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第9条の5 国際登録の国内出願又は広域出願への変更 国際登録が、 当該国際登録において指定された商品及びサービスの全部又は一部につき第6条(4)の規定に基づく本国官庁の請求により取り消された場合において、 当該国際登録に係る領域指定が行われていた締約国の官庁に対し当該国際登録の名義人であった者が同一の標章に係る標章登録出願をしたときは、 当該標章登録出願は、 次の(i)から(iii)までの条件を満たすことを条件として、 第3条(4)に規定する国際登録の日又は第3条の3(2)に規定する領域指定の記録の日に行われたものとみなし、 かつ、 当該国際登録についてその名義人が優先権を有していた場合には、 当該名義人であった者は、 同一の優先権を有するものとする。 (i) 標章登録出願が国際登録の取り消された日から3箇月以内に行われること。 (ii) 標章登録出願において指定された商品及びサービスが当該締約国に係る国際登録において指定されていた商品及びサービスに実際に含まれること。 (iii) 標章登録出願が手数料の支払を含む関係法令上のすべての要件を満たしていること。
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■浜松 ■崖の街 妙義山のような奇岩の並ぶこの地域は、かつて魔法によって地面が隆起し、破滅的な損害が発生した場所である。 人が住めるような環境ではないのだがそのせいで、大勢の人が生き残った。 二次以降の攻撃や、掃討作戦が行われなかったためである。 この地には断崖絶壁に木で足場を作って人々が住んでいる。 道の細さと高さは絶望的ですらあり、知らぬものにとっては人間が住んでいるなどまったく思いもよらない。 炊事の煙くらいでしかその痕跡は見つからぬだろう。 岩をくり抜いて作られたスペースも少々あるが、これらは共用スペース、集会場になっており、個人のスペースは山の側面、断崖絶壁である。 ここに丸太を30cmおきに岩に突き刺して、上に板を通して足場を作って立体都市を作っている。 建物の平均的な幅は2mほど。 それ以上貼り出すと、足場が壊れる。 この地は猿のようにすばしっこくないと、生活に支障がである。そもそも食料も豊かでないので皆小柄である。 近寄って話しかけるのが大変難儀な土地のため、遠くから見て、職業や個人が特定できるような色鮮やかで派手な模様が 発展し、また楽器や歌で遠くの人々とやり取りを行うことが一般化した。 その断崖の人々は音楽の使い手である。楽器作りも盛んである。 近年人口増に食料供給が追いつかず、移民や貿易の必要を得て、目となる旅人をあちこちに送ろうとしている。 /*/ 現在、数千人、ハママツさんの話では3000人ほどが住んでいる。人だけではなく妖精もいるようであるが 作中描写にはでてきてはいない。 奥行きがないため、一か所に集まれない崖の街では「長老と少女」の話し合いを近くの大人が 「大声の歌」で上下前後に広げている。 一か所に集まれないのでこうして寄り合いが成立している。 大声の歌とは、テンテケテンというあの歌である。 人々の生活は主に、農業と猟と編み物などをしているとのこと。 中でも鳥鍋が人気らしい。 この街は崖に作られた環境上、畑も何もなく(でも農業してたのでどうやってたのだろうか・・・。) 食料を手に入れる手段は乏しく、それでいて人口は増え続けていた。 過去の戦争により男女比率がおかしくなっており、男が少ないらしい。 希望世界でかつて起きた戦争により、崖の街の下には、戦闘騎と呼ばれる自律魔法兵器がおり 崖から落ちた人間を虐殺し食べるという。故に、崖から落ちる=死なのである。 近年の人口増加により崖から落下する危険性が強まり、各家族から一人落下させる「人減らし」の案が考えられている。 人減らしの第一号は、ハママツさんであった。 過去に戦闘騎と岩とか持って大勢で立ち向かったことがあるが、しかし全滅した過去を持つ。 戦闘騎たちは100日に渡って無謀な人間どもを生きながらに食い荒らし、悲鳴が絶えることなく聞こえ続けたという。 その結果、崖の街は戦うことを放棄してしまっている。 ■崖の街(第八話) 元々、ここに結構大きな街があった。 戦闘中の牽制として使われた絶技1つで地面が隆起して 今に見られる山が完成した。 その際に人や妖精が死んだ。 その後、掃討作戦が行われ、多数の戦闘騎が放たれ、これでさらに人が死に、何年にも渡って戦闘騎は動き続け 人や妖精は死に続けた。 それでも、人も妖精も生き残り、切り立った山の斜面に木の杭を打ち込んで、足場を作りの上に住んでいる。 ■崖の街の生活(第八話) 杭を打って作られた幅は人がすれ違うことが出来ないほど、通路と家がだいたい一緒になっており、昼は 通路、夜は家として機能していた。 家と言っても垂れ幕でどうにかしきりを設けたもので、大風の日には役立たずだった。 この街は、細い足場を譲り合って生きていくしか無く、争いはすぐに下に落ちる事を意味する。 ■崖の街の人々(第八話) 数千人が住んでいる。 人数が増えすぎて、足の踏み場もない。住むには不向きな堅い岩場にすら杭を打って どうにか凌いでいる。 素早い動きができそうな身体つきをしている。 ■崖の街の寄り合い(第八話) 奥行きがない為、一か所に集まれない崖の街では、「長老と少女」の話し合いを近くの大人が「大声の歌」で 上下前後に広げている。一か所に集まれないのでこうして寄り合いが成立している。 話している内容は深刻だけど、この街を知らない人から見ればテンテケテンテンとしか聞こえない。 ■崖の街の男女の構成比率(第十話):藤前 エルスー希望世界でかつて起きた戦争により、崖の街の男女の構成比が 著しくおかしくなっているとの事。 少女曰く、自分が生まれる前だから全然実感が無いらしい。 「男一人占めしてたらそれこそ駄目だと思うけどなぁ。」という台詞から 見るに、男が少ないようだ。ー戦争で男女の構成比率が著しくおかしくなっている ーあ、うん。私が生まれる前だから全然実感ないけどね。 ー男一人占めしてたらそれこそ駄目だと思うけどなぁ。 ■崖の街周辺地形 (第十一話) 少女のいる崖の街は、藤前のいる世界では浜松SAに当たる。 ー君のいる現在地の、こっち側の名称なんだよ。浜松SA付近になる。 ■崖の街の住人(第二十二話) ハママツさん曰く、3000人はいるらしい。 ーうん。沢山。3000人とか言ってたなあ(第二十二話) ■崖の街の住人の生活(第二十二話) 着替えしたり、商談していたり、料理していたりする。 ー奥行きのほとんどない山の街を、ハママツは大股で歩いた。着替え中や商談中や、料理中の人々の横を通って行く。(第十一話) ハママツさん曰く、農業、猟、編み物などをしているとのこと。ー何って。生きるために農業したり、猟をしたり。編み物したり (第二十二話) ■崖の街の食料事情(第三十三話) 希望世界の崖の街は、崖に作られた街で、畑も何もなく、食料を手に入れる手段は乏しく それでいて人口は増え続けていた。 それゆえにいつ人減らし(崖から落として戦闘騎に食べさせる) が始まってもおかしくない。時間的余裕はあまりなく、全くない。 ー希望世界の浜松は崖に作られた街で、畑も何もない。食料を手に入れる手段は乏しく、それでいて人口は増え続けていた。 それでいて人口は増え続けていた。いつ人減らしがはじまっても、おかしくない。時間的余裕はあまりない。 あまりないというより、全くない。(第三十三話) ひもじい時は崖に生える草を食べているようである。 ーひもじいと崖に生えている草を食べていたものである。ハママツはここも貧しそうねと、ため息をついた。(第四十二話) ■崖の街の人減らし(第三十二話) 崖の街が人口の増加により、崖からの落下の可能性がある。下には戦闘騎という獣がおり 彼らに殺されるのである。 これを含めて人減らしと呼ぶ。 各家族から一人という方向で進んでいるという。 ー……叔父さんとか叔母さんが下に落とされるのは嫌だな 各家族から一人という方向で話が進んでいたから、大丈夫だ。少なくとも今は(第三十二話) ■崖の街での戦闘騎との戦闘(第三十六話) かつて、岩とかを持って大勢で立ち向かったこともある。そして全滅したという。 戦闘騎たちは100日に渡って、無謀な人間どもを生きながら食い荒らし、悲鳴が 絶えることなく聞こえ続けたという。 その結果、崖の街は戦うことを放棄してしまっている。 ー崖に張り付いて何十年と故郷の人々も何もしなかったわけではない。 時には飢えに苦しんだ末とはいえ、岩とかを持って大勢で立ち向かったこともあったのである。そして、全滅した。 戦闘騎たちは100日に渡って無謀な人間どもを生きながら食い荒らし、悲鳴が絶えることなく聞こえ続けたという。 それで、ハママツの故郷は戦うことを放棄してしまっている。 ■崖の街と西にある街との関係(第三十六話) 西の街から援軍を呼んでくるのが、ハママツさんの使命である。 しかしシタラ曰く、崖の街周辺には司令騎や巨人殺しがおそらくいるという事なので、西の街から援軍を呼んできても おそらく勝つことは難しいだろうとハママツさんは考えている。 シタラは、それに対し鉄砲を量産すればあまり被害を必要とせず勝つことができると言っているが それだと、西にある街の人々が崖の街を占領してしまうのではないかとハママツさんは懸念する。 それに対し、フジマエは、崖の街の人々は食料的にも飲料的にも医療的にも、つまりあらゆる分野で単独では 生きられない規模になりつつあり、人数に比して物資が少なすぎており、どこかの行政区分に組み込まれた方が いいと長老とも話をし了承を得ているとのこと。 占領した人が悪い人である可能性をハママツさんは懸念するが、フジマエはかなり慎重に人選びをしたつもりだとの事。 これに対して、ハママツさんは、故郷がなくなると言う事に懸念を示している。 ■崖の街の梯子と縄梯子 崖の街各所にある梯子と縄梯子 これらを使って、崖の街の一番上まで行くことが出来る。 一番上はかなり寒いという。 ー梯子と縄梯子を連続して登り、ついに崖の街の一番上まで来た。(第十一話) ■崖の街の山の上 崖の街から一番上から山の上に登るのに、街の住人たち、大勢の大人が手伝う必要がある。 主に、ロープや臨時の足場を各所に作って、人を引っ張りあげ、あるいは上に押し上げる必要がある。(第十一話) ー山の上に登るのに、街の住人たち、大勢の大人が手伝った。 ロープや臨時の足場を各所に作ってハママツをひっぱりあげ、あるいは上に押し上げるのである。(第十一話) ■魚(第二十一話) エルスにもいるらしい。 ーシタラは前脚で水面をはたいて魚を一匹釣り上げた。 ハママツさんは山育ちなので魚を食べるのは初めてらしい。(第二十二話) ■精霊(第九話) 空に舞ういくつもの柔らかな光の点の事。 風に飛ばされる。 希望世界では、精霊が踊るという。 ー「君たちが言う精霊が吹いている」 少女が顔を上げるといくつもの柔らかな光の点が風に飛ばされていた。 “こっちでは精霊が踊るというのよ”(第九話) ■関連項目: ■大声の歌(第八話):絶技:歌 長老と少女の話し合い。(第八話)を建物の上下前後に広げる効果を持つ歌。 拡声器?
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詩人さんに100の質問 銀魂好きに100の質問 銀サンから100の質問 銀魂キャラから?の質問 リボーンキャラから?の質問 九兵衛九つの質問 銀魂好きなら答えてみろよ100の質問 銀魂で闇雲に50の質問 土方さん好きに50の質問 銀魂の一番を三十回答えよう 沖神好きに50の質問 銀土好きに35の質問 管理人に100の質問 オリキャラさんに50の質問
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2009バレンタインデー、又は2/6生活ゲームのオチ L:手作りチョコレート = { t:名称 = 手作りチョコレート (アイテム) t:要点 = チョコレート,甘い,込められた愛情 t:周辺環境 = 愛する人 ☆作り方 チョコレートは3種類、 ホワイト、ミルク、ビターを用意。 コーンフレーク適量。 まずボウルを湯せんにかけ、刻んだホワイトチョコレートを溶かします。 コーンフレークを入れ、さっくりと混ぜてそれを、バットの上に引いた キッチンペーパーの上にスプーンで一口大にまとめたものをおきます。 ホワイトがなくなったら、次はミルクチョコレート、ビターチョコレートの 順に同じ工程で並べます。 チョコレートが冷えて、固まったら出来上がり。 そんなに難しくなく3種類の味のチョコレートが出来上がります。 コーンフレークがサクサクとして美味しいですよ! 尚、ホワイトからビターと作ると、ボウルが一つで済みます。 最後に、愛情を込めて用意していたケースに入れ、 シールとリボンで飾り付けします。 /*/ 本当は手紙と共にこのページを送る予定でしたため、 このチョコレートは皆で美味しくいただいてしまいました。 本当に美味しかったです…。 リアルチョコレートは購入したものを送りましたが。 本当はこちらを渡したかったのです。 オズとシュパイツには毎日心の中で花を届けています。 あの子達が安らかでありますように。 いつも私はあなたの心の側にいます。 NWの空の下、どうしているでしょうか? 元気でいますか、無事でいますか? どうか加護がありますように…。 この気持が届きますように…。 /*/ 返事?のようなテンダイスSS 又は2/6生活ゲームのオチ orz レンジャー連邦沖、20km。 8時50分。 漁船はもう帰り終わっていて、釣り客を乗せた釣船だけが、海に出ていた。 その釣船が、跳ね上がる白波をしずしずと従えた蒼龍を見ている。音速近くでも、遠くから見れば意外にのんびりとしているように見えるものだ。 船が大きく傾くほどの干渉波。うちの空軍はなにをやってるんだと、釣船の船長はカンカンであった。まさか帝國の新型機とは夢にも思っていなかったのである。 すぐに漁船の無線で文句が飛んだ。文句は役所から政庁に、政庁から空軍に飛んだ。 空軍ではすぐに大騒ぎになった。そんな時間に訓練飛行はしていない。 空軍はすぐにチェイス機を大量動員。開発中の防空システムに深刻な影響を与えることになった。 /*/ 「見えたぞ」 むつきのドランジは目視でようやく正体不明機を見つけた。彼だけは妻のチョコを食べつつ航路を予想して網を張っており、だからこそ出来た、インターセプトであった。 急いで上がれば迎撃できるというものでもない。 見慣れない機体だった。美しいと思う。彼の戦闘機、燕姫も美しいが、それとはまるでタイプの違う、気高い猛禽のような美しさだった。 「撃墜したくはないな。美しい」 ドランジはそう管制に言うと、無線で呼びかけながら追いつこうとした。 そして追いつけなかった。蒼龍は会話する必要を認めず、悠然と速度をあげて音速を楽々突破して、誰も追いつけない速度で飛び始めたのである。 蒼龍は市街地手前、30kmで高度をあげた。ポップアップ。バゲージを切り離した。 にゃーしゅが預けていたチョコがばら撒かれる。蒼龍は機体バランスを修正するために機体を傾けて飛翔。 3分で国境を越え、地上からチョコによる爆撃ですと聞いたドランジを大いに笑わせた。 /*/ ちなみにPLACEはまだ療養中なので、このSSには出てきていません。 元気だったら一緒に空を飛んでいたかとは思う(苦笑) 2/6に子猫達をマンイーターでの生死判定で亡くし。 その日の生活ゲームで、お互い地雷を踏んでしまったため、 カールは気持ちの整理の為に家出をしていました。 何かあったか分かりませんが、吹っ切れて帰って来た様子。 酷く気落ちしていたのが嘘のように元気に国で働いていますが…。 ねえ、ほんとどうしたの…??? 2011年03月13日 パート19 共和国防空網が帝國で異常な振動を検知する30分前に、ウイスキーが一本贈られた。 差出人はなし。 ―彼が君たちの職務への献身を、けして忘れることはない― とだけ、書かれていた。 /*/ カール・萩野・ドラケンは、ウイスキーを手に取りながら、悩むように考えた。 これは何だろう。 今日はバレンタインだった。妻のためにも早く帰ってやりたいし、猫たちとも遊びたい。妻はケーキを焼いているかも知れない。 ――とはいえ。 カールは考える。何かあると言うことだろうか。 だがメッセージは注意を促すものには見えない。 どう言うことだ。カールは考える。 あるいは逆だろうか。蒼龍がまたチョコを配るので、よろしくとか、そう言った種類の。 カールは頭を振りながら、共和国防空網で異常が発見された場合、通常の対応とは異なって一端城摂政に情報を集め、判断を仰ぐようにと指示を出した後、あわてて妻の元に走った。 花屋が閉まる前に寄って花束の一つも買っていきたいのだった。 贈り主: 06-00147-01:霰矢蝶子 06-00735-01:むつき・萩野・ドラケン 贈り先様:レンジャー連邦の孤児院の子どもたち メッセージ: 私の旦那様の故郷のお菓子「シュトーレン」です。 中にはドライフルーツとナッツがたっぷり入っています。 皆で仲良く食べて下さいね! メリークリスマス! むつき・萩野・ドラケンより。 子供達はわーいと喜んでいる。 メリークリスマス!元気にしていますか。 電子辞書を贈ります。みんなのお勉強の役に立てば嬉しいです。 たくさん用意したけど、もし全員にひとつずつ行き渡らなかった場合は みんなで使って下さいね。 みんなが素敵なクリスマスを過ごせるよう、祈っています。 霰矢蝶子 プレゼント: シュトーレン(50個) 電子辞書(200個) プレゼント所持根拠: シュトーレン:設定的なもの(http //www33.atwiki.jp/mutukidoraken/pages/70.html) 電子辞書:http //maki.wanwan-empire.net/characters/470 備考: 送り先が同じなので、連名での申請になります。 #シュトーレンは孤児院にいる子供たち、200人が食べきれる量として、50個用意しました。 #電子辞書は1セット200個のアイテムです。 子供達はわー、で止まった。さっき食べたばかりらしく、声が小さくなっている。 #そして始めて気づいたが 、アイドレス世界で、レンジャーだけは割とキリスト教が知られてるようだ。 /*/ 贈り主:06-00735-01:むつき・萩野・ドラケン 贈り先様:ドラケン家を代表して、優しいカール(カール・瀧野・ドラケン) メッセージ: カールへ 今年はあなたへ手縫いのシャツ、それと、私とお揃いのパジャマ、カールの故郷のクリスマス菓子「シュトーレン」を。 ブラウとブルには、可愛いお揃いのチョーカーを用意しました。 はりきって沢山用意してしまったので、あなた宛で全部贈るけど、猫達にチョーカーを着けてあげてね。 (嫌がらないで着けさせてくれるかな。(笑)) クリスマスは、うちの子達が家族になった日でもあるね、あの時はとても嬉しかった…。 思い出すと、今でも胸が暖かくなります。 さて、年末は抽選外れちゃったから、次に会えるのは年が明けてからかと思います…。 まあ…状況が許せば、今度は、早めにあなたの膝の上に乗って、沢山「ぎゅー」とかされたいかな。 この間は、うちの可愛いお邪魔が入ったし。(笑) あ、もし、それが叶わなくても大丈夫よ、その時は、やるべき事をあなたと共に出来る幸せ、が私にはあるからね。 (それでなくても、普段、もう一人の私を大切にしてくれているでしょう、それで結構満たされていたりするのです。まったくもって嫁は幸せ者である。) メリークリスマス、いつでも、どこにいても、あなたを愛してます。 むつき プレゼント:下記アドレスにまとめてあります。 http //www33.atwiki.jp/mutukidoraken/pages/69.html ○シュトーレン ○手縫いのおそろいパジャマ(アイテム) ○手縫いのシャツ(男性用)(アイテム) ○猫のためのおしゃれチョーカー/ブラウ用(アイテム) ○猫のためのおしゃれチョーカー/ブル用(アイテム) プレゼント所持根拠: 自分の個人アイドレスHQ管理リストURL http //farem.s101.xrea.com/idresswiki/index.php?00735-01%A1%A7%A4%E0%A4%C4%A4%AD%A1%A6%C7%EB%CC%EE%A1%A6%A5%C9%A5%E9%A5%B1%A5%F3 ○手縫いのおそろいパジャマ(アイテム) ○手縫いのシャツ(男性用)(アイテム) ○猫のためのおしゃれチョーカー/ブラウ用(アイテム) ○猫のためのおしゃれチョーカー/ブル用(アイテム) 設定的なもの(必要に応じてイラストなどのURL) ○シュトーレン(設定的なもの、詳細は以下アドレスに) http //www33.atwiki.jp/mutukidoraken/pages/69.html 備考: シュトーレンは設定的なものです。 皆同じ所に住んでいるので、贈り先は代表でカール宛にしました。 ドランジは猫たちにママからプレゼントだぞーと言ってる。 猫が並んで話を聞いている。 /*/ 贈り主:06-00735-01:むつき・萩野・ドラケン 贈り先様:黒崎家を代表して、04-00111-01:黒崎克耶さんへ メッセージ: かっちゃんへ 旦那さんの故郷のクリスマス菓子「シュトーレン」を贈ります。家族みんなで食べて下さいね。 そうそう、その内、様子見てうちに遊びに来てよ、みんなでもんじゃ焼き食べに行こう。(笑) メリークリスマス、どうか善き日になりますように。 むつき プレゼント:下記アドレスにまとめてあります。 http //www33.atwiki.jp/mutukidoraken/pages/71.html ○シュトーレン(1個) プレゼント所持根拠: ○シュトーレン(設定的なもの、詳細は以下アドレスに) http //www33.atwiki.jp/mutukidoraken/pages/71.html 備考: シュトーレンは設定的なものです。 セイイチローが、妹が美味しそうに食べていました。ありがとう。 と、お礼状を書いてよこした。 沢山の珍しい形の葉っぱが入っていた。 本のしおりにいいそうです。とある。
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「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会 第2章 防災対策一般 2-2 放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置 2-2 放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置(1) 放射性物質又は放射線の放出形態[1]原子炉施設で想定される放出形態 [2]核燃料施設で想定される放出形態(イ) 火災、爆発等による核燃料物質の放出 (ロ) 臨界事故 (2) 被ばくの形態[1]外部被ばく [2]内部被ばく (3) 被ばくの低減化措置 原子力防災に係る計画の立案あるいは充実を図るに当たって基本となる、原子力施設からの放射性物質又は放射線の放出形態、被ばくの形態及び被ばく低減化措置の考え方は以下のとおりである。 (1) 放射性物質又は放射線の放出形態 原子力施設からの放射性物質又は放射線の放出の形態は、施設の特性や事故の形態により異なるものであり、対象とするそれぞれの施設等に応じた原子力防災計画の立案が必要である。 [1]原子炉施設で想定される放出形態 原子炉施設においては、多重の物理的防護壁により施設からの直接の放射線はほとんど遮へいされ、また、固体状、液体状の放射性物質が広範囲に漏えいする可能性も低い。したがって、周辺環境に異常に放出され広域に影響を与える可能性の高い放射性物質としては、気体状のクリプトン、キセノン等の希ガス及び揮発性の放射性物質であるヨウ素を主に考慮すべきである。また、これらに付随して放射性物質がエアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)として放出される可能性もあるが、その場合にも、上記、希ガス及び揮発性放射性物質の影響範囲への対策を充実しておけば、所要の対応ができるものと考えられる。 これらの放出された放射性物質は、プルーム(気体状あるいは粒子状の物質を含んだ空気の一団)となって風下方向に移動するが、移動距離が長くなるにしたがって、拡散により濃度は低くなる。 [2]核燃料施設で想定される放出形態 (イ) 火災、爆発等による核燃料物質の放出 核燃料施設(原子炉施設以外をいう。)においては、火災、爆発、漏えい等によって施設からウラン又はプルトニウム等がエアロゾルとして放出されることが考えられる。これらの放射性物質は上記[1]と同様にプルームとなって放出、拡散されるが、爆発等により、フィルタを通さずに放出され、量的には多いとみられる粗い粒子状のものは、気体状の物質に比べ早く沈降すると考えられる。また、フィルタを通して放出される場合には、気体状の物質とほぼ同様に振る舞うと考えられる。 (ロ) 臨界事故 臨界事故が発生した場合、核分裂反応によって生じた核分裂生成物の放出に加え、反応によって中性子線及びガンマ線が発生し、周囲に放出される。この場合、施設の遮へいが十分な箇所で発生した場合は放射線の影響は無視できるが、遮へいが十分でない場合は、施設から直接放出される中性子線及びガンマ線に対する防護が重要となる。 施設から直接放出される放射線は、施設内外の遮へい条件にもよるが、施設からの距離のほぼ2乗に反比例して減衰するため、その影響は近距離に限定される。核分裂反応によって生じた核分裂生成物の放出は、希ガス及びヨウ素を考慮すればよいが、その潜在的な総量は原子炉施設に比べ極めて少ない。 なお、核燃料施設から液体状の放射性物質の流出があったとしても、多数の障壁や大きな希釈効果によって、周辺環境に重大な影響を及ぼすような流出の可能性はほとんど考えられない。 (2) 被ばくの形態 施設から放出される放射性物質及び放射線による被ばくの形態は、大きく「外部被ばく」と「内部被ばく」に分けられる。 [1]外部被ばく 外部被ばくとは、体外から放射線を受ける場合の被ばくであり、主に原子力施設から直接放出される中性子線及びガンマ線並びに放射性プルームからのガンマ線によって生じる。 [2]内部被ばく 内部被ばくとは、吸入、経口摂取等によって体内に取り込んだ放射性物質が生体の各所に沈着し、体内組織(甲状腺、肺、骨、胃腸等)が放射線を受ける場合の被ばくであり、主に電離効果の高いアルファ線及びベータ線によって生じる。 (3) 被ばくの低減化措置 放射性プルームによる被ばくは、その放射性物質の濃度、放射線のエネルギー及び放射性プルームによる影響の継続時間に比例する。このため、放射性プルームによる被ばくを低減化する措置としては、気密性の高い場所への屋内退避、放射線の遮へい効果の高い場所への屋内退避及び放射性プルームに遭遇する場所からの避難が有効である。 この際、風向きを考慮し、風下軸からある幅を持った範囲の住民に対して措置を講じることが重要となる。また、これらの防護対策を補完するものとして、放射性ヨウ素の内部被ばくに対しては、安定ヨウ素剤を予防的に服用することが有効である。 核燃料施設における臨界事故等により原子力施設から直接放出される中性子線及びガンマ線については、距離による減衰や建家等の遮へい効果があり、原子力施設から遠ざかることや遮へい効果の高い場所への屋内退避により被ばくを大きく低減できる。なお、この場合、屋内退避に当たっては風向きを考慮する必要はない。 飲食物の経口摂取等による内部被ばくに対しては、飲食物中の放射性物質の濃度をモニタリングし、必要に応じて摂取制限や代替飲食物の供給等の対策を講じることが有効である。 「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会
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平日14 45又は14 48~ローカルセールス枠 ハッピーアワー(2023.10.02~、※基本的にフジのみ)は別ページ参照 その他 NBS「ふるさとライブ」(15 20~15 45)/(月)長野創価学会 NST「NST +ストリーム!(ドラマ放送枠)」(14 50~15 45)/(月~金)- BBT「ごごコレ☆ぷらす(ドラマ放送枠)」(14 50~15 45)/(月~金)- ITC/「ごご☆プレ・第2部(ドラマ放送枠)」(14 45~15 42)/(火・木)北陸中日新聞(0'30"・1'00"扱い) 「北陸中日新聞ニュース」(15 42~15 45)/(月~金)北陸中日新聞(0'15"・PT) THK「ドラマOne・2部」(14 48~15 45)/(月~金)- KTV「午後の再放送ドラマ・1部」(14 45~15 45)/(月~金)- OHK「まいどらま」(14 50~15 50)/(月~金)夢グループ(通信販売)(1'00"扱い) tss「ぶちドラ!」(14 45~15 45)/(月~金)- KTS「かごニュー」(14 45~15 20)/(月~金)-
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特許無効審判の被請求人は、第百三十四条第一項若しくは第二項、第百三十四条の二第五項、第百三十四条の三、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。 2 訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
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これから発売予定のモノ その花びらにくちづけを ミカエルの乙女たち ライアーソフト サフィズムの舷窓百合モノ サフィズムの舷窓~an epic~「サフィズムの舷窓」のリメイク 蒼天のセレナリア 漆黒のシャルノス主人公以外の女性視点も多め 白光のヴァルーシア 章ごとに主人公が違う複数主人公モノ どすこい!女雪相撲 紫影のソナーニルW女主人公 屋上の百合霊さん百合モノ ケロQ 終ノ空複数主人公モノ 素晴らしき日々複数主人公モノ るんるんソフト Virgin SNOW ~雪降る丘であなたと~ Virgin SNOW 裏~雪降る丘であなたと~ 戯画 V.G.シリーズ 純愛系 ホリゾーンの上 誕生日~通い妻(自称)日記~ タペストリーヒロイン視点あり ましろ色シンフォニーヒロイン視点あり リアル妹がいる大泉くんのばあいヒロイン視点あり One☆らばー!!純愛系獣姦モノ アルテミスブルー 複数主人公・複数視点 恋夏~れんげ~三章の主人公が女。百合モノ 紅蓮に染まる銀のロザリオ あおぞらマジカ!! 天使憑きの少女 Volume7 11eyesザッピング 処女はお姉さまに恋してる ~2人のエルダー~ヒロイン視点あり この歌が終わったらザッピング ヴァニタスの羊ヒロイン視点あり 恋ではなく 百合 アトラク=ナクア 処女宮 エンゲージ百合DISC カタハネ Noel 闇夜に踊れ フタナリ・性転換・入れ替わり 肉体転移 ないしょのティンティンたいむ お姉さまの♂(アレ) ふたなりカノンちゃん CROWD(TS中心 Xchangeシリーズ性転換系TS Yin-Yang! X Change Alternative性転換系TS X Change Alternative2 ~キミノヒトミニウツルキミ~入れ替わり系TS 世界を征服するための、3つの方法性転換系TS ふたりはマイエンジェル性転換系TS シリアス系 エーデルヴァイス ハード・鬼畜・陵辱・NTR MOON. ゆんちゅ~お嬢さまはご奉仕中~ 斬死刃留 神楽道中記 キスより甘くて深いもの 姦染シリーズザッピング DEVILS DEVEL CONCEPT女性視点有り 性器雇用 学園BETRAYER 性狂育 LEWDNESS~Vita sexualis~ Black Cyc(鬼畜陵辱中心 闇の声異聞録 EXTRAVAGANZA~蟲愛でる少女~ GUN-KATANA(銃刀) ク・リトル・リトル女性視点有り 小夜子 TinkerBell(鬼畜陵辱中心 蝶ノ夢 淫妖蟲 蝕 蝶ノ夢~二人の蝶~「蝶ノ夢」のリメイク 自慰倒錯 純潔狩人 喰ヒ人 FlyingShine(系列 ネクストン系列(MOON.別記 淫辱心療クラブ 秘蹟神姫アルカナセイバー 姦獄島 無限煉姦 アイル(鬼畜陵辱中心 脅迫 脅迫2 魔ヲ受胎セシ処女ノ苦悦 魔ヲ受胎セシ処女ノ苦悦2 牝贄女教師 愛欲の半ば、陰と陽の慟哭 くのいち飛鳥 桃華散る 脅迫3 レイコ Guilty(鬼畜陵辱中心 輪罠 輪罠II 青の獣愛 虜姫 ヘルタースケルター LastWaltz
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リヴァー王国第四王女、「社交界の女王」として名高いマリアンヌ姫の応接室は、 王女たちが住まう秋の宮の中でも、ひときわ華やかだと評判だった。 ベルベット張りの柔らかい長椅子に、ふわふわの毛織の絨毯。 磨きこまれた樫の卓上には、旬の果物に焼き菓子に香りのよい紅茶。 そして彩りを添えるのは、淑女たちの引きもきらないお喋りだ。 本日の話題の中心は、来るべきユーリ二世の生誕記念祝賀祭について、 ―――さらに正確にいうと、その期間に王宮で催される舞踏会についてだった。 「どんなドレスにしたらいいのか、まだ決めていないのよ。 絹にするか、それとも光沢を考えて、繻子でもいいし―――、ああ迷いどころだわ」 マリアンヌ王女が悩ましげなため息をつくと、 ブリューム侯爵家の双子姉妹キャロルとルイーゼは熱心に相槌を打った。 「色も重要よ。私たちは、赤毛だから、どうしても似合う色が限られてしまうのよね」 「何しろ、今回は外国からも大勢お客様がいらっしゃるのだから、完璧なドレスにしたいものだわ」 夜会にどんな衣装を着ていくかは、彼女たちの永遠のテーマだった。 ドレスやアクセサリーだけでなく、手袋や靴、扇子に至るまで、細心の注意で選ばなくてはならない。 「大丈夫。どんな衣装を着ようとも、あなたたちは舞踏会の華よ」 マリアンヌは「あら」と声の主を見遣る。 盛り上がる三人を尻目に、先ほどからフィールド公爵令嬢セシリアは、黙々と木苺の焼き菓子を頬張っていたのだ。 「どうしたの? セシィ。やけに元気がないじゃないの。 それとも、あなたこそが満開の華だと言ってもらいたいのかしら」 「まあ、違うのよ。ただどうしても、舞踏会に乗り気になれなくて――― 実はね、今回の舞踏会では、どの殿方ともダンスをするなとお父様から厳命されているのよ」 「まあ!!」 双子姉妹は、そろって驚嘆の声を上げ、マリアンヌは目をしばたかせた。 「とても信じられないわ! フィールド公爵は何をお考えでいらっしゃるの?」 マリアンヌの質問に、セシリアは「見当も付かないわ」と首を振る。 その実、父親の考えは透けて見渡せた。 遅まきながら、彼はセシリアの身辺にやたらと気を配っている。 要するに、ノイス王族との正式な婚約が決まる前に、 娘に悪い虫が付いたらたまったものではない、と余計な気を回しているのだ。 今回の舞踏会にしても、侍女のトルテが、お目付け役としてばっちり同行させられることとなっていた。 「でも、別にかまわなくってよ。私はダンスがそんなに得意じゃないんですもの。 喜んで、壁の花役を引き受けさせてもらうわ」 深い同情の視線を寄せる友人たちに、セシリアはせいいっぱいの強がりをみせた。 「そんなのいけないわ! 記念祭のメインイベントは、やはり夜の舞踏会よ! 舞踏会を楽しまずして、祭典を語ることなかれ、と先人もおっしゃっているわ」 マリアンヌは真剣な表情で、滔々と語り、双子姉妹も「そうよ、そうよ」と騒ぎ立てた。 いいえ、先人曰く「祭典の要は、ただ王を祝う心のみ」であるし、最重要行事は、最終日に行われる記念式典のはずだわ。 ――――――などと口を挟めるような雰囲気ではとてもない。 セシリアは父親の影響下、式典や祭儀のしきたりを重んじる方だが、 大半の令嬢たちにとって、そんなものよりも、それに合わせて催される社交の場の方が重要なのは世の常なのだ。 やがて、ブリューム姉妹は、新しいドレスの採寸を取る予定があるのでと応接室を辞去した。 すると、マリアンヌは急にそわそわとセシリアの表情を伺い出した。 「ねえ、セシリア、あなたにお話したいことがあるのよ」 「あら、何かしら? マリアンヌ」 「こんなこと、舞踏会のお楽しみを奪われたあなたに話すべきではないのだけれど……」 「まあ、そんなこと。いいから話してちょうだい。私は、あなたがたと違って、そこまで舞踏会に重きを置いていないのよ」 興味津々の顔を作り、マリアンヌを促すと、待っていましたとばかりに彼女は打ち明け話を始めた。 「ええ、実はね。私、恋文をもらったのよ」 「まあ!」 なんて大胆なのかしら、とセシリアは驚いた。畏れ多くも、王女に懸想するなんて。 マリアンヌは当年とって十八歳。十二分に結婚適齢期の美姫である。 しかし、姉姫たちが諸外国の目ぼしい王や王子の元へと嫁いでしまい、 現状では夫候補を選出するのは、困難を極めている。 セシリアには政治的背景はよくわからないのだが、国内の貴族と結婚するのも難しいらしい。 とはいえ、近年では晩婚率も上がり、二十歳を過ぎてから嫁ぐ令嬢も決して珍しくない。 むしろ、「さっさと結婚、たっぷり後悔」するよりも、 「たっぷりと独身を謳歌し、しっかりと相手を吟味する」という風潮まで生まれ、古参の貴族たちは頭を抱えている。 もちろんセシリアのように両家の利害関係のみで結婚を急かされる事例もあるにはあるが。 つまり、マリアンヌは社交界の頂点に燦然と君臨し、思う存分優雅で気楽な独身生活を味わっていたのである。 親友の反応に気をよくしたマリアンヌは、隣室から白い封筒を持って来た。 「これなのよ。読んでみてちょうだい」 セシリアは、マリアンヌに渡された便箋に、好奇の色で顔をうずめたが、 びっしりと書き込まれた文字に面食らってしまった。 『貴女を見るたび柔らかな春の日差しを思い出し切なさに身は震える 春の女神に愛された輝かしい貴女に近づくことは許されるのだろうか この身は夜の闇のように目立たず罪深い存在なのだ ああそれなのに眩しい至上の宝石を抱く貴女を攫いたくて仕方がない―――――――――』 延々と並ぶ美辞麗句を拾い読みしながら、セシリアが的確な要約が行ったところによると、 「―――つまり、記念祭の舞踏会の折に、あなたにお会いしたいと願い出ているのね」 「そうなのよ、どうしましょう」 ちっとも困っていない声で、マリアンヌは大げさにため息を漏らす。 どうりで、あんなにも舞踏会を楽しみにしていたはずだわ、と合点が行った。 便箋三枚にも渡る情熱の句を少々うんざりしながら読み終えたあと、セシリアは最後に記された署名に目を丸めた。 『あなたの漆黒の騎士より』 「―――『漆黒の騎士』ですって? まあ、この方は、一体どなたなのかしら」 「それが、わからないのよ」 うっとりしながら、マリアンヌは続けた。 「でも、騎士とあるからには、軍部の方だとは思うの」 「名乗らないなんて怪しいわ。軍部といえども不埒な傭兵かもしれないじゃないの」 「いいえ、とても下賎な輩とは思えないわ」 「―――そうね。 確かにこの紙は上質だし、香が焚きこめられているから、かなりの風流人ね。 何より、こんな(回りくどい)文章は、ある程度の教養を積まれた方にしか書けないわ」 セシリアは、親友のために必死で拙い推理力を発揮させた。 ふとマリアンヌを見遣ると、翡翠色の瞳の中にきらめく星を宿らせ、 頬を薔薇色に染めた彼女は、筆舌しがたいほどの美しさだった。 「マリアンヌ、あなたったら、お手紙だけで、『漆黒の騎士』様に心を奪われてしまったの?」 「まあ、まさか。お逢いしてみないことには」 未だ醒めきらない夢の中にいる乙女のように見えながら、マリアンヌは一時のアバンチュールに大人の構えを見せた。 「ただこの手紙は合格よ。『漆黒の騎士』様は、私と逢って、二人だけでお話しする資格を得たというわけ」 余裕なマリアンヌに、セシリアは二歳の年の差を噛みしめ、なんだか胸の奥が針で刺されたように痛んだ。 「ねえ、セシリア、このことは誰にも秘密よ。カリューンの恋愛神の名にかけて誓ってちょうだい」 「ええ、もちろん誓うわ」 セシリアは力強く頷いた。自分だけに、このことを打ち明けてくれたのだと思えば少しは慰められる。 あとで、その誓いを後悔するはめになるとは、このときのセシリアには思いもよらなかったのだ。 記念祭の初日は、軍部の華やかなパレードで幕を開けた。 この期間、各地から集まった民衆で王都の人口は膨れ上がる。商人にとっては稼ぎ時だ。 自邸の窓から漏れ聞こえる喧騒に耳を傾けながら、セシリアはのんびりと夜会の準備を進めていた。 フィールド公爵夫妻は、式典やら園遊会やらに出席するため、早朝から不在だったが、 その一人娘であるセシリアの本日の予定は、夕刻から始まる舞踏会に出席することだけだった。 「まあ、セシリア様、とても綺麗ですわ」 侍女のトルテが感嘆の声を上げると、セシリアは「そうかしら」と謙虚に応じた。内心では満更でもなかった。 深青色の最高級のサテンは、明るい色の髪と絶妙なコントラストを示している。 陽の光の中でも見事だが、夜の灯りの中でより一層映えるだろう。 一粒真珠のネックレスは飾り気のないものだったが、首筋を優美に見せるのに最適だった。 このドレスを担当した仕立屋は、 フィールド公爵から、 とにかく明るい色のドレスと華美な装飾品は避けるようにと言い含められていた。 それでも、王国随一と名高い彼は、派手にせずとも淑女の魅力を最大限に引き出す術をわきまえていたのである。 「やはり、髪は後ろで高く結い上げましょう。より大人っぽく見えますわ」 トルテは、主人の長い金髪を高い位置でまとめると、粒真珠のピンを散りばめさせた。 仕上げに彼女のうなじにスミレの香水を吹きかける。 「随分な力の入れようね、トルテ。お父様から言われているでしょうに、私を目立たせるな、と」 セシリアが不思議そうに首をかしげると、トルテは急に口ごもった。 「―――わたしが申す立場ではないのは承知ですが、旦那様はひどすぎると思います。 せっかくの舞踏会で、なるべく目立たないようにさせろ、だなんて」 「出席できただけでも有難いことなのよ。ただの夜会だったら、おそらく行くことさえ叶わなかったでしょう」 「そんなの……何だかセシリア様らしくありませんわ。いつもなら、旦那様に食って掛かるのに」 「あんな頑固者のお父様と丸腰で言い争いをしても、疲れるだけということが、最近になってようやくわかってきたのよ」 だから近いうちに、何か秘策を練らなくては、と心に決める。 「そうですか……」 トルテの口調は、いつもの従順な侍女らしからぬ色合いが含まれていた。 そこで、ようやくセシリアは「あら」と思い、鏡越しに彼女の顔を観察した。 「何か秘め事があるみたいね、トルテ。隠さずに言っておしまい」 途端にトルテは慌てて、「いいえ、そんな」「畏れ多いです」と言いよどむ。 宥めすかして、ようやく白状させたところによると、 彼女は今晩、同郷の青年と一緒に城下の夜祭へと繰り出す計画を立てていたらしい。 「それを、私のお目付け役の任により、ぶち壊されたというわけね」 「まあ、そんなこと。わたしのことなんかどうでもいいです」 トルテは必死になって、「セシリア様のせいではないのだから」と言い張る。 それでも、セシリアは彼女の奥底に眠る未練を嗅ぎ取った。 「それでは、こうしましょう。 トルテは私と共に、王宮へ向かうけれど、会場まで着いたら別れるのよ。 あなたは好きなところへ行っていいわ」 「まあ、セシリア様」トルテは驚いて首を振る。 「旦那様たちにばれたらどうするんですの」 「ばれっこないわ。お父様たちは舞踏会ではなくて、晩餐会に出席するのだから。 そうだ、私は王宮に居室を取らせて、泊まることにするわ。 そうすれば、あなたはたっぷりと遊ぶことができるし、私は遅くまで夜会を楽しむことができるわ」 「そんな、わたしのために、何もそこまで……」 「いいえ、私も心ゆくまで舞踏会を楽しみたいだけなのよ」 それに、これは父親に向けたささやかな反抗でもある。 切なげな顔を装おうと、トルテはそれ以上、主人の好意を跳ねつける真似はしなかった。 そんなトルテを満足げに眺め、セシリアは「それにしても」と言葉を続ける。 「あなたに恋人がいたなんて、全く知らなかったわ」 「こっ、恋人なんかではありません。ただの昔馴染みです」 トルテの頬は、みるみるうちに薔薇色に染まった。 男女の機微に疎いセシリアは「あら、そうなの」と単純に受け止めたが、 それでも、今まで知らなかった侍女の意外な一面に、何故だか胸の奥がちくりと痛んだ。 馬車に乗る前に、御者のドルーエに声をかけた。 「今日は正門から回ってちょうだいね」 ドルーエは、「ええ、もちろん」と快諾する。彼にはセシリアの目的がわかっていた。 ちょうど王城の正門側に位置する高見台に、ユーリ二世とマリアンヌが上がっている頃なのだ。 慣例に従い、ユーリ二世は沸き立つ観衆を前にして感謝の意を伝える演説を行い、 その隣で第四王女マリアンヌは彼らに悠然と微笑みかけて手を振る。 通常なら、マリアンヌの役目は、王妃か王太子妃がしなくてはならない。 しかしながら王妃は数年前に病没し、王太子の座は未だに空席であるから王太子妃も存在しない。 姉姫たちはすでに嫁いでいる現在では、必然的に、 最年長の王女であるマリアンヌが公式の場で国王の相手役を務めることが多い。 そういうわけで、第四王女マリアンヌは「社交界の女王」どころか、 「リヴァー王国のファーストレディ」の称号をほしいままにしている無敵の姫だった。 「今日はマリアンヌ様とお会いになられるんですか」 セシリアのあとから、馬車に乗り込んだトルテは、クッションを膨らまし、主人の背中にあてがった。 「ええ、舞踏会で顔を合わすと思うわ。でも、深い話はできないでしょうね。 マリアンヌはきっと殿方との交流で忙しいでしょうから」 それに、彼女は『漆黒の騎士』との密会が控えているのだ。 正体不明の謎の騎士のことは、少し不安だったが、自分が干渉をするべきではないだろう。 泰然自若としていたマリアンヌを思い返しながら、セシリアは目を閉じ、揺れる馬車の震動に身を委ねた。 しばらくすると、蹄の音が止み、心地よい馬車の揺れが止んだ。 もう着いたのかしら、と目を開けると、馬車の扉をコンコンと叩く音がして、ドルーエが顔を出した。 「申し訳ないのですが、しばらく動けませんよ。えらく混み合っていますから」 「あら」 止めようとするトルテを中に残して、セシリアは馬車から飛び降りた。 前方を確認すると、貴族たちの馬車の列が王宮の正門へと一直線に伸びている。 「まあ、すごい行列ね」 「どうせ、王宮に上がるなら、国王陛下が高見台に上がる時間帯を狙おうというわけだ。 みんな考えることは一緒ですね」 「気長に待ちましょう。舞踏会は夕刻からなんだから。 ねえ、ところでドルーエ」 セシリアはドルーエの前でくるりと回ってみせた。 「どうかしら、このドレス」 「お似合いですよ、お嬢様。王女様も霞んでしまうほどだ」 「あら、そういうお愛想は要らないわよ。マリアンヌの美しさに適うはずないもの」 セシリアは拗ねた振りをして、マリアンヌが居る高見台を見上げた。 ここからでは、国王もマリアンヌも豆粒ほどの大きさである。 しかし、どんなに遠くとも、悠然と、民に手を振っているはずのマリアンヌは想像がついた。 きっと咲き誇る蘭の花ように気品とあでやかさに満ち溢れているだろう。 そんなマリアンヌと自分が親友と呼び合える間柄にいるのが不思議なくらいだ。 「美しさの種類が違うんですよ。 わたしの好みで言わせてもらえば、お嬢様はマリアンヌ様以上に魅力的だ」 長らく公爵家に仕える御者は、年齢を重ねた者だけができる深い眼差しを年若い主に向けた。 「まあ、ドルーエは紳士なのね」 セシリアは少し照れくさくなり、胸元の一粒真珠のネックレスをいじくった。 「ドレスの色も地味だし、装身具も、この真珠の首飾りだけなのに」 「しかし、どえらく大きい真珠じゃないですか。 今にも<黒い狼>に狙われそうだ」 「黒い狼? 何のことかしら?」 「おや、ご存知ありませんか。いま都では、そいつらの噂で賑わっていますよ」 「まあ、全く知らなかったわ。何者なの?」 セシリアは興味津々でドルーエに尋ねた。 「新手の窃盗団ですよ。いや、実のところ単独犯かもしれないんですがね。 いつも高価で貴重な宝石ばかりに狙いを定めて、謎かけのような犯行予告状を送りつけてくるんです。 その予告状にはいつも真っ黒い狼の紋章が入っているので、<黒い狼>とあだ名されるようになった次第ですよ」 「すごいわ、なんだか小説みたい」 「その通り。どうにも芝居がかった悪党ですよ。民衆には人気があるみたいですが。 何しろ、いつも、あっぱれといっていいほど、鮮やかな手口で犯行を完遂させるんです。 お嬢様も気をつけて下さいよ」 わかったわ、と頷きながら、心の片隅で何か引っかかるものを感じた。 高価で貴重な宝石ばかりを狙う悪党。 謎かけのような予告状。 思いもよらない鮮やかな手口。 そして、真っ黒い狼の紋章―――。 セシリアは、再び高見台の親友を仰ぎ見た。 「漆黒の騎士」から恋文をもらい、逢うことを楽しみにしている第四王女。 その彼女の頭上で、遠くからでも眩しいほど輝いているのは、リヴァー王家の至宝、 またの名を「女帝の金剛石(ダイアモンド)」、つまりは最高級のダイアモンドを散りばめた銀のティアラだった。 セシリアの居室は北の宮の一角に用意された。 気心が知れている女官長は、「あまりいい部屋ではないですが」と申し訳なさそうだったが、セシリアは別に構わなかった。 たくさんの来賓が王宮に宿泊している最中、突然の申し出を受けてくれただけでも有難いというものだ。 部屋付きの女官も、自分の侍女がいるからと断った。 その侍女のトルテは、謝罪と感謝を何度も繰り返したあと、部屋から去って行ったのだが。 舞踏会が始まるまで間があるが、手持ち無沙汰なセシリアは会場である中央宮へと向かうことにした。 顔なじみの令嬢たちと、衣装の褒め合いをするのも一興だ。 どうせ彼女たちは舞踏会が始まったら、目当ての殿方との交流に忙しくて、それどころではないのだ。 「それにしてもだわ―――」 歩廊を渡りながら、ついつい独り言が出てしまった。 「よりにもよって『黒い』狼だなんて……」 頭の中を占拠しているのは、先ほど聞き及んだ<黒い狼>と、マリアンヌの「漆黒の騎士」との奇妙な符号の一致についてだった。 『―――至上の宝石を抱く貴女を攫いたくて仕方がない』 あの恋文を読んだときは、ただの自己陶酔的な句にしか思えなかったが、 今、考えると「至上の宝石が欲しい」と言っているようにも受け取れる。 そして、マリアンヌは確かに、最高級の宝石を所有しているのだ。 リヴァー王家の代々のファーストレディに引き継がれる輝かしいダイアモンドのティアラは、 普段は宮殿の宝物庫に、何重もの警備を敷いて保管されている。 マリアンヌがそのティアラを手にすることができるのは、重要な式典や祭儀のときのみ。 しかし、裏を返せば、記念祭の期間中は、ずっと彼女の手元にあるわけだ。 もしかしたら、由緒正しき「女帝の金剛石」の危機なのかもしれない。 考えれば考えるほど、「漆黒の騎士」が怪しく思え、セシリアの頭は痛くなってきた。 同時に、不謹慎だが、密かな興奮も沸き上がる。 わくわくするではないか。 正体不明の求愛者、「漆黒の騎士」と、都を揺るがす窃盗団、<黒い狼>が実は同一人物かもしれないなんて。 こうなったら、ひとりで煮詰まっているよりも、誰かに一緒に考えてもらった方が、絶対に有益だ。 下ろしたてのドレスを着ていることも忘れ、セシリアは妙に浮ついた気分で、歩廊を足早に歩き始めた。 残念なことに、やや閑散とした大広間には、顔見知りの令嬢は見当たらなかった。 セシリアは諦めきれずに、きょろきょろと周囲を見回していると、第三王子の姿が目に入って来た。 政務長官の礼服を着た者と何やら熱心に話し込んでいる。 ちょうど良かった、と嬉しくなり、セシリアは彼の背後ににじり寄った。 「まず、陛下がお許しになってからでないと……」 「父上では、埒があかないから、お前らにこうして頼んでいるんだ」 「とにかくわたしどもの一存では、そのようなことは了承しかねます」 持っていた扇子の端で、彼の肩を軽く叩くと、 第三王子は驚いたように振り向いた。 今日の彼は正装姿だ。認めたくないが、いかにも貴公子然とした出立ちがとても様になっている。 「ごきげんよう、エルド殿下」 気取ったセシリアは、ドレスのドレープを持ち上げ、深々と膝を折った。 しかし、わざわざ淑女らしく挨拶したというのに、 エルドはセシリアを認めても「ああ」と面倒くさそうに頷いただけだった。 もっとも、はなからエルドに礼節を期待していたわけではないのだが。 「ご歓談中のところ申し訳ないんですけれど、ちょっと、よろしいかしら」 にっこりと笑いながら有無を言わさぬ口調で尋ねると、あからさまに嫌そうな顔をされた。 「いや、今は大事な話をしているから―――」 「殿下、それでは、わたしは、これにて失礼させて頂きます。」 エルドの後ろにいた政務長官は一礼すると、脱兎の勢いでその場から消え去った。 気を利かせたというよりも、まるで逃げたみたいだわ、とセシリアは少し変に思う。 「ああ、ったく、何だよ、リア」 エルドが盛大に舌打ちした。王子らしかぬ行動だ。 「ちょっと、あなたに相談したいことがあるのよ。それも内密にね」 「だったら早く聞かせろよ」 今日のエルドは語調が荒い。 「こんなところでは、だめよ。誰かが耳を澄ましているかもしれないわ 何しろ、これからお話しすることは、場合によっては、軍部の最高機密に匹敵する内容なのよ」 「はぁ? いったいお前は、何の本に影響されたんだ」 エルドは苦虫をつぶしたような顔しているが―――それはどちらかというと、いつものことだったし、 セシリアの方は、持論を披露できそうなので小躍りしたいくらいだった。 それに、舞踏会が始まるまでの暇つぶしもできるだろう。 さて、どうしよう、とセシリアは唸った。 数十分前の浅慮な自分が少々恨めしいくらいだ。 セシリアとエルドの二人は、中央宮の最上階のいちばん奥の部屋にまで来ていた。 それは、セシリアが、「ここでは、だめよ。もっともっと人気のない場所がいいわ」と主張し続けた結果だった。 初めのうちは、本気でそう言っていたのだが、 ある事実に思い至り、しまいには時間延ばしのために、こんな僻地までやってきてしまった。 そう、よく考えてみれば、このことは誰にも相談できなかった。 というのも、元を辿れば、マリアンヌのもとに来た恋文についてから説明する必要があったからだ。 だが、セシリアは、マリアンヌが「漆黒の騎士」から手紙をもらい、 舞踏会の夜に密かに逢い引きすることを誰にも言わないと誓った。カリューンの恋愛神の名において。 むろん、神の名を借りずとも、親友の秘め事を暴露するつもりなど、さらさらない。 「さあ、リア。話したいことがあるなら、さっさと話せ」 それなのに、目の前のエルドは、思いやりの欠片もない態度でセシリアを促してくる。 マリアンヌだって、このふてぶてしい弟に自分の恋路を知られたら、たまったものではないだろう。 セシリアは「ええと」と口ごもり、きょろきょろと部屋を見回した。 とにかく落ち着いて、何か発言しなくては。 しかし、部屋に備え付けてある小さな寝台が目に留まり、顔がほのかに赤らむのを感じた。 こんな人気のないところに連れ込んだのでは、まるで自分が密事に誘ったようではないか。 何しろ自分には前科があるのだ。ああ、どうかエルドが誤解していませんように。 しかして、そのとき、セシリアは起死回生の妙案を思いついた。 もしかしたら、親友思いのセシリアに、カリューンの神が天啓を授けてくれたのかもれない。 「あのね、実は」 セシリアは生き生きとした声で、仏頂面のエルドに話し始めた。 「わたくしは、ある方から、お手紙をもらったのよ。それが、どなたからなのか、わからなくて――」 そして、セシリアは自分がもらった手紙の内容、『漆黒の騎士』の署名、 さらには、<黒い狼>との共通項を発見し、疑いの念を抱いたことなどを長々と訴えた。 自身をマリアンヌの立場に入れ替えて。 ダイアモンドのティアラを、自分の一粒真珠のネックレスと置き換えたところは、かなり苦しかったのだが、 この真珠もなかなかに大きな粒であり、それなりに高価なものなのだ。 全体としては筋が通っているだろう。 エルドは、途中で話の腰を折ることなく、じっと聞いていたが、 セシリアが語り終えると、 明らかに不快そうに眉をひそめた。 「ふーん、『漆黒の騎士』か。 全くお前らときたら、どうしてそんなに暗喩を好むのか。俺には、さっぱり理解不能なんだが」 「問題は、そんなことではなくてよ、エルド。その騎士が純粋な崇拝者に思える?」 「――――まあ、確かに<黒い狼>と共通する部分はあるな」 エルドが自分の意見に同意を示してくれたので、セシリアは大いに気をよくした。 「でしょう? 万が一のことを考えると、『漆黒の騎士』に逢うのはとてつもなく危険なことなのよ」 「お前が、そいつに会わなければいいだけの話だろ。証拠がなくとも警備隊は動いてくれるぞ」 エルドはにべもない。 セシリアは「それは、そうなのだけれども」と口ごもるしか他なかった。 しかし、そんなことマリアンヌにどうやって説明すればいいのだろう。 「でも、もしかしたら<黒い狼>とは何の関係もない可能性もあるのだし……」 「どっちにしろ、無視した方がいい。お前は、もうすぐ婚約する身の上だろう」 エルドが切り捨てるように言い放つ。 そう言われると元も子もない。ああ、やっぱり、私とマリアンヌを入れ替えるのには無理があるのだわ。 破れかぶれのセシリアは、とにかく何か言い返そうとした。 「あら、あなたは、私が恋をしたらいけないというの?」 エルドはわずかに目を見開き、セシリアは自分の顔が赤く染まるのを感じた。 「恋」という言葉を口にするのが、これほど恥ずかしいことだなんて思いもよらなかった。 今まで、エルドの前で深窓の令嬢が口にすべきでない赤裸々な言葉を散々口にしておきながら、 幼子でさえ易々と口に出せる言葉が、どうしてこんなにも恥ずかしいのだろうか。 しかし、エルドはセシリアのうろたえを別の方向に解釈したようだった。 「お前は、手紙だけで、会ったこともない奴を好きになったのか」 「まあ、そ、そんなことなくてよ」 なんとか軌道修正を試みようと、頭を猛回転させるが、どうしてか思考と言動は一致してくれなかった。 「つまり、……そう、あの手紙は合格だと感じたの。 危険な方でも構わないわ。 彼は、私と二人きりでお話しする資格を得たのよ」 言いながら、セシリアは、エルドの冷ややかな瞳に見つめられていることをひしひしと感じた。 彼が何を考えているか想像するのも恐ろしいが、 自分が何を考えて、こんな間抜けな台詞を口走っているのかも、さっぱりわからなくなっていた。 エルドが口を開きかける。 最後の審判でも受けるかのように緊張しながら待っていると、 廊下側の部屋の扉が開き、何者かがこちらに向かってくる足音が響いた。 あら誰かしら、と呑気に考えたセシリアだったが、エルドはやや乱暴に彼女の腕を引っ張り、 あっという間に、彼女の身を、造りつけの衣装戸棚の中に押し込んだ。 抗議の声を上げようとすると、静かにしていろ、と耳元で囁かれる。 エルド自身も衣装戸棚の中にさっと入り込み、後ろ手で戸を閉めた。 真っ暗な中で呆気に取られていると、 衣装戸棚の外――先ほどセシリアたちがいた部屋から、何やら話し声が聞こえて来た。 己を取り戻したセシリアの耳に、最初に飛び込んできたのは、甘美な期待を含んだ淑女の声だった。 「「さあ、大丈夫よ。ここだったら、ゆっくりお話できますわ。……漆黒の騎士様」」 マリアンヌ!! セシリアは驚愕する。 まさか、まさかマリアンヌと「漆黒の騎士」の密事に居合わせるなんて。 「「ふふ、私も、とても楽しみにしていましたのよ」」 しかし、これは、チャンスかもしれない。二人の会話を聞いていたら、「漆黒の騎士」の狙いが自ずとわかるはずだ。 「「ええ、運がよかったわ。舞踏会が始まる前に、お会いできて」」 もちろん盗み聞きなんて、淑女がすることではないけれど。 「「あら経験豊富のようにお見受けしたけれど」」 しかし、親友の安否が心配なのだし、ここは是非とも自分が頑張らなくては。 「「まあ、そんな調子のいいことってあるのかしら」」 セシリアは、必死で愛の語らいに耳を澄ませることにした。 しかし、マリアンヌの高い声に比べ、男のぼそぼそとした声は聞き取りづらく、何を言っているかよくわからなかった。 せめて、「漆黒の騎士」の顔さえわかればいいのに。 「「そうね、そんなに興味があるなら、考えてあげてもよくってよ」」 エルドは戸に背を向けているが、セシリアは彼を挟んで、戸の正面にいた。 そこで、セシリアはつま先を伸ばし、エルドの肩越しから顔を突き出した。 「「でもそのかわり、私の言うことも聞いてくれなくては」」 エルドの息遣いが耳をかすめ、バランスをくずしかけた自分の腰を彼の手が支えたとき、 セシリアはようやく自分とエルドがこれ以上ないくらい密着していることに気がついた。 狭い衣装戸棚の中では、仕方がないのかもしれないが、抱き合っているようなものだ。 おまけにセシリアが隙間から外を覗こうとするならば、よりぴたりと彼にくっつかなくてはならない。 「「いいえ、そんなわけじゃあないのよ」」 まあ、でも、とセシリアは安易に考えた。 触れ合うのも、抱き合うのも、初めてではないわけだし。 「「そうね、まず、あなたの忠誠心がどれほどのものなのか確かめなくては」」 セシリアはエルドの肩に両手を回し、自分の両脚を彼の身体に絡ませた。 「「ここを舐めて」」 エルドが微かに身じろぎ、小さなうめき声をあげた。 「「脱がないでもいいでしょう? 着けたままでよ」」 もう、静かにしてなきゃ駄目じゃない。 「「もちろんこれは命令よ」」 心の中でエルドに文句を言いつつ、セシリアは自分より頭一つ分背の高い彼の身体をよじ登る。まるで木登りでもするように。 「「こっち側よ。そう、いいわ」」 やがて、エルドと頬を寄せ合うようにして、ようやくセシリアは戸の隙間を覗き込むことができた。 「「じゃあ、舐めてちょうだい」」 セシリアは外の異様な光景に目を瞬かせた。 マリアンヌは寝台に座り、エナメルの靴をはいた自身の足を男の前に突き出している。 彼女の前に膝をついていた人物は、さらに低く腰を屈めたところだった。 そして、二人の会話は止み、代わりに何かを舐めるような音だけが室内に響いた。 いったい、どういうことなのだろう。 自分には男女の睦みごとにおける知識が圧倒的に不足しているのは重々承知の上だが、 靴磨きは、恋人いうよりは、むしろ使用人にやらせる行為なのではないだろうか。 そもそも、靴を舐めても、あまり綺麗にならないような気がするし。 ああ、それにしても「漆黒の騎士」の顔がわからない。 謎の人物は、後ろ姿の上に紺色のケープで身を覆っていたので、 どんな衣装を着ているかすら把握できずにいた。 唯一わかるのは、ぬばたまのような黒い髪の持ち主だということだけ。 セシリアがもどかしくなり、さらに身を乗り出そうとしたとき、 ようやく自分の下半身がおかしな状態に陥っていることに気がついた。 ふくらんだドレスのスカートは、壁との軋轢でペチコートもろともめくれ、 レースの下着が露になっている。 おまけに、エルドの右手は、ドレスの中に入り込み、大胆にもセシリアの太腿のあいだに差し込まれていた。 もちろん、彼が自分の意思で、そんなところに触れているはずはないわ、とセシリアは公平に判断した。 狭い戸棚の中で、自分があまりにも身をよじるので、偶然この位置に手が伸びてしまったのだろう。 それにしても、はしたなかったかしら。 今更ながら、セシリアはこの体勢が恥ずかしくなってきた。 「「ふふ、面白いわね、あなたは合格よ」」 しかし、もし降りようとしたら、エルドの手は、セシリアのいちばん敏感な部分に触れてしまうだろう。 そのことを想像するだけで、セシリアの鼓動は速くなる。 「「では、あなたの希望通りに、私の居室にいらしてちょうだい」」 いけない、いけない。マリアンヌたちの会話を聞いていなかった。 仕方なく、セシリアは現状を維持するために、エルドの肩にぎゅっとしがみつく。 抱き合うのも触れ合うのも初めてではない。 それでも、自分の胸を彼の胸に押し当てて、こんなにもひしと身を寄せたのは初めてではないだろうか。 自分の心臓の鼓動は、次第にエルドの心臓の鼓動と混ざり合っていく。 暗闇につくづく感謝した。今のセシリアにとっては、彼の表情がわからないのが、せめてもの救いだ。 「「ええ、もう行かなくては。それでは、また後で」」 ようやく外の会話に集中しようとしたのに、 マリアンヌは寝台から下り、あっという間にセシリアの視界から消えてしまった。 扉が閉まる音がする。 セシリアは身じろぎもせずに、残された「漆黒の騎士」の後ろ姿を見つめていたが、 約一分後、彼も寝台の側から離れていった。 視界から消える寸前、群青色の袖と真鍮のカフスが微かに見えた。 それから、数十秒後。 ふたりはもつれ合うようにして、衣装戸棚から脱出した。 「きゃあ!」 セシリアは大きく叫んで床に尻餅をついた。エルドが無理やり彼女を引き剥がしたのだ。 「ひどいわ、何するのよ!」 「何がひどいだ!お前のほうが、よっぽど……」 そこまで言いかけて、後は言葉にならなかったらしく、エルドは弱々しく彼女の隣にしゃがみこんだ。 「エルド……?」 そんなに重かったのかしら、と心配になり、エルドの顔を覗き込む。 それがよくなかったのかもしれない。 一瞬にして、セシリアの唇は塞がれていた。 セシリアは思わず目をつぶり、こぶしを握った。 彼のキスは、いつもより激しかった。―――といっても、今日でまだ三回目なのだが。 まるで食べられてしまいそうなほど、下唇を舐めては、入念に吸い上げてくる。 おまけに彼の左手は、いつの間にか、自分の胸に触れている。これはどう公平に判断しても偶然ではない。 なんだか、くらくらと眩暈がして、下腹部がぎゅうと締め付けられた。 どうして自分は抵抗しないのだろう。 それどころか、どうしてこんなに大人しくエルドの来襲を受け入れているのだろう。 しかし、実際のところ、それはとても気持ちのいい感覚だったのだ。 身体は、あの日を覚えていた。エルドがあますことなく自分を撫で回した、あの日の感触を。 ひんやりとした手がセシリアの頬から首筋をなぞっている。 そうだ、と気づいた。自分はこの冷たい手が欲しくて、欲しくてたまらなかったのだ。 しかし、突然、嵐のようなキスも小波のような愛撫も止んだ。 不思議に思い、目を開けて彼の様子を伺うと、淡青色の瞳は深い思案の色を浮かばせていた。 「―――あの声は、マリアンヌだったよな」 ようやくエルドが呟くと、セシリアはハッと我に返った。 そうだ、自分のことより、マリアンヌのことを考えなくては。 それに、もうすぐ舞踏会も始まってしまう。 エルドは、衣服の乱れを直して立ち上がると、 まるで先ほどの戯れが幻だったかのように、鋭い追求の眼差しを彼女に向けた。 「――どういうことだ、リア。どうしてマリアンヌが『漆黒の騎士』と密会しているんだ」 「それは、それは……ああエルド、言えないわ。 だって、私はカリューンの神の名にかけて秘密にすると、マリアンヌと誓いを立てたんですもの」 「つまり『漆黒の騎士』は――」 おろおろとするセシリアに代わり、エルドは事の真相を素早く言い当てた。 「お前ではなく、マリアンヌに手紙を送ったというわけだな。 そして、お前は、<黒い狼>の噂を聞きつけ、マリアンヌのために無駄な心配をしている、と」 「…そうよ。そして『女帝の金剛石』の心配もしているのよ」 セシリアは力なく頷き、心の中で、神の名前を何度も唱えた。 もはや、カリューンの恋愛神の許しを請うしかない。 エルドは額に手をやり、ため息をついた。心の奥底から湧きだしたような深い深いため息だった。 セシリアが身なりを直しているあいだに、彼は早足に部屋を横切り、廊下へと消えてしまった。 彼女は慌てて後を追いかける。 「ねえ、エルド! マリアンヌの相手に心当たりはない? 結局、先ほどは顔が見えなかったのよ。 何だか、声を意識的に変えていたような気がするし―――ねえエルドってば!」 セシリアがいくら喋りかけても、エルドは取り付く島もなかった。 大広間が近づいてくると、警備の衛兵が気になり、迂闊に声を出すこともはばかられる。 いちばん端の扉から、エルドに続くように大広間に入ると、ユーリ二世が開会の辞を述べているところだった。 その隣で微笑んでいるのは、先ほどまで「漆黒の騎士」と密会していた第四王女マリアンヌだ。 幸運なことに、招待客たちの視線は、玉座に集まっていたので遅刻者のセシリアたちが注目を浴びることはなかった。 「ねえ、エルド」 なおもセシリアは小声で話そうとしたが、エルドはセシリアから離れようとしていた。 「リア、俺はこの後、父上と話す約束があるんだ。お前に付き合っている暇はない」 「まあ、じゃあ、『漆黒の騎士』のことはどうするつもりなの」 「俺には関係ない」 いつもと同じ冷徹な声だ。 それなのに、いつもと違う気がしてセシリアは彼の瞳を覗き込んだ。 「あなた、もしかして……」 怒っているの、と続けようとした言葉は、周囲の歓声に呑みこまれた。 ちょうど国王のスピーチが終わり、招待客が一斉に祝杯を挙げたところだった。 鼓膜が割れそうな熱狂の中、エルドは沸き返る人々の群れに消えていこうとした。 不意を衝かれたセシリアの耳に、彼の最後の台詞がかろうじて届いた。 「もう、リアに振り回されるのはご免だよ」 セシリアは、呆然とエルドの後ろ姿を見送った。 別に、珍しいことではないわ、喧嘩なんて昔からしょっちゅうじゃない。 何度も自分に言い聞かせてみる。 しかし、何故だか泣きたい気持ちになった。 自分の気持ちとは裏腹に、周囲は歓喜の渦だ。 その雰囲気に染まることができない自分が悔しくて、セシリアは俯いて唇をかみ締めた。 気がつけば、王宮付きの楽団がワルツを奏でている。 「お嬢さん、どうか、一曲お相手願えますか」 セシリアの視界に、白い手袋と磨きこまれた黒革のブーツが飛び込んできた。 顔を上げると、そこには伊達男の笑顔があった。 「まあ、ベイリアル様」 「どうかランスとお呼び下さい、麗しい姫君。そして、身に余る光栄をわたしに与え下さいませんか」 仰々しく膝をつくランスロット=ベイリアルに、セシリアは思わずくすりと笑う。 しかし、あいにくだが、どの殿方とも踊ってはいけないという父親の厳命がある。 丁重に断ろうとしたセシリアだったが、群青色のフロックコートからのぞくシャツの袖に目に留め、息を呑んだ。 袖に付いている真鍮のカフスは、先ほどの『漆黒の騎士』のそれとよく似ていたのだ。 彼の美しい黒髪をまじまじと確認したあと、 セシリアは、頭の中で、父親の厳めしい顔をくしゃくしゃにして放り捨てた。 「喜んでお受けいたしますわ」 セシリアが、彼の前に手を差し出すと、ランスロットはキスを送り、恭しく彼女をダンスの輪の中に導いた。 「私はセシリア=フィールドです。どうかセシリアとお呼びになって」 「とすると、フィールド公爵のご令嬢ですか」 「まあ、ひどい。私のことを知らずに声をかけたというのね」 言外に、私はあなたのことを知っていたのに、という意味を含ませる。 しかし、彼のことを知らない女性はいないだろう。 何といっても、目の前にいるのは、リヴァー王国軍少佐、王宮警備隊副隊長、ランスロット=ベイリアルなのだ。 弱冠二十六歳にして、輝かしい肩書きを持つこの美男子は、同時に名うての女たらしと評判だった。 いかにも、マリアンヌが好みそうな騎士である。 「ねえ、マリアンヌ姫をご覧になってみて。今日の彼女は一段と美しくなくって? 特にあのダイアモンド!」 さりげなくカマをかけてみると、好男子は鷹揚に賛成した。 「ええ、本当に、華やかな方ですね。あのティアラも素晴らしいし」 そこで彼は魅惑的な視線を投げかけ、如才なく付け加えた。 「けれど、清楚な真珠にも心惹かれるものがある」 さすがに女たらしというだけあるわ、とセシリアは舌を巻いた。 さらなる質問を考えていると、ランスロットの方から口を開いてきた。 「ところで、セシリア様はエルド殿下と仲がよろしいんですか?」 それは、ただ単に会話を弾ませるための糸口だったのかもしれない。 しかし、セシリアは大いに動揺して、ランスロットの端正な顔を凝視した。 「先ほどは何やら、秘密裏に会話なさっているなと気になりまして」 見られていたなんて。これは何かの罠か。それとも他意はないのか。 セシリアは逡巡したが、正直に答えることにした。 「いいえ、実際のところ、仲がよいとはいえませんわね。先ほども、喧嘩していましたのよ」 氷のようなエルドの声を思い出すと心は沈む。 本当はわかっていた。あれは喧嘩でない。一方的な拒絶だ。 もとから友好的な関係とは言い難かったが、彼があそこまで拒絶の色を示したのは初めてではないだろうか。 悲しみより憤りより先に湧き出るのは、純粋な疑問だった。 「――――どうして、あんなに怒ったのかしら」 「え? 殿下はお怒りだったのですか。そんな風には見えませんでしたが」 「そうね、いつも通り冷静沈着でしたわね。でも……」 セシリアはうまく言い表すことができなくて押し黙る。 彼女の戸惑いを見抜いたランスは優しく微笑んだ。 「それにしても、あの方に、こんなに可愛らしい喧嘩相手がいらっしゃるとは思いもしませんでしたよ。 何しろ、あまり感情を表に出すことのない『氷晶の君』ですからね」 「……氷晶」 そうだったかしら、とセシリアは考え込む。 氷晶とは、寒い真冬に現れる綺麗な結晶のことだ。 確かに、エルドのイメージと重なる部分もあるが、自分の前の彼はそこそこ感情的だと思う。 「殿下の置かれている環境を考えたら、喧嘩友達がいらっしゃるのは結構なことだと思いますよ」 「エルドの置かれている環境?」 「おやおや、ご存知ないのですか」 ランスロットは、おどけてみせる。 「ええと」 セシリアは考えてみるが、彼の言わんとしていることはよくわからなかった。 「――それは、陛下に溺愛されていて、周囲の家臣にも甘やかされているってことかしら」 「おや、そんな風に見えますか。」 ランスロットは虚を衝かれたようにセシリアの顔を見た。 ちょうどそのとき、軽やかなワルツは終わった。 広間を縦横無尽に舞っていた華々たちは、新たなパートナーを探そうと動き始める。 ステップを踏むのを止めたセシリアとランスロットは顔を見合わせた。 「セシリア様、続きはあちらでお話しませんか?」 ランスロットはバルコニーの方角を示した。 それとなくマリアンヌの方を確認すると、彼女はたくさんの殿方に囲まれ、ダンスの申し込みを裁くのに忙しそうである。 「ええ、喜んで」 話し足りないセシリアは導かれるまま、大広間を後にした。 冷たい夜風に吹かれると、それまで落ち込み気味だった気分も、少しずつ持ち直して来た。 ランスロット=ベイリアルの働きも大きい。 理知的で気遣いのできる美男子は、話し相手としては最高だった。 「フィールド公爵は、もともと王族の方でしたよね。先々代のフィッリプ陛下のご子息で、ユーリ陛下の弟君だったはずだ」 「まあ、お若いのに、王室のことをよくご存知なのね」 「とすると、エルド殿下やマリアンヌ王女と、あなたはいとこ同士にあたるわけだ。 世が世なら、あなたは王女だったかもしれない」 セシリアはにっこりと笑った。聞き飽きたお世辞だった。 幼い頃から、宮中に入り浸り、ユーリ陛下に娘のように可愛がられ、マリアンヌと姉妹のように育ってきて。 自分が王女だと錯覚しそうになったことは何度もある。 しかし、成長するにつれてセシリアは思い知らされた。自分とマリアンヌの違いに。 「その可能性はなかったでしょうね。父は爵位を得ることで、自ら王位継承権を放棄しましたから」 「なるほど。王位継承の問題は、いつの治世でもお家騒動を引き起こしますからね」 賢明なランスロットは、そう言うだけに留め、それ以上深入りはしなかった。 「それでは、エルド殿下とは、幼少のみぎりからのお付き合いなのですか」 「そうね、三、四歳からだから、幼馴染になりますかしら。昔から、喧嘩ばかりよ」 本当に、取っ組み合いの喧嘩だって珍しくなかった。 成長するにつれて、それは丁々発止の口喧嘩へと変わっていったわけだが。 「そんなときは、どうやって仲直りしていたんですか?」 「まあ、仲直りなんて、そんなこと。したら、負けだと思っていましたわ」 双方とも、折れることも謝ることも一度もなかった。 どんなに険悪になってそっぽを向き合っても、その翌々日くらいにはころっと忘れて、また違うことで喧嘩する。 ――――その繰り返しで、現在に至るわけだ。 「しかし、セシリア様から折れてみたら、案外異なった風景が見えてくるやもわかりませんよ。 古くから、負けるが勝ちとはよくいったものだ」 「あら、その手には乗りませんわよ」 私が悪いわけではないのだから、と主張するセシリアに、 やはり聡明なランスロットは「そうですか」とだけ言い、それ以上深入りすることはなかった。 「―――ねえ、ランス様にはエルドがどんな風に見えるんですの」 「そうですね。少なくとも、わたしには、エルド殿下が周囲に甘やかされているようには見えません」 「なるほど、あなたもエルドの味方というわけね」 「いえ、そういう意味では。―――つまり、みんなあの方を守ろうとしているだけなのですよ。 彼の場合は、生い立ちが複雑ですからね。何しろ殿下のお祖父様は――――」 「民の英雄、イースキン=ラルフですものね」 セシリアは彼の言葉を引き取ったが、その意味について深く考えたことはなかった。 「そう。リヴァーきっての大商人。今日のリヴァーの繁栄が彼にあると言っても過言ではない。 国民はみなイースキン=ラルフの恩恵を受けています。 それゆえ、大衆はラルフの孫息子である『氷晶の君』をもてはやす」 「王も家臣も国民も、みんな、みんなエルドを可愛がっているというわけなのね」 うんざりしたようにセシリアは口を挟む。 「しかし、なかには口さがないことを言う連中もいますよ」 そこで、ランスロットは声をぐっと潜めた。 「しょせんは平民出身、庶子の王子に過ぎない、とかね」 「まあ、そんなこと」 セシリアは驚いて目を瞬かせた。二つの王家の血を引く公爵令嬢は、 陰口や蔑みというような人間関係の負の部分とは、あまりにも無縁な場所にいた。 「そんな悪口を誰がおっしゃるというの?」 「主に、王侯貴族の連中ですよ。といっても彼らは、イースキン=ラルフが怖いだけなんです。 何しろラルフの影響力は計り知れないものがある。彼の鶴の一声で、どれだけの金と民衆が動くか。 だから飾りだけの役にも立たない高貴な血筋を引き合いに出して、溜飲を下げようとする」 セシリアは何も言うことができずに黙りこんだ。 王家の血筋を誇りに思っていた自分に何が言えようか。 『―――俺からみたら、王家の伝統なんかどうでもいいことだよ』 『ほら、あなたって、そうやってすぐに人を見下した目をするわ。 だからとても冷たい人間に見えるのよ』 たぶん、とセシリアは冷めた気持ちで思った。 エルドからしてみれば、自分は、本当に無神経な愚か者に映っていただろう。 「イースキン=ラルフ自身は、とっくに爵位を与えられてもいいくらいの功績を持っているんですよ。 なのに、彼はあえて平民でいる。民の英雄であり続けるためにね。 その一方で、ちゃっかりと自分の後胤を王室構成員にまでに仕立て上げた。 民衆にとって、エルド殿下の存在は、イースキン=ラルフのこれ以上ない成功の証であり、隆盛の象徴でもある」 「もういいわ」 セシリアは首を振った。これ以上、聞きたくない。 「平民出身とか成功の証とか、本当に馬鹿みたい。 みんな色眼鏡でエルドを見て、勝手に高いところに祀り上げたり、貶めたりしているだけでしょう」 「あるいは、そうなのかもしれませんね。 しかし、だからこそわたしはエルド殿下に、喧嘩ができる相手がいらっしゃることを嬉しく思ったんですよ。 あの方の背景や地位を気にしないで、あの方自身を見てくれるご友人がいらっしゃることをね」 違う。 自分は偏見に満ちた尺度で彼を計っていたに過ぎない。 エルドのことをしっかり見ようとしなかったのは、セシリアだって同じなのだ。 自分はエルドの喧嘩「友達」などではなかった。 しかして、にっこりと笑うランスロットに、無言の圧力を感じ取り、セシリアは居たたまれなくなった。 「……あなたは、結局のところ、仲直りしろとおっしゃりたいだけなんでしょう」 降参のため息を漏らすと、ランスロットは暖かく思いやりのこもった視線を投げかける。 そんな瞳で見つめられたら、どんな女性だって彼の言いなりになってしまうだろう。 しかし、セシリアにはよくわかっていた。 ランスロットの思いやりの眼差しは、自分ではなくて、ここには居ないエルドに注がれていることに。 やはり、エルドはずるいのだ。ランスロット=ベイリアルに、こんなにも思われているのだから。 「いいわ。それなら、挑戦してみましょう。でもうまくいくかどうかはわからなくてよ」 「進言させて頂くなら、セシリア様、仲直りするなら、今晩中が得策かと」 「あら、どうして?」 「昔からいうでしょう。早ければ早いに越したことはない、と。 それに、夜の闇は、いがみ合っていた二人を素直にしてくれますよ」 「まあ、それは心理学の一種か何か?」 「ただの一般論です。夜はめくるめく魔法の時間ですよ。 日中どんなに激しい喧嘩をしても、月の魔力は厳かに二人の心を包み込むのです。 ―――ことに男女の場合はね」 「そうでしたの? 存じ上げませんでしたわ」 セシリアは博識なランスロットに感心しつつ、頑固者の自分の父親のことを思い返していた。 「それでいうならば―――殿方は、夜におねだりされると弱いものなのかしら」 「それはもう。特にあなたのように愛らしい方に、切なげに迫られたら一溜まりもありませんね」 なるほど、とセシリアは感慨深げに頷いた。 今度、お父様に試してみよう。もしかしたら、あの婚約話を打破できるかもしれない。 一筋の光明が差し込み、セシリアの心は一気に軽くなっていた。 ランスロット=ベイリアルは、なんと素晴らしいのだろう。 この教養あふれる紳士が、「漆黒の騎士」であっても、<黒い狼>であるはずがないわ。 「まあ、ランス様、あなたとマリアンヌだったらお似合いだわ」 「は?」 「わたくし、マリアンヌから『漆黒の騎士』様のことを聞いていましたのよ。 それにね、ごめんなさい――― 実は、あなたがあの部屋で、マリアンヌの靴磨きをしていたところを見てしまったの」 「靴磨き? わたしがマリアンヌ王女の靴を?」 「ええ、でも覗くつもりはなかったんですのよ。ただ、どんな人物かわからなかったから、心配で―――」 「セシリア様」 「でも、あなただったなら―――」 「何か思い違いをなされているようですよ」 「え?」 「わたしはそのお捜しの人物ではありません」 「まあ、でも、そのカフスは……」 「これですか? これは知り合いの店で仕立てたものですが。 これと同じボタンをしている男をあと三十人以上は、知っていますよ」 「なんですって!」 セシリアは慌てて、にぎやかな大広間の中に舞い戻った。 しかし、いくらマリアンヌ王女の姿を捜しても、影も形も見当たらなかった。 *** 「実にもったいない」 漆黒の騎士は嘆息した。 「畏れ多くも、マリアンヌ王女から紅茶を賜るなんて」 「そんなことおっしゃらずに、どうぞ召し上がって。あなたが召し上がらないと、私も頂けないわ。 私が紅茶を与えたということは、あなたにそれだけの資格があるという証よ」 肘掛け椅子に奥深く座り、マリアンヌ姫は、気高い笑みを浮かべた。 「それでは、頂きます。それにしても、今日はお疲れだったことでしょう」 「ええ、そうね。でも、仕方がないわ。公務ですもの」 漆黒の騎士は王女の前にすかさず跪いた。 「痛み入ります。お御足をお揉みしましょうか」 「結構よ」王女はぴしゃりと言い放つ。 「さっきは悪いことしたわね。あんな風に振舞えば、あなたがどんな反応をするか見てみたかったのよ」 「わたしの対応はお気に召しましたか?」 「ええ、だから私の居室に入る権利を与えたのよ」 「『社交界の女王』の応接室に足を踏み入れることができたなんて至極恐悦の至りです。 あなたに愛を語る権利をも許されたと思ってよろしいでしょうか?」 「さあ、どうかしら」王女は紅茶をすすりながら、首をかしげる。 「私は常々、男女の愛に対して懐疑的なのよ」 「ああ、あなたはわたしの恋心を疑っているのですね」 大げさに首を振り、嘆いてみせると、王女はくすくすと笑った。 「つまり、慎重にならないといけないという意味よ。 恋なんてものは、大いなる錯覚と誤解から生まれ出ずるんだわ。 それなのに、一度それに絡め取られてしまうと、抜け出すのに苦労するものだから」 「では、愛は? 誰かを心の底から愛することにも慎重を要さなくてはならないのですか」 「そうね、どうなのかしら」 マリアンヌ王女は、また紅茶をすすり、欠伸をこらえる仕草をする。 「本当のところ、恋や愛の違いなんて、よくわかりませんわ。 私、俗世を離れて、神殿の尼僧になろうかと考えることもしばしばですのよ そうすれば、恋や結婚についてしっかり考えなくてもすむでしょう」 「それはそれは」 漆黒の騎士は冷静な声で、しかし内心は驚いて、第四王女の顔を見つめた。 「ご冗談でしょう。そんなことをしたら、多くの国民が嘆きますよ」 マリアンヌ王女は、どこか遠い目で「そうね」と呟く。 「だから、誤解でも錯覚でもいいから、 恋という魅惑の魔法をかけてくれる騎士が、 私の元に訪れてくれないかといつも夢見ているのよ」 王女は挑発的な視線を向け、彼の目の前に手を差し出す。 「あなたにそれだけの資格があるかしら」 しかし、漆黒の騎士はその手にキスしたあと、彼女から一二歩離れた。 「やめときましょう。わたしはあなたの想う方の代わりになれそうもない」 「まあ、どうして」 マリアンヌ王女はカップを卓に置き、姿勢を正して、まじまじと漆黒の騎士を見下ろした。 「どうして、私の気持ちがわかったの?」 「勘でしょうか。あなたは、あなたの心を絡め取った誰かを本当は忘れたくないのでしょう?」 「そんなことないわ」 マリアンヌは、震える声で反駁する。しかし、その目は虚ろであった。 「忘れる必要があるのよ。早く忘れたいの。だって、私の想いは――――」 そこで彼女は立ち上がろうとして、ふらふらとよろけた。漆黒の騎士が彼女を支える。 「一生叶うことがないんですもの」 そう呟くと、マリアンヌ王女は、漆黒の騎士の腕の中で動かなくなった。 実にもったいないことだ、と漆黒の騎士は考える。彼女はとても魅力的なのに。 栄華を極めたかに見える「社交界の女王」にも、手の届かないものはあるのだ。 漆黒の騎士は、マリアンヌ王女を抱きかかえながら、 二つのティーカップの中味を、手際よく花瓶の中に流し込んだ。 そのあとで、隣の寝室に向かい寝台の上にマリアンヌ王女を寝かせる。 彼女が目覚めるのは、おそらく明日の朝になるだろう。 それから、彼は、化粧台の上に置かれていた宝石箱に手をかけ、中を探り始めた。 果たして、さまざま装身具の下に、黒檀の鞘が忘れ去られたように置かれていた。 やはり睨んでいたとおりだった、と漆黒の騎士は満足する。 「探し物は見つかったのか」 冷ややかな声が室内に響いた。 漆黒の騎士が振り返ると、栗色の髪の少年が腕を組み、扉に寄りかかっていた。 「エルド様でしたか」 漆黒の騎士にやりと笑うと、恭しく一礼した。 しかし、第三王子は憮然とした表情を崩さない。 「まさか『漆黒の騎士』の正体がお前だったとはな」 「ほう、どこで情報が漏れたのでしょうか。 まさかマリアンヌ様があなたにお話したのですか?」 第三王子は「いいや」と首を振る。 「舞踏会が始まる前の中央宮で、お前たちの会話を聞いたのさ。 すぐにマリアンヌとお前の声だとわかったぞ」 「おやおや、立ち聞きされていたとは、エルド様もお人が悪い」 「そんなことはどうでもいい。どうして、マリアンヌを狙ったんだ」 「大丈夫。彼女は眠っているだけです。 明日の朝には、目覚めて、おそらく今晩に関する記憶も無くなっているでしょう」 「そういう問題ではないだろう。 これは、祖父さんの差し金なのか? それともルーカス叔父さんか?」 「さて、わたしの独断ということにしときましょうか」 からかうような彼の言葉に、第三王子は「ふざけるな」と叫ぶ。 「どうせ、<黒い狼>だって、あの祖父さんが黒幕なんだろう?」 おや、まさか<黒い狼>のことまで持ち出されるとは。 漆黒の騎士は、エルドの情報収集能力に舌を巻いた。 「さすがエルド様。察しが鋭い」 「……少し調べれば、簡単にわかることだ。 『一匹狼のラルフ』、それが若い頃の祖父さんの二つ名だったんだろう? いったい全体お前たちは、何を企んでいるんだ」 射抜くようなエルドの眼光を、漆黒の騎士は、さらりとかわした。 「今は、答えないでおきましょう」 いずれ、わかることですから、と心の中で呟きながら、彼は大きな出窓に手をかけた。 「それでは、わたしは失礼します」 エルドに挨拶を済ませると、漆黒の騎士は、 まるで夜空を舞う鳥のように、出窓から飛び立ったのだった。 地面に着地すると、植え込みの影から心配そうな声が聞こえて来た。 「アークなの?」 途端に、大胆不敵な漆黒の騎士は、ごく普通の二十歳の青年に早替わりした。 「俺だよ、トルテ」 そう言って、隠れていた幼馴染の少女のところまで行くと、懐の黒い鞘を見せる。 小さく縮こまっていた彼女は安心したように口角を上げた。 本当は彼女を巻き込まずに単独で済ませるつもりだった。 しかし、彼女の方から持ちかけてきたのだ。「わたしも何かの力になりたい」と。 女がいると夜の城内を歩き回るときに、何かと重宝するのも事実だ。 途中で巡回してくる衛兵に出くわしても、彼女を抱き寄せ、情熱的な接吻でも交わせば、 祭の興に乗って、羽目をはずしている恋人たちにしか映らない。 だから、「しょうがないな」と文句を言いつつ、彼女をこんな危険なところまで連れてきてしまったのだ。 実際のところは、彼女に触れる機会を逃したくなかっただけなのかもしれない。 王城を抜け出そうとする途中で、アークたちは何度も抱き合い恋人同士の振りをした。 何回目かの接吻で、アークは、幼馴染の彼女がたまらなく愛しくなり、大胆にも舌を割り込ませた。 けれど、衛兵が立ち去ると、彼女はアークの身体を冷淡に突き放す。 「調子に乗らないで」 アークはめげずに、トルテの腕を取り上げ、幼馴染のご機嫌を取ろうとする。 「これから夜祭に行こうぜ」 「誰が、あんたなんかと行くもんですか」 「でも、お前はセシリア様に言ったんだろう。俺と夜祭に行くって。嘘はよくない」 公爵令嬢のことを口に出せば、トルテが反応するのはわかっていた。 そもそも、セシリア嬢を通してマリアンヌ王女に近づけば、もっと簡単にあれを手にすることだってできたのだ。 それなのに、トルテは自分の主人を利用することを断固として拒否した。 そのくせ、アークのこともひどく心配して、片棒を担ぐことまでしたのだ。 「そうね……」 トルテは少しの躊躇いを見せたあと、アークの腕に寄り添った。 「行くことにするわ。せっかくセシリア様が気遣って、わたしにお与え下さった時間なんですもの」 そう、時間はたっぷりある。夜はまだこれからなのだ。 アークはトルテの胸の感触を楽しみながら、今宵、騎士から狼に変身できる好機が訪れることを密かに祈った。 *** セシリアは慌しく秋の宮へと駆け込み、マリアンヌの居室へと急いだ。 動きにくい夜会服を着ているとは思えないほどの速度で突っ走る公爵令嬢を 各所に位置していた警備兵たちは、驚愕の目で眺めていたが、そんなことは、このさいどうでもいいことだ。 控えの間には、マリアンヌの侍女たちの姿は見当たらず、奥の応接室もひっそりと静まり返っていた。 しかし、卓上では、蝋燭の炎が揺らめき、二つの空のティーカップが並んで置かれていた。 ということは、マリアンヌたちは寝室にいるのかしら。 セシリアは寝室の扉に手をかけようとして躊躇する。 もし、「漆黒の騎士」がマリアンヌの靴磨きをしていている場面に出くわしたら、どうしましょう。 何より、自分は無粋な出歯亀をしているだけなのかもしれない。 いいや、ここまで来たならば、 乗りかかった船、毒を食らわば皿まで、騎虎の勢い下りるを得ず、すべては親友を思うが故だ。 勝手な大義名分を言い聞かせ、セシリアはおそるおそる寝室の扉を押した。 覗いてみると、室内は真っ暗で人の気配は、全くしなかった。 誰もいないのだろうか。 微かに開かれた出窓から降り注がれた月の光は、天蓋付きの大きな寝台まで伸びている。 その寝台の上では、銀色の光が蝶のようにきらきらと舞っていた。 その輝きに心を奪われているうちに、徐々に目は暗闇に慣れてきた。 「マリアンヌ!」 ふと気づけば、寝台の上には、ダイアモンドのティアラをかぶった「社交界の女王」が横たわっていた。 セシリアは驚いて、すぐさま彼女に駆け寄る。 「どうしたの? マリアンヌってば」 ショールを纏った肩をそっと揺さぶり、何度も声をかけてみるが、その瞳が開かれることはなかった。 「眠っているだけだ」 突然、背後から発せられた声に、セシリアは「きゃっ」と小さく悲鳴を上げた。 涙目で振り返ると、扉の後ろに、見慣れた人影が佇んでいた。 「エルド?」 セシリアの潤んだ瞳は一気に乾く。 「あ、あなた、どうして、ここにいるの? ま、まさかあなたが『漆黒の騎士』だったの?」 セシリアの気はすっかり動転していた。 エルドは呆れたような冷たい瞳でそっけなく「馬鹿」と言い放つ。 「父上との話し合いが、割合すぐに終わったから、ちょっと寄ってみただけだ。 どうやら、『漆黒の騎士』と入れ違いだったらしいな」 そう言って、マリアンヌの化粧台を指し示すと、エルドは首を振り振り、隣の部屋へと消えて行った。 「……自分には関係ないと言っていたくせに」 釈然としないまま、象牙の化粧台に近づくと、そこには、四角に切った小さい厚紙が置かれていた。 セシリアは、その厚紙を手に取り、月明かりの下で目を凝らした。 『漆黒の騎士、今宵参上』 そう書かれた文字の右下に、黒馬を従えた黒い甲冑の騎士が小さく描かれていた。 セシリアは、すやすや眠っているマリアンヌと白いカードを交互に見つめ、首をかしげた。 「――――――どういうことなのかしら?」 「漆黒の騎士」の意図がよくつかめない。 しかし、ティアラが無事だったということは、泥棒ではなかったのだろう。 念のため、マリアンヌが目覚めたならば、何か無くなっている物がないか尋ねなければ。 「でも、まあ、『女帝の金剛石』が無事だったなら、最悪の事態は免れたといっていいわよね」 セシリアは胸をなで下ろした。 依然として謎は多かったのだが、 とりあえず一応の終結を見たと判断したセシリアは、エルドの後を追いかけることにした。 何しろ、こちらの問題は、未だ暗礁に乗り上げて、陸地が見えない状態なのだ。 「エルド、待ってちょうだい!」 応接室を去ろうとしていた彼は立ち止まり、こちらを向いた。 それは惰性のような緩慢な動作だったが、無視されなかったことに安堵しつつセシリアは一気に畳み掛けた。 「私、あなたに、どうしても伝えたいことがあるのよ」 きっぱりと宣言したあとで、迷いと焦燥が生まれてくる。 何から話せばいいのだろう。 どうやって伝えればいいのだろう。 エルドの表情は、「氷晶の君」さながら、何の感情も読み取れず、セシリアは少しひるんだ。 しかし、ランスロット=ベイリアルがいうように、夜の魔法を信じてみよう。 月の不思議な魔力が、今宵ふたりの心をつなぎとめてくれることを切に祈ろう。 まだ夜は、始まったばかりなのだから。 戦いに挑む騎士のように、勇気を鼓舞したセシリアは、ふと自分が例の厚紙をまだ持っていることに気づいた。 「あら」 マリアンヌの元に返しておかなくては、と思いつつ、 蝋燭の灯りの下で何ともなしに厚紙をかざすと、飾り文字の下にある、騎士の絵ははっきりとした輪郭を帯びた。 セシリアは、それをしげしげと見直してから「うそ!」と小さく叫んだ。 エルドが訝しげにこちらを見ているが、それどころではない。 黒い甲冑を着た騎士の傍らにいたのは、黒馬ではなく、痩身な黒い狼で、 しかも、騎士は、まるで主を信奉するかのように、その黒い狼に敬礼していたのだった。
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18 名前:雪だるま ◆.yoiWhgZ0b9R [sage] 投稿日:2010/08/21(土) 03 21 56 ID X/Pfhm4g 日本国憲法第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、 又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、 これを支出し、又はその利用に供してはならない。 公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない 公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない 公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない 公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない 公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない 19 名前:神條 遼@"メタトロン"いいんちょ ◆2/P6Chairg [sage] 投稿日:2010/08/21(土) 03 24 53 ID Wo+102Ib ?2BP(2111) 18 カウンターとして 『私立学校振興助成法』 『公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律』 『公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則』 の3つを挙げる。 ちなみに、無償化法2条の5項にある 学校教育法第一条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち 当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの という部分ではどうでしょう? 学校教育法第一条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち 当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの この『同法以外の法律』って言うのは『教育基本法以外の法律』ってこと。 つまり『教育基本法以外の何かしらの法源があって文科省が認可した学校』が無償化対象ってこと。