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「白翼の対価*②*③」 わざわざ身構えている敵部隊のド真ん中に突っ込むのは愚策中の愚策であるが、不思議と何とかなるだろうと思えた。何しろ、まったく負ける気がしないのだ。 こちらを狙う殺意に似た何かが、火線となって見える。どう躱せばいいか、どう動けばいいか、どう撃てばいいか、手に取るように解る。 グレネードを避けながら重装型MTのメインカメラを正確に撃ち抜き、襲い来るミサイルを避けながらロケットで逆関節MTを吹き飛ばす。 「残り六」 マシンガンが機体の装甲を掠めるのも想定内だ。心地良い衝撃に身を委ね、踊るように機体を操る。 メインカメラを撃ち抜かれ、視界を狭められた重装型MTがグレネードを連射して来る。射線をほんの少し誘導してやれば、面白いくらい素直に撃って来た。僅かに、機体を揺らす程度の感覚で左にズレると、グレネードの榴弾は【プロトキャット】を外れ、その背後に居た逆関節MTを撃ち砕いた。 「残り五」 射撃戦では分が悪いと見て取ったか、二脚型MTがブレードで白兵戦を挑んで来る。 アルバートは敵機の推進力すら見極め、最小の挙動でブレードを躱す。返す刀でブレードを持った方の腕を、二の太刀で胴体部を両断した。 「残り四。どうした? 意地を見せてみろ」 アルバートの言葉が聞こえたわけではないだろうが、敵MTの動きがなり振り構わぬものへと変わった。 ――つまり、玉砕覚悟の特攻だ。 重装型MT二機からありったけのグレネードの援護射撃を貰い、二脚型MTと逆関節MTが正面から突撃を仕掛ける。 ――なるほど、悪くない。 アルバートは胸中でほくそ笑むと、突撃に応えるように機体を前へと弾き出した。 【プロトキャット】は腰を落とし、身を低くして前に出る。こうすれば、前方の二脚型と逆関節が壁になり、グレネードに対しての遮蔽物となる。もちろんそれは諸刃の剣だ。グレネードから身を隠す代わりに、その他の射線に身を曝すことになる。 だがそれも承知の上。敢えて不利な状況に身を置いても、それを撥ね退ける自信がアルバートにはあった。 片道十二車線の大通りを疾走し、レーザーライフルの射程に入ったと同時に逆関節MTのロケット射出口を狙い、引き金を二回引く。一発目は撃ち出されたロケットの砲弾に当たり、二発目は寸分違わずロケット射出口に吸い込まれた。エネルギー弾は残っていた弾薬を誘爆させ、逆関節MTは内側から大 爆発を起こした。 「三」 敢え無く倒れた仲間の躯を踏み越えて二脚型MTが迫る。レーザーライフルとミサイルを乱射しながら、左腕にはブレードまで構えていた。ミサイルをコアの迎撃機能で撃ち落とすが、レーザーライフルの直撃を貰ってしまう。だが曲がりなりにもこちらはACだ。軽量級とはいえレーザーライフルの一発やそこら大したことはない。 アルバートは全神経を目の前に迫った二脚型MTに集中し、相対距離が0になる瞬間にレーザーブレードを振り抜いた。二脚型MTから突き出されたブレードを、その腕ごと切り飛ばし、光波と光刃が胴を凪いだ。 「二」 すぐさま【プロトキャット】は跳躍し、オーバードブーストで空中を駆ける。 瞬間的にロックオンを外され、重装型MTは【プロトキャット】の姿を追うが、MTの旋回性能でACの機動力を追い切れるものではなかった。 居並ぶ二機の重装型MTの背後に着地した【プロトキャット】は左のメインカメラを破壊された方にトリプルロケットを連続でお見舞いする。至近距離から放たれた砲弾は、今度こそ完全に敵機体を破壊した。 「ラスト!」 右側のMTが可哀想なくらい愚鈍に旋回した時には、何もかもが既に手遅れだった。 「残念だったな。チェックメイトというヤツだ」 呟き、レーザーブレードを構える。その無慈悲なまでの光は、装甲を易々と貫き、MTを“MTだった”物に換えたのだった。 「……終わったか」 アルバートは改めて辺りを見回す。足元の瓦礫や景観に紛れ、あちこちに大小様々なMTの残骸が転がっていた。〈HOPE〉の街並みは破壊され、続々と火の手と煙が上がりつつある。建て直して復興するにしてもそれなりに時間が掛かりそうだ。 アルバートはコクピットのシートに身を沈ませたまま考える。一体、この襲撃にはどのような意味が込められているのだろうか? 敵の練達具合から察するに、一介の武装集団や盗賊団とは明らかに違うだろう。何故なら敵部隊は金目の物を強奪するわけでもなく、都市機能の破壊や、警備隊戦力の排除に傾注していたからだ。 事実、物資保管庫は破壊されているだけで、中身が運び出された形跡は無い。それに加え、リニアレールの路線や、産業区の工場プラントが徹底的に破壊されている事を鑑みると、敵部隊の狙いは最初からそういった都市機能の破壊にあったのではないかと思える。 フラーネは〈HOPE〉を管理運営しているのはミラージュだと言っていたから、もしかするとミラージュに敵対する企業の兵だったのかもしれない。いずれにせよ、それを考えるのは自分の仕事ではない。後はミラージュに任せておけばいい。 それよりも、フラーネを一人でシェルターに置いて来てしまったことの方が気懸かりだ。行き掛けのあの剣幕を見るに、これ以上放置して怒りを蓄積させるのはどう考えても得策ではないだろう。 ガレージに機体を返そうと【プロトキャット】を翻した時、何の脈絡も無く“ソレ”は現れた。 “ソレ”を一目見た時は、場違いにも「鳥か?」と思った。だが、すぐに誤りに気付く。ソレは鳥よりも遥かに巨大で、生物とは明らかにかけ離れたシルエットを持っていた。 ACのような巨躯に、悪魔のような姿。腐ったオレンジ色と汚れた鉄色のツートンカラー。 ソレは、今まで見て来たどんな兵器とも違う禍々しさを放っていた。 「なん、だ……あれは?」 疑問がそのまま口をついて出た。 ソレは何も無い空中に、何の支えもなく浮いている。 頭と肩や胴体のようなものはあるが、脚は無く、ACで言うフロートのような構造になっている。両肩からは砲身のような細い円錐がそれぞれ伸び出していて、腕に相当する部分が無く、代わりにブレードのような不気味に発光する刃が付いていた。 武器腕を装備したACと思えなくもないが、自分の中の何かがそれは違うと叫んでいた。 何よりもおかしいのは、ソレが居るはずの空間にレーダーは『何も存在していない』と反応を示している事だ。 妨害電波は最後の重装型MTを倒した時から止まっている。つまりレーダーが故障したのでなければ、あの機体は驚異的なステルス性を有していることになる。まるで、幻影か蜃気楼のように。 こちらの視線を感じ取ったのか、空中に浮かぶその機体はゆっくりとした動きで【プロトキャット】に向き直った。 カメラアイを通じて目が合った瞬間、出撃する時に感じた肌の粟立つ感覚が蘇った。それも、数段強烈に。 あの時の感覚の正体はこの機体だったのだ。 「ぐッ、う……」 生存本能が有らん限りの力で警鐘をぶっ叩き、「早ク逃ゲロ」と声高に叫ぶ。 【幻影】はスローモーションのようにゆっくりと両肩の円錐をこちらに向ける。 吐き気すら伴う激烈に嫌な予感を感じ、アルバートは咄嗟に【プロトキャット】を横に滑らせる。 その直後、今まで【プロトキャット】の居た空間を青い光が貫いていた。 恐る恐る背後に目をやると、数十メートルに渡って地面が抉られており、アスファルトが煮え立ち、黒いタールの沼と化している。 弾速も破壊力も、記憶にあるどのレーザーキャノンのスペックをも上回っていた。 「この……ッ!」 だがこれでハッキリした。アレはやはり敵なのだ。 アルバートは麻痺しかけていた心に喝を入れ、【幻影】を睨みつける。 「そっちがその気なら、やってやろうじゃないか!」 アルバートは吠えると、データでは何も居ないはずの空間に目掛け【プロトキャット】を疾走させる。 緩急を付けたレーザーの光条が【幻影】を撃ち抜こうと放たれるも、敵の挙動はそれを許さない。 左右へ鋭角的に切り返し、その全てを避け切った。 ――速いな……。それにフロートのような滑りも無い。だがロックオンは可能だし、そう無理な動きでもないな) アルバートは冷静に情報を分析していく。勝負を仕掛けるにはまだ敵の正体が不明過ぎたからだ。懐に潜り込んでも、そこを隠し腕でバッサリやられては適わない。 アルバートはある程度接近した所でビルの陰に【プロトキャット】を隠し、レーザーライフルだけを陰から出して狙撃の構えを取る。 サイトの中の【幻影】は、動きを止めて肩のレーザーキャノンを構えていた。 ――こちらが出て来た所を狙い撃つつもりか? いや、あれは……。 【幻影】の構えるレーザーキャノンに、機体中の光が集まって行くように見えた。そして、その砲口は先程とは比べものにならない青光を湛えていた。 「……やばい!?」 【プロトキャット】が右に飛ぶのと、落雷のような光が走ったのはほぼ同時だった。 【幻影】から放たれた強烈な光弾は、盾にしていたビルを易々と貫通し、【プロトキャット】直下の地面に突き刺さって大爆発を起こした。 「――ッ!!」 強烈な衝撃がコクピットを襲う。アルバートは衝撃に耐えながら必死に機体を操作するが無駄に終わる。 爆発の余波をまともに受けてしまった【プロトキャット】は吹き飛ばされ地面を十数メートルも転がり続けた。 「ガッ……ゴフッ! ……ちく、しょう……」 アルバートは咳込みながらも、何とか機体を起き上がらせ、身構える。だが、次が来たら避け切れないと悟っていた。 だが予想に反して追撃は来ない。 涙に霞む視界で【幻影】の方を見やると、排熱のためか機体の放熱口を全開にして佇んでいた。どうやら向こうもすぐには動けないようである。 「連発は、……さすがに出来ないか……」 盾にしていたビルを見ると大きな穴が開き、地面には巨大なクレーターが出来ていた。 直撃していればこの機体など蒸発していたに違いない。まさしく敵の必殺技だった。 「ハア、ハア……。クソッ、チャージして、レールキャノンみたいにも、使えるのかよ」 “溜め”の時間に応じて威力と反動も上がるのだろう。 アルバートは荒い息を吐きながら機体をチェックする。今の衝撃で各部のアクチュエーターに異常が出始めていた。特に爆発を浴びた左側の機体状況は深刻だ。 「AP五〇%にダウン……レーダー破損……左腕部損傷率八〇%突破だと?機動力低下、自動迎撃システム応答無し、機体温度耐久限界、……散々だな」 たったの一撃で満身創痍だ。お手上げに近い状況だが、まだ機体は動く。 「観察している余裕は無いな。やるしかないか」 死ぬ気は無いが、部が悪すぎた。 いざという時の覚悟を決めると、アルバートはオーバードブーストを起動させ、トリプルロケットを構える。 「悪いなフラーネ。戻れないかもしれない」 フラーネの笑顔を頭に思い浮かべ、【幻影】に向けて【プロトキャット】を突っ込ます。 【幻影】も排熱を終え、戦闘態勢に移行している所だった。 「逃すか!!」 完全に移行し切らない内に、トリプルロケットを連射し、更に距離を詰める。 【幻影】もアルバートの気迫を悟ったか、無理矢理機体をスライドさせ、回避行動を取った。だが、一歩遅くロケットの砲弾が右腕を捉える。着弾した肘付近の装甲が吹き飛び、内部の構造が露わになる。衝撃に【幻影】がバランスを崩した。 アルバートはそこを見逃さず、レーザーライフルで追撃を仕掛ける。幾らかは確かに直撃した筈なのだが、【幻影】は構わず、お返しとばかりに左右の腕から光波を投げつけて来た。 「クソッ、効いてないのかよ!」 悪態をつきながらも機体を捻り、光波を躱す。ギリギリの所で光波は虚空に消えて行った。 「喰・ら・えェェェェェェェ!!」 雄叫びを上げ、アルバートは【プロトキャット】を更に【幻影】の懐に捻込む。左右から来る光波をこちらもブレードで弾きながら、ありったけのパワーでブレード【幻影】に振り下ろす。 【幻影】もブレードをクロスさせ、防御姿勢を取った所に【プロトキャット】の光刃が激突した。 激しいスパークが夕闇迫る〈HOPE〉の空に散る。【プロトキャット】と【幻影】はお互い一歩も退かず、ブレードをぶつけ合っている。しかし、その均衡も長くは続かなかった。 コンデンサーのエネルギー量に決定的な差があるため、徐々に【プロトキャット】が押され始めていたのだ。 「クッ……! あと少しだってのに!」 最早完全に【幻影】が押し返していた。このままではいずれ押し切られ、真っ二つにされるだろう。 ――何か、何か無いのか!? アルバートの視線がコクピットを這い回る。その時、ある物が目に飛び込んできた。そしてそれは、まさしく渇望した“勝利の鍵”だった。 「これで、決めてやる!!」 アルバートは¨emergency¨と書かれたプラスチックカバーを拳で叩き割ると、中にあったレバーを¨LIMIT BREAK¨と表示されている方に切り替えた。 その瞬間、メインモニターに¨LIMITER RELEASE¨と赤い文字が浮かび、ジェネレーターが爆発的な勢いでエネルギーを生成し始める。 【プロトキャット】のブレードが一秒毎に太さと長さを増し、遂には刀身が機体の身の丈まで成長する。 形成は一気に逆転していた。 「くたばれェッ!!」 巨大な神剣と化した【プロトキャット】のブレードは、【幻影】の両腕のブレード発振器を切り飛ばし、その禍々しい機体を深々と切り裂いていた――。 空中にて死闘を演じた両者が地に落ちてくる。片方はダメージによって、片方はシステムダウンによってだ。 重い音を立て地に着いた二機は、どちらが勝者なのか分からない程傷だらけだった。 「やった……のか?」 モニターに映る【幻影】は切り裂かれた装甲の間から火花を散らし、脈打つように明滅していた電光も消失していた。首を垂れ下げ、動く気配は見えない。 その【幻影】の姿を確認した時、左腕のブレードが過剰なエネルギー量に耐えかねたかのように溶け落ちていった。 「はぁ――。助かった……」 アルバートは盛大に息を吐き出し、リミットレバーを元に戻す。途端にシステムエラーのメッセージがモニターを埋め尽くした。 リミッターとは旧式のコアに付けられた機能だ。一時的に無限に近いエネルギーを生み出すことが出来るが、時間が過ぎればジェネレーターが焼き付いて使い物にならなくなる。本当に最後の手段である上に、機体の耐久度を著しく消耗するため廃止されたと聞いていた。だが、まだ現存する機体が残っていたらしい。 改めて【幻影】を検分しようと視線をモニターに戻すと、そこに在るべき物の姿は無かった。 機能停止していた【幻影】の姿が無いのだ。 想定外の事態に、頭は完全に混乱していた。 ――どういうことだ!? 確かに奴を斬ったんだぞ!? 手応えは有った。【幻影】が光を失う様もこの目で見ている。 それとも奴は本物の幻影で、自分は魑魅魍魎の類に化かされていたとでもいうのか。 ――馬鹿な! そんな筈があるか! 愚念を振り払い、【幻影】の姿を必死に探す。――――居た。 〈HOPE〉の天井に開けられた大穴を背に、奴はこちらを見ていた。 切り裂かれた胸部装甲から火花を放ち、両腕は消失した姿のままだ。 普通のACならば明らかな致命傷である。動ける事自体が既におかしい。 「化け物にも、程があるだろ……」 アルバートは絶望したように呟く。 【プロトキャット】にはもう戦う力は残されていない。レーザーキャノンの一撃で終わりだ。 しかし予想に反して【幻影】は何もして来ない。最後にこちらを一瞥すると、フラつく機体を翻して、開いた天穴から闇夜に消えて行った。 「逃げた……のか?」 辺りに静寂が訪れる。心臓が血液を送り出すドクドクという音が妙に大きく聞こえた。 【幻影】が何者であったのか分からないが、人ならざる異質な感覚を常に放っていた。無人機なのか――それとも本当に幻影だったのかもしれない。 だが、今はそれを確かめる術は無い。 アルバートは【幻影】の消えた夜の闇を見詰めながら、苦い唾を飲み下した。 アルバートは必死の形相で第八地下シェルターに向けて走っていた。 あの後すぐガレージに【プロトキャット】を返すために戻ったのだが、報道陣に囲まれてインタビュー責めにあってしまったのだ。 『敵部隊をたった一人で壊滅させた謎のレイヴン!』だか何だか知らないが、アルバートにとってはただ鬱陶しいだけである。 ガレージで出迎えたあの作業員には、自分が正規のパイロットではない事がバレてしまっていたが、今回の功績に免じて不問にしてくれるそうである。有り難い限りだ。 問題は報道陣の追撃を躱すのに時間を食ってしまったという事だ。 ガレージに機体を返したら、すぐにフラーネを迎えに行くつもりだったのにとんだご破算である。 そんな理由もあり、第八地下シェルターに到着したのは敵を全て退けてから二時間も経ってしまっていた。 アルバートが入り口から恐る恐る中を覗くと、巨大なフィットネスジムのような空間にポツンとフラーネが膝を抱えて座り込んでいた。その傍らには、警備隊の隊員だろうか?心配そうな顔付きの兵士がオロオロとした様子で付き添っている。 ――怒ってる……よなぁ、やっぱり。 アルバートは言い訳を考えながら慎重に近付いて行き、フラーネの少し手前から声を掛けた。 「あ、あのー。フラーネ、さん??」 こちらの声を聞いたフラーネが、膝に埋めていた顔をガバッと上げる。 「うっ…………」 その目は涙で潤んでおり、いつもの元気な姿と併せて反則的なギャップを生み出していた。 「その……、何て言うかごめん、……なさい。ごめんフラーネ。待たせてごめん」 言い訳も何も、そんなフラーネの顔を見た瞬間吹っ飛んでしまった。ただひたすらに謝る。 フラーネは立ち上がると、一度メイクが落ちないように顔を擦り、アルバートの方に駆け寄って来る。まるでドラマで見るような光景だった。 「……アルバートぉ~~~!」 「フラーネ!」 アルバートも名を呼び、抱き留めようと手を広げて待ち構える。 「の!!」 「の?」 フラーネはそのまま『助走』を付けた足を振りかぶると、 「ヴぁか~~~~~!!!」 アルバートの無防備な股間を全力で蹴り上げた。 シェルター内には「ァオオ……」だのと言う奇声が暫くの間響き渡った。 脂汗を顔から滝のように流しながらアルバートがようやく立ち上がる。ただし前屈みではあったが。 「……な゛に゛す゛る゛ん゛ですか、ブバーネざぁん……」 「“な゛に゛す゛る゛ん゛ですか”じゃないわよ!! アンタ一体いつまでワタシを待たせるっていうの!!」 フラーネは本気で怒っていた。 「だ、だから謝ったじゃないか……。それに、マスコミに捕まって時間を余計に食ったんだよ……」 「そんなことは関係ない!! アルバは今日退院したばかりなんだよ? あんな無茶したら怒るに決まってるでしょうが!!」 (じゃあショッピングに引き連れ回すのはいいのかよ……) 「何か言った!?」 「ヒィッ、すみません何も言ってません」 まるで地獄の裁きを受ける咎人になった気分だ。アルバートは身を縮こめて閻魔様のお沙汰を待った。 「……それに凄く心配だったんだからね? 一人で飛び出して……凄く心配だったんだから。……こんなに、こんなに傷付いて!」 幾分怒りが収まったのか、声のトーンを落としてフラーネが囁く。 「……ごめん」 確かに、幾らなんでも今回の事は軽率だった。 フラーネにしてみても命の危険が迫る中、一人でその恐怖に耐えるのは心細かったに違いないだろう。 アルバートは前屈みのまま真摯な声色で謝る。 「だけどフラーネ、聞いてくれ。俺は今回の一件で決めたんだ。俺には俺の力を人殺しにしか使えない。でも、君が居れば違う結果を出せると思う」 そこで一旦切り、続ける。 「……俺は再びレイヴンになってみせるよ。だけど、俺はその力を君のためだけに使いたい。君だけのヒーローになりたい。上手く言えないけど、俺は君の笑顔が好きだから、君にはいつも笑顔でいて欲しいんだ」 歯の浮くようなセリフがスラスラと口をついて出た。それに、自分は何を言っているのだろうと思う。レイヴンになることと、フラーネに笑顔でいて欲しいことに、何の関連性があるというのか。 だが、フラーネには真意が伝わったようである。 目を丸くしていたフラーネは、おかしそうに吹き出した。 「カッコ悪いセリフね。もうちょっとそういう分野も勉強した方がいいわ」 それからにっこりと花が咲くように笑った。自分が好きな、あの笑顔だ。 「でも、そう言ってくれて嬉しい……かな? っま、及第点ギリギリってところね」 「厳しいな」 「とーぜんよ」 目が合うと、二人してどちらともなく笑い出した。何となく、とても、良い雰囲気だった。 「あーおほんっ」、という咳払いに振り向くと、居残っていた警備隊員が非常に居心地が悪そうに制帽を弄んでいた。惚気に当てられたか、顔が赤い。 「そ、そろそろ帰ろーかー! も、もう暗いしな!」 「そ、そーね! そーしましょう!」 顔を赤く染め、二人はワザとらしく話題を変えると、逃げるように出口へ急いだ。 ――だけども、そんなアルバートの右手とフラーネの左手は、お互いにしっかりと繋がれていたのであった。 ――終―― コメントフォーム 名前 コメント
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「白翼の対価*②*③」 執筆者:CHU AD101_12/15_16:31 その男は、今まさに死につつあった。 汚い廃棄処分場の片隅で、ただ人生の終焉を待つだけであった。 満足に呼吸も出来ず、喉からは掠れた擦過音が漏れる。指一本動かす事も出来ず、――否、体が言う事を訊かないのだ。動けと命じても、脳がそれを筋肉に伝達する事を拒む。 だが、男は己の運命を受け入れていた。 だから、もう足掻くことも諦めていた。 自分は翼を失い、地に落ちた。それは自分の撒いた種によるものだ。座して死を待つ結末にも、後悔だけはしていなかった。 幾らかの時間、気を失っていたらしい。塵屑のシルエットが朧気になる程度には、辺りが薄暗くなっていた。 ふと、胡乱なままの視界が遮られる。それは、顔が映り込みそうなくらいに磨き上げられた黒い革靴だった。自分を含め、塵屑しか無いこの処分場には明らかにそぐわない高級品だ。 持ち主の顔を拝もうと、顔を持ち上げようとしたが無駄に終わる。仕方無く目の前の革靴をじっと見つめた。 "こ――ア――か?" "―い、――" 革靴の主達は何かを囁き合っていた。 頭上での会話は聞こえていたが、意味を理解することを脳が拒んだ。自分の事について言っているくらいしか分からない。 声の主達は最後に何か言った後、来た時と同じ唐突さで去って行った。 声が聞こえなくなるのと程なくして、遠くから車のエンジン音も聞こえて来た。どうやら、大型の車両が一台、この廃棄処分場へ乗り入れて来るようだ。 静寂から一転して急に騒がしくなり始めた処分場。面倒になる前に死ねなかった自分の不運を呪いながら、男の意識は暗い闇の淵に沈んでいった。 ※ 目覚めて、まず最初に目に飛び込んで来たのは真白い天井だった。 眼球だけを動かして辺りを見回す。 白い天井に白い壁。棄てられた廃棄処分場で飽く程見た、薄汚れた灰色の空は無い。 ――どこだ、ここは。 窓も無ければ時計も無い。白い部屋という視覚情報以外に、状況を把握する材料が無かった。 どうやら、自分はベッドに寝かされているらしい。清潔そうなシーツが体に掛けられ、背中にはやや固めなマットレスの弾力を感じる。右腕には、点滴のためのチューブが刺さっていた。 ――病院、病室か。指は……動くみたいだな。 驚いたことに、体が動くまでに回復していた。 確か自分は指一つ動かせずにいたはずだが、今は力こそ入らないものの、体を動かすことが出来るようになっていた。 ナメクジが這うように、酷く緩慢な動作で、手を顔に持っていく。触れた感触から、頭を全て覆うように包帯が巻かれていることが分かる。 勿論、この場所で目覚める前はこんなものしていない。 状況を整理すると、信じ難いことではあるが、死に掛けだった自分を何者かが治療してくれたらしい。 ――いったい、誰がこんなことを? 頭は霞掛かったようにボンヤリしていたが、普通に思考することが出来る。 ゆっくりと、意識を失う前の事を思い出す。 ――俺は確か、作戦で失敗して多額の負債を……。 時間が経つにつれ、次第にはっきりと思い出す。 ――そうだ、その負債が負債を呼び込んで、全てを失ったんだったな……。 レイヴンだった自分は、とある作戦に参加した。自らの試金石ともなる大規模な作戦だ。 知り合いのレイヴン達と参加したその作戦で、自分は致命的な失敗を犯した。敵に命乞いをされ、見逃してしまったのだ。そして、その敵は、作戦の鍵を握る敵側の要人だった。 作戦は当然失敗。自分はその責を全て負い、多額の負債を背負い込む結果になった。 冷静になって考えてみれば馬鹿げた金額だと思う。 新品のACが何機という程度ではなく、それなりの規模の都市予算に匹敵する程の金額だった。 『世間知らず』だった自分は、碌に内容を改めないまま、負債の契約書にサインをしてしまった。 ――その結果が、あの地獄だ。 途方も無い金額を個人で返済する手段など、常識で考えてあろうはずも無い。自分の身柄は債券との引き換えに、ある研究所へ引き渡された。 表向きは強化人間研究を謳ってはいたが何のことはない、その実態は、人間を弄ぶことに悦楽を覚えるような、真性の変態科学者共の掃き溜めだ。 時間の感覚が消失する程の長い間、自分はその地獄で身体を徹底的に弄ばれた。 稚児に与えた玩具の方が遥かにマシな待遇と思える程に、研究所での所業は凄惨を極めた。 死ななかったのが不思議だが、死んだ方が幸せだろう。 意識がまだある内に、腹を裂かれ、内臓を摘出される方が好みというのならば、また話は違って来るが。 そしてそんな地獄が永劫続くかと思われたが、呆気ないくらい唐突に終わりはやって来た。 被検体だった自分には何があったのかなど知ったことではないが、散々玩具扱いしてくれた悪魔共が、右往左往して狼狽している姿は、見ていて痛快と言うほかなかった。 その後、自分は文字通り『ゴミ』として廃棄処分された。 そして何者かが処分場に来て、気付けばこの有り様という訳だ。 ――ともかく、体はまだ完全とは言い難いか。今すぐどうこうすることは出来んな。 腕くらいならば動かせたが、体を起こすことはさすがに無理だった。 仕方なく腕を下ろし、静脈に刺さったチューブを滴り落ちる点滴を眺めていると、荒い足音が近付いて来るのが分かった。 誰かがこちらに向かって来ているようだ。 足音から判断するに女――それも、若い女だ。 足音が部屋の前で止まると、ドアが遠慮がちに開けられた。 入って来たのは、どこかの企業の制服であろうスーツに、なぜかエプロンというチグハグな格好をしているが、人目を惹き付ける程の美しさを持つ女だった。 プラチナブロンドの髪と、陶磁器のような抜ける程に白い肌。それらに負けない整った顔立ち。そして何よりも、ルビーの如き赤い瞳が印象的だった。 見たことも無い美貌に見取れていると、女がベッドの横まで歩み寄り、こちらの顔を覗き込んだ。 掛ける言葉も見付からず、暫しの間、互いに見つめ合う。 先に口を開いたのは女の方だった。 「やっと気がついたのね、良かった……」 「……」 「どうしたの? どこか痛む?」 面識の無い人間に心配されて困惑しているだけだったのだが、余りにこの女が心配そうな顔をするものだから、こちらが悪いことをしている気になってしまう。 「いや……、別にどこも、痛まない」 本当は背筋に刺すような痛みがあり、内腑も焼けるように熱かったのだが、女の心底安堵した表情を見ていると、そんなことはどうでも良くなった。それに、痛みには慣れている。この程度なら屁でもない。 「でもほんとに良かったわ。アナタ、ここに運び込まれてもう一ヶ月も意識が戻らなかったのよ? さすがにもう駄目かと思っちゃった」 「一ヶ月……?」 そんなに時間が経っていたとは思わなかった。精々が三日程度だと――。 「でもま、その間はほとんど手術だったから仕方ないのかも」 自分の身体の事も気になったが、それよりも聞いておきたいことがあった。 「ここはどこだ? なぜ俺はここに居る? 誰が俺を治療した?」 目が覚めた時からの疑問を矢継ぎ早に口にする。 「ここ? ここはミラージュのコロニーにある病院で、アナタを拾っ……治療したのはコーテックスよ」 「コーテックス? あのグローバルコーテックス?」 「“その”グローバルコーテックスよ」 「……そう、なのか?」 疑問が解けた途端、また新たな疑問が浮かぶ。 グローバルコーテックスといえば、不干渉中立を謳った――言い換えれば『冷たい』ことで名の通った傭兵仲介企業だ。不良品の自分を、一体いかなる理由で助けたというのだろうか。 まさか女が嘘をついている訳でもあるまい。 第一、自分を騙した所でメリットが無いではないか。 答の出ない問が出口を求め頭を廻る。 だが、自分は詮無いことは気にしない質だ。疑問を脇に追いやり、横に立つ女に話し掛けた。 「お前はここのナースか何かか?」 「……あのね、レディに対して『お前』は無いでしょ、『お前』は!」 「えっ? あ、いや……すまない」 何か自分はドジを踏んだのだろうか。急に女が怒り出したので、慌てて謝る。 横目で様子を窺うと、女は額に手を当て『やっぱりほっとくべきだったかしら……』などと良く分からないことを呟いていた。 どうにも居心地が悪いので、無理矢理話題を探す。 こういった時に朴念仁の自分が憎らしい。 「えーっと、それじゃ何て呼べばいいんだ? 君のこと」 「ワタシ? ワタシはフラーネ。フラーネ・フェモニカよ。アナタは?」 フラーネと名乗った女はパッと顔を輝かせ、身を乗り出して逆に聞き返して来る。 変わり身が早いというのか、目まぐるしく表情が変わる女だ。 女の“アナタは?”というのは、自分の名を聞いているのだろうか。 ――いや、まあ、そうなんだろうが。 恐らく、被検体番号でも、レイヴンとしてのコードネームでもなく、「名前」を要求しているのだろう。 名前など終ぞ使ったことも無いから忘れ掛けていた。 気恥ずかしかったが、怒らせた手前、名乗らないわけにもいかない。 「俺は……アルバ。アルバート・ワイズ・イークレムだ」 「そっか、よろしくねアルバ」 差し出された手を、力の入らない手で握り返すと、フラーネは満足そうに微笑んだ。 それからフラーネには色々な事を教えられた。 自分が公には死亡扱いになっていること、内臓がほぼ人工器官に置換されていること、背骨の中をファイバーケーブルが通っていること。 そして、自分があの研究所に一六年も居たということだ。 彼女の話と摺り合わせると、そういう結論になる。 全て聞き終わる頃には、頭がパンクしそうだった。 「体の傷は実はもう大したことないの。ただ、筋肉が衰えているから長いリハビリが待ってるけどね」 「そうか……」 リハビリが必要と聞いてもさして気にならなかったが、これからのことを考えると、どうしても不安が頭をよぎる。 治療費やら、病室の利用料やらで多額の請求が来るのは明白だ。 しかし、自分には返済の当てが無い。 ACがあれば治療費どころか、病院を丸ごと買い取るくらい造作無いのだが、生憎と、愛機は借金のカタに売り払われてしまった。 体一つしかない自分に、この際恥も外聞も無い。 覚悟を決めて口を開く。 「ええっと、フェモニカ……さん?」 「フラーネでいいわ。さんも要らない」 「それじゃフラーネ。俺の体が動くようになったら、どこか働ける所を紹介してくれないか? 君の知り合いの所で雑用でもいい」 小間使いだろうが、稼ぐためならやるしかない。 会ってまだ数十分の人間にこんなことを頼むのも野暮の極みだが、今は藁にでも縋るしかないのだ。 フラーネはこちらの申し出に意表を突かれたのか、不思議そうな顔をしていたが、やがてやんわりと子供に言い聞かせるように言った。 「働きたいっていうのは殊勝だけど、今は体を治すことに専念するべきね。体が動かない内からそんな皮算用してどうするの」 「そうは言ってもな、……俺は無一文だ。ここの支払いだって出来やしない」 「ああ、そんな事気にしてたわけね」 フラーネはおかしそうに笑っている。 「治療費も病室の利用料も、全部ワタシが払って上げたわ。だからアナタは安心して養生すればいいの」 「へ?」 今、何か良く分からないことを聞いた気がする。払ったとか、何とか――。 いくら何でも自分に都合良く聞こえすぎだろう。 「あー、すまないフラーネ。まだ耳の調子が悪いみたいだ。何か君が代わりに治療費を払ったとか聞こえたんだが」 「そう言ったんだけど」 「何でだよッ、おかしいだろ!?」 「なによー。何がおかしいっていうの?」 「何で見ず知らずの君が、俺の治療費を払ったりするんだ!」 「だって、アルバはもうワタシの所有物なんだもん」 「…………」 耳が悪いと思ったら、どうやら自分は脳もやられていたらしい。 言うに事書いて『所有物』と来たもんだ。 「今、所有物と言ったのか?」 「そーよ」 「もしかしてこの病院が君の所有物?」 「違うわよ」 「じゃあ、この病室が――」 「もう、違うったら! アナタが! ワタシの! 所有物なの!」 やはり聞き間違いでは無かったらしい。 「じゃあ何か。俺の債権者は君だっていうのか」 「債権者? ワタシは単にアナタの身柄をコーテックスから買っただけよ。――ちなみにこれが証明書ね」 フラーネはそう言って、スーツの内ポケットから折り畳まれたプラスチックペーパーを取り出し、こちらに見やすいように差し出した。 確かに、鼻先に突き付けられた書類は、自分の身柄をフラーネが購入したことを示す契約書だった。 まるで物扱いだが、事実そうなのだから反論出来ない。 それに、こうして動かぬ証拠を見せられたならば、もはや認めざるを得なかった。 「……分かった。確かに俺は法的に君の物だ。しかし俺をどうするつもりなんだ?まさか君のバトラーでもさせようってのか」 「そんなわけないでしょ。ワタシはアルバにもう一度レイヴンになってもらうつもり」 「何だって?」 「アルバはレイヴンなんでしょう? なら、戦場で死になさい。不様に地面を這うなんて許さないわ」 「――!?」 紅い瞳に射抜かれ、有無を言わさぬ強い口調で『命令』される。 「返事をしなさい、アルバート・ワイズ・イークレム」 「……り、了解」 気が付けば、反射的にそう言っている自分が居た。 「ふふっ、よろしい!」 自分の返答を聞くと、フラーネは、またにっこりと笑うのだ。 彼女のその笑顔は悔しいくらいに魅力的で、その笑顔にどうしようもなく惹かれて行くのを、アルバートは禁じることが出来なかった。 ※ それからはフラーネの言う通り、リハビリの毎日だった。 意識が回復して最初の一週間は満足にスプーンすら持てず、(死ぬ程恥ずかしかったが)フラーネに病院食を食べさせて貰う体たらくだった。 しかし、リハビリが一ヶ月も過ぎる頃には、(杖は必要だったが)自力で歩けるようになるまで回復していた。 担当の医師も「尋常ではない」と驚く程の回復速度だ。 どうやら、自分の血液中には目に見えぬ微細な機械が無数に存在しており、その機械が代謝を促進し、回復力を高めているとのことだった。 自分の身体の変わり様には驚かされるばかりだったが、鏡を見た時にはさすがに度肝を抜かれた。 それは自分の顔だ。 鏡を見て目に映ったのは、間違いなく自分の顔だった。ただし、それは二〇台後半時の自分のものである。 フラーネの話を信じるならば、今自分は四四歳のオジサンでなければならない。 いくら童顔気味だったとはいえ、これは老化が遅いのではなく明らかに“停止”していた。 医師に相談して調べて貰った所、どうやら細胞レベルで異常が起きているらしい。 だが医師に「もはや人間として逸脱している」と宣告された時も、自分の心は諦念に似た何かで満たされ、凪いでいた。 研究所に身を委ねた時点で、既に全てを諦めていたのだからそれも当然である。 リハビリを受けている間、フラーネといえば嫌な顔ひとつせず、献身的に介護してくれた。 筋力トレーニングの介助や歩行補助、食事や身の回りの世話に至るまで全て彼女自身が行った。 本来ならばそれは病院のスタッフの仕事である。フラーネがやる必要性はまるで無い。 だが、フラーネは泣き言一つ言わず介護を続けた。 時には仕事終わりのスーツ姿で――。 時には貴重な休日を全て返上して――。 何故そこまで自分に良くしてくれるのか不思議に思い、彼女に問い掛けると、決まって「もうアルバはワタシのパートナーだから」と返って来るのだ。 そして、三ヶ月も経つ頃には、身体は以前と変わらないまでに回復したのだった。 ※ アルバートは何時ものように体を伸ばし、柔軟をしていた。 ここは病院に備え付けられているトレーニングルームだ。 一人で動けるようになってからは、ここで体を動かすことが日課になっていた。 そろそろ本格的に運動を始めようとした時、フラーネが軽やかな足取りで現れた。 何時もより上機嫌に見える。何かあったのだろうか。 「どうしたフラーネ。何か良い事でもあったか?」 「もちろん吉報よ!やっとアルバの退院許可が下りたの」 「へぇ、今頃か」 リハビリが二ヶ月も経過すると、フラーネは担当の医師に退院するという旨を伝えていたのだが、やっと医師が首を縦に振ったらしい。 「アルバはもう大丈夫だってのに、『まだ様子を見るべきだ』とか難癖つけるのよあの藪医者」 「それは普通の反応だと思うぞ」 フラーネの無茶な言い分に苦笑する。 あれだけ身体を弄られた人間を、二ヶ月で退院させるべきでは無いと医師は判断したのだろう。 有り難いくらいに一般的な処置である。 しかし、フラーネはご立腹な様子だ。 来た時の機嫌は彼方へ消え去り、ぷりぷりと怒りを露わにしている。 フラーネとの付き合い方も大体心得て来た。こういう時は、さっさと話題を変えてしまうに限るのだ。 「そうか退院か……。それじゃ住む所を探さないといけないな」 「え? なになに?」 こちらの思惑通り、フラーネは今までの怒りを忘れて食い付いて来る。 「いや、退院するとなれば住む所が必要だろ? 住み込みで働ける所があれば都合がいいんだがな」 「何でそうなるのよっ。レイヴンになるって約束したじゃない!」 「だからレイヴン試験に受かるまで住処が必要じゃないか。今期の募集はもう締め切られたし、次の試験まで半年近くある」 フラーネと話し合った結果、コーテックスのレイヴン試験を受けてみようということになった。 フラーネがコーテックスのオペレーターだから、というのが理由だ。 だが、肝心のコーテックスの新人レイヴン募集は、リハビリを受けている間に終わっていたのだ。 「どの道、退院するとなったら避けられんことだ。いつまでも病院のベッドを使うわけにもいくまい。どこか家賃の安い所でも探すさ」 なるべくフラーネの負担を減らそうという、アルバートなりの配慮だった。 「……住む所ならもう決まっているわ」 「ん? そうなのか」 しかし、その配慮も無駄に終わる。 どうやら、先んじて手配してしまったらしい。 フラーネは、名案だとでも言うかの様に、ガッツポーズをしながら自信満々に語った。 「ワタシの家に住めばいいのよ!」 「………………」 その瞬間、空気が凍りついたのは気のせいではないだろう。 ――私の家に住めばいいのよ……。誰が? 俺か?) 疑問を素直に口に出してみる。 単なる聞き間違いの可能性にアルバートは賭けた。 「俺が、君の家にか?」 「当たり前じゃない。他に誰が居るってのよ」 アルバートは、その場にしゃがみ込んで頭を抱えたい衝動を必死に堪え、自分に言い聞かせるかの如く、ゆっくりと口を開く。 「な・ぜ・だ」 「だってパートナーだし」 「おかしいだろォ――――!!」 アルバートの咆哮がトレーニングルームに響き渡る。 「な、なによー」 こちらの剣幕に気圧されたのか、フラーネはジリジリと後退った。 「パートナーだからって、何で同じ家に住む必要がある?大体、君は警戒心が足りなさ過ぎだ!俺に下心があったらどうするんだよ!」 今まで思っていたことをぶちまける。 そうなのだ。フラーネは余りにも無防備過ぎた。逆にこちらが心配になってしまう。 「な、なに? アルバは下心あるの?」 「えっ、いや、別に無いけど……」 アルバートが口ごもると、我が意を得たとばかりにフラーネが反撃してきた。 「……なら別にいいじゃない! ワタシがいいって言ってるんだから!」 「そ、それはそうだが……」 「それとも何? アルバはワタシと一緒に住むの嫌なの?」 「え……、それはぁ、別に嫌ではないけどぉ……」 こういう時に女はズルいと思う。 そんなことを言われたら、反対など出来るわけがないではないか。 しかし、こうなってしまったら完全にフラーネのペースだ。言葉に詰まっている内に大勢は決してしまう。 もはやフラーネに従うしか道はなかった。 引っ越し作業は退院許可が下りたその日に行われることになった。 そもそもアルバートに私物など無く、体一つなのだから作業と言う程の事はしていない。 自宅に案内すると言うフラーネに、自分のリードを預けるだけだ。 二人は居住区に向かうリニアに乗っていた。 コロニー型の都市は、概ね公共交通機関としてリニアレールシステムを採用している。 この、ミラージュが管理するコロニー都市〈HOPE〉もその例には漏れない。 都市全域を網羅するリニアは、人と物資の運搬をスムーズに行い、都市の機能維持に多大な貢献をしている。 車両の天井に取り付けられたスピーカーから、後五分もすれば居住区に着くと、機械音声でアナウンスが流れる。 リニアの加速を肌で感じながら、アルバートは物憂げに窓からの景色を眺めていた。 この引っ越しについてはいくらなんでも性急すぎる、と思ったが口には出さず、顔にだけ出しておく。 しかし、リニアの隣の座席に座るフラーネに、その事を読み取らせるのは至難だろう。 フラーネは少女のように目を輝かせ、居住区への到着を今か今かと待ち望んでいた。 これでは自分の作り顔など目に入るはずがない。 それに加え、フラーネ自身の事について自分は何も分かっていないのも悩みの一つだ。 なぜ自分をコーテックスから買ったのか? なぜ自分を再びレイヴンにさせようというのか? なぜ自分なのか? 何一つ謎のままだ。 フラーネにその事を聞いても、何時も同じ様にはぐらかされる。 知りたい欲求は確かにあるが、無理に聞き出そうとは思わなかった。 言いたくない理由があるのだろうし、いずれ話してくれるだろうと思ったからだ。 それに――と思う。 彼女は自分にとって恩人である。その彼女の心証を悪くするのは本意ではない。 ふと、違和感に気付いた。 それはフラーネの瞳だった。 ――瞳が、……蒼い? そういえば今まで気付かなかったが、フラーネの瞳が蒼い。 最初に会った時は確かルビーのような紅い色だったはず。だが今は、青空の様な透き通った蒼い色をしている。 ――見間違えか? ……それにしては随分とはっきり覚えているんだが……な。 記憶を掘り起こしても、フラーネの瞳が紅かったのは最初の時だけだった。 リハビリに付き添ってくれていた時も、確かに瞳は蒼かった。 単なる見間違えにしてはやけに鮮明だったが、そんなことを詮索しても仕方がない。 悶々としたまま景色を眺める作業に戻った。 リニアは対照的な二人を乗せ居住区へ走る。 そして、アナウンス通りに、きっちり五分後に到着したのだった。 「ここがワタシたちの家よ。入って入って」 フラーネに案内されたのは、居住区の一角にあるコーテックスの社員寮としてあてがわれたマンションだった。 外観は量産を前提にしたシンプルなデザインで、飾り気が無いと言えば聞こえは悪いが、自分はこのくらいシンプルな方が好みだ。 内装も驚く程シンプルで――――というよりは単純に物が無かった。 玄関から入ってすぐのリビング兼ダイニングの割と広い部屋には、テーブルとチェアがポツンと置かれている。それだけだった。 観葉植物もソファーも、一般的な家電すら無かった。 フラーネ位の年代の部屋にしては、どうにも閑散とし過ぎている。 自分の思っている事に気付いたのか、フラーネが気恥ずかしそうに取り繕い始める。 「ああ、この家、物が無いでしょ――なにも。……ワタシは寝るためと仕事にしか使わないから、インテリアとか置いてないの。ホントよ?」 質素と呼ぶには余りにも閑散とし過ぎていたが、自分の借りていた部屋もこんなものだった。 仕事に使うコンピューターデスクに、ACのパーツカタログなどのAC関連本が収められたアルミラック、世界情勢を知るためのミリタリージャーナル と、安いビールの詰まった冷蔵庫。それ以外に物は無い。 それならばこの部屋の方が余程上等だ。 「いや、いいんじゃないか、それで。俺はいいと思う。……良く分からないけど」 ……自分は何を言っているのだ。まるでフォローになっていないではないか。 ただ、言いたい事は伝わったようである。 フラーネは小さく笑うと、『ありがと』と呟いた。 →Next… ② コメントフォーム 名前 コメント
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Act18.翼の魔女 編集 タイプ 弾丸混合型 特性 回避 30 通常 前方扇形、強打(火炎爆発5) 属性 雷 クリティカル防御 25 生命力 2000万 物理耐性 20 スキル 回転突進前方に回転しながら正面を攻撃。スキル攻撃力100%*3回。40%落雷判定。 マスター装備 チャンピオンのアロン 氷耐性 15 登場モンスター 気絶耐性 30 5方向に乱射前方5方向に発射。スキル攻撃力100%*5発。30%感電判定。 ?? ダウン耐性 40 ?? 快速落下敵の周りを攻撃。スキル攻撃力400%。100%感電判定。 ?? ??
https://w.atwiki.jp/samita_skill/pages/174.html
フラグ ランク スキル名 SP ST スキル説明 ★6 (通常時)超源RUSH確定大当り 30 45 通常時限定 ・6R大当りに当選し、消化後超源RUSHに突入する ★5 (時短中)9R大当り 30 超源RUSH中限定 ・特図2直撃の9R大当り(*1)に当選し、消化後超源RUSHが継続する ★5 (時短中)3R大当り 25 超源RUSH中限定 ・特図2直撃の3R大当り(*1)に当選し、消化後超源RUSHが継続する スタダ ランク スキル名 EV ST スキル説明 ★5 9R大当り×2 25 35 特図2直撃の9R大当り2連(*1)+超源RUSHから遊技を開始します。 ★4 9R大当り 30 特図2直撃の9R大当り(*1)+超源RUSHから遊技を開始します。 ★4 超源RUSH 25 時短3回+残保留1回から遊技を開始します。 ★3 超源RUSH 40 イベント配布スキル 倍率 ランク 倍率 回数 スキル名 EV SP ST スキル説明 ★6 18倍 30 30回転倍率UP[18倍] 20 25 40 30回転の間、大当り確率を18倍します。 ★6 9倍 60 60回転倍率UP[9倍] 20 25 40 60回転の間、大当り確率を9倍します。 ★6 40倍 15 15回転倍率UP[40倍]※ 25 15回転の間、大当り確率を40倍します。 ★6 5倍 120 120回転倍率UP[5倍]※ 25 120回転の間、大当り確率を5倍します。 ★5 13倍 20 20回転倍率UP[13倍] 30 20回転の間、大当り確率を13倍します。 ★5 5倍 50 50回転倍率UP[5倍] 30 50回転の間、大当り確率を5倍します。 ★4 4倍 40 40回転倍率UP[4倍] 25 40回転の間、大当り確率を4倍します。 ★4 3倍 60 60回転倍率UP[3倍] 25 60回転の間、大当り確率を3倍します。 ★3 3倍 30 30回転倍率UP[3倍] 20 30回転の間、大当り確率を3倍します。 ★3 2倍 50 50回転倍率UP[2倍] 20 50回転の間、大当り確率を2倍します。 ★2 3倍 15 15回転倍率UP[3倍] 15 15回転の間、大当り確率を3倍します。 ★2 2倍 20 20回転倍率UP[2倍] 15 20回転の間、大当り確率を2倍します。 ※イベント「集まれ!アイナのお花見お茶会!」10000WAT課金者限定 ※倍率UPは特図1でのみ有効、超源RUSH中は残回数の減算停止 サブ アバター名 対象役 種別 ランクアップ [SSK+]アイナ温泉バージョン 大当り倍率UP 倍率 Lv.1 Lv.2 Lv.3 Lv.4 Lv.5 1段階目 2倍 750回転 700回転 650回転 600回転 500回転 2段階目 3倍 850回転 800回転 750回転 700回転 600回転 3段階目 4倍 950回転 900回転 850回転 800回転 700回転 4段階目 5倍 1050回転 1000回転 950回転 900回転 800回転 5段階目 10倍 1150回転 1100回転 1050回転 1000回転 900回転 [SSK+]クロナ温泉バージョン 勲章+1 -- Lv.1 Lv.2 Lv.3 Lv.4 Lv.5 4% 9% 14% 23% 36% 称号 称号名 効果 ぬくぬく 勲章+ イベント「ぽかぽか温泉タイム」課金者限定 ほのぼの 差玉+ イベント「集まれ!アイナのお花見お茶会!」課金者限定 スペック 型式名 P大工の源さん超韋駄天YTA 種別 一種二種混合機 大当り確率 1/318.1(*2)→ 1/2.06(*2) 時短突入率 特図1 60.2% 特図2 100% 3+1回(*3) ラウンド 3R or 6R or 9R 出玉 330個 or 660個 or 990個(*4) 遊タイム なし 大当り振り分け
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天皇と東大 大日本帝国の生と死 アマゾン(上) アマゾン(下) 目次 上巻 第一章 東大は勝海舟が作った 第二章 明治四年、東大医学部は学生の八割を退学させた 第三章 初代学長・加藤弘之の変節 第四章 『国体新論』と「天皇機関説」 第五章 慶応は東大より偉かった 第六章 早大の自立精神、東大の点数主義 第七章 元落第生・北里柴三郎博士の抵抗 第八章 「不敬事件」内村鑑三を脅した一高生 第九章 東大国史科の「児島高徳抹殺諭」 第十章 天皇「神格化」への道 第十一章 日露開戦を煽った七博士 第十二章 戸水寛人教授の「日露戦争継続論」 第十三章 戸水事件と美濃部達吉 第十四章 元白虎隊総長・山川健次郎の奔走 第十五章 山川健次邸と超能カ者・千里眼事件 第十六章 沢柳・京大総長の七教授クビ切り事件 第十七章 東大経済は一橋にかなわない 第十八章 大逆事件と森戸辰男 第十九章 大正デモクラシーの旗手・吉野作造 第二十章 "右翼イデオローグ”上杉慎吉教授と大物元老 第二十一章 元老・山県有朋の学者亡国論 第二十二章 血盟団事件に参加した帝大生 第二十三章 東大新右翼のホープ・岸信介 第二十四章 新人会きっての武闘派・田中清玄 第二十五章 三・一五共産党大検挙の波紋 第二十六章 河上肇はなぜ京大を去ったか 第二十七章 河上肇とスパイM 第二十八章 血盟団と安岡正篤 第二十九章 昭和維新の最先端にいた帝大生・四元義隆 第三十章 国家改造運動のカリスマ・井上日召 第三十一章 血盟団事件 幻の"紀元節テロ計画” 第三十二章 共産党「赤化運動」激化と「一人一殺」 第三十三章 血盟団を匿った二人の大物思想家 第三十四章 権藤成卿と血盟団グループの壊減 第三十五章 日本中を右傾化させた五・一五事件と神兵隊事件 下巻 第三十六章 滝川事件 鳩山一郎と美濃部達吉 箆三十七章 京大・滝川幸辰教授はなぜ狙われたか 第三十八章 狂信右翼・蓑田胸喜と滝川事件 第三十九章 寛克彦と「神ながらの道」 第四十章 美濃部達吉、統帥権干犯問題を撃つ 第四十一章 美濃部達吉の大反論「一身上の弁明」 第四十二章 ゾルゲ・昭和天皇・平沼騏一郎 第四十三章 天皇機関説論争が招いた二・二六事件 第四十四章 昭和天皇と満州事変 第四十五章 東条が心酔した平泉澄の皇国史観 第四十六章 神官・平泉澄と人間魚雷「回天」 第四十七章 二・二六事件 秩父宮と平泉澄の密談 第四十八章 公爵近衛文麿と平泉澄 第四十九章 終戦阻止クーデタ計面と平泉門下生 第五十章 特攻と玉砕 平泉澄の戦争責任 第五十一章 東大法学部のタブーと恥 第五十二章 矢内原忠雄 キリスト者としての反体制 第五十三章 「太った豚」による矢内原忠雄追放劇 第五十四章 経済学部教授を獄中に葬ったスパイH 第五十五章 経済学部三国志、宿命の権カ闘争 第五十六章 河合派の崩壊と戦時経済研究会 第五十七章 「大逆」と攻撃された津田左右吉の受難 第五十八章 軍艦総長・平賀譲の経済学部大粛正 第五十九章 戦時経済の寵児・土方成美 絶頂からの転落 第六十章 粛学の立役者、田中耕太邸の四面楚歌 第六十一章 難局の経済学部長 舞出長五郎の小心姑息 第六十二章 「無罪、さもなくば重罰を」河合栄治郎の深謀 第六十三章 反ファッショ人民戦線と河合栄治郎 第六十四章 平賀東大 戦争体制下の大繁栄 第六十五章 南原繁総長と昭和天皇退位論 第六十六章 天皇に達した東大七教授の終戦工作 補遺 東京帝国大学が敗れた日 別冊「東京帝大が敗れた日」東大生が体験した「8月15日」 参考文献一覧 【資料】NHK JAPANデビュー第2回『天皇と憲法』をめぐって
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三月事件(さんがつじけん)とは、1931年(昭和6年)3月の決行を目標として日本陸軍の中堅幹部によって計画された、クーデター未遂事件である。 計画 1930年(昭和5年)に政治結社「桜会」を結成した橋本欣五郎中佐、長勇(ちょう いさむ)少佐、田中清少佐らは、「我が国の前途に横たわる暗礁を除去せよ」との主張の下、軍部による国家改造を目指して国家転覆を画策した。これに小磯國昭軍務局長、二宮治重参謀次長、建川美次参謀本部第二部長ら当時の陸軍上層部や社会民衆党の赤松克麿、亀井貫一郎、右翼の思想家大川周明や右翼活動家・清水行之助らも参画。また、活動資金として徳川義親が20万円を出資(戦後返還)した。 計画では、3月下旬に大川、亀井らが1万人の大衆を動員して議会を包囲。また政友会、民政党の本部や首相官邸を爆撃する。混乱に乗じ、陸軍を出動させて戒厳令を布き、議場に突入して濱口内閣の総辞職を要求。替わって宇垣一成陸相を首班とする軍事政権を樹立させるという運びであったが、直前の3月17日に撤回された。 この計画は決して綿密とはいえないものであった。1万人の大衆動員計画は実現性を欠いたものであり、また橋本、大川らの証言によると、計画の最終段階に至って宇垣がクーデターに反対(非合法的手段によらずに首相に就任する見通しが立ったためとの説がある)、小磯や徳川も計画を中止するよう動いたという。宇垣自身は事件への関与を全面否定しているが、彼が計画にどの程度関わったのかは今もって不明である。 その後 本件は、本来ならば軍紀に照らして厳正な処分がなされるべき事件である。にもかかわらず、計画に関与した者の中に陸軍首脳部も含まれていたことから、事件を知った陸軍は、首謀者に対して何らの処分も行わず、緘口令を布いて事件を隠匿した。 なお、宇垣は事件後陸相を辞して、朝鮮総督に就任。1937年には組閣の大命を受けるに至るが、本事件や「宇垣軍縮」が災いし、軍部大臣現役武官制を盾にとった陸軍の強硬な反対に遭い頓挫。その後たびたび首相候補として名を連ねるが、ついに首相の椅子に座ることはなかった。 この事件は、十月事件や士官学校事件、二・二六事件など、のちに頻発する軍部によるクーデター計画の嚆矢であると共に、政界上層部や右翼、国家社会主義者をも巻き込んだ大規模な策謀であった。 参考文献 堀真清編 『宇垣一成とその時代 大正・昭和前期の軍部・政党・官僚』 新評論、1999年。ISBN 4-7948-0435-0。 堀真清「三月事件」p55 - p122 小林道彦「三月事件再考」『日本歴史』2007年10月号 No.713、吉川弘文館。ISSN 0386-9164。p1 - p19 関連項目 桜会 十月事件 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年10月3日 (金) 09 45。
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2012-03-19 11 14 09 (Mon) LAST EXILE -銀翼のファム- 制作 GONZO - 放送局 開始 時間 フレームレート 画質 【00】 TBS 2011-10-07(金) 26 55 - - LAST EXILE -銀翼のファム-1 第01話~第19話 LAST EXILE -銀翼のファム-2 第20話~第21話
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取りあえず荒らし以外OK いえい☆ 自己紹介 【名前】 【年齢】 【最近はまっているゲーム】 akira 13 喧嘩番長3 【趣味】 【特技】 【 自慢 】 ゲーム 柔道 どんなゲームでもすぐに飽きないこと((( アクセス数 今日 - 昨日 - 合計 - 怖い話~俺の体験談~ あれは小学校低学年の頃かな? 友達と山に秘密基地作りに行ったんよ。 よく小さい子って秘密基地つくってそこで遊んだりするっしょ? その山は大阪と奈良の境の山なんだけどダム越えてそのダムの源流の川沿いにのぼっていくんだよ。 で、友達とどんな基地作るか相談しながらのぼっていくと分かれ道があったのね。 あんま人来ない山道だし標識もなにも無かったからどうすればいいかわからなくなったんだ んで、5、6人でいったんだけど3つにわかれたんだ。 左へ行く組、右へ行く組、残って休む組に。 んで、俺は疲れてたから休む組になって一緒に残ってた奴と二人ではなしてたんだ。 それで先に行ったやつらは中々帰ってこないし二人だと会話も進まないから暇になったんだよ んでなんとなく道に落ちてた石を拾って道沿いに流れてる川に投げたんだ。 それがいけなかった… 突然 「何すんねん!!!!!!」 って怒鳴り声が響いた。 そんときはただヤバい!怒られる!って思ってすぐに謝った。 でも返事はない。 不思議に思って川を覗いたら誰もいないんだ。 いや、いるわけがない。 その川は流れが急で岸もない谷川になってたんだ。 それ以上なにも無かったけど先に行った友達達待たなきゃいけないからそこで待ってたんだけど いつさっき怒鳴ったのが出てくるかと気が気じゃ無かったよ だれもいない? ちなみに友達達が帰ってきてからその話したら一人がいきなり走って逃げ出したから みんなで走って帰った。 おじいちゃんにその話をしたら興味深い話をしてくれたよ その山の下の方のダム、昔決壊してその地域の一人がかなりしんだらしい。 その後ダムは修復されたんだけど今度は自殺者がたえなくなった。 しかもその山には(これは半信半疑だが)昔河童がすんでたらしい。 …怖くないね。ごめん。叫ばれた時は本気で怖かったんだ
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本来ガンランスは祖龍に向いていないので、討伐は困難。 時間切れの可能性が高く、無理に挑戦する必要はない。 ただし、他の剣士武器と違って翼の破壊が可能なので、慣れればかなり得。また、砲撃があるので爆弾を使う必要も無い。 他の武器と同じく、武器は常に出しておくようにしよう。 立ち回りは他の武器と同じく、右脚の前に位置取ろう。 武器はガンチャリオットかナナ=フレア。 ガンチャリオットは単純に龍属性なので硬化時以外に強い。 ナナ=フレアは砲撃の威力が高いため、硬化時や翼狙いの際に強い。火属性も案外有効なので、前者で倒せないようならこちらを試してみるのもよい。 防具は装備4で固定。 落雷時 硬化していなければ三回攻撃する。このとき、初撃はリーチの伸びる踏み込み突きで。また、三回目の攻撃はステップのために砲撃は控えること。 なお、怒り時は状況に応じて二撃目を省くこと。 硬化時や翼を狙いたいときは、右翼の前に立ち、突き上げ→砲撃×2→ガード突き(中段突き)。ステップで離脱。状況に応じて砲撃は一回にする。 リロードは攻撃後にステップからの派生がよい。 不自然な足踏み→パンチ 向かって右前に立ち、パンチに合わせて頭を突き上げる。 前に出すぎると即死なので注意。 押し潰し 他の武器では脅威になる攻撃だが、ガンランスの場合は一撃必殺の竜撃砲が狙える。 撃った後はしばらく動けなくなるので、相手の動きをよく見て、場合によってはガードできるように心がけよう。 バックジャンプブレス ベクトルが逆を向くためガードは危険。 移動だけで普通に避けられるので、素直に軸をずらしてしまうのがよい。もちろん、腹下に潜り込んで攻撃しても可。 どうしても避けきれないこともあるが、そういった場合はガードしてもベクトルが逆を向かない場合がほとんどなので、ガードすれば問題なし。ただし、回復薬一個分程度のHPは削れる。 羽ばたき 踏み込み突きで少しでもダメージを与えるとよい。 阻止できるものでもないので、飛ばれたら次の攻撃の準備をしておこう。 ブレス 顔は諦め、脚を攻撃。 突き上げ→ガード突き(中段突き)×α→砲撃×α→突き。ステップで終了。欲張らないように。
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裏切りの日日 裏切りの日日 (集英社文庫) 題名:裏切りの日日 作者:逢坂剛 発行:集英社文庫 1986.7.25 1刷 1990.7.25 7刷 価格:\390 (本体 \379) さて警察シリーズの第一弾長編作品ともなったのが本書で、百舌シリーズに先駆けてはいるものの、これは新作『砕かれた鍵』に較べてもだいぶ纏まりがよく緊迫感に溢れた作品であるように思う。倉木をイメージさせるような切れ者の刑事桂田が主役なのだが、これが決定的に倉木と違うのが、どうも悪徳刑事らしいという「灰色の」部分。 右翼の大物の暗殺事件と、ビルの篭城事件が同日同時刻に発生し、どちらの犯人も忽然と行方をくらます。さて犯人は? トリックは? というミステリーの醍醐味を秘めながら、霧に包まれた桂田の過去と変貌が若き刑事浅見によって探られてゆく。そこに暗示的な登場をするのが津城警視で、警察内部の犯罪を調査する特別監察官というその肩書きはこのときからずっと変わらないものである。 一気読み以外には考えられないような面白小説で長さも手頃で、なおかつ半端なトリックでなく高く評価してあげたいエンターテインメント。最近エンターテインメントと純文学の壁が徐々に取り払われてきている傾向を感じているけれど、逆に娯楽小説というジャンルにこうして徹していながらその技術的な面で高品質をキープしてくれる作家というのは、それなりに貴重なのではないか? 「娯楽に徹する」イコール「作品を量化すれば事足れり」とする作家が蔓延する中で、やはり作家以外にきちんと安定した収入を得ている逢坂剛はゆとりを持って創作に望んでいるのだと思う。いつまでも急がずじっくり、いい作品を、その職人芸でもって編み上げて行って欲しいものだ。 (1992.07.30)