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このページで紹介される基本書の多くは、民法全範囲をカバーすることが予定されているものの、未だ他の分野は執筆段階にとどまるものである。 民法(家族法)改正関係(最近改正されたものに限る。) 平成23年6月3日法律第61号:離婚後の子の監護に関する事項の定め等(第766条第1項~第4項関係)他http //www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00043.html 平成25年12月11日法律第94号:嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とするものとすること。(第900条関係)http //www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00137.html 平成28年4月13日法律第27号(成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律):第860条の2(成年後見人による郵便物等の管理)及び第860条の3(同)並びに第873条の2(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)を加える。 平成28年6月7日法律第71号:女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができないものとすること。(第733条第1項関係)他 http //www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00181.html . 【親族法・相続法】 〔メジャー〕 前田陽一・本山敦・浦野由紀子『民法VI 親族・相続(LEGAL QUEST)』(☆2015年3月・第3版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。はしがきで『双書民法』を最も意識したと述べている通り、著者らの自説を抑え、体系と条文の要件効果、判例を重視したつくりになっている。一方で、現行の法制度の運用実体や介護保険制度や信託法などの重要な関連法についてもコラム等で漏らさず述べている。また、重要な論点については丁寧に議論の積み重ねを記述しているため、わかりやすい。イメージとしては「双書民法」と「アルマ民法」の間にある基本書である。極めて「標準的」な教科書だが、個性の強い親族法の本の中では逆に珍しい。A5判、490頁。 高橋朋子・床谷文雄・棚村正行『民法7 親族・相続(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(☆2014年10月・第4版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。親族相続のアルマとしてオススメされるのはこちら。見解が穏当、現代的な問題点や新しい判例についても触れられている。定番。四六判、468頁。 〔その他〕 窪田充見『家族法―民法を学ぶ』有斐閣(2013年1月・第2版)……法学教室同名連載を単行本化。不法行為に続くシリーズ2冊目の基本書である。設例を中心にした600ページ近い厚さだが、読んでいてニヤリとしてしまうようなユーモラスな文体と充実したコラムにより、意外とスイスイ読める。「法的ルールとしての家族法」の理解形成を目指すとのこと。内容はリークエやアルマのような共著に比べて高度であるが、理解はしやすいだろう。A5判、612頁。 梶村太市・岩志和一郎・大塚正之・榊原富士子・棚村政行『家族法実務講義』有斐閣(2013年4月)……早稲田ローの実務家教員と研究者教員が実務と理論の架橋・融合を目指した家族法の教科書・体系書・実務書。初学者から実務家を読者対象としている。章ごとに学習のねらいと実務上の留意点を明記。重要論点についてはCaseを用いて解説。最新のトピックやホットな話題についてColumnを設けている。タイトル通り判例実務ベースなので安心して使える。A5判、618頁。 二宮周平『家族法(新法学ライブラリ 9)』新世社(2013年11月・第4版)……全24章からなる教科書。かなりリベラル色の強い価値観。自説の説明に分量を割いている部分もあるため、価値観が合わない人や判例通説をコンパクトに学びたい人には向かないか。4版においては、民法改正、家事事件手続法、H25.9.4非嫡出子差別違憲大法廷判決に対応。A5判、488頁。なお、3版まで付されていた演習問題は別著書(『事例演習 家族法(事例演習法学ライブラリ 4)』新世社(2013年11月))として出版された。 『家族と法』岩波新書(2007年10月)は入門書として最適。 犬伏由子・石井美智子・常岡史子・松尾知子『親族・相続法(弘文堂NOMIKAシリーズ 5)』弘文堂(☆2016年2月・第2版)……女性研究者4人による共著(親族法は犬伏・石井、相続法は常岡・松尾が執筆)。平成23年の法改正を反映。要件効果の説明がわりと丁寧。判例の引用も長め。ところどころ、図表が挿入され理解を助ける。第2版では、DNA鑑定に基づく親子関係不存在確認の訴え、非嫡出子の法定相続分規定の違憲の決定、そして平成27(2015)年12月16日に出された、再婚禁止期間、夫婦別氏(姓)に関する最高裁大法廷判決までを含め、現在の家族法を余さず解説。A5判、456頁。 本山敦『家族法の歩き方(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2013年3月・第2版)……法セミの連載を単行本化。川井は薄すぎるが二宮は厚すぎるという人にお勧め。時事問題や代表的判例から家族法の基礎的な部分を取得することを目的とする。リークエの分担執筆担当者でもある。A5判、272頁。 松川正毅『民法 親族・相続(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2014年12月・第4版)……論点意識せず。自説少。判例引用不正確。四六判、382頁。 裁判所職員総合研修所監修『親族法相続法講義案』司法協会(2015年9月・七訂補訂版)……家族法を親族、相続の順に解説。論点意識せず。判例・先例・通説皆で有力説無。索引雑。巻末には各種届出用紙、戸籍の見本を掲載。七訂補訂版は、平成25年法律第94号「民法の一部を改正する法律」の成立や判例の動向などを踏まえて平成25年5月に発行した七訂版に必要な加筆・補正されたもの(約2頁増加)。A5判、436頁(本文374頁)。 橋本昇二・三谷忠之『実務 家族法講義』民事法研究会(2012年7月・第2版)……A5判、547頁。 田中千草ほか監修『図解 民法(親族・相続)』大蔵財務協会(2014年6月・平成26年版)……B5判、470頁。 奥山恭子『家族の法 親族・相続法』信山社(2014年9月・第2版)……A5変型判、360頁。 【親族法・相続法(平成23年法改正未対応)】 吉田邦彦『家族法(親族法・相続法)講義録』信山社(2007年6月)……平井弟子による家族法講義録。A5変型判、368頁。 有地亨『新版 家族法概論』法律文化社(2005年4月・補訂版)……家族法の権威による力のこもった体系書。制度の歴史経過などの説明が厚い。判例の引用が多いが結論のみを引用するスタイルなので、判例の事案がよくわからない。490頁。著者は2006年に逝去しているため改訂の見込みは少ない。A5判、500頁。 深谷松男『現代家族法』青林書院(2001年3月・第4版)……体系書。中川善之助の愛弟子。論点意識あり。物権法で使ってる本との組み合わせによっては,かなり回しやすい。A5判、352頁。 【親族法】 大村敦志『家族法(有斐閣法律学叢書)』有斐閣(2010年3月・第3版)……著者は家族法の第一人者。タイトルは家族法であるが、著者の説では相続法は財産法であり、家族法とは親族法とその周辺のみを指すため、本書の範囲も親族のみである。内容は有力説が多いが,極め細やかな解釈であり評価高い。親族法の体系書としては本書以外の選択肢は考えられないだろう。A5判、472頁。 ☆大村敦志『民法読解 親族編』有斐閣(2015年12月) ……A5判、590頁。 大村敦志『新基本民法7 家族編 ―女性と子どもの法』有斐閣(2014年12月)……基本民法シリーズのリニューアル第1弾。2色刷。A5判、226頁。 我妻栄『親族法』有斐閣(1961年4月)……法律学全集。重厚だが古い。 A5判、428頁。 【相続法】 潮見佳男『相続法』弘文堂(2014年3月・第5版)……「プラクティス」のようにケースを多用。最終意思尊重よりも法定相続制度を重視する立場をとり、プッシュは弱いが独自説が散見される。A5判、408頁。 床谷文雄・犬伏由子編『現代相続法』有斐閣(2010年11月)……実務に即したオーソドックスな相続法の教科書。相続関係紛争処理関係手続について章立てしているのが目新しい。家事事件手続法には未対応。A5判、342頁。 【その他参考書】 飛澤知行編著『一問一答 平成23年民法等改正―児童虐待防止に向けた 親権制度の見直し』商事法務(2011年11月)……深刻な社会問題として認識されている児童虐待。これに対する児童虐待防止法の制定など各種法的手当てがなされる中、民法の親権制度の見直しがなされた。関連して、児童福祉法、家事審判法、戸籍法等が改正された。本書は、民法における親権停止制度などの内容を他の関連法令改正の概要とともに、81のQ&A形式で解説したもの。A5判、121頁。 【入門書】 常岡史子編著、鈴木伸智・田巻帝子・岩澤哲・羽生香織・千葉華月・中村恵・大杉麻美・久々湊晴夫著『はじめての家族法』成文堂(2013年4月・第2版)……B5判、228頁。 田山輝明『事例で学ぶ家族法』法学書院(2016年2月・第4版)……身近で起こる具体的事例を取り入れ優しく説いた家族法の入門テキスト。第4版では、再婚禁止期間の憲法違憲判決等の問題、高齢者問題を含む、広い意味での成年後見制度の問題等、最新の内容や裁判例が追加され、内容が見直された。A5判、219頁。 本山敦・青竹美佳・羽生香織・水野貴浩『家族法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(2015年3月)……A5判、260頁。 後藤巻則・滝沢昌彦・片山直也 編『【プロセス講義】 民法Ⅳ 家族』信山社(2016年6月22日予定)……A5変型判、320頁(予定)。
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【基本書:親族法・相続法】〔メジャー〕 〔その他〕 【基本書:親族法】 【基本書:相続法】 【その他参考書】〔法改正関係〕 【入門書・概説書】 【判例集・ケースブック】 【相続法改正関連書】〔改正法成立(平成30(2018)年7月13日)以降〕 【基本書:親族法・相続法】 〔メジャー〕 前田陽一・本山敦・浦野由紀子『民法VI 親族・相続(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2024年3月・第7版)……はしがきで『双書民法』を最も意識したと述べられており、体系と条文の要件効果、判例を重視したつくりになっている(もっとも、著者らの個性が反映されている箇所が全くないわけではない)。また、現行の法制度の運用実体、介護保険制度や信託法などの重要な関連法についてもコラム等で漏らさず述べている。重要な論点については丁寧に議論の積み重ねを記述しているためわかりやすい。『双書民法』を意識しただけあり、極めて「標準的」な教科書となっているが、著者の思想や価値観が強く打ち出された本が多い家族法の分野では逆に珍しい。第5版では、第4版(2017年3月)以降の新判例、遺留分や配偶者居住権等に関する民法改正、成年年齢関係改正や遺言書保管法等に対応。第6版において所有者不明土地関連の法改正に伴う相続法の改正等に対応。第7版では、懲戒権の規定の削除、嫡出推定規定や嫡出否認制度に関する規律の見直し、女性の再婚禁止期間の廃止など2022年の法改正を反映。巻末では「家族法制の見直しに関する要綱案」についても解説。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」家族法2位。序+全2編、親族法:全5章、相続法:全11章。A5判、530頁。 高橋朋子・床谷文雄・棚村正行『民法7 親族・相続(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(☆2023年10月・第7版)……ケース、Column(新しいテーマ)、Web(横断的解説)、図等を駆使して親族・相続法を立体的に解説。「親族・相続のアルマ」としてオススメされるのは「Basic」ではなくこちら「Specialized」の方。見解が穏当であり、現代的な問題点や新しい判例についても触れられている。第6版において、配偶者居住権の創設、一部分割など遺産分割や遺留分制度の見直しといった平成30年相続法重要改正に対応。第7版で、嫡出推定、懲戒権規定の見直しといった令和4年親子法改正や最新重要判例等に対応した。全2PART、親族法:全6章、相続法:全14章。2色刷。四六判、488頁。 窪田充見『家族法——民法を学ぶ』有斐閣(2019年12月・第4版)……法学教室連載の単行本化。設例を中心にした600ページを超える厚さだが、読んでいてニヤリとしてしまうようなユーモラスな文体と充実したコラムにより、意外とスイスイ読める。「法的ルールとしての家族法」の理解形成を目指すとのこと。内容はリークエやアルマに比べて高度であるが、著者の思考過程や悩みどころがそのまま表現されており、行間を読む必要がないため、理解はしやすいだろう。第4版で、2018年の相続法改正、成年年齢の引下げに伴う改正、2019年の特別養子に関する改正、子の引渡しに関する民事執行法、ハーグ条約実施法の改正、戸籍の法の改正等に対応。なお、筆者は2024年に逝去されたため、今後改訂される見込みは薄い。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」家族法1位。A5判、668頁。 〔その他〕 我妻榮ほか『民法3 親族法・相続法』勁草書房(☆2024年1月・第5版)……ダットサン民法の「親族法・相続法」編。第4版以降の改訂は野村豊弘が担当。序論(親族法および相続法について)+親族法:全7章、相続法:全10章。横組み。2色刷。四六判、488頁。 二宮周平『家族法(新法学ライブラリ 9)』新世社(2019年1月・第5版)……一時代前の定番書。かなりリベラル色の強い価値観。自説の説明に分量を割いている部分もあるため、価値観が合わない人や判例・通説をコンパクトに学びたい人には向かない。なお、演習問題は第4版(2013年11月)から削除され、別著『事例演習 家族法(事例演習法学ライブラリ 4)』(新世社、2013年11月)として出版されている。2色刷。A5判、528頁。 犬伏由子・石井美智子・常岡史子・松尾知子『親族・相続法(弘文堂NOMIKAシリーズ 5)』弘文堂(2020年7月・第3版)……女性研究者4人による共著(親族法は犬伏・石井、相続法は常岡・松尾が執筆)。要件効果の説明が割と丁寧。判例の引用も長め。所々に図表が挿入され、理解を助ける。第3版において、相続法改正、再婚禁止期間の規定の改正、特別養子法の改正に対応。A5判、480頁。 常岡史子『家族法(ライブラリ今日の法律学 8)』新世社(2020年2月)……上記「弘文堂NOMIKAシリーズ(親族・相続法)」の共著者の一人による基本書。2色刷。全12章。A5判、560頁。 吉田恒雄・岩志和一郎『親族法・相続法』尚学社(☆2022年7月・第6版)……学部講義の理解をサポートするテキスト。第5版において、2017年債権法改正と2018年相続法改正に完全対応したほか、成年年齢規定・特別養子規定については現行規定と新規定を並列する形で織り込まれている。全30講。A5判、482頁。 青竹美佳・渡邉泰彦・鹿野菜穂子・西希代子・冷水登紀代・宮本誠子『新ハイブリッド民法5 家族法』法律文化社(☆2024年4月・第2版)……A5判、424頁。 (平成30年相続法改正未対応) 内田貴『民法IV 親族・相続』東京大学出版会(2004年3月・補訂版)……かつての定番書。A5判、576頁。 裁判所職員総合研修所監修『親族法相続法講義案』司法協会(2015年9月・7訂補訂版)……書記官用の本であり、家族法実務の実際の運用や手続きを尊重した記述となっている。そのため、記述は判例・先例・通説で貫かれており、作者の思想や価値観が出ていないため使いやすい。ただし、論点等への意識は低いことには注意を要する。巻末には各種届出用紙、戸籍の見本を掲載。全14章。A5判、436頁。 佐藤義彦・伊藤昌司・右近健男『民法Ⅴ 親族・相続(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2012年9月・第4版)……第4版は、親権停止制度を創設した民法改正、家事事件手続法の制定等を踏まえた最新版。なお、本書については今後改訂予定はないとのことである。四六判、252頁。 梶村太市・岩志和一郎・大塚正之・榊原富士子・棚村政行『家族法実務講義』有斐閣(2013年4月)……法科大学院の実務家教員と研究者教員による共著。実務と理論の架橋・融合を目指している。初学者から実務家を読者対象としている。章ごとに学習のねらいと実務上の留意点を明記。重要論点についてはCaseを用いて解説。最新のトピックやホットな話題についてColumnを設けている。タイトルどおり判例実務ベースなので安心して使える。全3部、全20章。A5判、618頁。 本山敦『家族法の歩き方(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2013年3月・第2版)……法セミの連載を単行本化。川井は薄すぎるが二宮は厚すぎるという人にお勧め。時事問題や代表的判例から家族法の基礎的な部分を取得することを目的とする。全24講(親族編:全14講、相続編:全10講)。A5判、272頁。 橋本昇二・三谷忠之『実務 家族法講義(実務法律講義)』民事法研究会(2012年7月・第2版)……平成23年改正民法や平成25年施行の家事事件手続法等、最新の法令・最高裁判例に対応。全2部、全27章。A5判、547頁。 (古典) 有地亨『新版 家族法概論』法律文化社(2005年4月・補訂版)……著者は2006年に逝去。家族法の権威による体系書。制度の歴史経過などの説明が厚い。判例の引用が多いが、結論のみを引用するスタイルなので、判例の事案がよくわからない。民法口語化に対応。A5判、500頁。 川井健・九貴忠彦編『親族・相続法(青林教科書シリーズ)』青林書院(1988年2月)……A5判、306頁。 吉田邦彦『家族法(親族法・相続法)講義録』信山社(2007年6月)……平井弟子による家族法講義録。A5変型判、368頁。 深谷松男『現代家族法』青林書院(2001年3月・第4版)……体系書。中川善之助の愛弟子。論点意識あり。物権法で使ってる本との組み合わせによっては、かなり回しやすい。A5判、352頁。 副田隆重・棚村政行・松倉耕作『新・民法学5 家族法』成文堂(2004年4月)……A5判、356頁。 泉久雄『家族法読本』有斐閣(2005年3月)……序章(家族法を学ぶ前に)+全15章。A5判、274頁。 伊藤進編著『ホーンブック 民法5 親族・相続法』北樹出版(2005年10月・改訂版)……民法の口語化に伴う改正に対応。A5判、294頁。 【基本書:親族法】 (平成30年相続法改正未対応) 大村敦志『家族法(有斐閣法律学叢書)』有斐閣(2010年3月・第3版)……著者は家族法の第一人者。タイトルは家族法であるが、著者の説では相続法は財産法であり、家族法とは親族法とその周辺のみを指すため、本書の範囲も親族のみである。内容は有力説が多いが,極め細やかな解釈であり評価が高い。親族法の体系書としては本書以外の選択肢は考えられないだろう。序章(家族・家族法とは何か)+全4章。A5判、472頁。 大村敦志『民法読解 親族編』有斐閣(2015年12月) ……A5判、590頁。 大村敦志『新基本民法7 家族編——女性と子どもの法』有斐閣(2014年12月)……基本民法シリーズのリニューアル第1弾。2色刷。A5判、226頁。 (古典) 我妻栄『親族法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1961年4月、OD版:2001年4月)……名著。重厚だが古い。 A5判、428頁。 泉久雄『親族法(有斐閣法学叢書)』有斐閣(1997年5月)……全6章。A5判、370頁。著者は2017年に逝去。 【基本書:相続法】 潮見佳男『詳解 相続法』弘文堂(☆2022年7月・第2版)……『相続法』弘文堂(2014年3月・第5版)の実質的改訂版。同書の内容を見直すとともに、読者対象も既修者(実務家を含む)を中心とするものに改められた(はしがき)。642の細かく場合分けされた事例によるケーススタディが特徴。なお、著者は、法制審議会民法(相続関係)部会委員。全15章。A5判、756頁(本文729頁)。 (平成30年相続法改正未対応) 床谷文雄・犬伏由子編『現代相続法』有斐閣(2010年11月)……実務に即したオーソドックスな相続法の教科書。相続関係紛争処理関係手続について章立てしているのが目新しい。家事事件手続法には未対応。全10章。A5判、342頁。 (古典) 高木多喜男『口述相続法』成文堂(1988年11月)……A5判、596頁。 中川善之助・泉久雄『相続法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(2000年10月・第4版)……我妻民法講義などと同時代の文献。伝統的通説。A5判、728頁。 伊藤昌司『相続法』有斐閣(2002年11月)……相続させる旨の遺言(改正相続法における特定財産承継遺言)につき遺贈と解するなど少数説を採る。A5判、432頁。 【その他参考書】 加藤新太郎・松本明敏編集『裁判官が説く民事裁判実務の重要論点[家事・人事編]』第一法規(2016年12月)……判例を素材として論点ごとの課題を整理し、裁判実務の現状を明示するとともに、実務において主張に織り込むべき内容に指針を与え、解説。網羅的な学説の紹介、自説の展開を避け、学術的記述を抑え、裁判官の視点から実務に即して解説。A5判、452頁。 デイリー法学選書編修委員会編『相続法大改正! 新しい相続・遺産分割のしくみ』三省堂(2019年1月)……平成30(2018)年の相続法大改正を反映した新しい相続・遺産分割マニュアル。A5判、208頁。 二宮周平編集代表、棚村政行・犬伏由子・床谷文雄編集担当『現代家族法講座 第1巻・第2巻・第4巻』日本評論社(2020年5月-)……現状の課題を整理し、今後の方向性を提起する講座。A5版、第1巻(個人、国家と家族):480頁・第2巻(婚姻と離婚):382頁・第4巻(後見・扶養):356頁。 〔法改正関係〕 飛澤知行編著『一問一答 平成23年民法等改正——児童虐待防止に向けた 親権制度の見直し』商事法務(2011年11月)……深刻な社会問題として認識されている児童虐待。これに対する児童虐待防止法の制定など各種法的手当てがなされる中、民法の親権制度の見直しがなされた。関連して、児童福祉法、家事審判法、戸籍法等が改正された。本書は、民法における親権停止制度などの内容を他の関連法令改正の概要とともに、81のQ&A形式で解説したもの。全5章。A5判、121頁。 笹井朋昭・木村太郎編著『一問一答 成年年齢引下げ』商事法務(2019年1月)……民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について、立案担当者が解説したもの。全7章、全43Q&A。A5判、224頁。 堂薗幹一郎・野口宣大編著『一問一答 新しい相続法——平成30年民法等(相続法)改正、遺言書保管法の解説』商事法務(2020年10月・第2版)……民法等(相続法)改正と遺言書保管法の趣旨・内容につき、立案担当者が解説したもの。第2版において、全面施行された遺言書保管法を踏まえ、新制度のあり方を立案担当者が解説。全9章、全145Q&A。A5判、408頁。 松尾弘『家族法改正を読む——親族・相続法改正のポイントとトレンド』慶應義塾大学出版会(2019年9月)……令和元(2019)年までのここ数年の親族法と相続法、双方の改正点をコンパクトに解説したもの。A5判、160頁。 山口敦士・倉重龍輔編著『一問一答 令和元年民法等改正——特別養子制度の見直し』商事法務(2020年3月)……一問一答の形式で、立案担当者が改正の趣旨・内容を解説したもの。A5判、196頁。 【入門書・概説書】 本山敦・青竹美佳・羽生香織・水野貴浩『家族法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(☆2023年9月・第4版)……第4版において、2021年相続法改正・2022年親族法改正に対応。家族法総論+全17章。A5判、276頁。 山本敬三監修、金子敬明・幡野弘樹・羽生香織『民法7 家族(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(☆2023年12月)……全21章。A5判、344頁。 松川正毅『民法 親族・相続(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2022年4月・第7版)……論点意識せず。自説少。判例引用不正確。第6版において、平成30年の相続法や、令和元年の親子法(特別養子)の改正に対応するとともに、全体が見直された。全6章(親族法:全3章、相続法:全3章)。四六判、422頁。 田山輝明『事例で学ぶ家族法』法学書院(2019年2月・第5版)……身近で起こる具体的事例を取り入れ優しく説いた家族法の入門テキスト。第5版において、平成29年債権法改正・平成30年相続法改正に対応。全15章。A5判、304頁。 床谷文雄・神谷遊・稲垣朋子・小川惠・幡野弘樹『新プリメール民法5 家族法(αブックス)』法律文化社(☆2023年4月・第3版)……第3版において2022年12月の民法改正まで対応。第2版において、民法(相続関係)改正・成年年齢の引下げ(2018年)、特別養子制度の改正(2019年)などを踏まえ改訂。序章(家族法を学ぶための基礎知識)+全12章。A5判、272頁。 田井義信監修、小川富之編『ユーリカ民法5 親族・相続』法律文化社(2019年5月)……最近の判例や成人年齢、相続法改正にも対応。序論(家族法総論)+全16章。A5判、290頁。 中川淳・小川富之編『家族法』法律文化社(2019年3月・第2版)……第2版において、初版(2013年4月)刊行以降の判例・法改正に対応されたほか、本文、図表、事例、設題等の内容も刷新された。全15章。A5判、302頁。 ☆本澤巳代子・大杉麻美編『みんなの家族法入門』信山社(2021年3月)……A5変型判、344頁。 (平成30年相続法改正未対応) 後藤巻則・滝沢昌彦・片山直也編『【プロセス講義】 民法Ⅳ 家族(プロセスシリーズ)』信山社(2016年6月)……全14章。A5変型判、320頁。 斎藤哲『家族と法』信山社(2017年3月)……全11章。A5変型判、210頁。 利谷信義『家族の法』有斐閣(2010年2月・第3版)……著者は2019年8月に逝去。近時の法改正等に対応していないので注意が必要。家族をめぐる法の全体像を学ぶために。全12章。四六判、326頁。 常岡史子編著『はじめての家族法』成文堂(2013年4月・第2版)……執筆者(鈴木伸智・田巻帝子・岩澤哲・羽生香織・千葉華月・中村恵・大杉麻美・久々湊晴夫)。全16章。B5判、228頁。 奥山恭子『家族の法 親族・相続法』信山社(2014年9月・第2版)……A5変型判、360頁。 本澤巳代子・大杉麻美・高橋大輔・付月『よくわかる家族法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)』ミネルヴァ書房(2014年10月)……全11章。B5判、236頁。 【判例集・ケースブック】 平田厚『プラクティカル家族法 判例・理論・実務』日本加除出版(2014年11月)……実務上の判断根拠として250の厳選判例を収録。A5判、296頁。 加藤新太郎・前田陽一・本山敦編集『実務精選120 離婚・親子・相続事件判例解説』第一法規(2019年5月)……実務家のための離婚・親子・相続事件判例解説書。リーディングケースとなる重要判例120件を収載。B5判、320頁。 (注)親族・相続法に関する上記以外の判例集については、民法(全般)の頁を参照。 【相続法改正関連書】 商事法務編『別冊NBL No.157 民法(相続関係)等の改正に関する中間試案』商事法務(2016年8月)……法制審議会民法(相続関係)部会が示す、法改正に向けた「中間試案」の全文と解説を収録。B5判、120頁。 商事法務編『別冊NBL №163 中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)』商事法務(2017年8月)……平成28年7月から9月に行われたパブリックコメント手続に寄せられた意見やその後の最高裁大法廷決定などを踏まえて、法制審議会民法(相続関係)部会において取りまとめられた新たな方策(追加試案)と解説を収録。B5判、112頁。 〔改正法成立(平成30(2018)年7月13日)以降〕 日本弁護士連合会編集『Q&A 改正相続法のポイント -改正経緯をふまえた実務の視点-』新日本法規出版(2018年12月)……実務家に向けて、相続法改正の重要論点をQ A形式で解説したもの。全17章、全75Q A。A5判、302頁。 東京弁護士会編『ケースでわかる改正相続法』弘文堂(2019年3月)……執筆陣は、相続法改正の法制審議会にも参加し、成立の過程を見続けてきた東京弁護士会法制委員会民事部会のメンバーが中心。序章+全7章。A5判、360頁。 堂薗幹一郎・神吉康二編者『概説 改正相続法 平成30年民法等改正、遺言書保管法制定』きんざい(2019年4月)……立案担当者による改正相続法と遺言書保管法の解説書。「金融法務事情」の連載に大幅加筆したもの。第1部「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の概要」と第2部「法務局における遺言書の保管等に関する法律の概要」という2部構成となっている。A5判、256頁。 中込一洋『実務解説 改正相続法』弘文堂(2019年5月)……相続法改正に係る逐条解説書。A5判、368頁。 潮見佳男編者『民法(相続関係)改正法の概要』きんざい(2019年6月)……『民法(債権関係)改正法の概要』の相続版。法制審議会の審議と資料をベースにした簡明な内容。また、関連する家事事件手続法と新法の遺言書保管法も解説。A5判、216頁。 潮見佳男・窪田充見・中込一洋・増田勝久・水野紀子・山田攝子編著『Before/After 相続法改正』弘文堂(2019年6月)……『Before/After 民法改正』に続く、「Before/After」シリーズの第2弾。改正の前後で、相続法の解釈・運用に、どのような違いが生じるのかを、121のシンプルな設例(Case)をもとに、「旧法での処理はどうだったか」(Before)「新法での処理はどうなるか」(After)に分け、民法学者および実務家が解説したもの。全6章。A5判、266頁。 大村敦志・窪田充見編『解説 民法(相続法)改正のポイント 』有斐閣(2019年8月)……改正前制度の概要から改正に至るこれまでの動きを解説したもの。四六判、258頁。 → このページのトップ:民法(家族)に戻る。 → リンク:民法(全般)、民法(総則)、民法(物権)、民法(債権総論) 、民法(債権各論)
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〔親族法・相続法〕 前田陽一他『リーガルクエスト民法6-親族・相続』(2012年3月・2版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。はしがきで『双書民法』を最も意識したと述べている通り、著者らの自説を抑え、体系と条文の要件効果、判例を重視したつくりになっている。一方で、現行の法制度の運用実体や介護保険制度や信託法などの重要な関連法についてもコラム等で漏らさず述べている。また、重要な論点については丁寧に議論の積み重ねを記述しているため、わかりやすい。イメージとしては「双書民法」と「アルマ民法」の間にある基本書である。極めて「標準的」な教科書だが、個性の強い親族法の本の中では逆に珍しい。 高橋朋子・床谷文雄・棚村正行『民法7親族・相続』有斐閣アルマSpecialized(2011年12月・3版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。親族相続のアルマとしてオススメされるのはこちら。見解が穏当、現代的な問題点や新しい判例についても触れられている。定番。 二宮周平『家族法』新世社(2009年10月・3版)……全24章からなる教科書。練習問題付。リベラル色の強い価値観。『家族と法』岩波新書(2007年10月)は入門書として最適。. 窪田充見『家族法-民法を学ぶ』有斐閣(☆2013年1月・2版予定)……法学教室同名連載を単行本化。設例を中心にした600ページ近い厚さだが、読んでいてニヤリとしてしまうようなユーモラスな文体と充実したコラムにより、意外とスイスイ読める。「法的ルールとしての家族法」の理解形成を目指すとのこと。 犬伏由子・石井美智子・常岡史子・松尾知子『親族・相続法』弘文堂NOMIKA(2012年11月)……女性研究者4人による共著(親族法は犬伏・石井、相続法は常岡・松尾が執筆)。平成23年の法改正を反映。要件効果の説明がわりと丁寧。判例の引用も長め。ところどころ、図表が挿入され理解を助ける。 本山敦『家族法の歩き方』日本評論社(2009年2月)……法セミの連載を単行本化。川井は薄すぎるが二宮は厚すぎるという人にお勧め。価値観は二宮寄りだが前面に押し出されてはいない。以前このページで、本山は二宮周平の弟子であるとの記述があったが誤り。本書あとがきによれば、本山は円谷峻と野村豊弘の弟子。リークエの分担執筆担当者でもある。 有地亨『家族法概論』法律文化社(2005年4月)……家族法の権威による力のこもった体系書。制度の歴史経過などの説明が厚い。490頁。著者は2006年に逝去しているため改訂の見込みは少ない。 松川正毅『民法 親族・相続』有斐閣アルマBasic(2008年4月・2版)……論点意識せず。自説少。判例引用不正確。 吉田邦彦『家族法(親族法・相続法)講義録』信山社(2007年6月)……平井弟子による家族法講義録。 裁研『親族法相続法講義案』司法協会(2008年5月補正・6訂再訂版)……論点意識せず。判例・先例・通説で有力説皆無。索引雑。 深谷松男『現代家族法』青林書院(2001年3月・4版)……体系書。中川善之助の愛弟子。論点意識あり。物権法で使ってる本との組み合わせによっては,かなり回しやすい。 〔親族法〕 大村敦志『家族法』有斐閣(2010年3月・3版)……親族法のみ。内容は有力説が多いが,極め細やかな解釈であり評価高い。 我妻栄『親族法』有斐閣(1961年10月)……法律学全集。重厚だが古い。 〔相続法〕 潮見佳男『相続法』弘文堂(2011年10月・4版)……「プラクティス」のようにケース多用。最終意思尊重よりも法定相続制度を重視する立場をとり、プッシュは弱いが独自説が散見される。 床谷文雄・犬伏由子編『現代相続法』有斐閣(2010年10月)……実務に即したオーソドックスな相続法の教科書。相続関係紛争処理関係手続について章立てしているのが目新しい。家事事件手続法には未対応。 伊藤昌司『相続法』有斐閣(2002年10月)……重厚だが独自説多く司試向きではない。 中川善之助=泉久雄『相続法』有斐閣(2000年10月・4版)……法律学全集。いわゆる伝統的通説だが刊行年度が古いため、最新判例等を補充数する必要あり。
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もどる 事情裁決 私的自治の原則 住民自治 処分についての不服申し立ての場合 所有権絶対の原則 親族・相続法(家族法)
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記述論点 財産法総則 物権 担保物権 債権総則 債権各論 家族法 過去の出題 H22年 物権変動(物権) H21年 代理権 (財産法総則)
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現代の裁判[第五版] 家族法の歩き方 相続分野 世界史B
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3_ 1 ビジネス実務法務の法体系 → ■ 2 企業取引の法務 → ■ 3 債権の管理と回収 → ■ 4 企業財産の管理と法律 → ■ 5 企業活動に関する法規制 → ■ 6 企業と会社のしくみ → ■ 7 企業と従業員の関係 → ■ 8 家族法とビジネス → ■ 2_ 1 企業取引の法務 → ■ 2 債権の管理と回収 → ■ 3 企業財産の管理・活用と法務 → ■ 4 企業活動に関する法規制 → ■ 5 株式会社の組織と運営 → ■ 6 企業と従業員の関係 → ■ 7 紛争の解決方法 → ■ 8 国際法務(渉外法務) → ■
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全般的なもの 〔平成16年民法現代語化以降の基本書〕 平成18年法人部分の改正(平成20年12月1日施行。【法】) 【法】内田貴『民法I-IV』東京大学出版会(I 2008年4月・4版,II 2011年2月・3版,III 2005年9月・2版,IV 2004年3月・補訂版)……歴々の東大系研究者の研究成果を平易に解説したテキスト。内容は高度だがケースメソッド重視で読みやすい。一方、要件・効果の記述はやや曖昧で、通説より自説を強調する傾向がある。司法試験では本書の記述からまるごと出題されたこともあって、何だかんだ言っても旧司法試験時代から変わらずシェアNo1の基本書である。IVは増刷の際に民法現代語化対応。 【法】川井健『民法概論I-V』有斐閣(I 2008年3月・4版,II 2005年10月・2版,III 2009年4月・2版補訂版,IV 2010年12月・補訂版,V 2007年4月・初版)有斐閣……我妻最後の後継者。全範囲完結。図表の類を用いないオーソドックスな基本書。伝統的通説の体系にのっとって、地引網のように、ひっかかる論点を次々に拾っていく。とりあげられる判例・学説は網羅的で、まさしく民法概論の名にふさわしい。自説主張は控えめで、各説を比較的公平に紹介しているために、記述はやや平板だが、非常にわかりやすい。しかし全体的に内容が古く、債権法改正にまつわるような最新のホットトピックには対応していない。また、概説書に徹するゆえに、かえって論点ごとのつながりが悪くなっていることも少なくない(全体として、論点をぶつ切りにして提供されている印象を受ける)。物権、特に担保物権の記述は、主要判例の判示事項、判決要旨を並べただけといってもよく、その値段に見合うものとはいえない(見方を変えれば、判例の数・網羅性につき類書中群を抜いている)。そういう意味では、いわゆる予備校本に似ていない訳でもないが、こうした基本書としての「無色透明さ」があるゆえに、幅広いニーズに応えることができるのも事実である。とくに、単一著者で揃えたいけど内田は性に合わないという人は本書を試してみるとよい。家族法は択一対策に好適。 【法】大村敦志『基本民法I-III』有斐閣(I 2007年3月・3版,II 2005年4月・2版,III 2005年5月・2版)……財産法完結。2色刷り。内田民法と同じ体系で、コンパクトにまとめている。初学者向けながら、高度な内容にも踏み込んでいる部分もあり、上級者であっても得るものが多い。副読本として『もうひとつの基本民法』。『民法のみかた-『基本民法』サブノート』有斐閣(2010年6月)……民法全分野(家族法含む)にわたる必要最低限の情報を凝縮したレジュメ。学者が書いた予備校まとめ本といった趣き。 【法】近江幸治『民法講義I-VII』成文堂(☆I 2012年4月・6版補訂版,II 2006年5月・3版,III 2007年4月・2版補訂版,IV 2009年3月・3版補訂版,V 2006年10月・3版,VI 2007年12月・2版,VII 2010年1月・初版)……全分野完結。早大教授。内田以前のシェアNo.1。見た目は予備校本風だが内容はちゃんとしていて、学者からの推薦も多い。学説紹介が豊富で、図を用いて説明したりしているので独習用に最適(ところどころ異説を採用している部分には注意)。著者の専門である担保物権法には特に定評あり。 加藤雅信『新民法大系I-V』有斐閣(I 2005年4月・2版,II 2005年4月・2版,III 2005年9月・初版,IV 2007年4月・初版,V 2005年4月・2版)……財産法完結、ただし担保物権法はない。歴史的視座、比較法的視座、法社会学・法人類学的視座から独自の民法理論を構築している。民法の関連分野の記載も充実。学生を主要な読者層としているため基本的事項・通説(我妻説)・判例の紹介が平易な文章できちんとされているほか、要件事実論にも配慮してある。また、少数学説も網羅しており、事項索引・判例索引の他、条文索引や詳細な参考文献一覧、更には新旧の民法・破産法の条文対照表まで付く至れり尽くせりの本である。が、分量の関係で自説の説明以外はかなり圧縮されている上、論点落ちもある。なお、研究書としての性格も持たせているため、部分的には極めて高度である。 【法】田山輝明『民法要義I-VI』成文堂(I 2010年7月・4版,II 2005年10月・2版,III 2008年9月・3版,IV 2011年4月・3版,V 2006年5月・初版,VI 2011年2月・2版)……財産法完結。手堅い記述ながらも、図表やケースメソッドを多用しており、理解しやすい。 【法】平野裕之『コア・テキスト民法 I-VI』新世社(2011年6月)……財産法完結。未修者から上級者までを対象とした中級テキスト。著者による『基礎コース民法』と『民法総合シリーズ』の間のレベルとの位置づけ。判例通説をわかりやすく解説しているのはもちろん、このクラスのテキストでは珍しく学説の最新動向や著者の自説もきちんと明示しており独習にも耐える内容となっている。図表・網掛け・下線に加え、レジュメ的な文体は好みがわかれるところ。理論面の解説に重きを置いているので、択一的知識は択一六法等で適宜補充すべし。 〔平成16年民法現代語化以降の教科書〕 【法】我妻栄ほか『民法1-3』勁草書房(I 2008年3月・3版,II 2009年2月・3版,III 2005年10月・2版)……通称ダットサン。伝統的通説。小型だが民法と関連法の概要・歴史、条文の趣旨・要件・効果を網羅している。小型ゆえに初学者には向かないが、直前期の総まとめに定番の一冊。我妻・有泉のみが執筆していた頃のダットサンは、今と大分文章が違っている。『民法案内1-11』(契約各論の使用貸借まで)は講義口調の格調高い入門書。 【法】山田卓生ほか『民法I-V』(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(I 2007年9月・3版補訂版,II 2010年3月・3版補訂版,☆III 2012年4月・3版補訂版,IV 2009年6月・3版補訂版,V2005年4月・3版)……定評のSシリーズ。入門はもとより、択一用のまとめテキストにも好適(ただし全ての肢を網羅している訳ではない)。ロースクール生の間でも人気がある。物権と債権総論がとくに好評だが、基本的にはずれはない。但し親族・相続は伊藤執筆部分が異説が多いといわれる。 『民法2・3・4・7(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣……物権(千葉ほか。2008年2月・2版補訂版)・担物(平野ほか。2005年12月・2版)・債総(中田ほか。2004年4月)・親族相続(高橋ほか。2007年10月・2版)のみ。評価待ち。有斐閣アルマBasicには【法】☆山野目章夫『民法 総則・物権』(2012年3月・5版)と、☆松川正毅『民法 親族・相続』(2012年3月・3版)がある。 【法】『リーガルクエスト民法』(1総則:2010年11月,2物権:2010年5月,3債権総論:未刊,4契約:未刊,☆5事務管理・不当利得・不法行為:2011年11月刊行予定,☆6親族・相続:2012年3月・2版)......共著本。6(親族・相続)の出来が良い一方で、1(総則)と2(物権)は記述のムラが激しく、やっつけ仕事ぶりが出てしまっている。1の執筆者に佐久間を含むが、佐久間『民法の基礎』にはない利点といえば練習問題付であることくらいか。 奥田昌道ほか『法学講義民法1-6』悠々社……財産法完結。 【法】潮見佳男『入門民法(全)』有斐閣(2007年12月 2011年12月・補訂)……1冊で民法全分野をカバー。パンデクテン体系に沿う。論点ごとに記述のばらつきが見られるが、むしろそれによって司法試験向きに仕上がっている。 【法】川井健『民法入門』有斐閣(2007年12月・6版)……民法全分野カバー。パンデクテン体系に沿う。タイトルには「入門」とあるが、誰がどう見ても、国家試験受験生が直前期にさっと通読するための本である。判例の準則もしばしば簡略化しているので、読み手の学力次第では使いこなせない可能性も。くだらない誤植や脱字の類がちょくちょく見られるところがやや残念。 【法】小野秀誠ほか『ハイブリッド民法1-5』法律文化社……新トピックも網羅。薄いので未修向けか。 平野裕之『基礎コース民法1、2』新世社(2005年4月・3版,2005年4月・2版)……2冊で財産法全分野を概説。著書曰く現代のダットサンを目指したとのこと。 〔平成16年民法現代語化以降の入門書〕 【法】米倉明『プレップ民法』弘文堂(2009年3月・第4版増補版)……典型的な売買契約をモデルに、想定される法律問題を時系列順に解説する。含蓄のある良書だが、初学者がその深みを理解することは困難である。 【法】道垣内弘人『ゼミナール民法入門』日本経済新聞出版社(2008年4月・4版)……財産法分野の入門書。教育効果や実際の機能局面を意識して、パンデクテン体系を崩した説明となっている。 【法】淡路剛久『入門からの民法--財産法』有斐閣(2011年12月)……放送大学の教材テキストを加筆修正。典型化された紛争(Case)から民法規範にアプローチする方法を取り入れたとのこと。 ☆【法】近江幸治『民法講義0 ゼロからの民法入門』成文堂(2012年2月)……第1部 ゼロからの民法入門、第2部 教養民法(民法概論)。第2部は「民法講義」から文章、イラストを補訂・再製作して使用。 〔平成16年民法現代語化以前の基本書・教科書等〕 我妻栄『民法講義』岩波書店……民法で通説といえば、おおむね我妻説を指す。不法行為法以降は民法講義としては未出版だが、ほぼ全範囲にわたって著書がある(『事務管理・不当利得・不法行為』日本評論社(1989年2月)、『親族法(法律学全集)』有斐閣(1982年3月))。なにしろボリュームがボリュームなので、マイナーな議論まで網羅的に取り扱っていることのほか、きわめて抽象的な定義付けから体系的に論じていく点に、近時の本には無い特徴がある。古いとはいえ、裁判を含め今なお実務への影響力は高く、余力のある学生は総則・物権・債権総論など、今からでも読んでおきたい。なお、文中で登場する「通説」は鳩山説などを意味し、著者がそれに対し異論を述べたものが現在の通説となっていることがある。本書で紹介される学説には、すでに絶滅したものも少なくないのである。したがって、すでに民法を一通りマスターし、学説史にも明るい学生でなければ、混乱をきたす可能性もある。我妻であるから、あるいは実務であるからといって無批判、無条件に鵜呑みにするのではなく、本書で展開されているのは基本的に戦前ないし戦後初期の理論であるということを念頭に置いて熟読されたい。 鈴木禄彌『○○法講義』創文社……全範囲完結(家族法含む)。物権法のみ現代語化にも対応。学習の便宜のためあえて体系を崩しており,早くからケースメソッドを採用するなど、時代を先取りした画期的な教科書だった。抽象的な定義や要件・効果の羅列をあえて避け,制度のあり方や実際の機能にもっぱら着目するという内容になっている。情報量も絞られており,端的に答えを知りたいときの辞書的な用法には向かないが,常に具体例をもとにして条文の趣旨が極めてクリアに語られているので,通読によって大きな効果を発揮するだろう。著者は要件事実教育について批判的なスタンスであったが、本書では主張・立証責任の配分について充分な記述があり,本書に取り組むことで要件事実についての理解も深まると思われる。時折挿入される図表がすこぶるよくできている点も特徴。なお,判例に言及する際に一々判決文を引用しないため、判例集や判例付六法を準備して読むべきである。シリーズ中,とりわけ物権法は名著といわれ、星野英一も自著のはしがきで「最高の水準」と絶賛している。 星野英一『民法概論1-4』良書普及会……契約法まで。但し版元の良書普及会が出版終了。家族法は放送大のテキストあり。 松坂佐一『民法提要1-5』有斐閣……財産法完結・家族法あり。元名大総長。我妻説立脚。30年分の判例・議論の補充要。 北川善太郎『民法講要1-5』有斐閣……財産法完結・家族法あり。前京大教授。記述平板ながら詳しい。契約責任説の主唱者。自説僅少。判例豊富。潮見&山本は北川ゼミ出身。 船越隆司『民法総則』『物権法』『担保物権法』『債権総論』尚学社(2001年4月・改訂版,2004年4月・3版,2004年4月・3版,1999年4月)……元中央大教授。 遠藤浩ほか『民法(1)-(9)(有斐閣双書)』有斐閣(I 2004年9月・4版増補補訂3版,II 2003年5月・4版増補版,III 2003年12月・4版増補版,IV 2002年12月・4版増補補訂版,V 1996年12月・4版,VI 2002年9月・4版増補補訂版,VII 1997年1月・4版,VIII 2004年5月・4版増補補訂版,IX 2005年1月・4版増補補訂版)……かつての司法試験民法のスタンダードテキスト。事実上の国定教科書とまで呼ばれた。有力中堅学者が長老陣になるまで30年間にわたり改訂を重ねてきたため、記述は安定している。判例・通説を基礎に有力説を加え、基本的事項を丁寧に解説する良書である。判例についても文字サイズを落として事案と判旨と評価をコンパクトに解説している。自説を抑えて書いてあるため平板との声もあるが、良く読めばそれぞれの著者の個性が出ており飽きない。しかし、民法現代語化に対応したのは(9)相続のみであり、(5)(7)は1996年の改訂が最後となっている。他は2002年から2004年にかけて改訂されており、担保物権は平成15年改正に対応しているので現在でも使えないわけではないが、使用者はかなり減っている。2004年の増刷を最後に絶版となった。 〔コンメンタール〕 【法】我妻榮・清水誠・田山輝明・有泉亨『我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権』日本評論社(2010年7月・2版追補版)……我妻説、判例を中心としたコンパクトな注釈書。短答レベルの知識は網羅している。追補分のダウンロードページ 遠藤浩・他編『基本法コンメンタール民法』日本評論社(2005年6月-,第5版)……全6巻。財産法編は総則を除いて平成16年度現代語化に対応した補訂版に留まっている。我妻コンメで扱っていない親族・相続はそれぞれ2008年2月、2007年9月と比較的新しい。総則は法人法改正に対応して2012年4月に第6版が出たが、一般法人法の解説はほとんどされていない。 谷口 知平・他編『新版注釈民法』有斐閣(1988年6月-)……全26巻。最新は2009年9月に(6)物権(1)が出ているが、発行年度が古いものも多い。実務必携の注釈書だが、学生には荷が重い。図書館で参照する程度で十分である。 〔判例集〕 【法】中田裕康・潮見佳男・道垣内弘人編『民法判例百選I・II』有斐閣(2009年4月,2009年5月・第6版)……スタンダードな判例集。第6版では判例の差し替えが多く、Iは42件、IIは36件の判例が差し替えられた。 水野紀子・大村敦志・窪田充見編『家族法判例百選』有斐閣(2008年10月・7版) 民法判例集『総則・物権』『担保物権・債権総論』『債権各論』有斐閣(2001年3月,2004年2月・2版,2008年3月・3版)……取り上げられている判例の数は多く、判旨の引用も長い。一方、解説は薄い。債権各論は出版年に比べて収録判例がやや古い。 奥田昌道・安永正昭・池田真朗編『判例講義民法1・2』悠々社(2005年4月・補訂版)…学生向けの参考書として定評のある判例集。百選に比べて平易なので初学者向きではある。ただし、本のサイズは百選より大きく重い。 松本恒雄・潮見佳男編『判例プラクティス民法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』信山社(2010年3月,2010年6月,2010年8月)…Ⅰは総則・物権、Ⅱは債権、Ⅲは親族相続。収録判例数は順に393、399、197件と多数。B5版1ページに事案・争点・判旨・解説と多くの事項を盛り込みすぎの感が。ひとりの執筆者が、同じ分野の複数の判例を続けて解説しているので、判例相互の関連を理解しやすのではないか。 〔演習書〕 【法】松岡久和・潮見佳男・山本敬三『民法総合・事例演習』有斐閣(2009年4月・2版)……京大教授による事例問題集。ほとんどの問題に解説・解答はなく、設問・チェックポイント、参考文献が羅列されているだけなので、自習には使いづらい。学生同士でゼミを組むにしても、問題はいずれも極めて高度かつ難解なので、消化不良に陥ること必至である。心してかかること。 伊藤進『旧司法試験 論文本試験過去問 民法』(2004年1月)……旧司法試験の過去問集。元旧司法試験委員の伊藤進教授の解説講義を書籍化。解説、教授監修答案(or再現答案)からなる。全26問。絶版だったがオンデマンドで復刊された。論点の解説をすることではなく、問題分析の思考過程を示すことに眼目をおいてあるため明確な結論を示していないこともある。平成15年担保法改正まで対応。 道垣内弘人・大村敦志『民法解釈ゼミナール5 親族・相続』有斐閣(1999年12月)……「演習ノート」以外では、おそらく家族法領域では最近で唯一の市販演習書。少し前の旧試験チックな短めの事例問題が並ぶ。理論的に高度な内容ではあるが、さすがに10年前の内容で古くなってしまっている。 総則 〔基本書〕 ※備考:平成18年法人部分の改正(平成20年12月1日施行。【法】) 【法】四宮和夫=能見善久『民法総則』弘文堂(2010年5月・8版)……能見の改訂は賛否両論。分かりやすくなったとも,格調が下がったとも。オーソドックスな作りの基本書であり、今なお無難な選択肢ではある。かなり詳細な議論にわたる個所もあり、横書き430頁と最近の体系書の中では厚い方であるといえる。 【法】佐久間毅『民法の基礎1』有斐閣(2008年3月・3版)……著者は京都大学教授であるが、東大の指定教科書にもなった総則の決定本。基礎という名の通り、判例の立場を中心にわかりやすい説明。その一方、補論では緻密な論理展開で、かなり高度な議論が展開される。 潮見佳男『民法総則講義』有斐閣(2005年4月)……講義レジュメが元。ケースメソッド。プラクティスより薄く、黄色本より詳しい。 【法】野村豊弘『民法I』有斐閣(2008年4月・2版補訂)……東大系。シンプル。物足りない感はあるかも。キーワードのまとめがあり,確認に便利。 【法】平野裕之『民法総則』日本評論社(☆2011年12月・3版)……詳細。民法総合シリーズへ統合されないまま改訂された。 辻正美『民法総則』成文堂(1999年4月)……遺作。京大学派が補訂。本質論重視,判例や既存の学説を踏まえつつも鋭い問題指摘。 【法】河上正二『民法総則講義』日本評論社(2007年11月)……東大教授。法セミ連載を単行本化。ローマ法の歴史を踏まえて民法総則を解説する。判例よりも性質論に厚く、示唆に富む。634ページという山本に次ぐ厚さだがヤマケイがレジュメ調に整理しているのに対してこちらは法哲学からの流れを重視し説明が重厚。文体は人文系の厚い本に似た感触がある。 池田真朗『スタートライン民法総論』日本評論社(2006年12月)……基本的には総則の入門書だが、最初に物権や債権等の概観を記述にいれてるため、読みやすい。 【法】山本敬三『民法講義I』有斐閣(2011年6月・3版)……京大教授。684ページと、総則分野の本ではかなりのボリューム。といっても、図を多用しているため、本文の量は他の本よりやや多い程度。特に錯誤論の整理に関して、非常に評価が高い。好評の要件事実表をさらに進化させた規範構造表を新設。 四宮和夫「『民法総則』弘文堂(1986年・4版)……通称四宮旧版。能見が改定する以前の版。「四宮」として基本書で引用される方。(現行の方は「四宮・能見」)。債権法で平井が我妻説にアンチテーゼを提起したのに対し、四宮はこの本で我妻説を批判し有力説を築いた。薄いが内容は圧倒的な濃さ。 物権 このページで紹介される基本書の多くは、民法全範囲をカバーすることが予定されているものの、未だ他の分野は執筆段階にとどまるものである。 広中俊雄『物権法』青林書院(1987年9月・2版増補)……体系書。絶版・入手困難。あえて基本書に選ぶ必要はないと思うが、読み物としてはなかなか面白いので、物権法に興味・関心があるならば図書館で借りるなどして読んでみると良いだろう。 平野裕之『物権法』弘文堂(2001年4月・2版)……論点講義シリーズ(詳細)。 石田穣『物権法(民法大系(2))』信山社(2008年7月)……177条について効力要件説を提唱。意欲的な体系書。 佐久間毅『民法の基礎2』有斐閣(2010年3月・補訂2版)……高度だが判例通説中心。177条で変動原因制限説からの帰結がよくわからんのが玉に瑕。 (以下含担保物権) ☆山野目章夫『物権法』日本評論社(2012年3月・5版)……簡潔だが内容もやや薄。 【現】【法】『初歩からはじめる物権法』日本評論社(2007年3月・5版)は、物権・担保物権を含めた入門書。 野村豊弘『民法II』有斐閣(2004年8月)……総則と同じく、シンプル。 田山輝明『通説物権・担保物権法』三省堂(2005年4月・3版)……通説とあるように、標準的な見解を述べている。 田井義信他『新物権・担保物権法(NJ叢書)』法律文化社(2005年12月・2版)……割と色々な判例に触れ、記述も正確。 松尾弘他『物権・担保物権法』弘文堂NOMIKA(2008年9月・2版)……図表が駆使され、わかりやすい。 安永正昭『講義 物権・担保物権法』有斐閣(2009年3月)……構成・内容はオーソドックス。法学教室の連載が元だが、本書では本文の中に判例が独立して組み込まれている。百選番号は第6版に対応。 〔担保物権〕 高木多喜男『担保物権法』有斐閣(2005年7月・4版)……担保物権法分野における代表的な体系書として定評があり、あらゆる文献で引用される。解説は繰り返しを厭わない丁寧なもので、分量も多すぎず少なすぎず丁度良い。独自説をぐいぐい押しだすようなところもない。基本書選びに迷ったら本書を選べば間違いはない。安心の一冊。 道垣内弘人『現代民法III 担保物権法』有斐閣(2008年1月・3版)……高度で独自説満載だが、近年、高木・担保物権法を後継する代表的な体系書としての地位を得つつある。 高橋眞『担保物権法』成文堂(2010年6月・2版)……著者は京大卒の前田達明門下。体系的な整理が行き届いており、執行手続への言及も必要十分。自説の押しは弱く、総じて無難な内容。横書き(第2版より)で、文章も比較的分かりやすいが、レジュメ調なので好みが分かれるかもしれない。最判H21.7.3まで収録。 松井宏興『担保物権法』成文堂(2011年10月・補訂2版)……薄いが抵当権と非典型担保に関する記述は充実。最近の教科書には珍しく、抵当権の機能に対する社会科学的分析などがされていない。判例通説に沿う形で設例を交えつつ制度を淡々と紹介してあり、自説はやや控えめとなっている。最新判例に加え、高木説、道垣内説、内田説などの紹介・整理もしてあるため、応用問題を理解するための橋渡しとして有用である。 平野裕之『民法総合3 担保物権法』信山社(2009年9月・2版)……教科書と判例集の融合というコンセプトだが、他のシリーズに比べ厚くないため読みやすい。 小林秀之・山本浩美『担保物権法・民事執行法(新・論点講義シリーズ5)』弘文堂(2008年06月) 石田穣『担保物権法(民法大系(3))』信山社(2010年10月)……既刊の物権法に引き続き、ほぼ全分野にわたって独自説を展開。学界に与える影響がいかほどのものかはさておき、司法試験対策に用いるにはオーバースペックであるということは間違いないだろう。 債権 池田真朗『スタートライン債権法』日本評論社(2010年3月・5版)……初めて債権法を学ぶにはお勧めの入門書。 〔債権総論〕 奥田昌道『債権総論』悠々社(1992年7月・増補版)……前最高裁判事。伝統的通説。各種文献で引用される回数はきわめて多いが、古い。 平井宜雄『債権総論』弘文堂(1994年1月・2版)……通説に対するアンチテーゼとして一時代を画した。立法者意思や制度趣旨から演繹的かつ丁寧に解釈していくスタイルに定評がある。現在は平井説の批判をふまえた新しい世代の学説が主流となりつつあり、その意味では本書はその役割を終えたというべきだろう。判例・通説を十分に理解した上で取り組むべき本。 前田達明『口述債権総論』成文堂(1993年4月・3版)……著者の京大での講義を録音したテープをもとに書かれている。執筆段階でかなり手が加えられているため、臨場感はそれほどでもないが、平易な口語を用いた説明は非常に丁寧で分かりやすい。判例その他の具体例を豊富に挙げるが、いわゆるケースメソッドとは異なる、オーソドックスなスタイルである。歴史的沿革の説明が詳しい(一般的な概説書の水準を遥かに超えている)点に特徴がある。著者の体系がそれほど前面に出ていないため、読み手の学習段階を問わないとっつきやすさがある。 淡路剛久『債権総論』有斐閣(2002年12月)……法教連載の単行本化。とはいえ中身は正統派の体系書。奥田ら伝統的通説、平井説の後世代かつ内田・潮見・中田らの前世代という位置づけ。したがって過渡期の理論が多い。 ☆潮見佳男『プラクティス債権総論』信山社(2007年4月・3版 2012年4月・4版)……債権総論分野の基本書としては、最高水準の一冊。内容としては下の二分冊を要約した部分も多いが、二分冊と違い、判例通説+有力説1個程度の説明に留めるなど、教科書としての役割が意識されている。中田『債権総論』との違いとして、ケースが多用されていること(ケースの解答はないものの、ケースを踏まえて原理原則・判例の解説がなされている)、要件事実を意識した構成になっていること、判例のとる論理をナンバリングを用いて丁寧に整理していることなどが挙げられる。もっとも、中田が伝統的通説に近い立場から、引用文献を明示したうえで近時の有力説を整理しているのに対し、本書は引用文献なしで、有力説の立場を前提に説明を進めている部分がある。 潮見佳男『債権総論1』、『2』信山社(2003年8月・2版,2005年3月・3版)……有力説・2分冊。「学部における債権総論を対象とした準教科書(学習書)としての役割を切り捨てて理論ベースでの叙述に徹し」(はしがき)、債権者利益(契約利益)中心の体系という観点から債権総論を再構築した理論と実務を架橋する意欲的な体系書。樹海という隠語で呼ばれることも。 ☆中田裕康『債権総論』岩波書店(2011年8月・新版)……著者は実務家、一橋教授を経て、現在は東大教授。京大系学説(潮見など)にも目配せした最新の体系書。かゆいところに手が届く、丁寧かつ分かりやすい記述は、学生はもとより学者からも圧倒的に評判がよい。まさに債権総論の基本書の決定版。新版では判例学説が追加され、債権法改正についても加筆された。具体的には「中間的な論点整理」の各論点につき本文中に*印を付し、巻末で当該論点の改正動向について一行程度の解説(全7頁)を付している。 池田真朗『新標準講義民法債権総論』慶應義塾大学出版会(2009年4月)……コンパクト。判例・通説に徹底した解説。パンデクテン体系を崩さず民法典の体系に沿って進めているため最近のパンデクテン体系を崩した本が合わない場合の選択肢。あくまで初級者~中級者向けなので情報量は少ない。 平野裕之『プラクティスシリーズ債権総論』信山社(2005年3月)……学説が上手く整理されている。 内田勝一『債権総論』弘文堂(2000年10月)……損害賠償で自説。図がないのが難。 渡辺達徳・野澤正充『債権総論』弘文堂NOMIKA(2007年11月)……無難な出来。 円谷峻『債権総論―判例を通じて学ぶ』成文堂(2010年9月・2版)……タイトルの通りで、かつ判例が長めに引用。 〔債権各論〕 広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1994年3月・6版)……典型契約をめぐる法制度の歴史や、わが国におけるその社会的実態を重視し、説得力ある議論を展開する。文章にくせがあり、大審院判例や起草者意思を原文のまま頻繁に紹介するため、読むのにやや時間がかかるが、普通に読み物として面白いので、民法が今一つ好きになれない学生などが副読本にするとよいだろう。なお、各論点における結論自体は意外と穏当で、近時の多数説とされるものが多い。 潮見佳男『基本講義債権各論I・II』新世社(2009年12月・2版,2009年10月・2版)……学生向け。ですます調。分量が手ごろなので、ロースクール生の間でのシェアはかなりのもの。II(不法行為法)は必要にして十分な内容。I(契約法・事務管理・不当利得)は旧版時にはさすがに薄いとの声もあったが、第2版では30ページほど加筆されている。 水辺芳郎『債権各論』三省堂(2006年4月・2版)……コンパクト。文章に難ありという声も。 笠井修・片山直也『債権各論I契約・事務管理・不当利得』弘文堂NOMIKA(2008年12月)……無難。 〔契約法〕 来栖三郎『契約法』有斐閣(1974年9月)……古典的名著。契約総論はない。 石田穣『民法V(契約法)』青林書院(1982年3月)……古いが名著とされる。 水本浩『契約法』有斐閣(1995年3月)……重版予定なし。10年落ち。名著? 平井宜雄『債権各論I上契約総論』弘文堂(2008年8月)……はしがきが感動的な、平井ファン待望の一冊……だったのだが、強い実学志向から、現代的な契約を巡る法現象を直視し、企業間契約を著者の体系の中心に据えた結果、学問的営為としての近代的な契約法学とは全く異なる内容に仕上がっている。そのため、学生、とくに受験生の類はすっかりおいてけぼりとなってしまった。いずれにせよ、各論下の早期刊行が期待される。 潮見佳男『契約各論I』信山社(2002年1月)……理論の洗練度はかなりのもの。但し,体系書&潮見語。なお契約総論は『債権総論I』(法律学の森)にて論じられている。 山本敬三『民法講義IV-1』有斐閣(2005年11月)……著者講義のレジュメを元に、各論点の通説・有力説・判例がレジュメ調に網羅され、しかも各説ごとの要件事実ブロック・ダイアグラムも載っている。 平野裕之『民法総合5 契約法』信山社(2007年2月)……判例集も合わせているため、読むのに苦労する。 後藤巻則『契約法講義』弘文堂(2007年4月・2版)……学部およびロースクールの授業用の教科書。設問も付いている。導入用の教科書としてはちょうどいい分量・難易度になっているが、メインの基本書としては薄すぎる。 半田吉信『契約法講義』信山社(2005年4月・2版)……最新の学説や消費者契約などにも目配りが利いている。 三宅正男『契約法 総論・各論(上)(下)』青林書院(1978年2月,1983年3月,1988年10月)……雇用はない。 野澤正充『法セミ LAW CLASS シリーズ 契約法 セカンドステージ債権法(1)』日本評論社(2009年1月)……法学セミナーの連載をまとめている。 〔事務管理・不当利得・不法行為〕 四宮和夫『事務管理・不当利得』青林書院(1981年11月)……独自説が多いが,理論水準の高さには定評。 加藤雅信『事務管理/不当利得』三省堂(1999年9月)……いま事務管理・不当利得を真面目に学習しようとするならば第一に読まれるべき本。論旨が明快で透明感のある論述を特徴とする。 澤井裕『テキストブック事務管理・不当利得・不法行為』(2001年4月・3版)……二元論。不法行為部分が詳しい。参考書に最適。入手方法がオンデマンド版となっているのが残念。 円谷峻『不法行為法・事務管理・不当利得―判例による法形成』成文堂(2005年11月)……判例の引用が詳しい。 吉田邦彦『不法行為等講義録』信山社(2008年12月)……平井弟子による不法行為等(法定債権)の講義録。独習に耐えるレジュメといった趣。 石崎泰雄・渡辺達徳編『新民法講義5・事務管理・不当利得・不法行為法』成文堂(2011年3月)……若手研究者(執筆者の多くが准教授)による法定債権の教科書。比較的新しい情報を平易に解説している。設例と図解が豊富であるのが本書の特徴。 橋本佳幸・大久保邦彦・小池泰『リーガルクエスト民法V事務管理・不当利得・不法行為』有斐閣(2011年11月)……質量ともに司法試験対策として十分な内容を持つ。その反面、高度な議論を圧縮したような個所もあるので、全くの初学者は、例えば潮見黄色などの後に読めばより効果が上がるだろう。 〔不法行為〕 四宮和夫『不法行為』青林書院(1985年8月)……定評あり。重厚。 幾代通著・徳本伸一補訂『不法行為法』有斐閣(1993年1月)……今となっては古いが比較的オーソドックスな体系。理論的でありながら、学生に向けて柔らかく語りかけるような記述は、普通に読み物として面白い。名著。 平井宜雄『債権各論Ⅱ不法行為』弘文堂(1992年4月☆Ⅰ上のはしがきによれば、現在改訂中とのこと)……独自の体系により『債権総論』と同じく民法学界に多大な影響を与えた(『損害賠償法の理論』を併読すると平井説に対する理解が進みやすい。)。平井説がすべて受け入れられたわけではないが、学者、実務家いずれの側においても、その影響を受けていない者はいない。名著であるが、抽象的かつ難解なので、初学者はまず平井説をふまえた新しい世代の基本書を読むべきだろう。上智ローでは不動の教科書。 潮見佳男『不法行為法』信山社(1999年5月,2版は3分冊の予定で現在『不法行為法I』(2009年9月)、『II』(2011年2月)が刊行済み。効果論が未刊)……判例・学説を詳細に整理し、かつ自らの体系も明らかにした現時点で本邦最高峰の体系書(とくに第2版)。受験生が読む本ではない。 吉村良一『不法行為法』有斐閣(2010年2月・4版)……関西系。読みやすい。 平野裕之『民法総合6 不法行為法』信山社(2009年9月・2版)……契約法と同じく、判例集込みで分厚い本。 窪田充見『不法行為法』有斐閣(2007年4月)……設例方式。内田2と相性が悪い人におススメ。 【現】前田陽一『債権各論II不法行為法』弘文堂NOMIKA(2007年7月)……読みやすいが、薄い。ただし、これで必要十分という声も。 【債権法改正関連書】 ☆大村敦志『民法改正を考える』岩波新書(2011/10)……東京大学における「民法改正-留学生のため民法案内(2)」の講義ノートをまとめたもの。債権法改正にとどまらず、家族法改正等を含めて、「民法を改正することはどういうことか」を論じた著書。 ☆内田貴『民法改正-契約のルールが百年ぶりに変わる』ちくま新書(2011/10)……債権法改正論者が、債権法改正を正当化づける立法事実(要するに債権法改正の必要性)を解説した入門書。債権法改正の是非を語る上で欠かせない基本書となるだろう。法学徒必読の書。 内田貴『債権法の新時代-「債権法改正の基本方針」の概要』商事法務(2009/09)……債権法改正の最重要中心人物による「債権法改正の基本方針」入門書。必読文献。 民法(債権法)改正検討委員会編『債権法改正の基本方針(別冊NBL No.126)』商事法務(2009/04)……債権法改正の基本方針本文。後記「詳解」を買うなら本書は不用。 民法(債権法)改正検討委員会編『シンポジウム「債権法改正の基本方針」(別冊NBL No.127)』商事法務(2009/08)……債権法改正の基本方針についてのシンポジウムの講義録とレジュメ集。委員会の委員が基本方針について解説したもの。 民法(債権法)改正検討委員会編『詳解・債権法改正の基本方針I-V』商事法務(2009/09-2010/06)……債権法改正の基本方針の全文+注釈。委員会の委員による公式注釈書。現行法の問題点を網羅しており、さながら債権法についての最高水準の体系書である。 民事法研究会編集部編『民法(債権関係)の改正に関する検討事項-法制審議会民法(債権関係)部会資料〈詳細版〉』民事法研究会(2011/01)……法制審議会民法(債権関係)部会の各会議で提出された「民法(債権関係)の改正に関する検討事項 詳細版(1)~(15)」を1冊にまとめた資料集。本書の内容は法務省HPで無料公開されているが膨大な量なので重宝する。 「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理(NBL953号別冊付録)」(2011/05)……法制審による債権法改正関連資料。法務省HPでダウンロード可能。 商事法務編『民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理の補足説明』商事法務(2011/06)……法制審による債権法改正関連資料。上記「論点整理」に簡潔な解説を加えたもの。したがって、本書を購入すれば上記「論点整理」は不要。法務省HPでダウンロード可能。 家族法 〔親族法・相続法〕 ☆前田陽一他『リーガルクエスト民法6-親族・相続』(2012年3月・2版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。はしがきで『双書民法』を最も意識したと述べている通り、著者らの自説を抑え、体系と条文の要件効果、判例を重視したつくりになっている。一方で、現行の法制度の運用実体や介護保険制度や信託法などの重要な関連法についてもコラム等で漏らさず述べている。また、重要な論点については丁寧に議論の積み重ねを記述しているため、わかりやすい。イメージとしては「双書民法」と「アルマ民法」の間にある基本書である。極めて「標準的」な教科書だが、個性の強い親族法の本の中では逆に珍しい。 ☆高橋朋子・床谷文雄・棚村正行『民法7親族・相続』有斐閣アルマSpecialized(2011年12月・3版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。親族相続のアルマとしてオススメされるのはこちら。見解が穏当、現代的な問題点や新しい判例についても触れられている。定番。 二宮周平『家族法』新世社(2009年10月・3版)……全24章からなる教科書。練習問題付。リベラル色の強い価値観。『家族と法』岩波新書(2007年10月)は入門書として最適。. 窪田充見『家族法-民法を学ぶ』有斐閣(2011年5月)……法学教室同名連載を単行本化。設例を中心にした600ページ近い厚さだが、ユーモラスな文体と充実したコラムにより、思ったよりスイスイ読める。「法的ルールとしての家族法」の理解形成を目指すとのこと。 本山敦『家族法の歩き方』日本評論社(2009年2月)……法セミの連載を単行本化。川井は薄すぎるが二宮は厚すぎるという人にお勧め。価値観は二宮寄りだが前面に押し出されてはいない。以前このページで、本山は二宮周平の弟子であるとの記述があったが誤り。本書あとがきによれば、本山は円谷峻と野村豊弘の弟子。リークエの分担執筆担当者でもある。 有地亨『家族法概論』法律文化社(2005年4月)……家族法の権威による力のこもった体系書。制度の歴史経過などの説明が厚い。490頁。著者は2006年に逝去しているため改訂の見込みは少ない。 松川正毅『民法 親族・相続』有斐閣アルマBasic(2008年4月・2版)……論点意識せず。自説少。判例引用不正確。 吉田邦彦『家族法(親族法・相続法)講義録』信山社(2007年6月)……平井弟子による家族法講義録。 裁研『親族法相続法講義案』司法協会(2008年5月補正・6訂再訂版)……論点意識せず。判例・先例・通説で有力説皆無。索引雑。 深谷松男『現代家族法』青林書院(2001年3月・4版)……体系書。中川善之助の愛弟子。論点意識あり。物権法で使ってる本との組み合わせによっては,かなり回しやすい。 〔親族法〕 大村敦志『家族法』有斐閣(2010年3月・3版)……親族法のみ。内容は有力説が多いが,極め細やかな解釈であり評価高い。 我妻栄『親族法』有斐閣(1961年10月)……法律学全集。重厚。 〔相続法〕 潮見佳男『相続法』弘文堂(2011年10月・4版)……「プラクティス」のようにケース多用。最終意思尊重よりも法定相続制度を重視する立場をとり、プッシュは弱いが独自説が散見される。 伊藤昌司『相続法』有斐閣(2002年10月)……有力だが,独自の解釈多し。司試向きではない? 中川善之助=泉久雄『相続法』有斐閣(2000年10月・4版)……ほぼ通説。ヘビー。
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