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共通ストーリー #18 (2/27) 翻訳者 AFK Twitter クアンタムの子どもたち 以下の 2 つの通信は宇宙評議会医療班長ジン・ランからのものです - レポート No.1 発信地 コアシステム ステーション・イグニス 時刻 第 24 回宇宙評議会会合直前 ζ サジタリィ 3.32 星紀 分類 手術前報告 ジン・ランです。クアンタム病に侵された双陽団員への細胞分割手術における初期準備について報告します。当該患者の容体は悪化の一途をたどっており、すでに脳までクアンタム融合が及んでいる可能性があります。なおこれまでの検査により、腺と神経系が既にクアンタムに侵されていることが確認されています。ただし融合がどの程度進行しているかは把握できていません。今回の手術の過程でその進行具合が把握できると考えています。 また、患者の会話に異様な点があることも確認しています。会話内容の大半は支離滅裂なものですが、繰り返し特定の言葉を複数発しているのです。特に、「揺りかご」、「旅」、「子どもたち」という言葉が彼らの口から頻繁に出てきています。これの相関および原因については未だはっきりとしていませんが、クアンタムを通して患者たちの潜在意識に心理的な繋がりのようなものが存在しているのではないか、と推測しています。この手術の結果次第では、この推論をより深く考察できるかもしれません。ただし差し当たっては、患者の命と安全が最優先です。 レポート No.2 発信地 コアシステム ステーション・イグニス 時刻 第 24 回宇宙評議会会合直前 ζ サジタリィ 3.32 星紀 分類 手術結果報告 ジン・ランです。クアンタム病に侵された双陽団員に施した細胞分割手術の結果を報告します。残念ながら…3 人の患者を除いて全員死亡してしまいました。手術開始直後は上手くいくのではという見込みもありました。しかしほとんどの患者は、手術範囲が身体の中心部に移行していった際に、クアンタムが神経系全体と融合してしまっていることが判明しました。 手術を速く進められていれさえすれば、融合の範囲拡大を止めることができたかもしれません。しかしクアンタムの特性である不安定さと、手術法が実験的なものであることから、この手術は慎重に進めなければならなかったのです。 なお生存者 3 名と遺体は連合に移送される予定です。連合には彼らの遺体を遺族や恋人の元にしっかり届けてもらえれば、と思います。ちなみに生存した 3 名についてですが、全員脳からクアンタム融合した細胞を切除する必要がありました。もちろん全患者その必要はありましたが、この 3 名については他の患者と比べて前頭葉でのクアンタム融合の度合いが低かったです。彼らが無事生存できたのはこれが一因かもしれません。また、意識回復後のおかしな様子についてもこれが原因の可能性があります。 クアンタム病以前の彼らの性格やふるまいについてはよくわかりませんが、意識回復後の彼らはよそよそしい態度であったように思われます。質問には返答し、挨拶も返していたのですが、それもあいまいな態度で。視界の向こう側…どこか遠くをじっと見つめながらでした。時折首を傾けていることもありましたね。まるで自分たちにしか聞こえない会話を聞いて、うなずくかのように。 次に、患者の身体から取り除いた物質についての説明をしていきます。例の技術「細胞分割」を用いたことで、たいへん効果的に患者の身体からクアンタムを取り除くことができました。しかし取り除いたクアンタムは今まで見たことがないような形状でした。通常クアンタムは自身の分子構造を再形成できるのですが、このクアンタムは外部からの刺激に対してのみ反応して再形成しているように思えます。なんというか…「生きている」ように思えるのです。いずれにせよ、この物質は後日ステーションでクアンタム研究班の手による分析を行う予定です。 通信は以上です。
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895 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 41 28.73 ID l5KWbqUi0 ぴぴぴぴぴぴっぴぴぴぴぴぴっ 目覚ましの音に起こされる。 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪ 「……死んでねえよ。」 目覚ましと携帯のアラームを止める。まだ少し眠いが起きあがる。そこでふと違和感を 覚えた。なんだろうか。……そうだ、オレは今女なんだった。そのことを思い出すと同時 に、昨日のことも思い出してしまった。しかし気持ち良かった。そういえば十分満足した つもりだったが、ベッドの中でまたヤってしまい、疲れて寝たんだった。思い出すとまた ヤりたくなる。……アレ? ベッドでヤったんだよね? 少し不安になり掛け布団をどか すと、案の定シミが出来ていた。……コレは結構恥ずかしいな。シャワーを浴びる間に洗 濯することにしよう。シーツを外して洗濯機に入れる。ついでに今着ているパジャマも入 れる。洗剤を入れ、スイッチを入れると、自分はお風呂場に行きシャワーを浴びる。 …………。 思いのほか時間がかかってしまった。きっとこの身体が悪いんだ。男の時はこんなこと なかった。きっとこの身体が淫乱なんだ。オレは悪くない。むしろ気持ち良かった。しか し、コレは結構問題だ。この身体は欲求不満過ぎる。一人の時はまだしも、誰かに見られ ている時はヤバイ。誰かに見られてる時にヤりたくなったら…………あ、ヤバ、こんなこ と考えたらまた興奮してヤりたくなっちゃうじゃん。どうしよ、本格的にヤバイ。やっぱ エロいのはオレ自身か。とりあえず我慢しよう。我慢すれば良いんだ。 気持ちの整理もついたところでシーツとパジャマを干す。なんか、おねしょしたみたい じゃん。……こんなことで興奮しちゃダメだ。 気持ちの整理もついたところで朝ご飯を食べる。めんどくさいのは嫌いだから、パンを 食べることにする。っていうか、親がいないとどうしてもパンが多くなる。こんなんで一 人暮らし出来んのかな? 悩んでもしょうがないか。それにしてもイチゴジャムうめー。 でもトーストにバターもシンプルだが捨てがたい。ところでバター犬ってどうなんだろ? 舐めるんだよな? 気持ち良さそうだなぁ…………って、興奮しちゃダメだ。 気持ちの整理もついたところでケータイでトモを呼ぶ。さて、今の内に荷物でも用意し ておくか。財布はまあ三千円あれば足りるよな。定期は…………切れてるか。夏休みだし な。勿体ないから普通にキップ買うか。ついでたからTSUTAYAで借りたフリクリとピロウ ズのCDも返しに行くか。あとはmp3プレイヤーの充電ぐらいか。 896 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 42 13.90 ID l5KWbqUi0 ピンポーン。 おっ、トモが来たみたいだ。荷物を持って玄関に行く。 「よう、じゃあ早速行くか」 「ああ、別に良いけどさ。昨日は楽しんだか?」 「なっ、へ、変なこと聞くなっ///」 「その様子なら楽しんだみたいだな」 「お、お前こそ頭ん中でオレのこと犯したんだろっ!?」 「えっ、あ、いや、何のことですか?」 「…………お前、マジにやったのかよ」 「あー、いや、だからさ、その……」 友達に脳内で犯されて気分良いヤツなんて普通いねえ。正直、オレもかなりひいた。ま だちょっと裸を想像して勃起したぐらいなら許せるが、オカズにされるなんて最悪だ。 「ついカッとなってやった。今は反省している」 「カッとなってヤるな」 「いや、マジゴメン。反省してるから」 「……ホントか?」 「本当です。だから友達のままでいてください」 「……準友達に格下げな」 「マジっすか!?」 「そんなことより早く行こうぜ」 「あ、うん」 自転車に乗り、家をあとにしてTSUTAYAに向かう。 「……何か遠回りしてない?」 「ああ、TSUTAYA寄ってくから」 そういえばコイツに言ってなかったな。まあいいさ。……それより鍵かけてきたっけ? やべ、すっげー不安だ。 897 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 43 23.01 ID l5KWbqUi0 TSUTAYAに寄ってから駅に来たので少し時間がかかった。途中、自転車のサドルがイイ 感じに当たった時はヤバかったが、何とか乗り切れた。少しだけ声を出してしまったが、 トモにもバレてないと思う。キップを買い、電車を待つ。目的の電車は五分ほどでやって きた。玄関の鍵をちゃんとかけてきたことを願いつつ、電車に乗り込んだ。 「痴漢にあったりしたら面白いのにな」 「まあな。でもそれはないだろ」 「確実に捕まえられるよな」 「もし痴漢にあったら、そん時は俺が取り押さえてやるよ」 「ならオレはお前を警察に突き出してやるよ」 「ちょっ!? おい!」 「冗談だよ、冗談」 「……ならいいけどさ」 まあ痴漢に会うことなんてないだろう。夏休みとはいえ、平日の昼前。生憎、座席は埋 まっているが、立っているのはオレ達を入れてもたったの四人だけだ。この状態でやった らただの自殺行為だろう。案の定、何も起きずに目的の駅に着いた。 「さてと、変態屋に行く前にどっかで飯食ってこうぜ」 「賛成の反対の反対」 「じゃ、すぐそこのマックでいいか?」 「OK,BOSS」 駅を出ると、すぐそばに商店街がある。目的のマックはその商店街の中にある。運が良 かったのか、マックもかなり空いていた。 「オレ、テリヤキセット。ドリンクはコーラで。それからスマイルな。注文しといて」 「わかった。金は出せよな」 「いらっしゃいませ。こちらでお召し上がりですか?」 「はい」 「ではご注文をどうぞ」 「ビックマックセットとテリヤキセット。ドリンクは両方コーラで。あとスマイル」 「え、あ、はいw」 「…………///」 やっぱバカだアイツ。普通にスマイル頼みやがった。 898 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 44 34.75 ID l5KWbqUi0 「おー、こっちこっち」 二階の窓際にある席に座っていると、トモが上がってくるのが見えた。 「お前なぁ……人にスマイルなんて注文させるなよ!」 「普通は注文する前に気付いてやめるだろ」 「気付かなかったんだからしょうがないだろ!」 「じゃあ600円払うからさ」 「……しょうがねえな」 「トモは少し多めに代金を貰った」 「俺は人から貰ったポケモンかっ!?」 適当な会話をしながら飯を食う。女になって少食になったのか、それともただ単に昼飯 が早かったのか、食べ切るのがツラかった。前ならセット+単品一つ食ってたっていうの に。飯を食い終わり、しばらく他愛もない話をしてから店を出た。あとは変態屋にいくだ けだ。変態屋まではココから歩いて約5分。別に遠い距離ではない。商店街を通り抜け、 信号を渡り、一回右に曲がる。少し歩き、歩道橋を渡った先、そこにウチの高校がある。 高校からさらに80メートルほど行くと、そこに目当ての変態屋がある。 店の中に入ると、いつもどおりコンビニなんかでは見かけないような、変な商品がたく さん置いてある。店の奥のカウンターに行くと、この店の主がいた。 「おい、オッサン!」 「ん、何かな? お嬢さん」 「ここで売ってるHKOKってジュース飲んだら女になったんだよ!さっさと戻せやコラ!」 「あー、元男? でもさー、文句言うのはひどくない? ちゃんとこの貼紙見た?」 そう言って、店主は一枚の紙を指差す。その紙には『このジュースを飲むと女の子にな れます!』と書かれていた。その紙の下にはHKOKが置かれていたらしいが、今は何も置か れていなかった。 「……とにかく、オレは知らずに飲んだんだ。男に戻してくれ」 「勿体ないなー」 そう言いながらも、店主は一本のジュースを差し出してくれた。そのジュースを見てみ る。またもや成分表はない。 899 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 45 27.86 ID l5KWbqUi0 …………って、ちょっと待て。 「なんでまたHKOKなんだよっ!元に戻るヤツ出せよっ!!」 「いや、落ち着いて良く見て欲しいんだ。ホラ、『ひょんなことから男の子』だろ?」 「紛らわしいんじゃボケ!!」 「じゃあ120円」 「しかも金取んのかよ……」 しかし、背に腹は変えられないので払う。大した額でもなし、問題ない。その後、「何 か問題があったら連絡してくれ」と、電話番号を書いた紙を渡された。その紙とジュース をバッグにしまうと、変態屋を出た。駅に着くと、ちょうど電車が来ていたので、スムー ズに帰ることが出来た。 905 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 54 44.13 ID l5KWbqUi0 家に着くと、早速バッグからジュースを取り出す。これさえ飲めば元に戻れる。 「よし、じゃあ飲むか」 パキッ、パシッ、ゴクゴクゴクゴク………… ……へ? アレ? パシッて何? パシって。 「アレ?」 落ち着いて辺りを見回す。するとトモが缶ジュースを飲んでいた。あー、そっか。さっ きの『パシッ』は、トモにジュースを取られた音だったのか。 …………ってええええぇぇぇぇ!!?? 「おま、何飲んでくれてんだよっ!?」 「ぷはー。うん、確かにマズいね」 「マズいじゃねえよコノヤロ!」 「ん、アレ、なんか意識が朦朧と……や…………死ぬ……?」 「え、おい、大丈夫か?」 「あ……ヤバ…………」 倒れた。トモが倒れた。どうしよ。…………電話!そうだ、変態屋に電話だ!貰った紙 を出して、携帯に入力して、発信! プルルルルルルル…………ガチャ。 「もしもし、こち」 「変態のオッサンか!?」 「うるさ……変態じゃないですけど」 「HKOK飲んだらぶっ倒れたぞ!」 「ああ、気にしないでください。一回意識失うだけですから」 「え、そうなの?」 「……ってかキミが飲むんじゃなかったの?」 「いや、友達に取られて……」 「その子、女の子?」 「いや、男なんだけど」 「…………何が起きるかわからないな」 「マジ?」 「マジ」 906 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [正直メチャクチャでも許して] 投稿日: 2006/08/31(木) 13 55 29.06 ID l5KWbqUi0 「ちょ、どうすんだよ」 「ま、あとで報告よろしく。死にはしないでしょ」 ガチャ。 「切りやがった……」 仕方ない。どうなるかわからないが、トモが起きてくれるのを待とう。 …………。 「んん…………」 トモの声? 寝言か? それとも起きたのか? 「おい、トモ、大丈夫か?」 「ん、アレ? 俺……」 「良かったぁ……」 トモは生きていた。とりあえずそれでいい。ジュースを取られたなんて関係ない。また 明日買いに行けば良いだけの話だ。 「お前、大丈夫か?」 「うん、大丈夫」 「なんともないか?」 「それは……どうだろ?」 トモの身体に別段変化は見られない。…………もしかしたら少し、2センチぐらい伸長 が高くなったかもしれない。あと、少し筋肉質になったか? 胸板厚そう…………って、 何考えてんだオレは。変化はそんなもんかな。 「少し男らしくなったんじゃないか? まあ良かったじゃん」 「ああ、まあ、良かったかな」 「でもさ、なんでいきなりジュース取るんだよ。昨日の復讐か?」 「…………違う」 「じゃあ何でジュース取っ……」 え、ナニコレ? コレなんてエロゲ? kneg? 何が起きた? why? 幻覚? オレとトモが、唇で繋がっていますよ? なんの冗談? ってかちょ…………マジかよ。 オレ、やっぱおかしいぞ。なんか身体が火照ってきてるし。どうしよ、顔が熱い。絶対赤 くなってる。マジシャンズレッドだよ。恥ずかしいよ。何やってんのオレッ!! 907 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 56 19.95 ID l5KWbqUi0 「…………出火原因はお前だぜ?」 ツッコめねえよ。何言ってんだよコイツ。オレの出火原因はお前だよ!! 「……かわいかったから、好きになっちゃったから、男に戻したくない」 「…………え///」 こ、こ、こ、告白ぅっ!!?? マ、マジで!? 好きとか、ヤバイ、どんどん顔が赤 くなってく。顔が熱くなってく。…………え? ちょ、マジでオレ、淫乱じゃん。変なト コまで熱くなんなよっ!! 「俺、マジだから」 「え、あ、いや、その……///」 「お前と一緒になれるなら、強引でも構わない」 「え…………」 押し倒された? ってか一緒になるって? 押し倒したってそういうこと? 「や、やだ、やめっ……んんんんっ…………!!?」 「……んっ、昨日は一人でヤってたんだろ? ならいいじゃねえかよ」 トモが強引にキスをしたり、服の下から胸を揉んでくる。…………なんでオレは、こん な時にまで感じてるんだよっ!? トモを見ると、ズボンを脱ぎ始めていた。 「だ、だめ、やめてって!」 「自転車で感じてたくせに何言うんだよ」 バレてたっ!? ヤバ、かなり恥ずかしい。……ってかトモのデカッ!? デカすぎ! あんなんムリ。絶対ムリ。入らない。死ぬ。でも入れてみたい。……じゃないっ! 「ちょ、落ち着け」 「…………俺は落ち着いてる。冷静にお前を犯したい」 「いや、ちがっ」 今度はオレのズボンを脱がし始めた。ヤバ、トランクス恥ずかしい……じゃないっ! 「見ないで!見ないでっ!!」 必死の抵抗も虚しく、あっさりと脱がされてしまった。オレのアソコがあらわになる。 …………見られた。もうお終いだ。 908 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU 投稿日: 2006/08/31(木) 13 57 40.62 ID l5KWbqUi0 「……お前、濡れてんじゃん」 「…………///」 「嫌がったくせに濡れてんのかよ……」 「…………///」 「……挿れるぞ」 「……ちょ、だめ、やめて、むり、入んない、死んじゃう」 「…………」 アレ? 挿れてこない。なんで? やめてくれた? でもそれじゃあトモのが………… って、何考えてんのっ!? あー、もう、やっぱダメだ。オレ、エロすぎ。淫乱。変態。 なんでこんなことばっか考えちゃうだろ。わかんね。そういや、トモはマジでオレのこと 好きなのかな? ……マジで好きなんだろうな。なんだかんだ、肝心なトコで嘘つくヤツ じゃないし。じゃあオレはどうなんだ? オレはトモのコト好き? それは友達として? …………違う。さっき見られたくなかったのは、恥ずかしかったからじゃない。濡れてる のが情けなかったからでもない。トモに幻滅してほしくなかったからだ。ムリヤリ迫られ て感じてるなんて変態だもんな。そんなの知られたくないよ。好きな人には。 気持ちの整理はついた。オレはトモが好きだ。でも、だからこそ正直に言おう。オレの 全てをさらけ出そう。そうじゃないと、告白なんて意味ねーよ。 「……あのさ、聞いてほしいんだ」 「…………何?」 「正直に、全部言うから。嫌うなら嫌って」 「…………」 909 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [さるさん] 投稿日: 2006/08/31(木) 14 02 37.07 ID TcvAgB+HO 「……正直な気持ち、犯してほしいです、はい」 「……ホント?」 「オレ、淫乱ですから」 「ホントにやるよ?」 「オレ、変態ですから」 「……良いの?」 「我慢出来ないから。トモの、その、デカいの、欲しいから///」 「……初めてだし、ヘタクソだけど、それでもか?」 「オレ、きっと、トモが好きだから///」 「……俺も好きだよ」 「ありがと。オレ、トモに、ぐちゃぐちゃにしてほしい」 「…………」 「もう何もわかんないぐらいに犯してほしい」 「……わかった。やるよ?」 「うん……わかる?」 「なんとなく」 「…………///」 恥ずかしかったけど、左手の指でアソコを開き、右手でトモのを案内してあげた。 910 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [らすと] 投稿日: 2006/08/31(木) 14 04 24.38 ID TcvAgB+HO 「ふぅ…………」 今は部屋に一人。少し前まで二人が重なっていたベッドを見ると、思い出してしまい、 かなり恥ずかしい。シーツには二人分の汗も、初めての証しである血も、オレの愛液も、 トモの精液も、二人が一つになったその全てが残っていた。「……また、洗わないと」。 小さく呟く。激しい運動の後だからか、シャワーを浴びた後だからか、なんだか妙にスッ キリしている。トモと一緒になった。そのことが、なぜかとても清々しく思える。「大人 に成ったって、こういうことなのかな」。また、呟く。トモがシャワーから出るまで、あ とどれくらいあるだろう。……やっぱり、世界が違う。今は、トモがいない世界なんてつ まらない。「早く、出てきてくれないかな」。まだ、呟く。出てきたら出てきたで、また 重なってしまいそうだけど。それでもいい。楽しいから。トモと一緒なら、つまらない世 界でも最高に見える。どんな日常でも、関係ない。トモと二人なら、それでいい。もう、 男に戻る気もない。トモと一緒にいるなら、女の方が都合がいい。バイバイ、男のオレ。 携帯を開く。まだ一分しか経ってない。トモと離れている時間が長く感じる。暇を潰そ うと、インターネットをやってみる。それでもまだ、退屈だ。……ふと、気になる文字列 があった。それは、今の自分にピッタリの文字列だった。暇潰しにはもってこいかもしれ ない。トモがシャワーからでてくるまでの間、オレはずっとパソコンに向かっていた。 735 Ego◆iqP3HuSAqU 2006/08/30(水) 18 56 13.97 ID V6hqPZ/n0 いつもと何も変わらない景色。つまらない日常。意味のない会話。そんな味気ない、当 たり前の日々を過ごしていた。 オレは現在高校三年。世間的には受験で厳しい時期だが、幸いにもオレは指定校推薦を 貰えた。だから受験勉強も小論文の練習も必要ない。ただ一度面接を受けるだけで良いの だ。ハッキリ言って余裕、楽勝だ。そのせいか、今は思いっきりダレている。まあ夏休みだし。 そんなわけで、オレは今日もトモと遊んでいた。 ~fin~
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総括所見:インド(第2回・2004年) 第1回(2000年)/第3回・第4回(2014年)OPAC(2014年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.228(2004年2月26日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2004年1月21日に開かれた第932回および第933回会合(CRC/C/SR.932 and 933参照)においてインドの第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.5)を検討し、2004年1月30日に開かれた第946回会合(CRC/C/SR.946)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、定められたガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/IND/2)に対する文書回答が時宜を得た形で提出されたことにより、締約国における子どもの状況についてより明確な理解が得られたことにも留意するものである。委員会は、条約の実施に直接関与するハイレベルな代表団の出席により、締約国における子どもの権利についての理解を向上させることができたことを認知する。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、条約の実施のために連邦および州のレベルで行なわれた多くの活動、とくに以下の活動を歓迎する。 (a) 6~14歳のすべての子どもを対象とする無償の義務教育について定めた憲法(第86次改正)法(2002年)の採択。 (b) 受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の2003年改正の採択。 (c) 子どもの権利に対して重要な影響を及ぼす、女性の自助グループ結成のための全国プログラムの開始。 (d) 初等学校へのアクセスの拡大。 (e) データのより包括的な収集。これにより、女子および非特権化された社会集団の子どものより平等な参加および教育に関して若干の進展が達成されたことが明らかになった。 (f) フリーダイヤルの「チャイルドライン」の開設。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 4.委員会は、非常に多数の人口および高い人口増加率が条約の実施を妨げる主要な要因であることを認知する。加えて、極度の貧困、大規模な社会的不平等および根強く残るきわめて差別的な態度、ならびに自然災害の影響が、条約に基づいて締約国が負っているすべての義務を履行するうえで深刻な困難となっている。 D.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 5.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/28/Add.10)の検討後に委員会が表明した意見および行なった勧告(CRC/C/15/Add.115)の一部、とくにパラ13(法律の実施)、15(調整)、17および19(監視)、29,31および33(差別の禁止)、37(出生登録)、39~41(拷問)、45(暴力)、47(障害のある子ども)、49および51(基礎保健)、53および55(生活水準)、57~60(教育)、64(武力紛争)、66~71(児童労働)ならびに80~82(少年司法の運営)に掲げられたものが十分に対応されていないことを、遺憾に思う。 6.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしかまたはまったく実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の勧告に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 第32条に関する宣言 7.条約第32条を漸進的に実施するために締約国がとった多数の措置に照らし、委員会は、この宣言の必要性について深刻な疑問を覚える。 8.前回の勧告(CRC/C/15/ADD.115、パラ66)にしたがい、かつウィーン宣言および行動計画に照らし、委員会は、締約国に対し、条約第32条に関して行なった宣言を撤回するよう促す。 立法 9.委員会は、条約が裁判所で援用可能であり、かつ最高裁判所が条約に基づくさまざまな決定を採択してきたことを歓迎する。しかしながら委員会は、国内法、ならびにとくに家族問題を規律する宗教法および属人法が条約の規定および原則にまだ全面的に一致していないことを、依然として懸念するものである。 10.前回の勧告(前掲、パラ11)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の規定および原則が締約国全域で実施されることを確保する目的で、連邦および州の双方のレベルで、現行の立法上その他の措置(宗教法および属人法を含む)を注意深く吟味すること。 (b) 国内法の実施および幅広い普及を確保すること。 資源 11.一部の社会サービスのための予算配分額を増加させるためにとられた努力には留意しながらも、委員会は、教育のための予算配分額の増加が遅く、かつ他の社会サービスに配分される資金が停滞しまたは減少さえしていることを懸念する。 12.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 「利用可能な資源を最大限に用いて」子どもの権利を実現するために配分される予算の割合を増加させること、ならびに、これとの関連で、適切な人的資源の供給(国際協力を通じてのものも含む)を確保すること、および、子どもに提供される社会サービスに関わる政策の実施が優先事項とされ続けることを保障することを目的として、あらゆる努力を行なうこと。 (b) 予算配分額が子どもの権利の実施に及ぼす影響を評価する方法を開発するとともに、この点に関わる情報を収集しかつ普及すること。 調整 13.委員会は、女性・子ども発達局が子どもの権利条約の実施に関わるすべての活動の調整を担当する機関であること、および、全国的な調整機構が2000年1月に設置されたものの、2000年9月に一度会合を開いたにすぎないことに留意する。しかしながら委員会は、条約の実施を担当するさまざまな機関間の調整を、連邦および州のレベルでならびに連邦政府と州との間で強化することがなお必要とされているという見解に立つものである。 14.委員会は、とくに実施プロセスの効率性を向上させることおよび当該プロセスの結果として差別が生じるいかなる可能性も低減させまたは解消することを目的として、締約国が、条約の効果的実施を連邦レベルで、連邦レベルと州レベルの間でかつ州の間で調整するための国家的機構を強化するよう勧告する。 国家的行動計画/国家子ども憲章 15.委員会は、1974年の「子どものための国家政策」および1992年の「子どものための国家行動計画」の存在に留意するとともに、国家政策に代わる「国家子ども憲章」についての議論および子どものための新たな行動計画の起草が進められていることに留意する。にもかかわらず、委員会は、国家子ども憲章が子どもの権利基盤アプローチを採用しておらず、かつ条約のすべての権利および原則を明示的に盛りこんでいないことを懸念するものである。 16.委員会は、条約のすべての分野を網羅し、ミレニアム開発目標を盛りこみ、かつ「子どもにふさわしい世界」を反映した新たな子どものための行動計画を、関連するすべてのパートナー(市民社会を含む)と協議しながら採択すること、その全面的実施のために必要な人的資源および財源を配分すること、ならびに調整および監視のための機構を整備することを目的として、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。加えて、委員会は、締約国が、国家子ども憲章を迅速に採択するとともに、同憲章が子どもの権利基盤アプローチを採用し、かつ条約のすべての権利および原則を網羅するようにするよう、勧告するものである。 独立の監視体制 17.委員会は、国家人権委員会の存在に留意するとともに、国家子どもの委員会法案(2003年)が2003年12月10日に議会に提出されたことを歓迎する。 18.前回の勧告(前掲、パラ19)に照らし、委員会は、連邦および州のレベルにおける条約の実施の進展を監視しかつ評価するため、締約国が、国内機関の地位に関するパリ原則(総会決議48/134)および国内人権機関に関する委員会の一般的意見2号にしたがい、子どものための独立した国家委員会を可能なかぎり迅速に設置するよう勧告する。 NGOとの協力 19.委員会は、サービス提供の分野におけるNGOとの協力および条約に関連するさまざまなプログラムの準備へのNGOの関与に留意するものの、この協力が体系的なものではないことおよびNGO活動の監督が行なわれていないことを懸念する。 20.委員会は、条約の規定の実施においてNGOがパートナーとして果たす重要な役割を強調するとともに、前回の勧告(前掲、パラ23)にしたがい、締約国が、連邦、州および地方における条約の実施のあらゆる段階(政策立案を含む)ならびに今後の定期報告書の起草に、より体系的かつ調整のとれたやり方でNGOの関与を得るよう勧告する。委員会はまた、締約国が、「サービス提供者としての民間セクターおよび子どもの権利の実施におけるその役割 」というテーマで2002年に行なわれた一般的討議の勧告(CRC/C/121、パラ630)を考慮に入れるとともに、とくにサービス提供者の登録および認可のシステムを改善することにより、サービス提供に従事する民間機関の監督を向上させるよう勧告するものである。 データ収集 21.委員会は、とくに子どもに関わるあらゆる問題に対処する計画およびプログラムについての予算の配分額および推移に関するデータを収集する新しいシステムを通じてデータ収集を改善するために行なわれている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、条約が対象としている一部の領域についてのデータが不十分であることを依然として懸念するものである。 22.委員会は、締約国が、条約に一致し、かつジェンダー、年齢、社会的地位(指定カーストおよび指定部族または宗教的コミュニティ)ならびに都市部および農村部の別に細分化されたデータおよび指標の収集システムを発展させるとともに、これを公的に利用可能とするよう勧告する。当該システムは、とりわけ脆弱な立場に置かれた子どもをとくに重視しながら、18歳までのすべての子どもを網羅するべきである。委員会はさらに、締約国に対し、条約を効果的に実施するための政策およびプログラムの立案にこれらの指標およびデータを活用するよう奨励する。委員会は、締約国が、とくにユニセフ、UNDPおよびUNFPA〔国連人口基金〕の技術的援助を求めるよう勧告するものである。 研修および普及 23.委員会は、前回の総括所見の普及およびさまざまな意識啓発キャンペーンを歓迎するものの、子どもおよび公衆一般ならびに子どもとともにおよび子どものために働いているすべての専門家集団が条約およびそこに体現された権利基盤アプローチについて十分な認識を有していないことを、依然として懸念する。 24.前回の勧告(前掲、パラ25)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 社会的動員を通じて子どもの権利に関する社会の感受性を強化するため、条約の原則および規定を普及する努力を強化し、かつこれらの努力を体系的なものとすること。 (b) 条約の実施を阻害する慣習および伝統を根絶するためのプログラムに、議員ならびにコミュニティの指導者および宗教的指導者の体系的関与を得るとともに、非識字の人々および遠隔地の人々を対象とするコミュニケーションのために創造的措置をとること。 (c) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団、とくに裁判官、弁護士、法執行官、公務員、自治体および地方の職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、教員、心理学者を含む保健従事者ならびにソーシャルワーカー)を対象として、条約の規定に関する体系的な教育および研修を実施すること。 (d) 初等段階および中等段階の学校カリキュラムならびに教員養成カリキュラムで、子どもの権利を含む人権教育をさらに促進すること。 (e) とくにOHCHR、ユネスコおよびユニセフの技術的援助を求めること。 2.一般原則 差別の禁止に対する権利 25.条約第2条に照らし、委員会は、女子、一部の州、農村部およびスラムで生活している子ども、ならびに、一部のカーストおよび部族集団ならびに先住民族集団に属している子どもによる条約上の権利の享受の水準が著しく異なることを深く懸念する。 26.委員会は、もっとも脆弱な立場に置かれた集団を対象としたプログラムのための予算配分額を増加させることも含む政策の見直しおよび方向転換を通じて社会的不平等に対応するため、あらゆるレベルで調和のとれた努力を行なうとともに、とくにユニセフの技術的援助を求めるよう、勧告する。 27.委員会は、指定カーストおよび指定部族ならびにその他の部族集団に属する子どもに対し、根強くかつ相当な社会的差別が行なわれていることを深く懸念する。このような差別は、とくに、1989年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)法の違反が多いこと、このような違反が裁判所によって扱われる件数が少ないこと、および、同法に定められた特別裁判所を設置していない州が過半数にのぼることに反映されている。 28.委員会は、締約国が、憲法第17条および条約第2条にしたがって、「不可触性」の差別的慣行を廃止し、カーストおよび部族を動機とした虐待を防止し、かつそのような慣行または虐待に責任のある国または民間の行為者を訴追するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに、憲法第46条にしたがい、締約国は、とくにこのような集団の地位を高めかつこのような集団を保護するための特別措置を実施するよう奨励されるところである。委員会は、1989年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)法、1995年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)規則および1993年清掃肉体労働者雇用法の全面的実施を勧告する。委員会は、締約国に対し、社会の態度を変革する目的で、とくに宗教的指導者の関与を得ながらカーストに基づく差別を防止しかつこれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を、引き続き行なうよう奨励するものである。 29.委員会は、女子に関する国家行動計画および行動綱領を歓迎するものの、女子に対する差別的な社会の態度および有害な伝統的慣行が根強く残っていることを深く懸念する。これには、低い就学率および高い中退率、若年婚および強制婚のほか、婚姻、離婚、乳児の監護および後見ならびに相続のような分野でジェンダーに基づく不平等を固定化させている、宗教に基づく民事的地位法が含まれる。 30.委員会は、締約国に対し、女子に関する国家行動計画を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう促すとともに、保護法を執行するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、とくに家庭におけるジェンダー差別を防止しかつこれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を継続することも奨励するものである。女子をいまなお差別する伝統的な慣行および態度を根絶する努力を支援する目的で、政治的指導者、宗教的指導者およびコミュニティの指導者を動員することが求められる。 31.女子および脆弱な立場に置かれた集団(指定カーストおよび指定部族に属する子どもなど)による権利の享受を向上させるための特別一時プログラムその他の活動は歓迎しながらも、委員会は、これらの集団と同様の状況にあるその他の子どもが同一の利益を享受していない可能性があることに懸念を表明する。 32.委員会は、現在行なわれているおよび今後行なわれるすべての特別一時プログラムについて、その成功を評価し、かつその継続、拡大および普及が正当な理由を見出す目的で、具体的な目標および予定表を定めるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、性別、カーストもしくは部族、または正当化できない差別に至る可能性がある他のいずれかの特徴に基づくのではなく子どものニーズおよび権利に基づいた教育上その他の諸給付を配分するための特別プログラムの策定を開始するよう、勧告するものである。 33.委員会は、受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の2003年改正に留意するものの、0~6歳の年齢層の男女比がこの10年間で悪化したことを依然として深く懸念する。 34.ジェンダー差別に関する勧告(パラ30)に加え、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。 (a) 受胎前・出生前診断技術(性選択禁止)法(1994年)の実施を確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) 親、コミュニティ、法執行官等の参加を得た大規模な意識啓発キャンペーンをさらに発展させるとともに、選択的中絶および女子の嬰児殺しの慣行を終わらせるために制裁を科すことも含むあらゆる必要な措置をとること。 (c) 経済政策および社会政策に関するプログラムを計画する際にジェンダー影響研究を行なうこと。 35.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置のうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの意見の尊重 36.委員会は、いくつかの州および地区において子どもの評議会、団体およびプロジェクトを設置することにより子ども参加を増進させようとする取り組みを歓迎するものの、子ども、とくに女子に対する社会の伝統的態度により、家庭、学校、施設およびコミュニティ運営のレベルにおける子どもの意見の尊重がいまなお限定されていることを依然として懸念する。委員会はさらに、子どもの権利および福祉に影響を及ぼす民事上の手続における子ども参加を保障した法規定が実質的に存在しないことに、遺憾の意とともに留意するものである。 37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第12条にしたがい、家庭、学校、施設ならびに司法上および行政上の手続における子ども(とくに女子)の意見の尊重を促進するとともに、自己に影響を与えるすべての事柄への子どもの参加の便宜を図ること。 (b) 親、教員、政府の行政職員、司法関係者、子どもたち自身および社会一般に対し、子どもに影響を及ぼすあらゆる事柄に関して意見を考慮されかつ参加する子どもの権利についての教育的情報を提供すること。 (c) 子どもの意見がどの程度考慮されているかについて、それが関連の政策およびプログラムに与えた影響も含めて定期的に検討すること。 3.市民的権利および自由 出生登録 38.委員会は、締約国における出生登録制度を再検討する意思があること(CRC/C/93/Add.5、パラ281)を歓迎するものの、子どもの約46%が出生時に登録されていないことを依然として深刻に懸念する。 39.前回の勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ37)にしたがい、委員会は、締約国が、計画どおり2010年までに(CRC/C/93/Add.5、パラ284)すべての出生が時宜を得た形で登録されることを確保するためにいっそうの努力を行なうとともに、農村部において登録に関わる研修および意識啓発の措置をとるよう勧告する。委員会は、移動登録所ならびに学校および保健施設における登録係の設置のような措置を奨励するとともに、締約国がとくにユニセフおよびUNFPA〔国連人口基金〕の技術的援助を求めるよう勧告するものである。 国籍に対する権利 40.委員会は、インドに在留するパキスタン人難民およびモハジールの子ども(それぞれラージャスターン州およびアーンドラ・プラデーシュ州に在留)が無国籍であることを懸念する。 41.委員会は、締約国が、条約第7条にしたがってこれらの子どもに国籍を与えるための措置をとるよう勧告する。 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利 42.委員会は、拘禁施設における子どもの不当な取扱い、拷問および性的虐待の報告が多数存在し、かつ、法執行官による子どもの殺害の主張があることを懸念する。 43.前回の勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ39-41)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 拷問および他の残酷な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約を批准すること。 (b) 逮捕、尋問および警察での勾留中ならびに拘禁センターにおける不当な取扱いに関する法執行官に対しての苦情を受理する、子どもに配慮した機構を設置すること。 (c) 苦情を子どもに配慮したやり方で捜査しかつ訴追すること。 (d) 子どもの人権に関して法執行官を研修する努力を強化すること。 (e) 第39条に照らし、拷問および(または)不当な取扱いの被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を確保するため、あらゆる適当な措置をとること。 体罰 44.委員会は、2000年12月にニューデリー高等裁判所が行なった、その管轄内にある学校における体罰の禁止についての決定に留意するものの、他の州の学校のほか、家庭または子どものためのその他の施設における体罰が禁じられておらず、かついまなお社会で受け入れられていることを依然として懸念する。 45.委員会は、締約国が、家庭、学校その他の施設における体罰を禁止するとともに、体罰に代わる子どものしつけおよび規律の方法について家族、教員ならびに子どもともにおよび(または)子どものために働くその他の専門家を教育するための教育キャンペーンを行なうよう、強く勧告する。 4.家庭環境および代替的養護 親の責任 46.母親が子どもの自然な保護者であることは父親の場合と変わらないという最高裁判所の判決(Githa Hariharan v. Bank of India事件、1999年2月18日)には留意しながらも、委員会は、法律上、子どもに関する主たる責任はいまなお父親が有していることに懸念を表明する。 47.条約第18条にしたがい、委員会は、締約国が、子どもの養育および発達については双方の親が共通の責任を有するという原則が承認されかつ実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 養子縁組 48.委員会は、国際養子縁組における子どもの保護および協力に関するハーグ条約が最近批准され、かつ国内養子縁組が重視されていることを歓迎するものの、締約国に養子縁組に関する統一の法律および手続が存在しないこと、ならびに、関係する子どもの権利の尊重を監視し、かつ締約国内外の養子縁組をフォローアップするための効果的な措置がとられていないことについての懸念をあらためて表明する。委員会はさらに、認証を受けていない機関が行なう養子縁組の登録および管理が行なわれていないことを懸念するものである。 49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国内養子縁組に関する法的枠組みを見直すとともに、新たに批准した1993年ハーグ条約を実施するためにあらゆる必要な措置(中央当局による新たな指針の採択を含む)をとること。 (b) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の関連規定の適用を全領域に拡大すること。 (c) 条約第21条を反映した厳格な規則にしたがい、あらゆる宗教の子どもについて養子縁組が可能であることを確保すること。 暴力、虐待、ネグレクトおよび不当な取扱い 50.委員会は、締約国において子どもの暴力、虐待(性的虐待を含む)およびネグレクトが広く蔓延しており、かつこの問題と闘うための効果的措置がとられていないことを懸念する。委員会はさらに、性的虐待に関する法律が時代にそぐわなくなっていることを懸念するものである。 51.条約第19条に照らし、かつ前回の勧告(前掲、パラ45)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校および施設におけるあらゆる形態の身体的および精神的暴力(子どもの性的虐待を含む)を禁止するため、新たな立法上の措置をとり、かつ時代にそぐわない法律を改正すること。 (b) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンその他の適当な措置を実行すること。 (c) 苦情を受理し、監視しかつ調査する効果的な手続および機構(必要なときは介入も含む)を設置すること。 (d) 虐待された子どもが法的手続において被害を受けず、かつそのプライバシーが保護されることを確保しながら、不当な取扱いの事案を捜査しかつ訴追すること。 (e) 被害者のケア、回復および再統合のための便益を提供すること。 (f) 学際的かつ部門横断型のアプローチを用いながら、不当な取扱いの発見、通報および処理について、親、教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官、保健専門家および子どもたち自身を訓練すること。 (g) とくにユニセフおよびWHOの援助を求めること。 5.基礎保健および福祉 52.委員会は、保健問題に対処するための第9次および第10次5か年計画の間に開始された多数の国家的計画およびプログラムに留意する。にもかかわらず、委員会は、無償のかつ良質なプライマリーヘルスケアが利用できずかつ(または)アクセス不可能であること、専門家による付添いのない自宅出産が急増していることもあって妊産婦死亡率が悪化していること、予防接種率が低いこと、低出生体重児の数が多いこと、発育不全、削痩または低体重の子どもが多いこと、微量栄養素欠乏症が蔓延していること、ならびに、母乳のみの育児および適切な乳児食の導入の割合が低いことを、依然として深刻に懸念するものである。委員会はさらに、一部の州で環境汚染(具体的にはヒ素および鉛による汚染)が広がっていること、ならびに、安全な飲料水および十分な衛生設備にアクセスできない住民の割合が高いことに懸念を表明する。最後に、委員会は、訓練を受けておらず資格を有していない者が伝統医療および近代医療を実践していることに懸念を表明する。 53.委員会は、締約国が、子どもの健康状況を改善するための効果的政策およびプログラム策定の努力を強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、すべての子どもが無償のかつ良質なプライマリーヘルスケアにアクセスできることを確保すること、伝統医療および近代医療の実践を規制しかつ監視すること、母乳育児を含む健康的な栄養習慣を促進すること、予防接種率を向上させること、安全な飲料水および十分な衛生設備へのアクセスを増進させること、ならびに、環境汚染の問題に効果的に対処することも勧告するものである。加えて、委員会は、締約国に対し、子どもの健康改善を目的とした、とくにWHOおよびユニセフとの協力および援助の追加的集団を追求するよう奨励する。 HIV/AIDS 54.委員会は、新規感染の根絶を2007年までに達成することを目的とする「国家AIDS予防統制政策」(2001年)が採択されたことを歓迎する。委員会はまた、子どもおよびおとなに対して抗レトロウィルス薬を無償で提供するという決定も歓迎するものの、HIV/AIDSに感染しかつ(または)その影響を受ける子どもの人数が増加していることを依然として懸念するものである。委員会はさらに、これらの子どもが社会および教育制度で差別を経験していることについて懸念を表明する。 55.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号を考慮に入れながら、HIV/AIDSを予防するための努力を強化すること。 (b) 母子感染を予防するための措置を、とくに妊産婦死亡を削減するための活動と組み合わせかつ調整することによって強化するとともに、親、教員その他の者のHIV/AIDS関連の死亡が、家族生活に対する子どものアクセスの減少、養子縁組、情緒的ケアおよび教育の面で子どもに及ぼす影響に対処するための十分な措置をとること。 (c) とくにHIV/AIDSに感染しかつ(または)その影響を受けている子どもに対する差別を少なくする目的で、HIV/AIDSに関する思春期の子ども(とくに、脆弱な立場に置かれた集団に属する子ども)および住民一般の意識を高めるための努力を強化すること。 (d) とくに国連エイズ合同計画のさらなる技術的援助を求めること。 障害のある子ども 56.委員会は、障害者(機会均等、権利保護および完全参加)法(1995年)の存在および2001年国勢調査における障害の考慮には留意するものの、統計データおよび障害児に関する包括的政策が存在せず、かつ差別がいまなお広く存在することを依然として懸念する。また、障害のある子どものための便益およびサービスが限られていること、障害のある子どもとともに働く訓練を受けた教員の人数が限られていること、ならびに、教育制度および社会一般への障害児のインクルージョンを促進するための努力が不十分であることに対しても、懸念が表明されるところである。委員会はまた、障害のある子どものための特別教育プログラムに配分される資源が不十分であることにも、懸念とともに留意する。 57.前回の勧告(前掲、パラ47)にしたがい、かつ障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもに関する一般的討議の日に委員会が採択した勧告(CRC/C/69参照)に照らし、締約国は以下の措置をとるよう勧告される。 (a) 障害のある子どもに関する包括的政策を確立すること。 (b) 障害のある子どもに関する十分なかつ細分化された統計データを収集するための効果的措置をとるとともに、障害を予防しかつ障害児を援助するための政策およびプログラムを発展させる際に当該データを活用すること。 (c) 障害の予防および共生のための早期発見プログラムを発展させる努力を強化すること。 (d) 障害児のための特別教育プログラムを確立し、かつ可能なかぎり障害児を普通学校制度に包摂すること。 (e) とくに障害のある子ども(精神保健上の問題を有する子どもも含む)の権利および特別なニーズに関する公衆および親の感受性を強化するための意識啓発キャンペーンを実施すること。 (f) 職業訓練を含む特別教育および障害のある子どもの家族に対する支援のための資源(財源および人的資源の双方)を増加させること。 (g) とくにWHOに対し、障害児とともにおよび障害児のために働く専門職員(教員を含む)の養成および研修のための技術的協力を求めること。 有害な伝統的慣行 58.委員会は、ダウリーおよびデーヴァダーシーに関わる事件のような有害な伝統的慣行の存在を深く懸念する。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ダウリー禁止法(1961年)ならびにカルナータカ州デーヴァダーシー(人身奉納禁止)法(1982年)および同規則(1982年)を執行すること。 (b) 男女の子どもの健康、生存および発達にとって有害なあらゆる種類の伝統的慣行を禁止しかつ根絶するため、立法上のおよび意識啓発のための措置をとること。 (c) とくに農村部に伝統的態度を変革し、かつ有害な慣行を抑制する目的で、コミュニティの指導者、実務家および一般公衆の参加を得ながら、感受性強化のためのプログラムを強化すること。 60.委員会は、女子の若年婚および強制婚の割合がきわめて高く、女子の健康、教育および社会的発達に悪影響が生じうることを懸念する。 61.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 児童婚禁止法(1929年)を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) 若年婚および強制婚を防止する目的で、NGOおよびコミュニティの指導者と協力しながら教育プログラムおよび意識啓発プログラムを強化すること。 (c) セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育、精神保健サービスならびに青少年に配慮したカウンセリング・サービスを強化するとともに、これらのサービスを青少年がアクセスできるようにすること。 十分な生活水準 62.国民総生産の増加にも関わらず、委員会は、締約国において貧困が広く存在しており、かつ、十分な生活水準に対する権利(清潔な飲料水、十分な住居およびトイレへのアクセスを含む)を享受していない子どもがいまなお多いことを懸念する。委員会はさらに、生活条件の向上を意図しつつ、子どもをその居住地から分離し、子どものニーズに対応する用意の整っていないことが多い新たな環境へ移転させる、避難およびリハビリテーションのためのプロジェクトの悪影響について懸念を覚えるものである。 63.条約第27条に照らし、委員会は、締約国が、経済的に不利な立場に置かれた家族に対して支援および物的援助を提供し、かつ十分な生活水準に対する子どもの権利を保障するための努力を強化するよう、勧告する。前回の勧告(前掲、パラ53)に照らし、委員会はさらに、締約国が、強制的な居住地移動、避難およびその他のタイプの非自発的な人口移動のいかなる発生も防止するよう、勧告するものである。 6.教育、余暇および文化的活動 64.委員会は、6~14歳のすべての子どもを対象とする無償の義務教育について定めた憲法(第86次改正)法(2002年)の採択、女子の就学者数を増加させるために締約国が行なっている継続的努力、および給食計画を歓迎する。就学率の上昇には留意しながらも、委員会は、6000万人の子どもが初等学校に通学していないことを深刻に懸念するものである。委員会はさらに、低下しているとはいえ非識字の水準が高く、かつ、教育へのアクセス、初等学校および中等学校への出席ならびに中退率の面で男女間に著しい格差があることを、懸念する。委員会はまた、これらの率に関わる著しい格差が、異なる州の間、農村部と都市部との間ならびに富裕層と貧困層および不利な立場に置かれた集団との間にも存在することも懸念するものである。委員会はさらに、訓練を受けた教員、学校および教室の数が不十分であり、かつ関連の学習教材が存在しないことによって教育の質に影響が生じていることを懸念する。 65.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第29条1項および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた目的を達成するために教育制度を改善するとともに、子どもの権利を含む人権を学校カリキュラムに導入すること。 (b) 都市部、農村部およびもっとも開発が遅れている地域のすべての女子および男子ならびに指定カーストおよび指定部族に属する子どもが教育機会に平等にアクセスできることを漸進的に確保するための努力を強化すること。 (c) 乳幼児期教育の重要性に関する意識を高め、かつ乳幼児期教育を教育の一般的枠組みに導入すること。 (d) 学校生活のあらゆるレベルにおける子どもの参加を奨励すること。 (e) 教育の質を向上させ、かつ、中退率を下降させること等も通じて教育運営における効率性の向上を確保するため、必要な措置をとること。 (f) 資格のある教員の雇用人数を増やし、かつ、これらの教員に対してより多くの研修機会を提供すること。 (g) 教員の欠勤を抑制するためにあらゆる必要な措置をとること。 (h) 学校のインフラを向上させること。 (i) ユニセフおよびユネスコの援助を求めること。 7.特別な保護措置 66.委員会は、少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)第32条1項(iii)にしたがい、かつNGOの力強くきわめて重要な関与を得ながら、政府の支援も受けて約50の都市/地区にフリーダイヤルの「チャイルドライン」が設置されたことを歓迎するものの、これらの「チャイルドライン」を同国のすべての地区に設置するペースが遅いことを懸念する。委員会はさらに、既存のサービスの能力不足のため、これらの「チャイルドライン」を経由して子どもが援助および支援を求める通話に対し、必ずしも十分な対応が行なわれていないことを懸念するものである。 67.委員会は、締約国が、締約国のすべての地区にフリーダイヤルの「チャイルドライン」を設置しかつ強化するために必要な人的および金銭的支援を提供するとともに、委員会に対する次回報告書の提出日を目標期日として定めるよう勧告する。さらに、委員会は、援助を求めて子どもから(または子どもに代わる者から)かかってくる通話に既存のサービス(とくにNGO)が十分な対応を行なえるよう支援し、かつ必要なときは新たなサービスを設置するために、必要な措置をとるよう勧告するものである。 武力紛争 68.委員会は、紛争地域、とくにジャンムー・カシミール州および東北部諸州における状況が子ども、とくに生命、生存および発達に対する子どもの権利(条約第6条)に深刻な影響を与えていることを懸念する。委員会は、子どもがこのような紛争に関与し、かつその犠牲になっているという報告があることにきわめて深刻な懸念を表明するものである。 69.条約第38条および第39条に照らし、委員会は、締約国が、武力紛争の影響を受けている子どもの保護、ケアならびに身体的および心理社会的リハビリテーションを目的とした人権法および人道法の尊重を、とくに子どもによる敵対行為へのあらゆる参加との関連で確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、子どもに対して権利侵害が行なわれた場合に公正かつ徹底的な調査が行なわれ、かつ責任者が迅速に訴追されること、ならびに被害者に対して公正かつ十分な補償を行なうことを確保するよう、求めるものである。 子どもの難民 70.インドは、難民および庇護希望者の受け入れに関する締約国の寛容な政策を歓迎するものの、これらの集団に関する法律が存在しないことを依然として懸念する。 71.条約第22条に照らし、委員会は、締約国が、1951年の難民の地位に関する条約および1967年の同議定書への加入を検討するとともに、身体的安全、保健、教育および社会福祉の分野等で子どもの難民および庇護希望者の十分な保護を確保し、かつ家族の再統合を促進するための包括的立法を採択するよう、勧告する。 経済的搾取(児童労働を含む) 72.委員会は、第10次国家児童労働事業計画に留意するものの、経済的搾取に関与させられている子どもが多数にのぼり、かつ、その多くは、とくにインフォーマル部門において、家内制企業において、家事労働者としておよび農業において、危険な条件下で(債務労働者としての労働も含む)働いていることを著しく懸念する。委員会はさらに、雇用に関する最低年齢基準がほとんど執行されておらず、かつ、使用者が法律を遵守することを確保するための適切な処罰および制裁が科されていないことを非常に懸念するものである。 73.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 1986年児童労働(禁止および規制)法、1976年債務労働(制度廃止)法および1993年清掃肉体労働者雇用・乾燥式便所建設(禁止)法の全面的実施を確保すること。 (b) 1986年児童労働法を改正し、家内制企業ならびに政府の学校および訓練センターが子どもの雇用の禁止から除外されないようにすること。 (c) 児童労働防止のための、コミュニティを基盤とするプログラムを促進すること。 (d) 就労のための最低年齢に関するILO第138号条約ならびに最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関するILO第182号条約を批准すること。 (e) 労働上の危険に関して公衆一般、とくに親および子どもの意識を高め、かつ、使用者団体、労働者団体および市民組織、労働監察官および法執行官のような政府職員ならびにその他の関連の専門家を関与させかつ訓練するための努力を強化すること。 (f) ILO/IPECと引き続き連携すること。 子どもの性的搾取/子どもの人身取引 74.委員会は、南アジア地域協力連合(SAARC)・売買春目的の女性および子どもの人身取引の防止およびこれとの闘いに関する条約が批准されたこと、女性および子どもの人身取引および商業的性的搾取と闘うための行動計画が採択されたこと、とくに性的搾取および人身取引の被害を受けた子どもおよび女性の人数に関するデータを収集するための研究が開始されたこと、および、「目的地および送り出し地において商業的性的搾取目的の子どもの人身取引と闘うための試行プロジェクト」が行なわれていることを歓迎するものの、1986年不道徳取引防止法で人身取引が定義されておらず、かつその適用範囲が性的搾取に限定されていることを依然として懸念する。加えて、委員会は、買春およびポルノグラフィーを含む性的搾取の被害を受ける子どもが増えていることに懸念を表明するものである。また、このような虐待および搾取の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためのプログラムが不十分であることに対しても、懸念が表明される。 75.条約第34条および第35条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 不道徳取引防止法の適用範囲をあらゆる形態の子どもの人身取引に拡大し、かつ、人身取引の対象とされた子どもが常に被害者として取り扱われることを確保すること。 (b) 子どもの人身取引および商業的性的搾取の原因、性質および規模を評価するための包括的研究を実施すること。 (c) 国家行動計画を実施するために十分な人的資源、財源および技術的資源を提供すること。 (d) 学際的および部門横断型のアプローチを採用するとともに、子どもの性的搾取および人身取引を防止しかつこれと闘うための措置(とくに親を対象とする意識啓発キャンペーンおよび教育プログラムを含む)をとること。 (e) 加害者が裁判にかけられることを確保すること。 (f) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントにしたがって、人身取引の被害を受けた子どもが家族と再統合することを促進し、かつ性的搾取および(または)人身取引の対象とされた子どもに対して十分なケアおよび再統合のためのプログラムを提供する政策を強化すること。 (g) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。 (h) これらの問題に関する活動を行なっている非政府組織と連携し、かつ、とくにユニセフの技術的援助を求めること。 ストリートチルドレン 76.委員会は、ストリートチルドレンに関する統合プログラムの存在を歓迎するものの、とくに締約国の構造的状況ならびに防止および家族支援のための積極的政策およびプログラムの欠如を理由として、締約国でストリートチルドレンの人数が増えていることを依然として懸念する。 77.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ストリートチルドレン、とくに女子を保護し、かつ、とくに家族に対する援助ならびに十分な住居の提供および教育へのアクセスの保障を通じてこの現象を防止しかつ低減させることを目的として、ストリートチルドレンが多数にのぼりかつ増加している問題に対処するためのストリートチルドレンに関する統合プログラムを強化しかつ拡大すること。 (b) ストリートチルドレンの全面的発達を支援するため、必要なときは公式の身分署名書類も提供しつつ、これらの子どもが十分な栄養、衣服、住居、保健ケアおよび教育機会(職業訓練およびライフスキル訓練を含む)を提供されることを確保すること。 (c) 身体的および性的虐待ならびに有害物質濫用の被害を受けた子どもが、回復および再統合のためのサービス、警察による逮捕および不当な取扱いからの保護、ならびに、家族およびコミュニティとの和解のための効果的サービスを提供されることを確保すること。 (d) 締約国のストリートチルドレンとともに活動している非政府組織と連携し、かつ、とくにユニセフの技術的援助を求めること。 少年司法の運営 78.委員会は、少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の制定に留意するものの、刑事責任に関する最低年齢が当該新法で定められておらず、かつ刑法に見られる最低年齢(7歳)がなお有効であることを依然として懸念する。委員会はさらに、最高裁判所が、犯罪が行なわれた日は容疑者が少年であるかどうかの判断には無関係であると決定したこと(CRC/C/93/Add.5, box 8.7)を懸念するものである。委員会はさらに、新法を執行するための機構がほとんどの州で設置されておらず、かつ新法がジャンムー・カシミール州には適用されてないことを懸念する。加えて、委員会は、自由の剥奪が最後の手段としてのみ用いられていないことに懸念を表明するものである。最後に、委員会は、テロリズム防止法(2002年)が特別裁判所による子どもの訴追を認めており、かつこれらの事件で用いられる手続が条約第37条、第40条および第39条を尊重していないことを、深く懸念する。 79.委員会は、締約国が、条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針のような、この分野における他の関連の国際基準と全面的に一致する少年司法制度を実施するため、あらゆる適当な措置をとるよう勧告する。 80.加えて、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)を改正し、刑法で定められているものよりも高くかつ国際的に受け入れられている規範を反映した刑事責任に関する最低年齢を定めるとともに、当該年齢を犯罪が行なわれたときの年齢と見なすこと。 (b) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の適用をジャンムー・カシミール州に拡大すること。 (c) テロリズム防止法(2002年)を改正し、子どもへの適用に際しては条約第37条、第40条および第39条その他の関連条項が全面的に尊重されるようにすること。 (d) 少年司法(子どものケアおよび保護)法(2000年)の全面的実施のために必要な州における執行機構を緊急に設置するため、あらゆる必要な措置をとること。 (e) 少年司法制度に関与するすべての専門家を対象とした、関連の国際基準に関する研修プログラムを強化すること。 (f) 更生および再統合のためのプログラムを強化すること。 (g) 自由の剥奪は最後の手段としてのみ用いること。 (h) とくにOHCHRおよびユニセフの技術的援助を求めることを検討すること。 マイノリティ/先住民族の子ども 81.委員会は、マイノリティ(未開部族集団を含む)に属する子どもの状況とともに、これらの子どもが保健ケア、予防接種および教育を含む社会サービスに限られた形でしかアクセスできていないこと、および、これらの子どもの、生命および生存に対する権利、自己の文化を共有する権利ならびに差別から保護される権利が侵害されていることについて、懸念を覚える。 82.パラ29の勧告に加え、かつ先住民族の子どもの権利に関する一般的討議の際に行なった勧告(CRC/C/133、パラ624)にしたがい、委員会は、締約国が、未開部族集団の発展に関して労働福祉常任委員会が行なった勧告(2002年)を実施し、かつ(または)これについて必要なフォローアップを行なうよう勧告する。 8.選択議定書 83.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書を批准するよう奨励する。 9.文書の普及 84.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。委員会は、締約国がこの点に関する国際協力を要請するよう勧告する。 10.報告書の定期的提出 85.委員会が採択し、かつ会期別報告書(CRC/C/114およびCRC/C/124参照)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、子どもの権利委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。委員会は、締約国が、条約で定められた第4回報告書の提出期限(2010年1月10日)の18か月前である2008年7月10日までに次回の報告書を提出するよう慫慂する。この報告書は、第3回および第4回報告書を統合したものとなろう。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年10月2日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
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399 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 09 02.93 ID GO1reJbJ0 2 自分は伊智。 家出してこの横でボンボン増刊号を読んでいる人 「幹明さん」に拾われて 数週間住んである日、自分はいきなり女の子になりました。 幹明「むぅ・・・昔の増刊号・・・どっかで流れてないかな・・・武者ガンダムのあれが見たい・・・」 自分は女になって名前を改名することになり伊智と変えた。 これからは女の自分としてこの人のそばにいたいと思う。 幹明「おいおい。伊智」 伊智「・・・あ。はい」 400 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 13 26.23 ID GO1reJbJ0 まだこの名前は慣れていない。 しかしこれからの生活のために早く慣れないといけない。 とりあえず幹明さんに呼ばれたので寄ってみる。 伊智「・・・何を見ているのですか・・・」 幹明「何って・・・下着さ!女の子のナ!」 いつの間にか幹明さんはチラシを見ている。 それもデパートの洋服店の女性用下着の所を。 伊智「・・・そこまで・・・」 幹明「な、何を言うだァーーー!?違うっての!伊智の下着だよ!」 402 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 18 40.08 ID GO1reJbJ0 ああ・・・下着・・・そう言えば今は普通のシャツにパジャマを着ているだけだ。 つまりノーブラ・・・ノーブラ・・・ブラ・・・ブラボー・・・おお・・・ブラボー・・・じゃなくて・・・ 伊智「でも・・・サイズってもんがあるわけですし・・・分からないですよ・・・」 幹明「メジャーならあるぞ。あるぞ?あるぞ?」 伊智「・・・その・・・手つきはなんですか」 幹明さんの手は海のイソギンチャクのような動きをしている。 男だったときはそりゃあそういうのは興味はあった。 しかし何故か女になった今は恥ずかしい。 403 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 21 54.82 ID GO1reJbJ0 幹明「むぅ・・・しょうがない。じゃあ適当だ」 伊智「・・・それでいいんですか」 幹明さんは溜め息を吐き後ろを向いた。 そして少し間をおきこちらを向いてこう言った。 幹明「イインダヨー!」 伊智「・・・はぁ」 404 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 25 58.26 ID GO1reJbJ0 幹明さんに拾われて。そして女になってから初めて外に出る。 ずっと家の中にいたせいか少しギクシャクする。 久しぶりの外の空気は新鮮と言う感じだ。 まるで元旦に洗いたてのパンツを穿くみたいに。 ・・・今は男物のトランクスだ。穿いているのは。 幹明「ん~・・・下着ついでに女物の服も買っておこうか」 伊智「え・・・いや・・・そんな」 幹明「遠慮するなっての。なぁ。金は余ってるぐらいだからなぁ」 405 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 30 03.98 ID GO1reJbJ0 ホントにこの人はなんの仕事をしているんだろうか。 でも気遣いは・・・うれしい。 今までは気遣いをされてもうれしいとも思えなかった。 しかし幹明さんからされるとうれしい。 と言うか・・・ 幹明「とりあえず下着は黒・・・ダ」 伊智「え」 一緒にいるだけで・・・ 幹明「さーてと。ついたわけだ。カメユーデパート」 デパートとかも久々に入る。 しかし人がいるっていうのは・・・落ち着かない・・・ 406 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 35 06.34 ID GO1reJbJ0 落ち着かないデパートでの中、下着売り場に到着。 色々ある。派手なのもあれば普通にリボンがついただけのやら。 そんな中、幹明さんは下着を漁っている。 はたから見ればかなり危うい。 幹明「これでいいと思うか?」 伊智「あの・・・それ・・・かなり細い・・・////」 幹明「そうだよなぁ・・・毛が見えちゃうよなぁ」 カチンと来た。拳を振るう。 無論、当たらない。余計、カチンと来た。 407 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 40 15.17 ID GO1reJbJ0 そんなこんなだが・・・店員さんにジロジロと見られながらも下着を買い終わった。 次は服を買うみたいだ。どんなのを買うんだろうか・・・ 幹明「とりあえずさ。似合いそうなの買ってきてやるから・・・ ほれ。小銭でジュース飲んでてここで待っててくれ」 そう言い幹明さんが小銭をよこし売り場に歩いていった。 よこされた小銭は120円。とりあえずコーラでも買う。 ベンチに腰をかけつつコーラを飲む・・・ ・・・どうでもいいけど乳首が擦れて痛い。 409 名前: 309 投稿日: 2006/10/11(水) 23 43 23.43 ID GO1reJbJ0 ・・・待つのは暇だ・・・ 自分が一人なんじゃないかと思ってどんどん不安になる。 家出して歩き回っていた時のように一人・・・ 孤独。 急に店内を歩いている人が自分を見ているように感じる。 気がつくと手が震えていた。 冷や汗も出てきた。気持ちが悪い。 417 名前: 309 投稿日: 2006/10/12(木) 00 52 23.57 ID U9GsT1M/0 何故か 家出したときのことを思い出した イヤになる もう何がなん だか 分からない あ れ なんか目の前が 419 名前: 309 投稿日: 2006/10/12(木) 00 57 10.60 ID U9GsT1M/0 「・・・い・・・おい・・・おいッ・・・」 ・・・自分は気を失っていたようだ。 そこに服を買ってきて戻ってきた幹明さんに起こされたようだ。 幹明「大丈夫か?貧血か?」 伊智「・・・あ・・・ええっと・・・」 口がうまく動かない。ボンヤリしているせいだろうか。 幹明「・・・ごめんな。次からは一緒にいないとな・・・」 一緒・・・この人は自分の傍にいてくれると言ってくれている・・・ 421 名前: 309 投稿日: 2006/10/12(木) 01 03 21.68 ID U9GsT1M/0 幹明「あ。それでよ・・・こんな服どうよ。似合うと思って買ってきたんだ」 ・・・ボンヤリした自分にベストにロングスカート。 確かに似合う。 ふと気がついた。涙が出ていた。 幹明「おっ、おい!?そ、そんなに買ったのがダメか!?」 伊智「え・・・い・・・や・・・ちが・・・いま・・・」 本当に・・・この人は温かい。 女になってからこの人のことをまた好きになった。 そばに・・・この人の傍にずっといたいと思った。
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← ↑ → 669 名前:586 2006/08/10(木) 13 14 41.90 ID 6u9wYyd/0 女神がウチに舞い降りた。玄関で彼女を見た瞬間、そう感じた。 しかし、彼女こそ、留学を終えて帰ってきた"弟"なのだった・・・ 俺「う、嘘だろっ!冗談は勘弁してくれよ」 女弟「嘘じゃないやい。弟のツバサだよ」 俺「悪い冗談は止めてくれ。俺にはどうみても君が女子高生にしか見えない」 スラリとした細身の体型は男性っぽさを微塵も感じさせない。 参ったな…という表情で俺は、彼女の隣の椅子に腰掛けてみる。 女弟「本当にっ!?お兄ちゃんに女の子に見られるなんて光栄だよぉ」 彼女はニマッと笑い、ほのかに顔を赤らめる。 可愛すぎるっ…やはり男だなんて信じられない。 しかも、制服姿で「お兄ちゃん」だなんて…何てマニアックなんだ。 お兄たんいいよお兄たんハアハア 鼻血が噴出しそうなのを何とか自制して、彼女に問いただした。 俺「もう一度聞くけど、君は一体何者なんだ?弟のツバサには到底思えないんだけど」 女弟「だからっツバサだってば。どうして信じてくれないかなぁ」 俺「…じゃあ仮にだ。もしも君が弟だとしてだな」 俺「何で女なんかになっちまったんだ?」 671 名前:586 2006/08/10(木) 13 20 14.41 ID 6u9wYyd/0 自称・弟は語りだした・・・ 女弟「…アメリカに渡って三ヶ月近く経った、ある日の夜だった」 女弟「その日疲れてアパートに帰ったボクは、早い時間にベットで寝たんだ・・・」 女弟「そして次の朝起きてみたらもう、女の子にすり変わっていたんだ・・・」 俺「・・・終わり?」 女弟「うん」 俺「・・・たったそれだけ?」 女弟「うん」 俺「黒ずくめの男たちに新薬を飲まされただとか、魔法の書の封印を解いたらその副作用で 女性に代わってしまっただとか、セックスノートで…」 女弟「ねーよ」 女弟「そうだよね。どうせ信じてくれないと思った。 女弟「女性に変わってからというもの、ボクも元に戻そうと色々努力してみたけどテンで駄目。 医者も相手してくれないし。むしろ夜の相手を要求してきてもう…」 俺(完全に頭イカれてるよ。この子) 俺は全く信じていなかったが、とりあえずこの子の話に乗ってやることにした。 672 名前:586 2006/08/10(木) 13 24 33.83 ID 6u9wYyd/0 俺「じゃあ君がツバサだって証拠は何処にあるんだ?」 女弟「うーん…あっそうだっ」 彼女は突然、制服の上着をガバッとめくりあげて半脱ぎの状態になった。 女性らしい色白な肌に、白いレースのブラが現れる。 バスト70はありそうな形の良い胸がラインに添ってハッキリ見える。 まるで実った果物みたいだ。 俺「ブーーーーーー」※鼻血を噴出す 女弟「お兄ちゃん!?」 俺「すまない。「俺の趣味ど真ん中」なんだ」 女弟「?」 (絵 長目) 673 名前:586 2006/08/10(木) 13 28 59.60 ID 6u9wYyd/0 俺はいそいでティッシュを鼻の穴に突っ込み鼻血の応急処置をした。 彼女は依然として半脱ぎの格好のままキョトンとしている。 俺(あまりに嬉しいこの光景を無駄にすることはできない。しかし、この半脱ぎの格好のままで いられると体がもたん…) 俺「頼むから、せめて胸元は隠そうな」 俺は後ろを向いて彼女に背を向けつつ、惜しむように言い放った。 女弟「あっ…えへへ///ブラ見えてたね。ごめんごめん」 何て無防備な子なんだ。 女弟「でも…お兄ちゃんだったら、ボクの胸なんて…見てもいいのに…」 俺「ブーーーーーーー」※鼻血再発 674 名前:586 2006/08/10(木) 13 32 38.79 ID 6u9wYyd/0 もう我慢せず鼻血を滴らせながら、彼女に言った。 俺「いい加減、冗談はよしてくれよ(ハアハア)」 女弟「冗談なんかじゃないのに… 女弟「あ、ハイッ、胸元を隠したよぉ」 俺は音速を超える速さで振り向いた。 ブラが見えなくなるすんでの所で、ちょうど隠している。 ブラが見えそうで見えない…これはこれで風流じゃないか… 俺が胸元に見とれていると彼女の怪訝な目つきが突き刺さった。 女弟「もう…お兄ちゃんのエッチなんだから。 見るところはそこじゃないよぉ!その下、胸元の下っ!」 ハアハアしながら俺が下に目を向けると、そこには滲んだ古傷があった。 俺「そ…それは。あの時の…!」 女弟「うん。ボクが小さい頃、お兄ちゃんとキャッチボールしていた時に出来た傷だよ? ボクが無理してボールをキャッチしようとしたら、そのまま勢い余って車道に 出ちゃって。その時、この部分に車の部品の一部が擦られて傷が出来ちゃったんだよね」 675 名前:586 2006/08/10(木) 13 34 22.87 ID 6u9wYyd/0 女弟「ボク、ボールに夢中で車道に出たとは知らなくて、あのままだったら正面衝突で 大変な事になってた。だけど、お兄ちゃんが「危ないっ!ツバサっ!」と言って ダイブをして、身を張って助けてくれた。あの時は嬉しかったなぁ…」 俺「……」 女弟「あの事故があったせいでスポーツは苦手になったんだけど、お兄ちゃんの事は 凄く尊敬するようになったんだよぉ?」 俺(この傷跡…この記憶…このしゃべり方…) 俺「…ツバサなのか…?ツバサなんだな?」 女弟「…信じてくれた?」 俺「ああ。まだ少し混乱しているがな…」 今まで疑っていたが、彼女が弟のツバサであることは、どうも本当の事らしい。 まさか弟がこんな綺麗な女性になろうとは…。 女弟「…良かったぁ」 彼女はニンマリ笑うと、腕にいきなりガバッと抱きついた。 676 名前:586 2006/08/10(木) 13 36 46.34 ID 6u9wYyd/0 女弟「何かシンミリさせちゃったね!…えへへ…お兄ちゃんの腕だぁ…」 俺(うっ!胸がっ…胸が俺の腕を包み込むようにギュッと押し付けてくる…) 女弟「エヘヘ…懐かしいなぁ…昔よくこんな事してたよね… お兄ちゃんの腕に抱きついてると、なんだか安心するよぉ……」 ギュっと腕に掴まり、お得意の上目使いで覗き込んでくる。 男(昔は小さい男の子だったから何とも思わなかったけれども…今それをやられると…!) 女弟「気づいてくれてありがとね…」 俺「あは、あははは、いえいえっ、トンデモナイッスよっ!トンデモナイッス!」 俺は鼻血をドバドバ垂れ流しながら、混乱した状態でそう言った。 夢心地に浸っていると、それはまたもや突然に訪れた。 ピンポーン 母「たかしー、そこにいる?お母さんたち鍵を忘れて出ちゃってたみたいで、 中に入れないの。内側から鍵をあけてくれる? 俺「げっ…お袋と親父が帰ってきたみたいだ」 女弟「ほえっ?」 第二部「誰も僕を責めることはできない」 完
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279 :横長 :2007/05/21(月) 21 40 08.44 ID aEsG0pMo タイトル 【HANDS UP&PASS】 ひょんなことから女の子化して二ヵ月後 『アドアッー!!ズ店内3F・大型筐体ゲーム用交流テーブル』 着信音 『♪スパムスパムスパムスパムおいし~いスパムスパ~ム』 ガリアン「お、メール来たでヤンス」 サラリー「……ちょい待ち (むんずと腕を掴む)」 ガリアン「な、なんでヤンス?」 サラリー「今の着信音、……チャンプの声だな?」 デ ブ リ 「あぁ、それはチャンプに作ってもらったらしいっふよ。俺も持ってるっふ!」 サラリー「何故だ! 何故そんなお宝を今まで隠してたっ!?」 チャンプ「──それは、俺がお願いしたからだよ」 サラリー「チャンプおいすー^^ ってどういう意味さソレ!」 チャンプ「だって、サラリーの仕事場で鳴ったら大変じゃん。それが取引先相手との商談中だったらどうするのさ?」 サラリー「どうもしない! おや、可愛らしい歌ですね→そうでしょう^^この写真の娘なんですよ→これまた可愛らしい! ──と、着メロが会話の突破口になるのは間違いないな!!」 チャンプ「楽観的すぎ…… って! 俺の写真いつの間に撮ってたの!?」 サラリー「それは企業秘密だぜ^^ ほら、この笑顔最高に可愛くないか?」 チャンプ「う……っ、この笑顔出されたら男の頃の俺なら一発で落ちちゃうな。……消去、っと」 サラリー「フハハ! バックアップは無数に取ってある! むだな足掻きよ!」 チャンプ「あっそ。じゃあバックアップ取ってなさそうなもの消そうっと」 サラリー「な、何を……」 チャンプ「(サラリーの鞄からPSPを取り出し、手際よくメモステフォーマットする)……ほい、エミュマシン破壊完了!」 サラリー「アアアアアアアア! 俺の……、俺のゲーム&セーブデータがッ! やっと上位クエ行けたというのにィ!!」 チャンプ「隠れてコソコソしてるのがいけないんだよっ」 サラリー「じゃあ堂々と写真取るぜ! チャンプ、さぁ笑って!」 チャンプ「怒ってるのに、なんで笑わなきゃいけないの!」 サラリー「なぜチャンプに笑って欲しいかというと、僕はくふ楽でボランティア活動をはじめました」 チャンプ「ぶーっ! なにその理由! そもそもくふ楽ってなんなのさ、あはははっ」 パシャリ サラリー「……いい笑顔だ! 新たなコレクションが一枚増えたぜ^^」 チャンプ「サラリー? キミは本当に懲りない人だね……(ゴゴゴゴゴという擬音をバックに全身からオーラを発する)」 END
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GS/T09 千影/カルトや魔術が好きな女の子 女性 パートナー 兄/兄くん 男性 レベル 3 攻撃力 3500 防御力 5000 リミテッドアイコン ヒール 【やあ、兄くん……。……そこにいたのかい?】《妹》《魔法》 【スパーク】【自】あなたのリタイヤが相手より多いなら、あなたは自分のリタイヤ置場の《兄》を1枚選び、自分の控え室に置く。 (【H】のカードはデッキに合計4枚までしか入れられない) 作品 『Sister Princess』 関連項目 《兄》 《妹》 《魔法》 『Sister Princess』 【デッキレシピ】Sister Princess 称号に「女」を含むカード
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218 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 20 28.90 ID yUcxAZE0 どんだけ☆エモーション(その8) 「行ってきまーす♪」 実由はいつものように学校指定のバッグに母さんの弁当を詰め込むと 学校に出かける。 「行ってらっしゃい~」 「おう、頑張れ」 俺と母さんもいつものように返事をする。 いつもの朝の光景。 何事も無いいつもの日常。 いつもであれば俺もこの後準備をして学校に向かうところであるのだが。 「それじゃ、ミヒロちゃんお願いね~」 「うん、分かった」 …俺は母さんに頼まれて朝食の後片付けをしている。 何でこんな事しないとならんのだろうか。 今の俺の姿は女の子。 まだ女の子歴三日目ではあるがすっかりお料理と後片付けの仕事は板についてきている。 「今日は母さん、いろいろ用事があって忙しいからお昼は一人で済ませておいてね~」 「ふーん、どこか行くの?」 洗い物を済ませて居間のソファに腰掛けていると外出着でおめかしをした母さんが ぱたぱたと忙しそうに何やら準備をしていた。 「まぁ、いろいろね~、帰りは夕方になるからよろしくね~」 「うん」 …夕方、という事は夕食の準備をしないといけないな。 母さんが出かけた後、夕方の買出しまで時間がある俺はとりあえず編入試験に向けた 勉強などしてみる。性別が変わってから不思議に俺の嗜好が変わってしまったようで ネットはおろかPCもほとんど触れる事無く家事に専念するようになってしまった。 人間とは不思議なものだ。 (家事というより、買ってもらったお洋服の着こなしの研究で忙しくなってますよね) ええい、マルさん五月蝿い。 とにかく色々変わった事は事実なのっ! …とはいえ、勉強が好きで無いのは相変らずではあるが。 219 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 23 01.76 ID yUcxAZE0 「ふう…、ちょっと休憩するかな」 時計をみると勉強を始めてから1時間位経過していた。 久々の勉強なのでちょっと集中しただけで疲れてしまった。 今までどんだけ勉強を怠けてきたか、ホントに困ったもんである。 外の空気を吸うために庭に出る。 初夏を迎えつつある外の風景は好天のせいか空の青と草木の緑がやけに鮮やかに見える。 梅雨時であるにもかかわらず大気もスッキリしているし非常に気持ちがいいなぁ。 母さんの育てている庭の花々も咲いているものがあって、俺は不思議と 気持ちが浮き立ってくるのを感じざるを得なかった。 「ふふっ、母さんが育てた花がこんなに咲いているよ。男のときには 何とも思わなかったのに、どうしてこんなに嬉しくなるんだろ?」 (ミヒロちゃん、すっかり気持ちが女の子になりつつあるよね) 俺の心の中からもう一つの意識が浮び上がる。 色々あってすっかり親しくなったマルさんは俺のもう一人の人格のようになっている。 俺と同じ意識を共有する存在。多分考え方とか好みは違えども これだけ友人、親兄妹よりも深い関係の存在は有り得ないかもしれない。 「えっ? そ、そうかなっ? 自分はそんな風には感じないんだけど」 (いえいえ、ミヒロちゃんは明らかに変わりつつあるのはこの私が感じるところなの) 「う~ん、良く分からないなぁ…」 マルさんと(心の中で)会話しつつ、俺は庭の外から見える街並みを眺める。 いつもと変わらない街並みでいつもと変わらない日常のはずなのに 俺は外見はおろか気持ちまで変わりつつあるのか…な? 別に不安とか無いといえば嘘になるけど…なるようにしかならないしなぁ。 「ミヒロちゃん、こんにちは」 「え?」 俺の思考を不意に遮る声。俺は声の主の居る方向を見る。 「あ…サトシ、…くん」 塀を挟んでサトシが学校帰りと思われる制服姿で立っている。 (あ、サトシ君だww) …今週いっぱいまで定期試験だもんな。サトシの家の帰り道の途中に俺の家があるし、 タイミングが良いと言うか。 220 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 25 24.00 ID yUcxAZE0 サトシ君、今 帰りなの? 昨日といい、早いよね?」 とりあえず白々しいと思いつつも特に(今の俺の姿で)話す事も無いのだが ありきたりな会話をしてみる。 「うん、今試験期間中でさ。今週はずっと早く帰れるんだよね。」 「へーっ、試験かぁ、大変だね。どう? 調子は?」 「うん、まあまあかな。 一応ちょこちょこ試験対策はしてきているから 何とか答案は埋めれているけど結果はどうなるか」 「スゴイねー、勉強してるんだ。じゃあ、いつも学年トップ10に入っているんじゃない? サトシ君って頭良さそうに見えるし」 「えーと、そんな風に言われると…。まあ、確かに常連と言えば常連かも知れないけどね」 頭を掻きつつ何だか照れくさそうに答えるサトシ。 …知っているよ。サトシ、お前っていつも学年トップ10どころかトップだろうが。 俺はそう思いつつも顔には出さない。 (もう、ミヒロちゃんって意地が悪いというか素直じゃないというか) うるさい、マルさん。 「そういえば、ミヒロちゃんってウチの高校に編入するんだよね? 編入試験とか受けるの?」 「うん、受けるよ。今週受ける予定になっているけど?」 急なサトシの質問に怪訝な表情を浮べつつ答える俺。 「そうだ、良かったらさ、一緒に勉強しない? 俺は定期試験、君は編入試験で 同じ学年だからきっと何かの役に立てると思うし。」 「え?」 思わず固まる俺。試験勉強? 俺とサトシが? (うっわー二人きりww もう、サトシ君ったら、行動が早いんだからww) 「…」 「…?」 「…」 「ミヒロちゃん?」 思考が止まり固まっている俺に思わず声をかけるサトシ。 「あ、ハイ、勉強会だよね?」 ハッと気が付き答える俺。 …この姿でサトシと勉強会かぁ。マルさんの言うとおりサトシの奴、手が早いなあ。 「うーん、どうしようかな…」 「ミヒロちゃんが忙しいなら別にいいけど…」 悩む俺の姿を見てちょっと落胆気味のサトシ。 ああ、もう、そんな顔すんなよ。そんな顔されるとすごい罪悪感を感じるし、 俺の気持ちまで沈んで来るじゃないか。 「ううんっ、そんな事ないよ。私、勉強分からないところあるし、調度良かったよ」 …とりあえずサトシのお誘いに乗る俺。 別に奴のために誘いに乗ったわけでは有りませんから。 あくまでも自分の勉強のためです。ホント。 221 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 26 27.37 ID yUcxAZE0 「! 本当かい!? 良かった、じゃ、いつやろうか? 今週中なら早くやるに越した事は ないけど?」 打って変わって嬉しそうにするサトシ。 …あれ? サトシの笑顔を見たら俺も嬉しくなるのは何故? 「そうだね、じゃサトシ君、時間があるなら…えーと、今日でもいい? まだ夕方まで結構時間があるし、私ちょうど今試験勉強をしていたところなんだ。」 「そうなんだ? じゃ、これからやろうか? えーと、場所はどうしようかな…」 「ここでいいよ。サトシ君なら晴子さんや実由ちゃんが帰ってきても問題無いし。」 「確かにそうかも。それじゃ、俺の家はここから近いから準備をしに帰ってから ミヒロちゃんのところに来るよ。」 「わかった。じゃ、私も準備して待っているよ。」 「じゃ、この後すぐね」 俺の返事に嬉しそうに返すとサトシは自分の家に向かっていった。 「…」 (どうしたの? ミヒロちゃん?) 「いや、別に。」 …サトシと二人きりで勉強会かぁ。 不思議に胸が高鳴るんですけど。…仕様ですかね。 222 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 27 30.90 ID yUcxAZE0 ◇ サトシが来るまでの間、俺は急いで客間の掃除を済ませつつ何気に得意になるつつある 料理というか、お菓子作りに挑戦してみたりしてみる。 そんなわけでサトシが来るまでの30分位の間でおもてなしの用意を済ませてしまった。 (うわー、ミヒロちゃんって才能あるかもww) …うん、俺もそう思う今日この頃です。すぐにでもお嫁に行けますね、…って、ちっがーう!! ピンポーン。 おっと、サトシが来たみたいだ。 俺はサトシを迎え入れると客間に通す。 さすがに自分(ヒロアキ)の部屋はサトシには知られているので今のミヒロでは通せないよな。 客間のテーブルに勉強道具を広げ、俺とサトシはさっそく試験に向けた勉強を始める。 「…で、これはこうすると解けるんだ」 「へーっ、そうかぁ、なるほど」 さすがに頭のいいサトシだけあって面白いように様々な試験問題が解かれて行く。 うん、これは一人でやるより効率が良いな。 始めはテーブルを向かい合わせで各々の勉強をするつもりであったが 俺が余りにも色々と聞いてくるのでいつしかサトシは俺の横について教えてくれている。 「それじゃ、これはどうすればいいの?」 「…ミヒロちゃん、さっきからほとんど俺に聞いてばっかりだよね」 「だって分からないし。頭のいいサトシ君に聞けば一発で解るからいいよね」 「うーん、それじゃあんまり勉強にならないような気がする。 ミヒロちゃんのためにまずは自分で出来るところまでやってみないと。」 そう言うとサトシは俺の側から離れようとする。 「だめー、横に居ないと困るよっ!」 俺は立ち上がろうとするサトシの腕に両腕でしがみついた。 「ええっ!? ち、ちょっと、ミヒロちゃん!?」 「だめだよー、勉強見てくれないと。 誘ってきたのサトシ君でしょ? だから私の面倒みてよっ!」 223 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 29 29.88 ID yUcxAZE0 「えーっと…その…」 困った表情で俺を見るサトシ。 「その? 何?」 「勉強見るから、腕を離して欲しいかなって…」 「あ、ゴメンね」 サトシに言われてとりあえず腕を離す俺。サトシはそのまま座り直す。 「…」 「? どうしたの?」 サトシが黙り込んでしまったので思わず聞く俺。 何だかサトシの顔が赤くなっているような気がするけど、気のせいかな? 「…こうして勉強しているとヒロアキの事を思い出してさ。」 「え?」 急に俺の名前を言われ驚く俺。 俺の状況など知らないサトシは思い出し笑いを浮べつつ話しはじめる。 「ヒロアキは勉強が苦手でさ、試験のときにはいつも俺が勉強をみてやってたんだ。 あいつはやれば出来るのに普段全然勉強しないから試験前は自分の勉強よりも ヒロアキの勉強で忙しかったなって。本当に大変だったよww」 「ふーん…そうなんだ」 ちよっとムッとする俺。確かに俺は勉強は好きではないが サトシに迷惑に思われていたのかと思うと気分的に良くないなぁ。 「今回ヒロアキは出かけて居ないから勉強の面倒を見る必要は無いかなと思ってたんだけど …まさかこんな形で試験勉強を教えることになるなんてさ、ハハハ」 「…自分の勉強で大変なのに迷惑かけたなら、ごめんね」 笑うサトシとは対照的に棘のある言い方で返す俺。 「え? 別に迷惑なんじゃないよ、むしろ俺にとっては楽しかったんだよね。」 「え?」 「昔からヒロアキとつるんでいるのが俺にとっては当たり前でさ、あいつがサッカー部を 辞めてからつるむ機会がめっきり減ったせいかな? 何だか毎日がつまんなくてさ。」 「…」 「毎日学校の授業と部活と充実しているといえば充実しているのかも知れないけど、 ヒロアキとのやりとりが無いと何だか味気無いというか何というか…ね。」 「…」 「だから試験期間に行なう勉強会が俺にとってはヒロアキと馬鹿やりながら 昔のような時間を過ごす事の出来る貴重な機会だと思っててさ、 試験は試験で大変と言えば大変なんだけど不思議と楽しみにしているんだよね。」 俺は黙ってサトシの話を聞いていた。さっきまでのムッとした気持ちが サトシの話の中でどんどん無くなっていくのを感じる。 224 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 30 28.17 ID yUcxAZE0 「正直なところ俺が無理矢理勉強させていたからヒロアキのほうが 迷惑だったんじゃないかな、って俺の方がそう思うんだけどね。」 そういうとサトシは俺の顔を見てニコッと笑う。 「そ、そうなんだ、…そうかぁ、てへへ」 思わず何とも言えないこそばゆい気持ちになる俺。 不思議に顔がニヤニヤしてしまうのは何故だろう? ああ、もう何だかわかんないけど嬉しい気持ちだよっ。 「サトシ君って、ヒロアキ君の話をする時って結構楽しそうに話をするよね? ヒロアキ君の事をどう思っているの?」 「ヒロアキ、…うーん、そうだな…」 サトシは俺の問いにちょっと考え込む。 あれ? そんなに考え込む程の質問だったかなと不安に思う俺。 「…俺にとっては親友だよ。 すごく馬鹿な奴だけど…違うな、馬鹿やってる振りして周りを盛り上げるのが 上手いんだよな。そして周りの皆の事を大事に思っているすごくいい奴なんだよな。 あいつといると不思議に楽しいんだ。気持ちが乗らない時でもあいつと馬鹿やってると ホントやる気が湧いてくる。俺、あいつにはどれだけ励まされたか分からない位だよ。 今頃あいつは海外で何してるんだろうな…」 真面目な表情で俺の事について語るサトシ。 最後にちょっと遠い表情をしたのは俺が海外にいる(と思いこまれている)せいか。 (やっぱりサトシ君はヒロアキ君の事、親友として大事に思っているんだねー) ―うん、そうかも知れないなぁ。 マルさんのいう通り、俺の事について色々考えているんだな。 ふふっ、良かった♪ …って、あれ? そんな中ふと俺はある質問をしてみたくなる。 「…ねえ、サトシ君?」 「何? ミヒロちゃん」 興味深そうに俺の言葉を待つサトシ。 「もしもの話なんだけど、…ヒロアキ君が居なくなったらどう思う?」 225 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 31 40.21 ID yUcxAZE0 「え?」 急に表情が固まるサトシ。 一瞬俺が何を言ったのか理解できない表情をしている。 「ヒロアキが居なくなったらどう思う…って、なんでそんな事聞くの?」 「さあ。…何となく」 とぼける俺。 「うーん、例えば今頃ヒロアキ君は海外に居ると思うんだけど、そのまま帰って来なかったら? …事故とか? …可能性は有るよね。」 「…」 マルさんの話から俺はヒロアキの姿でサトシの前に現れることは二度とできないかもしれない。 そうなってくるとどうしてもサトシに俺が居なくなったらどう思うかを 確かめたくなるのが人情ってものかも? 俺としてはこの姿(ミヒロ)でもサトシに会えないことはないのでとりあえずは …問題は無い(訳が無い)が。 しかし俺はともかくサトシはそうはいかない。 ミヒロの正体がヒロアキだという事を知らない限り サトシにとっては親友、ヒロアキの存在が居ない事になるわけだから。 「…ミヒロちゃん」 「はい?」 サトシの声に反応する俺だがサトシの雰囲気がさっきとは 一変していることに気付く。 「…冗談でもそんな事言わないでくれるかい。言っていい事と悪い事があるよ。」 「え、…!」 俺はサトシの表情を見てビックリした。 今まで見た事の無い、いや一度だけあるかも、とにかくサトシの表情が もの凄く険しくなっている。…怒っている? 俺はサトシの表情を見てビックリした。 今まで見た事の無い、…いや一度だけあるかも。 とにかくサトシの表情がもの凄く険しくなっている。…怒っている? 226 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 34 21.84 ID yUcxAZE0 「ヒロアキは一人っ子だった俺にとってはかけがえの無い親友であり、兄弟みたいな ものだと俺は思っているんだ。」 「…」 黙り込む俺。 「例え話でもヒロアキが居なくなる、海外に行って何らかの状況で帰って来ない、来れない …ひょっとしたら最悪の事が有るかも知れない。 考えたくないけど俺にとって奴が居なくなるなんては有り得ないし想像もつかないし、 したくもない事だと思っている。」 「…」 「ヒロアキは俺の事をどう思っているのか俺には分からない。でも俺にとってはそのくらい 奴を重みのある存在だと思っているんだ。あいつに何かあったら俺はすぐにでも 飛んでいく覚悟はあるし、出来れば早く無事に帰ってきて欲しいと願っているよ。 …ミヒロちゃんにしたらほんの軽い気分の質問だったのかも知れないけど 俺にとっては我慢できない質問だ。」 「…」 「俺の前でそんな話は二度としないでくれるかい? 今は我慢しているけど次はどうなるか 分からない。たとえ、…俺は女の子でも許さないから」 「…」 (うわぁ…すごいね、サトシ君の友情は。) …うん、そうだね。 サトシがどんだけ俺の事を考えているか再認識する。 「…ごめんなさい」 俺はサトシに謝る。 俺の為を思って言ってくれた事に対し嬉しいといえば嬉しい事なんだけど。 …何だろう、この感情は。 「いや、俺も強く言ってしまって、ミヒロちゃんを驚かせてしまったね。」 さっきとは打って変わり穏やかな表情のサトシ。 「…ううん、私の方こそサトシ君に嫌な気持ちにさせてしまったよね…」 我ながら馬鹿な質問をしてしまったと反省する俺。 サトシはサトシで俺の存在を大事に考えているのに俺は無神経にも奴に何て事を 言ってしまったんだろうか。 227 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 36 35.42 ID yUcxAZE0 …。 そんな情けない気持ちだけでなく、 さっきサトシがミヒロ(俺)に向けた厳しい視線と口調が俺の頭の中で ぐるぐると回っている。何気に…いや、かなりショックを受けている俺。 さっきのサトシの姿が頭に焼き付いているだけでなく、 その姿を目の当たりにした状況で俺自身の身体が恐さですくんでいる。 悪いのは俺だ。分かっている。 …だけど。 だけどあんなに恐い顔で言わなくてもいいじゃないか。 あんなに強い口調で言わなくてもいいじゃないか。 ―私は"女の子"なんだよ? … …酷い。 …酷いよね? …酷いじゃないかよっ! 色んな感情が俺の中でごっちゃになっていく。 冷静になろうと努力してみる…でも、マイナスの気持ちが勝っているみたいで。 …。 …あ。 何だか目の前がぼやけてきた。何とか堪えようとする俺。 女になってから何だか変なんだよなぁ。気分がころころ変わるし、涙腺が緩いのか涙が溢れやすいし …。 「…ミヒロちゃん?」 俺の様子の変化に気付いたサトシは俺に呼び掛ける。 「…」 俺は溢れ出そうになる涙を堪えるのに必死だったが、 …駄目みたい。 泣いちゃうっ。 … …ポロポロ …ポロポロポロ 「!! ミ、ミヒロちゃん?」 俺を見て驚くサトシ、というか慌て気味のサトシ。 「…」 「ひょ、ひょっとして俺が怒ったから泣いてるの!?」 目の前で涙をボロボロこぼして泣くミヒロを見てどうしたらいいか分からず オロオロするサトシ。 228 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 37 40.17 ID yUcxAZE0 「…ううん、…そんな事無い、…けど」 溢れ出る涙を何とかしようとするのだがどうにもならずなすがままの俺。 「でも俺がミヒロちゃんの気持ちを害したから泣いちゃったんだよね? 本当にミヒロちゃんゴメン、ゴメンね!」 サトシはサトシでミヒロに必死に謝る。 「…謝らなくてもいいっ、…悪いのは自分だからっ」 あー、もう、どんだけ涙が出れば気が済むんだよっ、この瞳はっ。 必死に涙を両手で拭うが全然止まる様子が無い。 側にあったテイッシュペーパーを何枚かまとめて引っ張り出し、目にあてる俺。 「ミヒロちゃんゴメンね、ホントにゴメン」 「しつこいっ、サトシは謝らなくていいの!」 「でも…」 困った顔のサトシ。 「…もうすぐ、もうすぐで止まるから、待っててよっ」 …といいつつも俺の涙が止まるまで結構時間がかかってしまい、 その間サトシはずっとオロオロしっ放しであった。 229 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 38 44.20 ID yUcxAZE0 ◇ 結局あの後、盛り上がらないまま何となく勉強が始まり何となく時間だから 終了してしまった。 「ごめんね、今日は…」 帰ろうとするサトシを玄関まで見送る。 サトシの前で泣いたせいか何となく気恥ずかしい。 多分、顔も赤くなっているに違いない。 「いや、俺の方こそゴメンね。何ていうか…」 サトシは何か言いたそうであったが何も言えずもごもごしている。 「? 何ていうか?」 首をかしげる俺。 「何というか…」 サトシは下を向いたまま何か言うかどうか悩んでいる様子であったが とりあえず一呼吸置く。 「…あ~、もう、俺って駄目だな。あんまり普段女の子と接する機会が無いからさ、 あんな時どうすればいいのか分かんなくて」 「…」 「俺、ミヒロちゃんにどうすればいいのかずっと戸惑っていた。 気の利いた言い回しも浮ばないし、ずっと泣かせてしまったままで何のフォローも してあげられなかった。俺自身が原因とは言え、情けないなぁ…」 「…」 「俺は周りから何でも出来る人間とか言われているけど、女の子の扱いは なんとも…苦手というか…分かんないというか」 普段のサトシらしからぬ発言がミヒロ(俺)の前でこぼれる。 何だろう、この感じ。 クールなサトシがこんなに弱気になるなんてよっぽど俺(ミヒロ)を泣かせたのが 堪えたようで。…なんだかカワイイ。 230 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 39 44.12 ID yUcxAZE0 「サトシ君、私は別に気にしてないよっ」 「え?」 俺は俯き加減のサトシの前に立ち、両手でサトシの顔に触れると自分の顔の前に近づける。 「ミ、ミヒロちゃんっ?」 俺の行動が理解できずに目を白黒させるサトシ。自分の顔の前にミヒロの顔が接近したせいか どんどんサトシの顔が赤くなっていく。 …ふふっ、真っ赤になっちゃって。 「私だって人前で泣くなんて恥ずかしかった。サトシ君はそんな私をどうすることも 出来ずに自分自身を情けなく思った。これって…おあいこだよねっ?」 「ミヒロちゃん…」 「元はと言えば私がヒロアキ君の事でサトシ君を怒らせてしまった事がいけないんだもの。 サトシ君は何も悪い事は無いよ。 それとサトシ君が女の子の扱いが分からないっていったけど …私だって同じだよ? だから別に恥ずかしい事なんてないよっ」 「…そうかな?」 「そうだよっ、サトシ君っ」 「…ミヒロちゃん、…そうだね」 ミヒロの笑顔につられて笑顔を浮かべるサトシ。 「そうそう、笑顔が一番だよww」 俺はそう言うとサトシの肩口に手をかけ、Vサインをしてサトシに( ̄ー ̄)ニヤリッ、と笑いかける。 「…」 サトシは何も言わずに笑う。 「あ、そうだサトシ君、ちょっと待ってて」 「?」 俺はサトシを玄関に待たせたままキッチンに向かいあるものを手にするとすぐ戻る。 「実は休憩中に食べてもらおうと思ったんだけど…コレ貰ってくれる?」 俺は紙袋をサトシに渡す。 「これは?」 「私が作ったカップケーキ。急ぎで作ったから味は保証できませんww」 「見ていい?」 「どうぞ」 サトシは紙袋を開けて中身を見る。中には俺手作りのカップケーキが3個入っている。 一応、生地の中にドライフルーツを入れたもの、アーモンドやナッツ類を入れたもの、 ココアパウダーを生地に混ぜ込んだものと3種類のケーキとなっている。 「ありがとう、嬉しいなぁ、ミヒロちゃんの手作りが食べられるなんて」 本当に嬉しそうなサトシ。 そんなに喜ばれるとあげた甲斐があるよねっww 俺自身もなんだか嬉しくなってくるよっ。 231 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 40 39.96 ID yUcxAZE0 「…それじゃ、ミヒロちゃん」 「うん、またね」 サトシが帰った後俺は部屋の片付けをする。 片付けをしながら俺はさっきのサトシのやり取りを思い出す。 サトシの前で泣いた自分とそれを見て慌てふためくサトシ。 その光景を思い出すと非常に滑稽で笑ってしまう俺。 …それにしても。 さっきのサトシの帰り際の状況で俺はサトシに対してすごく自然に女の子らしく 振舞う事が出来たような気がするなぁ。 サトシを気遣うセリフも何だか自然に出来たし、まるで元がガサツなヒロアキとは 思えない位可愛いミヒロを演じていたような気がする。 (ミヒロちゃん、私に感謝してねww) ―え? (私、意識をミヒロちゃんに重ねたんだよね。…上手くいって良かった) ―え? え? え? (でもミヒロちゃんもまんざらでも無いし、私もミヒロちゃんと同じ気持ちだし、 …いいよねww うふっ♪) ―ひょっとして、マルさん!? 意識をシンクロさせた? 操られた? まさか? でもこれまでも俺の知らないうちに自分の身体が活動した形跡があったりして、 …マルさんって、一体? 232 :vqzqQCI0 :2008/09/27(土) 03 42 31.89 ID yUcxAZE0 ガチャ。 入り口の扉の鍵の開く音。 「ただいま~、あら? どうしたのこんな所で~」 俺が玄関で思考を回転させていると母さんが帰ってきた。 「あ、母さんお帰り。別に何も無いけど」 「ふ~ん、それならいいけど。あ、そうそう決まったわよ~」 母さんは靴を脱ぐと脇に抱えた紙袋を持って居間に向かう。 「え? 何が決まったの?」 俺も母さんの後について行く。 「ミヒロちゃんの編入試験よ~。いきなりだけど明日だって~」 「え? 明日? ちょっとぉ、まだ心のじゅんb」 「試験は簡単な面接だけだから大丈夫だって~」 「え?」 動きが止まる俺。え? 勉強しなくていいの? 「良かったよね~、ヒロちゃん、勉強苦手だもんね~」 …あの~、お母様? 自分の子供にそんな事言いますか? とはいえ、正直安堵する俺。 そうかぁ、勉強しなくて済むんだ。エヘヘっ。 着替えを済ませて普段着に戻ると母さんは居間のソファに腰掛ける。 俺は自分と母さん用に紅茶を淹れると母さんに渡す。 「母さん、今日は学校に行ってきたんだ?」 「うん、そうなのよ~、色々手続きがあってね~大変だったのよ~」 「そうなんだ、俺のためにわざわざありがとう」 俺はそう言うと紅茶をすする。 「だめ~! ミヒロちゃん!!」 急に俺に強い口調で言うとビシッと指をさす母さん。 「え? な、何?」 驚く俺。思わず紅茶がこぼれそうになったよ。 「もうあなたは女の子なんだから『俺』なんていうの禁止~!」 「え? ええっ!?」 驚く俺、じゃなかった、わたし? 「ミヒロちゃんみたいな可愛い女の子が『俺』なんて凄く変~! だから駄目~!」 「駄目って、そんなぁ…」 「いい~? 数日後には確実にミヒロちゃんは学校に通うことになるのよ~? 今のうちから特訓しておかないとこの先苦労するのは目に見えているわよ~」 「でも…」 「でもも何もないのよ~? 今から特訓開始~」 「えー…、そんなぁ…」 俺はうなだれる。ただでさえ色々あって今の自分を保つのに苦労しているのに 振る舞いまで気を遣わないといけないなんてっ。 (晴子さん、大丈夫です。私がミヒロちゃんを立派な女の子として 育て上げますから。) 「あ~、そうよねぇ~、マルちゃんが居れば安心よねぇ~」 妙に自身満々のマルさんとマルさんの発言に嬉しそうに納得する母さん。 実由といい、母さんといい、マルさんといい、この3人は どんだけ俺を引っ張り回してくれるのか。 …もう、やだ。 それはともかく、明日は学校に行くのか。 う~、どうなるんだろうかぁ…。
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総括所見:ノルウェー(第3回・2005年) 第1回(1994年)/第2回(2000年)/第4回(2010年)OPSC(2005年)/OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.263(2005年9月21日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2005年5月24日に開かれた第1036回および第1037回会合(CRC/C/SR.1036およびCRC/C/SR.1037参照)においてノルウェーの第3回定期報告書(CRC/C/129/Add.1)を検討し、2005年6月3日に開かれた第1052回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、報告ガイドラインにしたがい、かつ委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.126)のフォローアップに関する情報を含む締約国の第3回定期報告書が時宜を得た形で提出されたことを歓迎する。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/NOR/3)に対する締約国の文書回答により、ノルウェーの子どもの状況についての理解を深めることができたことも歓迎するとともに、締約国の代表団との率直かつ開かれた対話に、評価の意とともに留意するものである。 B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下のものを含む、報告対象期間中に見られた多くの積極的発展を歓迎する。 (a) 子どもの権利条約の実施について全般的進展があったこと。 (b) 条約が2003年に国内法に編入されたこと。 (c) 意見を聴かれる子どもの権利の適用範囲をさらに強化しかつ増進させる改正が特定の子ども関連法について行なわれたこと。 (d) 子どもの間で条約に関する意識を高め、かつ報告プロセスに子どもの参加を得ることを目的とする「18歳になるまでの人生」(Life Before 18)プロジェクトが開始されたこと。 (e) 国家人権行動計画(2000~2005年)が採択されかつ実施されていること。 (f) 2003年4月に刑法が改正され、人身取引がとくに犯罪化されたこと。 (g) 締約国が、とくに教育分野における国際援助および国際協力に対し、継続的かつ傑出したコミットメントを示してきたこと。 (h) 子どもの権利の保護を強化するための多くのプログラムおよび国家的行動計画が実施されていること(2001年「子ども・若者とインターネットに関する行動計画」、2002年「移民の背景を有する子ども・若者に関する行動計画」、2003年「女性および子どもの人身取引と闘うための行動計画」、「児童青少年犯罪と闘うための行動計画(2000~2004年)」、「人種主義および差別と闘うための行動計画(2002~2006年)」、ならびに、「女性性器切除と闘う政府の努力-2002年」および「強制婚と闘うための新たな努力-2002年」と題されたプログラムを含む)。 (i) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書および武力紛争への関与に関する子どもの権利条約の選択議定書がそれぞれ2001年および2003年に批准されたこと。 C.主要な懸念事項、提案および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 4.委員会は、勧告の多くが実施されてきたことに評価の意とともに留意するものの、締約国の第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.2)の検討後に委員会が表明した懸念および行なった勧告(CRC/C/15/Add.126)の一部、とくにパラ19(条約に関する研修および教育)、21(差別の禁止)、27(思想、良心および宗教の自由)、31(親の分離)、41(精神保健サービス)および43(保育サービス)に掲げられたものへの対応が不十分であることに、遺憾の意とともに留意する。 5.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしかまたはまったく実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の勧告に対応するためにあらゆる努力を行なうよう促す。 立法および実施 6.委員会は、国内法を条約に全面的に一致させるためにとられた多くの措置を歓迎する。しかしながら委員会は、出入国管理、運営機関への子ども参加および宗教的自由のような一部分野の国内法については、実際の実施が条約の原則および規定と全面的に一致することを確保するためにさらなる注意が必要とされることに留意するものである。 7.委員会は、締約国に対し、国内法が条約と全面的に一致しかつ一致し続けることを確保するための努力を継続するよう慫慂する。委員会は、締約国に対し、裁判官に対して子どもに関わる事件における条約の直接適用可能性についての研修を、かつ中央政府および自治体の職員に対して条約についての研修を行なうよう奨励するものである。 調整 8.委員会は、中央および地方の両方のレベルにおいて、とくに地方当局との関連で、子どもおよび若者のための努力の調整および一貫性を向上させる必要があるという懸念を締約国と共有する。 9.委員会は、中央および地方の公的機関間の十分な協力ならびに子ども、若者、親および非政府組織との協力を確保するため、子どもおよび若者のための努力の一貫性および調整を向上させるための努力を引き続き強化するよう勧告する。 独立した監視体制 10.子どもオンブズマンが行なっている重要な貢献は認知しながらも、委員会は、子どもオンブズマンが子ども家族問題省に依存しているように思われることから、その活動を行なううえで制約に直面していることに留意する。 11.委員会は、締約国が、子どもオンブズマンの独立性をさらに高めるよう勧告する。 データ収集 12.委員会は、十分に整備された締約国のデータ収集システムを高く評価するものの、暴力を受けた子どもおよび後期中等学校に入学せずまたは後期中等学校を中退した子どもの状況に関する統計データが存在しないことを遺憾に思う。委員会はまた、移民の子どもならびに施設および里親家庭で暮らしている子どもに関して利用可能なデータが限られていることも、遺憾に思うものである。 13.委員会は、締約国に対し、子どもの状況に関するデータ、とくに暴力および虐待を受けた子ども、後期中等学校に入学せずまたは後期中等学校を中退した子ども、代替的養護制度の対象とされている子どもならびに移民の子どもに関するデータの体系的収集を向上させるため、引き続き努力するよう勧告する。 資源配分 14.この点に関してとられた措置には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、子どもが利用可能なサービスの範囲が、サービスの内容面でも実行面でも、子どもが国内のどこに住んでいるかによってさまざまであることを懸念する。 15.委員会は、締約国が、子どもに提供されている資源の水準および内容を評価しおよび分析するための研究を実施するとともに、必要なときは、自治体の地理的所在または規模にかかわらずすべての子どもに対してサービスへの平等なアクセスおよびサービスの平等な利用可能性を確保するための措置をとるよう、勧告する。 研修/条約の普及 16.委員会は、この分野で締約国がとったさまざまな措置にもかかわらず子どもおよび若者の間で条約に関する意識が低く、かつ、子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家が子どもの権利に関する十分な研修を受けているわけではないことを、懸念する。委員会は、これとの関連で、学校では人権について後期中等教育の選択科目としてしか教えられていないことを遺憾に思うものである。 17.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) 子どもの権利に関する教育を初等教育および中等教育双方のカリキュラムに編入すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての者(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、教員、ソーシャルワーカー、保健従事者およびとくに子ども自身)を対象とする、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的研修プログラムを確保すること。 (c) 委員会の一般的意見が普及されかつ翻訳されることを確保すること。 2.一般原則 差別の禁止 18.この分野で締約国がとっている継続的措置にも関わらず、委員会は、一部の子どもがその宗教的または民族的背景を理由として学校および社会で直面している差別について懸念する。 19.条約第2条に照らし、委員会は、締約国が、子どもに対するあらゆる形態の事実上の差別を防止しかつ解消するための努力を引き続き強化するよう勧告する。 3.市民的権利および自由 思想、良心および宗教の自由 20.委員会は、学校科目「キリスト教の知識と宗教・倫理教育」の教授に関する、市民的および政治的権利に関する国際規約の選択議定書に基づく自由権規約委員会の見解(2004年11月3日、CCPR/C/82/D/1155/2003)に留意する。これとの関連で、委員会は、「キリスト教の知識と宗教・倫理教育」の教授を条約第15条に掲げられた宗教の自由に対する権利と全面的に一致させるため、教育法の改正が計画されている旨の締約国の情報を歓迎するものである。委員会は、締約国に対し、これらの改正を採択しかつ制定するプロセスを加速させるよう奨励する。 4.家庭環境および代替的養護 21.委員会は、ノルウェーに子どもがいる外国籍の者が重大犯罪を行なった結果として恒久的に退去を強制される事案において、子どもの最善の利益が十分に考慮されていないことを懸念する。 22.委員会は、締約国に対し、親の退去強制に関わる決定において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するよう促す。 家庭環境を奪われた子ども 23.委員会は、家庭から分離されて里親家庭または他の施設で暮らしている子どもが多いことを懸念する。これとの関連で、委員会は、家庭環境からの子どもの分離に関わる実務を見直すことに対する締約国の前向きな姿勢に留意するものである。 24.委員会は、締約国が、実親に対する十分な支援等も通じ、家庭から分離される子どもの人数が増加している原因に対応するための措置をとるよう勧告する。〔委員会は、〕締約国に対し、自然な家庭環境の保護を優先するとともに、家庭からの分離および里親養護または施設への措置が、それが子どもの最善の利益にかなう場合に最後の手段としてのみ用いられることを確保するよう、奨励するものである。 措置の定期的審査 25.子ども家族問題省の努力は歓迎しながらも、委員会は、監督担当者の人数が十分でなく、かつ監督担当者が研修を受けていないために、里親家庭に措置された子どもの定期的審査が不十分であることを懸念する。 26.委員会は、締約国が、里親家庭または施設に措置された子どもの状況が十分に監督されることを確保する努力を追求するよう、勧告する。 虐待およびネグレクト(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む) 27.委員会は、家庭内暴力にさらされている子どもが常に十分なケアおよび援助を受けているわけではないことを懸念する。 28.委員会は、締約国が、家庭内暴力にさらされている子どもまたは親が精神病患者および(もしくは)薬物濫用者である子どもに十分な援助を提供するための努力を引き続き強化するよう勧告する。そのための手段には以下のものが含まれる。 (a) 暴力の被害を受けたすべての者がカウンセリングならびに回復および再統合のための援助にアクセスできることを確保すること。 (b) 家庭で虐待の被害を受けた子どもに対し、十分な保護を提供すること。 (c) 周縁化された集団および不利な立場に置かれた集団にとくに注意を払いながら、家庭における暴力の根本的原因に対応するための措置を強化すること。 (d) 不当な取扱いの有害な影響に関する公衆教育キャンペーンおよび防止プログラム(積極的な非暴力的形態のしつけおよび規律を促進する家族発達プログラムを含む)を実施すること。 5.基礎保健および福祉 障害のある子ども 29.委員会は、障害のある子どもによる文化的活動およびレクリエーション活動への参加が制約されていることに、懸念とともに留意する。 30.委員会は、締約国が、障害者の機会均等化に関する国連基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議の日に採択した委員会の勧告(CRC/C/69, paras. 310-339)を考慮に入れながら、障害のある子どもに対してサービス(文化的活動およびレクリエーション活動を含む)への平等なアクセスが提供されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 基礎保健および福祉 31.委員会は、摂食障害(過食症および拒食症)の発生件数が多いことを依然として懸念する。さらに委員会は、運動の少なさおよび栄養バランスの悪い食事があいまって生じる体重過多の問題が子どもの間で増大しつつあることを懸念するものである。 32.委員会は、締約国が、子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮に入れながら、子どもおよび青少年の健康に細心の注意を払うよう勧告する。とくに委員会は、締約国が、摂食障害の発生に対応し、かつ思春期の子どもの間で健康的なライフスタイルを促進するための措置を強化するよう勧告するものである。 精神保健サービス 33.子どもおよび若者を対象とした精神保健サービスを強化するためのとられた措置は歓迎しながらも、委員会は、援助およびケアを受けるまでの待機時間のような課題が残されていることを懸念する。委員会はまた、子どもおよび青少年を専門とする精神医学者および心理学者が足りないことも懸念するものである。 34.委員会は、締約国に対し、支援を必要としている子どもおよび若者に対して十分な治療およびケアが遅滞なく提供されることを確保するため、精神保健ケアの発展の速度を速めるよう奨励する。 35.委員会は、子どもおよび青少年の自殺件数が多く、若い女性および男性の死亡の4件に1件が自殺であることを、依然として深く懸念する。 36.委員会は、締約国に対し、自殺の危機にある人々のための保健サービス資源を強化し、かつ、危険な状況に置かれた集団内で生ずる自殺を防止するための措置をとるよう促す。 十分な生活水準 37.委員会は、継続的低所得世帯で暮らしている移民の子どもの割合が高いことに、懸念とともに留意する。 38.委員会は、締約国が、すべての子どものニーズが満たされることを確保するとともに、いかなる集団の子どもも貧困線以下の生活を送ることがないことを確保するためあらゆる必要な措置をとるよう、勧告する。 6.教育、余暇および文化的活動 39.委員会は、学校におけるいじめと闘うためにとられた多数の措置、とくに子どもオンブズマンによる取り組みを歓迎するものの、この現象が多くの学校で根強く生じていることを依然として懸念する。 40.委員会は、締約国が、いじめと闘うための措置を強化し、かついじめの削減を目的とした取り組みへの子どもの参加を確保するよう勧告する。 7.特別な保護措置 子どもの難民 41.委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者のうち締約国の受入れセンターから失踪する子どもが多いこと(2003年には33名)に懸念を表明する。委員会は、このような子どもが虐待および搾取の被害を受けやすいことをとりわけ懸念するものである。委員会はまた、保護者のいない子どもの庇護希望者(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)の監督およびこのような子どもに提供されるケアならびに受入れセンターで暮らす子どもに提供される心理的および精神医学的サービスが不十分であることも懸念する。さらに、委員会は、庇護申請の処理があまりにも遅いことを懸念するものである。 42.委員会は、締約国に対し、受入れセンターで暮らす子どもに対する十分な支援および監督、ならびに、トラウマを負った子どもの庇護希望者に対する十分な心理的および精神医学的ケアが提供されることを確保するための措置を強化するよう促す。委員会は、受入れセンターにおける保護者のいない子どもの庇護希望者のための援助およびケアが児童福祉制度下の他の施設で提供されているものと同一の水準に達するよう、受入れセンターにおけるこれらの子どもの状況を、資源および十分な訓練を受けた有能な職員の面で向上させるよう勧告するものである。締約国はまた、庇護申請がより迅速に処理されることを確保するためにさらなる措置をとることも求められる。 薬物濫用 43.委員会は、締約国において薬物およびアルコールを消費する子どもの人数が多いことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、親の薬物濫用のために苦しむ子どもの人数が多いことも懸念するものである。委員会は、これとの関連で、子どもおよび青少年の薬物濫用問題を防止するための試験的プロジェクトが多くの自治体で開始されていることに留意する。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもおよび親に対し、有害物質濫用の有害な影響に関する正確かつ客観的な情報を提供するための努力を強化すること。 (b) 薬物および麻薬を使用している子どもが(犯罪者ではなく)被害者として扱われ、かつ回復および再統合のための必要なサービスを提供されることを確保すること。 (c) 子どもおよび青少年の薬物濫用問題の防止に関するプロジェクトを拡大し、より多くの自治体が対象とされるようにすること。 性的搾取および性的虐待 45.委員会は、締約国において子どもおよび若者の性的虐待が発生していることを懸念するとともに、この問題に関する最近の研究が存在しないことを遺憾に思う。 46.条約第34条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの性的虐待の性質および規模、ならびに、虐待の被害をとくに受けやすい集団を特定する目的で虐待された子どもの特質を評価するための、包括的研究を実施すること。 (b) 子どもおよび青少年の性的虐待と闘うための措置を強化すること。 (c) 子どもの証言が適切な方法で記録されること、および、事情聴取を行なう者が必要な専門的資格を有することを確保すること。 売買、取引および誘拐 47.女性および子どもの人身取引と闘うためにとられた措置は歓迎しながらも、委員会は、性的搾取目的の女性および子どもの人身取引が締約国で依然として問題であることを懸念する。 48.委員会は、締約国に対し、性的搾取および人身取引と闘うための計画を効果的に実施するための努力を強化するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、この分野で深刻な問題に直面している国々/地域への協力を拡大するとともに、子どもの人身取引および性的搾取の性質および規模を評価し、かつこの形態の搾取の被害をとくに受けやすい集団を特定するための研究を実施するよう、奨励するものである(注)。 (注)この問題に関する委員会のその他の懸念および勧告は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて提出されたノルウェーの第1回報告書に関する委員会の総括所見に記載されている。 8.フォローアップおよび普及 フォローアップ 49.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関の構成員、議会ならびに適用可能なときは州の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 50.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 9.次回報告書 51.委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。委員会は、この点に関する締約国の実績を評価するとともに、締約国に対し、条約で予定されているとおり2008年2月6日までに、120ページを超えない範囲で(CRC/C/148参照)第4回定期報告書を提出するよう慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2011年9月5日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/186.html
総括所見:タイ(OPAC・2012年) 第1回(1998年)/第2回(2006年)/第3回・第4回(2012年)OPSC(2012年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/THA/CO/1(2012年2月21日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2012年1月25日に開かれた第1683回会合(CRC/C/SR.1683参照)においてタイの第1回報告書(CRC/C/OPAC/THA/1)を検討し、2012年2月3日に開かれた第1698回会合(CRC/C/SR.1698参照)において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、選択議定書に基づく締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/THA/Q/Add.1)の提出を歓迎するとともに、ハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた、開かれた、率直かつ建設的な対話を評価する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第3回・第4回定期報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/THA/CO/3-4)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/OPSC/THA/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、軍役法(1954年)および国防省規則(2000年)に基づき、現役および非現役の軍隊要員の登録年齢が18歳と定められていることに、評価の意とともに留意する。 III.実施に関する一般的措置 立法 5.委員会は、とくに18歳未満の子どもを軍隊に徴募することの犯罪化との関連で、選択議定書の規定が国内法に全面的には編入されていないことを懸念する。 6.選択議定書第6条に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書の規定を国内法に全面的に編入し、かつ18歳未満の子どもを軍隊に徴募することを明示的に犯罪化するための措置をとるよう、促す。 調整 7.委員会は、国家子ども・若者発達促進委員会が選択議定書の実施を調整するための機構である旨の締約国の情報に留意する。しかしながら委員会は、条約に基づく総括所見(CRC/C/THA/CO/3-4)を参照しつつ、子どもの権利に関する政策およびその実際の実施が社会開発・人間安全保障省内の諸機関その他の機関に割り当てられており、かつ、条約および選択議定書に基づく、国および国以外のあらゆる関連の主体の活動の調整を担当する全般的な調整機構が存在しないことを、懸念するものである。 8.委員会は、条約に基づく総括所見を参照しつつ、締約国が、子どもの権利政策の策定および実施に取り組んでいるさまざまな機関および委員会(社会開発・人間安全保障省内のものを含む)の間でよりよい調整が行なわれることを確保するとともに、条約およびその選択議定書に基づく子どもの権利についての活動の実施の監視および評価に関して、部門別省庁を横断し、かつ中央政府から地方政府のレベルに至るまで指導力を発揮しかつ有効な一般的監督を行なうことのできる単一の部局を指定するよう、勧告する。 普及および意識啓発 9.委員会は、選択議定書がタイ語に翻訳され、かつ政府機関および非政府機関を含むさまざまな機関に対して普及されていることを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、締約国において、公衆、子どもならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家の間で体系的かつ包括的な普及および意識啓発活動が行なわれていないことを懸念するものである。 10.選択議定書第6条2項に照らし、委員会は、締約国が、広報および教育のための体系的プログラムを発展させることにより、選択議定書の原則および規定が一般公衆、子どもならびに関連の中央当局および地方当局の間で広く普及されることを確保するよう、勧告する。 データ 11.委員会は、選択議定書で対象とされている多くの分野についてのデータおよび統計、とくに軍事学校に就学した18歳未満の者、ならびに、広く行なわれている武装暴力に関与したまたはその可能性がある子どもの難民および庇護希望者の人数が存在しないことを、遺憾に思う。 12.委員会は、条約に基づく総括所見を参照しつつ、締約国が、条約および選択議定書の実施に関連するすべての分野についての包括的なデータ収集システムを設置するとともに、広く行なわれている武装暴力の影響を受けている子どもおよびこれに関与している子どもの保護に関わる包括的な政策およびプログラムを立案する際の基礎として、収集された情報および統計を活用するよう、勧告する。委員会は、締約国が、この点に関して国連児童基金(ユニセフ)の援助を求めるよう勧告するものである。 IV.防止 志願入隊 13.18歳未満の者が村落防衛訓練に参加することを禁じた省規則第2号(仏歴2554年)(2011年4月)は歓迎しながらも、委員会は、南部国境県の村落自警団(チョー・ロー・ボー、Chor Ror Bor)が行なう一連の活動に子どもが非公式な形でつながりを持ち、正規の構成員と同一または同様の任務を遂行しているという報告があることを懸念する。委員会はさらに、適用される規則が明確ではなく、かつ規則について主要な官公吏が認識していないこと、現行の政策および手続が実施されていないこと、ならびに、効果的な監督および説明責任の履行が行なわれていないことから、子どもがチョー・ロー・ボーと公式かつ非公式につながりを持ちやすくなる状況が生じてきたことを、懸念するものである。 14.委員会は、締約国に対し、子どもがチョー・ロー・ボーに非公式に関与することを防止しかつ禁止するために必要な措置をとるよう、促す。委員会はさらに、締約国が、主要な官公吏を対象とした、村落自警団への子どもの公式および非公式な関与に関する監視および説明責任の履行のための効果的な機構を設置するとともに、そのような徴募を禁じた法律に関する主要な官公吏の意識を高めるよう、勧告するものである。 軍学校 15.委員会は、出席のための最低年齢が16歳以上である学部段階において、カリキュラムに兵器の取扱い、陸海空の兵站、軍事規律および国際法のような軍事科目が含まれていることを懸念する。 16.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 軍学校による選択議定書の規定の遵守を確保する目的で、自国の管轄下にあるすべての軍学校の包括的再審査を行なうこと。 (b) 軍学校に入学するすべての生徒について、性別、年齢、社会経済的背景および地理的所在ごとに細分化されたデータを収集する、中央集権化され、かつ定期的監視の対象とされる包括的な登録システムを設置すること。 (c) 軍学校が選択議定書の規定を遵守することを確保するため、教育省、国防省および子ども保護委員会による当該学校の定期的合同監視を行なうことを検討すること。 (d) 軍学校において、18歳未満の子どもに火器の使用訓練を行なわせることが明確に禁じられることを確保すること。 V.禁止および関連の事項 現行刑事法令 17.委員会は、1956年刑法および子ども保護法(2003年)を含む締約国の法律において、軍隊、村落自警団または国以外の武装集団による18歳未満の者の徴募および(または)使用が明示的に犯罪とされていないことを、懸念する。 18.軍隊または武装集団による子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国が、軍隊、村落自警団または国以外の武装集団への子どもの徴募および関与を法律で明示的に犯罪とするよう、勧告する。 裁判権 19.委員会は、締約国の法律において、子どもの不法な徴募および敵対行為における子どもの使用の犯罪についての普遍的裁判権が設定されていないことを懸念する。委員会は、選択議定書上の犯罪についての裁判権を行使するためには双方可罰性が必要であること、および、犯罪人引渡しの条件として締約国と要請国間に条約が締結されていなければならないことを、遺憾に思うものである。 20.委員会は、締約国が、選択議定書で禁じられている行為(子どもを軍隊または武装集団に徴収しもしくは入隊させることまたは子どもを使用して敵対行為に積極的に参加させることを含む)に関する、当該犯罪がタイ国民または締約国と他の密接なつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の裁判権について、刑法または他の法律において明示的に定めるよう勧告する。委員会はまた、締約国が国際刑事裁判所ローマ規程を批准することも勧告するものである。 VI.保護、回復および再統合 被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 21.委員会は、タイの公式なおよび非公式なキャンプで生活している、元子ども兵士を含む子どもの庇護希望者および難民(いわゆる「国外避難民」)が保護されておらず、かつ、難民/庇護希望者のなかから元子ども兵士を特定するための機構も存在しないことを、懸念する。委員会はまた、特定および保護のための十分な措置がとられていないため、ミャンマーに強制送還される人々のなかにミャンマーを脱出した子ども兵士も含まれている可能性があり、このような子どもがミャンマーで再度の徴募および(または)脱走罪を理由とする拘禁に直面するおそれがあることも、懸念するものである。委員会はとくに、キャンプの子どもが、ミャンマーからやってきてタイ国境内で活動する、国以外の武装集団による徴募および再徴募の危険にさらされていることを懸念する。 22.選択議定書第7条に基づく締約国の義務に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 自国の管轄下にある子どもの庇護希望者および難民全員に関する、全国的なデータ収集・登録システムを設けること。 (b) 国外で武力紛争に関与したまたはその可能性がある子ども(子どもの庇護希望者および難民を含む)を特定するための機構を設置するとともに、当該特定を担当する要員が子どもの権利、子どもの保護および事情聴取技法について訓練されることを確保すること。 (c) 武力紛争に関与したまたはその可能性がある子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な支援を提供すること。 (d) 選択議定書上の犯罪の被害を受けた可能性がある子どもまたはそのような被害を受けるおそれがある子どもの、出身国へのいかなる強制送還も直ちにとりやめること。 (e) ミャンマーからやってきてタイ国境内のキャンプで活動する、国以外の武装集団による子どもの徴募および再徴募を防止すること。 (f) この点に関して国連難民高等弁務官(UNHCR)およびユニセフの技術的援助を求めること。 非常事態立法に基づく子どもの逮捕および拘禁 23.委員会は、南部国境県において子どもが戒厳令および非常事態令に基づく逮捕および拘禁の対象とされている旨の報告があることを懸念する。委員会はとくに、これらの治安維持関係法上、子どもの行政拘禁が禁じられておらず、かつ30日まで継続することができるとされており、その際、子どもが不当な取扱いおよび隔離拘禁または成人の被拘禁者と同じ房での拘禁の対象とされていることを、懸念するものである。 24.委員会は、締約国に対し、18歳未満の子どもに対する刑事上または行政上の手続を禁じ、かつ軍事拘禁センターへの子どもの拘禁を禁止する目的で、治安維持関係法を見直すよう求める。委員会は、18歳未満のすべての子どもが、あらゆる状況下で少年司法制度による扱いの対象とされるべきことを勧告するものである。 VIII.国際的な援助および協力 国際協力 25.委員会は、締約国が、赤十字国際委員会および子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表との協力を継続しかつ強化するとともに、選択議定書の実施におけるユニセフその他の国連機関との協力の増進を模索するよう、勧告する。 VIII.フォローアップおよび普及 26.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、議会、関連省庁および地方当局ならびにそれぞれ中央および県に設置されている子ども保護委員会および同小委員会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 27.委員会はさらに、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.次回報告書 28.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年4月10日)。