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謙虚な使い魔~アルビオンの幻影~ ルイズ達を乗せた黒き軍艦『イーグル』号は、浮遊大陸アルビオンの空岸線に沿って、雲に隠れるようにして航海した。三時間ばかり進むと、大陸。 岬の突端には、目的のニューキャッスルの城がそびえている。 、『イル』号は真っ直ぐニューカッスルに向かわず、大にもぐりこむような針路をとった。 グル』号が大陸の影の一部となったとき、遠く離れた岬の突端の上から、ニューカッスルへと降下してくる巨大な軍艦をウェールズが指差した。 「叛徒どもの、艦だ」 全長は『イーグル』号の優に二倍はある。舷側からは無数の大砲が突き出て、その艦上には火竜に跨る竜騎兵が舞っている。 巨艦が空したかと思うと、スルの城をめがけて並んだ砲門を一斉に開いた。 どこどこどっこーん、と、斉射の振動がルイズ達まで伝わってくる。 砲弾の雨が城に着弾し、城壁の一部を砕き、小さな国艦隊旗艦、『ロイヤル・ソヴリン』号だ。叛徒どもが手中に収めてからは、『レキシントン』と名前を変えている。あの艦の反乱から、すべてが始まった因縁の艦手にできるわけもないので、こうして雲中を通り、大陸の下に設けられた、我々しか知らない秘密の港を使ってニューカッスルに向かっているのだ」 『イーグル』号が大陸の下に潜り込むといので、辺りは真っ暗になった。 「大陸に座礁する危険があるからと、空を知らぬ無粋な叛徒どもは大陸の下には絶対近寄ろうとしないが、なに、地形図と測量だけで航海する事は王立空軍の航海士にとっては造作もないことなのだが」 ウェールズの命令の下、暗闇の中でも『イーグル』号の水兵達はきびきびと動き、正確な位置で停船し、頭上にぽっかりと開いている穴に向かって、ゆるゆると上昇する。 『イーグル』号の航海士が乗り込んだ『マリー・ガラント』号が後に続く。 ワルドが頷いた。 「まるで空賊ですな。殿下」 「まさに空賊なのだよ。子爵」 艦はニューカッスル地下にある鍾乳洞に設けられた秘密の港に到着した。 鍾乳洞の岸壁の上に待ち構えていた大勢の港の者達が、『イーグル号』に向けて一斉にもやいの縄を投げた。 『イーグル』号の水兵たちは、要領よくそれを受け取ると艦にゆわいつけ、艦を岸壁へと引き寄せ入港をすませる。 ウェールズはルイズ達を促し、艦に取り付けられたタラップを降りた。 背の高い、年老いた老メイジが近寄ってきて、ウェールズの労をね、大した戦果ですな。殿下」 「喜べ、パリー。硫黄だ、硫黄!」 ウェールズがそう叫ぶと、集まった兵隊がうおぉーっと歓声をあげた。 「おお!硫黄ですと!火の秘薬ではござらぬか!これで我々の名誉も、守られれるというものですな!先の陛下よりお仕えして六十年・・・・・・こんな嬉しい日はありませぬぞ、殿下反乱がおこってからは、苦渋を舐めっぱなしでありましたが、なに、これだけの硫黄があれば・・・・・・」 にっこりとウェールズは笑った。 「王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ、散ることができるだろう」 「栄光のある散り様を飾れますな!この老骨、武者震いがいたしますぞ!して、ご報告なのですが、叛徒どもは明日の正午に、攻城を開始するとの旨、伝えて参りました。まったく、殿下が間に合ってよかったですわい」 「してみると間一髪とはまさにこの事!戦に間に合わぬは、これ武人の恥だからな」 ウェールズとパリーと呼ばれた老メイジは二人して心底楽しそうに笑いあっている。 ルイズは二人の会話に、顔色を変えた。なぜ死ぬという事を、ここまで楽しそうに語れるのか? 「して、その方達は?」 老メイジが、ルイズ達を見て、ウェールズに尋ねる。 「トリステインからの大使殿だ。重要な用件で参られたのだ」 「これはこれは大使殿。殿下の侍従を仰せつかっておりまする。パリーでございます。このような時ですが、遠路はるばる、ようこそこのアルビオン王国へいらっしゃった。大したもてなしは出来ませぬが、今夜はささやかな祝宴が催されます。是非とも出席くださいませ」 ルイズ達は、ウェールズに付き従い、城内の彼の居室へと向かった。 ウェールズの部屋は、粗末なベッドに、机と椅子が一組の鍵穴にそれを差し込み、箱を開けた。 蓋の内側には、アンリエッタの肖像が描かれている。 小箱の中には一通の羊皮紙を丸めた手紙が入っていた。 それが王女からのものであるらしい。 ウェールズはそれを取り出し、愛しそうに口づけた後、開いてゆっくりと読み返した。 そして、ウェールズは再びその手紙を丁寧に丸めると、ルイズに手渡した。 「これが姫から頂いた手紙だ。このとおり、確かに返却したぞ」 ルイズは深々と頭を下げると、その手紙を受け取った。 そして、その手紙をブロントに手渡す。 「ブロント、あんたのカバンの中が一番安全だから代わりにもっていて」 ブロントは手渡された手紙を厳重にカバンのだいじなものの所へと仕舞った。 ルイズは少し戸惑ったが、そのうちに決心したように口を開いた。 「あの、殿下・・・・・・。先程、栄光ある散り様とおっしゃっていましたが、王軍に勝ち目はないのですか?」 ルイズは躊躇うように問うたが、ウェールズは至極あっさりと答える。 「ないよ。我が軍は三百。敵軍は五万。万に一つの可能性もありえない。我々にできることは、はてさて、勇敢な死に様を連中に見せる事だけだ」 「殿下の、討ち死になさる様も、その中には含まれるのですか?」 「当然だ。王族として、私は真っ先に死ぬつもりだよ」 ルイズは深々と頭を垂れて、ウェールズに一礼した。言いたい事があるのだ。 「殿下・・・、失礼をお許しください。恐れながら申しあげたい事がございます」 「なんなりと、申してみよ」 「この任務をわたくしに仰せ付けられた際の姫さまのご様子、尋常ではございませんでした。そう、まるで、恋人を案じるような・・・。もしや、姫さまと、ウェールズ皇太子殿下は・・・」 ウェールズは微笑んだ。 「きみは、従妹のアンリエッタと、この私が恋仲であったと言。アンリエッタが重婚の罪を犯すことになる。そうだとわかればゲルマニアの皇室も婚約も取り消す事だろう。そして、同盟相成らず、トリステインは一国でここまで膨れ上がった恐るべき貴族派に立ち向かわなければなるまい」 「とにかく、姫さまは、殿下と恋仲であらせられたのですね?」 「・・・昔の話だ」 ルイズは熱っぽい口調で、ウェールズに言った。 「殿下、亡命なされませ!お願いでございます!わたし達とともにトリステインにいらしてくださいませ!」 ウェールズは首を振った。 「それはできんよ」 「殿下!これはわたくしの願いではございませぬ!姫さまの願いです!わたくしは幼き頃、恐れ多くも姫さまのお遊び相手を務めさせていただきました!わたくしは姫さまの気性はよく存じております!あの姫さまがご自分の愛した人を見捨てるはずがありません。姫さまは、たぶん手紙の末尾に亡命をお勧めになっているはずですわ!」 「・・・その様な事は一行も書かれていない」 「でも姫さまなら・・・!」 「仮に、もしそうだとして、私がトリステインに亡命をすれば、それこそ貴族派どもにトリステインを攻め入る格好の口実ができてしまうだろう。アンリエッタも王女としてそれは望まぬはずだ。私達は王族だ。王家に生まれたものは国のために生き、その運命を国と共にする義務があるのも彼女は理解しているはずだ。自分の都合を、国の大事に優先させるわけがない」 ウェールズはルイズの肩を叩いた。 「殿下・・・」 「きみは、正直な女の子だな。ラ・ヴァリエール嬢。正直で、真っ直ぐで、いい目をしている。正直すぎて、大使は務まらないが・・・」 ウェールズはルイズに微笑んだ。魅力的な笑みだ。 「それ故にアンリエッタは、彼女の事を良く理解してくれているきみに、信頼を寄せているのだろう。今後も彼女の良き友人としイズは寂しそうに俯いた。 「さて、そろそろ祝宴の時間だ。きみたちは、我が王国が迎える最後の客だ。是非とも出席して欲しい」 ルイズ達は部屋の外にでた。ワルドは居残って、ウェールズに一礼した。 「まだ、何か御用がおありかな?子爵殿」 「恐れながら、殿下にお願いしたい議がございます」 「なんなりとうかがおう」 ワルドはウェールズに、自分のもめでたい話ではないか。喜んでそのお役目を引き受けよう」 祝宴は城のホールで行われた。簡易な玉座が置かれ、そこに年老いたアルビオンの王、ジェームズ一世が腰掛け、祝宴に集まった臣下達を目を細めて見守っていた。 明日には滅びてしまうというのに、とても豪勢な祝宴が催されていた。 つい先日まで攻城を受けていたと思えぬほどに、誰もが奇麗に着飾り、 テーブルの上にはこの日のために、とって置かれた、様々なご馳走が並んでいる。 ブロント達は会場の隅に立って、華やかな祝宴を見つめていた。 死を目前にして、明るく振舞う王党派の者達を見ていて、ルイズはその事が理解できず、憂鬱になっていた。 そこへ水兵姿をした痩せぎすの男と太った男がブロント達の元へとやってきた。 「よう!また会ったな、ブロント!」 痩せぎすの男が太った男の頭をパシンとはたいた。 「『よう!』じゃないだろ、ウェッジ。今は空賊ではないのだから、口の聞き方考えろ。トリステインの大使殿達を前にしてアルビオンの恥になるつもりか?大使殿、この度は我々が失礼を・・・」 「うるせえ、ビッグス。今夜の祝宴は平民の俺たち水兵も招いての無礼講だろ?堅苦しい事は無しにしようぜ」 ブロントが頷く。 「俺はそのまま話し易い方でもいいんだが?」 ウェッジが嬉しそうにブロントの背中を叩く。 「ほらな?ビッグス、てめえも慣れねえくせに無理に畏まるなよ、ガラじゃねえぜ。貴族には貴んだよ」 「まあ、それもそうだな・・・お前は作る飯はまずいくせに、言う事だけはたまに良い事言うな」 「うるせえ、俺が作る飯は関係ねえだろ!」 ビッグスはワインを運んでいた給仕を呼び寄せると、 盆からワインの杯を取り、ルイズ達に配る。 「大使殿もそんな辛気臭い顔しないで、今夜楽しんでいってくれよ。向こうのテーブルにはなかなかお目にかかれない料理がたくさんあるからさ。あの蜂蜜を塗った鳥とか結構うまかったぜ」 ルイズは何とか愛想笑いをして見せるが、ワインの杯に口もつけず、そのまま顔を俯かせる。 「でも、今日食った料理で一番うまかったのは、あの『石のスープ』だな。貴族の凝った料理もいいが、俺はやっぱりフネの皆で作ったあの味が忘れられねえ、またいつか食いてえな。おおっと、ようやく我らの『お頭』が来たようだ」 ホールにウェールズが現れると、貴婦人の間から、歓声がとんだ。 凛々しい若き皇太子はどこでも人気者のようだった。 彼は玉座に近づくと、父王に何か耳打ちをした。 ジェームズ一世は立ち上がろうとしたが、かなりの年であるらしく、よろけて倒れそうになった。 ウェールズがすかさず父王に寄り添うように立ち、体を支えた。 陛下がこほんと咳払いをすると、ホールの臣下達が一斉に直立した。 「諸君。忠勇なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、このニューカッスルに立てこもった我らスタ』の総攻撃が行われる。この無能な王に、諸君らはよく従い、よく戦ってくれた。しかしながら、明日の戦いもう、戦いではない。おそらく一方的な虐殺となるであろう。朕は忠勇な諸君らが、傷つたがって、諸君らに暇を与える。明日の朝、『イーグル』号が女子供を乗せてここから離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるが良い」 しかし、誰も返事をしない。一人の臣下が、大声で王に告げた。 「陛下!今宵、うまい酒の所為で、いささか耳が遠くなっております!『全軍前へ!全軍前へ!』、それ以外の命令が、耳に届きませぬ!」 集まった全員がその勇ましい言葉に頷いた。 「陛下!異国の言葉で命令されても、さっぱりなんのことやら!」 「耄碌するには早いですぞ!陛下!」 老王は、目頭をぬぐい、ばかものどもめ・・・、と短く呟くと、杖を掲げた。 「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今宵はよき日である!よく飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」 王の言葉に、臣下達が一斉に祝杯を掲げ、アルビオン万歳!と叫ぶ。 会場の端でルイズ達と共にいたビッグスとウェッジも杯を掲げた後、 一気にワインをあおる。 「なあ、ウェッジ。お前はどうするんだ?陛下もああ言っているんだ、『イーグル』号に乗っていくのか?」 「別に料理番の俺がいなくたって、あのフネは動くだろ。ここで俺達アルビオン空軍兵の意地をみせねえでいつみせるんだ?俺はここアルビオンに残るぜ。ここで生まれ育ったんだ、死ぬ時もここだって決めてあるんだ」 「お前とはいつも言い争ってばかりいるが、結局考えている事は一緒だな」 「何だ、てめえもかよ。ま、空っぽの船倉で飛ぶフネに貨物番はいらねえのは確かだがな」 「なら俺とお前で、貴族派の連中に俺達アルビオン空軍兵の根性をみせつけてやろうじゃねえか」 貴族ですらない、ただの平民の兵士であるビッグスとウェッジの誇り高き覚悟を見せ付けられたルイズは、 これ以上この場の雰囲気に耐え切れず、外に出てしまった。 ワルドが棒立ちのまま、動かないのを見て、ブロあいうえおのお前は追いかけないのかよ?この辺の心配りがもてる秘訣」 ブロントに促され、ようやくワルドはルイズの後を追った。 ビッグスとウェッジは最後にブロントに向かってアルビオン万歳と叫び、去って行った。 一人祝宴に残ったブロントを見て、座の真ん中で歓談していたウェールズが近寄ってきた。 「やあ、使い魔のブロントだね。フネの中の時から思っていたが、きみは随分と色々な事を知っているようだね。まるで世界を見て回った事があるみたいに」 「それほどでもない」 ウェールズは屈託なく笑う。 「謙虚に隠さずとも、きみの凄さは分かるよ。たった一つの料理を通じて『イーグル』号のクルー達と打ち解けたんだ、それは並大抵の事じゃない証拠さ。きみのように皆の心をまとめる事ができたのであれば、この反乱も起きずに済んだのかもしれないな」 「俺は鍋に石をいれただけなんだが?」 「きっかけなどとは、そういう簡単な事から始まるものだ。だが、そんな簡単な事が中々思いつかないものなのかもしれんな」 二人して、ぼんやりと祝宴を眺めた。明日に死を控えた人たちを見て、ブロントはウェールズに語りらは馬鹿すぐる。死んでしまっては何も意味がないな」 「守るべきものがあるから、その為に死ぬ事は無意味ではなか た後、誰がその守るべきものを守るんだ?残されたものを考えてない浅はかさは愚かしい」 ブロントがそう言うと、ウェールズは笑った。 「我らは確かに馬鹿なのかもしれんな。守るべきものが大きすぎて、基本い。だが厄介な事に我らの愚かさは、死なないと治らない重い病みたいなものだ」 「お前それで良いのか?」 「このウェールズ・テューダは王家に生まれたのだ。私一人の我侭のために、我ら王家に従う皆を見捨てるわけには行かないよ。だが、もし私がただ一人の人間であったのであれば、きみの様に一人の女性を守り、生き抜くのも悪くないと思っている」 「おいィ?そんな事俺に言っていいのか?」 「ふふ、我ながら臣下の者に聞かれたくない事を言っているな。きみと話していると不思議と心の内が曝け出てしまうようだ」 ウェールズは深い溜め息をついた。 「ここほんの数日の間で、私が長年信頼し、友人だと思っていた者達は軒並み貴族派に旗を変えていった。だが、今日会ったばかりのきみと話しているとまるで長年の知己と語り合っている感覚すら覚える。何とも皮肉だな。もっと昔にきみと出会っていれば、良き友になれたのかもしれないと思うと、悔やまれる」 「フレンドになるのは今からでも遅くにいのは確定的に明らか」 ブロントは右手をすっとウェールズに差し出す。 「『友』か。そうだな、友情の深さに時間は関係ないな。こうして最後に良き友人に出会えた事を、始祖ブリミルに感謝せねばいけないな」 ウェールズは差し出されたブロントの手を握ると、固く握手を交わした。 「さあ、友よ!夜は短い、今宵は語り明かそうでは無いか!友の武勇伝を是非聞かせてくれ!」 そうして、二人は宴の間、とりとめも無い事を語り合い、友好を深めていった。 その様子を遠く玉座から見守っていた老王は傍らにいたウェールズの侍従のパリー仕えしておりますが、陛下とはもう六十年以上の付き合いになりますでしょうか」 ジェームズ一世はパリーに手招きをする。 「・・・朕からそなたに最後に一つ頼み事がある」 パリーはジェームズ一世の耳元まで近寄る。 「陛下、何でございましょうか?」 「あの『イーグル』号に乗る者で、アルビオン王家をそなた程長年知る者はおらぬ。そして朕はここに集まる勇士達の事が語られる事もなく、忘れ去られてしまう事には耐え切れぬ」 「陛下・・・」 「パリーよ、ここに残りたいのだろうが、頼む、『イーグル』号に乗り、我らアルビオンの風が潰えぬよう、周りに伝え聞かせ、見届けてはくれまいか」 「陛下、これは王からの勅命ですかな?それならば、先程陛下から直々に暇を与えられたのですから、このける義務はありませんぞ?」 ジェームズ一世はパリーの手を握る。 「いや、六十数年共にしてきた友人としての頼みだ」 「・・・陛下は実に残酷な方ですな。それでは断れぬではないですか」 「すまぬな、パリー。我がアルビオン王家はそなたに世話になってばかりだ」 パリーは微笑む。 「では陛下、事が終わり、この老骨の体が朽ち果てた時は、長年溜まった恨み言を含めて後から陛下に報告に参りますぞ」 「それでよい。風の行方の良き報告、待って居るぞ」 祝宴が終わり、夜も更け、明日のために部屋に休みに行ったウェールズを見送った後、ブロントも割り当てられた部屋に向かうと、後ろから肩を叩かれた。 振り向くとワルドが立って、ブロントをじっと見つめている。 「きみに言って置かねばならぬ事がある」 ワルドは冷たい声で言った。 「お前そこにいたのか・・・」 「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」 「おいィ?何いきなり予定しているわけ?」 「是非とも、僕達の婚姻の媒酌を、あの勇敢な皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も、快く引き受けてくれた。決戦の前に、僕達は式を挙げる。きみにも是非出席して貰いたいのだが」 ブロントは少し考え、そして黙って頷く。 「三人であれば私のグリフォンでも、滑空するだけなら、問題なく帰れるだろう」 伝える事だけを伝えるとワルドは自分の部屋に戻っていった。 ブロントは静かな廊下にガチャガチャと鎧を響かせて歩いていた。 廊下の途中に、窓が開いていて、月が見えた。月を見て、一人涙ぐんでいる少女がいた。 月明かりに照らされる桃色がかった髪、そして白い頬には涙が伝っていた。 ブロントが鳴らす鎧の音に気が付いたのか、ルイズは目頭をぬぐって、振り向いた。 だがブロントの顔を見ると、ルイズの顔は再びふにゃっと崩れた。 「・・・何いきなり泣いているわけ」 ブロントはその大きな手ですっぽりとルイズの小さな頭に乗せると、優しく撫でて慰める。 「どうして、どうして、ここの人たちは皆死を選ぶの?わけわかんない。貴族も、貴族で無い人も、誰しか考えてない、お馬鹿さんでいっぱい。あの王子さまもそうよ。残される人たちのことなんて、どうでもいいんだわ」 ブロントはそうではない、と言い返そたが言い返す言葉が出なかった。 ただ黙って泣きじゃくるルイズの頭を撫でた。 ルイズコートに顔をふふふふの体を抱きしめる。 「ブロント、わたしと約束して。何があっても自分から死ぬような事を選ばないって。あんたはわたしの使い魔なんだから、どんな事があっても生きてわたしを守ってもらうわよ」 「圧倒的な生命維持能力をント」 第15話 「スヴェルの空に向かう船」 / 各話一覧 / 第17話 「貴き血流れて」
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前ページ次ページゼロの夢幻竜 シュヴルーズが意識を取り戻す事無く医務室に担ぎ込まれる異様な形で、ルイズ達新二学年一発目の授業は終わった。 その後めちゃくちゃになった教室の後片付けはその場にいた生徒全員一致でルイズ一人がする事となった。 しかしその直後、キュルケが自ら後片付けメンバーの一人に加わると言い出した時、ルイズは内心で『あーあ……』と思ってしまった。 その後シュヴルーズ、そして他の生徒や全員教室から出たのを確認したキュルケは残されたルイズとその使い魔、ラティアスに対し一つの質問を投げかけた。 「舞台は整ったわね……さあ、説明してもらうわよ。私の心に一度ならず二度も三度も話しかけてきた可愛い声の持ち主はだあれ?」 そう言った後彼女は一旦あさっての方向を向き、それからラティアスの方を向き直し意地悪な微笑みを浮かべてこう言い直す。 「訂正。人の心をとーっても不愉快にした、不躾で可愛い声のあなたはなあに?」 本塔の最上階にある学院長室に急いで向かう一人の教師の姿が一つあった。 その教師の名はジャン・コルベール。 春の使い魔召喚の儀においてルイズ達を監督していた教師である。 専門分野は火系統。学院で奉職し始めてから今年で丁度20年は経つ中堅の教師だった。 今彼の心には自分が発見したある事実についての興奮が渦巻いていた。 ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の左手に彫られたルーンはやはり只のルーンではなかった。 スケッチした物を手懸かりに学院の図書館、それも教師のみが閲覧を許される区域でその正体を調べていると丁度その答えに当たったのである。 それは正に驚くべき真実という物に他ならなかった。 一刻も早く学院長であるオールド・オスマン氏にこの事を伝えなければ! その衝動に突き動かされる彼の足は只ひたすらに速く動かされる。 「失礼します!オールド・オスマン!!」 学院長室に飛び込んだ彼はその場で一気に硬直してしまう。 というのも、その部屋の中ではオールド・オスマンの秘書、ミス・ロングビルが当の彼を蹴り続けていたからである。 大方使い魔を使ったいつもの下着覗きがばれたのだろう。 だが突然の闖入者に気づいた二人は定位置につき、何事も無かったかのよう落ち着き払った姿勢を見せる。 そしてオスマン氏は先程の事は何でも無かったという様に威厳に満ちた声で対応する。 「一体何事じゃ?そんなに慌てて。」 「た、た、た、大変です!」 「大変な事等何もありはせんわ。全ては小事じゃぞ。」 「ここ、これを見てください!小事どころではありません!」 コルベールは図書館から持ち出してきた書物のある一ページを拡げる。 「『始祖ブリミルの使い魔達』?やれやれ、こういった古臭い文献を読み漁っている暇があるのなら弛んだ貴族の親達からもっと学費を徴収する上手い手を考える事じゃ、ミスタ……」 「コルベールです!お忘れですか!」 「そうそう。そんな名前だったな。君はどうも早口でいかん。で、コルベール君。この書物がどうかしたのかね?」 「これも同時に見ていただければ私の慌て様も少しは分かっていただけるかと……とにかくこの文献と共にご覧になって下さい!」 コルベールはラティアスの左手に現れたルーンのスケッチを手渡す。 それを見た瞬間、オスマン氏の表情は急に真剣なものとなった。 「ミス・ロングビル。少しの間だけ席を外してくれんかね?」 そう言われるとミス・ロングビルは立ち上がり、一礼をした後で退室していった。 オスマン氏はその直ぐ後で一応『ディティクト・マジック』を使う。 そして自分とコルベール以外、学院長室の近辺には誰もいない事を確認するとゆっくりと口を開いた。 「確かにこれなら君がこれ程までに急ぐ理由も分かるのう。それでは、詳しい説明をして頂こうかの、ミスタ・コルベール?」 「はー。速く飛べるだけじゃないとは思っていたけど、まさかそんな力と素性があるなんてねえ。」 感心するキュルケを余所にルイズは未だぶすっとした表情のまま、メイド達に交じってデザート運びをやっているラティアスを遠くから見つめる。 知り合いになったシエスタに、折角お友達になったんだから何か手伝える事がありますかと訊いたところそうなったのだ。 ただ、例の意思疎通の問題がある故に、側にはシエスタが殆ど付きっきりという形になってしまっているが。 さて、めちゃくちゃになった教室の片付けを始める際、キュルケに問い詰められたルイズはラティアスの不始末と気づいていながらも最初の内はしらばくれていた。 が、どんどんと言い訳が出来なくなり、最終的にはラティアスの正直な申告もあって彼女にある程度の事実を話した。 キュルケは家同士の仇敵という事も忘れて、興味深そうにルイズに話しかける。 「そう考えたらラティアスって凄過ぎない?正直あまりよくは知らないけど韻竜と同じ位かそれ以上の能力の持ち主じゃなくて?ちょっとあんたには勿体無い位だわ。」 韻竜……その単語にルイズはほんの少しばかり興味を持つ。 学科試験はいつも良い成績を修められるようにしっかり勉強しているからこそ反応できたものだ。 因みに韻竜とは伝説の古代竜で強力な幻獣の一種とされている生き物だ。 知能が高く、言語感覚に優れ、先住魔法を操るという技能を持っていたとされる。 確かにラティアスは、あっという間にこちらの世界における最低限の知識を呑み込んでいった。 また口と声帯を使った音声機能を使って会話する事は出来ないが、それよりある意味上等な意思疎通術を使って心を許した者と心を継げる事も出来る。 韻竜以上の物を持っている事もまた事実だ。 本気を出せば現実に存在する風竜の何倍もの速度で飛ぶ事が出来るのは言わずもがな、今もしている人間形態への変身がそれに当たる。 ある程度の技量を持った水系統を操るメイジが、自分の姿を偽るという事はよく聞く話である。 だが大きさの違う別種の生き物に姿を変えるという芸当は聞いた事が無い。 スクウェアクラスのメイジでも匙を投げかねない事である。 おまけに普通は変身する相手そのままの姿にしか変身しか出来ない。 が、ラティアスの変身は幾つかの情報を処理し、自身で組み替え直す事によって全く新しい姿を仮の姿として相手に投影出来る点が一般の変身とは一線を画していた。 おまけに服まで構成できるそうなのでいちいち着替えるという事も無いのだとか。 魔法の如何についてはまだまだ未知数の域を出ないが、これ程の仕様があるのだからそれなりの力があると断じても悪くは無いだろう。 「勿体無い訳無いじゃない。あんたとそこにいるサラマンダーの組み合わせ以上に相応しいわよ!」 「ふふっ、あんたさ、それって遠回しに自分が失敗ばっかりだって自覚してるって事になるんじゃない?使い魔がとてつもなく優秀であんた自身がどうしようもない……」 『ゼロ』だと言おうとしてそれは無しになる。 キュルケの側に悲しさとほんの僅かな怒りを表情に織り交ぜた、人間形態のラティアスがいつの間にか立っていたからだ。 一応さっき彼女は自分の非礼を詫びたが、人間の言葉が分かる為に意思疎通を許したキュルケにとっては今のところちょっとした頭痛の種だった。 「ご主人様は勉強熱心でとても素敵な方です。私にとてもよくしてくれているご主人様を貶める事は私が許しません。」 静かに放たれるその言葉にキュルケはひらひらと手を振って応じる。 「ちょっと……少しは落ち着きなさいよ。冗談に決まってるでしょ、冗談!」 「……なら構いませんが……あなたともしお相手する時が来れば私は全身全霊を没頭させます。」 その発言にキュルケは『面白いじゃない』という表情を見せる。 ラティアスはその場から数歩歩み去ろうとする。 その途中首だけをくるりとキュルケの方に向け言い放った。 「あなたは相当な使い手……後れは取りません……」 あさっての方向を見て『ハイハイ』といい加減な返事をしていたキュルケはやや間があってからはっとした。 たった今ラティアスは自分の事を相当な使い手と言いきった。 自分の名前を教えはしたが、相当な‘魔法の’使い手だという事は教えてはいない。 事実彼女は火系統のトライアングルクラスだが、それを誰かに言った事は無い。 じゃあ何故ラティアスはそれに気づいたのか? 自分の力を予見した?だとしてもおかしい。 理由はラティアスに自分が魔法を使うところを見せていないからだ。 考えれば考えるほど思考のどん詰まりに行きそうになるので、キュルケは軽く片手で頭を支える。 「ルイズ。」 「何よ。」 そのあくまでもぶっきらぼうな物言いに、キュルケは溜め息一つを吐いて言った。 「あんた、本ッ当にトンでもないものを召喚してくれたわね……」 ラティアスはキュルケと向き合って心底機嫌が悪かったが、シエスタに促されて再び笑顔を取り戻した。 おまけにどこそこのテーブルに行けばその姿の可愛さを褒められる事がある。 喋らない事もその事を引き立てるのに一役かった。 彼女の可愛さに惚れ込んだ男子学生の数名が自分の専属にしようと躍起になっている様も確認できる。 その内、『彼女は酷い過去でも送って口がきけなくなってしまったのだろう。僕が何とかしてみせる!』と、勝手な事を想定して息巻く者達まで現れだした。 困ったなあ、と思いつつ空になった銀のトレイを持っていると、向こう側から数人の男子学生が歩いて来たのが見えた。 中心にいるのは金色の巻き髪をし、薔薇をシャツのポケットに挿している気障そうな少年―ギーシュだ。 ギーシュの周囲にいる者達が彼を次々に冷やかす。 「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつきあっているんだよ?!」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」 その質問に当の彼は唇の前に指を立てつつ答える。 「つきあう?僕にその様な特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませる為に咲くのだからね。」 その言葉にラティアスは悪い意味でぶるっと身震いをする。 雌の自分が見ていて、聞いていて恥ずかしくなる台詞のオンパレード。 例え自分が人間でも恋愛対象としては御免被りたい。 と、その時彼のポケットから何かが落ちる。 ガラスで出来た小壜らしく、中では目が覚めるほど鮮やかに煌く紫色の液体が揺れていた。 後で無くなった事に気づいたら流石に彼とて困るだろう。 ラティアスはその小壜を拾った後、近くにいたシエスタを意思疎通で呼んでからギーシュの側まで行く。 「これはこれは。何の用かなメイド君達?」 相変わらず気障な物言いだが、ラティアスは無言で小壜をギーシュの前に差し出した。 「あなたの落し物だそうです。」 シエスタはラティアスの口となり、彼女が思っている事を伝える。 するとギーシュの表情は途端に曇りその小壜を押しやる。 「これは僕のじゃないよ。他の誰かの物じゃないかな?」 だがラティアスはまたも無言で押しやられた小壜をギーシュにつき返した。 「この子があなたの服にあるポケットから落ちるのを見ていたようです。間違いないと。」 「僕のじゃないと言っている。と言うか右の君、どうして何も喋らないんだい?」 シエスタの言葉を少々イラついて答えるギーシュ。 その時、その小壜の出所に気づいたらしい彼の友人の一人が大声でそれを指摘した。 「おっ?!その香水はもしやモンモランシーの香水じゃないのか?」 「そうだ!その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分の為だけに調合している香水だぞ!」 「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落っこちたって事はつまり君の今のお相手は『香水』のモンモランシーだな?!」 「おいおい、君達。それは違う。彼女の名誉の為に言っておくが……」 途端にギーシュはつい言いよどんでしまう。 近くからつかつかとやって来た栗色の髪をした可愛い少女が、彼の眼前にやって来てぼろぼろと泣き出したからだ。 「ギーシュ様、やはりミス・モンモランシーと……」 「彼らは誤解しているだけだよ、ケティ。いいかい?僕の心に住んでいるのは君だけ……」 ギーシュはその先を言う事が出来なかった。 ケティと呼ばれた少女が先に返事をしたからである。 返事といっても平手打ちという痛い返事だったが。 「その香水があなたのポケットから出てきたのが何よりの証拠ですわ!さようなら!」 それを捨て台詞としたのか彼女は彼に背を向けてすたすたとその場を後にした。 しかし彼の痛い目がこれで終わった訳ではない。 ギーシュが頬をさすっていると、遠くの席から幾つもの金髪の巻き毛が映える少女が立ち上がり、鋭い踵の音を響かせながら彼の元までやって来る。 そして怒りの顔もかくやといった感じでギーシュを睨みつけた。 「誤解だ、モンモランシー。彼女とはただラ・ロシェールの森まで遠乗りしただけで……」 「ギーシュ……やっぱりあの一年生に手を出していたのね?!」 冷や汗を浮かべるギーシュだったが、怒りに燃える彼女の前では最早どんな言い訳も用を成さない。 「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇の様な顔をその様な怒りで歪ませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」 そこでギーシュの弁明は終わりを告げた。 モンモランシーは手近にあった殆ど手のつけられていないワインの壜を握り、中身をギーシュの頭の上からかける。 中身が空を迎えた時、彼女はその壜をダンッと乱暴に近くに置き怒鳴った。 「嘘吐き!!!」 そして彼女もその場からさっさと立ち去っていった。 ギーシュは暫く呆然としていたが、直ぐに何も無かったかのようにハンカチを取り出してゆっくりと顔を拭く。 更に首を振りつつ、芝居がかかった口調でこんな事まで言い出した。 「あのレディ達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ。」 一部始終を見ていたラティアスは流石に呆れてこう思う。馬鹿らしいと。 シエスタと一緒に仕事に戻ろうと厨房の方まで行く。 すると後ろから今しがたの騒ぎの原因、ギーシュに呼び止められた。 「待ちたまえ。右側のメイド君。君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだい?」 呼び止められたのが自分だと気付いたラティアスはシエスタの制止も聞かずにゆっくりと振り向きこう言った。 「何ですって?もう一度言ってごらんなさい。女の子泣かせさん!」 前ページ次ページゼロの夢幻竜
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生徒からかのオールド・オスマンまで幅広く名を轟かせることとなったキース・ロイヤル、 そのきっかけとなった『ヴェストリの悪夢』事件から五日が経過していた…。 事件の三日後に学院の庭に転がされていたギーシュは一見元通りだが、たまに目を見開いてうずくまり『もかもか…うぅ…もか…もかもかが…』などと呟くようになってしまい、 喧嘩別れしたはずのモンモランシーの手厚い看護を受けている。それに、ヴェストリの広場の大穴もそのまま埋められていなかった。 つまり、5日経っても傷は全く癒えていなかったのである。それはもう、壊滅的なまでにだ。 しかし、ルイズはその5日間で完全にキースの使い方を身につけていた。そう、彼を一番楽に使う方法は… 「キース、あの風っぴきを黙らせなさい」 「御意」 「なにをするんだゼロの…むがっ!」 彼と対等に話をしようとしないことである。そもそもが執事なため、彼は命令にはそれなりに忠実だ。 今も平民の使う拳銃をマリコルヌの喉へ突きこんでいるが 「殺さないようにね」 「わかりました」 密かに舌打ちが聞こえたような気がしないでもないが、気にしないことにする。 とりあえず拳銃をマリコルヌの口の中に突き入れているキースを放置し、ルイズは食堂へ向かった。 ***使い魔は変態執事 第4話~恋気と狂気と迷惑と~*** ああ、あの冷ややかな整った顔に、何も見ていぬようで全てを見ている澄んだ瞳、そしてその身にまとうミステリアスな雰囲気、そんな彼を見ていると… 「タバサ、私、あの人に恋しちゃったかも!」 「……。」 ……タバサは固まる。 傍目にはいつもと変わらない冷ややかな無表情に見えたろうが、親友の口から、いつも関わる度に平穏な日常にミミズのように潜り込んでくる男に恋をしたと言う言葉が飛び出たのだ。 そんなことがあれば固まるしかない。幸い、いつも固まっているように周囲から見られているため問題はなかったが。 「……」 キュルケの額に手の平を当てる 「タバサ、何でいつになく優しい目をして私の額に手を当てているのかしら」 「…少し熱い」 「いえ、微熱が平熱よ。それに多分あなたの手が冷たいだけ」 「…『アイス』。これを頭に当てるといい」 「そんないつになく口数が多めで優しいタバサが大好きだけれども安心しなさい健康だから」 それはそれで健康でない気もしたが、 「…本気?」 「勿論よ。――ああタバサ、この私が、微熱が燃え上がったときに嘘をついたことがあって!?」 またも硬直する。確かにこの惚れっぽい友人が恋をしたと言った時は、どんな手段ででも手に入れていた。 そのことを思い出し、それなりの深さの憂鬱に陥りながらも、一応言葉にする。 「……悪趣味」 もはやそうとしか言いようがない。それ以外の言葉が思いつかない。素直になれないけど本当は……とか、そう言う問題でもない。 例えるなら、そう 「ええ!?あのミステリアスで、あったかいのか冷たいのかわからない空気、燃え上がるのも当然でしょう?」 スライム相手に恋するようなものだ。タバサ自身は未だに人間かどうかすら怪しいと睨んでいると言うのに。 「人間だという保証はない」 「いいえ、彼は人間よ!私には解るわ!それにもしそうだとしても、種族の違い……壁は高い方が燃えるでしょう?」 言っても無駄だとわかってはいた。 ……わかってはいたが、甘いものよろしく感情は別腹として一応忠告しておいた。 さすがにそろそろ木陰での読書に戻りたい。傍らで静かにしている、と言うかすやすやと寝ているシルフィードを視界の端に収めつ、 「使い魔品評会の練習は?」 とキュルケに、目の前で使い魔たちに芸を仕込んでいる生徒たちへ戻るよう促す。 「そうね、もうフレイムも充分休んだでしょうし、戻るわ。またね、タバサ!」 しなる赤毛を見送り、本に目を戻す一瞬、視界の端に妙なものが映った 時は遡る 「キース、今度使い魔品評会があるの」 ルイズは、目の前に居る銀髪オールバックの執事を見据えて言う。 「つまり使い魔を披露する会なわけ。本当は主人と使い魔の絆を深めることが目的なんだけれど、私と貴方には不要ね」 キースは恭しく礼をする 「在り難きお言葉」 「褒めてないわよっ!深めたくない上にあんたは執事のようなものだから命令聞いてればいいってだけ! べ、別に既に絆が深いって言ってるんじゃないんだからっ!」 「はっはっは、ルイズ様は素直で御座いませんな!」 「絶対に違うと言ってるでしょーっ!」 なお、この否定は本気である。本物であると断定する。と言うかいままでこの男のどこに惚れる部分があったろうか。 ルイズは、叫んだことで多少切れた息を整え、最重要事項を口にした 「特に、今回の会にはトリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下が特別に視察にいらっしゃるのよ。だから…」 「つまり、機に乗じて暗殺せよと」 「そこふざけないっ!」 「御意、真面目に暗殺を実行します」 「だーかーらー、そうじゃないと言ってるのよおおおおおお!!」 ルイズは自室の床をごすごすと何度も蹴り付けた 「だから粗相のないようにかつ最高の演技を見せろって言ってるのよ!」 「おお、そうでしたか!これはこれはつい勘違いを!」 …これだから疲れるのだ。もう、ものすごく。具体的に言うとサモンサーヴァント7回分に相当するくらい。 しかし、一応この使い魔は姿形は人間だ。動力も行動原理も身体の構造も一切不明だが、姿からしてできることは限られてくる。 ……ルイズは頭を抱えた。 人間に芸をさせるためにこんなに必死になる貴族、しかも学生がこのハルケギニアに居ただろうか?いや、居ない。むしろ居て欲しくない。そんなのが世界に蔓延したらハルケギニアは終わりだ。雑技団の訓練にかかりっきりの学生なんて想像したくもない。 ああ……いっそ、どうでもいい気がしてきた 「もう……あんた、でかい岩10個くらいジャグリングしながら回転して空飛びなさい」 「御意」 「――ってできるの!?いよいよあんた人間じゃないわよ!?」 「はっはっは、人間とは努力でさまざまな壁を乗り越える生物なのですよ!」 「そう言うレベルじゃないわよ!まずメイジでもないのに空飛べるの!?」 「ルイズ様、回転すれば風が生まれます。風さえ生むことができれば、メイジでなくとも空を飛べるのは道理かと存じます」 「ああ、そうね……、なら、いっそゼロと呼ばれても空さえ飛べれば、――ってできるか普通っ!?」 「絶対負けるもんか、限界超えてーで御座います」 「歌わない!弾き語るの禁止!あとどっから出したのそのギター!?」 そこでルイズははたと気づく。まともに話してはいけない、と。 そうだ、自分はキースとの正しい付き合いを会徳したはずなのだ。 息を整えながら手の平に『始祖ブリミル』と3回書いて飲み込み、落ち着きを取り戻す―― 「――って、私は何奇行して落ち着いてるの!ああ、偉大なる始祖ブリミル!今のはナシ!ナシです!」 と虚空に向かって祈りを捧げエア神棚を作り出す前に我に帰り、 「と、とにかく、さっき言った芸をしてもらうんだから、ちょっと練習に出るわよ!」 「御意でございます」 こうして、ゼロとよくわからないものの主従は、使い魔王国となっている中庭に移動したのだった タバサは最初、目の前にあるものが理解できなかった。 むしろ今も理解できない。今の私には理解できない。未来の私はどうだろう?理解できているだろうか? だが、何となく理解したら母のような状態に陥るような気がしないでもない。そう言えば母はそもそもどのような状態なのだろう。心が止まっている、そんな感じだ。 そう言えばあの使い魔の心も何となく、止まっているように思える。だとするとあのルイズの使い魔は何故動けるのだろう? 以前書物で読んだ『自動的な死神』などを思い出したが、それとか?それとも 「きゅいきゅい!きゅい!」 現実逃避スパイラルからシルフィードの鳴き声で帰還し、もう一度眼の焦点をそれに合わせる。 それは、宙に浮いていた それは、岩を投げ上げていた それは、その状態で複雑な回転を織り交ぜていた それは、どさくさで岩を殴り飛ばして学園の壁にブチ当てていた それは、どさくさで学園の壁にひびを入れていた それが、ひびを入れた壁は実は宝物庫の壁だった ……しかも、飛ばした先からまたどこからともなく補給してくるので、他の生徒たちは気づいた様子がない。 少し視線を下げると、ちょっぴり(ほんの少し)だけ驚いた顔をしたルイズと、『まあステキダーリン!』とでも言わんばかりの輝く瞳で変態を見上げるキュルケ。 とりあえず これで確定した。 「……人間じゃない」 ならば何か。エルフ?しかし、シルフィードに以前聞いたところ否定された。すると、ガーゴイルだろうか。 実際タバサは、血を注いだ人間そっくりいなるスキルニルなるガーゴイルを知っているが、 それに元の人間以上の力を加えることも失われた始祖ブリミルの技術なら可能であろうと思える。 これ以上考えても仕方がない、と、タバサはかぶりを振って思考を止める。 だが、今のまま『任務』であのような存在と相対すれば、自分に待ち受ける運命は『死』の一文字だ。何としても対抗策を考えておかねばなるまい。 ひょっとすれば、もし、もしもだが、あれが生物だった場合、キースだらけの集落という存在も在り得る。 あの銀髪の執事だらけの村、……考えるだけでも、おぞ気がはしる。 自分は死ぬ訳にはいかない。復讐を果たし、母を救うまでは……。 日は瞬く間に過ぎてゆき、そして…… 品評会当日。 豪華絢爛、格の違いを見せつけながら学園へ入る大行列、柔和に微笑んでしなやかに手を振る麗しのアンリエッタ姫殿下、尊敬し、崇めながら脇に群がる貴族の子供たち、 そんな中でルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはというと…… 「……」 「…ぃゃん」 「何がイヤンよっ!」 自室で、縄で椅子に縛りつけた使い魔とにらめっこしていた。 窓から清涼感溢れる風が入り込み、さらさらとそのふわふわの桃色がかったブロンド髪をなでる。 無駄に晴れた青空は、無駄な爽やかさを演出し無駄に健康的かつ無駄に健全な雰囲気を醸し出す。 そして今、ルイズは時間を無駄にしている。全く、この世は無駄だらけだ、と珍しく詩的に仕上がったかなと自画自賛してみる。 「ルイズ様は何故私をこんなところに縛り付けているのですかな?」 ……そんな平穏な思考を邪魔する不届き者がひとり。 ルイズは嘆息すると、 「じゃあ、解いたら何をするのか言ってごらんなさい?」 「それは勿論、アンリエッタ姫殿下の所へ行くに決まっているではありませんか」 さも当然と言うかのように、表情も変えずに言う。 「行って何をするのか、言ってごらんなさい?」 「はっはっは、ルイズ様も野暮なことを聞くものですな!そんなに私が信用できないと?」 「アンタが今朝、銃やら吹き矢やら弓やらをしっかり念入りに整備してなければ信用したかもしれないわね?」 「……何が問題なのです?」 キースが訝るように眉根を寄せる 「だああああああああ!!何を当然、みたいな顔してんじゃないわよ! 姫殿下をまだ暗殺するつもり何でしょう!?そうなんでしょう!?何とか言いなさいよこのプラナリアもびっくりの超変態生物!」 キースはわめくルイズを理解できないとでも言うかのように首をかしげると、 「落ち着いてくださいルイズ様。冗談に決まっているでしょう?騒ぐと体に毒ですぞ」 「あっんったっのっせいでしょうがあああああああああああ!」 懐から抜いた杖の先にいたキースを脅威の爆発力で窓から吹き飛ばした。 そうして迎える本番、普通に飛ぶタバサとシルフィード、炎をまるでサーカスのジャグリングのごとく操るキュルケとフレイム、何故か体中に薔薇を挿して血みどろでヴェルダンテと戯れるギーシュ、などが目立つステージは進行し、遂にルイズの番となった。 麗しのアンリエッタ王女は春を思わせる暖かな笑みで、今か今かとルイズを待っている。 そして、小さな体で堂々と、ルイズは壇上へ 恭しく礼をすると、小石を宙へと放り、それに錬金をかけ、大きな爆発を引き起こす。 『おい、『ゼロ』がまた失敗したぜ!?』 『姫殿下の御前でまで失敗やらかすなんて流石はゼロのルイズだよな!』 己の失敗すら演出兼合図として利用するなど、以前のルイズではありえなかったろう。 しかし、今は違う。 どうせ変態的な使い魔を発表する、もはや多少失敗による爆発のことを言われたくらいでどうということもない。火事山に放火しても何も変わらないのと同じなのだ。 その前向きのようでいてかなり後ろ向きな決意は、召喚前のルイズにはありえなかった。成長である。諦めとも言うが、結果的に性格が丸くなったとも言える為問題はない。 「さあ来なさい!私の究極闘士一号!」 群集の前で多少緊張していたのか、それとも多少テンションがうひょーなことになっていたのか。予定にもない変な台詞を吐きつつ、杖を掲げた。 そして… 『………』 春だというのにどことなく冷たい風が吹き抜ける 『……ひょっとして、逃げられたんじゃないのか?』 『……もはや、流石はゼロのルイズとしか言いようがないな』 ルイズは真赤になって、怒りと屈辱に震える体を抑えながら、ぎこりと折れるように礼をすると、舞台をぎちりぎちりと固い動きでゆっくりと降りた 「…何故、人は争いをやめないのでしょうか」 目も眩む鮮やかな緑の平原、学園の庭 「何故、争いは止まらないのでしょうか…。」 穏やかな風が花の香りを運び、その銀髪を揺らす 「ああ、何故人は、他人を傷つけたがるのでしょう…」 「そ・れ・は・あんたみたいなヤツがいるからよおおおおおおおおおおおおっ!」 爽やかかつ激しい爆風が焦げる香りを運び、その緑を吹き飛ばす。 その風は、ハルケギニアという世界の風に溶けて、すぐに消える。 「このように、人は平穏を吹き飛ばす、そう、人間の本質は破壊者なのです。黒魔術師殿は即ち人の業」 地面にずぼりと頭から刺さって股を開いた黒いタキシードが、そのままの体勢で語り続ける 「全ての業の集合を叩くことができれば人は救われますが、その攻撃がまたもや人の業となる…」 頭を振るように腰から先を回し、 「人の業は結局、いつまでも消すことはできないのですな」 またもや穏やかな春の風が… 「いい加減にしなさいっ!」 強烈な爆風によって掻き消された。 何故このようなことになったのだろう。 自分は何か悪いことをしただろうか 馬鹿のようなというか馬鹿そのもの、むしろこの世の馬鹿をひとつに纏めたような使い魔を召喚したところまではいい、もう慣れた。 そして、その使い魔が毎回馬鹿な事件を起こすのもいい、慣れた。 ……ここまで考えて、更に落ち込んだ。何だかものすごく道を踏み外している気がする。 そして、一番の問題は、自分がこの使い魔を制御し切れていないことであった。 なにせ理解しがたい変態だ、誰にも制御できるとも思えない、とは結局いい訳だ。 相手が不思議生物だから?そんなことは関係ない。事実として、ルーンが刻まれていると言うのに使い魔の力を持て余している自分が居る。 そして、肝心なときに呼んでも来ない。これは明らかに、主としての器が足りていない 「この…馬鹿っ!」 そんな気持ちを涙腺から噴出しながら、怒りで白くなった視界の端、吹き飛んでのびていたキースに殴りかかるものの、急にむっくりと起き上がったキースに対応できず地面を殴りつけて倒れる。 なんだか、ものすごく惨めだった。心を虚無が支配し、その中をいつかどこかで聞いたルーンが飛び回る。 「あは…あははは…」 もはや惨めすぎて笑えてきた。結局、諦めただの何だの言っていたが、全てを受け流すことはできていなかった。 心の中に溜まりにたまったその怒りが、悲しみが、絶望が、その涙とともに溶けて消えてゆき、その分を空白が埋め尽くす。 そして残ったわずかな喜びも、今、こうして笑い声とともに外へ放出されている。 そうだ、この使い魔を殺そう。殺しても死ななそうだけれど、この頭の虚無を飛び回るルーンの力ならばひょっとしたら、とも思う。 そんなときだった 「む?ルイズ様、ところで、あの辺りの壁の向こうには何があるのですか?」 急に聞こえてきたキースの声に、ふと我に返る。―――今、私は、何を考えていた? 「…急に何?」 徐々に、涙で歪み、怒りと虚無で潰れていた視覚が戻る。聴覚が戻る。 「いえ、そこで巨大ゴーレムで壁を粉砕しているステキなお方がいるものですから」 ――何故自分は気づかなかったのか、身の丈30メイル以上ありそうな巨大ゴーレムが、学園の壁に向かって拳を振り上げていた。 そしてその豪腕が振り下ろされ、しょっちゅうキースが衝撃を与えていたその壁が、心臓を震わせるほどの轟音と共に崩壊する。 ルイズは慌てて、さっきのキースの質問の答えを思い出す。 「えーっと、確かあの場所は、………宝物庫!」 「ああ、あの売りさばいたら高額で売れた『アレ』があったところですな!」 不穏なことを聞かなかったが、聞かなかったことにする。聞いていない、聞いていない。 壁の中へ、ゴーレムをつたって入ってゆく黒いフードの人間を見送りながら思考する。 相手は強い地のメイジであり、宝物庫狙い。そういえば、と、ちろりと聞いた『土くれのフーケ』の噂を思い出す。見事に合致している。 と、言うことはだ ―――捕まえれば相当な名誉であり、この品評会での失敗による汚名を払拭するには充分だ そして、こちらにはスクエアクラス相手でも劣らないであろう有り余る力がある。 「――キース、あの泥棒を捕まえなさい!世のため人のため、そして何より私の名誉のために!」 「御意」 しかし、ルイズはまだ理解していなかったのだ その使い魔の奇行は、有り余る力を持て余している訳でもなく ――正真正銘、根っこからの変態性によるものであることを なんと言うか、参ったとしか言いようがない。自分に落ち度があったか考えてみる。 まず、姫の護衛に出張り学園自体の防備が手薄になる瞬間、姫自身が来訪しての使い魔品評会を狙って、こうして襲撃をかけた。 次に、前からアタリをつけていた、皹の入った壁を破壊して宝物庫内に侵入、お目当ての『自在の黒剣』を物色。 ここまでは問題なかった。華麗とも言える、無駄のない、隙のない、完璧な手際だった。 だが、ここからが問題だ。いくら探せども、お目当ての品が見つからない。 あらかじめ『黒曜石を彫り上げて作り上げたようななめらかな刃』との情報は仕入れてあったのだが、そんなものは見つからない。 そして、極めつけは… 「――キース、あの泥棒を捕まえなさい!世のため人のため、そして何より私の名誉のために!」 「御意」 まずい、人が来た。 このような祭典中に、一体何故? 「まったく大事な式典をフケるなんて、とんだ不良貴族サマもいたもんだ!」 目当ての品はまだ見つかっていない、が、捕まるつもりなんて毛頭無い。 そこまで行動を決めたら、あとはすることなんて一つだ。 フーケはひょいとゴーレムに飛び乗って戻る。自分を捕まえようと動いているのは、学院内屈指の落ちこぼれ『ゼロのルイズ』の従者、銀髪オールバックのみだ。 ならば、目撃者を潰しておいた方が手っ取り早い。 ただの平民相手にゴーレムによる全力の打撃を加えることは好みではないが、別に抵抗もない。 ゴーレムに命じると、その固くて太くて立派な腕が持ち上がる。 ルイズは、自らの使い魔がその振り下ろされた腕に潰されていくのを黙って見ていることしかできなかった ぐちゃり、と、轟音の中からですら、ルイズの聴覚はその音を聞き取った。確かに、確実に、間違いなく、肉の潰れる音だった。 いくら、死んだら新しい使い魔を召喚できるとは言え いくら、死んでしまえばいいと深刻に思ったとは言え ――普通の、少しプライドが高いだけの少女が、人が一人死んで素直に喜べるはずは無かった 潰した。足に伝わる振動だけで、そのくらいはわかる。確かにゴーレムの拳は、人一人を叩き潰した。 では、 「やりましたな土くれ殿!さあ、警備の者が来ぬうちに早いところとんずらですぞ。」 私の隣に居るこの男は何なのだろう。 「どおおおおおゆうううううことよおおおおおおおお!!??」 遥か下方から風を切り裂くように響く桃髪の貴族の声 「はっはっは、ルイズ様、こーいったトリックの基本的な解き方をご存じ無いのですか?」 「何がよ!」 キースはその固定された銀髪でかぶりを振り、 「不可能なことは不可能なのです。それを隠れ蓑にし、できる事を不可能と言う先入観で埋める、それがトリックの基本です。」 「…で?」 「つまり、あのタイミングでゴーレムの拳を避けることなど不可能、ならば、可能な方法を何か見落としている…と言うことですよ、ルイズ様」 それよりもさっきからこいつは、当の盗賊の横で何を呑気に会話しているのだろうか。 「…それで、何?」 「忍法変わり身の術をご存知ですかな?」 「あ・ん・たねぇぇぇぇぇ!」 「何だって?」 確かに肉を潰した感覚だったはず、と、ゴーレムの拳を急いでどかす。すると… ふんわりとした髪 上等なマントとドレス 纏った空気にどことなく気品を感じる 間違いなく、麗しのアンリエッタ姫殿下であった ただし血まみれの 「………」 「………」 「………」 フーケは固まり、ルイズは呆然とし、キースは冷や汗をダラダラと流す。 「………」 「………」 「………」 そのまま数十秒ほど固まった後、 「…皆さ~ん、大変です!曲者が王女様をさらってゴーレムでッ!」 銀髪執事が馬よりも早く、風のように魔法衛士隊へ走った 『何だって!姫殿下なら今この中にっ!』 『見ろ!居ないぞ!』 『おい、あそこだ!まずい、血塗れに!』 そしてすぐに、護衛の部隊のほとんどがこちらへわらわらと 『どうしよう、俺の担当だったのに!ああ、隊長に…隊長に…ッ!』 『あれは土くれだっ!』 『噂の土くれはテロリストだったんだ!』 『現在の政治に不満を持って姫様を拉致、殺害したんだ!』 『ああ…嫌だ!もうあんな痔は経験したくない!』 『取り囲め!土属性隊、壁をッ!』 『水属性、早く姫様の治療!』 『うわあああああ隊長!やめっ、こんなところでっ!』 『まずは姫様の命だ!命!命あっての物種だ!』 あっという間に完全な包囲が構築されてゆく。しかも、今の喧騒にいくつか使い魔の声が混じっていた気がする。 「え…え……」 喉が震える。フーケがゴーレムを操り、なんとか包囲を突破しようと試みているが、もうどうでもいい。 「ルイズ様」 しゅたっ! そう表現するのが正しい、そう思わせる飛び方で、まるで降って沸いたように現れるキース。 「あとは捕まるのも時間の問題です」 恭しく礼をしつつ、済ました顔で冷静に報告するキース。 「エ…エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ…」 口が勝手に、いつか、つい最近聞いた呪文を紡ぐ 「これで任務達成です。あなた様の名誉はうなぎのぼりですぞ!」 そして、この魔法の威力を理解し、理解した上で… 「吹き飛んで頭を冷やして死になさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」 フーケも、衛士隊も、キースごと全て吹き飛ばした
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前ページ次ページゼロのロリカード メンヌヴィルを殺すのに力を使い切ったアニエスは、その場にドッと倒れ込む。 そのまま眠ろうかと思った時、自分の名前が呼ばれた気がしてアニエスは閉じかけた瞼を開けた。 「よう、アニエス」 黒髪の少女が、紅い瞳で己を見下ろしていた。 「処女か?」 目の前の少女の口から突然飛び出した質問に、アニエスは眉を顰めて疑問の目を投げかける。 まるで意味がわからない。 「処女かと聞いている、答えろ」 「だっ・・・・・・たら・・・な・・んだ」 わけもわからないまま声を振り絞る。既に思考力は低下し、考えるのもめんどくさい。 アニエスは「どういうことだ?」と視線だけで訴えた。 「致命傷だ、長くはもたん。お前は直に死ぬ。生徒が唱える程度の治癒魔法では、とても間に合わん」 アーカードは一拍置いて口を開いた。 「どうする?」 アーカードの笑みが語る。『諦め』か、『拒絶』か。 はっきりと口に出して言ったわけではない。が、アニエス何故だか理解できた。 自分は生きたいのか?己にやり残した事はあるのか?アニエスは自問する。 コルベールは、死んだ。メンヌヴィルは、殺した。最早するべきことはないのではないか。 (果たして・・・・・・そうか?) 自分は何だ?アンリエッタ女王陛下の剣であり盾だ。自分は忠義を尽くせたのか?恩義に報いる事ができたか? 復讐を終えればそれで「はい、おしまい」だとでも?こんなところで死んでいていいのか? アニエスはギリッと歯を噛む。 「・・・・・・諦める、ものか。わたしは・・・・・・陛下の剣なのだ」 その言葉を聞いたアーカードの笑みがさらに濃くなり、アニエスの上へとスッと覆い被さった。 「後悔は・・・・・・せぬことだ」 そう言った瞬間、アーカードはアニエスの首筋へと牙を立てる。 アニエスの口から声が漏れ、ピクリと体が震える。 全身を駆け巡る快楽と共に、全てはあっという間に終わった。 幼少期に、家族や友人が燃えて全滅していく死の村落。 唯一人になるまで焼き尽くされる、まるで魔女の釜の底のような地獄。 家族を失い孤児となり、何をしてきたのか。復讐を終え、何を選択したのか。 「あきらめ」が人を殺す。あきらめを拒絶した時、人間は人道を踏破する権利人となる。 アニエスの焼かれた肌が、損傷した内臓が、折れた骨が、加速度的に再生していく。 「あーそうそう、一ついい事を教えてやろう」 思いついたかのようにアーカードは言った。 「コルベールは、・・・・・・生きてるぞ」 その言葉を聞いて、アニエスの顔にみるみる生気が戻っていく。 「金が余っていたから、緊急用にと秘薬を買っておいたんだがな。それを言ったら、キュルケに取られてしまった。 今は学院の生徒がそれを使って、必死に治療をしているだろう。それと、人質は無事全員救出し、敵は殲滅済みだ」 「そうか、ほかの銃士隊は?」 呂律も回るようになり、アニエスは口内に溜まった血を吐き出す。 突入直後に、攻撃された銃士隊員達。その安否が心配される。 「既に何人かの生徒が治している筈だ。なぁに、命に拘わるような者はいない。 尤も、指がなくなっていたりと今後に支障を来たす者はいるようだがな」 アニエスは手を開き、握るという動作を何度か繰り返す。 生きている?いや・・・・・・死んでいる? 「・・・・・・気分はどうだ?」 「良くは・・・・・・ない」 「私のことはマスターと呼ぶように」 アニエスは少し逡巡した後、答える。 「わかった、・・・・・・マスター」 アーカードはうんうんと首を振り、腕を組んだ。 「本当の意味での、我が血族となるか?」 アーカードは鋭く尖った親指の爪で、人差し指の先を切り裂く。血がポタポタと流れ、床へと落ちる。 「・・・・・・いや、断る」 「何故だ?」 「・・・・・・血を飲んでしまえば、なにかが終わってしまうような、そんな気がしてな」 アーカードは一瞬驚いた顔をした。するとすぐに、笑いを漏らす。 『アイツと同じような事』を言うのだなと、少しだけ懐かしい気持ちになった。 「そうか。ならばせめて、生まれた地の土のカンオケで寝ることだ。力が弱まる一方だからな。女王陛下の為に尽くしたいのだろう?」 「・・・・・・わかった」 丁度いい。"今からする事"を終えれば、一度故郷へと戻るつもりだ。 アニエスはゆっくりと立ち上がる。既に体の痛みはなく、吸血鬼の再生力というものに感嘆した。 アニエスの視線のいく先は、最も憎むべき"復讐"の相手だった。 キュルケが寄り添い、周囲に何人かの女生徒が集まり治療をしている。 「殺すか?」 アーカードは邪悪を含んだ笑みを浮かべ聞く。 「当然・・・・・・だ」 アニエスは目を瞑り答える。そうだ、当たり前のことだ。復讐を果たす。我が故郷の無念の為に。 「・・・・・・私とあの男の因縁を、知っているようだな」 アーカードはふんっと鼻を鳴らす。 「私は私で、少しばかり調べていたから前々から知っていた。だが教える義理もないので言わなかった。 そこに転がってる男との会話も聞こえていたし、その頃には人質周りの掃除は済んでいた。 助太刀しようと思えばできないことはなかったが・・・・・・一応お前の気持ちを汲んで手出しはしなかった」 「そうか・・・・・・」 アニエスは呟いた。リッシュモンを殺した時と同じ、自分の心情を鑑みてのこと。 例えその結果として、私が死んだとしても・・・・・・だ。 ◇ メンヌヴィルに突き刺さった剣を抜いたアニエスは、コルベールのもとへと歩いて行く。 「どけ」 アニエスの鬼気を含んだ雰囲気に、治療をしていた生徒達が散っていく。 キュルケは当然どこうとはしない。 「え・・・・・・?なに?」 よくわからずモンモランシーはそう口にし、秘薬を使用して治癒の魔法を使い続けている。 心配そうに眺めていたルイズも、状況が把握できないままその場に留まった。 「コルベール先生をどうする気・・・・・・」 キュルケはすぐ近くで一部始終を聞いていた。アニエスがこれから何をしようとするのか。 持つ剣と、その目を見れば、容易に想像がつくというものだった。が、それでも口に出して聞く。 「・・・・・・復讐だ。この男を殺す」 「駄目よ、やめて」 「・・・・・・え?」 「なんですって・・・・・・?」 キュルケはアニエスから目をそらさない。モンモランシーは呆け、ルイズは状況を理解しようとしていた。 やや後方で静観していたタバサの顔に、難色が浮かんだ。アニエスはキュルケの言葉を無視して、剣を構える。 「邪魔をするな」 キュルケは抱くような形で、コルベールをその身で庇う。 「もういいでしょ!コルベール先生はあなたを助けたのよ!!」 目に涙を浮かべて、キュルケは必死に叫ぶ。アニエスはただ冷ややかにそれを見下ろしていた。 「・・・・・・関係ない」 「ミス・ツェルプストー、どいてくれ」 目を開けたコルベールが起き上がろうとする。 しかし治療がまだ途中だった所為か、上半身を上げるだけで精一杯のようだった。 「駄目よ!殺させないわ!!」 「いいんだ、ミス・ツェルプストー。・・・・・・さぁアニエス君、私を殺したまえ。君にはその権利がある」 コルベールは諭すように言い、キュルケの体を手でどけようとする。 しかし思うように力が入らないのか、キュルケをどかすことは出来ない。 「嫌よ!殺すなら私から殺しなさい!」 叫ぶキュルケに眼中はない。アニエスはコルベールを見据えた。 暫く沈黙が流れた後、アニエスが口を開く。 「・・・・・・潔いな。ならば何故、逃げた?」 アニエスは剣を構えたまま問う。 魔法研究所実験小隊を脱し、王立資料庫の名簿から自分の名前を切り取った。 そして教師となり、これまで生きてきた。それなのに、今になって復讐されてもいいというのか。 「・・・・・・私は、"王国の杖"だった。疫病殲滅を名目に"焼き尽くせ"と命令が下り、それを忠実に実行した。それが・・・・・・"貴族の正しい在り方"だと思っていた。 だが・・・・・・、村を、罪のない人々を焼き払った時に、それが間違いだと知った。私は"王国の杖"である前に、一人の人間なのだ。 後になって真実を知った。本当の目的は"新教徒狩り"だったのだ。つまり私は・・・・・・ただ命令のまま殺戮し、村を焼いたということだ。 私は罪の意識に苛まれた。そして一時、割り切ろうとした。『仕方なかったのだ』と自分に言い聞かせ、平穏な生活を望んだのだ」 「それで・・・・・・、王軍資料庫の名簿を破ったのか」 コルベールは「そうだ」と頷き、話を続ける。 「だが違うのだ。どんな理由があろうとも、罪なき人々を焼いていいわけはないのだ。命令であっても、それは決して赦されるべきことではない。 この手で焼いた人々を、村のことを忘れた事は一度もない。私は悩んだ、一体どうすれば罪を購うことができるのか。 私は軍を辞めた。二度と炎を破壊の為に使うまいと誓った。それからは研究に打ち込んだ。"贖罪"ではなく、"義務"として・・・・・・。 一人でも多くの幸せにすることこそが、生きて世に尽くす事が、私の"義務"。私にとって、安易に"死"を選ぶという選択肢は存在しない」 「それで・・・・・・我が故郷の、死んだ者達の無念が晴れるとでも?」 「いや、晴れぬ。死んでも、この身が滅ぼうとも、罪が消えることなど・・・・・・永劫ない。だからこそせめて、この身が朽ちるまで人々の為に尽くす。 しかしアニエス君、君だけが私を殺していい。村の唯一の生き残りである君だけが・・・・・・私を、あの村の慰めの為に殺す権利を持っているのだ」 もう話すことはないと、コルベールは目を瞑ってアニエスの刃を待った。アニエスも目を瞑る。 「任務だったんだからしょうがないわ!!アニエス!あなたが女王から同じような命令が下ったらどうするの? 知らずにそれを実行して、それが後になって間違いだったと知ったらどうするわけ?それにコルベール先生はあなたの命を救ったのよ? 自分の命も省みず・・・・・・。私達も先生がいなかったら死んでた。それでもあなたは――――――」 アニエスは目を瞑ったまま静かに口を開いた。 「少し、黙れ」 コルベールは自分を"王国の杖"と言った。 私は・・・・・・"陛下の剣"だ。 キュルケが言った通り、女王陛下から命令が下ればそれを躊躇無く、疑う事無く実行するだろう。 それが・・・・・・軍人というものだ。 「もしあなたが復讐の為にコルベール先生を殺すなら、その後に私があなたに復讐して殺してやるわ」 「それはいけない、ミス・ツェルプストー」 コルベールがキュルケを宥めようとするが、キュルケはアニエスをこれ以上ないくらい睨み続ける。 心の整理を終え、考えを落ち着けたアニエスはゆっくりと目を開ける。 「・・・・・・復讐は、言わば鎖。そしてそれは、どこかで誰かが断ち切らねばならぬ・・・・・・か」 アニエスはその場に剣を落とした。カランという音を立てて、剣は転がる。 そして深く空気を肺に取り込み、一拍置いてそれを全て吐き出した。 「百二十九人。貴様はその何百倍もの人々に為に尽くせ。生涯、その身を捧げろ」 「いや、百三十一人だ・・・・・・。妊婦の方が・・・・・・二人いた」 コルベールの言葉に、アニエスはただ静かに――――――目を閉じた。 「話は落着したようだな」 離れた所から様子を眺めていたアーカードが近づいてくる。 「これからのことだが・・・・・・、まぁオスマンに任せておけばいいだろう。こういう時くらい頑張ってもらわないとの」 空気が弛緩し、モンモランシーは気付いたように治療を続ける。 「銃士隊は、どこにいる?」 「あっ・・・・・・外で治療を受けてる筈よ」 ルイズがそう言うと、アニエスはさっさと歩いて行ってしまう。 「おまえは夜を選んだ。もはやあの日の光さえも、お前の体をむしばむ光でしかない。 一度朝日に背を向け、夜を歩き始めた者に日の光は二度と振り向きはしない。覚えておけ」 すれ違うアニエスにアーカードは告げる。アニエスは呟くように言った。 「・・・・・・死ぬのか?」 「いや、今のおまえは半人・半吸血鬼の様なものだが、昼間に買い物なんて事も何不自由ない。 力は落ちるし、多少苦痛ではあるがな。とりあえず流水にだけは気をつけろ、『ちりはちりに帰る』からな」 最後にアーカードは「何かわからないことがあれば、こうやって聞け」と、アニエスと念話する。 その後に、大きく伸びをした。 「さぁ~てと・・・・・・ルイズ、寝るぞ」 「はぁあ?いきなりなに言い出すの。・・・・・・一緒になんて寝ないわよ」 「何を勘違いしている。空が白み始めた、もうすぐ夜が明ける。そう時間も経たず迎えがくるぞ」 ルイズは「あっ」と声をあげる。そうだ、自分はこれからアルビオンへと向かうのだ。 襲撃によって睡眠を邪魔され、戦場の緊張感と戦闘によって疲弊している。 魔法も使ってるし、自分で思ってるよりも間違いなく精神力は消耗してる筈だ。 そういう疲れは知らず知らずの内に溜まり、後でどっと出て来るものだ――――と、アーカードは言っていた。 いざという時にそれでは困る。休める時にしっかり休んでおくのも、戦場の心得である――――――とも。 (寝れる・・・・・・のかな) アーカードは欠伸をし、スタスタと歩いていく。ルイズも後を任せ、それに続く。 戦いの昂揚と張り詰めた神経が、ルイズに睡眠を許してくれそうになかった。 しかし今の自分にとっては、色々と考える時間が必要なのかも知れなかった。 ◇ 『復讐は鎖、どこかで誰かが断ち切らねばならない』。 アニエスの言葉がタバサの頭の中で反芻される。自分の望むべきは――――――復讐だ。 父を亡き者にし、母を狂わせた憎き王を討つこと。それが己の生きる目的である。 アニエスもそうだった筈だ。その為だけに研鑽を積み、生きてきた筈だ。 コルベールに理由こそあれ、並々ならぬ憎悪が心の中で渦巻いていた筈だ。 だがその鎖を、アニエスは自ら断ち切った。その英断は、きっと自分には真似できないだろうと感じる。 もしもジョゼフを殺すことが叶ったのなら・・・・・・そう、例えば自分はイザベラに殺されるのだろうか。 それならそれで構わないかもしれない。思えば、復讐を為したの後のことなんて考えたことなかった。 復讐を遂げ、母を治し、学院に通い、友人に囲まれ、ただただ穏やかに過ごす。そんな幸せを望んでいる自分に気付く。 復讐の為に、力を欲する余りに、無謀とも思える事を何度もやってきた。 その度にこの身を危険に晒してきた。死に掛けたことも何回もあった。 これからも復讐の為に、傷つきながらその道を進むか? あの狂王は・・・・・・最早、自分達に興味がないようにも、思える。 復讐をやめ、これからは母を治す為だけに奔走し、かけがえのない友と日々を過ごす。 そんな選択肢も――――――あるのではないのか。 タバサはぼんやりと考えながら、ゆっくりと――――――目を閉じた。 前ページ次ページゼロのロリカード
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827 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 00 47 12.67 ID A4x5+Emho マリコと散歩して近所のTSUTAYA行ってきたwwww 828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 00 49 04.39 ID E9XQvPVEO おけーりー マリコのいたずらは発動されたのか? 報告聞きたいけどねむいお… 828 私も眠いから今日はさっくり書いて寝るよ マリコの「面白いもの」は本当に悪戯って感じだったwwww TSUTAYAの隅っこで マ「リーこれ見て、面白いものww」 リ「んーなにー?」 マ「ここwwここwwww」 タンクトップにパーカーのマリコがちょっと左肩をはだけさせた リ「何これ?傷が出来てるよ?どっかで擦った?」 マ「これwwリーがこの前爪で付けた傷ww 痛いなーとは思ったけど私も土曜日にお風呂入るまで気が付かなったww」 瞬時に何時付けたか悟ったのでマリコの肩をぺしっとしたww リ「…何でわざわざ見せるの」 マ「そう言う顔が見たかったから?ww」 リ「ばか!」 マ「名誉の負傷ですww」 リ「知らない!」 マ「wwww」 TSUTAYAの店員さん陳列棚の隅っこで騒いでごめんなさい 830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 01 47 06.80 ID YLW17/0Xo ちょっと今からTSUTAYAの店員になってくる 830 見掛けたらそっとしてといてくれww 831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 02 46 36.17 ID laeqCZFbo いつ付けたの?って聞かないわけにはいきませんなww 832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 07 16 34.32 ID E9XQvPVEO リーおはよー 報告読んで朝からニヤニヤしてしまったじゃねーかww んで、いつつけたの? 831 832 やめろwwww ただ思い切り肩を掴んだ自覚はあった… 833 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 11 12 18.30 ID A4x5+Emho おそよう 834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/06/18(火) 11 37 40.25 ID NLn7U6SZo なんで肩を掴んだの(-ω- ?) 834 分かってて聞いてんだろww マリコが攻めの手を緩めてくれなくて大変だったからだよwwww 835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 11 58 44.21 ID 333Zm7WJo そんな事報告に書いてなかった! 835 すっ飛ばしてるからな さすがに痛そうだったから次また機会があるなら気を付けようと思ってるorz 838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 12 09 08.85 ID OlI1sggXo いやこれ喜んでるよきっと 838 嬉しいかなー? まぁやめろとは言われなかったから良いかww 839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2013/06/18(火) 12 09 18.90 ID NLn7U6SZo たい‐へん 【大変】 [名・形動] 1 重大な事件。大変事。一大事。「国家の―」 2 物事が重大であること。また、そのさま。「―な失敗をする」「大型台風の通過で―な被害を受ける」「弥次さんおめえ何のまねをしたのだ―をやらかしたぜ」〈魯文・西洋道中膝栗毛〉 3 苦労などが並々でないこと。また、そのさま。「―な目にあう」「毎日の暮らしが―だ」 よ、よく分からないおw (-ω- ?) 839 よく分からないままでいいんだよ^^ 841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/06/18(火) 12 16 11.32 ID NLn7U6SZo そ、そうなのか。 少し残念な気がするぞ。 マリコ様はは喜んでるだろうなぁ 写真撮って保存してるんじゃない? 841 ごめぬww 写真wwww 撮ってたらびっくりだww 842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 12 23 22.60 ID UBvSZAD0o 教えて(はあと) 842 想像力を働かせて補ってくれ! 844 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 12 34 09.53 ID A4x5+Emho そうだ、大好きって一応言えたよ一応…? 845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 12 36 16.56 ID kUQmxDe70 これが噂の名誉の負傷ですね 845 昨日マリコも言ってたけどこれって名誉??ww まぁちょびっと詳細を書くとだな、前も書いたが私は膀胱刺激されるのが弱いんだよww で前回学習したマリコがそこを攻める訳で「もう無理」って言ってんのに止めてくれないから思い切り肩を掴んで傷が付いた…んだと思うww 846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 12 37 25.37 ID E9XQvPVEO 一応ってなんだよwwww kwskよろ 846 ちょっと待ってww これからする事あるから後でまだ書きにくる 850 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 14 15 21.57 ID A4x5+Emho マリコが面白いものを見せてくれた後「ごめんね?ww」と言って手を繋いでくれたのでしぶしぶ付いてってDVDを見て歩いたww マリコは「撮り溜めたアニメが沢山あるからいいや」と特に何も借りなくて私はアニメのハチクロ借りた この前マリコが話してて懐かしくなったからww お店を出て私たちの家までは歩いて10~15分だからゆっくり歩いた リ「なんか暑いねww」 マ「シャワー浴びるの後にしたら良かったww」 リ「うんwwねーねーアイス食べようよ!」 マ「良いよー、丁度コンビニあるし」 でコンビニに寄って同じ蜜柑のアイスを買った 851 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 14 22 04.51 ID A4x5+Emho お行儀悪いけど歩きながら食べたww それで色々話しながら並んで歩いてたんだが途中で私はマリコの後ろ側に回った マ「何?ww」 リ「前見て歩いて」 マリコは背中が激弱で昔はよくくすぐって遊んだww それを分かった上でマリコの背中を指でつーっとしたww マ「wwやめてwwそれ本当に弱いからwwww」 リ「ちょっと我慢してww」 マ「wwww…ん?何か書いた?ww」 リ「うんww」 マ「ごめんww笑っちゃって分かんなかったからもう一回ww」 852 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 14 30 12.82 ID A4x5+Emho リ(書く) マ「……だ?」 リ(書く) マ「……り?」 リ「違うww(書く)」 マ「……い?」 リ(書く) マ「……す?」 リ(書く) マ「……おおwwww」 リ「分かった?ww」 マ「分かった!!リーちゃん本当にする事可愛い好き!」 って振り返って軽く頬にキスしてくれた マ「あwwアイス食べてたからべちょっとなったww」 リ「良いよそれくらいww」 マ「はい、リーちゃんも」 と頬差し出されたので舐めといた 854 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 14 33 45.85 ID A4x5+Emho マ「うwwww」 リ「ごめん、べちょべちょになったww」 マ「有り難く受け取っとくww」 それでゆっくり歩いてたつもりだったが結構すぐマリコの家に着いたのでそこでバイバイした お休みのキスをしようと思ったらランニングしてる人が通りかかったから止めたww 856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 15 10 03.22 ID Os3r6pyDO なんで2人は同じアイスを買ったんだ! あーんができないじゃないか!! 856 だって食べたかったのが同じだったんだもん!! 858 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 17 56 00.54 ID A4x5+Emho 明後日で丁度1ヶ月なんだが何が良いかなと考えて手紙書く事にした 今日部屋の片付けしてたら高校の頃マリコから貰った手紙が出てきて懐かしくなったからww よくノートにちぎったのに授業中書いて休み時間に持って行ってやりとりしてたなーと 今の中高校生はラインがあるから手紙とか書かないかな 859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 17 56 41.98 ID pq1J2o2Go 手紙…いいねー 859 いいかなdkdk 860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/06/18(火) 17 56 55.74 ID d8gXvqH8o 手紙とは古風だな 860 古風だよなww 高校出てから書いてない 861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 17 57 31.62 ID PvUe2qkKo そのマリコ様からの手紙の中にリーの事を好きだってアピールしてるのある? それを引用するドッキリを・・・ 861 ちょっとしか読んでないが多分ないと思うよ 文章より落書きがメインだったりしたしww 862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 17 57 53.00 ID 6KA5Dtc4o 縦読み仕込もう! 863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 17 58 08.87 ID 6KA5Dtc4o それか斜め読み 862 863 そんな高等技術私に出来る気がしないww 865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 18 04 08.08 ID 333Zm7WJo 横読みで 865 そのまま!そのままだよ!! 866 :リー ◆8/aREBGyyQ [sage]:2013/06/18(火) 18 05 01.69 ID A4x5+Emho 手紙って夜中に書くとテンションがおかしくなるから日中に書こうww 868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 18 10 04.47 ID k6SYrngFo あ い し て る 誰かはよ 869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 18 11 37.52 ID PvUe2qkKo あいしてる いしてるあ してるあい てるあいし るあいして 868 869 こわいよwwww 871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/06/18(火) 18 17 50.52 ID tfUK4+1No 好きになってくれてありがとう キスしてくれたこと、思い返すと にやにやしちゃうほど嬉しかった しごとで疲れているのに夜会ってくれてありがとう てれくさいから手紙を書いたよ あんまりうまくないな(^^;; 871 普通に使えそうな文章をありがとうwwww 875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/06/18(火) 19 03 25.21 ID tfUK4+1No 871 だけど 縦読み り が入っちゃったか? 873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/06/18(火) 18 21 16.42 ID PvUe2qkKo すばらしい一か月をありがとう きっとこれからも素敵な日々をおくれるハズ だってマリコ様が大好きだからww よっちゃんイカ食べたい 873 最後諦めるなww よっちゃんイカは好きだ 明日も時間あるから明日書こう →続き
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autolink ZM/WE13-T13 カード名:理想のお部屋 ルイズ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? 【永】あなたのストックが2枚以下なら、このカードは次の能力を得る。「【自】このカードがリバースした時、このカードのバトル相手のコストが0以下なら、あなたはそのキャラをリバースしてよい。」 シエスタ「大変です! ミス・ヴァリエール!」 レアリティ:TD illust. 12/04/11 今日のカード。 “お姉ちゃん”杏に似た、ストック枚数を条件とした相討ち持ち。 対象のレベルではなくコストを参照する点も同じ。条件は前述のカードよりやや厳しめだが、その分素のパワーはこちらが上。 “お姉ちゃん”杏は条件がストック4枚以上と序盤で満たしづらく、主に1/0を対象に運用するカードだったが、 このカードは逆に序盤でこそ満たしやすい。 そのため、基本的にはレベル0相打ちと同じ感覚で使用することになるだろう。 近年は条件を満たすことでレベルが上がるレベル0キャラが増えてきたため、そのような相手に対しても有効である。 ただし、“優秀なスパイ?”沙耶や“イワシのチカラ”ヴァルバトーゼなどの、相討ちそのものに耐性を持つカードに対しては無力なので注意。
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前ページ次ページゼロのミーディアム 「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、 こうやって新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」 教室に入ってきたシュヴルーズは満足げに微笑んで言う 「やっぱりあの人も魔法なのぉ?」 「当たり前じゃないの」 教室を見回すシュヴルーズにちょうど会話をしているルイズと水銀燈が目に入った 「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね?ミス・ヴァリエール?」 「ゼロのルイズ!召喚出来ないからってどこのお嬢様連れてきてるんだよ!」 いい加減説明するのも飽きてきたが彼女は見た目こそ人間に近いがそうではない 先程の生徒間の噂話でも半信半疑だった者がほとんどだったが、まだ水銀燈が何者であるかは学園内には広まっていないらしい 「違うわ!きちんと召喚したもの!一見この子はただの人間だけどね! あんた!あれ見せてやんなさい!」 「はぁ…いい加減このやりとりもうんざりしてきたわねぇ…」 彼女が人形であるという証明、球体型の関節を見せる 「嘘だろ?この子人形なのかよ!」 「あなたが操ってるの?」 「でもゼロのルイズなだけに規格外だよな… 「はいはい!静かに!なかなか興味深いことではありますが授業を始めますよ!」 シュヴルーズが騒ぎ出した生徒達を一喝し静かにさせる もっとも、彼女の言った通り興味深いことだし色々聞きたいこともあった。だが時間は押しているのだ シュヴルーズはこほんと重々しく咳をし杖を振る。机の上に現れたのは石ころがいくつか 「私の二つ名は『赤土』赤土のシュヴルーズです。土系統の魔法をこれから一年皆さんに講義します」 講義が始まった。その内容は水銀燈にとっても十分興味深いものだった 魔法の基礎となる四大系統。火・土・水・風。それに失われし虚無を合わせた五つの魔法系統 そしてそれらの系統を足すことによりさらなる力を発揮すると言うこと そして今回の科目は錬金 シュヴルーズが実際に錬金を行った。短くルーンを呟き石に杖を振る。 するとただの石ころだったそれはピカピカ光る金属に変わっていた 「ゴゴゴ、ゴールドですか!ミセス・シュヴルーズ!?」 キュルケが興奮しながら聞く 「いえ、ただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの…」 シュヴルーズはこほんと咳をし言った 「…『トライアングル』ですから」 錬金を目の当たりにした水銀燈もこれには関心を寄せたようだ 「ふぅん…その気になれば純金さえも生み出せる人もいるのねぇ…相場も何もあったものじゃないわね…」 「その辺は上の人達が考えてくれてんのよ。多分」 「あのおばさん3つ系統足せるから『トライアングル』なのよねぇ?ところで貴女は幾つ足せるのよ?」 水銀燈が何気なく聞いた質問、しかしそれを聞いたとたんにルイズの顔が曇る。そして 「…どうでもいいじゃないのよ。そんなこと…」 ルイズはうつむいて苦々しく言った 「何よぉ…急に沈みこんじゃって…ちょっと聞いただけじゃないのよ…」 色々と言いたい水銀燈だったが、そこにシュヴルーズからの注意が入った 「ミス・ヴァリエール!」 「は、はい!」 慌てて顔を上げるルイズ 「おしゃべりをする暇があるなら、あなたにやってもらいましょう」 シュヴルーズと水銀燈以外の教室の全員の顔が凍りつく 「え?私?」 「ちょうどいいわぁ。貴女の実力を見るチャンスじゃないのよ。やってみなさいよぉ」 水銀燈も後押し。周りの生徒は口には出さないが(何言ってんだコイツ!?)と言わんばかりの驚愕の表情 あのキュルケもルイズに向かって「ルイズ。やめて」と蒼白な顔で懇願している。だが… 「わかりました。やります」 クラスメート達がさらに青ざめる。まるで死刑宣告でもされた罪人のように… ルイズは緊張した面持ちで教壇へと歩いていった ルイズはシュヴルーズの隣に立ち自前の杖を取り出す シュヴルーズはにっこりとルイズに笑いかけた 「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を強く心に浮かべて」 「はい。…何を錬金しようかしら…」 ルイズ色々と金属を思い浮かべ悩みだす。が、なかなか決まらず頭を抱えていると意外なところから助け舟が出た 「鋼よぉ。鋼を錬金なさい」 水銀燈からの一言 「なんで鋼なのよ」 「いや、なんとくよぉ」 でも確かになんとく悪く無い気がする 「鋼ね…。先生!鋼を錬金してみます!」 何故だかわからないがこれなら成功率が高そうに思えたのだ 尚、余談だが生徒達の頭の中に(鋼の錬金術…)と言う謎のフレーズが思い浮かんだが、もっとも、それが何なのかはわからなかった まあ正確には兄貴のほうだし… 「(見せてもらいましょうか…私のミーディアムの魔力とやらを)」 真剣な眼差しをルイズに向け実力を測らんとする水銀燈。ちなみに彼女とシュヴルーズを除く者達はみな机の下に隠れてしまった そして水銀燈の隣の生徒が彼女に警告する 「あんた何やってんだ!早く隠れろ!怪我したいのか!?」 「はぁ?何言ってるの貴方?」 「あんたルイズの使い魔なのに知らないのか!?いいから隠れろ!悪い事言わないから!」 「わかったわよぉ…何なのよまったく…」 渋々自分も机の影に隠れた だが彼女は結果的にこの生徒に感謝することになる ルイズは目をつむり、短くルーンを唱え杖を振り下ろした 目線だけ机の上に出した水銀燈の見たものは… ドッカァァァァァァァン!!! 教室に響く轟音と爆発。ルイズが石ころに杖を振り下ろした瞬間、なんとその石ころは机ごと大爆発を起こした! 爆風はシュヴルーズを吹き飛ばし前列の机や椅子を巻き上げ、砕き瓦礫となって降り注ぐ さらにこの爆発で使い魔達も大騒ぎ!キュルケのサラマンダーは眠りから叩き起こされた怒りで炎を吐きマンティコアは飛び上がり窓を突き破り外へ その穴から大蛇が入り込み誰かのカラスを飲み込む 阿鼻叫喚の地獄絵図とは言ったものだ 煙が晴れ教壇が見えてくる。そこには煤だらけで真っ黒のルイズ そしてシュヴルーズは傍らで倒れてピクピクしていた。どうにか死んではいないみたいだが傷は決して軽くないようだ で、この騒ぎの張本人のルイズはと言うと… 「ちょっと失敗したみたいね」 取り出したハンカチで煤を払いながら意に介した風もなく言った これがちょっとだって?冗談にしてはキツすぎる。当然他の生徒からの猛反撃を食らう 「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」 「いつだって成功の確率ゼロじゃないかよ!」 (ああ、だからゼロのルイズなのね…)水銀燈は呆れながらも『ゼロ』の由来を理解した 「まったく…派手にやってくれたわね…」 「悪かったわね、派手にやっちゃって」 瓦礫の山となった教室を見て呟く水銀燈。ルイズも苛立ちながら答える ルイズの大爆発のおかげで授業ができなくなり、ルイズと水銀燈を残し外の生徒は帰っていった ルイズと水銀燈が教室に残った理由は勿論この惨状の後片付けである 「さぁ!さっさと終わらせましょ!あんたはあっちから!」 「まったく…誰の所為だと思ってるのよぉ」 「つべこべ言わないほらほら!さっさと手を動かす」 ルイズはまったく悪びれた様子もなく、なかなか手を動かさない水銀燈を叱咤する 「その必要は無いわぁ。めんどくさいし」 水銀燈はそう言うと静かに目を閉じ精神を集中させはじめた (あの娘に…真紅にできて私にできないことはなくてよ) そして目を見開き教室全体に横に手を振った すると…なんと教室じゅうの吹き飛んだ机や椅子、バラバラになった瓦礫までがまるでビデオの逆再生のごとく元通りとなっていく! 流石のルイズもこれには唖然とした 「なによこれ!あんたの魔法?いや、先住魔法なの!?」 「時間のネジをちょっと巻き戻しただけよぉ。原理とかは私にも分からないわぁ」 「分からないってあんた…」 「貴女は歩いたり走ったりするのにいちいち原理なんか考えるの?」 ようは彼女にとってはごく自然のことなのだろう これにより水銀燈を高く評価したルイズだが… 「でも傑作よねぇ…まさか錬金とやらであ~んな素敵なことになるなんてぇ」 水銀燈自らその評価をぶち壊しにしてしまった 「錬金!あ!ボカーン!しっぱぁい!ゼロなだけにしっぱぁい!」 彼女の悪い癖だ。別にルイズが憎いわけではない。水銀燈からしてみればちょっとからかっているだけなのだが… ルイズはこれまでになく不機嫌な表情だ 「お嬢様、この私がお嬢様を称える歌を作りましたわぁ」 恭しく頭を垂れ嬉しそうに言った ちなみにルイズの眉はひくひくし肩は怒りにうち震えている それでもルイズは答えた 「…いいわ、歌ってごらんなさい」 水銀燈は嬉々として歌い出す 「爆弾~みたいに~♪錬金をしぃ~っぱいしたら♪みんなが~♪ど~こ~までも逃げ~るね~♪時間のは~てまで♪」 晴れ晴れするような愉快な口調である。おまけにこの人形、無駄に歌がうまいのがルイズの苛立ちに拍車をかける 「ある~晴れ~た日のこと~♪魔法以上の瓦礫が♪限りーなく降り注~ぐ♪不可能じゃないわぁ♪」 それにしてもこの人形、ノリノリである そしてルイズの怒りがついに頂点に達した! ルイズ、リミットブレイク!! ルイズは不機嫌な表情を一転させニッコリとさせ水銀燈に告げた 「素晴らしいわ。まったくもって晴れ晴れ不愉快な歌で」 「いえ、それほどでもないわぁ」 誉めてない誉めてない 「こんな歌を歌ってくれる使い魔にはご褒美をあげなきゃね… …あんたしばらくご飯抜き」 「んな!?」 素っ頓狂な声を上げ驚愕する水銀燈 「ちょっと待ちなさい!ほんの少し悪ふざけしただけでこの仕打ち!?契約はどうなったの!?」 「うるさい!うるさい!うるさーい!んなこと知らないわよ!こっちにだって限度って物があるのよ!! 呪うなら己の軽薄な行動を呪うのね!バーカ!バーカ!バーカ!」 そのままルイズは一人で立ち去ってしまった これには水銀燈もこれには思わず苦笑い 「…もう二度とあんな歌歌わないわぁ…」 水銀燈は落胆した声で嘆く 「…次はもっとうまくやらなきゃ」 …訂正。この人形まったく懲りてない 昼食抜かされた水銀燈は校内を文字通りふらついていた とくに描写してなかったが彼女の移動は宙に浮きまるで魔法のフライのように飛ぶ だがその移動も空腹のためかあっちにフラフラこっちにフラフラ。仕方がないことだ、薔薇乙女だってお腹は空くのだ もっとも、水銀燈の場合ある意味、生まれた時点で決して解消できぬ永遠の空腹に才悩まされているのだがここでは敢えて伏せさせてもらう 「何よぅ…ちょっとからかっただけなのに…」 彼女にとってゼロの二つ名と魔法の使えぬと言うコンプレックスは水銀燈が思っている以上のストレスだったのだろう それを思うと水銀燈も今更ながら罪悪感が沸く。…何故なら彼女にもルイズに勝るとも劣らぬコンプレックスがあるのだから (考えてみればあの娘がゼロと呼ばれるのは私がジャンクって呼ばれるのと同意気よね…) 以下、水銀燈の脳内。 まず思い出したのは緑色のドレスを来た三番目の妹 「翠星石…」 「ジャンクはどんなに頑張ったってジャンクですぅ!」 日頃から毒舌家の彼女からの一言。憎まれ口ばかり叩いている為いい加減慣れていたがやはりこの一言には腹が立つ 次はシルクハットをかぶった大きな鋏を携えた少女 「蒼星石…」 「僕がこんなジャンクごときにやられたなんて…お父様に合わせる顔がない…」 日頃真面目かつ悪口をいわない彼女だからこそグサリとその言葉が突き刺さる そして今度は金髪の巻き髪の眩しい桃色のドレスを着た小柄な少女 「雛苺…」 「水銀燈もうにゅー食べるのー!」 「ああ、ありがとぉ…」 お腹好いたわねぇ…回想にまで空腹がついて回る その次はおでこの広い日傘をさした少女 「…誰だったかしらこの娘?」 「ひ、ひどいかしらー!」 飛ばしましょ。次よ次 紫色のドレスを着た片目に眼帯を付けた感情の乏しい少女が現れた 「薔薇水晶…」 「じゃんくろーど・う゛ぁんだむ」 意味が分からなかった。まあこの娘自体よく分からない娘だし… そして最後に出てきたのは紅いドレスの元恩人であり…そして憎むべき宿敵となった少女 思い出されるのは袂を分かったあの記憶 「…真紅ッ!」 「ジャンク…作りかけの…ジャンクのくせにッ!!」 断っておくが前述の通りこれは水銀燈の脳内(脳があるのか不明だが…)、言わば妄想の産物である(一名を除いて) 薔薇乙女達の名誉の為に言っておくが余程のことが無い限り敵対するとは言え彼女らが姉妹をジャンク呼ばわりすることは無い …真紅に関しては『余程の事』が起こってしまった悲しい一例だが… だが空腹でイライラしている水銀燈にはそんなことはどうでもよかった。 最後に思い出された忌々しき記憶。その少女に向かい水銀燈は怒鳴りつけた 「うるさいッ!私はジャンクなんかじゃないッ!!」 空腹でできた幻覚なのか宙に浮かぶ真紅に大声を張り上げる 「きゃあ!」 ちょうど曲がり角となっていた廊下。突然大声を上げた水銀燈に驚き1人の少女が尻餅をついた 「…メイド?」 水銀燈の見下ろした先にはまさしく使用人。彼女の言う通りすなわちメイドの格好をした少女が倒れていた 前ページ次ページゼロのミーディアム
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前ページ次ページ紙袋の使い魔 トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背が高い塔の中にあった。 百人は優に座れると思われる空間が広がっている。 ルイズは、自分と同じ色をしたマントをつけた集団へと指をさした。 「あそこが私たち二年生の席よ。ただ・・・この食堂は貴族のみが使う食堂なのよ・・・ ファウスト。申し訳ないけど、食事を用意させるから何処か別の場所で食べてきて貰える かしら?」 「はいぃ。何処でもいいですぉ。それよりも私ハラペコで・・・」 「ちょっと待ちなさいな・・・そこのメイド。少しいいかしら?」 ルイズは、近くで給仕をしていた黒髪のメイドへと話しかけた。 「何でしたでしょうか?貴族様」 「一人前、別に食事を用意して欲しいのよ。私の使い魔のファウストの分を」 「使い魔・・・こちらの方でしょうか・・・?」 少女は先ほどから気になっていた紙袋を被った男性へと視線を向ける。 「ファウストと申します・・・お嬢さん・・・お名前は・・・?」 「シェスタと申しますわ。ミスタ・ファウスト」 「シェスタさん・・・。ハラペコな私に救いの手を・・・どうか・・・」 「わ、分かりました。貴族様。私たち給仕の食べる賄いの様な物でしたらすぐにご用意できますが」 「そう。それでいいわ。ね?ファウスト?」 ファウストを首を猛スピードで振り続けた。 「シェスタさん。貴女ホントいい人だぁー!!」 「それでは厨房に食べるスペースがありますのでこちらへ・・・」 ルイズはそれを一瞥すると。 「それじゃあ、ファウスト。御飯食べ終わったら外で待ってて頂戴ね」 「分かりましたヨ!ルイズさん!ささ・・・シェスタさん。レッツらゴーですぅ!」 食堂の裏手にある厨房へと案内される。 「ミスタ・ファウスト。少々お話をさせてもらってもよろしいですか?」 「えぇ。どうぞ。この紙袋に関してなら、これはオシャレということにしておいて下さい」 「い、いえ。何か事情がある事と存じ上げます。その事についてではなく・・・使い魔の事 なのですが・・・」 「あぁ~。そうですね。私は本当にルイズさんの使い魔ですヨ。人間の使い魔ってのは他に例が 無いらしいですがねぇ」 「ではミスタ・ファウストは特別なんですね」 「いえいえ。何処にでもいるありふれた医者ですよ。たまたま使い魔になっただけです」 医者という言葉にシェスタはハッとなると。 「ミスタ・ファウストはお医者様なのですか!?それは失礼致しました!!」 「そんなにかしこまる事は無いですよ。私は所謂ここでいう平民ってヤツですから」 「平民なのに使い魔でお医者様・・・。フフフ・・・変わってらっしゃるんですね・・・。 あ、すみません!私ッたら笑ったりなんかして・・・!」 「いいんですよシェスタさん。貴女はかしこまった顔をしているより笑っていた方がお似合いです」 シェスタは少し赤みがかった顔で笑う。 「お上手なんですね!ファウストさんは!」 この使い魔とお医者様は見た目に反してすごく親しみやすい。思わずシェスタもそう呼んでしまう。 「フフフ。あ、ここが厨房でになります。今コック長のマルトーさんを呼びますので」 シェスタが声をかけると、恰幅がいい男が近づいてきた。 「どうしたい!?シェスタ?」 シェスタはファウストの食事を用意する事をルイズより承った事と、ファウストについて説明をした。 「へぇ!あんた平民のお医者様なのに貴族の使い魔にされちまったのか!?そりゃ災難だったな俺の名はマルトー。ここのコック長をしてるもんだ。飯ならいくらだって食わせてやるさ!小食ぞろいの貴族に食わす位ならアンタに食べて貰ったほうが俺も嬉しいぜ!」 そういうとマルトーは、ファウストの肩を叩こうと・・・。 「あんたデカイ体してんなぁ!?飯の作りがいがあらあなぁ!ちょいとそこで待っててくんな!」 マルトーは厨房の奥へと戻ると、他のコックに指示を下した。間もなくしてファウストの下へと山盛りの食事が運ばれて来た。 「どうだい?ハラペコなんだろ?さ!遠慮はいらねぇ!ガツンといってくんな!」 「それでは遠慮なく・・・・。おひょー!!これは美味!実に美味ですよ!マルトーさん!!」 「へへ!そうだろう、そうだろう!」 見る見る内にファウストの前に並んだ皿は空になっていった。 「それにしてもいい食いっぷりだねぇ!惚れ惚れしちまうぜ!」 「グゥレイトォ!僕のようにでっかくなろう!!」 またいつでも来いと言うマルトーへ感謝の意を伝えると。シェスタ、コック達へ一礼し。厨房を後にした。 食堂の外で待っていると間もなくして食事を終えたルイズと合流した。 「ファウスト。お腹はいっぱいになったかしら?」 「えぇ。ありがとうございますルイズさん。皆さんいい人ばかりでまた来てもいいと言ってくださいましたよ」 「そう。なら次からの食事は大丈夫ね」 「はいぃ。ところでこれからどうなさるのですか?」 ルイズは、食堂から離れた搭へと目を向けると。 「あそこで搭ががあるでしょ?。これからあそこで魔法学院の授業があるのよ。勿論使い魔も一緒でね」 「ほう。それは興味深い。魔法の授業ですか」 「じゃぁ行きましょうか」 魔法学院の教室へと入ると、既に授業の開始を待つ生徒たちでいっぱいだった。 ルイズが教室へと入って来た事を確認した生徒たちがくすくすと笑い始めた。 少し離れた席に座っていたキュルケがこちらに気付くと、はぁ~いとばかりに軽く手を振っていた。 こちらも軽く手を振って対応した後、端の方の席へとついた。 「ファウスト。少し狭いと思うけど我慢して座ってね」 「大丈夫ですよ。私こう見えて判定小さいですから」 ルイズの後に入ってきた生徒達が席について暫くするとがらりとドアが開き、先生らしい中年の女性が部屋へと入ってきた。 「皆さん。おはようございます。春の使い魔召喚の儀式は、皆さん大成功だったようですね。 このシュヴルーズ、こうして春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 そういって彼女は教室を見渡した。 「おやおや、ミス・ヴァリエール・・・とても変わった使い魔を召喚したのですねぇ」 彼女のその一言を聞いた他の生徒たちが声を張り上げた。 「ゼロのルイズ!サモン・サーヴァントが上手くいかなかったからってそんなよく分かんない奴連れてくるなよな!」 「そうだぞ!ゼロのルイズ!いくら魔法成功率がゼロだからって、それは無いだろー!?」 「(そうですか・・・”ゼロ”とはそういう意味だったのですか・・・しかし・・・)お待ち下さい皆さん」 「お?ルイズの使い魔が喋ったぞー!?」 ファウストは、自身に刻まれたルーンを高々と掲げると。 「これを見てください。これは契約の証のルーンです。これが刻まれているという事はルイズさんは契約の魔法を成功させたと言うことです。」 そういうと、大半の生徒は何も言わなくなったが、まだ一部納得のいかない様子の生徒達が居た。 ファウストは彼らの方を向くと。 「皆さんは私が召喚された時に一緒に居たのですよね?ならばその時、あなた方の先生が何を言い、何をされていたかを見ている筈です。そう・・・あの時いらっしゃった男性の先生は私のルーンを確認し、それに満足して授業を終えられたのです。ルイズさんを疑うという事はあなた達の先生をも疑っていると言う事になるのですよ?」 さすがに自分たちの恩師であるコルベールの話を持ち出されたのでは彼らには分が悪い。 そんな様子を見ていたシュヴルーズは、コホンと席をすると杖を振った。 机の上に石ころがいくつか現れた。 「私の二つ名は「赤土」。「赤土」のシュヴルーズです。これから一年、皆さんに「土」の魔法を講義致します」 「それでは、ミス・ヴァリエール、魔法の四大系統はご存知ですね?」 「はい。「火」「水」「土」「風」の4つです」 「はい、その通りです。以上の4つに、今は失われた系統、「虚無」をあわせて5つの魔法系統が存在する事は皆さんもご存知の通りです」 「その5つの系統の中で、「土」は、最も重要な位置を占めると私は考えます。私が「土」属性のメイジだから という身びいきではありません」 そう言いながら彼女はおっとりとした微笑を見せた。 「「土」は、万物の組成を司る、重要な魔法です。様々な金属の製造や加工、家屋などの建築には欠かせない魔法であり、農作物の育成や収穫などにも大きな役目を果たしています。「土」系統の魔法は、皆さんの生活に密接に関係しているのです」 彼女は先ほど出した石ころへと杖を向けると。 「今から、「土」系統魔法の基本である「錬金」の魔法を覚えてもらいます。一年生の時に既に覚えている人もいらっしゃるかもしれませんが、基本は重要です。もう一度おさらいを致しましょう」 彼女はそのまま呪文を呟くと石ころが光だした。 「ゴ、ゴ、ゴールドですか!? ミセス・シュヴルーズ!?」 「いいえ。これは真鍮ですよミス・ツェルプストー。ゴールドを錬金するには「スクウェア」クラスの実力が必要です。私は「トライアングル」にすぎませんから」 「ルイズさん。彼女が言っているスクウェアやトライアングルと言う言葉は、魔法の実力のランク付けの事ですか?」 「その通りよ。大抵は学生は一系統使える「ドット」、ニ系統の「ライン」、極稀に三系統の「トライアングル」なんかもいるわね」 「そうですね・・・。実際に誰かにやって貰いましょう。それでは・・・・ミス・ヴァリアール。こちらへいらっしゃって下さい」 シュヴルーズの一言に教室の雰囲気は変化した。 「先生!危険です!!」 「危険?何を言っているのですか?」 「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」 「そうですよ。彼女が努力家と言うことは聞いております。さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってみなさい。失敗を恐れていては前えと進めませんよ?それに失敗する事で得る物もあるのですから」 「どうなっても知りませんよ・・・」 「黙ってなさい。キュルケ。先生。やらせてください」 ルイズが魔法の準備に取り掛かると、生徒たちは次々と椅子や机の下に隠れていった。 「ミスタ・ファウスト。あなたも隠れないと危ないわよ?」 「どうしてですか?私は彼女の使い魔です。彼女のやる事を見届けるつもりですヨ」 ファウストがそう言ってルイズの方へと集中すると、彼女を中心に力の歪みが発生するのをファウストは目にした。 「!?イケない!ルイズさん!!」 ファウストは法力を用い、彼女の元へと転移するとその歪みが生じた力場を自らの体で覆い隠した。 間もなくその力場は爆発へと力を変わりファウストを包み込んだ。 「ファ、ファウスト!?」 ルイズが魔法を唱えた瞬間目の前にファウストが現れ、錬金しようとしていた石へと覆いかぶさった。 そして聞こえたのは大きな爆発音と、視界を覆う煙であった。 「大丈夫!?ファウスト!?ファウスト!?」 煙が晴れてくると、ファウストは頭をアフロヘアーへと変え立ち尽くしていた。 「大丈夫ですか?ルイズさん。お怪我は・・・」 その一言を聞いたルイズは意識を失った。 「ミス・ヴァリエール!?誰か!ミス・ヴァリエールを医務室に・・・」 シュヴルーズが混乱し生徒達へと話かけていると、ルイズを抱えファウストは歩き出した。 「大丈夫デスよ。彼女は私が介抱致しますので」 「ですが今の爆発であなたも・・・」 「私ですか?頭が燃えただけですよ。それでは先生。失礼しますネ」 彼女を抱え彼女の自室へと戻ったファウストは彼女が目が覚めるまで彼女の部屋で待っていた。 「・・・ん・・・?ここは・・・?」 「貴女の部屋ですよルイズさん」 「ファウスト!?怪我は無いの!?」 「えぇ。大丈夫ですよあの程度の爆発。いつも巻き込まれている物に比べれば軽いものです」 「・・・・そう。ごめんなさいね・・・。あんたが庇ってくれたお陰で私も先生も無傷ですんだわ・・・ フフフ・・・笑っちゃうでしょ?私はね、魔法を使うと爆発するのよ・・・成功したのはサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントだけ。召喚したあんたが異世界の法力使いだってのに主である私は魔法もろくに使えないゼロのルイズ・・・」 「ルイズさん。学生の本分は勉強です。失敗は付き物ですよ。これから頑張ればいいのですから。ただ、先ほどの魔法の際、一つ気になった事がありますね」 「なにがかしら?」 「先ほどの先生が魔法を使った時と、ルイズさんが魔法を使った時とで力の流れが違っていたのですよ。同じ魔法を唱えているのならその構成は一緒の筈です・・・。ですがそれが違った・・・」 彼の言っている意味がよく分からず。ルイズはキョトンとした表情をしている。 「つまりですね。ルイズさんの魔法は普通の人と違うのは無いのでしょうか?そう・・・根源たる物が違う様な気がするのです。私はこの世界の魔法に詳しくありませんから現在は原因不明ですが、法力を使ってアプローチしてみれば原因が究明できるかもしれませんね」 「私の失敗の理由が分かるの!?」 自分の今までの失敗に何か原因があるのではないかと言うファウストに対し思わず声を張り上げてします。 「まぁそれには、この世界の魔法の事を私が理解し、ルイズさんには少し法力について学んでもらう必要が・・・」 「やる!やるわ!!魔法が使えるようになるんなら!やって見せるわ!こっちの魔法の事に関してなら実技は無理だけど知識なら人より勉強した分あるわ!だから・・・」 「では、お互いに勉強と言うわけですね。お願いしますね。ルイズさん」 「こちらこそお願いするわ」 それから2人はルイズの部屋でお互いの情報を交換する日々が続くのであった。 前ページ次ページ紙袋の使い魔
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カエルの為に鐘は鳴る 主人公 キャラクター 参照リンク コメント 任天堂が発売したゲームボーイ用アクションRPG。 主人公 バシャーモ♂:サブレ王国の王子 カナヅチ→水に弱いことで。 ニョロトノorケロマツ:カエル ツタージャ:ヘビ キャラクター 色違いのエルレイド♂:リチャード王子 サーナイト♀orディアンシー:ティラミス姫 ハガネール:デラーリン ムウマージ♀orマフォクシー♀:マンドラ 持ち物はものしりメガネ推奨。お供に♂の鳥ポケモン(ハゲワシのポルナレフ。バルジーナは♀のみなので却下)。 マニューラ♂:ジャム どろぼう必須。 ドーブル♂:アルフレド・じんべぇ ギギギアル:アレヲ=シタイン博士 ワリオランドアドバンスにも登場している。 ラッキー♀:赤ずきん カクレオン♂:おやかた コモルー♂:ちょうろう ズルズキン♂:ヘースケ ズルッグ♂:カザンオールスターズ 色違いのサーナイト♀:マドレーヌ メタグロス:コミックショーZ 参照リンク 公式サイト コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る サンムーン ガオガエン:サブレ王国の王子 オシャマリ:リチャード王子 -- (ユリス) 2018-01-21 11 54 36 マンドラはマフォクシーでも合いそうです。 -- (ユリス) 2015-08-26 09 46 42 ネタバレになるけれどポルナレフって正体はじんべぇですよ。ということは、バルジーナは♀しかいないから見た目が近いオニドリルに変更すべきでは? -- (ネッサー) 2015-08-24 05 19 50 草案 メタグロス:コミックショーZ -- (ユリス) 2013-05-31 08 41 33
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` ー=≠ ,. -‐ `ヽ // / / ヽ // / / / / ∧ イ ,′ / ' __ / i / / ヽ ', { ' λハ ヽ |/ ', λ なんにせよ今は友好的なんでしょ 人/ l 丿≦ミヽ| 人 ! } / 八 | 〃癶', { _,.-''" 丿 ', ! だったら仲良くしてれば大丈夫じゃない / ヽj {しヾ ', ,/ ̄`ヽ | ′ / / ゞ乂 ヽ i ノ'´ \ ハ, ノ | ヽ っていっても釣った魚にエサはちゃんとやらないとね / i _,. ノ' ≠=zz、 |/ ヽ / ! / / ' 〃 ヾミxノ'´ / / / / .∧ 卜-uy仆 / / / ,' / ', ヽ ゞ弋tソ 从丿 / ! / i | ,' i __,,厶イ イ | / | | i 弋,. -‐==ニ二三 ̄ , ´ ノ′ | /\_⊥ -‐==ニ二三 / | / \ , - 、 / ノ' ヽ ___ / \-‐-__イ \ ', x≦三 ̄', / ∨ ', `ヽ ! ワカメに紹介された裏の店の店主「だった」女性。 表の顔として風俗店を営んでおり、やる夫が彼女を買ったこともある。 娼婦を狙ったシャドウ事件が原因で店の評判が悪くなり閉店。 その後、モグリの娼婦として過ごしていたところ、やる夫とともにシャドウ事件の黒幕を追うことに。 事件の中で黒幕がばら撒いていた、人をシャドウに変える薬を使い、やる夫の銃に宿るシャドウとなる。 シャドウとしての能力はやる夫の持つ銃に融合し、好きな時に好きな銃に変身できる。 やる夫の所有物でない銃に変身することはできないが、弾数は無限。 みなしごだったため誕生日はなし。 ちなみに初めてやる夫と出会ったのは9月6日 ,. -‐== ==‐- 、 _,.-、 / r┴、`yノ. / r┴ r、ノ `ー、 . . / / i \ゝ{ `ー; ∨ヽ . / / / l | l i `ヽ\_ // \ . | | | 斗z┼ | / ┼‐t-/ト ヽノノ \. | | | | | | ハ / !/ .| i \ \ . | | | fz-‐t‐,/ )イ rj┼ レ' ノ下 \. | | i 杙. | |.. | / ィ | \. \ イ | ', ヽ  ̄  ̄ ! | t\_ ゝ, \ / 从 人 , ' | ヽ ミ、 ノ/ / 人 >、 つ_,. イ \ \ / / >、 ∨ -、 ≦从 } \ > ''´ ' x≦三///} \'⌒Y//ノ 八 \ ,. イ// }///// }☆!,// ,イ/∧ 丿 イ///////仁={ , f‐‐-、 人'V},/{ {/// / 八///// {////r´ , ヽ ヽ /r!//\ Y ノリ///>fx゙┌──‐ヽ ヽ ヽ_}__}‐――――――――┐///r//\| `^ ̄ |////////t| |//////,/ | |///// | |///{ | | 実は異世界からの転移者。物心付く前に虚無の魔法を使ってこの世界に来た 路地裏で乞食生活から文字をゴミから勉強したり体を使ってどうにかお店を持つまでになった ”天才であり努力家”という意味ではメリーと同じタイプの人間 メリーより早く仲良くなると、彼女が魔術師のペルソナ使いになっていた