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第2話 長門有希 文芸部員の正体 SOS団設立直後のごたごたは・・・俺にもかなりのトラウマとなっているのでふれたくない。 まあ、SOS団室(正式には文芸部室)にいろいろなものが増えたことだけ報告しておこう。 団長の机とパソコン、それにハルヒ手製と思われる団長と書いた三角錐。 やかん、急須、カセットコンロ・・・後、朝比奈さんにトラウマを田植え機のごとく植え続けているコスプレ衣装の数々である。 ちなみに、ハルヒと朝比奈さんの活躍?によりSOS団の知名度はうなぎの滝登り(ハルヒ談)である。 俺の評価がナイアガラの滝から落ちる樽のように下がっているのは触れたくない。国木田や朝倉だけじゃなく谷口にまで同情されたさ・・・ そして、SOS団に五人目がやってきた。 そのときまで、ハルヒは口癖のように、「無口キャラと萌えキャラは揃えたわ。次は謎の転校生よね。」といっていた。 まだ、5月である。普通に考えて、転校生の来るような時期ではない。そんなに都合良く転校生がくるわけないだろ。という俺の考えをわざわざ否定するように、その転校生は文芸部室にやってきた。 「みんな、紹介するわ。即戦力の転校生、古泉一樹くんよ。」 と紹介されて姿をみせたのは、ほとんどの人間がイケメンと評価するような顔に人畜無害を形にしたような笑顔を貼り付けた男子生徒だった。 部室に入るなり、古泉一樹の視線が長門と朝比奈さんへ向けられたのを俺は見逃さなかった。 古泉の前に立つハルヒには見えなかっただろうけどな。 「古泉一樹です。よろしくおねがいします。」 とまるで入学試験の面接のような挨拶をしたそいつは、言葉を続けた。 「すいません。SOS団に入るという件は涼宮さんから伺っているのですが、それは一体どんな活動をする団体なのですか?」 ・・・いきなり、核心をつくやつであった。 俺は、朝比奈さんと長門にまず視線を向けたが、朝比奈さんは首を横に振り、長門は本から視線を外そうとはしなかった。 結果、俺はハルヒにいい加減説明しろ!という風に視線を送るしか選択肢がないことに気づいた。 ハルヒは待ってましたという表情で、満面の笑みと共に宣言した。 「SOS団の目的!それは、超能力者とか未来人とかそうね・・・妖怪とかそういう不思議な存在と友達になって一緒に遊ぶことよ!」 ・・・・・・世界が止まったかと思った。というのはうそであるが、俺はハルヒの最初の自己紹介を思い出していた。 『妖怪』が加わっているのがちょっと気になったが、それ以前に呆れていた。 ちょっと落ち着いて、周囲を見渡すと、朝比奈さんは呆然としている。長門ですら、本からハルヒに視線を向けていた。 古泉の表情は読み取れないが多分呆れて入団をやめるといいだすだろうと思ったよ。 しかし、古泉は再び朝比奈さん、長門、俺を一通り見回した後、 「さすがは涼宮さんですね。わかりました、入りましょう。」 と予想外の答えを返していた。こいつも変わっているな・・・と自分のことを棚にあげて思ったものだ。 そろそろ部活動の時間も終わりに近づいていた。 明日は土曜日だから、やっとゆっくりできると考えている俺の思考を断ち切るように、ハルヒの声が再び室内に木霊した。 「SOS団もメンバーが揃い、本格的な活動をすべきときが来ました。不思議な存在というものを待っている時代は20世紀で終わりました。現在は21世紀、あたしたちは積極的に不思議な存在を探すべきだと思います。明日土曜日午前9時に駅前に集合し、SOS団全員で不思議探しを決行します。来ない場合は死刑よ!」 とまあ、理不尽な宣言と共にその日の活動は終わり、解散となった次第である。 帰り際、長門が珍しく声をかけてきた。 「本読んだ?」 「ん?いやまだだが、返したほうがいいか?」 一頁も読んでないとは答えられん。 「必要ない。でも、今日読んで」 有無をいわさないという視線で長門はそういってきた。ふむ、あの本になにかあるのだろうか。 長門は表情には出さないが、文芸部室占領という事態に直面しているわけだし、いつの間にやらよくわからない団体の一員扱いだ。 しかも、SOS団の存在は学校中の噂になっている。 この無口無表情でおとなしい文芸部員が本で何かを伝えようとしてるのだろうか? 帰宅してすぐに借りていた本を開いてみると、栞が落ちてきた。これかな?などと思いながら目を通す。 『貸した日に読んでくれると思ったのにキョンたんひどいよ~っ!(。>0<。) 今日の午後七時。光陽園駅前公園で待ってるから、絶対に来てね♪絶対だよ! by長門有希』 ・・・えっと、ずいぶんと長門のイメージと違う内容なのだが、というか俺の名前と最後の部分がなかったら、前に読んだ人宛てのものだと判断して間違いなく無視したな。 年賀状印刷の毛筆のようなきれいな字で書かれたその内容を無視するには謎が多すぎた。 まあ、長門の悪戯という可能性もないわけではないが、一応、指定の場所に向かって、自転車を飛ばすことにした。誰もいなかったら笑うしかないな。 まあ、笑わずに済んだ。公園のベンチにいつもの制服姿の長門がいて、本を読んでいた。どこか寂しげな印象は否めない。 「待たせたか?」 俺に気づいて無感情ないつもの視線を向けてきた長門にそう声をかける。さっきみた栞のイメージとはかけ離れたいつもの長門だった。 「少し」 まあ、家から公園までは20分近くかかる。7時を5分ほど過ぎてしまったことはやむを得ない事情と理解してほしいものだ。 「あの栞はお前からだったのか?」 「そう」 「部室や学校では話せないことなのか?」 「そう」 「ここならばだいじょうぶなのか?」 長門は目線を落とす。おそらく、ここでも話せないことなのだろう。 「わたしの家に来て」 唐突な発言だった。しかも、長門はそのままおそらく家のある方向に歩き出していた。なるほど、家でなければ話せないほど困っているということなのか・・・と思った。 まてよ、家といえば、この時間だ。親御さんがいるはず・・・俺の頭の中にひとつのストーリーが生まれた。 長門はもの静かでおとなしい性格だ。しかし、こいつの親もそういうキャラとはかぎらない。モンスターペアレントなんて言葉もあるくらいだしな。 で、長門に文芸部のことを尋ねた親が、今の状況を聞いて・・・ 怒り心頭して、学校に殴りこみに行こうと言い出し・・・ 長門はなんとかそれを止めようとして、しかし、ハルヒには連絡できないから、俺をここに呼び出したんじゃないか? とすると、俺はハルヒの暴挙の協力者として、長門の親に釈明しないといけないのか・・・どうやって? SOS団なる団体の説明をして、喜んで娘を差し出す親がいるだろうか? まして、学校での噂というかやっちゃったことを見聞きしていたら、orz。 気分は失意体前屈だった。キョンたんぴんちってやつだ。 そんなことを考えながら、長門に案内されて、家だというマンションの一室の前についた。ここは相当な高級マンションだったはず。 ・・・やばい。マジやばいって。 防刃ベストを着てくるべきだったか? 「防刃ベストって何?」 「いや、なんでもない。ここがお前の家なのか?」 しまった口に出ていたか。親馬鹿な父親が包丁を持ち出してくるところまで想像して、俺の中の長門の親御さん釈明プロジェクトは立案途中で中断を余儀なくされた。 「そう、入って、中に」 中は、3LDKクラスの普通のマンションだった。 いや、普通というと語弊があるな。なにせ、玄関から見える範囲のほぼすべてを本棚が占領していて、しかも全部本がぎっしりつまっていた。 古本屋かここは?と思ってしまうような光景だった。 「奥に」 そういわれて、室内に入ると、コタツ机がひとつ。 向かい合わせに腰を下ろすと、長門は電気ポットからお茶を入れてくれた。 ・・・・・・ しばらく、沈黙が続いた。いたたまれない気分でお茶を飲んだ後、俺から話を切り出した。 「長門、一人暮らしなのか?」 そうなのだ、親御さんの姿が見えないし、この部屋の状態で複数人が生活してるという感じはない。 「そう、最初からわたししかいない。」 おいおい、それじゃあ、別の意味でやばくないか?とりあえず、釈明プロジェクトを実行しなくて済んでほっ、としたが。 「すごい本の量だな。本が本当に好きなんだな。」 「この本はわたしの・・・一部。」 えっと、この本はわたしのコレクションの一部とでもいいたいのか?ってことはこいつはちょっとした書店より大量の本を持っていると? まあ、娘に高級マンション暮らしをさせている親なのだから、それなりに金持ちなのかも。 「それでだ、学校や公園で出来ないような話って何だ?」 本題をきりだす。 「涼宮ハルヒのこと・・・それと、わたしのこと」 長門は背筋を伸ばしたきれいな正座で話始めた。 「あなたに教えておく」 といって、また黙った。沈黙が痛い。長門はうつむいて俺の方の茶碗をしばらく凝視している。もしかして、躊躇しているのか? 「涼宮とお前がなんだって?」 俺がそういって即すと、長門は立ち上がり、本棚から一冊の本を取り出してきた。 「うまく音声化できない。文章化でも情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない。でも、読んで。」 そういって、その本を渡してきた。 題名は・・・なんだこれ? 『涼宮ハルヒとSOS団』 しかも、著者名が、俺?俺は夏休みの日記を書くのも31日にまとめてやるくらい文章を書くのが嫌いだ。当然こんな本を書いた記憶もない。 「読んで」 これはなんだ?と聞く前に長門はこちらをじっとみてそういった。 パラパラとめくると、へんな本であることに気づいた。この本、最初の一部を除いて全部真っ白じゃないか。 とりあえず、空白を読むのは無理なので、文章が書かれている最初の部分から目を通した。 そこには高校入学時のハルヒとの出会いからSOS団設立までの経緯が書かれていた。俺の言葉で・・・だ。 そして、ここで長門と会っている部分まで書かれている。 ---------------------------------------------------- 長門有希はその夜はじめて自分の正体を俺に明かした。長門の説明によると、彼女は『妖怪』なのだという。 この本を読んでいるやつ、笑うなよ。こいつは本当のことなんだからな。 妖怪なんて古臭い存在、俺も信じてはいなかったさ。このとき、俺が信じられなかったことはいうまでもないことだろう。 まあなんだ。まず『妖怪』とやらの説明をしとかないといけないな。俺たちが普通に思う『妖怪』とはちょっとばかし違うんだ。 『妖怪』と長門たちが自称している存在を生み出しているのは、人の想いであるらしい。 たとえば、狸が人を化かすと人々が信じていれば、人を化かす『妖怪』化け狸が生まれると・・・ じゃあ、長門の正体とやらはなにか?というと、文車妖妃(ふぐるまようび)という『妖怪』だ。 メルヘンチックにいうと本の精というか、文字の精とでもいうのかね。つまりは、こいつは文章に込められた想いが『妖怪』化したもの。 ちなみに、3年前に前世と呼ぶべき存在が東京で起こったあれのせいで滅んでいるが、人の文字への想いの強さのおかげで再生したのが今の長門有希なのだそうだ。 まあ、俺にもよくわからなかったがね。 そうそう、重要なことを書き忘れてしまうところだった。 その長門有希の説明によると、ハルヒも普通の人間とは違うらしい。 長門とは違い、ハルヒは普通の人間として、生まれている。 事情が違ってしまったのは、3年前・・・つまり、長門の前世とでもいうべき存在が滅んだのとほぼ同時期だ。 『妖怪』たちのなかでも最強クラスのやつがそのとき滅んだのだが、そいつは自分の力をある呪いと共に人間に宿らせることを考えたらしい。 ・・・で、選ばれちまったのが、涼宮ハルヒだった。 その力は、相当なもので使い方次第では人類を滅ぼすことも容易なほどだという。正直、今でも信じられないがね。 その強大な力とやらに、長門の仲間たちが気づき、再生したばかりで過去の記憶と知識を失っていた長門に白羽の矢が立ったというわけだ。 長門自身も本来ならば相当強い妖怪であったから、ハルヒの力の歯止めとしての期待もあったし、人間社会と自分の力の制御をもう一度学習するよい機会にもなるだろうというのが、その仲間たちの主張であった。 そんなわけで長門は中学時代からハルヒと同じ学校で離れた位置から監視していたらしい。 長門に言わせると、ハルヒの中学時代にも多少の事件はあったが、大事にはいたらなかったとのこと。 そして、高校もおなじ学校へ進学し、文芸部で本に囲まれながら、監視を続けようと考えていた矢先に、涼宮ハルヒの強襲を受けたというわけだ。 「妖怪と妖怪は惹きあうもの仕方ない。」とは長門たちの発言である。 しかし、SOS団に俺が巻き込まれたことは・・・ ---------------------------------------------------- ここで文章は終わっていた。 「長門、この本は何だ?」 こういう本を書くのが趣味なのかね、こいつは。 「書いてあるとおり。その本は書かれなかった本の一部。わたしの力。」 正直よくわからなかった。 「文字での情報伝達にも限界がある。でも、理解してほしい」 んなこと言われても。 「何で俺なんだ。本当にお前が妖怪だとして、ハルヒに特別な力があるとしてだ。なぜ、俺にそのことを教えたんだ?」 「あなたは選ばれた存在。妖怪と妖怪は惹きあう関係にある。だから、わたしと涼宮ハルヒは出会った。しかし、あなたは普通の人間、あなたが選ばれたのには理由がある。」 「ねーよ」 「ある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。あなたと涼宮ハルヒが、すべての可能性を握っている。」 「本気で言っているのか?」 こくり、と長門ははっきりとわかる動作でうなずいた。 俺は、今までになくマジマジと長門有希の顔を直視した。度を越えた無口なやつと思っていたが、頭の中ではこんな電波なことを考えていたのか。ここまで変なやつだったとは・・・ 妖怪?文車妖妃(ふぐるまようび)?ありえん・・・ 「あのな、そんな話なら直接涼宮に言ったほうが喜ばれると思うぞ。あいつはそういう話題には飢えているからな。悪いが、俺はそういう話題にはついていけないし、今信じることはできないな。」 「わたしの仲間たちの意見では、呪いの影響で直接伝えることはできない。もし、伝わったとしても、現在の涼宮ハルヒでは自分の力を自覚した場合、その力を制御することは困難。」 「俺が今の話をそのまま伝えたらどうするんだ?」 「涼宮ハルヒはその話を信じない。信じることができない。それが彼女が受けた呪い。」 呪い云々はともかく、確かに信じないのは事実だろうな。 「涼宮ハルヒの周りにいる妖怪はわたしだけではない。また、妖怪の中にはあの力を利用しようという動きもある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたらまずあなた。」 付き合いきれなくなってきた。 これ以上、電波話を聞くのはさすがにつらいので、長門の部屋からおいとまさせてもらうことにした。まあ、お茶はおいしかったよ。 長門もこれ以上留めようとはしなかった。ちょっと、寂しそうではあったが・・・ 家に帰って、親に遅くなった言い訳をして、自分のベッドに横になった。 妖怪 文車妖妃(ふぐるまようび)ねえ・・・ 気になって仕方が無いので家のパソコンで検索すると、確かにそんな妖怪が紹介されているページはあった。まあ、絵の方は長門とはイメージが違う。 そりゃそうだ。妖怪なんて実在するわけがない。実在すれば、ハルヒは喜ぶだろうがな。 あんな風に本に囲まれて一人寂しく生活しているから、長門もあんな妄想に取りつかれたのだろう。思春期の少女に集団妄想などが起こるケースがあるというのもそのホームページには書かれていた。 『妖怪』 この言葉と俺がこれから長きわたり付き合っていくことになるとは、このときひと欠片も思っていなかった。 しかし、おだやかな俺の日常はこのときすでに圧倒的な存在により激変しつつあったのだ。
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第4話 敵対存在 『獣』と『神人』 最初の事件が起こるとしたら、それはSOS団室だと思っていた。 しかし、事件は部室で起こらず、俺の机の中でひそかに起こっていた。それは、ハルヒが席を外していたとき、俺が一枚の紙片を見つけたことから始まった。 『放課後誰もいなくなったら一年五組の教室に来て』 とそれには女子の文字でこのように書かれていたのである。ハルヒにみつかるとやばそうなので、俺はこの意味ありげな紙片をすばやくかばんの奥へとしまいこんだ。 とりあえず、脳内検索実行。 可能性① 涼宮ハルヒの場合 キョンちょっと来なさい。俺のネクタイを引っ張り、屋上へつながる階段の踊場へと引きずる。 よし、ハルヒの可能性は消えた。 可能性② 朝比奈みくるの場合 女の子らしい便箋にきれいな文字で書き、それをやはり飾りつきの封筒にきちんと封をして・・・ うむ、朝比奈さんでもないな。 可能性③ 長門有希の場合 気づかないうちに教科書に栞が・・・そこには印刷されたようなきれいな字で・・・ 長門でもないな。 可能性④ ちゅるやさんの場合 机を除くと人形が・・・いきなり起き上がり、「キョンくん、スモークチーズはあるかい?」 ねえよ!学校にスモークチーズを持ち込む高校生ってどうよ?ちゅるやさん消去っと。 まあ、それは冗談として、鶴屋さんもサバサバした性格だ。手紙などというまどろっこしい手を使うタイプじゃなさそうだった。 可能性⑤ 上記以外もしくは悪戯 この可能性が最も高いが検索条件の再設定が必要です。 とりあえず、再設定できないので、可能性⑤を前提に行動するとしよう。谷口あたりの悪戯の可能性とかな・・・ その日の部活動?では、ハルヒから以前作成したホームページの改装命令を受けるはめになった。 この前の不思議探索でハルヒが撮影した街の画像などだったが、一部とても公開できないものも混じっていた。朝比奈さんのコスプレ写真群だったのだが、どこで撮影しやがりましたか? しかも、きわどい写真まであるぞ。どうみても街中なんだが? しばらく考えた結果、思い当たる時があった。あのときだ・・・不思議探索午後の部のとき。 ハルヒと古泉、朝比奈さんの3人で行動していたわけで、俺の目はそこにはない。 結論・・・この写真群はそのとき新しいコスプレ衣装を買ったハルヒが朝比奈さんに試着させ、その場で撮影したものと判断。 昨日朝比奈さんが部室に来なかった件については、このトラウマによるものと推察できる。 警告 この写真群をホームページで公開するのは朝比奈さんにストーカー被害にあってくださいというようなものであり、万難を排して止めるべし。 結果、俺はハルヒと口論になりながらも、なんとかこの写真をホームページに載せることを思いとどまらせることに成功した。 ネットで個人情報を流す危険性と朝比奈さんのプライバシーの保護を必死に訴えて、最後に、朝比奈さんが転校してしまう可能性をほのめかすことまですると、さすがのハルヒもあきらめた。 パソコン内の写真については、削除する手前までいって、魔が差した・・・隠しフォルダーを作成し、パスワードを設定。MIKURUホルダーとして保管してしまったのだ。後で、個人的に鑑賞用に使おうという思惑があったのはいうまでもない。 そんなこんなで、街の風景メインの写真をホームページに載せて、もちろん、個人情報関連に十分に注意してだが、その日の部活動は終了した。ハルヒが写真の一件で不機嫌になり、ホームページの更新が終わったのを確認するとさっさと帰ってしまったためである。 古泉もハルヒが帰った後、「おそらく、バイトが入るでしょう。」と不思議な言葉を残して帰っていった。 ハルヒと朝比奈さんのことが気にならなかったかというとうそになるが、俺的には、まずはずっと気になっていた手紙の件から片付けようと決めて、一年五組の教室へ向かった。 夕日に染まる教室内にいたのは、意外な人物だった。可能性⑤に対応して、誰がいてもよい心積もりでいたのだが、さすがに実際予想していない人物にあうと心の準備というものの意味の無さを実感する。 そこにいたのは、一年五組の委員長 朝倉 涼子だった。 「あら、意外と早かったのね。」 朝倉は笑顔を浮かべてそういった。 「ああ、部活がいつもより早く終わったからな。」 「ふーん、ところであなたはどこまで知っているのかしら?」 「なんのことだ?」 朝倉の様子がいつもと違うと感じた。普段学校でみせている笑顔なのだが、なにかが違っている。そう、アニメとかなら、身にまとっているオーラの色が違うという感じだろうか。 「とりあえず、急がないと邪魔が入るから・・・」 そういって、朝倉はナイフを取り出した。ちょっと古風な外国製っぽいナイフ・・・なんで、日本の高校生がそんなものを持っているんだ? あまりに非日常的な光景に言葉を失った。 「そうそう、死ぬ前に誰に殺されるのかくらいは知っておきたいでしょうね。わたしは、『ザ・ビースト』に雇われた『妖怪』 ミセリコルデ。本業は暗殺ね ♪ 今回の依頼は、あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方をみる!」 そういって、朝倉はナイフで切りかかってきた。 それは、一秒にも満たないタイミングだったのだろう。俺の喉に向かってきた朝倉のナイフをぎりぎりで避けた。頬が切られたらしく、痛みがはしった。 「わたしの一撃を避けられた人はすくないのになあ。最初から後ろに回っておくべきだったかな。」 そういう発言を笑顔でいうな! 「意味がわからないし、笑えない。いいから、そのナイフをどこかへ置いてくれ」 朝倉は、自分の手のナイフに目をやり、 「うん、それ無理。それにわたしは本当にあなたに死んで欲しいんだもの」 といいやがった。 入ってきたドアから逃げようと振り向くと、ドアがない。というか、窓も消えてやがる。 「ドアがないのに驚いた?ほら、殺人鬼って誰にも見つからない空間に獲物を引きずり込んで殺してるってイメージあるじゃない。あなたたちがそう思ってくれたから、わたしにはそういう力があるの。」 だから、笑顔でいうな! とりあえず、朝倉から距離をとる。 「そろそろ、おしまいにしないとね。じゃあ、死んで♪」 やばい、実にやばいぞ。マジでくたばる5秒前だ。同級生の殺人鬼に襲われる予想はさすがにしてなかった。 朝倉は再び俺に向かって突進してきた。避けられない!? 最後の瞬間を覚悟して目をつぶる。しかし、予想していた痛みはやってこなかった。 目を開けると、そこには手を血を滴らせ、朝倉のナイフをつかんで止めている長門有希の姿があった。 「結界を使用するのが常に有効とはかぎらない。観察できない空間の発生は異常を意味する。」 「邪魔する気?生まれて3年程度のあなたではわたしには勝てないわよ。」 朝倉は長門の突然の侵入に驚いた表情を浮かべたが、焦った様子はない。 こいつになら勝てるという確信をいだいているのかもしれない・・・笑顔でその奥の表情は読み取れないが。 「わたしが来た時点であなたの計画は破綻したはず。」 長門も手にけがをしているのに、普段とかわらない平坦な口調で・・・表情にも変化がない。命のやり取りに慣れているということなのだろうか。 「そうかしら?やってみなくてはわからないはずよ。」 朝倉は、長門に切りかかる。長門も、武器を取り出し・・・って、本!?長門が取り出したのは、図書館で借りたあの分厚い本だ。これが武器なのか? 長門が取り出した本を開こうとしたとき、朝倉は俺のときにはそうしたように長門の体を狙うのではなく、ナイフで的確にその本を弾き飛ばして手につかんでいた。 ほんの一瞬の出来事だ。 「あなたの本体がこれだってことは教えてもらっていたから。これを切り刻んだらどうなるのかしら?」 「・・・・・・」 長門は文字の精霊みたいなものだ。つまり、今はあっちが本体ってことか。 「じゃあね。」 朝倉は、手につかんでいた本をバラバラに切り裂いた。そして、勝利を確信した笑みを浮かべ長門へと目を向ける。 その表情は驚愕へと変わった。 「なんで・・・?本体を失った『妖怪』は存在できないはず。」 『あなたは勘違いをしている。』 それは長門の声だったが、長門がしゃべっているわけではなかった。長門がポケットから取り出した携帯電話・・・そこから声が聞こえていた。 『文字への人の想いがわたしをつくった。それは手紙でもおなじ。この機械の中の文字でも同じ。』 「ふーん、その携帯電話内の文章が今のあなたの本体ってわけね。それを壊せば・・・」 『あなたの負け。あなたはもう一歩も動くことができない。』 「えっ!?」 『わたしの能力は知っているはず、この空間は今はわたしの管理下にある。今この空間内では、わたしの言葉が現実となる。』 「負けかあ、残念。」 朝倉は笑顔に戻っていたが、それは敗北を確信したあきらめの表情だった。 『あなたの敗因は、その本をわたしの本体だと思ってしまったこと。 その本にあなたが展開した結界の情報を書き込んでおいた。あなたが自分の意思で本を破壊したとき、結界も崩壊した。』 「・・・」 『あなたは自分の本体をわたしたちに明かす。』 朝倉は無言で自分の手にしていたナイフを指し示した。長門の携帯のようにあのナイフが朝倉の本体『妖怪』ミセリコルデというわけか。 『あなたは自分の手でそのナイフを・・・』 「まてっ!」 長門の携帯からの声がおそらく朝倉にナイフを破壊するように命じる前に・・・俺は止めた。 「なんで?」 長門が不思議そうな表情でこちらをみつめてきた。 「よくわからんが、そのナイフを破壊させるということは、朝倉を殺すということだろう?」 「そうね。わたしは付喪神(つくもがみ)の一種だから、長門さんのような再生はないわね。」 だったらなおさらだ。 「長門、そのナイフを破壊するのはやめてくれ。」 俺の発言に二人とも怪訝な表情を浮かべる。 「あなたを殺そうとした」 「わたしはあなたを殺そうとしたのよ?」 それはわかっていたが、『妖怪』とはいえ同級生だったやつが殺されるのをみるのは耐えられそうになかった。 「長門、朝倉が俺たちに危害を加えないようにすることはできないか?」 長門はしばらく俺の方を見つめた後、あきらめたように携帯を取り出す。 「命令しなくてもいいわよ。教えるから、長門さんの力の入ったものを鞘にして、そこに本来の役割を果たすこと。と書いておけばいいの。 ミセリコルデは自殺を禁じていたキリスト教徒が致命傷を負ったとき、仲間が止めをさしてあげるための慈悲の短剣。本当なら快楽殺人の道具に使われるためにつくられたものじゃないもの。」 俺は自分の机からノートを取り出し、長門に渡した。 長門がそこから一枚を切り取りそれに何かを書き込み、折りたたんで鞘状にしてくれたので、俺は朝倉からナイフを取り上げ、その鞘にしまいこんだ。 その瞬間、そこにいた朝倉の姿が消えた。 「長門!朝倉は・・・」 『大丈夫よ。人間の形態を維持できなくなったから、ミセリコルデに戻っているだけよ。一週間くらいは戻れないかもね。長門さんあとはよろしく。ちょっと休むから。』 鞘に入ったミセリコルデから声が聞こえてきた。 「後は、この空間とあなたの傷を元通りにする。朝倉 涼子の件に関しても入院ということにしておく。」 便利な能力だな。 「そう?」 よく見ると、長門の手の傷だけが治っていない。 「長門、その手は直せないのか?」 「この体はかりそめのもの。文章が自己を束縛しないように、わたしの文字はわたしには効果が無い。」 「直す方法はないのか?」 長門はかすかに不思議そうな表情を浮かべていた。 「この傷はわたしの状態に影響を与えない。あなたがなぜそれを気にするのかわからない。」 「直す方法は?」 少し語気を強めて再び尋ねた。 「・・・ある。この紙にあなたが文字を記入すればいい。」 長門がノートの切れ端を渡してきたので、俺は、そこに「長門の手の傷は跡形も無く消える。」と書き込んだ。 それを長門の傷口に当てると、手の傷は確かに無くなった。 「俺を助けて一生ものの傷を負わせたら立場が無いからな。」 「そういうもの?」 「そういうものだ。あと・・・ありがとな、長門。」 「いい、ザ・ビーストの刺客を発見できなかったのは、こちらの不手際。ただ・・・」 長門の悲しげな視線は散らばっていた本の残骸に向けられていた。本を元通りにすることも無理らしい。 「本か?」 こくり・・・とうなずく。 そうか、文字の精霊とでもいうべき長門にとって、本は大切なものなのだろう。俺にとっての去年死んだ猫のような・・・ それを長門は犠牲にして俺を救ってくれたのか・・・ 「この子を犠牲にしないと朝倉涼子には勝てなかった・・・わたしの力不足。」 俺は、無言で散らばった本の残骸をみのがさないように回収し、長門に渡した。 「本当にありがとな、長門。あと、こいつにも感謝しないとな。」 俺に言えるのは、そのくらいだった。 帰宅の途につきながら、長門からザ・ビーストとやらについての情報を聞いた。 ザ・ビーストというのも妖怪ネットワークのひとつで、しかもネットワークの中では最も大きなもののひとつであるらしい。 ヨハネ黙示録に記載されている獣の記述が元になり、そのトップは7人であること、7人は、傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・強欲・暴食・色欲の7つの大罪とやらの化身。 ちなみに、『神』との戦いの時には、2人が殺されたが、まあ、世界中にこの大罪は満ちているわけで、今は7人で元気にしてる。 ・・・といいたいところだが、この7人のこびとならぬ7人の獣というのが、たちが悪く現在進行形で世界征服とやらをがんばっちゃってるわけで、当然、ハルヒの力にも興味を示しているらしい。 やれやれ・・・だ。 幸いなのは、この組織自体が『神』の力とは相容れない関係にあるので、直接しかけてくる可能性は低いだろうということくらいだ。 今回のように、流れの『妖怪』とでもいうのかね・・・そういう存在を使ってくる可能性が残っているが。 長門のマンションに立ち寄った結果、日も落ちた家の前に黒塗りの車が止まっているのをみたときは、すこしばかり不安になった。なにせ、クラスメイトに襲われたばかりだったしな。 まあ、待ち構えていたのは、タクシーとその脇で手を振るニヤケ顔のハンサム野郎だったわけだ。ちょうど、今日のことで苦情をいいたいと思っていた。 「ちょっと、大変だったみたいですね。」 俺が言う前に、相変わらずすべてわかってますよとばかりの笑顔でそういいやがった。こいつ、監視していたのか? 「監視といいますか・・・僕たちは常に学校には注意を払っていますからね。長門さんが危ない状態になったら、動く予定でしたよ。まあ、鶴屋家が動いてない時点で、未来情報で安全とは判断していましたが。」 ほう?俺の恐怖体験とか長門のけがや本を失ったショックは計算にいれてないってわけか。 バラバラになった本に悲しそうな視線を送る長門の様子を思い出して、少し怒りを感じた。 「もうしわけありません。手すきであれば、お手伝いしたかったのですが、部活のときにお話したように、バイトが入っちゃいましてね。」 バイトねえ。おそらく、じと目になっていただろう俺の表情にわれ関せずの笑顔で古泉のやつは答えてきた。 「これから、2度目に行くのですが、ご同行いただけますか?僕の相棒をお見せするよい機会ですので。」 正直、疲れきってはいたが、古泉のいう相棒とやらに興味もあったので、同行することにした。 古泉は黒塗りのタクシーに乗るようにいってきた。・・・運転席に人の姿がない。 「では、出発します。よろしくお願いします。」 古泉が運転するのかと思いきや、やつも俺の隣に乗り込んできた。ということは、誰が運転するんだ? 結論からいうと、そのタクシーは運転席に誰もいない状態で走り出した。・・・だいぶ慣れてきたが、このタクシーも妖怪とやらなわけか。 「だいじょうぶですよ。僕たちには誰も運転していないように見えますが、外からみると、きちんと運転手がみえるのです。」 「『妖怪』タクシーというわけか?」 「ええ、そういうことです。これは今日の最初のバイトの後、情報交換でわかったことなのですが。」 そう前置きして、高速道路を走っている運転手不在のタクシーの中で、古泉の説明がはじまった。こいつ、説明の好きなやつだな。 「新たな不思議が判明したのです。あなたは普通の人間のはずなのですが・・・」 まあ、その通りだな。ここ数日でいろいろ経験させられて、自信が無くなってきたが。 「なぜか、僕たちはあなたに『妖怪』の存在を信じてもらいたくなるのです。長門さんや朝比奈さんとのアプローチの際にもそんな感じはありませんでしたか?」 ・・・2人のアプローチのときねえ・・・ 長門は、不思議な本を手渡してきたな。俺の言葉で書かれた書かれていない本。 朝比奈さんは・・・人形状態の鶴屋さんを伴って、目の前で変形?を見せてくれた。 ふむ、たしかに『妖怪』らしい行動をわざわざ取ってくれたという見方もあるか。2人ともそんな必要はないといえば、その通りだからな。 「そのことに気づいた僕たちは、涼宮さんには正体を明かせない・・・『神』の呪いの影響でですが、そういう状況下にあるので、あなたにはむしろ積極的に不思議体験をしてもらい、『妖怪』の存在を信じてもらうという決定をしました。 タクシーさんにこのような行動をしてもらっているのも、その一端ですね。」 それは喜ぶべきなのか?かなり迷惑な気がするぞ。 「むしろ安心していただきたいですね。あなたに正体を知られても構わないというのは、あなたの身を守る上ではむしろ好都合なのです。」 そういうものかね・・・ 「ああ、もうそろそろ目的地に着きますよ。」 運転手不在のタクシーは俺たちを降ろした後、走り去っていった。古泉の話では、バイトにはちょっと不向きなので・・・とのことであった。 古泉の案内でたどり着いたのは、港のそばのどこかの会社の屋上だった。鍵はどうしたのか・・・という質問は無意味だろうな。 エレベーターに乗って屋上から見た世界は、建物に入る前とは一変していた。世界はすべて灰色に染まり、人の姿が消えている。 「この空間は涼宮さんの世界のイメージが実体化したものと僕たちは考えています。」 丁寧な解説ありがとよ。しかし、ハルヒの世界というのはこんなに寂しいものなのか・・・ 「この空間の発生は『神』の力が無意識に発動したものです。僕たちが隠里(かくれざと)と呼ぶものの一種で、特別に閉鎖空間と呼んでいます。 涼宮さんが僕たちの世界に不満・不安・憂鬱などを感じるとこの空間が発生します。そして・・・あれが生まれます。」 古泉が指差した先には、巨大なひとがたが姿を現していた。灰色の空間に現れた青い光を放つ巨人は30階立てのビルほどの大きさがあった。 「はじまります。」 そのひとがたは近くのビルを破壊しはじめた。 「あの体で重力の影響を普通に受けていれば、立つこともできないはずです。つまり、あれも『妖怪』の一種ですが、一人の想いではこれほどの大きさの妖怪をつくれないはずなのです。 僕たちはあれを神の力がかたちになったもの『神人』(しんじん)と呼んでいます。もし、『神』に計算違いがあったとすれば、自分がかけた呪いのせいで涼宮さんがあれを現実世界で暴れさせることができないということでしょうね。 まったく幸いなことです。」 たしかに、あんなのが現実世界に現れたら、パニックになるな。 「あれを止めることはしないのか?」 俺が神人とやらを指差し、古泉の方をみると、おおきな白い何かが目に入った。 「紹介します。僕の相棒の『白いカラス』です。」 カラス?・・・なるほど、それは人間ほどの大きさがあるが、たしかにカラスのかたちをしていた。 「この『白いカラス』は、超能力に関する人々の願望が『妖怪』になったものです。超能力は実在してほしいというね。 超能力と呼ばれているものにはたしかにインチキがある。しかし、すべてのカラスを調べなければ、白いカラスはいないとはいえないはずだという願望です。」 古泉はそういうと、『白いカラス』にまたがる。実にシュールな光景だが、もう慣れたさ。 「さて、僕も参加しないと・・・では、ちょっと行ってきます。」 そういって、青い巨人の方に飛び去っていった。 巨人の周囲には、さっきまではいなかったなにかが飛び回っていた。手が鎌状の細長いネズミとか、火の玉とか、円盤とか、プロペラ飛行機までいやがる・・・SF映画にしては適当すぎるな。安物SFでももう少しましだ。 「古泉は仕事がありますので、わたしが説明は引き継ぎます。」 いつの間にいたのか、初老の紳士がそこに立っていた。どなたでしょう? 「自己紹介が遅れましたな。わたくしは新川と申します。今回のわたくしの任務は、情報の転送とあなたさまの護衛です。今後ともよろしくお願いいたします。」 非の打ち所のない敬礼であった。なんで、敬礼なんですか。 「失礼、驚かれましたか?『幻の日本兵』がわたくしの正体なもので、つい癖がでてしまうことがあります。 あと、さきほど古泉になさっていた質問ですが、わたくしどもはあの『神人』を暴れさせておくことはいたしません。 この世界の破壊が涼宮様の心にどのような影響を与えるのか判りかねますし、漠然とではありますが、放置しておくのは危険と感じておりますもので。」 この人もあそこで飛び回っている何かと同じ『妖怪』というわけか。そして、あそこで飛び回っている妖怪たちは『神人』を倒すために集まったと。 『スネーク、スネーク、こちら、クロウ。位置情報を送りますので、転送をお願いします。』 新川さんの携帯から古泉の声が聞こえてきた。 「来ましたな。しかし、便利な時代になったものですな。ガ島のときにこれがあれば。。。」 しみじみと手に持った携帯を眺めて、新川さんはどこからか取り出した無線装置のようなものになにかを打ち込んでいた。 「これをつけてください。耳を痛めてはいけませんから。」 新川さんが手渡してきたのは、ヘッドフォンのようなもの。言われるままにそれをつけた。 「さて、来ますよ。」 その合図とほぼ同時にヘッドフォンを通してすら聞こえる轟音が響く。 さっきまで風すら吹いてないことに気づいたのは、その轟音を圧力として体に感じたからだった。音が空気の振動であるということを実感させられた。 そして、青い巨人の周囲で覆い尽くすような爆発が起こる。すでに飛び回っていたものたちの姿は巨人の周囲から消えていた。 なんなんだ、いったい。 「あれです。」 新川さんが指差したのは海の方角。 そこには昔、本でみた軍艦の姿が複数あった。たしか、あれは戦艦・・・ 「あれらも妖怪です。軍艦の『妖怪』たちです。『大和』、『土佐』、『天城』・・・。」 戦艦 大和くらいは聞いたことがあったが、残りはよく知らない名前だ。 「便利な時代になったものですな。戦艦の主砲というのは、映画や小説と違ってそうそう当たるものではありませんし、こんな至近距離では使えません。 しかし、誰もそんなことは信じていない。おかげで、初弾必中になります。」 もうもうたる土煙が消えた後には、半分崩れかかった巨人の姿があった。 「後は『鎌風』たちで大丈夫です。古泉はすぐ戻ってきますのでわたくしはこれで失礼いたします。」 新川さんはまた見事なというしかない敬礼をして去っていった。 「後は大丈夫なのか?」 『白いカラス』に乗ってもどってきた古泉に俺はそういった。 まだ、巨人は動こうとしている様子だった。しかし、その体はかなり崩れており、昔テレビでみた火の七日間を引き起こしたという巨人の末裔のような無残な姿となっていた。 早すぎたんだ腐ってやがる・・・というわけじゃないだろうけどな。 周囲で攻撃を加えているらしい『妖怪』たちによって、さらに巨人の姿は崩れ、その輪郭もぼけてきていた。 「大丈夫でしょう。幸い今回は海のそばでしたので、筒井さんたちの協力が得られましたから、すぐ片付きました・・・おっと、今の名前のことは忘れてください。」 さすがに、緊張が解けて油断したんだろうな。おそらく、筒井さんというのは、今は姿がみえない『軍艦妖怪』の名前なのだろう。 間もなく、その青い巨人の姿は完全に崩れ、そして消えていった。残ったのは灰色の空間と崩れたビルの山、そして飛びまわる『妖怪』たち・・・その『妖怪』たちも姿を消していく。 「最後にもうひとつおもしろいものが観れますよ。」 空を指差す古泉。 俺はこれ以上なにがあるんだと思いながらも、灰色一色の空を見上げて、それをみた。 古泉の指が指し示す青い巨人がいた上空辺りに、亀裂が入っていた。最初は雲の切れ間から差し込む太陽の光のような状態だった。それが、くもの巣のように広がり、 「あの『神人』が消えると、閉鎖空間も消滅します。ちょっとしたスペクタルですよ。」 古泉の説明が終わるかどうかのうちに、光のくもの巣は空全域を覆い、砕け散った。 つんざくような騒音が俺の耳にダメージを与えなかったのは、さっきから耳につけていたヘッドフォンのおかげだろう。それでも遠くから聞こえる船の汽笛の音、潮の香り、ビルの間を吹き抜ける風が世界が元に戻ったことを俺に教えていた。 遠くから聞こえてくる汽笛の音は、去り行く平凡な日常の別れの合図のようだった。
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都心から1時間。 開発の進んだ新市街と、自然豊かな旧市街 二つの顔を持つ人口数十万都市、小珀市 中央を流れる琥珀川を横切るように新市街と旧市街を繋ぐ 『こはくがわ商店街』もまた、表と裏の顔を持つのだった。 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、お問い合わせフォームからご連絡ください。
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熊野神社 片倉酒店 やたらとガタイのいい店主が営む酒店。 明石翔太が働いている。 ㈱Only Color本社
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