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トップページ - 期間限定イベント - 女型の巨人を捕獲せよ! - 女型の巨人を捕獲せよ!攻略 - 「作戦実行」ボタンを押す前の準備 攻略 本イベントを進行させる操作となる「作戦実行」ボタンを押す前に、以下を実行しておこう。 街の「開発」で、出来るだけ兵士カードを消費する。 必要ないレアカードを、レアメタルへ交換する。 兵士強化で、出来るだけ装備カードを消費する。 直近では使用する予定の無いカードを、拠点内に入れる。 上記のように、出来るだけ兵士カードと装備カードは整理整頓し、必要最低限のカードのみを所有するようにしよう。 上記対策の理由は、下記の通り。 理由 「作戦実行」ボタンを押すと稀に発動する「大進撃」は、5分間と限られた時間しか与えられない。 「大進撃」中に出来るだけ進行した方が、イベント特性上 有利となる。 「大進撃」中に獲得した兵士カードと装備カードは、プレゼント枠ではなく直接 兵士カード枠と装備カード枠に入る。 兵士カード枠と装備カード枠が最大だった場合は、獲得したカードは切り捨てられてしまう。 「大進撃」中にカードを整理整頓していると、5分の時間などすぐに無くなってしまう。 よって、出来るだけ受け取れるカードを増やしておく事で、イベントをより有利にプレイできる。 女型の巨人を捕獲せよ!攻略へ戻る 女型の巨人を捕獲せよ!へ戻る 期間限定イベントへ戻る トップページへ戻る
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現在開放されているサーヴァント一覧 セイバー枠 1:青い戦衣装に身を包んだ少女騎士 アルトリア・ペンドラゴン 2:白銀の鎧に身を包んだ青年騎士 ガウェィン 3:白い百合のような衣装の少女騎士 アルトリア・ペンドラゴン(リリィ) 4:バイザーで目元を覆った黒い騎士 アルトリア・ペンドラゴン(オルタ) 5:赤い派手な衣装に身を纏った剣士 ネロ・クラウディウス 6:紅蓮の聖女 ジャンヌ・ダルク 7:清廉なる聖剣使い アーサー・ペンドラゴン ランサー枠 1:青い軽鎧に身を包んだ赤槍の槍兵 クー・フーリン 2:赤と黄色の二槍を掲げた槍兵 ディルムッド・オディナ 3:黒い血まみれの鎧を纏った槍兵 ヴラド・ツェペシュ 4:金の装飾を纏った槍兵 カルナ 5:武装僧の姿をした男 武蔵坊弁慶 6:泥を形成した人形 エルキドゥ アーチャー枠 1:赤い外套を纏う青年 エミヤシロウ 2:緑の装束の青年 ロビンフッド 3:野性味溢れる女性 アタランテ 4:黄金の王 ギルガメッシュ 5:堅琴を持つ青年 ダビデ バーサーカー枠 1:岩を削りだしたような巨大な戦士 ヘラクレス 2:黒い甲冑を纏う、靄に隠れた騎士 サー・ランスロット 3:特徴的な冠飾りの、中華系の武人 呂布 4:セーターと紫のスカートを纏った金髪の女 アルクェイド・ブリュンスタッド 5:ほら、傷口も笑ってる スパルタクス 6:ゴールデン! 坂田金時 7:(トイレの電気を消す音) フランケンシュタイン アサシン枠 1:複数の白い骸骨の面。 ハサン・サーバッハ 2:腕に包帯を巻いた骸骨の面。 ハサン・サーバッハ 3:薄い微笑を浮かべ、背をも超えるような太刀を持つ侍 佐々木小次郎 4:幼い、白髪の少女 ジャック・ザ・リッパー 5:中華風の衣装に身を包んだ武人 李書文 キャスター枠 1:フードを被った魔女 メディア 2:獣耳の、露出が多い女 玉藻の前 3:黒い、写し身の鏡を思わせるモノ ナーサリーライム 4:ぶつぶつと呟く脚本家 シェイクスピア 5:ギョロついた目が特徴的な男 ジル・ド・レェ ライダー枠 1:眼帯をつけた妖艶な女 メデューサ 2:筋骨隆々な戦車乗り イスカンダル 3:顔に傷を負った二丁拳銃使い フランシス・ドレイク 4:蝶の髪飾りをした少、女…? アストルフォ 5:高潔そうな青年 ゲオルギウス 6:死を運ぶ騎乗主 ペイルライダー
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東富士カントリークラブをお気に入りに追加 楽天GORAで予約する 東富士カントリークラブ 楽天GORAでゴルフ場を探す 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 東富士カントリークラブとは 東富士カントリークラブの59%は歌で出来ています。東富士カントリークラブの17%は覚悟で出来ています。東富士カントリークラブの16%は嘘で出来ています。東富士カントリークラブの6%はやらしさで出来ています。東富士カントリークラブの2%は毒電波で出来ています。 東富士カントリークラブの報道 三浦桃香による新ゴルフ番組「バーディーラッシュ!!」がBSフジで10月4日より放送開始 | ゴルフのポータルサイトALBA.Net - ゴルフ情報ALBA.Net 雨の日ゴルフで得をする! お得な雨天割引があるゴルフ場5選 - tenki.jp 練習環境が高評価のゴルフ場 最新TOP30(2021年版) - ゴルフダイジェスト・オンライン 食事が高評価のゴルフ場 最新TOP30(2021年版) - ゴルフダイジェスト・オンライン キャディが高評価のゴルフ場 最新TOP30(2019年版) - ゴルフダイジェスト・オンライン 東富士カントリークラブ@ウィキペディア 東富士カントリークラブ 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 東富士カントリークラブのリンク #bf ページ先頭へ 東富士カントリークラブ このページについて このページは東富士カントリークラブのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される東富士カントリークラブに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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白翼騎士団とは2016年10月22日に設立されたSNS団体です。▷スローガン 「白き翼の下、清く正しく美しく。」▷活動内容 ・他団体との交流 ・団員との交流 ・ネット上での迷惑行為者の殲滅 ・団員の勧誘▷禁止事項 ・他団体との抗争 ・一般民に迷惑をかける行為 ・スローガンに反する行為▷役職(幹部職) ・団長 ・副長 ・元帥:大将から昇格※条件はまだ未定 ・軍師:情報収集や迷惑行為者殲滅時の指南役 ・参謀:団長および副長代理 ・広報:団体外とのコミュニケーションに長けた者を任命。▷役職(一般階級) ・大将:20人以上を勧誘した者※勧誘をし、団に入団した人数 ・大佐:10人以上を勧誘した者※同上 ・一等団員:入団後およそ2週間以上の者 ・二等団員:入団後2週間未満の者 ▷入団したい方へ 入団希望者は、白翼騎士団採用センターTwitter@WhiteWing2016 へリプをください。
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セキガンのアクマ◆j893VYBPfU なあ、アルフォンス。聞こえているのか? なら、なんでいつも返事を…って、そんな睨むなよ。お前ってさぁ、友達っているのか? そりゃまあ、無理に答える必要はないけどな。でもやっぱ、お互いの事知っとかないと、やり辛いだろ。 でも、俺の事だけは話しておくよ。飯食いながらでいいからさ。 俺には心を許せる『親友』ってのが二人ほどいる。『仲間』だったら、もっといるけどな。 ああ、さっきも少し言ってたけど、ネスティは俺自慢の兄弟子っていうか、兄代わりなんだ。 いっつも口煩くて理屈屋で、お前みたいにツンケンしてるんだど、根は真面目でいい奴なんだ。 それに、あとここにはアメルって女の子も来ている。多分信じちゃくれないと思うけど…。 アメルは豊穣の天使、アルミネの生まれ変わりなんだ。 癒しの奇跡が使えるってことで特別扱いされて、以前はその事ですごく悩んでたみたいだけど、 やっぱりあいつも一人の女の子なんだし、大事な仲間なんだ。 …お、おい。もしかして、お前にも天使に知り合いでもいるのか?こっちまでびっくりするじゃないか。 俺はあいつらがいるからこそ、どんな困難だって切り抜けられるって、そう思っている。 これまでも、これからも。勿論、今回の事についてもだ。一人じゃ絶対無理な事でも、 親友や仲間がいるからこそ「あいつらのために頑張らなきゃ」って、思えるんだ。 だあぁぁぁぁ。だぁーかぁーらぁー。義務とか、責任とか、使命とか、そういう堅苦しいのと違うんだってば! 『生き甲斐』って、言ったらいいのかな?あいつらがいるからこそ、自分の人生も頑張れるんだって感じだ。 俺もずいぶん昔は腐ってたけど、あいつらがいたから俺も変われたんだ。 名簿のこのルヴァイドだって昔は凄い悪い奴で、最初は俺と敵同士だったしな。 仲間がいれば、誰だって人は変われるんだ。 …アルフォンスだって、昔はそういうのいたんだろ?顔に出ているしさ。 だったら、たまにはそういう奴らの事を思い出してやればいい。 そうすりゃ、今の顔の強張りみたいなのも取れると思うぜ? だから、まあ、なんだ。折角出会えたんだし、仲良くやっていこう。な、アルフォンス? ――ほう。これは驚いた。貴様と、かつての私がよく似た境遇にあるとはな。 だがな。私は元“仲間”で屍山血河を築き、その兄代わりの“親友”を死に追いやり、 そして初恋かもしれなかった少女も、私を置いて去ったのだよ…。 ◇ ◇ 私はリュナンの首を刎ね、その頚部に付いていた首輪を奪う事にした。 首輪なら、眼の前の少女にも付いているものがある。 死後半日は経過しているらしく、そちらなら血が飛沫くこともないだろう。 ただし、そこから首輪を戴くためには、身体をある程度土中より堀し出す必要性がある。 だが、今はあまり時間をかけられる状況ではない。、 見失った私やリュナンを探しに、マグナ達が血眼になって近辺をうろついていないとも限らない。 ここで時間をかけてしまったが為に「殺害現場を押さえられる」といった失態は冒したくない。 そのため、飛沫いた血が服を濡らすリスクは伴うが、 早急にリュナンの首を刎ね首輪を奪うことにした。 私は首から噴き出した鮮血が勢いを失くすのを見計らってから近づき、 血溜まりを踏まぬよう慎重に足を運び、首輪のみを回収する。 ロンバルディアの血振るいを行い、首輪についた血糊とともに、 リュナンのマントで入念に、だが迅速に拭いておいた。 念のため、眼の前の少女の首輪も回収しておくことも最初は考えた。 だが、ネスティに首輪の解析を依頼する際に、最初から複数個も持っていれば 要らぬ誤解を与えてしまうことにもなりかねないと判断したため、 ここは信頼を重視して少女の首輪は保留することにした。 もし足りなくなれば、またこちらに赴いて首輪を回収すればいい。 回収した首輪には、ご丁寧にも“リュナン”と その持ち主の名が銘打たれていた。 ――異世界人の、“銘”? 先程のマグナの話しから、少々の違和感を感じ その文字の字体を、今度は食い入るように眺める。 …明らかに未知の言語である。 古代神聖語でもゼテギネアで使われる言語ですらもない。 それは名簿や支給品説明書に使われてある文字も同様だ。 だがしかし、その内容を何故か私は“理解できる”のだ。 これは明らかに、異常である。 これは、マグナから召喚術の話を聞くまでは、 全く気にも止めなかった事だったのだが。 あまりにも自然過ぎるが故に、強く意識しなければそうと気が付かない程に、 出会った者達との意思疎通は至極当然の事であると先程までは認識していたのだ。 例えるなら、蜘蛛が誰に教わるでもなく精緻な糸の張り方を心得ているように、 “未知の言語”による会話と読解能力は私の頭蓋に余さず刻み込まれていた。 だが、それは一体“いつ”“何者達の手によって”付与されたものなのか? 考えるまでもない。 このゲームの“主催者達によって”“この舞台に召喚された時”以外にありえないだろう。 それは魔法を付与するかのように、ごく当然のように人にその知識を刻みつけたのだ。 ――やはり、そうなのか? 私はあの場を立ち去る前、マグナが話していた内容を思い出す。 それは別世界の住人をリィンバウムに呼び出し、 現地の言語を理解する力を与える『召喚術』なるものの存在だ。 カオスゲートも何もなく、異世界の存在を大規模に召喚し、支配する魔法か。 無論、無条件でなんの代償も必要としない力などどの世界にも存在しないだろうが…。 だが、特別な“門”も“鍵”も必要がなく。 一切の時と場所を選びさえもせず。 無数にある異世界の存在を欲しいままに呼び出し、 言語を理解する力を与え、 文書を読解する力を与え、 支配し得るほどの手段を、 もし“こちら側が”手に入れることが出来たなら? もし、この召喚術がリィンバウムでしか使えないものであっても。 それが長年の知識の蓄積により立脚された“技術”である以上、 時を掛けその技術を解析し、応用をすればいずれゼテギネアでも 使用できるものに改良出来るであろう。 そうなれば、もはやカオスゲートの解放どころの話しではない。 危険を冒して“門”を探し、こじ開ける必要性は全くなくなる。 この召喚術を応用すれば、オウガはおろか異界の神々でさえも 必要な数だけ呼び出し、あるいは不必要な存在のみを送還し、 思いのままに従わせることさえも可能であろう。 天界や魔界の存在との接触が容易になるということは、 向こう側にある“究極の力”さえも容易く手に入るだろう。 この“召喚術”を手に入れて生還すれば、この上ない功績となる。 それは部下の造反に合い、暗黒騎士団壊滅の憂き目にあった その失態を帳消しにして余りあるものといっていい。 ――禍転じて、といったところか。 だが、それは己の才覚次第となる。 “召喚術”なる未知なる技術をいかに首尾よく手に入れた所で、 まずは生還の目途を立てないことにはどうにもならない。 この世界から脱出を図るにしろ、優勝を狙うにしろ。 その二つの選択肢の見極めの為にも、ネスティとの接触と “抜剣者達”との接触はいち早く行わねばならない。 そして、彼らに利用価値があるかどうか、早急に見極めねばならない。 利用価値があれば良し。もし、そうでなければ――――。 首輪の事については“カーチス”と呼ばれた存在も気にはなるのだが、 それはネスティとの交渉後でも構わないだろう。 ならば、このような場でぐずぐずとしている暇はない。 私はそう判断すると、いち早く森を西側へと駆け抜けた。 ◇ ◇ 西に駆け抜け街道に入った私が遭遇したものは、 憔悴の極みにあるその身体を小柄な背に預けている女騎士と、 それを満面の笑顔で背負う、エンジェルナイトの 出来損ないのような幼女であった。 街道を通るのは余りにも目立ち過ぎるが故に、 なるべく通らずに南方の町を目指したかったが、 相手側もどうも同じ事を考えて、西の城へと向かっていたらしい。 夕暮れ過ぎの街道は想像よりも視界が悪く、 故にお互い接近に気が付かなかったのだろう。 相手側に装備は一切なく、周囲を警戒した様子もない。 おまけに重装の女騎士を背負うような姿勢では、 あの幼女に機敏な動作は至難の業であろう。 余りにも、不用心に過ぎる。 故に、こちらが先に二人に気付く形となった。 そして、距離は二十歩前後とやや近いい。 ――さて、どうすべきか? 私は気付かぬ振りをする事も選択肢の中に入れていた。 だが、こちらが身を隠す前にエンジェルナイトも私に気づいてしまい、 小さな白い手を激しく左右に振ってこちらの存在をアピールする。 ――気付かれたか。 現時点での二人との接触によるこちらの害は少なく、 逆に逃亡する事によって発生するデメリットは大きい。 私は即座にそう判断し接触を決意したが、私の行動より早く、 エンジェルナイトは軽やかにステップを踏み近づいてきた。 私はそのあまりの不用心さにも呆れたが、それ以上に。 重装の女騎士を背負って息一つ切らさず、 全く重量を感じさせない滑らかな動きで こちらに疾走したその体力に驚愕した。 一方、女騎士はその振動で初めて気が付いたらしく、 自分が今置かれた状態に呆然自失とする。 女騎士は“不審者”に気づくのが大幅に遅れてしまい、 苦渋に満ちた顔を隠そうともせずこちらに向ける。 それは己がした油断と、幼女への注意が致命的に 遅れてしまった自責の念もあるのだろう。 だが、それ以上に。 その血色の悪い青白い顔が心なしか紅に染まっていた事から、 そこには己の恥ずかしい光景を見られた羞恥の感情も含まれていた。 ◇ ◇ 「――それで、今ここに到るというわけですね。ランスロットさん。」 「ああ。そして貴公らはこの森から出て間もないということか。」 フロンと名乗るエンジェルナイトの出来そこないは、 アグリアスと名乗る女騎士を肩から降ろし、お互いの情報を交換する事になった。 女騎士は重度の疲労(顔色から察するに生命に関わる程の貧血)を伴っての強行軍の上、 ヴォルマルフの放送とやらによって知らされた、仲間の死亡による心労が重なった事により ついに倒れてしまったので、それをフロンが責任を“取る(?)”形で肩車をしていたのだという。 女騎士はこちらを最初から警戒していたようだが、気づくのがフロンよりも遅れてしまい、 なおかつフロンがこちらとの会話を始めてしまったため、口を利く機会を逸したようだった。 私はこれまでのあらましを二人に説明する。 ただし、内容は少し伝え方を変えているが。 「同行するには危険性が高いと判断したため、ラムザ達と袂を分かった」とは言わず、 「同行中に不審者を発見したため、それを追う内にはぐれてしまった」と伝えておく。 不審者(リュナン)を追跡していた事に関して、別段私は嘘はついていない。 ただし、利用価値の無い不審者を始末した事については何も言わなかったが。 女騎士はラムザと別行動を取った事に不信感を抱いたようだが、 その理由を深く追及しようとまではしなかったらしい。 失態を犯した私を気遣っての事か?いや、それは違う。 おそらくはこの場でこの私の不興を買ってしまえば、 身に危険が迫る可能性程度は計算しているのだろう。 ――賢明な判断だ。 無防備で愚かな幼女と違い、ある程度の判断力は付いているらしい。 フロンは私の言い分を鵜呑みにしてあるので、もはや論外なのだが。 二人には名前を“ランスロット”と名乗ることにした。 これまで通り“アルフォンス”と名乗ってもよかったのだが、 先程の件のように余計な誤解を与え事態をややこしくするよりは、 最初から名を名乗った方が良いと判断したからだ。 私は会話中に鞄に入っていた透明の水筒を一本取り出すと、 貧血で意識を保つのが億劫になっている女騎士に差し出す。 女騎士は一瞬物欲しそうな顔を浮かべるものの、 「それは受け取れぬ」と謝罪し、丁重にこちらに返した。 私はその拒絶の真意をよく理解していたので、 「警戒するのも無理はない」と謝罪の言葉を添え、深く頭を下げる。 そして自分から一口だけ水筒に口を付け「毒味」を行った後、 ハンカチを添えて改めてもう一度差し出す。 …これは、別段親切で行ったわけではない。 警戒心を解かせる為であるのも勿論だが、それ以上に。 女騎士が会話の中でこの私をどう判断しているか? 女騎士がどのような人間性を持つ人物であるか? それを値踏みしておきたかったのである。 すぐに水筒を口にするなら油断しきっている証であり、 一切水筒を口にしないなら警戒が残っている証である。 こちらが相手の気を遣い、「毒味」までして安全を保証した際に、 それでなお口にしないなら敵意まで持たれていると考えればよい。 女騎士は、こちらの反応に対して申し訳なさそうな顔を浮かべてから しばらく悩み続け、そして思い切ったように私のハンカチを使い、 飲み口を拭いてから水筒を口にした。 ――しかし、まだ甘いな。 ――そのハンカチに毒でも塗り込めてあれば、一体どうするつもりなのだ? 私は騎士の不用心さに心中で溜息を付く。 今回は別段毒は用意できなかったし、またあったとしても塗るつもりもなかったのだが。 だが、私のハンカチをあえて使ったのは、 「私はお前を信頼する。一切、疑ってなどはいない。」 という感情をその行為に表わしたものなのかもしれない。 つまり、警戒する心は忘れぬものの「相手の誠意には出来るだけ答えたがる」 感情が何よりも優先される、極めて実直な性格の騎士なのだろう。 これは好都合である。扱いさえ間違えなければ、何よりも御しやすいといえよう。 そして、もう一方のエンジェルナイトの出来損ないだが、 これは極めて掴み所のない妙な変人であった。 救いようのない愚者の類であるのは間違いがない。 この殺し合いの場において、他の競争者を背負うなどもはや狂気の沙汰としか思えない。 そして、もしその対象に全く敵意が無かった場合としても。 二人揃って機動性を失うような行為を他の敵意もつ存在に発見された場合、 飛び道具を持っていれば二人もろとも蜂の巣にされる危険性がある。 半回転して女騎士を盾にすること位は出来るだろうが、背負う危険性がはるかに勝る。 どうやら女騎士は私の接近でようやく意識が戻った風であったが、 彼女自身が進んでその幼女の背に乗ったというわけではないようだ。 それは女騎士の先ほどの態度から見ても明らかである。 ただし、重装の女騎士を背負う幼女に息一つ切らせた様子はなく、 むしろ体力が有り余っている様子であることから、 人間の常識を超えた体力の持ち主であるのは間違いない。 その貧相な体格で、それだけの筋力や持久力を 只の人間は出せるはずがないのだから。 恐れるには足りぬが、その桁外れの身体能力だけは注意すべきであろう。 私は出来るだけ聞き手に徹し、目の前の幼女から情報を引き出す事に集中する。 話しの脱線(特に神の愛について)には軽くいなし、 フロン自身やこの場にいる仲間の話題、あるいはこれまでの遭遇者の話しへと 流れを変えて情報を引き出すには、格別の苦労を必要とした。 幼女が何一つ包み隠さず流暢に話す様子は、心中で失笑を禁じえなかったが、 その甲斐あってか、情報には大いに役立つ事も含まれていた。 曰く、自らは愛の天使であり、この戦いを終わり主催者に神の愛を説くのだと。 (呆然を通り越して軽い偏頭痛さえ覚えたが、主催に最後まで反抗する立場である事だけは理解した。) 曰く、自らは大天使に罰として花へと姿を変えられたはずが、ラハールの力によって再び天使見習として生を得たという事。 (この天使は大罪を犯し完全なる堕天前に封印された、聖魔シャヘルに匹敵する危険な存在だと認識する。) 曰く、自らとラハールとはただならぬ関係であり、今度は自分がラハールの為に命を賭す覚悟でいる事。 (外見年齢も近いことから、ようはこの幼女はラハールの寵愛を受けた愛人関係にあると解釈する。) 曰く、こちらに呼び出されてから“乱暴なお兄さん”からの襲撃を受け、 デニム、カチュア、ランスロット・タルタロスの三人の事を聞かれた事。 (さらに詳しく尋ねた人相から、記憶にある“身の程知らず”の人相とが一致した。) 曰く、さらに支給された紫の宝石の力によって、同行する女騎士と深い愛によって結ばれたということ。 (この発言に眼の前の女騎士は渋面を浮かべ、私は軽い眩暈さえ覚えた。 支給された紫の宝石(サモナイト石?)に封じられた魔物にこの天使が憑依されてしまい、 目の前の女騎士に欲望の限りを尽くしたものだと推測する。) 最後に、ラハールが口にしたカーチスという男を知っているかどうか尋ねてみたが、 やはりこの女もその存在は知っていたらしい。首輪についてさりげなく聞いてみたものの、 「首輪に使われるようなカラクリについて、カーチスに勝るカガクシャはない」らしい。 これには、隣で話しを聞いていたアグリアスも目を剥いていた。 やはり、これは大きな収穫である。 無論、首輪を解除できる可能性のある人物をあえてこの舞台に参加させる以上、 主催側もなんらかの保険は打ってあると考えるべきだが、これで一歩前進したのは間違いない。 ともあれ、ネスティと同様に極めて重要な存在であることだけは理解した。 さて。二人から聞き出すべき事は、全て聞き出した。 あとは二人の処遇について、最善の対策を考察してみる。 聞けばアグリアスという女騎士も、ラムザとは深い関係にあるらしい。 それが恋愛関係なのか、それとも単に信頼の置ける戦友止まりなのか、 そこまでは判断が付かなかったが、あの人の良さそうな少年の事。 いずれの場合も苦境にある女騎士を見捨てる事は決してないだろう。 ――つまり、これから考えだされる、二人に対して私が取るべき行動は“二つ”。 一つの案は、二人の護衛を申し出て、ラハール達の元に届けるということ。 ただでさえ両者ともに今の状態では戦闘力はなく、護衛は欲する筈である。 こちらから護衛を申し出て、断られる道理は何一つない。 だが、問題は護衛が終了し、ラハール達と合流してからの事である。 たとえ一時であれ、彼らを捨て置き単独行動を取ったことについては、 当然非難の視線や詳しい追及もあることだろう。 だが、それについてはなんら心配はしていない。 「不審者を発見したので追っていた内にはぐれてしまった、 急を要しており、残念ながら声をとかける暇さえなかった。」 とでも言えば言い訳は立つ。 それに、あの人を疑う事を知らぬ愚物なら勝手に助け舟を出すだろうし 護衛されている二人も“善良な”(失笑すべき)人間ばかりと来ている。 それが経緯はどうあれ助けられた中で、こちらを悪く言うことはまずありえない。 この二人の愛人かもしれぬ者達を無事保護して連れて来たとなれば、 これまでのラハール達の不信感を払拭して余りある功績となるだろう。 情けは人の為ならず、とも言う。 それにラハール達の信頼を得ておけば、今後のカーチスとの接触も有利に働く。 その上、二人の護衛するにあたり、城までの距離はそう遠くない。 二人を無事届けてから、「思い当たることがある」とでも言って、 しばらくの単独行動を改めて申し入れてもいいだろう。 マグナの始末も、その後でゆっくりと考えればよい。 そう、悪くはない話なのだ。 だが、二人の処遇については、もう一つ案がある――――。 こちらは、ともすれば下策とも言えるものだろう。 本来は、あまり私らしくもない案だと言える。 だが、上手く私の狙い通りにいくならば、 それは私が心より望む未来を得る事ができるだろう。 それに、私は――――。 腹は決まった。 私は二つの選択肢のうち、その一つを決断する。 私はその覚悟を丹田に据え、感情を制御すると 女騎士に話しをもちかけた。 ◇ ◇ 「アグリアス殿。貴公の今の状態では、いかに騎士とは言えまともに立つことさえも辛かろう。 故に貴公はそのままフロン殿に背負われ続けてるといい。今の貴殿に、護衛は荷が重い。 あとは私一人が責任を持って護衛を行い、ラムザ達の元へ送り届けよう。…それで構わぬな?」 私はあえて気の毒そうな視線を送り、女騎士を知らずして誇りを傷付ける振りを装う。 私の厚意に甘えるならよし、拒絶するなら、それもまたよし。 そして、女騎士の取った行動は、やはり激昂による拒絶であった。 「…ふざけるなッ!たとえ疲労困憊にあろうが、私とて騎士のはしくれッ! ラムザ達を見失いなお平然としている貴様と違い、矜持もあれば恥を知る心もあるッ! 確かに出会った時は不様を見せたとはいえ、この私をか弱い女扱いされては困るッ! これより先は、この私が先導するッ!! …貴様こそ、指を銜えて後ろに下がっていると良いッ!!」 想像通り、女騎士は完全に被保護者扱いされた事に完全に激昂し、私に詰め寄る。 「…うむ。実に良い返事だ。だが、これで気力は蘇ったか? それでこそ騎士というべきものだ。私とは違ってな。 ならば、貴公にも警戒を任せたいのだが、武器はどうしたものか。」 女騎士は私の発言に何かを気付かされたように衝撃を受け、 そして恥じ入るように私を見つめ、そして口ごもる。 女騎士には、腰に下げる武器が一切ないが故に。 「…すまない。貴殿はあえて私の為に憎まれ口を叩き…。いや、今は感傷に浸る場合ではないなッ。 武器は…、なくとも素手での格闘なら心得ている。それなら任せておくがいいッ。」 女騎士は私の騎士剣を一瞬だけ物欲しそうに眺めると露骨に目を伏せ、 そして空元気とも虚勢とも言えぬ覚悟を見せ、自らの胸を拳で叩く。 肉体の衰弱は精神を弱らせ、気力を萎えさせる。 すがるべき剣でもあれば、話しは別なのだろうが。 私はロンバルディアを鞘からゆっくりと引き抜き、 柄の方を女騎士に向け、丁重に渡そうとする。 「だが、このロンバルディアがあれば、なお仲間の護衛は果たせるであろう。 それに、先程の非礼の詫びの意味もある。これを一時の間、貴公に預けよう。 何、私とて鞘さえあれば護身程度はこなせるし、素手の格闘は私も心得ているからな。」 そういって、微笑を浮かべる。 今度は慇懃無礼なものでなく柔らかく。あくまでも柔らかく。 同じ騎士としての厚意をその行動と態度で示す。 「…ッ!そのようなもの、軽々しく受け取れるものかッ!!」 女騎士は息を呑む。私が剣を預けることに。 騎士がその生命線とも言える剣を預けるといった行為が、一体何を指すか? 住む世界は違えどもやはりそれが意味する事を察し、女騎士は目を剥き、驚きの声を上げる。 それでもやはり、そこまでの施しは受けられないという事だ。 「この行為は、貴公のみならず全ての者達に対する謝罪と、 この私の顔を立てるものと考えて借り受けて頂ければいい。 アグリアス殿。これが、私なりの謝罪の仕方なのだ。」 だが、私の提案と目の前のすがるべきものに目がくらみ、 心身の衰弱した状態でのその言葉が後押しとなったのか、 悩みに悩んだ後、女騎士は丁重にそれを受け取る。 ロンバルディアが持つ独自の鋼の輝きを女騎士が察し、 僅かな感嘆の声を上げたのを、私は聞き逃さなかった。 「…ならば、この剣は貴殿から確かに借り受けよう。 だが、貴殿の剣とその思いもまた、必ず返す事を約束しよう。 何事も借りっぱなしというのは、私の性に合わん。それに…。」 「…それに?」 「私はどうも貴殿のことを誤解していたようだ。 ラムザ達の事から、最初は信用ならぬものとばかり考えていた。 だが、これまでの立ち振る舞いから、貴殿は信頼に足ると見た。 ならば、私もまた貴殿の思いに答えたいッ。」 「そうか。そう言っていただけるとは私も光栄だ。 では、時間が惜しい。直ぐにでもラムザ達の元に向かうとしよう。」 私はそう言ってロンバルディアの鞘を腰から外す。 その行為を、二人は当然の行為と考えて見逃す。 ――そう。見逃したのだ。 「ああ。言われなくともッ!では、私が前方を警備しよう。貴殿は最後部を警戒してくれ。 私がこのような銘剣を預かる以上、これは当然の事だ。フロンは、安全な中央にいるといい。」 「…心得た。」 「…さあ、行くぞッ!!」 自らを奮い立たせるような気合の声を上げ、女騎士は私に背を向ける。 天使の出来損ないは、女騎士に近づき早足で歩く。三人の距離は近い。 そして双方ともに油断しきっている。 ――隙が、出来たな? ――そして、待っていた。待ちわびていたぞ。この瞬間を。 私は三人の位置関係とその占める空間をその呼吸から、 足音から、風を遮る感覚から、その匂いから、 視覚以外の五感を総動員して正確に把握する。 アグリアスは前に、フロンは左側に。歩速も計算済。 そう。これまでの二人に対する演技も、 女騎士に騎士剣をあえて与えたことも。 すべてはこの瞬間を生み出す為にこそあった。 話しの展開から、偶然に抜き身の剣をその厚意により 与えられたと考えれば、油断するのは必然である。 万一警戒心が残っていた所で、相手は徒手空拳となる以上、 生殺与奪の権利は自分こそが握ったと思い込む。 だが、それこそが罠なのだ。 全ては、この決定的隙を生みだすための布石。 そして、たかが刀剣の鞘であっても。 本来武器でないようなものでも。 護身はおろか、しかるべき部位に充分な力を乗せて打ち込めば、 わずか一撃でその生命を奪うには充分な力を持つのである。 それを、女騎士は失念してはならなかったのだ。 私は、真正面から襲いかかる事は最初から考えなかった。 二人がいかに丸腰とはいえ、一人は正規の訓練を受けた練達の騎士。 そして、一人は人間の常識を遥かに凌駕する、身体能力を持つ天使。 万が一ということも十分にありえるし、一人を相手している間に、 もう片方に逃げられる可能性もある。 そうなれば、いずれにせよ己の命運は尽きてしまうであろう。 ならばこそ、一度排除すると決断したからには 目撃者を一切残さず、必殺を期させねばならない。 そして、その絶好の機会は、私の手で手繰り寄せた。 ――私が手繰り寄せた、完全なる“勝機”は、今、ここにあり。―― 感情は最初から制御してある。気配は消したまま。 左足は前に、右足は後ろに、鞘は右肩に担ぐように構える。 右足を高速で前方へと蹴り出す。その勢いを余さず乗せ、 鞘を袈裟に、女の首筋に向けて全力で振り落す。 風が唸る。悲鳴を上げる。その斬り裂き音が女騎士に警告する。 危険だと。早く気づけと。速く逃げろと。 だが、その悲鳴がその耳に届く前に。私は事を為し遂げる。 ごきり。 鞘の打ち込まれた速度と角度、そして手に伝わる鈍い衝撃。 長年に渡り、飽きるほど体験し続けたその確かな手応えから、 おそらく女騎士は何が起きたかさえ理解できず、即死したものと確信する。 まだだ。 まだだ。これで終わりではない。 危機はまだ脱してはいない。 肝心は、ここからだ。 「――え?!」 天使の目が驚愕に見開く。 眼前の不測の事態に、天使の脳は処理を行いきれていない。 これもまた、私が生み出した隙。計算の内。 だが隙は数秒。僅かに数秒。そう想定する。 それを逃せば、憎悪に燃える天使は私を狩り殺そうとするだろう。 それも、恐らくは聖魔シャヘルにも匹敵する存在。そう推測する。 身体能力は、おそらくこちらを凌駕しているものと計算する。 まともに戦って、勝ち目は薄い。 だからこそ、天使がその真価を発揮する前に斃さねばならぬ。 この数秒の隙で仕留める。仕留め切る。 そうでなければ、敗北と死は私に訪れる。 そう覚悟する。 私は鞘を手離して前方に踏み込み、女騎士の背後を取る。 私は女騎士が力を失い崩れる前にその背中越しに、 その左手で左手首を握り、その右手で右掌を握る。 ロンバルディアは、“女騎士だった”死体に握られたまま。 私は女騎士の死体とタンゴを踊るかのように、円弧を描き高速で旋回する。 その付いた勢いは殺さぬままに。むしろ次なる刺突に活かすように。 私は前方となった天使に向けて強く、大きくその脚を踏み込む。 私は女騎士だった死体を通じて、目の前の天使の心臓を、完全に刺し穿つ。 ずぶり。 奥へと。 奥の奥へと。 そして最奥まで。 私は柄までめり込んだ剣をその感触で確認すると、 それを一度捻じり心臓を破壊してから引き抜く。 同時に左足で女騎士の背を前方へ蹴り、 崩れ落ちようとする天使の上に被せる。 遅れて噴き出す鮮血は全て、女騎士の死体が抱く様に受け止めた。 こちらには一滴たりともその血が降りかかることはない。 この間、わずか三秒。 ――全て、終わったか。想定通りだ。 己を信頼した人間を背後から殺すことに対する良心の呵責もなければ、 不意打ちに成功した勝利に感慨することも、死体を嘲ることもない。 倒れた衝撃で、紫の宝石が女騎士の懐からこぼれ落ちる。 刀身についた鮮血は、血振るいで残さず落す。 非の打ちどころのない、反吐が出るほどに浅ましい、 “人殺しの技術”の粋は、ここにある。 ただひたすらに目的の為には一切の手段を選ばず、 用意周到に人を欺き、絶好の隙を狙う。 そして確実に、殺すべくして完殺する。 それは人殺しを生業をするのもののみが可能とする、 至高にして下劣極まる、卑しく磨き抜かれた殺人の技術。 そこに騎士道精神や人の誠意など、欠片もありはしない。 その人殺しの玄人ならではの、悪意の結晶たる技術の粋を、 純粋無垢たる天使が理解できようはずがなかった。 誠意を信じる実直なる女騎士に、想定しようがなかった。 人の理を超越した天使は、 人の誠意を信じる女騎士は、 人の悪意の結晶であるその卑劣を窮めた技術の前に、 あえなくその生命を儚く散らした。 私は二つの死体を製造した、その現実のみを認識する。 そして、これがもたらすであろう影響のみを計算する。 私は二人の双眸から完全に光が失われた事を確認する。 そして女騎士の懐から転がり落ちた紫の水晶を懐に入れ、 ロンバルディアの鞘を回収すると迅速に街道を離れた。 ◇ ◇ 二人の処遇については、もう一つ案があった。 それはフロンを殺すことによりラハールの不安定化を誘い、 女騎士を殺すことによってラムザの動揺を誘い、 一行の結束を完全に破壊してしまうことであった。 ラハールとラムザはこちらを最初から警戒している節があった。 ラムザは私に何か本能的に察する所でもあったのか、 こちらの言動を見落とすまいと目を離す事はなかったし、 何よりラハールは誰でも良いから暴れる相手と理由が欲しく、 それが何者相手であろうが一向に構わないといった風情であった。 何時暴れ狂うかもしれぬ狂犬と、こちらを警戒するその飼い主。 そして、何よりも空気を察する事が出来ぬ、愚かも極まる青年。 こちらが手駒とする相手としては、相応しくない者達であることは間違いない。 マグナへの殺意も勿論あるが、彼らは利用価値に乏しく、こちらの背負う危険は高い。 そういった理由も複合していたからこそ、私は彼らの元を離れたのだ。 だが、このまま離反したまま彼らを放置しておけば、 彼らに悪評を流されぬとも限らない。だからこそ、先手を打つことにした。 彼ら二人をエスコートしてラムザ達に引き渡したなら、 確かに彼らから好感を得る事は可能であっただろう。 だが、そこまで媚入ってまで彼らに固執する必要性を、この私は感じなかった。 そして、到底味方として利用できぬ以上は、敵であるものと認識する。 たとえ私が主催に敵対する立場を取るにした所で。 こちらに敵意を持つ存在を、生かしておく道理はない。 「敵の敵は味方」という言葉もあるが、この状況下での制御不可能な味方という存在は、 「戦場での無能な味方」以上に極めて厄介な存在となる。 愚者が勝手に主催に何の計画性もなく暴れ、その結果として「こちらまで」警戒されると、 あるいはそのとばっちりで「まとめて」首輪を爆破される恐れさえあるからだ。 ならば、「厄介な存在」は大きくなる前に、その芽を積んでおくに限る。 それは例えこちらと利害が一致した所で、私の計画を乱し、 足を引っ張りかねぬ不確定要素となりかねないのだから。 故に、ラハールという名の狂犬の理性の拠り所を奪い、 その飼い主の心に揺さぶりをかけ、結束を破壊する。 そうすれば、こちらへの警戒どころの話ではなくなるだろう。 あとはゆっくりと自滅を待てばよい。 それに、なにより。 安易に仲間とやらを信じ、手前勝手な空想を押し付け、 一人勝手に悦に浸る夢想家への最高の意趣返しにもなる。 ――あの青年に、現実というものを教えてやれる。 そう考えると、自然と笑みが噴きこぼれた。 可笑しく。可笑しく。ただ可笑しく。 私は声もなく、疾走しながら嗤い出した。 それは、これまでの私には全く相応しくない。 むしろ、自分さえも驚くような浅ましく卑しい、人がましい笑み。 この昏い喜びの正体を、粘着性を帯びた下劣な感情の名を、私はよく知っている。 ――ようやく理解できたよ。私が貴様に殺意まで抱く真の理由が、一体何であるかを…。 人間は人間に対して殺意の感情を抱く。 人間は野良犬に対して殺意の感情を抱くこともあるが、むしろ稀である。だが。 人間は肥溜に群がる蛆虫に対して、殺意の感情は抱かない。抱く訳がない。 人間は比較に値するものにしか、特別な感情を抱かないものである。 私はマグナに対して殺意まで抱く理由に不可解さを感じており、 そしてまた戸惑いを感じてもいた。 本来、私にとって綺麗事ばかり口にし、不用心に過ぎるマグナなどは、 この殺し合いの場においてはいの一番に始末される救いようのない 愚物に過ぎず、それこそ人間にとっての蛆虫に等しき存在でしかない。 取り立てて憎むような存在では、決してないはずなのだ。 その軽蔑にすら値しない存在に対して殺意まで抱くというのは、 私が心のどこかで対等かそれ以上に見做している事を意味する。 その悪意の源泉が、私には理解できなかった。…これまでは。 昼食を取りながらのマグナの一方的な話しの際、明らかな苛立ちを私は感じていた。 それは人の心に土足で侵入しようとする、彼の配慮のなさから感じたものだと解釈していた。 確かに、それもあったのだろう。 だが、それ以外の。 だが、それ以上の。 心の奥底に沈澱する、煮え滾る悪意の源泉を、私は今理解した。 マグナには兄とも呼べる存在がおり、そして恋人かも知れぬ少女が存在する。 そして何一つ挫折を覚える事無く。そして何一つ別離を知る事無く。 裏切りを知らず。欲望を知らず。悪意を知らず。人の醜さを知らず。 のうのうと、純粋なまま笑顔のまま、マグナは生き続けてきたのだ。 現実というものを、まるで理解しようともせず。 この私とは、まるで真逆の人生を歩み。 だがそれは、否応なくこの私にもありえたかも知れない、 もう一つの未来を連想させずにはいられなかった。 レクトールがいれば。エレノアがいれば。 私は、今の私では決してなかったのかもしれない。 私は、目の前の青年のようになりえたのかもしれない。 あの青年とあの頃の私は、境遇が酷似しているが故に。 それは今となってはもはや思い出す事もなかった筈の、心の古傷。 今の私にとっては、失笑すべき、恥ずべき、青臭い過去。 この青年に出会わなければ、それはそのまま風化していた事であろう。 それをあの青年はあざとく見つけ出し、その傷口を抉り出し、 ご丁寧に塩まで塗りこんでくれるのだ。それも満面の笑顔で。 それに憎悪を抱かぬはずがあろうか? それに悪意を抱かぬはずがあろうか? それに害意を抱かぬはずがあろうか? マグナに対する殺意の源泉は、そこにあった。 先程の放送で「アメル」という名が呼ばれた時も、私は知らず笑みが噴き零れていたのだ。 彼女が主催者を始末する為の有力な駒となりうるかどうか、まだ確認すらしていないというのに。 マグナのが抱いた慟哭を想像するだけで、首が熱を帯び、どす黒い歓喜の感情が沸き上がった。 ――私は貴様が、マグナが、妬ましかったのだな? 私は本来、人の死に対して一々喜びもしなければ、悲しみもしない。 一切の感情を、私は抱かない。それは、敵味方問わず同様であった。 感情に溺れれば、技は乱れ計画は霧消し、獣と変わらなくなるが故に。 だが。 だが、今の私は。 まるで愚痴ばかり零す愚かな民のように、他人の不幸を純粋に喜んでいる。 本来は関わりのないはずの愚物の絶望を、極上の甘露とし悦びとしている。 ――近親憎悪。 それが、マグナに対して抱いた私の感情の正体であった。 過去の自分と似た、だがしかし自分とは真逆の未来を持ち、 人生を謳歌する存在を許容できる者は、おそらくはいまい。 確かに俗人の極みに位置する、下衆な感情ではある。 だが憎悪の黒い炎に身を灼くというのも、 殺意の溶岩にこの身を熔かすというのも、 決してそう悪くはない心地であった。 そして、これからマグナに襲いかかるであろう 不幸を想像するだけで、哂いを抑えきれなくなる。 上手くいけば、フロンの死に激怒したラハールは その鬱憤晴らしに見境なく襲いかかることであろう。 そして戦友以上の存在を同時に失ったラムザに、 その狂犬を御し切れる精神的余裕は、おそらくない。 だが。 だが、願わくば。 マグナにはまだ生き永らえて欲しい。 マグナにはまだこの程度の修羅場では死なないで欲しい。 親友や仲間が全て死に絶えるまで、悲嘆と慟哭を繰り返して欲しい。 救い切れない人間の悪意というものを、骨の髄まで理解して欲しい。 そしてその心が完全に折れ、擦り切れてしまった所を。 私はこの手で、最大の絶望と後悔の中で葬りたいのだ。 そう心より、願った。 そう心より、願った所で。 ――先程の放送より一時間後。 本来はあり得ざる、臨時の放送がもう一度訪れた。 【フロン@魔界戦記ディスガイア 死亡】 【アグリアス@ファイナルファンタジータクティクス 死亡】 【残り35名】 【F-3/街道/一日目・夜(19時)臨時放送直前】 【ランスロット・タルタロス@タクティクスオウガ】 [状態]:健康、マグナに対する底無しの悪意。 [装備]:ロンバルディア@TO、サモナイト石(ダークレギオン) [道具]:支給品一式(食料を1食分消費しています) ドラゴンアイズ@TO外伝 、リュナンの首輪 [思考]1:生存を最優先 2:ネスティ、またはカーチスとの接触を第一目的とする。 3:抜剣者と接触し、ディエルゴの打倒に使えるか判断する。 抜剣者もまた利用できないと判断した場合は、優勝を目指す。 4:ラムザに対して強い警戒感。 5:いかなる立場を取る場合においても、マグナだけは必ず後悔と絶望の中で殺害する。 [備考]:マイク型ハンディカラオケ(スピーカー付き) は、F-3/街道にそのまま放置されています。 アグリアスが完全に死亡した為、その首にかけてあるクリスタルが発光していますが、 その前にその場を立ち去ったため、タルタロスはその事に気づいていません。 タルタロスも首輪の影響により悪意が増幅されてますが、自覚はありません。 またマニュアルがない為、サモナイト石の使用方法も理解してはおりません。 エンディング後の、騎士団壊滅状態からの参戦です。 094 臨時放送・裏 投下順 096 臨時放送・裏Ⅱ 084 奴隷剣士の報酬 時系列順 096 臨時放送・裏Ⅱ 070 誤解が育む愛もある アグリアス 070 誤解が育む愛もある フロン 090 思いは儚く露と消え タルタロス 111 sister(後編)
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孔雀舞(アニメ) ●「ハーピィ・レディ」をあらゆるカードで徹底的に強化する戦術 ●「アマゾネス」等の女戦士をモチーフとしたカード 使用カード ハーピィズペット竜(OCG) アマゾネスの格闘戦士(OCG) アマゾネスの鎖使い(OCG) アマゾネスの剣士(OCG) デュナミス・ヴァルキリア(OCG) ハーピィ・レディ(OCG) ハーピィ・レディ・SB(OCG) 味方殺しの女騎士(OCG) アマゾネスの呪詛師 エアロの爪(アニメ) オレイカルコスの結界(アニメ) サイバー・ボンテージ 死者蘇生 電撃鞭 天使の施し 天よりの宝札 ハーピィの羽根帚(OCG) ハーピィ・レディ -鳳凰の陣-(アニメ) 埋葬の腕 魔法再生(OCG) 魔法除去(OCG) 万華鏡-華麗なる分身- 誘惑のシャドウ 悪夢の三面鏡(アニメ) アマゾネスの弩弓隊(OCG) 救出劇 銀幕の鏡壁 グラヴィティ・バインド-超重力の網-(OCG) 天使の手鏡(OCG) トラップ・ジャマー(アニメ) ハーピィ・レディ-朱雀の陣-(アニメ) ハーピィの羽根吹雪(アニメ) 他メディア 孔雀舞 孔雀舞(DT)
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思いっきり途中だが、あまりに寒い>< 舞踏会 (2) 西方辺境候セルトリウス卿の前から、そそくさと辞去した。 立遊の宴を訪れるものは引きも切らず、そのすべてが主であるセルトリウス卿へ挨拶に伺うのだ。長く留まることはできない。 ルキアニスは、ほっと胸をなでおろしていた。 西方辺境領の、騎士卿から、位の高い貴族まで、セルトリウス候の元を訪れ、そして親しくお言葉を頂いている。セルトリウス卿もまた、分け隔てすることなく、応えて言葉を交わしている。 ルキアニスも、初めて会うわけではない。傷病休養中には見舞いの品を頂いていた。直接のお褒め言葉のみならず、その言葉を記した感状をも頂いていたりもしていた。 御恩に、何もお返しできていないのかな、と胸を押さえ、思う。 立遊の宴は、席を作らず、訪れた人々が自在に歩きながら言葉を交わすものだ。 シルディール連隊長は、その中をゆっくり歩いていた。 男の貴人たちが、その姿を目で追う。 シルディール女騎士卿はまるで気にせぬ様子で、料理と酒で満たされた卓へと歩み寄り、そして給仕に何事かを頼む。 ルキアニスは、どうしたら良いかも判らぬまま、シルディール女騎士卿の後を追うばかりだった。 さまざまな料理や、さまざまな酒の並べられた卓だったけれど、どれにも手が伸びない。胸が一杯だ。 「お嬢様、いかがなさいましょう」 「はい!」 不意に給仕に声をかけられて、驚いてしまう。思わず声を上げたルキアニスにも、給仕は動じずにこやかな笑みを向けてくる。少し迷って、ルキアニスは応じた。 「あの、女騎士卿(レディ)・シルディールと、同じものを」 給仕は、シルディール女騎士卿の手元の、厚めの、そして小さめの硝子の杯を見やった。ルキアニスも初めて、そちらを見た。水のように透き通った酒が、絹手袋の指の隙間から見える。 「……はい、ただいま」 給仕は、わずかな間合いの後に応じる。 ルキアニスは、あたりを見回した。こういう宴で、何をして良いのかわからない。知り合いもいなかったし、話すべき相手も、話すべきことも無かった。 「お嬢様、お待たせしました」 給仕が、シルディール女騎士卿のものと同じ、厚めで小さめの硝子の器を差し出す。 「お気をつけて」 「……ありがとう」 何に気をつけるのだろう、と思いながら、ルキアニスは水のような酒の器を取った。 貴人たちは、飲み物の器や、料理の小皿を手に、好き好きに歩き回り、そして談笑している。男性ばかりの集まりもあれば、女性ばかりの集まりもある。声高に何かを話し、そして皆で笑いさざめいていたりもする。 その中の、わはは、と笑うひときわ目立つ声に気づいてルキアニスは目を向けた。 砂色の髪と、尖ってぴん、と伸びた耳、そして豊かな砂色の口ひげには、もちろん見覚えがある。サウル・カダフ将軍だ。 「連隊長…」 呼びかけかけて、ルキアニスは慌てて口元をおさえた。 「もとい、シルディール女騎士卿、サウル・カダフ将軍がおられます」 「お邪魔せぬように。御公務ですから」 サウル・カダフ将軍は、銀髪の士官とともに笑いさざめく人の輪の真ん中にあった。 「君も公務みたいなものだろう?」 新たな声に、ルキアニスは振り返った。 長身を、真っ白な男装に包んでいる、胸元のふくらみと、詰襟の上にある顔立ちは、十分以上に女性的だった。だが明るい紫色の瞳は、優しい光だけを湛えているようでもない。 「バジリシア公、ごきげんよう。御公務お疲れ様です」 シルディール女騎士卿はにこやかに笑みを向ける。 けれどバジリシア公は、歩み来つつ、少し眉をひそめた。 「この姿で、公務などと言われたら、まるでわたしが公爵として伴侶を探しに来たみたいに聞こえる」 確かに、今、バジシリア公が身に着けているのは、黒の帝國軍装ではなく、白の男装だった。 「それは存じ上げません」 シルディール女騎士卿は楽しげに笑みを浮かべ、バジシリア公はやや憮然と息をつく。まるで姉妹のやりとりのようだ。 ルキアニスは思い、それから考えた。 帝國では、女性には女性名があることが多い。シルディール女騎士卿や、シャルロッテのように、音の変わらぬ女性名もあるのだけれど、多くの女性名は、名の末尾が「ア」の音になっている。たとえば、アレクシアや、ルキアニシアのように。その場合、姓も同じように末尾を「ア」の音に変える。たとえば、バジルス公なら、バジリシア公に。 それから、ルキアニスはバジリシア公を見上げた。 バジリシア公は、少し怪訝そうに受け止める。 「失礼、こちらは?」 「そうでしたね」 シルディール女騎士卿は、ルキアニスを示し、バジリシア公へと言う。 「バジリシア公、こちらはルキアニス・アモニス騎士卿です。我が近衛混成第十三連隊の騎士でもあられます。アモニス騎士卿、こちらはナタリア・グラックス・バジリシア公爵です」 「はじめまして騎士卿アモニス、お噂はうかがっています」 「はじめまして、バジリシア公」 彼女は手を差し伸ばし、ルキアニスも応じてその手を握り返した。やはり、と思った。この人も古人だ。 「それで、お眼鏡に叶う方は見つかりましたか」 シルディール女騎士卿が笑みとともに言う。けれどバジリシア公は、ふん、と軽く退ける。 「だから、違う」 「でもあちらから見初められるかもしれません」 「……ルキウス伯みたいに、ですか?」 思わず口を挟んでしまい、ルキアニスはガラスの杯を握り締めて首をすくめた。 バジリシア公は大きく息をついて額に手をやり、シルディール女騎士卿は笑いを押し隠すように握った手を口元に寄せる。 「意外と、きついこと言うね」 「……すみません」 ルキアニスは、手に握り締めた硝子の器を口元に止せ、傾ける。 「!」 焼けるように感じるほど強い酒が、水のように滑るように喉を流れてゆく。 ルキアニスは咳き込んだ。
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祇条 深月 キャラクターカード HP1 AP1 DP1 コスト なし 種族 生徒 召喚時に、隣のキャラクターに「騎士カウンター」を置く。 このカウンターが置かれたキャラクターが隣に存在する限り、このカードはセメタリーに送られない。 出典 キミキス
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<前11-2へ|次11-4へ> 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」11-3 618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 20 08 00.68 ID fsI5836P 老賢者「期待せよ。 ……いつか始まるお前の物語に。 そしていつか出会うお前の友に。 お前は馬鹿だが、けして臆病ではない。 だから、いつかは“あたりくじ”を引くことも出来ようさ。 暇があるのならば、守ってやってくれ。 人々を。――彼らは、馬鹿ではなく、無知で臆病なのだ」 勇者「なんでそんな事言うんだよっ」 老賢者「他に何をお前に云ってやれる?」 勇者「そう言うのは良いから、林檎食おうよ。魚だってさっ。 肉だって自分で取れるようになった! 街への買い物だって今なら一時も掛けずに行って帰ってこれる。 おれ、じじーに恩を返せるようになったんだよっ。 見てくれよっ」 老賢者「見えておるよ……」 勇者「そうじゃなくてっ」 ぽろぽろ 老賢者「ちゃんと、見ておるよ……」 勇者「そういうんじゃ、なくてさぁ……」 ぽろぽろ、ぽろぽろ 老賢者「……なぁ、勇者。若者よ」 勇者「……うん」 老賢者「わしは、わしで良かったな。 悔恨と失意に満ちた人生だったが、 最後になってやっと帳尻があった。 お前がいて、楽しかったよ。 ……わしはどうやら、時を得たようだ」 勇者「いやだってば、そんなのいらないってばっ!!」ぎゅうっ 老賢者「はははは。……甘えてばかりでは、ダメだ。 ねだっても、与えられはしない。 勇者、最後の教えだ。 期待は、するな。 しかし、与えて、勝ち取れ。 おまえの友を。お前の大事な人々を。 与えられた時間を有意義に使うが良い。 ――やがて行く闇の中には 思い出の他には何も持って行くことは出来ないのだから」 626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 20 38 18.39 ID fsI5836P ――魔界、聖鍵遠征軍後方戦線 「急げ! 王弟元帥閣下の指示だっ」「切り出し運びました」 「ノコギリのヤスリはどこだっ!」「大天幕を持ってこーい!」 バサリッ! 参謀軍師「どの位置だ?」 斥候兵「このライン、距離にして、すでに4里に迫っております」 聖王国将官「4里……」 参謀軍師「馬ならば2時間もかかりませんね」 王弟元帥「ふふふっ」 参謀軍師「元帥閣下。迫ってくるのが、南部連合軍と聞いても あまり驚かれていないようですね」 王弟元帥「その程度の事は起きるさ。 これだけの戦だ。 それにあの娘が“次は戦争だ”と云ったのだ。 ――ならば援軍ぐらいは現われるだろう」 参謀軍師「……」 聖王国将官「準備は現在の方向で宜しいでしょうか?」 王弟元帥「よい。まずは馬防策だ。 南部連合となれば、予想される主兵力は歩兵だが、 騎馬兵力も過小評価すべきではないだろう。 問題なのは、率いているのが誰か、と云うことだな」 参謀軍師「冬寂王が軍中にあれば、南部連合は完全に本気。 この一戦に連合の命運をかけているといえるでしょう。 総司令に鉄腕王、もしくは南部連合のしかるべき王を 据えているのであれば、これも相当な入れ込みです。 負けるつもりはさらさらない。 どこかの将軍であるか、騎士隊長あたりが 率いているのであれば、とりあえずの出兵。 防備軍の寄せ集めであれば言い訳のための出兵、 と云うあたりでしょうか」 聖王国将官「その辺の報告はないのか?」 斥候兵「いえ、斥候ではそこまでは……。 それに、4里接近の報せを最後に、多くの斥候部隊との 連絡が途絶しております」 627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 20 40 34.08 ID fsI5836P 王弟元帥「いつか見た、あの女騎士将軍である可能性もあるな。 彼女は湖畔修道会を率いる英雄でもあるという……」 参謀軍師「あれが”鬼面の騎士”、”極光島の白薔薇”ですか」 聖王国将官「確かに非凡な用兵でしたね」 王弟元帥「まぁ良い。監視を……、いや、違うな。 斥候班を撤収させよ。撤収した斥候からは綿密な聞き取りをいたせ」 斥候兵「はっ! 失礼します」 ばさっ! 参謀軍師「ふむ……。今回の戦は、待ちですか?」 王弟元帥「攻守考えてはいるが、 我ら後方防備軍3万と都市攻略軍15万。 この間隙を突くのが奴らの基本戦略だろう。 奴らの数は3万にすぎぬ。 全てを相手にするとは悪夢の光景だろうさ」 参謀軍師「そうですね」 王弟元帥「で、ある以上、我らが突出をしすぎて、 本陣との距離が空けば空くほど、奴らには余裕が生じる。 実際に本陣から兵が派兵されることはなくとも、 その圧力を奴らに掛けつつ戦うためには、引きつける必要がある。 奴らに小細工や攪乱工作を用いらせないためにもな」 参謀軍師「それにしても、3万とは」 聖王国将官「ふざけた数字だ」 王弟元帥「いや、彼らは彼らの国力を精査した上で 判断したのだろう。 結成したての南部連合で、大規模な派兵は、 連合内部の不協和音に繋がりかねない。 また、本国に兵を残すことで、大陸の国家に対する圧力を 掛けることも出来る。現実的な判断であるとは思うが 果たしてその3万で、聖鍵遠征軍に何をしようと思うのか」 参謀軍師「考えが読めませんな」 王弟元帥「矛を交えれば、伝わってくるだろう」 630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 12 43.96 ID fsI5836P ――遠征軍、奇岩荒野、湖畔修道会自由軍 湖畔騎士団「以上でありますっ!」 女騎士「来たな」 副官「はい。しかも予想以上に早く」 執事「しかし、三万。ですか……」 女騎士「仕方がないさ」 獣牙双剣兵「なんの。三万の援軍があれば、 十万の兵でも打ち破れもうす」 湖畔騎士団「剛毅だな。お前達は。はははっ」 副官「俗に攻城三倍などといいます。あの開門都市には、 現在おおむね二万程度の戦闘可能な兵力が残っていますから」 執事「その人数で10万あまりを支えているのですから、 まさに五倍ですな。お見事という他ありません」 女騎士「さて、どうするか。だな」 副官「後方の南部連合軍と合流するのでは?」 執事「……」 女騎士「今わたし達のもつ7000あまりを加えれば、 確かに南部連合軍にとっては大きな力になるだろうが それでも聖鍵遠征軍全ては十五万を越えている。 合流してさえもばかばかしい戦力差だ。 南部連合軍三万。 都市内部の魔族軍二万。 我ら七千。 全て加えても五万七千。 三倍にもおよび、しかもマスケットを装備した聖鍵遠征軍を 相手にするにはまだまだ絶望的な状況が続いている」 631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 14 10.31 ID fsI5836P 副官「……」 執事「それにですな」 女騎士「うん」獣牙双剣兵「あの陣か」 執事「さようです。聖鍵遠征軍後方守備のあの陣地。 二重に引いた馬防柵は、細いがしなりやすい灌木の枝を 利用したもの。騎士の突撃は受け止められるでしょう。 そこにマスケットの銃撃を浴びせかける魂胆かと」 湖畔騎士団「なぜあの防御戦は波打ってるんでしょうね」 副官「それは判りませんが」 女騎士「おそらくは、密を作り出すためだ」 湖畔騎士団「密とは?」 女騎士「あの陣地に突撃をする場合、一定数以上の兵力で 突撃をすれば、陣の突出部分と後退部分のどちらにも 兵が入り込むことになる。 突出部分に性格に突撃した兵は、前方の敵に集中すればよいが へこんだ部分に入り込んだ兵は、前方に半円状の敵陣地を 持つことになる」 獣牙双剣兵「ふむ」 女騎士「あのへこんだ陣は、マスケットを生かすための殺戮部分だ。 へこんだ部分には、マスケットの射撃線が交わるように 設定されているのだろう。 こちらが密集隊形になればそれだけで命中率は跳ね上がる。 多数方向から銃撃を浴びせかけて、火力を一点集中させる工夫だ」 湖畔騎士団「そんな……」 副官「初めて見る戦法ですね」 執事「ではやはり……」 女騎士「うむ。この間の遊軍合流は、王弟元帥。 そしてその王弟元帥本人が、対南部連合を意識して、 後方防御軍の指揮に回ったのだろうな」 632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 16 20.70 ID fsI5836P 副官「王弟元帥、ですか」 執事「聖鍵遠征軍最大の軍事的才能でしょう」 女騎士「中央諸国家をまとめ、今回の遠征軍成立を働きかけた、 その張本人でもある」 獣牙双剣兵「敵の首魁か?」 湖畔騎士団「首魁というのとは違うだろうな。 だが、最大の将軍。もっとも力ある司令官と見て良い」 副官「……なぜか、切迫感を与える陣容ですね」 執事「その感覚は覚えておかれた方が良い。 司令官自身の気迫が全軍に伝わり、 緊張感を持った前線となっているのです。 あの陣地を突破するのためには生半可な手法では間に合いますまい」 女騎士「そうだな」 獣牙双剣兵「しかし、ずいぶん防御的だぞ?」 女騎士「それはおそらく、本陣と引きはなされるのを 嫌っているのだ。20万に迫る巨大兵力で十分に 可能だとは言え、聖鍵遠征軍は現在開門都市の攻略と 後方部隊への対処という、いわば二正面作戦に近しい状態にある。 これは軍事的に云えば、 消耗の大きい、あまり褒められない状況だ。 後方守備軍が突出しすぎれば、数にもよるだろうが 我が軍に取り囲まれ壊滅の危険もある」 獣牙双剣兵「ふぅむ」 湖畔騎士団「では、まさにおびき出せば!」 執事「それに乗ってくれるような男ではありませぬ。 あれで目から鼻へと抜けるような才気。 幼い頃から周囲の風景さえ違って見えたほどで」 633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 17 38.51 ID fsI5836P 女騎士「そうなると――。情報戦か」 副官「とは?」 女騎士「現在どちらも決定打に欠ける。 こちらから突っかかってゆけばマスケットの餌食だが 向こうも本陣からは離れたくないだろう。 と、なると、互いに相手の手の内を読み合う戦闘が始まる。 こちらの手を隠し、相手の手の内を読む。 そのためには情報が必要だ。 おそらく、契機は2つ」 副官 こくり 女騎士「1つは、開門都市の防壁がどれほど 持ちこたえられるのか? この情報だ。 我らは今、都市の内側と連絡を取ることが出来ない。 しかし援軍の接近を知らせて彼らの士気を高める必要がある」 副官「その通りです」 女騎士「もう一つは、聖鍵遠征軍内部の物資の量だ。 主に食料と、火薬だな。 この2つの量次第で遠征軍の戦術は大きな制約を受けざるを得ない。 いくら王弟元帥であっても空中から補給を取り出すことは 出来ないだろうからな」 執事「確かに」 女騎士「この2つの情報を手に入れる必要がある。 と、同時に、敵の情報を遮断する必要があるな」 湖畔騎士団「斥候の対処ですね」 副官「それならば、我らが適任ですね」 女騎士「頼めるだろうか?」 636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 19 21.41 ID fsI5836P 副官「お任せを。このあたりの地理はわたし達が 一番詳しいですし、何より精強な獣牙兵がついています。 斥候や偵察部隊なら、大規模軍と云うこともないでしょう。 また、付近には妖精族の者たちも身を潜めているはずです」 執事「では、わたしは敵の陣中に忍びますか」 女騎士「出来るか?」 執事「誰に仰るっ! この老執事今まで夜這いが発覚したことなど 一度たりとてありませんぞっ。侮辱してはいけませんっ!」 女騎士「……」 副官「……」 執事「あの聖鍵遠征軍の中にどんな娘さんがいるかと思うと にょっほっほっほ。……む、胸が苦しくてはち切れそうですぞ」 副官「……あの、この方は」 女騎士「何も云わないでくれ」 ドグワァッ!! 執事「なっ! 何をするのですか」 女騎士「妄想は良いからとっとと情報を集めてこい」 執事「恋する信者は執事さんのことを思うと いけないマスケット兵になっちゃうのかも知れないのですぞ!?」 女騎士「愛剣・惨殺大興奮が 老人の脳の実態調査に乗り出すぞ」 じゃきーん 執事「ふっ。余裕のない人ですね」 女騎士「良いから行ってこい」 執事「余裕のない逼迫した貧しく悲しいサイズですね」 女騎士「良いから行けーっ!!」 副官「なんだかよく判りませんが、色々お疲れ様です」 644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 21 37 22.04 ID fsI5836P ――魔界のあちこちで 「忽鄰塔?」 「そう! 忽鄰塔!」 「人間族がまたもや開門都市に迫ってきているんだ。 魔王様が立てこもって必死に戦っているんだってさ」 「どこでやるのさ? また平原で?」 「ううん、今度はその開門都市らしいよ」 「もしかして、人間の軍と戦うための忽鄰塔なのかな」 「そうかも知れない」 「忽鄰塔か……。戦は怖いな」 「でも行かなきゃ。魔王様が読んでいる。もしかしたら 魔王様が助けを求めているのかも知れないよ?」 「ともあれ、伝令を伝えよう」 「銀鱗族へも、羽耳族へも」 「忽鄰塔……か」 「人間って、見たことある?」 「いいや、ないよ」 「人間が作った鍋を、こないだ竜族の商人が運んできたよ」 「人間かぁ。どんな奴らなんだろう?」 「こんなところまで攻めてくるんだ、戦争好きなんだろう」 「じゃぁ、獣牙みたいな感じかな?」 「蒼魔みたいな感じじゃないか?」 「そうかもな」 「ともあれ、忽鄰塔だ。長老にも知らせなきゃ!」 「そうだな、これは一大事だぞ!」 657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 22 39 31.17 ID fsI5836P ――開門都市、防壁の上、補修部隊 ひゅるるる……どぉぉーん!! ひゅるるる……どぉぉーん!! 獣人軍人「はこべ! 石灰を運んでくれっ」 土木師弟「まずいな」 巨人作業員「いま、もってゆく……」 ひゅるるる……ぉーん!! 義勇軍弓兵「ま、また来たぞあいつらっ!!」 獣人軍人「~っ!!」 巨人作業員「だ、だめだ。……おれ……こわい」 義勇軍弓兵「無駄だって云うのにっ」 光の狂信兵「精霊は求めたもうっ!」 光の狂信兵「精霊は求めたもうっ!」 光の狂信兵「我らの魂は光の加護があある! 突撃っ!」 人間作業員「くっそう! 気が狂いそうだっ」 蒼魔族作業員「馬鹿な人間どもがっ」 獣人軍人「弓兵! 射撃!!」 義勇軍弓兵「くそったれ!!」 びゅんびゅんびゅん!! びゅんびゅんびゅん!!! 「ぎゃぁぁー!!」 「精霊に光りあれっ~!」 「精霊万歳!」 大主教猊下、ばんざーいっ!!」 どすっ! どすっ! ばた、ばたっ 659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 22 42 43.62 ID fsI5836P 義勇軍弓兵「あ、あいつらあんなに……あんなに……はぁ、はぁ」 人間作業員「いくら防壁がそろそろ限界だからって、 その防壁に槍や剣で突っ込んで どうなるもんでもないじゃないかっ。あいつら、おかしいぞっ!」 蒼魔族作業員「なんの意味があるんだ、こんなのにっ」 獣人軍人「心を揺らすな! 監視と補修作業をするんだ」 義勇軍弓兵「おかしい。あいつらおかしいよ……」 ひゅるるる……どぉぉーん!! ひゅるるる……どぉぉーん!! 人間作業員「血が……。防壁にも血がべったりだ」 蒼魔族作業員「気にしたらダメだ。よし、こっちは終わった」 獣人軍人「市内へ行って交代班の編制を聞いてきてくれ」 義勇軍弓兵「はい、了解しました……」 ふらふら 土木師弟(限界だ……。防壁の強度もそうだけれど、 精神的な疲労もピークに迫りつつある。 防備軍は混乱しているが、あれは一種の恐怖戦術なのか。 考えたくはないが……。あいつらは命をなんだと思っているんだ) 蒼魔族作業員「監督、石の配置を」 ひゅるるる…… 土木師弟「おっ。おう。土嚢と混ぜるように、 壁の欠損箇所を補修していくぞ。おーい! 十人ばかり」 どぉぉーん!! どぉぉーん!! どぉぉーん!! どぉぉーん!! 巨人作業員「~っ!」 義勇軍弓兵「近い、下がれ! 待避だぁっ!!」 人間作業員「大将っ!」 土木師弟「なっ。総攻撃っ!? 何を考えてるんだ。 いきなり火力を集中してきたぞっ!?」 666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 23 27 54.01 ID fsI5836P ――聖鍵遠征軍、中核陣地、だらしない天幕の群 ……ォォン! ……ドォォーン! 光の銃兵「はぁ……」 光の槍兵「腹が減ったな」 カノーネ兵「王弟元帥が食料を持ってきて くれるんじゃなかったのか?」 光の銃兵「持ってきてくれたさ。現に振る舞ってくれた」 光の槍兵「それじゃなんで……」 カノーネ兵「食料は貴族どもがかき集めちまったって話だ」 光の銃兵「灰青王は何をやっているんだ」 光の槍兵「教会に云われて、どうにもならないらしい」 カノーネ兵「また豆のスープか……」 斥候兵「たまには、温かくて白いパンを食いたいな」 光の銃兵「もうずいぶん長い間食ってないような気がする」 光の槍兵「ああ、そうだな……」 カノーネ兵「……」 斥候兵「……」 光の銃兵「……」 ……ォォン! ……ドォォーン! 光の槍兵「なあ……」 カノーネ兵「ん?」 光の槍兵「このスープ……」 カノーネ兵「うん」 光の槍兵「これって、悪魔の」 カノーネ兵「しぃっ!」 667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 23 29 35.91 ID fsI5836P 光の槍兵「えっ? そ、そうなのか?」 カノーネ兵「食っちまえよ」 斥候兵「馬鈴薯さ」 光の銃兵 ご、ごくり 光の槍兵「いいのか? そんな物を食べてっ」 カノーネ兵「黙ってろよ。これは略奪品の中に入ってたんだ」 光の銃兵「い、異端の」 カノーネ兵「いやなら食うなよ。俺が食うから」 光の銃兵「い、いや……」 光の槍兵「これ、美味いんだよ。俺は向こうでも 食っていたことがある」 光の銃兵「そうなのか?」 光の槍兵「ああ」 ……ォォン! ……ドォォーン! カノーネ兵「こんな物でも食べなきゃやっていられないじゃないか」 斥候兵「ああ、そうだ」 カノーネ兵「集会に参加すれば、小麦がもらえるらしいけどな」 光の槍兵「いやだいやだ。俺は一度行ったことがあるけれど、 薄っ気味悪いところだぜ。二度と行きたくはねぇよ」 カノーネ兵「でも、パン……」 斥候兵「ああ」 カノーネ兵「俺は今晩にでも参加してみるよ。 懺悔集会なんだろう? 頭を下げていれば、それで小麦がもらえるなんて楽なもんだ。 いいや、どうせ俺はここに来た時から、 食わせてもらうためだったら何でもするつもりでいたんだからな」 676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 23 54 16.64 ID fsI5836P ――聖鍵遠征軍、中核陣地、百合騎士団の仕官天幕 バサリッ!! 灰青王「百合のっ!」 百合騎士団隊長「あら?」にこり 灰青王「どういう事だ」 百合騎士団隊長「どうとは? 灰青王さま」 灰青王「なにゆえ、あのように無防備で 意味のない突撃をさせるっ!?」 百合騎士団隊長「意味のない?」 灰青王「あの防壁は、マスケットや騎馬突撃で破れる強度ではない。 ましてや、剣や槍でどうしようというのだっ!? 歩兵の集団突撃など愚の骨頂ではないか!」 百合騎士団隊長「いけませんわ。灰青王さま」 するんっ 灰青王「っ!」 百合騎士団隊長「あれらの献身は、精霊様に対する信仰の証し。 それを愚の骨頂であるとか、無駄などと云っては。 それは背教者の言いざまです」 灰青王「信仰など知ったことかっ!」 ダンッ!! 百合騎士団隊長「聖鍵遠征軍は信仰の軍なのです」 灰青王「だとしても、その前線指揮は 現在わたしが預かっているのだっ。 前線に無用の混乱を引き起こし、士気を瓦解させるような 戦術は司令官として見過ごすわけには行かないっ」 百合騎士団隊長「これは大主教猊下直々の御指図なのです」 677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/12(月) 23 57 37.96 ID fsI5836P 灰青王「~っ!」 百合騎士団隊長「そのように驚きになられなくても宜しいでしょう? 猊下は前線で苦しむ兵士の姿を拝見になられ その苦しみの何分の一かでもその身のお引き受けになろうと 自らの両目をお抉りになったのですよ?」 灰青王 ぞくっ 百合騎士団隊長「ふふふっ。あのような血と脳漿の中で 天に召された兵士達は、必ずや光の精霊の安らかなる胸の中で、 永遠の至福を味わっているはず」 灰青王「そのような戯れ言っ」 百合騎士団隊長「ふふふっ」 ちゅく。 灰青王「っ!?」 百合騎士団隊長「そんな表情をされなくても。 初めてではないくせに。もうお忘れに?」 灰青王「俺は何かをごまかすために、自分の意を通すために 心も寄せてない女を抱いたことは、一度もない。 これまでも、これからもだっ」 百合騎士団隊長「わたしにはあるのです」とろり 灰青王「……っ」 百合騎士団隊長「もはや私たちは、1つの船に乗っているのです。 この聖鍵遠征軍という船に。あの都市を落とせなければ、 あなたもわたしも漆黒の炎で焼かれるさだめ。 ふふふふっ。 あの都市を炎の中に沈め、わたし達の未来を照らす かがり火にしようではありませんか。 精霊は祝福されているのですから。うふふっ。 くすくすくすくすくすくすっ」 697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 18 49.24 ID quxpU4cP ――魔界、聖鍵遠征軍後方戦線、南部連合軍 女騎士「来てくれたのか!」 軍人子弟「当たり前でござるよ!」 鉄国少尉「お久しぶりですね! 騎士将軍」 女騎士「少尉も立派になられたな」 鉄国少尉「ははははっ。そんな事はないです。まだまだですよ」 軍人子弟「騎士師匠の軍は?」 女騎士「先行偵察で散っている」 軍人子弟「このあたりはどうでござる?」 女騎士「このなだらかなうねりを持った荒野が四方に続いている。 魔界では比較的豊かな土地だが、戦火で荒れ果てているし、 潅漑がされていないからな」 軍人子弟「……見晴らしが良いでござるな」 鉄国少尉「ええ」 女騎士「至近距離での奇襲など成功できる土地じゃないな」 軍人子弟「そうでござるね」 伝令「軍人子弟殿、後方部隊のとりまとめが済んだよし、 伝令であります!」 軍人子弟「よっし、護衛部隊とともに出発!」 鉄国少尉「我らは先行しても平気ですかね?」 女騎士「ああ、この辺に敵の小部隊は出ていない」 軍人子弟「では、王も呼んでくるでござるよ」 698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 22 49.99 ID quxpU4cP ――魔界、聖鍵遠征軍後方戦線、南部連合軍、丘の上 ビョオオオー! 女騎士「あれが、おそらく王弟元帥の引いた防衛線です」 冬寂王「むぅ」 鉄腕王「ふんっ。何とも小憎らしい」 軍人子弟「見事な防御戦でござるね。馬防柵に所々の土嚢、 簡単とは言え、物見櫓。消火用の砂山……」 鉄国少尉「その進撃速度から、電撃作戦を好む好戦的な 司令官だと思っていたのですが、そう言った雰囲気は 感じられませんね」 冬寂王「そこがかえって恐ろしいな」 鉄腕王「あの軍にもマスケットが配備されているのか?」 女騎士「確実に」 こくり 冬寂王「やり合うとなれば、相当の被害は避けられぬな」 鉄腕王「そうなるか」 軍人子弟「今回は先方に主導権を取られているでござる。 我らには戦場決定の自由がない。そして陣地を築くのは 向こうの方が早く、こちらに有利な条件は少ない」 鉄国少尉「……」 女騎士「そして、おそらくあの司令官はこちらを 甘く見ることも油断することもないだろう」 将官「では、こちらの勝機は薄いのですか?」 女騎士「薄いな」 700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 25 04.12 ID quxpU4cP 冬寂王「ふむ……」 鉄腕王「どうするのだ?」 冬寂王「どうする、とは?」 鉄腕王「今回わしをあえて戦闘の全権将軍にしたのは 何か思惑があるのだろう? 責任を逃れるためにそのようなことにするような王でもあるまい」 女騎士「……」 冬寂王「思うところはないではないが、まずは、魔族だ」 鉄国少尉「まずは、とは?」 冬寂王「そもそも今回の戦は、 魔界へと聖鍵遠征軍が攻め入って始めたもの。 攻め入ったのは人間、中央諸国家。 そして攻められたのは魔族の土地だ。 妖精族の領事館を通して支援要請があったとはいえ、 正式な宣戦布告をしたわけでもない。 どちらに味方をするかと問われれば、それは魔族だ。 これは南部連合会議の結果であり、変えることは出来ない。 しかし“どのように”助けるかと問われれば、 それは魔族側からの要求を第一に考えるべきだろう」 軍人子弟「……魔族、でござるか」 女騎士「魔王……」 冬寂王「その魔王だよ。 わたしは魔王がどのような人物なのかそれに興味がある。 これだけの魔界をまとめ上げ、 そしてあの人間界側から戦争を持ち込んだ 第二次までの聖鍵遠征戦争を経験しながらも、 対等な平和条約を結ぼうと努力できるその精神に興味があるのだ」 鉄腕王「では、このまま待つと?」 702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 27 14.95 ID quxpU4cP 冬寂王「そのつもりだ」 軍人子弟「そうなのでござるかっ!? 魔界まで来ながらっ!?」 鉄国少尉「まさかっ!?」 冬寂王「最大限犠牲を少なくなる手法を議会で確約しただろう。 我らは軍装を持ってこの魔界へと入ったが、聖鍵遠征軍ではない。 最初から相手を殲滅する意図を持って行動するのは 我ら南部連合の流儀ではないはずだ。 わたしは魔王の話を聞きたい。 その意志が、もはや聖鍵遠征軍はこの地上に存在すべきではない。 そういうのならば、人間としてその決定には一言言う必要がある。 また、もし聖鍵遠征軍が魔王の声を無視してただいたずらに 領土と血の供物を求めるのであれば、その行いを正す必要もある」 軍人子弟「しかし、そのための実力が我が軍にあるかと申しますれば」 冬寂王「だから、将軍を任せたのさ。将軍をしていては、 綺麗事を吐く時に口が鈍る」 鉄腕王「なっ。冬寂王っ」 軍人子弟「勝つ算段は現場でやれと!?」 冬寂王「どちらにしろ、今は時間が必要だろう? それは現場も上も同じ事のようだ。ほら、見てみろ」 鉄腕王「あれは……」 軍人子弟「望遠鏡を貸すでござる」 鉄国少尉「はっ」 軍人子弟「カノーネ、でござるね。 こちらに向けて、あんな風に姿をさらして」 冬寂王「寄らば撃つ。あれは示威だ」 女騎士「どうやら向こうもとりあえずは硬直を望んでいるようだな。 もし早めにけりをつけたいのであれば、あそこに構えたカノーネは 隠しておき、我らの突撃にあわせて不意に発射すべきだった」 冬寂王「魔王殿の意志が判るまでは、戦闘による被害をなるべく 押さえながらこの位置で圧力をかけ続けると云うことになるな」 708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 51 44.06 ID quxpU4cP ――5年前、梢の国、魔物の現れ始めた洞窟 パチパチ、メラメラ。 女騎士「なぁ、勇者」 勇者「なんだ?」 女騎士「勇者ってさ。どんな子供時代だったんだ?」 執事「そうですなぁ。そう言えば、聞いたことはありませんでしたな」 女魔法使い「……すぅ」 勇者「どうって……普通だったと思うぞ」 女騎士「そうなのか? なんかすごい英才教育を受けたりはしなかったのか? 毎日すごく苦い強壮剤をバケツ一杯飲まされたから強くなったとか」 勇者「どんな虐待家庭だよ」 執事「たしか、聖王国で暮らされていたんですよね?」 勇者「聖王国って云っても、国境の深い森の中に、オンボロ家だよ」 女騎士「ふぅん。森暮らしだったのか?」 勇者「うん。まーね」 執事「剣技や魔法は、どのように身につけたのですか?」 女騎士「興味があるな。勇者の剣は一件めちゃくちゃだが よく見ると、めちゃくちゃだ。……ちがった。 よくよく見ると、有るか無きかの品というか、 本格的な型があるように見える」 執事「剣はまだしも、魔術はある種の学問ですから、 我流で身につけるわけにも行かないでしょう?」 710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/13(火) 00 53 10.33 ID quxpU4cP 勇者「……んー」 執事「?」 女魔法使い「……すぅ。……すぅ」 パチパチ、メラメラ。 女騎士「どうしたんだ?」 勇者「内緒なのだ。勇者72の秘密の1つだ。ぽんぽこぴー」 執事「そうなのですか」 女騎士「うーん。残念。……勇者は自分のことは話さないからな」 勇者「別に過去が無くたって、戦えるじゃん? どこで覚えた技だって、役に立てば問題ないってなもんだ」 女騎士「それはそうだけど」 執事「そう言うことにしておきますか」 勇者「ふわぁーぁ。もう、眠いよ。明日もあるし、寝ようぜ。 魔法使いなんてメシ食ったら30秒で寝てるじゃないか」 執事「はははは。彼女は眠るのが趣味ですからね」 女魔法使い「そして、爺さんはおさわりが趣味、と」 執事「それはもう良いではありませんかっ」 勇者「じゃ、俺も寝るよ。あそこの端っこの木陰、もらうな。 んじゃな! 見張りの交代になったら起こして良いからなー」 713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 54 55.77 ID quxpU4cP パチパチ、メラメラ。 女騎士「また、失敗してしまったかな」 執事「そんな事はないでしょう」 女騎士「勇者、聞かれたくなかったんじゃないかな。 でも、勇者は時々辛そうで、あんまりにも頑張り屋で。 みていられないんだ……」 執事「そうかも知れませんねぇ」 女騎士「……」 執事「でも、それでも良いのではないでしょうか。 世の中には、本人は尋ねられたくないことでも 尋ねた方が良いこともあると思うのです」 女騎士「どういうこと?」 女魔法使い「……古い」 女騎士「起きてたのか? 魔法使い」 女魔法使い「……古い思い出は、時に取り出して 空気に当てて、埃を払う必要がある。たとえ、痛くても。 自分がどこに立っているか、思い出すために」 女騎士「?」 執事「判らないでも宜しいでしょう。女騎士も、勇者も それに女魔法使いも、まだとてもお若いのですから」 女魔法使い「……としより」びしっ 執事「にょっほっほっほ。わたしは年寄りなんですけどね~」 714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 56 36.04 ID quxpU4cP パチパチ、メラメラ。 女騎士「わたしは、自信がないんだ。 わたしは湖畔修道会で騎士になり、 剣技も祈祷も人よりもずっと早く身につけてきた。 みんなはわたしにとても良くしてくれた。 天才だともてはやされもしたよ。 勇者の再来、いや、真実の勇者だとも云われた。 自分でも思っていた。 わたしは出来るじゃないかと。 相当にすごい力なんじゃないかって」 執事「……」 女騎士「でも、勇者に出会ってそんな考えは吹き飛んだ。 わたしがどんなに早く動いても、どんなに強く剣を振っても 勇者はその先にいっているんだ。 わたしが高速詠唱をする間に、勇者は無詠唱攻撃呪文を 2つは放っている……。 勇者の戦闘センスの鋭さはわたしのそれよりも高すぎて、 時には勇者がどんな連携を望んでいるか判らなくなる。 勇者の見ている世界が判らないんだ。 わたしは勇者に追いつきたくて必死だけど、 勇者はいつでも寂しそうで、わたしに優しくて わたしは自分の無力さに押しつぶされそうになる」 執事「そうですね……」 女魔法使い「……かんけーない」 女騎士「え?」 女魔法使い「……それでも、一緒にいればいい。それだけ。簡単」 女騎士「……」 女魔法使い「……最後まで一緒にいれば、勝ち。 今は判らなくても、いずれ判れば、勝ち」 女騎士「そう、かな」 女魔法使い「……勝つ気がないなら酒場に帰ればいい」 女騎士「そんなことはない」むっ 715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 00 57 42.47 ID quxpU4cP 女騎士「最後までたっているのは得意だ。 重装甲に身を包んだ教会の騎士は全兵科のうち もっとも装甲の厚い、鉄壁の防御力を誇るのだからな」 執事「ぜっぺ」 ひゅばっ!! 女騎士「なにか?」 執事「いえ……。おほん、おほん」 女騎士「こう言っては悪いが、ただ立っているだけで、 あっちへふらふら、こっちへふらふらしているような 寝不足魔道士はわたしのような克己心や自制心は 望むべくも無いだろう」えへんっ 女魔法使い「……胸も、態度ほど大きくなればいいのに」 女騎士 かちん 執事「ま、ま! ここはひとつっ」 女騎士「ふっ。そうだな。光の神のしもべは くだらないことは気に掛けないのだ」 女魔法使い「……ゆずらない」 女騎士「ふんっ。それはこっちの台詞だ」 執事「これに気が付かないのですから信じられません。 それこそが勇者の資質なのかと疑うくらいですよ」ぼそぼそ 女魔法使い「……寝る」もそもそ 女騎士「何をしているんだ!? 勇者の次の見張りはわたしだ。 そこはわたしの場所だぞ」 女魔法使い「……けち」 執事「先が思いやられますなぁ」 732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 01 24 49.30 ID quxpU4cP ――開門都市、庁舎、執務室 鬼呼の姫巫女「――殿、――殿っ!!」 鬼呼執政「……どのっ」 鬼呼の姫巫女「魔王殿っ!!」 魔王「っ。すまない。続けてくれ」 鬼呼の姫巫女「……限界と見えるぞ。魔王殿。 睡眠し、食事を取らなければ」 鬼呼執政「お顔の色が真っ青ですよ」 魔王「元から戸外生活は苦手の屋内派なのだ」 鬼呼の姫巫女「そんな冗談を言っている場合ではない」 鬼呼執政「ええ。このまま魔王殿がお倒れになられては、 それだけでこの開門都市は陥落してしまいます」 ……ォォン! 魔王「……眠れなくてな」 鬼呼の姫巫女「あの大砲か。確かに恐ろしげな音だな」 庁舎職員「無理もありません」 魔王「……会いたい人に会えない。それだけだ」 鬼呼の姫巫女「――」 魔王「いや、忘れてくれ」 鬼呼の姫巫女「それは……」 こんこんっ 魔王「誰だろう?」 庁舎職員「見て参ります」 733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 01 26 48.84 ID quxpU4cP かちゃり 火竜公女「魔王どのっ。ただいま帰参いたしました」 魔王「公女。わたしは、あなたには落ちて頂こうと」 鬼呼の姫巫女「ふふふっ。こうなると思っていた。 公女、良く帰ってきてくれたな!」 青年商人「ご無沙汰していますね」 魔王「商人殿ではないかっ」 がたりっ 鬼呼の姫巫女「この方は?」 魔王「ああ、この方は」 火竜公女「人間界有数の商人の組織『同盟』の幹部の一人にして 人界の魔王とよばれるかた。商人殿でありまする」 魔王「え?」 青年商人「魔王とか勘弁してください」 火竜公女「妾の良人と紹介すればお気が済むのかや?」 青年商人「……この件が終わったら苛烈な報復を決意していますからね」 火竜公女「どのような仕置きでも受けましょう」 魔王「どういう事なのだ?」 火竜公女「魔王殿に頼まれていた、援軍でございまする」 青年商人「それにしても、しょぼくれていますね。 学士殿。 あの日のわたしに詰め寄ってきたあなたからは 想像もつかないほどだ。 手元にあれば、水でも掛けるところです」 736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/13(火) 01 31 16.08 ID quxpU4cP 魔王「商人殿。それはないであろう。 いまや、開門都市の危急の際なのだ。 そもそも身なりに構ったことなど無いのだ、わたしは」 青年商人「そういう話ではありませんよ。 あまりにも狼狽しすぎていて、みっともないと云ったんです」 鬼呼執政「み、みっとも!?」 魔王「っ!」 青年商人「怒りましたか? 早く回転数を上げてください」 火竜公女「何を、商人殿……?」 青年商人「あなたが魔王をさぼっているから、 わたしのところにまで案件が持ち込まれているんですよ。 いい加減に本気を出して仕事をしてください」 魔王「している。しているではないかっ」 青年商人「出来ていません」 火竜公女「っ!?」 青年商人「そもそも魔王の仕事はなんですか? 都市防備の指揮ですか? 前線司令ですか? ただでさえあなたはそういう資質がないというのに。 人がいないというのならばともかく、 いながら使っていないだけではないですか」 魔王「……っ」 青年商人「あなたの持ち味は、無限にも思えるほど 遠くを見渡す視界の広さと、味方も敵もないほどに 透徹したバランス感覚。その冷たい論理とはうらはらに 呆れるくらいにお人好しで理想家で、本当は全員を助けたいと 死にものぐるいで願っている決死さだったのじゃありませんか? あなたは二番目に強力な絆は損得勘定だと云った。 それは一番が神聖だったからではないのですか? 正直、少しがっかりしました。 もっと回転をあげて思考速度を早めてください。 大事な臣下を失って、その痛みにすくんでいるのは判ります。 だからといって、あなたの歩いている道から 犠牲者がいなくなるなんて事はない。 その数を数えているくらいなら、 一人でも減らすために仕事を始める頃合いじゃないんですか? あなたのやるべき事は、目先の軍を防ぐことではない」 ページトップへ <前11-2へ|次11-4へ>
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N2/W32-116 カード名:“守護騎士”ザフィーラ カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:3500 ソウル:1 特徴:《使い魔》?・《動物》? 【自】 バトル中のこのカードがリバースした時、このカードを山札の下に置く。 我等が主の病は消える…少なくとも、進みは止まる レアリティ:C 14/10/01 今日のカード