、と輝いた。 「……あ、ああ――」 ボルカンは、顔の向きはそのままに視線だけをあたふたと左右に走らせた。 なんと不都合で、不安で、不愉快なことだろう。 肝心なときだというのに、場の全責任を押し付けるべき弟が傍らにないというのは。 混乱の中で、ボルカンはいつかと同じ言葉を口にしていた。 「全部、全部。あの黒魔術士が、黒魔術士が悪いんだぁ~~!!」 【112 ボルカノ・ボルカン 死亡】 【残り 38人】 【A-3/市街地/一日目/20 40】 【小早川奈津子】 [状態]右腕損傷(完治まで約一日半)、生物兵器感染 胸骨骨折、肺欠損、胸部内出血、体に若干の痺れ [装備]吸血鬼(ブルートザオガー)(灼眼のシャナ) [道具]デイパック×2(支給品一式×2、パン七食分、水3100ml) [思考]どこか休息を取れる場所を探す。 ボルカンの言うことを信じたわけではないが、オーフェンおよび甲斐に正義の鉄槌を下す。 [備考]服の一部に返り血が散っています。 服は石油製品ではないので、生物兵器の影響なし 約七時間後までなっちゃんに接触した人物の服が分解されます 七時間以内に再着用した服も、石油製品なら分解されます 感染者は肩こり・腰痛・疲労が回復します ※かなめのハリセン(フルメタル・パニック!)はボルカンの死体の近くに放置されています。 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第569話 第570話 第571話 第526話 時系列順 第527話 第557話 なっちゃん - 第539話 ボルカン -